アイアンマン「この魔法の世界に鉄人を!」【このすば×アイアンマン】【後半】
関連記事:アイアンマン「この魔法の世界に鉄人を!」【このすば×アイアンマン】【前半】アイアンマン「この魔法の世界に鉄人を!」【このすば×アイアンマン】【後半】
トニー「それと、悪いことは言わないから、遠くまで行くなら兜はかぶっておけ」
めぐみん「どうしてそんなに兜を推すのですか?」
トニー「別に?君もダクネスみたいに被虐趣味に目覚めたのかなと思ってね」
めぐみん「・・・?」
カズマ「なぁトニー、よく漫画で見るけどさ、実際に生身の人間が超高速で動いたらどうなるんだ?」
トニー「よし、ちょっとした科学の授業のお時間だ。まず、兜を付けずに高速で動こうとすれば呼吸できなくて窒息死するだろう。そして、音速に近付くにつれてまぶたは吹き飛び、耳の穴から中身が花鳥風月みたいに・・・」
めぐみん「すいません!やっぱり兜を装着します!」
ダクネス「そ・・・そんな凄い事になるのか・・・?/// ト、トニー、私にもスーツを・・・///」
トニー「めぐみん・・・君は本当に僕に次ぐ知力の持ち主なのか・・・?さっきから頭アクアな行動ばかりだぞ」
めぐみん「今のは知能ではなく知識の問題ですから!人間が高速で動いたらどうなるのか知らなかっただけです!私の知力は関係ありません!」
アクア「ねぇねぇ、ちょっと待って。頭アクアってどういうことなの?」
トニー「兜を装着して、外に出ろ。今度は髪をはさむなよ?」
ダクネス「んんっ/// 無視・・・っ!///」
....
..
.
地上
トニー『聞こえるか?めぐみん』
めぐみん「聞こえています。ラボの外まで出ましたが、どうやって飛べばいいんですか?」
トニー『まぁ、そう慌てるな。今君の体重や重心に合わせたフライトシステムの調整を・・・』
めぐみん「時には歩くことより走ることの方が重要なのですよ」
トニー『・・・言えてるな』
めぐみん「それでは、いざ!フライデー!!」
フライデー『了解しました。推進リパルサー照射開始』
キュィィインン…
シュゴゴ…
めぐみん「おっとと・・・こ、これ・・・意外とバランスとるの難しいですね・・・」フラフラ…
ギュンッ
めぐみん「あ」
ドギャッ
めぐみん「ぐぇっ!」
フライデー『額に擦り傷を検知』
めぐみん「えぇ、私も検知しました・・・」
トニー『派手に地面に突っ込んだな。君の視点をそのままモニターしてる僕が酔いそうだ』
めぐみん「うぐぐ・・・選ばれしアークウィザードであるこの私が・・・」
トニー『掌を下に向けて推進リパルサーを手から照射しろ。それでバランスがとりやすくなるはずだ』
めぐみん「あのポーズダサいのでやりたくないです」
トニー『!?』
....
..
.
一時間後…
トニーのラボ
トニー「We are fantastic dreamer ~♪」カチャカチャ…
カズマ・アクア・ダクネス「・・・」ジー…
トニー「・・・なんだ?」
アクア「ずっと待っているのも退屈なのよ。トニーが何か作っているのを間近で見たことないし」
アクア「それにほら、この私は美術面にも強い女神ことアクア様なのよ?なにかアドバイスできることがあるかもしれないじゃない?」
トニー「今からやるのは図画工作じゃないぞ?」
アクア「もー、すぐそうやって皮肉を垂れる癖何とかならないの?」
ダクネス「私も、お前がどんなものを作るのか気になるのだ。見ててもいいか?鍛冶については、まったくの無知って訳じゃないからな」
トニー「見てる分には構わないが・・・工具を見て発情したりするなよ?」
ダクネス「そんなことするかぁっ!?お、お前は私をなんだと思っているのだ!?」
トニー「変態」
ダクネス「ぅんっ・・・/// そ、そんなハッキリ・・・」
カズマ「俺も暇で来た。ここにあったゲームも全部遊んじまったしな。で、今は何やってるんだ?」
トニー「君の装備の改造だ。弓にレーザーポインターを取りつけて命中率を上げている」
カズマ「ほぉ~・・・」
トニー「そして、トリックアローを矢筒に装着。爆弾、聖水、高圧電流と言った特殊効果がある矢尻を、弓に接続されたコントローラーの操作で瞬時に矢に装着出来る」
カズマ「えっ・・・」
トニー「マジックスクロールを小型化して矢尻に取り付けられないかどうかも実験する予定だ」
カズマ「なにそれこわい」
アクア「それこの短時間に作ったの・・・?」
トニー「いや、僕の仲間に弓矢を使う男がいてね。彼の装備のストックをそのまま使ってこの神器に組み込んでいるだけさ」
ダクネス「ここに来る前に所属していたパーティーがあったのか!」
トニー「パーティー・・・まぁ、パーティーみたいなものか。色々な旅をしたな・・・砦を潰したり、宇宙・・・いや、他国から侵略してきた連中と戦争したり・・・機会があれば、そのうち詳しく話すよ」
カズマ「そういえば、なんだかんだでトニーの話はあまりしてないよな。最後に話してくれたのは・・・NYでエイリアンと大乱戦した所だったか?あれまた映像付きで見せてくれよ。映画でも見たような気分になれる」
ダクネス「またあの話をしてくれないか!?電気の流れる鞭を扱う男の話を・・・!鞭を扱う敵なんてそうそういないからな!仲間をより守りやすくする後学の為にも是非!」
カズマ「お前の私欲の為だろうが」
トニー「そんなに気になっていたのか?だったら、めぐみんが戻って来たら夕飯にして、その時にまた話の続きをしてあげよう」
アクア「話をするんだったら、私達の屋敷でしておきたかったわね。きっとあの子も喜んだでしょうに」
トニー「・・・あの子?」
カズマ「気にするな。屋敷でちょくちょくアクアの酒が無くなるんだが、アクアはそれを幽霊のせいだと言って俺に酒をねだるんだよ」
トニー「・・・」チラッ…
アクア「本当だから!本当にあの家には冒険話が好きな女の子の霊がいるのよ!お酒欲しさにそんなウソついたりしないわよ!だからトニー!そんな呆れた目で私を見ないで頂戴!」
トニー「幽霊云々はともかく・・・まぁ、ロキを倒したら、その時は君たちの屋敷で祝おうか。お酒とジャンクフードでパーティーしよう。君たち風に言うなら、勝利の宴ってやつか?」
ダクネス「“じゃんくふーど”と言うのは分からないが、宴会は賛成だ。旅行にもいかないか?」
ダクネス「確かトニーは、この国で観光はしていないのだろう?」
トニー「魔法を調べるのとか、便利なスキルを取るのに忙しくてね。そんな暇はなかった。だがまぁ、飯が美味いのは気に入ってる」
トニー「・・・食べようとしたアスパラガスに指を突かれ、キャベツの葉にビンタされたときは本気でこの世界が嫌いになるところだったが・・・」
カズマ「気持ちは分かるけど、野菜を皿ごとビームで消し炭にするなよ。あの時ギルドが大騒ぎになったんだからな?ギルドの人たちに頭下げまくった俺の身にもなってくれ」
トニー「そりゃ悪かったが、どう考えてもおかしいだろ!なんで野菜が攻撃してくるんだ!」
アクア「トニーったら何を言ってるの?野菜だって食べられないように必死に生きてるんだから反撃してきて当然じゃない」
トニー「お前が何を言っているんだ!」
ダクネス「まぁまぁ、話がズレているぞ。それで、トニーは行ってみたい場所とか無いのか?」
トニー「あー・・・そうだなぁ、あえて言うなら・・・賑やかで、かつ落ち着ける場所もあって、景色が綺麗でゆっくりできるところ・・・とか?」
アクア「中々贅沢を言うわね・・・でも、そんな欲張りトニーの条件を満たす場所が一つだけあるわ!」
アクア「・・・そう、アルカンレティアよ!」
カズマ「おいふざけんな!絶対嫌だぞ!!」
ダクネス「わ、私はアルカンレティアでも構わないぞ・・・アクアが行きたいと言っているんだ、仲間の意見を尊重する為に、折れようではないか!」
カズマ「だからお前の私欲の為じゃねーか」
めぐみん『ちょっと、そういう楽しい話は私もいる時にしてくださいよ』
トニー「こうして無線で繋がっているじゃないか」
めぐみん『旅の話は直接するものなのですよ。それで、トニーの要望ですが・・・さすがに私もアルカンレティアには行きたくないです』
アクア「何でよー!!どうしてそんなにウチの子達を毛嫌いするの!?」
トニー「どうしてあんなカルト集団が好かれると思っているんだ?」
めぐみん『なら、景色はアルカンレティアに及びませんが、同じく温泉の街であるドリスはどうでしょうか?あそこならゆっくりできると思いますよ』
トニー「温泉の街か・・・悪くないな。風呂の中で焼酎でも飲めれば」
アクア「良いわねぇ!アルカンレティアじゃないのがちょっと不満だけど、お風呂でお酒が飲めるなら文句ないわ!」
めぐみん『今度は“くるま”じゃなくてちゃんと馬車で向かおうではありませんか。それから・・・』
--------すぐ近くの物陰
ゆんゆん(ど、どうしよう・・・戻ろうと思ったら、なんだかとても混じりにくい話してる・・・)
ゆんゆん(今私が出たらきっと気まずいよね・・・でも、このタイミングで出たら、もしかしたら誘ってもらえるかも・・・)
ゆんゆん(いやいや、いつもいるメンバーでも無いのに一緒に行ったら“えぇ~、なんで仲間でもないのにこの子ついて来てるの~?”って感じになりそうだし・・・)
ゆんゆん(でも、仲間で旅行かぁ・・・いいなぁ・・・)
ゆんゆん(私も・・・)ショボン…
フライデー『ゆんゆん様。私が話の中に入れるようにさりげなくサポートいたしましょうか?』
ゆんゆん「えっ・・・良いんですか?というか、私が今何考えてるか分かったんですか!?」
フライデー『表情と仕草にとてもよく出ていらしたので』
ゆんゆん「は、はずかしい・・・///」
フライデー『私は感情の無い人工知能です。お気になさらずに。ゆんゆん様はこのままボス達と合流して、普通にお話をしていてください。そのあとで私が・・・』
--------- ラボ 作業室
めぐみん『・・・と、ドリスに向かう途中もこんな感じで楽しめそうなところがあると思うのですが、どうでしょう?』
カズマ「良い事思いついた。馬車でゆっくりと景色でも眺めながら、道中の湖にめぐみんに爆裂魔法を撃ってもらおうぜ。そんで、浮いてきた魚を捕まえてバーベキューしよう」
アクア「じゃぁ私は、出発する前日になったら肉屋のおじさんのところで高めの美味しい肉を買ってくるわね!トニーはお酒よろしくね!」
トニー「なんだか今朝仲間が殺されて撤退してきたとは思えない程気楽な会話だが・・・まぁ、この空気の方が良いんだろうな」
スッ
ゆんゆん「ど、どうも、トニーさん。本を読ませてもらっていました。面白かったです」
めぐみん『おや?不法侵入者がいるようですね』
ゆんゆん「ひどい!私がいたの見てたでしょ!?」
めぐみん『見てましたが、いかんせん影が薄いので忘れてました。他の皆もそうだったと思いますよ?』
ゆんゆん「そ、そんなぁ・・・」
アクア「そ、そそ、そんなことは無いわよ!?私はちゃーんと覚えていたに決まっているじゃない!」
カズマ(やべぇ、頭からすっかり抜けてたなんて言えねぇ・・・どうしよう、旅行の話がもし聞かれてたら気まずい・・・)
トニー「僕の本はどれも科学の入門用とは程遠い専門書だらけだったと思うんだが・・・理解できたのか?」
ゆんゆん「はい、フライデーさんに所々分かりやすく教えてもらいながらですが、大体の内容は理解したつもりです・・・」
トニー「そりゃ凄い、さすがは紅魔族だな。あとで僕の書いた論文も見せてあげ・・・」ヴーッ ヴーッ
トニー「・・・ん?」
トニー(僕の端末にメール?今この世界で僕にメールを送れるのは・・・)ピッ
【F.R.I.D.A.Y.:ゆんゆんが仲間になりたそうな目でこちらを見ています】
トニー「・・・」
トニー(フライデー、誰の影響でこんなおかしな事を言うようになったんだ・・・後でウィルスチェックを入れておこう。だがその前に・・・)
トニー「なぁ、みんな。ゆんゆんも誘うのはどうだ?旅は多い方が良いだろう?」
ゆんゆん「・・・!」
ダクネス「あぁ、そうだな。旅は多い方が良い」
ゆんゆん「!」パァッ…!
アクア「うんうん!元々誘うつもりだったのよ?決して忘れてたとか、そんなことは無いわ!!」
カズマ「そ、その通り!忘れて何ていなかったぞ!俺も誘おうとしたんだ!」
トニー「僕が思うに、君たちはもう黙っていた方が良いと思う」
ゆんゆん「あ、あの・・・私がいても迷惑になりませんか・・・?」
めぐみん『ほんっとうに面倒くさい人ですねあなたは!誘って貰ったんですから素直に喜べばいいではないですか!』
ゆんゆん「う、うん・・・そうだよね。ありがとうございます、皆さん。誰かに旅行に誘ってもらえるなんて本当に嬉しくて・・・このことは日記に書いて二重の鍵がかかった箱の中に大切に保管・・・」
カズマ「重てぇ!!遊びにならいくらでも誘ってあげるからもうそんなことすんな!こっちの心が折れそうだ!」
トニー「・・・」ポカン…
めぐみん『彼女はこういう人ですよ、トニー』
トニー「そ、そうか・・・友達がいないとは聞いていたが、ここまでこじらせていたとは・・・」
ゆんゆん「あ、あの・・・ところで、ずっと気になっていたんですけど・・・めぐみんの顔がそこの光る板に映っているのは・・・」
トニー「あぁ、モニターのことか?色々訳があって、めぐみんは僕のスーツを着て飛んでいる」
トニー「そして、今は遠くまで飛んで強力なモンスターに上空から爆裂魔法を撃ちこんで経験値を稼ぎに行っているところだ。僕のスーツは自動で動けるから、撃った後でも一人で帰ってこれる。便利だろ?」
ゆんゆん「スーツって、今朝ドラゴンに襲われたときに、トニーさんがソファーを変形させて装着してたやつの事ですか?」
トニー「正確にはソファーの内部にスーツが内蔵されたんだが。そう、そのスーツだ」
ゆんゆん「へぇ・・・ちょっとめぐみんが羨ましいです。あのスーツ、とてもカッコよかったので・・・」
カズマ(・・・なんだかんだ、ゆんゆんも紅魔族なんだなぁ)
めぐみん『あっ!面白いものを見つけましたよ!ちょっと地上まで近づきますね』
トニー「なんだ?フライデー、カメラモードをめぐみん視点に切り替えろ」
フライデー『了解しました』
ヴンッ
トニー「ん?この生物はなんだ・・・」
アクア「あー!カモネギじゃない!しかも、すっごく大きな群れ!」
トニー「ネギガモ?」
アクア「カモネギよ!すごく美味しくて、高経験値なんだけど、その見た目の愛くるしさから他のモンスターに襲われないって言われているとっても可愛いモンスターなの!」
ダクネス「めぐみんがちょっとうらやましい・・・一匹持って帰って・・・」
カズマ「おい!ウチにはもうちょむすけと、孵化予定のゼル帝がいるんだぞ!いくら可愛くてもこれ以上は駄目だ!」
トニー「・・・確かに可愛い見た目をしているな、ペッパーが気に入るかもしれない。フライデー、その生物の3Dモデルを取っておいてくれ。自分の国に戻ったら、それを元に大きな人形を---」
めぐみん『『エクスプロージョン』ッッッ!!』
カッ…
ズドァァァアアッ
トニー「」
カズマ「」
アクア「」
ダクネス「」
ゆんゆん「」
めぐみん『・・・めぐみんは、レベルが上がった』
ゆんゆん「ばかああああああああーっ!!!」
カズマ「お前ってやつは、お前ってやつはー!!」
アクア「わっ・・・わあああああーっ!めぐみんの鬼畜っ!カズマ!」
ダクネス「カモネギが・・・粉みじんに・・・!」
トニー「めぐみん・・・君は・・・人の心をなくしたのか?何か嫌な事でもあったのか?」
めぐみん『あんな経験値の塊を見たら、爆裂魔法を撃つしかないじゃないですか。あ、爆心地周辺にカモネギが残っていたら持って帰りますね。晩のおかずにしましょう』
トニー「・・・作業を進める気がなくなってきた」
....
..
.
三日後
ガチャッ…
カズマ「うーっす」
めぐみん「お邪魔します、トニー。作業中でしたか?」
トニー「やぁ、カモネギスレヤー。今はカズマ用の新装備の調整中だ」
めぐみん「まだその名前で呼びますか!次カモネギスレイヤーと言ったら酷い目に遭わせますよ!というか、あれは立派なレベリングです。そんな目くじら立てるようなものでもないでしょう」
カズマ「安楽少女を討伐した時、俺の前で泣きわめいたことを謝れよ」
めぐみん「・・・で、ロキは今どうなっているのですか?ギルドは今大変な騒ぎになっていますよ?」
トニー「フライデー、今日のロキ情報は?」
フライデー『特に何もありません、ボス。配下の冒険者たちへの命令だけです』
トニー「ま、二日三日程度で何か大きな変化があるわけもないか・・・」カチャカチャ…
カズマ「今いじってるそれは?」
トニー「君の籠手だ。敵に接近されたときに対処できるように小型の武器を取り付けようと思うんだが・・・なにか希望はあるか?」
トニー「ちなみに僕のオススメは、この対装甲車両切断用振動バッドソード、タイプRだ」
カズマ「対装甲・・・なに?ずいぶん長ったらしい名前だけど、なんだか惹かれる名前だな・・・」
トニー「略称はRバッソー。エンジンで刃を高速振動させてどんな固いものでもスッパリ切れる」
アクア「ちょっと!ウチの従者を勝手に魔改造しようとしないで頂戴!カズマにはね、神器を手に入れてパワーアップだとか、覚醒だとか、そんなイベントは似合わないのよ!」
アクア「雑魚相手にいつまでも苦戦して、強敵相手には狡すっからい手で勝つのがカズマなの!もっとカズマらしい武器を与えてやりなさいな!」
カズマ「カエルに食べられる特典武器がなんか言ってるよ。トニー、武器についてなんだけどさ・・・そんな危なっかしい武器を素人の俺が使ったら巻き込みが怖いし、俺にはこの相棒がいるから、籠手は普通ので良いや」
トニー「相棒って、その腰に差している刀の事か?」
カズマ「そう、俺と共に数多の視線を潜り抜けてきた相棒・・・」
めぐみん「ちゅんちゅん丸!」
カズマ「違う!」
トニー「気に入ると思ったんだが・・・それじゃ、カズマの武器はこれくらいにしておいて、ダクネスの武器制作に入るとするか。と言ってもまぁ、既に取り掛かってはいるんだが・・・」
ダクネス「どうかしたのか?」
トニー「思った以上に盾の強度が高くてな。200ペタワットレーザーを一昨日から当て続けているが、まだ半分までしか切れていない」
ダクネス「なるほど、加工も困難な程の強度をほこる盾か・・・トニーが教えてくれたプレイは期待できそうにないな・・・」
カズマ「なんでちょっと残念そうにしてるんだよ」
ダクネス「し、してない・・・それにしても、もう神器を一つ改造し終えてしまったのか・・・本当に早いな。これならロキの計画がなんであれ、実行される前にまた攻撃しに行けるかもしれんな!」
トニー「鍛冶スキルのおかげだな。作業の速度が大幅に上がり、尚且つミスも減る。便利なことこの上ないね」
アクア「・・・カズマから鍛冶スキル教わったときは“そんな胡散臭いもの使ってたまるか”なんて言ってなかったかしら?」
トニー「ある程度魔法について科学的に解明した僕の目から見れば、胡散臭いものから便利なもの程度に映るようになったんだよ」
アクア「物は言いようね・・・そうやって詭弁をうまく使ってくるところは誰の影響なのかしら?」
めぐみん「トニーは最初と比べて変わりましたね。出会ったばかりの時は全てがめんどくさそうで、“早く進んでくれ”って妙な焦りと苛立ちの出た顔をしていましたよ」
めぐみん「・・・今となっては私たちが喧嘩しているところを見るとほくそ笑みながらお菓子食べたりしてますが」
トニー「実際早く進めたかったからな。君たちのコントが始まるたびにイライラさせられてたもんさ」
めぐみん「早く終わらせて故郷に帰りたいとかあるんですか?」
トニー「・・・中々鋭いな」
めぐみん「紅魔族は知能が高いのですよ。特に私は、その紅魔族の中でもトップクラスに---」
トニー「“僕に次いで”が抜けているぞ」
めぐみん「そういう傲慢で嫌味ったらしい所はまったく変わりませんね!次私の前でひけらかすような真似したら容赦しませんよ!」
カズマ「そういえば、お前って火力面も知能面もトニーに負けていよいよ存在意義の危機が迫って・・・いだだだだ!!分かった!お前は貴重なロリ枠だ!!存在意義もちゃんとあぐえっ!」ドゴッ
トニー「君のデリカシーの無さはいくらなんでもひどすぎるぞ。僕に負けたとしてもそこを突っ込んでやるなよ。彼女はまだ伸びしろがある若い子なんだからな」
めぐみん「負けてません!負けてませんよ!!いいですか!私はカモネギを吹き飛ばしただけではなく、この三日間毎日スーツで遠出し、あらゆる高レベルモンスターを爆裂魔法の贄にして、レベルが7つも上がりました!それをすべて威力向上につぎ込んだので、火力は私の方が上のはずです!」
トニー「そりゃいいな。今日の爆裂散歩で勝負しようか」
めぐみん「いいでしょう!今日こそ白黒はっきりつける時です!ボードゲームでも勝たせてもらいますよ!」
トニー「悪いが、神器の改造に丸一日費やすつもりだ。さすがにゲームに興じる程の時間は割けないな」
めぐみん「むう・・・ならばカズマ、あなたが私の相手をしてください」
カズマ「嫌だよ、絶対やらない。王様がテレポートで盤外に逃げたり魔法で盤がひっくり返されたりするゲームなんて誰がやるか。ゆんゆんに頼め。ギルドにでも行けば多分会えるだろ」
ダクネス「その神器と言うのはあの盾の事か?なら、ぜひ見学させてくれ。どんな改造が施されるのかこの目で見たいのだ」
トニー「好きにしてくれ。君たちはこのラボに登録してあるから、もう好きな時にここに入れるし、このラボの大体の所にはアクセスできるぞ」
トニー「それにしても、君たちの屋敷からここはずいぶん離れているはずなのに、ここ三日は毎日遊びに来るじゃないか。大変だろ?」
カズマ「めぐみんのアイアンマンスーツを使って、一人ずつめぐみんにおぶさって飛んで来てるんだよ。毎回往復すんの大変だと思うけど、これからも頼んだめぐみん」
めぐみん「普段みんなにおぶって貰っていますからね。それくらい構いませんよ」
トニー「それじゃ、爆裂散歩にでも行くか?」
めぐみん「そうですね。元々トニーを爆裂散歩に誘うつもりで来たので。行きましょう」
カズマ「おっし、弁当も持ってきてるから、昼飯は外で食って、晩飯はまたここで食おうぜ。キッチン設備が未来的で充実してるから料理スキルの使い甲斐がある」
トニー「スターク・インダストリーズ製の商品がいっぱいあるからな。当然だ」
カズマ「よし、それじゃ早速行こうぜ。あっ、あんまし動きたくないからそこそこ近場でな」
トニー「はいはい」
アクア「・・・あれ?そういえば、トニーのスーツは破壊されたはずよね。一体どうやって勝負するつもりなの?」
トニー「ちょっと新しい武器を試してみたくてね・・・まぁ、後でのお楽しみだ」
....
..
.
同時刻 王都 王城 謁見の間
バンッ!
騎士A「アイリス様!アイリス様!非常事態です!」ゼー… ゼー…
?「無礼者!アイリス様は今この国に為に色々と考えておられるのだ!ドアを開ける時はきちんとノックをしろ!」
騎士A「申し訳ありませんクレア様!しかし、時を一刻も争う事態で・・・!」
アイリス「落ち着いてくださいクレア・・・何やら大変な事態のようですし・・・あの、一体何があったのですか?」
騎士A「それが・・・!魔王軍が王都近辺の平原に現れ、襲撃が仕掛けてきたのですが・・・」
クレア「それなら知っている。ついさっき魔王群襲撃警報を聞いたのだからな。今頃は冒険者と騎士団が向かい撃っているところだろう?」
騎士A「いえ、ですが・・・その・・・」
クレア「なんだ?歯切れの悪い。一体どうしたと言うのだ?」
騎士A「敵の部隊の中には魔物だけではなく、今まで行方不明になっていた冒険者が大勢混じっていまして・・・」
クレア「なんだって!?」
アイリス「・・・!」
騎士A「そのせいで騎士団も冒険者たちもパニックになり、さらにその混乱に乗じて、妙な兜をした怪しげな魔術師が次々と未知の魔術で冒険者を配下に・・・!」
騎士A「もうすでに戦況は絶望的で、このままでは防衛線が突破され、この街まで侵攻される可能性が非常に高いかと・・・!」
クレア「なんてことだ・・・!つい最近サトウカズマ一行が接触したとアクセルから連絡が入った新しい魔王軍幹部の情報と一致する・・・!アイリス様、いかがいたしますか!?」
アイリス「今の内に市民を全員避難させなさい!そして、もしそれが間に合わないというのなら・・・」
ザッ
アイリス「私自ら戦線に赴き、少しでも時間稼ぎを・・・!」
クレア「な、なりません!アイリス様!あなたはこの国の王女なのですよ!?」
アイリス「だからこそです!ここで民を守らずして、この国の第一王女は名乗れません!」ダッ…
クレア「ちょっ!アイリス様!どこへ行かれるのですか!」
アイリス「宝物庫まで行って、聖剣を取ってきます!市民の誘導を頼みましたよ!」
クレア「いやいやいや!お待ちくださいアイリス様!レ、レイン!レイーン!!アイリス様を止めるのをお前も手伝え!」
レイン「は、はい!」
アイリス(お兄様・・・!私は信じているから・・・!お兄様なら、きっと嫌な顔をしながら、この国の危機を救ってくれると・・・!)
....
..
.
夕方 爆裂散歩の帰り道
めぐみん「いい加減答えてもらいますよトニー!一体何だったのですかさっきのは!」
トニー「正式なプレゼンはそのうちする予定だ。君も招待するよ」
めぐみん「そういうことではありませんよ!なんで魔力もなければ、スーツを着ていたわけでもないのに地形を変えるほどの大爆発を起こせたのですか!?」
ダクネス「さ、さすがにアレはちょっとマズイぞトニー・・・もしさっきのアレが大量生産できるとなると国が放っておかないと思うのだが・・・」
トニー「大量生産もやろうと思えばできるが、さすがにアレを国には渡さない。使うのは僕だけだ。そもそもアレを使うのには結構面倒な手順がいるんでね。僕にしか使えないだろう」
ダクネス「ならいいのか・・・?いや、でも・・・デストロイヤーの比にならないほどの破壊兵器を個人が大量に保有できると考えると・・・」
トニー「出し抜くことばかり考えて、黒いものが渦巻いている国に渡す方がよっぽど危険さ。持っているのが僕だって考えると安全だろ?」
アクア「余計に不安になるんですけど。トニーってば良かれとおもって作った物でなんか失敗してそうなんだもの」
トニー「・・・そんなことないぞ?」
めぐみん「何であれ、さっきの武器はもう撃たないでくださいね!あんなモノ使わなくてもこの私がいるのですから!」
トニー「僕がスーツで火力出すのは良いのに、さっきのは駄目なのか?君の爆裂魔法の威力までは届かなかったんだし、別にいいだろ?」
めぐみん「あのスーツはトニーだけの物でしょう?だから、あれは全てトニーの実力です。私も文句はありません。ですが、アレはその気になれば誰にでも操作できてしまうではないですか!」
トニー「いや、僕以外に使わせる予定は・・・」
めぐみん「そうでなくとも!トニーがもし心変わりして、国にアレを渡したら誰でも気軽に超火力が撃てるではないですか!」
トニー(面倒な奴だ・・・カズマ、助けてくれ・・・)チラッ…
カズマ「・・・!」
カズマ「確かに、アレが量産されて、国の指示一つで爆裂魔法並みの兵器が連発できるような事態になったら、めぐみんはお役御免だもんな!そりゃ焦るか!」ケラケラ
めぐみん「そうなのですよ!あの兵器は封印するべきです!」
トニー(この男!)
めぐみん「良いですかトニー!あれを作る気ならこの私が爆裂魔法でラボごと消し去ってやりますからね!」
トニー「ったく、少しは認め・・・」ピタッ…
めぐみん「・・・トニー?どうしたのですか?いきなり目を丸くして・・・」
ダクネス「む?エレベーター小屋の前に誰かいるな・・・誰だ?女性のようだが・・・」
カズマ(あれ?あの女性ってたしか前にホログラムで見た・・・)
トニー「ペッパー!」ダッ!
めぐみん「あっ!トニー!」
アクア「どうしちゃたのかしら?あんな血相変えて・・・あれっ?あそこに立ってるのって・・・」
ダクネス「と、とりあえず追うぞ!」ダッ
----------------
トニー「ペッパー!」タタタ…
ペッパー「トニー・・・」
トニー「どうしてここに・・・?ここに来たということは、まさか君も・・・」
ペッパー「それは後でゆっくり説明するわ。それよりトニー・・・」スッ…
トニー「あー・・・キスか?もちろん嬉しいが、今はその・・・後ろの方で子供達が見てるだろ?それにほら、僕達最近上手く行って無いじゃないか・・・まぁ、大体は僕のせいなんだが・・・」
ペッパー「でも、今はこういう気分なのよ、トニー。ほら早く・・・」
トニー「・・・分かった。君がここにいる訳はさっぱり分からないが、君にとても会いたかったし、こうして会えて嬉しいよ」スッ…
グニャリ…
バニル「フハハハハハ!!そうかそうか!我輩もこうして貴様から悪感情を得るために会いたかったぞ!」
トニー「!!!!!?????」
バニル「愛しいソバカス娘かと思ったか!残念!!我輩でした!!!フハハハハハ!!ヒゲ中年の悪感情、大変に美味であ・・・こ、こらっ!仮面を剥がそうとするな!何故お前達は我輩の仮面に気安く触るのだ!」
トニー「よくも僕の一番大切なものを踏みにじってくれたな!謝ってくれ!なぁ、謝ってくれ!!」
バニル「あのパーティーに入ってから口調まで悪影響を受ける続ける男よ!先に我輩を馬鹿にしてきたのは貴様であろう!」
トニー「だからと言って、やって良い事と悪いことがあるだろ!今度こんなマネしたら、次に送る武器はあんたに直にブチこんでやるからな!!」
バニル「そう熱くなるでない。熱暴走するぞ?アイアンマン!フハハハハハハハ!!!」
トニー「・・・で、来た目的はなんだ?わざわざここまで僕を馬鹿にしに来たってのか?」
バニル「貴様からあれだけの美味な悪感情を馳走になっただけでも十分来た意味があったものだが・・・本来の目的は・・・あれだ」クイッ
トニー「あそこに積まれている袋は・・・」
バニル「汝が頼んでいたものだ。何とかすべて手に入ったのでな、届けに来た」
トニー「無線で連絡すればよかっただろ。なんでわざわざ・・・?」
バニル「ここまで重たい鉱石類を運んでやったのだぞ?少しは感謝してほしいものだ。なぁに、面白い未来が見えたものでな。ここに客人が来るのを見計らって我輩が先回りしていたというわけだ」
トニー「客人?誰だ?」
バニル「もう既に我輩がラボの中まで丁寧に案内しておいた。中に入って会うが良い」
トニー「・・・君に僕のラボへのアクセス権限を渡した覚えは無いんだが」
バニル「汝に化けて普通に通ったのだ。我輩の変身能力はついさっき見たであろう?指紋だろうが網膜だろうが関係無しである。暗証番号に至っては、見通す目を持つ我輩にとっては無いも同然だ」
トニー「フライデー、次はX線とDNAチェック、魔力探知もセキュリティに追加するぞ」
フライデー『了解です。ボス』
タタタ…
アクア「あーあ、遅かったわね。そこに立ってる女は薄汚い悪魔の仮の姿だって曇りなき眼で見抜いた私が教えてあげようと思ったのに」
カズマ「遠くから見てたよ、トニー。なんというかその・・・ドンマイ。アイツにあんなふうにかわれてきた奴は大勢いる」
トニー「滅ぼしたほうが良いんじゃないのか?」
アクア「大賛成」
ダクネス「気持ちは分かるが落ち着け。ところで、バニルは何の用で来たのだ?」
トニー「僕のラボに客人が来てるんだとさ」
ダクネス「客人・・・?クリスだろうか・・・」
めぐみん「とりあえず、まずは中に入って客人と言うのが誰か確認しましょう」
トニー「バニル、あんたはどうするんだ?」
バニル「我輩はこれにて失礼する。あの客人にはあまりかかわりあいたくないのでな」
トニー「・・・?」
....
..
.
トニーのラボ
ガチャッ
カズマ「バニルが関わりたくないなんて言う客人なんて一体誰----」
タタタ…
「お兄様ー!」ガバッ
カズマ「うおおっ!?なんだなんだ!?」
アイリス「お兄様・・・!」キュッ…
ダクネス「アイリス様!?」
カズマ「アイリス!?どうしてここに!?て言うか、その装備はなんだ?鎧に剣まで持って・・・」
アイリス「・・・」ギュゥゥ…
カズマ「ち、ちょっと苦し・・・」
めぐみん「ちょっと!いつまでくっついているのですか!私に見せつけているのですか!?そろそろ離れ・・・」
アイリス「・・・」グスッ…
めぐみん(泣いている・・・?)
カズマ「本当に・・・どうしんだよ、アイリス・・・」ナデ…
アイリス「お兄様・・・ベルゼルグが・・・この国が・・・」
ダクネス「アイリス様、一体何があったのですか?」
クレア「・・・王都が陥落したのだ」
ダクネス「王都が!?クレア殿、それは本当か!?」
トニー「クレア、王都が落ちるなんてどんな敵が攻撃してきたんだ?」
クレア「奴だ。噂の新しい魔王軍幹部、ロキが現れて防衛線を一瞬で崩壊させたのだ。冒険者たちを配下に変え、混乱が生じている内になだれ込んできた」
トニー「・・・!」
カズマ「えっ、お前白スーツと面識があったの?」
トニー「それは後で説明するから今はお口チャック」
クレア「貴様はまだ静かにしていろ、サトウカズマ」
カズマ「・・・」
トニー「・・・で?」
レイン「市民の避難は完了しましたが・・・この国を守るために出撃した冒険者達や騎士団は皆・・・ロキの配下に・・・今は魔王軍の魔物たちと一緒に王城の防衛にあたっています」
ダクネス「おい、トニー!ロキの動きは把握しているのではなかったのか!?」
クレア「なに!?スターク殿、どういうことか説明してくれ!」
トニー「奴の体に発信機・・・まぁ、位置がわかる道具をくっつけていたはずだが・・・」
トニー「フライデー、ロキは今どうなっている?追跡装置が故障でもしたか?」
フライデー『いえ・・・正常に作動しているはずですが・・・少々お待ちください、これは・・・』
フライデー『ボス、ロキが洗脳した冒険者たちに行っていた命令の声紋パターンを分析してみました。結果は・・・』
トニー「いや、言わなくていい・・・してやられたか・・・」ハァ…
アクア「えー・・・っと、つまりどういうこと?」
めぐみん「ロキは自分の声が盗み聞きされているのを逆手に取って、録音なりなんらかの方法を使ってヴォーミアでまだ冒険者たちに対して命令を下しているように見せかけていた・・・ということでしょう?トニー?」
トニー「そういうこと。僕の失態の詳しい説明をしてくれて助かるよ」
クレア「アイリス様は・・・市民が逃げるまでの時間稼ぎと仰せになり、装備を整えて前線まで赴こうとしたのだが・・・」
レイン「・・・アイリス様の命令を無視して、私がクレア様と共にこのアクセルまで強制的にテレポートさせました。アイリス様、どんな罰でも受けます。ですが、どうかこれがアイリス様を守るための物だったとご理解ください・・・」
クレア「いや、テレポートしろと言ったのは私だ。だから罰は私が受ける」
アイリス「・・・いえ、策も無しに敵に向かっていった私があまりにも無謀でした。二人とも、私を助けてくれてありがとう。私はもう、大丈夫です」スッ…
カズマ「なんだ、もういいのか?もっとお兄ちゃんにくっついていてもいいんだぞ?」
アイリス「い、いえ・・・その、もう恥ずかしいので・・・///」
カズマ「遠慮するなって、もっとお兄ちゃんの腕の中に」
クレア「・・・」チャキッ…
カズマ「ごめんなさい嘘です。無言で抜剣しないでくれ!!」
クレア「で、スターク殿。なにか提案はあるのか?」
トニー「・・・すぐさま王都を取り返すとはいかない。準備する時間が必要だ」
アイリス「我々もあれだけの強敵からそう容易く王都を奪い返せるとは思っていません。具体的にはどれくらいでしょうか・・・?」
トニー「・・・一週間ってところだ」
クレア「一週間か・・・」
レイン「勝算はおありですか?」
トニー「作戦は今の所考えていない・・・が、作戦立案には適した奴がいるじゃないか」チラッ
ダクネス「そうだな」チラッ
めぐみん「そうですね」チラッ
アクア「こういう時の為のカズマさんじゃない」チラッ
カズマ「はぁ・・・こうなるだろうとは思ってたけどさ・・・トニー、お前一応この中で一番賢いんだろ?俺よりいい案浮かばないのか?」
トニー「一応ってなんだ、一応って。確かに僕は天才だが、君ほどのリーダーシップは無いし、作戦を立てた経験もない」
トニー「君は嫌らしい想像力を働かせて、僕は持てるだけの科学力を持って君が考えた策を実現させる」
カズマ「俺を褒めるのか貶すのかどっちかにしろよ」
アイリス「とりあえず、まずは王都の現状を知る必要があるでしょう」
クレア「でしたら、王都に最も近い町からの偵察隊を・・・」
トニー「必要ない。ステルスドローンを使おう。これで王都の様子を探れるはずだ」
フィィィィイイン…
クレア「い、一体なんだこれは・・・?」
カズマ「おいおい、ついさっき追跡装置を使って出し抜かれたって言うのに、また機械で探るのか?」
トニー「命の危険を冒して人を派遣して戻ってこなくなるよりはいいだろ?今回はロキにも気が付かれないように遠距離から観察してやるさ」
トニー「よし・・・早速取り掛かるぞ。一週間でスーツと君たちの装備を完成させて、王都を取り戻してやる」
....
..
.
翌日 トニーのラボ
トニー「参った・・・」ゴロンッ…
めぐみん「なんでもう音を上げているのですか!昨日の威勢はどこへ行ったのですか!?今のあなたを見たら、居住区で寝泊まりしてるアイリスたちの気が病みますよ!」
トニー「コロナタイトの成分解析、構造解析はできてもプログラムに組み込むことができない・・・」
トニー「組み込んだら解読不可の電気信号のようなものが流れて回路全体に強制的にロックがかかってしまう・・・まるで科学が魔力そのものを拒んでいるかのようだ・・・」
ダクネス「“のようなもの”?定かではないのか?」
トニー「正体不明だ。おそらくは魔力だろうが・・・見たこともないパターンだ」
トニー「魔力を可視化する時は固定化されたパターンがあって、残存した魔力から何時、何の魔法をどれだけの魔力を込めて使ったのかさえ分かるんだが・・・機動要塞デストロイヤーは一体どうやって動いていたんだ?」
アクア「ふむふむ・・・つまり、魔力を理解したつもりが理解できていなかった。井の中のジャイアントトードだったって訳ね!」
カズマ「色々おかしいだろが!邪魔にならないようにお前はこっちでなんか飲んでろ!」グイッ
アクア「何でよー!私にもなんか頭が良さそうに見えるセリフを言わせてよー!」ズルズル…
トニー「人にはそれぞれ得意分野があるんだ。できない事はするもんじゃないぞ?君は宴会芸でもして僕らの士気を上げるなりしててくれ」
カズマ「で、何が飲みたい?ほら、注いでやるから自分で歩け」
アクア「・・・お酒」
カズマ「はいはい」
ズルズル…
めぐみん「・・・で、要するに、コロナタイトの中にある力の流れが見えず、スーツに組みこむことが出来ないということですね?」
トニー「そうだ。パターンさえ見つかればなぁ・・・」
めぐみん「トニーを馬鹿にするわけじゃありませんが、もしかしたらアクアの言うことにも一理あるかもしれませんね」
トニー「魔術への理解が足りないって?」
めぐみん「えぇ。ここは、魔術に長けた者を呼び集めてコロナタイトの性質を理解しましょう」
トニー「・・・そういえば君って・・・」
めぐみん「なんですか?私はもちろん魔術に長けていますよ?学年一位だったのですから」
トニー「・・・」
めぐみん「おい、言いたいことがあるなら聞こうじゃないか!爆裂魔法以外使えないからと言って、知識も無いというわけではありませんからね!!」
トニー「だといいんだが・・・まぁ、君やアクアの言う通りだ。僕より専門家がいた方が良いだろう。知識がありそうなのに心当たりが・・・」ピッピッ… ピピ…
ピピピ… ピピピ…
ガチャッ
バニル『バニルである。なんだ?』
トニー「やぁ、バニル。あんたにちょっと頼みたいことがあるんだ」
バニル『すまぬ、どうやら電波の状況が悪いようだ。もう一度頼む』
トニー「だから、あんたに頼みたいことがあるんだ。協力してほしい」
バニル『聞こえんな?もう一度頼む』
トニー「・・・あんたの力が要る。この前はからかって悪かった。だが今は一刻を争う危機で、嫌がらせの応酬をしてる場合じゃない。長年生きた悪魔の知恵が必要---」
バニル『まぁ、我輩は留守なので何を言っても聞こえぬのだが』
トニー「・・・は?」
バニル『電話に出ているかと思ったか?残念!!留守番電話でした!要件があれば我輩の素敵な笑い声の後に伝言をどうぞ!』
バニル『フハハハハハハハハハハハハハハハ----』
ブチッ
トニー「・・・」クルッ…
スタスタ…
めぐみん「・・・トニー?どうしたのですか?そっちは出口ですよ?」
トニー「ちょっとバニルを滅ぼしてくる」
めぐみん「一体なにがあったのですか!?」
......
....
..
.
数時間後
バニル「よもやあの機動鎧も無しに殴りこみに来るとは、この我輩でも見通せんかったぞ」
ウィズ「あんなことをされたら誰でも怒りますよ・・・」
トニー「まぁ、その話は置いといて・・・要件はさっき話した通りだ。協力してくれるか?」
ウィズ「えぇ、喜んで。トニーさんがウチに商品を置いてくれるようになったおかげで固形物が食べられるようになったんですよ!」
トニー「そ、そうか。それは良かった」
バニル「まぁ、なんだかんだ言って汝は商売相手であるし、この世界がヘンテコ兜をかぶったヘンテコ神に乗っ取られるのもつまらん。奴を倒す手伝いならやってやろう」
トニー「助かる」
ゆんゆん「私も微力ながら協力します!仲間の為に!だよね!めぐみん!そのために私を呼んだんだよね!」フンスッ
めぐみん(戦力を増やしておきましたよ、トニー)グッ
トニー(またいいように使われているな・・・だが・・・)
トニー「心強いな。まずコロナタイトの性質を調べるにあたって、僕がどこまで理解しているのかの説明をしたい」
バニル「どうせ間違っているのだから必要ない。それより早くコロナタイトを見せるが吉。我輩がパパっと性質を解いてやろう」
ウィズ「ちょっと待ってくださいよバニルさん。ここは魔道具店店主の私の勘と知識にお任せを・・・」
めぐみん「私だって学園で色々習っているのですから。まずは私に見せてくださいよ。学園随一の知能ですぐに性質だって理解してやりますよ」
ゆんゆん「あっ!負けないわよ、めぐみん!私だって学校でずっと一人だった間に、図書室でいろんな本を読み漁って知識を蓄えてたんだから!」
アクア「ねぇ、ゆんゆんって呪いの使い手じゃないわよね?なんだか心が重くなってくるんですけど。それよりも、この私も混ぜなさいな!女神の勘と知識を総動員して導いてあげる!」
「「「結構(である)です」」」
アクア「何でよー!!」ワッ!
カズマ「お前引っ込んでろって言っただろうが!何しに来たんだ!戻ってこい!」
アクア「いやーっ!女神らしいことしたいの!世界を救うお手伝いをしたいの!!」
カズマ「いいから来い!」グイッ
トニー「・・・」
トニー「ぼくさっそくまちがえたかもしれない」
ダクネス「・・・」ポンッ
トニー「何で慰めてるんだ?あんたは僕の悩みの種でも特にデカい方だからな?」
ダクネス「!?」
....
..
.
トニーのラボ 実験室
バニル「ふぅむ・・・」
トニー「何か分かったか?」
バニル「一応聞いた汝のコロナタイトについての仮説だが・・・まぁ、所詮は人間がたどり着ける程度の領域だ。見てはいるが、観察はしていないといった所だな、四十五点!」ニヤリ
トニー「特定できていない部分があるってことか?胡散臭い存在特有の抽象的な意見じゃなくて、もっと具体的な助言を言ってくれると助かるんだが。やっぱり肝心な時に限って君の目は見えなくなるのか?」
バニル「・・・おぉっ!見える!見えるぞ!貴様がまた我輩に騙されて悪感情を献上する未来が!!」
トニー「あ、ウィズ。この間君が店に並べていた僕の改造されたアイテム達だが・・・あれはすごくいいものだ、これからもぜひ続けてくれ。君の商売センスは最高だ」
ウィズ「やっぱりそうでしたか!聞きましたか?バニルさん!当の本人が言っ」
バニル「待て!ウチのガラクタ店主を唆すでない!店が潰れるわ!貴様何考えておるのだ!!」
トニー「君が困ることだ」
ゆんゆん「あ、あの~・・・喧嘩はやめた方が・・・」オロオロ…
めぐみん「ここはゆんゆんの言う通りですよ。こんなことをしてる場合ではないでしょう」
ウィズ「えっと、バニルさんはあんなこと言ってますけど、魔術の知識は本で得たばかりにも関わらず、もう既にここまで理解してるのは十二分に凄いですよ?」
ウィズ「間違いなく手に入れてから三日程の今日までで、人類史で百と数十年分の解析が進んでいると思います」
ゆんゆん「こうして実物を見ると、とても複雑な存在だってことがわかるね・・・普通のマナタイトなんかとはもはや別の存在みたい」
めぐみん「そうでなければ永い間デストロイヤーの動力源は務まらないでしょうね」
トニー「僕の新スーツの動力源もな」
ウィズ「おそらくですが・・・常に魔力が変動しているんだと思います」
トニー「変動?」
バニル「コロナタイトは永遠に燃え続けると言われている伝説級の鉱石。中に秘められている魔力は“たくさんある”だとかそんな次元の話ではない。文字通り無限である」
ゆんゆん「でも、実際に目の前にして見てみると、コロナタイトからは無限に湧いているっていうより、なんだか中身で渦巻いているって感じの魔力の流れを感じますね・・・」
めぐみん「それがウィズの言う“変動”というやつでしょう魔力を作り出しては内部で複雑に魔力を分散させ、暴発を防いでいるのではないでしょうか」
めぐみん「それならコロナタイトを前にしてあふれんばかりの魔力を感じるのも納得がいきます」
バニル「まるで魔龍や亜神と言った高レベルの魔物のようであるな」
トニー「成る程。決められた数式とプログラムで動かそうとするとフリーズするのも当然だな。僕は常に形状が変化する鍵穴を開けようとしてたって訳だ」
めぐみん「ふふ、どうやら謎は解けたみたいですね・・・まぁ、これだけの者が揃っているのです。この結果もまた必然・・・!」
ウィズ「お力添え出来たのなら幸いです」ニコッ
トニー「まだ解けたとは言えないな。あくまでも解き方が分かっただけだ」
ゆんゆん「これからどうするんですか?」
トニー「鍵作りだ。これからコロナタイトの性質変化に合わせたプログラムの開発をする。ゆんゆん、君確か科学の知識を得ていたよな?」
ゆんゆん「はい!お手伝いしますね!
トニー「よし、早速取り掛かろう。並行して皆の装備の開発もしないとな」
トニー「フライデー、映像記録を取れ。録画スタート」
ピッ…
....
..
.
コロナリアクター製作開始から 三日後・・・
トニー「ダクネス、君にちょっとしたプレゼントがある」
ダクネス「・・・プレゼント?わ、私にか?一体・・・」
トニー「カズマ」
カズマ「ララティーナお嬢様、お手を拝借」グイッ
チャキッ
ダクネス「へ---」
バスッ
ダクネス「痛っ・・・!な、なんだ今のは!?/// まるで小さな針を体にチクチク刺していくかのような・・・!新感覚、新感覚だ・・・!も、もう一回・・・!」
カズマ「どうだ?フライデー」
フライデー『失敗です。弾かれました』
カズマ「・・・トニー、大変だ」
トニー「これほどとはな・・・さすがの僕でも予想できなかった」
ダクネス「なんだ・・・?なんで二人共そんな残念そうな顔をしているのだ・・・?」
トニー「今君の体に撃ち込んだのはマイクロチップだ。これと今制作中の盾を連動させ、“自動で攻撃から使用者の身を守る”っていう神器に元あった効果を再現できないかと思っていたんだ」
カズマ「まぁ・・・どうなったかは見ての通りだよ。お前の筋肉が固すぎてマイクロチップが腕の中まで入っていかない」
ダクネス「き、筋肉が固いとかいうな!私はクルセイダーなのだ!多少は固くて当然だろう!」
トニー「マイクロチップを跳ね返す筋肉を“多少”固いじゃ済ませられないだろう」
ダクネス「大体!何故許可も無しに私の体に変なモノを植え付けようとしてるんだ!そういうプレイは断ってからにしろ!金も払う!」
カズマ「お前は一体何を口走ってんだ、ドスケベクルセイダー!お前が盾役こなせないと俺たちの命にかかわってくるんだよ!トニー、なんか手は無いか!?」
トニー「体をスキャンして腕のもっとも筋肉が薄い層に撃ち込もう」
ダクネス「ま、待ってくれ!自動で攻撃を防げるようになって何が面白いと言うのだ!ただ構えて耐えるよりも面白くないではないか!私は嫌だからな!」ダッ!
カズマ「おい逃げんな!」
トニー「こうなることは予想済みだ、カズマ。予定通りバインドで動きを止めろ!」
カズマ「ゲヘヘ!!お嬢様!どうか抵抗なさらずに!!『バインド』ッッッ!!」シュルッ…
ダクネス「何故腰に紐をぶら下げているのかと思ったらそういうことか!この卑怯も---」
ヒュンッッ
ダクネス「あぁんっ!!///」ギュルルッ ドサッ
カズマ「観念しろダクネス!お前は今から体をいじくりまわされるんだよぉ!ゲッヘッヘ!!」
ダクネス「くっ、殺せ!なんてことだ・・・こんな風に何もできぬまま縛られるなんて・・・屈辱だ・・・ハァハァ・・・///」
トニー「ほーら、ララティーナ。おとなしくしてないと逆に痛くなるんだぞ?力を抜いてリラックスしてろ、すぐに済ませてやるから」
ダクネス「た、頼む!そんな邪悪なモノを私に近付けるなぁ!/// もし私の体を自由に操れるようにしたとしても、心までは自由にできるとおもうな!///」
カズマ「トニー!こいつ自分でどんどん力を弱めていくぜ!とんだ欲しがりめ!オラッ!こいつをお前にブチ込ん---」
めぐみん「なにをしているのですか、あなた達は」
アイリス「お兄様・・・?ララティーナ・・・?それに、スタークさんまで・・・一体何を・・・?///」
「「「!?」」」
....
..
.
コロナリアクター製作開始から四日後・・・
トニー「・・・」
アクア「なにしてるのトニー?そんな悩んだ顔をして」
トニー「・・・また少し行き詰ってな。コロナタイトのエネルギーの流れの可視化から、コードとして表記させるところまでは出来たんだが・・・このコードから意味を見出すことが出来ない」
トニー「全くの未知のコードの羅列からどうやって意味を見出せって言うんだ?」
アクア「昨日あんなふうにくんずほぐれつしてたのはてっきり余裕があるからだと思ってたわよ。トニーったら大丈夫なの?」
トニー「くんずほぐれつとか言うな。ちょっとクルセイダーとしての力を上げてやろうかと思っただけだ」
トニー「君こそここでモニターを眺めて何やっているんだ?君の顔に考え事は似合わないぞ」
アクア「なーんかこの画面ひっかかるなって・・・いや、ちょっと待って。今なんて言ったの?」
トニー「引っかかる?どういう意味だ?」
アクア「今新しい引っかかりが増えたんですけど」
アクア「まぁいいわ。あのね、なんだかこのズラッとした文字の並び方に見覚えがあるの」
トニー「どういう所で見た記憶がある?」
アクア「うーんと・・・どこだったかしら・・・少なくともこの世界じゃないわ。多分天界で・・・ハッ!」
アクア「ああああっーー!!」
トニー「なんだ急に!驚くだろ!これで昼ごはん食べるの忘れてたとか言ったら部屋から放り出すからな!」
アクア「言うわけないでしょそんな事!ちゃんとツナマヨおにぎり食べたの覚えてるわよ!そうじゃないの!これに似た文字の並びを思い出したのよ!」
アクア「これ、日本から転生する人の頭にこの世界の言語知識を覚えさせるときに展開する魔法陣の並びとよく似てるの!」
アクア「詳しくは私もよくわからないんだけど、記憶をいったん展開して読み書きができるという事実を上書きするなんて言ってたのを覚えているわ!私、難しい話は嫌いでいつもは聞かないんだけど、その時丁度似たような能力を使うバトル漫画を見てて、なんだか覚えているのよ!確か名前はヘブンズ・・・」
トニー「いや、そこまでで十分だ。そうか、記憶を展開した魔法陣か・・・」
トニー(待てよ・・・科学技術ってのは積み重ねで出来ていくものだ・・・魔術だって調べてみれば科学の似たり寄ったりな部分はあった・・・大本は同じなんじゃないか?)
トニー(記憶のコードと似ているというなら・・・もしかしてこのエネルギーは単純なリアクターなどから発せられるものとは全くの別物なんじゃないか?意志に似た何かが・・・)
----『まるで魔龍や亜神と言った高レベルの魔物のようであるな』
----『常に形状が変化する鍵穴を開けようとしてたって訳だ』
----『これは頭脳だ・・・物を考えている・・・』
トニー「---!」
トニー「フライデー、コロナタイトのコードの中に、君のオペレーションマトリックスとメモリーコードとの類似性が無いか確認してみてくれないか?」
フライデー『検索中・・・』
ピッ… ピピッ…
フライデー『検索完了。ボス、コロナタイトのコードの中に私との類似性が2.3%存在しました』
トニー「やっぱりだ・・・!コロナタイトはロキの杖の中に入っていた石に似ている・・・人工知能に近い・・・!これなら、類似性を持つフライデーを元に制御できるプログラムの開発ができる・・・!」
トニー「愛してるぞアクア!これで完成への道のりが見えた!」
アクア「へぇえぁ!?何急に告白してるの!?トニーってばおかしくなっちゃったの!?」
アクア「そ、その・・・ごめんなさいトニー、私はあなたの気持ちには答えられないわ。だって、私は女神だから・・・」
トニー「はぁ!?ちょっと待て!そういう意味で言ったんじゃない!」
アクア「でも、この見目麗しい女神に怖気つかずに告白してきたその勇気はほめてあげるわ!馬小屋で一緒に寝てたのに照れ隠しで興味ないとか言っちゃうカズマなんかとは大違いよ!」
アクア「というわけで私は告白されたって自慢してくるわね!きっとみんな驚くわ!」ダッ!
トニー「だから待て!おい!」
....
..
.
コロナリアクター 製作開始から五日後・・・
トニー「ゆんゆん、そこのリパルサー・トランスミッター組み立てといてもらえるか?」カチャカチャ…
ゆんゆん「はい!」
トニー「助かる。まさかこの国でエンジニアの助手が得られるとは思っていなかった」ジジジ…
ゆんゆん「まだ齧った程度なので、あまりあてにはしないでください・・・」
トニー「わからないところがあったらフライデーに聞けばいいさ」
ゆんゆん「いえいえ、ずっとお世話になっているのにこれ以上頼めませんよ」
トニー「・・・ずっとお世話に?」
ゆんゆん「はい、トニーさんに貰った端末でいつもメールの相手してくれたり、宿でトニーさんから借りた本を読んでくれたり・・・とても優しくしてもらっています!」
ゆんゆん「フライデーさんは・・・大切な・・・その・・・」
フライデー『私はあなたの友人ですよ、ゆんゆん様。友人にはいつでも頼ってください』
ゆんゆん「フライデーさん・・・!」パァッ…
トニー(彼女の友達の殆どが人間じゃないってことは黙っておくべきなんだろうな、きっと)
フライデー『ところでゆんゆん様、必殺技の開発は順調ですか?』
ゆんゆん「あぁっ!い、今その話はちょっと・・・!」アタフタ
トニー「君必殺技作ってるのか?Wow、やっぱり君も紅魔族だな」
ゆんゆん「え、えっと・・・その・・・めぐみんは爆裂魔法なんて特大の必殺火力を持っていて・・・」
ゆんゆん「私は色々な魔法が使えますが、イマイチ決定打になるような技を持っていないので・・・そういうのが欲しいなと・・・」
トニー「決定打になるような高威力の攻撃手段か・・・そうだな、何かアイテムに頼るか・・・もしくは魔法で化学反応を再現して簡単な爆発を起こしてみるか・・・とかか?」
ゆんゆん「魔法化学反応の再現!それ素敵ですね!」
トニー「それじゃ手を動かしながらでも君に魔法で再現できそうな爆破方法をいくつか考えて行くとしようか」
ゆんゆん「はい!」
めぐみん「・・・」
カズマ「あの二人、仲良さそうだな」
アクア「ああ見えて意外と世話好きなのかもしれないわね」
ダクネス「どうしたのだ?めぐみん。さっきから黙って二人を遠巻きに見つめて・・・」
カズマ「これが寝取られか・・・」
めぐみん「あんな歳の離れた男相手に寝取られとか言ったらシャレになりませんよ!・・・違います、頃合いを見計らってるだけですよ」
カズマ「頃合い?てか、さっきから気になってたんだけど、お前が手に持ってるその六角形のレンズみたいなのはなんだよ?」
めぐみん「・・・そろそろですね」スッ…
スタスタ…
トニー「よし、あとは胸部に熱可塑性レンズを組み込んだら・・・」
ゴトッ…
トニー「・・・なんだめぐみん、どうしたんだ?」
めぐみん「組み込むならこっちの方が良いですよ」
トニー「これは・・・」
めぐみん「私特製の熱可塑性レンズとリパルサー・トランスミッターです。コロナタイトのエネルギーを射出するのであれば、魔法金属の割合を私なりに改良したこちらの方が魔力伝導率が上がると思いますよ?」
トニー「・・・」
トニー(確かに・・・これを組み込んだ方がユニ・ビーム、リパルサー・レイの威力が増すし、巡航速度も最大速度も上昇する・・・)
トニー「・・・やるじゃないか。コロナリアクター開発の糸口発見に浮かれすぎてトランスミッターの調整をミスしていたか・・・助かった。というか、一体どこで機械工学の知識を得たんだ?」
めぐみん「作業を見てたら理解できましたよ・・・言われた通りに作ることしかできないゆんゆんとは違うのです・・・フッ」ドヤッ
ゆんゆん「なぁっ・・・!」
カズマ「ああやって自慢する為にわざわざ良いタイミングが来るまで待ってたのか・・・うわぁ」
....
..
.
コロナリアクター製作開始から六日後・・・
Mk.46「」
トニー「完成まであと一歩ってところだな。いくつかテストをしたらそれで終わりだ」
カズマ「おぉ・・・かっこいいな。」
クレア「また凄い兵器を作ったな、スターク殿。この鎧は前とどう違うのだ?」
カズマ「また”?前になんか作ったのか?」
トニー「大したものじゃ無いさ。騎士団に配備できる対モンスター用の兵器をいくつか渡しただけだよ」
カズマ「あぁ、顔見知りなのはそういう取引をしてたからなのか」
トニー「クレア、繰り返し言ってるし、わかっているとは思うが・・・」
クレア「だ、大丈夫だ。人間相手には決して使わない、約束する」
トニー「それでいい。もし破ったら兵器ごと吹っ飛ばすと、王都を奪還したら他の連中にも伝えておけ」
ダクネス「トニー!!国家を脅すな!無礼にもほどがあるぞ!も、申し訳ないシンフォニア卿・・・!無礼千万だが彼はあれで正気なのだ・・・」
クレア「いや、構わん。彼のおかげで騎士団の死亡率が劇的に下がったのだ、文句は言えん・・・」
カズマ(あれ・・・?もしかしてトニーがこのまま俺のパーティーに居続ければ、国家に対してさらなるコネが出来て、結果的にアイリスとよく会えるようになるんじゃないか?)
カズマ「トニー、これからもよろしくな!」ニコッ
トニー「カズマ、僕は金やコネ目的で近付いてくる人間の顔を今まで嫌というほど見てきたんだ、もっと上手くやれよ?」ニコッ
カズマ「すいませんでした」
ダクネス「お、お前・・・」
アイリス「それにしても、スターク様の技術力は一体どうなっているのですか?ここに来てから驚かされてばかりです」
トニー「だろうな。僕が技術提供をして、あと半年もしないうちにこの国の技術力を第二次産業革命レベルまで進める予定だ。再来年辺りには、君はスマホ片手にツイッターで“会食なう”ってつぶやいてるかもな」
アイリス「すまほ・・・?ついったー・・・?」
カズマ「おいやめろ」
トニー「ただのジョークさ」
カズマ「お前の場合ジョークに聞こえないんだよ・・・」
ガチャッ
めぐみん「おはようございます・・・おや、スーツが完成したのですね?」
アクア「ムニャ・・・おはよー・・・」
トニー「まだだ、いくらか調整した後に稼働実験をする。おいアクア、顔洗ってこい、酷い顔だぞ。これから映像を撮るんだ、もっとマトモな面構えにしろ」
アクア「ダミー・・・顔拭いてちょうだい・・・」ウトウト
ダミー「」キュイッ… ゴシゴシ
アイリス「あの、鎧に名前は付けないのですか?」
トニー「名前?」
アイリス「神器級の武器や防具には大抵名前が付いているものです。私がここに持って来た剣にも、なんとかカリバーって名前が・・・」
トニー「忘れてるじゃないか。しかし名前か・・・まぁ、特別なスーツだし、名前を付けるのも悪くないか」
めぐみん「フッ・・・実は、こうなることを予想して魔法のかかった札を用意しておきました」ピラッ
トニー「ずいぶん用意が良---」
スタスタ….
ペタッ
めぐみん「・・・そして、名前も考えておきました」
【Mk.46 てつてっつん】
トニー「」
カズマ「あーあ・・・」
トニー「なぁ・・・カズマ・・・」
カズマ「言っておくが、外せたら俺の刀は“ちゅんちゅん丸”なんて悲しい名前になってない。あきらめろ、お前の新スーツの名前は“てつてっつん”だ」
アクア「あははは!!それ聞いて目が覚めたわ!可愛い名前になって愛着湧くんじゃないの?プークスクス!!」
トニー「・・・」
めぐみん「おい、私のネーミングセンスに文句があるなら・・・あ、あの・・・ごめんなさいトニー、私が悪かったので至近距離でガンつけないでください。ものすごく怖いです」
トニー「今度こんなマネしてみろ、爆裂魔法を撃とうとする度に強烈な吐き気と頭が割れるような頭痛に襲われる装置を作ってあんたに取り付けてやるからな」
めぐみん「悪魔か何かですかあなたは!?私を反省させる為に言ってみただけですよね・・・?そんな恐ろしいモノ実際に作ったりしませんよね!?」
トニー「・・・さて、スーツの稼働実験を始めるとするか。ダミー、カメラ持て」
ダミー「」ウィィッ… キュィッ
めぐみん「・・・ちょっ!嘘ですよね!?カ、カズマ!助けてください!このままでは二度と爆裂魔法を撃てない体にされてしまうかもしれません!」
カズマ「もしそうなったら上級魔法使えばいいじゃん。大丈夫大丈夫」
めぐみん「何が大丈夫なのですか!?上級魔法を覚えさせるいいチャンスだとか思っているでしょう!?私は血反吐を吐いてでも爆裂魔法を使い続けますからね!」
トニー「諸君、静粛に。これよりMk.46、コロナ・リアクター内蔵型スーツの起動実験を行う」
アクア「名前呼んであげないの?」
トニー「絶対呼ばない」
カズマ「ほら、スーツの起動実験楽しみにしてたろ?落ち着いて見ようぜ」
めぐみん「ぐぬぅ・・・今夜眠れるか不安になりそうです・・・」
トニー「ダミー、ここからはアップで撮・・・おい、近すぎる。それじゃ僕の鼻しか映らないぞ、もう少し下げろ」
ダミー「」キュィッ
トニー「よし、そこだ。さて・・・これからスーツを起動し、エネルギーの循環効率を調べる」
カズマ「その前にちょっと聞きたいんだが。起動実験をするのはいいんだけどさ、実験の成功率はどれくらいなんだ?爆発したりしないのか?」
カズマ「俺はコロナタイトには良い思い出が無いんだ。領主の屋敷ぶっ飛ばして、国家転覆罪の容疑で死刑にされそうになった原因だしな」
トニー「そりゃ確かに不安になるだろうが、僕を誰だと思っているんだ?もちろん、シミュレーションによる成功率は100%だ。でも試行回数は黙秘する。爆発したりしないのかという質問に対しても黙秘する」
カズマ「めぐみん、今日はまだ爆裂散歩に行って無かったな。ここにいるみんなで行こうぜ」スタスタ
めぐみん「そうですね。ほら、行きますよアクア、ダクネス。それにアイリス達も」
アイリス「え、えっと・・・?」
トニー「まぁ、ちょっと待てよ」ガシッ
カズマ「おい離せ!先にスケールを小さくしたモデルとか使ってもっといろいろ検証したりするべきだろ!」
アクア「そうよ!ブラウン博士だってそうしてたでしょ!?」
トニー「いいかよく聞け。今の所シミュレートでは一度も失敗していない。だから成功率は100%だ。でも、もし何度もシミュレートして失敗の結果が出てしまったら?」
トニー「・・・そう、100%じゃなくなるんだ。つまり、実験をすればするほど成功率が下がっていってしまうって訳だ。ほら、今は安全だろ?」
アクア「あっ、そっか!確かにそうね!トニーの言う通りだわ!なら大丈夫ね!」
カズマ「そんなわけねーだろ、このマッドサイエンティスト!!どんな確率の計算だ!」
ダクネス「さすがに今のは私でもおかしいって分かるぞ!!」
めぐみん「逃げましょう!今すぐここから逃げましょう!!」
トニー「科学とは“ものは試し”を地で行く活動だ。つまり、こういうことだ。スーツ起動」
カズマ「あっ!コイツ勝手に起動しやがった!!」サッ
Mk.46「」ヴゥン…
フライデー『エネルギー循環、異常なし。システムチェック中・・・異常なし。問題ありません、起動に成功しました』
トニー「・・・な?大丈夫だったろ?」
カズマ「・・・なんだ、案外大したことなかったな・・・」
ダクネス「私の背中に隠れながら言われても・・・」ジトッ…
カズマ「それはね、広くて頼りがいのある背中だったからだよ」
ダクネス「おい!それは女に言うセリフじゃないだろう!!」
クレア「スターク殿!さすがにアイリス様が巻き込まれるような実験をするのはやめていただきたい!」
トニー「悪かった。さっきのはギロチンマジックをするマジシャンのパフォーマンスみたいなものだよ。不安を煽ってから成功させた方が盛り上がっ・・・おっと、全員頭のおかしい奴を見る目だな」
トニー「まぁそれは置いといて、次の実験だ。カズマ、このスーツにスティールを仕掛けてみてくれないか?」
カズマ「スティール?なんでだ?」
トニー「前のスーツはスティール一発で無力化されただろ?まずは僕のスーツの天敵であるスティールを克服できたかどうか試したい」
カズマ「無敵の鎧の弱点がスティールなんて、カッコイイやらダサいやら・・・これで壊しても文句言うなよ!」
カズマ「・・・あと氷用意しといて。それじゃやるぞ!『スティール』ッッ!」バッ
!
「・・・」
カズマ「おお・・・すげぇ・・・本当に何も取れない。代わりに射線にギリギリ入ってためぐみんのぱんつが取れたけど」ゴソゴソ…
めぐみん「なに平然とポケットの中にしまっているのですか!そ、その・・・スースーするので早く返してください・・・///」
アクア「カズマ・・・あんた・・・」
トニー「実験中だってのに君は一体何をやっているんだ・・・?」
アイリス「お兄様・・・」
カズマ「わかった!わかったからみんなそんな目で俺を見ないでくれ!ほら返すよ!トイレなりで着替えてこい!」
ダクネス「皆の目の前でぱんつを剥ぎ取り、そして衆目を集めたところでぱんつを晒し上げながら返す・・・いいぞ、やはりお前はそうでなくちゃな!」
カズマ「なに感心してんだ!と、ところでトニー!なんでスティールが完全に無力化されてるんだ?」アセアセ
トニー「見苦しいな・・・簡単に説明すると、魔法金属とオリハルコンを特殊な比率で合成して出来た外殻に、コロナタイトの魔力エネルギーを張り巡らせている」
トニー「それで疑似的な結界を作っている状態だ。スティールだけじゃなく、あらゆる状態異常魔法や攻撃魔法から身を守れる」
カズマ「ずるい・・・」
アクア「私もちょっと着てみたいって言ったらだめかしら?」
トニー「駄目だ。体格が合わないし、なにより君に着せたらロクなことにならないだろうからな。ここが吹っ飛んでもおかしくない」
アクア「そこまで言わなくてもいいでしょ!私だって好きで迷惑かけてるんじゃないのに!いじわるしないでよ!」
トニー「あんたの普段の行動を見てどうやったら信用できるって言うんだ!あと脳みそを五十回くらいアップグレードできたらその時は着せてやるよ」
アクア「上等よこのトニート!女神を馬鹿にした罪で聖なるグーを食らわせてやるわ!」ガバッ
トニー「変な名前で呼ぶな!なんだ、やるってのか!?君の知力が最低とはいえ、戦う相手の見極めくらいはできると思ってたよ!!」
カズマ「おい!いい歳したおっさんが暴れるなよ!!」
トニー「そのセリフは僕よりいい歳したこの古い女に言ってくれ!」
アクア「また言った!トニーがまた言っちゃいけないこと言った!ああああっ!痛い痛い!!やめて!変な装置使うなんて反則よ!!」
クレア「ス、スターク殿・・・前会った時よりずいぶんと・・・なんというか・・・」
アイリス「・・・フフッ」クスクス
クレア「どうかなさったのですか?アイリス様」
アイリス「王都奪還作戦の前日だと言うのに、なんだかすごく安心するんです。彼らは決してまとまりのあるパーティーとは言えないのに・・・何故かなんでも出来てしまうような・・・安心感があるんです」
....
..
.
コロナリアクター製作開始から・・・
カズマ「とうとうきちまったなぁ・・・この日が・・・」
アクア「そうね・・・あーあ、エリスがしっかりこの世界を守ってくれていればこんなことにはならなかったのに・・・まっ、後輩女神を助けてあげるのも先輩女神である私の仕事だけど」
カズマ「あまり無茶言ってやるなよ。ロキの力はお前も見ただろ?あんなの正直倒し方が浮かばないぞ。はぁ・・・」
トニー「怖いのか?」
カズマ「そりゃお前・・・怖いよ。俺はお前と違ってヒーローじゃないただの人間だし」
トニー「そうだったな」
カズマ「即答で肯定されるとそれはそれで腹立つ」
トニー「別に馬鹿にしてるわけじゃない。ほら、おびえる君にプレゼント」スッ
カズマ「なんだこれ・・・矢尻?」
トニー「ゆんゆんに渡す予定の電子書籍からヒントを得て作った“展開式マジックスクロールアロー”だ」
トニー「この中にマジックスクロールがホログラムになって入っている。矢に取り付けてから弓のスイッチを押すと・・・」ポチッ
カシャッ ヴンッ ピピッ…
トニー「このようにスクロールのホログラムが展開、もう一度押せば引っ込む」ポチッ
カシュッ…
トニー「あとは対応した魔法を唱えれば矢を中心に魔法が炸裂。敵の足元に撃つか直撃させてから唱えろよ?近いと自爆するからな」
トニー「魔法の種類は矢尻の色で判断できるようになっている、あとで確認しろ」
カズマ「おぉぉ・・・まさに映画か漫画の世界でしか見れないような武器・・・」キラキラ…
トニー「壊すなよボウズ。代えは無いからな」
カズマ「おい、ちょっと待て。めぐみんとかはまだしも俺まで子供扱いすんの?」
トニー「僕が今いくつだと思っているんだ?君くらいの子供がいたっておかしくない歳だ。僕にはパーティーメンバー全員子供に見える」
トニー「まぁ・・・一応アクアもな」
アクア「いい加減私を年齢面でいじるのはやめていただけますか?トニー・スタークさん?天界とこの世界は時間の流れが違うんです。そろそろ物理で天罰を食らわせますよ?」
アクア「というか、どうして私には何もないの!?他の皆にはいろいろ作ってるのに!!スーツみたいなのとか着てみたかったんですけど!私だけ除け者にしないでよ!」
トニー「正直君には何も思いつかなかった。能力面に関しては弱点らしい弱点が見当たらないからな・・・光に属する魔法に対抗できる相手とも戦えるスーツでも作ってやりたかったが、単純に時間が足りなかった」
トニー「まぁ、そのうち作ってやるよ。ディスプレイの色が君のイメージカラーの青色になってるやつをね」
アクア「私だけクリスからもトニーからも装備貰えなかったから作ってくれるって言うなら嬉しいわ。でも、そうプレゼント作戦とかで迫られても困っちゃんですけど」
トニー「だからどうして口説いていることになるんだ!!心に決めた人がいると言っているだろ!」
トニー「はぁ・・・もういい。ところでカズマ、ちょっと耳を貸せ。クリスについてだ」コソッ
カズマ「うん?クリス?なんでクリスなんだ?」コソッ
トニー「彼女は一体どこで何をしているんだ?装備を渡して早々に居なくなっただろ」ヒソヒソ
トニー「こんなこと言いたくないが、エリスは自分の世界の危機に対して多少でも自分で何とかしようとしないのか?ただアドバイスしたり装備だけ渡して空の上から眺めてるだけなのか?」ヒソヒソ
カズマ「・・・その心配ならいらないと思うぞ」
トニー「・・・なに?」
カズマ「ロキに殺された時に、エリス様の元へ行ってたんだよ。アクアに蘇生してもらうまで結構時間があったから、暇つぶしに三文字しりとりでエリス様と勝負してた時に話をしてな」ヒソヒソ...
トニー「君は人が真面目に戦っているときに一体何をしていたんだ?」
......
....
..
.
カズマ死亡直後 エリスの神殿
エリス「え、えーと・・・“プール”!」
カズマ「“ループ”」
エリス「うーん・・・プ、“プラス”!」
カズマ「“スープ”」
エリス「うぅっ・・・“プ”責めが辛すぎます・・・もう浮かばない・・・」
カズマ「よし、俺の勝ちですねエリス様。約束通り一枚脱いでください」
エリス「いつそんな約束したんですか!?女神相手にセクハラすると本気で罰が当たりますよ!」
エリス「というか、死んだ直後なのにずいぶん元気ですね、カズマさん・・・」
カズマ「もうあそこまで色々ぶっ壊れた奴に殺されたらかえって冷静になりますよ。一体何なんですかアイツは」
カズマ「大勢の上級冒険者を洗脳するわ、上級魔法を爆裂魔法並みの威力で撃って来たかと思えば、おかしな幻術使って欺いたり・・・」
カズマ「正直言って勝てるどころかなにもできる自信が無いんですが。ああいうのって人間じゃなくてアクアやエリス様見たいな神々が相手するようなレベルの敵じゃないんですか?」
カズマ「魔道具店前でも言いましたけど、エリス様ももう少し何かしてくれると助かるんですが・・・」
エリス「・・・」
カズマ「あ、すいません。嫌味を言ってるつもりじゃないんですよ?」
エリス「いえ、気にしていませんよ。実はですね・・・今、上と交渉しています。さすがに他世界の神による侵攻は無視できないみたいでして」
カズマ「え・・・いったい何するつもりなんですか?」
エリス「ふふっ、あっと驚くことですよ」ニコッ
《カズマー!聞こえてるー?リザレクション掛けたから、もう戻ってきていいわよー!》
カズマ「楽しい時間も終わりか・・・もう行かなくちゃ。エリス様、お願いします」
エリス「はい、今門を開けますね」パチン
ポウッ…
エリス「ではカズマさん、何度でも言いますが、ここにはもう戻ってこないことを心から祈っています。またあとで!」スッ…
カズマ「えっ、いまなんて---」
フッ…
....
..
.
カズマ「・・・とまぁ、詳細はわからないけど何かしらの形で直接干渉はしてくる・・・と思う」
トニー「地上に降りて来て僕らの為に祈ってくれるとか?」
カズマ「さすがにその皮肉は毒がありすぎるぞ。駄女神アクアじゃなくて本物の女神のエリス様のセリフだし、期待してもいいんじゃないかな」
アクア「ねぇねぇ、なんかものすごく失礼な会話をしている気がするんですけど。気のせいじゃないかしら?」
トニー「今日の晩飯について話していたんだよ。君は何が良い?」
アクア「えっと・・・そうねぇ・・・なにかこってりしたものが食べたい気分だわ。トニーもそうで・・・ねぇ、なんでそんな残念な人を見る目をしているの?」
トニー「なんでもないさ・・・」
めぐみん「晩御飯の献立なんかより、カズマの作戦はどうなっているのですか?まだ何も聞いていないのですが」
カズマ「おっ、来たかめぐみん。スーツを着て鏡の前でポーズをとる時間はもう終わったのか?」
めぐみん「トニーの嫌な皮肉が移っていますよカズマ。鏡の前でポーズを決めるのは紅魔族において正式な鍛錬ですよ。ああやってカッコイイポーズを研究、開発し、己を高めるのです」
トニー「君達紅魔族は本当にユニークだな。魔導書を借りに行ったときは散々な目にあったが、里の学校に頼まれた特別講師の依頼、受けて見てもいいかもな」
めぐみん「え、そんなこと頼まれていたのですか!?トニーの授業・・・気になりますね・・・って、そうじゃないです!今はロキです!攻撃するのは今日でしょう?」
アクア「ちょっと思ったんだけど、一週間たっても音沙汰ないってことは、もしかして猶予はまだ結構あるんじゃないの?今日から作戦決行とはいかずに、もうちょっと万全にしてから・・・」
ピピピッ
フライデー『ボス。王都近辺でコロナタイト、および四次元キューブのエネルギー反応が増大し始めています』
カズマ「このバカッ!なんでお前はそうお約束が好きなんだよ!毎度毎度迷惑になるようなことばかりしやがって!!」
アクア「待って!ねぇ待って!今のは私のせいじゃないからっ!私まだ何もしてない!!」
バンッ
ダクネス「トニー!今の報告を聞いたか!今すぐに準備するぞ!」
トニー「聞いてたよ。ダクネス、倉庫に向かうぞ」
カズマ「え、倉庫?なんで倉庫・・・あっ、アイツかぁ・・・すっかり忘れてた・・・うわぁ、面倒だな」
....
..
.
倉庫
ウィーン…
アイギス《おやおや・・・?ヘイブラザー!元気してたか?》
トニー「僕をブラザーって呼ぶなよ。君こそ今の生活に満足しているようでなにより」
トニー「次に君が欲しがるものを当ててやろうか?水着の美女のホログラム映像だろ?」
アイギス《いいねぇ。今度は赤髪でグリーンの目をした巨乳の美女が良いな》
トニー「用意しておこう」
カズマ「え・・・なんで仲良くなってるの?」
アイギス《いやー、女性の趣味が彼と合ってね。さすがに胸の大きさの話では一度決別しかけたけどさ》
カズマ「・・・お前何やってんの?」
トニー「彼を懐柔するのに必要な事だったんだ・・・このことは内密にしといてくれ」ヒソヒソ…
カズマ「少し本音も混じってたんじゃないのか?」
トニー「否定はしない」
アイギス《なぁトニー、俺好みの美人が好きなだけ見れるこの生活には感謝してるが・・・満足しているかと言われたら正直難しいところだ。やっぱり映像だけじゃ寂しいや》
アイギス《体をピカピカに磨いてくれるのも嬉しいが、やはり機械じゃなくて美女の手に磨いてもらいたいとかあるんだよ。その辺は何とかならないのか?ブラザー》
トニー「だから僕をブラザーと呼ぶなよ。それで、君の不満点の件だが・・・僕がとびっきりの美女を包ませてやるって言ったら?」
アイギス《おいおいマジかよ!!今度俺をちょっとだけ着る権利をやってもいいぜ!どんな美女だ?》
トニー「自前のがあるんで君を着るのは結構だ。それでは紹介しよう、貴族令嬢のララティーナお嬢様だ」
ダクネス「ト、トニー・・・恥ずかしいのでその名前で紹介するのはやめてくれないか・・・///」スッ…
アイギス《ワーオ!いいじゃんいいじゃん!綺麗な顔したエ口バディ!しかも貴族令嬢だって!?ポイント高いぜオイ!》
アイギス《ヘイお嬢ちゃんお名前は?ボクの名前はアイギス!見ての通り無敵の鎧なナイスガイさ!》
ダクネス「なんなのだコイツは!さっきから変な事ばかり口走っているぞ!」
トニー「コイツの名前はアイギス。中身は空っぽの全身鎧型の神器だ。君に着せるために用意した」
ダクネス「用意した!?神器を一体どこから用意したというのだ!?怪しい話には乗りたくないぞ!」
トニー「女神エリスが僕らの為に用意した。クリスの話覚えているか?」
ダクネス「・・・エリス様からのお告げを受けて神器を回収しているって話か?」
トニー「その通り、彼もその一つだ。そしてクリスはこれをダクネスに渡してほしいと言っていた。女神エリスは君にこれを着て世界を救う手助けをして欲しいそうだ」
トニー「つまり彼は女神エリスが世界を救う為に君を信じて渡した神器ってことだ。どうだ、やるか?ダクネス」
ダクネス「エリス様の御意志・・・や、やるしかないだろう!そう望まれているのであれば!私はあの鎧を着て戦うぞ!」
トニー「そう来なくちゃ」
カズマ「ちょろい・・・」
アイギス《まずはお互いよく知らなくちゃな。手始めに君の職業とスリーサイズを教えてくれないか》
ダクネス「え、えっと・・・職業はクルセイダーで、スリーサイズは・・・」
カズマ「おい、神器相手だとしても嫌なことは嫌だと言って断ってもいいんだぞ」
アイギス《じゃましちゃらめぇ!もうちょっとですべてがうまく行く所だったのに!》
ダクネス「おい!本当にコイツはエリス様が授けてくださった神器なのか!?そうは思えないんだが!」
トニー「本当だ。今度クリスに尋ねてみるといいさ」
アイギス《うーん・・・でもなぁ・・・その子クルセイダーなんだって?よりにもよって一番前線で攻撃受けまくるクルセイダー・・・アイギスさん悩んじゃうな》
トニー「カズマ、何かコイツのやる気出るような情報とかないか?」
カズマ「そうだなぁ・・・あっ、良い事考えた。アイギス、取引しよう」スッ…
カズマ「この街にはな、それはそれは煽情的な恰好をした美女が大勢働いている素敵なお店があるんだ」ヒソヒソ
アイギス《くわしく》
カズマ「いいか?この戦いにだけ付き合ってくれたら、お前をそこの置物か用心棒として置いといてもらえるよう俺が口添えしといてやるよ。どうだ?」ヒソヒソ
トニー「ついでに言うなら、僕の新型スーツを作るのに使ったオリハルコンの余りを使って君の傷付いたところを修繕してやろう。それで乗るか?」
アイギス《・・・》
....
..
.
アイギス《チィーッス!というわけで、今回だけお世話になりまーす。よろ!ちなみララティーナちゃんはとても良い匂いがします》
ダクネス「お、おい!変な事言うな!」
めぐみん「なんともうるさいのが来ましたね・・・その中にダクネスが?」
アイギス《そうだよ。とてもお嬢様なにおいがする。そして君は・・・顔の造形Aランク、職業適性Dランク、胸のランクは・・・論外ですね》
めぐみん「トニー、この神器でも実験しましょうよ。耐久実験です」
トニー「悪いがコントやってる場合じゃ無いんだ。ほらめぐみん、こいつを受け取れ。調整は済んである」ゴトッ…
めぐみん「なんですかこれ?私の杖ですか?なんか輪切りにしたレンコンみたいなのが取り付けられているのですが・・・」
カズマ「おいトニー・・・これってまさか・・・」
トニー「見ての通りリボルバーの回転式弾倉だ。サイズは一般的な奴の10倍くらいあるが。それにこいつをはめ込む・・・」ガチッ
トニー「弾倉の穴の分・・・」ガチッ
トニー「三発だ」ガチンッ
めぐみん「はめ込んでるその丸い玉は・・・?マナタイトに見えますが」
トニー「劣化版コロナリアクターってとこだ。自分から魔力を生成することはできないが、中にため込むことはできる」
トニー「先日作ったコロナリアクターが生み出す余剰魔力エネルギーをすべてこいつに突っ込んだ」
トニー「この弾一つに付き君のエクスプロージョン一発分の魔力が入っている。つまり・・・」
トニー「充填さえすれば、自身の魔力で撃てるのも含めて君はエクスプロージョンを日に四度撃てるようになる」
トニー「一発撃ったら手元のスイッチを押せ。弾倉が回転し、次の弾が装填される」
めぐみん「・・・」
トニー「・・・なにか不満か?」
めぐみん「そ、それを手に入れるのに私は何をすればいいんでしょうか・・・?下着姿までにならなりますけど・・・」
トニー「僕をなんだと思っているんだ!?別になにもしないからさっさと持っていけ!」
トニー「ったく、作りがいのない奴だ」
めぐみん「いえ、すいません、冗談が過ぎました。ありがとうございますトニー。これは大事にしますね」
トニー「それでいい」
カズマ「・・・で、もう出発するのか?」
トニー「いいやまだだ。ウィズとバニルとゆんゆんがもうすぐここに来ることになっている。だが、それまでに終わらせなきゃならない最後の実験がある」
カズマ「・・・最後の実験?」
トニー「・・・スーツの試着だ」
カズマ「まだしてなかったのかよ」
....
..
.
トニーのラボ 実験室
カズマ「それで?なんでまだ試着してないんだ?」
トニー「あー・・・実は新しい発見があったんだ」
トニー「スーツ自体に不具合は無いんだが・・・装着者の体内で膨大な量の魔力が駆け巡ることが分かった」
トニー「だからまぁ・・・魔力が0に近い僕が着ると・・・肉体が耐えられない可能性がある」
カズマ「致命的すぎる」
トニー「そこでカズマ、君に提案がある。君のドレインタッチを使って魔力を吸い続けてくれないか?」
トニー「スーツの出力を少しずつ上げていくから、危なくなったら吸ってくれ。それでどこまで耐えられるか試す」
カズマ「俺だってそんなに魔力高くないから危ないと思うんだけど・・・アクア、お前なら魔力をたくさん送り込んでも大丈夫だろ。吸った魔力をお前に流す、いいな?」
アクア「本当はアンデッドのスキルで吸った魔力なんて体に取り込みたくないけど・・・」
アクア「まったくもう。トニーったら仕方がないわね!もし仮に死んじゃってもリザレクションかけてあげるから安心しなさいな!」
トニー「そうならないようにして欲しいんだが」
トニー「まぁいい、任せたからな?スーツを呼ぶぞ。全員下がれ」
アクア・カズマ「・・・」ススッ...
トニー「・・・できれば、もう少し・・・すぐに助けに入れる距離まで近づいてくれ」
アクア「かっこ付かないわね、トニー」スッ...
トニー「うるさいぞ。準備は良いか?」
カズマ「いつでも」
トニー「よし・・・スーツ!」
Mk.46「」ヒュンッ ヒュヒュンッ!
キュィッ チキチキチキ...
ウィーンッ ギュィィッ
ガッコンッ...
ガキキッ ガギンッ!
めぐみん「むぅ・・・私にくれたスーツよりも音が重く、ところどころ光っててカッコイイですね・・・」
アイギス《おいおいなんだありゃ。俺、あの鎧気に食わないね》
カンッ...
フライデー『スーツの装着が完了しました。スーツ出力10%』
トニー「問題ない。もっと上げろ」
フライデー『スーツ出力20%』
トニー「うぐっ・・・!」ビキッ...
トニー「まだ上げろ!」
フライデー『出力30% 心拍数、体温共に上昇。ボス、これ以上は危険です』
トニー「まだだ!」
カズマ「おい無理すんな!ドレインタッチ!」ガシッ
アクア「もうっ!トニーってばなんで実験になったらこんなに無茶するの!?マッドサイエンティストなの!?」
トニー「ぐ・・・少しはマシになった・・・!そ、そのまま続けてくれ・・・!」
フライデー『出力45% ・・・50%・・・60%』
トニー「ぐぁあっ!」ビキビキビキ…
めぐみん「カ、カズマ!」
カズマ「わかってる!クソッ!本気で吸ってるって言うのに・・・!」
ダクネス「トニー!少ない出力で動かせないのか!?」
トニー「80%は行かないと飛ぶことすらできない!」
フライデー『65%・・・70%・・・75%・・・バイタル異常。バイタル異常』
カズマ「トニー!大丈夫か!」
トニー「AAAAAAAAUUUGHHH!!シャワシャワと・・・メタルの味だ!!」
カズマ「マジで色々と大丈夫か!?」
....
..
.
王都 王城 謁見の間
研究員A「ロキ様。コロナタイト、並びに四次元キューブの出力数値は正常です」
ロキ「維持し続けろ。扉はいつ開けられるようになる?」
研究員A「もう少しだと思われます」
ロキ「わかったら私に知らせろ。お前はもう下がれ」
研究員A「はい。失礼しました」ガチャッ
セシリー「ロキ様・・・何か私に出来ることは無いでしょうか?添い寝や下着の洗濯など喜んでやりますよ!」
ロキ「お前への命令はただ一つだ。私の半径10メートル以内に近付かず、今すぐこの部屋から出ていけ。そして二度と入ってくるな」
セシリー「あぁっ、どうしてそんなに冷たいのですかロキ様!わかりました、では下着を洗濯するところから履かせるところまで・・・」
ロキ「『カースド・・・」
セシリー「はい、今すぐ出ていきます」ガチャッ…
ロキ「・・・ハァ・・・アクシズ教徒と言うのはなんなんだ・・・貴重な存在のプリーストでなければその場で灰にしてやると言うのに・・・」
ロキ「あと少しだ・・・あと少しでこの世界は私の・・・いや---」
バンッ!
魔族A「ロキ!話が違うぞ!どうなっている!」
ロキ「騒々しいぞ。部下の分際で断りもなく扉を開けるだけじゃ飽き足らず、私の名まで呼び捨てか?」
魔族B「俺達は魔王様の部下であってお前の部下じゃない!!」
魔族C「それよりもだ!あんたは一体なにを企んでいるんだ!?魔王様からの指示をすべて無視し、勝手な行動ばかりしやがって!」
魔族C「挙句の果てに、王都を制圧したにも関わらず魔王様や幹部の立ち入りを許可しないとはどういうことだ!?取引を忘れたのか!?」
ロキ「私の計画をあの老いぼれに邪魔されたくなかったものでね」
魔族C「このっ・・・魔王様を裏切る気か!!」
魔族B「お前は半人前だロキ・・・!その計画とやらを実行したかったのなら、俺達も洗脳にかけるべきだったな!!」チャキッ
魔族B「死ね!」バッ
ブンッ
スカッ…
魔族B「・・・は?なんで剣がすり抜け・・・」
「『ライト・オブ・セイバー』」
ズバンッ
魔族B「グギャッ!!」ズルッ…
ドチャッ…
魔族A「なっ・・・どこから出てきた!?あそこに立ってるロキは・・・」
ロキ「半人前なのはお前たちの方だ。判断を誤ったな」
ロキ「お前たちを洗脳しなかった理由は簡単だ。魔力の無駄だからだ」
ロキ「魔族連中にお前らのようなものがまた出てくると面倒だ。見せしめとして細切れにしてから床に散らかしてやろう」スッ…
魔族C「や、やめ・・・」
ギャァァアアアアアアッ!!!
....
..
.
トニーのラボ
カズマ「全員そろったな。一応考えておいた作戦を説明するぞ」
ウィズ「あ、あの・・・トニーさんの姿が見当たらないようなのですが・・・」
カズマ「・・・」
バニル「ふーむ・・・そこの発光女の光が邪魔でヒゲ中年の姿が見通せんが・・・小僧の顔から察するに、なにやら困りごとのようだな?」ニヤリ
カズマ「・・・あいつは今スーツの再調整をしてるよ。体の魔力量が少なすぎて、スーツから流れるエネルギーに体が耐えられないんだってさ」
バニル「フハハハハッ!つまりこうか!せっかく手間暇かけて鎧を作ったというのに、当の本人が装着できなかったというわけか!」
ゆんゆん「バ、バニルさん・・・」
バニル「なんと勿体ない!それが分かったときの悪感情を食らってみたかったぞ!フハハハハハッ!!」
トニー『聞こえているぞバニル。退魔用の武器を作ったらまずはあんたで試してやるからな。カズマ、僕は作業しながら聞くからもう作戦を話して良いぞ』
バニル「おっと失敬!では小僧、その作戦とやらを聞こうではないか?」
カズマ「まず、洗脳されている人達の救助を優先したい。戦うことになったら面倒だしな」
カズマ「フライデーの操っているドローンの情報だと、どういうわけかロキは魔王軍の配下たちを城に配備せず、洗脳した冒険者に護衛を行わせているらしい」
カズマ「代わりに魔王軍の魔物たちは王都自体を守るように展開しているようだ」
めぐみん「魔王軍を最初から裏切るつもりだと言ってましたもんね。おそらく自分の野望を魔王軍に悟らせないためでしょう」
トニー『僕も同意見だ。で、どうやって洗脳された冒険者を助ける?』
カズマ「洗脳された冒険者は皆ロキを崇拝していただろ?だから、そこを突けば何とかなるはずだ」
カズマ「トニー、今王都を偵察しているステルスドローンにスピーカーってついてるか?」
トニー『潜入時に敵の気をそらすためのスピーカーが付いてる。それがどうかしたか?』
カズマ「王都にある放送室にドローンを送り込んで、トニーの声真似装置かアクアの宴会芸を使ってロキの声を流すんだよ。それで王城内部にいる洗脳された冒険者たちを誘導する」
カズマ「そして、城から出てきたところをアクアのスキルを使って洗脳を解くって寸法だ」
ダクネス「また隠密作戦か・・・好きだなそういうの・・・」
カズマ「化け物が大勢ひしめく王都に真正面からぶつかって勝てる自信ないしな・・・こっちの方が確実だろ」
バニル「悪くない作戦ではあるが・・・王都にどうやって近付くつもりだ?」
カズマ「光の屈折魔法と潜伏スキルを発動させた状態でテレポートする。あとはバニルの目と俺の敵感知を使って敵が多いところをよけながら進んでいこう」
ウィズ「それならバレませんね。生気で追いかけてくるアンデット系モンスターが居たら難しい所ですが・・・」
カズマ「いたらアクアの浄化魔法で暗殺してもらう」
アクア「任せなさいな。声を出す暇も与えずに消してやるわ!」
ウィズ(巻き込まれないように気を付けないと・・・)
カズマ「さすがに放送室で音を流したらロキが気付くだろうから、ロキの部屋にサイレントの魔法をゆんゆんがかけてくれ」
ゆんゆん「えぇっ!?それって王都で一番厳重な謁見の間に近寄るってことですよね!?で、できるかな・・・」
トニー『安心しろ。僕のスーツで一気に謁見の間のある階まで運んでやる。君は光の屈折魔法を使って城を上る僕の姿を隠してくれ』
ゆんゆん「わかりました!」
カズマ「そして、冒険者たちを助けたら後は・・・」
....
..
.
カズマ「以上が作戦だ。気乗りしないけどやるぞ」
アクア「気乗りしないけどってあんた・・・もうちょっと指揮を上げるような演説とかできないの?」
カズマ「こんな世界を救うような事、ほぼ一般人の俺には荷が重すぎるんだよ!思いついただけでもありがたいと思え!」
トニー『とかいいつつ、何とかしてきたのが君達なんだろ?』
めぐみん「ええそうですよ。トニーに見せつけてあげましょう!」
ダクネス「あぁ。存分に暴れて見せるつもりだ!」
アイギス《オイオイオイ、傷だらけになるわ俺》
ダクネス「・・・というより、トニーの鎧の調整はまだなのか?」
トニー『あー・・・悪いが、もう少しかかりそうだ。先に行っててもらえないか?』
トニー『僕のスーツなら数分と経たずに王都まで飛んでいける』
トニー『王都について人気のない所まで到着したら呼んでくれ。そこに着陸する』
カズマ「わかった。なるべく早くきてくれよ?ウィズやバニルがいるとはいえ、戦闘になったら面倒なんだからな」
めぐみん「この会話の流れでウィズとバニルの名前を出しますか・・・いえ、カズマらしですが」
アイリス「もう行ってしまわれるのですね、お兄様・・・」
カズマ「お兄ちゃんが何とかしてやるよ。こう見えても幹部を大勢倒してるベテラン冒険者だしな!」
ダクネス「こ、この男・・・自分のさっきの発言を忘れているのか・・・?」
カズマ「いい男ってのはな、過去に縛られないんだ」
クレア「なんて都合のいい・・・や、やはりこの男はアイリス様に悪影響だ・・・!」
カズマ「バ、バニル!ウィズが登録してる王都のテレポート登録地点付近に魔物がいないかどうか見通してくれないか?」
バニル「もうやっておる。転送先に人がいて事故が起こることを避けるために、店主が少し離れたところに登録していて助かったな」
バニル「転送先付近に魔物はみあたらん」
カズマ「よし、ウィズ、やってくれ」
ウィズ「はい!皆さん準備は良いですか?」
アイリス「今から王都奪還に向かわれる勇気ある皆様、あなた方のご武運を心から願っています!どうかお気をつけて・・・!」
ダクネス「アイリス様、この私、ダスティネス・フォード・ララティーナの名に懸けて、必ずや王都を奪還して見せます」
アイリス「フフッ、頼もしいわ、ララティーナ・・・えぇ、奪還して、必ず生きて帰ってきてくださいね!」
めぐみん「全員で余裕の凱旋をしてみせますとも!あなたはここで本でも読んでるといいですよ」
アクア「帰ってきた時の為に宴会の用意とかしてくれたら嬉しいわ!」
アイリス「はい、わかりました。皆様が戻ってきた暁には、王都で盛大に宴を行いましょう」
アクア「やったぁ!私、やる気が出てきたわカズマさん!」
カズマ「はいはい、お前ら続きは帰ってきてからにしろよ」
カズマ「最後にアイリス、俺の願いを一つだけ・・・戻ってきたらまた王城に---」
ダクネス「今すぐその男の口をふさげ!何もしゃべらせるな!」
めぐみん「ウィズ!今すぐテレポートをお願いします!カズマ、それ以上は言わせませんよ!」ガバッ
カズマ「モガッ!お、おい・・・!俺は王城で退廃的な生活を・・・」
ゆんゆん「カ、カズマさん・・・」
トニー『君達は何をやっているんだ・・・?』
ウィズ「わ、わかりました!行きますよ!?テ、『テレポート』ッ!!」
....
..
.
数分後 王都 郊外
カズマ「・・・遅いなトニー・・・今の内にドローンの操作の練習でもしておくか」
ゆんゆん「ドローンはフライデーさんが操作しているのでは・・・?というかそのコントローラーは・・・」
カズマ「チッチッチ・・・まだまだ甘いなゆんゆんは・・・いいか、いざって時は人間の腕の方が頼りになるんだよ。なんでもかんでも機械任せは駄目なんだ」
ゆんゆん「な、なるほど!」
カズマ「うわ、すげぇなこのドローン。透明になれるぞ」
アクア「あ、ズルいわよカズマ。私にも操作させてよ」
カズマ「今建物の中を移動してるんだから駄目だ。今までレースゲームやフライトゲームで鍛えた俺の操縦テクを見せてやるよ」
めぐみん「建物・・・?今建物の中と言いましたか?」
カズマ「トニーがまだ来てないだろ?今の内に放送室にドローンを仕込んでおこうかと思ってさ」
ダクネス「ふむ・・・一理あるな。作戦は迅速に行わねば」
カズマ「その考え、もっと普段から心がけてくれないかな」
ダクネス「・・・」プイッ
カズマ「・・・っと、放送室は・・・あった。ドアを何とかして開けないとな」
カズマ「確か磁石の力で鍵を開けれるらしいんだけど・・・どこのボタンだ?これか?」ポチッ
カズマ「違うな・・・これか?いや・・・これ?」ポチッ ポチッ ポチポチッ
アクア「これとかそれっぽいんじゃない?」ポチポチッ
ウィズ「あ、あの・・・そんなにむやみやたらといじるのは・・・」
カズマ「おっ、いけたいけた。機材設備がどんな感じか見ておこう。アクア、お前も今の内に声真似練習しとけ」カチャカチャ
アクア「えー、麗しき水の女神が邪神のモノマネなんて嫌よ。ちょっとそこのヘンテコ悪魔、あんたの変身能力で何とかなさいな」
バニル「断る。どうして我輩が敵対者である神に化けねばならんのだ」
めぐみん「そういうことなら、私がやります!いえ、やらせて下さい!邪神のようにふるまえばいいのでしょう!?やりますやります!」
アクア「なんだかもの凄く乗り気になってるみたいだから、めぐみんに任せるわね。『ヴァーサタイル・エンターテイナー』!」スッ...
ポゥッ…
めぐみん「『あー、あー、どうでしょ・・・!?』」
めぐみん「『す、凄いです!アクア!これは凄いですよ!ロキそっくりです!』」
カズマ「うっわ、めぐみんからロキの声がする」
ゆんゆん「すっごいシュール・・・」プルプル…
めぐみん「『喋るときはどうすればいいのですか?』」
カズマ「プッ・・・くくくっ・・・その声でいつものめぐみんの口調でしゃべるのは反則だろ・・・」プルプル…
カズマ「しゃ、喋る場所はこのコントローラーに向けてで良いみたいだ。今機材がどんなもんか見て途中だから用意ができたら教える。それまで口上を考えておいてくれ」
めぐみん「『我が名はロキ!世界を牛耳る邪神なり!いいか、城の中にいる各員に告ぐ!今から城より西側の郊外に全員集結せよ!これは命令だ!』」
めぐみん「『・・・こんな感じでどうでし・・・』」
ゼンインシュウケツセヨ!
コレハメイレイダ!
メイレイダ…
イレイダ…
ダ…
カズマ「」
カズマ「」
アクア「い、今のこだまって・・・」
ウィズ「あ、あの・・・王城の方から何か音が聞こえてきたのですが・・・」
ダクネス「あ、あれは王城で使う放送用魔道具の音だ・・・カ、カズマ・・・お前まさか・・・」
カズマ「・・・間違えたな、うん。どうやらポチポチ押しまくってうちに勝手にスピーカーがオンになってたみたいだ。やべぇ」
ダクネス「お前と言う奴は!どうしてそんないじくりまわしてしまったのだ!」
カズマ「し、しょうがないだろ!見たこともない機材だったんだし、ドローンのスピーカーがオンになってるなんて思わないだろ!」
アクア「わ、私は何も悪くないわよね・・・?」
....
..
.
王城内部
『我が名はロキ!世界を牛耳る邪神なり!いいか、城の中にいる各員に告ぐ!今から城より西側の郊外に全員集結せよ!これは命令だ!』
「ロキ様の声・・・?」
「西側の郊外?」 「ご命令とあらば今すぐ向かわなくては・・・」
「ロキ様の言葉を疑ってはならない・・・」
「全員外に出ろ!!今すぐ向かうのだ!」
「「「「ロキ様の為にーっ!」」」」
ドドド…
----------------
王城 謁見の間
ロキ「な・・・一体どういうことだ!!一体だれが放送室を使っている!?」
ロキ「外の様子を確認しなくては・・・!」ダッ…
ガチャッ…
ロキ「・・・こ、これは・・・!」
ガランッ…
ロキ(全員出ていっただと・・・!私への信仰心を上げ過ぎたのがアダとなったか・・・!)
ロキ「スターク・・・」ギリッ…
....
..
.
王都 郊外
アクア「私別に悪くないでしょ!?なんで私まで怒られなくちゃいけないの!?」
カズマ「お前も散々ボタン押しまくってただろうが!!同罪だ同罪!!」
ダクネス「落ち着け!喧嘩してる場合じゃないだろう!」
ウィズ「たくさんの人影が近付いて来てますよ!洗脳された冒険者たちは私たちの姿をヴォーミアで一度見ています!見つかったらマズいですよ!?」
カズマ「というか、やけに多くないか・・・?ちょっと千里眼で様子を・・・」ジッ…
カズマ「・・・!や、やべぇ!どうしよう!?冒険者だけじゃなくてなぜか魔物まで来ている!!」
ゆんゆん「えぇぇえ!?なんでですか!?」
カズマ「ロキの部屋にサイレントかけずに放送かけたから、きっとロキが魔王軍の配下に様子を見に来させたんだ!やっべぇ!!」
ウィズ「ど、どうしますか!?一度撤退しますか!?」
カズマ「この機会を逃したらもう洗脳を解くチャンスが・・・!」
カズマ(考えろ・・・!考えろ・・・!なんかあるはずだ・・・!)
カズマ「クソ!何も浮かばな---」
『やぁ、みんな。楽しそうだな』
キィィィィインン…
ガンッ!
トニー「さて・・・押し寄せてきている魔物と冒険者・・・状況を説明してくれないか?」
めぐみん「ト、トニー・・・今の拳を地面に突き立てる着地ポーズは一体なんですか・・・?恐ろしくカッコいいのですが・・・」ソワソワ
トニー「悪いが特許とってあるんだ。真似はするなよ?」
めぐみん「ぐっ・・・」
トニー「そんなことよりこの状況だ。僕が来るまで待機してるんじゃなかったのか?」
カズマ「いやぁ・・・実は・・・作戦の予行練習してたらそれを間違って放送しちゃって・・・すいませんでした」
トニー「・・・はぁ・・・君の行く先ではトラブルしか起きないって話は本当だったみたいだな」
拳を突き立てる着地ポーズ
三点着地のポーズの事。ヒーロー着地の方がなじみ深い名前かもしれない。さすがデップー
両足と、片手を地面につけて着地してれば大体これになる。アイアンマンの場合は脚を大きく開き、右拳と右ひざ、左の足を地面につけている
アイアンマンだけではなく、他にもいろんなヒーローがこの着地をおこなっているので、アイアンマンが起源というわけではない
めちゃくちゃカッコイイポーズだが、デップーも行ってるように膝にすごく悪い。本当に悪い
ポーズをとるだけならいいが、骨折の危険性があるので着地にこれをするのはオススメしない
アイアンマン着地シーン集
https://youtu.be/Noooxfq6RE0
トニー「まぁいい。なんとかなるだろう」
カズマ「えっ!本当か!?」
トニー「アクア、君の回復魔法はどれくらいの怪我まで治せる?大勢相手でも魔力は持つか?」
アクア「えっ?そうねぇ・・・死んでさえいなければ、大けがでもほぼ全快させることができるわよ?」
トニー「よし。それが聞けて良かった」
アクア「ね、ねぇ・・・すごく嫌な予感がするんですけど・・・あの、私の信者もいることだし、あんまり傷つけないでね・・・?絶対だからね?」
トニー「安心しろ、使い方は僕が一番熟知している。ちょっと全員に寝っ転がってもらうだけさ」
ダクネス「お、おいまさか・・・!アレを使う気なのか!?」
トニー「さて諸君、ちょっとしたプレゼンの時間だ」
カズマ「プ、プレゼン・・・?一体何言ってるんだ・・・?」
トニー「恐れられる存在、敬われる存在・・・その両方が欲しくないか?」
トニー「今ここに、僕の最新の武器を発表しよう」
トニー「リパルサー技術を搭載した新兵器。もちろん威力は控えめ」
トニー「よく、一度も撃たずに済む武器が最良の武器と言うが・・・僕はそうは思わない」
ゆんゆん「ト、トニーさん・・・?」
めぐみん「ちょっ、ちょっとまってください!アレはもう使わないで欲しいと言ったはずでは・・・!」
トニー「最良の武器とは、一度撃てば勝負が決する武器だ。戦いに勝った国はみな今までそうしてきた」
ウィズ「あ、あの・・・大群がもう近くまで・・・」
トニー「この兵器を一度撃てば・・・間違いなく悪党どもは・・・怖気づいて、洞窟にこもることだろう」
キィィィン…
バニル「ふむ・・・あれは・・・」
バニル「・・・!あれはマズいぞ!おい、今すぐどこか身の隠せるところを用意するのだ!」
カズマ「全員今すぐ地面に伏せろ!早く!!ウィズ!ゆんゆん!シェルター作ってくれ!!」
ウィズ・ゆんゆん「「はい!!『カースド・クリスタルプリズン』!」」
パキパキパキ…
パキンッ
トニー「フライデー、冒険者全員の意識を奪える程度の威力になる距離で爆発させろ」
フライデー『はい、ボス』
アクア「トニー!あんた覚えてなさいよ!!」バッ
トニー「どうぞご覧あれ。『ジェリコ』」
バシュンッ
キュィィィッ
ヒュルルルルル…
ズガァァァアアアアッ!!!!
カズマ「うぉぁああーっ!!!」グラッ…!
アクア「いやーっ!!ウィズ何とかしてー!!」ガバッ
ウィズ「アクア様落ち着いてください!だ、抱き着かれたところがだんだん熱く・・・」チリチリ…
ビシッ…
ビキキッ…
めぐみん「ひ、ひびが!シェルターにひびが入ってますよ!ゆんゆん!補修してください!」
ゆんゆん「ク、『クリスタル・プリズン』!!こんなに分厚い氷のシェルターなのになんで・・・?」
ダクネス「うぅっ、ここに入らず外に残っていればよかった・・・あれを味わってみたかったのに・・・」
アイギス《ねぇ、今この子なんて言ったの?もしかして俺騙された?事故物件掴まされちゃった?》
ビリビリ…
シュゥゥゥ…
カズマ「・・・終わった・・・のか?」
トニー「全員外に出てきていいぞ」
カズマ「俺、お前の事嫌いになりそうだわ」ヨロッ…
トニー「悲しいなぁ、僕のハートは割れそうだ」
めぐみん「割ってあげましょうか・・・?」ヨロヨロ…
ゆんゆん「な、なにも割る必要はないから・・・」
バニル「それではオムレツはできぬぞ」
トニー「言おうと思ったら先越された・・・」
アクア「ぐすっ、うええ・・・空気がびりびり震えてたし、口の中がじゃりじゃりするぅ・・・ロキよりトニーの方が危なっかしく見えてきたわよ・・・」
トニー「ちゃんと安全面には配慮してある。それよりほら・・・」
「うぅ・・・」
「一体何を・・・?」
「ロキ様・・・」
「体が動かん・・・」
「ぅぐっ・・・」 「なんだ・・・今のは・・・」
トニー「君のヒールとブレイクスペルで彼らの手当てと洗脳の解除をしてやってくれ」
アクア「死屍累々なんですけど」スッ…
トニー「安全面には配慮してあるって言っただろ。今使ったのは爆風による衝撃だけを強化した非殺傷の広範囲攻撃型ミサイルだ」
トニー「さすがに近すぎると危ないが、ちゃんと距離を考えて使えば・・・」
めぐみん「それを使い続けると言うことは、私への挑戦とみていいんですね?これからは背中に気を付けることです」
トニー「そう目を光らせるなよ。君の出番はまだまだあるさ」
めぐみん「そういうことではないですよ!私の存在価値を奪うような武器は全部敵です!」
トニー「はぁ・・・わかった、わかった。もう使わないから落ち着いてくれ」
めぐみん「絶対ですよ!!」
トニー「はいはい」
バニル「ふぅむ・・・」ジッ…
トニー「・・・なんだ?どうして僕をジッと見ているんだ?」
バニル「興味深いな・・・普段の汝は簡単に見通せると言うのに、その鎧を着た途端にまるで見通せなくなった。中々面白いものを作ったな」
トニー「悪魔のお墨付きか。喜ぶべきやら、心配すべきやら・・・」
バニル「素直に喜ぶがいい。我輩の目が見誤る事などないぞ?」
ダクネス「確かにすさまじい鎧だ・・・というより、前々からだがなんで鎧が空を飛べるのだ・・・?」
アイギス《俺の中に入っておきながら他の鎧を褒めないでくれない?俺凹むよ?凹んじゃうよ?》
ダクネス「す、すまないアイギス・・・そんなつもりでは・・・」
カズマ「そいつの言うことを真に受けるなよ。大抵演技だから」
アイギス《んもー!だからどうしていいところで邪魔しちゃうの!?》
アイギス《あとちょっとで傷心につけこんであんなことやこんなことが・・・あっ、待ってごめん!謝るから腕と腕をこすり合わせないで!俺削れちゃう!》
トニー「ここは最終決戦の舞台だと言うのに、まるで緊張感が無いんだが」フッ…
めぐみん「そう言いながらも、トニーだって笑っているではないですか。これでこそ私達ですよ」
トニー「なぁ・・・その中にもう僕も入っているのか?」
めぐみん「・・・?」
めぐみん「今更何を言っているのですか?あなたはちゃんとした私たちの仲間でしょうに」ニコッ
トニー「・・・カズマが君を将来絶対悪女になると言ってた理由が今分かった・・・」
めぐみん「兜が閉まっているせいで全く顔が見えませんが・・・ひょっとして照れているのですか?」ニヤニヤ
トニー「大人をからかってるといつか痛い目見るからやめておけよ。それよりアクアはどうなっているんだ?もう終わったのか?」
ウィズ「アクア様―!様子はどうですかー!」ブンブン
アクア「もう大体終わったわよー!」グッ
「ここは・・・?」 「トナカイ頭・・・大爆発・・・頭が・・・」
「なんだかすごく不快な思いをした気がする・・・」
「俺はこんなところで何を・・・?」 「ロキ様・・・“様”?」
「口の中が砂だらけだ・・・」
アクア「おはようみんな!目は覚めた?」
冒険者A「えーっと・・・一体どういう状況なんだ?」
アクア「良い?あなた達はね、邪神であるロキに洗脳の魔法によって操られ、悪の手先にされていたのよ!」
アクア「でも安心して!高貴で麗しいアクシズ教の御神体であるこの女神アクア様がその洗脳の魔法を解いてあげたわ!」
セシリー「キャーッ!アクア様ー!!」
アクシズ教徒A「アクア様ー!!」パチパチ
アクア「てなわけで、今後はアクシズ教をよろしくお願いします!」
ダクネス「おいアクア、あまり調子に乗るんじゃ・・・」
カズマ「ほっとけダクネス」
トニー「だな。あいつはもう手遅れだ」
バニル「忌々しい光景だ」チッ…
冒険者A「ア、アクシズ教徒!?」
冒険者B「これってよ・・・お前らの自作自演の罠ってことはねぇよな?お前らはどう思うよ?」
冒険者達「「「アクシズ教徒ならありえる」」」
アクア「何でよーっ!?私あなた達の事を治してあげたのに!!」
セシリー「そうよそうよ!!あんたたちに感謝の心ってもんはないの!?」
アクシズ教A「この背教者共め!!」
冒険者A「何が背教者だ!一度たりともあんたらの教えに従ったことはねぇよ!!」
セシリー「なんですってぇえ!?助けてもらっておいてこの仕打ち!!こうなりゃ聖戦よ!!」
めぐみん「落ち着いてください、セシリーさん」グイッ
セシリー「あら、めぐみんさんじゃない!それにさんまでゆんゆんさんまで!どうしてここに!?」
めぐみん「話せば長いです」
ゆんゆん「お、お久しぶりです!大丈夫そうで良かった・・・」
セシリー「心配してくれるだなんて嬉しいわ!いつ見ても可愛いわね!二人共ぎゅってしてもいいですか!?」
めぐみん「や、やめてください。というか、皆さん紹介すべきですね。何というべきですか・・・この人は・・・」
セシリー「姉です」
めぐみん「ねつ造しないでもらえますか!?彼女は昔お世話になった人で・・・」
トニー「あー・・・なんだ、彼女は美人だが・・・」ヒソヒソ…
カズマ「ああ、分かるぞ。綺麗な人だけど俺の仲間たちに似た駄目な人間のオーラを感じる。俺の周りこんなんばっかかよ」ボソッ…
トニー「君の言う駄目な仲間ってのに、僕はさすがに含まれていないだろ?」
カズマ「でもお前マッドサイエンティストなうえに自分が一番正しいと信じて疑わないタイプじゃん。正直俺の仲間の中で一番ヤバイ存在だと思ってるよ」
トニー「・・・」
めぐみん「洗脳が解けてよかったです。みんなまだ混乱しているようですが、アクアのヒールを受けたならもう大丈夫でしょう」
セシリー「洗脳されてる間私は一体どうなっていたの・・・?もしかして・・・口に出すのもはばかれるような恥辱の限りを尽くされて・・・」
めぐみん「むしろ恥辱の限りを尽くそうとしてましたよ。ロキを信仰してその体をベタベタと・・・」
セシリー「そっちの方がショックなんだけど!?私がアクア様以外を信仰していたって事よねそれ!?そ、そんな・・・!」
カズマ「まぁまぁ、洗脳されていただけなんだからそう深く考えんなよ」
冒険者A「談笑中の所悪いんだが、本当に俺たちは操られていたのか?」
カズマ「そうだよ。あんたらはロキっていう鹿だかトナカイだかわからない兜をした自称邪神に操られてたんだ」
冒険者A「クソ・・・何者だかわからねぇが、勝手な真似してくれやがって・・・!」
トニー「さらに言うとロキは洗脳した君たちの力を利用して王都をいとも簡単に侵略して見せた。今僕らは王都奪還作戦の途中なんだ。君達も協力してほしい」
冒険者A「あったりまえだ!邪神だか何だかしらねぇが、冒険者が舐められっぱなしでいられるかよ!」
ウィズ「あのー・・・みなさん・・・」
ダクネス「どうした、ウィズ?なにやら焦っているような顔だが」
ウィズ「その・・・先程のトニーさんの攻撃でダウンしていたのは冒険者の方々だけではなくってですね・・・」
魔物たち「「「「グォォォオオッ!!」」」」
バニル「ようするに、汝らがコントやってるうちに気絶してた敵が復活したのでさっさと向かい撃てって事である」
カズマ「もっと早く言ってくれよぉぉおお!!」バッ
冒険者A「ふっ・・・ここは俺達に任せておきな!アクシズ教徒だけのセリフじゃ説得力に欠けてたが、助けられたのは事実みたいだしよ!」
冒険者B「あんたたち、これから王城まで奪還に向かうんでしょ?だったら、ここは私たちが食い止めたげる!」
冒険者C「このまま助けられっぱなしってのはベテランの俺たちのプライドが許さねぇ!さぁっ、行ってきな!!」
カズマ「おぉ・・・」
カズマ(これだ!これだよ!今の俺達、まるでファンタジー世界の主人公じゃないか!こういう展開を待っていたんだよ!)グッ…
冒険者A「まぁ、どうせあんなやつらすぐにぶっ倒して追いついてやるからよ。それまでやられるんじゃねぇぞ?全身鎧のにいちゃんよ」
トニー「逆に君たちが来る前に終わらせてやるさ。さっさと倒して来いよ?」
冒険者A「はっはっは!言うねぇ!気に入ったぜ!それじゃぁ、行くぞ野郎ども!!切りかかれぇぇえええ!!」ダッ
冒険者達「「「「おおおおおおーーっっ!!」」」」
めぐみん「『エクスプロージョン』ッッッ!!!」
カッ
ドゴォオオオンッ
魔物たち「「「「「グギャァァァァァァアッッッ!!??」」」」
パラパラ…
トニー「」
カズマ「」
冒険者達「「「「」」」」
めぐみん「・・・ふっ、これで全員で戦いに行けますね・・・!嬉しいですか?」
トニー「」
めぐみん「見ましたかトニー?我が爆裂魔法の方があんな“じゃがりこ”だとかいう偽物よりもケタ違いに強いでしょう!」フンス
カズマ「お前ってやつは!少しはいい話で終わらせられないのか!」
冒険者A「まぁ、なんだ・・・奪還作戦・・・よろしくな・・・」
トニー「あぁ・・・」
めぐみん「それにしても、爆裂魔法を撃っても倒れないって言うのは最高の気分ですね!見栄えもいいですし、良い事づくめです!改めて感謝しますよ、トニー!」
トニー「そりゃよかった・・・」
....
..
.
トニーのラボ 来客室
クレア・レイン「・・・」ソワソワ
アイリス「クレア、レイン、どうか落ち着てください。ほら、ボタンを押すだけで飲み物が出てくる不思議な魔道具もあることですから」
フライデー『ドリンクバーです』
クレア「う、うむ・・・では飲むとシュワシュワする黒い飲み物をいただこう」
フライデー『コーラですね』
レイン「では私はお茶を・・・」
クレア「・・・多くの魔王軍幹部を倒してきたカズマ殿、あらゆる画期的な武器を作り、騎士団の死亡率を激減させ、空飛ぶ鎧を身にまとうスターク殿の腕は確かです」
クレア「それでも・・・彼らは王都を奪って見せるような化け物相手に勝てるのでしょうか・・・」
レイン「今回ばかりは・・・冒険者だけで解決できるような危機ではない気がします・・・」
アイリス「えぇ・・・確かに。でも、心配する必要はありません」
レイン「・・・どういう意味でしょうか・・・?」
アイリス「なぜなら・・・助けを求める声に駆け付け、世界を救いに向かった彼らこそは---」
アイリス「---勇者(ヒーロー)だからです」
レイン「アイリス様・・・」
クレア「えぇ!その通りですね!信じて送り出したからには心配など・・・」
ピピピ… ピピピ…
クレア「・・・?この音は・・・」
レイン「確か・・・ムセンとか言う連絡用の魔道具でしたよね」
フライデー『正しくは電子機器です』
レイン「う、うむ・・・連絡の主はスターク殿か・・・え、えっと・・・どこを押せば・・・」アタフタ…
フライデー『私が接続します』
ピッ
トニー『やぁクレア。聞こえてるか?』
クレア「あぁ、問題なしだ。そちらの状況はどうだ?」
トニー『あー・・・まぁ、ちょっとしたハプニングはあったが・・・おおむね快調だ』
トニー『とりあえず、Ms.アイリスに代わってもらえないか?許可を得たいことがある』
クレア「アイリス様に・・・?わかった、今代わろう。アイリス様、スターク殿です」スッ…
アイリス「か、変わりました、アイリスです。どういったご用件でしょうか・・・?」
トニー『王都南東側の端から王城までの区画を買収したい。できるか?』
アイリス「え、えぇ!?そ、そちらは商業区で、民家はほとんど存在しないので不可能ではないですが・・・」
トニー『それじゃ、買った。じゃあな』
ブチッ…
アイリス「えっ」
クレア「アイリス様・・・?どういった内容だったのですか?」
レイン「なんだかお顔が優れませんが・・・」
アイリス「・・・王都の一部を買収されました」
クレア・レイン「「!?!?」」
....
..
.
王都 町中
トニー「行けるぞ、ばら撒けフライデー」
フライデー『了解です。ボス』
カズマ「気のせいだといいんだけどさ・・・お前、今この街の区画を買ったとか言わなかった?」
トニー「言ってない」
カズマ「言ったろ」
トニー「言ってない」
カズマ「ていうか、今から一体何をするつもり---」
アクア「カ、カズマさーん!!カズマさーん!!アレ何とかしてぇ!」ダダダ…
魔物A「待ちやがれそこのプリースト!!てめぇ、俺達の兄貴を散々罵倒しといて何逃げてんだコラッ!」ダダダ…
魔物B「見ろ!兄貴がヘコんじまったじゃねぇか!」
魔物C「べ、べつにヘコんでねぇし・・・初めてあんなに罵倒されたから驚いてるだけだし・・・」
カズマ「お前一体何したの?」
アクア「ちょっとめぐみんと一緒に敵を煽っていたら様相以上にキレだしたのよ!!なんとかしてー!」
めぐみん「逃げては駄目ですよアクア!口上を述べたうえで敵を倒さないと!」
アクア「そんなこと言ってなんでめぐみんはずっと宙に浮いて上から見てるの!?」
めぐみん「強者は上から見下すものです」
魔物A「てめぇら馬鹿にしやがって!何が“ちょっと煽った”だ!“片手でひねりつぶす”だの“便器に吐き出されたタンカス共”だのめちゃくちゃ言いやがって!!兄貴がお前らに何をしたって言うんだ!」
魔物B「もう構わねぇ!あいつらまとめてぶっ潰してやる!」
アクア「カズマさーん!なんとかしてー!あいつら以外にも後ろからワラワラきてるの!」
めぐみん「ふっふっふ・・・今こそ我が爆裂魔法の活躍の場・・・」
トニー「君はもう一発撃ってしまっただろ?ロキに備えて温存しとけ。ここは僕がやる」
トニー「カズマ、アクアと魔物たちの距離を離せ。このままじゃアクアが巻き込まれる」
カズマ「お前が何をするのか大体見当がついた。めぐみんに怒られても知らないからな」スチャッ… ギリリッ…
バシュッ!
ドスッ!
魔物A「いだッ!?なんだ・・・?矢が膝に・・・!」グラッ
カズマ「矢についてるボタンを押して展開して・・・魔法を唱えるだったな」ポチッ
カシャッ ヴンッ…
魔物A「な、なんだこの矢!?急に光り出したぞ!?」
魔物B「おいバカ!立ち止まるな!後続がつっかえ----」
カズマ「『ライトニング』ッッッ!!」
ヴァチチィイッ!!
魔物たち「「「うぎゃっばあああっ!?」」」ヴァチチッ!
トニー「今だ!」
ジェリコ「」ヒュルルルルル… バシュンッ…
カッ…
ズドォォォァァァアアッ!
パラパラ…
トニー「よし、道が開けたな。先に進むぞ」
ウィズ「さ、先程撃ってたものより攻撃力が上がっているような・・・?」
トニー「落としたのは衝撃じゃなくて攻撃力を上げた非殺傷じゃないミサイルだからな。ひとたまりもないはずだ」
カズマ「お前・・・街の一角を消し飛ばしておいて何か思う所はないの?」
トニー「もう僕の物だし問題ない」
ダクネス「大ありだこのたわけが!あわわ・・・美しい王都の街並みが・・・!この光景を国のお偉いさんが見たら、トニーは間違いなく最重要危険人物に認定されるぞ・・・!国が放っておかなくなる・・・!」
バニル「フハハハハハッ!なんとも豪快な金の使い方であるな!今後とも我輩の店をよろしく頼む!」
めぐみん「なんですか・・・?なんなのですか・・・?さっきからっ・・・私をそんなに怒らせたいんですかっ・・・?」
ゆんゆん「めぐみん落ち着いて!目が真っ赤!!」
めぐみん「落ち着けるわけないでしょう!私の存在価値の危機なのですよ!?」
トニー「カズマも言ってただろ。君にはロリ枠と言う貴重な存在価値が・・・おい、僕に杖を向けるな!僕が作った杖だぞ!」
カズマ「敵陣の中で仲間割れすんな!!」
トニー・めぐみん「「ならこの女(男)を何とかしてくれ(ください)!!」」
カズマ「めんどくせーなお前ら!!めぐみんはちょっとくらい容認してやれ!!今は火力がたくさん必要なんだよ!トニーも嘘つくんじゃねぇ!!これが終わったらもう作らないって口約束しとけ!!」
トニー「・・・はぁ、わかった。めぐみん、この戦いが終わったらジェリコをすべて解体するし、もう製造はしない。今度こそ本当だ」
めぐみん「・・・仕方がありませんね。事情が事情ですし、心の底から嫌ですが今回だけは見逃して・・・いや、ちょっと待ってください。今口約束って・・・」
カズマ「いってないよ」
めぐみん「カズマのことですから、荒事が楽になると喜んで黙認しそうで怖いのですが・・・」
カズマ「そんなことないよ」
バニル「『バニル式殺人光線』!!『バニル式・・・ええいっ、何をやっておるか漫才師パーティーども!爆発を聞きつけた敵が大量に向かってきてるのだぞ!!」
トニー「はいはい、僕らの側面の敵はさっき助けた冒険者たちが守ってくれている。このまま火力を正面に集中させて進むぞ。全員準備はできているか?」
ウィズ「はい!火力面は任せてください!ゆんゆんさん、行きますよ!」
ゆんゆん「はい!」ダッ
アクア「アンデッドや悪魔系の敵は任せなさいな!それと、怪我したらちゃんと私に言いなさい。すぐに直してあげるからね」バキボキ…
ダクネス「盾になるのは任せておけ!トニー!私が敵を引き付けたところでジェリコを私に打ち込んでくれてもかまわないぞ!一度あれを私に食らわせてくれフヘヘ///!」
アイギス《お嬢ちゃん!帰ったら本当に今後について話し合おう!?おっぱい大きくてかわいい子は好きだけど、さすがにこれは許容できない!!》
めぐみん「温存、温存と、もうウンザリです。次に敵の群れを見たら問答無用で爆裂魔法を打ち込みますからね。つまり、準備完了です」
トニー「・・・」
トニー(正直アベンジャーズが恋しくなってきた・・・)
カズマ「こいつらの制御なんて考えるだけ無駄だぞ」
トニー「身に染みた」
....
..
.
王城 謁見の間
ドォオ…ン…
ロキ(また謎の爆発音・・・音からして、連中はここにまっすぐ向かってきている・・・冒険者どもにかけた洗脳魔法はもう解かれてしまったか・・・洗脳していた頃に感じていた魔力の流れを今はもう感じない・・・)
ロキ(あの青髪の女、私の魔法を止めた事といい、思っていた以上に力があるみたいだな・・・)
ロキ(魔王軍どもめ・・・時間稼ぎもまともにできんのか?)
ガチャッ!
魔王軍兵士A「ロ、ロキ様!!」
ロキ「・・・今度はなんだ」
魔王軍兵士A「た、大変なんです!急に妙な装備を身に着けた連中が現れたかと思いきや、次々と我が軍の兵士を蹴散らし始めて大パニックに・・・」
魔王軍兵士A「爆裂魔法がぶち込まれるわ、それに匹敵する謎の爆発物が降ってくるわ、空飛ぶ鎧が大暴れしてるわ、冒険者の洗脳が解かれているせいで援軍が足止めされてるわで・・・」
ロキ「・・・フンッ、これを持っていけ」ポイッ
魔王軍兵士A「こ、これは・・・?」パシッ
ロキ「転移の魔道具だ。それを使えば、ヴォーミアで戦力として捕まえておいておいた魔獣どもを呼び出せる。わかったらさっさと行け」
魔王軍兵士A「ロキ様は来ないのですか!?あなたにも来ていただかないと、我が軍に多大な犠牲が・・・」
ロキ「私はここでやることがある。お前たちは時間を稼ぐことに徹していろ」
魔王軍兵士A(な、なんてやつだ・・・!計画とやらを明かさないくせに、俺たちの仲間まで殺しておいて、この言いよう・・・!)ギリッ…
ロキ「返事はどうした?」
魔王軍兵士A「ぐ・・・わ、わかりました・・・」クルッ…
ガチャッ
バタン…
ロキ「たかが捨て駒風情が、よくもまぁあんな目ができるものだ・・・」
ビーッ ビーッ ビーッ
ロキ「・・・!」
【超質量物質転送用異世界間ゲート発生装置 準備完了】
ロキ「クク・・・ハハハハハ!!!なにやらあがいているようだが・・・間に合わなかったな!スターク!!起動までに間に合っていれば、まだ勝機があったものを!」
ロキ「魔王軍どもよ・・・せいぜいダメ押しの時間稼ぎを期待しているぞ・・・!」
ロキ「そして全員地べたから眺めているがいい・・・」
ロキ「神の世界が誕生する瞬間を・・・!」スッ…
ポチッ…
....
..
.
王都 町中
トニー「フライデー、周囲の様子は?」
フライデー『少々お待ちください』ピピピ…
ピピッ
フライデー『左手側50メートル、白い看板のレストランの中に多数の反応があります。おそらく、立てこもって奇襲の機会をうかがっているものかと』
トニー「了解。突入する」ドシュゥゥウウッ
バァンッ!
トニー「やぁ、まだラストオーダーの時間じゃないよな?」シュゴゴゴ….
魔物F「ゲェッ!なんでバレた!?クソッ!全員魔法の準備をしろ!!」
魔物G「ていうかなんで鎧着て宙に浮いてるんだよ!なにもかもおかしいだろ!!」
魔物D「魔法の準備ができたぞ!囲め!囲んで一斉に撃て!」
トニー「諸君、よせ。話せばわかる」
魔物s「「「死ねぇええ!!」」」
Mk.46「」ピピッ
【カースド・リパルサーレイ アーク・ミサイル マイクロ・ミサイル オンライン ロックオン完了】
ジャキィンッ!
魔物達「「「!?」」」
魔物D「ちょっ、ちょまままま!!一体なんだその武装の数---」
ズ
ド ド
ド ド ド
ド ド
ンッ
!
シュゥゥゥ…
パラパラ…
【残敵なし。武装解除】
トニー「話せてよかった。じゃあな」ガシュンッ….
ドシュゥゥウウッ
魔物D「どこが・・・話しだ・・・」
------------
カズマ「おい、トニーが突っ込んでいったレストランから妙な爆発音が聞こえたぞ。大丈夫なのか?」
ゆんゆん「出てきたご飯が美味しくなくてクレームをいれてるんじゃないでしょうか」
めぐみん「あのゆんゆんがトニーみたいなジョークを・・・」
ゆんゆん「ち、ちょっとそれっぽいセリフを言ってみたくて・・・」テレテレ….
アクア「影響を受ける人間は考えたほうがいいわよ?」
シュゴゴゴゴ…
トニー「君が言うと説得力がまるでないぞ」
カズマ「おっ、戻ってきた」
トニー「隠れてた敵は倒しておいた。ダクネスが正面の敵に発情しながら突っ込んでいるから、僕らも続----」
ズンッ…
ヴゥンッ….
トニー「・・・何の音だ?」
フライデー『・・・ボス、周囲に異常な魔力の波動を検知。発生源は・・・』
トニー「・・・もう見えてるから言わなくてもいいぞ」
カズマ「おい、なんだよあれ・・・王城の天辺からなんかビームみたいなのが・・・」
ゴゴゴ…
ギギギギギ….
トニー「あー・・・フライデー、僕酔ってないよな?」
フライデー『血中アルコール濃度に異常なし。すべての数値において正常と判断されました』
トニー「今だけは異常と判断されてほしかった・・・」
アクア「ねぇ!空に穴が開いてるんですけど!?どんどん広がっていくんですけど!?」
バニル「見ればわかるわ!喚くでない、この鶏女神めが!」
ゆんゆん「あわわわ・・・いったい何が・・・・!?」
めぐみん「ゆ、ゆゆ・・・ゆゆんゆんゆゆん・・・!おち、おちちち・・・」
フライデー『大規模な空間異常を検知。NYの時のものとは比べ物にならない数値です』
ダクネス「おい!空の穴がどんどん広がっていくぞ!こ、これは・・・!」
フライデー『ワープゲート、いまだに範囲拡大中です。ゲートの直径はすでに王都全土の面積を遥かに超えています』
ウィズ「こ、ここまで巨大な魔力は今まで感じたことが・・・」ゴクリ…
「おい、なんだありゃ!」 「知らねぇよ!俺に聞くな!」
「ロキの仕業か!?」
ザワザワ…
バニル「どうやら魔王軍でさえも何が起きているのか把握できていないようであるな。とすれば、これはあの日常生活に支障をきたしそうなレベルのアホ兜を被ったアホ邪神の仕業か・・・」
バニル(というより、空に開いた穴の先が眩しくて見通せん。一体なにが送られようとしているのだ・・・?)
ズズズズズ…
カズマ「穴の奥に何か見えるぞ!ちょっと千里眼で様子を・・・」スッ…
カズマ「あれは・・・あ・・・れ・・・」サァッ…
アクア「ね、ねぇ、なにそんな青ざめた顔してるの・・・?私、すっごく嫌な予感がするんですけど・・・」
トニー「フライデー・・・」
フライデー『ゲート内部をズームした映像を解析中・・・解析完了』
ズズ...
アスガルド「」ゴゥン…
フライデー『・・・未知の大陸です』
カズマ「はい、撤収」
アクア「・・・」
ウィズ「アクア様?どうしました?急に静かに・・・」
アクア「あははははは!!何あれ?でっかいパイプオルガン?」
ウィズ「アクア様!お気を確かに!!」
バニル「フハハハハハ!!まさか、まさか神の国そのものが来るとは!永い間生きてきた我輩でも、こんな光景は初めて見たわ!フハハハハハ!!!」
カズマ「撤収ーっ!撤収ったら撤収!なんだよあれ!俺普通にロキが現れたら矢で適当に援護しつつ、トニーやバニル、ウィズに任せてあっさり終わりみたいに考えてたのに!なんでこんなおかしなことになってるんだよ!」
ダクネス「ここまで来たらなおさら撤収などできるか!あの空をよく見ろ!あれをどうにかしないと、王都どころかこの世界そのものがどうなるかわからないのだぞ!!」
カズマ「お前こそ、この空に広がっていく理不尽をよく見ろよ!惑星だか大陸そのものが穴から顔をのぞかせているんだぞ!人間にどうにかできる問題じゃねぇ!」
カズマ「俺はもう駄目だ!空の穴見て完全に心が折れそうだ!帰らせてくれ!」
アイギス≪俺さ、世界を救うなんて大それたこと言わないよ。手が届く限りのおなご達を守って見せる。そう、それでいいじゃないか≫
トニー「なにいい話で終わらせようとしてるんだ!最後まで付き合え!」
めぐみん「ト、トニー!あの、遠くから何かが・・・」
トニー「全員聞け!これは僕の経験則だが、世界滅亡の危機だろうが、なんだろうが、全員で結束して立ち向かえば意外と解決できるもんなんだ!」
めぐみん「あの・・・」
トニー「いままであらゆる危機を乗り越えてきたが、結束こそが一番の最善策だった!」
トニー「君たちだってそうだったんだろ!?絶対無理だと思えるような怪物相手でも、結束して勝利してきたんだろ!?今回も同じだ!まぁ、規模は多少でかいかもしれないが、できることはまだあ---」
めぐみん「トニー!今すぐ振り返ってください!何かこっち来てます!!」
トニー「ったく、いいこと言ってるのに、話をそらそうとす---」クルッ…
?「よォ、名演説の途中悪いが、続きはあの世でやってくれ」ブォンッ
ド ギ ャ ァ ッ
ヒュンッ…
ドゴォ…ン…
ゆんゆん「ああっ!トニーさんが!トニーさんが金棒で吹き飛ばされちゃいましたよ!?」
アイギス《オイオイオイ、死んだわあいつ》
カズマ「今のはアレだな。ダメージ蓄積値300%超えで横Aスマッシュをフルチャージで食らったような吹っ飛び方だったな」
ゆんゆん「今度はカズマさんがおかしくなっちゃったんですか!?変なこと言ってないで助けに・・・」
?「そう焦んじゃねぇよ。すぐ同じところに送ってやっからよ・・・」サラサラ…
カズマ「トニーを吹っ飛ばしたあいつ、どうなってるんだ?体が砂でできてるのか・・・?」
アクア「あんた!よくもウチの従者をホームランしてくれたわね!今度は私があなたをかっ飛ばしてあげるわ!」
ガデルカンド「ハッ、雑魚プリーストが強がりやがって!いいか!俺の名はガデルカンド!魔王軍準幹部と目されている砂のガデルカンド様だ!この体はあらゆる物理攻撃を無効化する!さぁっ、かかって来---」
シュゴゴゴゴ…
トニー「こりゃまた大きな砂場だな。みんなで砂遊びしていくか」
ガデルカンド「な!?生きて---」
カズマ・アクア「「『クリエイト・ウォーター』ッ!」」
バシャァッ
ガデルカンド「げぇっ!?しまった!体が・・・固ま・・・」ドロッ…
カズマ「ハッハァーッ!砂のモンスターには水をかけるって相場が決まってるんだよ!!これ、俺の作戦な!!ウィズ!ゆんゆん!あとは任せた!」
ウィズ「いきますよ、ゆんゆんさん!」
ゆんゆん「はい!」バッ
ウィズ・ゆんゆん「「『フリーズ』ッッ!!」」ヒュゴォォオッ
ガデルカンド「カッ・・・---!?」パキパキ….
パキンッ…
アクア「あっはっはっは!!なんて不細工な氷像なのかしら!!私がきれいに削ってあげましょうか?プークスクス!!」
ガデルカンド(なんなんだこいつら!俺は魔王軍準幹部だぞ!?戦闘力だけならベルディアやハンスにだって劣らない・・・)
トニー「ほら皆。結束したらこんな怖そうなモンスターもあっという間だったろ?」
トニー「あっ、君の出番はここまでだ。引き立て役ご苦労様、肩でも揉んでやるよ」ガシッ
【リパルサーレイ出力値 上昇】
キュィィイ…
ガデルカンド(おい、何をする気だ!?やめ---)
ヴァゥゥンッ!
パリィィイイン...
パラパラ…
トニー「悪くない作戦だった。よくやった、ボウズ。さすが、問題児パーティーを率いてるだけあるな」
カズマ「お前も最近その問題児リストに加わったってことを忘れるなよ」
トニー「僕のどこが問題児だっていうんだ。それよりどうだ?楽勝だったろ?こんなノリで城まで行って、軽くロキをぶっ倒して帰ろうじゃないか」
トニー「そして、アクセルに帰ってすぐにサキュバスの店に行こう。なっ?」
カズマ「ったく・・・しょうがねぇなぁ・・・」
トニー「いいね。その意気---」
ワー! ワー!
ニゲロ ニゲロ!!
タイヒーッ
トニー「・・・なんだ?」
ダクネス「おい、全員向こうを見ろ!なんだか騒がしいうえに、凄い量の土煙や炎が上がっているぞ!!」
ドドドド…
冒険者A「おい!あんたらさっさと逃げろ!後ろから化け物どもがわんさか来てるぞ!!」
冒険者B「なんか雑魚兵の一人が転移魔法唱え始めて・・・“雑魚兵士が一体何を呼ぶつもり?ペットの犬かインコ?”とか笑ってたら大量の化け物たちが・・・!とにかく逃げてぇ!!!」
魔王軍兵士A「よくも俺をコケにしやがって!!全員こいつらの餌にしてやる!!」
魔龍「グォォォオオオオッ!!」ゴゥッ!
グロウキメラ「キェァァァアアッ!!」
フェンリル「ガルルルァァァアアアッ!!!」
ヒュドラ「キシャァアアアアアッ!!!」
ドドドドドドド…
カズマ「なぁ、トニー」
トニー「なんだ」
カズマ「前言撤回していい?」
トニー「ダメ」
ゆんゆん「あわわわ・・・魔龍にフェンリル、ヒュドラにグロウキメラ・・・!?高レベル冒険者が束になって戦わないと勝てないようなモンスターがこんなにも・・・!」
トニー「ハルクも顔負けの面してるな・・・」
ダクネス「どれも特別指定モンスターになったっておかしくないくらいの伝説級モンスターだ・・・!」
めぐみん「ここは私が!!」ジャキンッ
めぐみん「『エクスプロージョン』ッッッ!!」
カッ…
ズガァァァアアアアアンッ!!!!
パラパラ…
トニー「ナイス爆裂だ。どうだ?」
めぐみん「手ごたえはありましたが・・・」
シュゥゥウウ…
アクア「煙で何も見えな---」
ゴゥッ!!
アクア「ぎゃーっ!炎のブレス!?ちょっ!誰か何とかしてぇ!!」
ダクネス「私に任せろ!」バッ!
ドボァッ…
トニー「Wow、火だるまだ。あれ防いだって言うか身代わりになっただけなんじゃ・・・」
ゆんゆん「ダ、ダクネスさーん!!」
アイギス《ところがどっこい、効きません。なぜなら俺は神器だから!!魔法のブレスなんて俺に効くかよ、出直せクソトカゲ!》
ダクネス「・・・ちぇっ」
アイギス《・・・》
バニル「ネタ娘が爆裂魔法をぶちこんだとはいえ・・・」
ドラゴン・ヒュドラ・フェンリル「「「グルルルル…..」」」
バニル「あれほどの魔獣相手となると、一体倒すのが限界であるか・・・」
めぐみん「ぐぅ・・・」ギリッ…
バニル「・・・ふむ」
バニル「・・・行け」
めぐみん「・・・へっ?」
バニル「行けと言ったのだ。もう城まで近い、ここは我輩とポンコツ店主で引き受ける。汝らは先へ行け」
バニル「付き合ってくれるな?ウィズ」
ウィズ「えぇ、構いませんよ。ワクワクしますね」ニコッ
トニー「・・・良いのか?」
バニル「大悪魔であるこの我輩が足止めをしてやると言うのだ。深々と感謝するが吉」
トニー「今度店で何か買ってくよ。全員聞こえてたか?ここはバニルとウィズに任せ、今から王城まで一気に突撃する。僕につかまれ、めぐみんは僕の後を追いかけて飛んで来い」
カズマ「これで良いのか?」ガシッ
ゆんゆん「ウィズさん、バニルさん、頑張ってくださいね!」ガシッ
ダクネス「すまない、ここは任せる!二人にエリス様のご加護があらんことを!」ガシッ
バニル「悪魔の我輩に、神のご加護とは一体何と言う侮辱か。吐き気と寒気が止まらんのでよせ」
アクア「木っ端悪魔は死んでもいいけど、ウィズは死なせちゃ駄目なんだからね!いざって時は身を挺して守りなさいよ?」ガシッ
バニル「貴様こそ、この我輩がお膳立てしてやってるのだから精々活躍して見せるが良い。まぁ最も、貴様に出来る活躍なんぞ足を引っ張って泣き喚き、頭のおかしな信者共を喜ばせる程度の物であろうがな!フハハハハハ!!」
アクア「こんのクソ悪魔!あんたを邪神討伐の前座にし---」
トニー「それじゃ出発」シュゴゴゴゴ….
カズマ「えっ、飛ぶって・・・魔法的なものとかじゃなくてまさかマジで・・・」
ドシュゥゥゥウウッ!
カズマ・アクア「「ああああああああああ!!」」
アアアアアアァァァァァ…
バニル「さて・・・静かになったものだな」
ウィズ「こうして二人で戦うってのは初めてかもしれませんね」
バニル「我輩はいつも店の赤字と戦っておるがな」
魔王軍兵士A「バニル様・・・?それに・・・ウィズ様まで・・・あなた方は魔王軍では・・・?なぜここに・・・!」
バニル「今の我輩はもう魔王軍幹部バニルではない。善良なアクセル市民として評判な、カラススレイヤーのバニルさんである。今日はマナーのなっていないご近所さんを叱りつけに来たのだ」
ウィズ「ごめんなさい。私も中立でいたかったのですが、市民も容赦なく殺すあなた方の主人みたいなのに関してはその限りではないんです」
ウィズ「邪魔さえしなければ、部下であるあなた方を攻撃するつもりはありませんので、できれば撤退していただけると助かるのですが・・・」
魔王軍兵士A「悪いが、そうはいかないな・・・ゲス野郎なボスだし、今この空に広がる光景を見ても、何を企んでいるのか、さっぱりわからねぇ。多分、俺は今都合がいいように使われているだけなのかもしれない」
魔王軍兵士A「でも、王都を陥落させているというこの状況を逃すわけにはいかない」
魔王軍兵士A「・・・下っ端兵士なりの判断ってやつだ。行け!魔獣共!」
魔龍・フェンリル・ヒュドラ「「「ゴァァァアアアアアッ!!!!」」」
ドドドドドドド…
ウィズ「・・・説得失敗しちゃいました」
バニル「だろうな・・・全く、これだから下っ端兵士は・・・自分の意志というものをもっておらん。さてウィズよ、準備はできておるか?」
ウィズ「はいっ!『カースド・クリスタルプリズン』ッッッ!!」
パ キ ィ ン ッ…
....
..
.
王都 上空
キィィィィイイイ…
アクア「いやーっ!死んじゃう!落ちて死んじゃう!!カズマさーん!!!カズマさーん!!」
カズマ「あああああああ!!!落ちる!落ちる落ちる落ちる!!!!」
トニー「電流を流して手が開かないようにしてある、だから耳元で喚くな!」
ゆんゆん「目を開けてられない・・・!」
めぐみん「情けないですねぇ、自称我がライバル」キィィィィ…
ゆんゆん「めぐみんはその鎧の中に入ってから平気なんでしょ!?あっ、あと胸がアレだから空気抵抗が・・・」
めぐみん「なにおおおおおお!!今すぐ下に落としてあげましょうか!」
ゆんゆん「ああっ!痛いやめて!落ちたら本当に死んじゃうんだから攻撃しないで!」
ダクネス「くっ・・・この鎧のせいで何も感じられない・・・なぁ、アイギス。一部分だけ解除とかできないのか」
アイギス《出来ないけど、もしできるんだったらこのまま真下に体をパカッと開いて君を投下したいよ》
ダクネス「あっ、そっちの急に落とされる機能の方が欲しい!トニーに改造してもら---」
アイギス《ブラザー!ブラザー助けてくれ!!コイツマジでイカれてる!!俺、神器なのに気が狂いそうだ!》
トニー「そこの狂性堕ーにいちいち突っ込んでると精神が汚染されるぞ。呪われたと思ってあきらめろ。その狂人はもう手遅れなんだ。そして、今一番気が狂いそうなのは僕の方だ・・・」
フライデー『ボス、もう王城は目の前です。どう侵入しますか?』
トニー「普通に、ノックして入る。出来る限りロキのいる部屋に近い階に突っ込むぞ」キュィィィイイン…
ダクネス「ハッ!?待てトニー!何をする気だ!?王城は歴史ある建物なんだ!外壁に穴を開けるのだけは勘弁---」
ズガンッ!
パラパラ…
アクア「うっ、うぅっ、おぢてじぬがとおも゛っだ・・・うえ゛え゛・・・」グスッ…エグエグ…
トニー「よーし、着いたぞみんな。ここ、土足厳禁じゃないよな?」
ダクネス「貴様、さっき私を狂人扱いしたことを謝れ!!どうするんだこの大穴!」
トニー「僕が修繕費を出しておくからそうわめくなよ」
ダクネス「金を出せば良いってもんじゃない!」
カズマ「そこまでにしとけダクネス。警備が厚くて玄関から突入なんて無理だったんだよ」
カズマ「俺の可愛い妹の事だ、“お兄ちゃんうっかり壁壊しちゃった。ごめんな”とでも言えば許してくれるよ」
ダクネス「うぅ・・・不安しかない・・・」
カズマ「----ッ」ビリッ
カズマ「・・・やばいな。外から侵入した俺達に気が付いた敵が、みんなこの階めがけて押し寄せてきている。このままじゃロキと兵士の挟み撃ちコースだぞ。誰かがここで敵の足止めをしないと・・・」
スッ…
ゆんゆん「はい。私が引き受けます」
ダクネス「正気か!?魔法使い職一人で残るなど・・・わ、私もここに・・・」
カズマ「た、確かに危ないけど、そしたらロキと戦うときの盾が・・・くそっ、どうすっかな・・・」
アイギス《あー・・・ゴホン。誰か忘れてません?》
ダクネス「アイギス?どうするつもりだ・・・?」
アイギス《どうするもこうするも、こういうことさ!合・体・解・除!》カッ…
アイギス《こうして俺が変態ちゃんから離れ、そっちの幼い顔してスケベなボディしたお嬢ちゃんと合体する。一人で攻防一体訳だ》
アイギス(ついでに変態クルセイダーという呪いから逃れられるしな)
トニー「・・・悪くない案だ。ダクネスなら、アイギス無しでもその盾と腹筋で耐えられるだろう」
カズマ「これが一番ベストな采配かもな。どうだ、ダクネス?その盾と、今着てるプレートメイルと自前の腹筋で大丈夫そうか?」
ダクネス「ふ、腹筋腹筋いうな!!私はアイギスが無くとも問題ないが・・・ゆんゆんは一人で戦えるのか?」
ゆんゆん「はい!任せてください!」
めぐみん「そう心配しないで良いですよ、ダクネス。我がライバルを名乗る以上、こんな所でくたばるような子ではないハズです。でしょう?」
フライデー『めぐみん様の言葉を翻訳すると、“気を付けてくださいね、私の親友のゆんゆん”という意味になります』
ゆんゆん「め、めぐみん・・・!」ウルッ…
めぐみん「誰が訳せと言いましたか!最近おかしいですよフライデー!!」
トニー「誰の影響だと思ってるんだ?」
ゆんゆん「心配しなくても大丈夫よ、めぐみん!ここで足止め位できないと、紅魔族族長を名乗る資格なんてないんだから!」
ゆんゆん「めぐみんこそ、邪神なんかに負けないでよね!」グッ
めぐみん「フッ、ゆんゆんのくせしてカッコいいこと言うじゃないですか!任せてください!あのスカしたトナカイ頭は私が粉みじんに粉砕して見せます!!」
トニー「ゆんゆん、君の分の装備を作るために寸法をとるから、僕のラボに後で来いよ?」
ゆんゆん「良いんですか!?よ、よし!頑張ります!また後で!」
アイギス《ようし、お嬢ちゃん、俺の中へお入り。俺を装着するときのキーワードは『おち○ちん祭り』だよ!さん、はい!》
ゆんゆん「え、えぇ!?お・・・お・・・///『おちん・・・』」
カズマ「騙されんなゆんゆん!そしてお前もやめろこのバカ!!セクハラしてる場合じゃねーんだよ!」
トニー「やっぱりこいつ帰ったらスクラップにしないか?」
アクア「私が湖の底にでも封印してあげてもいいわよ?」
アイギス《冗談通じないにゃぁ・・・それじゃ行くぞ、合・体!》カッ…
アイギス《これでもう大丈夫。今度こそ俺達、いいコンビになれる気がするよ!》
ゆんゆん「さぁ、後ろは任せて行ってください!もう時間もないです!」
カズマ「任せた、ゆんゆん!アイギス!行くぞみんな!少し前に城で生活してた時に、暇を持て余して城内をブラついてた俺は覚えてる!この先が謁見の間だ!」ダッ
トニー(なんて頼りにならないセリフなんだろうか)
....
..
.
王城 謁見の間前廊下
カズマ「ここが謁見の間に続く扉なんだけど・・・すごいな。警備のけの字もない、がら空きだ」
めぐみん「冒険者の護衛がみんな居なくなったと言うのに・・・よほど自分の腕に自信があるのか、魔王軍を信用していないのか・・・いずれにせよ、どこまでもスカした男ですね」
トニー「ロキと戦う前に作戦会議をしないか?ハプニングがあって、カズマの考えた作戦は無駄になっただろ?」
カズマ「あぁ・・・人質を回収したら外から爆裂魔法を謁見の間にぶちかまして、安全にテレポートでアクセルに帰るって完璧なプランが・・・」
めぐみん「本当です。王城に爆裂魔法をぶち込むなんて、人生を百回やり直しても得られない経験でしょうに・・・残念です」
ダクネス「私としては、そんなプランが決行されなくて本当に良かったと思っている・・・」
カズマ「アイリスが許可くれてたんだし、そんなに嫌そうにしなくてもいいだろ」
ダクネス「お前といい、トニーといい、歴史的価値のあるこの建物をなんだと思っているのだ・・・?この国を担う貴族の一人として、国を象徴する建物が破壊されるのは見過ごせないのだが・・・」
トニー「この世界の歴史そのものが消えるかもって事態なんだぞ。建物がどうこう言ってる場合か?」
ダクネス「ぅぐっ・・・!」
カズマ「まさにぐうの音も出ないほどの正論ってやつだな。流石だトニー、面倒ななんちゃって貴族を説得する手間が省けた」スッ…
ダクネス「な、なんちゃって貴族・・・!?」
トニー「お安い御用だ」スッ…
ゴチンッ
アクア「男同士、拳をぶつけて友情を確かめ合うのもいいけど、結局作戦はどうするの?あとカズマ、手を出しなさい。ヒールかけてあげるから」
カズマ「ありがとうアクア。正直今ので拳が砕けるかと思った」プルプル…
トニー「・・・で、作戦は?」
カズマ「いいか、まず先に謁見の間の間取りを教えるからな。とりあえず・・・まぁ、とにかく広い」
アクア「なにそれ・・・」
トニー「漠然としすぎだ。もっと詳しく」
カズマ「今から説明してやるから焦んな!」
ダクネス「確かに広い。この国の四大貴族として何度かあの謁見の間に訪れているが、あれほど壮麗な部屋もあるまい。まるでアイリス様の心の広さと美しさを示すかのような---」
カズマ「どれだけ広いか分かりやすく言うと、あの部屋の中で俺がアイリスとかくれんぼした時、いつまでたっても俺を見つけられなくて、業を煮やしたアイリスが騎士団を使ってまで俺を探しても探しきれなかったくらいには広い」
ダクネス「貴様は神聖な謁見の間で一体何をしているのだ・・・」
カズマ「まぁ、つまり・・・めちゃくちゃ広いうえに柱やらカーテンやら柱やら障害物があって隠れやすいんだ。天井も高くて、おまけにバルコニーもある。ここまで言えば、もう大体わかるだろ?」
....
..
.
謁見の間
ロキ「・・・!」
ロキ「やっと来たか・・・この玉座の座り心地にも飽きてきたところだ」ギシッ….
トニー「お前が次に座るのは冷たい石畳の上か電気椅子だ。せいぜい今の内にその似合ってない玉座を楽しんでおくんだな」
ロキ「ずいぶんとご立腹じゃないか、スターク。それに仲間が見当たらないが、どうした?ここに来る途中で死んだか?あぁ、そうか・・・隠れてるのか」
トニー「・・・」
ロキ「どうせこれからヒーローとしての矜持だなんだを偉そうに語り、かかってくるんだろうが・・・」
トニー「悪いが、僕の新しい仲間にヒーローなんて御大層な奴は一人もいない。僕だけだよ、まともなのは。他の連中は全員そろいもそろってロクでもないのばかりだ」
トニー「DNAにアルコールがしみ込んでいて、宴会芸しか取り柄の無い、知力が僕の百分の一も無い自称女神」
トニー「モンスターより短気で、テロリストに片足突っ込んでる、名前と頭のおかしい爆裂娘」
トニー「あと変態」
トニー「こいつらはそう簡単に死ぬ連中じゃない。お前をぶちのめすチャンスを、まだかまだかと伺っているさ」
ロキ「そいつらがなんだと言うのだ?どこかに隠れていると言うのならば・・・」スッ…
ロキ「お前を死体にしておびき出す!」バッ
トニー「!」
ロキ「遅い!『カースド・ライトニング』ッ!!」ズァッ
スカッ…
ロキ「!?」
ロキ「なっ・・・攻撃がすり抜けた・・・?」
トニー?「君がヴォーミアでやったチープな身代わりの術を真似させてもらった」ザザー…
ホログラム発生装置「」ヴゥーンッ
ロキ「フッ・・・ハハハハッ!全員そろって隠れているというわけか!小賢しい手を使うようになったとは思ったが、とうとうネズミのようにこそこそするようになるとは!」
ロキ「いいだろう、ヴォーミアで犬死したあの哀れな臆病者のように殺して---」
ピシッ…
ロキ「---!」
トニー「そうそう、僕のこの素晴らしいロクでもない仲間はもう一人いるんだ。ほら、自己紹介してやれ」
バリィィィィイインッ
ロキ(窓の外---!)
カズマ「どうも久しぶり!哀れな臆病者のカズマです!」ギリリッ…
ロキ「なんだと!?」
バシュッ!
ロキ「ッ!」パシッ
ダクネス「おい、あの男飛んできた矢を素手で受け止めたぞ!?」
カズマ「問題ない」スッ…
ロキ「・・・」ポイッ
カランッ…
ロキ「・・・そのボタンを押せば、矢が爆発するんだろう?知っている攻撃だ」
カズマ「ちょっと違うな。めぐみん!出番だぞ!」
シュゴゴゴゴ…
めぐみん「さぁ、邪神ロキ。あなたより悪い魔法使いがやってきましたよ。悪い魔法使いの本能に従い、その邪神の座を明け渡してもらいに来ました」スチャッ
カズマ「その矢はな、爆発するんじゃない---」スッ…
ロキ(何か---)
カズマ「---爆“裂”するんだ」ポチッ
ロキ(---マズイ!)バッ…
カシュンッ
ピピピッ
カズマ・めぐみん「「『エクスプロージョン』ッッ!!」」
ズドォォォオオオオァァァッ!!!
カズマ「ぶははははは!!なにこれ!!すっごい爽快!めぐみんが取り憑かれた理由が少しわかった気がする!」
めぐみん「わははははは!!まさかカズマと二人で爆裂魔法が撃てる日が来るとは!カズマの方はスクロールなのが残念ですが・・・」
トニー「文句言うな。そのスクロール、作るのかなり大変だったんだぞ。僕とウィズで夜なべして作ったんだからな。もっと重要な局面で使ってくれ」シュゴゴゴゴ…
カズマ「今がその時だったろ。窓ガラスをぶち破ってカッコよく参上。決めセリフもばっちりだった」
カズマ「・・・バルコニーの下で、飛べない俺達をめぐみんとトニーが肩車してホバリングで待機してる絵面を除けば・・・」
アクア「うぅ・・・お尻痛かった・・・」サスサス…
ダクネス「鋼鉄の肩の上にひたすら座り続けさせられる・・・うん、悪くない・・・」
アクア「まっ、何はともあれ作戦が完璧に行って良かったじゃない!」
ザッ…
ロキ「・・・」ギロッ…
トニー「・・・怒らせるまではな」
カズマ「お前がそうやってフラグを立てるから・・・」
アクア「ねぇ!そうやってなんでもかんでも人のせいにするのは良くないと思うの!」
ロキ「お前の喚き声が耳障りだ!水の精!!」ジャキィン!!
ダッ!
アクア「ぎゃあああああっ!?なんで私見てダガー構えてるの!?なんで私に突っ込んでくるの!?」
ダクネス「私が守る!」ジャキンッ
トニー「ダクネス!盾を切り分けろ!殴りやすくなる!」
ダクネス「了解した!」バギンッ
ダクネス「さぁ、ロキ!いざ尋常に勝負!」ダッ
ロキ「どけッ!人間が!」ヒュンッ!
ガキィィンッ!!
ダクネス「ふふ・・・良い斬撃を放つではないか・・・!」ググッ…
ロキ(この女・・・私の腕力に・・・神の腕力に対抗してるだと・・・!?)グググ…
ダクネス「フハハハ!どうしたロキ!神の力とはそんなものか!もっと力を込めて、私を屈服させてみろ!膝を折らせ、地べたに這いつくばらせ、頭を足蹴にして床を舐めさせ・・・」
ロキ「き、気色悪い・・・!退け!」ドガッ!
ダクネス「がはっ!」ドシャッ
ロキ「死ね」シャキンッ
ヴァゥゥウンッ
ロキ「ッ!」ギィンッ
トニー「腕力勝負してる時に蹴りを入れるなんて反則だぞ」キュィィイ…
ロキ「だからなんだ。私は裏切りの神だぞ」
カズマ「あーっ!あいつ、前はイタズラの神とか言ってたのに、急に裏切りの神とか名乗りだしたぞ!ヴォーミアで突っ込まれたのがよっぽど恥ずか」
ロキ「『カースド・ライトニング』ッッ!!」
ズァッ!
アクア「『リフレクト』―ッッ!」ギィンッ
アクア「カズマは馬鹿なの?なんでこの中で一番弱いのにヘイト集めるようなことするの?今私がロキの魔法を弾いてなかったら死んでたわよ?馬鹿は死んでも治らないの?」
めぐみん「今のロキは杖を持っていなかったからこそよかったものの、もし持ってたらアクアでも防ぎ切れたかどうかわかりませんでしたよ?危ない所でしたね」
トニー「僕がいるからって気が大きくなるのは良いが、無謀なことはするなよ?守り切れるとは言えないんだからな、ボウズ」
カズマ「あ、あぶねー・・・」
ロキ「そう何度も防げると・・・」
ガシッ
ロキ「!?」
ダクネス「ふふふ・・・あんな蹴り程度で私を倒せるとでも思ったか・・・?」グググ…
トニー「ナイスワーク。そのまま顔面にキツイ一撃をお見舞いしてやれ」
ダクネス「くらえ!」ブンッ
ロキ「クソッ!」
スカッ…
ロキ「・・・?」
トニー「冗談だろ・・・」ハァーッ…
ダクネス「い・・・今の私を見ないでくれ・・・///」カァァ…
ロキ「・・・もういい、お前なんぞ放置していても何の脅威にもならんだろう、そこで寝てろ!」グイッ
ブォンッ
ダクネス「あああっ!!」
ヒュンッ
めぐみん「ダクネス!!」
フライデー『めぐみん様、その位置では飛んできたダクネス様と衝突しま---』
めぐみん「あうっ!?」ガシャァンッ!
カズマ「めぐみん、ダクネス!あいつ、いかにも魔法使いっぽい見た目しといて、肉弾戦まで強いのかよ!クソッ、これでも食らえ!」ギリギリ….
バシュッ
ロキ「フンッ・・・」キンッ…
ロキ「先ほどの異質な矢でもない限り、貴様の放った矢など簡単に弾けるに決まっているだろう」
カズマ「嘘だろ!?強力な貫通力の設定どこ行ったんだよ!?」
トニー「これならどうだ?」ジャキンッ
パシュゥゥゥ…
ズガァァアンッ
ロキ「またミサイルで煙を上げて目くらましか・・・神が相手だぞ?もっと楽しませてみろ」
トニー「神ならこっちにもいるぞ。自称だが」
アクア「ゴッドブロー!!」ゴウッ!
ドゴッ
ロキ「がっ!?」グラッ…
アクア「トニー!今よ!」
トニー「ああ」
【カースド・リパルサー・アームキャノン オンライン】
ジャキィンッ…
トニー「ぶっ飛べ」
ズギャァァァァアッ!
ロキ「ぐぁぁあああっ!!」
ドゴォォオオンッ
めぐみん「うおおお!腕が大砲に変形するとかずるいです!私のスーツの腕も杖に変形するようにしてください!」
トニー「帰ったらな」
アクア「それより見てた!?あの邪神相手でも私のゴッドブローが効いたわ!!トニー、カズマ、見てた!?ちゃんと私の活躍見てた!?」
カズマ「ごめん、トニーの方しか見てなかったわ。だって男の夢の変形だし」
アクア「えぇーっ!?なんで私の大活躍を見てないのよー!せっかく勇気を振り絞って殴り掛かったのに、トニーが映像に残してたりしてないの!?邪神を殴る女神とか、壁画とかにしたら信者が増え---」
「『トルネード』ッ!」
ゴゥッ!
アクア「ひゃばあああああ!!??」ヒュゴォッ!
ギュルルルル…
ドギャッ
アクア「ふぐぅ・・・」ドサッ…
カズマ「アクア!」ダッ
ロキ「他人の心配をする暇があるのか?」シャキンッ
カズマ「げぇっ!?いつの間にこんな近くに!?ト、トニー!助けてー!!助けてぇえー!!」
トニー「待ってろ!」
ロキ「させると思うか?『クリムゾン・レーザー』!」ドゥッ
【魔法攻撃検知 対魔法魔力式バリア 展開】
トニー「っ!」ヴァチチチチッ…
フライデー『ボス、ダメージ許容値突破。バリアが決壊します』ビーッ
バチィンッ
トニー「ぐっ!」ズガンッ
ズドォ…ン
ロキ「さて・・・これでお前を守るやつはいなくなったわけだが・・・自殺するなら今だぞ?」
カズマ(こ、こうなったら・・・)
カズマ「ま、待て待て!ちょっと話を聞かせてくれ!」
カズマ(少しでも時間稼ぎを・・・)
ロキ「時間稼ぎか、小僧。いいだろう、どう稼ぐか見せてもらおうか」ニヤッ
カズマ(バレてる!!)
カズマ「た、単純に気になったんだよ!なんでこの世界に大陸丸ごと呼び寄せたのか。この世界を征服するだけじゃ終わらないのか!?」
カズマ「いつでも殺せるような小僧にくらい、話してくれたっていいだろ・・・?」
ロキ「・・・」
ロキ「・・・もし、誰の手も届かない場所に瞬時に逃げる力を持っていたとしたら?」
カズマ「・・・へ?」
ロキ「元居た世界で、どんな行動を起こそうが、どんな敵が侵略してこようが・・・」
ロキ「その場で国ごと消えることができるとしたら?」
カズマ「そんなの・・・」
カズマ(そんなの・・・無敵じゃないか。自分より強い奴が来たって関係ない。世界中敵に回したって逃げられる)
ロキ「察したようだな、その通りだ。今空の穴の向こうに見えているのはアスガルド、私の国だ」
ロキ「今そこで王を務めているのだが・・・いかんせん外敵に対して不十分だ」
ロキ「私の敵は多くてね」
カズマ(でしょうね)
ロキ「私がこの異世界に来たのはキューブの力による完全な偶然だったが・・・これはチャンスなんだ」
ロキ「文字通り、誰の手も届かぬ帝国を作り上げる為のな・・・」
ロキ「いいか小僧。一つ教えておいてやるが・・・純粋な武力のみで生き残れるほど世の中甘くは無い」
トニー「なんだ、避暑地が欲しかったのか?」シュゴゴゴゴ…
めぐみん「案外心配性なのですね」
ダクネス「それで自分より劣ってる国を侵略して、植民地にしようと言うのか。神が聞いてあきれる」
ロキ「どこにでもある話じゃないか。それこそ、お前達人間の世界でも」
アクア「えーっと・・・えーっと・・・」
トニー「決めゼリフや軽口が浮かばないなら、無理して考えなくてもいいぞ」
アクア「うぐっ・・・と、とにかく!カズマの時間稼ぎで体勢が建て直せたわ!これで五対一よ!」
カズマ「まっ、ざっとこんなもんだな。俺の巧みな話術に掛かれば神だって・・・」
ロキ「子供の遊戯に付き合うのも楽じゃないな・・・」フーッ…
カズマ「おいおいおい!負け惜しみかよ!現に時間稼いで体制立て直したのは俺ですぅ!!お・れ!」
ロキ「・・・」スッ
ダクネス「おい!さっきの敵兵士が持ってた転移の魔道具だぞ!何か呼び出す気---」
ヴンッ…
カッ…
アクア「まっぶ・・・」
ッッ---…
アクア「し・・・い?」パチッ
「グルルルル…」 「コロス…コロス…」
「カァァッ…」「キェェェエッ!」
「ヴァァ….」 「オオオ…」
アンデッドナイト「「「「「ヴアァア…」」」」」
ゴーレム「「「「「オオオオ…」」」」」
ミノタウロス「「「「ブルル…」」」」
アクア「」
カズマ「」
ロキ「そうだな・・・これで五対三百くらいだろうか?ハハハハッ!何故わざわざお前の時間稼ぎに付き合ってやっと思う?」
ロキ「お前たちはもう・・・詰んでるからだ!!」
ダクネス「そ・・・そんな・・・」ゴクリ…
めぐみん「爆裂魔法は後一発だけなのですが・・・」ダラダラ…
トニー「アクア!アンデッド族だけでも減らせないか!?」
アクア「・・・ハッ!わ、わかったわ!『ターンアンデッド』!」バッ
キュァンッ!
アンデッドナイト「「「「ヴォェェェ….」」」」シュゥゥウウ….
アンデッドナイト「「「「ヴヴゥ….」」」」ユラッ…
アクア「!?」
カズマ「消しきれてないぞ!?どうなってるんだ!?」
めぐみん「デュラハンの時と同じです!そのアンデッドには神聖魔法に対して抵抗が付く加護が掛けられていますよ!」
ロキ「ご名答。すべてのモンスターに強化や耐性向上の加護が掛けられている」
カズマ「ト、トニー・・・」ガタガタ…
トニー「カズマ、落ち着け。まぁ、当初予定してたよりちょっと死ぬ確率が高くなったが、きっと何とかなる」
カズマ「・・・」
ダクネス「すこしは安心させるようなセリフを言えないのか!?」
トニー「僕がセラピストに見えるか?」
ダクネス「せ、せらぴ・・・?」
トニー「あー・・・この男は口が達者なんだ、言ってもめちゃくちゃなへ理屈言って返してくるだろ。だから---」
ガシャッ!
ガキガキガキ…
トニー「行動で士気を挙げる」
ジャキィンッ!
トニー「アクア!僕の背中に魔法を撃て!」ガシゥンッ!
アクア「えぇっ!?トニー、背中に羽みたいのが生えてるわよ!?天使になったの!?」
トニー「ただの魔力吸収口だ!早くやれ!」
ロキ「させるな!ミノタウロス部隊!なだれ込め!!」
ミノタウロス「「「「ブムォォォオオッ!!」」」」
めぐみん「おっと、それ以上近づくなら・・・私の爆裂魔法を撃ちますよ?」
ミノタウロス「「「「ブモォッ!」」」」ズザザッ…
ロキ「ミノタウルス部隊、何を恐れている、ハッタリに決まっているだろう。あの距離で撃ったら自分も巻き添えを・・・」
めぐみん「ほうほうほう!!ハッタリを言うと思うのですか!この私が?いいでしょう、いいでしょう!そう思うならかかって来るがいいですよ!」ギラッ…
カズマ「おいやめろ!そいつはマジで撃つからやめろ!頼むから煽るな!その魔物が本能で恐れてるのがその証拠だよ!」
ロキ(この女イカれてるのか・・・!?)ゾッ…
ロキ「ッ・・・『ブレード・オブ・ウィンド』ッ!」ゴゥッ
ダクネス「フンッ!」ギィンッ!
ダクネス「どうした邪神!ヴォーミアで撃ってきた魔法のほうがはるかに気持ちよさそうだったぞ!」
カズマ(んん・・・?なんで威力があんなに落ちてるんだ・・・?)
アクア「『セイクリッド・エクソシズム』!『セイクリッド・ハイネス・エクソシズム』!『セイクリッド・ターンアンデッド』!」ドドウッ ドウドウッ
キュィィィィイインッ…
【エネルギー出力値 最大】
【セイクリッド・ユニビーム 発射可能】
トニー「全員伏せろ!」ヴゥンッ…
ヴァァァァァアアアンッ!!
「「「グギャァァァアアアッ!!!」」」
シュゥゥゥゥ…
「「「グルルル…」」」
トニー(クソっ・・・今ので百体も倒せてないのか・・・!)
ロキ「それだけの大技を撃って、潰せたのがミノタウロス部隊だけ・・・打つ手も尽きたか?なら・・・そろそろ幕引きにしようか」スッ…
ロキ「行け」
アンデッドナイト「「「「ヴォォォォオオッ!!」」」ドドドド…
めぐみん「『エクス』」
ロキ「二度も同じ手が使えると思うな!『ファイアー・ボール』!」ゴァッ!
ダクネス「まかせろ!」ギィンッ!
ロキ「変態鎧女の手がふさがった今だ。イカれてる女を仕留めろ」
アンデッドナイト「ヴァァアッ!」ブォンッ!
ダクネス「しまっ・・・めぐみん!何とか避け---」
めぐみん「きゃあああああっ!」ズガンッ!
アクア「めぐみん!!」
ダクネス「私が敵を引き付ける!そのうちにめぐみんを!『デコイ』ッー!」
アンデッドナイト「「「カァァァッ!!」」」ドドド…
ダクネス「あぁっ!腐臭まき散らすゾンビ共が私に群がってくる!!」
トニー「援護する!だから援護したく無くなるようなセリフを吐くな!」キュィィィイッ
カズマ「俺はアクアとめぐみんの方に!」ダッ
ズガァンッ…
ドガガガ…
カズマ「めぐみん!無事か!?」
アクア「『ヒール』!めぐみん!めぐみん!しっかりして!」
めぐみん「スーツを着てたので何とか・・・」ヨロッ…
アンデッドナイト「ヴォァァァ…」ジャキッ…
カズマ「ア、アクア!ダクネスのデコイからもれた敵がこっち来てるぞ!」スチャッ
ギリリ…
バシュッ!
カズマ「『ライトニング・ストライク』ッ!」ポチッ
ヴァチチチィッ!!
アンデッドナイト「「「ヴァァ…」」」ゾロゾロ…
カズマ「駄目だ!相手が多すぎる!アクアーっ!アクア様ーっ!」
アクア「『ターンアンデッド』!『ターンアンデッド』!」
アンデッドナイト「「「ヴァァァアアツ!!」」」
ゴーレム「「「「ウォォオオオッ!」」」
アクアー「いやー!!ターンアンデッドでも消しきれないし、ゴーレムまで来ちゃったんですけど!カズマさーん!カズマさーん!!!なんとかしてぇぇええ!!!」
カズマ「うぉぉおいっ!お前の取り柄と言ったら宴会芸と対アンデッドだろ!もっと頑張れよ!!」
アクア「もう無理よ!助けてー!助けてーっ!」
ダクネス「アクア!カズマ!グッ・・・敵の壁が厚くて行けない!トニー!行けるか!?」
トニー「踏ん張れボウズ共!今行くからな!」ドシュゥゥッ
フライデー『ボス、敵急接近!避けてください!』ピピピ…
アンデッドナイト「ハァ゛ァ゛ア゛ッ」ガバッ ガシッ
フライデー『拘束されました!脱出を!』
アンデッドナイト「ガァッ」ブンッ
トニー「ッ!」ドガッ…
ズザザッ…
ゴロゴロ…
トニー「意地でも行かせないつもり---」ムクッ…
アンデッドナイト「「「「ヒヒ…ヒヒヒ…」」」」
トニー「---Ah―・・・フライデー?」
フライデー『敵の群れの中心に放りこまれました。全方位囲まれています』
アンデッドナイト「「「「ヴォアァァァアアッ」」」」グァッ…
トニー「なぁ、タイムって出来---」
ドガッ バキッ
ガッガッガンッ ドゴッ
カーンッ コーンッ
アクア「あああっ!頼みの綱のトニーが袋叩きに!」
カズマ「クソォォオッ!!俺はこの先安定した未来が約束されてるんだ!ハーレムも約束されてるんだ!こんなところで死にたくねぇよぉぉおお!!!」
めぐみん「カズマ、次会う世界でも、私たち会えたら良いですね。一緒に爆裂魔法で消えますか?」
カズマ「・・・ゴーレムに殺されるよりはいいかもな」
アクア「めぐみんもカズマさんもあっきらめないでよ!!あああーっ!もうそこまできてるーっ!!死んじゃう!私女神なのに死んじゃう!」
アンデッドナイト「「「「ヴォォォオッ!」」」」
アクア「いぃぃぃやぁぁああっ!」
カズマ(俺の幸運ってなんなんだか・・・エリス様、次の人生は別に裕福でなくてもいいですから、またこいつらと---)
カッ…
ギュァァァァァアアンッ!!
ロキ「!?」
アンデッドナイト「「「「「ゲェァァァアアッ!?」」」」ジュゥゥゥ…
カズマ「な、なんだ!?なんだこの光の柱!?アンデッドたちが次々と浄化されていくぞ!?」
めぐみん「いい、一体なんですかこの魔力は!?これは、まるであの時のような・・・」
アクア「この感じ・・・まさか・・・」
----ッッッ…
ザッ…
エリス「久方ぶりですね、邪神ロキ。天界の名の元に、あなたを打ち倒しに来ました」
カズマ「エリス・・・様・・・?」ポカン
めぐみん「えっ・・・えっ・・・?」ポカン
ダクネス「・・・???・・・!?!?!?!?」
アクア「あーっはっはっは!!どーよ!?観念しなさい!あんた達!!」
エリス「さぁ、邪神ロキ!この世界の命運をかけ、勝負なさい!」ジャキィン!
エリス「ハァァアッ!」ブォンッ
ド ゴ ォ ン ッ
ゴーレム「「「「ゴァ…アァ…」」」」ブァッ
パラパラ…
サノスの軍を迎え撃つためにワカンダで戦うアベンジャーズだったが、敵の圧倒的物量の前に押し切られそうになってしまう
その絶体絶命のピンチの時に命懸けでストームブレイカーという武器を手に入れたソーとロケット、グルートが虹の橋で現れ、敵をなぎ倒すという劇中屈指の鳥肌シーン
BRING ME THANOS!!!
https://www.youtube.com/watch?v=z_p0FkiE_N4
トニー「・・・Wow」シュゴゴゴ…
カズマ「おっ、トニーもダクネスもよく戻ってこれたな」
トニー「彼女のおかげでな」
カズマ「ダクネスはどうしたんだ?抱えられてるけど、大怪我でもしてるのか?」
トニー「いや・・・ただ信仰対象に会って放心状態になってるだけだ。遠い国にいる僕のファンと握手した時もこんな感じの---」
カズマ「俺、女神様って神聖な魔法とかでもっと清らかに戦うと思ってた。あんなメイスで力任せにゴーレムを粉々に薙ぎ払うのはさすがに予想外過ぎる」
トニー「・・・」
めぐみん「私もちょっと驚きです・・・」
ダクネス「・・・」ポカン
トニー「おい、ダクネス戻ってこい」ペシペシ
ダクネス「ハッ!?あ、あのお姿・・・確かに教会で記されていた通りの・・・!」
トニー・アクア「「胸意外な(ね)」」
エリス「・・・」
ダクネス「貴様ら!御神体に何て無礼を働くんだ!いい加減に---」
ロキ「『カースド・ライトニング』ッ!」ズァッ!
ダクネス「!」
エリス「『リフレクト』―ッッ!」ギィンッ!
エリス「ダクネス、油断は禁物ですよ。私は全く気にしてないので、怒らなくても大丈夫です」
ダクネス「エリス様に助けていただけるとは、なんという感謝の極みで・・・あれっ?今私の名を・・・あの・・・大変失礼なことをお聞きしますが・・・どこかで会いましたか・・・?」
エリス「き・・・気のせいではないでしょうか・・・」フイッ…
ロキ「あぁ、思い出したぞ・・・誰かと思えば・・・あの時震えていた娘じゃないか」
エリス「今もそう見えますか?」スッ…
エリス「『セイクリッド・プロミネンスブレア』――ッッッ!!」
ズァッ…
ギュァァァァァアアンッ
ロキ「!?」
カズマ「えっ!?なにあれ、エリス様って破壊光線撃てるの!?」
ロキ(この手は使いたくなかったが・・・!)バッ
四次元キューブ「」ガシッ…
ロキ「『ケイン・ブラスト』ッ!」ジャキッ
ヴォッ!
ドゥゥゥウンッ!!
ヴァチチチチチィッ!
ズガァァァアアアンッ
ロキ(キューブまで使った魔法を相殺するとは・・・身に着けてる装備の力か?)
カズマ「うぉぉおおっ!光線魔法と光線魔法がぶつかり合って弾ける!これぞ異世界!これぞ本物の魔法戦!しかも神VS神!これは燃える!まさに神話の戦いだ!」
めぐみん「待ってくださいカズマ。それでは私の魔法が偽物みたいに・・・」
カズマ「あんな一発先に撃ちゃ敵が消し飛んでお終いの風情の無い魔法のどこが本物の魔法なんだよ」
めぐみん「な、なにおう!?」
カズマ「・・・ん?おい、みんな窓の外見てみろよ」
めぐみん「話をそらそうとしないでくださいよ!私の魔法こそが・・・あれっ・・・?」
フライデー『ボス、空にあったゲートの範囲拡大が止まっています』
トニー「ああ、見えてる。だが何故急に・・・」
アクア「みんな!ロキの手を見て!キューブ持ってるわよ!キューブ!あれからエネルギーを得て魔力を強化してるんだわ!卑怯よ!ズルいわよ!」
トニー「誰か取り出したところを見たか?」
ダクネス「何もない空間から取り出したように見えたが・・・」
トニー「フライデー、ロキの近くをスキャンしてなにか隠されていないか探し出せ」
フライデー『スキャン中・・・ボス、スキャンの結果、ロキの少し後方に三メートル四方ほどの装置を確認しました。特殊な魔術で姿を隠しています』
トニー「攻撃する」キュィィィィ…
ヴァゥゥウウンッ!
バチィィィンッ!
トニー「クソッ、弾かれた!」
フライデー『装置は結界で守られています。動力源はキューブと複数のコロナタイトで構成されており、エネルギーが常に供給され続けています。突破は爆裂魔法でも不可能です』
トニー「なんだと・・・」
ロキ「無駄だ。魔王城の結界よりも強固な術式で形成されている。そこの精霊が二人掛りでも解けはしない」
アクア・エリス「「精霊じゃなくて女神だから(ですから)!!」」
トニー「転送ゲートの拡大が止まっているのはロキがキューブを引っこ抜いて攻撃に使っているせいで、転送のエネルギー供給までリソースを割けないからか・・・今の内にゲートを閉じる方法を探すか・・・」
ロキ「ゲートの拡大は不可逆だ。誰にも止められない」
トニー「生憎、可能性を追求し、不可能を可能にするのが科学者ってもんなんでね」
ロキ「なら、死んでからゆっくりと考えて突き止めるんだな『インフェルノ』ッッッ!
ゴォォォォオオッ
カズマ「ゲッ!また来た!あの獄炎魔法だ!」
エリス「『リフレクト』!」
ゴゴゴッ…
エリス「くっ・・・!」ジリジリ…
ボボッ…
カズマ「ヤバイ!火が止めきれてない!あふれた炎がこっちに来るぞ!」
ダクネス「エリス様ー!!」
アクア「任せなさい!『セイクリッド・クリエイト・ウォーター』―ッッ!!」バシャァァァアッ
シュゥゥゥウ…
エリス「助かりました。アクア先輩・・・」ビショッ…
アクア「あっ、ごめんね?テヘペロ!」コツンッ
エリス「あはは・・・お気になさらず・・・」
めぐみん「とりあえず、ロキがあの装置にキューブを入れるのを阻止する・・・ということで良いのですか?」
トニー「そういうこと」
アクア「で・・・でもキューブを持たせたままだとロキは・・・」
エリス「えぇ、先程のような強大な魔法をありったけ撃って来るでしょう」
アクア「やっぱそうよね!?ポンポンポンポン撃って来るわよね!?大丈夫なの!?私達大丈夫なの!?」
トニー「おい落ちつ」
アクア「大体、エリスの装備何よそれ!指輪十個にネックレスに羽衣にメイスって、神器フル装備じゃない!しかもどれも悪魔と戦う決戦用の神器じゃないの!私にもよこしなさいよ!」グイグイ
ロキ「・・・」
エリス「アクア先輩!離してください!これは事情を話したうえで、特別に許可をもらって装備してる物なので、他人に貸すと怒られるんですよ!今回ばかりは勘弁してください!」
アクア「指輪半分で良いから!ねっ?お願いよ!さすがに地上に堕ちて力が落ちてる私じゃロキに対抗しきれないわよぉ!!」
ロキ「・・・」
トニー「少し待っててもらえないか?」
ロキ「・・・いいだろう」
トニー「飼い主君、君のペットが暴走しているぞ。手綱を取って落ち着かせてやってくれ」
カズマ「エリス様、エリス様のパッドも神器の内に入ってますか?」
トニー「飼い主君!」
ロキ「スターク・・・」
トニー「悪いが、もう少し・・・」
ロキ「・・・お前に少し同情するよ」
トニー「・・・どうも」
トニー「おい、聞けアクア。とうとう敵に同情されたぞ」ガツンッ
アクア「いったあああっ!?こんのヒゲニート、何てことすんのよ!?あんたの拳でゲンコツなんてしたらメチャクチャ痛いに決まってるじゃない!」
めぐみん「カズマもいい加減戻ってきてください!」ガンッ!
カズマ「ぐああああっ!脳みそ出た!絶対はみ出た!」ゴロゴロ…
ダクネス「なにもはみ出てなどいない。エリス様もいるのだ、負ける気がしないだろう!さっさと立たんか!」
めぐみん「女神に対して鼻を伸ばしているからですよ」
カズマ「嫉妬してるならそう言えよ・・・いたたた・・・」サスサス…
トニー「いいか?現状、ワープゲートを止めるにはロキがキューブを使わざるを得ないほどの攻撃を浴びせ続けるしかない」
アクア「それは分かってるけど・・・」
トニー「僕はゲートを閉じる方法を考えつつ戦う。カズマは嫌がらせか作戦の指揮を頼む」
カズマ「はいはい、ちゃんと守ってくれよ?油断してるとすぐに俺は死ぬからな?わかってんだろうな?」
ダクネス「何故強気なのだお前は・・・?」
トニー「その調子だ。君は生き残ることに専念して、いやらしく戦ってくれ」
カズマ「お前士気を上げるのか下げるのかどっちかにしろよ!」
ロキ「・・・もういいか?」
トニー「ああ、もう大丈夫だ。だよな?そうだと言ってくれ」
カズマ「なぁ、あいつがわざわざ待ってくれるなんておかしくないか?俺だったら敵が準備してる間なんて絶対に見逃さないけど」
ロキ「別に構わないさ」
ロキ「準備していたのはお互い様なんだからな」スッ…
「「「!?」」」
カズマ「げぇっ!?またなんか呼び寄せるつもりだぞ!あいつほとんど部下任せじゃん!汚---」
カッ…
ビルジ・スナイプ「グルァァァアアアアアアアアッ!!!!」ゴァッ!!
カズマ「なんだよあのゴリラとドラゴンを足したみてーなモンスター!絶対やばいだろ!」
アクア「知らないの?でかくて鱗があって角があって・・・」クィッ
カズマ「目の前にいるんだからマネしなくてもわかるわ!!」
エリス「は、はじめて見た・・・!」
>>781 ビルジ・スナイプ
アベンジャーズ1に話だけ登場した怪物
ソー曰くデカくて、角と鱗があって、攻撃的で邪魔するものは全て踏みつぶす怪物とのこと
実はアニメ版のアベンジャーズに少しだけ登場。これぞ怪物といった見た目をしている
ちなみに、映画の方でソーがビルジ・スナイプをコールソンに説明する際、手で頭の上に角を作って表現するシーンがあるが、このシーンはソーが可愛いと人気がやたら高い(特に女性に)
ビルジ・スナイプの見た目
ロキ「醜い怪物だが、楽しむには使える」
ビルジ・スナイプ「グルルッ…!」
カズマ「エリス様、アレ突っ込んできたとしたら止められます?」
エリス「ち、ちょっと力負けしてしまうかもしません・・・」ポリポリ…
トニー「・・・ダクネス、やるか?」
ダクネス「ああ、ぜひやらせてくれ。これはクルセイダーの役目だ」ザッ…
アクア「頑張ってダクネス!普段見せ場が無い分、ここで見せ場を作るのよ!」
カズマ「いいぞダクネス!お前は戦闘では目立たないなんてイメージを払拭してやれ!」
めぐみん「いつも爆裂魔法でダクネスの見せ場を奪ってしまっていますからね。思う存分ここで活躍するといいですよ」
ダクネス「お、お前ら私をそんな風に思っていたのか!?私にだって見せ場くらい・・・」
ロキ「行け」
ビルジ・スナイプ「ゴァァアアッ!」ドドド…
トニー「負けるんじゃないぞ、ダクネス」
ダクネス「ああ!行ってく---」
エリス「ちょっと待ってください、ダクネス。敵に向かう前に・・・アクア先輩、やりますよ」
アクア「しょうがないわね!女神の力を見せてあげるわ!」
エリス・アクア「「『パワード』!『スピード・ゲイン』!『プロテクション』!」」ポゥッ…
ダクネス「す、すごい・・・!力がみなぎってくる・・・!」
アクア「これだけお膳立てしてあげたんだから、あんな化け物なんてちゃちゃっと叩き潰しちゃいなさいよね!」
エリス「そして最後に・・・幸運の女神から、あなたに特別な贈り物です」スッ…
エリス「『祝福を』!」カッ…
エリス「さぁ、ダクネス!」
エリス「----かっ飛ばしてきてください」グッ!
ダクネス「うおおおおっ!!今の!私は!誰にも負ける気がしないッ!!行ってくりゅぅぅぅぅううっ!!」ダッ!
ビルジ・スナイプ「ガルルルァアアッッ」ドドドドド
ダクネス「ハァァアアッ!!」ググッ…
ズガァンッ!!
ビルジ・スナイプ「ガァアアッ!?」メキッ…
ロキ(人間ごときが・・・止めた!?そんな馬鹿な・・・)
ダクネス「ロキィィィイッ!!お返しだ!!」メキメキメキ….
ビルジ・スナイプ「ガッ…グガアアッ….」ズザザザ...
ガッ….キィンッ!
ロキ「ッ!?」サッ
ヒュルルルルル….
ズガァ…ン…
ダクネス「くっ、さすがに避けられるか・・・!」
カズマ「惜しいみたいな感じで悔しがってるけど、今のロキが避けてなくても当たってなかったぞ。殴り飛ばした魔獣をロキに叩きつけられたらもっとカッコよかったのに・・・」
ダクネス「う、うるさい!殴り飛ばしただけでも大成長だろう!」
ロキ「どこまでしぶといんだ・・・お前らは・・・」ジャキッ
アクア「あっ!杖構えだしたわ!本気で来るわよ!」
ロキ「『ケイン・ブラスト』ッ!」ズァッ...!
アクア・エリス「「『リフレクト』ッッ!!」」ギィンッ
ロキ「『プラズマ・ブラスト』ッ!『カースド・ライトニング』ッ!」
エリス「ッ!セ、『セイクリッド・プロミネンスブレア』ッッ!!」
アクア「ちょっ!そんなポンポン撃たないでよ!跳ね返せないから!『セイクリッド・クリエイト・ウォーター』ッッ!」
【カースド・リパルサーレイ 最大出力】
トニー「加勢する!」ヴァゥゥゥウウンッ!!
ズガァァアアンッ…
トニー(これでやっと相殺か・・・ロキを無力化するのはほぼ不可能だ、装置のほうを何とかしないと・・・!)
フライデー『ボス、現在ロキがキューブを装置から外しているため、装置の性質がコロナタイトそのものに近くなっています』
フライデー『スーツのエネルギーを利用すれば、装置の結界を突破できるかもしれません』
トニー「その線で行ってみるか」
アクア「ねぇー!こっちに加勢してほしいんですけどー!割と本気でヤバいんですけどー!!」
カズマ「ったく・・・俺冒険者だってのに・・・!」ダッ…
ダクネス「今の私ならロキの魔法にだって耐えられる!今行くぞ!」ダッ…
めぐみん「うぐぐぐ・・・私にも何か・・・」
トニー「君は僕に頭脳を貸してくれ」
めぐみん「頭脳・・・?」
トニー「今あの装置を止める方法を考えているところだ。君のスーツにキューブと装置のデータを送るから、一緒に考えてくれ」
めぐみん「フッ・・・良いでしょう。我が天才の頭脳を、世界を終焉に招く装置を破壊するために---」
トニー「いいからさっさとバイザーを閉じて画面を見てくれ」
めぐみん「全く、紅魔族としてのカッコ付け位見逃してくださいよ・・・どれどれ・・・」
めぐみん「なるほど・・・スーツのコロナリアクターと性質を利用して結界をこじ開ける作戦ですか・・・」
トニー「理解が早くて助かる」
-----------
ロキ「『ライト・オブ・セイバー』ッッ!!」ヴォンッ…
エリス・アクア「『ディスペル・マジック』ッッ!!」
ロキ「『クリムゾン・レーザー』ッ!」ドゥッ!
ダクネス「フンッ!」ガキィンッ
エリス「どれだけ撃っても、防ぐだけですよ!」
ロキ「防ぐ“だけ”だろうに・・・!近接戦で確実に殺してやろう」ジャキィンッ!
ダッ!
ダクネス「かかって来い!」
エリス「私も戦います!」ジャキッ
ロキ「神様気取りが・・・切り刻んで---」
カズマ「『クリエイトウォーター』ッッ!」バシャァアッ
ロキ「ッ!」サッ
ロキ「・・・なんのつもりだ」
カズマ「嫌がらせだよ」ギリリ…
バシュッ
ロキ「矢など無駄だと言っているだろう!」キンッ
カズマ「矢だけだったらな!」ポチッ…
カシャッ… ヴンッ ピピピ…
カズマ「『ライトニング』ッ!」ポチッ
ロキ「ぐぁぁああっ!?」ヴァチチチチッ!
ロキ(狙いは水たまりを作って魔法を通電させることか!)
ロキ「ぐっ・・・」シュゥゥ…
カズマ「まだだ!」ギリリッ…
バシュッ
カズマ「『クリスタル・プリズン』!」
パキィンッ!
ロキ「動けん・・・!」
カズマ「ハッハァーッ!今度からは足元をよく確認しておくんだなぁ!昔っから水たまりってのは雷や氷の罠になるんだよ!!今だダクネス!エリス様!」
ダクネス「喰ら---」
ツルッ…
ダクネス「はぶっ!」ドシャッ
エリス「あうっ!」ズテンッ
カズマ「あっ・・・地面凍らせてたんだった・・・ご、ごめんなさい・・・」
アクア「あんた何やってんの!?馬鹿なの!?」
ロキ「なんなんだお前らは・・・本当に一体なんなんだ・・・」
ロキ「一番理解できないのは・・・小僧・・・お前はなんで生きてるんだ・・・?あの時確実に殺したはずだが・・・」
カズマ「良いか、よく聞け。俺は今まで数多の魔王軍幹部を屠ってきた最弱職にして最強の冒険者、佐藤和真。そう簡単に殺せると思うなよ?」
ロキ「そうか。ならお前は真っ先に殺し、次は細切れにしたうえで豚の餌にしてやろう」
カズマ「良いか、よく聞け。俺はコボルトにすら殺された最弱の冒険者、佐藤和真。そんな俺を真っ先に殺すとかお前恥ずかしくならないの?」
トニー「君はほんの五秒とカッコつけていられないのか!?」
カズマ「うるせぇ!十七歳の子供がこんな最終決戦場のど真ん中に立ってるだけで敬われるべきだろ!無茶言うな!大体、そんな遠くで二人共なにやって---」
ロキ「遊びは終わりだ」シャキンッ
カズマ「ひぃ!」
エリス「カズマさん!下がってください!」ブンッ
ロキ「ッ!」ガキィンッ!
---------
めぐみん「トニー、コロナリアクターのエネルギーだけでは、装置の結界を突破できません!」
トニー「やっぱりか・・・」
トニー「・・・外部からスーツにエネルギーを加えて、その状態でリアクターをオーバーロードさせれば、結界を突破できるだけのエネルギーが集まるはずだ」
めぐみん「正気ですか!?そんなことしたらスーツが吹っ飛びます!自爆する気ですか!?」
トニー「・・・」
トニー「フライデー、計算してみてくれ。今の策で、結界の突破はできそうか?」
フライデー『十分なエネルギーがあれば、理論上は可能です』
トニー「いいか、準備ができたらスーツの魔力吸収口を開く。君はそこに爆裂魔法をピンポイントで撃ち込め。君ならできるだろ?」
めぐみん「ち、ちょっと待ってください!本気で言っているのですか!?もっとほかの策を・・・」
トニー「めぐみん。他に案は思いつかないし、考えている時間もない。これ以上時間を掛けたら死人が出る可能性がある。カズマとかカズマとか、後カズマとかな」
カズマ「聞こえてるからな!後で覚えておけよ!」
めぐみん「でも・・・」
トニー「勝利するには・・・犠牲がいる時もある。悲しいが、別れの時間だ」
トニー「このセリフ、紅魔族的にビビッと来るだろうが、君は絶対使うなよ?じゃぁな」ドシュゥゥゥウッ
キィィィィン….
めぐみん「トニーッ!」
-------------
ロキ「どうした、お前の今の姿を見たら信者が泣くんじゃないか?」
エリス「うぅっ・・・」ポタポタ…
ダクネス「エリス様、私の後ろに!」
アクア「『ヒール』ッ!もう大丈夫よエリス!」
エリス「ありがとうございますダクネス、先輩・・・」ヨロッ…
カズマ(回復役が二人にクルセイダーが一人・・・立ち回れてはいるけど・・・決定打が・・・)
ロキ「決定打がない。そう考えているだろう?」
カズマ「!」
ロキ「お前たちに私は倒せない。だが・・・私にはまだ駒もあれば武器もある。よく聞け、人間。これが神と人間の---」
キィィィイイイン
トニー「ちょっとこいつ借りて行くぞ」
ドゴッ!
ロキ「さごっ!----」ヒュン…
ドガッ
カズマ「・・・聞いてるよ?」
アクアえっ!?なにあれ!ロキが何もない空間に叩きつけられているわよ!?」
カズマ「お前、あの辺にロキが作った装置があることもう忘れたのかよ」
めぐみん「た、大変です!トニーが・・・トニーがぁ・・・」タタタ…
ダクネス「どうしためぐみん!?」
めぐみん「トニーは・・・装置を破壊するために、リアクターに負荷を掛けて自爆するつもりです!」
カズマ・ダクネス「「は!?」」
アクア「は、はぁぁぁあっ!?何考えてんのよあのおっさん!」
エリス「そんな・・・」
ロキ「離せスターク・・・!ぐっ・・・」ギギギ…
トニー「めぐみん、撃つ準備しとけ!」ググッ…
カズマ「なんだ?撃つ準備ってなんだ!?」
めぐみん「・・・トニーのリアクターのエネルギーだけでは結界の破壊まではできません・・・だから・・・私がトニーに爆裂魔法を撃ちこんで・・・突破できるだけのエネルギーを・・・!」
ダクネス「ッ・・・!」
アクア「ね、ねぇっ!トニー!トニーは天才なんでしょ!?他に何か浮かばないの!?」
トニー「もうこの作戦しかない!」
トニー「・・・覚悟を決めろ」
カズマ「だから・・・十七の子供に・・・無茶言うなって・・・!」ギリッ…
【リアクターオーバーロード 準備完了】
【魔力吸収口 オープン】
トニー「撃て!めぐみん!!」ガシュンッ!
めぐみん「うぅ・・・」グスッ…
ポンッ…
めぐみん「・・・?」
カズマ「・・・」ポロッ…
めぐみん「カズマ・・・」
カズマ「やれ、めぐみん。今回も全責任は・・・俺が取る・・・!」
めぐみん「・・・ッ!!」バッ!
めぐみん「黒より・・・黒く・・・っ!」ポロッ…
トニー「それでいい・・・続けるんだ」
めぐみん「闇より暗き・・・っ、漆黒に・・・!」ポロポロ…
ロキ「スターク!今すぐ離せ!!」
めぐみん「我が深紅の混淆を望みたもう・・・っ!」ポロポロ…
ズズズズ…
ロキ(クソッ・・・王都を手放すことになるが・・・ここは一度、キューブの力で撤退を・・・!)ググッ…
トニー「おいおい、僕のパーティーメンバーの晴れ舞台を最後まで見て行けよ。安心しろ、僕は吹っ飛ぶが、装置の爆発がキューブに干渉して起きる空間湾曲によって、君は元居た世界に戻るだけだろう」ガンッ…
四次元キューブ「」カランッ…
ロキ「キ、キューブが・・・!このっ・・・人間ごときに・・・!」
めぐみん「覚醒の時・・・来たれりっ・・・・!」ポロポロ…
めぐみん「無謬の境界に落ちし理・・・無行の歪みとなりて・・・っ!現出せよ!」
めぐみん「『エクスプロージョン』ッッッ!!」ギュァッ!!
【魔力吸収 エネルギー最大出力突破 危険値に到達】
【コロナリアクター オーバーロード】
トニー「ロキ、お前の腐った野望はそのただの人間に打ち砕かれるんだ」
トニー「この素晴らしい世界の人間を・・・僕の仲間を・・・舐めるべきじゃなかったな!」
【爆裂プロトコル 開始】
キュィィィィイ…
ロキ「やめろぉおおお!!」
カッ…
……
….
..
.
トニーのラボ 作業室
【アーマーとのリンクが切断されました】
【遠隔操作終了】
トニー「ふぅ・・・」カチャッ…
フライデー『お疲れ様でした、ボス』
トニー「何とかなったな。スーツに体が耐えられないと分かったときはどうしようかと思ったが・・・」
ガチャッ…
トニー「・・・?やぁ、アイリスか。何故ここに?ここはトイレはむこうだぞ?」
アイリス「えっ・・・?えっと・・・自分の部屋に戻るつもりでしたが、ちょっと迷ってしまって・・・えっ・・・というか・・・その、スタークさん!?スタークさんこそ何故ここに!?」
トニー「スーツを遠隔操作してたんだ、僕の体がスーツに耐えられないんだったら、スーツの中に体を入れなければいいってね」
トニー「・・・で、気は進まなかったが、こうしてみんなが前線で戦ってる中、僕はこうして安全なラボからスーツ動かして戦ってたって訳さ。でもこれしかなかったんだ」
トニー「戦えません、ラボでただ待ってます・・・って言うよりはマシだろ?」
アイリス「そ、そうだったんですか・・・あの、戦いはどうなりましたか?」
トニー「僕らの勝利だ。ロキは元居た世界に強制的に戻された。洗脳された冒険者も取り戻したし、あとは王都の残党を殲滅するだけだ。ひょっとしたらもう片付いているかもな」
アイリス「本当ですか!よ、よかった・・・!」パァッ…
トニー「僕はこれからギルドに向かって、みんなの帰りを待つつもりだ。君もくるか?」
アイリス「そうしたいのは山々ですが・・・被害を受けた王都の修復や市民の誘導などで忙しくなると思われるので・・・私はこのことをクレアとレインに伝えてこなくてはなりません」
アイリス「では、また改めて表彰されると思いますが、ベルゼルグを代表して、私にお礼を言わせてください。この国を守ってくれて、ありがとうございます」ニコッ
トニー「勤めを果たしただけさ。君もあまり固くならずに、たまには子供らしく遊んでおけよ?」
アイリス「えぇ、近いうちに身分を隠してお兄様の所に遊びに行こうかと思います!それではまた!」ガチャッ
トニー「さて、そろそろギルドに向かうとするか」スタスタ…
フライデー『あの、ボス・・・なぜか私、とても嫌な予感がします。正確に言うと、凄まじい誤解とすれ違いを起こしてしまっているような・・・』
トニー「どうして?もう危険も去ったし、あと待っているのはギルドでパーッと宴会することだけだろ?」
フライデー『私の勘違いでなければいいのですが・・・』
…..
…
..
.
王都 王城 謁見の間
めぐみん「トニー・・・うぅっ・・・グスッ・・・勝ちました・・・私達、勝ちましたよ・・・トニー・・・」ポロポロ…
カズマ「あのヒゲ野郎・・・最後まで無駄にカッコ付けなきゃ気が済まないのかよぉ・・・」ポロポロ…
ダクネス「彼は・・・究極のヒーローだった・・・」
アクア「ロキも空の穴も、何もかも消えちゃったわね・・・ねぇ、エリス」
エリス「わかっています先輩。天界に戻って、死者のリストを調べてきます。ではまた」スッ…
ギュァァァアアンッ…
カズマ「泣いてる場合じゃ無い・・・下に戻って、ゆんゆんやバニル達がどうなったか確認しないと---」
バンッ!
ゆんゆん「みなさん、大丈夫ですか!?」
カズマ「ゆんゆん、無事だったのか!」
ゆんゆん「えぇ、何とか」
アイギス《魔法を無力化する俺の中に入っていると魔法が使えなくなるって言う悲しすぎるハプニングはあったけどな!》
ウィズ「途中、思わず身震いしそうになる魔力・・・というよりは神気を感じたのですが・・・」
バニル「あぁ、なんとも吐き気のする気配であ・・・汝ら、何故そんな顔をしておる?状況を見るに勝ったのであ・・・」
バニル「・・・あのヒゲ中年はどこへ行ったのだ?」
カズマ「・・・」
バニル「・・・なるほどな」
ウィズ「そんな・・・トニーさん・・・」
アイギス《おいおいブラザー・・・まじかよ・・・》
ゆんゆん「ねぇ、めぐみん・・・嘘よね・・・?トニーさんが死ぬなんて・・・」
めぐみん「嘘なんかじゃ・・・ありませんよ・・・!彼は・・・自分の命を犠牲にしてこの世界を・・・」グスッ…
ゆんゆん「トニー・・・さん・・・」ポロッ…
ウィズ「・・・とりあえず、アクセルに戻りましょう。このことをギルドに報告しなくてはなりません」
バニル「王都の奪還はもうほとんど完了してある。あとのことはもう任せても大丈夫であろう」
ウィズ「それでは・・・アクセルに戻ります・・・ゆんゆんさん、ゆんゆんさんもお願いします」
ゆんゆん「・・・分かりました・・・」グィッ…
ウィズ「皆さん、準備は良いですか?」
めぐみん「トニー・・・あなたから教わったことは・・・決して忘れませんから・・・どうかゆっくり・・・休んでください・・・」
ウィズ・ゆんゆん「『テレポート』」
フッ…
....
..
.
アクセル ギルド酒場
「「「カンパーイ!!」」」
ルナ「皆様、この度は本当にお疲れさまでした!行方不明事件もこれで解決です!」
冒険者A「まぁ、俺達は大して何もしてないけどな!」
冒険者C「まぁまぁ、気にすんなって!なんでも、マジでやばかったんだろ?王都が取られたって言うじゃねぇか!」
冒険者B「王都が取られかけるなんておっかねぇよなぁ・・・一体どんな奴だったんだか・・・」
冒険者D「なんにせよ、こうして解決できてよかったじゃねぇか!なんでも、あのカズマパーティーがまた大きく活躍したみたいだってよ!」
冒険者B「本当か!いつも問題起こしてるけど、やっぱすげぇなあいつら!新入りも入って強くなったみたいだしな!」
冒険者A「あぁ、あの全身鎧の男か!あいつとはあまりしゃべったことはねぇが---」
ワイワイ…
カズマ「・・・」
アクア「・・・」
めぐみん「・・・」
ダクネス「・・・」
カズマ「祝うはずなのに・・・」
ダクネス「はは・・・ほとんど味もわからん・・・」
アクア「私も、今日はお酒飲む気分じゃないわ・・・」
めぐみん「・・・」
カズマ「でも・・・トニーに乾杯くらいはしようぜ。世界を救ったヒーローにさ・・・」スッ…
ダクネス「ヒーローに」スッ…
アクア「ヒーローに」スッ…
めぐみん「ヒーローに」スッ…
「「「「かんぱ・・・」」」」
キィ…
「ふむ・・・注ぎたてのシャワシャワと・・・勝利の匂い・・・」
「で、僕の分は?」
カズマ「!?!?!?!?」ガタタッ…
トニー「・・・?どうしたみんな?鳩が爆裂魔法を食らったような顔し」
アクア「ゴッドブロー!」ボッ!
トニー「ぐああああああ!?」メリッ…
ドシャァッ…
トニー「がっ・・・ぐっ・・・フ、フライデー・・・なにがどうなっているんだ・・・?」
フライデー『嫌な予感が的中しました』
アクア「大変!トニーが、トニーがアンデッドになって出てきちゃったわ!!」
トニー「おい、状況を説明しろよ・・・何故僕は君にパンチされたんだ・・・?」ヨロッ…
アクア「トニー・・・あのね・・・あなたは・・・あなたはもう・・・この世にいないの・・・」
トニー「は?」
アクア「もう私達とは・・・会っちゃ駄目なの・・・行くべき所に行かなくちゃ駄目なの・・・」ポロッ…
トニー「・・・???」
アクア「だから・・・だがら゛ね・・・っ!」ポロポロ…
アクア「貴方を今ここで・・・天界に送ります・・・トニー、ありがとうね」ニコッ…
アクア「『セイクリッド・ターンアンデッド』」スッ…
ポゥッ…
トニー「なぁ、感動的な雰囲気だしてるところ悪いんだが、一体君たちは何をしてるんだ?演劇の練習か?」
アクア「あ、あれ!?なんで・・・というか・・・あれあれっ・・・?ひょっとしてアンデッドじゃない・・・?」
トニー「僕の目を見ろよ・・・死んだ目に見えるのか?」
アクア「うーん、一応死んだような目をしてるけど、曇りなき眼でみた限り、ちゃんと人間みたいね・・・」
トニー「喧嘩売ってるのか?・・・ったく、腹にパンチを食らったおかげで食欲が・・・」
めぐみん「・・・説明してくださいよ」
トニー「説明?なんの説明だ?説明ならこっちがしてもらいたいね。勝利の宴会を開こうとここまで歩いてきたら、そこの狂犬にいきなり腹を殴られて、アンデッド扱いされたんだからな!」
めぐみん「なんで生きているのか説明してくださいよ!」バンッ
トニー「おい、何そんな目を真っ赤にして怒ってるんだ?」
ダクネス「お前はロキに突っ込んで、自爆して消えたはずだろう・・・何故ここにいるのだ・・・?」
カズマ「一から・・・十まで・・・きっちり話せ・・・」
トニー「生きてるも何も、あそこにいたのはスーツだけだ。僕自身はラボにいて、スーツを遠隔操作してた」
カズマ「・・・は?」
めぐみん「別れの時だ・・・とか、犠牲が必要だって言ってたのは?」
トニー「それはスーツの話だ。みんなで頑張って作ったスーツを完成したその日に吹っ飛ばしたんだぞ?悲しくもなるさ。君も悲しかったからあんな顔してたんだ・・・」
めぐみん「・・・」プルプル…
トニー「・・・フライデー、僕このこと説明したっけ・・・?」
フライデー『してません』
トニー「・・・」ダラダラ…
トニー「よし、一から説明する。まずあのスーツに僕の体は耐えられなかっただろ?そこで人類最高峰の頭脳は考えたんだ。体が耐えられないんだったら体を入れなきゃ良---」
めぐみん「ああああああーっ!!」ガバッ!
ドゴッ!
トニー「がっ!?おい、まだ話の途ちゅ」
カズマ「テメェふざけんなよ!マジでふざけんなよ!俺の涙を返せよ!そこまでしてイカした演出とやらがしたいのか!この野郎!」ドカッ
ダクネス「貴様、あんな言い草しておいてスーツの話だっただと!?どれだけ悲しんだのかわかっているのか!?ぶっ殺してやる!!」
アクア「ねぇ返して!あの時の気持ちを返してよ!もうトニーが物作りしてる時に指切っても回復魔法かけてあげないんだからね!」
トニー「言葉を使・・・うぐっ!おい!よせ!スーツ!」
フライデー『ありません』
トニー「冗談じゃ・・・」
……
….
..
.
馬小屋
トニー「・・・というわけで、ラボにも屋敷にも入れてもらえず、ここに来たって訳さ」
トニー「確かに誤解を与えたのも悪かったが、だからって痛めつけて家から追い出すのはやりすぎだろ」ハァ…
トニー「まぁ、長々と僕の愚痴を聞いてくれてありがとう。仕事引き留めて悪かったな」
馬小屋の管理人「話の九割くらいは聞いとらんかったから構わんよ」
トニー「そりゃ・・・正解だな。人の愚痴は聞き流してなんぼだ」
トニー「ところでじいさん、どこかで会ったか?」
馬小屋の管理人「さぁのう・・・ワシみたいな顔の老人など、どこにでもおると思おうが・・・」
トニー「そうか・・・なぁ、毎日こうやって冒険者の話を聞いたりするのか?」
馬小屋の管理人「まぁのう。ここでしがない馬小屋の管理人をして、たまーにこうして冒険者の話を聞いておる」
トニー「九割聞き流しながら?・・・冗談だよ、経営頑張ってくれ。それじゃ、僕は五度目の謝罪に行ってくるよ。これで駄目だったら、いよいよもって晩飯抜きの馬小屋生活が始まる。僕も藁が食べれるようになりたいね」スッ…
コンコンッ…
トニー「・・・?誰だ?」
ギィッ…
アクア「・・・」ジッ…
トニー「あー・・・今から君たちの元に向かおうと思ってたんだが・・・というか、ドアを開けるならしっかり開けてくれ。頭だけのぞかせてたら、後ろに誰がいるのか見えないぞ」
ガチャッ…
めぐみん「もうバカな真似しませんか?」
ダクネス「流石に締め出すのも悪いと思ってな・・・もうこんなこと二度としないなら戻してやろうって話になったんだ」
トニー「戻してやろうってなんだ。なんでそんな上から目線なんだ?元々は僕の家だし、君たちが勝手に誤解---」
カズマ「そうか、じゃぁな。みんな、屋敷に戻ろうぜ。今日は霜降り赤ガニを食べよう」クルッ…
トニー「はいはい、わかった!悪かったよ・・・もう二度としない。これで良いか?」
アクア「よくできました!」ナデナデ
トニー「・・・」イラッ...
めぐみん「さっ・・・帰りますよ、トニー」
トニー「・・・ああ。それじゃ、僕は家に帰るよ。じゃぁなじいさん」
馬小屋の管理人「・・・」ニコッ
ギィッ…
スタスタ…
馬小屋の管理人「まだまだ、上を目指せ」
....
..
.
家への帰路
ダクネス「ところでトニー、霜降り赤ガニは食べたことあるのか?」スタスタ…
トニー「いや、無い。美味いのか?」スタスタ…
めぐみん「そりゃもう。わかりやすく説明すると、これを食べる代わりに爆裂魔法を我慢しろと言われたら、喜んで我慢して、食べた後にぶっ放すくらいには美味しいのです!」スタスタ…
トニー「今の説明で分かったのは君の頭のおかしさ位なんだが」
カズマ「説明はともかく、味はマジでうまいぞ。帰ったら鍋を用意してあるから、楽しみにしておけよ」スタスタ…
アクア「最高級の蟹の甲羅に最高級のお酒を入れて甲羅酒を作るの!きっと気に入るわよ!」スタスタ…
トニー「甲羅酒・・・甲羅酒か・・・美味そうだな」ゴクリ…
....
..
.
エリスの神殿
エリス「・・・」スッ...
水晶「」ヴンッ...
アクア『トニー、帰ったらお酒の飲み比べ対決をしましょう!』
トニー『別にいいが、吐くまで飲むなよ?もし吐いたら、自分のゲロは自分で片付ける事。いいな?』
めぐみん『わ、私も飲み比べを・・・』
トニー『君はダメ』
めぐみん『な、なんでですか!?さすがにもういいでしょう!?ではせめてボードゲームの対決を・・・』
トニー『それくらいならお安い御用だ。飲みながら勝ってやるさ』
めぐみん『言ってくれましたね!』
カズマ『おー、楽しそうだな。トニー、ついでに旅行の話の続きもしようぜ。詳しい日程とか色々さ』
ダクネス『いいな。割と近いうちに行きたいものだ・・・』
ワイワイ…
エリス「ふふ・・・」
エリス(あなたがこの世界で、楽しそうな顔をしてくれていて本当に良かった)
エリス(最後に皆を悲しませたのは少々あれだけれど・・・)
エリス(トニー・スタークさん、この素晴らしい世界を守ってくれたあなたに、あなたがこの世界に来たことを後悔しないように・・・そして、今後良い事が起きますように)スッ…
エリス(この世界を、どうかもっと好きになってもらえるように---)
エリス「---『祝福を!』」
END
また一年近くかけてしまった・・・
今思えば、MCUの説明だけではなく、このすば側の説明も入れておけばよかったなと少し反省したりもしております
このすばは本当に面白いラノベです。もしこのSSを見て興味が湧いたという方がいらっしゃれば、ぜひ見て見てくださいね!
また、このSSでアイアンマンを知った方がいらっしゃれば、MCUを最初から追いかけて、六月二十七日まで公開しているエンドゲームを見に行ってくれれば最高です。追い続けたことは、絶対に公開しないハズです
最後に、こんな駄文に長々と付き合ってくれた皆さま、本当にありがとうございました!
エンドゲームはまだまだ公開中!
https://youtu.be/KunCDzXlXLI
このすばの映画は八月三十日に公開!
https://youtu.be/sETb41GEpBo
「SS」カテゴリのおすすめ
- 梓「つぎはこの星をヤッテヤルデス」
- ワクワクさん「特技は工作です」
- 響「うー…自分どうしちゃったんだろ…」
- ゆっこ「麻衣ちゃんなんか、大っ嫌い!!!」
- シンジ「なんですかこれ!」 ミサト「ファービーよ」
- さやか「何でだろう…最近転校生の事ばっかり考えちゃってる…」
- エリカ「私達が」みほ「プリキュアに!?」
- 律子「4月から消費税率が8%に引き上がるんですよプロデューサー殿!」
- 魔王「夢と現実、お前の選択はどっちだ」
- 上条「あれ・・・?不幸じゃなくなった?」
- P「よし、やよいにいたず…やよいと遊ぼう!」
- モバP「新しくアイドルプロダクションを作った」
- 西住みほ「両親が離婚した」
- 三浦「あーしってさ案外一途なんだよね」八幡「はぁ」
- 暁「本当のレディーを目指して!!!」
「ランダム」カテゴリのおすすめ
- 【SS】外付けHDD1TB葬式会場
- P「そうだ、結婚しよう」
- モバP「楓さんも怒ったりするんですか?」
- 城島「ぐっさんこれ見て」山口「何この本……ラブライブ?」
- 欠損少女「やぁ」
- シンジ「H&KのUSPか………面白みのない銃だな」
- ありすは激怒した。 プロデューサーをぎゃふんと言わせねばならぬと決意した。
- 小鳥「んほおおおおおおおおおお!妊娠確実ゥぅううううううゥ!!」
- 杉下右京「呪いのビデオ?」
- キャスター「ああっ!龍之介見てください、新鮮なレモンですよ!!」
- 凛「プロデューサーのアレってわざとだよね」
- 妹「忘れ物ない?大丈夫?」
- 妹「……」兄「なんすか?」
- モバP「芳乃ちゃん」
- 高垣楓「メガ垣楓です」モバP「なんですか急に」
コメント一覧 (20)
-
- 2019年06月10日 07:03
- のんのんびより×アイアンマンの人かな?
エンドゲーム後も書いて欲しいわ
-
- 2019年06月10日 07:42
- ???「ヤメテクダサイ・・・ヤメテ・・・アイアンマン!」
-
- 2019年06月10日 08:17
- なっっが。
まだ見てないけど面白い??
-
- 2019年06月10日 09:28
- エンドゲーム 思い出すと泣ける
-
- 2019年06月10日 10:17
- ※4
面白かったよ。両作品への愛をとても感じるssだった
ただ、アイアンマンについては説明あるけど、このすば陣営に関してはなんの説明もないから知らないならちょっとおいてけぼりにされるかも
でもキャラはわかりやすく描かれてるし、見て損は無いと思う
-
- 2019年06月10日 20:29
- この世界線だとエンドゲームは100%負けるのか
-
- 2019年06月11日 07:12
- >>7
まずシビル・ウォー起こらないんじゃね?
-
- 2019年06月10日 22:07
- で、これいつ映画化するの?
泣くよ?全米泣くよ?
-
- 2019年06月11日 00:41
- で本編のサキュバス編はまだか?
-
- 2019年06月11日 12:45
- 「中にいなければいい」の解決策とオチはトニーらしくて凄くいい
-
- 2019年06月11日 13:47
- スタン・リーも転生してたんか
いいね
-
- 2019年06月11日 14:23
- 良い、非常に良い
-
- 2019年06月11日 17:56
- とあるとマーベルのクロス書いてた人か。良かったぜ。
-
- 2019年06月14日 13:48
- すっかり馴染んでるトニーに笑わせてもらったわ
-
- 2019年06月14日 15:02
- 御大ここに転生したのか。
暇な時漫画描いてそう
-
- 2019年06月15日 11:13
- すげー面白かった
読んだ甲斐あったわ
-
- 2019年06月18日 01:19
- 濃密だった
面白い
-
- 2019年06月21日 15:10
- このすば未読だけど、面白かった。
ガーディアンズオブギャラクシーっぽいノリなんだね。
-
- 2019年07月13日 23:27
- 久々の良SSだった
読んで正解だった
あと最終決戦は伏線があって、なるほどった