大地の魔女「祝福の聖女よ、相談とは何だ?」
大地の魔女(以下、地女)「なぁに、気にすることはない!」
聖女「……お姉ちゃん」
地女「うむ! お姉ちゃんに、何でも相談するが良い!」
聖女「……」
聖女「……奇跡が……起きちゃったんです」
地女「……」
地女「奇跡?」
聖女「はい……そう、なんですけど……」
地女「祝福の聖女よ、何を暗い顔をしているのだ?」
聖女「……」
聖女「……」
聖女「……子供が……出来たんです」
地女「……」
地女「……何だと?」
聖女「……私に」
地女「誰との?」
聖女「ゆ、勇者様とのです!」
地女「それは――」
聖女「っ……!」ビクッ!
地女「めでたいではないか!!」
聖女「……」
聖女「えっ?」
聖女「い、いえ……まだです……」
地女「ふはははははっ! 奴が、父親か!」
聖女「あ……あのっ!」
聖女「おっ……怒らないんですか!?」
地女「何故だ!?」
聖女「え……ええっ!?」
聖女「で、でもっ!」
聖女「私達は、世界を救う旅をしてる最中なんですよ!?」
聖女「そ、それなのに……妊娠だなんて……!」
地女「子を授かった事を喜ばぬ世界など滅びれば良いのだ!!」
地女「ええい! 何ならば、この手で直々に滅ぼしてくれる!!」
聖女「……!」
聖女「お……お姉ちゃん……!」ポロポロッ
聖女「わ、わた……ふ、不安で……!」ポロポロッ
地女「……大丈夫だぞ、何も不安になる事など無い」
聖女「だ……誰にも、言えなくっ……て……!」ポロポロッ
地女「大地の魔女の――お姉ちゃんの胸で好きなだけ泣くのだ」
地女「……ほうれ、触り心地の良い美乳だぞ!」
ぎゅっ!
聖女「っ……! うっ、えええっ……!」ポロポロッ
地女「……」
地女(……ぬうう! どうしたものか!?)
聖女「……えへへ、いっぱい泣いちゃった///」
地女「うむ!」
聖女「……ありがとう、ちょっとスッキリした」
地女「はっはっは! おかげで、服がビショビショだ!」
聖女「……お願いがあるの」
聖女「この事は……誰にも言わないで」
地女「……」
地女「……むう」
聖女「……パーティーを抜けて、隠れて過ごすつもり」
地女「何だと?」
聖女「だって……子供が出来たって、バレたら――」
地女「うむ」
地女「お前は、確実に狙われるだろうな」
地女「光の勇者と、祝福の聖女の子など……生かしておく訳にはいかん」
地女「魔の者にとっては、天敵の様な存在だからな」
聖女「……うん」
聖女「えっ?」
地女「抜けた後のパーティーの事を考えてみるのだ」
聖女「それは……」
地女「うむ」
地女「祝福の聖女が不在のパーティーなど、取るに足らんな」
地女「最初の内は良いかもしれんが、次第に厳しくなるだろう」
地女「それ程までに、お前の存在は大きい」
聖女「……」
聖女「うっ……ふぅっ……!」ポロポロッ
地女「あああ! 責めているのではないぞ!」
聖女「で……でもっ……!」
地女「一緒に、考えるのだ」
地女「なぁに、大抵の事はなんとかなるものだからな!」
聖女「……ふふっ」
聖女「お姉ちゃんが言うと……本当に、そんな気がしてくる」
地女「……」
地女(今日は、それぞれが考えて、明日……という事になったが)
地女「……どうしたものかなぁ」
地女「……」
地女(地の四天王として考えるならば――またと無い好機)
地女(聖女を庇いながら戦う勇者を仕留め……)
地女(後は、残った剣の乙女と祝福の聖女を殺す……と)
地女「光の加護も、愛の祝福も無くなり――」
地女「――多分、色々バレて俺も死んでしまうなぁ」
地女「……どうしたものかなぁ」
地女(闇の魔王様は、祝福の聖女を友人と仰っているが……)
地女(むう……どう動かれるか、わからんな)
地女「むうう……!」
地女(他の四天王達も……どう動くかわからん)
地女(……ええい、女心は理解出来ぬ!)
地女「むううう……!」
地女(剣の乙女は? そもそも、光の勇者の加護はどうした!)
地女(この俺――地の四天王が、追い詰められているではないか!)
地女「……ええい! わから――んっ!!」
地女「大地の魔女として生きようとも!」
地女「追い詰められていき……俺は死ぬ!」
地女「光の勇者、祝福の聖女、剣の乙女……」
地女「……誰が欠けても、俺は死ぬ!」
地女「そもそも!」
パァァ……ァァァ
地の四天王(以下、地王)「正体が、地の四天王とバレている!」
地王「そして、勇者達を全滅させたら……俺は死ぬ!」
地王「酔った勢いで、ヤっちゃったので……」
地王「……痴情のもつれで、俺は死ぬ!」
地王「……ぬあああん! どうすれば良いのだ――っ!?」
地王「こう、良い感じに……」
地王「勇者達の旅が休止しつつ……」
地王「魔王様達も、動きを止め……」
地王「……俺が! 生き残る方法は!」
地王「……」
地王「ええい、駄目だ!」
地王「思いつく考えは、どれも最終的に俺が死ぬ!」
―ガチャッ
勇者「おい、微妙に外に声が漏れて――」
地王「おっ、おのれぇ……光の勇者……!」
地王「この俺をここまで追い詰めるとは……!」
勇者「……はっ?」
地王「! 現れたな、このクズめ!」
勇者「はあっ!?」
…バタンッ!
勇者「――おい! 誰がクズだ! 誰が!」
地王「ええい、お前以外に居らんだろうが!」
勇者「お前が言える台詞じゃねえよ!」
地王「何を言っているのだ!」
地王「父親になるとも知らず、のほほんとしおって!」
地王「……」
地王「今の無し!」
勇者「……」
勇者「はっ?」
勇者「何だその一人称!? おい、もう一度言え!」
地王「地の四天王、何も言っていない」
勇者「そっちじゃねえよ! 父親とか言ったよな!?」
地王「……光の勇者よ」
地王「祝福の聖女には、誰にも言わないでと言われたのだ」
地王「だから……なっ? この通り、なっ?」
勇者「な……何で……! よ、よりによって……!」
勇者「お前の口から聞かされなきゃいけねえんだよおおおおお!?」
地王「俺が、聖女のお姉ちゃんだからだ」
勇者「……聖女の所へ行ってくる!」
地王「っ!?」
地王「待て! 行って、どうするつもなのだ!?」
勇者「抱き締めるに決まってんだろうが!!」
地王「うむ!! 行け、光の勇者よ!!」
地王「いやぁ~……どうしたものかなぁ」
地王(勇者のあの様子なら……旅の休止は受け入れられるだろうな)
地王「……だがなぁ」
地王(腹が出てくれば、確実にバレるからなぁ)
地王(下級の魔族でも、数が多ければ凌ぎきれんだろうしなぁ)
地王「……むうう」
地王「どうしたものかなぁ」
闇の魔王(以下、魔王)「地の四天王よ、どうした?」
地王「!? ま、魔王様!」
魔王「魔王様、だと?」
地王「! も、申し訳ありません……!」
魔王「二人きりの時は……ハニー、と」
魔王「そう、呼ばないと拗ねると言った筈だが?」
地王「も、申し訳ありません……ハニー……!」
魔王「どうした? 其方は、何を恐れる?」
地王「は……ハニー呼びは、流石に恥ずかしいのです!」
魔王「何を言う」
魔王「其方は――余の、彼ピッピであろう?」モジモジ
魔王「ハニーと呼ぶは、当然の義務と知れ」モジモジ
地王「は……はっ!」
地王「い、いつの間に!?」
魔王「地の四天王よ、椅子になれ」
地王「……御意!」
…どすっ!
地王「……さ、どうぞ」
魔王「うむ」
…ぽすんっ
魔王「地の四天王の玉座は――城の玉座よりもほっこりするな」
地王「……勿体なきお言葉」
地王「いえ……大した事ではありませぬ」
魔王「余の魔眼を欺けると思っているのか?」
地王「っ……!」
魔王「余ではない、他の女の事で思い悩むとは……」
魔王「……地の四天王よ、其方に罰を与える」
地王「ば、罰……ですか……!?」
魔王「――今日は、敬語を禁ずる」
地王「な、何と……!? 敬語を……!?」
地王「では、普通に話させて貰うぞ」
魔王「……ふふっ、それで良い」
地王「しかし、ハニーよ」
地王「毎回、このやり取りをする必要があるのか?」
地王「最近、ちょっとまどろっこしく思ってきたのだ」
魔王「……ある!」
魔王「これをやらぬと……その、上手く切り替えが出来ぬ!」
地王「……それは、秘密なのだ」
魔王「何? 余にも言えぬ事なのか?」
地王「言えんなぁ……」
魔王「もしも、余以外の……他の女の事だった場合――」
魔王「――今、言わねば……」
魔王「誰のとは言わぬが、命は無いと思え?」
地王「祝福の聖女の事なのだ!」
地王「うむ」
魔王「お姉ちゃんと呼ばれ、慕われているそうだな」プクー!
地王「……」
地王「うむ……お姉ちゃん、困っているのだ」
もにっ、もにもにっ
魔王「ぷふっ! んむむむっ……ん~っ」
地王「……はぁ、困ったのだ」
魔王「……頬のもにもにを続けよ」
地王「うむ……こんなに悩むとは、思わなんだ」
魔王「……不愉快だな」
地王「?」
魔王「祝福の聖女は、余の……ゆ、友人」
魔王「だが、其方は余の事だけ考えて居れば良い」
魔王「……ふふっ、喜べ」
地王「ぬう……?」
魔王「地の四天王よ、祝福の聖女に関する悩み」
魔王「……闇の魔王が――滅してやろう」
おわり
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コメント一覧 (5)
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- 2018年11月25日 06:36
- やめたら?
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- 2018年11月25日 07:31
- 勇者と聖女カップリングは王道ですね。
旅の目的を考えると避妊しなくて不謹慎かな。
人々の期待を安易に裏切り、私情で頓挫するリスク。存亡をかけた争いなら、それこそ抱き締める言ってる場合ではないと思います。
地女は魔王に忠義を果たすなら、職目を果たすべきですね。隠し事は今更ですが。
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- 2018年11月25日 08:04
- このシリーズ面白いの?これしか読んで無いからわからん
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- 2018年11月25日 08:24
- ttps://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1540900012/704
>まとめも全部消してくれると嬉しいです
>これは載って良いレベルじゃない
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- 2018年11月25日 16:34
- やっとこ決戦か?
※3
ぐっだぐだの話に失笑しながらツッコミ入れるタイプの話だから、まぁ読み捨ての暇潰しにはなるんじゃないか?