モバP「クールなあの子たちにいたずらを!」
無事にスレ立ったら続けます。
モバP「(『属性は自己申告制』と言われている中、それでもクール力の高い子達はどこまでクールで居られるのか)」
モバP「(もちろん気になったから、という理由でドッキリ番組などを作るつもりはない。キャラクターというものはアイドルという職業において簡単に崩してはいけないものだ)」
モバP「(しかし。しかしである)」
モバP「(プロデューサーである俺が、彼女たちの魅力を一部の側面しか知らないのはどうだろうか?)」
モバP「(すべてを活かせるかどうかわからない。だからこそ、少しでも彼女たちの魅力を知り、世に出すことは俺の使命なのではないか?)」
モバP「(違う。そんな小難しいことじゃない。俺はプロデューサーとして、彼女たちの理解者として、できるだけ多くのこと知りたいんだ!)」
モバP「って言う言い訳を思いついたんでちょっとセクハラ間違えたいたずらしますね」
ちひろ「何言ってんの?」
ちひろ「(ぶっちゃけ喜ぶ気だけながするので)あんまりですねぇ」
モバP「えー。ちひろさんノリ悪いですよ」
ちひろ「当然です。ってかセクハラって言っちゃってるし。大ごとになったらどうするんですか?」
モバP「だ、大丈夫……限度は考えるし、週刊誌にはすっぱ抜かれないようにするから!」
ちひろ「事務所の空気の方が問題なんだよなぁ」
モバP「え、どゆこと?」
ちひろ「あなたには当分わからない話ですよ。とにかくダメです。だいたいなんで私に言うんですか」
モバP「協力してくれないかなって」
ちひろ「するわけないでしょ……なんで他の子たちといちゃいちゃするの見せられなきゃいけないんですか」
ちひろ「またお金とかガチャとかですか? はーやだやだ。Pさんは私のこと何もわかってない。そんなもので私が靡くなんて思ってるんですか?」
モバP「あれ、マジか……頑張ってペア温泉チケットと専務から『いつでも休みとっていいよ。ついでに誰でも休みに巻き込んでいいよ』チケットもらったんだけどな」
ちひろ「いつ決行する? わたしも協力する」
モバP「千川院。……やらせないでくださいよ。ってか急に手の平返しましたね」
ちひろ「いえ、お休みが欲しかっただけですよ? 他意はありません」
モバP「はぁ、それは別にいいんですが」
ちひろ「ところで質問なんですが、誰でもって言うのはどの範囲ですか?」
モバP「さぁ? 専務の決済で降りるレベルなら大丈夫じゃないですか?」
モバP「うーん、よほど忙しくなければうちの所属アイドルなら大丈夫じゃないですか?」
ちひろ「アイドル以外は?」
モバP「食いつくなぁ……トレーナーさんとかですか? まぁアイドルじゃない方がむしろ休み取りやすいし、大丈夫かと思いますよ」
ちひろ「はい交渉成立。もう取り消せません。さぁそのプラチナチケットを渡してください」
モバP「めっちゃグイグイ来よる。はい、正真正銘に専務お墨付き、おやすみ+巻き込みチケットどうぞ」
ちひろ「っしゃあ!」
モバP「そんな嬉しいんですか……だれか(アイドルとか)一緒に行きたい人がいたんですか?」
ちひろ「はい、どうしても(あなたと)行きたかったので」
モバP「そんなにですか。まぁ、俺もちひろさんも利害が一致してWINーWINって事にしておきましょうか」
モバP「今度、改めて専務にお礼言っておこう。ちひろさん喜んでましたって」
ちひろ「ダメです」
モバP「え、なんで?」
ちひろ「言えません。ですが、絶対にやってはいけません。そんなことしたら、大変なことが起こります。いいんですか? 本当にいいんですか?」
モバP「具体的に何が?」
ちひろ「事務所で大惨事大戦が発生します」
モバP「大惨事大戦」
ちひろ「命燃やして戦え乙女」
モバP「戦うな乙女」
モバP「わかりました」
ちひろ「(何とか黙ってもらうようにできましたが……ついでに内緒の関係になることができました♪ きゃあきゃあ♪)」
モバP「まぁいいや。だいぶ脱線してしまいましたが、そろそろセクハラしていきますよ!」
ちひろ「まだやる気はでませんが、約束したからにはきちっとやりますよ。でも具体的に何をすればいいんですか?」
モバP「あぁ、具体的に何をしてほしい、ってことはないですよ」
ちひろ「どういうことですか?」
モバP「セクハラなんてちょっと間違えれば犯罪ですからね! やばいことになる前に、やりすぎだと思ったら止めてもらうよう見張っていただきたいのです!」
ちひろ「はいわかりました。ストップ。終了」
モバP「まだ始まってもないんですが!?」
モバP「そこは、まぁ、アイドルとPの信頼感とかでごにょごにょと。あと、素の反応をしてほしいから、この部屋を空けてて欲しいんですよ」
ちひろ「別室でモニターで監視ってことですか?」
モバP「そういうことです。いざとなったら乱入してもらうので、隣の部屋ですけどね」
ちひろ「仕掛け先の人選によっては、全部乱入していかなきゃならないかもしれませんね……誰にするつもりなんですか?」
ちひろ「ほんのり怪しい気がしますが、まぁ大丈夫ですかね」
モバP「西川さんとこの保奈美ちゃん」
ちひろ「この子、一応16歳なんだけどなぁ」
モバP「高峰さんとこののあさん」
ちひろ「たしかに反応が想像できませんね」
モバP「吉岡ちゃんとこの沙紀ちゃん」
ちひろ「おぉ、意外なところが来ました」
モバP「八神さんとこのマキノちゃん」
ちひろ「攻めますねぇ、大丈夫だとは思いますが」
モバP「これで終わりです。以上5名。時間差で事務所に来てもらうように声かけてます」
モバP「セクハラ関係なく、ちょっと違った一面を見たいってのは事実ですから。本当はもうちょっと呼びたかったんですが、時間と予定の都合で断念でした」
ちひろ「なるほど。しかし、なんというか、ホントに、えぇ」
モバP「どうしました? なんか『あぁーヤバそうな子が来なくてよかった! 蒼とか苺とか25歳児とか未婚の未亡人とか歩く性教育とか来なくて助かった!』みたいな顔してますよ」
ちひろ「ちょっと察し良すぎるしほぼ答え言ってません?」
モバP「これでもアイドルのプロデューサーですからね! 察しは良いほうだと思ってますよ!」
ちひろ「めっちゃ鈍感なくせにその自信はどっからくるのか……」
モバP「じゃ、そろそろ別室待機でお願いします。もうすぐ来るかと思いますので」
ちひろ「はーい。ヤバそうになったら容赦なく止めますので。じゃ、せいぜいやりすぎないようにしてください」
モバP「任せろ!」
聖來「おはようございまーす」
モバP「お、おはよう。すまんな、朝から呼び出して」
聖來「いいよいいよ。こういうお仕事だもん、連絡もらえるだけでもありがたいって思わなきゃ」
モバP「そう言ってくれると助かるよ」
聖來「で、今日は何の仕事? ダンスだったら嬉しいなー。あ、ライブだとかなら尚嬉しいけどね」
モバP「そりゃ良かった。あんまり大きな箱じゃないが、ライブに出演してもらおうかと思ってる」
聖來「ホント!? やった!」
聖來「あれ、でも何でわたしだけ? 流石に単独ってことはないよね」
モバP「本人の意思確認なしに全員呼んで、『実はやりたくないのに言い出しづらい』みたいな環境作ったら嫌だからな」
聖來「あー確かにそうだね。ライブなら嫌だっていう子はいないと思うけど」
モバP「まぁその辺は実際の内容聞いてから判断してくれ。じゃ、そっちに座るか」
聖來「はーい。って、ちひろさんは?」
モバP「しばらく席外すって言ってたな。俺の話は30分くらいで終わるから戻ってこないかも」
モバP「ん、なんか問題あったか?」
聖來「う、ううん、何でもないよ。それじゃ話しよっか」
モバP「おう。悪いんだが、そっち寄ってくれる?」
聖來「え!? 隣座るの!? こういうのって普通、前に座るんじゃない?」
モバP「一緒に資料見れるようにしたほうがいいだろ?」
聖來「そ、それはそうだけど……わかった。よいしょ」
モバP「ありがとうな」
モバP「(よし、近くにこれたな。さて、ここからが本番だ。まぁ一人目だし、まずは王道でいこう)」
聖來「で、Pさん、どんなライブを考えているの?」
モバP「ああ、このライブは地方のライブハウスでなーー」
モバP「(とか言いつつ、聖來の脇を)」
さわっ
聖來「うひゃあ!?」
モバP「おお、かわいい声が出た」
モバP「ドウシターキュウニオオゴエタシテー(棒読み)」
聖來「……Pさん?」
モバP「……なんでしょう?」
聖來「いまの、わざとでしょ」
モバP「何の話かなー? P、よくわかんないなー」
聖來「Pさんっ!」
モバP「うわぁ!?」
聖來「とぼけちゃだめだよ! 今、私の……その……ここ!! わざと触ったよね!?」
聖來「そんなに何度も言わなくていいよ!? ……もー。ダメだよ、そういうことしちゃ」
モバP「あれ? あんまり、その、怒ってない?」
聖來「今のでもとぼけてたらホントに怒ったかもしれないけど。でも、ちゃんと認めてくれたからいいかなって」
モバP「おおぅ、すげぇ優しいな」
聖來「でも! そういうことは、気軽にしていいことじゃないよ。人によっては、今のすごく傷つくんだから」
モバP「……はい。すいません。反省します」
聖來「まったく。私は、まぁ、なんと言うか、そんなに嫌な気はしないけど」
聖來「なに?」
モバP「今の、ほかの子にやったらまずかったりします?」
聖來「は? ほかの子にもしてたの?」
モバP「いいえ! (まだ)してません!」
聖來「なら、いいんだけど……うーん、怒る人はいないだろうし、スキンシップとして許してくれる子ならいいとは思うけどね」
モバP「ほっ」
聖來「なに安心してるのか知らないけど。さっきも言ったけど、相手によっては……それこそ、未成年の子たちにしたらホントにダメだよ。私も擁護しきれない」
聖來「……さっきみたいなことするの、わたしだけ?」
モバP「(今のところ)聖來だけだよ! だから許して」
聖來「……。しょうがないなぁ。今回は特別に許してあげる!」
モバP「ありがたや。ありがたや」
聖來「調子いいんだから。……そのうち、いっぱいさせてあげるから。だからもうちょっとだけ、我慢してね♪」
モバP「怒られるのは久しぶりだったなぁ。いや、聖來は年下だからちょっと情けない気もするけど」
保奈美「何が情けないの?」
モバP「うぉあ! びっくりした! あれ、いつから部屋の中にいたんだ?」
保奈美「ついさっき。挨拶しても気づいてもらえなかったけれどね」
モバP「う、すまん」
保奈美「ううん、気にしなくていいわ。さっきの面白い反応でチャラってことにしてあげる♪」
モバP「からかうなって言いたいが、こっちに非があるから言いづらいなぁ」
保奈美「ふふっ、ごめんなさい。ちょっとかわいいって思っちゃったから」
保奈美「ええ。年上だし、普段は頼りになる人が悲鳴あげるんだもの。ギャップ萌えってやつかしら」
モバP「うーん、まぁ保奈美に悪く思われてないならいいんだが。ちょっと恥ずかしいな」
保奈美「少し珠美ちゃんみたいだったわよ?」
モバP「うっそだろ、あの小動物と同じ扱いかぁ……あ、小動物ってのは、いい意味でだからな? だから本人に言うなよ?」
保奈美「えー? どうしよっかなー?」
モバP「ホント頼む。一回からかいすぎて、低空ドロップキックからのフライングボディプレス食らったんだよ」
保奈美「Pさんにとってはご褒美なんじゃない?」
モバP「蹴りは痛かった……しかも飛びついてきたあと、他のチビ達が遊んでると勘違いしてめっちゃ乗ってきてなぁ」
モバP「俺から言わせりゃ大人ナメんなって感じだよ」
保奈美「16歳の女の子からかってたら、大人って言えるのかしら?」
モバP「16歳かぁ……珠美も保奈美も同い年なんだよな。こんなに違うもんかねぇ」
保奈美「Pさんもわたしのことおばさん臭いとかいうつもりなの?」
モバP「んなわけあるか。そうじゃなくて、お淑やかっていうか、大人っぽいっていうか」
保奈美「ふふっ、褒めてくれてありがとう♪」
モバP「その落ち着きと仕草が大人っぽいんだよなぁ」
保奈美「まぁ、それはいいじゃない。今日は私を口説くために呼んだんじゃないんでしょ?」
保奈美「じゃあ、先にやることやりましょうか。どんなお仕事させていただけるのかしら?」
モバP「ライブの仕事だよ。ダンスもあるが、ステージで歌ってもらう仕事だ」
保奈美「あら、素敵ね♪ 歌を歌わせてもらえるなんて、あなたについてきてよかったわ」
モバP「気が早いって。感謝してくれるのはうれしいが、中身を見てからな」
保奈美「そうね、まずは見させてもらうわ。隣、座るわね」
モバP「(お、隣に来た。これはセクハラ……じゃない、スキンシップ取りやすいな。でも、同じパターンじゃつまらんしどうするか……そうだ)」
モバP「そうだろ? 自分でもよく押さえられたと思うわ」
モバP「(とかいいつつ……保奈美の膝にドーン! 膝まくらいえーい!)」
保奈美「あら?」
モバP「どうした、ステージに問題でもあったか?」
保奈美「……いいえ、問題ないわ。さぁ、このまま説明してもらってもいいかしら?」
なでなで
モバP「(頭をなでてきた!? 受け入れてるだと!?)」
モバP「……いや、なんともないわ。じゃ、日程とか段取り話していってもいいか?」
保奈美「……そっか、私を選んでくれるんだ。かわいい。いい子ね」
「もう離さないわ」
モバP「っっっ!?」
モバP「(なんだ!? 急に寒気が!? まるで狩人の罠にかかってしまったような、取り返しのつかない感じがする!?)」
モバP「あー保奈美、すまん、ちょっとよろけてしまったみたいだな。体起こすからちょっとどいて」
保奈美「いやよ」
保奈美「間違えた。ダメよ。疲れているんでしょ。このまま横になってて?」
モバP「いやでも」
保奈美「いいから」
モバP「だから」
保奈美「いいから。安心して。私はずっと、あなたのそばにいるわ。ずっと……ね。さ、続きどうぞ」
モバP「あ、ああ。わか……った。じゃ、このまま」
保奈美「ええ、よろしく。ふふふ♪」
モバ「……こんな感じだな。何か質問あるか?」
保奈美「いえ、特にない……ううん、聞けば聞くほど待ち遠しくなってしまったわ。ふふっ♪」
モバP「……。上機嫌だな。そんなに喜んでもらえてよかったよ」
保奈美「とっても嬉しいわ。こんな良いことが一日に二つも起こるなんて」
モバP「何があったのかわからないけど、まぁよかったよ。じゃあ説明は以上だから、俺は次の仕事に」
保奈美「……次の仕事?」
モバP「え、保奈美……?」
モバP「ちっひ!」
保奈美「……」
ちひろ「そういうことだからごめんね保奈美ちゃん! この人はまだまだ仕事しなきゃいけないの! もうちょっとも休む暇がないくらい!」
保奈美「……へぇ。そうなんですかPさん」
モバP「え! あ、そう、そうなんだよ! この後もちょっとうちあ」
ちひろ「デスクワーク! ですよね!」
保奈美「そう。なら、しょうがないわね。私はもう帰るわ。ライブに向けてボイストレーニングしてる」
モバP「ああ、今日は来てくれてありがとうな! 詳細はまた詰めていこう! 後日! メンバーのこと一緒に!」
ちひろ「さぁさぁ仕事ですよ! きりきり働いてくださいね社畜!」
モバP「よーし頑張っちゃうぞー!!」
保奈美「……ふふ♪ Pさん、また明日」
モバP「さっきのは夢。幻。最近売り出し中の彼に言わせれば『よし、楽しくな話せたな』ってやつだ。ちひろさんにはめっちゃ怒られたが」
モバP「さて、そろそろ次の子が来ると思うんだが、ちょっと遅いな……っと、来た来た」
のあ「P。来たわ」
モバP「おう、待ってたよ。休みの日に来てくれてありがとうな」
のあ「構わないわ。あなたは私を輝かせるためにこうやって呼び出した。なら私は、それに応えるまで」
のあ「あなたに私のことを知ってもらうためなら、何でも聞いて」
モバP「そんな大げさなことじゃないんだけどな。ちょっと時間遅れたけど、何かあったのか?」
のあ「来る途中、思いがけない可能性を見つけた。それを見極めていたのよ」
モバP「そうか、ならしょうがないな。あともう一つ」
のあ「何?」
モバP「いつまでたい焼き食ってんの?」
のあ「……」
もっきゅもっきゅ
のあ「……」
がさごそ……もっきゅもっきゅ
モバP「話してる途中に新しいの食べ始めない」
のあ「……可能性が、見えたのよ」
モバP「それが遅れた理由かぁ。何? 新しいお店でもできて、焼いてるの待ってて遅れたとか?」
のあ「それは違う。いつも言っているところに新しい味が出ていて、どちらにするか30分くらい悩んでしまったせい」
モバP「常連かよ……しかも訂正するところそこかよ……」
モバP「一応聞いておくけど、なんで30分悩んだのか教えてもらえる?」
のあ「新しい味が美味しければ、今日は良い日になる。しかし、おいしくなければ霞んでしまう」
モバP「うん、それは大変だね」
がさごそ……もっきゅもっきゅ
のあ「ふぁといっふぇ、いふものあひではふぃんふぁくのあひがふぃになり、ふぁえるまでひゅうひゅうでふぃない」
モバP「食べるかしゃべるかどっちかにしなさい」
のあ「……まぐまぐ」
モバP「そっち選ぶのかぁ」
モバP「そっか。それで、どっちにするのか悩んでいたのね」
のあ「私はあなたに輝き方を教えてもらった。ならば、あなたからの仕事には全力を尽くす。そのために、必要な時間だったのよ」
モバP「ありがとう。遅刻の言い訳にはならないが、今日は打ち合わせだからいいよ。でも、ひとつ言っていい?」
のあ「何かしら」
がさごそ……もっきゅもっきゅ
モバP「あ、食べながら聞くのね。まぁいいけど。新作といつもの、二つ買えばよかったんじゃない?」
「……!?」
もっきゅもっきゅ
のあ「……まぐまぐ」
モバP「そっち選ぶのかぁ」
のあ「ごくん。し、しかし、彼らは外見は同じ。同じ袋に入ってしまったら、見分けがつかない。そうなってしまったらせっかくの味の違いが」
モバP「両手に袋持ってるんだから分けてもらえばいいじゃん」
のあ「!!!???」
モバP「えぇぇぇ」
のあ「なんて、なんてこと。そんな方法があったなんて。……ふふ、やはりPには、私の見えない世界が広がっているようね」
モバP「そうだね。俺から言わせれば、のあのほうが俺の知らない世界を見てそうで羨ましいよ」
モバP「この流れで聞くのはちょっと不安だなぁ。えっとな、ライブをお願いしようと思っている。単独じゃなく、5人ユニットでな」
のあ「ライブ……私の輝きを、心を、見せるということね」
モバP「まぁうん、そんな感じ。実際に仕事を受けるかは資料見て判断ってことにしよう。あ、それ貸して」
のあ「それ、とは」
モバP「その袋だよ。これから打ち合わせするんだから」
のあ「……P。あなたは私から、食の楽しみを取り上げるというの?」
モバP「めっちゃしょんぼりしてる!? いやいや、打ち合わせ中は我慢な? 後でちゃんと返すから」
モバP「大げさな。まったく食べるなとは言わないけど、のあならずっともぐもぐして--なにしてんの?」
のあ「あー」
モバP「いや、だから、なにそれ?」
のあ「Pはちゃんと返してくれるといった。つまり、私に食べさせてくれると」
モバP「どんな解釈だよ!?」
のあ「あー!」
モバP「わかった! わかったからうなるな! はいどーぞ」
のあ「まぐまぐ」
モバP「ひな鳥か君は……」
のあ「あー」
モバP「えぇ……少し我慢しようよ」
モバP「(あ、そうだ。なんか今更感があるけど、一応ちょっかい出してみよう)」
のあ「これで最後……いえ、最後ではないかもしれないがしばらく我慢するわ」
モバP「自分で保険かけちゃうんだもんな。まあいいや。はいどーぞ」
のあ「あー」
モバP「(ここだ! たい焼きと一緒に指もイン!)」
モバP「ウワーイキオイアマッテユビマデイレテシマッター」
のあ「! !! !!!」
モバP「タイヘンダーユビガヌケナイーイッタイドウスレバー」
のあ「……」
モバP「(あれ、反応がなくなった。どうしたんだろ、とりあえず指抜いておくか)」
モバP「アーヤットヌケター。……のあ?」
のあ「……ぐず」
モバP「(泣いたー!?)」
モバP「ご、ごめん! わざとじゃないんだ! いやわざとだけど! 決してホントに意地悪とかしたかったわけじゃなく!」
のあ「本当、かしら。ぐじゅ。私の行動を否定し、認識を排除し、可能性を放棄したわけではなないというの?」
モバP「いや行動はちょっと改めてほしいとはさっきから思ってるけど」
のあ「う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!」
モバP「ごめん! ごめんって! のあはこのままでいいから! 俺の前ならずっと! 許す! だから泣き止んで!」
のあ「……いいの? 自分でも少し特殊な存在だとは思っている。Pは、そんな私を受け止めるというの?」
モバP「あー、印象はガラッと、それはもう180度といっていいくらい変わったけど」
モバP「といっても、それが悪いってことじゃないのは本当だしな。きっとどんなのあでも、俺はちゃんと受け入れるよ」
のあ「……わかったわ。それなら、私はあなたの前では、素直な自分となる。決して気取らない、本当の私として」
モバP「ああ。ぜひ、くれぐれも、ほかの人たちの前、特に業界関係者とかには見せないようにな」
のあ「ふふ。ええ、あなた以外には見せないようにするわ。私のこの感情は、あなただけにために」
のあ「あ、待ちなさいP」
モバP「お、なんか気になる点でもあったか?」
のあ「あー」
モバP「またそれか! やっぱりちょっとだけ素直な自分押さえてもらってもいいかな!?」
のあ「もう無理よ。私はあなたに遠慮しない。素直で、大切なこの感情を、あなたには受け止めてもらうわ。覚悟しなさいね」
モバP「いやー衝撃だった。確かにギャップはあったよ。いい意味で。でもあれは人前でやっちゃあかんやつや。変なファンがつく」
モバP「さ、次はどんなことしてやろうかなー。獲物はそろそろ……」
沙紀「あーやっと着いた! おはようございますー!」
モバP「お、お疲れ様。なんでそんな焦ってんだ?」
沙紀「え、だって言われた時間過ぎちゃったじゃないっすか。プロデューサーさん待たせたかなって」
沙紀「あれ? おかしいな……うわホントだ、30分間違えてる」
モバP「おまえなぁ。だからいつもメモとかちゃんと用意しろって言ってるじゃん」
沙紀「用意はしてるんですよ? でも気づいたらグラフィティで埋まっちゃって……あはは」
モバP「ったく。まぁある意味、沙紀らしいっちゃらしいか」
沙紀「そうそう! 私はアーティストだから、自分らしさ忘れちゃいけないって思ってるだけっすよ!」
モバP「失敗したこと棚に上げないの」
モバP「っと、そうだそうだ。実は、今度ライブをしたいと思っていてな。そこで沙紀に声をかけたんだ」
沙紀「……あー、そういうことか」
モバP「あれ? あんまり乗り気じゃないな」
沙紀「そういうわけじゃないっすけど。経費削減のために使われてるような気がして、ちょっとテンション下がったっす」
モバP「経費削減? なんの話?」
沙紀「え? ライブやるから、ロゴとか作れってことでしょ。確かにグラフィティならいくらでも作りますけど、一応私もレッスンとかやってるんだし、出演させて欲しかったなぁ」
沙紀「……?」
モバP「なんで首かしげるのよ」
沙紀「出演? アイドルとしてってことっすか?」
モバP「そう。大きいステージじゃないけど、君はその上に登る立場だよ」
沙紀「いやでも、私っすよ?」
モバP「そうだな。沙紀だな。だから出演して?」
沙紀「いいんですか?」
モバP「自分で言ったじゃん、レッスンしてるって。ちゃんとレッスンして、ちゃんとアイドルとして力をつけたから、アイドルとして出演して欲しいの。OK?」
沙紀「……おぉ、まじっすか」
沙紀「あぁ嬉しくないわけじゃないんです。なんというか、こう、実感が湧かなくて」
モバP「そういうもんか?」
沙紀「私、普段からグラフィティ作ってるじゃないっすか。あれは完成に近づいていくのが目に見えるけど、アイドルってなかなか完成が見えないから、自分の立ち位置とかわからなくて」
モバP「あー、つまり『自分がひとまえにでれるレベルである』って言う感覚が持てないと」
沙紀「そんな感じっすかねぇ。漠然としてるって言うか、イメージ湧かないっす」
沙紀「たぶん打ち合わせとか重ねていけば、だんだん自分のことって感じるようになるっすよ」
モバP「そうか。なら早速、ライブの概要を聞いてもらうか。説明するからこっちおいて」
モバP「(いたずらは説明の後にしよう。今したら沙紀のテンション下がっちゃうかもしれんしな)」
沙紀「はーい。お邪魔します」
モバP「じゃ、まずは予定している日程と場所なんだが--」
沙紀「はい、スケジュールとかセットリストとか、大体わかったっす」
モバP「さすがにまだ確定してないことばっか……というか俺の希望みたいなもんだし、いくらでも変わるだろうがな」
沙紀「それでも、今の私にできることをちゃんと決めてくれるのはありがたいっすよ!」
モバP「お、調子出てきたな。すこし実感わいてきたか?」
沙紀「会場の図面とか見せてもらったあたりから、だいぶイメージ出てきたっす。うん、早くしたい!」
モバP「よかった。なら、今日のところはこれで終わりだ。近いうちに参加者全体でもう一回認識合わせするから、また来てくれよ」
モバP「おいおい、さすがに気が早すぎるぞ。変な気を起こさないよう、今日はまっすぐ帰るんだ……」
モバP「(あ! なんかスムーズに帰す流れになっちゃったけど、いたずら完全に忘れてた!)」
沙紀「さすがにそこまで子供じゃないっすよ! ほんのちょっと浮かれてるだけっす」
モバP「ならいいんだがな。少しくらいならいいが、まだ寒いんだしあんまり寄り道とかするなよ」
モバP「(この流れで引き留めるのは強引すぎるか。仕方がない、ここは諦めるか)」
モバP「ん、どうした?」
沙紀「よし、がばっ!」
モバP「!?」
沙紀「へへ、選んでくれたプロデューサーさんに感謝のハグっす! 少しだけ許してくださいね」
モバP「ホントにお前は自由に生きてるなぁ」
沙紀「いいじゃないっすか。たまには甘えたいんすよ。もうちょっとだけ」
モバP「まぁいいけど。でも、少し不用心すぎるな。反撃だ!」
モバP「(ちょうどいい機会だ! わき腹をむにゅっと!)」
モバP「お前もアイドルなんだから、自分から近づいたらこうやって、格好の餌食になることちゃんと理解しろよな。反省するまでこのままだ!」
沙紀「ひゃう、や、やめてっすプロデューサーさん!」
モバP「だーめ。ちゃんともうしませんって言うまで続けるぞ!」
沙紀「……やめてって言ったのに続けたの、プロデューサーさんですからね」
モバP「え、何言って……っておわぁ!?」
モバP「(え、あれ、押し倒された!?)」
モバP「いや、あれは言葉の綾というか。って、先に近づいてきたの沙紀のほうだろ!」
沙紀「そうですよ。そして、それを引き剥がそうとせずにちょっかいかけてきたのはプロデューサーさんっす」
モバP「うぐ」
沙紀「舞い上がって、しかも自分から抱きついてくる女の子にちょっかいかけちゃだめっすよ。こうなっても文句言えない」
モバP「わかった、今度から気を付けるから! いったん離れろ!」
沙紀「んー。それは無理っすね」
モバP「え?」
沙紀「私が抱きつくだけなら我慢できたんす。でも、プロデューサーさん……Pさんはノッてきた。これってもう合意ですよね?」
沙紀「遅いっすよ。もうこの気持ちは簡単に収まらないっす」
モバP「おま!」
沙紀「大丈夫っすよ。Pさんはリラックスしてて。さ、まずはキーー」
ちひろ「事務所でオイタしてる悪い子はいねがー!」
沙紀「あ、ちひろさん。おはようございます」
ちひろ「さぁ沙紀ちゃん! ちょっとそこの悪い大人に説教するから離れてもらっていい!? 可及的! 速やかに!」
沙紀「……初めてはさすがに人前ではいやっすね。Pさん、今日はここまでで」
モバP「お、おう」
ちひろ「さぁPさん! 正義の魔法少女ちっひちゃんが成敗してやるわ! こっちに来なさい!」
モバP「ちょっと無理があるけど今は従います! じゃあな沙紀! また声かける!」
沙紀「へへ、次はもっと、ちゃんとしたことしましょう。それまで待っててくださいね。Pさん」
モバP「ちひろさんにめっちゃ怒られた。でも所々『私というものがありながら』とか『浮気すんな』とか、よくわからんこと言ってたな」
モバP「まぁ助けてくれたんだし、とりあえず頷いてたらわかってくれたみたいなので、良しとするか。さ、次は最後の子だな」
マキノ「プロデューサー、お疲れ様。待たせたわね」
モバP「いや、全然待ってないよ。むしろこっちこそ夕方に呼び出してごめんな」
マキノ「問題ないわ。午前中はほかの最近のトレンドや自分の市場的価値を調べていたから」
マキノ「エゴサーチ、とも言うらしいわね。もっとも、私が知りたいのはただの評価だけではないわ」
モバP「ほぅ、それは具体的には?」
マキノ「例えば私によい印象を持っている人たち……つまりファンの性別や年齢層、住んでいる地域、興味、仕事、発言数などね」
モバP「おぉ、それってどうやって調べるんだ?」
マキノ「この程度なら、自身のブログのアクセス履歴の解析方法を工夫すればそこまで難しいことじゃないわ」
モバP「マジか、マキノがブログをやっているのは知っていたが、そういう使い方してるんだな」
モバP「反応が反映されている? そんなことまでわかるのか?」
マキノ「さすがに履歴解析だけじゃ限界があるけどね。この前一緒にスイーツ食べに行ったじゃない?」
モバP「行ったな。チョコレートサンデーおいしかったわ」
マキノ「あれをブログに書いたのよ。そうしたら思いのほか反応が多くてね。だから、またお店に行ったの」
モバP「なるほど。そこでアクセス履歴の解析結果と、実際に行っている人に関連があるか調べてたのか」
マキノ「そういうことよ。ただ、さすがにすぐには影響がなかったみたい。あまり関連性は見られなかったわ」
マキノ「それでも、履歴解析だけで判断したら得られない情報だわ。ちゃんと現地を見に行くのは、大事なことね」
モバP「むしろ、なんでスイーツの話題が盛り上がったのかが不思議だ。男のファンがそんなに興味引く内容なのか?」
マキノ「そういう男性もいるんじゃないかしら。一人でお店に行くのは恥ずかしいけど、気にはなっているとか?」
モバP「それか、マキノが普通の女の子っぽいことしてるのに驚いたとかな」
マキノ「確かにそういう可能性もあるわね。自分でも理解しているけど、私は理屈っぽいから」
モバP「俺はそういうマキノも好きだぞ」
モバP「そういえば今更なんだけど、ブログの内容は見てもいいか? なんて書いてるのか気になるし」
マキノ「ふふ。本当はこういうの、プロデューサーが一度目を通す必要あるんじゃないの?」
モバP「たぶんそうなんだろうけど、まぁマキノなら大丈夫かなって。まゆとか加蓮、最近はりあむもか。あの辺は平気で爆弾落とす」
マキノ「その分やり取りが多いってことね。羨ましいわ、私もたまには思い切ったことしようかしら」
モバP「やめてくれ。これ以上仕事増やされたら死んでしまう」
マキノ「それは残念。はい、これがその記事よ」
モバP「どれどれ、タイトルは」
モバP「……マキノさん?」
マキノ「何かしら?」
モバP「なんで俺のことが書いてるの? しかも二人とか」
マキノ「事実じゃない」
モバP「うん、事実だけど、言わなくていいよね」
マキノ「何か問題?」
モバP「……。よし、本文見るのやめよう。でもコメントは見なきゃまずいよなぁ。どんな反応が来てるのか」
--まきのん、3回に2回はプロデューサーのこと書いてるな
--おいおい3回に2.9回くらいの間違いだろ
--プロデューサーのこと大好きすぎませんかねぇ?
--ファンとしてはプロデューサーとの恋路を応援する
--やさしいせかい
--プロデューサーと結婚するのはわた佐久間さんですよぉ!!
--プロデューサーにふさわしいのはずっと一緒だったわた渋谷さんがいいんじゃないかな
--おーい紅と蒼が乱入してるぞ
マキノ「! なぜかしら?」
モバP「なんでファンにそんなこと応援されなきゃならんのだ」
マキノ「あら、応援してもらえるのは良いことじゃない」
モバP「……あれ、もしかしてマキノ、コメント見てない?」
マキノ「全部は見れてないわね。最初のちょっとくらいよ」
マキノ「ん、何? ……!? ぷ、ぷろ、これ」
モバP「俺の言いたいことわかった?」
マキノ「う、うん、わかったわ。しばらくは自重する」
モバP「俺が確認……は、やめておくか。ちひろさんに見てもらえ」
マキノ「えぇ。さすがにこんなこと書かれてて、あ、あなたに見られるのはちょっと恥ずかしいわ」
モバP「おう。そうしてくれ」
マキノ「えぇ」
マキノ「……」
モバP「(まだ何もしてないのにちょっと変な空気になっちゃったぞ!? この流れではいたずらなんてできねぇ!)」
モバP「そ、そういえば、今日呼んだのは理由があってな!」
マキノ「そ、そうだったわね! 何かあったのかしら!?」
モバP「今日呼んだのは、ライブの出演をしてもらいたいからだ!」
マキノ「それはいいわね! じゃあ早速、詳しいことを聞かせて!」
モバP「まかせろ! 資料を用意してあるから読み合わせするぞ!」
モバP「(よし、何とか誤魔化せた! これでいったん落ち着こう!)」
マキノ「ーーこれで今決まっていることは大体終わりかしら」
モバP「そうだな。ほかの子からもいい返事もらえたからメンバーも確定。あとは調整しながらもっと具体的にしていくよ」
マキノ「よろしくね。……ふぅ、やっと落ち着いた」
モバP「今日のところはこれで終わりだ。そのうち全員集めてまた話をするから、そのつもりでいてくれ」
マキノ「えぇ。平日でも学校終わってからな問題ないわ」
モバP「ちゃんと保奈美とマキノの都合に合わせるよ。……二人ともまだ学生なんだよなぁ」
マキノ「保奈美さんほどではないと思うけど、それ、私もよく言われるわ」
マキノ「そうね。私は保奈美さんほど淑やかさはないと思う。女性らしいって感じではないわね」
モバP「否定はしないが、マキノの場合はかっこよさがあるからな。できる女性って感じだ」
マキノ「ふふ、ありがとう。今度のライブでも、そんな私を見せられるよう努力するわ」
モバP「(まぁそんなマキノだからこそ、ギャップを見てみたくなるんですけどね! いたずらしちゃうんですけどね!)」
マキノ「さて、帰らせてもらうわ。他メンバーがどんなイメージ持たれてるか、調査しておくわね」
モバP「お、マジか。助かるよ、ありがとう」
マキノ「期待してて。それじゃ、さようなら」
モバP「(そうやってこちらに背を向けて、油断したらダメじゃないか! お仕置きだ!)」
マキノ「ひゃぁぁぁぁぁぁん!♡♡」
モバP「……え?」
マキノ「な、何をするの……ん♡ そういういたずらはやめなさい、はぁ、はぁ♡」
モバP「(色っぽい声出して、潤んだ目で見つめてくる。睨んでるつもりかも知れんが……はっきり言って逆効果だぞ)」
モバP「あ、うん、すまなかった。よし、起こしてやるから捕まって。ちゃんとソファに座ろうな」
マキノ「ま、待って! 今は近づいたらダメよ! ちょ、やめ、あぁぁぁぁ♡」
モバP「ほら、ちゃんと近づかなきゃ危ないぞー? よいしょっと」
マキノ「はぁん♡ やめなさい、やめ、ダメ、あ、うぅん♡」
モバP「はーい、ソファ着いたぞ。ゆっくり座れ」
マキノ「え、えぇ、ゆっくり、ゆっくりよ。力はいらないから、そのままゆっくーー」
モバP「……マキノ、可愛いな」
マキノ「ーーあ、あぁぁぁぁぁぁ!♡♡」
モバP「(耳元で囁いただけなのに、また崩れた。って、しがみつきながら痙攣してるんだが……!?)」
マキノ「大丈夫な、ように、ひっ♡ 見える? 誰のせいで、うぁん♡ こうなったと」
モバP「すまん、ちょっと調子乗りすぎた! ごめん! ま、まずは横になろう。さ、手を離して」
マキノ「--ムリよ」
モバP「え?」
モバP「(肩で息しつつ、プルプルと震えながら俺のシャツを握りしめて、見上げてきた。もう睨んでるんじゃなく、むしろ熱っぽくてトロンとしてる)」
マキノ「はぁ、はぁ。このまま、一人で帰るなんて、できないわ。私を、家まで送りなさい」
マキノ「……そうよ」
モバP「待て。まだ仕事が残ってる」
マキノ「……そ。ならしょうがないわ。しょうがないから、このままここで」
責任、取りなさい。P
モバP「ちっひ!」
マキノ「な、ちひろさん!?」
ちひろ「マキノちゃん、それ以上は許しません! Pさんもなに流されそうになってるんですか!!!」
マキノ「ちひろさん、訂正してください! 先に手を出したのはプロデューサーよ。私が襲ったように言わないで!」
モバP「……あれ? あの、二人とも?」
マキノ「ファンの人たちは私を応援しているわ。このブログが証拠よ!」
ちひろ「さっきは恥ずかしがってたじゃない!」
マキノ「み、見てたの!?」
ちひろ「あ、やば」
モバP「おーい」
ちひろ「ええい、うるさいうるさーい! 事務所でそういうことしないでください! アシスタントとして止めさせてもらいます!」
マキノ「な! 何ですかそれ! 職権乱用ですよ!」
ちひろ「何とでも言ってください! とにかく事務所でそういうことしちゃダメ! Pさんもそれでいいですね!」
モバP「お、おう。雰囲気に飲まれちゃったけど、確かにそうだな」
モバP「い、いや、別にそんなつもりじゃなく!」
ちひろ「なに否定してるんですか! 事務所でそんなこと、わ、私以外の人にするつもりですか!」
モバP「するつもりはないよ!? どっちに対しても!」
マキノ「男ならバシッと決めなさい!」
モバP「なんで決めなきゃいけない流れ!?」
マキノ「プロデューサー!」
ちひろ「私と!
マキノ「それとも私!」
二人「どっちをとるの!?」
ちひろ「……」
マキノ「……」
モバP「……」
ちひろ「……?」
マキノ「あれ、P?」
モバP「……げる」
二人「え?」
ちひろ「あ、Pさん!」
モバP「すいませんちひろさん今日のところは早退します! また明日! マキノ、また声かけるから今度はみんなで会おうな!」
マキノ「ちょっとプロデューサー! 私は逃がさないわよ。次に会った時には絶対に責任取らせてやるから!」
モバP「みなさんおはようございます。Pです。プロデューサーをしてます。今日はなんと、私の企画したライブの出演者全体打ち合わせの日です」
ちひろ「誰に説明しているんですか? 甲斐性なしさん」
モバP「このように、あの時から毎日、アシスタントさんからの鋭い刃で傷つけられております。つらいです」
ちひろ「自業自得だと思いますよ、ろくでなしさん」
モバP「おかしい。ほんのちょっと出来心でいたずらしただけなのに。童心に帰ることも許されないのか」
ちひろ「へーPさんにとっては女の子とイチャイチャしてあわよくば大人の階段上ることが童心にかえることなんですか。さぞかしご立派な大人なんですね」
モバP「あーもう! ほんとすいません! 今後は気を付けますから!」
のあ「P。私にたい焼きを食べさせなさい。あー」
マキノ「……のあさん、近すぎない? まるでキスをねだっているように見えるのだけれど」
聖来「そ、そういうマキノちゃんだって腕組んでるじゃん! ダメだよ事務所でなんて!」
沙紀「固いこと言っちゃダメっすよー。すっぱ抜かれなきゃ何とかなりますってー」
保奈美「うふふ。それは沙紀さんが後ろから抱きついていることの言い訳にはならないわよ。うふふふふ」
モバP「……いや、これは俺が気を付けてもどうしようもならないかなぁって」
ちひろ「じゃあ気をつけさせてください! なんで私が見せつけられなきゃならないんですか! みんなPさんから離れなさい!」
沙紀「それそれ、そういうことっすー。距離が近いほど、きっとライブも成功しますって。以心伝心ってやつ」
のあ「そう。目を見つめ、肌でふれあい、相手の鼓動を感じる。言葉だけでは伝わらない想い、感情、熱。それらを直接聞くことが大切」
ちひろ「それはPさんとすることじゃなくメンバーのみんなとすることでしょ!?」
聖来「直接触れ合って想いを感じる!? そ、それって、近づけば近づくほど熱くなって、そのうち全身で……あわわわわ///」
保奈美「そう、私の中にPが入ってくるのね。あぁ、見えるわ。どんな素晴らしい舞台にも負けない感動の瞬間……!」
ちひろ「二人はもう自分の世界に入ってるし! ちょっとPさん! 早く何とかしてください!!」
モバP「ま、まぁまぁ。みんなそのうち飽きますって。っていうか、俺からいたずら仕掛けたから、今は抵抗しづらい立場で……」
沙紀「向かい合う? こうっすか?」
モバP「ちょ!」
聖来「あわわわわ////」
保奈美「うふふふふ////」
ちひろ「こらー! またがって座るなー!!」
ちひろ「ダメに決まってるでしょ!!!」
モバP「だそうだ。すまん、うちのアシスタントがさすがにかわいそうだから離れてくれ」
沙紀「はーい、了解っす」
ちひろ「はぁ、はぁ。どうしてこんなことに。やっぱりあの時、いたずらなんて許可しなければ!」
モバP「落ち着いてください。この子らも悪乗りしてるだけですよ」
ちひろ「誰のせいでこんな気持ちに……」
ちひろ「絶対ですからね? 散々こき使ってやりますから」
モバP「お手柔らかにお願いします。というか、俺でいいんですか? てっきりアイドルとか誘うのかと思ってました」
ちひろ「いえいえ、ちょっと男手が必要なんですよ。あ、一人でいいんで、気を利かせて友達呼ぶとかいりませんからね?」
モバP「そうですか。やっぱり何するかは当日まで教えてもらえないんですよね?」
ちひろ「ちょっとしたサプライズですよ♪ 具体的には当日教えますので、せいぜい精をつけてきてくださいね。大丈夫、Pさんは天井のシミを数えるだけで大丈夫ですから」
モバP「うーん、掃除かなんかだろうか? まぁいいや。期待に応えられるよう頑張りますよ」
ちひろ「(頑張ってもらうのは今後の二人の将来ですよ! 生涯賃金の半分くらいもらいますが、その分私も隣で支えていきますから!)」
モバP「なんかニヤニヤしてるなぁ。まぁいいか、さ、打ち合わせするぞー」
マキノ「あ、プロデューサー、ちょっと待ってもらえる?」
モバP「ん、どうした。なんか気になることでもあったか?」
マキノ「抜け駆けしようとしている素敵なアシスタントに、素敵なプレゼントをね」
モバP「え?」
マキノ「プロデューサーは気にしなくていいわ。ちひろさん、ちょっといいかしら?」
ちひろ「……マキノちゃん? どうかしましたか?」
ちひろ「マキノちゃん……ううん、こちらこそ大人げなかった。ごめんなさい。反省してる」
マキノ「ちひろさんが悪いわけじゃないわ。私がちょっと前後不覚だっただけ。だから、お詫びをしたいのよ。受け取ってくれる?」
ちひろ「そんな! 気にしないで!」
マキノ「そんなこと言わないで。一生懸命調べて、考えたのだから。どうすれば一番効果的な邪魔ができるかって」
ちひろ「そんなに考えてくれて……え? 待って? 今邪魔って言った?」
マキノ「もうすぐ到着すると思うわ。逃げきれたら認めてあげる。じゃ、打ち合わせに行ってくるわね」
ちひろ「ちょっと待って! なに? 何がどういう」
美優「おはようございます、ちひろさん」
まゆ「今日もいい天気ですねぇ。こんな平和な日がずっと続けばいいと思いませんかぁ?」
ちひろ「え、えぇ、そうね、ところで、今日はみんなどうして事務所に? 今日はおやすみだったはずじゃ」
加蓮「んー? 某所から諜報の結果、事務所に泥棒ネコがいるって通報が入ってね」
未央「これは一大事! と思って駆け付けたんだよ!」
杏「ちょっとめんどくさかったけどさ。そういうのは早いうちに芽を摘まなきゃっていけないからね」
ちひろ「そ、そうですかー。でもそんな悪い人は見当たらなかったし、楽しい話題にしましょ? ほら、みんな笑顔ー。ハイライト帰ってきてー」
心「いいこと言うねぇちひろちゃん。じゃ、スウィーティーな次のお休みの話するぞー☆」
茄子「偶然ですが、事務所の方がお忍びで温泉に行くって聞いたので、ぜひ一緒に行きたいなぁと思ったんですよ♪」
響子「たまにはみんなで、ゆっくり、じっくり、しっかり親睦を深めようって話になったんです!」
周子「まさか着いてこられちゃ都合が悪いなんてことはないと思うしね。あ、そうそう、ちひろさん」
ちひろ「は、はい」
「「「「「「「「「……抜け駆けは許さないから」」」」」」」」」
ちひろ「……私! ホントに! 踏んだり蹴ったりじゃないですかぁぁぁぁ!!」
終わってみればなぜかちっひがかわいそうなことに……ごめんち。謝るからガチャだけは大目に見て。
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ほんのちょっと想いが大きいだけのいい子たちだから、もっかい来てもらったよ。
モバP「家庭(に押しかけてくる)的アイドル」
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- しんのすけ「あと……どのくらい生きられるのかな?」
- 直葉「お兄ちゃんとの秘密のクリスマス」
コメント一覧 (23)
-
- 2019年02月25日 23:40
- 戦わなければ休めない…!
-
- 2019年02月26日 00:19
- いまさら
-
- 2019年02月26日 00:56
- 橘さんがいないようですが
-
- 2019年02月26日 01:55
- 書き手は満足だろうけど、きっとみんなは 蒼とか苺とか25歳児とか未婚の未亡人とか歩く性教育とかの方が読みたいやろな
途中で飽きたわ
-
- 2019年02月26日 03:07
- むしろよく見る面子よりもあんまり見ないキャスティングで見たいわ
-
- 2019年02月26日 03:13
- 珍しいメンツのイチャイチャが見れたから個人的には満足
しかし事務所はいつも火薬庫だな
-
- 2019年02月26日 03:39
- SSR聖來さんのお尻撫で回したい
-
- 2019年02月26日 05:56
- 最初のちひろとの会話長過ぎてダレる
-
- 2019年02月26日 05:59
- >>8
同じ事思ったわ
大した中身じゃないんだからさっさと本題に行けと
-
- 2019年02月26日 06:19
- 話自体はそんなに悪くはなかった
けど前作ほどじゃなかった
-
- 2019年02月26日 06:40
- お久し振りののあさん、やはりライトニングさんだったな
-
- 2019年02月26日 07:16
- 前作に比べて劣化してない?
同じ作者って書いてあって驚いたわ
-
- 2019年02月26日 09:50
- 正直あまり人気がないキャラでされてもねぇ
-
- 2019年02月26日 11:31
- >>13
屋上
-
- 2019年02月26日 11:16
- のあさんがひたすらに可愛くって、本当にクールだったか?この人w
-
- 2019年02月26日 12:06
- まだ声がついてないアイドルを重点的に推していくんだよ!あくして!
-
- 2019年02月26日 12:17
- 前作が素晴らしかっただけに
今回のちっひとのあにゃんの冗長さは残念
けど普段見かけないキャラを推していこうとする姿勢は良かった
-
- 2019年02月26日 12:48
- 前置き長すぎィ!
さっさと本編読みたかったからひたすら画面スクロールさせたわ
-
- 2019年02月26日 13:06
- のあさんがキャラ崩壊ってレベルじゃなく別人で残念
-
- 2019年02月26日 20:52
- 愛されてるなぁ
-
- 2019年02月28日 05:21
- ちょっと失礼な言い方をすると
マイナーキャラだと読者側でキャラをわかってない人が多いから
キャラ崩壊してても気づけないし、そもそもキャラに沿ってるのかすら判別できないんだよな
保奈美さんあたりはどの人だっけ?って顔浮かんでない人も多いと思う
個人的には沙紀の特徴とマイナーな事を逆手に取った話の入り方は好きだった
-
- 2019年03月04日 03:37
- ええやん
112で消えたちが121で回収されたの笑った
-
- 2019年07月01日 17:31
- 個人的にはギャグSSはキャラ崩壊してるもんだと思って読むからそこまでは気にならない
前作に比べてテンポ悪いよねって言われたら確かに
マイナーキャラはそれはそれで嬉しいからいい