課長「今日から入社したキートン山田君だ」キートン山田「よろしくなのである」

1:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 21:20:05.582 ID:Mb8/4zFc0

課長「えー、今日からしばらくの間、入社することになったキートン山田君だ」

キートン山田「よろしくなのである」

男「よろしく」

OL「はいはーい、よろしくー!」

後輩「よろしくお願いします!」

課長「キートン君、君の席はあちらということで」

キートン山田「分かったのである」



2:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 21:22:27.795 ID:Mb8/4zFc0

キートン山田「ここはどのような部署なのであろうか」

男「うちは食品メーカーなんだけど、ここは年寄り向けの健康食品なんかを扱うセクションでね」

キートン山田「友蔵を相手にするような部署か」

男「そそ、友蔵!」

男「ジジババは舌衰えてるからなに食ったって一緒だし、体にいい成分入れときゃ、喜んで買う!」

男「しかも同じもんが売れ続けるから、今ある商品をきっちり営業しときゃいい」

男「新しいこと考える必要はないし、難しいこともなーんもないから、ま、気楽にやってよ」



3:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 21:25:36.717 ID:Mb8/4zFc0

課長「えーと、そろそろ毎年恒例の社内コンペなんだけど……」

男「いつも通り、俺が適当になんか考えときますよ」

課長「そうかい……頼むよ」

キートン山田「社内コンペとはなんなのだろうか」

男「ん、ああ、年に一度行われる社内での企画発表会だよ」

男「社長のお眼鏡にかなえば企画した食品が商品化されるけど、ま、マジで取り組むもんじゃないさ」

男「どうせ、よその花形部署が優勝持っていっちゃうんだから」

男「たしか去年はこんにゃく詰め合わせた≪こんにゃくおせち≫を提案したっけ」

男「もちろんコンペではドベ! アッハッハ!」

キートン山田「そりゃそうだろう」



4:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 21:29:22.568 ID:Mb8/4zFc0

課長「じゃあ、部課長会議に行ってくるから……」


OL「フンフ~ン、キレイにならなくちゃ」ヌリヌリ…


後輩「……」フゥ…



キートン山田「なんとバラバラな部署であろうか」

男「でしょ? やっぱキートンさんもそう思う?」

男「なにせやりがいのない部署だから、みんなこうなっちゃうんだよねえ」



6:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 21:31:42.021 ID:Mb8/4zFc0

後輩「あ、あの……先輩」

男「ん?」

後輩「今度のコンペ、ボク、自分なりに企画を考えてみたんですけど……」

男「企画ゥ? 生意気にんなもん考えてるヒマあったら、ちゃんと仕事覚えろよ!」

後輩「す、すみません」

男「ったく、お前はいつも空回ってんだよ! 余計なことすんな!」

後輩「はい……」

男「あ、すみませんね、キートンさん。変なとこ見せちゃって」

キートン山田「別にかまわないのである」



7:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 21:36:12.838 ID:Mb8/4zFc0

昼休み――

後輩「……」

後輩「ハァ……」

キートン山田「まるで山根を見ているようだ」

後輩「! キ、キートンさん!」

キートン山田「私でよかったら、相談に乗るのである」

後輩「キートンさん……」

後輩「実は……」



8:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 21:39:16.373 ID:Mb8/4zFc0

後輩「ボク、会社を辞めようと思ってるんです……」

キートン山田「ほう」

後輩「うちの課は……みんなバラバラで……」

キートン山田「確かにそうだ」

後輩「先輩は仕事はできる人なんですけど、ボクのことなんかまるで眼中になくって」

後輩「やることなすこと、いつも否定されてばかりで……」

後輩「近頃はボク、なんのために会社にいるのかなぁ、と思うようになってきて……」

キートン山田「辞めるのであれば止めはしまい」

キートン山田「しかし、今のまま辞めたのでは、悔いが残るのではあるまいか」

後輩「え……」



9:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 21:43:13.731 ID:Mb8/4zFc0

キートン山田「たとえばの話だが、私は1990年からちびまる子ちゃんのナレーションを務めてきた」

キートン山田「当然、辛かったこともある」

キートン山田「しかし、それらを乗り越えたからこそ、今の私があると信じているのである」

キートン山田「継続は力なり、というではないか」

後輩「……!」

後輩「そうですね、キートンさん」

後輩「ちびまる子ちゃんのナレーションのようにズバッといわれると、なんだか心地いいです」

後輩「ボク、もうちょっとだけ頑張ってみます!」

キートン山田「その意気である」



10:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 21:45:05.075 ID:Mb8/4zFc0

後輩「よーし……」

後輩「今月はどの商品が売れてるかなっと……」

後輩「先輩、外回り行ってきます!」

男「おう」

後輩「ボク、もうめげたりしませんから!」タタタッ

男「なんだあいつ……?」

キートン山田「……」



11:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 21:48:46.902 ID:Mb8/4zFc0

OL「フンフ~ン」ヌリヌリ

キートン山田「また化粧か。ずいぶんと化粧好きな女なのである」

OL「な、なによ、いきなり!」

キートン山田「お前はなぜ化粧をするのだ」

OL「決まってるでしょ? キレイになっていい男を捕まえるためよ!」

キートン山田「残念ながら、それは不可能だろう」

OL「どうしてよ!」

キートン山田「今のお前は化粧のしすぎで、顔面の主張が激しくなりすぎている。まるでみぎわさんである」

OL「なんですってぇ!?」



12:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 21:51:37.211 ID:Mb8/4zFc0

キートン山田「しかし」

OL「!」

キートン山田「過剰な化粧をやめれば、とし子ちゃんくらいにはなれるのではなかろうか」

OL「そ、そうかしら……?」

OL「キートンさん、あなたおじさんのくせに口説くのがうまいのね」

キートン山田「年の功というやつだ」

OL「ちょっとお化粧を薄めにしてこよっと!」



14:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 21:54:27.958 ID:Mb8/4zFc0

OL「……どう?」

キートン山田「おお、城ヶ崎さんのようではないか」

OL「ホント!?」

キートン山田「だが、今のままではいい男を捕まえるのはやはり無理であろう」

OL「……どうして?」

キートン山田「私が考えるいい女というのは、仕事中に遊び呆ける女ではなく」

キートン山田「自分の責任をきっちり果たせる女だと思うからだ」

OL「!」ガーン



15:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 21:56:02.462 ID:Mb8/4zFc0

OL「……そうね」

OL「その通りだわ、キートンさん」

OL「あたし、今まで典型的な腰かけOLやってたけど……仕事にも本気で取り組んでみる!」

キートン山田「そうすればきっと素敵な男性が現れるであろう」



16:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 21:58:20.128 ID:Mb8/4zFc0

後輩「課長、この見積もりを見て下さい!」サッ

課長「うむ……」


OL「お電話ありがとうございます! はい、例のデータですね……」テキパキ



男「……?」

男(あいつら、急にやる気出してきたな。OLさんは厚化粧やめて、かえって美人になったし)

男(いったい何があったんだ?)

男「キートンさん……もしかして、何かやった?」

キートン山田「ご想像にお任せする」

男「ほら、やっぱり何かしたんだ!」



17:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 22:01:33.683 ID:Mb8/4zFc0

男「すごいな、キートンさん! 一体どんな手品を使ったんだよぉ~」

キートン山田「特別なことは何もしていない」

男「うちの課のガンだったあの二人を、あんな劇的ビフォーアフターするなんて!」

キートン山田「何をいうか」

男「え?」

キートン山田「ガンはお前であろうが」

男「――な、なんだと!?」



18:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 22:04:42.194 ID:Mb8/4zFc0

男「俺のどこがガンだってんだよ!?」

キートン山田「与えられた環境に不平不満を持ちつつも、自分からそれを変えようとはせず」

キートン山田「いつも周囲を見下し、傍観者を気取り、自分だけは違うという顔をし続ける」

キートン山田「なんとぐうたらで、卑怯で、根性の捻くれた男だろうか」

キートン山田「まさに、まる子と藤木と永沢の悪いところを寄せ集めたような男である」

男「好き放題いいやがって……!」

男「もう一回いってみろ!」

キートン山田「お前はまる子、藤木、永沢以下である」

男「ぐ、ぐぐっ……!」



19:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 22:06:02.724 ID:MLQf0ob/r

ボロクソwww



20:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 22:08:24.230 ID:Mb8/4zFc0

男「そうだよ、俺だって、俺だってっ……! 最初はっ……!」

男「この課に配属された当初は、あれこれ新しいことをやろうと努力したさ!」

男「だけど、結局どれも実らなくて、いつしか腐っちまったのさ……」

男「頑張ったって無駄じゃないかって……」

キートン山田「腐るにはまだ早いのではないか」

男「え……」

キートン山田「おそらく昔のお前は、自分の理想を叶えるには力不足だったのだろう」

キートン山田「しかし、社会人として経験を積んだ今のお前ならば、実現できるのではあるまいか」

男「……!」



21:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 22:10:36.588 ID:Mb8/4zFc0

男「俺に……できるかな?」

後輩「できますよ、先輩!」

OL「うんうん! あたしも協力する!」

男「……二人とも」

キートン山田「今のお前には仲間がいるではないか」

男「うん……」

男「よーし、この閉塞感ある部署に、俺たちで風穴あけてみるか!」



22:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 22:13:23.694 ID:Mb8/4zFc0

課内会議――

課長「今度の社内コンペに出す企画は出来たかね? 一応出さなきゃいけない決まりだから……」

男「課長、その件ですが、もっとじっくり企画を練りたいと思います」

課長「どうして?」

男「なぜなら今回の社内コンペ、本気で商品化を狙いに行くからです!」

課長「えっ!?」

後輩「ボクもやると決めました!」

OL「あたしも頑張ります!」

課長「……嬉しいよ。君たち、やっとやる気になってくれたんだね」

課長「君たちがそのつもりなら、私も上司として全力で君たちをサポートするよ!」

男「はいっ!」

キートン山田「後半へ続く」



25:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 22:19:13.639 ID:Mb8/4zFc0

男「今日は一日大した予定はない……」

男「いつもだったら、適当に雑務をして過ごすとこだけど」

男「外回りして爺さん婆さんに、どんな食品が欲しいか需要調査しに行こう!」

後輩「はいっ!」

男「本当ならネットで意見集めるのが手っ取り早いけど、爺さん婆さんはそんなの使えないし」

男「生の声を聞くってのが大事だからな!」

後輩「ええ、それにネットだと相手が何歳かも分かりませんしね」

キートン山田「ネット上では誰かが誰かを演じるなど日常茶飯事である」



26:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 22:22:31.904 ID:Mb8/4zFc0

男「あのー」

老人「なんだね?」

男「私、食品メーカーの者なんですが、ご意見をうかがってもよろしいですか?」

老人「どうせヒマだし、かまわんけど……」

男「なにかこういう食品欲しいなーって要望はございませんか?」

老人「んー、そうだなぁ……」

…………

……



27:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 22:25:23.109 ID:Mb8/4zFc0

一週間後――

男「ふぅ、だいぶ意見が集まったな」

後輩「ええ、なにか新商品のヒントになればいいんですけど……」

男「じゃあこれ、資料としてまとめてくれる?」

OL「はいはーい!」カタカタ

男「うおっ、はやっ!」

後輩「今まで気づかなかったけど、OLさんのアシスタント能力はすごいですね!」

男「そうか、この子も元々このくらいの能力は持ってる子だったんだ……」

キートン山田「まさに宝の持ち腐れである」

男「その通りですね、キートンさん!」



28:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 22:29:05.266 ID:Mb8/4zFc0

OL「出来たよー!」

男「おおっ!」

後輩「早い! しかも分かりやすい!」

キートン山田「さっそく見てみようではないか」

OL「意外と多いのが……“散歩しながら食べられるお菓子みたいな食べ物が欲しい”って意見ね」

男「ウォーキングが流行ってるっていうからなぁ」

男「一休みした時にウエハースみたいなのを食いたいって気持ちは分かる」

後輩「お年寄り向け携帯食ですか……いいかもしれませんね!」

男「うん、企画はこの方向性でいってみよう!」



29:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 22:31:39.217 ID:Mb8/4zFc0

会議――

男「というわけで、俺たちが考えたのは≪お年寄り向け携帯食≫です」

男「ヘルシーなのはもちろん、柔らかめにして、お年寄りでも食べやすいというのをコンセプトに……」

OL「いいセンいってると思う!」

課長「ふむ、悪くないね」

男(そう、悪くはない。悪くはないんだが、これで熾烈な社内コンペを勝ち抜けるかというと――)

キートン山田「パンチ不足なのである」

男「!」



30:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 22:34:26.696 ID:Mb8/4zFc0

キートン山田「たしかに爺さんや婆さん向けの携帯食というアイディアは面白い」

キートン山田「が、今のままでは社内コンペで社長の気を引けるかというと、厳しいであろう」

男「ええ、その通り」

男(さすがキートンさん、ズバッといってくれるぜ)

後輩「じゃあ、どうすれば? 味を刺激的にするとか?」

OL「バカ、そんなことしたら、お年寄りは買わないでしょ! あくまで健康食品なんだし!」

男「包装を派手にしても、かえってイメージ悪くなるだろうしなぁ……」

男「うーん……」



31:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 22:37:29.757 ID:Mb8/4zFc0

ワイワイ… ガヤガヤ…

男(もう二時間ぐらいやってるが、全然いいアイディアが出ない……)

課長「少し……休まないかね?」

男「そうですね、そうしましょう」

キートン山田「ではここらで、私が友蔵のように一句詠もうではないか」

後輩「一句?」

キートン山田「結論が 出ない会議も また楽し キートン心の俳句」

後輩「たしかに……こんなに白熱した会議は初めてですから!」

課長「お見事!」

OL「ていうか、それ川柳じゃない?」



男「――それだ!」



32:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 22:38:13.318 ID:VVpEFXCpr

すっかり仲間になってる



33:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 22:41:08.844 ID:Mb8/4zFc0

後輩「先輩?」

男「そう、俳句だよ!」

男「携帯食を俳句の短冊みたいな形にするんだよ!」

男「で、備えつけの黒蜜とかで俳句を書けるようにして、詠んだらそのまま食べられる的な!」

OL「……いいかも!」

課長「おおっ、面白いかもしれんね!」

後輩「キャッチコピーは『俳句を食べて、健康になろう』なんてのはどうでしょう?」

男「それいただき!」

男「よし、このアイディアを土台に、企画を練っていこう!」

キートン山田「まさか友蔵のおかげで突破口が開けるとは」

キートン山田「爺さんが聞いたら泣いて喜ぶであろう」



34:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 22:44:03.629 ID:Mb8/4zFc0

日数を重ね、アイディアは徐々にまとまっていき……

男「――できた!」

後輩「やりましたね!」

OL「間に合ったわねー」

課長「うむ、この企画書なら、他の部署とも渡り合えるよ!」

男「ええ……俺たちの意地、見せてやりましょう!」

キートン山田「はてさて、どうなることやら」



35:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 22:46:47.459 ID:Mb8/4zFc0

社内コンペ当日――

課長「それじゃ、行ってくるよ」

男「ふぅ~、こんなマジなプレゼンするの久々だから、緊張するなぁ」

後輩「先輩なら大丈夫ですよ!」

OL「肝心なところで噛まないでよね!」

キートン山田「当たって砕けてこい」

男「できれば砕けたくないですね、キートンさん……」



36:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 22:49:54.305 ID:Mb8/4zFc0

パチパチパチパチパチ…

進行役「では次の課、どうぞ!」

社長(この課は、いつも一夜漬けで考えたような雑な企画を挙げてくるだけ……)

社長(どうせ今回もそうだろうし、聞き流しておくか)


男「……コホン」

男「えー、我々がこのたび提案いたしますのは年配向けの、俳句を詠んで食べられる携帯食、です」

男「名づけて、≪おいしい俳句≫!」


社長「……ほう」ピクッ


…………

……



37:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 22:53:17.423 ID:Mb8/4zFc0

男「……」ザッ

OL「……どうだった!?」

後輩「どうでした?」

男「コンペ通ったよ! ≪おいしい俳句≫がマジで商品化される!」

OL「すごい!」

後輩「やったぁ!」

課長「君のプレゼンがよかったからだよ」

男「いや、俺が詰まった時の課長のフォローがなかったらどうなってたか……」

キートン山田「人間やればできるということである」



38:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 22:55:24.525 ID:Mb8/4zFc0

やがて――

男「いよいよ、≪おいしい俳句≫の発売日だな!」

後輩「売れるといいなぁ~」

OL「もし売れなかったら、あたしたちどうなるの?」

課長「かなり冒険した商品だから、売れない可能性も高いよねえ……」

後輩「本当にどうなっちゃうんでしょ……」

男「さすがにクビってことはないと思うけど……」

ドヨーン…

キートン山田「みんな揃って山根のような男どもだ」



41:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 22:58:40.764 ID:Mb8/4zFc0

しかし、皆の不安をよそに、≪おいしい俳句≫は大ヒットした。

“俳句を詠んで食べられる”というのが、年配だけでなく若者にも受け、
動画サイトには俳句を詠む若者たちの動画が相次いで投稿された。

それを受け、すぐさま若者向け≪おいしい俳句≫も作られることになるのであった。

まったく世の中なにが受け入れられるか分かったものではない。



誰にも相手にされていなかった社員たちが、ヒット商品を生み出したのである。



43:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 23:02:09.688 ID:Mb8/4zFc0

男「おい、聞いたか!? うちの課が社長賞もらえるんだってよ!」

後輩「本当ですか!?」

OL「やったーっ!」

課長「うちの課が社長賞だなんて、初めてのことだよ。みんな、よくやってくれた」

男「キートンさん、これもあなたのおかげだ!」

キートン山田「そんなことはない」

男「いや……あなたが来なきゃ、俺たちどうなってたか……」

男「これからも一緒にヒット商品を生み出していきましょう!」

キートン山田「残念ながら、それはできないのである」

男「……え?」



44:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 23:05:59.380 ID:Mb8/4zFc0

キートン山田「元々私は本業の糧になるかと思い、無理をいってこの社に入社していたのだ」

キートン山田「まもなく去らねばならない」

男「そうだったんですか……」

キートン山田「しかし、君たちならもう大丈夫である」

キートン山田「これからも、仲間たちと年寄りのために素敵な商品を作り続けて欲しいものだ」

男「……はい!」

後輩「ボクも先輩に続きます!」

OL「あたし、キートンさんみたいな素敵な男性と知り合えるよう、頑張る!」

課長「本当にありがとうございました」

キートン山田「では、さようならである」

男「さよなら……キートンさん!」


…………

……



45:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 23:09:15.379 ID:Mb8/4zFc0

それから――

編集者「貴重なお話を、どうもありがとうございました」

男「面白い本にして下さいね」

編集者「ええ、≪おいしい俳句≫誕生秘話! これは絶対ヒットしますよ!」

男「アハハ……だといいんですけど」

男(さてと……今日はもう帰るか)



46:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 23:12:07.414 ID:Mb8/4zFc0

スタスタ…

男「……!」

男「……あ」

キートン山田「あ」

男「お久しぶりです、キートンさん! 俺です!」

キートン山田「久しぶりである」

男「もしかして、ちびまる子ちゃんの収録の帰りですか? ちょっと飲んでいきません?」

キートン山田「かまわないのである」



47:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/02/18(月) 23:15:55.528 ID:Mb8/4zFc0

キートン山田「ほう、本が出版されることになったのか」

男「ええ、≪おいしい俳句≫の開発エピソードを、大手出版社さんがぜひ本にしたいって……」

男「……って、これで売れなかったら、大恥ですけどね。アハハハ……」

キートン山田「大丈夫、必ず売れるのである」

男「どうして?」

キートン山田「なぜなら――」

キートン山田「重版へ続く」






おわり



元スレ
課長「今日から入社したキートン山田君だ」キートン山田「よろしくなのである」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1550492405/
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         コメント一覧 (11)

          • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年02月19日 01:22
          • キートン山田と言えばもはやまる子のナレーションか
            ニヒルでクールな役ばかりやってたからなんて誰も知らんのだろうな
          • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年02月19日 01:35
          • マスターキートン版も書いてみてくりゃれwww
          • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年02月19日 01:47
          • ↑くっさ
          • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年02月19日 05:21
          • マスターキートンかと思ったら違った、ちびまる子ちゃんの人か
          • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年02月19日 10:53
          • キートン山田「フッ……俺ァボインちゃんが好みでね」
          • 6. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年02月19日 19:20
          • キャゼルヌ先輩要素は?
          • 7. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年02月19日 22:33
          • ナレーションのイメージが強すぎて他に何の役やってたのか全く知らない…
          • 8. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年02月20日 00:05
          • 全部あの声で再生される
          • 9. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年02月20日 08:00
          • キャゼルヌ先輩要素は?
            先輩なら、一流企業に勤めるだろ

          • 10. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2019年02月28日 23:03
          • マスターキートンの次回予告もキートンだったね
            スパロボ世代だから神隼人のがでてくるけど。
          • 11. 138 indo
          • 2020年03月14日 17:53
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