女「終電……なくなっちゃった」チラッ 男「俺が何とかしてやる!」
男「どうしたの?」
女「もうこんな時間……終電、なくなっちゃった」
男「え……」
女「どうしよう、歩いて帰るわけにもいかないし……」チラッ
男「……」
男(こんな暗い夜道を彼女に帰宅させるわけにはいかない……危険すぎる!)
男(俺が……俺が何とかしなきゃ!)
男(愛する彼女のために!!!)
女「そういえば、あなたの家ってここからすぐ近く――」
男「俺が何とかしてやる!!!」
女「!?」ビクッ
男「もしもし、鉄道会社ですか?」
男「終電時刻を過ぎてしまったので、俺の彼女が家に帰れなくなってしまったんです!」
男「だから特別に電車を動かして下さい!」
女「え!?」
男「……なに!? ダメ!? ――そこをなんとか!」
男「これほど頼んでもダメだというのか!」
男「ちくしょうっ、なんて融通のきかない会社だ! 人が困ってるというのに!」
女「ちょ、ちょっと……」
男「心配しないで。必ず俺が何とかするから」
女「ええ!?」
男「緊急コール! 俺の部下達、緊急招集だ!」ピッポッパッ
男「待っててくれ。すぐ君の家までレールを敷いてあげるから!」
女「あ、あの……」
男「大丈夫、俺の部下はみんな頼りになる奴らさ!」
部下A「お呼びで」
部下B「あなたの望むことは」
部下C「必ず成し遂げてみせます」
男「今から新しく鉄道を作る。この地点から、彼女の家までの土地を全て買い取れ!」
男「金はいくらかかってもかまわん!」
部下全員「ははっ!」
女「えええ……」
男「どうした?」
部下A「ある老人がどうしても立ち退きに応じないのです。何億、何兆でも土地を売らん、と」
男「俺の経験からして、そういう人間は金で釣ろうとしても無駄だろう」
部下A「消しますか?」
男「いや、そういう手段を好まない」
男「俺が直々に出向こう。案内を頼む」
部下A「ははっ!」
老人「何度来ても無駄じゃ! 先祖から伝わってきたこの土地は絶対に売らん!」
男「……お願いします!」
老人「いくら頭を下げたところで……」
男「私の愛する女性を助けるためには……どうしても必要なことなのです!」ギンッ
老人「!」
老人「う……むむむ……!」
老人(この男、なんという澄み切った、まっすぐな瞳をしておるのじゃ……)
男「……ありがとうございます!」
老人「しかし、条件がある」
男「なんでしょう?」
老人「おぬしの愛する女性とやら、必ず救って下されよ」
男「もちろんです!」
部下A「お手数をおかけしました。あなたに出向いてもらうなど、部下失格です」
男「気に病むな。俺の手が必要であればいつでもいってくれ」
男「俺は部下を顎で使うような男にはなりたくないからな」
部下A「ありがたきお言葉……!」ドバァァァァァ
女(涙が土石流のように……)
部下B「障害となる家屋や建物は全て撤去しました!」
部下C「国や自治体、マスコミへの根回しも終わりました!」
男「ご苦労」
男「ではさっそく、この地点から彼女の家まで、線路を作るのだ!」
男「突貫工事で行え! なおかつ安全性には徹底的に気をつかってもらいたい!」
部下全員「ははっ!」
トンテンカン…
トンテンカン…
男「おお……瞬く間に一本の線路が出来上がっていく。まるで早送りを見ているかのようだ」
男「どうだい? すごいだろう?」
女「え、ええ……すごい……(すごすぎ……)」
男「よくやった。続いて駅と、走らせる列車を作るのだ!」
男「駅には彼女が不便しないよう、キヨスクはもちろん、さまざまなショッピングモールを誘致してくれ!」
男「さらにこの鉄道は24時間稼働させるから、複数の運転士を破格の条件で雇ってくれ!」
部下全員「ははっ!」
男「できた……!」
男「ついに完成したぞ! この地点と、君の家までを24時間結ぶ鉄道が!」
女「や、やったね!」
男「ホントにそう思ってるのかい?」
女「!」ギクッ
男「そのわりに“何もここまでしなくても”って顔してるけど」
女「いえいえいえ! そんなことない! そんなことないから!」
男「ならよかった」ホッ
男「さ、乗ろうか。君の家に帰ろう!」
女「う、うん」
プシュー…
ガシャン…
ガタンゴトン… ガタンゴトン…
男「お、君の家が見えてきたよ!」
女「……本当ね」
男「嬉しくないのかい?」
女「う、嬉しいわ」
男「そのわりに“ホントはもっと違う展開になることを期待してたんだけどな”って顔してるけど」
女「ううん! そんなことないから! もうすっごく嬉しい! サイコー!」
男「ありがとう」ホッ
男「君を無事家まで送り届けることができてよかったよ」
女「こちらこそ。わざわざ鉄道まで作ってもらっちゃって……」
男「だけど、俺……本当は……」
女「?」
男「今まで言う勇気がなかったんだけど……」
男「本当は俺……帰れなくなった君に、俺んちに泊まって欲しかったんだ……!」
女「!」
男「なぁ、よかったら俺の家に泊まらないか?」
女「うん……泊まらせて!」
男「彼女の家に着いたばかりで申し訳ないけど、今すぐここから俺の家のある駅まで戻ってくれ!」
運転士「はいっ!」
運転士「これからお楽しみのようですね」ニヤッ
男「か、からかわないでくれ」
女「ふふっ」
男「愛してるよ」
女「私も……」
ガタンゴトン… ガタンゴトン…
二人の愛の列車に終電はない――
おわり
元スレ
女「終電……なくなっちゃった」チラッ 男「俺が何とかしてやる!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1507124730/
女「終電……なくなっちゃった」チラッ 男「俺が何とかしてやる!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1507124730/
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コメント一覧 (21)
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- 2017年10月05日 00:12
- クソスレ
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- 2017年10月05日 00:17
- 彼女の家まで電車走らせる歌なかったっけ
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- 2017年10月05日 00:40
- 面白すぎる
訴訟😡
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- 2017年10月05日 00:43
- なんだこの1800度回転くらいした回り道は!?
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- 2017年10月05日 00:50
- 涙が下水流のように……
-
- 2017年10月05日 01:18
- 気分はもうとっくに ホ・テ・ル
でもラブホテルはやめにしたい
そんな クリスタルなあなたに
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- 2017年10月05日 01:42
- あほくそ
やめたらこのSS
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- 2017年10月05日 01:52
- タイトルで例の画像を思い出す。
-
- 2017年10月05日 02:13
- 鉄ヲタだかの奴に及ばず
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- 2017年10月05日 03:14
- こういう勢いだけの糞スレ好きよ
-
- 2017年10月05日 03:49
- くだらなさ過ぎていかにもSSらしい
イイハナシダナー
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- 2017年10月05日 04:01
- なんで寝台列車にしなかった
-
- 2017年10月05日 06:55
- いいわーこの訳の分からない勢い大好き
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- 2017年10月05日 07:13
- ※8
綾「終電無くなっちゃいましたね…」
主人公「まかせて! 確かに終電はいつもなら無くなるけど、今日は臨時の電車があったんで、時刻表がズレて間に合うんだ!」
綾(呆れ顔)
だったか? ラブリケ~(なお、本編にはそんなやりとりは無い模様)
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- 2017年10月05日 14:50
- 草
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- 2017年10月05日 14:52
- ※2
マニフェスト/RADWIMPS
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- 2017年10月05日 16:39
- 現実「いいから早くタク代出してよ」
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- 2017年10月05日 22:37
- 深夜になにやってんだ
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- 2017年10月05日 23:04
- なんやこれ・・・
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- 2017年10月06日 07:25
- 締めがすき
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- 2017年10月06日 20:24
- ちょっと待って※5がカープファン向けになにか言ってる