【モバマス】あの日の私に、ありがとうを
変わらないですねぇ……ここも。
こうやってプロデューサーさんと二人で来るのは初めてのライブの前以来ですね。覚えてます?
……あっ、即答ですか……いえいえ、勿論嬉しいんです!ただ、ちょっとだけ照れ臭くて……
もう、ダメですよプロデューサーさん、そういうこと言ったら!
こういう時は見て見ぬ振りをするのが正解なんです。
懐かしいなぁ……
あの頃は奥の方のお客さんの顔が見にくくて、ウサミンアイをフル稼働させてました。
折角来てくださったんですから、一人も見逃したくなくて……お客さん自体少なかったので、なんとかなったんですけどね。
あの頃からナナは、ちゃんと前に進めているでしょうか。
……それも即答、ですか。
プロデューサーさんには敵わないですねぇ。
今でもナナは涙脆いままです。まだしょっちゅうボロも出しますし、体力だって他の子ほど続きません。もしかしたら、変わってないのかも、なんて。
どうしてあの時、ナナは諦めなかったのか。諦められなかったのか。諦めずにいられたのか。
デビューしてからもずっとずっと、ただ必死で、せっかく掴みとれた夢が覚めてしまうんじゃないかって不安で、がむしゃらに頑張っていたんです。
よく、プロデューサーさんにも相談させてもらいましたね……
随分と、遠くまで歩いてきました。ようやく、ゆっくりと昔のナナとお話することができるようになったんです。
ナナは……私は、諦められなかったから、諦められなくなったんです。
アイドルになって、ちっちゃなころに見たアニメみたいに、みんなに元気をあげられるようになりたい。それが、ずっと夢だったんです。そのためだけに、ずっと生きていたんです。
でも現実は、そんなに都合のいいものじゃなくて。若い子たちはどんどん先へ進んでいくし、同僚の子たちも結婚して引退していくしで……
正直なところ、もう無理なんじゃないかって、何度も何度も思いました。
でも、私にはできなかった。
アイドルになるっていう夢を諦める勇気が私には無かったんです。
逃げ出してしまうには、その夢は私一人で背負いきれる重さではなくなってしまっていて。
それでも、ひとり、またひとりと去っていくたびに、「菜々ちゃんは頑張ってね」って、夢を私に託していったんです。
みんなのぶんも、私が叶えてあげなくちゃって、そう思って、このステージでずっと、歌っていたんです。
ただ……時が経つほどに、立ち上がって顔を上げることも、辛くなっていきました。
耐えきれなくなって、でも下ろしてしまうこともできなくて、動けないまま押しつぶされてしまいそうになった、その時だったんです。
プロデューサーさん。
貴方が私を助けてくれたのは。
貴方が私を見つけてくれていなければ、もしかしたら私はもう……いえ、そんなこと考えてもどうしようもないですよね。
プロデューサーさんは、私と一緒に、二人で私の夢を背負ってくれました。かぐや姫もびっくりするくらいの無理難題を並べても、プロデューサーさんは私のために、一生懸命叶えてくれました。
本当に……プロデューサーさんにはどれだけ感謝しても、しきれません。
逃げられなかったから、私は逃げ出さずにすみました。歯をくいしばって、涙で枕を濡らす日があっても、このステージに留まり続けられたのは、アイドルになるんだって、思い続けていたからなんですよね。
だから今、昔の私に声をかけられるなら、大丈夫だよって、ありがとうって、伝えてあげたいです。
だって、そのおかげで、私はプロデューサーさんに会えたんですから。
もう、全然、前、見えてないです。
よかった……
よかったよぉ…………
きょうまで……アイドルつづけてきて……ほんとうに、ほんとうに…………!
ナナが、いちばんだって。
たっくさんのひとが、おめでとうって、いってくれて。
ファンのみなさんも、わらってて、でもないてて。
とってもあかるくて、はしっこまで、みんなのかおが、みえるんです。
ナナがいままでやってきたこと、ぜんぶ、ぜんぶ、むだなんかじゃなかった……!
……ごめんなさい、プロデューサーさん、でも、いま、だけは……
……………
…………
………
……もう、大丈夫です。
でも、最後に一つだけ、ワガママを言ってもいいですか?
靴を、履かせてほしいんです。
プロデューサーさんの手で、そのガラスの靴を。
ありがとうございます……!
……いえ、ここでよかったんです。
キレイなお城の舞踏会じゃあないですけど、ここが、このライブハウスが、私の……ウサミンにとっての、大切な大切な、シンデレラ城なんです。
ウサミン伝説はまだまだこれから!
プロデューサーさんと二人なら、月にだって、ウサミン星にだってひとっ飛びなんですから!
夢の向こうへー!メルヘーン・チェーンジ!
キャハッ☆
……あ"っ"、腰が……っ!
菜々さん、本当に、本当に、おめでとう。
過去作
琥珀色のモラトリアム
シンデレラが嫌いだったしゅーこちゃんのお話
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コメント一覧 (3)
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- 2018年05月20日 01:23
- 書いてるのが同一人物な訳じゃないのはわかってるけどさ
それでもちょっと飽きてきた
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- 2018年05月21日 08:45
- 菜々さんがシンデレラガールになったらこういうの量産されるだろうなとは思ってた
こういうの沢山読めて俺は嬉しい
ビビー!!
ウサミンチェックです!
17歳は よっこらしょ とは言いません!