【ミリマス】トライスタービジョンの心霊スポット大調査
こんばんは。田中琴葉です。
これは先日、お仕事でとあるスタジオにお邪魔することになった時の話です。
よくある心霊スポットを巡ろうという番組の企画ものでした。
参加したのは番組のディレクター。
カメラマン。
番組のアシスタントスタッフ。
番組が用意した霊媒師。
私たちのプロデューサー。
私、田中琴葉。
所恵美。
島原エレナ。
私達が行くことになったのは
もう完全に幽霊が出ると噂になっているハウススタジオでした。
移動の時にディレクターからは
「ここのスタジオはすごい"出る"ことで有名なんだよなぁ。
まあそれは良いとして、出てもらわないと困るからね。
で、最初はみんなでスタジオの離れに住んでいる管理人の夫婦に挨拶に行くから」
と、あらかじめ伝えられました。
正直、霊が出ると言われているスタジオにずっと住み続けている夫婦が
一体どんな神経をしてそこに住み続けているのかは全く予想できないし、
考えたくもありませんでした。
それから、
その現場に着くと薄気味悪い……古ぼけた二階建ての家屋がありました。
その家屋の横を通り抜けて、離れの家にこのスタジオの管理者がいると言うのです。
「な、何だか本当に薄気味悪い場所ね……」
「大丈夫大丈夫、アタシらには霊媒師さんいるし!」
私の心配を他所に所恵美はそう言って笑っていたけれど、
同じユニットのメンバーの島原エレナはもうずっとガタガタと震えていて、
恵美の腕に絡まっていた。
涙を浮かべる彼女は小さい声で
「ここ……ほんとにやばいヨ……無理……」
と続けていました。
エレナの気持ちは分かる……。
すごく不気味な建物。
私は怖がるエレナの背中をさすりながらスタッフ達の後ろに着いて行きました。
離れのインターホンを押すと、ピンポーンというチャイムが響き渡ったあとで
「ザザー……はい!」
と、ノイズが気になったあとに50代程の男性の声がしました。
それから番組スタッフが撮影に来たことを伝えると、インターホンは切れ、バタバタと玄関に向かうようになった。
すると、出てきたのはスタジオを管理している声の主の旦那さんともう一人は奥さんだった。
思いの外元気な挨拶が飛んできた? と思っていたけれど、やっぱり声の主はとても元気のいい人だった。
なんというか、元気すぎてウザイというか……ううん、こんな言葉使っちゃダメよね。
私達は全員で管理人の夫婦に挨拶をする。
「あーどうもどうも! ここで撮影やるんだってね! まあこの前もねえ、テレビ局のねえ、なんだっけ。
映画撮影やったんですよ。まあなんかその人達もあんまり撮影のセンスっていうの? なかったんだけどさ。
俺から言わせるとね! まあ適当にやっていってよ」
こんなに薄気味悪い所なのに、管理者であるこの男性はこんな調子でとても明るく、
「この前も映画の撮影をしたんだ」とか
「ここには色々な霊媒師が来ている」とか、
ベラベラと聞いてもいないことを喋り倒していた。
その明るさとは反対に、一緒に居た奥さんは暗く、ずっとこちらを睨んでいるかのようだった。
まあ、こんな大人数で毎度毎度来たらそういう顔もしたくなるのかな……と。
さっそく家屋に入り撮影を始めることに。
「トライスタービジョンの心霊スポット大調査?!」
恵美の軽やかな声とは裏腹にエレナは撮影が始まっても尚、私の腕にしがみついてきていた。
「ンも?、それじゃぁさっそく行ってみようか!」
と家屋の引き戸をガラガラと開ける。
エレナは引き戸を普通に開けた音でさえ「ひいっ!」と悲鳴を上げていた。
一方で霊媒師の方は撮影前からそうだったが、この家屋の2階の方をじーっと見ている。
そして静かに「ここは……やばい」と呟いた。
私たちにしっかり聞こえるように、
マイクにも乗るように言うのはこの人テレビ慣れしてるんじゃないかなぁと
思う仕草だったけれど、ここでは何も言わないことにした。
1階を恵美はサクサク進んでいくが私はエレナが引っ付いているので思うように前に進めないし、
エレナがことある事に大きな声で悲鳴をあげるので私はそっちにビクビクするようになっていた。
どこの床を歩いてもいやなギシィ……というきしむ音が鳴る。
ホコリっぽくて薄暗い。
霊媒師さんは相変わらず2階を睨んでいて、ついに
「2階からね、お爺さんの声で何か呼んでるんですよ……」という。
恵美はそれを聞くと目をキラキラさせながら「んじゃあ2階行くしかないでしょ!」
というが、この頃にはエレナはもうずっと泣いててガタガタ震えている。
私の衣装の袖をギューって掴むものだからシワになっている。
恵美と霊媒師さんを先頭に2階に上がっていく。
大きな部屋になっているが霊媒師さんはブツブツと念仏を唱えながら部屋の隅っこを見ている。
「ここはやばい……」
「お爺さんの霊が私達をずっと見ている」
と、そういうのだが、勿論私や恵美、エレナにも見えない。
が、何か目に見えない何かが“ある”というのは肌で感じていた。
恵美もさすがにこの空気の圧迫感に怖くなってきたのか
エレナとは反対の方の私の腕にしがみついてくる。
私だって怖いから……誰かにしがみつきたいのに。
するとそこに声が急にする。
「おい」
エレナはもうこれでもかというくらいに飛び上がり悲鳴をあげた。
「いやああああ!!!」
声の方を見ると、それはさっきの管理者の男の方だった。
何か用事? 注意事項? と思ったが、
男はあろう事か撮影の内容に口出しをしてきたのだ。
「いや、この2階はね、こうやって下からパンして撮ると」
「いや、すみません……撮影中ですので大人しく待っててください」
プロデューサーはサッとその男性を止めに入った。
しぶしぶ、戻っていく男性に私たちはほっと安心していた。
改めて思うけれど声の主が人で良かった。
結局、
撮影は何も起こらずに終わってしまった。
薄気味悪い、場所に行って気分が滅入っているのは確かだが。
全ての片付けを終わらせた時、プロデューサーとディレクターが
さっきの管理者の男の元へ鍵を返しに行って戻ってくるのを待っていた。
エレナは
「心霊スポットはもう二度とイヤだヨ……」とまだ泣いていた。
プロデューサーとディレクターが戻ってきた時、
プロデューサーは少し嫌そうな顔をしていた。
「プロデューサー? どうしたんですか?」
「いや……あの管理人の男……またベラベラ喋っててさ……。
なんか俺らのことちょっとケチつけるのよな」
プロデューサーから聞いたその管理者の男性が話した内容はこうだった。
『俺から言わせれば霊媒師なんてのはみんな嘘っぱちだよ!
あんなのインチキだよ。それに撮影する連中も、みんなセンスがないんだよなぁ?!
どの撮影も同じとこばっかり撮るんだよ。霊媒師の人また言ってなかったか?
あそこの2階に霊がいる! なんてよ。あんなの嘘嘘! 自殺したお爺さんの霊とだろ?
あそこは誰も死んでなんか居ないよ。
自殺したのは女のなんだから。
俺はこの家に5年住んでいるけど霊なんて見たこと無い。
5年も一人暮らししてるのに』
じゃあ、あの女の人は……?
以上です。
終わります。
元ネタは伊集院光さんの話です。
ありがとうございました。
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コメント一覧 (2)
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- 2019年08月17日 10:45
- あれは伊集院の喋りが巧いだけの気がしないでもない
-
- 2019年08月18日 00:09
- 本人には見えない系か。