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バットマン「グランド……オーダー?」【前半】

1: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 12:27:01.20 ID:a6BvGIkT0

ブルース「デッドショットの次の計画は……」カタカタ

ブルース「……やはりジョーカーか。今回の裏にも……」カタカタ

ブルース「……」カタカタ、タンッ

アルフレッド「どうぞ」コトッ

ブルース「……コーヒーか、ありがとう」チラッ

アルフレッド「午前三時です。今夜『バットマン』になる予定がおありでないのなら、もうお休みになっては?」

ブルース「そういう訳にもいかない。情報を集めるところから戦いだ、悪党は休んでない」

アルフレッド「……」ハア

ブルース「キミこそ休んでくれ、アルフレッド。毎日付き合わせてすまない」

アルフレッド「ご主人様がお休みになられれば、私も休みましょう」

ブルース「……」ハア


カタカタ、カタ。カタカタ。カタ……



2: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 12:27:56.71 ID:a6BvGIkT0

…………

ブルース「……? 何か言ったか?」

アルフレッド「? いえ、何も……」

ブルース「そうか……」グラリ

ブルース「…………!?」グラグラグラッ

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

ブルース「これは……!!」

アルフレッド「ブルース様!! 地震です!!」

ブルース「いや、違う、これは……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!

ブルース「爆発!? 核か!?」グラグラ

ガラス「」パリィィィィン

アルフレッド「ブルース様危ない!!」ガバッ、グサ

ブルース「なっ、アルフレッド……」ドサッ

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!! ドゥゥゥゥゥゥゥム!! ドゥゥゥゥゥゥゥム!!

ブルース「くっ、瓦礫が……アルフレッド!! アルフレッド!!」

アルフレッド「……どうか、お逃げ下さい、ブルース様」バタッ

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ガラガラガラ……



3: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 12:28:30.96 ID:a6BvGIkT0

…………


どれほどの間、意識を失っていたのだろうか。気が付けば、瓦礫の下でうずくまっていた。

全身を鈍い痛みが走っていた。何故自分が倒れているのか、思い出すのにしばらくかかった。

ブルース「……アルフレッド、アルフレッド……」

ブルース(重い……身体にのしかかっているこれは……バットウィングの片翼か。破壊されてる……くっ)


ブルース「……うおおおお……」ドサッ、ムクリ

ブルース(やったのは誰だ? ジョーカー? ベイン? それともリドラ―か? いや、そんな事よりアルフレッドは……)

ブルース(……とにかく見晴らしの良い場所に出て……)ヨロヨロ

ブルース(……)ピタッ

ブルース「…………何……」



4: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 12:29:46.31 ID:a6BvGIkT0

見慣れたゴッサムシティは消えていた。猥雑なネオンも、光を振りまく中華街も、ゴードンが居た警察署も、何一つ残っていない。

見渡す限り、一面の焼け野原だ。赤黒い景色にざあざあと雨が降りしきる。信じられない光景だった。

ブルース(馬鹿な)ザアザア

ブルース(そんな、馬鹿な。一瞬にして? 恐怖ガスの幻覚か?)

ブルース(それとも夢か? いや、この雨の冷たさは夢ではない……)ザアザア

ブルース(……こんな焼け野原では、もはや生存者は……)

ブルース「……そうだ、アルフレッド……アルフレッド」ヨロ、ヨロ

――――

ブルース「アルフレッド……アルフレッド!! 何処だ!!」ガシ、ガラガラ、ガラガラ

ブルース(くっ、瓦礫が重い……やはりさっきの崩壊のダメージが響いている……)

ブルース「アルフレッド! 返事をしてくれ! アルフレッド!」

ブルース「アルフ……」ガラガラ、……ピタッ


ブルース「……アルフ、レッド」


ブルース「……アルフレッド、目を覚ましてくれ。街がこんな……キミの力を借りたいんだ、アルフレッド」

ブルース「………………アルフレッド」

ブルース「……………」

ブルース「……」


――――


ブルース「……」ガリ、ガリ、ガリ

ブルース「……」ポスッ

『我が生涯の友、アルフレッド。ここに眠る』

ブルース「……」



5: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 12:31:15.81 ID:a6BvGIkT0

ブルース「……」ガチャガチャ、ガチャ。スチャ、スッ

ブルース「……」ガシ、ガシリ。カチャッ

ブルース「…………」スッ

バットマン「……」

バットマン(希望は未だに潰えていないハズだ。生存者を……犯人を捜す)



6: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 12:32:20.25 ID:a6BvGIkT0

バットマン「……」スタ、スタ

バットマン(どこもかしこも焼け野原だ。建物の面影すらない……一体誰が、何のために?)

バットマン「ここは時計塔だったはず……だが、もはや瓦礫すら……」

バットマン「オラクル! どこだ!! ロビン!! 居ないのか!?」

バットマン「……」

バットマン「……応答は無しか」

――――

バットマン「ゴードン! 何処に居る!?」

バットマン「……」

バットマン(駄目だ、警察署にも誰一人居ない。ペンギンも、ブラックマスクも……見る限りゴッサムシティの向こうも同じか)

バットマン(……諦めるな、希望はまだ……)スタスタ

パトカー内の無線「……ザザ……」

バットマン「!」

無線「……もしもし、もしもし! 聞こえていたら返事をしてくれ! 繰り返す、こちらは人理継続保障機関『フィニス・カルデア』! 生存者が居たら返事をしてくれ!!」

バットマン「……」パリン、ガシッ、スチャ

バットマン「こちらゴッサムシティ。生き残りだ。そちらも生存者か?」

無線「なんだって!? 待ってくれ、ゴッサムシティ……と、遠い……いや、とにかくこちらに来てくれ! 座標は……」

バットマン「待て。そちらは何者だ? 同じ被害者なのか、それともこの事態を引き起こした犯人なのか」

無線「……」

バットマン「答えろ。こちらは既に逆探知している、黙秘は立場の悪化を招くだけだ」

無線「……こちらは人理保障機関、フィニス・カルデア。突拍子も無い話をするかもしれないが、聞いてもらえるだろうか」

バットマン「……」



7: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 12:33:59.90 ID:a6BvGIkT0

………………

バットマン「……つまり、人理が焼かれ……この惨状が?」

無線「そうだ、いやまだ焼かれては居ないが!……常識から外れすぎてて取り合ってもらえないかもしれないが、とにかくそういう事なんだ! 信じてくれ!」

バットマン「……」

バットマン「……いや、信じる。そちらの座標を教えてくれ」

無線「えっ……でも、さっき逆探知……」

バットマン「真実を聞くための嘘だ。座標を送ってくれ」

無線「……いや、それが……キミの国とカルデアは海を隔てて存在してる。来るのは非常に……」

バットマン「問題無い。バットウィングを修理してそちらへ向かう。座標を」

無線「バット……なに?」

バットマン「座標を。くれ。早く」



8: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 12:34:35.91 ID:a6BvGIkT0

バットマン「……」ガチャガチャ、ガチッ

バットマン「よし……」

バットマン(完成だ。エンジンと燃料に若干の不安はあるが、この飛行距離なら何とか保つハズ)

バットマン「……ゴッサムシティ……」

バットマン(必ず救う。どんな困難が立ち塞がろうとも。アルフレッドのためにも)

――――

バットマン「……」

バットマン(空の上から見ても分かる。生存者など望めない、最悪の焼け野原だけが広がっている)

バットマン「……」

バットマン(この陸地は……二ホンか。ここも形無しか……ともかく急ぐしかない)



9: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 12:35:35.74 ID:a6BvGIkT0

バットマン(二ホン上空を通過し、4時間ほど……ここが目的地のハズだ……雪山にしか見えないが。着陸スペースは見えず……降下するしかない)

バットマン「自動操縦モード」カチャカチャ

コンピューター『了解、自動操縦モード。お気を付けて』カチャッ、ウィーン

バットマン「……フッ!」バッ、バサササササササ

バットマン「……」スタッ、スクッ

雪山「」ビュオオオオオオオオ

バットマン(激しい吹雪だ。いくら多機能のバットスーツと言え、ここに長時間留まれば凍死は免れない……カルデアとやらは何処だ?)

??「おーい!! こっちだ、こっち!」

バットマン「……誰だ!!」

??「うわっ、わわっ!? キミ、ずいぶん変わった格好してるなぁ……いや、そんな事は今はどうでもいい! こっちに来てくれ! カルデアへの入り口はこっちだ!」

バットマン「……分かった」



11: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 12:36:32.04 ID:a6BvGIkT0

バットマン「こんなところに入り口が……」

??「さあ、早く! 入ってくれ!」

バットマン「……」スタスタ

??「ふう、キミを発見できてよかった。レーダーに映った飛行体を見てもしや、と思ったんだ。会えて光栄だよ、ボクはロマニ・アーキマン。Dr.ロマンと呼んでくれ」

バットマン(偽名か……いや、言っている場合ではないか)

バットマン「……私は……」スッ

ブルース「私はブルース・ウェイン。よろしく頼む、ドクター」

ロマニ「へえ、キミはそんな顔だったんだね! マスクをしてたら怖かったけど、外したら普通に接していけそうだ……って、そんな和んでる場合じゃなかった! 緊急事態なんだ、こっちへ来てくれ!」タッタッタッ

ブルース「……」



13: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 12:37:35.89 ID:a6BvGIkT0

ブルース「……随分ボロボロの施設だな」スタスタ

ロマニ「……それについても説明するよ。ここ、本来は人理の継続を確かなものにするための機関っていうのは説明したよね?」スタスタ

ブルース「ああ、聞いた。巨大な地球儀を観測し続けて、その証明で世界の維持を助けるとか……」スタスタ

ロマニ「うん。そこで問題が発生した。どうやら人類は来年の七月に滅びるらしく、それを防ぐにはどうやら過去の世界を変えなければならないようだ、と」

ブルース「……そんな事が可能なのか?」

ロマニ「うん。自然な流れなら人類は繁栄の一途だったからね、その流れを変えた『誰か』もまた、過去の因果を変えたんだ。川の流れを、ずっと上流でせき止めたみたいにね……」

ブルース「……」

ロマニ「そして、ボクたちはその対策に『レイシフト』を生み出した。過去へ飛び、因果を乱す原因を正し、そして戻って来る! シンプルかつ合理的だ!」

ブルース「信じられない」

ロマニ「あ、うん……だよなぁ、普通はそうなるよね。でも、ここは信じてくれ。何故ならこのバカでかい施設がそのまま、今はレイシフトのために存在するんだから」

ブルース「……そんなに大がかりな計画なら、もっと大人数でやるハズだ。他のメンバーは?」

ロマニ「……あぁ、その事についても、話す。これはこの施設がボロボロな事にも関係するんだけどね」


ロマニ「他のメンバーは全員死んだ。レイシフトの装置……霊子筐体に仕掛けられた爆弾によって」

ロマニ「僅かに残ったのは十数名のカルデア職員、そしてボクだけだ」

ブルース「……そうか」

ロマニ「ああ。……疑わないのかい?」

ブルース「……死を疑うほど無神経ではない。それに、それほど沈痛な面持ちの男など疑えない」

ロマニ「……うん、ありがとう。こっちだよ」スタスタ

ブルース「……」スタスタ

ブルース(……嘘だ。疑いはある。だが、外の惨劇とこの男の話は噛み合っている……信じるしかない)

ブルース(……それに、レイシフトの話が本当なら。解決策も有りそうだ)



14: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 12:39:00.24 ID:a6BvGIkT0

ロマニ「ようこそ、カルデアの管制室へ!」

ブルース(……広く、大きい。破壊の痕跡の中、数名が活動しているか……)

職員A「ドクター、そちらの方は……」

ロマニ「ブルース・ウェインさん。適性は分からないが、外に居て生き残った数少ない人間だから可能性はあると思う」

職員B(変わったスーツに……手に持ってるのはマスク? ネコミミが生えてるのかなぁ、あれ)

職員C「それよりもドクター、そろそろレイシフト先に誤送された職員の存在証明が難しくなっています! 生存報告も無く、時間が惜しい……!」

ロマニ「そ、それってヤバいなぁ! よし分かった、説明を早めに済ませるとしよう! ブルース、キミをここに呼んだのは他でもない、キミにレイシフトをしてほしいからだ!」

ブルース「過去に飛ぶというアレか。分かった、やろう」

ロマニ「戸惑う気持ちも分かる! けどこれは……え?」

ブルース「何をぼんやりしている。どうすればレイシフトできるんだ?」

ロマニ「い、いや……待ってくれ、インフォームド・コンセントというモノがあるだろう!?」

ブルース「人命が懸かっているのだろう。早くしろ」

職員達「「「……」」」(呆然)

ロマニ「き、キミ……悪くすれば死ぬんだ、分かってるのかい?」



16: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 12:41:41.75 ID:a6BvGIkT0

ブルース「分かっている。ノーリスクでそんな試行ができるハズもない。だがやるしかないんだろう?」

ロマニ「……分かった。まずはこの霊子筐体(コフィン)に入ってくれ」

ブルース「……」スタスタ、スチャッ

ロマニ「いいかい、時間が惜しいんでキミの覚悟に便乗して任務だけ伝える。
まず、レイシフトが完了したら、あちらに居ると思われる職員とコンタクトを取ってくれ。会えばそうと分かるハズだ、我々と同じような白衣を着ている。

そして何より大事なのは……『聖杯』と呼ばれる魔力の塊を持って帰還する事!」

ブルース「聖杯?」

ロマニ「ああ、レイシフト先に巨大な魔力が観測されている。恐らく、この事件を引き起こした犯人が所持しているハズ……
それと、これが一番大事なんだけど! 一般人のキミは向こうで強大な敵に出会うかもだけど、絶対に直接戦闘はしない事! 人間じゃ相手にならないから!」

ブルース「……分かった。尽力する」

ロマニ「頼むよ! それじゃあ閉じる! レイシフト先でも適宜指示を出すから、そこで会おう!」ガチャッ


コフィン内「」シーン……


ブルース「……」チラッ

マスク「」

ブルース「……」スッ

バットマン「……コフィン(棺)か。皮肉だな」

ロマニ『レイシフト10秒前! 9! 8! 7! 6! ……』

バットマン「……」

『3! 2! 1!』

バットマン「……!!」グッ

『0』



17: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 12:43:21.61 ID:a6BvGIkT0

マシュ(痛い……熱い)

マシュ(瓦礫にのしかかられてる……重い。それに、何か燃えてる……世界が……燃えてる……)

マシュ(ああ、身体の感覚が……死ぬのかな)

マシュ(……何も、残せなかった)ツー

マシュ(ああ、駄目だな。泣くなんて……覚悟してた、ハズなのに)

マシュ(熱さが増して……痛みも……ああ、息も、だんだん……)

マシュ(……楽になって、きてる?)


???「無事か」ゴバッ、ガラガラ



18: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 12:44:21.89 ID:a6BvGIkT0

バットマン(ひどい傷だ。もう助からない)

???「か、はっ……あ、貴方は……」

バットマン「ブルース。ブルース・ウェインだ。
……もしもしドクター、レイシフト先にて職員と思われる女性を発見。しかしこの傷ではもう……」

ドクター『……ま、マシュかい!? 待って、それなら……ブルース、キミと魔力回路を繋げてデミ・サーヴァントとして覚醒させれば……』

バットマン「ドクター、落ち着け。まずは手順を説明してくれ」

ドクター『あ、ああ。まずは魔術回路の確認から……』

バットマン「……マシュ。少し手荒な真似になるかもしれない。先に謝っておく」

マシュ「ごほっ……ええ、構いません……」

バットマン「……」



19: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 12:45:18.48 ID:a6BvGIkT0

マシュ「……」

バットマン「……安定したようだが、目を覚まさない。ドクター、何が原因か分かるか」

ドクター『これは……回復に回す分の魔力まで供給できてない。生存で手一杯か……ブルース、キミの近くに霊脈はあるかい?』

バットマン「霊脈……と、言うと」

ドクター『ああいや、それはこっちの仕事だね。検索するよ……! 待って、敵生体反応多数! 周囲を警戒してくれ!』

バットマン「!」

???「グルルルル……!」

???「グルァァァァ……」

バットマン「……」

ドクター『太刀打ちできない! ブルース、すまないがマシュを抱えて逃走できるかい!? 分が悪すぎる……ブルース?』


バットマン「……」



20: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 12:46:04.33 ID:a6BvGIkT0

???「グルォアアアアッ!!」シュバッ

ドクター『うわああああああ!! ブルースくん!!』


バットマン「フン!!」ガキィ

ドクター『ええええええええええ!?』

バットマン(重い……だが想定内)

バットマン「シッ」グルッドゴォ

???「ゴギャアアアアアア!!」バタッ

バットマン(次だ)

???「グガアアアアアアア!!!」バババッ

バットマン「……」スッ

???「グ……エッ?」

バットマン「フンッ!!」ドッゴォ

???「ギャアッ!!」バタッ

バットマン(次……)

………………



21: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 12:46:58.73 ID:a6BvGIkT0

……………

バットマン(負傷は軽微。敵は撤退……上々だ)

ドクター『……ブルースくん、キミって一体何者なんだい? 確かにあの敵は弱かったとはいえ、生身の人間が撃退できるような連中じゃ……』

バットマン「私の事より、霊脈は見つかったのかドクター。移動可能になったぞ」

ドクター『あ、ああ。そこから二キロほど西に歩いた場所に発見できた。もう一つ反応があるのを考えると、恐らくそこにも生き残りの職員が居るハズだ』

バットマン「了解。合流を試みる」

ドクター『頼んだよ! あと、さっきの勝ちはどう考えたって幸運で拾ったんだから、さっきみたいな無茶しない事! いいね!」

バットマン「……保証はしかねる」

ドクター『ブルースくん!』

バットマン「……」

マシュ「……ぐ……貴方は、一体……」

バットマン「……無理はせず、寝ておけ。すぐに霊脈へ連れて行ってやる」スタスタ、ガシッ

マシュ「……う……」ガクッ



22: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 12:47:41.36 ID:a6BvGIkT0

バットマン(……ひどい焼け野原だ。ゴッサムシティと同じか、それ以上の)

バットマン(……こんな荒れ地を作って、何がしたいんだ。犯人の真意を推測しかねる……)

バットマン(ジョーカーのように楽しんで破壊をしただけか? それとも、何かに絶望した末の破壊行動か?)

バットマン(……いずれにせよ、まともな神経の持ち主ではない。何処かで狂ってしまった者がやる事だ)

マシュ「……うっ……先輩……」

バットマン「もうすぐだ。踏ん張れ」スタスタ

マシュ「……」


???「……止まりなさい!」

バットマン「……」ピタッ

???「マシュを抱えて何処へいくつもり? 貴方は何者ですか? 答えなさい!」

バットマン(敵意有り。距離三十メートル。鉄バットを所持……やれる)

ドクター『ま、待った! 所長、ボクがレイシフトさせたんです!』

所長「……その声、ロマニ? ああ良かった、ようやく味方が来たのね……じゃなくて!!
アンタ、レイシフトされたんですって? 状況を全て説明しなさい! なんでこんな焼け野原になってるの!? どうして私までレイシフトに巻き込まれたわけ!?」

バットマン「……ドクター。説明は頼んだ」スタスタ

所長「ちょ、まちなさ……ちょっと! そもそも何なのよその悪趣味極まりないスーツとマスクは! ネコミミ!? ネコミミなの!?」タッタッ



23: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 12:48:38.60 ID:a6BvGIkT0

バットマン「……つまり、私達三人がここでの最後の生存者か」

ドクター『そのようだね。残念だけど……他に生命反応はない。あるのは蠢く魔力反応、そして敵性反応だけだ』

所長「待って、レフは? さっきから気になってたんだけど、なんでロマニが仕切ってるのよ!?」

ドクター『いや、何故と言われても……』

バットマン「死んだ。爆発に巻き込まれて」

所長「……え? 爆発?」

バットマン「そうだ。何者かによって仕掛けられた爆弾によって過半数が吹き飛び、生き残った職員、レイシフト要員は十数名。そうだな、ドクター」

ドクター『ぶ、ブルースくん、こういう事はもうちょっとオブラートに……いや、そうだな。今言った通りです、所長』

所長「……レフも死んだのね。そう。うちじゃ一番優秀だったけど仕方ないわね」

バットマン「……」

所長「何よ」

バットマン「ヒステリーを起こすものとばかり思っていた」

所長「あのねえ、私だって解決に繋がる興奮とそうでない興奮くらいは弁えてるわ。それより、これからの行動指揮は私が取るけど異議無いわね?」

バットマン「無い。好きに指示を出してくれ」

ドクター『こちらも、霊脈とのつながりを得た事でいつでも通信可能になりました! 助けが必要になったら遠慮なく通信を!』

所長「……何にしても、マシュが目覚めない限りはどうしようもないけど。早く目覚めてくれないかしら……」

バットマン「……」

所長「……ところで、その耳は本当に何なの? 猫なの?」

バットマン「………………」



24: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 12:50:33.33 ID:a6BvGIkT0

マシュ「……う……」

バットマン「……!」

バットマン(本当に生き返った……!?)

所長「あのダメージから蘇生するなんてなかなか……ね。動けるようになるまであとどれくらい掛かるか分からないけど、それまでキャンプを……」

バットマン「ああ、動かずに守る。……それよりも、マシュは何故蘇生できた? あの傷じゃあ、人間は生存不可能なはずだ。デミ・サーヴァントとは何だ? 魔力とは? 何故『聖杯』とやらはこんな事をする?」

所長「……そうね。部外者を引っ捕まえて協力させてるんだから、まずはそもそもの説明からしなきゃ駄目よね」

バットマン「……」

所長「……長くなる話だから丁度良いわ。ただ、駆け足気味になるけど」

バットマン「構わない。理解する」

所長「頼もしいわね。それじゃあ、まずはサーヴァントから……」



25: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 12:51:59.01 ID:a6BvGIkT0

所長「……これがサーヴァント。歴史から生まれた、人間の影よ」

バットマン「……つまり英霊というのは、過去の英雄たちを呼び出して使役する際の呼び名で……聖杯という願望器をめぐって争うためのコマだと」

所長「大雑把に言えばそんな感じね。それで、デミ・サーヴァントっていうのは……」

マシュ「……うっ……」ムクリ

マシュ「……」キョロキョロ

マシュ「ここは……私、死んでない……」

所長「っと、起きたわね。悪いけど、後の説明は帰ってからで良いわね?」

バットマン「……分かった」

所長「マシュ、起きたばかりで悪いけど状況の説明をするわ。のんびりしている時間は無いから納得できなくても納得して頂戴。いいわね」

マシュ「え、え……」

バットマン「……大丈夫だ」

マシュ「……は、はいっ」

マシュ(誰だろう……ネコミミが可愛いけど……)



26: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 12:52:35.88 ID:a6BvGIkT0

所長「……ていう事。話は通じたわね?」

マシュ「はい。任務、特異点の元となった聖杯を回収し、無事にカルデアへ帰還を果たす事。了解しました」

所長「それじゃ……ロマニ! 聖杯の位置は割り出せた!?」

ドクター『いえ、それが頑張ってるんですけど、方角くらいしか割り出せなくて……』

バットマン「それだけ分かれば十分だ。すぐに向かう」

所長「ちょ、ちょっと! 私が指揮するって言ったじゃない!」

バットマン「…………」

所長「う……そ、そうね。それ以外に選択肢も無いし、向かうわよ!」

マシュ「行きましょう、マスター」

バットマン「……」

バットマン(マスター……アルフレッドを思い出す)

バットマン(……必ず解決してみせる。アルフレッド)



27: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 12:53:12.59 ID:a6BvGIkT0

バットマン「……」スタスタ

所長「……」スタスタ

マシュ「……」スタスタ

ドクター『……』


バットマン「…………」ピタッ

ドクター『止まって! 敵性反応!!』


???「グルアアアアア!!!」


所長「きゃあああああああ!! マシュ! 戦闘体勢!!」

マシュ「了解! マスター、下がってください!」

バットマン「断る」

マシュ「えっ……」

所長「ちょ、ちょっと!! 頭おかしくなったんじゃないの!?」

バットマン「やれる。行くぞ」

マシュ「えっ、えっ……」

???「グルアアアアアオォォォォォ!!!」

バットマン「……フン!」シュバッシィィンン

???「グエッ……」


マシュ「!?」

バットマン「ぼうっとするな! マシュ! 後ろだ!」

マシュ「え……」

???「グオオオオオオオオオ!!」

マシュ「あ……ま、マシュ・キリエライト、戦います!」

???「シャアッ!!」シュバッ

マシュ「くっ……」ガキィ


ドクター『……待て、戦場に高速で反応が近付いてる!!』



28: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 12:53:44.93 ID:a6BvGIkT0

ドクター『こ、この反応……冗談じゃないぞ! 覚醒したてのマシュじゃ無理だ、ブルースくんにも! 逃げろ!』

所長「ちょっと、なんだって言うのよ! そんなに騒ぎ立てて、訳くらい話しなさい……よ……」

バットマン「……あれは……」


マシュ「これで……終わりです!」ドゴォ

???「グギャアアアアア……」ドサッ

マシュ「はあ……はあ……やりました、マスター! 敵性体を撃破し……まし……」


影「……」


ドクター『シャドウサーヴァントだ……! これまでのとは比べ物にならない! 撤退しろ、ブルースくん!』



29: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 12:54:34.63 ID:a6BvGIkT0

バットマン(シャドウ……サーヴァント)

バットマン(見れば分かる。自分よりも遥かに強い。まるでメタヒューマンのような……無策に飛び掛かっていっても返り討ちが関の山だ)

バットマン「くっ……」グワッ

所長「きゃ、ちょ、ちょっと! 下ろしなさい! 無礼よ!」ジタバタ

バットマン「マシュ! 撤退だ、後方へ……」タッタッタッ……ピタッ


影2「ニガサヌ。 タタカウ マエカラ トウボウ トハ ワラワセル」


マシュ「挟まれました、マスター。逃亡は不可能と判断します……!」

バットマン「……くっ……」ドサッ

所長「いたっ、落とすならもうちょっと優しく……」

バットマン「逃げていろ! 時間を稼ぐ!」ダッ

影「……」バッ

影2「ハハハハ!! ソノ イキヤ ヨシ!!」

マシュ「私も……私だって!!」ダダッ



30: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 12:57:20.18 ID:a6BvGIkT0

 蹂躙、という言葉がある。

 黒いスーツで覆われた腹部に蹴りが入り、彼は転がって血を吐いた。痛みをこらえて起き上がる彼の目の前に、影は既に立っている。

 速い。バットマンは咄嗟に右拳に爆破ジェルをスプレーし、前方目掛けて拳を繰り出した。

「ノロイ」

 掌底と拳がかち合い、爆発。バットマンだけが吹き飛び、瓦礫に背中を打ち付けた。更に吐血。右腕の激痛をこらえ、彼は歯を食い縛って顔を上げ、前を見る。
 
 マシュが盾で必死に攻撃を防ぎつつ、二人のシャドウサーヴァントを相手に立ち回っている。それも長くは持たず、彼女は殴られて吹き飛んだ。

「マシュ」

 彼は震える手を伸ばした。燃える瓦礫の向こうに少女が突っ込み、破砕音と粉塵を散らして止まる。

 バットマンは唸りながら立ち上がり、影の前に立ちはだかった。

「……ムダナコト ヲ。ミスミス シヌ カ」
「……」

 彼は実際死ぬつもりだった。隠れる場所もない広所での戦闘、相手は数段格上だ。だが戦いをやめるつもりはない。

 世界を救うという目的のため……死ねばアルフレッドや両親と同じ場所へ行けるのではないかという、微かな希望のため。

「……ナラバ、シネ」

 振り上げられた黒い腕を見上げ、バットマンは不屈の防御姿勢を取った。だがその腕が振り下ろされる事は無かった。

「アンサズ!!」

 誰かが叫んだ。男の声だった。バットマンは咄嗟にそちらを見た。飛来する火の玉を。それはあやまたず、シャドウサーヴァントの頭部に直撃した。



31: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 12:58:03.78 ID:a6BvGIkT0

???「おう、間に合ったみてえだな。兄さんよぉ、自殺願望は頂けねえなァ」

バットマン「……お前は」

???「さあなあ、少なくとも敵じゃねえんじゃねえの? そこの影野郎を攻撃したわけだし」

マシュ「……くっ……そちらのかたは」

???「お、いいねえ。可愛い嬢ちゃんだ、役得役得……って言ってる場合じゃねえな」

影「……」ムクリ

影2「フン、キカヌ ワ」

???「ともかく、まだやれるな嬢ちゃん? いっちょ俺と共同戦線と行こうや」

マシュ「……マスター、指示を……」

バットマン「……共に戦う以外に無い。やれるか、マシュ」

マシュ「はい! マシュ・キリエライト、いきます!」

影「……!」

影2「ナメルナ……!!」



32: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 12:58:53.13 ID:a6BvGIkT0

???「オラッ、くたばりな!!」ゴッ

影「…………ぐっ……」ドサッ

マシュ「ここ!」ガゴッ

影2「オノレ……ここ、までか……」ドッ

???「よぉっし、なかなかやるじゃねえの嬢ちゃん。でも宝具解放はしねえんだな?」

マシュ「は、はい。まだデミ・サーヴァントとして覚醒したてで……」

???「……フーン、よく分かんねえけどそんなモンか。おい、そっちの兄さんは平気か?」

バットマン「……ああ。助かった」

???「いーっていーって、俺もボランティアで動いてた訳じゃねえし。アンタら、ここの聖杯が狙いだろ?」

バットマン「……何故知っている」

???「サーヴァントってのは耳も良いんだぜ、知っとくべきだったな。ま、俺もアレだ、この聖杯戦争をさっさと終わらせてえってワケ……」

バットマン「……つまり、敵対意志は無いと」

???「かてえ言い方だなぁ、アンタらの味方だっての。俺の名はクー・フーリン、そっちは?」

バットマン「……ブルース。ブルース・ウェイン」

バットマン(クー・フーリン……槍の名手。ゲイ・ボルグの使い手。伝説の人物だ。敵に回れば厄介この上無い……コイツが裏切った時、どう動くのが正解だ?)

クー・フーリン「……目の険しさが変わんねー……おう、そっちの嬢ちゃんは名前何てんだい?」

マシュ「マシュ・キリエライトです! よろしくお願いします!」

クー・フーリン「おう、こっちはもう警戒無しか……なんだか両極端だなぁ」


所長「……戻って来たけど、何、これ……どうなってるの……味方? 味方なの?」



33: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 12:59:24.41 ID:a6BvGIkT0

ドクター『……成程。どうも複雑な事情が絡んでいると見た』

クー・フーリン「そうそう、複雑な事情。便利な言葉だよなぁ!」スタスタ

バットマン「……」スタスタ

クー・フーリン「……なあブルースさんよ、いい加減俺の後方5メートルを確保して歩くのやめねえ? 殺気が気になって仕方ねえ……」

バットマン「……」スタスタ

クー・フーリン「無視かよ」

マシュ「す、すみません。マスターは……その……警戒しがちみたいで」

所長「妥当だと思うけど? 真名以外に分かってることもないし」

クー・フーリン「だーっ、だから俺は味方だっての! こうやって聖杯に導いて……」

バットマン「……」

クー・フーリン(信用ねえなあマジで……あ、いや待てよ?)


クー・フーリン「……クックックック……ハァーッハッハッハ!!」

マシュ「ど、どうしたのでしょう。急にベタな悪役じみた笑い声をあげ始めました、クー・フーリンさん……」

バットマン「……」スッ

所長「あの、ブルース。何かある度に私を抱え上げようとするのはやめて」


クー・フーリン「ふふふ……そこまで疑われちゃあ仕方ねえ! 正体を表すとしようじゃねえか! 俺はてめえを殺すために来たんだ、ブルース!!」


マシュ「そ、そうだったのですか!!! 妙にフレンドリーで疑えませんでした!」

バットマン「……」

所長「いや、あの……マシュ?」

クー・フーリン「行くぞマシュ!! せいぜいてめえのマスターを護ってみせろや!!」

マシュ「マスター、指示を! 敵キャスター、来ます!」

バットマン「…………」



34: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 13:00:22.59 ID:a6BvGIkT0

マシュ「くっ……」

マシュ(ふざけた空気だと思ってたのに、強い……! この炎、防ぎ切れるものじゃない!)

クー・フーリン「ほらほらどうしたァ! もっと強い守りを見せてみろ、そんな盾じゃあマスターは守り切れねえぞ!」

マシュ「ッ!」ガガッ

クー・フーリン「アンサズ! オラァ!」ボボボッ、ドッガァ

マシュ「うっぐ……」ドガガッ、ズシャア

マシュ(パワーが圧倒的に不足してる! さっきの戦いはブルースさんも戦ってたからあんまり実感しなかったけど……

護るのが、こんなに難しいなんて!)


クー・フーリン「そうとも! 護る戦いってのは苦しいモンだ、マシュ! 今のまんま腑抜けてちゃあ、サーヴァントでもねえブルースに負けっぱなしだぞ!」



バットマン「……」

所長「ね、ねえ。アレ、助けに行かないの?」

バットマン「さっきの戦いの傷が深刻だ。支援には行けない」ギュウウウウ……

所長「そ、そう……(ならなんでそんなに拳握り締めてるのよ……)」


マシュ「ぐぅっ!!」ゴロゴロッ

クー・フーリン「そろそろ決着と行くかァ、くたばりな!! 『ウィッカーマン』!!」キィィィィィィィィイイイイイイ

マシュ「!!!!」ガバッ



35: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 13:01:06.03 ID:a6BvGIkT0

マシュ(避けたらブルースさん達に当たる! 回避という選択肢は無い!)

マシュ(だからと言ってまともに受ければ消し炭! あの爆発は受け切れない!)

マシュ(……どうすれば……!)

盾「」カッ

マシュ「! 盾が……」


マシュ(そうだ、私には盾がある。何かを護り、生かすのに最適な盾が)

マシュ(……命を受けたんだ。たとえ偽物でも……なら、ここで負ける訳にはいかない!)

マシュ「いきます! 疑似宝具、展開!! 『人理の礎(ロード・カルデアス)』!!」


盾「」キィィィィィィィィン

ドドォォォォォォォォォォン‼ ドゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン‼




クー・フーリン「……やっべ、ついつい魔力を注ぎ過ぎちまった。やっちまったかも……」


クー・フーリン「……いや……待て、これは……」


クー・フーリン「これは……!!」



36: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 13:01:58.02 ID:a6BvGIkT0

マシュ「…………敵宝具、受け切りました……」シュゥゥゥゥゥ

クー・フーリン「……やるじゃねえの。全開じゃ無かったとはいえ、流石に無傷で受け止められるとは思ってなかったぜ。ちょっとショックだな」ポリポリ

マシュ「クー・フーリンさん……じゃあやっぱり、最初から」

クー・フーリン「トーゼン。本気でやる訳ねえだろ、お前さんの力を引き出すためだよ。狙い以上にやってくれやがって、将来有望だな」

マシュ「……」パァァァァァ

マシュ「あっ、ありがとうございます! 見ていてくれましたか、マスター!!」


バットマン「……」(逃走準備万端)
所長「ちょ、ちょっとブルース、これ本当に空気読めてないから……」ジタバタ


マシュ「……マスター、その手に構えたものは」

バットマン「……グラップネル・ガンだ。これでロープ付きアンカーを射出し、巻き上げ機構で移動する」

マシュ「つまり、逃げる気満々だったと」

バットマン「……」

マシュ「全然信用してくれてないじゃないですか!!!!!!!!!!」

バットマン「…………悪かった」


クー・フーリン「……」ハア
所長「……」ハア



37: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 13:03:02.97 ID:a6BvGIkT0

クー・フーリン「……ともかく移動しようぜ、な」

マシュ「むぅ……分かりました」

バットマン「……」

所長(なんで山場を越えたのにこんな空気なのよ……ブルース!! 空気を読みなさい!!)ヒソヒソ

バットマン(……)

クー・フーリン「……あ、そうだ。ブルースさんよ、ちょいと言っとく事がある」

バットマン「何だ」

クー・フーリン「魔術師ってのは、術式の発動中に攻撃受けりゃあ意識が逸れて魔法が途切れる事が大半だ。だからアンタ、こっから先で魔術師に会ったら……」

バットマン「……成程、実践してみよう」

クー・フーリン「おう。まあ精々アンタに敵として会わねえ事を期待しとくぜ」

バットマン「……こちらとしても、そう祈る」

クー・フーリン「……へっ、素直じゃねえヤツ」



38: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 13:03:45.65 ID:a6BvGIkT0

クー・フーリン「さて、この洞窟を抜けりゃあ聖杯だ。勿論タダじゃあ手に入らねえ、護り手ってのがある……」

バットマン「どんなヤツだ」

クー・フーリン「正直言ってこれまでのシャドウサーヴァントなどとは比べ物にならねえ。剣の一振りで腑抜けのサーヴァントなら上半身とおさらば」

マシュ「……」ゴクリ

クー・フーリン「……まあそう深刻な顔をしなさんな。俺も居るし、お前さんだって実戦経験も積んできたろ」

ドクター『ちょっと待った! その洞窟の奥、何か居るぞ!』

クー・フーリン「あー、まあ無駄話もここまでに。いわゆる護り手の護り手が居てだな……いや、信奉者と言うべきか」

影「……」

クー・フーリン「おう、相変わらず聖剣使いを護ってんのか、テメエは」

影「……ふん。信奉者になった覚えは無いがね。つまらん来客を追い返す程度の仕事はするさ」

クー・フーリン「け、言ってくれるぜ。おう兄さん達、もうちょい気張りなよ。コイツも一筋縄じゃ行かねえんだ、守りが必要だぜ」

バットマン「マシュ」

マシュ「いけます」

クー・フーリン「行くぜ、アンサズ!!」ボボゥ‼

影「ッ!!」ガッ



39: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 13:04:18.55 ID:a6BvGIkT0

クー・フーリン(ち、洞窟内が暗くて影のアイツが見にくくてしょうがねえ……! つうか炎の魔術を発射したら洞窟内が照らされんのに、終わったら途端に見えなくなりやがる!)

クー・フーリン(撃った後だけ標的が見える銃にどんな意味があんだよチクショー!!)

影「キャスターは向いてないんじゃないか?」

クー・フーリン「やかましい野郎だ、燃え尽きてから撤回しやがれ」


バットマン(クー・フーリン)ヒソヒソ

クー・フーリン(うおっ、なんだよ!? 急に背後に出てくんな!)

バットマン(暫く炎の魔術は打ち止めにしてくれ。考えがある)

クー・フーリン(ちっ……三十秒だけだぞ!)

バットマン(十分だ)

影「……どうした、撃ってこないのか」

クー・フーリン「テメエ相手に魔術なんざ必要ねえんだよ、掛かって来いや」クイクイ



40: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 13:05:27.75 ID:a6BvGIkT0

影「……口がデカいのはクラスが変わっても治らないか!」ババッ

クー・フーリン「チィッ」ガガガッ

マシュ「させません!」バッ

影「まだまだ動きが甘い!」ヒュドッ

マシュ「あぐっ……!?」ドサッ


クー・フーリン「おいおい峰打ちかよ、女には甘ったるい野郎だな!」

影「キミには容赦しないようにしよう!」バババッ

クー・フーリン「ああそうかい!」ガッガッガギン

影「そこ!」シュバッ

クー・フーリン「!! しまっ……!?」ガィン


ドシュッ


影「……? なんだ、この……ぐっ!?」シュルルルルルルル

影「ま、巻き上げられ……!? まさか!?」

影(あのマスターが後ろに……暗くて、視認できなかった……!? サーヴァントの視力でも!?)


バットマン「今だ! クー・フーリン!」


クー・フーリン「……! オウ! 『焼き尽くせ、木々の巨人』……」


クー・フーリン「『ウィッカーマン』!!」



41: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 13:06:00.93 ID:a6BvGIkT0

ドォォォォォォォォォ……



42: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 13:06:36.63 ID:a6BvGIkT0

バットマン「……無事か、マシュ」

マシュ「は、はい……平気です」

マシュ(宝具が使えるようになったからって、舞い上がってた。自分の戦闘能力が急に上がる訳じゃない……分かってたハズなのに)

バットマン「……」

所長「どう、ドクター? この辺りの反応は?」

ドクター『……もう確認できない。そこは安全だ』

所長「そう、なら良かった。休憩にしましょう」

バットマン「いや、必要ない。このまま聖杯を回収に行く」

所長「このまま……ってあなたねえ、今の自分の顔色見てみたらどうなのよ」

バットマン「……」

マシュ「……私も、休息を提案します、マスター。真っ青ですよ」

クー・フーリン「ま、多数決だ。休めよ、ブルース」

バットマン「……分かった」



43: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 13:07:10.62 ID:a6BvGIkT0

ブルース「……」

クー・フーリン「……アンタ、マスク外したらそんな顔してたのか」

ブルース「……ああ」

クー・フーリン「そっちの方が好感持てるぜ、青年。俺はもっと殺伐とした顔してると思ってたぜ」

ブルース「……」

マシュ(……まままマスクを取ったら普通にイケメンでした……なんでモノローグでも敬語になってるのか分かりませんが多分混乱してるのだと思います)

マシュ(えーっと、えーっと、今までどうやって話してましたっけ……マスクを着け直して欲しい……)

マシュ「あ、蜂蜜たっぷりの紅茶が沸きました」スッ

ブルース「ああ、有難う」パシ

マシュ「いえ」

マシュ(あれ? こんな感じでしたっけ?)


所長「……生きたまま帰れるのかしら、カルデアに」

ブルース「必ず生きて帰らせる。それが第一歩の任務だ」

所長「……ええ。そうね、これが最後の一歩じゃないものね」

ブルース「当然だ。世界を救うまでは戦いが続く。覚悟は済んでいる」

所長「……」

所長(……初めて会った時から思ってたけど、コイツの精神はどうなってるのよ……狂ってるの? 猫のコスプレしてる奴がまともとは思ってないけど……)


クー・フーリン「……」

マシュ「……」

所長「……」

ブルース「……」スッ


バットマン「そろそろ出発しよう。休憩は十分だ」スクッ



44: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 13:07:45.02 ID:a6BvGIkT0

???「……ほう、これは」

バットマン「ドクター、目の前に黒い騎士が居る。コイツが聖杯を持っているのか」

ドクター『待って、サーチしてる……うん、合ってる。今、ブルースくんの目の目に居るのが、この特異点を終わらせるカギを持つ存在だ』

バットマン「……」

バットマン(話が通用……するなら、クー・フーリンがとっくに奪っているか。武力行使しかありえない)


???「我が名はアルトリア。アルトリア・ペンドラゴン。そこの娘、名前は何という」

マシュ「え……わ、私ですか? 私はマシュ・キリエライトです」

アルトリア「マシュ。面白い奴だ。そしてそこの……猫のコスプレの男」

バットマン「……ブルース・ウェインだ」

アルトリア「ふむ、覚えた。地獄行きの前に面白いものが見れた、良い余興だ。構えろ」

クー・フーリン「……言っとくが、アイツの剣はまともに食らうなよ。勢いを逸らして直撃をさける、それが命だ」ギシッ

マシュ「了解……!」ザシッ


アルトリア「行くぞ!」バッ

バットマン「……!」



45: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 13:08:16.18 ID:a6BvGIkT0

 黒い騎士が剣を振り上げ、振り下ろす。盾を頭上に構えながら、マシュはゾクリとした予感に身を任せ、身体を僅かに横にずらした。

 そして、直撃。火花。マシュは歯を食い縛る。腕がガクガクと震え、痺れを伝える。剣はそのまま振り下ろされ、地面を砕く。

「上手い」

 アルトリアの口から賛辞が漏れる。その手に握られた剣が跳ね上がり、マシュの喉を狙う。防御直後のマシュは体勢を立て直せない……

 だがその瞬間、アルトリアの剣は跳ね返り、背後から迫っていた炎の玉を切り裂いた。

「ちっ、無詠唱ならやれると思ったんだけどなァ!」
「甘い」

 興奮で僅かに口元を緩めながら、アルトリアは剣を振り回す。マシュは盾でそれを防ぎ、数メートル弾き飛ばされる。

「がら空きだぞ、キャスター!」
「やべっ……」

 そのまま凄まじい勢いでこちらに駆け出すアルトリアを見、キャスターのこめかみに冷や汗が伝う。

 だがまたしても、アルトリアは素早く剣を打ち振り、虚空を薙ぎ払った。火花が散り、小さな何かが宙を舞う。

「……なんだこれは」

 アルトリアはそれを見た。コウモリの形をした手裏剣だ。それの投擲元を見た。自分と同じ、黒い騎士だ。

「フン……」

 アルトリアは鼻を鳴らし、魔力を集中させた。そして詠唱を開始する。

「『卑王鉄槌』」

ざわり。空気がゆらぐ。



46: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 13:09:12.78 ID:a6BvGIkT0

「おいおいチクショウ、消し炭は御免だぜ!」

 キャスターはバットマンを庇うように回り込み、魔力を練り上げる。アルトリアは口元を歪めたまま、詠唱を続ける。

「『極光は反転する』」
「クッソ、間に合わねえ……!」

 キャスターは歯を食い縛る。その目の前、マシュが立った。

 マシュとアルトリアの視線がかち合った。上等だ。二人の目が光った。

「『光を飲め』!」
「『宝具、展開』!!」

 マシュは見ていた。相手が宝具を打ち込むそのポイントを。アルトリアの目の光は、闇の奔流に飲まれて行った。

「『エクスカリバー・モルガーン』!!」
「『ロード・カルデアス』!!」

 輝く盾が顕現した。闇の奔流が直撃した。

「直撃を……直撃を、逸らす!」

 マシュは叫んだ。闇の津波は僅かに盾の中心から逸れ、虚空へと流れ始める。アルトリアが目を見開く。

「……!!」

 盾が火花を散らす。アルトリアの魔力が尽きて行く。マシュはまっすぐに相手を見据える。真っ直ぐに!

 そして……そして、やがて奔流が止まった。アルトリアは皮肉の笑みを浮かべた。



47: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 13:09:59.78 ID:a6BvGIkT0

  マシュの後方、魔術を完成させたキャスターは笑う。燃え盛る木の巨人が立ち上がる。

「……見事」

 アルトリアは、再度、賛辞を送った。マシュは煙を上げる盾を構えたまま、アルトリアを見据えていた。

「ウィッカーマン!」

 魔術師の叫びの直後、大爆発が巻き起こった。



48: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 13:10:28.79 ID:a6BvGIkT0

クー・フーリン「……おっし、これで終わりだな。ったく、長いお役目だったぜ」シュウシュウシュウ……

バットマン「……何故お前まで消える。ダメージは受けていなかったように思うが」

クー・フーリン「役目を終えた英霊は消えるのさ、当然だろ。今回の役目はゲームへの参加……俺以外の最後の参加者が消えて、ようやくゲームオーバーってワケだ」

バットマン「……そうか」

クー・フーリン「……そうだ」

バットマン「……色々と、助かった。礼を言う」

クー・フーリン「……おう、また何かあったら呼べや。アンタの猫のコスプレだけは理解しかねるが、肝の座りっぷりは嫌いじゃねえからよ」

バットマン「……ああ。またな」

クー・フーリン「おう、またな……」シュゥゥゥゥゥ……

バットマン「……」



49: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 13:11:01.19 ID:a6BvGIkT0

所長「……よし、見つけたわ。アレが今回の聖杯ね」

バットマン「……待て。嫌な予感がする」

所長「はあ? ここまで来てどんな嫌な……予感が……」



???「……まさか猫のコスプレをしただけの部外者がここまでやるとはね。想定外であり、私の寛容さの許容外だ」



マシュ「……れ、レフ教授!?」



54: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 18:22:30.41 ID:a6BvGIkT0

ドクター『レフ!? レフ教授だって、彼がそこに!?』

レフ「うん? その声はロマニ君かな? キミも生き残ってしまったのか。

すぐに管制室に来て欲しいと言ったのに、私の指示を聞かなかったんだね。まったく……」


レフ「どいつもこいつも統率のとれていないクズばかりで吐き気が止まらないな」

バットマン「――――!!」



55: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 18:23:32.36 ID:a6BvGIkT0

バットマン「……全員、下がれ。あれは危険だ」

所長「レフ……ああ、レフ、レフ、生きていたのねレフ!」

所長「良かった、あなたがいなくなったらわたし、この先どうやってカルデアを守ればいいか分からなかった!」タッタッ

バットマン「やめろ! 戻れ! そいつは……」


レフ「ああオルガマリー、オルガマリー。キミも大変だったようだね、同情するよ……」

所長「そう、そうなの! 予想外の事ばかりで……でもいいの、あなたがいれば何とかなるわよね?」

わよね? だって今までだって……」

レフ「ああ、もちろん。予想外の事ばかりで頭にくるよ。特に……」

レフ「キミの生存がね。まったく、爆弾はキミの足元に設置したのに、生きているなんて」


オルガマリー「……え?」

レフ「いや、もう肉体は死んでるのかな? 成程、肉体のくびきから解放されたキミの魂だけが、この地にレイシフトされたのか。全く」

レフ「全く、皮肉だな。キミは死んだ事ではじめて、あれほど切望した適性を手に入れたんだ」

オルガマリー「……え……」



56: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 18:24:20.92 ID:a6BvGIkT0

レフ「さて、キミをこのまま殺すのは簡単だが、それではあまりに芸がない。死ぬ前にキミの生涯をかけたカルデアが……

どうなっているのか、見せてあげよう」ブゥン

所長「え……カルデアスが、真っ赤に……嘘、でしょ。ただの虚像よね?」

レフ「無論、本物だとも。人類の生存を示す青色は絶え、球体全てが真っ赤に染まる。あれが今回のミッションが引き起こした結果だよ」

バットマン(……この角度……やれるか。いや、やるしかない)



57: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 18:36:22.17 ID:a6BvGIkT0

レフ「良かったねえマリー? 今回もまた、キミのいたらなさが悲劇を呼び起こしたわけだ!」

所長「ふ……ふざけないで! 私の責任じゃない、わたしは失敗してない、わたしはしんでなんかいない……!

あんた、どこの誰なのよ!? わたしのカルデアスに何をしたっていうのよぉ……!」

レフ「アレはキミの、ではない。まったく……最期まで耳障りな小娘だったなぁ、キミは」

オルガマリー「なっ……身体が、宙に……何かに引っ張られて……」

レフ「言っただろう、そこはいまカルデアに繋がっていると。

このまま殺すのは簡単だが、それでは芸がない。最後にキミの望みをかなえてあげよう」


レフ「キミの宝物とやらに触れるといい。なに、私からの慈悲だと思ってくれたまえ」


レフ「……ま、分子レベルで分解される地獄の具現だがね。遠慮なく、無限の死を味わいたまえ」


所長「いや……いや、いや、助けて、誰か助けて! わた、わたし、こんなところで死にたくない!」

所長「だってまだ……」シュポッガシッ


所長「いった……え?」


バットマン「踏ん張れ……グラップネルガンのアンカーは痛いが強力だ……!」ググググググググ……



58: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 18:37:37.66 ID:a6BvGIkT0

所長「いた、いだだだだ、いだだだだだだ!! ちょっ、ちょっと!! 胸が!! 胸が外れる!」ギギギギギギギギ……

バットマン「(引き込む力が予想以上に強い!)マシュ! 手伝ってくれ!」ググググググググ……

マシュ「は、はいっ!!」ガシッ、ググッ



レフ「……虫けらがよく足掻く。ならばその命綱を、ちょいっと切って……」ストッ

レフ「っつ……なんだこれは、コウモリの……手裏剣?」


バットマン「爆破ジェル付きだ」ポチッ


ドドォォォォォォォォォォン‼

レフ「ぐわあああああああ!?」

所長「げぶっ」ドサッ

聖杯「」カラン


マシュ「……! マシュ・キリエライト、聖杯を確認! 回収します!」ダダッ


レフ「おのれ虫けら……!」クワッ

バットマン「通さんぞ」バササッ



59: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 18:38:56.39 ID:a6BvGIkT0

レフ「コケに……しやがって……!」

バットマン「…………」

レフ「…………」

バットマン「……」


所長「ごほっ、ごほっ……た、たすかった、の……?」ムクッ

マシュ「オルガマリー所長!!」タッタッ

バットマン「……三対一だが、まだやるか」

レフ「……フン、何が三対一だ。こんなもの、物の数にも……」

バットマン「……」ジリッ

レフ「……チッ、興が覚めた」


レフ「オルガマリー所長、この空間が崩壊するまでの短い余生をどうぞお楽しみあれ!」ブゥン



60: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 18:39:58.03 ID:a6BvGIkT0

バットマン「……消えたか。レフ・ライノール」

マシュ「……はい。今回の特異点は任務完了です。しかしマスター、所長が……」

バットマン「……」

所長「……そっか、私……あっちで死んじゃったから、もう戻れないんだ……」

バットマン「……」

マシュ「オルガマリー所長……」

バットマン「……必ず生きて連れて帰る。約束だ」

所長「……そんな事、言ったって」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

マシュ「……! 空間が崩壊を開始! ドクター! 帰還を!」

ドクター『今全速力で進めてる! 進めてるけど……空間の崩壊が早いかも! 二人とも、自我を強く保って!』

バットマン「マシュ、聖杯を渡してくれ」

マシュ「え、これ……でも、マスター」

バットマン「大丈夫だ」

マシュ「……はい!」スッ

バットマン「よし」パシ

所長「……」

バットマン「所長、自我を強く保て。帰るんだ」

所長「帰るって……どこに?」

バットマン「カルデアに。戦う為に」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ゴゥン……



61: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/24(金) 18:44:37.01 ID:a6BvGIkT0

特異点F 炎上汚染都市 冬木 

生存者 ブルース・ウェイン マシュ・キリエライト オルガマリー・アニムスフィア

死者  多数



71: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 00:17:17.04 ID:UG/IDuW70

『殺しは出来ないだと? そいつが一体何人俺達の仲間を殺したと思ってる!?』

『どけ、ブルース! 俺達は分かり合えない! お前は信用できない!』

『私達は仲間じゃなかったの……? なんでこんな武器が必要なの!? 仲間に武器を向けるの!?』

『すまない、ブルース……もう終わりだ、俺達は』

『ハハハハハ、がっかりするなよバッツ! 俺は確かにロビン小僧を殺したが? それは大した問題じゃないさ、誓うよ、お前はすぐに立ち直る! 
なんたって冷血漢だもんなぁ? ある朝、何気なく食べたひとつのサンドイッチが思ったより美味かったら……ポカン! 哀れロビンは記憶の彼方だ! ヒャハハハハハハハ!!』

『お前は狂っている』

『お前こそ狂ってる!!』

『やめろ』

『やめろ、映すな』

『見たくない』

『ブルース、大丈夫よ。今日のオペラは……』

『全く、ブルースは臆病だな。大丈夫、闇の中には何も居ない』




72: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 00:18:22.67 ID:UG/IDuW70

ザアザア……ザアザア

『あなた、ブルースが風邪をひいてしまうわ。早くタクシーでも捕まえましょう』

『そうだな、そこの裏路地を通って……』スタスタ

『止まれ……財布を寄越せ』

『お、お父さん……』

『くっ、この……!』ガシッ

『抵抗するんじゃねえ! この……!』カチッ

パン、パン

『……ぐっ、逃げろマーサ、ブルース……』ドサッ

『あ、あなた! いや! そんな!』

『うるせえ! 騒ぐんじゃねえ!!』カチッ、パン‼

『あ……』ドサッ

『ちくしょう、大人しくしねえから……馬鹿な連中だ!!』タッタッ

『……』

『……』

『おとう、さん……おかあさん……』

ザアザア、ザアザア……




74: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 00:22:34.41 ID:UG/IDuW70

空調機「」サアサア……

ブルース「……」

???「お、目が覚めたかい? 真っ青な顔でずっと唸り続けてるものだから病気でもひっかけて帰って来たかと思ったよ、ブルースくん」

ブルース「ここは……」ムクリ

???「ここはカルデアの宿泊棟、キミの部屋さ! 気軽にマイルームと呼びたまえ、実は装飾には私も一枚噛んでて……」

ブルース「お前は」

???「よくぞ訊いてくれました! 訊いて驚くことなかれ、私の名前はレオナルド・ダ・ヴィンチ! どうだい、世紀の大天才が目の前に居るんだぜ? 感想は?」

ブルース「……以前のレイシフトはどうなった。所長は。無事なのか」

レオナルド「……キミ、リアクションが希薄って言われない? もうちょっと人生楽しんでもバチは当たらないんじゃないかな?」

ブルース「マシュと所長はどうした」

レオナルド「……成程、変り者とは聞いてたけど、私以上かもね。安心するといい、オルガマリー・アニムスフィア、マシュ・キリエライトの両名は無事だよ」

ブルース「……そうか」



81: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 00:34:32.95 ID:UG/IDuW70

レオナルド「それで、どうやってオルガマリーをこちらに転送させたのかな?」

ブルース「……」

レオナルド「彼女が死んだのは彼女自身でよーく分かっていた。それを覆すとなると……」

ブルース「……」

レオナルド「……キミ、使ったね? レイシフト先で入手したあの聖杯を」

ブルース「ああ、そうだ」

レオナルド「おおう、即答か。躊躇いとか無かったのかな?」

ブルース「……何に対する躊躇いだ?」

レオナルド「例えば、それは……命を軽々しく復活させる事へのためらいだよ、ブルースくん」

ブルース「…………」



82: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 00:40:43.98 ID:UG/IDuW70

レオナルド「常人ならば躊躇う。その決断は、願望器を手渡されて僅か数秒で下せるものじゃない」

レオナルド「常人ならば狼狽える。その重責は、一人の精神で抱え込めるものじゃない」

レオナルド「常人ならば放棄する。あの場にはマシュも居た。彼女に押し付ける事も出来ただろう」

レオナルド「……この全てをクリアして、素早く聖杯に願いをかける? いやいや、少し信じがたい」

ブルース「ならどうした。信じがたい事が起こらないとでも?」

レオナルド「……いや、そうは言ってないが……」ジッ



83: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 00:44:21.36 ID:UG/IDuW70

ブルース「……」

レオナルド「……キミは……」

ブルース「……」

レオナルド「……キミは、狂っているのかい?」

ブルース「……」

レオナルド「……これには即答してもらえないんだね、ブルースくん」

ブルース「……」

レオナルド「いや、良い。別に答えが欲しかったわけじゃないんだ。
ともかく、寝起きに不躾な質疑応答を強いて悪かった、ブルースくん。こっちに来たまえ、食堂にご飯が出来てるよ」

ブルース「…………」



84: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 00:49:45.67 ID:UG/IDuW70

ブルース「……」スタスタ

レオナルド「いやあ、それにしても今日も照明の調子がいい! 私の発明した発電機が上手く稼働しているようで何よりだ!」スタスタ

マシュ「あ、マスター。それにダ・ヴィンチさん、おはようございます」

レオナルド「おはようマシュ、よく眠れたかな?」

マシュ「ええ、今から朝ご飯ですか? 私もご一緒しても?」

レオナルド「構わないとも、いいよねブルースくん?」

ブルース「……ああ」スタスタ

マシュ「…………」チラッ

ブルース「…………?」クル

マシュ「!」スタスタスタスタスタスタ


レオナルド「お、おーいマシュくん。ちょっと……一緒に食べるならもうちょっとゆっくり歩いてほしいんだけど」スタスタ



85: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 00:54:00.47 ID:UG/IDuW70

ドクター「あ、ブルースくん。マシュ、それにダ・ヴィンチちゃんも。おはよう、ここ空いてるよ」

マシュ「おはようございます、ドクター。失礼しますね」

レオナルド「おはようロマニ、今日もくせ毛がすごいぞぅ~??」チョンチョン

ドクター「やめてくれ、触らないでくれ。これは僕のチャームポイントなんだ」

レオナルド「どうだか……おっと」ガシッ


ブルース「……放してもらえるか」ググググ

レオナルド「なーに一人だけ向こうの席に行こうとしてるのかな? 皆で一緒に食べなきゃ駄目だぜ?」ググググ



86: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 00:57:07.53 ID:UG/IDuW70

ブルース「……」

レオナルド「イェーイ、粘り勝ち」

ドクター「あ、あははは。そういえばブルース、体調に変化はないかな? 変な夢を見たり、頭がふらついたりは?」

ブルース「……」

『逃げろマーサ、ブルース……』


ブルース「いや、無い。健康だ」

マシュ「…………」



87: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 01:03:49.83 ID:UG/IDuW70

ドクター「そうか、それは何よりだ! なにしろ急なデミ・サーヴァントとの契約だったわけだし、キミは三日間眠りっぱなしだったんだ!体調に未知の変化をきたす可能性も否定できないからね!」

ブルース「ああ。これからも重々気を付ける」

ドクター「うん、そうしてくれ。……それじゃ、マシュはどうかな?」

マシュ「えっ、わたし……いえ、私も平気です。いつも通り」

ドクター「ふむ、良かった。レイシフト要員は全員準備万端だね」


職員A「ドクター、カルデアの残エネルギー量の事で少し話が……」コソコソ


ドクター「……ごめんよ、ご飯の時に。三人で食べててくれ、少し離れる」スクッ

レオナルド「いや、エネルギーの話なら私も行こう。役に立てるよ」ガタッ

ドクター「そうかな、ごめんよ……じゃあマシュ、ブルースは朝ご飯を食べ終わったら自由に過ごしてね」


ブルース「…………」

マシュ「…………」



88: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 01:08:30.34 ID:UG/IDuW70

ブルース「……」カチャカチャ

マシュ「……」モグモグ

ブルース(……マシュ・キリエライト。盾のサーヴァント。技術的に今は稚拙だが、成長すれば恐ろしい使い手になる……)

ブルース(……敵に回った時、どう戦う? 弱点は何だ?)ジッ

マシュ「……???」

マシュ(な、何かすごく視線を感じます……)

マシュ「……あっ、そうだ、マスター」


所長「ちょっと失礼するわよ、ここ空いてるわよね?」ガタガタガタッ

ブルース「……」

マシュ「あ、オルガマリー所長。おはようございます」



89: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 01:13:55.40 ID:UG/IDuW70

所長「……」

マシュ(え、無言で距離を取られました……何故でしょうか)

所長「……ごほん。ええ、おはようマシュ」

マシュ「??? は、はい……」

ブルース「…………」

ブルース(オルガマリー・アニムスフィア。情報不足。戦えないわけでは無さそうだが……)

ブルース(……調査を続け、弱点を探っておくべきか)ジッ


所長「……その、ブルース。そんなに見られると食べにくいんだけど」

ブルース「悪かった」カチャカチャ

所長「いえ、別に悪くは……良いんだけど……」



90: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 01:16:41.34 ID:UG/IDuW70

ブルース「……身体に異常は無いか、所長」

所長「何よそれ。アンタまでロマニみたいな事訊いてくるのね……平気よ、おかげさまで」

ブルース「……そうか」

所長「…………」

ブルース「…………」

マシュ「…………」

マシュ(……誰も自分から喋り出さない!!!!)ドーン



92: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 01:27:48.81 ID:UG/IDuW70

ブルース「…………」

所長「…………」

マシュ「あ、あのですねマスター!?」(裏声)

ブルース「なんだ」カチャカチャ

マシュ「今日、この後、お暇でしたら……訓練に付き合っていただけませんか!?」

ブルース「……」ピタッ


ブルース(何が狙いだ? 本当にただの訓練か? 訓練に乗じて伝えたい事でもあるのか? それとも……)ザワリ

マシュ(なんで訓練のお付き合いをお願いしただけで殺気立つんですか!?)ビクビク


ブルース「……」

マシュ「……えっ、えっと……」


所長「良いじゃない、訓練。付き合ってやったら?」モグモグ


ブルース「人間では力不足だ」


マシュ「! い、いえ! マスターの動きは、その、何と言うか……人間離れしてるので! とても参考になります!」


ブルース「……」



93: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 01:36:09.19 ID:UG/IDuW70

マシュ「……駄目、でしょうか」

ブルース「……分かった。手加減はできないが」

マシュ「はっ、はい! よろしくお願いします!」パァァァァァ


所長「あぁ、二人とも。カルデアのエネルギー残量に不安があるから、しばらく戦闘シミュレーターは稼働停止よ」

マシュ「わ、分かりました! つまり、ブルースさんと直接組手……になるんですかね?」

ブルース「……」


所長「……頼むから、死人を出さないように気を付けてね。責任を負いかねるわ」



94: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 01:39:19.22 ID:UG/IDuW70

……………………

ブルース「…………」ガチャガチャ、ガチャリ

ブルース「……」ガチャッ、ガチ

マスク「」

ブルース「……」スッ

バットマン「……」


マシュ「……よろしくお願いします、マスター!」バッ

マシュ(あの猫のコスプレしないと戦えないのかな……)



95: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 01:44:54.29 ID:UG/IDuW70

バットマン「構えろ。まずは構えから見る」

マシュ「は、はい!」ガシャリ

バットマン「……」

バットマン(盾に力が入り過ぎだ。これでは振り回される)

バットマン「良いか、…………、…………」


――――

マシュ「こ、こうですか!」ガシャッ

バットマン「……かなり良くなった」


バットマン(実際、飲み込みがかなり早い。あと数か月もあれば教える事がなくなる)

マシュ(構えだけでこんなに苦労するなんて……やっぱり、まだまだ私は弱いんだ……)


バットマン「……次はこの『バットラング』を投げる。徐々に枚数を多くする。全て防いでみせろ」

マシュ「は、はいっ!」ガシャッ

バットマン「……行くぞ……」ググッ……シュパッ‼



96: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 02:13:39.59 ID:UG/IDuW70

………………

マシュ「ハァーッ……ハァーッ……」ドサリ

バットマン「……」

バットマン(投擲したバットラングの8割を防いだ。見込み以上だ。恐ろしいほどの学習能力)

バットマン(遠からず、驚異的な戦士になることは明白……やはり、弱点は調べておくべきか)


バットマン「立て、マシュ。まだ終わっていない。次は組手だ」

マシュ「くっ……わ、分かりました……!」ヨロヨロ

バットマン「盾を使って戦うのなら、その重さを利用しない手はない。ただし振り回されるのは違う。良いか……」


――――

バットマン「シィッ!!」シュガガッ

マシュ「くっ……」ドドッ

バットマン「……!」ゴォッ

マシュ「え? きゃっ……」ドサッ


バットマン「遅い。盾が地面に付いていた。力任せに戦うな……もう一度だ」

マシュ「……はい!」スクッ

――――

バットマン「盾だけに頼るな。盾を奪われても、まだ武器は残っている」

マシュ「はい!」ハアハア

バットマン「もう一度だ」

――――

バットマン「動きに無駄が多い。敵はそれを見逃さない、もっと限られた時間の中に身体をねじ込め」

マシュ「はいっ!」ハア、ハア

バットマン「もう一度だ」

――――

バットマン「敵の考えを読め。今の手に掛かるのは思考が安易すぎる証拠だ、もっと敵を恐れろ」

マシュ「は、いっ……!」ゼイゼイ

バットマン「もう一度だ」

――――

バットマン「足元を見ろ。敵の動きはそれで大方の予測が……」

マシュ「…………はぃ……」ゼーヒュー、ゼーヒュー

バットマン「……そろそろ休みを入れよう」



97: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 02:21:30.70 ID:UG/IDuW70

バットマン(……熱くなり過ぎた。まるでロビンを相棒にしていた時のような……)

バットマン(……ロビン……)

バットマン(……ロビンも、あの炎に巻き込まれたのだろうか。ゴッサムシティの他の悪党と同じように、燃やされてしまったのだろうか)

バットマン(……何故、私だけが助かった)


マシュ「あの、ブルースさん」ハア、ハア

バットマン「どうした」

マシュ「いえ、あの……あれだけ動いても、息が全く乱れていないので……そのスーツに秘密があったりするんですか?」

バットマン「……このスーツに身体能力の促進効果はない。ただ、着ていると落ち着くだけだ」

マシュ「は、はあ……」


マシュ(猫耳のコスプレで落ち着く人……少し普通ではないのかもしれません)


バットマン「……」

マシュ「……あの」

バットマン「何だ」

マシュ「ブルースさんって……一体、何者なんですか?」


バットマン「……」



98: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 02:28:28.01 ID:UG/IDuW70

バットマン「……知りたいのか」


『おとう、さん……おかあさん……』


マシュ「……っ……はい」

バットマン「…………私は……」


『あー、あー! 緊急呼び出しだ、マシュくん、ブルースくん! 至急管制室に来てくれたまえ! 繰り返す、マシュくん、ブルースくん! 至急管制室へ!』

バットマン「! 行くぞ、マシュ」スクッ

マシュ「あっ、はい!!」バッ


マシュ(……結局、聞きそびれてしまった。あの夢で泣いてた少年は、誰なのかを……)



99: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 02:38:45.40 ID:UG/IDuW70

レオナルド「早速集まってくれてありがとう、猫のコスプレがイカすね!」

バットマン「…………」

ドクター「冗談言ってる場合じゃないって。ブルースくん、マシュくん、レイシフトだ。過去に設置された聖杯の時代が特定できた」

マシュ「ほ、本当ですか!」

所長「嘘は言わないわよ。次の目的地は中世のフランスよ、そこに聖杯の存在が確認されたわ」

マシュ「ちゅ、中世と言うと……」

バットマン「宗教的にかなり立て込んでいた時期か。あちらでの発言には気を付けた方が良さそうだ」

ドクター「そうだね、その通り。迂闊な発言一つで火あぶり、そんな事が本当に行われてる時代だ」

レオナルド「本当、うっかり変な事は言えないよね。宗教関連で敵を作ると馬鹿を見るよ」


所長「えー、ごほん。二人を呼んだけど、これは今すぐレイシフトしようっていう事じゃないわ」

バットマン「……?」



100: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 02:43:00.03 ID:UG/IDuW70

バットマン「なら何だ、用件は」

所長「話を聞きなさい。実は、カルデアの残エネルギー量がかなり落ち込んでて……レイシフトを維持するのにはかなり電力が必要なの」

バットマン「足りないのか」

所長「そうね、足りないわ。あと一歩というところなんだけど、どうしても足りない。そこで、レイシフトする人数を減らして……」

ドクター「……ブルースくんとマシュ、どちらかはこっちに残ってもらおうっていう案が出たんだ」


バットマン「不可能だ」
マシュ「無理です!」

レオナルド「だよねー。ほら言ったじゃん、私言ったじゃん」




101:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/25(土) 02:47:18.90 ID:18WfjhOx0

誰も言わないが今の所長の状態はどうなってるんだ?ゾンビ?



103: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 02:49:32.98 ID:UG/IDuW70

>>101 一応完全体での復活を果たしたという事にしておいてくれさい



102: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 02:48:29.94 ID:UG/IDuW70

バットマン「……電力量が足りないんだな?」

レオナルド「うん、こっちとしても資材さえあれば発電機も作るんだけどその資材がね……」

バットマン「ならウェインテックから少し運んで来る。あそこには小型リアクターもあったはずだ」

ドクター「ちょ、ちょっとブルースくん……世界的な大企業相手に盗みを働く宣言なんて、キミも肝が据わってるなぁ」

バットマン「……自分の企業だ。盗みにはならない」

ドクター「ははは、ジョークがきつ……え?」


バットマン「私がウェインテックの社長だ。資材なら補給できる」


マシュ「……え?」
ドクター「……え?」
所長「……え?」


レオナルド「あはは、皆して口開けちゃって。見ろよブルース、あの絵面ちょっと面白くないか? 
……ところで、ウェインテックって何?」

バットマン「…………」



104: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 03:01:29.72 ID:UG/IDuW70

ドクター「……うぇうぇうぇウェインテックの社長って言ったら、あのプレイボーイで億万長者の……」

所長「ああああああの、世界の企業が束になっても敵わない財力の……」

マシュ「どどどどどもりすぎデスヨ皆さん、素数を数えて落ち着いて……1,2,3,4,5,6……」

バットマン「……」


――――


バットマン「……落ち着いたか」

ドクター「うん、ようやく落ち着いた。コップの水を5杯くらい飲み干しちゃったけど」

レオナルド「水もタダじゃないんだぞ~、気を付けたまえ」

ドクター「分かってる、分かってるけどこんな事って……」

所長「……」(復旧作業中)



バットマン「…………名前で気付かなかったのか」

ドクター「いや、社長の名前なんていちいち覚えてないし……あっ、ごめんよ! 傷付ける意図はないんだ!」

マシュ「でも、そうですね……何処かで聞いた事がある名前だな、とは思ってたのに……」

所長「……」(復旧作業中)


バットマン「そんな事はどうでもいい。問題は、ウェインテックに資材を取りに行くとして……バットウィングの飛行可能距離だ」

レオナルド「ほうほう、バットウィング……」



105: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 03:09:11.62 ID:UG/IDuW70

バットマン「積載可能重量はおよそ5トン。おそらく一度の往復で十分な資材は入手できる」

バットマン「……だが、問題は燃料、そして機体のメンテナンスだ。ゴッサムシティからここまでの飛行はかなり無理をおしてきた」

バットマン「優秀なメカニックがここに居るなら……」

レオナルド「………………」キラキラキラキラキラキラキラキラ

バットマン「…………」

レオナルド「………………」キラキラキラキラキラキラキラキラ

バットマン「……………………レオナルd」

レオナルド「はいはーいはーーーーい!!! もっちろん、そんな面白そうな改造はダ・ヴィンチちゃんにお任せに決まってる! 
いやあキミは賢い選択をしたよブルース!! やっぱり天才の輝きってのは表に出てしまうものなんだね!!」


バットマン「…………」



106: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 03:15:44.79 ID:UG/IDuW70

バットマン「改造しろとは言ってn……」

レオナルド「で、そのバットウィング? は何処にあるんだい!? 早速修理に行かなきゃね!」ワクワクワクワク

バットマン「……カルデアのすぐ近く、出口から40メートルの地点に自動着陸したらしい。いいか、改造するなら先にエンジンを抜いてから……」

レオナルド「出口から40メートルだね、了解! じゃあちょっと行ってくるよ、晩御飯までには戻ると思うから!!」


バットマン「……」

ドクター「……い、いやぁ、うん。彼女、魔改造の腕は超一流だから」

マシュ「……心中お察しします、マスター」

所長「……はっ!?(復旧完了)
ぶ、ブルースが億万長者になった夢を見てたわ、ごめんなさい……」


バットマン「………………」



107: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 03:27:00.10 ID:UG/IDuW70

バットマン「この時間に不足電力量の話を詳しく聴いておきたい。ドクター、所長。構わないか」

ドクター「ああ、勿論だ。座って話そう、詳しくなると長いしね」

所長「ええ、話しておくわ。レイシフト一回につきどれほどの電力が消費されるかも話しておかないと駄目ですし」


マシュ「あ、じゃあ私はお茶を!」タッタッ

所長「……わ、わたしは要らないから二人の分だけ……」ビクビク

マシュ「……?? わ、分かりました……?」


――1時間後――


ドクター「……だから、どうしてもここで余剰電力が必要になって来る」

所長「本来なら必要ないかもしれないけど、この電力が無ければ保険が利かなくなるの。つまり、少しでも存在証明を失敗すると、貴方達が戻って来れなくなってしまう」

バットマン「成程、つまりここでバッファをもたせて……」

ドクター「そうだ、余裕は大事だからね。命と電力は秤にかけられないし」

バットマン「分かった」


タッタッタッ

バターン‼


レオナルド「改造が完成したよ、見てくれ! 最高にイカすデザインに仕上がったぜ!」キラキラキラキラキラキラキラキラ

バットマン「…………早いな」

ドクター(マスク越しでも分かるくらい露骨に嫌そうな顔になった……気の毒になぁ)ヤレヤレ



108: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 03:37:54.23 ID:UG/IDuW70

レオナルド「見ろよ、この黄金の羽を! そしてこの動力が完全に電力に代替されたクリーンなエンジン部分を!」

レオナルド「出力が落ちる? ノンノン、そんな懸念は天才にとっては全くナンセンスだね! 見たまえ、この機動力! むしろ前のエンジンより良くなってるぜ! わずかな光で即充電も可能!」

レオナルド「宙を翔ける金色の機体、名付けるならそう、『黄金バッt』

バットマン「バットウィングだ」

レオナルド「えぇ~? でも『黄金バッt』

マシュ「ばっ、バットウィングにしておきましょう! ダ・ヴィンチさんのその名前は何か不味い気がします!」

レオナルド「うーん、天才のセンスは凡人には理解しがたいという事かな……残念だが仕方ない、バットウィングにしておこう」



バットマン「では早速行ってくる。ここからなら東南アジア支部が近い」

マシュ「わ、私も行って良いですか?」

バットマン「……いや、残ってここを守っていろ。何かが無いとも限らない」

マシュ「っ……わかりました、では……気を付けて下さい、マスター」

バットマン「ああ」


バットウィング「」ウィーン

ガタガタッ
ドサッ

バットマン(成程、コックピットも改良してある)

コンピューター『お帰りなさいませ』

バットマン「手動操縦」

コンピューター『了解、手動操縦』



109: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 03:45:57.65 ID:UG/IDuW70

ゴォォォォォォォォ……キィィィィィィィィン……

バットマン(垂直離陸、そこからの発進もスムーズ……メカニックとしての腕は確かだな)

レオナルド『やっほーブルース! 快適な旅を送れているかな?』

バットマン「……何をしている」ポチッポチッ

レオナルド『バットウィングの電脳基盤部分を少しいじってカルデアとの無線を繋げておいたよ! いやいや感謝はしなくても良いのさ、天才からのサービスだと思ってくれ!』

バットマン「そうか」カチャカチャ、グイッ

レオナルド『……本当につれないなぁキミは! 今回、キミが一人旅だから少しでも不安を和らげようとしてるんだぜ?』

バットマン「……面白そうな装置があるからいじってしまえ、と」ポチポチ……カチャッ

レオナルド『ギクッ』

バットマン「……別に構わないが、操縦の邪魔はやめてくれ」

レオナルド『も、勿論だとも! その辺は弁えてるさ!』

バットマン「……怪しいものだ」ハァ


…………



110: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 03:50:41.52 ID:UG/IDuW70

…………

バットマン(……どこもかしこも変わらない。火の海が地上を飲み込んでいる……)

バットマン(果たしてウェインテックにどれほど使える資材があるか……)


レオナルド『おっ、そろそろ目的地の周辺かな? 降下の準備はOK?』


バットマン「いける。……いや、待て……」

レオナルド『どうしたんだい、ブルース』


バットマン「地上に人が居る。降下する」

レオナルド『えぇっ!? ちょちょ、ちょっと待ちなよ、こっちからは確認できない……』

バットマン「自動操縦」

コンピューター『了解、自動操縦モード。お気を付けて』ウィーン



バットマン「……フッ!」バッ、バサササササササ



111: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 04:00:56.80 ID:UG/IDuW70

 真っ赤な景色の中心に、黒い騎士は降り立った。着地の風が周囲の炎を薙ぐ。

 うずくまった姿勢から立ち上がり、騎士は前方、燃え盛る風景の中の背中を見る。

(見られている)

 その人物がこちらを向いていないにも関わらず、バットマンには確信があった。見られている。今、ではない。昨日今日、という話でもない。

 ただ、人類が生まれた時から見られていた……奇妙な、悪寒にも似た錯覚が彼を包んでいた。

「何者だ」

 バットマンの声を聞き、その人物は身体を震わせた。笑ったようにも、驚いて震えたようにも見えた。

 そして、真っ白な髪を揺らしながら、その人物は振り向いた。真っ赤な目が、何も映していない目が、バットマンを見た。

 勝てない。戦意を持つ前から、バットマンは察した。警戒など無意味だと。『アレ』は……人間から遠く離れた場所にいる。


「何者だ」


 だが、彼は問うた。炎の中、『それ』は笑みで頬を引き裂き、口を開いた。


「我が名はソロモン」


 パチリ。炎が爆ぜた。



116: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 13:18:46.05 ID:UG/IDuW70

バットマン「……ソロモンだと? 古代イスラエルの、あのソロモンか」ジリッ

ソロモン「ククク、見苦しいぞブルース。警戒など無意味だ、分かっているだろう……ああ、そのソロモンだとも。魔術王、ソロモンだ」

バットマン「……その魔術王が何故ここに居る」

ソロモン「無論、貴様と話をするために、だ」

バットマン「私と……話?」

ソロモン「クク……そうだ、話だ。この惨劇についての説明と……貴様が何故生き残ったか、その説明をしてやろうというのだ」

バットマン「……!!」



117: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 13:26:53.95 ID:UG/IDuW70

バットマン「お前がこの事態を引き起こした犯人か!」

ソロモン「つまらん言い方をするな、興が覚めるぞ。犯人ではない。創造主だ」

バットマン「何が創造主だ、世界を破壊しつくすのが創造だとでも!?」

ソロモン「ハハハハハハ! 創造の前に破壊有り、当然だ! 人間などという愚かな出来損ないの生き物は破壊されて当然だ!」

バットマン「出来損ないだと……!?」

ソロモン「出来損ないだ! ……その事実は貴様自身、よく分かっているハズだ」

バットマン「…………」

ソロモン「なあ、そうだろう? 貴様の両親が死んだのも、人間という存在のせいじゃないか」

バットマン「……っ!」

ソロモン「限りある命! 苦しみ抜いて果てる狂気! 人生は美しい、限りがあるからこそ……などと美辞麗句で飾り付けてはいるが。貴様の両親は薄汚い路地裏で、コソ泥に殺されたじゃないか」

バットマン「黙れ……!」

ソロモン「美しい死にざま? 違うな、ただ弾丸に腹を貫かれて死んだだけだ! 命乞いして財布を渡していれば良かったのに、無駄死にだ!」

バットマン「黙れ!!」

ソロモン「これはすべて貴様の心の内にある真実だ!」

バットマン「違う!!」

ソロモン「何が違うものか!!」



119: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 13:34:39.84 ID:UG/IDuW70

バットマン「……」ヨロッ

ソロモン「ブルース。世界は狂っている……貴様は狂っていない。分かるだろう? 貴様と私はよく似ている」

バットマン「似ている……だと?」

ソロモン「死は恐ろしい。死は苦しい。死は認めたくない。私達は、死を恐れている」

バットマン「!!」

ソロモン「だからこそだ。ゴッサムシティで腐った犯罪者を相手に、それでも殺人を犯そうとしない貴様を見て……私を理解できる、と直感した。
だからこそ、貴様は生かされた。人理焼却の際、貴様だけを生かすように……苦労したのだ」

バットマン「…………」

ソロモン「こちらへ来い、ブルース。共に新たな人類を作り出そう。無限の命を生み出そうではないか。二度と貴様の両親の二の舞は起こらない」

バットマン「……私は……」

ソロモン「…………」



121: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 13:43:27.80 ID:UG/IDuW70

バットマン「…………私は」

ソロモン「……」

バットマン「……私は……」


バットマン(……)ピッピッ


ソロモン「…………」

バットマン「……お断りだ!」


バットウィング『武装展開、標的直下』バババババババババ


ソロモン「……それが貴様の答えか」ズドドドドドドド

バットマン(ガトリング砲が通用していない……!?)

ソロモン「ククク、良いだろう。今回は見逃してやる……だが、そういつまでも私の問いから逃げられるとは思わない事だ」ニヤリ

ソロモン「また会おう、ブルース・ウェイン」ブゥン


バットマン「……」



122: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 13:49:38.12 ID:UG/IDuW70

バットウィング「」ウィーン

バットマン「……」バッ

ドサッ

コンピューター『お帰りなさいませ』

レオナルド『無事だったのかい、ブルース!? どうしたのさ、飛び降りたと思ったら急に武装を展開させて……一体何があったんだい!?』

バットマン「……何もない。敵と遭遇、交戦していた」

レオナルド『そ、そうか……まあ無事なら良かったんだ。さっき言ってた人影は?』

バットマン「……目の錯覚だった。このままウェインテックへ直行する」ポチッポチッ、グイッ


バットウィング「」キィィィィィィィィン



123: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 14:00:20.06 ID:UG/IDuW70

…………

マシュ「ま、マスターが敵と交戦!? そ、それで無事だったんですか!?」

レオナルド「ああ、無事じゃないなら無線連絡はできないからね。全く、いつも冷静沈着で何を考えているのやら」

所長「……」バシッ

レオナルド「あっ、ちょっと、その無線機は壊れやすいんだからもっと丁重に……」


所長「ブルース! アンタ何やってんのよこの馬鹿! 敵と交戦するなら生身は最悪の条件でしょう!!」グワッ


ドクター「うわわわ……」キーン
マシュ「ひえっ……」キーン
レオナルド「うおう、ワイルド……」キーン


バットマン『……生身ではない。バットウィングを使った』

所長「そんな屁理屈が通ると思ってるの!? 貴方はカルデア最後のレイシフト要員なの、人類最後の希望なのよ!? もっと自分を重く扱いなさい!」

バットマン『……』

所長「……スーッ、ハーッ……。こちらの予測も甘かったわ。次からはマシュを連れて行かせます。絶対に。いいわね?」

バットマン『……了解した』ブツッ


所長「フン、分かってないだろうけど次からは連れて行かせるわ」


ドクター「ひょえぇ……所長ってあんなに顔を真っ赤にして怒鳴るのか……」

マシュ「ちょ、ちょっと怖すぎましたね……あんなに怒るなんて」

レオナルド「無線機のマイク、壊れてないかなぁこれ……」カチャカチャ



124: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 14:10:28.67 ID:UG/IDuW70

…………

バットマン(人類最後の希望……人類を救う最後の手段)

バットマン(……だが、ソロモンの言葉も否定できない。命が無限になれば、悲劇は二度と起こらない……)

バットマン(……トーマス、マーサ……)

バットマン(その選択を迫られた時、私に決断が下せるのだろうか)

バットマン(何が間違っていて、何が正解なのか……)

バットマン(見分ける事が、できるのか?)


コンピューター『到着しました。ホバリングに切り替えます』


バットマン「…………」ガチャッ

バットマン「……」バッ、バサササササササ



125: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 14:21:57.97 ID:UG/IDuW70

…………

マシュ「……遅いですね、マスター」

レオナルド「うーん、時間的にはそろそろ帰って来てもいいくらいの時間なんだけどね」

ドクター「ひょっとしたら、怒られて帰りにくくなってたり……」アハハ


所長「……」ピクッガチャン


マシュ「お、オルガマリー所長!? ふ、服がコーヒーまみれに……」

所長「……そうなのかしら。私のせい? そうかも……怒鳴っちゃったし……」ブツブツ

ドクター「い、いやだなぁ冗談ですよ冗談……」

所長「……」ブツブツブツブツ


ドクター(うわーわわー、なんか押しちゃ駄目なスイッチ押したかもしれないぞぅ……ブルースくん、早く帰って来てくれ~!!)


職員B「! 周辺レーダーに感あり! これは……バットウィングです、ネコミ……ブルースさんだ!」


マシュ「む、迎えに行きます!」ダッ

所長「わっ、私も!!」ダダッ




126: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 14:30:11.49 ID:UG/IDuW70

バットウィング「」ゴォォォォォォォォ……

バットマン「……」ガチャッ、スタッ


バットマン(大型リアクター1つ、小型リアクター3つ、資材はまんべんなく大量に……これで当分は保つはずだ)


マシュ「お帰りなさい、マスター!」タッタッタッ

バットマン「マシュ。このコンテナを運ぶ必要がある、手伝いを頼みたい」

マシュ「りょ、了解です!(本当に5トン一杯持って帰って来てる……)」


所長「……お、おかえり」

バットマン「……ああ。勝手な行動を取ってすまない」

所長「あ、そ、そう……いや、反省してるなら良いわ! ……わ、わたしもちょっと、言い過ぎたから……」ボソボソ

バットマン「手を借りたい。所員を集めてくれ、このコンテナを運ぶのにはもう少し人数が必要だ」

所長「あ、え? に、人数? すぐに集めて来るわ!」タッタッ


マシュ「うぅぅぅぅぅぅぅぅ……お、重いいぃぃ……!!」ジリジリジリ


バットマン(一人で押せている……サーヴァントというのはつくづく……)

バットマン(……しかし、手伝うか……)ガシッ



127: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 14:42:16.71 ID:UG/IDuW70

職員達「「「せーのっ!」」」グッ‼‼

コンテナ「」ズリズリズリ

職員A「もう一回!」

職員達「「「せーのっ!」」」グググッ‼‼

コンテナ「」ズリズリズリ


マシュ「うぅぅぅぅぅぅ……!!」ググググググググ

コンテナ「」ズズズズズズズズ


ドクター「力仕事は苦手なんだけどなあ!! 重いし手は痛いし!!」クッ

コンテナ「」シーン

ドクター「ちょっとは動いてよ!」ガーン


バットマン「……」グググッ

コンテナ「」ズズ……ズズ……



所長「うぅん……! くぅっ……う、動きなさいよ!」ダンダン

コンテナ「」シーン



レオナルド「ここで我が発明品、『引き寄せクレーンくん』の出番だ! これをこうして……」ポチポチ

コンテナ「」ズズズズズズズズッ‼

レオナルド「うわっあぶなっ!!」

コンテナ「」ゴォン!


レオナルド「あははは、勢いが良すぎたな。改良の余地ありだね」

バットマン「……運搬完了だ」



128: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 14:51:00.62 ID:UG/IDuW70

…………

職員B「……後は、ここをこうして……」ガチャガチャ、カチリ

リアクター「」グゥゥゥゥゥゥゥゥン……

職員B「やった、やりました!! カルデア内の貯蓄エネルギー量が跳ね上がりました、これならレイシフト可能です!」


ドクター「やった! これでようやく解決に乗り出せるぞぅ!」

レオナルド「まあ元はと言えば私の発明のお陰みたいなところもあるし、感謝はいつでも受け付けているよ!」


バットマン「で、レイシフトはいつだ。今すぐに行くのか」

所長「いいえ、マスターである貴方に多少の疲労が認められる以上、明日に持ち越しよ。カルデアとしても今回が初の能動的特異点サポートになるから、職員ともミーティングをし直しておきたいし」

ドクター「うん、そうなるね。ブルース、マシュ、キミはもう休んでいてくれ。レイシフトの日程はまた追って連絡する」

マシュ「は、はいっ!」

バットマン「……分かった」



129: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 14:55:57.15 ID:UG/IDuW70

バットマン「……」スタスタ

レオナルド「あっ、ちょっと待ったブルース。そのスーツ、ちょっと私に預けてみないかい?」

バットマン「……これを? 何故?」

レオナルド「ほら、前回のレイシフトでボロボロになってるじゃないか。補修ついでに改良とかもしてあげるけど、どうだい?」

バットマン「カラーリングを決して変えないと誓えるなら頼もう」

レオナルド「うっ……か、変えないよ、勿論さ! 天才であるダ・ヴィンチちゃんが、デザインはそのままに素晴らしい機能をつけてあげよう!」

バットマン「……」スッ


ブルース「なら頼む。ただし、あまり妙な機能はつけないでくれ」

レオナルド「もちろん! 出来上がったらキミのところへ持って行くから、是非審査してくれたまえ!」


ブルース(……ルーシャスと一緒に居たころを思い出す)

ブルース「……」フッ



130: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 15:04:47.81 ID:UG/IDuW70

…………

ブルース「……300……301……302……303……」グッ……グッ……


ブルース(モンスターとの戦い。シャドウサーヴァントとの戦い。アルトリアとの戦い)

ブルース(全て、及第点未満の戦いぶりだ。鍛え直すしかない。連中は全員、ウブーより……ベインより強い)


ブルース「……400……401……」グッ……グッ……


ブルース(マシュだけには頼れない。次のレイシフト先で裏切られないとも限らない)


ブルース「……554……555……」グッ……グッ……


………………


ブルース「……中世フランスにおいては、様々な王朝が現れ……」ペラリ、ペラリ

ブルース「……宗教対立が国外との戦争を引き起こす事も……」ペラリ、ペラリ

ブルース「……」チラッ


『03:12』

ブルース(もうこんな時間か……)

ブルース(そろそろ休むとしよう。根を詰めすぎて体調を崩しては元も子もない)





131: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 15:17:13.63 ID:UG/IDuW70

ピピピピ‼ ピピピピ‼

ブルース「……」ムクリ

ブルース「……」チラッ

『07:00』

ピーンポーンパーンポーン

レオナルド『おはようカルデア、お目覚めかな? 朝から館内放送で爽やかな目覚めを邪魔してすまないが、職員、レイシフト要員はみんな管制室に集まってもらいたい。朝食を取りながらミーティングを行うよ』


ブルース「……」スクッ

ブルース「……」スタスタ


…………


マシュ「あ、マスター。おはようございます」スタスタ

ブルース「ああ、おはよう」スタスタ

マシュ「……」

ブルース「……?」チラッ


マシュ「あ、ご、ごめんなさい。なんでもないんです」


ブルース「……怖いのか、マシュ」

マシュ「っ!」ビクッ

ブルース「安心しろ。お前の腕は確かだ。それに一人じゃない」

マシュ「え、えぇ……ありがとう、ございます」

ブルース「……」



132: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 15:20:57.05 ID:UG/IDuW70

ウィーン

レオナルド「おはよう諸君! 今日も寡黙な顔立ちで何より!」

ブルース「……」

マシュ「おはようございます、ダ・ヴィンチさん」


ドクター「おはよう、ブルースくん、マシュ。今日も体調に異常はないかな?」

ブルース「ああ。万全だ」

マシュ「はいっ、いつでもレイシフトできます!」


 スタスタ

所長「集まってもらってありがとう。これから第一回レイシフト前、最後のミーティングを開こうと思います。全員居るわね? ……よし」



133: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 15:29:23.18 ID:UG/IDuW70

マシュ「……」モグモグ

ドクター「……」パクパク

レオナルド「あっそうだブルース、スーツは完成したから持って行ってくれ」モグモグ

ブルース「そうか、ありがとう」


所長「そこ! 無駄話をしない!」

レオナルド「ごめんなさい!」
ブルース「すまない」

所長「まったく……それで、この令呪システムだけど。今回運び込まれた三つの小型リアクター分を消費すれば、最大で三つは使えるわ。だから、ブルース」

ブルース「……?」


所長「聞いてなかったの!? だ・か・ら!! サーヴァントの宝具を即解放させたい時、傷を癒してやりたい時! その令呪が使えるって言ったの!!」

ブルース「……令呪?」

所長「…………」プルプルプルプル


職員A(あー……)
職員B(ネコミミさん……)
職員C(やっちまったよ……)


ドクター「……」(素早く机の下に隠れる)
マシュ「……」(頭を抱えて対ショック体勢を取る)
レオナルド「……」(耳栓を耳に詰める)

所長「ミーティングは!! 何のために!! あると思ってんの!!!」ドッガァァァァァァァアン




134: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 15:41:40.03 ID:UG/IDuW70

所長「ハァーッ……ハァーッ……いい、使う時は……『令呪を以て命ずる』……こうよ……ハァーッ……ハァーッ……」ゼイゼイ

ブルース「……分かった」

所長「……ふぅ。マスターの身体強化ができる使い方もあるけど、基本はサーヴァントに使う事。分かってるわね? 生身は……」

ブルース「分かってる、生身での戦闘はできるだけ避ける」

所長「……なら良いわ。次はサポート班!」

職員達「「「はい!」」」


レオナルド「ま、令呪なんて奥の手もいいとこだからね。あんまり使う機会は無いだろうけど、念のためさ」

ブルース「……」

マシュ「多分、このミーティングの後、右手の甲に刻印を投影されます。それが令呪の目安になるので、参考にはなるかと」

ブルース「……分かった」


所長「……以上が、今回のレイシフトにおける概要となります! 何か質問がある者は!?」

シーン……

所長「……よし、それじゃあレイシフト要員の準備に移るわよ。目標時刻は09:00! それまでに準備を整え、コフィンにスタンバイする事!」

ブルース「分かった」

マシュ「分かりました!」



135: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 15:46:19.54 ID:UG/IDuW70

レオナルド「見たまえブルース、スーツは完璧に直しておいた!」

ブルース「……」スッ

レオナルド「防御力も多少上げた。特にブレーサーは多少の衝撃じゃあ壊れないよ、シャドウサーヴァントの一撃くらいじゃとてもじゃないが無理だね」

ブルース「……礼を言う、レオナルド。完璧だ」

レオナルド「! 良いのさ、また帰って来た時に補修と改善をさせてくれればね!」

ブルース「ああ……また頼む」フッ



136: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 15:47:30.35 ID:UG/IDuW70

ブルース「……」ガチャガチャ、ガチャリ。ガチッ

ブルース「……」ガチ、ガチャ。カチャッ、シュッ

マスク「」

ブルース「……」スッ

バットマン「……」



137: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 15:53:38.01 ID:UG/IDuW70

ドクター「時刻は08:57。ブルース・ウェイン、マシュ・キリエライトの両名ともにコフィンにスタンバイ完了」

職員A「存在証明式を走らせ始めました! 両名の肉体を観測開始!」

職員B「電子機器類に異常無し! 稼働式、全て正常に作動!」

職員C「シバによる時代特定、良好! いつでもレイシフトできます!」

ドクター「所長、あとは貴女の決断だけです」


所長「……レイシフトへのカウントダウンを開始しなさい!」

職員達「「「了解、カウントダウン開始!」」」


ドクター「さーて、ここからだぞ……」ガチガチ

レオナルド「ほら、肩の力を抜いて……キミが一番緊張してどうするのさ」カタカタカタカタ、カタカタ。タンッ



138: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 15:58:04.15 ID:UG/IDuW70

コフィン内「」シーン……


バットマン「……」


ドクター『レイシフト10秒前! 9! 8! 7! 6! ……』


バットマン「……」


ドクター『3! 2! 1!』

バットマン「……」グッ


『0!』



139: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/25(土) 15:58:45.46 ID:UG/IDuW70

第一章

邪竜百年戦争 オルレアン




155: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 08:56:57.76 ID:HrKXx+5N0

サワサワ……チュン、チュンチュン……サワサワ……

バットマン「…………」ムクリ

マシュ「ここは……レイシフトが完了したのでしょうか」ムクリ

バットマン「そのようだ。身体に異常はないか」

マシュ「は、はい! 私は大丈夫です!」

バットマン「ドクター、念のためバイタルサインのチェックを頼む」

ドクター『今やってる……うん、異常なしだ。二人とも無事にレイシフトできたようだね。年代特定も進んでる、少しそこで待機してくれ』

バットマン「了解した」


マシュ「……あ……ま、マスター……」

バットマン「どうした」

マシュ「上を……空を見て下さい!」

バットマン「……? ……!!」



156: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 09:07:19.10 ID:HrKXx+5N0

マシュ「ドクター、ドクター!! 上空に謎の光帯が……!」

ドクター『……なんだアレは……巨大な光の輪……? いや、大きすぎるぞアレ! 下手をすれば北米大陸くらいはある!』

バットマン「アレは……」

ドクター『いや、ともかく、アレの解析はこちらに任せてくれ。キミたちは現地の調査に専念してくれ』

バットマン「了解。まずやるべき事は……」

マシュ「霊脈の探索、この時代の人間との接触、周囲の探索……山ほどあります。一つずつこなしましょう」

バットマン「ああ。……いや、警戒しろマシュ」

マシュ「……?」


バットマン「向こうの丘の中腹、何かが動いている。あれは……」

マシュ「兵士……ですね。どうしますか? 接触しますか?」

バットマン「……慎重に行こう」



158: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 09:14:24.58 ID:HrKXx+5N0

兵士A「くそ、魔女の連中め……滅茶苦茶にやりやがって……」

兵士B「ぐっ……もう無理だ、あんな化け物に勝てるわけがねえよ……ぐっ」ドサッ

兵士C「おい、しっかりしろ、おい! もう少しで砦だ、治療を受けられる!」ガシッ


マシュ「ヘイ、エクスキューズミー。こんにちは。わたしたちは旅の者ですが――」

兵士D「……」

マシュ「? あの、すみません……?」

バットマン「すまないが、話を……」

兵士D「ヒッ……敵襲! 敵襲ーーーー!!」


バットマン「……」


兵士A「化け物め、こんなところまで追ってきやがって!」

兵士C「やっちまえ!」

兵士達「「「おう!!」」」


ドクター『ヤッホー、手が空いたから様子を見に……って、なんでまわりを武装集団に取り囲まれてるんだい!?』


マシュ「き、気を落とさないで下さい!」

バットマン「……落ち着かせるために、少しだけショックを与える。殺しは無しだ」スッ

マシュ「りょ、了解です!」ガシャッ



159: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 09:19:07.52 ID:HrKXx+5N0

バットマン「……」ガシッドゴキィ

兵士A「ウッ」ドサッ

バットマン「……」ガッベキィ

兵士D「グエッ……」ドシャア



マシュ「フッ!」ドッ

兵士C「ギャアッ!?」ドドッ

マシュ「やあっ!」ヒュンッ

兵士E「いぎゃ!?」ドムッ


兵士B「も、もう駄目だぁ!! にげろぉぉぉ!!」


兵士達「「「うわああああああああ!!!」」」ダダダダ


バットマン「……少しだけやり過ぎた」

マシュ「お、追いましょう! 次は刺激しないように!」



160: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 09:23:35.51 ID:HrKXx+5N0

マシュ「兵士達が逃げて行く先には……あれは砦でしょうか? ぼろぼろですが……」


ドクター『キミたちが大立ち回りしている間に年代特定が済んだよ! そっちは1431年のフランスだ、休戦中の!』

マシュ「休戦中? ですが、あの砦はどう見ても大戦真っ只中の……」

バットマン「……恐らく、それが特異点の原因だ。今、この国は何かと戦っている。負傷兵を抱えて砦に逃げ帰るなど、休戦中の振る舞いではない」

マシュ「えぇっ!? という事は、この特異点は国同士の戦争に巻き込まれると……?」

バットマン「決めつけるには時期尚早だ。話を聞きに行くぞ」スタスタ

マシュ「あっ、待って下さい! せめてマスクは脱いで……」タッタッ



161: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 09:28:32.12 ID:HrKXx+5N0

バットマン「……」スッ

ブルース「少し話を聞きたい、ムシュー。構わないか」スタスタ


兵士A「ひっ!? あ、アンタは……さっきの化け物か! よ、寄るな!」

マシュ「お、落ち着いて下さい! 危害を加えるつもりはありません!」

兵士A「敵じゃ……ないのか……?」ドサッ


ドクター『……随分簡単に信用するね。理性を取り戻したのか、あるいは……戦う気力もないほど萎え切っているのか』


マシュ「この砦の有様……シャルル七世は休戦条約を結ばなかったのですか?」

兵士B「シャルル王? 知らんのか、アンタ」


兵士B「王なら死んだよ。魔女の炎に焼かれた」



162: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 09:36:38.15 ID:HrKXx+5N0



…………

???「ジル。彼を連れて来て頂戴」

ジル「はい、畏まりました」

???「手は出してないでしょうね、ジル?」

ジル「もちろんですとも。ですが、どうするかはお考えですかな?」

???「……フン、決まってるわ。考えるまでもない些末事です」


――――

???A「……な、なんだ!? 此処は、どこで、お前達は一体……!? 答えろ、答えないか! そこの……ヒィッ!?」ガタガタ

???「ああ、ピエール! ピエール・コーション司教! お会いしとうございました! 貴方の顔を忘れた日は、このジャンヌ・ダルク一日とてございません!」

ピエール「バカな。バカな、バカな、バカな、バカな……!」


ピエール「お、お、お、お前は……ジャンヌ・ダルク!? 有り得ない! 有り得るハズがない!」

ピエール「三日前に死んだハズだ! 殺したハズだ! じ……」


ジャンヌ・ダルク?「地獄に堕ちたハズだ、と?」



163: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 09:41:11.44 ID:HrKXx+5N0

ジャンヌ・ダルク?「かもしれませんね、司教」

ピエール「これは、夢だ。悪夢だ。悪夢以外の何だというのだ……!」

ジル「おやおや、現実から逃避し始めましたぞ。これはいけない。気付けをしなくては」ゴッ


ピエール「ぎゃあああああ!? ひっ、ひっ、ひぃっ……!」

ジャンヌ・ダルク?「さあ、どうします司教? 十字架を握り、天に祈りを捧げなくて良いのですか? 私を罵り、嘲り、踏み付け、蹂躙したくてよいのですか!? 勇敢な獅子のように吼えなくても良いのですか!?」


ピエール「た……」


ジャンヌ・ダルク?「た?」


ピエール「たす、けて。助けてください」ボロボロ


ピエール「何でもします。助けてください、お願いします……!」



164: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 09:48:12.86 ID:HrKXx+5N0

ジャンヌ・ダルク?「あ――アハハハハハ!! ねえ、聞いたジル!? 助けて下さい、助けて下さいですって!!」

ジャンヌ・ダルク?「私を縛り、私を嗤い、私を焼いたこの司教様が!」

ジャンヌ・ダルク?「私は虫のように殺されるのだと、慈愛に満ちた眼差しで語った司教様が、命乞いをしてるなんて!」


ジャンヌ・ダルク?「ああ……悲しみで泣いてしまいそう。だって、それでは何も救われない」

ジャンヌ・ダルク?「そんな紙のような信仰では天の主には届かない。そんな羽のような信念では大地には芽吹かない」

ジャンヌ・ダルク?「神に縋ることすら忘れ、魔女へ貶めた私に命乞いするなど、信徒の風上にも置けません」

ジャンヌ・ダルク?「わかりますか、司教? 貴方は今、自分のことを異端者だと証言してしまったのです」


ジャンヌ・ダルク?「……ほら、思い出して司教。異端をどういう刑に処すか、貴方は知っているでしょう?」ニヤリ


ピエール「……!? 嫌……嫌だ、嫌だ、嫌だ!! 助け……たすけ、てっ……!」

ジャンヌ・ダルク?「残念。救いは品切れです。この時代にはまだ……」


???「まあ待てよ、魔女サマ……」



165: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 09:53:37.18 ID:HrKXx+5N0

ジャンヌ・ダルク?「……チッ。また貴方の面倒な性格が出てるみたいね」

???「面倒かどうかじゃねえ、問題はフェアかどうかだ……コイツは命乞いをしてる。生きたいと言ってる。なら、チャンスをやらねえとな……」

ジャンヌ・ダルク?「……フン、良いわ。せいぜいそのケチなコインでその屑の命運を決めてあげれば?」

ピエール「あ……ああ、ありがとう、ありがとう!! 感謝するよ、お前は恩人だ……」ガシッ

???「おっとぉ、まだ生存と決まったワケじゃねえぞ。見ろ……このコインを」スッ

ピエール「……?」


???「ニブい野郎だな? 焼け焦げてる方……こっちが死で、この綺麗な女神サマが見えてる方が生だ。いいか、これからコイントスしてやる……」

ピエール「……そ、そんな! 待ってくれ! 死にたくない!」

???「オイ、俺はチャンスをやってんだぜ? このコインでテメエの命を五分五分まで持って行ってやってるのに……そんなに嫌なら、魔女サマに譲るが?」


ジャンヌ・ダルク?「……」ニヤリ


ピエール「ひっ……わ、分かった! こ、コインだ、コインにする!!」

???「あぁ、賢明だぜ司教サマ……」



166: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 09:59:27.81 ID:HrKXx+5N0

???「ではジャッジだ! テメエの罪はここで決まる!! 生存か、死刑か! 陪審員の皆さんはどうぞ静粛に! 公平な……裁きの時間だ」

ピエール「…………すまなかった、ゆるしてくれ、私がわるかった……」ガタガタガタガタ

???「…………」キィン

???「……」パシッ


ピエール「…………ど、どうなんだ!?」ガタガタガタガタ

???「……ああ、おめでとう司教サマ」ニヤリ

ピエール「ほ、本当か!? た、たすかっ」


ドォン


???「ここで人生とはお別れだ」カチャリ

ピエール「」ドサッ


ジャンヌ・ダルク?「終わったかしら?」

???「ああ、満足だ」

ジャンヌ・ダルク?「なんでこんな厄介なものが召喚されてしまったのかしら……次の戦場からは貴方も出てもらうわよ、トゥーフェイス」


トゥーフェイス「……ああ、勿論だ」



168: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 10:11:43.42 ID:HrKXx+5N0

…………

バットマン「だが、1431年には既にジャンヌ・ダルクは焼かれ、死んでいたハズだ」

兵士A「ああ、だけど生き返ったんだ! 悪魔と取引して!」

マシュ「悪魔……?」

バットマン「それを見たのか?」

兵士B「……俺はオルレアン包囲戦と式典に参加した。だからよく覚えてる」

兵士B「髪や肌の色は異なるが、アレは紛れもなくかつての聖女様だ」

兵士B「イングランドに捕らえられ、火刑に処されたと聞いて俺達は憤りに震えたものさ……ゲホッ、ゲホ」

兵士A「おい、もう喋るな……」


マシュ「……先程言っていた、悪魔とは一体」


ドクター『……待った! 何かが近付いてる、超高速で……この反応は……!!』


バットマン(羽ばたきの音が聞こえる。有翼だ)

ドクター『ワイバーンだ! 群れだぞ……!』

マシュ「行きましょう、マスター!」

バットマン「目視した。対処を始める」ダッ


ワイバーン達「「「ゴギャアアアアアアアア!!!」」」



169: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 10:22:20.84 ID:HrKXx+5N0

ワイバーンA「ガアアアアアアッ!!」

兵士C「くそ、やれ、やれぇ!! 突っ込め!!」


バットマン(あれに肉体での攻撃は悪手。まずは地面に引きずりおろす……グラップネルガンを使う)

バットマン「フッ!」バシュッ

ワイバーンB「グゲッ!?」ズドッ

バットマン「オォォォォォ!!!」グググイッ

ワイバーンB「グギャアアアアア!!!」ドッサァァァアン

バットマン「今だ! マシュ!」

マシュ「やああっ!!」ガガッ

ワイバーンB「ぐげ……」シュウシュウシュウ





170: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 10:22:57.13 ID:HrKXx+5N0


兵士A「お前は逃げてろ!! 戦えないだろ!」

兵士B「ちくしょう……ちくしょう……」ズリズリ


ワイバーンC「ゴギャアアアアアアアア!!」バサッ

兵士B「しまっ……」

ワイバーンC「ガアアアアアアッ!!」ブワァァァァァッ


兵士B(ちくしょう、炎が……)

兵士A「ぐっ!!」ガバッ

兵士B「なっ……お前何やってんだ!!」

兵士A「ぐ、ぐわあああああああああ!!」

ワイバーンC「ギャアアアアアアス!!」


バットマン「フッ」バサササササササッ、ドゴォ

ワイバーンC「ギッ……」グラリ

バットマン「まだだ」クルッドドッ

ワイバーンC「……」ドサッ


バットマン「無事か」

兵士A「あ、ああ、恩に着る……」

兵士B「無事じゃねえだろ馬鹿! 何やってんだ!」



171: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 10:31:06.72 ID:HrKXx+5N0

ワイバーン「ゴギャアアアアアアアア!!」

兵士B「ちくしょう、ちくしょうアイツら何体来やがる……無理だ! 勝てっこねえ! アンタらだけでも逃げろ!」

バットマン「……」

???「そこの御方! 武器を取って!」

兵士B「……!?」

???「私と共に! 戦いましょう!」


マシュ「あ、あの方は……?」

ドクター『おおう、サーヴァントだ! しかし反応が弱いな……彼女は一体』


バットマン「何者かは知らんが、やれるのか」

???「もちろんです!」

バットマン「行くぞ」

???「ええ!」


ワイバーン達「「「ギャアアアアアアス!!」」」



172: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 10:36:38.88 ID:HrKXx+5N0

マシュ「はぁっ、はぁっ……やりました、全敵性体を撃破!」


???「ふぅ……怪我はありませんか?」

兵士C「えぇ、有難う御座います。あの、よろしければ名前……!?」

兵士C「そんな、貴女は……いや、お前は! 逃げろ! 魔女が出たぞ!!」ダダダッ

マシュ「え、魔女……?」

バットマン「……」




173: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 10:40:11.21 ID:HrKXx+5N0

バットマン「あの兵士の反応から察するに、お前がジャンヌ・ダルクか」

ジャンヌ「……えぇ。先程は助けて頂き、ありがとうございます」

ジャンヌ「私はサーヴァント。ルーラー、真名をジャンヌ・ダルクと言います」

マシュ「で、ですが貴女は、魔女になったと……」

ジャンヌ「……その話は、後で。彼らの前で話すことでもありません」


兵士達「「「……」」」


ジャンヌ「こちらへ。お願いします」

マシュ「……マスター」

バットマン「行くぞ、貴重な手掛かりだ」




174: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 10:49:14.07 ID:HrKXx+5N0

………………

スタスタ……スタスタ……ザッザッ、ザッザッザッ

バットマン「森の中にもモンスターが居た事を考えると、かなり侵略は進んでいるようだな」

ジャンヌ「えぇ。見た通り、兵士の士気は最低レベルです。長く続く、一方的な苦しい蹂躙……もはや、事は一刻を争います」

バットマン「……」

ジャンヌ「この辺りで、落ち着きましょう」

ドクター『周囲に敵性体反応なし。安全だね』


――――

マシュ「貴女は、正規の英霊ではないのですか?」

ジャンヌ「……そうですね。まずはその事からはっきりさせましょう」


ジャンヌ「私は確かにサーヴァントです。クラスもルーラー、そのことは理解できています」

ジャンヌ「しかし、本来与えられるべき聖杯戦争に関する知識が、大部分存在していません。知識だけではなく、ステータスも……対サーヴァント用の令呪も、真名看破もできません」


バットマン「お前はいつこちらに来た? サーヴァントなら……召喚、というのを通すものなのだろう」

ジャンヌ「私も、つい数時間前にこちらに現界しました。そして、事情を探るうちにはっきりしたのが……どうやら、この世界にはもう一人、ジャンヌ・ダルクがいるという事」

ジャンヌ「あのフランス王シャルル七世を殺し、オルレアンにて大虐殺を行ったというジャンヌが……」


バットマン「……」



175: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 10:54:31.01 ID:HrKXx+5N0

ドクター『……何故ジャンヌが二人居るか、その理由は定かではないけど、はっきりした事がある』

ドクター『シャルル七世が死に、オルレアンが占拠された。それはつまり、フランスという国家の崩壊だ』

ドクター『フランスは史上初めて、人間の自由と平等を謳った国だ。他の多くの国はそれに追随した』

ドクター『この権利が百年遅れれば、それだけ文明は停滞する……現代の我々が、中世のような生活をしていた可能性だって否定できない』

バットマン「……それが特異点か」

ドクター『そうだね、はっきりした。今回の敵は魔女になってしまったジャンヌ・ダルクだ』

バットマン「……」


ジャンヌ「あの、先程から声だけで姿の見えない御仁が……」

マシュ「失礼、マドモアゼル・ジャンヌ。次は我々の番ですね」



176: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 11:07:35.93 ID:HrKXx+5N0

ジャンヌ「……ワイバーン、そして魔女。認めたくありませんが、恐らく、あの竜達を操っているのは私(ジャンヌ)でしょう」

マシュ「ええ、そうなるのが妥当かと。ですが、問題がひとつ」

ドクター『ああ。問題は、召喚の難易度だ。竜の召喚は最高難易度と言って差し支えないほど難しい。現代の魔術師じゃあまず不可能だし』

所長『なんですって、ロマニ!?』

ドクター『ごご、ごめんなさい! ……でも、難しい。たとえその時代の魔術師でも容易にはいかない』


ジャンヌ「……生前の私は、そのような術には精通していませんでしたし……」

バットマン「……聖杯か」

ドクター『うん、そうだ。恐らく、魔女のジャンヌは聖杯を使って竜を召喚しているね』


バットマン「……大方の把握はできた。問題は、こちらの戦力が少なすぎる事だ」

マシュ「ええ、否定できません。……マドモアゼル・ジャンヌ。貴女はこれからどうするのですか?」

ジャンヌ「一人でも戦います。オルレアンに向かい、都市を奪還する」

バットマン「自殺行為だ」

ジャンヌ「ですが、放っておけません」

マシュ「な、なら一緒に行動する、というのはどうでしょう!? 戦力も増えますし、目的の利害も一致しています!」

バットマン「…………」


ジャンヌ「……確かに、それが理にかなってますね」

マシュ「それでは……改めて、マドモアゼル・ジャンヌ。私達の行動目的は別にありますが、それはそれとして、私達は貴女を助けたい。その旗の下で戦う事を、許して頂けますか?」

ジャンヌ「いえ、こちらこそお願いします。どれほど感謝しても足りないほどです」


ジャンヌ「……ありがとう。私は、一人で戦うものだとばかり思っていました」

バットマン「……いや、戦力が増えて有難い。よろしく頼む」



バットマン(……救国の聖女、ジャンヌ・ダルク。死因は炎。裏切られた際は……炎を使えば通用するはずだ)



178: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 11:19:47.36 ID:HrKXx+5N0

ジャンヌ「まずはこの森を抜け、オルレアンの方へ向かいましょう。周辺の街や砦から情報を集め、奪還の手立てを探る」ザッ、ザッ

バットマン「……慎重だな。焦っているものとばかり」スタスタ

ジャンヌ「……いえ、内心焦っています。もう一人の”私”は、どう考えても正気ではない。そんな怪物が人を支配して、何をするかなど……など想像するのは容易い」

バットマン「…………」


マシュ「ちょ、ちょっと待って下さい……あちらの空を!」

バットマン「……煙?」

マシュ「街が……燃えてる……!?」


ドクター『待て、その先の街にサーヴァント反応だ! す、すごい勢いで遠ざかっていく……駄目だ、反応がロストした!』

ジャンヌ「急ぎましょう、何かがあったに違いない!」ダッ

マシュ「はい! マスター、私達も!」

バットマン「ああ」



179: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 11:27:43.19 ID:HrKXx+5N0

バットマン「……」

バットマン(駄目だ。遅すぎた。侵略から時間が経ち過ぎている)


ジャンヌ「そんな……まさか……」

マシュ「……ドクター、生体反応を……」

ドクター『……駄目だ、その街に命と呼べるものは残っていない』

マシュ「そんな……」

バットマン「……」

バットマン(死体、ワイバーンの火炎痕……これをやったのも竜の魔女、ジャンヌで間違いない)

ジャンヌ「いったい……どれほどの憎悪があれば、こんな……」


ドクター『待った!! 先程去っていったサーヴァントが反転して向かってくる! まずい、キミたちを察知したようだ!』

バットマン「数は」

ドクター『……おい、冗談だろ……数は6騎! は、速い! 逃げろ皆! 数で負けてる!!』


バットマン「……いや」


バットマン「もう遅い」



180: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 11:34:21.81 ID:HrKXx+5N0

バットマン「……」

バットマン(報告通り、6人だ。白髪で槍を持った男、仮面を被りアイアンメイデンを引きずる女)

バットマン「……」チラッ

バットマン(背丈ほどの十字架を握った女。女装した男騎士。そして……黒い旗を背負った女。アレが竜の魔女、ジャンヌ・ダルクに間違いない)

バットマン(だが、問題はもう一つ……)


???「ハァー、ハァー。会えてうれしいぜ、バットマァン……てめえとも腐れ縁ってヤツだなァ!!」

バットマン(顔の半分が焼け焦げた男。トゥーフェイス)

バットマン「何故ここに居る」

トゥーフェイス「こっちが聞きてえくらいだがな、生憎今はそんな気分じゃねえ。ようやく長年の恨みを返してやれるってもんだ、なあ?」

バットマン「……」ジリッ


ジャンヌ「……」

ジャンヌ・ダルク?「…………」



182: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 11:44:15.82 ID:HrKXx+5N0

トゥーフェイス - Wikipedia

悪役の参考資料を取り急ぎ……これちゃんとURL貼れてますかね



188: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 15:00:46.66 ID:HrKXx+5N0

ジャンヌ・ダルク?「……なんて、こと。まさか、まさかこんな事が起こるなんて」

ジャンヌ「……」

ジャンヌ・ダルク?「ねえ。お願い、誰か私の頭に水をかけてちょうだい。まずいの。やばいの。本気でおかしくなりそうなの」ニヤニヤ

ジャンヌ・ダルク?「だってそれぐらいしないと、あんまりにも滑稽で笑い死んでしまいそう!」



バットマン(囲まれてる……いや、あの一点は突破できるか?)

女装騎士「……」ギリッ

十字架聖女「……」ガシッ

バットマン(……問題はタイミングか)スッ






189: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 15:09:05.78 ID:HrKXx+5N0

ジャンヌ・ダルク?「……こんな小娘(わたし)にすがるしかなかった国(フランス)なんて、ネズミにも劣る矮小さね」ギリィ

ジャンヌ「……貴女は……貴女は、誰ですか!?」

ジャンヌ・ダルク?「……それは私の質問ですが。良いでしょう、答えて差し上げましょう。私はジャンヌ・ダルク。蘇った救国の聖女ですよ」

ジャンヌ「馬鹿げたことを……! 貴女は聖女などではない、私がそうではなかったように。そして……そして、何故この街を襲ったのです!?」

ジャンヌ・ダルク?「何故……? 同じジャンヌなら、理解していると思っていましたが」


ジャンヌ・ダルク?「単にフランスを滅ぼすためですよ」


ジャンヌ「馬鹿な事を……」

ジャンヌ・ダルク?「バカなこと? 愚かなのは私たちでしょう、ジャンヌ・ダルク。何故。こんな国を救おうと思ったのです? 何故、こんな愚者たちを救おうと思ったのです?」

ジャンヌ・ダルク?「ここに居るのは……裏切り、唾を吐いた人間達だと知りながら!」

ジャンヌ「それは……」


バットマン(千日手だ。相互理解は不可能……話し合いでの解決は不可)


ジャンヌ・ダルク?「私はもう騙されない。もう裏切りを許さない。そもそも、主の声も聞こえない。……主はもう、この国に愛想をつかしたから」

ジャンヌ・ダルク?「だから滅ぼします。主の嘆きを私が代行します。すべての悪しき種を根本から刈り取ります」

ジャンヌ・ダルク?「フランスが……いいえ、人類が存在する限り、私のこの憎悪は治まらない。あまねく憎悪に喝采を……裏切り者には死を」

ジャンヌ・ダルク?「それが私。死を迎え、新しい存在となったジャンヌ・ダルクの救国方法」


ジャンヌ・ダルク?「貴女の理解は期待していませんよ、私(ジャンヌ)。いつまでも聖人を気取って……」ギリィ

ジャンヌ・ダルク?「憎しみも喜びも見ないフリをして、人間的成長をまったくしなくなったお綺麗な聖処女さまには!!」

ジャンヌ「な……」


バットマン(3で行くぞ)ボソリ

マシュ(え? は、はい!)

バットマン(1……2……)


ドォン


バットマン「……っ」ギャリィン


トゥーフェイス「お見通しだ、コウモリ。なめられちゃ困る」




190: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 15:26:36.43 ID:HrKXx+5N0

ジャンヌ・ダルク?「フン。こざかしい奴が居たものね……良いわ、バーサーク・ランサー。バーサーク・アサシン。相手をしてあげなさい。久々の強敵よ、楽しみなさい」

白髪の男「……よろしい。では、私は血を戴こう」

仮面の女「いけませんわ王様。私は彼女の肉と血、そして臓を戴きたいのだもの」


バットマン(……真名は何だ。血を欲する王……槍……いや、あれは串? ならば結論は出たようなもの)

バットマン(……恐らくあれはヴラド。オスマンのヴラド三世……ヴラド・ツェペシュ)

バットマン(……ならば、それと並んで血を欲する女は?)


ヴラド「強欲だな。では魂は? 魂はどちらが戴く?」

仮面の女「魂なんて何の益にもなりません。名誉や誇りで、この美貌が保てると思っていて?」


バットマン(……若い娘の血を、自らの美貌のために使う。高貴な喋り方。ほぼ間違いない)

バットマン(バートリ・エルジェーベト。ハンガリー貴族……)

バットマン(つまり、どちらとも、吸血鬼の伝説が残るサーヴァントか)


ヴラド「よろしい、ならば私が魂を戴こう! まさか、血を啜る悪魔となり果てて彼女の美しさが理解できるとは……」

エルジェーベト「ええ。だからこそ感動が抑えられない。……自分より美しいものは許さない。いいえ、それより……」

エルジェーベト「私より美しいものの血は、どれほど私を美しくしてくれるのかしら?」


マシュ「……マスター。敵、戦闘態勢に入りました」ガシャッ

バットマン「構えろ。これしかない」


トゥーフェイス「俺も良いか? 良いよなァ、戦うぜ」

ジャンヌ・ダルク?「……フン、好敵手でも見つけましたか。好きになさい、ただし消えるのは許さないわ」

トゥーフェイス「ハァー、ハァー! バットマン!! ようやくだ!!」ザリッ

バットマン「くっ……」



193: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 15:43:20.92 ID:HrKXx+5N0

マシュ「くっ……」ガガッガィン‼

ヴラド「なかなか粘るが、あとどれほど保つものか……貴様の鮮血を見るのが楽しみでならないぞ」ヒュンッヒュンッヒュンッ

マシュ(速い……! 盾が追い付かない!)ザッザザッ


ジャンヌ「ふっ!」ブゥン

エルジェーベト「くっ……」ガッギィィィィィ

ジャンヌ「目を覚ましなさい、貴女方のやっている事は自分を貶める行為に他ならない……!」ギリギリギリギリ

エルジェーベト「あら、それがどうかして? 美貌と誇りのどちらを取るかなんて、言うまでもない事でしょう?」ギチギチギチ

ジャンヌ「(目に理性が無い……)はぁっ!!」ギャリリィ


トゥーフェイス「遅いぞコウモリ、鈍ったか!?」パァンパァン、ブゥン

バットマン(以前より身体能力が飛躍的に向上している! 人間ではない!)ザザッ、ババッ

ドクター『解析結果が出た! そこに居るサーヴァントには狂化属性が付与されている、話し合いでの解決は無理だ!』

バットマン「ドクター、私の眼前に居る男の解析を頼みたい」

ドクター『……キミの目の前? うわっ、怖い顔してるなぁ! この人もサーヴァントだ、クラスは……』


バットマン「いや、クラスまでは良い。サーヴァントだな、ならばサーヴァント用の反撃をする」

トゥーフェイス「御大層な口を利くじゃねえか! 反撃なんて許すとでも!?」ブンブン

バットマン(ここだ!)ガッ‼


バットマン「フッ!!」ガシッ、グィィィッ

トゥーフェイス「うお、おぉぉぉぉ!?」グワンッドシャアアアアア


バットマン「……やったか?」ジリッ

トゥーフェイス「っはぁ、やってくれるぜコウモリ野郎が!!」ガバッパァン

バットマン「(なっ……)……っぐ」ドシュウ


マシュ「!! マスター!!」

ヴラド「どこを見ている」ヒュンッ

マシュ「ッ!!」ドッズシャアアア、ゴロゴロ


ジャンヌ「……っ」

エルジェーベト「あらあら、お仲間は倒れたようだけど」クスクス

ジャンヌ「……!!」



195: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 15:59:47.43 ID:HrKXx+5N0

ジャンヌ「っマシュ! 貴方達だけでも逃げて下さい!!」

マシュ「で、でもジャンヌさん!」

ジャンヌ「共倒れよりはるかにマシです! さあ!!」

マシュ「……っ!!」

バットマン「……っ……く、マシュ……伏せろ!」ガバッ

マシュ「え、きゃっ!?」チュイン


トゥーフェイス「ちっ、サイレンサー付けてても殺気はバレるもんだなぁ。ならいいさ。次は外さねえように工夫するだけだ……それじゃ、コイントスといくか」

トゥーフェイス「さあ、立ちな嬢ちゃん。運命の時間だ」

マシュ「え……」スクッ

マシュ(か、身体が、勝手に……!?)


トゥーフェイス「ではジャッジの時間だ。テメエの罪はここで決まる……生存か、死刑か。陪審員の皆さんはどうぞ静粛に。公平な……裁きの時間だ」

マシュ(動けない。身体が、動かない)


バットマン「……ぐっ……」ジリッ

トゥーフェイス「……」キィン

トゥーフェイス「……」パシッ


トゥーフェイス「……残念だったな、嬢ちゃん」カチャッ


???「その裁判、待ってくださいな!!」

トゥーフェイス「!?」ザザッ

マシュ「(動ける!)っはぁ、はぁ……!」ドサッ



196: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 16:15:13.33 ID:HrKXx+5N0

???「……優雅ではありません。この街の有様も。その戦い方も。思想も主義もよろしくないわ」


バットマン(あれは……ガラスの……薔薇?)


ジャンヌ・ダルク?「何者です!」

???「貴女はそんなに美しいのに、血と憎悪でその身を縛ろうとしている。善であれ悪であれ、人間ってもっと軽やかにあるべきじゃないかしら?」

ジャンヌ・ダルク?「……サーヴァント、ですか」

???「ええ、そう。嬉しいわ、これが正義の味方として名乗りをあげる、というものなのね!」

???「貴女が誰かは知っています。貴女の強さ、恐ろしさも知っています。正直に告白してしまうと、今までで一番怖いと震えています」

???「それでも……貴女がこの国を侵すのなら、わたしはドレスを破ってでも、貴女に戦いを挑みます」

???「何故なら、それは……」


女装騎士「貴女、は……!?」

???「まあ、私の真名をご存知なのね! 知り合いかしら、素敵な女騎士さん?」


ジャンヌ・ダルク?「セイバー。彼女は何者?」

女装騎士「……」

ジャンヌ・ダルク?「……」答えなさい」

女装騎士「この殺戮の熱に浮かされる精神でも分かる。彼女の美しさは、私の目に焼き付いていますからね」


女装騎士「ヴェルサイユの華と謳われた少女。彼女は……マリー・アントワネット」


マシュ「マリー・アントワネット王妃!?」

バットマン(……という事は、あの騎士の名も自ずと割れる。マリー・アントワネットと接点がある女装騎士……あれはシュヴァリエ・デオン)

マリー「はい! ありがとう、私の名前を呼んでくれて!」


マリー「そしてその名前がある限り、どんなに愚かだろうとわたしはわたしの役割を演じます。我が愛しの国を荒らす竜の魔女さん。無駄でしょうけど質問をしてあげる」

マリー「貴女はこのわたしの前で、まだ狼藉を働くほど邪悪なのですか?」

マリー「革命を止められなかった愚かな王妃(わたし)以上に、自分は愚かな魔女であると公言するの?」



197: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 16:26:01.96 ID:HrKXx+5N0

ジャンヌ・ダルク?「……黙りなさい。貴女如きがこの戦いに関わる権利はありません」

ジャンヌ・ダルク?「宮殿で蝶よ花よと愛でられ、何もわからぬままに首を断ち切られた王妃に、我々の憎しみが理解できると?」


マリー「そうね、それはわからないわ。だから余計に貴女を知りたいの、竜の魔女」

ジャンヌ・ダルク?「……なに?」

マリー「わからないことは、わかるようにする。それがわたしの流儀です」

マリー「だから今の貴女を見過ごせない。ああ、ジャンヌ・ダルク。憧れの聖女! ……今のわたしにわかるのは、貴女はただ八つ当たりしているだけということ」

マリー「理由も不明、真意も不明、何もかも消息不明だなんて、日曜日にでかける少女のようでしてよ?」


トゥーフェイス「ハハハハ! 突然出て来てビビったが、高貴なたとえだ!」

ジャンヌ・ダルク?「黙りなさい!」


マリー「そんな貴女に向ける礼はありません。わたしはそこの、何もかも分かりやすいジャンヌ・ダルクと共に、意味不明な貴女の心を、その身体ごと手に入れるわ!」

マシュ「……な……」

ジャンヌ「え、えっと……はい?」

マリー「あ、しまった。しっぱいしっぱい。誤解なさらないで、今のは単に『王妃として私の足元に跪かせてやる』という意味ですから」


バットマン(……意識か無意識かは分からないが、この少女の演説で徐々に敵が一か所に集められつつある。……これなら脱出できる)ムクリ



198: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 16:34:44.67 ID:HrKXx+5N0

ジャンヌ・ダルク?「……茶番はそこまでだ。いいでしょう。ならば。貴女は私の敵です」


マリー「ええ、ええ。そうでしょう! こちらも分が悪いのは十分分かっています。だから……アマデウス!」

マリー「機械みたいにウィーンとやっちゃって!」


アマデウス「任せたまえ。宝具、『レクイエム・フォー・デス』」グオォォォォォォォ


バットマン(くっ、音波系……いや、こちらに危害は無い……のか?)


エルジェーベト「もう一人……ああ、でもなんて壮麗で邪悪な音……!」

ヴラド「くっ、重圧か……!」


ジャンヌ・ダルク?「ちっ……!」


マリー「それではごきげんよう皆様。オ・ルヴォワール!」タッタッ

マシュ「マスター、走れますか!?」

バットマン「問題無い、行くぞ」ダダッ

マシュ「はい!」ダッ


トゥーフェイス「次は逃げられると思うな! 俺のコインが待ってるぜ!」


ジャンヌ・ダルク?「……ふん。ライダー!」

十字架聖女「……何かしら」

ジャンヌ・ダルク?「追いなさい。貴女の馬なら追いつけるでしょう。戦う必要はありません、居場所を報告してくれれば一気に叩き潰します」

十字架聖女「……了解。追いついてみせるわ」





199: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 16:39:14.01 ID:HrKXx+5N0

ヴラド「……ルーラー。ライダー一人で十分だと考えているのか」

ジャンヌ・ダルク?「十分でしょう。殲滅する、という事だけならライダーの宝具は確実です」

ジャンヌ・ダルク?「……ですが念には念ですね。私は帰還して新たなサーヴァントの召喚に掛かります」

ジャンヌ・ダルク?「貴方たちは好きに暴れなさい。彼らと運よく遭遇したのなら、蹴散らしても良い」

ジャンヌ・ダルク?「……まさか、宮殿で愛でられていた后如きに遅れを取る貴方達ではありませんよね?」



…………



200: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 16:51:53.30 ID:HrKXx+5N0

マリー「ふう。ここまで逃げれば大丈夫かしら?」

マシュ「ドクター?」

ドクター『うん。周辺の反応は消失している。ついでに言うと、そこからすぐ近くの森に霊脈の反応を確認した』

バットマン「了解。すぐに向かう」


マシュ「ですがマスター、銃創の手当てが……」

バットマン「大丈夫だ、スーツが弾き返した」

マシュ「ほ、本当ですか! 流石ダ・ヴィンチさん!」


マシュ「そ、それでは……ジャンヌさん、それから……マリーさん?」コワゴワ

マリー「マリーさん、ですって!」ガッ

マシュ「し、失礼しました。それでは、ええと……」

マリー「失礼じゃないわ、とっても嬉しいわ! いまの呼び方、耳が飛び出るくらい可愛いと思うの!」キラキラキラキラ


バットマン「……」


マリー「お願い、素敵な異国のお方! これからもそう呼んでいただけないかしら……!」キラキラ

マシュ「は、はぁ……ミス・マリーとか、マドモアゼル・マリーとかでは?」

マリー「ダメ。ぜんぜんダメ。マリーさん、がいいのっ! 羊さんみたいで!」


バットマン「…………」


マリー「それで、御用事は何かしら?」

マシュ「ええと、この近くの森に強い霊脈が探知されました。拠点とするため、そこに向かいたいのですが……皆さん、問題ありませんか?」


マリー「もちろん構わないわ。いいですか、アマデウス?」

アマデウス「僕に意見を求めても無駄だってば。キミの好きにすればいい、マリア」


ジャンヌ「分かりました。問題はない、と思います」

マシュ「では、その森で腰を落ち着けて、これから先のことを話し合いましょう」スタスタ


バットマン「……」スタスタスタ……ズキッ

バットマン「……っ……」

バットマン(……流石に外しはしないか、トゥーフェイス……)ドク……



201: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 17:13:41.47 ID:HrKXx+5N0

…………

マシュ「サークル作成、完了です!」

ジャンヌ「ふう。オルレアンに近付くにつれ、魔物達も強くなってますね。どうでしょう、今日はこの辺りで休憩に……」

マリー「そうね、賛成よ!」

アマデウス「ああ、ようやく休憩だ……王妃なのにマリアは健脚すぎる」


バットマン「……少し外す」

マシュ「え? あ、ついていきましょうか?」

バットマン「良い。残って休んでいてくれ」スタスタ


マシュ「……」

マリー「あの人、面白いのね! 猫の扮装だなんて、変わってるわ!」

アマデウス「いや……あの人はコウモリなんじゃないか? 同じ仮面趣味として通じ合う何かがあるよ」

ジャンヌ「では、改めて自己紹介を……私はジャンヌ。ジャンヌ・ダルクです」

マリー「私はマリー! マリー・アントワネットです、会えて光栄よジャンヌ!」


――――


バットマン「……」ドサッ

バットマン「……」スッ

ブルース「ハァッ、ハァ……」ドクッ、ドクッ……

ブルース(まず打つべきなのは何だ? 止血剤……いや、スーツのアイソメトリック機能を使うべきか)

ブルース(いや……判断を誤るべきではない。ここはまず、体内に埋め込まれた銃弾を抜き取る……)





202: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 17:14:20.32 ID:HrKXx+5N0

ブルース(……木の枝……あった。これを、噛む)ガシッ

ブルース(ユーティリティベルトのピンセット……ああ、あった。よし……これを消毒……傷の中に突っ込んで……)ググッ

ブルース「……ッッッッ!!」グチッ、グチッ

ブルース「っ!! っっ!!」ギリギリギリ、ギチ……ガチッ

ブルース(よし、捕まえた……これを後は……一気に……)ズズズッ‼

ブルース「っぐ……」


ブルース(しまった、声が……悟られていないか……?)ジッ


シーン……


ブルース(よし、平気だ……)

ブルース(あとは、止血剤を打って……)プシュッ

ブルース(スーツのアイソメトリック力を……)ギュゥン‼


ザザザザッ


ブルース「!!」スクッ


十字架聖女「……見つけた」


ブルース「しまった……!」スッピピピッ

バットマン「マシュ、今すぐこちらに……!」

十字架聖女「させないわよ!」ギュウン

バットマン「っ!!」ザッザザァ!

十字架聖女「誇りも何もない戦争だけど、一人くらいは倒さなきゃね」ジリッ

バットマン「……」ジリジリ



207: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 19:11:28.84 ID:HrKXx+5N0

 風が一陣、抜けて行った。


 沈んで行く夕陽、きらめく十字架。抱えた聖女は動かない。黒い騎士は高速で思考を回転させる……目の前のサーヴァントの、真名は何だ。

「動かないの?」

 聖女が問う。バットマンは答えない。下手に意識を逸らせば、致命的な一撃が来る。自分が再起不能になれば、人類は滅ぶ。その重責。マシュを連れて来なかったという甘さ。今更になって、前回の所長の叱責が重くのしかかる。

「……動かないなら、こっちから行くけど」

 聖女は十字架を動かした。一瞬の閃光……バットマンは素早く跳び退く。一瞬前まで彼が居た場所で光球が弾け飛ぶ。

 あれを食らえば危なかった。バットマンは警戒し、意識を前方へ向ける……聖女は居ない。


 頭上。黒い残像を錯覚する速度で、バットマンは転がった。またしても光球が降り注ぎ、空中で弾けた。

「シッ!」

 バットラング投擲。聖女は片手で全て摘み取り、投げ返す。バットマンはグラップネルガン射出、上方へと回避。

 聖女は十字架をかかげ、何かを唱えた。これまでとは比にならない大きさの光球が飛び出し、バットマンの背後へ迫る。だが彼は空中でグラップネルガンを手放し、これを躱しながらマントを広げ、グラインド飛行へ移る。

「へえ、猫かと思ってたらコウモリなんだ!」

 楽しそうに笑い、聖女は更に十字架を振り上げる。光球が連射され、光の火線が飛行するバットマンを追う。だが騎士はマントをたたみ、急降下して聖女へ向かって行く!

 彼は聖女の眼前に着地し、拳を引き絞った。聖女の瞳に暴力的な輝きが宿る。バットマンはパンチを放った。聖女は同じく拳を繰り出しそうになり……一瞬でみずからを抑え、十字架でこれを防御した。

 森の中、隅々まで、甲高い音が鳴り響いた。



209: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 19:22:48.39 ID:HrKXx+5N0

――――

マシュ「! 今の音は……!」スクッ

ジャンヌ「私も聞こえました」

アマデウス「うん? ちょっと待てよ……? ああ、不味いな、戦闘音だ。行こう、休んでる場合じゃないぞ」ヨッコイセ

マリー「それって誰が戦ってるのかしら、アマデウスは分かる?」

アマデウス「……うーん、マントを着た誰かと……これはあの時の十字架の聖女サマかな?」

マシュ「……!! 私は先に行きます、また後で!!」ダダッ

ジャンヌ「ま、マシュ! ちょっと待って!!」ダッ


――――

バットマン(駄目だ。やはり膂力では負ける……)ギリギリギリギリ

聖女「アンタ、タイマンで向かってくるなんて良い度胸してんじゃない。名前はなんての?」ググググググググ

バットマン「……人に名を訊く時はまず自分から、だ……!」ギリギリ……ガクッ

聖女「跪いた姿勢で偉そうに言ってくれるじゃない。良いわ、私はマルタ。聖女マルタよ、ネコミミさん」

バットマン(マルタ……イエスの旅に同行し、弟を蘇生してもらい……追放され……どうなった?)

聖女「アンタの態度に敬意を表して、一個だけヒントをあげるわ。あのいけ好かない竜の魔女を打ち倒すヒントをね」グググググ

バットマン「……ヒントだと?」ギリギリ……グググ



211: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 19:45:58.77 ID:HrKXx+5N0

マルタ「あの魔女は今、どうやっても倒せない。アンタたちじゃ無理よ。何故なら切り札があるから」グググ

バットマン「……倒せない? 切り札だと?」グ……

マルタ「そう。その切り札は……『ファヴニール』よ。究極の竜種。山みたいな身体をしてる。ワイバーンとは比べ物にならないわ」

バットマン(ファヴニール。シグルドとジークフリートに倒された伝説の竜……比喩抜きの怪物だ)

バットマン「そんなものまで従えているのか……!」グググ‼‼

マルタ「そうよ。アンタが戦ってるのはそういう相手なの。だから対策をたてなきゃ駄目」グッ

バットマン「……!」

マルタ「……良い? 『ドラゴンスレイヤー』を探しなさい。リヨンへ行くの」

バットマン「……リヨン?」

マルタ「そう、リヨンよ。貴方達の最後の希望がそこに居るハズだわ……おっと!」ザザッ


マシュ「マスター!」ババッ

バットマン「無事だ」スクッ

マリー「間に合ったみたいね、良かったわ!」



212: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 19:54:41.50 ID:HrKXx+5N0

マルタ「ふぅん、駆け付けてくれる仲間は居たんだ。では聖女らしく、杖で戦ってしまいましょうか」

マシュ「貴女は……」

マルタ「あ、名前を知りたいなら後からそのネコミミさんから聞いてね。こんな大勢の前で、魔女の使い走りさせられてる聖女だー、なんて名乗りたくないし」

マシュ「……マスター」

バットマン「敵だ。杖から光の球を出して攻撃する」


マリー「うんうん、名前を悟られたくない時ってあるわよね。お忍びで城下町に出かけてる時とか」

アマデウス「キミのそれと比べてしまったら少し気の毒なんじゃないかなぁ、アレ」


ジャンヌ「間に合った! 敵は……!」ザザッ


マルタ「遅いっての。じゃ、さっさと始めましょうか。言っとくけど、多対一だからって手ェ抜いてたら死ぬから、そのつもりで掛かってらっしゃい」


マシュ「敵、戦闘態勢! マスター、指示を!」

バットマン「ああ……行くぞ」



213: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 20:07:09.23 ID:HrKXx+5N0

………………

マルタ「……うぅん、流石に分が悪かったか。いえ、よくやりました」シュウシュウシュウ

マルタ「……なんて、試練ぶっても駄目か。ごめんね、タラスク。次の召喚は、もっと真っ当な……」サァァァァァァ


マシュ「……消えました。倒したようです、マスター」ガシャ

バットマン「ああ。……助かった、有難う」

マシュ「……いいえ、間に合ってよかった」

ジャンヌ「……最後まで、十字架だけで戦っていました。あの人、鉄みたいな精神力で……」

マシュ「ええ。恐らく、会話するのにも相当な精神力を使っていたハズ。それを……」

マリー「ええ、とても穏やかで、同時に激しい人でした。わたしにはわかります。あの人は鉄の聖女。なんであれ、最後は拳で解決する金剛石のような人です」


バットマン「……彼女からヒントを貰った。究極の竜種、そして……ぐっ……」フラリ

マシュ「マスター!?」ガシッ


バットマン(しまった、出血が……血が足りない状態で動きすぎたか……)

バットマン「……平気だ、それより、リヨンへ……リヨンへ向かう。そこでドラゴンスレイヤーを仲間に……」グラリ、ドサッ


マシュ「ま、マスター! マスター!!!」


バットマン(……ああ、不味い……視界が……)


………………



216: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 20:22:39.98 ID:HrKXx+5N0

………………

ジャンヌ・ダルク?「……ライダーが自決しましたか。狂化しても理性が残っているなんて困りものです」

ジャンヌ・ダルク?「とはいえ、彼女は全力で戦ったのでしょう。それを葬り去ったとなると、油断なりませんね」


トゥーフェイス「次は俺が出る」

ジャンヌ・ダルク?「……あら、そう? なら二人見張りをつけておくわ、貴方だけだと信用ならないもの」

トゥーフェイス「信用? 信用……そうか、良いだろう。公平さを欠く行為は避けるべきだ」

ジャンヌ・ダルク?(……チッ、魂が抜けたような人格の方が出て来てるわね……その癖、あの集団に対する執着は残してる。コイツは一体何なの……?)

ジャンヌ・ダルク?「良いわ。ワイバーンの集団を貸してあげる。それと、湖の騎士『ランスロット』。処刑人『シャルル・アンリ・サンソン』」


ランスロット「Urrrrr……」

サンソン「了解しました、マスター。王妃の首の話なら、僕以外に適任はおりません」

トゥーフェイス「……殲滅すれば良いんだな?」

ジャンヌ・ダルク?「そうです。彼の地『リヨン』を、生きる者の居ない、廃墟に。良い報告を待っていますよ」



218: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 20:47:46.16 ID:HrKXx+5N0

…………

マシュ「ここなら安全でしょうか」ヨイショ、ヨイショ

マリー「まあ! 知っているわ、こういう場所を『庶民の宿』と言うのよね!」

アマデウス「うんうん、知ってて偉いなぁ。でも宿屋の中で『庶民』だなんて大声を張り上げるのは少しマナー違反かな?」

マリー「あ、ごめんなさいわたしったら……」ペコリ

店主「いやいや、構わないよ。金さえ払ってもらえれば」



マシュ「そうだった、お金……私はこの世界の通貨を一枚たりとも持っていません」

???「……良いよ、そいつらの金は俺が払うから」

マシュ「えっ……あ、貴方は……」

兵士C「覚えてねえだろうけど、砦で助けられた兵士だよ。アンタが背負ってるネコミミの相棒さんはよく覚えてる。
魔女と行っちまったから、死んだかと思ってたけど……生きてたなら、ささやかな恩返しくらいさせてくれ」

マシュ「……ありがとう、ございます」ペコリ

兵士C「いいよ、訳アリなんだろ? 俺、この街の……『ティエール』の出身だから、ゆっくりしてってくれ」


…………


マシュ(マスター……)

マシュ「必ず後で、迎えに来ます。それまで、安静にしていて下さい」スタスタ

バタン

バットマン「…………」


…………


ジャンヌ「どうでしたか、マシュさん。ティエールの宿はいつも混雑してるから心配でしたが……」

マシュ「いいえ、何とか一人分の宿泊はさせてもらえるようです。それに知り合いも居ましたし、恐らく心配はいらないかと」

マリー「ああ、友情というのは麗しいものね! 人を助け、人に助けられ……とても美しい有りようだと思うわ!」

ジャンヌ「えぇ、良かった……ここからリヨンまではもうすぐです。ドラゴンスレイヤーを迎えに行く準備はできていますか?」

マシュ「はい! 素早く迎えに行って、素早く帰って来ましょう!」




219: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/26(日) 21:02:24.45 ID:HrKXx+5N0

…………

子供「うわあああああああ!! 助けて!! 助けてええええええ!!」

母親「やめて! 子供だけは、子供だけは……っぐ……」ドサッ



トゥーフェイス「なあ、サンソン」

サンソン「なんだ、トゥーフェイス」

トゥーフェイス「俺達のやってる虐殺ってのは、公平な事なのか? こうやって、街をぶっ壊して……俺達は間違ってねえのか?」

サンソン「……今更正義の確認か、トゥーフェイス。似合わないな」

トゥーフェイス「違う。違うんだ。こうやって、確認してねえと、アイツに飲まれちまう……殺しが楽しくてしょうがねえアイツになっちまう」

サンソン「……お前は、死が、苦しく、どうしようもないものだと思うか?」

トゥーフェイス「当たり前だろ、死んだらそれまでだ。死ってのは終わりだ」

サンソン「……僕は、死は褒美だと思ってる。その瞬間、すべての罪は許される。全部終わって、あの世へ行ける。それは紛れもなく、解放だ」

トゥーフェイス「……処刑人か。お前は何人殺したか覚えてるのか?」

サンソン「……人数は、もう、覚えてない。でも、一人だけ忘れられない。首を斬られる前の、真っ白なあの顔が」

トゥーフェイス「……」


ランスロット「AAArrrrrrrrrrrthurrrrrrrrrrrr!!!!」バッ

サンソン「行こう。遅れる」

トゥーフェイス「……ああ、そうだな」



228: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/27(月) 19:47:43.65 ID:8d4jimxk0


………………

マシュ「……そんな……」

ジャンヌ「リヨンが、壊滅してる……」

マリー「……酷いわ、酷過ぎる。これじゃ、“竜殺し”さんも……」

アマデウス「ごめんよ、感傷におぼれてる暇も無さそうだ。辺りから何かが動き回る音が聞こえる」

マシュ「ドクター!」

ドクター『これは……リビングデッドだ。共食いしてるのか……!?』

マシュ「……まさかこの方たちは、元々はここの……」ジリッ

ジャンヌ「マシュ、悲しむのは後です。これ以上の非道を行わせてしまう前に、彼らを止めなければ」スッ

アマデウス「そうだね。鎮魂歌は僕の十八番だ、少しでも安らかに眠らせてあげるとしよう」

???「……安らぎ……安らぎを望むか……。それは、あまりに愚かな言動だ。
彼らの魂に安らぎはなく。我らサーヴァントに確実性は存在しない。この世界は、とうの昔に凍り付いている……」

マシュ「……サーヴァント!」

ジャンヌ「――何者ですか?」

???「然様。人は私を――オペラ座の怪人(ファントム・オブ・ジ・オペラ)と呼ぶ」

ファントム「“竜の魔女”の命により、この街は私の絶対的支配下に。
さあ、さあ、さあ。ここは、死者が蘇る地獄の只中。
――君たちは、どうする?」

マリー「国を蹂躙する貴方を放っておくわけにはいかないわ! 地獄ですって? いいえ、ここはフランスよ! 貴方達から取り戻し、輝きを灯してみせる!」

マシュ「その通りです、マリーさん! 行きます……!」ガシャッ





229: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/27(月) 19:48:24.56 ID:8d4jimxk0

――――

マシュ「はあっ、はあっ……敵サーヴァント、鎮圧完了……!」

ファントム「く……しかし、務めは果たしたぞ。報われぬ、まったく報われぬ務めだったが……私の歌はここで途絶える。されど、地獄はここから始まる」

ファントム「喝采せよ、聖女! おまえの邪悪は、おまえ以上に成長した!」

ジャンヌ「――黙りなさい。もう、喋るのも辛いでしょうに」

ファントム「これは言葉ではない。これは歌だ。おまえの先を嘆き、憂うためのな。
“竜殺し”は諦めろ。あれの呪いは、誰にも解けぬ」

ジャンヌ「……呪い?」

ファントム「呪いだ。生きているのも不思議なほどの大量の呪いが掛けられている……奴は遠からず死ぬ」……ジリジリジリ

ファントム(……そして貴様も、その呪いに掛かる……もう少し、もう少しだ……)

マシュ「ですが、呪いは解呪ができるハズ……聖人と呼ばれるジャンヌさんなら」

ジャンヌ「程度によります。特に、今の私の力は弱まっており……」クルッ

ファントム(今だ!)

ファントム「背中を見せたな! 油断を呪い、呪われろ! 『地獄にこそ響け我が愛の唄(クリスティーヌ・クリスティーヌ』!!」グオォォォォォォォ

ジャンヌ「なっ、しまっ……」

マシュ「ジャンヌさっ……」

???「……『幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)』!」ドッガァァァァァァ‼‼




230: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/27(月) 19:49:45.33 ID:8d4jimxk0

ファントム「……な……んだと……」ドシャリ

???「うぐ……(やはり一発の宝具だけでもかなり無理がある)……無事か」

マシュ(け、剣で呪いごと切り裂いた……この人は一体)

ジャンヌ「助かりました、名も知らぬ剣士……いえ、まさか、貴方は……」

???「俺はジークフリート。呪いに耐え、近くの砦で忍んでいたら……俺の名を呼ぶのが聞こえたのでな。必要とされれば、来る」

マシュ「じ、ジークフリートさんだったのですね!」

ジャンヌ「とてもありがたいです。ですが、呪いが掛かっていると……」

ジークフリート「ああ、本来なら俺の宝具『バルムンク』は連発が可能な技。だが、今は一発ごとにインターバルを挟まねば……」

ドクター『ちょっと待った! マシュ、そちらにサーヴァントを上回る超極大の生命反応が接近中!』

マシュ「サーヴァントを上回る……!? そんな生命が存在するのですか!?」

ドクター『あるところにはあるものさ、世界は広いしね! って、そんな事より撤退を! サーヴァント反応も三騎、追随してきてる! くっ、撤退が間に合うか……』

マリー「……アマデウス、迎撃の準備をしましょう。……その、一緒に戦ってくれる?」

アマデウス「いま、しましょうって命令しただろ、君。いつものように、背筋を伸ばして笑顔でいればいい。
……なに、僕に気を遣う事はない。やばくなったらひとりで逃げるからな、僕は!」

マリー「そうね。それでこそアマデウスだわ。大丈夫、時間を稼ぐだけですもの。
わたしは死なないわ。まだ、ここではね」

マシュ(……来る! 空気の震えで、存在感が分かる……! 怪物が、来る!)


『グゴオオオオオオオオアアアアアアアアアアアァァァァァァ!!!!』



231: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/27(月) 19:50:35.00 ID:8d4jimxk0

マシュ「っっ……」ビリビリ

マシュ(吼えた、だけなのに……踏ん張らないと、吹き飛ばされそう……!)

黒龍「フシュルルルルル……」

ジャンヌ・ダルク?「どうしました、急に止まっ……おや、これはこれは。懐かしい顔ぶれですね」

ジャンヌ「……あれが、究極の竜種……」

ジャンヌ・ダルク?「丁度いいわ。焼き尽くしなさい、ファヴニール」

黒龍「ゴゥゥゥゥゥ……」シュシュシュシュシュ


マシュ「黒龍、上体を仰け反らせ始めました。あれは……周囲の空気を取り込んで……ブレスの準備をしています!」

ジャンヌ「今からの回避は間に合いません。一旦ここで受け止めるしか……」


マリー「やあっ!!」ザワザワザワ

アマデウス「時間は稼ぐよ、あとは頼む!」グワォォォォォォォォン


マシュ「あのお二人がブレスまでの時間を延ばしてくれている間に……宝具の魔力を、展開して……」

ジャンヌ「私も、いけます! 宝具を展開し、防御を! 戻って下さい、二人とも!」バササッ

マシュ「仮想宝具、展開!!」

ジャンヌ「『我が神は(リュミノジテ)……』

マシュ「『ロード・カルデアス』!!」ギュオォォォォォ

ジャンヌ「『ここにありて(エテルネッル)!』ズォォォォォォ


黒龍「ガァッ!!」ドグォォォォォォォォ‼


マシュ(お、重い……二人がかり、なのに!)ガガガガガガガガ

ジャンヌ(なんという熱量、エネルギー……! まともに受ければ、灰になる暇もなく溶かされていた! 抑え込むので、精一杯……!)ゴゴゴゴゴゴゴゴ

マリー「きゃっ!」

アマデウス「うわっと、こりゃあ激しいな……!」


マシュ(もうすぐ、もう少しのハズ……息継ぎすら難しい……!!)ガクガクガクガク



黒龍「……!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴ……ピタッ


マシュ「っ、今です!! 走って!!」

ジャンヌ「行きましょう!!」ダダッ

マリー「ジークフリートさんは歩けないみたい! アマデウス、おぶってあげられる!?」

アマデウス「ああもう!! お代は後でもらうからな!」ガシッ

ジークフリート「すまない……本当にすまない……」ユッサユッサ


ジャンヌ・ダルク?「ククッ、地を這う虫じみてて本当に無様。追いなさい、ファヴニール!」

黒龍「ゴアアアアアアアアアア!!」ドシン、ドシン





232: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/27(月) 19:52:36.47 ID:8d4jimxk0

マシュ「お、追って来てます!!」

ジークフリート「……今、魔力を溜めてる……撃退の分の魔力を」ユッサユッサ

マリー「わたしの魔法も使ってるけど、あまり回復できてないみたい。やっぱり呪いが根幹まで届いちゃってるみたいだから、それを解かなきゃ」

ジャンヌ「くっ、私にもっと力があれば……!!」

アマデウス「ああもうっ、こんな時に! 前方にフランス軍だ、こっちに砲を向けてるぞ!」

マシュ「……!!」

ジャンヌ「くっ、私が居たら確実に魔女の一味だと勘違いされて……!!」


???「砲兵隊、撃て!! 狙いは後方、あの竜だ!」

ジャンヌ「!?」



233: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/27(月) 19:53:46.14 ID:8d4jimxk0

兵士達「「「発射―――――――!!!」」」


ドドドドドドン‼‼

黒龍「グゴ……」

ジャンヌ・ダルク?「ちっ、あれは……『染まってない方』じゃないの。面倒なのが居るわね」


ジャンヌ「あれは……ジル!」

ジル「まだだ! 火力を集中させろ!! 第二部隊展開! 一斉砲火!」

兵士達「「「砲火!!!」」」


ドドドドドドン‼‼


黒龍「ガアアアアアアッ!!」イライラ

ジークフリート「……いける。魔力が溜まった」

アマデウス「ようやくか、降ろすぞドラゴンスレイヤー!」

ジークフリート「ああ。感謝する。そして……久しいな、ファヴニール」




234: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/27(月) 19:55:02.04 ID:8d4jimxk0


黒龍「……」


ジャンヌ・ダルク?(何? ファヴニールが怯えてる……? まさか、この男は……!)


ジークフリート「二度蘇ったのなら、二度この宝具を打ち込むまで……!」

ジークフリート「蒼天の空に聞け! 我が真名はジークフリート! 汝をかつて打ち倒した者なり!」

ジークフリート「宝具解放……『幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)』!!」ズォォォォォォ

ジャンヌ・ダルク?「回避しなさい、ファヴニール!! 上へ!!」

ファヴニール「グオォォッ!!」バサッ‼

ジークフリート「遅い!!」ヒュンッドシュウ‼

ファヴニール「グ……ガァァァァァァ!!」バサッバサッバサッ




235: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/27(月) 19:56:11.40 ID:8d4jimxk0

マシュ「あ、あの竜が空へ向けて撤退していきます!」

ジークフリート「……すまないが、今はこれが限界だ。戻って来ないうちに逃げてくれ……」

マリー「賛成よ、早く逃げましょう!」

アマデウス「よし来た、さっさと逃げるとしよう!」



ジル「ジャンヌ! お待ちを! 貴女は確かにジャンヌ・ダルク! “竜の魔女”ではない、正真正銘の聖女……!」

ジャンヌ「……」

マリー「……返答しなくて良いのですか?」

ジャンヌ「私が返答すれば、ジルの立場が危うくなります。現状、彼らに頼ることもないでしょう。……何より、かつて共に戦った人々に憎まれるのはさすがに堪えますから」

マリー「でも……本当に彼らは、憎んでいるのでしょうか」

ジャンヌ「――行きましょう」



ジル「……もう一度、“竜の魔女”について調べ直せ」

兵士「えっ……?」

ジル「シャルル七世を討ったのが、本当にジャンヌ・ダルクだったのか。悪質な偽物なのか。あるいは……」

ジル「ジャンヌ・ダルクはこの世界に二人存在するのか」





236: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/27(月) 19:57:55.87 ID:8d4jimxk0


マリー「……やっぱり駄目ね、治し切れない……というか、効果があるのかすら怪しいわ。ごめんなさい、ジークフリート」

ジークフリート「……いや、構わない」

ジャンヌ「彼には今、複数の呪いが掛かっています。……生きているのが、不思議なほどの」

マシュ「ジャンヌさんほどの力があっても……解呪はできないんですか?」

ジャンヌ「はい。これほどの呪いとなると、せめてあと一人の聖人が欲しい」

マシュ「聖人のサーヴァント……ですか」

ドクター『ああ、可能性はある。聖杯を持っているのが“竜の魔女”ジャンヌ・ダルクならば、その反動……抑止力のようなもので聖人が召喚されている可能性はある』

ドクター『現に聖女マルタが召喚されていたしね。それで、キミたちに聖人サーヴァントのあてはあるかい?』

マシュ「いえ……」

ジークフリート「俺も、敵以外だと君達が初めて出会うサーヴァントだ」

マリー「……うーん……あてもなく探す、というのも大変ですし。危険かもしれないけど、手分けして探すっていうのはどうかしら?」

ジャンヌ「……そうですね、私もそれが妥当だと思います」

アマデウス「で、組み合わせはどうやって決めるんだい? 仲の良い奴同士だと、僕が真っ先にはぶられちゃいそうだけど」

マリー「もちろん、こういう時はくじ引きよ! アマデウス、作って頂戴!」

アマデウス「くじを引きたいだけだろうキミは。……わかったよ、くじを作る。それでグループ分けをしよう」




237: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/27(月) 19:58:31.73 ID:8d4jimxk0


マシュ「……」ガチガチ

マリー「もう、マシュったらそんなに緊張しなくていいのに! ……本当よ?」

マシュ「い、いえ。何と言うか、発言一つで国際問題になりそうというか!」

マリー「んもぅ、大げさよ! ……アマデウス、ジャンヌさん達をお願いね」

アマデウス「正直、今キミと離れるのは不安だが……くじは運命によるもの。これに逆らうのはよけいに悪運を呼びそうだ」

アマデウス「まあ、キミの宝具は逃走に使える。マシュは守護に特化している。むしろ不安なのは怪我人を抱えたこちら側かな……」

ジークフリート「……すまない……本当にすまない……」

アマデウス「あ、いや違うんだ。今のはどちらかというと、自分の力不足を嘆いた言葉だよ」

マリー「アマデウス、仲良くするのよ。あなた、お友達に誤解されるタイプだから」

アマデウス「キミに言われたくはないよ。それより、マリア」

マリー「うん?」

アマデウス「……いや、何でもない。道中気を付けるように。空腹になったからって洋菓子店を探すんじゃないぞ」




238: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/27(月) 19:59:26.47 ID:8d4jimxk0


マリー「なあんだ! わたし、てっきりまたプロポーズされるかと思ってドキドキしていたわ!」

アマデウス「待て。なぜ今その話をするんだキミは!」

マシュ「プロポーズ……ですか? え? マリーさんと? アマデウスさんが?」

ドクター『あれ、知らないのかいマシュ? わりと有名な話だよ、それ』

ドクター『そちらにいらっしゃるミスター・アマデウスは六歳の時、七歳の彼女(マリー)にプロポーズしたんだよ』

マリー「ええ、転んだ彼にわたしが手を差し出すとキラキラした目で見つめて――」

マリー「『ありがとう、素敵な人。僕はアマデウスと言います。
もし、貴女のように美しい人に結婚の約束がないのなら、僕が最初でよろしいですか?』

……そう言ってくれたの! あんなにときめいたのは、生まれて初めてだったわ!」

アマデウス「まさか後世にまで伝わっているとは……悪夢だ……」

マリー「うふふ、それはそうでしょうとも。わたし、嬉しくって嬉しくって方々に広めたんですもの!」

アマデウス「君のせいか! 君のせいだったのか! 断ったクセに、なんて魔性の女なんだ!」

マリー「それは仕方ないわ。だってわたし、婚約相手は自分では決められなかったのだし。
それに――」




239: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/27(月) 19:59:59.48 ID:8d4jimxk0


マリー「その後のわたしの人生を知っているでしょう? わたしはあれで良かったの。断って良かったの」

マリー「だから貴方は音楽家として多くの人に愛される事になった。
だからわたしは愚かな王妃として命を終えた」

マリー「しょうがないの。しょうがないじゃない。だってわたし、いつだって恋に夢中なんだもの」

マリー「……わたし、きっと、フランスという国に恋をしていたのね。人々を愛さず、国そのものしか愛さなかった。
……そんな風に思い上がった女だから、最期はあんなふうに、国民たちの手で終わったのよ」

ジャンヌ「マリー、それは……」

アマデウス「……なんだそれ。馬鹿じゃないのか、君」

マリー「馬鹿なの、わたし?」

アマデウス「ああ。とんでもない勘違いだ。フランスという国に恋をしていた、だあ?」

アマデウス「それは違う。フランスという国が、君に恋をしていたんだ」

マリー「…………うん。ありがとう、モーツァルト」




240: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/27(月) 20:00:31.54 ID:8d4jimxk0


マリー「……あれ? でもそれっておかしくない? じゃあ私に恋をしてくれた人が、私を殺したってこと?」

アマデウス「ああ。人間とはそういうものだ。愛情は簡単に憎しみに切り替わる。君は愛されたからこそ、人々に憎まれたんだよ」

マシュ「……愛されたから憎まれた……恋しながら、その恋人を手にかけた……」

マリー「そっか。人間ってむつかしいのね。結局死んでも、愛には届かなかったわ……」

マリー「でも、今はそれでいいわ! 私はマリー・アントワネット、フランスに恋された女だもの!」

マリー「じゃあね、アマデウス! 行ってくるわ! 帰ったら久しぶりに、貴方のピアノを聞かせてちょうだい!」タッタッ

マシュ「あ、ジャンヌさん。連絡を一定時間ごとに取り合いましょう。カルデアの通信機をどうぞ。魔力で念話が可能になります」

ジャンヌ「分かりました。お預かりします……どうか、お気をつけて」

マシュ「そちらも、どうか……では、また」



聖人探索班

1 マシュ マリー

2 ジャンヌ アマデウス ジークフリート





241: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/27(月) 20:01:55.19 ID:8d4jimxk0



ブルース(…………)

ブルース(……口が……いや、口に何かを突っ込まれている)

ブルース(誰かに何かを咀嚼させられ、飲まされている……)

ブルース(これは毒か?)


バットマン「!!」ガバッガシィ‼

兵士C「うわああああ!! や、やめろ!! 看病してただけじゃねえか!!」ワタワタ

バットマン「……ここは……」

兵士C「お、起きるなり首引っ掴んできやがって、ビックリするだろ……ここはティエールだよ、アンタ、この宿に預けられたんだ。ツレはどっか行っちまったぞ」

バットマン「……すまなかった。助かった」

兵士C「い、いや、こっちも一回助けられた身だから何も言わねえけど……」

バットマン「マシュの……一緒にいた者の行き先は知らないか?」

兵士C「いや、何も言わずに出て行っちまったから……ただ、アンタを頼むとだけ言われて」

バットマン「……」

兵士C「何にせよ、回復したんなら良かった。起き上がれるか? 助けが要るか?」

バットマン「いや、大丈夫だ。礼を言……」


< コノッ‼ コノ、コノ、コノッ‼ ナマイキ‼ ナノヨ‼ キョクトウノ‼ ドイナカリスガ‼
< ウフフフフ。ナマイキナノハ、サテ、ドチラデショウ。
< ギャーギャー‼ ワーワー‼ オイオイケンカダゾ、シッポハエテル、ヒヲフイテル


バットマン「……礼は改めてさせてもらう」

兵士C「いーっていーって、こっちも助けられたんだ……から……」

シーン……

兵士C「き、消えた……!?」





242: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/27(月) 20:05:01.71 ID:8d4jimxk0


???「出来損ないの竜が、真の竜であるこのわたくしに……勝てるとお思いで。エリザベートさん?」

エリザベート「うーーーーーっ!! ムカつくったらありゃしないわ! カーミラの前に、まずはアンタを血祭りにしてあげる!」

バットマン(カーミラ? エリザベート? あの赤い髪の少女はまさか、あの時戦ったエルジェーベトの少女時代なのか? ならそのエリザベートと言い争っている、角の生えた女は……?)

エリザベート「この泥沼ストーカー!」

???「ストーカーではありません。『隠密的にすら見える献身的な後方警備』です」


バットマン(ストーカー……極東の雅な服装……あれはキモノか。駄目だ、歴史上で思い当たる人間は居ない……)

???「この清姫、愛に生きる女です故」

バットマン(……奴らに警戒心は無いのか……清姫。一晩を安珍と過ごし、帰って来ると約束したものの帰って来なかった彼を追い、恨みから大蛇に……そのまま、鐘に隠れた安珍を焼き殺した。その後入水自殺)

エリザベート「アンタの愛は人権侵害なのよ!」

清姫「血液拷問フェチのド変態に言われたくありませんね」

バットマン(という事は、あの赤髪はやはりエルジェーベトの少女時代。……エリザベート・バートリー……。
どうやら、未来の自分に敵意を持っているようだ。この喧嘩の発展具合によっては止め、説得してこちらの戦力に……いや、だがもう少し様子を……)

清姫「どうせ貴女のことです、アレしながらナニしてたんでしょう……?

エリザベート「ああああああああ! うるさいうるさいうるさい! 取り敢えず……殺す!」

清姫「返り討ちにさせて頂きます!」

二人「「たああああああああああ!!」」

バットマン(駄目だ、サーヴァント同士となると近隣の被害も見過ごせない。病み上がりだが行くしかない……!)




243: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/27(月) 20:06:27.27 ID:8d4jimxk0


バットマン「フッ!!」シュパパパパッ

清姫「!! シャアアッ!」ゴウ‼

エリザベート「何よ!」ガキキキィン‼

バットマン(投擲したバットラングを、清姫は炎を吐いて溶かし、エリザベートは槍で弾いたか……ふざけているように見えて、戦闘力は予想以上)

バットマン「落ち着け。今ここで争えば……」

清姫「いきなり出て来てなんですか貴方は! 猫のコスプレなんてして!」

エリザベート「そーよそーよ! 引っ込んでなさい、キャットファイトに猫は不要なのよ!」

バットマン「……」

清姫「喧嘩に混ざりたいなら話は別ですが!」シャーッ‼

エリザベート「やるっての!? じゃあやってやろうじゃない!!」キシャーッ‼

バットマン(駄目だ、完璧に頭に血が上っている。一旦落ち着かせるためにも、多少のショックを与える……どこまでやれるかは不明だが、幸いここは街の中)

バットマン「やってやろう。掛かって来い」

バットマン(建造物を利用すれば、勝ちの目はある)





244: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/27(月) 20:07:22.86 ID:8d4jimxk0


清姫「シャーーー!!」ゴゴゴウッ‼

バットマン「!」ババッ、バササササササ

エリザベート「ほんっと、逃げ足だけは一流ね! こ……のっ!!」ダンッ

バットマン「!!(凄まじい跳躍力……! 屋根の高さまで跳んだ!?)」

エリザベート「つっかまえたぁ!」ブンッ

バットマン「くっ……!」グルッシュパッ

エリザベート「なっ、マントで視界を……」グラッ

バットマン「ここだ……!」シュポッガシッ

エリザベート「きゃっ!? ちょっと、なんなのよこれ!? ま、巻き上げられて……」ギュルギュルギュルギュル

バットマン「フッ!」ドドッ

エリザベート「きゃあ!?」ゴロゴロッ

清姫「カアッ!!」ゴゴッ‼

バットマン「くっ……」バッシャァァァァァン

清姫「なかなか足掻かれますね、ただの人間にしては……」


清姫(炎を食らった瞬間、噴水の中に飛び込んだ……まさか、こちらの行動を予測尽くで動いていたとでも?)


エリザベート「ネコミミのくせして!!」ガバッ


エリザベート(ほんと何なのよアイツ……不気味すぎるわ。清姫が炎を吐くのを見越してたみたいに、私をブレスの軌道上から蹴り飛ばして……)



バットマン(…………さて、ここからどうするか。奴らの頭がどれだけ冷えたかにもよるが……サーヴァント相手の戦いというのはやりにくい……)

バットマン(……いや、待て。なんだ、この、気配は……)




ワイバーン達「「「ギャース!! ギャアアアアア!!」」」

ランスロット「Arrrrrrrrr……」

ランスロット「Arrrrrrrrthurrrrrrrrrrrr!!!!」





250: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/28(火) 22:14:16.40 ID:FFuuv2m50


バットマン「…………」スクッ

ワイバーン達「「「ゴギャアアアアアアアアア!!」」」


バットマン(上空にワイバーン多数。その内の一匹の背に乗るのは……)

???「Arrrrrrr……」


バットマン(鎧の騎士……剣を所持。兜で顔は見えない……あの存在感、間違いなくサーヴァント)


清姫「お知り合いですか?」

バットマン「……悪いが違う」

エリザベート「それじゃ、敵よね。どう考えても」

バットマン「恐らくそうだ」

ドクター『ちょちょ、ちょっとブルースくん! いつ目覚めたんだい!?』

バットマン「ドクター、あの騎士の解析を頼む」

ドクター『全くキミは、ちょっと目を離すとすぐにこれだ! 前回はトイレに行ったのかと思ってたら戦闘してるし、今回は寝てるかと思ったらよく知らないサーヴァントと並んでるし!』

バットマン「ドクター」

ドクター『わ、分かってるよ。解析解析……あの鞘に納められた剣の反応、かなり強固な霊子だ。刃こぼれには期待しない方が良さそう』

バットマン(……頑丈な剣を持つ騎士……駄目だ、候補が多すぎる)


???「Arrrrrr……Arrrrrrrrrthurrrrrrrr!!!!」バッ

ワイバーン達「「「ギャアアアアアアアア!!!!」」」バサバサバサバサッ‼


バットマン「来るぞ!」

清姫「ええ!」

エリザベート「言われなくても!」




251: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/28(火) 22:20:56.22 ID:FFuuv2m50


黒甲冑の騎士が降り立った。流麗な着地の後も数秒、彼はじっと動かなかった。

バットマンは警戒した。上空から舞い降りたワイバーン達が二人の間を荒れ狂う吹雪じみてよぎっても、二人は動かなかった。
 
 エリザベートと清姫は既に冷静さを取り戻し、街を守るための戦いを開始している。周囲では炎が舞い、エリザベートの槍が打ち振られ、清姫の扇子が踊る。

 だが、二人の騎士は動かなかった。兜のバイザーから漏れ出た赤い眼光と、マスクから覗く鋭い視線がかち合った。


 バットマンはバットラングを投擲した。だが空中で火花が散った。剣が振られ、弾かれたのだ。それを理解した時には、騎士は既に蝙蝠の眼前に居た。

「!!!」

 ブレーサーが掲げられ、振り下ろされた『それ』とぶつかり、火花を散らした。バットマンは力を受け流し、回転しながら拳を繰り出す。

 騎士は横に構えた『それ』で受けた……木の枝で。

(馬鹿な)

 折れない。頑丈すぎる木の枝に困惑したその一瞬の隙を突き、蹴りが叩き込まれた。

「ッ!?」

 石畳を破砕しながら転がって威力を流し、バットマンは高速思考する。真名。真名は何だ。あの能力は何だ。木の枝にすら圧倒的な強度を付与するあの能力は。

 それは伝説……何かの伝説に基づいた能力のハズだ。騎士の伝説……そう、例えば、拾った木の枝で、敵を打ち倒した伝説のような。

「Arrrrrrrthurrrrrrr!!」

 あの叫び。Arthur(アーサー)。アーサー王伝説に近く、拾った物で敵を打ち倒す……。

(フェロット。フェロットの策に嵌まり、丸腰で戦う事になってしまい……楡の枝で敵を倒した騎士)


 騎士が近付き、踏み込んだ突きを繰り出した。スピードがうねり、風となって周囲を走る。

 バットマンは素早く身体を起こし、膝立ち状態で木の枝を受け流していた。ブレーサーの表面で枝が滑り、火花を散らす。

(ランスロット。湖畔の騎士)

 眼光が輝いた。反撃のアッパーカットが繰り出された。




252: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/28(火) 22:25:06.66 ID:FFuuv2m50


…………

マシュ「では、私は酒場で情報の聞き込みを。マリーさんは街中の探索を」

マリー「ええ、分かったわ! ……ところで、アマデウスとジャンヌは無事かしら?」

マシュ「そ、そうですね。そろそろ連絡を取ってみましょう……もしもし、ジャンヌさん。そちらの首尾は如何でしょうか」


ジャンヌ『……ザザ……っエールから煙……ザザ……』

マシュ「ジャンヌさん? もしもし? 通信機の不調でしょうか……」

ジャンヌ『……ティエールから煙です、煙が上がっています!』

マシュ「なっ、ティエール……マスターは!? マスターは……ドクター、マスターはどうなっていますか!?」

ドクター『だ、大丈夫だ! 敵と交戦中だが、その場に居合わせたサーヴァント二騎と上手く協力して戦っている! だけど、もう少し火力が足りないみたいだ……』

ジャンヌ『今ティエールへ向かっています! もう少しで到着するのでそれまで持ちこたえるように伝えて下さい!』

ドクター『分かった! ブルースくんなら大丈夫、それよりマシュ、君もやるべき事を!』ブツッ


マシュ「マスター……」

マシュ(なんで一番大事な時に私が傍に居ないんですか……これじゃ、何も……)

マリー「マシュ? 大丈夫よ、ジャンヌはやると言ったらやるし……アマデウスも案外強いのよ? それに、私達もやるべき事があるでしょう?」

マシュ「……は、はい! 聖人の情報を手に入れ、ジークフリートさんを救います!」

マリー「ええ、行きましょう! ドラゴンスレイヤーさんを……フランスを救えるのは私達だけ、なんだから!」




253: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/28(火) 22:25:54.57 ID:FFuuv2m50


………………

マシュ「……」

マシュ(ひ、人に溶け込むためになるべく目立たない恰好を選んだのですが……このフード、ボロボロすぎますかね……)

マシュ(そ、そんな事を考えてる場合ではありませんでした! 酒場に入って、情報を集めなければ!)

マシュ「お、お邪魔します……?」

男A「……」

男B「……おい、あれ」

男C「ひゅうっ! 良い身体してるぜ、姉ちゃん!」

男D「……」ヒソヒソ


マシュ(お、お酒臭い……それに、肌に感じるほどの悪意の視線……長居は無用ですね……)


マシュ「すみません。お尋ねしたいのですが」

店主「……いらっしゃい、何にします?」

マシュ「いえ、飲み物は結構です。その、少しお尋ねしたい事が……きゃっ!?」ドッ

男A「いってえなあオイ! ぶつかりやがって、何処見てやがる!?」

マシュ「す、すみません。不注意でした」

男A「謝罪で済んだら世話ねえんだよ。責任取れや……ちょっと店の裏まで来い」

マシュ「そ、それは、その……」

男A「いいから来いって言ってんだよ!」ガシッ

マシュ「……っ……」


???「やめろ、でかい男がみっともない」

男A「あんだてめ……え……」


トゥーフェイス「……やめろって言ったんだが。聞こえなかったなら耳の風通しを良くしてやろうか?」




254: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/28(火) 22:28:11.22 ID:FFuuv2m50


男A「……ちっ、運が良かったな!」タッタッ


トゥーフェイス「三下が……お嬢さん、怪我はないか?」


マシュ(え? これは……き、気付かれてない……のでしょうか? へ、変装が効いてる?)


トゥーフェイス「……良いんだ、怪我は無かったようだな。男を代表して謝罪しとく、決してああいうのばっかりじゃあないんだ……すまんな……」


マシュ(そ、それに……この前とは人が変わったみたいに……)


マシュ「は、はい。助かりました、ありがとうございます」

トゥーフェイス「ああ、構わない。さっきのような現場を見てると、地方検事をやってた頃を思い出してな……つい、余計な正義感が頭をもたげる……いや、関係無い事だったな、お嬢さんには」

マシュ(地方検事……この方は一体……)


サンソン「トゥーフェイス、こんなところに居たのか。探させるなよ」

トゥーフェイス「良いだろうが、酒くらいは飲ませてくれ。この後の事を思うとやってられん」

サンソン「……一杯だけだぞ。それに、この付近にサーヴァントの気配がある。気を抜くな」

トゥーフェイス「ああ、平気だ。その気配も『聖人』のものだろう、さっさと片付けて戻るとしよう」

マシュ「……!」





255: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/28(火) 22:31:02.55 ID:FFuuv2m50


マシュ(駄目だ、今店主に聖人の事を尋ねたら私の正体がバレる……でも急がないと、この人達も聖人が目当て……)

トゥーフェイス「……聖人を殺す、か。いよいよもって公平さの欠片もない行いだ」

サンソン「仕方ないさ。召喚されたんだから、やるしかない。それに……殺しは問題じゃない。問題は、死が美しいかどうかだ」

トゥーフェイス「……理解しかねる」グビッ

サンソン「処刑人と地方検事じゃ、仕事が違うさ」


マシュ(……行かなきゃ。マリーさんと合流して、聖人を見つけ出して、この街を離れなきゃ)

トゥーフェイス「お嬢さん、そういえば店主に何か尋ねてたみたいだが」

マシュ「……っ……」

トゥーフェイス「いいのか? 俺達に気を遣う必要は無い、話すといい」

マシュ(どうする……この場を切り抜けるには、どうすれば……)

サンソン「……?」


マリー「マシュ、見つけたわ! この人が……」バタン‼

???「……私に用があると聞いたのだが」




サンソン「……王妃?」

マシュ「!!!!!」

トゥーフェイス「……?」




256: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/28(火) 22:32:17.08 ID:FFuuv2m50


マシュ(こうなったら!)

マシュ「やあああっ!!」ガッ‼


トゥーフェイス「なっ……」グラッ

サンソン「ちいっ!?」ドサッ


マシュ「マリーさん、逃げましょう!」ダダッ

マリー「え、ええ! そうね、そうしましょう! ゲオルギウスさん? どうかご一緒してくださいな!」ガシッタッタッ

ゲオルギウス「待ちなさい、まだ住民の避難が……待って下さい!」ズルズル


トゥーフェイス「野郎、嘗めた真似を……」ギリィ

サンソン「行くぞトゥーフェイス、追うんだ!」ムクリ

トゥーフェイス「ああ、公平さを教えてやる!」ダッ





257: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/28(火) 22:33:18.50 ID:FFuuv2m50


マシュ「……駄目です、街の外にワイバーンが大挙して……」

ゲオルギウス「……私はここに残ります。貴女達だけでも、どうか逃走を」

マシュ「で、でもゲオルギウスさん!」

ゲオルギウス「この街の市長と約束したのです。ここは守る、と」

マシュ「っ……」

ゲオルギウス「申し訳ない。たとえ大局を見失った行為だとしても、目の前の惨劇を見てみぬふりができるほど器用ではないのです」

マリー「……もう、ゲオルギウスさんったら。考え方も姿勢も、お髭まで硬い人なのね」

ゲオルギウス「なんですと?」

マリー「でも、そんなところがとってもキュート。わたし、感動しちゃったみたい」

マシュ「マリーさん……?」

マリー「逃げて、二人とも。わたしがここを守るわ、それで良いわよね?」





258: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/28(火) 22:34:51.48 ID:FFuuv2m50



マシュ「……それなら私も残ります。一人でダメでも、二人なら行けます」

マリー「ノン。駄目よ、マシュ。ゲオルギウスさんを送り届けるという役目があるでしょう?」


マリー「……それに、わたし、分かるの。今回召喚されたのは、このためだったんだ、って。今度こそ、命を懸けて、民を守るためだったんだ、って」

マリー「今度こそ……今度こそ、わたし、正しい事を、正しく行うの。この国を、フランスを守るために」


マリー「……だから、マシュ。また後で会いましょう。わたし、後で追いつくわ?」

マシュ「……っ……分かりました。後でお会いしましょう、マリーさん」ダッ


マリー「……ふう。ごめんなさい、アマデウス。ピアノ、また聴けないみたい……」ジリッ



サンソン「……ようやく会えたね、王妃(マリー)」スタスタ




259: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/28(火) 22:36:27.96 ID:FFuuv2m50


マリー「来たのね、サンソン」


サンソン「来たとも。処刑には資格がある。する側にも、される側にもだ。
僕以外に君を処刑する資格を持つ者はいない……それは君も実感しているはずだ、マリー」

マリー「……えーと、ちょっと待ってねサンソン。わたし、あなたが素晴らしい処刑人である事は知ってるわ。
だって残忍で冷酷で非人間だけど、あなたは深い敬意をもってギロチンの番をしていた」

マリー「でも、だからってあなただけがわたしを殺す資格を持つの? それっておかしくないかしら?」



サンソン「おかしくないとも。僕は処刑人の家に生まれ、処刑の事だけを教え込まれた」

サンソン「そこに妥協はない。心がけだけの話じゃない。なにより殺し方……処刑の技量にこだわった」

サンソン「いい処刑人が、罪人に苦しみを与えないのは当然だ。僕はその先を目指した」

サンソン「……つまり、快楽だ。その瞬間、まさに『死ぬほど気持ちいい』」

サンソン「僕はそんな斬首を心掛けたつもりだ。そして生涯最高の一振りが、君に向けた斬首だった」


マリー「……」



サンソン「だからこれは運命だ。僕はどうしても、もう一度君に会って尋ねたかった」

サンソン「だから聞かせてくれ、マリー」


サンソン「僕の断頭はどうだった? 君、最期に絶頂を迎えてくれたかい?」





260: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/28(火) 22:37:22.76 ID:FFuuv2m50


マリー「……あなたが本気で、心からわたしに敬意を表してくれているのはわかるわ、サンソン。
でもごめんなさい、ちょっと、それはムリ。とても口にはできない事だし……」

マリー「わたし、倒錯趣味の殿方はもう間に合っているの。申し訳ないけど、二度目の口づけは受けられないわ」

サンソン「うん、知ってる。でもきっと君は喜んでくれるよ。だって僕はあの時より、もっと巧くなった……」

サンソン「だからこそサーヴァントとして召喚された。君にもう一度、最期の恍惚を与えよう……!」




261: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/28(火) 22:38:14.42 ID:FFuuv2m50


…………

バットマン(ワイバーンはほぼ片付けた。あとはランスロットだけだ。だけだというのに)


ランスロット「Arrrrr!!!」

バットマン(いまひとつ、有効打がない……!)


バットマン「エリザベート! 躱せ!」

エリザベート「え? きゃっ!?」

ワイバーン「ゴアアアァァァァァァ!!」バサッ

清姫「この、しつこい……!」ゴッ

ワイバーン「ア……アァ……」ドサッ


バットマン(よし、これで全てのワイバーンを殲滅完了だ。あとはランスロット……何だ、この威圧感は……)


ランスロット「Arrrrr……Arrrrrrrrr!!!!!」


バットマン(嫌な予感がする)

バットマン「エリザベート! 清姫!! 伏せろ!」

エリザベート「なんなのよぉ!」バッ

清姫「えっ……」オロオロ

バットマン「くっ……」ガシッドサッ

清姫「え!?」ドサッ


ランスロット「Arrrrrrrrrrrrrthurrrrrrrrrrrrrrrrrr!!!!!!」ドドドドドドドドドドドドドドドドドド‼‼‼


バットマン「くっ……(ガトリングガンだと……? 時代錯誤にもほどがある……!)」チュゥン‼ チュィン‼

エリザベート「もーサイアク! 何なのよアイツ……キャッ!?」チュンッ‼


バットマン(駄目だ、凌ぎ切れない……)チュインッ‼


「『リュミノジテ・エテルネッル』!!」グォォォォォォォン


バットマン「!!」

ジャンヌ「遅れました!!」

アマデウス「無事だね、よし!」

ジークフリート「すまない……遅れた原因だ」


エリザベート「なんだか知らないけど反撃よぉーっ!!」

バットマン「……」ムクッ


ランスロット「Arrrrrrrrrrrr!!!!」シュウゥゥゥゥゥゥゥ……





262: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/28(火) 22:40:25.83 ID:FFuuv2m50


…………

ジャンヌ「はあっ……はあっ……や、やった……」

ランスロット「Arrrrrr……A……王よ、どうか私を……」シュウシュウシュウ……ドシャッ

ランスロット「……」シュゥゥゥゥゥゥゥ……


バットマン「……」

ジャンヌ「ご無事で何よりです」

バットマン「ああ。礼を言う。……マシュは何処に?」

アマデウス「マシュくんならマリアと一緒に行動してるよ、今は聖人を探して探索してると思うね」

バットマン「聖人……?」

ジークフリート「俺の呪いを解くための手段だ」

バットマン「……」

ジャンヌ「ええと、この人はドラゴンスレイヤーのジークフリートさんです。
ですが、彼は呪われていて……その呪いを解くには、私ともう一人の聖人が必要。なので今、その方を捜索しているのです」

バットマン「成程。マシュとマリー・アントワネットはそれを探しに行ったと……」

アマデウス「うーん……? この足音、噂をすればってヤツかな? マシュくんじゃない?」


マシュ「……マスター!」タッタッ


バットマン「マシュ。無事だったか」

アマデウス「マリアはどうした?」

マシュ「っ……それが……」





263: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/28(火) 22:42:04.81 ID:FFuuv2m50



サンソン(そんな、バカな……どうして僕が打ち負ける……!?)

サンソン(あの時から何人も殺して、何倍も強くなったのに、どうして……!?)


マリー「……やあっ!!」ガガッ‼

サンソン「くっ……」ドサッ


マリー「哀しいわね、シャルル=アンリ・サンソン。再会した時に言ってあげれば良かった」

マリー「あの時、既にあなたとの関係は終わっていたって……だって、本当に、貴方の刃は錆びついていたんだもの」

マリー「あなたは……」ドシュゥ


マリー「っぐ……」


トゥーフェイス「茶番は終わりだ、さっさとケリつけろサンソン」カチャリ

サンソン「トゥーフェイス……手を、出すなと……!」ギリッ

トゥーフェイス「いつまでもやられてるからだ。やれ、膝を撃ち抜いた。その女はもう立てねえ」

サンソン「……」スクッ、ガチャ


マリー(ああ、もう。最期まで思い通りにならないものね。
……でも、満足よ。きっとマシュはやり遂げる。マシュと、アマデウスと、ジャンヌと……ネコミミのあの人は、強いもの)


サンソン「真っ白な顔、真っ白なうなじまで、何一つ同じだ。同じなんだ、マリー。
でも、僕は強くなった。今度こそ、君を満足させてあげられるから……」グッ……


マリー「……サンソン。お馬鹿さんなんだから……」


サンソン「……だから、今度こそ、僕は失敗しない」


ヒュッ

ドシュッ





264: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/28(火) 22:43:05.77 ID:FFuuv2m50


…………

アマデウス「そうか。そう言って残ったのか。んー、なら仕方ないか……あ、気にしなくて良いよ。僕らがいたとしても彼女はそうしただろうし。
マリアは限りのない博愛主義者だからなあ。そういう生き方で、そういう死に方をする女だよ」

アマデウス「……それより、早くジークフリートの呪いを解いてやったら?」

ジャンヌ「は、はい!」


マシュ「アマデウスさん……」

アマデウス「いいんだって。こうなるってわかってたし。ほら。マリア、ピアノの話をしていただろ?

あれはさ、彼女なりの別れの言葉なんだ。生前、一度も叶わなかったからね……ピアノを聴かせて、なんて言われたら僕としては止めようがないさ」


アマデウス「でもまあ、二度目の別れは堪えるね。一度目より辛い。もう出会えないかと思うと余計にだ」


アマデウス「……ま、ともあれ、ちょっと疲れたな。しばらく席を外すから、出発の時は声を掛けてくれ」

マシュ「待っ……」

バットマン「マシュ」

マシュ「マスター、でも……」




265: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/28(火) 22:44:38.70 ID:FFuuv2m50


エリザベート「いいじゃない。誰だって一人になりたいときはあるわよ」

清姫「そうです、マシュとやら。男心が分かっておりません」

マシュ「そうですね。それはそれとして。

……何でいるのですか?」

エリザベート「別にいいじゃない。ねえ?」

清姫「わたくしたちがいて、何の不満が? 戦闘も手伝って差し上げますのに」

マシュ「はあ、それは有難いことですが……」


清姫「ところでマスター」

バットマン「……」

清姫「仮ですが、マスター契約を結んで下さいますか?」

バットマン「…………」

清姫「ええ、小指を出して下されば十分です」

バットマン「………………」

ガシッ……ミキミキミキミキ……

バットマン「……………………」グググググ

清姫「…………ゆーびきーりげーんまーんうそついたらはりせんぼんのーますー……」ググググググググ……

マシュ「えっ……」

清姫「これで契約完了です。
マスター契約は絶対なので、以降わたくしに嘘をついた場合、針を千本呑んで貰います。
よろしいですね? それでは、よろしくお願いいたします」パッ

バットマン「……」ジリッ


マシュ(どう見ても小指で鍔迫り合いをしていたような……)





266: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/28(火) 22:46:18.46 ID:FFuuv2m50


…………

マシュ「マスター、ジャンヌさんたちがジークフリートさんの解呪に成功したそうです!」

ジャンヌ「ええ、成功しました。……マリーのおかげです。やはり、ひとりではうまくいかなかったでしょう」

ジークフリート「……よし、動くようになった。骨を折ってもらって申し訳ない。そして、感謝しよう。これより、この身は剣であり、盾だ。
真名ジークフリート。竜を殺す以外には能の無いサーヴァントだが、使ってくれれば光栄だ」


ドクター『よし、これで可能な限りの戦力は揃った訳だ』

マシュ「そうですね、マスター」

バットマン「ああ。次はオルレアンへ攻め入る」

マシュ「はい、了解しましたマスター!」

エリザベート「……ふん。そういうコトなら手伝ってあげてもいいわよ、ネコミミ」

清姫「あらエリザベート。わたくしの旦那様(マスター)にネコミミとは失敬ですよ」

エリザベート「……アンタいま、とんでもない変換しなかった……?
ま、まあいいけど。わたしはそんな安いドラゴンじゃないし。とっておきのマスターにいつか必ず出会うんだし!」

清姫「あら。ヒン曲がっているのは頭の角だけじゃないのね。見果てぬ夢を見ているなんて、頭の中は大丈夫?」

エリザベート「見果てぬ夢じゃないってーの! これは確信! 確信だから! 
きっとわたし好みの、わたしを大好きになってくれる、子ブタみたいなマスターと出会えるんだってば!」

清姫「はいはい、今日も頭は日本晴れですねぇ」


バットマン「…………」


ゲオルギウス「……賑やかで結構ですな、こちらの陣営は。もちろん、助力させていただきます」

アマデウス「おっと、もう出るのかい? じゃあ僕も付き合うよ、ここまで来たら最後までだ」


ジャンヌ「……今の私は、力無きサーヴァントです。それでも、この世界を守りたいと願っています。どうか、共に戦って下さい」

バットマン「……ああ、それが役割だ。こちらこそ、手を借りる」

ジャンヌ「……ええ、勿論! よろしくお願いします!」




267: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/28(火) 22:48:02.15 ID:FFuuv2m50


ジャンヌ「今夜はここで野営を取りましょう。明日の決戦に備えて」

バットマン「……」

マシュ「マスターは休んでいて下さい。私は見張りを」

アマデウス「あ、なら僕も行くよ。耳の良さには自信があるからね」

ジャンヌ「では、私は水を汲みに……」


バットマン「……」カチャリ……シュポッガシッ

バットマン「フッ!」ギュルギュルギュルギュルッ‼

――――

バットマン(恐らく、ここが森で一番高い木の上だ。そして、明日の戦場が一望できる……)スタッ


バットマン(……凹凸の少ない平野だ。だがくぼみが無い訳ではない。なら究極の竜種とやらの炎も少しは防げる……問題はどこが主戦場になるか、だ)

バットマン(……戦線が全て維持できるなどと期待してはならない。すべての戦線に、常に最悪を想定する……
もし、あそこに構えたラインが消えたなら……あそこのラインが敗走を開始したなら……ドラゴンスレイヤーが消えたなら……裏切りが、発生したなら?)

バットマン(……すべての可能性への対策は、必要だ)ギシッ……





268: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/28(火) 22:50:51.01 ID:FFuuv2m50


マシュ「……」

アマデウス「~~~♪ ~~~~……
どうしたんだい、浮かない顔じゃないか。明日の決戦を前に、悩みでもあるのかい?」

マシュ「い、いえ……ただ、マスターに信頼されてるのかというのが、どうしても気になってしまって……
私、大事な時にマスターの傍を離れてしまいましたし……それに、何処かよそよそしい感じがするというか、何と言うか……」

アマデウス「……成程。まあ、傍から見ててもよく分かる程度にはあのマスターも偏屈な奴みたいだしね」

マシュ「そんな事は……いえ、否定できません」

アマデウス「そうだろう? 猫のコスプレをして中世をうろつく人間なんて、ちょっと正気を疑うよ」

マシュ「……」

アマデウス「まあ、信頼なんて依存の裏返しさ。悪い事とは言わないが、そこにはデメリットだってきっと付きまとう。
彼は多分、そういったものから何かを守ろうとしてるんだよ」

マシュ「守ろうとしてる……いったい、何をでしょうか」

アマデウス「……そこは分からないなぁ。彼には彼の世界がある訳だし。
ただまあ、理由の無い行動ってのは絶対にしないタイプだろうね、アレ。一種の狂人だよ、僕とは別ベクトルの」

マシュ「……」

アマデウス「……だからまあ、君が不安に思うのも分かる。彼も恐らく、どうしたら良いか分かってないハズだ。
君が味方だと心で分かっていても、頭の中では何千通りも裏切られるイメージが浮かんでるんだと思う。人間の善性というヤツを根本から信じられないんだ。
……うん、こう言うと僕に並ぶくらいには屑っぽいな」

マシュ「どうしたら……」

アマデウス「……うーん。それは僕には難しい問いだ。
だって僕も屑だからね、同じ屑を救う方法なんて、分かってたらとっくに自分で実践してるし」

マシュ「…………」

アマデウス「……大丈夫、あのマスターは悪いヤツじゃないさ。
途轍もなく不器用だろうけど、決してそれは悪い事じゃない。君が手を差し伸べれば、必ず応えは返るはずだ」

マシュ「……はい。ありがとうございます。……すみません、こんな事を聞かせて」

アマデウス「良いのさ。これが終わったら僕の愚痴も聞いてもらうとするよ、主にマリアとかその辺のね……」





269: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/28(火) 22:51:43.05 ID:FFuuv2m50


オルレアン決戦前夜

人理守護側戦力

バットマン
マシュ
ジャンヌ
アマデウス
ジークフリート
ゲオルギウス
清姫
エリザベート


人理焼却側戦力

ジャンヌ・ダルク(黒)
トゥーフェイス
ジル(黒)
ヴラド三世
エルジェーベト
サンソン
ファヴニール
デオン



281: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/30(木) 21:39:44.87 ID:sSo3P/wF0


………………

黒ジャンヌ「……ふぅん、ケチな王妃一人を殺して逃げ帰って来たと」

トゥーフェイス「フン……」

サンソン「……」ギリッ……

黒ジャンヌ「まあ良いでしょう。所詮、生きていても虫けら以下の足掻きしかできないような連中です。所在さえ掴められれば……」

黒ジル「ジャンヌ、どうやらセイバーが戻って来たようです」

黒ジャンヌ「……セイバーが?」


デオン「帰還したよ」

黒ジャンヌ「何かしら。あなたには南東部の捜索を任せていたハズだけど」

デオン「奴らの居場所を特定した。オルレアンからすぐ南の森に潜伏してる。どうやら明日あたり、決戦を仕掛けて来る腹積もりのようだ」

黒ジャンヌ「……へえ?」




282: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/30(木) 21:45:58.95 ID:sSo3P/wF0


黒ジャンヌ「ここで出て来たという事は、勝算があるということね……」

デオン「ああ。だがキミも、決戦なら望むところだろう? あちらも、こちらも、戦力は随分と揃ったようだ。凄絶な戦いになるだろう」

黒ジャンヌ「楽しそうね?」

デオン「楽しいさ。何しろイカれてるからね、頭が。私としては、滅ぼすのもいいし滅ぼされるのも良い」

黒ジャンヌ「フン……ジル。すべてのサーヴァント、竜を呼び戻して。決戦に備えるわよ」

黒ジル「畏まりました。フランスに散った竜という竜を、サーヴァントというサーヴァントを招集しましょう」




283: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/30(木) 21:50:46.66 ID:sSo3P/wF0


黒ジャンヌ「……我々が勝てば、世界は滅びる。たとえ負けたとしても、それでどうなるものでもない」

黒ジャンヌ「世界はとうに終わっている。ここを修繕したところで、先は果てしない旅路だ」

黒ジャンヌ「それでも。……それでも、世界を肯定するのか。彼らとジャンヌ(わたし)は」


黒ジャンヌ「ならば、私は世界を叩き落す。この世界を繋がせはしない」

黒ジャンヌ「それが私の望み、そしてジルの望み。……そう、その筈。それが、私の望みの筈だ……」





284: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/30(木) 21:52:06.05 ID:sSo3P/wF0


「……」

「……」

「……彼女の、首を斬った時。僕は彼女の顔を見られなかった」

「……」

「僕は怖かった。自分が必死に、否定できない何かを否定しようとしている気持ちになっていた」

「……」

「……お前は、死が公平であるべきだと言ったな」

「……ああ、そうだ。死は公平に、裁きは公平に。俺達は皆、運の中でだけ平等だ」

「……僕は、運命があると思っていた。世界は運ではなく、もっと大きな流れの中にあるのだと。僕と彼女の世界は、そうあるべきだと思っていた。
だって、僕の……僕の、人生の一振りだったんだ。最高の一振りで、だから、僕は」

「……結局、俺達は損な役回りだったのさ。割り切れよ」

「……ひとつだけ、頼みがあるんだ」

「言ってみろ、聞いてやる」

「明日の決戦を、そのコインで占って欲しい」

「――あぁ、良いとも。俺も知りたいと思ってた。行くぞ……」キィン





285: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/30(木) 21:53:33.13 ID:sSo3P/wF0


バットマン「……ドクターによる地形計測に目測の修正を少し加えた結果、最終的な地形図はこうなった」

ジークフリート「成程、この地形……それなら、戦力は固めず、面のように広がって……」

バットマン「いや、それだと分断された時に囲まれる危険がある。むしろここは二手に分かれて動いた方が……」

ジークフリート「しかし、相手の出方が分からない以上……」

バットマン「……ある程度、サーヴァントとしての能力に寄りかかる戦い方もできる。だがそれは一人に対して一騎当千の働きを強いてしまいかねない」

清姫「あら旦那様、わたくし、少なくともその辺に居る雑魚ワイバーンなどよりよほど腕が立ちますよ? 心配して下さるのは有難いですが」

エリザベート「あ、ネコミミ。アタシ、ちょっと殴り合わなきゃ駄目なヤツが居るからそのつもりでよろしく」

バットマン「……未来のエルジェーベトか」

エリザベート「そーそー、年取った方のアタシ。……なんか分かりづらいからあっちの事は『カーミラ』って呼ぶわね」

バットマン「カーミラをやれるのか、一人で」

エリザベート「バカにしないでよね、泥啜ってでも殴り勝つわよ」


ジャンヌ「……わたしは……もうひとりの私をやります」

バットマン「勝てるのか」

ジャンヌ「……えぇ。必ず勝ってみせます」

バットマン「……そうか」


ジークフリート「……こう言っている以上、集団もそう多くは作れない」

バットマン「なら面攻撃か。次の問題はファヴニールの配置場所だが……」

ジークフリート「妥当な場所としては……」

バットマン「しかし、この位置だと……」





286: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/30(木) 21:54:59.55 ID:sSo3P/wF0


バットマン「……では、これで行こう」

ジークフリート「よし。朝日が昇り始めた。丁度良い、このまま進撃の準備をしよう」

ジャンヌ「……」スゥスゥ

清姫「……」シーン……(狸寝入り)

エリザベート「……」グゴォォォォォギリギリギリギリ


バットマン「……起きろ、そろそろ移動を開始するぞ」





287: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/30(木) 21:56:00.31 ID:sSo3P/wF0


マシュ「おはようございます、マスター!」

アマデウス「おはよう、快晴だね」

バットマン「何事も無かったか」

マシュ「はい! 無事に一夜を切り抜けました!」

アマデウス「うん、静かだ。昨日から不自然なほどにね。多分、あちらも決戦の準備を整えてるんだろう」

バットマン「……そうか」

ジャンヌ「うぅん……おはようございます」コシコシ

エリザベート「くわぁ~……」

清姫「おはようございます、旦那様」

ゲオルギウス「うむ、準備万端だ」


ジークフリート「このまま森を迂回、平野で一度戦線を組むことになるだろう。
……戦闘の準備は怠らないでくれ。ここからは引き返せない」

バットマン「……ああ」


バットマン(さあ、どう来る)





288: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/30(木) 21:56:38.80 ID:sSo3P/wF0


ジークフリート「……そろそろ森を抜ける……見え始めたな」

マシュ「…………あれが、フランス中のワイバーン達……そして、ファヴニール……人理を、焼こうとする者達……」ゴクリ

バットマン「……行くぞ、マシュ。この世界を救う」

マシュ「……はい!」





289: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/30(木) 21:57:43.27 ID:sSo3P/wF0


黒ジャンヌ「あら、来たのね。尻尾を巻いて逃げ出すと思っていましたが」

ジャンヌ「ええ、来ました。貴女を止め、世界を守る。散っていったひとりひとりの仲間のためにも」

黒ジャンヌ「……」


バットマン「…………」

トゥーフェイス「よう、脇腹に開けてやった穴は痛むか? もう一発ぶち込めば楽になるぜ」

バットマン「お前達を止める。未来は取り戻す」

トゥーフェイス「できっこねえさ、壁は俺達だけじゃねえんだぜ?」

バットマン「すべて乗り越える。お前達はひとつめに過ぎない」


デオン「すまないな、名も知らぬ盾の騎士よ。本意ではないのだが、やはり剣技は所詮殺しの技術だ。君を殺したい衝動を抑えられそうにない」

マシュ「……そのための盾です。どうぞ遠慮なく、打ち込んで下さい。私が止めます」

デオン「期待しているよ。……どうか、止めてくれ」


ジークフリート「……死を跨ぎ、三度もまみえるとはな。よほど俺達の因縁は深いらしい」

ファヴニール「……」

ジークフリート「決着をつけるとしよう。ここで終わらせてやる」


サンソン「……」

アマデウス(うわあ、一番面倒なのに当たっちゃったな……いや、わざわざこっちに来てたから、あっちはそのつもりだったのか?)

サンソン「……マリーは、僕にとって特別な人だった」

アマデウス「……そうか? 君にとっては単なる処刑対象の一人じゃないのか?」

サンソン「黙れ! 僕は! マリーを……マリーを、今度こそ……!」ギリリッ

アマデウス「フン、笑わせないでくれ。マリアは君だけの特別じゃあない。
……僕にだって怒りというものはある。特別だ、開幕から終幕、アンコールまでたっぷり聴かせてやるさ」


エリザベート「……」

カーミラ「……ああ、嫌。嫌ね、本当に嫌だわ。目の前を飛ぶ蠅みたい、叩き潰して捨ててやりたいわ」

エリザベート「悪いけど、叩き潰されるのはアンタだから。覚悟しなさいよ、年増になんて絶対に負けない」

カーミラ「……このガキ」ピキッ


ヴラド三世「おお、その魂の輝き! 貴様の如く若き者こそ、我が槍が屠り、その血を啜るにふさわしい!」

清姫「あらあら、全く。血液趣味のド変態など、一人も居れば十分です。
どうか、抵抗なさらず。すぐに串焼きにして差し上げます」ニコッ


ゲオルギウス「……」

ワイバーン達「「「グルルルルォア……」」」





290: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/30(木) 22:00:24.27 ID:sSo3P/wF0



ワイバーン達「「「ゴギャアアアアアアアアア!!!」」」





291: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/30(木) 22:01:41.66 ID:sSo3P/wF0



 その瞬間、聖女は走り出した。ほぼ同時に魔女も走り出す。二人の間にあった距離が縮まって行く。

 
 黒ジャンヌの後方から光弾が飛んだ。敵の支援射撃を、ジャンヌは走りながらの旗の一振りで打ち払った。逸らされた魔法は地面を抉り、土くれが弾け飛ぶ。

 同時に、ジャンヌの後方からも炎の塊が飛んだ。黒ジャンヌは鼻で笑い、旗で切り裂いて駆け抜ける。黒聖女の後方、切り裂かれた炎弾が爆発する。

 瞬間の静寂。踏み込みが地面を砕き散らす。二人の旗がぶつかる。火花が散る。

 一瞬遅れ、全軍が衝突。混沌が、戦争が始まった。





292: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/30(木) 22:03:46.42 ID:sSo3P/wF0


トゥーフェイス「どうした、まだウォーミングアップ中か!?」パァンパァン

バットマン「くっ……」バッババッ


マシュ「マスター、下がって……!」

デオン「余所見か、余裕だね!」ヒュンヒュンヒュンッ

マシュ「っ……」ガガッガッ


ジークフリート「ハァッ!」

ファヴニール「グオォォォォォォウル!!」ドォッ

ジークフリート「ちいっ」ダダッ

ワイバーン達「「「シャアッ!!」」」バサバサッ

ジークフリート「この……」


ゲオルギウス(駄目だ、ワイバーンの数が多すぎる! 手が回らない!)ズバッ‼ドシャッ‼

ワイバーンT「ゴアアアアアアア!!!」
ワイバーンU「ギャアアアアアアア!!」
ワイバーンV「ギギアアアアアアア!!」

ゲオルギウス(単純な物量で押し寄せられては……太刀打ちが出来ん!!)


黒ジャンヌ「こっちが押し気味じゃないの! 今のうちに降伏しとけば!?」ガガンッ‼ガインッ‼

ジャンヌ「いいえ、いいえ! 断ります! 世界が焼かれるのを伏せって見ているより、立って戦う事を選ぶ!!」ギィン‼ギャリィン‼

黒ジャンヌ「アンタたちが戦おうと戦うまいと、どうせ世界は焼かれるのよ! 
ジャンヌ(わたし)が死ぬのを見捨てた、こんな世界ですら末端に過ぎない! アンタも分かってるでしょう! 私達を倒したところで、根本的な解決には……」ガッギィィィィ‼

ジャンヌ「なら、私の敵は貴女の中の『諦め』です! 
世界は腐っていない! 人間は腐った部分だけではない! 必ず光の部分がある! 私はそれを信じます!」ギャギャギャッガァン‼


バットマン(……しかし、このままでは物量負けするのも確かだ。何処かに巻き返しの要素は無いか……)


???「騎兵隊、構えー!!! 突撃!!」

兵士達「「「うおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」


ジャンヌ「……!! ジル!!」




293: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/30(木) 22:05:15.48 ID:sSo3P/wF0


ジル「ワイバーン達はお任せを! 必ず片付けます!」

兵士A「負けてたまるかァァァァァァ!!」

兵士B「押せ、押し切れ!!!」

兵士C「やっちまえええええええ!!!」



マシュ「……皆さん、あの時の……!」

ゲオルギウス「手が空いた! 助太刀に来たぞ!」

マシュ「助かります!」

デオン「ふっ、二対一でも譲る気はないさ!」ヒュォンッ



トゥーフェイス「ハン、こんな戦場に駆り出されるなんざ運の悪い連中だぜ。ひとりずつ、撃ち殺して……」カチャッ

バットマン「……」ヒュッ

トゥーフェイス「おっとぉ!」ザザァッ‼

バットマン「お前の相手は私だ」

トゥーフェイス「大口叩きやがる!」パァン



サンソン「ぐあああああああ!! うぐああああああああ!!」

アマデウス「まだまだ第一楽章だ、倒れられたら困るな! ここからが楽曲の真骨頂さ!」グォォォォン‼

サンソン「ぐ……うグ……」

サンソン(きょ、狂化が……これ以上精神攻撃を受ければ、理性のタガが外れる……)ガクガクガクガク






294: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/30(木) 22:06:23.57 ID:sSo3P/wF0


マシュ「やあっ!」ズガッ

デオン「!! くっ」ズサアッ

ゲオルギウス「ここで仕留める……! 『汝は竜、罪ありき!』」

デオン「しまっ……」

ゲオルギウス「『力屠る祝福の剣(アスカロン)』!」ズガガガッ‼

デオン「ぐあっ……っまだだ! 王妃に認められた者として、私はまだ終われない……!
『王家の百合、永遠なれ……』」グググググッ

マシュ「ゲオルギウスさんっ、危ない!」バッ

デオン「『百合の花咲く豪華絢爛(フルール・ド・リス)』!」ギュオオオオオオオオ

マシュ(……っ……力が、入らない……盾を支えていられないほどの脱力……これは、呪い!)



トゥーフェイス「どうやらもうすぐ佳境だな、この戦場も! こっちもそろそろ終わらせるか!?」ブゥン‼

バットマン「うぐっ……」ガッ、ドサァ……

トゥーフェイス「『ジャッジだ』!」




295: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/30(木) 22:09:22.33 ID:sSo3P/wF0



 マシュはその叫びを聞き、後ろを振り向いた。

 彼女のマスターがトゥーフェイスの宝具に縛られ、立ったまま苦悶の表情を浮かべているのを。二面の怪人が懐からコインを取り出すのを。

「テメエの罪はここで決まる。生存か、死刑か。陪審員の皆様はどうぞ静粛に……」


 マシュは殆ど考える猶予も無く、ブルースの前に立った。未だデオンの宝具影響下にある彼女は、盾を構えられるほどの力が肢体に籠らない。

 だが、それでも、背後に庇ったマスターは、命を懸ける価値があるのだと思えた。覚悟に唇を引き結んだ。

 
 トゥーフェイスは一瞬驚いたような表情になり、すぐにまた、諦めたように冷酷な顔に戻った。


「公平な、裁きの時間だ」


 キィン……コインが弾かれ、回転して宙を舞った。



 その音は、アマデウスの演奏を切り裂き、サンソンの耳に届いた。サンソンは理性がほぼ消し飛んだ瞳で、それを見た。マスターを庇って立つマシュを。かつて二度処刑した王妃と同じ、真っ白な顔を。


 その瞬間、卑怯な自己擁護を繰り返していたサンソンの理性は吹き飛び、ただ、自分は間違っていたのだという、どうしようもなく決定的な結論だけが、彼の剥き出しの心に突き刺さった。気が付けば彼は走り出していた。


 トゥーフェイスはコインをキャッチし、掌のそれを見た。そして溜息を吐き、銃を向けた。


「……あばよ、お嬢さん」


 二面の怪物は発砲した。

 弾丸は真っ直ぐマシュを狙って飛び……飛び込んできた影が、それを受け止めた。サンソンだった。彼の心臓を貫き、弾丸は止まった。


 トゥーフェイスは驚いたような表情でそれを見ていた。横からゲオルギウスに斬り付けられ、膝をついた時も、地面に倒れたサンソンをじっと見詰めていた。


「……たち、間違ってたんだ、僕達、間違ってたんだ……トゥーフェイス……トゥーフェイス、僕達、間違ってたんだよ……トゥーフェイス……」

 嗚咽混じりの声が漏れる。トゥーフェイスは呆れたように溜め息を吐き、やがて仰向けに倒れた。底抜けの青い空が彼を見下ろしていた。

「……そんな事は、分かってんだよ……」

 誰かが呟いた。悪人は、それが自分の口から出た言葉だと気付き、苦笑した。






296: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/30(木) 22:11:53.79 ID:sSo3P/wF0


バットマン「……」

マシュ「――デオン、トゥーフェイス、シャルル・アンリ・サンソン。消滅しました」


清姫「ファイヤーーーー!!」ゴゴウッ‼

ヴラド三世「ぐっ……」ボボボボッ

兵士達「「「撃て! ご婦人の援護に回れ!!」」」

ヴラド三世「おのれ……」シュウシュウシュウ


エリザベート「この!! 年増! アイドルは若いのがセンターやるって決まってんの!」ガッゴッガガッ

カーミラ「フン、大人の魅力を知らないなんて可哀想なちんちくりんですこと! 精々吼えてるが良いわ!」ギャンッギャリッギギギギッ‼

兵士達「「「耳栓を用意しろ! 一応、あの大人の方が敵だ!」」」


ファヴニール「グオォォォォォォル……」シュルシュルシュルシュル……

ジークフリート「……言ってなかったが、ここで終わりだ。『邪悪なる竜は失墜し、世界は今落陽に至る。撃ち落とす』……」

ファヴニール「ゴアアアアアアッ!!」ゴゴゴゴゴゥッ‼‼

ジークフリート「――『幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)』!!」ジュゴゴゴゥッ、ズバァァァン‼

ファヴニール「……ゴ……ガ……」ドッサァァァァァン

ジークフリート「……さらばだ、ファヴニール」





297: ◆GmHi5G5d.E 2017/11/30(木) 22:13:33.62 ID:sSo3P/wF0


黒ジャンヌ(趨勢は決まりつつある……このままでは負ける)

黒ジル「ジャンヌ! 一度砦へ撤退を! 新たなサーヴァントを召喚し、立て直しましょう!」

黒ジャンヌ「ジル……ええ、ここからでも十分巻き返せる……聖杯さえあれば!」ダダッ


ジャンヌ「待ちなさ……」

ワイバーン達「「「グギャアアアアアアアアス!!!」」」

ジャンヌ「くっ」

バットマン「ワイバーンを突破し、追うぞ。焦りで足並みを乱すな。このメンバーで突入する」

ジャンヌ「っはい!!」

マシュ「いきます!!」





301: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/02(土) 20:17:38.61 ID:9GE5vrzP0

 彼女が死んだのは、世界の冷たさゆえである。



 両親が死んだのには何の理由も無い。


 
 人の為にと立ち上がった彼女は、人がゆえに殺された。



 私の為にと立ち向かった両親は、私が原因で殺された。



 だからこそ、私は世界を憎む。世界は何一つ、彼女を顧みなかったのだから。



 だからこそ、私は自身を憎む。闇の中で震え、世界を変えられなかった自分を。


 



302: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/02(土) 20:24:11.12 ID:9GE5vrzP0

…………


黒ジル「ファヴニールは滅び、ワイバーンたちもこのままでは……」

黒ジャンヌ「わかっています。新たなサーヴァントを召喚しましょう」

黒ジル「おお! 私が時間稼ぎを受け持ちます、ゆるりと強力なサーヴァントを召喚なされるとよろしい。
そうですね……騎士王などはいかがでしょう?」ニコリ

黒ジャンヌ「……イングランドの騎士が召喚に応じるとは思えませんが。やるだけはやってみます。その間の守りは任せましたよ、ジル」

黒ジル「勿論です。では、行ってくるとしましょう」

黒ジャンヌ「武運を」

………………


バットマン「……砦の門を開く! 突入するぞ!」

マシュ「はい!!」

ジャンヌ「行きます!!」




303: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/02(土) 20:31:22.68 ID:9GE5vrzP0

バットマン(……血の匂い。腐敗臭。これは……)


ゾンビ達「「「ぁー……」」」ガチャ、ガチャ

マシュ「くっ……ゾンビ兵です! 死した兵士が魔力によって操られています! それに……あ、足場が悪すぎる……」

ジャンヌ「破壊の痕跡をそのまま城の護りにしている……?」

バットマン「注意しろ、少しの過負荷で崩壊が起こる! フッ!」ガシッドシャア‼

ゾンビA「ぅぁー……」グッタリ

マシュ「ますた……」


 ブォンッ


マシュ「!!」ガキィン‼

黒ジル「――おやおや、お久しぶりですな」

マシュ「……!」



304: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/02(土) 20:34:46.01 ID:9GE5vrzP0

ジャンヌ「ジル……!」

黒ジル「まさかファヴニールを倒し、このオルレアンまで乗り込んでくるとは……」


黒ジル「正直に申し上げまして、感服致しました」


バットマン「……」


黒ジル「しかし! しかしだ! ああ、聖女よ! そしてその仲間たちよ!」


黒ジル「何故私の邪魔をする!?」


黒ジル「私の世界に土足で入り込み、あらゆるモノを踏みにじり、
あまつさえジャンヌ・ダルクを殺そうとするなど!」




305: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/02(土) 20:39:58.21 ID:9GE5vrzP0

ジャンヌ「……その点に関して、、私はひとつ質問があるのです」


ジャンヌ「ジル・ド・レェ。彼女は本当に、ジャンヌ(わたし)なのですか?」


バットマン(……? ……!!)


黒ジル「……何と、何と何と何と許せぬ暴言!
聖女とて怒りを抱きましょう、聖女とて絶望しましょう!」

黒ジル「あれは、確かにジャンヌ・ダルク。その秘めたる闇の側面そのもの!」


バットマン(……そういう事だったのか。ようやく事のあらましが読めたぞ……)

ジャンヌ「――そうですか。ではいずれにせよ、闇ではない私は彼女と対決しなければ」

黒ジル「ジャンヌ。たとえ貴女といえども……その邪魔はさせませんぞ!」クワッ


ゾンビ達「「「ぁー……」」」ガシャ、ガシャ


マシュ「敵、来ます! マスター!」

バットマン「やるぞ。ここで止める」

マシュ「はい!」

ジャンヌ「ええ!」




306: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/02(土) 20:53:38.82 ID:9GE5vrzP0

バットマン「フッ!」ドドッ

ゾンビB「あぁー……」バタッ


バットマン「……ハァッ!」ガガガッ

ゾンビC・D「「ぅああぁ……」」ドササッ


バットマン(動きは鈍い……対処は可能。問題は……)

ゾンビB「ぁー……」ムクリ

バットマン(……何度倒しても起き上がって来る。きりがない)

バットマン「……良いだろう」カチャッ、プシュー……



マシュ「やあっ!」ヒュゴッ

黒ジル「ぐぅっ……」ズザザ


ジャンヌ「はあぁっ!!」ブンッ

黒ジル「ぬぐ……まだだ!」ゴオッ

ジャンヌ「しまっ……」


マシュ「危ない!」ガァン‼


黒ジル「チィ……」

黒ジル(この盾の少女……厄介だ。このままでは押し負ける……)

黒ジル「かくなる上は……」


バットマン「……させん!」バッ、バサササササササ……ドドッ‼



307: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/02(土) 21:03:00.08 ID:9GE5vrzP0

マシュ「マスター!?」


バットマン「フッ!」ヒュゴッ

黒ジル「チィッ、貴様は何だ!?」ガガッ

バットマン「知る必要は無い」プシュー……ガッ、シュドドッ


黒ジル(なんだ? 床に手をついた時、何かをスプレーした……? いや、それよりもこの巧みな攻め手……!)

黒ジル「何者かは知らないが、所詮は人間! 冒涜され、死ぬが良い!」


バットマン「……マシュ!」

マシュ「は、はい!」

バットマン「押し込め!」

マシュ「……? ……あ! はいっ!」ブォン‼


黒ジル「ぐわあっ!? おのれ、『螺湮城(プレラーティーズ)……』」

バットマン「そこだ……」ポチッ


床「」ドドドドドドォッ、ガラガラガラガラ……

黒ジル「なにっ……」ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥ…………


バットマン「……よし、成功した」

ジャンヌ「ゆ、床が爆発して……ジルが落ちて行った……?」



308: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/02(土) 21:10:11.50 ID:9GE5vrzP0

バットマン「……アレは爆破ジェル。老朽化が激しかったからこその荒業だ。それと……」シュポッガシッ

ゾンビ達「「「ぁ……」」」

バットマン「……フンッ!」グイイイッ

ゾンビ達「「「ぁぁぁぁぁ……」」」ヒュゥゥゥゥゥゥ……


バットマン「……ゾンビ達も落としておく。あの男、ゾンビ兵からは距離を置いていたからな……恐らく、連中の細かな制御は出来ないんだろう。穴の中で互いに争う事になるハズだ、時間稼ぎにはなる」

マシュ「……は、はい」

バットマン「行くぞ。今の内に竜の魔女を倒す。この奥に居るはずだ、準備は良いか」

マシュ「はい、いつでもいけます!」

ジャンヌ「いけます。いきましょう。私(ジャンヌ)を止めます」



309: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/02(土) 21:18:04.24 ID:9GE5vrzP0

……

黒ジャンヌ「……思っていたより、早かったですね。なら、術式を組み替えるしかありませんか――」

ジャンヌ「――“竜の魔女”」

黒ジャンヌ「とうとう、此処まで辿り着いてしまったのですね。
ジルは――まだ生きていますが足止めされましたか」


黒ジャンヌ「まあいいでしょう、こちらも準備は整っています」

バットマン「……始める前に、聞きたい」

黒ジャンヌ「何ですか。今更問いかけなど……」


バットマン「お前は、憎悪を持つ前の生活を覚えているのか?」

黒ジャンヌ「……え?」

ジャンヌ「…………」



310: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/02(土) 21:21:55.64 ID:9GE5vrzP0

バットマン「……やはり」

ジャンヌ「えぇ。戦場での記憶がどれほど強烈であろうとも、私はただの田舎娘としての記憶の方が、はるかに多い……」

ジャンヌ「……たとえ私の闇の側面だとしても、あの牧歌的な生活を忘れられるはずがない」

ジャンヌ「いえ、忘れられないからこそ……裏切りや憎悪に絶望し、嘆き、憤怒したはず」


黒ジャンヌ「……私、は……」

ジャンヌ「……記憶が、ないのですね」

バットマン(……やはり、竜の魔女は……)



311: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/02(土) 21:26:55.65 ID:9GE5vrzP0

黒ジャンヌ「それが……それが、どうした!」ギリィ

黒ジャンヌ「記憶があろうがなかろうが、私がジャンヌ・ダルクである事に変わりはない!」


ジャンヌ「確かに、その通りです。貴女に記憶があろうがなかろうが、関係ない。

……ですが、これで決めました。私は怒りではなく哀れみを以て“竜の魔女”を倒します」


黒ジャンヌ「――サーヴァント!」グワッ


影達「「「……」」」


マシュ「冬木で戦ったのと同じ……シャドウサーヴァントです! それもこんなに……」

バットマン「……」


黒ジャンヌ「通常のサーヴァントを召喚する暇はありませんでしたが、この程度ならば幾らでも量産できます」

黒ジャンヌ「では……屠れ!」


マシュ「マスター、来ます!」

バットマン「まずは周囲から片付ける」

マシュ「はい!」




312: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/02(土) 21:35:59.36 ID:9GE5vrzP0

影A「……」ヒュォンッ

マシュ「っく……」ガガッ


マシュ(力任せに戦わず……)ドドッ、ドォッ


影B「……」ジャギィィィ‼

マシュ「ふっ……!」ギャリィン


マシュ(盾だけに、頼らず……!)ドガッ


影C「……」ギュオォォォッ‼

マシュ「……!!」ズォッドゴッ


マシュ(動きの無駄を減らし、限られた時間の中に身体をねじ込み……)ガシャリ


影D「……」スッ

マシュ「……やあっ!」ブォンッ


バットマン(駄目だ、あれはフェイント!やられる……! 間に合うか!?)ガシッ


影D「……ッ!」ガギリ

マシュ「……安易な手に掛からないよう、敵を、恐れる……!」ギリギリギリィ‼

バットマン「……!」


影D「……!!」ヒュンッ

マシュ(そして、足元を見れば、敵の考えは読める……!)


マシュ「やああっ!!」ドッゴォ


影達「「「……」」」シュゥゥゥゥゥゥゥ……


バットマン「……」

マシュ「やりました、マスター! 全シャドウサーヴァント、消滅!」

バットマン(凄まじい成長……一度戦場を経験しただけで、こんな……)



黒ジャンヌ「くっ……」ガギッ‼

ジャンヌ「はあっ!!」ギャリィン‼



313: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/02(土) 21:48:01.85 ID:9GE5vrzP0

ジャンヌ「今度こそ決着の刻です、“竜の魔女”!」ギリギリギリ……

黒ジャンヌ「黙れ! ここからだ! ここから私の殺意を、絶望を! 見せてやる……ジャンヌ・ダルク!」ギャギャアン‼


マシュ「敵サーヴァント、魔力が急激に増大していきます……これは、宝具展開の前兆!」

バットマン「下がれマシュ……(いや、間に合わない。逃走経路……ジャンヌが殺される。ならば竜の魔女の妨害……この距離では不可能。残された手はひとつ)」

黒ジャンヌ「『これは憎悪によって磨かれた我が魂の咆哮……』!」


バットマン「『令呪をもって命ずる』! マシュ、宝具を展開しろ!」キィィィィィ……

マシュ「っはい! 真名、偽装登録……行けます!」

バットマン「ジャンヌ・ダルク!」シュポッガシッ、ギュルギュルギュルギュルッ‼

ジャンヌ「きゃあ!?」


黒ジャンヌ「『吼え立てよ、我が憤怒(ラ・グロンドメント・デュヘイン)!』」ゴゴゴゴゴゴゴゥッ‼

マシュ「はあああああああああっ!!!」ドォォォォォォォォォォォ……



314: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/02(土) 21:53:01.22 ID:9GE5vrzP0

黒ジャンヌ「……ぐ……はあ、はあ……」


黒ジャンヌ「……ふ……あははははははっ、灰も残らないでしょう! あれだけの火力で、生き残るヤツなんて……」


黒ジャンヌ「……」


黒ジャンヌ「な……に……」



315: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/02(土) 21:57:19.47 ID:9GE5vrzP0

マシュ「……敵宝具、受け切りました」シュウゥゥゥゥゥ……

黒ジャンヌ「そん、な。馬鹿な。有り得ない。嘘だ。だって、あれほど全力で撃って……」シュウシュウシュウ

黒ジャンヌ(肉体が崩れ始めるほどの魔力を込めたのに、受け切られただと……!?)シュウシュウシュウ


黒ジャンヌ「私は……聖杯を所有しているはず……! 聖杯を持つ者に、敗北はない。その筈なのに……!」


黒ジル「おお、ジャンヌ! ジャンヌよ! 何というお痛ましいお姿に……」ヨロヨロ

黒ジャンヌ「ジ、ル……」ドサリ



316: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/02(土) 22:00:20.35 ID:9GE5vrzP0

黒ジル「ですが、このジル・ド・レェが参ったからにはもう安心ですぞ。

 さあ、安心してお眠りなさい」

黒ジャンヌ「でも――私は、まだ、まだ、フランスを滅ぼせては……」

黒ジル「それは私が引き受けます。私に全てお任せを」


黒ジル「大丈夫、貴女が死ぬはずがない。
ただ、少しだけ……少しだけ、疲れただけ」

黒ジル「瞼を閉じ、眠りなさい。目覚めたときには、私が全て終わらせています」ニコリ



317: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/02(土) 22:02:05.28 ID:9GE5vrzP0

黒ジャンヌ「……」

黒ジャンヌ「そう、そうよね」

黒ジャンヌ「ジル……貴方が戦ってくれるなら、安心して……」シュゥゥゥゥゥゥゥ……


聖杯「」カラン

黒ジル「……」



318: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/02(土) 22:06:52.46 ID:9GE5vrzP0

ジャンヌ「……やはり、そうだったのですね」

黒ジル「勘の鋭い御方だ」

バットマン「……」


マシュ「あの、ジャンヌさん? いったい……」

ジャンヌ「聖杯を持っているのは、“竜の魔女”ではありません。
……いえ、そもそもあのサーヴァントは英霊の座には決して存在しないサーヴァントです」

ジャンヌ「私の闇の側面ではない以上、そう結論せざるを得ません」


ジャンヌ「……では、あの強力な力をどうやって手に入れたのか。
それは即ち、聖杯に他なりません。つまり“竜の魔女”そのものが……」


黒ジル「その通り。“竜の魔女”こそが、『我が願望』。すなわち、聖杯そのものです」

マシュ「な……!?」

バットマン「……」



319: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/02(土) 22:20:52.89 ID:9GE5vrzP0

ジャンヌ「貴方は……ジャンヌ・ダルク(わたし)を作ったのですね。聖杯の力で」


バットマン(ジル・ド・レェ。軍人。初めはジャンヌ・ダルクの監視を命じられていたが、いつしか彼女に感化され、協力してオルレアンを守護……)


ジル「私は貴女を蘇らせようと願ったのです。心から、心底から願ったのですよ。当然でしょう?」


バットマン(……彼女が火刑に処された後は荒れた生活を送り……絞首刑)


黒ジル「……しかし、それは聖杯に拒絶されました。万能の願望器でありながら、それだけは叶えられないと!
だが、私の願望など貴女以外には無い! ならば、新しく創造する……!」ギリィ


黒ジル「私が信じる聖女を! 私が焦がれた貴女を! そうして、造り上げたのです!
ジャンヌ・ダルク――“竜の魔女”を。聖杯そのもので!」


ジャンヌ「……そう。彼女は無論、最後までそのことを知らなかったのでしょうね」


ジャンヌ「ジル。もし、私を蘇らせることができたとしても、私は“竜の魔女”になど、決してなりませんでしたよ」


ジャンヌ「確かに私は裏切られたのでしょう。嘲弄もされたでしょう。
無念の最後――と言えるかもしれません」


ジャンヌ「けれど、祖国を恨むはずがない。憎むはずがない。何故なら、この国には貴方たちがいたのですから」



320: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/02(土) 22:24:18.22 ID:9GE5vrzP0

黒ジル「……お優しい。あまりにお優しいその言葉。

しかし、ジャンヌ」

黒ジル「その優しさゆえに、貴女はひとつ忘れておりますぞ。たとえ、貴女が祖国を憎まずとも――

私は、この国を、憎んだのだ……! 全てを裏切ったこの国を滅ぼそうと誓ったのだ!」」

ジャンヌ「ジル……」


黒ジル「貴女は赦すだろう。しかし、私は赦さない! 神とて、王とて、国家とて……!」ギシギシギシ


黒ジル「滅ぼしてみせる。殺してみせる。それが聖杯に託した我が願望……!」



黒ジル「我が道を阻むな、ジャンヌ・ダルクゥゥゥゥゥッ!!!」



321: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/02(土) 22:28:35.82 ID:9GE5vrzP0

ジャンヌ「…………………そう、ですね。確かにその通りだ。
貴方が恨むのは道理で、聖杯で力を得た貴方が国を滅ぼそうとするのも、悲しいくらいに道理だ」


ジャンヌ「そして私は、それを止める。聖杯戦争における裁定者、ルーラーとして。

貴方の道を阻みます。ジル・ド・レェ……!」


黒ジル「ならば、今の貴女は私の敵だ。決着をつけよう。救国の聖女、ジャンヌ・ダルク――!」

ジャンヌ「望むところ……!」


マシュ「マスター、聖杯を確認しました。指示をお願いします!」

バットマン「ああ、最後の戦いだ。行くぞ」

マシュ「はい! これより、聖杯回収へ向かいます! マシュ・キリエライト……行きます!」



322: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/02(土) 22:48:12.10 ID:9GE5vrzP0

 彼の者のクラスはキャスターだ……そう報せる通信を受けながら、バットマンは腹部に光球を食らい、吹き飛んでいた。

 マシュが入れ替わりに飛び込み、盾を突き出す。

 ジルはまともに受け、吹き飛びながらも何事かを詠唱した。途端、マシュの身体がすくむ。おぞましい何かを覗き込んだ時のように……。

「どれほどあなた方が強かろうと、黒魔術は私が上だ。精神汚染を受けていない者など、話にならない」


 ジャンヌが歯を食い縛り、恐怖を抑え込んで打ち込む。だが腰の引けた打撃は通用せず、魔術師に弾き返された。

「貴女もです、ジャンヌ・ダルク。貴女たちは純粋すぎる」

 ジルは微笑み、瘴気を放つ闇を全身から放出した。ジャンヌは咄嗟に口を覆い、マシュはマスターを背に庇う。


「終幕です。フランスは滅ぼす。我が道は、ついに憎悪の果てへと到着する」


 朗読じみたキャスターの声が響く。


(あれは詠唱だ)


 バットマンは理解する。何かが来る。マシュの宝具を展開させるべきか……いや、これは。


「『螺湮城教本(プレラーティーズ・スペルブック)』!」


 ジャンヌは見た。ジルが掲げた本から、冒涜的な、存在してはならない存在が飛び出すのを。

 マシュは少し遅れて認識した。黒い触手がのたうち回り、津波じみて向かって来ているという事実を。


 バットマンは直感した。アレはまだ、発端に過ぎない。いずれ本体が飛び出してくる。


「あ、あ、あ……」
「……え……」


 聖女は膝をつき、マシュは頭を抱えてうなだれる。異様なまでに冒涜的な光景を目の当たりにした彼女らの精神は、汚染を防ぐため、シャットダウンを開始したのだ。


「仕方のない事です! 諦めなさい! フランスは終わる! この手で、必ず終わらせる!」
「そうはさせない」


 キャスターはふと、おのれの呪文がもたらした触手の上を見た。一匹の巨大なコウモリが、意志の力に目を光らせ、こちらを睨んで立っていた。


「何故……」

 何故、狂わない? キャスターは問おうとし、愚問を取りやめた。


 簡単な事だ。ヤツは既に狂っている。狂人だったのだ。


 バットラングが投擲され、ジルの腕に突き立った。激痛が彼の集中を遮り、呪文が消失した。



323: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/02(土) 22:50:06.72 ID:9GE5vrzP0

  ジャンヌ・ダルクの旗が振るわれ、甲高い音と共に血しぶきが舞った。



324: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/02(土) 22:55:53.64 ID:9GE5vrzP0

黒ジル「馬鹿、な……! 聖杯の力を以てしても、届かなかった……だと……

 そんな筈はない! そんな理不尽があってたまるか! 私、は、まだ……!」


ジャンヌ「ジル。もう、いいんです」


ジャンヌ「もう大丈夫です。休みなさい。貴方はよくやってくれた。
右も左も分からぬ小娘を信じて、この街の解放まで」


ジャンヌ「……今の貴方がどうあれ、私はあの時の貴方を信じている。
大丈夫。私は最後の最後まで、決して後悔しません。

私の屍が、誰かの道へ繋がっている。……ただ、それだけで良かったんです」



ジャンヌ「さあ、戻りましょう。在るべき時代へ」



黒ジル「……ジャンヌ。地獄に堕ちるのは、私だけで――」シュゥゥゥゥゥゥゥ……


聖杯「」カラン……



325: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/02(土) 23:11:24.70 ID:9GE5vrzP0

ドクター『聖杯の回収を完了した! これより、時代の修正が始まるぞ!
レイシフト準備は整っている、すぐにでも帰還を!』

マシュ「了解しました、ドクター!」

バットマン「……」


ジャンヌ「もう、行かれるのですか?」

バットマン「ああ。まだやるべきことが残っている」



――――

エリザベート「……っはあ、この……」

カーミラ「いい加減、しぶと……あら?」シュウシュウシュウ

エリザベート「……アンタ」

カーミラ「ちっ、終わりみたいね。……まったく、鬱陶しい小娘だったわ……」

エリザベート「ふん、こっちこそ! 絶対にアンタみたいにならないんだから!」シュウシュウシュウ……


カーミラ(……まったく、終わった途端に狂化が消えるんだもの。次は、もっと……)

カーミラ「……選り好みできる立場でもないわよね。全く」シュゥゥゥゥゥゥゥ……

エリザベート「……馬鹿なやつよね、我ながら。ほんとに……」シュゥゥゥゥゥゥゥ……


…………


清姫「……あら?」シュウシュウシュウ

ヴラド三世「ふむ。終わりか」シュウシュウシュウ

清姫「……やってくれたようですわね。ワイバーン達が消えていきます」

ヴラド三世「敵ながらあっぱれ、と言っておこう。そして……礼を言う、名も知らぬ婦人」

清姫「あら、これはどういたしまして」

ヴラド三世「お前が居なければ、更に多くの無垢なる魂を屠っていただろう。……次があれば、お前のように戦いたいものだ」シュゥゥゥゥゥゥゥ……

清姫「……手のかかる御人でした事。マスターは……もう、砦の中ですのね。いくさの勝利は妻も祝うものですのに、まったく」シュゥゥゥゥゥゥゥ……


…………

ゲオルギウス「……聖杯戦争、というにはあまりに歪んだ形でしたが。ともあれ、ドラゴンスレイヤーと共に戦えて光栄でした」

ジークフリート「俺の方こそ、名高き聖ゲオルギウスと同じ陣営で戦えるとはな……ともあれ、あのマスターの旅路はまだ続くだろう。

俺達も、もう一度助力できると良いのだが」シュゥゥゥゥゥゥゥ……

ゲオルギウス「フ……その日も遠くないでしょうな。ああ、待ち遠しいものだ」シュゥゥゥゥゥゥゥ……



アマデウス「ようやくお役目ゴメンか。ああ疲れた、働き尽くしでケツが痛い!
……っと、その手のネタはマリアから禁止されてたな。失敗失敗」

アマデウス「まあ、いい指揮だったよ、ネコミミさん。実に、実にやり甲斐のある仕事だった」シュゥゥゥゥゥゥゥ……





326: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/02(土) 23:18:09.94 ID:9GE5vrzP0

――――

バットマン「……そろそろか」

マシュ「はい、マスター。空間が……」

ジャンヌ「……これは、夢のようなもの。世界の可能性から既に除外された、小さな枝葉のような世界。
恐らく、こうしてマシュさん達と出会った事も、戦った事も、失った命すら……無かったことになるのでしょうね。私はそれが、少し悲しい」

バットマン「……」

ジャンヌ「……もちろん、失ったはずの命が戻ってくるのは喜ばしいことでしょうけれど。
お二人とは、また何処かで会えそうな予感がします。私の勘は、結構当たるんですよ?」


マシュ「ジャンヌさん……」シュウシュウシュウ……

ジャンヌ「――さようなら。そして、有難う。

 全てが虚空の彼方に消えるとしても、残るものが、きっと……」


バットマン「……」シュゥゥゥゥゥゥゥ……


ギュォォォォォォォォオオオオオッ



327: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/02(土) 23:29:09.45 ID:9GE5vrzP0

バットマン「……」ムクリ

所長「……! レイシフト完了、ブルースが帰還したわよ!」

――――

ドクター「お帰り、マシュ、ブルースくん! お疲れさま! 初のグランドオーダーは君達のおかげで無事遂行された!」

バットマン「グランド……オーダー?」

ドクター「ああ、人理修復の事ね。まだ第一歩だけど、これは大きな一歩だ!」

マシュ「……はい! やったんですね、私達!」

ドクター「――うん、本当によくやってくれた。
補給物資も乏しい、人員もいない、さらには実験段階のレイシフトという最悪の状況だったんだ。君達はこれ以上ない成果を出してくれた」


バットマン「……いや、カルデアのサポートがあってこそだ。礼を言う」

職員A「! おい聞いたかよ!」

職員B「やったぁ! 完遂できた!」

職員C「ヤッホー!! 俺達やり遂げたんだ! 初仕事、初レイシフト、初サポートで! ノーミスだ!」

所長「……ま、まあ、当然よね。私が指揮したし」


ドクター(所長、ブルースが倒れた時には捨てられた子犬みたいな目でじっとバイタルを確認してたなぁ……)



328: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/02(土) 23:37:24.66 ID:9GE5vrzP0

レオナルド「おや、お帰り。大分お疲れみたいだね。
はい、これ最新の観測記録。見てごらんドクター」

ドクター「お……おおおおお! やった、十五世紀フランスの修正は完璧だ! まだ七つの内、たった一つだけだが……
我々は人類史をきちんとあるべき姿に戻したという訳だ! やったな、ブルースくん!」

バットマン「ああ。だが、レフ・ライノールは現れなかった……奴の事だ、妨害に来てもおかしくないと思ったが」

ドクター「なら、彼は残り六つのうちどれかの時代に潜んでいるんだろう。……いや、潜むはずがないか。
彼はそれほどの力を手にしている。同じ時代にいれば必ず僕たちを妨害してくる」

バットマン「……近い内に、必ずまた現れるだろう」

ドクター「ああ。それまでに、こちらの陣営も強化しておかないとね」

バットマン「……」


ドクター「……まあ、そんな細かいことはどうでもいいさ! 今日のところはこれでミッション終了だ!
暖かいベッドとシャワーが恋しいだろう? 遠慮せず、部屋に帰って休むと良い」

バットマン「……ああ、そうしよう」スタスタ

マシュ「それでは失礼します、ドクター」ペコッ、スタスタ



329: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/02(土) 23:39:08.22 ID:9GE5vrzP0

バットマン「……」スタスタ

マシュ「……」スタスタ

バットマン「……」スタスタ

マシュ「……あの、マスター。ひとつだけ、お尋ねしても良いでしょうか?」

バットマン「……なんだ?」



330: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/02(土) 23:42:28.03 ID:9GE5vrzP0

マシュ「トゥーフェイスさんの弾丸から、サンソンさんが庇ってくれた理由が……私には、分からなくて。マスターなら、分かるかと」

バットマン「……」

マシュ「あ、いえ、どうしても知りたいという訳ではなく。ただ、心に引っかかっているというか」

バットマン「……いや、言いたい事は分かる。敵なのに助ける理由がない。そういう事だな」

マシュ「……はい。疑問が、離れないのです」

バットマン「……」



331: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/03(日) 00:10:44.44 ID:FCqtF21y0

バットマン「……人には常に、二つの道がある。そして二つの側面がある」

マシュ「……」

バットマン「誰もが正しい道を歩き続けられるとは限らない。どんな悪人も、悪の道だけを歩き続けるとも限らない」

マシュ「はい。分かります」

バットマン「……そして、人は後悔する生き物だ。自分の選択の間違いを受け、悩み、行動を翻すこともある。だからこそ、人は不確定だ。特に、愛は」

マシュ「……はい」

バットマン「人は変わらない。だが世界は呆気ないほど簡単に変わり、人を翻弄する。サンソンは……恐らく、後悔を抱えたまま、戦場でその後悔への結論が出てしまったんだろう」

マシュ「…………」

バットマン「……マシュ、お前が思い詰める必要は無い。だが、知っておくべきだ。世界は人を殺し、人は世界を支える。サンソンは彼自身にとっては至極真っ当な行動をとっただけだ」

マシュ「……は、い……」

バットマン「……それだけだ」スタスタ

マシュ「おつかれさまでした、マスター……」



マシュ(……マスターは、世界を怖がっているのでしょうか……)




332: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/03(日) 00:12:18.73 ID:FCqtF21y0

第一章

邪竜百年戦争 オルレアン

生存者 ブルース・ウェイン マシュ・キリエライト

死者 無し



333: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/03(日) 00:13:50.18 ID:FCqtF21y0

第一章はこれで終わりです。お付き合いいただきありがとうございました。




バットマン「グランド……オーダー?」【後半】
元スレ
バットマン「グランド……オーダー?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1511494020/
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