ガヴリール「天使と悪魔と残暑とマスター」
- 2018年09月25日 19:10
- SS、ガヴリールドロップアウト
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【エンジェル珈琲】
マスター「今日はまた一段と暑いねえ」
ガヴリール「外ぜんっぜん人歩いてないですよ」
マスター「うーん、夏が終わったと思えばこの暑さのぶり返しだし、これじゃあ今日はお客さんも少ないかもしれないね」
ガヴリール「え、まじすか! 接客しなくて良いしラッキーですね!」
マスター「お、お店的には全くラッキーじゃないんだよ天真くん……」
カランカラン
サターニャ「んなーっはっはっはぁ! 大悪魔様が遊びにきてあげたわよガヴリール!」バ-ン
ガヴリール「……」
マスター「……」
サターニャ「なによ?」
ガヴリール「ガヴリールドロップキック!!」
サターニャ「ぐっはぁ!!!」ドゴォ
マスター「ほぁぁぁ!? てててて天真くん!? お客様を蹴り倒しちゃダメだよ!?」
サターニャ「いきなり何すんのよ痛いじゃない!」ガバッ
ガヴリール「お前が来たら私が接客しなきゃいけなくなるだろ」
サターニャ「しなさいよ自分の仕事なんだから!!」プンスカ プンスカ
マスター(……この子相変わらず丈夫だな)
ガヴリール「ほんとわざわざ何しに来たの」
サターニャ「ふふん、たまたまお店の前を通りかかったから私自ら顔を出してあげたのよ。どう? 嬉しいでしょ?」
ガヴリール「ちっ、めんどくさ……」
マスター「こらこら、せっかく天真くんに会いに来てくれたんだから」
サターニャ「んー? ふふん。別にガヴリールに会いに来たわけじゃないわ。私は人間界を調査をするために定期的にこの店に来てるだけだもの」
サターニャ「ま、たまたま居合わせたガヴリールは私に会えて嬉しいかもしれないけど? 私は別にどうでも……」
マスター「え、でも天真くんがシフトお休みした時とぼとぼ帰っていくよね?」
サターニャ「んなぁ!?」
サターニャ「ちちちち違うっての!? 今日だって暇だし目をつぶりながら入ったらたまたま偶然この店だっただけで……!」
ガヴリール「さっき店の前通ったから顔出しに来たって言ってただろ」
サターニャ「だぁぁ! 間違えた、 そう! パスタ! 私は今ちょうどパスタが食べたくて来たんだから!」
サターニャ「そのついでにガヴリールをからかって遊んでやろうと思ったのよ!」
ガヴリール「私関係なかったんじゃないのかよ。来店理由が全部バラバラなんだけどバカなの?」
サターニャ「バカとは何よバカとは!」きー!
ガヴリール「誰がお前なんかにかしこまるかバーカ!」ギャ- ギャ-
マスター(ううーん……赤い子と天真くんはいつも喧嘩しちゃうね。やっぱり仲が悪いのかな……)
マスター(それにしては二人ともお店に顔を合わせに来てくれるんだけどねぇ)チラ
ガヴリール「? なんすか?」
マスター「あ、いやっ! えーっと、その……!」
マスター「てっ、天真くんのお友達は何か飲みたい物はあるかな~ってね!」
ガヴリール「はぁ? こんなやつと友達なんかじゃないんですけど」ジロ
サターニャ「友達じゃなくてライバルって言ってんでしょ!?」ダン
マスター「ひぃぃ」ビクビク
マスター「そ、それなら冷たいアイスコーヒーをお出ししようかな」
サターニャ「コーヒー? 私あれ好きじゃない」
マスター「うち珈琲店なのに!」ガ-ン
ガヴリール「こいつならカップにタバスコでも注いで出せば満足しますよ」
マスター「えぇ!? それはちょっと……!」
サターニャ「なかなか面白いわね。お願いするわ」
マスター「いいのっ!?」
マスター「はい、どうぞ」コト
サターニャ「ふふん、頂くわ」
サターニャ「んぐんぐんぐ……」
サターニャ「ぷはーっ! おいしー!」
サターニャ「なにこれ最高じゃない! おかわり!」
ガヴリール「はは、こいつほんと頭おかしいですよね」
マスター「……」
ガヴリール「あーねむ。ふぁぁ」
サターニャ「なに無視してんのよこらー!」
マスター(うーむ……どうしたら二人とも仲良くしてもらえるだろうか)
マスター(……私が見た限りではそんなに相性は悪くないとおもうんだけどねえ)
ガヴリール「ほらさっさと飲んで食って帰れ」バサ
サターニャ「メニュー投げて寄越すんじゃないわよ!」
マスター(ふむ、ここはあえて第三者である私が仲を取り持った方が良くなるかもしれない)
サターニャ「ガヴリール、ねえちょっと、注文するから早く来なさい」
マスター(よし、永久不滅の仏顔の名にかけて、二人をマブダチにしてみせようじゃないか!)
マスター(そのためにはまず二人の関係をよく観察しなくては……!)
ガヴリール「店員を呼ぶときは押しボタンでお願いしまーす」
サターニャ「ここ押しボタン置いてないでしょ!!」
ガヴリール「あ?」
マスター(おや?)
サターニャ「その様子だとあんたは何にも知らないようだから教えてあげるわ」
ガヴリール「なんだよ」
サターニャ「人間界の喫茶店で働く女の子はね、メイドになってお客さんをご主人様と呼び従うのがルールなのよ!!」ビシィ
マスター(それ一部の特殊な喫茶店だけだよ!?)
ガヴリール「……私メイドじゃなくてウェイトレスなんだけど」
サターニャ「さあガヴリール! お帰りなさいませお嬢様と挨拶しなさい!」
ガヴリール「お帰り下さいませお嬢様」ペコリ
サターニャ「むきー!!」
ガヴリール「当店ではそのようなサービスを取り扱っておりませんので」
マスター(うーん、確かにうちでメイド喫茶はちょっと雰囲気が合わないかもしれないねえ)
サターニャ「なんでよ! お金さえ払えば女の子はどんな事にも従うって言ってたわよ!」
マスター(もっといかがわしいお店だった!!)
ガヴリール「……それ誰から聞いたの」
サターニャ「ラフィエル」
ガヴリール「お前付き合う友達考えた方がいいぞ」
マスター「あ、ああ。ありがとう天真くん。すぐに作るね」
マスター「……」カチャカチャ
マスター「天真くんは、あの子の事をどう思ってるんだい?」
ガヴリール「超うざいです」キッパリ
マスター(そ、即答……!!)
サターニャ「ガヴリールー! 暇だから相手しなさーい!」
ガヴリール「ちっ……まじうっとうしいなあいつ。無視しよ」
マスター(ややややっぱり仲悪いんだ。あわわわ)ビクビク
マスター(い、いやいや、私がここで諦めてはいけない!)
マスター(天真くんも素直じゃないからね。口ではこう言ってるけど内心は仲良くしたいと思っているかも)
マスター(よし、積極的に二人を近づけていこうじゃないか!)グッ
ガヴリール「マスター、ウインナー焦げてますよ」
ガヴリール「わかりました」
ナポリタン「」ホカホカ
ガヴリール「……」
ガヴリール「お待たせしやしたー。ナポリタンっす」
サターニャ「あんたもっとやる気出して接客しなさいよ」
サターニャ「……なんか量少なくない?」
ガヴリール「気のせいっす」
サターニャ「あんた口元にソース付いてない?」
ガヴリール「気のせいっす」フキフキ
マスター「天真くん!? お腹すいたからってお客さんの料理食べちゃダメだよ!?」
マスター「ま、まあ次回から気をつけようね」
マスター「ほら、お料理作り直したからあの子と一緒に食べておいで」スッ
ガヴリール「え、私もですか?」
マスター「お腹が空いてたらお仕事に集中できないだろう? さあ、ケーキも付けておいたから」
ガヴリール「……ありがとうございます」
サターニャ「えっ、ほんと? なんか豪華になってるじゃない!」
サターニャ「くっふっふ、客の料理食べちゃうウェイトレスがいて得したわ」
ガヴリール「はぁ? お前客じゃなくてサターニャだろ」
サターニャ「どんな括りよ!? サタニキア様かつお客さんでしょうが!!」
ガヴリール「いいからそこのフォークとってよ」
マスター(ふっふっふ、うまくいったね。ふたりで一緒にご飯を食べればきっと心の距離も縮まるはず)
マスター(名付けて、同じ釜の飯作戦! 使ったのはフライパンだけどね!)
サターニャ「少しならいいわよ。はい」スッ
ガヴリール「……いや皿ごと渡せよ。なんでフォークでそのまま差し出すの」
サターニャ「あんたに渡したら全部食べちゃうかもしれないでしょ?」
ガヴリール「え、だって、それ……お前、フォーク……」
サターニャ「なによ、いらないの?」
ガヴリール「いや、だから……」
サターニャ「んー?」ジ-
ガヴリール「うぐ……」
ガヴリール「美味い……」ムグムグ
サターニャ「んふふ、でしょ?」
サターニャ「ガヴリールのもちょうだい」
ガヴリール「……私のフォークであげるの?」
サターニャ「え? 別になんでもいいけど」
ガヴリール「な、お前ほんと、なんも考えてないのかよ……」カァァ
ガヴリール「ちっ……ほらさっさと食えよ」スッ
サターニャ「んっふっふ、間接キス程度で顔真っ赤にしてるなんてガヴリールもお子ちゃまねー」ニヤニヤ
ガヴリール「はぁ!? お前気づいて……!」
サターニャ「あむっ」パク
ガヴリール「あっ」
サターニャ「んなーっはっはっは! ガヴリールをからかった後のスイーツは最高の味ね!」
サターニャ「ラフィエルよ」
ガヴリール「またあいつか!! タチの悪い友達と付き合うのはもうやめなさい!」
サターニャ「いやタチ悪いって、あんたのとこの天使でしょ……」
マスター(ん、んん……よく聴こえないけど会話も弾んでいるようだし、なんだかいい感じになっているじゃないか!)チラチラ
ガヴリール「ちっ、私もう仕事戻るぞ!」
サターニャ「なんでよ、もっと私を楽しませなさいよ!」
マスター(あっ、天真くんが戻ってきちゃう)
サターニャ「いいじゃない! この店いっつもガラ空きで暇そうにしてるんだから!」
マスター「」ガ-ン
サターニャ「今もお客さんは私一人じゃない。どうしてむこうに行っちゃうのよ~!」グイグイ
ガヴリール「いや、だからお前一人に構ってられるほど店員は暇じゃな……」
マスター(天真くん! お仕事はいいからその子とお話してて!)シュババババ
ガヴリール(え、なんで……)
マスター(お店の事は私に任せて! ねっ?)バッバッバ
ガヴリール(っていうかなんすかそのジャスチャー)
マスター「ごゆっくりどうぞ」ペコリ
サターニャ「今日あんたんとこ気前良いわね。サービスデー?」
ガヴリール「知らん」
サターニャ「ねえねえ、そう言えば私ずっと気になってた事があるんだけど」
ガヴリール「なに?」
マスター(よし、上手く二人で会話をする展開に持っていけた)フゥ-
マスター(順調に仲良くなっているみたいだね。どうやら作戦は成功かな)フフン
ガヴリール「うん」
サターニャ「黒いのって誰の羽なのかしら……」
ガヴリール「……気にするな、そこらへんは」
サターニャ「だっておかしいでしょ。明らかに私達の羽じゃないし!」
ガヴリール「お前らの羽が空から降ってきたら相当怖いだろ。切り落とされたのか」
ガヴリール「ま、案外ラフィエルの羽だったりしてな。腹黒いから羽まで真っ黒になってたりして」プフ-
サターニャの携帯「」ヴヴヴヴ
サターニャ「……」
ガヴリール「……」
サターニャの携帯「」ヴヴヴヴ
サターニャ「ラフィエルからだわ」
ガヴリール「……でれば?」
サターニャ「絶対やだ」
サターニャ「んっふっふ、あんたが堕天した暁には我が軍門に加えてあげるわ。感謝しなさいガヴリール!」
ガヴリール「軍……?」
サターニャ「うちの弟でしょ、我が使い魔のアレキサンダーでしょ、それから犬、あとはヴィネットね」
ガヴリール「それヴィーネに許可とってる?」
サターニャ「くくく、いずれあんたも私自ら地獄に引き込んでやるわ」
ガヴリール「あ? その前にお前を天界送りにしてやるわ」
サターニャ「えー、全然ガヴリールに命令できなかったじゃない」
ガヴリール「喫茶店は店員に命令する場所じゃないから」
ガヴリール「マスター、私上がります」
マスター「うん、お疲れ様天真くん」
マスター「君もゆっくりしてくれてありがとね」
サターニャ「このお店サービスいいし、気が向いたらまた来てあげるわ」
マスター「あ、あはは……ありがとう」
マスター「天真くんのお友達ならいつでも大歓迎だよ」
ガヴリール「いやぜんっぜん友達じゃないですけど」
サターニャ「だから友達じゃないっての!!」
マスター(えええ!? さっきだいぶいい雰囲気だったのに!!)
マスター「あ、ああ……」
マスター(…………あれー?)
マスター「えーっと……君は本当に天真くんとは友達じゃないのかい?」
サターニャ「はぁ? 何回も言ってるでしょ。あいつは私のライバルなのよ? 慣れ合う気なんてさらさらないわ」
マスター(ええー……)
サターニャ「いつか決着をつけて負けた方を奴隷として従わせるのよ」
サターニャ「ま、勝つのは私だけどね? んなーっはっはっはぁ!!」
マスター(ど、奴隷……!)
ガヴリール「おい、うるさいぞサターニャ」ガチャ
マスター(なかなか上手くいかないものだ……やっぱり若い子は私には難しいねぇ)ションボリ
マスター(赤い子はいつもお店に来てくれるし、天真くんも赤い子がいないとソワソワしてたりするのに……)チラ
ガヴリール「?」
ガヴリール「どうしたんですか?」
マスター「い、いやなんでもないよ」
ガヴリール「そうですか」
ガヴリール「……」
ガヴリール「マスター」
ガヴリール「別に、うざいですけど嫌いではないですから」
マスター「え……」
ガヴリール「それじゃ、お疲れっす」
ガヴリール「よしサターニャ帰るぞ」
サターニャ「もー、遅いじゃない! 待ちくたびれたわよ!」
ガヴリール「うわ……外あっつ……頭から水ぶっかけたくなるな」ムシムシ
サターニャ「あっ、じゃあ海いきましょ海!」
ガヴリール「いまからぁ? 夏休みにみんなで行ったろ」
サターニャ「サッと入ってバッと上がれば涼しくなるでしょ? ほら急いで水着取りに行くわよ!」
ガヴリール「風呂感覚かよ……もうTシャツ短パンのままでいいよ。どうせすぐ乾くでしょ」
サターニャ「そのまま入るなんて悪魔的ね……流石は我がライバル!」
ガヴリール「意味がわからん」
サターニャ「さっそく魔界通販の超速達便で肩に付ける浮き輪を注文してっと……」ピッポッパ
ガヴリール「いりません。却下します」テクテク
サターニャ「あ、ちょっとこら。待ちなさいよー!」
マスター「…………」
マスター「……ふふふ」
マスター(やっぱり、仲良いよね君たち)ニコニコ
マスター「…………」
マスター(今日のお客さん、赤い子しか来てない……!!)ガ-ン
完
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「ランダム」カテゴリのおすすめ
コメント一覧 (11)
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- 2018年09月25日 20:12
- ガヴドロSSが衰退した平成最後のこの年が、エレ速崩壊の始まりの年になる事をこの時誰も知る由がなかった…。
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- 2018年09月25日 20:59
- これこれ
こういうのだよ
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- 2018年09月25日 22:13
- マスターとヴィーネまじで天使だよな
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- 2018年09月25日 23:40
- ★★★★★★★★★★
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- 2018年09月26日 01:09
- いいね!
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- 2018年09月26日 03:04
- お客さん赤い子しか来てないしそもそもお代も貰ってないんじゃないのかマスター!大丈夫かマスター!
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- 2018年09月26日 03:16
- ガヴサタ特有のたまに炸裂するでれ好き過ぎる
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- 2018年09月26日 23:07
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ガヴサタなんだよなあ…
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- 2018年09月27日 09:24
- ガヴサタが一番最高のカプ
毎日それを考えながら就寝してるわ
同僚に自作ガヴサタSSを読ませることも日課になってる
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- 2018年09月27日 13:03
- ガヴドロSSもっと増えてくれ
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- 2018年11月02日 14:02
- ガヴドロはみんな可愛くて組み合わせに迷うけど、このガヴサタも良かった。
やっぱり仲悪そうで嫌いでは無い関係が良いんだろうか
あとベタだけど、お帰り下さいませお嬢様のくだりが面白かった