岡崎泰葉「私の憧れの人」
後、このSSの泰葉はちょっと変だと思います
そしてとんでもないことに仕事をしている私に「楽しくなさそう」なんて言ってきたのです。
だから、初めての印象は最悪でした。それこそ、こんな思いを寄せるなんて思わないほど……
フレデリカ「うん、聞いてる聞いてる」
泰葉「じゃあ今まで話したこと言ってみてください。」
フレデリカ「うーんとねえ、ヤスハちゃんのアプローチにプロデューサーが振り向いてくれないって話でしょ。」
泰葉「そうですけど、そうじゃなくて……」
フレデリカ「やーん、照れてるヤスハちゃんカワイイー!」
泰葉「ちょっ、フレデリカさんやめてください……!」
フレデリカさんに抱きしめられてしまいました。
私は細かいことを聞きたかったんですけど、ついフレデリカさんの言葉に照れて隙を見せてしまいました……
フレデリカ「聞いてるよー、いつものでしょ?」
泰葉「いつも、とかじゃなくて……」
フレデリカ「ちゃんと聞いてるよ、ヤスハちゃんの話。」
フレデリカさんが私の目をじっと見つめる。
フレデリカさんは目力が強くて、こうして見つめられるとどうにも押しきられてしまう。
フレデリカ「プロデューサーとアイドルの関係だね。」
泰葉「チョコをあげたこともあるのに……」
フレデリカ「お仕事だね、一緒で楽しかったよ!」
泰葉「色んな姿を見られたのに……」
フレデリカ「お仕事の衣装だね!」
泰葉「そして、色んな壁をふたりで乗り越えたのに……」
フレデリカ「ビジネスパートナーとしてね!」
泰葉「フレデリカさん……」
余計な茶々を入れるフレデリカをじっと睨む。
フレデリカ「えっ、フレちゃんひとつも間違ったこと言ってないよ!」
フレデリカ「うーん、それはショックだよね……」
泰葉「私に魅力がないんでしょうか……」
フレデリカ「そんなことないよ!たくさんのファンがヤスハちゃんにメロメロだし、もしプロデューサーがそんなこと言ったら真実の口に食べさせちゃうんだから!」
泰葉「フレデリカさん……ありがとうございます。」
フレデリカさんの励ましに気力が沸いてくる。彼女はそういうのが本当にうまいと思う。実際今回を含め何度も励まされた。
フレデリカ「それフレちゃんも考えなきゃダメ?」
泰葉「もう私には手がないんです……!」
フレデリカ「うーん、そう言われても……あっ!」
泰葉「何かありましたか!?」
フレデリカ「プロデューサーは放っておくといいと思うよ。」
泰葉「それ成り立つんですか?」
フレデリカ「そうだよそうだよー、押してダメなら引いてみろって言うでしょ。プロデューサーにはピッタリの作戦だと思うな!」
泰葉「……確かにプロデューサーさんはそういうことを気にするタイプですね。フレデリカさん、ありがとうございました!」
私は天啓を得ました、プロデューサーさんを落としてみせます!
薫「泰葉ちゃん、大丈夫?すごい顔だよ?」
泰葉「だ、大丈夫……薫ちゃん、ありがとう……」
まさかみんながプロデューサーと遊んだり話をしているのを離れて見るのがこんなに辛いなんて……
フレデリカ「ヤスハちゃん、大変だねー。」
泰葉「う、裏切り者……」
このフレデリカさん、私には離れるように言って自分はプロデューサーさんに構って貰っていたのだ。裏切り者と言わざるを得ない。
泰葉「ぐうぅぅぅぅ……」
桃華「あの、プロデューサーちゃまから話してほしい気持ちはわかりますが、無理はよくないですわよ……」
泰葉「あ、ありがとう桃華ちゃん……もう耐えられないから帰るね……」
薫「泰葉ちゃん、気をつけてね……」
フレデリカさんと薫ちゃんと桃華ちゃんに見送られながら帰ることにした……
大した時間ではないはずなのに体が震えて心が凍えてしまいそうです……
そして気づいたのですが、今日帰るのであれば次の日も続けなければ意味がない……
恐ろしい、あまりに恐ろしすぎます!
プロデューサーさんと離ればなれになる恐怖に襲われながら、私は女子寮への道をとぼとぼ歩きます。
せめて、女子寮の仲間と触れあって回復しなければ……そう思いながら歩いていると後ろから聞き馴染んだ声が聞こえました。
嗚呼、あまりにプロデューサーさんが恋しくて幻聴まで聞こえたのか、そう思い振り返らないでいたのですが、更に大きく聞こえてきました。
流石に振り返り、目を向けるとそこには私に向かって駆けているプロデューサーさんの姿が!
フレデリカさん、ありがとうございます。あなたは私の救世主です。
泰葉「え、ええ。はい。」
P「よかった、様子が変だったから心配したんだ。もしかして俺に変なところあったか?」
泰葉「いえ、そんな……」
P「俺じゃないのか?俺のせいじゃなくても俺に出来ることがあったらなんでも言ってくれ。」
なんということでしょう、少し離れていただけでこんな台詞が出てくるとは……
フレデリカさん、私にとってあなたはアポロンでした……
泰葉「だだ、だったら……!」
P「おう、なんだ?」
泰葉「キス、してください……」
千載一遇のチャンスを逃さないこの要求!ママ、パパやったよ!私、これから大人になります……!
P「……ハァー」
え、今のため息なんですか?
泰葉「なんでもって言ったじゃないですか……」
P「それは出来ないことだ。俺たちがアイドルとプロデューサーという関係である以上な」
泰葉「でも、でも……」
P「たまにそういう話も出るが良くないことだ。アイドルがプロデューサーの権力で手込めになっている。」
泰葉「でも私はプロデューサーさんが好きです……!」
P「それでもだ。誤解を与えることもあるだろうし、仕事の仲間としてそういったことはよくない。」
泰葉「プロデューサーさん……」
先程の天に舞い上がるような気持ちから一気に地獄に落とされた気分です。
プロデューサーさんは、あまりに理性的でした。
泰葉「プロデューサーさん、せめて何か……」
P「そうだなあ……」
そう言うと、プロデューサーさんは優しく頭を撫でてくれました。
いつもなら子供扱いしている、せっかく整えた髪が乱れる、そんなことを考えてしまうのだけど。
今日だけはその手に甘えたい気分でした。
フレデリカ「へー、結構効果あったねー。」
泰葉「ここまで聞けたのもフレデリカさんのお陰です、ありがとうございました。」
フレデリカ「いやいや、アタシは大したことしてないよー」
泰葉「じゃあお礼もすんだし……さて、プロデューサーを落とすにはどうすればいいでしょうか……」
フレデリカ「ええー、まだやるのー?アイドルやっている内は脈なしじゃない?」
泰葉「そんなこと言って誰かと付き合ったらどうするんですか!最低でもアイドルやめた後付き合ってもらう約束をするまでやりますよ!」
フレデリカ「えー……」
この後もフレデリカさんは嫌な顔をしつつも付き合ってくれました。
乃々「ぶどう狩り……ですか?」
乃々さんが怪訝そうな顔で聞く。
P「うん、この前悠貴とぶどう狩りに行ったら気に入られてね。お仕事として受けることになったんだ。」
そうなんです、お休みに行く予定が行けなくなったって話したら連れていってくれて。プロデューサーさんって本当に優しいですっ。
泰葉「なるほど、そうなんですね。それでなんで私と乃々ちゃんもなんですか?」
P「他にも何人か欲しいって言われたんだ。乃々は合いそうなイメージ、泰葉はバランサーだ。」
泰葉「バランサーならフレデリカさんが適任じゃないですか?」
確かに泰葉さんの言う通り、フレデリカさんは周りの事をよく見ていてあの人がいると大体うまくいきます。
P「フレデリカはレイジー・レイジーの仕事がある。それに乃々と泰葉という選択は全体のバランスも考えて選んだんだ。
撮影には俺もついていくが、期待に応えてくれると助かる。」
乃々「そ、そうなんですか……」
悠貴「泰葉さんも乃々さんも、一緒にお仕事したことありますもんね!」
泰葉「そういえばそうだね、あの時は乃々ちゃんを机から出すのが大変で……」
乃々「あぅぅ、掘り起こすのはやめてほしいんですけど……」
悠貴「ふふっ、あの時のお仕事も楽しかったし、ぶどう狩りのお仕事もきっと楽しくなりますよねっ。」
P「そうだな。軽く打ち合わせるから机の方に来てくれ。」
そこから段取りなど少しだけ打ち合わせました。
泰葉「はい、頑張りましょう。」
乃々「はい~……」
P「それじゃあぶどう農園まで行くぞ。」
泰葉「じゃあ私、助手席に乗りますね。」
P「んー、ふたりはそれで大丈夫か?」
悠貴「? はい、大丈夫ですけど……」
乃々「もりくぼは助手席嫌なんですけど……」
P「……ならいいぞ。ふたりは後ろの席に乗ってくれ。シートベルトも忘れないでな。」
泰葉「はい、わかりました。」
悠貴「はいっ。」
乃々「はい、着けます……」
プロデューサーさんは慣れた動作で車を起動させて、出発しました。車を運転する男の人ってカッコいいですよね、少し憧れますっ。
泰葉「それで、今日行くぶどう農園は採った後にぶどうジュースにして飲むこともできるところなんですよね。」
悠貴「はいっ、ぶどうジュースとってもおいしかったですっ。」
乃々「もりくぼはぶどうをちまちまと食べていたいです……」
P「そういうのも果物狩りの魅力だよな。カメラを気にする必要もあるけど、基本的には各自で楽しんでほしい。
それがぶどう農園の魅力の宣伝になるしな。」
泰葉「はい。」
悠貴「はいっ。」
乃々「はい。」
悠貴「そういえば、泰葉さんがプロデューサーさんに告白したって本当なんですか?」
P「えっ……」
泰葉「そうなんですよね、好きって言っちゃいました。」
乃々「す、すごいですね……」
悠貴「憧れちゃいますっ。」
P「いや、いやいやいや……」
悠貴「プロデューサーさん、どうしたんですか?」
P「いや、プロデューサーとアイドルの関係上そういうのはよくないよ。俺も色々断ったしね。」
乃々「あ、それもそうですね……」
悠貴「残念です……」
P「まあ、年頃だしね。付き合うこと自体を否定するつもりはないけど。
相手がどういう人間か、もし公になった時誤解を与えないかとか色々気にしてやってほしい。
後、基本的には付き合っているのは隠す方向で。」
悠貴「わー、大変ですねー」
泰葉「くっ、既成事実を掴むチャンスが……」
P「そういう悪巧みはね、本当にやめてね。心臓に悪いから……」
この話の後はまたとりとめのないような話に戻り、ぶどう農園まで向かいました。
泰葉「はい、よろしくお願いします」
悠貴「はいっ、よろしくお願いしますっ。」
乃々「は、はい、よろしくお願いします……」
P「じゃあみんなで楽しくぶどうを採ろうか。」
泰葉「プロデューサーさんも楽しみですか?」
P「んー、そうだな。この前も楽しんだし、それがまた味わえるのはいいな。
ただそれよりも、泰葉と乃々がそれを体験して楽しんでくれるのが一番だよ。」
乃々「プロデューサーさん……私、嬉しいです……」
泰葉「私もです。目一杯楽しんできますね。」
P「うん、楽しんできてね。」
そして撮影が始まりました。色んな表情を撮ってもらいました。途中で乃々さんが落ちそうになってプロデューサーさんがかばうハプニング(泰葉さんは羨ましそうでした)がありましたが、凡そ順調。そして、採る時間が終わって食べる時間です。
悠貴「ここでは、採ったぶどうをジュースにして貰うことも出来るんですっ。私たちもジュースにしましょう!」
泰葉「食べる分は……これくらいで事務所へのお土産はこれくらいかな。じゃあこの分をジュースにお願いします。」
農家「はい、わかりました。こうして、実の部分を皮ごとミキサーに……
はい、できました。新鮮なうちにどうぞ」
乃々「……わっ。美味しいですね、本当に」
泰葉「はい、ぶどうの豊かな風味がちゃんと出ていて、フレッシュな味が喉を通り抜けます」
悠貴「ですよねっ、私も以前来たときに飲んで感動したんですっ。この味をTVの前のみなさんにも体験してほしいですっ」
乃々「悠貴さん、熱がすごい……」
悠貴「えっ、そうでしょうか……?興奮しすぎましたね」
泰葉「ジュースにしても美味しいですけど、もちろんそのまま食べても美味しいです。皆さん、ぜひ来てみてくださいね。」
カメラマン「……うん、よかったよかった。これで撮影は終わりだね。後は好きに楽しんでよ。」
泰葉「はい、ありがとうございました。」
悠貴「はい、ありがとうございましたっ。」
乃々「あ、ありがとうございました……」
乃々「ぶどうを採るのは大変でしたけど、ぶどうは美味しかったですしよかったです」
P「ぶどうを採るのもみんなと楽しく出来たし、こうして食べる時のスパイスになったよな」
乃々「はい、そうですね。もりくぼもそう思います」
泰葉「お仕事でこうした色んな体験が出来て嬉しいです。乃々さんがプロデューサーさんに抱き留められていたのは嫉妬しましたけど」
P「……そうだな。泰葉も仕事を通して色んな体験をして、感性もさらに豊かになったと思うよ」
泰葉「そうですね、お芝居の仕事とかにも生かせそうです。それで、私も抱き留めてくれませんか?」
P「……悠貴はどうだった?」
……ええっと、泰葉さん大丈夫なんでしょうか?
悠貴「この前来た時すごく楽しかったですし、ぶどうも美味しかったのでこうして仕事という形でまた来れてよかったですっ。」
P「そうだな。悠貴の表情が一番光っていたと思うし、以前きた経験も生きていてよかったよ。」
プロデューサーさんに褒めてもらえたっ……!
悠貴「ありがとうございますっ!」
泰葉「あの、私への返事は……」
P「泰葉、今日はまとめ役としてちゃんとしてくれて助かったよ。これからも頼りにしているからな」
そういうとプロデューサーさんは泰葉さんの頭を軽くポンとしました。
泰葉「もう、こうすればいいと思っているんですから……」
そう言いながらも泰葉さんは顔を赤くしていました。やっぱり好きなんですね、素敵ですっ。
この後は色々お仕事の話をしながらぶどうを食べたり、ジュースを飲んだりしました。
P「あーあ、泰葉まで寝てる……まあ大丈夫なんだけどな。森久保も寝てていいぞ」
乃々「あっ、大丈夫です……」
P「そうか?じゃあ話に付き合ってもらうけど」
乃々「もりくぼも聞いてみたいことあるんですけど……」
P「んー、なんだ?」
乃々「なんで泰葉さんの思いに応えないんですか?」
P「前も言ったけど、誤解を与えるような関係はダメだよ。元々ビジネスパートナーなんだし……」
乃々「嘘、ですよね?」
P「……なんで嘘だって?」
プロデューサーの顔に不穏な物が見えます。それでも、私は聞きます。恩がある岡崎さんのためですから……
乃々「わかるんです、プロデューサーさんはそういう建前を使うけどそこまで重要だと思っていないし……」
P「酷い言い分だなあ……」
乃々「その時のプロデューサーの顔は恐れて拒絶している顔です」
P「!」
プロデューサーの顔から余裕が消えます。私に見抜かれたことを猛烈に恐れているんでしょう……
P「それで、何が聞きたいんだ?」
乃々「……なんで正直に答えないんですか?」
P「……それを教えるわけにはいかない」
プロデューサーは苦汁を舐めたような顔でそう言いました。恐らく本質に関わる事で答えるわけにはいかないのでしょう。
乃々「じゃあ……プロデューサーさんは岡崎さんをどう思ってますか?」
P「……好意を寄せてきて面倒くさい、ただの担当アイドルだよ」
……嘘はなさそうでした。果たして岡崎さんの恋は叶うのでしょうか……
泰葉
ごめんね、訊きづらいこと訊かせて……
あの質問は、岡崎さんに頼まれての事でした。悠貴ちゃんが寝た場合、私も寝たふりをするから訊いてほしいと。
もりくぼ
大丈夫です、岡崎さんはもりくぼを助けてくれる人ですから。
もりくぼも岡崎さんを助けたいです。
そう送ります。もりくぼを助けてくれる岡崎さんへの本心。
あんなことを言われていましたけど、やっぱり岡崎さんに報われてほしい。
切にそう願います。
泰葉
そう?今日は本当にありがとう。
またがあったらよろしくね。
そう返ってきました。また……
今度はもっと岡崎さんの力に……
次回は事務所のアニバーサリーで、今までに登場した所属アイドルが全部出てくる予定です
「シンデレラガールズ」カテゴリのおすすめ
「ランダム」カテゴリのおすすめ
コメント一覧 (7)
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- 2018年11月21日 12:27
- 泰葉がセクロス依存症という風潮なんなの?
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- 2018年11月21日 17:40
- 泰葉がプロデューサー依存症という風潮、今更か
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- 2018年11月21日 19:34
- 泰葉がンミナミィ依存症だって!?
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- 2018年11月22日 06:12
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いきなり何の予告もなしに話し手が変わるのはどうなのよ?
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- 2018年11月22日 14:49
- この程度の変転に堪えられないとは。もっと普通の文章読んだ方が良い。翻訳文学とまでは言わないが。
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- 2018年11月23日 18:52
- ※4
間の省かれたレスで一応一息置いている
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- 2018年12月28日 08:36
- 気づいたら主観が乙倉に変わっていた 森久保は分かりやすかったが
というかこれスレで続いてるじゃねーか