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【ぼく勉】 あすみ 「今週末は高校の先輩の結婚式なんだよ」

76:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/06(月) 23:53:14 ID:ZJywfASQ

成幸 「へぇー、先輩の結婚式。そろそろそういう年齢なんですねぇ……」

成幸 「あれ? でも先輩の先輩ってことは、まだすごく若い人なんじゃ……」

あすみ 「ああ、あの人はミュージシャンになる! って就職も進学もしなかったからな」

あすみ 「残念ながらメジャーデビューはできなかったみたいだけど」

あすみ 「でもまぁ、音楽活動のおかげでいい人と知り合えたみたいだし、結果オーライなんじゃねーの」

成幸 「……結婚式、かぁ。ちょっと憧れてるんですよね」

あすみ 「へ?」 ドキッ 「お、お前、結婚式に憧れるって……ち、ちと早くねーか……///」

成幸 「へ?」

あすみ 「で、でも、もしこだわりとかあるなら、結婚相手とちゃんと話しておかないとダメだぞ?」

成幸 「……? あの、先輩?」

あすみ 「まぁ、べつに? だから何だってわけじゃねーけど、アタシは特にこだわりねーし?」

あすみ 「神前式だろうがチャペルだろうが、相手に合わせられるっつーか……///」

あすみ 「お前の好きなように決めてくれて構わないっていうか……///」

あすみ 「……アタシは、ウェディングドレスでも白無垢でも、どっちでも構わないけど……」

あすみ 「あ、でもやっぱり、写真撮るだけでもいいから、一度はウェディングドレス着てみたいかな……」



77:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/06(月) 23:55:13 ID:ZJywfASQ

成幸 「いや……いやいやいや、先輩、急に何言ってるんですか。違いますよ」

成幸 「俺、結婚式って小さい頃に行ったきりだから、友達の結婚式とかに出席してみたいな、ってだけですよ」

あすみ 「へ……?」

成幸 「自分の結婚式なわけないじゃないですか……」

あすみ 「………………」

成幸 「……先輩?」

あすみ (……あ、アタシの勘違い? っていうか、アタシ、何言ってんだ……) カァアアアア……

あすみ (いっ、今の物言いじゃまるで、アタシと後輩が結婚するのが前提みたいじゃねーか……)

あすみ (お、親父が悪い! 勝手に後輩との結婚を考えたり、後輩との子どもの名前を考えたりするから!)

あすみ (親父が悪いわけで、アタシが後輩と結婚したいわけじゃないからな!)

成幸 「……?」 (先輩さっきから何やってるんだろう……?)



78:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/06(月) 23:56:13 ID:ZJywfASQ

成幸 「……まぁ、結婚式ってご祝儀とかあるから、できれば働けるようになってから出席したいですね」

成幸 「友達が多い人はご祝儀だけで相当な出費になるって聞いた事ありますし」

あすみ 「あ、ああ。分からんでもないな。正直、ご祝儀三万は、浪人生的には、きつい」

成幸 「ですよねぇ……」

あすみ 「でもまぁ、先輩には色々お世話になったし、感謝の気持ちも込めて贈るよ」

あすみ 「ついでに、冷やかしたりして遊んで、ご馳走たらふく食ってきてやるって感じだな」

成幸 (いい笑顔だなぁ。その先輩、すごくいい人だったんだろうな)

成幸 「……俺はその先輩のこと知らないですけど、」

成幸 「きっといい結婚式になりますね。先輩も楽しんできてください」

あすみ 「おう!」



79:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/06(月) 23:57:04 ID:ZJywfASQ

………………式前日

あすみ 「………………」

あすみ 「……まぁ、こんなモンか」

あすみ (高校入学くらいのときに仕立ててもらったドレスだけど、ヘンじゃないよな?)

あすみ (化粧もいつもより濃いめで、こんな感じで問題ないだろ……)

あすみ (まぁ、どうせ化粧も髪のセットも美容院でやってもらうんだけどさ)

あすみ (にしても……) ジーーーーーッ

あすみ (自分の身体ながら、恨めしくなるよ。高一のときから全然体型変わってねーのな)

あすみ (多少胸とか尻とかがでかくなったくらいか?)

あすみ (ったく、もう少し身長伸びてくれてもいいじゃねーか) ハァ

あすみ (ま、無い物ねだりしてもしょうがねーか。緒方はあたしより小せぇのに頑張ってるしな)

あすみ 「………………」

あすみ (……まぁ、胸はあいつの方が圧倒的にでけーけど)

prrrr……

あすみ 「ん……?」 (先輩から電話……?)



80:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/06(月) 23:58:10 ID:ZJywfASQ

ピッ

あすみ 「もしもし?」

『あっ、良かった! 出てくれた! 助かったー!」

あすみ 「……ちわっす。相変わらずテンション高いっすね、先輩」

『いやいやいや、明日結婚式なのにめっちゃテンション低かったら逆にやばいっしょ』

あすみ 「それもそうっすねー」 クスクス 「……で? どうかしたんですか?」

『そうなのよー。大変なのよ。明日出席予定の軽音部OG、ひとりインフルになっちゃったらしくてさ』

あすみ 「へ……? ああ、まぁ、大変っちゃ大変ですけど……」

あすみ 「明日出席してもらえないのは残念かもしれないですけど、仕方ないんじゃ……」

『そうなんだけどね、欠席されちゃうと困るのよ!』

『披露宴、円卓の人数配分を完ぺきにしすぎちゃって、ひとりでも欠席が出るとそこめっちゃ目立つんだわ!』

あすみ 「……はぁ」

『だからできる限り欠席者をなくしたいのよー!』

あすみ (……またヘンなところ、こだわる人なんだよなぁ)

『でさ、あすみちゃん! カレシ、いるのよね?』



81:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/06(月) 23:59:48 ID:ZJywfASQ

あすみ 「……は?」

『いるのよね、カ・レ・シ』

あすみ 「………………」


―――― 『彼氏の趣味で!!』

―――― 『今…… 設定上一応…… 彼氏なわけですし……』


あすみ 「……ま、まぁ、一応」 カァアアアア…… 「いるっちゃ、いますけど……」

『良かった! それでこそあすみちゃんよ! ナイス! 最高!』

あすみ 「……? あの、要領を得ないんすけど、一体……――」


『――……ってことで、明日その彼氏と一緒に結婚式来てね!』


あすみ 「………………」 ハッ 「……はぁ!? 何でこうは――彼氏を結婚式に!?」

『だいじょぶだいじょーぶ。式出席してもらって、披露宴で座っててもらうだけでいいから!』

『もちろんご祝儀はいらないし、お料理や飲み物、好きだけ飲み食いしてってよ!』

『会場近くのサロンに礼服とか靴、一揃え用意しておくから、後でカレシの諸々のサイズ送ってね!』



82:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/07(火) 00:00:32 ID:7uI8KgCw

あすみ 「い、いやいや、ちょっと待ってくださいよ。アタシの彼氏、先輩と何の縁もゆかりもないじゃないですか!」

あすみ 「それが結婚式に出席するって、いくらなんでもおかしいでしょ!」

あすみ 「新郎側の出席者にヘンに思われますよ!」

『大丈夫! その点は抜かりないわ!』


『明日だけでいいからカレシと婚約してるフリをしてちょうだい!』 バーーーン!!!


あすみ 「へ……?」 カァアアアア…… 「へぇぇ……!?」

あすみ 「こ……婚約って、アタシ、浪人生ですよ? あいつだって、高校生だし……」

『だーかーらー、フリだけでいいってば』

『ふたりが婚約してて、私もあすみちゃんのカレシと知り合いって言えば、何もおかしくないでしょ?』

あすみ 「そ、そりゃそうかもしれませんけど……」 ハッ 「いやいやいや! やっぱり無茶苦茶ですよ先輩!!」

『お願い! 先輩一生のお願い! おーねーがーいー!』

あすみ 「………………」

あすみ (……婚約者、かぁ)



83:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/07(火) 00:01:09 ID:7uI8KgCw

あすみ 「……わ、わかりましたよ。一応彼氏に聞いてみます」

『ほんと!?』

あすみ 「それで向こうが断ったら諦めてくださいよ? 一応あいつも受験生だし……」

『うんうんうん。そのときはあきらめるよ!』

『じゃあ、カレシと連絡ついたらこっちにも連絡ちょうだいね!』

『カレシの服と靴のサイズ聞くのも忘れずにね!!』

『じゃ、私ほかの手配も色々あるから! じゃね!!』

プツッ……

あすみ 「……はぁ。せわしないひとだなぁ。ったく」

あすみ 「………………」

あすみ 「……一応、電話して聞くだけ聞いてみるか」

あすみ 「ダメ元で、だけど。まぁ、一応、先輩に対しての義理は通すってだけ……」

prrrrr……ピッ

あすみ 「……ん、おう、後輩。突然悪いな。あのさ、ダメ元で聞くんだけどさ、」

あすみ 「……明日、タダで結婚式、出席してみないか?」



84:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/07(火) 00:01:43 ID:7uI8KgCw

………………当日

あすみ 「………………」

あすみ (うー、やっぱり頭セットしてもらうと落ち着かねーな……)

あすみ (化粧もいつもよりだいぶ濃いし、心なしか息苦しい気がする……)

あすみ (コート羽織ってるとはいえ、ひらひらのドレスだと外は寒いし……)

あすみ (……あー、早く来いよ、後輩)


―――― 成幸 『えっ!? いや、さすがに知らない人の結婚式には出られないですよ!』

―――― 成幸 『……あー、でも、そうですか。困ってるんですか』

―――― 成幸 『………………』

―――― 成幸 『わ、分かりました。先輩がお世話になった人のためですもんね!』

―――― 成幸 『出席します』


あすみ (……いや、まぁ、頼んだのはアタシだけどさ)

あすみ (まさか本当に引き受けてくれるとは思わなかったな……)

あすみ (……婚約者、かぁ) ニヘラ



85:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/07(火) 00:02:14 ID:7uI8KgCw

あすみ 「ん……?」

成幸 「………………」 キョロキョロキョロ

あすみ (……? 後輩、何やってんだ?)

成幸 「うーん、メッセージだともうここにいるらしいんだけどなぁ……」

成幸 「どこだろ、先輩……」 キョロキョロキョロ

あすみ 「………………」 ガクッ 「……マジか、お前」

成幸 「!? せ、先輩!?」

あすみ 「おう。何やってんだ、お前。アタシずっとそこにいたぞ」

成幸 「いや、えっと、だって……」 カァアアアア…… 「せ、先輩に、見えなくて……」

あすみ 「ほう? 役柄だけとはいえ、彼女の顔を忘れるたぁふてぇ野郎だな」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

成幸 「ち、違いますよ! だって、先輩……その、すごく、綺麗になってるから……///」

あすみ 「……へ?」

あすみ 「………………」

あすみ 「……お、おう///」 カァアアアア…… 「そ、そうか。そりゃ……わ、悪かった、な」

成幸 「い、いえ……///」



86:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/07(火) 00:03:00 ID:7uI8KgCw

あすみ 「き……今日はありがとな。来てくれて……」

成幸 「ど、どういたしまして、です。全然、大したことじゃないですけど……」

あすみ 「……でもお前、少しは、こう……化粧した女とかに耐性つけとけよ」

成幸 「へ?」

あすみ 「アタシみたいなちんちくりん相手で顔真っ赤にしてたら……」

あすみ 「今日の結婚式、アタシと同世代の女ばっかだから、大変だぞ?」

成幸 「いや、それは、多分、大丈夫かと……」

成幸 「先輩がすごく綺麗だから、緊張しちゃっただけですから」

あすみ 「っ……」

成幸 「……先輩くらいの美人さんばっかりだったら、大変かもしれないですけど」

あすみ 「……///」

成幸 「………………」 ハッ

成幸 (……いやいやいやいや!? 俺何言ってるんだ!? 口説いてるみたいになってるぞ!?)

ドキドキドキドキ……

あすみ (こ、後輩のバカ。なんでそんな、ヘンなこと言うんだよ~~~!!)



87:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/07(火) 00:03:54 ID:7uI8KgCw

成幸 「………………」

あすみ 「………………」

ドキドキドキドキ……

あすみ 「あっ……お、お前の着替えもあるし! そろそろ行かないとだな!」

成幸 「! そ、そうですね! 行きましょう!」

成幸 (な、なんだろ、今の空気……なんか、ドキドキする……///)

あすみ (うぅ~/// こんな調子で、“婚約者” やるのかよ~……)

成幸 (それにしても、先輩……)

あすみ 「………………」

カツカツカツカツ……

成幸 (高いヒールを履いてるのもあるけど、今日はすごく大人っぽくて……)

ドキドキドキドキ……

成幸 (……本当に、綺麗だな)



88:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/07(火) 00:04:52 ID:7uI8KgCw

………………サロン

あすみ 「………………」

ソワソワソワソワ……

あすみ (大丈夫かな、あいつ。こんなところ来慣れてないだろうし……)

あすみ (入ったときも緊張しきりだったしな。ちゃんと着付けてもらってるだろうか……)

成幸 「……あっ、先輩。お待たせしました」

あすみ 「! 終わったか。短かった、な……って……」

成幸 「……えっと、どうですかね? 礼服なんて初めて着ましたけど……」

成幸 「ドレスシャツも、なんだか肌触りがなめらかで不思議な感じだし……」

成幸 「革靴も高そうだから緊張するし、コンタクトもバイトの時よりゴロゴロする気がします……」

成幸 「髪をこんなに整えられたのも初めてだし……。変じゃないですかね?」

あすみ 「………………」 ポーーーーッ

成幸 「……先輩?」

あすみ 「へっ? あ、ああ。いや、うん……えっと、いいんじゃないか?」 プイッ

成幸 (か、感想それだけ!? やっぱり変!?) ガーーン!!!



89:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/07(火) 00:05:39 ID:7uI8KgCw

あすみ 「………………」

ドキドキドキドキ……

あすみ (……な、なんだよ、後輩の奴)

あすみ (けっ……結構、いけてんじゃねーか……)

あすみ (後輩のくせに……)

ドキドキドキドキ……

成幸 「……? 先輩?」

あすみ 「んお!? い、いきなりなんだ!?」

成幸 「へ? いや、何もないですけど……もうそろそろいい時間ですから、行きましょう」

あすみ 「あ、ああ。そうだな。行こう行こう」

ソソクサ

成幸 「……?」 (先輩、何か急に変になったけど、どうしたんだろう……?)



90:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/07(火) 00:06:34 ID:7uI8KgCw

………………式場 ラウンジ

あすみ 「………………」

成幸 「………………」

成幸 「……な、なんか緊張しますね、こういうところ」

あすみ 「あんまキョロキョロすんなよ、恥ずかしいから」

あすみ 「……今日はお前、アタシの “婚約者” なんだからな」

成幸 「わ、わかってますよ。彼氏前提の、婚約者の振りですよね。ややこしい……」

「あっ、あすみじゃーん。久しぶりー」

「わー、あすみ、変わってなーい!」

あすみ 「よっ、おひさ。卒業してから一年も経ってないんだから当たり前だろ」

成幸 (? 同級生の人たちかな……?)

「ん……? ね、ねぇねぇ、あすみ。ひょっとしてその人が噂の……」

あすみ 「ん? ああ、そうだよ。アタシの婚約者の……」

成幸 「あっ……ゆ、唯我成幸です。初めまして……」

「まだ高校生なんでしょ? かっわいいー!」



91:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/07(火) 00:08:21 ID:7uI8KgCw

成幸 「わっ……」 (ち、ちかっ……)

あすみ 「お、おい、あんまからかうなよ」

「ごめんごめん。あすみのカレってどんな子なのかなって思ってたら、ねぇ?」

「うん。予想以上に可愛い男の子だったから、びっくりしちゃってさ」

「じゃ、お邪魔してもアレだから、あたしたち向こう行ってるね」

「また後で、式と披露宴でねー。ばいばい、唯我クンっ」

あすみ 「……行ったか。ったく」

あすみ 「悪いな、後輩。軽音部の連中だから、キャピキャピしてんだよ……」

成幸 「………………」 ポーーーッ

あすみ 「……後輩?」

成幸 「……へ? あ、ああ、はい。大丈夫です!」

あすみ 「………………」


―――― 『……先輩くらいの美人さんばっかりだったら、大変かもしれないですけど』


あすみ 「……へぇ」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!



92:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/07(火) 00:08:55 ID:7uI8KgCw

あすみ 「……お前、何か? さっきあんなこと言ってくれてた割には、おい?」

あすみ 「結構簡単に他の女に見惚れるんだな? ああん?」

成幸 「ち、違います違います! 誤解ですよ!」

成幸 「ちょっと、こう……急に近づかれたから、ドキッとして……」

成幸 「年上の女性って感じがして、少し緊張しただけで……」

あすみ 「誤解じゃねーじゃねーか!」

成幸 「ひっ……ご、ごめんなさい!」

あすみ 「ったく……」 (……なんだよ、後輩の奴)


―――― 『先輩がすごく綺麗だから、緊張しちゃっただけですから……』


あすみ (さっきはあんなこと言ってくれたくせに……)

あすみ (確かに、あいつら高校のときと比べて、遙かに大人っぽくなってるし、綺麗だけどさ……)

あすみ (それに比べたら、アタシは……)

あすみ (ちっちゃいままかもしれねーけどさ……)



93:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/07(火) 00:14:55 ID:7uI8KgCw

あすみ 「………………」


―――― 『自分の身体ながら、恨めしくなるよ。高一のときから全然体型変わってねーのな』

―――― 『ったく、もう少し身長伸びてくれてもいいじゃねーか』


あすみ (……でも、そっか)

あすみ (仕方ねーよな。だってアタシは、全然成長してないし。ヒール履いてもこの程度の身長だ)

あすみ (胸だって、そんな大きくねーし。未だに中学生に間違われることもしばしばだ)

あすみ (……仕方ねーんだよな)

成幸 「先輩……?」

あすみ 「………………」

成幸 「……あ、あの、先輩――」


『――お待たせ致しました。式場の準備が整いましたので、参列者の皆様はご移動をお願いします』


あすみ 「……式の準備ができたみたいだな。行こうぜ」

成幸 「あ……は、はい」



94:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/07(火) 00:15:43 ID:7uI8KgCw

………………披露宴

あすみ 「先輩、綺麗だったなー」

「ほんとにねー! 私写真めっちゃ撮っちゃった!」

「あ、それあとでグループ送っといてよ」

「オッケー」

あすみ (……ほんと、綺麗だったな。先輩のウェディングドレス)

成幸 「………………」

成幸 (うーん……。さすがに、お友達と談笑しているときに話しかけるのはアレだよな)

成幸 (後でいいか。でもなぁ……)

あすみ 「………………」 プイッ

成幸 「……うっ」 (さっきから目も合わせてくれないし、気まずい……)

あすみ 「……悪い、ちょっと出てくるわ」

成幸 「へ? 先輩、どちらに……?」

あすみ 「聞くな、バカ。お手洗いだよ」

成幸 「あっ……」 シュン 「す、すみません……」



95:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/07(火) 00:16:34 ID:7uI8KgCw

………………お手洗い

あすみ 「……はぁ」

あすみ (さすがに大人げないよな。何やってんだ、アタシ……)

あすみ (これじゃまるで……)

カァアアアア……

あすみ (後輩に、本気でヤキモチ妬いてるみたいじゃねーか……)

あすみ (……まぁ、何にせよ、だ)

あすみ (後輩はアタシのお願いを聞いて付き合ってくれてるんだから、)

あすみ (変な態度取ってたらバチ当たっちまうよな……)

あすみ 「……よしっ、と」

あすみ (とりあえず、席に戻って後輩に謝ろう。話はそれからだな……――)

「――……いやー、花嫁さんめっちゃ綺麗だったねー」

「ほんとにね。あいつにはもったいないくらいだよね」

あすみ (ん……? 新郎側の参列者か……)



96:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/07(火) 00:17:10 ID:7uI8KgCw

「ウェディングドレスめっちゃ似合ってたよね。あのスタイルうらやましいわー」

「あんなスラッとしたドレス、わたしが着たら絶対おかしなことになるし」

「あんたなんかまだマシでしょ。あたしが着たらお遊戯会の子どもだよ」

「もう少し足長くなんないかなー。10cmくらい?」

「あたしはそんな贅沢言わないから、もう2、3cmだけでも身長ほしかったわ」


………………


あすみ 「………………」

あすみ (今のふたり、どっちもアタシより身長高いけどな)

あすみ (まぁ、自分の身体のことだから、自分でどんな感想持つのも自由なんだけど、)

あすみ 「………………」



97:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/07(火) 00:18:03 ID:7uI8KgCw

あすみ (……アタシは、)


―――― 『ちょっと、こう……急に近づかれたから、ドキッとして……』

―――― 『年上の女性って感じがして、少し緊張しただけで……』


あすみ (ヒールを履いたところで、ちんちくりんのままで)

あすみ (ウェディングドレスなんか着たって、きっと……)

あすみ (……きっと、似合わないんだろうな)

あすみ (嫌だな……)

あすみ (身長が低い自分が。それを恨めしく思う自分が……)

あすみ (……本当に、嫌だ……――)



98:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/07(火) 00:18:37 ID:7uI8KgCw

………………

あすみ 「………………」

モグモグモグ……

あすみ (……お料理は、とてつもなくウマい……けど、)

あすみ (味がよく分からない……)

成幸 「はぁ……美味しい……」 ウルウルウル 「葉月と和樹にも食べさせてあげたい……」

あすみ (……結局、まだ後輩にも謝れてないし)

あすみ (そもそも、そんな気分にならねーし……)

「ね、ね、あすみ」 コソッ

あすみ 「ん? あんだよ? コソコソと……」

「いや、ね。あすみは婚約者クンに愛されてるな、って」

あすみ 「はぁ? いきなり何だよ?」

「さっき、あすみがトイレ行ってる間、ちょっとカレシと話したんだよ。そしたらね……――」



99:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/07(火) 00:19:15 ID:7uI8KgCw

………………少し前

『ねぇねぇ、カレシくんはさ、あすみのどんなところが好きなの?』

成幸 『へ……!? い、いきなり何ですか?』

『いやー、気になっちゃってさ。ねぇ?』

『うんうん。あたしもめっちゃ気になるよ。あすみもいないし、ぶっちゃけちゃいなよ』

成幸 『そ、そんなこと言われても……うーん……』

成幸 『せんぱ――あすみさんの好きなところかぁ……』

『……あれ? そんなに悩む感じ?』

『あすみちっちゃくて可愛くて美人だし、そういうトコじゃないのー?』

『うんうん。あすみちっちゃくて子どもみたいで可愛いよねぇ』

成幸 『いや、まぁ、あすみさんが可愛くて美人なのはその通りなんですけど……』

成幸 『………………』

成幸 『……でも、あんまりちっちゃいって思ったことはないですかね』

『へ……?』



100:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/07(火) 00:19:48 ID:7uI8KgCw

成幸 『いや、出会ったときはそれこそ中学生と勘違いしたりもしましたけど、』

成幸 『知り合って、お付き合いをさせてもらっているうちに、あんまり小さいと思わなくなって……』

成幸 『あすみさんって、すごいんですよ。リアリストで、考え方も大人で……』


―――― 『塾の授業聞くだけで成績伸びる奴なんて一部の天才だけだ』

―――― 『自分で努力せずに 結果なんて出るわけねーのにな』


成幸 『自分の夢のために一生懸命で、いつもいつも、本当に頑張っていて』

成幸 『……なのに、俺のことも気にかけてくれて』


―――― 『塾ってのは自分で勉強することを軸に 必要なものを捕捉するために存在するんだ』

―――― 『その位置づけは間違うなよ後輩』



101:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/07(火) 00:20:39 ID:7uI8KgCw

成幸 『俺だけじゃない。他の人のことも、いつも……』


―――― 『……世話やかせやがって…… できれば触らずに助けたかったのに……』

―――― 『でもま ガキ泣かせとくような医者にゃ なりたくねーからな』


成幸 『だから……』

成幸 『すごく “おっきいな” って感じるんです』

成幸 『だから、えっと、その……』

成幸 『恥ずかしいですけど、俺があすみさんを好きなのは……』

成幸 『綺麗で、可愛くて、美人なところ……でも、それ以上に……』

成幸 『頼りになるところ。大人なところ。優しくて、人のためにがんばれるところ』

成幸 『……そういう、“おっきい” ところなんだと思います』

『へ、へぇー……///』

『そ、そっか。あすみのこと、よく見てるんだね……///』

成幸 「……あっ! だ、ダメですよ!? 今の、絶対先輩――あすみさんに言わないでくださいね!』



102:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/07(火) 00:21:36 ID:7uI8KgCw

………………

「――……って感じでさぁ。聞いてるこっちが恥ずかしくなっちゃったよ」

「ほんとほんと。ごちそうさま、って感じ」

あすみ 「お、お前ら、アタシがいない間に後輩で遊んでじゃねーよ」

あすみ 「ったく……」

あすみ 「………………」

あすみ (……へ、へぇ。ふーん。なるほどねぇ)

あすみ (“おっきい” とこ、かぁ……///)

カァアアアア……

「あれぇ?」 ニヤァ 「あすみ、顔真っ赤だよ?」

あすみ 「……!? はぁ!?」

「わっ、あすみ可愛い~! 照れてんの?」

あすみ 「て、照れてねーよ!」

成幸 「? どうしたんです、先輩?」

あすみ 「っ……な、なんでもねーよ!」



103:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/07(火) 00:22:24 ID:7uI8KgCw

………………お見送り

先輩 「今日は来てくれてありがとね、あすみちゃん。それから、唯我クンも」

成幸 「いえ、こちらこそお招きいただいてありがとうございました」

あすみ 「……ったく」 コソッ 「こんな無茶はこれきりにしてくださいよ、先輩」

先輩 「ごめんって。そっちのときはご祝儀はずむからさ」

あすみ 「……そっちのとき?」

先輩 「えぇ? 何とぼけてんのー?」 ニヤァ 「あすみちゃんと唯我クンの結婚式に決まってんじゃん」

成幸 「っ……///」

あすみ 「………………」

あすみ (……アタシと後輩の結婚式、ね) ジーーーーッ

成幸 「……?」

ムギュッ

成幸 「……へ? あ、あすみさん? 何で、腕、組んで……///」

成幸 (ど、ドレスで腕組まれると、素肌に触れちゃって、や、ヤバい……)



104:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/07(火) 00:23:15 ID:7uI8KgCw

あすみ (アタシと後輩は、ただの、役だけの、恋人)


―――― ((いっ、今の物言いじゃまるで、アタシと後輩が結婚するのが前提みたいじゃねーか……))

―――― ((お、親父が悪い! 勝手に後輩との結婚を考えたり、後輩との子どもの名前を考えたりするから!))

―――― ((親父が悪いわけで、アタシが後輩と結婚したいわけじゃないからな!))


あすみ (親父を誤魔化すためだけの、ニセモノの、恋人)

あすみ (……でも)

あすみ (アタシのことをしっかりと見てくれる……アタシのことをいつも助けてくれる、相手)

あすみ (もう、きっと、否定することなんて、できない、アタシの……)

あすみ (好きな、人……)

あすみ 「……じゃ、約束ですよ。先輩」

クスッ

あすみ 「アタシたちの結婚式、絶対来てくださいねっ」

おわり



105:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/07(火) 00:23:51 ID:7uI8KgCw

………………幕間 『小美浪家にて、つい』

あすみ 「ん、そろそろ昼飯の時間だな。作ったら食うか? 後輩」

成幸 「あ、ほんとですか。助かります、あすみさん」

宗二朗 (ナチュラルに名前呼びだと!?)

おわり



106:以下、名無しが深夜にお送りします 2019/05/07(火) 00:24:28 ID:7uI8KgCw

読んでくださった方ありがとうございました。



元スレ
【ぼく勉】 文乃 「今週末、天体観測に行くんだよ」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1556892433/
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          • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年05月07日 20:54
          • 文乃推しだが先輩も大好き
            最高のSSでしたありがとう
          • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年05月08日 09:05
          • あしゅみ!
          • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年05月16日 18:36
          • 先輩完落ちしてるやん

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

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