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バードウェイ「ようこそ、『明け色の陽射し』へ」 ~断章のアルカナ~【その1】

とある魔術の禁書目録SS 幻想魔笛 『帰らず村』
2:田中(ドワーフ) ◆7fp32j77iU 2013/09/03(火) 07:31:08.97 ID:MXX+bAsM0



――プロローグ 「ようこそ、『明け色の陽射し』へ」




3:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 07:33:38.79 ID:MXX+bAsM0

――魔術結社『明け色の日射し』 極東アジトの一つ

バードウェイ「ふんふふーん!」

マーク「……」

バードウェイ「るる、ららーっ」

マーク「……」

マーク(どうしよう。ボスがすっげー悪そうな顔で上機嫌だ)

マーク(さっきから『聞けよ?早く聞けよな?』的な視線を感じるし……)

マーク「あ、あのー、ボス?」

バードウェイ「ん?なんだ?」

マーク「先程から随分ご機嫌なんですけど、何かありましたか?」

バードウェイ「んー?そう見えるかー?そうかー、分かってしまうかー」

マーク「ぶっちゃけウザ――じゃなかった!違いますからまず魔術武器を仕舞ってください危険です!」

バードウェイ「さっきも言ったが、お前はいつまで経っても学習しない奴だよなぁ」

マーク「い、いえいえいえっ!いっつもボスのご指導ご鞭撻にはっ!えぇそりゃもう夢にうなされるぐらいにっ!」

バードウェイ「その言い方も気に食わんが……まぁいい。私は今、非常に機嫌が良いんだよ」

マーク「あー、その、私はボスに『なんで機嫌が良いんですか?』って聞こうと思ってたんですよ」

バードウェイ「見れば分かるだろう、と言うか見て分からないか?」

マーク「すいませんボス。私には全然分かりません、つーか理解したくないです」



4:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 07:35:49.87 ID:MXX+bAsM0

バードウェイ「これだよ、これ」 ポンポン

マーク「これ……ですか?」

バードウェイ「格安だったんだよ!なんと20セントで買えたんだ!」

バードウェイ「どうだ?中々良い買い物をしたと思っているが」

マーク「えぇまぁ、よく、馬車馬のように働きそうな感じですよね」

マーク「ですが、その」

バードウェイ「なんだ?何か言いたそうだな?」

マーク「はいボス。先程から、つーか部屋に入った時から疑問に思っていたのですが」

マーク「ボスが腰掛けているそれ。20セントで買ったのって、何ですか?」

バードウェイ「……おいおい、マーク。マーク=ギルダ○?」

マーク「違います。スペンサーです。Gジェ○には出ていません」

バードウェイ「Xラウンダ○とAG○システムってなんだったんだろうな?」

マーク「ボス、爆死したバカに追い打ちするのはやめてあげて、と思います」

バードウェイ「全ての因縁を決着したのが、ノーマルパイロットと第二世代を改修した機体ってのはどうなんだ?」

マーク「それを言ったら第四世代なのにご覧の有様だったF○ばどうなるんですか、ボス」

バードウェイ「そもそも主人公がアス○(明日野)で、企画・シナリオ・ゲーム制作の特級犯罪者が日野ってファンにケンカ売ってるな?」

バードウェイ「アセ○・キ○・フリッ○の頭文字を取るとアキフ。バカの名前が晃博(アキヒロ)ってのもちょっと疑っているんだが」

マーク「い、いや別に良いんじゃないですかね?どこかのゲームで主人公の名前をライターと同じにして大炎上した例もありますし」



5:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 07:37:41.43 ID:MXX+bAsM0

バードウェイ「自分で今言ったろうが、ボスが腰掛けてる、って?」

バードウェイ「だったらこれはイス以外の何であると言うんだ?あぁ?」

マーク「いやでも」

バードウェイ「見ろ、この座り心地を!普通のイスとは比べものにならない弾力性!」

バードウェイ「安物のスプリングでは得られない満足感だろっ!」

マーク「ですからね?そういう事ではなく」

バードウェイ「そしてこの肌触りっ!まるで最高級の革のようなしなやかさだっ!」

マーク「私が問題にしているのはそこじゃなくって――」

バードウェイ「それになぁ、このイスには会話機能もついているんだぞ?どうだ!どう考えても凄すぎるだろう!」

バードウェイ「よーしマークに自己紹介してみろ!」

マーク「ですからボス。そういう事ではなく――」

マーク「――ボスが座っているのって、イスじゃなくて上条さんですよね?」

上条「……こんにちは。バードウェイのイスになった上条です……」

バードウェイ「なぁ?」

マーク「待って下さいよボスっ!?流石にこれはシャレにならないっ!」

マーク「ウチでこんな扱いしてるのがバレたら、イギリス清教とローマ正教とロシア成教全てを敵に回しますからっ!」

バードウェイ「いやでも、イスだろ?だって本人喜んでるし?」

マーク「……上条さん、幼女に座られて喜ぶ趣味があるなんて!」

上条「喜んで――ねぇよっ!?つー何?なんなんだよっこの展開はっ!?」

上条「違うよね?イスつったら、普通のイスに俺が座って、その上へバードウェイが乗ってだ!」

上条「『何だかんだ言っても、まだ子供なんだな』ってする所じゃないのっ!?」

上条「それが何っ!?連行されたら即『四つんばいになって、喋るな』だものっ!」



6:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 07:39:53.58 ID:MXX+bAsM0

上条「なんか違うしっ!つーか誰得だよっ!?」

バードウェイ「世の男には金を積んでまで座ってもらいたい層があるようだが」

上条「マーーーーーーーーーーーークゥゥゥッ!?テメェんとこのお嬢様の教育はどーなってやがるっ!?」

マーク「ご褒美ですよねっ」 キリッ

上条「真性の変態がイターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」

バードウェイ「まぁ気にするなよ上条当麻」 ポンッ

上条「冗談だよね?マジで俺30円ちょっと借りただけで、残りの人生イスになり続けるって事はしないよね?」

バードウェイ「……嫌、なのか?」

上条「……へっ?」

バードウェイ「私も鬼ではない。契約は守るし、お前が嫌というのであればそれ相応の扱いへと切り替えよう」

マーク「(契約は破らせない骨までしゃぶるって、それただの悪魔じゃねーか)」 ボソッ

バードウェイ「おいマーク、お前は霊装無しでイギリス清教潰して来い」

マーク「無茶ですよボスっ!?その命令のどこに意味がっ!?」

バードウェイ「ムシャクシャしてやった。反省はした事がない」

マーク「ボオォォォォォォォォォォスゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥっ!?」



7:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 07:41:55.48 ID:MXX+bAsM0

バードウェイ「とまぁスッキリした所で、上条当麻」

上条「な、何?」

バードウェイ「イス扱いした事を詫びよう。そしてこれからは血が通った扱いをすると誓うぞ」

上条「あぁいや分かってくれりゃ別に。俺だってケンカしたい訳じゃなかったんだし」

バードウェイ「なぁ、鉄の首輪と革の首輪、どっちが良いと思う?」

上条「待って!?それは俺の話じゃないよね?飼い犬とかペットの話をして居るんだよね?」

バードウェイ「んー、東洋人はSloe-eyedだから、やはり黒色で合わせるのがベターかな?」

上条「あ、ごっめーんっ!やっぱ俺イスが良かったわっ!つーか多分俺はイスになるために生まれてきたんだと思うよっ!」

上条「ほ、ほらっバードウェイって軽いからっ!上条さんの腕の負担には全然ならないしっ!」

上条「むしろっあれだよっ!柔らかくて色々と意識しちゃうからっ!気を遣っただけだからねっ!?」

マーク「上条さんも……!?」

上条「お前も見てないで助けろよ、なぁ?つーかなんでちょっと危機感覚えているの?」

上条「もしかしてお前も、一方通○の獣道を引き返せない所まで走ってる人?」

バードウェイ「そ、そうか?そこまで言うんだったらイスとして使ってやらなくもない」

上条「……イヌよりはまだ、イスの方が良いです」

バードウェイ「あぁそうそう上条。一つだけ言っておく」

上条「……何?イスとしての心構え?」

バードウェイ「まぁ追々慣れるだろうが――それ以前の問題、礼儀の話だ」

バードウェイ「お前も『明け色の陽射し』の一員となったのだから、これからは」

バードウェイ「私の事は『ボス』と呼べ」



8:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 07:43:53.75 ID:MXX+bAsM0

――『明け色の陽射し』・極東支部(※上条のアパート)

バードウェイ「――と言う訳でお前も今日から『明け色の陽射し』の一員となった以上、迂闊な言動は慎むように」

バードウェイ「紳士たれ、とまで言わんが節度ある行動を頼むぞ」

上条「人間イスの刑は迂闊じゃないのか?どこら辺に節度あったっ!?」

バードウェイ「涙を呑んで上下関係を明らかにする必要があったのだよ、なぁ?」

マーク「ですね。見て下さいボスのお肌がツヤッツヤですから」

上条「お前らそれっぽい事言ってりゃ誤魔化されると思うなよ?俺だって出る所には出るんだからな?」

上条「つーかさ、ここ俺んちじゃねぇかよ!勝手に魔術結社の支部扱いすんなっ!」

バードウェイ「おんやぁ?イギリス清教のシスターが常在していた家が普通だって?」

マーク「今いらっしゃらないようですが、どちらへ?」

上条「あぁインデックスはイギリスに(以下略)」

マーク「ボケすらもスルーされるのは、ある意味ネタにされるよりも痛々しいと思います」

バードウェイ「弄られなくなったら終りだと思うんだがなぁ……まぁいい。暫く留守にするのであれば好都合だ」

上条「俺は?俺の都合も聞いた方が良いんじゃないの?」

上条「でもいきなりやって来てどうしたんだ?普通にくれば歓迎したのに」

バードウェイ「パトリシアを覚えているか?ほら、幼女の」

上条「お前もだからな?偉そうに言ってるお前と同い年だからな?……いや、流石に会ったばっかりだし、忘れもしねぇよ」



9:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 07:47:27.00 ID:MXX+bAsM0

バードウェイ「今、学園都市に居るんだよ」

上条「へー……えぇっ!?入学させたのかよっ?」

バードウェイ「ここにだけはさせないから心配するな。そうじゃない。パトリシアは聡明だろう?」

上条「海洋地質学だっけ?そっちの専門紙に論文載ったって話は聞いたけど」

マーク「その実績を買われたようで。今回は『ゲスト』として学園都市へお呼ばれしました」

バードウェイ「青田買いという奴だ。オープンキャンパスさながら、学園都市ではこんなに施設が整ってますよー、ってな」

上条「期間は?」

バードウェイ「二週間だ。我が妹の優秀さに目をつけたのは評価に値するが、少々宜しくはない」

上条「そんくらいだったらまぁ、別にいいんじゃ?」

上条「前にも学園都市の油田プラント?か、なんかのプロジェクトにも参加してたって言うし。能力開発しないのであれば」

上条「人様の家庭事情に首突っ込むのもあれだけどさ、もうちょっと放任でも良くね」

バードウェイ「ダメだ!何を言ってるんだ貴様っ!」

バードウェイ「こんな危険な街に妹一人置いておける訳が無いだろう!」

上条「オイオイ、待ってくれよバードウェイ。確かにこの街は良い奴も悪い奴もいっぱいいるけどさ」

上条「流石にゲストを問答無用で巻き込む程、節操がないって事も無ぇよ」

バードウェイ「聞けばこの街にはロ×好きの超能力者達がいるそうじゃないか!」

上条「そっちの心配かっ!?つか×リがロ×言うなよ!……そっかー、有名になったなぁ一方通○」



10:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 07:50:57.52 ID:MXX+bAsM0

上条「え、でも『達』ってどういう事。そんなにいっぱい居ない筈だけど」

マーク「私の調べた限りでは――まず、カキクケコ言う変態」

上条「知ってる」

マーク「次に真っ白な変態」

上条「……知ってる」

マーク「最後にビリビリする変態の三種類が確認されています」

マーク「許せませんよねっ!幼女とお風呂入ったり幼女とご飯食べたり幼女とシャンプーハット使ったり!」

上条「おいバードウェイ。お前達が調べたリストにはコイツは入ってないの?外国の都市よりも身内に居る犯罪者の方がタチ悪ぃよな?」

バードウェイ「バードウェイじゃない、ボスと呼べ」

上条「そもそも学園都市トップ3がアレなのは――待て待て。カキクケコと白いのはもう諦めてるけど、御坂は違うぞ」

上条「基本ストーカー二人に内外から狙われてる方だからね。あれ、そう考えると不憫になってきた」

マーク「噂の域を出ない話ですが、何でも『7、8歳ぐらいの幼女を手なずけようと色々している』そうで」

上条「あー……そういや佐天さんのトコで、フェ何とかってちっちゃい子、預かったっつってたっけ?」

上条「つか何?御坂、滅茶滅茶モテんのに彼氏作らなかった理由はそれかー……」

バードウェイ「(いや、まず間違いなくお前が原因だがな)」

マーク「(私も嘘は吐いてないので悪しからず、まる)」

バードウェイ「家族の心配をするのは当然の話だろう?」

上条「そりゃまぁそうだけど。動機は流石にアレだが」

バードウェイ「野暮用もあったが、それはついでの話だ」

上条「レアモンスターの配信でも待ってんのかよ」

バードウェイ「早く買わないと無料で野バスが手に入らないんだよ」

上条「あれなぁ。DLCばっか、デフォのキャラデザが同人未満のクオリティだっけ」

マーク「昔はドット絵だったのに、ポリゴンが増えて劣化するのもどうなんですかねぇ」

上条「またATMひぼた○☆3を探す一日が始まるぜ……」

バードウェイ「エル○シリーズを見習って欲しいものだが。まぁいいさ」

上条「ゴシッ○、ミハシ○と迷走しまくってるからなぁ」



11:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 07:52:56.62 ID:MXX+bAsM0

バードウェイ「とにかく、だ。お前は我が結社の一員となったからには、その自覚を忘れないようにな」

上条「自覚もなにも強制だろうが!」

バードウェイ「……ま、私達がこの街を去るまでは体験入社という形を取ろう。適正があるかどうかのテストだな」

上条「ねぇマークさん。おまいらのボスはどうして人の話を聞かないの?」

マーク「いやぁこれでも結構緊張してあばばばばばばばばっ!?」

上条「敵の魔術師の攻撃かっ!?」

バードウェイ「おっとすまんマーク。間違ってこの尋問用霊装、スイッチが入ったまま押しつけてしまったようだな」

上条「……すっげービクビクしてるんだけど大丈夫?ここで死なれるとブチこまれるの俺だからね?」

マーク「かか、上条さん……!」

上条「なぁそろそろ止めてやれって。幾ら親しいからって、この扱いは良くないぞ」

マーク「ご褒美……です……!」

上条「変態プレイするなら帰ってくれないか?つーか俺を巻き込むな!」

バードウェイ「まぁこんな事を言うなよLolico013」

上条「人に勝手な魔法名つけんじゃねぇ!しかもロ×の後の数字が意味深だしっ!」

バードウェイ「その魔法名には『13歳以上は女じゃない』という意味が込められている」

マーク「おや、その名がNGなら上条さんは一桁でないとダメなタイプだそうですよ。ボス」

バードウェイ「まいったなぁ、そこまで真性だと矯正の仕様がないじゃないか。ちっ」

上条「せめて!せめて身に覚えのある事で責められるんだったら納得行くけどさ!」



12:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 07:56:12.02 ID:MXX+bAsM0

上条「違うじゃん?俺そんな事一言もいってないじゃんかっ!」

上条「インデックスと何事もなく過ごしている時点でノーマルだよ!潔白だってば!」

バードウェイ「よし、その言葉忘れるなよLolico013?」

マーク「あーぁ、言っちゃいましたねー上条さん」

上条「……はい?」

バードウェイ「聞いての通り上条当麻の性癖はノーマル――つまり、私がここに宿泊しても何一つ問題がないって事だな」

上条「え、なに?」

マーク「いやーほんとはぼすがしんぱいなんですけどー、かみじょうさんならもんだいないですよねー」 (棒読み)

バードウェイ「だなぁ。『万が一必要悪の教会とかち合っても、上条当麻が緩衝材になれば戦闘しないで済む』だろうし、なぁ?」

上条「ハメやがったなチクショウっ!?そうか!お前ら人を防壁代わりに使おうってハラかよっ!」

バードウェイ「そこまで卑下しなくたって良いじゃないか、新入り?」

マーク「そうですよぉ、上条さんが一時的にウチの傘下に入るって事は、手を出した連中はその他大勢を敵に回すって意味ですし」

上条「て、事はなんだ?全部最初から仕込みだったのか?」

バードウェイ「当然だ。我ら『明け色の陽射し』イギリス屈指の魔術結社だぞ」

バードウェイ「奸智に長け、計略を以て武とする。そういう人種だな。伊達に『黄金』の名を継いでいないのだよ」

マーク「――って事を仰ってますが、実は行き当たりばったりです、はい」

上条「あ、そうなんだ?」

バードウェイ「……おいマーク」



15:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 08:03:25.22 ID:MXX+bAsM0

マーク「本当ならば順を追ってお願いするつもりだったんですよ。けど上条さんの家まで行く途中、買い物をされているのをお見かけしまして」

マーク「『ここは任せろ。なぁに私の手にかかれば赤子の幻想をぶち[ピーーー]!』なんて挙動不審な台詞でボスが」

マーク「私らを先に行かせて説得しようとしたんでしょうが、ほら、ボスとLolico13ってケンカしたばっかでしょ?」

上条「そうだよな、って俺をその名で定着させるの止めてくれないか。割とマジで」

マーク「話しかけるタイミングがないままズルズル尾行が続いて、『あ、小銭切れた、チャーンス!』と」

上条「なんだよバードウェイ。別に気にするようなこっちゃねぇのに」

マーク「あんま言ってやらないで下さい。そもそもボスも何だかんだ言って、12歳のガキですからねー」

マーク「嫌いな相手なら、手足引きちぎって犬の餌にするぐらいは朝飯前なんですが、その逆となると――」

バードウェイ「……マアアァァクゥ?マーク・スペンサー?」

マーク「え、どうしたんですかボス?魔術武器なんて持ちだして」

バードウェイ「ちょおおおぉぉぉぉぉっと席を外すが、いいな?見るなよ?」

マーク「ボス、あの、ものっそい強い力で掴まなくっても、私は逃げ――イタタっ!?」

パタン

上条「おーいお前ら外で何して」

ズゥンッ!!!

上条「!?」



16:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 08:05:22.91 ID:MXX+bAsM0

カチャッ

バードウェイ「と言う訳で新入り、今日から世話になるな」

上条「いや、それは別に良いんだけど。玄関から黒コゲの何かが見えるって言うか」

上条「赤黒い液体がじわじわとしみ出して、猟奇的な絵面になってますよ?」

バードウェイ「ま、あまり客扱いしなくても良いさ。私はこう見えても空気の読める人間で通っている」

上条「読んでないよな?面倒はごめんだと全力でお断わりしているからな?」

バードウェイ「空気は読むが、波風を立てないと言った覚えはない。むしろかき乱す方が好みだ」

上条「……最悪だっ、このガキ……」

バードウェイ「――少し真面目な話をしようか、上条当麻」

上条「ん、あぁ」

バードウェイ「正直、私達は『必要悪の教会』と抗争している訳ではない。ないのだが」

バードウェイ「少し前にこの街でパトリシアが襲われているのも事実だ。向こうは『手違いだった』で済ませたが」

バードウェイ「だが、だ。だがしかし」

バードウェイ「――妹にちょっかいかけられて、私が怒っていない訳ではないのだよ」

上条「……」

バードウェイ「そこら辺を加味した上で、私が君という緩衝材を間に置く事で、『連中とやり合わないでやろう』と言っているのさ」

バードウェイ「君にとっても悪い選択肢ではない、と思うがなぁ?」

上条「……バードウェイ」

バードウェイ「いいか?お前は言った筈だ――『他の連中を巻き込むのであれば、俺を使え』と」

バードウェイ「だから、『これ』は当然の義務として――」



17:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 08:07:13.62 ID:MXX+bAsM0

上条「バードウェイ!」

バードウェイ「……何だ」

上条「それは、違う。そうじゃない」

バードウェイ「何がだ。はっきり言え」

上条「知り合いんトコに世話になるのに、『それ』は違うんだ。そんな事しなくたって」

上条「そんな理由じゃなくたってだ」

上条「ただ、普通に……あぁいやお前なら、多分こう言うんだろ」

上条「『妹が心配だから、様子見るために何日か泊めろ』って」

バードウェイ「はぁ?バカかお前、誰がそんな生温い事で納得するんだよ」

バードウェイ「私達はお前が思っている程、好き勝手は出来ないのさ」

上条「お前はそうかも知れないが、俺は俺の流儀を通すぞ。絶対に」

上条「バードウェイの立場がどうであろうと、お前は、お前だからな」

バードウェイ「こんな下らない事で本質を変えようしたって、所詮はアレだ。本質は変わらない」

バードウェイ「アメリカ産の安ワインにブルゴーニュのラベルを貼った所で、味は変わらない」

バードウェイ「私はな、上条当麻。お前に親愛の情など抱いていないし、異能以外に興味もない」

バードウェイ「ただそれが『結社』のためになるから利用しているに過ぎん。それでも」

上条「だからだよ」

バードウェイ「何だと?」



18:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 08:11:07.32 ID:MXX+bAsM0

上条「最初から仲良くやろうつっても無理なもんは無理だ。ならせめて、形ぐらいから入ろうぜ?」

バードウェイ「……好きにするがいいさ。私は所詮ゲストに過ぎん」

バードウェイ「郷に入っては、という言葉もあるぐらいだし、まぁ、そのなんだ」

上条「うん」

バードウェイ「あぁっその期待した目を止めろ新入り!……だからといって直ぐションボリするんじゃない!言葉のアヤだろうが!」

バードウェイ「……その、あれだよ」

バードウェイ「パトリシアが学園都市に来ると言ったので、付き合いで来てみた」

バードウェイ「泊る所は……まぁ、探せば幾らでもあるだろうが、肩も懲りそうだし遠慮したい」

上条「肩凝る歳じゃねーだろ」

バードウェイ「煩い!……だから、その、暫く泊れる所を探しているんだが」

バードウェイ「泊めろ!これは命令だからなっ!」

上条「おけ、これから二週間よろしくな、バードウェイ」

バードウェイ「バードウェイじゃない、ボスと呼べ……あぁ、こちらこそな」



19:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 08:14:29.42 ID:MXX+bAsM0

バードウェイ「――で、だ。取り敢えず上下関係を明確にする必要があると思うんだよ、なぁ?」

上条「え、違くね?『仲直りできたし、ウヤムヤにして今日は終り』って展開じゃないの?」

バードウェイ「『人を信じろ』とホザいてた奴に、確か私はドリられそうになった挙げ句、まんまと騙されたんだっけ」

バードウェイ「いやぁすっかり忘れていたが思い出してしまったなぁ、んー?」

上条「待って下さいバードウェイさん!顔が大魔王クラスの悪い笑顔になってますから!」

上条「そもそも騙す騙さないの話ならそっちが先に仕掛けたんだろっ!?」

バードウェイ「つまりお前に許されるでもなくイーブンだった訳だ。その上」

バードウェイ「あの女を守るためだと襲撃を喰らった私は!高校生に全力で頬を殴られた私は!むしろ被害者だと言えるんじゃないか!」

上条「あー……結果だけを見れば、うん」

バードウェイ「そうだよなぁ、立ち話も何だし座ろうか」

上条「あ、うん。今座布団出すからちょっと待っ」

バードウェイ「オイオイ新入りぃ、そうじゃないだろ?」

上条「ベッドに座んの?いいけど、お客さんに失礼じゃないかな」

バードウェイ「いや私にはイスがあるから、それでいいよ」

上条「イス?和室にそんな洒落たもんねーぞ」

バードウェイ「何を言っている。あるじゃないか――なぁ、イス?」 ポン

上条「あれあれー?バードウェイさんはどうして俺の肩に手を置くのかなー?」



20:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 08:16:54.57 ID:MXX+bAsM0

バードウェイ「バードウェイじゃない、ボスと呼べ。おや、このイスは私が20セントで買った筈なのになぁ?」

上条「その設定は終わったんじゃ?」

バードウェイ「あぁそう言えばあの『事件』は、被害者行方不明で起訴猶予処分になったんだっけか」

バードウェイ「ちょっとアンチスキルのトコ行って、真相を全て話して来るかー」

上条「……なんて?」

バードウェイ「『背後から頭にドリルを突きつけられて、言う事を聞けと脅された』と」

上条「子供相手に最悪の犯罪者じゃねぇか俺っ!?」

バードウェイ「『さァお嬢ちゃんの履いてるストッキングを寄越すんだグヘヘヘヘヘ』」

上条「100%捏造だよね?あと俺報いっつーか、脇腹に9mm貰ってんだけど!」

バードウェイ「……あぁなんだお前、さっきからヤケにダダをこねると思ったら。そうかそうか」

バードウェイ「いや私も流石にそこまでは気が回らなかった。素直に謝罪しよう」

上条「フリだよね?そこまで溜め作っても、今から言う事は酷いんだよな?」

バードウェイ「跪いて四つんばいになれ、このイス野郎」

上条「その気の遣い方はおかしいっ!?喜ぶ人なんて少数だよねっ!?」

バードウェイ「マーク(仮名)なら喜んで泣くぞ?」

上条「ネタにしたって下品過ぎるっ!そもそも(仮名)つけるぐらいなら、最初から伏せてあげて!」



21:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 08:19:38.89 ID:MXX+bAsM0

バードウェイ「ま、たった二週間だ。バカンスだと思ってお嬢様の我が侭の一つや二つ、叶えてくれたっていいだろう?」

上条「……そう言われると」

バードウェイ「――と、いう逃げ道を作り、自ら人間イスをしやすい環境を整えてくれる優しいボスを持てた奇蹟」

バードウェイ「お前はもっと感謝すべきだろうなぁ、主に私にだが」

上条「逆にハードルが上がってるわっ!最初から飛べる位置を越してるけども!」

バードウェイ「やかましい!ツベコベ言わずさっさと下になれ!」

上条「オイ馬鹿止めろ!?知ってるんだこの展開はきっとあのパターンだから!」

バードウェイ「はぁ?何を言ってるん――」

ガチャッ

パトリシア「ごめんくださーい。お姉さんがお邪魔してるって――」

マーク「パトリシア嬢をお連れしましたよー。まぁ明日でも良いとは思いましたが、早い方が――」

上条「……」 (※下・腰の上に幼女)

バードウェイ「……」 (※上・マウント状態)



22:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 08:21:30.65 ID:MXX+bAsM0

パトリシア「……お、お義兄さん?」

上条・バードウェイ「違うっ!」

パトリシア「まさか本当にお邪魔しちゃったとは!くぅー、どうしましょうかマークさん!?」

マーク「大丈夫ですよパトリシア嬢。ここは落ち着いて数でも数えるとしましょうや」

マーク「慌てず騒がずクールに振る舞え。それが結――もとい、サークルの信条ですから」

パトリシア「流石マークさんですねっ」

マーク「この作品に出ているのは18歳以上18歳以上18歳以上18歳以上18歳以上……」

上条「今更かっ!?つーかそれ明らかに嘘情報だし!」

パトリシア「と、とりあえず私達は一時間ぐらい帰ってきませんからっ!じゃっ!」

マーク「ボスが大人の階段を……あぁまだ来てないから安心っちゃ安心ですが……」

パタンッ

上条「……」

バードウェイ「……なぁ、新入りぃ?」

上条「えっと……バードウェイ、さん?可愛らしいお顔が、ものっそい悪い笑顔になってますよ?」

バードウェイ「これもそれも、アレだな。貴様がボスの言う事を聞かないからだよなぁ。誰がどう考えても」

バードウェイ「……よし、二度と粗相しないよう――」

バードウェイ「――その体に教えてやるっ!!!」

上条「待て!このビリビリはっ!まず――」

上条「これで!最初からこの騒ぎでだっ!」

上条「二週間もつ訳がねあばばばばばばばはばばばばばばばばばっ!?」

バードウェイ「よーし跪いて許しを請え!」

上条「だからどうしてお前はやる気あばばばばばばばはばばっ!?」



23:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 08:23:34.28 ID:MXX+bAsM0



――回想 スーパー




24:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 08:27:54.33 ID:MXX+bAsM0

バードウェイ「……」

マーク「ボス?どうしました」

バードウェイ「……何がだ」

マーク「学園都市についてからずーん、と落ち込んでるような。テンションだた下がりなんですけど」

バードウェイ「重い日なんだよ」

マーク「来てねえクセに嘘吐くな――ってボス!交通標識で殴られたら死にますからっ!?」

バードウェイ「殴りはしないよ。ちょぉぉぉっと首を撥ねるだけだ」

マーク「発想がDI○なんですが……」

マーク「ま、まぁまぁどうしましたか?ご機嫌が悪いように見えます」

バードウェイ「あー、色々とな」

マーク「まっさかボス、上条さんに会うのが気後れしているとか?」

バードウェイ「おいおいマーク、マーク・キン○」

マーク「スペンサーです。生きた伝説と言われるベーシストと間違われるのは、幾らなんでも畏れ多すぎます、ボス」

バードウェイ「私を誰だと思っている?若干12歳にして『黄金』系の魔術結社を束ねる身だぞ!」

マーク「あ、上条さん?ご無沙汰してますー」

バードウェイ ビクビクビクッ

マーク「なーんちゃって。やだなぁボス、フラグ立ってないんですから、そうバッタリ会う訳ないじゃないですか」

バードウェイ「……ウソ?」



25:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 08:29:53.76 ID:MXX+bAsM0

マーク「普通なら一生口聞いて貰えないレベルですけど、上条さんなら許してくれますって――」

マーク「あれ、ボス。『プリマ・タロッコ』取り出してどうしました?」

バードウェイ「『世界は22に別れ、千々に別れた世界で愚者は知識を求め旅に出る』」

バードウェイ「『無知の知たる蛮勇は蕃神を辿りて、黄泉へ下らん』

マーク「待って下さい!?街中でFool→Starコンボをぶっ放すのは危――」

バードウェイ「――さて、お祈りの時間は終わったなぁっ!」

マーク「殺す気っ!?」

ドォォォンッ!

バードウェイ「……さて、バカは不幸な事故によって消えてしまったが」

マーク「……ボ、ボス?……出来れば、救急車……ぐふっ!?」

バードウェイ「どうしたもんだろうなぁ」 ゲシゲシ

マーク「傷口がっ!?ヒールがめり込んでキモ――痛いですっ!」

バードウェイ(仲直り。仲直りなぁ?)

バードウェイ(何となくパトリシアに着いてきてしまったが、今更感が強いよな)

バードウェイ(ばつが悪いと言うか、きまりが悪いと言うのか)

バードウェイ(形はどうあれ、結果もさておき。バゲージシティの惨状を『ケンカしようぜ!』で済ますバカだ)

バードウェイ(あれだけ悲惨な舞台を作った原因へ対し)

バードウェイ「……」



26:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 08:31:06.48 ID:MXX+bAsM0

バードウェイ(……相手がなぁ。まだ指導者やそれに近い立場であれば、心理状態など手に取るように分かるんだが)

バードウェイ(カネ、信念、家、国家、民族。どれか一つ、もしくは幾つかの『柱』があって)

バードウェイ(それが行動原理となり、利害関係を辿ればある程度の思考は読める、が)

バードウェイ(バカ相手にはそれが通じない、と言うのがこの間の一件の教訓か)

マーク「……ボス……あの、上条さん、が……」

バードウェイ「お前はいつまで経っても学習しない奴だよなぁ、あぁ?」

マーク「違いますっ!あれっ、スーパーの入り口!」

バードウェイ ササッ

マーク「……ボス、何も電柱の陰に隠れ無くたって」

バードウェイ「……ハッ、隠れてなどいぬものか!私を誰だと思っている!?」

マーク「誤字かと思いましたが、噛んでるじゃないですか……あー、夕方ですし、学校帰りに寄ったんですかねー」

バードウェイ「……」

マーク「どうしましょうか?お宅まで伺うのが筋でしょうし、ここでお待ちするのがベターですかね」

バードウェイ「――いや、ここは任せろ。なぁに私の手にかかれば赤子の幻想をぶち殺す!」

マーク「やだ、この子錯乱してる」



27:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 08:33:02.36 ID:MXX+bAsM0

バードウェイ「お前は暫く経ってから奴のホームで合流しろ。いいな?」

マーク「良いですけど。大丈夫ですか、色々な意味で?お前アタマ大丈夫?的な感じの」

バードウェイ「下僕の一人や二人、制御に戸惑うようなネンネじゃないって事さ」

マーク「ネンネも何も。まぁ良いですけど」

バードウェイ「任せておけ。心理戦は得意分野だ」

マーク(相手がフツーの相手なら、だけどな)

バードウェイ「……マークぅ?お前が思っているような『フツー』の相手なら、充分に読み切れるんだよなぁ?」

マーク「さーせんしたっ!」



28:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 08:35:21.21 ID:MXX+bAsM0

――少し前 レジ

上条(インデックスも居ないし、食費がかからなくて済むけど)

上条(こういうのって一人だと料理するのが面倒で、ついつい総菜になりやすい――ってそれ、主婦の発想じゃねぇか)

上条(パスタと醤油。ソースはこないだ呑んじまったから、醤油とバターで適当に)

上条(ガーリックチップって残ってたっけか……?)

レジの子「――以上で1450円になりまーす」

上条(えっと……あ)

レジの子「1450円になりまーす」

上条(マズったなー……1420円しか持ってない。これは売り場に返してくるしか)

バードウェイ「――貸してやろうか?」

上条「マジか!?悪いっ!じゃ30円貸してくれ!」

バードウェイ「30円……20セントか。ほら」

上条「すまん、助かったよ――ってバードウェイっ!?お前だったのか!?」

バードウェイ「……30円に負ける存在力に少し凹むが……まぁ良いだろう」

上条「近くのコンビニで下ろすから――ってこっちこっち、袋に詰めるのはこっちでするんだ」

バードウェイ「キロ単位のパスタとビーンスプラァゥト……相変わらず苦労してるんだな、お前は」

上条「しみじみ言われても、それはそれで辛いんだが……」

バードウェイ「――あぁ、そうか。そうだな。そうすれば簡単か」

上条「バードウェイ?」



29:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 08:36:55.61 ID:MXX+bAsM0

バードウェイ「……こほん。上条当麻、別に今の貸しは返さなくても構わないぞ。知り合いから取り立てる程、私も悪逆ではない」

上条「そうか助かっ――っていやいや!何か無理難題をふっかけられそうで怖いわっ!」

バードウェイ「心外だなぁ。もう少しお前は人を信じるべきだと思うぞ」

上条「それお前にだけは言われなくねぇよって言うか」

バードウェイ「だから、なんだ?無理に借りを返す事は無いからな」

上条「断る!絶対無茶振りが来るに決まってるもの!俺の人生そんなんばっかだよ!」

バードウェイ「とはいえなぁ。守銭奴でもあるまいし、立場上鷹揚な所を示さねばならない」

バードウェイ「そうだな……では一つ、頼みを聞いてくれないか?」

バードウェイ「それで貸し借りはフェアとしようじゃないか」

上条「あぁ構わないぜ。つーかそっちの方が俺も気が楽だ」

バードウェイ(よし!ヒットした!)

上条「……あれ?でも無茶振りを防ぐために借りを返すんだよ、確か」

上条「そうするとその借りを返す際に無茶振りが来たら……?」

バードウェイ「いやー助かったよ。こちらとしてもどう話を持ってくるか、悩んだんだが」

上条「その不吉な前置きを止めろっ!?嫌な予感しかしねぇしっ!」

バードウェイ「ようこそ、『明け色の陽射し』へ」


――プロローグ 「ようこそ、『明け色の陽射し』へ」 -終-



30:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 08:38:13.61 ID:MXX+bAsM0

――次回予告(※予定)

女「むかしむかし、ある所にこんな物語があった」

女「魔女の継母に虐待されていた兄妹……いや、姉弟は家出をする」

女「喉の渇いた弟は泉の水を飲もうとするが、『この水を飲んだものは虎になる』という声を聞いた姉は、水を飲ませるのを止めさせた」

女「次に弟はまた泉の水を飲もうとするが、『この水を飲んだものは狼になる』という声を聞いた姉は、水を飲ませるのを止めさせた」

女「再び弟が泉の水を飲もうとするが、『この水を飲んだものは鹿になる』という声を聞いた姉は、弟に忠告したが弟は構わず飲んでしまった」

女「すると弟は鹿の姿になってしまう」

女「姉は靴下留めで作った首輪で弟と自分を繋ぎ、森の中にある空き家で暮らし始めた」

女「ある日、鹿を狩りに来た国王に見初められ、姉は妃となって迎え入れられる」

女「しかし継母とその子は幸せを妬み、妃を殺してしまう」

女「妃の代わりに隻眼の娘を妃の身代わりにさせ、王を誤魔化した」

女「その夜、死んだ筈の妃は幽霊となり、我が子の世話をし始める」

女「その最後の日。王と妃が出会うと妃は生き返り、継母は火刑、隻眼の娘は八つ裂きにされ」

女「鹿となった弟は元の姿へ戻る。めでたしめでたし、か」

女「……」



31:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 08:40:09.30 ID:MXX+bAsM0

女「……私は弟を失った」

女「泉の水を飲ませ、虎にし、狼にし、鹿にしてしまった!」

女「王を殺し継母を殺そうともしたのよ!けど!」

女「……弟は元へ戻らない。私が幾ら笑おうとも。私が幾ら泣こうとも」

女「何をしたってエリスはもう帰って来ないんだ!……ちくしょう、チクショウっ……!」

女「……これは、とある愚者の物語」

女「魂を失った亡骸にしがみつき、魂囚われた哀れな魔術士の物語」

女「『断章のアルカナ』第一話」

女「――『姉と弟』」


――次回予告 -終-


※今回投下は以上で終了。読んで下さった方には感謝を



53:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/10(火) 10:54:35.46 ID:CtzfR8YD0



――断章のアルカナ 第一話 『姉と弟』




55:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/10(火) 10:56:45.81 ID:CtzfR8YD0

――某マンション

黄泉川「だーかーらっ醤油をきらしただけじゃんか?つか別に毎日使うもんじゃなし」

黄泉川「つーコトで今日はビーフシチューに決まってるじゃんよ」

一方通行「違ァンだよ!そうじゃねェェンだよ!お袋の味は肉ジャガに決まってンだろォが!」

黄泉川「いやー、ウチのかーちゃん肉ジャガばっか得意じゃんか?だもんでいい加減ウンザリしてるんじゃん」

黄泉川「醤油とみりんは好きだけど、月一ベースで食うようなもんじゃないじゃん?」

一方通行「お前のかーちゃンなんざ知らねェよ!俺は肉ジャガが食いたいつってンだァ!肉ジャガが!」

芳川「作ってあげればいいじゃない、『肉ジャガガ』。大人げないわよ?」

黄泉川「いやあたしは飽きたって言ってるじゃん?あと、おかんの手料理思い出して凹むじゃんし」

打ち止め「おいしくなかったのー、ってミサカはミサカはちょっとだけ表現を曖昧にしてみたり!」

一方通行「決まってンだろうが。じゃねェとここまでビーフシチューに拘る意味が分からねェし」

芳川「その理屈で言うんであれば、あなたがビーフシチューへの拘りも同じって事になるけど」

黄泉川「いやーおかんのメシは美味いじゃんよ?そうじゃなく、実家の雰囲気が苦手じゃん」

一方通行「ンだァ?俺みてェに捨てられた訳じゃァねェだろうが」

芳川「逆よ、逆。娘さんが可愛くて仕方がないらしくてね」

黄泉川「あ、こら!」

芳川「地元の有力者の一人息子とか実業家とか、事ある度にお見合いの話が出て来るんだって」

打ち止め「結婚!人生のハカバだよねーっ!ってミサカはミサカはウ○チクを語ってみたり!」

一方通行「実家と気まずいからって、カーチャンの得意料理敬遠するなンざ、子供か」

黄泉川「……割と辛いじゃんよ。マジでマジで」



56:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/10(火) 10:58:24.52 ID:CtzfR8YD0

芳川「……あー愚痴ってたわね。こないだ書類取りに帰った時、親子でご飯を食べに行って」

芳川「出る話題のことごとくが『誰々が結婚した』とか、『子供が生まれた』とか。延々聞かされたらしいじゃない」

芳川「最後の方は『孫って可愛いんだろうねぇ(父親)』とか、『そうじゃんねー(母親)』って責められると」

黄泉川「……ホームに帰ったつもりが、いつの間にかアウェイになってたじゃんよ……」

打ち止め「よしよし、がんばったよね、ってミカサはミカサはなでなでしてあげるのだ!」

芳川「ミ“カ”サじゃなくって、ミ“サ”カね?何と間違ったか分からないけど」

打ち止め「進撃する巨人のおねーさんなのだよ!ってミサカはミサカはミカサを説明してみる!」

芳川「ゲシュタルト崩壊しそうな響きね」

一方通行「……下らねェ理由だよなァ、やっぱ」

芳川「ねぇ?同僚からは結構口説かれてるのに」

黄泉川「うっさいじゃんよ!あんたらに気持ちが分かって……そうだ!」

一方通行「偽でも恋人のフリなんてしねェからな、先言っとくが」

黄泉川「なんでじゃんよ!?別に一回や二回!電話口で適当話してくれるだけでいいじゃん!」

一方通行「ババアに興味ねェよ。ラブコメ担当はピッタリの奴がいンだろうが」

一方通行「つーか学生へ手ェ出した事になンぞ、センセェ?あァ?」

芳川「幾ら男日照りだからって、生徒にはちょっと……よねぇ」

打ち止め「ねぇねぇ良く分からないけど、わたしもお話に混ぜてってミサカはミサカは言ってみる」

黄泉川「こうなったら上条に頼むしかないじゃん……!」

一方通行「ノリノリでやりそうだがなァ――っと」

PiPiPiPi、PiPiPiPi……

一方通行 チラッ

From――クソメガネ

一方通行「……面倒臭ェ」 ガタッ

黄泉川「つーワケで今日はビーフシチュー!決定じゃんよ!」

一方通行「すンなよ!俺は食わねェからな!絶対だからな!」 パタン

芳川「急に機嫌悪くなったわね、あの子」

黄泉川「いやあれは『べ、別にあンたのために食べるンじゃないンだからね!』って解釈していいじゃんか?被保護者さん」

打ち止め「大体合ってるかもー、ってミサカは宿命のライバルの口調を真似てみる!」



57:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/10(火) 11:00:20.44 ID:CtzfR8YD0

――ベランダ

一方通行 ピッ

土御門『現在、おかけになった電話番号は使われておりません。にゃー、と言う電子音の後にメッセージを入れ――』

一方通行 ピッ

一方通行(肉ジャガ……どっかで食ってくるかァ?)

一方通行(ガス○……あの一人席に座るのはキッついぜ)

一方通行(チンピラ誘って食いに――)

PiPiPiPi、PiPiPiPi……

一方通行 ピッ

土御門『酷くない?電話切るのはボケ倒した後だと思うにゃー』

一方通行「お前は存在そのものがボケなンだがなァ……つかお前、死ンだって聞いてたンですけどォ?」

一方通行「今の時期、土の下は冷たくて良い気分だったかァ?」

土御門『なんだ一方通行、心配したのか?』

一方通行 ピッ

一方通行(メシ……面倒ォだなァ。マッ○で月見でも食うかァ)

PiPiPiPi、PiPiPiPi……

一方通行 ピッ

土御門『あーごめんごめん?もうボケないから話聞いて?』

一方通行「ふざけンな。ンな事言うためにわざわざ電話かよ」

土御門『この業界、死んだと思わせて実は生きてましたー、ってのはお約束だからな』

土御門『俺もちっとドジ踏んじまってこのザマだって』

一方通行「そォかい。つーか何?今日はお友達に助けて下さァい、ってェ用事?」

土御門『いんや。俺と同じく死に損なった奴の話をちょっとな』

土御門『少し前に猟犬部隊が再結成されたって話は?』



58:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/10(火) 11:02:49.99 ID:CtzfR8YD0

一方通行「ロシア行く前じゃねェのか?今はもォとっくに解体されてんだろ」

土御門『俺が噂を聞いたのは一週間前だ』

一方通行「……学園都市が約束なンぞ守る訳がねェとは思ってたンだが、意外に早ェな」

土御門『いやいや、それがどうやら違うらしい』

一方通行「あァ?なンでお前が言えンだよ」

土御門『学園側なら人や装備は無尽蔵に入ってくるだろ?それが「強奪」されたんだと』

一方通行「けっ。そンなン幾らでも偽装出来るじゃねェか」

土御門『俺も同感……なんだが。合理的じゃないんだ』

一方通行「あァ?さっさと言わねェと切ンぞ?」

土御門『普通、武器を奪うなりにしろ、お前とは――お前達とは約束をしている訳で』

土御門『「新入生」の時みたいに新しい団体やメンバーで襲撃かけるのが筋だろ?』

土御門『そうすりゃ「ぼくらとはかんけいないですゆえ」って言えるんだし』

一方通行「なンで今妖精さ○入った?ァ」

土御門『なんで妖精○んネタ知ってんだにゃー?』

一方通行「……一緒にアニメ見ろっつって大変なンだよ」

土御門『いい保護者してっけど、最近のラノベ頼りの業界ってどう思う?』

一方通行「ンな話したくねェよ。本題に戻れ」

土御門『デビルサバイバ○見てると、「なんでおか○っさん反射使わねぇの?」って思うよねー?』

一方通行「戻る本題間違えてンぞクソメガネ」



59:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/10(火) 11:04:17.28 ID:CtzfR8YD0

土御門『じゃなんで今更「猟犬部隊」を動かす必要があるか、って話になるだろ?』

一方通行「……本格的に『戦争』をおっ始めるってハラかァ?こないだレベル5のアンドロイド潰したばっかりなンだが」

土御門『に、してはヌルい。普通はお前達に知らせないよう準備を進めて、必勝態勢に入ってから攻撃を開始するだろう』

土御門『手段は荒っぽいわ、情報管理が杜撰過ぎるわ。それを餌にして釣りをしてるのか……』

一方通行「噂は広まってンのか?」

土御門『多分俺が知らせなくても、100時間もすれば街の情報屋でも聞けるだろうな』

一方通行「……何考えてンのか分からねェ連中は面倒だなァ、おい」

土御門『全くだぜ。だがまぁ精々気をつけ――あ、そうだ一つ忘れてたにゃー』

土御門『猟犬部隊を率いてる奴の名前だったな』

一方通行「小物の名前聞いたって、俺が分かるワケねェだろ」

土御門『いや、最初に言ったろ。「死に損なった」って』

一方通行「あァ?」

土御門『そいつ――「木原数多」って名前らしいぜ?』



60:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/10(火) 11:06:14.94 ID:CtzfR8YD0

――? 早朝

上条「……」 スースー

バシャァァンッ!

上条「ごぼっ!?ぼぼぼぼぼがっ!?」

 本来入ってくる筈の空気が消失し、息を吸おうと思いっきり吸い込んだ所で気管へ水が入る。
 むせって咳き込んでしまっても、入ってくるのは水の塊だけだった。

上条「ごぼっ!?ぼががっ!?こばぼっ!?」

 気管へと入り込んだ異物を体が拒否し、空気を求めて二度三度両手が探し求める。
 片手に何かとっかかりのようなものが当り、それを手がかりにして水から上がろうと――。

上条「がぼっ!?」

 ――と、した所で自身の頭を掴む何者かの腕に気づく。
 先程からもがいているのは、惨めったらしく足掻かねばならない原因は……。

上条(……あ、やば――)

 プツリ、と上条の意識が暗転する直前、体が軽くなる。
 引き上げられているのだ、と感じる間もなく床に転がされた。

上条「げほっ!げほっげほっ!」

 肺に溜まっている水を押し出しながら考える。どうしてこんな羽目になったのか、と。

上条(昨日は確か……あぁバードウェイが遊びに来たんだっけか)

上条(何か色々あって『明け色の陽射し』団に入っちまったけど、まぁその内飽きる……と、思う事にしておこう。俺の精神衛生上の問題で)

上条(俺とバードウェイ、戻ってきたパトリシアとマークの四人で少しお喋りして、ああっと)

上条(夜も遅いからパトリシアを送っていくって話になって)

上条(俺は確か……バードウェイのビリビリ猫グローブ?だかのダメージが残ってたから、寝ちまう事にしたんだったな)

上条「……」

上条(なんだろうな、あれ?あんな霊装作る必要があんのか?もうちょっと出力抑えれば、イタ気持ちいいって感じかも)

上条(……あ、でも肩こりがスッキリ取れてる。ちょっと欲しいかも、あれ)



61:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/10(火) 11:09:03.54 ID:CtzfR8YD0

上条「……」

上条(その後は……覚えてない。バードウェイには合鍵渡したし、勝手に帰って来たんだろうか?)

上条(マークがついてるから心配は要らないんだろうけど、まぁ)

上条(つーか何?ここどこ?)

上条(っていうかさっきから俺の背中をさすってくれてんのは、誰だ?)

 咳き込みながら、しかも寝起きで水に中へ突き落とされ、更には窒息寸前まで苦しめられた。
 途中で止まったのは害する気がない、または誰かが助けてくれたかの二択か。

 ようやく戻ってきた呼吸をややオーバーにしながら――最悪、横にいる相手に飛びかからないといけないので――ゆっくりと室内へ焦点を合わせていく。

上条(小さな窓とジメっとしているクリーム色の壁。風呂場、か?)

上条(スーパーで買ったシャンプー、3個98円の牛乳石鹸と軽石)

上条(ステイルが置いてったインデックス用のトリートメント?……って事はここ、俺んちじゃねぇか)

上条(あと、右手が引っ張られて痛い……なんだこれ?バスタブんとこの蛇口に手錠で結ばれてる……?なんで?)

上条「……けぼっ……」

上条(って事はだ。一連の事件の犯人は……あぁ、成程。ドSロリを昨日から下宿させてんだったか)

上条(あまりにも苛烈な朝の起こし方だって話?幾ら何でもやりすぎ、っていうか怒るべきだよなぁ、これは)

上条(起こしてくれたのは有り難いけど、言うべき事は言わないと……俺の命のためにもな!)

上条「……なぁ、バードウェイ。確かに俺を起こしてくれたのは嬉しい、けどこれは幾ら何でもあんまりじゃないかな?」

?「……んんー?」

上条「お前は優しい子なんだよ!だからやれば出来る筈なんだっ!」

?「優しいコナ○は睡眠薬を人に盛らないと思うよ?てかあれ、傷害だよね」

上条「コ○ンじゃねぇよ!?誰がバーローの話を――あ、あれ?」

?「ん?なあに、当麻お兄ちゃん?」

上条「……お前、だれ?」

?「あ、そっかぁ。自己紹介はしてなんいだっけ、失敗失敗」

?「改めまして、当麻お兄ちゃん。わたしの名前はねぇ――」

木原円周「木原円周、って言うんだよっ」



62:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/10(火) 11:11:16.55 ID:CtzfR8YD0

――『明け色の陽射し』極東アジト(※上条のアパート) 風呂場

上条「……待て待て。確かに顔は憶えてるけどもだ、取り敢えず落ち着いて話し合おうぜ」

円周「うんっ、いーよ」

上条「俺んちだよね、ここ」

円周「とりあえずびしょ濡れになっちゃったねぇ。とりあえず脱ごっか?」

上条「聞いてないよね?キミ今何に対して『いーよ』つったの?」

円周「あーぁ、わたしもびしょびしょだぁ」 ヌギヌギ

上条「脱ぐな脱ぐな脱ぐなっ!嘘吐けよっ!?お前腕以外全然濡れてな――腕、以外?」

円周「お兄ちゃん?」

上条「状況を整理したいんだけど、いいかな?良くなくてもするけども」

上条「俺んちだよね、ここ?」

円周「だねぇ」

上条「俺は全身ずぶ濡れ、しかも右手が手錠で固定されているよね?」

円周「蛇口にしっかりロックされてあるねー。しかもこれ合金製だから、市販の器具じゃ取れないし」

上条「3分ぐらい前、水の中に叩き落とされたんだけど」

円周「あー、ちがうちがう。バスタブの中で寝てたから、水を張っただけだよ?」

上条「……さて、現在この部屋には全身濡れまくった俺と、片腕しか濡れてない木原がいる」

円周「あ、円周って呼んで欲しいな?ね、いいでしょ?」

上条「そんな円周さんに問題です。俺を朝一で溺死させようとした犯人は誰?」

円周「えっと……」

円周「○ナン君じゃないかな?」

上条「オイ馬鹿止めろ!小さな巨人にケンカ売るんじゃねぇ!」



63:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/10(火) 11:13:10.89 ID:CtzfR8YD0

円周「あれあれー、毛○のおじさん声が変わってるよー?」

上条「コナ○君のフリして無邪気にDISるのヤメテあげて!?山○さんは降板ん時に号泣してたんだからな!」

円周「実質Bパートの主役なんだけどねー」

上条「そうじゃねぇよっ!俺が聞きたいのは高騰する声優のギャラじゃねぇ!」

上条「この惨状を作ったのって――」

円周「わたしだねっ!!!」

上条「人の台詞食いながらあっさり肯定しやがった!?」

円周「……お兄ちゃん、怒っちゃった?」

上条「そりゃ朝一でSA○ゴッコされりゃあなっ!」

円周「あ、じゃあ今から脱ぐからちょっと待っててね?」

上条「関係ねぇなっ!どっからその発想持って来やがった!?」

円周「え、体で払えって。お兄ちゃんの顔が言ってるし?」

上条「妄想だよね?俺どんだけエ口好きそうな顔してるんだ!?」

円周「じゃあ脱がない方が良いのかな?ブラだけつけた方が良いの?」

上条「全部着とけ?つーかお前ん中の俺はどんだけ鬼畜なの?」

円周「優しい当麻お兄ちゃん、だいすきーっ!」 ギュッ

上条「オイバカ離れろっ!つーか引っ張るな右手が痛いっ!」 ドンッ

円周「許してくれたお礼に――円周を、あげるね?」 ヌギヌギ

上条「トラップにも程があるよなぁぁっ!?どっち選んでも詰んでんじゃん!?」

円周「大丈夫、一生ここで円周と暮らそ?なんでもしてあげるから、ね?」

上条「病んでるーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」



64:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/10(火) 11:15:17.67 ID:CtzfR8YD0

円周「あ、子供は二人がいいなー。女の子一人と男の娘一人」

上条「子供がガチ虐められるから止めよう、なっ?人生ハードゲームになって病むから!」

円周「一人目はねぇ、率?」

上条「親が円周で、子供の名前が率って問題ありすぎじゃねぇか!」

円周「二人目はπ(ぱい)?」

上条「男でも女でもその名前は重すぎる!?どんな体型に育ってもあだ名は『おっぱ×』の一択だから!」

円周「三只眼(さんじやん)は古いのかなぁ?」

上条「いや、どっちかっつーと後半以降置物状態、固定砲台の座すら失っていったし……」

円周「SLGで主人公の兄貴分として出て来るんだけど、成長値が低くて一般人だから装備も貧弱で」

円周「いつのまにかリストの肥やしになってるユニット的な?」

上条「仕方がねぇんだよ!ゲーム的に序盤から強いユニット出すとバランスがダダ崩れになるし!」

円周「もうっ!当麻お兄ちゃんってば、ワガママなんだから」

円周「こういうときはどうすればいいんだっけ――」

ジジッ

円周「うん、うんっ!そうだよね、数多おじさんっ!『木原』ならこういう時、こうすればいんだよねッ!」

上条「な、なんだよっ!?ち、近寄るなっ!」

円周「変な事しないから、ね?ちょっとだけ、ちょっとだけだから!」

上条「な、何するの……?」



65:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/10(火) 11:16:55.24 ID:CtzfR8YD0

円周「ヒントいーちっ!――兄妹で出来ることぉっ!」 ジリッ

上条「おままごと、的な?」

円周「ヒントにーっ!最近は義理じゃなくてもおけ!」 ジリジリッ

上条「オーケー、じゃねぇよ!俺の想像でしかないけども!それは絶対に容認しちゃダメだと思う!」

円周「でも『俺○』ではお父さんの心配が100%的中しちゃって近親――」

上条「それ以上はかんべんな!俺も含めたファンの人は『義理とかサブヒロインに逃げなかった伏○先生マジ神猫!』って納得してんだから!」

円周「神猫って誉め言葉なのかな?要は『可愛イタイ』を遠回しに言ってるだけだと思うよ」

上条「あんの切ない結末に!どれだけ俺達黒○派が涙したと思ってんだコラアアァァァァァァッ!?」

円周「――っと、はいっきゃっちー、つっかっまっえったーっと」

上条「……えっ?」

円周「ごめんね、当麻お兄ちゃん。わたしはあや○ちゃん派だからね?」

上条「知ってた!何となくそんな気がしてたもんね!」

円周「さってと、それじゃ脱ごうっかぁ」

上条「もうヒントの欠片もねぇな!ストレートすぎるだろっ!?」

円周「うん、うんっ!そうだよね、病理おばさんっ!『木原』ならこんな時こう言うんだよねっ!」

円周「『へっへっへ!下の上条は素直じゃねぇか――』」

上条「言わねえなぁっ!俺その人知らないけど多分言わないと思うぜ!」

円周「よっしそれじゃキスから行ってみようか?あ、わたしも初めてだから――」

パァンッ!

バードウェイ スチャッ

上条「バードウェイすわぁんっ!助かったーーーーっ!」

円周「あっぶないなぁ。いくら旧式の銃だからって、頭に当たれば死んじゃうんだよ?」

バードウェイ「あぁすまない。殺そうと思ってたんだが、一撃でしとめられなかったなぁ」

上条「あ、あれ……どうしてバードウェイも殺気立っているの……?」



66:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/10(火) 11:18:46.63 ID:CtzfR8YD0

バードウェイ「ボスと呼べ……朝一で手錠プレイか。救いがたいな」

上条「無理矢理じゃねぇか!?状況よく見ろよ!」

円周「あれあれー?ねぇ、ジェラシー?嫉妬しているのー、へーえ?」

円周「お子ちゃまは邪魔しないでほしいな、ってキハラは言ってみたり!」

上条「バードウェイさんっ子供の戯言を真に受けないで!俺は無実ですから!」

バードウェイ「心配するな。私は仮にもボスだぞ?それ相応の器量がなければやっていけん」

上条「だよねっ!よっ、流石マニア系っ!」

バードウェイ「小娘を始末してから後ろの間抜けもキィィィッチリ送ってやる。続きはあの世で存分にすればいい」

上条「俺も死亡フラグ確定かよっ!?」

円周「ロ×コニアってあるのかなぁ?」

上条「ねぇよっ!?あってたまるか!あとその国は死んでも行ける資格は無いと思うぜ!」

バードウェイ「……と、言うか貴様何者だ?」

バードウェイ「このアパートに近寄る人間を監視させている上、無許可で入る人間は捕獲しろと命令してあるんだが」

上条「お前また勝手に話を進めやがって」

円周「監視……?あぁうんっ、わたし知ってるよ!そっかー、あの人達監視だったんだねぇ」

円周「てっきりストーカーか何かだと思ったから、めっ、って叱っちゃったんだよ。ごめんね?」

上条「具体的には……?」

円周「殺して“は”ないよ?早く殺してくれ、っては言ってたけど」

上条「何したの君?あんま聞きたくないんだけど、歴戦の魔術師相手にどんだけオーバーキルしたの?」

円周「ムカデ人――」

上条「はい待ったーーーーーーーっ!それ以上言ったら精神保たないから聞かないからなっ!」



67:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/10(火) 11:20:13.48 ID:CtzfR8YD0

バードウェイ「……面倒だなぁ、おい。あー、面倒臭い」

円周「だよねぇ?せっかく独りで大ちゃーんすだぜっ、って来たのに面倒だよねっ」

バードウェイ「じゃあまぁ――ここは一つ、スマートに行こうか」

円周「うん、うんっ!そうだねっ、数多おじさん!『木原』ならこんな時こうすればいいんだよねッ!」

上条「おい二人とも止めろ!?風呂場で殺し合うんじゃねぇっ!」

バードウェイ「返り血を落としやすくて、実にうってつけの場所だよなぁ」

円周「魔術、って言う能力を使う人なんだよね?常人とは脳の構造が違うのか、学術的興味を刺激するよねっ!」

上条「話を聞いてっ!?」

上条「誰かっ!?誰でも良いから助け――」

ガチャ

シェリー・クロムウェル「……おーい上条当麻ー。ドア開いてるわ、よ」

シェリー「……あん?」

上条(※全身ずぶ濡れ、手錠で拘束されている)

円周(※少し濡れてる。血生臭い。幼女)

バードウェイ(※右手はフリントロック式の銃、左手は魔術武器。幼女)

シェリー「……猟奇系の都市伝説ごっこ?」

上条「惜しいっ!お前が後10分遅れてたらそうなってた!そして間に合ってくれてありがとう!」

シェリー「あー……良く分からないけど、マカダミアナッツ、食べるか?」



68:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/10(火) 11:21:48.00 ID:CtzfR8YD0

――10分後 四人でテーブルを囲んで

上条「えっと、だな。取り敢えず自己紹介をしないかな?黙々とマカダミアナッツつまむのもアレだしさ」

上条「てか一人一箱割り当て、しかも六箱余るのって大過ぎじゃねぇのか?」

シェリー「禁書目録用に持ってきたんだけど、すれ違いになったみたいね」

バードウェイ「建設的な発言に聞こえるが、それは藪蛇だぞ新入り」

上条「なんでだよ」

バードウェイ「立場を曖昧にしておいた方が、表面上だけでも仲良くできる――こいつらがグレムリンだったらどうするつもりだ?」

上条「シェリーは前からの知り合いだし、円周が敵だったらもうどうにかなってるんじゃ?」

バードウェイ「トールと共闘して半殺しにされたバカは説得力が違うな。ま、騙す気があれば何をどうしたって意味はないか」

上条「ま、まぁ分かってくれたようで」

円周「諦めてられてるだけと思うよ?」

上条「スルーしたのに掘り下げるなっ……ああっと、俺は学園都市で学生やってる上条当麻です。よろしく」

円周「同じく学園都市に住んでる木原円周ですっ。円周って呼んでねっ」

バードウェイ「木原円周……オイオイ、『木原』のスプリーキラーか」

上条「スプリー?『お祭り殺し』?」

シェリー「大量殺人鬼のあだ名みたいなものよ。対象が無差別、短時間に大量やらかすから『お祭り』なんだと」

バードウェイ「バゲージシティでのキルレシオ121:1。しかも現地調達式――ジェイソ○型だからタチが悪い」

円周「てへぺろっ☆……あ、でももっとたくさん、めっ、しちゃった気がするけど」

上条「バゲージシティで保護した一般人じゃなかったのか……」

円周「当麻お兄ちゃんはお持ち帰りしなさい、って言われてたから殺しはしなかったよ?ホントだよ?」

シェリー「発想が虫レベルじゃねえか」



69:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/10(火) 11:23:40.42 ID:CtzfR8YD0

上条「あれはなぁ……いやいや、つーか円周」

上条「お前、何しに来たんだ?学園都市の命令じゃないよな?」

円周「鞠亜ちゃんを『ぐちゅぐちゃくぱぁ』ってしようと思ったんだけど、わたし負けちゃったんだよねぇ」

円周「だから『上条当麻』が足りないって分かったから、勉強しに来たぜっ」

上条「ごめん、誰が通訳して貰って良いかな?」

シェリー「何一つ分からないけど、野放しにしたらいけない人間だとは分かったわ」

上条「お前が言うな……ん、なに?」 クイクイ

バードウェイ「(更正させろ。割と素早く)」

上条「(この子をかっ!?)」

バードウェイ「(良く分からないが、お前を勉強しに来たんだから、ある程度言う事はきくだろ)」

上条「(いや、初対面から命の危険と生命の尊厳の危機をひしひしと感じるんだけど)」

バードウェイ「(『お兄ちゃん』だろ?少しの悪戯は笑って許してやれ)」

バードウェイ「(ガキの戯言に一々反応するのも馬鹿らしいだろ)」

上条「(まぁ、了解)……んじゃ円周さ?」

円周「お兄ちゃんはブラ着けてない娘はどう思う?」

バードウェイ「よし、戦争だな。表へ出ろ小娘が!」

上条「お前たった今自分で言った台詞を思い出せよっ!?」



70:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/10(火) 11:25:18.83 ID:CtzfR8YD0

シェリー「……なぁ、帰って良いかしら?顔見せに来て巻き込まれるのは割に合わねぇだろ」

上条「待って下さい!割と第三者挟まないと血みどろになりそうです!」

シェリー「……あー、円周だっけか。あなた、上条当麻の知り合いとのケンカ禁止ね」

円周「あなたは、だあれ?」

シェリー「シェリー=クロムウェルよ。イギリス清教だから学園都市に攻撃される筋合いは無いわよね」

バードウェイ「また飛び道具だな、これは」

シェリー「んで、人殺しも禁止。そうしないと追い出す――ってこいつが言ってた」

上条「あ、あぁあぁ!そうだな!」

上条(ナイスだシェリー!)

円周「んー……なんで?なんで人を殺しちゃいけないの?」

シェリー「そりゃアレでしょ、当然……なんでだ?」

円周「話の合わない相手をぶち殺しても構わないよね?」

シェリー「だよなぁ。お前良い事言うわね。ほら、マカダミアナッツもっと食え」

上条「最後まで頼りにさせてくれよっ!?あっさり寝返るんじゃなくさぁっ!」

バードウェイ「……なんだろうな、これ」



71:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/10(火) 11:27:21.16 ID:CtzfR8YD0

上条「あー……それじゃさ、えっと……円周はさ、甘いもの好きか?」

円周「大好きっ!当麻お兄ちゃんの次ぐらいに!」

シェリー「……信憑性が一気に消し飛ぶわなぁ」

上条「もしも、だ。バゲージで円周が死んじゃってたら、もう食べられないだろ?それは嫌だよな」

円周「うーん、嫌、かも?」

上条「他の人も同じなんだよ。生きてさえいればきっと良い事だってあるだろうし」

円周「他の人の『好き』を奪っちゃダメって事なの?」

上条「犯罪とか、そっちはまた別だとも思うけどな。取り返しのつく事とつかない事はある」

上条「でもそうじゃなかったら、無闇に人を傷つけたりするのはやめて欲しい」

円周「イマイチ理解出来ないけど……うん、当麻お兄ちゃんは『そう』してるんだよね?」

円周「それが『上条当麻』の強さって事なんだよね?」

バードウェイ「……」

シェリー「……」

円周「だったら勉強のためにも試してみるよ。しばらくは、だけど」

上条「余計な一言が不安を煽るけど、まぁ頼む」

バードウェイ「人類が狼を飼い始めた頃って、きっとこんな感じだったんだろうな」

シェリー「魔術師的にはガキの方が正しい気もするわね」



72:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/10(火) 11:28:53.86 ID:CtzfR8YD0

上条「んでシェリー、お前はなんで来たんだ?インデックスへのマカダミア係?」

シェリー「そんなにヒマじゃねえわよ。つーか居ると思ったのに」

上条「ま、まぁインデックスはイギ(以下略)だからいいとして」

シェリー「イギリスの美大で講師やってんだけど、学園都市から依頼があったの」

バードウェイ「よく引き受けたな」

シェリー「魔術がどうこうじゃなくって、鑑定してほしいって話……だった気がする」

上条「……大丈夫なのか?」

シェリー「ん、あぁイギリス清教には一言入れて許可は貰ってるわよ」

上条「そうじゃないんだけど……まぁいいか。んで、鑑定って何?」

シェリー「あー……?タローがどうこう言ってたかぁ?」

上条「太郎?桃太郎とか、民話の研究か?」

円周「タロットじゃないかなぁ?イェール大学から借りてるって数多おじさんが言ってたよ」

シェリー「英語圏じゃ語尾の“t”は発音しないんだ。現存する最古のタローはイタリア人が作ったやつだから、『タロッコ』が正しいのかもな」

シェリー「にしてもイェールか。ってこたぁスフォルツァ版だよなぁ……」

上条「へー、タロットの鑑定なぁ。少し前に流行ったダヴィンチの秘密の暗号とか?」

シェリー「……帰っていいかしら?ガキのお遊びに付き合うほどヒマじゃないわ」

上条「苦手か?」

シェリー「タロー――タロットの絵描いてんのは当時の画家だからな。そっから何か調べたいんだろ」

シェリー「つーかな、タロットに関しちゃ私よりも適任が居るでしょうが」

バードウェイ「……」

上条「ハードウェイ?」

シェリー「やっぱり『明け色の陽射し』か、魔術武器見てもしかしたら、とは思ったんだよ」



73:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/10(火) 11:31:18.10 ID:CtzfR8YD0

シェリー「レイヴィニア=バードウェイ、だな」

バードウェイ「だったらどうするイギリス清教?」

シェリー「おいおいお嬢ちゃんちょぉぉっと自意識過剰じゃねえかぁ?」

円周「端的に言うと?」

シェリー「面倒臭い。組織の抗争なんか興味ないの」

上条「それで済ませるのどうかと思うんだけど。ケンカは無しでね?ねっ!」

バードウェイ「自己紹介、まだ続けるのか?」

上条「あ、はい。お願いしますバードウェイさん」

バードウェイ「バードウェイじゃない、ボスと呼べと。まぁ紹介はするまでもないな」

円周「シェリーお姉ちゃんとレイヴィニアちゃん……愛称とか無いの?」

バードウェイ「煩いな。お前達と馴れ合うつもりはない」

円周「ニアちゃん、わたしはまどかお姉ちゃんって呼んでね?」

バードウェイ「……ほぉ?」

上条「ケンカいくない!堪えてっ!」

バードウェイ「参考までに聞くが、私が『お姉ちゃん』でないと判断した根拠は?」

円周「わたしはブラ着けてるんだよ?」

バードウェイ「やったんぞクラアアアアァァァァァァァっ!!!」

上条「だから抑えろって!お前の沸点はピンポイントで低すぎるっ!」

円周「お兄ちゃんにはさっき見せたよね?」

シェリー「未来に生きてんなジャパニーズ。源氏物語だっけ?」

上条「アレはアレで別の意味があって!育てるのを放棄するのが真性の人達だろっ!」



74:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/10(火) 11:32:34.12 ID:CtzfR8YD0

シェリー「レイヴィニア=バードウェイ、だな」

バードウェイ「だったらどうするイギリス清教?」

シェリー「おいおいお嬢ちゃんちょぉぉっと自意識過剰じゃねえかぁ?」

円周「端的に言うと?」

シェリー「面倒臭い。組織の抗争なんか興味ないの」

上条「それで済ませるのどうかと思うんだけど。ケンカは無しでね?ねっ!」

バードウェイ「自己紹介、まだ続けるのか?」

上条「あ、はい。お願いしますバードウェイさん」

バードウェイ「バードウェイじゃない、ボスと呼べと。まぁ紹介はするまでもないな」

円周「シェリーお姉ちゃんとレイヴィニアちゃん……愛称とか無いの?」

バードウェイ「煩いな。お前達と馴れ合うつもりはない」

円周「ニアちゃん、わたしはまどかお姉ちゃんって呼んでね?」

バードウェイ「……ほぉ?」

上条「ケンカいくない!堪えてっ!」

バードウェイ「参考までに聞くが、私が『お姉ちゃん』でないと判断した根拠は?」

円周「わたしはブラ着けてるんだよ?」

バードウェイ「やったんぞクラアアアアァァァァァァァっ!!!」

上条「だから抑えろって!お前の沸点はピンポイントで低すぎるっ!」

円周「お兄ちゃんにはさっき見せたよね?」

シェリー「未来に生きてんなジャパニーズ。源氏物語だっけ?」

上条「アレはアレで別の意味があって!育てるのを放棄するのが真性の人達だろっ!」



75:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/10(火) 11:35:38.23 ID:CtzfR8YD0

シェリー「あー、帰っていいかしら?顔見せと挨拶はもう充分でしょうし」

上条「出来ればトラとジェイ○ンと相部屋になってる俺の立場も、少しは考慮してくると有り難いんだけど」

シェリー「カマキリの交尾って知ってるかしら?」

上条「参考にならねぇなっ!要は逃げるしか生き残れないって話だろ!」

円周「ねーねー、シェリーお姉ちゃんは今日からお仕事なの?」

シェリー「いや、明日から顔出せって言われてるわよ」

円周「荷物はバッグ一つなの?」

シェリー「何よ?」

円周「そのお洋服で行くのは、ちょっとキツいと思うんだけど」

シェリー「キツいってなんだ、キツいって!普通のゴシックだろ!?」

上条「あぁいや似合うとは思うんだよ?その、日本人がしたら笑いを取れる格好でも、お前だと違和感はないし」

シェリー「だったらいいじゃない。てかお前凄ぇ事言ってるよな?」

バードウェイ「その歳でゴスロリ着るなよ。見ている方が気を遣うだろ」

上条「バードウェイっ!?言葉を選べって!そういうの本人が一番気にしてるんだから!」

シェリー「テメェも似たようなもんだろうが、つーかゴスロリじゃないわ――後、お前はやっぱり殺すな?」

上条「俺が悪いのかっ!?」

円周「最後の一線踏み抜いたのはお兄ちゃんだと思うけど。あ、だったらさ」

円周「みんなでお洋服買いに行こーよっ!仲良くしたいから、ねっ?」

シェリー「私には関係ねぇわよ」

円周「えーっ!?ねーねーっ、行こうよぉシェリーお姉ちゃんっ!」

シェリー「テメェに『お姉ちゃん』呼ばれる筋合いはねぇんだけどな――次、呼んでみろ」

シェリー「下顎を麻酔無しで引き抜くわよ」

上条「待て待て待て!シェリーも円周も落ち着け!つーか円周は気軽に馴れ馴れしくしない」



76:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/10(火) 11:39:18.89 ID:CtzfR8YD0

円周「売女って呼んだら鞠亜ちゃん激おこだし、おばさんも良くないんでしょ?」

上条「シェリー“さん”な?それで頼む」

シェリー「……ふん。付き合ってられねぇな」

上条「お前も話ぐらい聞いていけよ!つーか頼むバードウェイ!」

バードウェイ「ボスと呼べ……ま、手伝ってやるよ」

バードウェイ「――シェリー=クロムウェル。私の話を聞け」

シェリー「あぁ?」

バードウェイ「シンプルな話だ。君は私の忠告を聞かないと一生後悔する羽目になる」

シェリー「下らねぇわよ。後悔なんざ死ぬ程してる――それとも、あなたがさせてくれるって言うのかしら?」

上条(やばっ!ブチキレ寸前か!?)

円周(ふんふん。挑発して話を聞かせるのかー)

バードウェイ「とんでもない。君に屈辱を与えるのは私ではないさ。強いて言うのであれば、この『学園』だな」

シェリー「学園都市が……はっ!やれるもんならやってみやがれ!私はもう失うもんなんざ残ってねぇんだよ!」

バードウェイ「そう、言い切れるかな。ではクロムウェル、そこから窓の外を見てみろ」

シェリー「……」

バードウェイ「見るんだ。いいな?」

シェリー「……」

シェリー「――アレはっ!?」

バードウェイ「どうだ。これが現実だ」

シェリー「チクショウっ!?……クソが!学園都市はまだ私から奪おうってのかよ!?」

シェリー「私の尊厳すらも!残った矜持すらもかっ!?」

円周「(ねーねーお兄ちゃん?)」 サワサワ

上条「(なに?あと微妙な位置をサスサスするの止めて貰えるかな?分かっててしてると思うけど)」



77:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/10(火) 11:41:46.96 ID:CtzfR8YD0

円周「(お外、別に珍しいものはないよね?二人で何を言ってるの?)」

上条「(だよなぁ?特にどうって事無い朝の風景だよな)」

円周「(目立つのは繚乱家政の学生さん達の奉仕活動ぐらい、だよねぇ)」

上条「(路上のゴミ拾いだけどなー)」

上条「……なぁバードウェイ、さっきから何の話?」

バードウェイ「クロムウェルに聞け」

円周「どうしてそんなにダメージを受けているの、おね――シェリーちゃん?」

シェリー「……見えないのか、お前達にはアイツらの姿が!?」

上条「学生メイド達だよな。あ、舞夏もいる」

円周「鞠亜ちゃんも混じってるよねー。んー、挨拶した方が良いのかな?」

上条「あれは確かに学園都市じゃそんなに珍しくないけど。それが?」

シェリー「アイツらの服、おかしいだろ!?なんでメイド服なのラメ入りとかゴシック!ロリータ調のまであるんだっ!?」

上条「あー……多種多様な指向性に対応するため、かな?」

円周「一言で言えば『趣味』だよね、うん」

バードウェイ「さあぁっクロムウェル!想像してみるんだ!君がその格好で学園都市を闊歩している姿をだ!」

シェリー「や、やめろっ!?それ以上私の心を折るな!」

上条「いや、別に問題ないだろ?つーかメイド校との関連が分からん」

円周「さっきはあぁ言ったけど、シェリーちゃんにはよく似合ってると思うし……仕事着はちょっと、だけど」

バードウェイ「そりゃあなぁ?お前達は慣れているから、もしくは人よりも観察眼が優れているから『別物』だと分かる」

バードウェイ「だがな、新入りと――」

円周「円お姉ちゃんねっ」

バードウェイ「小娘以外はどう思うだろうな?」

上条「バードウェイさん、お顔が悪魔の顔してますよ?」

バードウェイ「空気読め、あとボスと呼べ」



78:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/10(火) 11:43:59.78 ID:CtzfR8YD0

シェリー「あ、ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

バードウェイ「流石は理解が早くて助かるよ、クロムウェル。聡い君は分かる……いや、理解してしまうんだ」

上条「そろそろ小芝居に付き合うのが面倒になってきたんだけど」

円周「もうちょっと待ってみよう?ダメだったら、私が二人をフレ/ン○するよっ」

上条「その人は知らないけれど碌な意味じゃねぇよなぁっ!?」

シェリー「……クソが!呪われろ学園都市!魔女のばあさんに呪われてしまえ!」

バードウェイ「無駄だよクロムウェム。君がここへ来たのは昨日か今日、だから何をしようと何を言おうと変わる訳がない。変えられる訳もない」

バードウェイ「そう!君がその『黒ゴスを着ている限り、メイド中の関係者だと思われる』んだ!」

シェリー「くそおおおおおおおぉぉぉぉっ!」

上条「……はい?」

円周「あー……なるほど」

バードウェイ「流石に、流石にその歳で生徒は思われないだろう。それはそうさ!当たり前の話だな!」

バードウェイ「だが君を見た学園都市の人間はこう思う訳だ――『あ、あのおねーちゃんメイド中学に憧れてあんな格好してるんだー』と!」

シェリー「……!?」

上条「なんでメイドに間違われる事ぐらいで凹んでんの?病気なの?」

円周「美術スキルが高い分、パチモンと間違われるのは屈辱の極みなんだと思うよ」

シェリー「……学園都市ぃぃぃっ!まさかそんなトラップを張ってたのかよ!」

バードウェイ「諦めたまえクロムウェル。むしろ君は私に感謝すべきだな」

上条「お前もドヤ顔で言ってるけど、中身は大した事言ってないからな?何となくイチャモンつけてるだけだからな?」

円周「(ねね、お兄ちゃん?)」 コスコス

上条「(なに?あと敏感な位置をコスコスするの止めて貰えるかな?確実に故意だよね?)」

円周「(やだお兄ちゃん……恋だなんてっ!)」 テレテレ

上条「(お前も佐天さん系の人?あの娘とジクソ○を悪魔合体するとお前になるよね?)」



79:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/10(火) 11:46:07.45 ID:CtzfR8YD0

円周「(真面目なお話、どんな格好を本人が納得してればいいんじゃ?)」

上条「(いやぁでも、あのメイド達と同系列で見られる、ってのは嫌なんだろ)」

円周「(繚乱ってメイドじゃないもんね。もうレイヤーさん養成校ぽいし)」

バードウェイ「さぁさぁどうするんだ?君に残されている選択は二つある」

シェリー「……」

バードウェイ「一つはこのまま黒ゴスを着続ける方法。シンプルで嫌いじゃない。私も良いとは思うよ、別に?」

バードウェイ「だがその代わり、君が滞在中、道を歩けば歩いているだけで『うっわーメイド厨だー』とドン引きだね」

バードウェイ「そしてもう一つの選択肢。そこのガキと一緒にどこかの服屋で買い物をするんだ」

バードウェイ「妥当ではあるが、まぁまぁ面白みはないね。私は正直こちらをオススメしない」

シェリー「……クソが!」

バードウェイ「さぁ!どうするシェリー=クロムウェル!信念を捨て衆愚に笑われるか、それとも妥協するべきなのか!?」

バードウェイ「君が、決めろ。道は私が提示した」

円周「(あのぉ、お兄ひゃん?)」 カミカミ

上条「(なに?あと人の首筋を甘噛みするの止めて貰えるかな?)」

円周「(別にこれ、そんなに大げさにする話じゃないよね?)」

上条「(つーかここまで引っ張って誰得的な感じでもあるし)」

円周「(――あ、オチ読めた。お兄ちゃんが得だよ、これ)」

上条「(どゆこと?)」



80:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/10(火) 11:48:29.10 ID:CtzfR8YD0

バードウェイ「さぁさぁ!?」

シェリー「……分かってた。いつかこんな日が来るんじゃねぇかって事は」

上条「どんな思考をしたら出先のメイド中とユニフォーム被るって発想になるの?テキトーだよね?何となくノリで言ってるだけだよな?」

シェリー「……すまない。私は信念を守れそうにない……!」

上条「どんな信念か分からないけど、量産型メイドに間違われたくないだけだよね?それ未満だって話だよね、信念が」

シェリー「……上条当麻」

上条「は、はい?」

シェリー「服を貸せ――この格好で服屋に行く事すら耐えらないっ!」 ヌギッ

上条「女の子がっ!威勢良く脱ぐんじゃありませんっ!?つーか黒ゴスの下の黒ブラって似合いすぎてもうねっ!」

円周「流石お兄ちゃん!ここまで考えての犯行だよねっ?」

バードウェイ「……ほぅ?」

上条「待てやっバードウェイ!?今のっ!今のどこに俺の関わる余地が――つーか脱ぐな脱ぐな脱ぐなっ!」

円周「おー、じゃ円周も脱ぐね?」

上条「お前バカじゃねぇの!?なんで連鎖して脱衣する方向にシフトしてんだよっ!?」

シェリー「良いから服出せよ、寒いだろ」

上条「お前はお前で羞恥心ってものを持とうぜっ?若い娘さんなんだし!」

シェリー「ガン見されてる奴の言うこっちゃないよなぁ、それ」



81:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/10(火) 11:53:36.88 ID:CtzfR8YD0

上条「いやだなぁシェリーさん、年上のおねーさんに弱いなんてのはデマデスヨ?」

バードウェイ「よーし新入り。オシオキの時間だ」

円周「あ、可愛い猫グローブだ」

バードウェイ「あぁこれは猫じゃなくてウサギ。ウサギには肉球がないんだ」

バードウェイ「スーパーふわふわウルトラかわいいミラクル虐殺肉ミンチ機能付きラブラブブリティ白ウサギグローブだぞ?」

円周「略すと虐殺ウサギグローブだね」

バードウェイ「よし、その名前採用――では」

上条「あばばはばばばばばばばっ!?死ぬ死ぬ死ぬ死ぬっ!?振動が!ビリビリがあばばばばばばばはっ!?」

シェリー「スラックス……ジーパンしかないのかよ。しかもダメージばっか」

上条「お前も勝手に人んちのタンスあばばばばばばばっ!?」

シェリー「ちょい丈が短い……あぁうん、なんでもないわ」

円周「だよねっ。お兄ちゃんは日本人体型だからね」

上条「お前らっ!?俺の心まで傷つけて楽しいのかっ!?」

バードウェイ「もちろん、楽しいなぁ!」

上条「全員、敵かあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」



100:田中(ドワーフ) ◆7fp32j77iU 2013/09/18(水) 10:37:40.49 ID:IDlpEUsn0

トルルルルルルル、トルル――ガチャッ

打ち止め「もしもーし!ってミサカはミサカはお返事してみる!」

男の声『もしもし――ありゃミサカさんち?黄泉川さんじゃねーの?』

打ち止め「ここは黄泉川のおうちなのだ、ってミサカはミサカは繰り返してみた!」

男の声『あぁそうなん?面倒臭ぇシステムだな、バッファ足りてねぇんじゃねぇのか?』

打ち止め「そうなのってミサカはミサ――」

男の声『あーヤメヤメ。それよっかお嬢ちゃん、お宅に白モヤシいるだろ?』

男の声『オジサン、ソイツの知り合いなんだけど、ちょっと呼んでくれねぇかな』

打ち止め「あー、少し前にお出かけしたるみたいなの、ってミサカはミサカは帰ってこないかなーって、玄関を眺めながら言ってみる」

男の声『タイミングが悪ぃのなぁ。久しぶりに帰ってきたから挨拶に、って思ったんだがよ』

打ち止め「おじさん、あの人の友達なんですか、ってミサカはミサカは興味津々できいてみる!」

男の声『あーまぁモヤシの能力開発でちぃと縁があったってだけだぁな……しっかし居ねぇのか。そうかい』

打ち止め「およ?」 ガチャッ

男の声『そかそか。んじゃ、今からそっち行くわ』

一方通行「木ィィィィ原ァァアくゥゥゥゥゥゥゥンッ!」

男の声『なんだいるんじゃねぇか一方通行。つーかオジサン、若い子と話なんざぁ暫くぶり緊張しちまったよクソッタレ』

一方通行「お前ェ……!」

男の声『おいおいおい、「生きてたのか!」とか止めてくれよ?テメェ葬式に香典持って来た訳じゃねえだろ』

男の声『今ちょいと近くまで来てんだから、挨拶にでも行こうと思ったんだがなぁ』

一方通行「いいぜェ?何回でも超遠投してやンよ」

男の声『んが、今日はヤメだ。先約があるん挨拶だけにしとくわ。あー恩師をぶん投げたバカ相手に優しいなー、俺』

一方通行「恩師?はァ?頭ン中、どっかに落として来たンですかァ?」

男の声『――XX学区のデパート、いやアウトレットって言うんだっけか?』

男の声『今日はそこでお仕事すっから、ヒマだったら来れば?』

一方通行「……」



101:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 10:39:42.04 ID:IDlpEUsn0

男の声『だよなぁ即答なんか出来ねぇよなぁ。ブラフかも知れねぇし、反対側の学区で騒動が起きるかも知れねぇ』

男の男『テメェを呼び出しといて、お嬢ちゃんかっさらう可能性も充分にあるって事だしなぁ?』

一方通行「何がしてェンだよ、木ィ原くゥンはよォ」

男の声『何、ってそりゃ嫌がらせに決まってんだろ。わざわざ「今から事件起こすから止めてみろ」なんつーのはよぉ』

一方通行「……はっ!バカじゃねェのか、つーかバラバランなったパーツ揃ってねェだろ、あァ?」

一方通行「俺はお前がなにをしようと興味もねェ。勝手にしやがれクソ野郎」

男の声『そう。んじゃしょうがねぇな。まぁまぁお前がそう言うんだったらそうなんだろうな』

男の声『張り合いが無いのも締まらねぇが、イージーモードも悪かねぇか』

一方通行「……もう切ンぞ?お前の下らねェ人生はウンザリしてンだよ」

一方通行「お前は一生の日の届かねェ掃き溜めで、呼吸すンのにも苦労してやがれ」

男の声『さて、一方通行さんに問題です』

一方通行「あァ?」

男の声『たった今俺ぁ「仕事」と言いましたが、実際の段階はどれか。三択問題です』

男の声『一、これから仕事をする。ヒーローさんが来れば助かるかも知れない』

男の声『二、今やってる最中である。ヒーローはダッシュで来れば間に合う』

男の声『三、もう既に仕事は終わった。ヒーローが来ても手遅れである』

一方通行「……クソが!死ね!」

男の声『ひゃはっ!答えは会場で俺と握手――』

ブツッ

打ち止め「ねーねーどうしたのってミサカはミサカは――」

一方通行「出かけンぞ。5分で支度しろ」

打ち止め「やったーーーーっ!アウトレットと言う名の小洒落たデパートに行くんだね!ってミサカはミサカはバンザイしてみたり!」

一方通行「いやァ、お前は浜……HAMADURA?」

打ち止め「はまづら?」

一方通行「そいつンとこて大人しくしとけ。フレなンとかの貸しがある以上、麦野に任しときゃ問題ねェだろ」

一方通行「……一応木原の被験者だったンだっけかァ、あいつも?」

打ち止め「あなたはどうするの、ってミサカはミサカは心配してみたり?」

一方通行「旧交を温めてくる、ってェ感じで、まァ?」

一方通行「次は大気圏までぶン投げとくわ」



102:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 10:41:53.90 ID:IDlpEUsn0

――XX学区 商業地区

シェリー「……乗せられて来ちまったのもアレだが、人多いなぁ」

上条「まぁ230万人だか居るんだし、需要もそれなりに」

シェリー「あぁ鬱陶しい。服買ったらさっさと帰るわ」

上条「観光とか……は、興味ないんだよね」

シェリー「古いテンプル、聖堂や神殿とかは調べたいと思ってるわね」

シェリー「なんでも極東の島国には最強の『鋼』が眠るって話もあるぐらいだし」

上条「カンピオー○?それラノベの話だよね?」

シェリー「ていうかいつも思ってるんだけど。どうして日本側は天草式ぐらいしか魔術師が出て来ないの?」

上条「どうだろうなぁ。あんま会った事はないから分からないけど」

上条(土御門が来てるんだから、それなりに意識して住み分けてる感じか)

シェリー「それ以外はまぁ別に。学園都市には無いんでしょ、そういう所」

バードウェイ「無い、訳では無いが、徹底的に排していたな」

バードウェイ「どっかのバカに騙されてそれらしき所へ行ったが、魔術的要素は皆無、特定の何かをなぞった形跡もなし」

バードウェイ「大体守護神にネギ持たせて何がしたいんだろうか……?」

上条「おい!オワコン呼ばわりされながら7年目に入った○クさんディスるな!」

円周「あとネギは……うん、織○ちゃん良い子なのに、どうして蛇蝎の如く嫌われるのかな?」

上条「多分ツッキ○が敬遠される理由と同じだと思うよ?詳しくは分からないけど」



103:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 10:43:40.24 ID:IDlpEUsn0

円周「シェリーちゃんは最新のモードとか知らないの?」

シェリー「興味ねえわよ、つーかファッション誌読むぐらいだったら――いや、そうでもないか」

上条「モードって?」

バードウェイ「『流行りの服』を小難しくした言い方だよ。お前の人生で使う機会は無いと思うが」

シェリー「衣装に魔術記号をもたせる奴も結構居るから、年代物の服飾は知らなきゃいけないの、よ……オイオイ」

シェリー「なんだぁ?デパートにオートクチュールって、どこの国だよ」

上条「バードウェイ?」

バードウェイ「ボスと呼べ。『お高い服屋』だと思っとけ」

円周「んー、シェリーちゃんは実用的なお洋服が好きなんだよねぇ」

シェリー「そうだけど。言ったかしら?」

円周「なんか、そんな空気出してるかも?」

バードウェイ「ゴスロリ普段着の奴は分からん。ガーリィでも着とけばいい」

シェリー「頭おかしいだろそれ」

上条「えっと……?」

円周「お兄ちゃん、ファッション誌とか読む?」

上条「立ち読みでちょいちょい。買う時は値段と相談で」

シェリー「の、割にはノーブランドのダメージジーンズばっかりだったけど」

上条「あれはねー……うん、元はフツーのボトムだったんだ」

上条「でもねっ!1エピソードが終わってみれば、ボロボロになってんだよ!」

シェリー「どういう話だよ」

バードウェイ「恐らく、日常生活がバイオレンス過ぎて」

円周「ケンカに巻き込まれたり、フラグを立てたり、立てたフラグをへし折ってビリビリーと」

バードウェイ「普通に買った普段着も気がつけばボロボロに、って話だろうな」

シェリー「不憫な奴……」



104:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 10:45:31.49 ID:IDlpEUsn0

円周「話を戻すけど、ファッション誌でも『誰着るの?』の組み合わせがあるよね?」

上条「あー……罰ゲーム的な配色と、どう見ても浮きまくってるダサいブランドとか!」

バードウェイ「趣味は人それぞれ、また国によっての趣向もあると思うが」

シェリー「明らかに『場違い』なのはあるのよ」

上条「てっきりアレって俺のセンスがないもんだとばかり」

円周「ファミ○はクソゲーや深刻なバグ持ちもでも殿堂入るよね?」

上条「大丈夫!ファ○通だし!……あぁ、納得」

シェリー「だからまぁブランド関係無しに選べ、と。まさか学園都市にトラップがあったとは気がつかなかったけどな」

上条「罠、っていうか、別にいいんじゃね?と思うんだけど」

バードウェイ「だったらお前、常盤台の制服着てる社会人見たらどう思う?」

上条「ごめん。今のは全面的に俺が悪かった」

円周「んじゃお兄ちゃんも分かってくれた所で、入ってみようか」

シェリー「おい。ンな高ぇもんじゃなくてもいいわよ。どうせこっちに居る時しか着ないんだし」

バードウェイ「アーティストも結構だが、同行する他の人間にも気を遣え」

シェリー「知り合いは毎年シスター服しか居ないんだけどな」

上条「ま、まぁまぁ!俺達と遊びに行くとかあるだろうし?」

シェリー「だから馴れ合うつもりはねぇんだよ」

円周「すいませーん!ちょっと見繕って欲しいんですけどー」

シェリー「話を聞け!つか腕を引っ張んじゃねぇっ!」

店員「いらっしゃいま、せ?」 ジロジロ

上条「(どうしたんだろ。つーか店内スゲーなドレスコードでもあるのか)」

バードウェイ「(バッキンガムにTシャツズボンで乗り込んだ奴の言う言葉か)」

円周「(向こうじゃ階級で住み分けしてるしねー)」

シェリー「(あぁ居心地悪りぃ。さっさと買って出るぞ)」

店員「んー……あぁ!ご家族ですねっ!」

上条「なんでだよっ!?」



105:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 10:47:50.59 ID:IDlpEUsn0

店員「え、だってホラ」

上条(※黒髪)

シェリー(※金髪)

円周(※黒髪)

バードウェイ(※金髪)

店員「ね、ほらパパママと娘さん二人のご家族ですよね?」

バードウェイ「支配人を呼べ!この店は教育がなっていないようだな!」

シェリー「……つーか髪の色だけだろうが。この国じゃ自動的に血縁関係に思われるのかよ?」

上条「まぁ変な組み合わせだしなぁ……円周?」

円周「ね、ね、おねーさん。わたしとレヴィちゃん、どっちが上に見える?」

バードウェイ「愛称変わってるぞ」

店員「んー、ブロンドのお嬢様の方が大人っぽい雰囲気ですねー」

円周「じゃっ今日から、レヴィお姉ちゃんね?」

バードウェイ「ふざけるな!妹なんて一人でたくさんだ!」

円周「あー、でもわたしの方が少しだけおっきいよねー……(縦にも横にも)」 ボソッ

バードウェイ「よーし貴様には皇帝→戦車→死神の即死付加付きコンボを決めてやろう」

店員「ごめんなさいねー?店内でカードゲームは禁止なんですよー」

バードウェイ「オイやめろ私に触るな!」

店員「飴ちゃん――キャンディ如何でしょうか?オレンジ?それともアップル?」

バードウェイ「ハッ!たかが食い物で吊られる程浅ましくはないぞ!」

店員「んー、そうなんですか?だったら、お店で暴れるのも良くないって分かりますよね?」

バードウェイ「それはまぁ……そうだが」

店員「じゃキャンディ両方あげるから、ママのお買い物に手伝って貰えませんかー?」

バードウェイ「……分かった」

シェリー「スゲーなジャパニーズ!『明け色の陽射し』を口だけで押さえ込んだぞ!」

上条「意外に弱いな魔術結社、あとママ云々は否定しろよ」

円周「ドS気取ってる人ほど、押しに弱かったりするんだよねー、○音様とか」

上条「あれはキャラだからな?天衣無縫ならぬ天衣無法な人、普通は有り得ないからね?」



106:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 10:49:36.22 ID:IDlpEUsn0

シェリー「いいから行くわよ……面倒だわ」

上条「服買うのにこんだけ引っ張る必要性はねぇだろ、そもそも」

店員「――で、お客様。どのような商品をお求めでしょう?」

シェリー「あー……適当に見繕っ――」

円周「クロ○のワンショルダーに適当なボトム着せればいいんじゃないかな?」

バードウェイ「その選択肢は痴女まっしぐらだろ」

上条・シェリー「ワンショルダー?」

バードウェイ「ワンピースの肩一つのヤツさ――ってクロムウェルまで聞くのかっ!?」

円周「あー、本格的にダメなんだねぇ。お兄ちゃんには期待して無かったけど」

上条「俺だって少しぐらい分かるわっ!」

円周「わたしはシェリーちゃんにバレンシア○のジャンプスーツが似合うと思うんだけど、どうかな?」

上条「じゃ、じゃんぷすーつ?」

バードウェイ「動きやすいのはまぁ確かに。普段着として着るのはどうかと思うが。なぁ?」

上条「そう、だなっ!ジャンプスーツは動きやすい――動きやすいか?俺も着た事あるけど」

円周「意外……じゃないか。子供の頃よく着てそう」

上条「子供?子供着せていいもんなのかっ?」

バードウェイ「ちなみに会話は成立しているぞ?ここまでは、だが」 ニヤニヤ

上条「ウルセェなっこのドSロ○!楽しそうで結構じゃねぇか!」

シェリー「ちなみにそれはいつ頃?タンスん中には見当たらなかったけど」

上条「え!?ジャンプスーツって個人で持ってるもんなの!?」

バードウェイ「――はい、ありがとう新入り。優しい年下の女性が、今からたっぷり教えてやるからこっち来い」

バードウェイ「これ以上恥かく前に店の外へエスケープしたまえ。なっ?」 ポンッ

上条「やめろよっ!俺に優しくするなよぉっ!?生暖かい目で見るなっ見るんじゃないっ!」



107:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 10:52:31.93 ID:IDlpEUsn0

上条「つかもう終了?ジャンプスーツって旅客機から飛び降りる時に着けるんじゃないの!?」

円周「言いたい事は理解出来るんだけど。そうするとスカイダイビング用のスーツ、街内でシェリーちゃんが着るんだよね?」

シェリー「人を色物扱いするのも大概にしろよジャパニーズ」

バードウェイ「街中を闊歩する絵面は知識欲を大いにそそられるが、ジャンプスーツとはツナギ――オーバーオールとも言うな」

上条「……だったらツナギでいいんじゃね?」

バードウェイ「小娘。後を頼む。私はこのバカにアパレル業界の厳しさを叩き込まねばならん」

円周「まっかされたっ!ビッ○系ファッションをお見舞いしてやるぜ!」

シェリー「……あぁもう面倒臭ぇなぁ。全部ぶち壊してぇ」

上条「おいコラしゃがんで床に何か描くのを止めろ!口寄せか?サス○がマン○呼ぼうとしてんのか?」

円周「中二病をこじらせると火○になっちゃうんだねー」

上条「なんか死亡フラグバリバリ立ってて辛いぜ!」

バードウェイ「よーし出ようか新入り。目立ってしょうがない」

上条「待ってくれないか?流石にデパートで暴れたら責任問題に繋がると思うんだよ。主に俺の保護者責任的な意味で」

バードウェイ「あぁそう言えばやらかしたんだったな。確かあの時は……学園都市側から、『不問にする』って通達が出た筈だが」

上条「え、どういう意味だ?」

バードウェイ「ま、二度目はないだろう。頑張って数百億単位の借金返済に切り刻まれろ」

上条「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?垣根featuring冷蔵庫はイヤアアアぁぁっ!?」



108:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 10:54:36.09 ID:IDlpEUsn0

――数分後 自販機の前

上条 ピッ

自販機 ガチャコン

自販機の人工音声(cv.有栖川みや○)『ありがとうございましたー。さて今日の運勢は――』

上条(お、液晶でルーレット回ってる。何々……大吉でもう一本貰えると)

上条(よっし来い!俺の運勢!今こそハッピーボー○だ!)

自販機『わんわんっ!大凶!残念!』

上条(うん、知ってた)

自販機『今日もアナタの運勢は最悪!女の子に囲まれて、一見外からは羨ましそうに見えますが』

自販機『実際は胃壁と人生を磨り減らす一日になるでしょう』

上条「精度高ぇなオイっ!?どっかで監視でもしてやがんのかっ!あと今日“も”って悪意ありすぎだろ!」

バードウェイ「……おい。自販機と会話するのを止めるんだ」

上条「あ、ごめん。つい習性で。ボケは捌ける時に捌いとかないと、溜まって身動き取れなくなるんだよ」

バードウェイ「とにかく来い。テーブル――と言うのかどうか分からんが、まぁ席が空いてたぞ」

上条「あっち側がフードコートだからな。なんつーか、飛び地?」

バードウェイ「あぁ成程。服屋と食べ物屋が隣り合っていては臭いが移る」

バードウェイ「だから休憩所を兼ねたスペースを確保し、エア・クッションを置く、か」

上条「頭良いよなー、お前」

バードウェイ「ふふん。お前はもう少し私に敬意を払うべきだな、っとここで良いな」

上条(遠くの方にシェリー達が入っているテナントが見える。出て来れば直ぐに分かる席だ)



109:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 10:57:13.43 ID:IDlpEUsn0

上条「コーヒーとオレンジジュースどっちが良い?」

バードウェイ「そりゃ当然オ――コーヒーで頼む」

上条「あ、なんだコーヒーはいけるクチ?」

バードウェイ「ブリテンと言えば紅茶だかね。嗜みとしては悪くないと思ってる」

上条「んじゃ、どーぞ」 パシュッ

バードウェイ「うむ、ご苦労………………にがぁ」

上条「あれ!?やっぱダメなの!?」

バードウェイ「べ、別にそう言う訳じゃない!ただこれはちょっと、日本の缶コーヒーにビックリしただけだ!」

上条(あー……そういやマーク言ってたっけか?味覚も年相応って)

上条「あ、ごめんな?やっぱ俺コーヒーの方が良いわ」

上条「良かったら取り換えて欲しいんだけど」

バードウェイ「そ、そうか?別に買ってくればいいだろう?」

上条「こちとら貧乏性だからなー。ほれ、オレンジジュースと交換だ」 パシュ

バードウェイ「……まぁ、良いだろう。ほらよ」

上条「ん、どーも」 ゴク

バードウェイ「あ……」

上条「ん、何?」

バードウェイ「あぁいや別に?全然全然気にしてないぞ?あぁ!」

上条「良く分からないけど……まぁいいか」

バードウェイ「……貴様の『それ』、どんだけ泣いてる女が居るんだろうなぁ」

上条「人聞きが悪いですよねっ!まるで俺が女の子を騙しているような!」

バードウェイ「禁書目録、神裂火織、御坂美琴、姫神秋沙、五和、アニェーゼ、オルソラ、食蜂操折、鳴護アリサ、『新たなる光』のチンピラ――」

バードウェイ「おっと数える指が足りなくなってしまったよ」

上条「ごめんな、謝るから指折って数えるのやめて貰えるかな?一本一本心が折れそうになるんだよ!」

バードウェイ「ハーレムもののアニメではよくある話さ」

上条「現実だよね?俺達が住んでるのはバーチャル世界とかそう言う設定はないよね?」

バードウェイ「『NiceBoat』事件を知っているか?」

上条「遠回しに刺されるっつってんのかっ!?」

バードウェイ「お前もう誰かと付き合った方が良いだろ。多分、他の面子から切られたり刺されたりビリビリされると思うけど」

上条「直接的に言えば許されると思うなよ!実は一部の娘が暴走するんじゃねぇかってガクブルだぜ!」



110:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 10:59:31.13 ID:IDlpEUsn0

バードウェイ「さっきの占いもピンポイントで最悪だったしな……ふむ」

上条「……もう運で済ませられるレベルじゃないと思うんだよ、俺は」

バードウェイ「では少し占ってやろう」

上条「カード?タロットだっけか?」

バードウェイ「女の買い物は時間がかかる。少しぐらい労をねぎらうのも一興か」

上条「いやあの、朝からフルスロットルで疲労中なんですけど。出来れば一人で、寝たい」

バードウェイ「あのスプリーキラーに拉致監禁されるのがオチだと思うが。まぁそれはそれで人生だしなぁ」

上条「助けて下さい!?僕の人生まだ棒に振りたくないですからっ!」

バードウェイ「――と、人生に迷った時、占術があれば暗い行き先も明るくなろうというものだ」

上条「無理矢理まとめた感が……」

バードウェイ「ま、良い機会だ。お前も占いの一つや二つ憶えておけ。『明け色の陽射し』は霊装としてコイツを使う傾向が強い」

上条「右手があるから使えない、って思うんだけど」

バードウェイ「同様に我々『じゃなくとも使う』んだ。敵の魔術師がいつもいつも、ペラペラ自分の手の内を明かさんよ」

上条「対処するためにも覚えとけって?……でも親切だよなぁ、あいつら」

バードウェイ「結局、手持ち札でどうにかするしかないのさ。それがブタであったとしても、最弱だと知っていれば逃げ出す選択肢も取れる」

バードウェイ「ポーカーのルールも知らないのに、勝負しているのか私の近くにもいるな?」

上条「無謀だよねー、あっはっはっはー」

バードウェイ「ではタロットの講義と行こうか」

バードウェイ「タロットのルーツは古い。一説にはエジプトだと言われている――が、根拠となる証拠は、ない」

上条「嘘なのか?」

バードウェイ「とまでは言わないが、曖昧なんだよ、とても」



111:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 11:01:22.87 ID:IDlpEUsn0

バードウェイ「例えばタロットの亜種にはアンク、十字の上に丸が乗ったシンボルを見た事はあるか?」

上条「テーブルに描くと……『♀』か?」

バードウェイ「正解。それが描かれているタロットもあるにはある」

バードウェイ「それ自体は金星のシンボルでもあり、同時にエジプト十字を示すものであり複雑なのだよ」

バードウェイ「だからといってそれが『エジプト魔術の流れを取り入れた』だけで、『エジプトに源流を持つ証拠とはならない』んだ」

上条「後から誰かが付け加えられたのかも知れないし、そうじゃないかも知れない?」

バードウェイ「ミックスジュースを飲んでみても、どの順番で入れたのかは分からない」

バードウェイ「それどころか誰が作ったのかも分からない」

上条「分かっているのは?」

バードウェイ「寓意の持つ絵柄と数だろうな。大アルカナ22枚、小アルカナ56枚で構成されている」

バードウェイ「特に小アルカナは1から14までのカードが四種類。実にトランプと酷似している」

上条「トランプの原型になった?」

バードウェイ「とも言われているし、逆にトランプから生まれたとも。全然関係無いという説もある」

バードウェイ「だがしかしトランプの成立年代は14世紀、また小アルカナを使ってトランプ遊びをしていた事もあり、境が曖昧だ」

上条「んー……む?」

バードウェイ「どうした?」

上条「いやさ、タロットもトランプも結局は趣味で、要は娯楽として使ってたんだろ?」

バードウェイ「流石に魔術師達は違うだろうが、そうだな」

上条「でも一般の人にとって、どっちだって構わない訳だよな」

バードウェイ「そう、か?嗜好品の一つであったのは間違いないと思うが」

上条「俺がもし、売り手の方だったら一緒にしちまうと思うんだよ」

上条「22枚のタロットだけだと占いにしか使えないから、トランプも一緒に抱き合わせて売った方が儲かるんじゃね、とか」

バードウェイ「……小アルカナの起源が大アルカナとトランプの抱き合わせ販売だと?」

上条「あ、いやもし売る方の立場となって考えればな、って話だ」

バードウェイ「……なるほどな。原型はどうあれ、広まっていった過程としてそういう道があった可能性もあるか」

バードウェイ「よくやった新入り!」

上条「いやぁ思いつきだよ?」

バードウェイ「褒美に跪いて靴を嘗めてもいいぞ」

上条「いやあのものっそいキラキラした目で言われてもね、それは一般の人にとって罰ゲームだから?喜ぶ人はごく少数だと思うし」

バードウェイ「日本でも歌になっていなかったか?」

上条「ARI-Projec○は飛び道具だからね!?結構好きだけどもなっ!ローゼ○無印第二期OPは神曲だし!」



112:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 11:03:39.94 ID:IDlpEUsn0

バードウェイ「ともあれ、現時点で最古のタロット群は『ヴィスコンティ・スフォルツァ版タロット』と呼ばれている」

バードウェイ「15世紀にミラノ公スフォルツァ、彼が画家達に描かせたのが残ってる」

上条「ミラノって事はイタリアか。意外だなぁ、魔術っつったらドイツとかイギリスって感じだけど」

バードウェイ「いやいやイタリアだってローマ聖教のお膝元だしな?胡散臭さで言えば連中も負けてはいないよ」

バードウェイ「その、スフォルツァ版の中でも最古と呼ばれてるのが『キャリー・イェール版タロット』だ」

バードウェイ「これはキャリー家がイェール大学に寄贈し、その名で呼ばれるようになった」

上条「イェール……?偶然だな、シェリーもイェール大学から鑑定頼まれてる、って」

バードウェイ「気づいたか?まさに『それ』だよ。最古と呼ばれるタロットが、このタイミングで学園都市にあるんだ」

上条「ふーん?偶然にしちゃ出来過ぎだよなぁ、それって」

バードウェイ「そうだな。その通りだよ」

バードウェイ「『黄金』の遺産継承者であり、特にタロットの霊装を好んで使う我々と」

バードウェイ「偶然最古のタロットが同じ都市に出くわしたのだから、な?」

上条「あ、だったらさ。シェリーに頼んで見せて貰ったどうだ?」

上条「興味あるんだろ、その古いタロットとか」

バードウェイ「……貴様はもっと言葉の裏を読んだ方が良いぞ……?」

バードウェイ「偶然は重なる事自体偶然ではある、が」

バードウェイ「予め仕組まれた出来事をしては、作為と呼ぶんだ」

上条「え、何?なんかマズいのか?」

バードウェイ「『まだ』偶然だろうな。たまたまそーゆー事だってあるかも知れない」

バードウェイ「だがまぁ、『監視用の部下を戦闘不能にされた日に、たまたま襲撃される偶然』でも起きない限りは、な」



113:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 11:05:56.37 ID:IDlpEUsn0

バードウェイ「歴史の勉強はここまでだ。次は実際に占いながら――あぁそうそう、お前はタロットの絵柄も知らないんだったか」

上条「王様とか、ライオンとか?」

バードウェイ「正確には皇帝だな。それはフランス野郎の僭王がアレした分、ややこしくなっているのだが」

バードウェイ「革命で王政を打倒した挙げ句、十年後にフランス皇帝が出来るとかフランス野郎は死ねばいい」

バードウェイ「連中が余計な事をしたお陰で、カエサル以降の皇帝を踏みにじった訳だ」

バードウェイ「では簡単に――0番のアルカナ、愚者だ」

上条「旅人のカード。あ、片足踏み外してる」

バードウェイ「よくタロットの解釈で言われているのは、『アルカナは世界を表す』そうだ」

バードウェイ「コイツ、この愚者が世界を巡り、徐々に知識をつけていく――と言われている」

バードウェイ「0番の愚者は1番の魔術師に出会い智恵を得て、2番の女教皇と話して客観性を学び、と言った具合に」

バードウェイ「最後のアルカナ、21番の世界に至って全てを知る……そうだ」

上条「なんで伝聞形式?」

バードウェイ「私はその説を支持していない」

バードウェイ「そもそもキャリー・イェール版大アルカナには番号はおろか、名前すらも入っていない」

バードウェイ「欠損部分があり、大アルカナが揃っていない状態でもある――が、まぁ?」

バードウェイ「その話は関係無い――だろう、おそらくは。私とお前の人生にそれが関わる訳はない筈だ」

上条「古いタロットはちょっと見たいけどなー。画家に描かせたんだろ」

バードウェイ「今で言えばイラストレーターと称する萌え絵師だな」

上条「人の夢砕くの止めて貰えないかな?情操教育に悪いと思うんだよ、主に俺の」

バードウェイ「どうしても気になるのだったら、クロムウェルに頼み込めばいいさ」

バードウェイ「前置きが長くなってしまったが、始めようか。何を占って欲しい?」

上条「センセイ!刺されないで済む未来が欲しいです!」

バードウェイ「心底どうにかしてやりたい気もするが。生憎私が丹誠込めて作った護符も、お前が持つと効力を失うしな」

バードウェイ「ま、魔力を介在しない未来指針であればある程度、と思っとけ。気休めにはなるだろうから」

上条「もう『あたったらラッキーだよね!』ぐらいの精度にまで落ちてないかな?」

バードウェイ「お前の本質はお前が決めろ。他者がどうこう言おうとも、自分で決めた線がブレなければいい」

上条「いい事言うなっ!」

バードウェイ ジーッ

上条「……いや、お前のパンプスを見つめられても。プレイはノーサンキューで頼む。俺はノーマルだし」



114:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 11:07:41.38 ID:IDlpEUsn0

バードウェイ「では種類は恋愛――じゃなかった対人関係だな」

上条「今凄い間違え方したよね?」

バードウェイ「取り敢えず占いたい誰かを考えながら、タロットをシャッフルしたまえ」

上条「大丈夫?パキーンってしない?」

バードウェイ「保護用のプラスチックシートに入っているから問題ない。ま、壊れた所で寿命だ。私が子供の時から使っているものだし」

上条「今も子供――じゃ、ないですよねっ!?バードウェイさんはコーヒーも飲める大人ですよねっ!?」

バードウェイ「口の利き方に気をつけろ」 グリグリ

上条「アンチスキルに撃たれた所を足でつつくなっ!?痛みはないけど傷痕は残ってんだよっ」

バードウェイ「マーク=スペンサー(仮名)さんは喜んだんだが、贅沢な奴だ」

上条「スペースじゃね?言われるまで気づかなかったけど」

バードウェイ「オゥルトロップの名門貴族にスペンサー家と言うのが居てな。そっちと勘違いしてた」

上条「故ダイアナ妃殿下がそんな名前だったような……?どうせ本名はそっちっぽい気もするけど」

バードウェイ「ほらほら集中しろ。マークとの仲を占いたいのであれば止めない。むしろ嫌いじゃないぞ、決して」

上条「いよしっ!気合い入れるぞー!マーク以外との仲を知りたいなーっ!」

バードウェイ「今からするのは『ケルト十字法』という占いだ。使うのも大アルカナだけ、一部省略してあるし難しい要素はない」

上条「そりゃ助かるけど」

バードウェイ(――が、だ。上条当麻。占いには別の側面もある)

バードウェイ(相手が何を占うのかを事前に知っていれば、ある程度の絞り込みも可能――つまり!)

バードウェイ(この場合、『出た結果をお前との関係性に照らし合わせば、今まさに心の中で想っている相手の割り出しも出来る』訳だ)

バードウェイ(さぁて鬼が出るか邪が出るか……)

バードウェイ「……」

バードウェイ(……パ、パトリシアだったら……?)

バードウェイ「――よし、殺すか」

上条「お前真顔で急に何言ってやがるんだっ!なんで暗殺指令が入ったっ!?」



115:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 11:09:40.00 ID:IDlpEUsn0

バードウェイ「すまない。独り言だ――と、では一枚目から裏向きに置いてみようか」

上条「お、おう?」

バードウェイ「次に横にしてその上へ重ねる――そうそう」

上条「十字を切るように並べる、と……」

バードウェイ「周囲に円を描くイメージ。カードで線を結ぶ感覚だ」

上条「3、4、5、6……」

バードウェイ「最後は『塔』を積み上げるイメージだよ」

上条「――10枚目、これで終りか」

バードウェイ「あぁ。全体の形がやや歪だが内容とは関係ない」

バードウェイ「ではまず一枚目をめくってみようか。上下を反転させないように気をつけろ」

上条「最初に置いたのだよな?……っと」

バードウェイ「あぁ。それが現在の状況を表している」

【死神(逆)】

上条「あの、バードウェイさん?鎌持った骸骨が、めっさ笑ってるんですけど?」

バードウェイ「一応逆向きだから。この場合は『死からの再生』か?」

上条「てっきり『もう諦めれば?』的な意味かと。次は――」

【力】

上条「ライオンのカード」

バードウェイ「剛毅、または力のアルカナ。二番目は障害だから『自惚れ』か」

バードウェイ「三枚目と四枚目は顕在性と潜在性、続けてめくってみろ」

【教皇】

【皇帝(逆)】

上条「聖職者っぽいカードが連鎖した」

バードウェイ「顕在性は『誠実』、潜在性は『自分勝手』か。合ってるな?」

上条「え、俺が誠実だけど自惚れてて自分勝手だって事か!?」

バードウェイ「一概に否定は出来ないが、まぁバーナム効果もある事だし、心理分析は冗談程度に留めておけ。ほら、次」

バードウェイ(さて、次から相手を特定出来る結果が出る)



116:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 11:11:26.17 ID:IDlpEUsn0

【恋人・逆】

バードウェイ「……行き違い、もしくはケンカ別れ……?」

バードウェイ(コイツと敵対していた人間は多いしな。聖人や天草式、シスターも大概そうか)

上条「なぁこれはどういう意味なんだ?」

バードウェイ「お前と相手の過去の関係。そして次が未来を示す」

【星】

バードウェイ(え!?恋人確定かっ!?)

バードウェイ「……」

上条「悪いカードなのかっ!?」

バードウェイ「あぁいやそうじゃない。そうじゃないんだが……うん、何故かイラつくな。リア充は死ねばいい」

上条「私見入りまくりなんだが……次」

【戦車・逆】

バードウェイ「発生する問題が戦車のリバース。不毛な闘争的に巻き込まれると」

上条「まぁいつもの事だけどねっ!」

【女帝】

バードウェイ「環境は女帝……あぁ女性のペースで行けって事か。良かったな、流されるままでオッケーだ」

上条「良いのか、それ?次は9枚目、最後から2番目っと」

【審判】

バードウェイ「……改善?それとも裁かれる?誰に?」

バードウェイ「あぁ刑法的な意味でか!流石はLolico13だな!」

上条「おいこら人混みで呼ぶな呼ぶな!定着しちまったらどうしてくれるんだっ!?」

バードウェイ「――さて、次が最後のカード。一応最終結果である」

上条「10枚目……行きます!」



117:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 11:13:01.54 ID:IDlpEUsn0

【世界】

バードウェイ ブーッ!?

上条「吹くような内容なのかっ!?……あぁティッシュ、ほれ」

バードウェイ「す、すまん。いやだがしかしまさか」

バードウェイ(最後、意気投合か国際結婚って、なんだ?どう考えても上手く行くだろ、これは)

バードウェイ(意中の相手を知る以前に、知らせていいものかどうか迷うな)

バードウェイ(自己分析の中に自惚れが入っている以上、あまり調子に乗られても問題だし)

上条「ネタ抜きで悪いのか?」

バードウェイ「あー、まぁ大丈夫じゃないか。多分?」

上条「またフワッフワした言い方だなオイ!」

バードウェイ「頑張れ。君の未来はまだ決定していない」

上条「ドSの人から励まされた!?」

バードウェイ「お、二人が出て来たぞー。それでは行こうか」

上条「待って!?一体俺の未来にどんな酷い事が起きるのかをはっきりさせ――」

バードウェイ(収穫はゼロではない。『一度争った相手』で、しかも『国際結婚』か。不毛な闘争が気になるが、今更だろう)

バードウェイ(消去法で行けば禁書目録、神裂、天草式、アニェーゼに『新たなる光』のチンピラも入るか)

バードウェイ(後は……クロムウェルもそうか。脈はないだろうが、そんなもの分かりはしないしな)

バードウェイ(他に上条と争った連中、日本籍じゃない奴――)

ピーンポーンパンポーン

バードウェイ「……ま、そのぐらいか」



118:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 11:15:25.93 ID:IDlpEUsn0


館内アナウンス『お呼び出しを申し上げます、お呼び出しを申し上げます』

上条「今時珍しい……携帯で連絡した方が良いんじゃないか?」

バードウェイ「持っていないか、電池でも切れたのだろう。スマートフォンはバッテリーを食う」

館内アナウンス『XX学区より起こしの……これ、本当に読むんですか?冗談じゃなく?』

上条「?」

館内アナウンス『……失礼しました。改めてお呼び出し申し上げます』

館内アナウンス『XX学区より起こしの、白くてヒョロくてウルトラマ○ぽい服を着たモヤシ。お連れ様がお待ちです』

上条「何やってんだ一方通行っ!?なんで迷子になってんの!?」

バードウェイ「ツレの方が迷子になったんだろ。そうじゃなかったら痛すぎる」

円周「だったいまーーーっ!ごめんねー?シェリーちゃんが中々うん、って言ってくれなくってさー」

シェリー「……あたしが悪いんじゃねぇぞ。つーかあの値段気軽にホイホイ出せる額とは違う!」

円周「んー、大丈夫!『研究費』で領収書切っといたから」

上条「何の研究?つーか俺達モルモット扱いなの?」

円周「『上条』を勉強したいな、って始めに言った筈だけど」

バードウェイ「ま、いいが――(ほら)」 ツンツン

上条「(何?トイレか?)」

バードウェイ「(誰が一々相談するか!そうじゃない、クロムウェルが新しい服を着たんだ。言うべき事があるだろ)」

上条「(似合ってるよ、的な?)」

バードウェイ「(もう少し感情を込めてだ。『明け色の陽射し』の一員たるもの、紳士であれ)」

上条「(いやでもわざとらしくないか?何か口説いてるみたいで、下心丸出しって言うか)」

バードウェイ「(言わないよりはマシ。ただしキモがられる可能性はある)」

上条「(めんどくさー……まぁ、やってみる)」



119:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 11:17:01.78 ID:IDlpEUsn0

上条「あぁっと、シェリー?」

シェリー「あぁ?何よ?」

上条(あれ機嫌悪い?何かとっかかり間違えた?)

上条「あー、結局ツナギにしたんだ」

シェリー「ゴス服でうろつくのも何だしなぁ……あのメイド連中と同じカテゴリに見られるのは嫌よ」

上条「でも、外見はアレだとしっかりしてるぜ?」

シェリー「そこを否定するつもりはないわ。でも限度ってもンがあるだろうよ」

上条「ま、良い機会とは言わないけど、たまには別の服着るのもいいんじゃないか?気分転換すりゃ発想も変わってくるだろうし?」

シェリー「分かってんだけどなぁ、お前これ幾らするか知ってんのか?」

上条「高いっつっても五桁じゃ?ウチからすりゃ充分お高いけど」

シェリー「……六桁」

上条「マジで!?」

シェリー「どうなんだろうなぁ?これだったらお前のダサジーンズで手ぇ打った方が良かったかも」

上条「ダサいは余計だけど。よく買う気になったな」

シェリー「この子が出すって言う以上、買わねぇ訳には行かないでしょうが」

円周「いえーいっ!」

上条「お前も無茶すんなよ」

シェリー「つーかタベってても仕方がないし、今日はこれで解散か?」

上条「俺はそれでもいいけど。出来ればどっかでメシでも食おう――って何だよバードウェイ?」

バードウェイ「(話が逸れすぎだろうが!誉める展開はどうなった?)」

上条「(お?……ついうっかり。なんかシェリーって男友達と話してる感じで、つい)」

円周「(お兄ちゃんに、友達居たんだー……?ノイジー的な?)」

上条「(俺に無理矢理病名つけるのやめてくれ!分かったよ。言えばいいんだろ!)」

上条「なぁシェリー」

シェリー「おー?」

上条「綺麗だ」

シェリー「ぶっ!?」

バードウェイ「ストレート過ぎるだろうが!?」

上条「フツーに誉めただけじゃねぇか!」

円周「って言うか、これ、『お兄ちゃん的には素』って事かー。うんうんっ」

シェリー「テメェは……!まぁいい、行こうぜ」

シェリー(なーんか調子狂うよなぁ、こりゃ)

シェリー(いつからこんなヌルくなっちまったんだろ、私)



120:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 11:18:41.71 ID:IDlpEUsn0

――同時刻 迷子センター

男「おー、来た来た一方通行。遅せぇよ、何やってんだよ?」

一方通行「……人をお子様扱いしやがったンは、お前かよ、あァ?」

男「ムキにならなくたって良いじゃねぇかよ。ケータイ聞くの忘れたんだし」

一方通行「つーかお前ェ――誰だよ?」

一方通行「俺の知ってる木原くゥンはンな常識人みてェな格好はしてねェ」

一方通行(気の抜けるアナウンスで呼び出されてみりゃ、クソ木原と似た口調の奴かァ?)

男「まぁまぁ暑くなってんじゃねぇよ。取り敢えず場所変えようぜ」

一方通行(……クソ!向こうが何をしてェのか分からねェ以上、付き合うしかねェ)

男「クレープとたこ焼きどっちがいい?」

一方通行「……いらねェ。何入ってンのか、わかったもンじゃねェだろ」

男「テメェは相変わらず悲しい生き方してるよなぁ……まぁいい。俺が奢ってやっから死ぬまで感謝しやがれ」

一方通行「つー事はァ、お前をぶっ殺せばチャラになるってェ話か?」

男「けっ。死ね」

一方通行「お前が死ね」

一方通行(口調はまァ似てねェ事もない。だがあいつを知ってりゃァある程度は真似出来る)

一方通行(外見は似ても似つかねェサラリーマン風の男だ。人混みであればどこにでも居そうな感じの、平々凡々としたよォな)

一方通行「……」

一方通行(あのレベル0の事を思えば油断は出来ねェか)

男「ほれ、買ってきてやったぞ白モヤシ。学園都市製たこ焼きとクレープどっちがいい?」

一方通行「……学園都市製たこ焼き……?」

男「遺伝子操作して足を増やしたんだと」

一方通行「意味ねェよな?足増やすよりも体積増やした方が真っ当じゃねェのか」

一方通行「ンな気味悪ィの食いたかねェ。クレープ寄越せ」

男「クレープは……まぁ、足増やしたんだと」

一方通行「クレープに足ねェだろ!?」

男「小麦の成長促進のために、根をいっぱい張らせる研究だとか」

一方通行「ン研究するより、実験しようと思ったバカども開頭してやれよォ。多分蜘蛛の巣張ってっから」

男「遠慮すんなよ、食え食え」

一方通行「遠慮じゃねェよ!学園都市の頭の悪さにビビってンだァ!」

男「お前も相変わらずガキじゃねぇか、なぁ」



121:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 11:20:14.81 ID:IDlpEUsn0

一方通行「……つーかいい加減にしろよ、偽もンが。俺の知ってる木原数多じゃねェだろ」

男「ふーん?じゃあお前は俺をどう定義づけるんだ?ニセモノだったとして、その目的は何?」

一方通行「ど腐れ木原の元研究者、もしくは下っ端なンだろ?俺を引っ張り出してなンか企んでやがる」

男「なんか、とは何?この状況でお前さんを引っ張り出して、誰が、どう得するって?」

一方通行「そうなァ……あァ俺の個人情報と引き替えに、なンかさせようって魂胆じゃねェのか?」

男「おっと流石は一方通行さぁん、お利口でちゅねー」

一方通行「……遺言は、それでいいンだな?」

男「好きにすりゃいいじゃねぇか。フードコートで爆殺なんざネットニュースで一番になれんぞ」

一方通行「……」

一方通行(時間稼ぎ、かァ?それにしたっておかしい)

一方通行(俺を囲もうとするんだったら、別に『木原』の名前出さなくたって、勝手にすりゃいいだけだ)

一方通行(警戒レベル上げさせてなにがしたいンだ、こいつ)

男「そうなぁ……あぁ、あれ。あっこにガキどもの群れがいるの分かるか?」

一方通行「あァ」

男「お前結局、あーゆー『輪』に入りたかったんだよなぁ?」

一方通行「そりゃァ……!」

男「そうだ。『木原数多』しか知らねぇ情報だよなぁ」

一方通行「お前……本当に?」

男「で、どうなんだ?お前は輪に入れるようになったのかよ」

男「能力なんて欲しくなかった、つってたお前がよぉ?」

一方通行「……誰だよ、お前。クソ木原はあン時音速でぶん投げた筈ろォ!?」

男「ま、記憶のバックアップなんて珍しくもねぇって話だ。それより答えろよ、世間話ぐらいいいじゃねぇか」

男「データじゃ知ってるが、お前の口から聞きたい」

男「お前は今、何をしているのかってな」

一方通行「……別にィ?大した事ァしてねェな、これといって大した事はだが」



122:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 11:22:02.70 ID:IDlpEUsn0

一方通行「ガキとメシ食ったり、ババアと買い物行ったり」

一方通行「バカなガキどものケンカ止めたり……まァ普通だなァ」

男「なぁ、一方通行。お前確かそんな『普通』が欲しいっつってたじゃねぇか?」

男「『能力を制御して、普通の生活がしたい』ってなぁ」

一方通行「……」

男「……お前は今、『普通』なのか?」

一方通行「俺ァ……あァ、まァ、そこそこだ」

一方通行「ガキのお守りなンざ、面倒臭ェとは思ってたし、正直今も思ってンだが、まァ」

一方通行「悪くは、ねェよ」

男「……そっかあ、良かった、良かったぜ一方通行」

一方通行「ウルセェよ」

男「俺ぁこう見えて心配してたんだよ。お前が一人でハブられてねぇかって。一人で便所メシ食ってねぇかとか」

一方通行「出て行くだろ普通。そこまでされても居着くなンて、どんだけメンタル強ェんだ」

男「――で、お前は『いつこっちへ戻ってくる』んだ?」

一方通行「――え」

男「え、じゃねぇよ。テメェ勘違いしてるよなぁ」

男「バカみたいに殺して殺して殺しまくったお前が、今更『普通』の生活なんざ、戻れる訳がねぇだろ?」

一方通行「違うだろォ!?俺は必死に償ってンだよォ!」

一方通行「もう一人だって!あいつらを不幸にはしたくねェ!するつもりもねェよ!」

男「――あれ、あそこ見えるか?」

一方通行「……正面の、服屋」

男「あぁあそこで働いてるねーちゃんだよ。見覚えは?」

一方通行「ねェよ。なンの話してやがる」

男「ん?お前がアイツの弟殺してんだよ?」

一方通行「……はァ?なンで俺が――」

男「『猟犬部隊』でアイツの弟雇ってたんだよ。名前は……あー……?ジョンだか、ジョセフだかそんな感じ?」

男「お前が、その手でぶち殺したんだよ。憶えてもねぇのか」

一方通行「……ァ」



123:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 11:23:21.78 ID:IDlpEUsn0

男「なぁよぉ一方通行?お前昨日のメシ何食った?肉ジャガ?カレー?俺ぁジャンクフードが好きだが」

男「その『守りたいガキ』と一緒に、仲良くワイワイ食ったんだろぉな?えぇ?」

男「でもよぉ、お前の殺したジョージのねーちゃんは一人でコンビニ弁当だ」

男「一緒に食ってた弟さんは、もう帰ってこないんだからなぁ」

一方通行「俺の――」

男「『俺の責任じゃねェ』か?まぁそうだわな」

男「お前をぶっ殺すように命令したのは俺だし、そもそもそんな馬鹿げた命令を聞かなくちゃいけないヘマしたのもジョナサンだ」

男「でも『殺したのはお前』だぜ?」

一方通行「――ふ!」

男「次にお前はこう思う。『不可抗力だった』と」

男「そうだな、お前は好きで好きでしょうがない打ち止めちゃんのために命がけで戦ったよ。えらいねー、がんばったねー」

男「でも、『殺す必要はなかった』よな?お前の技術と能力の使い方次第では、足でも折りゃあ決着はついてた」

一方通行「――」

男「お前はなぁ、何も考えずに、殺したんだよ――1万人のクローンを殺したように」

男「要はお題目が変わっただけで、お前のやってる事ぁ何も変わっちゃいねぇんだよ。なぁ?」

男「可哀想に。ジョリーンのねーちゃん、弟を捜しに学園都市に引っ越してきたらしいぜ?」

男「ずっと一人で待つんだろうなぁ。誰かさんが殺した弟の事を」

一方通行「……仕方が」

男「あぁ?」

一方通行「仕方がねェだろ!あン時はそれしか出来なかった!」

一方通行「俺を殺そうとする連中に、一々手加減なンざ出来る訳がねェ!」

一方通行「誰だってそォだろうが!大切なもンとそうじゃねェもン天秤にかけて、どっち選ぶか考えて来たンだろうが!」

男「ん?あぁいやいや勘違いしてんな、お前。俺ぁお前が悪いなんざ一言も言ってねぇ、だろ?」

一方通行「じゃァなンだって出て来やがった!?何がしてェンだよ!?」



124:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 11:26:43.63 ID:IDlpEUsn0

男「忠告だってさっき電話で言ったろうが」

一方通行「言ってねェよ!」

男「だっけか?んじゃまぁ、改めて忠告な」

男「お前の住む場所はそっちじゃねえよ。さっさと戻ってこい」

一方通行「……それが、目的かァ?」

一方通行「なンだかンだと因縁つけて、結局はそれじゃねェか!俺の力が欲しいんだろ!?」

男「忠告だっつってんだろバカが。お前、ハワイまで行ったらしいじゃねぇか、暢気な事だなオイ」

一方通行「だからなンだ」

男「御坂美琴に『お前も加害者』つったんだってなぁ?」

一方通行「あァ?だからどォした」

男「……ここまで言っても分からねぇのかよ。信じられねぇが」

男「お前がたった今、ジョジョぶっ殺した事に関して、お前は『割り切った』よなぁ?」

男「当時はイッパイイッパイで仕方がなかった、って」

男「でも、お前は御坂美琴に対して」

男「お前と同じく――いや、もっと酷いな。『騙された御坂美琴に対して加害者だと割り切った』んだ」

男「んな思考してる時点でもう――お前が『普通』の生活なんざ出来る訳がねぇ」

男「テメェのしでかした不始末、妹達を助けるために、何度も何度も勝てない相手に挑んでは、ボコボコにされた第三位をだ」

男「いつもいつもヘラヘラ笑って半殺しにしてたクソヤローは誰だ、あぁ?」

一方通行「ち、が」

男「お前はなぁ、一方通行。結局テメェ自身しか可愛くはねぇんだよ」

男「演算能力を失いたくねぇから、『俺は打ち止めを守りきる』なんて思いこんでるだけだって、いやマジで」

男「だって本当にお前が心の底から、後悔してるんだったらば、だ」

男「御坂美琴に対して『加害者だ』なんて言えるかぁ、普通?」

一方通行「……」

男「なぁ一方通行?お前は良くやったよ、周囲に溶け込もうとしたし、頑張って『普通』になろうとした。他の誰が認めなくたって、俺が認めるぜ」

男「でも最初っから無理だったんだよ。お前は人を殺しすぎた」

男「ホレ、よくマンガとかで『不良が良い事をして善人に見られる』パターンってあるよな?それだよ、それ」

男「まぁ大抵は女の子に惚れられて改心するって話なんだが、※ただしイケメンに限るって話で」

男「最初っから全身タトゥーでシャ×中のヤツは除外されんだわな」

男「今更善人ぶったって遅いんだ」

男「『普通』の人間はどぉして普通で居られるのか――そりゃ『最初から最後まで悪い事もしねぇから』だよ」

男「その対価として安寧な退屈な日常を謳歌出来る」

男「だからもう帰ってこいよ、な?お前みたいなクソヤローは一生クソ溜まりの中で足掻くしかねぇんだよ」

男「別に俺と来いってんじゃねぇ。だから――」

一方通行「……そうだなァ、俺ァほンっっっっっとに、クソだ」



125:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 11:28:45.72 ID:IDlpEUsn0

男「……」

一方通行「自分で殺した数も知らねェし、誰を傷つけたのかも憶えてねェ」

一方通行「多少ましンなったかと思えば、第三位に暴言だなァ、いやいや」

一方通行「だが、なァ?ここで『はい、そーですか』つって?全部逃げたとしても、そりゃ」

一方通行「そうしちまったら、俺ァ最悪のクソだ。分かるか?」

男「『普通』の世界で悪党が何をするって?テメェの居場所なんざ、無いに決まってんだろうが」

一方通行「だかよォ。明るい所が苦手な動物のように尻尾撒いて逃げたって、そいつァ『逃げ』だ。償いとは程遠い」

一方通行「俺は、逃げねェ……!もう、嫌なんだよ!そういうのはよォ!」

男「そぉかよ。まぁ……いいんじゃねぇか、そういうのも」

男「あ、ちなみにさっきのジョなんとかの話は、全部嘘だ。前の猟犬部隊には家族が居ないクソッタレを選んでる」

男「はっきり言って、『外』じゃ死刑にされでも文句言えない連中ばっかだから、お前がぶっ殺しても感謝されるだろうな?」

一方通行「……お前は、ぶっ殺す!」 カチッ

男「まぁまぁ待て待て。そう焦るなって、つーか折角良い事教えてやったんだから、感謝の言葉ぐらいねーのか?」

一方通行「そうだなァ、楽に殺してやンぜ」

男「んじゃ遺言代わりに聞いていけよ。お前の能力、『反射』だが、破るにはどうすればいい?」

一方通行「時間稼ぎしてンじゃねェぞ」

男「それも有効だな。魔術を使わせたり、お前の知らないベクトルをぶつけたり」

一方通行「後はテメェの拳の返し、ぐらいだが。もォ喰らわねェぞ」

一方通行「距離取って『風』以外の攻撃ぶつけりゃ簡単に――」

男「そう、それだよ一方通行!お前の悪い癖だ!」

男「今、お前はこう考えてる。『目の前の自称キハラが近寄ってこないよう気をつける』とかだろ?」

男「実際、俺に攻撃されても反応出来るように、お前は一定の距離から近づいて来ねぇ」

男「だが、それは違う、見当違いも良い所だぜ……良いのか悪いのか分かんねぇけどな」

一方通行「……遺言はそれでいいのかァ、って何回聞かせンだ」

男「まぁまぁ聞けって、あと少しだからよぉ。今、お前が、本当に注意すべきなのは――」

ザクリッ!!!

一方通行「か……はァっ……!?」

男「『俺じゃなくって背後から近寄ってる木原』にすべきだったんだよ!なぁ!?」

少女「うん、うんっ!そうだよねっ!数多おじちゃん!」

少女「『木原』なら、こんな時こういう風にすれば良いんだよね……ッ!」



126:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 11:31:21.64 ID:IDlpEUsn0

一方通行(まだガキ――なンだ?首から下げたスマフォのグラフが波打ってる?)

一方通行「ク、そがァァッ!」

少女「わきゃっ!?」

一方通行(なンだ?あっさりぶっ飛ばせたじゃねェか)

一方通行(腹にナイフもらっちまったが、この程度ならどうって事はねェ。血流コントロールなんざ、難しくも――)

男「ちなみにぃ?『手首の返し』をインストールしたのはそいつだけじゃねぇんだわ、これが」

一方通行「ンなっ!」

男「『新しい』猟犬部隊全員、近接格闘はお前に突き刺さるんだよぉっ!」

一方通行「――死にやがれ!」

グガシャアァッ!!!

男「く、ぎゃはははははげぶっ!?なんだ!俺ぁ死んでねぇぞ一方通行!」

一方通行「お前らまさか……!」

男「あぁ、あぁ!今度の猟犬部隊は『俺を含めて全員が家族持ち』だぜ!誰一人例外なく人質を取られてる、かも、しれねぇ!」

男「さぁどーする一方通行!?全員ぶち殺すのか!えぇオイっ!?」

一方通行 クイッ

男「ぎゃふっ!?」

一方通行(どォいう事だァ?『俺を含めて』?)

男A「……」 チャキッ

男B「……」 スチャッ

タタタタタタタタタタッ!

一方通行(H&KのMP5……サブマシンガンを警告無しでぶっ放す、だと?)

一方通行」「……ワケが分からねェ。ンな豆鉄砲でどォにか出来ると考えちゃねェだろうな!」

ドォンッ!!!



127:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 11:34:12.59 ID:IDlpEUsn0

――少し前 フードコート

上条「食べたいもんのリクエストあるか?イギリスって……あぁごめんなんでもない」

バードウェイ「ブリテンの食事をネタにするのはやめて貰おうか。どこの国も家庭料理なんてそんなもんさ」

上条「あ、じゃあイギリスの郷土料理の店もあるぜ?インデックスにせがまれて来てたんだけど」

バードウェイ「日本料理を頼む。現地に来たのだから食べない理由はあるまい」

上条「自分でハシゴ掛けといて外すってどうなの?」

円周「イギリスならジンだよね。イギリスジン、なんちゃってー」

上条「おいバカ止めろ!俳優辞めて小説家になった水嶋ヒ○さんの『KAGERO○』をdisるな!」

円周「でもこないだ『原作殺し(オリジンブレイカー)』の子と映画の宣伝に出ていたような……?」

上条「台風被害にあった奄美大島にポプ○社の本500万円分送って、大顰蹙買った水嶋○ロさんの悪口は止めろ、な?」

バードウェイ「オリジンブレイカー?能力者か?」

円周「出た映画全て外すわ、栞○さんをビッ×にするわで大人気だよねっ!」

上条「そろそろいい加減にな?映画ヲタのメル友は『プロメテウ○の吹き替え聞いた時、×してやるって本気で思った』らしいけど」

上条「一応擁護しとくけど、そこで食った煮込み料理のパイ包みは美味かった」

バードウェイ「パスティだな。いやぁまぁ、そのなんだ」

バードウェイ「国ではファーストフード感覚で食べている物を、代表料理と呼ばれるのは抵抗がな」

バードウェイ「だからといってチキンティッカマサラを勧めるのも、それはそれでどうかと思うんだよ」

円周「あれはインド料理じゃ?あーでも日本のカレーも本場とは別物だしねぇ」

上条「どんな料理?」

バードウェイ「骨を抜いた鶏肉を香辛料で味付けし、タンドールと言う窯で焼いたのがチキンチィッカというインド料理」

バードウェイ「それにトマトとクリームを加えたカレーソースで煮込む」

上条「ほぼインドじゃん!?」

円周「アッパークラスはフランスかイタリア料理だもんねー、ミドルクラスだってあんま食べないんじゃ?」

バードウェイ「ワーキングクラスの料理だけが広まったせいでもある。勿論彼らもジョンブルには違いないのだが」



128:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 11:36:31.83 ID:IDlpEUsn0

上条「シェリーは?何かあるか?」

シェリー「……あー、すまん。ちょっと気分悪ぃ。先帰るわ」

上条「そか?だったらタクシー乗り場まで案内す――」

シェリー「ウルセェっ!私に構うんじゃねぇ!」

上条「……シェリー?」

シェリー「黙れ。潰すぞ」

上条「分かった、良く分からないけど」

シェリー「……クソッタレが……」 カッカッカッカッ

バードウェイ「……ふむ。人混みで酔ったんだろうな」

上条「そう、か?なんかスッゲー辛そうに見えたんだけど」

バードウェイ「だとした所で私達に出来る事ないさ、上条当麻」

バードウェイ「『アレ』は私達が助けようとしたって、その手を振り払って行った」

上条「いやでもさ、気になるじゃん?」

バードウェイ「本人が救いを求めていない以上、まさに『救いようがない』って奴なのだよ、これは」

上条「んー……」

円周「あ、じゃあじゃあ。わたしが行ってこようか?お兄ちゃん達よりも、シェリーちゃんと仲良くなったと思うんだ」

バードウェイ「お前の場合は前科を知らないから、消去法だと思うぞ」

上条「んじゃ、悪いけど頼めるか?具合悪いようだったら、病院とか――カエル先生の所に連れてってな?」

円周「うんっわかったよ!……あ、じゃ、わたしのリュック持ってて貰えるかな?」

上条「任された……ってこれノーマッ○?ピンク色のノーマ○ドのぬいぐるみかと思った」



129:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 11:40:10.39 ID:IDlpEUsn0

円周「中開けたら、めっ、だよ?」

上条「しないしない。早く行け」

円周「手首ごと噛み千切られるからね?」

上条「中に何入ってんの!?むしろ持ちたくないなっこれ!」

円周「あ、そーだちょっと屈んで貰えるかな?先払いでお駄賃ほしいなー、なんて」

上条「お、おう?」

円周「んっ」 チュッ

上条「おぉうっ!?」

円周「えへへっ!じゃ、行ってきまーーーーすっ!」

円周「あ、あとっわたしのアドレスはお兄ちゃんのケータイに入れといたからーーーーっ!」

上条「は、あははは、うん、アレだよね?子供だもんね?子供のお遊び、的な?」

上条「まぁまぁまぁまぁっ!良くあることですし?つーかこの展開はどっか別でもあったような?」

上条「あっれー?どこだっけかなー?なんか、ツッコミのしすぎで喉が枯れた記憶が微かに?」

上条「あぁそういえば喉も渇いたし、そーだね、近くの喫茶店でお茶でも飲も」

バードウェイ「――あぁ、すまない。全力で話題を変えようとしている最中に失礼するが、少し話が出来た。Lolico013、いや」

バードウェイ「ロ×コサーティーンよ」

上条「ゴル×じゃないですよ?スナイプしてませんからね?」

バードウェイ「その割には必殺の効果を誇っていたようだが」

上条「無理だものっ!?さっきは流したけど、人のケータイへいつの間にか電話番号登録するような相手にどうしろって!?」

上条「神出鬼没だし!殆ど都市伝説レベルの能力じゃんかっ!?」

バードウェイ「気がついたら魔法使いの資格を失っていたりしてなー」

上条「バードウェイさん?俺別に魔法使いになりたいとは思ってないからね?」

バードウェイ「ボスと呼べ……ま、食事でもしながら待つとしようか。これ以上事態が悪化するとは思えん」

上条「だといいんだけど」

バードウェイ「『だかしかし、この時上条はまさかあんな悲劇が起きるとは予想だにしてなかった……!』」

上条「お前結構ボケるよね?てっきりツッコミ側の人だって思ってたんだけど」



130:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 11:42:31.61 ID:IDlpEUsn0

――WC

シェリー「……ふう」

シェリー(何やってんだ、私は)

 ため息を吐きながら、シェリー=クロムウェムは目の前の鏡を見つめた。
 ぼさぼさの金髪、目付きの悪い女の顔、真新しいスーツには少し浮いている感じがする。

シェリー(……まぁ、それなりには嬉しかった、が)

 上条当麻の言葉、世辞だと分かっていても僅かに心躍るものがあった。

 買い物もそうだ。他人と慣れ親しむ事すら避けていたシェリーが、久々に楽しかった。
 暴走気味の年下の少女に振り回されるのも、まぁ、悪くはない。

 だが。

シェリー(……だから、だからこそ……!)

 そんな自分が許せない。許す事は出来ない。何故ならば。

シェリー(エリスがここにいないというのに、少しでも心浮かれた私は何だよ?)

 友と呼べる存在は居ない。近づこうとした物好きも殆ど居ない。
 だからこそ、今日この場所で楽しんでしまった自分に吐き気がする。

 このクソみたいな世界に独り取り残された自分が。

シェリー(……チクショウ、分かってる。分かってるわ、エリス)

 心の中で何度もエリスに頭を下げる。けれどエリスの姿は笑うだけで何も答えはしない。
 ――死者はもう、何も語らない。

OL風の女「あのぅ、すいませーん?」

 手洗い場で凹んでいる姿を見とがめられたのか。

シェリー「……別になんでもねぇわよ」

OL風の女「いえいえそう言うんじゃなくって」

シェリー「キャッチセールスならお断わりだ。他を当たれよクソ野郎」

 本国ならば強盗の心配をするのだが、こっちは持っていたとしても精々ナイフぐらいだろう。
 オイルパステルを一閃させればそれだけで事足りる。

OL風の女「落としましたよ、これ」

シェリー「ケータイ電話だぁ?」

 親切心からだと気づき、ポケットの中で武器を離す。

OL風の女「いえ多分、これはあなたのですよ――ねぇクロムウェルさん?」

シェリー「……うふ、うふうふふふふっ」



131:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 11:43:52.21 ID:IDlpEUsn0

シェリー「そっかぁ、敵かよ。いいよなぁ、単純で」

 カチリ、と心の枷が外れていく。長らく忘れていた、破壊衝動が鎌首をもたげる。

シェリー「石と鉄筋で包まれた棺桶で、血と錆の浮いたあなたのお墓を作ってあげ――」

男の声『おいおい、よしとけってクロムウェル。つーか随分キャラ変わってんじゃねぇか、オイ?』

シェリー(携帯電話から声?)

シェリー「誰だテメーは。なんで私を知ってる?」

男の声『忘れちまったのかよ。まぁ20年前に会ったっきりだし、こないだもすれ違いだし無理はねぇか』

シェリー「20年前だぁ?何言ってるのよ、あなた。私の知り合いなんて学園にいる筈がねぇだろ!」

シェリー(……そうだ。エリスを除いては、誰も)

男の声『……オイオイオイオイ。マジで忘れてんのかぁ?ったくどいつもこいつも薄情だよなぁ』

男の声『俺は木原だよ、き・は・ら。木原数多って研究者憶えてねぇか?』

シェリー「キハラ……?あぁクソ!ジャパニーズの名前は憶えにくいんだっつーのよ!」

男の声『エリスの能力開発と、魔術発動の実験に立ち会った男だよ』

シェリー「……!生きてたのかよ!?」

男の声『あぁ。顔の皮ちょいと剥がされちまったけどな。みっともねぇったらよ』

シェリー「……確かに、懐かしいは懐かしいが、今更何の用だ?『エリスを守れなくてゴメンナサイ』って言うつもりかぁ!」

男の声『そりゃ俺の言う台詞じゃねぇ。実験そのものは失敗したが、あの時点で適切な処置をすりゃ、あのガキは助かったぜ』

男の声『それをメイスで滅多打ちにしたのは、お前らのお仲間だろ?』

シェリー「仲間じゃない!私に、仲間なんて――居ねぇんだよ!」

男の声『そりゃ悪かった。そっちも色々と抱え込んでるみたいだし、俺だってあの後大変だったんだぜ?』

男の声『こちとら研究に邪魔なものは排すべき、ってぇ強硬派が調子に乗っちまうし』

男の声『……ま、それはいいとしようや。終わった話だ』

シェリー「……」

男の声『聞いてますかー?もしもーしっ?』



132:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 11:45:37.70 ID:IDlpEUsn0

シェリー「終わらねぇよ!?何にも終わってなんかねぇじゃねぇか!」

シェリー「あの子が好きだった世界は!また性懲りもなく一つになろうとしてやがる!」

シェリー「何一つ!終わってなんか、ないっ!!!」

男の声『……まぁな。それは俺もちょいと思っていたんだが、まぁまぁ?』

男の声『どっちに転んでも良いように、お仕事している最中だしなぁ』

男の声『とにかくお前が変わらないようで安心した』

男の声『そんなお前だから、俺は安心して悪事を吹き込める』

シェリー「……あぁ?」

男の声『なぁ、クロムウェルさんよぉ。俺と一つ、取引をしねぇかい?』

シェリー「しねぇわよクソッタレが。あなたは私の欲しいものを持っていない。であれば取引なんか成立しないわ」

男の声『でもねぇな。こっそり回収しといたもんがあんだよ』

男の声『お前、体細胞クローンって知ってるか?』



133:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 11:47:16.96 ID:IDlpEUsn0

――和食レストラン

上条「どう?そんなに悪くはないだろ?」

バードウェイ「……ふむ。これは」

上条「あ、意外と高評価?」

バードウェイ「シェフを呼ぶんだ!」

上条「いねーよ!殆ど調理された状態で来てんだっ!」

バードウェイ「しかしこれ以下の我が国の料理って一体……」

上条「いや、お前はいいもん食ってんじゃないの?ボスやってんだから」

バードウェイ「家でこしらえる分にはな。それ以外だと苦労が多いんだよ」

バードウェイ「行きつけの店を下手に作ってしまえば、そこが襲撃される恐れもあるし」

上条「魔術結社って言うより、マフィアじゃねーか」

バードウェイ「そうだなぁ。只の研究機関かと思えば、悪の秘密結社さながらの某学園都市もあるみたいだが」

上条「棚に上げるのは良くないよなっ!……ホント、どうなってんだろうな。この世界」

バードウェイ「『大切なものは目に見えない』。サンテグジュペリの言葉だったか」

上条「あ、知ってる。星の王子様」

バードウェイ「目に見えないのか、それとも見ようとしないだけなのか」

バードウェイ「形を失って概念になったヤツに縋り付く、それもまた人生だとは思うがね」

上条「シェリーの事、調べたのか?」

バードウェイ「たかだか一介の魔術師如きに興味もない。だが」

バードウェイ「先日の騒ぎ――魔術と科学の仲を裂こうとした件については知っている」

上条「あれってお咎めなしだったんだよな。よく『必要悪の教会』が粛正しなかった……しようとしてたら、乗り込んだけど」

バードウェイ「あぁそうだが……それだけじゃない」

バードウェイ「処罰されなかったのは、学園側からの陳情があったからだとか」

上条「ふーん?研究者としても貴重だって話か?」

バードウェイ「いや、私が調べた限りでは20年前の事件、その時のブロジェクトの学園側責任者だった。あぁっと」

バードウェイ「木原……アマル?アルマ?だが手を回したらしい」

上条「木原ねぇ。円周の親戚かな」

バードウェイ「珍しい名字なのか?」

上条「いやいや、かなり一般的な名前だよ。一度聞いて――みるのは、良くないよなぁ」

バードウェイ「誰が何と言おうとも終わった話だよ。関係者は処罰されたし、計画も頓挫した」



134:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 11:49:45.74 ID:IDlpEUsn0

バードウェイ「結果的に、魔術サイドと科学サイドが同じ歩みに至る事はなかった訳だが」

バードウェイ「もしもソレが成功していたのであれば、どんな世界になったろうか」

上条「皮肉は皮肉だよなぁ。学園都市とイギリス清教が組んだのは良いけど、次はグレムリンだし」

上条「外に敵がいないと協力しあえないのは寂しいよな……」

バードウェイ「それにしたってどちらがいつ裏切るのか分からない。まぁ、頑張りたまえよ」 ポンポン

上条「最後に他人事かっ!?それっぽいアドバイスとかくれないのっ!?」

バードウェイ「魔術師は元来、己の信念にのみ従う。それ以外はどーでもいいのさ」

上条「面倒臭い……魔術師の人ってこんなんばっかか!?」

バードウェイ「一方通行に御坂美琴、あと麦野沈利を擁する陣営に言われたくはないな」

上条「一方通行は……うん、まぁアレだけど!麦野さんも……まぁまぁデレのないヤンデレ化してるけども!」

上条「御坂はかなり普通の方なんじゃ?」

バードウェイ「お前、好きな相手に包丁で斬りかかるタイプなのか?『避けるだろうから大丈夫!』とか言って」

上条「ギャグだからねっ!あくまでもフィクションであって俺以外にはぶっ放してないから!」

上条「……あれ今好きって言った?誰が?誰を?」

バードウェイ「口元にソースついてるぞ。ほれ、拭ってやるから動くな」

上条「勘弁してくれよ、自分で出来るし」

バードウェイ「そうか?では――あぁ小娘の話だったな」

上条「あっれー?今キングクリムゾ○発動したような……?」

バードウェイ「小娘なんかだと……まぁいいか。私は二週間で帰るんだし」

バードウェイ「今朝のような都市伝説ごっこを毎日繰り返すと思うと、胸が熱くなるな」

上条「俺を!俺をイギリスへ連れてって下さい!」

バードウェイ「ならば忠誠の証を見せて貰おうか!」

上条「まさかのここでドS発動しやがった!?――と、遅いなあの二人」

バードウェイ「現実から目を逸らしても、現実は追い掛けてくるぞ?」

上条「ま、まだ二週間あるしぃ!きっとその間になんやかんやでそげぶして解決する筈だしぃ!」

バードウェイ「その場合、BadEndからS○W BadEndに変わるだけだと思う」

上条「あれ?強調のsoだよね?決して別口のサイコ映画入ってないよな?」



135:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 11:52:03.82 ID:IDlpEUsn0

バードウェイ「そんなに心配なら呼び出せばいいだろ」

上条「だな……あ。円周のアドレス以外にも、シェリーの電話番号も入ってる」

バードウェイ「どうやって調べたんだ。鑑定の依頼出したのって、小娘じゃないのか?」

上条「シェリー呼ぶ意味が無い、と思うけど。あ、ちょっとかけて来るわ」

バードウェイ「どこへ行く?」

上条「トイレでちょちょいと。席でするのはマナー違反、だろ?」

バードウェイ「リュックを忘れているぞー、『当麻お兄ちゃん』?」

上条「見た目はキャラクターもんの缶バッジつけてて、可愛らしいんだよなぁ」

バードウェイ「中にどんな凶器が入ってるのか……いや、凶器『だけ』が入っていると考えた方が、まだ精神的に安定するな」

上条「不吉な事言うなよぉ!俺だって不安なんだからなっ」

バードウェイ「ともかく持っていけ。私一人になった途端、爆殺とかやりかねないだろ」

上条「……なぁ、円周ってそんなに悪い娘かな?」

バードウェイ「善悪で言えば『どちらでもない』と思うよ」

上条「だよなっ、なっ!」

バードウェイ「善悪を知らないが故に危険だが。興味があればキリストの舌でも平気で引っこ抜くだろうし」

上条「だよなー、うん」

バードウェイ「ちなみにその缶バッジな。家に帰ったら『Happy Tree Friend○』で検索してみろ。出来れば動画で」

上条「有名なんだ?」

バードウェイ「予備知識なしで、見ろ。100%トラウマになるから」

上条「んな危険なもん人に勧めるなよっ……んじゃ、ちょっと行ってくる。あ、そうだ」

上条「長くなるかも知れないから、デザートでも食べてれば?あんみつパフェなんてオススメだ」



136:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 11:55:26.34 ID:IDlpEUsn0

バードウェイ「はっ!パフェなんて甘ったるいモンはお子様が食べるモンだよ」

上条「……そーですかー」 ガチャッ

バードウェイ「……」

バードウェイ キョロキョロ

バードウェイ ピンポーン

店員「はーい、なんでしょうかー?」

バードウェイ「あんみつパフェセットを一つ頼む」

ガチャッ

上条「あ、バードウェイ。そういやさ――」

店員「はーいっ!注文繰り返しまーすあんみつパフェセットー、あんみつパフェセットをおひとつー!」

上条・バードウェイ「……」

店員「お時間少々お待ち下さーい!」

上条「……ごめん。ほんっっとーーにっ、ごめんなさいっ」

バードウェイ「気を遣うな!逆にいたたまれない!」

上条「いや別に意外って訳じゃないと思うし。多分マークとか、他の部下の人らも『あ、ボス可愛いなー』ぐらいにしか思ってないって!」

バードウェイ「貴様……侮辱も程々にしろ!」

上条「いやだからごめんって!好きなもんは好きで良いじゃねぇか!」

バードウェイ「立場上入り婿になるが、それでも良いって言うんだな!?」

上条「錯乱してるな?つーか結婚させてまで守るレベルの機密じゃねぇから!」

バードウェイ「……ならばいっそこの手で――」

上条「電話して来まーす!きっと前後の事は忘れてると思いますからっじゃっ!」 シュタッ

バードウェイ「……」

バードウェイ「……はぁ」

店員「ご注文のあんみつパフェお持ちしましたー」 コト

バードウェイ「ご苦労」

店員「……」

バードウェイ「なんだ?日本じゃチップは要らないと聞いたが」

店員「素直になれよツンデレ」

バードウェイ「支配人を呼べ!この店も教育がなっていないようだ!」



137:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 11:57:32.77 ID:IDlpEUsn0

――WC

上条「……?」

上条(何か騒いでんなバードウェイ?『シェフを呼べ』ごっこしてんのか?)

上条(さて) ピッ

上条(円周とシェリーのアドレス、正しいんだろうか?)

上条(つーかこれ赤外線使ったログもないし、全桁打ち込んだのかよ)

上条(人間としてオーバースペック。つか聖人なのかなぁ、神裂とか鳴護みたいな)

上条(ま、もうちょっと常識を分かってくれれば、良い友達になれると)

グリッ

男C「両手を上に上げろ」

上条「そんな気はしてたっ!何かイベント起きると思ってた!」

上条「背後から背中にゴリゴリと硬いものが。うんまぁ慣れてますけどね!」

上条「サイフは後ろのポケットん中だよチクショーっ!」

男D「早くしろ」

上条(強盗じゃないのか?って事はどっかの誰かの関係者)

上条(手洗い場の鏡で映ってる姿は普通の人っぽい……銃は持ってないか、普通は)

上条「……いっそ強盗の方がどんだけ気が楽だったか……!」

男C「そのまま両手を後ろへ回せ。携帯は預かる――リュックもだ」

上条「借り物だから、ちょっと拙いっていうか」

男D「寄越せっ!」

上条「……知らないぞ、俺は」

男C「よし、そのままだ。動くなよ?」

上条(拘束する訳じゃないし、何がしたいんだこいつら?)

男D「武器は……持ってないな」 ポンポン

上条「普通は持ってないだろ。つーか何で俺?俺なんかしたっけ?」

男C「黙ってろ。こっちのは――」

上条「おい止めろっ!?それは開けちゃダメだって!」



138:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 11:59:48.96 ID:IDlpEUsn0

男C「なんだと?やっぱり武器が――」

バシュッ!ガリガリガリガリッ!

男D「え?」

男C「う、ぁぁぁぁぁぁぁっ」

上条「言わんこっちゃねぇな!……うっわグロッ!?」

上条(円周のリュックから手を離した男、その右手は手首から先がない)

上条(噛みきられたような、腕の腱とか血管とかが飛び出て、床に血溜まりを作っている)

上条「あぁもうっ動くんじゃねぇ!」

男B「お前も動くな!」

上条「言ってる場合じゃねぇよ!応急処置しないと出血多量でショック死すんぞ!」

男C「……」 グラッ

上条「あぁもうっ意識が朦朧としてる!銃を置いて縛るもの寄越せ!」 パキィィンッ

男D「に、逃げる気だな!?お前がすればいいだろう!」

上条「誰かが腕を押さえてないといけないんだよ!早くしろ!」

男D「べ、ベルトで良いか?」

上条「あぁ!腕に巻いて……そうだ。そのまま、棒か何か間に挟んでグルグル締めるんだ」

男D「組織が壊死するんじゃ……?」

上条「出血多量で死なせたいのかよ!?」

男D「わかった……」 ギュッ

上条「後は救急車を呼んで、腕も拾っとけ。出来れば氷詰めたビニール袋か何かを貰って来ないと」

男D「待ってろ!直ぐ持ってくる」

上条「すまん。その前にちょっといいか?」

男D「なんだ?」

上条「お前も――眠ってろっ!」 バキッ

男D「ぐぉっ!?」 パキィィンッ

パタリ

上条「……よし、と。あーもーどうしてこんな惨状になった……」

上条「あのまま後ろから撃たれるわりはマシ……と、思うようにしたい、うん」

上条「……」

上条「この血みどろリュック、持ってかないとダメか……?」



139:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 12:01:47.05 ID:IDlpEUsn0

――同時刻 フードコート

ダダダダダダダダダッ

一方通行「あァ鬱陶しい」 ガッ

 腕を一振りして斥力を生み出し、軽く吹っ飛ばす。

男G・H・I・J「!?」

 ベクトルを操作された風が銃を持った者を中心に吹き荒ぶ。
 近くにあったベンチを巻き込みながら、やや大雑把に男達を壁へ叩きつけた。

一方通行「……飽きた、つーか食傷気味っつーかなァ」

一方通行「中距離から豆鉄砲撃ってたって、俺を倒せる訳ァねェだろボケ!」

男G「ヒ、ヒイィッ!?

一方通行(さっきはクソ木原に不意を突かれて焦っちまったが、いざ能力を使えばどうって事ァねェ)

一方通行(てっきり煙幕でも張って近づいて来ンのかと思えば、距離取ってサブマシンガンで牽制)

一方通行(つかコイツら本当に猟犬部隊なのか?服は一般人そのままだし、武装も銃だけ)

一方通行(木原の野郎ならもっとえげつねェ――そう、俺が『殺さなくてはいけない』ようなシチュへ追い込む筈だなァ?)

一方通行(つーか訓練された連中の『凄み』も感じねェ。油断させるにしたって、雑すぎる)

一方通行(膨大な演算量の相手には、息を吐かせないラッシュで追い込むのか基本だろォ)

一方通行「……」

一方通行(――今もだ)

一方通行(ってェ事を考えてる隙に、敵が弛緩した瞬間を狙うのがセオリーの筈なンだが)



140:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 12:03:48.37 ID:IDlpEUsn0

一方通行(それすらもしねェって怠慢にも程があンだろ)

 『木原』と名乗ったにしては脅威度が低い。以前は死ぬよりも悲惨な所まで追い詰められたのに。
 何かが、おかしい。『木原』とはこんなものではない。

一方通行(しねェ、のか?)

一方通行(……いや、『出来ねェ』ンじゃねェのか?)

一方通行(俺の『反射』をぶち破れるンだったら、人混みに紛れて奇襲すりゃいい)

 数撃てば当たる、ではないが。反射出来るだろうと高をくくっている相手に、初撃で致命傷を与えるのが最善だ。
 もしも作戦を立てる側であるなら、躊躇わずそうする。

一方通行(だってのにソレをしないってェのは――)

 どうしてこんな回りくどい方法を取ったのか。それはつまり。

一方通行「……クソが!最初から『あのガキ一人しか反射を貫通出来ない』のかよォ!?」

一方通行(クソみてェなこいつらは全部囮!木原っぽい何ンかもフェイク!)

一方通行(俺に一撃入れるためだけ、たったそれだけのためにこしらえた舞台、っつー事かァ!)

 ショーウィンドゥに傷口を映せば、周囲が異様に黒く変色し、組織がズタズタになってきていた。
 痛覚を遮断し、血流を抑えていたから気づけなかった。

一方通行(毒かよォ!また古典的な!)

一方通行(痺れがねェって事は消化毒……と、何か良く分からない添加物が入ってンな。あァ面倒臭ェ)

一方通行(全てが『後ろから俺を刺して毒を打ち込むため』の芝居……ってェなら、ヤバい毒なんだよなァ、当然)

一方通行(能力を使えば異物も簡単に排出出来るが、バッテリーを喰う)

一方通行(……つってもしない訳にはいかねェ……あァなンかクラクラしやがる)

一方通行(節約すりゃ20分。今から追い掛けて間に合うもンかァ?……って)

一方通行「眠ってろ」 グギィッ

男H「……んがっ!?」

 這いずって逃げようとした男に一撃。ズボンからこぼれ落ちた携帯を手に取る。



141:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 12:06:04.45 ID:IDlpEUsn0

一方通行(通信機通信機っと……最近はスマフォでやりとりしてンのかよ。ハッキングされンだろォに)

一方通行(……あァご丁寧に。デパートのマップと全員の位置情報がリアルで流れてンのな)

 今居る場所には『G・H・I・J』のアルファベット。他にも幾つかの記号と名前が動いている。

一方通行(さっき逃げてったガキは……)

 『木原円周』。地図の大半を占める英字の中、日本語は異彩を放っていた。

一方通行(木原……まァこいつでアタリだろォな)

一方通行(コイツを――『反射』を貫通出来る人間をどォにかしねェと、いつまで下らねェ騒ぎに巻き込まれンだよなァ)

 まだ意識のある男達を蹴り飛ばし、一方通行は円周への追撃に向かう。

 だが、しかし。彼は気づかない。
 一方通行に注入されたものが、物理的な毒だけではないという事に。



142:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 12:07:36.08 ID:IDlpEUsn0

一方通行「……だよなァ。俺ァ降りかかる火の粉を払うンだ。こいつァ正当防衛だしィ?」

 それが自分の――少なくとも、数時間前まで持っていなかった理屈である事に。
 木原数多と再会した際、植え込まれた『悪意』である事に。

一方通行(誰だってそォだ。大切なもンとそうじゃねェもン天秤にかけて――)

 毒は汚染する。思考を侵し判断を鈍らせ、麻痺させていく。

一方通行(――どっち選ぶか考えて生きてンだ。だから――)

 毒は融かす。嘗て決別した筈の『境』を軽々と乗り越えさせる。

一方通行「――ぶっ殺しても『仕方がない』よなァ……?」

 彼は、気づかない。



143:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 12:09:24.68 ID:IDlpEUsn0

――同時刻 WC

シェリー「クローン、だぁ……?」

男の声『そうそう。髪の一本、血液の一滴さえあれば、同じ人間を造れるってぇ技術だ』

男の声『そいつでエリスを生き返らせるって話だ』

シェリー「……ハッ、アハハハハハハハハハハハハッ!」

 見当違いな言葉に笑いが漏れる。

男の声『んだよ、笑ってんじゃねーよ』

シェリー「20年前だぞ?エリスが居なくなったのは!」

男の声『だから?』

シェリー「あの子の細胞が残ってる訳ねぇわよ!墓でも暴くつもりか!」

男の声『「回収」しといたんだよ。あん時、俺がな』

男の声『血溜まりん中からフラスコでこっそりとな?』

男の声『……ま、生憎見つかっちまって、顔の皮剥がされた訳だが、無駄にはならなかった』

シェリー「……それは、エリスじゃない」

シェリー「あの子はもう、ずっとずっと昔に死んだのよ!帰ってくる訳がないの!」

シェリー「幾らどれだけ外見を似せようとしたって!魂の宿らない肉体は人なんじゃねぇっ!」

 それはいつだったろうか。シェリー本人が人ならざる存在へ向けた言葉。
 ゴーレムの『エリス』が彼でないのを分かっていたからこそ。人でない彼女が人として生きているのを羨んだ。

 結果、風霧を否定しようとしたのに、彼女の友達によって阻まれた。
 そう、今の立場と同じように。



144:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 12:11:08.73 ID:IDlpEUsn0

男の声『じゃあお前はどうしたいんだ、シェリー=クロムウェル?』

男の声『お前はカバラに手を染め、仮初めの土塊を造り出している……俺は知ってんだよ』

シェリー「……やめろ」

男の声『こないだの襲撃の際、監視システムがテメェの台詞も拾ってんだ。確かゴーレムの名前は』

シェリー「やめろ!言うんじゃねぇっ!」

男の声『エリス、だよなぁ?』

 男の言葉は核心を突く。どれだけ言われても気にしていなければ揺るがない――逆に、図星であれば、些細な言葉でも動揺してしまう。

男の声『要はアレだよ、アレ。お前はエリスを自分の手で造り出したいのさ』

エリス「そん、なっ!そんなつもりはっ!」

男の声『イヤイヤ別にいいんじゃねぇか?死んだ知り合いの名前をつけるってぇのも』

男の声『ただ、俺が造る――造ってやるのは、正真正銘エリスの細胞を遣った「ホンモノ」だ』

男の声『お前が望むんだったら9歳でも30歳のエリスでもいいんだぜ?』

エリス「9歳だと……お前まさかっ!?」

男の声『あー、違う違う。別に作成済みって訳じゃねぇよ。学園都市の技術でな、好きな歳に成長させてからのクローンが出来んのよ』

男の声『多少寿命が縮むが、それだってゼロか1かだったら、お前さん1を選ぶよな?』

シェリー「わたし、は」

 エリスの居ない未来に生きる自分。紛いものに名前をつけ、執着を断ち切られないで居る。
 だがもし、今ここで、この男の言葉を受け入れさえすれば。

男の声『大丈夫。生まれたてのガキに教育も要らない。「学習装置(テスタメント)」って機械を使えば、記憶や人格をインストール出来る』

男の声『一般常識と、なんだったらお前の知ってる思い出でもフォーマットすりゃほら!エリスの出来上がりだ!』

男の声『別にバカ正直に「エリスです」って言う必要はねぇし、俺が学園側の戸籍でも用意してやっから、後は好きにすればいい』

男の声『そっちでも、なんつったか?ネセサリウスでも、ガキ拾ってきて兵隊にすんだろ?』

男の声『生物学的には人間だし、能力開発してないから理論上は魔術だって使えるぜ』

男の声『さてクロムウェル。どうするんだよ、つーか時間があまり無くてなぁ。出来れば直ぐにでも――』

シェリー「何を、させたいんだ?どうして私なのよ?」

 一度気づいてしまえば遅い。『自分を納得させる理由』探しに、気がついたら台詞が口を滑っていた。



145:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 12:12:44.84 ID:IDlpEUsn0

男の声『そりゃお前が適任だからだよ?場所的にも、人間関係的にも』

シェリー「……どうせ汚れ仕事なんだろ」

男の声『いや、そうでもねぇよ。ただの家出娘をふん捕まえて欲しいってだけ』

シェリー「やっぱりあのガキ――円周、か」

男の声『そう「木原」円周だ』

男の声『あのガキ任務失敗してから逃げ回ってやがってなぁ。何度か捕まえようとしたんだが』

シェリー「小娘一人にゴーレム使えって言うのか!?」

男の声『相性の問題だ。あいつは見た目通りのガキじゃない。対人戦闘のスペシャリストのデータを参考にして動けるんだわ』

男の声『アレだな。ハリウッド映画の主役みてぇな感じか』

男の声『テロリストと人質と一緒にビルに閉じ込められても、半日ありゃ皆殺しにして生還する』

シェリー「……冴えないおっさん刑事かよ」

男の声『人質ごと全員だ。ある意味「木原」を越えてやがるんだよ』

男の声『まぁサイボークか強化服辺りを大量投下すれば確保出来るが、そう派手にもいかねぇし』

男の声『どうしたもんかと考えていたら、どっかで見た顔が来たもんだ。俺ってラッキーだよな?』

シェリー「捕まえた後、どうするつもり?」

男の声『「学習装置」を使って人格を書き換える。危なっかしくってしょうがねぇんだよ』

シェリー「んな下らねぇ事に私が付き合うとでも――」

男の声『いや、するね?お前はするしかねぇんだよ』

男の声『なんせ「それ」はエリスの人格をインストールさせるために必要な実験だからな』

シェリー「腐れ外道が……!」



146:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 12:14:17.81 ID:IDlpEUsn0

男の声『しつこいようだが、これは「取引」だ。だから俺はあくまでも真摯に情報を流してんだよ』

男の声『今だって嘘を吐いて適当に誤魔化そうと思えば出来た。でも、しなかった』

シェリー「……」

 壊れる程強く握りしめた携帯電話。会話と会話の間に出来る無音部分に奇妙なノイズが走るようになっていた。
 少しだけ耳を話せば……どこか遠くから、微かな振動と共に爆発音が響く。

男の声『聞こえるか、クロムウェル?建物の中が随分騒がしいが、こいつぁ円周を確保するために部隊が動いている音だ』

男の声『本来ならばあいつはさっさと逃げ出している筈なのに、今も留まってる』

男の声『さぁて、「誰」を心配してんのかね?』

シェリー「あの子を、殺すのかよっ!?」

 たったの半日、いやたったの数時間しか付き合っていない相手。
 だが、無邪気に――少なくとも外見は――懐いてくれた人間を差し出せと言われて、納得は出来ない。

男の声『あいつは生きてて良い人格じゃねぇ、だが殺すのは忍びない――いや、勿体ない』

男の声『だからわざわざ人格の初期化で済ませよう、って話だぜ』

シェリー「テメェらは、狂ってる!」

 今も昔も。そう――戦わなければいけない相手は、魔術ではなく科学ではないのか?
 禁忌を軽々と踏み越え、生命の再設計や死んだ人間を破片から造り直してしまうような相手を。

男の声『あ、悪い。時間も興味がねぇから、その話はメールにでも頼むぜ』

男の声『その気があるんだったら、適当に確保しといてくれや。ウチの若ぇのが引き取りに行っからよ』

男の声『円周の居場所はそのケータイ使えば分かる』

シェリー「――待て!一つだけ聞かせろ!」



147:以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/18(水) 12:17:19.90 ID:IDlpEUsn0

男の声『おう』

シェリー「あなたが取引を裏切らない保障は?」

 ダメだと心の中で誰かが叫んでいる。
 それはきっと遠い昔に遊んだ少年の声と似ているのだけれど。

 シェリーの心には、もう届かない。

男の声『信じろ、ってぇのが無理な話かも知れねぇな。俺だって昔は真っ当な研究者だった訳さ』

男の声『ぶっちゃけエリスのクローンだって造ろうとも思えば、機会も理由もあった――が、どうしても出来なかった』

 真摯そうに聞こえる言葉。だがその全ては嘘で塗り固められている。
 もう少し精神的に余裕があれば――いや、エリスの事でさえなければ、言葉の端々に潜む欺瞞を嗅ぎ取り、『取引』自体が嘘だと看過していただろう。

シェリー「……」

男の声『そこへ来て逃げ出した円周と、いつの間にか宜しくやってるお前の姿だ。俺ぁ思ったね。「こりゃ良いタイミングだ」って』

シェリー「……偶然、なのにか」

男の声『偶然は重なれば必然となる。そういう事だぜ』

 偶然は重なる事自体偶然ではある――が。
 全てが予め仕組まれた出来事であるならば、それは只の作為だ。
 誰かが、何かのために用意した舞台。

男の声『大丈夫だ。俺ぁお前の信念を踏みにじるつもりはねぇよ』

男の声『きちんと成功させる――今度こそな』

 言葉の毒、長い間他人を拒絶し続けた魔術師にも染み渡る。
 乾いた布が水をよく吸うように。瀕死の古木が根から吸い上げるように。

 『それが有毒だと分かっていても、飲まなければいけない』から。

 長い間惰性で生き続けてきたシェリーにとって、その取引はあまりにも魅力的で。

 喉が渇いた弟は泉の水を、飲む――そして人は獣になった。



161:田中(ドワーフ) ◆7fp32j77iU 2013/09/25(水) 11:17:59.39 ID:r370C9Yf0

>>89
人生初の支援絵だと思った私の喜びを返せ ><

>>160
私と上司の正体(職業)はSS速報さんを卒業する際に明かすかも?まぁ年内ぐらいはお世話になるつもりですが



162:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:19:01.28 ID:r370C9Yf0

――和食レストラン

バードウェイ「……ふむ。中々悪くないな。たまには戯れに子供用の食い物を口にするのもいい」 パクパク

上条「……あのー、バードウェイ?」

バードウェイ「なんだ。遅かったじゃないか」

上条「ちょっと聞きたいんですけど」

バードウェイ「あんみつパフェセットが二つあるのは変じゃないからな。片方はお前用だ。感謝したまえ」

バードウェイ「まぁ冷めてしまっては元も子もないので、私が食べざるを得なかったのだが」

上条「冷めねぇもの元々氷菓だし。じゃなくって俺が聞きたいのは」

バードウェイ「あぁお前も食べたいのか?一人で注文するのも心苦しいだろうから、私も付き合ってやろう」

上条「そうじゃねぇよっ!?つーか気に入ったんだなあんみつパフェセット!俺も大好きだけどもだ!」

上条「レディースデイで女性デザート半額になるのに、男の割引はされなくて不公平とか感じてるけども!」

上条「それよっか気になるのは店内に倒れている男達だよ!」

バードウェイ「しつこいナンパでぶっ飛ばした。反省はしていないし、するつもりもない」

上条「嘘吐くなっ!幾ら色々終わってる性癖が集まる学園都市でも、お前がピンポイントで狙われるかっ!」

バードウェイ「――ほぅ?」



163:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:20:02.01 ID:r370C9Yf0

上条「ヒイィッ!?」

バードウェイ「貴様まだ上下関係について学習出来んようだなぁ……?」

バードウェイ「嫌いじゃない。嫌いじゃないぞ、そういう反抗的な奴は!なにせ」

バードウェイ「屈服させるまでの時間が!屈辱に打ち震えながら頭を下げる姿を見るのも――また、愛おしい……!」

上条「嘘嘘嘘っ!?バードウェイさんってばまるでさる王室の方みたいに髪綺麗だわ肌白いわでっ、男選り取り見取りですよねっ!」

上条「あー4年後が楽しみだなーっ!俺4年経ったら実家へ帰ってパン屋を継いであの子にプロポーズした後で水門を見に行くんだっ!」

バードウェイ「露骨な世辞はマイナス評価だが……まぁ貴様の『下』のラインが16だと知れたのは収穫だな」

上条「しまった……!?これは敵の魔術師の攻撃だ!」

バードウェイ「その『魔術師から攻撃を受けているゴッコ』も、そろそろイタイ中二病とさして大差ないと気づけ」

上条「そうじゃねぇ!そうじゃなくてこの惨状はどういう事だって聞いてんだよ!?」



164:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:20:52.03 ID:r370C9Yf0

バードウェイ「お前と同じだな。トイレへ立って暫くすると、店の客たちが示し合わせたように『バードウェイだな』と」

バードウェイ「面倒なので無視していたら、私のパフェを倒したので少々礼儀を教えてやっただけだよ」

上条「……妙に幸せそうな顔で気絶してやがるけど」

バードウェイ「『殺すな』と小娘に言ってある手前、この程度で殺してやる義理はないさ――と、すまないが右手で触ってくれ」

上条「ん、あぁ?」 ナデナデ

バードウェイ「あ、こらっ、髪が乱れるっ」

上条「さっき言ったけどもお前の髪ってすげー綺麗な。金髪ってのはもっと薄っぽい感じかなって思ってたけど」

上条「金の糸で編んでる織物みたいな感じ?実物を見ると違うなー、と」

バードウェイ「そ、そうか?ふふんっ、もっとやっていいぞ」

上条「地毛、なんだよな」 ナデナデ

バードウェイ「当たり前だ。誰が染めるか」

上条「テレビで見るのはキラキラしたイメージがあったから」 ナデナデ

バードウェイ「あれはボトロドブロンド――脱色した奴だな。連中のは干し藁色をしているだろ?」

バードウェイ「私のは天然のゴールデンブロンド。稀少ではあるな」

上条「その割に俺の知り合いは金髪率が高い気も……?」ナデナデ

バードウェイ「偶然だな。『取り敢えず金髪にしときゃガイジンっぽく見えんだろ!』という意味はないぞ、多分」

バードウェイ「――って違うだろ!?どうしてこの流れでお前が私の頭を撫ぜる必要性があるっ!?」

バードウェイ「しかも貴様相当手慣れているな!ちょっと気持ちよかったぞ!」

上条「そうなのか?俺の憶えてる範囲じゃ、お前ぐらいしか髪触った事無いけど」



165:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:22:00.37 ID:r370C9Yf0

バードウェイ「いいからっほら!こいつらの肩でも頭でも叩いてやれ!」

上条「へーい」 ポンッ

パキイィィンッ

上条「あ」

バードウェイ「やはり何らかの魔術か能力の影響下にあったのか」

上条「なんで分かった?」

バードウェイ「それは移動しながら話そうか。面倒はごめんだからな」

上条「面倒って?」

バードウェイ「端的に言えば、この施設で銃撃事件が起きていると言う事だ」

上条「大事だな!……いやでも、『面倒』って事は、つまり」

バードウェイ「……ちっ、お前は妙な所で聡いんだったか」

上条「巻き込まれたのはどっちだよ!?」

バードウェイ「座れ、取り敢えず落ち着け」

上条「けどな!」

バードウェイ「だから、座れ、と言っている」

上条「……っ」

バードウェイ「情報が錯綜している以上、下手に動くのは得策ではない。ではまず」



166:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:23:33.56 ID:r370C9Yf0

バードウェイ「今し方襲ってきたこいつらの携帯電話だ」 ゴトッ

上条「英字とここいらの地図、か?」

バードウェイ「トイレに二人、こっちに四人。寝ている馬鹿どもと同じ数だな」

バードウェイ「で、マップとリストを操作してみると」

上条「『木原円周』?」

バードウェイ「他にもこいつら――工作員もどきが動いていたり、生命反応が低下している所が集中していたりする」

バードウェイ「……うん?ここのトイレの奴も少し下がってるようだが」

上条「あ!そういや俺救急車呼んだんだった!魔法で傷の応急処置って出来ないのか!?」

バードウェイ「ステータスからすれば必要ないさ。それよりもフードコートの方が瀕死になっているようだが」

バードウェイ「通信機能もついているが、着いたり消えたりの繰り返しだ。男達の会話を聞く分であれば一方通行、木原円周が襲撃対象」

バードウェイ「代わりに何故かクロムウェルには手を出すな、だそうだ」

上条「……どういう事だ?まさかシェリーが敵側だって話かよ!?」

バードウェイ「とも考えられるし、魔術師サイドだから手を出“せ”ないかも知れない」

バードウェイ「そもそもこの情報が正しいとは限らない」

上条「はぁ?」

バードウェイ「見せパンってあるだろ?アレと一緒でわざと私達に通信機を奪わせ、攪乱させる」

バードウェイ「実は今、シェリーが連中に囲まれてる真っ最中かもな?」

上条「……誰が敵で誰が味方だ……?クソッ!」



167:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:24:31.02 ID:r370C9Yf0

上条「情報が少なすぎる!慌てて駆けつけてみれば、敵に囲まれていたんじゃ意味が無い!」

バードウェイ「以上が現在ある情報だ。さ、納得した所で帰るとしようか」

上条「え?」

バードウェイ「夕飯はソバが食べたい。カツオとソイソースの風味は絶品だと思うのだよ」

上条「あぁどうも……?じゃなくってだ!円周はどうする!?シェリー居るんだろ!」

バードウェイ「何故?どうして私が助けてやらねばならん?」

バードウェイ「『明け色の陽射し』にどう利害が絡む?」

バードウェイ「むしろここで揉め事を起こした方が、ゲストとしての立場が悪くなると思うがね」

上条「そりゃ……そうかも知れないけどさ!」

上条「目の前で困ってる人が居てだ!手を伸ばせる位置にいれば、誰だって助けようとするじゃねぇか!」

バードウェイ「本当にそうか?この事件、杜撰が過ぎるぞ」

バードウェイ「見ての通り工作員もどきはやっつけ。恐らくは何らかの魔術か異能の支配を受けた一般人だ」

バードウェイ「しかもご丁寧にお互いの位置情報がバレッバレの携帯電話を、さも奪ってくれと言わんばかりに持って居た」

バードウェイ「トドメはあからさまに怪しい『木原円周』の表示だ。これが罠でなくてなんだと言うんだ、えぇ?」

バードウェイ「『明け色の陽射し』のボスとしては、むやみやたらに関わる事は出来ない」

上条「……分かった。それじゃ、俺一人で何とかしてみるよ」

バードウェイ「……」



168:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:25:37.40 ID:r370C9Yf0

上条「一方通行が居るんだったら、合流すれば何とかなるだろ」

バードウェイ「……あのなぁ新入り。私はダメだ、と言っている」

バードウェイ「『結社としてのメリットがなければ』と」

上条「ん、分かるよ?だから俺が――」

バードウェイ「そうじゃない!……あぁもう面倒臭いっ!」

上条「……いやあの、時間無いからさっさと行きたいんですけど」

バードウェイ「お前は誰だ?」

上条「うん?」

バードウェイ「見習いとは言え、貴様も『明け色の陽射し』の一員じゃなかったのか?」

バードウェイ「ならお前が首を突っ込んだ以上、結社全員の問題となる。違うか?」

上条「……バードウェイ、お前!」

バードウェイ「あぁ。まぁ、その、なんだ。つきあってやらんでも無い」

上条「……面倒くさっ!?」

バードウェイ「ここは感謝の台詞だろうが!『私はお優しいボスを持てて幸運でした!一生忠誠を誓います!』って言う所だろ!」

上条「知らねぇよなんだそのローカルルール!?七並べにジョーカー入れるようなもんじゃねぇか!?」

バードウェイ「え、入れるだろ?」

上条「いや、入れないだろ――じゃ、ねぇっ!」

上条「あぁもう行くぞ!ってか最初っからンなやりとり必要ないだろ!」

バードウェイ「私だってしたくてした訳では無い!どっかの馬鹿者が初日に『俺は俺の流儀を通すぞ。絶対に(ドャァ)』したから!」

バードウェイ「てっきり『仲良くするためには形から。この流れだと助けに行くもんだ』ぐらいは言うと思っていたんだよ!」

上条「お前なぁ……」



169:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:26:27.08 ID:r370C9Yf0

バードウェイ「――ま、冗談はともかくとしてだ」

バードウェイ「この騒動、確実に『もう一枚何か』が絡んでいる。まるで薄気味悪いストーカーに観察されてるような」

上条「マークじゃね?」

バードウェイ「気がつくと机の上へ『親愛なるボスへ(はぁと)』って書かれたメッセージカートがあった気分だ」

上条「あ、俺犯人わかっちゃった。マークで始まり、スペースで終わる人の犯行だと思うよ?」

バードウェイ「ここで考えられるのは『暗殺』だな」

バードウェイ「素人の兵隊を用意しておいて、その隙に死角から思いっきりぶん殴る」

バードウェイ「対象はお前に私、一方通行、クロムウェル……誰一人死んでも、碌な結果にだけはならん」

上条「……分かってるさ。円周含めて、誰一人として死なせるつもりはねぇよ!」

バードウェイ「それで良い。お前は、それ“が”良い」

 ぐぃ、と上条は胸倉を掴まれ、顔が近づけられる……ただし身長差のせいで、大分前屈みになるが。



170:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:27:55.17 ID:r370C9Yf0

バードウェイ「世界にはいつだって人が死んでいるのに、それすら理解してない奴は多い」

バードウェイ「戦争になる前は『何故、戦争は無くならないのか?』と悩み」

バードウェイ「誰かが戦争を終わらせた後で『戦争しかなかったのか?』と言うような馬鹿者どもだ」

バードウェイ「誰もしないのであれば『お前』がしろ!武器と智恵は我々がくれてやる!」

バードウェイ「猟犬であり、魔弾であり、貴様は悪を撃つ剣であればいい」

バードウェイ「タクトは私が振ろう。お前は喉元に喰らいつくだけでいい」

バードウェイ「考えずに、走れ!行き先は私が誘導してやる!」

上条「……ありがとう、バードウェイ――じゃなかった、ボス」

バードウェイ「……ま、バードウェイで構わんさ。敬意のない敬称など豚の餌にでもくれてやれ」

上条「いや、敬意とか尊敬が無いって訳じゃないんだぜ?その歳でよく考えてるなーとか?」

上条「でもお前はちっさいから、守らなきゃなっても思うんだよ」

バードウェイ「生意気言うな馬鹿者。私を守るなんざ100年早いよ」

上条「ガキの台詞じゃねぇぞ、それ」

バードウェイ「ではいざ行かん、私達の戦場へ――店員、勘定を頼む」

店員「……」 ジーッ

バードウェイ「なんだ?」

店員「ナイスツンデレ」 グッ

バードウェイ「煩いぞ外野!後日この店には文章で抗議するからな!」



171:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:29:02.58 ID:r370C9Yf0

――ショッピングモール

 シェリー=クロムウェルの探す相手は意外とあっさり見つかった。
 高給文房具屋の一画、キャンバスやパン――昔は消しゴム代わりに使っていた、今では絶対に使わない――などの画材が並ぶ区画に木原円周はいた。

 GPS情報そのままだった上、目印もあった。一言で表すならば『食い散らかし』であろうか。
 必ずと言って良い程、異様な光景をまざまざと見せつけられる。
 どうせ木原数多の兵士であろうから同情はない。側に転がっている銃器から察するに、自業自得とはいえ、だ。

シェリー(これ、本当にあのガキ一人でやった事なのかよ?)

 間接が逆方向にねじ曲げられていたり、ホチキスの芯が動脈に刺さっていたり、画用紙で手首を切断されていた。
 中にはシャープペンで壁に貼り付けになっている男達。シュールな絵は猫と鼠が追いかけっこするアニメを思い出させる。



172:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:30:37.88 ID:r370C9Yf0

 学園都市製の『能力』であれば、身体能力の強化、物体の硬度を上げる、高速で投擲する、のどれかだが。
 一人に能力は一つだけであり、一人の人間が巻き起こした惨状では有り得ない。

 反対に魔術で再現するのは不可能ではない。ただ非効率であるいうだけの話。
 人を害する魔術なり霊装なりを用意する魔術師は多い。また一つだけではなく、ネタバレや無効化されてしまった場合に備えて、複数個用意するのも常識だ。

 しかし『メイン』――得意とする術式は大抵一つに絞られる。

 戦場へ行くに当たってライフル銃を何本も持つ兵士は居ない。それが行動の妨げになるだけでなく、あれもこれもと手広くスキルを学んでも同時に使える訳では無いからだ。
 なので一番己に適した武器を『メイン』として精度や威力を上げるに尽力するだろう。

 その挙動一つ一つが並の魔術師を遥かに超える『聖人』や、どこぞの魔術結社のボスでもない限りは。



173:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:31:31.80 ID:r370C9Yf0

 そう言った意味で言えば、目の前に広がる『これ』はとても効率的とは言えない。
 一つの武器に拘る訳でもなく、まるで『たまたま目の前にあった道具を使ってみました』と言う感じですらある。

シェリー(そういやガキが『スプリーキラー』つってたっけか?)

 短時間で多くの人間を殺傷した者へ送られる蔑称。中には栄誉に思う者もいるだろうが、思うが思うまいが狂ってはいる事実に違いはない。
 『お前が気に入らないから』と言う理由だけで、多くを死へと追いやった存在――の、筈なのだが。

円周「……」

 血溜まりの中、膝を抱えて座り込む姿はひどく弱々しく――年相応の少女にしか見えない。



174:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:32:28.33 ID:r370C9Yf0

シェリー「……よぉ」

円周「シェリー、ちゃん……?」

 最悪不意打ちで一撃入れてでも、と思っていただけに、素直な反応は意外だった。

シェリー「あークソ。女の子がンな顔するんじゃねわよ。血でベットベトじゃねぇか」

円周「むー、大変だったんだからねー――むぎゅ、あにするお?」

 持っていたハンカチで顔の返り血を拭いてやる。全身血塗れの相手にどれだけ意味があるのは不明だ。

シェリー「つーかね、何やってんのよ?これ全部お前が?」

円周「んー……多分?」

シェリー「多分て。憶えてねぇのかよ」

円周「帰ってきてからちょっと記憶が飛ぶんだよねぇ。鞠亜ちゃんに殴られたせいかも?」

シェリー「お前相手に一撃入れた相手ってどんなゴリラだ、そいつ」

円周「メイド学校の子だよ?ま、次は勝てばいっかー」

 くすくすと笑う。邪気の全くない笑顔で。
 しかしここまで来る途中にあった肉塊寸前の人間達を思えば、人格に問題があるとしか思わずにいられない。



175:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:33:42.53 ID:r370C9Yf0

シェリー「ここで話すのもアレだし、少し場所を変えるか」

円周「あっちの方にベンチがあったよ」

シェリー「ん」

 改めて円周という少女を観察してみてつくづく思った事だが、これは人間じゃない。『肉と血の詰まった容器』だ。
 動かしているのは何か別の、悪意とは次元の違う『欲』か?
 根底にあるのは何かの依存心?それとも機械でも入っているのか?

シェリー(……ふん)

円周「どうしたのシェリーちゃん?気分悪いんじゃ?」

シェリー「悪いのは今も悪りぃけど……なぁ、聞いていいか?」

円周「当麻お兄ちゃんだよっ!あ、でもシェリーちゃんもっ」

シェリー「好きな奴じゃねーよ!そうじゃないの、お前の事よ」



176:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:35:11.93 ID:r370C9Yf0

シェリー「お前の歳でこれだけボコスカ殺しまくってだ。良心は痛まねぇのかって話だよ」

円周「殺してないよ?」

シェリー「今日だけじゃない。バゲージでも派手にやったって聞いたぞ」

円周「んー……お仕事だしなぁ。趣味だって思われるのは心外かも」

シェリー「仕事ぉ?」

円周「スプリーキラーって呼ばれる人達は、大体『好きでやっちゃった』んだよね?」

シェリー「じゃ誰も殺したいとは思わなかったって言うのかよ?」

円周「あ、違う違う。そうじゃないよ、出発点から、違う」

円周「わたしが誰かを傷つけたのは『木原』だからだよ?『木原である事を求められたから、そうしているだけ』なんだよ」

シェリー「はぁ?」

円周「人を作っているモノってなんだと思う?」

シェリー「神様とか、そういうこっちゃねぇよな?」

円周「うん。構成しているって意味で」

シェリー「私が言うのもアレだけど、物質的肉体は必須だよな」

円周「だねぇ。それはどっちのサイドでも外せないと思うよ」

シェリー「出発点はどうしたって『そこ』だからな。グノーシスみたいに、肉体を否定する所からは始まらない」

円周「グノーシス主義は原始十字教が、男性にしか許されていなかった裏返しだと思うけど?過剰な女性賛歌は地母神信仰の影響かも」

シェリー「……こっちサイドまでイケる口かよ」

円周「お互いのラインを踏み越えないようにしているけど、史実を研究しない訳にはいかないしねー」



177:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:36:23.57 ID:r370C9Yf0

円周「えっとね……うん、人は肉体を持って色々なモノを詰めているんだよね?」

円周「信念だったり、記憶だったり、お仕事だったり、趣味だったり、家族だったり。大事なモノを内側に置いている」

シェリー「……あぁ、何となく分かる気がするわ」

円周「人生の優先度、とか重要度みたいな感じでねっ」

円周「でも逆にほぼ――中身が『からっぽ』であっても、その人は人間なのかなって」

シェリー「それは――どう、だろうな」

円周「わたしには足りないんだって。本来入っているべき感情とか、『木原』としてあるべきものが」

シェリー「『木原』が足りない?」

円周「例えばねー、うん。このお洋服、ステキでしょーっ?」

 返り血に染まった服をつまみ上げ、笑う。とてもじゃないが、愛想笑いすら出来る状況ではない。
 何かが欠損している。

円周「けど、このお洋服は店員さんに選んで貰っただけの、『この年頃の女の子ならこういう服を着る』から」

円周「だから、選んだんだよ?」

 ひゅう、と言う風の音が聞こえる。
 人工的な風以外は絶対に入らない、ほぼ密閉させた施設であるというのに。

 その風はとても、心を冷やす。



178:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:37:24.90 ID:r370C9Yf0

シェリー「……待て待て。お前確か、甘いもの好きだって言ってたよな?」

円周「『女の子は誰だって甘い物が好き』なんでしょ?」

 予想以上に……壊れている。いや、自我が無いと言うべきだろうか?

 シェリーは戦闘で一線に立つのは稀であるが、それ相応の修羅場は見てきた。
 明らかに気を病んだとしか思えない霊装や、新大陸で興った蕃神系の魔術にも触れ、狂気へそれなりに耐性は持っている。つもりではいた。

 だが目の前にある『これ』はなんだ?
 物が人の姿をした何か、に思える。

 また風が、ひゅう、と鳴く。心がささくれ立つ。

シェリー「……じゃあお前は。命令されたから、バゲージへ行った、ってだけの事なのか?」

 それはシェリーが使っているゴーレムと何が違う?
 軍隊が持つ鋼の兵器と比べてすら遜色ない。



179:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:38:24.02 ID:r370C9Yf0

円周「そうだねっ!興味もあったけど、一番の動機はそれかなー?」

円周「木原円周、っていう『筺(ハコ)』を満たすために頑張ってる、みたいな?」

シェリー「ふざけるな!そんな簡単に人が人である資格を失う訳が無ぇだろ!」

シェリー「ヒトの体に魂さえ入っていれば!それは立派な人間に決まってる!」

 何を口走っているのか、自分でももう分からない。
 この少女が希薄であればある程、シェリー自身の罪悪感は薄れるというのに。

シェリー「だ、大体お前は!テメェはあのガキが好きだって言ってたじゃねぇか!?」

シェリー「ほら、お前もきちんとした好き嫌いがあ――」

円周「――ね、シェリーちゃん?わたし、知ってるんだよぉ」

円周「シェリーお姉ちゃんもわたしと同じ、『足りない』んでしょ?」

円周「『本来ある筈のパーツを、永遠に無くしちゃった』んだよね?」



180:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:39:12.68 ID:r370C9Yf0

 ひゅう。

円周「ね、言ったよね?わたしの『筺』は全てが空っぽだから、こんなに」

 あぁそうか。この風の音は――。

 ひゅうひゅうと。隙間風が。

シェリー(私の『筺』の隙間から、吹く音かぁ……)

円周「わたしね、当麻お兄ちゃんもシェリーお姉ちゃんもだいっっっっ好きだよっ!」

円周「二人とも、同じ!わたしと同じで!」

円周「埋まらない『筺』を、満たされない『筺』を抱えてる――」

円周「――お揃いだよね、ねっ?」

 どこからか隙間風が吹く。



181:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:40:22.26 ID:r370C9Yf0

――ショッピングモール

 携帯電話の表示通り進んで行けば、一方通行を待っていたのは散発的な襲撃とゴミのような時間稼ぎだった。
 逃げ惑う客に紛れて攻撃する訳でもなく、ただ一定の距離へ入れば攻撃を受ける。
 非常に退屈なルーチンだ、と彼は考える。

一方通行(よっぽどこの『毒』に自信があンだろォな。大した意味は無かったンだが)

 体を蝕んでいた毒は既に体外へと排出されている。
 ただ、気づくまでの僅かな時間――毒の『溶媒』に使われた物質を、少し吸収してしまってはいた。

一方通行(つっても能力落ちる訳じゃねェし?むしろ――)

ト゚ォォォォォォォンッ!!!

男T「――!?

 悲鳴すらも巻き込んで襲いかかってきた猟犬部隊を沈黙させた。

一方通行(ちぃと制御が暴走気味になってンだが……まァ、いいか)

一方通行(この『普通』を守るためだったらなンだってする。俺ァ、そう決めたンだ……!)

 時間の無駄とも取れる不毛な――文字通り『一方通行』なやりとりは暫くすれば収まる。



182:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:41:14.44 ID:r370C9Yf0

 『木原円周』と地図上に表記されたポイントへ来てみれば。

一方通行(誰だ?あの女?)

 先程背後から刺した少女、木原円周の他にもう一人。
 ぼさぼさの金髪と真新しいスーツ――所々泥や血がついているが――を着た、褐色の肌の女。

一方通行(黄泉川と同じぐれェか……つかバレンシ○カ、30万近けェスーツじゃねェか)

一方通行(アンチスキルってェ訳がねェよな。どう考えてもクソ木原の関係者だろォが)

一方通行(一応声だけはかけっかァ)

一方通行「オイ!そのガキこっちに渡せ!」

シェリー「……アンタが……」

シェリー(木原が言ってた『若いの』はコイツか……白いな)

一方通行「早くしろ!こっちだってヒマじゃねェンだよ!」

シェリー(この、『薄い』ガキを渡すだけでエリスは――エリスの『外側』をした子は帰ってくる!)

シェリー(もう会えないと諦めていたエリスが!冷たい墓の下で眠ってるエリスと!)

シェリー(一緒に居てあげられるんだ!)

シェリー「……」

シェリー(けど……本当にそれで良いのか?)



183:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:42:09.40 ID:r370C9Yf0

 人が人であるのは。獣との一線を画すものがあるとすれば。
 それはきっと『信念』だろう。

シェリー(こんな単純に、『割り切って』しまう私が)

 人としての尊厳を失ってしまえば、それも魂の有無以前に。
 『筺』としての役割は無くなってしまう。

シェリー(人の形をした命あるモノをあっさり交換してしまえる私が)

 “人”でなくなった私が――。

シェリー(あの子の側にいても――)

一方通行「……どォすンだァ?俺ァここでやったって構わねェンだがよ」

一方通行(毒は排出したのに能力が不安定になってやがる。さっさとぶっ殺して帰ンのが得策だァな)



184:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:43:11.69 ID:r370C9Yf0

円周「……ね、シェリーお姉ちゃん」

シェリー「……そう呼ぶなっつったろ」

円周「わたしね、分かってるんだよ」

円周「シェリーお姉ちゃんは私を捕まえに来たんだよね?」

円周「そうじゃなきゃ『わたしなんかに興味なんて無い』んだから」

シェリー「アンタ……知ってた、のかよ?」

円周「当ぉ然だよぅ!だってだーい好きなシェリーちゃんの事だもん」

円周「『こんな時シェリー=クロムウェルはこうする』って、私“が”観察したんだから」

円周「……いいよ、わたしの部品であなたの『筺』が埋まるんだったら」

円周「うん、うんっそうだよねっ!こんな時はこうするんだよねっ!

円周「『上条』ならきっとそうするって!」

シェリー「……っ!?」



185:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:44:34.52 ID:r370C9Yf0

一方通行「……お別れは済ンだかァ?カミサマに祈る準備はオーケェ?」

一方通行「これ以上時間稼ぎされっと、オマエごとぶち抜くンだが」

円周「待っててくれてありがとうっ……えっと?」

一方通行「名乗る意味が分からねェ。どうせオマエにはもォ関係無ェだろ」

円周「白モヤシ?」

一方通行「……なンで俺の周りは口が悪りィ奴しかいねェンだ。それとも俺も知らねェ間に祭りでも起きてンのかァ?」

円周「人の恨みを買った憶えはないのー?」

一方通行「心当たりが有りすぎて分からねェ……ンじゃついてこい。ちっと場所変えンぞ」

一方通行(ライオン女の前は……流石になァ?)

一方通行(まァそれでいい。人は結局『割り切る』もンだからな)

シェリー「――てよ」

一方通行「あァ?」

シェリー「待てって言ったんだよ!」



186:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:45:32.66 ID:r370C9Yf0

円周「シェリーお姉ちゃん……?」

シェリー「……そう私を呼ぶなっつってんだろ。テメェは後でオシオキだ」

一方通行「……まァ?こンな展開になるたァ、思ってたンですけどォ」

一方通行「一応聞いてやンよ――どォしたババア?今頃ンなって情でも湧いたのかァ?」

シェリー「『割り切れ』ねぇんだよ、こっちは」

シェリー「どうやったって人の姿して人の格好して人の感情持ってやがんだよっ!だったら『それ』はもう人と何が違うのよっ!?」

シェリー「ねぇ、そうでしょ!?そう簡単に『割り切って』良い訳がないっ!」



187:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:46:21.06 ID:r370C9Yf0

一方通行「……そりゃァ、オマエがそう感じてるだけだよ。良いも悪いもねェさ」

一方通行「けどよォ、つか。この世の中『割り切る』のが筋じゃねェのか」

一方通行「……世の中にゃァなァ、人の外ヅラとDNA持って生まれてきた奴が居てだ」

一方通行「そいつらを雑草引き抜くよォにぶっ殺してたクソもいるってェ話なンだが。まァ?」

 自嘲する。もう、繰り返さないように。
 あんな悲劇はもう二度とごめんだ、と。

一方通行「でも、どこかで!絶対に『割り切らなきゃ』いけねェンだよ!」

一方通行「大事なもン守りてェんだったら!二択を迫られて切り捨てる展開だってあるンじゃねェのか!あァ!?」



188:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:47:15.33 ID:r370C9Yf0

シェリー「ふざけんな!信念なんぞ人の数だけ、それこそ一人にだって二個三個あるってもんだろ!?」

シェリー「その一つ一つに優先順位つけるぐらいだったら――最初から、語るな!」

 一度は一つの信念のために、捨てる決意をした。
 入れ物としての“ヒト”を捨て、畜生以下に堕ちる覚悟すらした。

 だが、しかし。

シェリー「約束を破るぐらいなら最初からしなければいい!」

 シェリー=クロムウェルを突き動かすのは『信念』。
 雑多な、しかも矛盾したチグハグなものであって、根底にある越えてはいけない一線がある。

シェリー「信念を守れないのなら最初から信念など持つな!」

シェリー「アンタはあれだよ。木原の犬だか息子だか知らねぇが、あのバカにそっくりだ!」

シェリー「テメェが――テメェらがやってんのは『楽』な方向へ進んでるだけだ」

シェリー「アレじゃねぇのかしら?二択だの割り切るだのって、それ。それの事なんだけと」

 矛盾してようがしていまいが、どれ一つの信念も疎かにしない。
 それが彼女を獣から掬い上げた。

シェリー「最初っから守るつもりもねぇんだろ、なぁ?」



189:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:49:09.87 ID:r370C9Yf0

 ぴくり、と色素の薄い一方通行の顔に青筋が浮く。

一方通行「……まァ、アレだ。血管ぶち切れそうになる楽しいお喋りは、ここまでにしようぜ」

シェリー「そうね。私も面倒になってきたわ」

一方通行「ってェ割には楽しそうだなァ、オマエェはよォ?」

シェリー「うふ、うふうふふふふふふっ!そりゃ楽しいですもの!とてもとぉぉっても!」

シェリー「暗い昏い闇い冥い墓場の筺にあなたの亡骸を埋めて、お花を飾るわ――」

シェリー「――テメェの脳漿ぶちまけてえぇっ!紅い鬼灯でデコレートしてやるよ!」

シェリー「来い、エリス!!!」

 地響きとともに土塊の巨人が立ち上がる。

一方通行「あァ……まァ、いいよなァ?『ここまで付き合ってやった』ンだからよォ」

 カチ、と電極の出力を上げる。

一方通行「CryCryウルセェンだよクソババア!泣くンだったらオマエの弱さに歯痒ンで泣け!」

 ドォォゥンッ!!!

 仕掛けたのはどちらが先か。
 ゴーレムが拳を振り、一方通行が掌を突き出す。僅かそれだけの攻防で辺りが砂煙で覆われる。



190:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:50:20.14 ID:r370C9Yf0

 が、『砂煙』である以上、どちらが摩耗しているのは一目瞭然な訳で。

一方通行「だよなァ。こォなるよなァ?」

 一方通行の突き出した腕はそのまま。ゴーレムは右腕の肘辺りまで崩れ落ちている。
 どちらかと言えば長期戦が得意な魔術師。片や制限時間付きではあるが、学園都市最強。

 瞬発力に於いて勝てる物ではない。

 が、一方通行は心の中で僅かに首を傾げる。

一方通行(一撃でぶち壊して、後ろのハバアごと潰すつもりだったンだがなァ?妙な力、つーか魔術師相手だとちっと面倒臭ェ)

一方通行(魔術を使わせられる、なンてェとンでも体験は一回キリだ。これ以上付き合うつもりもねェが)

 ドォン、と人型の土塊が床に手をつく。手応えがなさ過ぎる。

一方通行「オイオイもうオシマイってェ訳じゃねェだろう?俺をこれ以上怒らせンじゃねェぞ、あァ!?」

 実際の所、これだけの大質量を人型にして操る能力であれば、最低でもレベル3。継続時間によってはレベル4であってもおかしくはない。

 相手が悪すぎる――学園都市の人間であればそう諦観してしまう事であろう。
 そう、それが『只の能力者でしかない』のであれば。



191:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:51:26.65 ID:r370C9Yf0

シェリー「エリスが泣いている。可哀想なエリスが」

シェリー「でももう大丈夫。ウスノロの腕は私が造り直してやる、何度だって」

 ゴーレムが右手を引き上げると、床に着いていた場所に大きな穴が空いていた。
 周囲のコンクリートや鉄筋、果ては電気ケーブルも巻き込んで、新しい『腕』の素材とした。

シェリー「うふ、うふふふふふふっ!素敵、ね?素敵よね?」

シェリー「こぉんな鉄と石と錆で囲まれた場所なんざ、無尽蔵にエリスの素材が揃ってるって訳だ!」

シェリー「そしてぇ、それだけじゃねぇんだよ!」

 ズゥンッ!

 突然天井が爆発する――の、ではない。
 瞬間五芒星が浮かび上がり、大量の鉄筋やコンクリート片が爆砕四散した。

 一方通行の真上で。



192:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:52:20.16 ID:r370C9Yf0

シェリー「あっはははははははははははははっ!どぉしたどした能力者ぁっ!?まっさか、不意打ち喰らって死んだなんざ笑っちまうよなぁ!」

 念のため、万が一に備えて木原が裏切った場合に仕込んでいた魔法陣。
 本来であればゴーレムを作成するための物だが、既に喚んでいる場合には土や鉄を弾けさせる凶器となる。

 まともな能力者であれば不意を突かれ、能力の演算も出来ずに瓦礫の下敷きになったであろう。
 そう『まとも』な相手であれば。

 グォン!!!

 墓場から死者が手を突き上げるように、極々何の躊躇もなく一方通行は周囲のゴミを吹き飛ばす。
 辺り一面にガラスやコンクリートが突き刺さり、もしも買い物客や店員達が非難していなければ大惨事が起きただろう。

一方通行「あァ面倒臭ェ!土遊びはっかしてンじゃねェぞ!」



193:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:53:35.53 ID:r370C9Yf0

 再生する土人形。
 何度再生するとしても限界はあるだろうし、周囲のコンクリートを吹き飛ばしてしまえば物理的に不可能だ。
 しかしそんな事をやっていれば余裕で時間切れになる上、やったとしても『じゃ、次はこいつだ!』と新しい何かを仕掛けてくる可能性もある。

一方通行(物理的に、つったって物理法則もガン無視決め込ンでる連中だしなァ)

 本体を止めてさっさと木原円周を殺そう、そう結論づけで一方通行は手近にあった鉄筋を手に取る――。

 グシャッ。

一方通行「……あァ?」

 掴んだ筈の鉄筋はボロボロと握り潰してしまった。力の加減、普段の力では到底持てないため、多少ベクトルを弄ったが。
 二度三度と他も試してみるが結果は同様。手に取るどころか崩してしまう。



194:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:54:47.42 ID:r370C9Yf0

シェリー「どうした白モヤシ?あんまり怖くてパントマイムしてんのかよ」

一方通行「ウルセェ更年期障害」

シェリー「やかましい若白髪。ケツからションベン漏れてるわよ」

 安い挑発……だが、何か背中に違和感を覚える。
 反射的に傷口にやった手を見てみれば――血が。

一方通行「……はァ?」

シェリー「じゃねぇよテメェは。最初っから瀕死だったんじゃねぇか」

 ベクトル操作で出血や組織の壊死も抑えたのに、床には少なくない量の赤黒い血溜まりを作ってしまっていた。
 この傷は――。



195:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:55:56.72 ID:r370C9Yf0

一方通行「……そォか。あァ成程なァ。そかそか、そォいう事か」

一方通行「俺が『これ』に巻き込まれたのは、俺への嫌がらせじゃねェのか」

一方通行「だからっつって今更勧誘でもねェし、背後からぶっ刺すのも違う!」

一方通行「毒もメインなンかじゃねェ!全て!全てがダミーだったンだよ!」

シェリー「……なぁ、そろそろ殺していいか?ダメだっつってもスクラップにするけどよぉ!」

 『エリス』はゆっくりと腕を持ち上げる。
 一方通行は動かない――動けない。

一方通行「『体晶』か!そいつを使って能力暴走させンのが――」

シェリー「こいつがテメェの『割り切った』結果だ。土塊を抱いて……おやみなさい」

 身動きの取れない一方通行に土砂が降り注ぐ。
 体積からすれば精々数トン。常人からすれば良くて即死、悪ければ苦しみながら、死ぬ。



196:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:56:44.14 ID:r370C9Yf0

 普段通りのコンディションであれば、楽に跳ね返せる量。脅威ですらない。

 だが能力が暴走している彼にとっては絶望的な状況だ。

 銃弾であれば運動エネルギーを跳ね返せるし、向きを変える――最悪、急所から外すだけでもいい。

 しかし『大量の土塊』であれば、その重量と勢いを転換させる力が必要とする。
 先頭の土砂を反射したとしても、勢いが弱ければ次々と降り注ぐ土砂に呑まれるだけだ。

一方通行(……クソが!俺ァこンな所で終わる訳にはいかねェンだよ!!!)

 生存本能からか、はたまた誰かにかけられたリミッターでもあるのか。
 一方通行が最後の力を振り絞り、あの禍々しい『翼』を出そうとした瞬間。

 声が、音が、姿が。

 パキイィィンッ……!!!

 襲いかかる土砂を霞の如く打ち消し、周囲一帯を無へと還元する『翼』の発現を止めた人物は。
 いつものように、笑う。

上条「どうも。昨日から『明け色の陽射し』団に入った上条当麻です」



197:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:58:16.57 ID:r370C9Yf0

――ショッピングモール 震源地

シェリー「……テメェ、今更何しに来やがった!?」

上条「俺の方でも襲撃とか色々。ここに直行って訳じゃないしな」

バードウェイ「打ち払ったのは私なんだが、と私はキメ顔でそう言った」

上条「マシンガン持ってる相手に無理ですからっ!?バードウェイさんちょっと黙ってて!」

シェリー「そいつぁ何なんだよおぉっ?どうしてこのガキを殺そうとした?大体なんでテメェらが庇う必要がある!?」

シェリー「答えろよおぉっ!!!」

上条「……悪い。バードウェイ?」

バードウェイ「行ってこい。多分『それ』を一番望んでいるのは、クロムウェル自身だ」

バードウェイ「お前が『助けて下さいお優しいバードウェイ様』と懇願するまでは手を出さんさ」

上条「あぁ任せろ!……待って?それなんかおかしくない?」

シェリー「コントやってんじゃねぇわよっ!――エリス!」

 腕を無くしたゴーレムは周囲から補充を終えると、再び手を振り上げる。



198:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:58:55.35 ID:r370C9Yf0

シェリー「答えろよおっ!ソイツは、ソイツは私の敵だぞ!?」

上条「友達だからだ」

シェリー「なん、だと……?」

上条「俺はこいつが友達だと思ってる。だから助けるんだ」

シェリー「は、あはははははははっ!そぉかぁ、お前も『木原』だったのかよ!」

シェリー「学園都市はクソだと思ってたけど、ここまでとは流石にねぇ?」

上条「違うんだ!聞いてくれシェリー!一方通行はお前の言っている『木原』なんかじゃない!」

シェリー「だとしてもだ!ソイツは、只『何も入ってない』って理由だけで!」

シェリー「このガキを殺そうとしたんだぞ!」

上条「そう、だな。それはそうかも知れない。でもっ!」

上条「俺は止めるさ。なんか聞き分けの良い事言って、『割り切る』ような真似をしたら殴ってでも」

上条「悪い方向に行こうとしたら、止める。それが友達だって俺は思ってるからな」

シェリー「……優しいのねぇ、あなた」



199:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 11:59:36.40 ID:r370C9Yf0

上条「でもな、シェリー。シェリー=クロムウェル!」

上条「俺はお前だって友達だと思っている!だから!」

上条「目の前でバカやらしそうになってるお前を!俺は絶対に止めるんだよっ!」

シェリー「つまんねぇジョークだなぁ――潰せよ」

 ズゥンッ!

シェリー「ほらほら、どーしたぁ?ビビって動けねぇのかァ?」

シェリー「そこを早く退かないと、ミンチにしちゃうわよ?ね、ねぇっ?」

上条「退かない。俺は友達が傷つけられるのを黙って見てるつもりはないし!」

上条「友達が意味もなく傷つけるようとするのも、当然止める!」

シェリー「……そうかよ。じゃ死ねば?」

 再度ゴーレムは両手を高々と上げ、拳を組む――では、なく。
 二つの拳を融合させて一つの大きな石塊を作る。

シェリー「だよなぁ。そうだ!最初っからこうしちまえば良かったんだよ!」



200:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 12:00:41.27 ID:r370C9Yf0

シェリー「魔術だの科学だのウルセェんだ!全部ぶっ潰しちまえば関係ない!」

シェリー「みんなみぃんな壊れればいい!壊しちまうのがいいっ!」

 どおおおおぉぉぉぉぉぉんっ!!!

 魔術の言葉を切っ掛けに、ゴーレムの重い拳が振り下ろされた。
 辺り一面に飛び散る瓦礫と砂埃。

バードウェイ「……やれやれ」

 一方通行の治療を続けていたバードウェイは、手を休めずに周囲へ結界を張る。

バードウェイ「仮にも重傷人が居るんだ。もっとスマートにやれないもんかね」

一方通行「……随分と信用してンじゃねェか」

バードウェイ「あの馬鹿者が『手を出すな』と言った以上、私はそうするだけだ」

バードウェイ「『信頼』とは特に理解に苦しむ単語ではなかった筈だが、ボーヤにはまだ早すぎたかな?」

一方通行「……いやァ別に?その割には腕プルプルしてますけどォ?」

一方通行「なンかァ?今にも吹っ飛ばしてェンじゃ――」

バードウェイ「あぁすまん」

一方通行「――っ!?オマ、傷口に手ェ入っ――!?」

バードウェイ「ついでに盲腸もとっといてやろう。麻酔無しで」



201:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 12:01:55.97 ID:r370C9Yf0

 砂煙が晴れる。そこにあった姿は。

 石巨人が拳を振り落とした、その、僅か数センチ前。
 多少は風圧や四散した瓦礫で傷ついたものの、然程変わらない位置に上条が立っている。

シェリー「……どうしてよ……?」

シェリー「なんて『右手』を使わねぇんだよ!?テメェみたいなゴミグスが当たったら死ぬじゃねぇかよ!?」

シェリー「お前も!お前も私を残して死ぬつもりだったのか!?」

上条「……それは、分からないよ」

上条「もしかしたら車の事故とか、信じられない病気になって俺は――つーか、誰だって死ぬもんだ。そりゃ絶対に」

上条「それが友達であっても――いや友達だったら特に、そうそう簡単に『先に死なない』なんて不義理な約束は出来ないんだよ」

上条「お前はエリスを失った。エリスは命を失った。二人は逢う事は、もうない」

上条「けど!だからっつって全部が全部無くなった訳じゃねぇだろ!?」

上条「エリスがお前に残したものはある!思い出とか!信念だとか!」

上条「今のお前にはエリスから貰ったものが、いっぱい詰まってんじゃねぇのかよ!」

シェリー「私の、筺の中に……?」

上条「そうだよ!お前は二度と悲劇が起きないように学園都市まで乗り込んだよな?」

上条「俺は絶対に認めないけど、それだって立派な信念じゃねぇのかよ!」



202:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 12:03:25.11 ID:r370C9Yf0

シェリー「煩いうるさいウルサイっ!!!」

シェリー「分かってるわよ!私だってあの子からいっぱい貰ってた事ぐらい!」

上条「昔を大事にするのは大切な事だし!誰もお前を責めたりはしない!

シェリー「テメェにエリスの何が分かるんだって言うんだ!?」

上条「分かるさ!当たり前だろうが!」

上条「エリスは――少なくとも、そんな顔するお前の顔なんて見たくなかった筈だ!」

上条「いつまでも自分を責めて戒めて欲しくなんて、ある訳がねぇだろうがよっ!」

上条「なぁ、シェリー?今、今のお前を見て」

上条「お前の中のエリスは笑ってくれてんのか……?」

シェリー「ちく、しょう……チクショウっ!!!」

 ゴーレムがその両手で上条を捕まえる。



203:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 12:04:09.98 ID:r370C9Yf0

シェリー「どう、したの?逃げねぇのかよおおっ!」

シェリー「消しゃあいいだろうが、その『右手』で!」

上条「……さっきの一撃もだけど、俺は右手を使うつもりはない」

シェリー「あぁ?」

上条「俺の『友達』がだ。大事にしている親友の名前をつけた相手を――」

上条「――例えそれが魂のないゴーレムであっても、友達の親友をぶち殺すような真似は――」

上条「――絶対に、しない」

 ズゥン、と。

 思わずバードウェイが霊装を構え、一方通行がなけなしの力で鉄筋を投げようとした程の大きな振動は。

シェリー「……厄介だな、テメェは」

 ゴーレム=エリスが、また只の石と土へ還る音であった。



204:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 12:05:24.72 ID:r370C9Yf0

――ボロボロになったショッピングモール

上条「さて、と。これでどうにか解決した……のか?」

上条「まさかとは思うけど、この惨状俺達が支払うって事はないよね?ねっ!?」

バードウェイ「アンチスキルも来ているだろうし、『男達を追い払った』私達には関係無い話だな」

上条「よかったー……てか一方通行大丈夫か?」

一方通行「……ウルセェ」

バードウェイ「出血多量と能力が少し暴走気味」

バードウェイ「あとお前が金の心配を優先したから、ご機嫌斜めだそうだ」

一方通行「……オマエ、憶えとけよォ……?」

バードウェイ「そうだなぁ。体晶――毒抜きと傷の手当てをしてやったんだし、私は憶えておいても吝かではないよ?」

一方通行「……おい、三下ァ」

上条「うん?」

一方通行「相変わらずそっちの女といい、こっちのまな板といい、いい趣味してやがンなァ?」

上条「友達だからなっ!?そういう基準だったらお前だって大変な事になってるだろ!」



205:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 12:06:26.30 ID:r370C9Yf0

シェリー「……?」

バードウェイ「お前も頭以外にイタイ所はないか?そこ以外のケガは治してやろう」

シェリー「ウルセェわよクソチビ……あの子が、いねぇんだよ」

上条「あ、そっか。円周も追われてたんだっけ」

円周「おっにーーちゃーーーーんっ!!!」 ガバッ

上条「うおぅっ!?」

円周「怖かったーーーっ!白くてカキクケコ言う変態が、『さァ俺の巨人さァンは大きいよォ?』って!」

上条「言ってないよね?途切れ途切れに通信聞いてたけど、そんな下りはなかったよね?」

一方通行「つーかなァ。そっちのライオン女もそォなンだがよォ」

シェリー「何がなんだったんだ?誰が敵で誰が味方なのか、そもそも白いのが私達を攻撃したのは何故?」

一方通行「木原のクソ野郎が噛んでる、ってェ事以外知らねェぞ」

バードウェイ「そうだな。疑問を残したまま探偵は退場しないのがセオリーではある」

バードウェイ「推理小説でそれをしてしまえば非難囂々だが。ではこう考えられるのでないだろうか?」

上条「もったいつけるなよ」

バードウェイ「『事件はまだ終わってない』、と」

 グゥン、と何の脈絡もなく上条当麻の体が真横に吹っ飛ばされる。
 タイムラグを置いて、タァーン!と銃声が全員に耳へ届いた。



206:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 12:07:47.80 ID:r370C9Yf0

一方通行「狙撃か!?――おいっ!」

シェリー「ちぃっ!」

 倒れたまま動かない上条へ近寄る一方通行、ゴーレムを喚んで即席の壁にしようとするシェリー。

 魔術結社のボスは慌てず騒がす、携帯電話を耳へと当てる。

バードウェイ「マーク」

マーク『確保しました、ボス。予想通りです』

バードウェイ「ご苦労。通報したら先に帰っていて構わんぞ」

マーク『はい。ではボスもお気をつけて』

 切れた電話の代わりにどこからか杖を取り出し、クルクルと回す。

バードウェイ「さて、では謎解きを始めようか――と、その前に一方通行、寝ているバカを起こせ」

一方通行「狙撃されたンだぞ!?軽傷で済む訳がねェ……事も、ねェな」

 派手に吹っ飛んで擦り傷は負ったものの。それ以外に傷らしい傷は見当たらない。
 頭が一番のけぞったのだから、確実に弾丸は脳漿を撒き散らしていてもおかしくないのに。

上条「……いっつーーーーーーーーーーーーーっ!?あれ?今の何?バードウェイが何かしたの!?」

バードウェイ「お前はタロットを預けただろう?それのお陰だよ」

シェリー「魔術は効かないんじゃなかったのかよ」

バードウェイ「そいつ自身にかけず、『場』にかけた。良かったな、成功して」

上条「あのー、してなかったらどういう事に……?」



207:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 12:08:36.88 ID:r370C9Yf0

バードウェイ「――さて、ではここで私達の敵に初めて対峙する訳だが――」

上条「聞けよ人の話っ!?――って、お前」

 バードウェイが差している相手は――木原。
 円周という名を持つ――『木原』だった。

一方通行「ほォらみろ。やっぱり俺が正しいンじゃねェか!」

シェリー「だってソイツは――違うだろ!何でこんな回りくどい方法を取る必要があったの!?」

シェリー「自分自身を囮にするなんて正気じゃ――ない、のか……?」

バードウェイ「勘違いして貰っては困る。一方通行、君は正しいが間違っている」

バードウェイ「クロムウェル。君もその認識は正しいが、違う」

上条「どういう、事だよ?」

バードウェイ「私達が戦っていた相手、お前がその右手でぶっ殺さなければいけない相手。その名前は――」

バードウェイ「――『木原数多』だ」



208:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 12:09:41.24 ID:r370C9Yf0

 ジジッ、ザザザザザザザァッ。

 円周の首から下げているスマートフォン。そのグラフが激しく波打つ。
 初めは不規則に、間隔もバラバラ波の大きさもデタラメに。

 けれど徐々に整い。それは自然と聞き慣れたリズムへと移行する。

 どくん、どくん、どくん、どくん……。

 脈打つ鼓動は心臓の波長に酷似していた。

円周「『どぉしたもんだかなぁ。最後の最後までひっくり返されるたぁ思ってなかったんだが』」

一方通行「オマエえェェェェェェェェェェェェっ!」

バードウェイ「よせよせ。それは『木原数多』の本体ではないよ」

バードウェイ「スマートフォンを使ってハッキングでもしているのだろう、というかそれ以外にない訳だが」

円周「『普通こぉいうのはよぉ、崖の上ってぇ相場は決まってんじゃねぇのか?』」

バードウェイ「最近はそうでもない。探偵が昏倒するのが流行りだね」

円周「『あれって傷害及び不正薬物の使用だと思うんがだねぇ。公文書と私文書の偽造、元の年齢ならば実刑も喰らうか』」

バードウェイ「夢のない事を言うもんじゃない。ここはペラペラ犯人が語るのを期待して居るんだが、任せてもいいかね?」

円周「『面倒だ。テメェの推論から話せよ。違ってたら嘲笑ってやっから』」



209:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 12:10:40.05 ID:r370C9Yf0

バードウェイ「ふむ。では……まず小娘の記憶が曖昧になっている点に気づいた」

バードウェイ「私の愛称を『ニア』にしたかと思えば『レヴィ』に再設定」

バードウェイ「しかも『木原数多』を呼ぶ際に『おじさん』と『おじちゃん』の二通りあった。どう考えてもおかしいだろう?」

円周「『円周が表に出ている間は、俺も認識が曖昧だから――ってのは嘘で、テメェ自身をおじちゃん呼ばわりはしたくねぇだろ』」

バードウェイ「不自然と言えば朝の浴室もそうだな?恐らく能力が解かれるのを恐れた君は、『幻想殺し』の右手へ手錠をかけた」

円周「『表には出てねぇがな。そういう風に誘導したのは間違いねぇよ』」

バードウェイ「買い物に誘導したのも君か?」

円周「『選択肢は用意したし、誘わなければ介入してたが。誘ったのは円周の意思だな。俺がするまでも無かった』」



210:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 12:11:43.31 ID:r370C9Yf0

バードウェイ「そっちの白いのに吹き込んだのは……そうだな、『俺は今新しいブロジェクトをしている』とかそんなんだろ?」

バードウェイ「適度に挑発を入れて決裂させた後、背後から反射貫通でブスリとして撤退」

バードウェイ「赤くなった白モヤシは前後関係考えず、自分の能力を過信して追い掛けるに決まってるよ、なぁ?」

一方通行「ウルセェよ、まな板ァ」

バードウェイ「クロムウェルには、まぁクローンか。エリス=クローン」

バードウェイ「無抵抗の円周を確保させて心を揺らして、最後には保護するように仕向ける」

バードウェイ「そしてあからさまに怪しい堅気じゃない白いのが来て、二人は衝突する」

バードウェイ「――というのが推理だが、どうだろう?」

円周「『ほぼ正解。だがクロムウェルに関しちゃ俺が喋った訳じゃねぇ』」

円周「『別にこいつがフツーに身の上話でもすりゃ、似たようなその女も同情する筈だってな?』」

シェリー「テメェは……!」

バードウェイ「落ち着け。というより怒っても無駄だ」

円周「『だなぁ。鉛筆を立てりゃ自発的対称性の破れで倒れるぐらい当たり前だからなぁ』」

円周「『予想された結果が出た所で、はぁそうですか、って感じだし』」

バードウェイ「ともあれ舞台はそうして整えられた。クロムウェルと一方通行が対峙する」

バードウェイ「クロムウェルが勝てばそれで良し。一方通行も能力が暴走し、普段よりも電極の消耗が激しいハンディもある」

バードウェイ「地形相性がいいクロムウェルであれば、万が一勝つかも知れない」

円周「『いや、確率は20%ぐらいだと踏んでたぜ?』」

バードウェイ「逆に一方通行が勝てばそれでもいい」

バードウェイ「『どちらが勝っても魔術サイドと科学サイドの仲を断ち切れる』からな?」



211:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 12:12:51.77 ID:r370C9Yf0

円周「『そうかぁ?お嬢ちゃんが考えている程、単純な図式じゃねぇと思うぜ?』」

バードウェイ「一方通行を殺されれば学園都市は激怒するだろうが、クロムウェルはそうでもない。そうだな、その通りだ」

シェリー「小物扱いされんのも腹が立つんだがな」

バードウェイ「そう思った君は『更にプランを深くする』事にした」

バードウェイ「わざと私達へ情報を流し、二人の決闘を止めさせたんだよ」

バードウェイ「事前にウチの連中、しかも隠密行動に長けた奴を行動不能にして目と耳を塞ぎ」

バードウェイ「そっちは大方円周のリュックに仕込んだ、各種発信機で正確に把握していたと」

円周「『決闘なんてタチのいいもんじゃねぇと思うがね』」



212:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 12:14:12.53 ID:r370C9Yf0

バードウェイ「そして。私達が弛緩した一瞬。その隙を突いて――」

バードウェイ「『幻想殺しを暗殺。その疑いを両サイドへ向けさせる』」

バードウェイ「それがこの計画の全貌だな?」

円周「『だなぁ。もう少し「インストール」した連中が使えれば良かったんだが、今んとこ完全に再現出来るのはこいつしかいねぇしな』」

円周「『砂皿のシェアスキルは見ての通りだが、まだまだ精度が足りねぇ』」

円周「『……ま、お嬢ちゃんの推論でほぼ正解だな』」

円周「『クロムウェルが円周を殺せば良し、逆に一方通行に殺されれば良し』」

円周「『相打ちになれば最高だ!だが『幻想殺し』が居りゃあ防いじまう可能性もある』」

円周「『だったら防がしゃあいい。計画に首突っ込んできそうなら、最初から組み込めばいい』」

円周「『頭でも吹っ飛ばせばどこの勢力が殺ったかでグダグダになる――筈、だっんだがよぉ』」

円周「『予想外だったのはテメェだな、お嬢ちゃん』」

円周「『魔術を使って防いだ上、こっちのスナイパー即確保たぁ。全部読まれてたってぇことだわな』」

バードウェイ「私の専門は『勉強の出来るバカがしでかす騒動』だ。政治なり経済なり戦争なり」

バードウェイ「従って君がどう動くか、どんな狙いを定めてくるのか」

バードウェイ「フルオープンのインディアンポーカーよりも単純で、手に取るように読めてしまうのだよ」

円周「『……へぇ?』」



213:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 12:15:25.90 ID:r370C9Yf0

バードウェイ「プライドを傷つけられたかね、木原数多。だが私は何度でも言おう」

バードウェイ「君のような単純な相手を読むのは簡単だ。私の相手にすらならない」

バードウェイ「退屈だ。あぁ暇を持て余す」

バードウェイ「私はコイン一発をBETして、カード一枚しか貰っていないんだがね?せめて五枚は貰わないとゲームが出来ない」

バードウェイ「なぁ、あまり意地悪をしないで私も遊びに加えてくれたまえよ」

バードウェイ「こんなのはお遊びなんだろう?この程度の愚図な計画はジョークなのだろう?」

バードウェイ「たかが12歳の小娘に、学園都市屈指の研究者が読み負けるなんて事は無いよなぁ?うん?」



214:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 12:16:23.43 ID:r370C9Yf0

円周「『……名乗りな、お嬢ちゃん。テメェは今日この日から俺の敵になった!』」

バードウェイ「『明け色の陽射し』のレイヴィニア=バードウェイ」

バードウェイ「木原数多。君が何をしようと何を企んでいようと私に関係ないし、結社に影響しなければ見逃してやったのだが――」

バードウェイ「――貴様は我々に手を出した。その代償は払って貰う」

円周「『どうやって?お前は俺を知らない。俺がどこにいるのかも、どんな姿で居るのかも分からねぇよなぁ!』」

円周「『俺の銃はいつでもテメェを狙える!だがテメェの武器は俺に届かない!』」

円周「『貧相なフリントロック振り回しても!何十発何発撃とうとも掠りもしねぇんだよバカが!』」

円周「『ヒャッハァ!精々震えて眠るんだなお嬢ちゃん!』」

円周「『次に心安らかに眠れんのは、弾丸がテメェめり込んで棺桶の中だからなァっ!』」

バードウェイ「新入り。やれ」

上条「あぁ――木原数多」

円周「『よう「幻想殺し」。テメェの嘘はかーちゃんに許して貰えたのか?』

上条「お前は、俺の友達をたくさん傷つけたお前だけはっ!」

上条「――お前のそのふざけた幻想は、俺が必ずぶっ殺す!」

 パキィィィンッ。

 上条が円周の肩に触れると、スマートフォンに走っていた気味の悪いグラフは消える。
 すぅ、と前のめりに倒れそうになる小さな体を、慌てて抱き留めた。

バードウェイ「……幾ら天才、幾ら能力者と言っても、体にかかる負担は生半可なものではない、か」

 意識を失っているが、呼吸の間隔は穏やかで苦しそうな気配もない。



215:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 12:17:26.87 ID:r370C9Yf0

シェリー「……多分、そいつは知ってたんだ」

上条「何を?」

シェリー「テメェの頭の中に『もう一人』居るって事に。だからあんな」

シェリー「自分を差し出すような、真似を……しやがった!」

上条「……これからはもう、そんな事をしないように」

上条「そんな悲しい事をさせないように、俺達が」

シェリー「……分かってるわよ。言われなくたって」

打ち止め『おーーいっ!ウチの白い人見ませんでしたかーーってミサカはミサカは喚んでみたり』

番外個体『ヘーーーーイッ!生きてるかーーいっ!出来ればくたばってればいいぜ!』

上条「……愛されてんなぁ、お前」

一方通行「……ウルセェよ。その気遣いが、ウルセェ」

バードウェイ「と言うかネットワークがあるんだから、生死確認は簡単じゃないのか……あぁ!」

バードウェイ「良しお前ら、デカいのが来たら全員で『ツンデレ乙』と行こうじゃないか!」

上条「最後の最後で一番やる気になってるっ!?」

シェリー「ツンデレ……?確か凸凹コンビのちっこいのから借りた本に書いてあったような?」

上条「イギリスのシスターさんにまで侵食が始まっているのかっ!?」



216:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 12:18:07.92 ID:r370C9Yf0

――バッドエンド1

 新郎控え室。

上条「……」 ソワソワ

浜面「いやぁ大将。そんなにキョドっても仕方がないと思うぜ」

浜面「つーかあと少しだし覚悟を決めろって」

上条「いやでも俺が結婚なんて――結婚?俺が?」

浜面「今更何言ってんだ。緊張で眠れないのは分かるけどさぁ」

上条「……マジで?ドッキリじゃなくて?」

浜面「大将が覚悟決めたときは大変だったろ?下手すれば第三次世界大戦よりもシビアな戦いが!」

上条「いやあの、そんなスケールなの?みんなゴシップ好きなんか」

浜面「オティヌスが世界壊して大変だったじゃん」

上条「あれも実は俺のせいだったのか!?力は凄いけどやってる事はしょうもないな!」

浜面「出番を貰えなかった俺の立場は?ねぇ、どうして俺出たり出なかったりするの?」

上条「登場人物の多さじゃねぇかな?ほら、お前って『アイテム』の子達とハッピーセット状態だし?」

浜面「未だにっ!中々滝壺と二人っきりになれない俺の気持ちがっ!」

上条「マジで?……いやまぁ、分かるけどさ。そっちのドロドロとした人間関係も」

浜面「最近第三位が出張ると麦野の機嫌がディ・モールトっ!!!」

上条「俺はイタリア語知らないけど、多分それ違うよ?間違っている感じがするな?」



217:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 12:19:10.34 ID:r370C9Yf0

浜面「まぁまぁ憶えてないって言うけどよ。相手の子も可愛いし、別にいいんじゃね?」

上条「また人生の一大事に軽いなっ!?他人事かっ!?」

浜面「正直また思い切ったなー、って感じはするけど」

上条「そうなのか?つーか誰か教えてくれよ!」

浜面「でも直ぐ会うんだしさぁ。なんつっても一度選んだ相手じゃん?信じるのは大事だって」

上条「そうか……?あ、そうだ!浜面から見てどんな感じの子だった?」

浜面「可愛い系だな。おっぱい小さいけど」

上条「お前の基準はおっはいか……え、誰だ?小さいつったって、対象絞りきれねぇ」

黒服「新郎様、ご入場の準備を」

上条「マジで!?こんなフワッフワした気分で行くの、俺!?」



218:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 12:19:51.13 ID:r370C9Yf0

浜面「覚悟を決めろよ、上条当麻!」

上条「浜メン……」

浜面「ハマヅラな?ボケばっかだから、大将がボケられなくて寂しいのは分かるけど!」

上条「って言うかこれメイン一人称全員『私』なんだぜ……?始める前にちょっと考えよう?サイコロ振って決めるんじゃなくてだ!」

上条「……分かった。俺、彼女と幸せになるさっ!」

浜面「いよっし!よく言ったぜ!……え?」

上条「『え?』ってなんだ!?『え?』って!?今の俺の台詞の中におかしな所なんざねぇだろうが!?」

浜面「いやぁ……うん、まぁ?」

上条「はっきり言えって!場合によっちゃ逃走も辞さない!」

黒服「ホラ、行くぞ。予約が詰まってんだから!」 ガシッ

上条「離せっ!?話せば分かるからっ!」

黒服「そう言った犬飼は問答無用で暗殺されてんだよ!オイ、浜面そっち持て」

浜面「おぅっ!……なんで呼び捨て?お前初対面だよね?つかモブキャラだよね?」

黒服「煩い浜面。行くぞ」

上条「はーーーなーーーせぇぇーぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」



219:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 12:20:55.87 ID:r370C9Yf0

――聖堂

上条「……来ちゃったわー、マジで」

新婦「……」

上条(誰この子?つーか誰?ちっさいし顔見えないし誰か分からない……)

上条(髪はショート……誰だよ、マジで)

上条(背丈も小萌先生……ぐらい?いやでも髪なんて切れるし)

黒服『新郎新婦の入場です!』

新婦「行こう?」

上条「ん、んんっ?そうだな」

上条(俺は腕を出して彼女をエスコートする。チャペル?だかの、戸を開けば)

ミサカ10032「ちっ、来やがったとミサカは舌打ちをします」

ミサカ12121「いやいや、それは良くないですよね、と言いつつも同じく舌打ちをします」

ミサカ13003「ぶってんじゃねぇよって、ミサカはそいつの態度にも舌打ちします」

ミサカ14444「ちっ」

ミサカ14445「ちっ」

ミサカ約一万人『ちっちっちっちっちっちっちっちっちっ……』

上条「ミサカ全員で舌打ちすんなよ!?チッチッチッチッうるせぇっ!千鳥か!」

上条(席の殆どはミサカ達、立ち見もミサカ、あ、写真撮ってるミサカに花つけてるミサカ……いかん、ゲシュタルト崩壊しそう)

上条(知った顔がないかと探してみると――)

上条(こちらを呪い殺しそうな目で見るインデックスと御坂オリジナル)

上条(何故かエ口メイドの格好をして、式をぶち壊している神裂と五和。嫌がらせだよな、どう考えても?)

上条(本気で凹んでいるアニェーゼとニコニコ顔の、でも怖いオーラ出しているオルソラ達)

上条(他にはバードウェイとかレッサーとかの魔術結社組……あれ?)

上条(小萌先生も参列席にいる?だったらこの子は誰だよ)



220:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 12:21:58.67 ID:r370C9Yf0

神父「――では新郎、新婦のベールを上げて下さい」

上条「はい。じゃ――」

エリス(新婦)「……うん」

上条「アッ――――――――――――┌(┌^o^)┐―――――――――――――!?」

エリス「どうしたのとーま君?」

上条「エリスじゃん!?男じゃん!?野郎じゃねえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇかっ!?」

上条「何で選んでんだよ、俺!?どこでフラグ管理間違ったの!?」

エリス「とーま君が、僕を選んでくれたときは嬉しかった」

エリス「クローンでも良いって、言ってくれたよねっ!」

上条「それ以前の問題じゃねぇか!?クローンでショタってどんだけ倒錯的だ俺っ!?」

上条「つーかお前も断れよっ!?断りなさいよっ!?」

シェリー「オイコラ上条!」

エリス「シェリーお姉ちゃんっ!」

シェリー「エリスを不幸にしたら承知しねぇからなっ!」

上条「お前も正気なら止めるでしょうがあぁぁぁぁっ!?何『結婚式に送り出す頑固な親父』的な役に入ってんのおおおっ!?」

エリス「とーま君、いっぱい子供を作ろうね?」

上条「出来ないよ!?構造上の問題で俺達どっちもH極だもの!」

エリス「ほら、あそこに僕らの愛の結晶が!」 スッ

上条「え、なに?俺の右手は常識すらも殺しちゃったの?出来れば俺も殺して欲しいんだけど」

エリス二号「フンガー」

上条「テンプレ的なゴーレムじゃん!?生きてないじゃん!?」

エリス「そんなっ!?まるで玉(鋼)のような子だって誉めてくれたのにっ!?」

上条「それは本当に俺なのか?頭が悪いにも程があるよな?」



221:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 12:22:59.72 ID:r370C9Yf0

上条「誰かっ!?誰が助けて――」

声「待ったああぁぁぁぁぁぁっ!」 バーンッ

上条「良かった……助けに来てくれたん」

ステイル(男)「その結婚、僕が預からせて貰うよ!」

上条「こぉぉぉぉろぉぉぉせぇぇぇぇぇよおおおおぉぉっ!一思いに殺しゃあいいじゃねぇぇぇかよぉぉぉぉぉぉっ!?」

 ズドオオォォンッ!!!

ステイル「ぐああああぁぁぁぁぁっ!?」

エリス「誰!?」

一方通行「……よォ」

上条「昔々女疑惑あって神様も否定しなかったけど、おか○っさんに決まって泣いた人が出た人キターーーーーーーーーっ!?」

一方通行「はっはァ!オマエがなんて言おうと、関係ねェンだよ!何故ならァ――」

一方通行「俺の愛は『一方通行』だからなァ!!!」

上条「ドヤ顔で言うような事じゃねぇな!?そんなに目新しいネタでもない!」

フレンダ「『や、やだ!もう俺の右手じゃ殺せない……!』」

滝壺「『そうさぁ、これがぁおれの能力……』」

滝壺「『――愛だっ!!!』」

フレンダ「『レータっ』」

滝壺「『いまずぃんっ!』」(超巻き舌)

フレンダ・滝壺 ヒシィッ!

上条「おいそのバカコンビ。お前ら揃って出る話間違えてるからな?巣へ帰れ帰れ!」

上条「こ、こうなったら――あ、シェリー!」 パシッ

シェリー「な、なによ?」

上条「俺と結婚してくれ!」

シェリー「……はい」



222:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 12:23:46.81 ID:r370C9Yf0

――黄泉川のワゴンの中 夜

シェリー「……?」 ムクッ

シェリー「……夢?」

シェリー(殺伐としたやりとりだったから、凄いアホな夢を見た?)

上条「おー、起きた?」

シェリー「ん、まぁ――あと、どんくらいで着くんだ?」

黄泉川「そうなぁ、30分ぐらいじゃん?先、あんたのホテルに回るじゃんか」

シェリー「……あー、ガキもいるしこいつら先にしてくれないか?」

黄泉川「まぁそんなに離れてないけど、分かったじゃんよ」

シェリー(あぁそうよね。取り調べで遅くなったのか)

シェリー(メシが遅くなって切れまくるバードウェイ、挙動不審なガキ……)

シェリー(二人とも上条の左右で、腕抱えながら寝ちまってる。まぁ?)

上条「……ん?あぁこいつら」

上条「魔術と科学の天才だっつっても、子供だからなぁ」

シェリー「微笑ましくは……ねぇよな」

上条「実態を知ってると、まぁ色々と複雑だけど」

シェリー「ガキは無邪気だ、とは言うが。そりゃあ親の願望かしらね」

シェリー「こうあって欲しい、こうに違いないっていう気持ち」

上条「かも、知れないな」

シェリー「……」



223:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 12:24:35.28 ID:r370C9Yf0

シェリー「なぁ、一つだけ聞かせろ」

上条「あぁ」

シェリー「この世界には手遅れになるもんだってあるわよね」

上条「……うん。それは、ある」

シェリー「例えばお前が私の立場になったとして、お前ならどうする?」

上条「俺は……多分、泣くよ」

上条「お前がやったみたいに八つ当たりするかも知れない」

上条「全部が嫌になってぶち壊そうとするかも?」

シェリー「……」

上条「でもそんな時にはきっと、俺の友達が全力で――あぁいや違うな、そうじゃない」

上条「ここぞどばかりに、日頃の恨みを込めて助走をつけてぶん殴ってくる気がする」

シェリー「……ふふ、何よそれ」

上条「それが友達じゃねぇかな、多分」

シェリー「……そう、なの?」



224:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 12:25:44.15 ID:r370C9Yf0

上条「俺の人生もまぁ、色々あって学園都市まで逃げてきたって感じもするけど」

上条「けどどこへ行ったって、どんな逃げ方をしたって」

上条「俺達は生きていかなきゃいけないんだ。それは絶対に」

上条「シェリー、お前の痛みは分からないけど」

上条「20年以上経って今でも傷が痛いのかも知れないけど」

上条「一緒に、エリスの話をしようぜ」

上条「エリスがどんな風に生きて、どんな風な最後だったのかとか」

上条「無理に笑う必要は無い。でも無理に泣く必要なんかもっと無い」

シェリー「ワケが、分からないわよ」

上条「あー、俺も思ったまま喋ってるだけだから、繋がってない気もするけど」

シェリー「でも、何となく分かるわ。あなたが『私と悩んでくれてる』って事」

上条「……うん」



225:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 12:27:03.13 ID:r370C9Yf0

シェリー「マジな話。私は今もぶっ壊してぇし、ぶっ殺してやりたい連中もいるわ」

シェリー「そう簡単に整理はつかない。一生エリスの事を忘れるつもりもない」

シェリー「だから――エリスの話を聞いてくれないかしら?」

シェリー「あの子がいたって事を。この世界で何をして、どんな事を考えて」

シェリー「私という『筺』の一部になっていったかって」

上条「……あぁいいぜ」



226:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 12:27:50.26 ID:r370C9Yf0

 ひゅう、と私の中で隙間風はまだ吹くけれど。
 時々胸を刺す痛みは中々消えてなどくれないけれど。

シェリー「ありがとう……ねぇ、あなた?良かったらで、いいのですけど」

 それはもう既に、私の一部だから。
 割り切る必要なんてないのだから。

シェリー「わたしの、ともだちになってくれませんか?」

 そう自然と、笑いかける事は出来た。



227:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 12:28:38.01 ID:r370C9Yf0

黄泉川「おー、いいじゃんよ?」

上条「アンタじゃねぇよっ!?つーか空気読めよっ!明らかにそういう流れじゃ無かったじゃん!?」

黄泉川「別にスタートがどっからだって良いじゃんよ?つかお前また弱ってる女の子につけ込む気満々じゃんか」

上条「俺が!いつ!そんな事をしたんですかァァァっ!?」

黄泉川「ちょい待ち、今ケータイ出すじゃんし」

上条「前見て、前っ!?アンチスキル兼先生が前方不注意はっ!?ダメだって!」

黄泉川「あーもうウルサイじゃんよ。ほれ上条、あたしのケータイ渡すから、登録しとけって」

上条「ハンドル離すんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」

 ねぇ、エリス?私は今きっと。

シェリー「……うふふ」

 笑って、います。


――断章のアルカナ 第一話 『姉と弟』 -終-



228:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 12:29:17.01 ID:r370C9Yf0

――次回予告

少女「むかしむかし、ある所にこんな物語がありました」

少女「ある夫婦は子供を授かります。けど身重になった妻は、魔女の庭に生えているラプンツェルを食べたくなります」

少女「夫は妻と生まれる子のため、魔女の庭へ忍び込み身を盗み出そうとします。でも」

少女「魔女に見つかり、それでも欲しいと懇願しました」

少女「すると魔女は実を好きなだけ与えるが、引き替えに生まれた子供を寄越せと言いました」

少女「やがて妻が産んだ女の子は魔女に連れて行かれ、ラプンツェルと名付けられます」

少女「彼女は森の中の高い塔に閉じ込められます。魔女はラプンツェルの長い髪をハシゴ代わりにし、窓から出入りをしていました」

少女「そんなある日、森を歩いていた王子が美しい彼女の声に惹かれ、閉じ込められたラプンツェルを見つけます」

少女「二人は何度も逢瀬を続け、やがてラプンツェルは妊娠しました。しかし激怒した魔女は彼女の髪を切り、荒野へと放逐してしまった」

少女「ラプンツェルが居ると思って彼女を訪ねた王子は、待っていた魔女から顛末を聞かされ絶望し、塔から身を投げて失明してしまいます」

少女「数年後、盲目のまま森を彷徨っていた王子は、男女の双子と暮らしているラプンツェルと再会しました」

少女「嬉し泣きするラプンツェルの涙が王子の目に落ち、王子の目は再び開き」

少女「王子はラプンツェルと子供達と国に帰り、皆で幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし」

少女「……」



229:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/25(水) 12:29:56.51 ID:r370C9Yf0

少女「魔女は塔の中でラプンツェルにこう言ったんだよ、うんっ」

少女「『塔の外はとても怖い所。悪い人間がいっぱい居るんだから』」

少女「『お前みたいなダメな子は、外に出ちゃいけないよ』って」

少女「ラプンツェルは外へ出てしまった。生きる事の喜び、愛される幸せ、大切な伴侶を得た」

少女「でも、それは。本当に幸せなのかな?国へ帰ったラプンツェルは幸せになれたの?」

少女「何も考えず、何も恐れず、そうしていた方が幸せだったんじゃないかな?」

少女「私という『塔』は!ほら、まだこんなに空っぽだって言うのに!」

少女「ねぇ、誰が助けてよ!?わたしはっ」

少女「『木原』を求められて!『木原』すらも失ったわたしは――」

少女「……ねぇ、当麻お兄ちゃん。こんな時、『円周』だったらどうすればいいのかなぁ……?」

少女「……これは、とある吊し人の物語」

少女「『自分』という殻を失い、魂求めて彷徨う科学者の物語」

少女「『断章のアルカナ』第二話」

少女「――『ラプンツェル』」


――次回予告 -終-



バードウェイ「ようこそ、『明け色の陽射し』へ」 ~断章のアルカナ~【その2】
元スレ
バードウェイ「ようこそ、『明け色の陽射し』へ」 ~断章のアルカナ~
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1378160982/
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