【デレマスSS】乃々「どろぼうねこ…」梨沙「どっちが!」まゆ「うふふ…」
的場梨沙「お邪魔しまーす」
P「おう。いらっしゃーい」
梨沙「…ふーん。結構きれいにしてるのね」
P「まぁ、最低限なー」
梨沙「荷物、どこ置けばいい?」
P「どこでもいいぞー。あ。けど二階の屋根裏部屋は器械類とか割れ物放り込んであるから不用意に開けないようにな。
他の部屋なら別にどこを使っても…。
うーん。一階の和室にするか。そこならテレビもあるし」
梨沙「うん? ああ、ここね。いい部屋じゃない。
…鍵がかからないのがちょっと不安だけど」
P「何もしねーよ」
梨沙「男の人の『何もしない』は信じちゃダメだって、パパが言ってたわ」
P「…いやまぁ、パパさんが言うことも正しいが…。
そんなこと言う人が一人モンの男の家に娘を預けるなよ…」
梨沙「それだけアンタのこと信用してるんでしょ。
ロリコンでヘンタイなのに」
P「…まぁ、一日だけだしなぁ」
梨沙「否定しないのね…」
P「そういやこの家に引っ越してから、梨沙が俺のところに遊びに来るのは初めてか」
梨沙「…そうね。前のボロアパートの時は何度もお邪魔したけど…。
ずいぶん、大きな家に引っ越したわね」
P「ちょっとした伝手でな~。さすがに俺の微妙な収入だけじゃ無理だ。
…もっとお仕事頑張らないとなー」
梨沙「……」
P「えーっと、朝飯は食ってきたんだっけ? お昼どうするかな~。
何か外に食いに行くか?」ガタ
梨沙「朝はパパたちと食べてきたわ」
P「…あ。居間のテーブルは好きに座ってくれ。無駄に5つも椅子があるからな」
梨沙「ていうか、棚の中…カップ麺や缶詰ばかりじゃない。普段の生活が目に浮かぶようだわ」ゴソゴソ
P「いやいや。ちゃんと料理もするぞ。できるのは知ってるだろ。冷蔵庫に食材も多少はあるし…。
そういうのもあった方が色々と便利なだけだよ」
梨沙「どうだか…。
ともあれ、お昼ご飯と晩御飯はアタシが作るわ。
アンタはヨダレでも垂らしながら座ってなさい!」
P「…えっ。…り、梨沙って料理できたっけ?」
梨沙「できるようになったのよ! パパのお嫁さんになるには料理くらいできないとね」
P「あー…。的場さんの…。花嫁修業ってところか」
梨沙「そう! 今日の料理もパパに食べさせる前の練習の一環だから! 勘違いしないでよね!」
P「わかってる。わかってる」
梨沙「……なんでそんなに嬉しそうなのよ!」
P「いやぁ。練習台とはいえ、梨沙の手料理が食えるのは幸せだな~と。
そういや、相変わらずのパパ好きなのに、今回の旅行にはついていかなかったのな」
梨沙「…今日は二人の結婚記念日だからね。たまにはママにもパパを貸してあげないと」
P「お、おう…」
梨沙「なに?」
P「何でもないぞ。ただ、普段ママさんも気が気じゃないだろうなぁと」
梨沙「普通に仲良くやってるわよ?」
P「まぁ、それはそこはかとなく伝わってくる。いい人そうだとは思ってたけど。
うんうん。安心して梨沙を任せられる」
梨沙「何よそれ。ふつう逆じゃない?」
梨沙「! あ。べ、別に、逆って言ってもそういう意味じゃないからね!
か、勘違いするんじゃないわよ!」
P「へ? 勘違いって…?」
梨沙「…! う、うるさい! ロリコン! ヘンタイ!」
P「ええ…。解せぬ…」
※ ※ ※ ※ ※
梨沙「パンケーキよ。アイスと蜂蜜かけるから、まだお預けっ!」
P「わん! …ってか、冷凍庫もちゃんとチェックしてるのな。手際も良かったし」
梨沙「まーねっ。これはよく作るから」
P「けど多くね? フライパンサイズ3枚重ね…」
梨沙「二人で切り分けて食べるのよ。普通じゃない?」
P「あ、なる。それなら問題なさそうだ。…いや多いけど」
梨沙「晩御飯はちゃんと家庭料理に挑戦するから安心しなさい」
P「おー、いいねー。挑戦って部分以外素直に楽しみだな。
足りない食材あったら教えてくれよ。
ひとっ走り行って買ってくるからさ」
梨沙「…その時は一緒に買いに行くわよ。それも将来の練習になるし!」
P「おー。勉強熱心だなぁ」
梨沙「はい完成! 喜び、むせび泣きながら食べなさい!」
いやいや美味そうだ」
梨沙「ん…崩れそう。上手く切れな…」
P「あー。そのナイフちょっと切れ味悪いんだ。もうちょっとこう角度を水平に…」
梨沙「!!」
P「…ん? どした?」
梨沙「べ、別にっ!」
P「こうやって力を均等に…よし。きれいに切れた」
梨沙「……」
P「なんだ急に大人しくな」
梨沙「っ!」
P「肘打ちっ!?」
梨沙「もう終わったんだから離れなさいっ! いつまでも背中にまとわりつかないでっ!」
P「お…おう。すまんかった…」
梨沙「小皿にはアタシが取り分けるから、アンタは黙ってさっさと食べなさい。
心も身体も、疲れてる時には甘いものが一番なんだからっ!」
梨沙「マムじゃない!」
P「……てか、今日はもしかして俺のこと心配して」
梨沙「あーあーあーあーあーっ! ヘンタイの声で耳が痒いっ!」
P「……罵倒が心にくるわぁ」
梨沙「フーッ! フーッ!」
P「どうどう…」
※ ※ ※ ※
梨沙「そう」カチャカチャ
P「…………」
P「食器くらい俺が洗うぞ~?」
梨沙「いいから! アンタはそのソファで豚みたいに寝転がっときなさい!
アタシの使用済みの食器を任せるのも心配だしねっ!」
P「ぶひぃ」
梨沙「…………」カチャカチャ
P「…………」
梨沙「はい。おしまい」キュ
P「おつかれ~」
梨沙「少しのんびりしたら近所のスーパーに行くわよ」
P「うい~。でもコンビニの方が近いぞ? ブキィッ!?」
梨沙「経済的じゃないでしょ!」
梨沙(それにスーパーの方が…夫婦っぽいし…)ポソ
P「ん? いや…それはともかく…なんで俺の尻に座ったん?」
梨沙「アンタが寝そべってソファ占拠してるからでしょ」
P「えええ…。自分が寝転がっとけゆーたやん…」
P「まあな」
梨沙「即答っ!?」
P「職場で担当アイドルのヒールに踏まれるのも悪くないが、ローティーンの尻にしかれるのも」
梨沙「しね。しね! 2、3回しんでしまえっ!」
P「脚っ! 足っ! かかとっ! ありがとうございますっ!」
梨沙「……コイツどこまで本気なのかしら」
P「むろん全て」
梨沙「その体勢でイケメン風真顔やめて」
P「…とまあ、冗談っぽい本気はともかく、どうせ踏むならもう少し肩寄りをお願いしたい」
梨沙「…………」
P「ああっ! 冷たい目っ!」
梨沙「……まぁいいわ。肩…凝ってるんでしょ。
踏んであげるからソファから降りて寝転がりなさい」
P「ありがとうございます! ありがとうございます!」
梨沙「だからそれはやめなさいって!」
※ ※ ※ ※
梨沙「嫌なたとえね…。ちょっと洗面所行くから買い物行く準備しときなさいよ。
スーパーって歩いていける距離?」
P「おう。そんなに遠くはないな」
梨沙「りょーかい。荷物持ちはお願いね」
P「任せとけ」
梨沙「えーっと、洗面所洗面所…」
P「出て左だ。ちなみに右に行って奥が1階のお手洗いな」
梨沙「ありがと」
P「…………」
P「…………」
P「準備しとけったって、特にすることないよなぁ。上着はおったら仕舞だし」
P「…………」
P「…………」
梨沙「きゃああああああああああああっっっ!!!」
P「!?」
梨沙「あ…あ…あ…」
P(洗面所で座り込んで…? 怪我はないみたいだな)
P「何があったんだ。そんなに真っ青…」
梨沙「おばけっ!」
P「はぁっ?」
梨沙「お、お、おばけがっ! 幽霊がでたのっ!」
P「…はぁ?」
梨沙「何よその反応はっ! 本当よ。本当に出たのっ!
アタシが洗面台に向かってたら鏡に「ふっ」って女の幽霊がっ! 一瞬だけっ!」
P「えーっ…。何かの見間違いじゃあ…」
梨沙「いたのっ! 振り返ったらもういなかったけどっ!」
P「リサリサ…あなた憑かれているのよ…」
梨沙「疲れてないわよっ! なんで信じないのよ~~~っ!」
P「だって今まで住んでてそんなこといっぺんもないしなぁ」
梨沙「バカーーーッ!」
P「へいへい…」
スーパーにて。
店員「奥さん。鶏肉なら今日はこっちの宮崎産がお買い得だよ」
梨沙「えっ?」
店員「ここだけの話、向こうのお肉売り場の海外産とは全然違うから。うま味も柔らかさも!」
梨沙「…奥さんってアタシ?」
店員「もちろんですよ若奥様。おや? もしかしてまだ少しお若いかな?」
梨沙「…まぁ、クラスのみんなよりは少し大人っぽいからね。
大人に見えても仕方ないわね♪ おしゃれしてるしっ♪」
P「その場合、横にいる俺がダンナということになってしまうのですが」
梨沙「そうね。ちょっと高いけど、そのお肉を…1000gでっ♪」
P「多い多いっ! 半分でも多いくらいだっ!」
梨沙「そういうものなの?」
梨沙「じゃあ500g頂戴っ! あとそこのから揚げもっ!」
店員「へいっ」
P「わーい。から揚げ。Pから揚げ大好き」
梨沙「知ってるわよ」
店員「から揚げはどのくらいで?」
梨沙「うーん? 400gで」
店員「はいよっ……412gっと、このくらいでいいですかい?」
梨沙「オッケーよ」
店員「ではお会計…」
梨沙「それにしてもスーパーの店内にお肉屋さんがあるのね。変なの」
P「その分、食料品売り場の肉が安めだったりする。競争って大事やね」
P「ダンナです」
店員「はい。ありがとうございました。またのお越しをお待ちしています」
梨沙「ええ、また来るわ♪」
P「また来るのでその目と通報は勘弁してください」
店員「…………」
※ ※ ※ ※
※ ※ ※ ※
梨沙「あとは…人参と野菜ジュースとほうれん草とブロッコリーと玉ねぎね。あと牛乳とツナ缶も」
P「そのあたりは普通に食料品売り場だな。…そういうや、何作るんだっけ?」
梨沙「シチューよ」
P「わぁいシチュー。Pシチュー大好」
梨沙「知ってる」
P「きー…」
梨沙「アタシは牛乳とってくるから、アンタは買い物カートとじゃがいも、玉ねぎよろしく」
P「いえすまむ!」
梨沙「マムじゃないっ!」
P「お母さん。お菓子買っていい?」
梨沙「しかたないわね。一個だけよ。…ってそれもちがうっ!」
P「あはは。じゃあ行ってくる。後からすぐに追いつくよ。必ず」
梨沙「…はいはい」
P「…それが彼女の見た最後のPの姿だった」
梨沙「さっさと行きなさいっ!」
P「で、特に何事もなく買い物完了し、帰宅ぼ~」
梨沙「ぼ? 何事もなかった割にはなんか疲れたけど…それに…」チラ
P「うん? どうした。玄関で立ち止まって。入らないのか?」
梨沙「…………」
P「梨沙さん?」
梨沙「は、入るわよっ! 入るに決まってるでしょう!」
P「おおう。なんだ急に。年頃の娘さんはようわからんのう…」
梨沙「見間違い。見間違い。あれはアタシの見間違い…」ブツブツ
P「買ってきたものテーブルに持っていくな~」
梨沙「ちょ、待ちなさい。一人で先に行くんじゃないわよ!」
P「へっくしょおぉいっ!」
梨沙「きゃああっっ!?」
晩御飯
P「うっま! 普通にかなり美味しいシチューだ…」
梨沙「と、当然! アタシが作ったんだから! えへへ」
P「一見普通のシチューだけど…さっき遠目に見てた限り、色々使ってそうだったよな」
梨沙「まあね。ママ直伝よ。隠し味は秘密だけど」
P「ふぅむ。…これならいつでもお嫁に行けるな」
梨沙「フフン。まだまだこれからだけどね。ん。…うん。美味しい。我ながら上出来」
P「なんならお嫁に来てもいいな」
梨沙「げほっ! ゲホッ! な、ななな何言ってんのっ!」
P「心配するな。家事は俺もちゃんとする」
梨沙「役割分担の心配はしてないっ!」
梨沙「ちょ、調子にのん…。…はむ」
P「食うんかい」
梨沙「うるはいっ! …ほんとだ。美味しい」
P「なー。だろ? ううむ。いかんな。ご飯がすすむ」
梨沙「…食べ過ぎて太らないようにしなくっちゃ」
P「梨沙は十分スタイルいいぞ。細すぎるくらいだ」
梨沙「油断は大敵なの」
P「いやいや。アイドル顔負けだ。つーか、梨沙が嫌じゃなければならないか。アイドル」
梨沙「……またその話? アタシにそんなつもりはないって…」
P「やっぱりかー。もったいねーよなー。まぁ、色々大変な世界だからその気がないのに無理強いはできないけれど」
P「アイドルといえば里…」
梨沙「ねぇ」
P「うん?」
梨沙「お仕事。最近どうなの?」
P「おう? どうした急に。仕事かー。うーん。
少し前に事務所移ったところだからな。色々大変ではあるよ」
梨沙「…………」
P「でもまぁ、異業種に転職したわけじゃないしな。担当することになったアイドル達もいい子ばっかりだし…癖は強いけど…それなりに上手くやってるよ」
梨沙「…そう。なら別にいいんだけど」
P「…………」
梨沙「…………」
P「…なんか…本当に母さんみたいだな」
梨沙「なんでよっ!」
梨沙「もっとおかしい!」
P「パパっぽい梨沙。縮めて…通称パリサ!」
梨沙「絶対やめて」
P「あー。距離の取り方といえばさぁ。担当になった娘が最初、滅茶苦茶ネガティブだったんだけど、最近ようやく…」
梨沙「…大丈夫そうね」
P「へ? なにが?」
梨沙「なんでもないっ! 顔面辛気臭ヘンタイロリコン男っ!」
P「さすがにひどくないっ!?」
梨沙「せいぜいアイドルの子たちに気持ち悪がられたり嫌われたりしていじめられないように気を付けなさいっ!」
P「ぐ…! 絶対ないとは言い切れないのが悔しい…! いやいや最近は自分を慕ってくれるようになった子も何人か…」
梨沙「絶対ないっ!」
P「ひっどっ!」
P「ブキィッ!?」
梨沙「…………」
P「…………」
梨沙「…………」
P「なんでまた尻の上に座るん?」
梨沙「食器洗い終わった」
P「おう? お、お疲れ様?」
梨沙「おふろ」
P「おう?」
梨沙「お風呂入りたい」
P「? いいぞ? 俺普段あんまりお湯張らないけど、普通に貯めて入ってくれて問題ないし」
梨沙「……そうじゃなくて」
P「?」
梨沙「…………」
P「はっ! も、もしかして…、Pお兄ちゃんといっしょに入りた」
梨沙「違うっ!」
P「否定はええっ!」
P「あっちって…洗面所?」
梨沙「そう!」
P「行きたくないっつーても行かんわけにはいかんでしょう。
それが嫌なら…今日はもう…風呂に入らない?」
梨沙「それもイヤ」
P「じゃあ俺と」
梨沙「絶対イヤ」
P「ですよね!」
梨沙「イヤだけど…一人で行くのもイヤだから…」
P「うん」
梨沙「ついてきて、洗面所の前で待ってて。目をつむって」
P「あー……」
P「無茶ぶりにもほどがあるっ!?」
梨沙「言うこと聞かなきゃパパに言いつけるわよ。アンタに迫られた…結婚してくれ、一緒に風呂に入ろうって」
P「微妙に嘘じゃないのがまずい!」
梨沙「ほぼほぼ真実じゃない」
P「そうでしたっ! アイアイマム!
洗面所前、不肖わたくしめが全身洗礼をもって歌わせていただきます! なんか明るい愛の歌を!」
梨沙「…よろしい」
P「よろしいのかな~?」
※ ※ ※ ※
梨沙「上がったわ」
P「マァァァァスパーキンッッッ! って風呂なげーよっっ!」ゼハーゼハー
梨沙「なんか入ってみたら意外と居心地よかったのよ」
P「喉、からっからなんですけどっ!?」
梨沙「だったらなんで絶唱系…。
まぁ、お疲れ。ホットミルク入れて待っててあげるから、3分でアンタも入ってきなさい。
喉乾いたからってアタシの使ったお湯飲むんじゃないわよ」
P「みじかっ! …飲まねぇよ!」
梨沙「…間がなかった? すぐ上がってこなかったらパパに、アンタがアタシの入浴中お風呂の前から離れなかったこと言うから」
P「事実だけど理不尽すぎる! てかどんだけ昼の幽霊引きずって」
梨沙「引きずってない! 幽霊なんていない!」
P「おおう」
梨沙「さっさと入ってくる! そしてアタシを一人にしない! 返事っ!」
P「サーイエッサー!」
梨沙「サーでもない!」
P「リサーイエッリサー!」
梨沙「語呂わるっ!」
梨沙「きゃああああああああああああっっっ!!!」
P「っ!? また梨沙の悲鳴っ!? なんだなんだっ!」
ドタドタ
P「どうした梨沙っ! 無事かっ!」ブランブラン
梨沙「ぎゃあああああああっっっっ!?? なんて格好で出てきてるのアンタっ!」
P「シャワー浴びてた所だったし…。けど見た感じ無事そうで良かった」ビシャビシャ
梨沙「あらゆる面で無事じゃないっ! ていうか仕舞なさいよその禍々しいのっ!」
P「おおすまん。つい…。は、恥ずかしいな」////
梨沙「赤面するなっ!」
P「で、何があったんだ?」ブラ
梨沙「仁王立ちやめなさいっっ! 隙間から! 指の隙間からっ!」
P「はぁ…今度は台所に女の幽霊?」
梨沙「そう! また出たの! ぼやぁって光る感じの…若い女の幽霊! 冷蔵庫のあたりに!」
P「…リサリサ…あなた憑かれているのよ」
梨沙「疲れてないっ! ていうかなんかニュアンス違うこと言ってない?」
P「きっと気のせいだって。お化けなんてないさ。って昔の人も言ってたし。
俺の事務所にモノホンの霊能力者アイドルいるし、ラップ音もポルターガイストもしょっちゅうだけど、きっとお化けなんていないって」
梨沙「否定する気あんのアンタっ!」
P「大丈夫大丈夫。少なくともほら。俺と二人でいたら出てこないってきっと」
梨沙「…………」
P「もし夜に何かあったらいつでも呼んでくれていいからさ。俺が助けてやる。護ってやる」
P「たとえ草木も眠る丑三つ時だろうとも、すぐに梨沙が独りで眠る純和室に飛んで行くから…」
梨沙「安心させる気ないでしょアンタぁ!」
P「おおう。泣かんでも」
梨沙「泣いてないっ!」
※ ※ ※ ※
P「で、こうなる…と」
梨沙「半分以上アンタのせいでしょ。責任取りなさい」
P「責任か~」
梨沙「…ちょうどいい布団があったんだから、いいじゃない」
P「来客用だからな。ほぼ新品だ」
梨沙「ほぼ?」
P「…新品だ」
梨沙「…あやしい」
P「アヤシクナイヨ」
梨沙「目をそらすな! あと逃げないで。隙間ができたら寒い!」
P「…密着してると落ち着かなくて眠れそうにないのですが」
梨沙「なんでよ。ああロリコンだから」
P「超速理解ありがたい」
P「我ながら天職に就いたと思う」
梨沙「絶対に雇ったらダメな人間よね」
梨沙(向いてはいるんだろうけど。時々タラシだし)ポソ
P「え? なんだって?」
梨沙「…そういうところもね」
P「うん? …しかし暖かいな。子どもの体温高いって本当なんだな」
梨沙「子ども扱いするなっ!」
P「…ほう…大人扱いしろと?」
梨沙「台所から包丁持ってきて。枕元に置いておくわ」
P「さーせん! 勘弁してくだせー!」
梨沙「…ヘタレ」
梨沙「褒めてないわよ……ふぁ」
P「うん? 眠くなってきたか。遠慮せず眠っていいぞ。何もしないからさ」
梨沙「パパが…男の人の『何もしない』は信じちゃ…」ウツラウツラ
P「本当に何もしねーよっ!?」
梨沙「…………ヘタ…れ」
P「…………」
梨沙「…………」
P「…………」
※ ※ ※ ※
梨沙「…………」
梨沙「ちょっと寝たふりしたら…コイツ、もう寝ちゃった」
P「ん……」クカー
梨沙「…………」
梨沙「…………」
梨沙「やっぱり疲れてるじゃない。疲れてるのはアンタの方じゃない」
P「…………」クカー
梨沙「…………」
P「むにゃ……り…さ…」
梨沙「……何よ」
P「…………」
P「おばけ…くる…ぞ」ムニャムニャ
梨沙「寝言までっ!いじわるっ!悪魔!ロリコンっ!鬼ぃっ!」
P「…ふへへ」
梨沙「…おにぃ」
梨沙「…………」
梨沙「…………」
梨沙「……バカ面で」
梨沙「……いじわるで」
梨沙「…………」
梨沙「……無防備なんだから」
梨沙「…………」
梨沙「…………」
※ ※ ※ ※
チュンチュン
P「むぅ…。朝か。なんかよく眠れたような気がする」
梨沙「おはよう」
P「おはよう。あ。すまん。いつの間にか抱き枕にしてたみたいだ」パッ
梨沙「…別に…いいわよ」
P「ん?」
梨沙「…ちゃんと責任とってくれれば」
P「責任か~」
梨沙「そう責任」
P「責任か~」
梨沙「…そう」
※ ※ ※ ※
梨沙「久しぶりね。これ好き」
P「知ってる」
梨沙「…うん。甘い。…美味しい」
P「簡単で失敗しにくいのに美味いよな~」
梨沙「うん」
P「また気が向いたらいつでも食べに来いよ。気軽にさ」
梨沙「うん。……ここ、お祓いしてくれたらね」
P「まだ引きずってるのか…」
梨沙「引きずってない」
P「……」
梨沙「あ。そういえば」
P「うん?」
梨沙「戸棚の中、見たわよ。缶詰とカップ麺の数が減ってた」
梨沙「晩御飯、足りないなら足りないって言いなさいよ」
梨沙(ていうかいつの間に食べたのよ)ブツブツ
P「いや…まぁ…すまん」
梨沙「次からはもっと多めに作ってあげるから」
P「次から…ってことは、また作りに来てくれるのか?」
梨沙「……ここ、お祓いしてくれたらね」
P「引きずってるじゃねーか!」
梨沙「だって! …この短期間に2匹も見るなんて…偶然にしては多過ぎじゃない!?」
P「うん? 2匹? 同じのが2回出てきただけじゃないのか?
いや、そもそもそんなのいないと思うが」
梨沙「ううん。2匹は別物よ。1匹目は金色っぽい髪の毛だったのに、2匹目は白っぽい髪の毛だったから」
P「…えっ?」
梨沙「きっとここ、建てる前はお墓か教会だったりするわね」
P「きんい…えっ!?」
梨沙「? なによ急に顔色変えて。…けど、本当に美味しいわね。これ。ちょっと悔しい」
P「…………」
ピンポーン
P「!?」
梨沙「こんな朝からチャイム? 日曜日なのにお客さん?」
P「…特に予定はないはずだけどなー。ちょっと見てくるわ」
※ ※ ※ ※
…ご迷惑でないでしょうか。
…………。
大丈夫ですよね。
…Pさんが自分からご自宅の場所を教えてくれたんですし。
…………。
何かあったら、って言ってましたけど…。
たまたま親戚に映画のチケットを戴いただけですけど…。
これも「何か」に入りますよね…?
うさぎさんの映画…。
メルヘンなのはお嫌いでしょうか…。
ガチャ
!!
※ ※ ※ ※
森久保乃々「あ。は、はい…もりくぼですけど…」
P「どうしたんだこんな時間に」
乃々「い、いえ…。じ、実は…こ、この…チケットを…」
梨沙「……誰よその子」
P・乃々「!?」
梨沙「こんな朝早くから…何しに来たの? ていうか…どういう関係?」
P「えーっと」
乃々「こんな朝早くに…Pさんのお家から…。だ、誰なんですか…その人…」
P「えーっと」
梨沙・乃々「…………」
P「あー。うー。ええーっと…。………。
…こっちは的場梨沙。俺の…その…妹みたいな親戚みたいな…そんな感じだ!」
乃々「…そんな…感じ…」
梨沙「…………」
昨日話したよな。あれ? …話さなかったっけか?」
梨沙「ふーん…アイドルの娘が…家に…」
乃々「…………」
P「よ、予想外の巡りあわせだけど、まぁ、二人とも仲良く! みんな仲良く! よろしくな! な!」
梨沙「…………」
乃々「…………」
P「な、なんでにらみ合って…もとい見つめあってるのかな~?」
梨沙「…………」
梨沙「ねぇ」
P「はいっ?」
梨沙「気が変わったわ。今度アイドルの事務所見学してみたい」
P「どうした急にっ? いやまぁ、歓迎するけど」
梨沙「ちょっとね。祓わなきゃならないものが多そうだから」
P「なんの話っ?」
乃々「あ、あの、Pさん」
P「は、はいはい。なんだいっ?」
乃々「もりくぼも…ここにお泊りしてみたいです」
P「急に何を言い出すんだいこの子はっ!?」
梨沙「…………」
乃々「ぜ、善は急げといいますし…次の土曜日はもりくぼの番ということで…」
P「いや、ダメだろうっ? ていうかそんな子だったか? 森久保ォ!」
乃々「は、はいもりくぼですけど。そんな子ですけど」
P「開き直ったっ!?
…あ。っていうか無理だわ。俺、今週から出張の予定があってな」
乃々「!?」
梨沙「!?」
P「ちょっと長めになる予定だ。海外でオーロラを見に行くんだよ。
だからごめんな。ちょっと、むぅーりぃーだわ」
乃々「ま、マネしないでほしいんですけど!
…ていうか、もりくぼをこういう風にしておいて、放って行くんですか。
捨てていくんですか…。捨てくぼですか…!」
P「色々人聞き悪っ! いやいやいや、仕事だから! これもお仕事だから!」
梨沙「こ…『こういう風にしておいて』…。しかも…他のアイドルたちとも、仕事と称して海外に…」
P「ほらぁ! 早速よからぬ誤解してる子がっ!」
乃々「逃がさないんですけど。離さないんですけど」ガシ
P「ちょ、なんで急にしがみ付…っておいっ! のぼるなのぼるな。俺の身体をよじ登るなっ」
乃々「う~~~~!」
P「ちょ、背中に回って…。こら離しなさいっ!」
梨沙「…………!」
P「り、梨沙? 引きはがすの手伝ってくれるのはありがたいんだが…。
ちょっと強引…てか痛っ! 伸びる! 破れる! 服が破れちゃうからっ!」
梨沙「…………」
乃々「う~~~~!」
P「お前ら、俺の言うこときけぇっっ!」
彼女達の闘いはこれからだっ!エンド。
※ ※ ※ ※
「姿を消してるはずの私を視認できるなんて~。…はっ!?
もしや、彼女もサンタパワーの持ち主?」
「ブモッ」
P「外食の話題に反応したり、夜に食い物あさったりするの、やめてもらえませんかね…」
※ ※ ※ ※
某所お屋敷にて。
執事「報告は以上です。お嬢様」
櫻井桃華「…つまり…建設段階で仕込んであったカメラや盗聴器まですべて撤去…あるいは破壊されていた…と?」
執事「はい。恐ろしいほどの勘と嗅覚の持ち主です」
桃華「その上、こちらに尻尾も掴ませないなんて」
執事「あ。それについては少し情報がありまして」
桃華「えっ?」
執事「機能を停止する直前のカメラからの映像に、こんなものが…」
桃華「!? 今、一瞬チラリと…赤と…ピンク色の…リボン?」
執事「はい。その隠密能力から察するに、この映り込みはこちらへのアピール…つまりは意図的なものかと…」
桃華「…何者ですの。あなどれませんわ」
執事「ええ。この私ですら、ついうっかり、あの少女の前で幽霊っぽく鏡に映りこんでしまったというのに…。
本当、ついうっかり。こっそり設備確認のついでについうっかり」
桃華「それも意図的でしょう!」
執事「だって…イチャイチャバカップルってむかつきません?」
桃華「むかつきますけど!」
執事「とりあえず、報告はそんな感じです」
桃華「どんな感じですか…。まぁ、Pちゃまとその娘の間に、特に何事も間違いがなかったのなら良いですわ」
執事「そうですね。越えてはいけない一線を越えるような過ちはなかったかと。
せいぜいBまでですね」
桃華「過ちですわ! 大いに過ちですわ! ダメでしょうっ!?」
執事「ダメですか?」
桃華「ダメですわ」
執事「…………」
桃華「…………」
執事「…まぁ、それはほんのバトラージョークとしておいて…」
桃華「…本当ですわよね?」
執事「ええ、実際はAまでですね」
桃華「それもアウト! アウトですわ! 監視してたならちゃんと阻止しなさいっ!」
執事「…おや? お嬢様はAの方でも経験回数に含まれるとお考えの方ですか?」
桃華「え、Aの方…? 何を言ってるか…微妙に不穏な…食い違いを感じますわ」
執事「Aの方。要するに問題は前の方か後ろの方か、どちらを使」
桃華「黙りなさい」
執事「…むろんバトラージョークです」
桃華「でしょうね! ていうかただの下ネタですわ!」
執事「桃華お嬢様は…意外と耳年増…と」
桃華「あああああああああああっ!! メモるんじゃありませんわっ!」
執事「まぁ、実際は普通のAだけですね。まったく、微笑ましくも妬ましい」
桃華「…………」
桃華「…………」
桃華「えっ?」
※ ※ ※ ※
月日流れて、事務所にて
浅利七海「あ~。それでこの二人、仲が悪いんれすね~」
P「仲が悪いっつーか…。まぁ、あれ以降、顔を合わせるたびに仲良く喧嘩してるな」
佐久間まゆ「懐かしいですねぇ…」
乃々「う~~~~~~~」
梨沙「ぬ~~~~~~~」
氏家むつみ「あ、あの。止めなくていいんですか?」
P「まぁ、喧嘩って言っても手押し相撲みたいなもんだしな~」
むつみ「はぁ…」
P「しかもこいつら俺のいないところでは普通に仲良くしてりするしな」ポソ
むつみ「へぇ」ニヤ
まゆ「微笑ましいですねぇ」
七海「れすね~」
乃々・梨沙「が、外野ァ!!」////
並木芽衣子「若いっていいねぇ…」
クラリス「そうですね~」
イヴ「ね~」
芽衣子「ああ…、新しい湯のみで呑む日本茶は…たまりませんなぁ…。ふぉふぉふぉ」
クラリス「素敵な器ですね」
芽衣子「えっへへ~。お気に入りなんだー!」
イヴ「お茶っ葉もいいモノです~」
芽衣子「旅先で買ってきた名産品だからね~。
他にお土産もたくさんっ! 存分に味わって!」
のあ・柑奈・聖・メアリー(もくもくとお饅頭を頬張る)
クラリス「ああ、主よ…」
イヴ・芽衣子「……」
クラリス・イヴ・芽衣子「今日も平和をありがとうございます」
梨沙・乃々「どこがぁっ!?」
平和な事務所エンド。
ありがとうございましたっ!
※ 独自設定強め
って注釈付けるの忘れてた
書き込み規制食らいまくって動揺してたので… <(_ _)>
これに続いたり
【デレマスSS】モバP「PとJS」櫻井桃華「ですわ!」
ここら辺とも少し関係あったり
お時間あればよろしくお願いしますっ
てすと
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コメント一覧 (10)
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- 2018年12月13日 13:32
- 久しぶりに見れて良かったです(^o^)にしても、変わらずモテモテですねぇ……
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- 2018年12月13日 13:34
- 意外な時系列
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- 2018年12月13日 15:21
- おお
まぞくぼのシリーズだったのか…
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- 2018年12月13日 15:22
- めちゃくちゃ久しぶりやなこのシリーズ
書き手が死んでない辞めてないのは読み手として素直に嬉しい
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- 2018年12月13日 17:04
- マゾくぼ作者さんかぁ久しぶりたなぁ。登場アイドルの微妙な病み加減が好きです、まぁイヴが出てくるまでわからなかったけど。
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- 2018年12月13日 17:15
- 乃々の感じがアレ?と思ったら…そういうことか!
ところで現在もしぶりんは小屋住みなんですかね。ふと気になった。
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- 2018年12月13日 23:58
- もりくぼも好きだけどヴァリサもいいよなぁ…
下心(あんまり)なしに、ただ抱きしめたい
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- 2018年12月14日 01:20
- 尊い…尊い…
途中、どんな世界線だよ!って思ったけど続きをどんどん書いてもいいのよ
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- 2018年12月14日 04:16
- 最後、桃華のはともかく、まゆのヤツと関係あるってことは…最初の方のやり取りが意味深になるな
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- 2018年12月14日 10:32
- 禍々しいち○ぽとかどんなだwww