何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「おはようございます、ご主人様。朝ご飯の用意ができています」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「二度寝では質の悪い睡眠しかとれません。睡眠時間も十分に取れているはずです」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「今日は体育がございます。すっきりとした寝起きで今日を迎えるべきでしょう」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……今日の朝食にはオクラとちりめんじゃこの和え物もございます」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……はい。それでは、身支度をいたしましょう」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「僭越ながら私も朝食をご一緒させていただきます。ご容赦を」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「いえ、言わせていただきます。私はご主人様の従者で、さらに言えば所有物そのものです」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「ご主人様のご厚意があろうと、不相応な振る舞いは戒めなければなりません」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「ご主人様はお忘れなのでしょうか? 大旦那様がご主人様に何と仰ってこの家と幼少の私を与えたのか」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……好きなようにすればいいと、仰られたのですよ」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……私一人ではこの家のことやご主人様のお世話を完璧にこなすには力が不足しております」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「本来ならご主人様のお食事中は静かに控えていなければなりませんが、面目ないことにそうしていては時間が足りません」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「ですから、どうかご容赦を」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……そうですね。もうすぐ秋なので、栗ご飯にしてみました」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「季節で一番おいしいものを食べることが、一番の贅沢かと」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「では学校へ向かいましょうか。どうぞ、ご主人様のカバンです」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「こうしてみると、双子の姉弟というのは良い設定ですね」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「二人して同じ家を出て、同じ登校路を歩き、学校へ入っても不自然ではないのですから」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……実際は、私は本来学校へ行けるような恵まれた人間ではないのですが……」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「勿体ないことです」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……いえ、同じことを学び、ご主人様へ物をお教えいたしますのも、恐れ多いことです」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「今日の午後の体育、頑張ってください」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「栄養のある食材をふんだんにお弁当へ盛り込みましたので、どうぞ存分にご活躍ください」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……そんなことありませんよ。○○くんの肉体水準は私のお墨付きです」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「○○くんを高い水準で支えることが私の使命です。食生活は成長の基本、生活リズムは人の基本」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「○○くんは立派な高水準男子学生です。頑張ってこの学校での評価を高くしましょう」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「高い評価は良い交友関係と都合の良い便宜をもたらします」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「○○くんの学内の生活が潤うように私も苦心してきました。今の○○くんならスクールカーストでも高位置に立てます」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「いえ、孤立しているわけではありません。目立ちすぎないよう、平均的な学生の振る舞いを徹底しておりますので」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「私が楽しいかどうかは、○○くんが気にされることではありません」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……私と一緒にご飯? 駄目です。○○くんには一緒に食べる友人がいらっしゃるでしょう?」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「不満の芽はどこにでも現れます。少しの迂闊な行為が命取りに繋がることもございます」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「いえ、いつも私は一人です。○○くんの近くに待機しております」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……用事をでっちあげる? いけません、こんなことのために嘘をつくなど。無駄なリスクは負うべきではありません」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「私にはご主人様の高い生活水準を保つ大事な使命が……命令?」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……命令」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……承知しました」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「普段は使われていない教室で鍵がかかっているのですが、ほら、このとおり。鍵は拝借しております」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……いいのですよ。汚れ仕事は私の役目です」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「なんて、ただの私の隠れ家です。一人で休みたい時にここをよく使っているのです」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「ご主人様も気兼ねなくここをお使いいただいて構いませんよ」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「そうですか。いえ、そもそもご主人様にこのような場所は必要ありませんね」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「え?……いえ、決して負担など、疲れているわけではありません」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「いや、まあ、なんといいますか……」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「必要に迫られて見つけたのではないのです。たまたま見つけて、都合がいいなと」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「こうした公共の場所における秘密の空間というのは、なんだか憧れるものですから……」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……いや、申し訳ございません。勝手なことを……」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「なんなら鍵を今お渡しいたしましょう……ご主人様のご自由にお使いいただければ」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……違う? 何が違うのでしょう?」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「はあ、二人だけの秘密。合鍵が欲しいと」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……こういうのに憧れる? わからないでもありませんが」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「いえ、決して迷惑などでは」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……そもそも私の迷惑など気になさらなくとも良いのです」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「なんでもお申し付けください。そうすれば、私はそのようにいたしますので」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……そう、ですか」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……昔から、あなたはそうおっしゃいますね」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……え? ええ、私のも、ご主人様のお弁当のついでに」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「まあ、余り物をつかった料理ですので、ご主人様のお弁当よりはみすぼらしいものです」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……一品交換? 私のお弁当のものなんて、ご主人様に食べさせられません」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「そんな、あーんなどと、私がご主人様のものを食べるなんてできません」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「命令、命令ですか? ……承知しました……美、美味です」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「私が、ご主人様にお作りしたのですから、当然ですけど」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「はい、どうぞ」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……嬉しそうですね」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「普段と違い、新鮮ですか。確かに、そうですね」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……ですが、線引きは重要です。昔もこれからも、私はご主人様の従者に過ぎませんから」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……姉弟など、それは設定上の話でしょう。学内だろうが、関係ありません」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「ご主人様のお世話は私の役目なのですから、当然のことと受け入れてくれればいいのです」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……どうされました?」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……いえ、そんなことは、私もご主人様のことは……」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……そうです、ね。ご主人様は一人では、ございません」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「ご主人様には、私がついておりますから」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……ご安心ください。私はあなたの所有物ですから。どんなことがあっても離れません」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「体育の授業、お疲れさまでした」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「○○くんのご勇姿はしっかりと見させてもらいました。ご立派でした」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「ですが、少し怪我をされましたね。こちらに来てください。すぐに治療いたしましょう」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「私の授業などどうでも良いのです。いいですから、早くこちらに来てください」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「○○くん、怪我の治療を怠ると長引いてしまいますよ。変な跡がつく可能性もあります」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「少々お待ちください。次の授業に間に合うようすぐに手当てをいたしますから」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「無茶も計算あってのものです。ですが、チームの勝利に貢献したことはとてもご立派でした」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「この調子で学内の株を上げていきましょう。私もこうして精一杯フォローいたしますので」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「それでは失礼いたします」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「それでは、私は夕飯の支度などありますので、それまでご主人様はごゆっくりどうぞ」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……どうされました? は? 手伝う?」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「そんなの駄目です。主人の手を煩わせるなど従者失格です」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……命令でも駄目です。私の役目を取り上げないでください」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……難しい宿題が出たから時間を空けて寝る前に手伝ってほしい?」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……この際だからいろいろ教えてほしいと」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……承知しました。申し訳ございません、お手を煩わせてしまい」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……確かに、私も昔は未熟で、あなたに迷惑をかけてしまっていました」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「当初はあなたの方が料理が上手でしたね」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……昔の話です」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……今のこの私の手際は、未熟なころとは比較にもなりません」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……それ、よ、は、と、」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「あっと」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……手、手が、滑りました」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……笑わないで、いただきたいです」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「そうです、そうですね。飲み込みが早く素晴らしいです。さすがはご主人様」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「ご主人様の理解力があれば、落ち着いてルール通りに読み解けば何の難しいこともございません」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「では次のページを、と……おや、もう全部終わりましたか? 仰っていたよりはボリュームが少なかったような」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「時間も結構余ってしまいました。どうしましょうか」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……私は、特にすることがありませんね。やることは済ませてしまいましたし」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「お風呂も寝る前の用意もすべて終わっています。早めに寝て明日に備えましょうか」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……ん?」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……付き合ってほしい? 何にでしょうか?」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……カードゲーム。また懐かしいものを引っ張り出してきましたね……」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……もしや、このために私を手伝ったのでしょうか?」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……何ですか、その子供のような笑顔は」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……全く」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「…………もう、しょうがないなあ」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「嘘は嘘です。相手を騙そうと思ったらそれは嘘なのです」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「駆け引き? 黙ってください。いいですか? 駆け引きっていうのは……」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……こういうことを言うのですよ」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「どうです? これでもはや逆転の手はありません、あなたが攻撃してくるのを実は待っていたのです」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「勝手に相手に誤解をさせる。これが、駆け引きと言う奴です」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「もう一戦? よろしいでしょう。今度は手加減しませんけどね」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……ふ」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……ふふふ、あはは」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……寝ていらっしゃる。だからCPUトーナメント観戦など止めましょうと言いましたのに」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……こうなってはテコでもお目覚めになりません。しょうがないから、どうにかして寝台へお運びしよう」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……本当に、大きくなられた。出会った当初は私と同じ背丈だったというのに」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……今日は、やけに昔のことが話題に出ましたね。どうしてでしょうか?」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「あの頃の私は、よく泣いていました。泣いて、あなたにこれからどうされるのかとても怯えていました」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……あなたは、それでも私に優しくしてくれましたね」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「一緒に家事をしましたね。一緒に遊んだりもしましたね」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「あなたも一人で寂しかったでしょうに、私に当たりもしないで、まるで家族のように接してくれましたね」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「あなたはちゃんと学校で仲の良い友人を作れているでしょうか」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「美人で性格のいい女性といい感じになったりできているのでしょうか」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「あなたは随分と寂しがりですから、良い人に、恵まれるといいのですが」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「これでも起きないのは、将来が心配になりますが、まあ今はいいでしょう」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「よっと……」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……○○、さま。失礼、しますね」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「…………」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……はぁ」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……おやすみなさい」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「……良い夢を」
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「おはようございます、ご主人様。朝ご飯の用意ができています」
従者ちゃん「二度寝では質の悪い睡眠しかとれません。睡眠時間も十分に取れているはずです」
従者ちゃん「今日は体育がございます。すっきりとした寝起きで今日を迎えるべきでしょう」
従者ちゃん「……今日の朝食にはオクラとちりめんじゃこの和え物もございます」
従者ちゃん「……はい。それでは、身支度をいたしましょう」
従者ちゃん「僭越ながら私も朝食をご一緒させていただきます。ご容赦を」
従者ちゃん「いえ、言わせていただきます。私はご主人様の従者で、さらに言えば所有物そのものです」
従者ちゃん「ご主人様のご厚意があろうと、不相応な振る舞いは戒めなければなりません」
従者ちゃん「……」
従者ちゃん「ご主人様はお忘れなのでしょうか? 大旦那様がご主人様に何と仰ってこの家と幼少の私を与えたのか」
従者ちゃん「……好きなようにすればいいと、仰られたのですよ」
従者ちゃん「……私一人ではこの家のことやご主人様のお世話を完璧にこなすには力が不足しております」
従者ちゃん「本来ならご主人様のお食事中は静かに控えていなければなりませんが、面目ないことにそうしていては時間が足りません」
従者ちゃん「ですから、どうかご容赦を」
従者ちゃん「……」
従者ちゃん「……そうですね。もうすぐ秋なので、栗ご飯にしてみました」
従者ちゃん「季節で一番おいしいものを食べることが、一番の贅沢かと」
従者ちゃん「では学校へ向かいましょうか。どうぞ、ご主人様のカバンです」
従者ちゃん「こうしてみると、双子の姉弟というのは良い設定ですね」
従者ちゃん「二人して同じ家を出て、同じ登校路を歩き、学校へ入っても不自然ではないのですから」
従者ちゃん「……実際は、私は本来学校へ行けるような恵まれた人間ではないのですが……」
従者ちゃん「勿体ないことです」
従者ちゃん「……いえ、同じことを学び、ご主人様へ物をお教えいたしますのも、恐れ多いことです」
従者ちゃん「今日の午後の体育、頑張ってください」
従者ちゃん「栄養のある食材をふんだんにお弁当へ盛り込みましたので、どうぞ存分にご活躍ください」
従者ちゃん「……そんなことありませんよ。○○くんの肉体水準は私のお墨付きです」
従者ちゃん「○○くんを高い水準で支えることが私の使命です。食生活は成長の基本、生活リズムは人の基本」
従者ちゃん「○○くんは立派な高水準男子学生です。頑張ってこの学校での評価を高くしましょう」
従者ちゃん「高い評価は良い交友関係と都合の良い便宜をもたらします」
従者ちゃん「○○くんの学内の生活が潤うように私も苦心してきました。今の○○くんならスクールカーストでも高位置に立てます」
従者ちゃん「いえ、孤立しているわけではありません。目立ちすぎないよう、平均的な学生の振る舞いを徹底しておりますので」
従者ちゃん「私が楽しいかどうかは、○○くんが気にされることではありません」
従者ちゃん「……私と一緒にご飯? 駄目です。○○くんには一緒に食べる友人がいらっしゃるでしょう?」
従者ちゃん「不満の芽はどこにでも現れます。少しの迂闊な行為が命取りに繋がることもございます」
従者ちゃん「いえ、いつも私は一人です。○○くんの近くに待機しております」
従者ちゃん「……用事をでっちあげる? いけません、こんなことのために嘘をつくなど。無駄なリスクは負うべきではありません」
従者ちゃん「私にはご主人様の高い生活水準を保つ大事な使命が……命令?」
従者ちゃん「……命令」
従者ちゃん「……承知しました」
従者ちゃん「普段は使われていない教室で鍵がかかっているのですが、ほら、このとおり。鍵は拝借しております」
従者ちゃん「……いいのですよ。汚れ仕事は私の役目です」
従者ちゃん「なんて、ただの私の隠れ家です。一人で休みたい時にここをよく使っているのです」
従者ちゃん「ご主人様も気兼ねなくここをお使いいただいて構いませんよ」
従者ちゃん「そうですか。いえ、そもそもご主人様にこのような場所は必要ありませんね」
従者ちゃん「え?……いえ、決して負担など、疲れているわけではありません」
従者ちゃん「いや、まあ、なんといいますか……」
従者ちゃん「必要に迫られて見つけたのではないのです。たまたま見つけて、都合がいいなと」
従者ちゃん「こうした公共の場所における秘密の空間というのは、なんだか憧れるものですから……」
従者ちゃん「……いや、申し訳ございません。勝手なことを……」
従者ちゃん「なんなら鍵を今お渡しいたしましょう……ご主人様のご自由にお使いいただければ」
従者ちゃん「……違う? 何が違うのでしょう?」
従者ちゃん「はあ、二人だけの秘密。合鍵が欲しいと」
従者ちゃん「……こういうのに憧れる? わからないでもありませんが」
従者ちゃん「いえ、決して迷惑などでは」
従者ちゃん「……そもそも私の迷惑など気になさらなくとも良いのです」
従者ちゃん「なんでもお申し付けください。そうすれば、私はそのようにいたしますので」
従者ちゃん「……そう、ですか」
従者ちゃん「……昔から、あなたはそうおっしゃいますね」
従者ちゃん「……」
従者ちゃん「……え? ええ、私のも、ご主人様のお弁当のついでに」
従者ちゃん「まあ、余り物をつかった料理ですので、ご主人様のお弁当よりはみすぼらしいものです」
従者ちゃん「……一品交換? 私のお弁当のものなんて、ご主人様に食べさせられません」
従者ちゃん「そんな、あーんなどと、私がご主人様のものを食べるなんてできません」
従者ちゃん「命令、命令ですか? ……承知しました……美、美味です」
従者ちゃん「私が、ご主人様にお作りしたのですから、当然ですけど」
従者ちゃん「はい、どうぞ」
従者ちゃん「……嬉しそうですね」
従者ちゃん「普段と違い、新鮮ですか。確かに、そうですね」
従者ちゃん「……ですが、線引きは重要です。昔もこれからも、私はご主人様の従者に過ぎませんから」
従者ちゃん「……姉弟など、それは設定上の話でしょう。学内だろうが、関係ありません」
従者ちゃん「ご主人様のお世話は私の役目なのですから、当然のことと受け入れてくれればいいのです」
従者ちゃん「……どうされました?」
従者ちゃん「……」
従者ちゃん「……いえ、そんなことは、私もご主人様のことは……」
従者ちゃん「……そうです、ね。ご主人様は一人では、ございません」
従者ちゃん「ご主人様には、私がついておりますから」
従者ちゃん「……ご安心ください。私はあなたの所有物ですから。どんなことがあっても離れません」
従者ちゃん「……」
従者ちゃん「体育の授業、お疲れさまでした」
従者ちゃん「○○くんのご勇姿はしっかりと見させてもらいました。ご立派でした」
従者ちゃん「ですが、少し怪我をされましたね。こちらに来てください。すぐに治療いたしましょう」
従者ちゃん「私の授業などどうでも良いのです。いいですから、早くこちらに来てください」
従者ちゃん「○○くん、怪我の治療を怠ると長引いてしまいますよ。変な跡がつく可能性もあります」
従者ちゃん「少々お待ちください。次の授業に間に合うようすぐに手当てをいたしますから」
従者ちゃん「無茶も計算あってのものです。ですが、チームの勝利に貢献したことはとてもご立派でした」
従者ちゃん「この調子で学内の株を上げていきましょう。私もこうして精一杯フォローいたしますので」
従者ちゃん「それでは失礼いたします」
従者ちゃん「それでは、私は夕飯の支度などありますので、それまでご主人様はごゆっくりどうぞ」
従者ちゃん「……どうされました? は? 手伝う?」
従者ちゃん「そんなの駄目です。主人の手を煩わせるなど従者失格です」
従者ちゃん「……命令でも駄目です。私の役目を取り上げないでください」
従者ちゃん「……難しい宿題が出たから時間を空けて寝る前に手伝ってほしい?」
従者ちゃん「……この際だからいろいろ教えてほしいと」
従者ちゃん「……」
従者ちゃん「……承知しました。申し訳ございません、お手を煩わせてしまい」
従者ちゃん「……確かに、私も昔は未熟で、あなたに迷惑をかけてしまっていました」
従者ちゃん「当初はあなたの方が料理が上手でしたね」
従者ちゃん「……昔の話です」
従者ちゃん「……今のこの私の手際は、未熟なころとは比較にもなりません」
従者ちゃん「……それ、よ、は、と、」
従者ちゃん「あっと」
従者ちゃん「……」
従者ちゃん「……」
従者ちゃん「……手、手が、滑りました」
従者ちゃん「……笑わないで、いただきたいです」
従者ちゃん「そうです、そうですね。飲み込みが早く素晴らしいです。さすがはご主人様」
従者ちゃん「ご主人様の理解力があれば、落ち着いてルール通りに読み解けば何の難しいこともございません」
従者ちゃん「では次のページを、と……おや、もう全部終わりましたか? 仰っていたよりはボリュームが少なかったような」
従者ちゃん「時間も結構余ってしまいました。どうしましょうか」
従者ちゃん「……私は、特にすることがありませんね。やることは済ませてしまいましたし」
従者ちゃん「お風呂も寝る前の用意もすべて終わっています。早めに寝て明日に備えましょうか」
従者ちゃん「……ん?」
従者ちゃん「……付き合ってほしい? 何にでしょうか?」
従者ちゃん「……カードゲーム。また懐かしいものを引っ張り出してきましたね……」
従者ちゃん「……もしや、このために私を手伝ったのでしょうか?」
従者ちゃん「……何ですか、その子供のような笑顔は」
従者ちゃん「……全く」
従者ちゃん「…………もう、しょうがないなあ」
従者ちゃん「嘘は嘘です。相手を騙そうと思ったらそれは嘘なのです」
従者ちゃん「駆け引き? 黙ってください。いいですか? 駆け引きっていうのは……」
従者ちゃん「……こういうことを言うのですよ」
従者ちゃん「どうです? これでもはや逆転の手はありません、あなたが攻撃してくるのを実は待っていたのです」
従者ちゃん「勝手に相手に誤解をさせる。これが、駆け引きと言う奴です」
従者ちゃん「もう一戦? よろしいでしょう。今度は手加減しませんけどね」
従者ちゃん「……ふ」
従者ちゃん「……ふふふ、あはは」
従者ちゃん「……寝ていらっしゃる。だからCPUトーナメント観戦など止めましょうと言いましたのに」
従者ちゃん「……こうなってはテコでもお目覚めになりません。しょうがないから、どうにかして寝台へお運びしよう」
従者ちゃん「……本当に、大きくなられた。出会った当初は私と同じ背丈だったというのに」
従者ちゃん「……」
従者ちゃん「……」
従者ちゃん「……今日は、やけに昔のことが話題に出ましたね。どうしてでしょうか?」
従者ちゃん「あの頃の私は、よく泣いていました。泣いて、あなたにこれからどうされるのかとても怯えていました」
従者ちゃん「……あなたは、それでも私に優しくしてくれましたね」
従者ちゃん「一緒に家事をしましたね。一緒に遊んだりもしましたね」
従者ちゃん「あなたも一人で寂しかったでしょうに、私に当たりもしないで、まるで家族のように接してくれましたね」
従者ちゃん「あなたはちゃんと学校で仲の良い友人を作れているでしょうか」
従者ちゃん「美人で性格のいい女性といい感じになったりできているのでしょうか」
従者ちゃん「あなたは随分と寂しがりですから、良い人に、恵まれるといいのですが」
従者ちゃん「……」
従者ちゃん「……」
従者ちゃん「これでも起きないのは、将来が心配になりますが、まあ今はいいでしょう」
従者ちゃん「よっと……」
従者ちゃん「……」
従者ちゃん「……○○、さま。失礼、しますね」
従者ちゃん「…………」
従者ちゃん「……はぁ」
従者ちゃん「……」
従者ちゃん「……おやすみなさい」
従者ちゃん「……良い夢を」
元スレ
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「おはようございます、ご主人様。朝ご飯の用意ができています」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1530944483/
何をされても逆らうことのできない立場の従者ちゃん「おはようございます、ご主人様。朝ご飯の用意ができています」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1530944483/
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コメント一覧 (11)
-
- 2018年07月08日 14:33
- カテゴリ出来てたのか
-
- 2018年07月08日 15:31
- 次から名前省略をまず載せてよ
趣を大切にしたい人は、ページめくって名前長いままのを読めば解決
ssの内容は好き
-
- 2018年07月08日 15:58
- なんで退化しとんねん…
-
- 2018年07月08日 17:24
- 名前なっげぇな。
でも話自体は悪くない。
最近の変に支配しようとしてくるSSよりはよっぽどいい。
-
- 2018年07月08日 18:41
- はぁ~好き
-
- 2018年07月08日 18:51
- どうよと同一人物?
-
- 2018年07月09日 03:53
- はぁ~~最高
-
- 2018年07月09日 06:56
- カテゴリーで草
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- 2018年07月09日 07:14
- 元々の『みたいなのどうよ』も含めて、
いつの間にかオリジナルの一部に加わっているんだよね…。
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- 2018年07月09日 07:37
- 同一人物ではないだろう
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- 2018年07月10日 01:16
- どうよの文と通ずるものがいくつかあったから同一人物だと思った…🙄
ファンなのかな