【ぼく勉】 真冬 「今週末、家を徹底的に掃除しようと思うの」
- 2019年05月30日 09:10
- SS、ぼくたちは勉強ができない
- 5 コメント
- Tweet
真冬 「……?」 ジトッ 「……君は、私のことを何だと思っているのかしら」
成幸 「へ?」
真冬 「私は教員よ? これ以上、生徒に家事の手伝いをさせるわけにはいかないわ」
真冬 「当然、やるのは私ひとりで、よ。私の部屋なのだから当たり前ね」
成幸 「はぁ……? まぁ、自分で掃除するのはいいことだと思いますけど……」
成幸 「なぜそれを俺に……?」
真冬 「これは私なりの、あなたに甘えることへの決別の決意表明なの」
真冬 「あなたに宣言することで、これ以上あなたに甘えることがないように自分を戒めるのよ」
真冬 「……と、いうことで」
真冬 「覚悟しておきなさい、唯我くん。私はもう、きみに惨めな姿をさらすことはないのよ」
成幸 (何を覚悟しろというんだろう……?)
真冬 「今度、きれいになった部屋にご招待して差し上げるわ」
成幸 (あ、掃除の手伝い抜きで家に伺うのはありなんだ……)
成幸 「ありがとうございましたー! いってらっしゃいませー!」
成幸 「ふー……」 (今日は本当にお客さん多いな。急に呼ばれるわけだよ……)
あすみ 「よ、後輩。雨だってのに、忙しいからって急に呼んで悪かったな」
成幸 「いえ、気にしないでください。頼られるのは嬉しいですから」
成幸 「最近、緒方たちもできるだけ自分で勉強しようとして、なかなか頼ってくれなくて……」
成幸 「桐須先生も……」
―――― 『これは私なりの、あなたとに甘えることへの決別の決意表明なの』
あすみ 「あん? 真冬センセがどうかしたのか?」
成幸 「あ、いえ、なんでもないです」
成幸 「とにかく、最近頼られることが少なくて落ち着かなかったのでちょうど良かったです」
あすみ 「お、おう。そうか、そりゃ良かった……のか?」
あすみ (なんかこいつ、将来付き合う女を次から次へとダメ人間にしそうだな……)
あすみ (……し、仕方ねーなぁ。被害者を出さないためにも、アタシがこいつのこともらってやるしかねーか///)
あすみ 「ん、おう。じゃあ頼むわ」
成幸 (危ない危ない。先生のことを話すところだった……)
成幸 (小美浪先輩に話したら、また先生がからかわれてしまう)
成幸 「………………」
―――― 『今週末、家を徹底的に掃除しようと思うの』
成幸 (……先生、大丈夫かな。ちゃんとできてるかな)
成幸 (また部屋が嵐の後のようにならないといいんだけど……)
成幸 (って、人の心配してる場合じゃないな。急に呼ばれたとはいえ、バイト中なんだから)
成幸 (がんばらないと。よーし、トイレ掃除気合い入れてピッカピカにするぞ!)
成幸 (結構雨降ってたけど、結局閉店まで店は混み合ったままだったな……)
ヘトヘト
成幸 (……つかれた)
マチコ 「ごめんね、唯我クン。せっかくのお休みなのに、ずっとバイト入ってもらっちゃって……」
マチコ 「受験生なのに、悪いことしちゃったよね……」
成幸 「いえ、気にしないでください。お役に立てたなら何よりです」
マチコ 「唯我クン……」 キューン 「本当にいい子だねぇ、唯我クンは。そういうところ、大好きっ」
成幸 「は、はい。ありがとうございます……」 ドキドキ (気軽に大好きとか言わないでほしいなぁ……)
マチコ 「今日の出勤分、特別手当も足しておくからね。進学費用の足しにしてね」
店長 「えっ!?」
成幸 「へ? いいんですか?」
マチコ 「もちろん!」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!! 「いいですよね、店長?」
店長 「あ、ああ。もちろんだ。好きにつけてくれ……」 ガックリ
成幸 (マチコさん強い!!) キラキラキラ
マチコ 「給料日楽しみにしててね、唯我クンっ」
成幸 「はい、ありがとうございます、マチコさん!」
成幸 (……ピッカピカ、かぁ)
成幸 (大丈夫かな、桐須先生。ちゃんと掃除できてるかな……)
あすみ 「ほら、受験生だなんだっていうなら、もう解放してやれよ、マチコ」
あすみ 「……っていうか、それ言うならアタシも受験生なんだけどな?」
マチコ 「やだなぁあしゅみー。ナンバーワンのあしゅみーの給料をこれ以上上げたら、うちの店潰れちゃうよ」
あすみ 「……調子いいこと言いやがって。ま、いいけどな」
あすみ 「で、後輩、どうだ? この後、どこかで一緒に勉強、とか……」
あすみ 「今日親父は学会で遅くまで帰ってこないから、うち来るか?」
ドキドキドキドキ……
あすみ 「今日の詫びに晩飯も作るし、何だったら泊まってってくれてもいいし……」
マチコ (!? 今日のあしゅみー積極的! かわいい~!)
あすみ 「……? 後輩?」
成幸 「……へ?」 ハッ 「あ……すみません。少し考え事してて、聞いてませんでした」
成幸 「もう一回言ってもらってもいいですか?」
あすみ 「………………」
成幸 「……先輩?」
あすみ 「……ふん。知らねー」 スタスタスタスタ……
成幸 「へ? 先輩? どうしたんですか?」
あすみ 「知らねーって言ってるだろ。ついてくんな。また今度な!」 スタスタスタスタ……
成幸 「行っちゃった……なんだったんだろ……?」
ポン
成幸 「……? マチコさん?」
マチコ 「今のは唯我クンが悪いよ……」 シミジミ……
店長 「……うむ」 シミジミ……
成幸 「店長まで!?」
成幸 (あしゅみー先輩、何だったんだろ)
成幸 (俺が話を聞いてなかったせいで怒らせちゃったし、悪いことしちゃったな……)
成幸 (今度謝らないと……)
成幸 「………………」
テクテクテクテク……
成幸 「……ああ、もう」
成幸 (ここ通ったら家まで遠回りのはずなのに。雨も降ってるから、早く帰りたいってのに、何で俺は……)
成幸 (……まぁ、理由なんて分かりきってるけどさ)
―――― 『今週末、家を徹底的に掃除しようと思うの』
成幸 (この角を折れたら、マンションの入り口だ)
成幸 (もしあの人が困り果てていたら、きっと、入り口前に腰かけているはず……)
スッ………………
成幸 「………………」 (……いない、か。まぁ、雨だしな)
成幸 (ホッとしたような、肩すかしを食らったような……複雑な気分)
―――― 『私は教員よ? これ以上、生徒に家事の手伝いをさせるわけにはいかないわ』
―――― 『当然、やるのは私ひとりで、よ。私の部屋なのだから当たり前ね』
―――― 『これは私なりの、あなたに甘えることへの決別の決意表明なの』
―――― 『あなたに宣言することで、これ以上あなたに甘えることがないように自分を戒めるのよ』
成幸 (まぁ、あそこまで言っておいて、俺に頼るようなことはしないか……)
成幸 (……何やってんだ、俺は。早く帰ろ……)
成幸 「………………」 (でも、本当に大丈夫だろうか……)
トコトコトコトコ……
成幸 「………………」 (逆に、俺に頼ることができないから、余計とんでもないことになっているんじゃ……)
…………ピタッ
成幸 「……ちょっとだけ」
成幸 「ちょっとだけ、様子を見るだけだから……」
成幸 「………………」
成幸 (……いやいやいや!? 結局部屋の前まで来ちゃったぞ!?)
―――― 『違います誤解です!! 俺はここの住人の友人で……ッ!!』
―――― 『ストーカーはみんなそう言うんだよ!』
成幸 (いかん! 人の家の前で突っ立ってるなんて……)
成幸 (古橋のときみたいに、またいらん誤解を受けるかもしれない)
成幸 (もう帰ろう……)
成幸 「………………」
ボソッ
成幸 「……大丈夫、だよな」
『キャーーーーーーーー!!』
成幸 「……へ?」
成幸 「………………」
成幸 「……いやいやいや! 迷ってる場合じゃない!!」
成幸 「先生!? 先生、大丈夫ですか!?」
ガチャッ!!
成幸 (あっ、鍵空いてる!!)
成幸 「すみません、先生! 入ります!!」
バン!!!!
成幸 「先生!」
真冬 「あ……唯我くん!!」
成幸 「……!?」
成幸 「せ……先生?」
カァアアアア……
成幸 「な、何で、バスタオル一枚なんで……――」
――――――タタタタタ……!!! ガバッ!!!! ムギュッ!!!
真冬 「お……おおお、恐ろしいわ……」
ムギュッムギュッ!!!!
成幸 (れ、冷静に、今の状況を、分析すると……)
成幸 (バスタオル一枚を身体に巻き付けた、先生が……)
成幸 (俺の姿を認めるや否や、走り寄ってきて、抱きついて……)
成幸 (げ……玄関で、押し倒されて……いる……)
成幸 「………………」
成幸 (……なんだこの状況!?)
成幸 「きっ、桐須先生! 一体どうしたんですか!?」
成幸 「……っていうか、離れてください! 色々とマズいです!」
真冬 「む、無理……。腰が抜けてしまったわ……」
成幸 「な、なんかすごくデジャヴるんですが……まさか……」
カサカサカサカサカサカサ……
成幸 「……ああ、やっぱり出たんですね、G……」
真冬 「シャワーを浴びていたのよ! そうしたら排水溝から……」
―――― G『やぁ』
真冬 「って……」 ガタガタガタガタ
成幸 「ああ、あいつら水回り移動しますからね。マンションとかだと排水溝から出てくるらしいですね」
真冬 「戦慄! 恐ろしいことを言わないで!!」
ハラ……ハラハラリ……
成幸 「……!?」 (せ、先生のバスタオルの締めがゆるくなりつつある……)
成幸 (これはマズい! 色々な意味でまずい!)
成幸 (っていうか今まさにダイレクトに感じられる先生のやわらかい肌とか濡れた髪とかがヤバいのに!)
成幸 (その上バスタオルがはだけたりしたら……それ以前に、ないとは思うけどこんなところを誰かに見られたら……――)
美春 「――――――こんにちはー、姉さまー!! 美春がサプライズで参りましたよー!」 バーーーン!!!
成幸 「!?」
美春 「ね……姉、さま……? 唯我、成幸、さん……?」
ポワンポワンポワンポワン……
―――― 成幸 『せ、先生、ダメですよ。こんなところで……///』
―――― 真冬 『ふふ。ダメなことないわ、唯我くん。私、もうベッドまで我慢できないもの……』
―――― 成幸 『あっ……せ、先生……』
―――― 真冬 『ベッドではできない悪いコト、教えてアゲル……』
……ポワンポワンポワンポワン
美春 「………………」
成幸 「み、美春さん? 違います。これは、違うんですよ?」
美春 「………………」
成幸 「……あ、あの、美春さん?」
美春 「すっかりイケない女教師になってしまいましたーーーーー!!!」
美春 「悪いコトってどんなコトですかーーーーーーー!?」
タタタタタタ……!!!
成幸 「えっ、ちょっ、待って!! 待ってください!! 美春さん!!」
成幸 「悪いコトって何の話ですかーーーー!!」
ムギュッ
成幸 「はうぁ!?」
真冬 「き、禁止! 何でもするから!! 私を置いていかないで!!」
成幸 (この人はこの人で何でもとか言い出したぞ!?)
成幸 (っていうか……///)
成幸 「せ、先生、どこも行かないですから、あんまりしがみつかないでください!!」
成幸 「い、色々と……!! 当たってますから!!」
真冬 「ヒッ!? 音がするわ! 動いてるわね!? 動いてるのね!?」
ムギュムギュムギュムギュッ!!!!
成幸 「い、いやいや、変に動かないでください!! 当たってるんですってば!!」
真冬 「当たってる!? (Gが)当たっているの!?」
成幸 「はい! ですから当たってます!! (Eが)当たってるんですって!!」
真冬 「きゅうっ……」
……クタッ
成幸 「へ……? 先生!? ちょっと、しっかりしてください! 先生!?」
真冬 「………………」
成幸 「先生ーーーー!! しっかりしてください!!!」
真冬 「………………」
成幸 「………………」
オホン
真冬 「さっきは取り乱してしまって申し訳なかったわね」
成幸 (身だしなみを整えて、今さら体裁を保とうとしている……)
成幸 (まぁ、ゴキは退治したし、もう大丈夫だとは思うけど……)
真冬 「虫が出て、少し動揺してしまったわね。もう大丈夫よ」
成幸 「いや、えっと……」
グッチャァァアアア……
成幸 「何も大丈夫じゃないと思うんですが……。あの、今日は掃除をしていたのでは……?」
真冬 「し、していたわ。していたけれど……」
真冬 「やっぱり、なかなかどうして、うまくいかなくて……」
成幸 「……いや、掃除終わってないのに何でシャワーを浴びようとしたんですか」
真冬 「!? それは、その……」
真冬 「だから一度シャワーを浴びていたのよ」
成幸 「なるほど……」
成幸 (……いや、なるほどとか言ってるけどまったく理解はできないけど。本当に、器用に不器用な人だな……)
成幸 「………………」 ウズウズ (しっ……仕方ないなぁ……)
ニコニコニコニコ
成幸 「先生、俺、掃除手伝いますよ」
真冬 「えっ、いや、でも……」
成幸 「このままじゃ日をまたいでも終わらないですよ、掃除」
真冬 「うっ……」 モジモジ 「でも、今日こそ、あなたの手を借りずに……」
成幸 (まじめな人だもんなぁ。一度決めたことを曲げたくないんだよな……)
成幸 (その気持ちは汲んであげたいし、偉いと思うけど……)
成幸 (さすがに、この部屋の惨状をこのままにはできないし……)
成幸 「……分かりました。では、」
真冬 「……?」
成幸 「俺が勝手に手伝います。先生は、嫌だって言ってるのに、俺が勝手に手伝うだけなら、いいでしょう?」
真冬 「へ? あ……えっと……」
成幸 「あっ、先生はいいと言ったらダメですね。俺が勝手にやるんだから」
成幸 「ってことで、勝手に掃除始めます。迷惑だと思いますけど、ごめんなさい」
イソイソイソイソ……
真冬 「あっ……」
真冬 「………………」
真冬 「……ごめんなさい。お願いするわ」
成幸 「いえいえ、謝ることじゃないです」 ニコニコニコニコ
真冬 「……?」 (唯我くん、どうしてあんなに嬉しそうなのかしら……?)
真冬 「……おお」
ピカピカピカピカ……
成幸 「ふー。こんなもんですかね」
成幸 (なんとか日をまたぐ前には終わったな。良かった良かった……)
成幸 (一日中バイトしてからの掃除……結構ハードだったな……)
真冬 「……結局、今回もきみに頼ってしまったわね。唯我くん」
真冬 「生徒に――受験生にさせることじゃないわ。本当にごめんなさい……」
成幸 「いえ、気にしないでください。俺が好きでやったことですから」
真冬 「……そういうわけにはいかないわ」
成幸 「へ……?」
真冬 「私は教員で、あなたは生徒。そこは明確な線引きがなされなければならない」
真冬 「なのに私は、生徒であるあなたに、毎度毎度頼ってしまって……」
真冬 「……情けないわ」 ズーーン
―――― 『あっ、先生はいいとら言ったダメですね。俺が勝手にやるんだから』
―――― 『ってことで、勝手に掃除始めます。迷惑だと思いますけど、ごめんなさい』
成幸 (まさかこんなに気に病んでいたなんて、申し訳ないことしてしまったな……)
成幸 「……あの、ごめんなさい。先生がそんなことまで考えているとは思わなくて……」
成幸 「勝手にお手伝いをしてしまって……」
真冬 「!? ち、違うのよ? きみを責めているわけではないの」
真冬 「ただ、自分が情けないだけで……」
成幸 「いや、でも俺……最初から、先生のこと、手伝うつもりでここに来たので……」
真冬 「え……?」 ハッ
―――― 『先生!』
―――― 『あ……唯我くん!!』
真冬 「そういえば、どうして唯我くんはうちに……?」
成幸 「俺、今日一日、先生のことが頭から離れなくて……」
成幸 「大丈夫かなって、何度も考えてしまって……」
成幸 「こんなこと言うと気持ち悪いと思われるかもしれませんけど、」
成幸 「……わざと遠回りして、このマンションの前を通って……」
成幸 「先生がいないから大丈夫だろうって思ったんですけど、気づいたら部屋の前まで行ってて……」
成幸 「悲鳴が聞こえたから中に入ったんです」
真冬 「………………」
成幸 (……いやいやいや!! 冷静に考えてみると、俺、ストーカーそのものじゃないか!?)
成幸 「す、すみません! 家まで押しかけちゃって……」
成幸 「先生はもう俺の手伝いはいらないって言ってたのに、迷惑ですよね……」 ペコリ 「本当に、ごめんなさい!!」
成幸 (こ、怖い……。先生、どんな顔をしているんだろう。きっと、軽蔑するような顔を……)
真冬 「………………」
真冬 「……顔を上げなさい、唯我くん」
真冬 「謝る必要はないわ、唯我くん。私も同じだもの」
成幸 「同じ……?」
真冬 「ええ。恥ずかしい話だけど、白状するわ。私がシャワーを浴びていた本当の理由」
真冬 「バケツをひっくり返したなんてウソよ。本当は、表で自動車に水を浴びせられたの」
成幸 「……? え、でも、何でそんなウソを……?」
真冬 「それは、その……」
真冬 「……――みを、…………って、いた、から……」
成幸 「え? すみません、よく聞こえないんですが……」
真冬 「だっ、だから……! 君を……待っていたから、って言ったのよ……」
成幸 「へっ?」
真冬 「……君が来てくれるんじゃないかと期待して、外で待っていて……」
真冬 「そのときに自動車に水を浴びせられて、そんなこととても君には言えないから……」
真冬 「だから、ウソをついたの。ごめんなさい……」
成幸 (え……? でも、先生、俺を、待っていてくれた……?)
成幸 (俺を……///)
真冬 「恥ずかしいわ。私、教師だというのに、結局あなたを頼ろうとしてしまったわ」
―――― 『これは私なりの、あなたに甘えることへの決別の決意表明なの』
―――― 『あなたに宣言することで、これ以上あなたに甘えることがないように自分を戒めるの』
真冬 「あんなことまで言ったというのに、私は結局……」 ズーン
成幸 「………………」
成幸 「……えっと、あの、どう言ったらいいのか分からないので、思ったことをそのまま言いますね」
真冬 「……?」
成幸 「……すごく、嬉しいです」
真冬 「う、嬉しい……?」
成幸 「はい、さっきも言いましたけど、俺、先生のこと心配していたので……」
成幸 「先生が俺のことを頼ろうとしてくれたのが、とても嬉しいんです」
成幸 「でも、俺は、こうやって先生の部屋を片付けるの嫌いじゃないです。だから……」
成幸 「もし先生が嫌でないなら、これからもずっと先生の部屋の掃除をしたいです!」
真冬 「ずっ……ずっと……?」
成幸 「はい! むしろ、高校を卒業してからの方が健全ですよね!」
真冬 「そ、それはその通りだと思うけど……」
真冬 「君は、高校を卒業した後も、私の家に来て、掃除をしてくれるというの?」
成幸 「はい!」
真冬 「っ……」
真冬 (まっすぐ返事をしてくれるものだわ。まったく、こっちの気も知らないで……)
―――― 『最愛の息子が…… 親のいぬ間に半裸の年上女性を連れ込んで…… 私は一体どうしたら……』
―――― 『あぁぁやっぱりダメエェ!! そういうのはせめて!! せめてしっかり卒業してからに……』
―――― 『あ でもなんにせよそういうのはちゃんと卒業してからね』
真冬 (お母さんを心配させないように配慮したこっちの気も知らないで……まったく……)
成幸 (? 先生、黙り込んじゃってどうしたんだろ……?)
真冬 (あ、でも……)
真冬 (“卒業” してからなら、いいのかしら……?)
真冬 「………………」
ハッ
真冬 (教師である私が、一体何を考えているのかしら!?)
真冬 (でも、もし……もしも……)
―――― 『でも、俺は、こうやって先生の部屋を片付けるの嫌いじゃないです。だから……』
―――― 『もし先生が嫌でないなら、これからもずっと先生の部屋の掃除をしたいです!』
真冬 (卒業した後も、本当に彼が同じように言ってくれるなら……)
真冬 (……少し、お言葉に甘えても、いいのかしら)
おわり
真冬 (!? でも、このまま受験生の彼の勉強の邪魔ばかりしていては……)
―――― 成幸 『うぅ……第一志望に落ちてしまった……』
真冬 「………………」 ワナワナワナ (それはまずいわ! 絶対ダメよ!)
真冬 (そんなことになったら、“先生” にも顔向けできないわ!)
真冬 (でも、もし、万が一そういうことになったら……)
成幸 「……? あの、先生? どうかしましたか?」
真冬 「………………」
ガシッ
成幸 「!? せ、先生……? ど、どうして手を……///」
真冬 「安心して、唯我くん!」
真冬 「万が一のことがあったら、私が責任を取ってあげるから!!」
成幸 「!?」
おわり
「SS」カテゴリのおすすめ
- 俺「あの、ここが隣人部ですか?」
- 冬月「今なら俺も初号機に乗れそうな気がする」
- 妹「お兄ちゃん結婚しようよー」兄「おk。挙式はどこがいい?」
- 神崎蘭子「闇に飲まれよ!」ウルトラマンティガ「闇に飲まれた」
- モバP「良い宣伝が思い付きません……」
- れんげ「ほたるんスタイル良くてうらやましいんなぁ」
- 武内P「モバマスに……興味はありませんか」
- 僧侶「リア充呪われろ」
- 千早・紅莉栖「私たちの愛が重いという風潮」
- ブラックジャック「まぁ、短編、というやつですな」
- 彡(゚)(゚)「真夏の夜の淫夢ってそんなに面白いんか」
- 提督「指輪を外すんだ、赤城」
- 紅莉栖「岡部と二人きりで無人島……?」
- 苗木「ゲームをしようよ。闇のゲームをね……」
- 渋谷凛「卯月の弱点を」本田未央「探したい?」
「ランダム」カテゴリのおすすめ
- はじめての世界のおわりに
- 長門「業務上かちししし」
- アスカ「プリン?食べてたけd」シンジ「ふざけんなよ!!!」
- にこ「次のセンターは遊戯王で決めるわ!」
- 【モバマス】ありす「周子さんとフレデリカさんを口リにします」
- 「けいおん」著:村上春樹
- J( 'ー`)し「たかしへ。お願いです悪い人間になってください」
- 的場梨沙「壁ドンって、実際ときめくの?」 二宮飛鳥「さあ」
- 魔王と側近の世界征服計画
- 西住みほ「両親が離婚した」
- 美容師「お○ぱい当てていきまーす」俺「はーい」
- バカ王子「やあそこの君!魔法少女になってみない!?」
- モバP「森久保がアイドル×担当Pモノのエ口本隠し持ってた…」
- つば九郎「……」城ヶ崎美嘉「……」
- 八幡「37.5℃か…」
コメント一覧 (5)
-
- 2019年05月30日 09:44
- 刃皇「………うるかちゃんはどこだい?」
-
- 2019年05月30日 11:10
- 横綱は取組に集中して
-
- 2019年05月30日 11:24
- やっぱり真冬先生がナンバーワン!原作絵で再現された!
-
- 2019年05月31日 12:24
- 本場所中は刃皇から携帯を取り上げなさい
-
- 2020年03月27日 17:52
- 購入前にショップにお電話させていただき、商品の情報を丁寧に説明くださって、安心して購入することができました。
届いた商品は説明どおりで、どちらかと申しますと、お聞きしていたより美品です。
ランクは厳しめに付けられているのだと思いました。こんなに満足できるショップは初めてです。
中古のバッグを購入するのは初めてで戸惑いもありましたが、また是非購入させていただきたいと思います。ありがとうございました。
モンクレール スーパーコピー 口コミ https://www.kopijp.com/product/detail-8175.html
スポンサードリンク
デイリーランキング
ウィークリーランキング
マンスリーランキング
アンテナサイト
新着コメント
最新記事
スポンサードリンク