【P5x俺ガイル】八幡「やはり俺の友達は9股するなんてまちがっている」【中編】
- 2019年03月18日 14:10
- SS、やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。
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の続編で今回は中編にあたります。先にそちらご覧ください
前回貼り漏れがありました気を付けて貼っていこうと思います
よかったらお付き合いください
ー夜 宮城県修学旅行宿泊先ホテル屋上ー
戸部「俺っ…俺!!」
海老名「………」
戸部「お…………っれ…!?」
海老名「……?」
スタスタスタ……ザッ
八幡・蓮「あなたの事が好きでした。俺と付き合ってください」
蓮「………」
戸部「……へっ?」
海老名「………」
結衣「………」
雪乃「………」
葉山「………」
優美子「………」
八幡「………」
蓮「………」
海老名「ありがとう、二人共」ニコッ
戸部「ちょ…?!」
戸部「へっ…?」
八幡「………」
蓮「………」
海老名「話は終わり?じゃあ…私もう行くから」タタッ
優美子「おいで海老名。部屋いこ」
海老名「うん…」
結衣「………」
雪乃「………」
葉山「…優美子。姫菜を頼む…」
優美子「ふんっ…」タタタッ
葉山「………」
八幡「だとよ」
蓮「今は誰とも付き合う気はないんだってさ。フラれるとわかってたら告白なんてしなかったな」
戸部「………ええーっ…?」
葉山「まあまあ良かったじゃないか戸部。告白する前にわかってさ。今じゃないって事なんだろう。きっと」
葉山「姫菜も今の関係が好きで楽しんでるんじゃないか?別にケンカしたってわけじゃないんだから、いいじゃないか」
戸部「まあ…そうね。つーか………雨宮さんにヒキタニくん?」
蓮「ん?」
八幡「んだよ」
葉山「ああ、そうしよう」
葉山「………すまない、2人とも……」ヒソヒソ
スタスタ……
八幡「………」
蓮「………」
雪乃「…ねえ。一つ聞きたいのだけれど」
結衣「………」
八幡「………」
雪乃「この状況は2人で決めた采配なのかしら?」
結衣「………」
蓮「さあ?どう思う?」
雪乃「…さすがだわ。でも………比企谷くん」
八幡「なんだよ…」
結衣「…びっくりしちゃったなぁ…びっくりしちゃったよぉ」
蓮「驚かせてごめんね。でもまあ、きっとこれで元通りだよ」
八幡「そだな」
結衣「ヒッキーれんれん…」
蓮「ホテル前にコンビニがあるよ。俺は入れないからお使い頼んでいいかな?」
結衣「え?何で入れないの?」
蓮「そこで優美子と鉢合わせた時に騒がしくしちゃってね。行きづらいんだ」
結衣「そっかぁ。うんわかった!何がいいの?」
蓮「ごつ盛り全種類。はいお金」
蓮「ジム行ってるから大丈夫。じゃ、よろしく」
結衣「うん!じゃとりあえず降りよ?」
蓮「すまない結衣。八幡が話したい事があるみたいなんだ。先に行っててくれ」
結衣「そなの?」
八幡「ああ。すまん」
結衣「わかったよ。じゃああとでね!」
八幡「お前…何で俺と同じ手段で」
蓮「話したいのはそれか?だったら部屋に帰る」
八幡「………」
蓮「さっきのは葉山たちの問題だ、そうだろ?」
蓮「ああ」
八幡「………」
蓮「………」
八幡「悪かった!許してくれ!」
八幡「あっちの駅で起きた色々に対してだ」
蓮「そうか」
八幡「蓮、お前に聞いてほしい話がある」
蓮「ああ、いいよ」
八幡「………俺はぼっちだ」
八幡「誰かを信じるのが怖くて、誰かに信じられるのが怖くてたまらない」
八幡「例え誰かを信じても、その誰かは俺を信じていないかもしれない」
八幡「誰かといる事で苦しむかもしれない。それなら1人でいる方がいい。1人でいる限り、自分の事だけ考えていればいいから」
八幡「でもな………やっぱり………」
八幡「寂しいんだよ………」グスッ
蓮「………」
八幡「その苦しさは全て、他者からぶつけられるものだ。回避する方法はたった一つ、ぼっちでいる事」
八幡「ぼっちなら誰も傷付けないし、傷付かないし、傷付けられる事もない。だって1人なんだからな!」
八幡「俺はこんなにも臆病なんだ…」グスッ
八幡「でも、お前はそんな俺をあっさり変えやがった」
八幡「いつの間にかお前は俺の中に入って来てた。友達なんかいらないと決めていたのに」
八幡「何でお前はあっさり…何でなんだ…?もう諦めてたんだ。納得してたんだ。ぼっちでいる。それでいいって」
八幡「蓮………俺な……俺…」グスッ
八幡「こんな歳になって!!!!!そんな事も知らねぇ!!!!」
八幡「挙げ句せっかく出来た友達にちょっと意味不明な質問されたってだけでうろたえて!!!」
八幡「犯罪者に疑われてる……なんて…………勝手に思って……」グスッ
八幡「勝手な想像で勝手に落ち込んで勝手にキレて……勝手に突き放して勝手に終わらせた!!!」
八幡「終わらせた………終わらせたけど…………」グス
八幡「終わりになんて……やっぱしたくねぇよぉ………蓮………」グスッグスッ
蓮「………」
八幡「俺ってやつは傲慢で!!我儘で!!卑屈で!!!横着で!!!身勝手で!!!」
八幡「自分の理想ばっか相手に押し付けまくるクソ野郎だよ!!!!」
八幡「でも………でもな蓮!!!!
八幡「頼むよ!!!!頼むから!!!!頼む、から………っ……」
八幡「俺と………仲直り…して、ください…………」
蓮「………」
八幡「うっ…………ううぅっ………」グスッグスッ
蓮「八幡」
八幡「うう……うっ………なんだ…?」グスッ
蓮「俺は大きな隠し事をしてる。とても言えない。誰にも言えないような隠し事だ」
八幡「………ああ……」グスッ
蓮「お前は言ったよな?隠し事を言い合えないのは本物じゃない…みたいな事を」
八幡「……でも、あれは………フェアなものじゃない…俺は空っぽだから…何もないから言える事だから……」グスッ
八幡「……蓮…」
蓮「どんな隠し事なのかは絶対に言えない。言う事もないと思う。それでも俺は、お前と友達でいたい」
八幡「…蓮………」グスッグスッ
蓮「前に言っただろ?俺は”お前の後悔の先で待ってる”って。だから隠し事を持つ俺でも良いなら仲直りしよう」
八幡「ああ…………あり……がとう…!!!」グスッグスッグスッグスッ
蓮「青春っていいもんだろ?八幡」
八幡「たまにはな…………ははっ」グスッグスッ
雪乃「…清々しいほど青春してるわね、あの2人。羨ましいわ」
結衣「うん…ほんとに」
雪乃「さ、ここにいても2人を恥ずかしがらせてしまうだけでしょうから。戻りましょう」
結衣「うんっ!あ~お腹へったな~何にしようかな~」
雪乃「こんな時間に食べたら太るわよ?」
結衣「いいの~!れんれんみたいにジムいくし!どこあるか知らないけど」
結衣「どしたの?早くいこ。2人とも来ちゃうよ!」グイグイ
雪乃「え、ええ。押さないで由比ヶ浜さん」
??「やっば~超おもろ……ククククッ…」
ー昼 教室ー
八幡「なぜだ?」
蓮「なぜだろうな?」
八幡「なぜなんだ!?」
蓮「なぜだろうな?」
戸塚「2人の噂すごい事になってるね…その………///」
八幡「彩加、頼むからそんなリアクションをするな」
蓮「一瞬で最大風速だな」
八幡「パスだ。今それどころじゃない」
葉山「どうして?」
蓮「例の噂の件で八幡が思い悩んでる」
葉山「ああ。新しいあの噂か」
八幡「何がどうなったらあんな…」
葉山「蓮は地元で何股もしてるのに比企谷がそれでもいいと告白して付き合う事になった、というのが新しい噂だな」
八幡「ぎゃああああああーーーー!!!!!!」
蓮「あっはははは」
蓮「驚きだ。元いた学校でもここまでの拡散力と速度はなかった」
八幡「感心してんじゃねえよ!」
海老名「んん~?腐わっとした香りがするぅ~!お呼びですかぁ~?ぐふふふふ……」
八幡「呼んでない本気で呼んでない」
蓮「参ったな。さすがに俺も困るよ…内容がまずい」
八幡「だよっ☆じゃねえよ聞いてねえし。何その可愛い笑顔保存したいわ。腐ってるけど」
海老名「ぐふふっ☆」
戸塚「でも蓮も困ってるならやっぱり良い事じゃないと思うんだけど…」
葉山「そうだよな。いくら百戦錬磨の雨宮さんとはいえ、男もいけるなんて噂は受け入れ難いだろうし」
八幡「なあ、葉山」
葉山「なんだい?」
戸塚「あぁ~そういえばそうだよね?男子生徒は皆そうだよね。テニス部の後輩の子も雨宮さんに相談したいとか言ってたよ」
葉山「それか。全てはあの大浴場が原因だ」
八幡「ホテルのか?」
海老名「なになに!?大浴場で大の男が大欲情したの!?ぐっはぁ!!」
優美子「ちょっと海老名!擬態しろし!」
葉山「あ…優美子」
海老名「ぐふ……ぐふふふふふ……」
八幡「………」
蓮「やあ優美子」
優美子「うん。あのさ、ちょっと顔かして」
蓮「だってさ八幡」
八幡「いやいや…明らかにお前に言ってるだろ…」
優美子「2人ともだし。いいからちょっと付き合えし」
優美子「何がいい?」
蓮「プラセンウォーターで」
八幡「………」
優美子「…ヒキオは?」
八幡「え?いいのか?」
優美子「はーうっざ。いちいち聞くなし。あんたスープカレー」
八幡「えっ」
蓮「それそこそこうまかったそ」
優美子「あんた飲んだの……」
優美子「うん」
蓮「どうした?」
優美子「うん……あの…」
八幡・蓮「??」
蓮「コンビニでの話か?」
優美子「ちげーし!つかアレはありがとうってこっちが言われるべきだし!」
八幡「何だ?どこのコンビニの話だ?」
蓮「修学旅行の時ホテルの前にあっただろ?あそこで」
優美子「うっさいし!そうじゃなくって!!」
蓮「ああ」
八幡「あれか」
優美子「………」
八幡「つかお前、葉山と何かあっただろ?」
優美子「………」
蓮「そうなのか?」
優美子「…うん」
八幡「俺たちが聞いていいことなら聞くが?」
優美子「………」
優美子「隼人は完璧で、どんな事もどんな問題も上手く立ち回れるって。でも違ってた」
蓮「………」
優美子「あん時…隼人が本当に苦しんでる姿を見て思った。あーしバカだったなって。勝手にあーしの理想像を押し付けてたなって」
八幡「………」
優美子「隼人1人じゃどうにも出来なくって。それであんたら頼って解決して…まあ告白自体はいつか戸部がするかもしれないけど」
優美子「たぶん、ニセモノ」
八幡「………」
優美子「完璧じゃない隼人を見て少なからず失望してんのよあーしは。ほんとサイテーだし」
優美子「上辺だけじゃわからない事めちゃあるし。あんたらが実はその………良いやつ、だとかね」
優美子「そう気付かせてくれたのはあんたらだから。だから、お礼言わなきゃって思った」
優美子「ありがと、2人とも。あーしの居場所も守ってくれて。本当に嬉しい」ニコッ
蓮「どういたしまして」ニコッ
優美子「まっまあとにかく!そういう事だから。じゃあーしもう戻るし」
八幡「待てよ三浦」
優美子「何?」
八幡「お前、葉山とギクシャクしてるのは今言った事のせいか?」
優美子「……うん…」
蓮「そうだな。ちゃんと認めてやるべきだ。じゃなきゃ俺と八幡が報われない。一番報われないのは戸部だけど」
優美子「そうだね…そうする。でもいざ隼人が目の前に来ると………なんか…」
八幡「そういう時は由比ヶ浜を頼れ。あいつはアホの子だが空気を読む能力にだけは特化してる」
優美子「結衣に…?」
八幡「ああ。友達なんだろ?頼ってやれよ」
蓮「そうだな。それが青春だ」
優美子「あははっ、何それ?うんまあ…そうだね、わかったそうする。つかヒキオ、あんたほんと変わったよね」
優美子「隣の彼氏のおかげ?」
八幡「やめろ!!!くっそ…何だってあんな噂が…つかよりによって何であんな内容なんだぁ!!!」
蓮「あれはさすがに困るな。前の悪い噂の方がまだ良かったかもしれない」
八幡「そんなにか?」
蓮「そんなにだ。向こうに帰れなくなる」
八幡「おう」
蓮「またな優美子」
優美子「うん!…あ、そういえば」
八幡「ん?」
優美子「あんたらの変なきもい噂、流したのたぶん相模だし」
蓮「………」
八幡「…詳しく聞かせろ」
ガララッ
八幡「うす」
蓮「お邪魔します」
結衣「あ!ヒッキーやっはろー!れんれんもやっはろー!」
八幡「おう」
蓮「ゆいゆいやっはろー」
八幡「おいやめろ本気でやめろ気色悪い」
蓮「やっぱり雪ノ下さんも噂は耳に入ってるのか」
雪乃「あんなすごい内容なら瞬く間に広がるのも無理ないと思うのだけれど」
結衣「まあまあ。とりあえず2人とも座ればー?」
雪乃「座る前に雨宮くん、モルガナくんはどこかしら?」
モルガナ(出すなよ出すなよ出すなよ出すなよ)
結衣「ほんとひどいよね!誰があんな事言いふらすんだろ?」
雪乃「相模さんでしょう?」
結衣「え1?」
蓮「知ってたのか?」
八幡「何で知ってるんだ?」
結衣「え!?そうなの!?気付かなかった!」
八幡「だったら何でほっといたんだよ…」
雪乃「時に犠牲はつきものよ。おかげで確たる証拠になったでしょう?」
八幡「いやまあそうだけどよ」
蓮「その相模さんってどんな人なんだ?」
結衣「え?れんれん知らないの?同じクラスなのに」
蓮「そうだったのか」
蓮「そういえば優美子も相模さんを見たと言ってたな」
結衣「優美子が?」
八幡「ああ。何でも海老名さんの件を解決させたお礼が言いたくって下の方で俺たちを待ってたらしい」
雪乃「そういえばいたわね。屋上へ通じる階段は一本だけだったし。これはもう確定のようね」
八幡「俺たちが降りてくる前に見たと言ってたからな。しばらく隠れてたんだろうな」
結衣「そうなんだぁ…でもなんで?普通さ、皆が降りてから降りない?」
八幡「それは…」
結衣「せっ青春……///」
八幡「おい待て由比ヶ浜なんで顔を赤らめる?あと蓮、お前のそういう言い回しがあらぬ気色悪い噂を加速させてると思うからやめろマジで」
蓮「そうか?そうだな。青春の語り合いをしてたんだ」
雪乃「羨ましい限りね」
結衣「あー!思い出したぁ!!!!」
八幡「何だよいきなりうるせぇな…」
蓮「屋上であのまま八幡と語り合ってたからな」
結衣「そっかぁそれでかぁ。じゃあ割と時間経ってるからさがみんも先に帰っちゃうよね」
雪乃「まあそれはどうだっていいのだけれど。それで?どうするのかしら?彼女についての話をしたくて来たのではないの?」
八幡「そうだ」
雪乃「ちなみにどういう事を仕掛けるつもり?」
ピロリン
八幡「…どした?蓮」
蓮「悪い、急用が出来た。続きは今度でいいかな?また来るよ」
結衣「うんまたね~!」
雪乃「さようなら」
八幡「じゃあな」
生徒A「雨宮さん!お疲れっした!」
蓮「お疲れした」
生徒B「雨宮先輩!ご苦労さまです!」
蓮「ご苦労さん」
生徒C「雨宮さん!今度自分の相談乗ってくれませんか!?」
蓮「うぃ」
蓮「はいはい」
スタスタスタ……
??「すごいね、雨宮くん。大人気だね?」
蓮「ん?」
??「久しぶり……になるのかな?」
蓮「もしかして…鈴井さん?」
鈴井志帆「ごめんね?帰る所だったのに誘っちゃって」
蓮「まだ時間はあるから気にしなくていい。久しぶりだね、鈴井さん」
志帆「うん、ほんと久しぶり。雨宮くん」
蓮「鈴井さん総武に転校してたんだ?」
志帆「うん…本当はもっと遠くに越す予定だったんだけどね。親の仕事の都合もあってあまり遠くは無理だったの」
蓮「そっか。体はどう?」
志帆「うん、もうすっかり平気だよ」ニコッ
蓮「それは良かった」
蓮「なに?」
志帆「こっちでもその…変な噂、流れてるよね…つらくない?」
蓮「つらくはないけどそろそろ鬱陶しいかな」
志帆「そうなんだ?つらくないってだけでもすごいなぁって思っちゃうよ」
蓮「そうか?」
志帆「うん。そうだよ」ニコッ
志帆「志帆でいいよ。雨宮くんは杏の大事なお友達だよね?だから私のことも志帆って呼んで?」
蓮「じゃあ俺の事も蓮でいいよ。志帆」
志帆「うん!えっとね、私はその…カウンセリングに通いながら通学してるの。体の方はもう大丈夫なんだけど…」
蓮「心か」
志帆「うん…。たまにね、夢に見ちゃうんだ…。バレーボールが飛んできて…次に殴られて…蹴られて…。それで…このままだともしかしたら女の子として一番嫌な事されちゃうかもって思った瞬間に目が覚めるの」
蓮「そうか…」
志帆「うん…。私は幸い殴られただけだったけど…」
蓮「どこがだ」
志帆「え?」
蓮「どこが幸いだ?殴られる事のどこに幸せがある?どこにもあるわけない」
志帆「蓮…」
蓮「何もすごくない。強くもない。憧れられる対象になんかなれっこない」
志帆「ううん、そんな事ないよ?蓮は前の学校の時も悪い噂に負けたりしなかった」
志帆「どんなに皆からおかしな目で見られても、ちゃんと自分らしさっていうか…芯を持ってたよね?それってすごい事なんだよ。だから憧れちゃうの。私も、それがほしいなって」
蓮「…買いかぶりすぎだ」
志帆「なんでそう思うの?」
蓮「でも俺は嫌なんだ。自分の不甲斐なさにも力のなさにも腹が立つ。憧れられる対象になんてなれない。むしろ俺は志帆に憧れてる」
志帆「えっ…?///」
蓮「志帆は強い。あんな事があってもしっかり前を向いて自分の足で歩いてる。杏との約束だから?違う、それだけじゃない。志帆は志帆の意思で立って歩く事を選んだ。その強さに俺は憧れる」
志帆「えっと…。そっか…なんか嬉しいなありがとう」
蓮「つらい目にあったのに自分から立ち上がるってすごい事なんだ。だから志帆はすごい。自信を持っていい」
志帆「うん…そうするね!ありがとう///」ニコッ
蓮「いつもうるさい」
志帆「あははっ!そうなんだ?元気ならいいの。私も元気だよってしょっちゅうチャットでは話してるから」
蓮「仲が良いのは良いことだ」
志帆「うん!あ、でも蓮?9股は関心しないなぁ~?」
蓮「!??!!?!?」ビクッ
蓮「おどかすな。ただの噂だ」
志帆「どうかなぁ?蓮は年上キラーだって杏から聞いてるよ?案外もうこっちの先生とかにもちょっかい出してたり…?」
蓮「!?!?!?!?!?!?!?!!!!?!?!?!!?」ビクビクッ
志帆「…あれ?図星…?」
志帆「じーーーーっ…」
蓮「………」
志帆「じぃーーーーーーーーーっ……」
蓮「効果音を口にするな可愛いから」
志帆「かわっ!?///」
蓮「勘弁して」
志帆「うわっすごい早口…ふふっ。あのね、実は蓮の隣のクラスなんだよ。知ってた?知らなかったでしょ?」
蓮「全くわからなかった。そうなのか?」
志帆「そうでーす!お隣さんでしたぁ。これからちょくちょくお話しようね蓮?」
蓮「ああ、よろしくな」
ピロリン
蓮「ああ。そろそろ行かないと。じゃあ志帆、また明日」
志帆「うん。またね蓮。今日はお話出来て嬉しかった。蓮とこんなに話したの初めてだし……誰かとじっくりお話したのも久しぶりだったから…」
蓮「…そうか。俺も嬉しかったよ。志帆にまた会う事が出来て」
志帆「私もだよ……///」
蓮「それじゃあまた。次は俺が会いに行くから」
志帆「あははっ。うん、お隣で待ってるね!」
ざわざわ・・・ざわわ・・・美人だな…ざわ・・・ざわ・・・高そうな車…ざわわ・・・ざわ・・・Sじゃね?ぜってーSじゃね…?
蓮「お待たせしました」
冴「大丈夫よ。さ、乗って」
蓮「はい」
ブロロロロ……
ざわ・・・ざわわ・・・今の人って例の噂の…?ざわわわ・・・ざわ・・・さすが雨宮さんあんな年上美人も…ざわん・・・ざわわ・・・雨宮さんMなんじゃね…?
平塚「さっきの車は……冴…?」
冴「真からもチャットあったと思うけど、ついに黒幕の尻尾を掴んだの」
蓮「誰なんですか?」
冴「それなんだけど……ん?猫ちゃんバッグ出たがってるんじゃないの?」
蓮「あ、モルガナ」ジジジジー
モルガナ「ぷっはー!シャバの空気は最高だぜぇ!」
蓮「シャバというか車内だけどな」
冴「やっぱり何か会話してるように見えるわね。不思議。詳しいことはルブランで話すわ」
蓮「わかりました」
モルガナ「それにしてもあいつら寂しがってたんじゃねえか?ワガハイがいないとなぁ」
蓮「そうかもな」
冴「その猫…何て言ってるの?」
蓮「みんな寂しがってたんじゃないかって」
冴「なるほど。そうね、それは間違いないと思うわ」
カランカラン…
竜司「おー!!!れんれんー!!!」
祐介「久しいな」
双葉「うぉお~おかえり~!」
杏「ひっさしぶり!」
春「元気にしてた?」
惣次郎「おいおい、お前らそんな一気に聞いても答えらんねえだろ。しょうがねえなあ」
蓮「久しぶり、みんな」
冴「じゃあ私は車置いてくるわね」
モルガナ「………ワガハイには何もねえのかよ!」
竜司「んだよそれ……クソが!!」
祐介「無関係な場所にまで前歴か……やりきれんな」
杏「そっちでも居場所がないなんて…」
春「どこもそういうものなのかしら…?」
双葉「ありえねー!そんな事する犯人は公開処刑だ!!」
蓮「そうでもない。新しい友達も出来た」
冴「まさかそんな事になってたなんて…思ったよりも良い状況ではなかったのね」
モルガナ「まあな。だが何も悪い事ばかりじゃなかったぞ」
竜司「いや悪い事しかねえじゃねえかよ。友達が出来た事ぐれえでよ」
惣次郎「お前も苦労してんだな…ほら、飲めよ」コトッ
蓮「ありがとうございます」
真「それって…パレスの事?」
モルガナ「ああ。前にカネシロをやっただろ?あの時にアホリュージがイセカイナビ起動させた時に巻き込まれてたんだ」
竜司「マジかよ!?」
祐介「やはり気をつけるべきだったな」
双葉「リュージが悪い」
竜司「うるせぇ!お前そん時まだいなかったじゃねーか!」
杏「そういう問題じゃない!」
春「あの、私はその時の状況がわからないんだけど…どこで起動させたの?」
杏「ハチ公像の前」
全員「………」
双葉「リュージ弁護の余地なーし!」
竜司「うっせ!つかお前らも起動しちまえって感じだったじゃねーか!」
モルガナ「それは…どうだろう?それだと初めてパレスに入った時のレンとリュージの説明がつかないぞ?」
真「そうよね。ただ何にでも例外はあるから2人の場合は何かが違っただけじゃないかしら?」
竜司「そういや鴨志田ん時に杏がパレス来ちまってたよな?」
杏「うん、そう」
真「どういう状況だったの?」
春「やっぱり周囲を巻き込んでしまうのね」
モルガナ「ああ。アン殿がパレスに入って来ちまった時から巻き込み注意しようって事になってたが。リュージがアホだからそれを忘れてカネシロの時にやっちまったわけだ」
竜司「うっせぇ!アホは余計だろが!」
双葉「………」
蓮「双葉どうした?」
双葉「ん?うーん」
双葉「おそらくだが…そいつの場合は蓮たちを認識したままだったから巻き込まれたんじゃないか?ってのが私の仮説」
春「認識?」
真「なるほどね」
竜司「あ?どういうこった?わかるか?」
杏「私にふらないでよ」
祐介「どういう事だ?」
真「その認識を持ったままの状態でナビが起動された…だから私たちを通して異世界を認知する形になって、巻き込まれてしまった。という事ね?」
双葉「そうだ。それなら杏が意識的にしろ無意識的にしろ、パレスに巻き込まれたのも納得いく。つじつまもあーう!」
モルガナ「やるなぁフタバ」
双葉「ふふん!」
冴「マスター。この子たちの話わかります?」
惣次郎「いんや、さっぱりだ」
祐介「実際その新たな友人が巻き込まれてしまっているしな」
竜司「あのよ、そいつって…俺らの正体知ってたりすんのか?」
蓮「それはないと思う。あの格好だし、4~5人が走って行くのを見たという程度だったようだし」
真「周囲にはこれまで以上に用心しないといけないわね」
春「そうね。そのお友達はあっちの世界に入って不安じゃなかったのかな?」
全員「………」
祐介「何にしてもシャドウに襲われたりしていなかったのは幸いだな」
モルガナ「そうだな。もしそうなってたらワガハイらの責任はとんでもないものになってたぞ?下手したらこっちの世界で生きてる人間なのにシャドウになってた、なんて事も」
真「そうね…」
全員「………」
真「いけない、そうだったわ」
モルガナ「ワガハイらがいない間もちゃーんとやる事やってたんだろうな?リュージ」
竜司「なんで俺だけなんだよ!ってな、いつもキレ返すとこだが………聞いて驚け!」
双葉「黒幕がどこの誰かがわかったぞ」
蓮「誰なんだ?」
杏「竜司うるさい!」
冴「それは私も聞いていなかったのよ。誰なの?」
双葉「ふっふっふ………まあまずはこれを聞け。こないだ真犯人と黒幕の通話を録音したやつだ。説明はまずこれを聴き直してからだ」
??『………終わりましたよ……』
結衣「久しぶりにこの3人だけだね!ていうかれんれん帰っちゃったね?」
八幡「何でそれを俺に向かって言うんだよ」
結衣「だって……ねぇ?ゆきのん」
雪乃「ええ。でもあまり触れないであげましょう?由比ヶ浜さん。ほも谷くんが寂しがって泣いてしまうかもしれないから」
八幡「…お前らなぁ…。そんな事より相模の事だ」
結衣「どうするの?あんな噂あのままにしとけないもんね?」
雪乃「私に1つ提案があるのだけれど。聞く気はあるかしら?」
八幡「珍しいな。つかそういう言い方ないだろ…ちゃんと聞く男だぞ?俺は」
八幡「別に普通だろこんなの」
雪乃「さすが雨宮くんね」
八幡「何というか…お前の中であいつの扱いやたら上位じゃないか?」
結衣「言われてみれば確かにそうかも!なんで?」
雪乃「えっそれは…」
八幡「由比ヶ浜。残念ながらその先を言っても無駄だと思うぞ」
結衣「え?なんで?」
八幡「おそらく答えはあれだ」
結衣「………あ!後ろの机にパンさん置いてある!」
雪乃「うっ…」
雪乃「ええ、そうよ。それが何か?」
結衣「ゆきのんが買ったやつなら別に関係ないんじゃないの?」
八幡「自分で買ったやつならな。だがあれは蓮にもらったもんだ。そうだな?」
結衣「え?そうだったの?」
雪乃「ええ、そうよ。それが何か?」
八幡「お前…自分の分が悪くなるとそんな感じでうやむやに……ってまあいい。それより本題だ。お前のその提案っての聞かせてくれ」
雪乃「こほん」
雪乃「海老名さんの依頼は修学旅行の時に解決したわ。よって残るは雨宮くんの依頼のみ」
雪乃「彼の依頼は噂を消滅させたいというもの」
雪乃「これは今の状況ではかなり難易度の高い依頼になってしまっているわね。なぜなら比企谷くんという存在が噂にブレンドされてしまっているせいで、噂の上塗りと更新を続けているから」
雪乃「彼の希望する噂の消滅、最初は前歴という悪い噂に対してのものだったのだけれど、今やその中身はめちゃくちゃね」
雪乃「前歴についての噂はすっかり鎮火したと言っていいでしょう。ただし、今言ったように噂そのものは決して消滅していない」
雪乃「インフルエンザ注意報が出ている日の如く、爆発的に噂というウイルスを撒き散らしているわ」
雪乃「なぜ相模さんは自らそんな病原菌を演じているのかしら?それはおそらくあの文化祭に起因していると思うわ」
雪乃「相模さんとその取り巻き2名はあの文化祭以降、密かにその格を落としているようよ」
雪乃「どこかの愚かな姉の一言にまんまと踊らされた結果、自分の器量を勘違いし、周囲に迷惑を振りまいた。私がそれとなく調査した結果、彼女に対する印象は人によって全く違うけれど、方向は似ているという事がわかったわ」
雪乃「では相模さんと親しい人間はどうかというと、一言で言えば上辺だけの付き合いとしか思えない印象ばかりが目立つわ。相模さんがどういう人間かを知る親しい人ほど、彼女に対して心を許していない」
雪乃「最後にあの文化祭実行委員の人間から見た印象。それはもちろん、最悪なもの。ついでに言ってしまうけれど、彼らから見たあなたの印象はそこそこ良いものだったわよ比企谷くん?」
雪乃「以上の事から、相模さんを殺菌するにはとても単純な手札が切れるわ。病原菌には病原菌をぶつけるの」
雪乃「彼女に関する噂を拡散させて雨宮くんの噂を消滅させる方法。その内容はもちろんこれまでの全ての噂を凌駕する内容で。これが一番すっきりと溜飲を下げる方法だと思うのだけれど。どうかしら?」
八幡「すげえなお前…マジ悪のんだわ…」
雪乃「あら心外ね?これでもかなり抑えた方よ。それでどうかしら?アイデアなし谷くん。あなたの感想は?」
八幡「なんだそれ逆に呼びづらいだろ…。そうだな、確かに相模を潰すにはもってこいの提案だ」
結衣「でも…いいの?そんな事したら、さがみんしんどいんじゃ…」
雪乃「あまりこういう言葉は使いたくないのだけれど…。由比ヶ浜さん、あなたはどちらの味方なのかしら?」
結衣「え!?」
八幡「まあ…そうなるよな」
結衣「ええ!?」
雪乃「言葉が汚いわよ汚谷くん。でも私も同感だわ。はっきり言って彼女の肩を持つ理由も道理も利も意味も気持ちもないもの」
結衣「うーん…そうかもだけど…でもぉ…」
八幡「とりあえず由比ヶ浜、お前しばらくここに来るな」
雪乃「そうね、それがいいと思うわ」
結衣「えっ!?そんな…」
八幡「お前のために言ってやってるんだ。お前の事だから俺たちのやろうとしてる事を知れば知るほど1人で思い悩むだろ。いいヤツだからな、お前は」
雪乃「そうね、同感だわ」
雪乃「いい?由比ヶ浜さん。相模さんは自分の存在を持ち上げたいがためだけに他人の粗を探して噂に仕立てているの。そしてその噂を共通の話題にして勝手に笑いものにする」
雪乃「彼女が周囲と仲良く話しているように見えるとしたら、それは同じ話題で盛り上がっているその場限りのものなの。ならその話題がなくなってしまったらどうなるかしら?」
雪乃「誰も彼女と話さないと思うわ。比企谷くんと雨宮くんのように、親しく話す話題なんていくらでもあるはず。でも彼女にはそれがないの。だから自分が存在していい場所を作りたいがために人を貶め続けるの」
雪乃「言っておくけど今は雨宮くんたちがメインだけれど、あなたや私が噂の種にされてもおかしくないのよ?私たちが相手にするのはそういう人間なの」
八幡「雪ノ下の言う通りだ。今は俺らが話の種。だが誰もがその種にされかねない。種にされたくないから積極的に相模演出の噂を漁り、貪る」
八幡「お前はそれに耐えきる自信あるか?蓮のようにどこへ行ってもヒソヒソされるんだぞ?」
雪乃「由比ヶ浜さんは優しい人だから。だからあんな人間に対しても同情してしまうのでしょう?そういう意味でも、あなたはしばらく私たちと距離を置いた方がいいと思うのだけれど」
八幡「由比ヶ浜、そうしたらどうだ?」
ガラララッ
平塚「入るぞー」
雪乃「先生ノックを」
平塚「まあまあ。それよりお客さんだ」
一色いろは「失礼しまぁ~す」
八幡「………」
結衣「………」
平塚「おや……なんだね?取り込み中だったか?」
雪乃「ええ、すみませんが日を改めて下さい」
八幡「平塚先生。すんません、マジ帰ってください。本気で空気読んで下さい」
平塚「………」
めぐり「あの~…………じ、じゃまたにしましょ?ほらほら、一色さんも」
いろは「あっはい…失礼しましたぁ」
平塚「…わかった。ではな」
ガラララッ……パタン
八幡「そうだな。明日から俺たちは行動に移す。いいよな?雪ノ下」
雪乃「ええ、もちろんよ。おおよそすべき事も考えてあるわ。何ならこれから仕込みを始められるほどよ」
八幡「そうか。じゃ、いっちょ盛大なブーメランをあいつに返してやるとするか」
雪乃「ええ」
八幡「ここで話すのも何だ、場所を変えないか?」
雪乃「場所ね…と言ってもこれといってめざとい所が思い当たらないのだけれど」
八幡「そうだな…外だと誰に聞かれてるかわからんしな……どこか…」
雪乃「…仕方ないわ。うちにいらっしゃい」
八幡「え!?マジか?いいのか?」
八幡「そうか…わかった。じゃあ邪魔させてもらうな」
雪乃「構わないわ。そのかわりカマクラくんを連れてこないくせにうちに来るなんてありえないから。そこを忘れないようにだけしてもらいたいのだけれど?」
八幡「よく覚えてやがんな…わーったよ、連れてく。じゃあ一度解散だな。由比ヶ浜、ここの鍵はお前に渡しとく。いいよな雪ノ下?」
雪乃「ええ、そうしましょう。由比ヶ浜さん、これ鍵ね」
結衣「あ…うん……」
八幡「由比ヶ浜」
結衣「なに?ヒッキー…」
八幡「お前はアホの子だが、やれば出来る。お前は雪ノ下の好きなものも熟知してるほど仲良いだろ?それにお前はいいやつだからな」
結衣「そう…かなぁ…?」
雪乃「あなたなら大丈夫だと思うわ。またね、由比ヶ浜さん」
結衣「うん…ばいばい……」
ガラララッ………パタン…
結衣(私だって…一緒に……でも…)
八幡『お前はいいやつだからな』
結衣(えへへ…嬉しいなヒッキーにあんな風に言ってもらえて…)
結衣(私がすべきこと…導き出さなきゃいけないこと…)
結衣「はぁい…誰?」
ガラララッ
結衣「あ………」
??「こんにちは、結衣ちゃ~ん………ククククッ……」
蓮(……あの声、どこかで…)
冴「なるほどね、あの男が黒幕。十分ありえるわ」
惣次郎「………」
祐介「まさに黒幕と呼ぶに相応しいな。地位、権力、人物像と申し分ない」
竜司「よっしゃあ!やっちまおうぜ!!」
モルガナ「意気込みはいいが先にナビを見てみろ。ちゃんとパレスあるんだろうな?」
真「場所にキーワードね。どういった思考を持ってるのかしら?」
春「イメージ的には接待とか…そういうのじゃない?」
杏「うわぁ…いかにもな感じ」
蓮「………」
モルガナ「おい、どうしたレン?」
杏「うん?なに?」
蓮「志帆すごく元気だったよ」
杏「そっかぁ志帆そんなに元気だったんだ?良かったぁ……………じゃなぁーーーーーーい!!!!」
蓮「??」
杏「何よそのキョトン顔は!?どういう事!?なんであんたが志帆のこと志帆って呼び捨てにしてんの!?意味わかんない!!」
モルガナ「落ち着けってアン殿!向こうに行って悪くなかったって事の理由がそれだよ。な!レン?」
杏「はぁ!?よりによって隣のクラス!?何で今までそんな大事な事黙ってたのよ!?」
蓮「流れってあるから」
杏「そんなのどうでもいいっての!!!」
竜司「つか鈴井もそっちだったのかよ…なんだこれ偶然か?何かこえぇな…」
祐介「鈴井さんというのは前に言ってた鴨志田絡みの子の事だな?」
モルガナ「ああそうだ。アン殿の親友だ」
春「なんだか…運命めいたものを感じちゃうよね」
杏「だめだめ!志帆はだめ!あんたに志帆はだめだってば!!!」
蓮「あきらめるのか?」
杏「は!?何を!?」
惣次郎「なんだ?どういう話の流れになってんだ?おい双葉?」
双葉「私に聞くな!私もよくわからん」
モルガナ「怪我の痕っぽいの見当たらなかったし、ほんと元気そうだったぞ?だから心配いらないぞアン殿!」
杏「モルガナは黙ってて!」
モルガナ「そっそんなぁー…」
蓮「あきらめるのか?」
モルガナ「だから何をだよ!?」
竜司「そうだな。元気そうだったんだろ?どんな感じの再会だったよ?」
蓮「帰ろうとしたら声かけられて色々話した」
双葉「うーん。なんて簡潔な説明」
真「あなたが流暢に話す事なんてあるのかしら?見てみたいわね」
モルガナ「結構シホと色々喋ってたよな?長台詞がいくつもあったぞ?」
真「へぇ、そうなのね?一体どんなお話をしてたのかしら?私もじーーーーーー……っくり話してみたいわ」
春「長台詞ってどれぐらいの長さだったのかなぁ?モナちゃん?」
モルガナ「えっ!?ええぇぇっと………それはそのぉ……すまん、レン。ワガハイ、去る……」
双葉「蓮にデバフが重なるーぅ!モナ退場で蓮のソロプレイ!おまけに包囲でピーンチ!!」
竜司「何かよくわかんねぇけどお前ら楽しそうだな」
蓮「くっ…………………ペルソナーァ!!!!」バッ!!
杏「はあ?!ふざけんな!ペルソナッ!!!!!!!!」ブチッ!!
真「許さないんだからね!!!ペルソナ!!!!!!!!」ブチッ!!
春「ペェェェェェェェェェェルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥソォォォォォォォォナーーーーーーーァァァァァァァ!!!!!!!」ブチッ!!
竜司「今、現実だぞ?ペルソナ出ねぇから…。あとうるせーぞ近所迷惑だ」
結衣「さがみん…なんでここに…」
相模「えっとぉ…結衣ちゃんに相談があって来たんだぁ」
結衣「私に相談って…どんなの?」
相模「うん。ほら、うちってさ?何か誤解されちゃってるみたいじゃない?だからぁ、結衣ちゃんに仲を取り持ってほしくって」
結衣「えぇっと…それってどういう意味なのかなぁ?」
相模「うち、雪ノ下さんとちゃあんとお話して、仲直りしたいの☆だから協力して?してくれるよね?」
相模「だーめ。うちの味方は結衣ちゃんしかいないから…ね?いいよね?」
結衣「いやいやでもほら、私ってバカだし!役に立てないと思うよ!」
相模「そんな事ないよぉ~!結衣ちゃんだったらうちの味方、してくれるよね?」
結衣「でもほら、どうかなぁ…?あはは……」
相模「……チッ」
結衣「え…舌打ち!?」
結衣「何かさがみんキャラ変わってない…?」
相模「変わってねえよ元通りだよ。うちの素はこっち。わかる?由比バカ浜さん」
結衣「ちょ……ちょっと何それ!何で私がそんな言われ方されなきゃ」
相模「うっせんだよ黙れよ」ギロッ
結衣「ひっ……」
結衣「………」
相模「ほんとは葉山くん横取りする時のために取っといた作戦だけど…まいっか。あの2人があんなにうちを敵視して何かしようってんなら先にやっちゃうしかないよね」
結衣「まさか…さっきの話聞いてたの!?」
相模「ククククッ……」ニタァ
結衣「ひっ!?」ゾワッ
結衣「なんで…?」
相模「だってぇ、なぁんの証拠もないのにうちを犯人にしようとしてるんだよ?これって酷いよね?」
結衣「でもそれは…だってさがみん……相模さんがいけない事するから…」
相模「あぁ?だからさ、その証拠なんかねえだろっつってんのよ!」ドカッ
ガターン!
相模「これ雪ノ下さんの椅子だっけ?ごめんね蹴飛ばしちゃったぁ~。まあいいや。あははっ、こんなの外にぽーい!」ブンッ
結衣「………」
ヒュー…
…ガコッ…
結衣「私は…」
相模「じゃいいの?あいつらより先にあんたの噂作って流されても。いいっての?」
結衣「そっ…それは!嫌、かも…」
相模「でしょ?じゃどうすればいいかわかるよね?」
結衣「けど…だけど…私は…」
結衣「………」
相模「あんたはうちの言う通りに動くだけで誰からも変な目で見られたりする事はないわけ。保証してあげる。うち優しいから☆」
結衣「………」
相模「だから。ね?話に乗っときなって」
結衣「………」
相模「あいつらだってさ、あんたが思ってるほどの人間じゃないと思うよ?仲良しと思ってるのはあんただけ。あいつらにとってあんたは沢山いる知り合いの中の1人」
結衣「………」
相模「でも大丈夫だよ?結衣ちゃん。私だけはあなたの味方だから。守ってあげる。約束するよ」
相模「そう、味方。私が味方だからあいつらは敵なの。それぐらいわかるよね?あんたのバカな頭でも」
結衣「敵……味方…」
相模「そろそろ答えてくんない?もちろんうちに協力してくれるよね?」
結衣「………」
八幡『敵が前なら味方は後ろだ』
相模「何?そんなに真っ直ぐ見つめられると照れちゃう~……ククククッ!!」
八幡『お前は雪ノ下の好きなものも熟知して』
結衣「………」
結衣(ヒッキーの事だからこうなることわかってたんだ)
結衣(だから多分ゆきのんも…)
結衣(ちゃんと考えてみたらおかしいもんね)
結衣(いくらなんでも2人がいきなりあんな風に相模さんの事言ったりするなんて)
結衣(周りを見て………前じゃなくて後ろで……)
相模「ん?どしたのいきなり立って。どうするか決めたわけ?」
結衣「うん……」
結衣(………)
八幡『今の自分の状況から自分のすべきことを導き出せ』
雪乃『あなたなら大丈夫だと思うわ』
相模「そうこなくっちゃ☆」
結衣「でも…噂とかってどうやって作ったらいいかわかんないし…」
相模「いい?面白い噂っていうのはね、事実が1つ混ざってればそれでいいわけ」
結衣「事実?」
相模「そ。例えばだけど、結衣ちゃんは知らないおじさんとほぼ毎日、放課後遊び回ってるらしいよ。って噂作るじゃない?」
相模「その中の事実ってどこに当たると思う?もちろん第三者から見ての話」
結衣「第三者……えっと…わかんない…」
結衣「えっ」
相模「言ったでしょ?第三者から見ての話って。あんたビッチっぽいからさ、他人からしたらそこに噂へ繋がるリアリティがあるわけ」
相模「あんた三浦さんとかとしょっちゅう遊びに行ってるじゃない?おまけに葉山くんと仲良く見えるし戸部とかともね」
相模「男子と仲良く出来るタイプで放課後遊び回る事が多い……そういう女なら知らないおっさんと放課後フラフラしてるかも?と想像を誘導するのは簡単。だからこの噂は本当の事。ほらどう?否定出来る?」
結衣「あたしそんなことしない!」
結衣「…そうやって今までの噂作ったの?それだけ教えて」
相模「そうだよ?ぜーんぶうちの演出。1つの事実をいかに脚色して長持ち出来る話題にするか。どう?すごくない?クククッ!!」
結衣「じゃあ…れんれんとかの噂って…」
相模「当然みーんなうちが演出したもの。ほら、うちってそういう嗅覚に恵まれてるから。ま、あいつについての話が手に入ったのは本当にただの偶然だったけどね」
結衣「偶然?本当に?」
結衣「そんなの………」
相模「あぁ?何よその目。いいの?うち敵に回したらあんた終わるよ?」
結衣「………」
相模「そうそう。これからは大人しくうちの犬になればいいの。わかった?」
結衣「うん…」
相模「私が聞いたのは前歴持ちらしいって事だけ。らしいってだけで十分だし。つか前歴持ちなんて噂そうそうないからさぁ!いやぁ~楽しかったなぁ…噂考えるの!」
結衣「らしいって…らしいってだけであんな噂流したの!?」
相模「うっさいな。さっきも言ったっしょ?第三者から見たリアリティがあればそれで十分なわけ。それにあの時はうちだけじゃなくってうちの友達2人も一緒だったしね」
相模「ま、あいつの事はもうどうでもいいじゃん。それよりうちに協力してもらうから。いいね?」
結衣「…うん…何するの…?」
相模「うーんそうだなぁ………いっそ…うん………ちょっと待ってて」
結衣「………」
結衣「………」
相模「じゃ説明するね。まず結衣ちゃん、三浦さんと雪ノ下さんを校舎裏でもどこでもいいから人目に付きそうでつかないとこに呼んでもらうから」
相模「そこで2人に言い争いさせるの。あの2人が仲悪いの知ってるからさ。で、そこにヒキタニ呼んで。遅れて来る感じで」
相模「あいつなら多分2人の仲裁しようとするでしょ?で、そこで結衣ちゃんはあえて止めに入らない」
相模「その場面を第三者に見せる。その第三者はまあ私の友達2人でいっか。そこで結衣ちゃんはヒキタニを押すか突き飛ばすかして雪ノ下さんにぶつかるように仕向けて」
相模「まあ雪ノ下さんじゃなくて三浦さんでもいいけどね。で、結衣ちゃんはぶつかってない方の近くにいく」
相模「それぐらいでいいわ。あんたに全部任せるのは不安だしね。バカだから。とにかくヒキタニが2人のどっちかを押し倒す構図が出来たらそれであんたの仕事はおしまい。撤収。わかった?」
結衣「わかった…でもそれって…」
相模「あ?」
相模「ヒキタニが雪ノ下さんを押し倒したのは何と三浦さんによる命令だったのでーす!!」
結衣「…え…?」
相模「ヒキタニは雪ノ下さんが好きだった。でもヒキタニはきもいから雪ノ下さんに嫌われてる。そこに雪ノ下さんの事が嫌いな三浦さんがバックアップ」
相模「三浦さんに良いように誘導され勝手にその気になったバカタニはその場で雪ノ下さんを襲おうとした…というか襲った」
相模「その場を見た結衣ちゃんは絶句。まさかの光景!私どうしたらいいの!?助けなきゃ!でも三浦さんが怖いぃ!!」
相模「雪ノ下さんはヒキタニなんかに襲われたって噂に耐えきれるかな?さすがに耐えられないだろうね!うちがどんどん脚色していくし!」
相模「ククッ………邪魔者全て排除出来る…完璧なプランニング!!!!どう!?うちってば天才でしょお!?あーーーーーーーっははははははははは!!!!!!!」
結衣「………」
相模「ま、今のは雪ノ下さんバージョン。ぶつかったのが三浦さんだったバージョンも説明しとこうかぁ」
相模「と言ってもさっきのとあんまり流れ変わらないけどね。ヒキタニは雪ノ下さんの事が好きだっていうリアリティは外せないし」
相模「ヒキタニは雪ノ下さんの事が好きだった。雪ノ下さんは三浦さんの事が大嫌い。だからヒキタニに命令したの、三浦さんを襲えってね。三浦さんの事が大嫌いだから襲ってくれたら少しは見直してあげる、と言った…とか?」
相模「でもこれだと三浦さんは可哀想な被害者…ってだけでつまんないし、何より葉山くんから引き離すって事が出来ない」
相模「だからその時は……結衣ちゃんにちょっと怪我してもらう。あ、心配しないで?ほんとちょっとだけだから。ちょっとカッターで切られるだけ☆」
相模「三浦さんは普段からカッターを持ち歩くようなヤバいやつ……って感じの脚色足していけばまあそのうち面白い事になるかな」
相模「本当はもっと三浦さんに対して攻撃力の高い噂にしたい所なんだけど…まあ今消すべき相手はヒキタニと雪ノ下さんだからね。三浦さんはそのうち潰しちゃお☆」
相模「以上だよ。覚えた?」
結衣「うん…」
相模「そういうわけだから結衣ちゃん、明日よろしくね☆」
結衣「うん…わかった…」
相模「朝登校した時点で雪ノ下さんと三浦さんを引き合わせるように細工始めといて。場所はどうしようかな…自販機コーナーでいっか。とりあえず明日中にこのプラン完遂出来ればいいからさ、放課後までには約束取り付けて引き合わせるようにしといて」
結衣「うん…」
相模「じゃ、明日ね。ああそうそう、ここまで来たらもう裏切るなんて出来っこないとは思うけど…念のために釘刺しとくね」
結衣「えっ」
結衣「………」
相模「じゃ、そういう事でまた明日。ばいばーい」
結衣「………」
ガラララッ………バタン
ヨロヨロ……ヘタッ
結衣「はぁっ!…はっ……はぁっ……はっ…っ……こわ…かった………」
雪乃「お疲れ様、由比ヶ浜さん。本当によくやってくれたわ」
八幡「ああ、よくやった。上出来どころか最高の仕事したぞ、由比ヶ浜。お疲れ」
結衣「怖かった…怖かったよぉ……」グスッグスッ
八幡「…つかあいつ、ほんとどうしようもねえな」
雪乃「そうね。度し難い事だわ」
結衣「うぇ…うっ…」グスッ
結衣「アホは…余計だし…」グスッ
雪乃「紅茶、飲んだら?」
結衣「うん……」グスッ
八幡「お前が落ち着いたら作戦会議だ」
八幡「ああ、大丈夫だ。ありゃ相当浮かれてたな。悪知恵働くやつってのは往々にして策に溺れるもんだ」
結衣「てかヒッキー学校に残ってたってこと?」
八幡「まあな。学校じゃねえけど相模の帰り道を尾行するためにな。雪ノ下じゃ目立つ。その点、俺なら目立たない。慎重な上に用意周到。さすが俺。ちゃんと相模の取り巻きがいないかも確認の上での事だ」
雪乃「さすがね。本人はともかく取り巻きの人間までには頭が回らなかったわ」
結衣「でもヒッキー最近有名人だから…目立ったりしないの?」
雪乃「それは違うわ由比ヶ浜さん。比企谷くんはあくまでいなくていいものなの。主役は雨宮くん。いい?ハンバーグを頼んだら不必要なくすんだ色のブロッコリーが添えてあった、程度の存在なのよ」
結衣「そっかぁそうなんだぁ~」
雪乃「全く遺憾なのだけれど」
八幡「遺憾の意は示すだけでいいもんだから便利だよな。お前だって三浦まで巻き込もうって相模の腹にはさすがに引いてんだろ?」
雪乃「全く遺憾なのだけれどね」
八幡「何にせよ、あいつの頭と腹ん中はわかった。謀略をそのまま突き返すぞ」
結衣「でもどうやるの?」
雪乃「それなのだけれど私に考えがあるわ。まず………」
蓮「ただいま。静さん」
平塚「おかえり雨宮。遅かったな。冴と一緒だったそうだね?」
蓮「はい」
平塚「どうだった?地元の友人と久しぶりに会ったんだろう?」
蓮「えらい目にあいました」
蓮「気のせいですよ」
平塚「そうかね?ところで食事は済んだのか?まだなら一緒に鍋でもどうだね?」
蓮「いただきます」
平塚「そうか。では先に風呂にでも入ってきたまえ」
蓮「はい」
蓮「………」
モルガナ「あいつら元気そうで良かったよな?」
蓮「………」
モルガナ「アン殿…相変わらずいい感じだったよなぁ~?」
蓮「………」
蓮「よくも俺を見捨てたな」
モルガナ「………にゃあーん。にゃっ、にゃあーん…」
蓮「それでごまかせる相手だと思うのか?」
モルガナ「ほんと、すまんかった…でもありゃ無理だぜ!?」
蓮「………というわけでこれからちょくちょく向こうに戻ります」
平塚「そうか、なるほどな。あまり深く突っ込まんが、十分に気をつけるんだよ?いいね?」
蓮「はい」
平塚「とにかくそういう事であれば先に言ってくれればいくらでも私が対処しよう」
蓮「ありがとうございます」
平塚「ちなみに明日はどうなんだ?行くのか?」
蓮「次また向こうに行くのは明後日になると思います」
平塚「そうか、わかったよ」
ー朝 自販機コーナーー
相模「そうなんだ?放課後にここになったんだね」
結衣「うん…」
相模「そっかそっか。やっと……クククッ…」ニタァ
結衣「………」
相模「やだなぁ結衣ちゃん。そんなに怯えなくてもいいんだって。ちゃーんと結衣ちゃんは狙いから外してあるから☆」
結衣「ほんとに…?ぜったい…?」
結衣「そっ!そんな事ない…」
相模「ククククッ……だよねぇ?わかってるもんねぇ?いくらバカでも敵に回しちゃいけない相手ぐらいわかるもんねぇ?」
結衣「………」
相模「じゃ、後でね………ククッ…」
蓮「おはよう八幡」
八幡「おう蓮。おはよう」
蓮「じゃまたあとでな」
八幡「ん?どっか行くのか?」
蓮「お隣さん」
八幡「お隣さん?」
蓮「ああ。昨日たまたま前の学校で一緒だった子と再会したんだ」
蓮「そうそう」
八幡「そうか…じゃあ後でな…」
蓮「うん」
八幡「あ、そうそう蓮。あとで奉仕部に来てくれ。昼にでも」
蓮「ああ、わかった。その時は一声かけてくれ」
八幡「いや、すまんが昼になったら先に行っててくれ。ちょっと色々あるからよ」
蓮「そうか、わかった。じゃあとで」
八幡「ああ」
ざわざわ・・・あれ?雨宮さんじゃね?ざわわ・・・ほんとだ。ちょっと相談してみようかな…
志帆「…ん?あっ!」
蓮「おはよう志帆」
志帆「うん!おはよう蓮」
蓮「今いいかな?」
志帆「うん平気」タタッ
ざわざわざわっ・・・いつの間に…ざわわわ・・・マジかよ雨宮さんパネェ…
志帆「ふぅ。ここの屋上って割と景色いいよね」
蓮「そうだな」
志帆「昨日ね、杏からチャット来たよ。びっくりしてたね!あははっ」
蓮「そうだな。志帆と再会したと言ったら竜司も驚いてた」
志帆「そうなんだ?坂本くんもかぁ。そういえば良く一緒にいたもんね?」
志帆「だよね?うん…」
蓮「友達いないのか?」
志帆「えっ!?どうしたのいきなり…」
蓮「さっきそっち行った時に少し見てたら寂しそうに1人で座ってたから」
志帆「寂しそうだった?そうかなぁ…」
蓮「ああ。寂しそうにしてた」
蓮「大丈夫か?何があった?」
志帆「うん…あのね、蓮もそうかもしれないけど…。あの秀尽から転入したって知られるとね、すごい反応されちゃうんだ…」
蓮「まあな」
志帆「よくあるのが好奇心。それだけで色々聞かれて…最初はすごくつらかった」
蓮「………」
志帆「怪盗団はなんで秀尽を狙ったの?とか…怪盗団紹介して、とか…怪盗団に誰か改心させてって頼んだ?とか…」
志帆「もう本当に嫌になって。一言二言しか返さないようにしてたの。そしたら1人ぼっちになっちゃった…」
蓮「………」
蓮「なに?」
志帆「なんで怪盗団って秀尽を狙ったのかな?」
蓮「………」
志帆「私ね、思うんだ。怪盗団は私たちの味方なんじゃないかって。間近で、身近で、私たちの痛みとかつらさとか苦しみとかを見てたんじゃないかって」
志帆「そしたらね、思ったんだ。怪盗団は私の事をきっかけに表に出る決意をしてくれたんじゃないかって」
蓮「………」
志帆「もちろんこれは自惚れとか、勘違いだって事もあると思うよ。でも…何ていうか…」
蓮「………」
蓮「………」
志帆「ううん、そんなわけないか…」
蓮「志帆は怪盗団が嫌いか?」
志帆「ううん。大好きだよ」ニコッ
蓮「…どうして?」
志帆「あの鴨志田先生だってきっと変わらないままだったと思う…。怪盗団のおかげで、間違いなく私も他の子も…これからの子も救われた」
志帆「だから私、感謝してるんだ。怪盗団に」
蓮「………」
志帆「ちょっと前にさ、オクムラフーズの会見の……があったじゃない?」
蓮「あったな…」
志帆「あの時はびっくりしたよ。怪盗団ってそういう事するの?って。信じられなかった」
蓮「………」
蓮「志帆は怪盗団を信じるのか?」
志帆「うん、もちろん!怪盗団は私にとって正義のヒロインなんだから!」ニコッ
蓮「そうか…志帆のその言葉できっと怪盗団は救われるよ」
志帆「そうかな?そうだといいな…」
志帆「あ、うんそうだね。戻らなきゃね」
蓮「またあとで話そう。志帆」
志帆「うん!またあとでね蓮!」タタッ
蓮「………」
蓮「ああ」
モルガナ「シホっていいやつだな。さすがアン殿の親友だぜ」
蓮「そうだな」
モルガナ「ああして信じてくれてるやつもいる。ワガハイたちはもう二度と間違えないように気をつけないとな」
蓮「ああ」
蓮「まあな。今度行った時に話してやろう」
モルガナ「そうだな。それがいいぜ。そういやお前、ハチマンに呼ばれてなかったか?」
蓮「それは昼の話だな」
ピロリン
モルガナ「お?携帯呼んでるぞ?」
蓮「………」
相模「ククククッ…」ニタァ
取り巻きA「ど、どしたの南?」
取り巻きB「なんかあった…?」
相模「ううーん何でも!それよりほら…あれあれ」
取り巻きA「あれって…雪ノ下さんと三浦さん?」
取り巻きB「珍しい組み合わせだよね。仲悪かったんじゃなかったっけ?」
相模「どうなんだろうね?ちょっと気になるよね~。近付いてみる?」
取り巻きA「え…やめとこうよバレたら何言われるかわかんないし…」
取り巻きB「うん…やめとこ。この辺でいいんじゃない…?」
相模「あ、やっぱり?そうだよねそうだよねぇ~!」
優美子「………」
結衣「………」
相模「……ククッ…」
取り巻きA「なんかずーっと睨み合ってるね?」
取り巻きB「何も話してないよね」
相模「まあまあ…もうちょっと様子見てみようよ」
雪乃「ちょき」
優美子「パー」
結衣「はい!優美子の負け~!あたしスプライト!ゆきのんは?」
雪乃「チョコモナカジャンボ」
優美子「は!?んなもんねーし!」
雪乃「あら?あなた知らないの?コンビニにあるわよ」
優美子「ざっけんなし!外までパシれってーのあんたは!?」
結衣「ちょちょちょちょーっと!ゆきのんこの自販機から選ばなきゃ!ね?」
優美子「は!?」
結衣「え!?」
雪乃「あら?じゃんけんに負けた方が奢る事に同意はしたけれど何本奢るかは決めていなかったと思うのだけれど?よって私は全部頂くわ」
優美子「ふざけんなし!」
結衣「あはは……」
取り巻きB「さすが雪ノ下さんだよね」
相模「………」
優美子「一本だけ!一本だけに決まってんでしょそんなの!」
結衣「そうだよ~ゆきのん!さすがに全部はひどいってばぁ!」
雪乃「わかったわ。仕方ないわね…後光の紅茶を頂くわ」
優美子「最初からそう言えし!………ほら!」
結衣「ありがとね優美子~」
取り巻きA「普通だね」
取り巻きB「普通よね」
相模「ふざけないでよ………さてはあのバカ…裏切っ」
八幡「よう、相模」
八幡「なあ、取り巻きAB。お前らよ、相模をどう思ってる?こいつさ、噂流しの真犯人じゃん?いつか自分もターゲットにされるんじゃないかって不安にならない?」
相模「は!?」
取り巻きA「え…」
取り巻きB「いきなり何…?」
相模「いきなりキモタニ何言ってんの!?やめてくんない!?自分が変な噂流されてるからってさ!」
八幡「どうだ?お前らさえよけりゃ俺にっていうか俺らに任せてみねぇ?」
取り巻きA「…なにを?」
相模「ちょっ…!」
取り巻き共「………」
相模「ちょっとあんたいきなり何ほざいてんのよ!?うちら何の関係もないじゃん!」
八幡「お前らもさ、噂の出処がどこなのか目の前で見てたんだろ?それによ、その出処から話広めるのに加担してる以上、本当はお前らも犯人扱いされるべきなんだよな」
取り巻き共「………」
相模「黙んなさいよ!」
取り巻きA「どう…いうの?」
相模「聞く必要ないよこんなキモタニの言う事なんか!そんな事よりあんた何様!?きもいからさっさと消えてくんない!?」
八幡「わかりやすいとこだとあの文化祭の時さ、相模が逃げただろ?で、俺が悪者になってやっただろ?あの時の状況覚えてるか?」
取り巻きB「…うん…」
八幡「あそこで俺がいなかったらどうなってたと思う?簡単だよ。雪ノ下のそれまでの頑張りが無駄になってた。雪ノ下は名ばかりリーダーのせいで一度倒れてんだぞ?それ覚えてるか?忘れたなんか言わせねえぞ」
取り巻き共「………」
八幡「なあ、何のために俺があの時あの場にいたかわかるか?繰り返すが雪ノ下の頑張りを無駄にさせないためだよ。本当はこんな事言いたくもなかったんだがな。じっくり考えればわかる事だろ?」
八幡「話を戻そうか。あの文化祭のせいでお前ら半ばハブられてんだろ?知ってんだよ。かなり調査したからな。そりゃハブられもするよな。名ばかりリーダーに対して悪い印象しか持ってないやつがそれなりにいるんだから」
八幡「最低なやつに一方的に責められた可哀想な相模?ふざけんな。あの時一番可哀想って言葉が似合うのは俺だ馬鹿野郎が」
八幡「あのあとお前らは相模のせいで巻き添え食ってハブにされた。こうなる前の状態に元に戻りたくないか?まあ完璧な状態で元に戻るのは不可能だが、そこそこの状態に戻す事は可能だ」
八幡「言っとくがお前らには2つしか選択肢がない。こちら側に付くか、このまま相模と落ちるかだ。どっちがいい?今決めろ」
相模「ふざけんじゃないわよ!」
優美子「つかさぁ、ふざけてんのあんたらっしょ?」
雪乃「そうね。ゴミだわ」
相模「なっ!?なんであんたら…………由比ヶ浜…あんたやっぱ裏切ったのね?!バカのくせしやがって!!!!」
結衣「うっさい!先に酷い事したのはそっち!!あたしはヒッキーとゆきのんを信じてるもん!!!」
取り巻き共「………」
相模「バカのくせに…!!!」ギリッ
八幡「うわあ」
雪乃「犯人の常套句ね。世間ではそのセリフを自白の冒頭と言うと思うのだけれど」
優美子「つかさあ、何なん?あんたらマジ許さねーし」
取り巻き共「………」
取り巻き共「でも…」
八幡「お前ら、最終通告だ。今後卒業するまで普通の学生でいられるか、それとも今日この場を以て相模と落ちるか。どうする?」
相模「うっせえ黙れホモ野郎!!!ほらいこ?ね?こんなやつらに付き合ってる暇ないもんね?いこいこ!」
優美子「つかさぁ!!!逃がすわけねーし。戸部!!」
戸部「じゃじゃ~~~~ん!!ぬるっと来たぜぇ!よんろしくーぅ!!」
戸部「わりーなぁ。ここ通すわけにゃいかねーんだわぁ。つか相模さんマジえげつねーでしょぉ」
雪乃「もう足掻くのはやめたらどうかしら?こちらもそちらも、通り抜けようがないと思うのだけれど」
優美子「そーそー。つか今こっから逃げたとこで結果はかわんねーし」
相模「くっそ………」
取り巻きA「南ぃ………」
取り巻きB「どうするの?どうすんの!?」
相模「はぁ?意味わかんねんだけど」
八幡「なぜならよ、こっちはお前が他人の悪い噂を流しまくるやつだって証拠を持ってるからな」
相模「はっ!?んなもんどこにあんの?妄想も大概にしとけよホモぼっちが!!!ほら!2人ともいくよ!!!」
葉山「すまないが、通すわけにはいかないんだ」
相模「はっ………葉山くんまで……なんで…?!」
取り巻きA「ちょっ…ちょっと待って!わかった!私もう降りるから!」
相模「はあ!?ふざけんな!!!」
取り巻きB「わ、私も!私ももう降りるから!!!ごめんなさい!!」
相模「今さら逃がすわけねえだろうがぁ!!!このまま逃げたらお前ら2人がやった事も全部バラしてやっから!!!!」
取り巻きA「はぁ!?ふざけないでよ!!あんたがやれって言ったんでしょ!!」
取り巻きB「そうだよ!南が噂もっと盛り上げちゃおうとか言ったんじゃん!!私悪くない!!」
相模「ノリノリで噂バラまいた張本人どもが今さらいい格好出来るなんか思ってんじゃねえよ!!!!大体、うちとあんたらとは違うんだよ!噂を考えただけのうちとバラまいたあんたらじゃさぁ!!!」
取り巻きA「ちがう!!ちがうの!ちょっと待って違うのそうじゃないのこれは違うの!!葉山くん助けて!!」
取り巻きB「そうだよ葉山くん助けてよ!!」
優美子「こんなやつらに踊らされてたなんて……マジありえねーし」
雪乃「そうね、無様だったわね貴女も私も。雨宮くんの悪い噂にあてられて彼に対して冷たい態度を取ったりしたなんてね」
優美子「全くだよ…ほんっとムカつく!!!!」
雪乃「私もよ。こんな愚かしい人間に踊らされていたなんて、不愉快下劣極まりないわ」
取り巻きB「全部南だから!南が全部やった事だから!私たち無関係だから!!」
相模「あんたらあああぁーーーー!!!!!」
葉山「いやいや醜いね醜悪だね」
戸部「マージえげつねーっしょ」
八幡「おいお前ら。今この場で一番優しいのは誰だと思う?唯一助け舟を出せるのは誰だと思う?そう、俺だ」
取り巻き共「………」
八幡「ほら、お前らのリーダーというか主犯格の相模はもうボロボロだ。こんな状態のやつがまともな方法でこの窮地から脱出させてくれると思うか?どうだ?」
取り巻き共「………」
相模「っ!?大丈夫だから!!!2人ともうちを信じてれば大丈夫だから!ねっ!?」
取り巻きA「ケッ」
取り巻きB「ペッ」
相模「………てめぇらァァァ………!!!!」ギリッ
八幡「というわけで改めて聞いてやる。これが本当に最後だ。お前ら、どっちに付く?」
取り巻き共「ヒキタニくん!!」
相模「うああああああぁぁぁぁぁぁああーーーーあぁぁぁぁーーー!!!!!!!!!」
取り巻き共「うん!何でもする!」
八幡「そうか。じゃあ雪ノ下?あとは任せた」
雪乃「ええ。ほら2人とも。これから奉仕部に来てもらうわよ。しっかり尋問させてもらうから」
優美子「あーしも行くし」
八幡「戸部、付いてってやってくれ。万が一にも暴れないとも限らないからな」
戸部「おっけーっしょ!」
優美子「あ?」
相模「………ククククッ…」ニタァ
葉山「うわっ…」ゾワッ
結衣「ヒッキー…」ゾクッ
八幡「ああ。やっと出やがったな………」ゾワッ
雪乃「……これほど悪辣という言葉の似合う表情ってなかなかお目にかかれないものよね」
優美子「歪んでるわ、あんた…」
戸部「やっべ……こっわ…」
八幡「ここまで追い込まないと本性出ないとか…ほんとお前って面の皮が厚いよな。”裏相模”よお?」
相模「クカカカカカッ……」
八幡「とりあえず降参って事でいいのか?相模」
相模「だってね?うちがたまたま見た事をその2人に話したらね?色んな人にバラしちゃったんだよ…まさかうちがぽろっと言っちゃった事があーんなに拡散するなんて思ってなかったの」
相模「だからね、うちだって被害者なんだよ?わかってくれるよね?」
優美子「あんたさぁ、マジいい加減に」
八幡「おい。お前らはとっとと奉仕部行け。お前らが残るプランまでは用意してない。早く行って済ませちまえ」
雪乃「あとはお願いね、比企谷くん」
八幡「由比ヶ浜、お前も行け」
結衣「う、うん………」
八幡「すげぇなお前…この状況でよくそんなすっとぼけられんなぁ…」
葉山「ドン引きだよな」
相模「まあいいや。もう何かだるいし。とりあえずヒキタニくん。あんただけは許さないから」
八幡「ほぉ?許さないならどうする気だよ?」
相模「今ここで大声だしたら、あんたもう生きていけないね」
八幡「そうだな。ここに俺1人だったならその手段でお前はこの場を切り抜けられただろうな。つっても結果は変わらんが」
相模「なに?やらないとでも思ってるわけ?」
葉山「そういう事だね」
相模「チッ…」
八幡「にしてもこの状況、あん時とそっくりだよな?まあ立場はかなり違うが。せめてあの文化祭の屋上で改心してりゃこんな事にならなかっただろうによ」
葉山「………」
相模「………」
葉山「そういうセリフは勇者側のセリフではないような気がするが?」
八幡「いいじゃねえかよ。たまにはこういうの言いたいもんだ。それが青春だ」
葉山「ははっ。そうか」
相模「すっかり仲良しなんだね2人って」
八幡・葉山「はあ?どこが?」
葉山「全くその通り。俺も嫌いだ」
相模「で?そんな2人がうちに何をしようってわけ?確かに今この場で逃げた所で本当の意味での退路にはならないけど」
八幡「なんだ、さっきと違って冷静じゃねえか。いいねいいね」
葉山「相模さん。悪い事は言わない。もう諦めて全てを認めてくれ。君が作り、拡散させた噂を消去してくれ」
相模「………」
葉山「そうだね。さすがにあんな醜態を晒した人間に対して減刑してやってくれ、なんて言う気はないね」
相模「ふうん。ありがとう葉山くん。じゃあうちからのお願い。諦めるからもう一回その減刑を彼にお願いしてくれないかな?」
葉山「はははっ。減刑はもう無理だよ。最初から俺は君を許す気はないしね」
相模「どうして?」
葉山「君は雪ノ下さんと優美子を狙っただろう?それに結衣の事もだ。………よくも俺のグループに手を出してくれたな…」
相模「そんなに大事?あんな騒いでるだけのグループが?」
相模「…へぇ…いつも澄ました顔してるくせにそういうセリフ吐けるんだ?意外だなぁ。でもさぁ、そいつと一緒なのは何で?うちに直接言えばいいじゃん」
葉山「お前が流した修学旅行の噂…あれは比企谷と雨宮さんが俺のためにやってくれた好意なんだ。それをお前は笑い草にした。許せるわけがない」
葉山「俺じゃどうしようもなかった。どうにも出来なかった。それを上手く解決に導いてくれた2人への借りはここに立つだけじゃ返しきれないんだよ」
葉山「…こんな事ならあの屋上でお前なんかフォローしてやらなきゃよかったよ」
相模「ひどい事言うなぁ。傷付いちゃうよ…え~~~ん」
相模「クククッ………ククククッ………」
葉山「早くしてくれないか?」
八幡「………」
相模「ククククッ………クカカカカカカッ!!!!アーーーーーッハッハッハッハッハァ!!!!」
葉山「………」
八幡「………」
八幡「………」
相模「あんたらみたいなバカとは違って、うちは用意周到なわけ。切り札ってのはここぞという時に使ってこそのもの!!」
相模「ヒキタニィ……あんたさっき言ったよね?雪ノ下さんたちがここに残るプランは用意してないって。それ、どうせブラフでしょ?戸部ぐらいはまだ近くに隠してそうだもんね?ま、いいけど」
八幡「………」
葉山「………」
相模「だからうちにもわかるんだよ。あんたが策を弄する時は、手札を何枚も用意してからだって事がね!」
相模「どうせ昨日うちが由比ヶ浜のバカを引き込もうとした時の話、知ってんでしょ?」
相模「知ってるなんてもんじゃない。あんたの事だから筒抜けのはず」
相模「確かにあのバカはうちを裏切った。でもあのバカの事だからあの会話の全ては覚えてないはずだし伝えてきれてないはず」
相模「そんな不完全なものでうちに挑んだのは褒めてあげるよ?でも相手が悪かったねヒキタニ」
相模「さっきのあんたのセリフ、そのまんま返してやるわ」
相模「諦めなよ」
相模「はいはい今見せてやるよ………これ、なーんだ?」
相模「この紋所が目に入らぬか?ってね」スッ
八幡「動画…?」
葉山「…何の動画だ?」
葉山「…これは…」
八幡「テメェ………」
相模「あれあれ?顔色悪いよヒキタニくーん?」
葉山「…比企谷、これは……まさか…」
八幡「クソがぁ……」
葉山「…相模さん君は………本当に狂ってるんだな…」
相模「やだぁ葉山くんってばひどいなぁ~」
相模「ククククッ………思い出しちゃった?思い出しちゃったのかな?あの日のこと」
八幡「とっとと消しやがれ!!!!」
相模「やーだよ。結構よく撮れてるっしょ?どう?ほら、由比ヶ浜さんもセットだよ。どーお?ねえ、どぉどぉ?…クククッ…」
葉山「もうダメだな……もう無理だ…」
相模「葉山くんギブアップ?ギブしちゃうの?クカカカカッ!!!!そりゃそうだよねぇこんな動画見ちゃったら!」
相模「バッチリ映ってるよね?」
相模「ヒキタニを轢いた車から降りる雪ノ下さんが」
相模「そうだよ。ほんとたまたまだったけどね。ほら、うちって幸運の持ち主だから」
葉山「なんてことだ…」
相模「ヒキタニのミスは雪ノ下さんを残しておかなかった事、かな」
相模「まあさっき言ったブラフで隠してるのが戸部でなく雪ノ下さんって可能性ももちろんあるけど。でも目の前にいないなら…ねぇ?」
相模「雪ノ下さんがこの場にいれば…これを出した時にどうするかをパパっと話し合って決められたかもね?ね~っ?クククッ…」
相模「はいはいそういうのいいから。で?どうする?うちは当然、これを大公開しちゃうつもりなわけだけど」
相模「そうなると雪ノ下さんどうなっちゃうんだろう?」
相模「雪ノ下さんはヒキタニを轢いた事に負い目を感じていた。それにつけこんだヒキタニに肉体関係を強要されてる……とかって面白くない?ねぇ面白いよね!?キャーーーーーハハハハハ!!!!!」
葉山「事故の事は当事者同士で決着がついてる。そんな噂をでっち上げようと」
相模「無駄と思う?果たしてそうかな?雪ノ下さんのキャラなら…」
八幡「…拡散力は相当だ…」
相模「そのとーり!なぜなら雪ノ下さんはその性格ゆえに敵が多い。女子はね、敵とみなした女を落とす方法があるなら笑いながらやっちゃえるんだよ!!!クカカカッ!!」
相模「これ流しちゃうとさ、雪ノ下さんのお家もヤバい事になっちゃうかもね?確か議員か何かだったよね?」
相模「高校生それも入学初日の生徒を轢いた車。我が家のお嬢様を登校させるためだけに車を走らせるクソVIP。世間にどう見られるかな?」
相模「ほら、どうする?」
八幡「………」
葉山「………」
相模「黙っちゃった……クククッ……黙っちゃったよアッハハハハハハハハハハハハハハアーーーーーーーーーハハハハハハハハハハッ!!!!!!」
相模「じゃ、そろそろさっきあんたが言ったセリフそのまま返してあげようかな?」
相模「最終通告よ。今うちの前に跪くなら許してやってもいいわ。もちろんあの取り巻き2人は許さないけど」
葉山「………」
相模「あんたの事だからどうせ何か用意してんでしょ?うちを完全包囲するような切り札。それ出しなよ。で、お互いチャラって事でどう?」
相模「あんたが用意するようなもんだからね。多分うちにとってかなり不利なもののはず。あんたの事だから生易しい切り札じゃない」
相模「どう?うちのこの切り札とあんたの切り札で相殺にしない?お互い強力な切り札を持ち続ける限り、お互いに動かないし動けない。かなり良い条件だと思うけど?」
葉山「…比企谷…どうするんだ…?」
八幡「わかった…………俺の負けだ…………」
相模「えへぇ………んへぁ…………んひひっ……………キャーハッハッ」
八幡「なんて言うと思ったか?」
相模「ハッ……??」
相模「へっ?」
八幡「うぅっん。おっほん。けぷこんけぷこん。……あーあー、もしもし?我が同志に告ぐ」
八幡「狂乱の時は今ぞ!!!!!
八幡「はちまんキャノンでぶちのめせ!!!!!」
八幡「やっちまえぇぇ!!!!!材木座ァァァァーーーーーッッ!!!!!!!!!!!」
材木座『んんんんんおぉおおおおぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーーう!!!!!!!!!』ピーガー
相模「!?これって……」
八幡「葉山!!!」
相模「は?……あっ!?」
葉山「ふう。悪いね。少しずつ距離詰めてたんだ。おかげで案外あっさり取れた」
相模「返せ!!!うちの携帯返せぇぇぇぇ!!!!!」
戸部「悪いけどそうはいかねぇっしょお!!」ガシッ
相模「戸部!?やっぱり!!!!」
校内放送『そうだよ?ぜーんぶうちの演出。いかに脚色して長持ち出来る話題にするか。どう?すごくない?クククッ!!』
相模「止めろ!今すぐ止めろ!!!」
八幡「まあそう焦んなって相模。まだ終わってねえから最後まで聞けよ」
相模「ヒキタニお前ええええええええぇぇぇぇ!!!!!!」
戸部「うおっ!?力つえぇ!?」
優美子「負けんじゃねーし!!男見せろし!!!」
相模「みっ…三浦まで!?」
取り巻き共「………」
相模「あんたらまで!?ちょうどいいわそいつからさっさと携帯取り返せ!!さっさとやれぇぇぇぇ!!!!」
取り巻きA「…無理だって」
取り巻きB「さすがにもう無理だよ南……」
相模「ふざけんな!!!そいつから携帯取り返せ!!!それぐらいの役に立てよこの役立たず共がぁーーーーーッッ!!!!!」
校内放送『当然みーんなうちが演出したもの。いやーあいつのおかげで最近すっごい楽しいよ!毎日が!こういうのが充実してるっていうのかなぁ☆……いやぁ~楽しかったなぁ…噂考えるの!』
相模「あぁぁ!!!あああぁっ!!!!クソぉぉぉぉぉおおおおおーーーーーっ!!!」
雪乃「見苦しいわよ?相模さん。もう諦めたら?」
相模「黙れ犯罪者!!あんたはヒキタニ轢いた車に乗ってた加害者だろうが!!!!」
雪乃「ええ、そうよ。あの事故の時、乗っていたのは確かに私。だから彼には後で許しを請うわ。こんな形での謝罪というのが苦心する所だけれど」
雪乃「そうね…そうだわ。でも私はあなたみたいに他人を貶めて自分を保ち続けるような事はしないわ。比企谷くんをイジるのは別なのだけれど」
八幡「おい」
雪乃「あなたのような真似をするぐらいならいっそ嫌われた方がましよ。その方が私らしく生きられるもの」
相模「はぁ……?はぁ????はぁ~~~~???何言ってんのこいつ?????はあ???」
校内放送『おい!何やってんだお前!放送やめろ!ちょっとこっちこい!』
校内放送『え!?ちょ!?あぁぁ!?違うんだ我はただ……あぁぁぁーー!!!??』
校内放送『………』プツッ
八幡「終わったみたいだな。さすが材木座。ライターの腕はともかく編集の腕はなかなかだ」
相模「………」ガクッ
結衣「終わった?終わったの?」
八幡「ああ、終わりだ。あとは…おい、お前ら」
取り巻き共「はい…」
八幡「こうなった以上、お前らはただじゃすまないぜ?自分たちの噂がこれから拡散するわけだからな」
取り巻き共「…どうしたら…いいんですか…?」
八幡「明日の朝にでもその方法を教えてやる。やれ」
取り巻き共「はい…」
葉山「さて…相模さんはどうする?あまりにも悪質すぎるよな」
八幡「大丈夫だ。任せられるプロを知ってる。というかここに呼んである」
葉山「誰なんだい?」
陽乃「ひゃっはろ~比企谷くん!雪乃ちゃ~ん!」
雪乃「姉さん…はぁ。そういう事…」
陽乃「やだな~お姉さん今来たばかりだよ?だからこれまでの流れなんてなーんも知らないの」
雪乃「どうだか…」
結衣「陽乃さんやっはろーです!」
陽乃「うん由比ヶ浜ちゃんひゃっはろ~!」
陽乃「君は誰かな?隼人のお友達かな?」
優美子「はあ!?呼び捨てにしてんの!?どういう事!?」
葉山「まあ昔からちょっとした付き合いがあるからね」
陽乃「ん~?あなたお名前は?」
優美子「えっ?三浦だけど…つか何あんた」
陽乃「三浦ちゃんね?あ、もう忘れた~!」
優美子「はあ!?」
雪乃「ぷぷっ…」
八幡「そうです」
相模「何見てんのよ?あんた」
陽乃「………」
八幡「陽乃さん、電話で話した通り今回のこれは貸しにしときますよ」
陽乃「そうだねぇ。うん、異存はないよ比企谷くん」
雪乃「姉さん…」
陽乃「でもそれとこれとは全く別ものだからね。……ほーんと、余計な事してくれちゃって…ねぇ?」ギラッ
相模「…っ!?」ビクッ
葉山「陽乃さん、これ相模さんの携帯。ほら、動画がこれ」
陽乃「………へぇ。よく撮れてるねぇ」
陽乃「これはもうちょっと預かっとくね」
相模「はっ。あんたら姉妹揃ってまともじゃないんだね。事故起こしといて平然とヒキタニと付き合うぐらい無神経な妹がいりゃこんな姉がいてもおかしくないわけね」
陽乃「おぉっと~調子に乗りすぎだぞ~?そういう君は人の事言えるのかな?目の前で事故が起きたのにずーっと録画してるような人格破綻者ちゃん?」
相模「あんたなんかに………あんたなんかに!!」
陽乃「うるさいよ」ギロッ
相模「……っ」ビクッ
八幡「はい。陽乃さんにものすげぇ貸しを作れたと考えるとこれ以上ないグッドエンドですよ。俺としてはね」
陽乃「いい性格してるなぁ君は…でもま、それでこそだよね。さ、行こうか。表に車あるからそのまま歩いて乗ってもらうわ」
相模「………」
陽乃「じゃ、みんなまたね~!」
八幡・結衣「はああぁ~~~~~~っ………」グテー
雪乃「お疲れ様。紅茶淹れるわね」
優美子「おつかれー」
葉山「お疲れさん」
戸部「おっつかれ~っ!」
葉山「しかし比企谷。あれで良かったのか?」
八幡「あぁ…?もういいだろ何でも……俺は疲れてんだよ……」
結衣「ほんとだよね~…あたしも疲れたよぉ………」
八幡・結衣「はあああぁぁ~~~~~………っ」グター
八幡「いいや違う。あれは手札の1つだった。切り札はズバリ陽乃さんだ」
雪乃「よく姉さんが協力したわね?どうやったの?」
八幡「ああ?そういう説明とか今度でいい?もう何もする気ないほどしんどいんだよ」
雪乃「まあそれもそうよね。あんな相手に大立ち回りを演じたのだから。はい、紅茶」
結衣「ありがと~ゆきのーん!!」
八幡「おう、ありがとな」
雪乃「飲み物ならトイレの蛇口ひねれば出ると思うのだけれど」
優美子「はっ。ケチくさ」
雪乃「あなたには特別に淹れてあげるわ。ほら、ちょうどいいところにペットボトルキャップが」
優美子「ケンカ売ってんの!?」
葉山「まあまあ。俺が何か買ってくるよ。何がいい?」
八幡「MAXコーヒー」
葉山「比企谷は紅茶もらってるだろ…」
結衣「あははっ!ため息みんなでかぶっちゃったね!」
雪乃「仕方ないと思うわ。本当に疲れたもの」
戸部「いやーつかまじ女こわすぎっしょお」
葉山「そうだな」
優美子「あそこまでのはそうそういねーし。つかヒキオ、聞きたい事あんだけど?」
八幡「いいぜ。来年答える」
優美子「はあ!?今答えろし!」
八幡「んだようっせーな」
結衣「それあたしも思ってたー!ヒッキーなんで?」
八幡「バカなのかお前らは」
結衣「バカゆーなし!」
優美子「バカじゃねーし!」
戸部「んでんでどうなん?ヒキタニくんよぉ?」
八幡「それでも良かったと思わなくはないが。今回はあくまでも”噂である事”にこだわるべきだったからな」
八幡「昼間と違って放課後は生徒もまばら。だから噂が噂として映える。聞いた人間と聞いてない人間と分かれるからな」
八幡「聞いた人間は聞いた人間同士で話し、聞いてない人間は聞いた人間を探し聞く。それがしばらく繰り返される」
八幡「これで蓮の噂は新しいもので上塗り更新、書き換えられる」
八幡「そして声の主は誰なのか、それが特定されるまで大して時間はかからない」
八幡「一人称が”うち”なんてやつ、ここじゃそうそういない。第一、文化祭で名ばかりとはいえ実行委員長だったんだ。あのスピーチの声に聞き覚えのあるやつがさっきの放送聞いた中に少なからずいるだろう」
八幡「噂の発端と思わしき人物で、噂が好きな人物で、一人称が”うち”であり、聞き覚えのある声を持つ人物。そうしたものが時間をかけて自然と1つの形になる」
八幡「他人の悪い噂を流した犯人は相模だ、ってな」
八幡「以上が今回の俺の筋書きだ。もっとも、この筋書きを思いつくに至った下地は雪ノ下の提案のものだ」
八幡「はい説明おしまい。葉山、もう紅茶飲みきっちまったからMAXコーヒーくれ」
葉山「はいはい」
優美子「ヒキオって…実は頭いい?」
八幡「まあな」
雪乃「いいえ三浦さん。この男の場合は頭が良いのではなくてずる賢くいやらしく陰険、というのが正解よ。ついでに陰湿ね」
八幡「ついででネガティブさを増量させるのやめてくれる?」
八幡「しかしお前らよく参戦する気になったよな?葉山は理由があったからともかくとしても」
戸部「ああ?そりゃ友達がピンチだっつんなら助けんのは当たり前っしょお!?」
八幡「友達か。いいなお前ら」
戸部「は?何言ってんの?俺とヒキタニくんもすでに友達だべ!?」
八幡「ええぇ…いつから…?」
結衣「それはね優美子!ここで録ったんだよ!あたしが!あたしがね!」
戸部「マジかよ結衣すっげーな!」
結衣「ふふん!」ドヤッ
葉山「ボイスレコーダーか何か置いてあるのか?」
八幡「ああ。昨日の放課後、ここで出来るだけ大きめの声で相模を潰す算段について話したんだ」
雪乃「彼女の事だから聞き耳を立てているだろうと予測してね。もちろんいない可能性もあったのだけれど」
八幡「そう。だからこの部屋の外に聞こえる音量でな。で、ボイスレコーダーをパンさんに仕込んでおいた」
葉山「パンさん?見当たらないが…」
結衣「今はゆきのんちだもん」
雪乃「ええ」
優美子「てことは結衣あんた1人であいつとやりあったわけ?」
雪乃「そうよ。由比ヶ浜さん、あなたならやれると思っていたわ」
結衣「えっへへへ~でもほんと怖かったんだからね!」
八幡「よく俺らのヒントに気付いたよな?アホの子のくせにそこは偉いぞ」
結衣「そうかなぁ?偉いかなぁ?えっへへ~」
葉山「…まあ…うん。それで?」
葉山「なるほど。察するに…後ろのロッカーの方にレコーダーを仕込んだパンさんが置かれていたわけか」
八幡「その通りだ。そこに由比ヶ浜が思い至るかどうかが俺と雪ノ下の賭けでもあった」
戸部「すっげ!なんかすっげ!作戦って感じするっしょ!?」
雪乃「私は由比ヶ浜さんならきっと気付いてくれると信じていたから。だからああいう言葉を残してここを出たの」
結衣「ゆきの~~~ん!」ギュ-ッ
雪乃「由比ヶ浜さん…ちょっと苦しいわ」
八幡「だから…俺んとこからちらほら見えてたっつの」
優美子「あの人雪ノ下さんのお姉ちゃん?姉妹揃って性格悪いし」
八幡「そりゃお前がいきなりタメ口きいたからだろ…」
優美子「うっ」
雪乃「そうね。人を見る観察眼において姉さんはかなりのものだから。だから本当にあなたの事はもう忘れたのでしょうね」
葉山「でも本当に良くあの人を切り札に用意出来たな。すごい事だと思うよ。それに音声の仕込みだって必要不可欠だったはずだ。良く間に合ったな?」
戸部「雪ノ下さんのお姉さんってそんなヤバい人なん?つかめっちゃ美人っしょ!?ヤバいっしょぉ!?」
雪乃「あの人は完璧な人だから…でも確かに私も気になるのだけれど。どうやったの?」
八幡「………」
ー朝 図書室ー
八幡「おい」
材木座「うぬぅ?なんとこれは我が戦友ではないか。どうしたのだ八幡よ。朝からこんな荒れ果てた地で邂逅するとは珍しい…」
八幡「お前に頼みがある」
材木座「えっ?」
八幡「お前に頼みがある」
材木座「あっはい…。ていうか素?もっとこう、いつもの感じはないのか?我との」
八幡「いいから来い」グイッ
材木座「あはぁん!」
八幡「いいか材木座。この録音データを昼までに編集してほしい」
材木座「音の編集か?しかし我にはそのようなスキルは」
八幡「都合悪いとこをカットしてほしいだけだ。出来たら一度聴かせてくれ。可能か?」
材木座「うぬぅ。それならばたやすい。して?この対価に何を差し出すのだ八幡よ?」
八幡「対価、それはな…」
材木座「それは…?」
材木座「よかろう。このミッション、承った」
八幡「うむ。そして編集した音データを放送室で大音量で流してもらう。タイミングは携帯で知らせる。事を起こす前に通話状態にするのを忘れるなよスネーク?」
材木座「貴様……一体、何をやろうとしておるのだ…?一体どのような難敵を相手にしておるというのだ?」
八幡「魔王だ」
八幡「そうだ。そしてそいつと対峙する間も受話口から出る声を録音しておいてほしい」
材木座「ふむ。それは何ゆえにだ?」
八幡「追い込まれたやつはおそらく自分からその罪を認める供述をするだろう。それを即座に編集し、流してもらう」
材木座「八幡よ…さすがにそれはしんどくないか?」
八幡「ああ、会話の全てを編集するのは不可能だ。だが一部抜粋であれは可能なはずだ。あるだろう?時間の表示が」
材木座「表示とな?」
八幡「そしてその一言を抜き出し、流すのだ」
材木座「八幡…さすがに無理と思うが…それに暴露って何の暴露なのだ?」
八幡「その点については心配ない。会話を聞いていればお前なら察する事が出来るはず。大丈夫だ。お前なら出来る。重要な暴露が出ればその一言だけでいい。抜き出したら流せ。わかったな?」
材木座「よかろう。心得た」
ー昼 屋上ー
八幡(まさか俺から陽乃さんに電話する日がこようとは)
トゥルルルル…トゥルルルル…トゥル
陽乃『比企谷くんひゃっはろ~!』
八幡「うわっ」
陽乃『うわっとは失礼だなぁ。そっちからかけて来たくせに~』
八幡「こんちはっす陽乃さん。今いいっすか?」
陽乃『うん、いいよ?どうしたの?』
八幡「実は」
八幡「…ってなわけです」
陽乃『………』
八幡「どうですか?」
陽乃『私を動かしたい割にはちょっと足りないかなぁ?』
八幡「ですよね。でもそいつの持つ最終兵器が雪ノ下一家を巻き込むものだとしたら?」
陽乃『いやに自信ありげだねぇ。どうしてそう思うのかな?』
陽乃『それはあまりにもご都合主義じゃないかなぁ?確証はあるの?』
八幡「もちろんです。人がはねられたってのにその場に突っ立って携帯構えてるやつですよ?他に見間違えようがない」
陽乃『まあそうだね。確かに』
八幡「それに車にぶっ飛ばされたとはいえ、頭は回ってるわけですから。ぶっ飛ばされた俺が周りに助けを求めようと見回すのは当たり前の事です」
陽乃『そうだね』
陽乃『………』
八幡「別件で陽乃さんに借りを作りました。それとは別で今回この件で陽乃さんは俺に借りを作る」
八幡「しかも陽乃さんにとってのこの借りは、雪ノ下だけでなく雪ノ下一家を巻き込むもの。残念ながら逃げられませんよ」
八幡「どうですか?」
陽乃『………』
八幡「………」
八幡「どうもです」
陽乃『はーあ。せっかく比企谷くんに対して優位に立てる貸し作れたのになぁ。もったいないなぁ』
八幡「でもまあいいじゃないですか。こうして厄介事を完全に刈り取る場が出来るんですから」
陽乃『まっそうだね。で?それはいつやるの?』
八幡「今日の放課後です。場所は自販機コーナー。陽乃さんは廊下側から潜入してください」
陽乃『はいはいわかりましたよ~お姉さん了解。じゃあ比企谷くん、後でね』
八幡「はい。よろしくです」
プツッ…
八幡「フフフ………やったぜ!!俺グッジョブ!!!」バンザーイ
ー放課後 奉仕部部室ー
戸部「パネェ!ヒキタニくんもパネェっしょ!」
葉山「なるほどな。やるな比企谷」
八幡「確かに思ってた以上に上手く行った。だが誤算もある」
結衣「ごさん?どんな?」
八幡「俺と雪ノ下に関わる事故の件を知る人間が増えちまった事だ」
雪乃「………」
葉山「そうだな。優美子の言う通りだ。でもその件は黙っておくべきだな」
戸部「おっけー!」
結衣「うん!ありがとみんな!」
雪乃「助かるわ」
八幡「さて。といったわけでもう解散にしね?俺とっとと帰って寝たい」
葉山「そうだな。そうしよう。皆ほんとにお疲れ!」
全員「おつかれ!!」
八幡「お前まるでリーダーだな」
葉山「まあまあ。はははっ」
竜司「つかいきなり呼び出して大丈夫だったんか?」
祐介「今日の集合は予定になかったからな。俺も慌てた」
蓮「大丈夫だ。やらなければならない事はこっちにある」
杏「さすがリーダーだね!」
真「ええ、そういう事を言えるのは大事だと思うわ」
春「ところで今日の集まりは?」
モルガナ「おいフタバ!集合かけたのはお前だろ?何か進展あったって感じか?」
双葉「ふっふっふ………まあな!」
杏「場所まではこないだわかったけどキーワードはまだだったね」
竜司「ああいうやつって普段どんな事考えてんだ?」
春「少なくともまともな思考じゃない事は間違いないけど…」
真「ねぇ双葉。皆を集めたということは何かヒントを掴んだんじゃないの?」
双葉「それだ」
竜司「おぉ!?マジかよ双葉!さすがだな!」
双葉「ヒントというか答えを持ってる!これだっ」
真「広辞苑…?」
杏「辞書?」
春「あの…まさかとは思うけど…」
双葉「必殺!手当たり次第!」
竜司「んだよそれ…褒めて損したぜ!ちくしょう!」
杏「まさかこれに載ってる単語ぜんぶ言っていくとか…ないよね?」
双葉「それだっ」
竜司「それだっ…じゃねぇよ!!どんだけあると思ってんだよ!分厚いにも程があんぞ!?」
祐介「名案とは思えんな」
モルガナ「けどこん中に正解があるのは間違いないぜ?何も全部やろうってわけじゃねえんだ。こん中のどれか1つ引けばいいだけだ」
春「はあ…本当にやるの?」
双葉「やるっきゃない!そうじろうもいるしな!」
惣次郎「お、俺もか!?」
ナビ「該当しません」
竜司「…これ1日じゃ終わんなくね?」
蓮「ああ…春を探し出した時よりきつい…」
真「確かに…」
杏「あん時以上のしんどさだよ…」
春「私?私をみつけたって何の話?」
杏「私、蓮、真、竜司でね」
モルガナ「アン殿ぉ!ワガハイもいたぞ!?」
竜司「お前見てるだけだったじゃねえか」
モルガナ「何をー!?」
杏「竜司あんたも変わんないでしょ!」
惣次郎「お前らいつもこんな事やってたのか?」
双葉「いつもじゃないがキーワードを探るのが一番難関なのは間違いないな」
竜司「はあーだりぃ………ん?」
??「…!!!…………!!!!!」
真「外で何かやってるみたいね」
??「………!!………!!!……!………!!!」
杏「ねえ…今……」
祐介「ああ…確かに聞こえたな。あの名前が」
春「ということはすぐ近くに…?」
竜司「こうしてても埒あかネーし!ちょっくら顔拝みに行ってやろうぜ!な!?」
蓮「………」
八幡「で?何で俺は呼ばれたんだ?」
雪乃「にゃー」
カマクラ「にゃー」
結衣「にゃー!」
八幡「カマクラ付きでなぜ呼ばれたのかと聞いている」
雪乃「にゃーにゃ」
カマクラ「にゃ~~~」
結衣「にゃ!」
八幡「お前、猫は苦手なんじゃなかったか?」
結衣「この子は別だにゃ~」
雪乃「労いよ」
八幡「自分へのか?カマクラでか?」
雪乃「ええ、そうよ。それと今回はお疲れさまという意味も込めてね」
結衣「うん!ほら!打ち上げしよ!?」
八幡「お前らまさか…俺がカマクラ呼びに帰ってる間に買い物してたのか」
雪乃「ええ。本当は奉仕部で雨宮くんも一緒にと思ったのだけれど」
八幡「なるほどな。あいつ昼に急用入ったんだっけか?今地元に戻ってるもんな」
結衣「そだね~残念だね。でもれんれん入れてまた打ち上げしよ!」
結衣「違うもん!太るほど食べないし!ヒッキーのばか!」
雪乃「それはそうとあなたたち勉強してるの?今日は打ち上げもそうだけど勉強会も兼ねているつもりなのだけれど」
結衣「うぇ!?」
八幡「そういやそうだった…」
カランカラン…
冴「雨宮くん?そろそろ戻らないと……どうしたの?何だか雰囲気が重たいわね?」
真「お姉ちゃん…それが……」
竜司「こいつの前歴の相手があいつだったんだよ!クソが!」
冴「え…?どういうこと?」
真「私たちにとっての黒幕がね…彼の、蓮の前歴の相手だったの。訴訟を起こした相手がその黒幕だったって事よ」
冴「なんて事…」
春「けどこんなものを運命だなんて呼びたくないよね」
双葉「うちのリーダーは色んな意味でヤバいな」
モルガナ「なあレン。もしかしたらシホも…」
杏「志帆がなに?」
杏「確かに…」
冴「一体どうなってるの?彼を取り巻く因縁はあまりにも絡みすぎている…」
真「良く言われる言葉だけど、偶然は3度までって。そうなると蓮にとって今の状況は必然って事に…」
蓮「偶然だろうと必然だろうとどっちでもいい」
杏「蓮…」
蓮「もし俺を見て楽しむために何もかも仕組まれたのなら許せない。そのために色んな人が傷付いた。志帆だってそうだ」
竜司「おうよ…ほんとそうだぜ。春の親父さんだってそうだろ!?」
春「うん。私、改めて気持ちが固まったよ。何が何でも勝とうよ!皆で!」
蓮「ああ!」
蓮「ただいま静さん」
平塚「おかえり。食事は済ませたのか?」
蓮「はい」
平塚「そうか」
蓮「これお土産です。一緒に食べませんか?」
平塚「お、いいね。寒くなると逆にアイスが食べたくなるのは自然の摂理だな」
蓮「普通ですよ」
平塚「ふむ。まあ君の成績を見る限り特に問題はなさそうではあるが」
平塚「前の学校では常に学年トップだったんだろう?なかなかやるじゃないか」
蓮「知識の泉ですから」
平塚「何かな?それは。流行りの一言ネタみたいなものか?」
平塚「まあいい。明日からテストだ。気を引き締めて頑張りたまえ」
蓮「はい」
平塚「ちなみに自信の程は?雪ノ下や葉山という難敵がいるが」
蓮「知識の泉ですから」
平塚「よくわからんがそれは自信の現れということか?」
ー朝 教室ー
八幡「おはよう蓮。彩加」
蓮「おはよう八幡」
戸塚「うん、おはよう八幡!」
八幡「………」チラッ
八幡(さすがに相模はいないか)
葉山「やあ比企谷」
八幡「…なんだよ朝っぱらから」
八幡「そうみたいだな」ヒソヒソ
戸塚「なになに?2人で内緒話?仲良いね!」
八幡「どこがだよ…そういう事言うとまた…」
海老名「ぐふふふ…呼びました~?」
八幡「ほら来た…呼んでないから」
八幡「ん?ああ、しょうがねえよ。急用じゃな」
戸塚「どしたの?何かあったの?」
蓮「ああ。昨日の昼に奉仕部で用があるって言われてたんだけど急な電話で行けなかったんだ」
海老名「なになに?れんれんってば今度はどんな男子と?ぐふふふふ…」
蓮「女子だよ女子」
八幡「…お前ってやっぱモテんのな」
蓮「いや、そういうんじゃないよ」
海老名「なになに?比企谷くんジェラシー?」
八幡「ちげーから…」
八幡「まあいつも通り文系にのみ焦点を合わせた程度だな」
葉山「そういえば雨宮さんはどうなんだ?成績というか勉強は」
海老名「前の学校ではどうだったの?」
蓮「学年トップだ」
戸塚「へぇ~!すごいや!」
八幡「それって一年通してか?」
蓮「ああ。毎回学年トップだった」
戸塚「すごいなぁ!」
蓮「知識の泉だからな」
八幡「なんだそれ?」
全員「………」カリカリカリカリ
キーンコーンカーンコーン…
教師「はいそこまで」
全員「あああああ……」
蓮「よし」
蓮「こっちが比企谷八幡。こっちが鈴井志帆、前の学校で一緒だったんだ」
八幡「ども…」
志帆「初めまして」ニコッ
八幡「なあ…なんでこんな状況に?」
蓮「そりゃあ紹介しておく必要があるからに決まってる」
志帆「そうなの?」
八幡「ちょ!?」
志帆「ええぇ!?それ言っちゃう!?」
蓮「俺の友達の友達は他人じゃない。よろしく二人共」ニコッ
八幡「はっ。全くお前らしいというか何というか…よろしく、鈴井さん」
志帆「あははっ、そうだね。よろしくね比企谷くん」
八幡(おぉ…名前間違われなかったぞ……いい人だな鈴井さん!)
八幡「はー。腹減ったぁ」
志帆「ここいい場所だね?」
蓮「何でもっと早く案内しなかったんだ?ずるいぞ」
八幡「うるせえよ…ここは俺が安心出来る唯一のベストプレイスなんだよ文句あるか」
八幡「あぁ?お前ほんとカレーに並々ならぬ執着を………購買だよ購買」
蓮「そうか盲点だった。行ってくる」
志帆「あはは…ほんと自分に正直だね。いってらっしゃい蓮」
蓮「うん。行ってきます」
八幡「いてらっさい」
志帆「……食べないの?」
八幡「ん?まあ。箸休めかな」
志帆「お箸持ってないのに?素直に蓮を待つって言えばいいのに…ふふっ」
八幡「うっさいですよ」
志帆「ごめんごめん。ふふ」
八幡「この学校で唯一存在する安らぎの場だからな」
志帆「だから独り占めしてたの?」
八幡「今まではな」
志帆「そっかそっか」
志帆「え!?いや!全然だよ!そういうんじゃない……///」
八幡(ほぉ…これはこれは。あいつの9股説ってあながち嘘でもねぇなっつーか全然あり得そうだな)
志帆「比企谷くんは彼女いるの?」
八幡「ははは。いるわけない」
志帆「好きな人は?」
志帆「そっか。どんなタイプの人が好みなの?」
八幡(出たよ女子トーク。だが勘違いしてはいけない。これはただの雑談なのだ。別に俺の好みなぞどうでも良いのだ)
八幡(この手の話題がさらっと出る場合は、相手に対して興味なくはないんですよというアピールのためである)
八幡(なのでこの場合、用意された答えを返すに限る)
八幡「優しい人かな」
志帆「優しい人かぁ。どんな風に?」
八幡(だから仕方ない目の前のお前で時間潰しでもするか、という意味なのである)
八幡(よってこの場合の返答もテンプレを返すに限る)
八幡「人当たりとかそういうとこかね」
志帆「そうなんだ?」
八幡(簡潔すぎたかな?まあいいおそらくこれで少し沈黙が流れるに違いない)
志帆「じゃあ同じくらい優しい人が2人いたらどういう所を見て決めるの?」
八幡「………」
八幡(あれ?これは予想外な展開)
八幡(いかん。なぜかパニクってしまった落ち着け俺)
八幡「雰囲気っつーかこう…話の合う人かな」
志帆「そっかぁ」
八幡(こちらばかりやられていても何だ。反撃だ!八幡いっきまーす!)
八幡「鈴井さんは?」
志帆「私も同じかな。優しい人」
八幡(まんま返してくるとはありがたい。さっきのをそのまま返せばいいだけだからな)
八幡「どんな風に優しい人?」
八幡「さすがにバレましたか」
志帆「もうっ。比企谷くん話しやすいね?ふふっ」
八幡「え?マジすか…?」
八幡(話しやすいなんて言われた記憶はあるだろうか?いいえ、そのような覚えはございません)
志帆「蓮のおかげかな?あんな紹介のされ方だったしね?」
八幡「…そうかも」
八幡(そうだ。間違いなく蓮のおかげだ。こうして誰かとちゃんと話せるようになれたのも、こうして初対面で話せるようになれたのも)
八幡(だからかもしれない。あいつがこうして彼女を引き合わせてくれたのは)
八幡(底抜けに明るい由比ヶ浜と、落ち着き払う雪ノ下。どちらとも違い、どことなく陰が見える鈴井さん)
八幡(雪ノ下も由比ヶ浜も、初対面の時はそれなりに会話はこなせた。だがこなしただけにすぎない)
八幡(この俺が蓮の他に親しくなれるとしたら鈴井さんなのかもしれない)
八幡(なんて事を思った所でそれを押し付けたりなどしない。なぜならきもがられたらショックだからだ)
志帆「比企谷くんはどうして友達いないの?」
八幡「そんなドギツいストレート食らったのは久しぶりだな…」
志帆「あ!ごめんね!?別に嫌味なつもりないんだよ?!本当だよ!?」
八幡「ははっ。わかってるよ」
八幡(蓮と出会うまでの事を思い出してみると…。記憶を過去へ飛ばすほどに笑えてしまう)
八幡「かっこつけてただけなのかもな…」
志帆「かっこつけたら友達いなくなるの?」
八幡「いやまあなんつーか…俺は友達なんかいらないって本気で思ってたんだ」
八幡「人に期待するのもされるのも嫌で。価値観とかそういうの押し付けあいたくもなくて。信頼しあうのも億劫で」
八幡「何より……」
志帆「裏切られる事が怖かったんだね?」
八幡「!?」
八幡「………」
志帆「相手を思いやるのはいいけど、その思いやりが相手にとって重荷になってないか不安になったり。逆に思いやってもらいたいなぁなんてすがったり」
志帆「比企谷くんは優しいんだね。優しいから怖いんだよね。変わってしまう事が」
八幡「なんで…」
志帆「何でわかるかって事?そうだなぁ…前いた学校に唯一の親友がいるの」
志帆「最初はツンツンしてたんだけど、話してくうちにこの子もつらかったんだなぁってわかった」
志帆「だからね、比企谷くん。比企谷くんのその気持ちや考えは君1人が持ってるものじゃないんだよ」
志帆「案外、誰でも持ってるものなんだよ」
志帆「それを知るだけでさ、ちょっと気が楽にならない?なぁんだ、皆一緒だったんだ?って」ニコッ
八幡「………」
八幡(蓮といい鈴井さんといい。どうして秀尽から来たやつはこうなんだ?)
八幡(あっさり俺の心の扉を開けやがる)
八幡(憎まれ口を叩かれれば俺は減らず口で返す。嫌味には自虐で返す)
八幡(この2人の前では俺が培ってきた教訓とやり方が本当に役に立たない)
八幡(参った。降参だ)
八幡「その通りかもしれないな…」
八幡「参ったな。全面降伏します。いつもなら減らず口叩いてそっぽ向くとこだけど」
志帆「うん。それでいいと思うな」
八幡「…鈴井さん」
志帆「なあに?」
志帆「うん!喜んで」ニコッ
八幡「なんだ天使か」
志帆「えっ?天使?」
八幡「あ!いや!何でもない…忘れてくれ」
志帆「んー?……あっ。………///」
八幡(気付くの遅くありません?つか気付いて照れるのやめてもらっていいですか可愛いです)
八幡「おい…そういう効果音は口に出すもんじゃねえぞ蓮…」
志帆「蓮?!いつからいたの!?」
蓮「八幡がどんなタイプが好みなのかあたりから」
八幡「結構前だなおい!」
志帆「もう!蓮のいじわる!」
蓮「ははっ」
志帆「うん!そうだね」ニコッ
蓮「なあ八幡?」
八幡「んだよ?」
蓮「俺に嘘ついたな?カレーパスタサンドしかなかったぞ」
八幡「購買の在庫は知らねぇよ…」
平塚「よーしお前ら、今回のテストの結果を発表する。良く聞け」
蓮「この学校のテスト結果はずいぶん早いんだな」
八幡「それだけ教師の仕事は暇だって事だr…いてっ!?」ゴッ
平塚「もし比企谷が言ったような事がまた聞こえてきたら音速のマグナムチョークだからな!」
八幡「いててて…」
蓮「八幡は魅力が足りないんだな。俺は魔性の男だぞ」ドヤッ
八幡「はあ?何の話だよ…」
蓮「先生がドラムロールやるのか」
八幡「暇なんだr…いってぇ!?」ズガッ
平塚「でれれれれれれれれデン!!!!雨宮だ。よくやったな」
全員「おお~~~~」
平塚「ちなみに学年トップも雨宮だ。この調子で励め。では今日は終わりだ。気をつけて帰りなさい」
全員「うぉおおおおおお~~~~~~!!!」
八幡「お前ってすげぇんだな…」
蓮「知識の泉だからな」
蓮「今日は奉仕部はないんだな」
八幡「ん?ああ。まあな…」
蓮「どうした?」
八幡「いや、その…あいつらがよ。たまには2人で遊びに行けって言うからよ…」
蓮「ああ、なるほどな。じゃどこ行く?」
八幡「え?いいのか?」
蓮「何がだ?」
蓮「ああ。元々あった予定が昨日片付いたし。今日は暇だ」
八幡「じゃあ…うち来るか?妹がさ、どうしても一回会ってみたいってうるさくってよ…」
蓮「小町ちゃんだったか?」
八幡「言っとくが小町はやらねえからな」
蓮「あきらめるのか?」
八幡「何をだよ!?」
八幡「たでーま」
蓮「お邪魔します」
八幡「小町ぃー?おーい」
蓮「留守か?」
八幡「みてーだな。んだよ小町のやつ…自分が連れてこいつってたくせに」
蓮「まあいいじゃないか。で?八幡の部屋はどこだ?」
八幡「上だよ。飲み物持っていくから先に上がってろよ」
蓮「わかった」
蓮「なあ八幡」
八幡「うわぁお!?なんだよいきなり背後から…おどかすなよ…」
蓮「カレーのにおいがするな」
八幡「あ?まあな。昨日の晩飯カレーだったから」
蓮「カレーはいいよな」
八幡「あ?ああ…そうね」
蓮「カレーはいいな。カレーがいいカレーにしろ」
八幡「後半ただの要求になってねえか?」
蓮「これが八幡の部屋か。いいな」
八幡「いいって何がだよ?普通の部屋だろ」
蓮「普通こそ最高だ。お前は何もわかってない」
八幡「いや、そんな普通ぶりを絶賛されましても…」
蓮「ところで八幡?」
八幡「んだよ」
蓮「エ口本またはBD等は」
八幡「お黙りなさい」
蓮「データ派か?という事はPCの中にオタカラか。よしまずはオタカラまでのルートを確保」
八幡「触らせんぞ」
八幡「ああ?そうだな良く出来た妹だよ。小町は可愛い千葉1の妹であり世界一のプリティシスターでありその可愛さは目に入れても痛くないほどだ」
蓮「目は痛いだろ?」
八幡「いやいや…わかんだろ?!もののたとえだよ!」
蓮「俺にも妹っぽい子はいるんだ」
八幡「へえ。そうなのか。何て子なんだ?」
蓮「双葉っていうんだ」
八幡「目に入れても痛くないか?」
蓮「目には入らないぞ?」
八幡「いや…だからもののたとえだろって!」
蓮「心の目にはいつも入れて」
八幡「そういうのはいいんだよ」
八幡「なんだ?」
蓮「カレーはまだなのか?」
八幡「お前な…人んち来てカレー要求するか普通!?」
蓮「あきらめるのか?」
八幡「お前が諦めろ!つか何をだよ!?」
蓮「カレーってのは奥が深いんだ。相手のためを思って頑張るとなぜか激辛に」
八幡「何の話してっかさっぱりだわ…」
小町「ただいまー」
蓮「緊張するな」
八幡「はあ?お前がか?ありえないだろ」
蓮「まあな」
八幡「何なのその返しは…」
ドタドタドタドタ…
蓮「めっちゃ走ってる?」
八幡「めっちゃ走ってる」
小町「お兄ちゃん!?」
八幡「おう。おかえり小町」
蓮「おかえり。小町ちゃんだね?初めまして、雨宮蓮です」ニコッ
小町「…っひぃーーーーーー……」
八幡「…?……????どした…?大丈夫か?」
蓮「息吸い続けてるな」
八幡「うっせ…なんだよ?」
小町「この人がおもももちおもももちだまち!?」
八幡「小町ちゃん?落ち着きなさい。お餅を騙してるように聞こえるぞ。そうだ友達だ」
小町「ふぁあじめまして!!!!くぅおまちです!!!!!いつもうぁにがお世話になってます!!!!!!!」
蓮「あ…うん…はい。こちらこそ」
八幡「小町…蓮が引くとこ初めてみたぞすげぇなお前…」
小町「っくぅ~~~~っ!一度は言ってみたかったセリフ”兄がお世話になってます”ついに完遂…!!」グッ
八幡「なぜかお兄ちゃんいたたまれない気持ちでいっぱいなんだが」
小町「へぇー蓮さん秀尽だったんですかぁ」
蓮「そうなんだ」
八幡「その辺あんまりつつくなよ?空気読めるはずの小町がその機能はたしてなくないか?」
小町「あ!そうだ…ごめんなさい余計なこと聞いちゃって…」
小町「はうっ!?」
蓮「??」
小町「んんっ!?」
八幡「…見比べるな」
小町「はあ。神様って不平等だよね」
八幡「はいはいどーせ腐ってますよ蓮みたいなスマイルなんか持ってませんよ」
蓮「ありがとう。いただきます」
八幡「マジで食ってく気だったとは」
小町「ちょっとお兄ちゃん!?そんな事言わないの!蓮さんすごいんだよ!?こうしたら美味しくなるよ安定するよって方法とか教えてくれたんだから!」
八幡「へー。お前って自炊すんの?」
蓮「秀尽にいた時に屋根裏に居候させてもらっててさ。ただで屋根裏に置いてやるんだから手伝え屋根裏小僧がって感じの事を言われてはないんだけど色々手伝ってたら出来るようになったんだ」
八幡・小町「はい?屋根裏?」
八幡「さっきと流れ似てるけどそれただのインスタントだからな?」
蓮「ありがとう。いただきます」
八幡「しかしマジでお前くつろいでんな」
蓮「くつろぎの空間は大事だ。いいお宅じゃないか」
小町「そりゃそういう事はペラペラ言えないもんでしょ?」
蓮「あっそうだ秘密だった。しまった」
八幡「お前…」
小町「お兄ちゃん。蓮さんって天然?」
蓮「うん。くせっ毛だから雨の日ちょっと大変なんだ」
八幡「この通り天然だ」
小町「また来てくださいねっ!」
八幡「おう。いつでも来い」
小町「ちょっとお兄ちゃん!送ってって!」
八幡「おう、そうだな」
八幡「そうか?平気か?つかお前なんか主婦みてえだな」
蓮「主婦じゃない。主夫だ」
八幡「さてはお前…将来は平塚先生の専業主夫とか言う気じゃないだろうな?」
小町「ちょとお兄ちゃん!?蓮さんはお兄ちゃんとは違うんだから!」
蓮「アリだ」
小町「ええぇ……」
小町「いえいえまたどうぞ!」
八幡「おう。じゃまた学校でな」
蓮「ああ。また」
ガチャ………パタン
小町「ねぇ、お兄ちゃん」
八幡「ん?なんだ?」
小町「蓮さんみたいなお友達出来てほんとよかったね!」
八幡「おう」ナデナデ
小町「えへへっ」
モルガナ「あいつんち普通だったな?」
蓮「そうだな」
モルガナ「しっかしハチマンの妹の溺愛ぶりはお前に通じるものがあるな」
蓮「そうか?」
モルガナ「そうだぞ?傍から見てるとお前のフタバ溺愛ぶりも相当なもんなんだぞ?」
蓮「普通だろ?」
蓮「気のせいだ……ん?千葉限定うみゃあ棒50本セットか」
モルガナ「………」
蓮「買っていこう」
モルガナ「フタバにか?」
蓮「もちろんだ。すいませんこれ2つ。大丈夫です両脇に抱えていきます」
モルガナ「はぁ…」
蓮「静さん。テーブルのこれは?」
平塚「学年トップ取っただろう?そのご褒美だよ」
蓮「どうもありがとうございます」
平塚「なあに頑張ったものにはそれ相応の褒美というのが必須だからな。ただのケーキではあるがせっかくだ、1ホールにしたぞ!遠慮せず食したまえ」
蓮「いただきます。プレート食べますか?どうぞ」
平塚「あ?うん…うん食べるようん…何て書いてあったか文字読んだか?」
蓮「いえ。美味しいですねこれ」
平塚「そうかうまいか。それは良かった。ちなみにmarriageって書いてあったんだがな。marriage、つまり結婚とな」
蓮「もぐもぐ」
蓮「そうなんですか?」
平塚「そうさ。君の前歴の件で職員たちにはイライラさせられたからな!だが君が学年トップを取った事で他のやつらを笑ってやったわ!!!はっはっは!」
蓮「はっはっは」
ピロリン
平塚「電話だぞ?」
蓮「………」
真『あ、蓮?今いいかしら?』
蓮「ああ平気だ」
真『突然なんだけど明日こっちこれない?』
蓮「大丈夫だ」
真『そう?良かった。ならお姉ちゃんが迎えに行ってくれるって』
蓮「わかった。準備しとく」
蓮「そうなのか?」
真『ええ。実は例のパレス、キーワードがわかったの』
蓮「………という事は」
真『潜入可能。いつでも攻略を開始出来るわ。どうする?』
蓮「……行くぞ」
八幡「はあ…今日も疲れたなっと」
八幡(友達か。うちに友達呼んだのは初めてだったな)
八幡(つか初めてきた友達んちでカレー食わせろって普通なのか?)
八幡(普通じゃねえよな多分。まいいけど)
八幡(ん……ねむい…)
八幡「………」
八幡「…誰だよ…はい、もしもし?」
陽乃『比企谷くんひゃっはろ~!』
八幡「おやすみ中ですおやすみなさい」
陽乃『あーもう相変わらずだなぁ比企谷くんは!』
陽乃『ごめんごめん。でも大事な用件だから起きて起きて』
八幡「はあ…。で?何ですか?」
陽乃『うん。比企谷くんが前に言ってた別件の事なんだけどね』
八幡「あぁ…あれですか。何かわかりました?」
陽乃『ちょっとヤバい事になりそうだから今のうちに知らせとこうと思って。これから出てこれない?』
八幡「まじすか…」
パパッパッ
八幡「…クラクション聞こえたって事は外にいるんですね」
八幡「準備します。ちょっと時間ください」
陽乃『うん!じゃあ待ってるからね』
八幡「あ、とりあえずどんな感じの話なんですか?」
陽乃『それなんだけど…実はね』
八幡「はい」
八幡「葉山の親父が動き出す…?」
中編 完
良ければそちらもお付き合いください
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コメント一覧 (1)
-
- 2019年08月06日 16:16
- ロイヤルの志帆もこれぐらい饒舌だといいんだが