TOP

【ぼく勉】 真冬 「今週末、家を徹底的に掃除しようと思うの」

156:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/29(水) 22:53:37 ID:AmFXmFmY

成幸 「あ、はい、分かりました。何時に伺えばいいですか?」

真冬 「……?」 ジトッ 「……君は、私のことを何だと思っているのかしら」

成幸 「へ?」

真冬 「私は教員よ? これ以上、生徒に家事の手伝いをさせるわけにはいかないわ」

真冬 「当然、やるのは私ひとりで、よ。私の部屋なのだから当たり前ね」

成幸 「はぁ……? まぁ、自分で掃除するのはいいことだと思いますけど……」

成幸 「なぜそれを俺に……?」

真冬 「これは私なりの、あなたに甘えることへの決別の決意表明なの」

真冬 「あなたに宣言することで、これ以上あなたに甘えることがないように自分を戒めるのよ」

真冬 「……と、いうことで」

真冬 「覚悟しておきなさい、唯我くん。私はもう、きみに惨めな姿をさらすことはないのよ」

成幸 (何を覚悟しろというんだろう……?)

真冬 「今度、きれいになった部屋にご招待して差し上げるわ」

成幸 (あ、掃除の手伝い抜きで家に伺うのはありなんだ……)



157:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/29(水) 22:54:14 ID:AmFXmFmY

………………週末 HighStage

成幸 「ありがとうございましたー! いってらっしゃいませー!」

成幸 「ふー……」 (今日は本当にお客さん多いな。急に呼ばれるわけだよ……)

あすみ 「よ、後輩。雨だってのに、忙しいからって急に呼んで悪かったな」

成幸 「いえ、気にしないでください。頼られるのは嬉しいですから」

成幸 「最近、緒方たちもできるだけ自分で勉強しようとして、なかなか頼ってくれなくて……」

成幸 「桐須先生も……」


―――― 『これは私なりの、あなたとに甘えることへの決別の決意表明なの』


あすみ 「あん? 真冬センセがどうかしたのか?」

成幸 「あ、いえ、なんでもないです」

成幸 「とにかく、最近頼られることが少なくて落ち着かなかったのでちょうど良かったです」

あすみ 「お、おう。そうか、そりゃ良かった……のか?」

あすみ (なんかこいつ、将来付き合う女を次から次へとダメ人間にしそうだな……)

あすみ (……し、仕方ねーなぁ。被害者を出さないためにも、アタシがこいつのこともらってやるしかねーか///)



158:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/29(水) 22:55:11 ID:AmFXmFmY

成幸 「じゃあ、俺そろそろトイレ掃除入りますね!」

あすみ 「ん、おう。じゃあ頼むわ」

成幸 (危ない危ない。先生のことを話すところだった……)

成幸 (小美浪先輩に話したら、また先生がからかわれてしまう)

成幸 「………………」


―――― 『今週末、家を徹底的に掃除しようと思うの』


成幸 (……先生、大丈夫かな。ちゃんとできてるかな)

成幸 (また部屋が嵐の後のようにならないといいんだけど……)

成幸 (って、人の心配してる場合じゃないな。急に呼ばれたとはいえ、バイト中なんだから)

成幸 (がんばらないと。よーし、トイレ掃除気合い入れてピッカピカにするぞ!)



159:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/29(水) 22:56:11 ID:AmFXmFmY

………………閉店後

成幸 (結構雨降ってたけど、結局閉店まで店は混み合ったままだったな……)

ヘトヘト

成幸 (……つかれた)

マチコ 「ごめんね、唯我クン。せっかくのお休みなのに、ずっとバイト入ってもらっちゃって……」

マチコ 「受験生なのに、悪いことしちゃったよね……」

成幸 「いえ、気にしないでください。お役に立てたなら何よりです」

マチコ 「唯我クン……」 キューン 「本当にいい子だねぇ、唯我クンは。そういうところ、大好きっ」

成幸 「は、はい。ありがとうございます……」 ドキドキ (気軽に大好きとか言わないでほしいなぁ……)

マチコ 「今日の出勤分、特別手当も足しておくからね。進学費用の足しにしてね」

店長 「えっ!?」

成幸 「へ? いいんですか?」

マチコ 「もちろん!」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!! 「いいですよね、店長?」

店長 「あ、ああ。もちろんだ。好きにつけてくれ……」 ガックリ

成幸 (マチコさん強い!!) キラキラキラ



160:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/29(水) 22:56:41 ID:AmFXmFmY

マチコ 「店内もトイレも、忙しいのにピッカピカにしてくれたしね」

マチコ 「給料日楽しみにしててね、唯我クンっ」

成幸 「はい、ありがとうございます、マチコさん!」

成幸 (……ピッカピカ、かぁ)

成幸 (大丈夫かな、桐須先生。ちゃんと掃除できてるかな……)

あすみ 「ほら、受験生だなんだっていうなら、もう解放してやれよ、マチコ」

あすみ 「……っていうか、それ言うならアタシも受験生なんだけどな?」

マチコ 「やだなぁあしゅみー。ナンバーワンのあしゅみーの給料をこれ以上上げたら、うちの店潰れちゃうよ」

あすみ 「……調子いいこと言いやがって。ま、いいけどな」

あすみ 「で、後輩、どうだ? この後、どこかで一緒に勉強、とか……」

あすみ 「今日親父は学会で遅くまで帰ってこないから、うち来るか?」

ドキドキドキドキ……

あすみ 「今日の詫びに晩飯も作るし、何だったら泊まってってくれてもいいし……」

マチコ (!? 今日のあしゅみー積極的! かわいい~!)



161:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/29(水) 22:57:31 ID:AmFXmFmY

成幸 「………………」 (心配だ。また部屋をグチャグチャにしてないだろうか……)

あすみ 「……? 後輩?」

成幸 「……へ?」 ハッ 「あ……すみません。少し考え事してて、聞いてませんでした」

成幸 「もう一回言ってもらってもいいですか?」

あすみ 「………………」

成幸 「……先輩?」

あすみ 「……ふん。知らねー」 スタスタスタスタ……

成幸 「へ? 先輩? どうしたんですか?」

あすみ 「知らねーって言ってるだろ。ついてくんな。また今度な!」 スタスタスタスタ……

成幸 「行っちゃった……なんだったんだろ……?」

ポン

成幸 「……? マチコさん?」

マチコ 「今のは唯我クンが悪いよ……」 シミジミ……

店長 「……うむ」 シミジミ……

成幸 「店長まで!?」



162:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/29(水) 22:58:03 ID:AmFXmFmY

………………帰路

成幸 (あしゅみー先輩、何だったんだろ)

成幸 (俺が話を聞いてなかったせいで怒らせちゃったし、悪いことしちゃったな……)

成幸 (今度謝らないと……)

成幸 「………………」

テクテクテクテク……

成幸 「……ああ、もう」

成幸 (ここ通ったら家まで遠回りのはずなのに。雨も降ってるから、早く帰りたいってのに、何で俺は……)

成幸 (……まぁ、理由なんて分かりきってるけどさ)


―――― 『今週末、家を徹底的に掃除しようと思うの』


成幸 (この角を折れたら、マンションの入り口だ)

成幸 (もしあの人が困り果てていたら、きっと、入り口前に腰かけているはず……)

スッ………………

成幸 「………………」 (……いない、か。まぁ、雨だしな)



163:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/29(水) 22:58:44 ID:AmFXmFmY

成幸 (……不思議な気持ちだ)

成幸 (ホッとしたような、肩すかしを食らったような……複雑な気分)


―――― 『私は教員よ? これ以上、生徒に家事の手伝いをさせるわけにはいかないわ』

―――― 『当然、やるのは私ひとりで、よ。私の部屋なのだから当たり前ね』

―――― 『これは私なりの、あなたに甘えることへの決別の決意表明なの』

―――― 『あなたに宣言することで、これ以上あなたに甘えることがないように自分を戒めるのよ』


成幸 (まぁ、あそこまで言っておいて、俺に頼るようなことはしないか……)

成幸 (……何やってんだ、俺は。早く帰ろ……)

成幸 「………………」 (でも、本当に大丈夫だろうか……)

トコトコトコトコ……

成幸 「………………」 (逆に、俺に頼ることができないから、余計とんでもないことになっているんじゃ……)

…………ピタッ

成幸 「……ちょっとだけ」

成幸 「ちょっとだけ、様子を見るだけだから……」



164:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/29(水) 22:59:27 ID:AmFXmFmY

………………マンション二階廊下 201号室前

成幸 「………………」

成幸 (……いやいやいや!? 結局部屋の前まで来ちゃったぞ!?)


―――― 『違います誤解です!! 俺はここの住人の友人で……ッ!!』

―――― 『ストーカーはみんなそう言うんだよ!』


成幸 (いかん! 人の家の前で突っ立ってるなんて……)

成幸 (古橋のときみたいに、またいらん誤解を受けるかもしれない)

成幸 (もう帰ろう……)

成幸 「………………」

ボソッ

成幸 「……大丈夫、だよな」


 『キャーーーーーーーー!!』


成幸 「……へ?」



165:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/29(水) 23:00:05 ID:AmFXmFmY

成幸 (先生の部屋から、悲鳴……?)

成幸 「………………」

成幸 「……いやいやいや! 迷ってる場合じゃない!!」

成幸 「先生!? 先生、大丈夫ですか!?」

ガチャッ!!

成幸 (あっ、鍵空いてる!!)

成幸 「すみません、先生! 入ります!!」

バン!!!!

成幸 「先生!」

真冬 「あ……唯我くん!!」

成幸 「……!?」

成幸 「せ……先生?」

カァアアアア……

成幸 「な、何で、バスタオル一枚なんで……――」

――――――タタタタタ……!!! ガバッ!!!! ムギュッ!!!



166:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/29(水) 23:00:44 ID:AmFXmFmY

成幸 「うぺぇ!?」

真冬 「お……おおお、恐ろしいわ……」

ムギュッムギュッ!!!!

成幸 (れ、冷静に、今の状況を、分析すると……)

成幸 (バスタオル一枚を身体に巻き付けた、先生が……)

成幸 (俺の姿を認めるや否や、走り寄ってきて、抱きついて……)

成幸 (げ……玄関で、押し倒されて……いる……)

成幸 「………………」

成幸 (……なんだこの状況!?)

成幸 「きっ、桐須先生! 一体どうしたんですか!?」

成幸 「……っていうか、離れてください! 色々とマズいです!」

真冬 「む、無理……。腰が抜けてしまったわ……」

成幸 「な、なんかすごくデジャヴるんですが……まさか……」

カサカサカサカサカサカサ……

成幸 「……ああ、やっぱり出たんですね、G……」



167:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/29(水) 23:01:31 ID:AmFXmFmY

成幸 「っていうか、それにしたって、何で裸なんですか!?」

真冬 「シャワーを浴びていたのよ! そうしたら排水溝から……」


―――― G『やぁ』


真冬 「って……」 ガタガタガタガタ

成幸 「ああ、あいつら水回り移動しますからね。マンションとかだと排水溝から出てくるらしいですね」

真冬 「戦慄! 恐ろしいことを言わないで!!」

ハラ……ハラハラリ……

成幸 「……!?」 (せ、先生のバスタオルの締めがゆるくなりつつある……)

成幸 (これはマズい! 色々な意味でまずい!)

成幸 (っていうか今まさにダイレクトに感じられる先生のやわらかい肌とか濡れた髪とかがヤバいのに!)

成幸 (その上バスタオルがはだけたりしたら……それ以前に、ないとは思うけどこんなところを誰かに見られたら……――)


美春 「――――――こんにちはー、姉さまー!! 美春がサプライズで参りましたよー!」 バーーーン!!!


成幸 「!?」



168:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/29(水) 23:02:12 ID:AmFXmFmY

美春 「……へ?」

美春 「ね……姉、さま……? 唯我、成幸、さん……?」

ポワンポワンポワンポワン……


―――― 成幸 『せ、先生、ダメですよ。こんなところで……///』

―――― 真冬 『ふふ。ダメなことないわ、唯我くん。私、もうベッドまで我慢できないもの……』

―――― 成幸 『あっ……せ、先生……』

―――― 真冬 『ベッドではできない悪いコト、教えてアゲル……』


……ポワンポワンポワンポワン

美春 「………………」

成幸 「み、美春さん? 違います。これは、違うんですよ?」

美春 「………………」

成幸 「……あ、あの、美春さん?」



169:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/29(水) 23:03:02 ID:AmFXmFmY

美春 「……うわぁああああああああああん!!! 美春の姉さまがーーーー!!」

美春 「すっかりイケない女教師になってしまいましたーーーーー!!!」

美春 「悪いコトってどんなコトですかーーーーーーー!?」

タタタタタタ……!!!

成幸 「えっ、ちょっ、待って!! 待ってください!! 美春さん!!」

成幸 「悪いコトって何の話ですかーーーー!!」

ムギュッ

成幸 「はうぁ!?」

真冬 「き、禁止! 何でもするから!! 私を置いていかないで!!」

成幸 (この人はこの人で何でもとか言い出したぞ!?)

成幸 (っていうか……///)

成幸 「せ、先生、どこも行かないですから、あんまりしがみつかないでください!!」

成幸 「い、色々と……!! 当たってますから!!」



170:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/29(水) 23:03:39 ID:AmFXmFmY

カサカサカサカサカサカサ……

真冬 「ヒッ!? 音がするわ! 動いてるわね!? 動いてるのね!?」

ムギュムギュムギュムギュッ!!!!

成幸 「い、いやいや、変に動かないでください!! 当たってるんですってば!!」

真冬 「当たってる!? (Gが)当たっているの!?」

成幸 「はい! ですから当たってます!! (Eが)当たってるんですって!!」

真冬 「きゅうっ……」

……クタッ

成幸 「へ……? 先生!? ちょっと、しっかりしてください! 先生!?」

真冬 「………………」

成幸 「先生ーーーー!! しっかりしてください!!!」



171:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/29(水) 23:04:25 ID:AmFXmFmY

………………

真冬 「………………」

成幸 「………………」

オホン

真冬 「さっきは取り乱してしまって申し訳なかったわね」

成幸 (身だしなみを整えて、今さら体裁を保とうとしている……)

成幸 (まぁ、ゴキは退治したし、もう大丈夫だとは思うけど……)

真冬 「虫が出て、少し動揺してしまったわね。もう大丈夫よ」

成幸 「いや、えっと……」

グッチャァァアアア……

成幸 「何も大丈夫じゃないと思うんですが……。あの、今日は掃除をしていたのでは……?」

真冬 「し、していたわ。していたけれど……」

真冬 「やっぱり、なかなかどうして、うまくいかなくて……」

成幸 「……いや、掃除終わってないのに何でシャワーを浴びようとしたんですか」

真冬 「!? それは、その……」



172:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/29(水) 23:05:14 ID:AmFXmFmY

真冬 「そ、掃除中にバケツをひっくり返してしまって、水をかぶってしまったの」

真冬 「だから一度シャワーを浴びていたのよ」

成幸 「なるほど……」

成幸 (……いや、なるほどとか言ってるけどまったく理解はできないけど。本当に、器用に不器用な人だな……)

成幸 「………………」 ウズウズ (しっ……仕方ないなぁ……)

ニコニコニコニコ

成幸 「先生、俺、掃除手伝いますよ」

真冬 「えっ、いや、でも……」

成幸 「このままじゃ日をまたいでも終わらないですよ、掃除」

真冬 「うっ……」 モジモジ 「でも、今日こそ、あなたの手を借りずに……」

成幸 (まじめな人だもんなぁ。一度決めたことを曲げたくないんだよな……)

成幸 (その気持ちは汲んであげたいし、偉いと思うけど……)

成幸 (さすがに、この部屋の惨状をこのままにはできないし……)



173:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/29(水) 23:05:55 ID:AmFXmFmY

成幸 「………………」

成幸 「……分かりました。では、」

真冬 「……?」

成幸 「俺が勝手に手伝います。先生は、嫌だって言ってるのに、俺が勝手に手伝うだけなら、いいでしょう?」

真冬 「へ? あ……えっと……」

成幸 「あっ、先生はいいと言ったらダメですね。俺が勝手にやるんだから」

成幸 「ってことで、勝手に掃除始めます。迷惑だと思いますけど、ごめんなさい」

イソイソイソイソ……

真冬 「あっ……」

真冬 「………………」

真冬 「……ごめんなさい。お願いするわ」

成幸 「いえいえ、謝ることじゃないです」 ニコニコニコニコ

真冬 「……?」 (唯我くん、どうしてあんなに嬉しそうなのかしら……?)



174:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/29(水) 23:06:40 ID:AmFXmFmY

………………

真冬 「……おお」

ピカピカピカピカ……

成幸 「ふー。こんなもんですかね」

成幸 (なんとか日をまたぐ前には終わったな。良かった良かった……)

成幸 (一日中バイトしてからの掃除……結構ハードだったな……)

真冬 「……結局、今回もきみに頼ってしまったわね。唯我くん」

真冬 「生徒に――受験生にさせることじゃないわ。本当にごめんなさい……」

成幸 「いえ、気にしないでください。俺が好きでやったことですから」

真冬 「……そういうわけにはいかないわ」

成幸 「へ……?」

真冬 「私は教員で、あなたは生徒。そこは明確な線引きがなされなければならない」

真冬 「なのに私は、生徒であるあなたに、毎度毎度頼ってしまって……」

真冬 「……情けないわ」 ズーーン



175:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/29(水) 23:07:40 ID:AmFXmFmY

成幸 (あー……)


―――― 『あっ、先生はいいとら言ったダメですね。俺が勝手にやるんだから』

―――― 『ってことで、勝手に掃除始めます。迷惑だと思いますけど、ごめんなさい』


成幸 (まさかこんなに気に病んでいたなんて、申し訳ないことしてしまったな……)

成幸 「……あの、ごめんなさい。先生がそんなことまで考えているとは思わなくて……」

成幸 「勝手にお手伝いをしてしまって……」

真冬 「!? ち、違うのよ? きみを責めているわけではないの」

真冬 「ただ、自分が情けないだけで……」

成幸 「いや、でも俺……最初から、先生のこと、手伝うつもりでここに来たので……」

真冬 「え……?」 ハッ


―――― 『先生!』

―――― 『あ……唯我くん!!』


真冬 「そういえば、どうして唯我くんはうちに……?」



176:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/29(水) 23:08:10 ID:AmFXmFmY

成幸 「……すみません、先生。俺、先生のことが心配で、家まで来てしまったんです」

成幸 「俺、今日一日、先生のことが頭から離れなくて……」

成幸 「大丈夫かなって、何度も考えてしまって……」

成幸 「こんなこと言うと気持ち悪いと思われるかもしれませんけど、」

成幸 「……わざと遠回りして、このマンションの前を通って……」

成幸 「先生がいないから大丈夫だろうって思ったんですけど、気づいたら部屋の前まで行ってて……」

成幸 「悲鳴が聞こえたから中に入ったんです」

真冬 「………………」

成幸 (……いやいやいや!! 冷静に考えてみると、俺、ストーカーそのものじゃないか!?)

成幸 「す、すみません! 家まで押しかけちゃって……」

成幸 「先生はもう俺の手伝いはいらないって言ってたのに、迷惑ですよね……」 ペコリ 「本当に、ごめんなさい!!」

成幸 (こ、怖い……。先生、どんな顔をしているんだろう。きっと、軽蔑するような顔を……)

真冬 「………………」

真冬 「……顔を上げなさい、唯我くん」



177:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/29(水) 23:08:49 ID:AmFXmFmY

成幸 (あれ……? 先生、怒ってないのかな……?)

真冬 「謝る必要はないわ、唯我くん。私も同じだもの」

成幸 「同じ……?」

真冬 「ええ。恥ずかしい話だけど、白状するわ。私がシャワーを浴びていた本当の理由」

真冬 「バケツをひっくり返したなんてウソよ。本当は、表で自動車に水を浴びせられたの」

成幸 「……? え、でも、何でそんなウソを……?」

真冬 「それは、その……」

真冬 「……――みを、…………って、いた、から……」

成幸 「え? すみません、よく聞こえないんですが……」

真冬 「だっ、だから……! 君を……待っていたから、って言ったのよ……」

成幸 「へっ?」

真冬 「……君が来てくれるんじゃないかと期待して、外で待っていて……」

真冬 「そのときに自動車に水を浴びせられて、そんなこととても君には言えないから……」

真冬 「だから、ウソをついたの。ごめんなさい……」



178:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/29(水) 23:09:28 ID:AmFXmFmY

成幸 「い、いやいや、謝ることではないですよ。そんなの……」

成幸 (え……? でも、先生、俺を、待っていてくれた……?)

成幸 (俺を……///)

真冬 「恥ずかしいわ。私、教師だというのに、結局あなたを頼ろうとしてしまったわ」


―――― 『これは私なりの、あなたに甘えることへの決別の決意表明なの』

―――― 『あなたに宣言することで、これ以上あなたに甘えることがないように自分を戒めるの』


真冬 「あんなことまで言ったというのに、私は結局……」 ズーン

成幸 「………………」

成幸 「……えっと、あの、どう言ったらいいのか分からないので、思ったことをそのまま言いますね」

真冬 「……?」

成幸 「……すごく、嬉しいです」

真冬 「う、嬉しい……?」

成幸 「はい、さっきも言いましたけど、俺、先生のこと心配していたので……」

成幸 「先生が俺のことを頼ろうとしてくれたのが、とても嬉しいんです」



179:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/29(水) 23:10:12 ID:AmFXmFmY

成幸 「……もちろん、俺と先生は生徒と教師で、線引きは必要でしょうけど、」

成幸 「でも、俺は、こうやって先生の部屋を片付けるの嫌いじゃないです。だから……」

成幸 「もし先生が嫌でないなら、これからもずっと先生の部屋の掃除をしたいです!」

真冬 「ずっ……ずっと……?」

成幸 「はい! むしろ、高校を卒業してからの方が健全ですよね!」

真冬 「そ、それはその通りだと思うけど……」

真冬 「君は、高校を卒業した後も、私の家に来て、掃除をしてくれるというの?」

成幸 「はい!」

真冬 「っ……」

真冬 (まっすぐ返事をしてくれるものだわ。まったく、こっちの気も知らないで……)


―――― 『最愛の息子が…… 親のいぬ間に半裸の年上女性を連れ込んで…… 私は一体どうしたら……』

―――― 『あぁぁやっぱりダメエェ!! そういうのはせめて!! せめてしっかり卒業してからに……』

―――― 『あ でもなんにせよそういうのはちゃんと卒業してからね』


真冬 (お母さんを心配させないように配慮したこっちの気も知らないで……まったく……)



180:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/29(水) 23:11:04 ID:AmFXmFmY

真冬 (お母さんを不安にさせまいと、君を家から遠ざけようとしたというのに……)

成幸 (? 先生、黙り込んじゃってどうしたんだろ……?)

真冬 (あ、でも……)

真冬 (“卒業” してからなら、いいのかしら……?)

真冬 「………………」

ハッ

真冬 (教師である私が、一体何を考えているのかしら!?)

真冬 (でも、もし……もしも……)


―――― 『でも、俺は、こうやって先生の部屋を片付けるの嫌いじゃないです。だから……』

―――― 『もし先生が嫌でないなら、これからもずっと先生の部屋の掃除をしたいです!』


真冬 (卒業した後も、本当に彼が同じように言ってくれるなら……)

真冬 (……少し、お言葉に甘えても、いいのかしら)

おわり



181:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/29(水) 23:11:54 ID:AmFXmFmY

………………幕間 『責任』

真冬 (!? でも、このまま受験生の彼の勉強の邪魔ばかりしていては……)


―――― 成幸 『うぅ……第一志望に落ちてしまった……』


真冬 「………………」 ワナワナワナ (それはまずいわ! 絶対ダメよ!)

真冬 (そんなことになったら、“先生” にも顔向けできないわ!)

真冬 (でも、もし、万が一そういうことになったら……)

成幸 「……? あの、先生? どうかしましたか?」

真冬 「………………」

ガシッ

成幸 「!? せ、先生……? ど、どうして手を……///」

真冬 「安心して、唯我くん!」

真冬 「万が一のことがあったら、私が責任を取ってあげるから!!」

成幸 「!?」

おわり



182:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/29(水) 23:12:31 ID:AmFXmFmY

読んでくださった方ありがとうございました。



元スレ
【ぼく勉】 文乃 「今週末、天体観測に行くんだよ」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1556892433/
このエントリーをはてなブックマークに追加
Clip to Evernote

        • 月間ランキング
        • はてぶ新着
        • アクセスランキング

        SSをツイートする

        SSをはてブする

         コメント一覧 (4)

          • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年05月30日 09:44
          • 刃皇「………うるかちゃんはどこだい?」
          • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年05月30日 11:10
          • 横綱は取組に集中して
          • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年05月30日 11:24
          • やっぱり真冬先生がナンバーワン!原作絵で再現された!
          • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年05月31日 12:24
          • 本場所中は刃皇から携帯を取り上げなさい

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

        カテゴリ別アーカイブ
        月別アーカイブ
        記事検索
        スポンサードリンク
        画像・動画
        • 俺「ムラムラする…>>4(リスカ)しないと」妹「!?」
        • 俺「ムラムラする…>>4(リスカ)しないと」妹「!?」
        • 【シンフォギアXV】マリア「切歌の変身バンクエロすぎ問題」
        • 【安価】彡;(゚)(゚)  「あかん・・・腹が痛い」
        • 俺「暇だ..>>6(就職)するか」家族「!?」
        • 彡(゚)(゚) 「ワイが>>2(ゴミ)やと?!」
        • 息子「アレクサ、タイマー切って」
        • 息子「アレクサ、タイマー切って」
        • 【デレマス】ロマツア水戸黄門
        • 【ゼロワン】福添准「美食家なヒューマギア?馬鹿馬鹿しい」
        • 【うちの娘。】ラティナ「大きい方が好き?」
        • 【安価】彡(゚)(゚)「ワイが……仮面ライダー!?」ヒロイン「そうよ」
        • 死後俺「うっ…ここは?」係員「はい、以上で底辺シミュレーターは終了です」
        • 彡#(◎)(◎)「あ…?工事中やと…!?」
        • 彡#(◎)(◎)「あ…?工事中やと…!?」
        • 【変好き】紗雪「根本的な事を忘れていたわ・・・」
        • 暗殺者(♀)「よう。こんな夜更けになにをしているんだ?」
        • 男「へぇ~、課長ってスト2がお好きなんですか」女上司「ファイッ」
        新着コメント
        最新記事
        読者登録
        スポンサードリンク

        • ライブドアブログ
        © 2011 エレファント速報:SSまとめブログ. Customize by yoshihira Powered by ライブドアブログ