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武内P「結婚願望、ですか」

368:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/15(月) 23:36:06.04 ID:IiQdA0Xeo

武内P「そう、でうね……」

CPアイドル達「……」

武内P「無くは、無いですね」

CPアイドル達「!」

…ガチャッ

武内P「あの……何故、鍵を?」

CPアイドル達「なんとなく」

武内P「……」



369:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/15(月) 23:37:41.49 ID:IiQdA0Xeo

未央「したいと、思ってるんだ?」

武内P「はい、いずれは」

卯月「お相手は、居るんですか?」

武内P「今は、仕事が恋人ですから」

凛「ふーん。まあ、そうだと思ったけど」

武内P「……?」

CPアイドル達「……」



370:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/15(月) 23:40:38.89 ID:IiQdA0Xeo

美波「体の相性って、大事ですよね」スルスルッ

武内P「新田さん、服を脱がないでください」

蘭子「我が友よ、その……お嫁さんの実家が、遠くても……?」

武内P「問題無いと、そう思います」

アーニャ「ダヴァイッッ!!」

武内P「何故、両手を広げているのですか、アナスタシアさん?」

武内P「……あの……皆さん……?」

CPアイドル達「……」



371:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/15(月) 23:43:28.11 ID:IiQdA0Xeo

智絵里「見捨てたりは……」

武内P「私の方が、見捨てられそうかと……」

かな子「甘い物、好きですよね―?」

武内P「はい。食には関心があります」

杏「家事とかさ、分担するのが良いよねー」

武内P「それに関しては、はい、問題ないと思います」

CPアイドル達「……」

武内P「……?」



372:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/15(月) 23:46:05.35 ID:IiQdA0Xeo

きらり「Pちゃんは~、おっきぃ子はダメダメ……?」

武内P「いえ、特に気にはしません」

莉嘉「はーい! 歳の差とか、オッケーなカンジ?☆」

武内P「はい、お相手の方が気にしないようでしたら」

みりあ「ねえねえ、子供はいっぱいがいい?」

武内P「それは、話し合いで決めるでしょうね」

CPアイドル達「……」

武内P「……」



373:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/15(月) 23:49:18.13 ID:IiQdA0Xeo

みく「ネコチャンを飼ったりは、どう思うにゃ?」

武内P「そうですね、それも、良いと思います」

李衣菜「ギターの練習とかしても、大丈夫ですか?」

武内P「そういう趣味がおありでしたら、防音室も検討します」

CPアイドル達「……!」

武内P「あの……皆さん?」


ドンドンッ! ドンドンッ!


武内P「!?」



374:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/15(月) 23:54:14.79 ID:IiQdA0Xeo

ドンドンッ! ドンドンッ!


武内P「鍵がかかっていて、入れないようですが……」

未央「入れない? 何のこと?」

武内P「物凄い勢いでドアが叩かれていますよ!?」

卯月「そうですか? 私、何も聞こえないですよ?」

武内P「!?」


ドンドンッ! ドンドンッ!

「カリスマ―!★ カリスマ―!★」


凛「うぶっふ! 鳴き声じゃないんだから……!」

武内P「やはり、聞こえていますよね!?」



375:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/16(火) 00:00:51.30 ID:MlvXbWbko

ドンドンッ! ドンドンッ!

「あー、アタシ結婚願望チョーあるわー!★ つれーわー!★」


美波「でも、プロデューサーさんも結婚願望あったんですね」

武内P「それは、まあ……あの、開けてあげては……」


ドンドンッ! ドンドンッ!

「こう見えて、家事とか得意だし★ カリスマ主婦とか、良くない?★」


蘭子「封印を解いてはならない!」

武内P「ですが、あの……ドアが壊れてしまいそうで……」


「あの……混ぜて?」


アーニャ「ズヴィズダ、無くなりました。もう、大丈夫です」

武内P「そう……ですか」



376:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/16(火) 00:06:51.58 ID:MlvXbWbko

武内P「しかし……何故、私の結婚願望の話を?」

コンコン


智絵里「その……な、なんとなくです……///」

武内P「はぁ……なんとなく、ですか」


コンコン


かな子「和食って、結構お砂糖使うんですよねー」

武内P「……そうですね。気をつけないと、いけないと思います」


コンコン


杏「杏、ゴハンはテキトーでいいよー」

武内P「いえ、栄養バランスを考え、しっかりと食事は……」


コンコン


武内P「あの……開けてあげませんか!?」

CPアイドル達「……」フルフル



377:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/16(火) 00:12:49.12 ID:MlvXbWbko

きらり「うゅ……やっぱり、美嘉ちゃんみたいな子が良いにぃ……?」

武内P「いえ、諸星さんも、魅力的な方だと思います」


コンコン


莉嘉「あっ、でもそれだと、お義兄ちゃん☆ ってPくんの事呼べるねっ☆」

武内P「あの……何の、話でしょうか?」


コンコン


みりあ「あのねあのね、そういうプレイでも、みりあは平気だよ?」

武内P「あの! 本当に何の話をしているんですか!?」


コンコンコンコンコンコンコン


武内P「皆さん、開けてあげましょう!?」

CPアイドル達「……」フルフル



378:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/16(火) 00:19:17.08 ID:MlvXbWbko

武内P「ですが、あまりに不憫すぎます!」


コンコンコンコンコンコンコンコン


みく「Pチャン、ネコチャンの名前はどういう風にきめる?」

武内P「大事な家族の一員ですから、慎重に……スルーですか!?」


コンコンコンコンコンコンコンコン


李衣菜「友達とか呼んでも、良いですか!?」

武内P「その時は、おもてなしをしないといけませんね……あの、ですから!」


コンコンコンコンコンコンコンコン


武内P「っ……! 今、開けますから!」

CPアイドル達「!?」



379:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/16(火) 00:23:51.78 ID:MlvXbWbko

ガチャリ!

武内P「鍵を開けたので、もうドアを叩くのはおやめ――」


ガチャッ


楓「おはようございま――」

武内P「……」


バタンッ…ガチャリ!


武内P「誰も、居ませんでした」

CPアイドル達「……」


コンコンコンコンコンコンコンコン


「ドアがおーぷんしなくて、もぉーぷんぷんです」


武内P「帰ってください! お願いしますから!」



380:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/16(火) 00:28:28.42 ID:MlvXbWbko

武内P「あの……何故、皆さんそこまで……!?」

CPアイドル達「……」

武内P「私に結婚願望があるのが、皆さんに関係があるとは……」

CPアイドル達「……」

ちひろ「優良物件なんです」

武内P「……千川さん?」

CPアイドル達「……」コクコク

武内P「……皆さん?」



381:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/16(火) 00:31:19.37 ID:MlvXbWbko

ちひろ「プロデューサーさんは、自分がどう思われると考えてますか?」

武内P「その……女性から見て、でしょうか?」

ちひろ「はい」

武内P「……仕事人間の、つまらない男、かと」

CPアイドル達「そんな事ありません!」

武内P「!?」

ちひろ「そんな事ないですよ、プロデューサーさん」

武内P「……そう、でしょうか」



382:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/16(火) 00:36:56.45 ID:MlvXbWbko

未央「プロデューサー、一生懸命でカッコイイよ!」

武内P「それは……必死なだけです」

卯月「頑張ってる姿を見て、こっちも頑張らなきゃ、って!」

武内P「それは……皆さん自身の、力です」

凛「目を離さないでくれるって、言ったよね」

武内P「それは……はい、確かにお約束しました」

美波「夜も、とっても頑張ってくれそうです♡」

武内P「それは……はい、私に出来る限り――」

CPアイドル達「……///」

武内P「――いえ! あの、何を言わせるんですか!?」



383:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/16(火) 00:42:33.87 ID:MlvXbWbko

蘭子「言の葉を理解する、魂の同胞!」

武内P「それは……はい、とても大事で、必要でしたので」

アーニャ「ハラショー! ロシア語も、その調子です!」

武内P「それは……待ってください、あの、そこまでは!?」

智絵里「浮気しなさそうで……もう、会話の無い食卓は……」

武内P「それは……あの、何と言って良いか、わかりません」

杏「五分だ五分だと言うけどさ、キューイチでやってくれそうだよね~」

武内P「それは……して、しまいそうです」

かな子「ケーキ美味しい~♪」

武内P「好きなだけ食べていて欲しいと、そう思います」



384:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/16(火) 00:48:01.87 ID:MlvXbWbko

きらり「Pちゃんおっきぃから、きらりも普通の女の子みたいだにぃ~☆」

武内P「それは……他にも、背の高い男性はいます」

莉嘉「Pくん、なんだかんだでチョー優しいもん!☆」

武内P「それは……そう、でしょうか?」

みりあ「うんうん! あのねあのね、それって、とっても素敵だと思うな~!」

武内P「それは……いえ、それこそ、大勢居ると思います」

みく「違うにゃ! ストライキしたみく達を許すなんて、普通は出来ないよ!」

武内P「それは……仏の顔も三度まで、と言いますから」

みく「待って、あと二回何かやったらまずいの!?」

武内P「……」



385:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/16(火) 00:51:31.84 ID:MlvXbWbko

李衣菜「何にせよ、プロデューサーはロックなんですよ!」

武内P「それは……自分では、よくわかりません」

ちひろ「アイドルの子達を見てばっかりですからね」

武内P「……千川さん?」

ちひろ「もっと、自分にも目を向けたら良いと思いますよ」

CPアイドル達「……」ウンウン

武内P「皆さん……」



386:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/16(火) 00:54:45.12 ID:MlvXbWbko

ちひろ「そんな、自分に目を向けないプロデューサーさんだからこそ……」

武内P「千川さん」

ちひろ「滅茶苦茶お金溜め込んでそうだな、って思うんです」

武内P「千川さん?」

CPアイドル達「……」ウンウン

武内P「皆さん?」

ちひろ「年収、おいくらですか?」

CPアイドル達「……」

武内P「……」



387:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/16(火) 01:01:38.38 ID:MlvXbWbko

武内P「……皆さんの思い、伝わってきました」

CPアイドル達「……」

武内P「確かに、私は今まで自分には目を向けてきませんでした」

ちひろ「貯金、おいくらですか?」

武内P「これからは、身の振り方を考えようと……そう、思いました」

CPアイドル達「はいっ!」

武内P「良い、笑顔です」


武内P「恋人である仕事と、このまま結婚します」



おわり



388:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/16(火) 01:05:32.14 ID:MlvXbWbko

次は、ロボ、SF、魔法少女、VSのどれか書きます
寝ます
おやすみなさい



393:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/16(火) 22:22:37.51 ID:MlvXbWbko


「魔法少女、マジカルチッヒ♪」


 変身後の、決め台詞。
 言わなければなんとなく気持ち悪くなっちゃうのよね。
 それに……言わないと、怒られちゃうもの。



「魔法少女、プリティーミッシー♪」



 専務に。



「アナタのハートに、ログインボーナスっ♪」
「課金もしないと、解散させちゃうんだからっ♪」 


 二人揃っての、決めポーズがビシリと決まった。
 今までは一人でやっていたから綺麗に出来るかわからなかったけど、
こういうのって案外ノリで出来るものなのね。
 身長差があるから背中合わせにはしなかったけど、それが良かった。
 私がちょっと前、専務がそのすぐ後ろに控える配置。


「さあ、覚悟しなさい! ガシャットモンスター!」


 魔法のステッキをビシリと突きつけ、言ってやる。
 それにグルルと唸り声をあげて抵抗しようとするガシャットモンスター。


「歯向かうつもりか? 理解出来ないな」


 専務が……いや、ミッシーがツインテールを揺らしながら言った。
 その姿は正に魔法少女、いや、


「行くわよ、ミッシー!」
「当然だ、チッヒ」


 美少女戦士……でもなく、


「三分で片を付ける。私は、あまり気が長い方ではない」


 歴戦の勇士。



395:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/16(火) 22:34:34.63 ID:MlvXbWbko

  ・  ・  ・

「……ふん、他愛ない」


 ミッシーがツインテールを一房かき上げ、言った。
 ガシャットモンスターは既に元に戻っており、路地裏にポテリと転がっている。
 今日のモンスターの元の姿は、ちいさな女の子用の人形。
 髪はグシャグシャで、お洋服も汚れてしまっている。


「……」


 ミッシーはその人形にツカツカと歩み寄ると、両手で優しく抱き上げた。
 その姿は、戦っている時の姿とはまるで別人。


「無様だな。見るに耐えないとはこの事か」


 とても乱暴な言い方だけど、私はそれに口を挟まない。
 だって、ミッシーは――魔法少女だから。


「キミには、以前よりももっと輝いてもらう。成功は私が保証しよう」


 そう言ったミッシーの姿は、慈愛に満ちていた。


「うふふ、専務ったら、お優しいんですね♪」


 職場では、こんな軽口を言ったら怒られてしまう。
 だけど、今の私達は大切なパートナーだ。


「チッヒ。今の私の事は、ミッシーと呼びなさいと言ったでしょう」
「あっ、そうでした……ごめんね、ミッシー」


 ついうっかり、専務とよんでしまう事もあるけれど。
 舌をペロリと出し、両手を合わせてミッシーに謝る。



「……・!?」



 その視線の先に……また、プロデューサーさんが居た。



397:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/16(火) 22:45:44.44 ID:MlvXbWbko


「? どうしたチッヒ、顔色が悪いぞ」
「……!?」


 ミッシーに指摘されたが、今はそれどころではない。
 前回は、何も無かったかのように振る舞い、事なきを得た。
 だけど、今回は二度目。
 それも……私だけでなく、ミッシーの姿も見られた。


「!? まさか、今の戦いで怪我を!?」


 ハッキリ言おう。
 ミッシーの見た目は、ガチでキツい。
 薄桃色に染まったツインテール、可愛らしいフリフリのドレス。
 手に持っている魔法のステッキの先端には、大きな星。
 それを妙齢の、高身長のきつい顔立ちの女性がしているのだ。


「……!?」


 そうですよね、驚いて目を見開きますよね。
 今は大分慣れましたけど……私も、最初は驚きました。


「チッヒ、見せてみなさい」
「……」


 心配そうに私に歩み寄る専務の背面を指差し、告げた。


「ミッシー、見られてるわ」
「? 何にだ」


 ガシャットモンスターは倒したはずだ……と、つぶやきながらミッシーが振り向く。
 そして、問題の人物の姿を確認し、全身をビクリと震わせた。


「……」
「……」
「……」


 流れる、沈黙。



399:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/16(火) 22:57:03.80 ID:MlvXbWbko


 誰かが、口を開かなければならない。
 けれど、誰もが言葉を失っている。
 こういう時にパパッと魔法で解決出来れば、と思う。
 そんなに便利じゃないんですよ、魔法って。


「……ふむ、見られてしまったか」


 ミッシーが、思いの外冷静につぶやく。
 さすがの人生経験か、前にもこういった事があったのかしら?


「その……申し訳、ありません」


 プロデューサーさんが、理由無く謝罪する。
 この人が謝る必要は無いのに、とても綺麗なお辞儀。
 その声が少し震えていたのは、気のせいじゃないと思う。


「気にする事はない。だが、私も初めての経験に戸惑っている」


 凄いです、専務!
 初めて変身中の姿を見られた時の私とは、落ち着き方が違います!
 やっぱり、偉くなる人っていうのはこういう所が違うのかしら。


「専務――」


「プリティイイイッ、バインドッ!!」


 路地裏に、プリティーとはかけ離れた裂帛の気合が響いた。


「うおおおおっ!?」


 ミッシーの魔法のステッキの先端から放たれた光が、
プロデューサーさんの体に絡みつき、その体を拘束する。
 突然の事に戸惑い、プロデューサーさんは叫び声を上げるが、


「静かにしなさい。今の私は、何をするかわからない」


 顔を真っ赤にし、頬をヒクヒクと引きつらせるミッシーが、
魔法のステッキを首筋に突きつけ、強引に中断させた。



400:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/16(火) 23:09:19.01 ID:MlvXbWbko

  ・  ・  ・

「……」


 専務の執務室。
 私達三人は、それぞれが居心地の悪さを感じながら座っていた。
 専務は、自分のデスクに。
 私とプロデューサーさんは、その前にあるソファーに対面で。


「……」


 コチリ、コチリと、部屋に置かれていた時計の針の音が響く。
 この空間は、なんというか……とても心臓に悪い。


「……!」


 主に、プロデューサーさんの。


「――さて、私の言いたい事は、わかるな?」


 専務が、口火を切る。
 話をするために、魔法で彼を拘束し、ここまで連れてきたのだ。


「……何の、話でしょうか?」


 大根役者にも程がある。
 けれど、プロデューサーさんは、専務の望む選択を選んだ。
 それに満足したのか、専務は満足そうに頷く。


「よろしい。私がプリティーミッシーだと言う事は、忘れたまえ」
「……プリティーミッシー、ですか?」
「何だ。何か、問題でも?」
「いえ、なんでも……そうですか、プリティーですか……」


 プリティーという単語に釈然としなさそうなプロデューサーさんの様子を見て、


「うっふふ!」


 私は、笑ってしまった。



401:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/16(火) 23:24:13.20 ID:MlvXbWbko


「どうした、何か可笑しいことでも?」


 すかさず、専務が私の笑いの理由を問うてくる。


「いっ、いえ! 何でもないです!」


 そうは言ったものの、彼女の視線が私から外れる事は無い。


「……」
「……」


 絡み合う視線。
 私達魔法少女ユニットは、今までで最大のピンチを迎えていた。


「……」


 そんな視界の端で、プロデューサーさんが体を小さくしているのが見えた。
 中腰の姿勢で、ゆっくりと、しかし一歩一歩確実に出入り口であるドアに向かっている。


「――んー! んー!」
「!? 離してください! 離してください、千川さん!」


 私は、そんなプロデューサーさんに駆け寄り、腰に抱きついた。
 上着を掴むだけでは逃げられてしまう。


「痛っ!? あの、爪が! 爪が突き立てられて!」
「んー! んー!」


 今の私に出来る、マジカルでも、プリティーでもない、全力の拘束。
 と言うか、普通、今のタイミングで逃げようとします!?


「……」


 専務は、そんな暴れる私達の様子を冷静に見つめていた。
 その目尻にうっすら涙が浮かんでいるのは、見なかったことにしよう。



402:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/16(火) 23:39:12.41 ID:MlvXbWbko

  ・  ・  ・

「……兎に角、今日は何も無かった。良いですね?」


 絞り出すような声。


「「……はい」」


 疲れきった声。
 暴れたせいで私の髪は乱れ、プロデューサーさんはシャツのボタンが二つ程飛んだ。
 痛み分けというには、痛みが大きすぎた。


「……」


 私は、魔法少女マジカルチッヒという事が知られ、変身中の全裸も見られた。


「……」


 専務は、魔法少女プリティーミッシーの姿を見られただけで、大ダメージだ。


「……」


 プロデューサーさんは、大きな秘密を二つ抱える事となった。
 魔法少女二人の正体を知るのは、どんな気持ちなのだろう。
 気にはなるが、それを聞く勇気は私にはない。


「それでは……私は、これで失礼します」


 今度は、誰もプロデューサーさんを止めない。
 そして、私もそれに続こうと、ソファーから立ち上がり――


「待ちたまえ。チッヒ、キミにはまだ話がある」
「……!?」


 ――かけた時、専務……いや、ミッシーがそれを止めた。
 多分、いや、絶対……プリティーで笑ったことを根に持ってるんだわ。
 ああ……今日中に帰れるかしら、私。



405:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/16(火) 23:52:26.53 ID:MlvXbWbko

  ・  ・  ・

「……」


 私は、二人の魔法……少女、はい、魔法少女の正体を知ってしまった。
 それは、不幸な事故であり、タイミングが悪かったとしか言いようがない。
 今後は、迂闊に路地裏に入るのは避けるべきだろう。


「……」


 上着のボタンをプチリプチリと外し、上着を翻した。
 シャツのボタンが二つ外れているので、風が吹くと少し寒い。


「……」


 彼女達は、平和を守るために戦っているのだ。
 ……そう、


「――笑顔のために」


 右のポケットからスマートフォンを取り出す。
 そして、ホームボタンを素早く三回押し、画面を起動。
 流れるように、暗証番号を画面を見ずに打ち込んでいく。


 ――3――4――6!



『LIVE――』



 スマートフォンから、二人分の女性の声が聴こえる。
 そして、スマートフォンを銀色のベルトにかざし、



「変身ッ!」



 私も、私の戦いに身を投じるため、変身した。



『――START!』



おわり



413:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 17:02:11.36 ID:vsTCaTOpo

甘いの書きます



414:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 17:09:18.75 ID:vsTCaTOpo


「……」


 シンデレラプロジェクトの、プロジェクトルーム。
 彼は、自分のデスクに座りながら眠っている。
 きっと、ちひろさんがかけてくれたのよね、あの毛布。


「……」


 起こさないように、そっとドアを閉める。
 だって、この人が居眠りをするだなんて、本当に珍しいんですもの。
 ドアの開け閉めの音で起こしちゃうだなんて、勿体無いわよね。


「……うふふっ」


 どうやって驚かせちゃおうかしら。
 無難に、大きな声でワッと?
 それとも、毛布をバサッと取って?
 ああ、ダメ……考えただけで、ワクワクしちゃうわ!


「……」


 すぅすぅと寝息を立てる彼に、忍び足で近寄る。
 ぐるりと回り込んで、すぐ、手を触れられる所までたどり着いた。


「……」


 彼は、まだ起きない。
 



415:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 17:17:41.27 ID:vsTCaTOpo


「……」


 本当に、よく眠ってるわね。
 もしかして、アナタの目付きが良くないのって、
そうやって寝ててちゃんとベッドで寝てないから?
 だとしたら、ちゃんと寝たらどんな顔になるのかしら。
 目が、キラキラしちゃったりするの?


「……」


 つい、と顔を近づけて、彼の寝顔を間近で観察する。
 いつもの、眉間により気味な皺は無く、まるで子供みたいな寝顔。
 それがとっても可愛らしくて、母性本能をくすぐられてしまう。
 あっ、くすぐって起こすのも面白そう!


「……」


 くすぐったら、どういう顔で笑うのかしら。
 アナタの大笑いする姿なんて、見たことがないもの。
 穏やかな笑みか、噛み殺すような笑みだけ。
 大口を開けて笑ったら……低い声も相まって、悪役みたいになっちゃうかしら?


「……」


 彼が、自分では気付いてないだろう頭頂部の寝癖。
 それを、人差し指でピコピコと揺らしてみる。
 それでも、彼は起きない。


「……」


 いつもだったら、この段階で起きるんですけど、ね。
 これはもう、もっとイタズラする他に無いと思うんです。



416:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 17:26:24.10 ID:vsTCaTOpo


「……」


 デスクの横にしゃがみこんで、寝ている彼を目線を合わせる。
 と言っても、目を開けてるのは私だけ。
 一方的に、私がこの人を観察している。


「……」


 じい、と睨みつけてみる。
 ぷん、と怒った顔をしてみる。
 しゅん、と悲しい顔をしてみる。


「……」


 だけど、彼は目を開けない。
 それは当然よね、だって、寝てるんですもの。
 だから、ふにゃっ、と変な顔をしてみる。


「……」


 ――が、すぐにやめた。
 寝たふりをしているんじゃないかと思ったけど、そうじゃないみたい。
 私のあんな顔を見たら、この人は絶対に反応を示す。
 すぐにやめたのは……もし、あの顔をしている時に目を覚まされたら、
それこそどんな顔をしていいかわからなくなっちゃうから。


「……」


 高垣楓の、貴重な変顔を見逃しちゃいましたね。
 ちょっとアレな、レアな顔でしたよ。



417:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 17:37:02.92 ID:vsTCaTOpo


「……」


 どうしたら、この人は驚くかしら。
 せっかくだから、この状況じゃないと出来ない驚かせ方をしたいわ。
 ワッと驚かせるのは、いつだって出来るものね。
 ……やった事は、無いけれど。


「……」


 そっと、彼の肩にかかっている毛布をはいでいく。
 思いもよらず、その毛布の手触りが良くて、ホゥ、となった。
 大柄な彼のためか、毛布は大きく、かなりの余裕があった。


「……」


 お邪魔しま~す。
 と、私は言葉に出さずに彼に断りを入れた。
 口の動きはちゃんと「お邪魔します」としてたんだし、見てないこの人が悪い。
 アイドルを見るのがプロデューサーの仕事でしょう?
 居眠りしてないで、仕事してください!


「……」


 座る彼の隣にしゃがみ、同じ毛布にくるまっている。
 だけど、離れていてはせっかくの毛布が台無しだ。
 だって、私と貴方の距離が空いてたら、冷たい空気が入り込んじゃうから。


「……」


 そうならない様、彼に体を密着させる。
 スーツ越しに感じる、体温。
 近づく事で、より鮮明に聞こえるようになった彼の寝息。


「……」


 まだ、彼は目を覚まさない。



418:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 17:50:38.80 ID:vsTCaTOpo


「……」


 こんなに無防備で、この人は大丈夫なのかしら。
 もしも私が悪い人だったら、大変な事になってましたよ。
 わかってますか?


「……」


 間近で睨みつけても、彼の反応は無い。
 その事が、ちょっぴり寂しい。
 だって、この人は私が何かしたら、必ず反応してくれるから。
 心からの賞賛や、諦めたようなため息。
 そして、極々稀にだけど……お説教も。


「……」


 つん、と人差し指で彼の鼻をつついてみる。
 だけど、本当によく眠っているのか、反応は無い。
 つんつん、と二回つつく。
 それでも、彼は眠ったまま。


「……」


 鼻をつまむのは……それは、ちょっと可哀想よね。
 絶対驚くとは思うんだけど、まだ、もうちょっと彼を眺めていよう。
 不器用で、真っすぐで、とっても可愛らしい寝顔の彼を。


「……」


 カチリ、コチリと時計の針が時間が進んでいるのを告げている。
 それなのに、何故かこの穏やかな時間は、止まっているように思える。



419:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/18(木) 18:05:11.52 ID:vsTCaTOpo


「……」


 だけど、そろそろ彼を起こしてあげなくっちゃ。
 こんな体勢で寝てたら体が痛くなっちゃうし、風邪を引いちゃうもの。
 それに、イタズラをして起こすと決めてたし、ね。


「うふふっ」


 思わず零れた笑い声。
 それが、零れ落ちないように口を両手で塞いだ。
 あっ、良い事を思いついちゃった。


「……」


 そっと、彼の横顔に顔を近づけていく。
 普通は立場が逆だけど、私はしゃがんで、座ってるから逆でも良いですよね。
 ……ん? なんだかおかしいような、そうでもないような?


「……」


 居眠りをしちゃうような王子様には、お仕置きです。
 そう思う私は、今、どんな顔をしているのだろうか。
 わからないけれど、彼が起きた時に言う言葉はもう、決めてある。


「……」


 ゆっくりと、彼の頬に唇を近づけていく。


「……起きてくださ~い」


 こうすると目覚めるのが、掟、でしょう?



おわり



元スレ
武内P「起きたらひどい事になっていました」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1510316855/
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         コメント一覧 (22)

          • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年10月06日 20:35
          • おう最後のをもっと書くんだよあくしろよ
          • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年10月06日 20:40
          • 3.4.6.

            STANDING BY
          • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年10月06日 20:54
          • 少佐だったらセーフだが専務はアウトかな
          • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年10月06日 21:00
          • なんと続編かいな、もっとかいてクレメンス
          • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年10月06日 21:18
          • >だって、ミッシーは――魔法少女だから

            うわキツ
          • 6. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年10月06日 21:47
          • >ちひろ「滅茶苦茶お金溜め込んでそうだな、って思うんです」

            最低なんだよ、この女は!(睨み付ける音)
          • 7. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年10月06日 22:09
          • >杏「五分だ五分だと言うけどさ、キューイチでやってくれそうだよね~」

            謎の半裸男「五分だ五分だというけれど、ホントは七三くらいがちょうどいい!!」
          • 8. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年10月06日 22:11
          • 魔法撃つ度にMPじゃなくて所持金が減っていきそう
          • 9. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年10月06日 22:23
          • ※7
            流石にウサミン案件ですよ!

            >「カリスマ―!★ カリスマ―!★」
            ここで萌え死んだ
          • 10. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年10月06日 22:53
          • アニメのモバマスってなろう系なん?
          • 11. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年10月06日 22:57
          • ※7
            申し訳ないが縦半分裸男はNG
            そういやNGがセンターマンに絡まれるssがあったな。
          • 12. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年10月06日 23:17
          • 武楓はいいぞ…。
          • 13. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年10月07日 00:06
          • 楓毒はいいぞ・・・。
          • 14. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年10月07日 02:16
          • 記事数増やしたいんだったら、この手を分割しろよ
          • 15. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年10月07日 10:53
          • センターマンw
          • 16. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年10月07日 14:24
          • 仕事と結婚する=仕事はアイドル=アイドルと結婚する Q.E.D証明終了 つまり逃げないでよって話かな
          • 17. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年10月07日 18:59
          • ※16
            仕事=担当アイドル「全員」のプロデュース
            つまり・・・・・

            ところで「携帯電話型のデバイスに暗証番号打ち込んで変身」タイプのベルト使ってると、
            どうあがいてもバッドエンドにしかならないのでは。
          • 18. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年10月08日 00:05
          • ドスケベボディの人?
          • 19. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年10月08日 01:28
          • 楓さんかわゆ
          • 20. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年10月08日 07:53
          • ミッシーwwwチッヒでさえキツイのにミッシーwwwwww
          • 21. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年10月09日 09:16
          • ※13
            申し訳ないが激シコ同人誌はニュージェネ

            武ちゃん総受けSSで腹を満たし、うわキツSSで眠気を飛ばし、楓さんSSで心潤す…ホモサピの三大欲求に対応してますわ
          • 22. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年10月13日 18:43
          • アーニャんシコルスキーになってて草

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

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