不良「今日こそ決着つけてやるぜ!」ヤンキー女「かかってきやがれ!」
- 2019年02月05日 00:10
- SS、神話・民話・不思議な話
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ワーワー… ワーワー…
不良「クソ女が……今日こそ決着つけてやるぜ!」
ヤンキー女「かかってきやがれ!」
友人「やっちまえーっ!」
茶髪娘「負けないで下さい!」
不良「うおおおおおおおおおおおっ!!!」ダッ
ヤンキー女「でやあああああああああっ!!!」ダッ
バキッ!
ヤンキー女「ぐっ!」
ヤンキー女「もらった!」ガシッ
不良「う、腕がっ……!」ミシミシ
ババッ
不良「相変わらず、妙な技使いやがって……!」
ヤンキー女「アタシは柔術と合気道やってるからな」
不良「女のくせに、んなもんやってんじゃねーよ!」
ヤンキー女「ああ? るっせえよコラァ!」
不良「続きだコラァ!」
ヤンキー女「あんだけ投げたのにしぶとい野郎だ……」
不良「お前ら、今日はもう行くぞ!」
友人「おう!」
手下「へい!」
ヤンキー女「アタシらも今日は行くよ!」
茶髪娘「はいっ!」
金髪娘「はいっ!」
不良(おっ、このグラビアアイドル、俺の好きな子だ!)ペラ…
不良(うーん、だけど露出多すぎるなー。俺としてはもっとこう清楚な格好のが好みなのに……)
不良「……ん?」
ナンパ男「ねーねー、ちょっと付き合ってよー」
令嬢「や、やめて下さいっ……!」
不良「……ちっ」
ナンパ男「なんだよ?」
令嬢「あ……!」
不良「その子、嫌がってるじゃねえか。やめてやれよ」ジロッ
ナンパ男「う……わ、分かったよ……」
不良「大丈夫かい?」
令嬢「はい、ありがとうございます」
不良「…………」
不良(なんておしとやかな女の子なんだ……惚れた!)
友人「そんなに可愛かったのか?」
不良「ああ、一目で惚れちまった」
不良「白とピンクでヒラヒラしたのがついた制服だったんだが、どこの学校か分かるか?」
友人「そりゃ多分……≪聖セレブ女学院≫の女の子だな」
不良「聖セレブ女学院?」
友人「通称≪セレ女≫、典型的なお嬢様学校だよ。俺らとは住む世界が違いすぎるぜ」
友人「たとえるならあっちがチワワとすると……お前はブルドッグだな」
友人「今のお前じゃ、付き合うどころか、近寄っただけでも通報もんだぜ」
不良「だとすると、仲良くなるには変装するしかねえってことか……」
眼鏡「どうよ?」
友人「ぷっ、ギャハハハハハハッ! すげえ! 全然分からん!」
手下「アハハハハハハハッ! 東大入れちゃいそう!」
眼鏡「そうか?」
友人「ギャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!」
手下「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!」
眼鏡「笑いすぎだ!」
ガッ! ゴッ!
友人「ぎゃっ!」
手下「うごっ!」
眼鏡「だが……自信ついたぜ。この格好でなら、あの子と友達になれる!」
眼鏡「…………」ドキドキ
令嬢「…………」スッ
眼鏡(あっ、出てきた!)
眼鏡(って、どう話しかけりゃいいんだ? ヤバイ、なんも考えてなかった!)
眼鏡(変装してるから、こないだナンパから助けた者ですっていうわけにはいかないし……)
眼鏡(ええい、当たって砕けろよ!)ダッ
令嬢「きゃっ!」
眼鏡「すみません、大丈夫ですか!」
眼鏡(しまった、ホントに当たっちゃった!)
令嬢「ええ、平気です」
眼鏡「あのう……よろしければ、お詫びにお茶でもご馳走いたしますが」
令嬢「では、お言葉に甘えて」
眼鏡「えっ、いいの!? ……いいのですか!?」
令嬢「はい、殿方とおしゃべりする練習を是非してみたかったですし」
眼鏡(今時“殿方”って……可愛い!)
眼鏡「……へえ~、武術やってるんだ」
令嬢「ええ、柔術や合気道をたしなんでおります」
眼鏡「素晴らしい! 今時の女性は逞しくないとね!」
令嬢「ですが、この間はそのことを話した殿方に“女のくせに”などと言われてしまって……」
眼鏡「! ……ゆ、許せない! そんな男女差別をする奴は、僕が殴……法的に罰してやる!」
令嬢「そんなことしてもらわなくても……でも嬉しいです」
プルルルル…
眼鏡(なんだ、いいところで)ピッ
眼鏡「はい、もしもし」
友人『あのさ、いつもの女どものグループとよー、ゲーセンでカチ合っちまって一触即発なんだ……』
友人『ちょっと来てくんねーか?』
眼鏡(また、あいつらか……)
眼鏡「ごめん! 僕、用事ができて行かなきゃならなくなっちゃった!」
令嬢「私もです!」
眼鏡「それじゃまた!」
令嬢「ええ!」
不良「わりい、遅れた」
友人「すまねえな、わざわざ来てもらっちゃって」
手下「あざっす!」
茶髪娘「こっちもヤンキー女さんが来てくれたよ! お前ら覚悟しなァ!」
ヤンキー女「すまないね、遅れてしまった」
不良「よーし……今日こそ決着つけてやるぜ、クソ女! 表出ろやァ!」
ヤンキー女「ふん、ボコボコにして、UFOキャッチャーのぬいぐるみと一緒に並べてやるよ!」
眼鏡「やぁ、昨日は途中で帰っちゃってごめんね!」
令嬢「いえ、こちらこそ……またお会いできて嬉しいです」
眼鏡「……あれ?」
眼鏡「君、ちょっとケガしてない?」
令嬢「これは……ええと、武術のお稽古中にケガをしてしまって」
眼鏡「だ、大丈夫かい?」
令嬢「ええ、これぐらいへっちゃらです!」
眼鏡「よかった……だけど、あまり無理しちゃダメだよ」
眼鏡「これ? えぇっと……あ、勉強のしすぎで」
令嬢「ええっ、勉強のしすぎ!?」
眼鏡「う、うん……。勉強もやりすぎるとケガしちゃうんだ」
令嬢「きっと難しい大学を目指してらっしゃるのね」
眼鏡「まぁね……」
眼鏡(ホントは大学どころか進級もヤベーんだけどな)
眼鏡「今日は二人ともケガしてるし、ドラッグストアにでも寄ろうか」
令嬢「はいっ」
―学校―
不良「っつうわけで、あれから何度もデートを重ねて、彼女もう俺にメロメロよ」
友人「へぇ~、やるじゃん」
手下「セレ女と付き合えるなんてマジ羨ましいっす!」
不良「で、今日もデートなんだ。今日はいよいよあの子に告白するぜ!」
友人「頑張れよ!」
手下「応援してますから!」
友人「ん?」
手下「隣町の連中からケンカふっかけられた件、どうします?」
友人「あいつ、今それどころじゃないだろ……セレ女と付き合えるかどうかって時なんだから」
友人「それに隣町の連中なんざ俺らだけで十分よ」
手下「そうですね!」
不良「どうした、お前ら?」
友人「いや、なんでもない。デート頑張れよ!」
眼鏡「…………」ソワソワ
令嬢「……さっきからそわそわして、どうしました?」
眼鏡「あ、いや、相対性理論について考えてたんだ。なぜ、理論は相対するんだろう、ってね」
令嬢「まぁっ、ステキ! 流石ですわ!」
眼鏡(って、俺は何いってんだ。さっさと告白しねえと!)
眼鏡「あ、あの……」
令嬢「はい」
眼鏡「よかったら僕と付き合って下さい!」
令嬢「!」
令嬢「…………」
眼鏡(頼むっ!)
令嬢「私もあなたのこと、とても魅力的に感じております。知的で、真面目で、優しくて……」
令嬢「それでいて、心の奥底にどこか野性味を秘めていて……」
眼鏡(やった!)
令嬢「ですが……ごめんなさい」
眼鏡「え」
令嬢「私、他に好きな殿方がいるので……」
眼鏡(なんてこった……)
眼鏡(そいつを捜し出して死ぬほどボコボコにしたい……だけどこらえるんだ、俺!)
眼鏡「そ、そっか……なら、しょうがないね」
令嬢「本当に申し訳ありません……!」
眼鏡「いや、謝る必要なんてないよ!」
眼鏡「さあ、引き続きデートを楽しもう! アハハ……」
令嬢「はい……」
眼鏡(つっても、お互い気まずすぎてこれがラストデート確定だけどなぁ……)ガクッ
眼鏡(適当に歩いてたら、いつもの土手に着いてしまった……)
眼鏡「ちょっと土手でおしゃべりしない?」
令嬢「そうですね」
ドカッ… バキッ… ガッ… ガンッ…
眼鏡「ん?」
眼鏡(なんだ、このとても親しみのある音は……)
友人「ぐ……ちくしょう……!」
手下「あうう……」
茶髪娘「い、いだい……」
金髪娘「うう……」
隣町DQN「大男さんは本格的に格闘技やってんだ! お前らなんかが敵うわけねーだろ!」
大男「これでこの町は俺たちのもんだ。明日からはお前ら、俺に従え!」
友人「誰が、お前らなんかに……」
大男「あぁん!?」ドカッ
友人「ぐあっ……!」
眼鏡(あれは隣町の連中だな。喧嘩ふっかけられたから、いつもの女どもと組んで迎え撃ったのか!)
眼鏡(なんで俺に相談しねえんだよ……!)ハッ
眼鏡(そうか、俺にはデートがあるから……!)
眼鏡(どうしよう、助太刀したいけど……)チラッ
令嬢「…………」
眼鏡(せっかく最後のデートしてるのに、この子の前で喧嘩するわけには……)
大男「泣き入れるまで蹴り続けてやる!」ドカッドカッ
友人「ぐはっ! ぐえっ……!」
眼鏡(たとえ惚れた女の前だろうと、ダチ見捨てるなんて男じゃねえ!)
眼鏡(あのデカブツ、俺がブッ倒してやる!)
眼鏡「うおおおおおおおっ!!!」タタタタタッ
令嬢「でやああああああっ!!!」タタタタタッ
眼鏡「えっ!?」
令嬢「えっ!?」
眼鏡(今の聞き覚えのあるドスのきいた叫び声……)
眼鏡(このお嬢様の正体ってまさか……まさか……!?)
眼鏡(いや、今はどうでもいい! あいつら助太刀するのが先だ!)
令嬢「アタシの仲間によくも手ェ上げてくれたね!」
大男「なんだ、お前ら?」
友人「お、お前……! なんで……!? デートは……!? てか、セレ女の人もいるし……」
眼鏡「さっきこの町は俺たちのもんとかいってたよな」
大男「それがどうした?」
眼鏡「残念だが、それは俺たちを倒してからだ!」
大男「ガハハ、笑わせんな! お前みたいなガリ勉野郎に何ができ――」
眼鏡「おりゃあ!」シュッ
バキィッ!
大男「ぐっ!?」
大男「なるほど……今までの奴らよりはできるじゃねーか」ニヤッ
大男「どりゃあっ!」バキッ
眼鏡「ぐはっ……!」
令嬢「腕を取って――」ガシッ
大男「うおっ!?」ミシミシ…
大男「うおりゃあああああああっ!!!」ブオンッ
令嬢「きゃあっ!」ドザッ
令嬢「力だけで……! アタシの技を……!」
大男「だが、俺の前じゃしょせんシロウトよ! まとめて血祭りに上げてやんよォ!」
眼鏡「ちっ……!」
令嬢「技が通用しない……!」
眼鏡「こんな奴がいたなんてな……俺らもまだまだ井の中のアヒルだったな」
令嬢「カエルだよ、バカ」
眼鏡「ぐっ……!」
令嬢「だけど、あんたのいうとおり、一対一でやり合える相手じゃないね」
眼鏡「しかたねえ……組むか」
令嬢「ああ」
大男「なにコソコソ話してやがる? なにやったって無駄なんだよォ!」
大男「へっ、俺と殴り合うつもりかよ!?」
バキッ! ガッ! ドカッ! ゴッ!
眼鏡「ぐはぁ……っ!」ヨロッ…
大男「バカが! まずはてめえからトドメだ!」
ガシッ
大男「!?」
令嬢「ふふ……掴んだよ」
大男「うおおおお!?」グルンッ
大男(なら、受け身を取って――)
眼鏡「うおっしゃあ!」
大男(え)
眼鏡(投げられてるコイツの顔面に……ヒザをブチ込む!)
大男(ちょっ――)
グシャアッ!!!
大男「ぶはぁぁぁ……っ!」
友人「や、やった!」
手下「すげえ、あのバケモンを倒した!」
隣町DQN「ひっ、大男さんがやられるなんて……」
隣町DQN「ちくしょ~~~~~!!!」タタタタタッ
眼鏡「イェーイ!」
令嬢「イェーイ!」
パシッ
眼鏡「――――!」ハッ
令嬢「――――!」ハッ
二人「ふんっ!」
令嬢「こっちこそ……ビックリだよ」
眼鏡「なんでお嬢様のフリなんかしてたんだ? セレ女の制服までパクって……」
令嬢「フリじゃねーしパクってねーよ! アタシはお嬢様だ!」
眼鏡「え、そうなの? にしても、なんでこんなことを……」
令嬢「昔、窮屈なお嬢様生活にうんざりしてた時、たまたまあの二人と出会って……」
茶髪娘「アハハ……」
金髪娘「えへへ……」
令嬢「時々一緒に遊んでもらってたんだよ」
眼鏡「そういうことだったのか……」
令嬢「なに?」
眼鏡「さっき俺はフラれたわけだけど、お前が好きな殿方っていったい誰だよ!?」
令嬢「…………」
眼鏡「いえないか。まぁ、無理にいわなくても――」
令嬢「……だよ!」
眼鏡「?」
令嬢「――あんただよッ!!!」
眼鏡「な、なにィ!?」
令嬢「あんたと何度もやり合ってるうちに、惚れちまったんだよ!」
眼鏡「俺は俺のせいでフラれたのか……!」
眼鏡「返事?」
令嬢「アタシと付き合うのか!? それとも付き合わないのか!?」
眼鏡「えっ、あっ、はいっ! オッケーです!」
令嬢「じゃあ……今後ともよろしく」
友人「おいおいマジかよー!」
手下「ライバル同士が交際っすかー!」
茶髪娘「いいもん見れたねえ!」
金髪娘「うんうん、お幸せに!」
ヒューヒューッ ピーピーッ
友人「お前ら見た通行人が、面白がってツイッターとかに載せる可能性がある」
眼鏡「ぐ……たしかに……」
令嬢「別にいいんじゃ?」
眼鏡「いや、まずいだろ! 知らない誰かにオモチャにされるなんてまっぴらだ!」
眼鏡「しかたねえ……もうしばらくは俺、デートする時はこの格好でいるしかなさそうだな」
令嬢「よろしくお願いしますね、私の愛する殿方」
眼鏡「や、やめろ、気持ちわりィ!」
令嬢「なんだと!?」
友人「いきなりケンカしてんじゃねーよ」
アハハハハハ… ハハハハハ…
……
眼鏡「最近さ、この格好するようになったからか分からないけど」
眼鏡「俺もマジで勉強するようになってさ。ヤバかった進級も何とかなりそうだよ」
令嬢「それはよかったですね」
眼鏡「ああ……見た目から入るってのも結構大事なのかもな」
眼鏡「そのうち、こんな格好しなくてもお前と堂々とデートできるようになってみせるよ」
令嬢「ふふっ、頑張って下さいませ」
眼鏡「ただ……最近、体がなまってしょうがねえんだ。ちょっと相手してくれねえか?」
令嬢「分かりました、いいですよ」
眼鏡「よっしゃ、じゃあ着替えてくる!」
令嬢「私も動きやすい格好に着替えて参ります」
ザッ… ザッ…
不良「恋人同士だからって、手加減はナシだからな?」
ヤンキー女「ああ、ブン投げて、関節極めてやるよ」
不良「今日こそ決着つけてやるぜ!」
ヤンキー女「かかってきやがれ!」
―おわり―
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