武内P「そろそろ、寂しさが限界です」
凛「寂しさが限界って、意味わからないんだけど」
ちひろ「あの……どういう事でしょうか?」
武内P「千川さん、お願いがあるのですが」
ちひろ「? はい、何ですか?」
武内P「こう、頭を抱きしめていただけませんか」
ちひろ「!?」
美嘉・凛「!?」
武内P「30分程度で、大丈夫だと思いますので……」
ちひろ「あの、一体どうしちゃったんですか……?」
武内P「寂しさが限界に――」
武内P「――ああ……うあああ……!」ブルブル
ちひろ「!!?」
美嘉・凛「!!?」
ちひろ「ぷっ、プロデューサーさん!? 凄く震えてますよ!?」
武内P「お願いします……! お願いします、千川さん……!」ブルブル
ちひろ「そっ、そんな事言われても……」
武内P「ひぅ……うぅっ……! 寂しくてたまらない……!」ブルブル
ちひろ「あ……ううっ……!?」
美嘉・凛「……」
ちひろ「……っ! もう!」
ぎゅっ
ちひろ「こっ、これで良いんですか!?///」
武内P「……ありがとうございます……あぁ、寂しさが消えていく……」
ちひろ「そ、そうですか……///」
美嘉・凛「……」
ちひろ「っ、はい! もう終わりです!」
パッ!
武内P「!?」
ちひろ「プロデューサーさん、寂しさが限界って――」
武内P「あっあっあっあっ!」オブオブ
ちひろ「――まっ、まだだったんですか!?」
美嘉・凛「……」
ちひろ「す、すみません! 急に離れて!」
ぎゅっ
武内P「……いえ」
ぎゅううっ!
ちひろ「……」
ちひろ「……」キュウンッ!
美嘉「アタシ、今のちひろさんの気持ちがわかった」
凛「うん。明らかに母性本能を刺激されたよね」
ぎゅううっ!
ちひろ「だ、大丈夫ですよ。もう、急に離れませんから!」
武内P「……はい」
ぎゅっ
ちひろ「……」キュウンッ!
ぎゅうっ!
美嘉「ちひろさんの抱きしめる力、強くなった」
凛「あんなに不安そうな顔されたら、仕方ないかな」
ちひろ「……良いんですよ、プロデューサーさん」
武内P「……千川さん?」
ちひろ「プロデューサーさん、いつも頑張ってますから」
なでなで…
武内P「……そう、でしょうか」
ちひろ「だから、たまには誰かに甘えても良いんです」
なでなで…
美嘉「頭! 頭を撫でだした! ねえ、凛!?」
凛「見ればわかるから! 落ち着いて美嘉んあああああ!」
美嘉「凛!? 落ち着いて、凛!?」
ちひろ「うふふっ、そうですか?」
なでなで…
武内P「はい、とても」
ちひろ「……」キュウンッ!
なでなで…
凛「知ってる? 朝顔の種って、食べちゃいけないんだよ」
美嘉「初めて聞いたケド……なんで、急にその話を?」
凛「食べたら幻覚を見ると言う朝顔の種が、ここに」
美嘉「ヤバーイ★」
ちひろ「いつも頑張ってて偉いですよー」
なでなで…
武内P「……心が、洗われるようです」ホッコリ
ちひろ「私が、ついてますからねー」
なでなで…
武内P「……私は、此処に居ても良いのですね」ホッコリ
美嘉「聞いちゃいないね」
凛「……引き剥がすのは無理、かな」
凛「――行くよ。蒼い風が、駆け抜けるように」
ぎゅっ!
武内P「!?」
ちひろ「凛ちゃん、美嘉ちゃん!?」
美嘉「べっ、別に? いつもお世話になってるお礼っていうか?」
凛「うん。ちひろさんだけに面倒をかけるのは、良くないかなって」
武内P「うわあああああっ!?」ブルブル!
ちひろ・凛・美嘉「!?」
美嘉「えっ、なんでアタシ達が抱きしめたら!?」
凛「ちょっと、どういう事!? 説明して!」
武内P「ああああ! うわあああ!」ブルブル!
ちひろ「っ! ウチの子に触らないで!」
ぐいっ!
美嘉・凛「!?」
ちひろ「もう大丈夫ですよー、怖いお姉ちゃん達は居ないですよ―」
なでなで…
武内P「はい……ありがとう、ございます」
ちひろ「……」キュウウンッ
美嘉・凛「……」
凛「美嘉が抱きしめたら、急に騒ぎ出した……?」
美嘉「は?」
凛「そういう怖い所が駄目だったんじゃない?」
美嘉「……怖かったのは凛の方じゃない?」
凛「あ?」
ちひろ「私がついてますから、安心してくださいねー」ニッコリ
なでなで…
武内P「……良い、笑顔です」ホッコリ
ちひろ「……」キュキュウンッ!
美嘉・凛「……」
なでなで…
武内P「あの……先程の、ウチの子、というのは……」
ちひろ「あっ……もしかして、嫌でしたか?」
なでなで…
武内P「いえ……悪くないものだと、そう、思いました」
ちひろ「……」キュキュキュウウンッ!
美嘉・凛「……」
ちひろ「……」
なでなで…
武内P「あの、千川さん? もう、大丈夫ですので……」
ちひろ「そう、ですか? 本当に?」
なでなで…
武内P「はい。ご迷惑をおかけしました」
ちひろ「……」
美嘉・凛「……」
なでなで…
武内P「……」
ぐいっ!
ちひろ「あっ……」ションボリ
武内P「……申し訳ありません、これ以上は」
ちひろ「そう……ですよね」ションボリ
武内P「ですが……また、お願いするかもしれません」
ちひろ「! も、もうっ! プロデューサーさんはしょうがないですね!」パアッ
美嘉・凛「……」
美嘉・凛「ねえ」
武内P「? はい、何でしょうか?」
美嘉「アタシ達の――」
凛「――どっちが怖かったの?」
武内P「……すみません、寂しさが限界だったので、よく覚えていなくて」
美嘉・凛「……」
武内P「ですが、次の機会があっても、お気持ちだけ受け取っておきます」
美嘉・凛「……」
武内P「いえ、アイドルの方がそのような事は……」
凛「アンタ、私のプロデューサーでしょ?」
武内P「渋谷さん。だからこそ、です」
美嘉・凛「……」
武内P「絶対に、いけませんよ」
美嘉・凛「……」
美嘉「……うん、チョー安心する★」
凛「……私も。美嘉って、やっぱりお姉ちゃんなんだね」
美嘉「そうだよー★ 年上だし、ね!」
凛「でも、お姉ちゃんも甘えたい時、あるよね」
美嘉「……うん。だから、甘える」
凛「……私も、今は甘えさせて」
ぎゅっ!
未央「……何? アレ」
武内P「寂しさが、限界だったようです」
おわり
「はぁ……んっ……はぁっ……!」
千川さんの、美しい桃色の唇から艶めかしい吐息が漏れる。
本来ならば聞くことはない、普段とは全く違う彼女の声。
悶える姿から発せられる色気は、まるで極上の娼婦のよう。
「千川さん……!」
千川さんに、声をかける。
「プロデューサー……さぁん……!」
彼女も、息を切らしながらそれに応える。
「っ……!」
私はプロデューサーであり、彼女は事務員だ。
アイドル達よりも、近い関係。
「もう……! もう、私……!」
彼女の、限界が近い。
爪を立ててもがく千川さんが、苦しげな声を出している。
私は、そんな彼女にかける言葉は一つしか思いつかない。
「……頑張ってください!」
此処は、346プロダクションの社用車内。
運転するのは私で、
「ぐっ……こ、こきゃっ、こ……!」
千川さんは、助手席で腹痛に悶えていた。
「っ……!」
千川さんは、今日は午後からの出勤だった。
プロジェクトメンバーを仕事先に送る、帰り道。
その道程で、千川さんの自宅が近い事を知ってしまっていた。
「あっあっ……!」
故に、事務所に戻る途中で千川さんを拾って帰る。
そんな結論に至ったのは、至極当然の事だろう。
仕事上の付き合いとは言え、人間関係は円滑にすべきだ。
「ひぃーっ! はっ、ほひぃーっ!」
千川さんは、最初はその申し出を固辞していた。
その事に彼女との距離を感じたものの、そのまま引き下がった。
あくまでも、彼女の意思を尊重するべきだ、と。
しかし、プロジェクトメンバー達が「せっかくだから」と強引に彼女を説得したのだ。
「……ふぅ……ふぅ……!」
私達だけ、いつもプロデューサーさんに送迎をしてもらったりしている。
だから、せっかくだからちひろさんもお願いしちゃいなよ、と。
その時のプロジェクトメンバー達の、輝く笑顔が今は懐かしい。
「あっ……また波が……!」
そんなメンバー達に説得された時の千川さんは、少し困った顔をしていた。
しかし、上目遣いで茶目っ気を出しながら、はにかんだ千川さんの笑顔。
ほんの少しの間だけど、ドライブデートですね……と、冗談交じりで。
ああ、その台詞を聞いたメンバー達は、盛り上がっていましたね。
「ぐっ……おおお……!」
千川さんは、今、何を思っているのだろう。
出来ることならば、メンバー達を恨むような事は、しないで欲しい。
「うん……うん……うっ……!?」
波をやりすごそうとして、失敗したのだろう。
チラリと横目で見た千川さんの顔は、普段の彼女とは似つかない。
腹筋に力が入らないよう、顔の筋肉を全て弛緩。
口はパカリと開き、視線は定まることなく宙を彷徨っている。
「はぁー……ほぉー……」
最早、人の発する言葉ではない。
壊れる寸前の蓄音機が奏でる、断末魔の音色。
それを断続的に響かせる千川さんは、一体、何なのだろう。
「千川さん、もう着きます!」
そんな事は、決まっている。
プロデューサーの私を支えてくれる、大事な仲間だ。
「あっあっあっあっ!」
千川さんが、一際大きな声をあげた。
虚ろな目に飛び込んだ、城。
私達が共に働く、346プロダクションの事務所だ。
「間に、合いましたね!」
チラリと、横目で千川さんの様子を確認する。
私の口元には、笑みが浮かんでいた。
「いいえ」
だが、その笑みは続くこと無く、一瞬で掻き消えた。
いつも、朗らかな笑みを浮かべる千川さん。
彼女が一切の表情をなくしているというのに、どうして私が笑顔でいられようか。
「プロデューサーさん」
先程までとは違う、とても落ち着いた声。
まるで、いつもの、優しい笑みを浮かべている時の彼女の声のようだ。
しかし、
「私ね、今日はちょっと楽しみだったんです」
無。
今の彼女からは、何も感じない。
そこに確かに存在するのに、その存在が虚空に飲み込まれているようだ。
それは、彼女が消えて無くなりたいと、そう願っているからだろうか。
「お待たせしちゃいけないな、って準備もバッチリして」
彼女の声を聞きながら、私は事務所の前に停車した。
運転の片手間に聞くような、そんな話ではない。
千川さんは今、とても大事な話をしているのだから。
「でも、こんな事になっちゃいました」
彼女が目尻に涙を浮かべているのは、己の不甲斐なさからか。
それとも、打ち寄せる後悔からか。
「……すみません、千川さん」
私も、右手を首筋にやり、左手で自らの目元を軽く拭う。
「プロデューサーさんが、泣く必要は無いですよ」
そう言って、千川さんは女神のような笑顔を私に向けた。
「……申し訳、ありません」
違うんです、千川さん。
あまりの臭さで、目がシパシパしてきただけなのです。
「プロデューサーさんは、悪くありません」
窓を開けても、良いだろうか。
このままの状態が続くのは、非常にまずい。
しかし、此処は事務所の前だ。
いつ、誰が通って、窓から流れ出る悪臭を浴びるともわからない。
「全部、私が悪いんです」
嗚呼、何故、私はこんな所に車を停めてしまったのだろう。
前進し、社用車専用の駐車場に車を停め、脱出。
後退し、どこか適当な所に車を停め、脱出。
進むことも戻ることも、今となっては出来そうにない。
「……全部、私が」
そう、全ては千川さんの許可を取ってからだ。
この場に留まっていても、何も解決はしない。
「千川さん」
可能な限り、優しく千川さんに話しかける。
今の彼女は、とても傷ついている。
自らを責め、全てを背負い込もうとしている。
仲間として……断じて、見過ごすわけにはいかない。
「はい……何ですか?」
気丈にも、彼女は涙を流していなかった。
その強さは、私も見習いたいと、そう、考えます。
しかし、私はこうも思うのです。
その強さをお腹にも、少しだけ分けてあげて欲しい、と。
「……すみません。少し、待ってください」
彼女が首を傾げた時に香った、シャンプーの香り。
それが合わさった異臭が私の鼻を直撃し、意識が飛びそうになった。
手を口元にやり、考え事をするフリをする。
そうすれば、自然と鼻の穴を手で塞げるから。
「……」
千川さんが、私の言葉を待っている。
次に発する言葉が、彼女のこれからに大きく関わってくるのは明白だ。
出来ることならば、最善を。
私と、千川さんのためになる、最も良い選択をしなければならない。
「……千川さん」
「……はい」
だが、私はどの選択肢も選ばなかった。
「兎に角、この場を移動しましょう」
選ばないという選択を選んだのだ。
問題の先送りでしかない提案だが、今は、それで良い。
私は今、一刻も早く窓を開けて新鮮な空気を肺に送り込みたい。
申し訳ありません、千川さん。
このままこの状態が続けば、私は地上で溺れてしまいそうなのです。
「そう、ですね」
千川さんは、薄々だが私の様子を見て察していたのだろう。
自分の生み出してしまったものが、とんでもない代物だという事に。
自分だとわからないけれど、他人は鮮明に感じるという、アレです。
「では発車します」
千川さんの同意を得た私は、すぐさま行動に移った。
普段よりも口調が早くなってしまったのは気付いていたが、それは許して欲しい。
この場を離れられるという事は、遂に、窓を開けられるのだから――!
「……!」
しかし、焦った私は発車する前に窓を開けてしまった。
「あっ、ちひろさんにプロデュー……うえっ!? げほっ、ごほっ!」
それが、さらなる悲劇を産んだ。
「は、鼻が……!? それに、目が……!?」
窓から解き放たれた悪臭の直撃。
不意を付かれる形のそれは、彼女から嗅覚だけでなく、視覚まで奪ったようだ。
突然の事に驚き、その両手は何かを探すように前に突き出されている。
「っ……!」
彼女には申し訳ないが、時間とともに回復して貰うしか無い。
今は、一刻も早く臭いの原因を取り除かなければならない。
しかし、本当に申し訳ありません。
外の世界を知ってしまった今、また、窓を閉めるのはとても難しいのです。
「どこ……!? どこ……!?」
だが、このままでは発車出来ないのも事実。
彼女の両の手が、車体に触れてしまう可能性がある。
それだけは、なんとしても避けなければ。
だから――
「Let’s go~♪ あのヒ~カリっ目指して~♪」
――私は、歌った。
闇の中を彷徨う彼女を導くように、高々と、大声で。
「!」
私の声は、彼女に届いた。
その結果、彼女は『Star!!』の振り付けの通り、人差し指を天に向けていく。
はい、これで安全に発車出来ますね。
「では、発車します」
私は、感情を殺してつぶやいた。
千川さんも涙と鼻水によって、視覚と嗅覚を奪われていた。
だが、きっと私の声は届いただろう。
その証拠に、千川さんの泣き声が一際大きくなったのだから。
おわり
「シンデレラガールズ」カテゴリのおすすめ
「ランダム」カテゴリのおすすめ
今週
先週
先々週
コメント一覧 (19)
-
- 2018年10月08日 09:31
-
最近、武内多いな
-
- 2018年10月08日 09:55
- 俺の苗字は武内でチン長は17cmなんだが、そんな俺は指原以外のアイドルに性的興奮を覚えないのだ
-
- 2018年10月08日 09:57
- 採金の武内Pのゴリ押しは何なんだよ。
-
- 2018年10月08日 10:24
- 武内は未央ちゃんを侮辱したから嫌い
-
- 2018年10月08日 10:38
- ※4
採金…鉱石から金を採ること。
武内Pの仕事は金を採る事だったのか。プロデューサーってそういう…。
-
- 2018年10月08日 10:45
- 採金…金玉まで毟り採られること。
武内Pはタマ無しだったのか。プロデューサーってそういう…♂
-
- 2018年10月08日 11:11
- そういえば何個か前の作品で大人組に脱プンさせていく事になるフラグのようなレスがありましたっけねぇ…
でもまだ千川の番じゃねえだろう…
-
- 2018年10月08日 11:39
- 武内P、バブみでおぎゃったん?
-
- 2018年10月08日 11:40
- ゴリ押しもなにも、同じ人が同一スレでずっと書いてるのを個別にまとめてるだけみたいだからなぁ
とうとうタグが出来てるし
-
- 2018年10月08日 12:24
- ちっひは前日飲み過ぎたんかな?飲み過ぎるとユルくなるからね、気を付けなきゃ(今朝やらかした勢)
-
- 2018年10月08日 16:55
- 本田未央はクソ女だけど
別に武内Pがクソ女を侮辱したわけではなくね?
-
- 2018年10月08日 18:57
- でもお前ら本田未央がスケベ顔でチ〇ポ舐めてきたら興奮するんだろ?
-
- 2018年10月08日 19:04
- サトリナのちひコスはよかったよね
-
- 2018年10月08日 19:46
- そんなのどーだっていいから 冬のせいにして暖め合おう
-
- 2018年10月09日 01:33
- 正直好きだ、武内pss
-
- 2018年10月09日 04:47
- オブオブ←なんだこれw
-
- 2018年10月09日 17:19
- 社畜の末路
-
- 2018年10月10日 08:15
-
この作者がじきじきに過去スレも含めてすべて転載禁止って宣言してんだからそろそろ転載やめような?
スポンサードリンク
デイリーランキング
ウィークリーランキング
マンスリーランキング
アンテナサイト
新着コメント
最新記事
LINE読者登録QRコード
スポンサードリンク
好きだねアンタも