【モバマス】アナスタシア「放射冷却の夜」
アナスタシア「とても寒いですね、プロデューサー」
P「そうだね。アナスタシア」
P(真冬の夜。とてもよく晴れた、雲ひとつない夜)
P(彼女、アナスタシアと共に星を観ようと、山の上の天体観測ができる場所に来ていた)
アナスタシア「どうしても冷えますね」
アナスタシア「ええと、こういうのは、日本語で何と言うのでしたっけ、プロデューサー?」
P「『放射冷却』だよ」
P「地表の熱が雲にさえぎられずに宇宙まで流れていく夜は、地上はとても寒くなるんだ」
アナスタシア「ほうしゃれいきゃく……」
P(はぁ、と吐いた彼女の凍えた真白いため息が、宙まで飛んでいってしまいそうな夜だった)
P「了解」
P(かついできた望遠鏡を手早くセッティングする)
P(季節ごとに星を眺めに行きたがる彼女に同行してきたため、天体望遠鏡の扱いには馴れたものだ)
アナスタシア「プロデューサー、向こうの方角です」
P(うながされるように屈んだ私に寄りそうように近づき、彼女の腕が私の目線から伸びるように指を差す)
アナスタシア「あそこです。あれがシリウス、プロキオン、ペテルギウス」
アナスタシア「『冬の大三角』」
アナスタシア「はい。一番下が、おおいぬ座のシリウス。そのそばにいるのがこいぬ座のプロキオンです」
アナスタシア「そして、右……西です、ね。あれがオリオン座のペテルギウス」
アナスタシア「ハラショー、すごいです。今夜はオリオンのベルトまでハッキリ観える……」
P(彼女は嬉しそうに指先で星を結ぶ)
P(今夜は晴れて良かった)
アナスタシア「はぁ……今夜は絶好の天体観測日和、ですね?」
P「そうだね。アーニャ」
P(とはいえ、彼女の指は爪が真っ赤になっていて、声は震えていた)
アナスタシア「そうですね、プロデューサー」
P(ふたりとも暖かい服装で来たが、それでも寒いものは寒かった)
P(せっかくの好天だが、早目に切り上げよう)
P「アーニャ」
アナスタシア「ああ、待ってくださいプロデューサー」
アナスタシア「『すばる』を、もう少しだけ……」
P「ははっ。もう少しだけだよ?」
アナスタシア「はい。もう、ほんのちょっとだけにしておきます」
P(彼女がようやく望遠鏡から目を離す)
P「満足したかい?」
アナスタシア「はい!主だった星は、十分観えました……っ!」
P「それは良かった」
アナスタシア「それに、プロデューサーにも観せてあげられました」
P「うん。すごく良いものを観せてもらったよ」
P「ありがとうアーニャ」
アナスタシア「こちらこそ。スパシーバ、プロデューサー」
アナスタシア「はい。プロデューサー」
アナスタシア「ところで、プロデューサー」
P「なんだい?」
アナスタシア「私は、すっかり手が冷たくなってしまいましたよ?」
P(少しいたずらっぽく、彼女が私に手を差し出す)
P「ああ、こんなに寒い夜だものね」
アナスタシア「はいっ」
P(彼女の手を握り、もう片方の肩に望遠鏡を担いで駐車場まで山を下りた)
P(凍えるほど寒い、真冬のよく晴れた放射冷却の夜の話だった)
終
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コメント一覧 (6)
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- 2018年01月15日 15:58
- チェルノブ「放射、冷却、ロシアと個別に連想すると不謹慎な感じになるよな」
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- 2018年01月15日 16:24
- 阿那須田さんいやしくない?
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- 2018年01月15日 17:07
- 昨日-10℃くらいだったからな
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- 2018年01月15日 17:44
- アーニャ、もう夜も遅いし体も冷えたからあそこに泊まって冷えた体を暖めよう←お城のような建物を指さしながら
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- 2018年01月15日 21:42
- ※2はもう消した!
君は指差す
>>アナスタシア「『冬の大三角』」
を覚えて空を見る~♪