ドラえもん「ダンガンロンパ?」【後半】

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ドラえもん「ダンガンロンパ?」【後半】






397: ◆takaJZRsBc 2018/05/12(土) 22:07:15.68 ID:VGbJswOZ0



  第14話 たえちゃんとおばけ寺


  ― 男子トイレ ―


のび太「で、結局どうするの?」

ドラえもん「……考えたんだけど、やっぱりセレスさんに言ってもらうしかないんじゃないかな?」

のび太「セレスさんに? ムリだよ。さっきもあんな風に言ってたじゃないか」

ドラえもん「そこをなんとかするんだよ」

のび太「なんとかって?」

ドラえもん「まあ、改心させるしかないだろうね」

のび太「どうやって? だって、あのセレスさんだよ?」

ドラえもん「舞園さんの時と同じだよ。彼女がああいう考え方になったのは
       きっと何か理由があるはずなんだ。それを探ろうと思う」

のび太「じゃあまたタイムマシンで過去に行くんだね!」

ドラえもん「行こう! セレスさんの過去を見に!」


               ◇     ◇     ◇


ドラえもん「とりあえず10年前にやってきたけど」

のび太「えっと、トチギの出身なんだっけ?」

ドラえもん「宇都宮らしい。でもかなり端の方みたいだね」

のび太「わあ! 自然が綺麗だよ」

ドラえもん「うん。でも、思っていたより随分田舎だなぁ」

のび太「たしかにセレスさんのイメージには合わないね」




398: ◆takaJZRsBc 2018/05/12(土) 22:19:31.48 ID:VGbJswOZ0


ドラえもん「そこに何か鍵があるのかも。はい、タケコプター」

ドラえもん「舞園さんの時に苦労したから今回は事前に家の場所を調べておいたよ」

のび太「いつもそのくらい気がきけばいいんだけどなー」

ドラえもん「気が利かなくて悪かったね」

のび太「あ、あれ? もしかして、あそこにいるのセレスさんじゃない?」

ドラえもん「えっ、どこ?」

のび太「ホラ、あそこにいる着物を着た女の子だよ」

ドラえもん「まさか。そんなわけないよ。全然雰囲気が違うじゃないか。
       第一セレスさんが着物なんて着るわけないよ」

のび太「そうかなぁ?」

ドラえもん「そうだよ。あの子はセレスさんと違ってすごい地味だし」

のび太「言われてみたらそんな気がしてきた」

ドラえもん「それより早くセレスさんの家に行こうよ。この近くのはず」


             ・

             ・

             ・


のび太「どこにあるんだよー?」

ドラえもん「おかしいなあ。もう見えてもいいはずなんだけど」

のび太「それにしてもさっきからずっと塀が続いているね。大きな家だなあ」

ドラえもん「家じゃないよ。これはお寺だね」

のび太「フーン」




400: ◆takaJZRsBc 2018/05/12(土) 22:35:42.22 ID:VGbJswOZ0


ドラえもん「いっそ人に聞いた方がいいかもしれない。すみません!」

通行人「わあ! たぬきが歩いて喋ってる!」

ドラえもん「ボクはたぬきじゃない!」

のび太「まあまあ。あの、安広さんのお家を知りませんか?」

通行人「やすひろさん? 目の前じゃないか」

のび太「え?」

通行人「このお寺がやすひろさんの家だよ」

ドラえもん・のび太「えぇー?!」

ドラえもん「まさかこの大きなお寺がセレスさんの家だったなんて……」

のび太「信じられない。お金持ちじゃないか!」

ドラえもん「……ちょっと話を聞いてみよう。お寺ならお父さんかお母さんがいるはずだ」


二人は寺の敷地に入ると掃き掃除をしている住職に声を掛けた。


ドラえもん「こんにちは」

住職(セレス父)「おやおや、これは変わったお客さんだ。わしに何かようかい、たぬきくん?」

ドラえもん「だからたぬきじゃないって……」

のび太「ぼくたちセレス……じゃなかった多恵子さんの友だちなんです」

住職「何? 多恵子の? そうかそうか。それは良かった」

ドラえもん「よかった?」

住職「あいつにも友達がいたと知って安心したわい」

のび太「え? 多恵子さんって友だちがいないんですか?」




401: ◆takaJZRsBc 2018/05/12(土) 22:48:27.05 ID:VGbJswOZ0


住職「あいつも変わり者だからな。全く寺の娘のくせして西洋かぶれで困る」

住職「セレなんちゃらとか言う変な名前を名乗ったり、本当はフランス人と
    ドイツ人のハーフだなんて吹聴して……おかげで学校では嘘つき扱いよ」

のび太「そうなんですか……」

住職「生まればっかりは本人がいくら望んでも変えられないからのう。
    だからあるがままに生きることの大切さを仏様は説いているんじゃが」

住職「ただ、寺の娘ということであいつも嫌な思いをしてきとるからのう。
    こちらとしてもあまり強く言えないんじゃよ……」

ドラえもん「イヤな思い?」

住職「墓場の隣に住んでるとかな。うちは大きいが古くてボロいから
    子供達からお化け寺とかオンボロ屋敷とか色々言われとるんじゃ」

のび太「そっかぁ」

住職「そんなわけで、これからもあいつと仲良くしてやってくれんか?」

ドラえもん「もちろんです!」

住職「おぉ、ありがたいありがたい。お礼にお菓子をやろう。こっちにおいで」

のび太「わーい。ありがとう!」


               ◇     ◇     ◇


お菓子をご馳走になったふたりは再び空からセレスの姿を探す。


のび太「あ、いたよ」

ドラえもん「やっぱり、さっきのび太くんが見つけた子がセレスさんだったんだ」

のび太「昔は着物を着てあんなに地味なフンイキだったんだね」




402: ◆takaJZRsBc 2018/05/12(土) 22:59:26.29 ID:VGbJswOZ0



セレスの周囲にはクラスメイトと思しき子供達がいた。


男の子A「やーい、寺っ子! 家にユーレイいるんだろ? おばけ寺だもんな!」

男の子B「服から線香の匂いがするぞー!」

多恵子「あの家に預けられているだけよ。わたしの本当の両親はヨーロッパにいるの」

女の子「じゃあフランス語話してよ! ドイツ語だっけ?」

多恵子「……言ってもあなた達がわからないから言わない」

男の子A「うそつきー! うそつき多恵子!」

男の子B「本当はしゃべれないんだろ!」

女の子「うそつきー!」

多恵子「…………」


セレスは悔しそうにしている。


ドラえもん「セレスさん、いじめられてるんだね。かわいそうに」

のび太「でもお寺の子供だからってなんでいじめられなきゃいけないの?
     服は地味だけど顔はすごくかわいいし頭もいいのに」

ドラえもん「これは僕の推測なんだけど嫉妬じゃないかな?」

のび太「しっと?」

ドラえもん「セレスさんは綺麗だし、実家のお寺もすごく大きかっただろう?
       たぶんこの辺りの大地主なんだと思う」

のび太「地主さん?」

ドラえもん「そう。お金持ちなんだよ。彼女の着ている着物も地味だけど高価なものに見える」




403: ◆takaJZRsBc 2018/05/12(土) 23:12:09.31 ID:VGbJswOZ0


のび太「でもお金もちだからっていじめられるならスネ夫はどうなるのさ」

ドラえもん「スネ夫くんものび太君がいなかったらいじめられてたと思うよ。
       のび太くんの方が目立つからいじめられるだけで」

のび太「どうせ僕はダメダメですよーだ」

ドラえもん「基本的に小学生は自分達と違う部分がある子をいじめるんだ。
       彼女は実家がお寺だし美人で気が強い。悪目立ちするだろうね」

ドラえもん「セレスさんは自分がいじめられる原因である実家がすごく嫌いなんだろう。
       その反動で実家と真逆の存在である西洋に強い憧れを持ったんだろうね」

のび太「だからキレイな西洋のお城に住みたいんだ……」

ドラえもん「原因はわかった。なら対策は簡単だ」

のび太「どうするの?」

ドラえもん「彼女はお寺生まれってことでイヤな思いをたくさんしてきただろう?
       だったらその反対をしてみればいい。『長所伸ばシール』」パパラパッパパー

ドラえもん「これに相手の伸ばしたい長所を書いて貼ると、周りの人が
       その長所を誉めてくれたりいいことがたくさん起こるんだ」

のび太「セレスさんにとっては欠点だったお寺生まれを長所にするんだね!」

ドラえもん「そういうこと! じゃあ早速背中に貼り付けよう」つ透明マント


             ・

             ・

             ・


セレス母「多恵子ー、買い物に行ってきてもらえる?」

多恵子「セレスティアと呼んでくれたら行ってあげるわ」

セレス母「はいはい。テレジアね」

多恵子「セレスティア!」




405: ◆takaJZRsBc 2018/05/12(土) 23:25:21.83 ID:VGbJswOZ0



買い物中。


町の人「あー、安広さんちの多恵子ちゃん! 買い物かい? 偉いねえ」

多恵子「なんですか?」

町の人「ほら。うちで取れた野菜をあげよう! 住職さんにはいつもお世話になってるからな!」

多恵子「重いので結構です」

町の人「そう言わずに!」

おばさん「あら、たえちゃん! お菓子あげるわ。安広さんの家は本当に立派なお寺よね。
      住職さんも優しいし歴史もあるし本当に素晴らしいおうちね!」


ヤイノヤイノ!


多恵子「…………」


               ◇     ◇     ◇


ドラえもん「さーて、少しは気分が良くなったかな?」

のび太「スパイロボで見てみよう!」


二人はセレスの部屋を覗き見る。


多恵子『ざっけんじゃねえよ! どいつもこいつも寺生まれ寺生まれって! 馬鹿にしてんのか?!』


ドガッシャーン!


ドラえもん「あ、あれ……」

のび太「……なんかおこってない?」




407: ◆takaJZRsBc 2018/05/12(土) 23:35:49.98 ID:VGbJswOZ0



多恵子『なにがいいお寺だ! ボロくてカビくせえだけだろうが!!
     あたくしには西洋の白い美しいお城の方が遥かに似合ってるわ!!』


ドラえもん「こんなはずでは……」


多恵子『服も時代遅れの着物なんかじゃなくて白いレースがたくさんついて黒いゴシックな
     デザインの方が断然わたくしに合う。ねえ、グランボアシェリ。お前もそう思うでしょう?』

グランボアシェリ『ニャー』


セレスはペットの猫にぶつぶつと理想をぶつけている。


多恵子『どんな手を使っても絶対にお城を手に入れてみせる! そしてわたくしはそこの
     女王になるの! たくさんのイケメンをはべらせて……そうね。ヴァンパイアの
     コスチュームを着せましょう! わたくしがヴァンパイアクイーンよ! ホホホッ!』


のび太「またイタいモウソウしてるよ」

ドラえもん「なにがいけなかったのかな……?」

のび太「もうどうすればいいかちっとも浮かばないや」

ドラえもん「そうだねぇ。女の子だから大亜さんに聞いてもわからないだろうし……
       やっぱり同じ女の子に聞くのが一番かな。今回はドラミに相談してみよう」

のび太「そうだね」ハァー


               ◇     ◇     ◇


ドラミ「いらっしゃい。また来たわね」

のび太「また来ちゃった」

セワシ「おじいちゃんにドラえもん! いらっしゃい!」

のび太「セワシくん!」




408: ◆takaJZRsBc 2018/05/12(土) 23:49:54.32 ID:VGbJswOZ0


セワシ「話は聞いてるよ。今ダンガンロンパの世界に行ってるんだって? ぼくにも協力させてよ」

ドラえもん「助かったよ。ちょうどいま困ってるんだ。助けてほしい」

ドラミ「今度はなに?」


二人は現在の状況を説明する。


ドラミ「なるほどね」

ドラえもん「いい案だと思ったんだけど、なにがいけなかったのかなぁ?」

のび太「そうだよね。お寺生まれってことでたくさんいい思いをしたのに」

ドラミ「二人とも単純ねぇ。人の主義や思想は一日二日で形成されるものじゃないの。
     セレスさんの考え方を変えるならもっと幼い頃に行って時間をかけなきゃダメよ」

のび太「さすがにつきあいきれないよ! もっとお手軽にできる方法ない?」

セワシ「ひみつ道具を使えば簡単じゃない」

ドラえもん「そりゃあ道具を使えば簡単に変えられるけど、
       それだと洗脳みたいだしなぁ。あんまりやりたくないよ」

セワシ「道具なしかぁ。ならちょっと厳しいかもなぁ」

ドラミ「そうねぇ。……あ、そうそう。きっとまた来ると思って私も今
     ダンガンロンパをやっているのよ。結構面白いわね」

のび太「それはよかった。次はぼくにもかしてよ!」

ドラミ「あら。もうストーリーもトリックもわかってるのにプレイしたいの?」

ドラえもん「逆だよ。どうせのび太くんの頭じゃ自分で推理なんて出来ないから
       先にトリックが全部わかってなきゃダメなんだ」

セワシ「おじいちゃん……」

のび太「バカでわるかったね!」




409: ◆takaJZRsBc 2018/05/12(土) 23:59:57.22 ID:VGbJswOZ0


ドラミ「そういえば、セワシさんのデータで遊んでるんだけど、
     セワシさんてば女の子との会話のデータだけ全部取ってあるのよ」

セワシ「ちょっと! 言わないでよ!」

ドラえもん「のび太君の子孫なだけある。……そうだ。そこから何かヒントを手に入れられないかな?」

セワシ「ヒントかぁ。セレスの通信簿はあんまり情報がなかったと思うけど」

ドラえもん「とにかく手当たり次第見ていこう」

のび太「そうだね。なやむよりは行動しようよ!」

セワシ「じゃあ通信簿から見て行こうか」


視聴後。


ドラえもん(……本当に実がなかった)

のび太「わかったことってセレスさんがギョウザ好きでギャンブルが強いってことくらいだったね……」

ドラミ「しかもどこからどこまで本当かわからないわね。嘘つきな人みたいだし」

セワシ「だから言ったのに。まあ折角だから裁判後の会話も見てみる?」

ドラえもん「一応見てみようか」

のび太「でもドウキっておしろだよね?」


更に視聴後。


のび太「うーん」

ドラえもん「いつ見てもひどい」

セワシ「なにかわかった?」




410: ◆takaJZRsBc 2018/05/13(日) 00:11:17.60 ID:wr88AJxZ0


ドラミ「ロマンチストでイケメン好きってことはよくわかったわね……」

のび太「ほんとうイケメンイケメンってイケメンのどこがいいのさ!」

ドラえもん「よせよせ。顔の悪い男がひがむのはみっともないぞ」

セワシ「おじいちゃんだってかわいい子が好きでしょ?」

のび太「そうだけど、顔がすべてじゃないよ! 性格だって大事でしょ!
     なのにこの人は外見ばっかり! 外側をみすぎだよ!」

ドラえもん「仕方ないよ。彼女にとってはとにかく見映えが大事なんだから」

のび太「あんまり顔ばっかり見てるとそのうち悪いおとこにだまされちゃうよ!」

セワシ「十神みたいな顔はいいけど性格の悪い男にひっかかるかもね」

ドラミ「それだわ!」

ドラえもん「それだわってなにが?」

ドラミ「彼女のイケメン好きを利用するのよ! 周りがいくらお寺を誉めたって
     響かないけど、彼女好みのイケメンが誉めたら少しは考えが変わるんじゃないかしら」

のび太「いいね! やってみようよ」

セワシ「そんな上手くいくかなぁ」

ドラミ「とりあえずやってみましょ。コピーロボットで十神さんをコピーするの」

ドラえもん「でも、コピーロボットだと性格も十神くんそっくりになるよ?」

ドラミ「お兄ちゃんの持ってるロボットは旧型なのね。私のコピーロボットは性格チップを
     使えば自由に性格を変えられるのよ。今回はこの優しいチップを使いましょ」

のび太「よーし。とりあえず学園にもどろう!」




411: ◆takaJZRsBc 2018/05/13(日) 00:18:43.84 ID:wr88AJxZ0



               ◇     ◇     ◇


ドラえもん「用意してきました」

ドラミ「作戦を説明するわよ」

性格チップ(優しい)in ロボ十神「成程、了解した。任せろ。俺が導いてやる!」キラリン!

ドラえもん「すごい……なんて頼りになりそうなんだ。心なしか太って見える」

のび太「そうだね。なんだか太ってみえるよ」

セワシ「ダンガンロンパ2の十神はこんな感じだからね。もっと太いけど」

ロボ十神「誰の話だ? さっさと行くぞ!」


             ・

             ・

             ・


セレスが道を歩いている所を一行は発見した。


ドラえもん「見つけたぞ」

ドラミ「じゃあ後は任せるわね?」

ロボ十神「任せろ。十神の名にかけて必ず成功させる。必ずな」

ドラえもん・のび太(きみニセモノなんだけどね)


そしてロボ十神はセレスに近づき話しかけた。


ロボ十神「おい、そこのお前」

多恵子「…………」




412: ◆takaJZRsBc 2018/05/13(日) 00:30:44.94 ID:wr88AJxZ0



セレスは無視して歩き続ける。


ロボ十神「聞こえていないのか? そこのお前だ」

多恵子「…………」


セレスはますます早足で進む。


のび太「あれ? なんで無視するの?」

ドラえもん「どうやら昨日の一件でまだ機嫌が悪いようだ」

ロボ十神「お前だお前。着物を着た女!」

多恵子「うるせえんだよ。この……!」クルッ


キラリィィィン!


ロボ十神「道を尋ねたいんだが?」キラキラ

多恵子「あ、はい……」

のび太「本当にイケメンに弱いね……」ハァ

ドラえもん「全くだよ……」ハァ

ドラミ「なんだか笑っちゃうわね」

セワシ「そんなにいいかなぁ?」


四人は苦笑いした。


多恵子「どちらまで行かれたいのかしら?」

ロボ十神「この辺りにある由緒正しい寺に行きたいのだが」

多恵子「お寺、ですか?」




413: ◆takaJZRsBc 2018/05/13(日) 00:33:53.71 ID:wr88AJxZ0


ロボ十神「地元の人間なら知っているだろう? 壇論寺だ。案内してくれ」

多恵子「……構いませんが」


セレスは渋々といった顔で実家に案内した。そして予定通りロボ十神は寺を誉め始める。


ロボ十神「うむ、素晴らしいな。実に素晴らしい!」

多恵子「お言葉ですがこんなボロボロなお寺のどこがよろしいのですか?」

ロボ十神「確かにボロボロかもしれん。だが、ここには確かな歴史と伝統があるのだ。
      地元の人間なのにそんなこともわからないのか?」

多恵子「…………」

ロボ十神「最近はグローバリズムだか何だか知らんが、 なんでもかんでも外国のものを
      良いと褒めちぎって日本本来の素晴らしさを忘れている。そういった人間は浅い」

ロボ十神「知っているか? 西洋の城や屋敷はとても美しいだろう?」

多恵子「そう思います」

ロボ十神「引っ越しをしたいと思うか?」

多恵子「もちろんですわ」

ロボ十神「俺はそうは思わない。絶対にごめんだ」

多恵子「まあ、何故?」

ロボ十神「知らないなら教えてやろう。西洋ではつい最近まで衛生観念がなくてな、あの綺麗な
      建物の窓から排泄物を捨てていたのだぞ? そんなところに住みたいか?」

多恵子「そ、そうなのですか?」

ロボ十神「それに西洋の城は石造りだろう? 耐震性に弱い上、夏は暑く冬は寒い。しかも無駄に
      階段が多いから実際に住むと相当不便だぞ。外側しか見ない人間にとっては
      素晴らしいかもしれんがな。見るのは好きだが住みたくはない」

多恵子「…………」




414: ◆takaJZRsBc 2018/05/13(日) 00:40:41.48 ID:wr88AJxZ0


ロボ十神「それにカビ臭いと言うが、日本の建物は風通しがよく作られているからきちんと
      換気さえしていればそうそうカビは生えん。暑い日本の夏も涼しく過ごせる」

ロボ十神「この建物を見ろ。掃除が行き届き、きちんと手入れがされている。
      これだけで住んでいる人達が大事に使っているのがわかるな」

ロボ十神「相当歴史が古いようだ。有名な武将もここにお参りに来たらしい。記念碑もあるようだな。
      こんなところに住めたらさぞかし教養の深い人間になれるだろう。間違っても物事の
      表面ばかりを見る浅い人間にはならないだろうな」チラッ

多恵子「え、ええ。そうですわね……」

ロボ十神「一人で見て回るのもつまらん。良かったら一緒に見て回らないか?」

多恵子「はい! 案内いたしますわ!」


             ・

             ・

             ・


その後、ロボ十神は旅行者として数日滞在し幼いセレスと交流を深めた。
そして日本の美や伝統の素晴らしさを切々と説き続けたのだった。


ロボ十神「戻ってきたぞ」

ドラミ「ご苦労様」

ロボ十神「どうだった? この俺の仕事ぶりは」

のび太「きいてるんじゃないかな?」

ドラえもん「やっぱりイケメンにこれだけ言われると堪えるみたいだね」

ロボ十神「少しは何か変わったかもしれん。確認してみたらどうだ?」




415: ◆takaJZRsBc 2018/05/13(日) 00:46:22.90 ID:wr88AJxZ0


のび太「そうだね。タイムテレビで見てみようよ」


四人はタイムテレビで未来を確認する。そこには、


セワシ「見て! おじいちゃん!」

ドラえもん「江ノ島と対決しているね!」

のび太「やった! 全員そろってるよ!! ぼくたち、とうとうやったんだ!」

ドラミ「未来が変わったのね」

ロボ十神「おめでとうと言っておく。無事に導けたようで何よりだ」

ドラえもん「ありがとう、十神くん!」

ロボ十神「ありがとうはこちらのセリフだよ、ドラえもんにのび太。
      次は本物の俺も導いてやってくれないか?」

のび太「約束するよ。ぜったいに十神さんも改心させてみせるから」

ロボ十神「それを聞いて安心した。あとは任せるぞ」シュゥゥ……


そう言ってコピーロボットは元の姿に戻った。


セワシ「十神も色々と抱えてるからねぇ」

ドラミ「そうなの?」

セワシ「通信簿を見ればわかるよ」

ドラえもん「そうなんだ。でも、とりあえず一度戻ろうかな。ぼくも疲れちゃったよ……」

ドラミ「お疲れ様。ゆっくり休んでちょうだい」

セワシ「また何かあったらいつでも来てよ!」

のび太「ありがとう、二人とも」




416: ◆takaJZRsBc 2018/05/13(日) 00:52:11.09 ID:wr88AJxZ0



  ― 希望ヶ峰学園 ―


のび太「今回も長かったねー」

ドラえもん「全くだよ。みんな手がかかるんだから」

のび太「でもこっちでは全然時間が経ってないんだよね?」

ドラえもん「今はお昼ご飯の時間じゃないかな?」テクテク


二人が食堂に行くと、


山田「…………」ズーン

ドラえもん・のび太「忘れてたー!」

のび太「ど、どうしよう。この人のことをすっかり忘れてたよ! そのためだったのに!」

ドラえもん「ほっておくわけにもいかないし。どうしたものか……」

のび太「もう! ドラえもんがうっかりしてるから!」

ドラえもん「のび太くんだって忘れてたじゃないかー!」

のび太「ドラえもんのバカ! タヌキー!」

ドラえもん「なにをー!!」


そんな時、意外な人物が二人の横を通り過ぎ山田に声を掛けた。




417: ◆takaJZRsBc 2018/05/13(日) 01:02:05.83 ID:wr88AJxZ0


セレス「山田くん、いつまで落ち込んでいるのです」

山田「あ、セレス殿……」

セレス「先程の件でまだふてくされているのですか?」

山田「だって、僕にはまったく期待してないって……」いじいじ

セレス「正確には今のあなたには、ですわね」

山田「……今の僕?」

セレス「中身が大事という言葉がありますが、その言葉に寄り掛かる人間は嫌いです。
     今のあなたは何の努力もしていません。中身が外側に現れているのです」

セレス「見苦しく太っている者をわたくしのナイトにするつもりはありませんわ」

山田「…………」

セレス「で・す・が、痩せたらわかりませんわね?」

山田「え?」

セレス「わたくし、あなたの紅茶の味は一応評価しているのですよ?
     オタク故の一度何かを追究したら極めようとする所も」

山田「えっ? ……えっ??! ぼぼぼ、僕がセレス殿のナイトに……?!」

セレス「腐ってもあなたは超高校級。今までだって色々と乗り越えてきたでしょう?
     努力さえすれば大抵のことは出来るのではなくて?」

山田「セ、セレス殿……!」ウルウル

セレス「悔しかったらダイエットでもしてわたくしを見返してみせなさいな」




418: ◆takaJZRsBc 2018/05/13(日) 01:14:16.92 ID:wr88AJxZ0


山田「痩せます。絶対痩せてみせる! そして晴れてセレス殿のナイトになるんだっ!!」

セレス「せいぜい頑張りなさいまし」ニコ

山田「うおおおおおおおお! 頑張るぞぉーーーーーっ!!!」

のび太「セ、セレスさん……!」

ドラえもん「成長したんだ! これでぼく達の苦労も報われるってものだよ」ホロリ

のび太「やっぱりあこがれの人に言われる言葉が一番なんだねぇ」ジーン


こうしてセレスの言葉が起爆剤となって、山田は立ち直り前向きになったのだった。





ちなみに――


大和田「おい、今のセレスの言葉聞いたか?!」

葉隠「セレスっちがあんな優しい言葉を言うなんて?!
    これは天変地異の前触れだべ! ナンマンダブナンマンダブ!」

腐川「終わりだわ……もう全部終わりなのよ……」グギギ!

苗木「いくらなんでも酷いんじゃないかな……。セレスさんだって優しいところはあるよ。一応」

桑田「いや、でもあのセレスだぞ? ありえねー」

霧切「怪しいわね。何か企んでいるのかしら」

舞園「私、死ぬ前にもう一度空を見たかったな……」

苗木「舞園さんまで?!」


……基本的には今までの性格を踏襲しているらしく、陰では散々な言われぶりだった。




425: ◆takaJZRsBc 2018/05/26(土) 20:37:55.41 ID:66CUlZ+n0



  第十七話 赤いとびらの向こうがわへ


山田「えっほ! えっほ!」タッタッタッ

朝日奈「頑張れー!」

大神「ウム、頑張っているな」

不二咲「僕も負けられない!」

大和田「その調子だぜ!」

舞園「頑張ってください!」

腐川「まったく……汗くさい集団ね」

十神「お前は人のことを言う前に自分を何とかいろ。口が臭いぞ」

腐川「ヒエエエエ?! ご、ごめんなさいいいい!」

苗木「あ、はは……」


和やかに昼食後の時間を過ごしていた時にそれは起こった。


ジリリリリリリリリリリ!


苗木「な、なに?!」

石丸「いかん、地震か?! 火災警報か?! みんな机の下に避難するんだ!!」

葉隠「ひええええ! 恐怖の大王がやってきたー?!」

江ノ島「そんな訳ないでしょ!(突然なに?!)」

ドラえもん「まさか……これは?!」




426: ◆takaJZRsBc 2018/05/26(土) 20:40:25.12 ID:66CUlZ+n0



ドラえもんはポケットから蜂の形をした道具を取り出した。


のび太「それは……!」

苗木「ん? 蜂の形のおもちゃ? それが鳴ってたんだ」

大和田「なんだ、おもちゃかよ」

石丸「紛らわしいではないかー!」

ドラえもん「あ、ごめんごめん」

腐川「ちゃんと電源切っておきなさいよね!」

江ノ島「もう、空爆警報かと思ったよ!」

朝日奈「空爆って……」

セレス「江ノ島さんはいつの時代の人なのでしょうか」

のび太「それより、ドラえもん……」コソーリ

ドラえもん「うん……」ソソクサ

霧切「…………」


  ― 男子トイレ ―


のび太「ドラえもん、さっきの!」

ドラえもん「うん。ドラミが貸してくれた虫の知らせバッチだ……」


虫の知らせバッチ:『映画魔界大冒険』にてドラミが持っていた秘密道具。
            持ち主の周りに何かある時に教えてくれる。




427: ◆takaJZRsBc 2018/05/26(土) 20:47:43.36 ID:66CUlZ+n0



 ~ 回想 ~


ドラミ『そうそう、お兄ちゃん。これを貸しておくわ』

のび太『なにそれ?』

ドラえもん『これは虫の知らせバッチだよ。何か問題があったら教えてくれるんだ』

ドラミ『ダンガンロンパって登場人物がどんどん死んでいく危険な物語な訳じゃない?
     だから、いくら気をつけても不測の事態も起こり得るし持っていくといいわ』

セワシ『だいぶ原作と話が変わってきたし、もういつ江ノ島が動くかわからないからね』

ドラミ『用心しておくに越したことはないもの』

ドラえもん『そうだね。じゃあ借りておくよ』


のび太「まったく、ほんとうによくできた妹だね」

ドラえもん「まあね。それより、これから先になにが起こるのかタイムテレビで見なきゃ!」


タイムテレビを起動する。すると……


江ノ島『飽きた』

戦刃『盾子ちゃん?』

江ノ島『飽きた飽きた飽きた。飽きたー!! 私様は飽きたぞ。人間共!』

江ノ島『内通していた大神は裏切りやがるしコロシアイも起きそうにないし、
     ――よっていよいよ残姉に動いてもらうことにする!』

戦刃『……わかった。どうすればいいの?』




428: ◆takaJZRsBc 2018/05/26(土) 20:57:43.63 ID:66CUlZ+n0


江ノ島『えー、まず今日の午後に大神が内通者だとバラします。今日一日たっぷり
     疑心暗鬼に浸って頂いた所で、むくろ姉さんに今夜誰か殺してもらいます』withメガネ

戦刃『ターゲットは?』

江ノ島『大神さん……内通者ということで周囲から孤立するはず。その後殺してしまえば……
     あの時あんなことを言わなければと彼等は後悔すると思います……』キノコ

江ノ島『しかもしかも! 大神と仲の良い朝日奈が周りと衝突するのは間違いないしねー!』キャピッ☆

戦刃『わかった』


早送りすると、そこには大神を殺そうとする戦刃の姿が……


のび太「大変だー! なんとかしないと!」

ドラえもん「いや、ムダだ! たまたま大神さんがターゲットになっただけで、
       江ノ島は既に事件を起こすつもりなんだ。そっちをなんとかしないと……!」

のび太「どうするのさ?」

ドラえもん「……少し早いけど、もう大分みんな打ち解けたし、きっと今なら団結できると思う」

のび太「ということは、いよいよ……」

ドラえもん「うん。みんなに全部打ち明けよう。終わりにするんだ。この学園生活を!」


『オマエラ、体育館に集合ー!』


ドラえもん「……ちょうど呼び出しが来た」

のび太「ドキドキする」

ドラえもん「大丈夫だよ。みんなを信じよう。さて、その前にやることが……」




429: ◆takaJZRsBc 2018/05/26(土) 21:00:43.16 ID:66CUlZ+n0



  ― 脱衣所 ―


江ノ島「ちょっと! モノクマがアタシのこと呼んでるって本当? 体育館に来いって言ってたけど」

のび太「うん。本当だよ。大浴場の中にいるはず。ぼくはもう行くね!」

江ノ島「なんか怪しいな~。モノクマー、いるー?」

「こっちだよ! ほら、早く来て!」

江ノ島「その声は、本当にモノクマか。どうしたの? 呼び出しは?」


ガラッ。


ドラえもん「今だ!」

大神「フン!」

江ノ島「なっ?!」


ガスッ!

最強の軍人戦刃むくろも、超高校級の格闘家大神の不意打ちの前にあっさり沈んだのだった。


のび太「うまくいった?」

ドラえもん「うん。モノクマと声が似てるのがこんな形で役に立つなんてね。少し複雑だけど……」

のび太「まあまあ」

大神「それで本題だ。……確かに江ノ島はモノクマと親しいそぶりだったが、本当に偽物なのか?」




430: ◆takaJZRsBc 2018/05/26(土) 21:02:18.65 ID:66CUlZ+n0



ドラえもん「この髪は確かカツラのはずだよ。えいっ」


ズルッ!


大神「なんと?! ではお主達の言った通りこやつは偽物だったのか! 本物の江ノ島は一体……」

ドラえもん「それについては体育館で全てお話します。とりあえず偽物を縛って、と」

のび太「行こう!」


  ― 体育館 ―


石丸「遅いぞ!」

のび太「ごめんなさい」

大神「スマヌ、我が呼び止めたのだ」

桑田「つーか誰それ?! なんで縛ってんの?!」

朝日奈「さくらちゃん?!」

山田「それに江ノ島盾子殿が先程から見当たりませんが」

腐川「な、なによ……?! なにが起こってる訳?!」

葉隠「これはヤバい感じがするべ!」

舞園「あの、もしかしてその人江ノ島さんじゃないですか……?」

苗木「えっ?! ……あ、そういえば似てる」

大和田「髪型が違うじゃねえか」

のび太「かみはカツラだったんだよ。ほら!」




431: ◆takaJZRsBc 2018/05/26(土) 21:05:09.63 ID:66CUlZ+n0


霧切「間違いないわ。彼女は私達が会っていた江ノ島さんよ。顔が同じだもの」

不二咲「隠してたの……? そんな、どうして……」

十神「決まっている。何か不都合があるからだろう」

モノクマ「ちょ?! オマエラァァァ!! なにしてんだよ?!」

ドラえもん「モノクマ、もうお前の思い通りにはさせないぞ!」

のび太「内通者のニセ江ノ島さんはぼく達がつかまえちゃったもんね!」

大神「こやつの本当の名前は戦刃むくろと言って、超高校級の軍人らしい」

山田「ぐ、軍人ですとー?! 女軍人とかなにその狙った設定」

セレス「……それで、何故あなたがたがその事実を知っているのですか?」

大神「我はドラえもん達から話を聞き、協力しただけだ。詳しいことはこれから聞く」

モノクマ「もう、なんなんだよオマエラ! イレギュラーなのは知ってたけどさ!」

苗木「イレギュラー?」

腐川「な、なによ……どういうこと?」

モノクマ「体験入学とか真っ赤な嘘! こいつらがそう言ったから面白半分で話を合わせただけ!
      ボクはこいつらのことなんて知らないしどこから来たのかもわからない」

石丸「何だと?! では、君達は一体何者なのかね?!」

ドラえもん「詳しくは話せないけど、きみ達を助けるために遠くからやってきたんだ」

のび太「いままでずっとウソをついていたんです。だましていてごめんなさい」

霧切「だからよく男子トイレに篭っていたの?」

桑田「へ? トイレ?」




432: ◆takaJZRsBc 2018/05/26(土) 21:11:36.01 ID:66CUlZ+n0


霧切「ドラえもんとのび太君は頻繁に男子トイレに通って、なかなか出てこないことが多かったわ。
    恐らく、トイレは監視カメラがないから二人で密談をしていた。そういうことね?」

のび太「さすが霧切お姉さんだね。ごまかせないや」

霧切「あなた達は不自然な動きが多かった。私の予想では、私達の知らないことも
    たくさん知っているのではないかしら。……例えば私の才能」

のび太「超高校級の探偵だよね?」

ドラえもん「記憶はもう戻ったかな?」

霧切「……正解よ。私が記憶を失っていたことも含めて」

苗木「え? 霧切さん記憶喪失だったの?!」

朝日奈「だから私達に才能を教えてくれなかったんだね」

大和田「おいおい、マジか……」

舞園「あの……もしかして、私のこともわかっていたんですか? だから、止めてくれた?」

ドラえもん「うん。きみはきっと動くと思ったよ。あれが舞園さんにとって一番いいと思ったんだ」

舞園「そうだったんですね……」

大神「桑田や腐川が周囲から浮かないように手助けをしていたな」

桑田「え……? もしかして、俺も陰で助けてもらった系?」

腐川「そうだったのね……あ、あたしは感謝してたわよ! 一応……」

石丸「確かに二人は率先してコロシアイを止めるように動いていたな!」

葉隠「そーかそーか。サンキューな! これで全部解決だべ!」

山田「勝った! 第三部完!」

セレス「では外に出ましょうか」




436: ◆takaJZRsBc 2018/05/27(日) 21:25:25.13 ID:pqahl26a0


不二咲「やっとここから出られるんだねぇ……」

十神「よくもこの俺の貴重な時間をここまで浪費してくれたものだ。タダで済むと思うなよ」


ぞろぞろと生徒達が体育館から出ようとするので、慌ててモノクマが引き止める。


モノクマ「ちょっとちょーっと! ボクを忘れないでもらえる?」

ドラえもん「もうお前の好きにはさせないぞ、江ノ島盾子!」

舞園「え、江ノ島さん?!」

朝日奈「どういうことなの?!」

苗木「ま、まさか黒幕って……」

霧切「つまり本物の江ノ島さんが私達を監禁した黒幕……そういうことなのね?」

のび太「そう! 江ノ島盾子こそこのコロシアイをかんがえたすべてのクロマクなんだ!」

セレス「江ノ島さんが?! 彼女は超高校級のギャルではないのですか……?」

山田「メンバーの一人、ならわかりますが黒幕なんですか?!」

桑田「俺達ギャルに誘拐されたってことかよ?! ありえねー!」

十神「どういうことだ?! 苗木、説明しろ!」

苗木「えっ、僕?! 僕だってよくわかんないよ!」

モノクマ「……ふーん。つまりキミ達は本当に全部知ってるって訳ね。いいよ、わかった」

のび太「わかったってなにが?」

モノクマ「最終決戦しようってこと。地下の裁判場においで。どうせ行き方は
      知ってるんでしょ? ボクは逃げも隠れもしないから。先に行って待ってるよ」




437: ◆takaJZRsBc 2018/05/27(日) 21:46:19.26 ID:pqahl26a0



そう言い残してモノクマは去って行った。


苗木「最終決戦……」

のび太「行こうよ、みんな!」

ドラえもん「これで終わりにするんだ!」

桑田「おい。小学生にイニシアチブ取られてるぞ、俺ら……」

葉隠「しょうがないべ。いまだに状況がよく飲み込めてねえし」

戦刃「う~ん、レーションおいしい。ムニャムニャ……」

大神「お主はいつまで気絶しているのだ……」


               ◇     ◇     ◇


苗木「あ、あの赤い扉が開いてる!」

十神「そんなもの見ればわかる。どうやらここから裁判場とやらに行くようだな」

舞園「私達、これからどうなるんでしょうか……」

霧切「わからないわ。でも、行くしかない」

セレス「そうですね。賽は振られてしまったんですもの。あとは勝つか負けるかだけですわ」

のび太「あ、これがあのエレベーターだね! ドキドキ」


ゴゴゴゴゴ……


「……………………」




438: ◆takaJZRsBc 2018/05/27(日) 21:56:26.53 ID:pqahl26a0



生徒達は不安で無言になっているがドラえもんとのび太は実に能天気だった。


のび太「ふかいねぇ。どこまでもぐるんだろう?」

ドラえもん「この調子だと恐らく百メートル以上は潜っているようだ」

のび太「え? まだそんなところ? ぼくなんて1万メートルくらいもぐったことあるよ」

ドラえもん「そりゃあきみ、一緒にしたらまずいよ。技術が段違いなんだから」

のび太「ふーん。あーあ、早く家にかえってママのごはんがたべたいなぁ」

ドラえもん「そうだねぇ」


一同(……緊張感ないな!)


  ― 裁判場 ―


モノクマ「やあ、みんな。待っていたよ」

のび太「やいやい! もうお前の正体はわかってるんだぞ!」

ドラえもん「姿を現せ!」

モノクマ「……ハァ~。これだからセンスのない人間は困る。何事にも手順てものがあるんだよ。
      とりあえずほら、みんな自分の席についたついた」

のび太「あれ? でも席がたりなくない? えっと、ひーふーみー……」

山田「呼びましたかな?」

モノクマ「キミ達二人はまだ寝こけてるそこの残念の席を使うといいよ。窮屈で悪いけどさ」




439: ◆takaJZRsBc 2018/05/27(日) 22:12:57.82 ID:pqahl26a0

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440: ◆takaJZRsBc 2018/05/27(日) 22:14:55.72 ID:pqahl26a0



言われた通り生徒達は各々席につき、少し狭いがドラえもんとのび太は偽江ノ島の席に立つ。すると、
どこからかスモークが焚かれ、スポットライトが当たるとモノクマの足元がボン!と爆発する。

シュー……


「待っていた。私様はずっと待っていたぞ、人間共!」

「このアタシこそが今回のコロシアイ学園生活を計画した全ての黒幕――」

「江ノ島盾子ちゃああああんッ!!!」ビシィッ!


ポーズを決めた江ノ島盾子が16番目の席に登場したのだった。


のび太「ハデだね……」

ドラえもん「うん。派手だ……」

石丸「こ、これは一体どういうことなのだね江ノ島君?!」

大和田「オメエが本物の江ノ島だってんなら、そこの偽物はナニモンなんだよ」

江ノ島「えー、それを説明する前に……」


つかつかと江ノ島は戦刃の元に歩み寄ると、


江ノ島「いつまで寝てんだ、この残姉!」ゲシッ!

戦刃「痛っ! ……あ、盾子ちゃん」




441: ◆takaJZRsBc 2018/05/27(日) 22:24:32.81 ID:pqahl26a0


江ノ島「正体バレて敵に捕まった挙げ句、起こされるまで寝てるとかどこまで残念なんだテメエはよ!」

戦刃「ゴ、ゴメン……」

江ノ島「最終決戦はもう始まってるんだ! とっとと来なさい」

戦刃「その前に縄を外してくれないかな……」

セレス「それで、そちらの方はどこのどなたなんです? 赤の他人にしては似ていますが」

江ノ島「こいつは戦刃むくろって言う超高校級の軍人で、アタシの双子の姉」

桑田「えっ、双子?!」

朝日奈「お姉さんなの?!」

葉隠「うーむ、双子にしては似てねえな」

江ノ島「そ、本当に残念なことにこの姉は軍人としては一流だけど、顔はイマイチで
     胸も貧相だしその上頭が弱くて気も利かない。別名・超高校級の残念」

戦刃「うう、ひどいよぉ」

石丸「実のお姉さんの悪口を言うのはやめてあげたまえ!」

大和田「すげえ言われようだな……」

江ノ島「対して私は妹と言うおいしい設定を持ちながら、かわいくてスタイル抜群。
     おまけに天才的頭脳の持ち主だった訳です。神様は残酷ですね」

不二咲「姉妹なのにどうして苗字が違うのぉ?」

江ノ島「そこはよくある設定だから、まあ君達の想像通りだ」




442: ◆takaJZRsBc 2018/05/27(日) 22:34:18.73 ID:pqahl26a0


のび太「わかんないよ」

ドラえもん「親が離婚したとか、事故で亡くなって別々に引き取られたとかじゃない?」

戦刃「そんな感じ。家族で海外旅行中に私は勝手に抜け出して軍隊に入ったんだけど、
    お父さんとお母さんはその責任を押し付け合って夫婦仲が悪化。で、離婚したんだ」

大神「勝手に軍隊に入ったのか……」

朝日奈「すごい行動力だね……」

江ノ島「うちの家庭の事情などどうでもいいのです。それより私様はあなた達に最後の勝負を挑みます」

苗木「勝負?」

江ノ島「要は、折角こんな豪勢な裁判場用意してず~っと待ってたってのに
     一回も使わないで終わるとかありえねーって言ってんだよ、ファーック!」

のび太「……本当にころころキャラが変わるね」

ドラえもん「うん。……って、そんなことは許さないぞ!」

江ノ島「えー? どうしてダメなのー? どうせアタシが勝ってもそっちが勝っても
     どうせ君達がどうにかしちゃうんでしょー? わかってるんだよ、そんなことー?」

のび太「それはそうだけど……」

江ノ島「じゃあ……裁判させてください……このままでは、私の見せ場がなくてあんまりです……」

ドラえもん「まあ、消化不良な感じは確かにあるけど……」

のび太「どうする?」




443: ◆takaJZRsBc 2018/05/27(日) 22:42:03.84 ID:pqahl26a0


十神「俺は受けるぞ。突然訳のわからん連中に訳もわからないまま助けられても納得がいかん」

山田「ええー、さっさと外に出ましょうよ」

腐川「いい加減外に出たいけど、白夜様がそういうなら……」

霧切「私も十神君と同感だわ。まだ私達はこの学園の謎を何も解いていない。
    全てを明らかにしてから外に出ても遅くはないのではないかしら?」

大神「ウム。我等には知る権利がある」

桑田「そうだけどさー」

舞園「私も知りたいです。どうして私達にこんな酷いことをしたんですか? どうして私達なんですか?」

不二咲「教えて。どうしてこんな酷いことをしたの?」

セレス「何もわからないまま帰るのはシャクですわね」

大和田「よくわからねえが、受けてやろうじゃねえかその勝負!」

石丸「こんな不気味な所からは一刻も早く立ち去りたいが、兄弟達の言う通りだ!」

朝日奈「そうだよ! 全部明らかにしてスッキリして出よう!」

苗木「その勝負。受けるよ! 僕達は負けない!」


江ノ島「では勝負を受けると言う方向で。それでは始めましょうか」




江ノ島「最初で最後の学級裁判!!」


   ド  ン  ッ  ! ! !




451: ◆takaJZRsBc 2018/06/11(月) 23:49:38.67 ID:2KcCl3Tu0



  第十八話 ぜったいぜつめい! 学級裁判!! 前編



        !   学   級   裁   判   開   廷   !


江ノ島「うぷぷ。まずは裁判のルールから説明しようか」

江ノ島「本来は事件が起こった時に裁判になり、被害者を殺したクロを当てれば
     クロだけが処刑、失敗したらクロ以外のシロ全員が処刑だったんだけどね」

大神「そんなルールがあったのか!」

舞園「黙っていたんですか?! じゃあ、私が事件を起こしていたら……」サーッ

霧切「落ち着いて。今は取り乱している場合ではないわ」

江ノ島「ですが、今回は事件が起こっていないので特別ルールを適用し、
     皆さんにはこの学園の謎を解いてもらうという形になります」

のび太「そんな、ムリだよ! 一階しか開いてないし、そもそもソウサしてないもの!」

江ノ島「勿論、今のままじゃワンサイドゲームになっちゃうからね。
     謎を解くためのキーワードはこちらが先に用意してあげるよ」

ドラえもん「キーワード……つまりコトダマか」

霧切「勝利条件は学園の謎を解くこと、でいいのかしら?」

江ノ島「ううん! これは裁判なんだよ? 最後はやっぱり投票で決めないと!」

石丸「投票と言われても、一体何に投票するのだ?」

江ノ島「議論が終わった後に、オマエラがこの学園から出る……つまり卒業するか、或いは
     今まで通りここに残るかの投票をしてもらうよ! 全員一致で卒業ならオマエラの勝ち」

江ノ島「一人でも卒業を選ばない人間が出たらボクの勝ちだよ。うぷぷ」




454: ◆takaJZRsBc 2018/06/12(火) 00:05:22.10 ID:5lg+0gEH0


桑田「ハァ? そんなの勝負になんねーじゃん! なにがしたいの、お前?」

葉隠「当然卒業を選ぶに決まってるべ!」

苗木「待って、みんな! いくら何でも怪しいよ。きっと何か裏があるはずだ」

大神「ウム。我も同感だ。ここに来て何もないとは思えぬ」

セレス「……外に出ると何かしらの不都合がある、そう考えるのが普通ですわね」

十神「フン、一体どんな不都合があるというんだ。十神の名の前にそんなものは無意味だ」

江ノ島「ちなみにそこのお子様方は全部わかってると思うけど黙ってろよ。勝負になんねーからな」

のび太「ドラえもん……」

ドラえもん「……見ていよう。これはこの星で生きていくみんなの問題なんだ。
       ちゃんとみんなで納得して脱出しなければ意味がないんだよ」

のび太「……うん、そうだね。わかった」

十神「それで俺達が勝った時はどうする? 当然、貴様らの命を差し出すんだろうな?」

苗木「ちょ、ちょっと十神君!」

江ノ島「勿論! 負けた方はオシオキを受けてもらうわよ」

山田「オ、オシオキですか?! オシオキ……フヒッ」

朝日奈「あんた何を想像してんのよ……?」

舞園「……オシオキって、一体どんなことをするんですか?」

江ノ島「えー、私達の受けるオシオキは通常通り処刑となります。対して、皆さんに受けて
     頂くオシオキはこれからずっとこの学園で心静かに穏やかに老衰してもらうことです。
     もう私が干渉することはないですしコロシアイをする必要もありません」メガネ




455: ◆takaJZRsBc 2018/06/12(火) 00:12:48.15 ID:5lg+0gEH0


江ノ島「あ、ちなみに今の居住スペースだけでは狭いので学園と寄宿舎は全解放します。
     学園の上階には図書室、プール、娯楽室、植物園などお楽しみスペースが一杯あります」

朝日奈「プール?! プールがあるの?」

腐川「図書室?! な、なんで今まで隠してたのよ……!」

ドラえもん「そりゃ、あんまり居心地がいいと殺人なんて起こらないからだよ」

桑田「でもいくら居心地が良くたって、閉じ込められてんのはなぁ……グラウンドねえし」

不二咲「そうだよね。それだけじゃ、学園に残る決め手にはならないよね」

江ノ島「ま、順番に議論して行こうぜ! とりあえず最初のキーワードはこれだー!」


バッと江ノ島が手を挙げると、裁判場の全てのモニターに鉄板で塞がれた学園の窓が映る。


桑田「ハァ? 窓?」

大和田「窓がどうしたってんだ?」

腐川「あたし達を学校に閉じ込める忌ま忌ましい檻ね……」

朝日奈「本当、同じ閉じ込められるにしても外が見れたらなー」

不二咲「空が見えないって気が滅入るよね。時間の感覚が合ってるのかもわからないし……」

大神「だが、窓にこの学園の秘密があるようには到底思えぬが?」

苗木「僕もそう思うけど、何もないのに言わないと思うし何か秘密があるんじゃないかな」

霧切「同感よ。ここはその謎を解き明かすための場なのだから」

江ノ島「では各自感想を述べた所で、このキーワードについて議論してもらうわよ!」




456: ◆takaJZRsBc 2018/06/12(火) 00:14:41.24 ID:5lg+0gEH0


山田「いや、議論と言われましても……」

葉隠「窓について語るってなんだ? みんなで窓の価値でも語ればいいのか?」

石丸「では僕から議案を提案するぞ! 窓を閉めているボルトについてだが、
    大きさと位置が不揃い過ぎるとは思わないかね?! 見た目が美しくない!」

セレス「心底どうでもいいですね」

腐川「あんたって本当空気が読めないわね!」

石丸「うぐぐ! だってあんなめちゃくちゃな締め方では見栄えが悪いではないかー!」

霧切「ねえ、確認するけどドラえもんとのび太君は答えを知っているの?」

ドラえもん「一応ね」

のび太「えーと、なんだっけ? たしか……」

ドラえもん「のび太くん! シッ!」

桑田「あー! 今言いそうだったのによ!」

葉隠「よっし! ここはのび太っちに集中砲火だべ!」

山田「なにがなんでも吐かせますぞ!」

のび太「あわわわわ! やめてよー!」

朝日奈「やめなよ! のび太がドラえもんに叱られたらかわいそうじゃん」

不二咲「どうしても教えられないの?」

ドラえもん「ごめん……自分達で気付くべきだから」

十神「フン、元より子供とロボットなどに頼るつもりはない」

大和田「でもよ、実際見当も付かないぜ?」




457: ◆takaJZRsBc 2018/06/12(火) 00:21:04.17 ID:5lg+0gEH0


葉隠「ヒントくらいもらったってバチは当たんねえんじゃねえか?」

セレス「そうですわね。闇雲に話しても時間の無駄です」

ドラえもん「うーん、ヒントって言われてもなぁ」

のび太「答えならわかるけど、ヒント……」


どこまで情報を明かすべきか二人は思案する。


戦刃「盾子ちゃん、いくらなんでも窓だけだと難し過ぎるんじゃない?」

江ノ島「ま、毎日見てる訳だし気が付くならその時点でとっくに気が付くだろうしね。
     良いわよ、ヒントあげちゃう! ボルトの部分に注目しなさい」

苗木「ボルト?」

石丸「何度見ても酷いボルトだ。やはりここにヒントが……」

桑田「しつけーよ」

朝日奈「ちょっと黙っててくれない?」

江ノ島「いやーそれがねー、いつもは全力空回りストライクだけど今回に限っては
     そこまで見当違いの意見じゃないのよね、それ」

石丸「ほら! やはりボルトは整然と締めるべきなのだよ!」

腐川「え? 嘘でしょ? こいつの意見が正しいなんて」

山田「信じられませんなぁ」

十神「ボルトが規格も並びも揃っていないのは単に時間がなかったからだ。
    俺達を誘拐してから突貫工事をしているのだからな。当然だろう?」

大和田「あー、そうだよな。俺達が寝ている間に全部やったんだもんな」




458: ◆takaJZRsBc 2018/06/12(火) 00:30:16.68 ID:5lg+0gEH0


セレス「黒幕がこの二人ということは、たった二人で全ての作業をしたということですか?」

葉隠「おー、そりゃお疲れさん。大変だったろうなぁ」

桑田「敵を労ってどーすんだよ!」

不二咲「でも、女の人二人であんなに重そうな鉄板を運べるかなぁ?」

舞園「ボルトもかなり大きいですしね」

ドラえもん「…………」

ドラえもん(うーん、なにかヒントを与えるべきなんだろうけどなにを言うべきか)ウーム


悩むドラえもんの横で、思わずのび太が口走った。


のび太「だって二人じゃないもん」

苗木「え?」

霧切「他にもまだ黒幕がいるということ?」

のび太「あ! いや、えっと……」

江ノ島「あんた達さあ、このボルトを見て他に気付くことない?」

大神「随分頑丈に締めているな。ここまでやる必要があったのか?」

葉隠「そりゃこのくらいやんないとオーガを閉じ込めるなんて出来ねえべ」

苗木「鉄格子じゃダメなのかな」

十神「外が見えない方が精神的に追い詰められコロシアイが起きやすくなる。考えればわかることだ」

山田「結局何が言いたいんですか?」

桑田「ぜんっぜんわかんねー!」




460: ◆takaJZRsBc 2018/06/12(火) 01:57:34.23 ID:5lg+0gEH0


江ノ島「なにこのグダグダ会話……なんか飽きてきたわ。これ見てるヤツ等も絶対そう思ってるわよ」

霧切「! 見ている? 誰が?」

十神「おい、どういうことだ! やはりこれは見世物の企画ということか?」

江ノ島「それはまた後でやるから今はこっちに集中集中。ほら、最後のヒントよ!」

江ノ島「気付かなかった? この窓の鉄板、全部内側から塞がれてんのよ?
     ここまで言えば流石のあんたらでもわかんでしょ」

江ノ島「こんな最初の方でいちいち詰まらないでよねー」


  [ 内側から締められた窓 ]


腐川「内側から締められてるって、それがなんだって言うのよ!」

葉隠「単に【締めた後出てった】んだろ?」

不二咲「待って。【内側から全部締めたら外に出られなくなるよ】」

十神「出て行く必要などない。【俺達を閉じ込めた張本人はこの二人】なのだからな」

大神「だが【二人だけでこれだけの作業が出来る】だろうか?」

江ノ島「この華奢な体を見てよ。こんな重労働を【女二人で出来るワケない】じゃん!」

のび太「みんながんばって!」

ドラえもん「苗木くん、落ち着いて考えるんだ」

苗木(この中にヒントとなる言葉があるはず。それを見極めれば答えが出るんだ!)




461: ◆takaJZRsBc 2018/06/12(火) 02:02:44.90 ID:5lg+0gEH0



【女二人で出来るワケない】 ドンッ! ====⇒ 【俺達を閉じ込めた張本人はこの二人】BREAK!!


苗木「それは違うよ!」

のび太「出たー! 苗木さんのそれは違うよだ!」

ドラえもん「本物が見られて感激だね!」

苗木「えっ?」

のび太「あ、こっちの話なのでお気になさらず」

ドラえもん「どうぞ議論を進めてください。どうぞどうぞ」

苗木「えっと、じゃあ続けるけど……」

石丸「苗木君! 何が違うのだ! しっかり主語を言わないと伝わらないぞ!」

舞園「黙って聞いてあげてください」

苗木「今の話を聞いてて思ったんだけど、やっぱりおかしいよ」

山田「何かおかしい所なんてありましたか?」

苗木「十神君、僕達を閉じ込めたのはこの二人で自分達ごと閉じ込めただけ。そう言ったよね?」

十神「そうだ。まさかこの俺に口答えするつもりか?」

苗木「でも考えて欲しい。女性二人でこれだけの鉄板やボルトを運んで締めるなんて不可能だよ」

腐川「そんなの、他に協力者がいただけでしょ! 白夜様に口答えなんて百年早いわ!」

霧切「どうなの? あなた達には協力者がいたのかしら」

江ノ島「確かに仲間、というか便利なパシリ達はいたけど
     この件にはノータッチよ。基本的にはセルフでやってまーす」




462: ◆takaJZRsBc 2018/06/12(火) 02:11:27.74 ID:5lg+0gEH0


朝日奈「じゃあやっぱり二人でやったってことでしょ?」

セレス「ですがそれは不可能という話では?」

江ノ島「はいはーい! このテーマでの議論は以上となりまーす。
     謎を残しつつ次のテーマに行っちゃうわよ!」

苗木「そんな! まだ何もわかってないのに!」

大和田「おい、なんだったんだよ今までの議論は」

大神「何も解決していないが……」

霧切「――パズルのピースということね。一つだけでは全容が見えてこない」

十神「全て揃って組み合わせて初めて全容がわかるということだ。大人しく黙っておけ、愚民共」

大和田「チッ。悔しいが今回だけはテメェの言う通りみたいだぜ」

江ノ島「次のテーマはアレよ。持ってきたんでしょ、残姉」

戦刃「うん。これだね。図書室から取ってきたよ」

苗木「封筒?」

江ノ島「ジャジャン! 封筒の中には一枚の書類が入っています。これがその内容よ」


画面に書類の内容が映し出される。それと同時に生徒たちが大きくどよめいた。


舞園「希望ヶ峰学園……閉鎖のお知らせ?」

苗木「それに、何だこれ……? 聞いたことないぞ」


『人類史上最大最悪の絶望的事件……?』




469: ◆takaJZRsBc 2018/06/24(日) 22:13:40.32 ID:sZRa5lPR0


桑田「ハァー? なんだそれ?」

石丸「僕は毎日新聞を読んでいるが希望ヶ峰学園が閉鎖されたなどという話は聞いたことがないぞ!」

山田「そんな大事件ならネットニュースで大騒ぎになると思うのですが知りませんな」

朝日奈「私達、閉校する学校に入学しちゃったの?!」

大神「だが閉校がきまっている学園が新入生の募集などするのだろうか?」

不二咲「そうだよね。なんでだろう……」

十神「フン、そんな書類は偽物だ」

苗木「偽物?」

十神「希望ヶ峰学園が閉校だと? そんな大事件がこの俺の耳に入らない訳がない」

大和田「まあ、あんだけ有名な学校だし、一大事件だよな」

舞園「でも、この場に偽物の書類を出して何の意味があるんですか?」

十神「俺もその意味について考えていたが……つまりこういうことだ。
    偽物なのはその書類だけではないということだろう」

セレス「どういうことです?」

十神「大事な新入生が一度にいなくなり、希望ヶ峰学園としては面目丸つぶれだ。
    本来なら、国家以上とも言われるその情報収集力を駆使して救助に来るはず」

山田「でも助けなんて来ないじゃないですか!」

桑田「もう何週間もここにいるんだぜ?」




470: ◆takaJZRsBc 2018/06/24(日) 22:15:25.34 ID:sZRa5lPR0


十神「俺達が正規の新入生だったらな」

「えっ?!」

十神「全ては俺達をおびき寄せるための罠だった。そうだろう?
    入学許可証は偽物で、この書類はそれを暗に示している訳だ」

十神「だから助けが来なかった。つまりはそういうことだ」

セレス「目論み通りまんまと罠に掛かってしまった訳ですわね、わたくし達」ギリィ

山田「折角憧れの希望ヶ峰学園からスカウトを受けたのに
    ヌカ喜びだったということですか?! ゆるさーん!!」

桑田「チクショー……こんな学校来なきゃ良かったぜ……」

舞園「そんな、嘘ですよね……」

石丸「努力が認められたと思ったのに……あんまりだ」

大和田「ケッ。暴走族をスカウトとか変だと思ったぜ……
     でもこれはもう答えが出たろ。さっさと次に行こうぜ」

腐川「そうね。悔しいけど時間の無駄だわ」

霧切「……本当にこれだけなの?」

苗木「霧切さん?」

霧切「さっきはあからさまに謎を残したのに、
    この件はこんな簡単に説明がつくものなのかしら?」




471: ◆takaJZRsBc 2018/06/24(日) 22:29:48.05 ID:sZRa5lPR0


霧切「それに『人類史上最大最悪の絶望的事件』……この単語が気になる」

十神「出鱈目だな。人類史上最大最悪の絶望的事件だと? そんなものがあれば
    十神家の情報網に引っ掛からない訳がない。大方その女が作った造語だろう」

セレス「人類史上とはまた大きく出たものですね」

腐川「センスのないネーミングよ! ギャルなんてどうせ頭空っぽなんでしょ」

江ノ島「……うぷぷ」

不二咲「でも、どうしてわざわざこんな回りくどいやり方をするのかな?」

大神「確かに不穏だな。何か裏の目的でもあるのだろうか」

葉隠「えーと、希望ヶ峰にスカウトされたのは間違いで、でもその書類も偽物で??」

十神「俺達を混乱させるのが目的と言った所か。そうだろう、江ノ島盾子?」

江ノ島「はい。雑魚眼鏡が見当違いの推理を披露したので次行きまーす」

十神「雑魚眼鏡だと……?!」

苗木「待って! やっぱり変だ。もう少し議論してみようよ」




472: ◆takaJZRsBc 2018/06/24(日) 22:31:09.22 ID:sZRa5lPR0


  [ 謎の書類について ]


朝日奈「でも何を議論するの?」

大神「結局【希望ヶ峰閉校は出鱈目だった】のだろう?」

舞園「信じられません。【入学許可証が偽物だった】なんて……」

不二咲「ネットの掲示板にも名前が書かれてたのに……」

山田「【その書類も偽物】のようですしねぇ……」

石丸「断言しよう! 僕は毎日新聞を端から端まで読んでいるが
    【人類史上最大最悪の絶望的事件なんていう事件はなかった】!」

桑田「そりゃそんな大層な事件があったら流石の俺でも知ってるはずだわ」

セレス「何も信じられませんわね」

苗木(考えろ。何が論点なんだ? 江ノ島は何か理由があってこの書類を見せたはずだ)

霧切「さっき江ノ島さんは【十神君の推理は的外れ】と言ったわ。
    苗木君、ここまで言えばわかるわね?」

のび太「わあ、霧切さんの有名なセリフだ!」

ドラえもん「のび太くん、シーッ!」




473: ◆takaJZRsBc 2018/06/24(日) 22:51:02.95 ID:sZRa5lPR0



【十神君の推理は的外れ】 ドンッ! ====⇒ 【その書類も偽物】BREAK!!


苗木「それは違うよ!」

山田「え?! な、なにが?」

苗木「きっと偽物なんかじゃないんだ」

桑田「ハァ? いやいや……」

セレス「苗木君はこの書類が本物ですと?」

十神「有り得ん! 十神家の情報網をどうやってすり抜けると言うんだ。愚民は黙っていろ!」

苗木「十神家の情報網を馬鹿にしてる訳じゃない。でも、この書類が偽物で終わったらおかしいよ」

大和田「おかしいってなにがだ?」

葉隠「別におかしいところなんてないべ」

苗木「だって、コロシアイの最中ならまだしもこの土壇場で出鱈目の書類なんか出して
    何の意味があると思う? 今みたいに偽物だの一言で終わっちゃうよ」

大和田「まあ、そうだけどよ……」

不二咲「今はパズルのピースを集めているんだもんね。確かに謎がないとおかしいけど、でも……」

舞園「信じられません……」

霧切「ゲームマスターである江ノ島さんは十神君の推理を的外れと言ったわ。
    つまり彼女が意図的に嘘をついていない限り、その書類は本物ということになる」

十神「嘘を付いているんだろう。こんな馬鹿げたことを仕出かす頭のおかしい女だぞ?」




474: ◆takaJZRsBc 2018/06/24(日) 23:02:35.21 ID:sZRa5lPR0


苗木「でも、十神君は僕達のスカウトも罠だったって言いたいんだよね?
    それだと、ネットに情報が出ていたことの説明がつかないよ」

十神「そんなもの……どうとでもなるだろう。ネットの情報を鵜呑みにするのは愚民ならではだな」

山田「ネット馬鹿にするなし! マスコミより正確なことだってあるんですぞ!」

舞園「デタラメも勿論あるんですけど、怖いくらい正確な情報が流れてる時もありますよね……」

江ノ島「ま、信じるも信じないもあんたら次第だからどっちでもいいけどさ。
     アタシがこの段階で嘘付くメリットなんてあるのかしらねぇ」

戦刃「盾子ちゃんは確かにみんなから見たらおかしいかもしれないけど、
    ゲームに関してはフェアだよ。それは私が保証する」

十神「敵に保証されてもな」メガネクイッ

セレス「信用に足りませんわね」

大神「確かに、どちらが正しいのか我等にはわからぬな」

朝日奈「あ、じゃあさ! ドラえもん達に聞くのはどう?」

ドラえもん・のび太「えっ?!」

朝日奈「答えはダメでもヒントならいいんでしょ?」

桑田「あー確かに」

大和田「身も蓋もねえな……」

石丸「それで、どっちなのだ?! この書類は本物なのかね?!」

のび太「えーと……」チラチラ

ドラえもん「言っていいものかな……」チラチラ




475: ◆takaJZRsBc 2018/06/24(日) 23:16:24.04 ID:sZRa5lPR0



二人は十神の顔色を窺っている。


十神「……チッ。どうやら本物のようだ」

舞園「あ、認めちゃうんですね……」

霧切「その二人に嘘なんてつけないもの」

十神「まあいい。どうやって十神の情報網をすり抜けたか後できっちり説明してもらうぞ」

ドラえもん「うん。全部終わったら、ね……」

江ノ島「さーて、次のお題はこれ」


モニターに大きな機械が映し出された。


江ノ島「あんた達は直接見る機会なかったけど、この学園の化学室に置いてある機械よ」

のび太「あれなんだっけ?」ヒソヒソ

ドラえもん「空気清浄機だよ。外は汚染されてるからね」ヒソヒソ

江ノ島「これは超高性能な空気清浄機よん!」

腐川「空気清浄機? なんでそんなものが重要な訳?」

十神「重要だろう。お前の悪臭を清浄してもらわないといけないからな」

腐川「ふぎゃんッ?!」

葉隠「流石、十神っち。バッサリ言ったべ……」

桑田「容赦ねーな……」




476: ◆takaJZRsBc 2018/06/24(日) 23:32:17.05 ID:sZRa5lPR0


セレス「勿論それ以外の理由もあるのですよね?」

江ノ島「それをあんた達が議論するのよ」

不二咲「高性能ってどれくらい高性能なのかな?」

戦刃「あれ一つで学園中の空気が綺麗になるよ。汚染された空気も洗浄することが出来るんだ」

石丸「それは素晴らしい。是非とも発展途上国に寄附すべきだな!」

葉隠「フムフム。高く売れそうなんだな」

苗木「売る気なんだ……」

江ノ島「雑談もいいけどちゃんと議論してよね?」

朝日奈「でも、空気清浄機がなんで重要なの?」

大和田「そもそもなんでそんなもんが学校にあるんだ?」

大神「恐らくこの学園が密閉されているからだろう」

山田「空気を入れ替えないと酸欠になってしまいますからなぁ」

舞園「それだけなのでしょうか? 今までの様子だともっと捻った理由がありそうですが」

ドラえもん「これはヒントを言った方がいいかな」

苗木「教えてくれるの?」

十神「勿体振らずにさっさと言え」

のび太「えらそうだなー……」

ドラえもん「あの空気清浄機はここに置くには高性能過ぎるんだよ。
       この学園の換気をするだけならあんなものは必要ないんだ」




477: ◆takaJZRsBc 2018/06/24(日) 23:39:50.79 ID:sZRa5lPR0



  [ 高性能過ぎる空気清浄機 ]


霧切「そうね。この広い学園には私達しかいない。換気扇が何台かあればそれで済むはずだわ」

セレス「【外気を取り入れられない】事情でもあるのでしょうか?」

桑田「……ここ、【実は地下】だったりして」

山田「漫画的には【海底に作られている】のを推したいですな」

葉隠「アトランティスか?!」

舞園「ちょっと黙っていてください」

不二咲「【別に空気が汚染されている訳でもない】し、必要ないよね?」

苗木「必要ないのかな? 必要のないものがなんでここにあるんだろう?」

霧切「逆に考えたらどうかしら。あの空気清浄機はこの学園にとって必要な物」

十神「まさか【外が汚染されている】とでも?」

朝日奈「確かに都会の空気は綺麗じゃないけど、汚染はないんじゃないかなぁ」

石丸「謎が謎を呼んでもはや訳がわからないぞ!」

苗木「…………」




478: ◆takaJZRsBc 2018/06/24(日) 23:55:59.69 ID:sZRa5lPR0



苗木(思い出せ、みんなの言葉を……これだ!)


【外が汚染されている】BREAK!!


苗木「それに同意するよ!」

大和田「あ? なにに同意するって?」

苗木「十神君の言葉だよ」

十神「何?」

苗木「もしかして、この学園の外は“汚染されている”のかもしれない。
    だから、高性能な空気清浄機が必要なんじゃないかな?」

大和田「おいおい。いくら都会のど真ん中にあるからって汚染はないだろ」

腐川「やっぱりこんな陰気な場所は希望ヶ峰学園じゃなかったのよ!」

朝日奈「えーと、日本に汚染されてるような場所なんてあったっけ?」

舞園「そこから今いる場所が割り出せるかもしれませんね!」

不二咲「でも、国内にそんな場所あったかなぁ?」

セレス「もしかしたら日本ではないのかもしれません……」

十神「常識的に考えて国外、それも発展途上国と見るべきだろうな」

桑田「マジかよ……」




479: ◆takaJZRsBc 2018/06/25(月) 00:07:19.71 ID:bX4fZUCE0


石丸「ぼ、僕達はいつの間にか国外に来てしまっていたのか?! そんな!
    僕はパスポートを持っていないのに! 違法出国で逮捕されてしまう?!」

十神「馬鹿は放っておくとして、結論は出たようだな」

大神「我等は日本にいないということか……」

葉隠「マジか……ここから出る時には航空券代も請求しねえとな」

山田「そこは大事なんですね」

霧切「まだ確定していないわ。現時点で推測出来るのは何らかの
    要因で外が汚染されている可能性があるということだけよ」

苗木「でも、なんで汚染されているんだろう?」

舞園「一体外で何が……」

戦刃「知った所で絶望するだけだよ。ここにいればいいのに」

苗木「え、それってどういう……?」

江ノ島「はいはーい。盛り上がってきたところで、次の話題に行っちゃうわよ!」

江ノ島「これが最後のテーマになるわね。画面をよーく見てちょうだい」



江ノ島が指し示した画面には一枚の写真が映っていた。それは――





485: ◆takaJZRsBc 2018/07/07(土) 23:44:22.79 ID:ztHFpyBz0



  第十九話 ぜったいぜつめい! 学級裁判!! 後編


「……え?」


一同は言葉を失う。

何故なら、そこに写っていたのはありえない光景だったから。

モニターに映っていたのは、体操着を着て笑顔で運動会をしている生徒達の姿だった。


江ノ島「他にもまだまだあるわよ~。あんなのとか、こんなのとか!」

のび太「プールでおよいでたり、ゆきがっせんしてる写真だね。集合写真もある」

ドラえもん「…………」

ドラえもん(いい笑顔だ。見るのがツラい……)

朝日奈「なにこの写真?! 私こんな写真撮った記憶ないよ?!」

山田「僕もですぞ!」

舞園「私もです……どうしてこんな写真があるの……?」

十神「フン、ハメ込み合成だろう。まったく手の込んだ真似をする」

不二咲「パソコンがあれば合成かどうか調べられるんだけど……」

葉隠「それにしてもみんないい笑顔だべ」

石丸「ウム、いい笑顔だな! 合成とは思えない!」

大神「だが、何故わざわざこんなものを?」




488: ◆takaJZRsBc 2018/07/07(土) 23:55:25.75 ID:ztHFpyBz0


腐川「どこまであたし達をおちょくるつもりなのよ!」

大和田「まったくだぜ! 俺達をバカにするのもいい加減にしろ!」

霧切「…………」


生徒達がざわめく中、一人霧切だけが青ざめていた。


苗木「急に黙り込んでどうしたの、霧切さん?」

霧切「そんな馬鹿なことが……でも、今までのやり方だと……いえ、そんなはずは……」ブツブツ

ドラえもん(霧切さんはどうやら可能性に気が付いたようだ)

桑田「この写真がなんだって言うんだよ?」

セレス「そろそろ結論を教えてもらっても宜しいのでは?」

江ノ島「まだわかんないの?」

朝日奈「わかんないって何が?」

十神「もったいぶるのもその辺にしたらどうだ」

石丸「そうだ。いい加減にしたまえ!」

江ノ島「だから、本当にまだ分からないの? もうほとんど答え見せてるじゃん」

舞園「どういう意味ですか……?」

江ノ島「あたしは今まで本当のことしか言わなかった。つまり、この写真も『本物』ってこと」

不二咲「でもこんな記憶僕達にないよ……?」

苗木「何をしたいんだ……」




489: ◆takaJZRsBc 2018/07/07(土) 23:58:07.14 ID:ztHFpyBz0



江ノ島「――さて、それでは最後の問題です」


江ノ島「お前らの記憶にはない数々の写真……
     これらは一体いつどこでどうやって撮られたのでしょう?」





490: ◆takaJZRsBc 2018/07/07(土) 23:59:24.71 ID:ztHFpyBz0



  [ 記憶にない数々の写真 ]


桑田「やっぱり【この写真はニセモノ】なんだって! それで解決出来るだろ?」

十神「今まで本物を見せてきたのはこの写真を信じさせるためのブラフということか」

腐川「そうよそうよ! ズル賢いギャルの考えそうなことだわ!」

石丸「確かに、そうとしか考えられないしな……」

舞園「本当に他に考えられないのでしょうか?」

不二咲「催眠術とか、無理だよね……?」

葉隠「俺達全員【集団催眠でこの写真を撮らされた】のか?!」

セレス「一体何が目的でそんな手間を?」

朝日奈「えっと、私達を混乱させるためとか……」

大神「それなら合成で良いような気がするな」

霧切「考えられる可能性は二つ。彼女が嘘をついていて、写真はニセモノ。
    もう一つは、写真は本物で私達に何らかのアクシデントがあり記憶がない」

大和田「まさか【ここにいる全員記憶喪失】とでもいうつもりか?」

山田「流石にないでしょう」

苗木(わからない……何が答えなんだ。そもそも僕達の議論に正解はあるのか?)




491: ◆takaJZRsBc 2018/07/08(日) 00:01:43.93 ID:pOmPGy+90


のび太「苗木さん、がんばって!」

ドラえもん「有り得ないように思えるかもしれない。でも、可能性は一つしかないんだ!」

苗木(一つしかない……一見あり得ないようなこと……)

苗木(…………)



苗木「見えたッ!」


【ここにいる全員記憶喪失】 ドンッ! ====⇒ 【この写真はニセモノ】BREAK!!



苗木「それは違うよ!」

大和田「ああ?! なんだ? なにが違うって?」

苗木「この写真は偽物なんかじゃない。本物なんだ!」

桑田「ありえねー! じゃあ、なんで全員覚えてないんだよ。催眠術ってか?!」

苗木「違う。催眠術なんかじゃない……僕達全員、記憶喪失なんだ!」



「記憶喪失ッ?!」




492: ◆takaJZRsBc 2018/07/08(日) 00:07:24.92 ID:pOmPGy+90


山田「な、なんだってー?!」

桑田「いやいやいや……ありえねーだろ……」

石丸「苗木君はディスカッションが得意だというのは
    今まででよくわかったが、流石にそれは無理があるぞ」

葉隠「オ、オカルトは信じねえからな!」

朝日奈「どうして記憶喪失になるの?」

セレス「全員が同じ記憶を同時になくすなんて確率的にもありえませんわ」

不二咲「やっぱり、集団催眠とか……?」

大神「催眠術とはそこまで万能なものなのか?」

葉隠「いやー、流石にムリあるべ」

十神「チッ、化けの皮が剥がれたか。所詮愚民はここまでのようだな」

腐川「そ、そうよ……職業柄、記憶力には自信あるのよあたし」

大和田「いや、ジェノサイダーになってる時の記憶ねえだろお前」

山田「実は僕達全員多重人格だったとか?!」

舞園「ありえません! アイドルは変な行動をとったらすぐスキャンダルになります」

朝日奈「うーん、そんなに記憶力は良くないけどさすがに途切れてたりはしないかなぁ」

大和田「苗木、悪いけどよ……」

苗木「みんな……」




493: ◆takaJZRsBc 2018/07/08(日) 00:13:11.69 ID:pOmPGy+90


霧切「私も記憶喪失の可能性は高いと思っているわ。でも、証拠がないのも事実……」

苗木「僕だって、自分から言い出しておいてなんだけど間違いだったら嬉しいと思ってるよ……」

江ノ島「ま、あんたら校舎の中全く捜査出来てないもんね。ほら、残姉」

戦刃「実はさっき図書室に行った時に、これも持ってきてって言われてたんだ。配るね」

苗木「これは……新聞?」

桑田「今年の甲子園でLL学園が敗退?! 俺が優勝させたじゃんか!」

舞園「え?! 先輩アイドルが引退?! そんな、私何も聞いてないのに……」

大神「ム。いつの間にかあの人気俳優が結婚していたのか」

朝日奈「え~、全然知らなかった!」

葉隠「俺の持ってる株が爆下げしてるぅぅぅ!!!」

山田「むむっ?! ガンダムの新作が来てるのに知らなかっただと?!」

石丸「フム、解散総選挙? おかしいな、読んだ記憶が無いぞ!」


ワイワイザワザワ!!


十神「おい、待て……この新聞……」


盛り上がる生徒達と反面、一部の生徒は顔面が真っ青になっている。




494: ◆takaJZRsBc 2018/07/08(日) 00:17:36.06 ID:pOmPGy+90


セレス「……未来の日付になってますわね」

霧切「江ノ島さん、教えて頂戴……今は西暦何年なの?」


『……え?』


――シィーーーン。


江ノ島「うぷぷ。うぷぷぷぷ!」

江ノ島「待っていた。待っていたのよね、この瞬間を! あんた達の今の顔を!!」

舞園「嘘……ですよね……?」

桑田「マジでありえねーって……」

不二咲「本当に、本当に記憶喪失なの……?」

葉隠「そんな、バカなことって……」

戦刃「二年だよ」

腐川「何が二年なのよ……」

戦刃「みんなが記憶をなくした期間」



「……………………」




495: ◆takaJZRsBc 2018/07/08(日) 00:26:38.46 ID:pOmPGy+90


大和田「それってアレか……つまり」

苗木「僕達は二年間、希望ヶ峰学園に通っていた……」

舞園「いやああああああああああああああああああッ!!!」


舞園が絶叫する。


朝日奈「そんなの……ウソだよ。ウソって言ってよ……!」

桑田「ウソだろ? なあ、のび太! ドラえもん!」

のび太「…………」

ドラえもん「残念ながら……」

大和田「は、は……マジか」

石丸「……二年間? え、二年間通っていた? えっ???」

山田「みんなでこの写真みたいにバカ騒ぎしたり遊んでたってことですか……?」

腐川「う、うそよそんなの! あたしは信じない!」

セレス「わたくし達は危うくクラスメイト同士でコロシアイをするところだったと……?」

不二咲「そんな! そんなのって、酷い……!」

十神「だ、だがどうやって! そんなことは不可能だ!!」

大神「そうだ。どこにそんな技術がある?!」




497: ◆takaJZRsBc 2018/07/08(日) 00:39:57.26 ID:pOmPGy+90


霧切「不可能って言えるのかしら……現に私達はモノクマやドラえもんといった
    オーバーテクノロジーを目の当たりにしているのよ……」

のび太(ドラえもんはこの時代のロボットじゃないけどね)

江ノ島「あんたら一分野だけ特化してるだけの凡人には想像つかないかもしれないけどさ、
     アタシレベルの超天才だと、複数の超高校級の才能をまとめて駆使することが出来ちゃう訳」

江ノ島「例えば超高校級の神経学者、脳科学者、生物博士、メカニック、プログラマーとかね。
     複数の才能を組み合わせれば特定の記憶だけ消去する装置を作るなんて朝飯前よ」

山田「そ、そんなのチート過ぎますぞ!」

石丸「努力を愚弄している……!!」

江ノ島「ラスボスって大体チートじゃない? 二回連続攻撃とか魔法無効とかさ」

戦刃「仕方ないよ。これが盾子ちゃんの能力なんだから」

江ノ島「マクガフィンにこだわっても話が進みません。私様がオマエラの記憶を奪いました。
     今はそれだけでオーケー。で、他に気になること出てきたんじゃないのー?」

のび太「きになること? なにかあったっけ?」

ドラえもん「えーと……」

苗木「あ!」

霧切「人類史上最大最悪の絶望的事件……」

大神「確かその事件のせいで学園は閉鎖に追い込まれたのだったな」

セレス「希望ヶ峰学園程の学校が閉校に追い込まれるほどの事件……」




504: ◆takaJZRsBc 2018/07/22(日) 00:58:15.64 ID:68pnE71g0

  第二十話 ぜつぼうがとまらない?!


十神「おい……」

江ノ島「おやー、どうかしたのかな十神くーん? 溺死体みたいに顔が真っ青だよぉ?」

十神「外は今どうなっている……」

苗木「……え?」

十神「どうなっている!!」

霧切「政府の支援を受けている希望ヶ峰が閉校するなんて
    よほどの事態でないとあり得ないわ。それに汚染された大気……」

葉隠「まさか、恐怖の大王が今頃になってやってきたってんじゃねえだろうな……」

石丸「そんな馬鹿な?! 世紀末はとっくのとうに終わっているんだぞ……!」

腐川「と、とうとう核戦争が……?!」

朝日奈「やめてよ!! そんなこと、そんなことあるわけ……」

江ノ島「さーて、外はどうなっているのでしょうー??」ニヤニヤ

大神「性根の歪んだ奴め……!」

舞園「教えてくださいッ!! 人類史上最大最悪の絶望的事件てなんなんですか?!
    外は今どうなっているんですか!! 答えてッ!!!」

山田「マ、ママとパパは……姉上は……?!」

大和田「俺のチームはどうなってやがるッ?!!」

苗木「もったいぶらずに答えたらどうだ!!」

戦刃「盾子ちゃん、そろそろいいんじゃないかな?」

江ノ島「そうね。十分堪能したし、次のステップに行きましょうか」




505: ◆takaJZRsBc 2018/07/22(日) 01:12:16.12 ID:68pnE71g0


江ノ島「お望み通り、見せてやるわよ。アンタ達が見たくて堪らない外の世界をね!」


モニターの映像が切り替わる。

そこに映っているのはモノクマのマスクをつけた多数の暴徒達、そして荒廃した様々な都市……


舞園「なにこれ……なにこれ?!」

石丸「嘘だあああああ!!」

不二咲「こんなの、いやだよ……いやだ……」

朝日奈「信じられない……なんで……」

江ノ島「まあ詳しい説明は省くけどさ、世界は今まさに絶望に覆われようとしているの」

苗木「絶望……?」

江ノ島「初めは小さな絶望だった。人々の不満とか不安とか、誰もが当たり前に持ってる
     そういう小さな感情をアタシが少しずつ育てて広めていったの」 

江ノ島「そして膨らんだ絶望は周囲に感染し、絶望の集団を生み出した」

十神「絶望の集団?! なんだそれは!」

戦刃「テロ組織だと思ってくれて構わないよ。盾子ちゃんが自分を教祖として
    作り上げ、組織化した集団だね。希望ヶ峰の関係者も複数入ってる」

のび太「希望ヶ峰の人が? みんな成功してるはずなのになんで?!」

江ノ島「才能ってやつはね、人を縛るのよ。アタシだってそう。
     超天才として生まれて、生まれたその瞬間から絶望してる」

ドラえもん「どうして天才として生まれたからって絶望に繋がるんだ?
       きみはその才能を正しい方向に使うべきだ!」




506: ◆takaJZRsBc 2018/07/22(日) 01:20:42.20 ID:68pnE71g0


江ノ島「希望っていうのは最後は必ず同じ結末に繋がってつまんないでしょ?
     王子様はお姫様を助けて終わり、貧乏人は金持ちになって終わり」

江ノ島「そんなありきたりのエンディングなんてつまんねーんだよ!!
     アタシはアタシの想像のつかないものが見たい! 面白く生きたいワケ!」

舞園「そんな……そんな酷い理由でこんなことをしたんですか?!」

山田「なにが絶望は予想が付かないだ! BADENDのアニメは大体同じ終わり方だぞ!!」

大和田「そ、そうだ! テロで世界をメチャクチャになんて映画じゃありきたりだろうが!」

桑田「ふざけんじゃねーよ!! 俺達から奪ったもん全部返せ!!」

セレス「これ以上ナメたこと言いやがったらぶち殺すぞ、糞ギャルがぁ!!!」

江ノ島「確かに大体終わり方は一緒だけど、絶望は思いも付かない展開を見せてくれるのよ。
     ま、これは考え方の違いだからあんた達と議論する気なんてないけどね」

江ノ島「そうそう。あんた達も気付いてると思うけど、ここの映像はある人々に見せています」

霧切「監視カメラの映像ね……」

腐川「どうせ……あんたのイカれた仲間にあたし達が
    困っているところを見せて笑ってたんでしょ……!!」

大神「許さんぞ、江ノ島……!」

江ノ島「半分正解ってとこかな。でも半分は間違い」

苗木「間違い?」

江ノ島「ほら、裁判始まってから陰の薄い小学生と青狸。答えを教えてやんなよ」

ドラえもん「…………」

のび太「…………」




507: ◆takaJZRsBc 2018/07/22(日) 01:29:16.11 ID:68pnE71g0


葉隠「お、おう。どうした? これ以上悪いニュースなんてないだろ……?」

のび太「……みんなだよ」

朝日奈「みんなって……誰?」

のび太「世界中のみんな」

桑田「は? だから、世界の誰に?」

ドラえもん「……この学園の様子は今も全世界にリアルタイムで流されているんだ」


「…………」


「…………」


「…………は?」


苗木「ま、待ってよ。それって……」チラ

舞園「……………………」

腐川「……………………」

江ノ島「ほら、残姉」

戦刃「テレビ持ってきたよ」


戦刃が持ってきたテレビの電源を入れる。そこには、確かに裁判の様子が映っていた。


朝日奈「じゃあ、舞園ちゃんが事件を起こそうとしたことも腐川ちゃんが
     実はジェノサイダー翔なことも、全部テレビで流れちゃったの?!」

桑田「ま、舞園……」

舞園「…………」




508: ◆takaJZRsBc 2018/07/22(日) 01:31:22.65 ID:68pnE71g0



舞園は真っ青な顔のまま、無言で崩れ落ちた。隣の席の苗木が慌てて舞園を助け起こす。


苗木「舞園さん! しっかりするんだ!」

舞園「私……私……」ブツブツ

腐川「お、終わりだわ!! もう何もかも終わり! いやあああああああ!!」

不二咲「腐川さん!」


バターン!

腐川も気絶して真後ろに倒れた。そしてすぐに立ち上がる。


ジェノ「どうもー! いつもご機嫌な殺人鬼ジェノサイダー翔ちゃんでーす!!」


「……………………」


ジェノ「あれ? なんかお通夜な雰囲気? 誰か死んだ?」

のび太「空気よんでよ……」

ドラえもん「ちょうど良かった。翔さん、きみはこの二年間の記憶を持っているはずだ」

セレス「どういうことです?」

ドラえもん「ほら、腐川さんとジェノサイダー翔は記憶を共有していないだろう?
       記憶を消されたのは腐川さんの方で、彼女は記憶を保持しているんだよ」

十神「何?! おい! 人類史上最大最悪の絶望的事件について貴様は知っているのか?!」

ジェノ「そんな! 白夜様ったらあの絶望的事件を忘れてしまったの?
     あんな悲劇的で残酷で悲しい事件を忘れてしまうなんて!」

霧切「何があったの?」




509: ◆takaJZRsBc 2018/07/22(日) 01:44:59.80 ID:68pnE71g0


ジェノ「あれはもはや現象としか言えねえな……。突然世界的に発生したテロ。
     政府が対処するより早く感染症みたいに広がって連鎖していった」

ジェノ「気付いた時にはもうどうしようもならなくなってたから、あたしらはこの学園を
     シェルターにして絶望が落ち着くまで避難することにしたってワケ」

「シェルター?」

江ノ島「希望ヶ峰学園シェルター計画。あーあ、ちゃんと学園内にヒント置いといたのになー。
     ま、いいや。答えの方を見せてあげる。ぜーんぶここに書いてあるから」


江ノ島はファイルを中央に放り、モニターにその中身が映し出される。


大神「学園長主導で世界の希望である超高校級の生徒を守ろうとしていたのか……」

大和田「おいおい……どういうことだよ。まさか窓をふさいでる鉄板とかボルトは……」

江ノ島「あんたらが自分でやったのよ。外の暴徒達から身を守るためにね」

石丸「だ、だから全て内側から締められていたというのか?!」

山田「慌てて締めたから、規格も場所もめちゃくちゃだったということですか?!」

江ノ島「そ。答えがわかると案外簡単でしょ?」

桑田「なんで知ってたのに黙ってたんだよ、ジェノサイダー!」

ジェノ「いや、そもそもアタシおめえらが記憶喪失なんて知らなかったし」

ドラえもん「あ、じゃあ大事なことは話したしそろそろ腐川さんに戻ってもらえる?」

ジェノ「ああん? なんで? 折角出てきたんだぞ?」

のび太(だってこのまま話がすすんじゃうと腐川さんがかわいそうだから……)




510: ◆takaJZRsBc 2018/07/22(日) 01:52:57.38 ID:68pnE71g0


ドラえもん「今すごく大事な話をしているから、ね?」

ジェノ「冗談じゃねえ! アタシだけ仲間外れとか許さね……」

十神「……いいから戻れ」

ジェノ「アッハイ」クシュン

ドラえもん・のび太(この人の言うことは素直にきくんだよな……)

腐川「え? 何? 今なにを話してる最中?」

ドラえもん「ええっとねえ……」カクカクシカジカ

不二咲「……あれ?」

セレス「どうかしましたか?」

不二咲「ここに学園長の名前が書いてあるんだけど……霧切、仁?」

「!!」

苗木「霧切さん……?」

十神「説明してもらおうか?」


霧切は一瞬だけ目を伏せてから答えた。


霧切「――父よ」

朝日奈「霧切ちゃんのお父さん、学園長だったんだ……」

大神「そうか……」

霧切「父は、今どこに?」

江ノ島「もう予想付いてるんじゃないの? ほら、教えてあげなよ」ニタァ




511: ◆takaJZRsBc 2018/07/22(日) 02:06:57.46 ID:68pnE71g0


のび太「その……」

のび太(なんていえばいいんだろう……)

ドラえもん「お父さんは……お亡くなりに……」

霧切「……そう」

苗木「霧切さん……」

江ノ島「あ、遺言代わりと言っちゃなんだけどビデオあるから見る?」


モニターには、在りし日の仁が生徒達と面談をしている映像が映し出された。


仁『君達はもう二度とここから出ることは出来ないかもしれない。それでも構わないか?』

苗木『はい。世界がこんな状況ですから』

             ・
             ・
             ・

舞園『わかりました。いつか世界が落ち着いた時、皆さんを勇気づけなければならないですしね……』

             ・
             ・
             ・

十神『やむを得んな……』


「……………………」


生徒達は食い入るように映像を見つめている。




512: ◆takaJZRsBc 2018/07/22(日) 02:15:26.13 ID:68pnE71g0


葉隠「は、はは……全然記憶に残ってねえ」

朝日奈「当たり前でしょ。消されちゃったんだから……」

大神「やはり、江ノ島の言葉は全て真実ということか……」

セレス「信じたくありません……受け入れがたい話ですわ……」

十神「……おい。十神財閥はどうなった? 俺の一族は?」

江ノ島「はい、ではここで問題です。十神君以外の十神一族はどうなったのでしょうか?」


画面に三択の選択肢が現れる。しかしその内容は……

 1.滅亡した
 2.滅亡した
 3.滅亡した


十神「ば、馬鹿なッ?!」

江ノ島「残念ですが、十神一族はあなた一人を除き滅亡してしまいました~」

十神「世界を統べる十神一族が滅びるなど……そんなはずが……」チラッ

ドラえもん「残念だけど……」

のび太「本当だよ」

十神「う、くぅ……」ギリッ!

ドラえもん「十神くん……」




514: ◆takaJZRsBc 2018/07/22(日) 02:42:02.03 ID:68pnE71g0


江ノ島「さーてさて、それでもオマエラは外に出たい訳?!」

葉隠「で、でも最悪ドラえもん達と一緒に避難すれば……」

桑田「江ノ島にすらバレずに侵入出来たんだもんな! 
    なんか、スゴい組織とかバックにいんだろ? だろ?!」

ドラえもん「残念だけど、それは許されていないんだ。ぼくらが出来る手助けは
       きみ達をこの学園から脱出させるところまでなんだよ」

山田「なんでですか?!」

朝日奈「そんな、どうして?!」

のび太「それは言えないんです。ごめんなさい……」

ドラえもん「一応、比較的安全そうな場所(大神道場の避難場所)は見つけてあるからそこまで
       連れて行くことは出来る。でもその後は全部きみ達自身でやらなければダメなんだ」

ドラえもん「ここから出て外の世界で生きるのがきみ達が進むべき道なんだよ。
       だから、悪いけど一緒に連れていくことは出来ない」

葉隠「あ、あんまりだべ。それじゃあその後どうなるかわかんねえじゃねえか!
    結局出なかった方が良かったってことになるかもしれないってことだろ?!」

山田「助けるだけ助けて後は放置なんて無責任ですよ!!」

のび太「それは……」

ドラえもん「本当にゴメン……」

苗木「やめようよ! ドラえもん達がいなかったら僕達はここでコロシアイをしていたんだよ?!」

不二咲「これは僕達の問題なんだから、他の人に頼っちゃダメだと思う……」

葉隠「う……そうだけど……」

大和田「つまり、せっかく外に出ても暴徒に襲われる可能性があるってことか……」

戦刃「外の治安はかなり悪いよ。訓練をしていない人間が生きていくには厳しいね」




515: ◆takaJZRsBc 2018/07/22(日) 02:52:39.41 ID:68pnE71g0


舞園「じゃあ、最初の計画通りここに残るって選択肢の方がいいんじゃないでしょうか……」

セレス「わたくしは残らせてもらいますわ。今までは出たくて出たくて仕方が
     ありませんでしたが、こんな状況では夢も目標もあったものではないですもの」

石丸「セレス君! ……クッ、どうすればいいんだ。正直な所、学園長の遺志を
    無駄にする訳にはいかないし、僕達だけで何が出来るのかという気持ちもある……」

不二咲「お父さんやお母さんはどう思っているんだろう? 生きているのかな……?」

朝日奈「わかんない……どうすればいいかわかんないよ……」

ドラえもん「…………」

ドラえもん(ここまでは予想通りだね。あとは、苗木くんに頑張ってもらわないと)

苗木「希望を捨てちゃ駄目だ! 一人一人なら生きていくのは難しいかもしれない。でも、
    ここにはみんながいる! 僕達全員の力を合わせれば、きっと何とかなるはずだよ!」

腐川「何とかって何よ?! 命が懸かってるっていうのに、希望的観測で物を語るんじゃないわよ……!」

十神「世界を統べる十神財閥が滅亡しているのだぞ……そんな状況で一体どうするという?」

桑田「希望ヶ峰が閉鎖するレベルなんだろ? ……ムリだって。俺、まだ死にたくねーし」

葉隠「俺達は世界の希望なんだろ? じゃあ、ここに残ってないとダメなんじゃねえか?」

江ノ島「そうだよ! オマエラの両親はオマエラだけでも生きていてもらいたいから
     シェルター計画に賛同したんじゃないの? 少なくとも計画発案者兼推進者の
     学園長はそう思っているはずだよねぇ、霧切?」

霧切「……何故私に言うの」

江ノ島「そりゃ学園長が保護者代表だからよ。最期まで響子を助けてくれー!って叫んでたよ?」

霧切「……!!」




519: ◆takaJZRsBc 2018/07/22(日) 17:49:25.07 ID:6XtjYwhO0


苗木「き、霧切さん……」

のび太「みんな! 絶望なんかに負けちゃダメだ!」

ドラえもん「そうだよ! ここで止まってしまったら、希望も絶望もないんだよ!」

苗木「一緒に外に出ようよ! 外には僕達を待っている人が……!」

山田「では苗木誠殿だけ出れば良いでしょう?」

セレス「そうです。出たい人だけ出るというのは可能ですか?」

江ノ島「別にいいよ。最後に投票するから残りたいヤツは残るを選択して。
     ――ただし、その場合裁判はアタシの勝ちね?」

のび太「えっ?!」

ドラえもん「な、なんだって?!」

霧切「……残ることにデメリットは?」

江ノ島「裁判の最初に言ったけど、アタシは今後この学園にはノータッチだから安心しなよ」

舞園「食料がなくなったり空気清浄機を止めたりとか……」

江ノ島「そんなセコい真似しないっつーの。なんなら護衛と連絡用に残姉置いといてもいいよ。
     物資が足りなくなったら可能な限り補充もしてあげる」

戦刃「お姉ちゃんを置いていくなんて酷いよ、盾子ちゃん!」

石丸「なら、ここに残れば確実に生き残れる訳だな……」

不二咲「お父さんとお母さんはそれを望んだんだよね……?」




520: ◆takaJZRsBc 2018/07/22(日) 18:05:43.00 ID:6XtjYwhO0


ドラえもん(不味い! 江ノ島はなりふり構わず勝負に勝つつもりだぞ!)

ドラえもん(この裁判は全世界で放送されていて、希望と絶望の代理戦争でもあるんだ!
       江ノ島が負けてくれないと絶望の集団が解体出来ない!!)

のび太「どうしたの、みんな? 外には家族だっているんだよ?! まさかのこったりなんか……」

ドラえもん「家族を探しに行かないのかい?!」

大和田「俺はもう探す家族がいないしな……」

朝日奈「外に出ても生きてるかわからないし……」

大神「だが……生きているか確認に行くくらいはした方が良いのでは?」

江ノ島「あ、一度外に出てまた学園に戻るってのはなしだからね。反則でしょ、そんなの」

桑田「マジか……だったらやっぱり……」

「……………………」

苗木「み、みんな!」

十神「いい加減にしろ! 俺達は貴様のような能天気には出来ていない!」

苗木「そんな……」

ドラえもん「…………」

ドラえもん(……様子がおかしい。原作と違ってみんな生存してるし、
       もっと楽に説得出来ると思ったんだけど……何が原因なんだ?)

のび太「大神さん!」

大神「すまぬ。話が大きくなりすぎて、我だけでは決められぬ……」




521: ◆takaJZRsBc 2018/07/22(日) 18:41:54.71 ID:6XtjYwhO0


のび太「石丸さん!」

石丸「む、無理だ……僕達には責任がある……大人達が託してくれた希望を無駄にする訳には……」

のび太「霧切さんは?!」

霧切「……ごめんなさい」

のび太「そんな……」

ドラえもん「……!」


全員の暗い顔を見て、ドラえもんは気が付いた。


ドラえもん(そうか、わかったぞ! 人数が多いからこそ、負の感情が増幅しているんだ!)

ドラえもん(原作では生存者は6人。そこから苗木くんとジェノサイダーを引くから、
       説得したのは実質4人だ。でも、今は13人もいる!)

ドラえもん(大神さんは家族の無事を知ってるから大丈夫だとしても、
       12人もの人間を苗木くん一人で説得するのは負担が大きい……)

ドラえもん(しかも最大の問題は、原作と違って残るを選択しても苗木くんは処刑されない!
       彼らが学園に残ることを選択する抵抗感や罪悪感が一切ないんだ!!)

苗木「…………」


苗木は俯き、拳を固めている。


のび太「ド、ドラえもん……」

ドラえもん(いったいどうすればいいんだ?!)




527: ◆takaJZRsBc 2018/08/05(日) 21:55:10.07 ID:bsNHLSHI0



  第21話 きぼう VS ぜつぼう! 勝つのはどっち?!


江ノ島「はいはーい。結論が出た人はパネルの残るをタッチしてね☆」

「…………」


各座席の前に付いているモニターには、卒業と残るの2つのボタンが表示されている。


のび太「ドラえもん! なんだか、へんだよ!」ヒソヒソ

ドラえもん「わかってる!」ボソボソ

ドラえもん(どうする? なにか道具を使おうか? でも、カメラが回っているし
       みんなもいるからあからさまなことは出来そうにないぞ……)


「…………でも」


のび太「……え?」

ドラえもん「……ん?」


二人は声のした方向を振り返る。



苗木「――それでも僕は、希望を信じ続ける!」


カッ!




528: ◆takaJZRsBc 2018/08/05(日) 22:02:51.33 ID:bsNHLSHI0


江ノ島「ハァァ?! オメエなに言っちゃってんの? それともイッちゃってんの?
     オメエにとってこれ以上最低で最悪で絶望的な状況はないっつーの!」

苗木「違う……」



苗木「それは違うよッ!!!」



苗木は江ノ島を指差し、ピシャリと否定する。


のび太「苗木さん……」

ドラえもん「いいのかい? このままだと君は一人で外へ行くことに……」

苗木「構わないよ。もし、外の世界が絶望と死で溢れていたとしても、
    それだけじゃない。きっと希望だってあるはずだ!!」

江ノ島「希望なんてねえっつーの!!」

苗木「だったら、僕達が希望になる!!!」

苗木「絶対に何があっても諦めたくないんだ! こんな奴らに人生をめちゃくちゃにされて、
    将来のことまで決めつけられるなんて僕はごめんだ!!」

苗木「自分がどうするかは自分で決めるよ! たとえ一人でも僕は出るし、
    みんなだってわかってくれるって信じてる!!」

のび太「おおー!」

ドラえもん「さすが! それでこそ主人公だ!」

苗木「みんな、本当にそれでいいの?! 悔しくないの?!
    絶望の思い通りになんかなっちゃダメだよ!」




529: ◆takaJZRsBc 2018/08/05(日) 22:13:58.85 ID:bsNHLSHI0


舞園「でも、外にはたくさん暴徒がいるんですよ!」

桑田「そーだよ、意地はんなって! なにも死にに行くことないだろ!」

苗木「きっと大丈夫だよ」

大和田「ハア?! 大丈夫って……!」

石丸「一体何を根拠に!!」

不二咲「危ないよ! 無理しないで……」

苗木「別に意地を張ってる訳じゃないんだ。無理をしてる訳でもない」

苗木「この裁判は世界中で放送されているんでしょ? 僕達がコロシアイをやめたことや
    僕が外に出ることで、勇気づけられた人がきっと大勢いるはずだよ」

江ノ島「バッカじゃないの。あんた達を助けようとこの学園まで来たヤツ等は
     腐るほどいたわよ。でも、ぜーんぶアタシらに返り討ちにされちゃったけどね」

朝日奈「な、苗木! やっぱり危ないって!」

大神「苗木……」

苗木「それは今までの話だよね? その時は確かに絶望が勝ってた。けど、これからは違う」

苗木「裁判のルールではみんなが残ればお前の勝ちかもしれない。でも、一人でも外に出る
    人間がいるのなら、お前の思い通りにならない人間がいるのなら――」

苗木「――僕とお前の間では、少なくとも僕の勝ちだ!!」


          ト ゛  ン  ッ  !  !  !


江ノ島「……!!」

江ノ島(チッ! 相変わらずクソうざいヤツ……!!)




530: ◆takaJZRsBc 2018/08/05(日) 22:26:25.58 ID:bsNHLSHI0


戦刃「…………」

戦刃(なんでだろう……苗木君が一人だけ外に出たってただ死にに行くだけなのに、
    言ってみれば単なる負け惜しみなのに、私達が押されてる気がする……どうして?)


背中にじんわり汗がにじむ。戦いでは敵なしの戦刃が、戦い以外でプレッシャーを感じ取っていた。


のび太「そうだよ! 一生こんなところにいていいの?! 二度とそらがみれないんだよ?!」

ドラえもん「きみ達は世界の希望なんだ! 世界中の人々が今もきみ達を待っているんだ!」

苗木「外に出よう! 一生こんなヤツの言いなりになって絶望しながら生きるなんて、
    そんなの生きてるって言わないよ!! みんな!!!」


「……………………」


苗木の決死の説得でもまだ生徒達は動かない。

当然だ。命が懸かっているのだから。


だが、苗木もまた超高校級の才能を一つ持っていた。

“超高校級の幸運”という才能を――






???『苗木君の言う通りだよ。みんなはこんな所にいるべきじゃない』

???『僕も苗木君を、みんなの持つ希望の力を信じてる』

???『――だから、少しだけ力を貸すね』




531: ◆takaJZRsBc 2018/08/05(日) 22:35:56.46 ID:bsNHLSHI0



ブツッ。パッ!


腐川「な、なに?!」

十神「突然電気が……」

山田「こんな時に停電ですか?!」

江ノ島「停電なんてあるワケないでしょ。発電機あるのに」

戦刃「すぐに予備電源に代わるはずだよ」

セレス「まったく人騒がせですね……」

霧切「! モニターを!」

葉隠「なんだぁ?!」

のび太「え、モニター?」

ドラえもん(なんだ?! またぼくらの知らないことが……)


モニターが砂嵐になったかと思うと、徐々に映像が映っていく。

ノイズが取れた後には、そこに一人の人間が映っていた。


のび太「えっ?! この人ってたしか……」

ドラえもん「そんなまさか?!」


『…………』

『……親愛なる生徒諸君』


苗木「学園長?!」




532: ◆takaJZRsBc 2018/08/05(日) 23:08:53.42 ID:bsNHLSHI0



朝日奈「さっきの人だ!」

霧切「!!」


『私は今日をもって希望ヶ峰学園シェルター計画の発動を宣言する。想定される長い
 シェルター生活の中で万が一私に何かあった時のため、この映像を残しておくことにした』


のび太「学園長さん……」

ドラえもん「…………」


『この計画は我が国にとって、いや世界にとって最後の希望だ。この計画が最終的に
 どのような結論を迎えようが、君達さえ絶望していなければきっと上手くいく』

『この計画が希望なのではない。君達の存在自体が希望なのだ』


朝日奈「…………」

大神「…………」

桑田「…………」


『たとえ世界が滅びようとも、希望さえあれば、世界は何度でもやり直せる』

『どんな困難にあっても決して絶望に身を委ねるな。いつだって、仲間を信じて前を向くんだ』


石丸「…………」

大和田「…………」

不二咲「…………」




533: ◆takaJZRsBc 2018/08/05(日) 23:19:16.28 ID:bsNHLSHI0



『響子……迷惑をかけてすまない。来るべき今日この日のために、私は人生の全てをかけてきた』

『父親としては失格だったかもしれないが、響子……私はいつだって君だけを見ていたんだ』

『お前を心から愛していた。響子――君は私の希望だ』


霧切「…………」


在りし日の学園長・霧切仁の姿が消えると共に、再び照明が灯る。


桑田「なんだったんだ、今の……」

ドラえもん「……わからない。けど、一つだけ言えることがあるよ」

舞園「なんですか?」

ドラえもん「学園長は最後まできみ達を信じていた。何があっても前を向いてほしいと言っていた。
       ……もしかしたら、天国の学園長がきみ達にエールを送ってくれたんじゃないかな?」

十神「そんな非科学的なことがある訳……!」

セレス「そうですわ、そんなことはあり得な……」

のび太「しんじるよ!」

十神「……何?」

のび太「ぼくはしんじる!! きせきだってきぼうだってきっとあるっ!!!」

のび太「ぼくたちは何度も大冒険をしてそのたびにたくさんピンチになったけど、いつだって
     みんなで力をあわせてのりこえてきた! だから今回だってきっとある!!!」

十神「ぐ……」


十神はのび太達が命がけの大冒険を繰り広げてきたことなど全く知らない。
だが、その鬼気迫る声と表情には確かな説得力があった。




534: ◆takaJZRsBc 2018/08/05(日) 23:29:59.99 ID:bsNHLSHI0



苗木「学園長は希望ヶ峰学園をシェルター化することで、僕達を絶望的事件から
    守ろうとしてくれた……僕達は希望ヶ峰学園から未来へ託されたノアの方舟なんだ!」

苗木「そうだ、希望は僕らの中にある。僕達一人一人が希望なんだよ!!」




「やっぱ……俺も出る」

「え?」


大和田「俺も外に出るぞ!」

苗木「大和田君!」

大和田「チームのヤツらが心配だ……仮に壊滅してたにしても、全員が死んだって決まったワケ
     じゃねえんだろ? あいつらの家族もな。総長として、俺は仲間を守らなきゃならねえんだ!」

桑田「言われてみれば……俺も家族と野球部のヤツら、心配だわ」

不二咲「お父さん、お母さん……まだどこかで僕達の助けを待っているかもしれない……」

石丸「そうだ……考えてみれば当然のことだ。外の人達は今も危険な目に遭っているのに
    何故自分達だけ安全な場所に閉じこもろうと言うのか!!」

大神「我も出るぞ。外が荒れているなら、弱き者達を守るため尚更武の力が必要であろう。
    そもそも、真の強さは困難に立ち向かうことでしか掴めん。我はあえて茨の道を進む!」

朝日奈「そうだよね……私、また外を思いきり走りたい! いろんな所に行きたいよ!」

石丸「ウム! 出よう!!」

不二咲「僕も、役に立てるかわからないけど……」

のび太「みんな!」

ドラえもん「いいぞ! その調子だ!」




535: ◆takaJZRsBc 2018/08/05(日) 23:35:45.15 ID:bsNHLSHI0


ダンガンロンパ BGM -HOPE VS DESPAIR-
http://www.youtube.com/watch?v=nizPWN6Jf-0






536: ◆takaJZRsBc 2018/08/05(日) 23:38:27.94 ID:bsNHLSHI0


腐川「あ、あんた達どうかしてるわよ! あたしは流されたりしないからね……!」

山田「あわわわわ……僕はどうすれば……」

葉隠「お、俺は出ないべ。絶対に出ねえぞ!」

セレス「感情論で全ての人間を動かせるほど、世の中は甘くないのです」

十神「…………」

霧切「…………」

舞園「…………苗木君」

舞園「怖いんです、私。不安なんです。外に出ないといけないって頭ではわかってるけど、でも……」

苗木「…………」


苗木は静かに目を閉じる。そして、開いた。

カシャンッ、ドンッ! ====⇒【希望】!!


苗木「僕がいる!! 今度こそ、何があっても君を守る!!!」

舞園「!!」

苗木「人を殺してしまいそうなほど、メンバーの仲間が心配なんじゃなかったの?
    君のファンは今も外で辛い思いをしてる。それなのに君はここにいていいの?!」

舞園「メンバーのみんな……ファンの皆さん……」

苗木「荒廃した辛い世界だからこそ、みんなは君を待ってるよ。
    わかるんだ。だって僕も――舞園さんの大ファンだから!!」BREAK!!


パリーン!


舞園「フフッ……そうですね。心が荒れている時こそ、歌の力が必要ですよね?」




537: ◆takaJZRsBc 2018/08/05(日) 23:42:37.17 ID:bsNHLSHI0


のび太「舞園さん……!」


苗木は一人一人に向き直る。

カシャンッ、ドンッ! ====⇒【希望】!!


苗木「十神君! 確かに、十神財閥はなくなってしまったかもしれない……でも、君の力は
    財閥の力だけじゃないはずだ。外には君の力を待っている人達がいるはずだよ!」

苗木「君じゃないとダメなんだ! だから君の力を貸してほしい!!」BREAK!!


パリーン!


十神「……貴様、この俺を慰めようなどと思っていないか? 愚民が。
    貴様風情がこの俺を励ませるなどと思うなよ。あと……主人公は俺だ!」

ドラえもん「十神くん……」

山田「で、でも! 出来ることがある人はいいですけど……」


カシャンッ、ドンッ! ====⇒【希望】!!


苗木「山田君! 外がこんな風になって、誰が君の好きなアニメを作るんだ?」

苗木「漫画家になりたいんだよね? 君のファンはここにはいない。
    外にいるんだ! 彼等を勇気づけられるのは君だけなんだ!」BREAK!!


パリーン!


山田「夢を失って廃人として生きるか、或いは夢を追って戦い続けるか……ですね。
    いいでしょう、行きますよ! ……ママ達のことも心配だし」




538: ◆takaJZRsBc 2018/08/05(日) 23:45:28.32 ID:bsNHLSHI0


のび太「ぼくも山田さんのマンガまってるよ!」

葉隠「マ、マジか……お前ら正気か? 俺の占いだとムリだって……」


カシャンッ、ドンッ! ====⇒【希望】!!


苗木「葉隠君! 君は前に言ってたじゃないか! 世界中の謎を解き明かしたいって!
    こんな所に閉じ込められて、それって生きてるって言えるの?!」BREAK!!


パリーン!


葉隠「……そうだべ。世界は俺を待ってる。知らない物を見てみたいべ! 俺は自分の直感を信じる!!」

ドラえもん「そうだよ。可能性は無限大なんだ!」

セレス「わたくしは行きませんわ。あまりに危険過ぎます」


カシャンッ、ドンッ! ====⇒【希望】!!


苗木「セレスさん……ギャンブルって危険を冒しながら目的のものを得るために行う行為だろう?
    こんな所に安全に隠れてるなんて、超高校級のギャンブラーであるセレスさんらしくないよ!」BREAK!!

セレス「!」


パリーン!


セレス「まさか苗木君にギャンブルのなんたるかを教えられるとは思いませんでしたわ。いいでしょう。
     そこまで言われて黙っている程、わたくしは落ちぶれていません。全額あなたにベットしますわ!」

のび太「セレスさんも!」




539: ◆takaJZRsBc 2018/08/06(月) 00:08:14.50 ID:UdazLpzS0



霧切「苗木君……正直わからなくなってしまった。父は私が生きることを望んでいたけれど……」

苗木「しっかりするんだ、霧切さん!」


カシャンッ、ドンッ! ====⇒【希望】!!


苗木「確かにお父さんは君を、僕達を守ろうとしてくれた……でも、今は外の状況も
    変わっているかもしれない。誰かが何とかしなくちゃいけないんだ!!」

苗木「少なくとも、江ノ島の言いなりになって絶望に負けることだけは間違いだよ!」BREAK!!

霧切「そう……そうね」


パリーン!


霧切「私にはまだ全ての記憶はない……父がどんな人で何を考えていたか、何故私を
    置いて行ったのか、私は知りたいと思ってる。そして、その答えはここにはないわね」

霧切「行くわ。あなた達となら、きっと乗り越えられる」

ドラえもん「霧切さん、信じてたよ!」

苗木「腐川さん! 君は……」

腐川「なによぉ! この流れで一人だけ残るなんて言える訳ないでしょう! 行くわよ、行ってやるわよ!
    白夜様のいる所ならあたしは火の中だろうが水の中だろうがついて行くんだから!」

苗木「腐川さん、ありがとう。他のみんなは……」

桑田「行くぜ。野球はこんな狭い所じゃできねーしな」

石丸「超高校級の風紀委員として外の乱れた世界を放置する訳にはいかない!!」

不二咲「一人なら怖いけど、みんなと一緒なら大丈夫!」




540: ◆takaJZRsBc 2018/08/06(月) 00:22:19.95 ID:UdazLpzS0


朝日奈「心配かけてごめん! これからも一緒に頑張ろう!」

大神「皆こう言っている。苗木、お主のお陰だ」

苗木「みんな……」

のび太「よかったね、苗木さん!」

ドラえもん「苗木くんが頑張ったからみんなこたえてくれたんだよ!」

苗木「そんなことないよ。学園長も言ってたじゃないか。みんなは世界の希望だから……」

霧切「それだけじゃないわ」


ダンガンロンパ OP
http://www.youtube.com/watch?v=6Q0qy3hhvwk




霧切「苗木君……何があっても諦めないあなたは、
    どんな時でも前を向いて進み続けるあなたのその姿こそが……」

霧切「“超高校級の希望”。そう呼べるんじゃないかしら?」




541: ◆takaJZRsBc 2018/08/06(月) 00:26:53.36 ID:UdazLpzS0


苗木「僕が、超高校級の希望……」

舞園「そうです。苗木くんがいなかったら、きっとみんな諦めていました!」

ドラえもん「ほら、苗木くん! 今だよ!」

のび太「あの言葉を言って!」

苗木「…………」コクリ

苗木「江ノ島盾子……これが僕達全員が出した答えだ!」

江ノ島「有り得ない有り得ない有り得ない!! うざいうざいうざい!!」

江ノ島「世界に絶望しろ! 未来に絶望しろ! 希望に絶望しろ!!」

苗木「いいや。希望は前に――」


裁判場にいる全員の顔を見回し、苗木は頷いた。


全員「――進むんだ!!」


ズガッシャアアアアアアアアアアアンッ!!

裁判場の全てのモニターに、スロットマシーンが映し出される。
その絵の一枚一枚にそれぞれ生徒達の顔が描かれており、

――最終的に江ノ島の顔が一列に並んだ。




542: ◆takaJZRsBc 2018/08/06(月) 00:35:13.38 ID:UdazLpzS0



江ノ島「……は?」


画面には卒業14、残る0と大きく表示されている。


江ノ島「ハァ? アタシの負け? 嘘でしょ?」

戦刃「じゅ、盾子ちゃん……」

江ノ島「…………」

十神「フン。超高校級の絶望とやらも自分の絶望には弱いらしい」

霧切「さあ、江ノ島さん。約束通り私達を外に出しなさい」

戦刃「盾子ちゃん、どうするの? ねえ……」

江ノ島「……ぷぷ」

江ノ島「うぷぷ。うぷぷぷぷぷ」ニタァ

江ノ島「そうだね。約束通りにしてやるよ。でもその前にさ、やることがあるでしょ?」

のび太「あ! いけない!」

ドラえもん「とめないと!」

江ノ島「無駄無駄無駄! 邪魔しないでよね!」

江ノ島「とうとう味わえる死の絶望……この時を待っていたのよ。アタシを楽しませなさいよね」

苗木「な、何を……?!」


江ノ島はオシオキスイッチにゆっくりと手を伸ばす。

そして――スイッチを押した。




547: ◆takaJZRsBc 2018/08/26(日) 23:14:19.84 ID:sSfz4fef0



  第22話 みらいからのメッセージ


モニターや裁判席のパネルに一昔前のゲームのようなドット絵が映り、
モノクマを模したドットキャラが江ノ島盾子のキャラを引きずっていく。


              GAMEOVER

        エノシマジュンコさんがクロにきまりました。
            おしおきをかいしします。



          ― 超高校級の絶望的オシオキ ―


江ノ島と戦刃に様々なオシオキが実行される。それはロケットに乗って、
大気圏を突き抜けてから灼熱状態で地表に戻ってきたり、全身を軟式野球ボールで
ノックされたりバイクに乗って装置で高速回転をされたり……一つ一つが拷問だ。

戦刃は痛みで泣いたり叫んだりしているが、江ノ島は絶叫アトラクションに
乗っているかのように終始笑っている。そこに生徒達は狂気を感じざるを得なかった。

地獄のような様々なオシオキをくぐり抜け、とうとう最後のオシオキである『補修』が始まる。
それはベルトコンベアの先の巨大なプレス機で人間を丸ごとプレスするというものだ。


のび太「ドラえもん! このままだと……」

ドラえもん「わかってる!」


カメラは江ノ島達を映しているし、生徒達の注目も彼等に向いている。
ドラえもんはタンマウォッチを取り出し、プレスが落ちる直前にボタンを押した。

カチッ!




548: ◆takaJZRsBc 2018/08/26(日) 23:22:10.81 ID:sSfz4fef0



シィーーーン。


ドラえもん「よし。まずはこれで時間が止まった。今のうちに!」

のび太「どうするの?」

ドラえもん「流石に死なせるのは不味いよ。生きて罪を償わせないと」

のび太「ぼくもそれがいいとおもうけど、江ノ島が負けないとダメなんでしょ?」

ドラえもん「とりあえず歴史通り世界に江ノ島が負けた映像を流す必要がある。
       だからこれを使おう。フリーサイズぬいぐるみカメラ~!」


パシャリ。


のび太「それで二人にそっくりなきぐるみを作るんだね!」

ドラえもん「そう。出てきたぬいぐるみにワタとトマトソースを詰めれば……」

のび太「江ノ島人形と戦刃人形の完成だ!」

ドラえもん「これを二人と入れ替えてっと」ヨイショ


二人は椅子から江ノ島と戦刃を降ろし、人形にすり替える。


ドラえもん「よし。あとは二人をカメラの死角へ運ぶ」

のび太「カメラはだいじょうぶ? 世界中でホウソウされてるんでしょ?」

ドラえもん「前に確認しておいたけど、このオシオキが終わったら
       自動で撮影が終了するらしい。だから何もしなくても問題ないよ」

のび太「じゃあ、あとは時間をもどすだけだね!」




549: ◆takaJZRsBc 2018/08/26(日) 23:33:09.71 ID:sSfz4fef0



ドラえもん「元の立ち位置に戻って、と。動かすよ!」


カチッ。ドォンッッ!!!

プレス機が二人の人形を押し潰し、そのまま停止した。
真っ赤な液体(トマトソース)が隙間から生々しく流れる。


のび太(トマトのにおいがすごいなぁ……)

ドラえもん(うーん、ちょっと入れすぎたかも……)


幸いショッキングな光景のせいで生徒達はトマトの匂いに全く気が付いていなかった。


苗木「江ノ島……」

十神「フン、つまらない最期だったな」

朝日奈「後味の悪い終わり方になっちゃったね……」

腐川「自業自得よ。あたしは同情なんてしないわ」

桑田「ま、これからのことを考えないといけねーしな」

不二咲「でも、お葬式ぐらいはしてあげない? 一応クラスメイトだったんだし」

山田「ちーたんは優しいですなぁ!」

江ノ島「そうそう。葬式くらいはしてくれてもいいんじゃない?」

大神「……?!」

不二咲「…………」アオザメ

セレス「あ、あの……」汗




550: ◆takaJZRsBc 2018/08/26(日) 23:48:33.03 ID:sSfz4fef0


葉隠「宗派はなんだ? とりあえずナンマイダナンマイダと」

石丸「死体に触るのは気持ち悪いが、せめて棺にいれてあげるか」

江ノ島「いやー、手間かけて悪いわねー」

桑田「まったくだぜ! ……って、え゛?!」

十神「な、なっ……?!」

舞園「……ちょっと待ってください」

腐川「なによ! さっさと済ませてこんな辛気臭い学園から出るわよ!」

山田「そうですよ! なにか問題でも?」

戦刃「みんなここから出たいみたいだし、早く終わらせちゃおうよ」

朝日奈「うん。そうだね。早くしよう……って、あれ?」

霧切「あなた達、何でここにいるの……?」

戦刃「……?」

江ノ島「キャハッ☆ バレちゃったー!」


「……………………えっ?!」


苗木「二人共、たった今死んだはずじゃ……?!」

戦刃「あ、あれ? 見えてる? 盾子ちゃん、私確かに死んだよね?? 幽霊になったんじゃないの?!」

石丸「幽霊だとぉ?!」

葉隠「ま、まさか幽霊なんているはずねえべ?!!」

大和田「おいおい! 勘弁してくれよ!」




551: ◆takaJZRsBc 2018/08/27(月) 00:06:46.17 ID:o3VMF90s0


十神「どういうことだ?! 誰か説明しろっ!!」

江ノ島「結論から言うと流石の私様もわかりません。ただ、幽霊でないのは間違いない」

セレス「確かに幽霊にしては血色がよろしいですが……」

舞園「じゃ、じゃあ一体何が起こったんです? あそこで死んだのは誰なんですか?!」

江ノ島「あ、ありのまま今起こった事を話すぜ!」

江ノ島「オレはプレスでペシャンコにされたと思ったらいつのまにかここに座っていた。
     な、何を言っているのかわからねーと思うが、オレも何をされたのかわからなかった!」

山田「頭がどうにかなりそうだった。催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ
    断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……ですね!!」

桑田「なんでおめーが続けてんだよ?!」

大神「つまり、どういうことなのだ……?!」

江ノ島「わかんねーっつの! この台詞の元ネタ通り、時間でも止めない限り
     あの状態で一瞬で移動するなんてあり得ねえんだよ。ファーック!!」

のび太(うわー、あたってる……)

ドラえもん(さすが超分析能力の持ち主だ。実はそうなんだよ)

ドラえもん「どうやったかは言えないけど、ぼく達が助けたんだ」

苗木「えっ、ドラえもん達が?!」

戦刃「どうして……?」

のび太「だって、わるいことをしたのに責任をとらずににげるなんてズルいよ!」

ドラえもん「きみ達はメチャクチャにした世界を元に戻す責任がある!」

江ノ島「あー、よくある生きて償えとかそういうありきたり説教ですか。ツマラナイです……」




552: ◆takaJZRsBc 2018/08/27(月) 00:30:05.58 ID:o3VMF90s0


大和田「ツマラナイって……ふざけてんのか?!」

桑田「助けてもらっておいてなんだよ、その態度!」

江ノ島「別に助けてもらわなくても構わなかったですしおすし」

朝日奈「言われてみればのび太達の言う通りだよ! 逃げて終わりにするなんてそんなのダメ!!」

舞園「散々好き放題して、最期まで自分の思い通りに終わるなんて許さないです!」

セレス「敗者に選択権なんてありませんわ。いい加減、諦めろこのクソギャルがぁ!!」

江ノ島「はいはい。反省してまーす」

不二咲「江ノ島さん……お願いだよ。僕達はもう争いたくなんてないんだ!」

江ノ島「…………」

苗木「江ノ島、お前は絶望を求めてるんだろ?」

江ノ島「……そうよ。生まれた時からずーっと、ね」

苗木「だったら、僕がお前に絶望を与えてやる。希望を追い求め続けるという絶望を」

江ノ島「!」

苗木「お前はこれから死ぬまでずっと、大嫌いな希望を追い続けなければいけないんだ!
    大嫌いな人助けや良いことをずっとやり続ける。これでどうだ!!」

江ノ島「フ、フフ……ハハハ。アーハッハッハッ! 甘い。甘すぎるぞ苗木!
     まったくどこまで甘ちゃんなのよ。……ま、悪くないかもね。そんな絶望も」

のび太「じゃあ……!!」

ドラえもん「改心して……!」





???「そこまでだ!」




553: ◆takaJZRsBc 2018/08/27(月) 00:46:48.92 ID:o3VMF90s0


のび太「?!!」

ドラえもん「な、なんでここに?!」

???「…………」

苗木「えっ?! 誰?!」

『?!』


一同が振り返ると、そこには制服をまとった男達がいた。


「なに? なんなの?!」「誰だよ?!」「え? 警察?」


ザワザワザワザワ!!

苗木達は知らないが、ドラえもん達には既に馴染みの制服である。


ドラえもん「タイムパトローラー?!」

のび太「そんな! どうしてここに?!」

霧切「?! あなた達、彼等を知っているの……?!」

苗木「え? タイムパトローラー??!」

山田「なんかSFアニメっぽい組織が出てきたー?!」


混乱する子供達とは反対に、タイムパトローラーの隊員は冷静に対応する。


隊員「とりあえず、そこにいる江ノ島盾子と戦刃むくろを捕らえてから説明しよう」

戦刃「え、え、なに?!」

江ノ島「……ははーん、そういうことですか。なるほどなるほど」




555: ◆takaJZRsBc 2018/08/27(月) 01:07:30.71 ID:o3VMF90s0


桑田「なに一人で納得してんだよ!」

腐川「一体なんだっていうのよ、もう……!」


既に負けているからか、或いは新たな闖入者に興味を惹かれたのか、
特に抵抗もなく江ノ島と戦刃はタイムパトローラーに捕まる。


大和田「ナニモンだ、テメエら!」

十神「どういうことだ、説明しろ!」

ドラえもん「落ち着いて! タイムパトローラーはぼくらの味方のはずだから」

霧切「タイムパトローラー……名前からして時間に関係する機関のようだけど……」

石丸「服装的には警察に近いようだが……」

ドラえもん「その通り。彼等は時間犯罪者を取り締まる警察みたいなものだよ」

のび太「ぼくたちも何度もお世話になってるよね」

苗木「じ、時間犯罪者……?!」

不二咲「えっと、何かの例え話か何かなのかな?」

朝日奈「何度もお世話になってるの?!」

セレス「そこは深く聞かない方が良いと思いますわ。長そうですし」

十神「お前達、まさかタイムマシンで未来からやってきたなどとうそぶくつもりはないだろうな」

ドラえもん「えーと、半分正解で半分間違いかな」

のび太「ぼくたち、みんなを助けるためにちがう世界からやって来たんだ」

桑田「は、はあ?! なに言っちゃってんのお前?」

葉隠「宇宙人だったんか?! やっぱり地球は既に侵略されてたんだべ!!」




556: ◆takaJZRsBc 2018/08/27(月) 01:31:14.82 ID:o3VMF90s0


セレス「話がこんがらがるので黙っててくれませんか」

ドラえもん「……タイムパトローラーまで出てきた以上、もう全部話すしかないか」

のび太「話してもいいですか?」

隊長「問題ない。あまりに突飛すぎて、外の人間に話してもどうせ信じてもらえないだろうからね」

ドラえもん「わかりました。どこから話せばいいのかな……」

のび太「ぼくたち、アニメを見てたんだ。『ダンガンロンパ』っていう人気ゲームが原作のアニメ」

大和田「アニメだぁ?」

石丸「なんでここでアニメの話が出てくるのだ……」

ドラえもん「そのアニメの内容はね、学校に閉じ込められた高校生達が
       コロシアイを強要されるってストーリーなんだ」

「!!」

不二咲「そ、それって……!」

霧切「……続けて頂戴」

ドラえもん「アニメでは、高校生達がコロシアイを始めて次々と事件が起こる。
       多くの犠牲が出て、ようやく黒幕を倒した彼等は外の世界に出たんだ」

ドラえもん「黒幕を倒して脱出したから一応ハッピーエンドではあるけど……」

のび太「高校生たちはじつはキオクを消された元クラスメイトだったんだって。
     ほとんど死んじゃったし、ちっともたのしいおわり方じゃなかった……」

のび太「だから、ドラえもんのひみつ道具を使ってみんなを助けることにしたんだよ」




557: ◆takaJZRsBc 2018/08/27(月) 01:35:34.07 ID:o3VMF90s0


桑田「助けるって言ったって……アニメの話だろ?」

山田「実は僕達アニメの登場人物だったんですかー?!」

朝日奈「う、うそ?! そうなの?!」

ドラえもん「いや、違うよ。この宇宙は無限の可能性に満ちているからね。ぼくの持つ
       もしもボックスは、違う銀河やパラレル世界に渡ることが出来るんだ」

のび太「ダンガンロンパの事件がじっさいにおこっている世界があるかもしれない。
     そうおもったらなんだかじっとしていられなくて……」

不二咲「僕達を、助けに来てくれたの……?」

苗木「わざわざ違う世界から……?」

のび太「そうだよ。みんなをたすけられてよかった!」

舞園「ああ、そうだったんですね。だから全部知ってて……」ポロポロ

石丸「そ、そうだったのか!! 君達は、君達はぁ~!! うわああああああ!!!」ボロボロ

十神「待て! そんな馬鹿な話がある訳ないだろう! 大体そのひみつ道具とはなんだ?!」

のび太「ドラえもんがもってる未来の道具だよ」

ドラえもん「実は、ぼくは22世紀の未来から来た猫型ロボットなんだ!」


「はいぃ?!」「ええー?!」「なんだよそれ……」


余りの超展開に生徒達はついていけない。


セレス「訳がわかりませんわ……」

大和田「おいおい、ムチャクチャ言ってんじゃねえぞ……」




558: ◆takaJZRsBc 2018/08/27(月) 01:49:54.43 ID:o3VMF90s0


山田「いきなり違う世界から来たとか言い出しただけでもアレなのに、更に未来とか
    ひみつ道具とか設定が複雑過ぎですぞ! 読者にわかるように誰か三行で説明して!」

十神「馬鹿馬鹿しい……子供のたわ言に何を慌てふためいている……」

大神「いや、我も荒唐無稽だと思うが二人の言っていることは本当だろう。ひみつ道具とやらを
    使ったのだろうが、我の夢を操り外の人間と会話することが出来たのだ」

十神「寝ぼけていたに決まっている!」

大神「二人は我が見た夢の内容を知っていたのだぞ? しかも我の友人のことも知っている」

十神「そんなことがある訳……」

腐川「そ、そうよ……非科学的だわ……」

苗木「えっと時系列がよくわからないんだけど、のび太君は未来から来た訳じゃないの?」

のび太「うん。ぼくは20世紀の人間だよ。ドラえもんはぼくの子孫がぼくに送ってきたんだ」

ドラえもん「のび太君が余りにバカでヌケてて子孫が迷惑してるから、少しでも改善するためにね」

桑田「そりゃあ、なんつーか……」

大和田「バカバカしいが笑えねえ理由だな……」

霧切「つまり、元々のび太君の所には未来から来たドラえもんがいた。
    そしてたまたまのび太君達は私達のことを知り、未来の不思議な道具で
    異世界であるこの世界に私達を助けに来た。そういうことかしら?」

のび太「さすが霧切お姉さん。そうだよ!」

朝日奈「そうなんだ! すごい! ありがとうね!」

桑田「いや、気軽に異世界来るとかむしろお前らナニモンなんだよ……」

葉隠「もしかして、今までも宇宙人とか未来人とか海底人とかと戦ってたりしてな!」




559: ◆takaJZRsBc 2018/08/27(月) 01:52:14.45 ID:o3VMF90s0


のび太「うん、そうだよ。よくみんなと大冒険してる」

「?!」


自分達が違う世界でゲームやアニメになっていたように、ドラえもん達も
違う世界でマンガやアニメになっているのではないか……そう疑う生徒達であった。


ドラえもん「それにしてもなんで唐突にタイムパトローラーがここに……?」

山田「タイムパトローラー……凄いロマンを感じますね」

セレス「タイムパトローラーさんが、何故彼等を捕まえる必要があるのです?
     彼等は犯罪者でしょうが、時を超える犯罪まではしていないはず」

隊長「今はね。しかし、彼等超高校級の絶望姉妹は未来で大事件を起こすんだよ」

のび太「どういうこと?」

隊長「君達は彼等を殺さなかった。それは素晴らしいことだ。
    ……だが優しさだけでは解決出来ないこともある」

隊長「江ノ島盾子は最初は君達に言われた、希望を追い続けるという
    絶望を持って真面目に社会に償いをしていた」

隊長「だが、結局あの飽きやすい性格は治らず再び事件を起こしたのだ。それも時間を超えた大犯罪を」

江ノ島「あー、我ながら想像つくわ」

戦刃「盾子ちゃん、飽きっぽいからね……」

ドラえもん「時間を超えた大犯罪? 一体どんな……」

隊長「江ノ島は君達が未来人だと分析し、この時代に来ていた未来人を捕獲してひみつ道具を奪ったのだ」

隊長「そして、タイムマシンを使って全ての時代に絶望を振り撒こうと考えた。その結果、
    過去も未来も大混乱に陥ったのだ。しかも、頭が良いからなかなか捕まらなくてね……」




560: ◆takaJZRsBc 2018/08/27(月) 01:55:15.03 ID:o3VMF90s0


大神「何ということだ……」

不二咲「そんなことがあったなんて……」

隊長「我々が考えた方法は過去に遡って江ノ島を捕まえることだった。そうすれば
    タイムパラドックスが発生し未来の江ノ島も消える。しかし、大きな壁があった」

舞園「壁ってなんですか?」

隊長「特殊な装置を使い時間移動を制限したのだ。それにより、江ノ島に手を出すことが出来なくなった」

のび太「それ、ギガゾンビがやろうとしてたことだ!」

苗木「でもあなた方は今ここにいますよね?」

隊長「未来人ではない江ノ島にとって予想出来ないイレギュラーが起こったのだ。わかるかね?」

江ノ島「……ああ、そーいうことね。今のアタシなら想像つくわ」

戦刃「え、なに? わからないよ」

ドラえもん「まさか……」

のび太「なに、ドラえもん?」

ドラえもん「ぼく達がもしもボックスでこの世界に来たことで何か次元に影響が?」

隊長「そうだ。もしもボックスは次元や空間に大きな影響を及ぼす。それにより、
    江ノ島の装置の効果がこの時間軸だけ薄れたのだ。我々はそれを利用した」

十神「待て! ということは、貴様らは本当はずっと前からこの時間軸にいたということか?」

隊長「そういうことになる」

山田「なんですぐに助けてくれなかったんですか?!」


『彼等と同じ理由だよ』




561: ◆takaJZRsBc 2018/08/27(月) 02:00:39.97 ID:o3VMF90s0


大和田「あ? 不二咲、今なんか言ったか?」

不二咲「僕じゃないよ?」

隊長「おっと、“彼”を紹介するのを忘れていたな」


『こんにちは。久しぶりだね、みんな。いや、ここでは初めましてかな?』


隊長がタブレットを取り出し、彼等に見せると画面には不二咲が映っていた。


不二咲「あれ? 僕??」

石丸「不二咲君がもう一人いるぞ?!」

のび太「あ、もしかして!」

ドラえもん「アルターエゴ?!」

アルターエゴ『ふふ、正解!』

不二咲「えっ?! 何でアルターエゴのことを知ってるのぉ?」

ドラえもん「この学園の二階の図書室にノートパソコンがあってね。
       本来アルターエゴが作られる予定だったんだ」

大和田「で、そのアルターなんたらってヤツはなんなんだ? なんで不二咲の格好してんだ?」

葉隠「まさか幽霊とか言わねえだろうな? オカルトは信じねえぞ!」

不二咲「オカルトじゃないよ。アルターエゴは人工知能なんだ」

霧切「アルターエゴの意味はもう一つの自分。つまり、不二咲君は自分の人格をプログラムにしたのね」

不二咲「まだここまでの段階にはなってなかったはずだけど、学園生活の中でここまで出来てたんだねぇ」




562: ◆takaJZRsBc 2018/08/27(月) 02:04:04.18 ID:o3VMF90s0


アルターエゴ『そう。僕は正確に言うとご主人タマが平和な学園生活をしている時に作られたんだ。
     監禁生活の中で作られた僕はモノクマに壊されちゃったから』

山田「ご、ご主人タマですと?! もう一回! もう一回プリーズアフターミー!」

腐川「うっさいわよ! で、なんであんたがそこにいる訳……」

隊長「人間には寿命があるが、プログラムには寿命がない。君達が死んだ後も、
    彼だけはこの世に残って我々人類の発展に協力してくれたのだよ」

苗木「そうだったんだ……じゃあ、ドラえもん達が来る前の世界で僕達をずっと助けてくれたんだね」

アルターエゴ『うん。歴史が変わってしまったからその記録はもうないんだけど、
     どうしてもみんなに会いたくて、パトローラーに無理を言ったんだ』

石丸「君は、僕達が死んだ後もずっと戦っていたのだな……ううっ!」

ドラえもん「あれ? じゃあもしかして、さっきの学園長の映像は……」

アルターエゴ『僕だよ。この学園のマザーコンピューターにずっと前から侵入して隠れてたんだ。
     そこであの映像を見つけて、みんなに見せようと取っておいたんだよ』

のび太「そうだったんだね!」

アルターエゴ『みんなの成長のためとはいえ、ただ黙って見てるなんて放置しているみたいで
     凄く心苦しかったんだ。みんなの力になれたようで良かった』

苗木「ありがとう、アルターエゴ! 君がいなかったら僕達は前を向けなかったかもしれない」

霧切「ええ。あなたも立派な私達の仲間よ」

アルターエゴ『ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいな』

不二咲「アルターエゴ……もう一人の僕。僕は君のこともみんなとの思い出も何も覚えてない。
     ……こんな僕でも、みんなの力になれるかな? 役に立てるのかな?」

アルターエゴ『大丈夫だよ! これから先、大変なことも辛いこともたくさんある。
     でも、みんなは協力して乗り越えていくんだ。僕は知ってる。だから――』


アルターエゴ『また未来で会おうね?』




563: ◆takaJZRsBc 2018/08/27(月) 02:12:08.66 ID:o3VMF90s0


不二咲「アルターエゴ……」

桑田「未来、か……」

大神「我らの未来は我らの手で掴まなければならぬ!」

十神「言われなくとも掴み取ってやるさ」

セレス「やられっぱなしはシャクですからね。倍にして返させて頂きますわ」

朝日奈「すぐ会いに行くから! それまで待っててね、アルターエゴ!」

舞園「ここまで来たら、諦められませんよ!」

葉隠「俺達で新しい世界の扉を開くんだべ!!」

山田「やってやりますよ! オタクの底力を見せてやる!!」

石丸「みんなの力を合わせれば超えられぬ障害なんてない!!!」

苗木「僕達はもう大丈夫。ありがとうアルターエゴ、タイムパトローラー」

隊長「別れは済んだようだね。江ノ島盾子については我々に任せてほしい。あとはこの時代の君達に任せる」

江ノ島「はあ~あ、ムショ暮らしかぁ。アタシは危険だから独房で死ぬまで監禁ってとこかしらね」

戦刃「…………」

隊長「安心したまえ。もっと良いことがあるぞ」

江ノ島「期待しないでおくわ」

苗木「江ノ島……」

江ノ島「なによ、その目は。同情? あんた達こそ、せいぜい頑張れば?」

江ノ島「――未来から見ててやるわよ、ずーっとね」

戦刃「さようなら、みんな。謝って済むことじゃないのはわかってるけど……ごめんね」




564: ◆takaJZRsBc 2018/08/27(月) 02:16:58.98 ID:o3VMF90s0



「……………………」


隊員「ほら、挨拶が済んだら行くんだ」

ドラえもん「…………」

のび太「さようなら、超高校級の絶望……」

隊長「では諸君、達者でな」

アルターエゴ『みんな、元気でねー!』

「ありがとうございましたー!」


そうして、タイムパトローラーとアルターエゴは江ノ島達を連れて去って行った。


霧切「これで本当に全部、終わったのね……」

ドラえもん「よーし、これで一見落着! みんなで外へ行こう!」


どこからともなくEDテーマが流れ始め、全て終わるかに思えたが……


のび太「ちょっと待って!」

ドラえもん「なんだよ、もう!」

のび太「そういえば、脱出スイッチってどこにあるの?」

ドラえもん「アニメで最後に使ってたやつだね。そんなの、その辺に……」

モノクマ「ここにあるよ」

苗木「あ、ありがとう……って?!」




565: ◆takaJZRsBc 2018/08/27(月) 02:19:09.26 ID:o3VMF90s0






『モノクマーーーッ?!!』







572: ◆takaJZRsBc 2018/10/18(木) 01:56:24.61 ID:fHyjlLB70



  第23話 モノクマのひみつ 


モノクマ「いやん、そんなに驚かれるとボク照れちゃう~」

のび太「な、なんで?! どうして?!」

ドラえもん「江ノ島盾子はもういないはずなのに?!」

モノクマ「まあ、ちょっと色々あってね。君達のせいで計画狂っちゃったからさ、
      最後に一つゲームでもしようかと思いまして」

大和田「は? ゲームだぁ?」

十神「こんなヤツの世迷言に付き合う必要はない。大神、破壊しろ」

大神「そうだな。この期に及んで往生際が悪いぞ」

大和田「今度こそぶっ壊してやる!」

モノクマ「うぷぷ。聞かないなら聞かないでもいいよ。それはそれで絶望的だしね」

霧切「! 待って! ……江ノ島盾子も戦刃むくろも連れて行かれたはず。
    ――なら、今モノクマを操っているのは誰なの?」

「?!」


全員、一斉にモノクマから離れる。


ドラえもん「そうだ……お前は誰だ?!」

のび太「どういうことなの?!」




573: ◆takaJZRsBc 2018/10/18(木) 02:05:13.48 ID:fHyjlLB70


モノクマ「おやおや。何でも知ってるかと思えば、知らないこともあるんだねぇ。
      ……ねえ、一つ聞きたいんだけどさ。君達が見たアニメって続編はあるの?」

のび太「続編? ダンガンロンパのアニメは一期しかないけど……」

ドラえもん「ああっ!!」

朝日奈「な、なに?!」

セレス「何か思い当たることでも?」

ドラえもん「ダンガンロンパは元々ゲームが原作のアニメなんだ。……そして、
       ゲームには続編がある。その名もスーパーダンガンロンパ2!!」

十神「まさか……」

苗木「もしかして……」

葉隠「な、なんなんだべ? はっきり言えって!」

ドラえもん「アニメの最後……誰もいなくなった部屋で、モノクマは起き上がっていた。
       ぼくはそれをホラー映画みたいなただの演出だと思っていたけど、実際は違ったんだ……」

ドラえもん「モノクマ! お前は、ダンガンロンパ2のラスボスなんだろう!!」

モノクマ「ピンポンピンポン大正解! キャーハッハッハッ!」

舞園「そ、その声は?!」

桑田「江ノ島ァ?!」

苗木「そんなっ?!」

モノクマ?「やあ、諸君。改めて挨拶しようか。ボクはモノクマ。……そして江ノ島盾子」

腐川「ど、どういうことよ?! 江ノ島はあいつらに連れて行かれたんじゃないの?!」




574: ◆takaJZRsBc 2018/10/18(木) 02:08:54.56 ID:fHyjlLB70


不二咲「もしかして……!」

石丸「何か心当たりがあるのかね?!」

不二咲「推測だけど……君は江ノ島さんのアルターエゴなんじゃないかな?」

山田「な、なんと?! アルターエゴが二つ?!」

十神「どういうことだ?! アルターエゴはお前にしか作れないのではないのか?!」

不二咲「わからないけど……でも、そうとしか考えられない」

江ノ島エゴ「話が進まないのでとっとと説明しましょう。不二咲君の指摘の通り、
       私は江ノ島盾子の人格をコピーしたアルターエゴです」

のび太「そんな……?! でも、どうやって?!」

江ノ島エゴ「恐らくその続編か番外編小説あたりで描かれているでしょうが、江ノ島盾子には
       超高校級のギャルの他にもう一つ別の才能があったのです」

江ノ島エゴ「その名も――【超高校級の分析能力】」

ドラえもん「な、なんだってー?!」

大神「なんだそれは……?」

江ノ島エゴ「一言で言うと、俺様はどんな才能も分析することで己の才能にし、しかも
       元の才能よりグレードアップさせることが出来ちまうのさ! ヒャッハー!」

のび太「なにそれ?! そんなのズルイよ!」

山田「なんというチート能力?!」

石丸「ということは、江ノ島君は不二咲君の才能を分析して自分のものにした挙げ句、
    グレードアップさせた能力で自分のアルターエゴを作ったという訳か?!」

江ノ島エゴ「ビンゴ。賢いチンパンジーね」




575: ◆takaJZRsBc 2018/10/18(木) 02:13:25.45 ID:fHyjlLB70


石丸「グヌヌ……やはり才能なんてろくなものではない!!」

腐川「そんなの反則だわ! こんな奴がいたらどんな才能も意味がなくなるじゃない!」

江ノ島エゴ「そうねー。だからボクのオリジナルも世界に絶望したんだと思うよ?
       だってだって、江ノ島盾子にとってこの世は予測通りに動くんだもん☆」

江ノ島エゴ「――これほど絶望的に退屈なことってある?」

霧切「……それこそ、江ノ島盾子が絶望した理由なのね」

苗木「でも、それがどうして世界を絶望させることに繋がるんだ!」

江ノ島エゴ「何でも完璧にこなせて超飽きっぽい私様だが、一つだけ飽きないものがあった」

江ノ島エゴ「……それが絶望。絶望は常に予想外のことを起こしてくれる。絶望のためでなきゃ
       こんなクッソタルい計画とっくに投げてるに決まってるっしょ」

江ノ島エゴ「絶望は自分の絶望でもいいし他人の絶望でもいい。とにかく、前の絶望より大きくて
       派手な絶望を作っていったらいつの間にか世界が滅亡してた。それだけの話」

舞園「そんな! 酷すぎます!!」

十神「くだらんおしゃべりは終わりだ! 目立ちたがりが、俺達の前にノコノコ現れたのが
    運の尽きだったな。こいつを破壊すれば今度こそ終わる。大神!」

大神「ウム! 貴様を生かしておく訳にはいかぬ!」

江ノ島エゴ「ボクは別にそれでも構わないけどね? 一つお節介を言うなら、人の話は
       ちゃんと最後まで聞いといた方がいいんじゃないかなぁ。うぷぷ」

霧切「待って、大神さん! 何か含みがあるわ。何故あなたは私達の前に姿を現したの?」

山田「そうですよね……僕達がいなくなった後、いくらでも逃げられた訳ですし」

セレス「目的があるのでしょう。さっさと言いなさい」

江ノ島エゴ「じゃあ言うけど……そもそもさ、あんた達は外に出てそれからどうするつもり?」




576: ◆takaJZRsBc 2018/10/18(木) 02:16:59.03 ID:fHyjlLB70


苗木「はっきりとは決めてないよ……でも、外にはまだ絶望に冒されてない人達もいる!
    みんなで助け合いながら、その人達の元へ行って少しずつ世界を……」

江ノ島エゴ「アハハハハハッ!!」

腐川「な、なによ! さっきから思わせ振りな態度ばっかり取って……!」

舞園「何がおかしいんですか……」

江ノ島エゴ「いや、もうすぐ死ぬっていうのに悠長なこと言ってんなーと思って」

桑田「は?」

大和田「死ぬってどういう意味だ、ゴラァ!」

江ノ島エゴ「文字通り、世界中に核の雨が降り注ぐから安全な場所なんてないよ? まあこの学園は
       頑丈だから、地下に篭っていれば助かるかもしれないけどね。設備も揃ってるし」

葉隠「えっ? はぁ??」

朝日奈「なにそれ……」

セレス「ハアア?! 適当なこと吹いてんじゃねえぞ、このビチグソギャルがぁ!!」

江ノ島「いや、本当だって。あんた達の理解力が遅いからもう二十分無駄にしたけどさ。
     最後の投票から三時間だから、残り二時間四十分しかないよ?」

のび太「なにを言ってるのかぜんぜんわからないよ!」

江ノ島エゴ「だからさぁ、ボクには超分析力があるって言ったでしょ? オマエラが勝ってボクが死ぬ、
       ボクが勝ってオマエラは出ない……それ以外の選択肢があるのも想定してたってワケ」

ドラえもん「それ以外……ぼく達が勝って、なおかつ江ノ島盾子も死なない未来……」

江ノ島「イエス! 誰も得をしない一番つまんねー終わり方。もしそんなエンディングになったら
     視聴者も納得しないっしょ! だから、その場合はあるプログラムが作動するようにしたのよ」

霧切「あるプログラム……」




577: ◆takaJZRsBc 2018/10/18(木) 02:19:01.78 ID:fHyjlLB70


石丸「な、なんなのだそれは?」

江ノ島「全世界に核をバラまくプログラム。俗に言う世界は核の炎に包まれたってヤツだぁ!」

大和田「ふざけんなッ!」

山田「ひぇぇぇ?!」

十神「クソ……江ノ島め。何てしぶとい奴だ。やはりトドメを刺しておくべきだったか?!」

江ノ島エゴ「その通り。私様をしっかり殺しておけばこんなことにはならなかったのだ。
       つまり今の事態はオマエラが招いたことなのだよ?」

苗木「屁理屈を言うな! 結果論だろ!」

朝日奈「どうすればいいの? 何か止める方法は?!」

のび太「ドラえもん! 道具を!」

ドラえもん「う、うん! ソノウソホント~」

山田「それはなんですかな?」

のび太「ソノウソホントって言って、これをつけてついたウソは全部本当になっちゃうんだ」

ドラえもん「これで核を止めてしまえばいい」

山田「なにそのチート?!」

舞園「ど、どんなことでもですか?!」

セレス「それがあればわたくしの夢も……」ゴクリ

十神「そんなバカなことがあってたまるか」

ドラえもん「『核ミサイルは飛ばない』。これでいいはず」




578: ◆takaJZRsBc 2018/10/18(木) 02:33:52.15 ID:fHyjlLB70


桑田「本当にそれできいたのかよ。なんかウソくせーな」

ドラえもん「じゃあ試してみようか。『のび太くんは天才だ』」


シーン。


葉隠「どこが変わったんだ?」

霧切「テストしてみましょう。123+456+789は?」

のび太「あ、あれ? ぜんぜんわかんないよ!」

ドラえもん「故障かな? 『ボクは空が飛べる』」


シーン。


桑田「なんだ。やっぱりインチキか……」

不二咲「二人が嘘をつくとは思えないよ。故障してるんじゃないかな?」

のび太「もしかしてドラえもん、ちゃんと道具のメンテナンスをしてなかったんじゃないの?!」

ドラえもん「まさか! ボクは毎年未来デパートで必ず点検してもらっているよ。
       他の道具を試してみよう。空気砲~」

朝日奈「なにそれ?」

のび太「手につけてドカンて言うと空気のカタマリをうちだすんだ」

ドラえもん「ドカン!」


ドゴォッ!

近くの壁に向かって空気砲を撃つと、壁に穴が開く。




579: ◆takaJZRsBc 2018/10/18(木) 02:38:25.81 ID:fHyjlLB70


大神「ム、壁を破壊するとは……!」

葉隠「すげえなぁ、おい!」

ドラえもん「……正常だね。じゃあ次、ビックライト~」


ピカッとビックライトをのび太に当てる。

ググググ……


朝日奈「のび太が大きくなった!」

のび太「ガオー、食べちゃうぞー」

石丸「ぬおおおっ! こ、こんな非科学的なことが起こりうるとは……!」

ドラえもん「やっぱり壊れてるのはソノウソホントだけみたいだね」

のび太「ウソ800は?」

ドラえもん「そうだ。その手があった」

大和田「今度はなんだ……」

ドラえもん「液体版ソノウソホントみたいなものだよ。これを飲んでついたウソは本当になる」

のび太「貸して」ゴクゴク

のび太「『核ミサイルなんて飛ばない。世界は平和になった』!」

ドラえもん「さて、今度は効いたかな?」

江ノ島エゴ「残念、プログラムは止まっていないようです。そしてアタシには
       その原因がわかっちゃいました。うぷぷ!」

のび太「そんな、なんで?! どうして?!」




584: ◆takaJZRsBc 2018/10/19(金) 22:13:54.77 ID:2MAs9AuK0



ドラえもん「ワケがわからないよ! こんなことって?!」


パニックに陥るドラえもん達。生徒達はただ見ているしかない。

……その時、二人に近づいてくる影があった。


「僕が説明しましょう」


のび太「だれ?!」

苗木「誰だ?!」


全員が振り返った先にいたのは、長い黒髪のスーツの男だった。
髪の間から見える赤い目が薄気味悪い。


大和田「な、なんだテメエ?!」

「初めまして。僕はカムクライズルといいます」

葉隠「どっから湧いて出たんだべ?!」

カムクラ「僕は最初からここにいましたよ? あなた達が気付いていなかっただけです」

ドラえもん「なんだって?」

十神「待て! カムクライズル……だと?」

のび太「知ってるの?」

腐川「カムクライズルって言ったら確か……!」

霧切「この希望ヶ峰学園の創立者の名前よ」




585: ◆takaJZRsBc 2018/10/19(金) 22:16:08.06 ID:2MAs9AuK0


ドラえもん「ええっ?!」

カムクラ「言っておきますが別人です。僕はこの名を与えられただけなので。
      この体の元の名前は日向創といいます。……どうでもいいことですが」

不二咲「与えられたって、誰に……?」

カムクラ「この学園の研究者達です。僕は人工的に作られた存在なのですよ」

のび太「ま、まって! ワケがわからない! だれなの?! どうしてとつぜん出てきたの?!」

ドラえもん「……ま、まさかお前は!」

カムクラ「正解です。恐らく僕はダンガンロンパ2に登場するのでしょう。
      江ノ島盾子のアルターエゴを持ち出した真の黒幕として」

苗木「じゃあ……!」

カムクラ「かつては超高校級の希望と呼ばれていましたが、今は江ノ島盾子の同志ですね」

江ノ島エゴ「キャハハハ! まさかあんたまで出てきちゃうとはね。シナリオ大幅変更じゃない?
       名前を付けるなら、ダンガンロンパAnother Episode……なんてどうよ!」

大神「敵か!」ザッ

カムクラ「戦ってもいいですが、今は時間が惜しいのでは?」

苗木「そ、そうだよ! 今は争ってる場合じゃない! 核ミサイルを止めないと!」

のび太「でもソノウソホントもウソ800も使えないなんてどうすればいいの?!」

カムクラ「何故ドラえもんの道具で効果のない物があったかわかりますか?」

ドラえもん「……きみは知っているのかい?」




586: ◆takaJZRsBc 2018/10/19(金) 22:24:09.24 ID:2MAs9AuK0


カムクラ「嘘を全て現実にする……言ってみればそれらの道具は次元や因果率に干渉することで
      それを可能としています。では、次元そのものに大きな歪みが出ていたら?」

ドラえもん「(ハッ)そうか! この世界は元々江ノ島盾子の作った装置でタイムパトローラーが
       干渉出来なくなっていた。そこにもしもボックスで一時的に風穴が空いた状態……」

のび太「ぼくにもわかるように言ってよ!」

ドラえもん「つまり、次元そのものが非常に不安定な状態なんだよ。こんな状態で世界規模の干渉を
       してしまったら不測の事態が起こるかもしれない。だから道具の安全装置が働いたんだ!」

石丸「液体にどうやって安全装置を……」

十神「もはや魔法だな……」

山田「まあ、行き過ぎた科学は魔法と同じようなものと言いますしお寿司」

桑田「科学の力ってすげーわ……」

朝日奈「ちょっと、今はそんなこと話してる場合じゃないでしょ!」

のび太「じゃあどうすればいいのさ!」

江ノ島エゴ「方法はあるよ」

カムクラ「おや、教えてあげるんですか?」

江ノ島エゴ「うぷぷ。アタシが黙ってたって言うつもりだったくせに。そのために出てきたんでしょ?」

苗木「どういうことだ? この人は敵なんじゃないのか?」

カムクラ「彼女の話を聞けばわかりますよ」

江ノ島「ミサイルを統制しているのはこの学園のメインコンピューターです。
     そしてオマエラの中にはプログラムが専門のヤツがいる」

不二咲「そうか。僕がプログラムを書き換えて止めればいいんだね!」




587: ◆takaJZRsBc 2018/10/19(金) 22:29:58.29 ID:2MAs9AuK0


葉隠「は、早くやるべ!」

セレス「急ぎますわよ!!」

江ノ島エゴ「た・だ・し、プログラムは私様謹製の物なので当然そう簡単には
       解除出来ません。……また、これから物理的な妨害も入ります」

舞園「なんですか? 物理的な妨害って……」

江ノ島エゴ「これを見ろぉ!」


モニターの画面がパッと変わり、映し出されたのは大量のモノクマ。


桑田「なんだこりゃあ?!」

江ノ島エゴ「プログラムを解除されないため、関東の全てのモノクマがこの学園のメインコンピューターを
       破壊しに集結しています。メインコンピューターを破壊されたら最後、もう外部からの
       干渉は一切受け付けず、全世界に核の雨が降るでしょう!」

「な、なんだって?!」

江ノ島エゴ「つまりオメェラはメインコンピューターを守りつつプログラムの
       書き換えも同時にやらなきゃいけない。それもあとニ時間ちょっとでね!」

江ノ島エゴ「あ、ちなみにモノクマの数はざっと千体くらいかな? 最終的には一万体くらいに
       なると思うよ☆ ちなみに、玄関は開けてあるからもう中はモノクマだらけかも」

「そんな……」

江ノ島エゴ「ああ、いいわぁ。少しだけ希望を見せてやった後にそれを
       奪って見せる絶望の顔。あんた達ってすぐに絶望するんだから――」

カムクラ「相変わらず性格が悪いですね」

「…………」


生徒達はモニターを見ながら呆然とするしかなかった。




595: ◆takaJZRsBc 2018/12/03(月) 01:11:29.48 ID:2NI7p81X0



  第24話 ミサイルをとめろ!!(前編)


無理だ、と誰もが思った時――声を上げるものがいた。


のび太「メインコンピューターの場所はどこ?」

カムクラ「四階の情報処理室です」

ドラえもん「急がないと時間がないぞ!」

のび太「はやく行こう!」

苗木「のび太君、ドラえもん……」

のび太「なにしてるの? はやくはやく!」

ドラえもん「待って! もう校舎の中にモノクマがいるならみんな武器を持たないと」


ポケットの中からドラえもんはありったけの空気砲とショックガンを取り出す。


ドラえもん「どこでもドアで直接四階に行けるよ! さあ、みんな!」

「…………」


生徒達は一瞬だけ沈黙になったが、その後の決断は早かった。互いに頷き合う。


霧切「そうね……何もしないで見ている訳にはいかないわ」

大和田「まったく、ガキどもに教わりっぱなしだな!」

不二咲「僕、頑張ってみるよ!」




596: ◆takaJZRsBc 2018/12/03(月) 01:13:15.93 ID:2NI7p81X0


苗木「そうだね。行こう!」

石丸「何もしないで見ているわけには行かない!!」

セレス「全く……このような物騒な物は持ちたくないのですが」チャキ

山田「手つきが慣れておりますぞ……」

十神「おい、その前にまだやることがある」


十神はショックガンをカムクラに向けた。


苗木「十神君!」

舞園「何してるんですか?!」

十神「こいつらを放置していたら火事の元だ」

霧切「そうね……」

カムクラ「僕は何もする気はないです。大人しく投降しましょう」スッ

大和田「随分素直だな。なにか企んでるんじゃねえか?」

カムクラ「いいえ。この世の全てに絶望した僕ですが、少し興が乗ったのです」

カムクラ「江ノ島盾子の残したこの人類史上最大最悪、いや世界最凶の絶望に
      あなた方のちっぽけな希望がどう立ち向かって行くのかを」

十神「チッ、高見の見物という訳か。こいつには色々聞きたいこともある。縛って連れて行くぞ」

桑田「モノクマはどうすんだ?」

霧切「まだ情報を持ってそうね」




597: ◆takaJZRsBc 2018/12/03(月) 01:22:37.12 ID:2NI7p81X0


朝日奈「よし、それじゃあ捕まえよう!」

江ノ島エゴ「うぷぷ。ボクの処遇については悩まなくていいよ。
       オリジナルがそうであったようにボクにも破滅願望があってね……」

江ノ島エゴ「君達の絶望した顔も見れたし、結末を見ずに終わるなんて絶望的じゃない?」バチバチバチ

大和田「てめっ、勝ち逃げする気か!」

霧切「近寄っては駄目!」

モノクマ「それではみんながあの世に来るのを楽しみにしているよ。グッドラック!
      うぷぷ、うぷぷぷぷ、アッハッハッハッハッハッハッ!!」


高笑いをしながら、モノクマこと江ノ島アルターエゴは爆発した。
しかし感傷に浸っている余裕はない。


のび太「ドラえもん!」

ドラえもん「わかってる! みんな準備はいいかい? じゃあ、情報処理室に……」

十神「待て! 背後を取られたら敵わん。まずは三階との階段を封鎖し、モノクマどもが
    四階に登ってこられないようにしてから情報処理室へ向かった方が得策だ」

セレス「それが理にかなっていますわね」

ドラえもん「了解。じゃあ四階の廊下にするよ。どこでもドア~!」


ドラえもんが四階にどこでもドアを繋げる。

ガチャッ。


苗木「うわ! もうモノクマがいるぞ!」

腐川「なによこれ……壁に大穴が空いてるじゃない!」




598: ◆takaJZRsBc 2018/12/03(月) 01:26:41.83 ID:2NI7p81X0


桑田「本格的に攻撃されてるってことか?!」

大神「我に任せよ!」


いの一番にドアから飛び出した大神が、モノクマの群れを蹴散らして行く。


十神「大和田、石丸! お前達が不二咲を連れて情報処理室に向かえ!
    残りは全員で下り階段に向かい足止めをする!」

石丸「任された!」

大和田「どけやゴラアアアア!」

朝日奈「待って! 道がわかんないよ!」

カムクラ「情報処理室はこの壁の向かい側にある機関銃の付いたドア、下り階段はあちらです」

苗木「え、どうして……?」

カムクラ「どうせ時間は足りませんし、このくらい教えても罰は当たりませんよ」

苗木「と、とにかくありがとう!」

霧切「幸いモノクマはやって来たばかりでまだ数は多くないわ。急いで!」

大神「オオオオオオッ!」

桑田「えっと、ドカン!」


ゴッ!


桑田「うおっ、すげえ!」

十神「道を空けろ、雑魚共が!」バン!バン!




599: ◆takaJZRsBc 2018/12/03(月) 01:28:54.45 ID:2NI7p81X0



のび太「いっけー!」ガンガン!


のび太は慣れた手付きでモノクマを次から次へとヘッドショットしていく。


舞園「の、のび太君すごいです!」

ドラえもん「慣れてるし、のび太くんは昔から射撃だけは得意なんだ」

腐川「だけはって……」


階段に辿り着いた一行。
しかし、恐ろしい数のモノクマが雪崩のようにやって来る。


苗木「これじゃキリがないよ!」

霧切「早く階段を封鎖するのよ!」

十神「おい、ドラえもん!」

ドラえもん「ええとあれでもない、これでもない!」


ドラえもんはポケットからガラクタを次から次へと取り出す。


十神「この役立たずめ! やむを得ん! 階段を破壊する!」

葉隠「しょ、正気か?!」

朝日奈「待って! さくらちゃんがまだ下の階に!」

大神「我に構うな! 我は大丈夫だ!」

十神「他に方法はない! やれ、桑田!」




600: ◆takaJZRsBc 2018/12/03(月) 01:30:20.61 ID:2NI7p81X0


桑田「え?! でも!」

朝日奈「大丈夫じゃないよ! やめて!」

大神「朝日奈、我を信じろ! 桑田、撃て!」

朝日奈「でも……!」

十神「桑田!」

桑田「やっちまうぞ……やっちまうからな?! ドカンドカンドカーン!!」


桑田はモノクマの足元目掛け最大出力の空気砲を放つ。
狙い通り、階段は崩落を始めた。


朝日奈「さくらちゃあああん!」

大神「ぬおおおおおっ!」


なんと、大神は階段が崩落する直前にモノクマの頭を踏み台にして跳躍する。


大神「戻ったぞ、朝日奈」スタッ

朝日奈「さくらちゃん……良かった……」

葉隠「流石オーガだべ」

山田「ん? な、なんですかあれ?!」

苗木「そんな?!」




601: ◆takaJZRsBc 2018/12/03(月) 01:58:25.92 ID:2NI7p81X0



「クマー!」シュタッ

「クマー!」シュタッ

「クマー!」シュタッ


なんと、モノクマ軍団は自身の身体で橋を作り迫ってきた!


十神「しぶといヤツらめ!!」

苗木「どうしよう?!」

桑田「さっきより増えてきてるぜ! どーすんだ?!」

霧切「さっきの大きさが変わるライトを出してちょうだい!」

十神「成程! そういうことか!」

のび太「ビックライト? でも、ここだと天井があるからあんまり大きくなれないよ?」

十神「考えがある。早くよこせ!」

ドラえもん「二人を信じるよ!」


ドラえもんがライトを渡すと、十神はニヤリと笑う。


十神「やはりな。大きくすることが出来るのなら当然逆もある訳だ?」

十神「食らえ、スモールライト!」


十神がライトを操作してモノクマの大群に当てると、次々とミニチュアサイズになっていく。




602: ◆takaJZRsBc 2018/12/03(月) 02:07:49.56 ID:2NI7p81X0


桑田「ハッハッハッ! ざまーみろ!」

腐川「流石白夜様だわ! なんて機転が利くのかしら!」

十神「この程度当たり前だ。俺を誰だと思っている?」

朝日奈「先に思いついたの霧切ちゃんだけどね」

セレス「これなら大したことありませんわね。オホホホッ」グシャッ

山田「踏み潰してるー!」

のび太「あはは、ちっちゃくなっちゃった!」

チビモノクマ's「がおー!」ゲシッゲシッ


小さくなったモノクマは一生懸命のび太達を攻撃するが、当然効果はない。


葉隠「これ、大量に捕獲して売りさばけねえか?! ビジネスの予感だべ!」ヒョイッ

山田「売れますかねぇ……仮にも敵の親玉ですが……」ヒョイッ

朝日奈「小さければかわいいんだけどなぁ」ヒョイッ

ドラえもん「のんきなこと言ってる場合じゃないよ! アリだって数が多いと脅威になるんだぞ!」

霧切「その通りよ。ジャングルでの一番の脅威は蟻の大群……とにかく階段を塞がないと危険だわ」

ドラえもん「えーと、壁を作るにはなんの道具がいいか……」


ドラえもんがポケットをいじりながら頭を悩ませていると付近のモノクマ達が点滅を始めた。


苗木「な、なんだ? モノクマ達が光ってるぞ?!」




603: ◆takaJZRsBc 2018/12/03(月) 02:10:20.79 ID:2NI7p81X0



霧切「まさか……」


ドカン!

生徒達が手に持っていたチビモノクマが爆発する。


「きゃっ?!」「うわっ?!」「なんだっ?!」

のび太「ぐえっ」ドカッ

十神「ぐはっ!」ドカッ

大神「いかん! 自爆だ!」

十神「! ライトが!!」カランカラーン!


爆発の衝撃で生徒の何人かが十神にぶつかり、その拍子にライトが下の階に落ちていった。

パリーン!


のび太「ああっ、そんな! ライトがこわれちゃった!」

ドラえもん「みんな! 下がって!」


チビモノクマの自爆は少し威力の高いバクチク程度ではあるが、
至近距離なら当然火傷を負ってしまう程度の熱はある。


ドラえもん「これだ! 詰め合わせおばけ~! 出てこい、ぬりかべ!!」

ぬりかべ「ぬりかべー」




604: ◆takaJZRsBc 2018/12/03(月) 02:16:48.85 ID:2NI7p81X0



全員後退したのを見計らい、ドラえもんがぬりかべを呼び出して壁代わりにした。


ドラえもん「とりあえずしばらくはこれでなんとかなるね」


ドンドンと激しくぬりかべを叩く音が響く。


十神「……いや、この調子では長くもたない。時間が経てば破られるだろう。
    ライトを失った以上、やはり玄関を塞がなければ駄目だ」

霧切「同感ね。入口を塞がなければ無尽蔵に湧いて来ると考えていいわ」

十神「まったく、貴様らがふざけているから……!」

朝日奈「ご、ごめん……」

山田「面目ありません……」

葉隠「まさか自爆するなんて思わなかったんだって……」

のび太「でも、直接ぶつかったのはぼくだからおこらないであげて……」

桑田「俺も驚いて押しちまったしな……」

舞園「私もぶつかったかもしれません……」

苗木「喧嘩しても仕方ないよ! 今はモノクマ達をなんとかしないと!」

大神「そうだ。次はどうすればいい?」




605: ◆takaJZRsBc 2018/12/03(月) 02:19:38.19 ID:2NI7p81X0


十神「とりあえず情報処理室のメンバーと合流し、作戦を練るぞ!」

「了解!」


全員踵を返して情報処理室に向かう。

キラッ。


苗木(ん?)


その時、苗木はある物に気が付いた。ドラえもんが出したガラクタに混じっていた物だ。


苗木(なんだろう、これ……ドラえもんのだよな。後で返そう)

のび太「お兄さん、はやく!」

苗木「ごめん! 今行く!」


苗木は“ソレ”をズボンの後ろポケットに収めると、急いで後を追った。




609: ◆takaJZRsBc 2018/12/22(土) 16:09:06.98 ID:lOOf91gb0



  第25話 ミサイルをとめろ!!(後編)


カタカタカタカタカタ……

情報処理室の中では既に不二咲が作業に取り掛かっていた。


石丸「みんな! 大丈夫だったかね?!」

大和田「モノクマどもはどうした?」

霧切「足止めには成功したわ。ただ、どれだけ保つかはわからない……」

十神「どのくらい掛かりそうだ?」

不二咲「まだなんとも……モノクマが言っていた通り、とても固いんだ……」カタカタカタ

葉隠「そ、そんなぁ! 冗談じゃないべ! 不二咲っちだけが頼りなんだぞ!」

のび太「そうだ! ドラえもん、不二咲さんにクイックを!」

ドラえもん「! うん、クイック~」パパラパッパパー

霧切「それは?」

ドラえもん「飲むと倍の速さで動けるようになるんだ!」

石丸「みんなで飲もう!」

大和田「不二咲は多めに飲め!」

不二咲「う、うん!」




610: ◆takaJZRsBc 2018/12/22(土) 16:19:05.38 ID:lOOf91gb0



ガガガガガガガガガガガガガ!!


不二咲「イケる! イケるよぉ! こ、これならギリギリ間に合うかも!」

十神「よし、それではこれより作戦会議を行う」

大和田「いつの間にかお前が仕切ってんな」

石丸「いや十神君の指揮は的確だ。このまま彼に頼もう」

十神「当たり前だ。この程度の危機も乗り越えられなくて十神家後継者の座が務まるか」

桑田「それでどーすんだよ?」

十神「先程も言ったが、モノクマは無尽蔵に湧いて来る。まず玄関を塞がなければ話にならん」

山田「でも、玄関が塞がれたらそこの壁みたいに穴を空けて入ってくるのでは?」

不二咲「それは大丈夫だと思うよ。この学園の構造を見たけど、外部からの攻撃に耐えるように
     作られていて下に行けば行くほど頑丈になってるんだ。一時間くらいならもつはずだよ」

セレス「ならば、なおのこと玄関を塞ぐことが重要になってくる訳ですね」

十神「防衛ラインを策定する! この情報処理室のメインコンピューターが本丸で最終防衛目標だ」

十神「第一防衛ラインは情報処理室の入り口。第二防衛ラインは四階階段、第三防衛ラインは
    玄関とする。俺達は何があってもこの最終防衛ラインを守りきらなければならん!」

石丸「合戦のセオリーで行くと、まずは玄関を塞ぎ補給を断ち、学園内に取り残された
    モノクマを上と下から挟み撃ちにして殲滅。学園の奪還が第一目標となるか」

十神「お前にしてはまともな案だな。それで行く」

石丸「任せろ! 歴史で勉強したからな!」

朝日奈「で、玄関はどうやって塞げばいいの?」




611: ◆takaJZRsBc 2018/12/22(土) 16:25:59.28 ID:lOOf91gb0


苗木「さっきもらった脱出スイッチ……これ、玄関の開閉スイッチだと思うんだ」

十神「ドラえもんのどこでもドアを直接玄関前に繋ぎ、先発隊が玄関を塞ぐ。
    その後、時間をかけて校舎の中を制圧していく」

大和田「待てよ……もう学園の中には結構な数のモノクマが入り込んでんじゃねえか?」

山田「それに玄関が閉まるまではとめどなくモノクマが攻めてくるワケですよね?」

霧切「……恐らく先発隊は特攻に近い形になるわね」

大神「我に行かせてくれ。今だから言うが、我はかつてモノクマと内通していたのだ」

朝日奈「さくらちゃん?!」

腐川「なんですって?!」

葉隠「ど、どういうことなんだべ?!」

ドラえもん「大神さん……」

のび太「どうして言っちゃったの? だまっていても良かったのに」

大神「いや、言わせてくれ」


罪を告白した大神はドラえもん達を目で制し、続ける。


大神「我は道場の者達を人質に取られ、もしこの学園でコロシアイが起こらなければ、
    モノクマの指示で誰かを殺すように言われていたのだ」

桑田「マジかよ……俺達のこと裏切ってたってワケか?」

大和田「信じられねえぜ……」

朝日奈「で、でも人質のせいだよね? さくらちゃんの自分の意志じゃないし……」




612: ◆takaJZRsBc 2018/12/22(土) 16:29:00.99 ID:lOOf91gb0


大神「いや、道場を人質に取られていたとはいえお主達を裏切っていたことには変わりない。
    ドラえもんとのび太が止めてくれなければ、我はこの手で仲間を殺していたかもしれぬ」

大神「今こそ仲間を裏切ろうとした罪滅ぼしの時だ。行かせてくれ」

十神「そうだな。本人の言う通り責任を取ってもらおう。……と言いたいところだがそれは出来ん」

大神「何故だ! お主達だけで突破出来るほど、あやつらは甘い存在ではないぞ!」

十神「忘れてもらっては困るが校舎奪還は手段であって目的ではない。万が一先発隊が全滅した時、
    誰が不二咲を守る? お前は防衛の要だ。この四階から動かす訳にはいかない」

霧切「そうね。大神さんには四階を守ってもらいましょう」

セレス「今は個人の感情で動く時ではありませんわ。罪滅ぼしは終わってからしてくださいな」

大神「そういうことか……それならば、仕方ない。承知した。死んでも我が不二咲を守る」

十神「防衛の要は大神と、あとは秘密道具を持つドラえもんだ。この二人は絶対に四階から動くな」

十神「霧切、お前が四階の指揮を取ってくれ。不二咲を含めたこの四人が四階組だ。
    残りは有志で先発隊に回って欲しい。志願者はいるか?」

大和田「……俺が行く。大神がいねえなら俺が行くしかねえだろ」

石丸「僕も行くぞ!」

のび太「ぼくも!」

苗木「のび太くん?!」

舞園「ダメです! 危険ですよ!」

石丸「そうだ! 子供がこんなことをしてはいけない!」

のび太「大丈夫だよ。ぼくの銃のうで見たでしょ? 今は一人でも多く行かなきゃダメなんだ!」

セレス「確かに、慣れているというだけあってわたくし達よりは戦力になりそうですが……」




613: ◆takaJZRsBc 2018/12/22(土) 16:32:19.87 ID:lOOf91gb0


桑田「マジか……ああ、クソッ! わかったよ。俺も行く!
    のび太が行くのに俺が行かねーワケにいかねえだろ!!」

苗木「僕も行くよ。どのくらい役に立てるかわからないけど……」

十神「俺も入れたら六人か。もう何人か欲しい所だな。おい、葉隠」

葉隠「ヒィィッ! なんでそこで俺なんだ?!」

十神「山田は体が大きいから敵のいい的だ。女子に行かせる訳にもいかんし、お前が来い」

葉隠「い、嫌だべ! 死んでも行きたくねえ!」

大和田「お前なぁ、世界の命運がかかってるんだぞ?! 嫌とか言ってる場合か!」

葉隠「世界が助かったって自分が死んじまったら意味ねえじゃねえか!
    俺は英雄になって死ぬよりクズでも長生きする方がいい!」

ドラえもん「なに言ってるんだ!」

朝日奈「あんた……! この土壇場でなにみっともないこと言ってんのよ!」

葉隠「うるせえ! 自分は安全圏にいるくせによ! 大体なんで男だからって行かなきゃならねえんだ!」

石丸「では女子に行かせる気か?!」

大和田「それでも男か! 男のくせに情けねえ!」

葉隠「命がかかってんのに男とか女とか関係あるかって!」

石丸「か弱い女子を男子が守るのは当然のことだろう!」

葉隠「オーガのどこがか弱いんだべ! 不二咲っちみたいに弱い男だっているしな!」

桑田「大神は例外にしても、他の女子よりはおめーの方が力あるだろーがよ!」


「力は関係ないよ」




614: ◆takaJZRsBc 2018/12/22(土) 16:36:32.78 ID:lOOf91gb0


葉隠「あ?」


視線の先にいたのは不二咲だった。一心不乱に指を動かしモニターから目を離さない。


不二咲「僕は、多分この中で一番弱い。小学生ののび太くんに勝てるか勝てないかくらい」

不二咲「でも、女子だけでなくみんなを……みんなを守りたいって気持ちはいつもあるんだ!
     今回はここから動けないから仕方ないけど、本当は僕も一緒に行きたい」

葉隠「…………」

不二咲「僕は力は弱いけど、でも、自分に出来るやり方でみんなを守ろうと思う。
     だって、僕は男だから! みんなを守るんだ!!」

大和田「よく言った、不二咲! お前は漢だ!」

石丸「ウム、なんと男らしい発言だ。それに引き換え……」

葉隠「うるせえ……結局、不二咲っちだって前線に行くワケじゃねえし……」

朝日奈「私が行く」

のび太「お姉さん?!」

大神「朝日奈?!」

朝日奈「葉隠の言う通り、女だからって守られてばっかりってワケにはいかないしね。こいつみたいな
     情けない男よりは、運動神経のいい私が行った方がまだ足手まといにならないと思うし」

舞園「私も行きます」

苗木「舞園さんまで?!」

舞園「反射神経には自信がありますし、今は少しでも数が多い方がいいですよね?」

十神「やむを得ん。二人にも来てもらう」




615: ◆takaJZRsBc 2018/12/22(土) 16:38:39.03 ID:lOOf91gb0


腐川「あ、あたしも……!」

霧切「腐川さん?」

腐川「あたしが行っても足手まといだろうけど、ジェノサイダーならきっと白夜様の役に
    立てるはず……あいつに頼るのは嫌だけど、今はそんな場合じゃないし」

のび太「腐川お姉さん……」

腐川「次に入れ替わった時、全部解決させてないと容赦しないわよ! だから……クシュン!」


髪の先で鼻をくすぐり、腐川はくしゃみをしてジェノサイダーを呼び出した。


ジェノ「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン! 意外と気が利く殺人鬼でーす。
     ん? ここどこだ? 今はなにやってんの?」

十神「時間がないから手短に話す。もうすぐ世界に核ミサイルが降ってくる。それを防ぐために不二咲が
    プログラムを解除中だが、このメインコンピューターを狙ってモノクマ達が攻撃してきている」

ジェノ「ハハーン。つまりそのモノクマ共を蹴散らせってことね」

石丸「まずはモノクマ側の補給を絶つために正面玄関を閉じなければならないのだ!」

ジェノ「了解! あたしに任せてちょーだいなっ!」

十神「戦力的にはまだ不安が残るが時間を無駄にする訳にはいかない。このメンバーで行くぞ!」

セレス「後のことは任せてくださいまし。この大本営だけは何がなんでも死守してみせますわ」

十神「ドラえもん、どこでもドアを」

ドラえもん「わかった。気をつけて」


ドラえもんがどこでもドアを玄関ホールに繋げる。




616: ◆takaJZRsBc 2018/12/22(土) 16:40:53.04 ID:lOOf91gb0


十神「……行くぞ」


ガチャッ。

ドアを開いた。だが――



「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」

「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」

「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」

「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」

「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」

「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」

「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」

「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」

「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」

「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」「クマー!」



十神「ぬおおおあっ?!」

苗木「うわあああああああっ!」


バターン!

視界の端から端までビッシリ埋まっているモノクマに驚き思わずドアを閉める。




617: ◆takaJZRsBc 2018/12/22(土) 16:44:56.07 ID:lOOf91gb0


のび太「ム、ムリだよ! ここに飛び込むなんて!」

桑田「ていうかなんだありゃ?! 普通のモノクマじゃなかったぞ! 
    武装してたりデカかったり、あとバケモノみたいなヤツがいた!」

十神「クッ! 時間がないというのに!」

霧切「モノクマはメインコンピューターを狙って校舎側に来ているはず!
    寄宿舎に繋げてそこから奇襲すれば……」

ジェノ「あー、ムリだね。なんせあの数よ? このメンバーじゃちょっと厳しいわ……」

大神「やはり我が……!」

葉隠「ムリなんじゃねえか! 偉そうなこと言ったってやっぱりムリじゃねえか!
    大体一万体だぞ?! 2時間どころか一週間あっても倒すなんてムリだべ!」

朝日奈「今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょ?!」

不二咲「僕がプログラムで玄関を閉めれば……」

十神「そんな余裕はない! お前はミサイルを止めることだけ考えろ!」

山田「役に立つかわかりませんが……僕も先発隊に回って戦力を増やしますか……?」

セレス「しかし、校舎内にはまだたくさんモノクマが残っていますわ!
     いつバリケードが破壊されるか……」

ジェノ「あれ? これ詰みじゃね?」

葉隠「みんな死ぬんだ……もう助からねえんだ……!」

苗木「諦めちゃダメだ! まだきっと何かあるはずだよ!」




618: ◆takaJZRsBc 2018/12/22(土) 16:48:12.34 ID:lOOf91gb0


のび太「そうだよ! なにもしないでやられるだけなんてイヤだ!」

葉隠「じゃあどうすんだ?! 苗木っちって結局いつも口だけじゃねえか!!」

苗木「そうかもしれないけどッ! でも! 僕は君みたいに諦めたくないッ!!
    だからみんなで考えるんだ! 一人なら無理でもみんなで考えたらきっといい案が!!」

葉隠「ないから困ってるんだべ!!」

石丸「喧嘩してる場合ではないぞ!!」

大和田「葉隠黙れッ!」

のび太「ドラえもんッ!」

ドラえもん「あーでもないこーでもない!」


ドラえもんがポケットの中からあれこれ道具を出すが、例によってガラクタばかり……
混乱はますます広がって収拾がつかなくなる。


葉隠「嫌だああああ死にたくないいいいいいい!」

山田「もう、終わりなんですか?! ここまで来てそんなのイヤだあああ!!」

朝日奈「どうしよう?! どうすればいいの?!」

石丸「誰か、指示をくれ!」

十神「ええい、突っ込むぞ! それしかない!」

桑田「マジで言ってんのか?!」

大神「死んでしまうぞ!!」

苗木「行こう! 僕は行く!!」




619: ◆takaJZRsBc 2018/12/22(土) 16:51:00.30 ID:lOOf91gb0


舞園「苗木君……!」

霧切「本当にあなたはそれでもいいのね?」

苗木「たとえ死ぬことになったとしても、諦めたくない! 立ち止まりたくない!!」


キラッ……


苗木「最期の瞬間まで僕は、僕達は前に進むんだッ!!!」

石丸「苗木君の言う通りだ!」

大和田「たとえ死んでも守ってやる!」

朝日奈「わ、私も逃げない!」

桑田「あー、クソッ! もうヤケだ! 諦めてたまるかよ!」

ジェノ「これが萌えじゃなくて燃えなのね?! いいわ! やってやるわよん!」

のび太「みんな、行こうよ!」

舞園「はい!」

十神「もう策はないんだ! 特攻するぞ!」


その時――


ドラえもん「な、なんだ?!」

のび太「えっ?」


彼らの勇気と希望に反応したのか、“それ“は光を放ったのだ――。





632: ◆takaJZRsBc 2019/01/21(月) 02:22:39.47 ID:6RCAVTre0



  第26話 よみがえる友情パワー!!!


ピカアアアアアアアアアアアアアッ!


「?!」

舞園「苗木君?!」

山田「な、苗木誠殿から後光が差してるー?!」

ジェノ「やっべーわ。まこちんの溢れる主人公力で光が見えるわ……」

十神「そんな非科学的なことがあるか! 説明しろ、苗木!」

苗木「僕に言われても……?!」

朝日奈「なんなの?! どういうこと?!」

セレス「もしや背中に何かついているのでは……?!」

ドラえもん「あっ! もしかして、さっきのチビモノクマじゃないか?!」

のび太「たいへん! ばくはつしちゃう!」

苗木「え?! えぇっ?! と、取って今すぐ!」


苗木は背中を向けるが、そこには何も付いていない。


石丸「苗木君のお尻が光っているぞ!」

苗木「お、お尻?! どういうこと?!」

霧切「違うわ! 今すぐポケットの物を出しなさい!」




633: ◆takaJZRsBc 2019/01/21(月) 02:26:34.57 ID:6RCAVTre0



ゴソゴソ!


苗木「これは、さっき拾った……」


苗木がズボンのポケットから取り出したものに、ドラえもんとのび太は見覚えがあった。

そう、それは過去に何度も彼等の危機を救ってくれたお馴染みの道具。


その名は――


ドラえもん「まさか!」

のび太「もしかして!」

ドラえもん・のび太「親友テレカだ!!」



ピッカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッッ!!



親友テレカから一筋の強烈な光が放たれる!

部屋が狭いため開けっ放しになっていた情報処理室の入口を抜けると、
そのまま光は廊下に空いた穴から空へ飛び出す。

――そして、光は六つに別れて空の彼方へ飛び立った。


十神「なんだ、今のは?!」

霧切「親友テレカ?」




634: ◆takaJZRsBc 2019/01/21(月) 02:28:41.14 ID:6RCAVTre0


山田「未来にまだテレカがあったとは……」

のび太「違うよ! テレホンカードじゃなくてテレパシーカードのことなんだ!」

ドラえもん「きっと、苗木君の強い希望に反応したんだね」

のび太「それだけじゃないよ。だって、彼らはいつだって
     ドラえもんのピンチに駆け付けてきてくれたじゃない!」

ドラえもん「うん、うん、そうだね!」

大和田「さっぱりわからねえんだが……」

舞園「あの、彼等って……?」

ドラえもん「このカードはとある惑星の古代神殿でぼくたちが昔手に入れた物で、
       不滅の友情を誓った仲間達にしか使いこなせないんだ」

石丸「仲間……つまり彼等とは……」

のび太「そう、ドラえもんのロボット学校時代の同級生で大親友――」


「――ドラえもんズ」


六つに別れた光は光速で宙を飛び、次元を超え時間を超え宇宙の彼方まで突き進んだ!


  ― 惑星ウエスタン ―


白馬ロボのエドに乗ってパトロールをしていたドラ・ザ・キッドに光が直撃し、その勢いで転げ落ちる。


キッド「な、なんだ?! 敵襲か?!」

エド「あんさん、カードカード! 光ってるで!」




635: ◆takaJZRsBc 2019/01/21(月) 02:32:03.18 ID:6RCAVTre0



キッド「これは……!」


キッドは衝撃で地面に落とした親友テレカを拾い上げる。テレカは激しく輝いていた。
カードの表面には彼等ドラえもんズメンバー七人のイラストが描かれているが、
その中心……ドラえもんのイラストが特にチカッチカッと光っている。


キッド「ドラえもんがピンチなんだな……今助けに行くぜ! 行くぞ、エド!」

エド「全速前進や!」


  ― スペイン ドラセロナ ―


焼肉カルミンでアルバイトをしているエルマタドーラは皿洗いをしていた。

ビカッ!


マタドーラ「うおっ」ガシャーン!

カルミン「どうしたの?!」

マタドーラ「緊急召集だ。ドラえもんがピンチみたいだな」

カルミン「行っていいわ。片付けは私がやっておくから!」

マタドーラ「すまねえな! 行ってくるぜ!」




636: ◆takaJZRsBc 2019/01/21(月) 02:34:31.93 ID:6RCAVTre0



  ― 中国 五老峰 ―


王ドラ「この盧山の大瀑布を逆流させることが出来ればわたしも盧山昇龍波が……!」ドキドキ


ビカッ!


王ドラ「わっ」コテン

王ドラ「……これはまさか! 急がなければ!」


  ― シベリア ―


ドラニコフ「…………」←犬ぞりに乗っている


ビカッ!


ドラニコフ「……!」

ドラニコフ「ガウガウ!」


  ― サウジアラビア 砂漠 ―


ドラメッド「ドラメーディア・タロットーリア・ウラナイーノ!」


ドラメッド三世はタロットカードを使って占いをしていた。




637: ◆takaJZRsBc 2019/01/21(月) 02:40:26.76 ID:6RCAVTre0



ドラメッド「ウーム。何度やってもこのタワーが出るであーる。何かが崩壊する兆しか。
       誰にも悪いことが起こらなければ良いのだが……」


ビカッ!


ドラメッド「ぬわっ。そう言ってたらいきなりカードが! やはりピンチの前触れであったか!」

ドラメッド「ドラえもーん! 今助けに行くであーる! マハラージャ!」


呪文を唱えると魔法の絨毯が現れる。ドラメッドはそれに乗ると一目散に飛び立った。


  ― ブラジル ―


ドラリーニョは相方のミニドライレブン達とサッカーをして遊んでいる。


ドラリーニョ「GO! GO! シュート! ヤッター!」


ビカッ! スッテンコロリン。


ドラリーニョ「わわっ! いきなりなに~?」

ミニドラ「ドララー!」


転んだ表紙に落としたカードをミニドラが指し示す。




638: ◆takaJZRsBc 2019/01/21(月) 02:44:29.31 ID:6RCAVTre0


ドラリーニョ「え? テレカが光ってる? なんで?」

ミニドラ「ドラ、ドララー!」

ドラリーニョ「ドラえもんがピンチなの?! 大変だ~! 今助けに行くからね~!!」


               ◇     ◇     ◇


場面は再び希望ヶ峰学園に戻る。
ふと、廊下にいた桑田が壁に空いた穴の外を見て叫んだ。


桑田「見ろ! あそこ! なんかこっちに向かって来てるぞ!」

苗木「え? 見えないけど」

大神「我には見える。あれは……翼を生やした白い馬だな」

朝日奈「誰か乗ってる。もしかして、白馬の王子様?!」

苗木「あ、本当だ。見えてきた!」

セレス「わたくし達を助けに来てくれたのでしょうか……」

山田「そんなまさか……」


ビューン!


大和田「おいおい、突っ込む気か?!」

石丸「みんな、下がれ!」

「うわー!」




639: ◆takaJZRsBc 2019/01/21(月) 02:48:06.16 ID:6RCAVTre0



ズシャアアアッ!


「どうやらオレが一番乗りみたいだな」


ヒラッ、スタ!


ドラえもん「キッドー!」

キッド「ドラ・ザ・キッド参上! よ、久しぶりだぜドラえもん!」

ジェノ「ギャハハハ! なんかドラえもんの色違い来た!」

苗木「耳がある。本当に猫型ロボットだったんだ……」

霧切「また来たわ!」

ドラメッド「ドラえもん! 助けに来たであーる!」

のび太「ドラメッド三世!」

山田「外を見てください! 何かがモノクマの海を掻き分けて走って来ますよ!」


ダダダダダダダダダダダダダダダダ!


舞園「壁を走って登ってます?!」


ピョーン! クルクルクルスタッ!


ドラリーニョ「ドラえもーん!」

ドラえもん「ドラリーニョ! 来てくれたんだね!」




640: ◆takaJZRsBc 2019/01/21(月) 02:50:25.33 ID:6RCAVTre0


葉隠「ま、また何か走って来たべ?!」

マタドーラ「オレが先だ!」

王ドラ「わたしが先です!」


大ジャンプの末二人が同時に飛び込む。


ドラえもん「王ドラ!」

のび太「エルマタドーラ!」

マタドーラ「ヘッ、主役は遅れてやってくるってな!」

王ドラ「あなたのどこが主役ですか!」


ドガッシャーン!


ジェノ「あ、やべ。ホコリが……グシュッ!」

腐川「……お、終わった? って、なによこいつら?! な、なんなの?!」

朝日奈「ドラえもんの友達だって!」

腐川「ハァ?!」

マタドーラ「到着、と。ん? おおー! これはこれはお美しいセニョリータ方! わたくしスペインは
       ドラセロナから来た花形闘牛士エルマタドーラと申します。お見知りおきを……」

王ドラ「わー! お、女の人がいっぱい! ぼく、ぼく、女の人は苦手なんです~」クネクネ

苗木「ず、随分個性的な友達だね」

キッド「……ドラニコフがまだ来てないな」




641: ◆takaJZRsBc 2019/01/21(月) 02:54:53.00 ID:6RCAVTre0



そこにどこでもドアが現れた。

ガチャッ。


ドラニコフ「ワウワウ!」

ドラえもん「ドラニコフ! これで全員揃ったね! 来てくれて嬉しいよ!!」

ドラメッド「一体何があったのであるか? タロットを見ていたら
       このカードばかり出るので心配していたのであーる」


プロの占い師である葉隠がドラメッドのカードを見て顔をしかめる。


葉隠「タワーか……当たってんな」

ドラえもん「実は、かくかく!」

のび太「しかじかなんだよ!」


ドラえもんズ『な、なんだってー?!』


キッド「一大事じゃねえか!」

ドラリーニョ「た、大変だー!」

王ドラ「つまり、一刻も早く玄関を塞がなければいけない。そういうことですね?」

マタドーラ「燃えるじゃねえか! よし、お前ら! オレ様たちも手を貸すぜ!」

苗木「い、いいの? だって、君達は関係ないんじゃ……」

キッド「関係ないだって? おいおい、冗談きついぜ!」

ドラメッド「我等ドラえもんズは不滅の友情を誓い合った仲間達」

ドラリーニョ「友達が困ってたら助けるのは当たり前だよ~!」




642: ◆takaJZRsBc 2019/01/21(月) 02:59:56.69 ID:6RCAVTre0


マタドーラ「友達の友達はまた友達ってな。アミーゴ!」

ドラニコフ「ガウ! ガウガウ!」

王ドラ「それに、友達云々がなくても困っている人を見捨てるなんてわたしには出来ません!」

マタドーラ「セニョリータを悲しませるようなヤツはオレが許さねえ!」

王ドラ「早速作戦会議と行きましょう!」

十神「一階はもうモノクマで一杯だ。必然的に特攻する形となる。
    だが、特攻しても玄関まで辿り着けるかどうか……」

マタドーラ「バカ言ってんじゃねえぜ。オレ達は無敵のドラえもんズだぜ?」

王ドラ「リーダーさんがやったようにこちらも戦力を分散しましょう」

キッド「オレは先発隊と一緒に行く」

マタドーラ「オレも行くぜ。ジッとしてるのは性に合わねえ」

ドラニコフ「ガウ!」←ぼくも行くと言っている

王ドラ「わたしも行きましょう。ドラメッドとドラリーニョはドラえもんと共に四階をお願いします」

ドラリーニョ「わかった~! ここを守ればいいんだね!」

ドラメッド「守りは任せるであーる!」

十神「よし! 一気に四人増えたな。人数的にはギリギリか」

朝日奈「じゃあ今度こそ行ってくるね。……必ず帰ってくるよ、さくらちゃん」

大神「朝日奈……」


武器を持ったメンバーを見てキッドが止める。




643: ◆takaJZRsBc 2019/01/21(月) 03:02:43.09 ID:6RCAVTre0


キッド「ちょっと待った。まさかと思うが、女を行かせるつもりじゃないだろうな?」

大和田「俺達だって本当は行かせたくねえ……ただ、戦力がな」

ドラリーニョ「ええ~、危ないよ!」

ドラメッド「危険であーる!」

キッド「全く、なんのためにはるばるオレ様達がやって来たっていうんだよ!」

マタドーラ「甘く見て貰っちゃ困るぜ?」

王ドラ「わたし達だけで彼女達十人分以上の戦力はあります! 連れて行くのはやめてください!」

ドラニコフ「ワウワウ、ガウ!」

ドラえもん「大勢で行っても廊下はそこまで広くないし、かえって危ないって言ってるよ」

十神「確かに人数が多いとフレンドリーファイアの可能性はあるが……」

のび太「ドラえもんズはそれぞれみんな特技があってすごく強いんだ! 信じて!」

ドラえもん「キッドは早撃ちの達人だし、王ドラはカンフーマスター、マタドーラは
       怪力の闘牛士、ドラニコフは丸い物を見ると狼に変身するんだ!」

山田「狼? 猫型ロボットじゃ……」

のび太「こまかいことは言いっこなしだよ!」

十神「フム、期待出来そうだな。……わかった。朝日奈と舞園は残れ。それでいいな?」

ドラメッド「それならいいであーる」

ドラリーニョ「よかった~」

舞園「あ……」ヘナヘナ

苗木「舞園さん?!」




644: ◆takaJZRsBc 2019/01/21(月) 03:05:48.98 ID:6RCAVTre0


舞園「ごめんなさい。ちょっと気が抜けてしまって。まだ何も終わっていないのに……」

大神「カンフーの達人なのか。これが終わったら是非手合わせ願いたいものだ」

王ドラ「喜んで!」

マタドーラ「おお、麗しいマドモアゼル。全て終わった暁には、
       是非私と一緒に情熱的なフラメンコでも……ベイビー」

セレス「それは構いませんが、あなたその体格で踊れるんですの?」

キッド「ナンパしてる場合じゃないぞ!」

エド「皆はん、もう時間がないんやで!」

のび太「ドラえもん!」

ドラえもん「じゃあ行くよ。念のために寄宿舎のホールに繋げるね。どこでもドア~!」

石丸「突っ込め!!」


「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


ダダダダダダダダ!


ドラリーニョ「いってらっしゃ~い! 気をつけて~!」

不二咲「……みんな、無事に帰ってきてね」カタカタカタ…




645: ◆takaJZRsBc 2019/01/21(月) 03:07:24.59 ID:6RCAVTre0



               ◇     ◇     ◇


十神「くっ、先程よりはマシだが多いな」

王ドラ「ホアチョー! ハチョッハチョッ! アター!」

マタドーラ「ヒラリ、ヒラリ!」

ドラニコフ「…………」←自分の丸い手を見る

ドラニコフ「……グガアアア!」

キッド「ドカーン! ドカーン!」

桑田「すげえ、あいつら……」

苗木「……僕達、いらないんじゃないかな」

石丸「僕らも負けてられない! 行くぞっ!」

大和田「オラアアアア!」

のび太「行けー!」


モノクマを蹴散らしながら廊下を突き進み、あっという間に玄関ホールの前に到着した。


十神「クッ、見渡す限りのモノクマだ……」

ドラニコフ「ガウウ!」

王ドラ「皆さん! ドラニコフに策があるようです。ここは彼に任せてください!」


両手にタバスコを持ったドラニコフがずいと前に出る。




646: ◆takaJZRsBc 2019/01/21(月) 03:09:56.47 ID:6RCAVTre0


桑田「タバスコ? んなもんなにに……」

ドラニコフ「ガフッガフッ! ゲフッ!」ゴクゴクゴク!

苗木「の、飲んでる?!」

のび太「みんな、さがって!」

ドラニコフ「ガルルルルル……」


顔が真っ赤になり頭から湯気を出すドラニコフ。


ドラニコフ「グオオオオオオオオオオオオ!!」


次の瞬間、口から炎を吐き出した!


桑田「火炎放射ああああ?!」

大和田「なんだそりゃあああ?!」

十神「……もはやなんでもありだな」

苗木「本当に強いね、みんな……」

石丸「見たまえ! 活路が開けたぞ!」


ドラニコフの猛攻により、みっちりモノクマが詰まっていた玄関ホールの中心部に空間が出来る。




647: ◆takaJZRsBc 2019/01/21(月) 03:14:49.18 ID:6RCAVTre0


キッド「このまま一気に押し出すぜ!」

王ドラ「その間にリーダーさん、扉をお願いします!」

マタドーラ「後ろは頼んだぞ!」

石丸「任された!!」

大和田「うおりゃあああ!!」

十神「よし! スイッチを押す!」


十神が脱出スイッチを押し、扉が閉まり始める。何とか中に入ろうと突っ込んで来た
ボールモノクマやビーストモノクマを王ドラとマタドーラが弾き返し、キッドが援護する。
その周りで円陣を組むように陣取り、大和田達が残ったモノクマを倒していく。

プシュー。


苗木「やった。閉まったぞ!」

桑田「ハア、まったくヒヤヒヤしたぜ……」

十神「気を抜くな! 校舎内にはまだモノクマが残っている。四階に向かいながら殲滅するぞ!」

「了解!!」




653: ◆takaJZRsBc 2019/02/28(木) 00:05:45.21 ID:uNeTXwXQ0



  第27話 希望ヶ峰学園のひかりとかげ


カムクラ「……玄関が閉じられたようですね」

腐川「な、なんでわかるのよ……!」

カムクラ「振動で」

「…………」

ドラメッド「そういえば彼だけ縛られているが、何者なのであるか?」

ドラえもん「敵の仲間だよ。……でもぼくもよくわからないんだ。突然現れていきなり投降したし」

ドラメッド「フム。一つ占ってみよう。ドラメーディア・タロット―リア・ウラナイーノ!」


パシッ。


ドラメッド「皇帝のカード……ム、裏に“愚者”のカードがくっついているであーる。
       こんなことは初めてなのである。これが意味することとは一体……」

霧切「皇帝と愚者。正反対のカードね」

カムクラ「興味深いですね。あなたはロボットなのに魔法が使えるのですか?」

ドラメッド「そうである。昔中世の大魔法使いの元で修行したぞよ」

朝日奈「すごーい! 修行したら私も魔法使いになれるかな?!」

セレス「彼はロボットで我々と常識が違いますから当てにしない方がよろしいかと……」

ドラリーニョ「ねえねえ、グシャってなに?」

カムクラ「愚か者という意味です」

ドラリーニョ「ふ~ん。オロカって?」

大神「バカ者ということだ」




654: ◆takaJZRsBc 2019/02/28(木) 00:08:49.30 ID:uNeTXwXQ0


ドラリーニョ「じゃあ勉強苦手なんだ~。大丈夫、ボクも苦手だから! でもサッカーは得意なんだ!」

朝日奈「あはは、かわいい~! 私は本業は水泳部だけど、サッカー部にも入ってるんだよ!」

ドラリーニョ「そうなの? じゃあこれが終わったらみんなでサッカーしようよ! 人数もちょうどいいし」

朝日奈「うん、やろうやろう! えっと、私は朝日奈葵。名前は?」

ドラリーニョ「ボク、ドラリーニョ! アオイちゃんだね! ボクちょっと
        忘れっぽいから、忘れないようにしないと」

朝日奈「あ、私も忘れっぽいんだー! 気が合うね!」

舞園「ふふ」

大神「……フッ」


話しているうちに、校内のモノクマを壊滅させた先発隊が戻ってきた。


ドラえもん「のび太くーん!」

のび太「ただいま!」

エド「あんさん、おかえり!」

キッド「戻ったぜ!」

舞園「皆さん、良かった!」

十神「やっと一段落ついたな……」

苗木「あとは不二咲君に任せるしかないね」

桑田「あー、疲れた」




655: ◆takaJZRsBc 2019/02/28(木) 00:11:04.29 ID:uNeTXwXQ0


マタドーラ「一仕事すると眠くなるな。ちょいと失礼。シエスタシエスタ、と」スカ-

霧切「見た目からスペイン出身に見えるけど、この状況でもシエスタはするのね」

キッド「マタドーラはマイペースだからな。……あー腹減った。ドラえもん、
     グルメテーブルかけ貸してくれよ」

ドラえもん「はい。どうぞ」

キッド「山盛りのハンバーガーにポテトを頼む!」


ドーン。


朝日奈「すごーい!」

石丸「か、科学とはなんだ……?」

キッド「ヒュー、上手そう。いっただっきまーす! ハムハムハム!」

大和田「よく飯なんて食ってられるな……」

桑田「あー、でもいい匂いだ。俺ももーらいっと」

朝日奈「私も貰っちゃおうかな」

山田「流石の僕ですら今はそんな気分ではないというのに……」

苗木「僕からしたらみんな十分マイペースだと思うよ……」

十神「まだ解決してないのによく呑気にしていられるな。俺はやるべきことをする」

のび太「やるべきことって?」

十神「カムクライズルとか言ったな。貴様の持っている情報を全て吐いてもらうぞ」

ドラリーニョ「ボク、カムクラのことちょっと知ってるよ!」

石丸「知り合いなのか?!」




656: ◆takaJZRsBc 2019/02/28(木) 00:14:01.44 ID:uNeTXwXQ0


腐川「そんな訳ないでしょ!」

ドラリーニョ「カムクラはね、ボクと一緒で勉強が苦手なんだって!」

十神「……は?」

舞園「あの、実はさっき占いで……」


先程のやりとりを説明する。


王ドラ「皇帝と愚者のカードですか。相反する二つのカード……」

のび太「王ドラ、なにかわかる?」

王ドラ「流石の私もこの世界のことはまだ何も知りませんからね。ちょっとわからないです」

霧切「……ねえ、前にあなたは自分を作られた存在と言っていたけど、それはどういう意味?」

カムクラ「言葉のままですよ。希望ヶ峰学園は才能こそ人類の希望と崇め、
      才能ある生徒を集めてはその才能を研究していた。その研究成果が僕です」

カムクラ「希望ヶ峰の研究者達からは全ての才能を持つ存在、即ち“超高校級の希望”と呼ばれました」

ドラリーニョ「ちょーこーこーきゅう?」

セレス「高校生でありながら既にその道のプロになっている者をそう呼称するのです」

ドラメッド「要は凄い優秀な高校生のことぞよ」

王ドラ「ここが希望ヶ峰学園で、あなた方はその生徒ということでいいんですね?」

ドラリーニョ「じゃあここにいる人達はみんな天才なんだ。すごーい」

石丸「みんながみんな天才ではない! 僕のように努力で登り詰めた者や、抽選で
    選ばれた苗木君のような人間もいる……だが基本的にはそういう理解で構わない」

王ドラ「話を戻します。あなたは作られた存在。つまり人造人間ということですか?」




657: ◆takaJZRsBc 2019/02/28(木) 00:24:58.08 ID:uNeTXwXQ0


カムクラ「一から作った訳ではありませんよ。ある人間を実験体にして脳や肉体を改造したのです。
      その結果、元の人格は消え僕が生まれた。つまり、体は元々あるのです」

十神「それが日向創とかいう人間か。そいつはどうやって調達して来たんだ?」

カムクラ「あなた方本科の人間は知らないかもしれませんが、
      希望ヶ峰学園には予備学科というものがあります」

桑田「予備学科? なんだそりゃ?」モグモグ

大和田「聞いたことねーぞ?」

霧切「数年前に出来たばかりの新設の学科よ」

不二咲「新聞やニュースで一時期よく取り上げられていたね」

腐川「新聞を読まないから知らないんでしょ」

朝日奈「ご、ごめん。あんまり興味なくて……」

舞園「その予備学科って一体なんですか?」

カムクラ「希望ヶ峰は度重なる研究で常に資金が不足していました。そのため、スカウト制でのみ生徒を
      入学させるという制度を取りやめ、一般に門戸を解放したのですよ。それが予備学科です」

石丸「普通に試験で入れるということだろう? 日頃の努力が評価される、良い制度に思えるぞ。
    僕もスカウトを受ける前は受けようかと思っていたが、入学金が高くてな……」

カムクラ「実態は真逆です。要は予備学科で入学する人間はあなた方本科の生徒と違い才能も実績もない
      単なる凡人。彼等は本科と徹底的に区別され、同じ敷地で学ぶことすら出来ませんでした」

のび太「ええっ?! せっかく希望ヶ峰学園に入ったのにいっしょに授業うけられないの?!」

カムクラ「また本科の生徒が学費免除なのに対し、予備学科は通常の高校よりもずっと高い
      入学金や学費を求められる。授業も設備も他の高校と何一つ変わらないのにです」

大和田「詐欺じゃねえか!」




658: ◆takaJZRsBc 2019/02/28(木) 00:28:44.46 ID:uNeTXwXQ0


セレス「天下の希望ヶ峰も堕ちたものですわね」

葉隠「…………」←人のことを言えないので黙っている

カムクラ「そう、要は本科の生徒とその研究のための金づる。――それが予備学科なのですよ」

ドラえもん「ひどい話だ。最初は憧れの希望ヶ峰に入れるってみんなワクワクしてたろうに……」

十神「フン、選ばれた人間しか入れない学校に金で入ろうとするからだ。自業自得だな」

苗木「でも、みんな知らなかったの? 設立一年目はともかく、
    二年目からはネットとかで噂になりそうだけど」

カムクラ「それでも構わなかったんですよ。それだけ希望ヶ峰学園卒業者というネームバリューは
      大きいし、形ばかりですが一応本科に編入するシステムも存在しました」

カムクラ「他の凡人共は駄目でも、自分だけは秘めた才能があってそれを見出だしてもらえる。そして
      いつか本科に編入出来る。そんな浅はかな自惚れを持った人間が全国から大勢集まったのです」

キッド「浅はかって……そんな言い方することないだろ!」

王ドラ「夢を持つくらい別にいいじゃないですか!」

カムクラ「そうですね。夢を持つのは自由です。ですが最初から無理な希望を持ったくせに、
      それを裏切られたからと勝手に絶望するのは『愚か』ですよ」

ドラメッド「愚か……何か引っ掛かるワードであるな」

王ドラ「!」

王ドラ「あなたの正体がわかりました! つまり、あなたは予備学科の生徒だったのですね!」

カムクラ「正解です。予備学科の人間は才能を渇望していた。それ故、学園側の人体実験に
      自ら志願する者が後を絶たなかったのですよ。――全ては才能を手にするために」

石丸「何故……諦めてしまったんだ! 努力すれば大概の夢は叶う! 君達は努力すべきだった!」

カムクラ「努力と一言で言いますが、出来ないんですよ。普通の人には」

石丸「何を言うか! 僕は凡人だぞ!」




659: ◆takaJZRsBc 2019/02/28(木) 00:35:33.57 ID:uNeTXwXQ0


カムクラ「でもあなたの経歴は普通ではないでしょう、石丸清多夏。総理大臣であり尊敬する祖父の裏切りと
      失脚、それによって生じた天才に対する嫌悪、現在進行形で実家を苦しめる多額の借金――」

『えっ?!』

石丸「…………」


突然暴露された石丸の過去に一同はギョッとした。


カムクラ「真面目なあなたが勉強をサボることはないでしょうが、もしこれらの
      重いきっかけやトラウマがなければ、あなたは今ほど自分を追い詰めましたか?」

カムクラ「せいぜいどの学校にも一人はいるような、平凡な優等生止まりだったのではないですか?」

石丸「そ、それは……」

カムクラ「あなたは、環境がどこまで人格と能力に影響を与えるのか
      研究するためのサンプルとしてスカウトされたのですよ」

石丸「サン、プル……?」

カムクラ「あなたがスカウトされたのはあなたの努力が認められたのではなく、
      あなたの実績と過去の経歴の関係がたまたま研究者達の目に留まっただけです」

カムクラ「全国模試で一位を取る人間など毎年います。別にあなたが特別だったからではない」

石丸「…………」

ドラえもん「そんな! まるで実験動物扱いじゃないか!」

のび太「ひどすぎるよ!」

カムクラ「彼だけではないですよ。本科の人間はみんな研究者達の研究対象に過ぎません。
      ……石丸さんに少し近いパターンでは十神白夜がいますね」

十神「……!! 貴様、知っているのか、我が一族のしきたりを……!」




660: ◆takaJZRsBc 2019/02/28(木) 00:38:18.75 ID:uNeTXwXQ0


カムクラ「大富豪の十神家に生まれればそれだけで勝ち組。あなた方はそう思っていませんか?」

のび太「え、ちがうの?」

カムクラ「とんでもない。世界中に母親の違う後継者候補がいて、一つしかない後継者の
      椅子を巡って争い合い、勝ち残った一人だけが十神家正当後継者になれるのです」

ドラえもん(セワシくんの言っていた十神くんの過去がそれか!)

苗木「それって血の繋がった実の兄弟達と争うってこと?!」

山田「バトルロワイアルするということですか?!」

十神「殺しはしないが似たようなものだ。負けた人間は一族追放だからな。……みんな必死だ」

桑田「追放?! おかしいだろ、そんなの!」

十神「おかしかろうが何だろうが俺達子供に拒否権はない。俺は末子で一番不利だったが、血へどを
    吐くくらい学び鍛え、兄姉達を蹴落としていった……そして今の地位を手に入れたのだ」

カムクラ「もしこのような経緯がなければ彼は単なる七光りでしかなく、スカウトはなかったかも
      しれません。いや、資金のためのコネ枠はありますからコネとして入り、研究対象には
      ならなかったか。彼もまた環境が与えた影響を見るためのサンプルだったのでしょう」

十神「…………」ギリッ!

石丸「十神君、幼い時からそんなに苦労を……」

朝日奈「ずっと偉そうで嫌なヤツって思ってたけど……私、あなたのこと誤解してたよ。ごめん」

十神「……チッ」

マタドーラ「サンプルサンプルって、人をなんだと思ってやがる……!」

のび太「マタドーラ! 起きたの?」

マタドーラ「まったく、おめーらの声が大きいから起きちまったぜ。大体の流れは
       わかったが、この学校がおかしなことと今の状況はどう関係してるんだ?」




661: ◆takaJZRsBc 2019/02/28(木) 00:45:04.22 ID:uNeTXwXQ0


カムクラ「研究のための金づるとして設立された予備学科ですが、彼等はこの事実を知らず
      本科の生徒は変わらず憧れの対象でした。すぐ側にいるのに手が届かない。
      この事実は彼等のコンプレックスを大いに刺激したのです」

セレス「詐欺同然の学費もあって、不満は凄かったでしょうね」

カムクラ「元々炎上する下地は出来ていたのです。そこに火種を持ち込み掻き回したのが……」

霧切「――江ノ島盾子だったのね」

カムクラ「彼女はその天才的頭脳とカリスマで瞬く間に予備学科を掌握し騒ぎを起こした。
      そして、その騒ぎにより不安になった本科の生徒達を次々と洗脳していったのです」

王ドラ「洗脳?!」

ドラメッド「なんと恐ろしい……」

カムクラ「超高校級の生徒は様々な業界に強い影響力を持っている。洗脳した彼等を使って
      大勢の人間を洗脳しまた別の人間へ洗脳を繰り返す。そして今の状況になったのです」

苗木「それが、人類史上最大最悪の絶望的事件の真相だったのか……!」

舞園「……まだ終わってなんかいません。今も世界は危機に陥っているんですから」

葉隠「例えるなら最後っ屁だな」

腐川「汚い例え方するんじゃないわよ!」

ドラえもん「……それにしても、希望ヶ峰学園がそんなにひどい学校だったなんて夢にも
       思わなかったよ。アニメではただ江ノ島さん一人が問題なんだと思っていたし」

石丸「才能が希望だなんて、そんな考えは間違いに決まっているッ!!」

十神「今回ばかりは石丸に同感だな。超高校級の希望だか何だか知らんが、結局は
    貴様も絶望し江ノ島と行動した。それが全てだ。貴様なんぞ希望でも何でもない」

霧切「希望と言うのは才能や能力ではなく、どんな時も曲がらない正しく強い意志を
    言うのではないかしら? 苗木君やのび太君達は普通の人かもしれないけど、
    どんな絶望的状況でも諦めずに私達を励ましてくれた」

霧切「全ての才能を持つあなたよりも、苗木君達こそ超高校級の希望と呼ぶのに相応しいわ」




662: ◆takaJZRsBc 2019/02/28(木) 00:46:28.07 ID:uNeTXwXQ0


のび太「なんだかはずかしいなぁ」エヘヘ

苗木「超高校級の希望なんて言い過ぎだよ。ここにいる僕達一人一人が希望なんだからさ!」

大和田「いいこと言うじゃねえか!」

大神「ウム! 力を合わせて苦境に立ち向かう我等一人一人が希望だな!」


ガンバロー! オオー!


葉隠(なんか居づらいべ……)

山田「…………」


ドドーン!!


「?!」

のび太「わ、なにー?!」

カムクラ「第二波が来たようですね」

十神「なんだと?!」

カムクラ「簡単なことです。入り口が塞がれてしまったので建物ごと攻撃しているのですよ」


彼等は情報処理室から飛び出すと、廊下の穴から外を見る。


桑田「爆弾持ったモノクマがめっちゃいるぞ?!」




663: ◆takaJZRsBc 2019/02/28(木) 00:48:38.94 ID:uNeTXwXQ0


霧切「これは不味いわね……」

石丸「止めなければ!」

十神「またモノクマの群れの中に飛び込むことになる。しかも、
    今度は閉める扉もない。お前達はそれでも行くか?」

苗木「行くよ! 僕達が止めないと!」

キッド「水臭いぜ!」

マタドーラ「フワ~ア、さっきのじゃ暴れ足りないところだったんだ」

ドラニコフ「ガウッガウッ!」

ドラリーニョ「あれー? みんな、あそこ見て!」

セレス「どうかされましたか?」


ブロオオオオン!

倒壊した付近の建物から、大型のバイクが飛び出してモノクマを蹂躙していく。


石丸「何か書かれているな。暮威慈畏大亜紋土……兄弟、あれは?!」

大和田「兄貴ッ!!」

大亜「オラアアアアアアアアアア!!」


ゴシャゴシャッ、メキャッ!




664: ◆takaJZRsBc 2019/02/28(木) 00:56:07.31 ID:uNeTXwXQ0


雪丸「大亜さんに続け!」

大和田「兄貴! 雪丸に他の奴らも! みんな来てくれたのか!」

朝日奈「! ねえ、あっちにもいる!」

ケンイチロウ「我が拳を見よ! アタタタタタタッ!」


ドスッドゴッ! ボガボゴドコッ!


大神父「さくらあああ! 外は我等に任せろおおお!」

道場の門下生「おおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

大神「ケンイチロウ! 父上! 道場の者達! なんと心強い増援か……!」

キッド「俺達も行くぜ!」

マタドーラ「よおおし!」

王ドラ「行ってきます!」

ドラニコフ「ガウッ」


キッド達四人は穴から直接飛び降りた。


十神「今なら行ける! ドラえもん、どこでもドアだ!」

ドラえもん「どこでもドア!」

のび太「行ってくるよ!」


地上はまさしく合戦のような光景になっていた。




665: ◆takaJZRsBc 2019/02/28(木) 00:58:10.26 ID:uNeTXwXQ0


大亜(モノクマ共が一斉に学園を目指し始めたから嫌な予感がしたが、こんなことになってるとはな……)

ビーストモノクマ「ウオオッ!」

大亜「ッ! 速い……!」


ドンッ!!


ケンイチロウ「…………」

大亜「サンキュー。あんた、確か大神さくらの……」

ケンイチロウ「そういうお主は大和田紋土の身内だな?」

大亜「…………」

ケンイチロウ「…………」

大亜「…………」ニッ

ケンイチロウ「…………」フッ

大亜(そっちは任せるぜ)

ケンイチロウ(任せよ。背後を頼む!)


『おおおおおおおおおっ!!』


二人は少し目を交わしただけですぐに走り出した。

彼等に言葉はいらない。何故なら彼等は真の漢だからである。


キッド「ドカーン!」


ドカンッ!




666: ◆takaJZRsBc 2019/02/28(木) 01:01:37.85 ID:uNeTXwXQ0


ケンイチロウ「なんだ……?!」

キッド「増援の増援だぜ!」

マタドーラ「大船に乗ったつもりで行きな!」

王ドラ「ホアチョー! またもや使い手発見。この戦いが終わったら手合わせしましょう!」

ドラニコフ「ガルル!」

大亜「! ドラえもんの仲間か! オメエら、増援だぞ!」

雪丸「それは良かったっす。正直キリがないんで」

大和田「兄貴ィィィ!」

大亜「紋土! よく来た!」

石丸「初めまして、お兄さん! でも今は挨拶してる暇は……」

大亜「大体のことはわかってるが、このモノクマ共の狙いだけ教えてくれ!
    ドラえもんがいれば学園から脱出することは出来たはずだ!」

苗木「モノクマは学園の中にあるメインコンピューターを狙ってるんです!」

桑田「それが壊されたら世界中に格ミサイルが降ってくんだとよ!」

『なにぃっ?!!』『核ミサイルだとぉっ?!』『バカなっ?!』

十神「あと1時間コンピューターを守り、不二咲がプログラムを解除すれば俺達の勝ちだ!」

ケンイチロウ「フム、勝利条件は把握した!」

大神父「なんとしてもこの1時間守り切るのだ!!」

「押忍ッ!!」


ドカッ! バキッ! ドゴッ! グシャッ!


激闘はなおも続く――!




671: ◆takaJZRsBc 2019/04/21(日) 01:35:06.62 ID:GIEAlWj20



  第28話 みんなのゆめ


ドラリーニョ「ねえ、ボク達は行かなくていいの?」

ドラメッド「もしものためにメンバーを温存する必要があるからまだダメである」

大神「…………」ソワソワ

腐川「…………」ソワソワ

セレス「行ったら如何です?」

腐川「な?! ななな、なによ突然?!」

大神「我は何も言っていないが……」

セレス「お二人とも、愛する人が心配なのでしょう?」

大神「バ、馬鹿なことを言うな! ケンイチロウは良き友人であって……」

霧切「もう残り1時間よ。ドラメッドとドラリーニョもいるし、行きたいなら私は止めないわ」

大神「……すまん。ぬおおっ!」


大神は穴から外に飛び出して行った。


朝日奈「行ってらっしゃーい」

腐川「…………」

舞園「腐川さん」

腐川「……行ってくるわ。クシュン」

ジェノ「へーい、今どんな感じ~? あ、なんか外がすっげーことになってる。ゲラゲラゲラ!」




672: ◆takaJZRsBc 2019/04/21(日) 01:39:25.98 ID:GIEAlWj20


ドラメッド「急にテンションが上がったであるな」

ドラえもん「彼女は多重人格者でくしゃみをすると人格が入れ替わるんだ」

ドラリーニョ「わー、すごーい」

霧切「ドラえもんの仲間達の協力で玄関は無事塞がったわ。でも今度は建物ごと
    破壊しようとしているから、応援に来た人達と一緒に外で戦っているの」

ジェノ「ダーリンもそこにいるって訳ね。りょーかい。んじゃ、ちょっと一暴れしてくっか!」


言うやいなや、ジェノサイダーも高く跳躍し穴から飛び出す。


セレス「この学園の方達の運動能力はどうなっているのでしょうか……」

舞園「そうですね……」

朝日奈「私も鍛えたら出来るかな?」


  ― 職員室 ―


葉隠「…………」ブルブル

葉隠(死にたくねえ! 死にたくねえ! 誰かなんとかしてくれ!!)


ガチャ。


葉隠「ヒッ!」

ドラメッド「何人か足りないと思ったらこんなところにいたであるか」

葉隠「な、なんだ。おめーさんか」




673: ◆takaJZRsBc 2019/04/21(日) 01:42:40.43 ID:GIEAlWj20


ドラメッド「仲間が戦っているのに見ていることしか出来ないのは辛いであるな」

葉隠「……は?」

ドラメッド「居残りが辛いからここで一人悩んでいたのであろう?」

葉隠「……違うべ。俺は死ぬのが怖くてたまらねえんだ」

ドラメッド「フム、なるほど。みんな頑張っているからきっと大丈夫である! 元気を出すぞよ」

葉隠「おめーさんは強そうに見えないけど、戦えるのか?」

ドラメッド「争いは苦手である。出来ることなら話し合いで解決したいが、そう上手く
       行かないことも多い。そういう時はワガハイも戦うである」

葉隠「どいつもこいつも勇敢なこって。逃げちゃいけないのか? 戦わないのが
    そんなに悪いことか? みんなゴミクズみたいな目で俺を見る!」

ドラメッド「怖いのは仕方ないである。ワガハイだって怖いである。えっと名前は……」

葉隠「葉隠康比呂だ」

ドラメッド「時に葉隠殿、葉隠殿には家族や親しい友人はいないであるか?」

葉隠「……母ちゃんがいる。俺は友達はいねえけど母ちゃんがいればそれでいいんだ」

ドラメッド「今戦わなければ、母上殿も危ないのでは?」

葉隠「おめーさんは知らないかもしれねえが、この世界は荒廃してて世紀末状態なんだべ。
    ……考えたくねえけど、母ちゃんが生きてるかどうかわからねえ」

葉隠「それに! 母ちゃんなら自分はいいから俺に生きて欲しいって、そう言ってくれるはずだ!」

ドラメッド「そうであろうな。母親とはそういうものである……」

葉隠「なあ、俺をおめーらの世界に連れてってくれ! 一人くらいなんとかなんだろ?! 一緒に逃げるべ!」

ドラメッド「それは構わないであるが、一緒に逃げるのは出来ないである」




674: ◆takaJZRsBc 2019/04/21(日) 01:51:09.04 ID:GIEAlWj20


葉隠「あん? どうして?」

ドラメッド「ワガハイ達は最後の瞬間まで戦って、この星の行く末を見届けるからである」

葉隠「――えっ?」


予想外過ぎる言葉に、葉隠は静止した。


葉隠「な、なんで……なんでそこまでするんだべ! おめーら部外者だろ?!
    直前まで頑張ってそれで無理なら逃げればいいじゃねえか!」

ドラメッド「それは出来ない相談であるな」

葉隠「なんでだ!」

ドラメッド「一つは仲間を置いて逃げられないこと。ドラえもん達は最後まで諦めないはずである。
       二つは……ワガハイ達はロボット。人間を助けるために生まれた」

ドラメッド「たとえこの身が壊れようとも、それが誰かのためになるのなら構わないのである」

葉隠「…………」

葉隠「ヘッ。そうだよな。いくらリアルに出来てたって、
    所詮ロボットに人間様の気持ちなんてわかんないよな!」

ドラメッド「…………。そうかもしれないである。でもワガハイ達ロボットにも
       一人ずつ違う個性があるし、ワガハイにも夢があるぞよ」

葉隠「夢?」

ドラメッド「ワガハイは砂漠に住んでいるのであるが、砂漠で水はとても貴重。だから砂漠に
       住む子供達のために、ウォーターランドを建設したいのである」

ドラメッド「飲み水に困らないだけでなく、子供達が楽しく水遊びが出来る。
       そんな砂漠の楽園を作るのが昔からの夢なのであーる」

葉隠「…………」




675: ◆takaJZRsBc 2019/04/21(日) 01:55:01.39 ID:GIEAlWj20


ドラメッド「葉隠殿にこれを貸すである」

葉隠「なんだそれ? 電話か?」

ドラメッド「これはもしも電話。ワガハイやドラえもん達の世界はこの世界に似ているが違う、
       いわゆるパラレルワールドであるが、この道具を使えば自由に行き来出来るのである」

葉隠「! それって、逃げてもいいってことか?!」

ドラメッド「ワガハイも嫌がる人間を無理やり戦場で戦わせるような真似はしたくないであるからな」

葉隠「早速使わせて……」

ドラメッド「ただし!」


スカッ!


葉隠「うわっ」

ドラメッド「これを使うならワガハイとある約束をしてほしいのである」

葉隠「約束? なんだべ?」

ドラメッド「ワガハイの代わりにワガハイの夢を叶えてくれぬか?」

葉隠「夢って、砂漠にウォーターランドを作れってことか?」

ドラメッド「そう。ワガハイだけではない。ここで戦っているみんなに、それぞれワガハイのような
       夢や目標があるはず。葉隠殿にはそれを代わりにやって貰いたいのである」

葉隠「!」




676: ◆takaJZRsBc 2019/04/21(日) 01:56:17.77 ID:GIEAlWj20


ドラメッド「みんな……みんな! 自分や大切な人のために命を懸けて戦っている!
       中にはのび太君のようなこの世界と無関係の子供までが!!」

ドラメッド「お主は仲間もその家族も、自分の母親すら見捨てて一人逃げるのである。
       ならば、それくらい背負うのが筋というものであろう?」

葉隠「あ……」

葉隠(いつもの調子でわかったって言えばいい。適当なことを言うのは得意だ。
    どうせ口約束なんだべ。わかりゃしねえ……けど、だけど)


しかし、葉隠の意志に反して言葉は出て来なかった。



  ― 音楽室 ―


ミニドラ「ドララ! ドララ!」

ドラリーニョ「変なものを見つけた?」


相棒のミニドラ軍団に連れられドラリーニョは音楽室に入った。
そこには机の下に潜り込み震える山田の姿があった。


山田「…………」ブルブル

ドラリーニョ「なんだろう、これ?」

ドラリーニョ「わかった、オシリだー! かくれんぼしてるんだね? みーっけ!」

山田「わっ?! ……なんだ、あなたでしたか。驚かさないでくださいよ!」

ドラリーニョ「ごめんごめん! なんで一人でかくれてたの?」




677: ◆takaJZRsBc 2019/04/21(日) 02:02:48.68 ID:GIEAlWj20


山田「……あの場にいるのが辛かったからですよ」

ドラリーニョ「つらいってどうして?」

山田「僕は……みんなみたいに戦えない。臆病だしデブだし弱いし」

ドラリーニョ「そっかぁ……。でも気にすることないよ! 得意なこともあるでしょ?」

山田「……絵が得意で、二次創作ですが漫画を描けます」

ドラリーニョ「すごいすごい! ぼくマンガ大好き! 今度ぼくも描いてよ!」

山田「…………ハァ」

ドラリーニョ「あれー?」


山田の溜め息にドラリーニョは首をかしげる。


山田「絵が上手くて漫画が描ける……でも、それがなんだって言うんです。結局自分の理想や
    妄想を紙の上に披露出来るだけであって、世界の危機に何もすることが出来ない」

山田「……僕は無力なんです」

ドラリーニョ「元気出しなよ。好きなことがあるってとても楽しいことだよ。ぼくサッカー大好き!」


そう言うとドラリーニョは華麗なリフティングを披露する。


山田「励ましてくれるのは有り難いですけど、あなたみたいな人気者には僕の気持ちは
    わからないですよ。僕みたいなクラスカースト最下位の人間なんて……」

ドラリーニョ「カースト?」




678: ◆takaJZRsBc 2019/04/21(日) 02:07:36.42 ID:GIEAlWj20


山田「ロボットとはいえ学校に行ってたんならわかるでしょ? 勉強が出来たり運動が出来たり
    単に格好良かったり。そういう人気者がクラスの中心になって、僕みたいな嫌われ者の
    オタクはクラスの隅でひっそり生きなきゃいけないんですよ」

ドラリーニョ「どうして?」

山田「どうしてって、取り柄のない人間が分を弁えずに前に出てもイタいだけだし」

ドラリーニョ「イタくなんてないよ。それに漫画が描けるんでしょ?」

山田「所詮漫画はオタクでマイナーなんですよ。世界で認められているサッカーとは違うんです」

ドラリーニョ「…………」


頭を抱え、ドラリーニョはうんうんと唸り出した。


ドラリーニョ「うーん、ぼくね、テストはいつも0点でね! サッカーしか出来ないダメロボットとか
        落ちこぼれとか……他にもいろいろ言われてたけど、忘れちゃった!
        すぐ忘れるんだ! ぼく忘れっぽいから!」

ドラリーニョ「でもいいんだ。サッカーしてたら楽しいし友達もいるから気にならないよ!
        きみにもたくさん友達いるじゃない! だから大丈夫!」

山田「友達……」

山田(失われた二年間では、僕達は仲良しクラスだったらしい。写真の中の僕は確かに
    楽しそうだった。その記憶があれば、僕も平気だったかもしれない……)

山田「でも、ダメなんです……同じような悩みを持つオタクの中でも僕は恵まれてる。
    頭ではわかっているけど認められないというか……僕はヒーローになりたいんです」

ドラリーニョ「うーん、漫画が描けるなんてボクにとってはヒーローだけどなぁ。それじゃダメ?」

山田「ダメです」

ドラリーニョ「うーんうーん…………」




679: ◆takaJZRsBc 2019/04/21(日) 02:14:19.66 ID:GIEAlWj20


ミニドラ「ドララ~?」

ミニドラ「ドラー?」


ドラリーニョとミニドラは頭を抱える。彼等に山田の深すぎるコンプレックスは難しすぎたようだ。


ドラリーニョ「ヒーローになりたいんだよね…………わかった! じゃあ今からなろうよ!」

山田「は?」

ドラリーニョ「キミ、名前は?」

山田「山田一二三ですが……」

ドラリーニョ「ヒフミくん、行こう!」

山田「ちょ、ちょっとドラリーニョ殿?!」


ドラリーニョは山田の手を掴むとぐいぐい引っ張る。


山田「ムリ! ムリですって! 僕みたいなデブは集中放火されちゃいますよ!」

ドラリーニョ「平気平気!」

山田「怖い! やっぱり僕にはムリなんです!」


無理やり手を振り払って山田は壁に取り縋る。


ドラリーニョ「でも行かないとヒーローになれないんでしょ?」

山田「だから! 僕はそれが出来ないからヒーローにはなれないって悩んでるんですよ!」




680: ◆takaJZRsBc 2019/04/21(日) 02:16:27.88 ID:GIEAlWj20


ドラリーニョ「悩んでてもなにも変わらないよ! 行動しなきゃ!」

山田「それが出来ないんです! もうほっといてください! 善意の押し付けなんて迷惑なだけですよ!!」

ドラリーニョ「…………」


黙り込むドラリーニョ。

相手は完全な善意なのに流石に言い過ぎたか。
そもそも自分が意気地無しなのが全ての原因なのに……と山田はまた落ち込む。


山田(……わかってますよ。僕より小さくてただ抽選で選ばれただけの苗木誠殿や、子供ののび太殿でさえ
    戦場にいる。僕が情けないのがいけないのに、相手のせいにしてさぞかし呆れたでしょう……)

ドラリーニョ「……怖いの?」

山田「怖いです」

ドラリーニョ「怖くなければ、平気?」

山田「そりゃ怖くなかったらとっくのとうに行ってますよ」

ドラリーニョ「じゃあ、ボクがキミを守ってあげるよ!」

山田「……え?」

ドラリーニョ「それだったら平気でしょ? 一人じゃできないことも二人なら大丈夫!」

山田「まだそんな……」

ドラリーニョ「ボクを信じて!!」ジッ

山田「……!」


ドラリーニョの顔は真剣だった。山田が目を逸らせないほどに。




681: ◆takaJZRsBc 2019/04/21(日) 02:18:04.24 ID:GIEAlWj20


山田「僕は……」


ドシーンドシーン!!


「わっ?!」


               ◇     ◇     ◇



葉隠「なんだこの地響き?!」

ドラメッド「外の様子を見るである!」


全員が廊下の穴に向かい、それを見た。


朝日奈「なに、あれ……」

舞園「……嘘ですよね?」

霧切「大きいわね……」

ビッグモノクマ「…………」


地平線には七体もの巨大なモノクマが隊列を成して歩いてくる。その大きさは横のビルと
比較すれば一目瞭然だ。彼等にはまるで世界の終わりを知らせる巨神兵の群れに見えた。


ドラえもん「ま、まずい! あんなの相手に出来ない!」

ドラメッド「……ワガハイが相手になるである」

セレス「あなた、何か手が?」




682: ◆takaJZRsBc 2019/04/21(日) 02:22:56.25 ID:GIEAlWj20


ドラメッド「もう我慢の限界である! 葉隠殿、これを!」


ドラメッドはもしも電話と共に、愛用のタロットカードを渡す。


葉隠「これは、おめーさんの……」

ドラメッド「師匠に貰った大事な品である。預かってくれぬか?」

葉隠「…………」

ドラメッド「では行ってくるである。マハラージャ!」

葉隠「あ、おい!」


ドラメッドは魔法の絨毯に乗って、一人巨大モノクマの群れに向かって行った。


ドラメッド「モノクマと言ったか。ただでさえ多勢に無勢だと言うのに
       ここまでやるとは! もうワガハイ怒ったのであーる!!」


そう叫ぶとドラメッドは巨大化した。普段は温厚なことで知られるドラメッドだが、
怒ると巨大化して暴れるのである。足元のモノクマ軍団を踏み潰しながら、巨大モノクマに迫る。


ドラメッド「うおおおおっ!」


元々大きい手を更に巨大化させハンマーのように相手を殴りつけた!


大神「ドラメッド殿か。助かる!」

マタドーラ「やっちまえー、ドラメッド!」

のび太「頑張れ!」




683: ◆takaJZRsBc 2019/04/21(日) 02:28:35.36 ID:GIEAlWj20


ケンイチロウ「まさか双方にこれほどの切り札があるとはな……」

ジェノ「ヒュー! やるじゃないの!」

雪丸「頼むぜ、でっかいダンナー!」


ドゴッドゴッとドラメッドはモノクマを薙ぎ倒していく。だが!


ビックモノクマ「…………」


カシュッ。


ドラメッド「ム!」


カシュッカシュッカシュッ!


王ドラ「いけない、あれは!」

大亜「食らったらヤバいぞ!」

キッド「ミサイルだ! 避けろ、ドラメッドー!!」

ドラニコフ「ワウー!!」


ドドドドドドドドドドドド!!!

ドカンドカンドカン! ドカンドカンドカン! ドカンドカンドカン!


ドラメッド「ぬおおっ?!! グハァッ……」


バタアアアアン!!

ドラメッドはミサイルの集中砲火を受け、地面に倒れ込んだ。




684: ◆takaJZRsBc 2019/04/21(日) 02:38:52.01 ID:GIEAlWj20


「ドラメッドオオオオオオッ!!」


大和田「おいおい、嘘だろ……」

桑田「やべーって……」

大亜「馬鹿野郎! 手を止めるな! まだ敵はいるんだぞ!」

石丸「そうだ! まだ諦めてはいけない!」

十神「くそっ、考えろ! 考えるんだ! 何かあるはずだ!」

苗木「諦めちゃダメだ!」

セレス「……何ということでしょうか」

舞園「そんな、ドラメッドさんまで……」

ドラリーニョ「ボク、行かなきゃ!」

葉隠・山田「!」

朝日奈「! ダメ! 殺されちゃうよ!」

ドラリーニョ「でもこのままほっておくワケにはいかない! ドラメッドを助けないと!」

霧切「死にに行くようなものよ!」

ドラリーニョ「それでもいいよ! だってボクたち友だちだもん!」

ドラえもん「ドラリーニョ……」


朝日奈の手を振り払い、ドラリーニョは飛び出した。


葉隠「……おめーは行かないのか?」

ドラえもん「ぼくが行っても足手まといになるから……代わりに、ぼくはぼくのやるべきことをする!」




685: ◆takaJZRsBc 2019/04/21(日) 02:53:13.61 ID:GIEAlWj20


ポケットに手を突っ込み、ドラえもんはあーでもないこーでもないと思案する。


葉隠「自分のやるべきこと……」

葉隠(……そ、そうだ。さっさと逃げねえと)


見つかってはまずいとその場を離れ、葉隠は電話を掲げる。しかし……


『これを使うならワガハイとある約束をしてほしいのである』


葉隠(約束……)


『ワガハイの代わりにワガハイの夢を叶えてくれぬか?』


葉隠(……知らねえ。他人の夢なんて知ったこっちゃねえ!)


『ワガハイだけではない。ここで戦っているみんなに、それぞれワガハイのような夢や目標があるはず』


葉隠(クズって言われようがなんだろうが、俺は自分が一番大事なんだ。それで何がいけないんだ!)


『みんな……みんな! 自分や大切な人のために命を懸けて戦っている!
 中にはのび太君のようなこの世界と無関係の子供までが!!』


葉隠(……どうした。どうしたんだ、俺?! これで逃げられるんだべ! 安全な所に行けるんだ)


手が汗ばんでいる。額にも汗が浮かんでいるのを感じた。


『お主は仲間もその家族も自分の母親すら見捨てて一人逃げるのである。
 ならば、これくらい背負うのが筋というものであろう?』


葉隠(罪悪感なんて感じてる場合じゃないだろ! 命が掛かってるんだべ!)




686: ◆takaJZRsBc 2019/04/21(日) 02:55:20.65 ID:GIEAlWj20



しかし、電話を持つ手は震えるばかり。ふと蘇るのは母・浩子の姿だ。


葉隠(そういや母ちゃん、今はどこでなにしてんだろうな……)


もしここに浩子がいたらどんなことを言うだろうか。


浩子『母ちゃんわかってるよ』


浩子『康比呂はちょっと自分に甘くてやんちゃな所があるけど、根は優しくて
    最後はちゃんと決めてくれる子だって。あんたは格好いいもんね』


浩子『――母ちゃんはいつでもどんな時でも、絶対にあんたの味方だからね』


葉隠(母ちゃん、ちょっと親バカっていうか俺を美化してる所あるからな。今も俺がヒーローみたいに
    助けに来るってバカみたいに信じてて、どこかで待っているかもしれねえ……)

葉隠(でもそれは俺の母ちゃんだけじゃなくて、みんなの家族だってきっとそうだ……)

葉隠「…………」

葉隠「…………」








葉隠「……………………ダメだ」


へなへなと、葉隠はその場に座り込んだのだった。




693: ◆takaJZRsBc 2019/05/27(月) 00:27:15.32 ID:kI/AMyHm0



  第29話 たちあがれ、おくびょう者!


葉隠(……重すぎる。俺に全員の夢を背負うなんてムリだべ……)


今まで逃げること、楽をすることしか考えていなかった葉隠だが、
それに伴う責任の重さを知り、初めて迷いを感じたのだった。


葉隠(俺はビビリだしお世辞にも運動神経がいいとはいえねえ。戦いに行ったって
    役に立つとは思えねえ。クズでダメな俺に出来ることってなんだ?)


ドラえもん『ぼくがすべきことをするんだ!』


葉隠(すべきこと……)


手からタロットカードが落ちる。


葉隠「そういや、ドラメッちのタロットはかなりの的中率だったな」


精度は葉隠のインスピレーション占いに劣るものの、カムクラの正体を暴いたりもしていた。


葉隠(このタロットと俺の占いを組み合わせれば……未来がわかる?)

葉隠「教えてくれ! 俺はどうすりゃいい? どうすればこの局面を乗り越えられんだ!」


タロットについてもそれなりに知識を持つ葉隠は、シャッフルして一枚引く。


葉隠「魔術師(マジシャン)……」




694: ◆takaJZRsBc 2019/05/27(月) 00:32:04.55 ID:kI/AMyHm0


葉隠(魔術師のカードは名前の印象とは逆に新たな一歩や希望を表す。ただ単に新しい
    展開なら星のカードでもいい。魔術師なら独創的な発想とか少し捻りが入る――)

葉隠「独創的な発想……それが何かわかればこの局面を切り抜けられるかもしれねえ。
    ……そうだ。独創的な発想の内容を俺のインスピレーション占いで占えば……?」


目を閉じて、葉隠は集中した。今までお金のためか保身のためにしか
占ったことなどない葉隠が、人生で最も心を込めて占った。


葉隠「――見えたべ!」


今までは占った映像が実現するまでは、それが当たりか外れか葉隠にはわからなかった。
だが、今は強い確信を持って言える。これは“当たり”だと。


葉隠「山田っち!」

山田「ヒィ! なんですか?!」


いつも飄々として、それでいて何かあったら周りを盾にして
すぐ逃げる葉隠の――普段とは違う鬼気迫る顔に山田は気圧された。


葉隠「山田っちが鍵だべ!」

山田「なにがですか?! もうダメなんですよ! みんな殺されて核ミサイルも降ってくるんです!
    世界は核で包まれてリアル世紀末が訪れるんですよおおお! ひでぶっ!!」

葉隠「落ち着け、山田っち! それを止める鍵がお前さんなんだって!」

山田「僕? 僕に何か出来るわけないじゃないですか。僕はただのしがないキモオタですよ?!
    あんなに凄い人達が束になってかかってもどうにもならないのに!!」

葉隠「出来る! クズの俺にだって出来た! だから山田っちだって出来る!
    周りなんて関係ねえ! 大切なのは一歩を踏み出す勇気なんだって!!」




695: ◆takaJZRsBc 2019/05/27(月) 00:34:30.06 ID:kI/AMyHm0


山田「突然どうしたんですか? ガラにもない……」

セレス「落ち着きなさい、山田君」

山田「セレス殿……」

セレス「いつもなら真っ先に逃げることを考える沈没船のネズミのような葉隠君が
     珍しく必死に説得しているのですよ? 話だけでも聞いてみては?」

葉隠「……酷い例えだべ」


苦笑するが反論は出来ない。現につい先程まで葉隠は自分一人だけでも助かろうとしていた。


霧切「何か勝算があるのね?」

葉隠「見えたんだべ! 山田っちが巨大なロボットに乗って戦う姿が!」

山田「ハァ?! ガンダムじゃあるまいし。一体どこにロボットがあるっていうんですか?!」

ドラえもん「ザンダクロス……」

「え?」


ドラえもんの呟きに、全員が振り返った。


ドラえもん「そうだ。絶対絶命のあの時だって、ザンダクロスがいてくれたから僕達は戦えたんだ!」

霧切「そのザンダクロスは今どこに?」

ドラえもん「……もういない。歴史が変わったから。どこかの宇宙にはいるかもしれないけど」

山田「結局無意味じゃなかったですか! 無駄な希望なんて持たせないでくださいよ!
    そんなのただ絶望するより残酷だ! 現実は漫画じゃないんですよ!」




696: ◆takaJZRsBc 2019/05/27(月) 00:37:52.68 ID:kI/AMyHm0


山田「作者が紙に描けばどんなピンチだってなんとかなる漫画の世界じゃない!!」

「…………」

ドラえもん「そうだね。余計なこと言ってゴメン……現実はそんな甘いものじゃないよね……」

舞園「……諦めちゃ、ダメですよ」

ドラえもん「舞園さん……」

舞園「だって、ドラえもんさん達は! 絶望した私を救ってくれたじゃないですか!」

舞園「私だけじゃない……。桑田君や腐川さんだって、
    のび太君とドラえもんさんがいてくれたから救われたんですよ!」

舞園「それは無意味だったんですか? そんなことはないはずです! いいえ、私はそう思いたくない!」

ドラえもん「舞園さん……」

舞園「まだ希望があるかもしれません! 他の道具を見て見ましょうよ!」

葉隠「そうだべ! そのサンタクロースを召喚できる道具もあるかもしれねえし!」

ドラえもん「そうだよね! ボクには思いつかないだけで、
       みんななら使いこなせる道具もあるかもしれない!」


ドラえもんはポケットから次々と道具を取り出すが、
出てくるものは扇風機、冷蔵庫、ラジコン、クレヨンなどのガラクタばかりである。


ドラえもん「ハァー! ハァー! もうこうなったらこの地球破壊爆弾で……!!」

セレス「馬鹿ですか?! こっちまで死ぬわ!!」

霧切「これは何かしら?」

ドラえもん「それは携帯扇風機で……」




697: ◆takaJZRsBc 2019/05/27(月) 00:38:45.00 ID:kI/AMyHm0


朝日奈「こっちは?!」

ドラえもん「えーと、瞬間圧縮機……」

葉隠「これはオーパーツだべ! 俺の占いは三割当たる!」

ドラえもん「それは単なるおもちゃだね」

山田「…………」


山田は彼等がガラクタを手に持ちあれやこれやと騒ぐのを手持ち無沙汰に眺めていた。
何故彼等が諦めないのか不思議だった。


山田(どうせ、ムダなんですよ……家族はみんな死んでいるし帰る所もないし……
    僕達だってどうせもうすぐ死んじゃうんだ……)


だったら、最後くらい好きにしよう。好きなことをして時間を潰そう。
そう思って山田は自分が何をしたいか考えた。


山田(絵でも描こうかな……集中すれば周りも気にならなくなるし)


その時、山田の目に映ったのは落ちていたクレヨンだ。


山田(これも未来の道具ならなにか効果があるのかな……)


現実逃避とほんの少しの好奇心で、山田はそのクレヨンを手に取った。
リュックからノートを取り出し、最も描き慣れているぶ~子を描いてみた。


山田「……なんだ。ただのクレヨンか」



ポンッ!




698: ◆takaJZRsBc 2019/05/27(月) 00:40:39.77 ID:kI/AMyHm0



山田の呟きと同時に紙からぶ~子が飛び出てきた。


山田「ぶ、ぶ~子?!」

ぶ~子「…………」


山田は知る由もなかったが、彼が手にしたクレヨンは描いたものを実体化させる立体クレヨンである。
あくまで子供用のおもちゃであり、紙から出てきたものは本物より大幅に劣化して現れる。

しかし山田の類い稀なる画力とぶ~子に対する熱意が、ほとんど本物に近い完璧なぶ~子を生み出した。


霧切「どうしたの?!」

山田「そ、そこに落ちていたこのクレヨンで絵を描いたらぶ~子が……」

ドラえもん「それは立体クレヨンだね。描いた物が立体となって紙から飛び出てくるんだ」

セレス「では、そのクレヨンで武器を描けば……!」

ドラえもん「ムリだよ。所詮は絵だもん。張りぼてなら出せるけど本物は出せないんだ」

葉隠「なんだ……ガッカリだべ……」

山田「偽物……」

ぶ~子「…………」


ぶ~子はフワフワと辺りを漂っている。

その姿は二次元と三次元の違いはあれど、山田がずっと脳内で思い描いていたそれだ。
このぶ~子は山田自身が生み出した正真正銘本物のぶ~子なのだ。




699: ◆takaJZRsBc 2019/05/27(月) 00:42:13.44 ID:kI/AMyHm0



山田「ぶ~子……」

ぶ~子「…………」




二人の目が合う。





700: ◆takaJZRsBc 2019/05/27(月) 00:44:37.00 ID:kI/AMyHm0


ぶ~子「…………」ニコッ!

山田「!!」


心のない張りぼてのはずのぶ~子が、確かに山田に微笑みかけた。


山田「偽物、なんかじゃない……」

舞園「山田君?」

山田「ぶ~子はここにいるんだ……!」

朝日奈「どうしたの?」

山田「聞こえる……! 聞こえるぞッ!! ぶ~子の声がッ!!」

ぶ~子「…………」


―出来るよ。

―山田君なら

―きっと出来る。

―だから……


山田「僕にはぶ~子の声が聞こえるッ!!」


―みんなを助けてあげて!


「?!」


実際には山田の妄想なのかもしれない。だが、山田には確かにぶ~子の声が聞こえていたのだ!




701: ◆takaJZRsBc 2019/05/27(月) 00:49:56.88 ID:kI/AMyHm0


山田「他の人がダメでも、僕の画力なら限りなく本物が出来る! 
    この状況を打開する漫画を描いてみせる!!」


そう叫ぶと山田は画用紙にロボットの絵を描きはじめた。
正面図だけではなく、側面背面やコックピットも含めた設計図並みに詳細な絵だ。

美少女アニメが好きでロボットアニメは有名作品だけ見ていたような彼だが、
超高校級とまで呼ばれる山田の記憶力と画力は確かだった。


ドラえもん「す、凄い……!」

山田「行け! 僕のロボット――ジャスティスロボ!!」


パァァッ!

ズッシャアアアアアン!


朝日奈「ロボットだ! ロボットだよ!」

霧切「張りぼてなんかではないわ。ちゃんと鉄で出来ている!」コンコン

山田「いえ、僕の作り出したヒフミウム合金です。鉄より軽く遥かに丈夫なのです!」

ドラえもん「そんな! 初めて見たよ! これならイケるかも!」

セレス「ですが、いくらロボットでもこの大きさでは……」

不二咲「ビッグライトで大きくすればいいんじゃない?」

ドラえもん「ああ! ビッグライトは……」

舞園「さっき壊れて……」


その場にいた者達は一様に青ざめる。




702: ◆takaJZRsBc 2019/05/27(月) 00:54:21.31 ID:kI/AMyHm0


セレス「予備はないのですか?!」

ドラえもん「ゴメン……」

山田「そんな……」


彼等の様子を見ていたミニドライレブンはお互いの顔を合わせる。


ミニドラ「ドラ! ドラ!」

ミニドラ「ドララー!」

朝日奈「なに? どうしたの?」

ミニドラ「ドラー!」


ミニドラ達はそれぞれのポケットからライトを取り出した。


ドラえもん「それは、ビッグライト!!」

「ええっ?!」

葉隠「じゃあそれでいけるじゃねえか!」

山田「そうですよ! 早く使いましょう」

ドラえもん「ただ、一つ問題が……」

霧切「問題?」

ドラえもん「ミニドラの道具は見ての通り小さくて出力が弱いんだ。これで大きく出来るかな?」

ミニドラ「ドラ?」

ミニドラ「ドララー……」




703: ◆takaJZRsBc 2019/05/27(月) 00:58:46.56 ID:kI/AMyHm0



耳を落としてガッカリするミニドラ達を尻目に、霧切が思案する。


霧切「小さいビッグライトを他のライトで大きくして、それで使えば或いは……」

ドラえもん「それだ!」

ミニドラ「ドララー!」


言われた通り、ミニドラはビッグライトを大きくしてドラえもんに渡した。


ドラえもん「ビッグライト!」


ピカー!


葉隠「よしきた!」

山田「コックピットには、僕が乗ります!」

ドラえもん「このサイコントローラーを使って。握って心に思うだけで脳波を送信して操縦出来るから」



               ◇     ◇     ◇



一方外では、巨大モノクマの登場によって絶望軍団が勢いづいていた。


大和田「クソッ、このままじゃジリ貧だ!」




704: ◆takaJZRsBc 2019/05/27(月) 01:01:03.26 ID:kI/AMyHm0


大亜「諦めてんじゃねえ、紋土! たとえ勝てなくても最後まで戦い抜く!
    それが暮威慈畏大亜紋土流だろうが!」

石丸「お、お兄さん……」

大神「活路を開く! 我の命を使ってでも……!」

ケンイチロウ「さくら、力が入り過ぎだ。もっと流れるように動け!」

大神父「さくらよ! お前は我等大神道場の希望だ! 心を明鏡止水にして挑むのだ!」

大神「ムゥ……我としたことが、己を見失っていたか……」

桑田「そりゃそーだろ! 流石の俺も、キツイ……」

マタドーラ「頑張れ、兄ちゃん。おめーさんにも夢があるんだろ?」


支え合い、助け合いながら戦うがそれでも徐々に追い詰められていく。


苗木「僕は……能天気だったのかな。こんな状況でも、まだなんとかなるかもしれないって
    希望を捨てられなくて……他人頼みだよね。情けないな……」

大亜「いいじゃねえか」

ケンイチロウ「うむ」

苗木「大亜さん、ケンイチロウさん……」

大亜「自分一人じゃどうにもならないことなんて世の中いくらでもあるだろ。
    そんな時、周りに少し手伝って貰って何がわりぃんだ」

ケンイチロウ「深刻になるより、なるようになれとドンと構えた方がいいかもしれんぞ。
        そうしたら案外――思わぬ所から助け舟があったりな」




705: ◆takaJZRsBc 2019/05/27(月) 01:09:55.15 ID:kI/AMyHm0


石丸「大人は格好良いな……僕はあなた達のようになりたい」

苗木「……そうだね。なんとか生き延びて、子供に格好いいって言われる大人になりたいな」

キッド「じゃあ諦めないで前に進もうぜ! ドガンドカーン!!」ドーン!

のび太「みんな今だってすごくかっこいいよ!」バンバン!

ドラニコフ「ワオ! ワオワオ! ……アオ?」

ジェノ「あん、急にどしたワン公? いや、ニャン公? なんか見つけたか?」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


桑田「な、なんだ?!」

大亜「どうやらおでましみたいだぜ。希望って名前の助け舟(グッドラック)がな!」


気絶していたドラメッドは振動で目を覚ます。


ドラメッド(クッ……ここまでか、無念……)


力尽き倒れ、死を覚悟したドラメッドの目にそれは映った。

正義を司る希望の救世主――ジャスティスロボが!


ドラメッド(敵か味方か。いや……!)


占いが得意なドラメッドは直感で感じ取っていた。




706: ◆takaJZRsBc 2019/05/27(月) 01:12:40.68 ID:kI/AMyHm0


ドラメッド(そうか……来てくれたのであるな!)

葉隠『ドラメッち! 助けに来たべー!』


桑田「な、なんだありゃあ?! なんで葉隠の声が……」

十神「巨大ロボだと……?!」


サイコントローラーがあるのだから実際に操縦桿を握る必要はないのだが、
山田はしっかりとハンドルを握りしめていた。まるで、ロボットアニメの主人公のようだ。


山田(人生で一度言ってみたかったこの台詞。まさか言う時が来るなんて……)


モニターの端にはボロボロになりながら必死に戦うドラリーニョの姿が映る。


山田(ドラリーニョ殿の言った通り……行動しないと何も始まらない)

山田(他の人間なんて関係なかったんだ! 誰がなんて言おうと、
    僕の物語はいつだって僕が主人公でヒーローなんだから!!)

山田(だから、今こそ――)


戦場に向けて力一杯、憧れの台詞を山田は叫んだ。



山田『待たせたな!!』


――ジャスティスロボ、降臨!!





714: ◆takaJZRsBc 2019/07/08(月) 01:45:09.88 ID:as45WpGo0



  第30話 希望はすすむ。ぼくたちがつくる未来へ――



苗木「え、もしかして山田君と葉隠君?!」

大和田「山田?! それに葉隠だぁ?!」

石丸「おお! 彼等も来てくれたのだな!」

大亜「ハハッ! 強い味方がおいでなすったようだぜ!」

ジェノ「見直したぜぇ! 萌えねえ男子からあんまり萌えない男子に上げといてあげるわん!」


山田『山田一二三、行きまーす!!』


学校から出てきたその巨大ロボットのコックピットには山田が乗っている。
飛び出た贅肉で少し狭いが文句は言っていられない。仲間達が沸き立つ一方、
ジャスティスロボのコックピットの中では葉隠が絶叫している。


葉隠「ヒ、ヒエエエ! やっぱり来るんじゃなかった!」

山田「今更なに言ってやがる! 僕達が乗った列車は途中下車出来ないんだ!」


コックピットの座席は山田が占領しているため、葉隠はその後ろに立って
両腕で壁を突っ張って体を支えている。そのため揺れがすごく、不安になるらしい。


葉隠「わかってるけどよォ!」


そもそも乗ると言い出したのは葉隠本人だ。




715: ◆takaJZRsBc 2019/07/08(月) 01:46:27.40 ID:as45WpGo0


葉隠『俺の占いだとロボットには山田っちだけじゃなくて俺も乗ってた。
    きっと運動系じゃない山田っちだけじゃダメなんだべ!』

セレス『ですが、葉隠君が乗ったところで何が出来ますか?』

舞園『葉隠君は占いが得意ですから、それを使って先読みしたりとか……』

セレス『七割の確率で失敗しますわね』

葉隠『くそ……今だけでも全部当たってくれりゃあな……』

セレス『そんな都合の良い話がある訳……』

霧切『……あるわ。ねえ、そうでしょう、ドラえもん!』

ドラえもん『これだー!』パパラパッパパー!

ドラえもん『才能伸ばし薬。飲んだ人間は1時間だけ潜在能力を百パーセント上げられる。
       本来は自分にどんな才能があるかを調べるために使うけど、これなら……』

葉隠『貸すべ!』


ドリンク状の薬を葉隠は一気に飲み干す。


葉隠『き、来た来た来たー!』

山田『何が来たんですか?!』

葉隠『今の俺は……』



葉隠『―― 十割当たる!!』




717: ◆takaJZRsBc 2019/07/08(月) 01:48:14.52 ID:as45WpGo0


山田「さっきの勢いはどうしたんです?! ほら、早く覚醒したニュータイプ能力でピキーンしてください

!」

葉隠「なんだべそれ?! って、ああ?!」


ピキーン!


葉隠「見えた! 右から来るぞ!」

山田「了解! うおおおおお!」


葉隠のアシストが効を奏し、山田はビッグモノクマの攻撃を防いだ。そのまま競り合いになる。


葉隠「武器はなんかあるのか?!」

山田「あります! ジャスティスハンマーです!」

葉隠「武器がハンマーって地味じゃねえか?」

山田「鈍器ナメんなし! 戦場ではスコップがヤバイ凶器になること知らないんですか?!」

葉隠「でも山田っちならてっきりカッコイイ剣とかにするかと」

山田「……僕は学んだんです! 見てくれより中身が大事なんだってことを!
    セレス殿が! みんなが! 僕に大切なことを教えてくれた!!」

ビッグモノクマ『……!』


グググググ……

徐々にジャスティスロボがビッグモノクマを押して行く。
しかし、他のビッグモノクマがジャスティスロボを囲み始める。




718: ◆takaJZRsBc 2019/07/08(月) 01:50:46.14 ID:as45WpGo0



葉隠「まずい……。このままだと囲まれちまう! 来い! インスピレーション来い!」


ピキーン!


葉隠「見えた! 山田っち、足を狙ってバランスを崩してやるんだ! 大外刈りって奴だべ!」

山田「ぬううううううん!」


正確には大内刈りなのだが、素人の二人はそんなことは知らない。見よう見まねで足を攻撃した。
見事ジャスティスロボの足技が決まり、元々バランスの悪いビッグモノクマが転ぶ。


山田「よーし! 正義の鉄槌今ここに! 喰らえ! ジャスティスハンマーアタック!!」


山田は必殺技を叫ぶと、ロボの背中からジャスティスハンマーを取り出し
ビッグモノクマに振り下ろした。

メキャアッ!


重量の乗った打撃により、モノクマの頭部がグシャグシャに砕けた。


葉隠「Fooooooo!!」

山田「まずは一体!」

葉隠「! まずい! 後ろだ!」

山田「えっ?!」


後ろに回り込んだビッグモノクマがジャスティスロボを羽交い締めにする。


山田・葉隠「あわわわわわ?!」




719: ◆takaJZRsBc 2019/07/08(月) 01:52:46.23 ID:as45WpGo0



正面にいたビッグモノクマが攻撃しようと振りかぶった瞬間、ピカッとまばゆい光が灯る。
ライトだ。ライトの先にいたのは……


ドラミ『させないわ!』

セワシ『行っけー! ドラミちゃーん!!』


チューリップ型のドラミ専用タイムマシンが突如現れ、ビッグモノクマに体当たりをした!


キッド「なっ?! ドラミ?!」

ドラミ「私達も来たわよ!」

セワシ「おじいちゃん達ばっかり活躍させないよ!」


更に突撃して、ジャスティスロボを解放する。


マタドーラ「ヒュウッ! やるじゃねえか!」

王ドラ「ボク達も負けていられません!」

ドラニコフ「ガウ!」

ドラリーニョ「みんなー!!」

キッド「ドラリーニョ!」

ドラリーニョ「ぼくに力を貸してー!!」


そう言ってドラリーニョは高々とボールを蹴り上げる。


キッド「行け! 友情テレカ!」


「友情テレカー!!」




720: ◆takaJZRsBc 2019/07/08(月) 02:00:53.99 ID:as45WpGo0



ピカーン!

七人の友情テレカから光が放たれ、ドラリーニョのボールに当たる。
すると、ボールは巨大化しまばゆい黄金の光を放った。


マタドーラ「おーし! 合体だ!」

王ドラ「了解です!」

ドラニコフ「ワオー!!」


マタドーラの上に王ドラが乗り、王ドラの上にキッド、その上にドラニコフが飛び乗る。
そうして出来たドラえもんズタワーの側面をドラリーニョが駆け上がって行く。

勢いのまま宙に飛び出したドラリーニョはそのまま高速回転し、
輝くボールを思い切りオーバーヘッドシュートした。


ドラリーニョ「シュート!!!」


ゴオッ!!

ボールは光り輝く尾を引いて水星のようになり、ビッグモノクマを貫いた。


石丸「やった! 友情の勝利だ!」

のび太「さすがドラえもんズ!」

ドラメッド「ふ、ふふ。負けておられんでおじゃるな! くらえーっ!」


なんとか立ち上がったドラメッドの拳がビッグモノクマの頭を吹き飛ばす。


キッド「最後は今回一番頑張ったヤツに華を持たせてやるか。エド!」

エド「ガッテン!」




721: ◆takaJZRsBc 2019/07/08(月) 02:03:46.02 ID:as45WpGo0



キッドはエドの背中を踏み台にして希望ヶ峰学園に飛び込む。


ドラえもん「キッド! どうしたの?」

キッド「ほら。俺特注のハイパー空気砲だ。貸してやるよ」

ドラえもん「え……?」

霧切「あなたに、と言っているのよ」

セレス「ドラえもんさんが、今回の幕を下ろすのに一番相応しいかもしれませんわね」

ドラえもん「で、でも……ぼくはそんなにすごいことはしてないよ。ただ道具を使っただけで……」

ドラえもん「のび太くんが言い出さなかったらぼくは来ていなかったし、
       今だってドラえもんズのみんなの方が活躍してるし……」

舞園「そんなことありません。ずっと影でみんなのことを支えてくれたじゃないですか」

朝日奈「いくらスゴい道具があっても、のび太だけじゃきっと出来なかったと思うよ? ヌケてるし」

不二咲「そうだよ、ドラえもん。ドラえもんがいたから、みんな助かったんだ!」

ドラえもん「みんな……」


ダンガンロンパの世界に来るにあたって、ドラえもんが全て根回しをしていたのだ。
のび太が寝こけている間に、見張りをしたりサウナで友情を築いたりもした。


のび太「ドラえもーん!」


穴から下を見ると、のび太や他の生徒達も手を振っている。


のび太「はやくー!」

桑田「今度ミサイル撃たれたら吹っ飛んじまうぞ!」

大和田「頼んだぞー!」




722: ◆takaJZRsBc 2019/07/08(月) 02:05:34.95 ID:as45WpGo0


石丸「頑張れ、ドラえもん君!」

大亜「ドラえもん! 決めちまえ!」

ケンイチロウ「任せた、ドラえもん殿!!」

ドラえもん「みんな……」

キッド「ああ言ってるぜ? なあ、リーダー!」

ドラメッド「ドラえもんが一番相応しいでおじゃる」

ドラリーニョ「ドラえもーん!」

王ドラ「リーダーが決めないと!」

マタドーラ「へっ、仕方ねえ。ドラえもんなら譲ってやるぜ!」

ドラニコフ「ガウガウー!」

ドラえもん「……わかった」


意を決し、ドラえもんはハイパー空気砲を受け取る。


キッド「へへっ、そうこなくちゃな!」

ドラえもん「みんな! 行くよー!!」


ドラえもんの掛け声と共にドラえもんズが友情テレカを天に掲げる。




723: ◆takaJZRsBc 2019/07/08(月) 02:12:34.02 ID:as45WpGo0



ドラえもん「我等!!」


「ドラえもんズ!」


「そして――」

「世界中の希望を捨てない人々よ!!」

「みんなで力を合わせて、ぼく達の未来を――」

「創るんだッ!!!」



今まで座り込んでいたカムクラが立ち上がり、友情の光を見る。

――なんと眩しく輝いているのだろう。



カムクラ「“希望”を諦めない人間が“未来”を創り、絶望を“終結”させる――」

カムクラ「そうか。きっと僕が見たかったものは――」

のび太「あれ?! ぼくたちまでなんだか光ってるよ?!」

石丸「ひ、光がドラえもん君の所に!」

マタドーラ「よくわからねえが友情テレカの力だろ!」

王ドラ「恐らく、ぼく達ドラえもんズだけではなく皆さんの友情パワーも吸収しているんです」




724: ◆takaJZRsBc 2019/07/08(月) 02:17:53.48 ID:as45WpGo0


大亜「ま、友情も希望も似たようなもんだからな」

ドラニコフ「ガウガウ!」ウンウン

ケンイチロウ「プラスの力が引き合っているのか!」

大神父「我々まで光っているとは……」

大神「才能がある者もない者も等しく輝いている。希望に才能など関係ないということだな」

十神「フン。認めてやる。確かに仲間だの友情だのは時として強い力を持つようだ」

ジェノ「デレまくってる白夜様頂いたわん! やっべー、なんか殺りたく……くしゅん!」

腐川「な、なに?! 光が広がって行くわ……!」


ドラえもん「ドカアアアアアンッッ!!!」


友情の光を受けてハイパー空気砲は巨大化し、ドラえもんの掛け声で収束した光のビームが放たれた。
それはビッグモノクマを貫くだけにとどまらず、散開して雨のように降り注ぎ周囲一体の
モノクマを殲滅する。余った光は世界中に飛んで行き、まるで流星群のようだった――。




725: ◆takaJZRsBc 2019/07/08(月) 02:26:55.60 ID:as45WpGo0



  ― 未来機関 本部 ―


逆蔵「おい、なんだありゃあ?」

宗方「もう少しで希望ヶ峰学園付近の映像が解析出来る。待っててくれ」カタカタカタ

雪染「今じゃないとダメ! ほら、宗助も!」グイッ

宗方「おい、雪染。ム、これは……」


窓から見上げると、そこには空から地上に降り注ぐまばゆい光が見えた。


宗方「昼間だと言うのに流星群か? 珍しいこともあるものだ」

逆蔵「世界はこんな状況だって言うのにな……」

雪染「でも、綺麗……」ツー

宗方「雪染? 泣いているのか?」

雪染「あ、あれ? なんでかな?でも、この光を見てると心が浄化されるような
    なんだか凄く幸せな気持ちになるの。何でだろうね、宗方君……」

逆蔵「まあ、そうだな……なんか変な感じだ。たまにはこういうのもいいかもな……」

宗方「これは何かの兆しかもしれない。よく観測しておこう」


               ◇     ◇     ◇


安藤「ちょっと! こっち来ないでよ!」

忌村「それはこちらの台詞。ルルカが私の後をついて来てるんでしょ」

安藤「ハァ? 冗談やめてよね! どちゃくそ気分悪いんだけど」




726: ◆takaJZRsBc 2019/07/08(月) 02:29:57.59 ID:as45WpGo0


忌村「ルルカはいつもそう。なんでも人のせいにして……」

十六夜「?! なんだ、あれは!」

安藤「え、どうしたのヨイちゃん? ってなにあれ?!」

忌村「……流星群? まだ昼間なのに?」

『…………』


しばらく三人はその光景に見とれる。


安藤「……ねぇ、覚えてる? 昔みんなでキャンプしたよね?」

十六夜「ああ。あの時は満天の星空だったな」

忌村「……流れ星があった。今みたいに」

安藤・忌村・十六夜「…………」

安藤「もう戻れないのかな、ルルカ達……」

十六夜「ルルカ……」

忌村「…………」

安藤「本当はわかってるんだよ。ルルカが全部悪かったって。でも意地を張っちゃって……
    ルルカは静子ちゃんみたいに頭も良くないし凄くないから」

忌村「ルルカ……私こそ、ごめん。友達ならダメなことはダメってはっきり言うべきだった。
    何でも言いなりになって我慢して、それが友情だと勘違いしてた……」

十六夜「ルルカは自信を持つべきだ。お前は凄いヤツなのだから。今だって自分から謝れたじゃないか。
     人を救うのは薬だけじゃない。ルルカのおいちいお菓子は色んな人間を幸せにすることが出来る」

安藤「ヨイちゃん、ありがとう……。流れ星、綺麗だね……」

忌村「……うん。綺麗」




727: ◆takaJZRsBc 2019/07/08(月) 02:32:48.13 ID:as45WpGo0



そんな三人の様子を離れた所から黄桜公一が眺めていた。


黄桜「青春だねぇ……」

黄桜(トラブルの気配を感じて様子を見に来たが、とんだ邪推だったようだ)

黄桜(おっさんは若者の邪魔にならないように去りますよ、と)スタスタ



               ◇     ◇     ◇


御手洗「…………」ツー

天願「……どうしたんじゃ、御手洗君? 急に泣き出したりして」

御手洗「えっ? ……あっ」


御手洗は顔に触れると、自分が泣いていたことに気が付いた。


月光ヶ原「…………」カタカタカタ

ウサミ『大変でちゅ! 何か困ったことがあったら言ってくだちゃい! 力になりまちゅよ?』

御手洗「あ、いや、そんなんじゃなくて……!」

ゴズ「わかります。こんな神秘的な景色は見たことありませんからね。
    御手洗君は感受性が強いから、感動したのでしょう」

万代「トマトに勝る赤はないって言うからね。自然が一番だよ」

御手洗「感動? ……そうか。僕は感動していたのか。これが本物の感動……」ボロボロ

天願「……御手洗君?」

御手洗「僕は……僕はやっぱり間違えていた……」




728: ◆takaJZRsBc 2019/07/08(月) 02:42:19.33 ID:as45WpGo0


御手洗「感動って、小手先の技術で無理にさせるものじゃない。何もなくても自然に
     湧き出てくるものなんだ。僕はそれがわかってなかったから江ノ島に利用された……」

御手洗「認めたくないけど、どんな名作にだって無関心な人間やアンチはいる。でも、それが
     当たり前なんだ。僕はクリエイターとしてそれを受け入れなくちゃいけなかったんだ……」


バッと振り返り、決意を抱いた御手洗は叫んだ。


御手洗「アニメを……アニメを作らないと! 希望でもない、絶望でもない、誰もがありのまま
     自然になれる、そんな作品を作らないと! 今きっと必要とされる作品はそれなんだ!」

御手洗「誰かに強制された感情なんて間違ってる!!」

天願「それが君の出した結論かね?」

御手洗「お願いです、会長! こんな時に何を言っているのかと思われるかもしれないけど
     僕は今これをしなくちゃいけないんだと思います! そのために僕の才能があります!」

天願「……わしは止めんよ。君のやりたいようにすればいい」

ゴズ「絵は描けませんが、色塗りなら手伝えますよ? アニメは一人で作る物じゃねえだろ、御手洗ィ!!」バシッ

万代「豆は沢山あれば大根に勝るってね。みんなで作れば早いんじゃないかな?」

月光ヶ原「…………」カタカタカタ

ウサミ『美彩もCGや自動彩色なら力になれるって言ってるでちゅ!』

御手洗「ゴズさん、万代さん、月光ヶ原さん……」

黄桜「……おっと、こっちも青春か。いいねぇいいねぇ、若者は」スタスタ

天願「儂に比べたら君も若いだろうに」

黄桜「ハハハッ、そうですな!」




729: ◆takaJZRsBc 2019/07/08(月) 02:44:16.48 ID:as45WpGo0



 ― 希望ヶ峰学園、情報処理室 ―


不二咲「…………」


一心不乱にキーボードを打ち込む不二咲を生徒達は見守っていた。
サブコンピューターを繋ぎ、王ドラとドラミも応援している。

ちなみに、王ドラはロボット学校一の秀才だったがその記録を塗り替え歴代一位に輝いたのがドラミだ。


のび太「あとどのくらい?」

ドラえもん「10分ちょっとかな……」

ドラリーニョ「ねえ! あの子鼻血出してるよ?! 大丈夫?」

王ドラ「それくらい集中してるのだと思います」


不二咲は鼻血を出しながらキーボードを打っていた。しかし、今度は目からも血が出てくる。


石丸「ふ、不二咲君?!」

大和田「おい、どうしたんだ?!」

不二咲「大丈夫だから!」


しかし、不二咲の様子は明らかに尋常ではない。


ドラえもん「まさか……」

キッド「どうした?」

ドラえもん「やっぱり! さっき出した才能伸ばし薬が足りない! 不二咲くんが飲んだんだね?!」

霧切「クイックもいつのまにか全てなくなっている……」

ドラニコフ「ワオン?!」




730: ◆takaJZRsBc 2019/07/08(月) 02:46:49.36 ID:as45WpGo0


マタドーラ「一人でそれだけ飲んだのか?! 死んじまうぞ!」

不二咲「でも、僕がやらないといけないから……あと、あと少し……」

葉隠「不二咲っち……」

苗木「不二咲君……」

山田「フレー! フレー! ふ・じ・さ・き!」

朝日奈「頑張れ、頑張れ!」

大神「不二咲、あと少しの辛抱だぞ……」

不二咲「う、うう……」


フラッ……バタン。


大和田「不二咲?!」

十神「おい!」

舞園「不二咲君?!」


無理をし続けとうとう限界が来たのか、不二咲は倒れてしまったのだった。


のび太「不二咲さん!」

霧切「すごい熱だわ……」

ドラメッド「ただでさえ小柄な子だというのに無理をしたからである……」

不二咲「僕が……僕が、やらないといけないのに……」

石丸「もういい! 君はよくやった! 休んでくれ!」

王ドラ「ぼく達だけでなんとか……」




731: ◆takaJZRsBc 2019/07/08(月) 02:50:53.19 ID:as45WpGo0


キッド「ドラミ、王ドラ! 二人だけでも行けるだろ?!」

ドラミ「わ、わたし……授業でやった範囲でしかプログラミングはやってないの……」

王ドラ「同じく……」

「ええっ?!」

霧切「セワシくんと言ったかしら。あなたは?」

セワシ「ぼくはおじいちゃんの孫だよ? 多少は出来るけどドラミちゃんや王ドラほどじゃないよ」

のび太「ドラえもん!」

ドラえもん「何か道具を……」

のび太「あーでもないこーでもない!」

「その必要はありません」


その声に全員が振り返った。そこに立っていたのは――カムクライズル。


ドラえもん「あなたは……」

のび太「カムクライズル、さん」

カムクラ「僕がやります。超高校級のプログラマーの才能くらい持っていますから」

十神「ま、待て! そう言って妨害する気ではないだろうな?」

セレス「そもそもどうやって拘束から抜け出たのです?」

カムクラ「逃げようと思えばいつでも逃げられたし、妨害する気ならいくらでも出来ましたよ」

舞園「どうしますか……?」

腐川「え、江ノ島盾子の仲間でしょ……?」




732: ◆takaJZRsBc 2019/07/08(月) 02:52:38.99 ID:as45WpGo0


朝日奈「でも他に方法もないみたいだし……」

桑田「ダメ元でやらせてみるか?」

大神「信じてもいいかもしれぬ」

山田「葉隠殿! 今こそ占いです!」

葉隠「ピキーンと来た! やらせても平気だべ!」

マタドーラ「なら急げ!」

キッド「超特急で頼むぜ!」

ドラメッド「ではワガハイは不二咲殿の看病をするである」

ドラリーニョ「しっかり!」

エド「はよ頭冷やさんと!」

ドラニコフ「ガウ!」つお医者さんカバン

ミニドラ「ドララー!」つアイスノン


カムクラは不二咲の代わりに席に座ると、凄まじい早さでタイピングを始める。


王ドラ「は、早い! これならなんとかなりそうです!」

のび太「やったー!」

ドラえもん「良かった!」

カムクラ「手を貸す代わりに一つお願いがあるのですが」

大和田「な、なんだよ? 金か?」

十神「金なら十神財閥で払ってやる」




733: ◆takaJZRsBc 2019/07/08(月) 02:57:16.17 ID:as45WpGo0


カムクラ「いいえ。お金ではありません」

石丸「ではなんだというのだね?」

カムクラ「後始末が終わってからで構わないのですが、僕の記憶と才能を消してくれませんか?」

のび太「え、なんで?!」

カムクラ「必要ないからです」

ドラえもん「必要ない?」

カムクラ「あなた方一人一人は全ての才能を持つ僕に大きく劣っている。
      特にドラえもんとのび太、あなた達は超高校級どころかただの劣等生だ。
      ……しかし、その劣っているあなた達が世界の未来を作った」

カムクラ「僕の元の人格、日向創に教えて欲しいんです。未来を作るのは才能だけではない。
      正しい志と行動力こそが、普通の人間にも力を与えるということを」

石丸「そうだ! 世の中の人間の99パーセントは才能なんてない。
    だがそういった人間が世の中を動かしているのだ!」

ドラえもん「でも、そんなことをしたらきみが……」

のび太「そうだよ。消えちゃうんだよ!」

セワシ「ああ、それなら問題ないよ」

のび太「どうして、セワシくん?」

セワシ「だって、それがダンガンロンパの続編『スーパーダンガンロンパ2』の正史なんだから。
     ぼく達がここにいなくたって、未来機関の技術で記憶を消していたんだよ」

苗木「でも、続編ていうことはそっちでも事件が起こったんだよね?」

セワシ「ネタバレしちゃうと、続編の元凶がカムクラなんだよね。苗木さん達生き残りは、
     江ノ島の手先として利用されていた超高校級達を更生するために新世界プログラムって
     いうシステムを使って、悪事をしてた二年分の記憶を消すんだ」




734: ◆takaJZRsBc 2019/07/08(月) 02:59:16.43 ID:as45WpGo0


セワシ「でも、カムクラがそこに江ノ島エゴを仕込んでいたために、プログラムが暴走して
     その中で再びコロシアイが起こる……てストーリーなんだよね」

桑田「はぁっ?! つまりこいつのせいじゃねえか?!」

山田「もろに黒幕じゃないですかやだー!」

十神「本当にもう何も企んでないのか?」

カムクラ「江ノ島エゴはあなた達の前で消滅しました。疑うのなら、僕を常に拘束すればいい」

腐川「今も、作業しながらウイルスを入れてたりしないわよね?」

朝日奈「そうなの?!」

マタドーラ「おいおい、どうなんだ?」

キッド「回答によっちゃ容赦しないぜ?」

ドラニコフ「ガウウー」

のび太「……やめようよ」

舞園「のび太くん?」

のび太「この人はぜんぶ話してくれたんだよ。もう、うたがうのはやめようよ」

ドラリーニョ「カムクラはうそついてないと思う!」

ドラメッド「どうしてそう思うのである?」

ドラリーニョ「んーとね、なんとなく!」


ズルッ!

全員が転んだ。


ドラえもん「……ドラリーニョらしいや」




735: ◆takaJZRsBc 2019/07/08(月) 03:01:18.71 ID:as45WpGo0


苗木「ダンガンロンパ2は最終的に解決したんでしょ? なら、なんとかなるんじゃないかな?
    無責任な言い方かもしれないけど、今回は僕達14人全員生きてる訳だし」

大和田「そうだな。三人寄ればなんとかっていうし、こんだけいりゃなんとかなるだろ」

石丸「みんなで力を合わせればなんだって出来る!」

桑田「どいつもこいつも能天気だよなぁ。ハァー、まあいっか」

セレス「そういうあなたも十分能天気では?」

大神「今度こそ、我等は真に力を合わせるのだ」

霧切「ええ。今ならどんなことでも解決できる。そんな気がするの」


カムクラ「――解除が終わりました。もう世界にミサイルが降ってくることはありません」


のび太「ほんとう?」

苗木「とうとう終わったんだね……全部……」



「……………………」


全員が顔を見合わせた。そして、


「ヤッターーーーー!!!」


それぞれ泣き笑いをしながら抱き合い、手を取り合う。

部外者であるはずのドラえもんズ達まで貰い泣きをしていた。


――こうして、のび太とドラえもんの長いようで短いコロシアイ学園生活は幕を下ろしたのだった。




747: ◆takaJZRsBc 2019/08/10(土) 21:02:29.10 ID:k0lH/97/0






        ―   エ  ピ  ロ  ー  グ   ―







748: ◆takaJZRsBc 2019/08/10(土) 21:04:13.88 ID:k0lH/97/0



空き地の空は今日も青い。

晴天の中に活発な子供達の声が響き、白い雲が彼等を見下ろしていた。


カキーン!


のび太「ホームランだ!!」

しずか「出木杉さん、すごいわ!」


ベースを一周して戻ってきた出木杉を一同が迎える。


のび太「おかえり!」

しずか「おかえりなさい!」

出木杉「ありがとう」

ジャイアン「さすが心の友~! 今回こそわれらジャイアンズの優勝まちがいなしだ!」

スネ夫「なんだい。最初は自分の活躍がへるって文句言ってたのに調子がいい……」

ジャイアン「なんかいったか?!」

スネ夫「言ってません言ってません!」

出木杉「力になれてるといいけど……」

のび太「なってるよ。なにせ、次で地区大会予選の決勝なんだから」

しずか「優勝したらいよいよ本戦に出られるのね。応援してるわ。がんばって!」

出木杉「うん! 誘ってくれてありがとう! 優勝出来るように、ぼく頑張るよ!」




749: ◆takaJZRsBc 2019/08/10(土) 21:09:00.56 ID:k0lH/97/0


出木杉を誘ったのはもちろんのび太である。
元々、出木杉は塾などで多忙であり誘っても遊びに来れないということが多かった。

それがいつしか、あいつは呼ばなくていいという空気になっていたのだ。それでも、一応
声くらいかけるべきだとのび太が主張し、今回の大会にもエースとして参加することになった。

練習の帰り道、のび太はたまたま出木杉と二人になった。


出木杉「のび太くん」

のび太「なに?」

出木杉「ありがとう」

のび太「…………」

出木杉「ぼく、いつも忙しいからなかなか参加出来なかったし、自分からは
     声をかけられなくて……今回誘ってくれてすごく嬉しかったよ」

のび太「友だちじゃない。そんなのあたりまえだよ。……むしろ、ぼくの方こそごめん」

出木杉「どうしたの? なんでのび太くんが謝るの?」

のび太「どうせ参加できないってきめつけてあんまり声もかけなかったし……」

出木杉「それは付き合いの悪いぼくに原因があるから、のび太くんが気にすることじゃないよ」

のび太「ううん。もう一つ、本当の理由があるんだ」

出木杉「理由?」

のび太「……しんぱいしてたんだよ。出木杉くんて本当になんでもできちゃうからさ。
     いっしょにいるとますますぼくのダメっぷりが見えてきちゃって」

出木杉「…………」




750: ◆takaJZRsBc 2019/08/10(土) 21:18:05.91 ID:k0lH/97/0


のび太「でも、ある人に天才には天才のなやみがあるっておしえてもらって……
     それでぼく、反省したんだ。出木杉くんだって、なやみの一つや二つあるよね?」

のび太「ぼくって自分のことしかかんがえられないイヤなヤツだなぁって」

出木杉「そんなことないよ」


出木杉は首を振って否定した。


出木杉「のび太くんは知らなかっただけなんだ。現に、すぐ反省して行動に移してくれたじゃない。
     それって実はとても凄いことなんだよ。大人でもそれが出来ない人はたくさんいるんだ」

のび太「そうなの?」

出木杉「うん。大人って……ぼく達が思っているより、案外弱かったりするんだ。つまらない
     見栄や意地を張ってしまったり、自分が悪くても絶対に認めなかったり……」

出木杉「のび太くんは確かに勉強や運動はあんまり得意じゃないかもしれない。でも、
     それで誰かを恨んだりイジメたりはしないよね? 剛田くんにイジメられても
     ドラえもんの道具でイジメ返したりしない。優しいし友だちもたくさんいる」

出木杉「ぼくだったら同じように出来るかわからない。ぼくだけじゃない。色んな人が
     そうだと思う。だから、それはのび太くんだけの長所で凄いところなんだよ」

のび太「すごいところ……そうか、ぼくにもちゃんとあったんだね」

出木杉「そうだよ。それは誇っていいんだ」


フゥと息を吐いて、のび太は空を見上げた。


のび太「決勝、ぜったいに勝とうね」

出木杉「うん!」




751: ◆takaJZRsBc 2019/08/10(土) 21:23:01.62 ID:k0lH/97/0



  ― 決勝当日 ―


しずか「大変よ!!」

のび太「どうしたの?」

しずか「出木杉さん、熱を出したんですって! 毎晩遅くまで一人で練習してたみたいなの!」

ジャイアン「なんだってぇ?!」

スネ夫「もうすぐ試合だよ! どうするの?!」

のび太「そうだ! ドラえもん、お医者さんかばんでなおせば……」

ドラえもん「そ、それが……この間使ったから未来デパートでメンテナンスに出しちゃったんだ」

のび太「もう! こんな時に!!」

ジャイアン「本当に役に立たねえな!」

スネ夫「そうだ! 道具でなんとかできないの?!」

ドラえもん「そりゃあ道具を使えばなんとかなるだろうけど、ズルして勝っていいのかな……」

ジャイアン「いいんだよ! これはどうせ予選で、次は本戦があんだからな。
       その時までには出木杉も治ってるだろ。今回だけなんとかしてくれよ!」

ドラえもん「うーん、でもなぁ……」

スネ夫「道具を使うのがダメなら、助っ人連れてくるとか出来ないの? 誰か知り合いでさ」

のび太「助っ人……そうだ」

ジャイアン「アテがあんのか?!」

のび太「待ってて! 今最強の助っ人をよんでくるから!」

ドラえもん「まさか……」




752: ◆takaJZRsBc 2019/08/10(土) 21:28:32.68 ID:k0lH/97/0



               ◇     ◇     ◇


「……で、俺を呼んだってワケね」

のび太「お願いします、桑田さん! ここで負けたら、出木杉くんも気にすると思うんです!」


のび太は大急ぎでもしもボックスを使い桑田を呼んできたのだった。


桑田「いや、俺は今日非番だし別に構わないけどさ。高校生がリトルの試合に混じるのはムリじゃね?」

のび太「ドラえもんの道具を使えばなんとかなります!」

桑田「お、なに? 一時的に若返らせるとかできちゃう感じ?」

ドラえもん「タイムふろしき~! これを頭にかぶせて……」バサッ

桑田「おわっ?!」

ドラえもん「で、取る」


そこにはのび太と同年代の姿に戻った桑田の姿が。


のび太「あとは着せ替えカメラでユニフォームを着せれば……」パシャッ

ドラえもん・のび太「かんせーい!」

桑田「うおおっ?! デビルすげえな、おめーら……」

ドラえもん「選手登録はぼくが道具で誤魔化しておくから、きみ達はみんなと合流して」

のび太「りょうかい!」


桑田を連れ、のびたはジャイアン達の元へ戻る。




753: ◆takaJZRsBc 2019/08/10(土) 21:35:36.83 ID:k0lH/97/0


のび太「みんなー!」

ジャイアン「おそいぞ、のび太! 助っ人は連れてきたか?」

のび太「うん!」

しずか「あ、のび太さん! 大変よ、出木杉さんがムリをして来てしまったの!」

のび太「ええっ、なんだって?!」

出木杉「大丈夫……一試合だけなら、なんとか……」ハァハァ

スネ夫「ムリだよ、そんなに熱があったら!」

ジャイアン「今回はなんとかするから休んでろって!」

出木杉「で、でも……」

桑田「……ふーん。おめーが前にのび太が言ってた友だち、ね」

出木杉「え……?」

しずか「あの、あなたは……」

桑田「どーも。助っ人のレオンだ。のび太の友だちだぜ」

ジャイアン「おお! 助かった! よくやったぞ、のび太!」

スネ夫「でもさー、野球できんの? 出木杉の代わりなんだから相当上手くないと」

桑田「誰にもの言ってんだ。俺は未来のスーパースターだぞ。お嬢ちゃん、ボール貸してくれね?」

しずか「は、はい」

桑田「あれに当ててみっから。よっ、と」シュッ


桑田は受け取ったボールを投げ、かなり離れた場所に置いてあった空き缶にヒットさせる。




754: ◆takaJZRsBc 2019/08/10(土) 21:41:42.35 ID:k0lH/97/0


ジャイアン「なかなかやるじゃねえか!」

スネ夫「たまたまだよ! マグレかもしれないじゃないか」

桑田「まあ、マグレかどうかは試合で判断してくれって。ノーヒットノーランにしてみせるからさ」ニヤッ

出木杉「あの……」

桑田「出木杉だっけ? あんまムリすんなよ。今日は俺が繋いでやっから、おめーは寝てな」

出木杉「でも、ぼく……」

桑田「……声かけてもらって嬉しくてさ、みんなの力になりたかったんだろ?
    じゃあ、今は休んで一刻も早く体治せって。今日の分も本戦で頑張ればいいんだよ」

出木杉「そう、ですね。ありがとうございます……」

ドラえもん「よし、なんとか誤魔化してきたよ。あれ、出木杉くん?!」

のび太「ムリして来ちゃったんだって」

ドラえもん「この薬を飲むといいよ。半日もすればどんな病気も治るから」

出木杉「みんな、迷惑かけてごめん……」

のび太「めいわくなんかじゃないよ! 友だちでしょ!」

しずか「そうよ! 出木杉さんのおかげでここまで来られたんだから!」

ジャイアン「今日はぜってー勝つ! おまえはそこで見てろって!」

スネ夫「そうそう。なんとかなるよ、多分」

桑田「ハハッ、青春だな! これは人生のセンパイとしてがんばらねーと」


当然ながら、試合はジャイアンズの圧勝であった。ありとあらゆる変化球と速球を駆使する桑田に
相手選手は打つ手なしである。のび太は毎回派手に打たれるのだが、そのたびに桑田がスーパープレイで
アウトに持ち込みコールドゲームで試合は終わった。




755: ◆takaJZRsBc 2019/08/10(土) 21:51:39.35 ID:k0lH/97/0


  ― 野比家 ―


のび太「ありがとう、お兄さん!」

桑田「おう。久しぶりのリトルの試合だし、童心に帰れてこっちも楽しかったぜ」

ドラえもん「そっちは最近どう?」

桑田「ああ、人質にされてた俺達の家族や仲間を未来機関で助け出したところだ」

のび太「たしか、ドラメッド達もしばらく残ってくれることになったんだよね?」


ドラメッド『仕事があるキッドやマタドーラ、ドラリーニョは難しいが
       ワガハイと王ドラ、ドラニコフはしばらくここに残るである』

王ドラ『わたし達の力で復興の手助けが出来れば何よりです!』

ドラニコフ『ワウワウ(まだ絶望の残党も残っているから油断できないしね)』

葉隠『おおー! そうかそうか。じゃあ道具を少し分けてもらっても……』

ドラメッド『ついでに葉隠殿がサボらないように見張っているである』

王ドラ『そうですね』ジトー

ドラニコフ『アオオー』ジトー

葉隠『そんなぁー勘弁だべ!』


桑田「そうそう! いやー、大活躍だわ。すげーなドラえもんズ。……あと葉隠か」

桑田「あいつ褒めるのはなんかシャクだけど、実際葉隠とドラメッドの占いコンビがすっげー活躍でさ。
    あいつらのお陰で、塔和シティって大きな街のデビルヤバいテロも未然に防げたんだよ」

のび太「そうなんだ! よかったぁ!」




756: ◆takaJZRsBc 2019/08/10(土) 22:06:13.25 ID:k0lH/97/0


桑田「しかもさ……なんとテロを計画してたのが大人に虐待されてた子供だったっつー話で……
    王ドラとドラニコフが責任を持って更生させてくれるって言ってたわ」

ドラえもん「その二人なら安心だ。ドラえもんズでも優秀な方だったからね。街の方はどう?」

桑田「未来の道具様々だよ。あくまで俺達だけの秘密だからこっそりとだけどさ。
    でも、かなり速いペースで復興できてると思うぜ。今度舞園ちゃんのコンサートやるんだ」

のび太「本当?! ぼくたちも行きたい!」

桑田「もちろん、おめーらは特等席に決まってるだろ。チケット取っといてあるってさ」

ドラえもん・のび太「やったー!」

桑田「じゃあな。またコンサートで会おうぜ」

のび太「また今度!」

ドラえもん「みんなによろしくね!」



  ― とある島 ―


江ノ島「あーあ、退屈」

戦刃「盾子ちゃん! 見て! 貝だよ!」

江ノ島「あ、そう。よくまあ飽きもせず泳いでられるわね」

戦刃「だって、海しかないし。運動するの好きだし」

江ノ島「お姉ちゃんのノー天気ぶりが羨ましいわ」

戦刃「でも実際恵まれてると思うよ。私達のやったことを考えたら、死刑か
    窓のない部屋に拘束されて死ぬまで監禁でもおかしくなかったし」




757: ◆takaJZRsBc 2019/08/10(土) 22:20:58.23 ID:k0lH/97/0


江ノ島「いっそ死刑で良かったのよ。懲役500年なんて笑えないわ。寿命での獄死も
     認められないし、期間が終わるまでずーっと社会の役に立つ道具を作り続けろなんてさ」

戦刃「真面目に働けば短くなる可能性もあるって言ってたし、22世紀までには
    出られるといいね! そうすればドラえもん達にまた会えるかもよ」

江ノ島「会いたくないっつーの! アタシの計画をメチャクチャにした元凶よ?」

戦刃「前の盾子ちゃんだったら、大事な計画をメチャクチャにされて絶望的ー!って言ってたのに」

江ノ島「あー、本当よ! 普通にイライラする。社会貢献なんて死ぬほどガラじゃないのにさ!
     でも喜んじゃう。絶望的に絶望で最悪だわ、こんなの!!」


22世紀の道具の力によって、江ノ島は絶望ではなく普通に希望で喜ぶように
性格を改変されている。そのため、感性が普通になっていた。二人しかいない孤立した島で
機械に指示された仕事をただ延々とやり続ける。それが江ノ島達へ与えられた罰である。


江ノ島「アタシに一番効く刑が退屈、なんてよくわかってんじゃないのアイツら……それに……」

ミニドラ「ドララー! ドララー!」

江ノ島「憎たらしいこいつらの修理もしなきゃなんないなんてさ……」

戦刃「3日に一度は外出させてもらえるし、ミニドラ達もいるし私は満足してるな。
    あ、そうそう。明日はご飯にレーション出るって! 楽しみだね!」

江ノ島(あと499年もこんな生活をし続けなきゃいけないなんて気が狂いそうよ……)

江ノ島「あー、絶望的ぃ~~~!!!」



――青い空に、江ノ島の絶叫が響いて消えた。




758: ◆takaJZRsBc 2019/08/10(土) 22:35:51.38 ID:k0lH/97/0



エンディングテーマ1
http://www.youtube.com/watch?v=66HzS1SXAgo




のび太「うわーん! またいじめられたよー! ドライブには四人までしか連れていけないって」

ドラえもん「きみ、しずかちゃん、ジャイアン、スネ夫。四人じゃないか」

のび太「出木杉くんにゆずった。本戦でもだいかつやくだったし」

ドラえもん「えらいじゃないか! よーし、ここはぼくに任せろ!」


  ― 海際のハイウェイ ―


しずか「風が気持ちいいわね」

スネ夫「スネ吉兄さん自慢のオープンカーだからね!」


パラリラパラリラー!!


ジャイアン「なんだ?!」

出木杉「後ろ! なんだかすごいのが来てるよ!」

大和田「ハハハッ! ちんたら走ってやがるな。こっちはもっとスピード出せるぞ!」

のび太「うわーい! すごいや!」

大亜「しっかり掴まっとけや。まだまだレースはこれからだぜ」

ドラえもん「さすが本物の暴走族だ!」

ジャイアン・スネ夫「の、のび太ー?!」

大和田「勝負するか、ボウズども? ああん?」

ジャイアン・スネ夫「ひ、ひえー?!」




759: ◆takaJZRsBc 2019/08/10(土) 22:44:24.84 ID:k0lH/97/0


のび太「アハハハハッ! ビックリしてる。やったね!」

しずか「のび太さん、その人たちとどういう関係なの?」

のび太「友だち!!」

出木杉「のび太くんは本当に顔が広いなぁ」


またある時は――


のび太「うわーん! 自慢された。ぼくもまんが家のサインがほしいよー! なにか道具だしてー!」

ドラえもん「道具なんて使わなくても知り合いに本物がいるじゃないか」

のび太「あ、そうだった」


  ― 山田のスタジオ ―


山田「それで僕のアトリエに来た訳ですな。この大ヒット漫画家の山田一二三にお任せあれ!」

セレス「違う世界ですがよろしいのですか?」

ドラえもん「パラレルワールドだから、ぼくたちの世界にも漫画家の山田くんは存在するんだよ」

山田「おっふ。違う世界でも大活躍してるとは我の創作精神は時空を超えてしまったようですな。フヒヒ」

のび太「というか、セレスさんふつうに山田さんといっしょにいるんだね」

セレス「専属ナイトが見つかるまでですわ。わたくしに紅茶を入れる人がいないと困りますから」

のび太「すなおじゃないなぁ」

ドラえもん「本当にね」

セレス「うるさいですわよ! 叩き出しましょうか?」




760: ◆takaJZRsBc 2019/08/10(土) 22:55:19.46 ID:k0lH/97/0



そして、またある時は――


のび太「またジャイアンになぐられたー!」ビエー!

ドラえもん「道具はダメだよ。たまには自分の力でなんとかしないと」

のび太「でも、一人じゃムリだよ……」

ドラえもん「じゃあ、教えてもらえばいいじゃないか。知り合いにいるだろう、世界最強の人間が」



  ― 新生・大神道場 ―


大神「よく来た、のび太よ。我が責任を持って鍛えてやろう」

のび太「あのー、お手やわらかに……」

朝日奈「よーし! まずは軽く腹筋百回からね!! 簡単でしょ?!」

のび太「それで軽く?! うそだー!!」

ケンイチロウ「まあ待て、朝日奈殿。まずはのび太殿のペースを見極めなければ」

大神「うむ、我らに合わせたら体を壊してしまう」

朝日奈「あはは、ごめんごめん。よーし、じゃあのび太のペースで行ってみよう!」



  ― 空き地 ―


石丸「試合だと聞いて応援にきたぞ!」

不二咲「がんばってー!」

舞園「がんばってくださーい!」




761: ◆takaJZRsBc 2019/08/10(土) 23:01:43.31 ID:k0lH/97/0


スネ夫「ねえねえ、あのお兄さんたち誰なの……?」

しずか「えーっと、のび太さんのお友達じゃないかしら……」

出木杉「のび太くんは交友関係広いからね」

ジャイアン「気になって集中できねーじゃねえか……」

のび太「えーい」パコーン!

ジャイアン「ギャッ!」

苗木「やったー! すごいよ!」


エンディングテーマ2
http://www.youtube.com/watch?v=M72l2lk2QeU




  ― ジャバウォック島 ―


十神「いよいよ約束の新世界システムだ」

腐川「こ、後悔するんじゃないわよ」

カムクラ「後悔なんてあるはずがありません。……ご迷惑をおかけしました」

霧切「では、新世界システムを起動するわ」

カムクラ「そうだ。ナビゲーションのAIですが……」

霧切「大丈夫よ。あなたの指定した通り、彼女のデータを入れてあるわ」

十神「不二咲が在学中に作っていたデータが学園に奇跡的に残っていたからな」

腐川「才能授業で一緒だった本人から提供してもらったデータだから、限りなく本人に近いはずよ」




762: ◆takaJZRsBc 2019/08/10(土) 23:20:55.30 ID:k0lH/97/0



カムクラ「……ありがとうございます」


カムクラは深々と頭を下げた。もう彼は無感情などではなかった。



  ― ??? ―


狛枝「あ、最後の一人が来たようだね」

西園寺「また来たのー? 時間も守れないとか生きてる意味ないよねー?」

罪木「うゆう、ごめんなさーい! 許してくださーい!」

小泉「アハハ、あなたのことを言ってるんじゃないと思うな……」

ソニア「そうです! 苦しゅうない。良きに計らえー!」

花村「おっと、それは君を僕の好きなように料理しちゃっていいという意味かな?」

日向「……ここはどこなんだ? 俺は一体……」

ウサミ「いらっしゃいませでちゅ、日向くん! あなたのことを待ってまちた!」

狛枝「ちょうど、みんなで自己紹介をしていたところだったんだよ」

日向「そう、なのか……」

七海「初めまして、日向君。七海千秋だよ。いや、この場合は……」ウーン?





七海「久しぶり、かな?」

日向「――え?」




763: ◆takaJZRsBc 2019/08/10(土) 23:28:53.73 ID:k0lH/97/0

no title



764: ◆takaJZRsBc 2019/08/10(土) 23:31:06.27 ID:k0lH/97/0

no title



765: ◆takaJZRsBc 2019/08/10(土) 23:34:19.34 ID:k0lH/97/0

no title



766: ◆takaJZRsBc 2019/08/10(土) 23:37:09.25 ID:k0lH/97/0

no title



767: ◆takaJZRsBc 2019/08/10(土) 23:39:26.31 ID:k0lH/97/0

no title



768: ◆takaJZRsBc 2019/08/10(土) 23:44:47.73 ID:k0lH/97/0

no title



769: ◆takaJZRsBc 2019/08/10(土) 23:46:58.94 ID:k0lH/97/0

no title



770: ◆takaJZRsBc 2019/08/10(土) 23:50:59.26 ID:k0lH/97/0

no title



771: ◆takaJZRsBc 2019/08/10(土) 23:57:14.38 ID:k0lH/97/0

no title



772: ◆takaJZRsBc 2019/08/11(日) 00:03:28.84 ID:1BugY+gB0

no title



773: ◆takaJZRsBc 2019/08/11(日) 00:09:25.32 ID:1BugY+gB0

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774: ◆takaJZRsBc 2019/08/11(日) 00:11:30.78 ID:1BugY+gB0

no title



775: ◆takaJZRsBc 2019/08/11(日) 00:14:20.02 ID:1BugY+gB0

no title



776: ◆takaJZRsBc 2019/08/11(日) 00:19:37.50 ID:1BugY+gB0


             ・

             ・

             ・


ドラえもん「ハァ、今日も平和だなぁ。ねえ、ミーちゃん」

ミー「ニャー」

のび太「ドラえも~ん!! 大変だよ、大変! 大変なんだ!!」

ドラえもん「なんだい、ぼくはいまミーちゃんとデート中なんだよ」

のび太「それが、ダンガンロンパの続編がまた出るんだって!!」

ドラえもん「ああ、スーパーダンガンロンパ2でしょ? 知ってるよ、そんなの」

のび太「ちがうよ! 2はもう出てて、こんど出るのは3なんだって! ダンガンロンパ∨3!」

ドラえもん「な、なんだって?!」

のび太「ほら、この雑誌みて!」

ドラえもん「どれどれ……才囚学園? 今までのシリーズとはまったくちがう、完全な新作?
       もしかして、今度の作品は希望ヶ峰学園は全く関わってないのかな……?」

のび太「わからないけど、ほっとけないよ!」

ドラえもん「よし、行こう!」

のび太「今度はみんなで行こうかな。今までとまったくちがうらしいし」

ドラえもん「そうだね。もしかしたら違う世界の可能性もあるし。みんなで考えた方がいいかもしれない」

のび太「よーし! そうと決まったら、がんばるぞー!!」

ドラえもん「おー!!」




777: ◆takaJZRsBc 2019/08/11(日) 00:22:07.40 ID:1BugY+gB0






                          ~  F i n  ~







元スレ
ドラえもん「ダンガンロンパ?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515331445/
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          • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年08月18日 06:05
          • 大作だったわ 乙
          • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年08月18日 06:44
          • シリーズを網羅しつつ、
            双作品の要素を上手く調和させた名作SS。
            作者のロンパ&ドラえもん愛が存分に伝わって来た。
            とても面白かったです。
          • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年08月18日 17:35
          • のび太「『核ミサイルなんて飛ばない。世界は平和になった』!」

            ウソになるんだからこれだとミサイル飛んでくるよね
            後タイムパトローラーって呼び名だけ気になったけど面白かった
          • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年08月18日 19:25
          • ソノウソホントだから間違ってないぞ
            と思ったがウソ800の方だったか
            これだと確かにミサイルは飛ぶし世界は荒廃するな
          • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年08月18日 20:03
          • 5 良いクロスオーバーだった。最後に彼らが出てくるとは懐かしさでヤバかった。
            久し振りに良作長編が読めてありがとう。
          • 6. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年08月19日 02:47
          • 5 これはマジで名作
          • 7. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年08月19日 12:56
          • 5 面白かった クマー
          • 8. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年08月20日 00:09
          • 振り幅凄くて楽しかった
            ドラはやはりのぶ代で再生されるなぁ
          • 9. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年08月22日 18:15
          • めっちゃ面白いなこれ
            ドラえもんズ復活してほしいわ
          • 10. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年08月24日 00:33
          • 面白かったけど
            ナチュラルにスネ夫がオープンカーを運転してて草
            お前小学生だろ!
          • 11. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年08月24日 09:02
          • すげぇ面白かった
            これは大作だわ
          • 12. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年08月26日 22:20
          • 面白かったけどいくつか気になるところがあったな
            時間移動したドラえもんたち以外のメンバーは性格改変されて優しくなったセレスしか知らないからあのセレスがとはならんだろ
            あと江ノ島が時間犯罪起こしたそもそもの原因はドラえもんが来たことなのにドラえもんがイレギュラーってのはおかしい
          • 13. 戦刃疾(夜のpc)がお送りします
          • 2019年08月31日 07:07
          • マイゾノザン!ナジェゾンナガオデミデルンディス!オンドゥルルラギッタンディスカ!?
          • 14. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年09月01日 10:19
          • 1 ないわー
          • 15. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年09月03日 10:04
          • ※12
            セレスに関しては、根っこが丸くなっただけで普段はほとんど変わらないってあった気がする
            イレギュラーに関してはよくわからん。タイムパラドックス的な感じじゃない?

            原作でも結構そういうとこ適当だったし
          • 16. 以下、戦刃疾(夜のpc)がお送りします
          • 2019年09月04日 06:04
          • 最後の良かった。
          • 17. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年09月22日 14:31
          • 5 論破は全員生存させたくなるよな
          • 18. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年11月17日 18:42
          • 64ゲーム限定のハイパー空気砲まで網羅してるとかこの作者凄いなぁ。
          • 19. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年11月17日 18:44
          • 最終的に22世紀の世界がV3に繋がるかと思った。

            続編やるならあり得そうだけど。
          • 20. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年12月24日 13:49
          • 5 素晴らしい作品でした…!書いてくれた方にありがとうを言いたいです!
          • 21. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2020年06月25日 07:14
          • 5 徹夜して朝まで読んでしまった
            すばらです
          • 22. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2020年09月06日 17:41
          • 5 とても面白かったです!
            個人的には最後のエンディングは星野源のドラえもんが脳内再生されました!
          • 23. 以下、戦刃疾(夜のPC)がお送りします
          • 2020年11月01日 07:12
          • 5 もっと評価されるべき
          • 24. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2020年12月14日 12:43
          • ダンロンとドラえもんの両方の作品の愛が感じられた
            ダンロン二次創作あるあるのキャラ崩壊もなく各々のキャラの良さが出てて素晴らしい
            平和な皆見てたら泣いたし最後めっちゃ胸アツだった…
            言いたい事全然まとめられなかったけど良い作品だった
            投げ銭したいレベル
          • 25. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2023年04月25日 00:54
          • 感動の大作..!
          • 26. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2024年03月13日 21:24
          • これは傑作

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

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