「待ち合わせ」 【ミリオンライブ】
街は色づき、待ちゆく人も楽しそうな顔つきを心ないししている気がする。
そう、今日はクリスマス・イブ。
駅前からちょっと離れた、少しだけ駅の喧騒から離れた場所。
道路ぞいに街路樹と電灯が交互に立っている街路樹の下で。
画面をつけて今の時間を確認してほかのいろいろの通知を確認する。
19時45分、待ち合わせの時間は19時半。
合ってるよね……?
待ち合わせにはいつも遅れてくるあの人。
私達のためにいつも頑張っているあなたのことだもん、少しくらいなら遅れてきても仕方ないよ。
今の20時、21時は1度とか2度だ、そりゃ寒いよね。
そして22時以降は0度を下回っていて、それに23時以降は雨がふるかもしれないらしい。
もしかしたら今日は雪が降るかもね。もし雪が降ったらロマンチックなのに。
ちょうど雨は夜明けすぎに雪に変わるだろう、なんてね。
たったの数分だったが外気にあてられて冷え切った指先を両手でこすり合わせて温める。
そして手袋を再び嵌め、また待ちぼうけ。
早く来ないかな、さっきまでと同じ姿勢で街路樹と電灯に並んで立つ、こんな大きな駅だけどすぐに落ちあえるようにと選んだ私とあの人との秘密の待ち合わせ場所。
まだかな────
そう呟いた声は吐いた白い息の中に消えるように外へと消えていった。
20時半。どうして、どうして来ないの……?
いつもは遅くても30分くらいしか遅れてこないはずなのに……。
連絡してみようかな。けどこの時期は忙しいって言ってたし、仕事中なら邪魔することになっちゃうし、しない方がいいのかな……?
どうしよう、どうしよう……。
あと30分だけ待ってみようか、な……。
びゅーびゅーって風も強くなり、その風が私の耳に痛むような寒さでが耳を襲う。
……遅いよ……………
あれ?
ぽつり…………ぽつん……………
………………ぽつり………………………………………
……………………………………………………………………ぽつん
天気予報では雨が降るのは23時以降って言ってたはずなのにな。
今はまだぽつり、ぽつりと空から落ちてきた程度だったけど、そう長くないうちに雨は強くなるだろう。
周りには雨風をしのげそうな場所はないしどうしようかな、30分って言ったけどまださっきからは10分ほど。
空を見上げるようにして、電灯に照らされておちる雨粒を見る。
その頬を雨粒がなぞっていく。
そしてふと──
みんなにメリークリスマス!