アックア「さて、そろそろ……」麦野「ちょっといいかしら?」

上条「今日からアイテムの一員になった上条です!」
149:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 10:42:36.20 ID:8Zghcs7u0

アックア「さて、そろそろ……」麦野「ちょっといいかしら?」


※注意
上条さんTUEEEEE!がしたかっただけのIFストーリーです
要は『上条さん×アイテム』なのですが、今回のメインヒロインは麦野さんです
「麦野ぉ?俺が幸せにしてヤんよ!」と言う方にお勧めします
(あと上条さんの説教好きな方にも是非読んで頂きたいです)
繰り返しますが、浜面ファンの皆さんごめんなさい(テヘペロ)

日常:戦闘:ラヴ:コメ=4:2:1:3、ぐらいです
シリアスイラネ的なご意見も多かったのですが、私は『落差』も必要だと思います
(甘いものばかり食べていても飽きる、ぐらいの認識で宜しいかと。興味無い方は適度に読み飛ばして下さい。シリアス続きの所は面白くないにゃー、とか思われてブクマを外されても、それは偏に私が至らないだけでしょうから)

所詮は我が侭に過ぎませんが、それでも最後までお付き合い頂ければ幸いです



150:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 10:44:33.52 ID:8Zghcs7u0

――○○学区校舎内、深夜零時

麦野「クソっ!フレンダは何処行ったの!?あのビ×チ目ぇ離したらチョコマカと」

フレンダ「助けてっ!助けてえぇっっ!?」

麦野「フレンダ!待ってろ――ってコラ!逃げんな!」

麦野(なんでアイツ地面に這いつくばってんだぁ?つかそのまま移動するなんざ、何かに足首を掴まれている――)

麦野(――ん、だったら何故フレンダを引きずり回しているヤツの姿が見えない?)

フレンダ「たすけ、てっ!……たす、けてっ!」

麦野「フレーーーンダッ!ちったぁ抵抗しろやボケがあぁっ!つーか敵に捕まってばかりのピー○姫気取りかコラアァッ!」

麦野(何つーかハプニングに弱いのよね、この娘)

フレンダ「……けて……けて……けて……」

麦野(止まった――か?周りにゃ人の気配はねぇが、一応やっとくか)

ドゥンッ!

麦野「潜伏出来るポイントにゃ潜んでない、か。ったく深夜の学校で追い掛けっこって、ガキの肝試しじゃないんだからよ」

フレンダ「けて、けて、けて、け、て」

麦野「何やってんのよフレンダ。さっさと立ちなさい、な……?」

麦野(……何かおかしい。なんだこのニオイ?)

フレンダ「て、け……てけっ!」

麦野(こいつを追い掛けてきた廊下にべっとりと、血か!)

麦野(けど生きていられる血の量じゃ――)

フレンダ「テケ、テケ、テケテケテケテケテケテケテケテケテケッ!!!」

麦野「テケテケ出たあああああああああぁぁぁぁぁっ!?」



151:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 10:46:56.56 ID:8Zghcs7u0

――早朝、麦野沈利の寝室

麦野「っ!?」

麦野 キョロキョロ

フレンダ スースー

滝壺 スピースピー

絹旗 クカークカー

麦野「……夢オチ?21世紀に?」

麦野(あぁ全員で――もとい、四人で泊ったんだっけか)

麦野(つーか私のベッドだっつーのに、どうしてフレンダ潜りこんてで、しかも下半身にしがみついてんだ)

麦野 イラッ

フレンダ スースー

麦野「(よぉっ、と)」

フレンダ コテン

麦野(脚細っ!?)

麦野 ヌガセ、ヌガセ

フレンダ(……なんか、寒い訳……?)

麦野「」

麦野(あぁうん、そりゃ下も金髪だわね)



152:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 10:49:05.29 ID:8Zghcs7u0

麦野 ガサゴソ……キラーン

麦野 ジョリ……ジョリ

フレンダ (……スースーするような……?)

麦野(……まだちょっとムカツクな)

麦野 ガサゴソ

麦野 パシャッ、ピロリロリーン!

麦野 ピッピッピッ(北欧、白人美少女、JC、パ××ン、なう)

麦野 ピッ(送信っと)

麦野 ハカセ、ハカセ

フレンダ(……あれ、あったかくなった……)

麦野「(良し、っと)」

フレンダ ダキッ!

麦野「?」

麦野 ナデナデ(あぁコイツもガキっぽいしな。つーか実際ガキなんだけど)

麦野(頼れるおねーさんとしちゃ、無理矢理引っぺがすのも、ね)

フレンダ「……ままー、だいすきー……」

麦野 ブチイイィィッ!!!

麦野「××にピアスぶち開けんぞこのパ××ンがあああああああああぁぁぁぁっ!!!」



153:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 10:51:04.47 ID:8Zghcs7u0

ドゥンッ!!!


――アジト2、某貸しビルの一室

絹旗「バカじゃないですか?いえ超バカじゃないですか?」

麦野「……いやまぁ、私だって悪いとは思ってるわよ」

絹旗「わたしが窒素装甲オートで張ってたから良かったものの、下手すればマンションの端から端まで超全キルしてましたよ」

絹旗「麦野はいつまで経っても超麦野ですね。いい加減テンションでメルトるの超止めて下さい。危険です」

麦野「それはしょうがないのよ。そういう風にチューニングされているんだから。アンタだってそうでしょ?」

絹旗「否定は出来ませんが、でもっ」

麦野「はいはい話はここでお終いね。あーそーそー、これ今月分のお給料ね、みんなに渡しておいて」

絹旗「あ、はい――上条も、ですか?」

麦野「きちんと日当で割っといたわ。じゃヨロシク」

絹旗「麦野は来ないんですか?」

麦野「ちょいと野暮用があんのよ」



154:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 10:52:53.24 ID:8Zghcs7u0

――ある日の日常の光景。戦いの末に支払わざるを得ない代償

麦野(結局謝れなかったわね)

麦野(フレンダは気にしてないみたいだけど、こっちは気にしてるっつーのよ)

麦野(気にしてない?本当に?)

麦野「……」

麦野(原子崩しで吹き飛ばせるんだったら、まぁ簡単だったんだけど)

麦野『吹き飛びなぁぁっ!!!』

ズゥンッ!

上条『相変わず飛ばしてんなー、麦野さん』

絹旗『いや、出力の1割未満ですよ?超本気でやったら火傷じゃすみませんし』

上条『相手がスキルアウトだからなぁ――って!危ない』

パキィンッ!

上条『麦野さん!2時の方向、上45°!』

麦野『オーケー死に晒せクソ××っ!!!』

ドオオオオォォォォォンッ……!!!

上条・絹旗『』

麦野『あちゃーちょぉぉっと火力間違えたわー、てへ』

絹旗『いえ超思いっきり狙っていたように見えましたが』

上条『ま、まぁ相手もビビって投降し始めているから、良かったんじゃないかな?うん』

滝壺『しーきゅーしーきゅー、こちらたきつぼ』

上条『敵の増援か?』

滝壺『上階でコソコソ爆導テープを貼ってたふれんだが巻き込まれた模様、拡散力場が微弱レベルまで低下』

上条『フレンダあああああぁぁぁぁぁっ!?』

麦野『あぁホラやっぱアタシじゃないじゃん。小娘のテープに誘爆したみたいだし』



156:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 10:54:53.08 ID:8Zghcs7u0

――某所

麦野「と、まぁ大体こんな感じなんだが」

麦野「無理じゃねぇかな?つーかもうなんだろ、移動トーチカか突撃戦車ぐらいにしか思われてないような気がするわ」

麦野「どうしたもんかなー?どうすればいいと思う?」

垣根「……いや、何で俺?つーかどうして俺に言うの?」

麦野「アンタしかいねぇだろうが!いざとなったら口封じしても心は痛まない人材なんて」

垣根「痛めよ!俺だって生きて居るんだからね!?」

麦野「むしろアンタが今まで騙して食ってきた女の子から、感謝されまくると思うわ」

垣根「いやいや俺そこら辺かなーりジェントルよ?名前が知れている分、下手な事は出来ねぇし」

麦野「アタシはどうすればいいってんだよ!?あぁ!?」

垣根(何でキレまくんの?朝っから酒入ってんじゃねぇのか?)

垣根「あくまで一般論だがな。言葉遣い――」

麦野「を、直したところで、『何やってんのコイツ?』的なオチにしかならないでしょーが!」

垣根「否定早っ!?つーか面倒臭っ!」

麦野「先に言っておくが、私の女子力は“5”だ」

垣根「数字の根拠を教えてくれ。出来れば具体的に」

麦野「銃を持ったオッサンが5ぐらいね」

垣根「え、なに?お前オッサンって意味?それともオッサンの女子力が異常なの?」

麦野「ちなみにフレンダの女子力が“408”よ」

垣根「高っ!?……いのか?ピッコロ(マジュニア)と同じレベルって事かよ」

麦野「あぁでも今朝装備を外したから“332”まで下げたわね」

垣根「待って!?お前ピッコロさんの肩パット相当の女子力を、あの子の何をどうする事で減らしたのっ!?」

麦野「カミソリで――」

垣根「おいばかやめろ聞きたくない」



157:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 10:56:50.38 ID:8Zghcs7u0

垣根「……いや、まぁなんだ?別に他と比べる必要はねぇだろ。金髪の子?フレンダちゃんとは別の方向性を出す、とか?」

麦野「じゃあ聞きますがー、アンタは女の子に何を求める?」

垣根「そりゃまぁ、こう可愛いなー、とか守ってあげたいなー、的な?」

垣根「なんつーかエ口もガッチガチに堅いんじゃなくってスポーツ感覚で行けたらー、みたいな?」

垣根「でも俺の好みであって、全部の男がそうって訳じゃ――」

麦野「移動用トーチカの需要は無ぇんだよおおおおぉぉぉっ!」

垣根「実感籠もってんなぁ」

麦野「――で、だ。第二位」

垣根(んだぁ……殺気だと?)

麦野「最近『アイテム』のお仕事がクソつまんない――スキルアウトの駆除やら人捜しになってんだが、教えるか死ぬか選びな」

垣根「素直に教えると思うか、第四位さんよお?」

垣根「テメェこないだ仕掛けた喧嘩、どっちが勝ったか忘れたわけじゃねぇだろうがよおぉっ!」

バサッ!!!

麦野「……なぁ第二位、音声添付メールって知ってるか?」

垣根「遺言でも残すつもりかよ?」

麦野 チャキッ(携帯電話を開ける)

麦野「んんっ、あーあー、スペインの雨は主に平地に降る、っと」

垣根(たまにあの映画見たくなるよな)

麦野「きゃーたすけてー垣根に××されるー」(棒読み)

垣根「お、おい、お前そんなん――」

麦野 ピッピッピ

麦野「私の質問に答えなかった場合、今のボイスメールをウチの新入りへ送る」

垣根「汚っ!?しかも他人頼みっすか!?」

麦野「いいのか?アタシは別に送っても構わねぇわよ。そげぶした後には結構優しくしてくれるし――」

麦野「……」

麦野「(いや、送っちまうか。別に垣根がボコにされても困らねぇわね)」

垣根「待って!分かったよ!だから早まらないでください!」

垣根「何その変わりよう?お前つーかお前らさ、キャラ変わりすぎじゃね」

垣根「俺の未元物質に常識は通用しないけど、お前らの非常識は通用しちゃったからね?」



158:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 10:58:44.86 ID:8Zghcs7u0

麦野「良いからさっさと答えな」

垣根「あーまぁ多分俺らの仕業だわな、多分俺らのせいだと思うぜ」

麦野「第一位と何かやったのかよ?」

垣根「あの日――俺らがぶつかった日、つかピザ食った日だ。お前らんトコから帰った後、第一位と“残業”したんだよ」

麦野「他の暗部の連中と?エラくお優しいこって」

垣根「……どこをどうやったかはお察し下さいだが、結論から言やぁ上条の言う通りだった」

垣根「××学区、俺らが戦った所の近くで異常な電力消費量があったんで、ちっと乗り込んでみたら――」

垣根「あったんだよ、冷蔵庫がな」

麦野「業務用……あぁアタシら用ってか」

垣根「非常用バッテリー付きの薄型コンパクト、人一人が余裕で入る上、全面スケルトンの特注仕様ってぇのは中々ねぇわな」

垣根「学院側としちゃどっちが負けても、誰が勝っても“回収”するつもりだったらしいってな」

麦野「狂ってんな。で、それが『アイテム』とどう繋がる?」

垣根「“上”は俺達の動きに気付いてんじゃねぇか、ってのが第一位の予想」

垣根「だから下手に刺激しないように、暗部同士の抗争を禁止しているそうだ」

麦野「……だからアタシらの仕事の質も変わった、か。つーこたアンタらも?」

垣根「第一位の『グループ』は知らねぇ。だがウチのスナイパーが失踪させられているらしいわ」

麦野「失踪した、じゃなくってさせられている?」

垣根「瀕死の重傷だったから自分で動ける訳がねぇ、つーかお前らん所の窒素装甲ちゃんにヤラれたんだが――まぁ、ソイツが入院先から消えた」

垣根「ぶっちゃけ入院記録すらも消えた。だ、もんでソイツの弟子だか義理の妹だかが探しているらしいわ」

麦野「さっきかららしいわ、らしいわってテメーはオカマかよ第二位。同じ組織の仲間に何かあったのに、どうしてそう他人事なのよ」

垣根「べっつにぃ?スクールなんざぁ結局只の戦闘・闘争互助会だし、別に同僚がやられたって、使えねぇなぁカスが、ぐらいにしか思わねぇ」

垣根「つーかお前だってそうだろ?こないだ、アイテムの連中皆殺しにしようとしたじゃねぇか」

麦野「……」

垣根「ハッ、俺もお前も、一万人のクローンどもぶっ殺した第一位サマと同じなんだよ」

垣根「テメーのためにゃ何でもするし、その他は全部クソだっつークソみてぇな人種だわな」

垣根「一つ教えてやんぜ麦野さんよぉ。まぁ?俺も同じなんで人の事ぁ言えねぇが」

垣根「お前人に好かれる好かれない以前の問題で――」

垣根「好きになって貰う資格すら、無ぇんじゃねぇのか」



159:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:01:03.52 ID:8Zghcs7u0

――考察、自分だけの現実について・1

(能力ってぇのは自分の願望――欲望を叶えるための手段に過ぎない)

(いつだったかクソ木原が言っていた事だ)

(『だから学園都市で開発される能力ってのは、結局個人個人の欲によって左右される』)

(『例えば逃げ癖を持っている野郎は移動系や加速系。性格の激しい奴ぁ発火系、冷めた奴は凍結系』)

(『どんな能力であろうが、それはテメェの望んだ先にあるものでしかない』)

(例として第二位を挙げようか)

(奴ぁガキだ。善悪以前にテメェが目立ちたい事ばかりを優先してきた)

(そっから生まれたのは『未元物質』)

(何でもなく何でもある物質。実用化されればiPS細胞等よりも遥かに低コスト、短時間で多くの人間が救われる)

(ソイツを作りだした垣根は――みんなにチヤホヤされたいだけのガキ。アタシはそう考える)


――とある駅前の喫茶店

フレンダ「……最近さ、職場のふいんきが悪い訳よ」

絹旗「ふれんだふれんだ、ふいんき、じゃなくて『雰囲気』」

フレンダ「……最近さ、職場の雰囲気が悪い訳よ」

絹旗「超気のせいじゃないですか?ですよね、滝壺?」 スリスリ

滝壺「ふれんだ、ちょっとお疲れ……?」 スリスリ

上条「……いや、俺もフレンダと同じ意見だ」

フレンダ「でっしょーーーーーーーっ!?」

絹旗「でも超おかしいですね。『アイテム』結成以来一番良好な関係になっていると超思うんですが」 スリスリ

滝壺「……殴り合ったらダチ、みたいな……?」 スリスリ

フレンダ「いやいやいやいやっ!?原因100パー分かってる訳よ!」

絹旗「超気のせいじゃないんですか?超フレンダですし」 スリスリ

滝壺「ふれんだだから、しょうがない」 スリスリ

フレンダ「待って?取り敢えずその上条スリスリやめて?なんか頭がキーッてなるから」

滝壺「ふれんだ、あなた疲れてるのよ……」

フレンダ「そうじゃない訳よ!おかしくない!?席順おかしくない!?」

フレンダ「どうして“こう”なる訳よ!?」

━┯━┯━
  │  │絹
フ.│机│上
  │  │滝
  └─┘
 廊  下

フレンダ「何で?何であたしぼっちなの?六人席だし2-2に別れるのが普通じゃない訳?」



160:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:02:50.90 ID:8Zghcs7u0

フレンダ「つーか結局上条も何でそっち座る訳!?何か当たり前にみたいになってんのが余計ムカつくんだけど」

上条「いや絹旗もギプス外したばっかだし、箸持つのが難しいんだったら手伝おっかな、って」

絹旗「どうですかフレンダ?あなたは上条の厚意を疑って超恥ずかしくないんですか?」

フレンダ「えぇ?う、うんごめん、ね?……」

滝壺「大丈夫ふれんだ、わたしたちは仲間だから、そんな事じゃ怒らない」

フレンダ「絹旗っ!滝壺っ!」

フレンダ「だよね!あたし達これからもずっと友達だよね――って違うわよ!ついノッちゃったけども!」

上条「いや、乗るぐらいならその時点で突っ込めよ」

フレンダ「そうじゃない訳!そーじゃーなーいーワーケって!別に絹旗のお世話をするのはカミジョーじゃなくっても良いって訳よ!」

上条・滝壺「っ!?」

絹旗「(チッ)」

フレンダ「いやいやいやいやっ!カミジョーと滝壺気付いてなかった訳!?つーか今どっかからチッて舌打ち聞こえてきたんですけどっ!?」

絹旗「(超ビ×チ)」

フレンダ「“チ”の前にもっと酷い言葉がついた!?」

滝壺「まぁむぎのがいつのビッ××ッチ言っているから」

上条「情操教育には良くないよなぁ、あれ」

フレンダ「……あぁもう何かどうでも良くなった訳、喉渇いた。カミジョー」

上条「あーうん。サバコーラで良かったよな?他には?」

滝壺「ウーロン炭酸割りで」

絹旗「野菜ジュースとオレンジのハーフ一つ超お願いします」

上条「りょーかい。あ、前ちっとこめんな?」

滝壺「……」

滝壺 サワサワ

上条 ゾクゾクッ!?

滝壺「……どうかした?」

上条「ん?あぁ別に何でもないっ」

上条(アレ今的確におしりをサスサスされたような……?年季の入った痴漢レベルで)



161:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:05:06.75 ID:8Zghcs7u0

フレンダ「(……絹旗絹旗)」

滝壺 ボーーーーーッ

絹旗「(超何ですか?)」

フレンダ「(……前から思ってたんだけど、滝壺って妙にアレって言うか)」

絹旗「(……言いたい事は何か超分かります。なんか、アレですよね)」

フレンダ「(電波系の割にちゃっかりしてるって言うか)」

絹旗「(『女同士で遊んでいた方が楽しいよね!』って超言いながら、実は裏で一人だけ彼氏持ちみたいな)」

フレンダ・絹旗「(一番油断出来ないの、実はコイツじゃ……?)」

上条「おっまたせー」

フレンダ「ありかとーなわけー」

絹旗「超ですです」

滝壺「ありがとう」

店員「……あ、あのっ!」

フレンダ「どうした訳?」

店員「あ、あなたじゃなくって、そのっ!」

上条「あーいいよいいよ」

店員「でもっきちんとお礼しなくちゃって!」

上条「参ったなぁ。別にそう言うつもりで助けた訳じゃ」

絹旗「……あの、上条?」

上条「なに?」

絹旗「ここの店員さんと超お知り合いだったんですか?」

上条「あぁいや全然?」

フレンダ「その割りには、何か、ねえ?妙に親しげって訳」

上条「あぁ今ちょっと飲み物取りに行っただろ?そしたら、何か店員さんが急に倒れちまってさ」

絹旗(……まさか……?いやでも、超有り得ない話じゃ……?)

フレンダ(……なーんか、嫌な予感がする訳よ)

上条「抱き留めたのは良かったんだけど、どうやら誰かが能力で彼女へ干渉していたらしいんだ」

滝壺「え?何でわかったの……?」

上条「右手で揉ん――さ、さわった、から能力が解除出来てな?店内で見てた能力者が殴りかかってきたから、ぶっ飛ばしてアンチスキルに引き渡してきた」

絹旗・フレンダ「(コイツ、たった1分の間にフラグ立やがった!?)」

滝壺「(まさに匠の技……!)」

絹旗「(いえ滝壺それ超違いますからね?)」



162:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:06:55.40 ID:8Zghcs7u0

上条「と、まぁ俺に別に何にもしていないから、気にしなくて良いよ」(ニコッ)

店員「あ、あのっそう言うわけにはっ!」(カアッ)

フレンダ「あー、ごめんねー?今ちょっとあたし“達”忙しい訳だから、ね?」

絹旗「超その通りです。わたし“達”は大事な話をしているので、また今度機会があればしてくれませんか?」

店員「え、でも」

滝壺 ゴゴゴゴゴゴゴッ!

店員「ご、ごゆっくりどうぞー」

絹旗(超失せろビ×チが)

フレンダ(ナイスって訳滝壺) ハイタッチ

滝壺(いえーい) ハイタッチ

上条「律儀な子だよなぁ」

フレンダ「(つーか二人とも、大切な事にあたし気付いた訳よ)」(ゴソゴソ)

フレンダ「(いつも麦野がいる時にはこんな事起きないじゃない?)」(ゴソゴソ)

絹旗「(えぇまぁ。七武海並の目つきで超威嚇しますからね、覇王色ですし)」(ゴソゴソ)

フレンダ「(って事はあたしら――)」(ゴソゴソ)

フレンダ「(結局お友達にしか見えてない、って訳……?)」(ゴソゴソ)

絹旗・滝壺「マジでっ!?」

上条「……お前ら、テーブルの下で何やってんの?つーか滝壺、ちょっと前ごめんな?」

滝壺「……ううん、どーぞ」

フレンダ「え!?結局そっち戻る訳!?」

絹旗「超仕方が無いじゃないですか!だって麦野が来たらどう思いますか!?六人がけのテーブルに四人が座っているんですよ!?」

フレンダ「いやソレ別に普通じゃ?なんであたし怒られてんの」

上条(よっと)

滝壺「……」

滝壺 サワサワサワッ!

上条 ゾクゾクゾクっ!?

上条の下条さん(ヤダ、この子超上手くなってる……!?)



163:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:08:47.10 ID:8Zghcs7u0

絹旗「いえ2-2になっているとして、どちらかへ座りますよね?そうなると、座らなかった方の二人はどう思うでしょうか?」

絹旗「『テメーみたいな体臭キツめの外人の隣には座りたくねぇんだよ』と言うメッセージを超送ってしまうのでは、と」

フレンダ「あぁそっかぁ、確かにそれはあるある――ないわねっ!超無いからっ!」

フレンダ(ってもしかして剃ったのコイツか?)

滝壺「……どうしたの、かみじょー?気分でも悪いの?」

上条「ん!?あぁいや何でもないよ!」

上条(あっれー?)

上条「で、大事な話って?」

絹旗「はい?」

上条「麦野さんもいないし――まさか、何かあったのか?」

絹旗「いえ麦野今日超来ませんから」

フレンダ「だったら座席の話は何だった訳えぇっ!?」

絹旗「昨日四人でお泊まりしたんですが、朝、つい原子崩しが超暴走して大変だったんですよ」

上条「お前それ笑い事じゃねーだろ!」

絹旗「怪我人は誰も居ないんですが、流石に部屋を超ぶっ壊したので出ていけ、と」

絹旗「こないだ行ったアジト2、貸しビルにお引っ越しするそうですよ」

上条「いやいやいやいやっ、暴走って有り得ないからね?」

絹旗「……そうですね。上条も『アイテム』の一員として知っていた方が良いでしょう」

フレンダ「いやー後でオシオキされるんじゃないかなぁ、って」

滝壺「きぬはた、むぎのの事言うの?必要だとは思うけど」

絹旗「上条、あなたは『アイテム』ですね?」

上条「当然だ」

絹旗「なら仲間の特性はある程度知る必要があります。超聞いて下さい」



164:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:10:45.55 ID:8Zghcs7u0

絹旗「こほん。能力は色々ありますけど、能力のチューニングやブーストってどうすると思いますか?」

上条「適度に使っていく、とか。あとやっぱ毎日記録を残すみたいに」

上条(御坂も週に何日か研究所に通ってるみたいだしな)

絹旗「大体あっていると思います。普通はそれで充分でしょう」

絹旗「ですが、それ“だけ”じゃありません。もっとメンタル的な面からアプローチした例があります」

絹旗「例えば一流のアスリートが試合前に精神統一するとか、小学生のサッカー大会の前日にカレカレーを食べるとか」

上条「……随分アナログなんだな」

絹旗「そして麦野の原子崩しは『感情』とリンクしています」

絹旗「同じ人が人を殴ったとしましょう。一度はジムのスパーリング中に、もう一度は親の敵相手に。さてどちらが強い力で殴れるでしょうか?」

上条「それは……」

絹旗「勿論能力自体の制御や演算行為に関しては、本人がある程度能動的に行わなければいけないのですが、麦野の場合、威力強化を計るために攻撃本能と能力をシンクロさせました」

絹旗「実験は成功、学園第四位の戦闘力はわたし達が一番身近に感じていますね」

絹旗「しかし完全な成功、とは行かなかったようです」

絹旗「人を殴ったら、と言いましたが、多くの人はリミッターをかけています。全力で殴れば拳自体が折れてしまいますから」

絹旗「人間は生きるために自分へリミッターを課しています。しかし麦野にはそれが働きません」

絹旗「原子崩しは理論上超電磁砲よりも強い破壊力を持ちます、と言うか研究所のシミュレーションでは瞬殺だそうです」

絹旗「第二位も未元物質の生成するスピードを上回る出力を持つため、勝てるだろう、と」

上条「いやそれおかしいだろ。序列が間違っているって言うのか?」

絹旗「ただし全力ですれば、の話です」

絹旗「そして麦野が100%全力で原子崩しを使えば、制御が出来ず――自分の体の大半が崩壊するそうです」

上条「……なんだそりゃ。なんだって言うんだよ?」

上条「つまりアレか?強いパンチを持つボクサーを育てたは良いが、そのボクサーが全力で殴ったらボクサーも死ぬって?」

上条「ふざけんなっ!そんな研究誰が――」

絹旗「木原数万。学園第一位の能力開発に尽力した男です」

絹旗「第一位と麦野の攻撃性、似ているとは思いませんか?時には自分まで巻き込むような所まで」

絹旗「零次元の極点、だか言うプロジェクトへ麦野が参加する筈でしたが、結局木原は行方不明になり、計画は凍結されています」

絹旗(暗闇の五月計画にも関わっていましたが、まぁそれは超置いておきましょう)

上条「一方通行が歪んじまったのも、ソイツの仕業って訳か?」

絹旗「否定はしません。ですが――」

絹旗「それも含めて、麦野です」

上条「……そっか。そう、だな」

絹旗「えぇ。学園都市にいる人間達は多かれ少なかれ代償を支払っています。善し悪しは兎も角、また自分の望んだものであるかもさておき――」

上条「麦野は、麦野だ、と」

絹旗「はい」



165:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:12:36.03 ID:8Zghcs7u0

フレンダ「……結局喫茶店でするよーな話な訳―?」

滝壺「内容は別に、珍しい話でもないし……」

絹旗「――と、湿っぽいお話は超ここまでにしましょう」

上条「だな。麦野が悩んでいるんだったら、俺達がその都度首を突っ込めば良いだけの話だし」

フレンダ「(いや、それが出来るのは上条だけって言うか)」

絹旗「(普通はメルトられて超終わりですからね)」

絹旗「と、言う訳でお給金のお時間です。フレンダ、滝壺、今月もお疲れ様でした」

フレンダ「あ、そういえば今日だった訳!やったーっ!」

滝壺 ペコ

上条(こう言う所は年頃の女の子なんだよな)

絹旗「上条はこれです。途中参加なのでみんなよりも少ないですが」

上条「えっ!?俺も貰えんの?」

絹旗「ボランティアで構わないなら、この封筒は『アイテム』の遊興費に――」

上条「あざーすっ!」

上条()

上条 フラッ

絹旗「ど、どうしたですか」

上条「マジですかっ!?こ、こんなに貰って良いのか?多く入れすぎじゃねぇのか?」

上条「実は他の人の給料も雑ざってて、事務所を出た瞬間に泥棒呼ばわれされて捕まるとか」

上条「預金しようとしたら銀行強盗が入っている所に出くわして、ついでに持って行かれるとか」

上条「通りすがりの娘が思い詰めた顔をしていたから事情を聞いて見れば、今日付けで返さなきゃならない借金の額とお給料の額が一致しているとか」

上条「――って事はないんだよな!?なっ!?」

絹旗・滝壺・フレンダ「……」

上条「ど、どした?」

絹旗「いえちょっと見えざる神の手があるような不幸っぷりに超涙が」

フレンダ「……上条、良かったらサバ缶食べる?賞味期限ギリギリだけど」

滝壺「がんばれ、でも諦めも、大切……!」

上条「いやいやお前ら上条さんはそんなに同情して貰う程じゃないからね?あと滝壺は応援している割には酷い事言ってるからな?」

絹旗「まぁ上条が気にするような事は超ありませんよ?そんなに心配だったら、わたしが家まで送っていっても良いですし」

フレンダ「とか言って何かねだって買って貰ったりする訳よ。子供かっ!」

滝壺「ずるいー、はんたいー、えこひいきー」

絹旗「……いえ、わたし超最年少なんですが」



166:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:14:10.99 ID:8Zghcs7u0

上条「あぁ気持ちは有り難いけど今日は良いよ。途中で買い物もしたいしな」

フレンダ「早速何に遣う訳?」

上条「食費かな?ウチには大食らいの同居人がいてなぁ」

フレンダ「か、彼女って訳?」

上条「ないない。インスマウスは只の居候だよ」

絹旗「インスマウスって。こないだ見た超B旧映画のタイトルに、そんな名前ありましたが」

上条「インスマウス……?あ、違ったインデペンデンス・デイだった」

絹旗「映画のグレードが超上がりました!?」

上条「……いや、ホンダ=インテグラだっけかな?」

フレンダ「バイクの名前に跳んだ訳っ!?」

上条「あれ……あぁごめんごめん、同居人の名前間違えるなんて酷いよな。確か――」

上条「ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロンデックスだった」

絹旗・フレンダ「○魂の卑猥なオブジェクトに波及したっ!?」

滝壺「わたし、銀×月カプ好き」 ハイタッチ?

上条「あぁうん俺も俺も!」 ハイタッチ!

滝壺・上条「いえーい」 パシンッ



167:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:16:55.65 ID:8Zghcs7u0

――少し後、いつもの喫茶店の前は良くあった女子会

フレンダ「なんなんだろうね、これ。あの店員が上条に『あ、有り難う御座いましたぁ!』って下目遣いではにかむのが、妙に苛つくんだけど」

絹旗「麦野居なくて超正解かもです……いえ、それはそれで管理責任が問われるかも?」

フレンダ「『アタシが居ない間にやってんだああぁぁドーン!』?」

フレンダ「あっはっはっはっはっ……ナイナイ、ないアルよー……」

滝壺「まぁてんいんさんは別に良いと思う。なんか幸薄そうだし、どっかのチンピラと絡んで運気が下がってそうだから」

絹旗「超問題は同居人、ですか」

フレンダ「あのさ、上条の性格だと隠し事は出来ない訳よね。だか彼女じゃないのは本当」

フレンダ「しかも一緒に住んでいても何もないってのは、『完全に異性として意識すらされていない』って訳だし」

絹旗「まぁ名前すら覚えてない時点でどうかと超思いますが」

フレンダ「でもまぁその娘が安牌だったとして、3分でフラグ立てるような相手に、あたしらがどうすりゃいいのかって訳だし」

三人「……はぁ」

フレンダ「あー……んじゃ、さ?」

絹旗「超怖いかーちゃん役の人も居ませんし」

滝壺「うん……うん」



168:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:18:47.86 ID:8Zghcs7u0

――懲りない善人、足りない悪人。××学区の路上にて

浜面(出来る男の朝は遅い)キリッ

浜面(大体昼頃に起きて、俺は颯爽と仕事場へ向かうのさっ)

浜面 キョロキョロ(ゲ×や××コが無いか確認)

浜面 バサァッ(拾った新聞紙を広げる)

浜面 カシャカシャ(袋に入った商品を並べる)

浜面「浜面商店の開店だぜ!」キリッ

上条 フゥ

上条(喧嘩に巻き込まれるのが三回、女の子に助けを求められるのが四回)

上条(あと双子の姉妹に『わたし達を見分けられたら、つ、付き合ってあげても良いんだからね!』って言われるのが五回)

上条(今日はいつもよりトラブルが起きてないな、ラッキー!平和な一日を送れそうだ!)

上条(もしかしたらお金を落とさずに帰れるかも!……いやいや過信は良くない、慎重に行かないと)

上条(でも現金のまま持ってたら無くしそうで怖いし、何か買っちまった方がいいかもな)

上条(あれ、あんな所で何か売ってる?)

浜面「らっしゃいあせー、安いよ安いよー、高級ブランドを激安で販売しているよー」

上条 ジーッ

浜面「おう兄さんっ!どうだい、可愛い彼女やご両親にプレゼント送っちゃどうか――」

浜面(げえぇっ!?コイツこないだ悪魔みたいな女連れていたヤツ!つーか俺が暗部へ入るの邪魔した野郎じゃねーかっ!?)

浜面(や、やべぇ……どこにあのデ○ザウラーみたいな女隠れているかも知れない)

浜面(荷電粒○砲が射程外から飛んでくるかも!)

浜面 ガクガクブルブル

上条「あのーすいません」

浜面(い、いや!そうじゃねぇ!俺は逃げない!女に守られているようなヤツに、俺は負けられないんだ!)

浜面(覚悟を決めろ!俺は――男だ!)

浜面「スンマセンシタァっ!!!」(光速土下座)

上条「……大丈夫ですか?」

浜面「……へ?」

上条「急に顔色悪くなったみたいだけど、救急車でも呼ぼうか?」

浜面(コイツ……覚えてない、のか?それはそれでムカつくけど)

浜面「あぁうん問題ないない。ちょっと貧血気味だから」

上条「だったらいいけど」



169:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:21:19.16 ID:8Zghcs7u0

浜面「それより兄さん見てってくれよ。人気の商品を大安売りだぜ?」

浜面(……くっくっく。腕っ節じゃ負けるようだがなぁ、この浜面仕上、口が達者なのはスキルアウトの中でも一目置かれた身だ)

浜面(100均で買ったパチモンブランド、精々高ぁく売りつけてやんぜコラあぁっ!)

上条「マジで?」

上条(やった!今日はなんてついている日なんだ!)

通行人A(あ、バカがカモになった)

通行人B(あの子可哀想……)

浜面「んでーどーすんのよ兄さんよぉ。相手誰に送っかーとかあんの?」

浜面(どーせあのブランドおっぱい相手なんだろ?クソったれが!)

浜面(夜になったら揉んで揉んで揉んで、朝になったら揉んで揉んで揉んで、昼になったら揉んで揉んで揉むんだろおぉっ!?)

浜面「いーなーそれ、いいなあぁっ!!!」

上条「……どうした?やっぱ頭打ったとかじゃ……?」

浜面(口に出てたっ!?)

浜面「大丈夫だぜっ!俺、頭は前っからオカしいからっ!」(キリッ)

通行人A(え、そんなフォローでいいの?)

通行人B(あのバカ可哀想……でも、ないな)

上条「そ、そうか。大変だな」

上条「に、しても色々あるんだなー。こういうのどっから仕入れてんだ?」

浜面「いやいや聞くのは野暮ってもんだぜ兄さんよお。只、この俺の名前にかけて合法的に仕入れたシロモンだ!」

上条「やっぱ店舗とか出さない代わりに安くしているとか、一人で売って人件費節約しているとか、そーゆー話?」

浜面「かなわねぇなぁ。大体合ってる」

浜面(へー、そんな商法あったのか。確かにそうすりゃ安く売っても元は取れらぁな)

上条(あ、スカーフ……そういや麦野さん、いつも着けてたっけ)

上条(……いやいや、俺がぶん殴った時、泥ん中突っ込んだような?)

上条(こないだのピザ代も『アタシは知らない』つって受け取ってくれなかったしなぁ)

浜面「おっ、このスカーフがいいのか?何だったら箱開けてみるかい?」

上条「いいのか?汚れっちまうだろ?」

浜面「後から箱と中身が違うって言われても困っから、商品見せて確認して居るんだ。どうだい、良心的だろぉ?」

上条(この人ちゃんとしてんのなー)

浜面(くっくっく、箱は拾った本物、中は100均のパチモン!アンチスキルに捕まった時にゃ――)

浜面(『ボク、箱から出して見せましたよー?この人も商品見た上で買ったんですよー?』で逃げられるんだぜぇ?)



170:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:22:50.17 ID:8Zghcs7u0

上条(ブランド名はっと)

上条(P、R、A、D――あぁうんうん聞いた事あるなー。俺でも知っているんだから、喜んでくれるだろ)

浜面「つーか兄さんよぉ、んなスカーフ誰に送るんだい?割と着る人選ぶよ、それ」

浜面(どうせあのおっぱいだろうがよぉ!精々幻滅されてフラれりゃいーぜ)

上条(俺と麦野さんの関係?)

上条「同僚かな?同じ仕事の先輩後輩だよ」

浜面(あれ、俺の想像と違うな?)

浜面「またまたー、実は恋人なんでしょー?それともアレかっ!好きな相手にコクるんでしょー?」

通行人A(リア充死ね)

通行人B(リア充死ね)

上条(恋人なぁ……可愛い所結構あるけど、俺じゃ釣り合わねぇよなぁ)

上条「いや、そんなんじゃない。確かにタイプではあるけど、なんつーか尊敬出来る先輩?俺じゃとてもじゃないが無理っぽいし」

浜面「先輩後輩?只の?」

浜面「あーはいはい、分かる分かる。部活の先輩でキレーな人で、でも実は先輩の同級生と付き合っているから、俺らじゃスタートラインにも立ててない、って感じの?」

通行人A(あぁうん、あるよねー)

上条「そうそう!ズルいよなー、あぁいやズルくないけど」

浜面「でもってそう言う人に限って、こっちが諦めようとしてんのに、近寄ってくんだよなぁ」

通行人B(いやそれは……気があるからに決まってんでしょう。好きでもない相手に時間は遣わないし)

浜面(あぁコイツ以外と普通?つーか俺が勘違いしてたのかもな。何か罪悪感が今頃チクチクと)

浜面(……ま、少しゃ安くしといてやんよ。でもな、その前に確かめなきゃならねぇ事がある!)

浜面「で、だ。兄さんよお。その人――おっぱいは大きいのかい!?」

上条の下条さん(89のEですた)

浜面「そっかぁスゲーな、おっぱい!」

上条「だろう?分かってくれるよな、おっぱい!」

浜面「おっぱい!」

上条「おっぱい!」

通行人A「おっぱい!」

通行人B(参加しやがったっ!?)

浜面・上条・通行人A「おーっぱい!おーっぱい!!おーっぱい!!!」

通行人B「あ、すいませんアンチスキルですか?あぁはい、至急来て下さい。バカが三人――えぇ、お持ち帰りコースで」



171:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:24:36.74 ID:8Zghcs7u0

五和「あ、あのっおしぼりどうぞっ!」

上条「あぁうん有り難う五和――って五和!?」

浜面(新しいおっぱいが!?)ビクッ

通行人A(リア中は死ね。氏ねじゃなくて、死ね) ペッ

上条「どうしてここへ?つーか何でおしぼり?」

五和「いえ、何か凄いヨゴレた感じがしたので」

上条「勘違いじゃねぇかなぁ?俺達は只の紳士だし!」

浜面(うっわーおっぱいオッキィー……見せつけてくれやがってクソが!格差か?格差社会が悪いのかよっ!?)

通行人A(汚れてなんか無いよっ?むしろ一度も使ってないから新品だよ?)

浜面「……つーかイチャつくなら余所でやってくれよ、兄さん」

上条「あ、ごめん。じゃこのスカーフ貰えるかな?」

浜面「予算幾らよ?結構高いぜぇ?」

浜面(あぁもうヤケだ、トコトンぼったくったらァ!)

上条 ガサゴソ

浜面 ヒョイッ(封筒をひったくる)

浜面「……ま、こんくらいで充分だぜ。ちっと足りないぐらいだがな」

上条「そうなのか?有り難うっ!」(キラキラ)

浜面(やべぇ……俺の良心がちっと痛む)

五和(あからさまに怪しいパチモンブランドで封筒丸ごと渡すなんて……まぁ上条さんですし、元々大して入ってないでしょうし……いいのかな?)

上条「ホントにっ、有り難うな!」

浜面「おぅ!」

五和「失礼します」

浜面「……」

浜面(行ったか。どれどれどんだけ入ってるっかな、と。全部クーポン券だったら泣くけど、まぁ千円×10枚ありゃ万々歳だろ)

浜面「………………」

浜面「嘘おおおぉおおおおおぉんっ!?」

浜面(ヤバいって!幾ら何でもそりゃ冗談にならないって!)

浜面(急いで謝って返さねぇと――)

通行人B「あ、おまわりさんあの人です」

アンチスキル「ちょっといいですかぁ?」

浜面「」



172:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:26:17.73 ID:8Zghcs7u0

――立派なマンションの一室(※一部上司との合作)

一方通行「……はァはァ……クソがっ!なんだってンだよォ……」

打ち止め「ほらほら息がもう上がっちゃったのー?だらしないんだねー、とミサカはミサカは余裕の表情で言ってみたり!」

一方通行「……くっ!?」

打ち止め「あっ、ちょっとおーきくなった!きゃはっ頑張ったんだねー、えらいねー、ってミサカはミサカは上から目線で罵倒してみる!」

打ち止め「でもなー、おそいかなー、こんなんじゃミサカは満足できないよ?それとも喜ばせる気がないのかな、ってミサ――」

一方通行「だァらァアアアっ!!!」

打ち止め「わきゃっ!?」

一方通行「ナメてんじゃねェぞ、あァ?そンじゃそこらの三下たァ格が違うンだぜェ」

打ち止め「やん……大きく、なったねってミサカはミサカは壊れちゃうかも、って不安に怯えた演技をしてみたり」

一方通行「うるせェよ、お前はもう抱きしめたくなるぐらいアレだぜ」

打ち止め「あなた、どうしたのって――」

一方通行「満足すンのはオマエじゃねェ――オレが満足するまで泣き叫んでも許しゃしねェンだよオオォっ!!」

打ち止め「はやくはやく!ってミサカは知らないおっぱいの人も一緒にどうですか、って誘ってみたり!」

一方通行「あぎゃぱっ!何人だろうが俺が相手してやンよォ――オイオマエ今なんつった?」

打ち止め「『誘ってみたり?』」

一方通行「もォちょい前だ」

打ち止め「『ここから先は、一方通行だ?』」

一方通行「何カ月前の話だァ!?つーかオレの黒歴史掘り返すのやめろよォ!いやそォじゃなくって、知らないおっぱいって誰――」

麦野 パシャッ、ピロリロリーン!

一方通行「」

麦野 ピッピッピッ(和、美少女、炉、モヤシ、なう)

麦野 ピッ(送信送信)

一方通行「何やってンのオォっ!?テメェコラ何してくれてンだコラアアァッ!!!」

麦野「……堕ちたわね、アンタ。こんなんが学園第一位だと思うと、悲しくて血のシ××ベン出そうだわ」

麦野「でもね。アンタが幸せなら、私も良いとは思うのよ?」

麦野「日本の法律じゃあアウトだけれど、一応二人の間に肉欲以外の何かがあれば、それはそれで」

麦野「だから――だからもう二度と話かけてくんじゃねぇわよセロリ野郎」



173:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:27:59.35 ID:8Zghcs7u0

一方通行「待て待て待て待て!オマエは勘違いをしてンだァ!別にいかがわしい事やってる訳じゃねェだろうがよ!」

麦野「……オーケイ第一位。だったら状況整理してみようか。お互いに混乱している可能性もあるし」

麦野「私は垣根からアンタらの残業を聞いて、セロリからも話を聞こうとやってきたのよ」

一方通行「オイオマエ今までモヤシっつってただろォが。そっちで呼べよォ」

麦野「マンションの前で黄泉川さん?に『セロリぶっこ抜きたい』って事情を話したら、ロックを外してくれて――」

一方通行「なんかァ、セロリって言われるとォ、ロリ的な責められ方をされてるっつーかァ」

麦野「で、衝撃の光景を目撃してしまったと」

一方通行「……黄泉川の野郎ォッ……」(ギリギリ)

麦野「で、今度はアタシからの質問よ。アンタ今どんな体勢?」

一方通行「……四つんばいになってンなァ」

麦野「まぁそれ自体は別にどうってこたぁ無いでしょうよ。問題は上のちっこいの――」

打ち止め「わたしは打ち止めって言うの!ってミサカはミサカは空気を読んで黙っててエラかったねー、って誉めて欲しかったり」

麦野「おー良い子良い子、つーか一人称と名前違うのかよ」(ナデナデ)

麦野(ミサカ、ねぇ。超電磁砲もちっさい頃は可愛かったんだな)

麦野「それで?どうして打ち止めちゃんを背中に乗せたまま、大きいとか満足とか、場合によっちゃ出るトコ出なくちゃイケナイ単語を連呼してたのよ?」

一方通行「そいつァ誤解だってンだよォ。俺はコイツに脅迫――」

一方通行(待て待て。MNWが無ェと動けねェってバラすのは拙いだろォ)

一方通行()

一方通行(無理ゲーじゃねェかな?)

麦野「脅迫?」

一方通行「い、いやァ教育つったンだ、教育」

麦野「あぁ調教的な?」

一方通行「違げェよ!つーかこのガキが覚えるから変な言葉口走ってンじゃねェ!!」

麦野「アンタも口の悪さじゃ変わらねぇだろうが!」

打ち止め「ねぇねぇネットワークに流したら凄いレスが――」

一方通行「オマエも黙ってろ!……もう勘弁してくれよォ……」

一方通行「俺はコイツに“お馬さンゴッコ”をしてただけだろうが!何でこんなに責められなきゃなンねェ!?」



174:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:29:56.81 ID:8Zghcs7u0

麦野「いやー……」

一方通行「ンだァ?言いたい事ァあったらはっきり言いやがれ!」

麦野「幼女に乗られて罵られて喜ぶロリペド変態野郎、もうお前そのまま腹上死しちまえよ」

打ち止め「ねーねー“ふくじょうし”ってどんな意味なのー、って」

一方通行「あァもうおン前ェほンっとに情操教育に悪りィよなァ!?もうお願いですからァ、発言全部にピー音入れてくれませンかねェ!」

麦野「アタシは別に困らないし」

一方通行「……いいのかァ?」

麦野「何がよ」

一方通行「想像してみろよォ、オマエがガキこしらえた時の事をよォ」

一方通行「てめェの汚ねェ言葉遣いがそのまま移るンだぜェ?」

麦野「はっ!子供なんざ別に――」

麦野「」

上条沈利『あ、お帰りー、沈麻―、当利―』

沈麻『ただいまーおかーさん』

当利『ただいまーババア』

上条沈利『バっ!?こ、こんのガっ!……が、学校はどうだった?』(ニッコリ)

沈麻『うん!楽しかったよー』

当利『隣のクラスの琴黒ちゃんが、お兄ちゃんをビリビリしようとしてきたから、ア×ルから原子殺しブチこんておいたよー』

上条沈利『それ即死っ!?』

沈麻「大丈夫だよおかーさん。ボクが幻想崩しでぶっ殺しておいたからー」

当利『うん、お兄ちゃんに怒られちゃったー』

上条沈利『そ、そっか。まぁそれなら』

当利『あ、でもねー、むすじめ先生がお兄ちゃんを体育倉庫に連れ込もうとしていたから、ひん剥いてク×と×首にピアス空けて吊っといたからー』

上条沈利『よくやった!今日はカレーよ!』

沈麻・当利『わーい!』

麦野「……」

麦野(……子供の前では、ね。抑えた方がいいのかしら?)

麦野(……それより琴黒?美琴×黒子?出来るの?)



175:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:31:48.06 ID:8Zghcs7u0

麦野「……あぁうん、何かごめん。私は何も見ていないから、それで良いわよね」

一方通行「ちょっ!?気ィ遣われると余計辛ェンだけど!」

麦野「まぁ聞きたい事だけ聞いたら帰るから、そのまま続けて続けて?ゴメンナサイね、打ち止めちゃん」

打ち止め「おねーさんも一緒に如何ですか、ってミサカはミサカはレディとして誘ってみる!」

麦野「あーうん、お誘いアリガト。でもおねーさん安いタクシーだと悪酔いする方だから」

打ち止め「あ、じゃあじゃあ人間イスってのは――」

麦野「えっとそろそろ下の半人半豚ド畜生がぶち切れそうになっているから遠慮しておくわ。まぁ私には構わずどうぞ」

打ち止め「ありがとー、ってミサカはミサカはおっぱいの大きな人は心も広いのね、って感動してみる!」

麦野(オリジナルの惨状を見るにあなたは期待薄だけどね)

一方通行「で何ィ?なァンの用ですか、第四位さァァンっ?」

麦野「アンタら残業の話とか、知っている事全て話しなさいな」

打ち止め「おうまさーん!」

一方通行(俺が変な言葉使うのは拙いだろォなァ)

一方通行「パッカパッカ――あァ?テメ、それが人にものを頼む態度なンですかねェ?その大きめの体地面にペコリしてお願いするのが先じゃねェンですかァ?」

麦野(汚ぇ言葉使えないから上手く罵倒出来無ぇな)

麦野「煩ぇなセロリ野郎。アンタのやおいホールから原子崩し突っ込んで貫通させるわよ」

打ち止め「おうまさーん!」

一方通行(どォしたもンかァ……まァアニメならいいかァ?)

一方通行「パッカパッカ――あァやってみろよォビ○ザムさァンよおォっ!学園最強の白い悪魔のニュータイプ能力、テメェら弱いお魚さン達にも見せてやンぜェ?」

麦野「誰がビグ○ムだコラアアアァァァッ!?あんな美脚羨ましいじゃねぇか!!」

打ち止め「ねぇねぇおうまさんはなんて鳴くのー?」

一方通行「ヒヒーンッ、ブルブルブル――はッハァコイツァ滑稽だなァ!んな派手な格好したお歳を召された女性はよォ、結局ご自分に自信が無ェから着飾ってらっしゃるンですかァ!」

麦野「てめェいい加減にしねぇとこんがり健康肌に灼いてやんぞ!」

打ち止め「どうどうー、ストップー!ひんべー、とまれー!」

一方通行「ヒヒーン!」

打ち止め「ミサカはちょっとお花を摘みに行ってくるのだ!ってミサカはミサカは覚えたばかりのお上品な言葉を使ってみる!」

打ち止め タタタタタタッ

パタン

麦野・一方「……」



176:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:33:27.07 ID:8Zghcs7u0

麦野「アンタら残業の話とか、知っている事全て話しなさいな」

一方通行「あァ?テメ、それが人にものを頼む態度なんですかねェ?そのデカい体折り曲げて土下座してお願いするのが先じゃねェンですかァ?」

麦野「煩ぇなセロリ野郎。アンタのア×ルから原子崩し突っ込んで口とトンネル開通させるわよ」

一方通行「あァやってみろよォウドの大木さァンよおォっ!学園最強の能力、テメェら雑魚どもにも見せてやンぜェ?」

麦野「誰がウドの大木だコラアアアァァァッ!?あんな色白羨ましいじゃねぇか!!」

一方通行「はッハァコイツァ滑稽だなァ!んな派手な格好したババアはよォ、結局てめェに自信が無ェから着てンのかァ!」

麦野「テメェいい加減にしねぇと全身消し炭にすンぞ!」

ジャァァァッ、パタン

打ち止め「ただいまー、あれ?」

麦野・一方「………………」

打ち止め「続けないの?ってミサカはミサカは愛らしく首を傾けてみたり!」

一方通行「……ケータイ出せ」

麦野 ガサゴソ

一方通行 ピッ(メアド交換)

一方通行「……後でレポート送るから、そのォ、なンつーかァ」

麦野「わかってる。大丈夫だ。私を信じな」

一方通行「……悪りィ」

麦野「良いわよ。でも貸し借り無しだからね」

麦野「じゃあ帰るけど、その、ごめんね?いやホント、悪気とかあった訳じゃないし」

一方通行「あーうん問題ねェよ。分かってっからァ」

打ち止め「おっぱいの人―、またねってミサカはミサカは手を振ったり!」

麦野「打ち止めちゃんもまたね?今度はお菓子でも持ってくるから」

打ち止め「わーいっ!ってミサカは――」



177:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:35:10.71 ID:8Zghcs7u0

――考察、自分だけの現実について・2

(例として第一位を挙げよう)

(こいつの『反射』は傷つきたくないという恐れから生まれた、と推測している)

(相手を拒絶すれば傷はつかない。馴れ合わなければ、友人を作らなければ、愛する人を求めなければ――)

(そう、全てを拒絶し、まさに“一方的”であれば自分は傷つかない)

(だが結局、最後まで拒絶を貫けなかった。それは――)

(第一位が他人との繋がりを求めていたからに、過ぎない)

(バカよね、ほんと)


――路上

浜面(クッソ何であんなにタイミング良くアンチスキルが来るんだ?)

浜面(商品は没収されるわ、金は一時預りになんわ、一銭も稼いでねぇじゃかよ)

浜面(……メシでも食うかぁ)

男「……」

男(天草式の隠形術式はここで途絶えている)

男(つまり私に尻尾を掴ませる事が目的であるか?)

男(いや、そうであれば監視か襲撃があるのであるな。と、すれば隠形術式に少しなりとも接触した人間が近くにいる)

男(あの、青年であるか)

浜面「……はぁ」

男「すまない。ちょっと良いのであるか?」

浜面「あぁ!?」

浜面(うわなんだこいつムッキムキじゃねぇか!)

男「人を探しているのであるが、見覚えはどうであるか?」 ピラッ

浜面「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?知ってる!つーか誰!?」

男「話を聞かせて欲しいのであるが――何処かで食事でも奢るのである」

浜面「あぁ良いけどもっ。あんた名前は?」

男「アックア、傭兵である」

浜面(あっくあ?ようへい?)

浜面(あぁ『アックア=洋平』って事、ハーフなのか)

浜面「んじゃそこで構わないぜ、洋平さん」

アックア「あぁ」

アックア(傭兵と呼ばれるのは……まぁ良いであるか)



178:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:37:02.01 ID:8Zghcs7u0

――ファストフード店内

アックア「良いのであるか?高い所でも良かったのであるが」

浜面「あぁいーのいーの、俺にゃこっちの方が合ってるし」

浜面「で?こいつ、上条ってのを教えりゃいいのか?」

アックア「あぁ、頼むである浜デュラ」

浜面(デュラ?……ま、まぁ発音しにくいだけだよな)

浜面「まず俺とアイツが出会ったのは、雨が降る日だった――」

浜面(ちょっと盛るか。どーせ興信所とか探偵さんだろうし)

浜面「アイツが車泥棒をしようとしている所に俺が出くわしたんだ。俺は当然止めたぜ?」

浜面「でもな、アイツの側にはいつも凄ぇ能力持った女達が居るんだ!上条は女を盾にして、こう言ったんだ」

浜面「『一々邪魔なンだァよォ三下がァ!てめェみてェなクソネズミは、お弁当の中に入っている草っぽいペラペラでも漁っている方がお似合いだぜェ?』」 ヘラヘラ

アックア「なんと!何と酷い男なのであるか……!」

アックア(というかバランであるな。ハラン――葉蘭を真似て作られたのである)

浜面「だから俺は言ってやったさ!『お前が俺を何回ぶちのめそうと、俺は何回だって立ち上がる!』」 キリッ

浜面「『歯を食いしばれ、上条!俺の最弱はお前の幻想を一方通行だ!』」キリッ

アックア(言葉の意味は良く分からないが、兎に角凄い自信であるな!)

浜面「けど――だけどよぉ、ダメだったんだよ!俺じゃ勝てなかったんだよ!」

浜面「上条に騙されている女どもを!俺は殴るなんて出来なかった!」

浜面「むしろ殴って欲しかったんだよ!!!」

アックア「いや、しかしその場合は仕方がないのである」

浜面「……俺は出来なかった、俺は女に手を上げられなかった!それが、全てだ」

アックア「浜デュララ!貴様の悔恨は理解したのである!このアックア、右席に連なる者として汝の罪を許そう」

浜面(“ラ”が一個増えた?)

浜面「俺が、俺が罪だってぇ!?」

アックア「弱さは罪である。無知も然り、戦う力を持たないのは悲劇であり、受難である」

アックア「だがこの私が戦えない者に代わって戦えばいいだけの話である」 キリッ

浜面「洋平さんっ!!!」 ガシッ

アックア「浜デュラララ!!」 ガシッ

浜面「頼む!俺はいい、だが上条に騙されている女達を救ってやってくれ!」

アックア(なんと……この期に及んで復讐ではなく、他人の幸せを望むのであるか!)

アックア「あぁ任せるのである!神の右席に誓って汝の無念を晴らすのである!」

浜面(ちょろいなー、つーかちっと盛りすぎたか?)

浜面(あれ?俺上条に謝るつもりだったんじゃ……?)

浜面(いや、金はいつか返すが恨みは別だぜ!)

アックア「まぁそれはさておきデュラララ!!は結構息が長いのであるな。登場人物が多すぎで、相関図を書かねば理解出来ないのであるが」

浜面「本気で何の話よ!?」



179:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:38:48.95 ID:8Zghcs7u0

――帰り道

上条「神の右席、ねぇ。聖人って事は神裂みたいもんか?」

五和「とんでもない!女教皇とあんなゴロツキを一緒にしないで下さい!」

上条「俺、最初から問答無用で疑われたんだけど……」

五和「そ、それはホラ!マジ殺しか警告の差ってあるじゃないですか!」

上条(あ、天使堕としの時が初めて会ったんじゃなかったんだっけ?)

五和「とにかく、です!わたし達天草式十字凄教では全力であなたをお守りしますから!」

通行人A(リア充なんて死ねばいい)

通行人B(オイ巨乳、お前今わざと噛んで可愛く見せようとしただろ?)

通行人C(それが通じんのは10代までだからなぁ、いつかお前も飽きられんぜぇ?)

上条「あーうん、有り難うな」(キリッ)

五和「と、とんでもないです!わたし達の方こそいつもいつも助けて貰ってばっかりで!」

上条・五和 イチャイチャ

通行人D(あ、あの女の子可愛えぇ。ちょい地味めだけど)

通行人E(同級生の子、って感じだなぁ。あぁ俺もあそこでフラグ立ときゃなぁ)

通行人F(あ、貴様は上条当麻!……って誰だ、隣の子?)

通行人G(ウッホウッホウッホ)

通行人H(ついにわたしも名前が消えた……このままモブキャラに一直線、フフ)

上条「……なんか今日はやけに視線を感じるような……?」

五和「あ、きっと護衛しているわたし以外の十字凄教――じゃないですかね」

上条「かなぁ?つーか建宮とかにお礼言った方が――危ない!五和!」

五和「えっ、えぇっ!?」

通行人I(よし五和!教皇代理が発案した『転んでハプニング大作戦』の発動じゃ!)

通行人J(そしてお前は『もう、上条さんなんてエッチなんですから!』と言う!)

通行人K(ヤダ、この人ジョセ○・ジョースターだわ……)

通行人L(あ、あの人だ!ってミサカはミサカはスネークを続けてみる!)

通行人M(……ったくクサクサすんなぁ。垣根はバカだし第一位はペ×だし)

通行人M(あん?上条かよ)

五和「もう、上条さんなんてエッチなんですから!」(テレッ)

上条「違う!これは事故だあぁ!?」

通行人M ブチイィッ

通行人M?「オイ」

上条・五和「はい?」

麦野(通行人M)「人がちったぁ真面目にお仕事してるってのに、ナニ街中でイチャコラしてやがるんだあボケがぁぁっ!!!」

上条「不幸、だああぁぁぁぁっ!?」

ドーン!



180:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:40:28.45 ID:8Zghcs7u0

――13/XX/XX 23:00 From-lovelove-last-order-peropero@misaka.com 『残業』の件

麦野「……ふんふん」

麦野(要はちょっとした戦争出来る装備を持った連中を待機させていた、と)

麦野(でもあのバカコンビが面白半分で壊滅させた。相変わらず酷ぇな)

麦野(戦闘中負傷した能力者は生死を問わず全て回収され、今日時点で行方が掴めているのは誰も居ない)

麦野(『アイテム』と『グループ』以外は半壊か壊滅状態、中には姿を消したメンバーも居る)

麦野(一歩間違えりゃアタシ達も危なかったわね)

麦野(……いや、今更だな。暗部ってのはそういう所だ)

麦野「……」

麦野(そういう、所だわ)


――翌日、放課後にいつもの喫茶店にて

麦野「――で?言いたい事があったら話せるウチに言ってご覧なさい?」(ニコッ)

絹旗「(うわ超怖いんですけど何やったんですか上条)」

滝壺「(むぎの、電波三本立ってる……)」

上条「(いやもう何が何だか訳分からない状態でさ)」

麦野「いや別にぃ?上条くんがどこでどんな女の子引っかけようと、アタシはいーのよ?」

絹旗「(ちなみに麦野の一人称が『アタシ』になった場合、超ぶち切れる寸前です)」

滝壺「(頑張れ、そんなかみじょうを応援している)」

上条「(俺に言われてもなぁ)」

麦野「でもほら、余所で女作るぐらいだったら、こう例えばフレンダをFu××してもいいんだからねっ?」

絹旗「(スネた仕草は割と可愛いと言えなくもないんですが、発言内容は『×欲を満たすんだったらフレンダで良くね?』と超鬼畜まっしぐらですからね)」

滝壺「(ふれんだ、うらやま……)」

絹旗・滝壺「え?」

麦野「つーかフレンダはどうしたのよ?こう言う時に弄ってストレス発散させるのが、あの子の仕事じゃない!」

上条「酷いなオイ」

絹旗「スーパーでサバ缶の超タイムセールらしいです」

上条(俺ちょっと行きたいかも)

麦野「と・に・か・く!アンタも『アイテム』なんだから自覚を持ちなさ――」

上条「――で、なんだが!麦野さん、これプレゼントなんだけど良かったら貰ってくれる?」

麦野・絹旗・滝壺「っ!?」



181:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:42:20.67 ID:8Zghcs7u0

麦野「わ、私にか?絹旗じゃなくって?」

上条「あぁ」

麦野「滝壺の方が――」

上条「いや、俺は麦野さんに受け取って欲しいんだ!」(キリッ)

麦野「そ、そうなの?まぁアリガト。開けても、いいかな?」

上条「どうぞどうぞ」

絹旗・滝壺「(フレンダは聞きもしなかった!?)」

麦野(PRADAの箱……へぇ、少し古いけどかなり良いヤツじゃんか)

麦野(それにしても私にかぁ、ふふっ)

麦野(何だかんだ言ってション××臭いガキとは魅力が違うってのよ)

絹旗(超余裕が超ムカつきますね)

滝壺(あ、ふれんだがこっちに向かってる。悪い予感が、する)

麦野 ガサガサ

麦野「」

麦野「……あぁうん、ありが、とう?」

絹旗「どうしました?超見せてくださいよ」

麦野「ちょっ!?」

絹旗「」

上条「どしたん?何で固まる?」

絹旗「えぇ、ちょっと超ビックリしちゃいました。高かったんですかね、これ?」

上条「いや、そーでもないぞ?」

絹旗「で、ですよねー?超そうですよね?」

上条「店の人が昨日のお給金だけで良いってさ!いやー良い人っているもんだな」

絹旗「そ、そうです、よね?」

麦野(何か頭痛いわー。結構あった筈なのに、こんなゴミ掴まされたのかよ)

絹旗「む、麦野は超着けないんですか?」

絹旗(わたしが超フォローしないと!)

麦野「ア、アタシがか?」

絹旗「ホラ!『折角貰った大事スカーフなので、一度着けて後はずっと仕舞っておく』んですよね?超そうですよね!?」

麦野「あぁうん!そうよね!それが良いわ!」

麦野 ガサゴソ

麦野「ど、どうかしら?似合う?」

上条「うん。麦野さんは何着ても奇麗だな!」

麦野(コ、コイツ!いや嬉しいけども!何か損した気分になるわね)

絹旗(なんでしょうね、こう超爆発しろって思ったんですが、二人が可哀想でもう)

フレンダ「おっまったっせーっ!」

麦野・絹旗・滝壺(最悪のタイミングでバカ来やがった!?)



182:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:44:00.81 ID:8Zghcs7u0

滝壺「ちなみにきぬはたの名前はさいあい、モアイじゃない」

絹旗「超何言っているんですか滝壺」

フレンダ「見ってー!結局サバ缶超買っちゃった訳よ!あ、麦野もほぐした鮭の瓶詰め買っといてあげたわよ!」

麦野「あ、ありがと」 コソコソッ

フレンダ「あれ麦野新しいスカーフ?いいなー、見せて見せて!」

麦野「ちょっ!待て!?」

フレンダ「えっとぉ……P・R・A・D――」

絹旗「あっちゃー……」

フレンダ「――O・T・E・P・E・S?」

上条「えっ?」

フレンダ「……ぷひゃっ」

フレンダ「あっはっはっはっはっはーっ!ヴラド、ヴラド=ツェペシュって!?串刺し公って訳!!」

四人「……」

フレンダ「どーした訳?なんで麦野がっ、100均に売ってるようなパチモンっ……ぷぷっ、着てる、訳――」

絹旗「フレンダ、ちょっと超屈んで貰えますか?」

フレンダ「何よっ!今ちょっとツボに入っちゃって――」

絹旗「……じゃあ超しょうがないですね。当て身は届きませんし」

フレンダ「へ?」

絹旗「超腹パンっ!!!」

フレンダ「そげぶっ!?」

絹旗「超すいません。フレンダがリバースしたいって言うので、外に行ってきますね」

上条「今鳩尾に入っちゃいけない深さまで拳が刺さったように見えたんだが……」

絹旗「滝壺はお水とナプキン超貰ってきて下さい。ほら、フレンダ自分で歩かないと」

滝壺「ん……」

フレンダ ズルズル

麦野・上条「……」

上条「……ごめんな?なんつーか、色々と気ぃ遣わせちゃって」

麦野「あぁうん。でも気持ちは嬉しかったわ。つーかどこで買ったのよ、こんなん」

上条「路上で金髪が売ってた」

麦野「怪しいのにも程があるでしょーが。もうちょっと人を疑う事を覚えなさいな」

麦野(なんつーか、こう、ネットショップで買ったは良いけど、いざ手元につくと大した事無いっていうか。吊り橋効果ってヤツ)

麦野(あの戦闘中、生死を賭けたクソみてぇな死闘の中)

麦野(アタシがアンタに見たのは『幻想』だったのかもな)

麦野(……まぁ――潮時、よね)



183:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:46:14.05 ID:8Zghcs7u0

麦野「……ねぇ上条。一つ提案があるんだけどね」

麦野「暫く『アイテム』を離れてみるつもりはない?」

上条「待ってくれ!それとこれとはっ!」

麦野「関係ないわね。前から思っていた事だし」

麦野「私は、私達はあなたに大きな借りがあるわ。またあなたが望むのであれば、戦う事だって躊躇いはない。それは絶対によ」

上条「だったら、どうして――」

バチッンッ!

上条(暴発、した!?)

麦野「最後まで聞きなさいな。でも実際の話、アンタが『暗部』に入るのは問題がある。ありすぎるってぇ程だ」

麦野「アタシ達は汚い事も色々やってきた。そして暗部みたいなクソ組織に身を置いている以上、仕方がないとは思う。他のメンバーも覚悟決めている」

麦野「だがな上条、アタシらと一緒にいる事で、アンタにもアタシ達の災禍が及ぶ」

麦野「アタシはそれが耐えられない。恩人であるあなたが私のしでかした事で傷つくのは――イヤ、なのよ」

上条「麦野、さん」

麦野「だから、だから暫く――距離を置きましょう?あなたが覚悟出来るように、そして私達が覚悟を決められるまでは」

麦野(せめて、暗部の抗争が一段落するまでは)

上条「……」

上条(アックアの襲撃に『アイテム』は巻き込めない)

上条(当然だ!分かってる事じゃないか!)

上条(なのにどうして――)

上条(胸が、痛いんだ)

上条「……分かった」

麦野(っ!?)

麦野「……そう、良かったわ」

上条「……あぁ暫くの間、会わない事にするよ」

麦野「……あと、帰る時にあの子達に挨拶してあげて?あなたの事を気に入っているみたいだから」

上条「ん、じゃ、またな」

麦野「ええ、またね」

麦野(……クソが!)

麦野(どうして――振り向くのを期待してんのよ!)



185:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:50:59.67 ID:8Zghcs7u0

――喫茶店前

絹旗「どうしてあんな事超言ったんです?麦野や上条の性格知ってれば分かりそうなもんですし」

フレンダ「だって!」

絹旗「だっても何も超ありませんよ!どうしたんですか、フレンダ」

フレンダ「だって……悔しかった訳よ!」

絹旗「はい?今なんて?」

フレンダ「何か、何かこう、ズルい訳よ!」

フレンダ「あたしだって『アイテム』の仲間な・の・に!何か、麦野ばっかりズルいって訳なの!」

絹旗「はぁそれはアレですか、超修羅場的な話ですか」

フレンダ「シュラバー?」

絹旗「あぁいえフレンダも上条が超好きって――」

フレンダ「な、ナイナイナイナイナイっ!?そんな訳ある訳がない訳よっ!?」

絹旗「また分かり易いリアクション超どーもです。つーかやっぱフレンダ女子力超高めですね」

フレンダ「そういう絹旗はどうな訳!?結局同じって訳でしょ?」

絹旗「好き嫌いで言ったら好きだと思いますよ」

フレンダ「ほらぁっ」

絹旗「只その、男女関係とかってのは超分からない、ってですかね」

絹旗「映画で男女の銀行強盗が駆け落ちする、ってのを超見たんですけど、あまりシンパシーは感じませんでした」

絹旗「だからわたしが上条に対して抱いている感情は、兄妹とか家族のそれだと超思います」

フレンダ「兄妹、兄妹ねー。あーうんなんか分かる訳。パ――お父さんみたいな感じがしないでもない訳」

絹旗「超良い機会ですから聞きますが、滝壺は?」

滝壺「すき、だよ?」

フレンダ「具体的にはどう?」

滝壺「?」

フレンダ「いや色々ある訳よ。兄妹っぽいとか、恋人にしたい、とか」

滝壺「わたしの居場所に、なってくれそう」



186:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:52:32.71 ID:8Zghcs7u0

絹旗「それって――」

滝壺「おしり、サスサスしたい」

フレンダ・絹旗「……」

フレンダ「(ごめん絹旗、なんて言っているのか理解出来ない訳)」

絹旗「(わたしも時々超分からなくなります)」

滝壺「むぎのは?むぎのはどう、なの?」

絹旗「それは……まぁ超アレですよね」

フレンダ「今何を話しているのか、大体分かる訳だけど」

フレンダ「結局どうでも良い相手だったら、遣い潰すとか殺そうとか、危ない目に遭わせたとしても、ずっとその後まで悩んだりしない訳」

滝壺「……うん、うん」

絹旗「暗部の動きがおかしいって聞きますし、一回離れるのも超やむなし、ですかね」

フレンダ「そうって訳――あ、絹旗絹旗―」

絹旗「超何ですか?」

フレンダ「何でさっき、『超』好きですって言わなかった訳?」

絹旗「え」

絹旗「えっと、ほら、超、あれ?そうじゃない!超そうじゃないんですよっ」カアァッ

絹旗「(――くぅぅっ!?)」ワタワタ

フレンダ(ヤダ超かわいい!)

滝壺(あ、超必殺技ゲージ三本溜まった)

絹旗「フレンダ……超もっかい超腹パン超欲しいんですね超わかりました」

バスッ!バスッ!バスッ!バスッ!バスッ!

絹旗「あなたがっ、吐くまでっ、わたしはっ、腹パンをっ、やめないっ」

フレンダ「ちょっ!?いたぁっ!?下腹部はっマズっ!?赤ちゃん出来るトコだかっ!?そげぶっ!?」

上条「……何やってんのお前ら!?」



188:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:53:56.83 ID:8Zghcs7u0

――路上探索

五和「上条さん、これ、こんなのどうです?」

上条「おっ、五和分かってるな!」

五和「こう見えても年上ですからねー。お姉ちゃん、って呼んでも構いませんよ、トーマ君?」

上条「あ、ごめん五和さん、少し離れて歩いて貰えませんか?」

五和「ええっドン引きですか!?思わず敬語を使われる程に!」

五和(教皇代理話が違うじゃないですか!?『年上のお姉さん大作戦』はダメっぽいです!)

上条・五和 ギャアギャア

フレンダ「(チッ、見せつけてくれる訳、あのおっぱい!ちょっと人より大きいってだけで、上条の視線は釘付けな訳!?)」

滝壺「(たしかに、『アイテム』の平均胸囲は低め……)」

絹旗「超全くです。しかしわたし達『アイテム』には秘密兵器があります!」(チラッ)

フレンダ「(あぁうんある訳よ)」(チラチラッ)

滝壺「(ごー、むぎのー!!!)」(チラチラチラッ)

麦野「……オイ、メスガキども」

絹旗「(もっと超声落として下さい!気付かれますよ)」

麦野「(いや、おかしかないか?)」

フレンダ「(どうした訳?)」

麦野「(ちょい前に別れたよな?割とシリアスに)」

麦野「(でも何でアタシらは上条を尾行してんのか、って事なんだけど?)」

絹旗「(いやでも呼んだのはわたしですけど、超ついて来たのは麦野の意思ですし)」

フレンダ「(結局麦野も心配って訳よ)」

麦野 イラッ

バスッ

フレンダ「あべしっ!?」

絹旗「(ちょっ!?暴力はマズ――)

絹旗(と言いながら窒素装甲全身へ超展開します) シャキーン

麦野 ガソゴソ、プシュー

絹旗「(超辛っ!?防犯スプレーですか!?洗い流してこないと!)」



189:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:55:37.04 ID:8Zghcs7u0

上条「……ん?」

五和「どうしましたか?」

上条「いや、知り合いの断末魔の叫び声が聞こえたような……?」

五和「……聞き分けられる程、その人の悲鳴を聞き慣れている、ってのはどういうご関係でしょうか……?」

上条「いや、よく弄られるんだよ。拳で」

五和「虐めじゃないですか!?」

上条(んー……フレンダだし?)

上条「さて、もうちょっと見て回ろうぜ」

麦野「(つーかアタシが来たのはアンタらが暴走させないためなんだから)」

滝壺「(語尾に『べ、別に勘違いしないでよね!』って付けて?)」

麦野「しねーよ!古いだろうがよぉ!」

滝壺「(いや、テンプレは大事。王道ラヴコメを理解出来ない人は、可哀想な人)」

麦野「(知らねぇわよ。つーかピーピングするために集まったの?追跡と簡単なバステ確認だったら、能力追跡で充分でしょうが)」

滝壺「(だってかみじょー能力効かないし)」

麦野「(だからってプライベート覗き見るような真似、良くないでしょうが。つーかアタシはアンタ達のカーチャンじゃないんだからね?)」

フレンダ「(ままー、おっぱいー)」

麦野「(学園第四位腹パンッ!)」

フレンダ「げふおええぇぇっ!?」

滝壺「(説明しよう!学園第四位腹パンチとは、むぎのーが繰り出すごく普通の腹パンなのだった!)」

麦野「(いやあの、さっきから『むぎのー』を推して居るみたいだけど、やらないからね?)」

滝壺 ペッ

麦野「(この子は自由すぎる!?)」

絹旗「(……何やっているんです?超目立っているんですけど。フレンダは×ロ吐いてますし)」

麦野「(常識人が帰ってきてくれたわっ)」

絹旗「(真面目な話、昨日からですね。上条の周囲に変な人間達が表れたんですよ)」

麦野「暗部の連中か!?」

絹旗「(麦野っ、声声!……ではなくてですね、どうやらガードしているらしいです)」

滝壺「(溜まり場に居た人と、今、かみじょうの周りに居る人、何人か同じ)」

麦野「(暗部の――)いや、もう離れたし小声で話す必要ないでしょ――で、暗部の仕業じゃないの?」

滝壺「ふれんだが命を削って人払いの結界(ゲ×)を張ってくれたおかげ……」



190:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:57:20.75 ID:8Zghcs7u0

絹旗「いえ超違います。超々遠くから観察してみた所、守っているようです」

絹旗「例えばチンピラが喧嘩を仕掛けそうな時は事前にぶっ飛ばしたり」

絹旗「鳥の糞が落ちて着そうだったら、ボーラ(紐の両端に石を結んだ狩りの道具)で捕獲したり」

絹旗「マンホールが蓋を開けていれば、工事留めの看板を設置したりと」

麦野「それただのアホ集団じゃねぇのか……?つーかアンタ達、どうしてそんな事知っているの?」

麦野「まさか昨日抜け駆け――じゃ、ない。勝手に調べた、と?」

三人「……」

絹旗・滝壺「フレンダが(超)主犯(です)!」

フレンダ「裏切るのに躊躇が無かった訳!?いや途中からしか見つかんなかったし!」

麦野「……はあ、アンタ達は。人がどんな思いで切ったか、つーのに次から次へバカやらかして」

麦野「つーか上条の影響だよなぁ。今まで『アイテム』でこんなアホらしい尾行なんてしなかったし」

フレンダ「でも、楽しい訳よ!麦野は楽しくない訳?」

麦野「アタシは――」

滝壺「まって!」

絹旗「どうましたか?」

滝壺「あれ、見て」

クワガタアフロと取り巻き (サッカーボールを地面へ置く)

フレンダ「……何やってる、ワケ?」

クワガタアフロ (数歩下がる)

クワガタアフロ (十字を切る)

クワガタアフロ (助走を付けて――)

クワガタアフロ「タイガ○シュートおおっ!!!」 (ボールを蹴り飛ばす)

絹旗「超古っ!?」

滝壺「あれは――ふぁいやーしょっと?いや違う!炎じゃなく、トラの姿がっ!」

フレンダ「……ねぇ麦野、滝壺疲れているんだと思う。無理ばっかさせちゃったから」

ボール ダーン(上条に直撃)

上条「!?」 タユンタユンッ(五和に突っ込む)

五和「ちょっ上条さんっ!?」

上条の下条さん(デカルチャー!)

麦野「いやいやいやいやっ!ハニトラにしたって不自然極まりねぇだろうがよ!」

フレンダ「サッカーボールを使う必然性はおろか、脈絡すらなかった訳よね」

麦野「いや、もう帰ろうぜ?なんか頭痛くなってきた……」



191:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 11:58:52.27 ID:8Zghcs7u0

御坂「ちょっと!アンタ達」

麦野「あぁ!?……って超電磁砲じゃねぇか。用は無ぇから消えて良いわよ」

御坂「アンタにはなくてもこっちにはあるってのよ!」

麦野「あー、んじゃメシでも食ってくかぁ?いつも同じじゃ飽きが来るから」

バリバリバリッ

御坂「は・な・し・を・き・き・な・さ・い・よ!!」

御坂「聞いたわよ、あんた達あいつを『アイテム』に引き入れたんですってね!?」

麦野「お前にゃ関係ねぇだろうよぉ」

麦野「つーかぁ?アンタだってその無能力者に、第一位サマとの喧嘩に巻き込んでるじゃねぇか」

御坂「あ、あたしは仕方がなかったし!第一妹たちの命がかかっていた――」

麦野「アタシらだってそうだな。もっとも、常盤台のお嬢様からすりゃムシケラみてぇな命なんだろうけど」

御坂「ちょっとそんな事言ってないでしょ!?」

麦野「じゃあ何だってんだ、あぁ!?」

絹旗「二人とも超落ち着いて下さい。乱闘なんかしたら超面倒ですよ」

御坂「あのね、麦野。あんた達――いえ、あんただけど、“本当に立場分かって”んの?」

御坂「暗部だかなんだか知らないけどさ、平気で道徳やら尊厳とか踏みにじるような連中がいて――自分達がその手伝いをしている、って」

御坂「住んでいる場所が違う、勿論価値観だって違うわ」

御坂「あんたは自分達の命をムシケラだって言ったけど、あんたにとっちゃ他人の命だってムシケラ同然に踏みつけてきたじゃない!」

御坂「あんた達が“そっち側”にいる限り、どうやったってあいつも巻き込まれんのよ」

麦野「んだとぉ……?」

御坂「あたしはあんた達を認めない。また戦う事になってもよ!」

麦野「おーおーご大層なこったな超電磁砲。そういや、決着はついてなかったかぁ」

麦野「なんだったら――やるかぁ、延長戦」

御坂「……麦野、一つ覚えておいて」

御坂「あいつがあんた達を助けるのは構わない。それはもう……諦めているわ、悪い意味で」

御坂「でもあんた達があいつを巻き込むようなら、あたしはあいつの敵に回ったって止めるんだから!」

タッタッタッタッ

フレンダ「……何つーか、超電磁砲はいつも誰かのために怒っている訳」

絹旗「そりゃ生まれてからすっと陽の下ばっか超歩いてきた人ですし。わたしたちとは違うでしょう」

麦野「クソが……」

絹旗「……麦野?」

麦野(分かってんだよ、アタシらが誰よりなぁ)



192:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 12:00:28.91 ID:8Zghcs7u0

――考察、自分だけの現実について・3

(第三位の例を挙げよう)

(能力は特上位の電気・雷撃操作能力。通称超電磁砲と呼ばれる)

(電撃、電撃なぁ?)

(自然界では電気を発する能力を持つ動物は多い)

(光の届かない深海で微弱な電気を発したり、受信する事で獲物の位置を探る)

(また高電圧をかけて周囲の脅威から身を守ったり)

(正直訳が分からない。何がしたかったのよ?)

(ただまぁ、超電磁砲は――)

(誰かのために、戦う)


――夕闇。陽は、堕ちる

上条「なーんか騒がしかったなぁ。喧嘩でもあったんかね」

五和「ですかねー」

五和(いやいや教皇代理がしょーもない作戦したんでしょうけど)

五和(……何で建宮さんが代理やってんだろ?)

上条「んじゃ帰ってメシにでもすっか!イヤンクック亜種もお腹を空かせているだろうし」

五和「いやその人知りませんし――って、あれ」

上条「どした」

五和「静か、過ぎませんか?」

上条「確かに。つーかこれって――」

アックア「上条当麻、で間違いないのであるか?」

五和「アックア!?」

上条「お前――」

アックア ブウンッ!!!

ガッ!

上条(異能じゃない――)

上条「がぁっ!?げほっ、ほっ……」

アックア「生憎と外道相手に名乗る名は持たないのである」

五和「こんのぉっ!」

アックア ブンッ!

上条「ぐあああぁぁぁぁっ!」

アックア(女を……庇ったのであるか?)

五和「上条さん!?上条さぁんっ!?」

アックア「猶予を与えるのである。期限は今から数時間、その間に右腕を差し出せば良し。でなければ少年の命を貰い受けに行くのである」

五和「待って下さい!上条さんが何をしたって言うんですか!?」

アックア(浜デュラの言う通りである。騙されている事に気付かぬ、か)

アックア(ならば――)

アックア「ローマ聖教の秩序に異を唱えた。罪過は充分であるな」

アックア(悪役として振る舞うのもまた礼儀である)



193:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 12:01:52.95 ID:8Zghcs7u0

――深夜の病院

麦野「よおクワガタアフロ、ちっとお姉さんに顔貸しな」

建宮「お前さんに関わってる暇はないのよな」

麦野「そこで眠っているクソガキの関係者だ、つった方が良いのか?」


――少し前、アジト2

PiPiPiPi、PiPiPiPi……

麦野「――はい?」

絹旗『麦野!第七学区の××病院まで来て下さい!』(グスッ)

麦野「どうしたのよ、いきなり――」

絹旗『上条がっ!上条が敵に襲われました!』

麦野「まさか――」


――アンチスキル事務所にて

黄泉川「いやだからダメって言ってんじゃんよ」

浜面「どーしてよっ!?現金だけ返却しねぇって横暴じゃねぇかよおおっ!?」

浜面「俺は弾劾するねっ!アンチスキルがパクるんじゃねぇのかっ!」

黄泉川「あー……んじゃ浜面ぁ、このお金つーか封筒どっから手に入れたじゃん?」

浜面(銀行の、しかも中身ピン札だったよな)

浜面「そりゃ当然降ろしてきたばっかりだけど、銀行から」 キリッ

黄泉川「そいで?」

浜面「遣う前にあんたらに捕まったんだよ!」

黄泉川「ぶっぶー!ハズレじゃん。不正解者は賞金ボッシュートでお帰り下さいじゃん」

浜面「なんでだよぉっ!?どうして分かんだ!?」

黄泉川「ホレ、封筒の匂い嗅いでみ?」

浜面 クンクン

浜面(あ、なんか良い匂い?)

黄泉川「誰かがコロン振ったじゃんよ」

浜面「なんか意味あんの?」

黄泉川「……浜面ぁ、あんたホントに駄目な子じゃん」

浜面「見ないで!そんな優しい目で俺を見ないでぇっ!」



194:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 12:03:19.79 ID:8Zghcs7u0

黄泉川「まぁ……例えば女の子がハンカチ借りたとするじゃん?で、当然『洗濯して返します』的な流れになるじゃん」

黄泉川「んで返す時とかにコロンを振っておくじゃん。そーすっとハンカチの持ち主、男の子は当然使うわけじゃん?」

黄泉川「で、その男の子から普段使わないようなコロンの香りがする、と周囲の女の子は気付くってわけじゃんよ」

浜面「意味分からねぇんすけど?」

黄泉川「要は『男の子のハンカチを洗濯して香水振るような相手がいるんだから、手ぇ出すんじゃねぇわよメスども』って意味じゃん」

浜面「怖っ!?女の執念怖っ!?」

黄泉川「ま、今言ったのは極論じゃん?只単に『自分の使っているコロン振って意識させたい』ぐらいの意味かも知れないじゃんよ」

浜面「ま、まぁそのぐらいなら理解出来るけど」

黄泉川「つーかどうせ銀行前で拾ったとかそういう話じゃん?」

黄泉川「落とし主が現われたらあたしが返しておく――」

アンチスキル「すいません、黄泉川先生ちょっと来て頂けますか?」

黄泉側「今行くじゃんよ。つーワケであんたはさっさと帰るじゃんよ」

パタン

浜面「……」

浜面(いやー上条に返す以前に、俺の手元に戻ってこないってのはなぁ)

浜面(いっそ事情を話すか?……いやなんか奉仕活動とか喰らいそうだし)

浜面(つーか頭ごなしに否定ってのはどうよ?腹立ってきた)

浜面 ペリペリ(ノートを破く)

浜面 キュッキュッ(サインペンで書く)

浜面(『前から後から激しくチチ揉んで下さい』)

浜津 キュッキュッ

浜面(『どうか助けると思って蹴って下さい』)

浜面 ピーッ、チョッキン(テープで輪っかを作る)

浜面(どっちがいい?暴力沙汰はまずいか)

浜面 ピタッ (黄泉川のイスの背逆向きに貼り、その上にも輪っかテープを設置)

浜面(くっくっくっく、黄泉川さんよぉ、あんた次にこのイスに座った時が最後だぜ!)

浜面(あんたが座りゃ自動的にコイツが背中に貼られる。つまりは――)

浜面(性欲を持て余した同僚達から前から後からあんな事をっ!)

浜面(タイトルは『現役アンチスキル黄○川!職場の輪×カーニバル!-もう、普通じゃ満足できないじゃんよ-』)

浜面 ツーッ

浜面「あ、やべ鼻血……」



195:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 12:04:40.15 ID:8Zghcs7u0

――現在へ戻る

五和「あなた達には関係ありません!」

麦野「あるかどうかはアタシが決める。つーかテメェぶち殺すぞ?負け犬どもが騒いでんじゃねぇわよ」

建宮「……その通りなのよな。我らは上条を守る筈なのに手も足も出せないで負けたのよ」

建宮「今はアックアに対する戦力が一人でも欲し――」

五和「――何が、何が『アイテム』ですか!上条さんが一番危ない時に、側にいなかったくせに!」

絹旗「……麦野っ抑えて下さ――いえ、冷静ですか?」

麦野「アンタの言う通りだわ。でもだからってウジウジしてる場合じゃないでしょ」

麦野「つーかクワガタアフロ、『アイテム』を知ってるんだったら、アタシ達の事も知ってるわよね」

麦野「学園第四位とその愉快な仲間達が手ぇ貸そうってんだから、感謝してくれてもいいんだぜ?」


――病院、個室

フレンダ「魔術ねぇ。外の機関の能力使いって言われた方が、まだ分かりやすい訳」

建澪「学園都市が出来たのはここ半世紀なのよな。それ以前から別口でアプローチしていた人間達だと思って良いのよ」

絹旗「まぁ学園都市も知らない人からすれば超オカルトですしね。それでどうしてアックア?が上条を襲ったんですか?」

建宮「因縁なのよな。上条はローマ十字聖教との抗争に参加し、勝利してきた」

建宮「少年としては目の前の人間へ救いの手を伸ばしただけなのよ。アンタ達もその口なのよな?」

滝壺「うん……たすけてもらった」

建宮「が、ソイツが気に入らねぇって連中が、アックアを仕向けてきたのよ」

麦野「成程ね。じゃソイツ、アックアだっけ?の能力全部教えなさいな」

建宮「戦う気なのか」

麦野「戦わない理由がないでしょうが」

建宮「だが、我らは――」

麦野「別に負け犬にゃ何も期待してねぇよ。つーかアックアが独りで来てるって保証がある訳じゃない」

麦野「他の勢力のチンピラが紛れ込むかもしれない。これ幸いと狙う連中をどうかにしなさいな」

麦野「で、『アイテム』としての結論から言えば――上条当麻を護る、そのためには何が必要なのか?」

麦野「上条当麻を瞬殺出来るような相手に『アイテム』が勝てるか?」

麦野「答えは上条当麻が必要よ」

絹旗「意味が超分かりません」

麦野「上条が散々言ってたでしょうが。一人なら無理だけど、みんなでやりゃどーだのこーだの」

麦野「今のあたし達だけじゃ勝てない。でも一緒なら話は違うわ」

麦野「だから――アンタ達は、そうしなさい」



196:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 12:06:11.10 ID:8Zghcs7u0

滝壺「むぎの?」

麦野「今回チームを二つに別ける。アタシとアンタらと」

麦野「作戦は簡単、アタシがアックアの相手をしている間に、フレンダは周囲の建物をランダムで爆破させ、相手の注意を引く」

麦野「絹旗がガードした滝壺はアックアの能力追跡で『覚える』事」

麦野「その後、アンタ達は戻って上条をガード。場合によっては病院から連れ出してでも逃げ回りなさいな」

麦野「時間さえ稼げれば、学園側も第一位や二位を投下するしかなくなるでしょうしね」

フレンダ「麦野は……?麦野はどうするって訳よ!?」

麦野「ま、腕の一本ぐらいはナントカ落としてあげるわよ」

絹旗「麦野?超何考えてるんですかっ!?」

麦野「……あの後さ、何回かアンタ達に謝ろうとしたんだけど、やっぱ止めるわ」

麦野「結果的に大団円になったけど、第二位の始末が付けられなかったら、アタシら『アイテム』は壊滅していたわ」

麦野「だからあの時、フレンダを粛正して滝壺に体晶を使おうとしたのは、間違いだったつもりはないわよ」

麦野「それがベストではないけど、ベターな選択肢だったと思うからね」

麦野「上条にはぶん殴られると思うけど、『アイテム』ってのはやっぱりそーゆーもんなのよ」

麦野「強い相手には人を遣い潰して戦って、こっちが嘗められないように食い殺して喰い殺した。ずっとそうやってきたわけだから」

麦野「だから今回の『これ』も同じよ。上条がタイマンで負けた相手に、回復を待って『アイテム』で戦う。それだけの話」

麦野「だからその時間稼ぎのためにアタシが遣い潰される。それだけのお話」

絹旗「超何言ってんですか!」

フレンダ「そうな訳!麦野一人戦わせるワ――」

麦野「どうもこうもねぇんだよ。騒ぐなガキども、大人になりなさいな。他に方法がないんだったら、そうするだけ」

麦野「アタシは馴れ合うつもりはないわ。今まで『アイテム』がそうだったようにね」

麦野「だけど、まぁ、これからどうするかはアンタ達が決めな。四人で考えりゃ良い案の一つでも浮かぶでしょうから」

麦野「天草十字凄教だっけ?もしもん時はウチの娘らもお願い出来るかしら」



198:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 12:07:44.84 ID:8Zghcs7u0

――考察、自分だけの現実について・4

(第四位の例を挙げよう)

(能力は原子崩し。原子を振動させて放出したり、生み出された熱量により攻撃する)

(最大の特徴は出力を最大まで高めれば、超電磁砲と謳われる第三位を凌駕する)

(しかし手に余る威力のため、制御出来ずに自分の体をも灼く、と)

(言ってみりゃ欠陥品)

(アタシが欲しかったのは、何だ?何が欲しかったんだろう)

(アタシは何を望んでこの能力を発言させた?)

(第一位は自分を守るため、第二位は周囲から見られたい)

(第三位……あぁ誰かを助けるため、か?)

(だったら第四位の能力は――)

(何がしたかったんだろう?)


――深夜、路上にて

御坂「……探したわよ」

麦野「おーどうした超電磁砲。中坊が出歩いて良い時間じゃねーぞぉ?帰ってママンのおっぱいでも吸ってなさいな」

麦野(拙いな。アックアが近くにいるってのに)

御坂「忠告、したわよね。あいつの事」

御坂「アンタ達が一緒にいるからこんな事に!」

麦野「まぁんなに騒ぐなよ。もうなんかアンタの相手するのも面倒なんだけど」

麦野(アタシら関係無い、つったって信じねぇか)

御坂「結局これでしょ?あんた達が側にいるからっ!あいつは一人で傷ついて!」

御坂「わたしと戦いなさい、麦野」

麦野「あぁごめん。今ちょっと急いでいるから」

御坂「後からだろうがあたしは撃つわよ!ましてやアンタ達はアタシの妹を助ける時に邪魔したんだから!」

麦野(成程、“これ”が差かよ。何処まで行ったってぇ昔やった事はついてくる、ってね)

麦野 ガバッ(地面に膝をついて、頭を下げる)

御坂「麦野……?」

麦野「今はダメよ。ちょっと今からデートの約束があるからね。明日以降だったらいくらでも暇になるから、そん時――」

御坂「デート?あいつが入院してるのに!?アンタにとって仲間ってのは、『アイテム』の仲間ってのはその程度のもんだったの?」

麦野「この程度、ってのは酷い言い様だなオイ。デートが終わったら着替えの一つでももってくから、それまでついてってやりゃいーだろ」

御坂「この――っ!」

麦野「アンタはアンタのすべき事をしなさいな。余所に構っている暇がなんてないでしょうに」

麦野(これでもう一枚壁が出来た、と)



199:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 12:09:14.40 ID:8Zghcs7u0

――路上、また別の所

絹旗「超大丈夫、でしょうか」

滝壺「……」

絹旗「予定の時間よりも少し遅れてますし、もしかして――」

滝壺「きぬはた」

絹旗「はい?」

滝壺「やっぱり、わたしたちも、戦お?」

絹旗「それは……超無理です」

絹旗「上条ですら瞬殺されているのに、そんな能力を持つ相手にわたし達だけじゃ超勝てるわけがないじゃないですか!」

滝壺「でも、むぎのは戦うよ?」

絹旗「だから超無理なんですよ!わたし達が側にいたら、麦野は『全力』を出せません!」

滝壺「それって」

絹旗「……えぇ麦野はアックアと――」

絹旗「刺し違える、つもりなんでしょう」


――少し、ほんの少し前の路上

浜面(金返ってこなかったなー、しかも黄泉川預りは余計にキツいぜ)

浜面(上条に事情を話すか?いやーあの取り巻きの女怖すぎるわ、つーか今も夢に出るわ)

浜面(つー事はだ。持ち主不明のままアンチスキルで保管されて、学園のモンになっちまうとか?ムカつくぜ)

浜面(まぁ上条、お前のカタキは黄泉川に討っておいたぜ!) キリッ

ケータイ 『メールを受信したよ、まひろくん。誰からなのかな?』(釘宮)

浜面(アドレス不明?昔の仲間のイタズラかぁ?)

『B公園にて待つ。貴殿の敵を晴らすのである。アックア』

浜面(洋平さん?カタキって何?なんかあったっけか?)

浜面(んー……?)

浜面(あぁ、アンチスキルに掛け合ってくれんのか!秩序や法がどうこう言ったけど、そっちの人って事ね)

浜面(んじゃ行ってみますかね)



200:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 12:10:42.00 ID:8Zghcs7u0

――少し前

麦野「……」

麦野(服汚れちまったなぁ。クソが)

麦野(ハンカチハンカチ……ってこれ)

麦野(上条から貰ったスカーフ、か)

麦野(ダセェよなぁ。つーかパチモン以前に人に贈れるデザインじゃねぇでしょうが)

麦野 バサッ

麦野 キュッ、ムスビムスビ

麦野 パカッ(コンパクトを開いて確認)

麦野(まったく……ダサイわね)


――現在。とある公園

アックア「さて、そろそろ時間であるか」

麦野「ちょっといいかしら?」

アックア「誰かは知らないが婦女子の出歩く時間ではないのである」

麦野「あぁうんアタシもさっさと帰りたいんだけどね。やる事があってさ」

麦野「ちょっと死んでくれねぇかしらクソ野郎?」

ドォォォォォンッ!!!

アックア「右手の少年の関係者であるか」

アックア(浜デュラの言っていた事は正しかったのである)

アックア(しかしそうすると無碍に殺すのも憚られるのであるな)

アックア「嘆かわしいのであるな。戦場とは兵士が立つべき所である」

アックア「にも関わらず、貴様のその姿は何であるか?」

アックア「名の知れたブランドのコート、ジャケット、スカートにブーツ」

アックア「高級品で揃えるかと思えば、首には偽ブランドの安スカーフ。実に浮いて見えるのであるな」

アックア「かといってそれがフェイクというわけでもなく、下に帷子の一つを隠し着るでもない。到底戦場に立つ格好ではないのである」

アックア「私は兵士でない女子供を痛めつける趣味はない。退く事を勧告するのである」

麦野「あぁうん、アンタあれだわ。アレでしょ?女の子から優しくされたら、『あーコイツ俺に気があるわー、困るわー』とか勘違いするタイプでしょ?」

アックア「話が見えないのである」

麦野「いや別にアタシはアンタのためにこの服着てきた訳じゃないし、自惚れんなよクソ野郎って事よ」

麦野「つーかキモいんだけど本当に止めてくれるかなぁ?おまわりさーん、たすけてー」



201:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 12:12:26.33 ID:8Zghcs7u0

アックア「……では何しにここへ来たのであるか?」

麦野「そりゃアンタをぶち殺すためだけどソレが何か?」

アックア「……」

麦野「いやだからアンタをサクッと殺した後に予定があんのよ。今ICUに入っているから着替えとかタオルとか、意識戻るまでには持って行かなきゃならないし」

麦野「目ぇ覚めたって感動のご対面の際に、全裸で靴下だったら全部ぶち壊しになっちまうだろ?言わせんなよ恥ずかしい」

アックア「意味が分からないのであるが」

麦野「女にとって外面ってのは武器なのよ。戦場並みにドロっドロした人間関係、上手く生きていくための防具でもあるわね」

麦野「ウチにもムカつくクソガキがいてね。足は細いわ、髪は金髪でサラッサラだわ、お前そりゃなんつー武装してんの、って感じ」

麦野「――あぁ何か思い出したらハラ立ってきた、やっぱもう一回パ××ンにしとくかぁ」

アックア「貴様は私との圧倒的な戦力差が分からないであるか?」

麦野「分かるわよ、多分私じゃ死なない限りアンタには勝てないでしょうね」

アックア「ではどうして――」

麦野「だってアンタ、放って置いたらアイツ殺そうとするじゃない?だったら勝ち目があろうが無かろうが、戦わない選択肢はねぇのよ。分かる?」

麦野「兵士じゃないから戦えないとか、男じゃないから戦えないとか、勝ち目がないから戦わないとか」

麦野「あと……能力が無ければ戦えない、とかって」

麦野「それは、きっと――『幻想』でしょうよ」


――ICU

上条「………………」

上条「…………」

上条「……」

上条「……?」

インなんとか スースー

上条「……っ!」



202:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 12:13:53.49 ID:8Zghcs7u0

――公園

麦野(クソッ!水の壁で全部防ぐなんざ、人間技じゃねぇぞ!!)

麦野(防御行動を取るって事は、直撃すりゃダメージを与えられるかも知れない――が)

麦野(だからって近寄ればデカい電柱みたいなので一発KO。距離を取れば取るだけ確実に防御されちまう)

アックア「……下らないのであるな。恐らく“これ”も右手の少年から貰ったのだろうが」

何度か地面に叩きつけられた衝撃か、上条から貰ったスカーフは千切れて紙面へ落ちている

アックア「騙されているのではないのか?こんな二束三文の品物を後生大事に抱える姿は、滑稽にすら映るのである」

アックア「こんな――ゴミを」 グシャッ(踏みにじる)

麦野「……っ!!!」

アックア(あんな愚かな人間に義理立てして、死に急ぐ必要はないのである。騙された者を救うのも、また右席としての役目であるな)

麦野「……ろすっ!」

麦野「殺す殺す殺ぉすっ!テメェはぶち殺し確定だああああああああああぁぁぁぁぁっ!!!」

麦野「消し飛びなあぁっ!クソ×××がっ!!!」

アックア(出力が更に上がったのであるか!?)


――同時刻、公園の片隅で

浜面「……マジかよ。洋平さん、あの女と互角にやりあえんのか」

浜面(つえーなんて話じゃねぇぞ。学園第四位をあんだけボコれる奴なんざ、どっから来たんだ?)

浜面(へっ、ザマぁみろ!調子に乗ってっからだ)

浜面(あんなに必死んなって、格好悪りぃ)

浜面(……格好悪い、か?)



203:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 12:15:16.29 ID:8Zghcs7u0

――同時刻、同じ公園の片隅で

絹旗「……超おかしいですね。予定の時刻を過ぎているのにフレンダは超動きません」

絹旗「滝壺、ちょっと場所とバステ探知して貰えませんか?……滝壺?」

滝壺「……きぬ、はた。やっぱり、わたし達も、行こ?」

絹旗「はぁ?超何言っているんですか?そんな事したら麦野の超邪魔になるだけですよ」

滝壺「だから、なに?」

絹旗「いえだから、じゃなくてですね。もう一回超説明しないと分かりませんか?」

滝壺「わたし達は知ってる筈、かみじょうに教えて貰った」

滝壺「能力が無いとか、足手まといになるとか、そう言う事じゃなくって」

滝壺「友達を助けるのは、当然だと思う」



204:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 12:17:02.99 ID:8Zghcs7u0

――戦いの中心点

麦野「クソが!あれだけぶっ放しても無傷かよ!……クソっ!?」

麦野(つかよくあの電柱モドキで殴られて生きてたな、アタシ)

アックア「大したものである。正直、学園都市など取るに足りぬとは思っていたのであるが、賛辞を捧げるのである」

麦野(やべえな。リミッターを外すどころか、痛みで集中出来ない!)

アックア「とはいえ、するべき事は変わらな――」

女?「そ、そこで何やっているんですか?」

アックア(しまった。浜デュラに顛末を見せるため、人払いの結界を解いていたのである)

女?「ア、アンチスキル呼びますよ!」

麦野「馬鹿野郎!何やってんだ――」

アックア「心配はない、少し眠って貰うのである」

女?「こ、来ないで下さ――」

アックア「起きた時には全て終わ――」

女?「うっさい訳よ!!!」

ドォンッ!!!

アックア(至近距離からの指方向性榴弾であるか?)

アックア「だか、その程度で右席は揺るがないのである!」

女2「超させません!」

ガキィンッッ!

女2「くぅっ!?」

麦野「おい……おい!何来てんのよ――」

麦野「フレンダ!絹旗!」

フレンダ(女?)「麦野っ麦野っ!?ってボロボロだしっ!」

絹旗(女2)「……いったぁ、超何ですかこれ。ノーモーションの裏拳一発で窒素装甲ぶち破るなんて、超チートじゃないですか」

麦野「なんで――なんで来るんだよおぉっっ!?」

フレンダ「そりゃ助けに来たに決まってる訳!つーかそれ以外の理由だったら驚くし」

絹旗「ちなみに滝壺も近くにまで来ています。転んだだけで超戦闘不能になりそうなので、超待機して貰っていますが」

麦野「そうじゃねぇよ!そう言う事を言っているんじゃない!」

麦野「アタシはっ、アタシはここでっ、ケジメをつけなきゃならなかったんだ!」

麦野「アタシはアンタ達を殺そうとした女だぞっ!?」

麦野「独りでぶち切れて!独りで癇癪起こして!負けてムカついた、って――下らねぇ理由でよ!」

麦野「そんなアタシがっ!アンタ達に守ってもらえる資格なんて無いっ!」

麦野「『アイテム』に居て良い訳なんてねぇんだよおぉっ!!!」



205:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 12:18:40.55 ID:8Zghcs7u0

――同時刻。同じ公園の片隅

浜面(な、なんか超展開になってんじゃねぇか)

浜面(つかこれもしかして俺のせいじゃね?俺が不用意に話盛ったせい?)

浜面(いやー、まさかそんな事はねぇだろう。ねぇよな?)

浜面(で、でも一応黄泉川に連絡しとこっかな、うん)

浜面 ガサゴソ

浜面「ケータイケータイ、クソ!バックの中かぁ?」

浜面(これも違う)ポイッ

浜面(飲みかけのドクペ……違う) ポイッ

浜面(あ、さっきのノートの切れっ端。なんで俺とっといたんだろ?) ポイッ

浜面(急いでいる時に限って出ねぇのな)

浜面、「お、あったあった!」

浜面「早速連絡を――」 ピッピッピ

滝壺「……」

滝壺(あ、幸薄そうなチンピラっぽい人)

滝壺(道に一杯落とし物している)

浜面「あ、黄泉川か?オレオレ、俺だって!」

滝壺 ジーッ

滝壺(……紙?)

滝壺(あぁうん、そーゆーの好きな人。了解了解)

浜面「ガキみたいなイタズラすんな?悪い今ちっと大変で――そぉじゃねぇよ!誰が童×だコラアァッ!新品未開封なだけだ!」

滝壺 ペタッ

滝壺(よし。良い事を、した)

滝壺(もうちょっと近く、行こ) トコトコ

浜面「え?出られない?目の前で乱闘してんだぞ!?」

浜面「――切りやがった!?クソッ!」

浜面(ヤバいな。つーかアレどっちもマジ殺しに入ってるんじゃねぇのか?)

浜面(アンチスキルも来れない。周りには助けられる人もいない)

浜面(悪魔みてーな女だったとしても、幾らなんでも終わりだろ)

浜面「……いや、それで良いのか?」

浜面(相手は女だぞ?どんな能力だろうが、どんだけ強かろうが、だ)

浜面(だったら助けない理由はねぇだろうがよおっ!)

アックア「これで――終わりなのである」

浜面「待て洋平さん!俺が相手――」



206:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 12:20:12.25 ID:8Zghcs7u0

――少し前

アックア(この者達は本当にろくでなしのアバズレであるか?とてもそうは思えないのである)

アックア(友を守り友を助け、命を省みずに戦火へ身を投じる。それは兵と呼ぶべきである)

アックア(だが少年の始末を付けねばいけない以上、放置は出来ないのであるが)

アックア「何人増えようが結果は同じなのである。いや、無駄に犠牲を増やしただけで徒労以外の何物でもない」

フレンダ「あんたに何が分かるって訳!?友達を助けに来るのは当然でしょうが!」

絹旗「無駄とか犠牲とか超ウザいです。戦うのなんてそんなに立派な理由は超要りません」

アックア「そうなのであるか?だが結局ネズミが獅子に喰らいつく事は出来ても、死に至らしめるのは無理なのであるな」

アックア「これで――終わりなのである」

アックアが空へ向け軽く手を振ると、呼応したかのような巨大な水の戦槌が現われる。
公園全てを覆い尽かさんばかりに広がったソレは、逃げる暇を与えず迫り来る。

麦野(ダメだっ!原子崩しじゃ消し切れない!)

神の審判とは絶対なのか。人間は抗えないのか。

麦野(アタシはいい!殺されても文句言えない事だってやってきた!けど、けどこの娘たちだけは――)

圧倒的な死の暴力が友情も、希望も、そして微かな祈りすらも押し流そうとする。

麦野(誰かっ、だれか――)

――その瞬間、声が響いた。

上条「俺の仲間に、何やってんだよ!!」

パシイィィィンッ!!!



207:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 12:21:50.65 ID:8Zghcs7u0

――戦いの中心点

麦野「かみ、じょう……?アンタ――」

上条「……お前があの時、仲間を殺そうとしたのは確かだ。それは絶対に変わらない」

上条「『アイテム』が人を簡単に遣い潰すような組織だった、ってもそうなんだろう」

上条「お前がやってきた事、お前らがしてきた事、それが全部一度にゼロになるなんてのは絶対にない。していいもんじゃないさ」

上条「ろくでもない生き方をしていればろくでもない死ぬ方をする。それは当然だろ」

上条「でもな――人は、変えられる」

上条「人が変わるんだから組織だって幾らでも変えられる」

上条「それに麦野、お前は気付いていないだけだ」

上条「仲間のためにアックアに立ち向かったり、仲間のために自分を犠牲にしたり、仲間のために泥まみれになっても、何度も立ち上がる」

上条「そんなの、ただの仕事仲間相手に出来る事じゃねーだろうが!」

上条「麦野、アンタはもう、とっくに変わっているんだ!」

上条「暗部がなんだ?生き方がどうした?今まで日の当たらない場所にいたからって、ずっと同じ所に居なきゃならないなんて事はないだろ!」

上条「だから――麦野、俺と、いや――いや、『アイテム』の仲間と一緒に、生きよう!」

麦野「駄目だ上条!アンタまで居たら一緒に巻き込まれるわ!」

上条「俺を信じろ!そして俺が信じたお前を信じろ!」

上条「お前の目をふさいでいたその幻想――俺はもうぶち殺してんだよ!!!」

麦野「……ごめん、絹旗。ごめん、フレンダ。ごめん、滝壺」

麦野「アタシ――わたしね、アンタ達と生きたいよ!」

麦野「みんなとバカやって、はしゃいで、買い物行ったり、旅行に行ったり」

麦野「下らない事で喧嘩したり、もっと下らない事で仲直りしたり」

麦野「生きて、みたいっ!!!」



209:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 12:23:40.05 ID:8Zghcs7u0

――少し前。英雄失格

浜面「待て洋平さん!俺が相手――」

神裂「女教皇式忍者レッグリラリアートおぉっ!」

ゲシッ!

浜面「ノォウッ!?」

神裂「今は先を急ぐ身なのでこれにて失礼します」

浜面「オイ待てやポニテのねーちゃん!いきなり背中に蹴り入れる以上の失礼はねぇぞ!?つーかいきなり何で蹴られる必要があんだゴラアアッ!?」

神裂「いえ、でも背中に」

浜面「背中?背中がなんだってんだ!」

建宮「教皇代理キイイック!」

浜面「イヤンっ!?」

浜面「いやだからどうして俺が蹴られなきゃ――」

五和「天草式ヤクザキック!」

浜面「同じ所に二回はらめぇっ!?」

牛深「天草式ソバット!」

浜面「遠心力が威力を高めている、だと!?」

香焼「天草式浴びせ蹴り!」

浜面「顔面に!顔面に入ったから!背中って主旨を思い出して!」

諫早「天草式ドロップキック!」

浜面「待って!噴水の高低差を利用した攻撃は洒落にならないの!?」

野母崎「天草式以下略!」

浜面「最後なんだから略すなよおおおっ!?」

浜面「ちょ……なんで?今回は割と頑張ったのに、どうして扱いが酷いの……?」 ガクゥッ

対馬「そりゃ背中にこんな紙貼ってればねぇ。助けを求める人に救いの手をってのは、ウチの信念みたいなモノだし」 ゲシッ

『どうか助けると思って蹴って下さい』



210:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 12:25:13.16 ID:8Zghcs7u0

――戦いの中心点

アックア「半死半生の人間が揃った所で勝ち目はないのであるな。雑兵の群れなら恐るるに足りないのである」

神裂「そう、とは限らないでしょう」 シュタッ

アックア「極東の聖人、神裂火織であるか」

神裂「獅子とネズミの戦力差は絶大。それは事実です。何度戦っても勝ち負けは覆らないでしょう」

神裂「ですが私達は人間、獣ではありません。ネズミは助けを求める他人の手を取りはしないでしょうが――」

神裂「――ヒトが救いを求める人間へ対し、手を差し伸べない理由など何一つ無いのですよ」

神裂「そして――麦野沈利、あなたに深い感謝を」

神裂「私がっ!どれだけ傲慢であり、そして独り善がりであったのか!あなたから教えられました!」

神裂「独りで事を成し、信の置ける仲間ですら遠ざけようとした私に、あなたは答えを示して下さいました」

神裂「ですから今日“だけ”はあなたと共に在ります――明日からは“好敵手”でしょうが!」

神裂「天草式、出ます!」

天草式一同「おう!!!」

麦野「……つーか誰よ?神崎かおり?なんかのギャグ?面白くもねぇ話だわ」

上条「麦野」

麦野「あーもうこっち見んな!女の泣き顔なんざつまらないでしょうよ」

上条「そっか。んじゃ後からだな」

ダキッ

麦野「ちょっ!?……かみ、じょう?」

上条「原子崩し。全力でやってくれ」

麦野「無理よ!だってそんな事したら――」

上条「俺達じゃ今のアックアへ決定的な一撃を入れるのは無理だ。天草式が時間を稼いでいる内に、早く」

麦野「だって、それじゃ――」

麦野(今だったら簡単にリミッターは外せる。けどこの体勢じゃ上条を巻き込む!)

上条「大丈夫だ、俺が右手で何とかする」

麦野「……」

麦野「……タチの悪い男よね」

上条「関係無いだろ!?何の話だ!」

麦野「まぁ、騙されてあげるわよ。責任はきちんと取って貰うけど」



211:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 12:26:58.86 ID:8Zghcs7u0

麦野(バッファ確保、変数及び変列型の宣誓、座標軸の設定っと。焦点距離は960mmぐらい、画角は20mm、F値は1.2固定)

麦野(つーか本当に安定しているみたいだし、メモリが普段の倍ぐらいまで拡張されてる)

麦野(何だかなぁ、ホントはもっとクールだって思ってたんだけど。簡単に騙されちまうぐらい単純だったのかよ)

麦野「あぁ……アタシは、そっか、そうだったんだ」

上条「何の話?」

麦野「世界ってのは意外と優しいんだな、ってお話よ」

麦野(私の能力はコイツのためにあったのか。こいつの腕の中にいる限り全力でぶっ放せる、って訳)

麦野(つまり私の能力は、上条と出会うために生まれてきた――)

麦野(――そんな、『幻想』)

麦野(全く似合わねぇが……ま、悪かぁないわね)

麦野「――行くわ、上条」

上条「行けよ、麦野!」

ドオウウウウウウウウウウウウウウウッン!!!

神裂「来ました!」

アックア(直撃すれば危ういのであるな)

アックア「だが、当たらなければどうという事はな――」

滝壺「それ、死亡フラグ」

グイィィンッ(軌道修正)

アックア「んなっ?!ぐおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉっ!?」

滝壺「覚えておいた方が良い。『アイテム』は五人だから」 ウンウン

神裂「今です!『聖人殺し』を!」

アックア(聖人としての力が失われていく!?)

ドォンッ!!!



212:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 12:28:28.18 ID:8Zghcs7u0

――死闘の後に

浜面「……」

浜面「はっ!?」

浜面「なんか背中がメチャメチャ痛ぇ!つーかなんだったんださっきの連中!?」

浜面「あ、あれ?終わってる?誰も居ないし」

ポンッ(浜面の肩に手を乗せる音)

黄泉川「はーまーづーらぁー?」

浜面「ど、どうした黄泉川?完全装備じゃねぇか」

黄泉川「……今晩はなぁ、スキルアウトのテロ予告があったから、あたしらは待機してたじゃん」

黄泉川「だもんであんたの要請には応えられなかったじゃんよ」

黄泉川「でも浜面じゃん?何だかんだで悪い事は出来ない奴だから、もしかしたら、って事で出動してきたんだけど――」

キリキリキリッ(肩に手が食い込む音)

浜面「痛っ!ボクの肩が折れちゃう!?撫で肩になっちゃうからっ!?」

黄泉川「公園でぐーぐー寝てるのはどういう事じゃんよ?」

浜面「いやでもだってさっきからあっちでドンパチやってたし?」

黄泉川「確かに破壊の跡はあるじゃんよ。でも学園都市では珍しくもないレベルじゃん」

黄泉川「つーわけで浜面ぁ、今から留置所でしっかりお説教するじゃんよ」

浜面「い、いやっ!俺は悪くない!無実だ!無実なんだぁ!?」

黄泉川「良い機会じゃんよ。これを切っ掛けに更正するじゃん。まずは丸刈りからじゃん!」

浜面「いやああぁぁっ!?」



213:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 12:30:14.38 ID:8Zghcs7u0

――麦野ルート・エンディング?

郊外に建つ極々普通の一軒家。その庭先に居る普通の家族。
ゆりかごには双子の幼児が眠り、彼らの側ではデフォルメされたクマのぬいぐるみが物言わず佇んでいる。
歴戦の傷痕――年季が入って所々補修された跡――が残る彼、もしくは彼女は、首に『PRADO-TEPES』のスカーフを巻かれたまま、どこか誇らしげだ。

麦野 (双子の幼児へ微笑む)

上条 (隣で麦野の肩を優しく抱く)

麦野「しっかし分からないもんだわね。私がガキ産むなんざなぁ」

上条「想像はしてなかった?」

麦野「全然、って事は無かったけど。幸せなのに今一信じ切れてなかったみたい」

上条「今は?」

麦野「信じるも信じないも無いでしょうよ。でも、当麻は私で良かったの?」

上条「当然だろ?お前以外に誰が居るってんだ」

麦野「あの娘達――絹旗や滝壺には悪いと思っているけど」

上条(フレンダは?)

麦野「他にも超電磁砲や同級生の子達、クローンや十字教とかも――あぁクソ思い出したらハラ立ってきたなぁ!」 ギリギリ

上条「笑って!?上条さんは君の笑顔が好きだなっ!」

麦野「ま、またそうやって誤魔化すんだから!」 テレテレ

上条(いや誤魔化さないと死にますし)

上条「あーでも御坂は大丈夫だぞ。アイツ結婚したって言ってたし」

麦野「へー本当に?相手は誰?私の知ってる人?」

上条「いや、黒子」

麦野「女同士でかっ!?先鋭的すぎるだろ学園都市!」

上条「なんつーか誰かにフラれた御坂を黒子が優しく(性的な意味で)慰めているウチに、って話」

麦野「じ、人生何が起こるか分かんないわよね」

上条「あと一方通行も打ち止めと結婚するんだって。招待状が近い内に届くそうだ」

麦野「うん、それはなんとなく分かってた。驚きはないわね」

上条「しかも出来ちゃった婚だって」

麦野(やっぱり手ぇ出してんじゃねぇかロリペド野郎)

上条「子供の名付け親になって欲しいって頼まれたんだけど、どうしよっかな?」

麦野「やってあげたら?別に困るようなもんじゃないし」

上条「んじゃウチみたいに親同士の名前を取って――」

上条「『通行止め』?」

麦野「グレるからっ!?語呂は凄く良いんだけども!絶対に子供の人生ハードモードになるから!」



214:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 12:31:41.93 ID:8Zghcs7u0

麦野「そう言えば最近話を聞かないけど、アナタと一時期暮らしていたシスターはどうなったの?」

上条「誰?」

麦野「ホラ、イン何とかって娘」

上条「知らない知らない」

麦野「……」

麦野「ごめんなさい、勘違いだったみたいね」

上条「俺が一緒に住んでいる女の子は、前にも後にも沈利さんだけですよーって」

麦野「もうっアナタったら!」

上条「あぁ後、母さんが近い内に会いたいっつってたぞ」

麦野「しいなさんが?あんまり会いたくないわね」

上条「苦手?」

麦野「素で親子に間違えられるのよ!ってか未だにあの人幼女のままってのはおかしいでしょ!?」

上条「まぁ……母さんだし?小萌先生もそうだけど」

上条「なんてったっけかな……?『他の娘のフラグを折る方法を教えたい』とか何とか」

麦野「直ぐメールしなさい。私はいつでも構わないって」

上条「ま、色々あったけど、つーか自分が不幸だ不幸だって言ってたけど、そうじゃないって俺は思うよ」

上条「沈利、俺と一緒に生きてくれて有り難う。愛してる」

麦野「……うん。私もよ。私と一緒に生きてくれて、有り難う」

上条「『愛してる』は言ってくれないの?」

麦野「昨日散々言ったでしょうが!素に戻ると恥ずかしいのよ!」

上条「いやでも聞きたいしー」

麦野「そうじゃなくって、その――言わせてみなさいよ、って話よ!」

上条「……沈利」

麦野「……ん」



215:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 12:33:02.97 ID:8Zghcs7u0

――現実。病院のベッドの上

麦野「――って夢に決まってんでしょうが!」

ガゴンッ

フレンダ「メメタァッ!?」

麦野「あ、フレンダ」

フレンダ「何で起き抜けに攻撃される訳っ!?」

麦野「いやー多分あんたのせいだし?」

フレンダ「人が折角心配して付き添ってたのに何となくで殴られたっ!?」

麦野「他の連中は?アックアとか言うのはとうしたの?」

フレンダ「あたた……みんな無事だよー。重傷順に上条はICUへ出戻り、絹旗は肋骨何本かヤラれちゃって入院、滝壺も体晶使ったんで様子見も兼ねて検査入院」

フレンダ「唯一無傷だったあたしも、たった今ケガを負ったって訳だけどね!」

麦野「全員お揃いで良かったじゃない」

フレンダ「出来ればそんな妙な連帯感は欲しくなかった訳!」

フレンダ「アックアは結局逃げられた訳。天草式が言うには“聖人”としての加護が失われた以上、回復するまでには年単位が必要、しかも出来るかどうかは分からないって」

麦野「しかしまぁ私も結構なバケモンだし?私以上のバケモン達も知ってるけどさ、アレは流石に規格外って感じがするわね」

フレンダ「結局返り討ちに出来たからいい訳。つーか麦野も凄かったじゃん。アレ何だったの?友情パワー的な?」

麦野「あーアレね。なんつーのか、私は確かに感情でリミッターを外してたのよね」

麦野「でも“怒りでリミッターを外せば制御出来ない”って二律背反だったわ。だから――」

麦野「“怒り以外の感情でリミッターを外した”だけの話よ」

フレンダ「どーゆー訳?」

麦野「自転車に乗る時って補助輪は要るじゃない?でもいつか必ず外す時は来るわ。でもその外した後、最初の内は転ぶのが怖いから強い力で漕ぐわよね?」

麦野「段々慣れてくれば、ゆっくりと走らせても止まらないし、やり方によってはバランスを取っているだけで、漕がすに制止も出来るようになる」



216:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 12:34:33.02 ID:8Zghcs7u0

フレンダ「えーなんか詐欺みたいな話。つーか怒り以外って何?なに考えてたの?」

麦野「学園側としては一番簡単で身近にあるのが“怒り”なのよ。友人関係やら連帯感を構築するのは時間がかかるけど、怒らせるのは簡単でしょ?」

麦野「他にも兵士として運用したいんだったら、攻撃性を高めた方が人を殺す事へのストレスも少ないでしょうし」

フレンダ「んで麦野は?」

麦野「……内緒」

フレンダ「えーここまで引っ張っといてそれー、って訳?」

麦野「聞いてきたのはあんたでしょうが。それとも『友情パワーでぶっ飛ばしました』とか言わせたかったの?」

フレンダ「そっ、そんな事はない訳よ!別にあたしは麦野なんて心配してないし!」

麦野(命令違反して突っ込んできた子の台詞じゃねぇわよね、って可愛いなーこの生き物)

フレンダ「んじゃあたし他の子へ知らせに行くけど、なんか欲しいものとかある訳?」

麦野「出来ればいつ退院出来るか知りたいわ」

フレンダ「あっ、カエル先生に起きたら知らせろって言われてた」

麦野「オイコラ淫乱ゴールド」

フレンダ「あ、あははー。んじゃちょっと呼んでくる訳」 ガチャ

麦野「フレンダ!」

フレンダ「なにー?」

麦野「……ごめん」

フレンダ「良いって訳よ!あたし達仲間って訳!」 ブイッ

麦野「あんたをパ××ンにしたの、私だから」

フレンダ「そっち!?そっちを謝ったの!?今謝る必要なくない!?」

麦野「ずっと気になってたのよ」

フレンダ「いやあたしも気になってたけども!っていうか麦野しか犯人居ないなーってむしろ確信すらしてたけど!もっとこう大事な『ゴメンナサイ』無い訳!?」

麦野「いやでも実はあの部屋には幽霊が出るのよね」

フレンダ「ないないないないっ!住人の毛を剃る幽霊なんて聞いた事はないわねっ!」

麦野「生前毛が少なくて自殺したかも知れないでしょうが!」

フレンダ「メンタル弱いオッサンなんて掃いて捨てる程いる訳!そもそも頭の毛が薄いのに別の部位を狙う意味が分からない!完全な八つ当たりでしょ!?」

麦野「全く、フレンダはこれだから」 ハァ

フレンダ「苦しくなるとあたしのキャラで落とすのやめて!?」

パタン、タッタッタッタッ……

麦野(……いいなぁ、仲間って)



217:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 12:36:05.39 ID:8Zghcs7u0

――某日、路上にて。未来のために今出来る事を

浜面「らっしゃい、らっしゃい、安いよ安いよー」

浜面(まぁそう簡単に人間生き方なんざ変えられないしぃ)

女性「すいません、ちょっと良いかしら?」

浜面「ういっす。気に入ったのあればどれでもどーぞ」

浜面(うっわスッゲェ美人!ナチュラルメイクでしま○ら着てんのに、モデルみてー)

浜面(……いや本職かも?俺どっかで見た事あるわ)

浜面「あぁでもごめんよおねーさん。ウチにあんのはパチモン商品ばっかりだから、ジョークで買うようなモノしか無ぇよ」

女性「え、でもこれドンケのバッグよね?」

浜面「あぁこっちのシートは全部本物。店と問屋通さない分だけ割り引いているんだわ」

女性「でも偽物も売っているんでしょう?『PRADO-TEPES』のスカーフを探しているんだけど」

浜面「あーそれなら……ちょい待ってねー……あったあった」

女性「あぁう○これこれ。このダッサイデザインと“Maid in Italy”がたまらないわね」

浜面「おねーさんさぁ、俺が言うのもどうかと思うけど、こんなん欲しいの?作りも酷いし、なんつったってホンモンじゃないよ?」

女性「まぁ趣味は悪いかも?自覚はあるわね」

女性「でもブランドもんで着飾るよりも、こう言うのが好きって人もいるし」

女性「私にとっては、そうね――お守り、みたいなものよね」

浜面「そーゆーもんかねぇ。あぁ!そーいやさぁ、前にもそれと同じの買ってった客が居てさぁ」

女性「…………へぇ」



218:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 12:37:59.59 ID:8Zghcs7u0

浜面「あん時は俺も若かったからね、ちょっとお高めの値段で売ってやったんだよねー」

女性「……その話、良かったら詳しく聞かせてくれない?」

浜面「いやソイツったら間抜けな野郎でさぁ!俺の言うデタラメ全部信じやがった上、『安くしましたー』なんつー事ぁ真に受けやがってよお!」

女性 ピキピキ

浜面「なんつーかね、世の中には自分からババを引く馬鹿がいるっつーか、間抜けが居るんだよねー」

女性「その男の人――こんな顔してなかった?」(ケータイの待ち受け画面を見せる)

浜面「おー似てる似てる、多分コイツだわ――って」

女性「そっかぁ、そうなのね――テメェかぁ、ウチの上条を騙した奴ぁ!」

ドゥンッ!

浜面「この火力はっ!?……アレ?どうしてボクの足はガクガク震えているの?」

麦野(女性)「場合によっちゃ、あと二ヶ月後に来るかも知れない人生最大級のイベントを、最短三ヶ月後まで延長させやがったのはテメェだったのねぇ。そっかそっか」

浜面「い、いやあのにーちゃんの性格だと、流石に学生結婚は無いと思――」

麦野「さぁ、生きのこれるかにゃーん?」

浜面「か、荷電粒○砲はもうイヤああぁぁっ!?逃げてっ、俺のシールド○イガーさん逃げてぇぇ!?」

麦野「誰がデスザ○ラーだぁコラああぁぁっ!!!」

ドオオオォォォンッ!


――科学と魔術が交差する時、物語は生まれる――

アックア「さて、そろそろ……」麦野「ちょっといいかしら?」 -終-



読んで下さった方、またご支援頂いた方には多大な感謝を。駄文長文、失礼致しました
繰り返しますが、浜面ファンの方ごめんなさい

余談ですがこのSSの添削を上司へ頼んだ際の感想が、
『足りないよ!そんなんじゃ足りないよ!君のスレ見たけど、みんなペロペロだよ!?みんな一方きゅんをペロペロしたいんだよ!分かってんの!?』
でした。上司をぶち殺す能力を持った方、至急お電話下さい



219:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/23(火) 12:40:04.49 ID:8Zghcs7u0

――次回予告

少女「それで?結局あなたは何が超したいんですか?」

女「敵討ちですかね。復讐とか」

女「グチャグチャにしてやりたかった。あの人の受けた痛みを万倍に、いいえ数え切れないぐらい乗算して返したかったです」

少女「成程、気持ちは超理解出来ます。それじゃお二人のご関係は?」

少女「家族ですか?友達ですか?恋人ですか?」

女「家族、じゃないし、友達でも無い。恋人なんかじゃもっとありませんでした」

女「でも、どれかにはなりたかったかも知れません。私は彼を好きでしたから」

少女「わたしだったらあなたと違う道を超歩くと思います」

少女「わたしは好きとか嫌いとか、男女関係やお付き合いは超よく分かりません。けどもし、もしも超素敵じゃなくても」

少女「まぁ多少は妥協するとして――超大切な人を見つけたなら、どんな時も側にいて、しっかり手を握っているつもりです」

少女「どこにも行かないように、離れないように、ずっと一緒に居たいじゃないですか」

少女「でもそうすると――あなたは、超違うんですね?」

少女「家族でも無い、友人でも無い、恋人でも無い人の側に居ないで、彼を傷つけた人へ銃口を向けている、と」

少女「あなたは本当にその人が――好きなんですか?」

女「だとしてもっ!」

女「あなたの手には何がありますか!?能力で作った壁?鉛玉を飛ばす武器?誰の手も握って無いじゃないですかっ!」

女「同じなんですよっ!私とあなたはっ!」

女「大切な誰かの手を掴むなんて事は出来やしませんっ!守ろうとする相手を護りきる事なんて出来ないんですよ!」

少女「……そうですね、超そうかもしれません。なんと言った所で結果は超同じですしね」

少女「ずっと手を離さないで、なんて言うのは――超『幻想』なんでしょうね」


――科学と魔術が交差する時、物語は生まれる――

絹旗「この手を――」上条「あぁ、離さない!」 -完成済-



絹旗「この手を――」上条「あぁ、離さない!」
元スレ
上条「今日からアイテムの一員になった上条です!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1364862586/
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