【ポケモン】レッド「一人に飽きた」【後半】
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レッド「!?」
メイ「はぁ…はぁ…」
コトネ「あ、あんたはキョウヘイ…!」
コトネ「何やってんの!」
メイ「今はメイです…」
メイ「レッドさんが記憶なくなったって聞いたので私のこと覚えてるかの確認に…」
レッド「なんで窓からくるの…」
メイ「すいません、イッシュから急いで飛んで来たもので」
コトネ「別にほんとに飛んでるわけじゃないでしょ」
レッド「ああ、覚えてるよ」
メイ「よかった~」
コトネ「てかもうレッドさんの記憶は戻ってるけどね」
メイ「えっそうなんですか…くっ」
コトネ「『くっ』ってなんだおい」
コトネ「もしかしてレッドさんの記憶がないから、そこに間違ったこと教えようとしてたんじゃないでしょうね」
メイ「まっさか~」
メイ「そもそもそんなこと思いつきもしなかったなあ」
メイ「そんなことスッといえるなんてまるで自分がやったみたいですよ」
コトネ「ねえレッドさん」
レッド「……」
レッド「さあ、それは覚えてない…」
レッド「それよりリーリエ、救急箱持ってきて」
レッド「さっきのでメイちゃん頭ケガしてるみたいだし」
リーリエ「はい」
コトネ「頭から窓に突っ込んでくるなんて何考えてんだか」
メイ「ありがとうリーリエ」
メイ「あんたはほんといい子ね~」
リーリエ「当然のことしただけですよ」
メイ「いやほんとほんと、しかも前に会ったときよりかわいくなったんじゃない?」
メイ「どうりでメイちゃんのキョウヘイ君が元気になるわけだ」
リーリエ「メイさんのキョウヘイさんが元気に???」
コトネ「変なこと教えるんじゃない」ゴッ
メイ「が…っ」
メイ「怪我してるとこに膝蹴りなんてこの鬼…あ、いや危険人物が…」
レッド「ナツメ寝てるんだよ」
メイ「私何もしてませんよ」
レッド「窓割ったよ」
メイ「ごめんなさい」
レッド「それじゃ向こうの部屋行こうか」
レッド「いつまでもここでガヤガヤしてるわけにはいかないし」
メイ「言ったじゃないですか、レッドさんが私のこと覚えてるかどうか確認にって」
コトネ「だけ?」
メイ「だけ」
コトネ「暇なんだね」
メイ「暇じゃないですよ、メイちゃんもキョウヘイくんもポケウッドのトップスターなんですよ」
コトネ「電話でよかったじゃない」
メイ「直接聞かないとはぐらかされてしまうかもしれませんからね」
コトネ「じゃあもう確認できたでしょ」
メイ「帰れって言うんですか?嫌ですよ今来たばっかなのに」
メイ「ナツメさんだって最近ポケウッド来てないのに」
コトネ「それは私が断ってるだけ、ナツメさんがやりたいって言ったらまた行くわよ」
ナツメ「……」ぱち
ナツメ「あれ…」むくっ
ナツメ「……」
ナツメ「私寝ちゃってたの…?」
ナツメ「今何時…?」
ナツメ「!」
ナツメ「レッドは!?」キョロキョロ
バタンッ コツコツ
ナツメ「……」
ナツメ(玄関のドアの開く音…こんな時間に…)
ナツメ(まさか泥棒…!?)
ナツメ「相手が誰だろうと撃退できるわ」
ナツメ「……」そーっ
ごそごそ
ナツメ「いた…」
ナツメ「……」
ナツメ「…よし」
ナツメ「フーディン!」
フーディン「コノドロボウガー!」
レッド「えっ?えっ?」
ナツメ「ストップ!フーディン!」
ナツメ「何やってんのよ、あなた…」
レッド「ナツメの方こそ…」
レッド「急に攻撃してくるなんてひどいよ…」
ナツメ「あ、これはそのー…」
ナツメ「ね、寝ぼけちゃってたのかな?」
レッド「……」
ナツメ「わざとじゃないから!ほんと!」
レッド「起きたんだね」
ナツメ「うん…」
レッド「……」
ナツメ「……」
レッド「そうだお腹すいてない?」
レッド「何か作ろうか?」
ナツメ「気持ちはうれしいけどこんな時間に食べるのはちょっと…」
レッド「…それもそうか」
ナツメ「ねえレッド、あなたどこか出かけてたの?」
レッド「うん、ポケモンたちのトレーニングに」
レッド「みんなが言うには3日も寝てたそうだし、そりゃ眠くならないわなと思って」
レッド「それで暇だし久しぶりにいいかなと」
レッド「……」
ナツメ「……」
レッド「……」
ナツメ「お互い…大変だったね」
レッド「うん…」
レッド「いや…ナツメの方が大変か、ほんとごめん」
ナツメ「ほんとに悪いと思ってる?」
レッド「うん」
ナツメ「それなら…」
ナツメ「……」
ナツメ「いや、やっぱりいい…」
ナツメ「いいの、いいの気にしないで」
レッド「わかった…」
ナツメ「え、以外とあっさり…」
レッド「何回かこれ続けてほしかったの?」
ナツメ「いや、そういうことじゃないけど…」
レッド「そうでしょ」
レッド「それより気になったこと思い出して、話変わっちゃうけどいいかな」
ナツメ「うん、いいよ」
レッド「ほら、俺がナツメに関わると不幸になるとか言ってた女の子」
ナツメ「ああ、カトレアのことね」
ナツメ「お詫びをするってずっと言ってたけど、私がしなくていいって言ってイッシュに帰したわ」
ナツメ「あの子も悪気があってやったわけじゃないの」
ナツメ「だからというわけじゃないけど許してあげてほしい…私も謝るから…」
レッド「ナツメが謝る必要はないし、許すもなにも別に怒ってないよ」
レッド「こうして帰ってこれたんだからね」
レッド「で、俺が聞きたいのはそういうことじゃなくて」
レッド「あの子が視た未来って何なんだったのかってこと」
レッド「自分の勘違いだ~とか言ってたけど」
ナツメ「……」
ナツメ「知らない」
レッド「聞いてないの?」
ナツメ「うん」
レッド「俺に嘘ついてもだめだよ」
レッド「あの子ナツメに忘れるように言われてるって言ってたから、知ってるはずだよね」
ナツメ「いや、それはそのー…」
ナツメ「忘れちゃった」
レッド「ほんとに?」
ナツメ「うん」
レッド「だから俺に嘘はだめだってば」
レッド「知ってるんでしょ」
レッド「もしかして良くないことなの?だから言いたくないの?」
ナツメ「悪いことじゃない、むしろいいことかも…」
レッド「じゃあ教えてくれたっていいじゃん」
ナツメ「それはちょっと…」
レッド「そうか、じゃあ無理やりにでも言わせるしかないな…」
レッド「こんなことはあまりやりたくなかったけど、しかたない…」
ナツメ「な…何する気…!?」
コトネ「……」むくっ
コトネ「ふわーあ…」
コトネ「……」
コトネ「まだこんな時間かー…」
コトネ「まあいいや…もれそう…」
コトネ「おしっこおしっこ…」
コトネ「……」トコトコ
コトネ「あれ?この部屋電気ついてる…」
コトネ「レッドさん消すの忘れてたのかな…」
コトネ「…?声が聞こえる…」
ナツメ「何する気か知らないけど、待ちなさい」
レッド「いや、だめだ待てない」
レッド「……」にやっ
レッド「こちょこちょこちょ」
ナツメ「やっ…やめっれっど…!」
ナツメ「私そこ弱いっ…弱いの!」
レッド「そんなの知ってるからやってるに決まってんだろ」
レッド「どうだ、話す気になったか?」
ナツメ「うびゃぁぁ~、んはっ、やっ!」
ナツメ「ひひゃっゆ、ゆるひて~」
コトネ「……」
コトネ「夢かな…」
コトネ「おはよーございまーす…」
リーリエ「おはようございます、コトネさん」
メイ「おはようじゃないでしょ、何時だと思ってんだか」
リーリエ「メイさんもさっき起きたばかりじゃないですか…」
メイ「私は午前中だからセーフ」
コトネ「何がセーフ…ってそれ私用のコップ!何使ってんの!」
メイ「いいじゃないですか、こっち使ってください」
リーリエ「それ私のです…」
リーリエ「ナツメさんはジムに、レッドさんはお買い物です」
コトネ「……」
コトネ「ねえあんたが起きたとき、もう二人とも起きてた?」
リーリエ「はい」
リーリエ「レッドさんは朝食を、ナツメさんは洗濯をしてました」
コトネ「それは何時ぐらいだった?」
リーリエ「たしか8時前後だったはずです」
リーリエ「何かあったんですか?」
コトネ「いや、なんでも…やっぱり夢だったのかな…」
コトネ「現実だったらどうしてあそこに加わらないのか後悔しているとこだった」
リーリエ「なんのことですか?」
コトネ「なんでもない」
メイ「コトネさんのことだからどうせ変態的思考だよ」
メイ「リーリエは聞いちゃだめ」
コトネ「私が変態だと言うの?それは違うね」
コトネ「仮に変態だとしても変態という名の淑女よ」
メイ「いや変態ですよね」
コトネ「こんなことでいちいち変態呼ばわりされてたら、私もうベッドでしか妄想できないじゃないの」
レッド「メイちゃんとコトネちゃん起きたんだ、おはよ」
コトネ「聞いてくださいよレッドさん!キョウヘイが私のこと変態扱いするんですよ」
コトネ「自分だって変態のくせに」
メイ「私は変態とはちょっと違います」
レッド「……」
レッド「んー…俺にはよくわからないな…」
レッド「リーリエの方が」
リーリエ「私もわかりません」
ナツメ「リーリエちゃんー?いるー?」
リーリエ「あれ、ナツメさん今日はもう終わりですか?」
ナツメ「いや、あなたに手紙が来たから早く渡した方がいいと思って」
ナツメ「なぜかジムに届いたけど…」
レッド「家の住所がわからないってだけかもしれないよ」
ナツメ「あ、レッド帰ってたの、ちゃんと買い物はしてきてくれた?」
レッド「うん、もちろん」
ナツメ「ありがと」
ナツメ「変わったマークがついてるけど」
リーリエ「これはエーテル財団のシンボルです」
レッド「エーテル財団?」
リーリエ「傷ついたポケモンたちの保護を目的とした財団です…」
リーリエ「今はちゃんとそうなってます…」
ナツメ「今は?」
リーリエ「あっ…気にしないでください」
リーリエ「えっとそれより差出人は…あ、お兄様ですね」
リーリエ「はい、今はエーテル財団の代表代理としてがんばってるはずです」
リーリエ「でもお兄様からお手紙なんてめずらしいですね…」
リーリエ「……」
リーリエ「なるほど…」
レッド「なんだったの?」
リーリエ「一度エーテル財団の本部でもあるエーテルパラダイスに帰ってきてほしいと」
リーリエ「しかもレッドさんたちにもぜひ来てほしいと書いてあります」
レッド「たち?俺たちってナツメとかもってこと?」
リーリエ「たぶんそうだと思います」
リーリエ「アローラ地方です」
ナツメ「アローラ地方かー、私行ったことないのよね、どんなところだろ」
リーリエ「とてもいいところですよ」
コトネ「話は聞きました」
コトネ「アローラですか…いつ出発します?」
コトネ「私も同行します」
ナツメ「コトネ」
コトネ「私もアローラ行ってみたいです!」
コトネ「ねえリーリエ、いいよね?」
リーリエ「はい、いいと思いますよ」
メイ「私のことー?」
コトネ「他に誰がいんのよ」
メイ「明日からキョウヘイ君が撮影だから無理かな」
リーリエ「そうですか…お仕事では仕方がないですね」
メイ「お土産買って来てくださいね、コトネさん」
コトネ「なんで私が…」
メイ「じゃあ私そろそろイッシュに帰ります」
メイ「また遊びに来ますねー」
コトネ「話聞けっての…」
ナツメ「何が?私も行くけど」
レッド「ジムとかあるじゃん」
ナツメ「ああ、それなら全然問題ない」
レッド「ならよかった」
ナツメ「それじゃあ明日から休みとるね、いいよね?」
レッド「うん」
ナツメ「コトネ、準備することがあったら今日中にやっときなさいよ」
コトネ「はーい、一度帰って夜また来ます」
リーリエ「みなさん、見えてきましたよ!あれがメレメレ島です!」
レッド「……」
リーリエ「レッドさんどうしました?」
リーリエ「慣れない船旅だとやはり疲れましたか?」
レッド「いや、そうじゃなくて…」
レッド「なんていうか…飛ばしたなって…」
リーリエ「飛ばす…?」
ナツメ「余計なこと言わないの、いろいろ都合があんのよ」
リーリエ「到着です!」
レッド「あー…やっと着いたかー」
ナツメ「たしかにね、久しぶりに陸に足がつくとちょっと安心するもん」
リーリエ「あの…せっかく陸についたんですけど、これからまた船で移動します」
レッド「えっまたー?」
リーリエ「はい、エーテルパラダイスへの船はウラウラ島からしか出ていないのです」
リーリエ「ここからまた数時間かかりますが」
レッド「まあ…いいか…」
ナツメ「そうね、そこからしかないなら」
ナツメ「そういえば…」
ナツメ「船でもあんまり部屋から出てこなかったわね…」
コトネ「こ、ここにいます…」
ナツメ「どこ行ってたのよ」
コトネ「ちょっとお手洗いに」
ナツメ「そう、じゃあこれからまた船に乗るから」
コトネ「えっ船…ですか…」
ナツメ「そうだけどどうしたの」
コトネ「……」
コトネ「うぷっ…」
ナツメ「コトネ?」
コトネ「おろろろろろろろろ」
ナツメ「なななな何やってんの!?」
ナツメ「もしかして船酔いしてたの?」
コトネ「少し…」
レッド「嘔吐の量が少しじゃない…」
レッド「大丈夫?」
コトネ「一応は…」
レッド「ちょっとこの島で休もうか」
ナツメ「そうね、リーリエちゃんエーテルパラダイスってとこにつく時間遅れてもいいかな?」
リーリエ「大丈夫ですよ」
リーリエ「実はお兄様を驚かせようと思って今日帰るということを連絡していないんです」
リーリエ「一日ぐらい遅れても問題ないです」
リーリエ「案内しますよ」
ナツメ「うん、お願い」
リーリエ「といっても私も数年ぶりなので変わったところは案内できませんが」
レッド「どこか休めそうなところはあるの?」
リーリエ「マラサダショップがあったはずです」
リーリエ「そこに行きましょう」
レッド「マラサダ?」
リーリエ「ふふっ食べてみればわかりますよ」
ナツメ「そうね」
レッド「コトネちゃん歩ける?」
コトネ「…たぶん」
レッド「……」
レッド「いや、無理はさせない方がいいな」
レッド「俺がおんぶするよ、ほら」
コトネ「!」
コトネ「レッドさんが私を…おんぶ…」
コトネ「ひゃっはー」ぴょーん
レッド「意外と元気そうだね…」
リーリエ「それはよかったです」
レッド「ナツメ今度作ってよ」
ナツメ「別にいいけど、こういうのって家で作れるの?」
リーリエ「はい作れますよ」
リーリエ「調べればたくさんでてきますよ」
ナツメ「ほんとだ、クック●ッドにも出てくる」
リーリエ「私もマサキさんのお家でお母様と一緒に何度か作りました」
コトネ「もぐもぐ…」
コトネ「ぷはーしあわせ~…」
ナツメ「幸せなのはいいけどいつまでレッドに張り付いてるの」
コトネ「いいじゃないですか、私気分悪いんですし」
ナツメ「さっき幸せとか言ってたじゃん」
レッド「別に俺は気にしないよ」
レッド「昔はよく肩にのったピカチュウにこうして木の実とかあげたりしてたし」
レッド「ほらお食べ」
コトネ「ぴっか~」
レッド「そうだね」
レッド「コトネちゃん、もう歩けるでしょ」
レッド「おんぶは終わり」
コトネ「ええー…」
レッド「文句言わないの、また今度やってあげるから」
コトネ「わーい」
コトネ「また船か…」
レッド「それじゃあ俺のラプラスで行こうか」
リーリエ「それは無理がありますよ」
レッド「大丈夫大丈夫、俺のラプラスはけっこう大きいから4人ぐらいなんともないよ」
リーリエ「そうではありません」
リーリエ「同じ地方とはいえ島と島の間はかなりあいています」
リーリエ「ポケモンで…それも人を乗せてだととても…」
レッド「それなら心配しなくていい」
レッド「もしここからカントーまで行っても全然疲れないよ、ラプラスは」
リーリエ(とても強がりで言っているとは思えない…)
リーリエ(レッドさんのポケモンはそれだけ他のトレーナーとレベルが違うということなのでしょうか…)
ナツメ「あ、見てレッド、たぶんあれアローラの鳥ポケモンよ」
レッド「ほんとだ」
コトネ「おーいリーリエ」
コトネ「何ボーッとしてるの、早く乗り」
ボトッ びちゃ
コトネ「……」
ナツメ「今何か落ちたような…」
レッド「あ…コ、コトネちゃん…それってさっきのポケモンの」
コトネ「はいそうですね…おかげで私の服が…」
コトネ「少し時間いいですかね…」
コトネ「このクソ鳥どもがーっ!」
コトネ「エアームド!!ボロ雑巾のようにズタズタに引き裂いてやれ!!!」
レッド「まあまあ落ち着きなよ、だめだよそんな」
ナツメ「そうそう、あのポケモンだってコトネを狙って落としたわけじゃないと思うし」
リーリエ「そうですよ、あまり気にしない方がいいですよ」
リーリエ「誰にだって悪いことぐらいありますよ」
コトネ「……」
コトネ「…て」ボソッ
リーリエ「?」
リーリエ「あの…何か言いました?」
コトネ「同情するなら服屋を教えて…」
コトネ「同情するなら服屋を教えてくれ」
リーリエ「……」
リーリエ「はい…それではもう一度街の方へ戻りましょうか」
リーリエ「わあすごくカワイイですよ」
リーリエ「コトネさんのリージョンフォームですね」
コトネ「リージョンフォーム?」
リーリエ「つまりアローラの姿ということです」
コトネ「ふーん…アローラの」
コトネ「……」
コトネ「レッドさんとナツメさんもせっかくですし着替えません?」
ナツメ「いや、私はこのままで」
レッド「うんいいね、せっかくだしアローラにあった服装にしようか」
ナツメ「ええっ着替えるの?」
レッド「うん」
ナツメ「私こういうのはあんまり…」
ナツメ「スカートでさえめったにはかないのに」
コトネ「いいじゃないですか」
リーリエ「えっと観光客の服装は…」
リーリエ「あ、思い出しました、あとは帽子とサングラスですね」
リーリエ「合うものを探しましょう」
ナツメ「コトネもリーリエちゃんも強引…」
ナツメ「私が観光客の服装ならコトネだって同じようなはずじゃないの…」
ナツメ「なんで私はこういう…」
レッド「いいじゃん、似合ってるのはほんとだよ」
ナツメ「わわっ!…びっくりした、いつの間に…」
レッド「うん、安くていいのがあったから」
レッド「やっぱレッドって名前だし赤だよね」
ナツメ「お金のことなら心配しなくていいのに」
レッド「いや、俺はこれがいいの」
ナツメ「ならいいけど…」
ナツメ「…ねえさっき言った似合ってるってのはほんと?」
レッド「ああ、もちろんだよ」
レッド「ナツメあんまりこういう服着ないでしょ」
レッド「なんか新鮮っていうか」
レッド「一言でいうと…可愛い」
レッド「普段のナツメは可愛いというより美人ってイメージだからさ」
ナツメ「…あ、あなたがそう言うならアローラにいる間ぐらいはこういう服もいいかな」
レッド「よし次の島に到着っと」
レッド「ここからエーテルパラダイスだっけ?そこ行きへの船が出るんだよね」
コトネ「また船…」
コトネ「レッドさんのラプラスじゃだめなの~?」
リーリエ「エーテルパラダイスへは専用の船でしか入れないようになってるんです」
リーリエ「野生のポケモンは出入りしますが、人を乗せてはダメなんです」
コトネ「お兄ちゃんが代表代理ってんなら特別にってことでいいじゃない」
リーリエ「それはちょっと…」
リーリエ「一度やってしまうとまた次も…そのまた次もいいじゃないかとなってしまうので…」
コトネ「はーい」
レッド「それでその船ってのはいつ来るの?」
リーリエ「時刻表見てきます」
コトネ「はぁ…船か…」
ナツメ「コトネがそんなに船が嫌なんて今まで知らなかったわ」
コトネ「船に限らず乗り物自体ほとんどダメなんです」
コトネ「ポケモンに乗るのはなんともないんですが…」
リーリエ「その…私ももっと早く気付くべきだったのですが、数年ぶりだったもので…」
レッド「何かあったの?」
リーリエ「ここはエーテルパラダイスへの船が出るウラウラ島ではなくアーカラ島でした…すいません…」
リーリエ「何か違うとは思ったのですがまさか島が違うとは…」
コトネ「普通間違えないでしょ!」
リーリエ「ごめんなさい…」
ナツメ「間違いは誰にでもあるわよ、そんな怒らなくても」
コトネ「怒ってはいませんよ」
コトネ「でも今からまた島を移動すると、もうこんな時間ですしラプラスでも夜になっちゃいますよ」
コトネ「そんな遅くに船なんて出ないんじゃないですか」
ナツメ「今日はここで泊まる?」
ナツメ「それともそのメレメレ島って島に移動して明日の朝に船でエーテルパラダイスに行く?」
リーリエ「それならこの島で泊まるのが良いと思います」
リーリエ「この島にはアローラで一番と二番目にいいホテルがあるんです」
レッド「たしかにどうせ泊まるならいいホテルがいいな」
レッド「旅費は全額エーテル財団が出してくれるっていうし」
リーリエ「ここからだとホテルしおさいの方が近いですが、私個人的な意見だともう少し行ったところにあるハノハノリゾートホテルがいいですね」
ナツメ「どうする?そっち行く?」
レッド「うん、そっち行こうか」
レッド「おお、でっけえホテル」
リーリエ「アローラ地方最大のホテルですからね」
リーリエ「それでもこのホテルは一年先まで予約は満杯なんですよ」
ナツメ「えっ、じゃあ泊まれないんじゃ…」
リーリエ「ああ、普通はってことです」
リーリエ「もう予約はとってあるので泊まれますよ」
ナツメ「なんだ…一年前からとってたってこと?」
リーリエ「いいえ、さっきとりました」
リーリエ「エーテル財団にはできないことはありません!」
リーリエ「行きましょう!」
コトネ「ナツメさん見てくださいよ、めちゃくちゃ広いですよ」
ナツメ「そうね、しかもきれいだし」
コトネ「これが上に何階分もあるって、どんだけの広さになるんだ…」
リーリエ「このホテルにはビーチやゴルフ場もあるのでコトネさんの想像よりも広いと思いますよ」
コトネ「ビーチ…?」
コトネ「そこのビーチって自由に泳いでいいのよね?」
リーリエ「当然そうだと思いますよ」
コトネ「じゃあみんなで泳ぎに行きましょうよ」
レッド「あー…実は俺泳ぎは苦手で…」
ナツメ「私もそんな得意じゃない…」
コトネ「リーリエからも何か言ってあげてよ」
リーリエ「と言われましても…」
リーリエ「あ、こういうのはどうでしょう…」ごにょごにょ
コトネ「ふむふむ、いいこと考えるじゃない」
コトネ「レッドさんもナツメさんの水着見たいですよね」
レッド「……」
レッド「見たい…」
ナツメ「み…見てもいいことない…!」
ナツメ「そもそも水着なんて私持ってないし」
リーリエ「ホテルに売ってますよ」
ナツメ「そ、それでも…私は」
ナツメ「結局こうなる…」
レッド「ほんとに嫌なら着替えるのやめればよかったのに」
ナツメ「……」
ナツメ「あなたが見たいって言ったから着替えたのに…」
レッド「冗談だって、ナツメの水着姿なんてみれてすげーうれしい」
ナツメ「……//」
ナツメ「じゃ、じゃあ…どの辺がいいとか教えてよ」
レッド「えっどの辺…?そ、そうだな…おっ…いや、そのなんだ…」
男「ヘイ!そこのボーイ&ガール!君たちトレーナーだろ?」
レッド「……」
レッド「…はぁ」
ナツメ「世界中どこの地方に行っても、それは同じなのね…」
レッド「たしかに…周りを見れば普通に海水浴してるのもいればバトルしてるやつもけっこういるな…」
男「そういうことだ!」
男「さあ、俺の相手はどっちだ?ボーイか?ガールか?」
レッド「……」
男「ふっボーイか…いい目をしているな」
男「いくぞおお!」
カメックス「ズドドエヤアア!」
シェルダー「ギャース」
男「オーッノーッ!!」
男「な…なんて強さだ…これまでこんなレベルのトレーナーとは出会ったことすらねえ…」
ヒュー どすんっ
メノクラゲ「ヤラレター」ぴよぴよ
男「こ、これはブラザーのポケモン!?いったいどこから…」
男「うおおお!メノクラゲ―!」
男「ブラザー!いったい何があったんだ!?」
男「おおブラザー!聞いてくれよ、バトルをしかけたはいいが相手が強すぎてふっ飛ばされちまったんだよ」
男「奇遇だなブラザー、俺もだ!」
男「ブラザーもか!」ガシッ
レッド「双子かな…?そっくりだ」
ナツメ「もうどっちがどっちかわかんないわね…」
グリーン「子どもの前だからつい張り切っちゃって吹っ飛ばしちまった」
グリーン「!?」
グリーン「レッド!それにナツメも!」
グリーン「どうしてお前らがここに…」
男「なんだ、ブラザーの知り合いなのか?」
グリーン「俺をブラザーって呼ぶんじゃねえ」
男「はっはっは!男同士一度戦えばブラザーだ!言ってしまえば●兄弟だ」
グリーン「おい、意味わかんねえし変な言い方すんじゃえねえよ」
男「ブラザーもそう思うだろ?」
レッド「……」ぷいっ
男「おお!俺たちのポケモンの心配してくれるなんて…」
男「心の友よ!」ガシイッ
グリーン「うっさい!離せ!男に抱き着かれても気持ち悪いだけだ!この海パン野郎!」
男「ブラザー自分に正直になれ」
男「ブラザーはブラザーを真のブラザーと認めたからこそブラザーにハグをしているのだよ」
グリーン「ブラザーブラザーうるせえ!」
グリーン「おいレッド助けてくれ!」
レッド「がんばれ、じゃあな」
グリーン「何ががんばれだ!おい待てこら!」
男「ん?」
エリカ「……」にこっ
エリカ「私のグリーンさんに」
エリカ「何を」
エリカ「してるん」
エリカ「ですかっ!」ぶんっ
男「ノーーーッ」
ひゅー ぼっちゃーん
男「うおおおお!大丈夫かブラザー!」ダダダッ
エリカ「……」ぱんぱんっ
リーリエ「な…投げ飛ばした…」
子ども「わーママすごーい!」
コトネ「すごいねー、あんなおっきい人投げちゃうなんて」
グリーン「ど、どういうことって…」
エリカ「いなくなったと思えば何をしてるんだか…」
エリカ「コトネさんたちと会ってあなたを探さなければずっとああやって抱き合ってたんですね」
エリカ「私以外と…!」ギロッ
グリーン「違う違う!あれはあいつが勝手に!」
エリカ「勝手に…」
エリカ「ではグリーンさんは嫌だったと?」
グリーン「そうそう、さすがよくわかってんじゃん」
エリカ「ならなぜ振り払うなど抵抗をしなかったのですか?」
グリーン「やったけど振り払えなくて…なあレッド、見てただろ」
レッド「……」
ナツメ「そ…そうね」
エリカ「家族旅行で来たのですがまさかグリーンさんが…」
グリーン「だーかーらー!俺は何にもしてねえって」
グリーン「だいたい俺がお前以外にそんなことすると思ってるのか?」
グリーン「信じてくれよ、何でもするから」
エリカ「あら?今何でもするって言いました?」
グリーン「え…ああ…」
エリカ「そうですかー…ふふ」
エリカ「でしたら、そろそろ3人目がほしいですね」
エリカ「今日は直接…」
グリーン「子どもたちにも意味が分からないとはいえあんまり聞かせるのはさ…」
エリカ「……」
エリカ「そうですね…すいません…」
グリーン「わかればよろしい」
レッド「…なんなんだこいつら?」
ナツメ「私に聞かれても…」
グリーン「そんなもん休みに決まってるだろ」
レッド「8つのうち3つも休んでんのか…」
グリーン「いや、そういえばクチバジムも一週間ぐらい休むって言ってたな」
レッド「半分じゃねえか…」
ナツメ「私が言うのもなんだけどそれ大丈夫なの…?」
グリーン「大丈夫だからこうして俺たちは旅行に来てるわけだろ」
グリーン「そんな何年も閉めてるわけじゃねえんだし」
レッド「だってさ」
レッド「じゃあ遊べるだけ遊んだほうがいいな」
ナツメ「うん」
グリーン「おいおい適度ってもんを考えてくれよ」
レッド「でもナツメの水着姿なんてめったに見れねえんだよ」
レッド「ちょっとぐらいのびても…」
グリーン「ふむ…ナツメのねぇ…」
グリーン「……」
グリーン「けっこうでかいな」
レッド「何見てんだお前、エリカの方にはないからって」
グリーン「ないってなんだ!あるわ!ちゃんと!」
グリーン「エリカは人よりちょっと小さいってだけで…だいたい俺は小さい方が好きなんだよ!」
レッド「お前の好みは知らねえよ」
グリーン「どうだ」
レッド「どうだって…まあかわいいとは思うけど…」
グリーン「そうだろ」
レッド「でもやっぱりナツメの方が」
グリーン「お前は昔からどこかセンスが悪いんだよ」
レッド「センスが悪いってどういうことだ、ナツメの何が悪い!」
グリーン「いやナツメが悪いって話じゃなくて…」
グリーン「とりあえずこのビーチ見渡してみろ」
レッド「……」
グリーン「どう考えても一番はエリカだろ」
レッド「何がだ!?」
レッド「これは譲れん」
グリーン「……」
レッド「……」
グリーン「どうやら言ってもわかんねえようだな」
レッド「それはこっちのセリフだ」
グリーン「だったらこいつで決めるしかねえか、出ろウインディ!」
レッド「そっちがその気なら…ピカチュウ!」
グリーン「……」
レッド「……」
グリーン「フレアドライブ」
レッド「ボルテッカー!」
コトネ「どうしたの?」
リーリエ「あれ見てください…」
コトネ「おー、レッドさんとグリーンさんがバトルしてる」
リーリエ「すごいです…まるでZ技のぶつかり合いみたいです…」
リーリエ「どうしてあんな激しいバトルをしているんでしょうか」
ナツメ「二人は昔からよくバトルしてたんだし久しぶりにやりたくなったんじゃないの」
エリカ「そうですね、特に意味はないと思います」
エリカ「二人からすれば挨拶みたいなものなんでしょうね」
ナツメ「いいのいいの、ほっといて」
ナツメ「周りの人に迷惑をかけさえしなかったらね」
コトネ「でも正直あんな技のぶつかり合いで迷惑をかけないってのは無理がありません?」
ナツメ「……」
ナツメ「たしかに…」
ナツメ「止めた方がいいかな」
エリカ「もうお二人とも満足されたでしょうしね」
コトネ「止めるって言ってもまずどうやって近づくんですか」
エリカ「ええ、それでは…」
ナツメ「フーディン、金縛り」
エリカ「ラフレシア、眠り粉です」
レッド「がっ…」ビタッ
グリーン「ぐー…」ZZZ
ナツメ「もう満足したでしょレッド、終わり」
ナツメ「これ以上は周りに迷惑かかっちゃうから」
ナツメ「ねっ、わかった?」
レッド「ぐっ…んっ…」
ナツメ「よし、フーディン解除してあげて」
エリカ「グリーンさん」ぽんぽん
エリカ「グリーンさん起きてください、もう効力は切れてるはずです」
グリーン「エリ…カ…か?」
グリーン「あれ…?俺は何を…」
エリカ「関係ない人を巻き込んではいけませんよ」
グリーン「んあ…?」
グリーン「なんのこと…あっ!」
グリーン「そ、そうだ!レッドが」
エリカ「レッドさんがどうかしたのですか?」
エリカ「もう部屋に戻られたと思いますが」
グリーン「部屋…ってあれ、ここビーチじゃねえ…」
エリカ「今更ですか…」
グリーン「しかも決着がつかなかったような気がする…」
エリカ「ええ途中で止めました」
グリーン「な、なんで…」
エリカ「さっきも言いましたよね、周りに迷惑をかけてはいけないと」
エリカ「だから止めたのです」
エリカ「あんなビーチであなたとレッドさんがバトルを続けていれば大変なことになりますからね」
グリーン「そ、そうか…すまん…わざわざ…」
グリーン「……」
グリーン「レッドたちの部屋はどこかわかるか?」
エリカ「はい、あそこに誘うつもりですか?」
グリーン「ああ…まあ来ればの話だが、あいつらだって元々別の目的でアローラに来たんだろうし」
コンコン
リーリエ「はい」ガチャ
グリーン「やっ、レッドと話しがしたいんだけど」
レッド「こっちこっち、入ってこいよ」
グリーン「……」
レッド「なんだ、まだ続きやりたいのか?」
レッド「悪いけどこんなところじゃまた関係ないやつら巻き込んじゃうぞ」
グリーン「…お前らいつまでアローラにいる予定なんだ?」
レッド「…いつまで?」チラッ
ナツメ「リーリエちゃんの用事が終わるまででいいんじゃない」
レッド「そんなもん何するかすらわかってねえんだから、どれぐらいかってのもわかんねえな」
グリーン「んー…そうか…」
レッド「なんだ?なんかあんのか?」
グリーン「お前とバトルするのにいい場所があってな」
グリーン「ポニ島にバトルツリーっつう施設があるんだ」
グリーン「そこには強いトレーナーがいっぱいいて、さらに強いバトルレジェンドってトレーナーもいるらしい」
レッド「お前後でそこ行くの?」
グリーン「ああ、行くつもりだけど」
レッド「家族旅行でそこ行くのか…」
グリーン「いいだろ別に」
レッド「てか俺とお前がバトルするなら別にアローラじゃなくてカントーでよくね?」
グリーン「……」
リーリエ「ここが最初の目的地のウラウラ島です」
コトネ「あんた島間違えたって言ったけど、全然違うじゃない…」
レッド「たしかに…これはちょっと間違えないよな…」
リーリエ「すいません…」
リーリエ「でも次からは間違えないようにしますので!」
レッド「うん、お願いね」
リーリエ「それではもうすぐ船が来ますので乗船所の方へ行きましょう」
コトネ「船か…」
ナツメ「さっき酔い止め飲んでたじゃない」
コトネ「でも効くんでしょうかね…」
コトネ「うう…っ…あんな揺れるなんて…」
コトネ「まだ揺れて…おうっ…」
ナツメ「私お手洗いに連れて行くからちょっと待っててね」
レッド「コトネちゃん大丈夫かな…」
レッド「なんか前より気分悪そうだったし」
リーリエ「私もまさか船にホエルコがぶつかってくるとは思いませんでした」
レッド「ああ、あれはびっくりした」
コトネ「今最高にスッキリしてますよ」
ナツメ「コトネも元気になったみたいだし行きましょ」
リーリエ「では私についてきてください」
リーリエ「まずお母様のところへ行きましょう」
レッド「あの美人さんか…」
ナツメ「あの手紙ってお兄さんからじゃなかったの?」
リーリエ「そ、その…お兄様と会うのは数年ぶりなので…」
リーリエ「緊張するので…お、お母様に先に会ってリラックスしておこうと思いまして…」
リーリエ「ビッケさん!お久しぶりです」
リーリエ「あ、紹介します、レッドさんとナツメさんとコトネさんです」
リーリエ「そしてこちらがビッケさんです」
ビッケ「エーテルパラダイス副支部長のビッケと申します」
リーリエ「ビッケさん、お母さまはどちらに?」
ビッケ「代表でしたら自室にいらっしゃるかと」
リーリエ「ありがとうございます」
リーリエ「それではみなさん行きましょう」
リーリエ「あっそうだビッケさん、お兄さまには私が帰ってきたことは秘密にしておいてくださいね」
リーリエ「びっくりさせる予定なんですから」
コトネ「いいとこ住んでるのねー」
コトネ「いいな~小さいときこういう家にあこがれたもん」
レッド「意外だね、コトネちゃんに憧れることがあるなんて」
コトネ「失礼ですね、私だっていろいろありますよ」
コトネ「ナツメさんならわかってくれますよね?」
ナツメ「いや…あんまり…」
コトネ「リーリエは…ってあんたはここに住んでるのか…」
リーリエ「お母さま、ただいま帰りました」
リーリエ「お母さま…?」
グラジオ「イエエエエエエエエエエエエエエエエェェエエエエエエエエエエェェェーーイ!!!!」
グラジオ「あ…」
グラジオ「……」
リーリエ「お兄さま…ですか…?」
リーリエ「どうしてお母さまの様な格好を?」
グラジオ「……」
コトネ「ねえ、これ…どういうこと?」
リーリエ「…わかりません」
グラジオ「初めまして、私はリーリエの兄でエーテル財団代表代理をしていますグラジオです」
グラジオ「話は聞いています、レッドさん、ナツメさん、コトネさんですね」
グラジオ「リーリエがお世話になりました」
レッド「……」
ナツメ「……」
コトネ「……」
コトネ「…ねえ」つんつん
リーリエ「はい?」
コトネ「あれほんとにさっきの人と同じ人?」ひそひそ
リーリエ「そのことには触れないであげてください…」
コトネ「だってあんな急に変わってるから」
コトネ「何があったの」
リーリエ「…では少しだけ」
2時間前
コンコン
リーリエ「お兄さま、入りますね」ガチャ
リーリエ「お兄さま…」
リーリエ「あれ?お兄さま…?」キョロキョロ
グラジオ「……」ズーン
リーリエ「お兄さまどうしたんですか、そんな隅っこで体育座りして…」
グラジオ「リーリエか…今度は一人か…?」
リーリエ「はい…」
グラジオ「……」
グラジオ「お前を驚かせようと思って…」
グラジオ「そしたらお前以外にも人がいて…」
リーリエ「お兄さま…」
リーリエ「……」
リーリエ「だ…誰も気にしませんよ!」
リーリエ「元気を出してください」
グラジオ「俺が気にするんだよ」
グラジオ「……」
グラジオ「お前を驚かせようと思って…」
グラジオ「そしたらお前以外にも人がいて…」
リーリエ「お兄さま…」
リーリエ「……」
リーリエ「だ…誰も気にしませんよ!」
グラジオ「俺が気にするんだよ」
グラジオ「何がいいというのだ」
リーリエ「だって数年前のお兄さまはもっと恥ずかしいことを外でやってたじゃないですか」
グラジオ「…?」
リーリエ「こう…腕をプルプルさせてシャキーンとやったり」
リーリエ「左手が疼くとか言ったり」
リーリエ「ハウさんに聞きましたが『フッ何してやがる俺』とか」
リーリエ「『俺たちの孤独を埋めよう』や『俺の怒りぶちまける!』」
リーリエ「って言ったりしてたそうじゃないですか」
リーリエ「しかも全部こんなポーズやあんなポーズしたりして」
リーリエ「他にも」
グラジオ「やめろ」
現在
リーリエ「…といろいろありましたがなんとか部屋から出て来てくれました」
コトネ「続きをもう少し聞きたい」
リーリエ「これ以上はちょっと…」
グラジオ「リーリエ」
リーリエ「はい」
グラジオ「お前を呼んだのはちょっとやってほしいことがあるからなんだ」
グラジオ「そしてみなさんはリーリエのお世話わしていただいているのでそのお礼に是非エーテルパラダイスを見学してください」
グラジオ「案内はビッケに任せておりますので」
ビッケ「ここでは傷ついたポケモンの治療・保護、調査などを行っております」
レッド「…なあなあ」
ナツメ「なに?」
レッド「なんだあのポケモン…サンドに似てるけど」
ナツメ「たしかにサンドに似てるけど…なんだろ?」
ビッケ「あれもサンドですよ」
ナツメ「えっでもサンドは…」
ビッケ「ええ、あのサンドはリージョンフォームと呼ばれています」
ビッケ「サンドだけではありません、数種類のポケモンが他の地方とは異なる姿を確認されています」
ビッケ「これはアローラ地方独自の自然環境に適応した結果です」
ビッケ「ですが活発な火山噴火の影響で雪原地帯へと移り住み、過酷な雪山でも耐えられるように頑丈な鋼の皮膚と氷の外殻をまとった姿に変化したのです」
ビッケ「そしてタイプも変わり氷鋼タイプとなったのです」
コトネ「すごいですね、そんなことわかるなんて」
ビッケ「当然です!」
ビッケ「我がエーテル財団の調査能力は世界一ィィィ!」
ビッケ「わからないことはありませんんんんんんっ!!」
レッド「……」
ナツメ「……」
コトネ「……」
ビッケ「他にわからないことはありますか?」
ナツメ「他の職員の人たちが見た限り普通だったし二人だけかもよ」
コトネ「でもこの人も見た目は真面目そうで説明も丁寧だったじゃないですか」
コトネ「どこかで急にスイッチが入る人しかいないって考えもありますよ」
レッド「いや、それは違うと思う」
コトネ「えっどうしてですか?」
レッド「見たところスイッチはついてなさそうだし、スイッチをいれるような行動はしていない」
コトネ「当たり前でしょ、やる気スイッチじゃないんですから見えるわけないじゃないですか」
ナツメ「やる気スイッチも見えないと思うけど…」
ビッケ「なんでしょう」
コトネ「サンド以外にも数種類違う姿のポケモンがいるって言ってましたけど他にどんなのがいるんですか?」
ビッケ「いい質問ですね」
ビッケ「どうぞ、現在確認されているアローラの姿のポケモン一覧です」
コトネ「ふむふむ…」
レッド「俺にも見せて」
レッド「へー…けっこういるんだね」
レッド「あ、ナツメ、ナッシーがいるよ」
レッド「違う姿のポケモンをジムで使ってみるのもおもしろいんじゃない?」
ナツメ「ええ、これでも一応エスパータイプのジムリーダーをしてます」
ビッケ「あっエスパータイプですか」
ビッケ「残念ですがリージョンフォームのナッシーは他の地方とはタイプが違い草ドラゴンタイプなんです」
ナツメ「ドラゴン…?」
ビッケ「実際に見ていただいたほうがわかりやすい…といいたいところですが、現在このエーテルパラダイスにはナッシーはいません」
ビッケ「ポニ島のナッシー・アイランドというところに生息しています」
ビッケ「変わりと言ってはなんですが他のリージョンフォームのポケモンならいますので、そちらを見られますか?」
ナツメ「じゃあそっちお願いします」
ビッケ「かしこまりました」
ビッケ「ええ、そうですよ、そして後ろにいるのがその進化形キュウコンです」
ナツメ「アローラだと白いのね」
コトネ「あれ?このロコン怪我してません?」
ナツメ「擦りむいてるみたいね」
ビッケ「ほんとですね、ですが我がエーテル財団の医学薬学は世界一ィィィ!」
女「おまたせー、傷薬持ってきたよー」
女「さっ治しましょうねー」シュー
ロコン「コーン」
女「あれ、ビッケさんどうしたんですか?」
ビッケ「先ほどの一覧にあった通りライチュウもリージョンフォームがあります」
ナツメ「私の知ってるライチュウと全然違う…でもかわいい…」
コトネ「なんか浮いてません?」
ビッケ「はい、アローラのライチュウは電気エスパータイプ」
ビッケ「そのためサイコパワーを使うことができます」
コトネ「ということはサイコクラッシャーが使えると…!」
ビッケ「それはできません」
ビッケ「その代わり尻尾にサイコパワーを集中させ浮遊することはできます」
ビッケ「特性は浮遊ではありませんが…」
ナツメ「えっ…いいんですか?」
ビッケ「はい、ここにいるポケモンは全て怪我などの理由でエーテル財団が保護したポケモンであっておやはいない野生のポケモンだけです」
ビッケ「本来はここでの捕獲行為は禁止…そもそもボールは使えません」
ビッケ「ですがリーリエ様のこともありますし、特別に」
ナツメ「…ありがとうございます」
ナツメ「そういえば、リージョンフォームはアローラ独自の自然環境に適応したって言ってましたけどライチュウはどういう理由なんですか?」
ナツメ「やっぱり暑さですか?」
ビッケ「パンケーキです」
ナツメ「パンケーキ」
ビッケ「エントランスに向かいましょう」
ビッケ「あ、そうそう、ナツメさんがライチュウをゲットしたのでこれを差し上げます」
ビッケ「ライチュウを持っている方が使わないとのことなので」
ナツメ「これは…宝石ですか?」
ビッケ「Zクリスタルです」
ナツメ「何に使えばいいんですか?」
ビッケ「そのZクリスタルを持ったとき心に全て浮かんだはずです」
ビッケ「それを全力でやってください」
ナツメ「…わかりました」
ナツメ「ビューティープリティージューマンボルト!」ジャキーン
ビッケ「全然違います…」
ナツメ「に、二回言わないでください!」
ナツメ「い…言われたとおりにやったのにどうして!?」
レッド「ビューティープリティーってナツメ…」
ナツメ「言うなっ!!」
コトネ「私はそんなナツメさんも好きですよ」
ナツメ「うるさいっ」
ビッケ「正しくはこちらの動画を見てください」ゼンリョクデボーズヲキメルンダ
コトネ「全然違いますね」
ナツメ「もうそれ聞いた…」
ビッケ「それと技名もライトニングサーフライドです」
リーリエ「あれ?何かあったんですか?」
ナツメ「なにも」
リーリエ「ならいいですけど…」
リーリエ「これからどうします?どこか行きたいところはありますか?」
コトネ「ナッシー・アイランド!」
リーリエ「あそこですか…」
コトネ「嫌なの?」
リーリエ「いえ、そんなこと…」
リーリエ「それではまずウラウラ島に戻りましょう」
リーリエ「お兄さま」
グラジオ「これ持っていけ」
リーリエ「これは…?」
グラジオ「ただのお守りだ、」
グラジオ「いらなかったら捨てろ」
リーリエ「いえ、大切に持っておきます」
グラジオ「ふっ…みなさんこんな妹ですがこれからもよろしくお願いします」
リーリエ「とても腕が疼くとか言ってたお兄さまと同一人物とは思えない言葉ですね」
コトネ「おえ…っ」
カット
コトネ「お待たせしました…」
リーリエ「それではポニ島行きの船に行きましょう」
ナツメ「ねえ待って」
ナツメ「気になってたんだけど、あれなに?」
リーリエ「あれはマリエ庭園です」
リーリエ「ジョウト地方がモチーフだそうですよ」
コトネ「ほう…」
コトネ「では本当にジョウト地方かこのコトネ様が判断してやろう」
レッド「けっこう広いね」
リーリエ「中にお茶屋さんもあるんですよ」
リーリエ「たしか向こうの方に…」
リーリエ「あれ…橋に人がいっぱいいて渡れそうにありませんね」
コトネ「あれって何やってんの?」
リーリエ「なんなんでしょうか…私も知りません…」
レッド「なあナツメ、あの配置なんか見たことない?」
ナツメ「さあ…ないけど」
レッド「んー…どっかで見たことある気がするんだけどな…
レッド「あっちなんだろ?じゃああの橋使えばいいじゃん」
ナツメ「だから見たらわかるじゃない」
ナツメ「あの橋はなんかふさがれてるじゃない」
レッド「……」
レッド「あれってバトルしたらどいてくれるんじゃね?」
ナツメ「このバトル脳…」
ナツメ「そんなね…なんでもかんでもバトルじゃないの」
レッド「もしかしたらあれゴールデン」
ナツメ「ほらもうこっち行くよ」
リーリエ「なんでしょう?」
コトネ「正直あんまりジョウト感がしないんだけど」
リーリエ「そう言われましても私ジョウトに行ったことないので、似ているところも違うところもわからないので…」
オーキド「そうじゃな…あの塔なんか似とると思わんか?」
コトネ「……」
コトネ「ねえ誰…?急に話かけてきたけど…危ない人?」ひそひそ
リーリエ「あっオーキドさん!」
リーリエ「お久しぶりです」
コトネ「オーキド…!?」
オーキド「オーキド博士…ああユキナリのことじゃな」
オーキド「初めまして、私はナリヤ・オーキド」
オーキド「おそらく君の言っているオーキドはユキナリのことじゃろ」
オーキド「私は彼の従兄弟」
コトネ「レッドさーんレッドさーん!オーキド博士がいますよー!」
オーキド「あの…聞いてた…?」
リーリエ「コトネさん…だからオーキド博士ではありませんよ…」
コトネ「そうですよ、見てください」
レッド「…ほんとだ」
レッド「でもなんか黒くない?」
ナツメ「アローラで日焼けしたんじゃないの」
レッド「そうか…」
レッド「……」
レッド「博士ってあんな感じだっけ?」
ナツメ「いや、知らないわよ、テレビや本で見たことあるだけで会ったことないし」
ナツメ「会ったことあるあなたがわからないなら私もわからないわよ」
レッド「うん」
レッド「……」
レッド「……」
ナツメ「どうしたの?」
レッド「ナツメ…これは一体どういうことだ…?」
ナツメ「な、なにかあったの?」
レッド「なぜ博士に対してATフィールドが発動している…!?」
ナツメ「いや知らない…そもそもATフィールドって何よ…」
コトネ「え?」
コトネ「どういうこと?」
リーリエ「ほんとに聞いてなかったんですか…」
オーキド「私の名前はナリヤ・オーキド」
オーキド「君たちの言うオーキド博士というのはオーキド・ユキナリのことだね」
オーキド「君たちはカントーやジョウトから来たのかな?」
オーキド「どうやらユキナリと知り合いのようだが、どういう繋がりがあるのかね?」
ナツメ「うん、私会ったことないし」
オーキド「レッド!?君がレッド君かね!?」
レッド「…!」びくっ
オーキド「おお、会えてうれしいよ」
オーキド「ユキナリから聞いてるよ、君はすごいトレーナーだそうだね」
レッド「……」
オーキド「ユキナリの孫のグリーン君と君がカントーで1、2に強いそうじゃないか」
レッド「……」
オーキド「ポケモン研究家として興味があるんだ、ぜひ話を聞かせてくれないか」
レッド「……」
オーキド「ありがとう、いろいろ参考になったよ」
オーキド「また会おう!」
レッド「……」
ナツメ「…あの人どれだけしゃべるのよ」
コトネ「ほんとですよ…レッドさんは全然しゃべらないですし」
レッド「ごめん…だって見た目は博士でも中身は知らない人だから…」
ナツメ「まあレッドの人見知りは今に始まったことじゃないけど」
レッド「それよりさ、ほらなんとか島行くんでしょ」
レッド「早くしないと夜になっちゃうよ」
レッド「今度こそちゃんと目的の島だよね?」
リーリエ「はい、間違いなくポニ島のはずです」
リーリエ「ですが…」
リーリエ「ここはどこなのでしょうか…?」
コトネ「あんたほんとにアローラのことわかってるの?」
リーリエ「この島だと港もある唯一の村のところに行けばわかるのですが…」
レッド「このまま島一周して探してもいいけど夜になっちゃうな」
ナツメ「ねえ、あそこに人が集まってる」
ナツメ「あの人たちに聞いてみればいろいろわかるんじゃない?」
コトネ「木なんですか?でかすぎません?」
レッド「あんなにでかい木なのに知らないの?」
リーリエ「この木…なんの木なんでしょう…気になりますね」
ナツメ「けっこう人が集まってるし…何するところだろ」
レッド「儀式か何かじゃない」
ナツメ「とりあえず行ってみましょ」
レッド「儀式とかやってないかな…」
コトネ「やってませんよ…たぶん」
リーリエ「近くで見てもとても大きいですね…」
ナツメ「私あの人に村の場所聞いてくるね」
ナツメ「あの、すいません」
女「ようこそバトルツリーへ」
ナツメ「道を尋ねたいんですけど」
女「はじめての方ですか?」
ナツメ「はい?」
女「シングル、ダブル、マルチどれに挑戦されますか?」
ナツメ「いやだから道を」
女「シングルですね」
女「それでは参加させるポケモン3匹選んでください」
女「選んでください」
ナツメ「……」
女「3匹」
ナツメ「フーディン、エーフィ、ヤドキング」
女「それではこちらへどうぞ」
ナツメ「……」
コトネ「あれ?ナツメさんなんか奥の方へ入っていっちゃいましたよ」
レッド「なんで?」
コトネ「いや、わかりませんよ」
女「ようこそバトルツリーへ」
コトネ「今さっき入っていった女の人ってどこ行ったんですか」
女「シングル、ダブル、マルチどれに挑戦されますか?」
コトネ「は?挑戦?」
女「ダブルバトルですね」
コトネ「なんも言ってねえだろ」
コトネ「私が言ってんのはナツメさんがどこ行ったか聞いてんだ!」
女「それでは参加させるポケモン4匹選んでください」
コトネ「……」イラッ
リーリエ「コトネさん、落ち着いてください」
リーリエ「レッドさんも手伝ってください!」
レッド「あ、ああ…」
へラクロス「ヘラッ!」スッ
コトネ「おわっ!?」
リーリエ「きゃっ!」
ゴールド「ここで喧嘩はだめですよ、どうしてもしたかったらツリーの外で…」
ゴールド「あれっ…コトネ!?」
コトネ「……」
コトネ「誰…?」
コトネ「オレオレ詐欺?お金ならあげませんよ」
ゴールド「違えよ!」
ゴールド「ほら、ゴールドだよ!幼馴染みてえなもんだろ!」
コトネ「あー…」
コトネ「はいはいはい」
コトネ「うん、知ってる知ってる」
ゴールド「なんだその反応!?」
コトネ「別に」
ゴールド「おっ!よくぞ聞いてくれました!」
ゴールド「俺は今このバトルツリーでバトルレジェンド、つまりこの施設のボスをやってる」
コトネ「ほーん」
ゴールド「興味なさそうだね…」
コトネ「うん」
ゴールド「うんって…」
コトネ「それよりあんたここの関係者なんでしょ?こいつどうなってんの」
ゴールド「ああ…その人か…」
ゴールド「その人はもうだめだ、このバトルツリーにどの種類で参加するか、どのポケモンを使うかしか話すことのできなくなった悲しき存在だ」
ゴールド「知ってて来たんじゃないのか?」
コトネ「質問を質問で返すな!知ってたらこんな質問しないだろ」
ゴールド「…はい、すいません」
ゴールド「簡単に言えばここはバトル施設だ」
ゴールド「各地から腕に覚えのあるトレーナーが集まり競いあう場所だ」
コトネ「じゃあ、さっき私の知り合いが入っていった…ていうかこいつに無理やり入れられたんだろうけど」
コトネ「その人のバトルは見ることができるの?」
ゴールド「ああ、できるよ」
ゴールド「あっ…あ、あんたはレッド!…さん、なんでこんなところに…」
レッド「?」
リーリエ「先ほどまでコトネさんと話していらっしゃったようですが、レッドさんもお知り合いなのですか?」
レッド「…知らない」
ゴールド「知らないってなんだ!あんたまで!」
レッド「……」
ゴールド「じゃ…じゃあこの際俺のことを覚えていないってことは置いといて…」
ゴールド「なんであんたがコトネといるんだ」
コトネ「いいじゃん別に、あんたには関係ないし」
ゴールド「なっ…!?」
ゴールド「レッドさん、俺とバトルだ!」
ゴールド「あの時の俺とは違うことを見せつけてやる」
ゴールド「そしてコトネにも!」
ゴールド「今ここで…と言いたいところだけど俺にはバトルレジェンドって称号がある」
ゴールド「簡単に俺とはバトルできない、でもここで勝ち上がってくることができれば俺とバトルができる」
ゴールド「だからあんたにはここに挑戦してもらう」
男「ゴールド様、バトルレジェンドの部屋に挑戦者が来ました」
ゴールド「ちょうどい」
ゴールド「ついてきてください、あんたに今の俺の力を軽く見せてやりますよ」
コトネ「えっそうなんですか?」
コトネ「私もちゃんと聞いてなかったんで何がなんだか」
コトネ「何かを見せるとか言ってたのは聞こえたんですが」
リーリエ「あの…どうしてお二人のことなのに聞いてないのですか…」
コトネ「リーリエは聞いてたの?」
リーリエ「はい、お二人の隣にいましたので…」
コトネ「あのバカ何言ってたの?」
リーリエ「えっとまとめますと…」
コトネ「んあ、わかってるって」
ゴールド「わかってないから言ってんの」
コトネ「行かなきゃだめなの~?」
ゴールド「せっかく呼んでるんだから来てよ」
コトネ「はぁ…どうしますレッドさん?」
ゴールド「そいつに相談しないの!」
コトネ「……」ぴくっ
ゴキッ
ゴールド「いだだだだだだだだ!」
コトネ「私のレッドさんに向かってそいつって何だ」
レッド「別にコトネちゃんのではないけど…」
ナツメ「あの、まだなんですか?」
ナツメ「私、人待たせてるんですけど」
女「もう少々お待ちください、ボスももうすぐ来るはずですから」
ナツメ「はぁ…」
ナツメ「レッド怒ってるかな…」
女「あっ来たようです、お待たせしました」
ゴールド「よくここまで来た!歓迎する!」
ゴールド「ん、どっかで見たことあるような」
コトネ「あ、ナツメさん」
ナツメ「あれ?みんなも来たの?」
ナツメ「私が一番知りたいわよ」
ナツメ「なんの説明もなしに急にバトル始まるし」
ゴールド「それはここがバトルツリーだから」
ゴールド「バトルしたいやつがここに集まるんだから、そりゃ説明しなくてもバトルが始まるでしょ」
コトネ「ちょっと何言ってるかわからない」
ゴールド「なんでわかんねえんだよ」
ゴールド「ああそうか、あんたヤマブキジムのナツメさんか」
ゴールド「相変わらず美人っすね」
コトネ「当たり前じゃボケッ!」
ゴールド「こうなるとなんでますますあのレッドさんが一緒にいるんだ…」
ゴールド「あんな山にこもってて一言もしゃべらないような人なのに」
ゴールド「加えてもう一人いるし、あの子は知らないけど…」
ゴールド「なんであの人だけ!」
ゴールド「俺なんか今まで一人も…いや、そんなことはいい」
ゴールド「こうなったら少しでも怒りをこのバトルにぶつけてやる!」
ゴールド「っっっっっっっしゃあっ!!」
ナツメ「ふぅ…やっぱり強いわね」
ゴールド「どーだ!見たか!俺の実力をぉぉぉぉ!」
コトネ「ドンマイですナツメさん」
レッド「おしかったね」
ナツメ「ううん、全然よ」
ナツメ「実際強かったしどういう戦い方しても勝てなかったと思うもの」
コトネ「そんなはずありません!」
コトネ「ナツメさんがあんなやつごときに負けるなんて千回に一回あるかないかなんですよ」
コトネ「ナツメさんの方が圧倒的強いんですもん!」
レッド「こういうのは強い者が勝つんじゃない、勝った者が強いんだよ」
コトネ「レ、レッドさん、それはひどくないですか」
ナツメ「いや、レッドの言ってることは正しいわ」
ナツメ「勝った人が強いって当然のことだもの」
ナツメ「覚えてくれてたの?」
レッド「まあ…な」
ナツメ「ふふ」
コトネ「何の話をしてるんですか?」
レッド「二人だけの秘密」
コトネ「うっせえな、今こっち忙しいの、のちほど来やがれ」
ゴールド「いや俺は」
シルバー「コトネッ!」ゲシッ
ゴールド「ぷぎゃっ」
シルバー「お前がここに来るとはな…」
コトネ「あんたはたしか…シルバー」
シルバー「ふっ俺に会いに来てくれたのか」
コトネ「は…?」
ゴールド「何言ってんだ、俺に会いに来たに決まってんだろ」
シルバー「ふっ…お前にそんな笑いのセンスがあったとはな」
ゴールド「笑い?何の話してんだ」
シルバー「ジョークで言ったんだろ?」
シルバー「コトネがわざわざお前に会いに来るわけはない」
シルバー「じゃあ誰に会いに来たか、そう俺だろ」
ゴールド「おいおいおいおいマジかお前?」
ゴールド「何がどうなったらお前みてーな赤髪にコトネが会いに来るってんだ?」
ゴールド「落とし物すら届けてもらえなさそうな顔してるくせに」
シルバー「なんだと…?」
コトネ「人気?ああ…いやがらせ受けてるみたいなものよ」
リーリエ「そんないやがらせだなんて…」
コトネ「ほんとよ、あんたもやられればわかるわよ」
コトネ「ただの二方向からの攻撃だもん」
コトネ「これだけでどれぐらい嫌かわかるでしょ?」
リーリエ「一応好意を持っていらっしゃるわけですし、攻撃というのは…」
コトネ「レッドさんとナツメさんがいる限り私にとってはとにかく害なんだから、別にいいでしょ」
リーリエ「ケンカのようになってますよ」
コトネ「あー、ほっときゃいいんじゃない」
コトネ「ほらあんなのどうでもいいから下行くよ」
コトネ「レッドさんとナツメさん行っちゃう」
リーリエ「はい…」
ドンッ
リーリエ「きゃっ」
シロナ「いった~…あっ大丈夫?」
リーリエ「はい、すいません、よそ見していたもので…」
リーリエ「あ…あの…」
リーリエ「何をしてるのでしょうか…?」
シロナ「君みたいな女の子を怪我させてはいけないからね、ちゃんと見ておかないと」
リーリエ「だ、大丈夫ですって」
シロナ「スカート…」
シロナ「……」
リーリエ「……」
シロナ「……」ぺらっ
リーリエ「!?//」
コトネ「リーリエがついてこないと思ったら、あんた何やってんの」
リーリエ「コトネさん!」
シロナ「……」
シロナ「私のこと?」
コトネ「あんた以外誰がいるってのよ」
シロナ「この子とぶつかっちゃって怪我してないか見てたの」
コトネ「スカートの中まで?」
シロナ「そうよ、服で見えないところも確認しとかないといけないし」
コトネ「水玉ってのは何?」
シロナ「耳がいいのね、この子の下着だけど」
シロナ「んー…そう聞かれると難しいなー…」
コトネ「とりあえず警察に来てもらうから」
シロナ「えっ警察!?それはちょっと困る」
コトネ「うるさい、私のかわいいリーリエにわいせつ行為をしたんだから罪をつぐなってもらう」
ピッピッピ プルルルルル
シロナ「ちょちょちょ!待って待って!」
コトネ「せい!」
シロナ「うええっ!?」
コトネ「ふんっ」ギシッ
シロナ「いたいいたいいたいいたい!!」
リーリエ「おおっ…コトネさんの見事な腕ひしぎ十字固…!」
シロナ「折れる折れる!ほんとに!!」
コトネ「折ろうと思ってやってんの」
コトネ「折られるのが嫌なら警察」
コトネ「どっちか好きな方選びな」
シロナ「……」
コトネ「ん?…答えないならこのままやっちゃうけど」
リーリエ「コ…コトネさん!その人気絶してますよ!」
コトネ「え?」
コトネ「あ、ほんとだ」
コトネ「どうする?とりあえず折るだけ折っとく?」
リーリエ「いやそれは…」
ナツメ「ねえレッド」
レッド「どうしたの?」
ナツメ「コトネとリーリエちゃんがいない」
レッド「え?ついて来てたんじゃないの?」
ナツメ「そう思ってたけどいないのよ」
レッド「……」
ナツメ「……」
レッド「どうする?」
ナツメ「探さないと」
レッド「まずいつはぐれたんだ?」
ナツメ「バトルツリーを降りるときはいたようないなかったような…」
レッド「なんかはっきりしないね」
レッド「俺もそのときは後ろ見なかったけど…」
レッド「あっ」
ナツメ「見つけた?」
レッド「いや、グリーンがいた」
ナツメ「そういえば前会ったときここにいるとか言ってたわね」
レッド「どうしよう、目があっちゃった」
グリーン「お前今すげえ嫌な顔してたな」
レッド「…そんなことねえよ」
グリーン「……」
レッド「……」
グリーン「まあいいや、お前も来たんだな、俺と戦いに」
レッド「いや、ただ道に迷っただけ」
レッド「すぐにでも出たいところだけど、コトネちゃんとリーリエがどっか行っちゃって」
レッド「二人のこと知らない?」
グリーン「いや、知らねえな」
レッド「するなんて一言も言ってねえだろ」
グリーン「バトル拒否か?おい」
レッド「んー…そうだな」
グリーン「目と目があったらバトルっていうだろ」
レッド「……」
レッド「知らない言葉だ、どこの国の言葉だ?」
グリーン「いやいや、今までそういう経験何度もあるだろ」
レッド「……」
レッド「ない」
グリーン「うそつけ!」
グリーン「マジでか、お前が来ると思って先にエリカと1000連勝しておいたのに」
レッド「お前すげえ暇なんだな」
グリーン「別に暇ってわけじゃねえよ」
レッド「あっそう、んじゃおつかれさまでした~」
グリーン「おいおいおいおい!待て待て」
グイッ
エリカ「もう、だめじゃないですかグリーンさん」
グリーン「え…?何が?」
エリカ「見てわからないのですか、お二人のデートの邪魔をしてはいけませんよ」
グリーン「ああ…そういうことか」
グリーン「あれ、でも話しかけてきたのはあいつからだよ」
レッド「知らないってさ」
ナツメ「あの子たちどこで遊んでるんだか…」
レッド「ああそうだ、いいのを思いついた」
レッド「こういうときはあれしかないな」
ナツメ「あれって?」
レッド「電話だ」
ナツメ「私もそれ忘れてた」
プルルルルル
レッド「出ないなぁ…」
ナツメ「えぇ…」
コトネ「遅くなっちゃったし連絡を…」
コトネ「あれ?」
コトネ「おかしいなぁ…」ゴソゴソ
リーリエ「携帯がないのですか?」
コトネ「うむ…どうやらそのようだ」
リーリエ「そのようだじゃありませんよ…」
リーリエ「どうするのですか?」
コトネ「大丈夫、ナツメさんの超能力でどこでなくしたか探してもらえるから」
リーリエ「いえ、そうではなくて連絡のことです」
コトネ「あー…どうしよっか」
リーリエ「えっでもこの人は」
コトネ「マリルリ、水」
ブシュッ
シロナ「ぶはっ」
シロナ「あ、あれ?私は…」
コトネ「起きた?変態さん」
シロナ「ん?たしかに私は変態だけどあなたは?」
コトネ「記憶がちょっと飛んじゃってんのかな」
シロナ「あのね、名前も知らない子に何かを貸すと思ってるの?」
コトネ「……」
シロナ「……」
コトネ「私はコトネ」
コトネ「これでいいでしょ」
シロナ「そっちの子は?」
リーリエ「わ、私ですか?私はリーリエと申します」
シロナ「ふむ…コトネちゃんにリーリエちゃん…」
シロナ「二人ともスリーサイズは?」
コトネ「はぁ!?」
シロナ「私も女の子なんでね…ちょっと顔とかはね…」
リーリエ「あのよかったらティッシュどうぞ、鼻血が…」
シロナ「ありがとう、やっぱりあなたはいい子ね」
リーリエ「コトネさんも暴力はよくありませんよ」
コトネ「でも…」
リーリエ「でもじゃありません、私のためというのはうれしいのですが…」
リーリエ「これ以上はかわいそうです」
シロナ「!」
シロナ(この私の心配を…!?)
シロナ(天使…!紛うことなく天使!!)
リーリエ「じっとしててくださいね、少ししみますけど」
シュッー
シロナ「っ!!」
リーリエ「はい、大丈夫です」
リーリエ「もう少しすれば、腫れたところもひいてくるはずです」
シロナ「……」
シロナ「……」ツー
リーリエ「な、泣くほど痛かったのですか?すいませんその痛みは私にはコントロールできないもので…」
シロナ「いいや…違うの…」
リーリエ「あの…」
シロナ「少しスッキリした…」
シロナ「ねえ私の話していいかな、あなたに私のことを知ってほしいの」
コトネ「ダメ」
リーリエ「コトネさん」
コトネ「……」
リーリエ「はい、どうぞ」
シロナ「ありがとう」
シロナ「職業は考古学者」
シロナ「出身はシンオウ、これでもシンオウじゃちょっと有名なトレーナーだったの」
シロナ「アローラに来た理由としては傷心旅行ってとこかな」
シロナ「恋人にふられちゃったのよ」
シロナ「ヒカリちゃんっていってね、そっちのコトネちゃんと同じぐらいの子かな」
シロナ「彼女が新米トレーナーのときからいろいろ面倒みてあげてたのよ」
シロナ「今のあなたより少し小さいぐらいね」
シロナ「ぐすっ…ひくっ…」
シロナ「そりゃ私もヒカリちゃんも同じ女よ」
シロナ「普通とは違うことぐらいわかってる…」
シロナ「ヒカリちゃんが私より男が好きだってこともわかってる…」
シロナ「私が本当は男の子が好きだってこともわかってる…」
シロナ「だからこんなことでメソメソしてる私はたしかにおかしい…」
シロナ「でも!!!」
シロナ「あんなクソニートの何がいいっていうの!」
シロナ「どうしてヒカリちゃんがあんな!!」
リーリエ「!」びくっ
シロナ「あ…」
リーリエ「い、いえ…」
シロナ「膝枕してもらってもいい?」
リーリエ「え?えっ…あ、はい」
シロナ「ありがとう」
シロナ「あと頭なでてもらっていいかな、落ち着くの」
リーリエ「はい…」なでなで
シロナ「リーリエちゃん…」
リーリエ「なんでしょう」
シロナ「私これからどうしたらいいと思う…?」
リーリエ「ど、どういうことでしょうか?」
シロナ「…ごめんね、わかんないよね」
シロナ「初対面の人のこんな話聞かされたって…」
シロナ「だいぶ長く聞いててくれたよね、ありがとう」
コトネ「ワカル…」うるうる
リーリエ「コトネさん!?」
コトネ「シロナさん…あんた…いや、あなたにそんな悲しい過去があったなんて…うう…」
コトネ「殴ったり、骨折ろうとしたりしてごめんなさい…」
シロナ「そう…コトネちゃん、あなたも大変なのね」
シロナ「私とはまた違うけど、共感してくれる人がいたなんてね…」
シロナ「コトネちゃん…私とイイコトしない?」
コトネ「よろこんで」
リーリエ「あの…」
シロナ「リーリエちゃんも一緒にどう?」
リーリエ「何の話かはわかりませんが最初の目的を忘れてませんか?」
コトネ「最初の目的…?」
リーリエ「レッドさんとナツメさんに連絡をとるんじゃないですか…」
コトネ「あ…」
コトネ「せめて連絡だけでもとらないと…」
コトネ「あ、携帯ないんだった…」
リーリエ「だからシロナさんに借りようとしてたんじゃないですか」
コトネ「そうか!」
コトネ「シロナさん、携帯貸してください」
シロナ「うん、いいよ」
レッド「迷子センターに知らせる?」
ナツメ「そんなものないでしょ…」
レッド「うーん…困ったな…」
プルルルル
レッド「あ、俺の携帯がなってる」ツルッ
レッド「おっと」
スコーン
レッド「あ、蹴っちゃった」
レッド「あんな遠くまで…」
グシャッ
ドサイドン「ウウ…」
男「ドサイドンーー!しっかりしろー!」
レッド「……」
レッド「ナツメ…俺新しい携帯ほしい…」
ナツメ「うん、買ってあげる」
リーリエ「ナツメさんの方にはどうですか?」
コトネ「レッドさんが意味なく電源切ってるとは思えないのよね」
コトネ「ナツメさんもレッドさんと同じところにいるだろうから電波届かないところにいるはずだしね」
リーリエ「なるほど、たしかにそうですね」
コトネ「さて困った…」
リーリエ「何か考えはないのですか?」
コトネ「ない」
シロナ「だったらそういうところを探しに行けばいいじゃない」
リーリエ「それはこのバトルツリーの施設の外ということですか」
リーリエ「このあたりでは圏外になるようなところはなさそうですし」
シロナ「そうなるわね」
リーリエ「この島で圏外になりそうな場所は三ヵ所はありますよ」
コトネ「三ヵ所…」
コトネ「ちょっとリスクが高いな…」
コトネ「それならまだこのツリーから動かない方がいいですよ」
シロナ「どうせ夜になったらそこに行くんでしょ」
コトネ「なるほど、その手がありましたか」
コトネ「……」
コトネ「どこだっけ?」
リーリエ「ハノハノリゾートホテルですよ」
コトネ「そうそうそれそれ」
シロナ「あれ、二人もそこに泊まってたの?私もなのよ」
レッド「なんかずーっとここにいるけどいいのかな」
ナツメ「さあ…二人を探さないといけないのはたしかなんだけどね…」
レッド「……」
ナツメ「……」
レッド「……」チラッ
ナツメ「……」
ナツメ「ん?私の顔に何かついてる?」
レッド「いや…別に」
レッド「……」
レッド「なあ…その…こんな時に言うことじゃないかもしれないけど、さっきグリーンを見てすげえうらやましいなって思ったんだ」
レッド「なんでだろ…俺もわかんない…」
ナツメ「?」
ナツメ「まあ、それはいいわ」
ナツメ「どうしてグリーンをうらやましいって思ったの?」
レッド「あいつはさ…俺にできないことができたんだなって思ったんだよ」
ナツメ「あなたにできないこと?」
ナツメ「そんなことあるの?あなたはやろうと思えばなんでもできると思ってたけど」
レッド「俺はそんなすごいやつじゃない」
レッド「むしろなんでもできるどころか、人よりできることが少ないぐらいだ」
レッド「普通はできることが俺はできないんだから…」
レッド「え…言わなきゃだめ?」
ナツメ「当たり前でしょ、あなたから言ってきたんだから」
ナツメ「気になるじゃない」
レッド「……」
レッド「わかった…」
レッド「ちょうどいい…言う…」
レッド「言うからちゃんと聞いててくれよ…」
レッド「お…俺は…」
女「あ、いた、お客様」
ナツメ「私のことですか?」
女「はい」
女「申し訳ございません、先ほどの挑戦であなたが獲得したポイントをお渡しするのを忘れていました」
女「こちらが獲得されたポイントです」
ナツメ「これは何ができるんですか?」
女「あちらにポイント交換所がありますので、そちらで景品との交換ができます」
ナツメ「…わかりました」
女「では失礼します」
ナツメ「ごめん、なんだっけ?」
レッド「いや…やっぱ俺には無理…」
レッド「えっ…まさか俺の考えてることを読んだ…!?」
ナツメ「だからそんなことしなくてもわかるって」
レッド「……」
ナツメ「で、いくらほしいの?」
レッド「?」
レッド「イクラ?」
ナツメ「それは言ってもらわないとわからないから」
ナツメ「え?お金のことよね?」
ナツメ「言いにくそうにしてるし」
ナツメ「月のお小遣いを増やしてほしいことでしょ」
レッド「…ああ、そういうことか」
レッド「いや、俺の言ってるのはお金じゃなくて…」
レッド「もっとこう、なんていうか…」
ナツメ「はっきりしないのね、あなたらしくない」
レッド「うん…」
レッド「それはちょっと…」
ナツメ「心配しなくても余計なところは見ないって」
レッド「だからその…そうじゃなくて…」
ナツメ「もう…いい加減にしなさいよ」
ナツメ「はっきりしなさい!言うのか!言わないのか!」
レッド「!」ビクッ
ナツメ「どっち」
レッド「い…言います…」
レッド(無理無理無理無理無理!)
ナツメ「そんなに言うのが嫌なら言うなんて言わなきゃいいのに」
レッド「えっ!?」
ナツメ「汗すごいよ、ふいてあげる」
レッド(体中が今は無理だと叫んでいるのか…!)
レッド(でも言うって言っちゃったし…)
レッド(何か…何かいい手はないのか…!)
レッド「!」
レッド(そうだ、別のことを言おう)
レッド「それなら言える、とりあえず今はそれで凌ごう)
レッド(今の俺に出来ないことを未来の俺に託すだけ)
レッド(いつか必ずナツメに言えば…伝えることができればいいんだ)
レッド(だから今は軽いことを…)
レッド「よし…」
レッド「……」
レッド「なあナツメ」
ナツメ「やっと話してくれる気になったのね」
レッド「うん、その…」
レッド「アローラでのお土産って誰かに買う予定あるの?」
ナツメ「……」
ナツメ「へ…?」
ナツメ「あんなに迷ってたのに言いたかったことってこれ?」
ナツメ「ほんとは違うでしょ?」
レッド「……」
レッド(さすがに軽すぎたか…)
レッド(逆にやばいな…)
レッド(こうなるとちょっと攻めたこと言わないと…)
レッド(攻めたこと…)
レッド「……」
ナツメ「……」
レッド「……」
レッド(せ、攻めすぎたか…!?)
レッド(攻めすぎたっていうかこれは人としてやばいか…?)
レッド「あの…ナツメ…じょ、冗談…ダヨ…」
ナツメ「……」キョロキョロ
ナツメ「……」
レッド「その、ナツメさん…?今のは…」
ナツメ「ちょ…ちょっとだけなら…いいよ…//」
レッド「ふえ…?」
ナツメ「ほら…やるなら早くやってよ…」
レッド「こ、こんなとこでそういうのは…」
ナツメ「ここじゃ嫌なの?じゃあもっと人がいないところに行きましょうか」グイッ
レッド「ナツメさーん、ボクが言ってるのはー」
ナツメ「私がいいって言ってるんだから何も言わずやればいいじゃない」
ナツメ「別に私だって誰にでもやらせるってわけじゃないのよ」
ナツメ「レッドだからいいかなってだけで…」
レッド「じゃあほんとにいいんだな…?」
ナツメ「…うん」
レッド「……」ドキドキ
レッド「……」ぷるぷる
ナツメ「震えすぎ」
レッド「……」つん
レッド「……」
ナツメ「……」
ナツメ「私が言うのも何だけどちょっとすぎない?」
ナツメ「もっとやっていいのよ」
レッド「う…うん…」
レッド(これはこれでいいんだけど…)
レッド(ナツメって知ってたけどおっきいな)
レッド(これを思いっきりもんだり、はさんだりしたら…)
レッド(まてまてそんなこと考えてたら…おっきく…)
レッド(いやもうなってるか…)
レッド(これをナツメに見られるのはマズイ…)
レッド(ん?普通はこうなるんだから見られてもいいんじゃ…)
レッド(え、でもこれをナツメに見られるのは正直…)
レッド(あれ…よくわかんなくなってきた…)
レッド(ナツメの目線をできるだけ上の方を向くようにすれば…)
レッド(と思ったけどすでに下むいてるな…)
ナツメ「……//」
レッド(いやー!見られてるー!)
レッド(一回つついただけなのにこいつ何考えてんだとか思われてるんじゃ…)
レッド「あの…ナツメさん、これは生理現象の一つであって」
レッド「これはけっしてやらしい意味じゃ…」
レッド(ん?…やらしいことしようとしてるんだからこの言い訳はおかしいよな…)
レッド(なんも言い訳できねえじゃん!)
ナツメ「そうなの…?」
ナツメ「私…あなた以外の男の人と話すことがほとんどなかったから…」
ナツメ「その…どうしたらいいのかな…レッド…」
レッド「笑えばいいと思うよ…」
ナツメ「笑うの…?」
レッド「いや…違うな…」
レッド「俺も女の子にさわることなんて初めてだし、よくわからない…」
ナツメ「そう…」
レッド(胸つついただけでこんなことになるのか…?)
レッド(世界中の恋人・夫婦はこの空気を乗り越えたということか…)
レッド(とんでもない試練だなこれ)
レッド(くそっ…ここからどうすればいいんだ)
レッド(俺の欲望のままにやっていいのか?)
レッド(ここからあんなことやこんなこと…)
レッド(いくら俺でもどういうことか知ってる)
レッド(山にこもってるときにグリーンが持ってきた本の知識だけだが…)
レッド「あ…ああ…」
レッド(待たせすぎはよくないよな…)
レッド「……」
レッド(人生は選択の連続…って誰かが言ってたな…)
レッド(まさにその通りだ)
レッド(こんな場面でも選択しなければならない)
レッド(1、つつく)
レッド(2、もむ)
レッド(3、ソフトタッチ)
レッド(……)
レッド(いっぱい出た…)
レッド(いや出たって案がだよ)
レッド(って俺は誰に言ってんだ)
レッド(そんなことより早く決めないと)
レッド(どれだ…どれが正解だ…)
レッド(そもそも俺の考えの中に正解はあるのか…?)
レッド(信じろ自分を…これだけ出したんだ、数うちゃ当たるはず)
レッド「……」
レッド(1~50を順番にやるってのはどうだろう)
レッド(自分を信じろ!)
レッド(できる…できる…絶対にできるんだ!)
レッド(いっけえぇぇ!)
つん
レッド「……」
ナツメ「……」
レッド(反応がない…!?)
レッド(ダメだったのか…!?)
レッド(諦めるな!)
レッド(諦めんなよレッド!)
レッド(どうしてそこでやめるんだ、そこで!)
レッド(もう少し頑張ってみろよ!)
レッド(指一本じゃなくて手をフルに使え!)
レッド(うおおおおおおおおお!)
もみゅ
レッド「……」
レッド(マシュマロ)
ナツメ「レッド?」
レッド「ありがと…」
ナツメ「もういいの?」
レッド「うん…」
ナツメ(あ、あれ…私何か悪いことした!?)
ナツメ(とりあえず謝った方がいいよね)
ナツメ「ごめんなさい!」
レッド「えっ」
レッド「なにが?」
ナツメ「もしかしたら私のをさわると嫌な気持ちになるとか…」
レッド「いやいやいやいやそんなことない」
レッド「そのー…やわらかかった」
レッド「むしろ元気出たぐらいだし」
レッド「今度は服の上からじゃなくて直接さわりたいぐらい…」
レッド「あっ…」
ナツメ「……」
レッド(おいおいおい今の発言は最低だぞ)
レッド(しまった…どうしよう…)
ナツメ「それはまた今度ね…」
レッド「今度か…わかった…」
レッド「ん?今度?」
レッド「そういえば俺も…」
レッド「けっこう大事なことだったような」
レッド「そうだコトネちゃんに聞けば…あっ」
ナツメ「コトネだ」
レッド「コトネちゃんとリーリエ探してたのになんでおっぱいのことになったんだ」
ナツメ「あなたがさわりたいって言ったからじゃないの」
レッド「…そうだった」
ナツメ「はぐれてから時間たっちゃってるし遠くに行ってないといいけど…」
ナツメ「残念ながらできないのよ」
レッド「えっそうなの?」
ナツメ「うん、ただ30分後に何してるかってことなら予知できる」
ナツメ「未来予知はちょっと得意だし」
レッド「今はわかんないけど未来はわかるんだ」
ナツメ「うん、そこが私の超能力の不思議なところ」
レッド「じゃあそれやってよ、30分後にそこ行こう」
ナツメ「わかった、まかせて」
ナツメ「……」
ナツメ「コトネとリーリエちゃんは黒い女とアイス食べてる」
レッド「アイス…売店の方か」
ナツメ「私の視た未来まであと10分ぐらいあるけどまだコトネもリーリエちゃんも黒い女も見当たらないね」
レッド「その黒い女ってなんなんだよ」
ナツメ「全身が黒で統一してある女」
レッド「黒づくめの女か…」
ナツメ「なんだかそれなりの雰囲気があったからたぶん一目みればわかると思う」
レッド「誰なのそれ?」
ナツメ「知らない人」
レッド「あの子たちに知らない人について行っちゃいけないって教えとくんだった」
ナツメ「コトネなんてもういい年なんだからそんな不審者について行くなんてことないでしょ」
レッド「でもリーリエはまだ子どもだよ」
ナツメ「リーリエちゃんも10…いくつだっけ?」
ナツメ「まあそれなりなんだし、むしろコトネよりしっかりしてるぐらいだから安心しなさいよ」
ナツメ「うんいいよ」
レッド「今日は俺がおごるよ」
ナツメ「えっ!?レッドが!?」
レッド「失礼だな、驚きすぎだよ」
レッド「俺だって一応ちゃんと働いてるから、ナツメからもらうお小遣いの他にもお金持ってるよ」
レッド「どれがいい?好きなの選んでいいよ」
ナツメ「無理しなくていいのよ」
レッド「なんでアイスおごることが無理なんだよ…」
シロナ「フードコーナーの方行こー」
コトネ「えー、レッドさんとナツメさん探すの手伝ってくれるって言ったじゃないですか」
シロナ「もちろん手伝うよ」
シロナ「でも…」
シロナ「この暑さ…」
シロナ「今アイスを食べないと私の鼓動は停止する」
コトネ「……」
シロナ「ちゃんと二人の分も買ってあげるから」
リーリエ「いいんですか!?」
コトネ「リーリエ!?」
コトネ「あっそ…」
シロナ「ほらコトネちゃんも行こ行こ」
コトネ「……」
コトネ「たしかに暑いし…ちょっとぐらいならいいかな…」
シロナ「やったー」
コトネ「子どもみたい…」
シロナ「そりゃ私の心は10代だもの」
コトネ「実年齢は?」
シロナ「……」
シロナ「コトネちゃんとそこまで変わらないってことだけ」
シロナ「チョコかな…あっバニラも…いやー抹茶もいいかな」
コトネ「シロナさんまだ~?」
コトネ「店員さんも困ってますよ」
シロナ「二人はもう決まったの?」
コトネ「当たり前じゃないですか、シロナさん遅すぎ」
シロナ「じゃあ先二人の分だけ」
シロナ「私もうちょっと考えるから先食べてて」
コトネ「えっ、まだ考えるんですか!?」
コトネ「じゃああっちいますんで、なるべく早く来てくださいよ」
シロナ「うん」
リーリエ「あっコトネさん!」
コトネ「なに?言っとくけど一口もあげないよ」
リーリエ「アイスじゃなくてあそこ見てください」
リーリエ「レッドさんとナツメさんですよ」
コトネ「ふえ?」
リーリエ「ほら!」
コトネ「あらーこんなとこにいたんだ」
がばっ
リーリエ「ふぐっ」
コトネ「しーっ」
リーリエ「もがもご」
コトネ「あ、強くふさぎすぎた」
リーリエ「ぷはっ…」
リーリエ「な、何するんですか」
コトネ「今は邪魔しちゃだめ」
リーリエ「邪魔…?なんのことですか?」
コトネ「見たらわかるでしょ」
リーリエ「???」
ナツメ「……」キョロキョロ
レッド「どうしたの?」
ナツメ「今何か声が…」
レッド「周りいっぱい人いるからそりゃ声ぐらい、てか声ばっかだよ」
ナツメ「そうじゃなくて私たちに向けた声が」
レッド「俺たちに?」
レッド「俺は何も聞こえなかったけど」
ナツメ「気のせいかな…」
ナツメ「そうね、せっかくレッドが買ってくれたんだし」
男「ちょいとそこのカップルのお二人さん」
男「雑誌の取材で少しだけ質問に答えてもらっていいですかね?」
レッド「……」ぺろぺろ
ナツメ「……」ぺろぺろ
男「あれれ~おかしいな~聞こえてないはずないと思うんだけど~」
レッド「……」ぺろぺろ
ナツメ「……」ぺろぺろ
男「おい!聞こえてるだろ!」
レッド「そうだな」
男「お前らだって言ってんだろ!」
レッド「……」
ナツメ「……」
レッド「……」キョロキョロ
ナツメ「……」キョロキョロ
レッド「……」チラッ
ナツメ「……」
ナツメ「もしかして私たち…?」
男「しかねえだろ!」
男「そりゃデートの邪魔したのは悪いと思うけどさ」
ナツメ「デート!?」
男「ちょっとぐらいいいじゃんか、ね?」
ナツメ「レッドと…カップル…デート…」ぶつぶつ
男「おーい、聞いてる?」
男「彼氏さんも聞いてるの?」
レッド「……」
男「…黙ってるってことはYESってことだな」
シルバー「おいどけ」
男「ん?」
オーダイル「ウラアッ」ドゴッ
男「うぎゃー」
キラーン
レッド「…!」
シルバー「……」
シルバー「あんたがレッドだな…」
ナツメ「でもレッドがこれをデートって思ってるかは別の話だし…」ぶつぶつ
レッド「……」つんつん
ナツメ「はっ…!」ビクッ
レッド「どっか行っちゃった」
レッド「で、何か次の人が来た」
シルバー「おい、今は俺があんたに質問してんだ」
シルバー「そっちで話すんじゃねえ」
ナツメ「何言われたの?」
レッド「…わかんない」
ナツメ「よく聞こえてなかったみたい、もう一度言ってくれる?」
シルバー「……」
シルバー「あんたがレッドでいいんだな?」
レッド「……」
ナツメ「ええそうよ」
シルバー「こっちがレッドじゃないのか?」
ナツメ「うん」
シルバー「なら黙っててくれ、俺はレッドと話しがしたいんだ」
ナツメ「別にいいけど、たぶん一生会話は成立しないわよ」
シルバー「今はこのバトルツリーのボスをやっている」
レッド「……」
シルバー「レッド…俺と戦え」
シルバー「バトルだ」
レッド「……」
シルバー「どうなんだ、何とか言え」
レッド「……」
レッド「……」
シルバー「おい、何とか言え」
ナツメ「だから言ったじゃない」
ナツメ「レッドは知らない人が相手だと、たとえレストランでの注文や就職の面接だろうと一言も話さないの」
ナツメ「だからこうして私が代わりに話してあげてたんじゃないの」
シルバー「……」
ナツメ「どうしてそんなにレッドと戦いたいの?」
シルバー「…いいだろう教えてやる」
シルバー「俺はあんたが潰したロケット団のボス…サカキの息子だ」
シルバー「俺の目的はあの男を超えるだった」
シルバー「だがやつはあんたに負けたあと俺の前から姿を消した」
シルバー「俺はあの男を探しながら修行を続けた」
シルバー「ここでボスをしているのも修行のためだ」
シルバー「だが何も見つかっていない…」
シルバー「そんなところにあんたが現れた」
シルバー「これだけ探してもあの男はみつからないのなら、もしかしたらもう生きていないのかもしれない」
シルバー「そうなると俺の今までの努力は無駄になる」
シルバー「俺は証拠が欲しいんだ、やつを超えたという証拠が」
シルバー「あいつを倒したあんたに勝てば…俺はあいつを超えたという証拠になる」
レッド「……」つんつん
ナツメ「……」こく
ナツメ「はいどうぞ」
レッド「……」もぐもぐ
シルバー「え、なんでマラサダ食ってんの」
ナツメ「気にしないで続けて」
シルバー「気になるだろ!」
ナツメ「何か飲むもの持ってない?」
シルバー「持ってねえよ!」
ナツメ「そうか、じゃあ行こレッド」
レッド「うん」
シルバー「っておいおいおいおい」
ナツメ「どうしたの?」
シルバー「俺の話聞いてた?」
ナツメ「飲み物はそこの売店で売ってるんでしょ」
シルバー「そこじゃねえよ!その前だよ!」
ナツメ「えっと…ハンテールのひげが何だっけ?」
シルバー「そんなこと一言も言ってねえわ」
シルバー「だいたいあいつひげはえてねえよ」
シルバー「なんでわざわざ二回も言わないといえけねえんだ…」
シルバー「せっかく二回も言ったんだ、戦ってくれるよな」
ナツメ「って言ってるけど?」
レッド「やだ、時間の無駄」
ナツメ「時間の無駄だから嫌だって」
シルバー「なんだと…?」
レッド「グリーンに勝てなかったんだったら俺にも勝てない、やっても無駄だ」
ナツメ「グリーンに勝てなかったのならレッドに勝てるわけないじゃない」
シルバー「グリーンさんか…」
シルバー「あの人とはマルチだ、ゴールドがいた」
シルバー「俺の敗北じゃない、俺個人で戦えば勝つ可能性だってあった」
レッド「……」
シルバー「ふっ残念だな、あのレッドがまさか腰抜けだったとは」
ナツメ「……」むっ
レッド「……」
シルバー「そう思われたくないのなら…バトルだ!」
レッド「……」
レッド「……」ぷいっ
シルバー「!?」
シルバー「おいどういうつもりだ、こっちを見ろ」
シルバー「無駄ってなんだ!」
シルバー「俺はまじめに…」
ナツメ「じゃあ言ってあげる」
ナツメ「君じゃ100%レッドに勝てない」
シルバー「そんなものやらなければ」
ナツメ「わかるわよ」
ナツメ「だって私はエスパーだもの」
シルバー「そんなもの理由にならん!」
シルバー「俺は真剣だ!」
ナツメ「ほんとに?」
シルバー「ああ、当然だ」
レッド「……」
ナツメ「……」
シルバー「……」
レッド「ナツメ…その…」
ナツメ「わかってる…」
ナツメ「君のポケモンもやる気十分みたいだし…」
ナツメ「でもバトルはできないの、どうしてだかわかる?」
シルバー「そんなものわかるわけないだろ!」
シルバー「そうやって俺から逃げるのか」
ナツメ「……」
ナツメ「あなたのそのオーダイル見てみなさい」
シルバー「?」
シルバー「なんだ?俺のオーダイルに何かあるのか?」
ナツメ「わからないの?」
ナツメ「いいや、きっとオーダイルだけじゃない、あなたの他のポケモンを出してみて」
シルバー「なんだってんだ」
ナツメ「いいから」
シルバー「ちっ…」
シルバー「出て来いお前ら…」ぼむっ
ナツメ「……」
ナツメ「やっぱりね…」
ナツメ「あなたは先のことばかり考えてるみたいね」
シルバー「なんだ?またお得意のエスパーか?」
ナツメ「いいえ、トレーナーとして当然わかることよ」
ナツメ「あなたここのところずっと戦いっぱなしだったでしょ」
ナツメ「ポケモンセンターやきずぐすりで体力は回復させてるみたいだけど、この子たちは今かなり疲労がたまってるの」
ナツメ「たまには何もせず休ませてあげることも大事なのよ」
ナツメ「そうしないといざというときに全力を出せないよ」
ナツメ「特にレッドみたいな強い相手と戦おうと思うならね」
シルバー「あんたは俺のポケモンを見て気づいていたのか…?」
レッド「……」
ナツメ「レッドはこう見えてもチャンピオンだったのよ」
ナツメ「こう見えてもトレーナーとしては誰よりも優秀よ」
ナツメ「こう見えても」
レッド「こう見えてもって言いすぎじゃないかな…」
シルバー「……」
シルバー「たしかに…俺があいつと共にここでボスをし始めてから数年たつが休む日はなかったな…」
シルバー「あの男に勝つことばかり考えて自分のポケモンのことを考えてなかったか…」
ナツメ「でも君のポケモンたちを見ればわかるわ、そんな君だからこの子たちはついて来たんでしょうね」
シルバー「……」
ナツメ「ただもっと強くなりたいってならちゃんと休まないとね」
ナツメ「本当に強いトレーナーは休むのも上手なものよ」
ナツメ「どうせ戦うならレッドもお互いが本当に全力を出せるときがいいの、わかった?」
シルバー「だがあんたたちはもうすぐカントーに帰るんだろ」
レッド「……」つんつん
レッド「俺はずっとカントーにいるからいつでも来るといい」
レッド「お前も常にここにいるわけじゃないだろうしって言って」
ナツメ「レッドはずっとカントーにいるつもりらしいから休みとかあったら来たらいいって」
ナツメ「えっずっと…?」
シルバー「ふっ…その時は逃げないだろうな…」
シルバー「冗談だ、あんたが逃げてたわけじゃないってのはわかっ…ん?」
ナツメ「ねえほんとにずっとカントーにいるの?」
ナツメ「どこにも行かないってことよね」
レッド「あ、ああ…そうだけど」
シロナ「コレにきめた!」
店員「はい、ありがとうございます」
店員(やっと決めたよ…どんだけ時間かけんだこいつ)
シロナ「コトネちゃーん、リーリエちゃーん、おっまたせー」
シロナ「あれ…?」
シロナ「この辺にいるって言ってたよね」
シロナ「……」ぴくっ
シロナ「くんくん」
シロナ「これはリーリエちゃんのにおい」
シロナ「あっちか」
コトネ「あ、やっと来た」
コトネ「遅すぎますよシロナさん」
シロナ「ごめんごめん」
リーリエ「私たちもうだいぶ前に食べ終わってしまいましたよ」
シロナ「あんなに種類があると迷っちゃうのよね」
シロナ「それより二人を探さないと」
コトネ「ああ、二人なら見つかりましたよ」
シロナ「えっ」
コトネ「まあ、たまたまなんですけどね」
コトネ「そろそろいっか」
コトネ「リーリエ、レッドさんたちに声かけてきて」
リーリエ「はい」
リーリエ「あら?」
コトネ「どしたの」
リーリエ「誰かがお二人と話してるみたいです」
コトネ「それぐらい別に…」
コトネ「むっ…あいつはシルバー…」
リーリエ「知り合いなのですか?」
コトネ「まあ…知ってるっちゃ知ってる」
リーリエ「別にコトネさんのではなくないですか…」
コトネ「そうなる予定なんだからいいの」
リーリエ「予定…ですか…」
シロナ「あら、目標を持つということはいいことなのよ」
リーリエ「……」
リーリエ「そうですか…」
シロナ「えっちょっとそんな何言ってんだこいつみたいな目しないでよ」
シロナ「でもそんなリーリエちゃんもいいかも」
リーリエ「ぶっとばすのですか…!?」
リーリエ「まだ何もしてないのでは」
コトネ「ええねん」
シロナ「コトネちゃん、そんなこと言ってる間に赤髪の子どっか行っちゃったよ」
コトネ「あれっほんとだ」
コトネ「あいつどこ行った」
シルバー「俺ならここだが」
コトネ「おわっ!?」ゴッ
シルバー「ぐっ…!?」
コトネ「あっごめん!急に現れたからつい…」
コトネ「さっきまであっちで二人と話してたじゃない」
シルバー「やはりあの視線はコトネだったか」
シルバー「コトネ…お前の言いたいことは俺にはよくわかる」
シルバー「だが俺にはまだやるべきことがあるんだ」
シルバー「すまない…」
シルバー「だが!」
シルバー「俺の目的をはたせば必ず迎えにくる」
コトネ「は?」
シルバー「それまで待っててくれ」
コトネ「あのー…なんの話してんの?」
シルバー「じゃあな」
コトネ「……」
コトネ「…何がですか?」
シロナ「今の子コトネちゃんの彼氏でしょ」
シロナ「けっこうかっこいいじゃない」
コトネ「ふあっ!?」
リーリエ「あっ今の方がコトネさんの彼氏さんなんですか」
リーリエ「だからさっきみたいな反応をしてたんですね」
コトネ「ふざけたこと言うと本気で殴るからね」
コトネ「シロナさんも冗談でもそんなこと言わないでください」
コトネ「私の彼氏はレッドさんとナツメさんだけです」
リーリエ「ナツメさん男になってますよ」
シロナ「中学生じゃないんだからそんな反応しなくてもいいのにね」
リーリエ「そうですね」
コトネ「早く合流するって言ってるでしょ!」
コトネ「その話はもう終わり!」
シロナ「つまんないのー」
コトネ「つまらなくてけっこうです」
シロナ「別に悪いことしてるわけじゃないのに」
シロナ「!」
シロナ「あれって…」
リーリエ「どうしました?」
シロナ「レッド…そうか…そういう…」ぶつぶつ
リーリエ「シロナさん?」
シロナ「二人ともごめんね~」
シロナ「私用事思いだしちゃった」
シロナ「また何か機会があったら会いましょ」
シロナ「ねっリーリエちゃん」
シロナ「リーリエちゃんはいつでも連絡してくれていいからね」
リーリエ「あ、はい」
シロナ「それじゃまったね~」
シロナ「……」
リーリエ「……」
コトネ「リーリエ?」
リーリエ「あっ…はいなんでしょう」
コトネ「なんかあった?ぼーっとして」
リーリエ「…最後のシロナさんの顔がなんだかすごく怖くて」
リーリエ「さっきまでの笑顔とは真逆で氷のような目をしていました」
コトネ「ふーん、なんかあったのかねー」
リーリエ「でもなんだかすごくかっこよかったです」
コトネ「え?」
ナツメ「あっ!どこ行ってたのよ」
ナツメ「急にいなくなるから心配したじゃない」
コトネ「こっちも探しましたよ」
コトネ「まさかとは思いますけど二人きりになるためにいなくなったとかじゃないでしょうね」
ナツメ「何を言うかと思えばこの子は…」
コトネ「違うんですか?」
ナツメ「当たり前でしょ」
ナツメ「レッドからも言ってあげて」
レッド「そうだな…楽しかったよ」
ナツメ「…そんなこと言ったらわざとはぐれたと思われるでしょ」
コトネ「じゃあレッドさんは何してたんですか?」
レッド「そのー…なんていうか…」
レッド「どういえばいいんだろう」
ナツメ「えっそれは…」
コトネ「どうしたんです?」
コトネ「人には言えないことでもしてたんですか?」
レッド「そんな人には言えないようなことなんてしてないよ、なっ?」
ナツメ「う…うん…」
レッド「別に怪しくはないよ」
レッド「だってただナツメのおっ」
ナツメ「ごほっごほっ」
レッド「あれ?風邪?」
ナツメ「やー…そんなことないと思うけどな」ぐいっ
レッド「おっと」
ナツメ「ほんとに言う必要ないでしょ」ひそひそ
ナツメ「私が恥ずかしいじゃない」
レッド「お…おお」
レッド「そうだな」
コトネ「あっまだお土産買ってないです」
ナツメ「ちゃんとお土産屋さん寄るわよ」
コトネ「そうですか、よかった」
リーリエ「コトネさんは誰にお土産を買うのですか?」
コトネ「そうだな…まあ家族に友達…ついでにキョウヘイにも買ってやるか」
ナツメ「なんだかんだ言って買ってあげるなんて優しいのね」
コトネ「ついでにですよ、ついで」
ちょっと日が飛びます
面倒くさいわけじゃないよ
グリーン「おっレッドじゃん」
レッド「…なんだグリーンか」
グリーン「なんだはねえだろ」
レッド「お前がヤマブキに来るなんて珍しいな」
グリーン「ちょっと欲しいものがあってな」
グリーン「……」
グリーン「お前は一人か?」
レッド「ああ」
グリーン「ふーん…」
グリーン「話せるの?」
レッド「話せるのって…」
レッド「まあそれなりに長いこといるから一応一番近くの店の人となら少しだけ」
レッド「野郎と茶を飲んで何が楽しいんだよ」
グリーン「まあそう言うなって」
グリーン「俺がおごってやるからよ」
グリーン「ちょっと話したいこともあるし」
グリーン「どうせ暇だろ?」
レッド「暇って決めつけんなよ」
グリーン「じゃあなんかあんの?」
レッド「…ない」
グリーン「だろ」
グリーン「んじゃ行こうぜ」
レッド「どうって何が?」
グリーン「いつぐらいに結婚するんだ?」
グリーン「もうそろそろだろ」
レッド「はぁ?」
レッド「な、なんでそうなるんだ」
レッド「結婚どころか付き合ってすらねえよ」
グリーン「えっ!?嘘だろ!?」
レッド「嘘じゃねえよ」
レッド「なんで俺がナツメと…」
グリーン「あれっお前ナツメのこと嫌いだったの?」
レッド「そんなわけないだろ…俺は…その…」
レッド「…俺はお前みたいな勇気ねえよ」
グリーン「じゃあなんだ?ナツメから来るの待つのか?」
グリーン「たぶんナツメもお前と同じタイプだからお前から行かねえとずっとこのままだぞ」
レッド「ずっとこのままでも俺はいいと思ってる」
グリーン「お前がいいと思ってても周りがそうは思わないってこともあるんだぜ」
グリーン「例えばお前のおばちゃんとか」
レッド「…母さんは関係ないだろ」
レッド「俺がこうして生活してるとは思わないだろうし」
レッド「そもそも生きてるかどうかもわかってねえだろ、まあそれは悪いと思ってるけど」
グリーン「そしたらお前のおばちゃんと偶然会っちゃってさ」
レッド「おいまさか…」
グリーン「うん、俺も言うつもりはなかったんだけど会話の中からお前のことバレちゃったんだよ」
レッド「……」
グリーン「いやーすまんすまん」
レッド「すまんじゃねえだろ!どうしてくれんだ!」
グリーン「俺もどうにかしてやりたいが、こればっかりはな…」
グリーン「くっ…自分の無力さに腹が立つ…」
レッド「くっじゃねえよ!」
グリーン「とりあえず会いに行けば?おばちゃん心配してたぞ」
レッド「うるせえな…それが難しいんだろ」
レッド「何話せばいいかもわかんねえし…」
グリーン「そういうときは思いっきり驚かせるようなことしたらいいんだよ」
レッド「…例えば?」
グリーン「今度結婚します…とか?」
レッド「お前また話戻す気か」
グリーン「じゃあ何話すんだ?」
レッド「……」
グリーン「あっそ…」
グリーン「でもどうせお前一人じゃ家に帰れないからナツメについて来てもらうんだろ」
グリーン「ナツメのことなんて説明するの」
レッド「…同居人」
グリーン「するとお前のおばちゃんはナツメを彼女だと思い、それから先の話をしてくる」
グリーン「でもお前がそれを否定するとたぶんややこしくなると思うぞ」
レッド「……」
グリーン「ほれ」
レッド「なにこれ」
グリーン「簡単に言うと媚薬だな」
レッド「は!?」
グリーン「エリカが作ったやつなんだよ」
グリーン「けっこう強力なんだけど、無味無臭で人体に影響は一切ない」
レッド「なんでそんなもの持ち歩いてんだよ」
レッド「だいたいこれでどうしろってんだ」
グリーン「ナツメの飲み物とかに混ぜるといいな」
レッド「……」
グリーン「ん?どうした?」
ゴツンッ
グリーン「何すん…あれ、いない」
グリーン「あいつこういうのは嫌いだったのか」
グリーン「……」
グリーン「と思ったらちゃっかり持っていってんのか」
グリーン「……」
グリーン「さて俺も帰るか」
グリーン「ん?…あっしまった」
グリーン「あいつに渡したの睡眠薬の方だった」
グリーン「エリカが作るのって基本どれも見た目一緒だから間違えちゃった」
グリーン「……」
グリーン「ま、いっか」
レッド「母さんに俺のこと話したり、こんなもん渡してきたり…」
レッド「そんなに俺とナツメをくっつけたいのか?」
レッド「はぁ…」
レッド「どうしよう…」
レッド「……」
ガチャ
レッド「ただいまー」
シーン
レッド「あれ、ナツメ?いないの?」
レッド「リーリエとどっか出かけたのかな」
エリカ「なんだかナツメさん元気ありませんね」
ナツメ「ん…そう?」
エリカ「何かあったのなら私が話を聞きますよ」
ナツメ「エリカはさ、どうやってグリーンと付き合ったの?」
エリカ「あれ、言ってなかったですか?」
ナツメ「うん」
エリカ「そうですね…たしか事実を作っただけですよ、お腹に」
ナツメ「事実?」
エリカ「はい」
ナツメ「何の参考?」
エリカ「とぼけちゃって」
エリカ「どうすればレッドさんに素直に気持ちを伝えられるかですよね?」
エリカ「それで私の場合はどうだろうとなったというところでしょうか」
ナツメ「まさか…エリカも超能力を!?」
エリカ「誰でもわかります」
ナツメ「いや…まあ…レッドかどうかとなると…それはわかんないけどさ…」
エリカ「他に誰がいるというのですか」
ナツメ「カントーで!?」
エリカ「ふふ、それは言い過ぎでしたね」
エリカ「でもナツメさんのことだから同居していてもほんとに何もしてないんでしょうね」
ナツメ「……」
エリカ「だと思いました」
エリカ「いっそのこと襲ってみたりしたらどうですか?」
ナツメ「お、襲う!?」
ナツメ「そ…それってまさか…そういう…//」
エリカ「そうですよ」
ナツメ「だって手だってつないだこともないのに…」
ナツメ「急にとびすぎ…」
エリカ「では、何をするのですか?」
ナツメ「何って言われても…」
ナツメ「……」
エリカ「方法としては最低かもしれませんがナツメさんの悩みを手っ取り早く解決する方法はこれしかありません」
ナツメ「ほんとにそれしかないの…?」
エリカ「10年近くの付き合いがあってお互い好意もあるのに何も進展がないのなら、ちょっとぐらいのことではやるだけ無駄です」
ナツメ「……」
エリカ「こちらへ来てください」
エリカ「ここは私が薬草などを作っているところです」
ナツメ「ここに連れてきれどういうつもり?」
エリカ「ご覧の通りここにはたくさんの薬があります」
エリカ「ポケモン用から人用まで」
エリカ「種類も怪我や病気を治すものやちょっと特殊なものもあります」
ナツメ「特殊なもの?」
エリカ「例えばこういうものがあります」
エリカ「惚れ薬」
ナツメ「ほ…惚れ薬…!」
エリカ「ええ、今ナツメさんが考えているような効果があります」
ナツメ「い、いや…私は別に…レッドに使おうとは…」
エリカ「あらあら、誰もレッドさんなんて言ってませんよ」
ナツメ「っ!」
エリカ「でもレッドさんに使っても効果はないと思いますよ」
ナツメ「えっどうして?」
エリカ「それはもうすでにレッドさんがナツメさんに惚れてるからです」
エリカ「ですからナツメさんには無意味ですね」
ナツメ「…じゃあなんで見せたの」
エリカ「こういうものがあるという例の一つです」
エリカ「えっとこの辺だったはず」
エリカ「あった」
エリカ「あら、一つ減ってる」
エリカ「グリーンさんたらまた勝手に持ち出して、今夜はお仕置きが必要ですね」
ナツメ「……」
エリカ「さて、お待たせしました」
エリカ「これをどうぞ」
ナツメ「これは…何の薬?」
エリカ「睡眠薬です」
ナツメ「……」
ナツメ「どういうつもり?」
エリカ「この睡眠薬は超安眠効果があり、ちょっとやそっとじゃ起きません」
エリカ「さらに疲労回復、精力増強効果もあります」
エリカ「これを使えばレッドさんにバレることなく襲えますよ」
エリカ「練習のためにはこれがちょうどいいのではないでしょうか」
ナツメ「だからエリカ…そういうことじゃなくて」
エリカ「ああ大丈夫ですよ、キレイハナやドレディアの眠り粉などを調合して作ったものですから人体には無害ですよ」
エリカ「そんなに使わないかもしれませんが、なくなったらまたいつでもあげますよ」
ナツメ「……」
ゴツンッ
ナツメ「いっ…たぁ…!」
リーリエ「大丈夫ですか!ナツメさん!?」
ナツメ「リーリエ?いつのまに」
リーリエ「けっこう前からついて来てましたよ」
リーリエ「それなのに何か考え込んでるようで声をかけても反応がなかったのでそのまま」
リーリエ「最終的には電柱に頭をぶつけるなんて」
リーリエ「手があいていれば止められたのですが…」
リーリエ「よくここまで無事でしたね…」
ナツメ「ううん、何も」
ナツメ「それより買い物ありがとね」
ナツメ「両手いっぱいに持って重いでしょ、私も持つわ」
リーリエ「すいません、ありがとうございます」
ナツメ「いいのいいの」
ナツメ(そうよ、考えたらうちにはリーリエちゃんがいるじゃない)
ナツメ(この子がいたらそういうことはできないし、エリカには悪いけど使わないでおこう)
リーリエ「あの、ナツメさん」
リーリエ「さっきオーキド博士(ナナミ)から連絡があったんです」
リーリエ「今日泊まりで私のような初心者トレーナーを集めて勉強会をするから来ないかって言われたんです」
リーリエ「急な話なのですが行ってもいいですか?」
ナツメ「あ…うん、いいと思うけど…」
リーリエ「はい」
ナツメ「……」
リーリエ「すいません、予定を変えちゃって…」
ナツメ「い、いやいいのよ、まだ何にもやってないし」
ナツメ「リーリエちゃんはせっかくなんだから勉強のこと考えてればいいの」
ナツメ「何時からって言ってたの?帰ったら送ってあげる」
ナツメ「レッドが」
レッド「あ、やっぱり二人でどっか行ってたんだ」
ナツメ「ねえレッド、リーリエちゃんをオーキド研究所に連れて行ってあげて」
レッド「ん?何かあるの?」
ナツメ「博士のところでいろいろ教えてもらえるんだって」
ナツメ「泊まりだから荷物もちょっと多いし、あなたのポケモンで連れて行ってあげてよ
レッド「泊まり?じゃあ今夜はリーリエいないのか」
レッド「……」
レッド「ってオーキド研究所!?マサラタウンじゃん」
ナツメ「何よ、そんなに驚いて」
レッド「む、無理だ、まだそんな準備ができてない」
レッド「明日…せめて明日」
ナツメ「なんで明日なのよ、今からって言ってるでしょ」
ナツメ「そんなに嫌なの?」
レッド「ちょっと嫌かな…」
ナツメ「じゃあ私がリザードンに乗って行ってもいい?」
ナツメ「さすがにリーリエちゃんだけってのは危ないし」
ナツメ「その代わり晩御飯がちょっと遅くなるけど」
レッド「うんいいよ」
ナツメ「ありがと」
ナツメ「あなたのリザードンならすぐ帰ってこれるだろうからちょっと待っててね」
ナツメ「ただいま」
レッド「おかえり」
レッド「リザードンもお疲れ、休んでくれ」
ナツメ「……」
レッド「……」
ナツメ(まさかエリカからあんなものもらった日にチャンスがくるとは…)
ナツメ(チャンスっていうと待ってましたみたいになっちゃうけど…)
レッド(リーリエがいるから絶対使えないと思ったが…)
レッド(どうする…使うべきなのか?)
レッド(今日を逃せばもうほとんど機会はないだろうし…いやでも…)
ナツメ「……」
レッド「……」
ナツメ「……」
レッド「……」
ナツメ(どうする…入れる…入れない…)
レッド(入れようと思っても全然スキがないし…)
ナツメ(あっ作ってるときに入れればよかった)
ナツメ(…でもなんだかそれだと毒を盛るような図になっちゃうか)
ナツメ(それに食事中に寝られても困るか)
レッド「調子悪いの?」
ナツメ「そ、そんなことないよ」
ナツメ「そういうあなたこそ全然しゃべらないじゃない」
ナツメ「もしかしておいしくなかった…?」
レッド「いやいやいやいやそんなわけないじゃん」
ナツメ「ほんと?」
レッド「うん」
ナツメ「よかった」
ナツメ「……」
ナツメ「よし…決めた」
レッド「ふぅ…さっぱりした」
ナツメ「ねえレッド、お風呂上りにちょっと飲まない?」
レッド「ん、ああいいよ」
レッド(お酒か…)
レッド「……」
ナツメ「どうしたの?こっち来なさいよ」
レッド「ちょっとその前にトイレ行ってくる」
レッド「……」
ナツメ「リーリエちゃんがいるとこういうことはいつもいつでもってわけにはいかないからね」
レッド「それもそうだな」
ナツメ「……」
レッド「……」
ナツメ「ん?なんだろあれ」
レッド「どれのこと?」
ナツメ「……」サッ
ナツメ「あー、気のせいだったみたい」
ナツメ「さあどんどん飲んで」
ナツメ(そういえば全然聞いてなかったな…)
レッド「…メ」
レッド「ナツメ」
レッド「ねえナツメってば」
ナツメ「はっ」
ナツメ「な、なに?」
レッド「ボーッとしちゃって、もしかして眠くなったの?」
ナツメ「ううん、そんなことないよ」
レッド「ならいいけど」
レッド「あの、悪いんだけど氷とってきてくれない、もうちょっと欲しくて」
ナツメ「うん、わかった」
レッド「……」サッ
ナツメ「これぐらいでいい?」
レッド「ありがと」
レッド「あれ、ナツメあんまり飲んでないじゃん」
ナツメ「ああ、飲むよ」
レッド「……」じーっ
ナツメ「?」
ナツメ「どうしたの、私の顔に何かついてる?」
レッド「いや、なんにも」
レッド「ぐー…ぐー…」
ゴロン どさっ
レッド「くっ…つ~」
レッド「……」
レッド「あれ…?」
レッド「俺いつの間にこんなとこで寝てたんだ…?」
レッド「…今何時だろ」
レッド「えっと携帯…携帯…」ペタペタ
むにゅ
レッド「ん?なんだこの柔らかくてあったかいものは…」
レッド「……」もみもみ
ナツメ「んっ…んん…すー…すー…」
レッド「……」
レッド「……」
レッド「……」
レッド「!?!?!?!?!?!?!?!?////」
レッド「ちちちちちちちがっ違うんだ!これは事故なんだ!」
レッド「あっ…お、思い出した…」
レッド「昨日の夜にナツメにグリーンからもらった薬を飲ませてそれから…」
レッド「それから?」
レッド「な…はっ…その…」
レッド「おっ…おはよ…」
ナツメ「ってあれ?どうして私ここで寝てたの?」
レッド「!」ギクッ
レッド「い、いや…それは…」
ナツメ「えっと…たしか昨日…」
ナツメ「!」
ナツメ(レッドの飲み物の中に睡眠薬を入れて…)
ナツメ(その後は…あれっ?記憶がない…)
ナツメ「……」
レ・ナ「あ、あの…」
レッド「……」
ナツメ「……」
ナツメ「あなたこそ、どうしたの?」
レッド「あー…俺の方はたいしたことじゃないんだ、先に言って」
ナツメ「私もいつでもいいことだから後でいいよ」
レッド「じゃ、じゃあちょっと聞きたいんだけど…」
レッド「昨日の夜飲んでた後のこと覚えてる?」
ナツメ「あ…あの後?そ、そうね~どうだったかな…」
ナツメ(な、なんでそんなことを!?)
ナツメ(もしかして昨日の私がやったことがバレてる!?)
ナツメ(でもエリカはちょっとやそっとじゃ起きないって言ってたのに…)
レッド「そ…そうか、実は俺もよく覚えてなくてさ」
レッド「二人ともここで寝ちゃってたし飲みすぎだったのかな、は…ははっ」
レッド(つーか俺も覚えてないけど…)
レッド(そもそも昨日何かあったのか…?)
レッド(見たところ二人とも衣服のズレすらない…)
レッド「あ、そうだ、ナツメも何か言おうとしてたじゃん」
ナツメ「んー…そのことならもういいよ」
レッド「えー、なんで?気になるじゃん」
ナツメ「…じゃあ今日の夜もまた昨日と同じようにちょっとだけ飲まない?」
レッド「うん、いいよ」
レッド(今日こそちゃんと起きといてやる…)
レッド「なあお願いがあるんだけど…」
ナツメ「何?」
レッド「…俺と一緒にマサラタウンの実家に来てくれないか?」
レッド「その…母さんに会うから…」
ナツメ「えっ!?そっ…お、おおおおおおお母様に挨拶なんてそんな…まだっ」
レッド「頼むよ!ナツメしかいないんだ!」ガシッ
ナツメ「…そ、そこまで言うのなら来週にでも行きましょうか」
レッド「いや、今日」
ナツメ「今日!?」
レッド「……」
ナツメ「久しぶりに家に帰るってのにそんな顔して」
ナツメ「嫌ならやめた方がいいんじゃない?」
ナツメ「無理はよくないわ」
レッド「……」
レッド「いや、こればっかりは逃げるわけにはいかない」
ナツメ「そう…」
ナツメ「でもそういうのは私の後ろでこそこそせず前に出て堂々と言うべきだと思うよ」
レッド「……」
レッド「別に怖いわけじゃないけど…」
ナツメ「私はあなたのことをよくわかってるつもりよ」
ナツメ「あなたがどういう人かも」
ナツメ「だから強がってもダメ」
ナツメ「連絡も一切していない親に10年ぶりに会うとなって怖くない人の方が珍しいと思うし、変じゃないから」
レッド「そうかな…」
ナツメ「でも安心してあなたには私がついてるでしょ」
レッド「ナツメ…」
ナツメ「といっても別に魔王の城に行く勇者じゃないんだし」
ナツメ「ただ家に帰るだけでしょ、もうちょっとリラックスはしなさいよね」
レッド「うん、ナツメの言う通りだ」
レッド「ただ家に帰るだけだもんな」
ナツメ「そうそう」
レッド「…ただ帰る」
レッド「あ…うーん…」
レッド「な、なあ…」
ナツメ「まだ何かあるの?言ってみなさい」
レッド「久しぶりに会う母さんに見栄を張りたいわけじゃないけど…」
レッド「母さんに会う間だけでいいからさその…」
レッド「お、俺の…俺の…かっ…かこっ…かにゃ…かにゅ…」
ナツメ「何?新しい言語?」
レッド「俺の彼女…の役…や、やって…くれないか?」
ナツメ「それぐらいのことならスッと言ってくれれば…」
ナツメ「!?」
ナツメ「レ…レレ…レッドの…!」
レッド「やってもらっていい?」
ナツメ「私がレッドの…」ぶつぶつ
レッド「ねえ聞いてる?」
ナツメ「はい私でよければ!」
レッド「ありがとう」
ナツメ「なんか私まで緊張してきた…」
レッド「どうして?」
ナツメ「だ…だって今はあなたのこ、恋人だから…」
レッド「……」
レッド「なあ…もし…もしナツメさえよければだけど今だけじゃなくてこれからもずっと」
赤母「あら?どちら様?」
レッド「!」サッ
ナツメ「ちょっと、なんで私の後ろに隠れるのよ」
レッド「いや急すぎるって…もうちょっと心の準備させてほしいもん」
ナツメ「あ、あの…ほらっあなたが出ないと進まないよ」グイッ
ナツメ「もうできてるでしょ!」
レッド「ちょっと!まだだって!」
レッド「あ…」
レッド「……」
赤母「おや…?その顔…」
赤母「もしかしてあんたレッドかい?」
レッド「……」
レッド「……」
レッド「……」チラッ
ナツメ「こっち見られても…」
レッド「……」
レッド「……」コクッ
赤母「何年たとうがあんたは変わらないね」
レッド「……」
赤母「おかえり、レッド」
レッド「……」こく
赤母「そっちの可愛い子はもしかしてあんたの彼女?」
ナツメ「初めまして、ナツメと申します」
赤母「あら~まさかあのレッドがこんな美人を連れてくるなんて」
赤母「ナツメちゃんね、よろしく」
赤母「こんなとこで立ち話するより、中でゆっくり話ましょ」
レッド「え…」
ナツメ「あれ、どうしたの?」
レッド「中にまで入るつもりはなかったのに…」
ナツメ「外で会ってすぐ帰るつもりだったの?それは早すぎるでしょ」
赤母「レッドはもうコーヒー飲めるようになったの?」
レッド「……」こく
ナツメ「あなたもしかして自分のお母さまとも話せないの?」ひそひそ
レッド「俺が10年も会ってない相手と話せると思うか?」
レッド「悲しい話だけど、それが親でも…」
ナツメ「あら、私とは話せてたじゃない」
レッド「えっそうだっけ?」
ナツメ「うん、ちょっとだったけど」
レッド「それはだってほら…ナツメだから…」
ナツメ「理由になってない」
ナツメ「私ヤマブキジムのジムリーダーをやってるんです」
ナツメ「だから初めて会ったのはジムに挑戦に来たときですね」
赤母「じゃあ10年以上前からの知り合いってわけだ」
赤母「そこから付き合うようになったの?」
ナツメ「いえ、レッドがチャンピオンになってから最近まで会うことはなかったですから」
赤母「何かあったの?」
ナツメ「レッドったら誰にも何も言わずにチャンピオンやめて山に籠っちゃったんですよ」
赤母「まあ!あんた!こんなかわいい子をほったらかしにするなんて!」
レッド「……」
レッド「……」
赤母「そう言われると私までうれしいね」
赤母「ただこの子といると大変でしょ?」
ナツメ「そんなことないですよ」
ナツメ「いつもいろいろ手伝ってくれるので助かってます」
赤母「あら本当?」
赤母「そんなこと言ってくれるなんて、あんたいい子見つけたね」
赤母「それで、いつ結婚するの?」
レ・ナ「!?」ぶばっ
赤母「あらあら息ぴったり」
レッド「……」ダラダラ
ナツメ「ごごごごごめんなさい!!す、すぐ拭きます!」
赤母「それに子どももいるし」
赤母「私も孫が見たいな~って」
ナツメ「そ、そこまではちょっとまだ考えてなくて…」
赤母「あらそうなの…」
赤母「じゃあどこまでやったの二人は?」
レッド「ごふっ!?」
ナツメ「どっ…どこまでとはどういう…」
赤母「そりゃAだとかBとかあるじゃないの」
レッド(なんでそんなこと子どもに聞くんだよ!!)
レッド「……」
レッド「アルファベット」
ナツメ「そんなことわかってるわよ」
ナツメ「意味を聞いてるの」
レッド「意味…意味か…」
レッド「意味はない」
ナツメ「嘘つかないでくれる」
レッド「別に知らなくてもいいことだよ」
ナツメ「知らなかったら答えられないじゃない」
レッド「答えなくていい」
ナツメ「えっもう帰るの?」
レッド「うん…」
赤母「もっとゆっくりしていけばいいのに」
レッド「……」
赤母「と言ってもあんたはどこか一か所に留まるような子じゃないもんね」
ナツメ「……」
レッド「そんなことない…」
ナツメ「!(レッドがしゃべった)」
レッド「もうどこにも行ったりしない…」
レッド「ふぅ…」
レッド「よかった…なんとかなった」
レッド「ありがとねナツメ、感謝してるよ」
ナツメ「……」
ナツメ「さっきあなたが言ってたこと本当?」
レッド「もちろん、感謝してるよ」
ナツメ「そこじゃない」
ナツメ「あなたのお家で言ってたこと」
ナツメ「もうどこにも行ったりしないって」
レッド「うん本当だよ」
レッド「なんでそんなこと聞くのさ」
ナツメ「確かめたかったからよ」
ナツメ「あなた一度約束破ってどっか行っちゃったからね、10年近くも」
レッド「約束?」
ナツメ「…したことも忘れたの?」
レッド「わ、忘れてない忘れてない!ほんとほんとほんと!」
ナツメ「じゃあどんな内容だった?忘れてないのならもちろん答えられるよね」
レッド「……」
ナツメ「別に私気にしないから…」
レッド「待って待って待って!」
ナツメ「またって一回も…」
ナツメ「いつの間に…」
リーリエ「お二人の声が聞こえたのでさっき出てきたんです」
リーリエ「だから全然お二人のお話は聞いてないですよ」
ナツメ「別に聞かれてても問題はないから聞かれててもいいけど」
リーリエ「なんだかナツメさん機嫌が悪くないですか?」ひそひそ
レッド「そ、そうかな…?」
レッド「お…俺はいつも通りだと思うけど」
リーリエ「そうですか?何か言って怒らせたのではないですか?」
レッド「……」
ナツメ「……」
レッド「……」もぐもぐ
リーリエ「……」
リーリエ(二人とも全く話さない…)
リーリエ(普段は常に話しているぐらいなのに…)
リーリエ(これはかなり深刻な問題です…コトネさんに相談しなくては)
ナツメ(普通10年近く前に話した内容なんて覚えてないよね)
ナツメ(それなのにこんな空気にしちゃって…)
ナツメ(あのことは私も忘れることにしよう)
レッド(うーん…ダメだ思いだせん)
レッド(なんとしても思いださねえと…)
レッド(……)
レッド(だめだ…)
レッド(もしかしたら記憶を読める人がいるかもしれない)
レッド(ナツメなら知り合いにそういう人いるかも)
レッド(それぐらいなら答えてくれるかな)
レッド「なあ、ナツメ」
ナツメ「なに」
レッド(声が冷たい…)
レッド「い、今何考えてる?」
ナツメ「内緒」
レッド「じゃあ俺が何考えてるかわかる?」
ナツメ「知らない、あなたの考えは読まないようにしているから」
ナツメ「うん」
レッド「そういうことできる人って他にいるの?」
ナツメ「けっこういるよ」
ナツメ「例えばあなたの知ってる人だとカトレアとか」
レッド「カトレア…?」
ナツメ「ほら、あなた前に記憶なくなったことあるじゃない、その時の子」
レッド「ああ、あの子か」
レッド「あの子ってどこにいるの?」
ナツメ「…イッシュの方じゃない?四天王やってるし」
リーリエ「おはようございます、今日はいつもより早いですね」
レッド「ちょっと早く寝たからかな…」
リーリエ「と言ってももうすぐ10時ですけどね」
レッド「ナツメは?」
リーリエ「もうとっくに起きてますよ」
レッド「そうじゃなくて何してるの?」
リーリエ「さっきまでは掃除をしてましたよ」
リーリエ「もう少しでジムに行くと思いますけど」
レッド「そうか…」
レッド「明日には戻るから」
リーリエ「明日にはってどこへ行かれる気ですか?」
レッド「んー…ちょっとね」
レッド「じゃあ行ってくるね」
ゴツンッ
レッド「ぎゃっ!?」
リーリエ「だ、大丈夫ですか!?」
レッド「いって~…な、なんだ?」
ぺたぺた
レッド「なんだこれ!?見えない壁が…まさか」
レッド「あ、あれ~…ジムには行かなくていいの?」
ナツメ「今行こうと思ってたんだけど、ちょうどあなたが出かけようとしてたから」
ナツメ「いつも言ってるでしょ」
ナツメ「出かけるときはどこに行くか、誰と行くか、いつごろ帰るか、いくらお金がほしいか言うようにって」
ナツメ「そうしないとあなたがちゃんと帰ってくるか不安になる…」
レッド「ごめん…」
レッド「ちょっと散歩に」
ナツメ「……」
ナツメ「もう一つ追加しましょうか」
ナツメ「嘘をついて、それが嘘だと私にバレたとき覚悟してもらうから」
レッド「……」
ナツメ「それでただの散歩ってのはおかしいよね」
レッド「……」
ナツメ「今なら言いなおしていいけど、本当に散歩?」
レッド「…違います」
ナツメ「……」
ナツメ「じゃあまずどこに行くの?」
レッド「イッシュ」
ナツメ「イッシュ?どうして?」
ピンポーン
ナツメ「あ、ジムの子が迎えに来たのかな?」
ナツメ「コトネじゃない、一週間ぶりね」
コトネ「あの、家の前にこれが落ちてたんですけど、どうします?」ひょい
シルバー「おい、人を物みたいに扱うな!おろせ!首をつかむな!」
ナツメ「えっと…どこかで見たような…」
コトネ「とりあえず山にでも捨ててきますか?」
シルバー「おいおいおい!おかしいだろ!」
ナツメ「あっ思い出した、君はバトルツリーにいた…」
シルバー「そうだ」
シルバー「俺を忘れるとはどういうことだ」
コトネ「人は嫌なことを忘れないと前に進めないのよ」
シルバー「それどういう意味だ!」
シルバー「レッドを倒すためだ」
シルバー「いつでも来いと言っていただろ」
シルバー「もう俺もポケモンたちもコトネが首を離してくれさえすれば万全だ」
シルバー「というより早く離してくれ」
ナツメ「離してあげたら?」
コトネ「……」
コトネ「わかりました」パッ
ドサッ
シルバー「いたっ」
レッド「……」
ナツメ「聞いてたでしょ?どうする、バトルするの?」
レッド「ああ…そうだな」
シルバー「よし」
コトネ「ちょいちょいリーリエ」
コトネ「どういうことなの?あんた昨日二人の空気が悪いとかそんなこと言ってたじゃない」
コトネ「でもそんな悪そうに見えないけど」
リーリエ「一晩たったので少しは良くなったのかと…」
リーリエ「でもついさっきいつもはナツメさんに一言かけるのですが、何も言わずでかけようとしていたんです」
リーリエ「何かあるかもしれません…」
レッド「俺のことはいいから行きなよ」
ナツメ「よくありません」
ナツメ「まだ話の途中だからね」
レッド「……」
シルバー「おい、何を話している」
シルバー「早く始めるぞ」
コトネ「それが人にモノを頼む態度か」
コトネ「どうせカットするんだけど、もうちょっと礼儀正しくしなさいよ」
シルバー「何の話だ」
シルバー「これが…あの男を倒したトレーナーか…」
シルバー「俺たちもまだまだだな…」
コトネ「カットしたからバトルの感想とかいらない」
シルバー「だから何の話だ」
シルバー「俺はレッドと戦い、負けはしたが少しスッキリした…」
シルバー「自分の強さもよくわかることができた」
コトネ「ちょっと何言ってるかわかんない」
シルバー「なんでわかんねえんだよ」
ナツメ「相変わらずの強さね」
レッド「……」
ナツメ「これからイッシュに行くのよね」
レッド「あ…ああ」
ナツメ「あなたが黙って行こうとしたぐらいだから理由は聞かない」
ナツメ「でもこれは正直に答えてほしい」
ナツメ「私のことが嫌になった?」
レッド「え?なんでそんなこと」
レッド「どういうつもりか知らないけど、それはないね」
レッド「言っただろ、もうどこにも行かないって」
レッド「つまりは離れる気はないってことだ」
レッド「そんなこと嫌いになるような相手には絶対言わない」
レッド「だから俺は一生…あっいや…」
レッド「い、いいよそこは」
ナツメ「大事なとこだと思うけど…」
レッド「明日には帰る予定だからこの話は終わり」
ナツメ「でも…もしものことがあったら…」
リーリエ「ナツメさん、それは私に任せてください」
リーリエ「私もレッドさんについて行きます」
レッド「えっ」
リーリエ「レッドさん一人ではいろいろ不便でしょうから」
レッド「じゃあお願いしようかな」
リーリエ「ありがとうございます」
リーリエ「イッシュ地方は四季がはっきりしていて豊かな自然と大都会がある地方と聞いてます」
リーリエ「どんなポケモンがいるか楽しみです」
レッド「リーリエはイッシュに行ったことなかったっけ?」
リーリエ「はい、初めてです」
レッド「ただ俺の用事するだけだからあんまり観光とかはできないけど、いい?」
リーリエ「はい」
コトネ「私も行きたいです」
コトネ「一応キョウヘイに買ったアローラのお土渡しときたいんで」
シルバー「キョウヘイ!?」
シルバー「誰だそれは!」
シルバー「俺に黙ってどこの馬の骨と!」
コトネ「……」
シルバー「おい、聞いているのかコトネ!」
コトネ「いいですよね、レッドさん?」
レッド「ああ、いいよ」
シルバー「待て!コトネをそんなわけのわからんやつのところに連れて行けるか!」
コトネ「あんたよりマシだ」
シルバー「とにかく俺もついて行く!」
コトネ「なんでだよ、意味わかんない」
シルバー「単なる好奇心だ、俺もイッシュは興味がある」
コトネ「……」
シルバー「そんな顔をするな」
シルバー「心配しなくても俺はずっとお前といるぞ」
コトネ「はぁ?」
コトネ「うう…気持ち悪い…」
コトネ「いくらラプラスとはいえ速すぎ…」
レッド「明日の昼までにはカントーに帰ってる予定だからちょっと急いだんだ、悪いね」
シルバー「大丈夫かコトネ」さすりさすり
コトネ「何さわって…おろろろろろろ」
シルバー「ギャー!」
リーリエ「にぎやかですね」
レッド「ああ…」
レッド「……」
レッド「秘密」
リーリエ「教えてくださいよ、ナツメさんに関係することじゃないんですか?」
レッド「…いや、俺自身のことだよ」
レッド「昨日の夜聞いてただろ」
レッド「カトレアって子に用があるんだ」
レッド「四天王やってるって言ってたし、とりあえずイッシュリーグに行こうか」
リーリエ「ここがイッシュのポケモンリーグ…」
リーリエ「カントーのリーグとは全然違いますね」
シルバー「イッシュリーグのチャンピオンといえばまだ小さな女の子らしい、アローラのチャンピオンと同じぐらいそうだ」
シルバー「けっこう可愛いみたいだ…」
コトネ「あんたそういう子が好みだったの?」
シルバー「そんなわけないだろ、俺はお前だけだ」
コトネ「あーはいはい、私はレッドさんとナツメさんだけだから」
シルバー「俺が言いたいのはそういうことじゃない」
シルバー「まだ幼いのにそんなに強いのなら見てみたいと言いたかったんだ」
シルバー「容姿に興味があるわけではない」
リーリエ「そこじゃないんですか?」
レッド「あそこは挑戦者用の入り口だよ、たぶん」
レッド「別にリーグに挑戦に来たわけじゃないんだから別の入り口じゃないと」
カトレア「それでしたらこちらへ」
カトレア「アタクシの部屋へ直接つながっています」
コトネ「あっあなたはあの時の、いつの間に」
カトレア「さっきからいましたよ、あなた方が来ることは視えていましたから」
カトレア「あの時のこともありますから、アタクシにできることならなんでも言ってください」
レッド「……」
カトレア「どうしたのですか?」
リーリエ「あっもしかして…話せないのですか?」
レッド「うん…」
リーリエ「では私が代わりに話ますよ、何を言うか教えてください」
レッド「いや…それは…」
コトネ「言わないと伝えることはできませんよ、それとも私が言いましょうか?」
レッド「それはそうなんだけど…」
カトレア「言いにくいことでしたらアタクシが考えを読みましょうか?」
レッド「あ、それで…」
カトレア「なるほど…わかりました」
レッド「……」
カトレア「あなたがここへ来た理由は理解しました…が!!」
カトレア「よくもナツメお姉さまを…!」ゴゴゴ
レッド「!」びくっ
カトレア「こんなことをした以上生かしてはおかない!」
カトレア「と…言いたいですが、前のこともありますし、何よりもあなたはナツメお姉さまにとって最も大事な存在」
カトレア「何かあってはナツメお姉さまを悲しませることになります」
カトレア「このことを解決できれば、きっとナツメお姉さまを喜ばせられるかもしれませんしね」
レッド「!」
カトレア「ただ、どうにかできそうな人なら知っています」
レッド「それは誰か聞いて」
リーリエ「それは誰なのですか?」
カトレア「このイッシュ地方のチャンピオンアイリス」
コトネ「そのチャンピオンってさっきシルバーが言ってた小さい子よね」
カトレア「たしかにアイリスはまだ幼いですが実力は本物」
カトレア「アイリスも今はこのリーグにいますよ」
リーリエ「そこまで案内していただくことはできますか?」
カトレア「それはできません」
コトネ「えー、けちー」
カトレア「だって当然でしょ」
カトレア「ここはポケモンリーグ、そしてアイリスはチャンピオン」
カトレア「チャンピオンに会うにはアタクシたち四天王に勝った者のみ会うことができる」
カトレア「もちろんレッドさんへの協力は惜しみません」
カトレア「ですが、これはルール」
カトレア「元チャンピオンのレッドさんならわかっていただけますよね」
カトレア「……」
レッド「……」
リーリエ「……」
コトネ「……」
アイリス「あれー、お客さんいっぱいだねー」
カトレア「コクラン!」パチンッ
アイリス「えっなになに!?コクランさん!?」
カトレア「……」
カトレア「さあ、四天王に勝たなければアイリスに会うことはできませんよ」
リーリエ「でもそうしないとアイリスさんに会うことはできませんよ」
レッド「そうなんだけどな…」
レッド「なんかこう…」
シルバー「お前がやらないのなら俺がやってやろう」
シルバー「レッドがやりたくないと言っているのなら俺がやっても構わないだろ?」
カトレア「ええ、リーグに入ることができた人なら誰が挑もうとも問題ない」
カトレア「だけどあくびがでちゃうような退屈な勝負だけはかんべんね…」
オーダイル「ヒャッハー!」
シルバー「ふっ俺の勝ちだ」
コトネ「ギリギリだったね」
シルバー「そ、そんなことない!」
カトレア「お見事…あなたの勝ちね」
カトレア「私の他にあと3人の四天王に勝つことができればチャンピオンのいる部屋へ行くことができるわ」
カトレア「今回は特別にあなたの勇姿はカットしておきましょう」
シルバー「特別にじゃねえよ!おいやめろ」
カトレア「カット」
カトレア「ポケモンリーグの四天王全員に勝利したのね」
カトレア「それならチャンピオンの部屋に行く資格を得たということ」
シルバー「マジでカットしやがった…」
カトレア「さあ、あちらへ」
カトレア「アイリスが部屋で待ってますよ」
シルバー「ここまで来たらついでだしチャンピオンも倒してやるか」
コトネ「チャンピオンってのは強いのよ、あんた勝つつもり?」
シルバー「当然だ、それに俺はアローラのチャンピオンより強いんだぞ」
リーリエ「アローラのチャンピオン!?それってヨウさんですか!?」
シルバー「ヨウ…ああ、たしかそういう名前だったな」
リーリエ「ヨウさんは元気そうでしたか?」
シルバー「元気…なんじゃないかな?」
リーリエ「ではヨウさんは」
シルバー「なあ…そろそろいいんじゃないか?」
コトネ「たしかにちょっと長いかな…」
シルバー「それにそんな気になるのなら直接会いに行けばいいだろ」
シルバー「前にアローラに来ていたんだろ」
リーリエ「い、いえ…会うのまだ早いかな…と」
シルバー「早い?」
コトネ「あんたわかってないね、こういうのは中途半端な時期じゃだめなの」
コトネ「きっちり目標を達成してから、でしょリーリエ?」
リーリエ「はい」
リーリエ「最近は全然教えてくれないんですよ」
レッド「……」
コトネ「レッドさん…せっかくもらった仕事なのにちゃんとしないとナツメさんに迷惑かけちゃいますよ」
レッド「…それはだめだな」
リーリエ「じゃあ働いてくださいよ…」
レッド「やってることはやってるよ、でも」
リーリエ「でも…なんですか?」
レッド「今回のこれは俺にとってちょっと大事なことなんだ、すまない」
リーリエ「終わったらちゃんと教えてくださいよ」
アイリス「待ってたよー!」
リーリエ「ここがチャンピオンの部屋…」
リーリエ「なんだかすごい部屋ですね」
レッド「……」
レッド「四天王の部屋から思ってたが…」
レッド「本部のリーグはこんなに部屋が豪華じゃないぞ…」
カトレア「お金かかってますから」
シルバー「おいなんでだ!四天王に勝ったのは俺だろ!」
カトレア「ほんとにチャンピオンと戦う気だったの?」
シルバー「当たり前だろうが!」
カトレア「……」
カトレア「アイリス、どうするの?」
カトレア「本当のことを言うとジムバッジを8つ持っていないためリーグへの挑戦権はない」
カトレア「しかし私たち四天王全員に勝った」
カトレア「戦うかどうかはあなたが決めていい」
アイリス「うんいいよー、やろやろー」
シルバー「グッド」
シルバー「オーダイル!冷凍パンチ!!!」
アイリス「マダよ!マダマダッ!」
アイリス「マダあたしたち戦える!!」
アイリス「オノノクス、逆鱗!!」
オーダイル「ウオオオオオオオオオオオオ!」
オノノクス「ドリャアアアアアアアアア!」
ゴッ
コトネ「ま、まさか…シルバーがほんとにチャンピオンに勝っちゃったの…?」
リーリエ「新チャンピオンの誕生に立ち会えるとは…」
レッド「いや…」
カトレア「オーダイルではなく、オノノクスの強烈な一撃が見事に決まりましたね」
カトレア「またカットされたうえに負けてしまうとは」
シルバー「……」
コトネ「まあ惜しかったんじゃない?」
コトネ「チャンピオン相手にあれだけやれば十分でしょ」
シルバー「コトネ…俺をほめてくれるのか?」
コトネ「んー…まあがんばってたし、それでいいよ」
シルバー「おお、コトネが…」じーん
コトネ「ん、じゃあこっち来い、終わったんだし外出るよ」
コトネ「あっそうだ、負けたんだからお金渡せよ」
コトネ「元々レッドさんの目的のためについて来ただけだから」
コトネ「あんたのバトルはついでなの」
シルバー「ならなぜそのついでのバトルなのに俺は金をとられるんだ」
コトネ「ついでとはいえバトルだからでしょ」
コトネ「基本じゃないの」
コトネ「でもまあ、あのチャンピオンがまさかお守り小判を持っていたとはね…」
コトネ「それは同情するわ」
シルバー「同情するなら金をくれ」
コトネ「うるせぇ」
カトレア「アイリスは触れた者の過去の記憶を読み取る力があります」
カトレア「この力を使えばあなたの過ぎ去りし時を求めることができるでしょう」
アイリス「そんな大げさなものじゃないよ」
アイリス「読み取れるのもちょっとだけだし」
カトレア「部分的にだけでも思い出すことができればOKでしょう」
レッド「……」こく
カトレア「アイリス、お願いします」
アイリス「うん」
レッド「……」
アイリス「おにいちゃんすごいね」
アイリス「いっぱい冒険してきたんだね」
レッド(ほぼ山籠もりだけど…)
アイリス「昨日の晩御飯はカレーだったんだね」
カトレア「そんな最近の記憶ではなくもっと昔よ」
カトレア「レッドさん、あなたが約束したと思われるのは何歳ぐらいのナツメお姉さまですか?」
レッド「……」
レッド(何歳…?えっと山からおりてきた後は何か約束した覚えはないし…)
レッド(というよりしたら絶対覚えてる)
レッド(じゃあ初めてヤマブキジムに行った日からシロガネ山に行くまでか…)
レッド「12…13…かな…」
カトレア「12、3歳ですか…」
カトレア「そのころの写真はまだ持ってませんね…」
カトレア「一番古いのが15歳のですね」
レッド「……」ぴくっ
カトレア「えっと…」パラパラ
レッド「……」じーっ
カトレア「あった、これですね」
カトレア「アイリス、レッドさんの中のこの写真の方を探してほしいの」
カトレア「何か約束をしたということらしいから、その約束が何か読み取って」
カトレア「どうされました?」
カトレア「ああ、この写真ですか」
カトレア「ナツメお姉さまの写真ですよ」
カトレア「これが15歳、これは16、こっちは17…」
カトレア「どうして今これらの写真を持っているかは秘密ですよ」
カトレア「見たいですか?」
レッド「……」こく
レッド(このころのナツメは知らないからな…)
レッド(あ、この年から急激に変わってる、このころに今みたいになったんだ…)
レッド「いい…」
カトレア「何か言いましたか?」
レッド「いや何も…」
レッド「ん…?」
アイリス「おにいちゃんがしゅーちゅーしないとあたしも読み取ることができないよ」
レッド「あ…ああ…」
レッド「……」
アイリス「……」
カトレア「どうなの、アイリス?」
アイリス「おにいちゃんもチャンピオンだったんだね」
アイリス「その時に写真のおねえちゃんと約束してたみたい」
カトレア「その内容とは…?」
アイリス「それは…」
レッド「……」
アイリス「モモンのみを使ったケーキを買うこと」
レッド「…?」
カトレア「だけ…?」
アイリス「だけ」
レッド「……」
アイリス「おにいちゃんの方から約束してたんだよ」
アイリス「それなのにおにいちゃんはチャンピオンがつまらないからって誕生日の前に山に行っちゃって」
レッド「……」
カトレア「なるほど…」
カトレア「なぜ、ナツメお姉さまとそのような約束をしておいて黙ってシロガネ山へ行ったのですか?」
カトレア「思っていたよりは小さなことでしたが、当時のナツメお姉さまがかわいそうです」
レッド「……」
レッド「……」
レッド「そうか…そういえばそういう約束をしたかもな…」ぼそっ
カトレア「そういえばって…ひどい人ですね」
コトネ「どうでした?」
レッド「うん…まあ目的は達成できたかな…」
カトレア「戻られたらどうするのですか」
レッド「……」
レッド「どうしようかな…」
カトレア「ナツメお姉さまもその約束のことを覚えているかは問題にしていなかったでしょう」
カトレア「レッドさんが嘘をついたのがいけなかったのでしょう」
カトレア「最後にした約束を、一番信用している人に嘘をつかれたら、いくらお姉さまでもちょっとは怒りますよ」
カトレア「正直に話せば…いえ、行動すればきっと喜びますよ」
レッド「……」こく
コトネ「はい、わざわざすいません」
コトネ「たぶんポケウッドに行けばいると思います」
レッド「よし、リザードン」
コトネ「はいこれポケウッドの地図」
シルバー「ん、なんだ?」
コトネ「あんたは自分のポケモンに乗ってきなさいよ、さすがに4人はきついから」
シルバー「え…?」
コトネ「まあ30分ぐらいなら待ってあげるから」
シルバー「おいどういうことだ?」
コトネ「レッドさんとあんたじゃそれぐらい差が出ると思って」
シルバー「出ねえよ!」
コトネ「思ったより早かったじゃん」
シルバー「こ、これぐらい当然だ」
メイ「あれ~このお兄さんは初めて見る人ですね~」
メイ「私メイっていいまーす」
シルバー「コトネの知り合いか…俺はシルバーだ」
メイ「おお、シルバー君、けっこうかっこいい名前だねー」
コトネ「あんたそんなしゃべり方だった?」
メイ「こんな感じだったと思うけど」
メイ「もしかしてレッドさんが私に会いに来てくれたんですか!」
コトネ「そんなわけないでしょ」
コトネ「はいキョウヘイ、これアローラのお土産」
メイ「えっ!?コトネさんが!?」
コトネ「何よ、あんたほしいって言ってたじゃない」
コトネ「いらないの?」
メイ「コトネさんがほんとに買ってくるとは思わないもん」
メイ「ちょっと驚いただけじゃないですか」
メイ「すっごいうれしいですよー」
シルバー(どこがかはわからんが…)
シルバー(巨乳か…?)
シルバー(いや、そうじゃない…)
シルバー(俺は別に気にしないけど)
シルバー(ていうか俺はむしろ小さい方が好きだし)
コトネ「何ぶつぶつ言ってんの?」
シルバー「…なんかあの子が気になってな、少し違和感があって」
コトネ「……」
コトネ「一つ一つあげていったらキリがない」
コトネ「むしろ変じゃないとこなんてないし」
シルバー「そういえばさっきコトネ、この子のことキョウヘイって呼ばなかったか?」
コトネ「うん、キョウヘイだもん」
シルバー「キョウヘイって…」
メイ「それはコトネさんが勝手に呼んでるだけです」
メイ「シルバー君はメイちゃんって呼んでくださいね」むにゅ
シルバー「お、おお…」
コトネ「……」
シルバー「ちっ、ちがっ…違うぞコトネ!俺は別に」
コトネ「楽しけりゃいいんじゃないの、変なことやってるなーとは思うけど」
メイ「私もけっこう強いんだ、相手してくれない?」
シルバー「……」
シルバー「相手が誰だろうと、申し込まれたバトルは受けてやる」
シルバー「いいだろう勝負だ」
コトネ「またバトルすんの~?」
コトネ「二人とも好きだねー」
メイ「トレーナーってそういうものですよ」
メイ「レッドさんならわかってくれますよね」
レッド「…まあ、少しは」
シルバー「全て砕いてやる、ハッサム、バレットパンチだ!」
ハッサム「アタタタタタタタタ」
メイ「そんなのいつまでも続かないよ、チラチーノもっともっとロックブラスト!」
ハッサム「オラオラオラオラオラオラ」
シルバー「どうした、もう終わりか?」
メイ「ふふ…」
メイ「私の見込んだとおり…」グ…
メイ「そうとう強いトレーナーだね…」グググ…
シルバー「……」
シルバー「そうか…なんとなくわかった…」
シルバー「どういうつもりかは知らんが、○液臭いよメイちゃん」
シルバー「い、いや…俺は思ったまま…」
シルバー「そういうつもりで言ったのではない…」
メイ「じゃあどういうつもりで言ったんですか?」
シルバー「そ、それは…」
コトネ「はぁ…」
シルバー「なっなんだそのため息は!」
シルバー「だから俺は」
コトネ「はいはい、うっとうしいから早く終わらせて」
メイ「お兄さん強いねー」
メイ「また私の楽しみが一つ増えたよ」
メイ「ああ、考えたらまた興奮してきた…」もこもこ
コトネ「…あんたね、一応初対面のこいつがいるのに小声とはいえそういうこと言うんじゃないよ」
メイ「そういうことって言われてもねぇ…」
メイ「別に私悪いことしてないですし、こういう個性ってのは人それぞれじゃないですか」
メイ「私…僕の場合はちょっと人と変わってるってだけですよ」
キョウヘイ「コトネさんだって似たようなもんだし」
キョウヘイ「僕が普通だったらあなたを本気で口説いてますよ」
コトネ「……」
メイ「なんてねー」
メイ「私がこの姿でいる限りそんなことはないですから、安心してください」
シルバー「それはだな」
コトネ「ただの顔見知りよ」
シルバー「そういう言い方はないだろ…」
コトネ「じゃあなんて言えばよかったの」
シルバー「ふっ簡単だ」
シルバー「コトネの将来の旦那様だよ」
コトネ「……」
コトネ「おい、ちょっと後ろ向け」
シルバー「ん?なんだ…」
ガキッ
シルバー「おいおいおいおい!何!?どうなってんの!?」
シルバー「ていうか何これ!?」
コトネ「何ってパロスペシャルだけど?ロボ超人式の」
シルバー「じゃ、じゃあなんでこんな」
コトネ「あんたがふざけたこと言うからでしょ」
シルバー「俺は何も」
ゴキッバキッ
シルバー「!?」
コトネ「え?」
コトネ「あ、あっれ~?今の音って…」
シルバー「……」
コトネ「……」
シルバー「……」
コトネ「ね、ねえシルバー?」
シルバー「……」
シルバー「なんだ…」
コトネ「調子どう…?」
シルバー「最悪だな…」
コトネ「……」
コトネ「やれやれだぜ」
シルバー「なにがだよ」
コトネ「い、いやぁ~なんでもないのよ、なんでも」
リーリエ「そうですか…?」
メイ「リーリエ、私が教えてあげようか?」
メイ「今起こったことぜ~んぶ」
コトネ「余計なことは言わんでいい」
メイ「きゃーこわーい」
メイ「リーリエ、レッドさんの方に行こ」
メイ「ここにいたら危険だから」
リーリエ「あ、はい」
コトネ「もしかしてだけど関節が鳴っただけとか…」
シルバー「ものすごい激痛で思うように動かせん」
コトネ「……」
コトネ「そう…じゃあやっぱり…」
コトネ「ごめん…やりすぎた…」
シルバー「…どうした、謝るなんてお前らしくない」
コトネ「悪いことしたら謝るのは当然よ」
コトネ「だいたい私らしくないってどういうことよ」
コトネ「今回は私が悪いから全部面倒は私がみてあげるから」
コトネ「さ、まず病院に行くよ」
シルバー「両腕が使えなくなったんだけど…」
コトネ「気にすんな」
シルバー「気にするだろ!」
コトネ「私があんたの両腕になるから」
シルバー「つまり俺に付きっきりってことか!?」
コトネ「全部面倒みてあげるって言ったでしょ」
シルバー「全部って…本当に?」
コトネ「私が全部って言ったら全部なのよ」
シルバー「おお!」
コトネ「しつこいな、腕が使えないなら食べにくいでしょ」
シルバー「トイレもか?」
コトネ「…ズボンぐらいはおろしてあげる」
シルバー「風呂は?」
コトネ「……」
コトネ「……」
シルバー「なあ風呂」
ズビシッ
シルバー「きゃん!」
ナツメ「用事は終わったのね」
レッド「うん」
ナツメ「どうしたのよ、そんな顔して」
ナツメ「何か嫌なことでもあったの?」
レッド「いや…」
レッド「ほんとごめんな…」
ナツメ「何が?」
レッド「次は必ずちゃんとするからさ…」
ナツメ「だから何がよ」
レッド「それはお楽しみだ」
ナツメ「…変なの」
ナツメ「いいのよ、私だって最近はあまりやる気ないし」
ナツメ「それに妹のようにかわいがってきた彼氏のとこに行くって言ってるのを止めるわけにはいかないでしょ」
コトネ「彼氏…?」
コトネ「……」
コトネ「って!!何言ってるんですか!私の彼氏はナツメさんとレッドさんだけですよ!」
ナツメ「何で私が男になってんのよ」
コトネ「では私が男役をします」
ナツメ「ごめん、そういう問題じゃない」
シルバー「こんなやつ…」
ナツメ「でもコトネがわざわざついていくなんて何かあるとしか」
コトネ「それは…」
コトネ「あの怪我は私のせいですし、世話するって言っちゃったから…」
コトネ「こいつの怪我が治ったらすぐ帰ってきますよ」
ナツメ「ちょっとぐらいゆっくりすればいいのに」
コトネ「嫌です、マッハで帰ります」
シルバー「そんな嫌がらなくても…」
コトネ「あんたは黙ってろ」
コトネ「あ、もうこんな時間」
コトネ「そろそろ行かないと、じゃあ行ってきますね」
ナツメ「うん、気をつけてね」
コトネ「レッドさん、少しの間会えないですがさみしがらないでくださいよ」
レッド「あ、うん」
ナツメ「ねえリーリエちゃん」
ナツメ「レッドの用事って何だったの?」
リーリエ「それが私たちもわからないんですよ」
リーリエ「イッシュ地方のチャンピオンの方に会って何かを聞いていたようです」
ナツメ「イッシュのチャンピオンか…」
ナツメ「……」
ナツメ「ま、いっか、レッドが秘密にしてたんだし楽しみにしとくか」
アンズ「アーボック、ダストシュート」
リーリエ「サンドパン、地中に逃げてください」
アンズ「むっ、穴を掘ったか」
アンズ「どこから来る…?」
アンズ「嫌な予感がする」
アンズ「アーボック、壁をよじ登れ」
アンズ「ふふふ、こうすれば下からの攻撃など…」
リーリエ「砂嵐です!」
アンズ「!…視界が…」
アンズ「アーボック気をつけ…」
リーリエ「サンドパン、みだれひっかきです」
サンドパン「アタタタタタタタタ!」ザシュザシュ
アンズ「この音はまさか…いつの間にあの高さまで!?」
アーボック「ニャフウ…」ぱたんっ
アンズ「!」
アンズ「……」
アンズ「ふ…お見事」
アンズ「あたいの負けね、ほらこれ持ってってピンクバッジよ」
リーリエ「5つ目です」
アンズ「あんたならあと3つぐらいちゃちゃっとゲットできるよね」
リーリエ「だといいのですが…」
アンズ「なーに?あたいに勝ったのに他の3人は不安だっての?」
リーリエ「そ、その…なんと言いますか…」
アンズ「はは、冗談だよ」
アンズ「そりゃみんな不安だよね」
アンズ「ま、あと3つだ、がんばりな」
アンズ「さーて、ちょっと早いけど父上に晩御飯を届けに行くか」
リーリエ「……」
アンズ「あれ~?君たしかリーリエ」
アンズ「こんなところで何やってんの?」
リーリエ「レッドさ…先生が迎えに来てくれることになってるんです」
リーリエ「連絡をしても返事がなくて…」
アンズ「君とのジム戦が終わったのってたしか…二時間ぐらい前だよね?」
アンズ「遅くない?」
リーリエ「はい…もしかしたら何かあったのかも…」
アンズ「……」
アンズ「よし、ならあたいが代わりに送ったげる」
アンズ「時間も余裕あるし」
アンズ「相変わらずにぎやかだね、この街は」
アンズ「リーリエってこの街で家族と暮らしてるの?」
リーリエ「いえ、私の家族は今はアローラ地方にいます」
アンズ「じゃあ誰と?さっき言ってた先生と?」
リーリエ「はい、それとその先生の…えーと」
リーリエ「うーん…何と言えばいいのか…」
リーリエ「とにかく、もう一人います」
アンズ「へー、じゃあ3人暮らしか」
リーリエ「あ、ここです」
アンズ「いいのいいの、ついでだからさ」
アンズ「!」
アンズ「待ってリーリエ」
リーリエ「はい、どうかしましたか?」
アンズ「この時間って家に誰かいる?」
リーリエ「たぶんいるとすれば先生がいます」
アンズ「それ一人だよね?中に人の気配が…3人いる…」
リーリエ「ど…どうしてそんなに人が…」
アンズ「まさか泥棒とか…」
リーリエ「泥棒!?」
アンズ「ちょっと調べてみる必要があるようだね」
リーリエ「はい」
ガチャ
ナツメ「リーリエちゃんの声がすると思ったらやっぱり」
ナツメ「ごめんねリーリエちゃん、連絡もしないで」
ナツメ「あれ、アンズじゃない、もしかしてあなたが送ってきてくれたの?」
アンズ「あ…はい」
アンズ「え?どうしてナツメさんがここに…?」
ナツメ「どうしてって…ここ私の家だもん」
アンズ「ふぇ?」
アンズ「なるほど…」
ナツメ「って!そんなことより大変なのよリーリエちゃん!」
リーリエ「一体どうしたのですか」
ナツメ「それが…とにかく入って!」
リーリエ「は、はい…」
アンズ「そ…それじゃあ、あたい…あたしはこれで…」
ナツメ「あ、待って!アンズって忍者よね」
アンズ「そうですけど…」
ナツメ「超能力がだめなら忍術で…」ぶつぶつ
アンズ「あの…?」
ナツメ「あなたも来て!」ぐいっ
アンズ「ナツメさん!?そんな強引な」
マサキ「どうしたら…」
リーリエ「あの、何があったのですか?」
マサキ「おおリーリエちゃん、久しぶりやな」
マサキ「ちょっとややこしいんやけどな」
リーリエ「…その機械は?」
マサキ「ああ、今回の全ての原因やな」
マサキ「でも壊れてもうてな、今修理しようとしとるところやねん」
リーリエ「…全くわからないのですが、詳しく教えてください」
レッド「あー…リーリエ心配だな…」
レッド「一人で行くなんて言って…」
ナツメ「本当なら往復なのにあなたがどうしても迎えに行くって言うから片道だけになったんじゃない」
ナツメ「リーリエちゃん本人だって大丈夫だって言ってたじゃない」
ナツメ「もうちょっと信用してあげなさいよ」
レッド「信用はしてるよ」
ナツメ「そう、じゃあもうちょっとリラックスしなさい」
レッド「うん、そうだな…」
レッド「……」
レッド「そういやなんでジムに行かないの?」
ナツメ「あなたが一人でいることが一番心配だからよ」
レッド「俺をもうちょっと信用してくれよ…」
ナツメ「ただ…その…せっかく二人になれるんだし…」
ピンポーン
ナツメ「……」
レッド「あ…俺出るよ」
マサキ「ようレッド、元気か?」
レッド「……」
レッド「……」ぺこ
マサキ「今暇か?ちょっとええもん持ってったんやけど」
ナツメ「ねえ誰が来たの?」
マサキ「なんや、ナツメもおったんか」
マサキ「そんな言い方ないやん」
ナツメ「……」
マサキ「まあええわ、これ見てみぃ」
ナツメ「なにこれ?」
マサキ「ホウエンの友達から送ってもらった性格変更機や」
ナツメ「なんか言いにくい名前ね…」
ナツメ「これがなんだってんの?」
マサキ「いや…なんだって言われると…」
マサキ「まあ…名前の通り…そのままやねんけど…」
レッド「……」ぽちっ
ガガガッ ゴー ピピピ
レッド「!」びくっ
マサキ「あっ勝手にさわったら」
ピシュッ
レッド「ふにゃ…」パタン
レッド「ぐごー…」
ナツメ「レ、レッド!?」
マサキ「レッドの性格が変わるんやろうな…」
ナツメ「なんてことしてくれんの、レッドの性格が変わるなんて!」
マサキ「わ…わいに言われても…」
マサキ「レッドが勝手にさわったんやし」
ナツメ「レッドが好奇心旺盛なことぐらいわかるでしょ」
マサキ「そんなバカ親みたいなこと言うなや…」
ナツメ「じゃあいつ起きるの」
マサキ「…わからん」
マサキ「麻酔針が出て起きたら変わっとるって言っとったけど、どれぐらいとかは聞いてなかったな」
ナツメ「いずれね…」
ナツメ「じゃあ別の質問、レッドはどんな性格に変わるの?」
マサキ「それは画面を見れば…」
マサキ「あれ?画面が…」
マサキ「どないなっとんや?」コンコン
ゴガガガガ ギギギ ボフンッ
ナツメ「ねえ、これどうなってんの…」
マサキ「うーん、どうやら故障したようやな」
ナツメ「故障したようやなじゃないでしょ!」
ナツメ「レッドは元に戻るんでしょうね!」
マサキ「お、落ち着き!麻酔針が出る前から故障してた可能性だってあるんやし、変化なしってこともあるやん」
ナツメ「…そうか、たしかに」
レッド「ふわわ…」
ナツメ「起きた…よかった」
レッド「ん?何かあったのか?」
ナツメ「いや、何事もなかったようだしいいのよ気にしなくて」
レッド「おいおい、俺たちの間に秘密なんてなしだぜ、話してくれよ」ぐいっ
ナツメ「レ…レッド、ち、近い…近くないかな//」
マサキ「お…おーいレッド、一応わいもいるんやけど…」
レッド「なんだマサキか、いつからそこに」
マサキ「最初っからおったんやけどね…」
マサキ「まあ…普通に喋れてるようやし、問題なしか…よかったわ」
ナツメ「待っておかしい、レッドが私たち以外と普通に話すなんて」
マサキ「言われてみれば…」
レッド「何もおかしくなんかねえよ」
レッド「まあちょっと頭がスッキリしたような気がするけど」
レッド「さあナツメ、デートでも行こうか」
ナツメ「デッッ!?//」
ナツメ「ななななななな…な、なに言ってんのよ、そんな」
ナツメ「や…やっぱり、レッド変よ」
レッド「…そうだな、いつもは言えなかったことやできないことが今ならできる」
レッド「こんなことだって…」チュッ
ナツメ「!!!!!!??????」
ナツメ「……//」カーッ ボンッ シュゥゥゥゥ
レッド「ナ、ナツメ!?」
レッド「よっ、元気か?」
レッド「びっくりしたじゃないか、気絶するから」
ナツメ「だ…だってあなたが…」
マサキ「おっしゃ、直ったで!…たぶん」
マサキ「ちょっとレッド、こっち来てくれ」
レッド「なんだ?」
マサキ「えっと、とりあえず元のレッドに戻さんとあかんから…」
マサキ「えー…元のレッドの性格は…」
ピピピ
マサキ「な、なんや!?」
パシュッ
レッド「ふにゅ…」
ギギ ボンッ
マサキ「ま…また故障した…」
ナツメ「修理できてないじゃないの!レッドはどうなるの!」
マサキ「すまん…」
リーリエ「…なるほど、だいたいわかりました」
マサキ「おお、理解力あるなリーリエちゃんは」
リーリエ「それで、レッドさんは…?」
マサキ「ああ、隣の部屋や」
マサキ「もうそろそろ起きるころやと思うんやけど…」
マサキ「ただ起きてくるレッドはまた違う性格のレッドなんやろうな…」
マサキ「この機械もちゃんと作った本人にみせて修理してもろた方が確実なんやろうけど時間がかかる」
マサキ「まさかこんなことになるとは…」
ナツメ「この機械直してほしいの」
ナツメ「見ての通り、マサキじゃ修理できないみたいなの」
ナツメ「それに私の超能力でも直せない」
ナツメ「まあ私が機械のことをよく理解してないからなんだけど…」
アンズ「あ…あたしも無理だと思いますけど…思うというか無理です」
ナツメ「そこを忍術で何とか」
アンズ「何ともならないです」
アンズ「それなのに超能力が無理なことを忍術でどうこうできるわけないじゃないですか」
ナツメ「そんな…!」がくっ
アンズ「そ、そんな落ち込まないでくださいよ」
アンズ「あたしもできることなら何でも手伝いますから」
ナツメ「ん?なんでも?」
アンズ「じゃあ今日のところはこれでドロ」
ナツメ「待って」ガシッ
アンズ「わっ」
アンズ「あ…危ないじゃないですか…」
アンズ「で、でも父上にお弁当届けないと…」
ナツメ「じゃあ届けた後でいいから来てくれない?」
アンズ「…ナツメさんの頼みなら」
ナツメ「ありがとね」
リーリエ「あ、レッドさん起きたのですね」
ナツメ「レッドが起きたみたい、また来てくれるよね」
アンズ「はいもちろん」
アンズ「ではまた後ほど」
マサキ「性格が変わっただけで記憶は変化ないはずや」
リーリエ「そうですか、では気分はどうですか?」
レッド「うんー、いいとおもうよー」ぽけー
レッド「ふわわ…」
レッド「ねむーい」
リーリエ「さっきまで寝てたじゃないですか」
レッド「うーん…そーだねー」
マサキ「なんか…やる気のないレッドやな」
レッド「……」ぽや~
ナツメ「ねえ本当に元に戻るんでしょうね」
マサキ「何が?」
ナツメ「レッドがに決まってるでしょうが!!」
マサキ「!」キーン
マサキ「あ…ああ、そうやな…」
レッド「なつめー、そんなおおきいこえだしてどーしたの」
レッド「つかれちゃうよー」
ナツメ「はぁ…そうね…」
アンズ「ナツメさん」
ナツメ「うわっびっくりした…」
ナツメ「どうして天井から登場するのよ」
アンズ「忍者ですから、にんにん」
ナツメ「忍者ってそういうものなの…?」
アンズ「はい」
ナツメ「…ならいいけど」
アンズ「……」じー
レッド「……」ぽー
アンズ「あの人がレッドという人ですか」
ナツメ「ええ、そうよ」
アンズ「なんだか頼りなさそうな人ですね」
ナツメ「レッドはこう見えてもね」
アンズ「元チャンピオンなんですよね」
ナツメ「知ってたの?」
アンズ「さっき父上に聞きました」
アンズ「父上にはレッドさんが困っているようなら助けるように言われました」
アンズ「一番良い方法はホウエンのその機械の開発者の方に見せることですよね」
アンズ「だったらホウエン地方に行くんですよね」
アンズ「あたしもホウエン地方に旅行したい…ああ違う、ホウエン地方に同行して手伝いますよ」
アンズ「全然問題ありませんよ」
アンズ「その辺も全部父上に許可をもらっているので」
ナツメ「別にあなたがいいのならついてきてほしいけど」
アンズ「やったー!ずっとホウエン地方行きたかったんですよー!」
アンズ「温泉街にカラクリ屋敷、ポケモンコンテストも…それからそれから」
アンズ「はっ…」
アンズ「あ、あたい…いや、あたしったらつい」
ナツメ「…行きたかったのならちょうどいいかな」
アンズ「今からでも行けますよ」
ナツメ「いや…今からはさすがに…」
ナツメ「じゃあ明日からでいいかな」
アンズ「はい、楽しみだな~」
リーリエ「なんだかジム戦をしていた時と比べてアンズさんが別人のようですね」
マサキ「ああ、アンズはカントーのジムリーダーの中じゃ一番若いから舐められんように挑戦者の前では父親のマネしとるんや」
マサキ「でも年上は基本尊敬するタイプらしくてな、そういうときは素が出るらしい」
ナツメ「アンズ遅いなぁ、マサキもまだ来ないし」
レッド「ねむい…」
リーリエ「しっかりしてくださいよ、次寝ちゃうと五度寝ですよ」
レッド「……」ぼー
リーリエ「聞いてるのかな…」
マサキ「いやーおまたせおまたせ」
マサキ「何日かかるかわからんから用意に手間取ってもた」
ナツメ「あとはアンズだけか」
マサキ「なっ…なんやこれ!?」
アンズ「お待たせしました」シュタッ
ナツメ「アンズの私服姿って初めて見た気がする、女の子らしくてかわいいわね」
アンズ「へへ、ありがとうございます」
ナツメ「言いたいことはそうじゃなかった、なにこれ?」
アンズ「何ってあたしのリュックですけど」
ナツメ「リュック…」
ナツメ「でかすぎない?大人10人ぐらい入りそうな大きさだけど…」
アンズ「もっと入りますよ、デボンコーポレーションが作ったイワークが入っても大丈夫が売りのリュックですから」
ナツメ「それがパンパンに入って…よく持ってこれたね…」
アンズ「鍛えてますから」
アンズ「えっ!?どうしてですか!?」
ナツメ「その…常識の範囲を超えてるから」
アンズ「ならばその常識を壊すのが忍者です」
アンズ「まかせてください!」
ナツメ「……」
――――――――――
船着き場
受付「申し訳ございません、その荷物はちょっと…」
アンズ「なんだとっ!?」
ナツメ「やっぱりね…」
ナツメ「せめてこれぐらいにしないと」
アンズ「そ、そんなに少なくですか…?」
ナツメ「普通よ」
アンズ「でもトランクだと布団はギリギリ入っても忍具や電化製品が入らないじゃないですか」
ナツメ「いらないでしょそれ…」
アンズ「だってあたしが毎日家で使ってるものなんですよ」
アンズ「きっとどこに行っても使いますよ」
ナツメ「忍具は…ないけど、他は間違いなく困ることはないと思うよ」
ナツメ「だから一回帰って、本当に必要なものだけ持ってきなさい」
アンズ「これぐらいならいいですかね」ドスンッ
ナツメ「…まあ、両手で持ててるようだしいいかな」
ナツメ「もうチケットは買ってあるから行きましょ」
アンズ「さすがナツメさん、やることが早いですね」
リーリエ「レッドさん、行きますよ、立ってください」
レッド「……」ぼー
リーリエ「もうレッドさん、立って!立って!行ってください!」ぐいぐい
レッド「……」すっ
リーリエ「な、なんですか…?」
レッド「おこしてー」
レッド「……」ぴた
リーリエ「?」
リーリエ「どうしました」
レッド「つかれたー」
リーリエ「まだ3歩しか歩いてないじゃないですか」
レッド「……」ぽけー
リーリエ「はぁ…」
マサキ「なんか方法ないんか?」
ナツメ「レッドの好きなものでつればいいのよ」
マサキ「……」
アンズ「あの、ナツメさん…」
アンズ「あたしはレッドさんのことをよく知らないのですが、そんなことでつられるのは今時ヤドンぐらいでは…?」
マサキ「わいはレッドのこと知っとるけど同じくヤドンぐらいやと思うで」
ナツメ「こ、これは案の一つよ、だから他の」
リーリエ「いえ、そのナツメさんの案はいいかもしれません」
ナツメ「あ、やっぱり?」
ナツメ「ほらリーリエちゃんもいいって言ってるじゃない」
アンズ「ケーキですか…?」
ナツメ「うん、ホールじゃなくていいから」
アンズ「わかりました、行ってきます」
リーリエ「待ってください、わざわざ買いに行く必要はありませんよ」
ナツメ「とりあえずケーキが思いついたから言ったけど何か他に持ってるの?」
リーリエ「いいえ」
ナツメ「?」
ナツメ「じゃあどうするの」
リーリエ「レッドさんが一番好きなものといえばナツメさんじゃないですか」
ナツメ「えっ」
リーリエ「手をつないだことがないと言ってましたが、これで無事つなぐことができましたね」
ナツメ「たっ…たしかにつないだことはなかったけど…」
ナツメ「べ…べべ別に…そんな望んでたってことでもないよねレッド」
レッド「んー…おれはうれしーよー」
ナツメ「それは私もこういうことはしたいと思ってたけど…//」
ナツメ「そうじゃなくて私が言いたいのは今こういうことしなくても…人前なんだし」
リーリエ「何言ってるんですか、お二人の関係だと人前だろうが全然おかしくないですよ」
アンズ「お二人の関係…」
アンズ「二人はいったいどういう…?」
マサキ「わいが説明すんのもめんどうやから本人に直接聞き」
ナツメ「だ、だってこんなくっつくとけっこう歩きにくいから…」
リーリエ「くっついていってるのはナツメさんじゃないですか」
リーリエ「むしろひっつきすぎです」
ナツメ「……」
リーリエ「船に乗るだけでどれだけ時間をかけるのですか」
リーリエ「早く行きましょうよ」
ナツメ「わかってるよ」
ナツメ「ふう…船に乗るだけでも一苦労ね…」
アンズ「あたし飲み物でも買ってきましょうか?」
ナツメ「ありがと、はいこれみんなの分も買ってきてあげて」
アンズ「何か飲みたいものとかあります?」
ナツメ「じゃあおいしい水、レッドにはミックスオレで」
アンズ「わかりました」
リーリエ「あ、私も一緒に行きます」
マサキ「ほなわいは便所にでも行ってくるわ」
マサキ「二人はそこでゆっくりしとき」
レッド「……」
ナツメ「……」
レッド「ふわあ…」
ナツメ「ねえレッド…」
ナツメ「今あなた何を考えてるの?」
ナツメ「性格が変わってもあなたという人は変わらないのに、あなたの考えてることが全くわからない」
ナツメ「あ、もちろん前も今も心を読むなんてしてないよ」
ナツメ「それでも前はなんとなくわかってたの、わかってたつもりかもしれないけど…」
ナツメ「こんなことになってあなたは…」
レッド「ぐー…ぐー…」
ナツメ「また後でいっか…」
リーリエ「そうですよ」
アンズ「えっ、知ってたの!?」
リーリエ「私も一緒に暮らしてますからね」
アンズ「それにしても意外だ…」
アンズ「ナツメさんは美人だけど男を寄せ付けないようなオーラだしてたからな…」
アンズ「ナツメさんに好きな人がいたなんて今年一番の驚きだ」
リーリエ「驚きすぎです」
リーリエ「もう10年近くたってるそうですよ」
アンズ「10年!?」
アンズ「急にイメチェンしたり女優やったりしてたのも全部あの人のためということこか」
リーリエ「イメチェン…とは今のナツメさんは昔と比べて違うのですか?」
アンズ「けっこう違うね」
アンズ「服はもちろん髪型も変えてて当時見たときは一瞬誰かわからなかったぐらいだ」
アンズ「あくまで個人の感想だけど」
アンズ「ん?」
マサキ「……」こそこそ
リーリエ「あれはマサキさんですね、何をしているのでしょうか?」
マサキ「!」
マサキ「なんや…二人か」
マサキ「驚かさんといてや」
アンズ「ただ声をかけただけです」
マサキ「…まあええわ」
マサキ「それよりあれ見てみ」
リーリエ「レッドさんとナツメさんですね」
アンズ「!」
アンズ「あ、あれは…!」
アンズ「ナツメさんが男の人に寄り添っている…!」
アンズ「正直話で聞いただけではあまり信用できなかったけど実際に見てみると…」
リーリエ「信用してなかったのですか…」
アンズ「それぐらい信じられないってこと」
マサキ「しかも今は知り合いが周りにおらんから完全に油断して頬が緩んどる」
マサキ「あんなナツメの顔めったに見れんで」
アンズ「たしかにあんなナツメさん初めて見た…」
ナツメ「あー、やっとついたね」
レッド「……」うとうと
リーリエ「起きてくださいレッドさん」
リーリエ「寝たまま歩くと危険ですよ」
レッド「うんー…」
レッド「ぐー…」
リーリエ「もう…」
ナツメ「私がついてるからそんなに心配しなくてもいいのよ」
リーリエ「ですがやっぱり危ないですよ…」
ナツメ「大丈夫、レッドが寝ながら歩いてても絶対に危ない思いをさせないから」
ナツメ「どこに行くの?案内してよ」
マサキ「ああ、まかせとき」
マサキ「言うても待ち合わせはここでしとんやけどな」
マサキ「ただ迎えに来るまでまだ一時間ぐらいあるらしいんや」
マサキ「適当にこの辺で時間つぶさなあかんねん」
マサキ「早くしたいんはわかるけど、もうちょっと待ってな」
レッド「……」ぼー
ナツメ「じゃあ私たちはその辺の喫茶店にでもいるから」
ナツメ「レッドを連れまわるのもちょっと大変だし」
ナツメ「二人で好きなところ行ってきなさい」
ナツメ「はいこれ、リーリエちゃんのお小遣い」
リーリエ「ありがとうございます」
アンズ「あれ、あたしの分は…?」
ナツメ「あなたはもう大人でしょ」
アンズ「えー」
ナツメ「……」
ナツメ「リーリエちゃんに多めに渡しておいたからそれ使いなさい」
アンズ「どうした」
リーリエ「ぬいぐるみですっ!それもあんなにたくさん!」
アンズ「リーリエはぬいぐるみが好きなのか、女の子らしくていいね」
リーリエ「アンズさんはぬいぐるみは嫌いですか?」
アンズ「嫌いじゃないけど、あたいは小さい時から忍として育てられてきたから馴染みがなくてね」
アンズ「こういうものはあんまり…」
リーリエ「そうですか…」
アンズ「それより気になったのがあれば買いなよ、せっかく好きに使っていいお金もらったんだし」
リーリエ「いいのですか?」
アンズ「あんたのなんだから自由にしなよ、使っても使わなくても」
アンズ「あたいは大人なの」
アンズ「あれは冗談で言っただけだから」
アンズ「自分のお金はちゃんと持ってるから」
リーリエ「……」
アンズ「どうしたの?買わないの?」
リーリエ「では買ってきます」
アンズ「ん?」
女性「もう!しつこいわねっ!」バキッ
男「ぎゃんっ!」
アンズ「何してんだろあの人…」
アンズ「ホウエンにはああいう人がいるのかな」
男「ねえねえねえか~のじょ~」
男「ボクとデートしない~?」
アンズ「うわっ!?」
アンズ「な、なんだあんた!」
アンズ「い…いや…あたいは暇じゃない、他を当たれ」くるっ スタスタ
男「ねーねーそんなこと言わずにちょっとだけ」
男「ねっ?」
アンズ「このしつこい…っ!」
アンズ「火遁・豪龍火の術!」
男「わちゃちゃちゃちゃ!!」
アンズ「ふんっ…加減しておいたからこれに懲りたらもうこんなことはやめなさい」
男「なんのこれしき!!!」
アンズ「なっ…!」
女「バシャーモ、飛び膝蹴り!」
バシャーモ「セイッ」ドゴッ
女「こんのやろう!急にいなくなったと思えばまたナンパか!!」
女「うるさい!」ゴツンッ
男「うにゃっ!?」
アンズ「……」
女「あはは、ごめんなさいね」
女「失礼しましたー」
アンズ「……」
アンズ「なんだあれ…?」
アンズ「あー…なんていうか…」
アンズ「ホウエンって変わったとこだね」
リーリエ「?」
アンズ「いやなんでもない」
アンズ「それよりいいのは買えた?」
リーリエ「はい」
アンズ「それはよかった」
リーリエ「はいどうぞ」
アンズ「?」
リーリエ「ゴクリンドールです」
リーリエ「他に誰がいるのですか」
アンズ「あ…ありがとう…」
アンズ「でもせっかくだけどあたいにこんな可愛いものは…」
リーリエ「何言ってるんですか」
リーリエ「今は忍者の服じゃないんですし女の子らしい服装じゃないですか、可愛いものも似合いますよ」
アンズ「忍者バカにしてる?」
リーリエ「してないです」
リーリエ「それに服装に関係なくアンズさん自身かわいいですよ」
アンズ「そんなこと…」
リーリエ「さっきだってナンパされてたじゃないですか」
アンズ「何かあったって聞いておきながら知ってるじゃんか」
レッド「……」ぽけー
ナツメ「なんだか外が騒がしいわね…」
ナツメ「マサキは別にいいとして二人が巻き込まれてないといいけど」
レッド「そーだねー…」
ナツメ「でも心配ないか」
ナツメ「リーリエちゃんはしっかりしてるし、アンズは忍術が使えるからなんとかなるしね
レッド「……」
ナツメ「あ、それおかわりする?」
レッド「……」こく
ナツメ「なあに?何か注文したいものがあるの?」
レッド「あのきかいなおしたあとどーするの?」
ナツメ「どうって…普通に観光とか…」
ナツメ「もしかして行きたいところでもあった?」
レッド「んー…ない」
レッド「ホウエンのことよくしらないもん」
ナツメ「まあそうよね」
レッド「でもナツメとはふたりでどこかいってみたいなー」
ナツメ「せっかくみんなで来たんだから楽しそうなところ行きたいね」
レッド「ふたりだけはどう?」
ナツメ「……」
ナツメ「え…い、今…なんて?」
レッド「ふわわ…」
ナツメ(今二人で…二人だけでって…)
ナツメ(そ…それってデ…デデデ…)
ナツメ(レッドからそんなこと誘われるなんて…!)
ボタボタボタ
レッド「コーヒーこぼれてるよ」
ナツメ「え?」
ナツメ「あっつ!」
レッド「だいじょうぶー?」
ナツメ「へ、平気よこれぐらい」
ナツメ(おかげでちょっと冷静になれた…)
レッド「しろだからめだっちゃうねー」
ナツメ「あ…」
ナツメ「ごめんね、予定外の買い物につき合わせちゃって」
レッド「ぜんぜんいーよー」
ナツメ「レッドも何かほしいものがあったら言って、買ってあげる」
レッド「んー…」
レッド「……」
レッド「……」
レッド「睡眠」
ナツメ「ものじゃないよそれ」
マサキ「もうそろそろ来るころやと思うねんけど…」
プップー
マサキ「おっきたきた」
アズサ「おまたせおまたせ」
アズサ「ちょっと道が混んでてさ」
マサキ「いや別にそんな遅ないで」
アズサ「それはよかった」
アズサ「あ、彼がレッドね…なるほど」
アズサ「そうだ自己紹介がまだだった」
アズサ「私の名前はアズサ、よろしくね」
マサキ「いや違う」
アズサ「あの機械ってのは性格変更機ね」
アズサ「あれは私じゃなくて私の妹のマユミが作ったの」
アズサ「マユミは今手が離せないから代わりに私が迎えに来たの」
アズサ「さあ乗って、話なら運転しながらでもできるから」
リーリエ「ほとんどの車がこういうものじゃないですか」
アンズ「こういうものと言われても車に乗ることなんかなかったから」
リーリエ「乗ったことないのですか?」
アンズ「ない」
アズサ「あらじゃあ初体験じゃない」
アズサ「このこ(車)もあなたの初めてもらえてうれしいだろうね」
アズサ「ハジツゲタウンっていうちょっと距離のあるところだから少しだけとばすね」
ガッ ギャギャギャ ギュイイイイイイン
マサキ「ちょちょっ…アズサ!?」
マサキ「これとばしすぎとちゃうか?」
アズサ「だから少しだけとばすって言ったじゃない」
マサキ「少しとちゃうやないかい」
アズサ「何言ってんの、まだ180よ」
マサキ「いや、あきらか法定速度超えとるやろ」
アズサ「型にとらわれないのが私のいいところだって言ってくれたじゃない」
マサキ「言うたかもしれんけど、これはちゃうやろ!」
アズサ「せっかく特別に改造して500まで出るようにしてもらったのに」
マサキ「絶対そんなスピード出すなよ…」
マサキ「って言っとる間にどんどん速なっとるやろ!」
アズサ「だってちょっとでも早くつく方がいいでしょ」
アズサ「じゃあスピード上げないと」
マサキ「事故ったらなんの意味もないやろ」
アズサ「君は私がこの程度のスピードも操れないと思ってるの?」
アズサ「私にとって時速200キロなんて退屈なスピードなの」
アズサ「スローすぎてあくびが出るぜってやつよ」
マサキ「あんたがよくても周りが…」
アズサ「ああもう…あそこに見える車邪魔ね」
マサキ「おい道路はお前のもんちゃうねんぞ」
アズサ「はいとうちゃーく」
マサキ「ああ…なんとか生きてたどり着くことができたんやな…」
アズサ「大げさね」
マサキ「あんな運転されたら誰でもこうなるわ!」
アズサ「そう?私は興奮しっぱなしだったけど」
マサキ「あんたぐらいや、そんなの!」
ナツメ「着いたんだしもういいでしょ、早く行こうよ」
マサキ「なんでそんな冷静やねん」
ナツメ「車から降りたんだからもう騒ぐ必要なんてないでしょ」
ナツメ「レッドを見習いなさい」
レッド「……」ぽけー
マサキ「いやレッドの場合は違うやろ」
ナツメ「どう違うの」
マサキ「それはほら、性格おかしなっとるから他もおかしなったんやろな…」
ナツメ「おかしくなったのなら早く治したほうがいいよね」
ナツメ「だからこんなとこでそんなどうでもいいことを言ってる暇なんてないの」
マサキ「はい…」
続く
【ポケモン】レッド「人見知りを克服しなくては…」