コナン「保険屋のババア殺人事件!!!」
小五郎「蘭! 警察に連絡だ!」
蘭「う、うん!」
コナン(仕出し弁当の割り箸で頸動脈を……計画的な犯行じゃないな……とすると、犯人は外部の人間とは考えられない……)
作業員A「ま、まさかこんなことになるなんて……!」
作業員B「あの人、よく食堂に来てた人だよな……」
僕「ひぇぇ……」
コナン(この中にいるはずだ……!)
高木「ええ、どうやらそのようです」
目暮「妙だな。昼休みの時間帯だったのなら、食堂にはたくさん人がいたはずだが……」
小五郎「いえ、それが警部殿。食堂にいた人は作業員や我々を含めて、皆テレビを観ていまして」
目暮「テレビ?」
コナン「サラメシだよ! ねっ、蘭ねえちゃん」
蘭「あそこの壁にかかってるテレビで……皆さん、死んだような目でサラメシを観てました」
目暮「なるほどな。遺体の発見場所と犯行現場が一緒と考えるなら、机を挟んでテレビとは真逆の位置というわけか」
コナン(食堂にいた人たちが皆テレビに夢中になっていたとは言え、不用意に立ち上がれば俺たちが気づかないはずがない……)
コナン(つまり、この中で犯行が可能だったのは……俺たちより犯行現場側に座っていたあの三人……)
僕「……」
作業員B「これが原因でライン止めないかな……」
作業員A「こんなことに巻き込まれて……昼休みに寝とかないと死ぬのに……」
目暮「よし。それでどうだ。犯行が可能な容疑者はしぼり込めたのか?」
高木「『サラメシが始まってから席を立った人を見ていない』という毛利さんたちの話を踏まえると……こちらの三名になります」
目暮「それでは、それぞれお話をお聞かせ願えますか」
作業員A「話も何も、俺は何も知りませんよ! その子の悲鳴を聞いて、初めて保険屋のババアの遺体に気付いたんですから!」
作業員B「わ、私もです」
小五郎「あん? おいちょっとアンタ。どうして被害者が保険屋だって知ってるんだ?」
作業員A「そ、それは……誰だって知ってますよ。いつも食堂に来てるババアですから……」
目暮「つまり、ここにいる全員がよく知っている人物だったというわけですか」
作業員B「よくは知りません。一方的に保険の商品を勧めてくるだけで、こっちは相手にしませんね」
僕「……」
目暮「そちらの貴方は」
僕「はぁ……そうですね……あんまり、つーか、まあ、はぁ、知りませんけど……」
作業員A「はい……正直、迷惑に感じることもありましたね」
作業員B「今日もお菓子を配りながら、色々と勧めてきて……」
小五郎「まあ、保険の営業ってのはそんなもんだからな」
コナン(お菓子……たしかに、この人たちの弁当箱の横に『ばかうけ』が置かれている……ん?)
コナン「あれれ~? ねえ、おじさん」
僕「な、なんだい?」
コナン「どうしておじさんは、カップスープを持ってきてるの? それ、仕出しのじゃないでしょ?」
ワイ「え?」
蘭「ちょ、ちょっとコナンくん! だめでしょ、お父さんたちの邪魔しちゃ」
コナン「だって変じゃない! 仕出しのお味噌汁があるのに、カップスープを飲むなんて」
僕「な、何も変じゃないよ。仕出しの味噌汁は不味いから、いつも飲まないんだ」
僕「業者がIHのスイッチを入れていかないから、昼休みの頃には冷めちゃってるんだよ」
コナン「へぇー……」
高木「犯行時、被害者が悲鳴をあげなかった理由は、油揚げが喉に詰まっていたためと考えられますね」
目暮「ふむ……」
コナン(油揚げ? そういえば、味噌汁に入ってたな……)
僕「わ、我々はやってないんだ! 昼休みは貴重な時間なのに、こんなことで失いたくない!」
作業員A「そ、そうだ! 少しでも寝ておかないと……!」
目暮「まあ、落ち着いてください。まだはっきりと分かっていないことが多く……」
僕「何が分かってないんだ! こんなもの、外部の人間の犯行に決まってる!」
高木「いや、ですけど、大量の油揚げをわざわざ外部から持ち込むなんてこと……」
僕「わざわざ持ち込まなくても、今日の味噌汁に入ってた油揚げを使えばいいだろう!!!」
コナン「!!!」
コナン(もしかして……この人……! 待てよ、だとしたら……)
コナン(……! やっぱりそうだ……!)
パシュッ
小五郎「はひぃん」ドサッ
小五郎『いいでしょう。貴重な昼休みを一刻も早く取り戻すお手伝いをしますよ』
目暮「おお! 毛利君! わかったのか! 犯人が!」
小五郎『ええ。たった今ね。保険屋の営業を殺害した犯人は……あなただ!』
僕「!?」
蘭「えっ!」
作業員A「なんだって!?」
作業員B「お、お前が……!」
俺「いや、やってない! ……な、何を根拠に!」
小五郎『貴方は冷めた上に不味い仕出しの味噌汁を飲みたくないと、わざわざカップスープを用意していた』
僕「ああそうだ! あんなもの飲んでる奴はガイジだ! それがどうした!」
小五郎『飲んでいない味噌汁の具を……どうして貴方は知っていたんですか?』
ワイ「!!?」
目暮「たしかに! 飲まないと言っていたはずなのに、具に油揚げがあると知っていた……!」
小五郎『見たからですよ……被害者を殺害するその瞬間! 喉に油揚げを詰め込む時にね!』
僕「ち、違う! 単に油揚げと聞いて、味噌汁を連想しただけだ!」
僕「やってない! あんな保険のババア! 殺す価値も無い!」
小五郎『認めませんか。いいでしょう。ところで警部殿、油揚げを被害者の喉に詰める場合、どうしますか?』
目暮「どうする? それはどういう意味かね?」
小五郎『どのように詰めるのか、という意味です』
目暮「どのようにって……まあ、味噌汁の中の油揚げを大量に御玉で掬うのは難しいから……」
目暮「手で直接掴むしかないだろうな。幸い、味噌汁は冷え切っているようだし……」
小五郎『そう。被害者の喉に油揚げを詰めるなんて芸当、道具を使っては不可能だ。犯人は直接、腕を味噌汁へ入れる必要があった……』
小五郎『そんなことをすれば、手が味噌汁で濡れるのは必須。だが、手を洗いに行くためにはテレビ横の出入り口を通る必要がある』
蘭「あれ? でも、サラメシを観ている時は誰も通らなかったけど……」
高木「洗えないとなると、タオルやハンカチで拭き取るしか……!」
小五郎『ところで、貴方のお尻のポケット……少し湿っているようですが』
ワイ「!!!」
小五郎『そのお尻のポケットに入っているんじゃないですか。味噌汁に湿った、貴方のハンカチが!』
僕「ババアの話を聞き流しながら、鍋の底に沈む油揚げを眺めていたら……カッとなって……」
僕「気付いたら、油揚げをババアの口に突っ込んで、割り箸で首を…………! でも仕方が無かったんだ!」
僕「社会人にとって、昼休みは貴重なのに! やつらは、大切な時間を我が物顔で奪っていく!」
僕「あいつらは悪魔だ! 死んで当然だ!!!」
小五郎『たしかに、時間は貴重だ。だが、それは命も同じ』
俺「……!」
小五郎『たとえどんな理由が有ろうと、誰かの命を奪っていい理由にはならないんですよ』
小五郎『保険の営業が、貴方の時間を奪ってはならないのと同じようにね……』
僕「う、うわあああああああああああああああああああっ」
蘭「……」
目暮「さあ、行きましょう」
僕「うぅ……」
コナン(奪われる時間を取り戻すために及んだ犯行……)
コナン(だが皮肉にも、その犯行によって彼はより多くの時間を奪われることになったのだった……)
END
「SS」カテゴリのおすすめ
「ランダム」カテゴリのおすすめ
コメント一覧 (11)
-
- 2018年04月07日 23:46
- この全く関係がないワイ、妙だな……
-
- 2018年04月08日 00:30
- 光彦は?
-
- 2018年04月08日 00:30
- 多分だけどこのまま働くよりはまともな生活を送れるんじゃないかな………
-
- 2018年04月08日 01:12
- ワイとかいう一瞬だけ出てきて消えたやつが犯人だろう(名推理
ところで光彦が出てないんですが
-
- 2018年04月08日 01:18
- ※3
刑務所の方がマシなレベルのブラックってマジであるし笑えないよね
-
- 2018年04月08日 02:28
- 時間スケジュールだけなら刑務所の方が人間らしい規則的な生活送れてるのも見ると草も生えない
-
- 2018年04月08日 08:57
- 悲しいなぁ…
-
- 2018年04月08日 13:59
- 割り箸で頸動脈は草
-
- 2018年04月08日 15:32
- ワイはもう一人の僕!
-
- 2018年04月08日 16:35
- イッチが保険のオバハンに強い殺意を覚えているのはわかった
-
- 2018年06月17日 23:21
- スレタイが脳内再生余裕。