大地の魔女「祝福の聖女よ、相談とは何だ?」

572:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 19:52:35.62 ID:wp+PDzrqo

祝福の聖女(以下、聖女)「……すみません、急に呼び出して」

大地の魔女(以下、地女)「なぁに、気にすることはない!」

聖女「……お姉ちゃん」

地女「うむ! お姉ちゃんに、何でも相談するが良い!」


聖女「……」

聖女「……奇跡が……起きちゃったんです」


地女「……」

地女「奇跡?」



573:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 19:56:50.78 ID:wp+PDzrqo

地女「奇跡が起きたのなら、良い事では無いか?」

聖女「はい……そう、なんですけど……」

地女「祝福の聖女よ、何を暗い顔をしているのだ?」

聖女「……」


聖女「……」

聖女「……子供が……出来たんです」


地女「……」

地女「……何だと?」



574:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 19:59:15.33 ID:wp+PDzrqo

地女「誰が?」

聖女「……私に」

地女「誰との?」

聖女「ゆ、勇者様とのです!」


地女「それは――」


聖女「っ……!」ビクッ!


地女「めでたいではないか!!」


聖女「……」

聖女「えっ?」



575:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 20:01:35.34 ID:wp+PDzrqo

地女「光の勇者は、その事を知っているのか!?」

聖女「い、いえ……まだです……」

地女「ふはははははっ! 奴が、父親か!」

聖女「あ……あのっ!」


聖女「おっ……怒らないんですか!?」


地女「何故だ!?」


聖女「え……ええっ!?」



576:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 20:06:08.76 ID:wp+PDzrqo

地女「怒る理由が、何処にあると言うのだ!?」

聖女「で、でもっ!」


聖女「私達は、世界を救う旅をしてる最中なんですよ!?」

聖女「そ、それなのに……妊娠だなんて……!」


地女「子を授かった事を喜ばぬ世界など滅びれば良いのだ!!」

地女「ええい! 何ならば、この手で直々に滅ぼしてくれる!!」


聖女「……!」

聖女「お……お姉ちゃん……!」ポロポロッ



577:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 20:13:02.00 ID:wp+PDzrqo

地女「あああ……!? な、何故泣く……!?」

聖女「わ、わた……ふ、不安で……!」ポロポロッ

地女「……大丈夫だぞ、何も不安になる事など無い」

聖女「だ……誰にも、言えなくっ……て……!」ポロポロッ


地女「大地の魔女の――お姉ちゃんの胸で好きなだけ泣くのだ」

地女「……ほうれ、触り心地の良い美乳だぞ!」

ぎゅっ!

聖女「っ……! うっ、えええっ……!」ポロポロッ


地女「……」

地女(……ぬうう! どうしたものか!?)



578:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 20:19:24.63 ID:wp+PDzrqo

  ・  ・  ・

聖女「……えへへ、いっぱい泣いちゃった///」

地女「うむ!」

聖女「……ありがとう、ちょっとスッキリした」

地女「はっはっは! おかげで、服がビショビショだ!」


聖女「……お願いがあるの」

聖女「この事は……誰にも言わないで」


地女「……」

地女「……むう」



579:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 20:26:17.74 ID:wp+PDzrqo

地女「誰にも言わず、どうするつもりだ?」

聖女「……パーティーを抜けて、隠れて過ごすつもり」

地女「何だと?」

聖女「だって……子供が出来たって、バレたら――」


地女「うむ」

地女「お前は、確実に狙われるだろうな」

地女「光の勇者と、祝福の聖女の子など……生かしておく訳にはいかん」

地女「魔の者にとっては、天敵の様な存在だからな」


聖女「……うん」



580:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 20:28:36.83 ID:wp+PDzrqo

地女「だがな? お前が抜けて、どうなる?」

聖女「えっ?」

地女「抜けた後のパーティーの事を考えてみるのだ」

聖女「それは……」


地女「うむ」

地女「祝福の聖女が不在のパーティーなど、取るに足らんな」

地女「最初の内は良いかもしれんが、次第に厳しくなるだろう」

地女「それ程までに、お前の存在は大きい」


聖女「……」



581:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 20:37:56.85 ID:wp+PDzrqo

地女「まあ、お前もそれがわかっていたのだろう?」

聖女「うっ……ふぅっ……!」ポロポロッ

地女「あああ! 責めているのではないぞ!」

聖女「で……でもっ……!」


地女「一緒に、考えるのだ」

地女「なぁに、大抵の事はなんとかなるものだからな!」


聖女「……ふふっ」

聖女「お姉ちゃんが言うと……本当に、そんな気がしてくる」



582:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 20:48:17.79 ID:wp+PDzrqo

  ・  ・  ・

地女「……」

地女(今日は、それぞれが考えて、明日……という事になったが)


地女「……どうしたものかなぁ」


地女「……」

地女(地の四天王として考えるならば――またと無い好機)

地女(聖女を庇いながら戦う勇者を仕留め……)

地女(後は、残った剣の乙女と祝福の聖女を殺す……と)


地女「光の加護も、愛の祝福も無くなり――」

地女「――多分、色々バレて俺も死んでしまうなぁ」


地女「……どうしたものかなぁ」



583:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 20:55:26.83 ID:wp+PDzrqo

地女「むう……!」


地女(闇の魔王様は、祝福の聖女を友人と仰っているが……)

地女(むう……どう動かれるか、わからんな)


地女「むうう……!」


地女(他の四天王達も……どう動くかわからん)

地女(……ええい、女心は理解出来ぬ!)


地女「むううう……!」


地女(剣の乙女は? そもそも、光の勇者の加護はどうした!)

地女(この俺――地の四天王が、追い詰められているではないか!)


地女「……ええい! わから――んっ!!」



584:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 21:07:54.50 ID:wp+PDzrqo

地女「俺は、こういった小賢しい事は考えられんのだ!」


地女「大地の魔女として生きようとも!」

地女「追い詰められていき……俺は死ぬ!」

地女「光の勇者、祝福の聖女、剣の乙女……」

地女「……誰が欠けても、俺は死ぬ!」

地女「そもそも!」


パァァ……ァァァ


地の四天王(以下、地王)「正体が、地の四天王とバレている!」

地王「そして、勇者達を全滅させたら……俺は死ぬ!」

地王「酔った勢いで、ヤっちゃったので……」

地王「……痴情のもつれで、俺は死ぬ!」


地王「……ぬあああん! どうすれば良いのだ――っ!?」



585:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 21:19:40.58 ID:wp+PDzrqo

地王「何か……何か無いものか……!?」

地王「こう、良い感じに……」


地王「勇者達の旅が休止しつつ……」


地王「魔王様達も、動きを止め……」


地王「……俺が! 生き残る方法は!」


地王「……」


地王「ええい、駄目だ!」

地王「思いつく考えは、どれも最終的に俺が死ぬ!」



586:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 21:27:03.58 ID:wp+PDzrqo

地王「ぬうう……! どうすれば良いのだ……!?」


―ガチャッ

勇者「おい、微妙に外に声が漏れて――」


地王「おっ、おのれぇ……光の勇者……!」

地王「この俺をここまで追い詰めるとは……!」


勇者「……はっ?」


地王「! 現れたな、このクズめ!」


勇者「はあっ!?」



587:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 21:32:53.48 ID:wp+PDzrqo

勇者「……」


…バタンッ!


勇者「――おい! 誰がクズだ! 誰が!」

地王「ええい、お前以外に居らんだろうが!」

勇者「お前が言える台詞じゃねえよ!」

地王「何を言っているのだ!」


地王「父親になるとも知らず、のほほんとしおって!」

地王「……」

地王「今の無し!」


勇者「……」

勇者「はっ?」



588:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 21:38:44.15 ID:wp+PDzrqo

地王「地の四天王、何も言っていない」

勇者「何だその一人称!? おい、もう一度言え!」

地王「地の四天王、何も言っていない」

勇者「そっちじゃねえよ! 父親とか言ったよな!?」


地王「……光の勇者よ」

地王「祝福の聖女には、誰にも言わないでと言われたのだ」

地王「だから……なっ? この通り、なっ?」


勇者「な……何で……! よ、よりによって……!」

勇者「お前の口から聞かされなきゃいけねえんだよおおおおお!?」



589:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 21:43:13.91 ID:wp+PDzrqo

勇者「おい、何でお前がそれを知ってる!?」

地王「俺が、聖女のお姉ちゃんだからだ」

勇者「……聖女の所へ行ってくる!」

地王「っ!?」


地王「待て! 行って、どうするつもなのだ!?」


勇者「抱き締めるに決まってんだろうが!!」


地王「うむ!! 行け、光の勇者よ!!」



590:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 21:53:50.36 ID:wp+PDzrqo

  ・  ・  ・

地王「いやぁ~……どうしたものかなぁ」

地王(勇者のあの様子なら……旅の休止は受け入れられるだろうな)


地王「……だがなぁ」

地王(腹が出てくれば、確実にバレるからなぁ)

地王(下級の魔族でも、数が多ければ凌ぎきれんだろうしなぁ)


地王「……むうう」

地王「どうしたものかなぁ」



591:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 22:00:59.05 ID:wp+PDzrqo

地王「ぬうう……!」


闇の魔王(以下、魔王)「地の四天王よ、どうした?」


地王「!? ま、魔王様!」

魔王「魔王様、だと?」

地王「! も、申し訳ありません……!」


魔王「二人きりの時は……ハニー、と」

魔王「そう、呼ばないと拗ねると言った筈だが?」


地王「も、申し訳ありません……ハニー……!」



592:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 22:10:37.58 ID:wp+PDzrqo

地王「し、しかし……恐れながら!」

魔王「どうした? 其方は、何を恐れる?」

地王「は……ハニー呼びは、流石に恥ずかしいのです!」

魔王「何を言う」


魔王「其方は――余の、彼ピッピであろう?」モジモジ

魔王「ハニーと呼ぶは、当然の義務と知れ」モジモジ


地王「は……はっ!」



593:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 22:15:24.24 ID:wp+PDzrqo

魔王「だが……余の影に引き込まれても、気付かぬとは」

地王「い、いつの間に!?」


魔王「地の四天王よ、椅子になれ」


地王「……御意!」

…どすっ!

地王「……さ、どうぞ」


魔王「うむ」

…ぽすんっ


魔王「地の四天王の玉座は――城の玉座よりもほっこりするな」


地王「……勿体なきお言葉」



594:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 22:24:51.78 ID:wp+PDzrqo

魔王「して……其方は、何を考えていた?」

地王「いえ……大した事ではありませぬ」

魔王「余の魔眼を欺けると思っているのか?」

地王「っ……!」


魔王「余ではない、他の女の事で思い悩むとは……」

魔王「……地の四天王よ、其方に罰を与える」


地王「ば、罰……ですか……!?」


魔王「――今日は、敬語を禁ずる」


地王「な、何と……!? 敬語を……!?」



595:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 22:33:42.69 ID:wp+PDzrqo

魔王「余の命に、逆らうつもりか?」

地王「では、普通に話させて貰うぞ」

魔王「……ふふっ、それで良い」

地王「しかし、ハニーよ」


地王「毎回、このやり取りをする必要があるのか?」

地王「最近、ちょっとまどろっこしく思ってきたのだ」


魔王「……ある!」

魔王「これをやらぬと……その、上手く切り替えが出来ぬ!」



596:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 22:40:01.08 ID:wp+PDzrqo

魔王「それで? 其方は、何を悩んでいた?」

地王「……それは、秘密なのだ」

魔王「何? 余にも言えぬ事なのか?」

地王「言えんなぁ……」


魔王「もしも、余以外の……他の女の事だった場合――」

魔王「――今、言わねば……」

魔王「誰のとは言わぬが、命は無いと思え?」


地王「祝福の聖女の事なのだ!」



597:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 22:50:35.65 ID:wp+PDzrqo

魔王「そうか……祝福の聖女、か」

地王「うむ」

魔王「お姉ちゃんと呼ばれ、慕われているそうだな」プクー!

地王「……」


地王「うむ……お姉ちゃん、困っているのだ」

もにっ、もにもにっ

魔王「ぷふっ! んむむむっ……ん~っ」


地王「……はぁ、困ったのだ」

魔王「……頬のもにもにを続けよ」



598:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 23:03:15.60 ID:wp+PDzrqo

魔王「祝福の聖女の事で、悩んでいる……と」

地王「うむ……こんなに悩むとは、思わなんだ」

魔王「……不愉快だな」

地王「?」


魔王「祝福の聖女は、余の……ゆ、友人」

魔王「だが、其方は余の事だけ考えて居れば良い」

魔王「……ふふっ、喜べ」


地王「ぬう……?」


魔王「地の四天王よ、祝福の聖女に関する悩み」

魔王「……闇の魔王が――滅してやろう」



おわり



元スレ
地の四天王「光の勇者よ、助けてくれ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1540900012/
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         コメント一覧 (5)

          • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年11月25日 06:36
          • やめたら?
          • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年11月25日 07:31
          • 勇者と聖女カップリングは王道ですね。
            旅の目的を考えると避妊しなくて不謹慎かな。
            人々の期待を安易に裏切り、私情で頓挫するリスク。存亡をかけた争いなら、それこそ抱き締める言ってる場合ではないと思います。

            地女は魔王に忠義を果たすなら、職目を果たすべきですね。隠し事は今更ですが。
          • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年11月25日 08:04
          • このシリーズ面白いの?これしか読んで無いからわからん
          • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年11月25日 08:24
          • ttps://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1540900012/704


            >まとめも全部消してくれると嬉しいです
            >これは載って良いレベルじゃない
          • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年11月25日 16:34
          • やっとこ決戦か?

            ※3
            ぐっだぐだの話に失笑しながらツッコミ入れるタイプの話だから、まぁ読み捨ての暇潰しにはなるんじゃないか?

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

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