男「とんでもない量の偽札を作っちまった……!」
- 2019年03月19日 00:10
- SS、神話・民話・不思議な話
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男「とんでもない量の偽札を作っちまった……!」
手下「しかも、どれもこれもひどい出来っすよ。コピー丸出し」
手下「こんなもん使いものになりゃしません。スーパーのおばさんだって騙せませんぜ」
男「仕方ない……全部処分するか」
手下「とんだ大赤字になっちまいましたね」
手下「へい、燃えるゴミで全部出しました」
男「……ん」
男「おい、一枚だけ偽札が残ってるぞ」
手下「あ、ホントだ。すんません、すぐ捨てます」
男「いや……ちょっと待て」
手下「……ホントだ!」
男「見た目、手触り、透かし、なにもかもパーフェクトだ」
男「どんな工業製品でも万に一つは不良品が生まれるものだが――」
男「今回の場合、万の不良品からパーフェクトな一品が生まれてしまったようだ」
手下「ここまで本物そっくりだと、俺らが落とした本物ってことはないすか?」
男「そりゃありえない。万札なんかめったに持てない身分だから偽札作りに手を出したんだから」
手下「ですよねー」
男「奇跡で生まれた偽札なのに、どうやって量産すんだよ。また奇跡待ちか?」
手下「う……たしかに」
男「それより俺は、こいつが通用するかどうか試してみたい」
手下「ってことは……」
男「おう、さっそく町に出かけるぞ!」
店員「なんでしょう?」
男「これ、なにに見えます?」
店員「一万円札ですよね?」
男「おおっ!」
手下「やった!」
店員「?」
手下「さすがに機械相手はバレるんじゃ……」
男「それっ」
ウイーン…
パッ
男「買える!」
手下「すげえ!」
男「いや……まだだ」
手下「え?」
男「どうせなら、“本物”を作ってる連中にも見せてやりたい」
手下「おおっ!」
男「ってわけで、国立印刷局に行くぞ!」
手下「あれ? 金作ってるのって造幣局じゃないんですか?」
男「造幣局は硬貨を作ってて、紙幣は国立印刷局なんだよ」
手下「へぇ~」
手下「俺たちが作った偽札なんですけど」
職員「ふーむ……」
職員「素晴らしい出来栄えです。私の目から見ても本物と見分けがつきませんな」
男「本当ですか!?」
手下「やりましたね!」
男「いや……ここまでくると使うの勿体なくなってきた」
手下「その気持ち、分かります」
男「ていうかむしろ、もっと見せびらかしたくなってきた!」
手下「分かります、分かります!」
男「個展を開こう!」
手下「偶然生まれたものなんで、現物はこれっきりですよー!」
客A「……これ、ホントに偽札?」
客B「すげー、本物そっくりじゃん! 本物より本物っぽいまであるよ!」
客C「よくこんなの作れたなぁ、芸術品のオーラが漂ってる!」
男「見ろよ、大盛況だ!」
手下「行列が10km以上続いてるらしいですよ!」
男「撮影された動画が10億再生されてるらしいし、世界中で話題になってるようだ」
手下「俺ら、一躍時の人ですね!」
手下「もしもし!」
手下「いや、今んとこその予定はなくて……」
男「どうした?」
手下「このところ、あの偽札を欲しいって問い合わせがすごいんですよ!」
手下「さっきなんかルーヴル美術館からかかってきましたよ!」
男「たしかにあの出来だ。欲しがる気持ちは分かるけどな」
手下「ですから、売るつもりはありませんってば!」
手下「ったく、今度はどこぞの贋作コレクターでしたよ。言い値で買うって……」
男「あの偽札を持ってる限り、ずっとこういう電話がかかってくるだろうな」
手下「ええ、いい加減うんざりしてきましたよ」
男「だったら……みんなが納得する形で売りに出すのが一番だろうな」
男「公開オークションをやろう! 一番高値をつけた奴があの偽札の持ち主だ!」
男「さあさ、スーパー偽札のオークションを開始致します!」
手下「泣いても笑っても偽札は落札者のものになりまーす!」
男「開始価格は一万円札なので、一万円から!」
男「それじゃスタート!」
男「おっといきなり10万出た!」
「100万円!」
男「100万円きた! これより上は出るのか!?」
「1000万!」
男「い、一千万!? ペース早い! 早すぎる!」
男「すごいことになってきた! 開始数分で一万円が一億円に!」
「十億!」
男「じゅ、十億!? ホントに払えるのでしょうかー!?」
「百億!」
男「お、おいおい……バカじゃねえの」
「五百億!」
「ええい、まどろっこしい一兆円だ!」
「十兆!」
男「みるみるうちに国家予算みたいになってきたぞ……」
手下「俺、怖くなってきました!」
男「オークションは失敗だった! かえってみんなの熱を煽ることになっちまった!」
「ふざけるな! あの偽札はワシのもんだ!」
「この核スイッチを押されたくなくば、入札するなぁ!」
「戦争してでも手に入れてやる!」
男「や、やばい……このままじゃ第三次大戦が始まっちまう!」
手下「どうしましょ、どうしましょ!?」
男「総理大臣!?」
手下「なにかいい手があるんですか!?」
総理大臣「なぜ君たちの偽札があそこまで人気なのかというと、“偽札なのに本物そっくりだから”だ」
男「その通り!」
総理大臣「つまり――」
総理大臣「あの偽札こそが“本物”と認定してしまえば、この争いに終止符を打つことができる!」
男「なるほど!」
手下「その手があったか!」
男「ふぅ……争いが収まった」
手下「だけど、俺らが作ったあの偽札が本物ってことになると、今まで本物だった万札はどうなるんです?」
総理大臣「もちろん、混乱を避けるため貨幣としては今まで通り運用する」
総理大臣「しかし、当然全て“偽札”ということになるだろうな」
総理大臣「今や、君たちが作ったあの一枚こそが唯一の本物なのだから……」
男「とんでもない量の偽札を作っちまった……!」
おわり
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コメント一覧 (13)
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- 2019年03月19日 00:29
- そんなコメントしかできないお前の方がつまらんわ
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- 2019年03月19日 01:28
- 実際一万円札の原板っていくらくらいで売れんのかな
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- 2019年03月19日 01:57
- 期待の展開ではなかったけど最後の一行だけは良かったよ。
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- 2019年03月19日 06:54
- ※3
高い
俺は金が無いからゴート札の原板を安く売ってもらった
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- 2019年03月19日 10:08
- つまらん
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- 2019年03月19日 14:20
- 業界関係者ですがここだけの話
佐倉綾音さんまだ処女(下半身の二穴)は余裕で死守出来てますわ
信じられないことにね
良くも悪くもお嬢様なんだろうね
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- 2019年03月20日 11:45
- なにこれ面白い
このメチャクチャっぷりは昔のナンセンス漫画みたいだわ
タイトルとオチが同一なのは秀逸ですな
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- 2019年03月20日 12:24
- ※7
おしっ○の穴とお○りの穴か
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- 2019年03月20日 13:38
- オチが良かった
落語みたい
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- 2019年03月20日 14:46
- バカしか居ない
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- 2019年03月20日 19:20
- 最後の一行。オチはなるほど。
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- 2019年03月25日 00:32
- 春休みだからね。仕方ない。
その発想は無かったわー