【モバマス】松永涼「夜想曲」
煩わしいしがらみも、鬱屈した世界の喧騒も。
何もない。 何も、ないのだ。
闇をひた歩き、心に溜まってしまった凝りや雑念を
ただ、吐き出したくて。
甘えてみたくて、歩くのだ。
昔から、歌が好きだった。
一日、誰もいない公園で一人、特に意味のないフレーズを並べて。がむしゃらに、それらしく、格好だけつけて歌っていた。
意味なんてなかったし、先行きなんて真っ暗だった。
たまたま気の合う仲間を見つけて、テキトーなフレーズに、曲をつけて、歌って。
「でも…楽しかったよな」
「今…変われてるのかな、アタシは」
ふと空を見上げる。月は、見えなかった。
朝が来て、今日も一日が始まる。
空の向う側が少しずつ白んできて、眩しいくらいでかい大陽が昇っていく。
特に何をするでもなく。一晩中空を見つめていた。
センチメンタル、なんざアタシには似合わないってのに。
そんなもんは、歌い続けると決めた時に、とっくにどこかに捨ててきた、つもりだった。
それでも…踏み出した事に悔いはないし。
昔のままじゃ見えなかった景色を、今確かに見ているはずなんだ、きっとな。
「よう、悠貴。朝早いな。ランニングか?」
「あ、はいっ。日課なので、毎朝この辺りを走っててっ。凉さんはどうしてここにっ?」
「…んー、何となく」
「何となく、ですかっ…?」
「ああ、寝付けなくてさ、何となくだ」
「…いや、何に悩んでるのか自分でもわかんなくてな。モヤモヤしたままってのも嫌だから、ここに来てみたんだよ」
「そうなんですか…」
「あと…何となく、誰かに会える気がしてな」
「…会えましたね、私にっ」
「そうだな。…会えてよかった。」
「ん、ああ」
「だったら…一緒に走りませんか?ちょっとだけ…」
「おいおい、お前はトレーニングだろ?アタシが邪魔するわけには」
「いえ、ほっとけないですよっ。私でよければ、話し相手にはなれないかもですけど…一緒に走ることならできますからっ」
「…そうか」
「はいっ。…あ、嫌ならいいんですけどっ…その…えっと」
「…はいっ!」
何に悩んでたのか、何がキツくてここに来たのか
そんなこと、考えたって時間の無駄だし、どうせつまんないことに決まってる。
横に並んで走ってくれる、ダチがいてくれるから
面倒でどうしようもないしがらみを、吹き飛ばすために。
気付けば夜は明けていて、きっと今日も笑って生きていけるんだろう。
隣を走る、アタシよりほんの少し背の高い妹分に。その屈託のない笑顔に。
釣られるよう、不器用にアタシも、微笑みを返したんだ。
何となく、書き連ねるままに。
では、お目汚し、失礼をば。
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コメント一覧 (2)
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- 2019年07月23日 08:07
- >>>1
最後は「わかるわ。」で〆たら面白かったのに…
キミはそういう所がダメ。もっと頑張りましょう。
俺みたいな理不尽に次ぐ理不尽をひたすら受け続けた環境下に、彼らがもしいたら、耐えられるのだろうかと。
多分無理だ。
精神ぶっ壊れた人間をリアルに見てきたから。わかる。