的場梨沙「アツアツおでんのユーワク」二宮飛鳥「甘いココアを添えて」
梨沙「……寒い」
飛鳥「寒いね」
梨沙「ここ、事務所の中よね? なんでこんなに寒いの? 暖房ついてないの?」
飛鳥「ついているけど、効きが悪いから。部屋の広さに対してエアコンが小さいんだ」
梨沙「さむい……いや、ホントにさむっ!」
飛鳥「寒いね」
梨沙「こんなに寒いのに、なんでアンタそんな冷静なのよ」
飛鳥「周りが冷えると、頭も冷えるものさ」
梨沙「クールねー……」
飛鳥「ココアでも飲むかい? 身体が芯から温まるよ」
梨沙「ココア……飲む! あったかそう!」
飛鳥「理解った。淹れてくるから、少し待っていてくれ」
梨沙「ありがと!」
梨沙「なんか慣れてるわね」
飛鳥「ついさっき、キミが来る前に自分で淹れて飲んだからね」
梨沙「ふーん……って、ちょっと待って。じゃあアンタがさっきからミョーに余裕あるのって」
飛鳥「身体の芯から温まると言っただろう?」
梨沙「なるほどね。そりゃ冷静なわけだわ……」
飛鳥「世の中、見えるものばかりが全てじゃないということさ」
梨沙「ココア飲んでるだけでミステリアスなフンイキ出すのやめなさいよ」
飛鳥「フッ、別に何かを意識したわけじゃないけどね。……ほら、おまたせ」
梨沙「ありがとう……わー、もう見た目だけであったかいわ。湯気出てるし」
飛鳥「ゆっくり味わうといい」
梨沙「カップ触るともっとあったかーい」サワサワ
飛鳥「急いで飲んで火傷しないように……と言いかけたけど、その様子なら心配なさそうだ」
梨沙「ふーっ、ふーっ……なんか、せっかく温めてくれてるのに冷ますのももったいない気がするわね」
飛鳥「ジレンマだね」
梨沙「ふーっ。もう飲めるかな……」チロ
梨沙「………」
梨沙「ふーーーっ」
飛鳥「くすっ」
梨沙「なに笑ってんのよ!」
飛鳥「あぁ、すまない。可愛らしくてつい」
梨沙「飛鳥だって熱いの苦手なクセに」
飛鳥「まあ、否定はしないが……それにしても、今日は一段と暖房の効きが悪いな。心なしか風がいっこうに温まらないような」
梨沙「壊れちゃったんじゃないの?」
飛鳥「最近妙な音がするとは思っていたが、いよいよ限界かもしれないな」
P「おはようございます」
心「おっはよー☆ あぁ~やっと暖かい空気に触れられ……って、さむっ! なんで!?」
梨沙「おはようございます。エアコンが壊れてるのよ」
飛鳥「確定ではないけどね」
P「本当か? どれどれ」
心「さ、さむい……風がないだけ外よりマシだけど、さむい……」
梨沙「なんかすごい震えてるけど大丈夫?」
飛鳥「扉をくぐれば暖かい空間が待っていると信じていたんだ。その期待が裏切られた結果、身体以上に心に深い傷を負っているんだろう」
梨沙「なるほど」
心「ふたりとも、こんなに寒いのになんでそこまで冷静なの?」
梨沙「あったかいココア飲んだし」
心「あっずるーい! はぁともココアのもーっと♪」
飛鳥「元気になった」
心「プロデューサーも飲むでしょ? 飲むよね? はいじゃあふたつ淹れるね☆」
P「俺返事してませんけど」
心「どうせ飲むんだから一緒一緒☆」
飛鳥「キミもそう思うかい」
P「何度か修理して騙し騙し使ってきたけど、今度こそ限界っぽい。事務の人に頼んで、新しいのに替えてもらうよ」
梨沙「それはいいけど、新しいの来るまではずっと寒いまま? そのうち誰か風邪ひいちゃうわよ」
P「たぶん余ってるストーブとかあるはずだから、ちひろさんに聞いてみよう」
心「んじゃ、それが来るまではあったかーいココアで我慢だな☆ へいお待ち♪」
P「ありがとうございます」
心「ふーふーしてあげよっか?」
P「いや大丈夫です」
心「もう、ノリ悪いぞプロデューサー! スウィーティーなシチュエーションにならないじゃーん」
P「ココアだけで十分スウィーティーなので」
心「それはつまり、はぁとに淹れてもらった愛情たっぷりココアだけで十分スウィーティーってこと?」キラキラ
P「じゃあそれで」
心「しょっぱ! ココア飲んでるのにしょっぱ! コーヒーブラック派は心までブラックなのー?」
梨沙「いつものオトメ漫才が始まっちゃったわね」
飛鳥「夫婦(めおと)漫才、だね」
梨沙「ていうか、そろそろ準備しないと撮影に遅れそうじゃない?」
飛鳥「おっと、もうそんな時間か。朝の穏やかなひとときはあっという間に過ぎてしまうな」
P「のわっ! ちょっといきなり何するんですか!」
心「つめたーいプロデューサーにはつめたーい手がお似合いでしょ~?」スリスリ
P「ちょっ、ほんとにくすぐったいんでやめて」
心「ふーーっ♪」
P「!?」ビクン
心「ココアふーふーさせてくれないから、耳ふーふーしちゃうぞ☆」
P「くっ、なんて仕返しのやり方を……」
心「あれぇ? プロデューサー、こんなに寒いのに顔真っ赤だよ~? どしたの~~??」
梨沙「………穏やか?」
飛鳥「訂正しよう。キミとふたりきりの間は穏やかだった」
飛鳥「見ているこっちまでアツくなってきてしまうな……」
梨沙「あ、アタシはパパ一筋だし女の子同士でそういうのするシュミないわよ?」ズザッ
飛鳥「何を想像しているんだ、おマセさんめ」
数時間後
ディレクター「お疲れさまでした!」
梨沙「お疲れさまでした!」
飛鳥「お疲れ様です」
心「また機会があったらどんどん撮っちゃってくださいねー☆」
心「いや外さっむ! え、朝より寒くない?」
梨沙「息真っ白よ、ほら」
飛鳥「手袋越しでも空気が冷たいな……手が冷えてしまう」
梨沙「これで事務所に戻ってストーブ置いてなかったらどうしよう……ホントに風邪ひいちゃうかも」
心「またあったかいもので寒さをしのぐしかないんじゃない? ほら、ちょうどそこにコンビニあるし♪」
飛鳥「コンビニか……少し寄り道して、暖をとりつつ熱を補給するとしようか」
梨沙「さんせーい」
心「ここのチョコミントアイスおいしいんだよねー」
梨沙「いの一番に冷たいもの選びにいってどうするのよ!」
心「てへぺろ☆」
飛鳥「やはりここはホットフードか。肉まん、ピザまん、カレーまん……」
梨沙「んー、辛いと余計熱くなるし、ここはカレーまんとか?」
心「ちっちっちっ☆ 若いなぁ、ふたりとも」
心「笑っちゃうほどスウィーティーだぞ☆」
梨沙「カレーまんだから辛いわよ?」
飛鳥(暗に自分が若くないことを自白していないか……?)
心「身体の芯から温まる食べ物といえば! そう! 汁まで味わえるアレに決まってるっしょ☆」
梨沙「あれって……あっ、おでんね!」
心「イグザクトリィ☆」
飛鳥「確かに、コンビニにあるものなら最も適しているかもしれないな」
心「てことで、みんなでおでん買っちゃお♪」
飛鳥「大根、はんぺん、たまごにたけのこ、しらたき、がんもにさつま揚げ」
店員「以上でよろしいっすかー」
飛鳥「あぁ……いや、ひとつ大事なものを忘れていた」
飛鳥「こんにゃくを、ひとつ」ビシッ
心「なんでこんにゃく頼むだけでサマになってるのあの子?」
梨沙「飛鳥って、割と何やってもカッコいい感じになるわよね」
心「たぶん飛鳥ちゃんならおでんの串を武器にしててもカッコいいと思う」
梨沙「おでん剣?」
心「おでんソード」
飛鳥「会計、終わったよ」
心「よし♪ 冷めないうちに事務所に戻るぞー☆」
梨沙「外で食べるとそれはそれで寒いしねー」
飛鳥「あぁ、理解った。が、その前にひとつ」
心「なに?」
飛鳥「名前はオーディンソードでどうだろう」
梨沙「おでんが名乗っていいカッコよさじゃないでしょそれ」
P「諸々の事情があって、この部屋にストーブが設置されるのは夕方になりそうだ」
梨沙「おでん買っといてよかったわね」
心「転ばぬ先の杖作戦、大成功☆」
飛鳥「おでんを買ってきたんだ。キミもどう?」
P「いいのか?」
飛鳥「もともと多めに買ってきていたんだ。問題ないさ」
P「なら、いただくよ。ありがとう」
飛鳥「お礼なら心さんに言ってくれ。彼女の奢りだから」
P「心さん、ごちそうさまです」
心「えっ? いやいや、別にたいしたことじゃないし。コンビニのおでんだよ?」
梨沙(こういう時は恩を売ったりとかしないのよね、ハートさんって)
P「スーツって見た目より防寒性能ないんですよね。存分に暖めさせてもらいます」
心「おでんだけじゃなくて、はぁとでも暖まっていいんだぞ?」
P「いえこんにゃくで十分です」
心「おい☆」
梨沙「こんにゃくに負けたアイドル、しゅがーはぁと」
心「今日からこんにゃくはノースウィーティーリストに入れてやる……」
梨沙「何そのリスト!?」
心「飛鳥ちゃんナイス! さあプロデューサー、これでもう選択肢はひとつしかないぞ♪」
P「しらたきで」
飛鳥「承認」
心「しらたき ノースウィーティー リスト入り」
梨沙「割といっぱいリスト入りしてそうね、その基準だと」
P「……冷めないうちに食べません?」
心「いいもん! はぁとは飛鳥ちゃんと梨沙ちゃんで暖とるんだからな☆」ギュム
飛鳥「あっおい」
梨沙「ちょっといきなり……あ、でもこれ意外とあったかい」
心「三人寄れば文殊の暖☆」
飛鳥「……原始的だが、悪くはないか」
心「このままくっついておでん食べよー♪」
梨沙「ま、寒さをしのぐためだししょうがないわね!」
心「ククク、羨ましい? プロデューサー? 入りたい? てか入りたいって言え☆」
P「いえ、仲良しだなと思っただけですけど」
心「隠さなくてもいいのに~♪ ほら、はぁと達はいつでも大歓迎だぞ☆」
飛鳥・梨沙「いやダメだけど」
心「え?」
P「飛鳥と梨沙の方が常識的な反応してるじゃないですか……」
心「おっかしいなぁ~。流れでイケると思ったんだけど」
飛鳥「ボクは女性相手だから許可しているだけだぞ」
心「えっ……はぁと、女の子同士でそういう趣味はなくて」
飛鳥「何故ボクの周りにはそういう勘違いをする人間が多いんだ……」
梨沙「アタシもそういうシュミはないわ!」
飛鳥「今朝聞いたよ」
P「俺も男同士の趣味はないなぁ」
飛鳥「聞いてないけど」
心「っし!!」
飛鳥「ガッツポーズが出たぞ」
その後、ストーブが届くまで3人でおしくらまんじゅうしましたとさ
おしまい
この時期のおでんは神
「シンデレラガールズ」カテゴリのおすすめ
「ランダム」カテゴリのおすすめ
コメント一覧 (9)
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- 2018年12月16日 21:59
- おでん美味しいよねー。寒い中買って食べると尚更(^_^)個人的には牛串とちくわぶが好き。心さんにあーんしてあげたい。
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- 2018年12月16日 22:41
- 昔半熟英雄におーでーんっていたよね
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- 2018年12月16日 23:32
- ヴァリアスハートの人、寒い時期によく新作出すなあ。いつも安定して面白いし、この時期はちょっと楽しみだったりする。
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- 2018年12月16日 23:39
- 大根と牛スジ、あとあれば餅巾着があればベスト
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- 2018年12月17日 02:09
- オーディンソード、らんだむダンジョンで見たような気がしたけど、あっちはオーディンランスだった
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- 2018年12月17日 09:53
- とりあえずここは、一年で最も多くおでんを食べたアイドルであるみくにゃんに実食してもらおう(煮えたぎる鍋のふたを開けつつ)
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- 2018年12月17日 11:52
- 普通にPとしゅがはくっついて普通にヴァリアスに祝って欲しい
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- 2018年12月17日 13:14
- >>7
そんな未来の話はもうあるぞ
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- 2018年12月18日 05:32
- オーディンの通称がおでんだったりするんだなぁ(14脳)