女「お兄ちゃんちゅーしてー」
男「オレはお兄ちゃんじゃないって言ってるだろ……」
女「何言ってるのお兄ちゃん?」
男「頼むから早くここからだしてくれ……」
女「それはできないよお兄ちゃん」
男「……」
女「またどこかに行っちゃうでしょ?」
男「……」
女「……」
男「チュッ……」
女「んもう……なんでほっぺたなのかなー?」
男「……」
男「……」
女「次、出ようとしたら……今度は足かな?」
男「……」
女「すぐ帰ってくるから、今日はお兄ちゃんの好きなビーフシチューだから、まっててね!」
男「……」
男「はやく、ここから出ないと……!」
男「くそ! これさえ外れれば!」
男「ぐぬぬ……!」
男「ダメだ……」
男「とりあえず、しばらくは従順なフリをして警戒を解かないとな……」
____
男「……」
男「遅いな……アイツ……」
男「……いつもは、長くても30分ほどで帰ってくるのに」
男「どうなってる……」
男「それにしても、お腹が減った……」
ガチャ
男(んっ……? 帰ってきたか?)
男(今何時だ……? もう夜中の2時じゃないか……)
「お兄ちゃん……」
男「……」
「お兄ちゃん……寝てるの……?」
男「……」
男「え……?」
「もう大丈夫だよ?」
男「だれ……?」
「お兄ちゃん、私だよ? わからない?」
男「えっ……」
男「い、妹……?」
妹「ほら、早くここから出よう……今外してあげるね?」
男「あ、ああ……」
カチャカチャ
妹「こんなに跡がついてる……ひどい……」
男「あ、ああ……でも、どうやってここに……?」
妹「……」
男「?」
妹「急ごう、早くここから出よう……」
男「あ、うん」
妹「大丈夫……?」
男「あぁ……ちょっと、身体がな……」
妹「お兄ちゃん……ごめんね、もっと早く助けに行けてれば……」
男「……あのさ、お兄ちゃんっていうのは……どういうことなの?」
妹「え?」
妹「お兄ちゃん……」
男「?」
妹「……全部アイツのせいだよ、アイツがお兄ちゃんの記憶を忘れさせたんだよ……」
男「え? アイツって……知ってるのか? 誰なのか」
妹「大丈夫……お兄ちゃんは気にしないで、すぐに思い出させてあげるから……」
男「私達?」
男(大きな一軒家だな……)
妹「ここで、私達二人だけで暮らしてたんだよ……?」
男「二人だけ? 両親は?」
妹「……」
男「あ、うん……」
妹「……」
男「あ、あのさ、ごめん、俺アイツに連れ去られてから昔の記憶が曖昧で……本当にここが俺の家なのか……?」
妹「そうだよ……私達の家……」
男「で、君が俺の本当の妹……?」
男「う、うん……」
妹「緊張しないで、お兄ちゃんの家なんだから……」
男(でも、全く知らない人の家に来た感覚だ……)
妹「……」
妹「……」
男(でも、全く懐かしい感じが無い……)
妹「ゆっくりしてね、今お兄ちゃんのパジャマ用意するから……その着てるものはすぐに捨てて……」
男「え、なんで」
妹「アイツのモノは捨ててすぐに忘れないと……」
男「そうだな……」
男(なんだか、落ち着かない……。このベッド、勉強机、クローゼット……やっぱり見覚えがない……)
妹「お兄ちゃん……」
男「うわっ!」
妹「どうしたの……?」
男「いやなんでも……」
男(それに、妹と名乗るこの娘……)
男「うん……それにしても、どうやって俺の居場所を……?」
妹「……」
男「それにアイツ無しでどうやってあの家の中に……?」
妹「お兄ちゃん……」
男「ん?」
妹「アイツのことが……気になるの……?」
男「え」
男「ち、違うよ……。ただ、違和感がいま残ってて……」
妹「大丈夫だよ……ここにいれば、全部思い出すから……」スッ
男「えっ」
妹「お兄ちゃん……いつもみたいに頭を撫でてほしい……」
妹「そうだよ……こうやってお兄ちゃんの温もりを感じながらナデナデしてもらってたの……」
男「そうなのか」
妹「だめ……?」
男「いいけど」
妹「うれしい……」
男「……」
男(なんだろう、この全て違和感だらけだったこの環境で……。これだけ懐かし感覚は……)
妹「ずっと……一緒にいようね……」
男「……」
「お兄ちゃん……」
男「……」
「お兄ちゃん起きて……」
男「え……」
女「ほら、お兄ちゃん……起きて?」
女「もうーお兄ちゃん、寝ちゃってたよー、ほらほらビーフシチュー作ったから一緒に食べよっ!」
男「い、妹は……なんでここに……!?」
女「妹はここにいますよーっ!」
男「ち、違う……。オレはここを出て……!」
女「もうー寝ぼけてるのー?」
男「……」
女「どう? 美味しいかな!?」
男「……」
女「もうー、言ってくれないとわかんないよー」
男(あれは、夢だったのか……でも、あまりにもリアリティが……それに……)
女「ねえねえ、お兄ちゃん……外に出たくない……?」
男「え」
男「ほんとか!?」
女「……なんか、良くないこと考えてるでしょー?」
男「そ、そんなことない!」
女「……ふーん、じゃあ、頭をナデナデしてほしいなー」
男「え」
男「それぐらいなら……」
女「ほんとに! じゃあ、これ外すね」
男「いてっ……」
男(あの時と似た跡が残ってる……)
女「ふふっ……はいっ!」
男「あ、ああ……」
男「……」
男(なんだろう……あのときの感覚と一緒だ……やっぱりこれは……)
女「ねえ、お兄ちゃん……」
男「え」
女「そろそろ思い出した……?」
女「……」
男「……」
女「……ううん、なんでもない! じゃあ、明日一緒に外に出ようね!」
男「う、うん……」
男「明日、外に出れるのか……」
男「やっと……」
男「でも、なぜ今になって……」
男「……」
男「とにかく明日どうにかアイツのスキを狙って、逃げないと……」
男「オレはどこに行けばいいんだ……?」
朝
男「……」
女「おにーちゃんおきてー!」
男「んっ……」
女「ほらほら、今日は外に出るんでしょうー!」
男「ん……そうだ……! あ、ああ!」
女「じゃあ、早速支度しないとねー、はいこれ乗ってね」
男「これって……」
男「……」
女「あ、そうだったねー口塞がれてるから喋れないよねー」
男「……」
女「でも、こうでもしないと、お兄ちゃんまた騒ぎ出すでしょー?」
男「……」
女「こんなふうな車椅子でごめんね? でも、これもお兄ちゃんのためなんだよ?」
「こんにちはー」
女「あ、こんにちはー!」
男「……!」
「今日はお散歩ですか?」
女「はい! たまには外に出ないとね! ねーお兄ちゃん!」
男「んー!」ガタ
「どうしたの?」
女「あ、ははっ……お兄ちゃん久しぶりに外に出たから興奮しちゃって! じゃ、またー!」
男「んー!」
女「……言ったよね?」
男「……」
女「お兄ちゃん……なんで逃げようとするのかな……?」
男「……」
女「お兄ちゃん、本当に足と声無くそっか☆」
男「!」
女「あはは、冗談だよ!そんなに怯えないで……本当に冗談だから……ね?」
男「……」
女「あ、そうだったね、喋れないんだったね」テヘペロ
男「ぷはぁ……はぁ……」
女「ごめんね、息苦しくて……でもお兄ちゃん騒がれちゃうとさ……」
男「……行きたいところがある」
女「……どこ? 街はダメだよ」
男「近くだ……」
男「そこを右……」
女「どこに行くの? まさか警察とか? そんなことしたら……」
男「ちがう! 確かめたいことがあるだけだ……大人しくしてる……」
男(もし、昨日のが本当ならこの道であってるはずだ……)
女「……」
女「まだ着かないの?」
男「もっと進んでくれ……」
女「はぁ……お兄ちゃん……もうワガママだよー?」
男(くそ、たしかにこのへんだ……!)
女「ねー、お兄ちゃん、もう帰っていいかな?」
男「なんで……無いんだ……?」
女「んー?」
男「俺の家が……俺の家があったはずだろ……?」
女「んもうー! お兄ちゃんの家は向こう側でしょー! 何勘違いしてるのー?」
男(やっぱりあれは夢だったのか……)
女「さ、帰ろっか」
男「……」
男「ま、待て……!」
女「ん? どうしたの?」
男「あ、あれは……」
男「んー!!」
???「……?」
女「こんにちはー」
???「こんにちは……」
男(! ま、間違い)
男「んー!」
女「ごめんなさいー、家の兄ちょっと病気なもんでー!」
???「あっ……いえっ……」
男(いや、間違いない……あの娘だ……!)
男「んーっ!」
???「……」
女「じゃ、またー!」
男(ダメだっ! 行かないでくれっ! オレだ! 覚えてるだろ!)
男「!」
女「……矯正しないとね……ごめんね……でも、お兄ちゃんが悪いんだからね」
男(なんで……あれは間違いなく……)
女「……」
???「お兄ちゃん……」
男「……」
女「でもね、お兄ちゃん……ずっと勝手すぎるもん……勝手にいなくなったり、勝手に騒いだり、勝手なことしたり……私の言う事聞いてくれないじゃん」
男「……」
女「だからさー、お兄ちゃんの声が聞けなくなるのは残念だけど……ごめんね……声を無くしちゃおうか……」
男「やめてくれ……」
男「……」
女「じゃあ、痛くならないように麻酔をかけちゃうね☆」
男「頼むから……なっ!」
女「だーめ……☆ おやすみ、お兄ちゃん♡」
男「うわああああ!!!!!」
____
男「うわぁ!!」
男「はぁはぁ……!!」
男「ここは……!」
男「……」
妹「お兄ちゃん大丈夫……?」
男「!」
妹「すごいうなされてた……まだアイツの記憶があるんだ……?」
妹「お兄ちゃん……汗すごい……」フキフキ
男「あ、ああ……」
妹「もうアイツはいないよ……大丈夫だからね……忘れようね……」
男「……はぁはぁ」ブルブル
妹「お兄ちゃん……」
男「い、妹ぉ……」
妹「大丈夫……私はここにいるから……」
男「はぁはぁ……」
妹「大丈夫……大丈夫だからね……ふふっ……」
○日午後y時ごろ、××2丁目に住む女性が何者にかに刺され死亡。
隣人が訪ねた際、「異臭がする」と110番通報があり発見された。現場から女性が搬送されたが、間もなく死亡が確認された。
警察は女性の兄である△△容疑者を傷害致死容疑として現在行方を追っている。
女と妹 どっちが本物なの?
死んでたのは誰?
解説頼む
突発的に書いたからオチもないヽ(^o^)丿
死んだのはどっちかヽ(^o^)丿
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コメント一覧 (8)
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- 2018年08月13日 07:17
- 出来悪っ
-
- 2018年08月13日 07:48
- 女はこわい
それだけだ
-
- 2018年08月13日 08:48
- 野々原渚かな?小鳥遊夢見かな?
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- 2018年08月13日 12:07
- は?
と声を大にしてわたしは言いたい
-
- 2018年08月13日 19:31
- 最後の作者のコメントがなかったら名作と勘違いしてたところだった
-
- 2018年08月14日 10:39
- 安部公房っぽくて好き。
-
- 2018年08月14日 12:20
- 作者コメントで駄作と思った
-
- 2018年08月14日 22:00
- うーんこの