彡(゚)(゚)「本を読むだけのバイト!?」
彡(゚)(゚)「何かバイトせんと……」
彡(゚)(゚)「おや、玄関にチラシが落ちてるで、誰か投函していったんやな」
彡(゚)(゚)「なになに」
――本が好きなあなたにピッタリのバイト
――本を読むだけで日給1万円
彡(゚)(゚)「日給いちまんえん!? これや!」
彡(゚)(゚)「あんまり本が好きってわけやないけど、まあ時々は読むし」
彡(゚)(゚)「何より日給1万円や、本でも納豆でも好きになるわ」
彡(゚)(゚)「このビルやな、なんや古臭いビルやで」
彡(゚)(゚)「えーと一階の(株)山本……あそこに黒服のおっさんがおるけど、あれかな」
彡(゚)(゚)「あの、バイト募集のチラシ見て来たんですが」
黒服「ああ、ちょうど面接が始まるところです、どうぞどうぞ」
彡(゚)(゚)「履歴書もってきたんですけど」
黒服「ああ履歴書ね、はい、もらっときましょう、どうぞどうぞ」
彡(゚)(゚)「なんか適当やなあ」
ワイワイ ガヤガヤ
彡(゚)(゚)「なんや、教室みたいに机と椅子が並んでるで」
彡(゚)(゚)「ワイ以外にも十人ちょっと来てるな、日給一万ならそら集まるわ」
黒服「はい皆さん、おはようございます」
彡(゚)(゚)「なんで黒服にサングラスなんやろ……」
黒服「えーと、今日はですね、この(株)山本のアルバイト面接に来ていただいて、ありがとうございますね」
彡(゚)(゚)「明らかに喋り慣れてへん……」
黒服「最初にですね、皆さんにちょっとテスト受けていただきますので」
黒服「これからお配りします、制限時間は30分です」
彡(゚)(゚)「なんやテストがあるんか……そら本を読むバイトやからな、学力もいるわな」
彡(゚)(゚)「しゃあない、ワイの実力見せたるわ」
問1
日本で初めてワードプロセッサで小説を書いた作家と言われ
「他人の顔」「砂の女」などの代表作で知られる人物は誰?
彡(゚)(゚)「初めてワープロで……これは有名やな」
彡(゚)(゚)「一太郎……と」
問3
講談社の主催する新人文学賞であり、
森博嗣、西尾維新、舞城王太郎などを輩出した文学賞と言えば何?
彡(゚)(゚)「沢村賞」
問6
2020年のオリンピック開催地は東京ですが、その次の夏季オリンピックの開催地は?
彡(゚)(゚)「きっと大都市のはずやな……豊田市」
問11
明治維新以降の元号を4つすべて答えよ
彡(゚)(゚)「…………」
彡(゚)(゚)「平成、平成、平成、平成」
黒服「そこまでです、テストを回収します」
彡(゚)(゚)「満点あるでコレ」
黒服「合格者を発表します、今回はお一人だけです」
黒服「14番の方、合格です、こちらへどうぞ」
彡(^)(^)「やったで、合格や、さすがワイやな」
黒服「こちらへどうぞ」
彡(゚)(゚)「なんや、エレベーターに乗るんか」
彡(゚)(゚)「おや、下へ降りてく……しかもけっこう深いな」
チーン
彡(゚)(゚)「B26……?」
黒服「適当な本を選んでください」
彡(゚)(゚)「えーと、それじゃこの「たらばがに誘拐事件」ってやつを」
黒服「こちらの小部屋へどうぞ」
彡(゚)(゚)「おお、ローテーブルにソファが置いてある、お菓子やコーヒーメーカーもあるわ」
黒服「トイレはそっちの小部屋です」
黒服「好きにくつろいで読んでください、夕方の5時に迎えに来ますので」
彡(゚)(゚)「え、もうこれから仕事なん?」
彡(゚)(゚)「あるな」
黒服「そこに、読んだ本のタイトル、それと感想を5行以上で書いてください」
黒服「一日3冊がノルマと考えてください」
彡(゚)(゚)「3冊かあ、ちゃんと読んだらけっこう大変やな」
黒服「ナナメ読みで構いません、最後の10ページだけ読んで書いても大丈夫です」
彡(゚)(゚)「…………」
黒服「ではよろしくお願いします」 バタン
彡(゚)(゚)「……変な仕事やなあ」
彡(゚)(゚)「まあええわ日給一万円や、日給一万円は無敵なんや」
彡(゚)(゚)「えーと、まずは、山根晋太郎「たらばがに誘拐事件」か……」
彡(゚)(゚)「タラバガニは激怒した、必ず、かの邪智暴虐のエチゼンガニを除かねばならぬと……」
黒服「お迎えに来ました」
彡(゚)(゚)「ふう、ずっと読み続けるってのもキツかったわ」
黒服「はい、こちら本日のお給料です」
彡(^)(^)「おおー、一万円や、やったで」
黒服「地上までお送りします」
彡(゚)(゚)「ちょっと歩き回ってみたんやけど、ずいぶん広い書庫やなあ」
彡(゚)(゚)「というか、明らかに地上のビルより広いような……」
黒服「あまり奥まで行かないように、迷うと大変ですので」
彡(゚)(゚)「はあ」
黒服「ではまた明日」
彡(゚)(゚)「はい」
彡(゚)(゚)「うーん、結局何の仕事やったんやろ……」
彡(゚)(゚)「まあええわ、現金が手に入ったし、靴でも買おうかな」
警官「ちょっと、そこの君」
彡(゚)(゚)「はい?」
警官「このあたりで、妙な人間を見いへんかったか?」
彡(゚)(゚)「妙な……?」
警官「なんか変なものを配ったり、変な仕事を頼んでくるような人間や」
彡(゚)(゚)「…………」
彡(゚)(゚)「いえ、知りません」
警官「そうか、わいはこのあたりをパトロールしてるから、何か見かけたら教えてくれんか」
彡(゚)(゚)「はい」
警官「(立ち去る)」
彡(゚)(゚)「本を読むだけの仕事や、そんなに怪しくもないし……たぶん」
彡(゚)(゚)「今日はもう帰ったろ……」
彡(゚)(゚)「帰ってきたわ、しかし変なバイトやったな」
彡(゚)(゚)「でも二冊目の「カスタネットへようこそ」はけっこう面白かったな」
彡(゚)(゚)「作者を検索してみたろ、えーと確か、山わさび陽子……」カタカタ
彡(゚)(゚)「……」
彡(゚)(゚)「ヒット数……ゼロ?」
彡(゚)(゚)「さ、三冊目の「青春スチームダクト」は」カタカタ
彡(゚)(゚)「ゼロや……それか、全然関係なさそうな記事しかヒットせえへん」
彡(゚)(゚)「なんなんや……どんなマイナーな本でも、一件もヒットしないなんてこと……」
彡(゚)(゚)「……株式会社山本」カタカタ
彡(゚)(゚)「これは逆に山ほどヒットするな、どの会社か分からへん……」
彡(゚)(゚)「どうも妙や……さすがに気になってきたで」
彡(゚)(゚)「ワイの頭で分かることやないな」
彡(゚)(゚)「あいつ に 相 談 」
――ここで、やきうの記憶はしばらく途切れる
彡(゚)(゚)「……え、あれ?」
黒服「おつかれさまでした、ではまた明日」
彡(゚)(゚)「は、はい、お疲れ様です」
彡(゚)(゚)「あれ、ワイ今日は何を読んだんやったっけ……」
彡(゚)(゚)「ええと確か、「ゴリラ五千匹の城」「80歳の青春ロックンロール」「皇帝と卑底の愛」の3つ……」
彡(゚)(゚)「そう、確かそれだけ読んで……」
彡(゚)(゚)「……なんか、頭にモヤがかかってるわ」
彡(゚)(゚)「寝不足かな、帰って寝たろ」
彡(゚)(゚)「……」
-数日後-
彡(゚)(゚)「ふう、今日の仕事も終わりや……」
彡(゚)(゚)「……」
彡(゚)(゚)「でもなんか、ソワソワするわ、何なんやろこの感じ…」
彡(゚)(゚)「あかん、今日は酒でも買って……」
警官「やあ、また会ったな」
彡(゚)(゚)「あ、警官のおっちゃん……」
彡(゚)(゚)「いえ、別に……」
彡(゚)(゚)「……」
彡(゚)(゚)「別に何も…」ボロボロ
彡(゚)(゚)「あ、あれ、なんや、なんで涙が……」
警官「うわ君どうしたん、なんで泣いてんのやキモいな」
彡(゚)(゚)「……わ、分からへん」
彡(゚)(゚)「なんで泣いてんのやワイは……」
警官「ここにな、小瓶があるんやけど」
彡(゚)(゚)「え? 小瓶? そのガラスのやつかいな?」
警官「ちょっと中身のニオイ嗅いでくれるか?」
彡(゚)(゚)「へ??」
彡(゚)(゚)「はあ……」クンクン
ツーーーーーーーン
彡(゚)(゚)「ほんぎええええええ臭っさあああああああ」
彡(゚)(゚)「なっ、何やこれ!?」
警官「アンモニアに色々な香料を加えたもんや、マトモに嗅いだら悶絶するレベルやで」
警官「気付け用やな、何か思い出したか?」
彡(゚)(゚)「えっ、思い……」
彡(゚)(゚)「…………」
彡(゚)(゚)「……思い出した」
― 回想 ―
彡(゚)(゚)「っと、そういうバイトなんや」
(´・ω・`)「ふーん、変な話だねえ」
(´・ω・`)「でも日給一万円は魅力的だな、僕もやろうかな」
彡(゚)(゚)「こいつはワイの友人や」
彡(゚)(゚)「本が好きなやつで、フリーターやりながら本を山ほど読み漁ってる」
彡(゚)(゚)「どのぐらい本が好きかというと、置き場所がないので冷蔵庫にまで本を入れてるほどで」
(´・ω・`)「誰に言ってるの?」
(´・ω・`)「公募されてる文学賞とかで、応募作の下読みをするバイトはあるけど……」
(´・ω・`)「でも全部ハードカバー本だったんでしょ」
彡(゚)(゚)「そうなんや」
(´・ω・`)「まあ僕も面接受けてみようかな、本を読んでお金がもらえるなんて最高だ」
彡(゚)(゚)「試験があるんやで、大丈夫か?」
(´・ω・`)「……」
(´・ω・`)「たぶん逆を行けばいいんだろうな…」
彡(゚)(゚)「何ブツブツ言ってんねん」
彡(゚)(゚)「採用されてよかったな」
(´・ω・`)「うん、予想通りだった、ボケすぎないように書くのが難しかったけど」
彡(゚)(゚)「?」
彡(゚)(゚)「今日はコレにするかな、「ゴリラ五千匹の城」か」
(´・ω・`)「ふーん……これはミステリー…。これは青春小説か……並べ方に脈絡がないなあ」
(´・ω・`)「装丁がどれも似たり寄ったり……。紙質も同じ……、奥付は……」
(´・ω・`)「切り取られてるな…なるほど」
彡(゚)(゚)「どうしたんや?」
(´・ω・`)「ここの本はね、ぜんぶアマチュア……素人が書いた本だと思う」
彡(゚)(゚)「え?」
(´・ω・`)「あなたも本を出してみませんか? って広告を見たことはない?」
(´・ω・`)「いわゆる自費出版の広告だね」
彡(゚)(゚)「あるような気がする」
(´・ω・`)「部数やページ数にもよるけど、自費出版にはだいたい100万から1000万ぐらいかかるんだ」
(´・ω・`)「企業の社長に自伝を書かせたり、お金を持ってて小説執筆が趣味な人に出版を持ちかけるんだね」
(´・ω・`)「出版社としては手数料が収入になる、専門に扱ってる出版社もあるんだよ」
彡(゚)(゚)「自費出版かあ、売れるんか?」
(´・ω・`)「売れないよ」
彡(゚)(゚)「へ?」
(´・ω・`)「でもね、自費出版を請け負ってる出版社は、特定の書店と提携していて」
(´・ω・`)「そういう書店にはちゃんと陳列されるし、書籍コードが発行されて国会図書館に納本される」
(´・ω・`)「これがお金持ちの自尊心に響くんだろうね」
彡(゚)(゚)「なるほど、検索しても出てけえへんはずやな」
彡(゚)(゚)「それで、ワイらみたいなバイトを雇って感想を書かせると」
(´・ω・`)「……うーん、でも何か、そこまでするかな、って気もするけど」
(´・ω・`)「それに自費出版とはいっても、検索結果がゼロ件になるはずは……」
(´・ω・`)「まあいいや、とりあえず僕もちゃんと読むよ、三冊がノルマだったね」
彡(゚)(゚)「せやな、とりあえず仕事しよか」
(´・ω・`)「ふむふむ、近未来SFかな……」パラパラパラパラ
彡(゚)(゚)「読むの早いなあ」
-1時間後-
(´・ω・`)「……」
(´・ω・`)「何だこれ……」
彡(゚)(゚)「どないしたんや?」
(´・ω・`)「ちょ、ちょっと、他の本も取ってくる」
(´・ω・`)「取ってきた」ドサドサッ
彡(゚)(゚)「ど、どないしたんや、こんなにたくさん」
(´・ω・`)「ここの本、何かおかしい……」
(´・ω・`)「文体が画一的すぎるし、言葉遣いがどこか変だ、すごく奇妙な語彙が、複数の作品で出てくる」
(´・ω・`)「これはシェアードワールド? 何かの二次創作? 同じ小説教室での習作? いやそれとも……」
彡(゚)(゚)「??? ワケ分からんで、何を言うてんのや」
(´・ω・`)「ちょっと待ってて……あと何冊か読めば確信が……」パラパラパラパラ
(´・ω・`)「…………」パラパラパラパラ
彡(゚)(゚)「どないしたんや、説明してくれ」
(´・ω・`)「やきう君、この会社の事務所ってどこにあるの?」
彡(゚)(゚)「へ? 事務所? いや知らんけど」
(´・ω・`)「……上のビルはダミーだろうな、とすると下か」
(´・ω・`)「やきう君、ここで待ってて、ちょっと調べたいことがあるんだ」
(´・ω・`)「もし僕の予感が本当なら……」
― 回想終わり ―
彡(゚)(゚)「え、行くって」
警官「その子は黒服に拉致されとるんやろう、ほんで君は記憶を消されたんや」
警官「そのビルに助けに行くで、案内してくれ」
彡(゚)(゚)「え、ええけど」
彡(゚)(゚)「どうやって入ろうか……ってあれ、警官のおっさんおれへん」
彡(゚)(゚)「あっ、すでに入り口に」
警官「あーもしもし、そこの兄ちゃん」
黒服「え、私ですか」
警官「しねえええええええええええ!!!!」ズギューン
黒服「グワーーーッ!!」
彡(゚)(゚)「!?!?!?!?」
彡(゚)(゚)「ななな、何してんねん!!」
警官「心配せんでもええ、非殺傷のゴム弾や、骨ぐらい折れるかも知れんけど」
彡(゚)(゚)「いやいや! それ以前にいきなり発砲とか!」
警官「エレベーターはどこや!!」
彡(゚)(゚)「あ、あ、あっちです」
警官「ふん、大したことないな、ニューナンブやと不安やったけど余裕やな」
彡(゚)(゚)「撃ちまくっとる……天才バカボンの警官みたいな人や……」
彡(゚)(゚)「しかもエレベーターで行ける一番下が、地下125階て……」
警官「やれやれ、かなり大規模に作ったもんやな、後始末がわややで」
彡(゚)(゚)「原住民は無事やろか」
警官「心配いらん、ここの人間を殺したら重罪や、そこまではせんやろ」
彡(゚)(゚)「ここの人間?」
警官「なんや、まだ分かってへんのか?」
警官「おっと、その部屋がオフィスみたいやな」
警官「(ドアを蹴り開ける)」
彡(゚)(゚)「いちいち乱暴やなこの人」
警官「おらおらー、全員お縄につけやー」
黒服A「ち、ちくしょう、ここがバレるとは」
黒服B「だからもっと田舎がいいと言ったんや」
彡(゚)(゚)「あ、原住民もおる」
(´・ω・`)「やきう君!」
(´・ω・`)「気をつけて! この人たちは――」
警官「心配いらん、もう本部に連絡済みや、ワイに見つかった以上、暴れても無駄やと分かるはずや」
彡(゚)(゚)「本部…? ワイに…?」
警官「そうやで、こう言ったほうが分かりやすいか?」
警官「ワイはタイムパトロールや! 全員、神妙にお縄につけや!」
警官「よっしゃ全員転送完了や、あとは黒服どもが元いた時代で裁かれるやろ」
警官「あの地下施設は業者を呼んで潰させるわ、今日中には跡形もなくなるやろ」
彡(゚)(゚)「タイムパトロールってホンマにいたんやなあ」
彡(゚)(゚)「どうりで警官らしくないと思ったわ」
警官「いろいろ苦労があるんやで、武器をこの時代に合わせんといかんからな」
警官「このニューナンブは博物館から借りてきたんや」
彡(゚)(゚)「はあ」
警官「あれはな、未来の人間や」
警官「未来になるとな、いろんな技術が進歩するんやけど、その中の一つに、創作活動の補佐っちゅうもんがある」
彡(゚)(゚)「補佐?」
警官「そうや、小説で言うと、口であらすじを説明したり、設定を指定するだけで、あっという間に小説を仕上げてしまう、っちゅうソフトがあるんや」
彡(゚)(゚)「ほーん」
(´・ω・`)「絵画における自動生成と似たようなものですね」
(´・ω・`)「あれも、かなり水準が上がってるらしいけど……」
警官「せやな、似たようなもんや」
警官「なにしろ、「こんな話を書け」と命令すれば、AIがすぐにこしらえてしまうからな、専門職としての作家もほとんど生き残っとらん」
(´・ω・`)「そんな……」
彡(゚)(゚)「言葉遣いが妙やとか言うてたのは、あれが未来人の書いた本やったからか」
警官「そうやな、そして、ほとんどの人間が表現者になったことで、「読者」が存在しなくなったんや」
警官「作品は一日に何十億ってペースで増えていくのに、誰も読んでくれへんのやな」
警官「そういう人もおるけど、やっぱり生身の人間に、って人もおるんや」
(´・ω・`)「同じ時代の人を雇えば……いやでも、雇われた人間には読んでほしくないのか……」
警官「そういうこっちゃ、彼ら……つまり未来の金持ちたちはな、率直な感想が欲しかったんやな」
警官「ほんでこの時代で読者を集めてたんや、未来人が書いた本やと気づきにくそうな子をな」
彡(゚)(゚)「せやけど、ワイ一日に三冊しか読んでへんで」
警官「なに、60年もやってれば数万冊は読めるやろ」
警官「未来人にしてみれば、こっちの時代で何年かけようが同じやからな」
彡(゚)(゚)「なるほどなあ」
彡(゚)(゚)「ワイは記憶を消されてたみたいやけど、原住民は何かされたか?」
(´・ω・`)「いや、軟禁されてただけだよ、食事もちゃんと出てたし」
(´・ω・`)「給料もずっと出てた、一日に40冊読んでたら歓迎されちゃって」
彡(゚)(゚)「のん気やなあ、心配してたのに」
彡(゚)(゚)「えっ」
彡(゚)(゚)「……ワイらの記憶は消さへんのか?」
警官「できるけど、そんな命令は出てへん、でも分かるやろ、タイムパトロールは存在してるんや」
警官「君らが手に入れた未来の情報で、金儲けしたり、悪さしようとすれば……」
彡(゚)(゚)「わ、分かったわ」
(´・ω・`)「分かりました」
警官「ほなな」バシュッ
彡(゚)(゚)「うわ、消えた」
(´・ω・`)「それにしても、過去の人間を使うなんて……」
(´・ω・`)「黒服に依頼した人たちは、そこまでして本を読んでほしかったのかな」
彡(゚)(゚)「せやなあ、今ですら世の中に小説が溢れてるのに……」
彡(゚)(゚)「なんや世知辛い話やで」
(´・ω・`)「まあ、そんな暗い未来にならないように、読書家が生き残ることを祈りたいね」
彡(゚)(゚)「せやな」
彡(゚)(゚)「……」
(´・ω・`)「うん?」
彡(゚)(゚)「警官のおっさん来えへんかったら、みんな幸せやったんちゃう……?」
(´・ω・`)「…………」
(おしまい)
ついでに宣伝を……最近書いたやつはこちら
巨人「巨人に入りたい」彡(゚)(゚)「えっ」
彡(゚)(゚)「これ……誰の結婚式やったっけ?」
「SS」カテゴリのおすすめ
「ランダム」カテゴリのおすすめ
コメント一覧 (50)
-
- 2018年10月11日 11:19
- オチwwww
-
- 2018年10月11日 11:19
- なんか独特の雰囲気で面白かったわ
イッチの別の作品があるならまた読ませてもらう
-
- 2018年10月11日 11:41
- 最近のSSの中では屈指の出来だと思うわ。
管理人はこういうのだけまとめてくれればエエんやで?
-
- 2018年10月11日 12:00
- 好き(率直な感想)
-
- 2018年10月11日 12:05
- 面白かった。久しぶりにSSって感じで良かった。
-
- 2018年10月11日 12:07
- 今は昔よりもはるかに豊かになって、餓死する人病死する人は減った。
しかし、心を病んでしまう人、孤独死する人、何より自死する人は増加の一途を辿っている。
本当の幸せって何だろう?
-
- 2018年10月11日 12:15
- 一太郎で思わず吹いたわ
-
- 2018年10月11日 13:23
- ホームズの赤毛連盟みたいな話かと思ったらもっと平和だったね。どれだけ科学が進んでも、それに人間が適応しきれなければ哀れであるのう。
-
- 2018年10月11日 13:26
- この作者のSSの雰囲気好きやわ
-
- 2018年10月11日 14:02
- 本を読むだけのバイトやりたい
たっぷり読むぞ
悪用もしない
なにより読んで欲しいって気持ちは凄いわかる
速読じゃないけどやらせてくれ
遊んで儲かるとか最高
-
- 2018年10月11日 14:03
- 一太郎ちょっと信じてしまったやんけクソ
-
- 2018年10月11日 14:06
- 巨人に入りたい巨人書いた人か
面白いわけや
-
- 2018年10月11日 14:34
- この作者の書くお話全部味があっていいね
-
- 2018年10月11日 14:55
- さてはプロだなこいつ
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- 2018年10月11日 15:10
- この作者ほんま安定感あってすごい
-
- 2018年10月11日 15:18
- この人の作品読んでると自分が頭良くなったと錯覚する。
-
- 2018年10月11日 20:12
- こんな感じの高い質のssだけまとめてくれ
あるいは過去の傑作を再開してくれ
-
- 2018年10月11日 20:20
- 上手いなあと唸る出来。オチの気が抜ける感じもワザ
-
- 2018年10月11日 20:24
- 漫画でも打ち切りになっても一冊だけ単行本化されて読まれるうちは幸せかも知れないなあ。
-
- 2018年10月11日 20:24
- やっぱしこの人のは良いねえ
-
- 2018年10月11日 20:34
- 良く出来てるし掛け合いも楽しいし面白い
おまけに感想も心地良いw罵倒とか見たくないし
-
- 2018年10月11日 21:18
- とても面白かった
-
- 2018年10月11日 21:24
- どうでも良いけど、今の時代でも読んでる小説がどんな人が書いたのかなんてほとんど気にしないし、自分だったらこんな話を書くってみんな想像してるのに他人の創作物読んでるんだからaiが小説書くようになっても読者が無くなることはないんじゃない?
-
- 2018年10月11日 21:29
- 緩いオチがいい感じ
-
- 2018年10月11日 23:24
- 結婚式SSの人か!
-
- 2018年10月11日 23:25
- 面白かった
こういうのでいいんだよこういうので
-
- 2018年10月12日 00:00
- ほんとこの作者の作品は安定してる
見本になる起承転結
-
- 2018年10月12日 01:16
- 面白かったから過去作も辿って読んでみたけどいっこもハズレがねぇのな
王道でいて斬新、シリアスでありつつ「誰に言ってるの?」の様式美は欠かさず、やきうなのに極度の下ネタもなく読みやすい
荒唐無稽なんだけど何となくちょっとありそうな世界観、たまらんね
-
- 2018年10月12日 02:11
- この人のSS好き
リアルでも何か活動してたりするのかな?
-
- 2018年10月12日 02:55
- このシリーズって全部でいくつあるの?
-
- 2018年10月12日 06:09
- 将棋星人と宿題とガンプラ食べる人だっけ?
-
- 2018年10月12日 06:11
- これは面白い!!※欄が絶賛だから怪しんで読んだ自分を殴りたい。
地の文無しで簡潔かつわかりやすい表現でグイグイ読ます。これは恐れ入った。
-
- 2018年10月12日 11:00
- ざっと見た感じだとこれくらいか?
巨人「巨人に入りたい」彡(゚)(゚)「えっ」
彡(゚)(゚)「これ……誰の結婚式やったっけ?」
彡(゚)(゚)「通りぬけフープを地面に置いたらどうなるんやろ…」
彡(゚)(゚)「将棋星人やて?」
-
- 2018年10月12日 11:01
- 続き
彡(゚)(゚)「あのゾンビ、めっちゃタケノコの匂いする…」
彡(^)(^)「昼はガンプラ食うたろ!」
神「人間よ、宿題やっとるか」 彡(゚)(゚)「え?」
地球「なんかウ○コ出そう」彡(゚)(゚)「えっ」
-
- 2018年10月12日 11:11
- 宇宙人と将棋してたのもこの人かな
この人の作品本当に面白いわ
-
- 2018年10月12日 12:09
- やっぱ赤毛連盟連想する人いたか。
この人の作品始めて読んだけど、いつの間にか引き込まれるな
-
- 2018年10月12日 13:19
- よそのサイトだけど
「不思議net 星新一」でまとめてある
-
- 2018年10月12日 18:04
- 面白かった!
-
- 2018年10月13日 12:24
- なんか作者の自演コメントっぽいのが散見されていて草
話は良かったけれど、作者ageのわざとらしい感じが気になりすぎて正当評価は無理
-
- 2018年10月13日 16:25
- 批判する所なんてなんJ要素以外ないんだから、ここでは賛の声しかないのも当然では?
-
- 2018年10月13日 17:47
- ※39
捻くれすぎてて草
もっと素直に見れないんですねぇ
-
- 2018年10月14日 14:30
- オチが全てだわ
取り締まる必要なかった
-
- 2018年10月14日 18:04
- このイッチのSSほんとすこ
-
- 2018年10月14日 18:25
- 仮に作者の自演コメントがあったとして、40ほどのコメントを全部一人で書くわけもなく、程々にコメついてて基本的に全部プラスに向いてるもんなら読んでコメつける人だってそれなりにいるでしょうよ
自演してようがしてまいが、究極的には面白いか面白くないか、それだけだと思うがね
-
- 2018年10月14日 19:50
- 確かにコメントの作者持ち上げに胡散くささを感じなくはない
でもssの内容には関係ないことなんだから正当に評価できないなんて寂しいこと言うなよな
-
- 2018年10月15日 08:51
- かなり面白かった
-
- 2018年10月15日 20:00
- おもろかったで☆
-
- 2018年10月15日 21:29
- 赤毛連盟とやらを気になったから読んでみたけど
連想するのはわかるけど似てないだろ
「謎の仕事を頼まれた」「実はこういう裏があった」という形の話ならいくらでもあると思う
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- 2018年11月01日 18:52
- この人の新作に今更気付いたわ
やっぱり面白いなあ
オチ、確かにあの場では皆winwinだったのかも知れんけど警官が釘刺してた通り未来の知識を悪用する奴が出ないとも限らんよなあ
あとタイムパラドックス的な事が起こるかもしれんし
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- 2019年01月03日 12:06
- 面白い。この一言に尽きる。
星新一系のショートショート好きにはたまらない出来。完全オリジナルでこれは凄い。