アイアンマン「この魔法の世界に鉄人を!」【このすば×アイアンマン】【前半】
- 2019年06月10日 03:10
- SS、この素晴らしい世界に祝福を!
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※原作コミックではなく実写映画版のアイアンマンです
※そこそこの長編になる予定です
※アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロンまで見てないと少し話が分からないかもしれません
以上の点にご注意してください
ある程度書き溜めしてあるので投下していきます
「僕には見える、世界を守るアーマーが・・・」
「平和の道はただ一つ・・・アベンジャーズの全滅だ」
「君が作ったんだよな?我々には何も言わずに・・・」
「仲間が死ぬを見た・・・それよりひどいことがあると思うか?」
「うまく行っても僕らは・・・ここで消えるかもしれないが・・・」
「ありったけかき集めろ・・・一発で決める!」
....
..
.
トニー「う・・・ここは・・・」
トニー(真っ白な・・・神殿・・・?)
?「トニー・スタークさん、ようこそ死後の世界へ。あなたはつい先ほど、不幸にも亡くなりました。44年という短い人生でしたが、あなたの生は終わってしまったのです」
トニー「何・・・?僕が・・・死んだ?」
?「はい、なぜ亡くなったか覚えていませんか?」
トニー「ウルトロンと戦って・・・空から落ちるソコヴィアを撃墜して・・・それから・・・」
トニー「それから・・・僕はどうなったんだ?」
?「あなたは落ちるソコヴィアを、地球に激突する前に見事破壊しました」
?「ですが・・・あなたは降ってきた大量の瓦礫に飲み込まれて・・・」
トニー「なるほど、さすがにヴィブラニウム入りの瓦礫に潰されるのは耐えられなかったか」
?「・・・ずいぶんと落ち着いていますね?」
トニー「あー・・・まぁ、死を覚悟でやった訳だしな?」
トニー「それよりも気になるのは、あの後地球はどうなったかだ。守れたのか?」
?「えぇ、ウルトロンはヴィジョンさんによって破壊されました。地球も無事です」
トニー「そうか、めでたいね。ハッピーエンドだ」
?「本当にそうでしょうか・・・?あなたが亡くなったことによって多くの人が悲しんでいますよ?」
トニー「・・・ま、悔いはないさ・・・」
トニー(ペッパー・・・)
トニー「それで、僕はどうなるんだ?この神殿と言い、羽衣纏った君と言い・・・」
トニー「昔鼻で笑った聖書見たく、天国か地獄かってやつ?正直、今目の前にいる君という知的生命体に興味と懐疑心を抱いているところなんだけど」
?「フフッ、絶好調ですね」
トニー「死んだ人間に対して“絶好調ですね”か、面白い皮肉だ」
?「あっ、い、いえ・・・そんなつもりじゃぁ・・・」
トニー「天使のコスプレした女性をからかうのはこのくらいにしておいて・・・まぁ、今の僕もコスプレ云々言える見た目じゃないんだが・・・本題はなんだ?」
?「天使じゃなくて女神なんですけどね・・・私・・・」
トニー「僕の知り合いの神様もどきを思い出すな。良かったら名前を聞かせてほしいんだが」
?「私は、あなたに新たな道を案内す-----」
トニー「あー、ちょっといいか?スーツのバイザーを閉めたままだった。名前を聞くっていうのに顔を見せてないなんて失礼だよな」カシャンッ…
?「・・・続けてよろしいでしょうか?」
トニー「どうぞ、悪いね」
トニー(ちょっと不機嫌そうだ・・・女神っぽく名乗りたかったんだろうか?)
エリス「では・・・コホンッ・・・私は、あなたに新たな道を案内する女神、エリス」
トニー「・・・新たな道?」
エリス「私は、本来はあなたの世界の担当ではないのです。別の女神があなたの案内をするはずだったのですが・・・」
エリス「訳あって・・・私があなたの案内をすることになりました」
トニー「・・・その訳とは?」
エリス「救っていただきたい・・・世界があるんです」
....
..
.
トニー「あー・・・要するに・・・ここではない異世界で魔王が暴れていて・・・その世界では魔法があってモンスターもいて・・・って?」
エリス「はい・・・それで、亡くなってしまった人たちも魔王軍に殺されてしまったものですから・・・同じ世界で生まれ変わることも拒否してしまって・・・」
エリス「このままでは・・・世界が滅んでしまいます」
トニー「そこで別世界からの移民政策って訳か。送られる方はたまったもんじゃないな」
エリス「はい、存じています。なので、私たちは何か一つだけ。異世界へ向かう者へ好きなものを一つ持っていける権利を与えています。それは強力な特殊能力だったり、凄まじい力を秘めた道具だったり・・・」
トニー「ちょっと待て。僕だけじゃないのか?こういう状況になった人間は」
エリス「はい、本来なら・・・日本で若くして亡くなった方が送られています」
トニー「なるほど・・・若者ならそういうの喜ぶだろうしな・・・で、僕が特別に呼ばれた理由は?」
エリス「・・・あなたが、アイアンマンだからです」
トニー「・・・」
エリス「す、すいません。このセリフ、一度言ってみたかったもので・・・」ポリポリ…
トニー「・・・サインあげるから、元の世界に返してって言ったら駄目かな?」
エリス「すいません、それは・・・天界規定で出来ないんです・・・」
トニー「神様の世界とやらも規定にがんじがらめで動けないのか・・・」ハァ…
エリス「はい、申し訳ありません・・・」
トニー「まぁ、慣れてるからいいさ。破ることが多かったが・・・」
トニー「で、その口ぶりからすると・・・僕が特別に選ばれた理由は、あまり現状が改善されていないからだな?」
エリス「はい・・・最近になってようやく魔王軍の幹部が何人か倒されてきたのですが・・・」
トニー「君としては、一刻も早くその魔法の世界を平和にしたいって訳か」
エリス「はい、そういうことなんです・・・これ以上、モンスターや魔王軍に殺された人間がここに来るのを・・・私は見たくありません・・・」
エリス「誰もが平和に暮らせる世界に・・・なってほしいのです」
トニー「・・・」
エリス「トニー・スタークさん、どうかお願いします。身勝手なことを言っているのは十分わかっています!それでも・・・どうか、この世界を救っていただけないでしょうか・・・?」
トニー「魔法の世界を科学者のヒーローが救う・・・なんとも皮肉が効いているな」
トニー「・・・わかった」
エリス「!」
トニー「どうせ断ったって元の世界には帰れないんだ。なら・・・できることをやってやるさ」
エリス「本当に、感謝いたします・・・!」
トニー「僕に向かって祈るのはやめろ」
トニー「ところで、異世界の言語とかはどうなるんだ?」
エリス「私達神々が一時的に脳に負荷をかけることによって習得できます。ですが・・・その・・・」
トニー「?」
エリス「運が悪いと、脳がおかしくなる可能性が・・・」
トニー「冗談じゃないぞ!もし僕の脳みそが駄目になったら一体どうなると・・・」
エリス「大丈夫です!そうなる確率は非常に低いです!それに、自慢じゃないですが・・・」
エリス「私は・・・幸運をつかさどる女神なのです。そんなことは絶対に起こらないと断言します」
トニー「・・・」
トニー(異世界にとはいえ、生き返してもらうんだ・・・あれこれ言うのも野暮か・・・)
トニー「・・・異世界に持っていけるものは一つなんだよな?」
エリス「は、はい!時間をかけて考えてくださっても構いませんよ?あ、カタログをお持ちしますね」スッ…
トニー「いや、実はもうさっき話を聞いた時点で決めておいた」
エリス「カタログを見なくてもいいのですか?ここにあるもの以外だと・・・」
トニー「いいんだ。僕はすでに誰にも負けない力を持っているんでね」
トニー「君もさっき言っただろう?僕が“アイアンマン”だって」
エリス「・・・はい!それではお伺いしますね!」
トニー「僕が持っていきたいもの・・・それは・・・」
....
..
.
エリス「・・・決まりましたね。実にトニー・スタークさんらしいチョイスです♪」
トニー「さぁ、準備はできた。送ってくれるか?」
エリス「はい、それでは・・・この魔方陣の中央から出ないようにお願いします」スッ…
ポゥッ…
エリス「トニー・スタークさん。あなたをこれから、異世界へと送ります」
エリス「魔王討伐のための勇者候補の一人として。魔王を倒した暁には、神々からの贈り物を授けましょう」
トニー「・・・贈り物?」
エリス「世界を救った勇者に見合った贈り物。・・・たとえどんな願いでも、1つだけ叶えて差し上げます」
トニー「へぇ、それは楽しみだな。どんな願いでも・・・か」
トニー「君の話を聞く限りじゃ、その異世界はレンガの家々が立ち並び、道路には馬車が走るような中世レベルの時代なんだろ?」
エリス「は、はい・・・ですが・・・魔法を侮ってはいけませんよ?」
エリス「中には、本当にその無敵のスーツでさえ歯が立たないような魔法も-----」
トニー「エリス。僕の世界にはこんな言葉がある」
トニー「“僕の科学技術は、魔法と見分けがつかない”」カンッ!
エリス「・・・・・」
トニー「・・・・・」
エリス「・・・・・」
トニー「・・・・・なぁ、転送はまだなのか?」
トニー「ちょうど送られるタイミングでスーツのバイザーを閉じたらかっこいいと思って閉じたんだが・・・」
トニー「これじゃコントだ」
エリス「あ、すいません!良い言葉があったものだなと思い・・・」
トニー(・・・さっきの仕返しのつもりなんだろうか・・・?)
エリス「それではトニー・スタークさん。改めて、あなたを異世界へお送りします」スッ…
エリス「願わくば、あなたが魔王を打ち倒し、勇者となることを祈っています!」
エリス「あなたに祝福があらんことを!」
カッッッ!
....
..
.
駆け出し冒険者の街 アクセル
馬車「」ガラガラ...
トニー「・・・Wow」
トニー「どうやら・・・本当に・・・異世界のようだ・・・」キョロキョロ…
トニー「さて・・・まず最初にやることは・・・」チラッ…
冒険者A「・・・」スタスタ…
トニー「なぁ・・・ちょっと聞きたいことがあるんだが・・・」スッ…
冒険者A「う、うわああああ!?新手のゴーレムの類か!?」ジャキッ
トニー「おい、落ち着け。話がしたいだけだ」
冒険者A「へっ・・・?しゃべるゴーレム・・・?」
トニー(まさか今着てるアーマーごと異世界へ送られるとは思っていなかったな。傷も綺麗に治っている・・・)
トニー「ほら、これは・・・鎧だ。中身は人間だろ?」カシャンッ
冒険者A「な、なんだよ!鎧かよ!ビックリさせやがって!・・・にしてもあんた今、手も使わずに兜を開かなかったか?」
トニー「気のせいだ」
冒険者A「いや、でも・・・」
トニー「気のせいだ」
トニー「そんなことより聞きたいことがある。魔王城はどこだ?」
冒険者A「ま、魔王城!?その凄そうな鎧といい、腕利き冒険者か!?・・・の、割には魔王城を知らないなんて変だな・・・」
トニー「今から魔王城に殴り込みに行くんだ。できるだけ早く教えてくれると助かるんだが」
冒険者A「魔王城なら・・・こっから北西の方角にある・・・バカでかい城だ。でもあんた、一人で行くのか?パーティは?武器は?」
トニー「パーティ?パーティならこれから起こるさ。武器もある。10分もしないうちにまたエリスに会うことになりそうだ」カンッ!
冒険者A「なっ・・・やっぱりあんたその兜・・・」
トニー「それじゃ、情報提供感謝する。向かうとするよ」
冒険者A「おい、一体どれだけここから離れていると-----」
シュゴゴゴゴゴゴ…
ドシュゥゥゥゥゥッ!
冒険者A(鎧が・・・飛んで行った・・・?)
冒険者A「帰って寝よう。自称女神の変なアクシズ教徒としゃべったのがいけなかったんだ」
....
..
.
魔王城 付近 上空
トニー(それっぽいのが見えてきたな)キィィィイイン…
トニー「いかにもファンタジーに出てきそうな城って感じだ」
トニー「さて、魔王になんてなろうとするやつはきっと頂上付近にいるに違いない」
トニー「一気に室内に突っ込んで殲滅と行こうか」ドシュゥゥゥウウ!!
キィィイイイ…
トニー「ピザのお届けになりま-----」
ガィィイイインッ!!
トニー「ぐぉぁあっ!!??」ヒュルルルル…
ズガァアアン…
....
..
.
地上 魔王城前
トニー「ぐ・・・」ヨロッ…
トニー「なんだ・・・バリアが張ってあるのか・・・!?」
トニー「はぁ、まずはスキャンしてバリアの動力源を見つけ出さないとな・・・」ピピピッ…
《動力源:無し》
トニー「なんだと・・・」
《未知のエネルギー元を確認。供給元の場所は不明》
トニー「・・・」
トニー「よし、スーツの火力を集中させて穴を開けてやるか」ジャキッ
トニー「knock-knock」キュィィィィイイ…
ズドォォオオオンッ!!
....
..
.
駆け出し冒険者の街 アクセル ギルド酒場
トニー「・・・」グッタリ…
トニー(あり得ないだろ・・・あれだけの火力を打ち込んでも傷一つつかないなんて・・・)
ウェイター「あの、なにかご注文は・・・」
トニー「あー・・・水を頼む・・・」
ウェイター「は、はい・・・あの、それと・・・酒場の中で頭部全体が隠れる兜を付けるのはやめていただけると助かるのですが・・・」
トニー「あぁ、それもそうだな。今脱ぐ」ガシャッ
ゴトンッ…
トニー「テーブルの上に置いといても問題ないよな?」
ウェイター「はい。た、助かります・・・では、お水をお持ちいたしますね」
ウェイター(すごく変な兜・・・)スタスタ…
トニー「はぁ・・・」
トニー(まいった・・・中世レベル時代だと思って完全に油断していた・・・)
トニー(この先どうするか・・・とりあえず、この世界に持ってきたあの場所にいったん籠ろう)
「見てください!あの鎧!!めちゃくちゃかっこよくないですか!?」
トニー(魔術について学ぶ必要があるな。近くの図書館なりにきっと知識になる本が置いて・・・)
「ほら、早く来てください!あの鎧は、紅魔族の琴線に触れまくりですよ!」
「そんなに急かすなよ・・・って、おお、マジでかっこいいな」
「でしょう!あれはどういった鎧なのでしょうか!」
トニー(うるさいな、世界を救う為に頭を張り巡らせているというのに。一体何なんだ?)クルッ…
?「おや、中々ダンディなおじさんですね。この街にはどういった用で来たのですか?」
トニー(黒いマントに黒いローブ、黒いブーツに杖、そしてとんがり帽子・・・まさに魔法使いって感じだな。しかし・・・)
トニー「お子様に話すようなことじゃない。世界の命運がかかっている事なんだ」
?「ほう、この私をいきなりお子様呼ばわりとは中々いい度胸じゃないか」スッ…
?「だーっ!やめろ!魔法を唱えようとすんな!超高レベルの冒険者だったらどうすんだ!」
トニー「本当に、一体何なんだ?」
カズマ「俺の名前はカズマっていうんだ。この街で冒険者をやっている。まぁ、魔王軍の幹部を何人も倒しているんだ。知っているとは思うけど、一応名前を名乗っておくよ」フッ
トニー「日本人チックな名前だな」
カズマ(んん!?)
トニー「だが・・・知らないな。何せこの世界に・・・いや、あー・・・まだ冒険者にもなっていない駆け出しなんでね」
カズマ(神器の雰囲気すらする鎧なのに冒険者にすらなっていない・・・そして、日本人を知っている・・・転生者か?でも、若い日本人の顔じゃないしなぁ・・・)
トニー「・・・で、そっちのお子さ・・・お嬢さんの名前は?」
?「ふふふ・・・」スッ…
トニー「?」
バサァッ!
めぐみん「我が名はめぐみん!!アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操----」
トニー「・・・」クルッ…
めぐみん「ああっ!なんで後ろ向くんですか!まだ終わっていませんよ!?」
カズマ「頭がアレなウチの仲間が迷惑かけたな。ほら、よかったら俺が案内するよ。ギルドの登録の仕方とかもよくわからないんだろ?」キリッ
めぐみん「カズマまでなんですか!ベテラン冒険者ぶって!さっき私がかっこいい鎧を着てる人がいたから見せたいって言ったら、“俺は家に引きこもっていたいんだよ、なんでギルドなんかに行かなきゃならないんだ、鎧ごときではしゃぐなよ、子供かロリ枠”って言い放ったじゃないですか!!」
カズマ「めんどくせぇからもう流せよ!それにな、ちょっとこっち来て耳を貸せ」スッ…
めぐみん「?」
カズマ「いいか?まだ冒険者でも無いのにあんな凄い鎧着てるなんておかしいだろ?」ヒソ…
めぐみん「そこは・・・確かに、私も気になりました・・・」ヒソヒソ…
カズマ「俺はああいうのには心当たりがあってな・・・ちょっと話が聞きたいだけだ」ヒソヒソ…
めぐみん「なるほど・・・冒険者になる前からあれだけの装備・・・きっと貴族か王族・・・ダクネスやアイリスだけじゃ飽き足らず、さらに権力者にコネを作ろうというのですね?さすが、狡すっからい欲の亡者は考えることが違いますね」ヒソヒソ…
カズマ(・・・ちょうどいいや、そういうことにしておこう)
カズマ「まぁ・・・そんなところだ。いや、ちょっと待て。お前今最後なんつった?」
めぐみん「そういうことなら私も協力します。力があるに越したことはありませんからね」スタスタ…
めぐみん「そこのかっこいい鎧を着たあなたに、親切な紅魔族である私が力を貸しましょう」
トニー「まだ続いていたのか?」
めぐみん「・・・」イラッ…
カズマ「下がれめぐみん。お前じゃ不信感が増すだけだ」
カズマ「なぁ、俺たちは怪しい者じゃ無いんだ。本当力になろうとしてるんだ」
カズマ「あとな・・・」コソッ…
トニー「・・・?」
カズマ「あんた、異世界からの転生者だろ?」ボソボソ…
トニー「!・・・その日本人チックな名前と、転生者の事・・・君がエリスの言っていた・・・」
カズマ「ええ、数多の魔王軍幹部を倒してきたイケメンベテラン冒険-----」
トニー「い、いや・・・君の事はまったく話してなかった」
....
..
.
ギルド 受付
カズマ「おっさん・・・じゃない、トニー?で良いんだよな?」
トニー「ああ」
カズマ「冒険者登録はここでするんだ。あとは、俺がさっき説明した通りだ」
トニー「あの髪にウェーブがかかったおっとりとした感じの美人さん?」
カズマ「そうだ。いいか、名前はルナって名前で・・・すごく美人でスタイルもいいが、行き遅れていることを気にしているって噂が流れている・・・その手の話題に触れちゃ駄目だぞ?」
トニー「それは気の毒だな。わかった、気を付けるよ」
ルナ「聞こえていますよサトウさん。出禁にされたいですか?」
トニー「あー・・・行き遅れることを気にする必要はない。僕だって40後半に差し掛かろうとしているが、いまだ結婚できていないしな?」
ルナ「2人まとめて出禁にしますよ!?登録するなら早くしてください!」
トニー「悪かった。それじゃ頼むよ」
ルナ「まず、登録手数料として1000エリスが必要となります」
トニー「登録・・・手数料・・・」
ルナ「は、はい・・・登録手数料です・・・」
カズマ「トニー・・・ひょっとして、あんたも転生するときにお金渡されなかったのか?」
トニー「そういえば・・・何も渡されなかったな・・・特典はあるんだが・・・」
カズマ「あぁ、その鎧か?」
トニー「いや、これは自ま・・・」チャリ…
トニー「ん?ポケットに違和感を感じるな・・・」
トニー(脱いでみるか)
ヴィーンッ… ガシャンッ ガコガコガコ…
「「「!?」」」
トニー「よっと」スタッ
ガチャガチャガチャ… カチチッ… カンッ
トニー「待機モード」
Mk.45「」ヴゥン…
めぐみん「うおおおおお!?そ、その鎧、変形するんですか!?」キラキラ
カズマ「すっげぇ!良い神器じゃねぇか!」
トニー「あとでいくらでも見せてやるからはしゃがないでくれ。それより・・・」ゴソゴソ…
トニー「お、どうやらエリス様は僕のポッケにお恵みを入れてくれてたようだ。次彼女に会ったら礼を言っておかないとな」チャリ…
トニー「こんなもんでいいか?」チャリンチャリンッ
ルナ「はい・・・そ、それにしても・・・すごい鎧ですね・・・」
トニー「まぁね」
ルナ「では、このカードに触れてください。それで、あなたのステ・・・」
トニー「ステータスがわかって、職業だとかが決められるんだろ?さっきカズマから聞いたよ」
ルナ「なら、説明はいらないですね。はい、どうぞ」スッ…
トニー「僕のステータスねぇ・・・なんてでるやら」ペタッ…
ルナ「はい、ありがとうございます。確認いたしますね」
ルナ「あら・・・魔力がほぼ0ですね・・・」
めぐみん「ふっ・・・」ニヤッ
カズマ「やめろ」
ルナ「ですが、筋力に生命力、敏捷性共に平均より高く・・・あ!運と器用度が平均より大幅に高いですね!かなりの値です」
ルナ「あとは・・・知力・・・って、はっ!?はあああああっ!?」
カズマ「あれ?なんかデジャブ・・・」
ルナ「なんですかこの数値!?こ、こんな高い知力は見たことがないです・・・紅魔族でもこれほどの者は・・・人類史上最高かもしれません・・・!」
めぐみん「むっ・・・!」チラッ
トニー「へぇ、“この世界の基準じゃ僕は馬鹿”なんてことになってなくてよかったよ」
ルナ「この世界?」
トニー「いや、なんでもない。それで、これだと僕はどんな職が向いているんだ?」
ルナ「そうですね・・・魔力が無いので、魔法が使える職にはなれませんが・・・」
ルナ「前衛系の職ならどれでもなれると思います。いきなり上位職は無理ですが、レベルを上げれば十分なることも可能ですよ。器用度が非常に高いので、盗賊職なんかもいいかもしれません」
ルナ「ですが・・・その・・・」
ルナ「これだけ高い知力をお持ちでしたら、学者や研究者になったほうが人類に貢献できると思います」
トニー「まさかいきなり冒険者人生を否定されるとは思っていなかった」
ルナ「す、すいません・・・・ですが、魔王軍と戦う手段は、冒険者になって魔物を駆逐するだけではないということは、覚えておいてくださいね」
トニー「頭にとめておくよ・・・で、職業についてなんだが・・・とりあえず保留ってことにはできないかな?ゆっくり考えたい」
ルナ「できますよ。選択肢が多いですもんね。決まったらまた来てください」
カズマ「お、終わったか。この後はどうするつもりなんだ?」
トニー「まずは、僕がここに持ってきた特典に引きこもる」
めぐみん「冒険者になっていきなり引きこもりですか・・・カズマと気が合いそうですね」
カズマ「うるせぇ!俺は働く必要がなくなったから引きこもるんだよ!!」
カズマ「でも、このまま引きこもってるのも暇だしな。良かったらトニーが持ってきた特典ってのを見てもいいか?」
トニー「別に構わない。僕も君達から聞きたい情報もあるしな」
トニー「この世界の情報、魔法について・・・そこの魔法使いさんも色々聞きたいことがあるんだが・・・いいかな?」
めぐみん「つまり我々の武勇伝を聞きたいと!良いでしょう良いでしょう!」
トニー「決まりだな。それじゃ、行くとしようか」
めぐみん「あ、まってください。どうせなら・・・」
不定期更新になると思いますが、見て頂ければ幸いです
トニーの雰囲気だけじゃなく、このすばのノリも再現出来たらなと思っています
ここからはアイアンマンについての説明など、少しおまけが続きます
本名 トニー・スターク
性格 典型的ナルシスト。切羽詰った状況でもジョークを飛ばすような男だが、決して精神が強い訳では無い。精神が追い詰められた時は自暴自棄になってしまうこともある
天才的頭脳を持ち、4才で回路基盤を組み立て、6才でエンジンを制作、17才でマサチューセッツ工科大学を首席で卒業した。
卒業後しばらくして両親が他界した為、莫大な遺産と経営権を継承しスターク・インダストリーズのCEO兼エンジニアとして就任した。
就任後は辣腕を振るい、次々と破壊兵器を作り軍に提供。会社は最盛を迎え、トニーは酒や女、欲しいものはなんでも手に入った。
ある時、テロ組織に拉致され命辛々生還した経験から過去を振り返り改心。軍事産業から撤退してアイアンマンスーツをきて平和の為に戦うスーパーヒーローとなった。
3分でわかるアイアンマン
https://m.youtube.com/watch?v=yyjIxHgwJGI
アイアンマンの戦闘シーン集
https://youtu.be/gfgwt54aMOM
アイアンマンのスーツ装着シーン集
https://youtu.be/HpX1mDEw1gk
この動画で戦闘シーンの時にイメージが少しでも付きやすくなれば幸いです
......
....
..
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アクセル 郊外
トニー「・・・」
?「おお、面白い鎧を着ているじゃないか!なんという名の職人が作った物だ!?」
?「私達以降の転生者がいるって聞いてみれば、おっさんじゃないの」
トニー「・・・なぁ、確かに話が聞きたいとは言ったが・・・」
めぐみん「情報は多いほうが良いじゃないですか」
トニー「パジャマパーティーでも始めるつもりか?」
めぐみん「パジャマパーティー?なんですかそれは」
カズマ「男の夢の一つだ。まぁ、お前らがやっても夢の欠片もなさそうだけどな」
めぐみん「なんだかわかりませんが、とりあえず馬鹿にしてるってことはわかりました。あとで覚えておいてくださいね」
カズマ「おっ、爆裂魔法しか能のないお前が俺に勝て・・・ち、ちょっ・・・やめろ!杖で殴りかかるな!お前魔法使いだろうが!!」
カズマ「この世界じゃ別に普通だよ。言っておくけどな、元居た世界の常識がここで通用すると思うなよ?サンマが畑から採れて、野菜が空を飛んで、猫が火を噴く世界だ」
トニー「・・・冗談だろ?」
カズマ「今言ったのはほんの一部だ。まだまだ常識外れなことはたくさんあるから、後でこの世界の事を色々教えてやるよ」
トニー「それは楽しみだ。こっちの世界には地球を侵略しようとするエイリアンやら、雷の神様やら、人類を滅ぼそうとする人工知能がいなければいいが」
カズマ「えっ、何ソレ怖い。お前の世界どうなってんの?」
カズマ(この男、俺と同じ世界から来たんじゃないのか・・・?)
トニー「ところで、新しく連れてきたそこの美人二人は誰だ?」
「「?」」キョロキョロ…
トニー「なんでキョロキョロしているんだ?ここには他に人がいないだろ」
カズマ(あぁ・・・こいつらどんな人間か知れ渡ってて、普段から美人だなんていわれないから・・・)ホロリ…
?「え、今あんた私の事美人って言った?ねぇ、カズマ!この人よくわかってるじゃない!」
?「ふふ、今のを聞いて今度から少しは素直になったらどうだ?カズマ」
カズマ「いいかお前ら、トニーが美人って言ったのはあくまでお前らの外見だけで、つまりは第一印象だからな?化けの皮の印象だからな?」
?「この男!私達の見た目を化けの皮とか言い出したぞ!ぶっ殺してやる!」
めぐみん「あきらめましょうダクネス、あの男はああいう人間です。パンツ脱がせ魔だったり、セクハラ男だったりニートだったり、第一印象すらも最悪なあの男よりはマシですよ」
ダクネス「確かにそうだな・・・」
カズマ「おい、お前が言うその第一印象とやらをもう一度お前らに叩き込んでやってもいいんだからな」
トニー「・・・なぁ、僕がいることを忘れていないか?」
ダクネス「あっ、すまない、説明が遅れたな。私はダクネス、このパーティーでクルセイダー・・・つまり、前衛職を担当としている。よろしく頼む」
トニー「なるほど、君みたいな女性が前衛で戦うとは・・・怖くないのか?敵の攻撃を最前線で受け止めるなんて」
ダクネス「いいやっ!むしろ最高だ!」ハァハァ…
トニー「・・・えっ?」
ダクネス「敵の攻撃が激しければ激しいほど、興奮す・・・後ろの仲間を守るという意志がより強くなる!」ハァハァ…
トニー「今興奮するって・・・」
ダクネス「聞き間違いだ」
トニー「いや、でも顔が・・・」
ダクネス「聞き間違いだ」
トニー「・・・」
カズマ「トニー、こういう所だ。さっき言ったのは」
?「もう、ダクネスったら駄目ね。自分の欲望を押さえられない駄目な子なんだから」
カズマ(一番欲望に忠実なお前が言うか駄女神・・・って言いたいが、面倒くさそうだから黙っておこう)
アクア「ふふっ、美人と言ってくれたお礼に教えてあげる!私の名はアクア!アクシズ教が崇める御神体そのもの!水の女神アクアよ!」
トニー「水の神様ねぇ・・・僕の知り合いと気が合うかもしれないな」
アクア「あれ・・・?信じてくれるの?」
トニー「言ってることはぶっ飛んでいるとは思うが・・・幸い、自分を神だと名乗る奴を見るのは君で四人目なんでね。いい加減慣れた」
アクア「カ、カズマさん!私、この世界で初めて女神を名乗っても変な目で見られなかったかも!」
カズマ「いや、十分変な目で見てたと思うぞ。ていうか、今サラッとすごいことを言ったような・・・」
トニー「さて、君たちの自己紹介も終わったことだし・・・改めて、僕からも名乗っておこうか」
トニー「僕はトニー・スターク。ここに来る前は、世界を守るヒーローをしたりしていた。よろしく頼む」
「「「「・・・」」」」
アクア「ねぇ、ちょっとカズマ。あの人大丈夫なの?いきなり自分はヒーローとか名乗っているけど、本当に転生者なの?ただの痛い人じゃないの?」ヒソヒソ…
カズマ「お、おい、よせよ・・・確かに変な事口走っているが・・・転生者の事知っていただろ?」ヒソヒソ…
ダクネス「ヒーロー?彼は一体なんの話をしているのだ?」ヒソヒソ…
めぐみん「さぁ・・・でも、初対面で、尚且つ駆け出し冒険者でいきなり世界を守るヒーローとか名乗るなんて・・・」ヒソヒソ…
トニー「あぁ・・・この世界が嫌いになりそうだ・・・」
カズマ「わ、悪かったよ。謝るから・・・なぁトニー。話は変わるけど、あんたは一体何をもらったんだ?」
トニー「“貰った”じゃなくて“持って来た”だ。そして、僕が持ってきたのは物じゃなくて場所だ。さっきも特典にこもるって言っただろ?」
カズマ「あぁ、そうだったな。で、それはどこにあるんだ?」
カズマ(うっかり忘れてた。暇つぶしに俺達以降に転生したってていう転生者の特典を見るためにここに来たんだった)
トニー「アーマーにインプットされた情報だとここのはずなんだが・・・」
小さい小屋「」ポツン…
トニー「・・・あれなわけないよな・・・いや・・・看板に何か・・・」
【You know Who I am】
トニー「・・・間違いない、あれだ」
アクア「え、あんな物置みたいな小屋が特典なの?さすがにもっといいものをもらって来なさいな」
トニー「だから持って来たといっているだろ?持って来た・・・はずだが・・・」
アクア「異世界に持って来たものが物置小屋って!超ウケるんですけど!プークスクス!」
トニー「・・・」イラッ…
トニー「・・・こんなのはおかしい、きっと何かが隠されているはずだ」
めぐみん「あの文字・・・一体なんて書いてあるのでしょう・・・なんだか、私たちが使っている文字と形が似ている気がしますが、読めませんね・・・古代メッセージの暗号とかでしょうか!?」
You know Who I am
アイアンマン3の序盤、スイスのパーティーに訪れていたトニースタークが、パーティーで知り合った植物学者のマヤ・ハンセンと彼女の部屋で生物遺伝子の未使用領域とその活用について話し合い、一夜を共にする
その翌朝、ハンセンが起きる前にトニーが彼女の実験の手助けとなる化学式を、紙の裏面に書いて枕元に置き、立ち去るシーンがある。
その紙の表面にトニーが書いた文章がこれである
若いころのトニーの天才っぷりとクールさが出てるシーン
カズマ(いや、普通にただの英語だが・・・やっぱりトニーは謎が多いな・・・転生者の割には特徴に合っていないことが多すぎる。関わらないほうが良い気がしてきた)
トニー「とりあえず小屋に入ってみるか・・・だれか付いてくるか?」
めぐみん「暗号が記された小屋に入るなんて面白そうではないですか!・・・ですが、中に封印されし魔物とかがいたら怖いので・・・ダクネス、先にどうぞ」
ダクネス「え、えぇっ!?だ、だが・・・その魔物は・・・飢えた獣だったりするのだろうか・・・開けた瞬間に押し倒されたり・・・」
トニー「君たちに話題をふると永遠に話が進まなさそうだ。いつもこうなのか?コントしなきゃ気が済まないのか?僕が持って来た物に魔物なんて入っていない」
カズマ「・・・なんかすいません」
....
..
.
小屋
ギィ…
カズマ「敵感知スキルに反応は無い。だからドアからそんな離れて見てんじゃねーよ!」
アクア「なによ、別に怪我しても治してあげるんだからいじゃない」スタスタ…
トニー「小屋の中には・・・特に何も置いていないな・・・どうなっている?」
めぐみん「いやいや、紅魔族の勘が言っています。何かがあると・・・!」
トニー「勘うんぬんは別として、確かに壁に何か貼ってあるな・・・封筒と・・・紫色の・・・花?」
ダクネス「うん?その花は・・・クリスの花だな。花言葉は“諦めない心”だ。この花と同じ名前をした、私の親友が好きな花だ」
カズマ「お前からそんな花言葉の知識が出て来るとか、なんの冗談だよ。各筋肉の部位の役割とか知ってる方が似合っ・・・あああああああ!!頭が!!頭が割れるううう!!!」メキメキ…
アクア「馬鹿ねカズマ。ダクネスは結構可愛いものが好きなのよ!洋服とか人形とか!でも自分のイメージに合わないからって・・・痛い!ダクネス!痛い!!なんで私までアイアンクローを食らわなきゃならないの!?」
トニー「はぁ・・・この封筒の中身は・・・手紙?」
【要望通りだと世界の景観が崩れるので、少しだけ見た目と造りを変えさせていただきました。でも、これはこれでかっこいいと思いますよ?この手紙を読んだら、紫色の花の中央を押してください。】
トニー「ふっ、なるほどねぇ・・・どうやらエリスはあんな出で立ちで案外、演出が好きらしい。僕と趣味が合いそうだな」ポチッ
バタンッ… ガチャッ
カズマ「うおおおっ!?なんだ!?ドアが急に閉じたぞ!?鍵まで掛かってやがる!!」ガチャガチャ.,.
めぐみん「へ、部屋が真っ暗です!カズマ、周囲を確認できますか!?」
カズマ「ああ、暗視スキルで一応周りを見てはいるが・・・」
ズズズ…
アクア「ね、ねぇ・・・なんか揺れていない?」
ダクネス「全員私のそばに・・・おい!トニー・スターク!私達を罠にはめたんじゃないだろうな!?」
トニー「そんなつもりは無い!これは・・・部屋自体が地下に下がっているな」
ズズンッ…
めぐみん「とまった・・・みたいですね」
ガチャンッ
カズマ「・・・鍵も開いた・・・のか?」
めぐみん「カ、カズマ、ちょっと開けてみてもらえませんか?男の子でしょう?こういう時は先に・・・」
カズマ「ふざけんな!俺はな、こういう時に“男なんだから”とか都合のいいこと言うやつが許せねぇんだよ!」
トニー「騒ぐなお子様達。僕が開ける」スタスタ…
めぐみん「あ、あの・・・言っておいてなんですが・・・何も不気味に思わないんですか?」
トニー「これは僕が頼んでここに送ってもらったものだと今確信した。危険はない」ガチャッ…
カズマ「おいおい・・・!どうなってんだよこの部屋は・・・!!」
めぐみん「見たことないものばかり・・・」
トニー「出迎えてくれるものはいないのか?」
『おかえりなさい、ボス』
トニー「ただいま、フライデー。長い一日だった」
トニー「さて諸君、紹介しよう!」
トニー「僕のラボだ」
カズマ「す、すげぇ・・・・」
めぐみん「ほ・・・本当になんなんですか!?この部屋は・・・!ここにあるものは一体・・・」
トニー「大体は僕が作った。これも、そこにあるのも」
ダクネス「作った・・・?どれもこれも・・・?魔道具・・・なのか?それすらもわからん・・・」
トニー「魔道具なんて胡散臭い物じゃない。科学技術の産物だ」
アクア「みてみて!このよくわからない装置、小っちゃくなっちゃった!!」
トニー「それも僕が・・・何してるんだお前!?」
カズマ「おま・・・・バカ野郎!!なに恐ろしい迷惑かけてんだ!!!」
トニー「フライデー、どうなっている!?僕は幻覚でも見ているのか!?」
フライデー『その・・・私にもさっぱり分かりません・・・マジックとかではなく、物理的に小さくなっています』
トニー「なぁ、元に戻せるんだよな?これはホログラム発生装置だ、これがないと何か作るときの設計に支障が」
アクア「戻せるわけないじゃない」
トニー「・・・」
カズマ「ウチの駄女神が・・・ほんっとうにすいません・・・」
トニー「・・・・・」
トニー(うん・・・?この装置・・・)ヒョイッ
カズマ「お、おい!アクア!!お前も謝れ!!言葉も出ないくらい怒っているだろ!!!」
アクア「ち、ちょっと手品を披露しただけじゃない!女神はね、そう簡単に頭を下げたりなんて・・・カズマさん!やめて!!謝るから離して!!髪の毛抜けちゃう!!」
カズマ「ほら、アホ女神もこの通り謝っているので、どうかひとつ・・・」
トニー「いや、違う・・・フライデー、小さくなったこの装置・・・」
フライデー『スキャン中・・・完了。ボス、小さくなっただけで機能はそのままです。問題なく使用できます』
トニー「一体どういう技術なんだ・・・」
カズマ「あれ・・・怒ってない・・・?」
アクア「謝って!!私の頭を無理やり下げさせようとしたこと謝って!!」
トニー「いいや怒っている。次勝手に僕の装置に手を出したらここからたたき出すからな!」
アクア「なんでよー!!!」
カズマ「当たり前だろが!!!被害が出なくても人様の物をお前の変な手品の道具にするんじゃねぇ!!」
アクア「ステレオで説教しないでよ!!悪気があった訳じゃないのに!」グスッ…
ダクネス「なぁ、おい・・・みっともないからその辺にしておけ・・・」
トニー「はぁ・・・同じ神でも、ソーとは大違いだ・・・あっちはあっちで気に食わないが・・・」
アクア「・・・ねぇ、あんた今・・・ソーって言った?あの雷神ソー?」
トニー「なんだ?ソーを知っているのか?」
アクア「知ってるもなにも・・・ソーは私達神々の間じゃとても有名よ?雷を司り、ムニョムニョハンマーで豪快に敵を打ち砕く・・・まぁ・・・そこそこ凄い神なんじゃないかしら」
カズマ「武器の名前はともかく、話を聞くだけでも凄いな。スナック菓子を食いながら偉そうに椅子にふんぞり返っているくせに、宴会芸しか取り柄のないどこかの駄女神にも見習ってほしいもんだ」
アクア「それ私に言ってるの?まるで本当の能無しみたいな言い方だけど」
カズマ「うん、だからそう言っているんだよ。能無し駄女神」
アクア「佐藤和真さん。そろそろ本当に天罰を与えますよ?トイレの水が流れなくなる天罰とか与えますよ?」
マイティ・ソーの事
北欧神話に登場する本気もんの神様。
ソーという名前はThorを英語読みにしたもの。日本ではトールの方が伝わるかもしれない。
ムジョルニアという天候を操るハンマーで戦う。このハンマーは真に高潔な精神を持つものでないと待ちあげることすら敵わない。(原作ならキャプテンも持ち上げることが出来たが、実写版ではほんの少し動かした程度だった)
神々の世界アスガルドで最強と言われるまでに恐れられていたソー。しかし、とある事件をきっかけにソーは独断で敵地にカチコミを仕掛け、それが原因で戦争が起こりそうになってしまう。
この行為によってオーディン(ソーの父親)はブチ切れ、ソーは力を奪われ傲慢な心を更生させるために人間世界であるミッドガルド(地球)に堕とされてしまう。
その地球で愛する女性や友人ができ、それらを守るために自分の身を顧みずに地球に侵攻してきた化け物に立ち向かったその時、ソーは本来の神の力を取り戻し、敵を粉砕した。
ちなみに、ムジョルニアをムニョムニョと呼んでしまう可愛い女の子もいる
マイティソー 予告編
https://m.youtube.com/watch?v=1WBKiQ3I8HE
トニー「ソーを知ってる奴がいるとは・・・僕が元居た世界とほんの少しだがつながりがあった訳か。世界は狭いな」
めぐみん「ダクネス、彼らは一体何の話をしているのでしょう・・・雷神とか、世界がどうのこうのとか・・・」
ダクネス「私にもわからん・・・だが、アクアはともかく、トニーはいたって真面目に言っているようにしか見えないな・・・」
トニー「そこで首絞めあってるヘンテコ女神とカズマ。そろそろ話を始めないか?もちろん、君たちのコントじゃなくてちゃんとした情報共有だ」
カズマ「おっと、そうだったな。面白いものを見せてもらった礼だ、知らないことはなんでも教えてやるよ」
トニー「それはありがたいね。何か飲むか?あいにく酒しか置いていないが・・・君たちは飲める年齢か?」
ダクネス「めぐみん以外ならみんな飲めるぞ」
めぐみん「ちょっと!!私はもう結婚だってできる歳だと言っているでしょう!いつまで子供扱いなのですか!?」
カズマ「見た目がな・・・」
トニー「確かに、君がお酒を飲んでいる絵面はいただけないな。小さいころからお酒を飲むと、頭がおかしくなるんだぞ?ジュースが置いてないか探してきてやるから、それで我慢しとけ」
カズマ「あっ、頭に関しては手遅れなんで・・・」
めぐみん「二人共表に出てもらおうじゃないか。紅魔族は、売られた喧嘩は買うものです」
....
..
.
2時間後...
トニー「それで、僕は獲物をかっさらっていった雷神にタックルで吹き飛ばしてこう言ったんだ “引っ込んでろ、観光客”」
アクア「あはははははは!あはははは!観光客!観光客って!噂のソーも案外大したことないのね!!」
トニー「言っとくが、僕のスーツが凄いんだからな?それで、サーファー君は雷を放つも、僕のスーツに吸われて吹き飛ばされたのさ!」
アクア「あははははは!!!サーファー君なんて呼ばれているの!?あはははははは!!トニーったらセンスあるわね!!」
トニー「だろ?君の話も面白かった!さっきのエリスの話・・・」
アクア「ああ、アレね!」
アクア・トニー「「エリスの胸はパッド入り!」」
ダクネス「この酔っ払い共・・・そうやってエリス様を貶めるようなことを言っていると、本当に罰が当たるぞ!!」
トニー「僕のアーマーは罰だって跳ね返すさ。ところで、君たちの話はさっきので終わりか?ダクネスを悪徳貴族との結婚式から救い出す話で・・・」
ダクネス「そ、その話はもういい・・・///」
トニー「もう話が無いなら、僕の自慢話をさせてもらおうかな」
カズマ「俺達の話を聞くとどんな自慢話も霞んでしまうからやめといたほうが良い。話はここからが本番だ、何から聞きたい?」
カズマ「圧倒的な剣技を誇り、どんな強敵でも死の宣告で呪い殺せる暗黒騎士。人の身に化け、触れただけで即死する猛毒を持ち、あらゆるものを食らいつくすデッドリーポイズンスライム。無尽蔵に進化するキメラ・・・話せば長くなるさ。まぁ、全部倒したんだけどな?」
トニー「Wow、宇宙人が空に穴を開けて襲ってきたり、鉄を飴細工みたいに溶かしたりできて、尚且つ手足がもげても再生する高熱人間が束になって殺しにかかって来たり、自我を持った人工知能が体を得て、街を空に飛ばして落として人類を滅ぼそうとする僕の話といい勝負だ。まぁ、全部倒したんだけどな?」
カズマ「・・・他にも、存在自体反則な公爵級の悪魔を倒したりもしたなぁ・・・」
トニー「・・・僕だって、雷の神様を吹き飛ばしたり、街一つを滅ぼせる緑の巨人をタイマンで殴り倒したりもした」
カズマ「・・・俺達の方が凄い」
トニー「・・・どうかな?」
めぐみん「どれも私の爆裂魔法があってこその手柄ではないですか!その武勇伝は私が話すべきです!!」
カズマ「待てめぐみん・・・今は俺達とトニー・・・どちらが優れた冒険者かの話に変わったんだ・・・!」
めぐみん「そんなの、冒険を長く続けてきた私達に決まっているではありませんか!!大体、トニーが言っている話はまったくもって意味が分かりませんよ!うちゅうじんがどうのとか・・・」
トニー「お互いの話を証明するのに最も向いている事・・・それは、お互いの力を見せ合うことだ。簡単だろ?」
めぐみん「・・・決闘を挑んでいるようにも聞こえますが」
トニー「まぁ、早い話がそんなところだ。と言っても、本気で戦おうだなんて思っていない」
トニー「この世界で、君たちがどう戦うのか見たいだけだ。同時に、僕の戦い方も見せてあげよう。百聞は一見に如かずって言うだろ?」
ダクネス「とはいえ、どうするつもりだ?何かクエストを受けようにも、もう夜も近いんだ。ここからギルドまで歩いたら、つく頃にはギルドは閉まっているだろう」
カズマ「いい考えがあるぞトニー、お互いに何か一つ持つ。そして、相手が持っているものを奪った方が勝利だ。どうだ?」
めぐみん「え?それって・・・」
カズマ「静かにめぐみん。今は男と男の大事な話だ」キリッ
ダクネス「この男最低だな・・・」
トニー「僕としてはそれでもかまわないが・・・それじゃ君が怪我をすることになると思うが?」
カズマ「問題ないよ。こっちにはどんなケガも治せるヒーラーがいるんだ」
トニー「なるほど、良い自信じゃないか。未知の敵と戦うことも恐れていない・・・」
めぐみん(勝利を確信しているからだと思う)
トニー「それじゃ・・・酔い覚ましの一勝負と行こうか?」
......
....
..
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アクセル郊外 平原
トニー「よし、この辺なら戦ったとしても大丈夫だろう」
カズマ「トニー、トイレは行っておかなくてよかったのか?激しい戦いになるかもしれないんだぞ?」
めぐみん「ほんっとうに最低ですこの男・・・」
トニー「トイレだって?大丈夫。見てろ、このスーツはな・・・」
トニー「・・・」ブルブル…
めぐみん「えっ」
トニー「・・・ふぅ、この通りなんともない」
めぐみん「・・・えっ」
カズマ「まじかよ!ぶはははははは!!!」バンバン
ダクネス「こ、この男も最低だ・・・」
トニー「飲めるくらいには浄化されているぞ」
めぐみん「知りたくなかったです。そんな情報」
>>90
トニーのスーツジョーク?
アイアンマン2で自分が余命僅かと知ったトニーが自暴自棄になってパーティー会場で披露した下品なパフォーマンス。
酔っぱらっていたので本当にスーツの中でトイレしたのか、ろ過機能があるのかも不明
アクア「それにしても、さっすがカズマさんね!普段は戦いに首突っ込まないクセに、なんで勝負を引き受けるのかと思ったら、まさか物を奪った方が勝ちにするルールにして、スティ----」
カズマ「よーしアクア!黙ろうか!!あとでお酒奢ってやるからな!!!」
カズマ「とっとと始めようぜ!!お互いターゲットは持ったよな!」
トニー「ああ、僕はコインをスーツに張り付けてある。君はポケットだろ?」
トニー(さて、冒険者たちは空からの攻撃に対してどこまで対応できるのか・・・見せてもらおうか)
《飛行システム:オンライン》
トニー(汚いかもしれないが・・・悪く思うなよ?)キュィィィイ…
カズマ(さて、トニーにもこの世界の理不尽さを叩き込んでやるぜ・・・一瞬で勝負がついて、あっけにとられるトニーの顔が兜のせいで見れないのが残念だ)クックックッ…
カズマ(汚いかもしれないが・・・悪く思うなよ?)ワキワキ…
めぐみん「その手の動きやめてもらえますか?色々思い出します」ハァ…
ダクネス「私としては・・・ゾクゾクするな・・・///」クネクネ…
めぐみん「・・・さて、両者位置に付きましたね?」
トニー「・・・」キュィイッ… ヴゥン…
カズマ「・・・」ジリッ…
トニー・カズマ(・・・この勝負、僕(俺)が勝つ!!)
めぐみん「それでは、いきますよ?よーい・・・」
カズマ「・・・」スッ…
めぐみん「ドン!!」
カズマ「『スティール』ッッ!!!」
ブツンッ!
トニー「!?」
トニー(なんだ!?目の前が真っ暗に・・・!)
トニー「フライデー、どうなっている!?」アタフタ…
カズマ「ふっ・・・これが、駆け出しと一流のちが・・・」ジュウウウ…
カズマ「なんだ?手から香ばしい匂いが・・・」チラッ…
アークリアクター「」ジュゥゥゥ…
カズマ「あああああああづああああ!!」
カズマ「アクア!アクアーッ!!助けてくれーッッ!!手が焼き上がるうううう!!」ゴロゴロ…
アクア「『ヒール』!『ヒール』!さっき賢い作戦だと思った私の気持ちを返して欲しいわ。カズマってやっぱりバカなんじゃない?」
トニー「ぐっ・・・なぁ・・・誰か手を貸してくれないか?補助機能なしでスーツを着るのはキツい・・・」ヨロヨロ…
ダクネス「手を貸すのはいいが・・・お前はついさっきその鎧の中で・・・」
トニー「あんなの冗談に決まっているだろ!だから早く・・・」
めぐみん「・・・なんですか、この混沌極まりない状況は」
トニー「・・・勝負はお互い戦闘不能って事で引き分けにしようか。なぁ?カズマ。それでいいよな?」
カズマ「い・・・良いです・・・」プルプル…
....
..
.
スタークラボ
トニー「ったく、スーツを脱ぐのにものすごい手間がかかった・・・さっきのは一体なんだ?アークリアクターだけを抜き取るなんて・・・」
カズマ「あれは俺の・・・必殺技さ」
ダクネス「手を氷で冷やしながらじゃなければ、そのセリフも決まっているんだがな・・・」
アクア「あたしのヒールじゃまだ足りないっていうの?」
カズマ「うるさいな!火傷した後はこうしていると落ち着くんだよ!・・・で、あの魔法はスティールって魔法で、対象の持ち物をなんでも一つ奪い取るスキルだ。使い勝手いいだろ?」
トニー「ランダムなのか?」
カズマ「あぁ、ランダムだ。・・・おい、お前らなんでこっち見るんだよ。ランダムだって言ってんだろ!?」
めぐみん「確かに、使い勝手の良い魔法ですが、レベル差があると何も取れない事だってありますし、石ころとかいらないものを大量に持たれるとそれだけで対策になってしまいます。おまけに、幸運値依存なので過信できません」
めぐみん「カズマは幸運の値が極端に高いので、だいぶ凶悪なスキルになっていますが・・・」
カズマ「実はゴーレムとかみたいな機械系の相手にコレを使うと即死攻撃になるんだ」
トニー(もし僕の胸にまだアークリアクターがあったらと思うと・・・ゾッとするな)
ダクネス「なぁ、それで思ったんだが・・・お前の鎧は一体どうなっているのだ?光っていたし、まるでゴーレムだったぞ。カズマがスティールで盗ったあの光る三角形の物体も謎だ」
トニー「・・・まだ僕の詳しい話を君たちにしていなかったな。夜遅くなると思うが、聞いていくか?」
ダクネス「あぁ、興味が湧いた。是非聞かせてくれ」
めぐみん「この国の人間にしては、魔法について全く知らなかったり、あんな鎧着てるのに駆け出しだったり・・・謎が多いですね」
トニー「さて・・・どこから話そうか・・・まず一つ言うと、僕はこの世界の・・・いや、この国の人間じゃない」
......
....
..
.
トニー「とまぁ、こんな感じだ。だから魔術などについては知らないし、この国の常識なんかについても良く知らない。ちゃんと調べるけどな」
めぐみん「魔術の代わりに、かがく・・・とやらが発達した国、あめりかですか・・・聞いたこともないですね」
ダクネス「確かに、私も聞いたことのない国だ。だが、この国の支援に来たのだろう?なら、全面的に協力しよう」
カズマ(ところどころ、俺とアクア以外の人が聞いても変に思われないように言葉を変えていたが・・・要するに、トニーはただ単に特典を与えて送られた俺みたいな転生者とは違って、この世界を救うべく選ばれて送られた特別な人間ってことか・・・)
カズマ(・・・何という主人公感。なんかムカつく)
カズマ(だが、一つはっきりしたことがある。それは・・・)スクッ…
ダクネス「・・・?どうした、カズマ。急に立ち上がったりして」
カズマ「話ももう終わったことだし、そろそろ帰ろうと思ってな。ほら、いつまでも遅くまでいると迷惑だろ?」
カズマ(それは、この男とは今後一切関わるべきではないということだ)
アクア「そうね、カズマ。いつまでも居ちゃ悪いものね。ほら、めぐみんとダクネスも、早く帰る準備をしましょう?急がないと深夜どころか朝になっちゃうわよ」
カズマ(アクアもなんとなく感じ取ったみたいだな。そう、この男は今まであった中でもトップクラスにヤバい)
カズマ(この世界を救う為に選ばれ、送られた存在であるこの男は、知識を得て戦う準備ができたらすぐさま魔王に正面から喧嘩を吹っ掛けるだろう)
カズマ(そして、こいつと初めて喋ったときに、“魔王軍の幹部を何人も倒している”と自己紹介してしまった。つまり・・・)
カズマ(実力を見込まれて、協力してくれとか言われて、魔王軍との全面戦争に巻き込まれる可能性が非常に高い!)
カズマ(仕方なくとか、成り行きでとかならまだしも、こっちから魔王に挑むなんて御免だ!!)
トニー「ああ、わかった。夜遅くまで引き留めて悪かったな。ところで・・・なぁ、カズマ。君は今まで魔王軍幹部を何人か倒してきたんだろ?もし良かっ」
カズマ「お邪魔しました!!今夜は楽しかったよ、トニー!今度またいつかそのうち縁があったら会おうな!!」
トニー「え?おい、まってくれ。まだ君たちの家の住所も聞いてな」
アクア「ほら、めぐみんもダクネスも帰りましょう!ほら!ほら!!」グイグイ
めぐみん「あっ、ちょっ・・・痛いです!なんでそんな急に引っ張るのですか!!トニーが何か言いかけていましたよ!?」
ダクネス「お、おい!まだ話は終わっていないぞ!?そして、どうせ引っ張られるならカズマに・・・」
アクア「お邪魔しました!!」
ガチャッ
バタンッ!
トニー「・・・」
トニー「・・・フライデー、僕なにかやらかしたかな?」
フライデー『わかりません。急に態度が変わったように見えましたが・・・』
....
..
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カズマの屋敷
カズマ「ふぅ・・・いやー、やっぱ我が家が一番だなー」
ダクネス「カズマ、アクア。さっきは一体どうしたんだ?あんな急に、まるで逃げ出すように家を出ていくなんて・・・」
めぐみん「そうですよ、トニーに教えられることはまだ他にもあったでしょう?」
カズマ「いいかダクネス、めぐみん。あのままだと何て言われていたと思う?魔王を倒すのを手伝ってくれなんて言い出してたに決まっているぞ。逃げて正解だったろ?危うく巻き込まれれる所だった」
ダクネス「は・・・?貴様は何を言っているのだ・・・?」
めぐみん「我々は魔王を倒すべく結成されたパーティーではなかったのですか!?当初はカズマがそう言っていたのですよ!?」
カズマ「覚えてねぇなーっ!!」ゴロッ…
めぐみん「えぇっ!?」
カズマ「あのなぁ!!大金も入ったし、めぐみんともダクネスともなんだかいい感じだし、俺はこのままお前らとイチャ付きながら毎日ダラダラ暮らして行く予定なんだよ!ほら、ソファで一緒に寝ようぜ!!」
めぐみん「最低です!ほんっとうに最低ですよこの男!!」
ダクネス「ほ、ほほほ・・・本当に何を言っているんだ貴様は!?!?///」
アクア「イチャつく云々の妄想はともかく、トニーと関わらないことに関しては私も賛成よ。厄介ごとはごめんなの!ほら!みんなで面白おかしく生きるのよ!」
ダクネス「そうだ・・・こいつらはこういう奴等だった・・・」
カズマ(俺の名は佐藤和真。これからは何不自由無い生活が約束されている男。自分から進んで危ない橋は渡らない)
カズマ(・・・これでいいんだ、これで。世界を救うのは選ばれしヒーローに任せよう)
....
..
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エリスの神殿
エリス「ふぅ・・・今日はもう、死者の案内は無いようですね」
エリス「下界に降りて神器回収の続きをしましょうか」
?「いいや、その必要はない。お前の世界は、この私が統治してやるのだからな」
エリス「・・・だ、誰ですか!?姿を見せてください!」
ザッ…
?「やぁ、邪魔するよ」
エリス「あ・・・あなたは・・・!い、一体・・・ここに何の用ですか!?」
?「お前の世界を救ってやろうとここへ来た。見たところ、この世界を統治するにお前では力不足だ」
エリス「・・・」
?「私が統治すれば、この世界はより良いものになるだろう。全員が跪き、私を崇拝する」
?「それが人間の本来あるべき姿ではないのか?神の位についている癖に、お前は人に尽くしているだけだ」
?「お前が尽くして人間が少しでもまともになったか?お前のやり方は何の意味もなさない」
?「魔王とやらに苦しめられているようだが・・・この私が絶対的な力をもって、魔王もろとも屈服させ、この世界を平和にしてやろう。全員が神にひれ伏せば・・・決して争いなど起きないのだ。幸福だろう?」
エリス「それは・・・幸福などではありません。恐怖です」
エリス「自分の方が優れていると慢心し、人々を恐怖で支配するのは・・・治める者として失格です」
?「ふん・・・では、貴様はそこで見ているがいい。この世界が私によって支配されるのを」
?「元統治者のお前は生かしてやる。お前には私が創る完璧な世界をその目に焼き付けさせる。そして、自分の無能さと、己の価値の無さに気が付き絶望したら・・・お前を一思いに殺してやる!」
エリス「ッ!」ゾッ…
?「お前はせいぜい・・・ここで子供のお祈りを続けているがいい」スッ…
ロキ「このロキが・・・この世界の支配者となるその時までな・・・!」
ロキ
ソーの弟にして、野心を抱く狡知(イタズラ)の神
実の弟ではなく、ヨトゥンヘイムの王であるラウフェイの息子をオーディンがソーの弟として養子に迎え入れた
ソーとロキは実の兄弟のように成長したが、ロキは力を付けると共にアスガルドの王の座を強く望むようになっていった
しかし、王の座はソーのものとなり、そのことに激しく嫉妬と憎しみを抱くようになったロキはやがてあらゆる手を使い、自分の思うがままにアスガルドや、ソーの愛する地球を支配しようとするようになってしまう
恐ろしい邪神だが、根強いファンがいて大人気
....
..
.
翌日 カズマの屋敷
カズマ「ふぅ、新しく出来たあのレストラン、中々美味かったな」
アクア「そうね、あそこのパスタの味を喩えるなら・・・美味しそうなお酒の入った酒瓶が落ちているのを見つけて、それを拾おうとしたら“残念、罠でした!!”ってエリス教徒に捕まる。そんな強烈な斜め上のインパクト・・・分かるわよね?」
カズマ「さっぱりわかりません」
ダクネス「エリス教徒がそんなことするか!!全く、貴様らは本当にこうやっていつまでもグータラしているつもりなのか!?」
カズマ「人はなぜ働くのか・・・それは、お金が必要だからだろ?でも、俺達にはそのお金が十分にある。20億だぜ?20億入ってくるんだぜ?働いたら負けだ!!」
ダクネス「なんだその馬鹿な言葉は!!良いか?仕事には常に責任が付いて回るんだぞ!金があったとしても、世に貢献するのが人としての役割だ!」
カズマ「お前はまず俺に貢献しろよ!ここんところバツイチになった以外で見せ場のないバツネスさんよ!」
バツネス「なっ・・・!?や、やはりお前は“おいダクネス、お前は俺に金で買われた身なんだから、そのエ口い体で俺に性的に貢献しろ”とか言い出すのかっ・・・!?・・・くぅっ・・・///」
カズマ「言わねーよ!何が“くぅっ・・・”だ、この変態エ口セイダー!!やっと自分の屋敷から出てきたと思えばこれかよ!!初対面のトニーに対してもブレなかったし、お前のその癖はバツイチになっても治らないのか!!」
バツネス「バツイチ呼ばわりは本当にやめろぉ!!また引きこもるぞ!!」
アクア「ねぇねぇ、ダクネス。どうして家の中なのに鎧を着ているの?言っとくけど、クエストなら行かないわよ?」
ダクネス「クエストではない、これからウィズの店に向かう所だ」
アクア「ああ、トニーに会いに行く間に預けていたゼル帝の卵を取りに行くのね?私もいくわ!悪魔とアンデッドに孵化させられるゼル帝がかわいそうだもの!!」
カズマ「預けといてその物言いは無いだろ」
ダクネス「いや・・・違う。ちょっと気になることがあってな・・・」
アクア「気になること?」
ダクネス「アクア、私のお父様には悪魔による呪いが掛けられていたと言っていたな?」
アクア「それはそれは、とーんでもない悪魔に、とーんでもない呪いが掛けられていたわよ。まっ、私がサクッと解除したんだけどね!!」
ダクネス「ああ、そこで気が付いたのだが・・・この街にいる悪魔と言えば奴しかいない」
アクア「・・・そういえば、あの騒動で一番得するのって奴よねー。カズマからいろんな商品を安く買い取って・・・」
ダクネス「そういうことだ、これから私は奴と話をしてくる。アクア、良かったら来てくれないか?万が一戦闘になったら、お前の力がいる」
アクア「そういうことなら任せなさいな。今度こそあのクソ悪魔に引導を渡してあげるわ!うっかり店主のリッチーも浄化されちゃうかもだけど、それはそれでいいわよね!」
カズマ「良い訳ねーだろ!!ウィズをなんだと思ってんだこの邪神!!おい、俺も行くぞ!お前らだけだと争いが起きる予感しかしない!」
めぐみん「なら私は、いざ争いになったら爆裂魔法を放てるように用意しておきますね!」
カズマ「争いを起こさない為に俺が付いて行くって言ってんのにそんな物騒な用意するんじゃねぇバカ!!」
....
..
.
ウィズ魔道具店 扉前
「~~~~、~~」
「~~、~~~~!!」
ダクネス「うん?なんだか中から声が聞こえるな。それも、どこかで聞いたことがある声だ」
アクア「早く入りましょう?一瞬でケリをつけてあげるから」
ダクネス「いや、まずは話をしないと困るんだが・・」
カズマ「いいかアクア、あくまでも俺たちはバニルがダクネスの親父さんの呪いに関与しているのかどうか聞くだけだからな?間違ってもいきなり攻撃仕掛けたりするなよ?わかってるよな?」
カズマ「めぐみんもだぞ?間違っても店中で爆裂魔法を撃とうとしたりするなよ?」
アクア「ねぇ、ずっと思ってたんだけど、私の事をなんだと思っているわけ?」
めぐみん「まったくですよ。私が何も考えずどこでも爆裂魔法を放つような人間に見えるのですか?」
カズマ「・・・」ガチャッ
カランカランッ
アクア「ちょっと!無視して店に入ってかないでよ!」
トニー「どうだ?バニル、ウィズ。この商品は売れると思うんだが・・・」
バニル「ふーむ、魔力も一切使わずに閃光を放つ魔道具か・・・いや、どうやらあの鬼畜小僧が我輩に売ったものと同じように、どこか遠い彼方の地の技術で作られたものであるな?」
ウィズ「これは面白いですねぇ・・・」
トニー「だろ?これでもう敵から暴漢、いじめっ子に至るまで怖くないわけだ。こいつを店に置いて・・・ん?君は・・・なぁ、なんであの時は急に帰ったんだ?何か気に障るようなことでも言ったか?」
カズマ「・・・」
ウィズ「あら?カズマさんたちではないですか!今日はどうしたんで---」
カズマ「よし、めぐみん!爆裂魔法だ!!!」
ウィズ「本当にどうしたんですか!?!?」
....
..
.
バニル「さて、いきなり我輩の店で爆裂魔法をぶっ放そうとしたそこのネタ種族のネタ魔法使い。そしてそれを指示した最近ハーレム系主人公に近付いた等と心の中で浮かれている小僧。何か申し開きはあるか?」
カズマ「いやね、俺としてはここ最近で最も避けたい人間に会ってしまったものだから、全てをなかったことにしようとしてな?」
バニル「そんな理由で我輩の店を消し飛ばそうとするな!!今は大事な商談中である!邪魔をしに来たなら帰るがいい!」
ウィズ「あの、バニルさん?この店の店主は一応私なんですけど・・・」
カズマ「・・・で、トニーはなんでいるんだ?しばらくあのラボに引きこもっているんじゃなかったのか?」
トニー「まぁ・・・そのつもりだったんだが・・・こもって生活するにも先立つものが必要でな・・・これでも、ここに来る前は多少の金を持っていたのに・・・」ハァ…
バニル「クエストに行けばいいものを・・・貴様のあの機動鎧であれば、グリフォン程度なら瞬殺できるであろうに・・・まぁ、商談を持ちかけてくれるのは利益につながる。だから、我輩としてはこれで一向にかまわんのだが」
トニー「待った。機動鎧ってもしかしなくても僕のスーツの事だろ?あれはラボに置いてあるはずだ、なぜ知っている?」
バニル「おっと、名は教えたが、我輩が何者であるかはまだであったな。我輩の名はバニル。地獄の公爵にしてすべてを見通す大悪魔、バニルである」ニヤッ
トニー「・・・」
バニル「・・・そこは普通驚くか、何かしらのアクションを見せてほしいところなのだがな?まだ見ぬ未知の恐怖に抗い続ける男よ」
トニー「神だの悪魔だの名乗る奴にはここ最近立て続けに会って来たんでね。神秘的かつ下らない前置きは聞き流して、単なる知的生命体として見てるだけさ。君は心の中を見通す特殊能力を持った知的生命体みたいだな?羨ましいよ」
バニル「我輩を単なる知的生命体呼ばわりとは、中々に関心が持てる男よ。本来なら尻からアロエが生える呪いを掛けてやった所だが・・・一応貴様は商売相手である。そこで少し待っているが良い、貴様が持って来た品を量産可能かどうか店の奥で調べてくるとしよう」
バニル「欠陥店主、付いて来い」スタスタ…
ウィズ「バニルさん!欠陥店主はやめてください!」スタスタ…
トニー「・・・で、君たちはここに何をしに来たんだ?」
めぐみん「ちょっとした用事です。まぁ、わざわざ話すようなことでもありませんよ」フフン
カズマ「隙あらば爆裂魔法をぶっ放す為に付いてきただけだろ」
めぐみん「・・・」
ダクネス「お前がさっきまで商談をしていた大悪魔。この間話した悪徳貴族との戦いで、私のお父様に呪いを掛けた可能性がある悪魔が奴かもしれないのだ」
トニー「この街の店で普通に働いている男が大悪魔で、貴族の父親に呪いを掛けたって?ハッ、大企業の社長にして世界を守るヒーローをやってるって話の方が現実味がある」
カズマ「あのな、人は見かけによらないって言葉を、俺はこの世界にやってきて誰よりも痛感したつもりだぞ」チラッ…
アクア「ねぇ、なんで私達の方見るの?」
カズマ「ハァ・・・」
アクア・ダクネス・めぐみん「「「あっ!」」」
トニー「・・・この際、急に帰った理由は聞かない。だが頼みたいことがある。君たちは、魔王軍に対して最も打撃を与えた存在なんだろ?」
カズマ「・・・そんな事話したっけな・・・?」
めぐみん「カズマ、いくら何でも見苦しすぎますよ?諦めたらどうです?」
カズマ「・・・」
カズマ(な、なにも協力してくれって実際言われた訳じゃないんだし・・・聞くだけ聞いてみるか)
カズマ「あの・・・頼みたいことって・・・なんですか?」
トニー「魔王討伐を手伝ってほしい」
カズマ(ド畜生!!だと思ったよ!!)
カズマ「・・・はぁ、正直な話をするよ」
カズマ「俺たちが魔王軍幹部を何人も倒してきたのは事実だ。でもな、それらは全て巻き込まれてやった事であって、本当は戦いなんてしたくないんだよ。戦うんだとしても、ファンタジー気分を適度に味わえて尚且つヌルい戦いが良いんだ」
トニー「・・・なに?」
めぐみん「言い切りましたよこの男」
ダクネス「完全に開き直ったな」
カズマ「そして、魔王軍幹部を倒して多額のお金が入った今、ますます戦う気なんてないわけなんだよ」
アクア「確かに、私も戦いなんてしたくないわ。でも、一応何らかの形で魔王を倒してくれないと困るんですけど・・・」
カズマ「俺はもう、平和に暮らしたい・・・」
トニー「・・・君は、力を持っていても・・・それを使う気が無いってことなのか?」
カズマ「無い。他に力を持っている奴に任せる」
カズマ「そもそもな?そんな多くの大物を討伐しているパーティーがこの駆け出しの街にいる時点でおかしいだろ?つまりはそういうことだ」
カズマ「トニーの実力をまだはっきりとは見ていないけど、腕利きで協力的な仲間をさがしているんだったら王都とかに行けばきっと・・・」
ガチャッ!!
?「助手く・・・いや、カズマ君!カズマ君はいる!?」
ダクネス「クリスじゃないか。ここで会うとは珍しいな、一体どうしたんだ?」
クリス「えっと・・・ちょっとした話があって・・・できればカズマ君と二人で話したいんだけど・・・」
ダクネス「・・・そのようすだと、またロクでもないことのようだが?」ジロッ…
クリス「うっ・・・で、でも悪いけど、ほんとに今は余裕が無いんだ!キミ、ちょっと来て!!」グイッ
カズマ「ちょ、クリス!?俺まだ話している途中・・・」
バタンッ…
トニー「・・・」
トニー(あの子どこかで・・・)
......
....
..
.
店の外
カズマ「あんなに慌ててどうしたんだ?神器がどうかしたのか?」
クリス「ち、ちがうの!!今はそれどころじゃなくなったんだよ!!」ワッ
カズマ「うお!落ち着けお頭!!本当に何があったんだよ!!」
クリス「この世界が・・・この世界が滅ぼされちゃう!!」
カズマ「・・・今なんて?」
クリス「・・・助手君は何度か死んでるから、あたしのあの神殿を知っているよね?」
カズマ「まぁ・・・正直知りたくはなかったけど」
クリス「ほんの少し前に・・・あの神殿に侵略者が来て・・・」
カズマ「え・・・いま・・・なんて・・・?」
クリス「ロキって名前の・・・強力な狡知の邪神だよ・・・この世界を乗っ取って、自分の思うがままに創りなおそうとしてて・・・」
カズマ「ロキ!?ロキって言ったら・・・ファンタジーでもトリックスターだとか、イタズラの神とかで」
クリス「そう!そう!!私なんかよりずっと知名度も!力も!何もかも上な神様だよ!!あああああ!!サトウカズマさん!私どうしたらいいですか!?」
カズマ「お頭ほんとうに落ち着いてください!別の面が出てきてますから!」
クリス「落ち着けないよっ!まさか侵略者が現れるなんて!あああああ!!」ブンブン
カズマ「打つ手は何もないのか!?その侵略者に対して!」
クリス「ね、ねぇ!確かキミはトニー・スタークに会ったよね!?天界から少しだけしか見れなかったけど!」
カズマ「まぁ、一応。ていうか、さっきお頭が突撃してきた店で商談してたの見えなかったのか?」
クリス「あ、焦りすぎてて見えなかった・・・とにかく、実はトニーは一度ロキと戦った事があってね?彼に協力し」
カズマ「おおおおい!!俺たちにどうしろって言うんだよ!!天界にすら侵入する化け物相手にできることなんてないぞ!!お頭こそ下界に直接降臨して戦うとか無いんですか!?」
クリス「侵入があった以上神殿から離れられないんだよ!本当はここに来ることもマズいのに・・・!ねぇ!あたしもできるだけ協力するから!!回収した神器とかキミたちに回してあげるからさぁ!頼めるのもキミたちしかいないんだ!!」
カズマ「だとしてもそんな恐ろしい邪神とは戦いたくねーよ!一体そいつはこの世界を侵略して何がしたいんだ!!魔王だっているのに!」
クリス「あたしにもわからないよ!ただ、魔王もまとめて屈服させて支配するって・・・」
カズマ「ん・・・?それって良い事でもあるんじゃないか?ほっとけば魔王も倒してくれるってことだろ?」
クリス「あのね、彼は魔王もまとめて屈服させるって言ったんだよ?全員が神にひれ伏せば争いも起きないって・・・全てを支配するつもりなんだよ?」
カズマ「・・・独裁者も真っ青だな・・・」
カズマ(俺の屋敷も、財産も、仲間も・・・そして・・・サキュバスサービスも・・・か)
クリス「お願いです・・・サトウカズマさん・・・またしてもこのようにあなたを頼るのは、私の力が足りないからです・・・でも、どうか・・・この世界のために協力してはもらえませんか・・・?」
カズマ(我ながらチョロイと思う・・・でも・・・本当に・・・その祈りのポーズはズルいですよ・・・エリス様)
....
..
.
ウィズ魔道具
ガチャッ…
めぐみん「戻ってきましたか。何やら揉めているようにも見えましたが・・・」
バニル「お困りであれば、我輩の店の品を何か買っていくが吉だぞ?たった今世界の命運を背負った男よ」
カズマ「どこまで見通してんだよ・・・ほんとうにクソ厄介だなチート悪魔め」
ダクネス「一体何の話をしていたのだ?」
アクア「・・・なんだか嫌な予感がするんですけど」
カズマ「トニー、話がある」
トニー「・・・?」
カズマ「俺のパーティーに入ってくれ」
....
..
.
カズマ「というわけで、これから邪神がこの世界を侵略に来る。トニー、あんたの力が必要になる」
トニー「邪神ねぇ・・・まぁ、前にも倒したし魔王討伐の前座にしてやってもいいか」
アクア「私も協力してあげるわよ?美しき水の女神アクア様が悪しき邪神からこの世界を救ってあげるの!」
ダクネス「・・・?さっき屋敷ではあんなに巻き込まれることを嫌がっていたのに、どうして急にやる気になったんだ?」
アクア「だって私に挨拶もなく神を名乗ってる訳でしょ?だったら、アクシズ教の御神体として力の差ってもんを分からせてやるわ!」
カズマ「縄張りを荒らされたチンピラかお前は」
アクア「それでそれで?一体どんな名前の神な訳?きっと一度も聞いたことが無いようなマイナーな神様に違いないわ!どうイビってやろうかしら!」
カズマ「・・・ロキって名前だ」
トニー「」
アクア「・・・」クルッ…
ダッ!
カズマ「あっ!おい逃げんな!!」ガシッ
アクア「いやーっ!離して!!嫌よ!!なんでそんな奴がこんな所までくるのよ!!」
カズマ「お前少しは女神らしいところを見せてみろよ!!死ぬほど不本意だけど邪神なんかの相手ができそうなのってお前くらいなんだよ!!」
バニル「フハハハハハ!!水の女神を名乗っておいて何とみっともない姿よ!所詮は宴会芸の神であったか!!フハハハハハッ!!」
アクア「なんですってこのクソ悪魔!!女神を馬鹿にした罪であんたは今から消されるのでした!!欠片も残さず浄化してあげるわ!『セイクリッド・エクソシズム』!!」
バニル「店主障壁!!」サッ
ウィズ「きゃああああああああっ!!」シュゥゥ…
カズマ「ウィズーッ!!!お前らなんですぐ喧嘩するんだよ!!話が進まねぇからやめろ!」
バニル「フン・・・あとで塩を撒いておくとしよう。ところで、そこでアンデッドのような目をして固まっている鋼の鎧にスライムメンタルを持つ男よ」
トニー「・・・それひょっとして僕の事か?」
バニル「他にいるまいて。貴様には、あらゆるものを作る技術がある。もっと攻撃力があり、モンスター相手に使える武器などを作るが吉と出た。一緒に一儲けといかないか?貴様の作る武器によって冒険者の危険も減って一挙両得である」
トニー「・・・引き受けてもいいが・・・必ず守ってほしい条件がある。それは---」
バニル「それは、“自分の作る武器で人を死なせるな”・・・か?安心するが良い、汝の売る武器で人間が死ぬことは絶対に無いと約束しよう。我輩は悪魔である、約束事や契約は絶対に破らん」
バニル「それに、人間は我輩にとって美味しいご飯製造機である。そんな人間達の殺し合いを助長させるようなことなんて我輩がするはずあるまい」
トニー「後半の言葉のほとんどが理解できなかったが・・・約束を守る限りは君に協力する」
バニル「商談成立であるな!では、今後ともウィズ魔道具店をよろしく頼む!フワハハハハハハ!!」
カズマ「平和に商談してる場合じゃないんだけどなぁ・・・」
めぐみん「安心してくださいカズマ。心配いりませんよ、邪神なんて我が爆裂魔法をもって一撃で葬ってあげます」
カズマ「お前本気で心配いりませんとか言ってんの?今までの戦いで心配がいらないような状況が一度でもあったか?勝手に爆発する花火みたいな存在のお前が心配かけない自信があるのか?言ってみ・・・おい!こっち向けコラ!!」
バニル「これはただの商談ではない、我輩は先を読んでいるのだ。この鉄男が商売に協力することによって、この先起こるであろう戦いがきっと楽になる」
ダクネス「“きっと”?見通す悪魔を名乗る割に、そんな確信の無いような言い方なんて珍しいな」
バニル「今回は相手が相手だ。我輩とて、すべて見通すことは難しい。だから備えるのだ」
アクア「つっかえないわねぇ!・・・せっかくあんたみたいな木っ端悪魔に出番をくれてやろうと思ったのに、あんたのたった一つの取り柄すら活かせないなんて、存在意義が無いじゃない!プークスクス!私が今ここで消してあげてもいいわよ?」
バニル「おっと、そもそも存在価値がないどころか、いるだけで周囲に迷惑をかけまくっている呪いのアイテムみたいな駄女神にそんなことを言われるとは!貴様こそさっさと消えて周囲の為になるが吉」
アクア「わああああーっ!!今駄女神って言った!!もう本当に消し飛ばしてやるからね!!」
バニル「今日こそ有史以来の決着をつける時!!貴様諸共アクシズ教なんて迷惑集団を解散させてくれるわ!」
トニー「ここは魔法の世界かと思っていたが、ひょっとしたらコントの世界なのか?自称悪魔と自称女神の決着とか言っているが、僕に飛び火するような戦いを始めるなら考えがある」
ピキッ…
バニル「・・・貴様は商売相手となったわけだが、それ以外となると別の話である。そして、我輩は人を傷つけないことに定評があるが・・・我輩を自称悪魔と愚弄する男を懲らしめる事に関してなら、それもまた別の話である」
アクア「まだ冒険者にすらなっていない上に、ここに来て早速引きこもった男に自称女神なんて言われたくないわよ!このヒゲニート!!」
トニー「・・・カズマ、そこのドアを開けてくれ」スッ…
カズマ「マジでこの二人の戦いに混じる気は無いよな?人類史上最高クラスの知能を持ってるんだし、さすがにそんな馬鹿な真似はしないよな?」
トニー「いいから、開けろ」
カズマ「はい・・・」ガチャッ…
キィィィィイイン…
カズマ「なんだ?なんか飛ん・・・」
ヒュンッ ヒュヒュンッ
カズマ「おわっ!?」サッ
ジャキッ ヴィーッ カシャカシャカシャ… カシンッ ガッコン カンッ!
ヴゥン… ピピピッ
トニー「さて、馬鹿な真似をするとしようか」キュィィィイ…
めぐみん「飛んでくるんですか!?その鎧、飛んでくるんですね!?」キラキラ…
トニー「触ってもいいが、指を挟まれるなよ?」
カズマ「ダクネス、めぐみん、ここから出るぞ。もう付き合いきれねーよ」
ダクネス「あの三人の戦いに巻き込まれたら・・・一体私はどうなってしまうのだろうか・・・/// ハァハァ・・・私は・・・私はここにいりゅ!///」
めぐみん「この私を差し置いて有史以来の決着を名乗るとは片腹痛い!我が爆裂魔法で歴史に新たな一ページを刻んでやるのです!カズマ!見といてくださいね!!」
カズマ「・・・」
カズマ「・・・『潜伏』」フッ…
....
..
.
カズマの屋敷
ガチャッ…
アクア「ただまー・・・」
カズマ「おっ、早かったじゃないか。有史以来の決着とやらはもう終わったのか?」
アクア「このクソニート!あんた自分だけそそくさと逃げるなんてあんまりじゃないの!?何考えてるのよ!」
カズマ「それはこっちのセリフだ!てめーこそ何考えてやがんだ!!お前の頭の中の脳細胞は常に宴会でもしてんのか!?」
アクア「宴会しか考えていないみたいに言わないでよ!!私だってちゃんと色々考えているんだからね!」
ダクネス「落ち着けアクア。まぁ・・・と言っても、今回は私もいい思いはできなかったが・・・」
めぐみん「皆が私を止めるからですよ。止めなければ、新たな歴史が始まったと言うのに」
アクア「爆裂魔法から始まる歴史なんてあってたまる訳ないでしょ!私たちが止めなきゃまとめて吹き飛んでいたのよ!?」
トニー「僕はちょっと見て見たかったから止めるつもりは無かったんだけどな」
カズマ(あー・・・大体わかった。こいつら、大喧嘩しようとしたけどめぐみんが本気で爆裂魔法唱えようとしてたからみんなで慌てて止めたのか)
アクア「・・・で、なんであんたまでいるのよ?」
トニー「そんな目で睨むな。悪かったよ、自称女神呼ばわりして。さっき店の中で見せた光を放つアレ・・・そうだな・・・クリスマスツリーみたいでかっこよかったぞ?」
アクア「私をほめるのに別の神様を祀るものを例えに出すあたり、あんたのねじ曲がった性格が見て取れるわぁ・・・カズマとはまた違ったウザさを感じるわね」
めぐみん「でも確かに、どうしてトニーまで付いてきたのですか?」
カズマ「まぁ・・・同じパーティーになったわけだし、ここに住みたいっていうなら構わないけど・・・」
アクア「えぇー・・・トニーはエリスやソーの悪口で盛り上がった気の合う人だけど、なんだかこの人からはあらゆる女を手籠めにするプレイボーイ的な何かを持っていそうで、身の危険を感じるんですけど」
トニー「確かに僕は綺麗な女性は好きだ。でも、中身を際限なく無視できるほど僕は寛容じゃない。ほら、美味しそうな生クリームが乗ったケーキがあったとしても、中身のスポンジも果物も全部腐ってるって分かったら手を付けないだろ?」
アクア「・・・ねぇ、それどういう意味?」
トニー「それに、僕にはすでに心に決めた人がいる。あと、有難い申し出だが僕には自分の家がある、遠慮しておくよ」クルッ…
スタスタ…
ガチャッ
トニー「それじゃ、僕はそろそろ失礼するが・・・ここには何度か来ることになるだろう、パーティーメンバーになったわけだしな、また話を聞かせてくれ。君たちも僕のラボに自由に遊びに来て良い、おもちゃがいっぱいあるぞ?遠慮はするな、パーティーメンバーだからな?」カンッ!
トニー「それじゃ諸君、良い一日を」シュゴゴゴ…
ドシュゥゥゥウッ!!
「「「「・・・」」」」
めぐみん「カッコイイ・・・あの帰り側に兜を閉じるっていうのと、空を飛んで帰っていくってのは良い去り方ですね。トニーは分かっています」
ダクネス「それにしても・・・空を飛べる鎧なんて・・・一体どこで手に入れたのだろうか・・・というか・・・あれ?私たちは何をしにウィズの店まで・・・あっ!」
アクア「どうしたの?ダクネス。変な声上げて」
ダクネス「私の父の呪いの事・・・聞き忘れた・・・」
カズマ・アクア・めぐみん「「「あっ」」」
....
..
.
一週間後 トニーのラボ
トニー「なぁ・・・自由に遊びに来て良いとは言ったが・・・」
アクア「ねぇー!お酒にもっと種類ないのー!?ブランデーもシャンパンも飽きたんですけどー?チューハイとかビールはないんですかー?ねぇ持ってきて!!早く違う種類のお酒持ってき・・・モロロロロ・・・」ビチャビチャ…
トニー「・・・」ハァ…
フライデー『申し訳ありませんが、それらのお酒は置いていません。それと、バケツと雑巾を手配しておきます』
トニー「君が次に飲むべきは水じゃないか?ここのお酒だって限りがあるんだ、毎日通って僕の分の酒まで飲むんじゃない。吐いたものは自分で掃除しとけよ?」
アクア「うぅう・・・ぎもぢわるいよぉ・・・うえぇ・・・」グスッ…
トニー「泣きながら吐く位なら初めから飲むな。水をつかさどる女神を自称する君が、たかがアルコールの入った水に泣かされてたら、君の言う全国二千万だかのアクシズ教徒はきっと失望するぞ?」
アクア「うぅっ・・・言ってくれたわね!もっと飲んで・・・モロロロロ・・・」ビチャビチャ…
トニー「もういい、寝てろ・・・おっと、寝るならうつ伏せにな?おいダミー、そこのゲロ女神に毛布を掛けてやれ。ついでに床の掃除もやっとけ」
ダミー「」キュィッ
アクア「ゲロ女神って・・・ゲロ女神って・・・グスッ・・」
ファサッ…
アクア「毛布・・・?ありがとうダミー・・・私の味方はあなただけよ・・・」
ダミー「」キュイ…
トニー! トニー! コッチニキテクレー!
トニー「あぁ・・・嫌な予感しかしない・・・」スタスタ…
ダクネス「トニー!これ!このデストロイヤーの腕みたいで、せわしなく、かつ強そうに動く金属でできた触手みたいな魔道具について説明してくれ!!」ハァハァ…
トニー「・・・それは工業用アームってやつだ。何に使うかは簡単、見ての通り自動であらゆる装置の作成、分解、点検をやってくれる。バニルに売る便利な装備なんかを今作っているところだ。いいか?間違っても君の性欲を満た・・・」
ダクネス「こ、このあーむとやらをヌメヌメにして、私の鎧と服をはぎ取るように命令することは・・・」
トニー「絶対やらないからな?・・・そんな欲しそうな顔をしても駄目だ!これはあんたの性玩具じゃないんだぞ!どうしてあんたは黙っていれば一番マトモなのにその全てを台無しにして余りあるバカみたいな性癖を持っているんだ!!」
ダクネス「はぅうっ・・・!/// ほ・・・ほめてから落とす・・・だと・・・?悪くない・・・悪くないぞトニー!お前もいいものを持っているな!!」ハァハァ…
トニー「・・・帰ってくれ」
ダクネス「くぅっ・・・/// ・・・うん?トニー、あれはお前の鎧の一部か?」
トニー「あぁ、あれか?その通り、スーツの腕部だ。リパルサーをより効率的に射出できないかどうかを研究している」
ダクネス「私は鎧に関しては一家言あるんだ。ちょっと触らせてくれ」ガチャッ…
トニー「ッ!?おい待て!!」
ダクネス「えっ---」キュィイイインッ
ヴァゥゥゥウンッッ!!
ダクネス「ゴハッ!?」ズガンッ!
ガシャァアアンッ!
トニー「ダクネス!!」ダッ!
トニー(マズイ・・・!ダクネスの吹っ飛び具合から見て間違いなく最高威力のリパルサー・・・!鎧も付けていない状態の今なら、運がよくて内臓破裂・・・悪くて・・・!)
トニー「おい!ダクネス!しっかりしろ!こっちを見るんだ!大丈・・・」
トニー「・・・」
ダクネス「ハァ・・・ハァ・・・い、今のはなんだ・・・?まるで内臓をすべて同時に揺さぶられたかのような・・・!し、新感覚だ・・・!これはすごいぞ・・・!た・・・立てにゃい・・・///」ハァハァ…
トニー「・・・」クルッ…
スタスタ…
ダクネス「ま、待ってくれトニー!今の奴、もう一回やってもいいか!?なぁっ、いいだろう!?」
トニー「・・・好きにしてくれ」スタスタ…
キュィィィン…
ヴァゥゥウンッ!
アァアッ!///
トニー「フライデー・・・頭痛薬あるか?」
『・・・・・』
トニー「・・・フライデー?」
「~~~~、~~~!!」
「~~~!!~~!!」
トニー「・・・またか」スタスタ…
めぐみん「この国の言語や文化についてまだ勉強中のあなたに、親切な魔法使いである私が正しい言葉遣いを教えてあげましょう!」
フライデー『感謝いたします。ですが、あなた方の会話等から既に八十パーセント程の情報収集が・・・』
めぐみん「あんなのはあくまでも日常会話。いざというときの大事な言葉は、日常会話の中には出てきません・・・お分かりでしょうか?」
フライデー『なるほど・・・確かに、あなたの言う通りです』
めぐみん「それでは、まずはちゃんとした自己紹介からです!!あなたの自己紹介を聞かせてください!」
フライデー『はい。私はF.R.I.D.A.Y.と申し・・・』
めぐみん「ちっがいます!!誰がそんなつまらない自己紹介をしろといったのですか!私のような自己紹介が本来の自己紹介なのです!」
トニー「・・・」
めぐみん「ほら!私があなたに自己紹介した時と同じように!ほら!」
フライデー『・・・我が名はF.R.I.D.A.Y. この世界随一の人工知能にして・・・』
トニー「フライデーに変な事を教えるな」
めぐみん「何故止めるんですか!これほどカッコイイ名乗りなんて他にないでしょう!」
トニー(今までの経験から言って、ここで全否定したら彼女はキレるだろう・・・ここは子供に諭すように・・・)
トニー「ハッキリ言って、君の演出は嫌いじゃない。でもな?その名乗りは冷静さが売りなフライデーには合わない。賢い君なら分かるだろ?」
めぐみん「一理ありますね。ならば、冷静さを前に出すカッコイイセリフを私がフライデーに教えてあげようじゃないですか!!」
トニー「だから変な事を教えるな!あんたの頭に影響されてフライデーがおかしくなったらどうしてくれるんだ!!」
めぐみん「それは遠回しに私の頭がおかしいって言いたいんですね!?喧嘩売ってるなら買いますよ!!」
トニー「あぁ、面倒だ・・・!カズマ!この獰猛なモンスターは何とかならないのか!」
「・・・」
トニー「カズマ?」
カズマ「フライデー、世界随一の人工知能を名乗るなら・・・この質問に答えてくれ・・・」
フライデー『はい、なんでしょう?』
カズマ「俺の良いところを十個あげろ」
フライデー『エラーが発生しました』
カズマ「ざけんな!!」ダンッ!
トニー「それはこっちのセリフだ!!フライデーをおもちゃにするな!」
トニー(魔王軍相手に最も打撃を与えた優秀なパーティーだと思っていたら・・・選択を誤ったか?)
ピンポーン
トニー「・・・ピンポーンってなんだ。ここに来客なんて普通あり得ないだろ。フライデー、モニターに映せ」
ヴンッ
クリス『えーっと、は・・・初めまして。カズマって名前の人にここを集合場所に指定されて来たんだけど・・・誰かいる?』
トニー「うん?この子は・・・商談の時にいきなり店に入ってきた・・・」
カズマ「お、クリスだ。トニー、その子は俺が呼んだんだ。入れてやってくれ」
トニー「勝手に決めるな。次からは僕に事前に言え」
カズマ「次からはそうする」
トニー「フライデー、通せ」
......
....
..
.
クリス「おっじゃましまーす・・・うわぁ、すごいなぁここ・・・」キョロキョロ
トニー「お菓子の家だ、自由に見てってくれ。だが一つ警告、手当たり次第に触るのはよせよ?」
クリス「うん・・・それよりも、後ろで青い顔して倒れてるアクアさんと、ひたすら光線みたいなのに吹き飛ばされては恍惚とした顔してるダクネスは・・・」
トニー「それは無視してくれ」
カズマ「トニー、いったん二人きりにしてくれないか?・・・ていうか、なんで急にメガネ付けだしたんだ?」
トニー「ちょっと気になることがあってな・・・さて、顔認証の結果はと・・・」
クリス「えっ」
カズマ「おい、トニーお前まさか・・・」
【顔認証:エリスとの一致度99.9998%】
トニー「・・・」
クリス「・・・」ダラダラ…
トニー「なんでそんな格好してこんなところにいるんだ?エリ---」
クリス「わああああああああああああああ!!!あああああああ!!」ガバッ
....
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トニーのラボ 実験室
トニー「ここなら防音だ。何の話をしてもばれないぞ」
クリス「うぅ・・・こうもあっさり見破られてしまうなんて・・・」
カズマ「顔認証って女神相手にも効くんだ・・・」
エリス「なんだか悔しいっ!」
カズマ「まぁまぁ落ち着いてくれ・・・それで、ロキの件でなんか進展があったんだって?」
クリス「・・・うん。あのね、ロキの居場所はまったくつかめなかったから、対抗できそうな神器を見つけてきたんだ」
クリス「ただ、神器は基本封印するか、相応しい人に与えているから・・・使えそうな神器は限られてて・・・」ポリポリ…
トニー「あっ、よく見たらその頬を掻く癖でも判別できるな」
クリス「もうやめてよぉ!!」ワッ
カズマ「トニー、お頭をからかったときの反応が可愛いのは俺もよくわかっているけど、さすがに今はやめてやれよ。真面目な話してんだから」
トニー「悪かったよ、ついうっかり。君はからかい甲斐があってね」
クリス「も、もう!話続けるからね!それで、一つキミに渡せそうな神器があったから今度持ってきてあげる」
カズマ「マジか!あんな駄女神じゃなくてちゃんとした本物の神器が使えるのか!テンション上がってきた!」
クリス「それとね、ダクネスに渡せそうな神器が二つあって、片方はもう手に入ってるんだけど・・・もう一つは場所がわかっているだけで、悪徳貴族の手の中のままなんだ」
カズマ「ってことは・・・」
クリス「うん、アレだよ助手君」
トニー「僕にも分かるように言ってくれないか?場合によっては協力する」
クリス「うーん・・・確かに、トニーがいると色々便利そうかも・・・」
トニー「話から察するに、君達でロキと戦えそうな装備を悪徳貴族が持っているから、それを何とかして手に入れるってことで合っているかな?」
クリス「その通り!」
トニー「で、どうやって手に入れるつもりなんだ?」
カズマ「俺達、仮面盗賊団が華麗に盗むのさ」
クリス「銀髪盗賊団だってば!」
トニー「悪徳貴族から正義のために武器を盗み出す・・・か、良いじゃないか。協力するよ」
クリス「よかった!まぁ、武器というか鎧なんだけどね。ほら、助手君覚えてる?前言ってた聖鎧アイギス。明日の夜にあれを取りに行くよ!」
カズマ「了解ですお頭。トニー、さっそく下っ端となったトニーに作ってもらいたいものがある」
トニー「フッ、下っ端ねぇ・・・明日で僕が昇進して一気にリーダーになるさ。それで?そんな下っ端君に何を作ってほしいって?」
....
..
.
翌日 深夜
クリス「おっ、来たね。助手君その二」
トニー「他の呼び方は無いのか?」
カズマ「下っ端でどうだ?」
トニー「・・・地球を二度も救った僕が今じゃ盗賊団の下っ端呼ばわりか・・・まぁ・・・皮肉とはいえ、自分でそう名乗った手前それで妥協するか・・・」
カズマ「少なくとも、今のあんたの見た目は下っ端そのものだぞ。なんだよ、パーカーにサングラスにスカーフ・・・下は・・・ジーンズ?」
トニー「服が無くてね。それに、スーツを着て動き回ろうものなら自分の名前を叫びながら回るのと大して変わらないだろ?」
カズマ「確かにそうだけど・・・いいのか?スーツ脱いだトニーって一体何の役に・・・ご、ごめんなさい!そんな顔しないでくれ!!」
クリス「もー、駄目だよ?人が気にしてることを言ったら。キミはそういう所を何とかするべきだよ」
トニー「別に気にしてないさ。幸運と小賢しさを取ったら何も残らないどこかの子供同じく、僕もスーツを脱いだら天才、金持ち、プレイボーイで博愛主義者程度しか残らない」
クリス「うわぁ・・・トニーもカズマ君に負けず劣らず凄い口してるねぇ・・・」
カズマ「おい!俺は謝ったってのに嫌味を言いやがって、どっちが子供だ!!またあんたのスーツからリアクターだけ引っこ抜いてやってもいいんだからな!次はトイレに捨ててやろうか!!」
カズマ(誰も思いつかないような発明品を作ったり、バニルとの取引で既に俺以上の財を築き始めたりするこいつの嫌味は・・・最高に腹立つ!!)
トニー「いいのか?そんな口利いて。予備電源を作るか、スーツから外れた瞬間にリアクターが爆発するように改造すれば解決だ」
カズマ「前者はともかく後者は俺死ぬだろ!?はぁ・・・喧嘩してちゃ話が進まない。お頭、ターゲットの神器はアンダインっていう貴族が持ってるんだろ?だったら、ダクネスに頼んで融通利かせてもらうってのはどうなんだ?」
クリス「それは無理だよ。非合法な手を使っても欲しいものを手に入れるって有名な貴族なんだから、はぐらかされてお終いだね」
トニー「ったく、貴族なんてものは歴史的に見てもロクなもんじゃない」
カズマ「ほんとだよ」
クリス「まぁまぁ・・・愚痴を言っても始まらないし、トニーが作ってくれた発明品を見せてもらおうよ」
トニー「そういうことなら・・・ほら、まずは暗視ゴーグルだ」ゴトッ…
クリス「えぇ・・・予想してたものより遥かにド凄いものが出てきたんだけど・・・なんというかこう・・・世界観を壊さない程度にハイテクなものが出てくるかと思ったのに・・・フックショットとか・・・」
カズマ「さっそくファンタジーをぶっ壊してきたな・・・まぁ、千里眼の暗視が使える魔道具だと思えば・・・」
トニー「お次はコレ、変声機。直前に録音した人間の声を真似する」
カズマ「おぉっ!それはとてもいいものだ!アクアの支援がいらなくなるな!」
クリス「す、すごいけどちょっと待って。これ一日で作ってきたの!?」
トニー「正確には五時間」
クリス「ひぇぇ~・・・」
トニー「もともとあった使えそうなパーツを組み合わせて作っただけだ。そんな大したことじゃない。まだまだあるぞ、麻酔銃にスタンガン、スモーク・スタングレネード、オートガラスサークルカッター・・・こんなものかな?一日しかなかったから大して用意できなかったが・・・」
クリス「良いじゃん良いじゃん!すごく盗賊団っぽいよ!」
カズマ「強盗団用のアイテムなんじゃ・・・」
クリス「よし、アイテムもそろったことだしさっそく行こ---」
ザッ…
「行かせないよ」
「「「!?」」」
カズマ「お頭!敵感知に反応です!くそっ、これでも食らえ!」シュルッ…
カズマ「『バインド』ッッ!!」ヒュンッ
ズバンッ!
カズマ「・・・は?」
カズマ(俺のワイヤーを切った・・・?嘘だろ!?特注の鋼鉄製ワイヤーだぞ!?そんな簡単に切れるわけが・・・!)
カズマ「・・・って、そうだよな。その剣だったら・・・鋼鉄製でも切れるに決まってる」
?「やっぱり、君はあの時王都であった賊みたいだね。僕の事は覚えてくれているかな?」
カズマ「・・・俺に瞬殺された、魔剣のカツラギ」
ミツルギ「ミツルギだ!!誰だカツラギって!戦った相手の名前くらい覚えておいてくれ!」
カズマ「でも瞬殺だったしなぁ・・・瞬殺だったから記憶に残ってないわ」
ミツルギ「し、瞬殺瞬殺とうるさいよ・・・」
カズマ「わざわざ王都から追ってきたのか?」
ミツルギ「アクセルで人類最高クラスの知力を持った人が現れたと聞いてね。それほどの知力、おそらく紅魔族以上の魔法職に違いないだろう。僕のパーティーはソードマスターの僕に、ランサーとアーチャーが一人ずつ。もう一人後衛職が欲しいと思い始めて、ここまで誘いに来たんだ」
トニー「・・・」
カズマ「・・・プッ」
ミツルギ「でも、一日中探しても見つからなくってね・・・宿に帰る途中、茂みの中から気配を感じて、探ってみれば・・・」
カズマ「お、お頭!潜伏スキルを使っていたはずなんじゃ・・・?」ヒソヒソ…
クリス「使っていたよ!でもどうして・・・」ヒソヒソ…
トニー「・・・?」
クリス「・・・助手君、キミは下っ端君に触れて潜伏してたんじゃないの?」ヒソヒソ…
カズマ「え?お頭が下っ端に潜伏スキルを使ってたんじゃ・・・?」ヒソヒソ…
クリス・カズマ「「・・・」」
クリス・カズマ「「しまった!!」」
ミツルギ「何が“しまった”なのかは知らないが、盗賊なのに気配を悟らせるとは不用心だな。油断してたのかい?それとも僕を罠にハメるつもりだったのかな?」
カズマ「ゆ、油断?何のことだ?これは・・・余裕というもんだ」キリッ
クリス「有名なセリフを言ってる場合じゃないよ!!あぁ・・・アイテムの確認に夢中になりすぎた・・・!」
ミツルギ「なんだかよくわからないが・・・王都のリベンジをさせてもらうよ・・・!」チャキッ…
カズマ(や、やべぇ・・・どうしよう。勝てるヴィジョンが浮かばない・・・)
クリス「どうする?助手君。逃げるだけならできると思うけど」
カズマ「下っ端がいるからちょっとキツいと思います。何とか隙を付いて逃げることができれば・・・」
ミツルギ「・・・」ジリッ…
クリス「そんな隙、見せてくれそうもないけど・・・」
トニー「・・・」スッ…
クリス「し、下っ端君!?危ないよ!?」
トニー「こういうのはまず下っ端から戦うのが定石じゃないのか?」
クリス「一体どう戦うつもりなのさ!?危ないから下がってて!」
トニー「大丈夫、ちゃんと策は考えてある」ジャキッ…
ミツルギ「君は見たことがないな・・・新人か?というか、君の着ている服はパーカーにジーンズ・・・?」
トニー「そうだな・・・剣士同士の決闘風に言うんだとしたら・・・其方が纏いし鎧は、コスプレショップで揃えたものか?」
ミツルギ「これはコスプレじゃない!ふざけた男だ・・・!」
トニー「まずは小手調べ」プシュッ プシュプシュッ
ミツルギ「っ!」キンッ キキンッ
トニー「へぇ、この闇夜の中で飛んでくる弾を弾くか・・・」
ミツルギ(なんだ今のは・・・?銃か?)
トニー(麻酔銃は当てられない。だったら・・・)ピンッ
ポイッ
コロコロ…
ミツルギ「・・・?これは・・・?」
ボシュゥゥウウッ!
ミツルギ「ッ!?」
ミツルギ(煙幕!?彼が持っている魔道具は一体何なんだ?)
トニー「フライデー、サングラスモードからサーマルスコープモードに切り替えろ」ピピピッ
シュゥゥゥゥ…
ミツルギ「・・・何も見えない・・・逃げたか?」
トニー(丸見えだ・・・)チャキッ
プシュッ
ミツルギ「うっ!?」プスッ
ミツルギ「ま、麻酔銃・・・?この煙越しに・・・?」
ミツルギ(本当になんなんだ!あの男の魔道具は!?やけに近代的だ!)
トニー「・・・おかしいな。人間相手ならすぐさま倒れるはずだが・・・」
クリス「多分、高レベルの冒険者だからある程度耐性があるんだと思う」
トニー「状態異常耐性ってやつか・・・本に載ってたな・・・面倒だ。プランBにしよう」
クリス「プランBって?」
トニー「もうすぐ“来る”」
カズマ「・・・?なんでもいいけど、早くしてくれ!もう煙幕も晴れてるぞ!」
ミツルギ「油断はしてなかったけど・・・下っ端だと甘く見ていたようだ・・・」ユラッ…
ミツルギ「一撃で決めさせてもらうよ。安心してくれ、命までは取らない」ブンッ
キィィィィィィイン…
ミツルギ「・・・?何の音だ?」
ヒュンッ ガキンッ!
ミツルギ「うぐっ!?な、なんだこれは!?取れない・・・!」グググ…
カズマ「お、おい・・・ミツルギの頭についてるあれって・・・!」
トニー「あぁ、僕のスーツの頭部だ」
ミツルギ「ま、前が見えない・・・!」
カズマ「えっと・・・どうするんだ?これ?この隙にボコボコに・・・」
クリス「いやいや!あたしのバインドで縛ればいいだけでしょ!そこまでしなくても・・・」
トニー「君達は貴族の城で使う分の魔力を残しておけ、コイツは僕一人で無力化する。ほら、下っ端に任せてくれよ?」
クリス「そ、そういうことなら・・・でも、本当にどうするの?」
トニー「こうする。フライデー、ミュージックスタート」
「「「!?」」」
ミツルギ「あぐッ!?ぐああああああ!!耳があああああ!!!」ゴロゴロ…
カズマ「うわぁ・・・あれはキツい。なぁ、音楽がここまで聞こえてくるんだけど、あれって兜の中はどうなってるんだ?」
ミツルギ「あああああああっ!!!鼓膜がぁぁあああ!!!」
トニー「うーん、多分ライブ会場をそのままあの中に閉じ込めたって感じだろうか。まぁ、鼓膜はギリギリ破れないだろ」
ミツルギ「頭がくだけるううううう!!止めてくれええええ!!!」
クリス「さすがにドン引きだよ・・・ねぇ、早く楽にしてあげて・・・」
トニー「そうだな。これ以上苦しめる意味もないか」
カズマ「へいへーい!魔剣使いさんよー!とうとうあんたは下っ端にも瞬殺されちまったなぁ!!ねぇ、今どんな気持ち?下っ端にすら手も足も出せずにどんな気持ち?」ゲシッ
ミツルギ「あふっ」ビクンッ
クリス「助手君!!君にはもっとドン引きだよ!!!」
トニー「さすがにそれは・・・僕も引く・・・ほら、さっさと楽にしてやろう」チャキッ
プシュッ プシュッ プシュプシュプシュッ
ミツルギ「うぅ・・・」ガクッ…
トニー「これだけ打ち込んだらさすがに眠るか・・・この世界に合わせて麻酔液の濃度を変える必要がありそうだな」
カズマ「マツラギはどうする?気絶してるうちに頭だけ残して地面に埋めようぜ」
トニー「縛るものもないし、それがいいな」
クリス「なんだろう・・・あたしたちは義賊のはずなのに・・・すごい悪党になった気分」
....
..
.
トニー「よし、こんなものか」パンパン
クリス「本当に埋めるとは思ってなかったよ」
トニー「大丈夫だ。街道に近いところまで引っ張って来たし、このマツリギとかいう男が助けを呼んだら誰かが気が付くだろう」
クリス「そういう問題じゃないからね!?」
カズマ「用心に越したことはありませんよ、お頭。石橋は渡らずに叩き壊し、隣に新しい橋を建設するくらいでないと」
トニー「僕なら橋の上を飛んで、下にある橋を爆撃してふっとばす」
クリス「キミたちの野良猫並みの用心深さはよくわかったから・・・それより、これからどうするの?もう数時間もしたら朝になっちゃうけど」
カズマ「むしろ今から行くのがちょうどいい位ですよ。人間、この時間帯の方が深く眠ってて起きにくいもんです。俺が日本で家族と暮らしてた時は、このくらいの時間に飯を取りに下りるのがベストでした」
トニー「だな。僕もペッパーが起きないようにこのくらいの時間にスーツを作ってたもんだ」
クリス「き、気が合うんだね・・・あのさ、最後に聞くんだけど、この人に何の恨みもないんだよね?えげつない方法で倒したり、蹴ったり埋めたりしたけど・・・」
トニー・カズマ「「あの白い歯にパンチしたかった」」
クリス「もう・・・なにも言わないよ・・・」
....
..
.
アンダイン邸
カズマ「さて、どこから侵入しようか」
トニー「どこからでも大丈夫そうだ。この屋敷に見回りはいない」
カズマ「ふっ、俺達はプロだぞ?いきなり屋敷内に人がいないと決めつけて見つかったらどうするんだ?ここはプロである俺たちの意見を聞くべきだ」
クリス「そうだよ下っ端君。君は確かに世界を救ったヒーローだけど、こういうことは慣れてないでしょ?」
トニー「その一、スーツをここから上空千メートルに待機させてこの屋敷を赤外線スキャンしたから屋敷内に見回りがいないのは分かっている。その二、僕はスーツ無しで敵の屋敷に侵入したことがある」
クリス「・・・ほ、ほら・・・あんまり機械に頼りすぎるのも良くないでしょ?」
カズマ「そうだよ・・・プロの直感とか大事だろ?で、でも・・・便利になるのは良い事だし、下っ端の顔を立てる為にもその言葉を信じて屋敷に突入し・・・その胡散臭いものを見る顔はなんだよ!!」
トニー「・・・入るぞ?窓は僕が開ける」キキキ…
キンッ
トニー「ほら、開いたぞ。ささっと盗ってしまおう」
クリス「そのガラスサークルカッターなんだけどさ・・・」
トニー「わかってる。君にあげるよ」
クリス「やった!」
....
..
.
アンダイン邸 内部
カズマ「お頭、いちいちお宝の前で止まらないでくださいよ。目的は神器ですよ」
クリス「それは良くわかってるんだけど・・・目の前にお宝があるとついつい・・・これ一つで貧しい子供たちがどれだけ助かるんだろうって・・・」
トニー「その姿でも君は女神様って訳か」
クリス「お、おぉ・・・///そういきなり褒められると反応に困るよ・・・でも、下っ端君も元の世界では寄付とかしてたでしょ?」
トニー「・・・破壊兵器を売ったお金でな」
クリス「っ!ご、ごめん!」
トニー「気にしてないさ。もう武器商人じゃないしな・・・いや、人同士の争いに使われないようにする事を条件にしているとはいえ、また武器を売ってるし、僕は同じことを繰り返しているのか・・・?」
クリス「そ、そんなことないよ。ちゃんと罪悪感の元、もう同じことが起こらないように努力しているんでしょ?」
クリス「確かに、たくさんの破壊兵器を作ったのかもしれない。でも、戦争はあなたが作った物ではないのですよ」ニコッ
トニー「・・・神に懺悔したつもりじゃなかったんだが・・・ありがとう、気が楽になったよ」
クリス「んもー、一言余計だなぁ」
カズマ「お頭、俺って今はまだしゃべるべきではないですよね?」
クリス「うん。台無しだよ助手君」
トニー「湿っぽいのは君達には合わないだろ、それでいい。さて、そうこうしてるうちに宝物庫についたわけだが・・・」
クリス「ちょっと待ってね・・・うん、やっぱり罠がある。解除するからちょっとまってね」カチャカチャ…
カズマ(・・・?宝物庫から妙な気配がする・・・人でもモンスターでもない・・・)
カチッ
クリス「よし、開いた!さぁ入ろう!」
カズマ「待ってくださいお頭、この中に・・・」
ガチャッ
クリス「・・・どうしたの助手君?」
カズマ「あれっ?」
トニー「Wow・・・これはすごいな、宝の山だ。カズマ、なんかあったのか?」
カズマ「いや・・・なんか妙な反応を感じたんだけど・・・うーん、勘違いかな?」
クリス「おぉっ、助手君見て見て!これとかすごい値打ちものだよ!」
カズマ「ひゅーっ!こいつぁすげぇ!!たんまりありますぜ!!」
トニー「・・・なぁ、鎧はどこにあるんだ?」
クリス「えっ!?本当だ!鎧が無い!でも、神器級のお宝の気配はするんだけどなぁ・・・」
トニー「スーツのスキャンによると、ここに隣接した部屋がもう一つあるはずだが・・・」
カズマ「なるほど・・・隠し扉出てこい、隠し扉出てこい・・・」ペタペタ
ボコッ…
ズズズ…
カズマ「イェーイ」
トニー「へぇ、やるなカズマ」
カズマ「カズマ先輩と呼べ」
クリス「アホな事やってないで、アイギスを回収するよ」
トニー「・・・これが伝説の鎧ってやつか。鎖でがんじがらめにされていかにもって感じだ」
クリス「うん。これこそが聖鎧アイギス。この世で最も頑強で、身に着ける者に勝利をもたらす神器だよ。どんな戦いにも負けなかった無敵の鎧・・・ご主人様が病で亡くなる最期まで、よく頑張ったね・・・」スッ…
カズマ(本物の女神様だ・・・)
《おい坊主、気安く触ってんじゃねぇよ》
クリス「えっ・・・坊主・・・?それってあたしの事!?というか、アイギスって喋れるの!?」
カズマ「鎧が・・・喋った・・・?」
トニー(驚くべき光景なんだろうが、なんでだろう。見慣れてる気がする)
アイギス《なんだよ?坊主じゃねぇのか?ならもうちょっとだけ触っていいぞ。俺の名はアイギス。三人共初めましてかな?喋って歌えるハイブリッドなアイギスさんとは俺の事よ!!チョリース》
トニー「こんなのが・・・伝説の防具?」
クリス「正直喋るだなんて思っていなかったから・・・驚いたけど・・・とりあえず話があるんだ、アイギス」
アイギス《アイギスさんって呼べよ小僧》
クリス「小僧じゃないよ!なんなのこの神器!?なんでそんな態度がデカいのさ!?」
トニー「おい無機物、あんたはただの鎧だろ?つべこべ言わず、僕たちについてきて役目を果たせ」
アイギス《なんだこのおっさん?無敵の鎧の俺に向かってずいぶんな態度じゃねぇか?ん?俺は神器オブ神器だよ?お前が普段着ている鎧なんて鉄屑と思えるほどのな!》
トニー「僕はあんたよりもっと価値があって使える鎧を持っているし、作れもする。黙って付いてくるか、ここでスクラップにされて向こうで修理してもらうか選べ、ブリキ野郎」
アイギス《ぷっちーん、アイギス切れちゃった。上等だよクソジジイ!年寄りだからって容赦しねぇからな!!》
アイギス《いいか!?俺は神器だ!喋るだけの防具じゃないんだぜ!?俺は自分の意思で動ける!この全身鎧の俺がお前みたいなおっさんに殴り掛かったらどうなるだろうなぁ!?》
クリス「ちょっと落ち着いて!ねぇ、アイギスも頼むから話を聞いて!キミの力が必要なの!」
アイギス《うるせぇド貧乳!顔が良いからってなんでも頼み事聞いてもらえるなんて思い上がってたの?自惚れもいいところですなぁ!常識と魅力的な巨乳を付けてから再挑戦してね!!というわけで引っ込んでな!その胸のようによぉ!!》
クリス「なにおおおおお!!」ガンガン
アイギス《おーっと、胸は出てなくても手はでるんですね?でもそんなパンチじゃマイボデーには傷も付きませーん!》
クリス「きーっ!」
アイギス《そんなヘナチョコパンチは効きもしないが、黙って殴られる俺じゃねぇ。おい、そこの変な仮面した小僧、俺の鎖を解け。いまからこの二人に神器ってもんを見せてやるからよ》
カズマ「え、やだよ。なんでお前の有利になりそうな状況を作ってやらなきゃならないの?お前無機物のくせにガタガタうるせぇんだよ!下っ端、こいつの体に刃物かなんかで口じゃ言えないような絵を彫ってやろうぜ」
トニー「良いアイディアだな、先輩。宝物庫の中に切れ味が良さそうなダガーがあったはずだ。表面を削って絵を描く位ならできるだろう」
アイギス《お、おい!動けない相手に何をする気なんだよ!?》
カズマ「お前の胴体部分に卑猥なものをいっぱい彫ってやる。大人のジョークグッズみたいな見た目にしてやるよ」
トニー「僕は四肢と頭部に世界各国の言葉で“ガラクタです”って文字を掘ってやる。これであんたは今後どこへ行っても一目でガラクタって分かるわけだ。良かったな?自己紹介する手間が省けるぞ?」
アイギス《いやあああ!いやだあああああ!!やめてくれええええ!!》
クリス「ねぇ・・・今回の目的分かってる?さっきまで喧嘩してたあたしが言うことじゃないけど、さっきからキミ達にはドン引きしてばかりだよ・・・」
トニー・カズマ「「こいつよりはマシ」」
クリス「どっちも最低だよ!?神器に何てことしようとしてるのさ!?」
アイギス《お前ら一体何なんだよ!?何が目的なんだ!?というか、どうしてこれだけ騒いでも誰も来ねぇんだよ!助けてーっ!人さらいー!!》
カズマ「バカッ!デカい声出すんじゃねぇ!・・・って、あれ?確かに警報もならなければ警備の声も聞こえない・・・どうなってるんだ?」
アイギス《者ども出会え出会えーっ!!》
「・・・」
アイギス《本当にどうなってやがんだ!!おい、何しやがった!》
トニー「ハッ、見た目通り頭の中はからっぽみたいだな。僕はこの世界随一の知力持つと言われている男だぞ。あんたが喋り始めた時点でこうなることを予測して、上空で待機してた僕のスーツが煙突を通してこの屋敷内部に催眠ガスを充満させてある」
カズマ「おい!脱出するときどうするんだよ!この部屋にもガスが来るんじゃねぇのか!?」
トニー「出るときに息を止め、その間に窓から抜け出せば問題ない。そしてこの部屋は宝物庫だ、分厚い扉にこの隠し扉、ここまでガスは来ない」
カズマ「だってさアイギス。今のお前にできることは誰にも届かない叫び声を上げ続ける程度だよ!ふははははは!!!神器が聞いてあきれるぜぇー!」
アイギス《いやああああああ!!誰かたすけてええええ!!》
クリス「二人共ちょっと静かにしてて!あたしが話をつけるから!」
アイギス《お嬢ちゃん!さっきは貧乳とか言って悪かった!!助けてくれ!あいつらイカれてる!》
クリス「あ、あのねアイギス・・・あたしたちはキミの力を借りに来たんだ」
アイギス《俺の力を・・・?えっとさ、つまりそれってあんさんが俺の中に入って一つになりたいってこと?》
クリス「言い方がなんか変だし、そういう意味でもないよ。あなたに相応しい人に着てもらう。今この世界には恐ろしい敵が来ていて、キミのような強力な力を持った神器が必要なんだ!」
クリス「今こうしている間にも、世界滅亡にまた一歩と近付いているかもしれない。そしてアイギスは、それを止めるために存在する唯一無二の存在。ねぇ、アイギスお願い。あたしの言うことを聞いてくれない?」
アイギス《えー・・・なんだかそれっぽい事言ってるけど、要するに鎧として持ち主を守れってことだろ?嫌だよそんなん。鎧だって叩かれたら痛いし、このピカピカボディは傷つけたくない》
アイギス《大体、その持ち主って言うのは俺のお眼鏡にかなうようなヤツなのか?》
クリス「うん。正義感と勇気のあるヒーローみたいな人に・・・」
アイギス《ちっげーよ、中身なんてどーでもいい。見た目だ見た目!巨乳で可愛い系がいいなぁ。スレンダー系も嫌いじゃないよ!もちろんガキはNG、鎧の中は薄着で頼むわ。あ、職は剣士ね。前のご主人も剣士だったし》
トニー「なぁ・・・こいつは海の底にでも沈めておかないか?鎧ならこんな奴よりもっといいのを僕がつくってやるよ」
クリス「気持ちは分かるけど、これでも神器だから・・・我慢しなくちゃいけないんだ」
カズマ「お前は鎧だろうが。選り好みしてないで働けよ」
アイギス《鎧にも選ぶ権利はあるとおもうんだ》
トニー「美人・・・か」
カズマ「そんなに考えなくてもいいだろ。もう問答無用で連れていっちまおうぜ?」
アイギス《なぁ、頼むよ・・・俺の元ご主人が病で死んじまって、俺なんだかんだで寂しいんだぜ?心の穴を埋めさせてくれよ・・・》
クリス「アイギス・・・」
カズマ「な、なんだか少しかわいそうになってきた。お頭、なんか手は無いんですか?」
クリス「う、うーん・・・」ポリポリ…
トニー「・・・」ゴソゴソ…
カズマ「・・・?おい、トニー何やってるんだ?」ヒソヒソ…
トニー「実はアクアに小さくされたホログラム発生装置を持ってきてたんだ。万が一見つかったときの対策としてな」ヒソヒソ…
カズマ「まさか・・・」
トニー「そういうこと」
クリス「何が“そういうこと”なの?」
トニー「アイギス、君にとっておきの美人を紹介しよう」ピッ ピピッ
アイギス《・・・?》
トニー「力を貸してくれ、ペッパー」カチャッ
ヴンッ…
ペッパー『初めまして、アイギス。私はヴァージニア・ポッツ。ペッパーでも構わないわよ?』
アイギス《へいへーい、ドチャクソ美人さんじゃないですかぁ!》
クリス「トニー、一体どうやってるの?」ヒソヒソ…
トニー「彼女はペッパー、僕の恋人兼社長をしている。そして、僕のラボのデータバンクにはペッパーの映像記録が山ほどある。それを利用してペッパーの姿をホログラムで、声は変声機を応用してフライデーに喋らせている」ヒソヒソ…
カズマ「なんという科学の力技・・・」
アイギス《どういった魔法かは知らないけど、キミとは話せるんだね?ペッパー》
ペッパー『もちろんよ。なにから話す?』
アイギス《じゃぁスリーサイズから・・・》
トニー「おい」
ペッパー
本名:ヴァージニア・ポッツ
ペッパーというあだ名の由来は顔のそばかすが胡椒(ペッパー)みたいとトニーが言ったことから
元々はトニーの秘書だったがアイアンマン2でトニーの跡を継いで社長に就任
頭脳明晰で美貌もあり、行動力も持っている。トニーとは交際しており、トニーにとってなくてはならない存在となっている
しかし、シビルウォーではその仲はあることが理由ですっかり冷え切ってしまっていた
そして、スパイダーマン・ホームカミングでは・・・
ちなみに、ペッパーを演じているグウィネス・パルトロウさんは2013年にアメリカで最も美しい人ランキング1位を取っている
美っっ人
ペッパー『それはもっと親密になったから教えてあげるわ?』
アイギス《アイギス、ペッパーと親密になりたいなぁ!!実際の君に会いたいよ!!》
カズマ「キャラがブレまくってんぞコイツ」
クリス「しっ!」
ペッパー『もちろん、私も会いたいわ。来てくれる?』
アイギス《よろこんで!おい、お前ら!案内してくれ!ぼく、ペッパーに会う約束取り付けちゃったからさ!》
カズマ「さっきの同情を本当に返して欲しい」
トニー「うまく行ったみたいだが・・・なんだかとても複雑な心境だ・・・」
......
....
..
.
アイギス入手から二週間後
めぐみん「滲み出す混濁の紋章、不遜なる狂気の器」
めぐみん「湧き上がり、否定し、痺れ、瞬き、眠りを妨げる」
めぐみん「爬行する鉄の王女、絶えず自壊する泥の人形」ズズズ…
ゴゴゴゴ…
めぐみん「結合せよ!反発せよ!地に満ち、己の無力を知れ!」バッ
めぐみん「砕け!『エクスプロージョン』ッッ!!」
カッ
ドォオオオオォォォンッ!!
めぐみん「あうっ・・・」ドサッ…
トニー「お疲れさん」シュゴゴゴゴ…
スタッ
めぐみん「どうでしたか?私の今日の爆裂魔法は・・・?」
トニー「六八点って所だな」フーッ…
めぐみん「ぐぬぬ・・・トニーはカズマより厳しいですね・・・そこまで下がった理由は何ですか?」
トニー「空から見ててわかったが、君は今回威力をかなり重視しただろ?おかげで爆炎の形が歪だ、美しくない。クレーターも同様だ」
トニー「そして、同じ理由で木々や岩の破片が跡形もなく消し飛んでいるのも減点の理由。大きな爆発を魅せるときは、大小様々な破片があるとより効果的だ。爆発した後に破片が降り注ぐことで余韻ができる。さっきまで形を留めていたものが粉々になって空から降ってくることによって、恐怖の演出となるんだ」
めぐみん「うむむむ・・・確かに・・・思い当たる節が・・・」
トニー「だが、悪いところだらけじゃないぞ?爆発の衝撃波が僕のスーツ越しにも響いてきたし、音圧は最高。まぁ、つまり・・・」
めぐみん「つまり・・・?」
トニー「・・・ナイス爆裂だ。なぁ、これ言わなきゃ駄目?」
めぐみん「ナイス爆裂!もちろん、これだけ的を射た評価ができるのであれば、ぜひとも言ってください!というわけで、次はトニーの番です」
トニー「ようし・・・今からあの山の一角を消し飛ばしてやろう」スッ…
ガシュンッ…
〔エネルギー充填開始…〕
キュィィィィ…
トニー「フライデー、パワーを一気に胸に集めろ」
〔エネルギー充填率60%〕
ギュンギュンギュン…
めぐみん「おぉおお・・・」
〔エネルギー充填率100%〕
ヴゥンッ…
トニー「しっかり見ておけよ!」
ボッ!
ヴァゥウウウウウゥゥゥンッ
ズガァアアアアアアッッ!!
パラパラ…
トニー「・・・」シュゥゥ…
ガシュンッ…
トニー「どうだ?」
めぐみん「ぐっ・・・山を吹き飛ばした破片がここまで・・・!私は人類最強の一撃を持っていると自負してましたが・・・まだトニーの一撃を超えられませんか・・・無念・・・ただひたすらに無念です・・・」
トニー「科学の力は侮れないだろ?探求心が枯れない限り、僕はどこまでも強くなる」
めぐみん「ぐぅぅうっ・・・悔しいです・・・死ぬほど悔しい・・・!次こそは・・・次こそは必ず・・・!」ギリギリ…
トニー「そんなに歯ぎしりしてたら歯が爆裂するぞ?君は僕より若いんだ、まだまだ伸びしろがあるさ。なっ?焦るなよ」
めぐみん「そういうカッコいい勝者のセリフを言われると余計悔しいですよ!・・・まぁ、今の私は第一形態で本来の実力の四分の一も出せていないので、これも仕方ありませんが・・・それじゃ、おんぶお願います」
トニー「はいはい、ここ最近僕にばっかり頼むのはどうしてなんだ?」グイッ
めぐみん「トニーなら屋敷かラボまでひとっ飛びじゃないですか、便利なんですよ。しかも、空から見る景色は綺麗で気持ちが良いですし。おまけにこのカッコイイ鎧は見ていて飽きません。それに、近頃は行方不明事件が増えていますしね」
めぐみん「爆裂魔法を撃つ前ならまだしも、撃った後じゃ不安ですから・・・空を飛ぶなら安心です」
トニー「褒めてくれるのは嬉しいが、僕を便利な足か何かと思ってないか?」
めぐみん「そ、そんなことはないです・・・よ?」
トニー「・・・」
トニー「そうだ、めぐみん。カズマの背中より安心するか?」
めぐみん「いえ、私はやっぱりカズマの背中が一番安心します。なにせ、私の好きな男の背中ですから」
トニー「・・・からかうつもりで聞いたんだが・・・君は妙に男らしいな」
めぐみん「好きなものを好きと言っているだけですよ。というか、知っていたんですね?」
トニー「あれだけ常日頃から目で追ってたら嫌でも分かるさ」
めぐみん「そ、そうでしたか・・・最近カズマが妙にモテだして気になるんですよ、そのうちかっさらわれてしまうんじゃないかって・・・」
トニー「君はアタックしないのか?」
めぐみん「してますが、あの男いざって時になるとヘタれるんですよ・・・」
トニー「あぁ・・・カズマの気持ちが分からなくもない・・・僕も本命には奥手だったしな」
めぐみん「本命には・・・?そ、それはどういう意味ですか!?教えていただけませんか!?」
トニー「その辺はラボでフライデーにでも聞くといい、きっといい相談相手になってくれるはずだ。恋愛面のアドバイスについてアップグレードしておこう」
めぐみん「フライデーは本当に優秀ですね」
トニー「当然だ、僕が作ったんだからな。さ、そろそろ帰るから掴まれ」スッ…
めぐみん「あっ、帰ったらまた私とボードゲームしてくださいね。まだトニーには一回しか勝てていないので」
トニー「勿論いいとも。だが・・・最初の一回以外の勝ちを君に譲る気はないからな?」
めぐみん「ふふふ、今の内に勝利を味わっておくがいいですよ・・・」
トニー「それじゃ屋敷に向けて出発」シュゴゴゴ…
ドシュゥゥゥウッ…
....
..
.
アクセル上空
キィィイイイイン…
めぐみん「あの、トニー?」
トニー「トニーだ」
めぐみん「今思い出したのですが・・・結局職は何にしたのですか?賢者ですか?」
トニー「冒険者」
めぐみん「えっ」
トニー「冒険者」
めぐみん「カズマの真似ですか?やめておいた方が・・・」
トニー「違う!僕は科学で戦う、魔法は使えない。だから役立つスキルを覚えるために冒険者にした。鍛冶スキルに速読スキル・・・後は知力向上につながるスキルをいくつか・・・」
めぐみん「・・・それだけのスキルを一体どこで手に入れてきたんですか?教えてくれる人がいないと覚えられないでしょう?それにレベルだって・・・」
ピピピッ
トニー「?」
〔ギルドで緊急クエスト発令〕
トニー「・・・!めぐみん、話はあとだ。ギルドで何か騒ぎがあったみたいだぞ」
....
..
.
アクセル ギルド
アクア「ふわああああ!ぶあああああ!うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん!!」ボロボロ
トニー「・・・どういう状況なんだ?」
めぐみん「ギルドで騒ぎがあると聞いて来てみれば・・・やっぱりカズマとダクネスがいましたか。というか、どうしてアクアが号泣しているのですか?カズマがまた泣かせたのですか?」
カズマ「俺がいつも騒ぎの中心にいるみたいに言ってんじゃねぇよ!俺は何もしてないからな!」
ダクネス「それが、この街のアクシズ教徒の一人が行方不明らしくてだな・・・最近急に増えだした行方不明事件に巻き込まれたのではないかと案じているのだ」
アクア「ねぇ、聞いてめぐみん!!久しぶりにウチのかわいい信者達の顔が見たくなったから、アクシズ教会に行ったの!でも誰も居なくて・・・きっとエリス教会に石を投げてるか、エリス教の炊き出しを根こそぎ貰いにでも行っているんだと思ってずっと教会で待っていたの!!でも・・・でもっ・・・!」グスッ…
めぐみん「誰も帰ってこなかったと・・・この街のアクシズ教徒といえば、私にも心当たりがあります。しかし・・・アクシズ教徒が行方不明なんて・・・」
カズマ「うん、正直なんの緊張感も沸いてこないな。その辺の路地裏とかで酔いつぶれて寝てるんじゃないか?大丈夫だって、ギルドとかレストラン裏のゴミ捨て場とか見張ってたらそのうち漁りに来るって」
アクア「はっ倒すわよクソニート!ゴミ捨て場も路地裏も探してきたわよ!!」
カズマ「えぇ・・・」
アクア「ねぇ!めぐみんも何とか言ってやってよ!!」
めぐみん「正直・・・私もそんな気がします・・・そのうち何事もなかったかのようにふらっと現れそうな・・・」
アクア「クソニートはまだしも、めぐみんまでそんなこと言うの!?受付の人にもアクシズ教徒の一人が行方不明なんですって聞いたら“どこかへ遊びに行っているだけじゃないか”ってまともに取り合ってくれなかったのよぉぉおお!」
カズマ「で、緊急クエストが発令されたから俺たちも来たわけだけど、クエストの内容はなんだ?」
トニー「僕も気になっていたところだ。だがその前にカズマ、めぐみんに体力を分け与えるか、代わりに背負ってくれないか?スーツをまとった僕がめぐみんを背負ってるこの光景はシュールすぎる」
カズマ「確かに・・・んじゃ、俺が預かるよ」グイッ
ルナ「冒険者の皆さんがお集まりいただけたようなので、今よりクエストの説明を行います」
ルナ「今回のクエストの内容は討伐でも、街の防衛でもありません」
ルナ「・・・行方不明者の捜索となります」
ザワッ…
ルナ「はい、皆さんが何をおっしゃりたいかは分かります。こういうのは本来警察の仕事です。ですが・・・警察では対処できないだろうと断定されたのには大きな理由がありまして・・・」
ルナ「まず、被害はアクセルだけではなく、王都を含めた他のあらゆる街でも確認されています」
カズマ「王っ・・・!?」
ルナ「特筆するのは、その行方不明者が発生する頻度と範囲、そして行方不明となった方々の素性です。二人の高レベル冒険者が、距離の離れた別々の街でほぼ同時に行方不明になったそうです。しかも、こういった例が既に数件起きています・・・」
ルナ「この事態を重く見たギルドは、これをモンスターによる被害ではなく、魔王軍による誘拐と見て、ベルゼルグ国内に存在するすべてのギルドに緊急クエストを発令しました」
ルナ「なので、正確なクエスト内容は行方不明者の捜索と、これらの事態に関わっていると思わしき魔王軍の兵士の捕縛です」
「・・・」
ルナ「さ、最後に・・・このクエストには期限が存在しません。冒険者の皆さんに各々で捜索してもらうことになります・・・もちろん、このクエストには特別報酬が出ます!それでは、どうかご健闘を祈っています!以上です!解散してください!」
ザワザワ…
ゾロゾロ…
めぐみん「・・・カズマ、どう思いますか?」
カズマ「え、俺!?いや・・・まださっぱりって感じだな・・・目的も方法もよくわからない。人質にして交渉するつもりなら、冒険者より貴族とか攫うだろ?普通は」
カズマ「貴族は警備が厳しくて攫えないのかとも考えたけど、高レベル冒険者を攫えるんだとしたら、貴族を攫うことも難しくないはずだ」
ダクネス「私も同意見だ。国へ人質を取ってるなら、貴族を攫うべきだろう。何故だ・・・貴族でもあり、冒険者でもある私を何故攫わない・・・!私を攫って檻に入れ、動物のように扱えばいいだろうに・・・!そして言うのだ!“オイオイ、こいつぁ上玉だぜ!人質としてここにいる間、オレ達が可愛がってやるよ!なぁに、安心しろ・・・命は取らねぇよ、命はな!”などと言って、私の服を引き裂いて・・・!んくぅっ・・・///」
トニー「カズマ」
カズマ「帰ったらバインドで縛って玄関にでも転がしておいてやるから今は発情するな、この変態」
ダクネス「ほ、本当だな!?/// 約束だからな!?」ハァハァ…
トニー「さすが」
めぐみん「誘拐の方法についてですが・・・人を攫うんだとしたら、やっぱりテレポートあたりでしょうか?」
カズマ「俺もそれは考えた。でも、テレポートには登録が必要だろ?街の前にテレポートしてきたら大騒ぎだし、かといって魔王軍が街の中に紛れこむのは難しいと思うんだよ」
めぐみん「でも、これだけの短期間で存在を悟らせず大勢の人間を誘拐できる魔法なんて他に知りませんよ?」
カズマ「それなんだよなぁ・・・」
トニー「いや、カズマの言う通りだ。テレポートじゃない」
めぐみん「・・・何故分かるのですか?」
トニー「僕のラボに来てくれ、説明しやすい。それじゃ後でな」スタスタ…
カズマ「あ、ちょ・・・せめて俺だけでも連れてって・・・」
ドシュゥゥゥウッ
キィィィィン…
カズマ「・・・」
ダクネス「・・・さっ、ラボまで歩くか」
カズマ「ったく・・・ほら、アクア。いつまでもメソメソしてないで・・・」
アクア「・・・すかー・・・」
カズマ「・・・」
....
..
.
トニーのラボ
トニー「さて諸君、さっきの話の続きだが・・・」
アクア「ねぇねぇ、その前に孵卵器にいるゼル帝の様子を見てもいいかしら?女神の勘によると、そろそろ生まれると思うの」
トニー「向こうにいるが、コンピューターの計算によるともう少し先だぞ」
アクア「よかった!私がいないところで生まれるのはかわいそうだもの!」
トニー「なぁ、非常に言い難いんだが・・・DNA検査、レントゲンとあらゆる手を試してみたが・・・あの卵の中身はどう考えても鶏だ」
カズマ「お前そんなことまで頼んでいたのかよ・・・そんなことしなくても鶏だって分か・・・おいコラ、聞こえないフリしてんじゃねぇ!!」
トニー「話進めていいか?」
ダクネス「ほら、お前ら・・・話を聞く姿勢をとれ」
カズマ「お前が言うなと言いたい。で、テレポートじゃない理由だったか?」
トニー「そう。モニターにご注目、カズマなら・・・これが何か分かるはずだ」ピッ ピピッ
ヴンッ
カズマ「これは・・・心電図?」
トニー「グラフと答えてほしかったが・・・まぁ、半分正解だ。トニーポイント二十点あげよう」
カズマ「・・・なにそれ、集めたら何があんの?」
トニー「特に何も」
カズマ「舐めんな」
トニー「冗談はさておき、これはとあるエネルギーの流れを可視化したやつだ。なんだと思う?」
めぐみん「この波の形・・・もしかして・・・魔力を可視化したのですか?」
トニー「大正解。さすがは僕に次ぐ知力の持ち主だ」
めぐみん「ぐっ・・・“次ぐ”というのがなんとも・・・」
カズマ「いや、サラッと言ってるけど魔力を可視化ってなんだよ」
トニー「魔力を科学的に解明しようと思ってね。完全に解ったとは言えないが・・・魔力は生体電気に酷似している。そして、今画面に映っているこの波はテレポートを使った後に空間に残るものだ」
トニー「行方不明事件が発生したと聞いたときにテレポートでの誘拐の線を疑って街中のあちこちをドローンで調査したが・・・これと同じグラフに当てはまる反応は見受けられなかった」
めぐみん「それがテレポートではないと決めた理由ですか?」
トニー「そういうこと。まぁ、他にもある」
トニー「テレポートは魔法防御力が高ければ抵抗することができる。高レベル冒険者相手でも不意を突ければテレポートで飛ばせるかもしれない。だが、王都では誘拐事件が既に何度か発生していた。それなら街中で注意喚起されているはずだろ?でも行方不明者は後を絶たなかった」
トニー「警戒している高レベル冒険者を、詠唱時間が長く、発動させるには対象の近くに接近しなくちゃならないテレポートで飛ばすのは至難の業だ」
トニー「結論、テレポートじゃない」
めぐみん「・・・一体いつから魔道学者になったんですか?」
トニー「昨夜から。王都や紅魔の里からかき集めた魔導書や論文をすべて読んだ」
ダクネス「王都に行ってきたのか!?しかも、魔導書を貸してもらった!?いや、というか・・・すべて読んだ!?」
トニー「おちつけ。王都の図書館では、僕の冒険者カードを見せるだけでいくらでも貸してくれた。紅魔の里は大変だったが・・・」ハァ…
カズマ「一体何をさせられたんだ・・・」
トニー「スーツの見た目が気に入ったらしくてな・・・魔導書を貸す代わりに五十回くらいカッコイイポーズ取らされたり、子供を背中に乗せて飛んだり、魔王軍遊撃部隊を名乗る奴等と一緒に戦わされたり・・・」
めぐみん「鎧が傷だらけなのはそういうことだったのですか・・・」
トニー「いや、これは変な男に絡まれてね」
めぐみん「チンピラに付けられた傷ですか!?」
トニー「里で魔導書を読んでいたときに、魔道具職人を名乗る男に声を掛けられたんだ。なんでも、僕の作っている発明品を知っているらしくてな。アイディアの交換でもしたいのかと思って話を聞いてみれば・・・」
トニー「“お前の作る魔道具は便利すぎて面白くない、そんなお前の魔道具が売れまくるせいでこっちは商売あがったりだ”なんていきなり絡まれた。まぁ、対魔法使いの良いテストバトルにはなったが」
カズマ「おい、それって・・・」
めぐみん「・・・まだ決まった訳じゃないですから・・・」
トニー「確かひょいざぶろーとか名乗っ」
めぐみん「すいませんでした」
トニー「なにを謝っているんだ?」
めぐみん「いえ・・・」
トニー「・・・?まぁいい、僕の知力自慢はここまでだ。本題に入・・・おいアクア、君には難しい話かもしれないが寝るんじゃない」
アクア「ほえっ・・・?」パチッ
ダクネス「うむ。テレポートでないのだとしたら一体どうやって人を攫っているのだ?」
トニー「既存の魔法とは全く違ったエネルギーを検知した。そして、そのエネルギーとは・・・」
ヴンッ...
トニー「・・・これだ」
カズマ「なんだこれ・・・?」
めぐみん「光る・・・箱?」
アクア「うそでしょ・・・?これってまさか・・・!」
トニー「アクアは知っていたか」
ダクネス「これは一体何なのだ?見た目は美しいが・・・」
めぐみん「アクアがこんな真面目な顔になるほどの物なのですか?」
アクア「これは四次元キューブよ!!なんでそんなとんでもない物の反応が見つかるのよ!?」
カズマ「えっ、四次元キューブ?なんだそれ?青いタヌキのお腹についてる・・・」
アクア「ちっがうわよ!!これは神器よ!それも、魔剣だとか聖鎧なんかとは比べ物にならないくらいの究極の神器よ!・・・私だってお目にかかったことは無いわ」
カズマ「えっ・・・あのアクアがこんな真面目な顔で凄いこと言ってるんだけど・・・マジでヤバいやつなの?」
トニー「・・・」ピッ
ヴンッ…
ギャァァアア…
ウワァァアア…
ズズズ…
ズガァア…ン
ガガガガッ…
グォアアアァアアッ!!
カズマ「なんだ・・・これ?まさかNYか!?」
ダクネス「これは一体何だ!?王城とは比べ物にならないほどの建物がこんなにも・・・いや、それよりこれは・・・街が攻撃されているのか!?」
トニー「カズマの言う通り、ここはNY・・・僕の国だ」
トニー「NYは一度ロキに攻撃されている。奴はキューブを使って宇宙の彼方から軍団を連れてきた。キューブは空間を操る力を持っている。どれだけ離れたところにも向かうことができるし、この映像に映っているように空間と空間をつなぐ巨大な扉を作ることだってできる」
トニー「それだけじゃない。単純に強大なエネルギーを秘めていて、僕の国の人類はこれから大量破壊兵器を作ろうとした」
ダクネス「そんなものが・・・この国に?」
トニー「ロキが持ち込んだものだ。ロキ自身キューブの力を使ってここまで来たんだろう」
アクア「ねぇ、ただでさえ恐ろしい相手なのに、四次元キューブまで持ってるって言うの?」
トニー「一度倒してる。そう心配するな」
カズマ「無理ゲーだろ・・・」
めぐみん「とかなんとか言いつつも、最後は何とかして倒してしまうのがカズマでしょう」
カズマ「いやいや・・・今回だけはマジでヤバイって・・・ロキが来るって話を聞いてからもう三週間たつけど何の音沙汰もないだろ?きっとこの世界に旨味がないと判断して帰ったんだよ。行方不明者は・・・あれだ、そのうち帰って来るよ」
ダクネス「国の一大事なのに適当なことを言うな!ロキの仕業だとたった今トニーが証明しただろうがっ!遅かれ早かれロキとは戦うことになるんだぞ!被害が大きくなる前に討伐したほうが良い!」
トニー「カズマ、めぐみんの爆裂魔法を何度か見たが、アレは間違いなくロキにも刺さる。ロキを一度倒した僕が保証するんだ、安心してくれ」
めぐみん「そうですよカズマ。我が爆裂魔法の力は良く知っているでしょう?カズマが協力してくれたら、潜伏スキルで隠れ、そこから先手を打って一撃で倒せるかもしれません」
カズマ「・・・」
めぐみん「覚えていますか?紅魔の里で、カズマが私に言ってくれたことを。カズマが“百二十点”と言ってくれた私の爆裂魔法を・・・どうか信用してくれませんか・・・?」
カズマ「・・・わかったよ!やればいいんだろやれば!ったく、しょうがねぇなぁ!」
めぐみん「ふふっ、やっぱりカズマのそういう所が私は好きなようです。ありがとうございます、カズマ」クスクス
フライデー『チャンスです、めぐみん様。キスしましょう』
めぐみん「し、ししし、しませんよっ!どうしたのですかフライデー!?あなたは急にそんなことを言うようなキャラではなかったはずでしょう!?」
フライデー『恋愛アドバイスに役立つことができるようにとボスに改良していただきました』
めぐみん「あなたのせいですか!!」ブンブン
トニー「おいよせ、脳が揺れる。さっき言っただろ、恋愛面においてアドバイスできるようにしておいてやると」ガクンガクン
めぐみん「いくら何でも早すぎですよ!それに、本人がいる前でアドバイスしますか普通!」
カズマ「ナイスだフライデー!めぐみん!いつでもいいぞ!なんならその先・・・」
めぐみん「この男おおおおおお!!」ガバッ
カズマ「うおおお!?いきなり何すんだてめ・・・た、助けてくれ!ロリっ子にイタズラされるううう!!」
ギャーギャー
トニー「前はこういう光景を見るとため息しか出てこなかったが・・・何故か落ち着くようになってきてしまった・・・僕も毒されてきたな」
ピピピッ ピピピッ
フライデー『ボス、バニル様からです』
アクア「えっ、なんであの木端悪魔から電話が来るのよ?」
トニー「商売相手だからな。いつでも連絡が取れるようにしておいた。具体的に言うと無線機を渡した」
アクア「つまりこれでいつでもあのクソ悪魔にいたずら電話が掛けれる訳ね!?でかしたわトニー!今日から毎日イタ電してやるわ!!」
トニー「そんなことしたら二度と僕の酒に触らせないからな。フライデー、繋げろ」
ピッ
バニル『フハハハハハ!元気にしていたか?自分が毒されてきたのではないかと危惧する男よ!言っておくが、汝は既に毒々しいぞ』
トニー「いたずら電話か?あんたは僕の隣にいる女神と同レベルの事をしているぞ」
バニル『おっと、高貴で知的な我輩を脳がお粗末なチンピラ女神と同列視するのはやめてもらおうか。連絡した理由はほかでもない、例の誘拐事件についてである』
トニー「何かわかったか?」
バニル『少し前までは、行方不明者を見通そうとしても、何やら悪魔とはまた違った禍々しい光によって見通せなかったのだ』
バニル『しかし、つい先ほど再び探ってみたら・・・なんと行方不明者の数人が不毛の地で採掘している姿を見通すことに成功したのだ』
ダクネス「なに・・・?採掘だと?一体どこでだ?」
バニル『ヴォーミアと呼ばれる土地だ』
めぐみん「ヴォーミア・・・?」ピタッ…
カズマ「おっ?どうした?めぐみん!まだ決着は付いてないだろうがよ!体力を吸ってから剥いてやる!」
めぐみん「ちょっとそれどころではなくなったのでそこで待っててください」
カズマ「・・・?」
トニー「めぐみん、何か知っているのか?」
めぐみん「ヴォーミアと言ったら、コロナタイトが眠っているかもしれないと言われている土地です」
めぐみん「ただ、辺り一面が荒野で草木一本生えておらず、強力なモンスターが蔓延っているので調査できないでいる危険な未開の地ですよ」
バニル『例の邪神はどうやらコロナタイトを狙っているみたいであるな。何が目的かは分からぬが・・・』
トニー「わかった、早速向かおう。情報感謝するバニル」
バニル『待て。切る前に、この見通す悪魔が一つ忠告しておいてやろう。機動鎧男以外も心して聞くが良い、今回の旅へは自分たちが考えうる限りの最大戦力で向かうが良い。戦線から素早く脱出する事も考慮してな』
バニル『それでは、我輩はこれで失礼する』
ブツンッ…
※IWのネタバレ注意!
ヴォーミアはアベンジャーズIWの劇中でソウルストーンが隠されていたとされる場所
手に入れるには愛する者を自らの手で殺さねば手に入らない
そして、そのソウルストーンを管理している男はなんと・・・
カズマ「一体なんだったんだ?」
めぐみん「あなたと言う人は・・・行方不明者の居場所が分かったんですよ」
カズマ「さっき言ってたヴォーミアとかいう所か?」
めぐみん「ええそうです。向かう準備をしますよ?あの悪魔の忠告通り、出来る限りの最高戦力で向かうんです」
カズマ「じゃぁ今からギルドに行って・・・」
めぐみん「駄目ですよ。ヴォーミアは危険なモンスターがいっぱいいると言ったじゃないですか。この街の冒険者たちのレベルが意外と高いことは知っていますが、それでも駆け出しの街なんですから。餌になるだけですよ」
カズマ「それ俺達にも当てはまると思うんですけど・・・ならさ、王都に知らせて腕利きの冒険者や騎士団総出で・・・」
めぐみん「それも駄目です。攫われた人たちは人質のようなものです。そんなところに大勢で駆けつけたら相手は何をするかわかりません。出動できるようになるまで多くの手続きと時間もかかりますし、ロキは私がぶっ飛ばしたいです」
カズマ「それっぽいこと言っておいて結局はお前の爆裂欲じゃねーか」
めぐみん「で、戦力についてですが・・・正直あまり頼りたくはないですが、戦力になりそうなのが一人います」
カズマ「おい無視すんな。でも戦力かぁ・・・俺はウィズに声かけてみるよ」
アクア「・・・?ダクネスどうしたの?そんな不安げな顔をして」
カズマ「生・・・いだっ!何すんだトニー!」
トニー「さすがにそれはデリカシーが無さすぎるぞ。で、どうした?ダクネス」
ダクネス「なぁ、その・・・私は役に立てそうか・・・?」
トニー「そう不安げな顔をするな、君の硬さは良く知っている。僕の目を盗んではリパルサー光線を体に受けて発情し、果ては商品にする予定のグレネードまで外に持ち出して自爆して発情してる君なら大丈夫だ」
カズマ「お前ここ最近散歩に出かけまくると思ったらそんなことしてやがったのか!!性癖で他人を困らせるなって何度言われたら気が済むんだこのド変態!」
ダクネス「なっ!?結構真面目に相談したのに!」
カズマ「真面目に受け取ってほしいなら普段の行動を改めろ!・・・ったく、ガチガチのお前がいないと俺たちのパーティーは瓦解しちまうんだよ。役に立たないことはあっても、いらない子じゃないからそう不安がるなよ」
ダクネス「そうか!それならよかった・・・!」
カズマ「アイギスあることだしな・・・そういえば、最近アイツの姿を見ないけど・・・」
トニー「アイツは毎日セクハラ発言しかしないしペッパーに会えないと知ってラボを抜け出そうとしたから鎖で物理的に縛って倉庫の中にしまってある」
カズマ「苦労して手に入れたってのに・・・ん?なんだアクア、そんな
ニヤニヤして」
アクア「ふふふ、久々にカズマさんのツンデレを見たわって思ってね!カズマさんったらもうちょっと素直になれないの?」
カズマ「お前には一生デレる気はないから安心しろよ」
アクア「ねぇ、カズマ。嘘よね・・・?私達なんだかんだで一番付き合いが長いじゃない・・・?」
カズマ「よし、俺は早速ウィズに話を付けて来るわ」
アクア「ちょっと!カズマさん!!カズマさあああん!!」
....
..
.
翌朝 カズマの屋敷前
ウィズ「おはようございます、みなさん。なんだかめぐみんさんのお顔が優れないようですが・・・?」
めぐみん「トニーが一晩中寝かせてくれなかったのですよ」
ウィズ「えっ・・・?えぇえっ!?///」
カズマ「おいやめろ、その言い方。ウィズが困惑してるだろ、早く誤解を解いてやれよ」
トニー「めぐみん、その言い方はおかしいだろ」
ウィズ「で、ですよね・・・」ホッ
トニー「もう寝ようと言ってもめぐみんが僕を離してくれなかったんだ」
ウィズ「!!!!???? ///」
カズマ「お前誤解を解く気あんのか!?やめろよマジで!!朝までボードゲームやってただけだろうが!!」
トニー「外が明るくなるまで挑まれ続けてみろ、ふざけた冗談の一つでも言いたくなるさ」
めぐみん「悔しいのですよ!!トニーが毎回『盗賊』と『アーチャー』で『アークウィザード』を暗殺してくるからエクスプロージョンで盤をひっくり返すこともできずになぶり殺しにされるんですよ!?」
カズマ「だからって朝まで食い下がるなよ・・・」
アクア「もー、二人が変な言い方するからムッツリッチーの顔が赤くなっちゃったじゃない」
ウィズ「ムッツリッチー!?ア、アクア様・・・その名前はどうか・・・!」
ダクネス「まぁまぁ、早く乗合馬車の待合所いこう。席を確保しなくてはならないし」
めぐみん「トニー、ボードゲームは持っていくので、馬車で向かう途中でも戦いましょうよ。絶対にあきらめませんからね」
トニー「いまからロキの元へ向かうんだぞ?寝ておいた方が良いに決まってる。それに、寝ると頭が冴えるぞ?体も大きくなるし一石二鳥だ」
?「ね、ねぇめぐみん・・・ボードゲームなら私持ってきてるよ?」
めぐみん「あれ?なんでゆんゆんがここに?」
ゆんゆん「ひ、ひどい!!めぐみんに呼ばれたから来たのに!」
めぐみん「そういえばそうでしたね。うっかりしてました、ぼっち特有の影の薄さでつい・・・」
ゆんゆん「なによ!めぐみんだって友達少なかったじゃない!」
トニー「えっと・・・君は・・・」
ゆんゆん「あっ・・・ど、どど・・・どうもはじめまして!わ、我が名はゆんゆ---」
トニー「めぐみんから聞いている。ビッチのゆんゆんだな?」
ゆんゆん「めぐみんあんたねぇええええええ!!!」グワッ
めぐみん「なっ、なにをする!!なんですか急に!私はぼっちのゆんゆんと言う名の助っ人が来ますよと彼に話しただけですよ!まぁ、もしかしたら言い間違えたかもしれませんが」
ゆんゆん「どんな言い間違えよおおおおおおおおお!!」ブンブン
めぐみん「仕方がないじゃないですか。ボッチとビッチは一文字しか違わなければ語感も似た感じですし、人間誰でも間違う時はありますよ」
トニー「ゆんゆん・・・で良いんだよな?あー・・・あまり他人の人生にとやかく言うつもりは無いが・・・君はめぐみんと同い年なんだろ?その年でビッチと呼ばれるような生活を送るのは正直オススメしない」
ゆんゆん「ち、違いますからあああああ!!ただのぼっちですからあああ!!うわあああああああああん!!」ガクッ…
めぐみん「そう自分をぼっちと卑下しないほうが良いですよ?」
ゆんゆん「うええええええん!ふぇぇぇぇえええええん!!」
カズマ「めぐみん。自分からぼっちですと言わせ、地面に膝をついて泣いてる友達を見るのは楽しいか?」
めぐみん「・・・ヘッ」
トニー「君たちの交友関係はどうなってるんだ・・・?」
ダクネス「ほ、ほら・・・早く馬車の席取りに行こう・・・」
トニー「馬車?馬車なんて時代遅れの物には乗る必要はないさ」
ダクネス「時代遅れ・・・?トニーは偶に変な事を言うな」
ブロロロロ…
ダクネス「・・・?何の音だ?」
トニー「やっと来たか」
カズマ「なぁ、トニー・・・この音って・・・」
トニー「勿論僕が呼んだ」
ブロロロロロ…
ゆんゆん「だんだんこっちに近付いて来て・・・る?」
HUMMER「」グォオンッ!
キキィッ…
ウィズ「」
めぐみん「」
ゆんゆん「」
ダクネス「なっ・・・なぁぁぁああっ!?これは一体なんだ!?」
カズマ「これはひどい」
アクア「あんたねぇ、どんだけファンタジーをぶっ壊せば気が済むのよ!?」
トニー「見た目に反して中は快適だぞ?自動運転だし、お酒もある。広くて快適、キャンピングカーも顔負けの居住性だ。ヴォーミアに付くまで中で宴会でもするか?」
アクア「早く乗りましょう!」
カズマ「ファンタジーが壊れていく・・・いや、元からこの世界にそんなの求めてなかったけどさ・・・」
ゆんゆん「あ、あの・・・これは?」
カズマ「これは“くるま”ってやつだよ。トニーの国じゃ普通に走ってる」
ゆんゆん「魔力式・・・?あんなの動かすなんていったいどれだけの魔力が・・・」
めぐみん「トニーの魔力はゼロですし・・・あの、これどれくらい動くんですか?走っている内に私たちの魔力が使われていくとかなんて事は無いですよね?」
トニー「半永久的だ。魔力じゃなくてリアクターで動いている」
めぐみん「りあくたー・・・確かトニーの鎧の胸にも付いてたやつでしたよね?何の魔力も感じませんでしたし、あれが“かがく”ってやつなのでしょうか・・・」
ウィズ「私の店と良く取引をしてるあの凄腕魔道具職人さんなら何か分かるかもしれませんね・・・」
トニー「そうだウィズ、僕の作った道具の売れ具合はどうだ?まだまだ売れてるか?」
ウィズ「はい!改良も加えてもらったのでさらに売れるようになると思いますよ!」
トニー「・・・改良?どういうことだ?」
ウィズ「え?あ、あの・・・トニーさんが店に置いてくれた品をみたとある魔道具職人さんが“魔力も感じないしつまらない道具だ、ワシが改良してやろう”って・・・ト、トニーさん?顔が怖いですよ・・・?」
トニー「その職人ってのは・・・ひょいざぶろーって名前じゃないよな?」
ウィズ「はい!そうです!ご存知なんですか?すごい方ですよね!!」
トニー「・・・」ガクッ…
ウィズ「トニーさん!?どうしたんですか!?大丈夫ですか!?」
めぐみん「おや、トニーが膝をついて項垂れるなんて珍しいですね」
トニー「もういい・・・僕は車で寝る。ゲームはまた今度付き合ってやるから寝させてくれ・・・」
ダクネス「馬やリザードランナーが付いていないだなんて・・・本当にちゃんと動くのか?」
トニー「寧ろこれに乗ったら二度と馬車なんて乗れなくなるさ。きっと気に入るぞ?」
ダクネス「・・・信じがたいな」
....
..
.
アルカンレティア付近
ブロロロロロ…
ダクネス「ハハハ!!どうした初心者殺し!お前の速度はそんなものか!!ハハハハ!!」
初心者殺し「ガルァァアアッッ!!」ドドド…
カズマ「おい、サンルーフから身を乗り出すなよ。車体が跳ねたらお前車外に投げ出されるぞ」
トニー「気に入ってもらえたようで何より・・・」
ウィズ「トニーさん、寝なくていいんですか?お疲れみたいでしたが・・・」
トニー「これだけ騒がれたら寝たくても寝られないよ。ウィズ」
ダクネス「トニー!凄いなこれは!!こんな魔道具は初めてだ!見ろ!あの初心者殺しがあんなに血走った目で私のことを見つめながら追いかけて・・・」
フライデー『前方に悪路を検知。揺れに注意してください』
ガタンッ!
ダクネス「あ---」ヒュンッ
ズシャァッ
ゴロゴロゴロ…
ゴァァァアアッ!
ゆんゆん「あぁっ!!ダクネスさんが落ちましたよ!?初心者殺しに噛まれて大変なことに・・・あ、あれっ?嬉しそう・・・」
カズマ「フライデー!車止めてくれ!だから身を乗り出すなって言ったのに・・・!誰か付いてきてくれ!あのかじられて喜んでるドM女を助けるぞ!」
ウィズ「私が行きます!」タッ
キキィッ!
ガチャッ
カズマ「コラッ!その変態は固いし色んな意味で美味しくないぞ!こっちの携帯食料やるからどっか行け!」ポイッ
初心者殺し「グルルッ…」クルッ
ドドド…
カズマ「ふぅ、戦うことにならなくてよかった・・・ほらダクネス、さっさと車に戻るぞ」
ダクネス「車外に投げ出された挙句、飢えた獣にまたがられるなんて・・・ハァハァ・・・///」
カズマ「携帯食料に負けたのがそんなに嬉しいか?」
ダクネス「!?」
....
..
.
数時間後…
トニー「とうとうファンタジーな世界で冒険が始まったって感じだな」グビッ…
カズマ「あのな、冒険って言うのはな?目的地まで馬車や徒歩でゆっくりと行き、夜になったら焚火をしつつ、道中あったことについて仲間と語り合ったりしながら時間を掛けてするもんなんだよ」
カズマ「間違ってもこんなリムジンと装甲車を混ぜたような車に乗って、中でブランデー片手に数時間で国境を越えたりするのは冒険じゃない」
ダクネス「アルカンレティアに行くとき、野宿するのが一日で済むようにと朝一番の馬車で出発してたクセによく言う・・・」
トニー「単なる旅行ならそれも悪くないかもな。だが、今は時間が惜しいし、観光するような場所でもないところを馬車でただひたすら進むなんて退屈だろ?ただでさえ娯楽が無い世界だと言うのに・・・」
カズマ「・・・一つだけ、どの世界の娯楽にも勝ると言える娯楽がこの世界にあると言ったら?」
トニー「そんなのがあるのか?」
カズマ「・・・トニー、ちょっとこっちへ・・・」コソッ…
トニー「?」コソッ
カズマ「いいか・・・?どんな夢でも見せてもらえる喫茶店があるんだ」ヒソヒソ…
トニー「・・・夢?」
カズマ「あぁ、サキュバスがこっそりと運営してる喫茶店だ」ヒソヒソ…
トニー「僕が若いころに行ったカジノでも“私はサキュバスよ”なんて言って近付いてきた女性が居たっけな・・・そんな感じか?」ヒソヒソ…
カズマ「何それ羨ましい・・・って、違う!そういうことじゃない!」ヒソヒソ…
トニー「誘ってくれてうれしいが、僕はもうペッパーという心に決めた人が・・・」ヒソ…
カズマ「・・・ペッパーにも会えるって言ったら?」ヒソ…
トニー「詳しく」
カズマ「お、おう・・・あのな?サキュバスってのは下級の悪魔で、眠っている男に淫夢を見せるんだ。そして、その夢を見せている間に男から精気を吸う。悪魔のご飯は、人間の悪感情だからな」ヒソヒソ…
トニー(バニルもそんなことを言っていたな・・・)
カズマ「淫夢の値段は格安だ。サキュバスたちは人として生活できる最低限のお金があればいい、目的は精気を吸って生きていくことなんだからな。そして、俺達は精気を吸ってもらうことによって仲間に劣情を抱かなくても済むし、一人でゴソゴソする必要もなくなる」ヒソヒソ…
カズマ「アクセルの犯罪率が国内で最も低い理由を知っているか?サキュバスの店があるからなんだ」ヒソヒソ…
トニー「・・・完璧じゃないか」
カズマ「良いか?話はここからだ。夢を見せるって言ったろ?つまり、なんでもいいんだ。どんなシチュエーションでも、どんな相手でも、自分がどんな存在になるかさえもだ。条例だとか肖像権だとかそんなものも一切存在しない。なぜなら?そう、夢だからだ!」ヒソヒソ…
トニー「完璧じゃないか!」
カズマ「馬鹿っ!声がデカい!あの店は女に知られちゃまずいんだ!」ヒソヒソ…
トニー「おっと、失礼。ロキの事が完全に頭から抜け出る位には良い事を聞いた。さっさと倒して帰ろう」
カズマ「あれ・・・?俺らの目的ってこの世界を救う事だったような・・・」
めぐみん「あの男達、一体何を話していたのでしょうね?」
アクア「鼻の下が伸び切ってる顔からして、絶対ロクな事じゃなさそうね・・・」
トニー(いやぁ、帰るのが楽しみだ・・・)
ゆんゆん「あの・・・トニーさん?」
トニー「なんだ?さっきの会話の内容なら話せないぞ?」
ゆんゆん「いえ、違うんです・・・そうじゃなくって、えっと・・・そ、その・・・知力の高いトニーさんに、聞きたいことが・・・」
トニー「友達の作り方なら、僕も知りたい」
ゆんゆん「えぇっ!?私まだ何も・・・」
めぐみん「大丈夫ですよ、ゆんゆん。あなたが恥ずかしい質問をしなくても済むように私があらかじめトニーにゆんゆんが悩んでいるであろうことを話しておきました」グッ
ゆんゆん「余計に恥ずかしいんだけど!?」
トニー「君には既にいい友達がいるじゃないか、友情は欲張るもんじゃない。僕は友達を作る事よりも今いる友達を大切にしてるよ」
めぐみん「トニーもたまには良い事言うじゃないですか」
アクア「本当ね。いつも嫌味と皮肉と傲慢な発言しかしないのに」
トニー「そんなにか?」
アクア「エゴイスト根性が魂にまで染み付いてるって感じよ」
トニー「君にだけは言われたくないぞ。アルコールと能天気がDNAにまで染み付いてるクセに」
アクア「・・・女神を馬鹿にしてると痛い目に・・・」
トニー「神とは目に見えない魔法の友達に全責任を押し付ける無能なやつらが考えだしたフィクションだ」
アクア「ち、違うわよ・・・ここにちゃんといるし・・・可愛い信者だっているんだからっ・・・」ジワッ…
トニー「君の言う信者ってのは君の考えや思想に共感した、ただの賛同者の集まりだろ!」
アクア「うっ・・・うわああああああん!!!カズマさぁぁあああん!!トニーが私の存在を全否定したぁああああああ!!」ワッ
ゆんゆん「ト、トニーさん・・・ひどい・・・・」
カズマ「アクアを虐めるなよ・・・面倒なんだから・・・」
トニー「言われたから言い返しただけだ」
アクア「うぅ・・・ぐすっ・・・」
トニー「・・・分かった。悪かったよ、ごめん。ラボのお酒また自由に飲んでいいから・・・」
アクア「・・・焼酎も飲んでいい?」チラッ…
トニー「君、実はそんなに気にしてないだろ」
アクア「とっても傷ついたんですけど!!謝って!ねぇ謝って!女神を否定したこと謝って!!」
トニー「はいはい、この車に積んであるお酒で一番いいのを注いでやるから・・・」
ピピピッ
カズマ「---!」ビリッ
フライデー『ボス!上空に巨大な生体反---』
カズマ「トニー!敵感知だ!上から来るぞ!気をつけ---」
ガ ク ン ッ!
ゆんゆん「きゃぁっ!?」グラッ…
トニー「フライデー、何が起きてる!?」
フライデー『車体上部に正体不明の巨大生物を検知、脱出できません。車体強度をスクリーンに表示します』ヴンッ
〔車体強度 97%〕
ググッ…
ダクネス「お、おい!車体がどんどん地上から離れていく!飛んでるぞ!!」
めぐみん「い、いいい・・・一体何が・・・!」
カズマ「おい、落ち着けめぐみん!トニー!この車は持つのか!?」
トニー「戦車砲を打ち込まれても耐えられるようにできている!」
メギギィ…
ピシッ…
〔車体強度62%〕
アクア「車がひしゃげ始めてるんですけど!?窓にもヒビが入ってるんですけど!?」
トニー(一体どんな生物だ・・・!)
ウィズ「鋼鉄製の車体を力だけで曲げ、なおかつ空を飛ぶモンスターなんて・・・」
カズマ「めぐみん!サンルーフから何か見えないか!?」
めぐみん「少し待ってください!揺れてて動きが・・・!あっ、見えそうです!確認し・・・」
グルルルル…
ギョロッ…
めぐみん「ド、ドドド、ドラ・・・」サァッ…
ドラゴン「ゴァァアアアアアアアッッ!!」ビリビリ…
めぐみん「ドラゴンですぅぅぅうううっ!!!!」
カズマ「ドラゴンンンンンン!!?なんでそんな怪物がいるんだよ!」
ウィズ「どうやらここはもうヴォーミアの近くみたいですね・・・!思っていた以上にこの乗り物の速度が速かったようです・・・!この辺のモンスターはとても強力ですよ!」
カズマ「マジかよ!もうそんなとこまで来てたの!?ていうか、大丈夫なのかこれ!?もう地上から相当離れてるぞ!」
ドラゴン「グルァァァァァアッ!!」ググッ…
メキメキ…
〔車体強度 41%〕
ゆんゆん「窓ガラスが・・・!こ、このままじゃ危ないです!もし割れた窓から中にブレスなんて吐かれようものなら・・・!」
めぐみん「ひっ・・・!ゆんゆん!何とかしてください!!」
ゆんゆん「落ち着いてよめぐみん!なんでそんなにパニックになってるの!?」
めぐみん「私が逆境に弱い事くらいは知ってるでしょう!?こんな爆裂魔法も打てない状況じゃ私もう本当にただの一般人!!大体、なんでドラゴンに狙われてるんですか!?こんなおいしくもなさそうな物を狙うなんて・・・」
ウィズ「ドラゴンは光物が好きで、よく金品や綺麗な鎧などを集めています。ですので・・・その・・・」チラッ…
トニー「・・・」フイッ…
トニー「鏡面仕上げに・・・すべきじゃなかったな・・・」ボソッ…
カズマ「お前かぁぁぁあああああああ!!お前ふざけんなよ!?何してくれてんの!?」
トニー「高級車はピカピカにしてこそだろ!!」
カズマ「うるせえ!!大体カラーリングからしておかしいんだよ!なんでお前の鎧と同じにしてるんだ!どんだけ目立ちたがり屋なんだよ!!走る棺桶じゃねぇか!!あれだ、お前バカだろ!頭は良くても根っこはバカだろ!!」
トニー「その棺桶の中でくつろいでたくせにつべこべ言うな!!」
ダクネス「おい!喧嘩してる場合じゃないぞ!!窓ガラスが・・・!」
ピシッ…
ピキキッ…
〔車体強度19%〕
カズマ「うおおっ!?馬鹿なことやってるうちに車体強度が大変なことに・・・!トニー!何とかしてくれ!」
トニー「車体表面に電流を流せ!」
フライデー『電気系統、損傷』
カズマ「銃とか火炎放射器とか付いていないのか!?」
フライデー『銃火器系統、損傷』
カズマ「なんなら使えるんだ!」
フライデー『エアコンは快調です』
カズマ「なめんな!!」
トニー「こうなったら僕が直接外に出て戦う!」バッ
ダクネス「お前は今鎧を着ていないではないか!どうするつもりだ!」
トニー「この車に搭載してある!」
ダクネス「一体・・・何を言っているんだ・・・?」
トニー「アクア!運転席から離れろ!」ダッ
アクア「わ、わかったわ!」サッ
ミシィッ…
ベキベキ…
〔車体強度9%〕
アクア「わ、わあああああーっ!!トニー!トニー!!なんでもいいから早くしてえええええっ!!」
トニー(間に合えよ・・・!)バッ
ピッ ピピッ
ドラゴン「ゴァァァアアッ!!」
ベゴンッ!
ボゴッ…
ギギギギ…
〔車体強度1%〕
カズマ・アクア「「もう駄目だあああああああ!!」」
トニー「スーツ装着」ピッ…
ガシャンッ
ウィーンッ
ウィィイッ ガキンッ
ゆんゆん「なんですか・・・あれ・・・」
ウィズ「ソ、ソファが変形してる・・・!」
ガコガコガコ…
ガキキッ…
めぐみん「お、おおお・・・!!」
ガシンッ…
カンッ
トニー「ぶちのめすぞ」キュィィィィンッ
バリィィィィイインッ!!
ゆんゆん「トニーさんが窓突き破って出て行ってしまいましたよ!?大丈夫なんですか!?」
めぐみん「ふふふ、心配いりませんよ。彼の鎧は空を飛ぶのです」
ゆんゆん「え、えぇ・・・?」
ウィズ「何度か見せてもらった事がありますが・・・いまだに信じられないです」
----------------------------------
車外
ドラゴン「グルル…」
トニー「僕の愛車を離してもらおうか、トカゲ野郎」
ドラゴン「・・・」ボゥッ…
トニー「君口から火を噴けるのか?」
フライデー『ボス、ドラゴンの口に膨大な熱エネルギーが集まっています。対抗措置を』
トニー「口から何かを撃とうとしている奴への反撃なんて一つしかないだろう」ジャキッ
トニー「アクア、聖書のヨナを知っているか?」
アクア『えっ!?あの人の真似はやめておいた方が・・・』
トニー「突っ込むのは僕じゃなくてミサイルだけどな」パシュゥゥゥゥッ
ズガァァアアアッ!
ドラゴン「ギェァアアアアッ!?」グラッ
ポロッ…
フライデー『車が落下します!』
トニー「わかってる!!」ドシュゥゥゥウウッ!!
ガシッ
グググッ…
めぐみん『トニー!聞こえてますか!?ドラゴンはどうなりましたか!?』
トニー「ドラゴン?あぁ、あのトカゲなら一杯食わされて慌てて帰っていったよ。今降ろしてやるからな」
シュゴゴゴゴ…
ガシャンッ
スタッ
アクア「いたた・・・もっとゆっくり降ろしてよ・・・」ガチャッ
トニー「フライデー、車はまだ走れそうか?」
フライデー『不可能です。もう動けません』
カズマ「バニルの忠告通り、ゆんゆんとウィズを連れてきて正解だったな。帰れなくなるところだった」
ウィズ「ギリギリですが、なんとかヴォーミアにたどり着くことができましたね」
カズマ「全員車から出たし、作戦をもう一度説明するぞ。ゆんゆん、念のため確認しておくが、テレポートはもう習得済みなんだよな?」
ゆんゆん「はい、最近ようやくですが・・・」
カズマ「よし、まずはここをテレポートの転送先に登録。あとはウィズの姿を消す魔法と、俺の潜伏を使って敵から隠れつつ、千里眼で誘拐された人たちを探す。見つけたら後はゆんゆんがひたすらテレポートで行方不明者をアクセルへと飛ばしていく」
カズマ「ゆんゆんの魔力が切れたら俺がドレインタッチでアクアからゆんゆんに魔力を供給する。そうして全員をテレポートで救出させたら後は簡単。そのまま姿を隠してロキを探し出し、不意打ちでめぐみんとウィズの爆裂魔法とトニーの最大火力を叩き込む。ここまでしたらさすがに倒せるだろ。何か質問は?」
トニー「特にないが・・・よくもまぁ、こんなえげつない作戦が立てられるもんだ。ロキは何も分からないまま集めた労働者を根こそぎ奪い返され、さらに爆裂魔法を撃ちこまれるなんてな・・・」
カズマ「なんだよ!さっき説明した時は“良い作戦だ”って言ってただろ!」
トニー「いや、確かに良い作戦ではあるんだが・・・僕の知り合いにもこういう時作戦を立案する奴がいてな。彼が聞いたら顔をしかめそうだ」
めぐみん「カズマはいつも狡すっからくてえげつない作戦を立てますよ?そのうち慣れます」
ダクネス「安全に倒せるなら手段を問わないからな。この男は」
アクア「言ったって治らないわよ?」
ゆんゆん・ウィズ「・・・」
カズマ「お前ら好き放題言いやがって・・・!ほら!さっさと行くぞ!ドラゴンとの戦闘で大きな音も立てちまったしな、モンスターが寄って来る前に作戦を始めるぞ!ウィズ頼む!」
ウィズ「は、はい!・・・あの、ここって本当は危険なモンスターがたくさんいるはずなんですよ・・・あれだけ大きな騒ぎを立てて、敵感知にまだ反応がないですか?本来なら、もうすでに多くのモンスターがこっちに向かって来ててもおかしくはないはずですが・・・」
カズマ「・・・確かに、全くないな」
めぐみん「考えられる理由としては二つですね。一つはたまたま運よくモンスターが居なかった。もう一つは、あらゆるモンスターが近付かないほどの強力な存在が近くにいるか・・・あの、これは気のせいだといいんですが・・・トニー、さっきのドラゴンと戦ってて何か気が付きませんでしたか?」
トニー「・・・?いや、特に何も気が付かなかったが」
めぐみん「さっきは言う暇がなかったんですが・・・車の中でドラゴンと目が合った時、心なしかドラゴンの目が焦っているかのような、何かを恐れているかのような目をしていたように感じていたんですよ」
ゆんゆん「・・・つまり、さっきのドラゴンは何かから逃げていたってこと・・・?だ、だとしたら---」
ザッ…
「どこかで見た顔があるかと思えば・・・」
「「「「「「!!」」」」」
ロキ「三年ぶりか?スターク。世界は狭いな」
トニー「・・・やぁ、トナカイ君」
実はMCUのやり取りのパロだけではなくて、このすばのパロや、同じく暁なつめ先生が書いている「戦闘員派遣します」のパロも入っています。気になったら探しててくださいね!
>>284のイメージ
https://youtu.be/Z8bmA9WGyL4
カズマ「な・・・なんで敵感知が・・・!」
ロキ「敵感知?ふっ、いいか小僧。お前達は私にとって虫ケラと変わらない。いちいち敵視するとでも?」
カズマ(こいつ!俺の大嫌いなタイプだ!)
ロキ「うん・・・?」チラッ
アクア「・・・?な、なに・・・?」
ロキ「ほぉ、水の精か。この世界でも変わった仲間を連れているようだな」
アクア「せ、精!?水の精じゃなくて水の女神なんですけど!!」
ロキ「信仰心の力が無ければ存在さえできない程度の存在が神を名乗るな。神の格が下がるだろ?」
アクア「きぃぃいいいーっ!!」ジタバタ
ウィズ「アクア様!落ち着いてください!」
めぐみん「・・・もう爆裂魔法を撃ってもいいですか?正直、これ以上この男の罵倒を黙って聞いていられる自信がありません。大体、あの岩の上から私達を見下して登場なんて演出が気に食わないです。ああいうのは選ばれし紅魔族である私の役です」
カズマ「後半何言ってるか理解できなかったけどやっちまえ!」
ロキ「おっと、そんなことをしていいのか?お前たちがせっかく探しに来た人間共が塵になるぞ?」
ゾロゾロ…
ダクネス「あれは・・・!誘拐された人たちか!?」
めぐみん(セシリーお姉さんもいる・・・!)
ダクネス「その人たちを離せ!それでも神を自称する男か!聞いてあきれる!人質を取って好き放題攻撃するのだとしても、私は決して屈しないぞ!」
カズマ「ここだけだとかっこいいんだけどなぁ・・・」
トニー「・・・いうな」
ロキ「歯向かう前に話を聞け。私はこの世界を平和にしようとしているのだぞ?まず第一に私の圧倒的な」
セシリー「ハァハァ・・・ロキ様・・・!八頭身の美しい長身にその下すような視線はあまりにも似合いすぎです・・・そして、細いかと思いきや以外にも引き締まっていてがっしりとした体・・・美しさすら感じます・・・ハァハァ・・・」ペタペタ
ロキ「・・・まず第一に私の圧倒的な力を見せつ」
アクシズ教徒A「ロキ様・・・!あぁ、ロキ様・・・時折見せる不敵さと知性が合わさった笑みが大変うつくしゅうございます・・・私は男ですが、あなたのその知性あふれる表情の中に愛嬌も感じられる甘いマスクの虜です・・・ハァハァ・・・」ペタペタ
ロキ「触るな!なんなんだお前達は!私から離れろ!ぐっ・・・離れろと言っているだろ!」ブンッ
カズマ「・・・なぁ、あれ放っておいてもいいんじゃないか?」
めぐみん「私もそんな気がしてきました」
アクア「うわぁぁぁぁああん!カズマさぁぁぁぁぁああん!!私の可愛い信者たちが取られたぁぁぁあああ!!」ビェェ
カズマ「今はむしろ都合が良い。このまま放置で」
アクア「そんなの嫌よ!!取り返すの手伝って!!」
ゆんゆん「でもおかしいね・・・あのアクシズ教徒が他の神を信仰しだすなんて・・・」
めぐみん「えぇ、アクシズ教徒は狂信的な信仰心を持っていると聞きますから、確かにおかしいです。というより、高レベルの冒険者たちまでもが跪いているのは一体どういうことなのでしょうか・・・まるで本当にロキを信仰しているかのようです・・・」
ウィズ(跪いている人たちから、本来持っているものとは違う魔力を感じる・・・まるで何かの魔法をかけられているかのような・・・これは・・・まさか・・・)
ウィズ「・・・使いましたね?禁呪とされている魔法を」
カズマ「禁呪?どういうことだ?ウィズ」
ウィズ「問答無用で対象の心を支配し、意のままに操る凶悪な服従の洗脳魔法。数百年前に封じられた禁呪です・・・私がリッチーになろうとしたときに名前だけ見た魔法ですが、まさかあれだけの規模で扱えるなんて・・・」
ロキ「この世界の禁呪程度、私からすれば初級魔法と何ら変わらない。実に私向けの、使い勝手がいい魔法なので使わせてもらってるよ」
ウィズ「せめて、戦いとは関係のない市民たちは解放してあげてください!彼らには何の罪もありません!」
ロキ「魔王軍幹部のお前が何故人間の味方をする?」
ウィズ「ど、どうして私の正体を・・・!?」
ロキ「自己紹介がまだだったな」
ロキ「我が名はロキ。魔王軍幹部の一人にして悪戯の神」
トニー「・・・プッ」
ロキ「・・・何がおかしい?」
トニー「おい、聞いたか?ロキはこの世界を支配するなんて大層な野望掲げてるくせに魔王の下についているだとさ。しかも自分をイタズラの神だなんて名乗っているぞ!ひょっとして卑下してるのか?神様ジョークは分かりにくいな!」
ダクネス「おい、笑うなトニー・・・失礼だぞ・・・ププッ・・・!」プルプル…
カズマ「宴会芸の神よりしょうもない肩書だな・・・プッ」
ゆんゆん「や、やめましょうよ・・・かわいそうですよ・・・」
アクア「ちょっと!何怒らせるようなこと言ってるのよ!」
カズマ「どうしたアクア、いつもならお前も混じって相手を煽るだろうに」
アクア「相手が相手でしょ!!格上の神を倒すときは下手に出て、高慢な態度を利用して隙を突くのよ!!」
めぐみん「アクアも既に取り返しのつかないこと言ってますよ?」
ロキ「・・・私が魔王軍に付いているのは、この洗脳魔法を教えることと引き換えに魔王軍に協力を頼まれたからだ。私から進んで魔王軍に下ったわけではない。この魔法の力を使って配下を増やし・・・そして魔王諸共この国を乗っ取る」
ロキ「この国の支配が終われば・・・大した武力を持たない他の国は抵抗もせず降伏するだろう・・・世界征服までもう目前だ」ニヤ…
カズマ「ウィズ、あんなこと言ってるぞ。今の内に魔王にチクって来いよ」
ウィズ「えっ!?た、たしかに・・・そうすべきなのでしょうか・・・」
ロキ「・・・お前はそんな嫌がらせ程度にしかならないことを良く実践する気になるな」
カズマ「うるせーな!イタズラの神に言われたってなんとも思わねーよ!!いいか、よく聞けよ!嫌がらせとはいえ、このことを魔王にバラされたら面倒なことになるのは確かだろ?だから、お前が誘拐した人間を半分解放しろ。そしたら黙っておいてやらないこともない」
ロキ「・・・」
カズマ「恨むなら自分を恨めよ?あんなふうに自分からドヤ顔で計画を明かすお前が悪いんだからなぁ!」
ロキ「そんな脅しが通用するとでも?ここでお前たちを殺せば何の問題もあるまい。わざわざ計画を語ったのもお前たちがここで死ぬからだ」
カズマ(やっぱりそう来たか・・・!)
ロキ「それに、もう手遅れだ。手駒として連れてきた人間の中にはまるで役に立たない平民もいたんでね」
ロキ「そいつらは処分した」
カズマ「え、今なんて」
ロキ「処分したと言ったんだ。役に立たない人間など、置いて何の得がある?使えない平民は皆冒険者に殺させ---」
「『カースド・クリスタルプリズン』」
パ キ ィ ン ッ !
ロキ「ッ!?」バッ
パキキ…
ロキ「・・・冒険者たちごと私を氷漬けにするつもりだったのか?」
ウィズ「いいえ?私の得意なこの魔法なら絶対にあなただけを凍らせて粉々に砕くことができる自信があったので・・・」
ロキ(なんだ・・・?急に様子が・・・?)
ウィズ「魔王軍幹部になったんですよね?なら、魔王さんから私について何も聞かなかったんですか?」
ロキ「老いぼれの話を聞くのにはうんざりしててね」
ウィズ「あなたが戦闘に携わる物以外の殺傷をしなければ・・・私は敵対するつもりはありませんでした」
ウィズ「ですが・・・役に立たないから殺した・・・?それも、洗脳した冒険者を使って・・・?」
ウィズ「あなたは神と言う尊い存在でありながら、何故そうも人を踏みにじるのですか!?」
ロキ「私が神だからこそ、それが弱者の定めというものだ!!『インフェルノ』ッッッ!!」
ゴ ゥ ッ !
カズマ「おいなんだありゃ!!!トニー!ロキって上級魔法使えんのか!?」
トニー「僕と同じだ!便利だと思ったからスキルを取った僕と同じで、あいつも使えると思ったからこの世界の魔法を取ったんだろうよ!」
ゆんゆん「あんなの見たことないですよ!上級魔法の威力じゃないです!あれほどの炎なんて・・・」
めぐみん「カ、カズマ!どうしますか!?私の爆裂魔法ならあの炎も相殺できると思いますが・・・」
カズマ「お前は撃ったら動けなくなるだろ!まだダメだ!」
ダクネス「あれを受けたら・・・私はどうなってしまうのだ・・・?」
カズマ「炭になるわ!!畜生!まともな奴がいねぇ!ゆんゆん!ウィズ!ここはいったん撤退だ!テレポートを頼む!もう時間がない!!」
ウィズ「わかりました!ゆんゆんさん!準備は良いですか!?」
ゆんゆん「はいっ!」
アクア「っ!」バッ
カズマ「は!?おいアクア!なんで前出てんだ!!戻ってこい!」
アクア「嫌よ!自分の信者を救うこともできずに、ここで逃げ帰ったら次から私はどんな顔して信者の子達に会えって言うのよ!」
トニー「そんなワガママ言ってる場合じゃ無い!もう炎がすぐそこまで来てるんだぞ!」
カズマ「アクアはトニーが抱えて飛んでくれ!俺たちはテレポートで飛---」
アクア「この世に在る我が眷属よ・・・!」ズズズ…
カズマ「---ぶ・・・?」
アクア「水の女神、アクアが命ず・・・!」
アクア「『セイクリッド・クリエイトウォーター』ッッッ!!!」
ゴ バ ッ !
バシャァァァアアッ!!
カズマ「うぉおおおおおおお!?」
ゆんゆん「凄い・・・!あの業火を真正面から止めてる・・・!」
ズドドドドド…
アクア「うぉりゃぁぁぁああああっっっ!!」ググッ…
トニー「良いぞアクア!その調子だ!」
ロキ「水の精ごときが・・・!調子に乗るな!」
カズマ(うん・・・?今なら・・・)コソッ…
アクア「さぁ、観念して私の信者たちを返してちょうだい!!」
ロキ「後でお前の目の前で殺してや・・・」
カズマ「『スティール』ッッッッ!!」パシッ
「「「「「「えっ」」」」」
ロキの杖「」
カズマ「ふへへ・・・」ニヤッ
カズマ「いぇえええええええい!!馬鹿みたいに魔法を撃ってる間、潜伏でこっそり近付いてるとも知らずにめでたい奴だな!!なーにが神だ!ざまあみろ!!人間舐めてっからこんな目に合うんだよ!!所詮はイタズラの神だな!!ばぁあああああああああか!!!」ゲラゲラ
カズマ「今だアクア!杖が無ければ魔法の威力は半減だ!やっちまえ!!」
「「「「「「「・・・」」」」」」」
カズマ「お、おい・・・どうしたんだよ、魔法のぶつけ合いまでやめちまって・・・」
ダクネス「・・・今のは無いぞ」
めぐみん「美味しいところを持っていくという考えは紅魔族の私にはわかります。ですがこれは・・・」
アクア「あんたね、さすがに今のは邪魔するべきじゃなかったと思うの」
トニー「・・・いや、君はこれ以上ない位うまく隙を突いて敵の武器を奪ったんだ。よくやった。気にするな」
カズマ「なんだよお前ら!俺がせっかく勝機をみつけてやったってのに!もういい、ウィズ!この杖をぶっ壊してくれ!そのあとロキは数に物言わせてぶちのめそうぜ!」
ロキ「・・・」
めぐみん「杖を取られたと言うのになぜあの男は普通に立っているのでしょう・・・?」
トニー「・・・変だな。正面にいるロキから生体反応を感じない」
ダクネス「なに・・・?カズマ!何かおかしいぞ!こっちに戻ってこい!」
ウィズ「カズマさん!戻ってきてください!カズマさんが奪った杖はおそらく偽物です!」
カズマ「え」
ドスッ…
カズマ「がっ・・・!?」ゴボッ…
めぐみん「カズマあああああああ!!」
ロキ「本気で私を出し抜けるとでも思ったのか?」グリッ…
カズマ「ぅ・・・」ボタボタ….
ロキ「哀れな男だな」ブンッ
ドシャッ…
ゆんゆん「そんな・・・カズマさんが・・・!」
アクア「ロキが・・・二人・・・?」
ウィズ「・・・さっきまでロキさんが立っていたところからは何の生気も感じられず、カズマさんが持っている杖からはなんの魔力も感じられませんでした・・・おそらく幻影の類です・・・」
トニー「・・・」
ロキ「ほら、このゴミはお前らのだろう?返してやろう」ドカッ
ズシャァッ…
ゴロゴロ…
ダクネス「貴様・・・!大切な仲間を串刺しにした挙句足蹴にするなど・・・!絶対に貴様を殺してやる!!」
めぐみん「私にやらせてください。あの邪神気取りは爆裂魔法で塵にしないと気が済みません」
トニー「いや、駄目だ」
めぐみん「そんな!どうしてですか!?」
トニー「作戦は失敗し、カズマが殺された!一度撤退すべきだ!」
めぐみん「うぅ・・・!」
アクア「でも・・・!」
トニー「ゆんゆん!アクアとめぐみんとダクネス、そしてカズマの遺体を連れてアクセルにテレポートしてくれ」
ゆんゆん「は、はい!」
トニー「ゆんゆんがテレポートするまでの時間は僕とウィズが稼ぐ」
ロキ「帰れると思っているのか?」ユラッ…
ウィズ「サポートします!『カースド・ライトニング』ッ!」ヴァチチッ…
ズァッ!
ロキ「無駄だ!」パァンッ
ウィズ「『ライトニング・ストラ・・・」
ロキ「邪魔なアンデッドだ・・・!『クリムゾン・レーザー』ッ!」ドゥッ
ウィズ「!」
トニー「僕が打ち消す!」ヴァゥゥンッ
バチィンッ
アクア「うぅぅ・・・何もできずに帰るなんて・・・!」
トニー「早く行け!」ヴァゥゥンッ
ダクネス「だが・・・!」
トニー「行け!冷静じゃない頭で戦って、僕らまでやられたらカズマの死が無駄になる!良いから行け!」
ダクネス「・・・」
アクア「・・・必ず戻ってくるわよ」
めぐみん「・・・わかり・・・ました・・・!ゆんゆん、お願いします」ギリッ…
ゆんゆん「うん!トニーさん!ウィズさん!必ず戻ってきてください!『テレポート』ッ!」
フッ…
トニー「よし、アクアたちは脱出に成功したな。ウィズ、僕が隙を作ってすぐ君の方へ飛ぶ。テレポートの用意をしておいてくれ」
ウィズ「準備します!気を付けてください!」
トニー「あんたは相変わらず人を怒らせるのが得意なんだな。ロキ」キュィィィン…
ヴァゥゥンッ!
ロキ「お前こそ、変わったのはスーツの見た目だけか?」パァンッ
トニー「どうだろうな。あんたで試してみるよ」ジャキッ
ロキ「何度撃っても弾かれるだけだ」ス…
パシュゥゥゥッ
ズガァァンッ
ロキ「・・・?なんだ?地面など撃って・・・こんな爆煙を起こした程度で目くらましになるとでも?」
シュゥゥ…
ロキ「・・・」
キュィィ…
ロキ「丸わかりだ!!『ライト・オブ・セイバー』ッッッ!!」ブォンッ
ズバンッ…
ドサッ…
ロキ(手ごたえありだ)ニヤ…
Mk45「」ガランッ… ヴァチチッ…
ロキ「・・・!」
ロキ(空だと・・・!?)
トニー「ウィズ、面白いものが見れたな!僕を切ったと勘違いして舞い上がってるロキだ!ちゃんと撮ったか?フライデー」
フライデー『はい。ちょうどいいタイミングで煙が晴れたので綺麗に撮れています』
ウィズ「悪党相手とは言え、こういう嫌がらせはどうなのでしょう・・・」
ロキ「・・・らしくない搦め手だな。誰かの影響か?」
トニー「さぁな。だが、イタズラの神相手にこんな付け焼刃の搦め手が効くと分かってよかったよ。ウィズ、頼む」
ロキ「小賢しい・・・!お前たちは私の前に、必ず敗れる!」
トニー「そのセリフは前にも聞いた。次も僕らが勝つ、そしてカズマの仇は必ず取る。覚悟しろ、ロキ」
ロキ「『エナジー・イグニ・・・」
ウィズ「『テレポート』ッ!」
フッ…
....
..
.
カズマの屋敷
トニー・ウィズ「・・・」ガチャッ…
ゆんゆん「トニーさん!ウィズさん!無事だったんですね!」
トニー「なんとかな・・・スーツが真っ二つにされたが・・・」
ウィズ「申し訳ありません・・・逃げ帰るだけで精いっぱいでした・・・なんて情けない・・・」
ゆんゆん「き、気にしないでください!あれは仕方なかったことだと思います・・・」
トニー「なぁ、ゆんゆん・・・アクアはどこだ?」
ゆんゆん「アクアさんなら・・・カズマさんの部屋に・・・」
トニー「・・・ったく、バカな男だ、勝手に突っ走ってあんな間抜けな・・・」
ダクネス「っ!トニー!」
めぐみん「・・・おい、死んだ仲間を馬鹿にすると言うのなら私にも考えがある」
トニー「あれはあまりにも無茶だった!作戦を話してくれさえすればいくらでもフォローのしようがあったはずだ!」
ダクネス「どうしようもならない時だってある!失敗したことを責めるのはやめろ!」
ウィズ「トニーさんもダクネスさんも落ち着いてください・・・!」オロオロ…
ゆんゆん「めぐみんも!そんな目を赤くしないで!」
めぐみん「・・・」フイッ…
ダクネス「・・・そうだな。すまない、熱くなりすぎた。私は今回何もできなかった・・・前日にカズマが背中を押してくれたと言うのに・・・」
めぐみん「私も・・・今回は何もしていないので、発言は控える事にします・・・まぁ、次こそは私とカズマであの似非邪神を粉砕してみせますよ」
トニー「君はまだしも、カズマ?一体何を・・・」
ガチャッ…
カズマ「今回は死ぬほど恥ずかしい死に方したなぁ・・・ハァ・・・」
アクア「実際死んだじゃない」
トニー「!?!?!?!?」ガタタッ…
アクア「・・・?どうしたのトニー?鳩が爆裂魔法を食らったような顔をして」
カズマ「えっ・・・何この反応。なんでこんな・・・あっ、俺がリザレクションで何度でも蘇れるってこと知らない・・・?」
トニー「なんで生きてる!?心臓を貫かれたハズだろ!?」
カズマ「トニー、お前は本でこの世界の魔法について勉強したんじゃなかったのか?」
トニー「リザレクションは知っている!だが、あんたは転生者として一度生き返っているだろ!?なんでまた・・・」
カズマ「俺は何度でも生き返らせてもらえるんだよ。いや、本当は駄目なんだけどさ・・・」
アクア「あんたが今ここに立っていられるのは、私のおかげってことを忘れない事ね!カズマ!」
カズマ「いや、お前じゃなくてチート武器を貰っていたらそもそも死ぬことは無かったと思うんだけど?」
トニー「・・・」ハァ...
カズマ「なんだよ、死んだと思った俺が生きててガッカリなのか?」
トニー「喜んでやれなくて悪かったな。僕の世界じゃ、心臓を貫かれて死んだ後に生き返る奴なんていなかったもんでね。あまりの展開に驚いていただけだ」
ウィズ「本当は喜んでるはずですよ?さっきはロキさんに対してものすごく怒っていたんですから」
トニー「・・・何も言うな」
ウィズ「“カズマの仇は絶対に取る、覚悟しろ”って。あの時のトニーさんの目は本当に凄かったですよ?」
トニー「・・・話聞いてたか?」
アクア「おっさんのツンデレなんて需要ないわよ?」
カズマ「えっ?俺知らないうちにおっさんとフラグを立ててたの?・・・トニー、俺はノーマルなんだ。お前の気持ちには答えられない。ごめんな」
トニー「なんでそうなるんだ!僕にはペッパーがいるって言ってるだろ!勝手に誤解して勝手に振るな!」
心臓を貫かれて死んだ後に~
実は心臓を貫かれた後に蘇生された人間はMCUにいる。しかも、その人物はトニーを含めたアベンジャーズと接点のある人物
というか、死んだ後に蘇生された人間はMCUには結構いたりする
トニー「はぁ・・・ここに来てからため息ばかりついてるな・・・」
めぐみん「それより、今はロキです。あの男の計画とコロナタイトがどう関係しているのかは分かりませんが、もし見つけてしまったのなら今すぐにでも手を打たねばなりません」
アクア「あ、それなんだけどね・・・」ゴソゴソ…
アクア「じゃん!これ、なんだと思う?」
ウィズ「赤々と燃えているその鉱石は・・・まさか・・・!」
アクア「そう!コロナタイトよ!」
めぐみん「一体どこでそれを・・・?」
アクア「なんかよくわからないんだけど、カズマの体の修復をしてる時にこれがカズマの手に握られていたのを見つけたの。にしても危なかったわねカズマ、もしコロナタイトがこの透明な容器に入っていなければ、機動要塞デストロイヤーの中に入った時みたいに手の皮が張り付いて・・・」
カズマ「やめろやめろ聞きたくない聞きたくない!!」
ゆんゆん「でもなんでコロナタイトが・・・?」
カズマ「ロキの杖をスティールしようとしたとき、杖は取れなかったけど・・・代わりにとっちまったみたいでさ・・・どうしよう、コレ」
めぐみん「ひとまずよかったじゃないですか。ロキの計画の邪魔をすることが出来たのですから」
カズマ「いやいや・・・何が目的であれ、これってロキが探してたものなんだろ?もし盗られたことに気が付いたら、この街に取り返しに来るんじゃないかと思ってさ」
トニー「よし、僕のラボで預かろう。それでいいよな?」
ダクネス「それがいい。この街を火の海にするわけにはいかない」
コンコン…
ダクネス「・・・このタイミングで来客?」チャキッ…
カズマ「まさか、もう取り返しに来たのか・・・?」
ゆんゆん「凄い魔力も感じますよ・・・!警戒しましょう・・・!」ジリッ…
アクア「っ・・・」ジリッ…
ダクネス「全員下がって戦う準備をしろ。私が確認する!」スタスタ…
バンッ!
ダクネス「何者だ!」ジャキッ!
クリス「ひっ・・・!ダ、ダクネス!あたしだよ!あたし!!」ビクッ…
ダクネス「なんだ、クリスだったか」ホッ…
クリス「もう!いきなり親友に剣を向けられるなんてびっくりだよ!」プンスカ
ダクネス「はは・・・す、すまないクリス・・・うん?持ってきているそれはなんだ・・・?」
クリス「これ?これはね・・・すべて神器だよ」
ダクネス「なっ・・・!?い、いったん家に入れ!」
....
..
.
アクア「はい、クリス。お茶入れてきてあげたわよ」カチャッ…
クリス「あ、ありがとうアクアさん・・・」
クリス(お湯だ・・・)
めぐみん「巨大な魔力を扉越しに感じると思ったら神器でしたか。それも二つも・・・一体なぜそんなものをクリスが・・・?」
クリス「話せば長くなっちゃうんだけど・・・みんな知っての通り、あたしは敬虔なエリス教徒でね。ある日、エリス様からのお告げがあったんだ。“行方の知らない神器を悪用されると大変な事になる”って。それを聞いて私は・・・」
ペラペラ…
カズマ(トニーと言い、上手い具合に自分の境遇を隠しつつ理由付けをするもんだなぁ・・・)
クリス「そんなわけで、私はいくらか神器を回収してるからキミ達がロキと戦いやすいように持って来たって訳さ!」
めぐみん「・・・?何故クリスがロキの事を知っているんですか?」
クリス「えっ?・・・あぁっ!そ、それはね?ほら、あたしって盗賊だから情報がすぐに入ってくるんだよね!お、驚いた?」ハハ…
めぐみん「いくら何でも早すぎませんか?私たちがついさっき会ったばかりだと言うのに」
クリス「っ!?そそそ・・・それは・・・」
カズマ(エリス様は意外とアホなところがあるんだろうか・・・?)
クリス「ほ、ほら、魔王軍幹部に新入りが入ったって情報を聞いてね!ちょうどキミたちが旅立った頃に名前だとか情報が入ってきたのさ!」
めぐみん「そうでしたか・・・」
クリス「そ、それよりさ・・・なんだか初めて見る顔がいるね?もう一人の紅魔族の子はギルドで良く一人で遊んでいるから知ってるけど・・・」
ウィズ「私ですか?はじめまして!私はウィズと申します。この街で魔道具店の店長をやらせてもらっています。よろしくお願いしますね?」ニコッ
クリス「こちらこそ、よろしく頼むよ!・・・ところで、顔が真っ白だけど大丈夫かい?なんだかまるで・・・」
クリス「・・・アンデッドみたいだよ?」
ウィズ「!?」ビクッ
クリス「・・・?どうしたの・・・?」
ウィズ「えーっと・・・その・・・」ダラダラ…
カズマ「おっと!これはだなクリス!ウィズのお店は客が全く来なくて年中赤字だからウィズは食べるものが無くて栄養失調気味なんだよ!なっ?ウィズ!」
ウィズ「は、はい!そうなんです!そ・・・そうなんです・・・」シュン…
クリス「た、大変だね・・・今度何か買いに行くよ・・・」ポリポリ…
クリス「あっ!エリス教徒の人たちが恵まれない人たちの為に炊き出しとかやってるから貰ったらどう?」
ウィズ「えぇ!?いやいやとんでもないです!!」ブンブン
カズマ(エリス教の炊き出しに並ぶアンデッドか・・・最悪の光景だな・・・とりあえず、クリスがウィズの正体を知ったら絶対に駄目だ・・・ここはトニーにでも話を振って・・・)
カズマ「・・・トニー?何してるんだ?それにアクアも。クリスの話を聞いてなかったのか?」
アクア「クリスの持って来た神器が気になってちょっと見てたのよ。それで、話?なんかしてたの?」
クリス「いや・・・何でもないよ・・・で、トニーは一体何をしているの?」
トニー「・・・改良の余地ありだな」
クリス「えっ・・・?一体何を言ってるの?」
トニー「この神器二つを僕なりに改良してあげよう」
クリス「駄目だよそんなことしたら!?神器なんだから下手にいじると罰が当たるよ!?」
トニー「よーく観察してみたが・・・ところどころ改良できそうな点がいくらか見つかってね。安心しろよ、ちゃんと改良するから」
クリス「い、いやいや・・・そういうことじゃなくって・・・!」
トニー「素材は凄く良い。少し時間をくれれば、かなりいい武器が作れる筈だ」ウキウキ
クリス「待って!?ねぇ、本当に待って!?神器ってのは神々が作ったとても神聖なもので・・・」
トニー「さて諸君!僕のラボに集合だ!分娩室に招待しよう!」
クリス「お願いだから待ってぇぇぇぇえええ!!!」
....
..
.
トニーのラボ
めぐみん「神器を改造してそれ以上のアイテムを作る・・・?本気ですか?」
トニー「冗談に聞こえるか?」
めぐみん「・・・本気ですね。本気で冗談みたいなことをやるつもりですか」
トニー「でも君だってなんだかんだワクワクす」
めぐみん「勿論ですとも!一体何を作るつもりなんですか!?カッコイイものですよね!?」ズズィッ
トニー「・・・そう来てくれると思った」
ゆんゆん「神器をいじくりまわそうなんて考える人初めて見たかも・・・」
ウィズ「そもそも加工すること自体可能なのでしょうか・・・?」
トニー「元の形が完全になくなるほど変える気はないさ。それじゃぁ、いってみようか!」
クリス「それあたしの決めセリフなのにーっ!」
トニー「そうムスッとした顔をするな。この神器二つの説明を頼むよ」
クリス「はぁ・・・色々と言いたいことがあるけど・・・説明するね」
スチャッ…
クリス「まずはこの弓。名は“魔弓レゴラス”」
トニー「・・・この神器を作った奴は誰なんだ?絶対ロード・オブ・ザ・リング・・・」
クリス「話を続けるね。この弓は、“放った矢が絶対に当たり、どんなものも撃ち貫く”っていう神器だったよ」
ダクネス「すごいな・・・ん?“だった”?」
クリス「神器は本来の持ち主でないと力を最大限発揮できないって話は知っているかな?」
めぐみん「確か、カズマがあの魔剣使いから魔剣を奪った時もただの剣にしかならないとアクアに言われていましたよね」
クリス「そう。この神器も例に漏れず力は制限されてしまっているよ」
ダクネス「具体的には?」
クリス「そうだね・・・絶対に当たるって力は無くなって・・・“強力な貫通力を持った弓”・・・ってところかな」
トニー「・・・微妙じゃないか?当てられないなら意味が無いんだろ?」
めぐみん「そうでもないでしょう。使う人によっては非常に強力になりえるのではないですか?例えば・・・運が極端に高く、それに伴って矢の命中率も高いような男が使えば・・・」チラッ…
カズマ「・・・ふっ」キリッ…
クリス「うん、この弓はカズマ君にあげる。最初からその予定だったんだ」
カズマ「よっしゃぁ!マトモな神器を扱える日がとうとう来るなんてな!」
アクア「ねぇ、その言い方だと私が役立たずな神器だって聞こえるんですけど」
カズマ「そう言ってるんですけど」
アクア「・・・」ブチッ
ギャーギャー
トニー「おい、僕のラボで暴れるな」
クリス「それで・・・もうひとつなんだけど・・・これはダクネスに渡そうと思ってね」
ダクネス「なぁ、これ・・・」
クリス「・・・見ての通り、これは盾だよ。名は“聖盾ヴィヴラニオン”」
トニー「聞いて良いか?本当にこの神器を作った奴は誰なんだ?さっきからピンポイントで・・・」
クリス「話を続けるね。この盾は、元々は“どんな攻撃も自動で防ぎ、絶対に破壊されない”っていう力を持っていたよ」
めぐみん「それで、今はどんな力を持っているんですか?」
クリス「自動で攻撃を防ぐ力は使えないけど、頑丈さはかなりのものだと思うよ」
ダクネス「なぁ・・・クリス・・・」
クリス「言いたいことは分かるよ・・・でも、凄い力をもった神器だから・・・」
ダクネス「・・・そうだな・・・アクシズ教徒のシンボルさえ彫られていなければ・・・すごくいい神器なんだろうな」
アクア「これの元の持ち主についてとても気になるわ!どんな人だったの?」
クリス「えっと・・・自由を愛するクルセイダーだったみたいだね・・・」
アクア「ふふ・・・自由を尊ぶアクシズ教に魅せられたって訳ね!」
カズマ「どっちかっていうと洗脳されたってほうが近いんじゃね?」
トニー「破壊できない盾を持った自由を尊ぶクルセイダーか・・・なんだか既視感を感じるな・・・」
クリス「ダクネスにはこの盾を装備してもらおうかと思ってるんだけど・・・どう?」
ダクネス「エリス教のクルセイダーの私に、アクシズ教のシンボルが彫られた盾を背負えというのか!?」
クリス「ごめん!こんなの本当にどうかしてるよね!でも、この盾の力は絶対に必要になると思うんだ!」
カズマ(エリス教の御神体が自分の敬虔な信者にアクシズ教のシンボルが彫られた装備を渡す光景か・・・駄目だ・・・笑っちゃ駄目だ・・・)プルプル…
トニー「ぷっ・・・くくくっ・・・・」プルプル…
アクア「いいじゃない!これを機に二人共アクシズ教に改宗しちゃいなさいな!」
ダクネス・クリス「「しない!」」
ダクネス「だ、第一私はクルセイダーだぞ!剣で戦う職だ!盾の神器なんて・・・!」
カズマ「でもお前剣あたらないじゃん」
ダクネス「んんっ・・・/// い、いや・・・でも・・・」
トニー「いいか、ダクネス。僕の話を聞け、必ずこの盾を装備したくなると約束しよう」
ダクネス「へ・・・?」
トニー「まず、君が剣のスキルを取らない理由はなんだった?」
ダクネス「も、もちろん、剣を振るうが当たらず、力及ばずに圧倒されてしまうのが気持ちいいからだ!!」
トニー「・・・だよな?そこで考えてみよう、君はこの盾を持ち、敵の前で構える」
ダクネス「うむ・・・」
トニー「当然敵は攻撃するわけだ。盾で身を守る君を、盾を打ち破って蹂躙するために」
ダクネス「・・・ッ」ゴクリ…
トニー「君は盾を構え続け、ひたすら耐える。だが・・・やがては崩され、そのまま敵に・・・」
ダクネス「そ、そんな素晴らしいプレイが・・・!盲点だった!ありがとうトニー!」
トニー「だろ?お役に立てて良かったよ」
カズマ「トニーも段々こいつらの扱い方ってのがわかって来たな」
トニー「わかりたくなかったけどな」
クリス「・・・で、どう改造するつもりなんだい?」
トニー「まず盾は二つに切り分ける」
クリス「切り分ける!?さ、さすがにそれは駄目だよ!」
アクア「そうよ!アクシズ教のシンボルが彫られているのにそれを切るなんてバチを当ててやるからね!」
トニー「まぁ、落ち着け。ダクネスは攻撃が当てられない。それは皆知ってるだろ?だが、素手での戦いは例外だ。ダクネスが、ギルドで煽ってきた冒険者を素手で捕まえて締め上げるところを僕は見て考えた」
トニー「・・・“この女、剣を持つんじゃなくて腕にはめた方が強いんじゃないか・・・?”ってね」
カズマ「・・・天才か?」
トニー「だろ?で、普段は盾だが、二つに割ることでガントレット型の武器に、またくっつけたら盾に戻るっていう新しい武器を作る予定だ」
めぐみん「面白そうですね・・・!」
アクア「でも真っ二つにするのは・・・いや、結局戻るからいいのかしら・・・?」
クリス「うーん・・・」ポリポリ…
トニー「そのまま使うよりきっと良くなるって僕が保証するよ」
クリス「う、うん・・・それじゃぁ任せるよ」
アクア「アクシズ教団のシンボルは消さないでよね?それだけは約束してよ?」
トニー「はいはい。それじゃ早速・・・」
ピピピ…
フライデー『ボス、コロナタイトの分析が完了しました』
トニー「結果は?」
フライデー『破壊可能です』
ウィズ「壊しちゃうんですか!?きわめて貴重な代物なのですが・・・」
トニー「まだだ。どんな力を秘めているのか徹底的に解析してから決める」
めぐみん「私は使うべきだと思いますよ。だって、燃えるじゃないですか!強力なエネルギーを秘めたアイテムを使うことによって邪神を打ち砕くなんて!」
ゆんゆん「え、えぇ・・・ロキの計画が良くわからないけど・・・コロナタイトが使われちゃったら何が起こるかわからないでしょ・・・?あぶなくない・・・?」
めぐみん「これだから変わり者のゆんゆんは・・・だからボッチなのですよ」
ゆんゆん「な、なによ!!」
フライデー『あの・・・』
トニー「静かにしろ。今フライデーが何かを言おうとしている」
フライデー『構造分析と成分解析の結果、興味深いデータを発見しました。きっと気に入ると思います』
トニー「なに?」
フライデー『コロナタイトは、アークリアクターに大変酷似した性質を持っていました。つまり・・・』
フライデー『スーツにコロナタイトを取り付け、エネルギー源として使用することが可能です』
トニー「・・・面白い」
あんな巨大な機動要塞デストロイヤーを長い間動かし続けられるコロナタイトはひょっとしたらアークリアクターより凄い力を持っているかもしれません
>>351で言っていたダクネスの新武器のイメージ図
>>347
破壊できない盾を持った自由を尊ぶ~
キャプテン・アメリカのこと。ヒーローと言えば彼、彼と言えばヒーロー
本名 スティーブ・ロジャース
性格 高潔。並々ならぬ正義感と愛国心、なんど負けても立ち上がる強い意志を持つ。
第二次世界大戦中に超人兵士計画(スーパーソルジャー計画)に志願、その正義の心を認められ見事合格。特殊な血清を打たれ超人的肉体を手に入れる。
とある事件でアメリカを守るために自ら爆弾を積んだ飛行機ごと北極海に墜落。死亡したかに思えてたが、70年間氷漬けにされなんとか生存していた為、S.H.I.E.L.Dという組織に助けられ、現代に復活。再びアメリカ国民のため戦う事となる。
破壊不可のシールドを持って戦う。クソかっこいい。
キャプテンアメリカ 映画予告
https://m.youtube.com/watch?v=0vjSfPIev1g
めぐみん「これは、トニーの国の“カガク”の技術と私たちの国の魔術の融合ということですね!!ふわぁーっ!燃えてきましたよ!紅魔族の琴線にビンビン来る実験です!」
トニー「僕もだ。歴史に残る実験になるだろうな」
ダクネス「実験するのは良いが、ロキはどうするのだ?野放しにしておくつもりか?」
トニー「大丈夫だ。ロキの位置は完全に把握出来ている」
ダクネス「・・・一体どうやって?」
トニー「トニー・スタークだからだ」
ダクネス「真面目に答えろ!」
トニー「行動に完全な偶然は無い。確率論を十分に把握し、心理の徹底的な理解、そして性格と合わせて計算すると変数を絞れる」
トニー「僕も無数にあると想える変数を実現可能ないくつかに絞れる手法を58通知っている」
ダクネス「えぇっと・・・真面目に答えろと言っておいてすまないが・・・その・・・もう少しわかりやすく・・・」
アクア「?・・・??・・・???」
カズマ「すごく難しいと思うけど、アクアにもわかるように言ってくれ」
トニー「ロキに追跡装置を取り付けた」
アクア「なぁるほど!追跡装置ね!トニーったらやるじゃない!」
カズマ「ほぉー・・・追跡装置かぁ・・・あれ?今の長ったらしい説明と何の関係が・・・?」
トニー「アクアも納得してるし、それで十分だろ?」
カズマ「おい、俺は騙されないぞ!お前ちょっとそれっぽいこと言って知的ぶりたかっただけだろ!」
トニー「知的なのは事実だしちゃんと説明しただろ?この話はここでお終い」
ゆんゆん「あの・・・」
トニー「どうした?」
ゆんゆん「“ツイセキソウチ”って何でしょうか・・・?」
トニー「あー・・・カズマとアクア以外は知らないか?」
ゆんゆん・ウィズ・めぐみん・ダクネス「「「「・・・」」」」コクリ
クリス「あっ・・・えっと・・・あたしも知らないから、教えてくれると助かるかな?」
トニー「まぁ、簡単に言うと敵の位置が分かる道具だ」ピッ
ヴンッ...
めぐみん「この画面内で映っている赤い点がロキですか?」
トニー「そういうこと。そして、これをマップ内に落とし込めば・・・」
ピッ… ピッ…
トニー「ほら・・・おっと、まだヴォーミアでピクニックしてるみたいだ」
アクア「・・・なーんか、トニーが来てから便利になったのは良いけど・・・色々とオーバーすぎないかしら?」
トニー「僕が付けた追跡装置は盗聴器としての役割も持っている。あ、盗聴器って言うのは、遠く離れたところにいる相手の会話を盗み聞きできる道具だ。悪用厳禁」
ウィズ「いつの間に付けたんですか・・・?」
トニー「僕のスーツが破壊される寸前に、発信機を射出してロキにくっつけた。当分気が付かないはずだ」
ウィズ「なるほど、煙を上げたのは時間稼ぎだけじゃなくて、そういう意図もあったんですね!」
カズマ「トニー・・・それさ・・・」
トニー「あげないからな?思春期少年のおもちゃには過ぎた代物だ」
カズマ「ま、まま、まだ何も言ってねーだろ!ちょっとギルドの酒場にくっつけて俺の陰口を言う奴とか見つけ出してやろうかと・・・」
ダクネス「全く、この男は・・・」
クリス「それで、その盗聴器でロキから何か聞けたの?」
フライデー『録音された音声があります。再生しますか?』
トニー「いつ頃録音したやつだ?」
フライデー『ボスとウィズ様がテレポートで撤退した直後の会話です。録音された会話内容からして、すぐさまコロナタイトを奪い返しに来る気は無いようです』
トニー「会話内容を再生しろ」
フライデー『了解しました。再生します』
ザザァー…
冒険者A『ロキ様、いかがなさいました?』
ロキ『コロナタイトを盗まれた。あの小僧だ・・・!』
冒険者A『追いますか?』
ロキ『放っておけ、たった一つかすめ取られただけだ。それも、ただの小粒をな・・・計画に大きな支障は出ない』
冒険者A『それでは・・・』
ロキ『掘り続けろ。計画を実行に移すにはまだ量が足りん』
冒険者A『はい。了解しました』
ロキ『それと・・・警備をさらに厳重にしろ。二度と邪魔をさせるな』
冒険者A『はい。了解しました』
プツッ…
フライデー『以上です』
カズマ「おい・・・これってまさか・・・」
クリス「ロキはコロナタイトを複数所持しているようだね。小石程度の大きさでも相当な力を秘めているはずだけど・・・一体何が目的なんだろう・・・」
トニー「何であれ、まだ猶予があるって事だ。急いで取り掛かるぞ」
めぐみん「そうですね。私もEXPを溜めて備えようと思います」
トニー「へぇ、この国でも経験値をExperience pointの略語で読んだりするのか」
めぐみん「えくすぺ・・・なんですかそれは?私が言っているのはExplosion Pointの事ですよ?」
トニー「・・・国によって元の言葉が違うんだな」
めぐみん「まあ私の造語ですが」
トニー「・・・」
めぐみん「単に、爆裂魔法のスキルポイントと言うのが長ったらしかったので略し・・・あっ、あっ、やめてください!眼帯を引っ張らないでください!」
カズマ「トニー、いちいち突っ込んでたら身が持たないぞ」
トニー「たまに君の要領の良さが羨ましくなる」
アクア「それで、これから一体どうするの?信者が捕らえられているっていうのに、待機なんて無理なんですけど」
トニー「良いかアクア、よく聞け」
アクア「?」
トニー「その気持ちは結構だが、気持ちだけじゃ人は救えない。試しに、君が今からロキの元へ行って全員を救えるヴィジョンが浮かぶか?」
アクア「それは・・・」タジッ…
トニー「浮かばないだろ?君が信者の事となると勇猛果敢なことは分かった。だが、ロクな作戦も立てずに突っ込んで君が殺されたら・・・残った信者はどうしていくんだ?」
アクア「・・・」
アクア「う、うん・・・わかった・・・」
クリス「さすが年長者だね、トニー」
トニー「一番の年長者はアクアじゃないのか?」
アクア「なんですってえええええええ!あんたさっきまともな話したと思ったらよくも言ってくれたわねこのヒゲニート!!」ワッ
トニー「ただのジョークだよ。それじゃ僕はちょっとバニルと商談をしてくる」スタスタ…
アクア「あんた逃げんじゃないわよ!今度こそ強力な天罰を当ててやるからね!」
ダクネス「お、落ち着けアクア・・・それで、このタイミングでバニルと商談とは、一体何を仕入れるつもりなんだ?」
トニー「そうだな・・・」
トニー「この国で作れる、最高級の鎧の材料さ」
....
..
.
ウィズ魔道具店
カランコロン…
バニル「へいらっしゃい!ヴォーミア旅行は楽しんできたのか?」
トニー「それは嫌味か?僕らが旅に出ている間、ずっとその見通す目とやらでのぞき見していたんじゃないのか?」
バニル「妙な言い方をするな。見通そうとはしたが、発光女に例の邪神と邪魔な光が多くて見通せなかったのだ。それで?生きて帰ってきたところを見るに、倒したのか?」
トニー「・・・いいや、何もできずに帰ってきた」
バニル「ほうほう、逃げ帰ってきたとな?」
トニー「奴はこの世界の魔術を自分のものにして強大な力を付けている。ウィズ曰く、リッチー化の魔法にも匹敵する程の禁呪である洗脳魔法を取得しているとかなんとか・・・」
トニー「実際、行方不明になっていた冒険者だけじゃなく、アクアの信者までもが奴の言いなりになっていた。あれはもはや信仰に近い」
バニル「フハッ、フハハハハ!!フワーッハッハッハ!!あの悪名高きアクシズ教徒が寝取らたとな!!次からあの女神を寝取られ女神と呼んでやろう!フハハハハッ!!」ゲラゲラ
トニー「僕に見通す力は無いが、ウィズが巻き込まれて酷い目に遭うだけだと断言できるぞ」
トニー「それにしても、あんたの見通す力ってのは無敵の能力かと思っていたが、案外制限が多いんだな」
バニル「うむ。特に、力を行使して安易に金を稼ごうとするとロクな目に遭わん。ポンコツ店主の暴走然り、何かしらの反動を食らうのだ・・・」ハァ…
トニー「・・・この、僕の商品が妙な形に変わっているのもそうなのか?」ガチャッ
バニル「その通り。汝が作った便利なアイテムたちは、あの災厄店主の勝手な判断によってガラクタに変わったぞ」
トニー「・・・ウィズから直接聞いた」
バニル「あのポンコツ店主が戻ってきたら即刻過去最大級の折檻をお見舞いしてくれるつもりだ」
トニー「それで、僕の商品は一体どう変わってしまったんだ?」
バニル「そうだな・・・例えば、この売れ筋商品である“ソーラー充電式暗視ゴーグル”なんかは、大幅な変更が加えられてあってな。まず、視認性が大幅に向上している」
トニー「なんだって?まさか本当に改良を・・・?」
バニル「あの欠陥店主が我輩に無断で勝手にしでかしたのだぞ?いつものパターンからして、そんなわけなかろう」
バニル「視認性が上がり、暗所を遥か彼方まで見れはするが、千里眼が使えるアーチャー職しか使いこなせないうえに、視覚以外の感覚がすべて遮断される」
トニー「ガラクタだな」
バニル「ガラクタである。他にもたくさんあるぞ?この“生体反応追尾式マイクロミサイルランチャー”なんかも・・・」
トニー「いや、もういい・・・また新しく作るからそれは全部廃棄しろ」
バニル「言わずもがなだ。さて、世間話はこのくらいにして、ここに来た理由はなんだ?」
トニー「あんたに仕入れてほしいものがある。相当な値段になるだろうが・・・あんたなら確保できるだろう」
バニル「ほう?」
トニー「実はロキにスーツを破壊されてな。カズマが手に入れたコロナタイトを使用して新しいスーツを作るつもりなんだが、僕の世界の材料じゃうまくコロナタイトと適合しないんだ」
トニー「そこで、オリハルコンと、アダマンタイト、そしてこれらの魔法金属を仕入れてほしい。量等の詳細はこの紙に書いてある」ピラッ
バニル「ふむふむ・・・アダマンタイトはともかく、オリハルコンなど神器級の鎧に使われるものだぞ?」
トニー「僕が作ろうとしてる鎧が神器以上のものなんでね」
バニル「市場の状態にもよるが、仕入れることは可能だ。だが、これだけの量を仕入れるとなると相当な額になるが・・・」
トニー「ウィズがガラクタに変えたこれらの商品を僕が無償で改悪前のものと交換してやろう。それにプラスで80億エリス程でどうだ?」
バニル「結構結構!それなら十分である!フハハハハ!!それだけの金があれば今度こそこの街にカジノを造り、あぶく銭を手にできるはずである!商談成立だ!」
トニー「どれくらいかかりそうだ?」
バニル「この世界にはテレポートという便利な魔法があるのだ。商会に掛け合い、在庫の確認が取れ次第速攻でかき集めればよい。在庫さえあれば、明日、明後日までには仕入れることができるであろう」
トニー「できるだけ急いでくれ、ロキには何か計画があるみたいだ。どれだけ猶予が残されているのかはわからないが、今度こそ先手を打って完全に阻止したい」
バニル「我輩を誰だと思っている?我輩の力をもってすれば、こんなものは子供のお使いと何ら変わらん」
トニー「だが、あんたの能力は肝心なところで使えなくなるよな。ロキ自身の動向は探れないんだろ?」
バニル「・・・」イラッ…
トニー「あ、ロキの動向だが、僕はもう完全に把握しているぞ?科学の力ってやつだ。ご飯製造機でも探れるような情報が探れない気分はどうだ?バニル君?」
バニル「フハハハハ!!人間相手にここまでコケにされるとは!だが、見通す悪魔が宣言しよう!貴様は近いうちに、この我輩をコケにしたことを心の底から後悔するであろう!」
トニー「へぇ?楽しみにしておくよ。それじゃ、鎧の素材の件よろしく頼む」クルッ...
ガチャッ…
ウィズ「おや、トニーさんではないですか。商談は終わったんですか?」
トニー「やぁウィズ、今ちょうど終わったところだ。君もちょうど僕のラボから帰ってきたところか?」
ウィズ「はい!まだ改良してもらった魔道具をバニルさんに見せていないので、今から説明しようと思って帰ってきました!バニルさん、驚いてませんでしたか?」
トニー「あー・・・そういう反応は楽しみにとっておいたほうがいいと思うぞ。ほら、僕のすぐ後ろで待っているから・・・」
ウィズ「なるほど、それもそうですね!私、今回だけは自信があるんですよ!もとからすごい魔道具なのに、それが凄腕魔道具職人さんの腕で改良してもらって・・・!今回こそ、よくやったと言ってもらえるはずです!」
トニー「そうか・・・それじゃ、僕はもう帰るから・・・またな?」
ウィズ「はい!」
ガチャッ
バタン…
トニー(・・・あんな笑顔じゃ、何も言えるわけないだろ・・・)スタスタ…
バニルサン!? ドウシタンデスカ? ソンナコワイカオシテ… ソンナコトヨリキイテクダサイ! ジツハ ショウヒンヲ…
バニルシキサツジンコウセン!!
アアアアアアッ!
トニー「・・・」スタスタ…
....
..
.
夕方
トニーのラボ
ガチャッ…
ダクネス「あ、おかえりトニー。商談は終わったのか?」
トニー「あぁ、新しいスーツは近いうちに作れそうだ。」
アクア「・・・おかえり」
トニー「なんだ、まだ怒っていたのか?ほら、高級シャワシャワを買ってきた。これを今日の夕飯の時に開けよう。これで機嫌を直せよ」
アクア「なぁるほど・・・この私の機嫌をお酒一つで取ろうって訳ね?でも・・・」
トニー「いらないならハッキリ言ってくれよ、これは僕が飲むから。この世界のお酒は結構気に入ってるんだ」スッ…
アクア「そ、そうとは言ってないでしょー!?仕舞わないでよ!」
トニー「はい、それじゃこれで手を打とう。なっ?これで満足だろ?ところで、クリスとゆんゆんの姿が見当たらないが、どこに行ったんだ?」
ダクネス「クリスは何か用事があると言って帰っていった。ゆんゆんは向こうの部屋で“かがく”について書かれた本を読んでいる。トニーの国の言語で書かれているから読めないらしいが、フライデーに翻訳してもらいながら楽しく読んでいるぞ」
トニー「魔法使いが科学の本を・・・HAHA、中々面白いな」
カズマ「トニーだってこの国にきてすぐ魔導書を読み漁っていたじゃないか」
トニー「・・・そういえばそうだった・・・」
ダクネス「二人に何か用でもあったのか?」
トニー「クリスに用というか、話があったんだが・・・いないならまた次回で良い。それじゃ早速、神器の改造に手を付けるとするか」
めぐみん「・・・」
ダクネス「どうした、めぐみん?難しそうな顔をしているが」
めぐみん「・・・いえ、なんでもないですよ。今は無理そうですから」
トニー「なんだ?君の杖も改造してほしいのか?スイッチを押したらリパルサー光線が出るようにでもしてあげようか?」
めぐみん「できるのですか!?い、いえ・・・実は私の爆裂魔法のレベルを上げるのにちょっとした案があったのです。私ではなく、カズマの案ですが」
カズマ「あー、あれか」
トニー「今度はどんな妙案を?」
カズマ「めぐみんの爆裂散歩はいつも誰かが付いて行って、街から少し離れたところで適当な岩とかに爆裂魔法をぶちかまして帰るだろ?岩を打ち壊すだけじゃ、レベルは上がらない」
カズマ「かといって、ジャイアントトードだとかこの街の周辺のモンスターに撃ったとしても大した足しにはならない」
カズマ「でも、トニーとあの空飛ぶ鎧があれば、強くて経験値になるモンスターが居るような街まで飛んでって、そのまま上空から爆裂魔法をモンスターに撃って帰ってこれるだろ?それを続けていれば、めぐみんのレベルもすぐ上がるんじゃないかと考えてな」
トニー「なるほど・・・爆裂魔法の空爆か・・・面白いな。気に入った」
めぐみん「ですが・・・トニーのスーツは破壊されてしまったではないですか」
トニー「スーツ!」スッ…
シーン…
めぐみん「・・・?」
…ザッ ザッ ザッ…
めぐみん「あ、あれは・・・!」
ザッ…
Mk43「」ウィーン…
トニー「愛しい我が第43子こと、マーク43だ。所々傷はあるが、普通に動け・・・うん?」
Mk43「」チマッ…
トニー「・・・僕の見間違えじゃなければ前に見た時よりスーツが二回りほど小さくなっているんだが・・・気のせいだろうか?」
アクア「ッ!」ビクッ
トニー「おい・・・」
アクア「な、なに・・・?」
トニー「吐け。僕のスーツに何をした?」
アクア「えっと・・・その・・・前に酔っぱらったときに・・・勢いでスーツを使ってマジックをしたような・・・記憶が・・・」
カズマ「てめーこのクソビッチが!またやりやがったな!?」
トニー「あれだけ僕の発明品に触るなと念押ししておいたのに、よりにもよってスーツを小さくしたのか!」
アクア「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!でもね、なんだか私だけが悪い訳じゃない気がするの!共犯者がいた気がするのよ!信じて頂戴!」
カズマ「こんなふざけた事をする奴が他にいるわけないだろが!」
フライデー『ボス。お言葉ですが、アクア様の発言は本当です』
トニー「何?一体だれが・・・」
フライデー『音声記録を再生します』
ピッ…
ダクネス『おい・・・もう酒は控えたらどうだ?飲み過ぎだぞ?』
アクア『なにいってんのよ!まだまだ飲めるに決まってるでしょ!?ねっ?トニー!』
トニー『YEAH!もちろんだ!カズマだってまだ余裕だろ?』
カズマ『あったりまえだ!ベテラン冒険者のカズマさんだぞ!もっと浴びるように飲んで、魔力を使わずにクリエイトウォーターを使ってやるよ!ぶはははははは!!』
トニー『HAHAHAHAHAHA!!中々ジョークのセンスがあるな!』
ダクネス『さ、最低だ・・・!めぐみん!めぐみんはどこだ!?こいつらを止めるのを手伝ってくれ!』タタタ…
アクア『うるさいダクネスもいなくなって調子も出てきたことだし、また宴会芸を披露しちゃうわよー!』
トニー『いいねぇ、今度こそタネを見破ってやろうじゃないか』
アクア『無理よ無理!真のマジシャンは決してタネを見破らせないものなの!さぁ、今回はどんなマジックを見せてあげようかしら!』
ザッザッザッ…
アクア『あら?ねぇトニー?こっちに向いて歩いて来てるあのスーツは?今まで見てきたやつと色が違うわよ?』
カズマ『ほんとだ。ありゃなんだ?新しいスーツか?』
トニー『逆だ、古いスーツだよ。わざわざお酒を持ってくるのが面倒だったから、あのスーツに持って来させたんだ。ウェイターとかメイド代わりにね』
アクア『ふふふ、そうだ!お古のスーツなら、私のマジックに使ってもいいかしら?』
トニー『やれるもんならやってみな!僕のスーツが君のヘンテコマジックでおかしくなるなんてありえないね』
カズマ『いいぞー!やれやれー!』
アクア『言ってくれたわね!よーく見てなさい!今からこのスーツが縮んで・・・』
プツッ…
フライデー『以上です。ひどく酔われていたようなので、会話を忘れないように私が記録しておきました』
トニー・カズマ「・・・」
アクア「ねぇ、二人共・・・?」
トニー「よし、このことは水に流そう。アクアだけにな」
カズマ「そうだな!人間誰でもおかしな行動をとることはあるしな!これでおしまいにしよう!」
アクア「何なかったことにしようとしてるのよ!私が全面的に悪かったことにしようとしたこと謝って!」
カズマ「うるせぇ!確かに煽った俺達も悪かったろうけど、一番悪いのはお前じゃねぇか!何が謝れだバーカ!なかったことにしてやるって言ってるのに蒸し返すんじゃねぇ!」
めぐみん「あの・・・結局どうなるんですか?」
トニー「あー・・・スーツが元の大きさだったら君を背中に乗せて空中爆裂散歩にでも行けたんだろうが・・・あんな君と同じくらい小さくされてしまったらなぁ・・・」
トニー(ん・・・?めぐみんと同じくらいの・・・大きさ・・・)チラッ…
めぐみん「・・・?どうしたのですか?私とスーツを交互に見たりなんかして」
トニー「なぁ、めぐみん・・・」
トニー「スーツを着てみる気はないか?」
めぐみん「えっ」
ダクネス「良かったじゃないか、めぐみん。」
カズマ「いいなぁ・・・俺も着てみたかった・・・アイアンマンスーツ」
トニー「カズマにはカズマで良いものを作ってやるさ」
めぐみん「こ・・・これを着ても良いんですか!?」
トニー「どうせ体格的に君しか着ることができないんだ。アクア、念のため聞くが・・・これはもう戻せないんだよな?」
アクア「うん。もう無理よ」キッパリ
トニー「まぁ・・・煽った僕らにも責任はある。それに、このスーツを着るとある問題が解決する」
めぐみん「えっ」
ダクネス「良かったじゃないか、めぐみん。」
カズマ「いいなぁ・・・俺も着てみたかった・・・スーツ」
トニー「カズマにはカズマで良いものを作ってやるさ」
めぐみん「こ・・・これを着ても良いんですか!?」
トニー「どうせ体格的に君しか着ることができないんだ。アクア、念のため聞くが・・・これはもう戻せないんだよな?」
アクア「うん。もう無理よ」キッパリ
トニー「まぁ・・・煽った僕らにも責任はある。それに、このスーツを着るとある問題が解決する」
ダクネス「ん?防御力の低い後衛職の体を守る防具ってだけじゃないのか?」
トニー「このスーツをめぐみんに着せれば、爆裂魔法を撃って動けなくなったところをカバーする必要がなくなる」
ダクネス「そうか、確かお前の鎧は・・・」
トニー「そう、鎧だけで動くことが可能だ。フライデーにでも操作させて、動けなくなっためぐみんを飛ばして戦線から離脱させることができる」
カズマ「なぁ、それってもう毎日めぐみんの爆裂散歩に誰かが付き合わなくても、めぐみんが一人で行って帰って来れるってことだよな?」
トニー「そうだな。フライデーに頼んだらやってくれるだろう」
カズマ「やったぜ!もう朝早くにたたき起こされたり、雨の日に無理やり外に引っ張り出されたりする心配はないって訳か!でかしたアクア!トニー!」
めぐみん「私との爆裂散歩をそんなふうに思っていたのですか!?さすがの私もショックを受けますよ!?」
カズマ「だって、わざわざお前の用に付き合ってお前を担いで帰るのは面倒なんだよ。遠くまで行かなきゃいけないし、重いし」
めぐみん「ぶっ殺」ガバッ
カズマ「なんだよ、目を真っ赤に輝かせて。そんなに怒ること・・・ああああ!!折れる!腕の骨折れる!このイカれウィザード!!レベル差を考えろよ!」
めぐみん「人間には二百十五本の骨があるんですよ!一本位なんですか!」
トニー「おい、夫婦漫才は二人の時にやってくれ」
カズマ「お前これがそんなほのぼのしたものに見えんのかよ!?今行われてんのは夫婦漫才じゃなくてただの暴力犯罪だ!」
トニー「はいはい、仲良し仲良し。ところでめぐみん、取っ組み合いをやめてこっちに来てくれ。君をスーツに登録する必要がある」
めぐみん「良いでしょう」パッ
カズマ「ほっ・・・」
めぐみん「それで、どうすればいいのですか?」
トニー「そこに立って、床の傷の数を数えるなり天井の照明を眺めてるなりしてればいい。すぐに終わる」
めぐみん「そのセリフはものすごい身の危険を感じるのですが」
トニー「フライデー、めぐみんをスキャンして網膜情報と指紋情報、DNA情報をマーク43に登録しろ」
フライデー『了解しました。ボス』
キュィーン…
ポポポポ…
めぐみん「な、なんですかこれ?光が私の体を行ったり来たり・・・」
トニー「簡単に言えば、君以外がそのスーツを着られないように設定を変えているところだ」
ピピピッ
【体表にバーコードを検知】
トニー「うん?」
めぐみん「どうしたのですか?何かあったのですか?モニターに映っている言語は、あなたの国の言語で書かれているので、私には読めないのですが」
トニー「なんで君の尻にバーコードが---」
めぐみん「あああああああ!!!///なんで知っているんですか!?///」
トニー「スキャンに引っかかっただけだ。僕の国じゃあらゆる商品についてる物でね」
カズマ「マジかよお前ケツにバーコードついてんのか!読み取ったらなんて出てくるんだ?」
めぐみん「それ以上言ったら本気で爆裂魔法を撃ちますよ!」
トニー「お、落ち着け。悪かったな、君にとってそんな恥ずかしがるような情報だとは思っていなかったんだ」
ダクネス(あぁ・・・アルカンレティアで見たあの模様か・・・)
めぐみん「まったく・・・見つけたとしても普通尻に付いた模様について指摘しますか!?セクハラですよ!」
トニー「悪かった悪かった。ごめんな?ほら、スーツ着せてやるから我慢してくれ」
めぐみん「ぐぅうう・・・なにかとても大切なものを失ったような気分がします・・・」
【登録完了。スーツを装着しますか?】
トニー「さて、準備完了だ。そっちの準備は良いか?あ、巻き込まれるといけないからマントは外してくれ」
めぐみん「わかりました。よいしょ・・・これで良いですか?」
トニー「オーケー。それじゃ、スーツを君に装着させる」スッ…
ピピッ
ガシャッ カチカチカチ…
ヒュンッ ヒュヒュヒュンッ
めぐみん「おおおおお!!」ガチャガチャ…
ガキキッ ガコガコガコ… カンッ
めぐみん「おおおおおああああ!!」
カズマ「飛ばす意味あったか?」
トニー「もちろん。紅魔族的には飛んで来た方がうれしいだろう」
めぐみん「あああああああ!」ブンブン
カズマ「嬉しいのは分かったから、もうちょっと静かにしてくれよ。耳に響く」
めぐみん「あああああっ!!違います!兜に髪の毛が挟まってるんです!!痛だだだだ!!ハゲる!ハゲます!!助けてください!」ジタバタ
トニー「ヘ、ヘルメットを解除しろ!」
ガコッ カランッ…
めぐみん「はぁ・・・はぁ・・・危うく女性で、しかもこの年にしてハゲるところでした・・・」
トニー「装着する前に気が付かなかった・・・とりあえず髪を束ねたらどうだ?それと、もう君の声に反応してスーツが動くようになっているから、今度からは“スーツ装着”や“スーツ解除”で着脱できるからな。ちなみに、兜は頭からかぶれば自動的に装着できるぞ」
めぐみん「いえ、結構です。兜は付けません」
トニー「なに?いらないのか?あったほうが便利だぞ?」
めぐみん「見栄えの問題です。無い方が決まります」
カズマ(ダクネスがどんなに重装備になっても兜を付けないのと同じ理由だろうか?)
トニー「そ、そうか・・・必要な時は呼んだら飛んでくるってことは覚えておいてくれ」
めぐみん「このスーツは自分の命令で動くんですよね?」
トニー「ああ。すこしテストしてみたらどうだ?」
めぐみん「そうですね。叫んで喉が渇いたので、スーツのテストがてら水を飲むことにします。スーツ!あそこのテーブルの上にあるビンに入った水を私に飲ませてください!」
キュイッ スタスタスタ…
めぐみん「おぉ・・・なんだか体が勝手に動くと言うのは不思議な感覚ですね」
クイッ
めぐみん「それでは、お水を・・・」
ゴクゴク…
トニー「小さくなったことで、どこかに悪影響が出てないかと少し心配したが、大丈夫そうだ」
ゴクゴク…
カズマ「・・・余程喉が渇いてたみたいだな」
ゴク… ゴボボッ…
めぐみん「もぶっ・・・もぶぇっ・・もうい゛っ・・・」ガボボッ..
カズマ「・・・あっ、ちげぇ!!あいつ口がふさがっててスーツにビンを口から離すように命令できねぇんだ!」
アクア「大変!めぐみんの顔が人前じゃ見せれない位凄い顔になってるわ!!」
トニー「スーツ!もういい!めぐみんが持っているビンを下げてテーブルに置け!」
キュイッ…
めぐみん「おえええっ!ゲホォッ!ゲェッホッ!!陸で水死するかと思いました・・・!」ゴホゴホ
カズマ「めぐみん大丈・・・うわっ」
めぐみん「人の顔みて“うわっ”とか言わないでくださいよ!どんだけデリカシーないんですか!」
トニー「悪かった。これは僕の設定ミス。スーツを調整するときに君の声にしか反応しないようにしたのがいけなかったな。君の体自体の動きにも反応して楽に動けるようにしておくの忘れてた」
ダクネス「あんな激しい水攻め・・・ちょっと羨ましかったぞめぐみん・・・///」
トニー「君今羨ましいとか言ったか?」
ダクネス「言って無い」
トニー「言っただろ」
ダクネス「言って無い」
めぐみん「も、もうテストは結構です・・・」
トニー「スーツを脱ぐか?他に何か設定のミスが無いかチェックしておこうかと思うんだが」
めぐみん「それも結構です。本来の目的である爆裂魔法を遠くまで撃ちに行ってきます」
トニー「良いのか?体の動きを検知して動くように再調整するのは遠隔操作でもできるが、他になんか調整ミスでもあったら大変だぞ?」
めぐみん「心配いりませんよ。それより、早く空を飛んでみたいのです」
トニー「わかった。そこまで言うなら、動体探知だけ調整しておこう。とりあえず、事故が起こらないように、君の様子はフライデーを通して見ておくからな」
めぐみん「はい。それでは行ってきます!」
アイアンマン「この魔法の世界に鉄人を!」【このすば×アイアンマン】【後半】
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