夫「娘のDHA鑑定をしたいんだが……」妻「ええっ!?」
- 2019年05月09日 00:10
- SS、神話・民話・不思議な話
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妻「なに?」
夫「娘のDHA鑑定をしたいんだが……」
妻「ええっ!?」
妻「あの子が自分の子じゃないって不安になったの? いいわ、DNA鑑定をやりましょう」
妻「それであなたの気が済むなら……」
夫「DNAじゃない……DHA鑑定だ」
夫「ドコサヘキサエン酸……不飽和脂肪酸の一種だ」
夫「マグロ、サバ、サンマ、イワシなどといった水産物に含まれており」
夫「多くの健康効果を期待できることから、数々の健康食品に使われている」
妻「そんなの鑑定してどうするのよ?」
夫「いいからやるんだッ!」
妻「わ、分かったわよ! あの子を病院に連れていきましょう!」
医者「では、娘さんのDHA鑑定を行います」
医者「この装置に入っていただければ、体内のDHA含有量を測定することができます」
娘「分かりました!」
娘「じゃあお父さん、お母さん、行ってくるね!」
夫「うむ」
妻(どうしてこの人は娘にこんなことを……?)
医者「はい、鑑定の結果、娘さんの体には豊富なDHAが含まれておりました」
医者「常人の千倍……いや一万倍は含有しておられます。実に驚くべき数値です」
夫「やはり、そうでしたか」
娘「やったー! お魚いっぱい食べててよかったー!」
妻「……」
夫「フッフッフ……」
娘「え……?」
妻「どういうこと、あなた!?」
夫「俺がなんのためにこいつにサバやらイワシやらを沢山食わせ続けてきたか分かるか?」
夫「こいつがDHA豊富になった時、俺が食うためだったんだよォォォォォ!!!」
妻「な、なんですって!?」
夫「決まってるだろう。DHAにはある種の若返り作用があるといわれている」
夫「とはいえ、そこらの魚をいくらチマチマ食ったところで劇的な効能を得ることは不可能だ」
夫「だが、もしもDHAを大量に蓄積した娘を喰らったとしたらどうだ!?」
夫「俺は若返ることができるんだァァァァァッ!!!」
夫「さあ、俺の血となり肉となるのだ、娘よ!」ガシッ
娘「ひいいいいっ……!」
夫「ぐっ!?」
娘「お母さん……」
妻「逃げるわよ!」ダッ
タタタッ…
夫「おのれ、逃がすかぁ! 絶対に食ってやるぞ、娘よ!」クワッ
娘「うん!」
バタンッ
妻「エンジンを……」キュルルル…
夫「待ちやがれぇぇぇ!!!」
ブロロロロロロ…
妻「やった! 間に合った!」
娘「う、うう……」
妻「もう大丈夫よ。助手席に座ってて」
妻「さいわい道路も空いてるわ。あとはひたすら遠くまで逃げて、警察に駆け込めば……」
娘「お、お母さん……」
妻「?」
娘「バックミラー……見て」
妻「ゲ!?」
夫「逃がさんぞおおおおおおおおおお!!!」ドドドドドッ
妻「アクセルは踏み込んでるのに、みるみる追いついてくる!」
夫「逃がすか……」
妻「横につかれた!」
夫「むんっ!」
バリィンッ
妻「ひいいっ! ガラスを割って車内に手を入れてきた!」
娘「きゃーっ!」
夫「食ってやる、食ってやるぞ、娘よ!」
ギャルルルルッ ギュルルルルルッ
夫「う、うおおおおおおおおっ!?」
妻「あの電柱にぶつけてやるわ!」グインッ
ガツンッ!
妻「やった!」
夫「なんの……これしきィ!」
娘「ダメ! 全然ダメージ受けてない!」
妻「我が夫ながらなんてタフネスッ!」
【 ←高速道路 海→ 】
妻「右に行ったら海! 左へ曲がらなきゃ――」
娘「待って、お母さん! ……右へ行って!」
妻「どうして!?」
娘「いいから!」
妻「なにか考えがあるのね……分かったわ!」ギャルッ
夫「わざわざ逃げ場のない海に逃げ込むとはな……バカな奴らだ」
妻「くっ……!」
娘「お母さん、あたしにしっかり掴まって!」ガシッ
妻「えっ?」
娘「逃げ場ならあるわ! あたしたちは海に逃げるッ!」バッ
ザバァンッ!
夫「なんだとッ!?」
娘「ふっ、ふっ、ふっ」
妻「あなた、こんなに泳ぎが得意だったの?」
娘「うん! 魚をいっぱい食べたおかげでね!」
ザバザバザバザバザバ…
妻「でもよかった……! これであの人から逃げられ――」
ザブッザブッザブッ
妻「あの人も泳いできてるぅ! しかもバタフライ! ――しかも速い! めっちゃ速い!」
娘「くっ……!」ザバザバザバ
妻「追いつかれるわ! 私のことは置いていきなさい!」
娘「そんなのダメ! お母さんと一緒!」
鮫「……」ギロッ
娘「あれはまさか――前方から鮫!?」
妻「そんな……!」
娘「前門の鮫、後門のお父さん、だなんて……」
妻「もう終わりだわ……!」
夫(どうやらあいつら、鮫にも狙われているようだな)
夫(DHA豊富な娘を食われるのは惜しいが、海で鮫と戦うほどバカバカしいこともない)
夫(悪いが、俺は陸に帰らせてもらうぞ)スイッ
鮫「グワァァァァッ!」
娘「きゃあああああああっ!」
妻「いやぁぁぁぁぁぁっ!」
夫「……」
妻「あなた!?」
娘「お父さん!?」
鮫「ガァァァァッ!」
ガブッ!
夫「ぐうっ……!」
夫「俺の妻と娘には届かねえッ!!!」ブオンッ
ドゴォォォンッ!!!
鮫「ギャアアアアッ!」
ザバァン… プカー…
…………
……
妻「あなた!」
娘「お父さん、しっかりして!」
夫「ちっ……俺としたことが……利用してただけの妻と、食おうとした娘を……助けちまうなんてな……」
夫「甘く……なったもんだ……」
夫「すまなかったな……お前を食おう、として……」
娘「ううん! もういいよ、いいんだよ!」
夫「目がかすんできた……。どうやら、俺はここまでの……ようだ……」
妻「死なないでぇっ!」
妻「あなたぁっ!」
娘「お父さんっ!」
妻娘「D(大好き)! H(惚れた)! A(愛してる)!」
パァァァァァ…
夫「……う。こ、これは?」
夫(まさか……愛のDHA!?)
夫「いや、それどころか若返っていく……!」シュゥゥゥゥゥ…
妻「そ、そうか!」
妻「極限状態で私たち二人から発せられた愛のDHAが、あなたの体を若返らせてるんだわ!」
娘「夢が叶ってよかったね、お父さん!」
夫「ああ、だが……」シュゥゥゥゥゥゥ…
夫「これはちょっと若返りすぎな気が……!」シュゥゥゥゥゥゥ…
妻「あら~、なかなかの美少年だったのね、あなた」
娘「かわいい~!」
ショタ夫「かわいいじゃないよ! 明日は会社あるんだぞ! こんな格好で出勤できるかよ!」
妻「見た目は子供、頭脳は大人なサラリーマンってのも悪くないわよ」
ショタ夫「冗談じゃない! 他人事だと思って!」
娘「抱きしめてあげるぅ、お父さん!」ギュッ
ショタ夫「トホホ、DHAなんてもう懲り懲りだよ~!」
おわり
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- 晶葉「できたぞ助手! アイドルを催眠状態にするスイッチだ!」
- さやか「ほむらの頭撫でてたらなついた」
- 京子「なあ結衣ーおはようのキスしよーぜー」
コメント一覧 (27)
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- 2019年05月09日 00:43
- え、、、なにこれ
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- 2019年05月09日 00:45
- 伊藤潤二作品
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- 2019年05月09日 00:59
- アジよりイワシがすこ
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- 2019年05月09日 01:03
- DHAってなんだよ
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- 2019年05月09日 01:04
- 嫌いじゃない
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- 2019年05月09日 01:08
- どういう経緯があればこんな話作れるんだよ…
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- 2019年05月09日 01:18
- 発想でワロタwww
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- 2019年05月09日 02:17
- こんな因果応報と言っていいのか・・・
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- 2019年05月09日 02:25
- 妻らない
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- 2019年05月09日 04:13
- 打ち上げたのは、兵器ではなく、人工衛星だったという。まことに結構だ(だったら早く言え!)
本当だったらいい教訓だ。精密を誇る米国の偵察システムは一度の恥、日本の防衛庁などは、二重三重に恥をかく。それもまた結構。
ただ「将軍の歌」とか流さないでもっと気の利いた歌を流したら。例えば山本リンダの「困っちゃうな」とか、ベルディの「行け、わが思いよ、金色の翼に乗って」とか。
朝日新聞 1998年9月5日付東京本社夕刊『素粒子』
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- 2019年05月09日 06:37
- バカっぽくて好き
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- 2019年05月09日 06:55
- お父さんの後門
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- 2019年05月09日 07:29
- 娘はマグロってオチじゃないのか。
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- 2019年05月09日 08:12
- うん面白い
面白いけどなんだこれ
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- 2019年05月09日 08:36
- いいドタバタっぷりだ
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- 2019年05月09日 11:41
- いい感じに馬鹿馬鹿しくて好き
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- 2019年05月09日 13:22
- 悔しいけどちょっと笑った
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- 2019年05月09日 13:37
- この勢い
すこ
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- 2019年05月09日 17:04
- ええ?なんだとっ!
やるんだ!
飽きるわ
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- 2019年05月10日 09:04
- たまにこういう天才が現れるからssはやめられねえんだ
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- 2019年05月10日 11:25
- 俺も完全に伊藤潤二の絵柄で想像してた
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- 2019年05月10日 12:03
- つかみと勢いって大事なんだな
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- 2019年05月10日 12:25
- 次は孫娘のDHA鑑定編に期待w
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- 2019年05月10日 12:36
- DHA鑑定を淡々と進める医者に惚れた
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- 2019年05月10日 13:11
- こんな下らない文章を読んでしまった俺の時間を返してくれ。
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- 2019年05月10日 18:49
- 閃いた!
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- 2019年05月14日 18:16
- DHAってすごい