火の四天王「剣の乙女よ、お前と話がしたい」
火の四天王(以下、火王)「お前と私は……少し、似ているからな」
乙女「そうかしら? それで、話って?」
火王「……ああ」
火王「キスしようとした時、相手が何か言いたげだったら……」
火王「……お前なら、どうする?」
乙女「……」
乙女「うん」
火王「何だ、聞こえなかったか?」
乙女「ううん? 聞こえてたわよ?」
火王「……もう一度、聞く」
火王「キスする時、相手が何か考え事をしていたら……」
火王「……お前ならば、どうする?」
乙女「……」
乙女「はい」
火王「何だ? まさか、キスを知らないか?」
乙女「いや、そうじゃないけど……」
火王「……ならば、三度聞く」
火王「キスする時、婚約者の様子が普段と違ったら……」
火王「……剣の乙女のお前ならば、どうする?」
乙女「……」
乙女「はあ、婚約者」
乙女「なるほどね」
火王「こういった時、どうすれば良いものか、な」
乙女「はー……はー、はー、はー」
乙女「貴女は、聞こうと言うのね?」
乙女「ファーストキスもまだの私に、それを聞くのね?」
火王「……」
火王「えっ?」
乙女「そうだけど?」
火王「その……す、すまん」
乙女「あらあら、まあまあ」
乙女「剣と将の道以外に疎い!?」
乙女「馬鹿にしてるの!? 婚約者が居るのに!?」
火王「す、すまん! な、何だかすまん!」
火王「お、お前は、その……女の私から見ても美しいからだ」
乙女「うん、それで?」
火王「それに……人間は、お前位の年齢ならば」
乙女「ならば、何だって言うの!? ねえ、何!?」
乙女「静の剣と、動の剣の道しか歩いて来なかったけど!?」
火王「……」
火王「せ、静の剣だけでなく……動の剣も使えるのだな!」
火王「きっ、キスだけ! それも、チュッとだけだ!」
乙女「……」
火王「……」
乙女「……もし、今の言葉に偽りがあれば」
乙女「私は、私の全てを以て貴女を斬るわ」
火王「……」
火王「それ以上は、結婚してからと……な」
乙女「未婚だから、セーフ……まだ、私達は対等……!」
火王「で、では、私は帰――」
乙女「待ちなさい」
乙女「まだ、話は終わってないでしょう?」
火王「……」
火王「こ、婚約者が……キスする時、何か言いたげでな」
乙女「今まで、チュッとしかしてこなかったのよね?」
火王「それは……結婚前ならば、当然だろう」
乙女「そんな訳ないでしょ!?」
乙女「ねえ、何!? 貴女はんんんああああああ!?」
火王「頼む! せめて! せめて、人の言葉で!」
火王「あ、ああ……そうだが」
乙女「馬鹿じゃないの!? ねえ、馬鹿じゃないの!?」
火王「なっ!? この私を愚弄するか!」
乙女「ディープなキッスをしたがってるのよ!」
乙女「貴女、そんな事もわからないの!?」
火王「でぃっ、ディープな……キッス!?///」
乙女「絡めてくんずほぐれつさせるアレよ!」
火王「あ……ぁぅぁ///」
乙女「何照れてるの!? ぶった斬るわよ!」
火王「……そ、そうだとしても!」
火王「私には、ディープなキッスの仕方がわからん!」
乙女「私だって知らないわよ! 知りたいわよ!」
火王「えっ? チュッとだから、こう……止めている」
乙女「ディープの時は!? ねえ、どうするつもり!?」
火王「……わ、わからん!/// 私には、わからん!///」
火王「想像しただけで、全身から炎が溢れそうだ!///」
火王「……出る!(ボワッ)/// 絶対、火のブレスが出てしまう!(ボワッ)///」
乙女「想像だけで火のブレス出てるじゃないの!」
乙女「貴女の父上って……火龍王よね?」
火王「ああ、そうだ……それ以上は、結婚してから、とな」
乙女「……これは、私の推測だけれど」
乙女「結婚したら――貴女と相手に加護が与えられて……」
乙女「……火のブレスが出ない、もしくは平気になるんじゃない?」
火王「!」
火王「それだ……そうに違いない!」
乙女「……ねえ」
火王「む、何だ?」
乙女「貴女の婚約者は……それを知ったんじゃないかしら」
乙女「……そうだとしたら、全てに説明がつくわ」
乙女「今までチュッで良かったのに、急に何か言いたげになったのは――」
火王「――……プロポーズ……?」
乙女・火王「……」
乙女「違うと言い切れるかしら?」
火王「だ、だがっ!」
火王「私の顔の左側は、龍の鱗に覆われている!」
火王「幼き頃より、陰で醜いと言われているのだぞ!?」
乙女「私は、女の貴女から見ても美しいみたいね」
乙女「けれど、ファーストキスもまだよ」
火王「……」
乙女「何か言って頂戴」
火王「か……顔というか、だな?」
乙女「うん」
火王「幼き頃より、奴は……奴だけは……」
火王「か……可愛い、と///」
火王「この私をだぞ?/// か、可愛いと言うのだ……!///」
乙女「……」
乙女「うん」
乙女「はい」
火王「や、奴が……?(ボワッ)/// プロポーズ……?(ボワッ)///」
乙女「……っふ」
乙女「魔王軍幹部! 火の四天王ぉぉぉおおおああ!!」
乙女「剣の乙女の、この剣はぁ! んんあああああ!!」
乙女「うううううううう!! ほあああああああ!!」
火王「!? どっ、どうした!?」
火王「剣の乙女!?」
乙女「そもそも、私達は相容れぬ運命!」
火王「いや、式には招待す――」
乙女「全て、断ち切ってあげるわ!」
乙女「剣の乙女の、秘奥を以て!」
火王「……そうは行かんぞ!」
火王「火の四天王の、燃え盛る炎を消せると思うな!」
乙女「……ちいっ! 逃したか……!」
風の四天王(以下、風王)「――おやおや、穏やかじゃないね」
乙女「あっ、貴方は……風の四天王!?」
風王「美しい顔に、そんな表情は似合わないよ」
乙女「っ!?///……な、何をしに来た!?///」
風王「僕は、君に会いに来たのさ」
乙女「……」
乙女「えっ?」
風王「君は、僕から見て魅力的な女性だからね」
乙女「みりょっ!?///」
風王「そんな君に、色々と教えて貰いたいんだ」
乙女「な……何を……?///」
風王「長らく、男のフリをしてきたからね」
乙女「はい///」
乙女「…………はい?」
風王「彼の……男の心を射止める秘訣を教えて欲しい」
乙女「……」
乙女「とりあえず、奥義を使うわ」
おわり
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コメント一覧 (17)
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- 2018年11月09日 12:19
- ジュテーム、オスカル
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- 2018年11月09日 12:22
- なんか、いろいろと不憫だな…
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- 2018年11月09日 12:24
- 土はあと何日生きてられるだろうな…
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- 2018年11月09日 12:31
- 地のヤツ!
この・・・
地のヤツ!!
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- 2018年11月09日 12:36
- だいたい地が悪い
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- 2018年11月09日 12:50
- 勇者と剣士か結ばれればハッピーエンドだな!(魔王側から目をそらしながら)
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- 2018年11月09日 12:52
- 剣の乙女ってアイツだろ?ゴブリン専用トイレでゴブリンを産む機械だろ?
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- 2018年11月09日 12:57
- 7.さんへ、そのSS のタイトルを教えて下さい
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- 2018年11月09日 13:10
- >>8
SSというかラノベ。
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- 2018年11月09日 13:56
- >>8
ゴブリンスレイヤーで検索するのです
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- 2018年11月09日 13:21
- やっぱり血の四天王じゃないですかやだー
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- 2018年11月09日 13:57
- 風は男装女子(断じて男の娘ではない)枠か
そして地、本気で地獄を見ることになるな、地だけに
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- 2018年11月09日 15:23
- 妙に女子の会話っぽいのが良い
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- 2018年11月09日 18:44
- まだ依頼出されてないのをまたまとめてら
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- 2018年11月09日 18:59
- 終末の予言とかで『大地は裂けて』みたいなフレーズってよく使われるよな(白目
具体的には四つぐらい?に引き裂かれそう…
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- 2018年11月10日 06:48
- ※9
ラノベどころかSSでもなく、やる夫スレやぞ。
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- 2018年11月14日 13:35
- 剣の乙女何がどうなってあんな爛れちまったんだよ