モバP「大切な家族」雪美「……ずっと傍で」
Pとキュートな女の子たちシリーズ
モバP「未来のお嫁さん?」響子「はい!」
モバP「懐かしのお隣さん」美穂「お、お兄さん!?」
モバP「僕は魔法使い」卯月「私がシンデレラ?」
モバP「癒しの休日」ゆかり「ふふっ…♪」
モバP「白詰草に想いを込めて」智絵里「見捨てないで…!」
リトル・ハッピー・デイズシリーズ
モバP「アイドル?」千枝「千枝をオトナにしてください!」
モバP「向日葵みたいなその笑顔で」薫「せんせぇ!」
モバP「ラヴィアンローズのお嬢様」桃華「ですわっ」
モバP「素直になれない女の子」ありす「橘ですっ!」
修正版
http://www.pixiv.net/novel/member.php?id=9350076
そのせいか、自分の気持ちを表に出すのが苦手で、人と上手く触れ合うことができず、ひとりでいることが多かった。
そんな私を、周囲の人はクールビューティーだとか、人形みたいな子だと称した。
別にひとりでいるのが好きだったわけじゃない。
私だって、本当は普通の女の子…かわいいお洋服を着ると心が弾むし、大好物のいちごを食べると幸せな気持ちになる。
でも、そんな“本当”の私を知る人は数少なかった。
だから、私はずっと探し続けていた。ありのままの私を知ってくれて、大切に想ってくれる……そんな人を。
P。だれよりも大切な人
きっと……私と貴方は、運命の赤い糸で結ばれている
P「ふぅ~、今日も忙しい1日だった」
千枝、薫、桃華、ありす。4人ものアイドルをプロデュースしていた俺。
とても忙しいが、充実した日々を送っていた。
最近の第3芸能課は本当に賑やかで、毎日が楽しい。
プロデューサーという仕事が、自分にとっての天職であったとつぐつぐ実感していた。
俺にとって、担当アイドルの皆は家族のような存在だ。彼女達の為に頑張れる……これほど嬉しいことはない。
いつしか、346プロは第2の実家ともいえる場所になっていた。だからこそ……
P「家に帰りたくないんだよなぁ…」
今住んでいるのは、かつて仕事を辞めて全てを失い、途方に暮れていた俺に社長が住む場所として提供してくれた346系列の社宅の一室だ。
事務所からも近く、部屋もそこそこの広さで、住む場所としては十分
…だが、事務所で過ごす時間が楽しい分、社宅に帰ってくると途端に孤独を感じてしまっていた。
P(20にもなって、何を考えているんだ…プロデューサ―になる前はもっと酷かったじゃないか)
俺の実家は定食屋を営んでおり、現在妹3人で切り盛りしている。
だがこのご時世、その儲けだけで生活していくことは難しい……そんな家族を支える為、俺は東京にやって来た。
稼いだ賃金の大半は実家に送り、自分はオンボロアパートで過ごす日々……毎日がひもじい生活だった。
それに比べれば、今は十分恵まれている。
P「でもやっぱり、ひとりの生活は寂しいなぁ……嫁さんでもいれば変わってくるのか?」
まぁ、恋人すらできたことのない自分に嫁さんなんて夢のまた夢。
今はプロデューサーの仕事に専念しないとな。
P「ただいまー ……なーんて、俺ひとりしかいないけd」ガチャ
??「おかえり……P……」
P「……えっ?」
誰もいるはずのない玄関に、誰かの声が響く。
顔を上げるとそこには……
??「お風呂にする……?ご飯にする……?それとも……私?」
裸エプロンの少女がいた
P「………………」
??「………………」ドキドキ
??「………………?」
P「――っは いやいや、いくら人肌が恋しいからって、裸エプロンの女の子がいる幻を見るなんて……」ゴシゴシ
??「幻じゃない……これ……現実……」
P「…………」
??「…………」
P「……雪美?」
雪美「うん……久しぶり……P」
P「雪美!!!!????」
雪美「」ビクッ
雪美「お……落ち着いて……」アセアセ
P「あばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばb」
雪美「P……クシュっ」
P「あ…」
雪美「……ごめん……くしゃみ……しちゃった……」ブルッ
P「……と、とりあえず、部屋に入ろうか」
雪美「……うん」
そして、お互い改めて向き合っていた。
P「え~と、いろいろ聞きたいことはあるけど、とりあえずは……久しぶり、雪美。また会えて嬉しいよ!」
雪美「うん……私も……ずっと……Pに……会いたかった」
P「そ、そっか、俺としては、もっと普通に再会したかったかな。いきなり裸エプロンでお出迎えだなんて……心臓が止まるかと思ったよ」
雪美「……?……男の人は皆……裸エプロン……好きだって……聞いた……」
P「……一応聞くけど、誰に?」
雪美「……お姉ちゃん達」
P「ア、アイツら~~~~っ!!!」
P「似合う似合わない以前に、ああいう格好は気軽にしちゃダメだって…好きな人ができた時の為に取っておかないと」
雪美「……なら……問題ない……私……Pのこと……好き……」
P「兄として…だろ?こういう場合の好きは兄妹間の好きじゃなくて、異性に対しての好きだよ」
雪美「……?……一緒じゃ……ないの?」
P「違うよっ……とにかく、ああいう格好は今後禁止!他の人の前でしちゃダメだからな!」
雪美「大丈夫……Pにしか……見せない……」
P「大丈夫じゃない~……はぁ、話が進まないし、この話はここでおしまい!次の質問に移るぞ?」
雪美「うん……なんでも聞いて……3サイズとか……」
P「…………(きこえなかったきこえなかったきこえなかった)」ダラダラダラ
P「そ、それじゃあ、まずは……雪美ひとりか?」
雪美「ひとりじゃない……ペロもいる……」ンギャア
P「ペロ…?おおっ、黒猫だ!かわいいなぁ…!」
雪美「私の……友達……ペロも……Pに……会いたがっていた……」
P「そうなのか?初めまして、ペロ。雪美の兄のPっていうんだ。よろしくな」
ペロ「ンギャア」スリスリ
P「か、かわいい…人懐っこいんだな!オス?メス?」
雪美「ペロは……女の子……」
P「そっか~ よしよし」ナデナデ
ペロ「ニャ~///」
P「」キュン
P「はっ、また話が脱線しかけていた。危ない危ない…」
P「え~と、ご両親はどうしたんだ?」
雪美「……パパと……ママは……海外……」
P「えっ!?」
雪美「……これ……ママから……Pに……渡すように……って」スッ
P「手紙…?」カサッ
手紙によると、最近まで雪美と一緒に日本に住んでいたが、仕事の関係上、急遽海外へ行くことになったという。
1年間だけだった以前とは違い、今回は長期。
それに加え、一ヶ所に留まらず、世界中のあらゆる場所へ飛び回るらしい。
まだ小学生である雪美を、親の都合で振り回すわけにはいかない。
そう考えた雪美の両親は、信頼できる家庭に雪美を預けることに決めたという。
俺の実家に預けることも考えたそうだが、生憎以前とは状況が異なる…
ただでさえ忙しい俺の妹達に負担を掛けるのはよくないと考えた雪美の母親は、雪美自身の強い希望もあってP…
つまり、一人暮らしをしている俺に預けたいと考えたそうだ。
『急な話で、Pくんにはとても迷惑をかけてしまうかもしれません。それでも、娘の為、どうかよろしくお願いします』
手紙はそう締めくくられていた。
雪美「……ごめんね」
P「へ?なんで?」
雪美「……本当は……パパと……ママに……付いていくことも……できた……でも……それじゃあ……いつ日本に……戻れるか……わからない……」
雪美「私……Pと一緒に……傍にいたかった……だから……ワガママ……言った……でも……みんなに……迷惑……かけてしまった……だから……だから……」ギュッ
P「……まったく」ナデナデ
雪美「P……?」
P「そりゃ、急な話だからビックリしたさ。でも、それで雪美を迷惑になんて思うわけがないだろ?雪美だって俺の大切な家族なんだから」ナデナデ
雪美「P、P……」ウルッ
P「こらこら、泣くなって。せっかくの可愛い顔が台無しだぞ?笑顔笑顔!」ニコッ
雪美「う、うん……」ニコッ
雪美「P、P……!?抱きしめられるのは……は、恥ずかしい……」カアァ
P「今更何言ってるんだよ~ 俺と雪美の仲じゃないか」
雪美「うう……///」
P「それに実を言うとな、雪美と一緒に暮らすことになって嬉しいんだ」
雪美「どうして……?」
P「いやぁ、恥ずかしながら……最近一人暮らしが寂しくてな。嫁さんでもいたらいいのになぁって、思ってたくらいなんだよ」
雪美「……お嫁さん?」
P「ああ。ま、俺みたいな冴えない男にそんなあてはないけどな」タハハ
雪美「……それなら……大丈夫」
P「え?」
雪美「私……Pと二人で……暮らす時の為に……花嫁所業……してきた……だから……Pの……身の回りの世話は……私が……してあげる」ニコッ
P「ははっ、そりゃあいい!こんな可愛いお嫁さんなら大歓迎だ!」
雪美「///」
P「それじゃあ改めて…雪美、これからよろしくな」
雪美「……うん!」
こうして、俺と雪美。二人っきりの生活が始まったんだ。
ありす「おかしい…」
こんにちは。346プロダクション 第3芸能課所属アイドル兼、Pさんのお嫁さん(予定)の橘ありすです。
実は私、今気になっていることがあるんです。それは…
P「~~~♪」カタカタ
私の旦那様(好き!)が最近、妙に機嫌がいいことです。
旦那様(今日もカッコいいです…?)が毎日嬉しそうにしているのは、お嫁さん(確定事項)としては嬉しい限りです。
ですが、理由を尋ねても、何でもない、いつも通りだとはぐらかすばかり……これは変です。
もちろん、それだけではありません。自分の健康に無頓着だったあの旦那様(私が一生面倒をみてあげますっ)が……
P「ふぅ~、そろそろ12時か…、昼食にしようかな」コト
な、なんと、毎日お弁当を持ってきているんです!毎日ですよ!毎日!
やたらとファンシーな包みを使っているのも疑惑を加速させています。
P「ん~、食べる前にお手洗いでもいくか」ガタッ スタスタ
旦那様(私の!)がデスクを離れた…今がチャンスです!
ありす「」シュバババ
デスクに駆け寄り、素早く、丁寧に包みを開ける。
中には、これまた可愛いお弁当箱が…成人男性が使う物としては違和感をおぼえるデザインですね……
ありす「…」ゴクッ
蓋を開け、中身を確認する。そこには……!
色々なおかずがビッシリと、なおかつ丁寧に詰め込まれていました。
見ただけで、作った人の技術力の高さが見て取れます。
極めつけには、ハートがいっぱいのそぼろご飯…食べて貰う人へのLOVEがこれでもかと込められていたのです!
ありす「な、なんてこと…」フラッ
これはもう間違いありません…!旦那様は私に黙って浮気していたんです!
ありす(これほどまでの料理テクニック……一体だれが…?)
千枝さん、薫さん、桃華さんも最近は料理の特訓に余念がないみたいですが、まだここまでの技術力はないはず…
ルキトレさんが作ったとも思えない…
料理が得意なアイドルといえば、真っ先に思い浮かぶのは響子さんですが……
響子さんは自分の担当プロデューサーさんが大好きなので、まずありえない……
だとしたら
ありす「事務所外の女ですか」
ありす(私の旦那様を横取りするなんて……許せませんっ!)
ありす「早急に手を打たなければ…!」
プロデューサーさんの自宅情報なんてものは、タブレットで調べてもでてこない…でも諦めるのはまだ早い。
私はちひ… こほん 『緑の天使』さんと交渉、
第1芸能課所属のとあるプロデューサーの写真を提供することを条件に、Pさんの自宅情報を手に入れたのです!
ありす「ふっふっふ、戦いを左右するのは情報ですよ」フンス!
他のアイドルたちを出し抜き、名実ともに私、橘ありすがプロデューサーさんのお嫁さんになる…!
『Pのハートは私のモノ?計画』はこうして幕を開けたのですっ!
ありす「の、はずだったのに……」
桃華「ふふっ…わたくしを出し抜こうなんて、100年早いですわ!」
千枝「プ、プロデューサーさんのお家……ど、どうしよう…ドキドキしてきちゃった…」ドキドキ
薫「せんせぇのお家かぁー どんな所かなぁ?」ワクワク
作戦開始当日、いつの間に感づかれていたのか、他のアイドル達と鉢合わせてしまった私。
結局4人でプロデューサーの自宅に向かうことになってしまいました。
ありす「ううう…どこで情報が漏れたのでしょうか……」
桃華「ありすさんの様子を見れば、一目瞭然でしたのよ?」
ありす「そ、そんなはずは…!どこからどう見ても、“クール・タチバナ”だったじゃないですかっ」
桃華「あれほどだらしなく顔を緩ませて、ニヤニヤしていれば…なにかを良からぬことを企んでいるのは明白、すぐに分かりましたわ」フフン
ありす「だ、だらしな…!桃華さん!訂正してください!」ムキー!
桃華「事実ですわ♪」
ありす「むーっ!」バチバチ
桃華「ふふふふ!」バチバチ
薫「千枝ちゃん!せんせぇのお家ってあそこかな!?」
千枝「え~と… うん!そうみたい!」
薫「おぉー!千枝ちゃん千枝ちゃん!はやくいこっ」ギュッ タッタッタ
千枝「か、薫ちゃん!?そ、そんなに慌てなくても大丈夫だよ!」トテトテトテトテ
桃華「あっ!?千枝さん、薫さん!抜け駆けは禁止ですわよっ」ダッ
ありす「ちょっ!置いてかないでくださいっ」ダッ
千枝「ええっと…304号室……ここだ!」
薫「ワクワクしてきたねーっ」ワクワク
桃華「ここが…プロデューサーちゃまの…!」ドキドキ
ありす「……」ゴクッ
千枝「よ、よ~し…みんな準備はいい?」
薫「!」コクコク
桃華「…!」コクッ
ありす「……」コクン
千枝「……えいっ」ポチッ
ピーンポーン
4人「「「「………」」」」ドキドキ
パタパタ
少女「……どちらさま……?」ガチャ
千枝「………え?」
桃華「なっ…!?」
薫「あれー?」
ありす「!」
私達と同じくらいの年頃な女の子でした。
編み込みのハーフアップにまとめた黒髪のロングヘア―、
胸元に赤のリボンを付けた水色のワンピースを着ており、
その上に大きなハートがデザインされたピンク色のエプロンを付けている。
その姿を見た瞬間、この子がプロデューサーさんのお弁当を作っていた相手だと確信しました。
桃華「あ、あなた…!一体誰ですの!?ど、どうして、わたくしのPちゃまの家に…!」
千枝「お、落ち着いて…!桃華ちゃん!も、もしかして、部屋を間違えているのかも…!」アセアセ
少女「……?……Pなら……中で……テレビ……観てる……」
千枝「え」
桃華「な、ななな…!」
ありす「……貴方は?」
雪美「……雪美……Pの……お嫁さん……一緒に暮らしてる……」
薫「うぇっ!お、お嫁さん!?」
桃華「な、なんですって!?」ガーン
千枝「」
ありす(やっぱり!)
千枝「プロデューサーさんが……プロデューサーさんが……千枝のプロデューサーさんが……」ブツブツ
桃華「Pちゃまが…Pちゃまが…浮気……?」ワナワナ
薫「コドモって、ケッコンできたっけ?」ハテ?
ありす「…………むむむ」ウ~ン
雪美「あ、あの……?」オロオロ
雪美「……P、P」オロオロ
薫「あっ、せんせぇ」
ありす「おはようございます。貴方のありすです」
桃華「P…Pちゃま…!」ナミダメ
千枝「……プロデューサーさん」
P「へ!?き、君たち、どうしてこんな朝早くから俺の家の前にいるんだ!?誰にも住所教えてないよな…?」
桃華「Pちゃま!!!これはどういうことですのっ!!!」ポロポロ
P「な、なにが!?」ビクッ
千枝「………プロデューサーさん、千枝に隠れて浮気していたんですね」ハイライトオフ
P「う、うわっ…!?何を言ってるんだ…?」ゾクッ
薫「せんせぇってケッコンしてたのー!?ズルいよー!かおるもせんせぇとケッコンしたーい!」
P「結婚!?誰が!?誰と!?」
ありす「……ふぅ、プロデューサーさん。ここで立ち話するのもなんですし、中に入れてくれませんか?色々と聞きたいこともありますので」
P「え…?で、でも、アイドルを自宅に入れるのは……」
ありす「このまま玄関口で話していて、ご近所の噂になってもいいんですか? …まぁ、私は一向に構いませんが」
P「そ、それは困る!と、とりあえず中に入ってくれ!」アセアセ
ありす(ふふっ…いろいろとハプニングはありましたが、計画第一段階、無事達成ですっ)ニコニコ
P「どうぞ、入ってくれ」ガチャ
薫「おっじゃましまー!」
千枝「……お邪魔します」
桃華「……失礼します」
ありす「失礼します!」
雪美「……」パタン
雪美「……P……飲み物……持ってくる……」
P「ああ、よろしく頼むよ」
雪美「うん……」トコトコ
ありす「ふむふむ……意外と整理整頓してあるんですね。成人男性の部屋って、もっと散らかっているものだと思っていました」キョロキョロ
P「そりゃ偏見だ。男にだって綺麗好きはいるさ。最近はなるべく自宅に帰ってくるようにしているしね」
千枝「……あの子がいるからですか」
P「ん?ああ、それもあるな。やっぱり待ってる人がいるっていうのは嬉しいものだよ。一段と仕事を頑張ろうって気持ちになる」
千枝「……っ」ズキッ
雪美「……おまたせ……アイスティーしかなかったけど……いい?」コトッ
桃華「……お構いなく」
千枝「……ありがとう…ございます」
ありす「ありがとうございます。いただきますね」
薫「ありがとー!かおる、のどかわいてたんだー」
P「え~と、何から話せばいいのやら…」
ありす「そうですね……まずは近頃のプロデューサーさんについてです」
P「俺?なんかあったか…?」
P「ああ、それは… 事務所で過ごす時間が楽しい分、自宅で一人になると…その、物足りなくてな?」
ありす「彼女…ええっと、雪美さん…でしたっけ、と一緒に暮らすようになって寂しくなくなったと」
P「いい歳した大人が人肌恋しがっていたなんて知られたら、恥ずかしいだろ?だから、言いづらかったんだ」
ありす「ふむふむ」
桃華「……一人暮らしが寂しいなら、わたくしのお屋敷のお部屋をいくらでも貸して差し上げましたのに…」
P「担当アイドルにそこまでしてもらうわけにはいかないよ」
桃華「……分かっていますわ、そんなこと……それでも…少しでもいい…頼って欲しかったです」シュン
P「す、すまん……で、でも、みんなと過ごす時間は俺にとってかけがえのない宝物なんだ。俺はもうたくさんの幸せをみんなに貰っているよ」ニコッ
桃華「P…ちゃま…!」ウルッ
ありす「……それでは次の質問です。最近プロデューサーさんが持ってきていたお弁当…あれを作っていたのは…」
雪美「……私が……作った……Pに……食べて欲しくて……」
P「いや~ 雪美のお弁当、凄く美味しくてな?食べ応えもあるし、毎日助かっているよ! ……見た目は少し派手だけど」
ありす「そうですね。ハートがいっぱいのそぼろご飯には驚愕しました」
P「み、見たのか!?は、恥ずかしいな…」カアァ
雪美「ふふふ……たくさん……想い……込めているから……」
薫「へぇー!雪美ちゃん、お料理得意なんだー!かおるも負けてられないなーっ」
ありす「……最後の質問です。これが一番知りたかったことです」
P「おう、何でも聞いてくれ」
P「雪美との関係?家族だけど」
千枝「……夫婦、ということですか?」
P「夫婦!?いやいや、どうしてそうなるんだ!妹だよ、妹!」
千枝「ふえっ?」
桃華「い、妹!?」
薫「妹かー いいなぁ。せんせぇってお兄ちゃんだったんだ…」
ありす「妹…?ですが、先ほど雪美さんが自分のことをプロデューサーさんのお嫁さんだと…」
P「ゆ、雪美ぃ……初対面の人にそれは不味いよ…」
雪美「……?……P……私みたいな……お嫁さんが……欲しいって……言ってくれた……だから……両想い……」
P「ちょ、ちょっと違うような…」ダラダラ
ありす「いやいやいや、雪美さん?日本の法律では、兄妹は結婚できませんよ!」
雪美「……血は繋がってないから……何も……問題ない……」
P「いや、まぁ…それはそうなんだが…」
千枝「血が繋がっていない…?」
桃華「義理の兄妹、ということですの…!?」
ありす(……彼女、想像以上の強敵かもしれませんね)
薫「ん~?よくわかんなくなってきたかも…」
P「そうだな……よし、それなら、俺と雪美の馴れ初めを話そうじゃないか」
P「どうして雪美が俺の妹になったのか…その理由の説明も兼ねてな」
P母「佐城雪美ちゃんよ。今日から1年間、我が家で預かることになったの。みんな、仲良くしてね」
俺が16歳の高校生だった頃、母さんが当時6歳だった雪美を家に連れてきた。
雪美の両親共に仕事の関係上、1年間海外へ行くことになったのだが…雪美はまだ幼い。
海外の環境は厳しいだろうと考えた雪美の母親は、古くからの友人である母さんに娘を預けることにしたそうだ。
三女「きゃー!!かわいいー!!わたしの名前は――だよ!雪美ちゃん、よろしくねっ」
次女「アタシは――っていうんだ。よろしくな!」
長女「私は――です。気軽にお姉ちゃんって呼んでくれてもいいですよ?」
P「はじめまして。俺の名前はP。雪美ちゃん、これからよろしくな」
ゆきみ「…………………………」コクッ
三女「あ~ん!かわいいいい!わたし、この子お持ち帰りするっ」ギュッ
ゆきみ「……!?」
次女「あっ、ズルいぞ!?アタシにも抱かせろって!」ギュッ
雪美「……!……!」アセアセ
長女「ちょっと貴方達。雪美ちゃんが困惑してますよ?放してあげなさいっ」ウズウズ
三女「そういう長女ちゃんだって、本当はギュッってしたいんでしょ~ 顔に出てるよ?」
長女「そ、そんなこと…!」ウズウズ
次女「あ^~、癒されるぅ~」
長女「うううう…!お姉ちゃんも混ぜなさ~い!」ギュッ
雪美「……!?……!?」アセアセ
P母「ふふっ、あの子達なら心配なさそうね」
P「ハハハ…雪美ちゃんも大変だな」
P母「…ねぇ、P」
P「ん?なんだよ、母さん」
P母「雪美ちゃんは人と話すのが苦手な子だから、最初はなかなか心を開いてくれないかもしれない……まだ6歳だもの、きっと家族が傍にいなくて心細く感じているわ。……家族一緒にいられないのは、寂しいもの」
P「そう…だよな」
P母「だから……あの子のこと、気にかけてあげて。きっと、Pならあの子の支えになってあげられると思う」
P「ああ、任せてくれよ。俺、年下の面倒には慣れているからな!」ニッ
P母「Pにはいつもたくさん苦労をかけてしまって…ごめんね。本当は、もっと色々なことをしたい年頃だと思うのに…」
P「そんな…気にすんなよ。俺は家族みんなが笑顔でいてくれるだけで十分だからさ!」
P母「P……成長したね。家族想いで優しい所とか、あの人にそっくり」
P母「………私がいなくなっても、大丈夫そうね」
P「何言ってんだ!冗談でもそんなこと言うなよ。母さんまでいなくなったら、俺達…」
P母「……ごめんね。うん、もう言わない。泣き言なんて…私らしくないものね」
三女「第4回!雪美ちゃんともっと仲良くなりたい会議―!!」ドーン
次女「イヤッフゥゥゥー!!!」パチパチ
長女「いえーい!!!」パチパチ
P「ハハハ…」パチパチ
三女「えー、先日我が家の新しい家族になった雪美ちゃんですが…彼女、結構シャイな子なので、なかなか距離が縮まりません!悲しいなぁ…」
次女「ああ…やっぱつれぇわ」グスッ
長女「お姉ちゃん力が足りていないのでしょうか…」ズーン
三女「私達、色々やってはいるんですが…現実は厳しい…!」ガクッ
P「色々って…あれじゃあなぁ」
~三女の場合~
三女「ゆ~きみちゃん!一緒におやつ、食べよっ」
ゆきみ「……おやつ……?」
三女「ほ~ら、甘~いお菓子がたくさん!チョコ球にマーベルチョコにゴリラのマーチ!美味しいよ~」
ゆきみ「……でも……もうすこしで……ごはん……」
三女「ノープロブレム!美味しいから平気だよ~。ささ、どうぞどうぞ」
ゆきみ「……じゃあ……ちょっとだけ……」
三女「よしよし、それじゃわたしも…!」パカッ
ゆきみ「……」モグ ゙
三女「うまっ、うまっ、うまっ!」パクパクパクパクパク
ゆきみ「……!?」ギョッ
三女「ふぅ~、食べた食べた。よし、次行こうか…」パカッ
三女「うう~ん!幸せ?」パクパクパクパクパク
ゆきみ「えぇ……」
P「結局、雪美ちゃんそっちのけでお菓子食べてただけじゃないか…」
三女「うぐっ…す、すみません…」シュン
次女「そんだけ食べて、しっかり夕食も食べられるのがすごいよなぁ」
三女「糖分は別腹なので!」フフン
長女「……どうして太らないのでしょうか…?」
~次女の場合~
次女「雪美ちゃん!一緒に縄跳びしようぜ!」
ゆきみ「……なわとび?……わたし……うんどう……にがて……」
次女「心配すんなって!縄跳びなんざ、ジャンプさえしてりゃあ、どうにでもなるものだからな!」
ゆきみ「そう……なの……?」
次女「ああっ!今から手本を見せるから、よ~く見ててくれっ」
ゆきみ「……」コクッ
次女「最初は前とび!」ピョンピョン
ゆきみ「……きほん」
次女「次はあやとび!」スッスッ
ゆきみ「……おー」
次女「二重とび!」ヒュンヒュン
ゆきみ「……かっこいい」キラキラ
次女「まだまだっ、はやぶさっ!」シュババハ
ゆきみ「……すごい」ワクワク
次女「へへへ///お楽しみはこれからだっ」シュバババ
次女「三重飛び!」ヒュンヒュンヒュン
ゆきみ「……!?」
次女「四重とびぃぃぃ」ヒュンヒュンヒュンヒュン
ゆきみ「!??????」
次女「最後は縦リリースクロスで〆!どうだ?結構いけるもんだろ?」ビシッ
ゆきみ「」
次女「あ、あれ?おーい、雪美ちゃーん?」
ゆきみ「」ポカーン
P「いきなり上級技を見せられたら、そうなるよぁ…」
三女「次女ちゃん凄いもんねー」
次女「ううっ、雪美ちゃんにすごいって言われて…テンション上がってしまったというか、なんというか…」シュン
長女「かっこいいところ、みせたかったんですね~ 次女ちゃんかわいい…♪」
~長女の場合~
長女「雪美ちゃ~ん、一緒にアニメ見ませんか?」
ゆきみ「……なんの……アニメ……?」
長女「ふふふ、これですっ」スッ
ゆきみ「“みならいピエ口とケモノたち”……おもしろい?」
長女「ええ、それはもうっ。素敵な仲間達が繰り広げる、最高に愉快なコメディ作品ですよ~♪」
ゆきみ「……みたい」ワクワク
長女「ふふふ~そうこなくっちゃ、ですね!」
長女「アハハハハハハハハハハハハ!!!ヒー!ヒー!ヒー!」バンバンバン
ゆきみ「」ガタガタガタガタ
P「小さい子供に見せるアニメじゃないだろっ!?トラウマになったらどうすんだ!!俺も結構好きだけどさぁ…」
三女「そりゃアカンわ…」
長女「ええー?私が雪美ちゃんと同じくらいの年だった頃に見ていたアニメですよ?」
次女「長女って、昔から好きなアニメの嗜好がずれてるよな…」
P「お前ら全員、雪美ちゃんと仲良くなりたいって気持ちは伝わってくるけど…もっとあの子の立場に立って考えないと駄目だろ?自分を押し付けてるだけじゃ、仲良くなんてなれないぞ」
三姉妹「「「はい…」」」
P「……やはり、ここは俺がいくしかないようだな!」
三女「ええー?Pがー?」
次女「そこまで言うなら、Pがやってみせろよな!」
P「任せとけって!伊達に一家の長男しているわけじゃないって所、見せてやるよ!」
長女「ふふっ、Pくんのお手並み拝見といきましょうか?」
ゆきみ「……はぁ」
Pの家に来て1週間程度経過したある日のこと。私はひとり落ち込んでいた。
P家の人達は皆、フレンドリーで優しい人達だ。
無口でとっつきにくい私に対しても、めげずに話しかけてきてくれる。
なのに…当時の私は彼女らと上手く接することができなかった。
きっと、心のどこかで引け目を感じていたのだろう。
自分はこの家の子供じゃない…だから、彼女達の優しさに甘えてはいけない…と。
ゆきみ「!」クルッ
誰かに声を掛けられ、後ろを振り向く。そこには…
ゆきみ「P……さん……」
P「もしかして今、退屈してる?」
ゆきみ「……ええっと……」
P「もしそうなら、今日1日、俺と付き合ってくれないかな」
ゆきみ「……?」
Pに誘われた私、手早く準備をして外に出ると、彼が自転車を用意して待っていた。
P「おっ、来たな。もう準備は大丈夫か?」
ゆきみ「……」コクッ
P「よ~し、雪美は後ろに座ってくれ」ポンポン
ゆきみ「……わかった」スタスタ ポスッ
P「雪美ちゃんってまだ、家の周辺になにがあるかよく知らないだろ?この辺りは結構見所がたくさんあるんだ。だから、今日は色々案内したいと思って」
ゆきみ「……みどころ?」
P「ああ、きっと雪美ちゃんにも楽しんで貰えると思う!」
ゆきみ「……」
P「それじゃあ行くか!しっかりつかまっていろよ?」
ゆきみ「……」ギュッ
こうして、Pと私は色々と見て回ることになった。
~自然公園~
P「まず最初はここ!自然公園だ」
ゆきみ「……みどりが……たくさん……」
Pと私が最初に来たのは、大きな自然公園。辺りを見回すと、たくさんの木が植えてあり、その場にいるだけで、空気が美味しく感じられた。
P「緑だけじゃないぞ~、ほらっ、こっちこっち」ギュッ
ゆきみ「わっ……」
P「え~と…たしか、あっちだったかな?」スタスタ
ゆきみ(……男の人と……手をつないだの……はじめて……あったかい……)トクン
P「ほらっ、ここ!」
ゆきみ「……!」
Pに手を引かれ、着いた先は辺り一面のお花畑だった。赤、青、黄……色鮮やかなお花が咲いており、蝶が蜜を吸うため、飛び交うその景色は…とても幻想的だった。
P「いや~ ここはいつ来ても綺麗だな~」
ゆきみ「きれい……」ウズウズ
P「もっと奥まで行ってみよっか」パッ
ゆきみ「あっ……」
P「ん?どうした?」
ゆきみ「……手……はなしちゃうの……?」シュン
P「へ?繋いでたほうがよかったか?」
ゆきみ「……」コクッ
P「そ、そか。うん、わかった」ギュッ
ゆきみ「……♪」ギュッ
P「それじゃ、いこっか」
ゆきみ「……うん」ニコッ
P「!」ドキッ
P(この子…こんな表情もできるんだ…)
ゆきみ「Pさん……?」
P「あっ!う、うん、行こう行こう。あははっ」アセアセ
ゆきみ「……?」
~神社前~
P「次はここ、道明寺神社だよ」
ゆきみ「神社……?」
P「ここから少し歩くけど、大丈夫?疲れてないか?」
ゆきみ「だいじょうぶ……まだまだいける」グッ
P「ははは、頼もしいな」
ゆきみ「……」スッ
P「うん」ギュッ
ゆきみ「……えへー」ニコニコ
P(か、可愛すぎるっ)キュン
Pと手を繋ぎ、赤い鳥居のある参道をゆっくりと歩いていく。
空気が澄みわたっており、神聖な感じがしていたのを憶えている。
P「この神社にはね、古くから伝わる伝説があるんだ」
ゆきみ「……伝説?」
P「ああ、今から数百年前……少女と青年の出会い、そして別れの物話さ」
ゆきみ「……どんな……お話なの?」
P「人の身から、ヒトならざるものへと至ってしまった少女。その力を狙って、国中のあらゆる者から狙われるようになってしまう。そんな少女を、誰よりも大切に想う一人の青年がいたんだ」
ゆきみ「……」
P「その青年はたくさんの人々から慕われる人格者だった。幸運の女神、一国の姫、陶芸家の一人娘、神社の巫女…多くの女性に想いを寄せられる好男子でもあったらしいよ」
ゆきみ「……もてもて」クスッ
P「でも、少女を救うため、それまで積み上げてきた人間関係、財産、居場所…全てを捨て去り、当時の権力者たちと敵対することになってしまったんだ」
ゆきみ「……!」
P「国中全てが敵に回った。そんな絶望的な状況でも諦めず、最後まで少女を守り抜き、追跡者の手が届かない安住の地である離島へ無事送り届けたそうだ。……けれど」
ゆきみ「けれど……?」
P「少女を庇ったことで、国中がパニックに陥ってしまったんだ。その状況に責任を感じた青年は愛する少女と別れ、自ら権力者達の元へ身を差し出したんだ。生贄としてね」
ゆきみ「そんな……!」
P「青年は権力者に逆らった大罪人だ。当然、只ではすまない……国を転覆しようとした罪に問われ、青年は罰を受けさせられることになったんだ……処刑という形でね」
ゆきみ「……処刑」ブルッ
P「ただ大切な人を守りたかっただけなのに…国中を混乱させた元凶として、左目をくり抜かれ、大勢の民衆の前でさらし者にされ……最後は、絞首刑にされたんだ」
ゆきみ「……ひどい」ギュッ
ゆきみ「え……?」
P「人の世に絶望した女神が、災厄を引き起こしてしまったんだ」
ゆきみ「!?」
P「国中に病が広がり、穀物も満足に穫れなくなって…いつしか、国中で戦争が起きるようになった。それはもう、地獄のような有様だったらしい。当時の状況は数多くの文献で記されているんだよ」
ゆきみ「…………」
P「それが数十年も続いた…その状況をなんとかする為、神社を建て、青年の遺骨を祀ることで女神の呪いを鎮めようとしたんだ」
ゆきみ「もしかして……それが……」
P「そっ、ここ、道明寺神社だよ」
参道を抜け、広い場所にでる。そこには、大きな神社が建てられていた。
ゆきみ「……ここが」
P「それからは毎年、青年の死を悼む慰霊祭がここ、道明寺神社で行われるようになったんだって」
ゆきみ「……Pさん……くわしい」
P「ハハハ…小学生の頃、学校の宿題でいろいろ調べたからね」
P「それじゃあここまで来たし、お祈りでもしていこうか。今後も平和な日々が続きますように…てな」
ゆきみ「……うん!」
~和服屋~
P「さぁ着いた、ここは和服屋さんだ」
ゆきみ「……いろんな着物……すてき……」
P「周りとの交流が薄い田舎町だったせいか、この辺の地域は昔ながらの風習が色濃く残っているんだ。だから、今でも和服を好んで着る人が多いんだよ。着物を着て歩いている人、結構たくさん見かけただろ?」
ゆきみ「……」コクッ
P「最近は外からくる観光客向けに、普段から着用しやすいようアレンジした和服もたくさん出ているんだ。ほらっ、これとか雪美にピッタリ!」
ゆきみ「わぁ……!」キラキラ
P「試着してみるか?」
ゆきみ「……!」コクコク
P「よし、すみませーん!これ、試着してもいいですかー?」
店員「はーい!大丈夫ですよ~」スタスタ
ゆきみ「……」ワクワク
ゆきみ「……着てみた」シャッ
店員「あら可愛い!素敵ですよ~」
ゆきみ「……Pさん……どう……?」モジモジ
P「うん、よく似合ってる。すごく可愛いよ」ニコッ
ゆきみ「……///」
P「本当に買わなくても良かったのか?さっきの服」
ゆきみ「うん……Pさんに……かわいいって……いってもらえたから……それだけで……十分……これ以上は……バチが当たる……」
P「………」
~丘~
P「最後はここだよ」
ゆきみ「……ここ?」キョロキョロ
P「今は何の変哲もない丘だけど…まぁ見ててよ」
ゆきみ「……?」
P「……雪美ちゃん、今日はありがとう。俺に付き合ってくれて」
ゆきみ「……それは……こっちのせりふ……わたしのほうこそ……ありがとう……こんなにたのしかったの……ひさしぶり……」
P「……やっぱり、お父さんとお母さんが傍にいなくて寂しいか…?」
ゆきみ「…………………それは」
P「今日雪美ちゃんを誘ったのはさ、この町を紹介したかったっていうのもあるけど…もう一つ理由があるんだ」
ゆきみ「もうひとつの……りゆう?」
P「その…さ、俺、もっと雪美ちゃんと…仲良くなりたかったんだ」
ゆきみ「わたし……と?」
P「雪美ちゃんはさ、俺達に引け目を感じているんじゃないかと思ってさ。自分はこの家の子じゃない…だから、甘えてはいけない…って」
ゆきみ「!」
P「当たってるか?」
ゆきみ「…………うん」
ゆきみ「……わたし……人と話すのが……にがて……だから……じぶんの気持ちを……つたえるのも……にがて……だから……こわかった……きらわれたら……どうしよう……って」
P「……」
ゆきみ「だから……Pさんが今日……さそってくれて……うれしかった……また……いきたいって……おもってしまうくらい……でも……これいじょう……あまえられない……わたしは……よその子……だから」ギュッ
P「……雪美」
ゆきみ「はい……」
ゆきみ「……え?」
P「今日1日、雪美と一緒にいて気づいたんだ。雪美の笑顔はとっても素敵なんだって」
ゆきみ「わたしの……えがお……?」
P「もし、今の関係じゃ甘えられないっていうのなら……関係そのものを変えてしまえばいいんだ」
P「だから…さ、俺、雪美と兄妹になりたい」
ゆきみ「……兄妹」
P「最初はピンとこないかもしれないけど…お互いのことは、これから知っていけばいいんだ。時間ならたくさんある」
ゆきみ「……ほんとうに……あまえても……いいの?」
P「ああ」
ゆきみ「めいわくに……ならない……?」
P「なるわけないさ、雪美みたいな可愛い妹なら大歓迎だよ」
ゆきも「こ、これからも……ずっと……そばに……いてくれる?」
P「雪美が、それを望むならな」
ゆきみ「……P」ギュッ
P「ん?」ギュッ
ゆきみ「今日……Pと……いっしょにいて……すごく……たのしかった……だから……また……つれていってほしい……ダメ……?」
P「喜んで」
ゆきみ「……それなら……わたし……Pの……妹になる」ギュゥー
P「……ああ!」
P「ははは、甘えんぼさんだな~ 雪美は」ナデナデ
ゆきみ「ふふふ……妹だから……とうぜん……///」
P「……ほら、雪美。見てごらん」スッ
Pが指をさした方向を見つめる。その先には…
日が沈み、空には満天の星空が広がっていた。
P「ここが一番、星が綺麗に見える場所なんだ。……この景色を雪美に見せたかった」
ゆきみ「………♪」
Pと私、二人きりの原風景。……二人だけのトクベツな思い出。
きっとこの時から、私達の物語が始まった。
~7年前 社宅~
P「という出来事があって、俺と雪美は血の繋がりを越えた仲良し兄妹になったのだ!」
雪美「……///」
千枝(兄妹…?)
桃華(話を聞く限りだと…まるで、恋人同士のようでしたわ…)ムスーッ
ありす(プロデューサーさんは昔からカッコよかったんですね!さすが私の旦那様ですっ?)
雪美「……だから……私……これからも……Pの傍に……いたい」
薫「ねえねえ!それなら、かおるにいい考えがあるよ!」ズイッ
雪美「……いい考え?」
薫「雪美ちゃんも、かおる達と一緒にアイドルやればいいんだよっ!そしたら、せんせぇとずっと一緒にいられるよ!」
千枝「!」
桃華「!?」
ありす「なるほど…いい案だと思いますよ。私も雪美さんと仲良くなりたいですし」ウンウン
雪美「アイ……ドル……私が……?」
薫「ねっ!せんせぇ、いい考えでしょー?」
P「そうだな、俺も考えていたんだ。雪美なら、きっと素敵なアイドルになれるって」
雪美「……アイドルになれば……いつでも……Pの傍に……いられる……?」
P「おう」
雪美「なら……私……アイドルになりたい……!」
P「わかった!一緒にトップアイドル、目指そうな!」
雪美「ふふ……それじゃあ……改めて……自己紹介……しないと」ガタッ
雪美「私……佐城……雪美……あまり……話すのは……得意じゃない……でも……みんなと……仲良く……したい……だから……その……よろしく」ニコッ
千枝、桃華「「」」キュン
ありす「はい、よろしくお願いしますね」
薫「よろしくおねがいしまーっ」
346プロで過ごした日々は私にとって、大切な宝物になっている。
私をアイドルの世界に誘ってくれた薫、彼女は私がアイドルになったばかりの頃からずっと仲良くしてくれた。
いつも明るく、元気一杯な薫……私にとって、憧れの存在であり、大切な親友だ。
ありすとは、同じいちご好きとして、料理の仕方で意見が合わないこともあったけど……今でも仲良くやってる。
彼女の作るいちごパスタも、最近は結構美味しくなってきた。……でも、時々料理で冒険する癖があるのは、やっぱりどうかと思う。
桃華には、アイドルになりたての頃、なぜかライバル視されていた。
お嬢様育ちで、自信家の桃華…初めの頃は少し苦手だったけど、一緒にアイドルをしていくうちに、
彼女のいつも堂々としていて、努力家な姿がカッコいいと思うようになっていった。
千枝はまじめで、とても優しい女の子だ。私が歌やダンスのレッスンで困っていると、いつも率先して助けてくれた。
しっかり者で5人のまとめ役のような存在だった。……Pが絡むと、時々暴走するのが玉に瑕だけど。
ありす「プロデューサーさん!橘流オリジナルメニュー、牛肉のいちごソース煮込みです!是非食べてください!!!」ドーン!
P「待て待て待て!その組み合わせは絶対におかしいって!どうして普通に作らないんだ!!」
ありす「たしかに、今の私が普通に作ればそれなりものができあがるでしょう…でもそれじゃあダメなんです!!今の時代、何事にもオリジナリティが必要なんですっ!日々の挑戦が新たな未来を生み出すんですよ!」ズイッ ズイッ
P「それっぽいことを言ってるつもりかもしれないが、食べさせられる身にもなってみろよ!パスタならまだしも、牛肉といちごの組み合わせは絶対に合わないって!」グググ
ありす「食べてもいないのに決めつけるのは良くないですっ!TRY!TRY!」ズイッ ズイッ ズイッ
P「やめろー!こんなの料理じゃない!!」ググググ
P「千枝、聞いてくれよ!ありすのヤツがまたゲテモノ料理を…って、な、なんだその恰好!?」ギョッ
ありす「ち、千枝さん…!?」
千枝「用意されていた次のライブ衣装を着てみたんですけど……胸の辺りがきつくて……確認、してくれませんか…?」ムチムチ?
P「ちょ、ちょっと待て!少し前に測り直したばかりだったよな!?もうサイズ合わないなんて、そんなわけ…!」ゴクリ
ありす「……………」サワサワ
ありす「………私だって…それなりに……あるもん」グスッ
千枝「で、でも、私……苦しいんです。プロデューサーさん……」ギュッ
P「ち、千枝…ダ、ダメだって…/// ありす!助けてくれ!」
ありす「嘘……胸が未だに成長しているなんて…そんなの嘘です……」ズーン
P「ダディャーナザァーン!?」ガビーン
P「あばばばっばばb」ビクンッ
桃華「千枝さ~ん?衣装のサイズ、間違えていますわy…!?」ガチャ
千枝「んっ……はぁ…あん……P、さんっ……///」スリスリ
P「」
桃華「ちょ、ちょちょちょなにをやっておりますのお待ちになって!?」アセアセ
千枝「P、Pさん…!Pさぁん…!」ヌチュヌチュ?
桃華「お・や・め・な・さ・い!」バコーン!
千枝「あいたっ! も、桃華ちゃん…!?いきなり叩くなんてひどいよぉ…」グスッ
桃華「い、い、いきなりへ、変なことを始めるからですっ!!ま、まったく!!プロデューサー様もしっかりしてくd…プロデューサー様?」
P「」チーン
桃華「し、死んでる…」
千枝「えっ…?プロデューサーさん!?大変!私がすぐに目覚めさせてあげます!人工呼吸で!」ン~
桃華「いい加減にしなさ~い!!!」
薫「先生…また他の女の子とイチャイチャしてる……」ムスーッ
雪美「Pは……みんなの……プロデューサーだから……仕方ない……」
薫「雪美ちゃんは不安にならないの…?先生が……好きな人が、自分以外の女の子と仲良くしているのを見て…」
雪美「ふふっ……Pと私は……心と……心で……繋がっている……だから……平気……」
雪美「………たとえ……妹としてしか……見られていなくても……かまわない……あの人の傍に……いられるなら……それだけで……幸せなの」
薫「雪美…ちゃん……」
きっと近い将来、Pは答えを出すだろう。選ばれるのは一人のみ……だからせめて
終わり
小学生アイドルの成長した姿を書いてみたいというのがこのシリーズを始めたきっかけでした。
ここまで読んでくれた皆さん。ありがとうございました!
限定智絵里復刻が控えるこのタイミングで、紗枝はんも恒常がくるとは…イベント走ってきます
~?年後~
どうも初めまして!346プロ 第3芸能課で働かせてもらっているPといいます。
最近まで、俺はずっと悩んでいたんだ。アイドルのプロデュースが上手くいっていなかったのかって?
いや、むしろプロデュースに関しては、絶好調といっても過言ではなかったと思う。
じゃあ、何に悩んでいたのかって?それは…自分の気持ちについてだ。
俺がまだ二十歳だった時、この事務所に入社した。
プロデュースのプの字も知らなかった俺が今までプロデューサーとしてやってこられたのは、ひとえに俺を拾ってくれた社長さん、
入社時から助けてくれたアシスタントさんや先輩方、そしてなにより…俺なんかのプロデュースを信じて付いてきてくれた、大切な担当アイドルたちがいたからだ。
俺にとって、担当の皆はなによりもかけがえのない存在だった。
プロデューサーとして…大人として、頼りにしてもらえるよう、常に全力で向き合ってきたつもりだ。
でも
「!」
あの頃の俺は……まさか、君に対してこんな気持ちを抱くようになるなんて夢にも思わなかっただろう。
「 」
P「そっか……ありがとう」
「 」
P「ああ、約束する」
「 」
P「ウェ!?ここでか!?」
「 」
P「わ、わかったよ…」スタスタ
P「俺は……この先ずっと、君のことだけを想い続けるよ」ギュッ
「 」ギュッ
P「……愛してる」
~FIN~
元スレ
モバP「大切な家族」雪美「……ずっと傍で」
http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1542718726/
モバP「大切な家族」雪美「……ずっと傍で」
http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1542718726/
今週
先週
先々週
コメント一覧 (6)
-
- 2018年11月21日 06:16
- P×千秋
娘雪美
ベストマッチ
-
- 2018年11月21日 11:50
- ありすちゃんP大好きだな
-
- 2018年11月22日 08:57
- 俺は無理だな。
ちょっと設定が古くさい。
-
- 2018年11月22日 12:18
- >貴方のありすです
紅「パクんな」
-
- 2018年11月22日 14:14
- え?此処は蛍光緑がかっさらってく流れでは?(手遅れ患者並感)
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