男「明日、俺の誕生日パーティーやるから!」みんな「行けたら行く」
- 2017年08月22日 01:10
- SS、神話・民話・不思議な話
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女「んー……行けたら行くね」
不良「行けたら行くぜ」
ギャル「アタシもー! 行けたら行くって感じー!」
メガネ「ボクも行けたら行きますね」クイッ
男「そっかー……」
男(行けたら行く……か)
男(確率は50%……ってとこか。つまり四人のうち、来るのは二人)
男(もし、女とギャルが来たら両手に花だな。むふふふ……)
男(不良とメガネが来たら野郎三人でのパーティーになるけど、それはそれで楽しめそうだ)
男「よーし、パーティーの準備始めるぞ!」
男「飾りつけしたし、ケーキ買ってきたし、クラッカーも買ったし、ビンゴも用意した!」
男「食い物飲み物はたっぷりあるし、ゲームはトランプにUNOとバッチリだ!」
男「あとは明日、あいつらが来るのを待つだけだ!」
男「できれば四人とも来るといいなぁ~」
…………
男「……来ない」
男「もう時間になったのに、誰一人来ない!」
男「どういうことだ!? “行けたら行く”っていってたのに!」
男「みんな揃って行けなくなったってことか!? んなことありえるかよ!」
男「きっとみんな、最初から来る気なんかなかったなんだ! 絶対そうだ!」
男「でも、はっきり断るのもなんだから、“行けたら行く”なんて曖昧な返事をしやがったんだ!」
ガンッ!
男「はりきってパーティーの準備した俺が……バカみてえじゃねえかぁっ!」
バリィンッ!
男「どうせ来ないなら、最初からはっきり断れってんだ!」
ドガシャァンッ!
男「あ~あ……すっかり部屋汚しちゃった」
男「おかしいな……怒ってるはずなのに、なぜか涙が……」グスッ…
男(片付けしなきゃいけないけど、今はここにいたくないな。心がますます痛くなる)
男「出かけるか……」
男「……ん?」
イケメン「……でさぁ~」スタスタ
女「へぇ~、そうなんだ」スタスタ
男(あいつ……すごいイケメンとデートしてやがる!)
男(なんだよ! デートの予定があるんなら、ちゃんと断ればよかったんだ!)
男(“行けたら行く”なんて答え方すんなよ!)
女「……」
イケメン「どうしたんだい?」
女「あの……」
男「?」
イケメン「どうして!?」
女「どうしても行きたいところがあるの……行かなきゃいけないところがあるの……」
イケメン「どこ!?」
女「友達の……誕生日パーティー」
男「!!!」
女「だから、デートはもう終わりにしましょ」
女「私たち、お互い付き合ってるわけでもないし……」
男(来るつもりだったのか)ジーン…
イケメン「待てよ」ギロッ
女「!」
男(イケメンの顔つきが……変わった!?)
イケメン「オレの親父は、君のお父さんが勤めてる会社の社長なんだよ?」
イケメン「つまり、オレが親父に告げ口すれば、いつでも君のお父さんなんかクビにできる」
イケメン「それでもいいのかよ? 今のご時世、中高年の再就職は厳しいよぉ~?」
女「……っ!」
男(……そうか! あいつ、ああやって脅してデートにこぎつけたのか!)
男(顔はイケメンのくせして、なんて奴だ!)
イケメン「オレはお前とヤれれば、それでよかったんだ! も、も、もう我慢できね!」ビンビン
女「な、なにするの!」
イケメン「ヤらせろォォォォォッ!!!」グワッ
男「やめろ!!!」
イケメン「……なんだ、お前は?」
男「俺は……彼女のいってた誕生日パーティーの主催者だ」
イケメン「なんだとぉ~?」
男「彼女には俺のパーティーに参加してもらう。大人しく引き下がってもらおうか」
イケメン「誰が引き下がるかよ!」
イケメン「オレはヤると決めたら必ずヤる男なんだ!」
男「だったら俺は……“行けたら行く”彼女を、必ずパーティーにイかせてみせる!」
男(読める! イケメンの攻撃が読めるぞ!)
男(そうか……! 俺は今日、誕生日を迎えた! つまり年齢が一つ上がった!)
男(その高揚感や幸福感が、俺に凄まじいパワーをもたらしてくれているのか!)
これが――誕生日(バースデイ)効果!!!
男「うりゃあッ!!!」
バキィッ!
イケメン「げぶぅっ……!」ドサッ
男「なんのなんの」
女「だけど、どうしてこんなところに? パーティーはどうしたの?」
男「え! えーっと、実は……」
男「パーティーに君が来ないから、心配になって探しに来たんだ!」
女「そうだったの……心配かけてごめんね」
女「あ……ってことは他の三人はもう来てるの? 私だけ遅刻?」
男「いや、まだ来てないんだ……」
女「だったら、探しに行きましょう!」
男「誰から探す?」
女「不良君がいいんじゃない? 一番行動が分かりやすいし」
男「不良がいそうな場所といえば――」
男女「ゲームセンター!!!」
不良「しくじったぜ……!」
不良「まさか、オレの行きつけのゲーセンの店長であるアンタが――」
不良「極悪最凶チーム“祭暴愚(サイボーグ)”の“ヘッド”だったとはな……!」
店長「クックック……まんまと罠にかかったな」
店長「テメェさえ潰せば、オレたちのチームがこの町で最強を名乗ることができる」
店長「今日この店は貸し切りにしてあるし、オレの手下100人全員を集めた!」
店長「野郎ども、やっちまえ!!!」
ウオオオオオオッ!!!
不良「そうはいかねえ!」
不良「俺は今日、どうしても行かなきゃならないとこがあるんだ!」
不良「ハァ、ハァ、ハァ……」
店長「ヒャハハ、やるじゃねえか! 100人相手にここまで粘るとはよ!」
不良「俺には行かなきゃならない……ところが……」
店長「あぁ~ん? 行かなきゃならないところ?」
店長「だったら連れてってやるよ! “あの世”へよォ!?」ビキビキッ
店長「“スト2”の負けキャラのツラより、ひでえツラにしてやるぜ!?」
不良「ここまで、か……」
不良(すまねえ、親友……)
不良(お前の誕生日パーティー……行けそうにねえや……絶対行くって決めてたのによ……)
不良(“行けたら行く”って返事しといてよかっ……)
男「待てぇぇぇっ!」
女「やめてぇぇぇっ!」
男「不良の……親友さ!」
女「同じく!」
不良「へへ……夢じゃねえだろうな……」
男「夢じゃない、現実さ!」
男「久々に大暴れしてやろうぜ!」サッ
不良「おう!」ガシッ
店長(仲間が来た途端、不良が復活しやがった!)
不良「……」ギロッ
店長(あの眼光、かつて“電邪羅巣・暴威(デンジャラスボーイ)”と恐れられてた頃と同じ……!)
店長「こりゃあ面白くなってきやがった……! 全員かかれっ!」
不良「行くぜ!」
男「うおおおおおっ!」
店長「ぐはぁぁぁっ……! さすが……“電邪羅巣・暴威”だぜ……!」ガクッ
不良「ふぅ~、助かったぜ。一人だったら勝てなかった」
不良「だけどお前ら、どうしてゲーセンに? 誕生日パーティーはどうしたんだよ?」
男「お前がなかなか来ないから、心配して駆けつけたのさ」
女「そうそう!」
不良「へっ……すまねえ……」
不良(俺はいい親友(ダチ)を持っちまったぜ……!)
不良「ギャルなら、ここ来る途中で公園で見たぜ?」
男「公園で?」
不良「ああ、ジジイとなんか話してた」
男「まさか……援助交際!?」
女「すぐ止めないと!」
ギャル「へぇ~、おじいちゃんってお孫さんいるんだ」
老人「しかし、最近会っておらんがのう。昔はおじいちゃん子だったんじゃが……」
ギャル「寂しい?」
老人「まぁのう」
ギャル「だったらアタシを孫だと思ってくれていいから!」
老人「君は見かけはケバイのに、優しいのう……」
ギャル「やだぁ~、超ウレシー!」
男「あ、いたいた!」
ギャル「ウッソー! ヤッダー! みんな、どしたの?」
不良「援助交際なんてやめろ!」
女「そうよ! 自分をもっと大事にしなきゃ! お金のために中古品になったらダメ!」
ギャル「ちょっ、やだ、なにいってんの!?」
老人「ほっほっほ、ワシとこの子はそんな仲ではないよ」
男「な、なんだと……!?」
ギャル「だから週一回、この公園で話し相手になってたの」
男「つまり、ボランティアみたいなもの?」
ギャル「ん~……そんな大それたもんじゃないけど」
老人「この子のおかげでワシはどれだけ救われたか……」
ギャル「そんなことないって~」
ギャル「今日は誕生日パーティーに出ようか、おじいちゃんに会おうか迷ってたんだけど」
ギャル「やっぱりおじいちゃんを放っておけなくてね」
老人「ほっほっほ、ワシのことを気にすることはないよ」
ギャル「え……?」
老人「パーティーに出なさい。ワシは大丈夫だから」
ギャル「ありがとう、おじいちゃん!」チュッ
老人「ほっほっほ」
不良「意外だったぜ!」
女「見直しちゃった!」
ギャル「ちょっ、やだ~! 超テレルー!」
女「これで残るはメガネ君だけね」
男「あいつのことだから、きっと家でパソコンでも叩いてるんじゃないかな?」
メガネ「――くそっ!」カタカタカタカタカタカタ
メガネ「地球に急速接近しつつある小惑星の軌道計算が終わらない!」カタカタカタカタカタ
メガネ「やはり、彼の誕生日パーティーに出るのは無理か……!」カタカタカタカタカタ
隊員A「司令官、計算は我々がやりますから……」
隊員B「どうか、誕生日パーティーに!」
メガネ「いや、こればかりはそういうわけにはいかない」カタカタカタカタカタ
メガネ「なにしろ計算結果次第じゃ、地球が滅びるかもしれないんだから!」カタカタカタカタカタ
メガネ「返事を“行けたら行く”にしておいて正解だった!」カタカタカタカタカタ
男「たしかにパソコン叩いてるけど……」
女「とても話しかけられる雰囲気じゃないね……」
メガネ「な、なんだと!?」
隊員A「どうしました、司令官!?」
メガネ「やはりこの小惑星は、地球に衝突するというのか!」
メガネ「衝突すれば、北半球は消滅……! 残る南半球もタダでは済むまい!」
メガネ「やむをえん、≪地球防衛砲≫の準備を急げ! 総理への許可はボクが取る!」
隊員A「イエッサー!」
隊員B「ただちに準備いたします!」
隊員A「いつでも発射できます!」
隊員B「しかし司令官、出力が足りません!」
隊員B「≪地球防衛砲≫では、あの小惑星は破壊しきれず、多大な被害が出てしまいます!」
メガネ「なんだと!?」
メガネ「出力を補うためには……どうすればいいんだ!? 教えてくれ!」カタカタカタカタカタ
コンピュータ『特殊ナ生命エネルギーガ必要』
メガネ「特殊な生命エネルギー!? 具体的には!?」カタカタカタカタカタ
コンピュータ『今日誕生日ヲ迎エル人間ノエネルギー』
コンピュータ『ソノ人間ノ友達ノエネルギーガアレバナオ良シ』
メガネ「この家に今日が誕生日の者はいない……!」
メガネ「今から探していたら、小惑星衝突にはとても間に合わない!」
メガネ「地球は……オシマイだ……!」ガクッ
メガネ「!」
男「今日誕生日の人間、ここにいるぜ!」
メガネ「男君!? なぜここに!?」
男「説明は後だ! 早く俺のエネルギーを地球なんたら砲に充填するんだ!」
女「私のエネルギーも使って!」
不良「俺のも!」
ギャル「アタシのもジャンジャン使って~!」
メガネ「みんな……ありがとうございます!」クイッ
隊員A「地球防衛砲、エネルギー120%充填完了! いつでも発射できます!」
メガネ「よぉし、発射ァ!!!」
隊員B「地球防衛砲、発射ァァァ!!!」
ズオッ!!!!!
ズガァァァァァンッ!!!
完全破壊することに成功した。
総理大臣「……やってくれたか」
メガネ「しかし、なぜボクの家に……? 誕生日パーティーはどうしたんです?」
男「お前がなかなか来ないから、家まで来てみたんだよ。地球防衛の司令官だったとは驚きだ」
メガネ「そうだったんですか。お手数をおかけしました」
メガネ「これでボクの今日の仕事は終わりました! パーティーに参加させて下さい!」
男「ああ!」
男「じゃあ、みんな俺の家に来てくれ!」
女「うん!」
不良「おう!」
ギャル「超楽しみ~」
メガネ「楽しいパーティーになるといいですね」クイッ
男「お前は……!」
女「イケメンさん!」
イケメン「さっきはよくもやってくれたな……!」
男「ぐ……!」
イケメン「女ァ! 親父に頼んでお前の親父はクビにしてやるぞ! 懲戒免職だ!」
イケメン「ざまあみやがれ!」
男「く、くそ……!」
不良「卑怯者が……!」
メガネ「一難去ってまた一難、ですね……!」
女(お父さん、ごめんなさい……)
ギャル「――あれ?」
イケメン「!? ――お、おじいちゃん!?」
老人「少し見ないうちに、ずいぶんと変わってしまったようじゃのう……孫よ」
老人「自分の立場を利用して女の子を脅すなんて、ワシは悲しいぞよ……」
イケメン「ご、ごめんなさい……!」
イケメン「だって、だって……親父たちは仕事が忙しくて、全然オレにかまってくれないし……」
イケメン「おじいちゃんとも疎遠になっちゃって……」グスッ…
老人「すまんかったのう……」ナデナデ
男(そうか、イケメンもまた人の愛に飢えていたんだな……)
老人「おぬしら、ここはワシに任せて、パーティーに向かうがよい」ニッコリ
男「はいっ!」
ギャル「ありがとう、おじいちゃん!」
ゴチャッ……
女「えええ……!?」
不良「部屋の中、グチャグチャだぜ!」
ギャル「どうしてぇ~?」
メガネ「これは……ただごとではありませんね!」クイッ
男(し、しまった!)
男「!」ギクッ
不良「マジかよ!? だとしたら、オレたちは大罪人だ! 最低の人間だ!」
ギャル「ホントごめ~ん! 行けたら行くっていってたのに!」
メガネ「ボクたち四人の罪は、万死に値します!」
男「え!? あ、いや……違う! 違うんだよ!」
男「四人が来ることは確信してたんだけど、あまりにパーティーが楽しみすぎて」
男「俺一人で騒いじゃってたんだよ! ワーッて!」
女「なーんだ、そういうこと」
不良「ほっとしたぜ!」
ギャル「よかったぁ~」
メガネ「そういうことでしたか……それなら納得できますね」クイッ
不良「だな! 食い物も散らばってるけど、まだ食えそうだし!」
ギャル「それいい~! アタシって食べ物大事にするタイプだし~」
メガネ「片付け終わったら、みんなで改めて男君を祝いましょう!」
ワイワイ…… キャッキャッ……
男(みんな……『行けたら行くはどうせ来ない』なんて、疑ってごめん!)
男(今日の誕生日パーティーは一生の思い出になりそうだ……!)
おわり
元スレ
男「明日、俺の誕生日パーティーやるから!」みんな「行けたら行く」
http://vipper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1503317591/
男「明日、俺の誕生日パーティーやるから!」みんな「行けたら行く」
http://vipper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1503317591/
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コメント一覧 (20)
-
- 2017年08月22日 01:26
- ※1
おっできた
スマン、床って書いたけど、スマホが壊れないように布団に叩きつけたわ
※よい子はマネしないでね
-
- 2017年08月22日 01:27
- そうか、あの時もみんなそういう理由があったんだな!
-
- 2017年08月22日 01:54
- 飛雄馬「みんな忙しかっただけだから(震え声」
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- 2017年08月22日 02:57
- 一体、誰飛雄馬なんだ…
-
- 2017年08月22日 03:04
- あれは、クリスマスパーティーだから(汗)
-
- 2017年08月22日 03:37
- スラスラ読めて面白かった
-
- 2017年08月22日 03:41
- なお現実の行けたら行くは100%来ないもよう
-
- 2017年08月22日 04:35
- SSもそれなりに面白かったけど
※1が布団にスマホ叩きつけてる姿想像したらそっちの方が面白かった
-
- 2017年08月22日 05:29
- 星飛雄馬はもう許してやれよ
-
- 2017年08月22日 06:06
- 行けたら行くってこないと思われがちだけど、俺は行くつもりで言ってる
でも急になんか起きたらやだし、行くって言っちゃうとその日が近づくにつれて使命感みたいなのが出てきちゃうからあえて、行けたら行くって言ってる
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- 2017年08月22日 09:02
- 彼女「イけたらイくから。無理しないで」
男「・・・」
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- 2017年08月22日 13:30
- ※12
おいヤめろ!
もう男のライフはゼロなんだぞ!
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- 2017年08月22日 13:33
- 松井飛雄馬は元気ですか
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- 2017年08月22日 14:56
- これ歯医者のssと同じ作者?
どっちもセンスあるからそう思っただけかな
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- 2017年08月22日 15:13
- おっどっるー鼻ーメガーネー♪
-
- 2017年08月23日 00:55
- パーティ0人かと思ったらまさかの怒涛の展開
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- 2017年08月23日 01:22
- 行けたら行くで何度か来たことあるから来ない確率90%ぐらいだと思う
-
- 2017年10月25日 01:31
- 本当に行けたら行く時って何て言えば良いんだろうな。
まあいつもそのまま行けたら行くって言ってるけど。
-
- 2017年12月05日 02:18
- 行けたら行くわ。
俺これ使って行ったこと一度もないな
俺もこのコメント書いて、送信できたら送信するわ
スマホの画面を開いたまま、床に叩きつける!