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喪黒福造「マグロ漁船に乗って、遠洋漁業を体験してみるのはどうです?」 演歌歌手「仕方ありませんね……」

1:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/12(水) 00:01:10.739 ID:SbBbnvZTD

喪黒「私の名は喪黒福造。人呼んで『笑ゥせぇるすまん』。

    ただの『せぇるすまん』じゃございません。私の取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます。

    この世は、老いも若きも男も女も、ココロのさみしい人ばかり。

    そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。

    いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます。

    さて、今日のお客様は……。

    鮫島まもる(40) 演歌歌手

    【海の男】

    ホーッホッホッホ……。」



2:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/12(水) 00:04:33.030 ID:SbBbnvZTD

とある地方都市のホール。男性演歌歌手が、ステージの上で熱唱をしている。

茶髪で整った顔立ちをしており、スーツ姿の男性演歌歌手。

実年齢よりも若々しく見え、歌からも、姿からも、さわやかな雰囲気を感じさせる男だ。

テロップ「鮫島まもる(40) 演歌歌手 本名は鮫島守」

うっとりした表情で、鮫島の歌を聴く老人女性の観客。観客席には、中高年の女性たちの姿が目立つ。

鮫島のコンサートを鑑賞する大勢の観客たちの中には、例の如くあの男――喪黒福造がいる。

気のせいか喪黒の顔は、何か企みを思いついたような表情になったようにも……見えなくもない。


控室。コンサートを終えた鮫島が頭を抱え込んでいる。鮫島の後ろから声がする。

喪黒「あの……、鮫島まもるさん」

鮫島「あなたは……?」

鮫島が後ろを振り向くと、そこには色紙を持った喪黒がいる。

喪黒「サインをお願いします」



3:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/12(水) 00:06:41.963 ID:SbBbnvZTD

鮫島「ああ、ファンの方ですか……。ど、どうも……」

喪黒が持っている色紙にサインをする鮫島。

喪黒「お疲れですか……?それとも、何かお悩みでもあるのですか……?」

鮫島「い、いえ……。僕は大丈夫ですよ」

喪黒「悩みを抱え込むのはよくないですよ。鮫島さん」

鮫島がいる控室からから立ち去る喪黒。


高速道路。ワンボックスカーの後部座席に乗る鮫島とマネージャー。

マネージャー「くよくよするな、まもる。お前は演歌歌手としてよくやっているよ」

鮫島「果たして、そう言えるでしょうか?一時期に比べると、CDの売り上げや僕の人気は陰りを見せていますから」

マネージャー「まあ、昔に比べるとピークは過ぎたものの……だ」
        「CDの売り上げでも、ファンの多さや人気でも……。演歌界では、未だお前が抜きんでている」

鮫島「確かに、僕は高齢者の女性層に人気がありますよ」
   「彼女たちは固定ファンだから、僕の新曲が発売されればすぐに購入してくれます……」
   「しかしながら、この状況に甘えていいのか……」



5:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/12(水) 00:08:59.200 ID:SbBbnvZTD

マネージャー「大丈夫だ。お前にシルバー層の人気があるのは、喜ぶべきことではないか」
        「『演歌冬の時代』の今の日本で、演歌界を支えているのはお前一人と言っても過言ではない」

鮫島「ですが……。むしろ、『演歌冬の時代』だから、今の僕の音楽の方向性に限界を感じているんです」
   「僕も40代となったのですから……。いつまでも、若々しくさわやかなイメージで売るわけにはいきません」

マネージャー「いや……。お前の若々しくさわやかなイメージを、高齢者の女性層が好んでいるんだぞ」
        「今のやり方のままでいいだろ」

鮫島「そうですか……?」

マネージャー「ああ。だから、心配することはない」


休日。カラオケ店の個室の中で、鮫島が一人でカラオケをしている。

自らの持ち歌を歌う鮫島。その後で、著名な演歌歌手の有名な曲や懐メロを次々と歌う。

さらに鮫島は、ポップソング、フォークソング、ロック、ラップ、洋楽など多種多様なジャンルの歌を歌う。

一通り歌を歌い終わった後、鮫島がソファーの方を見ると……。喪黒が拍手をしている。

喪黒「いやぁ、見事な歌いっぷりでしたよ。鮫島まもるさん」

いつの間にか、喪黒は鮫島がいる個室に入り込んでいたようだ。



6:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/12(水) 00:11:32.803 ID:SbBbnvZTD

鮫島「あ、あなたは……!?」

喪黒「思い出してください。ほら、この間のコンサートの後……。私は控室で、あなたからサインを貰いました」

鮫島「ああ、あの時の……!!」

喪黒「いやぁ、自己紹介が遅れました……。私はこういう者です」

喪黒が差し出した名刺には、「ココロのスキマ…お埋めします 喪黒福造」と書かれている。

鮫島「ココロのスキマ、お埋めします?」

喪黒「実はですね……。私、人々の心のスキマをお埋めするボランティアをしているのですよ」

鮫島「へぇ……。珍しいお仕事ですね……」

喪黒「控室の中で見た鮫島さんは、何かの悩みを抱えているようでした。よろしかったら、私が相談に乗りましょうか?」


BAR「魔の巣」。喪黒と鮫島が席に腰掛けている。

鮫島「確かに、今の僕は悩みを抱えています。演歌歌手として……、僕にとっては重大なものなんです」

喪黒「なるほど。鮫島まもるさんの心のスキマとは……。おそらく、自らの音楽の方向性の限界でしょう!?」



7:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/12(水) 00:14:06.433 ID:SbBbnvZTD

鮫島「そ、そうですよ!!よく見抜くことができましたね……!!」

喪黒「さっき……。カラオケ店であなたの歌をいろいろ聞いて、分かったんですよ」

鮫島「一体、どういうことなんですか!?」

喪黒「鮫島さんは……。歌手としてのテクニックは、ずば抜けているんですよ」
   「そのおかげで……。演歌だけでなく、様々なジャンルの歌を見事に歌いこなしています」
   「しかしながら……、あなたの歌には重大な欠点があります。それはすなわち……」
   「歌に心がこもっていないということです!!」

鮫島「うっ……!!」

喪黒「歌唱力はずば抜けているものの、歌に心がこもっていないから……。何を聞いても同じに聞こえるんですよ!」
   「あなたは心で歌っているのではなく、テクニックで歌っているのです!真の演歌歌手なら、心で歌うものですよ!」

鮫島「……ですよね。思い当たるところが多々あります。喪黒さんに指摘されてようやく理解できました」

喪黒「それと、鮫島さんが感じている音楽の方向の限界性とは……」
   「今まで売り出してきた若々しくさわやかなイメージが、現在の自分の年齢と合わなくなった……」
   「……ということも関係ありそうですねぇ」

鮫島「おっしゃる通りです。僕ももう、40歳ですから……。やはり、年相応の重厚な曲を出したいですよね」



9:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/12(水) 00:16:37.233 ID:SbBbnvZTD

喪黒「年相応で、なおかつ重厚な曲を出すとするならば……。今までの若々しくさわやかなイメージから……」
   「男気を打ち出したイメージに転換してみるのも、いいのではないですか?」

鮫島「男気を打ち出したイメージですか……。悪くはないですね……」

喪黒「演歌の世界で、男気を打ち出したイメージの曲といえば……。やはり、これでしょう!これ!」
   「つまりです……。海をイメージした曲ですよ。漁師や漁業や港町とかの、海を歌った演歌がいいでしょう」

鮫島「海をイメージした曲ですか……。うーーーん……」

喪黒「おや、何かご不満でも?」

鮫島「実はですね、僕は北海道の漁師町で育ったんですよ。小さいころの僕は、虚弱体質で気が弱い性格でしたから……」
   「地元のヤンチャな子供たちとは、あまり肌が合いませんでした……」
   「だから、少年時代のころの僕は……。『早くこの街を出て都会で暮らしたい』といつも思っていましたね」

喪黒「そうですか……」

鮫島「それと、僕の父は漁師だったんですが……。僕が小学生のころ、父は海の事故で命を落としました」

喪黒「なるほど……。鮫島さんも複雑な生い立ちを送っているようですなぁ……」

鮫島「はい……。僕が海をイメージした曲を歌わなかったのは、今までの生い立ちのことがあるんですよ……」



10:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/12(水) 00:18:50.928 ID:SbBbnvZTD

喪黒「ですがねぇ……、鮫島さん。あなたも40歳になったなら、生い立ちに対する葛藤をそろそろ乗り越えるべきです」
   「40歳である以上、真の意味で『不惑』の境地に達する必要があるのではないですか?」

鮫島「そうかもしれませんね……」
   「僕が海をイメージした演歌を歌ったならば、死んだ父も草葉の陰で喜んでくれるでしょう……」

喪黒「それなら決まりです!海をイメージした演歌を歌うために、実際に海に出てみましょうか?」

鮫島「えっ!?」

喪黒「鮫島さん……。マグロ漁船に乗って、遠洋漁業を体験してみるのはどうです?」

鮫島「仕方ありませんね……。こうなったら乗り掛かった船であり……、やるしかないでしょう……」

喪黒「そうです、その調子!」


静岡県、焼津港。遠洋マグロ漁船・第十八魔境丸。

第十八魔境丸には、ライフジャケットを着た漁師たちが大勢いる。彼らとともに、甲板の上に立つ喪黒と鮫島。

鮫島「ここが焼津ですか……。僕の地元も漁師町だけど、それ以上の規模ですよね。焼津は……」

喪黒「そうです。焼津は日本を代表する遠洋漁業の港の一つですから……」



11:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/12(水) 00:21:23.110 ID:SbBbnvZTD

鮫島「なるほど……。で、その焼津港からこの船に乗って出発するんですよね」

喪黒「はい。私たちは第十八魔境丸に乗って、3ヶ月間、遠洋漁業を体験するんですよ」

鮫島と喪黒の元へ、船長が訪れる。

テロップ「横松勝典(58) 第十八魔境丸船長」

横松「やぁ、君が鮫島まもる君か。実はな、俺の妻が君のファンなんだよ」

鮫島「そうですか。ど、どうも……」

横松「君がこの漁船に乗ったと知ったら、妻は大喜びするだろうな……」


焼津港を出発する第十八魔境丸。漁船は港を遠ざかり、大海原の彼方へと向かっていく。

しばらく時間が経ち――。寝室のベッドに、鮫島が青ざめた顔で横たわっている。鮫島の側にいる喪黒。

鮫島「も、喪黒さん……。船酔いがキツいですよ……。いきなり漁船に乗ったもんだから……」

喪黒「大丈夫ですよ、鮫島さん。いずれ、船の上での生活も慣れますから」



12:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/12(水) 00:23:45.796 ID:SbBbnvZTD

ある程度、日にちが過ぎたころ――。

朝。洋上に浮かぶ第十八魔境丸。船の上に立つ漁師たちが、浮き延縄(はえなわ)漁具を海に投下する。

無数の釣針のついた幹縄(みきなわ)を仕掛ける海の男たち。彼らは合羽を着ている。

漁師たちの作業の手伝いをする喪黒と鮫島。鮫島の顔は日焼けしていて、口元に無精ひげが生えている。

一見すると、鮫島も漁師仲間のように見えなくもない。船の上にいる男たちの表情は熱心そのものだ。


昼。船内の食堂で食事をする漁師たち、喪黒、鮫島。

鮫島「投縄(とうなわ)が終わったら、次は揚縄(あげなわ)をやるんですね」

喪黒「まあ、一応そうですが……。揚縄まであと4、5時間待つんですよ」

鮫島「えっ……。4、5時間も待つんですか!?」

横松「そうだよ。マグロ漁は時間との戦いなんだよ。何しろ、投縄を4、5時間くらいやって……」
   「それから4、5時間待って……。その後で、揚縄を12時間以上やるんだからな……」

鮫島「気の遠くなるような話ですね……」

横松「だから、大物が獲れた瞬間の感動は計り知れないものがあるんだよ。俺たちは、そのために生きていると言ってもいい……」



13:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/12(水) 00:25:49.536 ID:SbBbnvZTD

夕方。第十八魔境丸。船上で縄を握りしめる漁師たち、喪黒、鮫島。

鮫島「強い力を感じる……!幹縄に何かがかかったようだ……!」

喪黒「これは大きいですよ……!」

横松「鮫島君……。しっかり掴まっていろよ……!」

力を込めて、縄を引っ張る一同。海から浮かび上がる延縄に、生きたマグロがいくつもかかる。

甲板の上で生々しく動くマグロを見つめる喪黒、鮫島。鮫島は目を丸くし、驚いた表情をする。

鮫島(マグロだ……!生きたマグロが目の前にいる……!!)

横松「鮫島君、よくやったな……」

鮫島「せ、船長……」

マグロのえら・内臓・ひれを器用に抜き取り、血抜きや水洗いを行う漁師たち。


夜。寝室のベッドで眠り、夢を見る鮫島。夢の中で、鮫島は死んだ父とともに漁船で漁師の仕事をしている。

目を覚ます鮫島。鮫島は感極まり、うるんだ目をしている。

鮫島(父さん……)



14:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/12(水) 00:28:18.611 ID:SbBbnvZTD

数か月後。鮫島まもるの新曲「海の男」が全国のCDショップに発売される。鮫島の新曲のCDを手に取る老人の女性たち。

テレビの演歌番組で、新曲「海の男」を歌う鮫島。規模の大きい居酒屋の店内でも、有線放送で鮫島の「海の男」が流れている。

カラオケ喫茶で、鮫島の「海の男」を歌う中年の客。とある家では、祖母の女性が「海の男」を歌って赤ん坊の孫をあやしている。


BAR「魔の巣」。喪黒と鮫島が席に腰掛けている。

喪黒「鮫島さん。今度の新曲の『海の男』は、なかなか素晴らしい歌ですよ」

鮫島「ありがとうございます、喪黒さん。実は、あの歌は……。第十八魔境丸に乗っている時に思いついたんです」
   「あの船の寝室で眠っていたある日……。僕の夢の中に、死んだ父が出てきました……」
   「そして目が覚めた後……。あの歌の構想が頭にひらめいたんですよ」

喪黒「おそらく、鮫島さんは……。自らの生い立ちに対する葛藤を、乗り越えることができたのでしょうなぁ」

鮫島「はい。第十八魔境丸に乗って、実際に漁師の仕事を経験したことにより……。僕の人生観は大きく変わりました」
   「どうやら僕にも、海の男としての血が身体に流れていたようです。父から受け継いだ形で……」

喪黒「鮫島さんが海に対して憧れを抱くのはいいことですよ。これが、あなたの音楽の方向性に役に立つのなら……」
   「なぜなら、私が鮫島さんに遠洋漁業を体験させたのは……。あなたが歌手として新たな可能性を得るため……」
   「それを忘れないでください」

鮫島「は、はあ……」



15:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/12(水) 00:30:17.244 ID:SbBbnvZTD

喪黒「だから、鮫島さん……。あなたは私とある約束をしていただきたいのですよ」

鮫島「約束!?」

喪黒「そうです。あなたがマグロ漁師としての体験をするのは、この間の航海の1度きりにすべきです」
   「たった1度きりの貴重な経験を胸にしまい、その上で、演歌歌手としての人生をしっかり生きてください」

鮫島「わ、分かりました……。喪黒さん。このたびは貴重な経験、本当に感謝しています」


12月31日――。JBCホールで、年末恒例の番組「JBC紅白歌合戦」の撮影が行われている。

司会者「今年の紅白歌合戦のトリを務めるのは、この曲です!鮫島まもる『海の男』……!」

着物姿の鮫島が、ヒット曲『海の男』を熱唱する。


翌年――。明治座。記者からインタビューを受ける鮫島。

記者「ところで……。鮫島さんは最近、小型船舶の免許を取得したらしいですね」

鮫島「はい。『海の男』を発表して以来、海に対する興味が高じたので……。そのおかげですよ」



16:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/12(水) 00:32:26.549 ID:SbBbnvZTD

芸能事務所「長浜プロダクション」。執務室で机に向かう社長。社長と鮫島が会話をする。

社長「まもる……。釣り番組からお前に出演の依頼が来ているぞ」

鮫島「そうですか……。最近の僕が釣り好きであることを、番組関係者が嗅ぎつけたんでしょうね」


小型船を運転する鮫島。船には、彼を含め数人の芸能人たちがいる。

船の上で、ライフジャケットを着た鮫島が釣竿を握っている。釣り糸に獲物がかかる。

鮫島「おおっ、来たぞ!!」

陸に上がり、芸能人たちと談笑する鮫島。

鮫島「大物を釣ると血が騒ぐ……。でも、もっとデカいことをやってみたいと思っている……」

芸能人A「そうだよな……。それが釣りのロマンだよな」

鮫島「いや、もっとすごいことをしてみたい。漁師だった僕の父のように……」

芸能人B「鮫島さん……。まさか、漁師になりたいとでも思っているんじゃないだろうな」

鮫島の話を聞いて爆笑する一同。



17:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/12(水) 00:36:32.447 ID:SbBbnvZTD

そして、幾月日が経過したある日。洋上に浮かぶ大型漁船。

漁船の上には、鮫島をはじめ乗組員たちが大勢いる。ただ、乗組員たちの風貌はどこかガラが悪そうなものだ。

乗組員「俺たちのマグロ漁は非合法なものだぞ……。鮫島さん、あんた一体何を考えているんだ!?」

鮫島「僕はどうしても、海に出たいんですよ!大物のマグロを釣り上げる快感は、あなたたちなら分かるでしょう?」


朝、投縄を行う乗組員たち。数時間の時を経て……。午後、鮫島を含め乗組員たちが揚縄の作業を行う。

縄を握りしめる乗組員たち。鮫島は、自らが握る縄に手ごたえを感じる。延縄にかかる数々のマグロ。

甲板の上で動くマグロ。恐る恐るマグロを両手で触り、充実した表情になる鮫島。

鮫島(これだ……!この感覚こそが、僕が求めていたものだ……!)

夜中。大型漁船。トイレを済ませ、廊下へ出る鮫島。次の瞬間、彼は見覚えのある例の男を目撃する。

鮫島「ふーーーっ、疲れた。これからゆっくり寝るか……、あ!!」

漁船の廊下には、ライフジャケットを着た喪黒が立っている。

喪黒「鮫島まもるさん……。あなた約束を破りましたね」

鮫島「も、喪黒さん……!!」



18:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/12(水) 00:39:41.640 ID:SbBbnvZTD

喪黒「私はあなたに忠告しました。マグロ漁師の体験をするのは、第十八魔境丸での航海の1度きりにしておけ……と」
   「それにも関わらず……。鮫島さんは私との約束を破って、マグロ漁を行うために海へ行きましたねぇ」

鮫島「す、すみません!どうしても我慢ができなかったんです!」

喪黒「しかも、暴力団が関わった密漁船に乗るとは……。密漁は犯罪ですよ、鮫島さん」

鮫島「許してください!!喪黒さん!!」

喪黒「いいえ、ダメです。約束を破ったのだから、あなたにはペナルティーを受けて貰います!!」

喪黒は鮫島に右手の人差し指を向ける。

喪黒「ドーーーーーーーーーーーン!!!」

鮫島「ギャアアアアアアアアア!!!」


鮫島のモノローグ「密漁船から帰って、しばらく経った後……。週刊誌の記者が僕の一連の行動を嗅ぎつけた」
           「事務所の関係者は週刊誌の記者と話し合い、僕の密漁疑惑をもみ消すべく尽力した」

長浜プロダクション。週刊誌の記者と話し合う、社長やマネージャー。机の上のトランクには、札束が詰まっている。

鮫島のモノローグ「裏金を週刊誌の編集部に払い、その上、僕自身が芸能界を引退することで……。疑惑は表へ出ずに済んだ」

記者会見でフラッシュを浴びる鮫島。スポーツ紙が、鮫島の引退を一面トップで報道する。



19:以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/12(水) 00:43:00.800 ID:SbBbnvZTD

テロップ「数年後――」

北海道のある漁師町。芸能記者が鮫島にインタビューをしている。日焼けした顔で無精ひげを生やした鮫島。

記者「鮫島さん……。演歌歌手として復帰したいという気持ちはありますか?」

鮫島「その気持ちは全くないです。僕は歌手としてけじめをつけましたから、思い残したことは何もありません」

港を出発する漁船。漁師となった鮫島が、漁船を運転している。吹っ切れた表情で、海の彼方を見つめる鮫島。

鮫島のモノローグ「僕は父の後を継いで、地元で海の男として生きることを決めた。これが、今後の僕の余生だ」

港の前に立ち、遠くの海へ向かう鮫島の漁船を見つめる喪黒。

喪黒「普段はなかなか気づきにくいですが……。人々は常に、何かと海の恵みの恩恵を受けながら暮らしてきました」
   「そもそも、海は多種多様な海洋生物の宝庫ですし……。人々が暮らす地球は、惑星の7割が海で占められています」
   「何よりも、人類の先祖は海の中の生物だったのですから……。海がなかったら、人間は生まれてこなかったのかもしれません」
   「だから、人間が海に憧れを持つのはある意味当然ですし……。海と人間は今後も共存共栄を続けていくでしょう」

港を立ち去る喪黒。

喪黒「とはいえ、海も大自然である以上……。時として、危険がつきものなのもまた事実ですから……」
   「海の男となった鮫島まもるさんが、父親と同じく海難事故で命を落とさないことを祈るばかりですよ……」
   「オーホッホッホッホッホッホッホ……」

                   ―完―



元スレ
喪黒福造「マグロ漁船に乗って、遠洋漁業を体験してみるのはどうです?」 演歌歌手「仕方ありませんね……」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1536678070/
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         コメント一覧 (4)

          • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年09月17日 11:07
          • マグロ福造ってか
          • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年09月17日 17:25
          • ※2
            只今体温−8度
          • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年09月19日 15:10
          • 幸せな結末を掴んどる
          • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2018年10月21日 14:12
          • ハッピーエンドやん
            演歌歌手としてはアウトだけど廃人になったわけでもなしむしろ幸せそう

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

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