【モバマス】持田亜里沙「7人が行く・真鍋先生の罪」

1: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 21:09:36.65 ID:5mCv2Jgd0

あらすじ
真鍋いつきは、少女の転落事故について何を隠しているのか



前2話
松山久美子「7人が行く・吸血令嬢」

伊集院惠「7人が行く・狐憑き」

から設定を引き継いでいます。未読でも問題はありません。

あくまでサスペンスドラマです。設定はドラマ内のものです。

久々に短いです。

それでは投下していきます



2: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 21:11:00.62 ID:5mCv2Jgd0

メインキャスト

持田亜里沙
S大学教育学部4年生。小学校教諭の卵。真鍋いつきが赴任している小学校で教育実習を行った。

真鍋いつき
小学校教諭。S大学教育学部卒。持田亜里沙とは大学時代からの付き合い。



3: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 21:14:14.46 ID:5mCv2Jgd0



SWOW部室

SWOW
S大学のサークル。セブン・ワンダーズ・オブ・ワールドの略で、名目上は旅行サークル。
構成メンバーは、代表財前時子、以下、伊集院惠、太田優、仙崎恵磨、松山久美子、大和亜季、そして、持田亜里沙の7人。

ひとしきり泣いて、彼女は顔をあげました。

覚悟を決めきれない、そんな様子で、ボソボソと話し始めました。

「あなたらしくないわ。そんな声で授業するつもりじゃないでしょう?」

いつも通りの彼女の指摘を受けて、深呼吸をしました。

その場にいる全員と一度ずつ目を合わせる。いつものように彼女はこの場を静かに支配して。

そして、話始めました。

教育実習の最終週、わずか数日前に起こった少女の転落事故のことを。

大切なモノを守るための、静かな戦いの結末を。

序 了



4: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 21:15:18.05 ID:5mCv2Jgd0

幕間

ケイト「ハーイ!」

ケイト「みなさん、準備は出来ましたカ?」

はーい!

メアリー「ケイト!アタシも準備ができたワ!」

ケイト「Okay!Please enjoy English!Let’s start today lesson!」

幕間 了



5: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 21:17:56.99 ID:5mCv2Jgd0



時刻:先週木曜日18:00

場所:市立T小学校会議室(校舎2階)

市立T小学校
N県某市にある公立小学校。山の中腹に所在する。

会議室
校舎2階東端。1階職員室の真上。南窓。

(真鍋いつき:会議室に入ってくる)

いつき「お疲れ様!今日はどうだった?」

(持田亜里沙:笑顔で迎える)

亜里沙「毎日、驚くことばっかりです」

いつき「そうだよねー。私もそうだったな。今日は何か用事でも?」

亜里沙「ちょっと相談したいことがあって。かけてください」

(亜里沙:2つの机を挟んだ向かいの椅子をしめす)

いつき「それで、相談ってなに?」

(いつき:着席・机の上に置かれたタイマーに目を向ける)

いつき「何、これ?」

(亜里沙:タイマーを手に取る)

亜里沙「お時間はありますか?」

いつき「あるけど、そんな遅くならないでほしいな」

(亜里沙:タイマーをセットする。机に置く)

亜里沙「短めにしますね」

(いつき:タイマーをじっと見た後に、亜里沙と向き合う)

いつき「どういうこと、かな?」

(亜里沙:ほほえむ)

亜里沙「隠しごとをしていませんか」



6: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 21:19:46.35 ID:5mCv2Jgd0

いつき「ううん。そんなこと……」

亜里沙「話してくれますね?」

(亜里沙:タイマーに手をかける。カウントダウンが始まる)

いつき「なんのこと?」

亜里沙「昨日の、放課後のことです」

(いつき:うつむく)

いつき「……そう」

亜里沙「……話してくれませんか」

いつき「いいよ。持田先生の今後のため、だもんね」

(亜里沙:小さく口を噛む。すぐに戻す)

亜里沙「はい。お願いします」

いつき「放課後の話だね、薫ちゃんが階段から落ちた……」

(いつき:外を見る)

南窓から外の景色へ。

校舎と校庭には高低差があり、つなぐコンクリート階段のカット。



7: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 21:21:40.49 ID:5mCv2Jgd0



時刻:先週水曜日17:50

場所:T小学校職員室(校舎1階)

職員室
校舎1階。東側は職員玄関、西側は生徒の玄関。南窓。

亜里沙「……」

いつき「……」

亜里沙「どうです……か?」



8: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 21:22:59.95 ID:5mCv2Jgd0

いつき「はい。よくできました」

亜里沙「ふー」

いつき「うん、自信持っていいよ。私はこんなにうまく出来なかったし」

亜里沙「そんな、いつき先輩は」

いつき「真鍋先生」

亜里沙「真鍋先生はお手本だもの、そんなことないです」

いつき「ふふ、ありがと、持田先生。はい、これ返すね」

亜里沙「ありがとうございます」

いつき「そろそろ6時になるね。お疲れ様」

亜里沙「お疲れ様でした。真鍋先生は?」

いつき「今日は戸締り担当だから、残って行くね」

亜里沙「わかりました。お先に失礼します」

いつき「また明日!」



9: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 21:26:05.81 ID:5mCv2Jgd0



会議室

いつき「このあと、まっすぐ帰った?」

亜里沙「はい」

いつき「だから、何も知らない」

亜里沙「……はい」

いつき「ケイトさんとも会ってないの?」

亜里沙「そうです」

いつき「何も知らないって、ことね」

亜里沙「だから、聞かせてください」

いつき「昨日、あの後に何が予定されていたかは知ってる?」

亜里沙「ええ。ケイトさんが放課後授業をしてくれた」

ケイト
地元国立大学の留学生。英語教育のアシスタントをしてくれている。

いつき「その目的は?」

亜里沙「学童保育の延長ですね。利用しやすいように名前が変わりました」

いつき「はい、正解」



10: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 21:28:03.25 ID:5mCv2Jgd0

亜里沙「昨日は何人残ってました?」

いつき「えっと……」

(いつき:指を折りながら数える)

いつき「8人だね」

亜里沙「覚えてます?」

いつき「うん」

亜里沙「ケイトさんと……」

いつき「メアリーちゃん、仁奈ちゃん、みりあちゃん」

メアリー・コクラン
T小学校の児童。アメリカ人。英語関連では、ケイトのお手伝いをしている。

市原仁奈
T小学校の児童。着ぐるみ好きの模様。

赤城みりあ
T小学校の児童。元気な女の子。

亜里沙「あとは……」

いつき「舞ちゃん、千枝ちゃん、千佳ちゃん、こずえちゃん」

福山舞
T小学校の児童。趣味は一輪車。

佐々木千枝
T小学校の児童。おませさん。

横山千佳
T小学校の児童。魔女っ子に憧れのある女の子。

遊佐こずえ
T小学校の児童。ぽやんぽやん系。

いつき「それと……」



11: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 21:29:53.04 ID:5mCv2Jgd0

亜里沙「薫ちゃん……」

龍崎薫
T小学校の児童。転落事故の被害者。

いつき「……」

亜里沙「……様子はどうですか」

いつき「命に別状はないようだけど……」

亜里沙「意識は戻ってないんですか」

いつき「そうみたい……」

亜里沙「退院の予定は……」

いつき「そんな状況じゃない、かな」

亜里沙「……そう」

いつき「私がいたのに、こんなことになってしまって」

亜里沙「……」

いつき「昨日、ご両親に謝ったけど……どうしたらいいかわからなくて」

亜里沙「……ご両親は責めていませんでしたよ」

いつき「……話をしたの?」

亜里沙「はい」

いつき「……いつの間に」

亜里沙「ねぇ、真鍋先生」

いつき「なにかな」

亜里沙「……」

いつき「なに……?」

亜里沙「薫ちゃんを突き落したのは、誰なのかな」



12: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 21:33:05.85 ID:5mCv2Jgd0



いつき「何を言ってるの、かな」

亜里沙「……」

いつき「本気?」

(亜里沙:首を振る)

亜里沙「いいえ」

いつき「タチの悪い冗談は、やめてね。ドキドキしちゃった」

亜里沙「はい。だって、真鍋先生は」

いつき「……目撃者だもの」

亜里沙「真鍋先生の職員室の席は、窓際だものね」

いつき「はっきりと、見ちゃった……」



13: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 21:36:57.29 ID:5mCv2Jgd0

亜里沙「何時頃でしたか」

いつき「知ってはいると思うけど、19時20分くらいかな」

亜里沙「ケイトさんが真鍋先生に呼ばれたと言ってますね」

いつき「酷い傷だったから、すぐに助けを呼んで……」

亜里沙「ケイトさんは準備室からかけつけた。その時、薫ちゃんは既に……」

いつき「意識はなかった。頭から出血していたから、すぐに応急処置をして……」

亜里沙「包帯は、救急箱から?」

いつき「うん。職員室の救急箱から」

亜里沙「真鍋先生は、職員室で薫ちゃんが階段から落ちるのを目撃し、すぐに救助に向かった」

いつき「うん」

亜里沙「ケイトさんを呼んだのはいつですか?」

いつき「ケイトさんを?それは、薫ちゃんの様子を見てからかな」

亜里沙「なぜ、ですか?」



14: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 21:39:19.10 ID:5mCv2Jgd0

いつき「どういうこと……?」

亜里沙「落ちた時に呼べば、良かったんじゃないですか」

いつき「そうだね……でも、慌ててたから」

亜里沙「救急箱は持って行けるのに?」

いつき「……それは」

亜里沙「その後に、救急車と薫ちゃんのご両親が来た」

いつき「……ええ」

亜里沙「救急車を呼んだのは、真鍋先生ですか」

いつき「そうだよ。ケイトさんは不安げだったから」

亜里沙「ケイトさん、取り乱していたみたい……」

いつき「ついさっきまで元気に話してた子が、ぐったりとしていたら、どう思う?」

亜里沙「……わかります」

いつき「救急車が到着したのは19時50分頃、すぐに薫ちゃんは病院に搬送されました」

亜里沙「真鍋先生とケイトさんがつきそいに?」

いつき「ええ、何が出来るわけではないんだけど……」

亜里沙「……」

いつき「9時までは居たんだけどね……命に別状はないってわかったし、ご両親にそれからは預けた」



15: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 21:41:48.90 ID:5mCv2Jgd0

亜里沙「……昨日のことは、それで終わり?」

いつき「うん。昨日起こったことはそれだけ」

亜里沙「……ごめんなさい、真鍋先生」

いつき「なに……?」

亜里沙「嘘、ついてますよね」

いつき「……」

亜里沙「……」

いつき「まるで、取り調べみたいだね」

亜里沙「否定しません」

いつき「……そう」



16: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 21:46:08.05 ID:5mCv2Jgd0



亜里沙「聞きたいことがいくつかあります」

いつき「……どうぞ」

亜里沙「真鍋先生、本当に目撃したんですか」

いつき「ええ」

亜里沙「本当に?」

いつき「本当、だよ」

亜里沙「昨日、階段の下に何が落ちていたか知ってますか?」

いつき「ううん、覚えてない」

亜里沙「トンボがあったらしいの」

いつき「トンボ?校庭を整備する、あれ?」

亜里沙「はい」

いつき「なんのために?」

亜里沙「足跡を消すため、です」

いつき「……え?」

亜里沙「といっても、もう足跡含めて痕跡はありません。あの階段はいくらでも、使いますから」

いつき「……」

亜里沙「本当にトンボがあったかどうかもわかりません。ケイトさんが、言っていただけです」

いつき「……何が言いたい?」

亜里沙「その答えは後にしませんか。次の質問をしていいですか」

いつき「……どうぞ」



17: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 21:49:37.16 ID:5mCv2Jgd0

亜里沙「薫ちゃんの絆創膏、覚えてますか」

いつき「うん、もちろん。昨日の昼間につけたんだ」

亜里沙「真鍋先生がいつも持ってるものだものね」

いつき「そうそう。ぶつけてね、膝が内出血してるみたいだったから、それを隠すために、ね」

亜里沙「傷を隠すため……」

いつき「昼間の間に、注意しておけば、起こらなかったかもしれない」

亜里沙「不注意だったの?」

いつき「足元をみないで、遊んでいたようだから。鉄棒にぶつけたみたい」

亜里沙「……それを証言できますか」

いつき「……どういうことかな」

亜里沙「あの絆創膏、直前に貼ったんじゃないですか」

いつき「いいえ。ケイトさんとか、知ってるはずです」

亜里沙「ええ。ケイトさんと薫ちゃんの両親は、そう言ってました」

いつき「そうでしょ?」

亜里沙「でも、どうやらケイトさんの授業中は貼られてなかったみたいです。こずえちゃんが言ってました」

いつき「こずえちゃんが、ね……」



18: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 21:51:35.16 ID:5mCv2Jgd0

亜里沙「真鍋先生は、昼間に自分が注意していれば防げたかもしれない、という話で絆創膏の記憶を上書きした」

いつき「それで……?」

亜里沙「お医者さんに調べてもらいました。絆創膏の下の傷を」

いつき「……なにか、わかった?」

亜里沙「内出血でした。鉄棒にでも膝をぶつけたんじゃないか、と」

いつき「……え?」

亜里沙「どうかしました?」

いつき「それだけ?」

亜里沙「はい。次に行きましょう」

いつき「え、うん、いいけど……」



19: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 21:54:05.03 ID:5mCv2Jgd0



亜里沙「真鍋先生、薫ちゃんはどんな様子でした?」

いつき「頭に大きな傷があって……」

亜里沙「出血していたんですよね」

いつき「うん……ひどい傷だった」

亜里沙「どこで傷がついたか、わかりますか」

いつき「階段の下の方かな、血もついてたし」

亜里沙「はい。そうだと思います」

いつき「コンクリートの階段だったし、角に当たるようなことがあれば……」

亜里沙「はい。だから、おかしくありませんか」

いつき「……何が?」

亜里沙「どんな傷がついていたか、教えてくれますか」

いつき「後頭部に、横にすっぱりと」

亜里沙「はい。だから、おかしくないかな」

いつき「……」

亜里沙「薫ちゃんは階段から落ちた」

いつき「そう、見たから。足を踏み外したのを……」

亜里沙「1階の職員室で」

いつき「うん」

亜里沙「もし、見えるのだったら頂点近くだけ」

いつき「……」

亜里沙「職員室から校庭の階段近くは死角になります。目撃できるとしたら、薫ちゃんが階段を踏み外したのが一番上の時だけ」

いつき「ええ」

亜里沙「それだと、あの傷はつきません」



20: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 21:55:44.99 ID:5mCv2Jgd0

いつき「……」

亜里沙「おそらく、薫ちゃんが足を踏み外しただけじゃない」

いつき「……なんで」

亜里沙「それだけじゃ、あの傷はつけられない。後頭部を階段下で強く打ちつけられない」

いつき「……言っちゃうの、そのことを」

亜里沙「薫ちゃんは突き落された、可能性があるの」



21: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 21:59:05.31 ID:5mCv2Jgd0



いつき「……違う」

亜里沙「でも、それを否定しているのは一人だけです。ケイトさんは、準備室にいたようですから」

いつき「……」

亜里沙「真鍋先生、だけです」

いつき「そう。なら、聞いていいかな」

亜里沙「なんでしょう」

いつき「なら、誰が、突き落したの?」

亜里沙「話を聞いて来ました。まずは、ケイトさん」

いつき「職員室に来たのは、19時過ぎだったよ」

亜里沙「放課後授業が終わったのは19時ほんの少し前」

いつき「それから、多目的室の戸締りをして、職員室に」

亜里沙「そうみたいです。10分くらいに職員室へ」

いつき「ケイトさんが言ってたの?」

亜里沙「はい」

いつき「それなら信用できそうね。ケイトさん、良く腕時計見るし」

亜里沙「……ええ。その後は、準備室へ」

いつき「メアリーちゃんが授業道具を運んでくれて、ケイトさんはそこで別れた」

亜里沙「ケイトさんは後片付けをしていた。準備室で」

いつき「準備室は校舎1階西側つきあたり。窓は西側にしかない」

亜里沙「はい。だから、薫ちゃんがいた校庭側は見れない。そして、真鍋先生に呼び出された」

いつき「そうだね」



22: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 22:02:24.50 ID:5mCv2Jgd0

亜里沙「時刻は19時20分ごろ。大きな声だったようですね」

いつき「慌ててたから」

亜里沙「ケイトさんは、どこから出てきましたか?」

いつき「うーんと、東玄関からかな。上履きのままで」

亜里沙「はい。多分間違いないと思います」

いつき「ケイトさんを疑ってるの?」

亜里沙「……」

いつき「……どうしたの、持田先生、そんな人だったっけ?」

亜里沙「他の子達も確認しますね」

いつき「うん、お願い」

亜里沙「……なんで」

いつき「どうしたの?」

亜里沙「いいえ、なんでもないです。順番に確認していきますね」



23: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 22:05:37.09 ID:5mCv2Jgd0

幕間

メアリー「ケイト!」

ケイト「Oh!」

メアリー「ほら、また英語で反応しようとしたでしょ!ケイトも日本語勉強するのヨ!日本にいるんだから!」

ケイト「オー、どっちが先生かわからないですネ。フフ」

メアリー「バイバーイ!」

ケイト「バーイ♪」

幕間 了



24: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 22:09:47.20 ID:5mCv2Jgd0



亜里沙「授業終了後に、まず教室から出たのは、こずえちゃんでした。お母さんが迎えに、教室まで来たみたい」

いつき「うん。見たから」

亜里沙「校庭には行っていないですね?」

いつき「職員室の前を通って、校舎裏にある駐車場に向かった。お母さんに会釈されたかな」

亜里沙「はい。間違いないそうです。真鍋先生に会釈をしたと。反応してくれたみたいですね」

いつき「……調べてあるんだ」

亜里沙「こずえちゃんはそのまま帰宅しました。次に行きましょうか」

いつき「駐車場に向かう道を通った人なら、みんな見てるよ」

亜里沙「教えてください」

いつき「最初に、仁奈ちゃんとみりあちゃん」

亜里沙「はい。ケイトさんもそう言ってました」

いつき「すぐに帰ってないよね?」

亜里沙「いいえ。みりあちゃんのお父さんが迎えにくるそうだったのですが、少しだけ遅れて、19時15分くらいだったみたいです」

いつき「……そう」

亜里沙「……次は誰でした?」

いつき「千佳ちゃん」

亜里沙「はい。駐車場で待っていた、仁奈ちゃんとみりあちゃんもそう言っています」

いつき「次は、舞ちゃん。駐車場に行ったのはこれで全員」

亜里沙「そうですね。誰の証言とも矛盾してません」



25: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 22:11:47.40 ID:5mCv2Jgd0

いつき「他の子は、それぞれ帰ったんだよね?」

亜里沙「はい。まずは、千枝ちゃん」

いつき「階段を降りて行くのを見たよ」

亜里沙「はい。薫ちゃんが教室から出る前に、帰宅しています」

いつき「千佳ちゃんの後ぐらいだったかな。階段を降りて、校庭を横切って帰って行った」

亜里沙「はい。見ましたか?」

いつき「校門まで行くと、見えるようになるから。うん、赤いランドセルの子が帰って行くのを見たよ」

亜里沙「わかりました。次は、メアリーちゃんですね」

いつき「ケイトさんの後片付けを手伝ってたのよね?」

亜里沙「ええ。ケイトさんと舞ちゃんと一緒に部屋を出ました。ケイトさんがカギを閉めるのを見てから、舞ちゃんは駐車場へ。ケイトさんは職員室へ」

いつき「メアリーちゃんは、準備室に」

亜里沙「はい。その後、校舎東側にある階段を降りて、プールサイド横に出て、そこから帰りました」

いつき「私、メアリーちゃんは見てないんだ」

亜里沙「ケイトさんが、準備室の窓から帰ったのを見ています。手も振ってくれたそうで」

いつき「なら、時間もわかる?」

亜里沙「19時15分ごろですね」

いつき「メアリーちゃんは、用具室の隣を通ったの?」

亜里沙「あの、竹馬とか一輪車が入ってる小屋ですか」

いつき「うん。トンボもあそこに入ってるから、もしかしたら誰か見たかも」

亜里沙「いいえ。わざわざ回らないと、小屋には出て来れないので。校庭には行っていないようです」

いつき「……そうなんだ」



26: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 22:15:27.42 ID:5mCv2Jgd0

亜里沙「後は、薫ちゃんです」

いつき「……薫ちゃんの両親は来るのが遅れた」

亜里沙「はい。薫ちゃんのケータイに、メールが来てました」

いつき「舞ちゃんよりも少し前に、薫ちゃんは多目的室を出た?」

亜里沙「ええ。見てましたか?」

いつき「うん。校庭に一回降りて行って、戻って来たから」

亜里沙「千枝ちゃんが校庭で会ってますね。遅れるから、少しだけ遊んでるんだって」

いつき「……ええ」

亜里沙「それが、今回の事件につながってしまった」

いつき「……ご両親は自分達を責めてたかも。そんなこと、ないのに」

亜里沙「……昨日のことは以上です」

いつき「終わり?」

亜里沙「……はい」

いつき「誰も、薫ちゃんを突き落せないよ。だって、誰もいなかった。ケイトさんは準備室で、他の児童は事故の前にみんな帰ったんだから」

亜里沙「いいえ……います」

いつき「……」

亜里沙「あなたです、真鍋先生」



27: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 22:17:00.10 ID:5mCv2Jgd0

幕間

みりあ「迎え、来ないねー」

仁奈「来ないでごぜーます」

みりあ「ごめんねー。妹がぐずっちゃったかも」

仁奈「いいでごぜーます。みりあお姉さんとお話するのも楽しーです」

みりあ「ありがとう、仁奈ちゃん♪」

舞「あ、みりあちゃん、仁奈ちゃん!」

みりあ「舞ちゃん!」

舞「えへへ、今日は楽しかったね♪」

みりあ「うん!」

仁奈「次が楽しみでやがります」

舞「えへへっ。お母さんが呼んでるから、行くね。ばいばーい」

仁奈「さようならでごぜーます」

みりあ「またねー!」

幕間 了



28: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 22:19:23.85 ID:5mCv2Jgd0



いつき「……そうなるよね」

亜里沙「あの時間、校庭にいた可能性があるのは、薫ちゃんと真鍋先生だけです」

いつき「……」

亜里沙「あなたの証言は、嘘なんですね」

いつき「……」

亜里沙「どうなんですか……真鍋先生」

いつき「持田先生に隠し事は出来ないかな。いや、昔からしてないけどね」

亜里沙「……」

いつき「そうだよ。薫ちゃんが階段から転落したっていうのは、嘘だよ」

亜里沙「……」

いつき「……突き落したのは、私だよ」



29: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 22:21:41.60 ID:5mCv2Jgd0

幕間

ケイト「ハーイ、今日の授業はここで終わりデス。メアリー?」

メアリー「とっても良かった!皆、アタシみたいなレディーになる日も近いワ!」

ケイト「良いジョークデス。号令をお願いします」

みりあ「きりーつ!ちゅーもく!れい!」

一同「ありがとうございました!」

ケイト「いい挨拶ですネ」

千枝「こずえちゃん、お母さん来てるよ」

こずえ「ふぁー。今行くのー」

ケイト「サヨウナラ」

こずえ「Good Bye. See you again」

メアリー「ワォ!飲み込みがはやいのネ、こずえ!」

幕間 了



30: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 22:23:42.62 ID:5mCv2Jgd0

10

いつき「……不思議だよね」

亜里沙「……」

いつき「あれだけさ、持田先生にも偉そうなこと言ってさ」

亜里沙「……」

いつき「でも、所詮はこんなもんだった」

亜里沙「……」

いつき「教え子、突き飛ばして、意識不明にさせるなんてね」

亜里沙「……」

いつき「あーあ、なんかね、疲れてたのかも。向いてなかった」

亜里沙「……」

いつき「元気というよりは、手のやく子供だったんだ。だから、ね」

亜里沙「……」

いつき「やっちゃいけないことやったのに、こんなに冷静だし、やっぱり」

亜里沙「……」

いつき「ずっと憧れてきたし、努力してきたよ。いい先生になりたいって」

亜里沙「……」

(亜里沙:唇をかむ)



31: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 22:25:26.59 ID:5mCv2Jgd0

いつき「でも、違った。無理な夢だったみたい」

亜里沙「……」

いつき「私自身も持田先生も騙していたみたい」

亜里沙「……やめてください」

いつき「……なに」

亜里沙「私の憧れを、それ以上、侮辱すると、怒りますよ」

いつき「……ごめんね。警察に出頭する」

(いつき:立ち上がろうとする)

亜里沙「座ってください」

いつき「これ以上、何か知りたいの?」

亜里沙「私の憧れは変わってないです」

いつき「……どういうことかな」

亜里沙「真鍋先生は変わってないの。あなたは犯人じゃない……」

いつき「いいえ、あなたが信じたいのはわかるけど……それは違うよ」

亜里沙「……私も嘘をつきました」

いつき「……何を」



32: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 22:27:06.02 ID:5mCv2Jgd0

亜里沙「薫ちゃんの傷は転落ではなくて、もっと可能性の高い方法があります」

いつき「……」

亜里沙「地上側から、階段に向かって突き出された。その勢いで後頭部を強打した可能性が、高いと、思います」

いつき「違う……私がやったの、私が突き落したの!」

亜里沙「違います……突き落してないです。全部、嘘です」

いつき「……」

亜里沙「……座ってください。お願いします」

いつき「……ええ、そうよ」



33: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 22:43:44.75 ID:jwpSfX5+0

11

いつき「ええ、突き落してない。薫ちゃんが傷を負ったのは、校庭側」

亜里沙「……そう思います」

いつき「でも、それだけ。私がやったことは……変わらない」

亜里沙「どうして、突き落したと言ったんですか」

いつき「事故に見せたかったから」

亜里沙「……いいえ」

いつき「……ならなんだと思うの?」

亜里沙「意図をもった傷害事件だと思わせないため」

いつき「そうだね。突き落したなら、もののはずみだけど、校庭側ならそうともいかないから」

亜里沙「……そうしたら」

いつき「厳しい刑は避けられない」

亜里沙「だから、事故とした」

いつき「そう、私は保身のため、嘘をついた」

亜里沙「……」

いつき「どうしたの?」

亜里沙「聞いていい、ですか……」

いつき「……これ以上、何を?」



34: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 22:44:37.09 ID:jwpSfX5+0

亜里沙「トンボはなんで使ったんですか」

いつき「何って……持田先生が言ったでしょう、足跡を消すため」

亜里沙「消す必要が、ないんです」

いつき「……なんで?」

亜里沙「目撃者として、ずっと現場にいたからです。足跡があって、当り前なんです」

いつき「……あ」

亜里沙「その場にいるのに、消す必要がないんです。なら、なぜ、消そうと思ったのですか」

いつき「隠そうと必死で……」

亜里沙「トンボはどこにあるか、わかりますか」

いつき「……用具小屋」

亜里沙「校庭の東端です。そこまで遠くもありませんが、離れるほうが、危険だと思いません?」

いつき「……」

亜里沙「でも、行かないといけなかった」

いつき「……なんのために」

亜里沙「何かを隠しに行った」



35: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 22:45:30.38 ID:jwpSfX5+0

いつき「……」

亜里沙「例えば、鉄の棒、遊具の竹馬がありますね」

いつき「……なにが言いたいの」

亜里沙「膝の傷、おそらく人為的な打撲痕です」

いつき「……そう。ええ、そう。自分でつけた傷を、自分で手当てして……間抜けだよね」

亜里沙「……真鍋先生」

いつき「薫ちゃんに、それが出来るのは私しかいない。だから」

亜里沙「……いいえ。違います」

いつき「何が言いたいの?」

亜里沙「凶器とトンボにより足跡を消すのに、時間がいります。だから、思い当たることはひとつ」

いつき「……」



36: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 22:47:36.74 ID:jwpSfX5+0

亜里沙「薫ちゃんが傷を負った時刻が、違うんです」

いつき「いいえ、薫ちゃんが傷を負ったのは、20分で間違いない。私が、やった私が言うんだから」

亜里沙「……少しだけ早ければ、残っている人は、います」

いつき「……」

亜里沙「あなたは時間をかけて、証拠を消し、傷の手当をした」

いつき「違う!もう、あの時には誰もいなかった!駐車場にも!」

亜里沙「……なんで、なんで知ってるんですか」

いつき「……」

亜里沙「なんで、その時点で駐車場を確認してるんですか。すぐにケイトさんを呼べばよかったんじゃないんですか……」

いつき「……」

亜里沙「あなたは、薫ちゃんが傷を負った時間を誤認させた。あえて、助けを呼ぶのを遅らせたんですね」

いつき「……」

亜里沙「包帯、とても綺麗に巻かれていたそうです。焦らず、丁寧にやったんじゃないかって、看護師さん、言ってました」

いつき「……だから」

亜里沙「時間をかけて治療を行った。薫ちゃんが怪我を負ったのは、20分より前」

いつき「それは、私が混乱してて……」

亜里沙「混乱してる手際じゃない、って言いました」

いつき「……」

亜里沙「それをした理由は、」

いつき「……理由なんて」

亜里沙「自らの犯罪の隠ぺいじゃありません。誰かをかばうための、もの」



37: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 22:48:45.96 ID:jwpSfX5+0

幕間

千佳「ルルーン!スーパーマジカルパワーでメルヘンチェーンジ!ラブリーチカ、がんばっちゃいま……」

仁奈「……」

みりあ「……」

千佳「……ま、待ってたんだ」

みりあ「ブイ♪はーい、じゃあ、みりあも魔女っ子やるー!」

仁奈「仁奈にマスコットキャラを任せやがってください!」

千佳「えへへー♪また今度、遊ぼうね!ばいばーい!」

みりあ「ばいばい!」

仁奈「さようならでごぜーます」

幕間 了



38: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 22:50:09.67 ID:jwpSfX5+0

12

いつき「……違う」

亜里沙「……違いません」

いつき「違う!私が、私が犯人なの!」

亜里沙「……いいえ。真鍋先生は犯人ではありません」

いつき「全部想像でしょ!そんなことで、子供達を疑わないでよ!」

亜里沙「……子供達の中にいるんですか」

いつき「ち、違う!」

亜里沙「疑問な点があります。どうして、気づいたんですか」

いつき「何に……」

亜里沙「職員室からは、薫ちゃんが見えません。階段下に倒れていたのに」

いつき「それは!」

亜里沙「なんで、怪我していることに気が付いたんですか」

いつき「そんなの私がやったからに……」

亜里沙「犯人は、あなたの目の前を通ったんですね。階段を上がってきて」

いつき「……」

亜里沙「真鍋先生なら、様子が違うことに気づけると思います。だって、真鍋先生だから」

いつき「……そんなこと」



39: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 22:51:11.10 ID:jwpSfX5+0

亜里沙「そして、様子を見に行った。犯人が上がってきた階段の下を」

いつき「……」

亜里沙「薫ちゃんの様子を見て、あなたは全てを理解した。そして、犯人をかばった」

いつき「……」

亜里沙「犯行の時間と詳細だけが嘘だった。犯人は正直に帰った時刻を言っても、疑われない」

いつき「……」

亜里沙「この時間帯に学校にいて、他の子に犯行を見られず、あなたの証言が嘘だった子が犯人です。つまり……」



40: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 22:52:10.15 ID:jwpSfX5+0

いつき「持田先生!」

(いつき:机を叩く)

亜里沙「……!」

いつき「言わないで」

亜里沙「……認めますか」

いつき「いいえ。認めない」

亜里沙「なんで……」

いつき「私は、先生だから」



41: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 22:55:12.46 ID:jwpSfX5+0

13

いつき「もし、傷害事件だとわかったらどうなるかな」

亜里沙「……」

いつき「報道される。世間に明らかになる。被害者はもちろん、犯人も、この学校も」

亜里沙「少年法は……」

いつき「それは、人の口をふさげる?」

亜里沙「……」

いつき「わかるよね。好奇心の目にさらされる。そして、意識しないといけなくなる」

亜里沙「何を……?」

いつき「人の目を。それだけで傷つくのに。人々はそれじゃ納得しない」

亜里沙「……」

いつき「そう、傷ついているように見せないといけない。時には犯罪者と同じように見られ、扱われる。そして、自分で自分を傷つける。自分はこんな存在なんだって」

亜里沙「……」

いつき「だから、守るの。被害者も犯人も、この学校の子供は誰も傷つけさせない」

亜里沙「だから……全部、自分が背負うのですか」

いつき「……そうだよ」



42: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 22:58:58.86 ID:jwpSfX5+0

亜里沙「そんな、そんなのって」

いつき「なら、誰が守ってくれる?私がやらなかったら、誰が守るの?」

亜里沙「それは……」

いつき「答えられないよね。だから、私は言わない」

亜里沙「……真鍋先生」

いつき「確認していいかな」

亜里沙「……何をですか」

いつき「私が証言しないと、何もわからない、よね」

亜里沙「……」

いつき「私が犯人だと名乗れば、その通りに」

亜里沙「……」

いつき「今のままなら、事故。学校と私が責任を取る」

亜里沙「変える気は、ありませんか」

いつき「ない」

亜里沙「そんな……」

いつき「私はあなたが話したこと、全て認めない。それで、終わり」

亜里沙「……」

ピリリリリ……



43: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 22:59:53.34 ID:jwpSfX5+0

いつき「時間みたい。タイマーとめるよ」

亜里沙「……はい」

いつき「これで、おしまい。またね、亜里沙」

亜里沙「真鍋先生……」

いつき「私はなれなかったから、良い先生になってね。亜里沙せんせい」

亜里沙「いつき先輩、待って!」

いつき「……ばいばい」

(いつき:退場)

亜里沙「いつき先輩……どうして……」



44: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 23:01:32.87 ID:jwpSfX5+0

幕間

千枝「薫ちゃん、まだ遊んでるんだ」

薫「うん!ママのお迎えがね、遅れちゃうから、遊んでるんだー。一緒に遊ぶ?」

千枝「ううん、遅くなる前に帰らなきゃ」

薫「そうなんだ……」

千枝「ごめんね。気をつけて遊んでね」

薫「はーい」

千枝「ばいばい」

薫「千枝ちゃん、またねー!」

幕間 了



45: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 23:04:07.73 ID:jwpSfX5+0

14

SWOW部室

亜里沙「……私の話は、終わり」

亜季「むー、実に厳しい話ですなぁ」

惠「……ええ」

久美子「その、真鍋先生は犯人をかばったのよね」

恵磨「犯人をかばってるなら、共犯だー、って強く言えるけど」

亜季「守ってるものが違うでありますからなぁ」

久美子「被害者と周りを助けるため、だものね」

惠「……正しいことだとは思えないけど」

恵磨「覚悟はかたそうだった?」

亜里沙「……はい」

惠「……」

久美子「時子ちゃんはどう思う?」

時子「……」

恵磨「時子ちゃん?」

時子「……ふん。大変だったわね、亜里沙。こっちに来なさい」

亜里沙「……うん」

時子「顔見せなさい」

亜里沙「……泣き腫れてないかな」



46: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 23:06:27.02 ID:jwpSfX5+0

時子「気にしないでいいわ。だって」

バチーン!

亜里沙「……え」

恵磨「あわわわわ!なんでビンタするのさ!」

時子「バカじゃないの!」

久美子「そんな言い方は……」

時子「あのねぇ、その先輩、亜里沙の大切な人なんでしょう。そんな人、そのままにしていいと思ってるわけ?」

亜里沙「そんなわけじゃ……」

時子「それなのに、おめおめ帰って来たわけ?信じられないわ」

亜里沙「……」

時子「いい、バカみたいな報道とか世間の目とか、バカな奴らが悪い奴に決まってるわ。少なくとも、そんな奴らに育てたわけじゃない、その先輩が責任を取ることじゃない」

惠「……そうね」

時子「このままじゃ認めるだけよ。真鍋いつきが危惧している状態でいいと、認めてしまうだけよ。それでいいの、亜里沙?」

亜里沙「ううん……」

時子「当然よ。それの変えるのが、あなたの仕事でしょう。違うかしら、亜里沙」

亜里沙「……うん」

時子「よろしい。私の言いたいこと、わかるわね」

亜里沙「……」



47: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 23:08:21.04 ID:jwpSfX5+0

時子「惠」

惠「わかったわ」

亜季「え、わかるでありますか」

惠「行く気はある、亜里沙ちゃん?」

亜里沙「……はい」

時子「よろしい。ひっぱたいて、目を覚まさせてきなさい。いいわね?」

亜里沙「……わかった。行ってくる。惠ちゃん、よろしくね」

惠「ええ。行きましょう」

亜里沙「……言ってたな」

久美子「何を?」

亜里沙「正しいことができないと、お手本になれないよ、って」

時子「そう。聞かせてやりなさい」

亜里沙「自分の言ったことくらい、思いださせなきゃ。行ってきます!」

エンディングテーマ

A Modelist
歌 持田亜里沙



48: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 23:11:37.19 ID:jwpSfX5+0

オマケ

数十分後

SWOW部室

太田優「ただいまぁー!」

太田優
S大学教育学部。亜里沙と同期間、母校で教育実習を行った。

恵磨「あ」

亜季「あら」

久美子「あー」

時子「忘れてたわ」

優「なぁにぃ、この空気?」

時子「……教育実習はどうだったかしら?」

優「母校だったしぃ、楽しかったよ☆女子校っていいよねー♪」

久美子「……まぁ、亜里沙ちゃんが特別だっただけよね」

亜季「……そうでありますな」

優「あれ?亜里沙ちゃんと惠ちゃんはー?」

時子「時期に帰ってくるわよ。心配しなくていいわ」

優「ふーん……あ、そうだ、お土産あるんだ☆」

恵磨「お、なになに?」

時子「あら、気がきくじゃない」

優「はい、どーぞ♪いっぱいあるよー」

亜季「落花生……」

久美子「見事なまでの千葉土産ね……」

おしまい



49: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/08(金) 23:33:48.34 ID:jwpSfX5+0

あとがき

小学校にいたら誰がいいかな、と考えた結果が真鍋いつき先生。
そんな邪念で書いたのに内容はこんなのに。

それでは、また



54: ◆ty.IaxZULXr/ 2014/08/09(土) 11:39:49.13 ID:YaOFG+AA0

次回予告

関裕美「その銃で撃って。あなたが……止めて」

裕美「幸せなまま……終わらせて」

大和亜季「7人が行く・ハッピーエンド」

近日公開



元スレ
持田亜里沙「7人が行く・真鍋先生の罪」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1407499766/
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         コメント一覧 (4)

          • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年06月09日 23:13
          • >>みりあ「きりーつ!ちゅーもく!れい!」

            作者は群馬県民らしい
          • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年06月09日 23:32
          • ※1
            ケンミンショーかよ
          • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年06月10日 23:01
          • 結局犯人誰?
          • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年06月10日 23:17
          • ※3
            よーく読んで時系列考えれば犯人分かる。

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

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