女「クマだわ! 死んだフリしなきゃ!」クマ「大変だ! 人が倒れてる!」
- 2018年05月03日 05:10
- SS、神話・民話・不思議な話
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女(たまには登山も楽しいな……)ザッザッザッ
クマ「……」ガサッ
女(ゲ!?)
女(ク、クマだわ! 死んだフリしなきゃ!)バタンッ
クマ「ん?」
クマ「大変だ! 人が倒れてる!」
女「……」
クマ「大丈夫ですか!? 大丈夫ですかぁっ!?」
女(あ~もう、早くどこかに消えなさいよ!)
クマ「返事がない……! どうしよう……! どうすれば息を吹き返すんだ!?」
女(あんたが消えればすぐ息吹き返すっての!)
女「……」ドクッドクッ
クマ「心臓は……動いてる。かなり鼓動が早いぞ!」
女「……」
クマ「呼吸は……してる! しかも鼻呼吸か、素晴らしい! 風邪をひきにくいぞ!」
女(うっさい!)
クマ「とりあえず、救急車呼ぶか!」サッ
女(こいつ、なんでクマのくせにスマホ持ってんのよ!)
クマ「もしもし! ……救急です! はい、山に人が倒れてまして……」
クマ「えっ、救急車到着まで一時間もかかる!? こりゃくまったな」
女(うぜえ)
女「……」
クマ「とりあえず、人工呼吸でもしようか」
女(熊工呼吸だろうが!)
クマ「ん~……」
女(ファーストキスがクマだなんていやぁぁぁぁぁ!!! 絶対くさいいいいいいい!!!)
ブチュッ
女(あっ……)
女(ブレスケアの匂い……クマのくせに……)ンッ…
救急隊員「お待たせしました! 患者はどちらに!?」
クマ「あそこでまだ倒れてます!」
女(やっと来た……やっとこのクマから解放される……)
救急隊員「クマさん、あなたはどうしますか?」
クマ「もちろん、ついていきます!」
女(くんな!)
女「……」
医者「うーむ……」
ナース「この患者さん、どこも異常はありませんね、先生」
女「当然ですよ!」ガバッ
ナース「きゃっ!? 起き上がった!」
女「だって私、死んだフリしてただけですもん!」
ナース「なーんだ、だったらすぐ退院してもらわなきゃ!」
医者「いや、ちょっと待った」
医者「脳の手術をしよう、今すぐ!」
医者「目が覚めたかね」
女「手術は……?」
医者「手術は成功だ」
医者「君の脳には悪性の腫瘍ができていてね」
医者「あれ以上小さいと検査機器では発見できないし、あれ以上大きいと取り除くのが難しくなるという」
医者「絶妙な大きさになっていた」
女「ってことは……」
医者「もし、このタイミングで病院に来てなければ、君の命は危なかったかもしれない」
女「……!」
医者「偶然とはいえ、あのクマに感謝することだ」
女「……はい」
女「うん……」
クマ「これで、ボクも安心して山に帰ることができます」
クマ「それじゃ……」
女「待ちなさいよ!」
女「お礼ぐらいさせてよ……」
クマ「というと?」
女「私の自宅に寄っていきなさいよ!」
クマ「いいんですか? ボクはクマですよ?」
女「クマだろうがなんだろうが、命の恩人に変わりないわよ」
クマ「女性の家にお呼ばれするなんて初めてで……こりゃくまったな」
女「それ、なんかイラッとくるからやめて!」
女「これからお料理作るけど……なに食べる?」
クマ「お野菜を頂けたら、と」
女「あんた、ベジタリアンなんだ。他には?」
クマ「デザートにはできればハチミツを……」
女「結構ベタなところもあるのね」
女「漫画が分かるんだ」
クマ「ヤングジャンプは山のふもとのコンビニで毎週買ってますよ」
女「私はキングダム目当てで買ってるけど、あんたの好きな漫画は?」
クマ「またベタだといわれそうですが、やっぱりあれですね」
女(ゴールデンカムイか。クマ出てくるもんね)
クマ「スナックバス江です」
女「よりによってそれかよォ!」
女「私、建設現場で働いてるから、体力には自信あるのよ」
クマ「ほう、たくましい」
女「たくましくならなきゃ、やってられなかったのよ。私は一人ぼっちだから」
クマ「あの、ご両親は?」
女「お父さんは仕事人間でいつも家にいなくて、お母さんはそれを支えて死んじゃって」
女「私それに反発して、高校卒業と同時に家出しちゃったの」
クマ「そうだったんですか……苦労なされたんですね」
女「うん……」
クマ「……」
女「……」
女「女の一人暮らしだし、ボディガードが欲しかったのよね」
クマ「クマでよろしければ……」
女「あ、そうだ! どうせならウチの現場で働いてみない?」
女「仕事がきつくてすぐ辞めちゃう人多いし、ちょうど人手が欲しかったのよ」
クマ「熊手でよろしければ……」
女「うっさい!」
女「というわけで、今日から彼をお手伝いさせて下さい!」
クマ「クマです。よろしくお願いします」
監督「よ、よろしく……」
同僚「こりゃすごい新人が入ってきたな……」
監督「おおっ、あのでかい鉄パイプを十本もいっぺんに……!」
同僚「すげー! こりゃこのクマがいたら、みんなリストラされちゃうかもな!」
クマ「……」
クマ「あ、あの、やっぱり一本に」ゴトッ
女「遠慮しなくていいから!」
監督「どうだい、正式に入社しねえか!?」
クマ「いいんですか?」
監督「いやいっそ、俺の代わりに現場監督になってくれ!」
クマ「こりゃくまったな」
女「だから、それやめろって!」
監督「今月分の給料だ!」
クマ「ありがとうございます!」
女「初給料で何買うの?」
クマ「貯金します」
子供「わ~い」キャッキャッ
幼女「クマさんだぁ~」キャッキャッ
クマ「わわっ!」
女「ふふっ、近所の子供からもすっかり人気者ね」
― 役所 ―
役人「ようこそ来てくれました」
マタギ「用件は……なんだ?」
役人「実は……近頃この町にクマが出没しているという情報があるのです」
役人「ろくに事件もないこの町で、クマ退治という大仕事を成し遂げれば、私の出世も間違いなし!」
役人「ぜひともあなたの手で、退治していただきたい!」
マタギ「いいだろう……」
マタギ「久しぶりに俺の猟銃が火を吹く時が来たようだ」ジャキッ
女「今日も疲れたわねー。監督ってば、私達をこき使いすぎよね」
クマ「ですが、あと少しであのビルも完成……」
――ズドンッ!!!
女「きゃあっ!?」
クマ「これは……銃弾!?」
マタギ「今のは宣戦布告の一発……」ジャキッ
マタギ「クマよ……。マタギとして、貴様を狩らせてもらう」
役人「フハハハハッ! 町の平和を脅かす侵略グマよ!」
役人「正義の鉄槌を受けるがいい! 我が出世の礎になるがいい!」
マタギ「無駄だ……俺は狙った獲物は絶対外さない」
マタギ「どんなに素早く動こうと、な」
クマ「どうやら……ここまでのようですね。抵抗はしません」
マタギ「なかなか潔いクマだな」
クマ「大暴れして、皆を巻き込む方が嫌ですので」
マタギ「なるほど……ならば一発で楽にしてやろう……」ジャキッ
クマ「あっ!?」
マタギ「――む!?」
女「このクマはとても優しいし、働き者だし、子供にだって人気なの!」
女「なにより……私の命を救ってくれたの!」
役人「知るかボケェ! 山から下りてきたクマは例外なく射殺される運命なんだよォ!」
クマ「そうです。ボクはいつかこうなることを覚悟してきました」
クマ「危ないから、ボクの前からどいて下さい!」
女「嫌っ!」
マタギ「……」
マタギ「!?」
女「あっ、あなた……お父さん!?」
マタギ「家出したお前と……こんなところで会えるとはな」
女「お父さんも相変わらず……狩人として働いてたのね。お父さんらしいや」
マタギ「母さんとお前にはすまないことをした……」
女「ううん、もういいよ……。私も働くことの大変さを学んだし……」
クマ(この二人、父子だったのか……!)
マタギ「なんだ?」
女「このクマは悪いクマじゃないの! お願い、見逃してあげて!」
マタギ「……」
役人「おい、何をやっている! 早くクマを殺せ!」
役人「クマを駆除すれば私は出世しまくりだし、クマの毛皮は高く売れる! クマ肉は珍味!」
役人「盾になってるその女ごと、害獣をブチ殺せぇぇぇぇぇ!!!」
マタギ「……了解した」スッ
女「お父さん!」
役人「!? ――な、なぜ私に銃口を!?」
マタギ「あのクマとアンタだと……アンタの方がよっぽど獣に見える」
役人「う、ぐっ……! 一理ある!」
役人「くそぉぉぉぉぉぉっ!!!」シュタタタタタッ
マタギ「それに……娘の恩人を撃つことなどできんさ」
女「お父さん……!」
クマ「ありがとうございます……」
クマ「ボクの盾になろうとするなんて、銃弾が発射されてたらどうするんです!」
女「だって私……」
女「あんたのこと、好きになっちゃったんだもの!」
クマ「え……」
女「命をかけて守りたくなるくらい、好きになっちゃったの!」
クマ「そりゃボクだってあなたのこと……しかし、ボクはクマですよ?」
女「クマでもいい!」
クマ「ボクでよろしければ……」
マタギ「フフッ……義理の息子がクマってのも面白いな。お前は立派なマタギにしてやろう!」
クマ「こりゃくまったな」
― END ―
◆以下、おまけ(小ネタ)になります。
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コメント一覧 (42)
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- 2018年05月03日 05:48
- これは嘘松
-
- 2018年05月03日 06:11
- ※1、当たり前だ
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- 2018年05月03日 06:16
- ※1、※2
思わず笑ってしもうたわ……
なんか悔しい気分だ
-
- 2018年05月03日 06:19
- 1) 羆が後足で立って攻撃してくるのを待つ
2) 羆の素人丸出しテレフォンパンチをダッキングで躱して前に出る
3) 素早くバックを取る
4) 羆は手足が短いので背中には手が届かない
5) がっちりバックチョーク。いかに体力があろうと脳への血流が遮断されれば倒れる
6) 失神。野生動物は後ろに倒れることはないので潰される心配はない
-
- 2018年05月03日 06:29
- ※1
嘘松じゃなければ優しい世界
-
- 2018年05月03日 06:39
- タイトルだけでクスッとしたけど、限りなく出落ちなんだから、あんまりgdgd続けられると却ってさめたゎ
-
- 2018年05月03日 07:18
- 俺もスナックバス江がヤンジャンで一番好きだわ……(小声)
-
- 2018年05月03日 07:55
- 大切な休暇に朝から何故こんな物を読んで時間を使ったんだろう。
心に残るものは無かったけど、内容の割に違和感なく楽しく読めた。
ただ娘たちに、この話をするのは難しいだろうし、決して話す事はないと確信している。
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- 2018年05月03日 08:01
- ヒグマだったら内の上官だ・・・使うなよ
※4 前足パンチで※4END
-
- 2018年05月03日 08:21
- ある~日♪森の中♪
-
- 2018年05月03日 08:49
- 嘘松乙
もうちょっと捻ろうよ
せめてクマに苗字くらいつけてやんないと、嘘だってバレバレやで
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- 2018年05月03日 10:28
- 熊手は卑怯だろう
-
- 2018年05月03日 10:47
- ゆっくり後退りが正解なんだっけ
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- 2018年05月03日 11:13
- 叫びながら気を放って髪を金色に輝かせつつ金色のオーラと赤いオーラを纏うのが正解だぞ
-
- 2018年05月03日 11:31
- 一理あるは草
-
- 2018年05月03日 11:33
- 書くこと思いつかないととりあえず嘘松認定しておく熊ったちゃんが湧いてますな。
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- 2018年05月03日 11:43
- ぼけーと読んでたけど一理ある!でやられた
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- 2018年05月03日 11:53
- ロシアかどっかにたまたま住んでいた女性が車で移動中エンストしたところで
クマと出会い、ダッシュボードにあった22口径(クマにはあまり効き目が無いらしい)
を無我夢中で撃ったところ偶然クマの目から脳に直撃させて倒したっていう嘘松好き。
-
- 2018年05月03日 12:00
- おまけが一番ツボったわwww
※18
この前のGGOで、「ナイフで一撃で狙うなら目か首だ」って言ってたな
-
- 2018年05月03日 12:17
- クマ「困った困った」
女「こまどり姉妹」
-
- 2018年05月03日 13:07
- 米20
町内会ではバンビちゃんって言われてるんや
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- 2018年05月03日 13:27
- ※19
熊なら目
首は筋肉ぶっとすぎてナイフが入らん
目は『脳の一部が露出してる』と考えた方が良い器官なんやで
-
- 2018年05月03日 13:34
- う、ぐっ……! 一理ある!
ワロタ
-
- 2018年05月03日 13:55
- 途中で心配しすぎて放り出そうとしたんだよお よかったよかった お幸せに
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- 2018年05月03日 14:32
- どこにことわりがあるんだよw
-
- 2018年05月03日 15:53
-
しゃーないな、一理ある!だけ
ちょっと面白かったから星二やるわ
感謝しぃや…w
-
- 2018年05月03日 21:39
-
オチがかわいい
-
- 2018年05月03日 23:48
- ※18 確かガソリンスタンドでライフル所持した方が良いとか店員に言われても無視したんだよな
因みに事実らしい(その町では有名との事)
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- 2018年05月04日 02:17
- クマと言う名の男性かと思ったが、
熊と言う名の獣…で良いのか?
-
- 2018年05月04日 02:45
- 作者SSの書き方クマい(無理やり)
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- 2018年05月04日 07:21
- クマって、しゃべれなくね?
-
- 2018年05月04日 09:50
- 熊は喋れないけどクマは喋れる
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- 2018年05月04日 10:42
- 米欄キッズだらけやんけ
嘘松厨しんでどうぞ
-
- 2018年05月04日 11:43
- 熊って牛刀でやれるってホラ吹きが言ってたよ!
-
- 2018年05月04日 12:20
- シロクマカフェのシロクマさんイメージして読んだ
-
- 2018年05月04日 16:14
- クマは喋れるクマ
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- 2018年05月04日 17:10
- 意外と優秀なクマちゃんだと言われるクマ
-
- 2018年05月04日 23:09
- 何で呼吸してるって確認してるのに熊工呼吸が必要なのかわからないクマー
-
- 2018年05月07日 12:26
- くまみこらなくてよかった
-
- 2018年05月10日 04:42
- 画像の左上
それグズリなんすよ
-
- 2018年05月10日 21:28
- ※33
そうだよな!2chに書かれてる物は全て現実に起きた本当の出来事だよな!創作なんて100%ありえないよな!だからこれも現実の話だよな!
-
- 2018年05月19日 18:52
- 一理ある!
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