【モバマス】LiPPSとアインフェリアが生存本能ヴァルキュリアの世界を生き抜いたようです【後半】
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ちひろ『そちらも、フレイヤⅡとは合流できたそうで。M-01は予定通りホクドウで待機しています』
時子「頼むわよ。巣の対応が終わり次第、プランの対象部隊を連れて戻るから」
ちひろ『もう少し来るが早まってたら私も巣の攻略戦に参加させられていたのかも……おおこわ』
時子「は?」ギロッ
ちひろ『冗談、冗談ですって……とりあえず向かってる艦については間に合ったらということで、編成には考えておかなくていいですよ』
時子「無い物をアテにするつもりはないわ。元々予定していた戦力については揃えているもの」
ちひろ『まあまあ……それじゃあこっちの準備は進めておきますから、気を付けてくださいね』
時子「ええ」ピッ!
「艦長、フレイヤⅡの収容が完了しました」
時子「P少佐と橘大尉は会議室に向かわせなさい」フワッ
……
…………
菜々「いやぁ、Pさんも元気そうでよかったですねぇ」
P「ナシヤマからこっちに戻って1年くらいか……菜々さんも変わらないですね」
菜々「いやほら、そこはJKなので……」
時子「誰が無駄話をしていいと言ったかしら?」
菜々「いえ、誰も」
千秋「まあその辺にしておいて……琴歌さん、宙域マップを」
琴歌「スクリーンに出しますわ。今回の次元振動の発生予測ポイントについてはこちらです」ピッ!
ありす「圏外宙域のC13……防衛ラインからは少し離れていますね」
P「艦の配置については妥当か。編成リストは来る途中で確認したが、戦力的にはギリギリといったところだな」
千秋「干渉装置の効果範囲から外れている防衛ラインを手薄にするわけにはいかないもの。フレイヤⅡ以外の土星圏の防衛部隊も引っ張ってきてようやく、かしらね」
時子「後は……貴方たちの話しでは、クイーンの出現が予想されるという話ね」
ありす「はい、確証はありませんが、過去の戦闘と同様の感覚がありました。恐らく……」
P「ここから準備して向かうとなれば、木星圏からホクドウに向かっている最中のフレイヤを待つにしても次元振動の発生まで時間が無い。アインフェリアの宙域ライブについては今回は無しだ」
菜々「S-01からS-06までは光波推進システムの搭載も出来ましたから、移動はもっと早くなったんですけどねぇ」
P「S-07以下はどの道長距離航行プランの対象艦ではないし、圏外防衛として置くしかないからな。出現に合わせて戦闘準備が出来る分、間に合うだけよかったと思うしかない」
ありす「あとは前回と同様に、クイーンが帰ってくれることを祈るしかないですね。空間構成情報は安定しているポイントみたいですし、予測レベルも8で止まっていますから完全に転移できるかと言われるとクイーン側も困難かと」
琴歌「各強襲艦隊についての配置ですが、前線、ノルン防衛の配置はこのように……長引くことになれば私たちのほうが不利ですし、やはり突破を優先という話になりましたわ」ピピッ!
時子「艦隊の移動ルートを速やかに確保して、陽電子砲の射程圏内まで移動する。これまでと同様のやり方よ」
ありす「メインでぶつかるのはヴェールですからね。そこは先に決めてもらっていた編成で構いません」
琴歌「はい。フレイヤⅡ、フレイについては前線のヴェール艦隊の脇に配置となります。もしもの際を想定しての配置となりますけれど……」
P「プランV3のことを考えて、か……仕方がないか」
千秋「とはいえ、貴方やナオさんは現状の最高戦力よ。特に貴方は特殊部隊として指揮系統から外れているし、指示がない限りは自由に動いてもらって構わないわ」
時子「そうね。しっかり働きなさい」
P「ニュージェネレーション隊はどうする? こちらに戻してもいいのか?」
菜々「あ、でもその代わりナオちゃんと加蓮ちゃんはそっちで対応させるんですよね」
ありす「今回、ナオさんはVPSPで出撃予定です。こちらとしても今のタイミングでそちらに戻られてしまうと苦しい部分もありますので、頑張ってもらいます」
琴歌「P様の機体については、3Nでよろしいのですか? S-02には予備機も残っていますが……」
P「VPSPとのドッキング用に3N調整は済ませている。今回はこのままで出る」
ありす「とりあえずそちらで決めていた編成内容とこちらのポジションについては分かりましたので、後は内部で調整しましょう」
時子「住居スペースは用意させているから、出撃までは待機しておきなさい。道中の戦闘も、出させるつもりはないわ」
P「わかった。こちらとしてもそのほうが助かる。土星圏での任務からここに戻るまで、あまり休む時間もなかったんだ」
千秋「そう。それなら丁度いいわね」
P「……何がだ」
時子「チッ、豚が……話は終わりよ。私は戻るわ」フワッ
パシュンッ!
琴歌「千秋さん、そのお話はお部屋に戻ってからにしましょう?」
菜々「ぶふぉっ!」
ありす「菜々さん、ナシヤマで1年間私たちと一緒にいたのに今更泡吹いてどうするんですか」
菜々「い、いえ……」
P「……まあ、先にやることをやってからだ」
……
…………
未央「いやそれにしても元気そうでよかったよかった! システム使ってもあんまり変わりなさそうで!」
奏「そうね……この時期にフレイヤに行くことになって、まだマシだったって思えばいいのかしら」
桃華「まあっ、フレイヤも良い艦なのですよ? Pちゃまがもう少し落ち着いてくださればいいのですが」
卯月「落ち着いたほうがいいのってアインフェリアですよね」
美嘉(……ありす大尉もそうだったけど、この……子? も小さい)
奏「それにしても、最初はフレイヤ以外でシステムを使っているところがあるとは思わなかったわ」
かな子「私たち……んぐっ、元々予備部隊だったけど……はぐっ……いまはニュージェネのみんなもいるし……通常任務が多いけど……」モグモグモグモグ
ナオ「口に入れてるもの片付けてから話せよ……」
翠「LiPPS部隊の稼働実績、中々良いですね。跳躍テストも実施しているみたいですし」カタカタカタッ!
周子「まあねー。最近の圏内宙域にしちゃ戦闘多かったし」
凛「戦闘は気にしていなかったけどね。私たちより適性高かったし、それにPさんも合流したって聞いてたから」
加蓮「加減してくれてるからいいんだけどね。でもLiPPSだって十分動けるし、凛たちよりは心配しないかな?」
周子「ま、あたしもそこそこ乗ってるから」
ピピッ!
パシュンッ!!
フレデリカ「メンテ終わったー!」フワッ
志希「終わらせた―」
未央「お帰り。どうだった?」
フレデリカ「スーパーアドバイザーの志希ちゃんがいてくれたからね、元気元気!」
志希「ビーの体のメンテってまとめてやるのは楽だけど、ちゃんと診ておかないと精密検査に引っかかって再調整送りになると面倒だからねー。あたしもここら辺は仕事しないと」
フレデリカ「美嘉ちゃーん、お肌のお手入れをした後のアタシ、1日限りの輝く肌でキレイだと思うんだけどカワイイ?」
フレデリカ「やったー! I@LPに頼んで宣材写真撮り直してもらおー!」
未央「いや絶対却下されるってそれ」
卯月「……」
周子「おーおー元気なことで……はぁ、この後のことを考えると気が重い……」
翠「今回私たちは圏外宙域ポイントまでの戦闘で出撃編成に入っていませんから。巣との戦闘まではゆっくり休んでおいてください」
周子「もーさー、巣と戦闘するのが一番嫌だっていうのに……はぁ」
加蓮「仕方ないでしょ。巣の戦闘は仕方がないけど、プランV3の主要メンバーってことで温存させてもらったんだから。時子さんに感謝しておかないと」
凛「ま、こうしてみんな集まったんだし、少しはゆっくり休んでおこうよ」
……
…………
フレデリカ「やったー! I@LPに頼んで宣材写真撮り直してもらおー!」
未央「いや絶対却下されるってそれ」
卯月「……」
周子「おーおー元気なことで……はぁ、この後のことを考えると気が重い……」
翠「今回私たちは圏外宙域ポイントまでの戦闘で出撃編成に入っていませんから。巣との戦闘まではゆっくり休んでおいてください」
周子「もーさー、巣と戦闘するのが一番嫌だっていうのに……はぁ」
加蓮「仕方ないでしょ。巣の戦闘は仕方がないけど、プランV3の主要メンバーってことで温存させてもらったんだから。時子さんに感謝しておかないと」
凛「ま、こうしてみんな集まったんだし、少しはゆっくり休んでおこうよ」
……
…………
――同時刻、フレイヤⅡ(格納庫)
整備長「おーいちえりーん! 外装チェックしてるメンバーの分の弁当、10個頼むわ!」
智絵里「は、はいっ! えっと……定食のお弁当4つと、フライ定食のお弁当3つと、火星丼のお弁当3つ出しますね」ガサガサガサッ!
整備長「わりぃな、後1時間くらいで交代するところも出てくるから、リストの人数分の弁当も追加で用意しといてくれよ」
智絵里「えっと、次はコンテナ班と、増設班が交代の時間っと……わかりました」
整備長「それじゃ頼んだぜ!」フワッ
おばちゃん「智絵里ちゃん、これノルンのスタッフに渡す分のお弁当ね。人数分カゴに入れてるからこのまま持ってって頂戴」
智絵里「はいっ、えっと……搬入出しているところはまだ落ち着いてないみたいだから、先に機体整備のお手伝いしてもらっているところから持っていきますね」
おばちゃん「ごめんね。こっちも任務から戻ってきてすぐの移動だったから整備班も手一杯みたいでねぇ。ノルンのスタッフの分のお弁当もこっちで用意しなきゃならないから人手が足りなくてね」
智絵里「だ、大丈夫ですっ! 私も、待機中だったし……おばちゃんのお手伝いですから」
おばちゃん「ありがとうね。後で落ち着いたらご飯作ってあげるから」
智絵里(ううう……みんな集まって楽しくお話してるみたいだけど……おばちゃんのお手伝いなら断れないし……仕方ないよね……)
……
…………
P「デカいな……これ、前のヤツよりデカくなってませんか?」
菜々「そうなんですよねぇ……ARGTもある意味強化外骨格みたいなものですから、もう少し形が整ってくれるといいんですけど」
P「途中からオート・クレールも混ざってくるようになって、R1から随分と変な方向に進んだな……」
菜々「黒川重工的には中規模の巣の攻略も視野にいれた結果みたいなんですけどね。稼働データ2つ回すの大変なんですよ。出力爆上げしたみたいでイージスフィールドもこのまま使えるみたいですし」
菜々「まあ試作機だからって無理やり色々詰め込んだ結果ですし、R4で使えるものは全部使い切る予定ですけどね」
P「そうだなぁ……戦闘中、ニュージェネのことはお願いします。次の戦闘の配置はお互い離れていますし」
菜々「それはもう、まっかせてください! ナナが――」
『――さん、P――、これからは、私が――』
『加蓮――、――すま――、――菜々――』
菜々「……」
P「菜々さん?」
菜々「えっ? あ、ああ……大丈夫です、ナナがちゃーんと一緒にいますから!」
……
…………
美嘉「フレイヤも強襲艦のわりに結構快適だったけど、やっぱりノルンのほうが広いし便利べんりっと……」ピッ!
ガコンッ!
美嘉「えーっと、これでみんなが頼んできた飲み物は全部っと……」
卯月「美嘉ちゃーん!」フワッ
美嘉「あれ、どうしたの卯月?」
卯月「菜々ちゃんとPさんの分、戻ってきたときに何か飲み物あったほうがいいかなって思って」
美嘉「ああ、2人分特に買うつもりなかったもんね。アタシたちが駄弁ってる間に戻ってくるの?」
卯月「格納庫に行ってるってお話でしたし、戻ってくると思いますよ。えーっと、何がいいかなぁ……」ピッ、ピッ!
ガコンッ!
卯月「よしっ! それじゃ戻りましょう♪」
美嘉「栄養ドリンクはいいけど、お汁粉って……」
美嘉「ま、まあいいけど……」
卯月「あ、そうだ。美嘉ちゃん、フレイヤに来てから大変じゃないですか?」
美嘉「んまあ大変っていえば大変だけど……圏外防衛に出てる卯月たちのほうが大変でしょ?」
卯月「それならいいんですけど……」
美嘉「大丈夫だって、確かに変なことやってる艦だとは思うけど、これくらいは――」
卯月「なんだか、ちょっと元気なさそうに見えちゃって」
美嘉「……」
卯月「でも、私の気のせいならいいんです。早く戻りましょうか」
美嘉「……そうだね」
……
…………
ピピッ!
加蓮『ナオいる? 入るよ?』
パシュンッ!
ナオ「ん……」ピクッ
加蓮「ナオ、菜々さんが言ってたメディアあった?」
ナオ「ああ、あたしの部屋に置きっぱなしにしてたよ。フレイヤに戻る前に菜々さんと徹夜してアニメ見てたからな……」
加蓮「そんなことばかりやって……あれ? それ……」
ナオ「……ああ」
加蓮「そのダサい仮面……奈緒の……」
ナオ「いやカッコいいだろこれ……あいつが、最後にあたしに残していった物だからさ」
ナオ「次の戦闘、ありすやフレデリカが言ってた、クイーンが来るかもしれない……あたしも、何か感じるんだ」
加蓮「ナオ……?」
ナオ「クイーンの声が聞こえている……かは分からない。アインフェリアとは違うし……ただ、確かに感じている」
ナオ「奈緒と一緒に戦っていた時の感覚と、よく似ている……奈緒と繋がっていた時はあたし自身、どこか1つ上のところに手が届いているような気がしていた」
ナオ「それが、ヴァルキュリアシステムを使えていたってことなのかもしれない。だけど、それだけじゃない……奈緒が自分の世界に帰ってからは、しばらく忘れていた感覚……」
ナオ「またそれを感じているってことは、前のような戦いになるんだと思う。今度は……奈緒がいない、あたし1人で戦わなきゃならない」
加蓮「違うよ、ナオ1人じゃない。私も、Pさんも、菜々さんも、凛も……みんな、みんないるから」
ギュッ……
加蓮「クイーンが来るのに、アインフェリアがいない……確かに大変だけど、みんながいるから大丈夫。今までだって……これからも」
……
…………
――翌日、ノルンS-02(メインブリッジ)
「予備ブリッジ、2層共にシステムチェック完了しています」
「S-01より展開。これより圏外宙域C13ポイントに向けての移動を開始します」
時子「指定宙域ポイントまでに戦闘が発生した場合は編成している部隊で対応、全艦指示についてはS-01より展開されるわ」
時子「S-02、艦速度2から前進。予定航路はオートメーション機能で進行。後は上手くやりなさい」
「了解です。S-02、S-01に続き移動開始します。S-03以下についても移動開始です」
P「こちらが戻ってくる前に、防衛ラインに何も問題がなければいいがな」
時子「貴方は自分と豚共の心配でもしていなさい。ここで実績を上げている艦が、数隻入れ替わった程度で問題が起きるならもっと早くに起こっているわ」
P「それもそうだな……道中は頼んだぞ」
時子「アァン? 誰に向かって言っているのかしら?」
P「ちひろさんもいないし、フレイヤとしては時子を頼るしかないからな……巣との戦闘までは荷物にしかならんし」
時子「通常編成、貴方の分も登録しているわよ」
P「助かる。安部中尉の負荷が高くなる前には入れ替わるつもりではいたからな」
時子「チッ……どの道、私のほうで特殊部隊には強制指示は出せないのよ」
P「大佐側から特別指示が出ないとな……まあ、指示を出してくれたら合わせて行動する。巣との戦闘では上手く使ってくれ」
時子「そのつもりよ。駒を無駄に遊ばせておくつもりはないわ」
……
…………
パシュンッ!
美嘉「はぁ……」ガコンッ!
奏「お疲れ様」
美嘉「あ、奏……こっち来てたんだ」
奏「向こうは向こうで楽しいけれど、少し騒がしいもの。気分転換に戻って来たわ。それにポイントまでの移動が始まったけれど、私たちは待機のままだし」
美嘉「そっか」
奏「……どう、少しは……あの子と仲良くする気になれたかしら?」
美嘉「……さあ」
奏「無理に仲良くして、とまでは言わないわ。だけど、同じ場所にいるもの。せめて嫌わないであげてほしい……貴方にどんな理由があるのかは知らないけれど」
美嘉「……聞かないんだ」
奏「聞いてほしいの?」
美嘉「……」
奏「みんな同じよ。何かを抱えている……貴方も、私も、フレデリカも……何も抱えていないヒトなんて、いないと思うわ」
美嘉「……結構さ、アタシにこの話してくるよね。どうしてそんなに気にしてるの?」
奏「……」
奏「……私自身が、好きでいたいからよ。良い部隊だもの。このまま、今度は……好きでいたい」
……
…………
加蓮「ノルン各艦、光波推進システムの停止……次元振動発生予測ポイントの到着に合わせて初期配置の展開が行われます」カタカタカタッ!
ありす「来ましたね。財前大佐、私たちも出ます。発進の許可を」
ピピピッ!
時子『艦制御は返却しているわ。さっさと出なさい』
ありす「了解です。加蓮さん、後は私のほうで対応しますので出撃準備をお願いします。そのうち志希さんも戻ってきますし」
加蓮「でも……」
ありす「大丈夫です。今回のフレイヤは遊撃部隊となっています。足の速さは十分ありますし、Pさんやナオさんたちの援護をお願いします」
ありす「ただ、ノルン艦隊が巣に近づく頃には一度拾いに来ますので、合流タイミングは外さないでください。それまでの敵の誘導は頼みますよ」
加蓮「……了解です」フワッ
パシュンッ!!
……
…………
プシュッ!
P「……」
志希「MTF-6の投与量増やしたから、通常より無茶な戦闘になってもある程度は大丈夫。だけど通常の抑制剤とは違って何度も使えないからそのつもりでね」
ナオ「ああ。ありがとう」グッ!
志希「ナオちゃんのほうは、ホントに短時間なら単独でもヴァルキュリアシステム使えると思うけど、基本的には単独じゃ使わない方針で」
P「使わせる気はない。ドッキング後に俺のほうでも負荷を受け持ってからだ」
志希「それでオッケー。よっぽど長時間の戦闘にでもならない限りは効果は持つだろうから、心配しないで暴れてきていいよ」
ナオ「好きで暴れるわけじゃないけどな……よし、それじゃPさん、行こうか」
P「うむ。博士、すまんがブリッジではありすのことを頼むぞ」
志希「まーあたしほとんど役に立たないけどね。ありすちゃんがシステム使って不調になってきたら一応フォローしとくよ」
……
…………
P『LiPPS、ナオ、北条少尉、聞こえるか』
奏『聞こえているわ』
P『今回の戦闘、フレイヤは他強襲艦隊とS-04、S-05と共に白蜂を引き付ける。陽電子砲で巣の破壊を行うS-01、S-02、S-03が進行ルートを確保するまではこちらで戦闘を行う』
P『だが頃合いを見てこちらもフレイヤと合わせて進行部隊と合流する。移動のタイミングは橘大尉から指示が出る』
美嘉『了解……!』
加蓮『S-02のほうは菜々さんやフレイのみんなもいるけど、ニュージェネは大丈夫かな……』
ナオ「大丈夫だ。3人だっていつまでも新人じゃないんだし、今じゃ十分戦力になってくれているだろ?」カタカタカタッ!
周子『ま、あたしたちはあたしたちで、ちゃんと仕事しよっか』
フレデリカ『プロデューサー、早くいこー』
P『わかっている。ナオ、機体の調整は大丈夫か?』
ナオ「問題ないよ。ドッキングのタイミングはP少佐の指示に合わせる。それまでは援護に回るから」ピッ、ピッ!
ピピッ!
ありす『フレイヤⅡ、S-02から発進しました。ハッチ開放完了、各機出撃してください』
ナオ「了解。VPGO-53NP、VPSPで出るぞ!」ガションッ!
……
…………
時子「フィールドジェネレーター、次元振動の状況は」
「次元振動の発生は確認できています。断層発生まで後100です」
ピピピッ!
琴歌『財前大佐、フレイ、フレイヤⅡ共に配置につきましたわ』
ありす『システムについての起動判断はこちらで行います。全体指示についてはよろしくお願いします』
時子「わかっているわ。貴方たちはそれよりも、長距離航行プランの実行前に落ちないようにしなさい」
琴歌『はいっ! 任せてください!』
ありす『了解です。それでは、間もなく断層が発生しますので』ピッ!
「断層発生まで20、10……次元断層です。断層レベル8、空間転移です!」
時子「レーダー、転移してきた奴等は」
「G型、及びGS型を確認、白蜂の巣です! 大規模級……ですが、クイーンについてはまだ……」
時子「チッ……まだ出てこないか、それとも……とはいえ、奴らが来たことに変わりはないわ。各艦、各NGF小隊、戦闘開始!」
……
…………
GS型「!!」ギュンッ!
G型「!」ギュンッ!
フレデリカ『やっぱりあいつらだ!』
P「戦闘開始だ。ナオ、北条少尉、VPS-001小隊はコンビネーションマニューバY07だ」
加蓮『はい!』
ナオ『援護は任せろ。P少佐は加蓮を置いてくなよ!』
P「わかっている。LiPPS、小隊コードはVPS-002だ。そちらもあまり出過ぎるなよ」
奏『大丈夫よ。いいわね、美嘉?』
美嘉『わ、分かってるって!』
P「任せるぞ、速水少尉」
奏『……ええ、了解』
ピピピピッ!
ありす『強襲艦隊の初動、アルヴァルディが着弾します。下手に混戦状態にならないように気を付けてください』
ドドドドドドドドォンッ!!!!
G型「……!」ブブブゥゥゥゥンッ!!
P「ロングライフル、ガラティーンのロックを解除……狙撃する!」ピピッ!
ドシュウウウウンッ!!
G型「!?」
ドガァァァンッ!
ナオ『抜けてきた奴らの頭を叩く。ビフロスト……!』ボシュシュシュシュシュッ!!
加蓮『初動で数は減らしておかないと……こっちも持ってきたミサイルコンテナ、1つ使い切るよ!』ボボボボボシュンッ!
ドガガガガガガァンッ!!
ピピピピピッ!
P「追加の弾幕を抜けてきた奴は……まずは40弱か。後続もいるし、巣から出てきていない奴らもいる。まだ増えるぞ」
ナオ『これだけで済むとは思ってないさ。行くぞ!』ガションッ!
……
…………
ありす「フレイヤの右舷、左舷にイージスを展開します。艦姿勢を高機動戦闘形態に移行、複合ミサイル発射管にはアルヴァルディを再装填します」
志希「えーっとえーっと、ミサイル設定……」ピピッ!
ありす「高機動戦闘形態への移行に伴い、艦のヴァルキュリアシステムを起動します。起動後は白蜂が集中しているS-04側に向けて移動します」カタカタカタカタッ!
『―Valkyria System Start Up―』ピシィッ!
ありす「システム起動完了。レーヴァテイン1番2番、前方GS型の群れに照準。移動開始と同時に発射します」パシュウンッ!
志希「みんな聞こえるー? 後で戻ってくるから死なないでねー」
ピピピッ!
フレデリカ『おー!』
ありす「レーヴァテイン発射! ではP少佐、この場はお任せします。フレイヤ艦速度上げ、移動を開始します」
P『了解した。そちらも気をつけろよ』
……
…………
千秋『HCW-721、フラガラッハⅠを展開。翠さん、行くわよ!』ガションッ!
翠『はい! ニュージェネレーション隊もお気をつけて!』ドシュウウウウウンッ!
卯月『はいっ! って、安部中尉がまだ……』
ドドドドドドドドドドッ!!
菜々『呼ばれて飛び出てなんとやら! ARGT-R4、到着しましたよ!』
智絵里『お、お待たせしました……』
凛『ようやく来た……艦隊の進行に合わせて、私たちはキツイところに回るんでしょ?』
菜々『はい! メイン火力はウサミンロボが担当しますので、みなさんは抜けてきた白蜂の相手をお願いしますね!』
未央『りょうかーい。はー、黒川少佐も水野中尉も、ウサミンも揃って武闘派過ぎる……』
……
…………
奏「マニューバ合わせて、H03に切り替えるわ。美嘉、フレデリカ!」
フレデリカ『びゅーん!!』ガションッ!
美嘉『ちょっと、しっかりやってよ!』ドシュウウウンッ!
周子「2匹誘導するよ、3連装誘導ミサイルランチャー、ニフルヘイム……!」ボシュシュシュンッ!
GS型「!!」
GS型「!!」ギュンッ!!
奏「直線機動で遅れは取らないわよ……! このっ!!」ギュオオオオオオオッ!!
ズドォンッ! ズドォンッ!
GS型「……!」ヒュカカカッ!
美嘉『そこ! やああああああっ!』ギュオオオオオッ!
シュパアアアアアンッ!!
GS型「……」ブ、ブブブ……
ドガアアアアアアンッ!!
GS型「……!」ブブゥゥゥゥゥンッ!
フレデリカ『うわっ、こっちまだ来てる!!』
奏「このっ――」
ドシュゥンッ! ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!
GS「……」
GS「……」
ドガアアアアンッ!
奏「今の複数砲撃……ウィングバインダー……」ハッ!
ピピピッ!
加蓮『気を付けてよ。私あんまりコレ得意じゃないんだから』
フレデリカ『危なかったー……』
奏「ありがとう、助かったわ」
加蓮『蘭子みたいに上手く使えればいいんだけど……』ガションッ!
……
…………
ありす「こちらは問題ありません。宙域を走り回ることにはなりますが、S-02へ向かった後はそちらの負担のほうが増すかと」
『向こうの艦隊が陽電子砲を打ち込んでくれれば何とかなります。頼みますよ、向こうはもたついているみたいですから』
ありす「はい、申し訳ありませんがよろしくお願いします」ピッ!
志希「巣から白いの追加―。えーっと、数、数……G型16、GS型28。多いねー」
ありす「……」
志希「やばいねーありすちゃん。ん、どしたのありすちゃん?」
ありす(戦闘開始から15分、大規模の巣でこの白蜂の数であれば進行が困難なのは仕方がないとして、進行艦隊の巣との距離はまだ5200……)
ありす(クイーンの出現を想定して通常よりも後方から展開したとはいえ、これでは進行が遅すぎる……)
志希「ありすちゃーん?」
ありす「一ノ瀬博士、空間構成情報の取得を。フィールドジェネレータの状態も確認してください」カタカタカタカタッ!!
志希「え? いいの? じゃやるよ」カタカタカタッ
ありす(Pさんたちの戦闘……いえ、それでも間もなく混戦状態になる……そろそろ前線部隊を拾わないとS-02との合流が……だけど、進行部隊の白蜂の数が……)
ありす(混戦……)ピクッ!
ありす「VPS-001、VPS-002小隊!」ピピピッ!
P『どうした』
奏『こっちはギリギリまで白蜂を引き付けてから移動でしょう? もう少し――』
ピピッ!
ありす「合流ポイントを指定します! そこから早く移動して下さい!」
ナオ『なんだ、どうした!?』
ありす「S-04、S-05、聞こえますか、前線部隊を下げてください!」
S-04艦長『どうした、まだ進行部隊の進みが遅いぞ!』
キィィィィンッ!
ありす「しまったっ!?」ビクッ!
フレデリカ『メッセンジャー! 聞こえる、クイーンだよ!』
ありす「聞こえています! このタイミング、とは言えませんがそれでも狙われたとしか……!」
ビビビビビッ! ビビビビビッ!
志希「追加の次元断層……! しかも今度は……巣の目の前って、ちょっとみんな!」
ありす「空間転移が――」
……
…………
ビビビビビッ! ビビビビビッ!
時子「出てこないと思っていたら、今更……しかもこの距離は……!!」
「空間転移です! 断層レベル……10、映像出ます!」
フォンッ!
女王『……』
時子「チッ……! この状態は……粒子減衰ミサイル、発射しなさい!」
「クイーンとの距離4000……前回戦闘時のクイーンの粒子砲の射程圏内に入っています!」
「クイーンの周辺に高エネルギー反応、粒子砲です!」
時子「さっさとしなさい! 他部隊も、進行を……!?」
「か、艦長! クイーンの射線はこちらではなく……」
……
…………
ビビビビビッ! ビビビビビッ!
P「S-02からクイーンの射線……狙いはこっちか!?」
ナオ『くそっ、この状態で……クイーン!!』
加蓮『ナオ!』
美嘉『アイツ……!!』
P「全員GN形態に移行して下がれ! しつつ交戦中の白蜂には弾幕、捕まるな!」ガションッ!
女王「……」ギ、ギ、ギギギギ……
キィィィィン……
フレデリカ『ダメ、クイーン!!』
女王「……!!」
ギュドォォォォンッ!!!!
ドドドドドドドドドドッ!!!!
周子『ううううううっ!?』ギュオオオオオオッ!!
フレデリカ『美嘉ちゃん!』
美嘉『くぅっ……!』
P「前線部隊が……後方は!? ありす!!」
ドガアアアアアアアンッ!!!!
……
…………
ピーッ……
ありす「しまった……!」ハァ、ハァ、ハァ……
志希「やっば……ちょっと、この状況……!」カタカタカタッ
ありす「艦の状況……破損個所は……動けますが、粒子砲には当たらなかったとはいえイージスを最大展開したせいで出力が……」ピピッ!
ピピッ!
ピピピピッ!
ありす「いえ、それよりも前線の部隊の被害が……ヴェール艦隊の反応……SN-13以降の射線に入っていた艦の反応がまとめて……S-04も……!!」ガンッ!
ピピピッ!
P『ありす、無事か!!』
ありす「P少佐……こちらは、右舷ブロックが一部損傷しましたが動けます。ですがS-04周辺で展開していた前線ヴェール艦が4隻まとめて……S-04も避けきれなくて出力機構が軒並みやられたみたいです。航行不能とのことです」ピッ、ピッ……
キィィィィンッ!
P『こちらもやられた……射線上にいたNGF小隊はまとめて落とされている。この状態では前線の維持が出来ん』
ピピピッ!
琴歌『ありすちゃん、大丈夫ですか!?』
桃華『クイーンがそちらのほうに……このままではそちらが持ちませんわよ!』
ありす「わかっています! ですがS-04が動けない状態です。S-05がフォローに回るか、S-04の乗員の退避が完了するまではこちらも動くに動けません!」
ピピッ!
志希「うげっ! ありすちゃん、巣からまた出てきてる。G型8、GS型13……」
ありす「くっ……前線、各VPS小隊はS-04の退避が完了するまで前線を維持、後退する場合は近くのヴェールからの援護を受けてからにしてください」
キィィィィンッ!
奏『でも維持って、この状態だとそもそも前線が持たないわ!』
加蓮『まだ下がれないでしょ! 弾幕貼って、少しずつ後退するよ! 他艦の予備部隊が出るまでは粘らないと!』
ありす「合流ポイントについては取り消します。こちらで直接拾いにいきますのでそれまではお願いします」
ありす「S-05聞こえますか。フレイヤは穴になった前線のフォローに向かいます」ピピピッ!
ありす「大破及び航行不能になった艦については他の艦で対応してください!」ピッ!
志希「ええっ、もっと前出るの!?」
ありす「ここで足の速さを使わないでどうするんですか! それにみなさんを拾いにいかなければならないでしょう!」
キィィィィンッ!
ありす「くっ……さっきからずっと、この感覚が……!」
……
…………
ナオ『くそっ、LiPPSは前に出るな! 体勢が崩れている各小隊のフォローに回れ!』ズドォンッ!!
奏『私たちだってキツイわよ! この状態だと……くっ!』ギュンッ!
P「GNS-042、051……7小隊分が落ちたのか! だがそれよりもヴェールの被害のほうが……!」ガションッ!
G型「!!」ドシュシュシュッ!
P「貴様!」ギュオオオオオオッ!
ドガガガガガッ!
G型「……」ブ、ブブ……
ドガアアアアアンッ!!
P「完全に立て直せなくとも、まずは被害の大きい前線部隊のフォローに回らねば……ナオ!」ギュオオオオオオオッ!!
ナオ『ああ、このままじゃマズイ!』
加蓮『Pさん、ナオ!』
P「北条少尉はLiPPSと合流だ。俺とナオはドッキングして対応する!」
女王「……」ギギギギ……
――キィィィィンッ!!!!
P「っ!?」ドクンッ!
……
…………
キィィィィンッ!!!!
ナオ「くっ……こ、この感覚……いや、この前感じた……だけど、それ以上に……ぐっ、う……」
P『ぐっ……あ……がっ、あああああああ!!!!』
ナオ「Pさん!?」
……
…………
P『があああああああっ!!!!』
ありす「Pさん!?」
美嘉『何、どうしたの!?』
奏『少佐!?』
P『あ、頭、が……こ、この、声……あああああああっ!?』
ありす「Pさん、Pさん!!」
志希「ちょっと待って、カレの……!」カタカタカタッ!
ピッ!
志希「ウソ……誰の負荷軽減も受けてないのに、そもそもヴァルキュリアシステムも起動してないのにバイタルが異常値に……!」カタッ……
ありす「そんな……Pさん、そこから退避してください! Pさん!」
……
…………
P「なん、だ……この、声は……違う、お前たちでは……」ハァ、ハァ、ハァ……
女王「……」ギ、ギギ……
P「お、まえが……俺、を……」
GS型「!!」ズドォンッ!!
ドガアアアンッ!!
P「がああっ!?」
ビビビビビッ! ビビビビビッ!
ありす『Pさん! 下がってください! Pさん!』
ナオ『ダメだありす! あたしも、変な感覚が……加蓮、Pさんを連れて後退しろ! 早く!』
加蓮『う、うん! Pさん!』ギュンッ!
ナオ『くそぉ、このままじゃ!!』ボシュシュシュシュッ!!
ドガガガガガガガァンッ!!
……
…………
ナオ「お前らの相手ばかりしてられないんだよ!」ズドォンッ!
G型「!?」ギュンッ!
ナオ「ガンダルヴ・ミニオンで!」ガショガショガションッ!
ドシュシュシュッ!
G型「……!」ドガアアアアアンッ!!
『GNS-053小隊、反応ありません!』
『ヴェール全艦、予備のNGF小隊はすべて出せ! 被害の大きい前線の穴埋めを急げ!』
『進行部隊はどうした! クイーンが前に出ているからこれ以上進んでいないのか!?』
ナオ「くそっ、このままじゃあ……」ハァ、ハァ、ハァ……
加蓮『Pさん、動けるなら下がって! 早く!!』
P『ぐ、あああああ……』
美嘉『コイツらあああああああ!!』
奏『ダメよ美嘉、前に出過ぎないで!』
周子『ちょっとそんなに飛ばれると援護できないって、あかんって!』
フレデリカ『クイーン……どうして……』
ナオ「くそっ、くそっ……!」ハァ、ハァ……
ナオ「やっぱり、あたしだけじゃ……だけど、あたしがやるしか……!」ハァ、ハァ……
ナオ「みんなの、分まで――」ドクンッ!!
キィィィィンッ!!
ピピッ!
……
…………
ピピッ!
ありす「これは……!」ピッ!
フォンッ!
ありす「こちらの前線に向けての陽電子砲の射線……グングニル……まさか!?」
ピピピピピッ! ピピピピピッ!
……
…………
ズドドドドドドドドドドッ!!!!
G型「!!」ドガアアアアンッ!!
GS型「!?」ドガアアアアンッ!!
奏『この状況で後方からの援護!?』
周子『でも今のうちに立て直しとかんとあかんって!』
加蓮「なに、陽電子砲!? どこのヴェールが……」
ピピッ!
加蓮「新しい識別コード? え――」
加蓮「どう、して……」
ナオ『この、感覚はまさか……』
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ……
『NGF-3N-SD SecondDriver』
加蓮「奈緒……?」
……
…………
奈緒「……!」
……
…………
『―Valkyria System Start Up―』
文香「指定区域の到着に合わせて、複合ミサイル発射管1番から20番のアルヴァルディを前方GNS-032小隊と戦闘中の白蜂の群れに発射……」
文香「21番以降のアルヴァルディは前面にばら撒き弾幕を貼ります。弾幕を展開しつつ光波推進システム用ハイパーブースターを全機停止……回頭しつつフレイヤⅡの代わりにフォローに回ります……」
楓「はい、はい……アルヴァルディ発射……着弾確認、残りで弾幕っと」カタカタカタカタッ!
美優「宙域のノルン艦隊……増援に来ました。識別コードを登録願います……S-04、S-05の戦闘に参加します」
文香「続いて……直線距離上で提示した各ポイントでハイパーブースターを2機ずつ……6機切り離します」
楓「え、もうシステム使わないで捨てちゃうんですか? 怒られませんか?」
文香「切り離したハイパーブースターはレーヴァテインで爆破し、白蜂を巻き込みます……爆破範囲については各NGF小隊に展開してください……」ピッ、ピッ!
ピピピッ!
ありす『フ、フレイヤですか……どうして……!』
文香「ありすちゃん……はい、ホクドウでハイパーブースターを8機ほどお借りしました……ギリギリ、追いつけたようで良かったです」
ありす『い、いえ……そういう話ではなく、どうしてここまで……3N-SDも……』
文香「お話は後で……状況については、私たち全員……システム起動済なので、把握しています。Pさんの回収を……お願いします」
楓「ハッチ開放完了。アインフェリア、出撃お願いします。気を付けてくださいね」
……
…………
美波「Pさんの機体反応を見つけ次第2人は向かって頂戴。混戦中だから気を付けて!」
夕美『うん! 藍子ちゃん、フレイヤⅡがPさんを回収するまでは私たちで食い止めるよ!』
藍子『はい、必ず……こちらも出撃準備完了しました!』
美波「了解、NGF-VS23CSX、新田美波行きます!」ガションッ!
……
…………
G型「……!」ブブゥゥゥゥンッ!!
奈緒「Pさんの位置……加蓮が向かっているか」カタカタカタッ!
G型「!!」シュシュシュッ!
奈緒「針か! そんなものに!!」ギュオオオオオッ!
ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!
G型「!」ギュンッ!
奈緒「くっ、G型の数が多い……!」
ピピピピピッ!
ドガガガガガガァンッ!!
奈緒「ビフロスト!? これは――」
ピピピッ!
ナオ『奈緒、ドッキングだ!』ギュオオオオオッ!!
奈緒「……ああ、行くぞおおおおお!!」ガションッ!!
「「合体!!」」
プッピガン!!
ガションッ!!
『―Valkyria System Start Up―』 ピシィッ!
パシュウンッ!!
G型「!!」ギュンッ!
G型「!!」ギュンッ!
奈緒「どうして、まだこんなことをするんだ!」
ナオ『ターゲットロック……バルムンク発射!』
ドガガガガガァンッ!
ナオ『奈緒、今はこの状況を何とかするのが先だ。他部隊が落とせないG型に切り込むぞ!』
奈緒「兵装は……ソード!? デュランダルがない……」
ナオ『あの時折ってから帰っただろ』
奈緒「そういやそうだった……ソードを展開する!」ジャキンッ!
奈緒「待ってろ、加蓮、みんな……!!」ドシュウウウウウンッ!
……
…………
菜々「P少佐……!」
凛『安部中尉! こっちの動きは!』
菜々「っ! ナ、ナナたちはこのまま進行します! クイーンの動きが止まっているうちに、巣を壊しますよ!」
未央『アインフェリアのみんながこっちに来てくれるなんて……!』
卯月『お願いします、P少佐を!』
ピピピッ!
千秋『向こうの被害がこれ以上大きくならないうちに、私たちのほうも急ぐわよ!』
翠『ええ、P少佐を助ける為にも……!』
菜々(楓さん、美優さん……Pさんを……)
……
…………
加蓮『ウィングバインダー展開……バルムンク!』ドシュシュシュシュッ!
GS型「!」ギュンッ!
G型「……!」ヒュカカカッ!
加蓮『くっ、この数じゃあ……Pさん……!』
P『う……ぐ、うううう……!』
藍子『Pさんの反応……加蓮ちゃんも同じ場所にいます!』
夕美「リフレクトパックSの反射装甲板展開、イージスフィールド最大出力……!」カタカタカタッ!
GS型「!!」ヒュカカカッ!
ドシュシュシュッ!
藍子『今は、来ないでください!』ドシュゥンッ!
GS型「!?」ドガァァンッ!
夕美「加蓮ちゃん、Pさん!」ギュンッ!
藍子『奈緒ちゃんと一緒に追いかけてきました。早くPさんを……!』
GS型「!!」ズドォンッ!
夕美「フレイヤⅡ、ありすちゃん! Pさんの周りは3人で抑えてるから、早くこっちに来て!」ドガァンッ!!
ピピピッ!
ありす『向かっています。ですが、この混戦で艦が損傷した状態だと……!』
美波『大丈夫よ。構わずに行ってPさんをお願い……白蜂はらこっちで対応するわ!』
ありす『ですが! 前線が崩れている状態で奈緒さんと美波さんが向かっただけでは――』
愛梨『大丈夫です!』
……
…………
蘭子「起動チェック、全システム疎通確認。標準兵装リスト更新」カタカタカタカタッ!
晶葉『初回稼働がこの状況ですまないが頼むぞ。シミュレーター通り火器管制と機体制御についてはドッキング機と同様に立ち回ればいい』
愛梨『はい、任せてください!』
蘭子「機体制御は私が……愛梨ちゃん、ヴァルキュリアシステムを!」
愛梨『はい、蘭子ちゃんと2人で一緒に……ヴァルキュリアシステム接続確認、起動しますっ』
『―Valkyria System Start Up―』 ピシィッ!
パシュウンッ!!
楓『進路確認、出撃可能です。シンデレラガールズ、出撃お願いします』
愛梨『はいっ! NGF-F-VPS13フォートレス、発進しますね」
蘭子「……うむ、我が新しき翼、偶像の象徴と融合した第3形態……ブリュンヒルデ! 今、目覚めよ!」ドシュウウウウンッ!
……
…………
G型「……!」ブブゥゥゥゥンッ!!
美波「貴方たちとは分かり合いたい……だけど、命を守るために、今は剣を!」ガションッ!
美波「お願い、クイーンと一緒に下がって!」ギュオオオオッ!!
シュパアアアアンッ!
G型「……」ブ、ブブ……
ドガアアアアアンッ!!
美波「必ず……必ず、会いに行くから……だから!!」
奈緒『美波!』
蘭子『漆黒の雷!!』
ドシュウウウウウンッ!!
美波「砲撃……奈緒ちゃん、蘭子ちゃん!」
奈緒『美波、お前たちは……アインフェリアは、なるべく戦うな。ここはあたしたちで……!』ジャキンッ!
蘭子『P少佐を助けたらフレイヤⅡと一緒に先に離脱してください。巣は他のノルン艦隊のほうで対応してますから』
美波「ええ……でも、私たちは守られるだけじゃない……Pさんを、みんなを守るために来ているのよ」グッ……!
美波「奪われる命があるなら、私たちは守らなきゃならないの!」ガションッ!
愛梨『ナオちゃん、索敵データを共有してください!』
ナオ『分かった。FFと索敵データ共有、ターゲットロック……!!』ピピピピピッ!
愛梨『フルウェポン展開、高圧縮粒子砲リントヴルム照準……バーストします!』
ナオ『バスター!!』
ズドドドドドドドドッ!!!!
……
…………
ありす『夕美さん!』
夕美「ありすちゃん……こっちだよ! 藍子ちゃん加蓮ちゃん、Pさんを連れて先に!」
藍子『はいっ!』
ありす『イージスを艦全体に展開します。搬入口を開けますのでそちらからお願いします』
加蓮『Pさん、しっかりして、Pさん……!』
P『……』
GS型「!!」ズドォンッ!
夕美「ここは絶対に通さない……2人とも早く!」ドガァンッ!
藍子『Pさんの機体、回収終わりました!』
ありす『こちらも確認しました……3人もこちらに』
加蓮『夕美は藍子と一緒に戻って。私は……奈緒を……』ガションッ!
夕美「……うん、分かった。加蓮ちゃんも気を付けて!」ギュンッ!
ありす『回収完了。S-05、フレイヤⅡは後退して弾幕支援を行います。前線のフォローはフレイヤが対応します』
加蓮「ナオ……奈緒……!」
……
…………
ピピピッ!
奏「フレイヤとP少佐が後退……損傷しているとはいえ、この状況だと……!」ギュンッ!
美嘉『このっ! 死ね! 死ね!!』ズドォンッ!!
GS型「!?」ドガアアアアアンッ!!
周子『落ち着いてってば! 出過ぎだって!』
フレデリカ『クイーン……』
美嘉『……アイツが』
奏「美嘉?」
美嘉『アイツが、アイツが来たから、こんな……!!』ガションッ!
女王「……」
美嘉『アイツ……アイツが!!』ギュオオオオッ!!
フレデリカ『っ!? ダメ、美嘉ちゃん!』ギュンッ!
ガコンッ!
美嘉『ア、アンタ……! 何やってるの、邪魔! どいて!』
奏「いい加減にしなさい美嘉! フレデリカも!」
フレデリカ『クイーンは、アタシたちの――』
美嘉『アンタは!』ジャキンッ!
周子『ちょっと、アカンって!』
奏「やめなさい!!」ギュンッ!
フレデリカ『――!』
ドシュゥンッ!
奏「フレデリカ――ああっ!?」ドガァンッ!
美嘉『……!』ビクッ!
フレデリカ『あ……奏、ちゃ……』
奏「くっ……」ガコンッ!
美嘉『あ……あ、あ……』
周子『何やってんの! 奏ちゃん、大丈夫!? 奏ちゃん!』
奏「……」
周子『奏ちゃん!』
奏「……ええ」
『弾幕展開急げ! 艦を後方に下げろ!』
『前線のNGF小隊、こちらの艦に取り付いている白蜂がいる! 戻ってこい!』
『この前線の混戦状況で……でも艦が……戻らないと――』
ドシュゥンッ!!
『!?』
奏「……ホント、馬鹿みたい」
……
…………
「艦長、前線ヴェール艦隊と巣の距離3000、ノルン艦隊3500です!」
時子『陽電子砲振フルングニル、準備しなさい!』
「照準合わせます。クイーンについては――」
ピピピッ!
文香『お願いします。クイーンに陽電子砲は……今ここでクイーンを撃ってしまえば、他のビーや白蜂も……可能な限り、巣のみを……』
琴歌『この状況ではアインフェリアもプランV3を実行できません。今は女王様には下がって頂くしかありませんわ!』
時子「チッ……クイーンに当てないよう巣に照準を合わせなさい。ヴェール艦隊の陽電子砲の発射後、他ノルンと同時に砲撃しなさい!」
「ヴェール艦隊、陽電子砲を発射……着弾確認、ノルン陽電子砲フルングニル発射します!」
……
…………
奈緒「後はこの群れを……!!」ギュオオオオオオオッ!!
ビビビビビッ! ビビビビビッ!
ナオ『ビームウィング出力低下……機体を振り回し過ぎて駆動系がもう……!』
奈緒「それでも!!」ヒュカッ!
ズバアアアアアッ!!
G型「……」ブ、ブブブ……
ドガアアアアアアアンッ!!
バキィッ!
奈緒「くっ……右腕部稼働停止、ソード破損……CG形態の移行不能……!」
GS型「……!」ギュンッ!
ナオ『ダインスレイヴ!』ズドォンッ!
ドガアアアアアアンッ!!
愛梨『奈緒ちゃん、3NーVPOはもう無理です! 下がってください!』
奈緒「愛梨、だけど――」
ピピッ! ピピッ!
奈緒「巣……そうだ、クイーンは!?」
女王「……」
キィィィィィンッ!!
蘭子『空間転移……帰っていった……』
ナオ『残っている白蜂も、散っていったか……コンディションイエ口ー……それでも、とりあえずは終わったか』
ピピピッ!
加蓮『奈緒! ナオ!』
奈緒「加蓮……」
加蓮『よかった……奈緒、本当に……』
ナオ『あたしたちも、戻るか』
奈緒「……ああ」
……
…………
周子「戦闘終了……終わり……か」
美嘉『……』
フレデリカ『……』
ピピピッ! ピピピッ!
志希『お疲れ様。みんな帰ってきていいよー。ありすちゃんいないけど多分大丈夫』
周子「……そっか。それじゃあたしたちも戻ろっか」
奏『……』
周子「……はぁ」
……
…………
――戦闘宙域
ビビビビビッ! ビビビビビッ!
P「S-02からクイーンの射線……狙いはこっちか!?」
ナオ『くそっ、この状態で……クイーン!!』
加蓮『ナオ!』
美嘉『アイツ……!!』
P「全員GN形態に移行して下がれ! 後退しつつ交戦中の白蜂には弾幕、捕まるな!」ガションッ!
女王「……」ギ、ギ、ギギギギ……
キィィィィン……
フレデリカ『ダメ、クイーン!!』
晶葉「奈緒は無事に行くことができたか」
晶葉「……ああ、そうだな。また完全にそっちの世界と同期が取れている状況ということは、クイーンがまた出てきたということだからな。こちらも気付くさ」
晶葉「奴の空間転移で生じた大規模な次元断層、そこで発生した空間の穴を捕捉しなければ現状、世界の行き来が出来ん」
晶葉「そちらで進めている次元跳躍の技術が導入されれば問題なくなるんだがな。すまないが奈緒を頼む。次にこちらに戻ってこれるタイミングもいつになるか分からないからな」
晶葉「おっと……そうだ加蓮、何か奈緒に話しておきたいことはないのか? 向こうの私に伝えておけるのも、通信が繋がっている今のうちだぞ」
加蓮「ううん、特にないよ」
晶葉「いいのか? まあ、本人がいいというならそれでいいが……」
加蓮「ちょっと、寂しいけどね。だけど、奈緒だもん。奈緒だから、私の傍に帰って来てくれるから……私は、待ってるから」
……
…………
晶葉「ああ、とりあえずは間に合った。奈緒が来てくれなければ、戦力は足りなかっただろう」
晶葉「こちらも色々とよろしくない状況でな。特に何もなければ今回はこれで通信を切るぞ」
晶葉「……ああ、任せろ」
晶葉「ちゃんと奈緒はこちらで面倒を見る。わざわざ戻ってきてもらったんだ、それくらいはさせてもらう」
晶葉「ではな。次の機会には良い報告が出来るようにしておく」
ピッ!
晶葉「……」
奈緒『晶葉、あたしをそっちに送ってくれ! 今ならまだ間に合う、みんなが戦っているのに、あたしだけここで見ているわけにはいかないだろ!』
奈緒『向こうの世界だけの問題じゃない、いつかあたしたちの世界だって……だから、まだ間に合うなら!』
晶葉「……そうだな。本当に、お前の言う通りだよ、助手」
ピッ、ピッ!
晶葉「だが、それでも私はその選択を取る。奈緒を巻き込むことになったとしても……お前たちが最後に望んでいる物の為に」
晶葉「私にはそれしかできない。そうだろう? 麗奈……嫌な役を押し付けられたものだ」
……
…………
………………
……………………
――ここは……?
奈緒『おーい、早く行こう。レッスン遅れるって』
――ナオ……いや、奈緒、か。
加蓮『ゴメンゴメン、ロッカーにジャージ置いたままだったのすっかり忘れちゃってて』
凛『もう、レッスン行くのにジャージ忘れないでよ。ほら、行こう』
加蓮『はいはい、奈緒がアタシのことを首をながーくして待ってるしね』
――加蓮、凛……ここは、奈緒の世界か?
P『ほら台本、一応色分けはしておいたけど、全員分の台詞入ってるから間違えないで喋ってくれよ』
美波『はいっ、明日までには確認しておきます』
藍子『台本分は大丈夫、かなぁ……フリートークの部分、どうしましょうか?』
ありす『直近のお仕事のお話はどうでしょうか?』
夕美『あ、それなら話のネタ作りにいかない? カラオケとか……ボーリングとか!』
文香『ボ、ボーリング、ですか……? その、あまり……激しい運動をするのは……』
――皆……それに、俺もいるのか。
――これが、奈緒の住む世界……平和な、世界……俺も、俺たちの、世界も……。
……
…………
………………
……………………
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ……
P「……」
美優「……P、さん? Pさん……!」
P「美優……」
美優「よかった……本当に、間に合って……」ギュッ……
P「ああ、すまなかった……戦闘、は……」
美優「だ、大丈夫です。クイーンは帰っていきました……いまは、私たちもホクドウに戻って……」
P「……そうか」
美優「いま、先生にコールを掛けますから、少し待っていてください。みなさんも、心配していましたよ」
P「……奈緒は」
美優「え?」
P「奈緒は……来ているのか……」
美優「……はい、Pさんを、みんなを……助けてくれました」
P「……そうか」
……
…………
美波「艦外装全修理、専用ステージ交換、メインエンジン交換、積層イージスも交換、捨てたハイパーブースター分の費用も上乗せ……はぁ」
夕美「緊急時だったけど、ちょっと無理し過ぎちゃったね……」
ありす「当たり前です。ノルン1隻に4機積む想定で作られた光波推進システム用のハイパーブースターを8機積んで飛んでくるなんて……積層イージスだけで艦がバラバラにならなかっただけマシです」
文香「一応、ホクドウで換装中に……耐久値や、限界稼働時間の試算をしてから、動かしましたから……」
美波「護衛についてくれたヴェールや、オート・クレールのスタッフを乗せたモリアンは置いていくしかなかったけれど……とりあえず、結果的には良かったわ」
藍子「ステージとエンジンの交換も終わって、外装修理ももうすぐ完了ですし、後は積層イージスを積んだら完了ですね」カタカタカタッ!
ありす「干渉装置が効いていた時期を挟んだとはいえ、さすがにここ最近の戦闘では一番の被害でしたからね。S-04は長距離航行プランから外れるそうです」
美波「仕方がないわね。大破したヴェールも回収はされたけれど、プランに編成されていた艦の修理は間に合わないわ」
ピピピッ!
藍子「はい、こちらフレイヤです」ピッ!
楓『お疲れ様です。本部の会議、終わりましたよ。農業プラントから切り離した栽培ブロックをモリアンに積んで、増援のノルン艦が到着したらプラン実行になりました』
美波「そうですか……そうなるって思っていました。私たちのほうは、準備できています」
文香「あとは……ありすちゃんも含めて、動きを合わせれば終わりですので」
ありす「ですが、Pさんがまだ……」
楓『それなら、ついさっき美優さんから連絡ありましたよ。目が覚めたそうで……私も向かいますから、今のうちにお見舞いに行ったほうがいいですよ』
藍子「ホントですか!? 良かったぁ……」
夕美「今日はみんな待機してるよね? 奈緒ちゃんたちに連絡してからPさんのところ行こっか」
……
…………
晶葉「これが戦闘中のお前のバイタルデータの推移だ」ピッ!
P「……ヴァルキュリアシステムを起動した際の、皆の推移とは少し違うな」
志希「そりゃそうだよ。システム起動してなかったんだから。それに、キミの体がシステム負荷に耐えれる限界間近だからって、通常飛行で問題が起きることじゃないし」
P「ではフラッシュバックか?」
晶葉「いや、それも違う。これまでの、どの症状とも一致しない」
晶葉「考えられることは1つ、お前が……システム適性を持つアインフェリアと近い状態になっていることだ」
晶葉「恐らくは、ヴァリアントやリサーヴでみんなのシステム負荷を受け持ったのが原因か……」
晶葉「ともかくクイーンや白蜂たちの声らしきものが聞こえたということならば、それしか考えられん」
P「……俺の体は、まだ持つのか?」
志希「多分大丈夫じゃない? 機体のECMフィールドには手入れるんだよね?」
晶葉「ああ。前回戦闘時のデータを見て、新型にも同様の調整を加える。これで戦闘自体は問題なくなるはずだ」
P「そうか。それならいい」
晶葉「それなら話は終わりだ。後でこれまでの状況や対応内容については纏めて端末に送ってやる。少し休め」
P「いや、休むのはもういい。少し体を動かしたい」
晶葉「お前……!」
P「奈緒が戻ってきたんだろう?」
晶葉「……ああ。クイーンの空間転移で大規模な次元断層が発生して、向こうの世界と通信が出来るようになったから、私が呼んだ」
P「奈緒が自分から、こちらに来るとも言ったんだろう」
志希「バレてるバレてる」
P「いいさ。来てくれたのなら……奈緒には、その意志があるんだろう」
P「それならあいつを守ってやれるように、俺ももう少しは鍛えておかねばならん」
晶葉「……そうだな」
P「皆には、フラッシュバックの症状が出たと話しておいてくれ。志希も、上手く誤魔化しておいてくれ」
志希「りょうかーい」
晶葉「……」
……
…………
藍子「本当に大丈夫ですか? まだ、お休みになったほうが……」
P「さすがに1ヶ月も寝てしまうと、逆に体が痛くてな。プランの実行も間近だし、もう退院して仕事に戻ったほうがいい」
文香「ですが……また、戦闘で同じようなことになっては……」
P「それについては、志希のほうで前回の戦闘から抑制剤の投与内容を見直してくれると話をされた。次からは大丈夫らしい」
美波「もうっ、それならいいですけど」
夕美「着替えこれで全部? 他の荷物は……」
楓「あ、そこの引き出しに私が持ち込んでいたビールが……」
美優「び、病室にお酒持ち込まないでください……」
P「そういうものだ……ありす、城ヶ崎少尉はどうした?」
ありす「……ひとまずはフレイヤⅡの空き部屋を営倉代わりにして入ってもらっています。アルヴィスに自動転送された戦闘の映像記録は、大佐に話して削除してもらいましたが」
P「そうか、その対応なら良かった。プロジェクトで採取されたデータは全て一度、秘匿階層に転送されてるから大丈夫だと思うが」
ありす「あなたならそうすると思いましたから。とはいえ、美嘉さんのNGFがフレデリカさんの機体を狙って射撃、奏さんが割り込んで損傷……さすがに私も見過ごしたくはありませんが」
夕美「フレデリカちゃん……」
P「ありすの部下だものな。だが、今回はダメだ。俺のほうで任せてくれ」
ありす「……構いません」
藍子「あの、Pさん……やっぱり、城ヶ崎少尉のこと……」
P「後悔をして欲しくないだけだ。少尉にも、フレデリカにも……それに……」
ピピピッ!
P「俺だ」ピッ!
P「すまん。起きてすぐに検査があってな。アインフェリアの皆は来てくれたんだが……」
加蓮『こっちはありすもフレイヤに行ってて忙しいんだから……あ、奈緒、Pさん起きたって。代わる? ちょっと待ってて』
奈緒『Pさん』
P「奈緒……す――」
奈緒『大丈夫、また一緒に頑張ろう。それは聞き飽きたから……さ』
P「……そうか、分かった。俺が寝ている間に状況は把握したと思うが、それほど余裕のある状況ではない。頼むぞ」
奈緒『ああ』
加蓮『みんなでお見舞い行ったほうがいい?』
P「いや、もうそろそろで引き上げる。もう十分寝たからな」
P「そうだったか……フレイのほうにも後で顔を出しておく。プランの準備作業を優先してくれ」
加蓮『はーい』
P「LiPPSはどうしている?」
加蓮『美嘉は部屋に入れたまま。フレデリカはどっか行っちゃった。奏と周子は、ナオと格納庫に行ってるけど……』
P「速水少尉には、作業が終わったら会議室で待機していてくれと伝えてくれ。フレデリカも、見つけたら俺が探していたと話しておいてくれ」
加蓮『ん、分かった。それじゃ作業戻るね』
ピッ!
P「よし、では戻るか。ありすはフレイヤでの作業が落ち着いているなら俺とフレイヤⅡに戻るぞ。他の皆はフレイヤでの作業に戻ってくれ」
……
…………
パシュンッ!
P「すまん、今戻った」
ありす「こちらのほうは大丈夫ですか?」
加蓮「あっ、Pさん! ありすも、お疲れ様」
P「長いこと空けてしまったが、大体の話は楓さんと晶葉から聞いている。進捗はどうだ?」
加蓮「艦の破損個所の修理は一通り終わったかな。あとは全体整備と、修理したNGFの調整。整備長はフレイヤのほうに行ったよ」
P「大体は完了しているか。フレイヤのほうが作業は遅れているか……」
ありす「奈緒さんはどうしましたか?」
加蓮「ちょっと前に格納庫に行ったよ。ナオの様子見てくるって」
P「そうか……」
……
…………
奈緒「……」
ナオ「まあ、仕方がないさ」
P「奈緒!」
奈緒「Pさん……!」
ありす「お疲れ様です。こちらにいると聞いて様子を見に来ました」
加蓮「どうしたの、2人揃って?」
奈緒「いや、うん……コイツがさ」
P「3N-SDか」
ナオ「整備長もさすがにお手上げだってさ。3N-SDは関節駆動系全部イカれて、右腕は肩から吹っ飛んだし、背面パーツも壊れたし」
ナオ「VPSPは立体機動に耐えられなくてビームウィングも壊れて、フレームも歪んで……晶葉に作り直してもらうほうが早いってさ」
加蓮「でも、最後までみんなのこと守ってくれたから……」
奈緒「ああ。あたしがコイツに乗り始めてから2回改修して、ここまで一緒に戦ってくれた……お疲れ様、だな」
P「……機体については、晶葉から話は聞いている思うが」
奈緒「聞いたよ。それに、今までも見ていたし……そいつが出来上がるのを待つだけだよ」
ありす「この期間を使って、ニュージェネとLiPPSで実施したシステムテストのフィードバックを行っているみたいです。晶葉さんは、しばらく時間は掛かると言っていましたが」
奈緒「シミュレーターも用意するみたいだから、そっちで訓練しておかないとな」
P「……速水少尉はもう戻っているのか」
ナオ「ああ、会議室に行ってるよ」
加蓮「あ、そうだ……ゴメンPさん、フレデリカなんだけど、探したけど見つからなくて」
P「わかった。ありす、少し席を外すから後は頼む」
ありす「わかりました。そちらも、お願いします」
……
…………
ピピッ!
奏「……」
パシュンッ!
P「失礼する。速水少尉、待たせてしまったな」
奏「……いえ、別に。貴方、体は大丈夫なの?」
P「問題ない。一ノ瀬博士のほうでも対処してくれた。今後の戦闘は通常通り行える」
奏「そう」
P「それで話だが、次回以降のLiPPSの運用についてだが、少尉のほうで――」
奏「嫌よ」
P「……小隊運用については、これまで通り速水少尉に小隊長として運用してもらおうと思っている。これは上官命令だ」
奏「それでも嫌よ」
P「……そうか」
奏「私は、もう仲間から撃たれたくないの。だからこれまで1人でやってきたの」
奏「それが嫌だから、私はS-01からここに来た。それなのに……だからもう、ここにはいたくない。あの子たちのお守りもしたくない」
P「そうか。わかった」ピッ!
ピピピッ!
大佐『私だ。なんだね?』
P「大佐、私です」
大佐『おお、君か。話は聞いているよ。プランの実行までに回復が間に合うかと不安だったが、目が覚めて本当によかった』
P「ご心配をお掛けしました。大佐、1つお願いがあります」
大佐『なんだね? フレイヤへのハイパーブースターの手配で色々と他からキツく言われているから、難しい話じゃなければいいんだがねぇ』
P「速水奏少尉を特殊部隊に異動させてください。異動理由は、セカンドドライバーとの共同任務の為、辺りで大丈夫ですか?」
大佐『む……ううむ……まあ、分かった。手続きはこちらで済ませておけばよいかな?』
P「ありがとうございます。では、失礼します」
ピッ!
奏「貴方……」
P「命令だ。速水少尉、フレイへ移動し黒川少佐の指示に従い任務に当たれ。艦への移動については調整して展開する。荷物は本日中にまとめておけ」
奏「……そう、それなら私も、気が楽になるわ」
P「機体についてはこちらで配備させたVS23SXと、持ち込みしている3NXを両方移動させる」
奏「VS23SXはいらないわ。移動するならデータの採取もしなくていいし、3NXだけでいいわ。ディフェンスパックは、そのまま周子に使わせてあげて」
P「ではそれで整備班には連絡しておく。必要な引継ぎは済ませておけ」
奏「ええ、了解」
……
…………
P「……」
ピピッ!
P「城ヶ崎少尉、返事をしろ」
P「……入るぞ」
ピッ!
……
…………
美嘉「……」
P「どうだ、少しは落ち着いたか?」
美嘉「……」
P「アイドルの仕事もあるから、あまりキツイところには押し込めないからな。ありすも広報にはまだ話を通していないと言っていた」
美嘉「……」
P「……戦闘の映像記録を見た。撃とうとしたらしいな、フレデリカを」
美嘉「……ツは」
P「なんだ」
美嘉「アイツは……敵……莉嘉の、莉嘉の……!」
P「それは、お前の妹を襲ったのがフレデリカ、ということか?」
美嘉「関係ない……キラー・ビーなんて……白い奴等も、みんな、みんな敵で!!」
P「違う。それは昔の話だ。今のビーは、俺たちと共に生きている仲間だ」
美嘉「昔の話……? 今は違うからって、アイツ等を許すの!? アイツ等がいるから! 莉嘉は、ずっと起きないままで!!」
P「少尉、以前話したな。俺のこと、フレデリカのことを」
美嘉「なによ……!」
P「フレデリカのことを、信じてやってくれ」
P「俺たちが蜂から受けた痛みは事実だ。だが、フレデリカの想いも嘘ではない」
P「ビーは俺たちに、俺たちはビーに、互いに痛みを与え続けた。だが今は違う。平和な世界を願っている同じ想いを、互いに持っていると分かったからだ」
P「言葉にするだけなら、簡単なことかもしれない。何とでも言える……だが、フレデリカの想いの中に、美嘉もいるんだ」
美嘉「……」
P「アイツの想う平和な世界に、お前たち姉妹と共に生きる願いがある。それを、信じてほしい」
美嘉「……」
P「これで、話は終わりだ。ここは閉める。少尉、出るぞ」
美嘉「え? アタシ……」ピクッ
P「少尉が何故ここにいるのか、俺もありすも忘れてしまった。アルヴィスには映像記録も残っていないし、何でだったかな。とにかく、出るぞ」
……
…………
美波「フレデリカちゃん、見つかった?」
藍子『いえ、こっちもシティまで来ているんですけど……』
志希『制服も部屋にあったから、コロニー中のビーでも集めて体の識別コードのチェックしないと見つからないかもねー』
奈緒『そんなことやってられないだろ……どっちの艦にもいなかったし、ちひろさんのところにも行ってないみたいだし』
卯月『PさんもS-02に来てこっちでも探しましたけど、見つからなかったです……』
凛『私たちのほうも、後で外に出て探してみるよ』
奈緒『悪いな凛。そっちも作業残ってるのに』
凛『いいよ。奈緒こそ、またこっちに戻って来てくれたんだから』
奈緒『ま、あたしのほうは別に……』
夕美『とりあえずもうちょっと探してみよう。もう夜だし、これ以上探して見つからなかったら警備のほうにも連絡しないと……』
美波「ええ、私も後で少し外に出るわ」
……
…………
P「あとはこっちで探してみる。桃華たちはフレイの作業に戻ってくれ」
桃華「ですが、フレデリカさんも心配ですわ」
P「だがフレデリカに掛かりきりというわけにもいかないだろう」
凛「修理した機体の調整、もう少しで終わるからその後にまた探してみるよ。智絵里にも作業頼んだままだし」
桃華「Pちゃまも、ご無理なさらずに……」
P「大丈夫だ。フレデリカを見つけたら連絡する」
P「さて、あと探してないのは……」
菜々「あっ……」
P「む、安部中尉」
菜々「お、お疲れ様です! P、Pさん、もう大丈夫……なんですか?」
菜々「いえ、その……よかった、です。本当に……よかった……」
P「……中尉?」
菜々「……」
P「どうしたんですか。なんか、らしくないじゃないですか」
菜々「らしくないなんて……そんなこと、ないです。ナナ……私だって……また、Pさんが起きなかったらって思うと……」
P「……すみません」
菜々「Pさんも、美優さんも……加蓮ちゃんも、ナオちゃんもって……色々、考えちゃって……だから……」
P「……大丈夫ですよ。俺も、ナオも、加蓮も、昔とは違います。美優も……だから気にしないでください。少しアホなことしている中尉のほうが、見てて安心します」
菜々「あ、アホって……」
P「ちょっと俺もまだ別件がありますから、ニュージェネの3人はよろしくお願いします。明日またこっちに来ます」
……
…………
夕美「シティから離れたけど、こっち側ってナシヤマだと私たちの家がある方向だし……」
ナオ「まあ、コロニーの基礎構造って一緒なんだし、フレデリカが行きそうな場所も大体探したし」
奈緒「とはいえ、ホクドウだから家ないしなぁ……」
夕美「フレデリカちゃん……」
夕美「あっ……」
フレデリカ「……」
奈緒「いた……」
夕美「見つけた……そうだ、Pさん……!」
……
…………
P「夕美、奈緒! フレデリカ!」
奈緒「ようやく来た……」
夕美「Pさん……こっちだよ!」
フレデリカ「……」
ナオ「あたしと奈緒は、みんなに連絡してくるよ。奈緒」
奈緒「……ああ」
P「フレデリカ……探したぞ。こんな時間まで外に出て」
フレデリカ「……ん」
夕美「ね、戻ろう? みんなも心配して探してたんだから」
フレデリカ「……やだ」
P「どうした。話してみろ」
フレデリカ「……美嘉ちゃんが、アタシのこと殺そうとしたの」
P「ああ、知っている」
夕美「……怖く、なっちゃったの?」
フレデリカ「アタシのね、仲間の誰かがリカちゃんに怪我させたの。ずっと寝てるんだって。志希ちゃんが教えてくれたんだ」
夕美「大丈夫だよ。莉嘉ちゃん、きっと良くなって元気になるから……」
フレデリカ「違うの」
夕美「……なあに?」
フレデリカ「アタシね、メッセンジャーがアタシたちのこと助けてくれて、人間と一緒にいることが出来て、お腹も空くことがなくなって、白いアイツらからも逃げることもなくなって」
フレデリカ「だけど、アタシたちがたくさん人間を殺したこと、みんな怒ってるのも分かってる。美嘉ちゃんも……」
フレデリカ「プロデューサーだって、美優さんのこと、怒ってるって知ってるの。だから、プロデューサーが起きたら、きっとアタシのこと……だから……」
P「何を言っている。確かに美優のことは色々あったが、俺はお前を怒るつもりはない。お前は……俺の命を救ってくれた。どうして俺がフレデリカを怒らなければならないんだ」
フレデリカ「だって、アタシたちがここに来なかったら、リカちゃんも怪我しなかったし、ありすちゃんだって……アタシたちが勝手にこっちに来たから、みんな怒って、泣いてるのに」
フレデリカ「美嘉ちゃんは、アタシたちのことを怒って……だけど、プロデューサーは怒らなくて……」
フレデリカ「美嘉ちゃんが怒ってるなら、アタシは死んでもいいやって思ったけど、メッセンジャーは生きていいって、プロデューサーは怒らないで、ありがとうって言ってくれたから……どうしていいか分からなくて……」
フレデリカ「志希ちゃんは、人間のことはいつか分かるって言ってくれたけど……でも、分かんない……みんなと一緒にいて、笑って、楽しくて、みんなのこと、好きになっても……だけど……わかんない、わかんないよぉ……」
夕美「フレデリカちゃん……!」ギュッ!
フレデリカ「アタシ……うっ……うう……どうしたらいいの……? メッセンジャーのこと、l人間のこと、分かりたいのに……全然、分からなくて……」
夕美「そうだよね、分かんないよね。私だって、みんなのこと、分からないことたくさんある。ちゃんと分かってあげたくても、分からないことだらけで、泣いちゃうときだって……あるんだから……」
P「フレデリカ、よく聞け。俺も、夕美も、自分以外のヒトのことなんて分からない。ビーも、人間も関係ない。皆同じなんだ」
P「だから……互いを知り、分かりあう為に……一緒にいるんだ」
フレデリカ「!」
P「だから、どれだけ時間が掛かったとしても、分かりあう為に一緒にいる。フレデリカ……お前は、どうしたい?」
フレデリカ「アタシは……アタシ、は……美嘉ちゃんのこと、分かりたい……みんなの、ことも……」
……
…………
ナオ「……あの時、あたしたちは選ぶことができなかった。それしか道が無かったから」
奈緒「ああ。だけど、今は違う」
奈緒「今度は、選ぶことが出来る。今度こそ……その道に行くために、みんながいるんだ」
ナオ「Pさんも、加蓮も、凛も、みんな……その願いをアインフェリアが伝えることが出来るなら……」
奈緒「そのためにあたしはここにいる。次は選ぶために……今度は、諦めたくない」
ナオ「みんなのために、フレデリカのために……」
奈緒「ああ、必ず……!」
……
…………
P「プランの人員について、S-02側の編成見直しに伴いフレイの人員が不足している状態となっている為、速水少尉はフレイに移動することになった。本人には前日に説明済で、今朝方移動してもらっている」
周子(このタイミングで……ね)
P「以降、プラン実行中はLiPPS小隊は塩見周子少尉を小隊長とし、この4人のメンバーで運用となる」
周子(ま、そうなるかー)
志希「おー!」
美嘉「……」
フレデリカ「……」
ありす「プラン実行中の移動はそれぞれ、M-01、S-02に分かれることになりますが、必要であれば連絡を取り合っても構いません」
周子「……りょーかい」
P「以上だ。それではこれで解散とする。1時間後、予定通りNGFのシミュレーター訓練を行う。時間までには格納庫に集合しておけ」
……
…………
琴歌「こちらのお部屋を準備しましたわ。何か不足している物があれば遠慮なくわたくしか、桃華ちゃんにお話しして頂ければご用意しますわ」
奏「ありがとう。でも、必要な荷物なら持ってきた物で間に合っているから、大丈夫よ」
琴歌「わかりましたわ。では、昼食の時間にはお声がけしますね。みなさんで食事にしましょう」
奏「え、ええ……わざわざ揃って食べるのね」
琴歌「はい♪ あ、搬入した3NXですが、機体コードはこちらのローカルにも登録しておきますので、千秋さんと翠さんと、3人で頑張ってください」
奏「……まあ、私は単独出撃をさせてもらうから、必要な場面だけ、ね。単独出撃は、P少佐から許可ももらっているわ」
琴歌「ええ、お話は聞いています」
奏「ゴメンなさいね。厄介者を押し付けられた気分でしょう?」
琴歌「いいえ、そうは思いませんわ。P様から、こちらで貴方を預かってほしいとお願いされましたもの。それに……」
琴歌「本当に奏さんが厄介者であるなら……P様はプランの実施前に貴方を艦から降ろしていると思いますわ」
奏「……」
琴歌「ですから、一度考えてみてください。どうしてP様が、貴方にそうしたのか……あの方が、貴方にどうあってほしいと願っているのか」
……
…………
菜々「……」
菜々「ナナは……」
菜々『Pさんも、美優さんも……加蓮ちゃんも、ナオちゃんもって……色々、考えちゃって……だから……』
P『ちょっと俺もまだ別件がありますから、ニュージェネの3人はよろしくお願いします。明日またこっちに来ます』
菜々「……」ピッ!
ピピピッ!
大佐『私だ。何かね?』
菜々「大佐……」
大佐『おお、安部中尉か。何かあったかね?』
菜々「……大佐ちゃん!」
大佐『……どうしたんだい、菜々ちゃん』
菜々「お願いがあるんです。最後に、1つだけ……」
……
…………
蘭子「闇に飲まれよ!」
奈緒「やみのま」
珠美「まさかこのメンバーでイベントに参加することになるとは思いませんでしたね……」
奈緒「色々思うところはあるけどとりあえず宣伝宣伝……ガチャ引きたいし」
蘭子「うむ、今宵の宴では守護騎士と太眉の乙女が降臨しているぞ」
珠美「イベント曲は『Frost』ですね。珠美たちが歌っています!」
奈緒「んで上位報酬はあたしと……完走報酬は珠美だから、プロデューサーのみんなは頑張って走ってくれよ」
珠美「いやしかしやはりこのメンバーとは……」
蘭子「この前の紗枝ちゃんと周子ちゃんも偶然だったけど大変だった……」
奈緒「まあな……いや、いいんだけどさ、この時期にこの曲のイベントが来るんじゃないかとは思っていたけど」
蘭子「予見の調べ……ううむ、魂を削り取られる争い……」
奈緒「ところで珠美、いつ頃来るんだ? てか来るの?」
珠美「たぶん、もうそろそろかと……」
-------------------------------------------ここまで関係ない話-------------------------------------------
ありす「わざわざこっちで確認してもらってすみません。別件の確認が全然終わってなくて……」
愛梨「大丈夫ですよー。いまはフレイヤも内装点検してますから」
蘭子「もぐ……我らなら……んぐっ、いまふぁら、ふぁいじょうぶ……」モグモグ
ありす「何食べてるんですか……」
蘭子「ピーナッツ」モグモグ
愛梨「こっちに来る前に、楓さんからお酒のおつまみ貰っちゃって」
周子「んー、整備完了済みのブロックのチェック終わりっ! そっちどう?」カタカタカタッ!
美嘉「こっちも終わった」
志希「これドコにデータ置けばいいの?」
フレデリカ「あのね、そこのフォルダ、そっちそっち」
周子「それじゃー全員手空いたことだし、ご飯食べにいこっか」
フレデリカ「お腹すいたー……美嘉ちゃんいこー」
美嘉「……」
志希「ほらほら行こいこ。ご飯食べないと脳みそ回んないし?」
美嘉「うん」
ありす「ん、はい。いってらっしゃい」
パシュンッ!
愛梨「……フレデリカちゃん、いつも通りですね」
ありす「いつも通りに、見えるだけだと思います。夕美さんから聞きました。彼女も色々悩んでいるって」
蘭子「……」ボリボリ……
愛梨「私たちは、ずっとフレデリカちゃんと一緒にいるから、何も気にしたことなかったんですけど……」
ありす「ですが、やはり私や美嘉さんのように、過去にビーたちから被害を受けた者もいます。そういう人たちにとっては、現状やりきれない気持ちはあると思います」
蘭子「……ありすちゃんは?」ゴクンッ
ありす「……私は、どうなんでしょうね。怒りとか、恨みとか……そんなことすらも、忘れてしまっていましたから」
ありす「だけど、今は……フレデリカさんのことが心配です。きっと、それがビーたちと言葉を交わすことができた、私の中の正直な気持ちなんです」
……
…………
ちひろ「いやー、時間掛かりましたね。フレイヤもフレイヤⅡも修理三昧で、ようやく終わってウチに積み込み出来て」
楓「結構やられちゃいましたからね。私たちは、自爆したみたいなものですけど」
P「そりゃ艦がぶっ壊れる速度で飛ばすのはな……」
ちひろ「ま、とりあえずプランV3の主要メンバーが全員無事でよかったです。住居ブロックは全員分割り当てていますから」
ありす「長距離航行プラン、ビーの住む宙域まで移動する為の予定日程は91日でしたか。ずいぶんと長いですね」
ちひろ「システムがなかったら、何年掛かっていたか分かりませんよ? まあこんなに長い任務も中々ありませんね」
楓「往復を考えると半年……ちゃんと戻ってこれるといいんですけどね」
ちひろ「ま、その為に農業プラントから栽培ブロック持っていきますから。モリアンに環境作成するの大変だったみたいですよ?」
P「こちらは乗せてもらう側だからな。移動中は待機と、アインフェリアはI@LPがほとんどだし、何かあれば作業は手伝うが」
ちひろ「道中で戦闘が発生した場合の出撃は、ちょっと考えてからになりますけどね」
ちひろ「避妊はしてくださいね」
P「バカかお前ら! こんなところで何の話をしている!」
ちひろ「何って、ねえ?」
楓「時間が余っているならその分……ナシヤマで退院してから、ずっと外に出たままですし、ね?」
P「しっかりしてくれよ……」
ちひろ「ま、冗談はこれくらいにして。増援も到着したみたいですし、その艦の整備が終わればプラン開始ですね。頑張りましょうか」
楓「プランの予備編成で割り振られてたとはいえ、突然増援で呼ばれるなんて、緊急招集された艦も可哀そうですよね」
P「……そうだなぁ」
……
…………
早苗「てワケで、ヨロシク!」
フレデリカ「こちらこそまたヨロシク!」
ありす「はい。またお願いします」
瑞樹「まーた若い子ばっかり……ちょっとこの艦どうなってるの?」
志乃「まあ……面白そうじゃない……」ゴクゴク
ありす「というわけで、特殊部隊の柊志乃さんと、愉快な仲間たちです」
美嘉「愉快な……」
周子「仲間ねー。よろしく」
ありす「私はプランV3実施の為アインフェリアと合流して宙域ライブの実施、またニュージェネレーション隊も前線の出撃編成に入っています」
ありす「その為増員としてフレイヤⅡについては代理指揮官の志乃さんを含め、この3人に操舵をお任せすることになりました」
早苗「前にもやったことあるから、大丈夫ダイジョウブ」
志希「重要プランで再び海賊に依頼……うーん、やっぱりここって自由だねー」
P「まあ、志乃さんがいるから大佐の権限で特殊部隊の範囲で誤魔化せるしな」
志乃「程々にやるわ……よろしく」
早苗「あれ、ところでP君、美優ちゃんどうしたの?」
P「ああ、それならフレイヤのほうにいる。時間があるときは会ってやってくれ」
……
…………
楓「フレイヤ、艦制御をM-01に譲渡していることを確認しました」
美優「各班からも準備完了の報告が来ています。オート・クレールのスタッフについても……確認しました。フレイヤⅡは……どうですか?」カタカタカタッ!
ピピピッ!
志乃『こっちも、確認したわ……』
ありす『これで全部ですかね』
ちひろ『それではM-01、及び全ての搭載艦の乗員に連絡します。M-01搭載艦のチェックがすべて完了しましたので、これよりM-01を発進させます』
ちひろ『今回の長距離航行プランについて、全体統括をはじめとした体制は改めて展開されている資料を確認してください』
ちひろ『長距離航行プランでのM-01の主要任務は、プランV3を実施するプロジェクト・ヴァルキュリアに所属するフレイヤの護衛となります』
ちひろ『また、状況により編成配置が見直される場合、他強襲艦についてもノルン艦隊の護衛の他、前線任務に配置される場合もあります』
ちひろ『想定される編成内容についても、再度確認をお願いします』
P「プラン開始……か」
楓「ええ、これで最後に出来るといいですね」
ありす『これで最後にする為に、私たちはクイーンのところに向かうんです』
P「ああ、そうだな」
ちひろ『それでは、M-01発進です。宙域に出た後は光波推進システムを使用し、オートメーション機能による移動に切り替えます』
……
…………
P「91日間の移動の間、予定航路上で複数設定した全艦隊のメンテナンスポイントに到着すれば時間はあるか」
千秋『そうね。タイミング的にも、そこならゾーニング現象の解消が必要なメンバーは貴方のところに向かわせるわ』
千秋『本当はそれとは関係なしに、私たちもM-01に戻れればよかったけれど……』
P「移動中の前線部隊の編成に入ってしまっているから、こればかりはな。S-02には安部中尉もいるし、協力してあげてほしいが」
千秋『わかっているわ。私たちもお世話になっているもの。それにしても、安部中尉は頼りになるわね。防衛ラインでの戦闘でも、ニュージェネレーション隊や私たちのフォローもよくしてくれていたし』
千秋『さすが、貴方の元隊長、かしら?』
P「……そうだな、昔から頼りになるところは、頼りになる人だったよ。まあ、ふざけていたり俺に仕事押し付けて自分はサボってゲームばっかりやってたときもあったが」
千秋『そ、そう……』
P「それでも、面倒は見てくれたからな。ナオや加蓮も、世話になっているし……良い人だよ」
千秋『そうね。貴方、それでもフラれているみたいじゃない?』
P「こればかりは仕方がない。今なら俺も時間があったから話を出してみたが……やはり思うところがあったみたいだ」
P「千秋は、どう思う?」
千秋『私が思うことは……そうね、強いて言うなら、やっぱり貴方はお節介なのね』
P「……そうか。それでもいいんじゃないかと思ったんだがなぁ」
千秋『あの子、速水少尉のこともね』
P「そちらでの様子はどうだ?」
千秋『内勤なら問題ないわ。シミュレーターでの訓練も、所属時期の割には良い動きをするから、私たちのほうもいい訓練相手になっているわ』
P「それならいい。すまんがしばらく面倒を見てやってくれ。俺も、場合によってはメンテナンスポイント外でもそちらに直接行って様子を見る。機体ごと使って移動すればいいしな」
千秋『あら、それなら……期待してもいいのかしら?』
P「……まあ、構わん」
千秋『ふふっ、それじゃあ待っているわ』
……
…………
加蓮「はい終わり」
パシュンッ!
周子「はー……しんど」ハァ、ハァ……
美嘉「これだけぶっ通しだと、ちょっとね……」ハァ……
奈緒「大規模戦闘想定のマニューバ5セット分消化……新しいマニューバ、考えとくか?」ピッ、ピッ
ナオ「ドッキングしたときの運用、他にも何か良いやり方があればいいんだけどなー」
志希「ねー……あたしもこれやんなきゃダメなのー……畑違いなんだけど……」
P「緊急時に必要になる場合もある。自衛の為でもあるし、補助AIも積んではいるが、やれるだけやっておいたほうがいい」
奈緒「フレデリカはまだやれそうだな」
フレデリカ「うんっ! アタシも頑張らないとねー♪」
加蓮「ま、時間だし今日の訓練はおしまい。Pさん、シミュレーター片付けてもらっちゃっていいよね?」
P「ん、そうだな。整備班に声掛けておいてくれ」
ナオ「悪い、次の訓練は一緒にやろうか」
加蓮「うん。ブリッジも海賊の人たちが来てくれたから、結構手も空いたしね」
フレデリカ「お風呂オフロー♪」
美嘉「アタシは――」
P「早くしろ城ヶ崎少尉、人数が多いんだ。早く浴場に行くぞ」
奈緒「なっ!?」
美嘉「ぶふぅっ!? あ、ア、ア……アンタ……」プルプルプルプル
P「上官に向かってその口の利き方はなんだ。別にゾーニング現象の解消が必要でないならば何もせん。それに俺はこの後、アインフェリアのレッスンも見なければならないんだ」
ナオ「ああそっか。ありすもレッスンに行ってるしな」
P「そういうことだ。ほら、さっさと行くぞ」
……
…………
奈緒「見るなよ……絶対にこっち見るなよ……!!」ザブンッ!
志希「タオルで隠してるからいいんじゃない?」
P「別に変にジロジロ見たりはせんぞ……というか、この前一緒に入っただろ」
奈緒「こっ、この前、この前は……ああああああ……」
ナオ「Pさん、その話はやめてくれ……あたしも解消が必要だったとはいえ、さすがに今思えばちょっと酷い状況だったし……」
志希「あれねー、あたしもモニターで見てたけど次元を超えたかなりの変態プレイだったね。加蓮ちゃんもテンション高かったしねー」
パシュンッ!
加蓮「ん、何? なんの話?」
美嘉「あ、加蓮も来たんだ」
加蓮「私は計測だけだったけど、時間あるからお風呂入っておきたいし」
フレデリカ「アレ、アタシにも分かったけどヒドイ状況だったよね」
加蓮「ああ、この前の? 『ふふ、どうナオ? 奈緒が見てる前でこんなに興奮しちゃって……Pさんもとっても気持ちよさそう……♪』」
ナオ「ああああああやめろ、やめてくれえええええええ!!!!」
奈緒「……ハハハ……ハハッ」
加蓮「まあまあ、ナオは耐性ないから仕方ないし、ね?」
志希「艦内映像記録で残ってるから今度見る?」
ナオ「んなもん見るかっ!!」
P「はぁ……」
美嘉「ったく……こ、こんな変態トークしてるところになんて……早く体洗って上がろ……」
フレデリカ「あ、美嘉ちゃんシャワー使う? アタシ体洗ったからお風呂入るから使っていいよ」
美嘉「ん、そう」
フレデリカ「アタシが洗ってあげよっか!?」
美嘉「しなくていいから!」
フレデリカ「ザンネン」
志希「……んふー」
P「ん、どうした博士?」
……
…………
ピピッ!
『モニタリング完了。評価結果出力までお待ちください』
ありす「はぁ……やっぱり、まだ合いませんね」
美波「ホクドウではあまり時間も取れなかったし、歌もダンスも合わせる時間がなかったものね。もう少し詰めておかないと」
ありす「むぅ、私だけみなさんと一緒にレッスンが出来ませんでしたから、自分でも仕方がないとは思っていますが……」
文香「そうですね……ありすちゃんとも、もっと早くに練習出来たら、よかったのですが……」
夕美「はいみんなタオル……あっ」
ピピッ!
パシュンッ!
P「どうだ、しっかりやっているか?」フワッ
藍子「Pさんっ、おつかれさまです。いま1パート通したところですよ」
P「評価待ちか。順調であればいい」
P「ありすは外に出ていたから仕方がないさ。モニタリングの結果、俺も見ておきたいんだが」
美波「今取り終わったの、7つ目のデータですよ。あら、Pさん……?」
P「これか。ん、どうした?」ピッ、ピッ、ピッ
美波「……誰とセ○クスしたんですか?」スン、スンスンスンッ
P「待て、風呂入ったばかりだぞ。何故わかる」
文香「ここの臭いは……正直ですから……」スンスンスンスンスンスンスンスンスンスン……
P「どこを触っている……ブリッジに戻るぞ」
夕美「あ、そ、それはちょっと……ほらほら、みんなもレッスンに戻ろう?」
ありす「なんなんですかこの人たちは……」
藍子「ま、まあ……ずっとこんな感じですし……」
ありす「私としては藍子さんも似たようなものだと思っていますけれど」
藍子「」ドスッ!
P「漫才してるんじゃないんだぞ……漫才したいなら上田大尉に教えてもらえ」
ありす「いえ、私たちはそっちの方面で売っているわけではないので……あ、結果出たみたいですね」ピピッ!
夕美「んー……判定、私たちも結構ズレてるなぁ……」
P「思っていたより赤になってる判定が多いな……まあ、1つずつ潰していこうか」
……
…………
パシュンッ!
蘭子「うう……」
愛梨「あううう……」
P「はぁ……」ガコンッ!
晶葉「どうだ、調子のほうは」
P「……悪くない。まだシミュレーターでの操作段階だが、これまでのどの機体よりも動かしやすい」
晶葉「そうか。まだニュージェネたちがやったシステムテストのフィードバックが済んでいないが、現時点の実装内容を反映させた。初期設定は整備長がやったがな」
P「整備長か。であれば、動かしやすいのも納得だ。整備長は、俺のことを分かってくれているからな」
晶葉「本人もこっちに来て熱心にやってたよ。まあ、ナシヤマにいたときは設計も少しやってもらったし、お前の機体だから思い入れもあるんだろう」
奈緒「ふぅ……ちょっとレスポンスが良すぎて反応するのがキツイな……」
ナオ「ドッキングは上手くいくんだけどなー……」
晶葉「ダブル奈緒は機体性能に慣れるのに難儀しそうか。ドッキングを一発でやるのは大したものだが」
ナオ「まあこれが出来ないと、あたしたちが乗る意味ないしな」
愛梨「……むーっ」プクーッ!
P「どうした愛梨? そんな膨れっ面して」
愛梨「せっかく私たちもPさんに追いついたかなーって思ったのに……」
蘭子「我が眷属め……」
晶葉「ああ、そういえばナシヤマでリハビリプログラムやってたときはスコア勝ってたな」
P「まあ、今度はこっちも3Nじゃなくて新型のシミュレーターだしな」
晶葉「まあフォートレスも、ベースにリサーヴがあるっていうだけで4機とも新型だからな。これだけ動かせるならお前たちも大したものだよ」
奈緒「新型なぁ……それにしても、あたしたちはドッキング機使ってるけど、他の部隊でVPGOみたいなオプション兵装って運用してないよな?」
ナオ「そりゃあ……コンペで負けたからな」
奈緒「あっ、そうなのか……」
P「ドッキング機を運用する為の人員の確保と、そもそもの開発費が4N作るより掛かりすぎて蹴られたからな。性能は評価してもらったが」
蘭子「GNブーストも実装できたから、猶更4Nでいいよねって話になったし……」
奈緒「んな地団駄踏まなくても……」
P「落とされたとき、相当悔しがってたからな」
晶葉「……まあ、上の連中が私の開発した機体の良さを理解できなかっただけだ。だからお前たちの機体には相当予算入れたからな」
晶葉「お前たちなら機体を問題なく動かせるようになるだろうし、あとは機体本体とシステムの完成が間に合えばいい」
愛梨「大丈夫なんですかぁ?」
晶葉「ギリギリまで作り込む。負荷軽減についても助手に使わせる指揮官用ヴァルキュリアシステムで最大限、本人の負担にならないように対応させる」
晶葉「奈緒たちのシステムについては、フォートレスに積んでいるシステムをベースにしているから早いうちに仕上がるとは思うが」
ナオ「出来たらそれも起動して訓練か……まあ、奈緒がいるならあたしの負担も無いからいいんだけどさ」
P「システムが間に合えば、か……」
……
…………
菜々「卯月ちゃん前に出てください! 未央ちゃんも!」ボシュシュシュシュシュンッ!
未央『しまむー、ウサミンミサイル来たよ!』
凛『こっちも弾幕張るよ! 2人は合わせて前に出て!』
卯月『はい! CG形態で……!』ガションッ!
ピピピピッ!
菜々「ここは大丈夫……あとは……!」ピピッ!
G型「!!」ギュンッ!
G型「!!」ギュンッ!
菜々「まだG型が……あそこのポイントで戦闘しているの……奏ちゃん!」
ピピピッ!
奏『こっちは大丈夫よ……っ! このっ、しつこいわね……落ちなさい!』ガションッ!
ドガガガガガッ!!
G型「……」ブ、ブブ……
ドガアアアアアンッ!!
奏『私はいいから、混戦しているブリヤントノワールのほうを!』ギュンッ!
翠『ヴェールの陽電子砲の準備が完了するまではこちらで対応しませんと……』
菜々「は、はいっ! 翠ちゃん、黒川少佐、援護しますよ! ウサミーン……」ガションッ!
智絵里『こっちも、フォローに向かいます! ニュージェネレーションは前線ラインを下げないようにお願いしますっ!』ガションッ!
ドシュゥゥゥンッ!
菜々「ビーム!!」ズドドドドドドドッ!!
G型「……!」ブブゥゥゥゥンッ!
G型「!?」
ドガアアアアアンッ!!
千秋『後1匹!』ガションッ!
智絵里『えええいっ!』ブォンッ!
シュパアアアアアンッ!
G型「……」ドガアアアアンッ!!
ピピッ!
卯月『あっ、陽電子砲の発射準備出来たみたいですよ! みなさん下がってください!』
翠『これで対応も終わりですね』
千秋『ありがとう智絵里さん、助かったわ』
智絵里『い、いえっ……早く下がりましょう』ガションッ!
菜々「残りの白蜂が来ないように弾幕も張っておきませんと……!」
……
…………
翠「機体は整備が終わったらフレイのほうに戻しておいてください」
「了解しました。ニュージェネレーション隊の機体についても同じようにしておきます」
菜々「ふぃー……さすがに戦闘回数も結構増えましたね」
千秋「そうね。次からの戦闘はしばらくS-03とS-04の部隊で対応することになっているから、とりあえずは休むことが出来るけれど」
翠「はい、次のメンテナンスポイント目前でしたからね。このポイントで次元振動が観測されるとは……」フワッ
千秋「どこでも白蜂が空間転移してくる可能性はあるもの。何も、私たちを狙って転移するだけでもないし」
菜々「こればっかりは運ですからねぇ」
智絵里「1ヶ月経ったけど、予定日までまだまだ先……ううう……」ハァ……
菜々「一応遅延してないんですけどね。どこかで遅れるとその分こっちがキツくなりますし」
未央「そうだねぇ……連続戦闘に慣れてないと、やってられなかったかも」
奏「……」フワッ
卯月「あっ、奏ちゃん!」
奏「どうしたの?」
卯月「私たちの出撃もしばらくありませんし、ようやく休憩ですね。後で一緒にご飯食べに行きましょう!」
奏「……そうね。卯月も、良いマニューバだったわよ」
卯月「ホントですかっ? えへへ、凛ちゃん未央ちゃん、奏ちゃんに褒められちゃいました♪」
凛「もう……一応同期でしょ。奏を追い越すくらい私たちも頑張らないと」
奏「貴方たちはシステム起動すれば、私とそう変わらない動きが出来るじゃない。同じようなものよ」
未央「いやー、私たちもリスクなしで動きたいから……」
菜々「ささっ、みなさん、整備班のお邪魔になっちゃいますから、私たちも移動しますよー」
……
…………
桃華「フレイは出撃せずにオペレーターしかできませんでしたが、やはり千秋さんたちが出るならわたくしたちも出たほうがよろしいと思いますが……」
翠「とはいえフレイもプロジェクトの艦ですし、編成も今のところはヴェールで間に合っていますから、時子さんが出さないように考慮しているのは仕方がありません」
かな子「何かあったときに、私たちのほうですぐに対応出来ないのも困っちゃうけど……」モグモグ
卯月「今日から食堂のメニューも変わりましたよね」モグモグ
未央「長期任務でモチベーション維持する為の一環だって」
凛「ふーん……まあ、片道3ヶ月あるしね」
菜々「負傷したり、体調崩したりするのも心配なんですけどねぇ」
奏「……」
卯月「次にメニューが変わるまで順番に全部食べてみようかなぁ……」
未央「同じメニューだってあるでしょ? 定食とか」
凛「……ん、どうしたの奏?」
未央「そりゃあ、同じ部隊だからね」
凛「……奏も、部隊あるでしょ?」
奏「私は……別にいいのよ」
卯月「……い、今からでもPさんにお話しして――」
琴歌「まあP様、こちらに来ていらしたのですか?」
未央「んっ!?」ビクッ!
P「ああ、戦闘があったが皆も元気そうだな」フワッ
凛「プロデューサー……と……」
菜々「おや、お疲れ様ですね」
千秋「セカンドドライバーも一緒だったのね」
奈緒「ああ」
奈緒「特殊部隊の運用の件で、財前大佐と話があった。私も特殊部隊の所属だから、P少佐と共に来ることになった」
卯月「な……セ、セカンドドライバーも大変ですね……」
奈緒「お前たち……ふざけているのか?」
凛「いや、久しぶりだからさ……そりゃ間違えそうになるって……」
奏「……」
P「というわけだ。速水少尉、行くぞ」
奏「え……?」ピクッ
P「お前も特殊部隊に所属しているから対象だろう。食事中に済まないが、ついてきてくれ」
奏「……ええ、分かったわ」ガタッ
……
…………
P「運用についてはこんなものか。時子だから話が早く済んで助かるな」
奈緒「いつものことだろう……こちらとしても、出撃要請があった時に上手く立ち回るだけだ」
奏「……」
「P少佐、お疲れ様です」
「貴方は……セカンドドライバーですか。お久しぶりです」
P「うむ」
奈緒「そうか、久しいな……」スッ
奏「……」
P「いまの、知り合いか?」
奈緒「確か……前にS-02側であった作戦任務で、一緒に戦闘をしたことがある」
P「ん……はい、Pです。はい……ああ黒川重工の、お久しぶりです。であれば、少し顔を出します。格納庫ですか?」
奈緒「……?」
P「はい……では今から向かいます。少し待っていてください」ピッ!
奈緒「どうした?」
P「すまん。別件で呼ばれてしまった。大分前に離れたところだったんだが、少し話したいことがあるらしい」
奈緒「そうか。先に戻っていればいいか?」
P「いや、さすがにお前を1人で帰らせるのはな……戻るなら一緒に戻ろう。少し何処かで待っていてくれ」シュッ!
奈緒「……」
奏「……行ったわね、あの人」
奈緒「……さて、どうしてるか」
奏「……こっちの住居ブロック、来る? そのままだと、貴方も息苦しいでしょう?」
……
…………
奈緒「はぁー……久しぶりだから疲れるなぁ」パチッ、パチッ
奏「……貴方、その仮面、セカンドドライバーの時はいつも付けていたの?」
奈緒「ああ、フレイヤの外だとナオのこと知ってる人もいるし、同じ顔の人間が2人いるのは困るだろ?」
奏「そ、そうね。その仮面……」
奈緒「まあ、セカンドドライバーでいるときは顔隠さなきゃダメだし、ちょっと恰好付けすぎかなって思うけど……」
奏(いや……まあ、本人が満足しているなら、いいのかしらね)
奈緒「……ところで、こっちは慣れたか?」
奏「そうね。元々は圏外防衛の任務でS-01には行ってたし、少し違うけれど、元の場所に戻ってきたって感じね」
奈緒「そっか」
奏「……奈緒は、私に何も聞かないのね」
奏「別に、そういうわけじゃないわ」
奈緒「なら聞くなよ……まあ、思うことは人それぞれだし、あたしはあんまり気にしてないよ」
奈緒「それに奏なら、大丈夫だと思ってるし」
奏「……貴方の世界に、私はいたのかしら?」
奈緒「いたよ。だから……ってわけじゃないな。あたしがこっちに戻ってきたのもつい最近で、奏ともそこまで多く話していないし」
奏「それなら、どうして?」
奈緒「……きっと、奏は自分にとって大事なものが何なのか、本当は分かっているんじゃないかって……ただ、いまは見失っているだけで」
奈緒「上手く言えないけど、奏を見てそう思ったっていうか……あたしが、そう信じたいってだけなのかな」
奈緒「少なくとも一緒にここにいるってことは、あたしたちは仲間なんだし……それじゃあダメか?」
奏「……どうかしらね。私自身、自分のことをどう思っているのか……でも、貴方にはそう見えるのね」
奈緒「まあ……はぁー、そういえば翠たちって戻ってこないのか?」
奏「この時間まで戻ってきてないなら……多分、ニュージェネの部屋か、フレイに行ったと思うわ」
奈緒「ふうん……Pさん、いつ頃戻ってくるのかなぁ……」
奈緒「ん? はい」ピッ!
P『……セカンドドライバー、M-01に戻る。格納庫まで来い』
奈緒「もう終わったのか?」
P『ああ』
奈緒「……どうした?」
P『何でもない。早く行くぞ』
奈緒「了解。それじゃ奏、あたしは戻るよ。たまには……LiPPSのみんなに連絡くらい入れてあげなよ」ピッ!
奏「……ええ」
……
…………
パシュンッ!
奈緒「ただいま」
志乃「あら……? おかえりなさい」
加蓮「おかえり。あっちどうだった?」
奈緒「戦闘終わった後だけど、みんな元気そうだったよ。集まってご飯食べてたし」
加蓮「ふーん。あれ、Pさんは?」
奈緒「用があるって、戻ってくるなり急いでフレイヤのほうに行ったけど」
加蓮「そっか。こっちも特にやることないし、少し休んでれば?」
奈緒「いや、訓練行ってくるよ。ナオたちは格納庫だろ?」
早苗「熱心ねー。アンタたち、まだ出撃じゃないってのに」
奈緒「今のうちにやれることやっとかないとな。早苗さんも来るか?」
早苗「んー、どうしよ?」
瑞樹「行けばいいじゃない。こっちも暇だもの」
奈緒「まあ……いっか。気が向いたら来てくれよ」フワッ
パシュンッ!
……
…………
整備長「おーい少佐! 機体の設定大丈夫ですかい!」
P「もう少し待ってくれ、晶葉が反映させたデータの確認も残ってるんだ」
整備長「こっちのフレーム調整終わったんで、出来たら俺の端末に連絡してくださいよ! ちょっとS-02行ってくるんで!」
P「ニュージェネの機体の整備か?」
整備長「メンテナンスポイントに着いたし、今のうちに俺のほうでも見とかねえと心配ですから、遅くても半日くらいで戻ってきますよ!」
晶葉「私も同行することにした。そっちはデータの確認は頼んだぞ。なんだったら他のヤツに話して、フィードバックした分も纏めてシミュレーターにも反映させておいてくれ」
P「それじゃあ、こっちが終わったら連絡入れておく。すまんがニュージェネの3人は頼んだぞ。あと、速水少尉の分も」
整備長「へい、一応3NXのほうも見ときますよ、それじゃ!」
P「仕方がないさ。メンテナンスポイントの滞在期間も3日しかないんだ。ノルンは宙域に出て直接メンテしなければならんし、整備班もしんどいだろう」ピッ、ピッ、ピッ!
美優「機体のほうは……大丈夫、ですか?」
P「シミュレーターも回しているし、何とか間に合ってくれればいいんだがな」
P「とはいえ、今回はフレーム構造も4Nをベースにしないで新規設計した影響で、想定以上に調整の手間が掛かってるみたいで博士も苦労している」カタカタカタッ!
美優「そう、ですか……」
P「フレイヤの作業はどうなっているんだ?」
美優「一度も外に出していませんし、定期メンテだけで……一通り終わっていますので、整備班も他の場所の作業に行ってます」
P「フレイヤは楓さんに任せてしまってるからな。まあ、ちひろさんからは整備班を貸してくれって言われてたし」
P「美優も、時間があるなら休んでいていいぞ。機体のほうは俺や奈緒が自分たちでやるしかないし、志乃さんたちのところに行ってきてもいいが」
美優「いえ……もう少し、ここに……いたいです」
P「そうか」
P「……」カタカタカタッ……
美優「……こうしていると」
P「ん?」
美優「2人きりだったときのことを、思い出します……楓さんや、菜々さん、麗奈さんたちが移行訓練に行って……」
美優「どこでも、2人で一緒にいることが出来て……そのときは、ずっとこの時間が続けばいいのにって、思って……」
P「……そうだな、色々と変わった。俺は、変わったことについては、嫌じゃないが」
美優「そ、それは……他の子たちが、いるから……ですか? 若い子たちが……」
P「お前が一緒にいてくれるからだよ」
美優「……もう」スッ……
P「どうした?」
美優「んっ……」
美優「はい……んっ」
奈緒「……うーん」
ナオ「機体のガワ挟んでるとはいえ、こっちでも作業してるんだけどな……」
楓「ホント、どこでもお盛んですね」ヌッ
ナオ「うわっ!? い、いつの間に……」
奈緒「あっち行かなくていいのか?」
楓「私ですか? そうですね……まあ、今回はハンカチ噛んで見ていようかなって」
奈緒「意外だな……突入しに行くと思ったんだけど」
楓「前に一応、負けちゃってますからね、私。いまはそんな気はしていませんけど」
楓「負けたことがあるのは本当ですから、たまにはこうしておこうかなって」
奈緒「……別にいいじゃん。勝ったとか負けたとか」
楓「そうですか?」
奈緒「だってPさん、楓さんのことも美優さんのことも好きだし。あたしの世界だったら男としてはどうかと思うけど」
ナオ「いやこっちの世界でもどうかと思うぞ……あたしたちが特殊なだけで」
奈緒「好きなら……一緒にいられるなら、そのほうがいいし」
楓「……なるほど、それじゃあ」フワッ
ナオ「あ」
美優「きゃっ!?」
P「うおぉっ!? な、なんですか突然!」ビクッ!
楓「ちょっといやらしい気配を感じたので……私も混ざっていいですか?」
P「いや、そんな気配なんて……」
楓「私はこのまま3Pでもいいんですけど……どうですか美優さん?」
美優「ええええっ……わ、私は……」
楓「いいじゃないですか、この人、家だと6Pとか7Pとかやってるんですよ?」
ナオ「あーあ……」
奈緒「……ま、いっか。こっちも調整終わらせないとな」ピッ、ピッ……
……
…………
瑞樹「M-01から連携されているレーダー情報、異常無し……」
早苗「……これ、帰りも同じルート通って帰るのよね」
瑞樹「そうねぇ」
早苗「長い」
瑞樹「仕方がないでしょ」
志乃「……」スー、スー……
早苗「船長なんて寝てるし」
瑞樹「四六時中飲んでるからでしょ。起きたらまた飲むわよ?」
パシュンッ!
愛梨「お疲れ様でーす♪」フワッ
蘭子「闇に飲まれよ!」
早苗「ん? どうしたのボインちゃん、らんらんも」
愛梨「もうっ、ボインちゃんはやめてください~っ! みなさん、ずっとブリッジにいると退屈かなって思って」ゴソッ
愛梨「食堂でアップルパイ作ったんです。どうですか?」
蘭子「うむ、甘美なる誘惑……ふぁぼっ、ふぁふぉい……」モグモグ
瑞樹「あらいいじゃない。1つ貰うわ」
愛梨「えへへ♪ 本当はこういうことやるのはダメなんですけど、こっそり自分で材料持ち込んでいたから、おばちゃんに頼んで隠れて作っちゃいました」
早苗「ま、いいんじゃない? 食堂爆発させないなら誰も文句言わないでしょ」モグモグ
愛梨「志乃さん……寝ちゃってますね。1つ置いておこうかなぁ……」
蘭子「……」モグモグモグモグ
瑞樹「数日は戦闘も無いし、こっちは元から出撃することもないし、暇になって寝ちゃうわよ」
愛梨「到着予定日まで後19日……メンテナンスポイントも、あとは5日後に予定している1箇所だけですし、もう少しですね」
瑞樹「そうねえ……」
愛梨「アインフェリアもレッスンはほとんど終わりましたし、ニュージェネやLiPPSも無事ですし……」
蘭子「我が眷属、漆黒の騎士と次元を超えし勇者が、間に合えばよいのだが……」ゴクンッ
早苗「まだ掛かってんの?」
愛梨「この前の戦闘で取ったテストデータで、システムのフィードバックも全部おしまいって聞いたから、もう少しだと思うんですけど……」
蘭子「……そういえば」
早苗「ん?」
早苗「どうしてって……そりゃあ、コレでしょ」
瑞樹「今回、結構良い仕事よね。うちの船長もホント良い伝手持ってるわ」
愛梨「あー……そうですよね、海賊さんですし、やっぱりお金たくさんもらえるほうがいいですもんね」
早苗「……それだけじゃないわよー? どっかの誰かさんみたいに、ぽわぽわしたような子が危ない仕事してるの見てると、何となく不安なのよねー」
愛梨「そ、そうなんですか? それは……そういう子がいるのも、ちょっと困っちゃいますね」
瑞樹「あははっ! そうねぇ」
蘭子「もう昔とは違うから……こ、こんなに、立派に……なって……」グスッ、グスッ……
早苗「まーアンタたちと仕事するのも楽しいからね。何だかんだと長い付き合いだし、声掛けてくれれば一緒に仕事するわよ」
愛梨「本当ですかっ? それじゃあ……今回のプランが終わったら、次は何のお願いしようかなぁ……」
愛梨「今度は……もっと安全なお仕事がいいですよね」
早苗「そうねえ……ま、のんびりやって稼げれば、お姉さんたちはそれでもいいけどね」
……
…………
周子「そっか。そっちも暇してるんだ」
奏『この前の戦闘で、次の部隊に交代したもの。後は特に何もなければ、現地での出撃まで待機ね』
周子「現地ねー。フレちゃんたちの星、どんなとこなんやろ」
奏『探査ポッドの映像、見ていないのかしら?』
周子「見た見た、外から見た感じだと、地球とあんまり変わんないよね」
奏『まあ、私も地球には行ったことはないけれど……そうね。思っていたよりは、綺麗だったわ』
周子「まー白いのがうじゃうじゃいるって考えるとね」
奏『……ねえ』
周子「なに?」
奏『美嘉と、フレデリカ……どうしているのかしら?』
周子「聞いちゃうんだ?」
奏『別に……少し、気になっただけよ。何となく……』
周子「プロデューサーやありすちゃんもさ、気遣ってくれるときもあるけど……うん、正直上手くいってない」
奏『そう……』
周子「事情は分かってるから、何も言えないんだけどね」
周子「美嘉ちゃんも、撃っちゃったから後ろめたいって思ってるみたいだけど、それもあってかどうなのか……」
周子「近くにいるだけなら何も言わないけど、くっ付こうとすれば突き放す感じ」
奏『……』
周子「気になるなら、戻ってきてもいいんじゃない?」
奏『お断りよ』
周子「あはは、そっかそっか。ま、そっちで上手くやってるならいいんじゃない? こっちは……ま、終わるまで何も無ければいいなーって」
奏『……そうね』
周子「それじゃ、そろそろ切るね」
奏『ええ、それじゃあ』
ピッ!
周子「……」ボフッ!
周子(上手くやれたら、ね……上手く……)
周子「……」スー、スー……
周子「……うん、そっか。そっち上手くいってるんだ。こっちは……ちょっとあかんなぁって」
周子「なーんも無いのが一番なんだけどね。ほんまに」
周子「……」スー、スー……
……
…………
P「博士、整備長」フワッ
奈緒「新型、仕上がったのか!」
整備長「おう! ギリギリ間に合ったぜ……」
ナオ「ホントにギリギリだったな……間に合わないかと思ったよ」
晶葉「3人とも来たか。シミュレーターでの訓練もやっているしマニュアルも読んでいるとは思うが、一応話しておこうと思ってな」ピッ!
ガショガションッ!
奈緒「おお……これが、新型……!」
晶葉「まずはダブル奈緒の機体だ。NGF-VDPS01Fヴァルキュリアと、NGF-VDPS02Sヴァルキュリアだ。01Fがそっちのナオ、02Sがこっちの奈緒が搭乗することになる」
晶葉「これまでの3N-VPOとは違い、オプション兵装とのドッキング仕様は変更した。両機共にNGFとして単体運用が可能なヴァルキュリアとなっている」
晶葉「機動性、運動性については、どちらの機体も光波推進システムと通常エンジンのハイブリットを採用しているから従来機よりも大幅に向上している」
晶葉「個別の話に移る。01Fはドッキング時にVPSPの役割を担当する。こちらは追加の大型ブースターの標準採用により、更に高度な立体機動戦闘を行うことが出来る」
晶葉「また、試験中だった面制圧用の広域展開兵装についても一部採用している。これもあってドッキング時の武装の大部分は、01Fから選択することになるだろう」
晶葉「標準兵装については基本的に3N-SDと同等の物をバージョンアップして採用している。これについては、近接戦闘を行う奈緒の機体操作感を変えないようにしたほうがいいと判断しての対応だ」
晶葉「過去に使用されていたデュランダルⅣだが、今回新規にHCW-704-SDとして再設計している。追加した仕様としてHCW-211に採用したビーム発信機を増設、超硬度の装甲に対する切断力を更に向上させている」
晶葉「これについては奈緒のソードを使用しての撃破率の高さから、ビーム発信機による斬撃を並行利用することで刀身の消耗を抑えるための対応でもある。実質的にセカンドドライバーの専用装備といったところだ」
奈緒「おおおお……専用、専用装備か……」
ナオ「めっちゃ嬉しそうだな……」
晶葉「あとは……NGF同士のドッキングにより3N-VPOよりも重量は増しているが、光波推進システムと大型ブースターの採用でG型相手にも有利に立ち回ることが出来るはずだ」
晶葉「フレームの改良で高機動戦闘中でもドッキングが可能となっている。ドッキング中に二手に分かれての戦闘や、再度のドッキング等、変則的な立ち回りを求められる状況でもシームレスに行うことが出来る」
ナオ「これでドッキングするときのルート確保もある程度はしなくて済む、か……うん、これならいける」
奈緒「ああ……文句なしだ。ありがとう、晶葉」
晶葉「コイツについては、助手が最初に搭乗したVILS-01から始まり、過去全ての機体運用データを元にお前が動かす前提で機体設計をした。VWPS-02PNヴァリアントだ」
P「ヴァリアント……VWPSか」
晶葉「ダブル奈緒のヴァルキュリアと同様にメインフレームの新造とフレキシブルスライド装甲を再設計したが、そこから更にお前用に調整している」
晶葉「機体の基本性能については限界まで引き上げて、お前の操縦に追従できるよう耐久性、運動性のバランスを取った。現時点では、お前の操縦に対応できる機体でこれ以上の物は作れん」
晶葉「また、光波推進システムによる高機動戦闘やドッグファイトについて考慮した結果、新規兵装としてフロートシールドユニットを搭載している」
晶葉「この機体については通常稼働時にも機体表面に微量の粒子膜を展開し、疑似的にHMMに近い状態を維持して飛行する。その粒子を利用し、機体周辺に粒子保護領域を展開する」
晶葉「これと併せて機体センサーが白蜂の針、粒子砲に反応して機体周辺に一時的な粒子シールドを生成して対象の攻撃を防御する。これにより直接的な回避行動を取らなくとも、ある程度立体機動を維持することが出来るはずだ」
晶葉「ヴァリアントについては、標準兵装以上に基本性能の底上げを徹底的に行っている。これでお前が機体を壊してくるなら、こちらはもうお手上げだ」
P「了解した。操作性についてはシミュレーターでもう十分把握している」
晶葉「出撃の度に機体をオーバーホールさせるのなんて普通有り得んからな。どれだけぶっ壊す気で乗り回しているんだとぶん殴りたくなるが」
P「まあ……それはすまん。俺の操縦が荒いだけだ。整備長にも、いつも手間を掛けさせてしまっているが」
整備長「ま、俺はいいんですけどよ。とっくに慣れちまってるし」
晶葉「後は指揮官用ヴァルキュリアシステムだ。こちらについては現行の改良型から更にシステムテストを行った試作分も含めて、負荷分散、軽減の面において全てテスト結果をフィードバックしている」
晶葉「現時点でもパイロット1人あたりの負荷がある程度軽減されていることもあり、現行稼働しているシステム搭載機全ての負荷を受け持ったとしても、1時間以上の戦闘が可能になっている」
晶葉「お前自身の負荷も、これで相当減っているはずだ。後は、アインフェリアの分をどれだけ受けることが出来るか……」
P「……」
晶葉「今回の機体については3機共、リミッターを掛けている部分も含めてシステムや機体性能に大分余裕を持たせている」
晶葉「マニューバについても今回はHMMとIMMを同時使用できるよう対応しているから、存分に使うことができるはずだ。後はお前たち次第だ……頼んだぞ」
P「……いけるか、2人とも」
ナオ「ああ、大丈夫だ」
奈緒「これで最後にする……コイツと一緒に、今度こそ……!」
……
…………
晶葉「……」
整備長「博士! M-01から借りてたコンテナ返してくるけど、もう使わねえよな?」
晶葉「ん、ああ……後はこっちが持ち込んでいる分で足りる。返しておいてくれ」
整備長「へい了解」
晶葉「……」
志希「どーしたの?」フワッ
晶葉「志希か……フレイヤⅡはどうした」ピクッ
志希「だって暇なんだもん。フレちゃんもさ、どんよりしちゃってるし」
晶葉「仕方がないだろう。事情が事情だ、何かしてやればいいだろう」
志希「最初はさー、そう思ったんだけどねー」
志希「だけど……」
……
…………
フレデリカ「……ねえ、プロデューサー」
P「どうした?」カタカタカタッ!
フレデリカ「……怒らないの?」
P「怒られるようなことやったのか?」
フレデリカ「……」
P「なら、怒る必要はないだろう。何もしていないヤツを、俺は怒らんよ」カタッ……
フレデリカ「……だって、何もできてないんだもん。美嘉ちゃんのこと」
フレデリカ「プロデューサー、アタシに言ってくれたよね。美嘉ちゃんのこと、どうしたいかって」
フレデリカ「アタシが、メッセンジャーとお話ししたときみたいに……美嘉ちゃんのことも、分かりたいって」
P「……もう1つ、俺は話したよな」ピピッ!
P「分かり合う為に一緒にいると……だが、もしかしたらそれは、一生分からないかもしれないことなんだ」
フレデリカ「それじゃあ、アタシが美嘉ちゃんと一緒にいてどうなるの? どうにもならないの?」
フレデリカ「美嘉ちゃんと一緒にゴハン食べたくても、お風呂入りたくても、おんなじところに行こうとしても、美嘉ちゃんはどっか行っちゃって……アタシ、アタシ……」
フレデリカ「リカちゃんのことも、どうしてあげたらいいのかって……やっぱり……分かんない……」
P「そうだな。お前たち2人が、どうなればいいのか……俺にも分からん。だがなフレデリカ、あと1つだけ教えてやる」
P「お前のその悩みと、涙も……1つの答えだ」
フレデリカ「え……?」
P「城ヶ崎少尉……美嘉のことを、理解できなかったとして、お前はその後どうしたい?」
フレデリカ「……どう、しよ」
P「離れて別の場所に行きたいか?」
フレデリカ「……ううん」
P「それでも美嘉の近くにいたいか?」
フレデリカ「……う、ん」
P「お前の悩みと涙は、美嘉を思ってのものだ。誰かの為に悩み、涙を流すことが出来るのは……その人のことを好きでいるからだ」
P「最後にはフレデリカの望んだ結果で終わらないかもしれない。だがどんな結果になろうとも、お前はそれを受け入れるしかない」
ガタッ!
P「フレデリカ、こっちに来い」
P「昔、俺にこうしてくれた人がいたんだ。俺が悩んでいるとき、自分がどうしたいか分からずにいたとき……こうして膝を貸してくれた」
フレデリカ「……」
P「その人の膝の上で、また悩んで、色々考えもした。だが……それも忘れるほど、穏やかな気持ちになれた」
フレデリカ「……うん、プロデューサー……あったかい……膝、硬いけど」
P「もし、辛くて、苦しくて、結果を受け止められないのであれば、俺がお前を受け止めてやる」
P「だから最後まで悩んで、悩み抜いて、お前自身が答えを出して、美嘉と向き合ってやれ」
フレデリカ「うん……もうちょっとだけ……頑張って、みる……アタシ……美嘉ちゃんの、こと……」
フレデリカ「……」スー、スー……
P「……頑張れ。お前はもう、俺たちと同じなんだ。だから……頑張れ」
……
…………
志希「多分フレちゃんって、もうあたしたちと同じ人間なんだよ。だから、悩んじゃって、諦めることや、妥協することが受け入れられないんだよね」
志希「本人は理解してないんだと思う。だけど本質的なところはきっとそう。ビーって元々はお互いで意思疎通し合ってるから、そういう感情は初めてなんだよ」
晶葉「だから、何もしてやらんのか?」
志希「うん。その心はフレちゃんが自分で育てていかなきゃダメだから。あたしだと、全部話しちゃうもん。それじゃ成長にならないし……だから……」
志希「だからカレも、あたしと同じようにフレちゃん自身に任せたんだと思う。けど、ありすちゃんの時みたいに、あたしと違ってカレは加減出来るから、フレちゃんの背中を押してあげることも出来る」
志希「アインフェリアをここまで育てたカレだから、とりあえずはあたしも気にしないんだけどねー」
晶葉「……」
志希「最初の対話でみんな壊れたときは、やっぱりダメだったかーって思ったけど、何とかなるもんだね、ホント」
晶葉「……違うな」
志希「ん?」
晶葉「本来ならば、そんな事態になってしまわないように……その為に、私たちがいるはずなんだ」
晶葉「だが……私はそれを、完全に実現させることは出来なかった」
晶葉「何が科学だ。私たち科学者は、人の未来の為に科学者として存在しているのに」
晶葉「助手を、アインフェリアを……あいつらを不幸にしてはいけなかった」
『P……さ……たすけ、て……』
『身体が、熱い……みんなが、私に話しかけてくる……たくさんの声が、怖い……』
『皆の……恐れ、恐怖……俺の、中で……俺は……おれ、は……』
志希「そーだね、あたしも同罪。だからここにいる」
志希「だけど、みんながここまで辿り着く為に必要な力は、晶葉ちゃんが与えたモノだから……それは、胸張って良いんじゃない?」
志希「せめてそこだけは胸張っておかないと、みんな不安になっちゃうし……ね?」
晶葉「……ああ。グレ○プニールも、NGFも……私の成果だ。何も問題はない……それだけは、信じてやらないとな」
志希「そうそう、信じようよ。自分のことも……みんなのことも」
……
…………
ナオ「この戦いが終わったらさ」
奈緒「いやいやちょっと待て、その発言はフラグとしか……」
ナオ「んなわけあるかっ! いや、ほら、ニュージェネが跳躍テストとかやってたんだけどさ」
奈緒「あー……そういやそんなことやってるのも見たな」
ナオ「いまはまだテストしてる最中だけどさ、いつかはそれが完成して、クイーンの力が無くても、安全に奈緒の世界と繋がるようになったら……」
奈緒「そうだなぁ……遊びに行ったり、来れるようになったりするのかな。次元崩壊しないように慎重になってるみたいだけど」
ナオ「これ以上クイーンが穴開けまくったらどうなるか分からないからな……」
奈緒「ま、あたしがこっちの世界にまた来れたのも、その穴見つけて飛び込んだからっていうのもあるし……ていうか、次帰れるのかな……」
ナオ「そんなこといきなり言うなよ……前も帰れたし、次も帰れるんじゃないか……多分」
奈緒「今回は、やること全部やって……それでしっかり終わらせてから帰らないとな。加蓮が……待ってくれているから」
……
…………
美嘉「……」
『それでね、アタシ絶対ぜーったいアイドルになるんだから、お姉ちゃんみたいに!』
『だからアタシもお願いして、ナシヤマのオーディション受けにいくから! そっちに行くときは、お姉ちゃんのトコに泊まっていーい?』
『あとね、この間チョーイケてる新しいお店が出来たんだけど、おかーさんお小遣いくれなくてさー、まだ行けてないんだよねー』
『それでね、この前お姉ちゃんが話してくれた雑誌、おかーさんが買ってきてくれたんだけどさ。お姉ちゃんメッチャキマッてたもんね!』
美嘉「……」
P『フレデリカのことを、信じてやってくれ』
奏『仲良くしてあげて。あの子も、貴方と仲良くしたいって思っているから』
美嘉「莉嘉……」
……
…………
「S-01から待機通知が届きました。探査ポッドの再射出を実施するとのことです」
ちひろ「ま……待機通知っていっても」
ピピッ!
「対象惑星、スクリーンに出ます」
「生き残っているポッドからの映像、順次切り替えていきます」
ちひろ「前回ばら撒いてここまで辿り着いたポッドが捉えた映像と同じ……当たりですね」
P『撒いたポットが物凄い勢いで食われていくな。さすがに白蜂もこちらの位置を捉えたか……』
ちひろ「そうですね……クイーンは宙域にはいない、となれば……」ピッピッピッ!
楓『あの緑の星……そこにいるのかしら』
愛梨『綺麗ですねー。どんな星なんでしょうか?』
ちひろ「綺麗って……観光に来るだけならよかったんですけどね」
ピピッ!
「S-01から全体通知です。惑星周辺の白蜂、及び蜂の巣が移動を開始したのことです。移動先は……」
ちひろ「光学レーダーの映像をスクリーンに回してください」
フォンッ……
ちひろ「……こちらにまっすぐ向かってきていますね。ま、そりゃそうですか」
……
…………
P「フレデリカ、白蜂から何か感じ取ることは出来るか?」
フレデリカ「……わかんない。いつもみたいに、怒ってるだけ」
周子「……めちゃくちゃな数やね」
志乃「GS型、G型……数えるのも面倒……」
早苗「前に相手したの、どれくらいの数だったっけ?」
P「大規模級との戦闘の話であれば、恐らくそれよりも遥かに多い。現時点でレーダーで捕捉している数で140……全て白蜂だ。巣は3つ、大規模級程はありそうか……巣の中にもまだまだいるな」
美嘉「これ、全部……これだけじゃなくて……」
瑞樹「あの星にもいるかもしれないってことね、分かるわ」
フレデリカ「みんな……もう、いなくなっちゃったのかな。みんな、アイツらに……」
加蓮「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ。クイーン、ここにいないなら……」
ピピッ!
ピピピピピッ! ピピピピピッ!
ナオ「これは……加蓮!」
加蓮「フィールドジェネレーターに反応……次元振動!?」
奈緒「ってことは、空間転移か……!」
……
…………
「空間転移を確認! 一部の探査ポッドがクイーンを捕捉しました!」
時子「スクリーンに出しなさい」
フォンッ……
千秋『これは……あの星のすぐ近くに……財前大佐!』
時子「こちらを迎える気があるのかどうか……まあ、少なくても」
「宙域の白蜂、蜂の巣は進行を続けています! 減速は確認できません!」
菜々『白蜂たちにとっては、いつもと変わらない……ですね』
翠『ではやはり戦闘に……』
「S-01から全体通知、待機状態を解除、コンディションレッドに移行しました!」
時子「チッ……ここからだと、あの馬鹿達の歌も意味はない……戦闘準備をしなさい」
琴歌『わかりましたわ。わたくしたちの為すべきことをしましょう』
時子「M-01とフレイヤ、フレイヤⅡに個別回線を繋ぎなさい」
ちひろ『はい、はい……戦闘準備ですね』
P『フレイヤⅡは予定通り出撃させる。フレイヤは……』
時子「恐らく、こちらの戦力は分断させることになる……前線部隊の消耗を少しでも抑える為に、アインフェリアは出しなさい」
美波『了解しました。アインフェリア隊、宙域ライブを行います』
時子「退避判断は楓が出しなさい。そのタイミングになる可能性はあるわ」
楓『そうですね。宙域から場所を移して星で後半戦をするかもしれませんし、どこかで切り上げないといけませんね』
P『では俺は出撃準備をする。高垣中佐、フレイヤをお願いします』
楓『はい、いってらっしゃい』
……
…………
パシュンッ!
志乃「彼も行ったわね……さて、戦闘準備よ。出撃、頑張りましょうか」
ナオ「今回の戦闘は、アインフェリアの歌をクイーンに届けることだ。通常の攻略戦とは違う、消耗戦になる前に誰かがクイーンのところまでいかなきゃならない」
ピピッ!
加蓮「ありす大尉がいないからこっちで説明するけど、今回は後方支援担当のノルンS-06以外のノルンS-01、02、03、05、09、M-01、それの搭載艦はすべて前線になるから」カタカタカタッ!
加蓮「それ以外の補給部隊やモリアン艦は護衛のヴェールと一緒に宙域から離脱。基本的な立ち回りはプランV2と同じ」
加蓮「前線ノルン艦隊の脇にフレイヤを配置して、アインフェリアの宙域ライブを実施……ナオが言った通り、誰かがクイーンのところに行くまで、アインフェリアは歌い続ける」
奈緒「前線部隊もそうだけど、アインフェリアのことも考えたら、どうあれ長期戦は出来ない。時間との勝負でもある」
周子「だからあたしたち全員、フレイヤとフレイヤⅡは温存だったからねー」
ナオ「プランV3のメインでもあるからな……艦隊の進行ルートの確保はニュージェネ側の仕事だ。それは向こうに任せよう」
ピピピッ!
ありす『すみません、こちらの準備もあってブリッジに行けない状態で』
フレデリカ「メッセンジャー! ううん、大丈夫だよー」
ありす『こちらもフレイヤの専用ステージの展開準備に入っています。フレイヤⅡはM-01から出撃し前線の強襲艦隊に加わってください』
志乃「ええ……そっちも、よろしく」
ありす『最善を尽くします。P少佐は?』
ナオ「志希と一緒に医務室に行ったよ。すぐフレイヤのほうに行くはずだ。あたしは先に済ませたから大丈夫」
ありす『わかりました。では……お願いします』
ピッ!
奈緒「……よし、あたしたちも出撃だ」
……
…………
プシュッ!
志希「はい、おしまい♪」
P「……」グッ!
志希「キミはアインフェリアと、戦いに集中して。キミ自身が、やらなきゃならないことを見失わないで」
P「ああ、分かっている。手間を掛けさせてすまんな」
志希「まあまあこれくらいはねー。降下する事態になったら、早めに環境情報は取るようにするから心配しないでね」
P「俺や蘭子なら大丈夫だ。それに、恐らくは奈緒も」
志希「ま、それもそっか♪ 他のメンバーは苦労しそうだねぇ」
P「その為の訓練は行っている。後は本人たち次第だ」
パシュンッ!
P「では行ってくる。博士、後は頼んだぞ」
志希「あたしじゃなくて海賊たちが頑張るんだけどねー。にゃはは、そっちも頑張って♪」
P「当然だ」
……
…………
P「いた……皆」フワッ
美波「Pさん……!」
文香「準備のほうは……よろしいのですか?」
P「ああ。ここから格納庫に向かってカタパルトに移動する。皆は、大丈夫か?」
藍子「はいっ、準備はしてきましたから」
夕美「今度こそちゃんと想いを届けようって、みんなで決めたもんね」
ありす「はい。だからPさん……私たちのことを信じてください。そして、戻ってきてください」
P「必ず戻ってくる。皆の歌が俺の中に響く限り、俺は死なん」
美波「簡単に言うんですから……でも、それなら私たちも、安心してステージに立つことができます」
P「……アインフェリア隊、これよりフレイヤは長距離航行プランの主目的、プランV3の実行に移る」
P「宙域に出た後、専用ステージ上で宙域ライブを実施、クイーンとの相互理解を図り、戦闘を終了させることが今回の任務になる」
P「皆の負担が大きいことは分かっているが……頼んだぞ」
「「「「「はい!」」」」」
……
…………
瑞樹『フレイヤⅡ、ノルンM-01から出撃して宙域に出たわ。ハッチ開放、出撃していいわよ』
ナオ『加蓮、ウィングバインダーとアサルトパックは大丈夫か?』
加蓮『うん、シミュレーターも回してるし大丈夫、ちゃんとやれるよ』
奈緒「頼りにしてる。あたしとナオの後ろは任せた」
加蓮『心配しないで。私より、LiPPSのほうが心配でしょ?』
奈緒「……ま、何だかんだで上手くやってくれる、そう思っていいんだよな?」
周子『そうするしかないでしょ? まあまあ、ゆるーく頑張るからさ。いいよね、フレちゃん、美嘉ちゃん』
フレデリカ『オー! 美嘉ちゃん、友情パワーで頑張ろー! 待ってろクイーン!』
美嘉『とにかく、ここまで来て四の五の言ってられないでしょ。やることはしっかりやるから』
ナオ『……ああ、その勢いで頼んだぞ』
整備長『お前ら、しっかり頼むぞ!』
志希『頑張ってねー♪』
おばちゃん『気を付けて行っといで。終わったら何でもご飯作ってあげるから』
奈緒「そっか。よし、それじゃあ行くか……!」
周子『りょーかい。LiPPS、出撃するよ!』
美嘉『行くよ!』
フレデリカ『はっしーん!』
加蓮『それじゃ、私たちも行こっか』
ナオ『ああ……NGF-VDPS01Fヴァルキュリア、出るぞ!』ガションッ!
奈緒「あたしがここに戻ってきた理由……今度こそ、選ぶ為に……」
奈緒「……神谷奈緒、NGF-VDPS02Sヴァルキュリア、出撃する!」
……
…………
菜々「ARGT-R4のシステム起動、疎通確認完了です」ピッ、ピッピッ!
『Union』
『Striker』
『Armord』
『Module』
『In』
『Next G』
菜々「これで……」
ピピピッ!
卯月『ニュージェネレーション隊、全員出撃しました!』
千秋『ブリヤントノワールも出たわ。戦闘中は、お互いに上手くやりましょう』
翠『奏さん、戦闘中のマニューバについては気を付けてください。何かあれば連絡をお願いします』
奏『ええ……了解』
智絵里『私も出撃しました。菜々さん、ARGT……大丈夫ですか?』
菜々「……はい、やれます。いつも通り、バッチリです!」ギュッ!
菜々(ナナは……)
『出撃準備完了、発進タイミングを安部中尉に譲渡します』
菜々「……RS-01、安部菜々、出撃します!」
……
…………
P「標準兵装確認、粒子制御システム起動確認……」カタカタカタッ!
P「ヴァルキュリア各機もすべて出撃したか。システム対応機の識別コードを確認」パチッ、パチッ!
愛梨『P少佐、私たちのほうも機体チェック完了しました』
蘭子『宵闇を舞い、魂の鼓動を響かせる為の我が力……ブリュンヒルデは今、覚醒の時を迎えた』
P「出撃後のマニューバについては予定通り頼むぞ」
愛梨『はーい。あ、そうですP少佐、アインフェリア隊、大丈夫そうでしたか?』
P「大丈夫だ。皆も落ち着いていた。俺たちは信じていればいい」
蘭子『はい。私たちもいつも通り、頑張りましょう』
ピピピッ!
美優『Pさん……』
P「美優……どうした?」
楓『私たちのところに、じゃないですか? 独り占めですか?』
美優『あっ!? い、いえ、そういうわけじゃあ……』
P「何やってんだか……俺は大丈夫だ。2人も気を付けて。アインフェリアのことは頼んだぞ」
楓『あ、はい、そこは心配しないでください。晶葉ちゃんも準備が終わったらブリッジに上がってくるみたいですし』
ピピピッ!
晶葉『助手よ、専用ステージの生命維持装置の最終チェックは完了した。お前が出撃した後にフレイヤは積層イージスを展開させる』
P「了解した。ステージの状況については何かあれば俺に知らせてくれ」
晶葉『ああ。こちらの面倒は見る。お前たちは気にせずに行ってこい』
愛梨『それじゃあ行きましょうっ! Pさん、蘭子ちゃん!』
蘭子『はい! NGF-F-VPS13フォートレス、発進します!』
P「さて……行くか。VWPS-02PNヴァリアント、出撃する!」ガションッ!
……
…………
P「LiPPS小隊応答しろ、戦闘準備は大丈夫か」
ピピピッ!
周子『はいはーい、LiPPSでーす。VP-005、006、007全員準備完了だよ』
P「了解した。LiPPS小隊の識別コードはVPS-002だ。こちらはラピッドストライカー小隊と共にVPS-001小隊になる」
ナオ『菜々さんは今回の戦闘ではニュージェネと智絵里と統合しているから、一時的にコンコルディア隊所属になってる。間違えないでくれよ』
加蓮『こっちのほうが元部隊メンバーも含めて人数多いしね』
フレデリカ『コッコ隊大丈夫かな……』
奈緒『智絵里なら大丈夫だよ。フレデリカはこっちで頑張ってくれ』
フレデリカ『うん! 美嘉ちゃん、ガンバロー!』
美嘉『P少佐、前線見て!』
P「前線部隊のヴェールの配置も済んだか……ある程度クイーンに接近するまで、こちらは他部隊の援護も行う。前線のラインを上げねばならん」
ちひろ『こちらM-01です。所属部隊に連絡、クイーンの粒子砲については反応を確認次第こちらから展開しますので対応をお願いします』
ちひろ『また、クイーンの背後の星……暫定惑星Bについては降下する事態になった場合は速やかに付近の艦に着艦するように』
P「こちらVPS-001、了解」
周子『VPS-002も了解』
ピピピッ!
瑞樹『前線、先頭に出てるNGF小隊と白蜂がそろそろぶつかるわよ。距離は1000!』
P「了解した。よし、これより俺たちも戦闘を開始する。北条少尉、ブースターユニットは可能な限り増設しているな?」
加蓮『はい、不要になった分は順次パージしていきます』
P「こちらとのマニューバが困難になったらLiPPSと合流して行動しろ。それまでは頼むぞ」
蘭子『機体性能差も結構あるから……』
愛梨『加蓮ちゃん、無理はしないでくださいね!』
加蓮『了解です。奈緒!』
奈緒『よし、こっちも行くぞ。LiPPSも落ちるなよ!』ガションッ!
美嘉『分かってる!』
フレデリカ『待っててね、クイーン!』
……
…………
GS型「!!」ギュンッ!
翠「ロングライフル、ガラティーンを照準……索敵範囲内の白蜂を牽制します!」ガションッ!
ドシュゥンッ! ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!
GS型「!?」ドガアアアンッ!!
翠「良い具合です。P少佐からお借りした武器、上手く使いませんと」ピピピッ!
智絵里『な、菜々さんとニュージェネは弾幕をお願いしますっ! 千秋さん!』ギュンッ!
千秋『各機、展開されている進行ルートを確認しつつ障害を排除するわよ』
翠「申し訳ありませんが、援護をお願いします」
凛『了解!』
卯月『弾幕展開も頑張ります!』ボシュシュシュシュッ!!
未央『ウサミン中尉! デカいのお願いします!』
菜々『はい! ARGTの腕部装甲展開、索敵範囲のG型とGS型にターゲット……!』ピピピピピッ!
ガショガショガションッ!!
菜々『いきますよ、ウサミンホーミングミサイル!!』ボボボボボボボボッ!!
ドガガガガガガァンッ!!!!
シュパアアアアンッ!!
G型「……」ブ、ブブブ……
ドガアアアアアアンッ!!
智絵里『G型は通しちゃダメだから……ええいっ!』ドシュウンッ! ドシュウンッ!
G型「!?」ドガァァァンッ!
ピピピッ!
琴歌『こちらフレイ、これより強襲艦隊によるミサイル攻撃を行いますわ』
桃華『着弾範囲を転送しますわ。各機避けてくださいまし』
かな子『アルヴァルディ発射します。射出後、次弾装填準備に入ります!』
ドガガガガガガァンッ!!!!
凛『こっちの出だしは大丈夫……P少佐たちのほうが……』
菜々『あちらは遊撃部隊として編制されています。プランV3の対応についてはP少佐たちのほうが率先して行いますし、ナナたちはこっちを頑張りましょう!』
卯月『は、はいっ!』
……
…………
蘭子「愛梨ちゃん、GNS-071小隊のほうに!」ギュオオオオオッ!!
愛梨「はい、GS型6匹、G型1匹にターゲットロック……ガンダルヴ、射出します!」バシュシュシュシュンッ!!
蘭子「これだけの誘導兵装があれば、後はマニューバで!!」ガションッ!!
GS型「……!」ブブゥゥゥゥンッ!!
愛梨「そこです!」ドシュゥンッ!!
GS型「!?」ドガアアアアアンッ!!
G型「!!」ギュンッ!
蘭子「この先は通さん……我が魔力を込めた刃の一撃を……!」ブォンッ!
シュパアアアアアンッ!!
ドガアアアアンッ!!
蘭子「うむ、偶像の象徴と共にあるのならば……!」
愛梨「Pさん奈緒ちゃん、マニューバは分かれましたけどそっちは大丈夫ですか?」
ピピピッ!
……
…………
奈緒「ああ、まだ大丈夫だ……!!」
P『クイーンに向かうには巣を突破しなければならないか、大きく迂回するべきか……』
G型「……!」
G型「……!」
G型「……!」
『GNS-063から065、集団で動いているG型がいる。突破されるぞ!』
『まだ弾幕が効いている! 牽制して立体機動戦闘に持ち込ませるな!』
ナオ『この状態じゃまだルート算出をしている余裕は無いな……こっちの前線が上がらないと下手に動くことも出来ないし』
奈緒「なら前線部隊の頭を叩いて流れを作るか。Pさん、加蓮!」ガションッ!
ナオ『よし、2人は前に出てくれ。あたしと加蓮で弾幕を張る。いけるか?』
加蓮『大丈夫。P少佐、マニューバは?』
P『コンビネーションマニューバはH04で行く。奈緒、G型を優先するぞ』
奈緒「わかった、GN形態に移行……行くぞ!」ドシュウウウウンッ!!
P『光波推進システムの状態確認、ビームウィングを展開……ハイパーマニューバに移行しなくとも……!』ガションッ!
G型「!!」ギュンッ!
奈緒「そこだ!!」ドシュゥンッ! ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!
G型「!?」ドガアアアアアンッ!!
G型「……!」ブブゥゥゥゥンッ!!
P『遅い、ドラウプニル!』ガションッ!
ドガガガガガガッ!!
『その機体……プランV3のところか!』
ナオ『G型はこっちで優先して抑える。他の部隊は足並み揃えて進んでくれ、M-01とフレイヤをクイーンに近づけるのが優先だ!』
『そちらはプランの実行を優先してくれ……と言いたいがこちらも少しばかり苦しい。すまないが頼んだ』
加蓮『ちょっとあの2人メチャクチャ動きすぎ……バルムンク照準、2人とも、当たらないでよ!』
G型「!!」ズドォンッ!!
P『粒子砲か、だが!』ヒュバアアアアア……
P『フロートシールドユニットか。ピンポイントの防御だがイージスよりも燃費がいい。これなら!』ズドォンッ!!
ドガアアアアアンッ!!
奈緒「いやあんまり無視して突っ込まないでくれよ。こっちだって追いつくの大変なんだから……」
P『っと……そう、だったな。すまん』
ピピピッ!
志乃『前線……強襲艦隊のミサイル攻撃が入るわ。後方の白蜂の群れ……分断させるから、前はよろしく』
早苗『いくわよー! 今のうちに動いて数減らしなさいよ!』
ドガガガガガガガァンッ!!
奈緒「この調子のまま進めればいいけど、クイーン……!」ギュオオオオオッ!!
……
…………
晶葉『前線部隊については現状問題はない。クイーンの粒子砲が来ない限りはこのまま動くとは思うが、艦が大きく動いた時は気を付けてくれ』
美波「大丈夫です。博士にも手間を掛けさせてしまいますけど……」
晶葉『これが私の仕事だ。お前たちは何も気にしないでクイーンと向き合ってくれ』
楓『お願いしますね。あ、降下する事態になったら一旦中に戻ってくださいね』
ありす「分かりました。そのときは連絡ください」
ピッ!
文香「はい……もう、何度目になるのか」
夕美「でも、本当はこんなこと……しなくてよかったら……」
ありす「違います。しなければならないから戦っているんです。私たちと、クイーンと……分かり合う為に」
夕美「……うん、そうだね。みんな、ここにいるから……たぶん、同じ気持ちなんだよね」
美波「ええ、きっとそうなんだって……私たちは信じていないと。だから、クイーンには分かってもらわなきゃならない」
文香「貴方の、思う心は……私たちと同じかもしれない……怒りの心も……だけど、そう望んだのは……何より……」
藍子「あなたの子供たちが選んだ道は、とっても明るい、未来に向かう為の道だって……ちゃんと、分かってもらいませんと」
ありす「もし逆の立場だったとしたら、私たちでは選べないかもしれません。だから、その思いは……必ず伝えないといけません」
美波「ええ……だからみんな、行きましょう」
美波「私たちの、アインフェリアとしての……使命の為に!!」
「「「「はい!!」」」」
……
…………
周子『おー始まった。まあまだ、あっちまで届かないんだろうけど』
フレデリカ「メッセンジャーの歌……美嘉ちゃん、がんばろ!」
美嘉『分かってる! そっちも手抜かないで!』
GS型「!!」ブブゥゥゥゥンッ!!
フレデリカ「みんな!」ギュンッ!!
ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!
GS型「……!」ヒュカカカッ!!
ズドォンッ!
フレデリカ「メッセンジャーの歌だよ! アタシたち、この歌があったから……だから、みんなも聞いて!」
周子『あんまり激しくなっちゃダメだからねー。マニューバ、Y02で行くよ。フレちゃん、よろシューコ』
フレデリカ「あっ、うん! 美嘉ちゃん、アタシ前出るから!」ギュンッ!!
周子『美嘉ちゃんも左側頼むよ。あたし右やるから』
美嘉『り、了解……このっ!』ガションッ!
ズドォンッ!!
……
…………
智絵里『前線のラインが上がってる……このまま進めば!』ギュンッ!!
翠『千秋さん、マニューバを!』
千秋「ええ、合わせて頂戴! P少佐!」
ピピピッ!
P『アインフェリアの宙域ライブが開始されたのを確認した。進行状況は順調だ。ヴァルキュリアシステムはどのタイミングで使っても構わん』
千秋「そのつもりよ。ヴァルキュリアシステム、起動!!」
『―Valkyria System Start Up―』ピシィッ!
翠『P少佐、ご負担にさせてしまって申し訳ありませんが……!』パシュゥンッ!
P『構わん。長引いた場合、1時間を目途にしてくれ。それまでは各機好きにしてくれ』
未央『はい! こっちも行くよ!』
智絵里『みんなの機動力が上がってる……!』
菜々『智絵里ちゃん、ナナたちはGNブーストで行きましょう! あ、ナナのほうはARGTだから使えないんでした……』
智絵里『は、はい! GNブースト、起動します……!』ピピッ!
GS型「!!」
智絵里『連続稼働はできないけど……動けるときに……!』ギュンッ!
ドガガガガァンッ!!
菜々『はい! アインフェリアが元気なうちに頑張りますよ!』
……
…………
ピピピッ!
奏「アインフェリアの宙域ライブが……始まったのね」ピピピピピッ! ピピピピピッ!
GS型「!!」ブブゥゥゥゥンッ!!
奏「このっ……ダインスレイヴ!」ガションッ!
ズドォンッ! ズドォンッ!
ドガアアアアアアアンッ!!
奏「まだ始まったばかりよ。落ちるわけにはいかないわ……!」
ピピッ、ピピッ
奏「……周子たちも、まだ大丈夫そうね。あっちには、P少佐や奈緒たちがいるから……当然よね」
奏「私は……」ギュンッ!!
ドガガガガガガッ!!
GS型「……!」ドガアアアアアンッ!!
奏「私……は……」
……
…………
P「黒川少佐たちがシステムを起動したか。ならこちらも……!」
『―Valkyria System Start Up―』ピシィッ!
パシュウンッ!!
P「指揮官用ヴァルキュリアシステムを起動、各機のヴァルキュリアシステムとのデータリンク正常……!!」ドクンッ!
P「……以前よりも体が軽い。問題ない」
P「出撃済のシステム搭載機12機中7機が起動。奈緒や蘭子たちはまだ通常飛行で大丈夫か。アインフェリアの分のシステム負荷もここで受ける……!」カタカタカタッ!
ピピピッ!
愛梨『P少佐、前線ラインが上がってきていますよ。抜けるタイミングを作りますか?』
奈緒『いやまだ早い。3つの巣からどれだけ増援が出てくるかもまだ分からないし、クイーンがどう動くつもりなのかも見えてない』
ピピピッ!
瑞樹『一応前線なら消耗状態もそこまで早いペースじゃないし、まだ十分やれるわね。後々でもう少し有利な場面も出るかもしれないわよ』
P「……可能であれば……いや、もう少し待とう。時間は限られているとはいえ、前線が優勢であるならば確実に動いておきたい」
愛梨『はーい。それじゃあもう少し頑張りますね』
P「十時大尉も、必要であれば神崎中尉とヴァルキュリアシステムを起動して構わん」
愛梨『まだ大丈夫ですっ! 蘭子ちゃんと一緒ならまだまだ頑張れますから!』
ナオ『あたしたちのほうはドッキングしたらシステム使わなきゃ機体捌けないからな……そのまま2人乗りは無理だな』
愛梨『えへへっ、蘭子ちゃんといつも一緒ですから♪』
蘭子『あ、愛梨ちゃーん……管制ちゃんと見て……』
愛梨『あっ、はーい』
P「……まあいい。判断は間違えないだろうから、そちらのタイミングに任せる」ギュンッ!
GS型「……!」ヒュカカカッ!!
P「遅い!」ブォンッ!!
シュパアアアアンッ!!
ドガアアアアアアンッ!!
ピピピッ!
P「俺だ」ピッ!
P「こちらで確認できている。問題はないか?」
周子『いまのところは大丈夫。こっちは予定通り前線ラインに混ざって動いてるけど、極端に押されてるところもないし』
P「それないい。何かあれば連絡をしてくれ。フレデリカ、美嘉」ピピピッ!
美嘉『はい』
フレデリカ『なーに?』
P「……クイーンの動きはまだ見えないが、このまま前線が優勢であればこちらのメンバーの誰かがクイーンのところまで飛ぶことが出来る」
P「長期戦も視野に入っている戦闘ではあるが、アインフェリア側の負担を考慮すると長引かせるわけにはいかない。頼んだぞ」
フレデリカ『うん、フレちゃんに任せて!』
美嘉『アインフェリアの代わりに前に出るのがアタシたちの仕事なんだから、それくらい当然!』
ピピピピピッ! ピピピピピッ!
P「全軍通達……!!」
時子『前線の各機、クイーンの周囲に高エネルギー反応が確認されたわ』
ピピッ!
時子『ヤツの粒子砲の有効範囲を転送したわ。急いで射線上から退避しなさい!』
奈緒『来たっ!!』ガションッ!!
P「流石前回とは違って今回は発見が早い。各機、GN形態に移行して射線上からなるべく離れろ」
瑞樹『ちょっと喋ってる間にもう……粒子砲、来るわよ!』
……
…………
女王「……」ギ、ギギギギ……
キィィィィン……
女王「……!!」
ギュドォォォォンッ!!!!
――キィィィンッ!
……
…………
キィィィンッ!!
美波(ダメ! クイーン……まだ、ここからだと私たちの声が……!)
ありす(その光は、あなたの大切なものを守るための光……だけど、その光で失われるのも……)
文香(貴方の、大切なもの……ですから、どうか……!)
夕美(やっぱり、見失ってる。怒って、悲しくて……だから、気付いてもらわないと……)
藍子(お願いします。Pさん、奈緒ちゃん……みんな……!)
……
…………
ドドドドドドドドドドッ!!!!
『回避だ! 各小隊、今の粒子砲で損害が出たところは報告しろ!』
『サブブリッジ、S-03の全システムの稼働状況を確認しろ! 異常があればリカバリに入れ!』
ナオ『くっ、効果範囲が広すぎる……!!』ギュオオオオオオッ!!
奈緒『加蓮、大丈夫か!』
加蓮『私は大丈夫! P少佐、他のみんなは!』
ピピピッ!
志乃『こっちは……大丈夫よ』
楓『フレイヤも大丈夫です。アインフェリアの専用ステージも特に問題有りません』
P「了解した。システム起動済のヴァルキュリアとは疎通状態を維持している。艦も無事であるなら問題ない」
フレデリカ『クイーン……もうっ、クイーンのおバカ! そんなことばっかりやって!』
周子『フレちゃんプリプリするのはストーップ。あたしらが回避したところ、前線ラインの穴になるからカバーしに行くよー』
ナオ『P少佐、あたしたちも一度LiPPSと合流しよう。この前の戦闘みたいに後手に回るのは避けたほうがいい』
P「了解した。VPS-001と002は一度合流だ。合流後は――」
――キィィィンッ!
P「……っ!」ビクッ!
P「……合流後は、前線ラインが整うまで纏まって行動する。その後は状況に応じて別途立ち回る」
P(またこの感覚か……まだ、まだ持ってくれ。始まったばかりなんだ……この前のようになるわけにはいかない……!)
……
…………
「艦長、前線各部隊からの応答がありました。被害状況の集計出します」
ちひろ「完全回避、とまではいきませんよね……被弾した機体については必要であれば随伴機を立てて帰艦させてください」
ちひろ「小隊編成を維持できなくなった隊については再編成リストを展開します。対象部隊は一度下がって、識別コードの振り直しを」
ピピピピピッ!
「S-02から通信です」
時子『そっちの状況は?』
ちひろ「問題ありません。フレイヤについても宙域ライブは問題なく続行しています」
時子『チッ……戦況としてはこちらのほうが優勢ではあるけれど、クイーンが出ている限りは立て直しの手間が掛かるわね』
ちひろ「仕方がありません。どのタイミングで動くかと言われると……」
「艦長! クイーンに動きがあります」
ピピピッ!
女王『……』
ちひろ「後ろに下がって……? いえ、これはもしかして」
時子『後ろの星に向かって降下する気なのか……』
ちひろ「フィールドジェネレーターは?」
「最初の空間転移による次元断層は残っていますが、新たな次元振動の発生は確認できません。断層レベルは10を維持しています」
ちひろ「まだ断層が……そうですか、そのまま落ちていくつもりですね……財前大佐」
時子『艦隊を分けることになるわね……予定していた通り、降下部隊は移動するわよ。S-01と確認して展開するわ』ピッ!
ちひろ「今のうちに、前線部隊の交代を。予備部隊を出して、戻した部隊は補給後に降下準備に入ります」
……
…………
ピピッ!
奈緒『クイーンに動きが……』
加蓮『これ、後退してる?』
P「ブリッジ、クイーンの状況は確認できるか?」
ピピピッ!
志乃『たった今、M-01から通知が来たわ……女王様、星に帰るみたいね』
ナオ『星に戻るのか? だったらこれから……』
瑞樹『艦隊を分けて降下準備に入るわ。S-01、S-02、M-01のノルン、及び所属する強襲艦隊は降下準備に入るわ』
瑞樹『みんなも、ほどほどにしてこっちに戻ってきて頂戴。今のうちならギリギリ収容まで間に合うし、間に合わなかったら甲板で待機してもらうわよ』
ナオ『どうするP少佐?』
P「クイーンの粒子砲で出来た前線の穴をカバーしている最中だが……ここで戦力を分けると宙域で戦闘する部隊が持たないぞ」
ピピピッ!
ちひろ『そこは頑張ってもらうしかありませんね。私たちだって降りた先がどうなってるか分かりませんし』
楓『わかりました。そちらはどうしますか?』
P「こちらはギリギリまで戦闘を行う。互いに苦しい状況になるだろうが、宙域の白蜂は少しでも減らしておかなければならん。志乃さん、悪いが付き合ってもらうぞ」
志乃『あら……ふふっ、分かったわ』
早苗『うへぇ……下がったっていいじゃないの……』
美優『後方支援の……S-06が上がってくるそうです。それでも、大規模の巣が3つの状態で、ノルン艦4隻では苦しいとは思いますが……』
P「だがやるしかあるまい。ブリヤントノワール、ニュージェネレーション、聞こえるか?」
ピピピッ!
千秋『聞こえているわ。降下準備ね?』
P「ああ。艦隊の進行ルートの確保をしていたそちらのほうが消耗が激しいだろうから、そちらは先にフレイに帰艦しておけ」
千秋『了解。ニュージェネ―レーション隊もいいわね?』
未央『はいっ! ってP少佐たちはまだ前線残るんだ……』
美嘉『って喋ってるのはいいけど! こっち結構来てるよ!』ズドォンッ!!
蘭子『微かな隙を突いてくるとは……女王の意思ではなく、本能がそうさせているのか……!!』ギュンッ!!
G型「!!」ドシュシュシュッ!
奈緒『針か……くっ! ナオ!』
ナオ『抜けさせるかよ! ビフロスト……!』ピピピピッ!
ボシュシュシュシュシュッ!!
P「とりあえずこちらは可能な限り残る。フレイヤはM-01と合わせて降下準備をしてくれ」
……
…………
志乃「というわけで……整備長、裏で降下準備、お願いね」
整備長『へい了解! タイミング合わせてすぐやれるようにしとく! そっちも艦の移行は任せたぞ!』
ピッ!
早苗「うひゃー……他所の星に降りることになるとはねぇ」
瑞樹「作戦プランの中にあったでしょう? ほら、弾幕張りながら準備するわよ」
志希「……そうだ、ちょっとS-02、聞こえる? 探査ポッドまだ残ってるの?」
ピピピッ!
時子『煩い』
志希「いやーゴメンゴメン、でもこっちにいるうちにまた撒いてもらわないとさー」
時子『他の調査部隊からも同じ話が来ているわ。今残っている分を撒かせるから、現時点での惑星Bの環境情報の採取はしておきなさい』
志希「そのつもりだってー。それに降下した後も急いでやらないと、アインフェリアを外に出せるか分からないし?」カタカタカタッ!
ピピピッ!
晶葉『こちらのほうでもある程度はやっておく。降下直前に互いのデータを渡して突合せしておくか』
志希「はいはいりょーかい♪」ピッ、ピッ!
……
…………
ピピピッ!
ちひろ『フレイヤⅡ、VPS-001と002、降下する全艦の準備が整いました。これより戦闘宙域から離れて惑星Bへ移動、クイーンの降下予測ポイントに向かって降下を開始しますよ』
P「了解した。VPS-001、002、これより前線から離れて惑星Bへの降下を開始する。対象艦隊は既に移動を開始している」
P「こちらはフレイヤⅡの甲板に着艦後、機体保護の為にハイパーマニューバモードに切り替えて降下に備える」
周子『りょうかーい。奏ちゃん、何しとるんやろか』
美嘉『……』
P「補給の必要がある機体は間に合うなら艦内に戻って補給だ。必要な機体はあるか?」
愛梨『フォートレスは大丈夫です。弾も節約してましたし、降りてからも十分戦闘できます』
ナオ『加蓮は大丈夫か?』
加蓮『こっちはオプション兵装で増設した分がほとんどだから、むしろ降下した後は軽いほうがいいかも……今のうちに半端に使ってるミサイルコンテナは使い切るから』
P「であれば全機、フレイヤⅡの甲板に着艦する。降下前のマニューバの移行は忘れるなよ」
……
…………
パシュンッ!
美波「……」ハァッ、ハァッ……
夕美「とりあえず……いったん、休憩……」ハァ……
晶葉「お前たち、よくやったぞ! 艦隊がクイーンに接近しきれずに有効範囲に入れなかったのは残念だが、前線が有利に進んでいたのもお前たちの歌が白蜂に影響していたのもある」
文香「そう、だと……よろしいのですが……」ハァ……ハァ……
藍子「み、みなさんは……?」
晶葉「みんなも降下準備に入ったと連絡が来ている。お前たちは今のうちに休んで、降下後のライブの再開に備えておいてくれ」
ありす「はい……」
晶葉「私は星の環境情報の取得をしなければならん。水や必要な物はカーゴに纏めているから端のほうで休んでくれ」フワッ
夕美「……みんな」ハァ、ハァ……
文香「はい。このまま、では……」
美波「Pさん、ダメです。このままだと……」
……
…………
P「くっ、ここまで追いかけてくるか!!」ギュンッ!
ドシュゥンッ! ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!
GS型「!?」ドガアアアアンッ!!
GS型「……!」ギュンッ!
『少佐! 少佐は降下準備のほうを急いでください!』ギュンッ!
ドガガガガガァンッ!!
P「降下部隊の近くまで白蜂たちも向かっている。もう少し抑えねば……」
『ここは私たちのほうで抑えます! なあに、巣の3つほど、少佐たちが戻ってくるまで抑えてみせますよ』
P「だが……」
ピピピッ!
志乃『時間よ……間もなく、降下開始するわ。貴方が戻ってこないと、私たちだけ置いていかれるわ……』
P「くっ……すまん、苦しいだろうがここは任せた!」ガションッ!
『―Hyper Maneuver Mode Migration―』
ドシュウウウウウンッ!!
『了解! 少佐もお気をつけて!』
……
…………
ガションッ!!
P「フレイヤⅡ、ヴァリアントは着艦させた。降下準備に入ってくれ」
瑞樹『もうっ、遅いわよ? それじゃあ降下準備行くわよ。艦全体にイージスを展開!』
ピッ!
P「……ここでは無理だったか」ハァ……ハァ……
P(すまん、皆……もう少しだけ、頑張ってくれ……)
ピピピッ!
P「……なんだ」ピッ!
志希『降下前だけど、一応取得した環境情報見た限りだと大気があるね。ちゃんとデータ取らないとだけど、やっぱり地球と似た環境かも』
P「ビーたちが俺たちの環境に順応するのも早かったし、降下準備もそれを想定しての体制だから、予想通りだ。アインフェリアは外に出せるのか?」
志希『降下終わった後にすぐデータ取って確認するから待ってて。問題無かったらそのままライブやらせるから』
P「ああ、頼んだ」
志希『……大丈夫?』
P「問題ない。まだ1時間も経っていない」
志希『……ま、キミなら大丈夫か』
P「すまんな、気に掛けさせてしまって。志希はそのまま作業を続けてくれ」
志希『……うん、りょーかい』
ピッ!
P「……もう少し、もう少しだ」ハァ、ハァ……
……
…………
奈緒「……」
ピピピッ!
奈緒「ん? 個別回線……」
ピッ!
加蓮『奈緒』
奈緒「加蓮か、どうした?」
加蓮『……いまのうちに、言っておこうと思って』
奈緒「いやいやちょっと待て、このタイミングでそんなこと言われると、あたしならともかく加蓮が言うとフラグにしか聞こえないっていうか」
加蓮『何言ってんのよ! その……さ、前は、言えなかったから』
加蓮『奈緒には、ずっと助けてもらっていたのに、あの時、お礼も言う前に帰っていっちゃったから』
奈緒「加蓮……」
加蓮『……ありがとう、奈緒。ずっと私たちのことを助けてくれて。今だって……だから私、あなたに出会うことが出来て、本当によかった』
加蓮『本当は、もっと一緒にいたい。できれば、ずっと……だけど、奈緒には帰る場所があるんだって、ちゃんとわかってる』
加蓮『奈緒の世界の私が、奈緒の帰りを待っているから……だから今度はちゃんと、奈緒が帰ることが出来るまで……私が奈緒を守るから』
奈緒「……いつか、晶葉たちの研究が進んだら、あたしの世界と、この世界はちゃんと繋がることが出来るかもしれない。次元崩壊とか、あたしは難しいことはよくわかんないけど」
奈緒「だから、もしあたしがそのうち帰ったとしても……また会える。あたしだって、加蓮とずっと一緒にいたい。ナオとだって……」
加蓮『奈緒……』
奈緒「信じよう。あたしたちが一緒にいられる未来……平和な世界で、一緒に歩ける明日があるって」
奈緒「それまでは……一緒に戦おう。あたしたちの為に、ビーたちの為に……この世界の為に」
加蓮『……うんっ』
……
…………
瑞樹「降下……大気圏? 抜けたわよ! っていうか体が重いわね……!」
志乃「ふぅ……疲れるわね……」
早苗「これ重力でしょ? ってことは……」
志希「回線接続オッケー……晶葉ちゃん!」カタカタカタッ!
ピピピッ!
晶葉『環境情報を採取を開始する。解析データ全部共有に回して急いで片付けるぞ』
志希『りょーかい、アインフェリア待たせちゃったら、クイーンもいつ怒っちゃうか分からないもんねー」カタカタカタッ!
志乃「各機……大気圏みたいな空間、抜けたわよ。キレイなところね……」
ピピピッ!
愛梨『わぁ……ここが……』
周子『ビーの世界……ね。てっきり、赤い空でも広がってるのかなーって思ってたけど』
加蓮『空は青いし、海……みたいなのもあるし、それに……』
ナオ『奥に見える……地面、森……? あたしたちの住む世界と、ほとんど変わらないように見える……』
奈緒『……』
美嘉『……』
フレデリカ『おー、我が故郷だー』
フレデリカ『うん、そうだよー。鉄はないなぁー』
奈緒『……あたしたちの住む世界と、ほとんど変わらないんだな。いや、綺麗な景色ってだけなら、ここのほうがずっと綺麗かもしれない』
ナオ『奈緒?』
P『皆、話はそこまでだ。アレを見ろ』
ピピッ!
瑞樹「スクリーンに……あれ、巣?」
早苗「え、何アレ……え、ちょっと、え、デカくない? え、デカいってあれ!」
晶葉『アレは……大地に埋まっているが、コロニー級の巣か……? ノルン級の巣とほぼ同サイズのクイーンが入れるほどの……』
P『クイーンは上空で移動し続けているが、降りる気はないのか……? いや、だが……』
フレデリカ『……あそこでね、アタシたち、生まれたんだ』
周子『へー、それじゃああそこがフレちゃんの実家かー』
フレデリカ『うん、でもみんな、ゴハンも無くなって、どこ探しても何もなくて、だから……』
P『……』
ピピピピピッ! ピピピピピッ!
瑞樹「警報!? あ、ちょっとみんな!」
志乃「降下してきたの……どうやら、クイーンと私たちだけじゃ、ないようね」
P『くっ、このまま降下が完了してクイーンに接近出来ればよかったが……!!』
奈緒『3つあった巣のうちの1つか……大規模の巣1つなら……!』
ピピピッ!
時子『降下した前線部隊、再度展開して戦闘続行しなさい。追いかけてきた奴等もそのつもりみたいね』
ピピピピピッ! ピピピピピッ!
早苗「うっそ、巣から白蜂まだこんなに……30、35……!」ピピッ!
ちひろ『ちょっと待ってください、まだ来ますよ。陸地の巣からも何か来ます!』
志乃「スクリーンに出して……」
フォンッ……
加蓮『デカっ……あれも、白蜂……』
奈緒『G型以上の重量級……あれだけデカいのは初めて見たぞ……』
P『ともかく、対応しないことには始まらん。各機、動くのは艦の姿勢が安定してからだ』
……
…………
「データ照合、未確認種です!」
時子「大型の暫定コードはGL型にしなさい。数は?」
「索敵結果……GL型、6匹確認できました。他、G型及びGS型もコロニー級の巣から出現しています!」
時子「チッ、上も下も、どこも煩わしいわね……NGF小隊を出撃させなさい。重力があるから、落ちないように飛びなさい!」
ピピピッ!
智絵里『と、時子さんっ!』
時子「智絵里……戦闘中よ、さっさと行きなさい」
智絵里『は、はいっ、あの……時子さん、私……ちゃんと頑張りますねっ!』
時子「……ええ、気を付けなさい」
智絵里『はいっ! コンコルディア隊、出撃しますね!』
ピッ!
時子「……」
……
…………
志希『そっちに渡したデータ、照合どうだった?』
晶葉「そちらの解析結果と一致した。大気の構成情報は地球とほとんど変わらん。ただし粒子濃度が地球のそれより多い」
志希『多分、ビーたちが体で粒子を生成出来ているのも影響してるんじゃないかなー。この星の環境に合わせて、ビーもそうやって進化していったっていうか』
楓「大丈夫そうですか?」
晶葉「データ上は問題ない。生命維持装置のチェックと、積層イージスを再展開して専用ステージを起動させる」
美優「アインフェリア……聞こえますか? 外に出ても大丈夫みたいです……ステージの準備が終わったら、お願いします」
ピピピッ!
美波『……はい、わかりました』
晶葉「ステージ上では重力や大気の影響はほぼ受けないとは思うが……助手よ、応答しろ」ピピピッ!
P『どうした、アインフェリアか?』
晶葉『解析したところ、恐らくは外に出ても大丈夫だ。ステージ上は積層イージスによる保護領域が展開されるから宇宙と同様に環境の心配はほぼないが、何か異常があったらすぐに艦内に戻す』
P『了解した。こちらも出撃する』
楓「お願いします。落ちないでくださいね」
P『俺なら大丈夫だ。この感覚なら慣れている』ピッ!
……
…………
未央『ニュージェネレーション隊、出撃しました!』
卯月『体が重い……これ、ちゃんと飛べるかなぁ……』
翠『大丈夫です。この場面を想定して、P少佐はこれまでNGFによる通常飛行の技術を重要視していました。それに、フレイやフレイヤについても同様です』
琴歌『はい! 宇宙での稼働を前提として開発されてなお、強襲揚陸戦艦としてロールアップされたフレイとフレイヤであれば、存分に動くことが出来ますわ!』
千秋『どこの誰がそんな想定をしていたのか……ともあれ、ここからが正念場ね。これまでの戦闘とは違って、被弾したら落ちるだけよ』
菜々「みなさん、下に落ちたら助けられませんから頑張ってください! 無理だけはしないように!」
卯月『は、はいっ!』
智絵里『ううう……だ、大丈夫かな……』
奏『そうならない為にも、しっかり動いて的にならないようにしましょう』
凛『待ってみんな、クイーンの動きが止まった……』
女王「……」
千秋『降下してきた巣の後ろに……下からも来ているし、これは少し厳しいわね……』
菜々「大丈夫です! みなさん、アインフェリアを……アイドルを信じましょう!」
未央『私たちもアイドルだからね……っと、それじゃあアインフェリアが頑張ってくれると信じて、もうひと頑張り行くよ!』
……
…………
夕美「綺麗……ここが、ビーたちの……」
ありす「地球と似ています。いえ……地球と、何が違うのでしょうか……?」
文香「わかりません……ですが、少し安心しました。私たちも……もしかしたら、ビーたちと……」
藍子「……よかった。本当に……あとは、分かり合うだけ……」
美波「まだ終わらないわ。私たちの歌を……この空に!」
……
…………
P「VPS-001、002、俺たちのポジションは宙域での戦闘と変わらん。同様に立ち回るぞ」
ナオ『この感覚は……空の下で飛ぶことなんて無いからな……!』ギュンッ!
P「訓練した通りに動けばいい。蘭子、奈緒は大丈夫か?』
蘭子『我ならば存分に己の魔力を放てる! 荘厳なる光の元、頂きに見えるのは我と偶像の象徴!』
愛梨『大丈夫ってことですよね?』
蘭子『うん』
奈緒『あたしも大丈夫だ。空を飛んだことはないけど、この感覚なら慣れてる』
フレデリカ『フレちゃんだって大丈夫だからねっ!』
P「了解した。ではVPS-002は前線部隊と戦闘を頼む。VPS-001は同様に空域を飛び回るぞ」
奈緒『デカいのはどうする?』
P「俺とダブル奈緒、神崎少尉と十時大尉で対応する。向こうに行った分は安部中尉が対応する」
愛梨『GL型、4匹はこっちに来て、2匹はニュージェネのほうに……わかりましたっ!』
GL型「……!」
GL型「……!」
P「白蜂たちにとってのホーネットのような存在といったところか……よし、行くぞ!』ギュオオオオオオオッ!!
……
…………
GL型「!!」ドシュシュシュシュッ!!
『うわああああああっ!?』
ドガガガガガァンッ!!
翠『速い……あの巨体で、あれほどの速度で飛行するとは……!』ドシュゥゥゥゥンッ!
GL型「!?」ギュンッ!!
翠『外した!? 的は大きいはずなのに……!』
千秋『迂闊には接近できない……それならミサイルで!』ボシュシュシュッ!
ドガガガガガァンッ!!
GL型「……」
千秋『なっ……あれは、粒子膜……まさかバリアを!?』
菜々「ブリノワはもう1匹のGL型や他の白蜂の対応を! ここはナナが行きます!」ガションッ!
ドドドドドドドドドッ!!
卯月『菜々ちゃん!?』
菜々「ARGTが大型なのは、こういう相手を想定してたから……ウサミンロボ、行きますよぉ!!」ガコンッ!
GL型「!!」
菜々「機体前面にイージスを展開……ウサミーン……アターック!!」ギュンッ!
バゴォォォンッ!!
GL型「……!!」ギ、ギギギ……
菜々「ふんっ! う、くぅ……!」グッ、グググ……!!
未央『えっ、えええええっ!?』
凛『うそ……蜂と取っ組み合いしてる……』
菜々「ウ、サ、ミーン……パワー!!」ガションッ!
ズドドドドドドッ!!
GL型「!?」ギュンッ!
菜々「み、みなさんはもう1匹のGL型を! 前線は他の白蜂もいますし、こいつはナナが抑えます!」
GL型「……!!」ブブブゥゥゥゥゥンッ!!
未央『ウサミンロボと同じ大きさの白蜂を相手にするのはちょっと……でもやらないとね、行くよ!』
凛『宇宙と違って押されているところもあるし、こっちの前線は結構キツイかも……!』
……
…………
P「ドラウプニル!!」ガションッ!
ガキキキキキィンッ!!
GL型「!!」ギュンッ!
P「装甲が抜けない……! やはり貴様は他の奴等とは別格か!」ギュンッ!!
奈緒『コイツら……GL型が来てから、他の白蜂の動きも違う……!?』
ナオ『アインフェリアの歌の効果がないからか、それとも……!』
周子『多分、ホーネットと同じ役割を持ってるなら、コイツ等がいるから白蜂の統率が取れるようになったのかも』
美嘉『こっちの前線……蜂の動きが集中してて……!!』
フレデリカ『ちゃんと考えて動いてる感じ?』
蘭子『愛梨ちゃん!』
愛梨『はい、大型には大型……P少佐、ヴァルキュリアシステム起動します!』
『―Valkyria System Start Up―』 ピシィッ!
パシュウンッ!!
愛梨『他の部隊に被害が出ないように、せめて私たちで引き付けておかないと……! ターゲット、ロックします!』ガションッ!
ピピピピッ! ピピピピッ!
ズドォォォォンッ!! ズドォォォォンッ!!
GL型「!?」ブブゥゥゥゥゥンッ!!
蘭子『速い……!』ギュンッ!
加蓮『それなら弾幕を張って足を止めれば……32連装誘導ミサイルランチャー……行くよ!』ボボボボボボシュンッ!!
ドガガガガガガァンッ!!
ナオ『ダメだ相手が速い……足を止めるのにも……!!』
P「くっ、この状態では前線が疲弊するだけか……! 早くクイーンのところに行かなければ……!」ギュンッ!!
ピピッ! ピピッ!
P「くっ……」ハァ、ハァ、ハァ……!
P「蘭子と愛梨のシステム起動が増えて……残りの稼働保証時間は10分か……アインフェリアの負荷が想定以上に高い……」
P「……だが!」ガションッ!
ズドォンッ!!
G型「!?」ドガアアアアンッ!!
P「このままでは終われん……早く、早くクイーンのところに行かねば……皆の歌を届ける為に……!!」ハァ、ハァ……
……
…………
晶葉「助手のバイタルデータがイエ口ーゾーンに入ったか……長期戦も視野に入れていたとはいえ、アインフェリアの負荷がこれほどとは……」
美優「Pさん……!」
楓「大丈夫です」
晶葉「楓……」
楓「Pさんなら、大丈夫です。いつも、そうでしたから……どんなときも、最後は……」
楓「だから私たちは、私たちの仕事をしましょう。最後まで」
美優「……はい」
晶葉(私からこれ以上、お前たちにしてやれることは……頼む、アインフェリア……)
……
…………
GL型「……!」ズドォォォォンッ!!
ドガガガガガァンッ!!
『がっ――』
『だ、ダメだ避けれ――』
ドガアアアアアアアアンッ!!!
凛『くっ、この!!』ギュンッ!!
奏「コイツ、攻撃範囲が異常なほど広い……!」ズドォンッ! ズドォンッ!!
GL型「……!」ヒュバアアアアッ……
奏「粒子膜によるバリア……私たちと同じようなことが出来るのね……!」
卯月『奏ちゃん、コンビネーションマニューバで行きましょう! あの白蜂はみんなで戦いませんと……!』
奏「……仕方がないわね、牽制するわ。粒子膜のバリアを抜けるタイミングがあるのか……誰か、見極めて!」ガションッ!
ボシュシュシュシュシュッ!!
卯月『こっちも……ビフロスト!』ボシュシュシュシュシュッ!!
GL型「!」ブブゥゥゥゥンッ!!
ドガガガガガガァンッ!!
智絵里『近接戦闘なら……!』ガションッ!
千秋『ええ、ミサイルを受けている隙に!』ブォンッ!!
GL型「……!」ヒュカカカッ!!
奏『っ!? ダメ、離れて!』
千秋『この挙動は……針!?』ギュンッ!
智絵里『えっ――』
ドガアアアアアアンッ!!
智絵里『きゃあああああああっ!!』ビビビビビッ! ビビビビビッ!
翠『智絵里さん!』
未央『ちえりーん!!』
千秋『智絵里さん! コイツは!!』ブォンッ!!
シュパアアアアアンッ!!
GL型「……!?」ブブ……
ドシュシュシュッ!!
千秋『くっ、張り付けない……!! だけど、フラガラッハの手応えはあった……接近さえできれば……!』
……
…………
ピピピピピッ! ピピピピピッ!
菜々「向こうで智絵里ちゃんがやられた!? こ、この白蜂はもうっ……!」カタカタカタッ!!
GL型「……!!」ズドォォンッ!!
菜々「くっ、イージスが効いているうちはまだこっちも……だけど!」ガションッ!
菜々「脚部装甲展開、照準……! ウサミンキャノン!」ドギャァンッ!
GL型「!?」ドガアアアアアンッ!!
菜々「抜けた! このまま一気に……!!」ギュンッ!!
GL型「……!」ヒュカカカカッ!
ドシュシュシュシュッ!!
菜々「針……くっ、さっき近づいたときに倒しきれたらよかったんですけど……!」
菜々「はい!」ピッ!
桃華『菜々さん、前線ラインが押されていますわ! 手薄になっていた場所をG型の群れが集中して……!』
菜々「まだこっちも終わってないんですよ……! こいつ残したままだと……!!」ボシュシュシュシュッ!!
ドガガガガガガァンッ!!
千秋『ホーネットだったビーの部隊から連絡があったわ。GL型自身で他の白蜂の統率を取っているらしいわ……早いうちに片付けないと!』
菜々「とはいえ、デカい速い硬い攻撃範囲は広いの4コンボでこっちも中々……大型の対策にARGTや蘭子ちゃんたちの機体があるのに……」
翠『あちらに流れたのは4匹……こちらの前線が押されている状況では、遊撃として立ち回るP少佐たちの動きも……!』
ピピピピピッ! ピピピピピッ!
菜々「P少佐たちの状況が……!」
……
…………
愛梨『指定区域に波状攻撃を行います。ナオちゃん加蓮ちゃん、兵装リスト出してください!』
ナオ『索敵データ共有、拡散粒子ミサイル、フローティの発射準備、ガンダルヴ・ミニオンを射出……!』ガショガションッ!!
加蓮『ウィングバインダー展開、バルムンク照準……行けるよ!』
愛梨『蘭子ちゃん、姿勢制御お願いします! フルウェポン、バーストしますよ!』ズドドドドドドッ!!
GL型「!?」ドガガガガガァンッ!!
GL型「……!」ブブゥゥゥゥンッ!!
加蓮『他所には行かせない!』ドシュゥンッ! ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!
P『早苗さん、そちらも頼む!』ボシュシュシュシュッ!!
早苗『りょーかい! アルヴァルディ、全弾打ち込むわよ! 避けてね!』
ドガガガガガガガガァンッ!!!!
GL型「!!」ブブゥゥゥゥンッ!!
奈緒『くっ、攻撃の手を休めたら前線ラインの維持が……こっちにも他の白蜂は流れてきてるってのに!』ギュンッ!
P『こちらの前線ラインの機体消耗率は戦闘開始時点から3割減……これ以上荒らされると強襲艦隊も抜けられてM-01まで接近される可能性もある……!』
美嘉「こいつら、さっきからずっと!!」カチッ……
美嘉「弾が……あああっ!?」ドガアアアアンッ!!
フレデリカ『美嘉ちゃん!』
周子『大丈夫!?』
美嘉「……」ハァ、ハァ、ハァ……
P『少尉、応答しろ、少尉!』
美嘉「……機体は無事、だけどミサイルとかはほとんど弾切れ状態……補給しなきゃこれ以上は動けない」
周子『それじゃいったん戻るよ! 補給して、機体は破損個所があるなら丸ごと交換で出直せばええから、いいよね少佐!』
P『分かった。LiPSSは前線ラインに出続けていたから補給タイミングも無かったか……随伴機は2人で頼む』
フレデリカ『うん! 戻ろ、美嘉ちゃん』
美嘉「……」
美嘉(なんで、なんで……こんな……!)
……
…………
「GS型2匹、前線を抜けて右舷前方より接近してきます!」
ちひろ「こっちまで……ブリンガーの自動掃射! 連装リニアカノン、ヨルズの1番2番を照準!」
ピピピッ!
楓『ちひろさん、こっちも迎撃に出ますか?』
ちひろ「フレイヤは下がってください! M-01はフレイヤの防衛を最優先に動きます、ライブは止めないようにお願いしますよ」
P『M-01、そちらに白蜂が流れたが大丈夫か!』
ちひろ「大丈夫です、フレイヤまでは絶対にこちらで通しません。前線のほうは……」
P『デカいのが暴れているせいで状況が悪い。前線ラインを下げねばこのままでは持たん』
ちひろ「わかりました。M-01で待機させている強襲艦もすべて出します。ここで戦況を崩すのはマズイですし」
P『すまない、頼んだ』
ピッ!
ちひろ「サブブリッジに通達、待機中の強襲艦もすべて出します。M-01の護衛として1隻残して、残りは前線に!」
……
…………
瑞樹『LiPPS全員収容したわ。補給済ませたらすぐに出させるから待ってて!』
P「了解した。整備班にはなるべく急がせてくれ」
ピッ!
P(宙域での戦闘とは違い、戦力を分断したのもあってこちらが不利だ……前線の消耗率も上がって来て、このままでは……)
P(こちらの進行が遅い……皆のシステム負荷を受け持つ限界時間もあるし、早くアインフェリアの歌をクイーンのところに……)
ピピピッ!
P「どうした」ピッ!
愛梨『Pさん……先に行ってください』
P「愛梨!? だがこの状況では……」
愛梨『もうPさんが、みんなのシステム負荷を受けてから時間も経って……アインフェリアだって、ずっと歌い続けてることはできません』
愛梨『それに……これ以上、長引くと私たちのほうが……』
P「……」
奈緒『……行こうPさん、どの道この状況でデカブツ4匹の相手をしてると足止めをされるだけだ』
P「……LiPPSは補給に戻っている。ニュージェネレーション隊やブリヤントノワールもGL型の相手でこちらには来れん」
蘭子『我らを見くびっては困る。偶像の象徴と共に導かれし魂は、至高の極みへと至っている』
蘭子『……大丈夫です。前もそうでしたし、今回だって……全部は無理かもしれませんけど、行ってください』
P(俺は……俺は……)
ドクンッ、ドクンッ……
P「……VPS-001、隊を分ける。ダブル奈緒、北条少尉は俺についてこい。戦闘区域を強行突破し、巣の奥にいるクイーンのところへと向かう」
P「十時大尉、神崎中尉はこの場に残ってGL型の足止め、及び前線ラインの維持だ。フォートレスの役割、ここで成果を上げてくれ」
蘭子『よくぞ言った、漆黒の騎士!』
愛梨『はい! みなさんもお気をつけて!』ガションッ!
ピピピピピッ! ピピピピピッ!
P「早苗さん! あるだけ打ち込んでくれ!」
早苗『よく分からないけど了解! 主砲ティルウィング1番2番、レーヴァテイン1番、アルヴァルディも撒くわよ!』
P「フォートレス以外はGN形態に移行だ。フォートレスとフレイヤの砲撃に合わせて前線の白蜂の群れを抜ける!」ガションッ!
奈緒『了解!』
ナオ『加蓮、ブースターユニットはいけるか!』
加蓮『大丈夫、まだまだ飛べるから……!!』
早苗『全弾いくわよー……近くのお仲間さん、当たるんじゃないわよ!』
ズドドドドドドドドッ!!!!
愛梨『ガンダルヴ、予備機のガンダルヴ・ミニオンも射出、高圧縮粒子砲リンドヴルム照準! 蘭子ちゃん、高機動形態に移行しますよ!』ガションッ!!
蘭子『我らの希望はここで繋ぐ! 光の翼よ!』ドシュウウウウウウンッ!!
ドガガガガガガァンッ!!!!
P「着弾を確認した、行くぞ!」ギュオオオオオオッ!!
加蓮『はい!』
奈緒『蘭子、愛梨、戻ってくるまでは頼む!!』
ナオ『必ず戻ってくるからな!』
蘭子『みんなの分まで……!』ピピピピッ! ピピピピッ!
愛梨『蘭子ちゃん!』
ズドオオオオンッ!!
蘭子『粒子砲!? くっ……!!』ギュオオオオッ!!
GL型「!!」ギュンッ!!
GL型「!!」ギュンッ!!
愛梨『ああっ、2匹に抜けられた……!?』
GL型「……!」ブブゥゥゥゥンッ!!
GL型「!」ギュンッ!
蘭子『だが、残りの2匹は!!』ガションッ!
ズドォンッ! ズドォンッ! ズドォンッ!
GL型「!?」ドガアアアアンッ!!
蘭子『我が魂は、偶像の象徴と共に在る……貴様等では止めることは出来んぞ!』
愛梨『Pさんたちを信じて……いきましょう、蘭子ちゃん!』
……
…………
P「ビームウィングを展開する。クイーンへの飛行ルートはこちらで算出する!」カタカタカタッ!!
奈緒『こっちに来る奴は無視していい! 近距離に入られたらあたしが斬る!』ギュオオオオオオオッ!!
ナオ『加蓮、弾幕だ! 飛行ルート上で白蜂の密度の高いポイントにピンポイントで打ち込むぞ!』
加蓮『うん、弾は全部使い切るつもりで……!』
GS型「!!」ブブゥゥゥンッ!!
P「邪魔だ!」ズドオォンッ!!
ドガアアアアアアアンッ!!
ピピッ!
P「この飛行で細かいルートまでは絞り込めん。今転送したルートで向かうぞ」
ナオ『了解、巣は上から飛び越していくか……弾幕の展開ポイントは……』
ビビビビビッ! ビビビビビッ!
P「砲撃……散開!」
ズドドドドドドドッ!!
加蓮『アイツら……!!』
GL型「……!」ブブゥゥゥゥンッ!!
GL型「……!」ブブゥゥゥゥンッ!!
奈緒『蘭子と愛梨でも2匹は漏らしたか……だけど今は!』ギュンッ!!
ピピピピピッ!!
ナオ『P少佐、巣から増援だ、種類は何でもいいけど数は20くらい!』
P「くっ、この状況ではこのルートを使えん……ルート再編成……!」カタカタカタッ!
GL型「……!!」ドシュシュシュシュッ!!
ナオ『針!? 撃ち……落とす!』ピピッ!
ズドォンッ!
ドガアアアアアアンッ!!
奈緒『やっぱりこいつらがいると……それならあたしたちがここで足止めして、Pさんだけでも向かってくれ!』
P「白蜂の群れの中でお前たちを置いていくことはできん!」
加蓮『だけど! このままじゃPさんだって限界でしょ!』
P「俺のことはいい! お前たちだけでは……」
G型「!!」ズドォンッ!!
P「ぐっ……他の奴らも集まってくるか……!」ヒュバアアアアアッ……
ナオ『4人だけだと捌ききれない……くそっ、このままじゃ……!』
……
…………
ピピピッ!
瑞樹『フレイのみんな! 結構マズイ状況だったからP君たちが強行突破でクイーンのところに向かったけど、やっぱり向こうも厳しいみたい!』
瑞樹『誰でもいいから、増援に行けるメンバーいないかしら!』
千秋『ええっ!? この状況で前線を抜けたって……』
翠『こちらも向かいたいところですが、この状況では……』
菜々「Pさん……ナオちゃん、加蓮ちゃん……!!」
菜々『ナナは……私、は……隊長なのに、Pさんのことも、黒井大佐のことも、美優さんのことも……守ってあげられなくて……』
麗奈『……アンタのそんな顔、私は見たくないわ』
菜々「……ナナが行きます! ARGTなら強引にでも!」ガションッ!
卯月『菜々ちゃん!? でも菜々ちゃんのほうにもGL型が……』
菜々「大丈夫です!」ギュオオオオオオッ!!
ガギィィィィンッ!!
GL型「!?」
菜々「つ、か、ま、え、た……! ここ、で……ウサミンロボ、背面兵装展開、砲身準備!!」
GL型「……!」ブ、ブブ……
菜々「ナナは気合が違うからやれます!! ゼロ距離ウサミンバスター!!!!」
ズドドドドドドドドドッ!!
GL型「――!!」
ドガアアアアアアアアアアンッ!!!!
菜々「……」ハァ、ハァ、ハァ……
奏『GL型を……』
未央『ウサミン……』
菜々「……ブリヤントノワール隊、ニュージェネレーション隊、後の1匹はお任せします! ナナは……」
菜々「……行かなきゃ」ガションッ!
ギュオオオオオオオッ!!
……
…………
整備長「補給が済んだらすぐに連絡する! 時間が出来たんだ、少しでもいいから休んでおけ!」
周子「りょーかい。だけどそっちも急いでよー?」
フレデリカ「……アレ?」
「パックの交換が先だ! コンテナ持ってこい!!」
「破損個所は全部交換でいいから、後は交換した部分の動作チェックだけやっておけって!」
フレデリカ「……美嘉ちゃん?」
タタタタタタッ!!
周子「……ん? あの2人……」ピクッ
……
…………
フレデリカ「美嘉ちゃーん、美嘉ちゃーん! 休憩するならみんなのいるところにしよー!」
タッタッタッタ……
フレデリカ「おーい、美嘉ちゃーん、どこー? しるぶぷれー?」
タッ――
パァンッ!!
フレデリカ「わぁっ!?」ドサッ!!
美嘉「……」ハァ……ハァ……ハァ……
フレデリカ「みか……ちゃ、ん……」
美嘉「アンタが……アンタたちが……いなかったら……」ハァ、ハァ、ハァ……
美嘉「みんな、こんなことしなくて、よかったのに……誰も死ななくて……莉嘉も、本当だったら、アタシと……一緒に……!」
フレデリカ「美嘉ちゃん……違う、アタシは……アタシたちは……」
タタタタタッ!!
周子「いた! ちょっと何やってんの! そんなことしたらあかんって! 美嘉――」
美嘉「アンタたちがいなかったら!!」グッ!!!!
フレデリカ「アタシたちは……ただ、生きて……」
……
…………
P「くそっ、ナオ、GL型に牽制だ。左からのルートを作る!」
ナオ『了解! このっ、こっち来るなよ!』ズドォンッ! ズドォンッ!
GL型「!!」ブブゥゥゥゥンッ!!
奈緒『完全に足止めされたか……くそっ、もう少しで巣を通過できるのに……!!』
ドガアアアアアンッ!!
加蓮『ああっ!? ううっ……ブースターユニットが1つ潰された……P少佐、早く!!』
奈緒(くそっ、ナオもいるんだ……2人でなら……!)
ドクンッ、ドクンッ……
ナオ(必ず出来る、出来るはずだ……奈緒といるなら……!)
ドクンッ、ドクンッ……
P(機体はある、皆がここまで道を作ってくれた……行かなければ……速く、もっと速く飛ばねば……)ハァ……ハァ……ハァ……
ピピッ! ピピッ! ピピッ!
P(俺は、この先に……)ハァ……ハァ……
P(俺は――)
ドクンッ――
……
…………
………………
……………………
『Pさん!』
P『誰だ……俺を呼ぶのは……』
美波『間違えないでください、Pさん……1人で行かないで……!』
P『美波……だから、俺は奈緒たちも……』
文香『私たちを……置いて、いかないでください……』
P『文香……』
藍子『あなたが傍にいてくれたから、私たちはここまで来ることができたんです』
夕美『だから……1人で行こうなんて、思わないで』
P『藍子、夕美……』
ありす『歌だけではありません。私たちの想い……私たちの願いを……』
P『ありす……』
ありす『あなたがいてくれたから、私たちは願いを捨てずにいることが出来ました。ずっと、あなたに助けてもらっていたから……』
P『だが、俺は皆に救われた。俺が再び戦うことの意味と、生きる意志を、お前たちから貰った。俺は……皆がいなかったら……』
美波『はい。だから、私たちは貴方を守ります。貴方の傍で……だから、私たちを、連れて行ってください』
P『俺が――』
『馬鹿者!!』
P『その声……!?』ビクッ!
黒井『貴様……』
P『黒井、たい――』
黒井『貴様は、こんな場所まで来て何をやっている!!』
P『!?』
黒井『貴様に求められているもの、貴様が求めているもの……これまで何をやってきたというのだ、見誤るな!!』
P『俺に求められている……皆の歌を……いや、想いを、クイーンのところに……』
P『俺が求めているものは……!!』
黒井『フンッ……まったく、いつまでも私の手を煩わせおって。分かったならさっさと行け!』
P『黒井大佐、俺は……』
黒井『馬鹿者、2度も同じことを言わせるな。いつか……いつかは、無駄話にでも付き合ってやる』
P『……何か、みんなに伝えておくことは……ありますか』
黒井『……』
P『……』
黒井『……菜々ちゃんに、約束を守ってあげられなくて、すまなかった……と』
P『分かりました。必ず……』
黒井『さあ行け! 貴様を信じている者たちと共に!』
P『……はい! 行きます!!』
……
…………
奈緒『加蓮が待ってくれているから、あたしは戦うことが出来る。加蓮を、守るために……』
ナオ『ああ、あたしも同じだ。だけど、あたしは一度、それが出来なかった』
奈緒『でも、ここにはあたしたち2人がいる』
ナオ『そうだ。それに、あたしたち2人だけじゃない。Pさんも、加蓮も……みんな、みんながいてくれる』
奈緒『想いはみんな一緒なんだ。美嘉も、フレデリカも……だからここにいる。だから、戦うことが出来る。あたしたちは……!』
藍子『はい。大切な人たちを守るための力。私たちだけじゃ、出来ないことはたくさんあります』
夕美『だから、私たちの代わりに奈緒ちゃんたちがいてくれる』
奈緒『そうだ……その為にあたしは戦うことを決めたんだ。みんなの分まで、あたしが戦うって……』
ありす『あなたたちの強い意志が、Pさんや私たちを導いてくれました。そして、この先の未来も……』
ナオ『ありす……ああ、あたしたちの力でいいなら』
文香『ですから、みんなで、共に参りましょう……この先へ……』
美波『私たちが願う未来に、辿り着けるって、信じて……』
P『2人とも』
奈緒『Pさん……!』
P『……まだ、やれるな?』
ナオ『大丈夫だ。まだ、何も出来ていないんだから』
P『そうだな。俺たちが願う未来を……』
ナオ『今度こそ、選ぶ為にここにいる』
奈緒『ああ、だから……最後まで……!!』
……
…………
………………
……………………
……
…………
………………
……………………
ドクンッ!!
『―Limit Over Valkyria System―』 ピシィッ!
P「!!」ガションッ!
ドシュウウウウウウウンッ!!!!
P「うおおおおおおお!!」ブォンッ!!
GL型「!?」
シュパアアアアアアンッ!!!!
GL型「……」ブ、ブブブ……
ドガアアアアアアアアンッ!!
ナオ『奈緒、コンビネーションマニューバI02!!』
奈緒『デュランダル!!』ジャキンッ!
ギュオオオオオオオッ!!!!
GL型「……!」ドシュシュシュシュッ!!
ナオ『甘い! アタシは囮だ、奈緒!!』
奈緒『これで!!』ブォンッ!!
ズバアアアアアアッ!!
GL型「!?」ドガアアアアアアンッ!!
加蓮『Pさん……奈緒……!?』
……
…………
ピピッ! ピピッ!
志希「来たっ!? まさかカレから自発的に……でもそれだけじゃ……!」
ピピピッ!
晶葉『おい志希、助手とダブル奈緒の機体のリミッターが解除された。お前の想定した状況か!?』
志希「システム稼働限界の1時間を超えてレッドゾーンに入ってた、カレのバイタル値が正常値に戻ってる……転送されてるアインフェリアのデータも……」
晶葉『解除コードは渡していたが、このタイミングで外してバイタル値が戻っているということはやはり……』
志希「カレ自身も次の段階に移行した……ううん、違う、アインフェリアも……たぶん、カレとアインフェリアが一緒になっているから、システムを乗り越えた……」
晶葉『ナオも単独でのシステム起動を行っている……抑制剤の投与があるとはいえ、この状態だと、もしかして奈緒たちも……』
早苗「ちょっと何話してんの? いい話?」
志希「……うん、たぶん、ちょーいい話……かも」
志乃「あら、そう……それじゃあ、もう少し頑張りましょうか……」
瑞樹「了解……愛梨ちゃんたちの援護しないとね!」
……
…………
………………
……………………
美嘉『莉嘉!!』
莉嘉『……』
美嘉『莉嘉、アンタこんなところで、どうして……』
莉嘉『お姉ちゃんのバーカ!!』
美嘉『え……』
莉嘉『アタシの知ってるお姉ちゃんは、いっつも自信マンマンで、アイドルでメチャクチャ人気あって!』
莉嘉『カリスマギャルで、キラキラしてて……アタシも、お姉ちゃんみたいになりたいって……』
莉嘉『だから……そんなウジウジしてるお姉ちゃんは、ホントにバカなんだから!』
美嘉『だって……アタシは、アンタと……』
ギュッ……
莉嘉『……アタシだって、お姉ちゃんと一緒にいたい。一緒にアイドルやりたいって、今でも思ってるもん』
莉嘉『だからお姉ちゃんのところに行けなくて、寂しくて……だけどね、アタシの分まで、お姉ちゃんのそばにいてくれるヒト、いるから』
美嘉『……!!』
莉嘉『お姉ちゃんのこと、すっごく大好きって思ってるヒト! アタシも、ちゃんとお姉ちゃんのところに行くから! そのヒトたちと待ってて!』
美嘉『莉嘉……』
莉嘉『待ってて……絶対、ぜーったいにお姉ちゃんのところに行くから……ね☆』
美嘉『……うん★』
……
…………
………………
……………………
ギュッ……
フレデリカ「ゴメン……ゴメンね、美嘉ちゃん……アタシたちが、莉嘉ちゃんのこと……」
美嘉「ううん……アタシ、莉嘉と一緒にいたかった……だけど、フレデリカだって生きていたいんだって、分かってたのに……」
フレデリカ「うん、アタシ、生きたい……美嘉ちゃんや、シューコちゃんや、奏ちゃん、プロデューサー……みんな、みんなが、一緒にいてくれるなら……」
美嘉「ゴメン、フレデリカ……ちゃんと分かってたのに、莉嘉だってきっと、戻ってくるって、アタシが信じてあげないと、ダメだったのに……!」ギュッ!!
フレデリカ「うん……アタシも、莉嘉ちゃんに会ってみたい……美嘉ちゃんと一緒に、みんなで、笑って……生きていきたい……!」
周子「声が聞こえる……あたしたちだけじゃない、この声は……」
周子「これが、アインフェリアの……」
……
…………
奏「そうよ、私は逃げてばかりで……!」ガションッ!!
ドガガガガガガガッ!!
GS型「!?」ドガアアアアアアンッ!!
奏「何かを抱えているのはみんな同じって、美嘉に言ったのは私……それなのに、私は自分だけ抱えてる物を降ろそうとして……!」
ズドォンッ!!
奏「フレデリカは美嘉に向き合おうとした、美嘉もずっと悩んで……仲間なら、傍にいてあげないと……ダメなのよ!!」ギュンッ!
GS型「!!」ズドォンッ!
奏「ううっ!?」ドガアアアアンッ!!
ビビビビビッ!
奏「気付くのが……遅すぎたわね……だけどその分、私はあの子たちの分まで、戦わないといけないもの……隊長らしく……!」グッ!!
奏「そうでしょう……Pさん、奈緒……!」
……
…………
『陽電子砲発射準備! 各ノルンはフルングニルを巣に向けて撃て!!』
『これ以上巣を星に降下させるわけにはいかん! プランV3に支障を出させはせんぞ!』
『前線、損傷率5割を超えました! これ以上は維持できません!』
『出せる機体はすべて出せ! ここで退いては降下部隊が戻る場所がないぞ!』
『降下部隊の状況、どうなっている! 戦闘はまだ終わらないのか!』
ピピピッ!
『艦長、通信です。これは……所属不明機……どこの機体が……』
……
…………
「そこの戦艦、聞こえるか? 聞こえたら返事をしてくれ」
『……なん……こちら、S-0……この通信……』
『G型……残……フレ……ヴァルキ……』
『ノイズが多くて、通信がうまく拾えていないようですね』
「ギリギリ繋がるなら大丈夫だろう。……攻撃範囲、向こうに送ってやってくれ」
『せやなぁ、巻き込まれたら大変やし……』
『ですが……データを取りましたが、この世界はどうやら次元断層が非常に不安定なようです』
『恐らく…………断層修復機能があっても、振うのは一度しか……』
「だから一度だけって話なのか」
『そうなんです。すみませんけど、お願いしますね』
ピピッ!
『……でーた転送、おわはったよ』
「さてと……じゃあやるか。おいそこの戦艦、仲間がいるなら全員に連絡してくれ。今デカいの飛ばすからな」
「……感じます。たくさんの命と……悲しい声と、怒っている声」
『もう、元には戻れない存在も、いるのでしてー』
「……そうか。それなら猶更、俺たちはこの1回で終わらせるべきなんだろうな」
「はい。あとは……この世界に生きている人たちに、お任せしましょう!」
パアアアアアアッ!!!!
……
…………
ピピピピッ!
晶葉「なんだこれは……!?」カタカタカタッ!!
楓「どうしました?」
晶葉「この惑星と宙域で確認されていた断層レベル10の次元断層が急速に修復されていく……」
晶葉「なんだ、これは……アインフェリアの歌によるもの……いや違う!」
ピピピッ!
晶葉「おい志希聞こえるか! 仕事だ、空間構成情報の採取をしてこい!」
志希『こっちも見た見た♪ 初めて見る現象だねー。でもここで外出たらあたし死んじゃうよ?』
晶葉「その為に専用装備組んだだろう! こんな事象は滅多に見られん、直接データ採取してこい!」
志希『うーん仕方がないか……よし、あたしも体張っていこっかー♪』
……
…………
志希「さーてと、お仕事もらっちゃったからあたしも行ってくるねー♪」
志乃「死なないように……気を付けて……」
志希「わかってるってー。あ、整備長? あたしのNGF準備しといてー、今そっちいくから」
ピピピッ!
整備長『あん? ここで出るのか?』
志希「お仕事もらっちゃったからねー。あれ?」
整備長『ん? どうした……おわっ!?』
フレデリカ『あー! 志希ちゃんも外出るのー? それじゃアタシたちとランデブーしよー!』
周子『ちょっとさー、この状況で志希ちゃんおんぶしていくの? いやいや……』
美嘉『いま戦闘中でしょ! そんなことより……』
志希(およ……フレちゃん……)
志希「……んふー♪」
フレデリカ『どしたの志希ちゃん?』
志希「なんでもなーい。それじゃ、あたしがお荷物になるついでに……もう1つ持っていこっか!」
……
…………
菜々「私は、ずっとずっと、目を逸らし続けて……!」
菜々「アイドルになれなくて、黒ちゃんに迷惑ばっかりかけて、ワガママばっかり言い続けて!」
G型「!!」ズドォンッ!!
菜々「くうっ……だから、黒ちゃんも、Pさんも、美優さんもいなくなって……ナオちゃんや加蓮ちゃん、麗奈ちゃんまで!!」ギュンッ!!
ガションッ!
菜々「それでも、みんな戻って来てくれて……黒ちゃんと麗奈ちゃんは、もう戻ってこないけど……!」
カタカタカタッ!!
菜々「アイドルにもなれなくて、ずっと立ち止まって、物忘れするくらいたくさん覚えなきゃならないことや、守らなきゃならないものができて!」
菜々「アイドルになるっていう夢は叶えられなかったけど、それ以上に大切なものがたくさんできたんです!」
菜々「もうあんな悲しい思いをしない為に、みんなを守る為に……だから、だから今の私が、本当に願っているものは!!」
ピッピッピッピッ!
菜々「絶対に守るんです、今度こそ!!」
『―Valkyria System Start Up―』ピシィッ!
パシュゥンッ!
菜々「うっ!? この……こ、怖い……なんで……!」ドクンッ!!
菜々「だけど……だけ、ど……本当に、怖いのは……みんなを、守れないこと……だ、か……ら!!」ガションッ!
ドクンッ! ドクンッ!
菜々「胸部装甲展開、イージスフィールド構成変更!!」
菜々「スーパーロボットらしく、バリア展開してそのまま体当たりでPさんたちのところまで!」
菜々「必殺! ウサミンストライク!!」
ドガガガガガガガガガッ!!!!
……
…………
ピピピピピッ! ピピピピピッ!
奈緒『な、なんだ!? とんでもないスピードでこっちに突っ込んでくるのが……』
ナオ『ARGT……菜々さん!? おいおい何やってんだよ!』
菜々『ぬおおおおおおおみなさーん!』
ドガガガガガガガガガガッ!!!!
P「お前ら回避だ!」
加蓮『ちょっ!?』ギュンッ!!
ドガアアアアアアアアンッ!!
菜々『……』
奈緒『ど、どんな質量攻撃だよ……周りの白蜂も吹っ飛ばして……イージスフィールドで突っ込んできたのか……』
菜々『……増援に来ました! あー怖かった』
加蓮『え、ええええええ……あんな離れたところから……』
P「安部中尉、この状況で……」ピピッ!
P「これは……使ったんですか、ヴァルキュリアシステム……」ピッ、ピッ……
菜々『はい! 最初はビックリしましたけど、思ったより何とかなりました! あと結構体が軽くなった気がします!』
P「いやそういう効果はないはず……」
P「中尉……」
ナオ『え、ちょっと……』
菜々『部下を守るのか隊長の仕事です! P少尉、また一緒に戦いましょう! 状況は!』
P「……ははっ、そうか……はい、現時点の戦闘区域のデータを転送します。巣の後方距離2000の地点にクイーンがいる状況です」
P「俺たちの状況は前線部隊とかち合っている白蜂の群れと、大規模の巣及び地上の巣から出現した白蜂に挟まれている状況です。正直結構キツイ」
菜々『わかりました。じゃあゴリ押ししましょう!』
奈緒『いやだからそれがキツイって話で……』
P「了解! 中尉、マニューバはどうしますか」
加蓮『いやいやいやいや! どうしたのP少佐!』
菜々『ARGTだと通常のマニューバプランが組めません。フォーメーションで行きます』
菜々『先頭はP少尉とダブル奈緒ちゃん、バックはナナと加蓮ちゃんで抑えての一点突破です!』
P「巣を迂回するルートは破棄する。もう面倒だ、そのまま行くぞ!」
加蓮『奈緒まで……』
ナオ『大丈夫だって、5人いれば何とかなるって。それに、なんか久しぶりな気がするし』
加蓮『え? あ……』
菜々『フレイヤ! こちらラピッドストライカー隊です! 小隊の再編成になります。ローカル識別コードの再割り当てをお願いします!』
奈緒『よーし、行くか!』
P「ああ、ここで止まるわけにはいかん。行こうか、隊長!」
菜々『はい! ラピッドストライカー隊、出撃!!』
……
…………
楓「了解しました。VPS-001はフォートレス単機の編成に変更します」
楓「ラピッドストライカー隊の識別コードを割り当てます。小隊コードはGRS-1、各メンバーをRS-01から割り当てます」
楓「RS-01安部菜々中尉、RS-02はP少佐、RS-03神谷奈緒少尉、RS-04北条加蓮少尉、RS-05はセカンドドライバーになります。フレイヤⅡに同データを転送します」カタカタカタッ!
ピピピッ!
P『高垣中佐、すまんがクイーンまでの飛行ルート組んでくれ。さっきは勢いよく言った手前だが、やっぱり無理だ』
加蓮『だから言ってるのに、もうっ!』
楓「あらら……」
美優「楓さん、それならこちらの席に……艦長席は、私のほうで……!」
楓「わかりました。お願いします」バッ!
楓「……戦闘区域をスキャンします。地上コロニー級の巣の規模も想定して、ルートの作成を」
ピピッ!
『RS-06 KAEDE TAKAGAKI』
楓「え……」
美優「……私の知っている、ラピッドストライカー隊には……楓さんもいましたから……』
楓「美優さん……」グスッ!
楓「……ルートの作成を行います。ラピッドストライカー隊は全機、戦闘区域の情報を連携してください。必要であれば口頭での報告も忘れずに」
P『了解した。頼んだぞ、中佐』
ピッ!
楓「……はい」
……
…………
凛『P少佐たちが持ち直している……! だけど、行けるなら援護に……!!』
GL型「!!」ドシュシュシュッ!!
未央『だけどコイツは何とかしないと、前線ラインが……!』
GL型「……!」ズドォォンッ!
翠『砲撃……しまったっ!?』ギュンッ!
ドガアアアアアンッ!!
翠『あああっ!?』
千秋『翠さん!』ギュンッ!
翠『腕部破損……しまった、ライフルが……!』
ギュンッ!!!!
翠『えっ?』
ビビーッ!! ビビーッ!! ビビーッ!!
未央『ちえりん!?』
卯月『ダメです智絵里ちゃん! そんな機体の状態じゃまともに飛べないですよ!』
智絵里「だ、大丈夫、です。まだ……!」グッ!
バチッ、バチバチッ!!
ガコンッ!
智絵里「あうっ……バランサーの再設定……GN形態に移行は出来なくなったし、コックピットの脱出機能も壊れちゃった……」ハァ、ハァ……
ピピピッ!
時子『智絵里、何をしているの! そんな状態で前線に出られても邪魔なだけよ、戻りなさい!』
智絵里「と、時子、さん……」ハァ、ハァ……
智絵里「……」グッ!!
智絵里「大丈夫、です!」ギュンッ!!
時子『智絵里!!』
智絵里「時子さんのことも、守りたいから……だから……!」ガションッ!!
ドシュウウウウウウンッ!!!!
GL型「……!!」ズドォォンッ!!
智絵里「私も、みんなを!!」ヒュカカカカッ!!
ギュオオオオオッ!!
凛『避けた!?』
奏『ヤツの懐に……!』
智絵里「ここなら!」ジャキンッ!!
ピピピピッ!
智絵里「この距離で、バリアは張らないでください!!」
ズドォンッ! ズドォンッ! ズドォンッ! ズドォンッ! ズドォンッ!
GL型「!?」
智絵里「やあああああああっ!!」ズドォンッ! ズドォンッ! ズドォンッ!
GL型「――!」
ドガアアアアアアアアンッ!!!!
智絵里「あ、う……」ビビビビビッ! ビビビビビッ!
翠『大型を撃破……智絵里さん!』
ガシッ!!
智絵里「う、うううう……」
未央『ちえりん……ちえりん、すごいよ……もうなんかスーパーエースじゃん……!』
時子『智絵里、あなた……まったく……』
智絵里「え、えへへ……よかった……」
ピピピッ!
琴歌『翠さんと智絵里さんはフレイに戻してください! こちらの大型はすべて対応しました。みなさんは愛梨さんたちのところへ!』
かな子『ハッチ開けますから、急いで2人は回収します!』
桃華『フレイも合わせて移動しますわ。Pちゃま、艦のヴァルキュリアシステム、ここで使わせてもらいますわよ!』
奏「愛梨と蘭子……そう、行かなきゃダメね。私も……!」ガションッ!
ギュオオオオオオオッ!!!!
……
…………
愛梨「蘭子ちゃん、ビフロスト全弾撃ち切っちゃいました。あと懸架したデュランダルⅢも1つ壊れちゃいました……」カタカタカタッ!
蘭子「漆黒の騎士たちは乗り越えた……私たちもここで頑張らないと!!」
GL型「!!」ギュンッ!!
ドシュシュシュシュッ!!
『がああああああっ!?』ドガアアアアアアンッ!!
愛梨「他の部隊が……!」
蘭子「この意志がある限り、我が剣は折れん! 光の軌跡を!!」ガションッ!
愛梨「はいっ、ビームウィング出力上げます。マニューバモードの移行をします!」
『―Invisible Maneuver Mode Migration―』
蘭子「うおおおおおおおっ!!」ギュオオオオオオオッ!!
GL型「……!」ブブゥゥゥゥゥンッ!!!!
蘭子「これ以上貴様等の好きには!」ブォンッ!
シュパアアアアアンッ!!
GL型「!?」ドガアアアアアンッ!!
ズドォンッ! ズドォンッ! ズドォンッ!
蘭子「くっ!!」ギュンッ!
G型「……!」ギュンッ!
愛梨「他の白蜂も……! 使える兵装もだんだん少なくなってきて、このままじゃフォートレスでも……」カタカタカタッ!
ピピピッ!
奏『他の相手はこっちに任せて!』ギュオオオオオッ!!
愛梨「奏ちゃん!?」
奏『貴方たちはデカブツに集中して! 邪魔はさせないわ!』ギュンッ!!
ズドォンッ! ズドォンッ!!
G型「!?」ドガアアアンッ!!
千秋『残りの厄介な相手はその2匹よ! ニュージェネレーション隊、マニューバプランY09!』
卯月『はい!』
凛『全機支援……でもこの2匹の対処は……!』ギュンッ!
GS型『!!』ドシュシュシュッ!
凛『チッ!』ガションッ!
ズドォンッ!!
GS型「……!」ブブゥゥゥゥンッ!!
未央『うううっ、とときんたちのところに行かせたくないのに……!!』
GS型「!!」ギュンッ!
奏『遅いわ、サーベル……はあっ!』ブォンッ!
シュパアアアアアンッ!!
ドガアアアアアアアンッ!!
G型「……!」ギュンッ!
ズドォンッ!!
凛『奏!!』
奏『後ろにも……あああっ!?』ドガアアアアアンッ!!
GS型「!」ギュンッ!
GS型「!」ギュンッ!
卯月『奏ちゃん!』
奏『くっ、まだ――』
……
…………
フレデリカ『フレデリカビーム!!』ドシュゥンッ!!
美嘉『奏!』ドガガガガガッ!
GS型「!?」ギュンッ!!
GS型「!!」ドガアアアアンッ!!
周子『おーおー、ギリギリセーフってとこ? 志希ちゃん!』
志希『フィールド発振機展開して、イージスフィールド起動。あんまり長持ちしないから急いでね』
奏「貴方たち……」
ピピピッ!
フレデリカ『奏ちゃん生きてる?』
美嘉『ハッチ開けて、コレ持ってきたから!』ガコンッ!
奏「これ……って」
パシュンッ! パシュンッ!
奏「ヴァルキュリア……私の……」
周子『持ってくるの大変だったんだからさー、落ちないように乗り換えといて』
志希『あ、引っ張って来たけど補助AI使って本体も飛ばしてるから、乗り込んだ後はAI切っちゃってね』
美嘉『急いで奏、まだ終わってないよ!』
奏「……」
フレデリカ『ゴーゴー!』
奏「……ええ、少し待って頂戴」
パシュンッ!!
……
…………
ガションッ!
奏「待機状態のシステム起動、補助AI停止、標準兵装リストの疎通確認、NGF-VS23SXシステムチェック完了」カタカタカタッ!!
ピピピッ!
志希『いける?』
奏「ええ、置いて行ったときのままよ。問題ないわ」
周子『それじゃーあたしたちも頑張ろっか。あのデカいの2匹何とかできれば、前線も持ち直せるだろうし』
美嘉『行くよ奏、フレデリカ!』
フレデリカ『よーし、パパっとやってプロデューサーたち助けにいこー!』
志希『あ、シューコちゃんはあたしのことちゃんと守ってね』
周子『はいはーい……またお守りの仕事に戻るのでした、と』
奏「まったく、貴方たちは……まあいいわ」ガションッ!
奏「それじゃあ……LiPPS、行くわよ!」
……
…………
GL型「!!」ブブゥゥゥゥンッ!!
GL型「……!」ドシュシュシュッ!!
蘭子「くっ! 我が一撃を受けてもなお……!」ズドォンッ!
GL型「……」バシュウウウウウ……
千秋『バリアによる防御……智絵里さんや安部中尉みたいに、接近すれば……!!』
美嘉『それならこっちに任せて!』ギュンッ!!
フレデリカ『クール・タチバナのスゴイマニューバ!!』ガションッ!
ドガガガガガガッ!!
GL型「!!」ギュンッ!
GL型「!!」ギュンッ!
美嘉『よし、食いついた!』
フレデリカ『いやー、やっぱりこれ練習しておいてよかったー』
千秋『貴方たち……!』
奏『ニュージェネは私たちとポジションを交換して! 他の白蜂は任せたわ!』
未央『えええっ!? い、いやいいけど……』
愛梨「奏ちゃん、LiPPSに……それじゃあ!」
志希『データ採取に外に出たはずがこんなことに……まあやるしかないかー』ギュンッ!!
蘭子「え、どうするの?」ギュンッ!
奏『こうするのよ……! 美嘉、フレデリカ、マニューバプランY09!』
フレデリカ『ミサイルだぞーもってけー』ボシュシュシュシュッ!!
美嘉『撃てるだけ全部、ここで!!』ボボボボボボシュンッ!!
愛梨「だ、ダメですよぉ! ミサイルの波状攻撃でもバリアで……」
奏『これでいいのよ、今よ!』
周子『はいはーい、志希ちゃんいくよ! 引っ張っていくから暴れないでよ!』ガションッ!!
志希『とつげーき!』カタカタカタカタッ!!
フレデリカ『今、志希ちゃんは風になる……』
志希『いやー、死にたくないんだけどねー?』カタカタッ……
志希『よし出来た。イージスフィールドの構成変更、ウサミンがやってたの見てたから多分これでオッケー』
周子『はい、目の前にお届け』ギュンッ!
GL型「!?」ガゴォンッ!!
志希『いやー、大きいねーキミ。バリアとか張れるってことは、やっぱりこの星の大気に影響受けてそうやって進化していったんでしょ?』
志希『だからさー……むふふっ、この距離でイージスフィールド展開して粒子制御すれば、バリアも張れなかったりする?』ピッ!
蘭子「刹那の光……愛梨ちゃん!」
愛梨「はい! 高圧縮粒子砲リントヴルム照準……」
早苗『ナイスタイミングよ! ティルウィング1番照準!』
琴歌『追いつきましたわ! ターゲットロックです!』
ピピピピッ!
愛梨「撃ちます!」
早苗『持ってきなさい!』
琴歌『発射!!』
ズドドドドドドドドドドッ!!
志希『ちょっ、戦艦までは聞いてな――』
ドガアアアアアアアアアアンッ!!!!
フレデリカ『志希ちゃーん!!』
ピピッ!
千秋『GL型2匹の反応、消滅……これで終わりね……!』
卯月『よ、よかったぁ……』
志希『いやー……あたしは良くないっていうか、誰か助けて、うん……』ビビーッ! ビビーッ! ビビーッ!
愛梨「ご、ごめんなさーい……ちょっとやり過ぎたかも……」
奏『とりあえず、志希は回収しないと……この空の風に流されてしまいそうね……』
美嘉『いやそれはシャレにならないって……』
蘭子「と、とにかく……動ける機体で編成を組んで、私たちも前線を超えてP少佐たちのところに……」
……
…………
楓『ルートプランを提示します。空の巣と地上の巣、展開している白蜂の状況から軸上のポイントを経由して飛行してください』
奈緒「ギリギリ手薄になっているポイントに飛び込むか……よし!」ギュンッ!!
加蓮『私の機体だとこれ以上の速度は……!』ドガガガガガッ!
菜々『ナナもここに来るまででウサミンロボに無理させちゃいましたから何とも……やっぱりP少尉とダブル奈緒ちゃんで向かってください!』
ナオ『分かった。ルートの確保は任せる』ドシュゥンッ!
P『ある程度の距離まで詰めたらこっちは先行します。あと中尉、今の俺は少佐です』
菜々『うぐぅっ……い、いやぁ、若い頃の記憶が蘇ってきちゃいまして……』
奈緒「んな話してる場合かよ!」
G型「!!」ギュンッ!!
P『っとそうだった。この後は突破力が必要になる。ダブル奈緒、ドッキングだ!』
奈緒「よしきた任せろ! 行くぞナオ!」
ナオ『VDPS01Fをドッキングモードに移行! 兵装展開、02Sとのポイント接続!』
奈緒「速度調整、背面ユニット展開!」
ナオ『行くぞ!』
奈緒「ああ! これがあたしたちの……!!」ギュオオオオオオオッ!!!!
「「合体!!」」
プッピガン!!
ナオ『完成!!』
奈緒「VDPS00FSヴァルキュリア、ドッキング完了!!」
ガションッ!!
奈緒「行くぞみんな!」
菜々『ARGTの全兵装展開! 加蓮ちゃん、飛行ルートのポイントに全部飛ばしますよ!』
加蓮『はい! 複装ビーム砲塔展開、ウィングバインダーのバルムンク、照準!』
菜々『ウサミンミサイルもウサミンビームもとにかく全部ぶっ放します! ウサミンフルバースト!!』ボシュシュシュシュシュッ!!!!
加蓮『Pさん! 奈緒! 行って!』ズドドドドドドッ!!!!
菜々『元部下に道を作ってあげるのも元上官の仕事です!』ズドォォォォンッ!!
ドガガガガガガァンッ!!
P『火線に合わせて飛ぶぞ、奈緒!』ガションッ!
奈緒「ああ! 今度こそ……!」カタカタカタッ!
ナオ『高機動モードに移行!』
『―H.I Maneuver Mode Migration―』
ドシュウウウウウウウンッ!!!!
菜々『速っ!?』
……
…………
奈緒『巣を超えた、Pさん!』
P「クイーンを確認した。もう少しだ、皆……!」
ピピピピピッ!
ナオ『レーダーに反応……奈緒! あいつだ!』
奈緒『地上の巣から……あれは!』
GL型「……!」ブブゥゥゥゥンッ!!
P「あの巨体は……まだいたのか……!!」
奈緒『Pさんは先に行け! ここはあたしたちで抑える!』
P「頼む!」ガションッ!
ギュオオオオオオオッ!!!!
奈緒『ナオ、一撃で決めるぞ!』
ナオ『ああ! 拡散粒子ミサイル、フローティ発射!』シュバババババァンッ!!
ドガガガガガガァンッ!!
GL型「!?」
ナオ『動きを止めた! 奈緒!』
奈緒『デュランダル!!』ブォンッ!
ズバアアアアアアアッ!!
GL型「……」ブ、ブブブ……
ドガアアアアアアンッ!!!!
ナオ『あのとき、あたしたちは一度は選んだ……』
奈緒『だけど、もう二度と諦めない!』
ナオ『あたしたちの命と、お前たちの命も!』
奈緒『そうだ! その為にあたしたちはここにいるんだ! そうだろ!』
「「Pさん!!」」
P「ああ、その通りだ! 借りるぞ麗奈!!」ガションッ! カタカタカタッ!! ピッピッピッピッ!
『―Limit Over Blazing Storm―』
ドシュウウウウウウンッ!!!!
P「うおおおおおおお!!!!」
P(そうだ、俺の……俺たちの願いは――!)
ガションッ!!
女王「……」
P「……」
パシュンッ! パシュンッ!
ピピッ! ガコンッ!
晶葉『おい助手!? ハッチを……』
ビュオオオオオオッ!!
P「……」
奈緒『Pさん!』
G型「!!」ズドォンッ!!
P「――」
ドガアアアアアンッ!!
奈緒『しまった!?』
ナオ『ヴァリアントが……!? いや、Pさんは……』ピピッ!
女王「……」
P「……」
ナオ『クイーンがバリアを……Pさんを、守ったのか……?』
奈緒『……ナオ、あたしたちはヴァリアントを』
ナオ『……ああ』
P「……俺を、守ってくれたのか?」
女王「……」
キィィィィン!
P「今なら聞くことが出来る。お前の声が……皆が、俺をここまで導いてくれた。一緒に、来てくれたんだ」
女王「……」
P「聞こえるか? 皆の歌が……お前たちのことを祈っている。アインフェリアの皆だけではなく、ここにいる人間、ビーたちが……」
キィィィィン!!
美波『私たちは生きているの、この世界で……生きる意志が、未来に繋がると信じているの』
文香『同じ世界で……命を育み……穏やかで、平和な世界に生きることを……望んでいます』
藍子『みんな一緒なんです。私たちが貴方に会いに来たのも、それを伝えるため』
夕美『私たちも、貴方も、貴方の大切な子どもたちも、同じ命……大切なものも、同じなんだよ』
ありす『終わりに続くしかない、悲しい旅はこれで最後です。もう、私たちの答えは、決まっているんですから』
P「……そうだな。俺も、皆と一緒だ」
女王「……」
P「……以前、奈緒が話したそうだな。俺たちは、互いの世界で生きていける、と」
女王「……」
P「だが、訂正しよう」
P「確かに、俺たちが同じ場所で生きていくことは、難しいのかもしれない」
P「だが……同じ未来に向かい、歩いて行くことはできる。今なら、選ぶことができる」
キィィィィン!!
P「共に生きよう。たとえ困難だとしても、俺たちが同じ世界で生きていく為に……」
女王「……!」
ナオ『Pさん……みんな!』
奈緒『……ああ、そうだな。それが、あたしたちが選ぶ……未来』
……
…………
ちひろ「白蜂の動きが……停止していく」
ピピッ!
大佐『どうやら……ついにやったようだな』
琴歌『停戦信号、確認出来ています! 奈緒さんたちのNGFからですわ!』
楓『はい、アインフェリア、ラピッドストライカー……各部隊、現時点をもってプランV3を完遂しました』
時子『そう……終わったのね』
楓『はい。終わりました……みんなが、終わらせてくれました』
大佐『……見ているか、黒井。この星を……美しい、果てまで続く青い空を』
菜々『黒、ちゃん……』
……
…………
………………
……………………
女王「……」
P「……ここがお前たちの星か。青い空に、草も花も……咲き誇っている」
P「それでも、お前たちにとっては住むことの難しい星、ということなのか」
ヒュオオオオオ……ガションッ!
P「ヴァルキュリア? ヴァリアントを……そうか、乗り捨ててしまったままだったか」
パシュンッ!
奈緒「Pさん!」
ナオ「無事だったかー!?」
P「ああ、無事だよ。クイーンが俺を守ってくれた」
ナオ「なーにが守ってくれた、だよ」
奈緒「ここまで運んでくれたヴァリアントを乗り捨てるとか、晶葉に怒鳴られるぞ? 結局ぶっ壊したし……」
P「そうだったな。ヴァリアント……ありがとう。今度は、最後まで俺についてきてくれて」
女王「……」
奈緒「……この前、あたしはあんなことを言ったけど……やっぱり、あたしも諦めたくなかった。お前も……応えてくれて、ありがとう」
女王「……」
ナオ「お、フレイヤとフレイが降りてきたぞ。さすが、あの2隻は降りてくるのが早いな」
奈緒「凄い勢いでこっちに向かって走ってきてるけど……」
「「「「「Pさん!!」」」」」
P「皆――」
「「「「「バカッ!!」」」」」
P「うおおおっ!?」
ドサドサドサッ!!
P「……」
美波「……」
文香「……」ギュッ
夕美「……バカ」
P「……どうした?」
藍子「私たち、今すごく怒っているんですよ」
ありす「あれだけ、一緒にいたのに……私たちを置いて、1人で行こうとしたんですから」
P「……すまなかった」
文香「貴方が、傍にいてくれたからこそ……私たちも、ここまで来ることが……できたんです」
美波「それなのに……本当に、バカな人……」ギュッ!
千秋「まったく……まだ慌ただしいのに、呑気なものね」
智絵里「はぁ……生きててよかった……」
翠「ふふふっ。ですが、これが私たちらしいですね」
凛「本当に。でも、仕方がないかな、こんな蒼い空を見たら……」
卯月「すごく綺麗で……地球も、こんな綺麗な空なんでしょうか?」
蘭子「うむ……我が魂の還る場所と違わぬ、荘厳な世界よ」
愛梨「あっ、奏ちゃんたちも降りてきましたよ」
未央「あーらら、みんなぞろぞろと来ちゃって」
志希「はー……生きてるって素晴らしいねー♪」
美嘉「ここが……フレデリカの、住んでいた星……」
フレデリカ「そーそー。すっごく久しぶりだけどねー」
周子「ええとこやん。でも、フレちゃんたちのご飯は、なさそうやね」
奏「まったく、貴方たちは……あそこの人たちと負けず劣らず、呑気なんだから」
周子「おっ、きたきた」
志希「家出隊長のお戻りーなんちゃって♪」
美嘉「かな――」
奏「ストップ……ごめんなさいね、いなくなったりして。貴方たちは……仲直りできたのかしら?」
フレデリカ「……チラッ、チラッ!?」
美嘉「……うん、バッチリ★」
フレデリカ「やったー! 美嘉ちゃんだーい好き♪」バッ!
美嘉「わわっ!? ちょ、ちょっと! いきなり抱きつかないでよ!」
奏「そう……それなら、よかったわ」
周子「おーおー、元気なことでまぁ」
志希「で、アタシたちのボスは何やってんのー?」
奏「はぁ……あそこよ」
P「ああ、もういなくならないよ。心配かけた」
夕美「ホント、心配ばっかりかけて……あーあ、私たちも頑張ったんだし、これじゃあたくさんご褒美もらわないとねー?」
P「……」
文香「はい……そうですね……今度は、何をお願いしましょうか……」
P「……昔」
藍子「え?」
P「……昔、地球で、小さい頃……1度だけ、親に連れていってもらった場所があるんだ」
P「丘の上から、海が見える……大きな教会がある場所。今も、残っているのかな」
P「……そこで、いいか?」
美波「Pさん……それって……」
P「俺の……願い……ずっと、一緒に生きていきたい……皆と、これからも……ずっと、ずっと……ダメか?」
藍子「……そんなこと、ダメなんて言うはず、ないじゃないですか」
ありす「ずっと一緒です。これまでだって……これからも、ずっと」
P「……ああ」
桃華「まあ、Pちゃまったら!」
楓「これはとっても大変な発言ですね。法律無視ですよ? 何重婚になるんでしょうか?」
琴歌「指で折っても、数えきれないほどですわね。ふふっ、でも、どうしてでしょう? 私は、とても楽しい未来が見えてきそうで……」
楓「美優さんは……どうですか? あの人のあんな発言、許しちゃいますか?」
美優「……楓さんは、許せませんか?」
楓「どうでしょう? でも、私もいい大人ですから、ね?」
美優「そうですね……私も……あの人と一緒に、幸せであれば……ただ、それだけで……」
……
…………
………………
……………………
「博士、こっちのケースはどうしますか?」
晶葉「ハマヨコに送り付ける。向こうの部署は黒川重工とオフィスは囲むし、うちのほうは規模縮小だからな」
「それじゃ郵便に入れときますよ」
晶葉「ふう……」
楓「……ちょっと、事務所も広くなりましたね」
晶葉「そうだな。次元振動の観測とプロジェクト・ヴァルキュリアの参加、新規兵装の開発……うちの部署はデカい案件ばかり抱えていたからな」
晶葉「新規兵装については、ハマヨコの部署に引き継いだし、まあその分、空間構成情報の修復については重点的に対応していかなければならないが」
楓「戦闘機の開発自体は仕事残ってますけどね」
晶葉「そりゃそうだ。ビーたちとは何とかなったが、今後来るかもしれない外宇宙の脅威に対しては準備しておかなければならん」
晶葉「次元崩壊に対しての対応もあるし、星にいなかった白蜂たちがこちらに来ることもある……もうしばらくは仕事には困らんだろ」
楓「そうですね。でも、女王様もこっちにいますし、そのうち何とかなりますよね」
晶葉「何とかしてくれると、こちらも助かるんだがな……そういえば、助手はどうした? 今日は軍本部に行くとは言ってたが、こっちに戻ってくるとは聞いていないんだが」
楓「ええ、それなら多分、そのうちこっちにも顔出してきますよ。今日はナシヤマの防衛任務に出てますから」
晶葉「珍しいな。非常勤になって防衛任務の編成に入ったのか。何かあったのか?」
楓「まあ防衛任務はこじ付けですよ。今頃、サボってるんじゃないですか?」
……
…………
『最新のユエルについては番組内で交渉して、試乗されたとお聞きしていますが……』
『そうなんですよ! いやぁ、まず凄かったのは何といっても――』
ピッ!
P「……つまらん番組が多いな。上田大尉の出るチャンネルはないのか」
ピピピッ!
P「ん?」ピッ!
奈緒『なあ、Pさん』
P「どうした?」
奈緒『仕事サボるのはまあ……あんまりよくないけど、それにしても宇宙に出ることはないだろ……』
P「まあ、いいだろ。白蜂の対応機会も大幅に減少しているし。それに……しばらくこうして飛んでなかったからな」
奈緒『何であたしまで付き合わされてるんだ……まったく……』
P「……すまなかったな」
奈緒『ん? ああいや別に、あたしもしばらくNGFに乗ってなかったし、たまにいいよ』
P「そっちの話ではなくてお前のことだ。結局、自分の世界に戻れる目途も立たないまま、ここに残ってもらうことになってしまった」
奈緒『あー、まあクイーンの空間転移で起きた次元断層でも、あたし引っ張られなかったからなぁ』
奈緒『晶葉と志希が言ってたよ。あたしがこっちの世界にいる時間がそれなりに長くなって、この世界との繋がりが余計に強くなったからかもしれないって』
P「時限跳躍が実用段階まで進んだら、お前を元の世界に帰してやれるんだがな。いまは、こちらから直接別の次元に転移するための技術が出来ていないが」
奈緒『ま、そこら辺は白蜂の転移頼りだったし、そのうち出来るようになるだろうし……それまでこっちで何してようかなー』
P「長距離航行プランが終わってからあまり時間も経っていないが……何かやりたいことがあるなら、好きにしていい」
P「軍に残ってもいいし、博士の伝手でオート・クレールに移って内勤でもいいし、他のことでも、やりたいことがあるならやっていいぞ」
奈緒『好きにしていいって言われてもな……いっそI@LP受けてこっちの世界でソロデビューでもするか?』
P「ナオがいるからそれは……どうだろうな。セカンドドライバーでいるなら出来るとは思うが」
奈緒『仮面付けたままのアイドルって多分無理だぞ』
P「ああ……まあ、I@LPで落とされるか」
奈緒『まあ、しばらくはこのままでいいよ。あたしより、Pさんのほうが大変だろ?』
P「……なんとかなる」
奈緒『その声は何ともならない声だぞ……頑張れ』
……
…………
未央「ふわああああ……眠い……」
凛「ちょっと未央、まだ仕事中」
未央「ごめんごめん……ていうか私はあくびで済んでるけど、あっちは……」
愛梨「……」スヤスヤ
卯月「起こしたほうがいいですよね……」
凛「ここで居眠りする愛梨なんて初めて見たけど……」
蘭子「昔はね……もっと酷かったの……いまは立派になって、ずっと大変だったから……少しくらいは……」グスッ、グスッ……
卯月「そ、そうなんですか……」
凛「……ま、哨戒任務もこれで終わって、ホクドウで整備すれば後はハマヨコに戻るだけだし」
未央「あっちは今頃、バタバタしてるのかねぇ」
卯月「アインフェリアも、ブリヤントノワールもしばらくいなくなっちゃいますし……翠さんたちのお仕事、引継ぎ多いなぁ……」
凛「蘭子も早く戻りたいでしょ?」
蘭子「うむ。我と偶像の象徴だけ出遅れてる……」
未央「まあまあ、長い休暇になるだろうし、その前の最後の仕事だと思ってさ」
凛「それに私たちも、そのうち誰かにこの仕事押し付けることになるだろうしね」
愛梨「うーん……P、さ……」スヤスヤ
……
…………
『今日のリハビリで階段も降りれるようになったから、もうちょっとで外に出られるって!』
『外出許可貰って外出られるようになったら、お姉ちゃんと一緒に行きたいところいーっぱいあるから、ちゃんとこっちに来てね☆』
ピッ!
美嘉「……」
フレデリカ「容疑者をはっけーん!」ガバッ!
美嘉「ってうわっ!? な、何すんのよ!?」ビクッ!
フレデリカ「なーにやってるのー? 美嘉ちゃーん、白状しろー」グリグリ
美嘉「もー……莉嘉からメール。もうそろそろで外で歩けるようになるって」
フレデリカ「ワオ! それじゃあみんなで遊びにいかないとねー。休暇申請ってどうやって出すの?」
奏「あら、もしかしてタイミング悪かったかしら?」
美嘉「あ、奏。異動の手続き終わった?」
奏「ええ、部隊分まとめて出したわ。ニュージェネも出してるって言ってたし……しばらくはナシヤマでゆっくり出来そうね」
フレデリカ「みんな元気かなー。プロデューサーも無事かなー?」スリスリ
美嘉「ってちょっと! あんまりくっつかないでよ恥ずかしいんだから!」
フレデリカ「えー」
ナオ「……なーにやってんだか」
加蓮「いつものことでしょ」
志希「若いっていいねー」
周子「あたしらも若いから」
志希「っていうかあたし、いつになったらこの仕事辞めれるのかなー。失踪したくて仕方がないんだけど」
周子「ホントに失踪する気ある?」
志希「にゃははははっ♪ あたしもナシヤマ帰ってジョブチェンジしようかなー」
ナオ「戻って来てからもそれなりに忙しいけど、この時期にあたしたち全員ナシヤマに行くからな……まあ、大佐が上手く調整してくれたみたいだけど」
加蓮「ま、これで大佐が調整できなかったらアインフェリアとブリヤントノワールに袋叩きにされた後に、Pさんにもやられそうだったしね」
ナオ「だな……はぁ、そろそろ戻る準備しないとな。菜々さんもちゃんとやってるんだろうか……」
……
…………
菜々「あっ、あっ、あっ、あっ!!」ガタガタガタガタッ!!
P「……はい」
菜々「あっ、あっ……ああああああのですね、その! お、お……おばさんですみませんでしたぁ!!!!」
P「JKじゃなったんですか」
菜々「勤続年数知ってるじゃないですかぁー!!」
P「いや知ってるけど……今更というか……ていうか、今までよくゾーニング現象我慢出来てましたね」
菜々「そっ、そんな……そんなの気合と根性で何とかしてたに決まってるじゃないですか!!」
P「いや星から戻るのに3ヶ月掛かって、こっちに戻ってからもしばらく経ったぞ……同じ耐性無しのナオも昔は酷かったのに」
菜々「だ、だって……だってぇ……いや、こうなるって覚悟決めてヴァルキュリアシステム積んでもらったんですけど……」」
P「……今は大丈夫なんですか?」
菜々「そ、それがですね……その、こういう空気といいますか、夜だからといいますか……なんというか、その、結構……」
P「まあ、そりゃそうか……」
菜々「このまま我慢してもいいんじゃないかと思ったんですけど、さすがに限界を迎えて緊急搬送されたとなればもう……みなさんからもメチャクチャ言われちゃいましたし……」
楓『いいですか菜々さん、私たちよりも年齢的にもうギリギリなんですから、私たちのことは気にせず一発ヤッて成功させてきてください』
美優『そうです……Pさんは、その、そっちの命中率は悪いので……私たちからも、よく言っておきますから……』
楓『むしろチャンスだと思って、今日は無理でも遅くても今年中には作っちゃったほうがいいです。後でどうにでもなりますし』
P「うん……まあ……」
美波『いいですかPさん! 今回のゾーニング現象の解消は今までとは違うんですよ!!』
千秋『菜々さんのことを考えたら、ここで済ませてあげないと後が大変なのよ! 貴方、今回は今までで一番重要なセ○クスだって本当に分かっているの!?』
夕美『年齢的にも菜々さんはこれ以上無理しちゃうと体も悪くしちゃいそうだし、Pさんが頑張ってあげないとダメなんだからね?』
文香『もしくは……菜々さんが羞恥心を忘れるほど、激しくするのもいいかもしれません……』
ありす『まあ今晩だけで成功させろ、というのは無理があると思いますので、私たちもそこまで厳しく言うつもりはありません。ですが失敗したら見損ないます』
桃華『Pちゃま、今回は菜々さんのことを第一にお考えになってくださいまし!』
藍子『菜々さんが病院でこっそり避妊治療受けていないかは確認していたので大丈夫です。当ててきてくださいね』
翠『ま、まあまあ、みなさんも落ち着いて……』
琴歌『そうです、これではP様も緊張してしまいますわ』
かな子『菜々さんも美味しそうですから大丈夫ですよね、Pさん?』
P「あいつらマジで好き放題言いやがって……」
P「まあ……」スッ……
菜々「うひゃああああおおおおおっ!?」ビクッ!!
P「なんですかその声は……」
菜々「いぃ、いきなり肩を触られるのはですね! あのですね! こう、抑えている何かが!! 崩れそうで!!」ハァッ! ハァッ! ハァッ!
P「……まあ、それじゃあゆっくりやりましょうか。昔話……でもしながら」
菜々「は、は、はい……そ、その……あの……」
菜々「や、優しく、してくださいぃぃぃ……」
……
…………
大佐「……以上が、プロジェクト・ヴァルキュリアの今後の体制となる」
大佐「協力してくれているオート・クレール社についても、今後も晶葉君のチームで対応してもらうこととなっている」
大佐「実働部隊については、実質的に規模縮小となるが、ビーたちの星から土星圏までのインフラ整備、クイーンの受入れが終われば次元振動問題の対応も本格的に入ってくる」
大佐「今後についても大変だとは思うが、これまで通り頑張ってもらいたい。私から以上だ」
P「先程の大佐の話の通りシステム稼働限界を考慮し、アインフェリアとブリヤントノワール、シンデレラガールの2人は長期離脱となる」
P「ニュージェネレーション隊とLiPPS隊については業務が増えてしまうが、ナシヤマ勤務に移ったことで俺や高垣中佐、三船少尉と連絡が取りやすくなった」
P「必要であれば業務工数の範囲内で手伝うことは出来るから、業務中、もしくは業務後の家の中でもいいから遠慮なく相談してくれ」
未央「了解です!」
奏「了解」
美優「私は管制塔にいますけど……」
楓「私とPさんは普段はオート・クレールの事務所にいますから、暇なときは遊びにきていいですよ」
晶葉「まああんまり使われるとこっちも困るからな、程々で頼むぞ。あと楓、暇なら仕事増やしてやるぞ」
加蓮「良い話?」
P「長距離航行プランにおいて、戦闘及びプランV3を完遂したことによる勲章の授与が来ている」
P「プロジェクト・ヴァルキュリア全体としての勲章はこれが初めて……実質的には2度目ではあるが、貰うのは初めてだな」
美波「対話の日は、色々あって辞退しましたからね」
P「戦闘実績についての勲章もある。小隊単位での授与がラピッドストライカー隊、コンコルディア隊だ」
智絵里「えええっ!?」
フレデリカ「おースゴイねーコッコ隊」
未央「さすがちえりん! よっ、このスーパーエース!」
菜々「ラ、ラピッドストライカー隊も、ついに勲章をもらえるようになるなんて……ううっ!」
ナオ「ほらほら菜々さん、そんな泣かなくても……」
卯月「今更ですけど、コンコルディア隊ってプロジェクト外の部隊なのに普通に混ざってますよね」
千秋「おめでとう、智絵里さん」
智絵里「え……えへへっ……時子さんも、喜んでくれるかな……?」
周子「内心ガッツポーズしてるとか、そんなんだと思うよ」
P「個人単位での授与は十時愛梨大尉、神崎蘭子中尉だ。2人はプロジェクトに参加しているとはいえ、小隊登録自体は無いままだったからな」
蘭子「うむ、栄誉の証よ」
愛梨「よかったですねー、蘭子ちゃん」
奈緒「おめでとう。愛梨も蘭子も、2人にはかなり頑張ってもらったからな」
P「以上で勲章の話は終わりだ。最後に……奈緒」
奈緒「え、あたし?」
P「今更……と思うかもしれないが、いい機会だ」
P「これまで、俺たちは長いことお前に助けられた」
P「アインフェリア隊の長期離脱からクイーンとの対話、そして長距離航行プラン。別の世界の民間人であるお前を戦わせたことは、今でも少なからず思うことはある」
P「だが奈緒、お前は俺たちと共に戦い抜いてくれた。今日この日があるのは、アインフェリアがクイーンと対話することが出来たのは……お前がいてくれたからこそだ」
美波「奈緒ちゃんが、私たちの分まで戦ってくれた……だから、私たちは歌い続けることができた」
ありす「はい。あなただからこそ、Pさんと一緒に、私たちの想いを届けてくれたと思っています」
藍子「思いを届けることができて……みんなと一緒にここにいられることが、私たちの幸せです」
文香「私たちは全員、奈緒さんに導かれました……そう、あのとき……同じ未来を願っていたからこそ……」
夕美「だから……ありがとう、奈緒ちゃん」
P「奈緒がいなければ、この結果に辿り着くことは出来なかった。お前は……俺たちの誇りだ」
奈緒「……」
加蓮「……ほら、奈緒」
ナオ「なんか言うこと、ないのか?」
奈緒「……その、なんだ。改まってそんなこと言われると、恥ずかしいっていうか……」
奈緒「だから、あたしこそ、ありがとう。みんなと出会うことができて、一緒に戦うことができて……本当によかった」
P「ああ。俺も、お前と出会うことができてよかった。ありがとう」
……
…………
菜々「……お久しぶりですね。麗奈ちゃん」
菜々「結構、お墓も綺麗ですね。共同墓地ですし、ちゃんとしてくれてるのかな……」
菜々「……ずーっと長い間、今日まで戦ってきたって、なんだか信じられませんね」
菜々「昔は、麗奈ちゃんや黒ちゃんがいて、Pさんがいて、楓さんがいて、美優さんがいて……」
菜々「その後は、ナオちゃん、加蓮ちゃんがいて」
菜々「最後は……みんなで、一緒にいることができたんです」
菜々「麗奈ちゃんとも……もっともっと、一緒にいたかったって、思ってます」
菜々「だけど、私の中で大切なものがたくさんできて、きっとそれは、麗奈ちゃんに頼ってばかりじゃダメなことで」
菜々「これからはPさんと、みんなで、大切なものを守っていかないと」
菜々「でも私、ちょっと怖がりですから……どこかで見守っていてくれたら、嬉しいです」
菜々「……今日は、風の設定が強い日ですね」
菜々「さて……と、それじゃあそろそろ行きますね。みんなにはナイショで、今日はこっそり来ちゃいましたから」
菜々「……今度は、みんなで来ますね」
……
…………
………………
……………………
「ねえちょっとアンタ」
「はーい、どうしましたか?」
「アンタ、勝手にあの世界に手出したでしょ」
「あ、やっぱり気づいちゃいましたか? お助けしたほうがいいかなって思って、私としてはこっそりやったつもりだったんですけど……」
「当たり前でしょ。アタシを誰だと思ってんのよ」
「……何度も、何度も、見ていました。あの世界の、最期を」
「あなたの力があっても、覆らなかった結末。数ある世界の中でも、これほどまでに救うことが出来ないと思った世界」
「……アタシが出張っても、助からない世界があるなら、それまでの世界だったってことよ」
「そうかもしれません。それは……無数に出来た世界のうちの、小さな1つの出来事ですから」
「で? 今はどうなの、いい夢は見れるようになったのかしら?」
「ふふっ♪ 見れるようになったと思いますか?」
「アンタの顔見てれば、大体わかるわよ」
「あら、顔に出ちゃいましたか? 恐らく、あなた以外の力、偶然の1つ……それが、小さな奇跡になったのかもしれませんね」
「そう……珍しいこともあるもんね。何もないならよかったんじゃないの?」
「もしかして結構気にしてました? お気に入りの世界だったりします?」
「……ま、意外と根性ある奴等ばっかりだったし、そこは褒めてアゲルわよ」
「そうです、平和が一番ってことです♪ 次はどうしますか?」
「さっさと次の仕事に行くわよ。それが、アタシの役目でしょう?」
「そうですけど……うーん、次の世界……あっ、そうです。こんな世界があったんですけど……」
「……アタシの世界と似てるトコね。あれ、あのシンデレラガールもいるじゃない」
「他にも危ないかなーって世界はいくつか見つけたんですけど……どうしますか?」
「どこでもいいわよ。とりあえずここに行くわ。ほら、早く送りなさい」
「はーい、それじゃあ気を付けてくださいね」
「誰に向かって言ってんのよ。忘れたの? アタシは……」
「人類最強……いえ、全次元最強なんだから」
……
…………
………………
……………………
………………
…………
……
「ちいさなーひかーりをー……むねにだーいーてー……」
「あおぞらーへと、とーばーそーうー、きーぼーうのーたねー……およ?」
「どうしたのー? ベイビーたち、お散歩に出て元気いっぱいだねー?」
「……うーん! 今日もいい天気ー。雨の予定、まだ先だもんねー」
「こんなにいい天気で……あったかくて、気持ちよくて……」
「……ん、もうこんな時間になっちゃった。ママたち帰ってくるし、先におうちに戻ってお留守番してよっか!」
「キミたちのパパはいつ帰ってくるのかなー? まあでも、真っ先に飛んで帰ってくるかな?」
「よいしょっ……うーん、みんなのカゴも重くなってきたねー。みんなが大きくなったら、アタシはどうしよっかな?」
「いつまでも、みんなと一緒に、のんびり楽しく生きていきたいなー……ずっと、ずーっと……」
「さて、おうちへかえろーかえろー♪」
「フーンフンフフーンフーンフフーンフンフフーン……」
――
――――
――――――
――――――――
多分、11スレ+6スレ分くらいやりました。もう終わりです。
HTLM化依頼出して終了。
今回のスレは前々作の奈緒編の奈緒が出征するルートを薄く広げてこねくり回して書き直した内容になってます。
書き直しに当たってこのスレで唯一完全に後付けキャラになった奏が登場人物に追加されました。
美嘉はエ口ゲ編で藍子ルートに入れば莉嘉の話だけ出ていました。周子は名無しで登場していたので元からいました。
奈緒編の安価分岐でフレデリカが未消化で終わってしまったのが何となく気になったので、安価無しで続くように書き直して終わらせることができてよかったです。
元スレ
LiPPSとアインフェリアが生存本能ヴァルキュリアの世界を生き抜いたようです
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1513764937/
LiPPSとアインフェリアが生存本能ヴァルキュリアの世界を生き抜いたようです
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1513764937/
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「ランダム」カテゴリのおすすめ
コメント一覧 (11)
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- 2018年03月18日 12:49
- 読んでないけどヴァルキュリア妄想相関図をSSにした感じ?
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- 2018年03月18日 13:14
- 見飽きた面子
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- 2018年03月18日 13:22
- むしろ相関図のほうが後発
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- 2018年03月18日 17:07
- 前後半1ページ目を流し見しただけだが、アインフェリア以外の登場人物多過ぎない?
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- 2018年03月18日 18:15
- これで登場人物多いとか日常生活大丈夫かよ
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- 2018年03月18日 23:51
- ヴァルキュリアのイベント中にはじまったSSだからヴァルキュリア関係のSSの中でも相当古くなったなぁ
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- 2018年03月19日 04:05
- だいぶ前に読んで面白かった事は覚えているがこれまでの内容の詳細が思い出せん
探して初めから読み直すか
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- 2018年03月19日 08:44
- 過去編だとウサミンは後味悪いまま終わったから今回で回収されてよかった
いまからシリーズ読み返すのってスレ多すぎて大変でないか?
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- 2018年03月19日 17:12
- 最初の奈緒のやつ→セカンドドライバー編→過去編でこれか
ついでに番外でロボットものみたいのもなかったっけ
セカンドドライバー編読み終わって満足しちゃったからなぁ読む気が
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- 2018年03月19日 18:05
- この人の作品クオリティは高いんだけどいかんせん大長編すぎて腰を据えてからでないと読めないんだよな…
デレマスクエストだっけ?エタったのもあるから肩透かし喰らう事もあり得るから、尚更
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- 2018年03月20日 07:39
- ほとんど関係ないけど麗奈周りがそのエタったスレの延長だから別スレありきの話なんだよな
麗奈だけならハートフルままゆもあるし