【ガルパン】エリカ「弱くて強いあなたに」
- 2018年03月19日 00:10
- SS、ガールズ&パンツァー
- 16 コメント
- Tweet
小梅「あーみほさんはやっぱり強いなぁ。練習試合とはいえまた負けちゃうなんて。」
大洗女子学園と黒森峰女学園の何度目かの練習試合、
車数を大洗に合わせていることもあってかここ最近は大洗が連戦連勝。
黒森峰の新隊長である逸見エリカはこの結果に表情を暗くさせていた。
小梅「あ、隊長!わかりました。」
小梅には隊長用に設営されたテントに向かっていくエリカの背中がいつもとは違い、どこか弱弱しく見えた。
小梅「エリカさん大丈夫かなぁ。」
小梅は不安になり、誰かに相談することを決めた。
しかし、黒森峰は序列がはっきりしている分バランスが難しい。
下手に動くとエリカの立場がなくなり、隊としての秩序が乱れてしまうということを小梅はわかっていた。
悩んだ末に、小梅は自身が最も信頼している人物のもとを訪れた。
小梅「私心配で……どうしたらいいか…… 。」
大洗の隊長でもある西住みほは元々黒森峰の副隊長でもあり、エリカや小梅の友人だ。
みほに救われた過去がある小梅にとって、これ以上の適任者はいないだろう。
小梅「隊長になったエリカさんはきっと誰にも頼ることができずに苦しんでる。でもみほさんにならエリカさんも相談できると思うんです。」
みほ「でも私……逸見さんに嫌われてるし……。」
小梅「そんなことないですよ!エリカさんはみほさんのこと尊敬してます!確かにちょっとキツいところはあるかもですが……。」
みほ「そ、そうかな?」
小梅「お願いします!みほさんしか頼れないんです!」
みほ「……わかった。ちょっと自信ないけど、やってみるよ!」
こうしてみほは小梅に連れられて 黒森峰の待機場所にやってきた。
小梅が人がいない場所を選んで通っているため周りの目は気にしなくても良かったが、それでもみほは気まずさを感じていた。
過去に黒森峰から逃げたこと、エリカと向き合う不安、そういったものが混ざりあい、みほの胸を締め付けた。
みほ「わかった。ここで大丈夫。行ってくるね。」
小梅「はい、エリカさんをお願いします。」
不安は大きかったがみほは1人でいくことにした。
小梅が一緒だとエリカは本音で話せない、そんなような気がしたのだ。
テントの向こうに人の気配はあるものの返事はない。
みほは覚悟を決めた。
みほ「……入るね。」
エリカ「何しにきたのよ。」
みほがテントに入るとエリカは背中を向け、拒絶するように言い放った。
エリカ「あんたになにがわかるっていうの!?」
エリカが怒鳴って振り返る。
そこには涙を流すみほがいた。
エリカ「な、何で泣いてるのよ。」
みほ「ごめんね。なんだか昔を思い出しちゃって。」
そう言うとみほはエリカに歩み寄っていった。
みほ「辛いよね。周りから比べられるのも、自分で比べちゃうのも。……勝てるわけないのにね。」
みほは無視して近づくと、両手でエリカの頬を包む。
エリカ「触るな……!」
なぜかエリカは動けなかった。
その言葉を言うのが精一杯だった。
しかし、やはりみほはその言葉を無視して続ける。
今度はエリカを抱きしめる。
その体が震えていることに気がつくと、みほは目を細めて優しく頭をなでた。
みほの言葉を皮切りにエリカは声を押し殺して泣いた。
くやしさ、恥ずかしさ、情けなさ、それを悟られないように泣いた。
ただみほだけがその胸で全てを受け止めていた。
しばらく泣いて落ち着いたエリカが礼の言葉を口にする。
みほ「もう大丈夫?」
エリカ「ええ、でももう少し、このままでいさせて。」
みほ「いいよ。気が済むまで一緒にいるから。」
泣き終えたエリカが甘えるようにみほの胸を顔を埋める。
みほにはそれがたまらなく愛しく感じた。
みほ「……私はね、乗り越えられなかった。お姉ちゃんが庇ってくれてたから戦車道はやめなかったけど、それでも色んなことから逃げたよ。」
エリカはまだみほの胸を借りていたが、それでもその表情が曇ったことがわかった。
なぜならまだみほが黒森峰にいたころ、自分もみほを責めた1人だったからだ。
あのときみほがどれだけ辛い思いをしたか、今のエリカには容易く想像がついた。
みほ「ううん、エリカさんには嫌われて当然のことをしたと思ってる。私こそ逃げ出して、ごめんなさい。」
エリカ「確かに嫌いだったわ。西住を名乗っておいて西住流とはほど遠いあなたが。それでも隊長に認められて副隊長になったあなたが。」
みほ「うん、そうだね……。」
みほ「エリカさん……。」
エリカは顔を上げるとみほを見つめた。
みほの目は潤み、今にも涙がこぼれそうだったが、それでもまっすぐにエリカを見つめ返していた。
みほ「うん。……嬉しいな。私もね、エリカさんのこと、好きだよ。強くてまっすぐで……憧れてた。」
エリカ「幻滅した?」
冗談めいてエリカが言うと慌ててみほが否定する。
みほ「そんなわけないよ!でも、一緒にいたいって、支えてあげたいって思うようになった。」
みほ「エリカさん……。」
見つめ合う2人、どちらからともなく唇が近づき、目を閉じる。
突然の小梅の声に2人は驚き、パッと離れる。
真っ赤になって慌てるみほを見て冷静さを多少取り戻したエリカが上ずった声で答える。
エリカ「ど、どうしたの?」
小梅「は、はい!もうそろそろ撤収の時間なのでお声かけしました!」
エリカから思いのほか間抜けな声が返ってきたことで小梅は作戦が成功したことを悟った。
小梅「お願いします!みほさん、人が来る前に行きましょう。」
みほ「は、はいぃ!」
まだ小動物のように慌てているみほをエリカが抱きしめ囁いた。
エリカ「みほ、また今度ね。」
みほ「う、うん。」
エリカ「みほ。」
呼び掛けに振り向いたみほへ、エリカはキスをした。
その得意気な顔に、みほは笑った。
先々週くらいからガルパンおじさんになったものでキャラがつかめていない部分があったかと思いますが、
私なりのエリみほを書いてみました。
後日談も書こうか悩んだのですが、それはまた別で考えることにします。
拙い文を読んでくださり、ありがとうございました。
「ガールズ&パンツァー」カテゴリのおすすめ
「ランダム」カテゴリのおすすめ
コメント一覧 (16)
-
- 2018年03月19日 00:49
- ええ話や〜。
-
- 2018年03月19日 01:34
- また一人、我らの同士が誕生したか。
ガルパンは良い・・・
-
- 2018年03月19日 02:01
- こういうのでいいんだよ、こういうので……
-
- 2018年03月19日 07:40
- いいじゃないですか
-
- 2018年03月19日 15:17
- エリみほはいいぞ。
-
- 2018年03月19日 21:54
- みほまほ同人誌のやつかと思って身構えてた
-
- 2018年03月20日 12:38
- 嫌いじゃないわに!
-
- 2018年03月20日 17:53
- あ^~
-
- 2018年03月21日 03:04
- こういうので良いんだよ…こういうので
-
- 2018年03月21日 11:07
- 2週間でここまでいけるのは凄いな
-
- 2018年03月22日 08:16
- 将来が楽しみだ
-
- 2018年03月23日 22:02
- ガルパンを知って二週間だからこそワニやらハンバーグやら
西住流の闇が深かったりの設定から距離を取れたんだろう
そう思うと何と自分の思想が汚れているんだろう
皆んなが言っているように、こういうのでいいんだよな。いやホントに、
-
- 2018年04月10日 11:24
- エリみほ...とてもイイ...
-
- 2018年05月07日 18:00
-
ずいぶんと遅くに罹患されましたなー。
いや、歓迎致しますぞ。
-
- 2018年06月25日 12:33
- みほ杏しなさーい(原理主義
-
- 2019年08月01日 13:16
- 甘い