【モバマス】LiPPSとアインフェリアが生存本能ヴァルキュリアの世界を生き抜いたようです【前半】
・>>1はデレステをプレイしながら進行するので途中進行が止まる場合があります。モバマスもやります。ミリシタもやります。
・一部アイドルの口から軽度な下ネタくらいは出てきます。
・明るく元気なお話になればいいなと思ってます。
『GNS-041小隊、反応ありません! S-03、後続のNGF部隊は!!』
『た、隊長……うわああああっ!?』
ドガアアアアアアンッ!!
ピピピピピッ!
愛梨「蘭子ちゃん! 機体のシステム起動限界が……!」
蘭子「このままでは……!」
ズドォンッ!!
蘭子「っ!?」
ドガアアアアアアンッ!!
……
…………
ピーッ!!
美優「そ、そんな……FFの反応が……」
楓「愛梨ちゃん……蘭子ちゃん……アインフェリアは!!」
ピピピピッ!!
美優「まだシステムの効果が……待ってください、クイーンの反応が……!」
ビビビビビッ! ビビビビビッ!
楓「避けられ――」
……
…………
ピーッ!!
P「フレイヤ!? フレイが盾に……桃華たちの反応が……くっ!」
ガションッ!! カタカタカタカタッ! ピッピッピッピッ!!
『―Hyper Maneuver Mode Migration―』
P「貴様等あああああああ!!」ギュオオオオオオッ!!
――キィィィィン!!
P「ぐっ!?」
――キィィィィン!!
P「あ、がっ、あああああ!! ま、また、この声が……あ、頭が……」
ズドォンッ!!
P「お、俺は……こ、この、声は……みん、な――」
ドガアアアアアアアンッ!!
加蓮「Pさん! ナオ!!」
……
…………
美嘉「アンタが……アンタたちさえ、いなかったら……!」
フレデリカ「違う……違うの、美嘉ちゃん……アタシは……アタシたちは……ただ、生きて……」
美嘉「アンタたちさえいなかったら!」
周子「アカン! 美嘉――」
美嘉「死ねええええええ!!」
パァンッ!
ドサッ!
フレデリカ「……」
美嘉「アタシは……アタシたちは、アンタたちに……あ、ああああああ……」
……
…………
――どう、して……。
『S-01! 残存部隊を回収して後退だ! フレイヤの防衛が崩された現状、プランV3が成り立たん!!』
『前線の各部隊、G型を牽制しつつ後退! ノルン及び各強襲艦隊は粒子減衰ミサイルを全戦闘宙域に発射!!』
『動けるNGF、強襲艦は後退するノルンの援護に回れ。クイーンの粒子砲はノルンからのアルヴァルディで阻害する!』
――どう、して……お前たちは……。
『クイーンからの粒子砲、再び来ます!』
『回避だ、イージス展開! 各員衝撃に――』
……
…………
女王「……」
『……イージス…………衝撃に……』ザザザッ!
ナオ「どうして……お前たちは……あたしたち、を……」ハァ、ハァ……
バチッ、バチバチッ……!
女王「……」
ナオ「お互いに、生きていくことだって、できた……のに……」
女王「……」
ギ、ギギギ……ギギギギ……!!
ナオ「こんな、こんな……ことを……」ハァ……ハァ……
バキッ! バキバキッ!
ナオ「な……お……」
バゴンッ!!
……
…………
………………
……………………
『感じる……』
『プロデューサーさんが……私たちのそばに……』
『私たちの心が、プロデューサーさんと一緒になっている……』
『もう、本当に何も怖くない……ただ、歌うことだけに、私たちの全部を乗せて……』
『みんなに届いて……私たちの思い……!!』
――5年前、対話の日と呼ばれるその日、アインフェリア隊が外宇宙からの来訪者、キラー・ビーに対して意思疎通を成功させた。
『……聞こえるか、クイーン! アインフェリアの……みんなの歌が!』
『あたしたちは生きている! ビーも一緒に……あたしたちは戦いたくない。戦う必要なんてない……』
『お互いに、生きていけるんだ。それぞれのいるべき場所で!』
――2年前、ビーたちの女王との邂逅により、長い間続いた争いが終わった。終わったかと、思われた。
――消えたはずの脅威が……再び人類の前に姿を見せた。それは、終わりへと続く、最後の戦いの始まりだった。
ありす「フィールドジェネレーター起動。次元振動、及び次元断層の発生は確認されません」
ありす「レーダー索敵結果のスティング……もといGS型は6匹です。索敵結果をNGFに転送します」
ありす「複合ミサイル発射管の1番から20番にアルヴァルディを装填。主砲ティルウィング1番、2番の発射準備開始」
ありす「戦闘準備完了、GS型との距離は3000です。ニュージェネレーション隊、出撃してください」
凛『はい!』
卯月『頑張ります!』
未央『NGF-VSTG19S、NGFヴァルキュリアで出撃します!』
ありす「アルヴァルディを射出します。着弾確認後、戦闘を開始してください」
未央『了解です! 2人とも、コンビネーションマニューバはY03で行くよ!』
……
…………
「ゾーニング現象については、前回の検査からフラッシュバックも起きていない……でしたか」
P「はい。その前からも……ここ数ヶ月は大分落ち着いています」
「ふむ……バイタル値の変動も収まってきています。時期としては……そうですね、リハビリプログラムのNGF操縦訓練が始まった頃でしょうか」
P「そうですね。オート・クレールの仕事の都合もあって、自社のほうでやらせて頂いてますが」
「となれば……変動値の振れ幅も小さくなっていますし、ほぼ治療プログラムは完了したといっても良いでしょう」
「残っているリハビリプログラムは続けて、抑制剤の投与だけは忘れないでください」
夕美「先生、それじゃあ……!」
「はい、今週末に退院でよろしいです。正直な話をすると、私も参ってしまうほどの状態でしたが……2年間、頑張りましたね」
P「先生……いえ、先生たちや、みなさんのご協力があったからここまで回復することが出来ました。ありがとうございます」
「流石というべきでしょうか。何はともあれ嬉しい限りです。今日は検査も長かったので、退院に際しての手続きはまた別途、お話しましょう」
夕美「ありがとうございます。それじゃあ、今日は失礼します」
P「ありがとうございます。明日もよろしくお願いします」
……
…………
夕美「本当によかった……これで、またみんなで一緒にいられる……」
P「長い間、皆にも迷惑を掛けてしまったな。夕美も、今日の仕事を休んでもらって悪かった」
夕美「ううん。楓さんや美優さんのところじゃないし、ビーのみんなが融通利かせてくれたから、全然大丈夫だよ」
夕美「I@LPも今日はスケジュール入ってないし、1日ずっとPさんの傍にいられるから……」
ギュッ……
夕美「よかった……本当、に……」
P「ああ、どうにか間に合ってよかった。これなら……」
夕美「……」
P「……夕美?」
夕美「あ……ご、ごめんなさい。そうそう! 愛梨ちゃんと蘭子ちゃん、次にこっちに来るの、今週末なんだって!」
P「そうか、丁度良いな。退院と合わせて、また2人にはシミュレーターの起動を頼んでおこうか」
P「おいおい、まだ退院手続きもしていないだろう? それに、前からリハビリプログラムも始まって会社にも顔を出していたんだし、今更だ」
夕美「いいの。みんな、Pさんのこと心配してたんだから。今までだって……」
P「……今回、入院することになったのが俺だけでよかった。そうでなければ、あの戦いの意味もなかったからな」
夕美「でも……私たちのゾーニング現象を、全部Pさんが負担したから、Pさんは……」
P「それでいい。夕美を……皆を守ることが、俺の仕事だ。これまでも……これからも、それは変わらない」
夕美「……Pさん」スッ……
P「どうした、夕――」
夕美「んっ……ちゅっ、んん……んふっ……」
P「ん……いきなりだな。どうした?」
夕美「退院したら……2人きりになる時間も減っちゃうかなって。私だけじゃなくて、みんなも同じだけど」
P「そうだな」
夕美「だから……2人きりでいる今のうちに……セ○クス、しよ?」
P「……ああ、おいで」
……
…………
晶葉「そうか、丁度ホクドウに着いたところだったか。悪いな整備長、馬鹿デカい荷物まで運んでもらって」
整備長『いやいや、俺も早くフレイヤに戻らねぇと、嬢ちゃんたちのことも心配だし、それにせっかく用意したモンも持って行ってやらねぇと』
晶葉「開発中のとっておきの3機だが、やはり搭載させるヴァルキュリアシステムの完成度を上げてこそだ。最後の運用テストとデータ収集になるだろうし、後少しだ」
晶葉「こちらの都合で土星圏と木星圏を何度も往復させてしまってすまないが、フレイヤに来る新顔と、ありす達の分も合わせてテスト機の運用は頼むぞ」
整備長『へいっ、任せてくだせぇ』
パシュンッ!
楓「失礼します……あら、晶葉ちゃん、整備長と通信ですか?」
晶葉「丁度ホクドウに着いたらしくてな、状況を聞いていたところだ」
整備長『おお楓中佐、今日は軍のほうじゃないんですかい?』
楓「長距離航行プランの会議が午前だけだったので、時間も空いたからこっちに来ちゃいました」
整備長『時期が悪くなっちまったが、そっちもそろそろかぁ……そういや、少佐の旦那から連絡ありましたよ。今週末退院だって』
楓「え?」
晶葉「なんだと、聞いていないぞ」
整備長『ありゃ、そうだったんですかい。俺はさっきメールもらったんだけどなぁ……』
晶葉「あいつ、一番先に連絡する相手は整備長なのか……」
楓「あらあら……いけませんねPさんは。後で病院に行って、おしおきが必要かも……しれませんね?」
整備長『いやいやいや、何もそんな……』
楓「冗談です。あ……私のほうも、夕美ちゃんからメール来てましたね。気づきませんでした」
晶葉「まあ、私が言うのも違うだろうが、もうしばらくの間はありすと2人で頼むぞ」
整備長『了解。それじゃ、本部に顔出す用事もあるんで』
晶葉「気を付けろよ」
ピッ!
晶葉「ふぅ……」
晶葉「ああ、今度の新型に積む予定の奴だ。ニュージェネには先行してテスト機は渡して、次元跳躍のテストと並行稼働させている。システム部分については開発が一部追いついていなかったから、少し遅れていたがな」
楓「新システム、一般機のNGF用に作ったヴァルキュリアシステムのデータで、ようやく開発も進みましたからね」
晶葉「そうだな。一般機用に落とし込んだシステムも、ようやくゾーニング現象を抑制することが出来て実装することが出来た」
晶葉「プロジェクト・ヴァルキュリアのメンバーに関しては、その先があるからゾーニング現象を抑えきることは出来ないが……」
楓「単純に戦力の為のシステムであれば、一般機向けのシステム改修でいいと思います。でも、あの子たちには、あの子たちにしか出来ない仕事がありますから」カタカタカタッ!
ピピッ!
晶葉「……とはいえ、これまでのテスト結果からも、フラッシュバックの頻度は以前と比べて相当抑えることが出来ているはずだ」
晶葉「そうでなければ、ニュージェネもフレイの部隊も助手が不在の現状、持たなかっただろう」
楓「そう……ですね」
晶葉「さて、と……すまんが現場のほうに行ってくる。明日の次元跳躍の打合せに使うデータを集計したくてな」
楓「あら、大変ですね」
晶葉「助手のこともあるし、楓は軍本部からの帰りだし仕事を残してないなら定時で上がっていいぞ」
楓「そうですか? それじゃあ早めに上がらせてもらいますね」
……
…………
未央「あと2匹! しまむー!」
卯月『はい! ビフロストで飛行ルートを制限します! 凛ちゃん、予測データです!』ピピッ!
ドガガガガガガガァンッ!!
GS型「!!」ギュンッ!
凛『そこ! サーベル……やああああっ!!』ブォンッ!
シュパアアアアンッ!!
未央「最後の1匹! 逃がさないよ、ダインスレイヴ!」ズドォンッ!
ドガアアアアアアンッ!!
ピピッ!
ありす『宙域のGS型、すべて撃破……コンディショングリーンです。お疲れさまです』
未央「追加でやってきそうな反応もないし……うん、とりあえず終わりだね」
凛『ありす大尉、フィールドジェネレーターは?』
ありす『……反応無しです。戦闘中であればもしかしたら、と思いましたが』
卯月『やっぱり、ホクドウで待機していた時に観測されたものって、偶然なんでしょうか?』
ありす『いえ、ここ1年弱の間で再びGS型、及びG型が土星圏宙域付近に出現するようになったのと併せて、次元振動の観測頻度も増えてきています』
ありす『空間転移現象については未だ確認出来ていませんので、設置されている干渉装置自体は効いているとは思いますが……時間の問題です』
未央「やっぱり、白い奴らも何か動き出したってことですよね? 長距離航行プランがようやく始まるっていうところで……」
ありす『仕方がありません。どの道、私たちがクイーンに会いに行くときには戦闘を行う想定だったんですから。それが少し早まっただけです』
凛『それだけで済むならいいけど……とりあえず、帰艦します』
……
…………
パシュンッ!
未央「次のヴァルキュリアシステムの新型、Pさん用のなんだよね?」
凛「そう聞いてるけどね。それとナオの分の機体も。私たちのほうで収集したテストデータもフィードバックして、整備長が持ってくる新しいヤツに移行するみたいだけど」
ありす「お疲れ様です。みなさん、良いマニューバでしたよ」フワッ
卯月「あっ、ありすちゃん! えへへ、褒められちゃいました!」
ありす「島村少尉、まだ勤務中です。上官に対する口の利き方がなっていませんよ」
卯月「あう……す、すみません……」
ありす「まあ、艦制御もオートメーション機能に移行しましたので、休憩に入りますからね。今なら構いませんけど」
卯月「だったら怒らないでくださいよぉ……」
未央「まあまあ、家にいるときじゃないんだからさ、任務中は切り替えないと」
ありす「後で映像記録は見直しますけど、大分良くなったと思いますよ。これならS-02に行っても戦力になると思います」
未央「はぁー、ホクドウに戻って、整備長から新しい機体を受け取って新入りとちょっと戯れたら移動かぁ……ちょっと寂しいかも」
ありす「仕方がありません。土星圏外ではここよりも白い奴らが発見されていますし、戦闘機会も格段に増えてきています」
ありす「フレイのほうも運用体系を変更して一時的にS-02預かりにしましたし、それでも人手が足りていないみたいですから」
凛「そうだね。土星圏も少し前の木星圏くらいに落ち着いたけど、それよりも外は以前と同じくらいの戦闘規模になってきているし」
卯月「どうなっているんでしょうか……せっかく、あの時の戦闘でみんな頑張ったのに……」
未央「まあ、私たちだけで考えても仕方ないよ。Pさんが離脱して、アインフェリアも運用凍結状態になっちゃったし……」
ありす「Pさんが動けないとなると、美波さんたちがフラッシュバックを起こした場合の対応が困難ですから、仕方がありません」
凛「一時期は本当に大変だったからね……私たちも、避妊治療は受けてたけど妊娠するかと……まあ、あの時期に孕まなかったナオは奇跡だったけど」
卯月「でも、美波さんたちもPさんと一緒にいられて嬉しがってましたよね? 私もPさんと一緒がよかったんですけど……」
ありす「あの人たち、今でもPさんがフラッシュバックを起こすのを期待してますからね……信じられませんよ」
未央「まあいつも通りのアインフェリア隊ってことで」
ありす「私をそこに混ぜないでください」
未央「おっと失礼」
凛「同じ部隊なのに……あ、そうだ大尉、ミーミルを使ってもいいですか?」
ありす「いいですよ。何か調べものですか?」
凛「私たちと入れ替えでフレイヤに来るメンバー、確認しておこうかと思って」
未央「ホクドウ着いたら受け入れだもんね。最初だけは私たちのほうで色々教えておかないと」
凛「加蓮とナオも入れ替えでこっちに戻ってくるから、運用テストはそっちに引き継ぐけど……」カタカタカタッ!
ピピッ!
凛「あった。こっちに来るの、この3人だよね。あとはおまけの2人も」
卯月「この人とこっちの人、軍の入隊時期は私たちと同期なんですね……スコアいいなぁ……」
ありす「選定した大佐が言うには、ヴァルキュリアシステムの適性としては貴方達のほうが上みたいですけどね。技術的な面では新しい方々のほうが良いみたいですけど」
未央「うーん、複雑……しぶりん、他のデータ見せてよ」
凛「ちょっと待ってよ。えーっと……」
……
…………
時子「ラピッドストライカー隊の体制についての詳細は以上。後は向こうで上手くやりなさい」
ナオ「了解です」
加蓮「あれ、でも菜々さんは?」
菜々「ナナは智絵里ちゃんとしばらく一緒ですので」
智絵里「コンコルディア隊とラピッドストライカー隊は、ニュージェネレーション隊と一時的に統合して……加蓮ちゃんたちが、戻ってきたら……また再編成、ですよね?」
時子「そうね。菜々が黒川重工から預かってる機体の運用テストもあるから、出撃編成は考える必要があるけれど……まったく、いつまでも向こうの小間使いな部隊ね」
菜々「まーそれがラピッドストライカー隊ですからねぇ。リアルロボットの中にスーパーロボットが混じるのも結構大変でして……」
時子「どうでもいい」
菜々「あ、はい」
ナオ「菜々さんも一緒に来れたらよかったんだけどな。こればっかりは仕方がないか……」
菜々「どんなに遅くても、長距離航行のタイミングで合流ですけどね。そういえば時子さん、S-01の子は先にフレイヤに向かうんですよね?」
時子「今回の補給部隊の帰艦に合わせて先行する予定よ。貴方達は、さっさと引継ぎを済ませてフレイヤに行きなさい」
ナオ「やること多いからなぁ……凛たちがこっちに来た時に面倒にならないようにしておかないと」
加蓮「ま、そこは先輩的にもしっかりやっておかないとね」
……
…………
菜々「あ、ちょっと格納庫行ってきますね。前回戦闘で収集したウサミンロボのシステムログ、出しておきませんと」
ナオ「何か手伝うか?」
菜々「すぐ終わりますから、先にお部屋に戻って待機してていいですよ」フワッ
加蓮「……まあ、菜々さんのARGTは色々面倒くさいし、先に戻ってよっか」
ナオ「そうだな……」
加蓮「待機時間なら食堂でも行こうかなー。でも次の出撃編成に入ってるし……」
ナオ「なあ、加蓮」
加蓮「ん、何?」
ナオ「残念だったな。凛たちと一緒に任務できなくて、入れ替わりになったしさ」
加蓮「別に、ニュージェネならもう3人でも十分やっていけるでしょ? それに、ナシヤマに帰るときはみんな一緒だし」
ナオ「まあな。別件で木星圏まで戻るタイミングでもないと、会う機会は減ったけど……今はフレイもこっちにいるし、大丈夫か」
加蓮「そうそう。いつまでも新人じゃないんだからさ。それに……」スッ……
ナオ「……なんだよ」
加蓮「私には、ナオがいるもん」ギュッ……
ナオ「は、恥ずかしいこと言うなよなぁ……」
加蓮「私は恥ずかしくないもん。ナオは、恥ずかしい?」
ナオ「そ、そりゃあ……通路だし誰かに見られたら恥ずかしいけど……」
加蓮「……私ね。今でも思うんだ」
加蓮「また、こうしてナオと一緒にいられること。色んな奇跡が積み重なって、奈緒が私たちを助けてくれて……だから、またこうしていられる」
加蓮「もっともっと……奈緒にはたくさん、ありがとうって言いたかった。私を守ってくれて、こうしてまた、ナオと出会わせてくれて……」
ナオ「……そっか」
加蓮「奈緒……元気かな?」
ナオ「きっと、元気だよ。あっちの世界は平和なんだ。平和で……平和だから、アイツが自分の世界に戻ることが出来て、良かった」
加蓮「……そうだね」
ナオ「後は、あたしたちの仕事だ。この世界でやるべきこと……全部、全部終わったら……」
加蓮「奈緒に……また会えるかな? 次元跳躍のテストも、ニュージェネが進めてるし」
ナオ「会えるといいな。今度は……平和な世界で」
……
…………
「速水少尉! 補給部隊の回収物資、全部積み込みが終わったんで3NXもモリアン艦に移動させてください!」
奏「ええ、分かったわ。オプション兵装、装備したままだけどこのまま移動させていいのよね?」
「はい、装備したままでオッケーです」
奏「ホクドウに戻るまでの護衛部隊の編成、モリアンに入ってからもらえばいいのかしら?」
「隊のほうで連絡されていなければ向こうで通知されると思います。ヴェールも1隻戻るので護衛はそっちがメインになると思いますが」
奏「そう、ありがとう。あら……?」ピピッ!
奏「端末に通知……神谷少尉と北条少尉、後から来ることになったのね」
奏「国際連合防衛本部宇宙軌道防衛軍所属、第6防衛隊……新しい配属先。まあ、なるようになる、かしらね」
……
…………
ありす「そうですか。Pさん、ようやく退院ですか」
文香『はい……今週末だそうで……私も、先ほど夕美さんからお聞きしました』
ありす「よかった……お祝いもしたいですし、どこかで都合付けてナシヤマに戻りたいですね」
文香『Pさんも、またありすちゃんや、ニュージェネレーションの3人とお会いできるなら……とても喜ぶと思います』
ありす「そういえば、そちらはI@LP、どこまで進みましたか? 通しまで出来ているのであれば、映像データを送ってもらえればこちらも合わせることができるんですけど」
文香『昨日……一通りの記録は取り終わったので、後で転送しておきますね』
ありす「ありがとうございます。私はフレイヤにいるので、やっぱりみなさんと一緒に練習できないのは大変ですね」
文香『申し訳、ありません……私も、できればありすちゃんと一緒に、フレイヤに戻りたいとは、思っていましたが……』
ありす「仕方がありません。Pさんも含めて、みなさんはフラッシュバックの危険性も残っていましたから」
ありす「あの時の戦闘、対話の日とは違ってPさんが私たち全員の負荷を受けてくださったおかげで、耐性持ちの私や愛梨さんは早くに復帰できましたが、こればかりはどうしようもないと思います」
ありす「それに……私は、帰ったらPさんにたくさん甘えようと、思っていますから」
ありす「べ、別にそんなことしなくても……あの人も、後遺症でNGFに乗るのが困難になって、暇な時間が出来てようやく私たちのアイドル活動も見てくれるようになりましたね」
文香『喜ばしい……と言いますか……ですが、そうなってしまった経緯を思うと、素直には……喜ぶことが出来ませんね』
ありす「……」
文香『……』
ありす「私たちは、いつも助けられてばかりです。だから……最後は、私たちが……私たちの本来の役目を、果たしましょう」
文香『……はい。私たちも、なるべく早く仕上げて……そちらに戻ります。それまでは……よろしくお願いします』
ありす「今回のみなさんは、実質的にはプランV3の準備の為にナシヤマに残っていますし、それほど心配はしていません。私は待っていますから」
文香『はい……ニュージェネレーションのみなさんや、加蓮さん、ナオさんにもよろしくと……それでは』
ピッ!
ピピピッ!
ありす「ん……はい、どうしましたか?」ピッ!
卯月『ありす大尉、ホクドウの入港手続き完了しました! コードも発行されたので、各班から来てる補給物資の申請リストも出しておきますね』
ありす「わかりました。整備班には、整備長が合流したときの準備もしておくようにと連絡しておいてください」
卯月『はい!』
ありす「あと良いお話を1つ。Pさん、近いうちに退院するそうですよ」
卯月『ホントですか!? 凛ちゃーん! 未央ちゃーん! Pさん退院するみたいですよ!』
未央『おお! 吉報だねぇ!』
凛『よかった……これで、みんな揃うんだね』
ありす「他のメンバーとの合流はまだ先ですけどね。まあ、どこかでナシヤマに戻る用事を作って、家に戻ってもいいかもしれませんね」
……
…………
凛「フレイヤを港のアームに固定しました。入港作業終わります。搬入口を開けて、整備班の作業を開始させます」
ありす「それではフレイヤの整備作業についても予定通り実施とします。ニュージェネレーション隊は1時間後に本部に向かいます。外出準備をしてください」
未央「はーい……およ?」ピピピッ!
ありす「未央さん? どうしましたか?」
未央「おおっ! ありす大尉!」
……
…………
整備長「よーお前らー! 元気だったかー?」
未央「整備長! お待たせー!」
卯月「お疲れ様です!」
整備長「待ったも待った。暇過ぎて酒飲む金も使い切っちまったよ」
凛「またそんなこと言って……整備長、新システムは?」
整備長「VSTGに積み替える分は持ってきたぜー。コックピットブロックの換装作業、やっとくからよ」
ありす「お疲れ様です。新型のほうはどうしますか?」
整備長「基本設定は美波の嬢ちゃんにやってもらったからよ、残りは新入りが来たらやらせりゃいいだろ」
ありす「そうですね。換装用のコックピットと、新型3機の搬入作業、お願いします」
整備長「へい了解! そっちはどうすんだ?」
ありす「1時間後に新入りの受け入れの為に本部へ向かいます。全員揃っているはずですから」
ありす「アインフェリア隊と愛梨さん、蘭子さんが常駐できれば人数的には問題ないんですけどね」
ありす「ただ、プランV3のことも考慮すると今の体制では賄いきれませんし、人員を増やすしかありません」
整備長「まあ、フレイヤに来るってことはよ……」
ありす「……はい」
卯月「またPさんのおちんぽ狂いになっちゃう人が……」
凛「いや大丈夫でしょ……私たちが使ってたときのシステムから改修が入ってるんだし、そこまで酷くはならないとは思うけど」
未央「まあでも、好きだよねそういうの」
ありす「貴方達……美波さんじゃないんですから外でそんな話をしないでください」
……
…………
ありす「直接顔を合わせるのは初めてになりますので、改めて互いに自己紹介をしましょうか」
ありす「私はプロジェクトV……正式にはプロジェクト・ヴァルキュリアの運用艦であるフレイヤⅡの艦長代理、橘ありす大尉です。今後の貴方達の上官になりますので、よろしくお願いします」
ありす「あとは……こちらの3人は、もしかしたら何度かI@LPで顔を見る機会があったかもしれません。ニュージェネレーション隊です」
卯月「島村卯月少尉です! よろしくお願いします!」
凛「渋谷凛少尉です。よろしく」
未央「本田未央少尉です! 私たちは別件があって長く一緒にいれないけど、短い間でもよろしくね!」
奏「S-02から来ました。速水奏少尉……です」
美嘉「城ヶ崎美嘉少尉です」
周子「えーっと、塩見周子少尉です。よろしくお願いしまーす」
ありす「お互いに少し硬いですね。私と塩見少尉以外、入隊時期は同期になりますし、広報のアイドルでもありますので、もっと気楽で構いませんよ」
未央「と、いうわけでヨロシク!」
卯月「色んなところが緩いですからね」
奏「あら……それじゃあ遠慮なく。よろしく」
周子「それじゃーあたしも、そこそこ適当にさせてもらおっかなー。よろシューコ、ってね」
卯月「はい! えーっと……美嘉、さん? 美嘉……ちゃんは?」
美嘉「……ん、それじゃみんなアイドルならアイドルらしく、やってこっか。ヨロシク★」
ありす「まあ、うちはこれくらいでいいですかね。この後少し、絶望を覚えるようなお話をもしなければなりませんし」
奏「何の話……ですか?」
ありす「詳しい話は艦に戻ってからしますが、本プロジェクトの詳細は一部を除きアルヴィスの秘匿階層レベルの情報になります」
ありす「プロジェクト遂行にあたっての試作機、試作兵装の運用テスト、それらの作戦への導入実施が行われます。また、既に全体に展開されているプランV3の件」
ありす「対話の日に実施されたプランV、クイーンとの対話を行ったプランV2も合わせて私たちの部隊の任務となっています」
ありす「プランV3の作戦詳細や貴方達のポジションについては別途お話します。長距離航行プランにおいて重要な立ち位置となっていますので、活躍を期待しています」
「「「はい」」」
……
…………
ありす「以上が、プロジェクト・ヴァルキュリアの全体概要となります。各項目についての詳細は、端末に転送している資料を参照してください」
奏「3NXや4Nに搭載されているGNブースト……ここで運用されていたヴァルキュリアシステムっていうのが……」
ありす「はい。ヴァルキュリアシステムはこれまで標準配備されていたNGF-3Nのアップデート版であるNGF-3NX、及び次世代機であるNGF-4Nに搭載されたGNブーストの元となった先行システムとなっています」
ありす「ただし、新規格のパイロットスーツを使用しNGF搭乗者へ働きかける効果はGNブーストとは大きく異なります」
美嘉「大きく違う……GNブーストは新しいパイロットスーツを着て、機体から受けた電気信号でアタシたちの戦闘技術を向上させるって……」
ありす「その部分については大きく変わりません。ヴァルキュリアシステムもGNブーストと同じく、基本的にはパイロットに直接適用される専用システムです」
ありす「ヴァルキュリアシステムは各機体共通仕様の360度フルスクリーンモニター、擬似立体音響、運動制御補助プログラム用の脳波受信装置の3つで成立しています」
ありす「システム起動中はフルスクリーンモニターにより映される光景、擬似立体音響から伝わる音、そして脳への情報伝達率をより高度にすることによって」
ありす「搭乗者へ戦闘中でに適切な状況判断、行動の最適化を円滑に促すことでより高次元の戦闘を行うことができます」
周子「あーそうそう、なんかそんな感じだったような……」
未央「追加っていうか、GNブーストはその効果がオミットされてるってことだけどね」
ありす「ヴァルキュリアシステムは、システムとダイレクトリンクしているパイロットスーツから、電気信号が随時全身に送られることになります」
ありす「その効果は大脳の扁桃体を初め、体の様々な器官に影響を及ぼすことで、機体搭乗者の精神に直接働きかける物となります」
ありす「搭乗者はシステム起動後は恐怖心、闘争本能を活性化させて人間の生存本能を莫大に発現させることでゾーニング現象を発生させます」
ありす「これにより通常戦闘内であれば、先程話した効果がゾーニング現象と併用することで、更なる戦闘力の向上が見込めます」
美嘉「なんか、ちょっと怖い気がするけど、戦闘だけならヴァルキュリアシステムを使うほうが全然良いと思うんだけど……」
ありす「いえ、戦闘中はゾーニング現象を維持する為、電気信号により強制的にその効果を維持することになります」
ありす「通常では有り得ない肉体的、精神的負荷を継続的に受けたことにより、戦闘終了後も搭乗者の身体には後遺症として、ゾーニング現象が残ることになります」
ありす「そして、生存本能が活性化されたことにより、戦闘後は激しい性衝動が襲ってきます。性衝動については自慰行為等で別途発散させることでゾーニング状態を解消し、対応していきます」
奏「は?」
美嘉「は?」
周子「は?」
卯月「ま、まぁそうなりますよね……」
美嘉「ちょ、ちょっと待って! そんなのって有り得なくない!?」ガタッ!
周子「いやー……ビックリ」
奏「……さすがにそれは、非人道的なシステムだと思うけれど」
ありす「そこについては否定できません。現に私やニュージェネレーション隊は効果の大小はあれど、何かしらの影響を受けています」
美嘉「え、ちょ……ええええ……」
奏「いや、影響って……何、それ」
卯月「あ、で、でも心配しなくていいですよ!」
凛「後遺症については、ありす大尉の時期が特に酷かった頃で、私たちが配属した時期には後遺症の抑制も進んでいたし」
ありす「はい。今回貴方達にお渡しする新型については、オート・クレール社が更に改良した新型のヴァルキュリアシステムが採用されています」
ありす「後遺症及び肉体的な負荷も、従来のシステムより大幅に軽減されています。後遺症によるフラッシュバックも、ほぼ起きないとは思いますが……」
美嘉「あっ、あわっ、あわわわわわ……」ガクガクブルブル
ありす「まあ、しばらくしたらゾーニング現象の対策として、この艦にそれ相応の方が来てくれます。それまでは頑張ってください」
周子「アフターケアは万全……ってわけじゃなさそうだけど、ちなみに、その人は何する人?」
ありす「みなさんとセ○クスする……だけではありませんが、私たちの部隊を統括する方が合流します」
ありす「アインフェリア隊、及びニュージェネレーション隊の上官であるP少佐になります。セ○クスをご希望であれば、その方にお願いしてください」
美嘉「セッ!? セセセセセセセセ!!」
周子「ちょっ、ちょっと落ち着きなって……ま、まあこっちが騒いでも、何か変わるわけでもないしええけど」
ありす「まあ、特にシステムについてはプランVにおける重要な物となりますので……プロジェクトとシステムの説明については以上になります」
ありす「この後は一度艦内施設の案内をします。その後は格納庫に行って、みなさんの機体の調整とシミュレーターを起動してもらいますので、移動しましょうか」
……
…………
周子「ま、食堂はどこもこんなもんだよね」
ありす「同型艦のフレイが、乗員の趣味で内装を変更しているみたいですけど、ここは特にそういった趣味の方がいませんので標準のままです」
未央「おばちゃーん、新しく来た人たち連れてきたよー!」
おばちゃん「おや? みんな来たのかい? いらっしゃい」
美嘉「ど、どうも……」
おばちゃん「この艦、仕事大変だからねぇ。みんなも体壊さないように頑張って頂戴ね」
奏「……はい」
ありす「まあ、フレイヤの乗員は全員プロジェクト要員なのでみなさんの事情は知っていますから」
おばちゃん「大丈夫だよ! ニュージェネのみんなだってすぐ慣れたんだし、ねえ?」
卯月「はい!」
凛「慣れっていうのは恐ろしいね」
美嘉「慣れたくない……」
ありす「そういえば、厨房が忙しそうですね。仕込みですか?」
おばちゃん「整備班に弁当用意してるんだよ。今回は搬入出の作業多いみたいで、休憩時間少ないからね」
ありす「整備長が持ってきた物も相当ありますからね。すみませんが、よろしくお願いします」
おばちゃん「あいよ。はぁ……智絵里ちゃんがいれば、もう少し楽だったんだけどねぇ……」
未央「最早パイロットなのかコックなのか扱いが良くわからなくなってるちえりん……」
凛「まあ智絵里は菜々さんと一緒にS-02に戻って、中尉に上がったからね」
ありす「おっと、お話が長くなりましたね。それでは移動しましょうか」
……
…………
晶葉「……そろそろ終わりか」
ピピッ!
パシュンッ!
P「……」
愛梨「……」
蘭子「……」
『P NGF-3Nシミュレーター評価 SS』
『神崎蘭子 十時愛梨 NGF-F-VPS13シミュレーター評価 SS+』
愛梨「やりましたぁ!」ピョンピョンッ!
蘭子「うむ! 我も神の頂きへと上り詰めた!」
P「そうだな……俺も、リハビリプログラムをやっている間に調子が良くなったと思っていたが、そろそろ引退かもしれん」
愛梨「そ、そんなことないですよぉ! Pさん、シミュレーターは3Nで動かしましたし、私たちは新型ですから……」
蘭子「単独マニューバだと勝負にならないもん……」
晶葉「2人のサードの搭乗経験から、やはりこういった形で運用するほうが単体としての成果は上がるか……どうする?」
P「悩ましいな。恐らくは単機での突破力も、集団での殲滅力も必要になる」
愛梨「ビーさんたちのお話を聞いた感じですと、星に行ったらたくさんのG型がいるかもしれませんし……」
晶葉「単独でのシミュレータースコアであれば……そうだな、単独出撃した愛梨程のスコアでもなければG型を相手にするのは厳しいか」
愛梨「ニュージェネのみなさんはどうなんですか?」
P「防衛ラインを任せようと思っている。3機でのマニューバであれば、上手くやれるとは思っているが」
晶葉「となると、こちらから最前線に出すのはラピッドストライカーとブリヤントノワールの2部隊、あとは愛梨と蘭子か」
P「前線任務をメインにする予定だ。アルヴィスで過去の戦闘記録を閲覧したが、腕は悪くなさそうだ」
P「ニュージェネと比較しても、単独でのマニューバは新しいメンバーのスコアが上のようだしな」
晶葉「なんだ、他所から来る2人はそんな面子なのか? 今のあの3人も悪くはないが、それくらい動けるならこの時期なら土星圏外に回されてもいいとは思うが」
P「そっちでの戦闘をやっていたメンバーもいる。まあ……フレイヤに来ることになったのは、色々ある」
晶葉「なんだ珍しい、歯切れが悪いな」
P「1人は……まあ、前線に出続けていれば稀にあるというか、少し前に起きたノルン級の巣の攻略戦でな。指揮伝達が遅れたタイミングだったらしいが」
晶葉「なるほどな。で、そいつはこっちに来て使い物になるのか?」
愛梨「多分、大丈夫だと思います。その後の戦闘記録も、出撃編成には入っているみたいですし、ただ……」
晶葉「ただ?」
晶葉「この時期に単独出撃が出来るなら大したもんだ。お前たち程だとは思ってはいないが、確かにそれなりだな」
愛梨「フレデリカちゃんや、桃華ちゃんくらい飛べるみたいですから、私もこの人ならいいかなーって思ったんですけどね」
P「そうだな。もう1人は……」ピピピッ!
P「っと……会社の端末か。打合せの時間か」
晶葉「もうこんな時間か。仕方がない、行くぞ」
蘭子「暗黒会議……私たちどうしようかな」
P「本部に戻る用事も、I@LPもないなら家に帰ってていいぞ。今日の打合せは櫻井からも人が来てるから、少し時間が掛かる」
愛梨「はーい。それじゃあ先に帰ってますね。蘭子ちゃん、いきましょう?」
蘭子「我、甘美なる誘惑に惑わされる」
愛梨「それならどこかでお茶して帰りましょう♪ それじゃPさん、お先に失礼しますね」
P「ああ、気を付けて帰れよ」
……
…………
パシュンッ!
卯月「凛ちゃん、やりました!」
凛「うん、いつもよりスコア伸びてるし、今日は調子いいんじゃない?」ピピッ!
奏「……」
美嘉「……」
周子「……」
卯月「頑張りました!」ブイッ!
『島村卯月 NGF-3Nシミュレーター評価 D+』
『渋谷凛 NGF-3Nシミュレーター評価 C-』
『本田未央 NGF-3Nシミュレーター評価 C』
未央「おーおー、しまむーも1ランク上がったねぇ。安定すればもう1ランク上げられそうじゃん」
『速水奏 NGF-3Nシミュレーター評価 B-』
『城ヶ崎美嘉 NGF-3Nシミュレーター評価 B-』
『塩見周子 NGF-3Nシミュレーター評価 C-』
卯月「うわぁ……3人とも凄いスコアですね! Bランク帯以上って凄く判定厳しいんですよね……」
奏「まあ、この判定もギリギリのところだけど……3NのシミュレーターでB以上は行ける気がしないわね」
美嘉「まあまあ、スコアも大事だけど、実戦で上手くやるのが重要だからさ」
未央「いやそれにしても私たちの立場がないねこれは……もっと一緒にシミュレーターやりたかったなぁ」
周子「そういやさっき話してたね。S-02に行くって」
凛「元々フレイヤにいたメンバーが何人かS-02に行っててね。そのメンバーもヴァルキュリアシステムを使ったことがあるんだよ」
未央「そうそう。抑制剤もあるし、フラッシュバックは頻発しなくなったけど、長期間フレイヤから離れた分のメディカルチェックも兼ねて私たちと交代ってこと」
奏「……もしかして、それって神谷少尉と北条少尉かしら?」
凛「そうだよ。あ、奏はS-01から来たから2人の名前は知ってるんだ?」
奏「直接会って話したことはないけれど、ここに来る前に少し連絡を取り合っててね。あの2人がいる部隊、結構有名だもの」
卯月「ラピッドストライカー隊、菜々さんのARGTって目立ちますからね……」
凛「あっちの部隊も、試作兵装のテスト運用やってるからね」
未央「ん、どしたの美嘉ねぇ?」
美嘉「美嘉ねぇって……変なあだ名付けないでよ……アタシのほうが後から来たんだし」
未央「まあまあ、私たちより年上だしさ」
美嘉「まあいいけど……いや、機体の話で思い出したんだけどさ、さっき向こうで機体の確認してた時に見かけた機体」
美嘉「開けっ放しだったコンテナの中にあった3N、カスタム機だったけど誰が乗ってるのかなって」
卯月「あ、それは……」
凛「NGF-3N-SD、今は誰も乗ってないよ」
周子「誰も使わないの? 勿体無いやん?」
凛「うん。パイロットはもういないけど……まあ、私たちのお守りみたいなもの、かな」
美嘉「……誰が乗ってたの?」
凛「それは……私たちが話しても、ね。今度、北条少尉……加蓮が来た時に、聞いてみるといいよ」
……
…………
ありす「長距離航行プランについては内々で大佐から連絡を頂いている通り、時期になりましたら再度招集を掛けます」
ありす「また、フレイヤⅡに関しても土星圏外での戦闘状況、または上層からの指示により別宙域に移動する場合もあります」
ありす「合流についてはその都度指示を出しますので、圏外での戦闘はラピッドストライカー隊とコンコルディア隊と協力してお願いします」
未央「はい!」
卯月「頑張ります!」
凛「大尉も気を付けてください」
ありす「……まあ、しばらく離れることになりますし、少しくらいは普段通りにして構いません」
凛「それじゃあ3人で頑張って、ありすに良い報告できるようにしようか」
卯月「はい! 向こうは翠さんたちもいますしね!」
ありす「貴方たちは本当に翠さんのこと好きですね……私の立場がありませんよ」
未央「まあ長いことお世話になったから……大丈夫、ありすちゃんのことも私たち、大好きだから!」
ありす「恥ずかしいのでやめてください」
整備長「お前ら、S-02でもしっかりやるんだぞ!」
おばちゃん「怪我しないようにね。お弁当、シャトルの中で食べるんだよ」
周子「ずいぶんゆるーい挨拶やね。ていうか整備長もおばちゃんも来とるし」
凛「まあ、うちの部隊はこんな感じだから」
卯月「みなさんも、頑張ってくださいね!」
美嘉「バッチリやっとくよ★ そっちも気を付けてね」
凛「対応予定の宙域で次元振動の観測結果が出てるから、戦闘のときはありす大尉の指示に従って、加蓮やナオと協力してよ」
奏「2人は明日、ここに来る予定だものね。わかったわ」
周子「合流したらすぐにあたしたちも宙域に出て戦闘でしょ? いやーどこに行っても大変だね」
ありす「アルヴィスの更新履歴を見たところ、他宙域でも次元振動が観測されているようです。やはり、白蜂もこちらで設置した干渉装置の効果をすり抜けて来ているみたいですが……」
美嘉「……」
ありす「まあ、どこにいても大変なのは変わりません。3人とも、NGFの積み込みも終わっていますから、そろそろシャトルに行きませんと」
卯月「あ、そうだった……それじゃあ、いってきます!」
ありす「はい、いってらっしゃい」
整備長「気を付けていけよー!」
……
…………
ありす「各宙域に設置されている干渉装置の効果……やはり、とりあえず有効にはなっていますね」カタカタカタカタッ!
ありす「ちひろさんから頂いている連絡では、まだ火星圏ではG型は確認できていない。次元振動も……」
ピッ!
ありす「エネルギー測定をした際の波長から外れる何か別の要因が……分かりませんね。オート・クレールの解析結果が出るまでは何とも……」
ピピピッ!
ありす「はい」
奏『大尉、お時間良いかしら?』
ありす「構いませんよ。どうぞ入ってください」
パシュンッ!
奏「失礼します……何か作業を?」
ありす「上から来ている直前の任務について確認していました。土星圏内で観測された次元振動……断層発生と、空間転移予測の詳細が来ていましたので」
奏「初報だと、断層発生まであまり時間が無いって書いていたけれど……間に合うのかしら?」
奏「それはいいけど……その、1つ神谷少尉からお話を聞いていたんです。4人くらい来るって」
ありす「ああ……次のブリーフィングで話そうとは思っていました。神谷少尉、北条少尉の他にも2人、合流を予定しています」
奏「それって……」
ありす「はい。先に来た貴方達3人を含めた5人小隊として運用を予定している2人です。追加の2人はくだらない理由で合流が遅れている状態ですけどね」
奏「だからまだ新規の小隊手続きが無かったのね……そんな気がしていたわ」
ありす「ちなみに広報のほうから私に連絡が来ていますが、貴方達の今後のアイドル活動も5人ユニットで行う方針に変わります。そのうち、I@LPにも通知が来るはずです」
奏「……なんだか、色々と環境が変わってくるのね。目まぐるしく感じるわ」
ありす「そういうものです。貴方も、環境に合わせて変わってくれることを期待しています」
奏「……」
ありす「さて……すみませんが私はこれから格納庫に行ってきます。ブリッジのコンソールマニュアルの確認が終わったら各部屋で待機していてください」
……
…………
奏「……」
ありす『そういうものです。貴方も、環境に合わせて変わってくれることを期待しています』
奏「……別に、私が変わったわけじゃない。私は……裏切られただけ」
奏「そういえば……アイドルの仕事も変わること、周子と美嘉にも話したほうがいいかしらね。大尉からも話が行くと思うけれど」
奏「あまり、お節介はしたくないけど……そうね、チームでやるもの、少しなら……」
奏「……見透かされているのかしらね、私自身も」
……
…………
奏「まだブリッジに2人とも来ていなかったし、部屋にいるとは思うけれど……」スッ
ピピピッ!
奏「奏よ。美嘉、少しいいかしら?」
奏「……返事、ないわね」スッ……
奏「ロックがされてないから、部屋にいる……わよね。美嘉、入るわよ」ピッ!
パシュンッ!
『それでね、アタシ絶対ぜーったいアイドルになるんだから、お姉ちゃんみたいに!』
美嘉「コラコラ、アイドルなんてそんな簡単になれるもんじゃないんだからね?」
『だからアタシもお願いして、ナシヤマのオーディション受けにいくから! そっちに行くときは、お姉ちゃんのトコに泊まっていーい?』
美嘉「もー、アンタってばいつも勝手に決めようとするんだから、アタシだって仕事あるんだからさぁ」
奏「美嘉?」
美嘉「……ん? あ、どうしたの?」
『あとね、この間チョーイケてる新しいお店が出来たんだけど――』
ピッ!
美嘉「アタシの妹。莉嘉っていうんだけど、いつも話す度に元気でうるさくてやかましくてさ」
奏「あら、いいじゃない。仲が良いならそれで。妹さんだって、楽しそうに貴方と話していたじゃない」
美嘉「もう、恥ずかしいって。まだまだやんちゃでね、アタシの真似してアイドルになりたいーって何度も言ってくるし」
奏「可愛らしいじゃない。せっかく話していたのに、邪魔してごめんなさいね」
美嘉「いいよいいよ。何か用事?」
奏「そうだけど、莉嘉ちゃんとお話していたなら、後にするわ。いきなり切っちゃったでしょう?」
美嘉「大丈夫だって。仕事のほうが優先でしょ?」
奏「いいの?」
美嘉「気にしなくていいって、それで?」
奏「さっき大尉から聞いたけど、神谷少尉と北条少尉の他にも2人、合流するみたいなの。私たちも混ぜた5人で、ユニットを組んでアイドルをやれって広報から来ているみたい」
美嘉「えー何それ、I@LPからまだ何も来てないけど……今まで持ってた仕事、どうなるんだろ?」
奏「上手くスケジュールとかは合わせて来るとは思うけど、お互いのスケジュール確認なら早いうちにやっておいたほうがいいかと思って」
美嘉「それじゃ周子も呼んで、3人で擦り合わせしておこっか。追加で来る2人にすぐ渡せる物、用意しておいたほうがいいよね」
奏「そうね。悪いけど少し付き合って頂戴。マニュアルの確認もしたいし……ブリッジでやりましょう」
美嘉「オッケーオッケー★ それじゃ行こっか」
……
…………
ありす「整列してください。こちらが先日お話した神谷奈緒少尉と北条加蓮少尉です。お2人も2年程前から本プロジェクトのメンバーになっています」
ありす「ナオ少尉は前線、北条少尉は状況を見てブリッジ、前線任務の兼任となります。前線ではお2人の指示に従ってください」
ナオ「よろしく……といっても、同じ階級だしお互い気楽にやろうか。ここ緩いし」
奏「凛たちも同じことを言ってたわ。こちらも、そのほうが気楽だしよろしくお願いね」
加蓮「とはいえ、戦闘中の指示には従ってもらうことになるけどね……今回はギャルっぽいメンバーなんだ」
美嘉「ま、アタシはギャル売りしてるからね」
周子「あたしそんなにギャルっぽくないと思うんやけど……」
ありす「ナオさんについては前線での運用体系が特殊なので、後でシミュレーターで互いのマニューバの確認を行ってくださいね」
ナオ「普段はNGFに乗ってるんだけど、こっちだと状況次第でオプション兵装で出撃することもあるからな。P少佐が来ない限りはそういう機会はないけど」
美嘉「P少佐?」
ありす「……コホンッ」
美嘉「あっ、あわわわわわわ……!」ガクガクブルブル
奏「ああ……そういうことね」
ナオ「おいおい、あまり脅かすなよ」
加蓮「ゴメンゴメン。ふふっ、でも今のヴァルキュリアシステムなら早々お世話になることはないと思うから、心配しなくていいよ」
周子「いやめっちゃ心配だけど……」
ナオ「ていうか、Pさんのこと話してなかったのか?」
ありす「話すとまたややこしくなりそうなので、別の機会の時でいいかと思っていたんです。さて、話が脱線してきたので……」
ありす「各員、現在ホクドウの軍本部から土星圏宙域内での次元振動が観測されています」
ありす「少し前から圏内での観測はされていましたが、今回は久しぶりに次元断層まで発展する規模の振動となります」
ナオ「つまり、土星圏に設置した干渉装置の効果をすり抜けて来たってことか」
ありす「そうです。残念ながら……とはいえ、そういった事態が起こることも想定されていました」
ありす「ビー種であれば本部に連絡後、識別信号及び広域電波伝達式の対話プログラムを用いて受入れ、G型及びGS型であれば迎撃を行います」
ありす「また、戦闘中に圏外観測されている超空間転移……次元跳躍現象の発生を確認した場合は、NGFの跳躍テストを兼ねた追跡行動に作戦を移行させます」
ありす「こちらについては事前に説明した通り、ナシヤマでの稼働テストとニュージェネレーション隊による運用テストを引き継ぐ形で実施します」
ありす「次元跳躍後は正規の手順を踏めば元の場所に戻れますので、マニュアルには再度目を通しておくように」
奏「了解です。跳躍テストが一番怖いわね……」
周子「他所の場所に行って帰ってこれないとかになったら、遭難だもんねー……」
ありす「ニュージェネの3人は慣れてからは楽しそうにテストやってましたけどね。それではこれより出航準備に入ります」
ありす「各自事前展開している作業を済ませておいてください。整備班の作業終了後に出航します」
……
…………
奏「ごめんなさい、少尉……じゃなかったわね。ナオ、作業手伝ってもらってありがとう」
ナオ「来たばかりだと、まだ慣れないだろ? フレイヤはブリッジメンバーが少ないから機材の移動もこっちでやらないと回らないしな」
奏「ホント、最初に聞いたときはとんでもない場所に来たと思ったけれど……本当に覚えることが多いわ」
ナオ「ノルンにいると前線任務だけやってればよかったからなー。あたしも、しばらくフレイヤにいたら裏方作業も覚えちゃったよ」
奏「そうね……そうだ、この後時間あるかしら? 今はブリッジの作業、美嘉と周子がやっているから早めに食事にしない?」
ナオ「ああ悪い、ポイントに向かう前にそうしておきたいんだけど、ちょっと整備長に頼んでた作業があってさ……コックピットブロックの換装、終わった後の再設定しなきゃならなくて」
奏「あら、それなら仕方がないわね。それじゃあ一人で寂しく食事にしておこうかしら」
ナオ「そ、そういわれると何だか気が引けるな……」
奏「ふふっ、冗談よ。それじゃあ後でね」
……
…………
ナオ「ん、あれは……」
加蓮「……」
ナオ「加蓮、何やってんだ、こんなところで」フワッ
加蓮「あ、ナオ……ううん。何でもない」
ナオ「……3N-SDか」
加蓮「うん。定期メンテでコンテナから出してたんだって。フレイヤにいると、見に行きたくなっちゃってさ」
ナオ「そっか」
加蓮「この機体がここにあると、奈緒が私たちを見守ってくれているような気がして……もしかしたら、実は奈緒がまだ3N-SDに乗ってて、いきなり出てくるんじゃないかなって思って」
ナオ「みんな、この機体はお守りだって言ってるからなあ……アイツは、帰ったよ。自分のいるべき場所に」
ナオ「アイドル、やりたがっていたからな。アイツはNGFに乗って戦場に出るより、マイクを持ってステージに出るのが正しいんだから」
加蓮「ねえ、ナオ」
ナオ「なんだ?」
加蓮「ナオは、ずっと私の傍にいてくれる?」
ナオ「……何の為に、あたしが戻ってきたと思ってるんだよ。恥ずかしいし、わざわざ聞かなくてもいいだろ?」
加蓮「ふふっ、分かってる。だけど、言葉が欲しいから……言葉があると、もっと安心できる」
ナオ「……はぁ、このっ、このっ! 甘えん坊め、そんなんだと奈緒が安心できないだろ?」
加蓮「あんっ、もう……それもそっか。あ、そういえば奈緒にとっては私たちの世界はエ口ゲーの世界だから……もしかしたら私たちの様子、本当に見ていたりして……」
ナオ「え」
ナオ「ははは、そんなまさか……いや待て、あたしも向こうに行ったときにプレイしたぞ……てことは、まだあの通信端末が繋がってるならその可能性も……」
加蓮「それじゃあ、私とナオがPさんにお願いして3Pしてもらった時の様子も見られてるってこと……かな?」
ナオ「う……うわああああああ!? そ、そんな……まさか、ア、アイツから見たらあたしも、エ、エ口ゲーのキャラみたいに……!」
加蓮「だってナオ、私がPさんとセ○クスしたときも見てたんでしょ? それならナオがPさんとセ○クスしているときだって……」
ナオ「あ……あ、あ……ああ、あああああああ嘘だ、嘘だそんなああああああああ!!!!」
整備長「お前らさっきから何騒いでんだよ」フワッ
加蓮「あ、整備長」
ナオ「これが騒がずにいられないだろ! あたしがPさんとセ○クスしてるの、奈緒に見られてるかもしれないんだぞ!? 自分にセ○クスしているところ見られるなんてどんな羞恥プレイだよ!」
整備長「今更過ぎるだろお前……んなことより、ほれ、コックピットブロックの換装終わったから再設定しといてくれよ」
ナオ「あ、わ、悪い……ありがとう。ヴァルキュリアシステムの入れ替え……これで、大分良くなったのかな」
加蓮「みんな、前の戦闘から色々大変だったのに……Pさんだって……」
整備長「まっ、嬢ちゃんたちもそうだけど、少佐の旦那なら大丈夫だって。これまでもそうだったろ?」
加蓮「まあ……そうだよね」
整備長「そういやお前ら、新入りはどうするつもりなんだ?」
ナオ「前線任務で使おうと思ってるけどな。フレデリカたちがこっちに来たら、ブリッジ担当も1人増えるし」
加蓮「そこら辺はありすともう少し話しておくけどね。私はしばらく留守番かな?」
ナオ「ま、ブリッジにありす1人だけってのは難しいだろ」
整備長「ナオはVPSPは使わねえのか?」
ナオ「奈緒もPさんいないからヴァルキュリアシステムは使えないし、3NXも貰ったからしばらくはそっちで十分だよ」
ナオ「もう少しメンバーが集まって、支援担当が必要になったらそっちに乗り換えるつもりだけどさ」
整備長「整備は済ませてるから、乗りたいときは言ってくれよ。今んとこはそんな規模の大きい戦闘はしない予定だけどよ」
ナオ「そうだな……もう少し先だ」
……
…………
周子「指定宙域ポイントまで後10時間……遠いねぇ」
奏「そうね。ホクドウからここに来るまでの時間も長く感じるのに、これで長距離航行プランなんてあるんだもの」カタカタカタッ!
美嘉「……そうだね。でも、それで、その作戦で最後になるなら――」
パシュンッ!
ありす「お疲れ様です。様子はどうですか?」
美嘉「あ、大尉……今のところ何もありません」
ありす「そうですか。オートメーション機能の航路誤差は?」
周子「んー……マイナス1やね」
ありす「わかりました……おや奏さん、何を見ているんですか? ミーミルを起動させていますが」
奏「アルヴィスで公開されてる、長距離航行プランの概要です。実際にプランが実行されると、長い移動になるなと思って……」
奏「確か……元々は、ずっと前に現行稼働されている戦艦に搭載予定のシステム、だったかしら……」
ありす「はい。光波推進システムについては、20年以上前に稼働していた艦……アウズブラ級大型宇宙航行艦アウズブラの一部で試験的に搭載されていました」
奏「随分昔ね……10年前ではもう、ユミルからノルンに移行していた時期だったって聞いたけれど」
ありす「ですが、システムを搭載していたアウズブラが有人による惑星探査……長距離航行試験も兼ねて行っていた最中、当時のキラー・ビーが発見されて……」
美嘉「……」
ありす「……まあ、キラー・ビーの存在により、後続艦への光波推進システムの搭載は見送られ、長距離航行プランは一時凍結せざるを得なくなりました」
ありす「その後はキラー・ビーの対策として、軍部拡張とグレ○プニールの生産配備、ユミル等の戦闘用戦艦の実装が優先されることになりました」
周子「大変だねー、まったく」
ありす「まあ、今回の任務には関係の無い話です。長距離航行プランについても時期になれば展開されます。まずは今回の作戦を第一に考えましょう」
……
…………
ありす「次元振動発生地点の指定宙域ポイントに到着しました。これより、作戦を開始します」
ナオ「次元断層までには間に合ったか。編成は?」
ありす「ナオ少尉、速水少尉、城ヶ崎少尉、塩見少尉の4名は暫定アルファ小隊としてNGFで出撃、私と北条少尉はブリッジを担当します」
加蓮「そっち、まだI@LPに新しいユニット申請出してないもんね」
美嘉「ま、戦闘するだけなら関係ないよ」
ありす「各員、パイロットスーツに着替えて出撃準備をしてください。このチームでは初の実戦です。気を引き締めていきましょう」
「「「「「了解!」」」」」
……
…………
奏「新型で初めての実戦……シミュレーターでの戦闘は問題なくできたけれど……」カタカタカタッ!
ピピピッ!
ありす『各機、新型の性能はG型、及びGS型に十分対抗できる物になっています。空間転移で戦闘対象が出現した場合は、速やかに対処してください」
美嘉『了解』
周子『ちゃっちゃと頑張りますか』
ナオ『しっかりやってくれよ……加蓮、フレイヤは任せたぞ』
加蓮『大丈夫だよ、ナオも気を付けて。奏、持って来てたディフェンスパックの接続は大丈夫?』
奏「ええ、問題無いわ」
周子『ていうかこのパイロットスーツさぁ……』
美嘉『う、ううう……』
奏「随分と攻めたスーツだこと……他人の視線が怖くなりそうね」
ありす『そのうち慣れます。体のラインを見られるのが恥ずかしいのであれば、体型維持は怠らないように』
周子『いやそういう話じゃなくて……』
ナオ『ま、あたしも最初はエ口スーツには戸惑ったけど、そのうち気にならなくなるって。それじゃあ行くぞ!』
加蓮『ハッチ開放完了、各機出撃どうぞ』
ナオ『了解、NGF-3NX、出撃する!』
奏「NGF-VS23SX、NGFヴァルキュリアでいくわよ」
……
…………
ありす「北条少尉、フィールドジェネレーターを起動、次元振動情報を再取得してください」
加蓮「はい、観測データを更新……指定宙域ポイントで次元振動の発生を確認しています。次元断層まで残り30です」
ありす「ビー側からの情報と事前観測から、白蜂の可能性が高いです。フレイヤは戦闘準備を行います」
ありす「複合ミサイル発射管1番から20番にアルヴァルディを装填。高エネルギー単装砲レーヴァテイン1番を準備」
加蓮「ミサイル装填準備完了。次元断層まで20、10……次元断層発生しました。レベルは2……空間転移です!」
ありす「レーダー情報の再取得! 対象は!」
加蓮「予測通り極小規模の蜂の巣、GS型が3匹です!」
ありす「敵性と判断、コンディションレッド! 戦闘行動に移行します。アルファ小隊はGS型の迎撃、フレイヤの弾幕支援後に行動してください!」
加蓮「索敵結果をNGF各機に転送します。ポイントに向けてアルヴァルディ、発射!」
……
…………
GS型「!!」ブブゥゥゥゥンッ!!
GS型「!!」ブブゥゥゥゥンッ!!
GS型「……!」ブブゥゥゥゥンッ!!
ズドドドドドドドドォンッ!!
ナオ『アルヴァルディ着弾確認、戦闘開始だ。コンビネーションマニューバはH05、速水少尉、城ヶ崎少尉、あたしと前に出る。塩見少尉は支援だ』
奏「了解」
周子『はいはーい。頑張ってね』
美嘉『行くよ!!』ギュオオオオオッ!!
ナオ『おい、動くのが早いっての! 速水少尉、行くぞ!』
奏「張り切ってるんだから……了解!」ギュオオオオオッ!!
ナオ『塩見少尉、左の1匹に追加の弾幕で牽制!』
周子『ほーれ、ミョルニル!』ボシュシュシュッ!
GS型「!」ギュンッ!!
ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!
GS型「!?」ドガァァァンッ!
GS型「!!」ギュンッ!
ナオ『1匹止めた、速水少尉!』
奏「抑えるわ! そっちはお願い!」ガションッ!
奏「CG形態……立体機動戦闘で遅れを取るつもりはないわ、そこよ! ドラウプニル!」
ドガガガガガガッ!!
GS型「!」ヒュカカカッ!
奏「チッ……!」
ナオ『HCW-211ロングソードを展開する!』ガションッ!
ギュオオオオオオッ!!
GS型「……!」ギュオオオオオッ!
ナオ『セカンドドライバーじゃないが、近接戦闘で逃がすわけには! はあああああっ!』ブォンッ!
シュパアアアアアンッ!!
GS型「……」ブ……ブブ……
ドガアアアアアアンッ!!
ナオ『1匹!』
ナオ『速度上げろ!』ボシュシュッ!!
ドガガガガガッ!
GS型「!?」ギュンッ!!
ピピピピピッ! ピピピピピッ!
奏「巣からGS型が……!」
ありす『各機、追加のGS型が3匹です! レーヴァテインで牽制します、現在戦闘中の奴らの対応を急いでください!』
ナオ「追加のお出ましか……!」
美嘉『まだこっちが終わってないのに……このっ、いい加減落ちろ!!』ドシュゥンッ!
GS型「……!」ヒュカカカッ!
ドシュシュシュッ!
美嘉『針……ぐぅっ!』ギュオオオオッ!
奏「美嘉!」ギュオオオオオッ!
ドガガガガガガッ!!
美嘉『奏……っ!?』
奏「無理していいコトなんて無いわよ。早いところ――」
GS型「!!」ギュンッ!
奏「こっちにも……!」
周子『後ろだって! ダインスレイヴ!』ズドォンッ!
ドガアアアアアアアンッ!!
奏「周子……!」ギュンッ!
周子『そっちが美嘉ちゃんフォローするなら、こっちだってフォローするからね』
奏「……」
周子『なーに、以外やった?』
奏「……いえ、そうね。チームってそういうものだものね」
周子『そうそう、美嘉ちゃんもしっかりやりなって』
美嘉『……ゴメン、ありがと』
周子『追加分も手っ取り早くすませないとね』
奏「了解。アレ、使っていいかしら?」
キィィィィン……
ナオ『……』
奏「ナオ! このタイミングでいいかしら?」
ナオ『ん……ああ、今のうちにシステムに慣れておいたほうがいい。急いでくれよ!』
美嘉『オッケー、行くよ! ヴァルキュリアシステム、起動!』ピシィッ!
パシュウンッ!!
奏「この感覚……! 視界が広くなって……いけるわ!」ドクンッ!
周子『残り4匹、さっさと終わらせよっか』
奏「ええ……!」ギュオオオオオッ!!
……
…………
加蓮「VS23SXの3機、ヴァルキュリアシステムを起動しました」カタカタカタッ!
ありす「バイタルデータを取得。システムログの採取は忘れずにお願いします」
ピピッ!
ありす「GS型の増援に伴い、艦を前進させます。ティルウィング発射準備、巣の破壊を試みます』
加蓮「陽電子砲は?」
ありす「ティルウィングで十分です。ティルウィング1番2番準備! 前進に合わせて再度アルヴァルディを射出します」
加蓮「弾幕支援を行いつつ前進します。射線データを各機に転送、艦速度上げます」カタカタカタッ!
ありす「アルファ隊の支援後、艦の――」ピクッ!
キィィィィンッ!
ありす「……」
加蓮「……大尉?」
キィィィィンッ!
ありす「……いえ、艦の正面にイージスの展開準備を。白蜂の砲撃に備えます」
ありす「この感覚は……」
……
…………
晶葉「すまんな、新型のテストデータの分析に付き合わせて」
P「いや、これくらいは構わん。今日は楓さんも一日中現場に行ってるし、それに自分が乗る機体だ。時間があればこれくらいはやる」
晶葉「テスターと合わせてやると、お前の稼働時間がな……とりあえず、後は私のほうで処理しとくから上がっていいぞ」
P「いいのか? 出力比の見直しも時間掛かるだろう」
晶葉「天才に向かって何を言っている。これくらい大した手間じゃない」
P「ならいいが……それじゃあ、すまないが今日は失礼する」
晶葉「ああ、しっかり休めよ。前からリハビリプログラムでこちらに来ていたとはいえ、退院したばかりなんだからな」
P「もう、だいぶ調子もいいんだがな……では博士、明日な」
……
…………
P「今日は楓さんに車出してもらっていたのを忘れてたな……美波たちはまだ本部だし、運動がてらに歩くか」
P「……」
『宇宙統一アイドルオーディション!! 期間登録受付中!』
『次期予定されているビー居住区画の改修計画、区画拡大については現状の受入体制の見直しと合わせ、増設予定のコロニーへの移住者の募集を開始しました』
『それにしても今年のシティホール、例年以上に賑わいましたね!』
『今年一番のアイドルユニット参加数ということですから当然! 軍の広報部にも依頼して例年以上にアイドルを参加させて頂きましたからね!』
P「……」
「次のライブどうする? チケット応募したんだけどさー」
「うちの会社なんだけど、この前ビーの勤務内容変わってね。採掘場に行くって話になって」
「今日はパパ、おうち帰ってくるからね。一緒にご飯作って待ってよっか」
P(……平和だな。人も、ビーも……誰もが……)
P(共に生きていく中で、決して小さくない問題もある。だが……皆で辿り着いた、価値のある平和)
P(そうだろう……黒井大佐、麗奈、奈緒……)
……
…………
P「晩飯、何か用意しようとしているもの、あったんだろうか」ガサッ
P「皆帰ってくるだろうし、鍋もいいかと思ったが……」
P「スーパー寄る前に聞いておけば――」
キィィィィン……
P「……?」ピクッ!
P(……なんだ?)
キィィィィン……
P(なんだ……何か、違和感が……)
P「この感覚は……」
ピピピピピッ! ピピピピピッ!
P「端末から緊急速報……?」ピッ!
P「木星圏宙域……ナシヤマ防衛圏外に、蜂の巣……!?」
P「そんな、まさか……観測していた予測時期よりも随分と早い……いや、今はそれより……くそっ!」
タタタタタタッ!
……
…………
晶葉「楓、現場に出ているスタッフも全員まとめてすぐにオフィスに戻ってこい! この宙域で次元断層が発生した!」
楓『そんな! それじゃあ、やっぱり……』
晶葉「認めたくないが、やはり観測データの推移通りだったということだ……とにかく来い!」カタカタカタカタッ!!
ピピピッ!
晶葉「おい大佐、さっさと通信に出ろ! 録音聞いたら掛けなおせ!」
ガタッ!
晶葉「くそっ! 木星圏宙域から内部、いや端末1台じゃ無理か。土星圏と火星圏の分は他の端末で取るとして……」
晶葉「対象宙域の空間構成情報の採取と次元振動、断層状況を……!」
ピピピッ!
晶葉「なんだ!」ピッ!
P『博士、俺だ!』
晶葉「助手か! 今どこにいる!?」
P『港にいる! 管理センターからの緊急速報を見た、どこの倉庫だ!』
晶葉「B7-2だ! だがまだ、こちらに空間転移後の情報が来ていないぞ!」
P『緊急時だ、悠長にしていられん。愛梨と蘭子には楓さんから連絡させてくれ、アインフェリアもだ!』
晶葉「分かった。後でこちらの測定状況は送りつけておく。頼むぞ!」
P『当然だ!』
……
…………
「隊長! 空間転移地点から蜂の巣の出現を確認! 中規模の巣が1つです!」
「迎撃部隊の編成が足りん。管制塔から本部に連絡させて待機部隊も出させろ!」
「レーダー照合、表に出ているのはGS型10、G型3です!」
「中規模ならばG型まで出てくるか……3Nのパイロットは支援、残りは前に出る! コンビネーションマニューバだ!」
GS型「!」ギュンッ!
G型「!!」ギュオオオオオオオッ!!
「迎撃行動に入る。待機部隊の出撃まで無理はするなよ!」
「了解!」
……
…………
キィィィィンッ!!
美波「この声は……あの時と同じ、みんなの……いえ、でもそれだけじゃあ……!?」
キィィィィンッ!!
「ダメだよ! アンタたちはみんな食べるつもりなんでしょ!? ヒトだって、私たちだっているんだから!!」
夕美「どうして!? 前にお話ししたときより……ずっと、ずっと怒っている声……」
キィィィィンッ!!
藍子「ダメです、ここにはみなさんがいるんです! あの時、分かってもらえたんじゃなかったんですか……!?」
キィィィィンッ!!
文香「いけません……全てを、衝動に変えてしまっては……これ以上は、命ある者として……二度と、戻れなくなります……」
……
…………
G型「!!」ヒュカカカッ!
ドシュシュシュッ!
「うわあああああああっ!?」
ドガアアアアアアアンッ!!
「迎撃部隊稼働率低下! GN-003、006、007の反応がありません!」
「巣もナシヤマに向けて接近しています! このままでは部隊が持ちません!」
「3NX、4Nについては全機GNブーストの使用を許可する! 巣の対応を行うヴェールの出撃はまだか!!」
「間に合いません! このままでは防衛ラインを突破されます……ああっ!?」
GS型「……!」ブゥゥゥンッ!!
「しまった、1匹抜かれた!?」
「このままでは――」
ピピピピピッ!!
GS型「!?」ドガアアアアアアアンッ!!
「防衛ラインを抜けたGS型の反応が消滅! 管制塔側よりコロニー周辺に積層イージスの展開が行われます!」
「今のは……今の砲撃はどこから来た!?」
ピピピピピッ! ピピピピピッ!
「宙域に接近するNGFが1機……い、いえ、NGFではありません、グレ○プニールです!」
「この時代に戦闘機だと!? 機体コードは!」
「機体コード……VILS-01R……未登録のコードです」
「なんだ、なんだあの機体は……!?」
P『VILS-01Rヴァルキュリア、出るぞ!』ギュオオオオオオオッ!!
……
…………
「積層イージスの展開完了。コロニー内で避難完了済の連絡がある一般住居区画の機能を順次停止させます」
「避難誘導、各シェルター点灯しています。工業区画にいる住民の一部は軍用地下施設へ誘導しています」
「何だあの機体は!? 海賊がこちらまで出張ってきたのか?」
美優「十時愛梨大尉、神崎蘭子中尉より……出撃申請が来ています。迎撃部隊出撃用のカタパルトへ、NGFを移動させます」
「あの戦闘機は! ミーミルで過去の戦闘記録から類似機種を探せ!」
ピピッ!
「アルヴィス内の対話の日の戦闘記録で、同一機種と思われる機体の戦闘データが存在しています」
「VILS-01、プロジェクト・ヴァルキュリアが保有していたグレ○プニールの派生機です」カタカタカタッ!
「プランVのところか!?」
ピピピッ!
美優「管制室への直接通信です。回線開きます」カタカタカタッ!
美優「え、Pさん……!?」
「P、P……P少佐か! 何故オート・クレールの立場で……」
P『2年前までは嘱託扱いで軍に戻っていたが、またしばらく離脱していたのでそちらに機体を置いていなかったんだ。頼めるか?』
「いや構わん、すまないが迎撃部隊に手を貸してやってくれ。間もなくシンデレラガールズも出撃するところだ」
P『2人も出るか……美優、すまんが管制室で測定している宙域データとレーダー状況をウチの開発室に転送しておいてくれ。後で報告書は出す』
美優「は、はいっ……識別コードについても振り分けます……」
P『では行ってくる。機体が機体だ、あまり無理はしないさ』
ピッ!
……
…………
蘭子『愛梨ちゃん、準備は大丈夫?』
愛梨「はいっ、整備点検も終わっていたみたいだからバッチリです!」カタカタカタッ!
蘭子『Pさん、VILS-01で出るなんて無茶苦茶なんだもん……もう……』
愛梨「Pさんなら大丈夫ですよ。私たちも頑張りましょうね」パチッ、パチッ!
蘭子『……うむ! 宵闇の中、我が堕天の翼を羽ばたかせ眷属の元へ!!』
愛梨「戦闘中は標準語、ですよ♪」
蘭子『はーい』
『出撃準備完了。発進お願いします』
愛梨「わかりました。十時愛梨、NGF-VSTG4-FWでいきまーす!」
蘭子『漆黒の翼、ブリュンヒルデ……NGF-VS02CS、出撃します!』
……
…………
P「貴様たち……グラム発射!」ズドォンッ!!
GS型「!?」ドガアアアアアンッ!!
P(干渉装置の効果はあるはずだ……だが、それを抜けてきたということはやはり……このままでは持たないのか!)
G型「……!!」ブブゥゥゥゥンッ!!
P「……それでも、貴様たちにコロニーをやらせるわけにはいかん!」ピッ!
『―Super Maneuver Mode Migration―』
G型「!!」ヒュカカカッ!
ドシュシュシュッ!!
P「……!」ギュンッ!
キィィィィン……
P「……っ!?」ピクッ!
P(また、この感覚は……違和感が……いや、今はそれより……!)
P「貴様等の動きは……見える。針になぞ当たらん!」ギュオオオオオオオッ!!
ガションッ!!
P「ダインスレイヴ!」ズドォンッ! ズドォンッ! ズドォンッ!
G型「……!」ドガァンッ!!
P「そこだ!」ズドォンッ!
G型「……」ブブ……
ドガアアアアアアアンッ!!
P「巣から追加の奴らが来たか……G型2、GS型8……!」
ピピピッ!
愛梨『蘭子ちゃん!』
蘭子『はい、ウイングバインダー展開、バルムンク照準!』
愛梨『指定区域内のスティングにターゲット……フルウェポン、バーストします!』ピピピピッ!!
ズドドドドドドドドッ!!!!
P「十時大尉、神崎中尉か!」
愛梨『はーい♪ Pさん、大丈夫ですかぁ?』
蘭子『うむ! 眷属を守護するのは当然のこと!』
P「戦闘中は少佐と呼べ。後お前は標準語だ」
蘭子『はぃぃ……』
P「来てくれて助かるが、流石にこの機体でお前たちとマニューバを組むのは……」
愛梨『いけると思いますよ~? グレ○プニールとNGFの混成マニューバって初めてですけど』
蘭子『Pさんだからあんまり心配してないから……』
P「あ、そう……それならコンビネーションマニューバはY03で行う。中尉、前を頼む」
蘭子『了解です!』
愛梨『私、この装備じゃGN形態になるの大変ですし支援しますね』
P「よし、では行くぞ。コロニーを背にしてG型を相手するのは、迎撃部隊では荷が重い。なるべくこちらで片付ける」
愛梨『頑張りまーす!』
……
…………
奏「これで最後よ! 美嘉!」
美嘉『オッケー! 足止め任せたよ!』
周子『りょうかーい。16連装誘導ミサイルランチャー、ミストルティン発射!』
ボシュシュシュシュシュッ!!
GS型「……!」ギュンッ!
奏「そこよ!」ドシュゥンッ!
美嘉『サーベル! これでええええええ!!』ブォンッ!!
シュパアアアアアンッ!!
GS型「……」ブ、ブブブブ……
ドガアアアアアアアンッ!!
美嘉『やった……!』
ズドドドドドドドドッ!!!!
ナオ『ティルウィングが……フレイヤも巣の破壊は終わったか』
ピピピッ!
ありす『はい。こちらも完了しました。コンディショングリーンです』
加蓮『みんな、お疲れ様』
奏「ふぅ……終わったわね」
周子『あー疲れた。よかったよかった』
美嘉『大尉、もう大丈夫?』
ありす『はい。レーダー情報からもこの宙域にこれ以上白蜂はいません。また、次元振動についても停止しているので、これで作戦終了です』
ナオ『了解……それじゃ帰艦するか』
……
…………
パシュンッ!
奏「ふぅ……良い機体ね。システムも……確かに、S-02で戦闘をしていた時よりも、随分と視界がクリアだったわ」
奏(これが、新型……これなら、何があっても……)
周子「奏ちゃーん。よしよし、元気そうやね」
奏「どうしたの? 別に、被弾は無かったじゃない」
周子「いやいや、ほら、あのシステム使ったしさ……何ともないかなって思って」
奏「そう、ね……少し、興奮しているかもしれないけれど、これくらいなら……あら?」ピクッ!
美嘉「……」
奏「美嘉、どうしたの?」フワッ
美嘉「あ……う、ううん。なんでも……」
奏「……まったく、最初に前に出られたときは少し焦ったわ。だけど……上手くやれてよかった」
美嘉「奏ちゃん……」
周子「そりゃそうでしょ。あたしたち、チームなんだからさ」
美嘉「……そーそー、これくらい、お互いフォローし合うのは当然でしょ★」
奏「……そう、そうね。そうよね……ありがとう」
奏(そう、チームなのよね……私たちは……)
ナオ「……なんだ、結構仲いいじゃん」
整備長「同じ時期に来たんだし、仲良くなるだろうよ。嬢ちゃんたちには上手くやってもらわねぇとな」
周子「んー? おっ、整備長が迎えにきてくれてる」
奏「ナオも、ありがとう。戦闘中は助けられっぱなしだったわね」フワッ
ナオ「これくらいなら問題ないよ。3人も、シミュレーターで見た以上に動けていたからビックリしたよ」
周子「いやーでもさ、剣振り回して突っ込んで帰って来るなんて真似、あたしには出来ないかなー」
美嘉「ナオだから出来るんでしょ。アタシたちはアタシたちで、一緒にやっていこうよ★」
奏「そうね。しばらくはこのメンバーで組むんだもの……よろしく、お願いするわね」
……
…………
パシュンッ!
P「では、やはり火星圏から土星圏まで、度重なる次元振動の影響で空間が安定していないのか」
晶葉『そういうことだ。干渉装置の稼働データや各宙域の情報も定期的に採取して分析していたが……予測よりも随分と早まっている』
P「予測データが出ていたとはいえ、こうも事態が前倒しになると対応も困難か。次元崩壊……大佐にこのことは?」
晶葉『今日中には連絡する。それに、奴らが再び空間転移でここまで来たんだ。気にして向こうから開発室に顔を出しに来るだろう』
晶葉『恐らく、土星圏外で確認されていた白蜂共の他にも、こちらの宙域に気付いて空間転移を試みようとしていた奴らも相当数いるんだろう』
晶葉『奴らの空間転移による次元振動、及び次元断層によって発生するエネルギーに対し、干渉装置が同量のエネルギーを与えて相殺している』
晶葉『だがそれも、あくまで応急処置として行っていた対応……もっと早くにクイーンとの相互理解を図ることが出来たら、ここまでにはならなかったが』
P「しかし、こちらの準備が出来ていなかった。アインフェリアも、俺たちも……こればかりは、どうしようもない」
晶葉『そうだな……そちらはどうなった?』
P「巣は出撃したヴェールが破壊した。コンディショングリーンになったから戻ってきたが……これから俺も会社に戻る」
晶葉『いや、お前は今日はもう帰れ。それなりに健康体に戻っているのは分かっているが、先日退院したばかりの病み上がりだ』
P「そうも言ってられないだろう。こうなってしまった以上、ここだけではなく他の宙域にも奴らが再び空間転移してくることになる」
P「……分かった」
晶葉『しかし、このままでは……だが、この状態が続けば高い断層レベルの発生がなくとも、他の次元との境界が曖昧になる。そうなれば、また――』
P「晶葉」
晶葉『……そうだったな。もう、アイツは帰ったものな』
P「奈緒は自分のいるべき世界に帰った。もう、何があってもこちらの世界に戻ってくるべきではない」
P「この世界で、奈緒は俺たち共に戦ってくれた。だから……あんな物も、必要ない」
晶葉『……ああ。だがな、私は開発者として……1人の人間として最善を尽くすだけだ。少しでもその可能性があるなら、未来に繋がるのならば』
P「……」
晶葉『お前の気持ちは分かる。私たちは奈緒に助けられた、アイツの戦う意思と、願いに……私たちが、応えてやらないとな』
P「ああ」
……
…………
P「……俺たちが、応えなければな」
「Pさん!」
P「美波……どうした?」
美波「どうしたじゃありません! 美優さんから聞いて……愛梨ちゃんたちも出撃したって」ギュッ!
P「そうか。皆は大丈夫だったか?」
美波「みんな、今日はI@LPの前に本部に来ていましたから……でも、私たちよりPさんが! 退院したばかりなのに……」
P「心配掛けたか。すまなかった」
美波「Pさんに何かあったら……私たちが行かないと……」
P「アインフェリアの……美波のやることは別にある。俺のやることは、お前を守ることだ」
美波「……もう」チュッ
P「ん……どうした。外でこういうことは……」
美波「昔から、無茶ばかりして……貴方は、いつも私たちに……」
P「ああ、もう無茶はしない。それより、帰る前に軍本部に行こう。愛梨も蘭子も、そっちに戻ったはずだ。みんなも迎えに行かないとな」
P「……だから、やるならここじゃなくて」
美波「はぁ……ダメ、我慢出来ない……はぁっ、はぁ……」
P「待てまて、こんなところでやめてくれ。公道で堂々とセ○クスするのは流石にマズイ」
美波「セ○クスって……私、セ○クスなんて一言も言ってないのに。もう、エッチなんですからっ」
P「お前にだけは言われたくない……これまでの経験からそう思わざるを得ないだろ……」
美波「ふふっ、でもその気になってくれているなら……今晩、楽しみにしていますね」
P「……とにかく、軍本部に戻るか」
美波「はい……あ、Pさん。戻りながらでいいんですけど、1つお話が」
P「なんだ。あまり変態的なプレイは……」
美波「違います! その……私だけじゃなくて、文香さんたちも……聞こえたんです、声が」
P「声?」
美波「怒りの声が……恨みの声が……悲しんでいる。ずっと、ずっと……とても長い間、私たちと、みんなが出会う前から……」
P「……それは、クイーンのことか?」
美波「そう、かもしれません。だけど、声が聞こえたのに、ちゃんと聞くことが出来なくて……私たちの言葉も……」
P「お前こそ無理をするな。必ず、そのときが来る。俺たちがクイーンに会いに行くときに」ギュッ!
美波「……はい」
……
…………
周子「おばちゃん、火星丼ね」
おばちゃん「あいよ、残すんじゃないよ」
整備長「それにしても、お前らも大したこと無くてよかったよ」
奏「なあに、整備長。もしかして……私たちがそんなことになるの、期待していたのかしら?」
美嘉「ばっ!? ばばばばば……ばかっ、バッ……」
ありす「整備長も、心配しているんですよ。ヴァルキュリアシステムを動かして、私たちだけじゃなくて、ニュージェネレーション隊も同じ目に遭っていますから」ガタッ!
奏「あら大尉。そうなの……てっきり、整備長も男の人だからそういうことに期待していたのかと思って」
ありす「フレイヤの他の乗員が、私たちに興奮するようなことになっているなら、ここは魔窟になっていますよ」
整備長「まあ、稼働当初は俺たちのほうも、そうならないようにメンタル調整されたけどよ……いやまあ、あの惨状を見てたから結局エ口い気にはならなかったっていうか……」
ありす「そこら辺は、良識のある方々が集まってくださって私たちも助かりました。大佐も、色々と考慮して人選したのでしょうね」
周子「ご飯ごはーんっと……ま、いいんじゃない? 変な目で見られないなら、そのほうがいいし」
ありす「変な目で見られていることには変わりないと思います」
美嘉「いいいいやいやいやいや! アタシたち、ア、アイドルなんだから、そういうのって……」
ありす「それが正常な反応ですけれど……貴方、見た目によらず初心ですね。I@LPではギャル売りをしていらっしゃるのに」
周子「いやいや、あたしたちからすれば、ありすちゃん大尉がそんなにふつーにしてるのがねー」
ありす「ちゃんを付けるか大尉を付けるか、どちらかにしてください。まあ、私はここに来て5年以上経っていますからね。もう慣れています」
奏「……大尉、凛たちとあまり変わらないくらいに見えるけれど」
ありす「それは、私の外見が子供だと言いたいんですか?」
奏「あ、いえ、そういうわけじゃないわ……」
ありす「まあ外見に関してはあまり否定はしません。私の体、一部はビーたちに適用している肉体生成技術と同じ物で移植されていますから」
ありす「それでも2年程前に再調整と、成長促進はさせましたのでそれなりに成長してますけどね」
奏「あら……まあ、深い話は聞かないでおくわ」
整備長「そういや結構、背伸びたなぁ。成長期だな」
ありす「この年齢になって、ずいぶん遅い成長期ですけどね。私ならそのうち、Pさんの好みの体になるでしょう」
整備長「その自信はどっから来るんだ……少佐の好みねぇ」
整備長「旦那か? そうだなぁ……気は良くて、無茶苦茶なパイロットで……苦労人か」
ありす「良い人ですよ。ここに来ても腐らずに私たちのお世話をしてくれました」
ありす「指揮官としては少し、いや結構思うところもありますが……能力もあり、人柄も良く優秀な方です」
加蓮「Pさん、他所と融通も利くしね」ガタッ
ありす「おや加蓮さん。ブリッジはどうしましたか?」
加蓮「オートメーション機能に移行させたし、ナオが見ておくから今のうちにご飯食べてこいって」
加蓮「それでPさんのことだけど……優しい人だよ。私、Pさんがいなかったらここじゃやっていけなかったかも」
周子「へー、そうなんだ」
加蓮「うん。Pさんからたくさん勇気もらって……だからここで頑張ることが出来たのかなって」
美嘉「良い人か……よかった。あ、セ、セ、セセセック……スゥ……とか、そういうのっ、するとかは別にして、ね!?」
加蓮「あ、そうそう。みんなどうだった? 戦闘終わった後」
奏「……浴場にバイブやらディルドーやらが置いてあった理由は分かったけど、今回は使わなかったわ」
周子「お風呂入りながら少し悩んでなかった?」
奏「……ほんの少しだけよ」
加蓮「それならよかった。戦闘終わるたびにオナ○ーするのも結構大変だし……ナオも、万が一システム使うことがあっても、大丈夫そうかな……」
ありす「ナオさんは私たちと違って、システムそのものに適性がありませんからね。今起動させるなら、システムとPさん側の補助もあってようやく、でしょうか」
加蓮「使うことがないといいけど……ま、こんな話しても、仕方ないよね。ごはん食べよ」
美嘉「こんな話で済むんだ……」
……
…………
パシュンッ!
ありす「お疲れ様です」
ナオ「ん、もう戻ってきたんだ。早かったな」
ありす「あまり食堂で時間を潰しても仕方がありませんからね。加蓮さんたちはまだ休憩していますが」
ナオ「そっか。こっちも航路変更はなさそうだし、このまま予定通りに帰れると思う」
ありす「そうですか……おや?」カタカタカタッ!
ナオ「ん?」
ありす「いえ、私のほうに通知が……重要展開項目?」
ナオ「……なんだ、どうした?」
ありす「ミーミルを使います。アルヴィスの更新履歴……公開範囲が4層までの情報で緊急公開されている……これは……ナオさん!」
ピピッ!
ナオ「なんだ? モニターに……これ……木星圏で、巣が出たのか!?」
ありす「空間転移による中規模の巣の出現、ナシヤマの迎撃部隊による対応……宙域の次元振動情報は、まだありませんね」カタカタカタッ!
ナオ「そんな……いや、ここも今回の戦闘で次元断層からの空間転移で巣が出てきた。木星圏でも出てくるのは、おかしい話じゃないけど……」
ありす「それにしても、私たちのほうも今回の作戦で次元振動の初期観測から断層発生まで、短い期間で対応しましたが……向こうは迎撃部隊の緊急出撃ということですし」
ナオ「……次元振動の発生から断層まで、猶予時間が無いのか。これじゃあ対応が後手に回るだけじゃないか」
ありす「宙域の状況を確認後、干渉装置の見直しと各コロニーの迎撃部隊の再編成ですが……そうするしかないですね」カタカタカタッ!
ピピピッ!
楓『はい。こちらオート・クレールですけど、私のところに直通してくるってことはありすちゃんですね?』
ありす「お疲れ様です。そちらの様子は?」
楓『軍のほうから展開があったんですね。出ちゃいましたよ、白いの。びゅびゅびゅーってたくさん飛び出してきました』
ありす「みなさんは無事ですか? まさかとは思いますが、Pさんは……」
楓『張り切って飛び出していきましたよ。帰ったらお説教する予定です。私はPさんの白いのを出させようと思っていますけど』
ありす「程々にしてくださいよ……いや、まあそんなことだろうと思っていましたけど……」
楓『機体、こっちで持っていませんでしたから、改修して倉庫に隠してたVILS-01を使ったんですよ』
ありす「……わかりました。ぶっ飛ばしておいてください」
楓『ありすちゃんの了解を得たから心置きなくやれますね。あ、他のみんなも無事でしたよ。本部にいたから別対応でしたけれど』
楓『まだ会議中です。今日お話しするのは難しいと思いますし、私も帰れません……でもPさんは帰ったんですよ。酷いですよね』
ありす「それ、晶葉さんが帰したんじゃないんですか? あの人なら黙っていれば職場に戻ってくるでしょうに……」
楓『……システムは使わなかったにしても、いつまたフラッシュバックが起きるか、分かりませんから』
ナオ「そう、だな……あたしとPさん、しばらく酷い目に遭ったからな。あたしは起動回数も少なかったから、すぐに復帰できたけど」
ありす「そうです楓さん、アインフェリアのみなさんとお会いしましたか?」
楓『軍本部の状況を聞くのに通信はしていましたけど、どうかしましたか?』
ありす「いえ……何か、言ってませんでしたか?」
楓『……女王様の声が、聞こえたって言ってました』
ありす「やっぱり……こちらも、先程まで任務で戦闘を行ってましたが、そのときに私も何かの声が聞こえました。やはりクイーンでしたか」
楓『やっぱり?』
ありす「色んな感情が混ざって、クイーン自身も変質しているのかもしれない……そう思うんです」
楓『私は、よく分からないけれど……晶葉ちゃんとPさんには、伝えておくわ』
ありす「お願いします。こちらも何か新しい情報が入ったらご連絡します……と思いましたけど、貴方達なら大佐から直接お話が行きますね」
楓『こういうときは、軍のほうに復帰してよかったって思いますね』
ありす「もう嘱託扱いでもなく正規復帰で戻っているのに、常勤はオート・クレールですからね……随分都合のいいポジションに収まりましたよね」
楓『これも、昔の実績と伝手のおかげです。麗奈ちゃんに感謝しませんとね。それじゃあ、何かあったら連絡しますね』
ありす「すみません、よろしくお願いします」
ピッ!
ナオ「……面倒なことになったな。これで、予定していた編成の見直しも入るんだろうか」
ありす「恐らくそうなりますね。各宙域の防衛のことを考えると、手薄にするのは避けたいと思います」
ありす「そうですね……あ、ナオさん。1つお願いしてもいいですか?」
ナオ「なんだ?」
ありす「今回の任務で出撃した3人、ヴァルキュリアシステムの初回起動なのでメディカルチェックをやってもらいたいんです」
ナオ「医療班の仕事じゃないのか?」
ありす「システムに対して考慮するポイントは帰還後に医療班のほうで実施していますから、ナオさんのほうは小隊運用の観点で実施して頂きたいのですが……」
ナオ「まあ……それなら別にいいけど。マニュアルか何かある?」
ありす「前に私がニュージェネの3人に実施したときに使ったテンプレートがあるので、それを使ってください。端末に送っておきますので」カタカタカタッ
ナオ「了解。それじゃさっさと済ませるか……飯も食べ終わって休憩してるだろうし」
ありす「すみません、本当は私のほうで実施しようと思っていたんですが……」
ナオ「別にいいよ。あたしは前線任務くらいしかやれないし。ちょっと行ってくる」フワッ
ありす「志希さんたちが来たら、こちらの作業も少しは楽になるんですけどね……よろしくお願いします」
……
…………
ナオ「えーっと、最初は誰にしようか……んー……」ピッ、ピッ……
ナオ「……美嘉だな。周子はなんか適当に答えそうだし、奏は落ち着いてきた蘭子って感じで難易度高そうだし……うん、一番無難だ」
ナオ「とりあえず飯も食べ終わってるだろうし、部屋にいるかな……まあ、いなかったら奏のところに行こう」
……
…………
ナオ「さーて1人目だ。おーい美嘉、いるか?」ピピピッ!
ナオ「……」
ナオ「んー……いないか?」
ピピッ!
ナオ「あ、でもロックしてないってことはいるのか。まさか寝てるのか? おーい、入るぞー」ピッ!
パシュンッ!
『だからアタシもお願いして、ナシヤマのオーディション受けにいくから! そっちに行くときは、お姉ちゃんのトコに泊まっていーい?』
美嘉「もー、アンタってばいつも勝手に決めようとするんだから、アタシだって仕事あるんだからさぁ」
『あとね、この間チョーイケてる新しいお店が出来たんだけど、おかーさんお小遣いくれなくてさー、まだ行けてないんだよねー』
美嘉「アンタ、そうやって何でも無駄遣いしようとして、お小遣いだって遊びにばかり使わないで、ちゃんと残しておきなさいよ」
『それでね、この前お姉ちゃんが話してくれた雑誌、おかーさんが買ってきてくれたんだけどさ。お姉ちゃんメッチャキマッてたもんね!』
美嘉「そりゃあそうでしょ。こっちだって一応カリスマギャルで売ってるんだから」
ナオ「……おーい」
美嘉「……ん?」ピッ!
美嘉「あっ、ご、ゴメン! 全然気づかなかった……どうしたの?」
ナオ「まあいいけど。ちょっと医療班とは違うメディカルチェックやろうと思ってな」
美嘉「あれ、そうなの? 戻ってきた後に受けてるけど」
ナオ「ありすから渡されてる観点でチェックもしたいって言われてさ。部隊運用に絡んでる内容だと思うけど……あたしもやるの初めてだから」
美嘉「ふーん……ま、あのシステム、色々あるもんね。た、確かに……ち、ち、ちょっと、興奮したけど……」
ナオ「抑制剤入れたなら大丈夫だろうけどな。んーと、どれからやればいいんだー……?」ピッピッ……
ナオ「そういえば、さっき話してたのって家族か?」
美嘉「うん、妹の莉嘉。話してると長くなっちゃって」
ナオ「いいじゃん。この仕事してると、普段は顔合わせる機会もないし」
美嘉「まあねー。アタシがいなくてもちゃんとやってればいいんだけど」
ナオ「それはいいとして、部屋のチャイムに気づかないのはダメだな」
美嘉「うぐっ……ゴメンってば……」
ナオ「あった、これか。えーっと、システム起動後の僚機連携時の……長いな。まあやるかぁ……」
……
…………
奏「……」
ありす『出現した蜂の巣は、ナシヤマの迎撃部隊により処理されましたが……長距離航行プランに何かしらの影響は出るでしょう』
ありす『プラン実行に際しての動員を減らし、各宙域の防衛の割り振りを増やすか……そうなると、プラン遂行も苦しくなりますね』
ありす『もしくはプランの実行が多少早まるか、ですね。こちらに被害が出る前にプランV3を成功させる……そうなればまた状況も変わります』
加蓮「コーラ……っと、ん?」フワッ
奏「……」
加蓮「どうしたの奏、休憩?」ピッ!
ガコンッ!
奏「……ええ」
加蓮「ま、ここにいるからそうだよね。私も、もう少しでありすと交代しないとなぁ」ピッ!
ガコンッ!
奏「……ねえ、1つ聞いていいかしら?」
加蓮「なに? はい、コーラ飲む?」
奏「ありがと……いえ、貴方、大尉のことを呼び捨てにするのね。仲が良いのね」
奏「そう」
加蓮「……どうしたの。何かあるんでしょ?」
奏「そう、見えるかしら?」
加蓮「私に構わないでってオーラと、構ってほしいってオーラが両方見える」
奏「……イヤだわ、そんなつもりじゃなかったけれど」
加蓮「私も結構面倒くさかった時期あったし、何となくわかるんだよね。で、どうしたの?」
奏「……木星圏のこと、私たちの今後の作戦にどう影響するのかと思って。こっちの人員が減らされたら、プラン……上手くいくのかしら」
加蓮「ふーん……奏ってそういうこと考えるんだ。あ、茶化してるわけじゃないんだけどね」
奏「別に、私でも気になることくらいあるわよ」
加蓮「そうだよね。長距離航行プランのメンバーが減ったら作戦の内容も変わってくるし、かといってコロニーの防衛も手薄にしたら、巣が出てきたら対処できないもんね」
加蓮「どっちも手は抜けないから、どっちを選べばいいか……だけど、私たちはどっちも選ばなきゃダメなんだよね」
奏「それが出来ないから、難しい話なんでしょう? 大尉も、悩んでいたわ」
加蓮「ううん、難しくなんてないよ。私たちは、どっちも選ばなきゃダメ。片方だけを選ぶのは、ダメだから」
加蓮「私たちは、どっちかを選ぶんじゃなくて、どっちも選ばなきゃならない……そうじゃなきゃ、大切な人たちを守れない。それが、私たちが戦っている意味だから」
奏「それが、軍人としてのやるべきこと……かしらね」
加蓮「私はそれだけでいいんだけどね。奏はもっと大変でしょ? みんなを守って、元気付けてあげないと……アイドルなんだから」
奏「そう、アイドル……そうね、やることが多すぎて、目が回りそう」
加蓮「ま、それがアイドルの仕事でしょ」
奏「……加蓮は、それが出来ると思っているの? どちらも選ぶ、どちらも、守り抜くこと」
加蓮「昔の私なら……奏と同じように悩んだかも。だけど、今の私なら……どっちも選ぶよ。どっちも選んで、守らないと……きっと後悔するから」
『加蓮だから……あたしが傍で、守ってやらなきゃって……みんなの分まで、あたしが戦わなきゃって……!』
『あたしが、守ってやるよ。今度は……嘘じゃない』
加蓮「私のことを、命懸けで守ってくれた人たちがいるんだ。本当に命を懸けて、自分のことを投げ出そうとして……」
加蓮「私は、その思いに応えたい。私を命懸けで守ってくれた人たちの為に、今度は私がその人たちを守りたい」
加蓮「今でも傍にいてくれる人の為に……平和な世界に、帰ることが出来た人の為に……」
加蓮「そうでもないけどね……それに、私たちがそうする為に、アインフェリアのみんながいるんだから」
奏「……そう、ね。アインフェリア隊……プランV、プランV2の最重要部隊……ありす大尉たちは、私たちだけじゃなくて、ビーたちも守ろうとしているのよね」
加蓮「そうだね。アインフェリアはビーたちも……あ、そうだ」
奏「なに?」
加蓮「思い出した。ちょっと気になってたんだけど……奏、美嘉と一緒に戦闘して、どうだった?」
奏「どうって……悪くない腕だったわ。私もマニューバは合わせやすかったし……少し突っ込み過ぎなところはあったけれど」
加蓮「そっか……」
奏「何かあったの?」
加蓮「ちょっとね。ホロスクリーンで確認してたけど、何だか前に出過ぎてるなって思ったから」
奏「まだコンビネーションが上手く出来ていないからだと思うけれど……わかったわ。訓練のときに、それとなく話しておくわ」
加蓮「あ、ごめんね。私から言ってもいいんだけど」
奏「構わないわ。もしかしたらナオも気にしているかもしれないし、次の戦闘までには直しておくわ」
……
…………
P「それで、プランも防衛体制も再編成されるってことですか」
大佐「うむ……今朝方、軍本部を設置している各コロニーに緊急での再編成指示が出た。民間委託しているところについても急がせているがねえ」
P「管轄外のコロニーに被害が出たら、それはそれで軍のほうも後々の立ち回りで困ることになります。プラン実行前に手は打っておきませんと」
大佐「そうだなぁ……ああそうだ、キミの件、時子君に通しておいたよ。時期が良いと言うべきか悪いと言うべきか、即決されたみたいだね」
P「人手が足りない状況でしょう。フレイヤも遊ばせておくわけにはいかないし、時子も長距離航行プランの準備で手が回っていないと聞いています」
大佐「どうしてこう、上手くいかないものかねぇ……」
P「そういうものです。上手くいくなら……皆も、今頃はもっと……」
大佐「……そうだったな。機体については、晶葉君から聞いている。まだ新型の準備は出来ていないと聞いているから、代替機として3Nを用意させている」
P「十分です。GNブースト対応機は他所に回したほうがいいでしょう」
大佐「頼んだよ。あの2人も、少し前にギチトーからこちらに向かっていると聞いた。フレイヤⅡに合流したら、ありす君と頑張ってくれたまえ」
P「はい……ところで」
大佐「なんだね」
P「ここで時間を潰してる暇はあるんですか」
大佐「いやだってねぇ……本部でキミと話していると彼女たちに見つかりそうで……この前だってほら、キミがフレイヤⅡに戻るか検討していたときの話で……」
P「ああ……俺も、あの時は昼間から縄で縛られて磔にされている人間は初めて見たな……」
大佐「キミからも何とか言ってくれないかね。彼女たちの私への暴力は……なんというか、最近ますます激しくなっているというか……」
美波『は? Pさんに何させる気ですか? まだ入院中なのに、ふざけているんですか?』
文香『今なら、足の爪程度で済ませてあげますが……』
藍子『このまま、みなさんの前に引きずり出してもいいんですよ? どうなんですか?』
夕美『それより車に括りつけて町中で引きずり回したほうがいいんじゃないかな』
P「あいつら……仮にも大佐相手に……まあ、仕方がないか」
大佐「し、仕方がないとはどういうことだね! そういえばキミ、以前千秋君が私に同じようなことをしたときも見捨てたが……!」
P「いや、ありすも翠も一緒にいたし、気の済むまでやらせていいかと思って……」
大佐「勘弁してほしいんだがねぇ……キミとも隙を見てこういったところじゃないと話しにくいんだが……」
P「はぁ……まあ、適性として選ばれた皆にとっては、堪ったものではないからな。諦めてください」
……
…………
美波「ええっ!? Pさん、先にありすちゃんのところに行くんですか!?」
P「ああ。状況が変わった。ここでのことは、楓さんと美波に任せる。近いうちにここを出る」
美優「そんな……せっかく、退院できたばかりなのに……」
P「戦闘に関しては問題ない。今回の緊急出撃でも、ある程度やれるのは確認できた」
藍子「でも私たちのほうが、まだ……」
文香「はい……I@LPより提示されている、プランV3の為の準備が……」
P「大丈夫だ。ここにいて、I@LPの進捗は俺も見ていた。皆なら間に合わせられる。それに、戻る予定だったフレイヤⅡに向かうのが少し早まっただけだ」
P「再編成と長距離航行プランの前倒しになれば、皆の負担も増す。外に出ているありすのフォローもしなければならないだろう」
楓「今朝決定になりましたけど、長距離航行プランの動員予定だった部隊の一部は各コロニーの防衛に割り当てられます。プランについては艦隊の航行期間も合わせて短くなりますけど」
夕美「ビーたちの星に行くのも、凄く遠いのに……期間も短縮になるなんて……」
美波「でも、仕方がないわね。部隊の消耗や確保する資源を考えると、そうしないと……次元跳躍が十分に使えればよかったけれど」
P「それでも大幅な期間短縮が出来ている。光波推進システムと合わせて2ヶ月の移動で済む想定となっているんだ」
ピピピッ!
美優「はい……どなたですか?」ピッ!
菜々『あ、美優さんですか? ナナでーっす♪』
菜々『いえいえ、ニュージェネのみなさんがこっちに来てから一度連絡しようと思っていたんですけど、中々時間が取れなくて……』
楓「あら、お疲れ様です。3人とも、どうですか?」
菜々『頑張ってますよ。いま智絵里ちゃんと格納庫に行ってて、ナナは部屋でお留守番してますけど』
P「シミュレーターか? 一緒に行かなかったんですか」
菜々『いえ、実は書類が溜まってて……それはそうと、何やってましたか? 晩ご飯ですか?』
楓「はい。それと、長距離航行プランのお話と」
菜々『あー、前倒しになるって時子さんから聞きましたよ。それにしても、アウズブラが試験航行していたときにビーの星を見つけたときは、ずいぶん掛かったんですけどねぇ。時代は変わったもんです』
P「自称JKが懐かしむことかよ……それはそうと、俺も前倒しで復帰することになりました。近いうちに土星圏に戻ります」
菜々『あら……大丈夫ですか? また、倒れたりしませんか?』
P「もう大丈夫ですよ。リハビリプログラムもほとんど終わっていますし」
菜々『まさか、木星圏に一時配属されたときに、Pさんがあんなことになっていたとは……ナナは最近の若い子たちにはついていけませんよ……』
楓「私も初めて聞いたときは信じられませんでしたよ。まさかPさんが、若い子たちと爛れた関係になっていたなんて……」
P「人聞きの悪いことを……」
楓「覗き見してたんですか? それはちょっと……」
美波「違います、Pさんの病室に設置したカメラで見ていただけです」
P「ええええ……」
夕美「じ、実は最近、盗撮モノのAVが流行ってて……自分たちでもやってみたいなってお話してたから……」
P「だからお前たち最近、病室でセ○クスしてるときに変な体位で動いていたときがあったのか……」
夕美「カメラ映りを考えて、ね……」
文香「食事が終わったら……編集した動画を一緒に見ませんか……? よく、出来ていると思いますが……」
P「いらん。捨てろ」
美波「美優さんが病室に来てセ○クスしていた時の映像も編集していますけど」
美優「え、えええっ!?」
P「……いらん」
藍子「今、さっきと反応違いましたよね? どういうことですか?」
菜々『あっ……な、ナナはちょっとお邪魔みたいですから、これで失礼しますねっ! キャハッ☆』
ピッ!
美優「あ……切れちゃいました」
美波「Pさん? お話の続きは……」
P「話が脱線しすぎだ。ひとまず俺は先行して土星圏に戻り、長距離航行プラン前の防衛任務にあたる。フレイヤⅡも恐らくはシステムのテストだけではなく、圏外防衛に出ることになるだろう」
P「皆の準備が早く終われば、それだけ防衛部隊の維持期間も短くなる。頼むぞ」
……
…………
周子「んー……はぁ、終わったぁ」
美嘉「送られてきてる艦チェック作業終わりっと。整備班、下部外装交換は明日終わるって」カタカタカタッ!
奏「そう。それなら私たちは待機ね……シミュレーターでも回す?」
ありす「作業が終わったのであれば、今日はもう待機でいいですよ。迎撃部隊の出撃編成にも入っていませんし」
美嘉「んーまだ午後になったばかりだけど、半日休みになるし……何かちょっと、気が引けるっていうか」
ありす「いいじゃないですか。休めるときに休んでください。そのうち、休むのも難しくなります」
奏「そうね。上官がそう言ってくれるんだから、休んでおきましょう」
周子「さんせー。そういえば今日はナオちゃんも加蓮ちゃんも見てないねー」
奏「そういえば……朝からいないわね。どこにいるのかしら?」
ピピピッ!
ありす「あっ、あの2人は……」
加蓮『……はい、どうしたの?』
奏「加蓮? 貴方何をやっているのかしら? 部屋にいるの?」
加蓮『ん……ちょっとベッドにいたけど』
加蓮『外か……ナオ、奏たち外出るって。動ける? 一緒に行く……ナオも行くって。今そっち行くから』
美嘉「え……」
周子「お?」
奏「……そう。それじゃあ待っているわ。ゆっくり来てくれて構わないから」
加蓮『了解。それじゃちょっと待ってて』
ピッ!
奏「……」
周子「部屋に若者が2人きり。1人は裸、ベッドの上……この符号が意味するものとは……」
美嘉「はっ、はっ、はっ……ぴぴぴはははははわわわわ……」ガタガタガタガタ
美嘉「ぶぶぷぅっ!?!?」
周子「うわちょっ!? 汚いって!」
奏「……そう」
ありす「なんですか貴方達のその反応は。ナオさんは元々ヴァルキュリアシステムに対して適性はありませんでしたが、過去の戦闘でやむを得ずシステムを起動することがありました」
ありす「その為、稼働時期とシステム使用頻度は低いですが、私たちよりも後遺症による影響が大きいんです。笑いごとではありませんよ」
奏「いえ、確かに笑えないけれど……」
ありす「どちらかと言えばナオさんは私と同じく常識的な方なので、こうなってしまったのは非常に心苦しいですが……」
奏「……まあ、それはいいわ。大尉はどうするの?」
ありす「私は作業があります。みなさんは自由にしていて構いませんが、通信には出てくださいね」
周子「はいはーい。それじゃ出かける準備しよっか」
……
…………
整備長「……」
ピピッ!
パシュンッ!!
ありす「……」ハァ、ハァ……
整備長「お疲れさん。シミュレーター、大丈夫か?」
ありす「……問題ありません。今回の事態で、悠長にテストデータの採取も出来なくなる戦闘が増えるはずです」
ありす「耐性持ちとはいえ、バイタル状態をレッドゾーン付近まで上げておけば、私の稼働データでもある程度の検証が出来ます」
ありす「あの人の為に……あの人の枷を、1つでも取り除いておかないと……」
整備長「でもよぅ、それで嬢ちゃんがダウンしたら元も子もねぇだろ。少佐だって心配するしよ」
ありす「……」
ピピピッ! ピピピッ!
整備長「ん……嬢ちゃん、ホレ」
ありす「私の端末ですか……はい、橘です」
P『俺だ。そっちは変わりないか?』
ありす「Pさん? いえ、こちらは特に……この前の作戦が終わって、数日ホクドウに滞在していますが」
P『それならよかった。こっちは今、高速シャトルの中にいる。1週間程度で合流できる予定だ』
ありす「……は? みなさんはどうしたんですか?」
P『俺だけ先行して来ることになった。皆は楓さんに任せている』
P『それを言うなら、お前も同じだ。そっちに行きながら同じ仕事をしている分、負担は多いだろう。少しでも、お前の業務を減らせたらと思ってな』
ありす「ですが……」
P『なんだ、俺がそっちに来るのが嫌か?』
ありす「いえ、そういうわけではありません……はぁ、私は、みなさんのこともそうですが……あなたの身体を心配しているんです」
ありす「耐性があったはずのあなたですら、2年も離脱しなければならない程の後遺症を受けて、退院したばかりでこちらに来るなんて……誰だって心配するに決まっています」
P『そうか。だが、俺はお前のことが心配だ。それに……どうだ整備長、俺が戻ってくるのは?』
整備長「少佐の旦那なら、どうせ無理言っても来るんじゃねえですか? 俺は、そこら辺は心配しても仕方ないっていうか、諦めてるっていうか……そういうもんでしょ」
P『どうだ、整備長のほうが余程、理解が良くて話を分かってくれているぞ』
ありす「整備長と比べないでください。もう……こちらは忙しいので、もう切ります。それでは」
P『ああ、もう少し待っていてくれ』
ありす「知りません」
ピッ!
ありす「……だって、仕方ないじゃないですか。あの人が……あの人が、あんなことになるなんて……あんな姿を見たら」
『あ……ぐ、お……だ、誰か……』
『俺は、お前たちの……お前たちの、声を……聞いて、いない……俺じゃあ、ない……』
ありす「全員の負荷を受けるなんて無茶をして、おかしくなったあの人を見て……どこかで、あの人なら大丈夫と思っていた自分が、心底嫌になるんです」
ありす「あの人だって人間なんだって。ずっとずっと、戦い続けてきて……その果ての末路が、私たちと同じことになって……」
ありす「私たちが上手く出来なかったから、あの時、クイーンとちゃんと話すことが出来ていれば……私たちのせいで、Pさんが……」
整備長「……はぁ、上司が上司なら、部下も部下ってことだな、ホント」
ありす「整備長……」
整備長「昔、少佐も同じこと言ってたよ。お前らが離脱してた頃、少佐と2人でフレイとS-02を転々としながら戦って……たまに酒でも飲んだ時は、いっつも同じこと言っててよ」
『俺の力が足りないばかりに、皆をあんな目に遭わせてしまった。俺がついていながら……』
『もう少しで退役出来る。そうなれば、今よりももっと皆の傍にいることが出来る。皆が俺を恨んでいようとも……せめて、皆が回復して、元気になるまでは……』
整備長「ま、少佐の愚痴を聞くのも、俺の仕事だからな。少佐の出撃を見送るのと、それくらいしか出来ねえし」
整備長「だからよ、頼れるときは少佐を頼ってやれ。少佐だって、そのほうが嬉しいんだろうからよ。嬢ちゃんなら、分かるだろ?」
ありす「……バカですね。そんなふうに言われたら……わかりますって言うしか、ないじゃないですか」
整備長「ああ、いいじゃねえか……それで」
ありす「……シミュレーターを続けます。それならばPさんがこちらに来るまでの1週間、可能な限りテストデータの採取します」
ありす「オート・クレール社から追加予定のシステム検証項目もすべてもらいます。私の体が耐えられるところまで続けて……それで、あの人がこちらに来たら、甘えます」
整備長「おーおー、それじゃあ避妊治療やっておかねえとな。しばらく離れてたから、やってねえんだろ?」
ありす「べ、別にセ○クスが目的ではありません。あくまでテストを続けた結果、ヴァルキュリアシステムによるゾーニング状態による後遺症を解消する為に、Pさんにセ○クスをして頂くだけです」
整備長「言い訳使って誤魔化すのは、どこぞの嬢ちゃんたちと同じだぜ?」
ありす「ばっ……あの人たちと一緒にしないでください! 私はPさんとセ○クスをするときはもっと素直です!」
整備長「わ、わかったわかった……んな怒るなよもう……」
ありす「まったく……もう少し付き合ってもらいますよ。私では今のシステムを使う分には耐性が高すぎるので、少しでも多く起動しておきませんと」
……
…………
美嘉「はー……買った。疲れた」ドサッ!
ナオ「よくまぁ、そんなに買う物あったな……」
美嘉「えー? これくらい買うでしょ?」
加蓮「ナオはあんまり化粧しないもん。私だって爪弄るくらいで後は程々だし……いやよく買ったねこれ」ガサゴソ
奏「ま、私たちも仕事あるもの。本番のメイクはやってもらったり、映像通信なら加工されているけれどね」
ナオ「……もしかして、奈緒も仕事じゃこんなギラギラした物で顔を」ハッ!
加蓮「あっ、それありそう。ちょっと面白いかも」
ナオ「んなこと言ったら加蓮だってそうだからな……」
周子「それにしてもさー、また宙域で白蜂が出るようになって、少し町の雰囲気も変わったよね」
ナオ「そうか? まあ……昔に戻ったって感じはするけど」
加蓮「まだビーたちと戦ってた頃は、屋外スクリーンも圏内戦闘の報告ばっかりで、一般のメディア報道なんて全然少なかったもんね」
ナオ「そうそう、ネットで他所の宙域の記事探さないとアニメの記事とか全然見れなかったしさ」
奏「ふうん……まあ、私はその後に軍に入ってから、こっちに来たけれど……」
ナオ(対話の日の前後からのこっちの記憶ってほとんどないからよくわかんないな……戻って来てからなら分かるけど)
加蓮(私が入院してた頃か……)
美嘉「……ま、そんなのいいじゃん。今はまた奴らが来て、アタシたちが倒さないとまた戦いも終わらないんだから」
ナオ「そうだな。プランが始まってからどうなるか――」
ピピピッ!
ナオ「ん、はい」ピッ!
ありす『お休み中のところすみません。少し前に本部から作戦指示の連絡がありました。ホクドウからリトット間の宙域で次元振動が発生しているようです』
ピピッ!
ナオ「……木星圏寄りか。戦闘範囲の想定は、安全航路圏に掛かってるな」
ありす『はい。これに合わせて安全航路圏の封鎖、及び一般のエイルの航行は休止となります。リトットへは現在、再編成された防衛部隊が移動中ですので、コロニー側までの影響は無いとは思います』
奏「ナオ、見せて……断層の予測レベルは4、中規模ね」
ナオ「S-01からS-10までは圏外防衛とプラン実施の準備に入ってるし、難しいか……増援でこっちも出るんだな。コロニー防衛があるから移動している防衛部隊の足を止めさせるってわけにはいかないか」
ありす『はい。前回と同じく断層発生までの猶予が短い期間となっています。これから対応についてブリーフィングを行いますので戻ってきてください』
加蓮「了解。それじゃ戻りますか」
周子「また戦闘かー……圏外防衛じゃないのに、大変やね」
ありす『すみませんね。あと、1つ良いお話があります。P少佐がこちらに先行して合流するとのことです』
加蓮「Pさん、もうこっちに来るの!? 聞いてたよりもずいぶん早いけど……」
ありす『木星圏での戦闘から、早めにこちらに合流したほうがいいと判断したそうです。あと、フレデリカさんと一ノ瀬博士もこちらに向かっているとのことです』
ナオ「ようやくか……何やってたんだか」
ありす『とりあえず続きは会議室でします。詳しい話はその時に』
ナオ「ああ、すぐ戻る」
ピッ!
……
…………
――数日後、フレイヤⅡ(食堂)
ありす「リトットは国連ではなく黒川重工をはじめ複数の民間企業にコロニー運営を委託している場所の1つです」
ありす「防衛部隊の再編制に伴い常駐部隊を増やしますが、もしコロニーに被害が出ればバッシングを受けることになりますし、今回の次元振動に対して念には念を、ということですね」
ナオ「海賊がいるっていっても、戦力として役に立つわけじゃないし……まあ場所が場所なだけに仕方がないか」
ありす「今回の戦闘予定宙域を見ても、とりあえずコロニー側まで被害が出ることはまず無いポイントですが……現状では何が起きるかわかりませんからね」
ナオ「白蜂の増援が空間転移してきたら厄介だもんな……中規模の巣1つだけなら、ノルン1隻あれば十分だけど」モグモグ
ありす「逆に避難だけを考えるなら、リトットやネシマは採掘場がありますからそちらに逃げればいいんですけどね。電磁場フィールドが採用されている分、白蜂には特定されませんし」
ナオ「コロニー側もそれ、導入すればいいのにな」
ありす「仕方がありません。工業作業区域と違って、軍や民間船の出入りの多いコロニーで頻繁にフィールドの開閉なんてやってられませんし、他所との連絡もしにくくなるじゃないですか」
ナオ「もうちょっと上手いことやればいいのに……ま、愚痴言っても仕方がないか」
ありす「そういうことです……おや?」
美嘉「おばちゃん、週替わり定食ね」
おばちゃん「はいよ、残すんじゃないよ」
ナオ「休憩か?」
美嘉「うん。周子もブリッジに戻ってきたし、加蓮と奏はシミュレーターやってたから、先にご飯食べようかなって」ガタッ!
ありす「この時期にリトット方面に向かうことになるとは思いませんでしたが、これも仕方がありませんね」
美嘉「圏外宙域の移動の話も出てるのに、行ったり来たりで大変だよ……フレイヤっていつもこんなことしてるの?」
ナオ「あたしは他の場所に行ったりするけど……ま、試作兵装のテスト運用部隊だから雑用くらいはな」
ありす「大規模戦闘になれば参加する機会は多いですが、それ以外はテスト実施の為に極小規模級の巣の破壊に行くばかりですからね」
美嘉「ふーん……」
ナオ「そういえば、Pさんって今回の作戦のタイミングで合流するのか? ホクドウに戻ってからか?」
ありす「高速シャトルで移動していたみたいですけど、ついでにお2人も拾ったみたいでブースターパックを使って追いつくそうですよ」
ナオ「こっちまで来るのか……まあ、それならアテにするけどさ。よく宙域移動するのにNGFで行こうとするな……」
美嘉「P、P少佐、来るんだ……NGFで移動して来るって、結構キツイと思うけど……」
ありす「ま、普通やりませんからね。そこまでの長距離航行は想定されていませんし。そんなことする物好きはPさんと小関中佐とセカンドドライバーくらいしかいません」
美嘉「小関中佐と、セカンドドライバーか……直截見たことはないけど、どっちも凄いパイロットだったって聞くけど……もう……」
ナオ「そうか……うん、凄いパイロットだったよ」
美嘉「でもセカンドドライバーのヘンな仮面の話は聞いたことあるよ。メッチャセンス無いって評判だったし……」
ナオ「そ、そうか? あたしはカッコいいと思うけど……」
ありす「……まあ、それは置いといて、合流が間に合うなら戦力としてカウントできます。ノルンも1隻いて、中規模の巣ですからそこまで変わるわけではありませんが」
ナオ「アタシも頑張るかぁ。新しい機体が来るときにマニューバで追いつけるようにしておかないと……」
ありす「はい。本当は加蓮さんも合わせて出撃出来たらよかったのですが、すみませんけれどお願いします」
……
…………
加蓮「次元振動観測ポイントに到着しました。ノルンS-13、強襲艦とNGF小隊の展開を始めています」カタカタカタッ!
ありす「S-13に通信して識別コードの連携を。アルファ小隊とナオさんは出撃準備をお願いします」
奏「了解。みんな、行くわよ」
美嘉「オッケー! さっさとやるよ……!」
周子「そういえば、P少佐って結局間に合わなかったねー」
ナオ「そういやそうだな……ま、どうせ戦ってる間に来るんだろうけど」
ありす「あの人、ギリギリ遅れて到着することが多いですからね」
ピピッ!
加蓮「大尉、識別コードを受信しました。フレイヤⅡについてはVN-02を連携。アルファ小隊はGNS-12で登録されています」カタカタカタッ!
ありす「了解、次元断層発生まで間もなくですね。これより作戦行動に移ります。各機、G型及びGS型が空間転移された場合はよろしくお願いします」
加蓮「ナオ、気を付けてね」
ナオ「ああ、行ってくる」
……
…………
美嘉「……」ピッ、ピッ
ありす『今回の作戦ですが、ノルン側で保持しているビー部隊からも仲間が来る感覚が無いとのことなので、恐らく戦闘になるかと思います』
奏『ビーの受入れで済めばよかったけれど……仕方がないわね』
ナオ『この時期になってくると、圏外宙域で確認できるのも白蜂だけだから……もう、無事なビーたちのほとんどはここまで来れたのか……』
周子『ま、仕方がないよね。あたしたちじゃどうにもできひんし』
ありす『ビーとして、私たちのところまで来られるなら……生きることだって出来たとは思いますが』
美嘉「……」カタカタカタッ!
奏『美嘉? 準備は大丈夫かしら?』
美嘉「えっ? うん、大丈夫」
加蓮『ハッチ開放完了。それじゃあみんな、頑張ってね』
美嘉「……城ヶ崎美嘉、NGF-VS23SX、NGFヴァルキュリアで行くよ!」
……
…………
加蓮「次元断層の発生を確認しました。空間転移……GS型とG型です。巣は中規模級になります。前線のヴェール、NGF小隊が戦闘行動に移ります」
ありす「コンディションレッド。これよりフレイヤを戦闘態勢に移行します。レーヴァテイン1番2番装填、複合ミサイル発射管には対空迎撃用のマグニを装填します」
加蓮「了解です。レーダー索敵結果、GS型が15、G型が3です。ノルンよりミサイルの弾幕支援が行われます」
ありす「準備完了後、前線のヴェールに合わせてフレイヤも前に出します。アルファ小隊はミサイルの着弾確認後に戦闘を開始してください」
ピピピッ!
加蓮「S-13より通信です」ピッ!
S-13艦長『フレイヤはある程度後方でも構いません。プランV3前に何かあればこちらとしても困りますので』
ありす「お気遣いありがとうございます。ですがこちらも、新しい部隊の運用訓練がありますのでお気遣いなく。優先するべきは巣の破壊です」
S-13艦長『そういうことであれば了解。基本行動は強襲艦隊と同様にお願いします』
ありす「了解です。それでは」ピッ!
加蓮「ま、そりゃ気にするよねー……」ピピピッ!
加蓮「また通信……はい、こちらフレイヤ」
P『こちらオート・クレール社ナシヤマ支部技術開発部門所属技師、Pだ。戦闘は始まったか?』
加蓮「Pさん! もう始まってるよ!」
ありす「相変わらず遅れてきますね。つい先ほど、空間転移を確認しました。中規模の巣が1つです」
P『了解した。戦力的には問題ないと判断しているが、間もなく戦闘宙域に到着する。うるさいのも一緒だ』
ピピピッ!
フレデリカ『コラー! うるさいとはなんだー!!』
志希『そうだそうだー人権侵害だー! 軍はあたしを解放しろー! こっちは一般人なんだぞー!』
ありす「うるさい」
加蓮「うるさい」
P『博士の場合は自業自得だ。北条少尉、そちらのコードを転送してくれ。到着後はそのまま戦闘に参加する』
加蓮「分かりました。P少佐と一ノ瀬博士、フレデリカのNGFに識別コードを転送します」カタカタカタッ!
ありす「前線に出ているこちらの部隊はアルファ小隊です。よろしくお願いします」
P『了解』
……
…………
ナオ『少し数が多いか……各機止まるなよ。G型も混ざっているからGN形態で高機動戦闘に入るぞ』
美嘉「了解! こいつら……!」
奏『こっちに向かっている先頭の奴らの足を止めるわよ、周子』
周子『はいはーい。3連装誘導ミサイルランチャー、ニフルヘイム発射!』
ボシュシュシュッ!!
GS型「!」ギュンッ!
ナオ『よし、コンビネーションマニューバはH02だ。全員遅れるなよ!』
美嘉「このっ……!!」ガションッ!
G型「……!!」ブブゥゥゥゥンッ!
奏『抜けてくるのが早い……さすがG型……!』
奏『ちょっと美嘉、マニューバは合わせて!』
G型「!!」ヒュカカカッ!
ドシュシュシュッ!!
美嘉「針……ああっ!?」ドガァンッ!
奏『美嘉!』
ナオ『機体は大丈夫か!』
美嘉「だ、大丈夫……姿勢制御の確認、まだやれるから!」
ナオ『G型相手はこっちもキツイから無理はするなよ! 距離を取るぞ!』
周子『仕方ないかー……』
……
…………
P「宙域データをスキャン。これよりブースターパックの切り離しを行う。2人とも、増加燃料タンクから離れろ」カタカタカタッ!
フレデリカ『離脱!』
志希『これに捕まって移動するの楽だったんだけどなー』
P「お前ら途中で寝てただろ……これより戦闘行動に入る。俺は前線の先頭に出る。フレデリカは博士を頼む」
志希『こっち素人なんだぞー! あたしが死なないようにちゃんと守ってよー』
フレデリカ『守る……よーし、アタシが志希ちゃんをバッチリ守ってあげよう!』
志希『いやホントね、あたしまともに動けないからね?』
P「分かっている。何だったらフレイヤに先に入って構わん」
志希『いやぁ、これで仕事しなかったらもう行き場がなくなるっていうか、牢獄に入っちゃうっていうかね、とりあえずやるだけやるけどさ』
P「それならいい。行くぞ!」ギュオオオオオオッ!
……
…………
ピピピピピッ!
奏「ローカル識別コードの追加?」
ナオ『来たのか!』
美嘉『え、何!?』
P『こちらオート・クレール社ナシヤマ支部技術開発部門所属技師、Pだ。アルファ小隊、これよりこちらも戦闘に参加する』
ナオ『遅いよPさん!』
奏「この人が……」
P『すまんな。だが作戦中だ、少佐と呼べ』
フレデリカ『フンフンフフーンフンフフーン♪ アタシたちもいるよー!』
志希『硝煙の匂いに咽ることもない戦場……あたしがここに来る意味はあるのかなー……誰か助けて―』
周子『おー、来た来たー』
P『ナオはアルファ小隊とマニューバを組んでいるか……フレデリカと一ノ瀬博士を頼めるか?』
P『それなら今回は分かれて戦闘を行う。博士、自分の身はある程度自分で守ってくれ』
志希『補助AI起動っと。フィールド発振機展開して、イージスフィールド起動。宙域のデータ収集やるねー』
フレデリカ『プロデューサー、アイツらギッタンギッタンにしてきていいよー。アタシ、志希ちゃんと一緒にいるから』
P『すまん、博士のことは頼む。アルファ小隊、G型は1匹こちらで受け持つ。残りはやれるな?』
美嘉『当然! やれるに決まってるでしょ!』
ナオ『こっちに来ている分はG型2、GS型2か……残りはヴェール側で対処できる数だ、Pさん!』
P『ロングライフル、ガラティーンを展開する。1匹は……こちらに来い!』ドシュウウウウンッ!
G型『!?』ギュンッ!
P『よし、分断出来た。そちらは任せたぞ』ギュンッ!!
ナオ『了解!!』
……
…………
加蓮「Pさ……P少佐、戦闘を開始しました。一ノ瀬博士から宙域データの解析情報が転送されます」カタカタカタッ!
ありす「艦の戦闘記録はアルヴィスに自動転送されます。オート・クレールには別途転送お願いします。晶葉さんにはこちらから通信を送ります」
ピピピッ!
志希『リアルタイムの観測情報はやっぱりいいね~。計測機増設してもらってよかったよかった♪』
フレデリカ『でもお仕事クビになったもんねー』
志希『いやー、仕事放り出してあっち行ったりこっち行ったりしたらね? まー軍に売られたしその分は働かないとねー』
ありす「そんな話はいいですから、前線に出てるなら少しは真剣にやってください!」
志希『イージス壊れる前に助けて欲しいなーって』
ありす「もうっ……北条少尉、砲撃支援です。一ノ瀬博士とフレデリカさんの援護を」
加蓮「はい。ナオごめん、そっちの援護が遅くなりそう、大丈夫?」
ピピピッ!
ナオ『こっちは上手くやる。気にしなくていいぞ』
加蓮「気を付けてね。一ノ瀬博士の前方に来ているGS型にレーヴァテイン発射します」カタカタカタッ!
ありす「フレイヤは更に前進、マグニの射程圏内で一ノ瀬博士とフレデリカさんを援護します」
……
…………
P『落ちろ!』ズドォンッ!!
G型「!?」ドガアアアアアンッ!!
ナオ『ロングソードを展開する……うおおおおお!』ギュオオオオオオッ!!
G型「……!」ズドォンッ!
ナオ『粒子砲に当たるか! このっ!!』ブォンッ!
シュパアアアアアンッ!!
G型「!!」ドガアアアアアンッ!!
奏『あの2人、単機でG型を……』
周子『うへー……』
美嘉「アタシだって……この!」ピピッ!
ボシュシュシュシュッ!!
GS型「……!」ヒュカカカッ!
奏『私たちも仕事しないわけにはいかないわね……周子!』
美嘉「まだ巣だって残ってるのに……ヴァルキュリアシステム!」ピシィッ!
パシュゥンッ!
美嘉「やあああああっ!!」ギュオオオオオオッ!!
GS型「!」ブブゥゥゥンッ!!
美嘉「死ね!!」ガションッ!
ドガガガガガガガッ!!
GS型「……」ブ、ブブブ……
ドガアアアアアンッ!!
奏『こっちも片付けたわ! この後は!』
P『よくやった。巣はヴェールとノルンに任せて、こちらは他小隊の援護に回るぞ』
ピピピピピッ!
ナオ『巣から白蜂の増援か……早めに処理しないと』
美嘉「まだ蜂がこんなに……了解!」
……
…………
ありす「アルファ小隊もいい動きですね。これならば今後の戦闘も十分に期待できます」
加蓮「P少佐とナオ、アルファ小隊、他小隊の援護に向かいます」
ありす「こちらは博士たちの援護があります。巣の破壊は他ヴェールとノルンに任せましょう」
志希『んー……空間転移後の断層修復速度が遅い……2年前の観測データと並べても、これじゃ全く断層修復される気配がないっていうか……』
ありす「どういうことですか?」
志希『次元断層が起きた後って、振動が収まるにつれて断層自体も元に戻っていくんだよね、昔は。だけど今はそうじゃないねー』
志希『これじゃ空間構成情報が壊れたままだし、また同じポイントで次元振動が起きたら断層どころか穴が開くんじゃないかな』
ありす「断層レベル4でそれほどの事態に……それなら更に上位の次元振動が発生した場合は……」
加蓮「……もしかして」ピクッ!
ありす「北条少尉?」
志希『かもねー。クイーンがこっちに来た時に観測した次元振動のレベルと、過去にあった対話の日の次元振動……当時はレベルの測定は正確じゃなかったけど』
ピピピッ!
ナオ『昔、あたしが奈緒の世界にいったときにも、大規模の巣との戦闘があった……2回、どっちも夢を見ていたくらいの短い間だったけれど、最後は……』
ありす「ナオさんがあちらの世界に転移したままになったときの戦闘は、対話の日でコロニー級の巣が出ていた時でしたね。その後、白蜂たちの巣も来ていましたが」
志希『今は中規模の巣の転移でも断層修復がこれだけ遅いなら、次に大規模の巣でも来られたらヤバイかもね。まだ干渉装置がある程度効いているうちに、なんとかできればいいけど……』
加蓮「奈緒……」
ありす「とりあえず、そのお話はまた後で。今は戦闘中ですので」
……
…………
P『アルファ小隊、巣から増援が来ている。G型がもう2匹いるな』
ナオ『まだ増援はいるか……ヴェールの進行はどうなってる?』
ピピピッ!
志希『ついでにレーダー情報展開しとこっか。陽電子砲射程距離まで後700ってとこだね』
美嘉「もう少し……!」
P『この状況ならそれほど時間はかからないか……それなら』ガションッ!
ドシュウウウウウウンッ!
ナオ『どうした?』
P『この装備だと中規模の巣は破壊できないが、残りの奴らが巣から出てくる前に入口くらいは潰しておく』
美嘉「ちょ、ちょっと待って! それならアタシたちも……」ガションッ!
GS型「!!」ギュンッ!
ピピピピピッ!
美嘉「しまっ――」
バシュゥンッ!
GS型「!?」ドガァァァンッ!!
美嘉「あっ……」
フレデリカ『だーいじょうぶー? そこのお嬢さん、フレちゃんがいないと蜂の巣にされてたんじゃない?』
美嘉「あ、ありがと……」
奏『悪いわね。うちの子がやんちゃして』
フレデリカ『おや、奥様の子ですか?』
美嘉「ちーがーうー!!」
周子『何漫才しとんねん』
ありす『あなたたち! 真面目にやってください!!』
ナオ『あたしたちは現状維持だぞー。他部隊の援護だぞー、聞いてるかー?』
……
…………
加蓮「陽電子砲、蜂の巣に直撃……蜂の巣の破壊、確認できました」
ありす「ふぅ……終わりましたか。みなさん、お疲れ様です。コンディショングリーンです」
ナオ『それじゃ帰艦するか。戻るぞー』
フレデリカ『志希ちゃん大丈夫?』
志希『へーきへーき。死ぬときは一瞬でしょ?』
P『そういう問題じゃないだろ……』
奏『それにしても……中規模の巣だけどあっけなかったわね』
ありす「ま、この人が来たらそうなりますよ」
ナオ『アインフェリアがいないと生き生きしてるよな』
P『別にそういうわけじゃないぞ』
ありす「……今のは聞かなかったことにしておきます」
P『おい待てありす、誤解だ。おいナオ、お前も変なことを言うな』
美嘉『……』
フレデリカ「おじょーさん♪ 元気?」ピピピッ!
美嘉『へっ?』
フレデリカ「ハイ! そこのアナタ!」
美嘉『……う、うん。ありが、と』
フレデリカ「……んふー♪」
美嘉『なっ、何笑ってんのよ!』
フレデリカ「なんでもなーい。ベリーベリーグッドでアタシもハッピー♪」
志希『にゃはははっ、よかったねーフレちゃん』
美嘉『……もうっ』
……
…………
パシュンッ!
P「ふぅ……どうだナオ、体のほうは」
ナオ「今のところはまだ何とも……なっ、何考えてるんだよ!」
P「いや、そりゃ聞くだろ」
ナオ「はっ!? ま、まさかこの後風呂に入ってあたしとセ○クスしたいとか言い出すんじゃないのか!? ダ、ダメだぞ! まだ何ともないんだから……」
加蓮「あーあ、またナオはエッチなこと言っちゃって」フワッ
ナオ「加蓮!? あ、あたしは別に変態じゃないだろ!」
P「加蓮も、問題はないか?」
加蓮「うん、こっちは大丈夫だよ。あ、それより聞いてよPさん。ナオってばこの作戦が始まる直前までエ口ゲーやってたんだよ?」
P「えええええ……お前……」
ナオ「し、仕方ないだろ! 最近通販で買ったばかりのヤツだから、まだ全然クリアしてないし……」
加蓮「しかもね、調教モノなんだよ? 昨日もさー、エ口ゲーやりながら『あーいいなこれ……Pさんにやってもらったり……』とか言いながら画面見てたし」
ナオ「うわあああああああああああ何で知ってるんだよおおおおおお!!」
加蓮「時間になっても打ち合わせに来ないからわざわざ私が呼びに来たからでしょ」
周子「うわー……」
美嘉「あ……う……」
奏「ナオ……貴方……」
ナオ「お前ら聞いてたのかよ!!」
P「……ま、ほどほどにな。とりあえず全員、整列しろ。ブリッジに戻る前に挨拶くらいは済ませておく」
周子「ん? はーい」フワッ
P「既に橘大尉から話があったと思うが、オート・クレール社ナシヤマ支部技術開発部門所属技師、Pだ。プロジェクト・ヴァルキュリアの実働部隊の指揮を取っていた」
奏「取っていた?」
P「しばらく前に、訳があって一度退役をしてから嘱託扱いで少佐待遇で復帰している。そこから色々あったが、現在は軍とオート・クレールの両方を兼任している」
P「その為、立場上ある程度自由に立ち回れるように特殊部隊の配属となっている。フレイヤの運用についてもそれなりに口は出すが、実質的には橘大尉が艦長であることに変わりはない」
P「アルファ小隊については戦闘補助と、広報のアイドル業務についてのプロデューサーの仕事を任されている。よろしく頼む」
美嘉「よっ、よろしくお願いします」
加蓮「セ○クスの話しないの?」
美嘉「ぶっ! ぷぷぅっ!?」
周子「うわきったなっ!?」ビクッ!
P「最初は……抵抗があるかもしれない。だが、皆の身体を万全な状態にする為に俺がいる。ゾーニング現象については、決して無理はするな」
奏「……ええ」
P「この話は以上だ、あとは……」
フレデリカ「志希ちゃーん、まだー?」
志希「待ってー。はい整備長、これ整備マニュアル」
整備長「新しい装備が来るなんて聞いてなかったんだがよぉ……ま、やっとくよ」
P「一ノ瀬博士、フレデリカ! こっちに来てくれ」
志希「今いくー」
美嘉「あ、さっきの――」ピクッ!
フレデリカ「呼んだー?」フワフワ
P「フレイヤに合流したんだ。現行稼働中の部隊メンバーに挨拶をしてくれ」
奏「フレデリカ……貴方、その制服のライン」
フレデリカ「ビー隊からメッセンジャーたちの助っ人なんだよ。どう? カッコいい?」
P「フレデリカは縁があってプロジェクト・ヴァルキュリアに参加することになったビーだ。また、同伴している一ノ瀬博士がフレデリカの体のメンテナンスも行う」
志希「よろしくー。ホントはあたし、オート・クレールで働いてたんだけど、失踪しまくって仕事サボりまくってたらクビにされちゃってさー」
P「……まあ、ナシヤマの技術開発部門移って軍に出向することになった。現在問題となっている次元断層についての現地調査が主な仕事になる」
志希「戦闘だと役に立たないから、よろしく」
周子「そりゃそうだね」
フレデリカ「ねーねー、さっきの子って誰?」
奏「さっきの子?」
フレデリカ「あ、この子? 大丈夫? 怪我してない? 元気? メッセンジャーになる? 名前は? しるぶぷれ?」
美嘉「……城ヶ崎、美嘉」
フレデリカ「美嘉、美嘉ちゃんかー。アタシね、メッセンジャーとおんなじでアイドルだから、よろしくね」
美嘉「えっ」
志希「いやね、この前まで試験管投げてたあたしもこの流れにはビックリだよ?」
奏「この2人だったのね……分かったわ。ユニット申請については、こちらから申請しておくわ」
P「頼むぞ。俺も、未熟だがプロデューサーとして出来る限りのことはするつもりだ。何かあれば遠慮なく話してくれ」
美嘉「……」
フレデリカ「アタシね、コッコ隊以外のユニットでお仕事するの初めてー♪」
周子「コッコ隊って何?」
フレデリカ「智絵里ちゃんのトコ☆」
周子「あー、あの部隊か……」
……
…………
P「……このデータは」カタカタカタッ!
P「うちの会社から転送されてるデータ、消化量が……」
パシュンッ!
ありす「失礼します」フワッ
P「ありす、お前……」
ありす「はい。テストデータの件ですか?」
P「これを消化したのはありすか。話ではニュージェネレーション隊とアルファ小隊で消化する内容だ。耐性持ちのお前ではテストは……」
ありす「はい。ですから、検証結果として問題ない内容になるまで、私はシステムを動かしています。何も問題ありません」
P「……バイタル値はどうなっている」
ありす「私のシミュレーター起動で、テストデータの消化が出来るということは、そういうことです」
ピッ!
ありす「あなたの枷を外す為に、何にも縛られないように……だから、私は……」ハァ……ハァ……
ドンッ!!
ありす「んっ……ちゅっ、んぅぅ……はぁっ!」
P「ん……」
ありす「はぁ、はぁ……今なら、文香さんたちの、気持ちが……わかるかも、しれません……」ハッ、ハッ、ハッ!
ありす「これだけ、私、が……ヴァルキュリアシステムを、起動したんですから……分かっていますよね?」グイッ!!
ありす「前回起動から時間は経っていますが……そんなもの、関係ありません。命令です」ハッ、ハッ、ハッ!
ありす「セ○クス……私と、セ○クスしてください……早く!」ハァッ! ハァッ! ハァッ!
P「お前……ああ、分かった。浴場に行くか?」
ありす「もう我慢できません、ここでします。早く、早く脱いでください……!」グイッ、グイッ!
P「ここでか……了解した」
……
…………
>>128でレスした用語、なんですが一覧出そうかと思ったんですが正直何を出せばいいのかがよく分からなくなって(>>1が忘却しない為のリストはあります)
レス用に整理していなくてまだ何も用意していません。指さしてこれ何?って言われたほうがすんなり答えれるくらいかもしれません。
なので、用語は次回辺りまでに聞かれたものは返すのと、後は>>1のほうで本当に適当な物を摘まんで用意しておきます。
その代わりこのスレに入ってから登場アイドル紹介がすっぽり抜けていたのに気づいたので、簡易版と>>175を見ておまけも貼っておきます。
マクロスしてたのにNGFは戦闘機じゃないらしいし
■グレ○プニール
航空機型の戦闘機でこの時期は人型には変形出来ない。初期型、G1(OPF)、G2、MkⅢ、MkⅣ、MkⅤの6世代が開発された。
ナンバリングルールが変更されているタイミングでメインフレームレベルから大幅な仕様変更が入っている。OPF(1.5世代)はG2が不評過ぎた為にG1を改修した世代。
■NGF
MkⅤの運用データとヴァリアントに採用したフレームをベースにようやく実装出来た人型に変形できる航空機型の戦闘機。つまりここから機体がマクロス的な奴になる。
今回の話までで初期型、N、2N、3N、3NX、4Nの6世代が開発されている。3Nまでは武装の大半はグレ○プニール時代の装備の仕様変更で賄っていた時期。
一応どうしてそうなってるの?って部分についても大体は理由作ってますが、大まかに言うとこんな感じです。
■ラピッドストライカー隊
黒川重工とオート・クレール社が共同開発している試作兵装の運用テストを担当する部隊。現在は実験機の運用も行っている。
・安部菜々……ノルンS-02所属ラピッドストライカー隊の部隊長で階級は中尉。Pの倍の稼働歴を誇る歴戦の勇士。
・神谷奈緒(ナオ)……少尉。この世界の人間としては初めての異世界転移経験者。好きなエ口ゲーのジャンルは調教物(和姦寄り)
・北条加蓮……少尉。奈緒編での実質的なヒロイン。ヴァルキュリアシステムの適性もある程度あった為プロジェクトの追加メンバーとして選定された。
■アインフェリア隊
プロジェクト・ヴァルキュリアの実働部隊。メンバー全員が非常に高いシステム適性を持っている。
ありす以外は2度に渡るプランVによる宙域ライブの後遺症でシステム稼働限界を迎えつつある。
・新田美波……フレイヤ所属アインフェリア隊の部隊長で階級は少佐。生還の女神と言われていた。痴態の象徴、変態その1。
・鷺沢文香……中尉。フレイヤのオペレーター担当で美波不在時の第二指揮官。変態その2。
・橘ありす……大尉。部隊凍結状態の為、現在はフレイヤⅡの艦長代理。Pと同い年。アーキタイプとして肉体生成技術で作られた体は成長促進をさせたので現在はそれなりに成長している。
・相葉夕美……中尉。フレイヤの前線任務担当。現在は軍属しているビーたちの身体調整も行っている。
・高森藍子……中尉。フレイヤの前線任務担当。ナシヤマの軍病院勤務に当たっている。
■シンデレラガールズ
部隊ではなく広報部で展開しているアイドルユニット名で2人とも名前が通っている。
プロジェクト・ヴァルキュリア参画後はアインフェリアの補助として前線任務を担当している。
・十時愛梨……大尉。現在は広報部からの要望でI@LPの優先度が高い。
・神崎蘭子……中尉。愛梨の再異動に同伴。同じく現在はI@LPの消化中。地球出身。
■ブリヤントノワール隊
アインフェリア隊の予備部隊。デレステで生存本能ヴァルキュリアなんてイベントが無ければそもそもこのメンバーが主役のスレだった。
・黒川千秋……フレイ所属ブリヤントノワール隊の部隊長で階級は少佐。大体が美波と同じような感じ。
・水野翠……中尉。フレイの前線任務担当兼ニュージェネレーション隊の指導官。常識的な変態。
・櫻井桃華……中尉。フレイのオペレーター兼前線任務担当。ありすと同様にアーキタイプとして作った体は同じく成長促進させている。Pと同い年。
・三村かな子……中尉。フレイの火器管制担当。
・西園寺琴歌……中尉。フレイの第二指揮官。千秋不在時は艦長代理も兼任する。
■ニュージェネレーション隊
アインフェリアの一時離脱に伴って新設した部隊。システム適性はアインフェリア、ブリヤントノワール隊に次いで高い。
システム改修が入ってからの配属なので、システムによる後遺症は上記2部隊よりは軽い。人員数が少ない為全員が前線とブリッジ作業を兼任している。
・島村卯月……少尉。3人の中では一番適性が高い。奈緒編で分岐したルートによっては色々すっ飛ばして変態化する可能性もあった。
・渋谷凛……少尉。3人の中では前線に出る場面が一番多い。
・本田未央……少尉。奈緒編でR18パートが無かったのは耐性持ちの為。
■その他
・P……エ口ゲ編の主人公で奈緒編と今回の話でも主役。
・黒井大佐……プロジェクト・ヴァルキュリアの内容が非人道的な為に最後までプロジェクトに反対していた人。過去編でのPと菜々さんの理解者。
・三船美優……Pの恋人。エ口ゲ編のルートによっては再開していたし、奈緒編以降も再開できない場合があった。
・高垣楓……元コミュ障。色々見越していた麗奈に扱かれて中佐まで昇進する。
・小関麗奈……「この世界では」人類最強のパイロット。
・大佐……エ口ゲ編では読者から大体大佐が悪いとか言われていたけど本当にコイツが悪い話が結構ある。
・神谷奈緒……奈緒編の主人公。本編のステータスはエ口ゲ編のPの最終ステータスの互換。好きなエ口ゲーのジャンルは調教物(ハード寄り)
・セカンドドライバー……低身長でモフモフした髪の毛に仮面で素顔を隠している謎のパイロット。果たして正体は……
智絵里がそこそこ名前通っているのはそれなりに良いパイロットだからです(奈緒編でPもちらっと話してたくらい)
前にエ口ゲ編で説明してたような気がするんですが、安価で決めた戦闘力以外にも、そもそもお話の中で決まっている戦闘力っていうのがアイドル別にあったりします。
今回の話でも一応、エ口ゲ編で管理用に使っていたツールにアイドル別のデータを用意しているんですが、戦闘力の部分を無理やり可視化するとこんな感じです。
===========================================================================================
■NGF-3N(奈緒編から登場する一般機)のシミュレーターを起動した際のスコア
>>0?)付きのメンバーは本編で乗った専用機のシミュレーターを起動した際のスコア
麗奈:麗奈(ランクが麗奈とかっていうレベル)
SSS:(P”)
SS+:(蘭子”愛梨”)
SS:(奈緒”ナオ”)、P
----------------人間を辞めた奴の壁----------------------------------------
S+:
S:(菜々)
A+:蘭子
A:千秋
A-:菜々、愛梨、ナオ、奈緒
----------------単独でG型を相手に出来る壁--------------------------------
B+:翠、智絵里、ありす
B:フレデリカ、早苗、美波、加蓮
----------------単独である程度余裕を持ってGS型を相手に出来る壁----------
B-:桃華、美嘉、奏
----------------一般的なエースパイロットの壁------------------------------
C+:夕美
C:未央
C-:凛、周子
D+:藍子
----------------平均スコア(ランクD)の壁--------------------------------
D:卯月
D-:かな子
----------------非正規パイロットの壁--------------------------------------
E+:文香
E:琴歌
E-:
F+:
F:志希
===========================================================================================
>>1が全く気が回っていなかったのと、1つ1つ本編中で説明するのは見栄えが悪そうかなと思ってほとんど表記せず素通りしていました。
ちらほら出てくるI@LPであれば「Indicate Assist Load Program(広報業務指示支援情報読込プログラム)」です。
>>1は英語がダメな人間なのでこういうのは基本的に当て字です。英語がおかしいという突っ込みは無しです。
機体名もそれぞれ意味はありますが文法とか分からないので全部当て字です。
VIS-XX……Valkyriasystem Installation Striker(ヴァルキュリアシステムを採用した戦闘機)
VILS-XX……Valkyriasystem Installation Limited Striker(制限されたヴァルキュリアシステムを採用した戦闘機)
VWPS-XX……Valkyria With Professional Striker(ヴァルキュリアシステムを採用した最上位機種)
VPPS-XX……Valkyria Possession of Particle Striker(粒子膜による飛行補助を採用したヴァルキュリア)
NGF-XX……Next Gleipnir Format(新規仕様のグレ○プニール)
NGF-VSXXS……Next Gleipnir Format - Valkyria System XX Striker(ヴァルキュリアシステムを採用したNGF)
NGF-VSTGX……Next Gleipnir Format - Valkyria System Trial Generation(次世代型ヴァルキュリアシステム試験用のNGF)
RTV-VPSXX……Refine Third Valkyria - Valkyria Professional Striker(ヴァルキュリアサードをNGF仕様に精製した機体)
マニューバのIだのHだのは組んだ機体数によって変わるコードです。
I、Y、H、Wでそれぞれ2、3、4、5機体でのマニューバになります。Vはドッキング機運用時の専用コードです。
登場人物は全員18歳以上ですが、菜々さんに関しては無慈悲な設定をしておりまして、妊娠するのが困難になりそうな年齢くらいです。
ついでに、本編中の表記を合算すると過去編から今回の話までで10年程経過しています。
Pのそれについては進行に影響がありそうなのでパスで。整備長は……むしろ何か気になることあるんですか?
加蓮「ゴメンね博士、こっちの作業任せちゃって」
志希「まーあたし前線出ても役に立たないし、ここで作業出来るならそれでいいでしょ?」カタカタカタカタカタッ!
晶葉『まあ、死なない程度に働いてくれ』
志希「モチロンってね。フレちゃんの面倒も見なきゃダメだしねー」ピピッ!
晶葉『そういえば助手はどうした? 今回志希が採取したデータについて少し話しておきたかったんだが』
加蓮「ありす大尉と一緒。まだセ○クス終わってないみたいだし」ピッ、ピッ……
晶葉『ああ……ゾーニング現象か。そういえばありすがこの前、検証項目全部渡せって言ってたな』
志希「ってことは今あの2人のところにいけばレアな光景が見れるんじゃん?」
加蓮「部屋のモニター出す? ここから見れるよ」
晶葉『それは私の用事が終わってからにしてくれ。それならナオはどうした?』
加蓮「会議室ですよ。フレデリカと新入りの3人連れて行って」
加蓮「新型のですか?」
晶葉『そうだ。ナオのほうはほぼ完成している。あとの2機はまだ掛かるが、早いうちにと思ってな』
加蓮「……ドッキング、どうするんですか?」
晶葉『想定としては助手か、ありす……千秋でもいいとは思っているが』
志希「またまたー。それじゃダメでしょ? ソレ、彼が怒るの分かって作ってるんだから」
晶葉『……まあな。今でも色々と言われてるよ。気持ちは分かるし、アイツに言われるなら私は黙るしかない』
晶葉『だが、ヒトとしての感情以前に、開発者としてやるべきことをやっている。むしろ、せめて私だけはそうでなくてはならん』
加蓮「……」
晶葉『やはり加蓮も、いい気分はしないか』
加蓮「だって……また、奈緒を頼るなんて。もう、奈緒は元の世界に戻ったのに……」
志希「またこの世界に来るかどうかなんて、わかんないのにねー」
晶葉『G型相手に完全に優位に立てる者が少なすぎる現状、戦闘におけるあの2人の影響力は大きい』
晶葉『あの2人分の不足した戦力を補うには……せめて、ダブル奈緒によるドッキング運用が無ければ厳しいのは事実だ』
晶葉『奈緒が今でも私たちの状況を把握できているのであれば、機会があれば必ず戻ってくる』
加蓮「それは……奈緒だから、戻ってくるってこと……」
晶葉『頼りにするべきではないことくらい、私でもわかっている。だが、これ以上の戦力となると、それしかない。わかってくれ』
パシュンッ!!
ありす「お待たせしました。遅くなってしまって申し訳ありません」フワッ
P「待たせたな」
加蓮「大尉、Pさん……」
志希「随分長かったねー。ありすちゃんにしては珍しい? どうだった?」
ありす「そろそろ子どもの名前を考えてはじめていいかなと思いましたね」
P「何言ってんだこいつ……」
加蓮「この前避妊治療入れたのに……」
晶葉『乳繰り合うのは後にしてくれ。ありす、すまないが今回転送してもらったデータの件で話がある』
ありす「わかりました。Pさんは一緒のほうがいいですか?」
晶葉『できれば、と思っているが別件があるならそちらを優先させて構わん。何かあるのか?』
ありす「志希さんを連れてアルファ小隊のところに行ってもらおうかと。ナオさんに小隊を任せたままだったので」
P「志希が入ることで多少、運用が変わる部分があるからな。早いうちに話をしたほうがいいだろう」
晶葉『それならそっちを優先してくれ。志希も、小隊運用の話であれば助手に付いていけ』
志希「はーい。めんどくさいなー」
晶葉『何言ってんだ。軍に行ってるんだから少しは真面目にやれ』
志希「んー、もう失踪したいなぁ」
P「勘弁してくれよ……」
……
…………
奏「4人で出る場合であれば、このマニューバプランの編成でいいわね」
ナオ「一ノ瀬博士が出るときはここから周子も合わせて下げて、3トップで前に出るようにしたほうがいいか?」
周子「あたしの負担増えるし、奏ちゃんのディフェンスパックちょーだい」
奏「別に構わないわ。単独マニューバでもなくなったんだし」
フレデリカ「フーン……美嘉ちゃーん」
美嘉「……なに」
フレデリカ「フフーン♪」
美嘉「……感謝はしたけど、何度も言われると恩着せがましい」
フレデリカ「おんき……? お……あー、ナルホド。人間はそういうの気にしちゃうんだもんねー」
パシュンッ!
P「待たせた」
志希「こっちに来たー」フワフワ
ナオ「ありすは?」
P「とりあえず大丈夫だ。話はどこまで進んでいる?」
ナオ「志希がいなかったからとりあえず4人編成の話だけ。基本はそうなるだろ?」
奏「一ノ瀬博士が空間構成情報の調査の為に直接出撃しない限りは、基本的に4人で出撃って話は聞いたわ」
P「あとはニュージェネレーション隊から引き継いでいるとは思うが、跳躍テストを行う際も随伴させるつもりだ」
志希「フラグチェックとか色々確認したいしね」
ナオ「ま、とりあえずメンバー揃ったし部隊の話にするか」
P「ああ。ではアルファ小隊、3人はコンコルディア隊から来たフレデリカと、オート・クレール社から来た特別派遣技師の一ノ瀬志希博士と小隊を組んでもらう」
P「フレデリカはプロジェクト・ヴァルキュリアの人員としての追加、一ノ瀬博士については空間構成情報の調査が主な仕事だ」
P「その為、通常戦闘は一ノ瀬博士以外の4名での出撃になる。ここまではいいか?」
周子「めんどくさいねー、ホント」
志希「にゃはは♪ 我慢してねー。一応補助AI操作で最低限動くくらいはできるから」
P「この小隊の主な任務については橘大尉から話が出ているはずだから省略する。次に、直近の任務についてだが……」
……
…………
整備長「おばちゃーん、定食くれよ、定食」
おばちゃん「はいはい、ちょっと待ってなさいよ」
整備長「わーってるよ。メンテする機体増えて、こっちはようやく休憩だよもう……」
おばちゃん「少佐、戻ってきたもんねぇ」
整備長「戻ってくるなり、ありすの嬢ちゃんとこ行っちまったからなぁ。相変わらず忙しい旦那だよ」ガタッ!
おばちゃん「元気そうだったかい?」
整備長「おお、さっきも新入りたち連れて格納庫来てたしな。シミュレーター回して様子見てたけど」
おばちゃん「次の長距離航行プランで、終われるといいんだけどねえ」
整備長「ま、そうだな……アインフェリアのみんなも、そろそろシステム使えなくなるって話だしよ」
整備長「2回も復帰できたんだから、大したもんだと思うけどよ。3回目はもう身体が耐えられなくて無理だろうって一ノ瀬博士も言ってたし」
おばちゃん「……そうかい」
整備長「上手く行けば恩給貰って退役か、アイドルなんだし広報部に行くか……少佐なら好きなようにやらせるんだろうけどよ」
おばちゃん「可哀そうにねぇ……あの子たちも、ここまで頑張ってきたのに……」
P「そうでもないさ」フワッ
整備長「おっ、少佐、嬢ちゃんたちの相手終わったんですかい?」
おばちゃん「おや少佐、お疲れさま」
P「一通りのマニューバは見た。後で編成はまとめるし、5人もユニット申請させておかねばならんからな。今のうちに飯でも食おうかと思ってな」ピッ!
整備長「どうですかい、新入りたちのほうは」
P「聞いていた通り動きは悪くない。大佐が適性を落としてパイロットとしての技量で選定しただけのことはある。少し気になるところも、あるがな」
おばちゃん「そうかいそうかい。何にするんだい?」
P「週替わり定食で頼む。それと、おばちゃん」
おばちゃん「なんだい?」
P「アインフェリア隊は、皆が自ら進んでここまで来た。俺も、皆も、後悔もした。だが……それでもここまで来ることが出来た」
P「少なくともこの5年、白蜂たちがいたとしても、人間とビーは共に生きていくことが出来た。俺たちの戦いは、確かに価値のある物なんだ」
P「だから今度こそ最後にする。俺たちの手で、皆が平和な世界で生きていくために……皆も、それを望んでいる」
整備長「最後まで、面倒見てやらねぇとな」
P「ああ」
整備長「ところで少佐、とときんとらんらん、一緒じゃなかったんですかい?」
P「あの2人も、ちょうどナシヤマに来ててな。FFの調整で少し遅れてくる。そんなに時間は掛からない程度だが」
整備長「ってことは、アレの開発終わったのか。少佐の機体より早かったんだなぁ」
P「まあベースのリサーヴがあったしな。さすがにもう、2人掛かりで動けば大したものになってるぞ」
整備長「はー……とときんも成長したもんだなぁ」
P「俺が碌に面倒見れなかったときに整備長が気を利かせてくれていたからな。愛梨が一番成長したかもしれん」
整備長「そうかぁ……後は、もうちょっと落ち着いてくれればいいんだけどなぁ……」
P「そうだな……」
整備長「……」
P「……」
整備長「……」
P「……何でこっち見てるんだよ」
P「あの2人なら、後遺症が完全に抜ければ……」
整備長「またまたぁ、何言ってるんですかい。前にとときんとらんらんと飯食ってたときだってあの2人……」
愛梨『うーん……うーん……私なら、旦那さんがPさんで、お父さんが整備長で、お母さんがおばちゃんだったらいいなぁって』
蘭子『我も! 我も!』
愛梨『でも蘭子ちゃんと一緒だったらお嫁さんが2人になるし、どうなるのかなぁ……それにアインフェリアやブリヤントノワールのみんなも……』
蘭子『酒池肉林!』
おばちゃん「あんなこと言って、あの子たち基準だとあたしと整備長、夫婦になってるもんねぇ」
整備長「俺が女房に八つ裂きにされるってな」
P「まあ、あの2人も結構自由だからな……」
……
…………
加蓮「大尉、ルート誤差マイナス2で進行しています。航路修正入れます」
ありす「わかりました。志希さん、次元振動については現時点で何かわかりますか?」
志希「なーんも分かんない。予測通りに次元断層が起きるくらいじゃないかなー。それにまだ現地まで距離あるし」
フレデリカ「志希ちゃん天才なのにわかんないの?」
周子「おっ、煽り?」
志希「にゃはははっ、空間構成情報でも探れればいいんだけどねー。でも今回の発生周期めっちゃ短いし、良いデータ取れそう♪」
P「フレデリカ、お前I@LPがあっただろう。レッスン場に戻らなくていいのか?」
フレデリカ「フフーン、アタシもう終わったもんね。今は奏ちゃんと美嘉ちゃんが撮影してるから」
P「まだあの2人は終わってなかったのか……少し様子でも見に行くか」
P「なんだ?」
ありす「いえ、あなたが年々プロデューサー業務を身に着けていっているが少し寂しく感じただけです」
加蓮「Pさん、アインフェリアの仕事ほとんどやってなかったもんね」
P「……俺が離脱したときは、皆がI@LPの消化が出来るようになった頃には病室で進捗管理くらいはするようになったぞ」
ありす「私はもうフレイヤに戻っていた頃だったんですけど」
フレデリカ「あーあープロデューサー、メッセンジャーたちカワイソー。アタシたちビーのファンクラブから蜂の巣にされちゃうよ?」
P「お前が言うと洒落にならん……」
フレデリカ「でもアタシがプロデューサーを蜂の巣にするなら元の体に戻らなきゃダメだもんねー。残念ザンネン」
ありす「Pさん、これじゃあ採掘場に行けませんね」
P「……機会があれば、ありすの面倒も見る。少し行ってくるぞ」フワッ
パシュンッ!
……
…………
『映像記録を開始します。サンプルデータとガイドマークに従ってください』
奏「……」スッ
ピッ、ピッ
『映像記録終了。次のサンプルデータを提示します』
美嘉「今の撮影、顎上げすぎじゃない?」
奏「そう? 判定で戻されなかったら大丈夫よ」
美嘉「この撮影部分、これだけ取るならもう2、3ページ増やしてくれればいいのに。1ページ分にしかならないんだから」
奏「そうねぇ……まあ、特集の枠に入れてもらえるだけ良しとしましょう。新しいユニットだもの、先に名前を覚えてもらわないと」
パシュンッ!
P「2人とも、進捗はどうだ?」
美嘉「あっ、P……プロデューサー」
P「本部から追加の次元振動の対応指示が来なければ、もう少しゆっくりやらせたかったんだがな。すまないが早めに終わらせておいてくれ」
美嘉「ヘーキヘーキ★ アタシだって結構場数踏んでるんだからね?」
P「なんだったか……カリスマギャルだったか。軍の広報でギャル売りするって俺にはいまいちよく分からんが……」
美嘉「そういうの好きな男は多いし、それに一般向けもやってるんだからいいでしょ? ていうかプロデューサーがそんなこと言っていいワケ?」
P「っと、そうだったな。すまなかった」
奏「貴方、こっちの仕事は不慣れって聞いていたけれど……」
P「あまり不自由はさせたくないと思っているんだがな。すまないが何かあれば遠慮なくて言ってくれ。出来るだけ対応する」
美嘉「しっかりしてよねー? んー、あと撮影何本残ってたかな」ピッ、ピッ
P「残っているのはこれだけか。フレデリカがブリッジに戻ってきていたから、もう少しとは思っていたが……」
美嘉「……」
奏「そうね。彼女、すぐにI@LPを終わらせて戻っていったもの。少し驚いたわ」
美嘉「……ま、得意なんでしょ、こういうの」
奏「ところで、次の指定宙域ポイントまでどれくらいなのかしら?」
P「途中までは帰り道だったが、今はホクドウに戻る予定航路から逸れて移動している。2日程度は掛かる予定だ」
奏「それなら全然間に合うわね。少し休んでおきたいし、早めに終わらせましょう」
P「そうしてくれ。2人が早めに終われば塩見少尉と一ノ瀬博士も撮影の時間が取れて少しは楽になる」
奏「5人でまとめて撮影出来ればいいけど……まあ、仕方がないわね。まだ出撃も残っているし」
P「頼むぞ。あと、城ヶ崎少尉」
美嘉「なに?」
P「I@LPが終わった後に用がある。こちらから声を掛けるが、時間は空けておいてくれ」
……
…………
藍子『はい。多分間違いないと思います。私がフレイヤに来る前に配属されていたところで、そのお話もありましたから』
P「そうか……分かった。わざわざすまん」
藍子『いえ、私も昔のことでしたから、確認するのも時間掛かっちゃって……』
P「大佐からはある程度の話は聞いてデータももらっていたが、実際の細かい状況までは分からなかったからな」
藍子『そう、ですね……あの、Pさん』
P「どうした?」
藍子『……その、いきなりお話するのは……上手く、言えませんけど……突然だと、私だったらビックリしちゃうなって』
P「分かっている。俺はこれでも空気は読めるほうだ、心配しなくていい」
藍子『それならいいんですけど……』
P「今のところは少し気になる程度で、問題が起きたわけではない。藍子も、早めに調整を終わらせてからこっちに来てくれ。待っているぞ」
藍子『はいっ。それじゃあ、失礼しますね』
ピッ!
P「……」
P「……聞いてはいたし、俺が充てられるのも分からんでもないがな」
……
…………
周子「……」シャンシャンシャンシャン……
周子「……」シャンシャン……
周子「……」シャン……
周子「……」スー、スー……
紗枝「寝たらあきまへん」ドゴォッ!!
周子「おごふっ!?」ビクンッ!
紗枝「なんや周子はん、せっかくのうちらのいべんとやのに居眠りなんて」
周子「いや、だってさ……あたし眠いし、それなら38ちゃん変わっ――」
紗枝「今の周子はんよりお馬さんのほうがもっと働きます」
周子「あたしは家畜以下かーい! って、宣伝宣伝っと……」
周子「んーカンペカンペ……『プロデューサーさんのみなさん、お疲れ様です。ただいまアイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージでイベントが開催されています』」
周子「イベント曲はあたしたち羽衣小町が新曲を歌うよー。報酬もあたしと紗枝ちゃんだよー。和服だぞーどうだー? てことでよろしくー。おしまい」
紗枝「あきまへん」バシッ! バシッ!
周子「いったい痛いっ!? いやもうあたし疲れてるからさー……ところで紗枝ちゃん」
紗枝「はい?」
周子「いつあのでっかいロボット乗って来るの? てかほんま来るの?」
紗枝「さぁ、いつになるんやろなぁ。周子はんも大変やろうけど」
周子「まーこっちのあたしは2スレ目でとっくに喋ってたし……」
周子「ま、イベントもまだ続いてるから、プロデューサーも倒れない程度に頑張ってね」
紗枝「おきばりやす~」
奈緒「くそ……あたしもそっちに行ければ……!」
-------------------------------------------ここまで関係ない話-------------------------------------------
ありす「……圏外防衛線で戦闘があったみたいですね。中規模の巣が2つ」ピッ、ピッ
加蓮「艦の戦闘記録、ありますか?」
ありす「S-02……ラピッドストライカー隊の出撃記録がありますね。予定通りニュージェネと智絵里さんとの混成部隊になっているみたいです」
ありす「運用体系が違うから菜々さんのARGTと一緒に戦闘するのは大変そうですが、撃墜判定は智絵里さんだけみたいですし、特に問題なさそうですね」
加蓮「こっちも指定宙域ポイントに入ったら戦闘だし、他のところでも……」
ピピピピピッ! ピピピピピッ!
ありす「レーダー反応……加蓮さん!」
加蓮「確認します……大尉、反応があります。白蜂です。GS型が8、巣は確認できません」カタカタカタッ!
加蓮「了解です。コンディションレッド、警報出します」
ありす「P少佐、応答してください。指定宙域ポイントまではまだありますが、予定航路ルート上に白蜂の反応があります。戦闘態勢に移行しますのでブリッジに来てください」
ピピピッ!
P『了解した。出撃はどうするつもりだ』
ありす「一ノ瀬博士をブリッジに戻して、LiPPS部隊の4名を出撃させます。P少佐も出撃をお願いします」
P『ナオは格納庫にいるか……ではこのまま格納庫に向かう。LiPPS部隊の指示は任せたぞ』
ありす「わかりました。よろしくお願いします」
加蓮「安全航路圏からは外れているので宙域周辺に民間船の反応はありません。戦闘宙域を指定、格納庫にNGFの出撃準備を指示します」
……
…………
P「戦闘か……仕方がない、城ヶ崎少尉については次の機会にするか……」
パシュンッ!
美嘉「っとに……って少佐っ!?」ビクッ!
P「少尉か。いま顔を出しに行こうと思っていたが」
美嘉「そんなことより警報なったでしょ! 早く戦闘に出ないと!」
P「わかっている。出撃するぞ」
美嘉「当然!」シュッ!!
……
…………
パシュンッ!
志希「戻ったー」フワフワ
ありす「I@LPの消化中にすみません。予定外の戦闘ですがよろしくお願いします」
志希「宙域データの取得だけやっとこっか。加蓮ちゃん、何か作業あるならこっちでもやろっか?」
加蓮「あ、いいの? それじゃお願い」
志希「次元振動あるわけじゃないからやることないし、振っちゃっていいよ」
加蓮「それじゃあLiPPSのオペレーターお願い。艦制御と火器管制はこっちでやるから」
志希「おー自分の部隊! LiPPS、ゴー!」
ありす「まだ出撃準備が完了していません。カタパルトからの応答を待ってからにしてください」
志希「はーい」
……
…………
フレデリカ「もー! あいつらがいる限りアタシたちの戦いは終わらないのだ……多分」シュッ!
――!
――、――!
フレデリカ「ん?」ピクッ!
フレデリカ「……んー」
ピッ!
パシュンッ!
フレデリカ「……」
……
…………
ナオ『こっちの準備は終わってるから先に出てるぞ。加蓮、ハッチ開けてくれ』
志希『残念! 今回はあたしがオペレーターなんだよねー』
ナオ『何でもいいけどハッチ開けてくれよ……』
P『LiPPS小隊、出撃後は4人でのコンビネーションマニューバで戦闘を行え。俺とナオは別途マニューバを行う』
奏「小隊長なんて柄じゃないけれど……まあ、指示されたなら仕方がないわね」ピッ、ピッ、ピッ!
周子『戻ったらI@LPやり直しなのがめんどくさいんやけどー……』
美嘉『ボヤいても仕方ないでしょ。早く出るよ!』
P『フレデリカがまだ来ていないな。ブリッジ、フレデリカはどうした?』
ありす『今格納庫に付いたみたいです。NGFに搭乗中です』
ナオ『先に出るぞー!』
志希『はいいってらっしゃーい』
P『これだけ人数多いのも久々だな……まあいい。各機、出撃準備が完了次第出るぞ』
美嘉『言われなくても、出るよ!』
奏「そうね。LiPPS、行くわよ!」
……
…………
P『戦闘行動に入る。速水少尉、ナオに代わって小隊運用は任せても大丈夫だな?』
奏「ええ、貴方はどうするのかしら?」
P『ナオとマニューバを行う。接近する群れが二手に分かれている。3匹は任せたぞ』
周子『ってあたしたちのトコ、まだフレちゃん来てないけど』
フレデリカ『フレちゃんとうちゃーく。ゴメーン』
奏「やっと来たわね」
美嘉『遅い! アンタ何やって――』
奏「喧嘩しないの。フレデリカ、LiPPSでコンビネーションマニューバよ」
フレデリカ『ハイ、ワタシケンカシマセン』
周子『対話プログラムバグってるように聞こえるやん』
奏「そういうのいいから」
ズドドドドドドドドッ!!
P『フレイヤからの支援砲撃が来たか。よし、行くぞ』ギュンッ!!
GS型「!!」ギュンッ!
GS型「!!」ギュンッ!
GS型「!!」ギュンッ!
奏「LiPPS、コンビネーションマニューバはH03で行くわ。手早く済ませる為にヴァルキュリアシステムを起動しましょう。周子、後ろはお願い」ガションッ!
周子『はいはーい。3人は前で頑張ってね』
美嘉『コイツら……!』
フレデリカ『帰れー!』
……
…………
志希「……」ンー……
加蓮「LiPPS、戦闘を開始しました。ナオとP少佐も戦闘中です」カタカタカタッ!
ありす「分かれましたか。丁度良いです、P少佐とナオさんの2人は暫定として……」
ありす「……いえ、VPS-001として登録します。北条少尉、レーヴァテインをLiPPS小隊側の左側面から迫っているGS型に撃ってください」
加蓮「了解です。レーヴァテイン、発射します!」
ズドォォォオンッ!
志希「……ねえ、ミーミル貸して」
ありす「はい?」
志希「ちょっと気になったんだよね。前線も彼出てるし、大丈夫でしょ?」
ありす「必要であれば構いません。私の権限コードで閲覧してください」ピピッ!
……
…………
GS型「……!」ヒュカカカッ!
ドシュシュシュッ!
P「針なぞに当たるか!」ガションッ!
ドシュゥン! ドシュゥン!
ナオ『ロングソードを展開する。P少佐、足止めは任せた!』ギュオオオオオオッ!!
GS型「!!」ギュンッ!
ナオ『てやああああああっ!!』ブォンッ!
シュパアアアアアンッ!!
P「ビーム発信機を併用したソードか……ナオは問題ないが……!」カタカタカタッ!
ピピッ!
P「頼ってばかりいては俺が戻った意味も無いならな」ドシュゥン!
ドガアアアアアンッ!!
ナオ『まさか、こっちが頼りにしてるくらいだよ』
P「お互い様だ。ここは早く終わらせてLiPPSのほうに向かうぞ」
ナオ『了解!』
……
…………
周子『ディフェンスパックの複合ミサイルコンテナ、ばら撒くよ!』
ボシュシュシュシュシュッ!!
GS型「!?」ヒュカカカッ!!
ドガガガガガァンッ!!
奏『CG形態よ! 美嘉、フレデリカ!』ガションッ!!
美嘉『乱戦、行くよ!』ギュオオオオオッ!!
フレデリカ「美嘉ちゃん奏ちゃん、頑張って!」ドシュゥン! ドシュゥン!
美嘉『アンタもちゃんとライフル狙って!!』
フレデリカ「アタシだって! ダインなんとか!」ズドォンッ!!
GS型「!」
ドガアアアアアンッ!!
周子『あと2匹だよ!』
GS型「……」ギュンッ!
ズドォンッ!!
奏『ディフェンスパックは周子にあげたから気が抜けないわね……でも、私にばかり気を取られていいのかしら? 2人とも!』ギュンッ!!
美嘉『やああああっ!!』ギュオオオオオオッ!!
フレデリカ「クール・タチバナのスゴイマニューバ!!」ガションッ!
シュパアアアアンッ!!
ドガアアアアアアンッ!!
フレデリカ「フッ……C.T.S.M『Counter.Turn.Strike.Maneuver』」ボソッ
ピピピッ!
ありす『全然教本通りのマニューバになっていません! C.T.S.Mはあくまで単機で複数の蜂を相手にする場合に行う誘導、撃破行動のマニューバです! あとなんですかその名称は!』
フレデリカ「え、違うの? プロデューサーから教えてもらったんだけど」
ありす『P少佐ぁ!!』
P『え、違うのか……? 麗奈のマニューバと同じで適当な語呂合わせをしていたのかと思っていたんだが……』
加蓮『ぷっ……』
ありす『あ、あなた……あとで覚えておいてください……!』
美嘉『ちょ、ちょっと大尉! そんなことより戦闘、もういいの?』
ありす『はっ……そうでした。今ので宙域の白蜂はすべて撃破しました。コンディショングリーンです』
周子『あー終わった終わった。疲れたねー』
奏『まあ、最初のマニューバにしては上手く連携も取れたんじゃないかしら』
加蓮『戦闘の映像記録、後で確認しとく?』
周子『やっとこっか。フレちゃんも途中で援護挟んでくれたから楽だったね』
フレデリカ「フンフンフフーンフンフフーン、フレちゃんつよーい♪」
美嘉『ちょっとアンタ、あまり調子に乗らないでよ』
フレデリカ「ハーイ♪」
ナオ『ん……加蓮、志希はどうした?』
志希『調べものー』
ナオ『なんだいるのか。それじゃ帰艦するかぁ』
……
…………
パシュンッ!
ナオ「ふー……疲れた」
P「LiPPSも戦闘は問題ないか。個々の技術もそれなりのものだし、フレデリカも入ったから安定はしているが……」
整備長「おーい、少佐―!」ドタドタドタッ!
P「整備長か。すまんが機体の整備を頼む。俺のNGFは後回しで構わん」
整備長「どうしたんで? 少佐の機体なら毎回ガタつかせてるし、早めにオーバーホールしときたいんですけど」
P「操縦が荒くて悪かったな。今回のLiPPS小隊はある程度戦闘も任せられるし、そっちの機体を優先してくれ」
ナオ「動きもいいし、連続戦闘でPさんだけ先に出るよりは4人を出して小隊運用に慣れさせたほうがいいか」
整備長「まああいつらも良く動けてるからな……へい了解、うちの奴らに言っておきますよ」
P「頼むぞ。ん……なんだあいつら、戻ってくるなり騒いでいるが」
フレデリカ「ゴメンゴメーン、来るの遅くなっちゃったんだもん」
美嘉「I@LPやってた周子が遅れるなら分かるけど、アンタ休んでたでしょ」ハァ……
周子「別にいいじゃん。戦闘するまでには間に合ったんだし」
美嘉「よくない」ハァ……
フレデリカ「はっ!? そうそう、デザート、食堂でデザート買ってあげる! ケーキで許して!」フワッ
美嘉「あっ、ちょっ! 引っ張んないでよ!」
フレデリカ「周子ちゃんも一緒に食べよー♪」
周子「オゴリならあたしもついていこっかなー? 気前ええやん? でも先にお風呂入りたいわぁ」フワッ
奏「まったく……ずっと騒いでいるんだから」ハァ……
奏「あら……貴方に言われると少し思うところがあるわね」
P「褒めているだけだ。小隊運用についても、部隊長として任せて問題ないな?」
奏「……ええ、そうね。それでいいわ」
P「どうだ、思っていたよりは、悪くないか?」
奏「……思っていたより、悪くないものだったわね。そういうものだって、忘れていたわ」
P「それならいい。必要なことでもあるし、気にし過ぎるのは良くない」
奏「見透かしたように言うのね。まあ、貴方が知らないわけがないこと、だけど……」ハァ……ハァ……
P「どうした?」
奏「いえ……少し、疲れた……違う、わね。ヴァルキュリアシステムを使い始めて、しばらくたったから、かしら」ハァ……
奏「システムを使っての訓練や、貴方が来る前の戦闘でも起動はしていたから……こういう、ものなのね」
P「……強制はしないが、必要であれば命令権を行使しておけ。無理に耐えられると、後でこちらも困ることになる」
奏「……そう、ね。それじゃあ……この後に……」ギュッ……
……
…………
志希「どう? 照合したデータに違いある?」
晶葉『ビンゴだ。過去の戦闘で発生している次元振動と並べても、空間転移後の断層修復時に確認できる振動の変動値の傾向で分けることができる』
ありす「なんのお話ですか?」
晶葉『通常の空間転移と、別次元に移動する際の次元跳躍を伴う超空間転移。この2つ現象は次元振動の大きさによる、空間構成情報の収束値の増加幅の違いにより発生されるものが区別できると考えられていた』
加蓮「ナオが奈緒の世界にいったときも、次元振動のレベルは10相当だったんだよね?」
晶葉『そうだ。コロニー級の巣やクイーンの空間転移は高レベルのものとなっていて、これまで白蜂側で行われていた超空間転移は次元振動のレベルの高さで発生する確率が高いと思われていたが』
晶葉『実際のところは空間転移後の断層修復時に確認できる次元振動の変動値の振れ幅で、発生するか否かを推測することができそうだ』
ありす「こちらでも次元跳躍はテスト段階まで行われていますが、白蜂たちとの現象の違いはあるんですか?」
晶葉『まあ簡単に言うとこちらで実装した超空間転移の技術は、空間に別次元に繋がるドアを見つけたらそのドアの鍵を作って移動し、帰るときにまたドアを通って鍵を閉めるようなものだ』
晶葉『白蜂たちの超空間転移は見つけたドアを通るときにドアぶっ壊して通り抜けて、壊したドアはそのままにしているようなものだな』
ありす「……よくわかりませんが、つまりこちらの技術で超空間転移をする際は丁寧にドアを開閉するので空間構成情報の変動値が大きく、ドアを破壊して通る白蜂の超空間転移は空間構成情報が自然修復によって直っているから変動値が小さいということですか?」
志希「何となくそんな感じ。だからどんなに小さい次元振動でも、断層修復時の空間構成情報の変動値が小さいときは蜂は超空間転移してる可能性があるねー」
晶葉『こちらも超空間転移の検証中だから詰める部分はあったが、少し観点を見直す必要があるな……軍から提供されているデータをもう一度洗ってみる』
志希「よろしくー♪」
晶葉『お前も真面目に仕事は続けておけよ。また連絡する』
ピッ!
志希「てことでー、アイツらが時限跳躍するかは転移した直後に分かるかもしれないね」
志希「これまでは収束値で超空間転移されているか判断してたけど、これならもうちょっと正確に判断できるね」
志希「いいよー」
加蓮「……そういえば、みんな帰ってくるの遅いね」
ありす「そうですね。まだ格納庫にいるんでしょうか」カタカタカタッ!
ピッ!
ありす「……」
加蓮「大尉?」
ありす「浴場にいるみたいですね。ナオさんも行っているみたいです」
加蓮「……アタシも行こうかな」
ありす「ブリッジ作業が残っています」
加蓮「はぁー……」
……
…………
未央「アッー! もう、疲れたぁ……」
凛「どんな声出してるのさ……いや、確かに疲れたけどね……」
卯月「……」
未央「しまむーなんて力尽きてるし……圏外防衛がこんなに大変だったとは……」
智絵里「ま、まあ、出撃も多いですし……木星圏は、もう少しだけ、平和だったから……」
未央「私、正直ちえりんのことナメてたよ……こっちで小隊長やってるだけあるよ、うん……」
凛「数日で何回出撃しても全然調子も落ちないし、凄いね」
智絵里「そっ、そんなっ……わ、私も、菜々さんに鍛えてもらったりしてるから……」
翠「みなさん、お疲れ様です」フワッ
卯月「はっ……中尉、お疲れ様です!」ガバッ!
未央「おっ、起きた」
千秋「戦闘ご苦労様。編成も交代の時間になりましたし、私たちは休んでおきましょう」
未央「いや疲れた疲れた……いかに自分たちが生ぬるい環境にいたかが身に染みたというか……」
凛「土星圏に来たのも、ある程度安全になった時期だったしね。圏外防衛くらいは大変だったって聞いてたけど」
翠「それも以前のお話です。いまはNGFの導入でこちらの戦力も底上げされていますし、後は長距離航行プランが終わるまでの辛抱です」
未央「むー……アインフェリアは問題ないだろうけど、美嘉ねぇたち、大丈夫かなぁ」
凛「私たちより良い動きが出来るんだから、戦闘は問題ないと思うよ。それに、プロデューサーも戻ってきたみたいだし」
菜々「みなさぁーん! お待たせしましたぁ♪」
かな子「ご飯の後のデザート、今日はスコーンだよ」
未央「ウ、ウサミン隊長、元気だねホント……」
凛「そのメイド服、時子さんに注意されないの?」
菜々「ずーっと前から、許可が下りてますからぁっ!」ドヤァッ!
凛「ええ……」
琴歌「ノルンの食堂は広いですから、少しだけなら場所をお借りしても大丈夫かと」
未央「この金持ち軍団に盾突こうとする人間はいないような気がする」ヒソヒソ
卯月「黒川、櫻井、西園寺って全部軍やコロニー関係の大きいところですからね……」ヒソヒソ
桃華「これだけの人数で集まると、お部屋では少々狭いですもの。周りの方のご迷惑にならない範囲で休憩しましょう」
菜々「はいどうぞ♪ はいどうぞ♪ どうぞ~♪ お茶ですよ~♪」
卯月「あっ、ありがとうございます……」
未央「メイド喫茶か……そうだ、メイド喫茶といえば美味しくなるおまじないが……」
菜々「あぅっ、そ、それはですねえ~……ただいま準備中なので……」
凛「いや、ここでそれやるの恥ずかしいでしょ」
……
…………
P「……」カタカタカタッ
パシュンッ!
ありす「おや、戻っていらしたんですね」
P「ああ」
ありす「どうでしたか? 若い子の相手をするのは気持ちよかったですか?」
P「なんだその言い方は……ノーコメントだ」カタカタッ……
ありす「……いま作っているその資料」
P「ん……いや、どうかと思ってな」
ありす「私は、本人ではないので何とも」
P「そうかもな。前に、ナシヤマにいたときにそれとなく話してみたが、もう本人も乗り気じゃなかったし」
ありす「気持ちは、残っていると思いますよ。だけど、私やあなた以上に……随分と時間が経っています」
ありす「……Pさん」
P「なんだ」
ありす「憧れや、夢を持つのは……心地よくて、色々なことを忘れることもできるんです」
ありす「だけどそれ以上に、その思いに苦しむことだって、あるんです。私がそうだったように」
P「……」
ありす「私は、あなたに出会えなければ今の自分はありませんでした。これだけは間違いありません」
ありす「その思いは、時には絶望や憎悪と等しくなることだってあります。だから、きっと今のあの人は……」
……
…………
卯月「うーん……お腹いっぱいです。ご馳走様ですー……」
菜々「お粗末様です。お菓子のパックケースは潰してゴミにしちゃいますから、まとめてくださいね」
千秋「あら……大佐から連絡が来ていたわね。アインフェリアの復帰、スケジュールが立ったみたいよ」ピピッ!
翠「であれば、長距離航行プランもようやく動きますね」
菜々「おや……?」
桃華「長かったですわね。後は再編成による各コロニーの防衛体制が整ってから……ですわね」
智絵里「防衛部隊の展開も……各宙域で間に合わせるみたいですし、私たちもホクドウに戻らないと……」
千秋「観測されている残りの次元振動の対処が済み次第、戻ることになるわ。それまではここでの任務をしっかりと片付けておきましょう」
菜々「……」
未央「ん、どしたのウサミン?」
菜々「え? ああいえ、ナオちゃんや加蓮ちゃん、元気でやってるかなーと思いまして」
……
…………
奏「……」
美嘉「……」プルプルプルプルプル
周子「おまたせー、あたし今日は月面焼きにしちゃった」ガタッ
フレデリカ「アタシも人間のゴハン食べたら鉄分補給しなきゃ」
志希「後でメンテしてあげるー……ん、どしたの美嘉ちゃん? 月面焼きみたいに顔が焼き上がってない?」
フレデリカ「美嘉ちゃん元気ないの? プロデューサーとセ○クスしたの――」
美嘉「うわああああああやめてえええええええ!!!!」ガタッ!!
周子「うおっ、ビックリしたぁ……」ビクッ!
奏「……うるさい」
美嘉「う、うううううううるさいってかなっ、かなぁー!!」
奏「私に当たらないで頂戴……」
フレデリカ「奏ちゃんもセ○クスしてもらったもんねー。アタシもセ○クスしてもらえばよかったかな?」
周子「確かにね、あそこの浴場、広くないとあかんね」
志希「仕方ない仕方ない。改良したとはいえヴァルキュリアシステム使えばそうなっちゃうんだし。あ、セ○クス中の映像記録あるけどオカズに使う?」
美嘉「いらない! 消して!」
奏「消して」
志希「艦内映像記録に残ってるからおいそれと消せないのであった。残念!」
フレデリカ「メッセンジャーが言ってたよ? 『セ○クス……それは愛、快楽を求める為に必要な行為です。とても尊い行為……出来ることならば、正直毎日したいです』って」
美嘉「誰の台詞よ! それは!!」
フレデリカ「ナシヤマ在住のSさん。NさんもAさんもTさんも似たよーなコト言ってたよ」
志希「まーまー、奏ちゃんも美嘉ちゃんも盛り上がってたしよかったんじゃないの? ヤるときはヤる、子作りしないように避妊治療も受けてるんだしさー」
周子「こんな会話を繰り広げても周りの人らは普通にご飯食べてるっていうね」
フレデリカ「ここであそこでゴハンを食べている方々の反応」
「何年ここで働いてると思ってんだよ」
「アインフェリアでとっくに慣れてるって」
「というかアインフェリアが酷すぎたからもうなんでもいいかなって……」
「十時大尉や神崎中尉が唯一の癒しだったよ……はぁ……」
「あの2人も似たようなもんだったけどな」
周子「どうやら外野曰く、あたしらの行動は特におかしなことでもなかったみたい」
奏「本当にとんでもない場所ね、ここは……」ハァ……
志希「『あぁっ!? イクゥー!!』だったっけ? 奏ちゃん?」
奏「ちょ、ちょっと! やめなさいこんなところで!!」
……
…………
志希「てワケで、寄り道している次元振動の観測ポイントで予定している戦闘は、終わった後はすぐ帰艦してね」
ありす「とはいっても、白蜂が逃走した場合で尚且つ超空間転移の現象が確認出来てから、こちらも追跡を行うことになりますが」
奏「わざわざ集まって説明し直される内容……にしては作戦前に聞いた話とあまり変わらないわね」
ありす「今回は一ノ瀬博士が巣の空間転移直後の次元振動の変動値を測定し、超空間転移が可能な巣、及び白蜂なのかを特定します」
志希「まあ色々あるけど、とりあえず戦闘始まった後に指示出すから頑張ってね」
ナオ「ってことは、早いうちに格納庫には次元跳躍用の装備を出してもらったほうがいいのか……」
フレデリカ「すぴー……」
ナオ「寝たふりするなよ」
フレデリカ「ニンゲンノコトバ、ムズカシイ……」
加蓮「そもそも超空間転移が出来たり出来なかったりって違い、あるの?」
志希「まーフレちゃんも出来ないし、でも他のビーで空間転移できたりする個体もいるし? 個体差じゃないかなー? 確実に超空間転移が出来そうな個体といえば、例えば……」
P「……」ピクッ
志希「にゃはははっ♪ キミ、心当たりあるって顔してるねー」
P「……そう考えただけだ」
志希「そうだねー、キミからすればGS型どころか、G型ですらアイツの劣化版だもんね」
P「……」フワッ
パシュンッ!
美嘉「あっ、プロデューサー……出ていっちゃったけど」
ありす「志希さんっ!」
志希「ゴメンゴメン」
周子「……」
……
…………
P「……」
周子「いた」フワッ
P「……どうした、まだ打合せ中のはずだ。会議室に戻れ」
周子「最初に出て行ったの、プロデューサーやん?」
P「……」
周子「当ててあげよっか。白塗りでしょ」
P「……別に」
周子「いま、プロデューサーの素が見えた気がする」
P「そういうわけではない」
周子「まっ、奏ちゃんたちは知らないもんね。その頃ってまだ軍にいなかったし、あたしはH46の戦闘には参加してたけどね」
P「そうか」
周子「……あたしもあの時、死ななくて済んで、運がよかったって思ったんだけどね。あんなヤツがいるんだって、怖かったし」
周子「あんな化け物みたいなヤツを倒した化け物が軍にいるって、それもビックリしたけど」
P「もう昔の話だ。それに今は3NXや4Nの実装で戦闘の状況も変わっている。厳しい場面もあるかもしれないが、皆が後れを取るようなことはない」
P「そういうことにしておいてくれ」
周子「……そっか。それじゃ、あたしも戻りまーす。プロデューサーも、サボるとありすちゃん大尉に怒られるよー?」フワッ
パシュンッ!
P「……」
『後遺症については、ここ数ヶ月で徐々に落ち着いた傾向が見られます。リハビリプログラムについても、むしろ非常に良い結果が出ています』
『このまま順調にプログラムを進めることが出来れば、復帰することも可能でしょう。ですが……』
『ゾーニング現象の後遺症が完治したとしても、それまでに受けた体の負荷……こちらについてはどうにも……』
『今後同様の戦闘が起きた場合、同じように少佐が他パイロットの負荷を肩代わりすることは難しいでしょう。戦闘そのものについても……』
P「……まだ、時間はある」
P「整備長か。いや……」
整備長「まだ打合せの時間じゃないんですか? 少佐がサボるなんて珍しいじゃないですか」
P「一ノ瀬博士から、次の戦闘で次元跳躍が可能な巣、及び白蜂が出る可能性があると予測が出ている。試験用パックの兵装を準備しておいてくれ」
整備長「へい……で、少佐は?」
P「……どこまで持つかと思ってな」
整備長「どこまでも、持たせるつもりじゃなかったんですかい?」
P「そのつもりだ。だが、いつかはどうにもならなくなる時は来る」
整備長「そのための新型でしょうに。新型が少佐のマニューバについてこれるようになれば、体の負担だって減るんですし」
P「……そうだな。こんなことを言う前に、まずは出来ることをやらなければな」
……
…………
加蓮「大尉、フィールドジェネレーターを起動します。次元振動確認、空間転移まで後200です」
ありす「了解しました。一ノ瀬博士は測定をお願いします」
志希「はいはいっと。確認出来たら出撃準備してくるから」
ありす「お願いします。それではNGF各機、出撃してください」
ピピピッ!
P『了解した。出撃する』
ナオ『時限跳躍をするのに、転移後の座標を特定しておく必要があるんだったか……手間が掛かるなぁ』
奏『そこは私たちの仕事なんだから、ナオは気にしなくてもいいでしょう?』
ナオ『ん、まあな』
加蓮「ハッチ開放完了。各機、出撃どうぞ」カタカタカタッ!
ナオ『おっと、よし行くか』
フレデリカ『はっしーん!』
……
…………
大佐「では、本日よりアインフェリア隊はフレイヤに再配置となる。プランV3についても、防衛部隊の再編制を進めている」
大佐「キミたちがホクドウに到着次第、長距離航行プランの対象となるノルンにはホクドウへの帰艦指示が出る。残りの準備は向こうで頼むよ」
美波「了解です」
大佐「うむ。新田少佐、鷺沢中尉、相葉中尉、高森中尉、よろしく頼む。高垣中佐、すまないがみんなのことは……」
楓「はい、ちゃーんとお世話しますね」
晶葉「ウチのスタッフもモリアン艦で随伴する。道中で戦闘起きた場合は、少し心許ないがな」
夕美「再編成で木星圏のコロニーも防衛部隊に必要な人員も増えちゃったし、仕方がないよ」
文香「とはいえ……シンデレラガールのお2人と、護衛艦としてヴェールが2隻……来て頂けるだけでも、とても助かります」
藍子「必要なら私たちも出撃します。NGFに乗れないわけじゃありませんから」
大佐「そうだな……だが、キミたちの場合はまず無事にホクドウに着くことを優先してくれ。プランV3のためだ」
……
…………
藍子「……ようやく、正式に復帰ですね」
夕美「うん。愛梨ちゃんも蘭子ちゃんも、美優さんもついてきてくれる……私たちも頑張らないと」
楓「フレイヤの出港準備、後で私たちも行っておきませんとね」
美波「ええ、早いうちに――」
キィィィィンッ!
文香「……みなさん」ピクッ
夕美「この感覚……」
楓「どうしたんですか?」
藍子「聞こえる……この前と違う、小さい感じじゃなくて……」
美波「クイーンの……声……?」
……
…………
キィィィィンッ!
フレデリカ「プロデューサー!!」ガションッ!
ドガガガガガガッ!!
GS型「!!」ギュンッ!
キィィィィン……
P『なんだ……この感覚は、また……』
ナオ『これは……』
奏『何、どうしたの?』ギュンッ!!
美嘉『戦闘中だよ、何話してるの!』
ピピピッ!
ありす『フレデリカさん、落ち着いてください。まだ戦闘中です』
フレデリカ「でもメッセンジャー、いまの――」
ありす『私も感じました。ですが恐らく、この場のことではありません。このお話は後です』
ボシュシュシュッ!!
ドガガガガガガァンッ!!
加蓮『大尉、残りのGS型が戦闘宙域から離脱していきます。次元振動が発生しています』
ピピピピピッ! ピピピピピッ!
志希『あちゃー、もめてる間に図らずとも逃げられちゃったね。空間転移だ』
ありす『再度の空間転移で逃げましたか。一ノ瀬博士!』
志希『フラグチェックの準備出来てるよー。転移後の座標と空間構成情報の保存、断層修復に必要なエネルギー量測定中……変動値は……おお、超空間転移だね』
P『整備長、試験用パックの準備は』
整備長『準備出来てますぜ! 嬢ちゃんたちが戻ってきたらすぐに換装出来ますぜ!』
P『よし、LiPPS隊、NGFの損傷はないな? 直ちに帰艦して機体の簡易チェックとオプション兵装の換装を済ませて次元跳躍のテストに移る』
奏『了解。みんな、戻るわよ』
美嘉『初めてのテストかぁ……大丈夫かな』
フレデリカ『ダイジョーブ、なんとかなるって』
周子『志希ちゃんもつれていかないとねー』
……
…………
ありす「北条少尉は一ノ瀬博士の代わりに次元跳躍後のLiPPS隊のガイドをお願いします。私のほうからも指示を出します」
加蓮「了解です。ニュージェネは結構テストやってたんだっけ……他の世界に行くって、大丈夫なのかなぁ」
ありす「あの子たちは途中からは楽しそうにやってましたよ。全員が戻ってこれるように、こちらも気を抜かないようにしましょう」
加蓮「……もし、これが正式に実装されたら、奈緒は」
ありす「可能性はあります。ですが、今はその話は後にしましょう。まだ作戦中です」
ピピピッ!
ナオ『加蓮……あまり気にするのもよくない。あたしたちはあたしたちで、今は奈緒の分まで戦ってるんだ。奈緒に会うのは……全部終わってからだ』
加蓮「……うん、そうだね」
ピピッ!
加蓮「LiPPS小隊、全機帰艦しました。ナオとP少佐は宙域で待機中です。整備班、LiPPS小隊のNGFの機体チェックと換装作業に入ります」カタカタカタッ!
ありす「さて……作戦内容の変更です。超空間転移で戦闘宙域から離脱した白蜂3匹の追跡行動に移ります。LiPPS小隊、よろしくお願いします」
……
…………
………………
……………………
志希「修復に掛かる時間は振動の収束値から出してたんだけどねー。変動値の振れ幅が小さいと蜂は次元跳躍してるみたいだね」
ありす「……よくわかりませんが、つまりこちらの技術で超空間転移をする際は丁寧にドアを開閉するので空間構成情報の変動値が大きく、ドアを破壊して通る白蜂の超空間転移は空間構成情報が自然修復によって直っているから変動値が小さいということですか?」
志希「何となくそんな感じ。だからどんなに小さい次元振動でも、断層修復時の空間構成情報の変動値が小さいときは蜂は超空間転移してる可能性があるねー」
晶葉『こちらも超空間転移の検証中だから詰める部分はあったが、少し観点を見直す必要があるな……軍から提供されているデータをもう一度洗ってみる』
志希「よろしくー♪」
晶葉『お前も真面目に仕事は続けておけよ。また連絡する』
ピッ!
志希「てことでー、アイツらが次元跳躍するかは転移した直後に分かるかもしれないね」
志希「これまでは収束値で超空間転移されているか判断してたけど、これならもうちょっと正確に判断できるね」
ありす「これまでの次元跳躍のテストでも、転移先で白蜂が確認できないこともありましたが……後でもう少し詳しくお話を聞かせてください」
志希「いいよー」
加蓮「……そういえば、みんな帰ってくるの遅いね」
ありす「そうですね。まだ格納庫にいるんでしょうか」カタカタカタッ!
ピッ!
ありす「……」
加蓮「大尉?」
ありす「浴場にいるみたいですね。ナオさんも行っているみたいです」
加蓮「……アタシも行こうかな」
ありす「ブリッジ作業が残っています」
加蓮「はぁー……」
……
…………
――数時間後、フレイヤⅡ(ブリッジ)
加蓮「大尉、フィールドジェネレーターを起動します。次元振動確認、空間転移まで後200です」
ありす「了解しました。一ノ瀬博士は測定をお願いします」
志希「はいはいっと。確認出来たら出撃準備してくるから」
ありす「お願いします。それではNGF各機、出撃してください」
ピピピッ!
P『了解した。出撃する』
ナオ『次元跳躍をするのに、転移後の座標を特定しておく必要があるんだったか……手間が掛かるなぁ』
奏『そこは私たちの仕事なんだから、ナオは気にしなくてもいいでしょう?』
ナオ『ん、まあな』
加蓮「ハッチ開放完了。各機、出撃どうぞ」カタカタカタッ!
ナオ『おっと、よし行くか』
フレデリカ『はっしーん!』
……
…………
時子「緊急対応、ですって?」
大佐『うむ』
時子「何故、木星圏にいる貴方から巣の対応について直接指示がされなければならないのかしら」
大佐『今回の件については、つい先ほど彼女たちから聞いた話しになる』
時子「……誰か、ミーミルを起動させなさい。アルヴィスに上がっている次元振動の観測データを出しなさい」
「待ってください……スクリーンに出します」
時子「最新の更新データの中に、1件あるわね。圏外防衛ラインから少し離れたポイント……断層予測レベルは7のものがあるわ。これかしら」ピピッ!
大佐『恐らく……だがそのレベルではノルン級が出る範囲か。大規模級の巣が出るほどでなければ、クイーンとまではいかないと思うが』
時子「けれども、あの豚たちが話したことなのでしょう? こちらもそれなりに駒を揃えなければならないわ」
大佐『すまない。長距離航行プランの前だが、対応を頼む。フレイヤⅡをそちらに合流させても構わん』
時子「……そうね。どうせ招集をかけるなら、今のうちに働いてもらえばいいわね」
大佐『頼むよ。彼から預かっている隊の運用については合流した後に話してくれ』
時子「わかったわ。それじゃあ、もう用はないわね? 切るわよ」
大佐『アインフェリアの復帰に伴って長距離航行プランの指示が展開される。S-02もフレイヤⅡと合わせて気を付けてくれ』
ピッ!
時子「圏外防衛に当たっている各ノルンに通信を出しなさい。断層予測レベル7の次元振動の対応について話をするわ」
……
…………
P「圏外防衛ラインでの戦闘への参加か?」
時子『ええ、あのクソジジイからの連絡よ』
ありす「やはりそちらに来ましたか。恐らく、美波さんたちから話があったのでしょう」
時子『そっちもある程度は認識していたってことかしら』
ありす「はい。数時間前の戦闘で私とフレデリカさんのほうで違和感を感じました。恐らく、クイーンが絡んでいるのではないかと」
P「……」
時子『それなら話が早いわね。さっさと圏外防衛ラインに来なさい。艦はS-02で預かるわ』
P「了解した。こちらもホクドウへの帰還途中だ。補給が済み次第そちらに向かう」
時子『早く戻りなさい。遅れるんじゃないわよ』
ピッ!
ありす「……クイーンの影響がなければいいのですが」
ありす「アインフェリアが揃わない状態でクイーンと遭遇するには……バックアップ用メンバーとして考えていた愛梨さんや蘭子さんも、今はナシヤマですし」
P「そうだな。以前準備していた卯月とフレデリカを含めたメンバーでの宙域ライブも出来ん。だが、巣の対応としてはこちらも動くしかないだろう」
ありす「そうですね……」
ピピッ!
加蓮「大尉、整備班から連絡です。次元跳躍から帰還したNGFの整備を始めるそうです」
ありす「わかりました。作業については急がせてください。こちらも圏外防衛ラインへの移動が入りましたから」
加蓮「わかりました」カタカタッ!
パシュンッ!
ナオ「戻ったメンバーは全員浴場に行ったよ。跳躍テストの映像記録、後でこっちでも確認しておこうか」フワッ
P「ナオか。丁度良い、つい先ほどまで時子と通信をしていた。こちらも圏外防衛ラインに向かうことになった」
ありす「跳躍テスト前の戦闘で、私とフレデリカさんのほうで違和感を感じました。断層予測レベル7の次元振動が、もしかしたらクイーンが関係しているかもしれません」
ナオ「クイーン……」
加蓮「ナオ?」
ナオ「……いや、何でもない。移動については分かった。LiPPSのみんなには後で話しておこうか」
……
…………
ナオ「……」
『……聞こえるか、クイーン! アインフェリアの……みんなの歌が!』
『あたしたちは生きている! ビーも一緒に……あたしたちは戦いたくない。戦う必要なんてない……』
『お互いに、生きていけるんだ。それぞれのいるべき場所で!』
ナオ「……あのときのあたしたちには、選べる道は無かった。その道しか、残っていなかった」
ナオ「だけど、今は……今なら、お前は……どう答える?」
ナオ「あたしは……」
ナオ「あたしなら、今度は……」
……
…………
奏「ふう……跳躍テストの後は、面倒くさいのね」
美嘉「お風呂入った後のメディカルチェック、ヴァルキュリアシステム使った時より長かったかも」
志希「そりゃねー。他所の世界の環境とか、こっちと違う可能性だってあるんだし。まーあたしが調べて問題ないって分かっただけでも、マシな世界だったんじゃない?」
奏「そうね。私たちの世界と凄く似たような場所だったもの。それに、大気圏内での飛行なんて初めてだったわ」
美嘉「空気があって、建物があって、アタシたちの世界と似たようなトコ……NGFじゃないけど戦闘機みたいなのも飛んでたし、どこの世界も戦ってる……か」
周子「さあねー。たまたま戦ってる世界に行っただけかもしれないし、もしかしたらなーんもない世界だってあるかもしれないじゃん」
志希「そーゆーこと。転移時の空間構成情報の記録と、転移先の座標フラグは立てといたから、また行くのは別として観測は出来るようになったし」
周子「おや? そうえいばフレちゃんどうしたんだろね」
美嘉「知らない」
奏「あの子、先に検査終わったものね。どの道待機だから、私たちも指示が出るまで休憩していましょう」
……
…………
奏「……あら?」
フレデリカ「フンフンフフーンフンフフーン……♪」ピッ、ピッ……
奏「フレデリカ、何しているの?」フワッ
フレデリカ「あっ、奏ちゃん。あのね、いまアタシは大事なミッションをこなしてるの」
奏「……花壇弄り?」
フレデリカ「そう! メッセンジャーから『お世話よろしくね』って言われたアタシの大事な仕事!』
奏「その、メッセンジャーって」
フレデリカ「うん? あー、アインフェリアのコト」
奏「あまり、他のビーと話すことはなかったけれど、貴方たちはアインフェリアのことは、メッセンジャーって言うのね」
フレデリカ「あんまり言っちゃダメって言われてるんだけどね。アタシたち、話かけてくれた最初の人間だから、みんなメッセンジャーのこと大好きなんだー」
ピッ、ピッ……
フレデリカ「メッセンジャーがアタシたちに話掛けてくれたから、アタシたちは生きてるし」
奏「……」
奏「採掘場は、普通のビーが運搬の仕事をしているものね。フレデリカは、どうして人の体をもらったの?」
フレデリカ「会いたいって、メッセンジャーと……あの日、アタシが助けなきゃって思った人間に、会いたいって思ったから」
フレデリカ「白くなったヤツから逃げるだけだったアタシたちを助けてくれて、戦ってくれたプロデューサー」
フレデリカ「助けてくれたなら、アタシだって助けなきゃって。だから、その後でみんながどうなったのか、気になって会いたくなったんだ」
奏「……そうなの。貴方に出会いがあったのなら、ロマンチックな話ね」
フレデリカ「志希ちゃんに聞いたらね、それでいいんじゃない? 会ったほうがいいよって言ってくれたんだ。メッセンジャーとプロデューサーに会えば、人間のことをもっと理解できるって」
奏「私は、まだ大尉以外のアインフェリア隊には会ったことがないけれど……それでどうなの、貴方は人間のことは分かったの?」
フレデリカ「よくわかんない」
フレデリカ「たまにメッセンジャーとプロデューサーのセ○クスも見て、おもしろくて、楽しくて」
フレデリカ「でもやっぱり、わかんないんだ」
フレデリカ「アタシたちのことを助けてくれた人メッセンジャーのことが分かったら、アタシはもっとみんなのことが好きになるのかなって思ってたのに」
奏「今はどうなのかしら?」
フレデリカ「大好き!」
奏「大好き以上に、好きになることってあるのかしら?」
フレデリカ「んー……言葉が分かんない。教えてもらってないのかなー……」
フレデリカ「まあでもね、アタシはアタシたちを助けてくれたメッセンジャーみたいに、今度はアタシがみんなのこと守ってあげるんだ」
フレデリカ「メッセンジャーたちも、プロデューサーも、奏ちゃんも、志希ちゃんも、シューコちゃんも、美嘉ちゃんも、みんな!」
奏「……」
フレデリカ「ん? どしたの?」
奏「いえ……ふふっ、欲張りなのね、フレデリカは」
フレデリカ「お、設定終わった? よーし花よ、枯れるなよー枯れたら針飛ばすぞー」ピッピッピッ!
奏「……」
フレデリカ「よし終わり―。ブリッジに遊びにいこうっと。奏ちゃんも行く?」フワッ
奏「私は、少し休憩してから行くわ。検査、長かったもの」
フレデリカ「そっか。それじゃーね」
奏「……」
P「……」フワッ
奏「……あら、盗み聞きなんて、少佐はイイ趣味しているのね」
P「たまたま休憩所に寄ろうと思ったら話し声が聞こえていただけだ。水を差すのも悪いと思って、終わるまで待っていた」
P「俺は別に、何をするつもりもない」
P「俺はフレデリカには恩があるから、本人のやりたいようにやらせる。最後にフレデリカ自身が満足できれば、それでいいと思っている」
奏「でも彼女、分からなくて悩んでいるみたいよ。少しくらい、何かしてあげてもいいとは思うけれど」
P「それでいいんだよ。相手に歩み寄り、理解しようとする。それに対して悩むことは、俺たち人間とそう変わりはない」
P「志希が何を思っているのかは知らないが、少なくとも俺にとっては、フレデリカと共にいて悪くないと思っている」
P「少尉は、フレデリカのことは良く思っていないのか?」
奏「……いえ、そんなことはないわ。素直で、優しくて、良い子だと思うわ」
P「そうか。それならいい」ピッ!
ガコンッ!
P「何か飲むか?」
奏「……じゃあ、コーラで」
……
…………
整備長「んじゃまあ、補給作業はやっとくからよ。後は外装メンテで1日くらい掛かっちまうが」
ありす「大丈夫です。圏外宙域の次元振動予測を見ても、まだ時間はありますし」
加蓮「ありす!」フワッ
ナオ「おいちょっと加蓮!」
ありす「加蓮さん? どうかしましたか?」
加蓮「これ、搬入出のリスト!」
ありす「ええ、私のほうでも少し手を入れました。次の戦闘、クイーンが来るかもしれません。通常よりも物資が必要になるかと」
加蓮「そうじゃなくて、これ! 3N-SD、なんで置いてくの!」
ありす「……格納庫で錆び付かせておくよりは、一度降ろして物資の搬入ペースを確保したほうがいいかと思います」
ナオ「だから言っただろ、整備班だって手掛けるのも時間掛かってるんだし」
ありす「あなたにはVSTG19Sがあるじゃないですか。3NXがベースの機体ですし、単純に3N-SDよりも上位のスペックに収まっています。そちらを使うべきです」
加蓮「だけど!」
ありす「気持ちは分かります。ですが今この時、何が必要なのかを見誤らないでください。ナオさんは、大丈夫ですよね?」
ナオ「ああ。クイーンが来るかもしれないって時に、遊ばせているだけの機体を積んでおくのも邪魔になるだけだ。加蓮、終わったらまた取りにくればいい」
加蓮「……」
整備長「大丈夫だっての。アインフェリアがいないからちぃっとばかし不安だけどよ、これまで通りやればいいだろ?」
ありす「そうです。P少佐もいます。S-02にはみなさんもいます。長距離航行プランの実行前に手間が1つ増えただけです」
ありす「終わらせて戻って来ましょう。これまでと同じように」
……
…………
P「ああ、次の戦闘はナオにはVPSPで出てもらう。混戦になる可能性が高い、支援にも回ってもらうつもりだ」
晶葉『そのほうがいいかもな。ナオには?』
P「もう話している。本人もそのつもりだったらしいが」
晶葉『そっちの搬入出のリスト、見ておいたぞ。フレイヤⅡも陽電子砲を積んだから、今回は巣の破壊作業には参加できるだろう』
P「ああ、ブースターユニットも一度は取り外していたが、今回の補給で再度つけるつもりだ。足を使うだろうからな」
晶葉『出来れば圏外宙域での戦闘、空間構成情報のデータは取ってもらいたいんだが』
P「難しいな。次の戦闘で志希を出させるわけにもいかないし、ブリッジも人手不足になる」
P「データの採取という意味では、一番効果的な戦闘ではあるだろうが……」
晶葉『……3N-SD、置いていくのか』
P「格納庫も空けておかなければならないからな。後で取りにくればいい」
晶葉『そうか。まあ、そのほうがいいだろう。お前はどうする?』
P「3Nで出撃する。整備長には背面パーツの交換も頼んでいる」
晶葉『気をつけろよ。ダブル奈緒と違って、お前とナオではお前のほうにヴァルキュリアシステムの負担を寄せないとドッキングは上手く機能しない』
P「わかっている。ナオにはなるべく負担を掛けさせないつもりだ」
P「ああ」
晶葉『クイーンの空間転移は、ビーたちだけではなくアインフェリアにも何か感じているものがある』
晶葉『ありすやフレデリカに何かあったら、お前が助けてやるんだぞ』
P「……」
『なんだ……何か、違和感が……』
『この感覚は……』
晶葉『おい、聞いているか? おい』
P「ん……ああ」ピクッ
晶葉『私たちのほうも、ナシヤマを出てそっちに向かっている。合流するまではそっちは任せたぞ』
P「……分かっている」
……
…………
美嘉「……」
奏「こんなところにいたのね」
美嘉「ん……どしたの?」ピクッ
奏「どうしたの、じゃないわよ。貴方、周子が今日のブリッジ作業当番が1人いないって怒ってたわよ」
美嘉「あっ、アタシか……ゴメン、すぐ戻るから」
奏「……どうしたの、難しい顔して」
美嘉「……なんでもない」
奏「それなら、そんな顔しているわけがないでしょう?」
美嘉「それは……そうかもしれないけど」
奏「フレデリカと、上手くやれないのかしら?」
奏「良い子よ、あの子。思っていたよりもずっと。あの艦に来たのも、分かる気がするわ」
美嘉「そんなの、分かんないって」
奏「美嘉?」
美嘉「……ゴメン、何でもない。アタシも、あの子は良い子……だと思う」
奏「仲良くしてあげて。あの子も、貴方と仲良くしたいって思っているから」
美嘉「そっか」
奏「さてと……それじゃ私、少佐と格納庫で作業があるから先に戻るわよ。周子が許してくれるうちに、早めに戻っておいて頂戴」
美嘉「……仲良く、ね。仲良く……か」
……
…………
フレデリカ「……」
『それでね、アタシ絶対ぜーったいアイドルになるんだから、お姉ちゃんみたいに!』
『だからアタシもお願いして、ナシヤマのオーディション受けにいくから! そっちに行くときは、お姉ちゃんのトコに泊まっていーい?』
『あとね、この間チョーイケてる新しいお店が出来たんだけど、おかーさんお小遣いくれなくてさー、まだ行けてないんだよねー』
『それでね、この前お姉ちゃんが話してくれた雑誌、おかーさんが買ってきてくれたんだけどさ。お姉ちゃんメッチャキマッてたもんね!』
フレデリカ「……」ピッ!
『それでね、アタシ絶対ぜーったいアイドルになるんだから、お姉ちゃんみたいに!』
『だからアタシもお願いして、ナシヤマのオーディション受けにいくから! そっちに行くときは、お姉ちゃんのトコに泊まっていーい?』
『あとね、この間チョーイケてる新しいお店が出来たんだけど、おかーさんお小遣いくれなくてさー、まだ行けてないんだよねー』
『それでね、この前お姉ちゃんが話してくれた雑誌、おかーさんが買ってきてくれたんだけどさ。お姉ちゃんメッチャキマッてたもんね!』
フレデリカ「…………」
……
…………
楓「航路誤差修正、前方ヴェール艦、後方モリアン艦との距離は維持……次の宙域チェックポイントまで艦制御のオートメーション機能を設定……」ピピピピッ!
美優「アインフェリア……I@LPの休憩時間になったみたいです。愛梨ちゃんと、蘭子ちゃん……一度こちらに、戻ってくるようです」
楓「それじゃあこちらも、少し休憩で」ピッ……
美優「……」
楓「……」
美優「……」
楓「……あの人、大丈夫かしら」
美優「そう、ですね……うちの主人のことですし、万が一……ということには、ならないと思いますけど……」
楓「私の夫ですから、危ないことにはならないと思いますけど」
楓「……」
美優「……」
美優「楓さんは……最初から、違うじゃないですか……」
楓「それを言ったら美優さんだって、違うじゃないですか。ギリギリ」
美優「むぅ……」
楓「まあ、私はこんなこと言える立場じゃないんですけどね」
美優「それは……」
楓「Pさんも入院しながらあの子たちに付きっきりで、何だか一足飛び越えて、お母さん……にでもなった気分ですし」
楓「それに、今更言っちゃうんですけど、私最初はあの子たちのこと嫌いだったんですよ、割と本気で。いまは好きですけど」
美優「えっ、ええええ……」
楓「だって私の知らないところでPさんが寝取られてたんですよ? しかも集団逆レ○プで。ヒドイですよね?」
美優「わ、私から見れば楓さんだって同じような感じでした……私の見てないところで、Pさんに色々やって……」
楓「まあそれは時効ということで……美優さんだって、嫌だったんじゃないですか? せっかくあの人のところに戻ってきたと思ったら、大家族みたいな状態になってて」
美優「それは……でも、いまはもう……そんなことはありません」
楓「そうですね……最初は、あの子たちがPさんの体が目当てかと思っちゃいましたけど、ずっと、ずっとあんなに頑張って……」
美優「……あの日、最後に、黒井大佐に言われたんです」
楓「黒井大佐に?」
美優「あの人のことを、支えてあげてほしいって……私たちを逃がす為に、自分が犠牲になろうとしているときに……黒井大佐は、Pさんのことを心配していました」
美優「今思えば……どんな形であれ、Pさんが辛くて苦しい思いをするのを、黒井大佐は分かっていたんですよね」
楓「厳しかったけれど、優しい人でしたからね。菜々ちゃんのワガママにも最後まで付き合ってあげていた人でしたから」
美優「だから、結局私が、あの人の傍にいることが出来なかったときも……あの子たちが、Pさんの支えになってくれて……今では、それが嬉しいんです」
楓「はい。支えて、支えられて……Pさんとアインフェリアは、ここまで来れたんだと思います」
楓「だから……これで本当に最後に出来るよう、私たちがあの子たちを守ってあげませんとね」
美優「はい……」
……
…………
愛梨「それじゃあ20分休憩でーす。私と蘭子ちゃん、今のうちにブリッジに戻っていますから、ちゃんとバイタルチェックしておいてくださいね」
蘭子「翼を休め、次なる試練に備えよ!」フワッ
パシュンッ!
藍子「はぁ……はぁ……」
夕美「いまのトコ……ターンの部分ズレたよね……?」
文香「待ってください……いま、映像記録を……」ハァ、ハァ……
美波「ありすちゃんから貰った映像データと合わせてから次に移らないとダメね……」
夕美「ちゃんと仕上げて、全力で歌えるようにしないと……まだ、私たちの歌じゃみんなには届かない……」
美波「ええ、Pさんが……みんなが命を懸けて作ってくれるチャンス、絶対に掴まないと」
文香「はい……生き残る為に……未来に、向かう為に……」
藍子「みんなの命を守って、私たちの想いを届けないと……!」
……
…………
蘭子「アインフェリア……大丈夫かな」
愛梨「ぜーったい大丈夫ですっ! みんなとっても頑張っていますし、Pさんも私たちも、信じてますから!」
蘭子「愛梨ちゃん……」
愛梨「だから、みんなのことを信じるためにも、私も蘭子ちゃんも、もっともっと頑張ってお手伝いしましょうねっ」
蘭子「……うんっ」
……
…………
P「搬入出作業に1日、艦メンテに1日、急ピッチで本部に応援を頼んだが、整備班には無理をさせ過ぎているな……」
ありす「はい、時間に多少の余裕があるとはいえ、S-02と合流した後は追加作業も入ってくるでしょうし、作業が遅れている現状では少々厳しいかもしれませんね」
P「もう少し本部から整備部隊を借りるか。うちのメンバーを交代で休ませておかなければ後が持たん」
ありす「そうですね……整備長にはもう少し頑張ってもらうしかありませんが、ある程度まとめて休ませるか……作戦後でもありますし、せめて1日は欲しいですね」カタカタカタッ!
ガタッ!
ありす「ちょっとこれから現場に行って来ます。今応援に来ている整備部隊に振り分けている作業を整備長と見直しますので、Pさんは本部に行って増援の申請をお願いします」
P「頼むぞ。とにかく外装メンテまで終わらせないと、装備交換まで手が付かん。現場監督であれば後で俺のほうも立ち合いに出る」
……
…………
ナオ『……』ピッ、ピッ! ピピッ!
加蓮「……ミッション追加、もう1セット……終わったらデータ入れ替えするよ。次……」
奏「……」
美嘉「……」
フレデリカ「おー……」
志希「……」スヤスヤ……
周子「いやぁ……これは……」
加蓮「次最後ね……時間まだあるよ……うん、コンディショングリーン。おしまい」ピッ!
パシュンッ!!
ナオ「はー……終わったぁ、疲れた」バサッ!
加蓮「お疲れ様。次どうする? オンラインスコアやっとく?」
ナオ「んー、1回入っとくか……ん、みんな来てたのか」
美嘉「いや、うん」
ナオ「ん? いや、入れてるのオプション兵装。VPSPだよ」
周子「えええええ……いや、オプション兵装ってレベルの武装じゃないでしょそれ、3NXより豪華に動いてたやん」
フレデリカ「コレすごいんだよ? 前もびゅんびゅん飛ばしてたし」
ナオ「まーオプション兵装とはいえ、ヴァルキュリアサードのデータも使ったハイエンド機だからな。これくらい動かせておかないと」
奏「サード?」
加蓮「グレ○プニールの時代にPさんが使ってたヴァルキュリア。もう壊れてなくなっちゃったらしいけどね」
ナオ「あーそうそう、引退試合の時に盛大に大規模の巣に特攻レベルで突っ込んで派手に壊したんだよな。あたしモニターで見てた」
美嘉「大規模の巣に突っ込むって何それ」
ナオ「いやあたしもさ、まさか『巣をぶっ壊すまで暴れる』って選択肢選んで本当にぶっ壊して帰ってくるなんて思わなかったけどさ……最後はノルンが間に合ったから壊せたようなもんだったけど」
志希「まーヴァルキュリアサードもアレ、大概オーパーツレベルの奇跡の出来だったしねー。あたし現物見たことないけど」
フレデリカ「あれ、志希ちゃんいつ起きたの?」
整備長「おーい! VPSPの調整はどうなんだー!」
ナオ「ん、あーとりあえず大丈夫! もうちょっとシミュレーター回してから声掛ける!」
整備長「こっちの作業、手離せなくなりそうだから早めに頼むぜー!」
奏「あら……整備班、忙しそうね。本部からも人手借りているし」
周子「邪魔にならないようにあたしら先に戻ってよっか」
美嘉「それじゃアタシ――」
フレデリカ「アタシもシミュレーター回そっかなー? 巨悪を成敗する為に力が必要ってネ?」
美嘉「……じゃ、ブリッジ戻ろっか」
フレデリカ「でも今日はアタシもお仕事やったしみんなで戻ろー♪」
志希「りょーかーい」
美嘉「……」
周子「ブリッジ戻っても清掃入ってるし、食堂か休憩所でいいんじゃない?」
加蓮「みんな戻るんだ。それじゃ、私たちもう少しここにいるから」
ナオ「ありすからは外出許可も出ていると思うけど、連絡が来たら出てくれよ」
奏「ええ、それじゃあナオも頑張って」
……
…………
フレデリカ「おばちゃん、社会人の共の唐揚げ定食!」
おばちゃん「あいよ、残すんじゃないよ」
志希「宙域のさ、データ収集もついでにやりたいんだけど……んぐぅっ、こっちはそんな余裕ないみたいだからね」モグモグ
美嘉「前線には出ないんでしょ?」
志希「そりゃ出たらあたし死んじゃうし。あたしが知ってるトコの部隊もデータ取りに来るらしいから、貰うつもりなんだけどさー」モグ……
奏「オート・クレールも大変ね……P少佐もデスクワークはそっちの仕事ばかりしているし」
志希「あーカレはね、まあテスターだし開発もやってるし、晶葉ちゃんのお気に入りだから色々振られてるの」
奏「どうして、オート・クレールに移ったのかしら。わざわざ戻ってくるくらいなら、そのまま――」
志希「ま、アインフェリアやシンデレラガールの面倒見る為、ってね」
周子「……ふーん」
志希「概念もジョーカーから聞いて、さあ初期構築! ってトコで今の人類じゃまともに作れそうもない代物だったから、少しずーつ形にしていったけど」
志希「使ってもらう側に、あそこまで辛い目に遭わせるつもり、なかったんだけどね」
フレデリカ「……フーン、志希ちゃん、そういうの好きだからなーって思ってたけど」ガタッ
志希「あたしがおかしくなるのは別にいいんだけどね。おかしくなって楽しくなるかもしれないし、作った本人としては満足できるかもしれないし」
志希「だけどさ、誰かにそれを押し付けるのって、違うんだよね」
志希「あたしが楽しいって思うことは、誰かは楽しくないことかもしれない。相手はあたしじゃない、違う存在。人も、ビーも」
美嘉「……」
志希「間違えてもいい。遠回りしてもいい。だけど、最後の最後だけは……ってね」
志希「だからあたしでも、アインフェリアのときはゴメンって思っちゃった♪」
志希「カレにもね、ヒドイことしちゃったって思うんだ。まあ、そう思ってるのはあたしだけじゃないけど? だからこっちにも来たし」
周子「ま、そこはね? 人それぞれやし」
志希「そーそー。まあ早いうちに手打たなかったら人類負けてたかもしれないし? そこは結果オーライってことで♪」
奏「……ちなみに、アインフェリアがどうなっていたのかは?」
志希「あ、具体的に知りたい? 別に教えてもいいけど、たぶん後悔するよ?」
奏「まあ、参考にして心構えくらいは、しておこうかと思って」
志希「別にいいけどー……それじゃあ……」
……
…………
周子「港との接続アーム解除。艦制御確認、出発準備オッケー」
加蓮「大尉、各班から確認通知が来ています。出港可能です」
ありす「了解です。それではこれより、フレイヤⅡは土星圏外宙域の防衛ラインに向かいます」
ありす「目的は圏外宙域で観測されている次元振動の対処です。S-02と合流後、作戦行動について確認を取り指定宙域ポイントへと向かいます」
奏「……」
ありす「……速水少尉、どうしましたか?」
奏「いえ、別に……」
ありす「そんなに人の顔をじろじろ見て……何かありましたら、話してくれたほうがこちらも助かります」
奏「大丈夫、大丈夫……ええ」
美嘉(昨日あんな話きいちゃうとね……まさかあの大尉が……)
加蓮「ナオと2人で格納庫。シミュレーター回してる」
ありす「P少佐も復帰してから間もないですからね。もう少し調整をしておきたいとのことです」
志希「あとでみんな、カレと訓練すれば?」
加蓮「Pさんの訓練、大変だけどね」
奏「……まあ、出来るなら頼んでみましょうか」
ありす「移動中の戦闘予定はありません。白蜂と遭遇した場合はLiPPSで対応します」
美嘉「了解。蜂が出てくるなら……!」
フレデリカ「ゴーゴー!」
ありす「ではこれより出港します。港から出た後はオートメーション機能による自動航行に切り替えます」
……
…………
P「ありす、S-02に合流予定のタイミングは?」
ありす「連絡済みです。私たちの他にも数隻、合流予定の艦があるみたいですね」カタカタカタッ!
P「今の圏外防衛の戦力状況で、大規模の巣を攻略に行くとなれば防衛ラインが手薄になる。また内部で次元振動が発生するようになっている現状、そちらから戦力を引っ張ってくるのも厳しいが」
ありす「再編成指示が出て展開が終わったばかりですからね。まだ手が回っていない場所もあるでしょうし、一部は長距離航行プランの為にホクドウに集めていますし」
P「アインフェリアの復帰に合わせて、か……思うところはあるが、現状ではこのタイミングが妥当か」
ありす「アルヴィスの更新履歴を見ましたが、干渉装置の見直しも始まっているみたいですね。どれほど効果が戻るかは分かりませんけど」
ありす「あ、そういえば履歴を見たついでに火星圏の状況も確認しましたけど、M-01もホクドウに向かっているそうですよ」
P「ちひろさん、文句言いながらこっちに来てるだろうな」
ありす「仕方がありません。巣の攻略には参加しませんが、長距離航行プランの参加自体は決まっていましたし」
P「フレイヤの旗艦になっているから仕方がない。火星圏にいてコロニー級の巣やクイーンとの戦闘経験がなまじあるだけ、招集する理由もあるし」
P「俺だ」ピッ!
志希『あ、キミ? 暇?』
P「暇ではない」ピッ!
ピピピッ! ピピピッ! ピピピッ!
P「なんだ」ピッ!
志希『薄情者。あーあ、大事な話なんだけどなー』
P「なら早く話してくれ。こちらも暇ではないんだ」
志希『フレちゃんのこと』
P「……そちらに行く。少し待て」ピッ!
ありす「Pさん?」
P「すまん、少し席を外す。時子から連絡が来たら受けておいてくれ」フワッ
……
…………
志希「フレちゃんね、美嘉ちゃんのことお気に入りなんだって」
P「そうか」
志希「ん、あれ、驚かないんだ?」
P「……フレデリカが誰と仲良くなろうと構わんだろう」
志希「わかってるくせにー?」
P「城ヶ崎少尉のこと、誰から聞いた?」
志希「藍子ちゃんから。あのおじさんがあたしたち選んだときに、キミならある程度調べてるだろうなーって思って」
志希「それにしても、問題ばっかりな人選じゃない? フレちゃんに美嘉ちゃん、おまけに奏ちゃんにあたしもいるんだから」
P「今回必要だったのは、運用に必要な根本的な戦力だ。前回のクイーンとの戦闘では、皆がヴァルキュリアシステムを使用できる状況だった」
P「だが俺がこの現状では、それも難しい。運用としてシステムを使う必要がある以上、GNブースト機を使用するわけにもいかない」
P「長いこと問題だった長時間戦闘に対しての課題も、システム改修である程度賄うことが出来ているが、これまでのシステム起動による負荷も無視できん」
志希「ま、今のシステムから使い始めた奏ちゃんたちなら、そんなに大変なことにはならないからねー」
志希「それにしても、融通してくれたメンバーだからって、問題有りって子ばかり抱えるのはどうかなぁ」
P「フレデリカなら、上手くやれるとは思う」
志希「……ま、そう思うならいいけど。でも、フレちゃんの為にも、ちゃんと美嘉ちゃんとは話しといたほうがいいんじゃない?」
志希「あたしはね、いまの人間もそうだけど、フレちゃんにだって……最後には絶望したまま終わってほしくないから」
P「……そうか。前に一度、少し話をしようと思っていたが……それなら頃合いを見て話しておく」
……
…………
P「移動中に広報から提示されたI@LPだが、ハマヨコで放送予定のアイドルアルティメットフェスの広告のパフォーマンスシーンが欲しいとのことだ」
P「スクリーン映像のデータは配布されている。モーションガイドについても全員分あるから、パート分けについてはこちらで決めることになる」
周子「センターは奏ちゃんね」
奏「どうして私なのよ」
周子「リーダーでしょ?」
美嘉「ま、それが無難かもね」
フレデリカ「それじゃアタシ真ん中ー!」
志希「センター、つまり真ん中、オッケー?」
フレデリカ「真ん中が2人いればもっと楽しいと思うんだけどねー」
周子「まあ真ん中が1人じゃないとダメって言われてないか……うん」
奏「そもそも2人並ぶとモーションガイドの動きに嵌めれないでしょ」
フレデリカ「あ、センセー! それなら美嘉ちゃんが真ん中がいいと思いまーす!」
美嘉「え」
奏「……そうね、私たちの中で時間の短いカットでも良いパフォーマンスが出来そうなのは美嘉かもしれないわね」
周子「一番派手ってトコを上手く使えればええかなー?」
志希「あたしよくわかんないけど、プロデューサーはどうなの?」
P「俺か? まあ……このメンバーなら全員アクが強いし、誰が正面にいてもいいとは思うが」
志希「はぁー……職務怠慢」
奏「そこで上手い意見を出すのがプロデューサーでしょう……」
P「そ、そうか……城ヶ崎少尉はどうだ? 30秒程度の時間で、その中のセンターだ」
P「モーションガイドの要求時間もあるし、フリー部分はそこまで負担にはならないと思うが」
美嘉「……別にいいけど、アタシじゃなくて他の子とか、考えないの?」
P「ん……そうだな、今回は民間主催のフェスの広告だし、どちらかと言えば要求されるパフォーマンスも、盛り上げを図る為のものだ」
P「そういう視点で見れば、このメンバーの中では城ヶ崎少尉が正面に立つと画面映えするとは思うな」
美嘉「フーン……まあ、それじゃあセンターやろっか」
志希「……」スヤスヤ……
周子「こっちのサボり博士はもう寝てるし……」
奏「それじゃセンターは美嘉で決まりね。他のメンバーは……」
……
…………
P「……」
P(……打合せも終わって、監視の交代も済んでいるからこのタイミングか。前回は間が悪かったが)
P「……少尉、いるか?」ピッ!
ピピッ!
P「……少尉、俺だ。少し話がある」ピピッ! ピピッ! ピピッ!
ピッ!
美嘉『あっ、はい! いま開けるから!』
ピピッ!
P「すまんな。失礼する」
……
…………
美嘉「ゴ、ゴメンなさい……ちょっとボケっとしてて」
P「いや、休憩時間中にすまん。しっかり休んでもらおうとは思っていたんだが……」
美嘉「……で、用事……あるの?」
P「ああ。そうだな……I@LPだが、上手くやれそうか?」
美嘉「んー、まあ広告用の収録なら何度もやってきたし、あのフェスの広告も去年に同じ仕事してたから大丈夫、任せといて★」
P「そうか。それならいいんだ、頼んだぞ」
美嘉「……え、それだけ?」
P「いや……」
美嘉「……」
P「……聞いておこうかと思ってな」
美嘉「なに?」
美嘉「……」ピクッ
P「ビーとの混成部隊も、以前よりは増えたが現状はそこまで多くない。気になっていたものでな」
美嘉「どう、思うって……良い子、だと思う」
P「そうか。それならいいんだ」
美嘉「……アタシに、そんなこと話すんだ。少佐って……知ってるんでしょ? アタシのこと」
P「……経歴を含めたある程度のことは、復帰前に渡されていた資料に載っていた」
美嘉「それでも、アタシにそんなこと言うんだ。莉嘉のこと……分かってて……」
P「5年程前、だったか。ギチトーからハマヨコへ向かうエイルの1隻が蜂に遭遇して被害に遭い、大破した」
P「大破したエイルから救助された生存者数名は、ギチトーに搬送されて治療を受けたが……」
美嘉「あの子は……莉嘉だけは、ずっと起きない。眠ったまま」
……
…………
夕美「その子がね、いまフレイヤⅡにいる城ヶ崎少尉の妹さんみたいで……」
夕美「丁度そのエイルが被害に遭った日って、私が前にいたヴェールで最後の任務をやってたときだったの」
夕美「MN-13も含めた数隻の艦で、オート・クレール本社の幹部が乗ってる別のエイルの護衛……それ自体は何も無かったんだけどね」
夕美「木星圏の防衛部隊にエイルの引き渡しが終わって、任務完了で引き上げた後に、ギチトーの監視局から緊急の連絡が入って……」
美波「そうだったの……その子は?」
藍子「はい、莉嘉ちゃんって子で、ギチトーの病院に昏睡状態で運ばれてからは、今も病院で眠ったままで。私も、莉嘉ちゃんを見たのはお部屋のチェックをするのに病室に何度か入ったくらいでしたけど」
藍子「Pさんも、気にしていたんです。多分、フレデリカさんと一緒の部隊になったから……」
文香「……まるで、城ヶ崎少尉と、Pさんは……同じような境遇なのですね」
美波「ええ……そうね」
……
…………
P「……昔、もう俺が子供の頃、少尉と同じように、蜂が俺の両親を殺した」
美嘉「えっ……!」
P「それから俺は1人になった。色々あって大佐に引き取られて、それから大人になってから軍に入って、こうして戦うことを選んだ」
P「しばらく経って、その時俺が所属していた旧艦のユミルが、蜂との戦闘中に介入してきた白塗り……白蜂との戦闘で大破した」
P「俺以外の前線部隊と、艦長の黒井大佐を含めた艦搭乗員のほとんどはその時に死んだ。当時俺の愛している人は……運よく生きてくれていたが、次に会うことが出来たのは8年も後だった」
P「俺が今でも戦っているのは、俺のような境遇の人間を1人でも無くしたいと思っていたから……だが、改めて難しいことだと……思った」
美嘉「……なんで、なんでそんなに! アイツらに大切な人たちみんな殺されて! どうしてあの子と一緒にいることが出来るの!」
美嘉「なんであの子の前で笑っていられるの!? おかしい……おかしいよ! アタシは、一緒にいるだけで……」
P「フレデリカは……俺の命を救ってくれたからだ」
P「その時は負けるつもりは毛頭なかったが、それでも相打ちまで持ち込んだが奴はまだ動ける状態で、俺は死を覚悟したが……」
P『だ、誰か俺を庇って……』
蜂『……』
P『お、お前は……俺を、助けたのか……』
P「俺はフレデリカに命を救われた。まだお互いに言葉も分からない、敵同士だったはずなのに、あいつは身を挺して俺を助けてくれた」
P「そのときにようやく気付いた。俺はこれまで、恨みを持って戦っていた、守るべき者の為に戦っていた。だがそれはビーたちも同じだった」
P「あいつらも仲間を守る為、生きる為にここまで来た。俺たちが互いに理解し合えていなかったから、すれ違い、争いになっていた……だがそれも、お互いに生きる為に仕方がないことだったんだ」
美嘉「何よ……それ……だったら!」ガタッ!
美嘉「だったら、助けてもらったからって、アイツらのこと許せって言うの!? アイツらがいなかったら、莉嘉は今頃……大きくなって、アタシと同じように、アイドルになって……ずっと、一緒に……」
P「……少尉に、俺の考えを強制させるつもりはない。だが、考えてほしい」
P「俺たちから大切な人を奪ったのは、ビーであることに変わりはない。だが……俺たちを理解し、平和の為に共に生きようとしているフレデリカも、同じビーなんだ」
美嘉「……」
P「恨みを抱えたままでいるか、フレデリカの思いを受け止めるか、最後は……少尉に任せる」
美嘉「……アタシ、は」
P「……少し話過ぎた。思うことはあるかもしれないが、巣の攻略戦も控えている。LiPPS小隊についてはこれまで通り任務にあたってくれ」フワッ
パシュンッ!
美嘉「……莉嘉」
……
…………
パシュンッ!
P「……」
ありす「終わりましたか?」フワッ
P「ありす……」
ありす「志希さんからお話があったので。あの人、こういうところには気が回るんですよね」
P「そうか」
ありす「あなたも、そんな顔をしないでください。美嘉さんも、分かってくれると思います」
P「……そうだな。だが、こういう話は今でも慣れん」
ありす「仕方がありません。艦長室に戻りましょうか」
P「ありす」
ありす「はい?」
P「最後に……俺の父さんと母さんと、どんな話をした?」
ありす「どうしたんですか? 今までそんなお話はしませんでしたけれど……」
P「いや、少し気になってな。覚えていなければ、それでいい」
ありす「……ずっと、あなたのことを話していましたよ。帰ったら野球のチケットを渡すんだって。みんなで見に行くんだって」
ありす「しばらく留守にしていたから、あの子の好きなことをさせてあげたい、ワガママを言われないだろうかって……ずいぶんと楽しそうに話していました」
P「そうか。俺は……幸せ者だな。両親の最後の話も聞けて、ありすが生きてくれて、美優も戻って来てくれて……」
ありす「はい。私も幸せです。こうしてあなたと、出会うことができたんですから」
ありす「加蓮さんのところに戻る為に戦っていた奈緒さん。私たちの為に共に戦ってくれた奈緒さん。どちらの奈緒さんも……同じですから」
ありす「ですが晶葉さんたちも、現状の戦力では厳しい場面が想定されるから、奈緒さんのことを含めて動いているんです」
ありす「甘えてはいけないと分かっています。ですが現状を考えると、止むを得ないことだとも思います」
P「ああ、奈緒は俺たちが求めれば戻ってくる。それが分かっているからこそ、俺は戻ってきてほしくないと思っている」
P「それが奈緒の願いなんだ。あの日最後に、奈緒と話した……あいつの意思と決意は、揺ぎ無いものだった」
P「だから、もうこの世界にはいなくとも……俺たちと共に自分の為すべきことを成し遂げた奈緒を、守ってやりたい」
ありす「……ええ、そうですね」
P「戻ろうか。長く話し過ぎた」
……
…………
【モバマス】LiPPSとアインフェリアが生存本能ヴァルキュリアの世界を生き抜いたようです【後半】
元スレ
LiPPSとアインフェリアが生存本能ヴァルキュリアの世界を生き抜いたようです
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1513764937/
LiPPSとアインフェリアが生存本能ヴァルキュリアの世界を生き抜いたようです
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1513764937/