【艦これ】駆逐戦隊!ショキカンジャー!!改【後半】
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~デストロイキャノン~
漣「さあ今回も始まりました例のコーナー」
吹雪「例の、って……」
叢雲「今回は……アレかしら?」
五月雨「でもその前に、電ちゃんの必殺技の解説入れたほうがいいんじゃない?」
漣「そですな。今回初登場だったし」
電「はい、わかったのです」
電「それは……重力操作なのです」
吹雪「今回やったみたいに、殴った相手の体を重くしたりできるってこと?」
電「そうなのです。あのときガードになっていたキーさんたちにかかっている重力を強くして、ガードを崩したのです」
五月雨「大抵の敵は行動不能になるし、そうでなくても動きを鈍らせるくらいはできるよ」
叢雲「この間のコウワンの時どうして使わなかったのよ」
電「あ、あの時はまだうまく使えなかったのです!」
五月雨「重くできるの?」
電「はい。ハンマーを振り下ろす際に重力を強くすれば、より強力な攻撃ができるのです」
漣「10tオモーリみたいなもんか……」
叢雲「ただでさえ恐ろしい武器なのに、さらに凶悪になったわね……」
吹雪「怖い……」
電「どうしてなのです!?」
漣「そう!我々の必殺バズーカ、『デストロイキャノン』!」
五月雨「私たちの武器を変形させ、組み合わせることで作ることができます」
叢雲「電のハンマーが砲身になって、他の武器は軸になったり持ち手になったり……」
電「若干ハウリングキャノンに似てる気もするのです」
吹雪「それ弓部分だけじゃないの?」
五月雨「まともに受けたらただじゃすまないね」
吹雪「ただし、軌道が読みやすく、避けるのが難しくないことから、敵の体力を十分に削ってからじゃないと撃てないね」
電「そもそも撃つと電たちの体力が奪われちゃうのです」
漣「要するに、気軽に使えないわけ。とどめに使うほかないね」
叢雲「そうじゃないの?」
吹雪「他に何があるのさ」
漣「いや、温泉卵とか守衛さんとか……」
五月雨「……なにそれ?」
艦
ショキカンジャー本拠地
吹雪「えー、それでは第六回ショキカンジャー会議を始めます」
バッチリミナー バッチリミナー
吹雪「…それ、違うよね?」
漣「うん」
吹雪「ライダーだよね?」
漣「うん」
吹雪「…」
漣「まったく、何やってんだい」
叢雲「あんたのせいでしょ」
吹雪「…ああ、そうだ。夕張さんと明石さんが話があるらしいよ」
叢雲「話?」
吹雪「うん。内容は知らないけど」
五月雨「何だろう…?」
電「ショキブレスに何か問題があったのでしょうか?」
漣「使ってても問題なかったけどねぇ」
吹雪「とにかく、今から工廠に行ってみよう」
夕張「あら、来たわね」
明石「いらっしゃーい」
電「こんにちは、なのです」
叢雲「どうしたの?」
夕張「うん。実は、戦隊に必要なものを作ることになってて」
五月雨「え、必要なもの?」
明石「さて、なーんだ?」
漣「放送枠」
夕張「いや、そういうのじゃなくて」
電「巨大ロボットとか、でしょうか…」
明石「ピンポーン。大正解」
明石「この度、私たちは巨大ロボットを作ることになりましたー」
叢雲「え、作れるの!?」
夕張「うん。ていうか、話自体はずいぶん前に出てて、少しずつ作ってたんだけど」
明石「本格的に作り始めることになって」
五月雨「でも、お二人だけで作れるんですか?」
夕張「いやあ、さすがに無理だよ」
明石「今までだって、妖精さんに協力してもらってたし」
漣「へー、そうだったんですか」
明石「えーっと……順を追って話すね」
明石「ディープマリンが現れてから、提督は大本営にそのことを報告してたんだけど」
明石「同時に、協力を要請してたんだよね」
明石「それで、最近になって資材や物資を支援してくれるようになって」
明石「今回、技術面でも協力してくれるようになったの」
五月雨「技術面……ということは」
夕張「そう。巨大ロボットの作成に協力してくれることになったってこと」
吹雪「そんなの、よく協力してくれましたね……」
明石「うん。なんか通っちゃった」
夕張「まあ、相手は深海棲艦以上に謎だし、実際危険な存在だからね」
夕張「何が起こるかわからないし、巨大ロボくらい用意しておこう、ということに」
叢雲「はぁ、なるほどねぇ」
明石「私と夕張ちゃんは、これから一か月くらい、別の場所でロボットを作るので、鎮守府にいません」
電「え、ここで作れないのです?」
夕張「やっぱり場所をとるからねぇ……」
明石「それに、協力者として優秀な艦娘や妖精さんを呼んでくれるらしいんだけど」
明石「その人たちも集まりやすいから、という理由で別の場所に」
漣「確かにあんなバカでかいものをここで作るわけにはいきませんな」
夕張「というわけで私たちはしばらくいないから、ショキブレスのメンテとかできないの」
夕張「壊したりしないように、という注意をしたかったわけ」
五月雨「なるほど。わかりました」
明石「五月雨ちゃんが一番不安なんだけどね」
五月雨「ちょ、ちょっと!どういうことですか!」
明石「ああ、大丈夫だよ。多分」
叢雲「多分て……」
夕張「今は大型作戦もないし、大丈夫だって」
明石「そうそう。そんなことよりロボットだ!」
漣「どんなロボットにするんですか?」
明石「変形合体ロボットだよ。五つのメカが合体するの」
漣「おー、王道ですな」
明石「というわけで今から出かけるから、あとはよろしく」
吹雪「はい、了解です!」
漣「うっひょー!みなぎってきましたなー!」
吹雪「一か月でできちゃうんだ……」
五月雨「本当になんなんだろうね……この謎技術」
叢雲「そんなロボットが使えたら、戦いも楽になるでしょうね」
漣「いや、巨大ロボットはホイホイ使っちゃいけないんだよねぇ」
吹雪「……そういえば、敵が巨大化したときとかにしか使わないね」
漣「本当にホイホイ使えるものじゃないだろうし」
電「動かした後の処理も大変そうなのです」
漣「しかも巨大ロボで通常サイズの敵狙っても攻撃当たりづらいとかなんとか」
吹雪「へぇー……」
「ねえ」
漣「んお?」
大井「あなたたち、ちょっといいかしら?」
叢雲「あら?」
五月雨「大井さん?」
吹雪「えっと……どうしたんですか?」
大井「いえ……ちょっとね」
大井「以前、私が知っているディープマリンについての情報を話したけど……」
大井「今度は、あなたたちが知ってることについて教えてほしいの」
五月雨「私たちが……ですか?」
電「知ってること、と言われましても……」
漣「そんなにないよねぇ」
大井「以前とほとんど同じだとは思うけど……聞かせてほしいの」
叢雲「なるほどね……わかったわ」
吹雪「最近の動向か……でも、大井さんもいくらかは知ってますよね?」
大井「ええ。工具や資材がなくなったりするのは知ってたわ」
大井「それを聞いたときはまさかと思ったけどね」
五月雨「そうですね……とりあえず、順番に話していきましょうか」
大井「ええ、お願い」
──────
───
電「……と、こんなところなのです」
大井「……そう、わかったわ」
漣「大井さんの時と比べてどうですか?」
大井「そうね……やっぱり、ほとんど一緒ね」
大井「ただ、気になることがいくつかあるわね」
吹雪「はい?」
叢雲「そうなの?」
大井「ええ。コウワンも前より頑丈になってたわ」
大井「大きな変化ではないかもしれないけど、それでも一年前よりは強くなってるってことよ」
五月雨「それは厄介ですね……」
吹雪「以前言ってた、隠し玉ですか?」
大井「それもあるけど、もう一人いるわね」
電「もう一人?どんな人なのです?」
大井「リトウっていう、離島棲姫そっくりな奴よ」
大井「確か……悪の科学者を自称してたわね」
漣「へー、そういやまだそういう人いなかったなぁ」
叢雲「あら、じゃああんまり問題ないのね」
漣「かぁーっ……浅はかですなー、叢雲ちゅわ~ん」
叢雲「は?」ギリギリ
漣「ぐえーっ!?」
吹雪「叢雲ちゃん、ストップストップ!」
漣「だってさー……ディープマリンって一年前より強くなってるんでしょ?」
五月雨「確かに、そのリトウさんの科学力が増しててもおかしくないよ」
大井「ええ。その可能性は高いわ」
叢雲「……言われてみれば、そうね……」
漣「これだからツンデレガールは……」
叢雲「は?」ギリギリ
漣「ぐええっ!?」
吹雪「え?何かありましたか?」
大井「……クウボが何しに来たのかってことよ」
電「……あ!そういえば……」
五月雨「何しに来たか知らないね……」
漣「なんか本人は海水浴とか花見とか言ってたけど」
吹雪「でもわざわざあんな鎮守府の近くまで来なくていいんでしょ?」
電「工具を運ばせるのもイーさんたちにやらせていたみたいですし……」
大井「クウボじゃないとだめなのか、クウボ以外でもいいのか……」
大井「それはわからないけど、少なくとも幹部クラスが必要なことをしていたってことよ」
五月雨「戦闘員に何か指示してたみたいですけど……」
叢雲「しかも、爆発音まで出してたわよね」
大井「だとしたら、あそこで戦闘員に何かをやらせていて……その監督をしていた可能性が高いみたいね」
大井「……というか、何でそれだけ怪しいのに調べてなかったのよ」
漣「うっ、申し訳ない……」
漣「と、大井さんに罵られて調査しに来ましたが」
五月雨「このあたりだよね、クウボさんがいたのって」
叢雲「もう少し森に入ったところじゃなかったかしら」
電「でもこんなところで本当に何をしていたのでしょう……?」
吹雪「確かに……ここまで来たんならいっそ攻めてくればいいのにねぇ」
漣「まぁ、もしかしたらその攻めるための準備だったのかもしれませんぞ」
五月雨「確かにその可能性も……」
ガサッ
五人「!!」
叢雲「動物……って感じじゃなかったわね」ヒソヒソ
カーン カーン
漣「お、解体っぽい音も聞こえてきた」ヒソヒソ
電「いえ、あれはもっと嫌な感じなのです」ヒソヒソ
五月雨「えっと……誰かが工具を使って何かしてる……っていうのは間違いないかな」ヒソヒソ
五人は息をひそめ、音のする方へと近づいていく
カーン カーン
叢雲「……誰かいるわね」
吹雪「……あれって」
リ級?「はー、だるいよー……」カーンカーン
リ級?「なんで私がこんなことを……」カチャカチャ
リ級に似た人物が、地面に向かって何かをしている
吹雪「今度は重巡リ級にそっくりな人だ……」
電「ということは……ディープマリンなのです?」
五月雨「その可能性が高いねぇ……」
叢雲「工具を使って何かしてるみたいだけど……」
吹雪「ここからだとよく見えないね」
五月雨「もうちょっと近づいてみる?」スッ
ガサッ
五人「あ」
リ級?「!?だ、誰だっ!!」バッ
電「……バレちゃったのです」
漣「ちょっと~五月雨ちゅわ~ん」
五月雨「……ごめんね」
リ級?「……まあ、こうなったら仕方ない」
リ級?「おい、お前ら!」
吹雪「はい?」
リー「私は秘密結社ディープマリンのリー様だ!」
リー「死にたくなかったら私の言うことを聞くんだな!」
叢雲「え、何その三下感満載のセリフ」
漣「フラグでしかないね」
電「艤装を?どうしてなのです?」
リー「お前たちが知る必要はない!いいから渡せ!」
漣「嫌に決まってんじゃん」
リー「ふんっ……まだ自分たちの立場が分かっていないようだな……」
リー「素直に従えば、命は奪わないでやる!さあ早く持ってこい!」
吹雪「話せば話すほどダメな感じになっていくねこの人……」
吹雪「そうだね。じゃあみんな、準備して!」
リー「何をコソコソ……」
五人「抜錨!!」
カチッ
シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン……
五人の体に、スーツが装着されていく!
バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
リー「!?」
リー「な、何だ!?いきなり!」
リー「何者だ、お前ら!?」
漣「何だかんだと聞かれたら」
叢雲「答えてあげるが……って、何言わせるのよ」
吹雪「はい、そのまさかです」
リー「なんてこった……よりにもよってこんな時に……」
五月雨「一体、ここで何をしていたんですか?」
電「教えてほしいのです」
リー「こ、答える義理はない!こうなったら、お前らをぶっ倒してやる!」
電「来たのです!」
吹雪「漣ちゃ……」
漣「はいはーい」ギリギリ
バシュッ!
リー「ぐはぁっ!」グサッ
漣「ふふん。いい感じに当たったね」
リー「まだ近づけば……!」
シュバッ
叢雲「ふん、遅いわね」
リー「え?いつの間に後ろに……」
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!
叢雲が槍による強烈な一撃でリーを吹っ飛ばす!
リー「ぐああああああああ!!?」ビューン
リー「う、嘘だああああああああああ!!」
キラーン
電「見事に場外ホームランなのです」
叢雲「適当に小突いただけで吹っ飛んでったわ」
五月雨「すごいよ叢雲ちゃん!」
漣「ちょっとー、漣はー?」
吹雪「うんうん。漣ちゃんも反応が早くて良かったよ」ナデナデ
漣「……なんでなでられてるの?」
吹雪「ああ、そうだ!その辺に何か……」キョロキョロ
漣「……なんぞこれ?」
リーがいた場所には、半壊した何らかの機械が地面に埋まっていた
叢雲「何かの機械……っていうのはわかるけど」
電「何の機械なのかはわからないのです」
五月雨「しかも壊れてる……あの人はこれを修理してたってことなのかな?」
漣「じゃあ明石さんたちを……って」
五月雨「……もう、ロボット作りに行っちゃったよね?」
叢雲「それで……一か月いないのよね?」
五人「……」
電「……とりあえず、掘り起こして工廠まで運びましょうか」
吹雪「そうだね……二人が帰ってくるまで待とう」
五人は、昨日リーと戦った場所まで来ていた
吹雪「で、また来たわけだけど」
叢雲「昨日ああやってここに来てたってことは、今日も来るかもしれないからね」
五月雨「あのまま機械も放っておかないだろうしね」
漣「うむ、解説ご苦労」
電「……何言ってるのです?」
五月雨「隠れてたほうがいいかな?」
吹雪「……五月雨ちゃんが音立てちゃうから駄目だね」
五月雨「うっ……ごめん」
ガサガサッ
電「……?」
五月雨「何の音?」
叢雲「まさか……」
ガサガサッ
リー「よしっ、ここまで来たぞ」ガサガサッ
五人「……」
リー「今日こそはシュシュっと修理を……ん?」
五人「……」
リー「……」
五人「抜錨!」
リー「う、うわああああ!!」
リー「な、何故だ……どうしてこんなことに……」ボロッ
叢雲「さーて、色々しゃべってもらおうかしら」
リー「!?な、何をする気だ!」
吹雪「とりあえず、あなたには捕虜になってもらいます」
リー「くっ、拷問でもする気か……!」
漣「しますよ。えっぐいの」
リー「ど、どんな……?」
漣「そうですねぇ。例えば……」
漣「あなたが、中学生の時に書いた日記やポエムを音読しつつネットにさらす……とか?」
リー「うわああああああああああ!!やめろおおおおおおおおおお!!」
電「あなた、中学時代とかあったのです?」
リー「……はっ、そういえばなかった」
五月雨「えぇ……」
リー「くっ……」
ガサガサッ
叢雲「……ん?また……?」
シュバッ!
五人「!?」
ガッ
リー「う、うわっ!?」
シュバッ ガサガサッ
何者かが突如現れ、リーを奪って去って行った!
電「わからないのです……」
吹雪「多分、あの人の味方……ディープマリンの一員だとは思うんだけど」
叢雲「……今の奴、動きからしてなかなかの手練れね」
叢雲「あのリーとかいう奴より、かなり強いと思うわ」
漣「確かに……顔がフードで見えなかった」
五月雨「え、それ関係あるの?」
漣「強キャラでそんな感じのがよくいるんだよ」
電「え?」
吹雪「敵がここで何かしようとしてるってことだよ」
叢雲「そうね……目的はよくわからないけど、あの機械で何かしようとしてるみたいね」
五月雨「機械は一応工廠に持って行ったけど、また作られる可能性高いし……」
漣「まあ普通に来られるだけでも危ないしねぇ」
電「なるほど……ではどうしましょう?」
吹雪「とりあえず、司令官に報告してここに他の人を近寄らせないようにしてもらおう」
五月雨「そうだね。一応敷地外だし、ただでさえ人はほとんど来ないけど」
叢雲「警戒するに越したことはないわ」
電「少なくともいいことをしてるとは思えないですし、やっぱり戦うしかないと思うのです」
吹雪「そうだねぇ……」
叢雲「でも奴らが来た時、どうやってそのことを知るのよ」
五月雨「シンプルに、カメラやセンサーを設置したらどうかな」
五月雨「そのうち壊されちゃうかもしれないけど……」
漣「大丈夫っしょ。あいつら馬鹿だし。壊すにも全くバレずにやるってのも難しいだろうし」
叢雲「まあ……それがよさそうね。下手な小細工よりはいいと思うわ」
電「そうですね。とりあえず、司令官さんに報告するのです」
提督「うーむ、鎮守府近くで敵が何かしようとしている、か……」
吹雪「それで、どうですか?」
提督「ああ。あそこには近寄らないよう、全員に通達しておくよ」
提督「あと、カメラとかなら簡単に設置できるはずだ。今日中には終わるだろう」
提督「異常があった時はお前たちに知らせるようにする……が」
漣「が?」
提督「できれば、昼の間だけでもその近くにいてくれないか?」
提督「近くにいたら、すぐ対応出来るだろう」
提督「それに、何が起こるかわからん。いつの間にか、カメラが壊されてるかもしれんからな」
五月雨「はい、了解です」
提督「頼んだぞ」
電「どのくらい続くのでしょうか?」
吹雪「わからない……どうにか目的がわかればいいんだけど」
漣「えー?めんどいー」
五月雨「でも本当にあそこにしか来ないのかな?」
吹雪「どうかな……そうだといいんだけど」
叢雲「今考えても仕方ないわ。とにかく、私たちはあそこで様子を見ましょ」
叢雲「どうするって言っても、戦うしかないじゃない」
吹雪「うーん、まあ訓練して戦力増強するしか……」
漣「……戦力ということに関して、問題があると思うんですけど」
五月雨「え?」
吹雪「え?え?」
叢雲「そうよね……漣の言う通り、問題あるわね」
五月雨「な、何……?」
漣「……だって、吹雪ちゃんと五月雨ちゃんさぁ……」
漣「……まだ、必殺技使えないじゃん」
吹雪・五月雨「うっ……」
叢雲「二人とも、どうしてちゃんと訓練してるのにまだ使えないのよ?」
五月雨「わ、わからないよ……」
電「まだ武器を使いこなせてないのでしょうか……」
漣「武器になんか問題があるんじゃない?」
吹雪「いや、前に明石さんたちに見てもらったけど、問題ないはずだって……」
五月雨「電ちゃんが使えるようになったのも、ついこの間でしょ?」
五月雨「だから、武器の扱い以外で何か原因があるんじゃないかって……」
漣「うーん……原因がわからない以上は仕方ないか」
吹雪・五月雨「すみません……」
五人は、例の場所の近くで訓練をしていた
漣「そこで漣は言ってやったんですよ」バシュッ
叢雲「ほうほう」ブンッ
漣「『てめぇの敗因はたった一つ……たった一つのシンプルな答えだ』」
漣「『鎮守府近海を一人でうろついてるからだ』と」バシュバシュッ
叢雲「そりゃあイ級も納得せざるを得ないわね」ブンブンッ
漣「でしょ?そしたら大人しく帰って行ったけど、また一人で来たんだよねー」
叢雲「迷子じゃないの?それで偶然ここまで来たとか」
漣「まあそうかなー」
叢雲「っていうか、言葉通じたのね」
漣「うん。何か通じた」
叢雲「してるわよ。雑談しながらやってるだけよ」ブンブンッ
漣「そうだよ。ほら、全部的に当たってるし」バシュバシュッ
吹雪「いや、的に一回穴空いたら当たったかどうかなんてわかんないよ……」
漣「あっ、そっか」バシュバシュッ
電「来ないのが一番なのですが……」
吹雪「でも、また一人で来るってことはないよね」
五月雨「そうだねぇ……一人だとまずいってことはわかっただろうし」
電「イーさんたちを引き連れてくるのでしょうか?」
吹雪「それくらいならまだいいんだけど……」
ジリリリリリリリリリリリリリ!!!!
五人「!!」
叢雲「これって、昨日設置したセンサーの警報……よね」
五月雨「ていうことは、誰かが……?」
吹雪「みんな、行こう!」
電「あれは……」
ジリリリリリリリリリリリリリ!!!!
ル級?「ちょっと!何よこれ!」
リー「あれ?昨日までこんなのなかったんですけど……」
ル級?「あー、もう!これどうやったら止まるのよ!」
イー「うるさくてかなわんですイー」
ル級?「え、これ?」
漣「そうそう。それ」
ポチッ
ル級?「あっ、止まった」
漣「おー、よかったよかった」
漣「イエーイ」スッ
ル級?「イエーイ」スッ
パシッ
ピシガシグッグ
漣・ル級?「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!」
ル級?「……」
ル級?「……うわぁ!誰よあんた!」
五月雨「え、遅すぎない?」
叢雲「やっぱディープマリンってバカしかいないのかしら」
リー「あー!お前たち……!」
リー「ルーさん!こいつらがショキカンジャーです!」
ルー「え!?こいつらがショキカンジャー!?」
電「今度は戦艦ル級にそっくりなのです」
吹雪「空母ヲ級もそのうち出てきそうだね」
ルー「私の名前はルー!今からこいつらと一緒にあなたたちを打ち倒してくれるわ!」
漣「大柴さんですか?」
ルー「え!?藪からスティックに何を言うのよ!」
叢雲「ノリノリね」
五月雨「あれ?これ、今から戦うんだよね?」
吹雪「そうだけど」
電「そんな空気じゃないのです」
イーたち「イー!!」ダダッ
五月雨「うわ、いっぱい来たよ!」
叢雲「あーもう……さっさと倒すわよ」
電「このくらいの数なら、大丈夫なのです!」
吹雪「みんな、準備はいい!?」
漣「いいともー!」
五人「抜錨!」
電「そーっ、れ!」ブンッ
ドゴォォォォォォォォォォォォ!!!
電がハンマーを振り回し、イーたちを打ち倒していく!
イーたち「イーーーーーーッ!!!」
リー「なっ、一撃であんな大勢を!?」
ルー「噂通り、ただ者じゃないわね……!」
イーたち「ま、前に戦った時よりも格段に強くなってるイー……!」
電「訓練の賜物なのです」
ルー「あと、リーも行きなさい!」
リー「え、私もですか!?」
ルー「いいから、ほら!」
リー「うぅ……仕方ない!」ダダッ
リー「おらぁ!喰らえぇ!」ブンッ
吹雪「よっと」シュバッ
リー(!避けられ……)
吹雪「はぁっ!」ズバッ
リー「ぐあああああああ!!」
リー「くっ……大丈夫、です……が……」
リー(心配するならむやみに突っ込ませるなよ……)ガクッ
ルー「リーーーーーーーー!!」
ルー「くそう、よくもリーを……!」
ルー「こうなったら、私が直々に戦ってやるわ!覚悟なさい!」ダダッ
五月雨「……え!?私!?」
ルー「とうっ!」ブンッ
五月雨「くっ!」バシッ
ルーの拳を、五月雨は刀で防いだ!
五月雨「は、速い……!」バシバシッ
五月雨(イーたちよりも強い……一筋縄じゃいかない)
五月雨「……そこっ!」
ザパァァァァァァ!!!
五月雨はルーの足元めがけて水を放出した!
五月雨(これでバランスを崩せば……!)
ルー「おっと!」シュバッ
五月雨(!?避けられた……!)
ルー「甘い甘い!」ドガッ!
五月雨「うぁっ……!」ヨロッ
ルー「このままボコボコにしてやるわ!」ブンッ
五月雨「……!」
吹雪「せいっ!」ドガッ
ルー「ウワラバッ!?」ズザッ
ルーが五月雨に拳を振り上げた瞬間、吹雪が背後から一撃を加える!
五月雨「ふ、吹雪ちゃん!?」
吹雪「五月雨ちゃん、大丈夫?」
五月雨「う、うん……」
ルー「くっ……いつの間に後ろに……」
吹雪「お仲間はもういませんよ」
ルー「何っ!?」バッ
イーたち「イー……」ピクピク
リー「うーん……私のポエム……読まないで……」ピクピク
ルー「なっ、全滅なんて……!」
叢雲「ふん、あっけなかったわね」
電「束になっても、電たちには勝てないのです!」
ルー「くっ……」
ルー「こうなっては仕方ない……やってやるわ!」ダダッ
吹雪「……!」
ルー「うおおおおおお!!」ダダダダ
ズルッ
ルー「あれ?」コケッ
ルー(あ、さっきの水で足元が)
吹雪「とりゃあ!!」
ズバァァァァァァァァッ!
ルー「ぎゃあああああああああ!!」
吹雪「さて、あなたたちを捕虜に……」
ルー「!!て、撤退よ!あんたら!」
イーたち「イ、イー!!」ダダッ
リー「……え!?あれ!?ちょっ、置いてかないでー!!」ダダッ
叢雲「あ、待ちなさい!」
電「行っちゃったのです……」
漣「逃げ足速いなー」
五月雨「……」
吹雪「五月雨ちゃん?」
五月雨「……うん、大丈夫。ありがとう」
叢雲「じゃ、帰りましょ」
漣「何だかんだ疲れたー」スタスタ
電「お茶でも飲むのです」スタスタ
五月雨「……」スタスタ
五月雨「……はぁ……」
漣「あ、五月雨ちゃん、気を付けてー」
五月雨「え?」
ズルッ
五月雨「あ」
ルー「ふはははは!!また来たわよ!」
リー「今度は作戦がある!行くぞ!フォーメーションZだ!」
「イー!」「ロー!」「ハー!」「ニー!」
叢雲「しつこい!」ドカッ!
ルー「今日は助っ人を連れてきたわ!」
ター「ドーモ、ショキカンジャー=サン。ターです」ペコッ
漣「ドーモ、ター=サン。ショキカンジャーです」ペコッ
電「……何やってるのです?」
ター・漣「アイサツ」
漣「イヤーッ!」バシュッ!
ター「グワーッ!」グサッ!
漣「サヨナラ!」
リー「今日は私の相方を連れてきた!」
ネー「……」
リー「……ネー?どうした?」
ネー「……帰っていい?」
リー「え!?」
リー「ちょっ、ネー!助けて!」
ネー「……ごめん……こっちも、いっぱいいっぱい……」
リー「ええ!?」
ネー「……本当に申し訳ない……」
リー「そ、そんなぁ!」
電「えいっ!」ブンッ
リー「えっ」
ヲー「……」
吹雪(本当に来た、ヲ級そっくりな人……)
ルー「……ヲー?どうしたの?」
ヲー「……ヲッ」
ヲー「ヲッヲッヲー」
ルー「……ふむふむ、そうなの」
吹雪「え、言ってることわかるんですか?」
ルー「いや、全然わかんない」
吹雪「えぇ……」
吹雪「はぁっ!」ズバッ
ヲー「……」
吹雪「……!?効いてない!?」
ヲー「……」プルプル
ルー「……いや、これは痛いのを我慢してるわ」
吹雪「えぇ……」
そしてなんやかんやで最初の襲撃からニ週間が経過した
叢雲「あー、もう!何なのよあいつら!毎日のようにあそこに来て!」
電「流石に疲れるのです……」
漣「マジでたまにセンサーとか壊すし……やってらんねーぜ!」
吹雪「妖精さんたちに直してもらってるとはいえね……」
吹雪「しかし、相変わらず目的が分からない……」
叢雲「すぐに出ていかずに、ちょっと様子見したこともあったけど……」
漣「結局ほとんど何もしないんだもんよー。わからん!」
電「でも、正直……ただ単に来て戦ってるようにしか見えないのです」
吹雪「どうなんだろうね……」
叢雲「……五月雨?」
五月雨「……ふぇ!?な、何!?」
叢雲「いや、何でもないけど……」
電「どうしたのです?最近ボーっとすることが多いのです」
漣「顔色も少し悪いし、疲れてるんじゃ?」
五月雨「だ、大丈夫!何でもないよ!」
叢雲「ドジることも多いし」
電「この間はジュースと間違えてタバスコ飲みそうになったのです」
漣「五月雨ちゃんがドジなのは元からだから問題ない」
五月雨「ちょ、ちょっと!漣ちゃん!」
叢雲「そう?ならいいけど」
漣「じゃあドミニオンでもしようか」
電「あ、帝国入れてほしいのです」
叢雲「そもそもあれ四人までのゲームじゃない……」
五月雨「……」
吹雪「……」
吹雪「……」
吹雪は、いつも五人が訓練している場所の近くに来ていた
涼風『ん?五月雨?』
吹雪『うん。最近ちょっと様子がおかしくて』
涼風『あー、確かにボーっとしてるねぇ』
吹雪『同室の涼風ちゃんなら何か知ってると思って』
涼風『うーん、そうだねぇ……』
涼風『……最近、夜に部屋をこっそり出ることが多くなったね』
涼風『うん。消灯してしばらくすると、どっか行っちまうんだよ』
涼風『最初はトイレで行ってんのかと思ったけど、それにしては長い間戻ってこないみたいなんだよ』
涼風『あたいはその間に寝ちまうからそのあとは知らないけど、朝起きたら普通に戻ってるよ』
涼風『そのことについて聞こうかと思ったこともあるけど、なんだか聞きづらくてねぇ』
吹雪『……そっか』
吹雪『わかった、ありがとう』
涼風『おう!』
ブンッ ブンッ
吹雪「……!」
五月雨「はぁ……はぁ……」
ブンッ ブンッ
五月雨は、一人で刀の練習をしていた
五月雨「はっ!はっ!」
ブンッ ブンッ
吹雪「……」
吹雪(やっぱりね……)
吹雪「……こんな時間に、何やってるの?」
五月雨「!!」
五月雨「……吹雪ちゃん」
吹雪「……訓練なら、二人でやったほうが良いんじゃない?」
五月雨「……」
吹雪「相手になるよ」
五月雨「……うん、じゃあ、お願いしようかな……」
吹雪「はぁ……はぁ……」
五月雨「こ、ここまでにしよう……」
吹雪「そ、そうだね……」
五月雨「ふぅー……」
吹雪「……」
吹雪「……どうして、夜中に訓練してるの?」
五月雨「……今日、なんとなく眠れなくて」
吹雪「でも、最近夜に出てることが多いって、涼風ちゃんが」
五月雨「あれ……涼風にバレてたんだ……」
五月雨「起こさないようにしてたつもりなんだけどな……」
五月雨「あはは……ダメだなぁ、私……」
吹雪「……」
吹雪「え、そう?」
五月雨「うん。強くなった」
吹雪「そうかな……五月雨ちゃんも同じくらいだと思うよ」
五月雨「いや、そういう単純なことじゃなくて……」
吹雪「?」
五月雨「……何て言ったらわからないけど……もっと、根本的で、大切なもの……」
五月雨「そういった強さが、最近みんなの中で芽生えてる気がするんだ」
吹雪「……」
五月雨「このままだと……みんなの足を引っ張って、迷惑かけちゃうと思って……」
五月雨「みんなと同じ強さは手に入らないと思ったから……少しでもみんなに近づけるよう、こうやって夜に訓練してたんだ」
吹雪「……そうだったんだ」
五月雨「……でも、全然追いつけない」
五月雨「みんな、本当に強いから」
五月雨「私なんかじゃ……ダメなのかな」
吹雪「……」
五月雨「……え?」
吹雪「私からしたら、五月雨ちゃんは強いよ」
五月雨「吹雪ちゃん……?」
吹雪「だって……」
ドガッ
二人「!?」
何かが破壊される音が、二人の耳に入ってきた!
五月雨「今の音……森の方からだね」
五月雨「しかも、木なんかが折られた音じゃなくて、機械が壊されたような音だったよ」
吹雪「……もしかして、カメラやセンサーが壊された!?」
五月雨「行ってみよう!」
五月雨「!!誰かいる!」
吹雪「あれって……!」
フード「……」
フードをかぶった何者かが、破壊されたセンサーとカメラを前にして立っていた
吹雪「この人……」
五月雨「この間、リーさんを連れて去って行った人……だね」
五月雨「しかも、センサーに全く引っかからずに……」
五月雨「どうする?みんなを呼んでくる?」
吹雪「その間に逃げちゃうと思うよ……」
フード「……」
五月雨「じゃあ、二人で戦うしか……?」
吹雪「それしかなさそうだね」
吹雪「……大丈夫?訓練の後だけど」
五月雨「大丈夫……戦える」
吹雪「じゃあ……行くよ!」スッ
二人「抜錨!!」
フード「……」バシッ
吹雪(!素手で、弾かれた……)
吹雪(でも、まだ!)
吹雪「はあああ!!」シュバババッ
フード「……」バシバシバシッ
吹雪「くっ……」
フード「!」ガッ
グググ……
五月雨(!……刀を素手でつかむなんて……でも!)
ザパァ!!
フード「……!」
バシィッ!!
五月雨は刀に水をまとわせ、フードの腕を弾いた!
五月雨「そこぉ!!」ブンッ
フード「!!」
五月雨「!!」
五月雨の攻撃を、フードは宙返りでかわした!
五月雨「っ……」
スタッ
フワッ
宙返りした時、フードがめくれ、敵の素顔が現れた
二人「……!」
レ級?「……」
五月雨「これは強そうだね……」
レ級?「……」シュバッ
吹雪「!!」
ドガッ!
レ級?は吹雪に接近し、キックを喰らわせた!
吹雪「ぐあ……!」
五月雨「吹雪ちゃん!」
五月雨(ッ!速い!)
ドガッ!
五月雨「うあぁっ!」ズザッ
吹雪「くっ……強い……」
五月雨「コウワンさんをバランス型にしたみたいな強さだね……」
吹雪「!!」
ガキィン!
レ級?「……」
吹雪「くっ……」グググ
レ級?の背後からの攻撃を、吹雪は剣で受け止める!
バシィッ!
レ級?「……」ブンッ
吹雪「はぁっ!」
ボォォォォォォォォォォォ!!!
吹雪はレ級?の拳をはじき、すかさず剣から炎を放出した!
レ級?「!!」シュバッ
五月雨「そこだっ!」シュンッ
レ級「!?」
五月雨はレ級?が炎を避け、体勢を崩した隙をついて、背中を切りつけた!
ズバァァァァァァァァァァァッ!!!!
五月雨「当たった……!」
レ級?「……」
五月雨「……あれ?」
ブンッ!
五月雨「うわぁ!?」シュバッ
五月雨「ま、まだ来るの!?」
吹雪「効いてないわけじゃないみたいだけど、やっぱり一撃程度じゃだめか……」
五月雨(あれが使えれば、きっと……!)
漣『……まだ、必殺技使えないじゃん』
五月雨(……でも私、あれからまだ一回も成功してない……)
五月雨(私なんかじゃ、やっぱり……)
レ級?「……」スッ
五月雨(っ!そうだ、このままだとやられちゃう!)
五月雨(だったら、一か八か……!)
カチャッ
五月雨はアンカーパーツを刀に取り付けた!
吹雪「五月雨ちゃん!?」
五月雨「これしかない……!やってみるよ!」チャキッ
五月雨はそのまま、刀をかまえる!
レ級?「……!」
五月雨(だからお願い……!このままじゃ……!)
五月雨「……っ」
レ級?「……」
しかし、五月雨の武器に変化は起こらなかった……
吹雪「五月雨ちゃん!来るよっ!」
レ級?「……」スッ
五月雨「!?」
吹雪「……っ!」チャキッ
シュバッ ガサガサッ……
二人「……!?」
二人の予想に反し、レ級?は二人に向かってこずに、森へと消えていった
五月雨「多分……でも、どうして……?」
吹雪「それはわからないけど……まあ、助かったんじゃないかな」
五月雨「……そっか」
吹雪「……」
吹雪「……とりあえず、センサーはまた妖精さんに頼んで修理してもらおう」
吹雪「明日のお昼にも来るだろうし……」
五月雨「……うん、そうだね」
五月雨「センサーとカメラを壊しに来ただけ……にしか見えないけど」
吹雪「でもそれだったら、どうして夜にわざわざ……?」
五月雨「センサーに引っかからないように動けるなら、お昼にやろうとしてることをやればいいし……」
二人「うーん……」
吹雪「……今考えても仕方ないね」
五月雨「そうだね……あんまり頭が回らないよ……」
吹雪「毎晩ここにいるわけにはいかないね」
五月雨「え?どうして?実際私は……」
吹雪「そ、れ、が!ダメなの!」
五月雨「ええ!?」
吹雪「五月雨ちゃん、夜に訓練してるってことは、あんまり寝てないでしょ?」
五月雨「え、えっと……」
吹雪「最近ボーっとしたりするのは、睡眠不足が原因だよ」
吹雪「そんなんじゃ、戦うときに危険だし、何よりみんなに心配かけちゃうよ」
五月雨「は、はい……ごめんなさい……」
吹雪「他のみんなにも言ってさ」
五月雨「え、みんなにも言うの!?」
吹雪「え、ダメ?何で?」
五月雨「だって……みんなお昼にも頑張ってるのに、夜にも見張りしてもらうってなると悪いし、それに……」
吹雪「それに?」
五月雨「……私が今まで一人で訓練してたのバレると……何か、恥ずかしいから」
吹雪「……ぷっ」
吹雪「あはは、ごめんごめん」
吹雪「別にいいじゃない。悪いことじゃないし」
五月雨「だって、一人で夜に訓練とか、漣ちゃんにベタだとか言われそうだし……」
吹雪「……まあ、それはそうだね」
吹雪「でも実際問題、言わないわけにはいかないでしょ?」
吹雪「今回あのレ級っぽい人が来たことも言わないといけないし」
五月雨「……うん、確かにそうなんだけどね……」
吹雪「うん。じゃあ今日はもう寝よう」
五月雨「そうだね……ふぅ……」
吹雪「……あっ、夜が明けそう」
五月雨「え!?もうそんな時間!?」
吹雪「あれ、そろそろ起床時間じゃ……」
五月雨「い、急いで戻らないとー!」ダダッ
吹雪「あ、五月雨ちゃん!危な……」
五月雨「あっ」コケッ
昼の襲撃の後、ショキカンジャー本拠地にて
叢雲「……最近五月雨の様子がおかしいと思ったら、そんなことしてたの」
漣「さすが五月雨ちゃん!ベタなことすんね~!」
五月雨「うぅ、やっぱり言われた……」
電「無理はしないほうがいいのです」
叢雲「そうよ。心配したわ」
五月雨「ごめんね、みんな……」
叢雲「ええ、夜の見張りくらいならやってもいいわ。訓練も足りないと思ってたしね」
電「電ももちろんいいのです。何があるかわからないですから……」
漣「やだ!漣は夜は寝るんだ!」
吹雪「外でテント張って寝ててもいいから」
漣「マジで?じゃあいいよ」
五月雨「いいんだ……」
吹雪「それがわからないんだよ。カメラとセンサーを壊しに来たことしか……」
電「本来なら、それはこちらに気付かれずにできてたわけですよね?」
五月雨「うん、偶然私たちがいたからバレたけど……」
叢雲「……もし、バレずに行えてたらどうなってた?」
吹雪「えっと、まあ今日の襲撃が気付きにくくなってたね」
漣「なんかあそこでやろうとしてることを進めてたかもね」
電「どっちにしろ、さらに警戒する結果になってたと思うのです」
叢雲「下手したら、本当にあそこに張り込むことになってたかもね……」
吹雪「うーん、本当に何する気なんだろ……」
五月雨「……」
五月雨「……もしかして、本当に何もする気がないんじゃ……?」
五月雨「あそこで何かしようとしてるってずっと思ってたけど」
五月雨「本当は何もする気はなくて、私たちに警戒心を持たせることが目的なんじゃないかな」
電「確かに、警戒は実際していますが……」
叢雲「でも、だったらなんなのよ。私たちに警戒させて何の得があるのよ?」
五月雨「うん……。だから、もしかしたら……」
五月雨「あそこで何かしようとしてるって思わせて、私たちをあそこに張り付けて」
五月雨「……いつも来る場所とは別の場所で、『本当の目的』を達成しようとしてるんじゃないかな」
四人「……!」
電「それなら、夜間にセンサーを壊そうとしてたことにも納得がいくのです」
叢雲「もしそれが本当なら……正直、効率がいいかは謎ね」
五月雨「……うん」
漣「まあそういう作戦を立てるのは悪の組織ならではだからの」
吹雪「別の場所の調査するにしても、鎮守府近くまで来てるあの人たちを放置しておけないよ」
五月雨「そうだね……どうしようか」
叢雲「二手に分かれるのはどうかしら?」
叢雲「一組は敵を倒して、もう一組はその『本当の目的』を調査するっていうの」
漣「うん、まあ無難な手ですな」
電「でも、さっき言ってたレ級そっくりな人が攻めてきたら大変なのです」
吹雪「確かにそう考えると、戦う時には五人そろってたほうがいいけど……」
五月雨「下手に動くと、敵の作戦を探ってることに気づかれそうだし……」
五人「……」
五人「……あ」
リー「ふぅ……毎日毎日疲れますね」ガサガサ
ルー「そういわないの。そろそろアレが完成するでしょ?」
リー「あー、そうらしいですね。リトウ様が言ってましたね」
ルー「ええ、だからもうひと踏ん張りよ」
ルー「さ、今日も奴らを呼び出すわよ」
リー「はーい」スッ
ジリリリリリリリリリリリリリ!!!
ガサガサッ
リー(ん、あいつら、いつもより来るの早い?)
シュバッ!
ルー「む、来たわね!」
リー「……あれ?」
ルー「覚悟しなさい!ショキカン……ジャー?」
大井「……」
リー「だ……誰?え?ショキカンジャーは?」
大井「……」パカッ
大井「出撃!」カチッ
シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン……
大井の体に、スーツが装着されていく!
バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
大井「……残念だったわね。あなたたちの作戦はもうわかってるのよ」
ルー「な、なんですって!?」
大井「あの子たちは本丸を叩きに行ってるわ。あなたたちの相手は、この私よ」
リー「ル、ルーさん!逃げましょう!ここにいたらまずいですよ!」
ルー「慌てるんじゃないわよ!相手は一人、大したことないわ!」
ルー「戦闘員、行きなさい!」
イーたち「イーッ!!」ババッ
大井「……なめられたものね」チャキッ
ドカァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!
これまで襲撃があった場所と真反対に位置する、鎮守府敷地外の森
???「さて……もう少しで完成ね」カチャカチャ
???「リーの動きがバレた時はどうなるかと思ったけど、なんとかこの陽動作戦でここまで来たわ」
???「ふっふっふ……私の作戦は完璧よ」
???「これが完成すれば、艦娘殲滅に大きく近づくわ……ふっふっふ」
「そうはさせません!!」
???「!?」
吹雪「離島棲姫そっくり……あなたがリトウですね!」
五月雨「毎日怪人や戦闘員たちに襲撃させて私たちの警戒を集中させるという、あなたの作戦はわかっています!」
漣「効率いいのか悪いのかよくわからない作戦しやがって!」
リトウ「な、何よ!効率とかどうでもいいのよ!」
叢雲「どうでもいいわけないでしょ」
電「ゴスロリに白衣のファッションもよくわからないのです」
リトウ「別にいいじゃない!悪の組織の女幹部でゴスロリの天才科学者で美少女!私を超えるキャラはそういないわ!」
漣「でもあんたら女幹部しかいないじゃん」
電「女幹部は、数ある幹部や怪人の中で一人二人いるから目立つのです」
叢雲「女幹部だらけじゃねぇ……」
リトウ「うっ……!私たちが地味に気にしてることを!」
吹雪「えっ、気にしてたんだ」
吹雪「ええ、確かにそうです」
叢雲「でも私たちには、頼りになる仲間がもう一人いたのよ」
電「その人に鎮守府付近の調査を頼んで、そして昨日やっとあなたを見つけたのです」
五月雨「……あそこにあった機械と同じものをここでも作ってたみたいですが」
リトウ「うっ……」
リトウ「こ、答える義理はないわ!」
漣「答えないなら……ひっ捕らえて恥ずかしい目にあわせてやるよぉ!」
リトウ「!は、恥ずかしい目って……?」
漣「五月雨ちゃんと同じ、腋丸出しの服着せてやるよぉ!」
五月雨「……え?」
リトウ「!そ、それは恥ずかしい!」
五月雨「ええ!?」
リトウ「そうはいくものですか!出てきなさい!」パチッ
シュバッ
何者かが木陰から現れた!
五人「!!」
レ級?「……」
五月雨「あの時の……!」
リトウ「これまでもちょいちょいここに送ってたけど……まだ未完成だったから、本格的な戦闘まではさせられなかったわ」
リトウ「でも、この子はもう完成形よ。勝てるかしら?」
五月雨「……あの時より、強い……」
吹雪「……五月雨ちゃん」
五月雨「……うん、大丈夫」
吹雪「……」
吹雪「みんな、行くよ!」
五人「抜錨!!」
カチッ
シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン……
五人の体に、スーツが装着されていく!
バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
吹雪「吹雪レッド!」
叢雲「叢雲ブラック!」
漣「漣ピンク!」
電「電イエ口ー!」
五月雨「五月雨ブルー!」
吹雪「五人そろって!」
五人「駆逐戦隊!ショキカンジャー!!」
バァァァァァァァァァァァァァァン!!!
レー「……」シュバッ
叢雲「……っ」
叢雲(聞いていた通り、なかなか素早いわね……)
電「えいっ!」ブンッ!
レー「……」シュバッ
電(っ!背後に……!)
ドガッ!
電「うっ……!」ズザッ
レー「っ!」シュバッ
吹雪「はぁっ!」ブンッ
レー「!!」
漣が放った矢をレーが避けた隙をついて、吹雪が剣を振り下ろす!
バシッ!
吹雪「……っ!」
しかし、片腕で剣を弾かれてしまう!
吹雪「まだまだ!」ブンブンッ!
レー「……」バシバシバシッ!
レーは吹雪と叢雲による連続攻撃を、両手で弾いていく!
叢雲(くっ……二人がかりでも弾かれる……)
吹雪(……でも、今なら隙が!)チラッ
五月雨「たぁー!!」ブンッ
レー「……!」
レーの背後から、五月雨が刀を振り下ろした!
バッ!
吹雪「え!?」
叢雲「な!?」
シュバッ クルッ
五月雨「え!?」
スカッ
レーは吹雪と叢雲を振りほどき、宙返りで五月雨の攻撃をかわした!
五月雨の背後に着地したレーは、そのまま五月雨に蹴りを食らわせる!
五月雨「うぁっ……!」ズザザ
吹雪「五月雨ちゃん!」
五月雨「くっ……」
吹雪「五月雨ちゃん、下がって……」
五月雨「まだ……まだ!」ダダッ
五月雨は起き上がり、レーへと向かっていく!
吹雪「!?ダメ、危ない!」
レー「……」シュバッ
五月雨(やっぱり避ける……でも!)スッ
ザパァァァァァァァァァァァァ!!!
レー「!」
五月雨はレーに向けて刀から水を放出した!
レー「……!」フラッ
五月雨(これで隙ができる!目もすぐには開けられない!)
レー「……」
ガッ
五月雨「!!?」
五月雨(完全に隙を突いたと思ったのに……こっちを見ずに刀を掴んできた!?)
レー「……」グイッ
五月雨「!!」
レーは五月雨ごと掴んだ刀を引き寄せ、そのまま五月雨に強烈な蹴りを叩きこむ!
ズドォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!
五月雨「うわあああああああああああ!!!!」
レー「……」スッ
レーは体勢を崩した五月雨に、追い打ちをかけようと近づいてくる
五月雨「……っ!」
五月雨(……やっぱり、私なんかじゃダメなのかな)
五月雨(私なんかが……みんなみたいに強くなるなんて無理だったのかな)
五月雨(この人に勝つなんて……できないのかな)
五月雨(いくら頑張っても……努力しても……)
五月雨「私は……弱いままなんだ……」
突如、レーに無数の矢が襲い掛かる!
レー「!!」シュバッ
五月雨「!」
漣「五月雨ちゃんから離れやがれ、このヤロー!」
五月雨「漣ちゃん……!」
レー「……っ」ダッ
レーは漣に向かって走り出す!
レー「!!」ガッ
グググ……
レーは電の攻撃を受け止めるが、電がわずかに押している!
レー「……!」グググ
叢雲「そこっ!!」ブンッ
レー「!!」
ズガァァァァァァァァァァァン!!!
叢雲「……ふぅ……ほんと、すばしっこいわね」
レー「……」
すんでのところで、レーは叢雲の攻撃を避けていた
吹雪「五月雨ちゃん、無事?」
五月雨「……ごめんね」
吹雪「え?」
五月雨「……私は、やっぱり駄目だなぁ……」
五月雨「……また、みんなに助けられて……」
吹雪「……」
五月雨「……っ」
吹雪「誰も……一人じゃあの人を倒せない」
吹雪「みんなで協力して倒さないといけない……」
吹雪「そして……それには、五月雨ちゃんも必要なんだよ」
五月雨「……!」
吹雪「もっと、仲間を頼っていいんだよ」
吹雪「私たちも……五月雨ちゃんを頼るから」
吹雪「みんなで、一緒に戦おう」
五月雨「……」
五月雨(私たちは一人じゃない。一人だけで戦ってるんじゃない)
五月雨(一緒に戦って、支えあって……本当の『強さ』を持って戦えるんだ)
五月雨(仲間がいるから……私は戦える)
五月雨(仲間がいるから、希望が持てる……!)
五月雨(仲間がいる限り、私は諦めちゃいけない!!)
五月雨「……ありがとう、吹雪ちゃん」
五月雨「一緒に……戦おう!!」
吹雪「……うん!」
五月雨(大きな隙を作って、そこに強い一撃を与えないといけない……)
五月雨(隙を作るのに一番いいのは電ちゃんの重力操作だけど……)
五月雨(電ちゃんはどうしても攻撃が大振りになっちゃう。そのための一撃が簡単に入るとは思えない)
五月雨(……もしくは……少しの隙をついて攻撃をする……)
五月雨(『アレ』を使えば……)
吹雪『五月雨ちゃん!?』
五月雨『これしかない……!やってみるよ!』チャキッ
五月雨『なんで……っ!どうして……?』
五月雨「……っ」
叢雲「隙って……そんなに大きな隙は作れそうにないわよ!」
五月雨「少しでいいの!少しでも隙があれば……!」
吹雪「っ!五月雨ちゃん、まさか……」
五月雨「……」コクリ
電「……了解なのです!少し足止めするくらいならできるのです!」
漣「よっしゃ!やってやるよー!」
レー「……」シュバッ
漣「やっぱり避けるか!でもまだまだ!」バシュバシュッ!
レー「……!」シュバッ
電「逃がさないのです!!」ブンッ
レー「っ!!」バッ
レーは電の振り下ろしたハンマーを、間一髪のところで回避する!
レーはそのまま電に接近し、攻撃を加えようとする!
叢雲「そこっ!」ブンッ!
吹雪「はぁっ!!」ブンッ!
レー「!?」ガッ
しかしそこへ叢雲と吹雪が横から同時に武器を振り下ろし、レーは思わず両手で武器をつかんだ!
五月雨「うん!」カチャッ
五月雨はアンカーパーツを刀に取り付けた!
五月雨(……大丈夫!)
五月雨(みんなが作ってくれたチャンス……絶対無駄にしない!)
レー「!?」
五月雨「やぁーっ!!!」
五月雨は高速でレーに近づき、すれ違い様に斬りつけた!
ズバァァァァァァァァァァァッ!!
レー「……!!」
シュンッ
レー「っ!!」
ズバァァァァッ!!
五月雨はレーに向き直り、再び高速でレーを斬りつける!
五月雨「はぁっ!たぁっ!!」
ズバッ! ズバッ!
五月雨は何度も高速で接近し、斬撃を浴びせていく!
シュンッ
レー「!!」
五月雨「はああああああああああああああ!!!!」
ズガァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!
五月雨「よしっ……!みんな、トドメだよ!」
吹雪「了解!!」
電「アンカーハンマー!」ヒュンッ
漣「デッキアロー!」ヒュンッ
叢雲「マストランス!」ヒュンッ
五月雨「キールブレード!」ヒュンッ
吹雪「ブリッジソード!」ヒュンッ
ピキィィィィィン ガッシィィィィィン!!!
五人が投げた武器が空中で合体し、バズーカとなった!
五人「デストロイキャノン!」
電「照準よし!」
叢雲「充填完了!」
五月雨「発射準備完了!」
吹雪「ってえええええええええええええええええええ!!!!!!」
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!
レー「……!!」
ドカァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!
リトウ「私の作った超強い怪人が……どうして!?」
吹雪「さて……リトウ。あなたが何をしようとしていたか、話してもらいましょうか」
リトウ「くっ……まだよ!まだ……!」スッ
リトウ「このスイッチを押せば……!」カチッ
五月雨「無駄な抵抗はやめてください!」
電「そうなのです。これ以上は……」
ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!
五人「!?」
叢雲「どこから音が……」
吹雪「……!みんな、あそこ!」
四人「!!」
レー「……」
遠く離れた森の中に、巨大化したレーが現れた!
リトウ「ふっふっふ!奥の手を残しておくのは科学者の基本よ!」
リトウ「巨大化したレーにはさすがに勝てないはずよ!覚悟なさい!ふーっはっはっは!」ダダッ
電「あ、逃げたのです!」
叢雲「くっ……あのゴスロリめ……!」
漣「倒した後に怪人が巨大化とか、マジでやってくるとか思わなかったよ!」
吹雪「ど、どうしよう!?このままじゃ……」
叢雲「少しずつこっちに近づいて来てる!このままだと鎮守府が危ないわ!」
電「でも、このまま戦いに行っても倒せるとは思えないのです……」
吹雪「……っ」
ピピピピピピピッ
吹雪「……?通信?」
漣「誰か間違えてボタン押しちゃった?」
吹雪「いや、自分の色のボタンが点滅してる……」
五月雨「ってことは……明石さんたちから!?」
明石『もしもしみんな?聞こえるー?』
吹雪「明石さん!」
明石『今すぐ港まで来て!巨大ロボ使えるよ!』
五月雨「え、もう帰ってきてるんですか!?」
明石『ついさっきね!ロボのパーツ持って帰ってどうしようかと思ってたら、なんか巨大な敵が見えて……』
明石『こりゃあ早速ロボの出番でしょ?だから早く来て!』
明石『すぐに使える準備は整ってるから!』
吹雪「わ、わかりました!すぐ行きます!」
そこには赤、黒、ピンク、黄色、青の五隻の船があった!
叢雲「うわっ!なにこれっ!」
電「はわわ、大きいのです……」
明石「みんなー、こっちこっち!」
五月雨「あ、明石さん!」
吹雪「明石さん、これがもしかして……」
明石「そう、これが変形して巨大ロボ『ショキカンオー』になるよ!」
明石「さあさあそれぞれの色に乗った乗った!」
明石『よーし、じゃあ早速合体だよ!』
漣「ヨッシャー!キタコレ!」
五月雨「それで、どうすれば?」
明石『全員、操縦席の右の方に大きなレバーがあるでしょ?それを同時に引いて!』
明石『それでその時、「駆逐合体!」って叫んでね』
叢雲「叫ばないとダメ?」
明石『駄目です』
叢雲「ええ、いいわ!」
漣「いつでも来いよ!」
電「問題ないのです!」
五月雨「うん。大丈夫だよ!」
吹雪「よし、それじゃ……」
吹雪「せー、のっ!」グイッ
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ヒュォォォォォォォォォォ
五隻の船が空中で合体し、一つの巨大なロボットになる!!
ピキィィィィィン ガッシィィィィィン!!
五人「完成!ショキカンオー!!」
吹雪「ほ、本当にロボットになった……」
漣「うーむ、素晴らしいね!」
叢雲「って、感心してる場合じゃないわ。早くレーを倒さないと!」
電「もう結構近くまで来てるのです!」
五月雨「明石さん、操作方法は!?」
明石『その辺のレバーとかボタンを適当にガチャガチャやったら何とかなるよ!』
吹雪「えぇ……」
明石『大丈夫大丈夫!艤装操る感覚でドーンと行っちゃって!』
五月雨「は、はい……」
漣「おお、動いた!」
叢雲「な、なんとか上手く歩けてるみたいね」
五月雨「このままいけば……もう少しでレーと接触するね」
電「いよいよなのです……」
吹雪「……行くよ!みんな!」
ブンッ!
レー「……」
ガシィッ!
漣「ひるむな!もういっぱーつ!」
ブンッ!
ガシィッ
レー「……!」ググググ……
電「……!押してるのです?」
五月雨「パワーはこっちの方が上みたいだね!」
吹雪「よーしっ!このまま押し切る!」
グググググ……
レー「……!」
ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!
吹雪「このまま追撃すれば……!」
シュバッ!
五人「!?」
倒れたレーがすぐさま起き上がり、跳びあがった!
漣「うわっ!跳んだ!?」
電「大きいのに身軽なのです……!」
レーはそのままショキカンオーを飛び越え、後ろに回り込んだ!
漣「ど、どこ行ったあいつ!?」
五月雨「後ろだよ!早く回避……」
ズドォォォォォォォォォォォォン!!!
五人「うわああああああああああああああ!!!」グラグラ
電「早く反撃するのです!」
漣「そうだ、このロボ剣とか持ってないの!?」
五月雨「明石さん、何か武器ないんですか!?」
明石『あるよ!五月雨ちゃんの前の青いボタン押して!』
五月雨「はい!」ポチッ
ウィィィィィィィィィィン ガッシィィィィィィィィィン!!
ショキカンオーの右腕のパーツが一部変形し、剣を持った!
ガキィィィィィンッ!!
レー「!」
叢雲「効いてるわ!追撃するわよ!」グイッ
ガキィィィィィンッ!! ガキィィィィィンッ!!
レー「……!」ヨロッ
漣「よーし!ここらで必殺技撃って決めるぞい!」
電「必殺技って……そんなのあるのです!?」
明石『あるよ!『ギガデストロイキャノン』っていうのが!』
吹雪「あるんだ!」
明石『みんなの操縦席に、ショキブレスのアンカーパーツを取り付ける台があるの!』
明石『全員同時に、アンカーパーツをそれに取り付けて!』
五月雨「わ、わかりました!」
ウィィィィィィィィィィン ガッシィィィィィィィィィン!!
ショキカンオーの胸部から、巨大な砲身が現れる!
レー「……!!!」フラッ
五人「ギガデストロイキャノン!!」
吹雪「ってえええええええええええええええええええええええ!!!!」
キュィィィィィィィィィィン……
ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!
レー「!!!」
ドカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!
電「よかったのです……」ホッ
叢雲「え、もしかして今後もこのロボ使うの?」
漣「現に巨大化してるから、その可能性は高いねぇ……」
五月雨「……ロボの操作の訓練も追加だね」
──────
───
五月雨「……吹雪ちゃんの言う通りだったよ」
吹雪「ん?」
五月雨「みんなで、一緒に戦う……」
五月雨「仲間全員が必要だって」
五月雨「本当に……みんながいないと無理だった」
五月雨「……そうかな」
吹雪「そうだよ。ちゃんと必殺技使ってくれたでしょ?」
吹雪「五月雨ちゃんがいなかったら、ああやってレーを倒すことはできなかったよ」
吹雪「これまでも……そして、これからも」
吹雪「五月雨ちゃんも……みんなも、必要だよ」
五月雨「……うん」
五月雨「あはは……そうだね」
吹雪「……前も言ったけど、私は五月雨ちゃんは強いと思うよ」
吹雪「前に五月雨ちゃんが言ってた……本当の強さが五月雨ちゃんにもあると思う」
吹雪「使えなかったはずの必殺技を、諦めずに使おうとしたんだもん」
吹雪「最後まで諦めない心……それも、強さじゃないかな」
五月雨「……」
五月雨「でも、みんながいてくれたから……諦めちゃダメだって思えたよ」
五月雨「みんなが一緒に戦ってくれて……チャンスも作ってくれた」
五月雨「それを絶対に無駄にしちゃいけないって思ったんだ」
五月雨「だから、私が諦めないでいれたのはみんなのおかげ」
五月雨「みんなが……仲間がいてくれたから、私は希望を持って戦えたんだよ」
吹雪「……そっか」
吹雪「こちらこそ、頼りにしてるよ。五月雨ちゃん」
吹雪「……一緒に頑張ろう!」
五月雨「……うん!」
吹雪「さあ、本拠地いくよ!会議始まっちゃう!」
五月雨「あ、待ってー!」
五月雨(仲間と一緒に、希望をもって戦うために!)
五月雨「よーっし!」
五月雨「ショキカンジャー、ブルーの五月雨!頑張ります!」
第六話「ロボットがほしい!」 艦
旧ショキカンジャーのホワイト、大井です
あの子たち、ディープマリンの幹部のほとんどを撃退したらしいけど……
まだ一人、私たちを追い詰めたアイツがいるわ
……今でも忘れられない、あの光景……
仲間がやられていく中で、何もできなかった自分と、奴が許せない
奴を見つけたら、絶対にこの手で……!
次回、第七話「更なる力!?」
次回も見てくださいね、北上さん♪
~ショキカンオー~
漣「えー、始まりました。『ショキカンジャーって?ああ!』 のコーナー」
吹雪「今回で五回目か……」
叢雲「早いものねぇ……」
電「今回はショキカンオーなのです?」
漣「まーその前に五月雨ちゃんの必殺技の解説ですな」
五月雨「うん、わかったよ」
叢雲「高速って……どのくらい速いなの?」
五月雨「えっと……わかんない」
漣「レッドバスターくらいらしいよ」
吹雪「うわっ、速いなぁ……」
電「コウワンさんといい勝負なのです」
電「カーブとかできないってことなのです?」
五月雨「うん。まあスピード出しながら曲がるのは難しいよね……」
吹雪「ブレーキは掛けられるから、今回みたいに何回も斬りつけることが可能だね」
叢雲「うまく使えば、攻撃以外にも使えそうね」
漣「五月雨ちゃんがドジって高速でぶつからないことを祈ろう……」
五月雨「そ、そんなことしないよ!」
叢雲「私たちの変形合体巨大ロボ、『ショキカンオー』ね」
電「電たちが乗る、五隻の船が変形合体して出来上がるのです」
五月雨「赤が胴体と頭、黒が右脚、ピンクが左脚」
五月雨「青が右腕、黄色が左腕になります」
漣「合体前の船にも攻撃機能とかついてるけど、多分使わんね」
叢雲「それを色々ガチャガチャやって操作するわ」
吹雪「えぇ……」
五月雨「私の前にある青いボタンを押せば、剣を装備するよ」
吹雪「基本的にその剣で戦うことになるかな」
漣「その他にも色々特殊な機能があるとかないとか……」
漣「その名も『ギガデストロイキャノン』!超強力なビーム砲だよ!」
電「しかし、撃つには結構なエネルギーが必要なのです」
五月雨「一回撃ったら、しばらくは撃てないね」
叢雲「デストロイキャノンと同じで、とどめで使うしかないわね」
吹雪「どうって?」
漣「今回戦った森とか、ぐちゃぐちゃなんじゃないかなって」
電「……環境破壊なのです?」
五月雨「……大丈夫なの?これ」
叢雲「……深く考えたらだめよ」
艦
ショキカンジャー本拠地
吹雪「はいはい、それでは第七回ショキカンジャー会議を始めます」
……………
吹雪「……?」
漣「どったの吹雪ちゃん」
吹雪「……いや、何でもない」
漣「……」ニヤリ
叢雲(何こいつ)
吹雪「うん。この間攻めてきた敵の目的について……」
叢雲「なんか変な機械設置しようとしてたのよね」
電「あれって結局何だったのです?」
吹雪「明石さんたちに何の機械なのか調べてもらったんだけどね」
吹雪「いくつか分かったことがあるらしいから、今から聞きに行こう」
漣「というわけで来たゾイ、工学部コンビ」
夕張「誰が工学部コンビだ」
大井「大体あってるじゃない」
夕張「メカニックとお呼び!」
叢雲「……って、あれ?大井さん?」
電「大井さんも来たのです?」
吹雪「うん。やっぱり前回のことで大井さんの協力が必要だってわかったからね。情報共有のためにちゃんと呼ぼうと思って」
大井「まあ、他にもちょっと用事があったしね……」
明石「ええ、まあ一応ね」
明石「なんか……ウイルスみたいなのを散布する装置じゃないかって思うんだけど」
漣「は?ウイルス?」
夕張「そう、ウイルス。ナノマシンとかかもしれないけど」
吹雪「何ですか?それ」
叢雲「具体的には何なのよ」
明石「うーん、実はね……肝心の散布する中身が入ってなくて」
夕張「結局よくわかってないのよ」
夕張「しかも、それだけにしては余分なパーツが多いし……他にも何か用途があったのかも」
大井「なかったわね……装置の製作自体はしてたかもしれないけど、少なくとも見たことはないわ」
五月雨「それじゃあ、目的はほとんどわからずじまいですね……」
明石「一つ考えられるのは、単純に艦娘を弱らせるためにインフルエンザみたいなウイルスをばらまくこと」
叢雲「あー……今までの奴らの手口を考えると、十分あり得そうね」
大井「もっと凶悪なウイルスである可能性はないの?」
吹雪「確かに、最悪死に至らせるようなものとか……そういうものがあれば、それをばら撒くでしょうね」
明石「そうだね。まあ、そんな感じでバイオハザードを起こすってこと」
五月雨「うん。何とか回避できてよかったよ……」
夕張「いや、まだ油断はできないよ」
電「え、どうしてなのです?」
夕張「少なくとも、そういう何らかのウイルスだとかナノマシンだとかを持ってるってこと」
夕張「散布は止められたけど、今後の戦いで直接使われちゃったりする可能性もあるわけ」
吹雪「そうか……そのウイルス自体は無力化できてないわけですからね」
明石「ええ。だから、そのウイルスが何かによるけど……」
明石「……気を付けてね」
明石「ん?」
叢雲「いまだに吹雪が必殺技を使えないのどういうことなのよ」
明石「うっ……」
吹雪「そうですよ!私だけいつまでたっても使えないんじゃ、いくら気を付けても戦力的に不安なんですよ!」
夕張「だ、だって原因がわからないんだもの……」
五月雨「私が使えるようになったのもついこの間ですし……単純に武器の扱いだけの問題じゃないですよね?」
電「早めにどうにかしたいところなのです」
明石・夕張「うぅ……」
夕張「お、大井……」
吹雪「大井さん、何か知ってるんですか?」
大井「ええ、一応ね」
明石「わ、わかったよ、白状するよ……」
明石「本当は、どうして必殺技が使えないかは予想がついてるの」
漣「えぇ……」
明石「単純に武器に慣れてなかったから、暴走しないようにリミッターがかかっちゃったわけ」
夕張「それは別としても、その時の戦いから武器の力不足を感じてたからさ」
夕張「武器をもっと改良しないといけないって二人で話してたんだけど……」
夕張「ちょうどその頃、戦隊パワーの解析に成功して、技術に組み込めるようになったんだよ」
電「そういえば、戦隊パワーは実在することがわかってたのです」
夕張「いやあ、みんなの持つ戦隊パワーはすごいよ……これはうまく使えば、戦力アップにつながるって思ったのよ」
五月雨「えっと、つまり……」
明石「……そう、つまり私たちは戦力増強のために武器とショキブレスを改造し!」
明石「戦隊パワーに比例して武器やスーツの性能を上げることに成功したのだぁ!!」
五人「な、なんだってーーー!!」
明石「その通り!ただし戦隊パワーの高め方は未だによくわかんないけどね!」
叢雲「そこ一番肝心なところじゃないの」
漣「んで、そのことと吹雪ちゃんが必殺技使えないウーマンになってることにどんな関係が?」
夕張「それなんだけど……必殺技を使うには、それなりにエネルギーが必要なわけ」
夕張「で、こうして戦隊パワーをエネルギーとして使うことができるようになったから……」
五月雨「……ある程度戦隊パワーが高まらないと、必殺技が使えないってことですか?」
明石・夕張「その通り!!」
五人「……」
吹雪「よ、要するに私の戦隊パワーが必殺技を使うのに十分高まってないってことですか!?」
明石「正確には『高まったことがない』かな。一定の戦隊パワーを検知すると、リミッターは外れるからね」
明石「そうしたら、比較的小さな戦隊パワーでも使えるようになるよ。負担は少し大きいけど」
電「どちらにしても、吹雪さんの戦隊パワーが足りていないわけですね」
漣「でも何でなん?さっきよくわかんないって言ってたけど、戦隊パワーってヒーローっぽい恰好とか言動とかで高まるんでしょ?」
五月雨「装備や戦い方でそこまで差がついてるとは思えないんですけど……」
大井「多分、直接的に装備や言動と、その……戦隊パワー?が関わってるわけではないと思うのよね」
明石「私たちもそう思うの。だから、差が付くとしたら装備とかは関係ないと思うね」
電「でも、どちらにしても吹雪さんだけ戦隊パワーが小さい理由がわからないのです」
夕張「いや……それがね」
漣「んお?」
夕張「昨日、みんなが訓練してるときに物陰からこっそりみんなの戦隊パワーを測定したんだけど……」
吹雪「そんなことできるんですか……」
夕張「結果、ほとんど差は見られなかったわ」
明石「そう。大井さんも含めて、通常戦闘時の戦隊パワーは大体同じみたい」
夕張「だから必殺技が使えないのは、また別の理由なのよ」
電「じゃあどうしてなのです?」
明石「それは……えーっと……」
叢雲「あーもう!回りくどいわね!わかってることをさっさと教えなさいな!」
五月雨「む、叢雲ちゃん落ち着いて!」
明石「ごめんごめん!結論を言うとね……」
明石「単純な話。吹雪ちゃんの必殺技だけ、要求する戦隊パワーが少しだけ大きいんだよ」
明石「そう。まあ吹雪ちゃんのはかなり無茶する技だからね……万一のことがないように少しだけ高めに設定してるのよ」
漣「要するに、吹雪ちゃんだけちょっとリミッター強め……と」
夕張「そうそう。そういうこと」
吹雪「はあ……何となく理解はできましたけど……」
明石「だから解決策は二つ。要求度を下げるか……どうにかして吹雪ちゃんの戦隊パワーを上げるか」
夕張「ただ、さっきも言った通りリミッターが強いのは負担を考えてのことだからね」
吹雪「……どうしよう」
五月雨「吹雪ちゃんのいいようにすればいいと思うよ」
電「そうなのです。吹雪さんが決めるのです」
吹雪「うーん……」
吹雪「……とりあえず、今のままでいいです。そのうち戦隊パワーも上がるかもしれないですから」
五月雨「あっ、確かに!どうしてなんですか?」
明石「その後に戦隊パワーがみんなと同じくらいまで上がったんじゃない?」
漣「ほう、シンプルないい答えだァ……」
吹雪「……って!それ、大事なことなんじゃないんですか!?」
吹雪「それで戦隊パワーを上げる方法がわかるかもしれないんじゃ……!」
夕張「おー、そうだね。って言っても、何かわかる?五月雨ちゃん」
五月雨「いえ、正直何も……」
大井「……とりあえず、具体的な話を聞かせてもらえるかしら」
五月雨「は、はい……」
──────
───
五月雨「……なので、正直私にもよく……」
大井「……なるほどね」
夕張「大井、何かわかったの?」
大井「ええ……まあ、大したことではないけどね」
大井「やっぱりその戦隊パワーは、以前言ったように特殊な精神エネルギーである可能性が高いわ」
大井「つまり、その強さは精神に寄与するってことね」
吹雪「精神……ですか」
大井「そう。何か迷いがあったりだとか、恐怖を感じたりだとか……」
大井「精神的に不安定だったりネガティブな感情を持っていたりすると、弱くなるんじゃないかってことよ」
五月雨「なるほど……」
漣「ブレイドのライダーシステムみたいなもんか」
大井「安定っていうか……『強い思い』を持つことがいいのかもしれないわね」
電「強い思い?」
大井「闘志を燃やす、って言ったらいいのかもしれないわね」
大井「とにかく、この戦隊パワーは精神状態によって左右するってことよ」
明石「なるほど、確かにそれは十分考えられるね」
夕張「ますますヒーローっぽくなってきたね」
吹雪「でも、そうなると戦隊パワーを高めることは簡単ではないですね……」
大井「そうね。まあ、気を張ることはないわ。あくまでも仮説だし」
五月雨「本当ですよ!必殺技についたはこの間も相談したじゃないですか!」
明石「うぐっ!そ、それは……」
夕張「武器を改造した後、戦隊パワーのことみんなに伝えるのすっかり忘れてて……」
明石「怒られると思って、今更言い出しづらくて……」
叢雲「子供かっ!?」
漣「ないわぁ……」
大井「ただでさえでディープマリンに特効とされてる戦隊パワーに比例して、装備の性能まで上がるんだもの」
吹雪「はい。確かにそれは素晴らしいですし、すごく助けられたと思います」
電「でも、大事なことはちゃんと言ってほしいのです」
大井「その通りね。ちゃんと情報は伝えるべきよ」
漣「やめてよね」
明石・夕張「本当に申し訳ない……」
叢雲「そうね。なんかやばそうなもの持ってるかもっていうのはわかったし」
明石「うん。もしまた何かわかったら知らせるね」
吹雪「じゃあ、私たちは訓練に行きますね」
電「大井さんはどうするのです?」
大井「私は、まだこの二人と話があるからこのまま残るわ」
吹雪「何かあるんですか?」
漣「そりゃあ裏金取引よ……」ククク
大井「そんなわけないでしょ……」
夕張「そんなこと言ってー。大井だってあのこと隠してるじゃない」
大井「……別に隠してるわけじゃないわ。聞かれなかったから答えただけよ」
明石「まあちゃんと完成してから知らせた方が面白いからね!」
大井「……」
夕張「それで、どんな感じ?」
大井「ええ、そうね……」
ショキカンジャー本拠地
吹雪「うーん……」ズーン
漣「どったの吹雪ちゃん。眉間にしわ寄せて」
叢雲「そうよ。かわいい顔が台無しよ」
吹雪「かっ、かわいい!?」ボンッ
五月雨「爆発したっ!?」
吹雪「なななな、なに言ってるの叢雲ちゃん!?お姉ちゃんをからかわないでよね!!」アセアセ
電「ちょろすぎるのです」
吹雪「いや……戦隊パワーを上げるにはどうしたらいいか本当にわからなくて」
叢雲「精神に依存するかもって言ってたじゃない」
電「強い思いを持つのです」
吹雪「そうは言っても簡単にできることじゃないよ……」
漣「そりゃあ確かに、訓練したって無理でしょうな」
吹雪「……」
漣「しかし、実際の戦いの中でなら話は別だ……君には資質がある」
漣「いつか君も戦隊パワーを上げて、必殺技を使える時が来るだろう……私はそう信じている」
吹雪「漣ちゃん……?」
漣「だから戦うしかないのだ……ジョジョ」
吹雪「誰がジョジョだ」
吹雪「え、あんまり意味わかんなかったんだけど」
漣「要するに、今焦ってもしょうがないってことだよ。機を待つべし!」
吹雪「うーん……確かにその通りだよね……」
吹雪「……そうだよね。焦っても仕方ない。今はやるべきことを頑張ろう」
電「それがいいのです!」
叢雲「訓練……はほぼ毎日してるけど」
漣「なんかやんないといけないことあったっけ?」
電「パッとは思いつかないのです」
吹雪「強いて言えば、そろそろ敵の情報をこちらから掴みたいかな」
五月雨「あー……確かに、敵のことについてはあんまりわかってないもんね」
叢雲「そもそもあいつらどこから湧いて出てくんのよ?特に戦闘員!」
漣「それは突っ込んじゃダメダーメ」
吹雪「え、何?」
電「あの時、コウワンさんはあそこで何をしていたのでしょう?」
叢雲「何って……私たちを待ち伏せしてたんじゃないの」
漣「ご丁寧にスピーカー付いた首輪をした猫まで用意して」
五月雨「その前にセンスイさんがあそこまで逃げてるから……私たちがあのあたりを調べに来ることはある程度予想できたかもね」
吹雪「でも、確かにそれだけのために来るかなっていうのはあるね……」
電「確信は持てないですけど……」
五月雨「あと一応あそこ採石場じゃないよ……」
漣「でも例の採石場に似てるじゃん」
叢雲「そうね……他にやることもないし、あそこを調べてみる価値はあるんじゃないかしら」
五月雨「うん。センスイさんがあっちの方に逃げてたのは事実だし、何かわかるかもね」
吹雪「よし、じゃあ今から行ってみようか」
漣「ほらやっぱり似てるよ」
五月雨「そう言われても……」
電「それで、どうやって調べるのです?」
吹雪「まあ怪しいところ、違和感を感じるところがあればそれを調べるのが一番だけど……」
叢雲「とにかく手分けして色々見てみましょう。場合によっては更に奥に……」
ゴゴゴゴゴ……
叢雲「……?」
叢雲「いえ……何か、地響きみたいな音が……」
電「地震なのです?」
叢雲「さあ……わからないけど」
漣「そういえば異常現象にありましたな、地響き」
吹雪「そういえばそうだっけ」
叢雲「いや……今は聞こえないわ」
漣「じゃあ気のせいだったんじゃない?」
叢雲「そうかもね……」
叢雲(気のせいねぇ……確かに聞こえたと思ったんだけど)
ゴゴゴゴゴ……
叢雲「!!」
叢雲「五月雨!!前方に飛びなさい!早く!!」
五月雨「!?」シュバッ
ボコォッ!
ドゴォォォォォォォォォォォォォ!!!
突然五月雨がいた地面が隆起し、槍のように突き出した!
電「地面が突然とんがったのです!?」
ゴゴゴゴゴ……
叢雲「気を付けて!まだ来るわ!」
ボコォッ! ボコォッ!
吹雪「うわぁっ!?」シュバッ
漣「なんぞこれー!!??」シュバッ
叢雲「多分ね……!だからどっかにこの地面を操ってるやつがいるはずよ!」
吹雪「!!叢雲ちゃん!!」
ボコォッ!
叢雲「っ!!」
ドゴォォォォォォォォォォォォォ!!
叢雲「ぐあああっ!!」ザシュッ!
叢雲「くっ……大丈夫よ、少し腕をかすっただけ……」
五月雨「このままだとやられる……!変身しないと!」
吹雪「そうだね!みんな、いくよ!」チャキッ
四人「了解!!」チャキッ
カチッ
シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン…………
五人の体に、スーツが装着されていく!
バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
ボコォッ! ボコォッ!
吹雪「ふっ!」シュバッ
電「はわわっ!」シュバッ
漣「変身したはいいけど、どっちにしろこのままじゃジリープアー(徐々に不利)だよ!」シュバッ
五月雨「どこにいるの!?操ってる人は!」シュバッ
叢雲「それがわかったら苦労しないわよっ!」シュバッ
五月雨「うわぁっ!?」シュバッ
吹雪「こ、このままだと隆起した地面が邪魔で避けられなくなっちゃう!」
電「ハンマーで一つ一つ壊すのはキリがないのです……」
電「叢雲さん!衝撃波で何とかなりませんか!?」
叢雲「このくらいの範囲なら、なんとかなるかもしれないけど……みんなも巻き添えになるわよ!」
漣「だったら跳べばいいだろ!」
叢雲「はぁ!?」
漣「衝撃波は地面にしか走んないから、その時に漣たちはジャンプすりゃいいってこと!」
叢雲「あーもう、わかったわよ!巻き込まれないよう気を付けてよね!」
ドゴォォォォォォォォォォォォォッ!!!
叢雲が地面に槍を突き刺すと、地面に衝撃波が走った!!
同時に、隆起していた地面も崩れ落ちる!
ガラガラガラガラ……
吹雪「ナイス叢雲ちゃん!」
五月雨「でも油断はできないよ!本体を叩いてないから、まだ攻撃は終わらないはず……!」
電「そうなのです!早く敵を見つけないと……!」
漣「くっそー!隠れてないで出てきやがれってんだー!!」
「……フフフ……」
五人「!!」
泊地棲姫に似た人物が、背後から歩いてきた
叢雲「姿を現したわね……」
泊地棲姫?「隠れてて……ごめんなさいね……」
泊地棲姫?「あなたたちと……ちょっと……遊んでみたかったから……フフフ……」
五月雨「……ディープマリンの、最後の幹部ですか?」
泊地棲姫?「ええ、そうよ……私は……ハクチ……」
ハクチ「ディープマリン、最後の幹部……」
漣「っていうことは、大井さんが言ってた隠し玉……!?」
ハクチ「でも……そんなことは……気にしなくていいのよ……」
叢雲「え……?」
ハクチ「だって……あなたたち……」
ハクチ「ここで……終わりだもの……!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
五人「!!?」
地面が巨大な手の形に隆起し、襲い掛かってきた!
電「えーいっ!」ブンッ
ドゴォッ!
電「っ……ギリギリ防げましたが……」
ハクチ「フフフ……流石に……このくらいは……防ぐみたいね……」
ハクチ「でも……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
五人を取り囲むように、地面から複数の手が生えてきた!
五人「うわぁ!!?」
ハクチ「基本は……地面を……隆起させたりして……操る能力だけど……」
ハクチ「応用すると……このように……腕を生やせたり……するわ……」
ハクチ「時間をかければ……もっとすごいことも……」
吹雪「まずい……数が多すぎる」
五月雨「このまま襲われたら……」
ハクチ「フフフ……」
ハクチ「行きなさい……!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!
漣「やっちゃえー!叢雲ちゅわーん!!」
叢雲「みんな!ちゃんと避けなさい……よっ!」ブォンッ!
ドゴォォォォォォォォォォォォォッ!!!
ガラガラガラ……
吹雪「よし、崩れた!」
叢雲「ふふん、ざっとこんな……」
叢雲「……っ!?」
ハクチ「フフフ……」
囲んでいた大量の手が崩れると、さらにその外側を大砲のようなものが五人を囲んでいたことに気が付いた!
漣「こんなのも作れんのかよー!!」
ハクチ「当然でしょう……私は……大地を意のままに操れるのよ……」
ハクチ「さあ……撃ちなさい……!」バッ
囲んでいた大砲が、五人に向かって一斉射撃を放つ!
ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!
「うわああああああああああああああ!!」
ドカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
ハクチ「……」
ハクチ「……惜しかったわね……もう少しで……仕留められたのに……」
五人「……っ」
五人は、囲まれていたはずの大砲よりも、外側に移動していた!
五月雨「はぁ……はぁ……」
電「あいたた……」
吹雪「た、助かったよ五月雨ちゃん……」
五月雨「ご、ごめんみんな……加速してもこれが精一杯で……」
叢雲「大丈夫よ……あのままじゃどっちにしろやられてたし」
吹雪(砲撃の寸前、高速移動と水の射出を利用して、みんなを弾き飛ばして脱出……あの状況じゃ、これが最善手だよね)
吹雪(とにかく助かった……)
ハクチ「あのお方が……いい加減……邪魔になって……消したくなるのもわかるわ……」
吹雪「あのお方……?」
漣「なんだ?ディープマリンのボスか?」
ハクチ「……そうよ……ディープマリンのボス……センカン様……」
ハクチ「あのお方が……あなたたちは……邪魔だっていうから……私が……消しに来たのよ……」
叢雲「ふん、そう簡単に消せるかしら?」
ハクチ「……確かに……このまま……遊んでても仕方ないものね……」
ハクチ「だから……そろそろ……」
ハクチ「お遊びは……終わりにしようかしら……」パチンッ
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!
電「というか、地面が揺れてるのです!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!
吹雪「ハクチ!一体何を……!」
ハクチ「フフフ……あれを……御覧なさい……」スッ
五人「……!?」
ハクチが指さした先では、遠くの小山の一部が変形し、岩石の巨人へと変化していた!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!
漣「また出やがった!」
ハクチ「私が本気を出せば……あれくらいできるのよ……」
ハクチ「かなり疲れるし……時間もかかるから……前もって準備してたんだけどね……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!
ボゴォッ!!!
ズシィィィィィィィィィィィン……
岩石の巨人が完全に形作り、地面に降り立った!
ハクチ「あの子は……自律して動いて……あなたたちを潰そうとするわ……」
ハクチ「せいぜい……踏みつぶされないように……することね……」スッ
叢雲「ちょっと!逃げるつもり!?待ちなさ……」
ドゴォォォォォォォォォォォォォ!!
五人「!?」
五人とハクチとの間で、地面が隆起して巨大な壁ができた!
叢雲「あーもう!邪魔よコレ!」ドカッ
五月雨「これは逃げられちゃったね……」
漣「どうする!?追う!?」
ズシィィィィィィィィィィィン…… ズシィィィィィィィィィィィン……
吹雪「いや、先にこっちをどうにかしないと!」
吹雪「明石さんたちに連絡して、ショキカンオーを呼ぼう!」
明石『はい、こちら明石!』
吹雪「明石さん!緊急事態です!」
明石『わかってる!ショキカンオーでしょ!?』
五月雨「え、なんでわかったんですか!?」
明石『なんか地震起こったと思ったら、変なでっかい巨人みたいなのが遠くに見えたから!』
明石『既にそっちの方に船発進させてるよ!』
漣「さすが明石さん!仕事が早いぜ!」
電「でもここ、水がないのにどうやって船が来るのです?」
明石『実はあれ飛べるから!』
五人「うそぉ!?」
五隻の船が、五人のもとへと飛んできた!
吹雪「うわあ、本当に来たよ!」
漣「そういや合体するときに飛ぶしな」
明石『あとは前回と同じようにやってね』
明石『あ、そうそう!もしかしたら大井さんがそっち向かってるかも!』
叢雲「大井さんが?」
明石『うん。さっきまで一緒に工廠にいたんだけど、なんかその巨人みたいなのを見た途端にどこかに行っちゃって……」
明石『そっちの方に向かったのかなって』
五月雨「わかりました……」
叢雲「多分そうだろうけど……でも、巨大戦力がないのにどうするつもりかしら?」
五月雨「……ハクチさんが、狙いなんじゃないかな」
吹雪「え?」
五月雨「だって……ハクチさんって、大井さんの仇なんでしょ?」
吹雪「……!そうか、大井さんの仲間はハクチに……」
漣「でも一人で戦うなんて危険じゃん!放っておくわけには……」
ズシィィィィィィィィィィィン…… ズシィィィィィィィィィィィン……
五月雨「……でも、こっちの方も放っておけないね」
吹雪「しょうがない……大井さんとハクチのことは気になるけど」
吹雪「急いでこの巨人を倒して、大井さんを助けに行こう!」
四人「了解!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………
ヒュォォォォォォォォォォ
五隻の船が空中で合体し、一つの巨大なロボットになる!!
ピキィィィィィン ガッシィィィィィン!!
五人「完成!ショキカンオー!!」
例の採石場(っぽいところ)のはずれ
ハクチ「……なるほど……あんなものが……あったのね……」
ハクチ「でも……私の人形も……一筋縄では……いかないからね……」
ザッ
ハクチ「……あら……?」
大井「……」
ハクチ「何の……用かしら……?」
大井「……」パカッ
大井「……出撃」カチッ
シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン…………
大井の体に、スーツが装着されていく!
バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
ハクチ「……」
ハクチ「……ああ、その姿……思い出したわ……」
ハクチ「そう……あの時……逃げ帰った子ね……フフフフ……」
大井「……」ギリッ
大井「あなただけは……絶対に許さない……!」
ハクチ「私の力を……知っておきながら……?」
大井「……っ」
ハクチ「フフフ……素晴らしい……度胸ね……」
ハクチ「いいわ……その度胸に……応えてあげる……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
大井の周りの地面が変形し、無数の腕や大砲が大井を取り囲む!
ハクチ「……本気で……いくわよ……?」
大井「……来なさい」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
大井「……『トーピードーボム』!!」
巨人「……」ブォンッ
ドゴォォォォォォォォォォォォォ!!
吹雪「うわぁっ!!」グラッ
漣「こなくそー!」グイッ
ショキカンオーは巨人に向けて剣を振り下ろす!
ガキィィィィィンッ!!
巨人「……」
叢雲「くっ……固いわね、こいつ」
電「押されてるわけではないですが、倒すのに時間がかかっちゃうのです!」
明石『あるよ!』
叢雲「あるの!?」
明石『電ちゃんの前の黄色いボタンを押して!』
電「は、はいなのです!」ポチッ
ウィィィィィィィィィィン ガッシィィィィィィィィィン!!
ショキカンオーの左腕のパーツが変形し、ドリルになった!
吹雪「じゃあこれで……!」グイッ
キュィィィィィィィィ ガキィィィィィンッ!!
巨人「……」ヨロッ
五月雨「さっきより効いてる!ドリルの方が有効みたいだね……!」
漣「石にはドリルってことか!」
叢雲「このまま追撃を……」
巨人「……」ブォンッ
電「っ!?」
ズガァァァァァァァァァァァァァン!!
五人「うわああっ!?」グラグラ
吹雪「簡単には勝たせてくれないってことだね……」
叢雲「くっ……!さっさとこいつを倒さないと……!」
五月雨「……大井さん……」
漣「……」
大井「くっ……『パワーボム』!」バシュッ
ドカァァァァァァァァァン!!!
ハクチ「フフフ……無駄よ……無駄無駄……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
大井(くっ……破壊しきれない)
大井(うまく腕や大砲を破壊できても、また新しいのが生えてくる……キリがない!)
大井(やはり、ハクチ本体を狙うしか……!)スッ
大井「喰らいなさいっ!」バシュッ
ドカァァァァァァァァァン!!!
大井「……!」
ハクチ「フフフ……危ない危ない……」
大井(地面を隆起させて、防御壁を……!)
ハクチ「ホラ……ホラァ……!」
ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!
大井「うああ!?」ズザザッ
ハクチ「あなたの……武器は……どちらかと言えば……サポート向け……」
ハクチ「一人で戦うには……向いてないのよ……」
ハクチ「まだ……来るの……?しつこいわねえ……」
大井「黙りなさい……!」
ハクチ「それとも……あの子たちが……来るまで……粘っているのかしら……?」
大井「……」
大井「……これは、私の戦い」
大井「あの時……一人で逃げた自分の罪を……少しでも償うための……」
大井「……だから……あの子たちを巻き込むわけには……」
ハクチ「……ふぅん……」
ハクチ「まあ……なんでもいいけど……」スッ
ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!
大井「ぐああ……っ!」ドザッ
大井「くっ……」
大井(まだ手はある……!まだ……)
大井(まだ……『アレ』を使うことができれば……!)スッ
ハクチ「……フフフ……」
大井「……ッ!」ビクッ
大井(自分でわかる……今の私じゃ、『アレ』を使うためのエネルギーが足りていない……)
大井(自分で言ったもの……あの子たちが言う戦隊パワーは、精神に寄与するって……)
大井(……やっぱり、私は……)
大井(私は……あいつが怖い)
大井(死ぬのが……怖い)
大井(こんなことで……戦えるわけがないわ……)
ズドォォォォォォォォォォォォォン……
彼方では、ショキカンオーの一撃により岩石の巨人が崩れ落ちていくのが見えた
大井「……!」
ハクチ「あらあら……あっちの方では……やられちゃったみたいね……」
ハクチ「でも……あの子たちが……すぐにこっちに向かったとしても……時間がかかるわ……」
ハクチ「あなたに……助けは……来ないのよ……」
大井「……だから言ってるでしょう」
大井「これは私の戦い。あの子たちは関係ないのよ……」
ハクチ「……そう……」
ハクチ「じゃあ……そろそろ……」
ハクチ「……とどめを……刺してあげるわ……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
大井の周りを、大砲が取り囲む!
大井「……っ」
ハクチ「あなたも……一年前に殺した……あの子たちのもとへ……送ってあげるわ……!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
大井「……」
大井(……もうダメ……みたいね……)
大井(……ごめんなさい、みんな……)
大井(私は……仇を、取れなかった……)
「させるかぁーーーーーーーー!!!」
シュバババババババッ!!
突然、無数の矢が、大井を取り囲んでいた大砲を破壊した!
ズガァァァァァァァァァァァァァン!!!
大井「!?」
ハクチ「!?」
大井「あなた……どうして……!?」
ハクチ「馬鹿な……!あそこから……こんな短時間で来れるはずが……!」
漣「へっへーん。漣一人だけ途中で抜け出して、こっちに向かってたんだよ!」
漣「まあ、あのごつごつした奴は漣一人いなくても倒せるくらい弱っちかったってことだね!」
ハクチ「くっ……そんな……そんなこと……!」ギリッ
漣「え、何で?」
大井「あいつ、とんでもなく強いのよ!知ってるでしょ!?」
大井「今からでも遅くない!逃げ……」
漣「そんな強いって知ってて、大井さんは一人で戦ってたんですか?」
大井「だって、私は……!」
大井「私は……こうでもしないと……自分を許せなくて……!」
漣「……」
大井「え……?」
漣「勇気と無謀は違う……」
漣「勝算のある戦いをしろって」
大井「……」
漣「自分で言ったことを守れないようでは、まだまだですな」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
漣「邪魔すんな!!」バシュバシュッ!
ズガァァァァァァァァァァァァァン!!!
ハクチ「くっ……!」
漣「……大井さん。はたから見ても、今のあなたはダメダメですよ。強がってるけど、ビビりまくりで……そんなんじゃ勝てません」
大井「な……っ」
漣「多分ですけど……一年前のあなたは、こんなダメダメじゃなかったはずです」
漣「どうしてか……わかりませんか?」
大井「……」
吹雪「漣ちゃん!大井さん!」
叢雲「何とか間に合ったみたいね……」
漣「おー、みんな乙乙。何とか勝ててよかったねー」
電「でもここからが本番なのです!」
ハクチ「また増えて……!厄介ね……!」
五月雨「覚悟してください!」
大井「……」
──────
───
一年前
大井『ふぅ……』
『どうしたのさ大井さん。元気ないじゃん』
大井『いえ……ちょっと考え事してただけよ』
『ふーん……』
大井『……』
『ん?』
大井『……どうやったら、あなたみたいに強くなれるの?』
『え?な、なに急に!?』
大井『いえ……ただ』
大井『あなたって、私たちの中で誰よりも強いし……』
大井『どんなに強い敵が現れても、立ち向かっていくから……』
大井『……どうしてそんななのか、気になっただけよ』
『むしろ私は、艦隊戦での大井さんの強さの方が気になるけどね』
大井『あれは北上さんを想っているからよ!他の鎮守府で頑張ってる北上さんに会うためにも、沈むわけにはいかないのよ!」
『ははは……大井さんらしいね』
『でも、多分基本的にそれと一緒だよ』
大井『え?』
『だから負けちゃいけないって思えるし、怖気づいてる暇なんてない』
『どんな敵にも立ち向かっていけるんだよ』
大井『……そうなの?』
『うん、多分そう。あんまり考えたことないけど』
『でも……まあ、その思いは直接出てくるわけじゃないんだけどね』
『うーん、なんていうか……』
『……まず私、弱くて自分一人じゃ戦えないと思ってるんだよね』
大井『え?』
『一人で戦っても多分どうにもなんないんだよ。そしてそれは、私だけじゃないと思う』
『大井さんだって、ね』
大井『……』
『だから、私は大切な仲間のために頑張らないとって思う。そしてそれが「強さ」に繋がる』
『要するに、自分の「弱さ」を認めることで、何かしらの「強さ」にたどり着けるんじゃないかって、私は思うんだ』
大井『……』
『ほら、カーレンジャーのオープニングでもあったじゃん』
『自分にもある弱さを知れば、本当のヒーローって』
大井『……はぁ?』
『えぇ!?』
『えー、残念だなぁ……』
『でも、大井さんならいつかわかってくれるって、私は信じてるよ』
大井『……そうなの……?』
『うん……いや』
『……本当は、もうわかってるのかもね』
──────
───
大井(……本当はわかってた)
大井(一人で戦っても意味がない……ただ負けるだけだって)
大井(だって、私一人では『弱い』から)
大井(そして……立ち向かうために必要なものも……わかってたはずだったのに……)
漣『死ぬのは、確かに怖い……だけど』
漣『仲間を失うのは、もっと怖い……!』
漣『漣は、大切な仲間を守りたいんです!』
大井(本当に馬鹿ね……私)
大井(あの子に偉そうに説教しておいて……自分で忘れちゃってるんだから)
五人「!」
大井「……お願いがあるの」
大井「……私と一緒に……戦って」
大井「私一人じゃ……勝てないから」
五人「……」
叢雲「そうね。まだ借りも返せてないし」
電「そうなのです!前に電たちを助けてくれた分、お返しするのです!」
漣「ふふん、ようやく大井さんがデレたか!」
吹雪「大井さん……言われなくても、私たちは共に戦います」
吹雪「だって、私たち……」
吹雪「……仲間じゃないですか」
大井「……」
大井「……ええ、そうよね」
大井「え?」
漣「ゴニョゴニョ……」
大井「……」
漣「……駄目?」
大井「……はぁ……仕方ないわね」
大井「……今回だけよ」
ハクチ「問題ないわ……少し……面倒なだけだもの……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
吹雪「よし……行くよ!みんな!!」
五人「了解!!」
吹雪「吹雪レッド!」
叢雲「叢雲ブラック!」
漣「漣ピンク!」
電「電イエ口ー!」
五月雨「五月雨ブルー!」
大井「大井ホワイト!」
吹雪「六人そろって!」
六人「ショキカンジャー!!!」
バァァァァァァァァァァァァァァン!!!
大井「……あなたたち!少しだけ時間を稼いで!」
叢雲「時間稼ぎ!?」
大井「少しでいいわ!そうすれば……!」
吹雪「……わかりました!」
電「生えてきた腕や大砲を壊すくらいなら、簡単なのです!」
大井(今こそ、これを使うときね)ゴソッ
大井は一枚のカードを取り出した!
大井(……大丈夫、今ならできる……)
大井(『仲間』のためにも……私は、やらなくちゃいけないのよ!!)
大井は、ショキフォンの横の溝に、取り出したカードをスラッシュした!
シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン……
大井のスーツが変化し、より強化されていく!
バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
大井「大井ホワイト、改二!!」
大井「『強化フォーム』とだけ言っておくわ。詳しい説明はあとで夕張たちから聞いて!」
ハクチ「何をしても……無駄よ……!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
大井「『パワーボム』!」バシュッ!
ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!
大井に迫っていた岩石の腕や大砲が一掃された!
叢雲「ば、爆弾の威力が上がってる!?」
漣「さすが強化フォームだぜ!」
大井「漣!」バシュッ!
漣「!」
大井はハクチに向けて爆弾を射出した!
ドカァァァァァァァァァン!!
ハクチ「あ、危ない……ギリギリ防げ……」
バシュッ!!
ハクチ「!!」
防壁が破壊された瞬間、矢がハクチへと飛んできた!
ドゴォォォォォォォォォォォォォォ!!!
ハクチ「ぐああああああああああああ!!!」
ハクチ「こんなものでは……私は……!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
岩石でできた無数の腕や武器が六人に襲い掛かる!
大井「五月雨!叢雲!」クイッ
五月雨「!はい!」
叢雲「わかったわ!」
ザパァァァァァァァァァァ!
五月雨は、迫りくる腕や武器に向かって水をまき散らした!
ハクチ「その程度で……止まるとでも……!」
大井「『フロストボム』!!」バシュッ!
パリンッ カキィン……
大井が放った爆弾が破裂すると同時に、水が凍ってゆく!
叢雲「凍ってもろくなったんなら、全部一気に壊せるわ……ねっ!」ブォンッ!
ドゴォォォォォォォォォォォォォッ!!!
叢雲が地面に槍を突き刺し、地面に衝撃波が走らせた!!
凍っていた岩石の腕や武器は、全て粉々に砕け散った!
ガラガラガラガラ……
大井「吹雪!電!」
吹雪「はい!」ダダッ
電「わかったのです!」ダダッ
ハクチ「来るな……来るなぁ……!」ゴゴゴゴ……
大井「防壁なんて張ったって無駄よ!」
大井「『フレイムボム』『エレキボム!』」バシュバシュッ!
パリィンッ ボォォォォォォォォォォォォ!! バチバチバチバチバチィ!!
大井が放った爆弾が吹雪と電の武器に当たり、二人の武器が纏っていた炎と雷が更に激しくなる!
電「ええええええええええいっ!!」ブォンッ!
ドゴォォォォォォォォォォォォォッ!!!
二人の攻撃は防壁を簡単に打ち破り、そのままハクチに直撃する!
ズガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!
ハクチ「ぐああああああああああああああああ!!!!!」
ザッ
ハクチ「……!」
大井「……」
ハクチ「ひ、ひぃっ……!」ダダッ
大井「逃がすか!『フリーズボム』!」バシュッ!
ベチャッ
ハクチ「……!?う、動けない……!」グググ
吹雪「これで終わりです、ハクチ!」
大井「覚悟しなさい!」
ハクチ「ま……待って……!」
漣「デッキアロー!」ヒュンッ
叢雲「マストランス!」ヒュンッ
五月雨「キールブレード!」ヒュンッ
吹雪「ブリッジソード!」ヒュンッ
ピキィィィィィン ガッシィィィィィン!!!
五人が投げた武器が空中で合体し、バズーカとなった!
五人「デストロイキャノン!」
大井「……そのとっておきを使ってあげる……光栄に思うといいわ」
ハクチ「た……助けて……!」
大井「……仲間の命を奪ったあなたの命乞いなんて……聞くと思ってる?」
ハクチ「ひぃっ……!」
大井「……終わりよ!!」
電「照準よし!」
叢雲「充填完了!」
五月雨「発射準備完了!」
吹雪「ってえええええええええええええええええええ!!!!!!」
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!
大井「『デストロイボム』!!」
ハクチ「う、うわあああああああああああああ!!!!」
ドカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!
吹雪「か、勝てた……」
叢雲「なかなかの強敵だったわね……」
五月雨「大井さん、すごかったです!」
電「本当なのです!強化フォームなんてあったのです!?」
漣「あったんなら教えてくれればよかったのにー。このこのー」グイグイ
大井「……」
漣「……?大井さん?」
バタッ
五人「!?」
──────
───
吹雪「明石さん!大井さんは大丈夫なんですか!?」
明石「うん、大丈夫大丈夫。命に別状はないよ」
明石「ただ……しばらくは目は覚まさないと思う」
叢雲「どのくらいかかりそうなの?」
明石「具体的にはわからないけど……数日……もしかしたら、一週間以上は目を覚まさないかもね」
漣「そんなに……」
夕張「ええ、あれね」
夕張「とりあえずみんなには最初から説明しないといけないわね」
電「お願いするのです」
夕張「『強化フォーム』……ヒーローものではお決まりになってる物ね」
夕張「特殊な装備やエネルギーを使用して……まあ要するにパワーアップするっていうの」
夕張「そして、大井がいた旧ショキカンジャーは、それを作ってたんだって」
吹雪「確かに、大井さんはそれを使ってましたね」
漣「それって使うと減ったりしないんですか?」
夕張「しないよ。何回でも使い放題」
明石「まあよくできてたんだけど、戦隊パワーとの連動はしてなかったからね」
明石「みんなの武器とか必殺技とか……それと同じように扱えるようにしたら、さらにパワーアップが見込めると思ったんだよ」
夕張「それで色々改造したり調節したりしつつ、大井に色々テストしてもらってたわけ」
夕張「でも、まだ調整段階で……完成はしてなかったのよ」
明石「それを無理に使っちゃったから、その分余計にエネルギーを使って、ガタが来たんだろうね」
五月雨「それで眠ってる……ってことですか」
夕張「うん、そういうこと」
電「でも無茶してくれなかったら、電たちも危なかったのです」
吹雪「うん。大井さんがいてくれてよかった」
明石「それでね……調整はそろそろ終わるから、みんなの分も作ろうと思うんだけど」
漣「え、漣たちも改二になれるんですか?」
明石「……艦娘としての改二については提督に言ってね」
漣「チッ」
夕張「きっと、みんなの戦いに役立つはずだよ」
吹雪「……わかりました。お願いします」
明石「よし、じゃあ早速改造に取り掛かろう。みんな、ショキブレス渡してね」
電「はいなのです」カチャッ
五月雨「……大井さんが戦えない分、頑張らないとね」
吹雪「……うん。そうだね」
吹雪「……」
──────
───
大井「……あれ?」
大井は気が付くと、真っ白な空間に一人でいた
大井「なにこれ……夢?」
大井「えっと……たしかハクチを倒して……それから……」
大井「……思い出せないわ……」
大井「!!」
「……やっぱり、わかってくれたんだね」
大井「あなたは……」
「大井さんなら、きっとわかってくれるって、信じてたから」
大井「……」
大井「……私は、忘れてしまってたのよ。あなたの言葉も……大切な、仲間を思う気持ちも……」
大井「ただ、ハクチが……ディープマリンが憎くて……でも、恐怖から動けだせなくて……」
大井「大切なことは忘れて、何もできずにいた……」
大井「……本当、私って駄目よね……」
「……」
大井「……」
大井「……ええ」
「だったら何も問題ないよ」
「あなたには、そうして大切なことを思い出させてくれる仲間がいる」
「そんな仲間がいれば、それがまた『強さ』につながっていくからね」
大井「……そうね。あんなに成長するとは思わなかったわ」
「あの子たちだったら……もしかしたら、ディープマリンを倒せるかもね」
大井「……それは違うわ」
「え?」
大井「絶対に倒せる。あの子たちならね」
「……ふふっ、そっか」
大井「私の……?」
「そう。私は言ったよね」
「『仲間と共に戦わないといけない』って」
「あなたもあの子たちの仲間なんでしょ?だから、あなたも共に戦わないといけない」
大井「……」
「別に、あの子たちの隣で戦う必要はないよ」
「場所は離れていても、できることはある。共に戦うことはできるよ」
大井「……そうね」
大井「……もう行ってしまうの?」
「うん。このままだと、大変なことが起っちゃうから」
大井「大変なこと……?」
「……それは、あなたの目が覚めた時にわかると思う」
大井「……」
大井「……待って」
「……?」
大井「……ずっと謝りたかった。あの時のことを……」
「……あの時逃げてっていったの私だよ?」
大井「それでも、私は……逃げた自分が許せなかった」
大井「……本当に、ごめんなさい……っ」
「……」
「ん?」
大井「……あなたたちは、私にとって大切な仲間よ」
大井「それは今でも変わらないわ」
「……うん、そっか」
「ありがとう、大井さん。私も同じ気持ちだよ」
「あなたと……仲間でいれて、本当に良かった」
大井(自分の弱さも、強さに変えてくれる……仲間のために)
大井(それはきっと、いつまでも変わらない)
大井「……お礼を言うのはこっちよ」
大井「……本当にありがとう。『ショキカンジャー』」
第七話「更なる力!?」 艦
リーダーのレッド、吹雪です
激闘の末、大井さんがしばらく戦闘不能になってしまいましたが……私たちの戦いは続きます
ディープマリンとの戦いもいよいよ大詰め。決戦の時が近づいています
でも……私には、気がかりなことが二つあります
一つは、未だに敵についてわからないことが多いこと
もう一つは……まだ、私の力が足りていないこと
強い思いを持てばいいって言われても……
私は……一体、どうしたらいいんだろう?
次回、第八話「燃える心」
次回も、よろしくお願いします!
~大井ホワイト改二~
漣「始まったゾ」
叢雲「……何が?」
漣「もう言わなくてもわかるでしょ?」
吹雪「……飽きたの?」
漣「ちょっと」
電「この『改装設計図』というカードを、ショキブレスやショキフォンの側部にある溝にスラッシュすることで変身するのです」
漣「みーんな改装設計図いるのかよ……勲章溶けまくりじゃん」
吹雪「……この改装設計図は別に勲章を使って作っているわけではありません」
叢雲「使ってなくなるわけでもないわ」
五月雨「変身するには、ある程度戦隊パワーを高める必要があります」
叢雲「強化にも個人差があるらしいから、どう強化されるかはやってみないとわからないわね」
電「武器も変化したりするのです」
電「ここで、具体例を挙げて説明したいのですが……」
漣「というわけで、大井さんの改二について説明します」
吹雪「大井さんまだ眠ったままなんだけど……」
漣「うん。だから我々が代わりに解説するのだ!」
吹雪「パワーボムの威力はかなり上がってたね」
叢雲「追加された爆弾について……まずは『フロストボム』よ」
電「炸裂した部分をカチコチに凍らせちゃうのです」
五月雨「私の水と組み合わせると、広範囲で凍らせられるよ」
漣「UREYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY……」
叢雲「……何言ってんの?」
漣「いや、凍らせると聞いて」
五月雨「炸裂した部分に、炎や電気を発生させます」
電「普通に投擲してもよいのですが、電や吹雪さんの武器にぶつけることで、武器の炎や雷を強化するのです」
叢雲「つまり威力二倍ってことね」
漣「にばいにばーい」
吹雪「強化されたパワーボムみたいなものだね」
叢雲「凄まじい威力の爆撃を相手にお見舞いするわ」
五月雨「デストロイキャノンとどっちが強いかな?」
電「わからないのです……」
漣「試してみるか」
叢雲「は?どうやって」
漣「漣が大井さんの変身アイテム使って変身して……」
吹雪「……やめた方がいいと思うよ」
五月雨「なんで持ってるの!?」
漣「えーっと、このボタン押せばいいんだよね?んじゃ……」
漣「出撃!」カチッ
『ERROR!!』
漣「え?」
バチバチィッ!!
漣「いたぁっ!?」
四人「……」
艦
ディープマリン アジト
コウワン「……まさか、ハクチがやられるなんてね」
ホッポ「連中、思ったよりも力をつけてるみたいだな」
センスイ「……どうするの?正直、邪魔ってレベルじゃなくなってきてるわ」
クウボ「ここまでとはね……前回の鎮守府よりもかなり厄介ね」
リトウ「本格的に潰すことを考えないと。そのための作戦は……」
「……フフフ」
センカン「……ああ、ごめんなさいね。つい……」
センカン「あなたたちが、そんなに焦るなんて……珍しいと思ってね」
リトウ「……ただ、連中が厄介で面倒なだけですよ」
ホッポ「それ、向こうも同じこと考えてると思うぞ」
センカン「……厄介でも面倒でも、その力は確かなものね」
コウワン「ええ……しかしお任せください。我々が必ず奴らを……」
センカン「いいえ、私も動くわ」
五人「!?」
クウボ「そうです!我々にお任せを……!」
センカン「そう言ってもいられない状況でしょ。いつまでもここで待っているのも飽きたわ」
センカン「それに……ショキカンジャーの『力』にも興味があるしね」
リトウ「例の『力』……ですか?」
センカン「ええ。私たちに対抗するためのあの力……」
センカン「……私たちが、利用させてもらうとしましょう」
吹雪「……それでは、第八回ショキカンジャー会議を始めます」
ワーワー ドンドン パフパフ
吹雪「それ前もやらなかったっけ?」
漣「原点回帰」
電「会議……改めてこれからの方針の確認なのです?」
吹雪「うん、それもあるけど……漣ちゃんが何かあるって」
叢雲「は?また?」
漣「まあまあそうカッカしないで!」
漣「うむ!ズバリこちら!」
ドドン!!
漣「『それぞれの必殺技の名前を考えよう』のコーナーーーーー!!!」
四人「……」
漣「……あり?」
電「でもこれはあんまりなのです……」
漣「……え?いや、ちょ……」
吹雪「い、いや!私は気にしてないよ別に!」
五月雨「……」ジトッ
漣「え、えっとその……」
叢雲「じゃあ何なのよ。ボケたの?」
漣「ちがわい!」
漣「この空気!この空気がいけないのだ!」
電「……?どういうことなのです?」
漣「いくら吹雪ちゃんが自分だけ特殊能力、及び必殺技を使えず取り残されたことを気にしていると言っても!」
吹雪「い、いやだから私は別に気にして」
漣「腫れものを触るようなこの態度がいけない!」
漣「でしょでしょ?」
漣「むしろ触れていくべきだと漣は思うね!吹雪ちゃんドMだから!」
吹雪「違うよっ!?」
叢雲「まあ私たちが気にしてもしょうがないわね」
電「それで、必殺技に名前をつけてみるってことですか?」
漣「うん。名前を叫ぶことでもしかしたら戦隊パワーが上がるかもしんないしね!」
吹雪「……それは否定できないね」
五月雨「まず叢雲ちゃんは……槍を振り回すとエネルギーがたまる特殊能力だっけ?」
叢雲「そうね。必殺技ってなると、その状態で敵を攻撃するか、強い衝撃波を地面に放つか……かしらね」
電「……あれ?そういえば叢雲さんも失敗してたのです?」
叢雲「え?……ああ、確かに最初は失敗したわね」
漣「ってことは叢雲ちゃんも吹雪ちゃんと同類なのでは?」
叢雲「……襲撃の時に何回か使ったわよ」
漣「あ、そうなの?」
叢雲「何で知らないのよ……」
漣「……さあ?」
漣「うむ。複数操ることもできるゾ!」
吹雪「必殺技としては、複数の矢を放って一気に攻撃するアレになるのかな」
五月雨「複数の敵にも、単体の敵にも有効だね」
漣「まーそうだね。結構集中力いるけど」
叢雲「あんたに一番欠けてるものね」
漣「ん?なんか言った?」
叢雲「……別に」
電「そうなのです。と言っても、重くすることしかできないのですが……」
叢雲「ハンマーを重くしてガンッてやるのが必殺技よね」
漣「かなり痛いですよコレは」
五月雨「しかも重力操作で敵を動けなくしてからの一撃だからね……」
吹雪「……怖い」
電「そ、そんなに恐ろしい技じゃないのです!」
五月雨「うん。高速で移動して、何度も敵を斬りつけるよ」
吹雪「加速してるから、一撃一撃が強くなってるのかな?」
漣「それが味方に飛ぶと考えると……必殺技使う時くらいはドジらないでよね」
五月雨「そ、そんなことしないって!気を付けるから!」
電「五月雨さんのドジは気を付けてどうにかなるものじゃないのです……」
吹雪「えっと、あの時渡された説明書によると……」
吹雪「『一定時間能力二倍』……だって」
叢雲「……二倍?」
漣「……能力が?」
電「力もスピードも全部二倍なのです?」
吹雪「そうらしいよ。でもかなり体への負担は大きいらしいね」
五月雨「『かなり無茶する技』って言ってたしね」
叢雲「そりゃあ要求する戦隊パワーも大きくなるわよね……」
吹雪「え?……何だろう」
叢雲「火だるまになってタックルでもする?」
五月雨「一人スーパーダイナマイト?」
吹雪「なんで!?せめて武器は使わせてよ!」
電「じゃあ強化された状態での一撃ってことでいいのです?」
吹雪「それでいいと思うよ……下手なことしたくないもん」
漣「まあ百火繚乱みたいな感じで」
五月雨「どうする?武器の時みたいにみんなそれぞれで考える?」
漣「いや、みんな自分のだけ考えよう」
電「え、どうしてなのです?」
漣「何となく」
叢雲「えぇ……」
漣「ぶっちゃけ名前全部考えるの面倒くさい」
吹雪「ちょっと発案者!」
電「ま、まあ確かに武器の時と違って全員分考えるのは少し大変なのです!ここは自分のだけ考えるのです!」
吹雪「みんなできた?」
五月雨「できたよー」
叢雲「じゃあ一斉に……」
吹雪 『ブリッジバスター』
叢雲 『強い槍撃』
漣 『†粛清†』
電 『ごっつんこ』
五月雨 『五月雨斬り』
五人「……」
叢雲「吹雪の安直すぎない?武器がブリッジソードだからって……」
吹雪「いや、叢雲ちゃんは安直ってレベルじゃないよ!やる気ゼロじゃない!」
五月雨「漣ちゃんのこれは何なの?ダガーマークついてるけど……」
漣「中二っぽいかなーって」
電「どうして戦隊で中二が出てくるのです……」
漣「ああ、小二にすべきだったか」
吹雪「そういう問題じゃなーい!」
漣「『ぐちゃっ』だよね」
電「そんな音しないのです!?」
吹雪「五月雨ちゃん、どうして自分の名前入れたの?」
五月雨「え!?いやそういうつもりじゃなくて、五月雨突きとか五月雨撃ちみたいな感じで……」
叢雲「ダブルミーニングになってるわねこれ」
五月雨「さすがに全部このままってわけにもいかないし……」
電「……そういえば、武器の名前って誰がつけたんでしたっけ?」
漣「確か明石さんと夕張さんだね。武器もらうときに教えてもらった」
叢雲「そうね。安直だけど、割とすぐに定着して……」
五人「……」
夕張「こんなのでどう?」
吹雪 『ブリッジバスター』
叢雲 『マストブレイク』
漣 『デッキシュート』
電 『アンカークラッシュ』
五月雨 『キールスラッシュ』
漣「うん、やっぱり戦隊の技名はわかりやすいのが一番ということだな」
叢雲「吹雪のはそのままなのね」
夕張「うん、これに統一しようと思ってね」
夕張「あー気にしないで。ちょうどみんなに用事あったし」
五月雨「そうなんですか?」
夕張「ええ。多分明石がそろそろ来て……」
明石「ん?呼んだ?」ガラッ
電「あ、来たのです」
明石「ジャーン!ショキブレスに改二機能を追加したよ!」
吹雪「え!?もうできたんですか!」
夕張「もうほとんど大井の時にできてたしね。細かい調整をすればよかっただけだから」
明石「使い方は大井さんのとほぼ一緒。この『改装設計図』をショキブレスの横の溝にスラッシュするだけ」
五月雨「これも特殊能力と一緒で、戦隊パワーがある程度必要なんですよね?」
夕張「ええ。だから簡単には使えないかな」
叢雲「……吹雪?」
吹雪「……あ、いや、なんでもない」
吹雪(……正直、今の状態でうまく使える気がしないなぁ……)
吹雪(まあ使わなくて済むに越したことはないけど……)
電「そういえば、改二の状態でも特殊能力は使えるのです?」
夕張「当然使えるわよ。より強力な効果を使えるはず」
五月雨「……吹雪ちゃんの特殊能力も、ですか?」
明石「使えるには使えるはず。でも、正直おすすめはしないかな」
吹雪「え?どういうことですか?」
夕張「いくら調整したって言っても、改二を使うことでそれなりに身体に負担はかかるの」
夕張「そこで吹雪ちゃんの特殊能力使うと倍プッシュだからねぇ……」
電「身体のためにも、やらないほうがいいわけですね……」
漣「オデノカラダハボドボドダ!」
吹雪「……わかりました」
明石「でもそれは吹雪ちゃん以外にも言えることだよ。無茶するとすぐにエネルギー切れを起こしちゃうと思うから」
叢雲「状況やタイミングを考えて使わないとダメってことね……」
電「一応、これからの方針を話し合う予定でしたけど……」
吹雪「ああ、うん。そうだったそうだった」
吹雪「もう一度、あそこを調べに行こうと思うんだけど」
五月雨「あそこって?」
吹雪「ほら、センスイとかコウワンとかハクチとかと戦ったところ」
漣「……ああ、例の採石場か」
吹雪「……まあ、そうだね」
叢雲「なんかいっつもこんな感じよね、私たち……」
漣「でもやっぱりあそこ、なんかありそうなんだよなぁ……」
吹雪「だよね?鎮守府襲撃の場所にも方角的には近いし……」
電「……もしかして、あそこにディープマリンのアジトがあるとか?」
四人「え?」
叢雲「さすがにそんなことは……」
電「い、電もないとは思いますが……」
漣「そんな近くの悪の組織のアジトがあるわけないっつーの!」
吹雪「な、ないよね?そんなこと……」
五人「……」
吹雪「どう?敵影は……」
五月雨「……とりあえずないね」
電「今のところ異常はなさそうなのです」
叢雲「……どうする?また張り込みでもしてみる?」
漣「それは見当違いだった場合やばいことになるからやめとこう」
五月雨「そうだね……じゃあ隠れずに、色々調べてみようか」
吹雪「敵に見つかったときはもう仕方ない。その時に対処しよう」
叢雲「そうね……。凸凹が激しいし、大きな壁だとか大砲だとかが転がってるわね」
漣「特にあのでっかいやつの残骸がやばいんだけど」
五月雨「これ、戦いが終わったら私たちがどうにかしないとダメかなぁ……」
吹雪「ダメだろうね……」
吹雪「……ん?」
吹雪「いや……」
吹雪「あそこに洞窟みたいなのがあって」
叢雲「洞窟?」
吹雪「ほら、あそこ」
吹雪が指さした先には、確かに洞窟のような横穴があった
吹雪「うん。今まで気づかなかっただけか、この間の戦いでできたのかはわからないけど……」
叢雲「……気にはなるわね。とりあえず覗いてみましょうか」
漣「えー、変なのいたらどうすんの」
五月雨「変なのって?」
漣「イカーゲンとか」
叢雲「なんでそのチョイスなのよ……」
電「でも、実際敵がいる可能性があるのです。注意するに越したことはないのです」
五月雨「そうだね……とにかく近づいてみようよ」
漣「……なんか見える?」
電「真っ暗で奥の方は何も見えないのです……」
五月雨「少なくとも、それなりの深さはあるみたいだね」
吹雪「覗くだけじゃよくわからないし……入ってみようか」
叢雲「……誰から?」
五人「……」
電「天井裏に入ろうとした時なのです」
漣「じゃああんときと同じで、吹雪ちゃん行ってこーい」
吹雪「何で!?全員で入ればいいでしょ、狭いわけじゃないんだから!」
叢雲「いやいや……ここはやっぱりリーダーが先に行くべきじゃない?」
吹雪「またこんな時だけリーダー扱いを……」
漣「叢雲ちゃん、そんなときは『お願い、お姉ちゃん(はぁと)」って言うもんですよ」
叢雲「え、絶対嫌」
吹雪「そしてお姉ちゃん呼びは拒否するの!?」
吹雪「はぁ……敵との決戦が近いのに、こんな調子なんて……」
漣「別にいーじゃん。どんなテンションでも戦いは避けらんないし」
電「気を張りすぎてもよくないのです」
吹雪「そうだけど……」
叢雲「じゃあ、そろそろ中に行き……」スッ
叢雲「……っ!」ピタッ
叢雲「……みんな、気付いた?」
五月雨「……うん。誰かいる」
電「……やっぱり、ここで当たりなのです?」
漣「かもねぇ……」
「……フフフ」
洞窟の奥から、戦艦棲姫に似た人物が歩いてきた
電「戦艦棲姫、そっくりなのです……」
叢雲「ということは、もしかして……」
吹雪「……あなたが、センカンですか?」
センカン「……ええ、その通りよ。ショキカンジャー」
叢雲「……じゃあ、あんたを倒せばそれで終わりってことね」
センカン「……まあ、そういうことになるのかしらね」
センカン「何?私と戦う気なの?」
漣「こうしてのこのこ出てきたってことは戦う気満々なんでしょ?」
センカン「フフフ……まあ、それもそうね」
五月雨「私たちの、力……?」
センカン「そう……私たちに対抗できる、不安定だけど強力な力……」
センカン「その力のせいで、私たちはここまで追いつめられることになった」
センカン「あなたたちの力は、私たちの想像以上よ」
吹雪「……」
センカン「……私にも、見せてもらおうかしら?」
シュンッ
センカンは、凄まじいスピードで五人に接近してきた!
五人「!!」
ズガァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!
叢雲「みんな……無事……?」
五月雨「な、なんとか……」
漣「吹っ飛ばされただけだから、ダメージはそんなにない……と思う」
センカン「……フフフ」
センカンは吹き飛ばされた五人へと近づいてきている
吹雪「……逃げられそうにもないね」
吹雪「みんな!こうなったら真っ向から戦うしかない!行くよ!」チャキッ
四人「了解!」チャキッ
カチッ
シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン……………………
五人の体に、スーツが装着されていく!
バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
吹雪「吹雪レッド!」
叢雲「叢雲ブラック!」
漣「漣ピンク!」
電「電イエ口ー!」
五月雨「五月雨ブルー!」
吹雪「五人そろって!」
五人「駆逐戦隊!ショキカンジャー!!」
バァァァァァァァァァァァァァァン!!!
漣「ていっ!」バシュッ
センカン「……」
シュバッ
叢雲「っ!外したか……でもまだ!」シュバババッ
漣「こっちの攻撃は終わってない!」バシュバシュッ
センカン「……」
ババババッ!
センカンは二人の攻撃をたやすく避けている!
叢雲「なっ……!」
センカン「だったら、次はこっちの番よ!」ブォンッ
叢雲「!!」
ガシッ!
叢雲(!……重い!!)
ググググ……
電「えーいっ!!」ブォンッ!
センカン「!!」シュバッ
電の攻撃を、センカンはギリギリでかわす!
センカン「ふぅ……危ない危ない」
吹雪「はぁっ!」ブォンッ!
五月雨「やぁーっ!」ブォンッ!
センカン「!!」
電の攻撃を避けたセンカンに、背後から二人が武器を振り下ろす!
ズガァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!
五月雨(二人同時の攻撃……ただじゃすまないはず!)
センカン「……」
センカン「……痛いわね」
ブォンッ
吹雪・五月雨「!?」
センカンは二人に拳を叩きこみ、吹き飛ばした!
ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!
二人「うわあああああああああっ!?」
電「今度は命中させるのです!」ブォンッ!
漣「くたばれこの野郎ーーっ!!」バシュバシュッ!
三人の攻撃が同時にセンカンに襲い掛かる!
センカン「……そうねぇ……」
ガシッ
センカンは叢雲の槍を掴んだ!
叢雲「!?」
ブォンッ!!
叢雲「んなっ!?」
電「えっ!?」
センカンはそのまま、槍ごと叢雲を電の方へ振り回した!
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!
叢雲「ぐああああっ……!」
電「うぅっ……!」
漣(なんてことを……!しかも叢雲ちゃんを振り回したときに漣の矢まで弾いた!)
センカン「さて……」クルッ
漣「!!」バシュッ!
センカン「遅い!」シュバッ
センカンは漣の矢を避け、一気に漣へと接近する!
ズドォォォォォォォォォン!!!
漣「うあああああ!!」ドサッ
吹雪「攻撃が……効いてない!?どうして!?」
五月雨「防御もされてない……もろに当たったはずなのに……!」
センカン「ええ、なかなかの攻撃だったわ。さすがに私も避けることはできなかった」
センカン「でもパワー不足よ。こんなものじゃ私を倒すことはできないわ」
吹雪「……っ」
吹雪(この人、これまでの幹部や怪人とは違う……特殊な力を使ってるわけでもないと思うのに……)
吹雪(強い……今まで戦った誰よりも……!)
吹雪(このまま戦っても、ジリ貧にしかならない……)
吹雪(だったら……)
センカン「強力な一撃を与えるしかない……って、思っているのかしら?」
吹雪「っ!?」
センカン「あなたたちが強力な技を持っていることは聞いているわ。合体技なんてものもあるらしいじゃないの」
センカン「強力ではあるけど……隙も大きいし、とどめくらいにしか使えないらしいわね」
センカン「残念だけど、それを食らってあげるほど私もお人好しじゃないの」
吹雪「……っ」
センカン「……やっぱり、五人同時に相手するのは面倒ね」
五月雨「……?」
叢雲「何よ……一騎打ちでもするつもり?」
センカン「一騎打ち……それも面白そうね」
漣「そんなの、するわけないけど!?」
センカン「フフフ……大丈夫よ。こっちもそんなことするつもりはないわ」
センカン「ちょっと一人、貸してもらうだけよ」
ドガッ
吹雪「ッ!?」
ドサッ
センカン「……こういうことよ、ショキカンレッド」
──────
───
『ねえ、吹雪ちゃんはどうして戦うの?』
『え?どうしてって……』
『……そうだね、それはきっと……』
『……そっか』
『だったら、私も……』
──────
───
吹雪「……」
吹雪「……う……」ヨロッ
吹雪「……ここは?」
吹雪が目を覚ますと、怪しげな機械が置かれた黒い部屋にいた
吹雪「確か私……センカンと戦ってて、それで……」
吹雪「……誰かに、後ろから殴られた……?」
「目が覚めたみたいね」
吹雪「!!」
センカン「随分早かったわね。クウボが手加減したのかしら?」
吹雪「……っ!他のみんなは!?ここは一体!?何の目的で私を!?」
センカン「あらあら、元気ね」
吹雪「答えなさい!!」
センカン「そうね……いいわ、一つずつ答えてあげる」
センカン「ここへあなたを連れてきたのは、あなたの『力』を見せてもらうため」
吹雪「力……?さっきも言っていたけど」
吹雪「特別な力なんて何も……」
センカン「そうね……確かに特別ではないかもしれないわ」
センカン「それは、あなたたち艦娘は皆持っている力だから」
センカン「フフフ……あなたたちはそう呼んでるのね。恐らくそれよ」
センカン「艦娘には二つの特別なエネルギーがある。一つは、艤装を扱うために必要なエネルギー」
センカン「そしてもう一つは、精神状態……感情によって変化するエネルギー」
センカン「私が言っているのは後者のことよ。あなたたちは、このエネルギーで艤装での攻撃を強化することがあるらしいわね」
吹雪「そんなことが……」
センカン「確かに艦娘は皆持っているけれども、あなたたち……ショキカンジャーは別格よ」
センカン「一体どうしてそんなにも大きなエネルギーを持っているのか、気になるところではあるわね」
センカン「もちろんただの偶然かもしれないけど、大きなエネルギーを持っているのは事実」
センカン「その強大な力に、私は興味を持ったのよ」
吹雪「……っ」
吹雪「でもいくら私たちが大きな力を持っていたとしても、あなたたちにはどうすることもできないでしょ!?」
センカン「いいえ、できるわ。それが私の力であり、使命だもの」
センカン「ええ。まず、私たちディープマリンは、簡単に言うと深海棲艦の仲間。亜種みたいなものよ」
吹雪「……やっぱり、深海棲艦と関係があったんですね」
センカン「そうよ……私たちは深海棲艦よりも後に生まれたの。突然変異のようにね」
センカン「私たちと深海棲艦には、色々と違いがあるけれど……その最たるものが使う『力』なのよ」
吹雪「……確かに、あなたたちは深海棲艦のように艦隊戦はしてきませんからね」
センカン「その通り。深海棲艦はその力で艦隊戦を行い、勢力を拡大していった」
センカン「……でも、そんな中であなたたち艦娘が邪魔をしてきたわけよ」
吹雪「……」
センカン「どうにかして艦娘を妨害したい、陥れたい……そう考えていた時」
吹雪「……あなたたち、ディープマリンの出番ってことですか」
センカン「そうよ。私たちは深海棲艦のような艦隊戦を行うことはできないけれど、別の『力』を持っていたからね」
吹雪「……それで、その力を駆使して、私たちの鎮守府や大井さんがいた鎮守府を襲って……」
吹雪「艦娘の妨害をしていた……っていうことですか……」
センカン「……フフフ」
センカン「フフフ……いや、ごめんなさいね……」
センカン「……あなた、一つ勘違いをしているわ」
吹雪「勘違い……?」
センカン「……私たちの力は、センスイの透明化とか……コウワンの高速移動とか……」
センカン「そういった力のことじゃないの。それは後から私たちが身に着けた力なの」
吹雪「え……?」
センカン「私たち……いえ、さっきも言った通り、私の力と言った方が正しいわね」
センカン「私は……あなたたち艦娘や艤装のエネルギーを奪い、自らのものにすることができる能力を持っているの」
センカン「ええ。と言っても、元々は艤装そのもののエネルギーしか奪えなかったんだけどね」
センカン「……私たちは、生まれた時にはまだ小さな力しかもっていなかったわ」
センカン「でも私は、艦娘の艤装の破片、資材、工具……そういったものから少しずつ艤装のエネルギーを奪っていったの」
センカン「本当は艤装そのものを盗むのがいいんだろうけど……なかなかうまくいかなくてね」
吹雪「もしかして、工具や資材を盗んでたのは、単なる妨害の為だけじゃなくて……」
センカン「ええ、あなたたちの力を奪わせてもらってたわ」
センカン「そして私は、奪ったエネルギーを他のディープマリンに分け与えることもできる。そうして私たちは力を増していったわ」
センカン「まあ、そうね。艤装そのもののエネルギーを取り込んだから、とも言えるかしら」
センカン「でも効率的にはかなり悪いのよ、そうやって艤装のエネルギーを取り込むのは」
センカン「だからリトウに大量の艦娘をとらえて貰おうとしてたんだけど……あなたたちに邪魔されちゃったわね」
吹雪「もしかして、あの装置はそのために……」
センカン「そう。あれがうまくいけば大量の艦娘を一時的に操り人形にできたんだけどね……残念」
センカン「でも、それももう必要なさそうね」
センカン「ええ、そうよ。特にその……『戦隊パワー』だったかしら?」
センカン「あなたのその力を奪えば、私は強大な力を手に入れることができるわ」
吹雪「でも、戦隊パワーはあなたたちの弱点であるはず……それを奪うことなんてできるんですか!?」
センカン「……そうね。確かに、その力は私たちの弱点」
センカン「艤装に強くなった分、そっちに耐性がなくなったのかしらね」
センカン「でも……だからと言って奪えないわけじゃない。奪うのはエネルギーだけなんだもの」ジリッ
吹雪「ッ!」ジリッ
吹雪「近寄らないで……!そんなこと、絶対にさせない……!」
センカン「フフフ……まあ、そうなるわよね」
センカン「いいわ、少し遊びましょうか。あなたの力、もっと引き出せそうだしね」
吹雪「っ……」
吹雪(……でも、一人で戦って勝てるような相手じゃない……隙を見て逃げて、みんなとどうにか合流しないと……)
センカン「あなたは他の子たちと違って、すぐに壊れないわよね?」
吹雪「……」
吹雪「……え?」
センカン「ああ、そういえば質問に一つ答えてなかったわね」
センカン「あなたが起きるまでに、他の子たちの力も見ておこうと思ったんだけど……」
センカン「思ったよりもろかったわね、あの子たち」
吹雪「……!?う、嘘だ!」
吹雪「みんなが……そんな簡単に負けるはずない!」
センカン「まあ、信じなくてもいいけどね……」ゴソゴソ
センカン「でも、これを見てもそんなこと言ってられる……?」ポイッ
カラン……
吹雪「……!!!」
そこには、破損したショキブレスが四つ投げ捨てられた……
センカン「……本当……惨めに消えていったわ」
センカン「ん?」
吹雪「……ふざけるな」
カチッ
シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン……………………
吹雪の体に、スーツが装着されていく!
吹雪「ふざけるなああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
センカン「っ!!」
ガキィンッ!!
センカンは吹雪の剣を拳で防ぐ!
センカン(速い……!さっきよりも……)
吹雪「よくも……よくもおおおおおおおおおおおおお!!!」
ガキィンッ!! ガキィンッ!!
センカン「くっ……」
センカン(がむしゃらに攻めて来てるけど……パワーもスピードもさっきまでと違う……)
センカン(エネルギーが上昇している……!)
吹雪「許さない……絶対に……!!!!」グググ
センカン「っ……」
ドゴォッ!!
吹雪「!!」ズザッ
センカン「ふんっ!」ガシッ
吹雪「!!」
センカン「はぁっ!」ドカッ!!
吹雪「ぐっ……!」ヨロッ
センカン「……」
センカン「少し驚いたけど……でも、さすがに一人で私を倒せるほどではないわね」
センカン「……?」
吹雪「絶対に……許さないんだから……!!!」スッ
吹雪は改装設計図を取り出した!
センカン「!?」
センカン「な……何をする気!?」
シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン…………
吹雪のスーツが変化し、より強化されていく!
バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
センカン(……もしや、前の鎮守府でも見た『強化形態』……?)
センカン(まだ隠していた力があったなんて……想定外だわ)
吹雪「はああああぁっ!!」ブォンッ
センカン「!!」
ガキィンッ!!!
センカン(っ!!重い……!!)
吹雪「はあっ!!はああああああああっ!!」
ガキィンッ!! ガキィンッ!!
吹雪「はあああああああああああああああああああああっ!!!!」ブォンッ!
センカン「っ!!!」
ドゴォォォォォォォォォォォォォッ!!!
センカン「っ!!!!」ドザッ
吹雪「はぁ……はぁ……」
センカン(少し状況が悪くなってきたわね……最悪エネルギーを奪わず殺す羽目になるかもしれないわ)
センカン(もしくは……)
「センカン様!!」
センカン「!!クウボ……!」
クウボ「すみません、待機するよう言われておりましたが……センカン様のお声が聞こえて」
センカン「いいえ、ちょうどいいところに来てくれたわ」
センカン「ええ、そうよ」
クウボ「……私が知ってるのとちょっと違うんですけど……」
センカン「どうやら、まだ隠してた力があったみたい。もしくは新しく手に入れたか……」
センカン「クウボ、足止めをお願い。その隙に私が……」
クウボ「っ!!センカン様!!ショキカンレッドが……!」
センカン「……?」
吹雪はアンカーパーツをショキブレスから取り外した
吹雪「……」
明石『使えるには使えるはず。でも、正直おすすめはしないかな』
吹雪『え?どういうことですか?』
夕張『いくら調整したって言っても、改二を使うことでそれなりに身体に負担はかかるの』
夕張『そこで吹雪ちゃんの特殊能力使うと倍プッシュだからねぇ……』
吹雪(もう……どうなってもいいや)
吹雪(あの人を倒せれば……もうそれでいい)
吹雪(……だから)
吹雪「私に……力を……!!!」
カチャッ
吹雪は、アンカーパーツを剣に取り付けた!
アンカーパーツを取り付けた途端、吹雪の周りに炎が吹き上がる!
クウボ「何……?まだ何かあるの……!?」
ブォンッ
センカン「!!クウボ、伏せなさい!」
クウボ「っ!」サッ
ドカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
クウボが伏せた途端、クウボの頭上で爆発が起きた!!
吹雪「はあああああああああああああ!!!」
ブォンッ
吹雪が剣を振り回すと、強烈な炎がクウボに向かっていく!
クウボ「!!」
ドカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
クウボ「ぐあああああああああああああっ!!!」
クウボ「っ……だ、大丈夫です……直撃は免れました」
センカン「……少し下がってなさい。私が抑えておくわ」
クウボ「……申し訳ありません」
センカン(……明らかに最初と違う。また別の力を使ったみたいだけど……それだけじゃない)
センカン(精神エネルギーも高まっているわね……)
センカン(あえて怒らせて、エネルギーを高まらせるのはうまくいったけど……正直、想像以上だわ)
センカン「!!」
吹雪「はああああああああああ!!」
センカン(突っ込んできた……!また受け止め……)
ブォンッ!
センカン「!!」
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!
センカン「……っ」
センカン(ダメね……下手に受け止められないくらい危険な攻撃だわ)
センカン(でも、避けることは十分できる……だったら)
吹雪「……逃げるな!!」ブォンッ
センカン「っ!」シュバッ
センカン(隙をついて、一気に仕留める!!)
センカンは吹雪の横に回り、強烈な蹴りを叩きこんだ!
ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!
センカン「まだ終わりじゃないわよ!このまま一気に……」
ブォンッ!
センカン「!?」
吹雪はセンカンの攻撃に体勢を崩しながらも、剣を振り回す!!
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!
センカン「ぐああああああああっ……!!」
センカン(それでも攻め切るなんて……なんて執念なの)
吹雪「はぁっ!!」ブォンッ
センカン「!!」シュバッ
吹雪「はぁっ!!はああああっ!!」
ブォンッ! ブォンッ!
吹雪はセンカンへと近づきながら、剣を連続して振るっている!
センカン(いつまでも避けてても駄目ね……早く打開策を……)
ドンッ
センカン「!!」
センカンは攻撃を避けていくうちに、壁際へと追い詰められていた!
センカン「しまっ……」
センカン「!!」
吹雪「はああああああああああああああああああああ!!!!」
ボォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!
吹雪の剣から激しく炎が燃え上がり、振り下ろそうとしている!
センカンは身構え、迎撃の態勢をとった!
吹雪「これで……終わりだあああああああああああああああああああああああああ!!!!」
ボォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!
吹雪「……あ……」
ドサッ
シュゥゥゥゥゥゥゥゥ……
クウボ「セ、センカン様!無事ですか!?」
センカン「……ええ。危なかったけどね」
センカン「あの一撃を食らっていたら、ただじゃ済まなかったでしょうね……」
クウボ「……一体、どうしたんでしょうか?」
センカン「まあ、体に負担がかかりすぎたってところかしら」
センカン「あれだけの力をいきなり引き出すんだもの……当然かなりのリスクがあるわ」
クウボ「ええ。わざわざリトウに偽のブレスレットを作らせた甲斐がありましたね」
クウボ「偽物だとバレなくて良かったです」
センカン「さて……じゃあ今のうちにエネルギーを奪わせてもらうとしましょう」
センカン「高まっているうちに貰わないとね」スッ
センカンは倒れている吹雪に手をかざした
シュォォォォォォォォォォォォォォォ
センカン「……フフフ、ご馳走様」
センカン「そうね……もう戦う力は残ってないはずだから……」
センカン「クウボ。あなたの力で操り人形にしなさい。もしも他のショキカンジャーが攻めてきたとき、盾くらいにはなるはずよ」
クウボ「はい、了解しました」
クウボ「……しかし、ここまで攻めてくることなんてあるんでしょうか?」
クウボ「恐らく、コウワンたちが既に処理しているかと……」
センカン「フフフ……まあ、念には念を入れて、ね」
吹雪(……もう……駄目……)
吹雪(身体、全然動かないや……)
吹雪(叢雲ちゃん……)
吹雪(漣ちゃん……)
吹雪(電ちゃん……)
吹雪(五月雨ちゃん……)
吹雪(……ごめんね、みんな……)
吹雪(……ごめんね)
『ねえ、吹雪ちゃんはどうして戦うの?』
吹雪(……)
吹雪(……どうして、だったかな)
第八話「燃える心」 艦
電「た、大変なのです!吹雪さんが連れ去られちゃったのです!」
叢雲「あんのおばさんめ!絶対許さないんだから!」
漣「こりゃあアジトに乗り込むっきゃないけど……」
五月雨「……そう簡単には、行かせてくれないよね」
五月雨「でも、立ち止まるわけにはいかない。吹雪ちゃんを助けるために!」
次回、第九話「守りたいもの」
次回も見てくださいね!
~最終回~
明石「はい、始まりました。『ショキカンジャーって?ああ!』のコーナー」
夕張「わー」パチパチ
明石「七回と長く続いたこのコーナーですが、なんと今回で最終回でーす」
夕張「えー、なんだってー」
明石「じゃあ気合、入れて!始めていきましょー」
夕張「……ちょっと待って」
夕張「何で私たちがこのコーナーやってんの?」
明石「いや、あの子たち今忙しいから」
夕張「んでもって最終回って……いいの?それ」
明石「いいのいいの。じゃあ始めるよー」
夕張「え、どこから?」
明石「えー、ペンネーム『黒幕鬼畜眼鏡』さんからです」
夕張「……ん?」
明石「『質問です。吹雪の特殊能力と改二って何が違うんですか?どっちもパワーアップじゃないですか』」
明石「『何か違いがあるなら教えてもらいたいです。よろしくお願いします』」
明石「そうね。質問ありがとうございます」
明石「まず一番の違いは『安定して使える時間』です」
夕張「特殊能力の『全能力二倍』は、長い間は使えないわ。せいぜい3分ってところかしらね」
明石「無理して長時間使おうとすると、それだけ体に負担がかかるわけです」
明石「一方改二は、比較的安定して長時間使うことができます。30分くらいはまあ大丈夫かな」
夕張「でもその分能力の上昇率は特殊能力の方が改二より上。伸び率をとるか安定をとるか……そこが違いね」
明石「それと、改二はスーツも強化されるので、装甲も固くなります」
夕張「隠す気ないじゃん」
明石「『武器名と必殺技の名前ダサくね?』」
夕張「ンだとコラ!?」
明石「でも否定はできないよね」
夕張「……まあ、そうね」
明石「でも戦隊モノの武器名とか必殺技の名前とか、そんなもんだと思うの。かっこいいのも多いけど」
夕張「天火星・稲妻炎上破とか好き」
夕張「え、あの人何してんの」
明石「『最近のスーパー戦隊どう思う?』」
夕張「何この答えづらい質問」
明石「ちょっとお答えできないので、別のお便り行きましょうか」
明石「ペンネーム『お前は誰だ』さんからです」
夕張「お前が誰だよ」
明石「『アマゾンズの映画楽しみだね』」
明石「そうですね」
夕張「何でライダーの話になってるの!?質問ですらないし!」
夕張「ん?」
明石「『ショキカンジャーに何か一言オナシャス』」
夕張「……」
明石「……」
明石「敵を倒すまであと一歩!ピンチが何だ乗り越えて見せろ!」
夕張「頑張れ!負けるな!ショキカンジャー!!」
艦
例の採石場
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッッ!!
叢雲「っ!!」ズザッ
電「あ、危なかったのです…」
漣「くっそー…うまく攻撃できねー…」
コウワン「そんなものかしら?ショキカンジャー」
ホッポ「…だったら、私たちの敵じゃないな」
リトウ「以前はしてやられたけど…」
センスイ「私たちが揃って相手をすれば、大したことないわね」
五月雨「…っ」
吹雪「……?どういうこと……?」
ドガッ
吹雪「ッ!?」
ドサッ
センカン「……こういうことよ、ショキカンレッド」
吹雪「……う……」
叢雲「あんた……クウボ!?いつの間に……!」
吹雪の背後にいたのは、クウボであった
クウボ「……安心なさい、少し眠ってもらっただけよ」
クウボ「それじゃあ、この子は借りていくわよ」グイッ
クウボは倒れている吹雪へと手を伸ばし、そのまま持ち上げた
電「待つのですっ!」ブォンッ!
クウボ「!」
電「!?」スカッ
電がクウボに攻撃した瞬間、クウボと吹雪の姿が一瞬にして消えた!
漣「消えた……!?」
叢雲「な、何!?どこ行ったのよ!?」キョロキョロ
クウボ「ここよ、ここ」
四人「!」
クウボは吹雪を連れて、センカンの隣まで来ていた
センカン「よくやったわ、クウボ」
クウボ「光栄です、センカン様」
五月雨「高速移動……って感じじゃなかった」
五月雨「工具の一件で逃げられたときに見せた、瞬間移動……かな」
クウボ「その通り。私は人を操るだけじゃなくて、もう一つの能力…瞬間移動もできるの」
クウボ「コウワンとは違う……本当の瞬間移動よ」
叢雲「何でもいいわ!吹雪を返しなさい!」
センカン「いいえ、この子はアジトに連れていくわ。その力を利用させてもらうためにね」
漣「利用……何をするつもり!?」
センカン「教える義理はないわ。クウボ、行くわよ」
クウボ「はい」
「おっと、そうはいかないわ」
何者かが巨大な腕で叢雲に襲い掛かる!
叢雲「!?」
ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!
叢雲「なっ……!」ヨロッ
電「叢雲さん!」ダッ
ヒュンヒュンッ!
敵艦載機に似た物が、電の前に飛んでくる!
電「!?」
「先へは行かせないぞ、イナズマ」
電「……っ!」
コウワン「残念だけど、ここであなたたちを倒させてもらうわ」
ホッポ「うん。私とお姉ちゃんに勝てるわけがない。大人しくやられろ」
叢雲「ぐっ……」
センスイ「コウワンとホッポだけじゃないわ。私たちもいるわよ」ザッ
リトウ「新しい武器を開発したの。あなたたちで試させてもらうわ」ザッ
五月雨「センスイさんに、リトウさん……」
漣「……幹部勢ぞろいってわけ?」
電「全力……」
センスイ「もう小細工はなしよ。あなたたちを本気で叩き潰す」
コウワン「ではセンカン様。今のうちに」
センカン「悪いわね。じゃあ後は頼んだわよ」
センカンとクウボは吹雪を連れて、洞窟へと入っていく
コウワン「行かせないって言ってるでしょう!!」ブォンッ!
漣「!!」シュバッ
漣「……くそぅ」
叢雲「クソっ……!吹雪!!」
電「吹雪さん!」
五月雨「吹雪ちゃん……!」
──────
───
叢雲「いつまでもやられっぱなしじゃないわ……!電、行くわよ!」ダダッ
電「はいなのです!」ダダッ
センスイ「おっと」パチンッ
幹部たちの姿が透明になった!
電「……っ!また……!」
叢雲「くっ……」
叢雲(落ち着いて……足音と気配を探るのよ)
電(!!足音!かなり近い……!)
叢雲(そこか……っ!)
近くの足音を頼りに、叢雲と電は武器を振りかざす!
ブォンッ!
「「「ヒャッハァーーーーーー!!!」」」
ズドドドドドドドドドドドドドドド!!!
叢雲「がはっ!?」
しかしその瞬間、大量の何かが叢雲めがけてぶつかってきた!!
叢雲(しまった、ホッポの艦載機か……!)ヨロッ
ホッポ「……今だ、お姉ちゃん」
コウワン「よくやったわ、ホッポ!」ブォンッ!
叢雲「!!」
コウワンはバランスを崩した叢雲の目の前で姿を現し、腕を振り下ろした!
ガキィンッ!!
叢雲「……っ!」
コウワン「……へぇ、なかなかのスピードね」
しかしその瞬間、五月雨が間に入り、コウワンの攻撃を刀で防いだ!
五月雨「ぐ……」ギリギリ
叢雲「了解よ!」ブォンッ!
電「なのです!」ブォンッ!
コウワン「おっと」シュバッ
叢雲「!!」スカッ
シュンッ
叢雲「……っ。また消えた……」
電「ま、また来たのです!」
五月雨「漣ちゃん!」
漣「りょーかい!」カシャッ
漣はアンカーパーツを弓に取り付けた!
漣「とりあえず、お前らは打ち落として……」
ホッポ「!!お前ら、戻れ!」
キーたち「ワー!!」「ニゲロー!!」ワラワラ
漣「え、ちょ!?逃げんなコラー!!」
漣「!!」
弓を構えた漣の背後で、リトウが銃を突き付けていた!
漣「しまっ……」
バチバチバチバチィッ!!
漣「うああああああああああああっ!!」
リトウ「どう?私が開発した電撃銃の味は」
リトウ「なかなかの威力でしょう?」
漣「……ふん!大したことないね!」
漣「電ちゃんの電気ショックに比べたら、こんなのクソザコじゃん!」
リトウ「ふっふっふ……でもあなたたち、もうわかってるんでしょ?」
リトウ「この電撃を食らうとどうなるか……」
漣「……!」
リトウ「!!」
キーたち「「「ヒャッハァーーーーーー!!!」」」ヒュンヒュンッ
叢雲「うわ、また出た!」
ホッポ「センスイ、今のうちだ」
センスイ「ええ、リトウ!」パチンッ
シュンッ
リトウは再び姿を消した
叢雲「あーもう!何なのあいつら!」
電「完全に翻弄されてるのです……」
五月雨「漣ちゃん、大丈夫!?」
漣「あ、あんまし大丈夫じゃないかも……」
叢雲「っ!そうだ、あの電撃……」
漣「体が痺れてうまく動けない……」
叢雲「そうね。下手に離れるとタコ殴りにされて終わりだわ……」
電「漣さんから離れるわけにもいかないのです」
漣「うう、すまねぇ……」
五月雨(……さて)
叢雲(次はどこから来る……?)
シーン……
四人「……?」
叢雲「……何か、企んでる……?」
五月雨「……あの人たち、能力の都合かわからないけど……攻撃の際には姿を見せる」
五月雨「だから攻撃しようとしてるなら、姿が見えて……」
電「!!」
電「み、皆さん!ここから離れるのです!!」
三人「!?」
遠く離れたところで、ホッポがキーたちを集めてビームの準備をしていた!
ヒュォォォォォォォ…………
叢雲「まずいわ……!漣、つかまりなさい!」
漣「うん……って、叢雲ちゃん後ろ!」
叢雲「!!」
コウワン「逃がさないわよ」
ドガッ!
叢雲「!!」ヨロッ
コウワンの攻撃により、叢雲はバランスを崩す!
コウワン「あなたたちもよ」シュンッ
五月雨・電「!!」
ドガッ!
五月雨「うっ……」ドサッ
電「うあっ……」ドサッ
コウワン「……さようなら、ショキカンジャー」
ホッポ「発射!!」
ビィィィィィィィィィィィィィィッ!!!!
集まったキーたちから、すさまじい威力のビームが発射された!
四人「!!」
ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!
センスイ「よくやったわ、コウワン、ホッポ!」
コウワン「あら、特に何もしてないくせに偉そうなこと言うのね?」
センスイ「うっ……」
リトウ「まあまあ。センスイの能力のおかげでかなり翻弄できたじゃないの」
コウワン「……まあ、そうね。私たちが能力を使おうとすると、干渉し合って効かなくなるのが痛いけど」
センスイ「それは仕方ないじゃない……」
ホッポ「……」
ホッポ「……あいつら、まだ生きてる」
三人「!?」
コウワン「あ、あのビームを直撃して……!?」
ホッポ「うん。でも多分虫の息。さっさととどめを刺そう」
リトウ「そうか……じゃあ行きましょうか」
コウワン「……そうね」
叢雲「……漣、体動くようになった……?」
漣「だ、だいぶ治ったけど……別の要因で体動かなくなりそう……」
電「……かなり厳しい、戦いなのです……」
五月雨「……向こうは能力を使って翻弄しつつ攻撃して、隙をついて大技を繰り出す……」
五月雨「想像以上に連携が取れてるね」
五月雨「逆に、私たちは翻弄されすぎて、連携が取れてない」
五月雨「しかも、センスイやリトウはともかく、五人がかり……もしくは、大井さんに助けてもらって倒せたホッポちゃんやコウワンが相手……」
漣「要するに中ボスが同時に出現して、連携まで取ってきたらヤベーってことですな」
電「どうしたらいいのでしょうか……」
五月雨「……」
四人「!」
コウワン「……しぶといわね、まだ生きてるなんて」
叢雲「ふん……しぶといのはお互い様でしょ」
リトウ「でもやっぱり、見るからに限界って感じね」
センスイ「もう打つ手もないみたいだし……もうお終いよ」
電「……っ」
五月雨「……」
電「えぇ……」
叢雲「こんな時まであんたは……でもどうする、五月雨?」
五月雨「……当然、諦める気なんてないよ」
五月雨「まだ戦えるんだもん。いくら厳しくても、諦める理由にはならないよ」
叢雲「……まあ、あんたならそう言うと思ったわ」
漣「リーダーに聞いても、同じ答えが返って来ただろうねぇ……」
電「電たちも、諦める気はないのです……!」
叢雲「でもこのまま戦ってもジリ貧でやられるのが落ちよ……どうする気?」
五月雨「……これしかないね」スッ
五月雨は改装設計図を取り出した!
漣「でも戦隊パワー足りてるん?」
電「使ったうえで、体力ももつか心配なのです……」
五月雨「体力はわからないけど……戦隊パワーは十分だと思うよ」
五月雨「……みんな、『強い思い』は持ってるでしょ?」
三人「……!」
五月雨「それがあれば……きっと大丈夫。何とかなるよ」
三人「……」
電「電もやるのです!ここでやらない理由はないのです!」スッ
漣「ヨッシャー!一暴れしてやろうじゃないの!」スッ
五月雨「……よし!みんな、行くよ!」
四人「第二改装!!!!」
四人は、ショキブレスの横の溝に、改装設計図をスラッシュした!
シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン…………
四人のスーツが変化し、より強化されていく!
バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
センスイ「姿が変わった……?」
リトウ「……前の鎮守府で、似たような物を見たわね」
リトウ「確か……『強化形態』だったかしら」
ホッポ「こいつらもそれを……?」
センスイ「何にしても、嫌な予感がする……一旦離れるわよ!」パチン
センスイたちは姿を消した!
叢雲「……」
コウワン(……?さっきの位置にいるのはブラックだけ?孤立してる……)
センスイ(懲りてないのかしら、あの子たち……まあいいわ。コウワンかホッポが攻め込むはず)
センスイ(私はタイミングを見て能力を使って援護を……)
コウワン(……罠?離れたところにいる他のメンバーを狙うべき?)
コウワン(……迷っていても仕方ない。とにかく近づくしかないか……)スッ
叢雲「……はぁぁぁっ!!!!」ブォンッ!
コウワン「!?」
叢雲は槍を思い切り地面に突き刺し、地面に衝撃波を走らせる!!
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!
コウワン「ぐあっ……!」グラッ
コウワンたちはバランスを崩し、その場に倒れこむ!
コウワン(しまった、こんな広範囲に攻撃してくるなんて……!)
コウワン(不用意に音も出してしまった……狙われる可能性が高い……)
叢雲「そこかっ!」ブォンッ!
コウワン「っ!!」
ガキィンッ!!
コウワンは姿を現し、巨大な腕で叢雲の槍を防ぐ!
叢雲「やっぱりそこにいたわね……さあ、どうしてくれようかしら?」
コウワン「くっ……」グググ
ホッポ「お姉ちゃん!お前ら、行けぇ!」ヒュンヒュンッ
ホッポは叢雲に向かってキーたちを飛ばす!
叢雲「!!」シュバッ
コウワン(……!今のうちに……!)
シュンッ
コウワンは隙を見て、高速移動でその場を離脱した!
叢雲「……逃がしたか……まあいいわ」
コウワン(遠距離攻撃のできるホッポやリトウに任せて、私は他の子たちを───)
五月雨「───やぁっ!!」
コウワン「!?」
ズバァァァァァァァァァァァッ!!
コウワン「ぐああああああああっ!?」
五月雨「油断しましたね……コウワン!」
コウワン「くっ……」
シュンッ
コウワンは再び、高速移動でその場を離れる
コウワン「くそっ……どうなってるのよ……!」シュンッ
コウワン(でも、今度こそ逃げきれて……)
五月雨「まだまだっ!!」シュンッ
コウワン「!?」
コウワン(速い……!?この子、こんな高速移動できたの!?)
コウワン(私と同じか、それ以上のスピード……!)
電「えーいっ!!」ブォンッ!
ホッポ「!!」
ガキィンッ!!
ホッポ「イナズマ……!」グググ
電「……決着をつける時なのです、ホッポちゃん……!」グググ
ホッポ「……っ」
キーたち「「「ヒャッハァーーーーーー!!!」」」ヒュンヒュンッ
大量のキーたちが電へと襲い掛かる!
電「……そこなのですっ!」ブォンッ!
ドゴォッ!!
キーA「グエッ!!」
電「……まだ終わりじゃないのです!」
バチバチバチバチィッ!!
ホッポ「……!?」
電のハンマーから出た強力な電撃がキーたちに走る!
ドカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!
キーたち「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
ホッポ「あの量のキーたち全員に流れるほどのカミナリが使えたのか……!?」
電「……これが、改二の力なのです」
電「ホッポちゃん……電の本気を見るのです!!」
ホッポ「……っ」
リトウ(ここは私がしっかりサポートしないとダメみたいね)
リトウ(やることはさっきまでと一緒。隙を見て電撃を……)
漣「おっと、そうはいかせないよ!」
リトウ「!!」
バシュッ!!
リトウ「ぐあっ……!」
漣「勘だ!!」
リトウ(は!?)
リトウ(しかも何で心の声に反応してるのよこいつ!!)
漣「まーあんたの考えてることなんてお見通しってこった!」
リトウ(ふ、ふざけたことを……!)
漣「場所が分かったのは、単純に音だよ。戦闘やステルスに慣れてないあんたの足音が一番わかりやすかったからね」
漣「しかも今、声出しちゃったし……丸わかりなんだよねぇ」
リトウ「……っ」
漣「おーこわ!そら勘弁ですわ!」
漣「じゃあ、向こうでやってる電ちゃんたちの真似でもしてみるかね!」バシュバシュッ
リトウ「!!」
バチバチィッ!!
リトウ(よし……このくらいなら撃ち落とせる)
リトウ(隙を見て一撃でも与えられれば、どうにでも……!)
リトウ「っ!」バチバチィッ!!
漣「ほれほれ!」バシュバシュッ!!
漣は絶え間なく矢を放ち続けている!!
リトウ(か、数が多い……!捌き切れな……)
ザシュッ!
リトウ「ぐっ……!」
漣「まだまだ、徹底的にやっちまうのねっ!」
センスイ(一度体勢を立て直すために、全員に透明化をかけて離脱してもらうか?)
センスイ(いや、透明化のために手を止めた瞬間にやられる可能性がある……それは難しいか)
センスイ(くっ……どうしたら……)
ブォンッ ブォンッ
センスイ「……?」チラッ
叢雲「……遊びは終わりよ、センスイ」
センスイの近くで、叢雲が槍を頭上で回転させている!
ブォンッ ブォンッ
センスイ「なっ……!?」
回転させていくうちに、叢雲の槍が光を帯び始めた!
叢雲「確か、前にあんたに食らわせてやろうとしたときは失敗したわね……」
センスイ「そ、そうよ!その攻撃……あの時失敗したじゃないの!」
叢雲「……ええ、あの時はね」
ブォンッ ブォンッ
叢雲「でもあの時とは違う。私は強くなったのよ」
叢雲「単純な強さじゃない……強い『意志』があるのよ!」
シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン……
センスイ「や、やめ……」
ブォンッ!!!
叢雲「『マストブレイク』!!!!」
光を纏った叢雲の槍が、センスイを貫く!!
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!
叢雲「……ほらね。あの時とは違うでしょう?」
漣「どうしたどうしたー!そんなもんか悪の科学者ー!」バシュバシュッ
リトウ(まずい……このままだとジリ貧でやられるわ)
リトウ(正面から戦うのは危険すぎる……ここは離脱するわ!)カチッ
バシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!
漣「!?」
リトウの銃から煙幕が発射された!
モクモクモク……
漣「……」
リトウ(矢が途切れたところを見ると……うまく逃げられたのかしらね)
リトウ(一度態勢を立て直せば、あとは何とか……)
モクモクモク……
リトウ(そろそろ煙が晴れるわね。さあ、もう一度近づいて……)
漣「……逃げられたと思った?」
漣が放った何本もの矢が、リトウを取り囲んでいた!
リトウ「!?」
漣「残念、逃げられないよ!漣はしつこいから!!」
漣「遅い!これで終わりだよ!!」
漣「『デッキシュート』!!!!」
リトウを取り囲んでいた漣の矢が、一気にリトウに襲い掛かる!
ズドドドドドドドドドドドドドドド!!!!
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!
漣「ふふん。どう、凄いっしょ?」
ホッポ「ぐっ……」
ガキィンッ!!
キーA「ボ、ボス……」
キーB「ソロソロ、ゲンカイデス……」
ホッポ「お前ら頑張れ!ここで負けたら……!」
電「……」カチャッ
電はアンカーパーツをハンマーに取り付けた!
ホッポ「お前ら!距離をとるぞ!」ザッ
キーたち「オーーー!!!」ワラワラ
電「……」
ホッポ「……イナズマ?」
ホッポ(動きがない……どういうことだ?)
ホッポ「……!」
電「……決着をつけましょう」
ホッポ「イナズマ……」
ホッポ(……あの時とは違うな)
ホッポ(戦うことに、迷いがない……)
ホッポ(それだけ、強い思いがあるってことか……)
キーたち「ヒャッハァーーーーーー!!!」ワラワラ
ホッポ「エネルギー充填開始!」
シュゥゥゥゥゥゥゥ…………
電「……」グッ
ホッポ「エネルギー充填完了!発射準備!」
ヒュォォォォォォォ…………
ビィィィィィィィィィィィィィィッ!!!!
集まったキーたちから、すさまじい威力のビームが発射された!
電「えーーーーいっ!!!」ブォンッ!
電のハンマーと、ホッポのビームが激しく衝突する!!
ドォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!
ホッポ「頑張れ、お前たち!!」
ググググ……
電「……」
電「……ホッポちゃん」
電「……これで、終わりなのです!!」
ホッポ「……!」
電「『アンカークラッシュ』!!!!」
電の強烈な一撃が、ホッポのビームを押し返す!!
バシィィィィィィィィィィィッ!!!
ズガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!
電「電と友達になってくれて……ありがとうなのです」
電「次に……もしも会えるなら……」
電「……平和な世界だといいのです」
五月雨「やぁっ!!」
ガキィンッ!!
コウワン「くっ……この……!」グググ
五月雨「……っ」グググ
五月雨「諦めきれないのが……ヒーローですから……!」
コウワン「……」
コウワン「……どうしてなのよ?」
コウワン「さっきまで満身創痍だったじゃない……」
コウワン「なのにどうして……これほどの力が出せるのよ!?」
五月雨「……」
五月雨「こうして戦っているうちにも、限界が近づいているかもしれません」
コウワン「だったら何で……!」
五月雨「でも!」
ガキィンッ!!
五月雨はコウワンの腕を刀で払いのける!!
コウワン「!!」
五月雨「私たちには、やらないといけないことがあるから……!」
五月雨「『強い思い』があるから、いくら身体がボロボロでも力が湧いてくるんです!!」
コウワン「っ!!ふざけたことを……!」
コウワン「どうせそのうちに限界が来る!『強い思い』なんて、意味がないのよ!」
五月雨「いいえ、絶対にあります!」
五月雨「今……私たちにあるこの力が、確かな証拠だから!!」
コウワン「っ……!」
五月雨は刀にアンカーパーツを取り付けた!
コウワン「!!」
五月雨「そこを退いて下さい!!」
五月雨「私たちは吹雪ちゃんを……」
五月雨「絶対に、助けるんだ!!!!!」
五月雨「『キールスラッシュ!!!!』」
五月雨はコウワンに何度も高速で接近し、斬撃を浴びせていく!
ズババババババババババババババ!!!
ズガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!
叢雲「……何とか、全員倒せたみたいね……」
漣「はー、手こずらせやがって……」
電「み、皆さん身体は大丈夫なのです?」
漣「よゆー」
叢雲「私は大丈夫よ。五月雨は?」
五月雨「私も大丈夫。まだ戦えるよ」
五月雨「……早く行こう。吹雪ちゃんを助けないと」
電「そうですね……行きましょう!」
五月雨「……これは?」
洞窟の奥には、禍々しい光を放つ門があった
漣「何これ、ネザーゲート?」
叢雲「……まあ、ワープゲートみたいなものなのかしらね」
電「では、これがディープマリンのアジトに繋がってるのです?」
五月雨「そうだろうね……みんな、準備はいい?行くよ?」
漣「ヨッシャー!乗り込めー!!」
──────
───
吹雪「……」
吹雪「……う……」
クウボ「あら、気が付いた?」
吹雪「……クウボ……」
ジャラッ
吹雪「……!」
吹雪はセンカンと戦った部屋で、鎖で拘束されていた
吹雪「何を……!」ガチャガチャ
クウボ「あなたはセンカン様にエネルギーを吸い取られたの。十分に戦うことはできないはずよ」
クウボ「それに、あなたの変身アイテムも取り上げさせてもらってるわ」
吹雪「……っ」
クウボ「それでも下手に暴れられたら困るし……だからこうして拘束させてもらってるわ」
吹雪「そうだ……!センカンは……!?」
クウボ「ああ、センカン様?今、このアジトの外に向かっているわ」
吹雪「外に……?」
クウボ「あなたから吸い取ったエネルギーから、センカン様は素晴らしい力を手に入れなさったわ」
クウボ「私たちの目的のために、その力を振るおうとしていらっしゃるのよ」
吹雪「目的……外で……」
吹雪「……まさか!」
クウボ「ええ……」ニヤリ
クウボ「滅ぼしに行っているのよ。あなたたちの鎮守府をね」
吹雪「……っ!ふざけないで!そんなことさせない!!」ガチャガチャ
クウボ「あら、でも今のあなたに何ができるっていうの?」
クウボ「仲間もいない、変身もできない、戦うための力も足りない……」
クウボ「仮にセンカン様を止めに行ったとしても、すぐにやられるでしょうね」
吹雪「……っ!」
クウボ「わかった?あなたの今の状況」
クウボ「今のあなたは……何の役にも立たないのよ」
吹雪「……」
吹雪「……?」
クウボ「私たちディープマリンは、あなたたちのせいで結構な痛手を負ったわ」
クウボ「特に戦闘員……かなりの数がやられたわね」
クウボ「彼らはリトウに作られた存在だけど……作り直すにも時間がかかる」
クウボ「……その間、『誰か』が穴埋めをしないといけないと思わない?」
吹雪「……!まさか……!」
クウボ「ええ、そのまさかよ」
クウボは、敵艦載機の形をした石を取り出した
クウボ「そう。この能力についてはあなたもよくわかっているでしょう?」
クウボ「いくら今のあなたが役立たずでも……この能力であなたを操れば、きっと十分に役立ってくれるわ」
吹雪「くっ……」ガチャガチャ
クウボ「大丈夫よ。穴埋めとは言ったけど、十分な成果を上げればそのまま生きていられるはずよ」
クウボ「優秀な、ディープマリンの一員としてね」
吹雪「ふざけないで!誰がそんな……!」ガチャガチャ
吹雪「そんな……」
吹雪「……」
クウボ「装備は奪われ、抵抗する力もなく、助けに来る仲間もいない……」
クウボ「仮に拘束を抜けられたとしても、このアジトから脱出することも難しい……」
クウボ「……仮に全てがうまくいって、外に出られたとしても……」
クウボ「その目に映るのは、センカン様が滅ぼした鎮守府だけ」
クウボ「何も守れなかったという絶望感を得るだけよ」
吹雪「……」
クウボ「だからもう……大人しく私に操られなさいよ」
クウボ「私の操り人形として……ディープマリンとして、これから戦い続けるのよ」
吹雪「……」
クウボ「あら、大人しくなったわね。承諾ってことかしら?」
クウボ「じゃあ……」スッ
吹雪「……!」
ズガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!
吹雪「!?」」
クウボ「な、何!?」
突如、部屋の壁の一部が崩れ落ちた!
叢雲「ここ!?吹雪のいる部屋は!」
漣「ここかって聞いてんだよ!おら答えろ!!」ビシバシ
イー「イー……こ、ここのはずですイー……」ボロッ
電「!!ふ、吹雪さんがいたのです!」
五月雨「吹雪ちゃん!大丈夫!?」ダダッ
吹雪「み……みんな……?」
叢雲「ええ、あとはあんたとセンカンだけよ」
漣「吹雪ちゃんを連れ去った罪は重いぜ!」
クウボ「っ……」
シュンッ
叢雲「!消えた……」
漣「瞬間移動した……?でも、この部屋の中じゃなさそう」
叢雲「……何かわからないけど、とりあえず今は吹雪ね」
吹雪「みんな……どうして……?」
五月雨「どうしてって……何が?」
吹雪「だってみんな……センカンたちにやられちゃったって……」
叢雲「はぁ?何言ってんのよあんた」
吹雪「ほら、そこにみんなの壊されたショキブレスが……」
電「……ただの偽物なのです」
漣「漣たちが簡単にやられると思われているとは、心外ですな」
吹雪「……」
吹雪「……よかったぁ……」ポロポロ
叢雲「泣いた!?」
吹雪「だってぇ……みんなともう会えないと思って……」
吹雪「安心したよ……よかったよぉ……」
叢雲「全く、吹雪は……勝手に騙されて、勝手に安心して泣いてるんだから……」
漣「愉快な人だ」
電「こっちも心配したのです!吹雪さんが無事でよかったのです!」
五月雨「そうだね……よし、拘束も外れた。これで大丈夫だよ」ガチャッ
吹雪「取り上げられちゃって……多分その辺に……」
五月雨「……あった!これだね」スッ
漣「ヨッシャー!これでまた五人で戦えるゾイ!」
吹雪「……」
叢雲「……吹雪?どうかしたの?」
吹雪「……実は」
電「センカンさんに、戦隊パワーを奪われてしまって……」
五月雨「そしてセンカンさんは、鎮守府を攻撃しに行っていると……」
漣「どういうことだってばよ……」
吹雪「全然戦えないわけじゃないけど……でも、私の戦隊パワーは確実に弱まってる」
吹雪「いくら精神に呼応して大きくなるって言っても、ほぼ0の状態から元に戻すのは難しいと思う……」
吹雪「今まで通りにはいかないよ……」
叢雲「そうよ。あんたはショキカンジャーのリーダーなのよ?」
漣「ラスボス戦でリーダーが抜けるのはいただけないよー」
吹雪「……みんななら、大丈夫だよ」
吹雪「私がいなくても、四人で幹部たちを倒して……」
吹雪「ディープマリンのアジトに突入して、私を助けてくれた……」
吹雪「……私も、変身すれば戦闘員ぐらいは倒せるかもしれないけど、センカンには到底かなわない……」
吹雪「今の私が一緒に戦っても、足手まといになるだけだよ」
吹雪「……みんななら、四人だけでもやってくれるって、私信じてるから」
四人「……」
吹雪「!?」
五月雨「吹雪ちゃん抜きで戦うなんて……絶対に嫌!」
吹雪「五月雨ちゃん……?」
叢雲「あんたねぇ……そんなんで私たちが納得すると思う?」
漣「さっきまで漣たちがやられてたと思ってたのに、信じてるとか言われてもねぇ……」
吹雪「で、でも……」
電「……電も、吹雪さんが一緒じゃないと嫌なのです……」
吹雪「……」
五月雨「まだ私たちが鎮守府に着任して間もない頃に話したこと」
吹雪「……?」
五月雨「……吹雪ちゃんは、どうして戦うの?」
吹雪「どうしてって……」
吹雪「……!」
──────
───
吹雪『みんな、今日もお疲れ様ー』
電『お疲れ様なのです』
漣『かーっ!疲れた体に染みるぜ!』プハーッ
叢雲『……何飲んでるの?』
漣『ん?ねるねるねるね』
五月雨『何で!?どうやって!?』
五月雨『まだこの鎮守府には私たちしかいないからね』
漣『ご主人様も人使いが荒いよー』
電『仕方ないことですが……やっぱり大変なのです』
吹雪『そうだね……』
吹雪『でも、私たちしかいないんだから、私たちが頑張らないといけないよ』
吹雪『ちゃ、茶化さないでよ……』
漣『よっ、日本一!』
吹雪『……何が?』
電『でも、吹雪さんの言う通りなのです。電たちが頑張らないと……』
五月雨『……』
吹雪『え?どうしてって……』
漣『え、何?哲学の時間?』
叢雲『哲学者五月雨?』
電『意外なのです』
五月雨『ち、違うよ!』
五月雨『ただ、何となく気になって……』
吹雪『うーん、戦う理由か……』
吹雪『守りたいものが、あるからかな』
五月雨『守りたいもの?』
吹雪『うん。海を守りたいのはもちろんだけど……』
吹雪『まだ着任してちょっとしか経ってないけど、この鎮守府も……』
吹雪『司令官や、みんなも大切に思ってて……』
吹雪『それを守りたいから、戦ってる……かな』
五月雨『……そっか』
吹雪『い、いいでしょ別に!普通で!』
叢雲『でも普通じゃない』
電『普通なのです』
吹雪『ええ!?』
五月雨『普通だね』
吹雪『五月雨ちゃんまで!?』
五月雨『あはは、ごめんね吹雪ちゃん』
五月雨『……でも、よくわかったよ。吹雪ちゃんが戦う理由』
吹雪『……じゃあ、みんなはどうして戦うの?』
叢雲『え?えーっと……』
漣『せ、世界征服のため?』
電『……漣さんは、深海棲艦のスパイなのです?』
漣『じょ、冗談です……はい』
五月雨『大体みんな、同じようなこと考えてたってことじゃないかな』
吹雪『え、そうなの?』
叢雲『……まあ、そうね。あんたほどはっきりとは言えないけど、大体そんな感じじゃないかしら』
電『そうですね……電も、同じように答えたと思うのです』
漣『いや、漣は違うぞ!艦娘メイド化計画のために……』
叢雲『うるさい』バシッ
漣『あふんっ!』
五月雨『……実は、自分の中で戦う理由がわかってなかったんだけど』
五月雨『吹雪ちゃんの答えを聞いて、納得しちゃった』
五月雨『だったら、私も……同じ理由かもしれないね』
吹雪『……そっか』
吹雪『じゃあ、これからも五人一緒に頑張っていこうよ』
吹雪『同じ理由で戦ってるんだから!』
五月雨『……実は、自分の中で戦う理由がわかってなかったんだけど』
五月雨『吹雪ちゃんの答えを聞いて、納得しちゃった』
五月雨『だったら、私も……同じ理由かもしれないね』
吹雪『……そっか』
吹雪『じゃあ、これからも五人一緒に頑張っていこうよ』
吹雪『同じ理由で戦ってるんだから!』
──────
───
吹雪「……」
吹雪「……守りたいものが、あるから」
五月雨「……そうだよね」
五月雨「その気持ちは、私も……みんなも、変わってないはずだよ」
吹雪「……」
五月雨「きっと、前に言った『強さ』はそこから来てるんだと思う」
五月雨「『大切なものを守りたい』っていう思いが、私たちを強くしてくれたんだよ」
五月雨「そして……きっと、この五人でやって来たから、そう思えたんだよ」
吹雪「……」
電「……守りたいもののために一緒に戦うって、言ったじゃないですか」
漣「そうだよ。五人一緒でって言ったじゃん」
叢雲「五人そろってショキカンジャー、でしょ?」
吹雪「みんな……」
五月雨「……一緒に戦おうよ」
五月雨「一緒に……守りたいものを守ろう」
吹雪「……」
吹雪「私は……」
「おっと、お喋りはそこまでよ」
五人「!!」
叢雲「戻ってきたのね……てっきり逃げたかと思ったわ」
クウボ「さすがに一人で相手するのは骨が折れるからね……」
クウボ「アジト内の戦闘員をかき集めてきたのよ」パチンッ
「イー!!」ワラワラ
漣「うわ、いっぱい入ってきた!」
電「部屋の外にまだいるみたいなのです……」
吹雪「……」
クウボ「あなたたちが戦闘員に手間取っている間に、センカン様が全て終わらせてくれるわ」
叢雲「……ふん。戦闘員ごときに手間取る私たちじゃないわ」
クウボ「あら、でもあなたたち……連戦でかなり疲れてるんじゃない?」
クウボ「それに……力が弱まっている子が一人いるでしょう?」
クウボ「そもそも戦えるのかしら?いえ……」
クウボ「戦う気が、あるのかしら?」
吹雪「……」
四人「……」
クウボ「オーッホッホ!そうよね、いくら仲間がいても、今のあなたじゃ……」
吹雪「そうじゃない!」
クウボ「!?」
吹雪「ごめん……私が間違ってた」
吹雪「一緒に戦ってきたから……五人一緒だったから、ここまで来れたんだよね」
吹雪「……大切なこと、忘れかけてたよ」
吹雪「……一緒に戦おう、みんな!」
吹雪「ご、ごめん……」
電「でも、吹雪さんならそう言ってくれるって思ってたのです」
漣「説得フェイズに時間取った分、キッチリ仕事してよね!」
五月雨「……吹雪ちゃん、これ」スッ
五月雨は吹雪のショキブレスを差し出した
吹雪「……ありがとう、五月雨ちゃん」
五月雨「……お礼を言われるようなことはしてないよ」
五月雨「それより、ここからが勝負だよ!一緒に頑張ろう!」
吹雪「……うん!」
カチッ
シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン…………………………………………
吹雪の体に、スーツが装着されていく!
バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
吹雪「吹雪レッド!」
叢雲「叢雲ブラック!」
漣「漣ピンク!」
電「電イエ口ー!」
五月雨「五月雨ブルー!」
吹雪「五人そろって!!!」
五人「駆逐戦隊!ショキカンジャー!!」
バァァァァァァァァァァァァァァン!!!
クウボ「どうせ大した力も出せないんだもの!行きなさい、あなたたち!」
イーたち「イー!!」ワラワラ
吹雪「行くよ、みんな!!」チャキッ
四人「オー!!」
イーA「イーッ!?」ドサッ
吹雪「まだまだ!」ズバズバッ!
イーB「ぐはっ!?」
イーC「ぐえっ!?」
ドサドサッ
イーE「こうなったら一斉攻撃だイー!!」
イーたち「イー!!」ワラワラ
イーたちは吹雪を取り囲み、一斉に襲い掛かった!
吹雪「はああああああああああっ!!」
吹雪は激しく炎を放出し、襲い掛かってきたイーたちを燃え上がらせた!
ボォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!
イーたち「イーーーーーッ!!!」
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!
吹雪「まあね……はあっ!」ズバッ
クウボ「……っ」
クウボ(どういうこと……!?ショキカンレッド、あんなに力が出せるなんて……!)
クウボ(予想以上に速く戦闘員が倒されていってる……!これじゃまずいわ……)
クウボ(やはり、ここは……)
ドゴォォォォォォォォォォォォ!!!
イーたち「イーーーーーーッ!!!」
電「さあ次は……」
シュンッ
吹雪「!!電ちゃん、後ろ!!」
電「!!」
ドガッ!!
クウボ「……少しよけられたか……あまりダメージはなさそうね」
電(瞬間移動して、電の後ろから……)
電「……えいっ!!」ブォンッ
クウボ「おっと」シュンッ
電「……!」スカッ
吹雪「みんな、背後を警戒して!いつ攻撃してくるかわからない!」
漣「気を付けてって言っても……」
シュンッ
叢雲「っ!漣!」
漣「っ!」シュバッ
クウボ「あら、避けられちゃった」
クウボ「っ!」シュンッ
漣「あーもう!これさっきも見たよ!この戦い方!」
叢雲「ディープマリンってこんなんばっかね……」
イーたち「イー!!」ワラワラ
五月雨「みんな、まだ戦闘員もいる!クウボさんにばっかり気を取られないで!」
電「そうは言っても……少しでも油断したらやられるのです!」
シュンッ
叢雲「!!そこだっ!!」ブォンッ
ドガッ!!
クウボ「!!」
クウボ「……やるわね」シュンッ
叢雲「……浅かったか」
吹雪「……」
吹雪(どうにかして、クウボを倒すか……動きを封じるかしないといけない)
吹雪(クウボは瞬間移動して攻撃してくる。叢雲ちゃんくらい瞬発力があれば攻撃はできるけど……)
吹雪(パワーがないと決定打になりにくいし、すぐに対応できるようなスピードも必要……)
吹雪(……これしかない)
五月雨「吹雪ちゃん!?」
吹雪「クウボは私が何とかする!その間、戦闘員を……!」
叢雲「何する気よ、吹雪!?」
漣「……アレ使う気?」
吹雪「うん……」
電「で、でも大丈夫なのです!?」
吹雪「うまくいくかはわからないけど……それでも!」
五月雨「……わかった!任せておいて!」
吹雪は、改装設計図を取り出した
吹雪(……きっと大丈夫。さっきまでの私とは違う)
吹雪(さっきまでの、『みんなを守れなかった思い』があった私じゃない)
吹雪(怒りや憎しみに任せて戦ってた私じゃない……)
吹雪(今の私なら、きっと…さっきよりもずっと強い力が出せる)
吹雪(私はこの力で……みんなを守るんだ!!)
吹雪「第二改装!!」
シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン……………………
吹雪のスーツが変化し、より強化されていく!
バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
吹雪「吹雪レッド、改二!!」
吹雪は、アンカーパーツを剣に取り付けた!
ボォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!
アンカーパーツを取り付けた途端、吹雪の周りに炎が吹き上がる!
叢雲「あれは……!」
漣「キタコレ!能力使えるようになってるじゃん!」
電「これならきっと、大丈夫なのです!」
五月雨「吹雪ちゃん……任せたよ!」
クウボ(……あの状態のあの子には近づかない方がいいわね……)
クウボ(あの状態、強力だけど短時間で息切れするのはわかってる)
クウボ(ショキカンレッドは放っておいて、こうやって隠れつつ離れた子たちを攻撃すれば……)
五月雨「やぁーっ!!」ズバッ
クウボ(……ショキカンブルー、レッドから一番離れていて、攻撃に集中している……)
クウボ(狙い目、ね)
クウボ(よし、今!!)
シュンッ
クウボは、戦闘員への攻撃に集中している五月雨の背後に瞬間移動した!
クウボ(隙だらけな背中ね……!一撃で仕留めてあげるわ!)
クウボ(……?何、この熱気……?)
吹雪「はああああああああああああああああああああ!!!!」
ボォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!
吹雪は既にクウボに接近し、剣を振り下ろし始めていた!
クウボ「なっ!?」
クウボ(あり得ない……あり得ないわ!)
吹雪(……この人が、そう何度も隙を見せるとは思えない)
吹雪(私の子の力も、長くはもたない……)
吹雪(だったら……!)
吹雪「この一撃で……終わらせる!!」
クウボ「う、うわああああああああああああああ!!!!」
吹雪「『ブリッジバスター』!!!!!」
吹雪は炎を纏わせた剣を、思い切り振り下ろす!
ボォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!
ズガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!
吹雪「はあ……はあ……」
五月雨「吹雪ちゃん!大丈夫!?」
吹雪「私は大丈夫……それより、五月雨ちゃん巻き込まれなかった?」
五月雨「うん……何とか」
五月雨(びっくりしてころんじゃった事は黙っておこう……)
叢雲「……戦闘員、これで全部?」
電「そうみたいなのです」
漣「よーし、こっちも終わったよー!」
叢雲「急ぎましょう。鎮守府が襲われてるんでしょ?」
電「そうだったのです!急いでここから出ないと……!」
五月雨「みんな、連戦続きだけど……大丈夫?」
漣「まーなんとか。結構危ないけど、ここでやらないわけにはいかないっしょ」
吹雪「……そうだね」
四人「?」
吹雪「……ありがとう。助けに来てくれて」
四人「……」
叢雲「……別に、お礼を言われるようなことじゃないったら」
電「吹雪さんが無事で何より、なのです」
漣「やりたいようにやっただけだかんね!勘違いしないでよね!」
五月雨「……何が?」
吹雪「……ふふっ」
吹雪「よし、行こうみんな!」
四人「オー!!」
第九話「守りたいもの」 艦
吹雪「いよいよ最終回!長かった戦いもこれで終わる!」
叢雲「結局勝つの?負けるの?」
電「それを言ったらダメなのです……」
五月雨「と、とにかく!みんな、頑張ろう!」
漣「ラスボスに勝ってもブラックは死ぬかもしれないけどね」
叢雲「え!?」
吹雪「こらぁ!漣ちゃん!」
次回、最終話「私たちは、ヒーローだ!」
最後までどうぞ、よろしくお願いします!
鎮守府 執務室
提督「……」カリカリ
提督「……」
ズドォォォォォォォォォォン……
提督「!?」
提督「前に聞いたのとは違う感じがしたが……」
ズドォォォォォォォォォォン……
提督「っ!またか……一体何なんだ?」
バンッ!
大淀「し、失礼します提督!」
提督「ノックもせずに……お前らしくもない」
大淀「緊急事態です!外をご覧ください!」
提督「外……?」スッ
提督「……!!」
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
鎮守府の外に、戦艦棲姫の艤装に似た巨大な生物が立っている!!
大淀「わかりません……先刻急に現れたようです」
大淀「それに…少しずつですが、こちらに向かってきています」
提督(あれは……あいつらが言うところの『例の採石場』がある方角だな……)
提督「とにかく放ってはおけないな……」
大淀「提督、ご指示を!」
提督「……明石を呼んでくれ」
提督「来たか明石。あれが何かわかるか?」
明石「さあ……詳しいことは何も」
明石「ただ、先日と同じように……ディープマリンの仕業だとは思われます」
提督「やはりか……だったらやることは一つだ」
提督「ショキカンジャーに迎撃させてくれ。例の巨大戦力を使用するんだ」
明石「……あー、提督、それが……」
明石「はい……本日、預かっていた装備を彼女たちに返したんですけど……」
明石「その後、彼女たちに連絡を取ろうとしても一切繋がりません」
明石「電波が通じない場所にいる可能性が高いですね……」
提督「……そうか」
大淀「提督、どうなさいますか?戦艦や空母なら迎撃できる可能性がまだあります」
提督「……いや、艤装での攻撃が焼け石に水なのはわかっていることだ……」
提督「全員避難しろ!艤装を付けて海上へ出るよう指示を出してくれ!」
『緊急、緊急!総員、速やかに海上へと避難せよ!!』
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
ズシーン……ズシーン……
巨大生物は、少しずつ鎮守府の方へと歩みを進めている
「……」
ザッ
夕張「どこ行くのよ、大井」
大井「っ!」ピタッ
大井「……止めても無駄よ」
大井「……あの子たちは今いないんでしょ?」
大井「だったら戦えるのは私だけ……私一人でも戦わないといけないのよ」
夕張「ふーん……丸腰で?」
大井「……」
夕張「これが必要なんじゃないの?」ポイッ
大井「!」パシッ
大井「……ショキフォン……」
大井「……」
夕張「ただ、無理はしないこと。もうぶっ倒れた大井の面倒見るの嫌なんだからね?」
大井「……悪かったわね」
夕張「そ、れ、と!」カチッ
大井「?何よ、そのボタン」
夕張「あれ、明らかに巨大ロボで戦うタイプの敵でしょ?等身大で戦うなんて無理があるじゃない」
ゴォォォォォォォォォォ……
大井「……!?」
ショキカンオーに似た白い巨大なロボットが海から飛んできた!
ズシィィィィィィィン……
夕張「二号ロボくらい用意しないとね?」
大井「……ふん」ニヤリ
大井「お礼は言わないわよ、夕張」
夕張「必要ないわ。その代わり、後で感想聞かせてね」
大淀「提督、艦娘の大方の避難、完了いたしました」
大淀「現在遠征中の艦隊にも、帰還せず指示を待つよう通信を行いました」
提督「よし……こっちも別の鎮守府に避難先になってくれるよう要請はした。遠征艦隊にも知らせて、そこへ避難するんだ」
提督「大淀、お前も早く艤装を付けて海上へ出ろ」
大淀「それよりも提督、あなたも避難を……」
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
ズドォォォォォォォォォォン!!
提督「!?」
大淀「ま、また近づいて来ている音でしょうか?」
提督「いや、違う……何かがぶつかったような……」スッ
提督「……!」
グググ……
大井の乗っている巨大ロボットが、巨大生物と組み合っている!
大井「ここから先へは……行かせないわ……!!」
グググ……
「グ……グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
ドゴォォォォォォォォォォォォォッ!!
大井「!!!」グラッ
明石「二号ロボットですよ」
提督「明石?まだ避難してなかったのかお前!」
明石「申し訳ないですけど、今逃げるわけにはいかなくなったんですよ」
明石「夕張ちゃんと一緒に、オペレーター兼メカニックとして色々やらないといけないので」
提督「……」
明石「ええ。大井さん専用の二号ロボ。その名もショキカンジンです」
提督「大井?あいつ目を覚ましたのか」
明石「ついさっきみたいです。それであの生物に気が付いて向かっていったようで……病み上がりなのが心配ですが」
提督「……大井には悪いが、ここはあいつを頼るしかないか……」
ドゴォォォォォォォォォォォォォッ!!
大井「っ!このっ!!」
ドガッ!!
「グオオオオオオオオオオオ!!」
大井「……っ」
提督「……少し押されているように見えるな」
提督「明石。ショキカンジンの性能はどのくらいなんだ?」
明石「性能としてはショキカンオーより少し劣りますね。元々ショキカンオーのサポート用として作ったものですから……」
明石「それに、完成したのもつい先日です。細かい調整はできていないですし、大井さんの体調の面も考えると……」
提督「不利ってことか……」
明石「はい。それに、敵も以前戦ったものよりかなりタフみたいですね……」
提督(……今からでも退却させるか?)
提督(いや、向かい合った状態でそれはむしろ危険か……)
提督(それに、あいつらがまだ……)
ピピピピッ
三人「!!」
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
大井「はぁ……はぁ……」
大井(手強いわね……全然倒れる気配がない)
大井(攻撃が全く効いていないわけじゃないとは思うけど……それでも、すぐに倒せるようには思えないわ……)
「…………フフフ」
大井「!!」
巨大生物の頭上にセンカンが現れた
大井「……あなたがセンカンね」
センカン「ええ。こうして会うのは初めてね、ショキカンホワイト」
大井「随分大袈裟なことしてくれたわね。こんなものまで出して」
センカン「フフフ……いいでしょう?この力。思った以上に暴れられて、いい気分だわ」
大井「……」
センカン「それで、どうする気?まだやる?」
大井「……当然よ!!」
ドゴォォォォッ!!
センカン「……まあ、もう少しだけ付き合ってあげるわ」
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
ドゴォォォォォォォォォォォォォッ!!
大井「ぐっ……!!」グラグラ
巨大生物の拳を受けて、ショキカンジンはよろめく!
ブォンッ!!
センカン「甘いわ!!」
ガッ!
大井「!!」
ショキカンジンは拳を振り下ろすが、巨大生物はそのまま受け止める!
大井「……っ」グググ
センカン「はぁっ!!」
グイッ
大井「!!」
ショキカンジンはそのまま投げ飛ばされてしまった!!
ズドォォォォォォォォォォン!!!
センカン「もうわかってるでしょう?あなたと私では力の差がありすぎる」
センカン「このまま戦っても、私に勝てっこないわ」
大井「……まだよ!」グイッ
ショキカンジンは起き上がり、再び巨大生物へと向かっていく!
センカン「……しつこいわね」
ショキカンジンは巨大生物に向けて拳を振るうが、怯む様子はない
センカン「……いい加減、諦めたらどうなの?」
大井「うるさいわね!」
センカン「全く……諦めが悪いことこの上ないわ」
センカン「これだけやってもわからないのかしら?勝てないってことが」
大井「……」
大井「……わかってるわよ、そんなこと」
センカン「……?」
センカン「もしかして時間稼ぎのつもりかしら?他の艦娘や、あなたたちの提督を逃がすための時間稼ぎ……」
センカン「そのために犠牲になろうっていうの?ご苦労なことね」
大井「違う!」グイッ
ドガッ!
センカン「……っ」
大井「確かに、私がやっていることはただの時間稼ぎ……」
大井「私一人じゃ、あなたに勝てないことくらいわかってるわ」
大井「……一人じゃ、ね」
センカン「残念だけど、無駄なことよ。あの子たちは私の部下が相手をしている……」
センカン「仮に彼女たちに勝ててたとしても、もう戦えるような状態じゃないはず。ここに来ることなんてできないわ」
大井「……あなた、あの子たちのことがわかってないわね」
センカン「……?」
大井「『ヒーロー』っていうのはね……遅れてでも、待っている者のために必ず来てくれるのよ」
大井「あの子たちは立派な『ヒーロー』よ。私が、みんなが待っているこの場所に……」
大井「あの子たちが……ヒーローが来ないはずがないのよ!!」
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
ブォンッ!!
大井「!!」
ドゴォォォォォォォォォォォォォッ!!
巨大生物はショキカンジンの脚部に向けて腕を振るう!
ズドォォォォォォォォォォン!!!
大井「ぐっ!!!」グラグラ
センカン「沈みなさい、ショキカンホワイト」
ブォンッ!!
大井「……っ!」
ゴォォォォォォォォォォ…………
センカン「……?何、この音?」
大井「……!」
五隻の船が、巨大生物とショキカンジンのもとへと飛んできた!
センカン「……これは、まさか……!」
大井「……」
ピピピピッ
大井「!通信……?」ピッ
『大井さん!大丈夫ですか!?』
大井「……ええ、何とかね」
『遅れてすみません!今から加勢します!!』
大井「……ふんっ」
大井「全く……遅いのよ」
「了解!!」
「駆逐合体!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ヒュォォォォォォォォォォ
五隻の船が空中で合体し、一つの巨大なロボットになる!!
ピキィィィィィン ガッシィィィィィン!!
「完成!ショキカンオー!!」
吹雪「勝負はこれからです、センカン!!」
センカン「特にレッド。力もないのに、よく来れたわね……」
吹雪「……そう思っていられるのも今の内です!」
五月雨「大井さん、まだ戦えますか?」
大井『ええ、少し損傷はしてるけど、まだ戦えるわ』
大井『とりあえず、敵はかなりタフよ。心してかかりなさい!」
電「了解なのです!」
叢雲「さあ、反撃開始よ!」
ショキカンオーとショキカンジンが巨大生物に向け、それぞれ剣と拳を振り下ろす!
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
ブォンッ!!
漣「うわっ危なっ!?」
電「ぜ、全然効いてる様子がないのです……!」
大井『いいえ、さっきより動きが鈍いわ。少しはダメージが通ってるはず』
吹雪「だったら攻撃を続けるしかない!」グイッ
ブンッ!
ガシィッ
叢雲「!まずい、掴まれたわ!」
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
グイッ
ショキカンオーはそのまま投げ飛ばされてしまった!!
ズドォォォォォォォォォォン!!!
五人「うわあああああああああああああああ!!!」グラグラ
五月雨「少しはダメージが通るって言っても、これじゃジリ貧だよ!」
明石『そんな時のためにあるのが必殺技でしょ!』
吹雪「明石さん!?」
電「必殺技って……ギガデストロイキャノンなのです!?」
明石『それしかないでしょ!でっかい一撃を食らわせるのが一番!』
叢雲「流石にタダで食らってくれそうにはないんだけど……」
五人「!!」
ガシィッ
巨大生物が振り下ろした腕を、倒れた状態でショキカンオーは防ぐ!
グググ……
五月雨「お、重い……」
漣「相手の片腕を両腕で防ぐので精一杯なんだけど!」
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
巨大生物はもう片方の腕をショキカンオーに向けて振り下ろす!
五人「!!」
ズドォォォォォォォォォォン!!
電「なんとも……ないのです?」
叢雲「……っ!」
大井「この……っ!」グググ……
振り下ろされた腕は、ショキカンジンが受け止めていた!
センカン「しぶといわね、本当に……!」
大井『片腕は塞いだわ!今なら奴は動けない!』
明石『みんな、今がチャンスだよ!』
五月雨「チャンスって……ギガデストロイキャノンのですか!?」
漣「確かに今なら当てられるかもしんないけど……!」
明石『でも角度が悪い!もう少し体勢を起こして!』
叢雲「そう言われても、腕を塞ぐので精一杯よ!」
五月雨「下手に体勢を変えようとしたら、腕を振りほどかれそうですし……」
電「でも、チャンスは今しかないと思うのです……!」
吹雪「……」
『……れー……』
吹雪「……?」
五月雨「……声?」
叢雲「どこから……?」
明石『……ああ、聞こえる?』
明石『今、鎮守府の外から……港の方から通信してるんだけど』
『頑張れー!!!!ショキカンジャー!!!!』
明石『……みんな、応援してくれてるよ』
「あとちょっと!!頑張ってー!!!!」
「みんなの鎮守府を守ってー!!!ショキカンジャー!!!」
吹雪「……」
電「皆さん……」
漣「メガレンジャーみたいなことしやがって……」
叢雲「全く……これじゃ下手なことできないじゃない」
五月雨「……吹雪ちゃん」
吹雪「うん……わかってる」
吹雪「みんなが見てるのに……ヒーローがここで負けるわけにはいかないよね!!」
ググググ……
ショキカンオーが少しずつ体勢を起こしていく!
センカン「な!?まだこんな力が……!」
吹雪「大井さん!あと少しだけ、その手を放さないでください!」
大井『わかってるわ!その代わり、絶対に決めなさいよね!」
五月雨「はい!みんなにかっこ悪いところは見せられませんから!」
ググググ……
漣「……っ!角度はオッケー!いつでもいけるよ!」
吹雪「よーし!一気に決めるよ!!」
ウィィィィィィィィィィン ガッシィィィィィィィィィン!!
ショキカンオーの胸部から、巨大な砲身が現れる!
センカン「……!!!」
五人「ギガデストロイキャノン!!」
吹雪「ってえええええええええええええええええええええええ!!!!」
キュィィィィィィィィィィン……
ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!
「グ……グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
ドカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!
──────
───
ショキカンジンコックピット
ピピッ
夕張『……大井!ちょっと大井!大丈夫!?」
大井「……まあ、一応ね」
夕張『良かった……ショキカンジンの脚が崩れちゃうからどうなったかと……』
大井「元々脚部に損傷受けてたからね……あれだけ無理すればこうなるわ」
大井「ただ……私もちょっと……無理しすぎたみたいね」
夕張『……そう』
大井「……悪いわね、また面倒見させて」
夕張『別に?無茶させたのは私だしね』
夕張『まあ、あとはあの子たちに任せて、あなたは休んでなさい。後で引っ張り出してあげるから』
大井「……そうね」
大井「……あとは、任せたわよ……」
──────
───
例の採石場
センカン「……ぐっ……まさか、ここまでやられるなんて……!」ヨロッ
ザッ
センカン「!!」
五人「……」
センカン「……ショキカンジャー」
吹雪「……決着をつける時です。センカン」
センカン「どうして立ち向かってくるのよ?」
吹雪「……」
センカン「私に敗北して……幹部たちとも戦って……」
センカン「もう体力もないはず……ショキカンレッド、あなたからはエネルギーも奪った!」
センカン「それなのに……どうして戦えるのよ!?」
センカン「……?」
吹雪「私たちには、大切な何かを守りたいっていう強い思いがある」
吹雪「それさえあれば、必要なものは……『強さ』は湧いてくる」
叢雲「強い『意志』も……」
漣「『勇気』も」
電「『優しさ』も」
五月雨「『希望』も……!」
吹雪「それぞれの『強さ』が、戦うための力をくれる!」
漣「それを守りたいって思いが、私たちを強くする!」
電「たとえ体がボロボロでも、力を奪われても!」
五月雨「私たちに守りたいものがある限り、私たちは戦う!」
吹雪「私たちは……!!」
五人「『ヒーロー』だ!!!」
吹雪「吹雪レッド!」
叢雲「叢雲ブラック!」
漣「漣ピンク!」
電「電イエ口ー!」
五月雨「五月雨ブルー!」
吹雪「五人そろって!!!」
五人「駆逐戦隊!ショキカンジャー!!」
バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!!
五人「抜錨!!」
カチッ
シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン…………
五人の体に、スーツが装着されていく!
バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
電「えいっ!!」ブォンッ
センカン「!!」ガキィンッ!!
叢雲と電の攻撃をセンカンは素手で防ぐ!
漣「そこだっ!!」
バシュッ!
センカン「っ!」
センカン「っ!!」スッ
ザパァァァァァァ!!!
センカン「なっ!?」バシィッ!
五月雨の放った水が、ガードしようとしたセンカンの腕を弾いた!
五月雨「叢雲ちゃん、今!」
叢雲「わかってる、わ!!」ブォンッ!
ドゴォォォォォォォォォォォォ!!!
センカン「ぐああっ……!!」ズザッ
センカン(体力は限界なはずなのに……!)
吹雪「はぁっ!!」ブォンッ!
センカン「!!」ガキィッ!
吹雪「まだまだ!!」
ガキィッ! ガキィッ!
センカン「この……!」
ドガッ!!
吹雪「……っ!」ヨロッ
シュンッ
センカン「!?」
突如として吹雪がセンカンの目の前から消えた!
センカン(消えた……!?いや、違う!)
センカン(加速したブルーが離脱させて……)
シュンッ
五月雨「やあーっ!!」
五月雨が加速してセンカンに接近し、すれ違い様に斬りつける!
ズバァァァァァァァッ!!!
センカン「ぐああっ!!」
電「えいっ!!」ブォンッ
センカン「!!」シュバッ
センカン「そう何度も食らってばかりじゃ……」
シュバババババババッ!!
センカン「!?」
センカンに向けて、無数の矢が飛んでくる!
クイッ
センカン「!?」
矢は軌道を変え、センカンへと向かってくる!
漣「逃げられると思った?残念!」
ドガガガガガガガガガガガッ!!!
センカン「ぐあああああああああああっ!!!!」
吹雪「はぁっ!!」ブォンッ!
センカン「っ!」
ガキィンッ!!
センカン「くっ……」グググ
吹雪「……っ」グググ
センカン「ここまで、戦えるなんて……!」
吹雪「……あなただって、消耗してるはず」
吹雪「私から得たエネルギーは、さっきの巨大生物でほとんど失くしたんじゃないですか?」
センカン「……!」
吹雪「確かに私たちも限界は近い……それでも、ここで立ち止まるわけにはいかない!」
吹雪「守りたいものを守るために……!」
センカン「守りたい思いが強くするだなんて……そんなこと……!」
吹雪「あなただって言っていたはずです!私たちの力は、感情によって変わる力だと!」
吹雪「私たちの持つ一番強い感情……思いが、その守りたいっていう思いなんです!」
吹雪「この力は、大切なものを守るための力だって……仲間が教えてくれた!」
吹雪「ただのエネルギーとしてしか見ていないあなたには、わからないでしょう!?」
センカン「……っ!」
ガキィンッ!!
センカン「戯言は聞き飽きたのよ!いい加減……」ブォンッ
電「ええいっ!!」
センカン「!!」
ガシィッ!!
センカン「……惜しかったわね、あと少しで直撃だったのに」
電「……いいえ、これでいいのです!」
センカン「……!?」
センカン「……!?」
センカン「身体が……重い!?」
電「これで、動きは封じたのです!」
漣「キタコレ!あとはとどめじゃー!!」
吹雪「よし……!みんな、行くよ!」
四人「オー!!」
漣「デッキチェリー!」ヒュンッ
叢雲「マストランス!」ヒュンッ
五月雨「キールブレード!」ヒュンッ
吹雪「ブリッジソード!」ヒュンッ
ピキィィィィィン ガッシィィィィィン!!!
五人が投げた武器が空中で合体し、バズーカとなった!
五人「デストロイキャノン!」
センカン「ふざけ……るな……信じ……られるか……」
センカン「私の力が……そんなものに……負けるはずが……!」
吹雪「……確かに、この思いは簡単には信じられないものかもしれない」
吹雪「私だって、一時は忘れてしまっていた……」
吹雪「それでも、思い出させてくれた仲間が……そして共に戦ってくれる仲間がいるから!!」
吹雪「私は……艦娘として、ヒーローとして……この思いを信じていたい!!」
吹雪「これで終わりだ!センカン!!」
電「照準よし!」
叢雲「充填完了!」
五月雨「発射準備完了!」
吹雪「これが……私たちの力だ!!!!」
吹雪「ってえええええええええええええええええええええええ!!!!!!」
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!
センカン「私が……負けるなんて……!!!」
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!
センカン「ぐああああああああああああああああああああ!!!!」
ドカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!
──────
───
数日後 鎮守府
夕張「それにしても生きててよかったわねー、大井」
大井「……どういうことよ?」
夕張「いや、あの状況完全に力尽きて死ぬ前の状況でしょ?」
大井「んなわけないでしょ!大きな外傷なんてなかったもの!」
夕張「いや、でも『燃え尽きたぜ……』みたいなこともあるし」
大井「はぁ……全く」
大井「まあ、もう大丈夫よ。体力も十分回復したし」
夕張「そう。なら良かったわ」
大井「……あの子たちは?」
夕張「ああ、明石に診てもらってたけど、異常はないみたい。出撃や遠征もできるくらいらしいわ」
大井「そうなの。でも、さすがに提督もしばらくは休ませてあげるんじゃないの?」
夕張「あー、それがね……」
提督「……出撃したい?」
吹雪「はい……」
提督「……確かに、お前たちの体調は異常なしと明石から聞いたが……」
提督「あれだけのことをしてくれたんだ。もうしばらく休んだって、誰も文句は言わんぞ?」
叢雲「だったら休まなくたって誰も文句は言わないでしょ?」
提督「まあ、そうかもしれんが……」
提督「うーん……」
提督「……そもそも、どうしてそんなに出撃したいんだ?」
提督「それなりの理由があるんじゃないのか?」
電「理由、ですか……」
五月雨「確かに、あると言えばありますが……」
提督「……何だ?」
五人「……」
吹雪「……ん?」
電「代表して言って欲しいのです、リーダー」
吹雪「え、私!?また都合のいい時だけリーダーって言って!」
吹雪「そもそももうリーダーじゃないよ!?」
五月雨「吹雪ちゃんは私たちのリーダーみたいなものだし」
漣「ゆけ、-ダーリ!」
吹雪「なんて!?」
吹雪「い、いえ、違うんです!」
提督「……変わらんな、お前たちは」
提督「……それで、理由は?」
吹雪「……」
吹雪「……守りたいものが、あるからです」
五人「……」
吹雪「ダメ、でしょうか……」
提督「……全く、本当に変わらないな。お前たちは」
提督「着任したころと言っていることが変わってない」
吹雪「……それしか、考えられないですから」
提督「……ふっ」ニヤリ
提督「お前たち、艤装の扱いは久しぶりだろう。近海だし、丁度いいはずだ」
提督「とりあえず、まずはリハビリだ。艤装の感覚を取り戻せ。いいな?」
五人「はいっ!」
提督「よし。旗艦は吹雪、お前だ。概要は後で伝える」
提督「総員、心して取り掛かるように」
吹雪(でも、これが一番大切なことだし、一番強い思いなんだ。変わらなくていいんだよね)
吹雪(そして、それはきっとこれからも私たちを強くしてくれる)
吹雪(それを忘れない限り……)
叢雲「遅いわよ、吹雪!」
電「もうみんな準備できてるのです!」
漣「早くしないと置いていくよー!」
五月雨「吹雪ちゃーん!早く早くー!」
吹雪「待ってよみんな!今行くからー!!」
吹雪(この大切な……守りたい仲間が、いつも思い出させてくれるから)
吹雪(だから私は、みんなと一緒にどこまでも強くなれる!)
吹雪(もう私たちはショキカンジャーじゃないけど……)
吹雪(この思いがあれば、きっといつだって!)
「私たちは、ヒーローだ!」
駆逐戦隊!ショキカンジャー!!改 艦
正直リメイク前より面白くなったか自分でもわかりませんが、とにかく完結できて良かったです。
ちなみに、このssは何か特定の元ネタがあるわけではありません。
初期艦組が戦隊やってる漫画やイラスト、ss等が他にあっても、私はそれを参考にしたわけではないので、そこをご理解いただけるとありがたいです。
元スレ
【艦これ】駆逐戦隊!ショキカンジャー!!改
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1497268381/
【艦これ】駆逐戦隊!ショキカンジャー!!改 その2
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1524666985/
【艦これ】駆逐戦隊!ショキカンジャー!!改
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1497268381/
【艦これ】駆逐戦隊!ショキカンジャー!!改 その2
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1524666985/
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コメント一覧 (11)
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- 2018年12月16日 12:36
- ゴトランド 「初期艦……」
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- 2018年12月16日 17:41
- ショッ(キ)カ(ンジャ)ー
-
- 2018年12月16日 21:04
- コメントのつかなさにコンテンツとしての斜陽を感じる
-
- 2018年12月16日 21:10
- いやはや…懐かしいな。
ショキカンジャーにプリンツは入りますかね(爆弾)
-
- 2018年12月17日 03:30
- 何でゴトランドさんが居ないんだ? 謝れよ。
-
- 2018年12月17日 08:34
- ※3
SSの書き手が減ったからしゃーない、本スレのスレ建てバグ、荒らしとか放置は変わらずだし
渋、ハーメルに投稿場所を移動してるんだろ
本スレの管理人がしっかり管理しないのに愛想尽かしてきてんでしょ
面白いのが減ったね、という事なら同感よ
-
- 2018年12月17日 10:19
- 海関係縛りの戦隊ってやっぱ難しいんだろうな。デザインのネタには困らなそうだけど戦闘シチュエーションのネタに思いっきり悩みそう。毎回海岸や海上だと子供飽きそうだし。
-
- 2018年12月17日 10:24
- ※5
幼馴染の後藤さんが戦うようになったのはこの間からだからね、仕方ないね
-
- 2018年12月17日 14:34
- そりゃあせっかくまとめられても、こんなろくに読んでないようなまともな感想も書かないコメばっかりだったら書き手もやる気失くしていなくなるよ
やっぱりヒーローもののテーマはこれぐらい安直でも十分面白いと思う
-
- 2018年12月21日 15:16
- 俺は好き、読み終わるのにちょっと時間かかったけど
-
- 2018年12月27日 14:21
- この「改」よりオリジナルの方が勢いが有って好きかな