男「便所飯専門店だって……!?」店長「ごゆっくり食事をお楽しみ下さい」
- 2017年11月10日 06:10
- SS、神話・民話・不思議な話
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男(二限終わって、昼飯の時間だ……)
男(だけど……)
ワイワイ…… ガヤガヤ……
「学食行こうぜ!」 「行く行くー!」 「俺もー!」
「今日はサークル部屋で食わね?」 「おお、そうしよう!」
男(見たところ、ぼっちは俺一人……一人でメシ食うのはみっともなさすぎる)
男(仕方ない、また便所飯するか)
ガサガサ… ゴソゴソ…
男「いただきま~す……」
男(まず、購買で買った焼きそばパン……)モソモソ…
男(次に、コンビニで買ったサラダ……)パリパリ…
男(なるべく音立てないように……中でメシで食ってるのバレないように……)
男(今は……トイレ内に誰もいないよな?)
男(よし、出よう!)ガチャッ
学生A「!」
学生B「!」
男(ゲ!? いたのか!)
男(しまった……! 油断して、食べたパンの袋とかを手に持ったままだった……!)
学生A「なぁなぁ、あいつトイレでメシ食ってたのかな」
学生B「だろうな。便所飯ってやつだ」
学生A「ホントにやる奴いるんだなぁ~」
学生B「俺もビックリしたよ。都市伝説だとばかり思ってたぜ」
学生A「――あ、どっかで見た顔だと思ったら、そういやあいつゼミ一緒だわ!」
学生B「マジ? 今度メシ一緒に食ってやれよ!」
学生A「勘弁~!」
クスクス… ハハハ…
男(やってしまった……!)
男(絶対バレちゃいけなかったのに、一瞬の油断で全てがパーになった……!)
男(かといって公衆トイレでやると、臭いし、たまにノックされまくるしなぁ……)
男「あーあ、どこか気兼ねなく便所飯出来る場所はないかな」
店長「あの~……もしもし」
男「はい?」
店長「今、便所飯出来る場所はないかな、とおっしゃってましたよね?」
男(やっべ、口に出てた! 今日の俺はどうかしてる!)
男「そんなこといってませんよ! 失礼します!」
店長「あ、ちょっと! 誤解しないで下さい!」
店長「私はあなたをあざ笑ったり、バカにするつもりは毛頭ございません!」
男「…………?」
男「というと?」
店長「ずばり、気兼ねなく便所飯が出来る場所をご提供しましょう」
男「……え?」
店長「こちらです。歩いてすぐですので、ついてきて下さい」
店長「店の性質上、限られた方のみをご案内する仕組みになっておりますので」
男「はぁ……」
男(そりゃま、便所飯できる場所を大っぴらに宣伝することはできないよな)
店長「着きました」
男「ここは……?」
男「てっきりトイレに案内されると思いきや、普通の飲食店のような雰囲気ですけど」
店長「はい、ここはれっきとした店でございます」
男「店?」
店長「ここは日本、いえ世界で唯一の≪便所飯専門店≫でございます」
男「便所飯専門店だって……!?」
店長「名前の通り、お客様に便所飯を楽しんでもらうことに特化した店でございます」
店長「場所代さえ払っていただければ、食事はいくらでも持ち込み可」
店長「手ぶらで来て頂いても、もちろんかまいません」
店長「一流シェフを招いて作った、和洋中さまざまなメニューをすぐにご用意できますし」
店長「お弁当やパン、デザート類などの種類も豊富です」
男「すごいな……」
男「いい食事をするだけなら、なにもこの店じゃなくてもいいですよね?」
店長「ごもっともです」
男「……で、肝心のトイレは?」
店長「この奥になります。男子トイレはこちら。さあ、どうぞ」
男「…………」
男「!?」
男「ものすごい個室の数だ!」
店長「店内に用意してる個室の数は、なんと200!」
男「200!?」
男「よくそんなに用意できましたね」
店長「TOTOやLIXILにも全面協力して頂きましたから」
男「えええ……よく協力してもらえましたね……」
店長「私もこの業界じゃ、少しは知られてる人間ですので」
店長「和式、洋式、多目的トイレはもちろんのこと」
店長「昔ながらの厠タイプや、値は張りますが某国の王族仕様のゴージャスタイプもございます」
男「はぁ……」
店長「少々汚いぐらいの個室の方が落ち着くという方もいらっしゃるので」
店長「わざと公衆便所特有の汚れや臭いを再現してる部屋もございます」
店長「なおかつ、一流の清掃員を多数雇い、衛生面には徹底的に気をつかっており」
店長「清潔さではそこらの飲食店に負けない自信がございます」
男「すごいこだわりだ……」
店長「中には、便所飯中に他の利用者が来るというスリルを味わいたい方もおりますので」
店長「ノックサービス、『早く出ろ』コールサービスなど、各種サービスもご用意しております」
男「色んな客がいるんですね……」
男「で、利用方法は?」
店長「入り口にあるレジでどのタイプの個室にするか選んでいただいてから」
店長「帰りに利用時間に応じた代金を支払ってもらう仕組みです」
店長「お食事を購入する時も、レジで承ります」
男「なるほど」
店長「いかがいたしますか?」
男「もうメシは食べちゃったけど……クロワッサン一つ買って……」
男「普通の洋式タイプの個室でお願いします」
店長「かしこまりました」
店長「ごゆっくり食事をお楽しみ下さい」
男「おおっ、ホントにトイレじゃないか!」
男(じゃ、さっそくさっきレジで買ったクロワッサンを……)
ガサゴソ…
男「いただきます!」
モグモグ… サクサク…
男「くぅ~! 落ち着くし、うまぁ~い!」
店長「いかがでしたか?」
男「いやぁ、想像以上によかったですよ! 最高でした! クロワッサンもおいしいのなんの!」
男「こんないい場所に連れてきて下さって、ありがとうございます!」
店長「またいらして下さい」
男「はいっ!」
男(いい店見つけたなぁ……これでもうキャンパス内で便所飯しなくて済む!)
男「ルンルン」スタスタ
学生A「あれ? あいつ、こないだ便所飯してた奴じゃね?」
学生B「今日は便所飯しないみたいだな」
学生A「結局こないだのは、たまたまだったってことか」
男(いーや、これから便所飯しに行くんだよ)
店長「いらっしゃいませ!」
男「このところ、毎日ここのお世話になっちゃって」
店長「いえいえ、かまいませんよ!」
男「じゃあ今日は……思い切ってラーメンでも食べようかな」
店長「味は?」
男「味噌で!」
店長「かしこまりました。すぐ調理させます」
男「いただきまーす!」
ズズッ… ズルルッ…
男「はふっ、はふっ!」
ズルルッ… ズズッ…
男(うまい……! ラーメン屋で食べる時よりずっとおいしく感じる!)
ドンッ
男「あ、失礼」
地味娘「こちらこそ……」ペコッ
男(ビックリした……女の子もいるのか。って、そりゃそうか、トイレは男女用あるもんな)
男(しかし、今の子……地味だったけど結構好みのタイプではあったな)
教授「では今日の講義はここまで」
「ふぅ~、疲れた~!」 「メシ食おうぜ!」 「今日の日替わりは白身魚定食だってよ!」
男(さて、俺も便所飯専門店に行くか!)ガタッ
店長「本日はいかがいたしましょう?」
男「じゃあ、ステーキ定食で!」
店長「かしこまりました。お部屋は?」
男「たまには、どこか変わった個室を使ってみようかな」
店長「それでしたら、新しく設置した≪花子さんの出る個室≫を使ってみては?」
男「あ、面白そう! それにします!」
花子『あたしはここに閉じ込められてしまったのぉ~』
花子『呪ってやるぅ~』ヒュードロドロ…
男「おお……花子さんの映像が壁に映し出される仕組みか。本格的だなぁ」
男「ステーキもよく焼けてて、うまいし……」モグモグ…
男「これがホントの“怪奇なりステーキ”! なーんちゃって!」
男「メシが美味いとダジャレも冴える!」
店長「またお越し下さいませー!」
男(あの子はこの前の……)
店長「あ、お会計ですか?」
男「はい」
男「ところで……今店を出ていった子は?」
店長「ああ、あの子も常連さんですよ。ほぼ毎日利用して下さってます」
男「へえ~……」
男「あ」
地味娘「あ」
男(またあの子に会えないかなぁ~……と思ったらバッタリ会ってしまった)
男「いつだったかは……どうも」
地味娘「どうも……」ペコッ
男「ハハハ、同じ大学……だったんだね」
地味娘「ええ……」
地味娘「…………」
男(なに話していいのか分からねえ)
男(でも、この子も会話切り上げようとしないあたり、俺を嫌ってはいないみたいだけど……)
男「あ、じゃあ……講義あるから……」
地味娘「あ、そうですか」
地味娘「あの、よかったら……また……」
男「はい?」
地味娘「い、いえ……すみません」
男「それじゃ……」スタスタ
男(ここで連絡先とかを聞けないのが、俺クオリティ!)
男(さ、今日も便所飯を……)
男「あ」
地味娘「あ」
男(この間に引き続き、またバッタリと……)
地味娘「こんにちは……」
男「こ、こんにちは」
男(便所飯専門店は男女のトイレは分かれてるし、一人の個室制だから)
男(この子と一緒にご飯を食べることはできない)
男(だけど、この子と一緒にご飯食べることができたら楽しいだろうなぁ……)
男(ちょっと……勇気出してみるか)
男「あの……」
地味娘「あ、そちらからどうぞ」
男「は、はい」
男「えぇと……よかったら俺と友達になってくれませんか?」
男「どこかで一緒にご飯でも食べませんか?」
地味娘「……はい」
地味娘「私もそういおうと……思ってました」
男「…………!」
パチパチパチパチパチ…
男「店長さん!?」
地味娘「…………!?」
店長「私の念願が叶った瞬間を見せて頂きましたよ」
男「念願が叶った?」
地味娘「どういうことですか?」
店長「私がこの≪便所飯専門店≫を始めた理由は、実は二つあるのです」
店長「便所飯をしてるのがバレて、ひどいイジメを受けたこともありましてね」
店長「だから……便所飯をしたい方に快適なスペースを提供したかったのです」
店長「あの頃の私の『こんな場所があれば……』という願いを具現化したのがこの店なのです」
男「そうだったんですか……」
地味娘「店長さんにそんな過去が……」
男「それで、もう一つは?」
店長「もう一つは、一人でも多くの便所飯愛好家を救いたかったのです」
店長「同じことをやっていた者同士、もしもこの店で知り合うことができれば」
店長「もう一人ぼっちで食事をする必要はなくなりますからね」
店長「だから……今のあなたたちのようなシチュエーションが起こることを」
店長「私はずっと密かに待ち望んでいたのですよ」
男「店長さん……」
地味娘「店長さん……」
店長「さぁ、あなたたちはもうこの店を必要とはしていません」
店長「店を出て、ごゆっくり食事をお楽しみ下さい!」
男「はいっ!」
地味娘「はいっ!」
地味娘「駅の多目的トイレで一緒に食べるってのはどうでしょう?」
男「いいね~! あそこなら広いし、二人でも入れるしね!」
地味娘「でしょう? 楽しみですね!」
店長「ええええええええええ~~~~~~!!?」
―おわり―
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コメント一覧 (26)
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- 2017年11月10日 08:13
- 下鮮のかほりがする。
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- 2017年11月10日 08:53
- オチすき
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- 2017年11月10日 09:14
- ちーがーうーだーろー!
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- 2017年11月10日 09:28
- オチがちゃんとついてる
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- 2017年11月10日 10:05
- まずスレタイで草はえるし、傑作やろこんなん
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- 2017年11月10日 11:10
- フフ。まるで「穴の大きいぼっとん便所でのウ○コ」だな。
きれいに落ちたってことさ!
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- 2017年11月10日 12:16
- ※7
だれうま
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- 2017年11月10日 12:19
- 仮にぼっちだとして大学生って便所飯する必要あるのか?
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- 2017年11月10日 12:35
- 便所飯してるおれにはタイムリーなss
だれかこの店つくってくれよ…
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- 2017年11月10日 12:36
- ※8
大学生に限らず便所飯する必要なんてないよ
自分で気にしすぎて勝手にやってるだけ
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- 2017年11月10日 12:40
- 男女で同じトイレの個室...
何も起きないはずがなく...
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- 2017年11月10日 13:16
- わい。外の適当な階段で飯。
この時期は少し辛い。
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- 2017年11月10日 14:49
- 便所飯を馬鹿にするわけじゃないけど、トイレで飯を食うなんて考えられない
絶対無理
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- 2017年11月10日 19:22
- トイレで食事はなあ……
俺も無理だなあ
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- 2017年11月10日 19:33
- 出来ないのは勝手だが、わざわざコメントしなくていい。
それはそれとして、なかなか良い話だった......
俺普通に学食で一人で食べてるけどな。
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- 2017年11月10日 19:40
- 便所飯常連の※15さん激おこw
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- 2017年11月10日 19:45
- ウチの学校のトイレで飯の臭いがするのは※15のせいかよ!
お前ほんとふざけんなよ
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- 2017年11月10日 19:51
- 便所飯野郎はお昼の優雅なうん,ちタイムを邪魔される気持ち考えたことあんの?
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- 2017年11月10日 19:56
- 邪魔されるのは勝手だが、わざわざコメントしなくていい。
それにしても、なかなか良い話だったな......
後俺は普通に学食で一人で食べてるから。
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- 2017年11月10日 20:10
- う.ん.ちっていうのはまだ完全に消化されてるわけじゃないから栄養があるんだ
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- 2017年11月10日 20:31
- う/ん/ちを食べるのは勝手だが、わざわざコメントしなくていい。
そんなことより、やっぱりなかなか面白いな......
俺は普通に学食で一人で食べてるけどな。
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- 2017年11月11日 10:34
- まず、
男「あーあ、どこか気兼ねなく便所飯出来る場所はないかな」
の時点で
どこか気兼ねなく飯食う事が出来る場所を探すはずですぞwww
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- 2017年11月11日 20:29
- ※12風邪引くだろ、一緒に中で食べよう!なっ!
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- 2017年11月11日 20:44
- 風邪を引くのは勝手だが、わざわざコメントしなくていい。
そうはいっても、なかなか良い話だなあ......
俺は学食で一人で食べてるが。
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- 2017年11月15日 13:09
- 風邪を引くのは勝手だが、わざわざコメントしなくていい。
そうはいっても、なかなか良い話だなあ......
俺はこっそり学外で一人で外食しているが。
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- 2018年01月11日 12:47
- 便所飯最高だよな〜
クッソ落ち着く