【ガルパン】みほ「第2回フリースタイルMCバトル!」 【後半】

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【ガルパン】みほ「第2回フリースタイルMCバトル!」 【後半】






164:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 19:24:50.53 ID:EqKCwBbEo

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165:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 19:29:39.74 ID:EqKCwBbEo


杏「なかなか面白そうな組合わせだねぇ」

沙織「あれ?ボコファイターズのアズミさんとか、BC自由学園とかヨーグルトのマーチとかナカスリベンジャーズの人たちが見当たらないけど…」

杏「本人たちが参加を断ったみたいだよ。大体さ、16チーム参加してたんだから、シングル戦なら32人出場でいいはずなのに、わざわざ1校2人までって決めたのは、シングル戦に出ないかと声をかけた人たちに結構断られたからみたいなんだよね」

桃「なるほどアズミさんは大学生だから遠慮したのかもしれませんね。それは島田愛里寿も同じですが13歳……年齢を考えればむしろ不利と言えます」

杏「年齢とスキルが一致するわけじゃないっていういい例だけどね」アハハ

沙織「ダージリンさん、出ないんだね。出たがりっぽいのに」

ダージリン「実力的にはペコとアッサムの方が上だもの」ウフフ

沙織「うわあ!?」ビクン!

ダージリン「一緒に観戦してもいいかしら?」

沙織「も、もちろんです!」

沙織(よかった。出たがりって言ったの聞こえてなかったみたい)ホッ

華「出場しなくてもよかったのですか?沙織さんいわく、ダージリンさんは出たがりと言っていましたが」

沙織「華ァ!!」

ダージリン「………そう思われていたとはね。でもわたくしは別に自己主張の強い方ではなくてよ」ウフフ

優花里「そ、その通りですよねぇ!紅茶や格言も聖グロの校風ですぅ!ダージリンさんは良識のある常識人でしかありません!」

沙織「も、もちろんです!憧れすぎて言い間違っちゃいました!」アハハ..

ダージリン「あら。褒められちゃった」ウフフ

華「その表情……嘘を吐いている時の沙織さ……もごご」

梓「こ、この話題はもうやめましょう。ね?」ガッシリ

杏「あっははは」

あや「ん?トーナメント表の最後の『???』って誰だろう?」

梓「わざわざ秘密にするってことはもしかして……大会に出てない人、とか?」

あゆみ「それかまだ決まってないのかもね」

柚子「会長は知ってます?」

杏「知らない。ただキリのいい16人にしようとしたけど、各校2人までだと参加希望者は15人だった。あと1人はどうするんだろうとは思ったけどね」

ダージリン「1校だけ3人出場可能とすると不公平ですものね」



166:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 19:31:03.53 ID:EqKCwBbEo


優季「えー、じゃあどうなるんだろー♪」

紗希「……………………敗者復活?」

桂利奈「!そ、それだー!」

優花里「だとしたら西住殿にとっては…………いえ、トーナメント表を見る限り、どなたが出てきても強敵ですぅ」

杏「そだね」



役人「それでは早速シングル戦を始めたいと思います!」

ワァァァァァ!

麻子「…………」ザッ!

ノンナ「…………」ザッ!



沙織「最初は麻子からだ!頑張れー!麻子ー!」

そど子「か、勝ちなさいよー……//」

パゾ美「それじゃ聞こえないよ」

ゴモヨ「照れそど子……」

そど子「う、うるさいわね!」



167:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 19:31:35.26 ID:EqKCwBbEo


【ステージ】

役人「まず最初にシングル戦のルールを説明します。判定方法は2ON2と同じです。お客さんと審査員による判定で決まり、引き分けの場合は延長戦を行います。先攻後攻は、その都度じゃんけんで決めてもらいます。これも同じですね」

役人「違う点は1つです。1回戦と2回戦は8小節の2ターンでの戦いとなります。準決勝は8小節3ターン。そして決勝は8小節4ターンとします!」

麻子(1、2回戦は短くするのか)フム

ノンナ(決勝は4ターン……であればチーム戦も決勝はそうするべきだったのでは?今さら言っても仕方ないことですが)

役人「それでは1回戦 第1試合を始めます!REZE対ノンナ!」

ワァァッァア!

麻子(……前大会でプラウダと当たったが、会長が3人抜きをしたから私はこの人と戦っていない。攻撃的なスタイルだとわかっているが、実際に当たるとどうなるか……さて)

ノンナ(ライミングでは到底太刀打ちできませんね。しかしそれだけで勝負が決まるわけではありません)ギラリ

役人「先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

ノンナ「先攻で」

麻子「!」

役人「OK!先攻、ノンナ!後攻、REZE!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュルッ!



168:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 19:36:51.47 ID:EqKCwBbEo


http://www.youtube.com/watch?v=z2xn_MMZHpE

2:43

<1回戦 第1試合 先攻 ノンナ VS 後攻 REZE>

ノンナ「韻だけのREZE 気に入らねぇぜ」

ノンナ「メッセージ性ねぇ 冷戦状態」ワァァ!

ノンナ「誰に何を言われても 『どう踏もうか』」

ノンナ「馬鹿の一つ覚えだな 不毛だ!」ワァァァ!

ノンナ「私は 適当な言葉を 吐かない」

ノンナ「韻に縛られたままでは 儚い」ワァァ!

ノンナ「ひたすら 相手の言葉 拾うだけ」

ノンナ「正直 みっともねぇ まるで乞食」ワァァ!



麻子「捨てる神あれば拾う神あり」

麻子「難易度で言えば こっちが神なり」ワァァ!

麻子「拾う価値無し のワードチョイス披露」

麻子「漂う疲労感を 救うヒーロー参上」ワァァァ!

麻子「不毛で結構 大洗に羽毛は不要だ」ワァァ!

麻子「客を熱くさせる ライムの活動家」ワァァァァ!

麻子「ノンナ 寒いだけのブリザード」

麻子「火を点けようか ポケモン リザードン」ワァァ!



ノンナ「客を熱くとか クチだけで表情が不一致」

ノンナ「根っこはクールなREZE 下手なスキンシップ」ワァァ!

ノンナ「難易度関係ない 捨ててやってんだ」

ノンナ「捨てる神が上だ ふてぶてしいカスが!」ワァ!

ノンナ「ブリザード オーラゼロのお前 凍らせよう」ワァアァ!

ノンナ「じゃないとクチうるさくて しょうがねぇよ!」ワァ!

ノンナ「大体声量が無い 後ろの方 聴こえてますか!?」

ノンナ「どっちにせよ そろそろ 仕留めてやるか!」ワァァ!



麻子「声量が無い オーラゼロ なのに ほっとけない」

麻子「ブリザードのわりに 心はホットで愛 がある」ワァァァ!

麻子「スキンシップの極端なツンデレ? ツンドラ?」ワァァ!

麻子「素直になれなくて ガツンと殴んのか?」ワァァァ!

麻子「後ろー!声は聴こえてるかー!?」ウォォォォ!

麻子「……ちゃんと聴こえてるってさ」ワァァ

麻子「2小節 捨てたって 必勝です」ワァ!

麻子「『1回戦突破した』 そんな書き出しの 私小説」ワァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!!



169:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 19:37:19.09 ID:EqKCwBbEo


役人「では判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、ノンナが勝ったと思う人!」

ワァァァ!

役人「……後攻、REZEが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!!

役人「まずはREZEが1ポイント先取です。では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『ノンナ』」

理事長「『REZE』」

香音「『REZE』」

新三郎「『REZE』」

浅井「『REZE』」

役人「勝者!REZE~~~~!!!!」ワァァァァ!!

ノンナ「っ……!」

麻子(よし)フゥ..



170:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 19:37:54.05 ID:EqKCwBbEo

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171:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 19:39:39.85 ID:EqKCwBbEo


【舞台袖】

カチューシャ「………………」

カチューシャ(次は私の試合……相手は継続高校のミカ……2ON2で負けた相手)ギリッ..

まほ「……カチューシャ」

カチューシャ「……なによ」

まほ「大丈夫か?緊張しているなら抱きしめるが」

カチューシャ「ばっ……//」

カチューシャ「バカなこと言ってんじゃないわよ!あの時は……確かに弱気になってたけど、もう吹っ切ったわ!」

まほ「……そうか。さすがだな」フッ

カチューシャ「ったく……///」プイ

カチューシャ「………………」


ミカ『ねぇ富豪さん 解雇したら? 隣の執事か秘書』


ミッコ『西住まほは 相方として ババ引いたようなもんだ』


カチューシャ(………………マホーシャの足を引っ張った存在だなんて思われたまま終われないわ!)



【ステージ】

役人「それでは第2試合を始めます!ミカ対カチューシャ!準々決勝で当たったチーム同士の戦いとなります」

ワァァァァ!

カチューシャ「………………」

ミカ「………………」

ミカ(ずいぶん気合いが入っているようだね……だが私も負ける気は無い。西住みほとオレンジペコ、どちらが勝ち上がるかはわからないが、借りは今日のうちに返しておきたいからね)

役人「先攻後攻のじゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

ミカ「……後攻かな」

役人「OK!先攻、カチューシャ!後攻、ミカ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュルッ!



172:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 19:47:51.43 ID:EqKCwBbEo


http://www.youtube.com/watch?v=eCriZ-G9Rog

4:14

<1回戦 第2試合 先攻カチューシャ VS 後攻ミカ>

カチューシャ「早くもリベンジ 即巻き返し びた一文 まけず上げる 期待値!」ワァァ!

カチューシャ「さっきは好き勝手 言ってくれてありがとう 返すのは刀! アタマ カラダ」ワァァァ!

カチューシャ「叩き切る! 舐められたまま終われない プラウダのプライド」

カチューシャ「背負ってる 個人的恨みもある あんたのとぼけた ツラを砕き折る」ワァァァ!

カチューシャ「カンテレの演奏者 マイク持ってちゃ出来ない 二重奏は」

カチューシャ「とにかくぶち倒す 理由とか ありまくるから 機銃掃射!」ワァァァ!

カチューシャ「粉々にする カチューシャは勇者 勝利が従者!」ワァァァ!

カチューシャ「継続させない 敗北の味! いや逆に味わわせてやる あんたに!!」ワァァァ!



ミカ「声量は充分  みたいだね マイクチェックオーケー」ワァァァ!

ミカ「こっちは  冷静 上手い 具合に 消す王手」ワァァァ!

ミカ「ゲームオーバー 清涼感 風の流れ 浮かび上がったリビドー」

ミカ「憤り 邪念捨て 生き残り 歩む道のり 私は 旅人」ワァァ!

ミカ「不必要  無秩序  な乱射は  当たらんさ」ワァァ!

ミカ「刀と 銃  それと マイク? なんという  三刀流」ワァァァ!

ミカ「勢いのみ無駄に熱いだけ 真夏の車のボンネット」

ミカ「負けを恐れ ホメオスタシスが生んだパワー でも敗退 ボーンヘッド」ワァァ! ※ホメオスタシス・・・「生体恒常性」とも言われる。体を一定の状態に保つ働き。寒い時に筋肉を震わせて熱を作って体を冷やさない、など



カチューシャ「体を揺らして 楽しそうね その余裕が導くわよ死亡へ!」ワァァァア!

カチューシャ「わかる? それがボーンヘッド! 気付きなさいよ あんたすでに ウォンテッド!!」ワァァアァァァ!!

カチューシャ「三刀流 その通り 今の私は進化した 宮本武蔵」ワァ

カチューシャ「この瞬間も成長し続ける! あんたらに負けたのも 今思うと昔!」ワァァァァ!

カチューシャ「旅人? だったら罪びと、咎人(とがびと)になろうと 懐に ボディブロー!」ワァァァ!

カチューシャ「あんたは 血みどろ ホメオスタシス? 関係ない 追撃の ロメロスペシャル!!」ワァァァァ!

カチューシャ「2回戦で 終わった2ON2 だからこのシングル戦に賭けてる!」ワァァ!

カチューシャ「私は全部勝って 決勝でマホーシャ倒すぐらいの気持ちがあんのよ!」ワァァァァァ!!



ミカ「早口 ぎゅうぎゅう パンパン 音符と 言葉がケンカ そんな事件だ」ワァァァ!

ミカ「やり方、形はみな それぞれ キミはカチューシャ 私はミカ」ワァァァ!

ミカ「ロメロスペシャル 届くのかな手が? 孤独を抱くベガ」ワァアァ!

ミカ「星の輝き は私の元に ある から旅 を続ける」ワァァ

ミカ「勝敗は 怒鳴る だけで どうなる モノかな? 愚かな ことだなぁ」ワァァァ

ミカ「もっと落ち着いていよう ゆったり間     とったりさ」ワァァ!

ミカ「どっかり と浸かり 勝敗 追う そして栄光を 頬張り放題」ワァァァァ!

ミカ「キミは 震え 続け 腑抜け 脅え てるね 野ウサギ状態」ワァァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」ワァァァァァ!!



173:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 19:48:53.13 ID:EqKCwBbEo


カチューシャ「はぁ……はぁ……」

ミカ「ふー……」

役人「それでは判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、カチューシャが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!

役人「……後攻、ミカが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

ミカ「!……」

カチューシャ「っ!」グッ

役人「まずはカチューシャが1ポイント先取です」

役人「……では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『カチューシャ』」

理事長「『カチューシャ』」

香音「『ミカ』」

新三郎「『ミカ』」

浅井「『カチューシャ』」

カチューシャ「!!」

ミカ「…………」

役人「3対2で勝者は!カチューシャ~~~~!!!!」ワァァァァ!!

カチューシャ「勝っ…………た……?」

ミカ「…………」フゥー..

ミカ「……そうだね。私の負けさ」フフ

カチューシャ「何を笑って……!あんたまさか手を抜い…」

ミカ「違う」ギラリ

カチューシャ「っ……」

カチューシャ(なに、今の鋭い目……こいつがこんな目をするなんて……)ゴクリ



174:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 19:49:29.81 ID:EqKCwBbEo


ミカ「私は全力を尽くした。キミが自分に自信を持てないのは勝手だけれど、その思考に人を巻き込まないでくれるかな?」

カチューシャ「……ふん!嫌味な言い方しなくてもわかったわよ!あんたは全力を出した!そして結果私が勝った!」

ミカ「……その通り」

カチューシャ「あははは!リベンジ成功!いい気味よ!」

ミカ「そうかい」

カチューシャ「…………ャ」

ミカ「ん?」

カチューシャ「でも……まだ1勝1敗なんだから!次もっかい勝ってリードするからね!覚悟しなさいよ!その…………ミカーシャ!」

ミカ「!……その呼び方は……」

カチューシャ「っ……べ、別になんでもないわよっ……//」

ミカ「…………ふふっ」

カチューシャ「な、なに笑ってるのよ!」

ミカ「親しくなれて嬉しいと思ってね」

カチューシャ「ふ、ふん……//」

ミカ「これでKV-1は正式にうちの車両ということでいいのかな?」クス

カチューシャ「なんでそうなるのよ!っていうかホントに返しなさいよね!」

ミカ「ふふっ……さあどうかな?」

カチューシャ「ぬぐぐぐ……」

ミカ「…………では、またいつか会おう。カチューシャ」ニコッ

カチューシャ「っ……!そ、その時にKV-1を返しなさいよね……//」



175:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 19:51:05.54 ID:EqKCwBbEo


【2階席】

沙織「わー……なんかこの距離で見ててもカチューシャさんってチョロそう」

華「沙織さんクラスですね」ニッコリ

沙織「本人に言う!?」

華「あっ……ごめんなさい。今後は陰で言うことにします」ペコリ

沙織「それもっとヤダ!」

しほ「……今の試合、ちよきちはどう思う?」

千代「…………カチューシャさんは今までは固めのライミングと早口のフロウで安定した力を発揮していたわ。でもこの試合では圧倒的なバイブスを乗せたフロウを全面に出してきた」

千代「ライミングも『宮本武蔵』、『今思うと昔』と、強引にねじ込んで決めたと思ったら、『旅人、罪びと、咎人、懐、ボディブロー、血みどろ』といった辺りは、語尾を『o(お)』で踏んでいるけれど、文字数的には2文字程度。でもこの絶妙な踏み外しが聴いていて心地いい。『ホメオスタシス』と『ロメロスペシャル』もそうね。少し外れてるけれど気持ちよく聴こえる」

しほ「む、確かに……しかし継続の子は変則的なフロウが面白く、さらに韻の固さもあった。アンサーも的確だったと思ったが」

千代「そうね。フロウテクはカチューシャさんよりも上ね。今の試合では特にその部分が協調されていたわ。微妙にテンポをズラしたり、速度を上げたり落としたり、声色を変えたり。抑揚を効かせたかと思えば次の瞬間には平坦になっている、などと言った風にね。2ON2の時には見せなかった……いえ、若干変則的で特徴のあるフロウを見せてはいたけれど、コンビネーションを優先し、オーソドックスに寄せていたのでしょう、本来のミカさんはこの試合で見せたスタイルだと思うわ」

しほ「私的にはコンビの時よりも新鮮で面白かったが……結果は敗北か……」

千代「ええ……ミカさんのそういった技術や特徴を、カチューシャさんのバイブスが全てを吹き飛ばした。これが一番わかりやすい解説かも知れないわね。『カチューシャは勇者 勝利が従者』なんて表現もカチューシャさんらしくていい」

千代「それと熱い言葉をぶつけてくるカチューシャさんに対し、『勝敗は 怒鳴るだけで どうなるモノかな? 愚かなことだなぁ もっと落ち着いていよう』と、なだめるような諭すようなアンサーをした。これも時に有効だとは思うのだけれど、今回は裏目に出たというか……今回はカチューシャさんがバチバチに立ち向かってきているのをはぐらかしているという、良くない印象を与えてしまったわね」

千代「でも最終的な決め手はカチューシャさんの『私は全部勝って 決勝でマホーシャ倒すぐらいの気持ちがあんのよ!』というパンチラインかしらね。リベンジだけじゃなく、その先を見ているという強い意志が身体中から発せられているようだったもの」

しほ「なるほど…………しかしフリースタイルバトルとは難しいものだな。真正面から来る相手を翻弄させるのは戦法として間違いではないというのに」

千代「ええ。だから本当に難しいのよ。戦うことも、判定をすることもね」



176:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 19:51:36.41 ID:EqKCwBbEo

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177:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 19:52:43.16 ID:EqKCwBbEo


【ステージ】

役人「1回戦 第3試合です!」

ナオミ「…………」ザッ

アンチョビ「…………」ザッ!

役人「ツインテールショートヘアのチーム内対決となりました!」

ワァァァ

ナオミ「悪いけど、勝たせてもらうよ」

アンチョビ「ああ、そのつもりで来い。迎え撃つからな」ニッカリ

役人「先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

アンチョビ「……後攻を選ぶ!」

役人「OK!先攻、ナオミ!後攻、アンチョビ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュララ



178:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 19:55:34.41 ID:EqKCwBbEo


http://www.youtube.com/watch?v=trnOBLGCEeU

3:26

<1回戦 第3試合 先攻 ナオミ VS 後攻 アンチョビ>

ナオミ「後攻の方が 得だからって 迷わず選ぶ ドゥーチェ」

ナオミ「相変わらず貧乏性 甘い考え まるでフルーチェ」ワアァァ!

ナオミ「アンチョビ 盛り上げ上手 でも実力まで盛りすぎ」

ナオミ「ノリだけで突っ切るのは無理があるよリスキー」ワァァァ!

ナオミ「チームワークは抜群だった ツインテールショートヘア」

ナオミ「でも勝負なら手加減抜き 1回戦でとっとと消えな!」ワァ!

ナオミ「アンツィオはパスタ サンダースはポテト 美味しい上に低価格」

ナオミ「でも食材もお客さんも 私がアゲて 勝利をいただく!」ワァァァ!



アンチョビ「その調理する手に巻き付くパスタ 揚げ足でもとりますか」ワァァ!

アンチョビ「低価格というより体たらく 私が勝利をいただく!」ワァァァァ!

アンチョビ「後攻が得? たった今先攻で勝ったぞ カチューシャ」ワァァ!

アンチョビ「そんな計算も出来ないなら ケイより遥か格下」ワァァァ!

アンチョビ「貧乏性より 浪費癖ある金持ち校の方が 見通しが甘い」ワァ

アンチョビ「チームワークは確かに良かったけど 愛おしさは無い」ワァァァ!

アンチョビ「とそれは言い過ぎた でもB’zみたいな 高音でこのビートの」ワァァ

アンチョビ「ココってとこで ノリながら ナオミを速攻で沈めるぞ!」ワァァ



ナオミ「手に巻き付くパスタ? 食べ物を粗末にするんじゃねぇ」

ナオミ「一般的に後攻が得なのに 今の1試合の部分だけ」ワァァ

ナオミ「で判断 だんだん憐れに思えたんだが 算数習ったか?」ワァァァ!

ナオミ「仕方ない 教えてやる イーアルサンスーわかったか?」ワァァァァ!

ナオミ「ところでB’zだったら 好きなのは BLOWIN」

ナオミ「アンツィオ 金のやりくり大変らしいな 苦労人」ワァァ!

ナオミ「でもサンダースが金持ちだからって 決め付けるなよ 浪費癖」

ナオミ「無駄金 使ってたら強豪でいられねぇだろうが もう気付け」ワァァ!



アンチョビ「違うな! 無駄金は使ってる 施設内にトイレ 1000人分」ワァァァ!

アンチョビ「アンツィオで そんな真似しようものなら 全員Boo!」ワァァァァ!

アンチョビ「数の数え方は 知ってるに決まってるだろ いちにーさんしー」

アンチョビ「アンサーのようでちょっとズレてる 行き違い」ワァァァァ!

アンチョビ「苦労人だから頭使って 戦ってきたんだから勝ってる」ワァァ!

アンチョビ「ましてやマイクでの勝負なら余裕だ ヘイヘイ からかってく」ワァァ!

アンチョビ「ちなみに使ったパスタは再利用 もったいない精神」

アンチョビ「そして実力を見せつけてやるぞ このっ大会制し!」ワァァッァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!



179:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 19:56:12.48 ID:EqKCwBbEo


役人「……早速判定に入ります!まずはお客さん!今の勝負、先攻ナオミが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「……後攻、アンチョビが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

役人「まずは後攻アンチョビが1ポイント先取です。では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『アンチョビ』」

理事長「『アンチョビ』」

香音「『ナオミ』」

新三郎「『アンチョビ』」

浅井「『ナオミ』」

役人「3対2!勝者!アンチョビ~~~~!!!!」ワァァァァ!!



アンチョビ「!勝っ…………っと、いかん」

ナオミ「…………」

アンチョビ「………………」チラ

ナオミ「ははっ、なんで申し訳なさそうな顔してるんだ?」

アンチョビ「いや、なんか、ナオミの前で大喜びするのも違うだろ……」

ナオミ「確かにな。1回戦で勝ったくらいで大喜びされるのは違うね」

アンチョビ「え」

ナオミ「でもチームを組んでいたからと言って、私に遠慮して感情を抑えるのも違う。素直になりなよ」

アンチョビ「…………勝ってすごくうれしい」

ナオミ「なら喜べばいい」

アンチョビ「………………いいのか?」

ナオミ「もちろん」ニコリ

アンチョビ「そ、それじゃ……」コホン

アンチョビ「やったーー!勝ったぞぉーーーー!」ワーイ!

ナオミ「大喜びしてるじゃないか」クスッ



180:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 20:00:44.78 ID:EqKCwBbEo


【2階席】

ダージリン「アンチョビさんはフロウが上手ですわね。やはり積極的に指示を飛ばすタイプの方はクチがよく回るのかしら」

杏「あー、なんかそれわかるかも」モグモグ

柚子「カチューシャさんも似たタイプですもんね」

桃「サンダースの隊長もだな。というか指揮官は大体がそうじゃないか?」

ダージリン「わたくしは早口はあまり得意ではないけれど」

杏「ダージリンは呆れるほどマイペースだかんね」

ダージリン「あら、ありがとう」ウフフ

杏「褒めたことになっちった」アッハハ

しほ「いい勝負だったが延長にはならなかったか」

千代「パンチラインの数でアンチョビさんが上回ったという印象ね」



181:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 20:01:56.19 ID:EqKCwBbEo

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182:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 20:02:53.05 ID:EqKCwBbEo


【ステージ】

役人「ではどんどん行きましょう!次はミッコ対愛里寿のバトルです!」

ワァァァ!

ミッコ「へへっ、1回戦で当たるとはラッキーだ。ここで倒してやる」ギラリ

愛里寿「そうですか」

役人「では、先攻後攻のじゃんけんをお願いします!」

ジャンケンポン

愛里寿「後攻で」

ミッコ「ふふん、私に恐れをなしたか」

愛里寿「……特にあなたに言いたいことがないので」

ミッコ「なにおう!」

役人「先攻後攻が決まったところで……先攻、ミッコ!後攻、愛里寿!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ」シュババッ!



183:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 20:07:28.00 ID:EqKCwBbEo


http://www.youtube.com/watch?v=U02VVVZ00lw



<1回戦 第4試合 先攻 ミッコ VS 後攻 愛里寿>

ミッコ「ここまでの試合 みんな早口じゃね?」

ミッコ「うちらは もっとゆったりバトルしたくね?」

ミッコ「ひたすら喋りまくって ご乱心ですか?」

ミッコ「て感じで言葉詰め込み過ぎて 満員電車」ワァァ!

ミッコ「よりもゆったりとディスり合いの 取っ組み合い」

ミッコ「BPM関係なく 私はとっくにハイ」ワァァ!

ミッコ「ゴス口リで喋りまくるのは 滑稽だぜ?」

ミッコ「しょっぺーだけ このテンポで行こう オッケーだね?」ワァァァ!



愛里寿「あんたのラップ 最初からBPMどうこう」

愛里寿「言わずとも つまらないねスローモーション」ワァァァ!

愛里寿「大したパンチライン無いのに 手数犠牲にする」

愛里寿「カッコだけの横綱相撲 楽な相手 露骨な無能」ワアァァァ!

愛里寿「低レベルで余裕ぶるのは 愚の滑稽だ」

愛里寿「力をあとにとっとこうか それともあえての特攻か」

愛里寿「岐路は行き止まり 延長狙いの 引き延ばしか?」

愛里寿「身の程知らず 蜘蛛の子散らす ように弾き飛ばした 客」ワァァァァ!



ミッコ「言葉遣い注意しろ 中1を ようやく過ぎた頃だろ?」ワァ

ミッコ「無能とか軽々しく使うんじゃねぇよ このアホ!」ワァァ!

ミッコ「舐めるなよ 継続とミッコのこと」

ミッコ「社会勉強のために怖いとこ 見せようか いっそのこと」ワァァァ!

ミッコ「横綱相撲は おめぇの方じゃねぇか!負けたくせによ!」

ミッコ「ファイナリストが偉いわけじゃねぇ てかまず挨拶しろ!」ワァァ!

ミッコ「上下関係わかんねぇと大学で苦労するぞ クソガキ」

ミッコ「せいぜい卒業まで無事でいられるように願掛けで食っとけ 太巻き!」ワァァァ!



愛里寿「1バースだけみたい ゆったりタイム終了」ワァァ!

愛里寿「脳に負担? 勝率なんか 下がる一方で だいぶ苦痛と」ワァァァ!

愛里寿「判断したらしいけど 恥ずかしい 言い出しっぺ」

愛里寿「前言撤回なら出せ両腕 左か右かしっぺ」ワァァァ!

愛里寿「罰ゲーム逃げて隠れる ブレること言いバックレる」

愛里寿「社会勉強 大丈夫 見てないよ 甘い幻想」ワァァァ!

愛里寿「ミッコ ダサい迷走 破壊、清掃 忙しい」ワァァァ!

愛里寿「1人じゃ辛いか? モロ弱体化 いとおかし」ワァァァア!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!



184:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 20:08:12.23 ID:EqKCwBbEo


ミッコ「くっ……!」

愛里寿「………………」

役人「では判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、ミッコが勝ったと思う人!」

ワァァァ!

役人「……後攻、愛里寿が勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!!

役人「まずは愛里寿が1ポイント先取です。では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『愛里寿』」

理事長「『愛里寿』」

香音「『愛里寿』」

新三郎「『愛里寿』」

浅井「『愛里寿』」

役人「勝者!後攻、愛里寿~~~~!!!」

ワァァァァ!!

ミッコ「やっぱりか!くっそー!」

愛里寿「………………」

愛里寿(負けるわけには行かない。決勝でみほさんと戦うんだ)ギラッ



185:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 20:08:53.91 ID:EqKCwBbEo


【2階席】

沙織「……愛里寿ちゃんはミッコさんの誘いに乗らずにマイペースを貫いた感じでしたね」

杏「ゆっくりでも戦えないことないんだろうけどね。でも普通のスタイルで相手の提案を崩すことで優位性のアピールになったね」

ダージリン「2バース目のミッコさんは明らかに1バース目の余裕が失われていたものね」

優花里「相手の土俵に乗らず、むしろ引っ張り込んだ形ですか……奥が深いですねぇ!」

しほ「やはり強いなちよきちの娘は……」チラ

シーン..

しほ「ん?ちよきち?どこに行った?」

しほ「トイレか?だとしても、中座するのなら一言あってしかるべき……」ハッ

しほ「ということは…………大きい方をするつもりか……!?」ガガーン



186:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 20:09:25.61 ID:EqKCwBbEo

no title



187:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 20:11:15.30 ID:EqKCwBbEo


【ステージ】

役人「次の試合は……」

アッサム「」ザッ

ケイ「♪」ザッ!

役人「アッサム対ケイのバトルです!」

ワァァァァ!

ケイ「最初はグー!」

アッサム「っ…!?」ジャンケンポン

役人「それでは先攻後攻…」

ケイ「後攻プリーズ!」

役人「あ、もうじゃんけんしたんですね。わ、わかりました……こほん」

役人「1回戦第5試合、先攻、アッサム!後攻、ケイ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュルル!



188:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 20:21:43.90 ID:EqKCwBbEo


http://www.youtube.com/watch?v=N6PUE2NrICc

2:00くらい(4ターン終了時)

<1回戦 第5試合 先攻アッサム VS 後攻ケイ>

アッサム「ノリだけのリーダーへのメッセージ」

アッサム「徹底的に勝つ 防御は鉄壁」ワァァ!

アッサム「攻めも守りも 損も得も」

アッサム「関係ない 踊らない あなたのコントロール」ワアァ!

アッサム「コント勝負 のような おちゃらけ」

アッサム「する気もない 勝利こそ定め」ワァァァ!

アッサム「だからケイはおしまい フェイクのまま」

アッサム「聖グロだから 作る メイクドラマ」ワァァァ!



ケイ「韻が固い!やばいやばい!」

ケイ「でもそのメイクドラマ やらせみたい」ワァァ!

ケイ「自信が無いから 守りを固めちゃう」

ケイ「大事なとこですぐ やられちゃう」ワァァァ!

ケイ「フェイクだった時 一度もないよ?」

ケイ「憶測じゃなくてさ ちゃんとしないと」ワァァ!

ケイ「韻たくさん踏んだならば勝ち?」

ケイ「NO! ペコちゃんも言ってたね 『ばかちん!』」ワァァァ!



アッサム「全体的に いい加減 マイペース」

アッサム「いつかクビ狙われる 着なさい ハイネック」ワァァ!

アッサム「I REP フリースタイルバトル」ワァ

アッサム「だから戦い 勝ちを重ねとく」ワァァ

アッサム「落ち着き払った所作で 初戦突破」

アッサム「ドバドバのアドレナリンで酔った」ワァ

アッサム「背負った聖グロの旗印」

アッサム「負けること自体が ギルティ」ワァ!



ケイ「お客さん この子もう言うことないみたい」ワァァァ!

ケイ「フラフラ迷いながらバース消化」ワァァ!

ケイ「でも気にせず 勝負 挑んでく」

ケイ「あなたは やる気もリボンも しぼんでる」ワアァァァ!

ケイ「いつも履いてるのは 黒タイツ」

ケイ「伝線しないようにね グッドラック」ワァァァ!

ケイ「今日も着てるね 紺色のセーター」

ケイ「私はケイ 金色(こんじき)のリーダー!」ワァァァァ!!!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!!



189:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 20:24:44.38 ID:EqKCwBbEo


アッサム「…………っ」

ケイ「ふぃー」

役人「では判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、アッサムが勝ったと思う人!」

ワァァ!

役人「……後攻、ケイが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!

役人「まずはが1ポイント先取です。では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『ケイ』」

理事長「『ケイ』」

香音「『ケイ』」

新三郎「『アッサム』」

浅井「『ケイ』」

役人「勝者!ケイ~~~~!!!!」ワァァァァ!!

ケイ「イエーイ!サンキュー!」



【2階席】

杏「いっひひ。おケイらしい勝ち方だねぇ」

ダージリン「彼女の2ターン目の『この子言うことないみたい』が的を射ているように感じてしまったわね」

杏「だから先攻は難しいんだよねー。攻撃する、あるいは自分の力を誇示したり目的を表明するなりしないと、フワッとした曖昧な印象しか残せない」

ダージリン「…となると相手の攻撃をどうアンサーするかの戦いになってしまう。これでは先攻でありながら1ターン少ない後攻のようなものね」

優花里「なるほど……」

杏「ライミングで攻めてもライミングで反撃しないから、2バース目以降をどう返せばいいか悩ましいよね。冷泉ちゃんは前におケイに勝ってるけど、それはライミングに圧倒的な自信があるからなわけで、そうでもなければ攻め手に欠くよねぃ」

ダージリン「アッサムには聖グ口リアーナの代表として頑張ってほしかったけれど……残念だわ」

杏「あ、そういえば次の試合…」

ダージリン「ええ。オレンジペコが出るわ」

杏「……個人的にはさ、オレンジペコちゃん最強クラスのイメージあるんだよね」

ダージリン「あら。最大の賛辞ね」

杏「西住ちゃんとのコンビでもそうだけど、相手の嫌がるところを突くのが上手いし、ライミングもこなせるから」

ダージリン「うふふ、我がことのように嬉しいわ」

杏「……ただ、1回戦の相手が西住ちゃんのおねーさんってのがねぇ」

ダージリン「……そうね。わたくしの見立てでも、ペコが最強クラスであると思うけれど、まほさんも最強クラスであるのは間違いないわ」

杏「優勝した勢いはオレンジペコちゃんにある。お客さんの支持もそう。でも油断できる相手じゃない」

ダージリン「だからこそ、一分の隙も作らず、全力で勝ってくれると信じてるわ」

杏「………………」

杏(準決勝とかもっと先で観たいカードだったけど……さて、一体どうなるのかな)



190:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 20:25:18.25 ID:EqKCwBbEo

no title



191:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 20:25:57.40 ID:EqKCwBbEo


【ステージ】

役人「それでは1回戦 第6試合は…………オレンジペコ対西住まほ!」

ワァァァァァ!!

オレンジペコ「…………」

まほ「…………」

オレンジペコ(いきなり嫌な相手とですね……8小節2ターンが功を奏すかあるいは裏目に出るか……)

役人「早速始めましょう!先攻後攻じゃんけんをお願いします!」

ジャンケンポン

まほ「……後攻で」

オレンジペコ(……なるほど。私を侮ってはいない様子ですね。それはこちらも同じ。全力で戦わなければあっさり負ける危険のある相手と捉えています。初っ端から本気で勝ちに行きます)ギラリ

役人「OK!先攻、オレンジペコ!後攻、西住まほ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュリリリ



192:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 20:30:09.31 ID:EqKCwBbEo


http://www.youtube.com/watch?v=gdXiDGICNHg&t=16s

2:57

<1回戦 第6試合 先攻 オレンジペコ VS 後攻 西住まほ>

オレンジペコ「準決前に純潔を散らしちゃった 無冠の女帝さん」ワァァ!

オレンジペコ「ムカつくというか虚無感でしょ 狂っちゃったよ計算」ワァァア!

オレンジペコ「相方のカチューシャさんばかり 敗因にされて可哀想」

オレンジペコ「で自分は精一杯やった感じ それ非常に卑怯じゃないですか?」ワァァァ!

オレンジペコ「しかも途中チームワークが崩壊 強気同士はどうしようもない」

オレンジペコ「折衝役がいないと結局負ける チームで決闘の場合」ワァァ!

オレンジペコ「MIH×O×RENGE 見て したらいいですよ お勉強」

オレンジペコ「先輩方 差し置いて優勝しちゃって ごめんよー」ワァァァ!



まほ「優勝して見た景色が お前をそうさせたのか」

まほ「困惑してしまう 的(まと)と同じように 外せ色眼鏡」ワァァ!

まほ「敗因 人のせいにしてねぇ お前が勝手にそう感じてるんだろうが!」ワァァァ!

まほ「虚無感なんて一生無い 常に先と上を見据えるからな!」ワァァァァ!

まほ「優勝した瞬間 頂上は通過点になる そしてまた走る」ワァァ!

まほ「安堵しながら 一休み気分のお前とは違うんだよ!」ワァァァァ!

まほ「MIH×O×RENGEの勝因を自分の成果と勘違い」

まほ「アドバイスのお礼に 黒い色を付けて叩き返してやるよ」ワァァァ!



オレンジペコ「早口で弁明 それだけ記憶が鮮明なわけですね」ワァァ

オレンジペコ「チームワークの件はノーアンサー ごく自然に使う黙秘権」ワァァ!

オレンジペコ「あのー、私が勝因なんて 一言たりとも言ってませんけど?」

オレンジペコ「あなたが勝手にそう感じてるんでしょうが!」ワァァァ!

オレンジペコ「虚無感が無いんですか それってなんか人間味ない自慢?」

オレンジペコ「『全然寝てなくて~』みたいな意味不明のダサイ感じ」ワァァ!

オレンジペコ「優勝したことないくせに 頂上が通過点?」

オレンジペコ「予想か想像か妄想か病状か とにかくなんつーか変です」ワァッァア!



まほ「優勝なら経験済み 戦車道で何度もしてる」ワァァァ!

まほ「お前は ここ数年の記憶が曖昧らしいな!」ワァァァ!

まほ「睡眠時間の話なんて 全然関係ねぇ」

まほ「寝てないのはお前だろ ずっと寝ぼけたこと言ってやがる!」ワァァアァア!

まほ「チームワークの話は ほんの些細なミス」

まほ「ミスが1つも許せないのか? 人間味が無いのはどっちだよ!」ワァァァッァ!

まほ「お前は 使っていいよ黙秘権 だがよく聴け」ワァァ

まほ「この会場 判定で耳にする声が お前に下される現実だ!」ワァァァァァア!!!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!



193:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 20:31:16.41 ID:EqKCwBbEo


役人「……えー、では判定に入ります!先攻、オレンジペコが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「後攻、西住まほが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァァァ!!!

オレンジペコ「っ……」


役人「まずは後攻、西住まほに1ポイントが入ります!では審査員……………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『西住まほ』」

理事長「『西住まほ』」

香音「『西住まほ』」

新三郎「『西住まほ』」

浅井「『西住まほ』」

役人「勝者!西住まほ~~~~!!!!」ワァァァァ!!



まほ「…………」フゥ

オレンジペコ「………………あの、ありがとうございました」スッ

まほ「ああ、こちらこそありがとう」ガシッ

オレンジペコ(正直、2ON2で優勝出来たし、勢いはこちらにあるから勝てると思ったんですけど……まるで通用しなかった)

オレンジペコ(強いなぁ…………この人……)クス

まほ「?なにか」

オレンジペコ「いえ。このあとも頑張ってください」

まほ「ああ。ありがとう」

オレンジペコ(これで聖グロは全滅……申し訳ありませんダージリン様)



194:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 20:34:19.32 ID:EqKCwBbEo


【2階席】

沙織「みぽりんのお姉さんすごい!強い!」

優花里「これは……まさに花を生ける時の力強さですね」

沙織「……ゆかりん?何を華みたいなことを……って!」

優花里「………………」
華「………………」

沙織「…………ゆかりんの後ろにピッタリくっついてゆかりんが言ったみたいにしたわけね」ハァ

華「うふふ。バレては仕方ありませんね」ニッコリ

沙織「何の意味があるのよもー。ゆかりんも付き合わなくていいからね」

優花里「はあ……でも五十鈴殿が『素晴らしいアイデアを思い付きました!』と言われたのでつい……」

杏「ほんとほんと、超魔術みたいなアイデアだったと思うよー?」

華「ほら!」

沙織「……いや、会長適当言ってるだけだから」

杏「あっはは」

ダージリン「それにしても今の試合……正直驚いたわ。負けるとしても延長にもつれこんで、という形だと予想していたけれど……」

杏「オレンジペコさんはかなりいい感じだった。1バース目なんか絶好調で、このままの勢いで勝つんじゃないかって思わせるほどに。でも西住ちゃんのお姉ちゃんの、あの空気を一気に変える感じ……やばいね。おケイに通じるものがあるよ。だからこそ2回戦でその2人が対戦するのが楽しみだけど」

しほ「………………」

しほ(ちよきち……私に何も告げず、メールも置手紙もせずにいなくなる……トイレなのは間違いないだろうが、だとしても一言あってしかるべきだろう)

しほ(それが無いということは……誘拐……いや、まさか……)




195:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 20:34:50.71 ID:EqKCwBbEo

no title



196:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 20:35:29.46 ID:EqKCwBbEo


【ステージ】

役人「次の試合は~~~!エリカ対カルパッチョ~~!」

ワァァッァア!

エリカ「………………」

エリカ(こいつとは初対戦だけど、ライムを連発するスタイルなのはREZEと同じ。だったら対処法は出来てるわ!)ギラリ

カルパッチョ「………………」

カルパッチョ(この人はバイブスが高い上にライミングも上手。厄介な相手ですね)

役人「先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン!

エリカ「!後攻よ!」

役人「OK!先攻、カルパッチョ!後攻、エリカ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」シュビビビ!



197:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 20:41:12.39 ID:EqKCwBbEo


http://www.youtube.com/watch?v=sXjxkTQ6p1Y

2:46

<1回戦 第7試合 先攻 カルパッチョ VS 後攻 エリカ>

カルパッチョ「先攻カルパッチョ 韻が先行 みんなセッション」ワァァ

カルパッチョ「進化面倒 がる子 置いて 走り出す 銀河鉄道」ワァァァ

カルパッチョ「軽くウォーミングアップ 押韻、スラング」

カルパッチョ「高みを目指そうキングカズ」ワァァァ!

カルパッチョ「エリカは 大体 オラオラ系」

カルパッチョ「古すぎる マイアヒ 飲ま飲まイェイ」ワァァァ!

カルパッチョ「全然 洗練 されてない流派」

カルパッチョ「足りないのは工夫か? またはIQだ」ワァァァ!



エリカ「何が言いたいの!? ハッキリしなさいよ!」ワァ!

エリカ「ライミングしたいだけで内容に 意味がないの?」ワァァァ!

エリカ「なんでもいいわよ オラオラ系でもガテン系でも」

エリカ「ただ飲ま飲まイェイより私は 俄然Yeah」ワァァァ

エリカ「韻はすごいけど 内容がスカスカ」ワァ

エリカ「なんで突然出てくるの キングカズが」ワァァ!

エリカ「1回戦負け 残念 あんたはここで最終回」

エリカ「カルパッチョに足りないのはバトルIQだ!」ワァァァ!



カルパッチョ「私に足りないのは バトルIQ?」

カルパッチョ「いえいえ、それは国外級」ワァァァ!

カルパッチョ「キングカズぐらい ストイックに スッといく」ワァァァ!

カルパッチョ「スト行くよりもずっと密に 精神性はストリップ」ワァァァァ!

カルパッチョ「さらけ出したまま投げ出しはせずに 優勝まで駆け」

カルパッチョ「You超ダメ 夢遊病者へ 告げるよ 終了だね」ワァァア!

カルパッチョ「エリカもスタイル中途半端だ 有毒なんだか」ワァァ

カルパッチョ「韻踏みたいのか どっちかね? 陳腐に最後は どっちらけ」ワァァァ!



エリカ「どっちらけ? はあ!?それは こっちのセリフ!」

エリカ「韻だけ適当な味付け 意志の薄いエキス」ワァァ!

エリカ「夢遊病者? 突然のワード 理解不能」ワァァ

エリカ「そのくせ 『さらけ出してる』とか 痛いっつーの!」ワァァァ!

エリカ「ちゃらんぽらんな アンツィオが ストイック?」

エリカ「あんたこそ ニセモノの匂いしか感じない クソ陳腐!」ワァァア!

エリカ「こっちは 真剣な想いを ぶつける相手を欲してる!」

エリカ「それが あんたじゃないってことは よく知ってる!」ワァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァア!



198:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 20:41:39.08 ID:EqKCwBbEo


役人「では判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、カルパッチョが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!

役人「……後攻、エリカが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

エリカ「…………」チッ

役人「まずはカルパッチョが1ポイント先取です。では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『エリカ』」

理事長「『エリカ』」

香音「『エリカ』」

新三郎「『カルパッチョ』」

浅井「『エリカ』」

エリカ「っし!」グッ

カルパッチョ「…………っ」

役人「審査員は4対1でエリカを支持!ということで延長戦です!」ワァァァ



199:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 20:43:38.63 ID:EqKCwBbEo


【2階席】

沙織「4対1って結構な差じゃん」

華「まさにメガ盛りと小ライス、ですね」

優花里「私はカルパッチョさんが韻をたくさん踏んでいて心地よかったのですけどねぇ」

杏「それが難しいとこなんだよねぃ。韻踏んでりゃーいいわけじゃない。アンサーで言ったら逸見エリカの方が返せてたし」

ダージリン「でもあれだけライミング出来るテクニックは評価されてしかるべきだけれどね」

沙織「…………あれ?」

華「どうしたんですか沙織さん?また体重が増えたと気付いた時のような顔をして」

沙織「そんな顔してないもん!あれ……」

華「?」



しほ「………………」



華「みほさんのお母様ですわね」

沙織「さっきまで一緒に観てたのに、いつの間にかちょっと離れたところにいる……しかも愛里寿ちゃんのお母さんがいないね」

優花里「何故移動したのでしょうかねぇ」

沙織「わかんない……でもなんかすっごい真面目な顔してステージ見てるし、そっとしておいた方がよさそう」

優花里「……確かにそうですねぇ。しかしバトルを観て、西住殿のお母さんがどのように考えているのか……気になりますぅ」

桃「それは私も同感だが、話しかけて邪魔をするのはやめた方がいいだろう」

沙織「ですね」



しほ「………………」

しほ(ちよきちがいなくなってしまった今、1人でとても寂しいわ)

しほ(今まで通り大洗の子たちと一緒にいれば賑やかで楽しそうだけれど……ちよきちがいなくなってしまった今、私だけ混ざるのは危険)

しほ(何故なら、会話をした際に、イマドキの子には通用しないおばさんっぽい言葉遣いをしてしまった場合、みほの今後の学校生活に響くかもしれない)

しほ(いえ……それ以前に、死語を死語と知らずに使ってしまった時の周りの冷めた反応が怖いわ。家元でもその怖さはおんなじ)

しほ(つまり私に出来ることは、こちらからあの子たちに近付かず、なおかつ向こうから話しかけられることの無いように、怖い顔を保ちつつ腕組みをして威圧感を出し、さも何か深いことを考えているであろうと思わせるために、時折意味も無く頷いたり首を横に振ったりするしかないわ)

しほ(並行して試合観戦もしなければいけない。やることは山ほどある。それもこれもちよきちがいなくなったせいね。今度串カツか焼き鳥か……串系のモノをご馳走してもらわないといけないわ)フゥ



【ステージ】

役人「延長戦のじゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

カルパッチョ「……後攻にします」

役人「OK!先攻、エリカ!後攻、カルパッチョ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュキュ!



200:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 20:47:04.44 ID:EqKCwBbEo


http://www.youtube.com/watch?v=4QeFdEbd3i4

2:55

<1回戦 第7試合 先攻 エリカ VS 後攻 カルパッチョ 延長戦>

エリカ「今度こそ まともな会話しましょうか!」ワァァ

エリカ「そうでないなら この場で登録抹消だ」ワァァァ!

エリカ「私は悠々と進む 優勝への 道のり」

エリカ「あんたアンツィオのくせに足りない ノリと勢い」ワァァ!

エリカ「意気込み 見えない 勝つ気あるわけ?」

エリカ「こっちは全力全開 差を見せつけるだけ!」ワァァ!

エリカ「ライム戦隊 ちゃんと合わせなさいよ 辻褄」

エリカ「じゃなきゃ 家に帰ってアニメ観てろ プリキュア」ワァァァ!



カルパッチョ「辻褄で踏むために 無理くりプリキュア」

カルパッチョ「家に帰るより歌う フニクリ・フニクラ」ワァァァ!

カルパッチョ「こんなライムでお客さん 次々クビ振らす」ワァァァ!

カルパッチョ「ノリノリにさせちゃう スキルに振り向かす」ワァァァァ!

カルパッチョ「それで全力? 息切れの めんどくさい子」

カルパッチョ「支持してくれた審査員に 面目ないよ?」ワァァァ!

カルパッチョ「あんたのスタイル好きなのは ヤンキーのみ」

カルパッチョ「キーキー喚く お猿さん 食べなさい バナナや木の実」ワァァァア!



エリカ「あんたは 私をマジで怒らせた」

エリカ「無駄な抵抗は そこまでだ」ワァァ!

エリカ「原則 減速なんてしない 加速あるのみ」

エリカ「歯向かうつもりなら 早速狩るのみ」ワァァ!

エリカ「『踏むために 無理くり』って あんたが散々やってたでしょうが!」

エリカ「自分の吐いた言葉 思い返してから言ってこいっつんてんだよ!」ワァ!

エリカ「調子乗ってっと顔中に 真っ赤なトマトソース」

エリカ「ぶっかけたみたいな状態にすんぞ 入院コースだオラ!」ワァァ!



カルパッチョ「これ言葉の争い合い まだ理解してない? あらそう意外」ワァァ!

カルパッチョ「なら折り合い つけないと わかるかな相違ない?」ワァァァ!

カルパッチョ「観客からは好感触 ライミング 超感覚」ワァァ!

カルパッチョ「総監督より相談役向き 冗談無く 商談勝つ」ワァァァァ!

カルパッチョ「エリカ 加速しても方向適当 まるで痴呆症」ワァァ

カルパッチョ「丁稚奉公(でっちぼうこう)からやり直してほしい どいて素人」ワァァァ! ※丁稚奉公・・・年少時から、職人や商人などの家に住み込みで働き、雑用に従事すること

カルパッチョ「後半は聞くに堪えない 罵声、罵倒」

カルパッチョ「だせぇアホ 2回戦 行くのは私 渡せ、バトン」ワァァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!



201:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 20:47:46.03 ID:EqKCwBbEo


エリカ「くっ!」チッ

カルパッチョ「ふー……」

役人「では!延長戦の判定に入ります!」

役人「まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、エリカが勝ったと思う人!」

ワァァ!

役人「……後攻、カルパッチョが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!!

役人「まずはカルパッチョが1ポイント先取です。では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『カルパッチョ』」

理事長「『カルパッチョ』」

香音「『カルパッチョ』」

新三郎「『カルパッチョ』」

浅井「『カルパッチョ』」

役人「勝者!カルパッチョ~~~~!!!!」ワァァァァ!!

カルパッチョ「……よし」

エリカ「……………ちょっとあんた」

カルパッチョ「え?」ビクッ

エリカ「私に勝ったんだから、いいところまでいきなさいよね」

カルパッチョ「は、はい。そのつもり……です」

カルパッチョ(優勝しなさいと言わないのは、私では無理だと思っているからでしょうか?だとしたら…………悔しいですね)

カルパッチョ(今の言葉をいい意味で裏切って、優勝したいという気持ちが強く湧いてきました)グッ..

エリカ「………………」

エリカ(ここで勝ってれば、みほと戦えたかもしれなかったのに……私、何やってんのよ)ハァ..



202:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 20:48:28.34 ID:EqKCwBbEo


【2階席】

沙織「そろそろみぽりんが出てくる頃かなあ?」

華「そうですね。おそら…」

優花里「にしずみどのぉ~!素敵ですぅーーー!!」ウォォォォォ!!

沙織「ちょ、ちょっとちょっと。まだ出てきてないってば」

優花里「いえ!私にはわかります!ステージ上に西住殿の姿はなくとも、西住殿の匂いはステージに漂っていますぅ!」

沙織「それだとみぽりんが体臭きついみたいに聞こえちゃうからやめたげて」

華「しかし……対戦相手は『はてなはてなはてな』のままですが……一体どなたがみほさんと戦うのでしょうか?」

杏「そういやそーだね。ダージリンは誰だと思う?」

ダージリン「時間が経てば嫌でもわかるはずよ」クスッ

杏「いや、そういうのいいから。ダージリンの予想を聞かせてってば」

ダージリン「……みほさんが驚く相手でしょうね」

杏「漠然としてんね。個人名でハッキリ教えてよ」

ダージリン「………………今のご時世、個人情報はおいそれと出せないわ」

杏「……あっれー?もしかして予想を外すのが怖い~?」ニヒ

ダージリン「……いいえ」

杏「じゃ言ってよ。ほい」

ダージリン「そう……怖いのは私の予想が外れることではないわ。みほさんの対戦相手が予想の範囲外の人物であった場合、果たしてみほさんは正常な精神状態で戦えるのか……全力を出し切れないのではないかと思うと…………私はそれがとても怖いわ」

杏「………やっぱダージリンめんどくさーい。そしてひきょーものー」



203:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 20:49:20.94 ID:EqKCwBbEo


ダージリン「……ふふ、今は卑怯者のレッテルをあえて受けましょう。ですが、試合後には全てが覆さ…」

華「会長はどなただと思いますか?」

杏「んー……なんとなく思い浮かんだのは……」チラ

華「?」チラ



しほ「…………」キリッ



華「みほさんのお母様ですか?花を生け損なったような表情をしている…」

杏「凛々しい感じなのに生け損なってんだ」アハハ

華「あら?でも今この場にいたのではステージに行くまで時間がかかってしまいますが……」

杏「あぁ、違う違う。私の予想は西住ちゃんのお母さんじゃなくて……」

華「?」

杏「……少し前から姿を消してるあの人かなって」

華「…………あっ、なるほど!お笑い芸人さんの…!」

杏「ちげーから。最近テレビ出てないとかじゃなくて、さっきまであそこで一緒に観戦してた人がいるでしょ?」

華「?……あ、島田千代さんですか?」

杏「そ。急にいなくなったんでしょ?変だなと思って」

ダージリン「……うふふ。さすが杏さんね。私の予想と近いわ」

杏「近いってことは一緒じゃないんだ?誰なの?」

ダージリン「今は近いとしか言えないわね」ウフフ

杏「はいはい」

桂利奈「私はここにいる」

あゆみ「わ、急にどうしたの?」

あや「ハルヒに出てくるセリフ?」

桂利奈「……いや、なんかまた前みたいに、この場にいない子扱いされてる気がして……」

優季「そんなことないよ~?」

梓「うんうん!桂利奈ちゃんすっごい声出してたし、私たちに解説っぽい感じのことしてくれたもん」

桂利奈「……そう?ならよかったー!」



204:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 20:50:35.45 ID:EqKCwBbEo


【舞台袖】

みほ「………………」

みほ(もうそろそろ出番だけど、相手がわからないのってすっごい不安だよー)ドキドキ

ザワ..

みほ(?なんかざわついてるけど……?)

役人「で、ではMIHO!入場してください!」

みほ(呼ばれた……何がなんだかわかんないけど、行こう!)タッ



205:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 20:51:51.64 ID:EqKCwBbEo


【ステージ】

みほ「………………」

みほ「!!」

みほ(対戦相手が立つべき場所にいるあの人は……!)

千代「………………」

みほ(愛里寿さんのお母さん!?確か昔ラップやってたとは聞いてるけど!)

千代「………………」ジー

みほ「っ……」

みほ(すごい迫力……あの人と戦うの……!?)ゴクリ

役人「え、ええと……?」

千代「マイクを貸してください」

役人「え?は、はい」

千代「……あー、あー。ワンツー。マイクチェックワンツー。ツェー、ハッ!」

役人「………………」

千代「……会場のみなさん、私が何故この場に立っているか、疑問にお思いでしょう。いえ、中にはわかっている方もいるかもしれません。そしてわかっていられない方もいるでしょう。2パターンあるわけですね」

ザワザワ..

みほ(私はわかってない方のパターンに入っちゃってる。どうなるんだろう)ドキドキ

千代「結論から言います」

千代「MIHOさんの対戦相手は………………あなたよ!RENTA THE FUTURE!」ビシィッ!

役人「!!」

みほ「?」

役人「わ、私が……ですか!?」

千代「そうよ」

みほ「ええっ!?」

みほ(この役人さんとバトルするの!?)

千代「私はその間、代役として司会を務めさせていただくわ。みなさん、よろしく!」ワァァァァ!

役人「い、一体どうしてこんなことに……?」

みほ(……この人も聞かされてなかったんだ。サプライズってやつかな)

千代「前回大会後の打ち上げで言っていたらしいじゃない。自分もバトルがしてみたい、と」

役人「それはそうですが……何分、急な話で正常な思考が保てておりません」アセッ

千代「そう……そのようなザマではバトルが成り立たないわよ」

役人「!」

千代「……急なことなのは当然。あなたが会場を押さえる時間を間違えたことで生まれた時間だもの。でもその結果、あなたがバトルに参加するチャンスを得られた」

役人「………………」

千代「あなたがフリースタイルバトルに熱中しただけに留まらず行動したおかげで、このような大会を開催できたのだから、その功労者としての特別枠、という措置ね」

役人「………………」ゴクリ



206:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 20:54:32.85 ID:EqKCwBbEo


千代「あとはあなたが決めるだけよ。どうするの?」

役人「わ、私は……」

役人(こんな豪華なステージの上で司会が出来るだけでも気分が高揚しているというのに、バトルまで出来るなんて……あまりにも贅沢が過ぎるのでは……?)

千代「……参加しないのであれば、私が代わりに参戦してもいいけれど」

役人「っ!?で、出たいです!バトルをさせてください!お願いいたします!」ペコッ!

千代「………わかりました」フフッ

みほ(戦う私にはなんの拒否権も無いんだ)ホーゥ

千代「MCネームは………RENTA THE FUTUREでいいのかしら?」

役人「…………いえ、RENTA 365(れんた さんろくごー)でお願いします」

千代「わかったわ!それではそろそろ試合を始めます!MIHOさん、準備はいいかしら?」

みほ「あ、はい」

みほ(なんか色々急すぎてついていけない部分はあるけど)

役人「………………」

みほ「………………」

みほ(この人と戦うんだ……)

みほ「……………………そういえば」ボソ

みほ(……大洗が廃校の危機になったのって、この人が廃校にするように動き出したことが大きな原因だったっけ……)

みほ(そう考えると……なんか…………)

役人「まさかバトルが出来るとは……練習しておいてよかった。しかし、もし私がこのまま優勝してしまったら空気がしらけてしまうのではないだろうか。いや、今はそのような気配りよりも集中しなければ……」ブツブツ

みほ「……………………」

みほ(絶対負けたくない気持ちが……すっごく湧いてきた!)ギラリ

千代「よろしい。それでは先攻後攻じゃんけんをしてください!」

ジャンケンポン

役人「!ええと……後攻で様子見をさせていただきます」

千代「OK!それでは1回戦 第8試合、先攻、MIHO!後攻、RENTA 365!DJルミ……やぁっておしまい!」

ルミ「え……?」

千代「…………何をしているの?合図したでしょう?」

ルミ「あ……え……っと?やっておしまいが合図、ですか?」



しほ(ちよきちが何処にいるか、わかったのは良かったが……そう思った矢先!)

しほ(おばさんくさいことを言ったらイマドキの子にのけ者にされるというのに!よりによって公の場で!)

しほ(しかし……ここで私が『それはドロンジョ様の名言。DJルミさん、早く始めないとおしおきするわよ』とでもフォローしようものなら……私までイマドキの子に……)クッ



千代「……いいわ。今までのやり方を踏襲します。では気を取り直して……」コホン

千代「先攻、MIHO!後攻、RENTA 365!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「…………」キュルルッ!



207:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 21:02:32.29 ID:EqKCwBbEo


http://www.youtube.com/watch?v=JWzS3mgpJms

4:00

<1回戦 第8試合 先攻 MIHO VS 後攻 RENTA 365>

みほ「サプライズで登場してきた男 RENTA 365」

みほ「優勝どころかプライズも手にさせない 一生 一勝も無理 変な貫録を」ワァァァ!

みほ「見せようとして 空回りがオチ 頭わりー野郎へ つい 落とす鉄槌」

みほ「出る杭 打とうとして指をトンカチで殴ったくち 消しカスにする へっつい」ワァァァ! ※へっつい・・・かまど

みほ「高校生相手に おとなげない 廃校提案 全く愛情ねーな」ワァァ

みほ「はいそーですか 言えるわけない ムカつく 大体毎回態度デカイ」ワァァァ!

みほ「廃校阻止のため戦車道 メンバーほぼ1から 戦力内外」

みほ「ひっくるめ 必死に優勝したんだ 全国大会! それなのに!」ワァァァァ!



役人「YO!今はバトルだ そんなの関係ないだろ MIHO」

役人「そんないざこざ 聞き飽きた 何度も何度もあったよ過去にも」

役人「こちらは仕事 キミらも自分で自分に責任持ってから言え!」

役人「Yeah! 大人をなめたら痛い目見る 別に腹いせじゃないんだぜ!」

役人「頭悪い野郎とか言ってるが 文科省の局長ですけど!?」ワァァ!

役人「極上のライムを見せて 会場をブチ上げる! それが特上!」ワァ!

役人「プライズはUFOキャッチャーの景品 そう ゲームセンター」

役人「だからどうした? 年上に対する口調が大体無礼だ!」ワァ!



みほ「大体無礼だ バトル 社会で幅とる役人 でもあなたバイプレイヤー」ワァァァ! ※バイプレイヤー・・・脇役

みほ「主役になれず ライムは振り撒けず 客はクビ下げる あなた負ける!」ワァァァ!

みほ「今までバトル見てたくせに口調をつつく このメガネ 度も胸も無い」

みほ「つまり度胸がない 即興じゃないよりはマシだけど ほぼ素で弱い」ワァァア!

みほ「口約束 とか言い 次なる酷 な条件 突き出すオス しかも姑息」ワァァ!

みほ「そんな局長 曲調に合わせられもしない ちょん切るべきかも局部を」ワァアァァ!

みほ「偽(にせ) 誤り 蝕む 偽・誤・蝕(ぎ・ご・しょく) の三国志! 不義で最後は残酷死!」ワァァァァァ!

みほ「昭和生まれのクソメガネ 正月までお風呂で泣け!」ワァァァァァ!



役人「……言いたい放題状態 なんとかしてくれよ兄弟…」

役人「とか言わないぜ RENTA 365!見せつけてやるぜ貫録を!」

役人「監督を!そうつまり野球の監督みたいに視野が広いぜ!」

役人「MIHOが何言おうと気にしない そんなプレッシャー 追い越してく!」

役人「胃が痛いとしても意外じゃないし 理解して 終いには西住姉妹に勝つ!」ワァァ!

役人「カツ丼みたいな卵 そうつまり政治家の卵みたいな感じ」

役人「このステージ上でカマボコみたいな そう 板の上で 戦うMCだぜ!」ワァ

役人「曲調には余裕で そう 猶予ありまくりで言うよ だから注目!」ワァ



千代「おやめなさい!」

ワァァァァ!



208:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 21:03:08.35 ID:EqKCwBbEo


みほ「はぁ……はぁ……」

役人「…………ぐふっ」ガクッ

千代「……まだ判定が終わっていないわ。シャキッとしなさい。24時間働ける感じで!」

役人「は、はい!」ビシッ!

千代「よろしい!では判定に入ります!まずはお客さん!先攻、MIHOが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!!

千代「……はい。では後攻、RENTA 365が勝ったと思う人!」

ワァ..

千代「まずはMIHOに1ポイント入ります。それでは審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!


亜美「『MIHO』」

理事長「『MIHO』」

香音「『MIHO』」

新三郎「『MIHO』」

浅井「『MIHO』」

千代「勝者!MIHO~~~~!!!!」ワァァァァ!!



みほ「…………」ホッ

役人「やっぱり……ダメでしたか……」ガックリ

みほ(……本気で落ち込んでる。それだけフリースタイルバトルに強い想いを持ってるんだ)

みほ(大洗を廃校にしようとしたり、メガネが邪魔で眼球がよく見えなかったりしてたけど……もしかしたら意外と純粋な人なのかも)



209:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 21:04:16.00 ID:EqKCwBbEo


みほ(……廃校の件は理不尽で嫌な思いをしたけど……)

みほ(それとフリースタイルバトルは……別の話だよね)スッ

役人「…………え?MIHO……さん?」

みほ「あの……試合後の握手を……」

役人「あっ!そ、そうですね!」

みほ「……ありがとうございました」

役人「こちらこそありがとう。全力でぶつかってきてくれて嬉しかったよ」ガシッ

千代「……万々歳ね」フフッ

千代「みなさん!このあとは引き続き、RENTA 365が司会を務めます!短い間でしたが、ありがとうございました!」ペコリ

ワアァァァ!

役人「CHIYO CARLITOさん……」

千代「その名で呼ぶのはやめなさい。あとは任せたわよ」スッ..

役人「はい!」

役人「………………えー、バトルでは負けましたが、このあとも司会を頑張らせてもらいます!まだまだシングル戦は盛り上がっていくぜ!うぇいよー!」

ワァァァァァ!



【2階席】

沙織「みぽりんすごい迫力だったね」

華「無理もありません。大洗に転校してきてからのみほさんは廃校阻止のために大忙しでしたから。それにきっとお腹も空いている頃でしょうから機嫌も良くないはずです」

沙織「お腹減ってるのは華でしょもー」

梓「そういえば、これで1回戦の全試合が終わったんですよね?」

あや「どうなってるどうなってる?」

柚子「ええっと……」



210:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 21:05:19.77 ID:EqKCwBbEo

no title



211:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 21:14:19.19 ID:EqKCwBbEo


柚子「こんな感じね」

桃「大洗は2人とも残っているな。いいぞ」

ダージリン「ペコとアッサムは残念ながら敗れてしまったわね。でも健闘してくれたわ」

杏「2人とも相手が悪かったのかもね」

そど子「ちょっと!2回戦の最初が冷泉さんの試合じゃないの!なんなのよ!」

沙織「応援しましょうね!」

そど子「す、するわけないじゃない!べ、別に冷泉さんのことなんてなんとも思ってないんだからねっ!」

桂利奈「わぁ~……そど子先輩すごい!見事なツンデレです!」

そど子「つ、ツンデレって何よ!見事ってつく以上、褒められて悪い気はしないけれど……」

パゾ美「まぁまぁ。大洗の生徒だし、私情を挟まずに声援を送ろうよそど子」

そど子「な、なによパゾ美!私と冷泉さんがただ同じ学校っていうだけの関係だって言うの!?そんなのおかしいじゃない!こんなに……ドキドキしてるのに……///」

ゴモヨ「もう放っておこう」

パゾ美「うん……」

杏「冷泉ちゃんの相手はカチューシャかぁ……」

ダージリン「どう思う?」

杏「2ON2で負けてから一皮むけた感じがするね。負けて強くなる典型的な例っぽい」

ダージリン「今までのカチューシャは、冷静で大人であろうとするものの、嫌な部分をつつかれると逆上してしまう向きがあったわ。でも前回と今回の敗北を重ねたことで吹っ切れたのかしら?本来のカチューシャらしさが表面に出ている気がするわ」

杏「そだね。そんなカチューシャと冷泉ちゃんのバトルかー……どう転がるか見物だねぃ」ニヒヒ



【ステージ】

役人「それでは2回戦 第1試合を始めたいと思います!REZE対カチューシャ!」

役人「……ですがその前に、ここで訂正があります!先ほどは1回戦、2回戦は8小節2ターンで行うと言いましたが、この2回戦は、8小節3ターンの勝負となります!」ワァァッァア!

役人「他は変更ありません。準決勝は同じく3ターン。そして決勝戦は4ターンです。ということでよろしくお願いします」ワァァァ

麻子「………………」

麻子(3ターンの方が慣れているから都合がいい。それよりも……今回の相手…)チラ

カチューシャ「………………」

麻子(……怒らせれば勝手に崩れる印象だったが……さっきまでのバトルとこの表情を見る限り、もうそういう次元では無さそうだ)

麻子(……いや、もともと私はライミングで戦うだけだ。それが私のスタイルで、私の一番好きなことだからな)

役人「先攻後攻じゃんけんをお願いします!」

麻子(出来れば勝って後攻をとりたい)

ジャンケンポン!

麻子「!……後攻」

役人「OK!では先攻、カチューシャ!後攻、REZE!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」ギュルリリ!



212:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 21:18:30.30 ID:EqKCwBbEo


http://www.youtube.com/watch?v=VQDcAJsVUsg

2:57

<2回戦 第1試合 先攻 カチューシャ VS 後攻 REZE>

カチューシャ「ビート ノッて客を揺らし REZEの脳も揺らす」

カチューシャ「シケた韻は効かない 計り知れない強度」ワァァァ!

カチューシャ「後攻 とれば勝てる? 思い上がり」

カチューシャ「本当 どうしようか この苛立ち」ワァァァ!

カチューシャ「ここで勝てばベスト4 つまり四天王?」

カチューシャ「どうでもいい! 私は優勝を目指してんのよ!」ワアァァァ!

カチューシャ「あんたが どんな返しするのかが見ものだわ!」

カチューシャ「見事なまでにクールぶるんでしょ この色物が!」ワァァァ!



麻子「色物から一言 お前も最初クールぶって四の五の」ワァァ!

麻子「言ってたはず しつけがまず なってない子供」ワァァァ!

麻子「ベスト4になれても お前 四天王で最弱」

麻子「挨拶もされず 舐められて常に 借りパク」ワァァ!

麻子「ハリーアップ バニーガール より強度薄い 防御力」ワァ

麻子「自分大好き勘違い女 最後は 超孤独」ワァァ!

麻子「雷鳴が轟く 暗く脅える 独房の奥」ワァァァ!

麻子「照らすぐらい名作となるライミング 速攻落とす」ワァァァ!



カチューシャ「雷鳴とか独房とか孤独とか 急に文学少女!?」ワァ!

カチューシャ「宣言したなら 名作ライムを見せなきゃ薄情よ!?」ワァァ!

カチューシャ「遺作にならないと いいわねぇ! ライムに すがるパラサイト!」ワァァァ!

カチューシャ「しつけどうこうより ライム特化の位置付けがしつけーわ!」ワァッァア!

カチューシャ「韻踏んでばかりじゃ不公平 たまには踏まれなさい」

カチューシャ「優勝へ弾みつけるために 私の踏み台になれ!!」ワァァァ!

カチューシャ「ライミングだけで遊んでる あんたじゃ優勝は無理だから!」

カチューシャ「優れてる部分も 活かせなきゃ 宝の持ち腐れ!」ワァァ!



213:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 21:20:13.06 ID:EqKCwBbEo


麻子「『優れてる』これ失言 そう気付けん 愚かなカチューシャ」ワァァ

麻子「他人に すぐレッテル 貼る病気 必要だ 点滴か注射」ワァァッァア!

麻子「ていうか自分も 脚韻で『かっくぃ~』て表情」ワアッァ!

麻子「予想以上にダメダメで バレバレだよ 客に」ワァァァ!

麻子「私に当てはまらない 宝の持ち腐れ」

麻子「ライミングの気持ち良さに 脳も 体も憑りつかれ」ワァァァァ!

麻子「活かす持ち味 楽しい気持ちもチャージ」ワァァァ!

麻子「韻は私にとってのシャーシ シャーペンとセットでしょ シャー芯」ワァァッァア!!



カチューシャ「そうやって韻踏んだ先に 何が残るって言うわけ!?」

カチューシャ「あんたの言いたいことは?言葉は どこだ!?」ワァァァ!

カチューシャ「シャーペンとシャー芯は セットだと言うために来たのかしら!?」ワッァア!

カチューシャ「だったら あんたは私の敵じゃないわね! とっとと帰れ!」ワァッァア!

カチューシャ「私はマホーシャと戦うために 今 ここに立ってる!」ワァ!

カチューシャ「そしてここから仕上がって 勝ち上がって行く!」ワァッァア!

カチューシャ「あんたは何のために 何を言いに そこに立ってる!?」

カチューシャ「それを あんたのクチから ハッキリと聞かせなさいよ!」ワァァッァ!!



麻子「出た 西住まほと戦うため お涙ちょうだいか?」

麻子「反応薄いの当然 2度目で もう飽きたようだしな」ワッァァァ!

麻子「ここに立つ理由 そこにある自由 この身が尽きる」ワァァァ

麻子「までライミングし続ける意志 でないと ほろ苦く散る から」ワァァァ!

麻子「あんたは勝利だけに 貪欲つーの? ホント不都合」

麻子「少し頭冷やした方がいい 連れて行こう 本牧ふ頭」ワァァァ!

麻子「あんた 感情的なクセに 理屈がすぐ先行」

麻子「勝手な振る舞いで授業を 私物化する先公 のようだ」ワァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァァ!!

カチューシャ「………………」

麻子「………………」



214:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 21:28:03.75 ID:EqKCwBbEo


役人「それでは判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、カチューシャが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

役人「……後攻、REZEが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!

役人「……わずかな差ですが……まずはREZEが1ポイント先取です。では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『REZE』」

理事長「『REZE』」

香音「『カチューシャ』」

新三郎「『REZE』」

浅井「『カチューシャ』」

役人「3対2!勝者!REZE~~~~!!!!」

ワァァァァ!!

カチューシャ「!!」

麻子「………………」ホッ

麻子(……なんとか勝てた、という感じだな。バイブスに飲み込まれそうだった)フゥ..

カチューシャ「負け、た…………?」

麻子「………………」

麻子(勝負だから仕方のないこととはいえ、ああも呆然とされると少し気まずいな)

カチューシャ「………………っ……!」フルフルッ!

カチューシャ「悔しいけど……!納得もいかないけど…………結果は受け止めるしかないわ……!」ウルウル

麻子「…………あー」フィッ

カチューシャ「……ちょっと、なんで目を背けるのよ」

麻子「…………泣き顔を見られたくないだろうと思ったんだが」

カチューシャ「な……っ!」ゴシゴシッ!

カチューシャ「……泣いてないわよ!ほら!」

麻子「…………そう、だな。うん」

カチューシャ「…………悪いけど、今は祝福の言葉を言える気分じゃないわ。とりあえず握手だけ」スッ

麻子「……ああ」ガシッ

カチューシャ「………………じゃあ行くわ」スッ

麻子「………………」

麻子(私も以前負けた時は無性に悔しかったのを覚えている……普段はそれほど熱くならない私ですらそうなんだ。感情の起伏が激しい彼女なら私以上だろう)

麻子「………………」

麻子(……私が彼女にかけてあげられる言葉は何もないが……そうだな)

麻子(彼女を負かしたこのスタイルで優勝することで、少しは慰めになるだろう)



215:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 21:34:51.83 ID:EqKCwBbEo


【2階席】

パゾ美「冷泉さんが勝ったよ!そど子!」

そど子「べ、別に冷泉さんが勝ったからって私にとってそんなに喜ばしいことじゃないわ!問題は山積み!少子高齢化とか深刻だし!」

沙織「そんなこと言ったらほとんどの出来事で喜べないですよ……」

優花里「しかしすごいです冷泉殿!ベスト4ですよぅ!」



しほ「………………」

千代「あら。まだここにいたのね」

しほ「ちよきち……」

千代「大洗の子たちと一緒かと思ったわ」

しほ「……イマドキの子は難しいからね。SNSとかも危険よ」

千代「ふふ。同感。その辺りの感覚は私としぽりんは昔からぴったしカンカンよね」

しほ「……そうね。ところで……」

千代「?」

しほ「今の試合、ちよきちはどう思う?」

千代「………カチューシャさんは前回同様にバイブスが高く、しかも細かいライミングもあって安定して高いレベルを維持していたわ」

千代「この試合では、そんなカチューシャさんに対して、REZEさんが色々な角度から攻撃を与えて、そのバイブスを削りながら勝ったという印象ね」

しほ「ほう」

千代「REZEさんの勝因は、カチューシャさんの『まほさんと戦いたい』のラインに対し、まず『お涙ちょうだいか?』と言い、なおかつ観客の反応がミカさんとの試合の時より小さかったことを受け、『2度目で もう飽きたようだしな』というアンサーをした…」

千代「このパンチラインにより、観客も審査員も、カチューシャさんがまほさんの名前を、勝つため、盛り上げるためのテクニックとして使っているような印象を与えた。相手へのダメージと周囲へのアピールを併せ持った強力なパンチラインね」

しほ「しかも『お涙ちょうだいか?』と『もう飽きたようだしな』で韻を踏んでいるしな」

千代「その部分はフロウでねじ伏せている形の上、ライミングしているように聴こえにくいけれどね」

千代「…それでもREZEさんのライミングはやはり上質で、『雷鳴』と『ぐらい名作』とか『らいめい』で踏んでいたり芸が細かいわ。カチューシャさんが『優れてる部分も 活かせなきゃ 宝の持ち腐れ』と遠回しに褒めているような言い方をしてしまったのも、そのスキルを認めているからでしょうね」

しほ「『何のために ここに立ってる?』という問いかけには『この身が尽きるまでライミングし続ける意志』というアンサーを返した。ただ好きだからライミングにこだわる。というシンプルなアンサー。こう言われるとカチューシャさんのバイブスが、あまりにも勝ちにこだわりすぎているという風に聴こえるからお客さんもREZEさんの方へ気持ちが傾いていった」

しほ「……個人的には、カチューシャさんがまほと戦ったらどうなるのか見てみたい気持ちが強かったけど……」

千代「そうね。その2人の試合は私も興味があったわ。でもきっとここで勝っても叶わなかったでしょうね」

しほ「何故?」

千代「愛里寿に負けるからよ」

しほ「……ふん、親バカね」



216:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 21:36:46.00 ID:EqKCwBbEo

no title



217:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 21:37:12.50 ID:EqKCwBbEo


【ステージ】

役人「さあ!次の試合いきましょう!アンチョビ対愛里寿!!」

ワァァァ!

アンチョビ「…………」

愛里寿「………………」

アンチョビ(こうして目の前に立っても、プレッシャーは感じない。でも強いんだよなぁこの子)

愛里寿(みほさんと決勝で戦うため……絶対に負けられない)

役人「先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン!

アンチョビ「!」

アンチョビ(勝った!後攻の方が有利だろうが……)

アンチョビ「…………先攻!」

アンチョビ(プレッシャーがないのは私を相手にしてないからだろう。わざとじゃなく無意識にそうしてるんだろうけど、それほどみほに執着があるわけだ。そこを突っついて主導権を握ってやるぞ!)

役人「OK!2回戦 第2試合!先攻 アンチョビ、後攻 愛里寿!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュキュッ



218:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 22:02:21.06 ID:EqKCwBbEo


http://www.youtube.com/watch?v=aadOiDG3m3E

2:38

<2回戦 第2試合 先攻 アンチョビ VS 愛里寿>

アンチョビ「愛里寿が見てるのは MIHOのことだけ」

アンチョビ「意識散漫 油断しすぎてる アホの子だね!」ワァァァ!

アンチョビ「一試合 一試合 必死じゃないと負ける」ワァァ!

アンチョビ「きっちり がっちりと 勝つために叫ぶ」ワァァ!

アンチョビ「私はちゃんと見てる お客さんプラス 一般家庭」

アンチョビ「そして盛り上げる 子供から じっちゃんまで!」ワァァァ!

アンチョビ「この安定感 とノリの良さは さすがっしょ!」

アンチョビ「見てるだろ? 決勝で会おう カルパッチョ!」ワァァァァ!



愛里寿「私が観てるのは 優勝へのビジョン」

愛里寿「叫ぶだけがラップじゃない 落ち着いて 背伸びしよう」ワァァァ!

愛里寿「一試合ごと必死さが必至なのは ひしひしと伝わる」ワァァァ!

愛里寿「でも私は前傾で ひし形より 円形で勝ち上がる」ワァァァァ!

愛里寿「じっちゃんまで盛り上げるなら 滑舌良くゆっくりね」ワァァ

愛里寿「早口で高ぶりを表現しても 聴き取れないなら無理」ワァァァ!

愛里寿「次で 遠慮なく披露してよ スローテンポ」

愛里寿「私は 苦労せんと 自然体 マイペースの言語」ワァァァ!



アンチョビ「じっちゃんのレベルを上げるのが 私のやり方」ワァァ!

アンチョビ「言葉キツキツ だろうと詰め込んで 高める リスニング」ワァァ!

アンチョビ「派手なゴス口リ着てるわりに 言ってること 地味だな」

アンチョビ「私は ひし形じゃなかった 筋の通った生き方!」ワァァァ!

アンチョビ「でも実際 お前のことは気に入ってるんだよ」

アンチョビ「戦車道、フリースタイル 共通言語あるだろ?」

アンチョビ「今からでもアンツィオに 転入したらどうだ?」

アンチョビ「後悔させない学校生活 楽しさが増加」ワァァァ!



219:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 22:04:09.79 ID:EqKCwBbEo


愛里寿「『この子 私のお気にだぜ』と言って卒業する」

愛里寿「そのあとどうする? 人を利用するな 置き土産」ワァァ!

愛里寿「それに食べ物が合わない アンチョビ カタクチイワシなんて」 ※アンチョビはカタクチイワシを塩漬けしてオリーブオイルに漬けたもの

愛里寿「ダメ元でも 絶対無理 ただクチに合いません」ワァァァ!

愛里寿「というか似合いません 校風と性格」

愛里寿「だからお断り 終了です 招聘(しょうへい)の計画」ワァァ!

愛里寿「派手なツインテールのわりに 地味な提案」ワァァ!

愛里寿「誰のレベルも上がらないし 意味がねぇなぁ!」ワァァァア!



アンチョビ「意味がなくはない 全然まだまだ」

アンチョビ「戦う気 充分 閉店ガラガラ じゃなかった開店」

アンチョビ「おいおい アンチョビが嫌いって 本気ですの?」

アンチョビ「美味いのになぁ!確実に 人生損してるぞ!」ワァァァ!

アンチョビ「好き嫌いしてるから 伸びない身長!」

アンチョビ「キャラは濃いけど ちっこい印象!」ワァァ!

アンチョビ「好きなんだっけか? ボコられグマ」

アンチョビ「でも愛里寿をバトルでボコったら 怒られるか?」ワァァァ!



愛里寿「急すぎる『ですの』口調 テクマクマヤコン」

愛里寿「テクマクマヤコン お嬢様になあれですか?」

愛里寿「テク無くただ音(おん) で繋ぐなら損」ワァァァァ!

愛里寿「キャラ固めなよ まずは ですますからどう ぞ」ワァァァァ!

愛里寿「身長低いとか 調子こいてる」ワァァ

愛里寿「それに今さら見た目ディス あんたは伸びしろが無い」ワァァ!

愛里寿「オチにしようがない しょうもないドゥーチェ」ワァァ!

愛里寿「そんな印象 拡がる 陸・海・空へ」ワァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァァ!



220:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 22:07:33.53 ID:EqKCwBbEo


役人「早速判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、アンチョビが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「……後攻、愛里寿が勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!

アンチョビ「ぐぬ…っ」

役人「まずは愛里寿が1ポイント先取です。では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『愛里寿』」

理事長「『愛里寿』」

香音「『愛里寿』」

新三郎「『愛里寿』」

浅井「『アンチョビ』」

役人「勝者!愛里寿~~~~!!!!」ワァァァァ!!

アンチョビ「ぐわーー!負けたぁぁぁ!みんなー!すまーーーん!」

愛里寿「…………」フゥ



【2階席】

しほ「……強いわね」

千代「ええ。我が子ながら安定感がある。バッチグーな出来だったわ」フフ

しほ「決め手は韻?」

千代「……を含めたいくつかね。アンチョビさんも『じっちゃんのレベルを上げるのが私のやり方』など、面白いパンチラインがあった。でも愛里寿は的確にアンサーを返していたわ。フロウではアンチョビさんも良かったけれど、総合的に見れば愛里寿に軍配が上がるわね」

しほ「そうね」

千代「ただ『前傾で ひし形より 円形で勝ち上がる』の部分はわかりづらかったわね。円形を白星の○(マル)と表現したのでしょうけど、ひし形は対比として成立していない……」

しほ「甘いようでなかなか厳しいわね」クス



役人「それでは次の試合です!」



しほ「む……まほの出番ね」

千代「……対戦相手はケイさん。まほさんの苦手なタイプだと思うけれど、さて……どう戦うのかしら」



221:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 22:08:07.65 ID:EqKCwBbEo

no title



222:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 22:08:34.30 ID:EqKCwBbEo


【ステージ】

まほ「…………」

ケイ「えっへへへ~♪バトルするのは初めてよね!よろしくっ!」

まほ「…………ああ」

ケイ(んっふふ。気合充分ってわけね。よろしいよろしい♪)

ケイ(………………そうじゃないと倒し甲斐がないもんね)クス

役人「それでは先攻後攻じゃんけんをお願いします!」

ジャンケンポン!

ケイ「勝った!後攻にするわ!」エッヘヘヘ

まほ「………………」

役人「OK!では先攻、西住まほ!後攻、ケイ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュッッ!



223:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 22:14:41.55 ID:EqKCwBbEo


http://www.youtube.com/watch?v=gaKvcJPnSqk

2:46

<2回戦 第3試合 先攻 西住まほ VS 後攻 ケイ>

まほ「相変わらず 楽しそうな笑顔だな」

まほ「お前は 周りを明るくする天才だよ」

まほ「でもラップスキル自体は 大したことない」ワァ!

まほ「お前に 向いてるのはラッパーより 司会者の方じゃないか?」ワァァァ!

まほ「ケイ 金色のリーダー 瞳は青色」

まほ「青臭い思考 ガキのような振る舞い 青いケツ」ワァァ!

まほ「金メッキで塗装しても 透けて見えてるぞ」ワァァ!

まほ「優勝なんてさせるわけねぇだろ 燃やすぞ そんな青写真」ワァァァ!



ケイ「火が点いてるのは マホのお尻じゃないの~?」ワァァァ!

ケイ「てことはマホも周り明るくする天才じゃーん!」ワァァアァ!

ケイ「金メッキに見える? それ間違い金箔でーす」ワァアァ!

ケイ「緊迫感で肩こりそう 上がってるでしょ 心拍数」ワァァァ!

ケイ「楽しいから笑顔 え?それ普通じゃない?」

ケイ「司会者向いてる でもラッパーも向いてる~♪」ワァァ

ケイ「勝ったら楽しい でも負けたとしても楽しい」

ケイ「ねぇ 私ってある意味 最強のMCかも!」ワァァ!



まほ「勝ち負け両方楽しいのは 重心が乗ってないからだ」ワァァ!

まほ「興味が無いのと同じ 戦ってる人間への侮辱だ」ワァァァ!

まほ「火だったら 最初から全身に点いてる」ワァァァ!

まほ「青臭いお前より 焦げ臭くて危険な香りだ」ワァァァ!

まほ「楽しいのは最強か だったら前言撤回しよう」

まほ「お前が向いてるのは 司会者よりも観客だ」ワァァァ!!

まほ「負けても楽しいなら 観てるだけでも楽しいだろ?」ワァァァ!

まほ「誰よりも声上げて MCをノらせてやれよ」ワァァァ!



224:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 22:15:29.97 ID:EqKCwBbEo


ケイ「女の子だったら 香りはフローラル」

ケイ「焦げ臭いとか 何それ アブノーマル」ワァァァ!

ケイ「それより私って観客も向いてるの?」

ケイ「ラッパー兼 司会者兼 観客 才能ありすぎ!」ワァァァ!

ケイ「マホは私に対して持ってる リスペクト」

ケイ「それが私のハートにも 火点けるゾ☆」ワァァ!

ケイ「燃え上がる炎 役人さんにも飛び火」ワァァ!

ケイ「なんだったら このまま 他のMCも 飛び入りOK?」ワァァ!



まほ「お前のハートに 火が点くことは無い」

まほ「何故なら ハートそのものが存在しなくなる」ワァァ

まほ「わかるか? 火が点いてる私が先攻」

まほ「後攻のお前 飛んで火にいるWACK MC!」ワァァァァアァ!

まほ「金箔も金メッキも 丸ごと焼いて 真っ黒」

まほ「お前から 青を全て奪ってやろうか!」ワァァァァ!

まほ「…いやさすがに それは憐れすぎるな」

まほ「だからせめて 青山霊園に 墓を建ててやるよ」ワァァァァ!



ケイ「あー、やだやだ お墓とか物騒な発想」ワァ!

ケイ「私は元気なので 青山霊園には入りませ~~ん」ワァァ!

ケイ「ていうか最初から火点いてるのに マホは燃えないの?」ワァァ!

ケイ「私だけ燃えるとかずるくない? それアリなの?」ワァァ!

ケイ「なんか火、火、言って まるでカラムーチョ」ワァァ

ケイ「辛口発言すると めんどくさいから終了」ワァァ

ケイ「あと 青を奪うことに意味ある?ってのは思う」

ケイ「もし焼かれても 仰向けになって 1つ『あお』残す!」ワァァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァァ!!

ケイ「さーて、どうなるかな~?」

まほ「………………」



225:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 22:15:57.17 ID:EqKCwBbEo


役人「……判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、西住まほが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!!

役人「……後攻、ケイが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!!

役人「これは……先攻でしょう。まずは西住まほが1ポイント先取です!」

ケイ「NO~!」

役人「続きまして審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『ケイ』」

理事長「『西住まほ』」

香音「『西住まほ』」

新三郎「『ケイ』」

浅井「『ケイ』」

ワァァァ!

役人「3対2で後攻ケイ!延長戦です!」

ワァァァァ!

ケイ「イエス!でもあっぶなかったぁ~!」

まほ「…………」



226:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 22:17:18.29 ID:EqKCwBbEo


【2階席】

しほ「延長…」

千代「不服?」

しほ「いや、そうでもないわ。接戦だと思ったから」

千代「ええ。まほさんの『飛んで火にいるWACK MC』のラインは、HILL THE IQの曲名を挙げつつ、先攻の自分が燃え滾っているところに後攻が突っ込んで来たら燃えてしまう、という意味のパンチラインでなかなか決まっていたわ」

千代「ただケイさんのアンサーと華のあるフロウ。そして火を絡めたやりとりからカラムーチョが出てくる発想はユニークで、一貫して崩れない強さが感じられる」

しほ「でもまほも負けてはいないわ。次こそ勝ってくれるはず。まほ、ガンバよ」

千代「…………」

千代(しぽりん……ガンバは古いわ。それではイマドキの子にバカにされてしまう……でもそんな真面目な顔しているしぽりんに指摘できない。みーてーるーだーけー、というやつね……辛いわ。でもそれが人生…)



【ステージ】

役人「延長戦の先攻後攻を決めてください」

ケイ「オッケー!最初はグー!」

ジャンケンポン

まほ「……後攻で」

ケイ「えー!先攻にしなよー!」

役人「……えっと……」

まほ「後攻で」

ケイ「ちぇー」

役人「そ、それでは延長戦を始めます!先攻 ケイ!後攻 西住まほ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュルルル!



227:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 22:20:32.46 ID:EqKCwBbEo


http://www.youtube.com/watch?v=012ztM2-0XQ

2:27

<2回戦 第3試合 先攻 ケイ VS 後攻 西住まほ 延長戦>

ケイ「さあ 始まりました 延長戦」

ケイ「最後まで絶対 遠慮しない」

ケイ「マホ 後攻とった ヘイヘイ ビビってるー!」ワァ!

ケイ「握ってる マイク 震えてるー!?」ワァァ!

ケイ「私はピタッとしてて 超上出来」

ケイ「美味しさ詰まった ショートケーキ」ワァァァ!

ケイ「男子も女子も 大好きになるMC」

ケイ「ビビってる マホは弱虫毛虫~!」ワァァァ!



まほ「全然ビビッてねぇ 震えてもねぇ」

まほ「お前が震えてるから ブレて見えるんじゃないか?」ワァァァア!

まほ「ショートケーキの てっぺんのイチゴ」

まほ「スパッと切って落としてやるよ!」ワァァァァ!

まほ「ベタな韻踏むスタイルになっちまったな」

まほ「男子も女子も さっきのお前の方が好きだよ」ワァァァ!

まほ「ショートケーキ つまりお前スケールが小さい」

まほ「私はバースデーケーキ ロウソク100本刺せるサイズ」ワァァァァァ!



ケイ「私はさっきも ちょこちょこ踏んでたから」

ケイ「でもマホは 全然踏まないままだなぁ!」ワァァ!

ケイ「バースデーケーキは 確かに大きい」

ケイ「でも 年に何個食べるの~キミ」ワァァァ!

ケイ「ロウソクとか言って やっぱり火が好き」

ケイ「でも現状 そんなんばっかじゃ すぐ炎上」ワァァ!

ケイ「これは延長 もう火はやめよう?」

ケイ「大体 火は 戦車道には縁起悪いよ~?」ワァァ!



228:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 22:21:20.70 ID:EqKCwBbEo


まほ「バースデーケーキ 食べる回数が少ない」

まほ「それだけ希少価値があるってことだ!」ワァァァ!

まほ「韻踏まない それには理由がある」

まほ「次のカルパッチョの見せ場 残してやるためだよ!」ワァァァァ!

まほ「お前が火を嫌がるのは 別の意味でだろう?」

まほ「勢いが 風前の灯火だと気付いちまうからな!」ワァァァ!

まほ「戦車道に縁起悪くても 一向に構わない」

まほ「元隊長ではなく MCとしてステージに立ってる!」ワァァァァ!



ケイ「カルパッチョさんを 引き合いに出したけど」

ケイ「あそこまで踏めないのに 見栄張っちゃダメよ?」ワァァ!

ケイ「結局 最後までハッタリばっかり」

ケイ「あっさりひっくり返しちゃおうかなぁ パッタリと!」ワァァ!

ケイ「なんか怖い顔して 敵を倒して」ワァァ!

ケイ「嫌々 戦ってるように見えるの直して?」ワァァァ!

ケイ「MCとしてステージに立ってるんだ?」

ケイ「だったら 少しは韻踏んでみてよ 『MC西住』」



まほ「勝手だな 『MC西住』がお題か?」

まほ「のってやる たまには 力入『れずに 息抜き』」ワァァァァ!

まほ「嫌々なわけない 怖い顔は真剣だから」

まほ「ニヤニヤ ヘラヘラ 笑顔のヤツよりな!」ワァァァ!

まほ「『最後まで』とか言ったが 再延長は想定外か?」

まほ「敗北を察してるから 本音が出ちまった!」ワァァァ!

まほ「だったら この延長戦で決着としようか」

まほ「最後は安全確認 きちんと消火」ワァァァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァァ!



229:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 22:23:00.73 ID:EqKCwBbEo


役人「では!延長戦の判定に入ります!まずはお客さん!先攻、ケイが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「……後攻、西住まほが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!

役人「まずは西住まほが1ポイント先取!では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『西住まほ』」

理事長「『西住まほ』」

香音「『西住まほ』」

新三郎「『西住まほ』」

浅井「『ケイ』」

役人「4対1!よって勝者!西住まほ~~~~!!!!」ワァァァァ!!

ケイ「…………負けちゃったかー……」

まほ「………………」

ケイ「残念!悔しいけど……うん、それでもやっぱり楽しさもある!それが私!」

まほ「……ふふっ」

ケイ「あー、ちょっと笑わないでよー!」

まほ「いや、あまりにもケイらしいのでな」

ケイ「そう?だったらOK!っと、バトル後の挨拶忘れてたわ!」

まほ「そうだな、握手…」

ケイ「ナイスバトル」ギュッ

まほ「う……っ!」

まほ(ハグ……!いや、確かにサンダースの校風的には不思議ではないが……やはり気恥ずかしい……//)

ケイ「もしまた機会があったらバトルしましょうね♪」

まほ「そ、そうだな……//」

まほ(耳元で囁くな!息が触れてくすぐったい……//)

ケイ「……よし!じゃああとは試合観戦に専念するわ!またね、マホ!」バッ

まほ「あ、ああ……」

役人「2人に大きな拍手を!」

パチパチパチ

ケイ「イエーイ!みんなありがとー!」



230:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 22:23:30.37 ID:EqKCwBbEo

no title



231:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 22:28:05.70 ID:EqKCwBbEo


【2階席】

しほ「まほが勝ったわね……」ホッ

千代「延長戦では先攻後攻の違いはあれど、ケイさんが戦いづらそうにしていた印象があるわね」

しほ「先攻は苦手なタイプ?」

千代「というより、強さにムラがある感じかしらね。少しずつ勢いを失っていったわ。もちろん、まほさんの強さがそうさせた側面もあるけれど」

しほ「そう……」

千代「………………」

千代(お客さんを味方に付けるのが得意で、なおかつ相手のペースを乱すことが出来るケイさんに対し、あそこまで真っ直ぐぶつかって勝ちきれる……見事と言う他ない。最後の『安全確認 きちんと消火』というのも、この試合で火や炎上というワードが出てきていたことにかけてあって、見事な締め方。勝ち方を心得ている感じね。しぽりんが調子に乗るでしょうから言わないけれど)

しほ「………………」

しほ(ちよきち……もう少しまほを褒めても罰は当たらないのでは?時間に追われてるわけでもあるまいし。でも娘をもっと褒めてくれと頼むのはイマドキの子以外にも侮られる行為……ここは腕組して凛々しくする他なし……)キリッ



【ステージ】

役人「さあ!いよいよ2回戦もラストとなりました!戦うのはこの2人!」

カルパッチョ「…………」

みほ「…………」

ワァァァァァ!

カルパッチョ(前回大会の覇者、そして2ON2での優勝チームの一員。最強の相手ですね)

みほ(麻子さんと同等のライミング巧者。勢いに乗せたら危険。最初の一戦で倒し切るつもりでかからないと)

役人「では先攻後攻のじゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

みほ「!後攻でお願いします」

役人「OK!では2回戦 第4試合!先攻、カルパッチョ!後攻、MIHO!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュピキュッ!



232:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 22:32:11.32 ID:EqKCwBbEo


http://www.youtube.com/watch?v=jyZmAi4GVQo

2:51

♪WHOOO

<2回戦 第4試合 先攻 カルパッチョ VS 後攻 MIHO >

カルパッチョ「怪物はワンパン でKO バイブスは満タン」ワァァ!

カルパッチョ「固すぎる韻で 採掘 火山岩」ワァァァ!

カルパッチョ「退屈させない このまま飛ばしていく」

カルパッチョ「才能伸ばしテイクオフ 精度増していく」ワァァァ!

カルパッチョ「MIHO 物憂げな顔 でもディスは苛烈」

カルパッチョ「二重人格なのかも脳外科を 紹介する」ワァァァ!

カルパッチョ「このSHOW介する ことで高まるバトル熱」

カルパッチョ「『特別ドープネスな毒舌届くぜ!』」ワァァァァ!



みほ「最後のラインは我リヤ ただ真似をしたがりな子」

みほ「なのにドヤ顔 草生える 芝刈りなよ」ワァァァ!

みほ「脳外科は不要 この場 軽く制しよう」

みほ「健康アピールしておく ダブリュー・エイチ・オー(WHO)」ワァァァァァ!! >>0�HO・・・世界保健機関

みほ「紹介できるってことは通ってた? 脳外科に」

みほ「そこで脳を改造された ライム中毒者のお出まし」ワァァァ!

みほ「物憂げな顔なのは 相手が 韻のみだから」ワァ!

みほ「対話出来なそう 死んどきなバカ」ワァァァ!



カルパッチョ「死んどきなバカ しんどい輩」ワァァ!

カルパッチョ「生死を軽々しく扱うMIHOを 私が制しよう」ワァァァ!

カルパッチョ「訂正しておく 脳は未改造 ある自制心」

カルパッチョ「ライム中毒者 褒め言葉として だいぶ究極だ」ワァァァ!

カルパッチョ「対話ならば 今すでに出来てるじゃないか」ワァァ

カルパッチョ「相方がいない 状態でも 愛が足りない ことないさ」ワァァ!

カルパッチョ「その場合は 戦いながら 分かち合う」

カルパッチョ「それらがリアル 私が勝ちます」ワアァ!



233:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 22:39:35.77 ID:EqKCwBbEo


みほ「意味繋がってないラップ 時々 ノイズが入る」ワァァ!

みほ「明らかな原因 そいつはライム」ワァァァ!

みほ「犠牲にされてさまよう 言葉たちの行方」

みほ「ライムは盲目 意味軽視 愚かだし総崩れ」ワァァ!

みほ「韻だけでテイクオフするな 意味を従えな」

みほ「勢い任せじゃ 着陸持ち込めない キミの自肩(じかた)では」ワァァァァ!

みほ「文脈がめちゃくちゃ 粉末にして 作り直せ」ワァァ!

みほ「と言っても ライムに夢中で 無理かもね」ワァァァ!



カルパッチョ「セッションどころか 説教されてる現状」ワァァ

カルパッチョ「指摘が 細部にウザい ライムに恨み でもあるの?」ワァァァ!

カルパッチョ「『あいつ憎らしい』とか言われそうだ」

カルパッチョ「もっと穏やかに暮らし 薄めなさいな劣等感」ワァァ!

カルパッチョ「踏めないから強がる 真夏のガール」ワァァ

カルパッチョ「五大都市外の 同い年に 辛くも勝つ」ワァァァ!

カルパッチョ「決勝はREZEで ありますように」

カルパッチョ「その前に あなたの姉 蹴散らす用意」ワァァ



みほ「ここまで踏むと健気で いじらしい」

みほ「説得しようにも どうも意地らしい」ワァァ

みほ「私は じらしもしないし ジェラシーも感じない」ワァァァ

みほ「足元しっかり照らし 高める バトルリテラシー!」ワァァァァ!

みほ「無駄になる お姉ちゃんを 蹴散らす用意」

みほ「きっと妹が姉を超える的なストーリー!」ワァァァァ!

みほ「で帰宅後に 姉妹仲が深まる」ワァァ!

みほ「お呼びでない あっち行け! 敵は向こうに!」ワァァァァ!!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァァ!

カルパッチョ「………………」

みほ「………………」

みほ(どう、かな?延長になっちゃう……?)



234:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 22:56:33.03 ID:EqKCwBbEo


役人「判定に入りましょう!勝った方が準決勝へコマを進めます!」ワァァァ

役人「まずはお客さん!先攻、カルパッチョが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「……はい。では後攻、MIHOが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

役人「まずはMIHOが1ポイント獲得!」

みほ「」ホッ

役人「では審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「『カルパッチョ』」

理事長「『MIHO』」

香音「『カルパッチョ』」

新三郎「『MIHO』」

浅井「『MIHO』」

役人「3対2!勝者!MIHO~~~~!!!!」ワァァァァ!!

みほ「っ!」

みほ(やった!これで……お姉ちゃんと戦える!)

カルパッチョ「………………」

カルパッチョ(REZEさんと再戦したかったけど……残念)フゥ



235:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 22:59:18.51 ID:EqKCwBbEo


【2階席】

華「みほさんが勝ちました!」

沙織「みぽりんすっごーい!」

優花里「さすが西住殿ですぅ!強い上にちょっとエッチな感じもグッドですぅ!」

沙織「え、そんな要素あったかな」

優花里「ありましたよぅ。思いきり罵倒するあの感じ……たまりませぇん!」モジモジ

沙織「……あの、あんこうチームに風紀を乱してる子がいるんですけど……」

そど子「…………」

沙織「?」

ゴモヨ「次、冷泉さんの試合だから緊張してる」ヒソヒソ

沙織「なるほど」

沙織(なんだかんだ言って麻子のこと気にかけてくれてるんだよね)フフ



しほ「みほの勝ち、か。延長に行きそうな雰囲気もあったけれど……」

千代「1バース目のWHOをビートの『WHOOO』とかけながらライミングしたり、数では負けても質はかなり高い。その上で意味を通してるわ。3バース目の『じらし』の辺りは聴いてて心地いい、細かい踏み方も見せた」

千代「さらにカルパッチョさんの『蹴散らす用意』を拾って、連続でライミングを決めたのは見事だったわね。カルパッチョさんもアンサーを返しつつ上手だけれど、確かに文脈が少し変な部分がある。そこを突かれた結果、延長にならずに決着したのでしょうね。先攻後攻が逆であればカルパッチョさんの勝ち目もあったかもしれないけれど」

しほ「確かにカルパッチョさんの1バース目は攻撃というよりテクニックを披露した側面が強かったわね」

千代「言いたいことが明確に無い場合、先攻は難しいのよね。『言うことない』と言ってしまうのも手だけれど、『だったら戦う必要ない』と返されてしまう」

しほ「なるほどね……」



236:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 22:59:44.50 ID:EqKCwBbEo

no title



237:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 23:01:03.03 ID:EqKCwBbEo


【舞台袖】

麻子「………………」

麻子(カルパッチョが負けた…………西住さん相手なら仕方ないか)

麻子(もう一度戦いたかったんだがな)

麻子「………………」

麻子(……気持ちを切り替えよう。私の目標はカルパッチョと戦うことじゃない。優勝だ)

麻子「………………」


『冷泉さんってすぐ何でも出来ちゃうんだね。天才だよ~』


麻子(……いつの頃か、誰に言われたかのすら忘れたが……確かに戦車の運転しかり、説明書を見れば大概のことはすぐに出来た)

麻子(だがこのフリースタイルバトルは……基本的なテクニックや戦い方を覚えても……本気で勝ちにいっても負けることがある)

麻子(……だからこそ、面白い)

麻子(そして……小さな大会であろうと、自分が一番だと証明したくなるんだ)



役人「それでは準決勝を始めます!入場してください!」ワァァァ!



麻子「…………勝つ」ザッ..



238:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 23:01:52.65 ID:EqKCwBbEo


【ステージ】

麻子「………………」

愛里寿「……………」

役人「準決勝 第1試合はREZE対愛里寿です!」ワァァァァ!

麻子(島田愛里寿……ラップスキルはかなりのレベルだ。必勝を期すためには後攻をとりたい)

役人「先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

麻子(負けた……)

愛里寿「先攻……」

麻子「!」

麻子(私は眼中に無いか?それとも勝つための先手か?)

麻子(……とにかく後攻は願ったり叶ったりだ。集中していく)

役人「それでは準決勝 第1試合!先攻、愛里寿!後攻、REZE!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュリリッ!



239:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 23:04:43.66 ID:EqKCwBbEo


http://www.youtube.com/watch?v=SctyNQTK9J8

3:30

<準決勝 第1試合 先攻 愛里寿 VS 後攻 REZE >

愛里寿「MIHO対カルパッチョ お客さんに大好評」

愛里寿「この試合もそうなる ライミング巧者の敗北 再放送」ワァァァ!

愛里寿「巧者よりも強者 勝ち上がるのは私 当然後者」ワァァァ!

愛里寿「表現法が 多彩だからREZE相手でも 正面突破」ワァァァ!

愛里寿「ライムによるライムのためのライム MCリンカーン?」ワァ

愛里寿「だからこそ踏めない恐怖に敏感 震撼してあっさりダウン」ワァァ!

愛里寿「それ こだわり通り越して 韻の奴隷」

愛里寿「しんどそうね もっと自由に 舞い踊れ」ワァァァ!



麻子「舞い踊る より奴隷として 味わいたい孤独」ワァッァア!

麻子「太古の昔から 踏んでたようなフィット感に嫉妬か?」ワァァァ!

麻子「再放送にはならない 大統領 なんて 褒め言葉」ワァァァ!

麻子「最高潮のテンションで最後方までノせる とめどもなく」ワァァァ!

麻子「震撼するのはお前 私は真贋 見極め 心眼に開花で 進化」ワァァァ!

麻子「ライム派のみんな迸り(とばっちり) 受けるぐらいに 真価を発揮し」ワァァァ!

麻子「愛里寿 自分のスキルに疑心暗鬼なって自信無くし」

麻子「ネタに走る それを尻目にREZE 詩人歓喜させる」ワァァァ!



愛里寿「詩人より歓喜させるべきは お客さんでしょ」ワァァァ!

愛里寿「心眼に暗雲 私は阿吽(あうん)の呼吸で もらう賛成票」ワァァァァ

愛里寿「ターンテーブル 回し 音が流れ 言葉放てば 会場に響く」ワァァ

愛里寿「それが自然 でもよく聴くとREZEは 内容にリリック」ワァァァ

愛里寿「つまりネタ臭さが充満してるのは お宅さんの方」ワァァ

愛里寿「冷静に聞き分けようお客さん 自分の 鼓膜、勘繰ろう」ワァァァァ!

愛里寿「韻も 数打ちゃ当たる理屈 競馬で言う 多頭買いが当該」ワァァァ!

愛里寿「真っ当な会話出来ないと 思うんだがどうだい?」ワァァァ!



240:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 23:06:35.45 ID:EqKCwBbEo


麻子「多頭買いなんて理屈は崩壊 該当しないよ意味ない」ワァァ!

麻子「遠い未来 主流になるかもな 街頭の街灯の下でサイファー」ワァァァ

麻子「踏まなくても踏みすぎてもディスられる ライムハラスメント」

麻子「それでいいのか? CHIYO CARLITO(チヨカリート)の血を引く サラブレッド」ワァァァ!

麻子「今さらブレんの 性に合わない だからこのまま貫く」ワァ

麻子「フラつく ことなくがっつく 熱く ハッスルなライムを発する」ワァァァ!

麻子「素直に 素顔のままノるんだよ DJ、操るターンテーブル」

麻子「だから子供が 勘繰るとか やめてくれないか? 探偵ぶるな」ワァァァァ!



愛里寿「探偵ぶろうが 結果阻止する 完全犯罪」

愛里寿「こっちのスキル 天然 まるでみやぞん ANZEN漫才」ワァァァ!

愛里寿「サラブレッド 誇りに思う だからナリタブライアン」

愛里寿「ぐらい活躍する あなた程度なんか なりたくないじゃん」ワァァァァ!

愛里寿「私は まだまだ強くなる予感 限度ないようだ」ワァァ

愛里寿「そして文句なく受賞する 年度代表馬」ワァァァァ!

愛里寿「このシングル戦は その足がかりになる」

愛里寿「あなたは決勝戦への 橋渡し役 担う」ワァァ!



麻子「ナリタブライアン 名馬だが情報が古いな」

麻子「私は 意外性を抱えゴールテープを切る オルフェーブル」ワァァァ!

麻子「成長し続け 優勝目前だった 凱旋門賞」

麻子「そんな具合にライムを重ね 目指したい専門職」ワァァァァ!

麻子「絶対やらない橋渡し役 それをするのは マジダサイやつ」ワァァ!

麻子「もっと増しなバイブス このままならREZEがサバイブする」ワァァ!

麻子「このライムは お前に絡みつく ガラガラヘビ」

麻子「噛みつかれたら 耐えきれはしない 甚(はなは)だヘビー」ワァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!!



241:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 23:12:13.53 ID:EqKCwBbEo


役人「では判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、愛里寿が勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!!

役人「……後攻、REZEが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!

役人「これは微妙ですね…………もう一度お願いします。先攻、愛里寿が勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!!

役人「……。では後攻、REZEが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!

役人「……ほんのわずかな差ですが……愛里寿でしょう!1ポイントが愛里寿に入ります。では……審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『愛里寿』」

理事長「『愛里寿』」

香音「『REZE』」

新三郎「『REZE』」

浅井「『愛里寿』」

役人「3対2!接戦を制したのは愛里寿~~~~!!!!」ワァァァァ!!

愛里寿「…………」ホッ

愛里寿(厳しい戦いだったけど……これで決勝進出!)グッ

麻子「っ……」

麻子(後攻でしかも調子も良かったが……及ばなかったか……)

愛里寿「……あの、ありがとう」スッ

麻子「………………」

愛里寿「…………あの……」

麻子「……え?あ……す、すまん」ガシッ

麻子(声かけられてたことに全く気付かなかった……)

麻子(…………それほどショックを受けるとは予想外……いや、当然か。勝ちたいと強く思って臨んだ勝負だからな)フゥ..



242:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 23:21:13.35 ID:EqKCwBbEo


【2階席】

沙織「麻子……」

華「……延長、も無しですか……」

杏「お客さんの声援もホントに微々たる差だし、審査員の判定も3対2。すっげー僅差のいいバトルだった……なんて言われても、冷泉ちゃんも納得出来ないよねぃ……こればかりは難しいね」

そど子「………………私、行ってくるわ」

ゴモヨ「そど子?」

パゾ美「冷泉さんのところに行くの?」

そど子「……ええ」

柚子「今はそっとしておいた方がいいんじゃないかな?」

そど子「……別に慰めの言葉なんてかけないわ。ただ……私がそばにいたいと思ったから行くのよ。私のわがまま」タタッ

パゾ美「………………」

ゴモヨ「あんなそど子、初めて見た」

パゾ美「私も」

桃「……会長。止めなくて良かったのでしょうか?冷泉も1人になりたいと思っているかもしれませんが」

杏「いいんじゃない?むしろそど子が一番適任だよ。変に気を遣わないだろうからねー」



しほ「……一発で決まったわね」

千代「そうね。でもかなりの接戦だったわ」

しほ「勝敗の決め手はどこ?」

千代「ライムに関しては、手数でREZEさんが上回るのはわかっていたでしょう。でも愛里寿もライムで勝負を挑むかのように攻めたわ。特に即興性を重視した。『サラブレッド』を拾って『ナリタブライアン』で踏んだり、それにちなんだ『年度代表馬』というワードを使用したりね」

しほ「その部分をさらにREZEさんは『オルフェーブル』や『凱旋門賞』で踏んでアンサーしている。互いに即興性を見せたところだったわね」

千代「ええ。でも愛里寿のワードチョイスにユーモアがあったのが勝敗の差かしらね。『ANZEN漫才』というお笑いコンビや、そのメンバーの天然ぶりを即興スキルと結び付けたり…」

千代「あとREZEさんのミス、まではいかないけれど、『真贋 見極め 心眼に~』のラインは上手なのだけど、聴いていてわかりづらかったのが少しマイナスね」

しほ「文脈でわかるといえばわかるんだが、同じ『しんがん』で、しかも高速フロウだったしな」

千代「気合いが入っているからかわからないけれど、この試合でのREZEさんは全体的にライムが多くて、詰め込まれた分だけ早口になっていたわね」

千代「それはそれで心地よいものの、愛里寿が後半で若干テンポを落としたり、細かい緩急を付ける工夫をしていたため、単調さが少しだけ目立ってしまい、そのわずかな部分が審査員の判定に現れたのね」

しほ「そう……でも、いい試合だったわ。もう一度見たいと思うくらいに」

千代「同感ね」



243:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 23:22:04.37 ID:EqKCwBbEo


【舞台袖】

麻子「………………」

麻子「…………はぁ……」

麻子(ダメだ……負けたあとは西住さんを応援する立場に回るべきなのに……そんな気分にはとてもなれない)

麻子(バトルの前は、勝とうとしても勝てないのが面白いとすら思っていたのに……)

麻子(さっきまでの熱さが嘘のようにダルい……なにもやる気が起きない)ハァ..

そど子「冷泉さん!」ザッ!

麻子「そど子……?」

そど子「その呼び方やめなさいって何度も言ってるじゃない」

麻子「……そうだな、すまん」

そど子「っ……なによその反応は……」

麻子「しかし、どうしてここに…」

そど子「あんたに文句を言うためよ!」

麻子「……文句?」

そど子「ええ!」

麻子「……………そうだな。決勝に行けなかったからな……」

そど子「っ……違うわよ!」

麻子「?」

そど子「あんたが……すっごい頑張って準決勝まで勝ち上がったのに、一度負けただけでそんな風に……無気力な状態になってることに対して文句があるのよ!」

麻子「……そう軽く言うが、私なりに頑張った上で通用しなかったんだ。少しくらい落ち込んで何が悪い」

そど子「悪くないわよ!」

麻子「……はぁ?一体何が言いたいんだ?」

そど子「わからないわよ!」

麻子「??」

そど子「私はこういう言い方しか出来ないのよ!褒めるのが苦手!慰めるのも下手!得意なのは注意すること!だからどうしたらいいのかわからないのよ!」

麻子「………………」

そど子「今だって、どう励まそうか色々考えてるのに、冷泉さんが背中が丸まってて姿勢が悪いとか、ステージからここに来る間に髪の毛をわしゃわしゃしたのか、髪の毛が乱れてることを注意しないといけないって風に考えちゃうのよっ!」

麻子「……ふっ」

そど子「な、なんで笑うのよ!」

麻子「いや、そど子らしいと思ってな」

そど子「わ、悪かったわね!いつも誰かをクチやかましく言うだけの女で!」

麻子「違う。その不器用さがだ」

そど子「……べ、別に私は……」

麻子「そういうところが……うん、かわいい」

そど子「なっ……///」カァァ..



244:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 23:22:57.74 ID:EqKCwBbEo


麻子「お?照れてるのか~?」

そど子「べ、別に照れてるわけないじゃないの!大体ここに来たのはね、廃校問題の時にやさぐれてた私を助けてくれた借りを返すってだけの行為なんだから!」

麻子「……そうか、そど子は義理だけで来たのか。私を心配してくれたと思っていたが……勘違いだったんだな」シュン

そど子「ち、違うわよ!冷泉さんが落ち込んでるかもしれないって考えたら、すっごく胸が苦しくなったから…………はっ!?」

麻子「ほほぉ~?そうなのかぁ~。そど子はそんなに私のことが好きなのか」ニヤニヤ

そど子「ば、バカ言わないでよ!私は冷泉さんのことなんか………………」

麻子「ことなんか?」

そど子「…………ない」

麻子「ん?」

そど子「……冷泉さんのことなんか好きじゃない、って言えない……」

麻子「……え」

そど子「言ったら………もし本気にされたら……もっと嫌われるわ。そんなの嫌なの……」

麻子「……何言ってるんだ。元から嫌ってない」

そど子「でも私……いつもクチうるさいし、素直な態度をとれないもの……」

麻子「それがそど子だろ。真面目で不器用で……そんなところが私は……」

そど子「……私は?」

麻子「………………ふ、風紀委員に向いていると思う///」

そど子「何よそれ。今言うことなの?それとも、あんたの方こそ照れてるわけ?」

麻子「う、うるさい。この話は終わりだ」

そど子「なによもう……ふふっ」

麻子「………………」

麻子(不思議だ……さっきまであれだけ落ち込んでいたのに、今はもう全てがリセットされたように心が晴れている)

麻子(それが私にとって、そど子という存在がどれだけ大きいかを意味しているんだろうな……)フフ


役人「それでは、準決勝 第2試合うぇいよー!」ワァァァ!


そど子「次の試合が始まるみたいね……どうするの?観る?観ない?」

麻子「もちろん観る。西住さんが出るんだからな」

そど子「…………ふふっ、そうね」

そど子(よかった。さっきまでは見てられないくらい肩を落としていたけど、今はすっかりいつも通りだわ)ホッ



245:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 23:23:32.47 ID:EqKCwBbEo

no title



246:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 23:24:18.74 ID:EqKCwBbEo


【舞台袖】

みほ「………………」

みほ(ついにお姉ちゃんとのバトルだ)ゴクリ

みほ(2ON2では戦えなくて残念だったけど、今度こそ戦える)グッ..

みほ(前回のバトルでは色々な方向から攻めてなんとか勝てたけど、今回はどうだろう?審査方法もお客さんが絡んでるし、勝手が違うよね)


役人「それでは両選手、入場してください」


みほ「!」

みほ(呼ばれた!行かないと…………って、ちょっと待った)

みほ(少し出るのを遅らせよう。それでお姉ちゃんを先にステージに上げて、お姉ちゃんが登場した時にどれぐらい歓声があるかを確認しよう)

みほ(トーナメントの順番的にお姉ちゃんが先に出るのはおかしくないもんね)

みほ「………………」

ワァァァァァァ!

みほ(!この歓声……完全にお客さんからの支持を得てる)

みほ(無理もないよね……お姉ちゃん可愛くてカッコよくて凛々しくて、しかもここまでのバトルでもどんどん勢いつけてきてるもん)

みほ(だったら……私がとるべき戦法は…………っと、ここで考え込んじゃダメだよね。私もステージに行かないと)タタッ



247:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 23:24:53.72 ID:EqKCwBbEo


【ステージ】

みほ「…………」ザッ

ワァァァァ!

みほ(ありがたいことに、私にも歓声を上げてくれる。でもお姉ちゃんほどじゃない。だからバトルの内容が同じくらいだったら、観客判定はお姉ちゃんにとられちゃう)

まほ「………………」

みほ(8小節3ターンで、どれだけそれを覆せるか……頑張らないと)

役人「それでは先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

みほ「!」

みほ(勝った……本来なら後攻をとりたいところだけど……)

みほ「……先攻でお願いします」

みほ(ここまでのお姉ちゃんの勢いを考えると、先攻をとらせたら不利になる)

みほ(リスクもあるけど、先攻をとって流れを変えよう)

役人「OK!では先攻、MIHO!後攻、西住まほ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュピキュ!



248:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 23:27:38.18 ID:EqKCwBbEo


http://www.youtube.com/watch?v=7kCq3ddiPic

3:26

<準決勝 第2試合 先攻 MIHO VS 後攻 西住まほ>

みほ「待ちわびた 戦いたかった これがただ言いたかった」ワァァ!

みほ「こうやってステージ上 姉妹同士 話したかった」ワァァ!

みほ「前回は勝ったけど ある意味 小細工使った アジェンダ」 アジェンダ・・・予定表・行動計画など

みほ「でも今は ありのままの自分で挑む チャレンジャー!」ワァァァ!

みほ「戦うのも 勝ち上がるのも ただ1人のみ」

みほ「決して退かず 火花散らす 互いの気負い」ワァァァ!

みほ「コンビニのプリンが 昨日のご褒美」

みほ「今日のご褒美 この準決勝 妹の勝利!」ワァァァ!



まほ「前に勝ったのに 挑戦者とか言ってる」

まほ「謙虚に振る舞って負けた時の 保険かけてんじゃねぇ!」ワァァッァア!

まほ「前回と2ON2の優勝者 玉座に座ってるはず」

まほ「なのに下手(したて)に出る 目も腹も肝も据わってねぇな!」ワァァァ!

まほ「自分を小さく見せて 実は毒舌でギャップを演出」

まほ「番狂わせを狙う戦い方 いつまでやってんだ!」ワァァァァ!

まほ「今日はこっちが挑戦者 ケイとのバトル見たらわかるだろ?」

まほ「私が背負うのは 周りの期待、覚悟と青コーナー!」ワァァァッァァ!



みほ「小さく見せてない ただの 性格上の問題」

みほ「私が演出してるという テーマ浮上も論外」ワァァァ!

みほ「流行りの流れとか 完全無視したありのままで」ワァァ!

みほ「挑むって ほんの今 言ったばかりこの場で」ワァァ!

みほ「姉は 人の話聞かず 上から目線な 俺様系」

みほ「思い込んだまま 決め付けてる それじゃダメ」ワアァァ

みほ「敗北の危機と死地 感じ 顔、憤りに」

みほ「染まる 青コーナーの姉は 青息吐息!」ワァァァァ!



249:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 23:28:12.54 ID:EqKCwBbEo


まほ「自分を強く持ってる俺様系と」

まほ「自信が無いのか フリなのかの 私なんか系」

まほ「どっちがいいかなんて 一目瞭然だろ」ワァァ!

まほ「『私なんか…』とか言うやつのラップ 誰も聞きたくねぇよ!」ワァァァァァァ!

まほ「あと 人の話を聞かないとか言ってるけど なぁMIHO」

まほ「これだけアンサー返してるやつ 他にいないと思うんだけどな!」ワァァァァ!

まほ「青息吐息になったとしても 別に問題は無い」

まほ「負けて安らかに眠る お前より数倍マシだ!」ワァァァァ!



みほ「数倍マシ とゆーかイマジン 足りない」

みほ「自己卑下から生まれるモノもある 否定させない」

みほ「自信過剰で泣きを見る その後 謙虚の価値を知る」ワァァァ

みほ「料理屋でもそう 調子乗って 天狗になれば 味落ちる」ワァァ

みほ「アンサーがどうこうって 韻も踏まないでフロウのみ」

みほ「それで好かれると思ってるのかな 玄人に」ワァァ!

みほ「ライム、フロウ、ソウル 混ぜた 細く険しい道」

みほ「進まないなら ここで終了とする 閉会式」ワァァ!



まほ「自信は当然持ってる だが過剰と決めつけるな」ワァァァ

まほ「お前は自信だけじゃなくて 人を見る目も無いのか?」ワァァァァァ!

まほ「しかし準決勝でも まだ韻がどうこう言うかね」ワァァ

まほ「お前もさっき言った その『ありのまま』ってやつだろうが!」ワァァァァ!

まほ「玄人に好かれるために ラップしてるのか?しょうもねぇ」ワァァァ!

まほ「MIHO スキルも思想も 地に落ちたもんだな」ワァァァァ!

まほ「…なぁ、お客さん 悪いが判定の時 私に上げないでくれ」ザワッ..

まほ「調子取り戻した MIHOと延長 戦いたいから 頼む」ザワザワ..



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァァ!



250:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 23:28:56.36 ID:EqKCwBbEo


役人「……こ、これより判定に入りたいと思います!」

ザワ..ザワ..

まほ「………………」

みほ(……お姉ちゃん……)

役人「お客さんに聞きます!先攻、MIHOが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「……後攻、西住まほが勝ったと思う人!」

シィン.......

みほ(これは……っ)

役人「え、ええと……まずはMIHOが1ポイント先取です。では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『西住まほ』」

理事長「『西住まほ』」

香音「『西住まほ』」

新三郎「『西住まほ』」

浅井「『西住まほ』」

役人「審査員は西住まほ!ということは、1ポイントずつで延長戦に入ります!」ワァァァァァァ!!

みほ(お姉ちゃんが延長を希望したから……本当は勝てたのにわざと引き分けに持ち込んだ……)ギリッ..

まほ「………………」

みほ(お姉ちゃんは物足りなかったからっていう単純な気持ちからそうしたんだろうけど、私にとってこんな屈辱は無いよ)

みほ(……だから)

みほ(絶対勝って、お姉ちゃんにこの選択を後悔させる!)ギラッ!

役人「では延長戦の先攻後攻を決めてください」

ジャンケンポン

まほ「先攻で」

みほ「…………!」

みほ(私がジャンケンで勝ってたら後攻を選んでた。でも……素直に喜べない。先攻とったのも私を侮ってるから?)

役人「OK!準決勝 第2試合 延長戦!先攻、西住まほ!後攻、MIHO!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュキュ!



251:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 23:31:47.49 ID:EqKCwBbEo


http://www.youtube.com/watch?v=pYi1F0njn7I

2:56

<準決勝 第2試合 先攻 西住まほ VS 後攻 MIHO 延長戦>

まほ「まず最初にハッキリ言っておく 延長を望んだ理由」

まほ「勝ってたバトルを引き分けにしたのは 八百長でも情けでも無い」

まほ「前回大会 MIHOに負けた つまりは0勝1敗」

まほ「でもさっきのと延長で2勝 1度の勝負で2回勝つためだ!」ワァァァァァァ!

まほ「そんな恥かきたくないなら さっさと本気出して来い」ワァァ

まほ「もしすでに本気だったとしたら 期待しすぎたこと謝る」ワァァァ

まほ「この延長 MIHOの実力が知れる そしてバレる」

まほ「MIHOが上手いのは ラップじゃなくて小細工だってな!」ワァァァ!



みほ「小細工しないと言った 耳の穴に 蝋細工(ろうざいく)」

みほ「詰まってるのかな めんどいからモザイク処理」ワァ

みほ「必要なくらい 悲惨で過激な結末 を与える」

みほ「ディスとライムで切り刻んで叫び上げるはず」ワァァァ!

みほ「嘆き負ける 何故に勝てぬ? 試行錯誤」

みほ「強気な姉の インナーチャイルド まるで 悲報待つ子」ワァァ! ※インナーチャイルド・・・子供の頃の心情や記憶、感傷などのこと

みほ「1回で2勝? でもここで 私が勝ったら 2勝1敗」ワァァ

みほ「てかお客さん巻き込む これ小細工でしょ! 理想失敗!」ワァァァァァ!



まほ「切り刻むとか残酷死だとか 危険な言葉使いたがる」

まほ「不良マンガにハマった 中学生かお前は!」ワァァァ!

まほ「理想失敗って1バース目で言うには早すぎる 未来視かよ」ワァァ!

まほ「インナーチャイルド スピリチュアル 暴力的で霊的 迷走すんな」ワァァアァ!

まほ「『何故に勝てぬ?』 いやいや、 お前が劣勢の真っ最中」ワァァァ!

まほ「都合いい世界 に逃げ込むんじゃねぇよ ストーリーテラー」ワァァァァ!

まほ「このバトルの結末は 過激でもなんでもねぇ」

まほ「私がお前に勝って強さを 証明するだけなんだよ!」ワァァァア!



252:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 23:32:27.41 ID:EqKCwBbEo


みほ「スピリチュアル な部分すらも 武器にしちゃう」ワァァ!

みほ「妄想も想像も勝手でしょ 好きに使う」ワァァァ!

みほ「未来視じゃない でも延長にした時点で計画ミス」

みほ「ガンガンディスった結果 姉の勝利 てんで無ぇ確率」ワァァァ!

みほ「劣勢からの徹底した 決定的な逆転劇」ワァァ!

みほ「MIHOは あなたにとっての刺客 天敵」ワァァァ!

みほ「これから作り上げる 理想的なストーリー」

みほ「西住まほの結末は 死亡で決まるソーリー」ワァァァァァ!



まほ「誰もが最後は死ぬ お前も客も審査員も」ワァァ

まほ「謝るなら お前のファンにしろ ここで負けるんだからな!」ワァァァ!

まほ「バトル中は強烈なディス 終われば普通の子」

まほ「酒で気が大きくなる酔っ払いと変わらねぇぞ!」ワァァァァ!

まほ「脳内のストーリーの中でしか輝けないんだろ?」

まほ「ま、頭の中でぐらい 好き勝手させてやるか」ワァァ!

まほ「ただ普段とバトルでチグハグ 言動不一致」

まほ「死んだら確実に地獄行き 私は天国行きだ」ワァァァァァ!



みほ「地獄行きを 一区切りにして 全力維持して 天国行き」ワアッァァ!

みほ「ケイさんとの延長でお疲れ? 減速気味」ワァァァ!

みほ「自分の中でしか輝けないとか 間違いもいいとこ」

みほ「優勝して玉座に座ってるとか 言ってたくせにさあ!」ワァァァ!

みほ「お酒がどうとか 極端な例を持ち出す」

みほ「気の弱い人への 印象操作 そのまんまでも美学?」ワァァァァ!

みほ「結局 延長になって 追い込まれてる始末」ワァ

みほ「妹想い 疲労と脆い 精神が 負けたがってる無自覚」ワァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァァ!

みほ「………………」

まほ「………………」



253:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 23:34:04.59 ID:EqKCwBbEo


役人「それでは……延長戦の判定に入ります!」

役人「まずはお客さん!今の勝負……先攻、西住まほが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!!

役人「後攻、MIHOが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

みほ「っ……!」

役人「……まずは西住まほが1ポイント先取です」

みほ(ポイント取られちゃった……でも審査員票を取れれば再延長にいける…!)グッ..

役人「それでは審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『MIHO』」

理事長「『西住まほ』」

香音「『MIHO』」

新三郎「『西住まほ』」

浅井「『西住まほ』」

役人「3対2!勝者!西住まほ~~~~!!!!」ワァァァァ!!

みほ「!!!」

みほ(負け……た………)

まほ「……………」フゥー..

役人「2度目の姉妹対決は、姉の西住まほに軍配!雪辱を果たしました!決勝進出です!」

ワァァァァァァァ!

みほ「………………」

まほ「…………みほ」スッ

みほ「…………え、あ……」

みほ(そうだ……終わったら握手……しないと)ガシッ

まほ「みほに勝ったんだ。優勝してみせる」

みほ「…………うん」

みほ(……そう、お姉ちゃんは強かった。だから絶対勝てるなんて風には思ってなかったけど……)ギュッ..

みほ(最初のバトルで命拾いをさせられた上に、もう一度負けた)

みほ(……最初の時点で先攻を選んだのがミス?それとも攻め方を間違えた?勝つ方法はあったはず!でも私は負けた……!)ギュゥゥ..

まほ「…………みほ。すまないが、そろそろ手を離してくれないか?」

みほ「………………え?あ、ご、ごめん!」バッ!

まほ「……ずいぶん力が入っていたが……すまなかったな」

みほ「?どうしてお姉ちゃんが謝るの?」

まほ「わざと延長に持ち込んだことだ。それに対して侮辱されたように感じて怒っていたのではないか?」

みほ「それは…………うん。2回勝って勝ち越すっていう理由はわかったけど、それでもゼロではない、かな」

まほ「だろうな。だがみほを馬鹿にするつもりでしたことではないんだ」



254:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 23:36:05.67 ID:EqKCwBbEo


みほ「……じゃあどうして?今回で1勝1敗になっても、次のバトルで…」

まほ「いや、もう今回でこういった大会に出るのは最後にしようと思っていたんだ」

みほ「え!?どうして!私たち、これからもっとラップを頑張っていかなきゃいけないのに!?」

まほ「…………みほ。私たちは戦車道が本業だろう?」

みほ「あ」

みほ(そうだった……もちろん戦車道も頑張ってるけど、最近はラップが楽しくてつい……)

まほ「気持ちはわかるがな。戦車道関係者のほとんどが参加しているこの大会はとても楽しい。今まで触れてこなかったHIPHOPに関わることで、前よりも視界が開けた気もする。だがそれを生かすのは戦車道でだ」

みほ「…………うん」

まほ「……だから今回で最後と決めた。そしてそう決めたからには、みほに負けたままではいたくないと思ったんだ。姉のくだらない意地だがな」

みほ「それでわざと延長に……」

まほ「ああ。自分勝手な理由ですまない」

みほ「……ううん、そういうことなら納得したよ。負ける可能性だってあったんだもん。リスクを負ってる」

まほ「そう言ってもらえると助かる」

みほ「…………うー」

まほ「……どうした?」

みほ「私が勝てる可能性もあったって思ったら……やっぱり負けたのが悔しくなってきた……」ハァ..

まほ「ふ……いい傾向じゃないか。引っ込み思案で感情を抑えるよりよっぽどな。小さい頃のみほはもっと活発だった。本来の自分を取り戻してきているのかもな」

みほ「……そうかも。でもだからこそちょっと困ることもあるんだよね……」

まほ「……何がだ?」

みほ「お姉ちゃんのことを大好きな気持ちが抑えられなくなりそうで」

まほ「………………そ、そうか。私もみほのことは妹として大事に思っているよ」

みほ「そういう感じじゃなくて、前の大会のあとからね、寝る時とかお姉ちゃんを想うと……」

まほ「あ、ま、まずい。ステージに長居しすぎているな私たち!そろそろ舞台袖に戻ろう!司会の人も困っている!」

みほ「……あ……そ、そうだよね」

まほ「さあ行こう」

みほ「うん…………ねえ、お姉ちゃん」

まほ「なんだ?」

みほ「優勝出来ても出来なくても……最後のバトル、楽しんできてね」

まほ「ふっ……素直に『優勝してね』とは言わないんだな」

みほ「ご、ごめんね!でも愛里寿さん、強いし…」

まほ「わかっている。だが負けるつもりはない。みほに勝ったんだからな」ニコリ

みほ「」キュン



255:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 23:37:01.71 ID:EqKCwBbEo

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256:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:01:17.00 ID:VzU1fFy5o


【2階席】

沙織「……ずいぶん長いことステージで話してたね」

華「ええ。餃子の王将で注文が届くまであれほどかかっていたらイライラしてしまうくらいの時間でした」

沙織「そ、そこまで長かったかな……?というか王将のスピードをすごく評価してるんだね…」

優花里「西住殿……残念ですぅ……」

梓「審査員の判定は1票差でしたし、惜しかったです…」

沙織「うん……みぽりん頑張ってたけどね…………」

華「はい…………」

優花里「………………」

シーン..

沙織(重い雰囲気……そりゃそうだよね。もう応援する身内の人はいないんだもん。なんて言ったらいいかわかんないから黙るしか…)

杏「やー、西住ちゃん負けちゃったね!大洗は全滅だよー!」

桂利奈「あっさり言ったー!?」

あゆみ「この空気を切り裂く感じ!」

あや「さすが会長!ね!?紗希もそう思うよね!?」

紗希「……………………………………………………………………」

あや「ここで黙る紗希もさすが!」




しほ「………………」

千代「自分の娘たちの試合。戦車道で経験済みとはいえ、複雑な心境かしら?」

しほ「まあ、そうね。でも今回の試合はまほの勝ちで納得しているわ」

千代「確かにね。延長戦では、まほさんが先攻をとって最初のバースで延長に持ち込んだ理由をハッキリ言って主導権を掴み、そして次々とパンチラインを決めていった。みほさんが盛り返してはいたけれど、なかなかの強さを見せつけた感じね」

千代「みほさんのライミングも非常に決まっていたけれど、『理想的なストーリー』、『死亡で決まるソーリー』に対するまほさんの『誰もが最後は死ぬ お前も客も審査員も 謝るなら お前のファンにしろ ここで負けるんだからな』というアンサーは決め手の1つじゃないかしら。結構やるわね、という感じ」

しほ「……なんか微妙な言い方ね」

千代「そうかしら?」

しほ「なかなか強い、とか結構やる、とか。でも、いいわ。まほが愛里寿ちゃんを倒すだろうから気にするのはやめるわ」

千代「……それはどうかしら?決勝は愛里寿がまほさんをあっさりと蹴散らして会場中が『どひゃー』となるでしょうから」

しほ「いやいや。なんだかんだまほは勝ってしまうはず。可哀想だけれど、今頃愛里寿ちゃんには死兆星が見えてるわね」

千代「見当違いもいいところね。仮に愛里寿が死兆星を見たとしても、エイトセンシズに覚醒しているくらいのレベルにいる愛里寿には何も問題ないわ」

しほ「………………」

千代「………………」

しほ「………………」

千代「………………」

しほ「……親同士が争うのは不毛ね。ごめんなさい、ちよきち。愛里寿に死兆星は見えていない。今後も元気に骨太で生きていくでしょう。毎日カルボーンを食べてる子のように」

千代「いえ、私こそごめんなさい。まほさんは強敵。あっさりとなんてありえないのに、そんなことを言ってしまうなんて私自身も驚きだわ。いえ、私だけではなく、インド人もビックリだわ」

しほ「……決勝戦、どちらが勝とうと…」

千代「恨みっこなしですわね」



257:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:03:06.02 ID:VzU1fFy5o


【舞台裏】

ケイ「ついに決勝ね!私に勝ったマホに優勝してほしいわ!」

ナオミ「私は愛里寿さんを応援したいね。あんなに小さい体で懸命に頑張っているのを見ると、推したくなる」

アリサ「……そのうち地下アイドルとかまで手を広げそうだわ」ハァ..



アッサム「オレンジペコはどちらとも戦っているけれど、どんな気持ちかしら?」

オレンジペコ「そうですね……西住まほさんには完敗してしまったので、愛里寿さんに勝ってほしいです。間接的に雪辱を果たす形で」

アッサム「そ、そう……それは雪辱を果たすことになるのかしら……うーん」



音子「……西住みほが負けて残念だったな」

エミ「そうね。でも前回も今回もまほさんに負けた立場としては、その強さに安心もするわ」

音子「あいつになら負けたってしょうがないってか?」

エミ「そうじゃないわよ。でも……その気持ちが無いと言えばウソかも。やっぱりあの人のカリスマ性には惹かれるもの」

音子「そんなもんかね…………ま、確かに見た目はカッケェわな」

エミ「とにかく、私はまほさんに勝ってほしいわね。負ける姿を見たくない」



カチューシャ「………………」

ノンナ「カチューシャ。無理に試合を観なくても……」

クラーラ「そうです、カチューシャ様。傷を癒すことを優先するべきです」

カチューシャ「あんたたちね……私がいつまで負けを引きずってると思ってるのよ。確かに負けたのは悔しいけど、気持ちの切り替えは出来てるわ。カチューシャはぐぶつじゃないもの。馬鹿にしないで」ツーン

ノンナ「そんなつもりは一切ありません」

ノンナ(ただ……)

カチューシャ「そ、それに……マホーシャが頑張ってる姿、ぜったいに観たいもん……///」

ノンナ「」チッ

ノンナ(カチューシャを惑わすあの魔性の女から一刻も早くカチューシャを離さなければ……しかし、強引に連れて行けば私の心証は激しく下落してしまう……)

クラーラ「ノンナ様……私たちに出来ることをしましょう(ロシア語)」

ノンナ「クラーラ?」

クラーラ「2人で力を合わせ、念じるのです。『西住まほ、負けろ』と……(ロシア語)」

ノンナ「……同志クラーラ。脱帽です。恥も外聞も無く言いきれるあなたを尊敬します(ロシア語)」

カチューシャ「ちょっと!2人で何喋ってたの!?教えなさい!」

ノンナ「SHIBUYA TSUTAYAはHIPHOPのCDレンタルが充実していてズルいという話です」

カチューシャ「今する必要ないじゃないの!」

ノンナ「はい」

クラーラ「気を付けます」

ニーナ「…………」ハラハラ

ニーナ(会話に参加したいけんど、なんか流れ弾さ当たりそうで怖ぇから黙っとくべ)



258:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:06:41.57 ID:VzU1fFy5o



ミッコ「あーあ。結局ダメだったなー」

ミカ「そうだね」ジャララーン

アキ「ミカならいけると思ったんだけど……残念」

ミカ「仕方ない。カチューシャの強さは本物だった」

ミッコ「まぁいいや。ミカはどっち応援するんだ?」

ミカ「それは私が決めることじゃないさ」

アキ「……は?」

ミカ「勝敗を決めるのは……天、さ」ジャララン..

ミッコ「いや、客と審査員だろ」

ミカ「それを含めて、天なのさ。この世の理であったりね」ジャラン

ミッコ(というか勝敗じゃなくて、ミカがどっちを応援するのか聞いたんだけどな……)

アキ「私は愛里寿ちゃんかなあ。身長的に親近感が沸くんだ~♪ミッコは?」

ミッコ「私は西住まほだな!島田愛里寿に負けた借りを私の代わりに返してほしい!」

ミカ「ふふふ」ジャララーン

アキ「……で、ミカは本当のところどうなの?」

ミカ「私の意志……それは本当に私の意志なのかな?知らず知らずのうちに誰かに影響を受け、ねじ曲げられているかもしれない。いや、それ以前に、私がクチにしようとする言葉は、きちんとその通りの音としてみんなに届いているのかな?」ジャララン

アキ「………………」

ミッコ「………………」

ミカ「そう考えると、だんだん…」ジャラララン

スタッフ「…すみません。これからバトルが始まりますので楽器の演奏はやめてもらえますか?」

ミカ「あ、す、すいません」

スタッフ「よろしくお願いしますね」タタタ

ミカ「………………」

ミッコ「大人に注意されたら素直なのな」

ミカ「……ね、年長者は敬うのが吉さ」

アキ「吉とかそういうことじゃない気がするけど……まぁいいや」

アキ(こうやってミカが答えをはぐらかすのはいつものことだけど、勝つつもりで参加して負けちゃったわけだから、色々思うところもあるんだよね、きっと)



ペパロニ「いよいよ決勝っすね!姐さん!」

アンチョビ「そうだな!いやー、負けたのは悔しいが、もう終わったことは仕方ない!精一杯決勝を楽しもう!」

カチューシャ「どちらを応援してるんですか?」

アンチョビ「私は島田愛里寿だな!チーズやトマトが苦手だったり、好き嫌いが多いようだが、それでもラップスキルは卓越してるからな!」

ペパロニ「私は断然西住まほさんっすね!あのズバッと言ってくれる感じがスカッとして気持ちいいっす!カルパッチョは?」

カルパッチョ「ドゥーチェと同じで島田愛里寿さんです。ライミングが好きなので」

ペパロニ「西住まほさんはそういう相手を倒してきたんすよ?決勝もきっとやってくれるはずっす!」

アンチョビ「それはどうかな~?島田愛里寿はかなりやり手だぞ?なあ?」

カルパッチョ「はい。拮抗した勝負になりそうですね」



259:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:07:41.22 ID:VzU1fFy5o


【舞台袖】

まほ「………………」

エリカ「隊ちょ…………まほ先輩」

まほ「ん?」

エリカ「私、緊張してません」

まほ「?」

小梅「……あの……?」

エリカ「だって……まほ先輩なら何も心配いらないからです!」

小梅「あ……」

エリカ「『大丈夫かな』とか『勝てるかな?』なんてドキドキすることがありません!」

まほ「……ありがとう」クス

エリカ「い、いえ……ただ私がそう思うだけですので……//」

小梅「…………」フフ

エリカ「あ、あんたも何か言いなさいよ」

小梅「え?ええっと……」

小梅(みほさんの分も頑張ってください、なんてお願いするのは生意気すぎるよね……だったら普通すぎるけど、頑張ってくださいって言おう)

小梅「あの…」

まほ「安心しろ。みほの気持ちも背負って決勝に挑むつもりだ」

小梅「うぇっ!?」

まほ「顔にハッキリと出ていたぞ?」クス

小梅「あ、えと、その……す、すみません!」

まほ「謝る必要ないだろう。誰を応援しようと自由だ。それに顔に出るということは素直でいいじゃないか。赤星の可愛いところでもある」クス

小梅「え……///」

エリカ「っ!」

エリカ(まほ先輩のこういうところが恋敵を増やすのよッ!)ギリ..



260:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:08:41.10 ID:VzU1fFy5o



愛里寿「……………………」

アズミ「隊長……その……決勝戦ですね」

愛里寿「うん…………」

アズミ「相手は……西住まほ、です」

愛里寿「そう……みほさんとは戦えない。2ON2の時と違って、決勝で1対1の勝負が出来ると思ったのに」

アズミ「…………隊長」

愛里寿「……………………でも」ボソ

アズミ「?」

愛里寿「あれだけ強くって……ライバルだと思ってたみほさんを倒した相手と戦える……」ゾクゾクッ

アズミ「!」

愛里寿「どうしよう……さっきからワクワクが止まらない……!」

アズミ「………………」

アズミ(西住みほが負けて、落ち込んじゃうかと思ってたけど……私、隊長のこと全然わかってなかった)

アズミ(……そうよね。大洗に転入する話が出た時も、強敵である西住みほとチームメイトになるより、敵として戦いたいって理由で取り止めにしたぐらいだもの)

アズミ(隊長は強い相手と戦うことを求めてる……仲の良い西住みほが負けたからってやる気を無くしちゃうわけないわよね)フフ..

メグミ「だから言ったでしょ?」ザッ..

アズミ「え?」

メグミ「隊長なら心配ないって」

アズミ「メグミ…………来てたんだ」

メグミ「来てたわよ!客席で観てた!ていうか一緒に会場まで来たでしょ!」


役人「それでは……いよいよ決勝戦といきましょうか!」ワァァァァァ!


愛里寿「……始まる」

メグミ「隊長の勇姿、私たちが観てますから!」

アズミ「絶対勝つって信じてます!」

愛里寿「ありがとう。行ってきます」ザッ..



261:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:09:25.70 ID:VzU1fFy5o


【ステージ】

役人「それでは入場してください!」

愛里寿「…………」ザッ

ワァァァァァァァ!

まほ「……………」ザッ

ワァァァァァァァ!

役人「シングル戦の決勝は8小節4ターンで行われます!」

愛里寿「………………」

愛里寿(目の前で見ると、体格差以上にオーラというか迫力がある……まるで大きい壁。自分の全てをぶつけても受け止めてくれそう……)ゾクゾク

まほ「…………………」

まほ(島田愛里寿……緊張は無いようだ。まさに自然体。その上で気合いと集中を極限まで高めている……この年齢でここまで達するとは……倒し甲斐のある相手だ)ゾクゾク..

役人「お客さんはもう待ちきれないという感じですね!早速始めましょう!先攻後攻を決めてください」

ジャンケンポン

愛里寿「……後攻」

役人「OK!先攻、西住まほ!後攻、愛里寿!決勝戦!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュリリッ



262:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:12:55.66 ID:VzU1fFy5o


http://www.youtube.com/watch?v=s2g1KNACTb8

2:59

<決勝 先攻 西住まほ VS 後攻 愛里寿 >

まほ「MIHOが相手じゃなくて 残念がってるかもと思ったが」

まほ「気合いは充分な様子 楽勝から快勝に評価改めよう」ワァァァ!

まほ「気持ちいいフロウでもライムでも かましてくりゃあいいさ」

まほ「レベルが高いほど 叩き潰す快感が増すからな!」ワァァァ!

まほ「最強を決める決勝 私は歓声を雨のように浴びる」ワァァ!

まほ「ナリタブライアン目指すサラブレッド ムチのみで調教してやる!」ワァァァァ!

まほ「愛里寿 マイクよりニンジンが似合うんじゃないか?」ワァ

まほ「マイクは固い 私と同じで決して食えないってことだ」ワァァァァ!


愛里寿「固い?そう 大丈夫か大将 大層 切った大見得」ワァァ

愛里寿「前がもう見えん ぐらい 酩酊(めいてい)してるように ご機嫌」ワァァァ!

愛里寿「メーデーメーデー と言って ゼェゼェ あんたが 息切らしても」

愛里寿「サラブレッド 疾走し 草原を 生き切らしてもらう」ワァァァァ!

愛里寿「調教とか言いつつ 叩き潰すとか矛盾点」

愛里寿「私は内容通す ラップ そう きちんと書く文献」ワァァァ!

愛里寿「ニンジンなんて無視 縦に一本筋を通し かけるエンジン」ワァァァァ!

愛里寿「前進あるのみ 弱気・強気 まとめてぶつける 全人格を!」ワァァァァ!



まほ「馬なのにエンジンかけるとか 早速矛盾してるぞ」ワァァァ!

まほ「それともポルシェのエンブレムの意味か? 金持ちのサラブレッド」ワァァァァ!

まほ「エンジンかけて『前進あるのみ』 それ 引き返せないレースゲーム」ワァァ!

まほ「だったら走るのは草原より アーケードの方が似合ってるな!」ワァァァァァ!

まほ「全人格をぶつける? 後先無視の特攻精神かよ」

まほ「もう馬だか車だか キリギリス だかわかりゃしねぇな!」ワァァァ!

まほ「これでどんな文献が残るんだよ 誰も解読出来ねぇぞ!」

まほ「言葉遊びの一本筋より 話の筋を通せよ」ワァァァア!



愛里寿「解読出来ない理解力恥ずかしい みんな 愛想尽かすらしい」ワァァ!

愛里寿「どこが特攻精神? 私は中身 ちゃんと構成してる」ワァァ

愛里寿「この人は 言葉の端々に こだわって 粗探し」

愛里寿「あなたらしい立ち位置 みみっちい 腹立たしい」ワァァァ!

愛里寿「肩慣らし とか今さら無しですよ? これ本番 DJルミ 皿回し」ワァァ!

愛里寿「このステージ あなたの墓場らしい 花は無し だからか悲しい」ワァァァ!

愛里寿「墓標の名前は西住、って あなたも充分 サラブレッド」ワァァア

愛里寿「責める資格無し…と思ったけど もしかしたら捨て子!?」ワァァァァ!



263:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:13:21.75 ID:VzU1fFy5o


まほ「正真正銘 血の繋がった娘だよ ガキが気を遣うな」ワァァ!

まほ「それとサラブレッド自体に文句つけてない 勘違いするな」

まほ「お前が自分で言い出したから アンサー返したって話」ワァァ!

まほ「こう言っても聞きやしないだろうな 馬の耳に念仏だ」ワァァァァ!

まほ「それと粗探しってのは違う むしろこれは手助け」

まほ「お前の言い分は 煮込んだ鍋から出る灰汁(あく)と同じ」ワァァァ!

まほ「味が悪くならないように すく(救)ってやってるんだよ!」ワァァァァ!

まほ「私の立ち位置はハッキリしてる 表彰台の1番上だ!」ワァァァァ!



愛里寿「そういう人を抜いて優勝するのが 1番胸がすく瞬間」ワァァ!

愛里寿「あなたがトップ ほんの数分 後ろの私にすぐ順番」ワァァア!

愛里寿「回る 気分は悪い かもしれないけど これが現実」

愛里寿「堅実 綿密に立ち回ったって 止められんシチュ」ワァァァ!

愛里寿「粗探しを手助けとか ひどすぎる 誤訳よね」

愛里寿「なのに言い切った顔 困るよね もう お役御免」ワァァァ!

愛里寿「鼓膜の辺 どうにかした方がいい MIHOさんも言ってた」ワァァ

愛里寿「耳がまともな時点で あなたより 2歩3歩秀でた」ワァァァ!



まほ「大したこと言ってないくせに 安全圏とでも思ってるのか?」ワァァ

まほ「お前の2歩3歩なんざ 私の大股 1歩で越えられる」ワァァァァ!

まほ「物事にはいくつも見方がある 立場や人でも変わる」

まほ「納得いかないからお役御免 わがままな 子役の言動か?」ワァァァァ!

まほ「仕方ないか 日本語同士を誤訳とか言ってるくらいだしな」

まほ「翻訳を誤るから誤訳 指摘する側が誤用」ワァァァ!

まほ「そんなザマでは 私を抜き去るのは不可能 お前」

まほ「そこらへんの13歳とスキル 五十歩百歩だよ!」ワァァァァア!



愛里寿「そんな脅し文句で ゾクッとなると 思います?」ワァァ!

愛里寿「やだやだ 神経質な 小姑殺法(こじゅうとさっぽう)」ワァァァァ!

愛里寿「嘘まで付く 他の13歳のスキル 絶対知らない!」ワァァ!

愛里寿「どうしようもねぇ 高校生は 撤退しなさい!」ワァァァァ!

愛里寿「不可能とかなんでもかんでも 言ったもん勝ち?」

愛里寿「いい加減にゲンナリ でも 一家言(いっかげん)らしい」ワァァ

愛里寿「もう気にしない その文句は いわば寝言 だもんな」

愛里寿「嫌われ者 重箱の隅つんつん女!」ワァァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァァァ!!



264:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:13:52.15 ID:VzU1fFy5o


愛里寿「………………」

愛里寿(やっぱり強い……)

まほ「………………」

まほ(これだけアンサーを返してくる上に韻も固くフロウも良い……さすがだな)

役人「……判定に入ります………が、審査員の方たちがまだ決めかねているようです。少々お待ちくださ…………あ、決まったようです!」

役人「では判定です!まずはお客さん!先攻、西住まほが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!

役人「……はい。では後攻、愛里寿が勝ったと思う人!」

ワァァァァァァァ!

役人「後攻、愛里寿に1ポイント入ります!」ワァァァ

まほ「…………」

役人「……これで決まるのでしょうか?それでは審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『愛里寿』」

理事長「『愛里寿』」

香音「『西住まほ』」

新三郎「『西住まほ』」

浅井「『西住まほ』」

ワァァァァァ!

役人「3対2で西住まほ!延長戦です!!!」

ワァァァァァァ!

愛里寿「っ…………」

まほ「………………」フゥ



265:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:14:59.69 ID:VzU1fFy5o


【2階席】

しほ「延長、か……」フゥ

千代「……まほさんのパンチラインが優れていたわ。雨(飴)とムチやサラブレッド、アーケードゲームのくだり。特攻精神をキリギリスと例えたりと色々工夫されていた」

しほ「ただ客の支持は愛里寿が得た」

千代「そうね。ライミングとフロウでは愛里寿が有利」

しほ「だがそれだけで勝負は決まらない」

千代「もちろんよ。でもきっと愛里寿なら勝ってくれる。そう信じてるわ」

しほ「それは私も同じよ。まほなら必ず勝利すると思ってるわ」



【ステージ】

役人「では先攻後攻じゃんけんをお願いします。あ、延長戦も8小節4ターンとなります」

ジャンケンポン

まほ「後攻で」

役人「OK!延長戦!先攻、愛里寿!後攻、西住まほ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キキュッ!



266:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:25:07.77 ID:VzU1fFy5o


http://www.youtube.com/watch?v=hq-rFLPhQvc

2:48

<決勝 先攻 愛里寿 VS 後攻 西住まほ 延長戦>

愛里寿「1戦目で お客さんの ハート鷲掴み」

愛里寿「スタートは静かに 大空とカリブ海」ワァァァ

愛里寿「どこまでも見通せる サードアイ使い」ワァァァ

愛里寿「重箱の隅つつく あんたの箸砕き」ワァァァァ!

愛里寿「このまま 加速する一方の 成長速度」

愛里寿「1歩2歩レベルの差じゃない 手、届くの?」ワァァァ!

愛里寿「まるで 巨人の星の星飛雄馬(ほしひゅうま)」

愛里寿「強引に勝利する 私、昇り龍だ」ワァァァ!



まほ「馬で龍で星飛雄馬? 自分見失ってるなぁ」ワァァァ!

まほ「サードアイ使えるなら このアンサーを見通しとけよ」ワァァァ!

まほ「カリブ海も突然で意味もなんもないし 巨人の星?」

まほ「なら形勢を簡単にひっくり返す ちゃぶ台のようにな」ワァァァァ!

まほ「1本目の重箱の隅 まだ言ってんのかよ」ワァァ!

まほ「ねちっこいのは お前 器は筆箱ぐらい小さいじゃねぇか」ワアァァ!

まほ「成長速度は確かに すごいかもしれないが」

まほ「手が届かなくても別にいい この声さえ届けば構わない!」ワァァァァ!



愛里寿「筆箱の中には 鉛筆 貧乏削り」

愛里寿「その先端で あんたの心臓えぐりたくなるね」ワァァア!

愛里寿「かくなる上は タフなプレイヤー目指し」ワァァァ!

愛里寿「駆け出したくなる成果 手にする 計画」ワァァァァ!

愛里寿「ラストイヤーで気合い入る 3年生補正」

愛里寿「そんなの通用しない 数分後 完全猫背」ワァァァ!

愛里寿「その背中に『敗北』と 太文字にて 書いた半紙」

愛里寿「貼って 黒森峰 に帰りなさい 敗者半死!」ワァァァ!



まほ「確かに 数分後に 猫背にはなるだろう」

まほ「優勝逃して泣き崩れた お前を慰めるため」ワァアァァア!

まほ「小さな体で頑張り 戦った末に敗れる」

まほ「仕方ないが切ない 心臓をえぐられるようだよ」ワァァァァァ!

まほ「半紙なんか使わず直接書けよ めんどくせぇ」ワァァ

まほ「半死って言いたいだけ 半信半疑じゃない 確信だよ」ワァァァ!

まほ「13歳でサードアイで3年生補正?なんだそれ」ワァ

まほ「3の倍数と3の付く数字の時に アホになっちまうタイプか!?」ワァァァァァ!



267:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:27:05.70 ID:VzU1fFy5o


愛里寿「あほに近いのは そっち 西住まほ」ワァァ!

愛里寿「西住家の祖先 つまり 入口だよ」ワァァァ!

愛里寿「懐かしいネタの話 世界のナベアツ?」

愛里寿「私はアホにならない アホで勝利の 女神を抱けます?」ワァァァ!

愛里寿「ああ言えばこう言う 色々 取り繕うこと」

愛里寿「敵作ろうと してるように見える 屁理屈女王」ワァァァ!

愛里寿「あとは正論(セイロン)ばっか なんか所属 聖グロくさい」

愛里寿「冥府の鎖 で縛りつけて 碇つけて 沈めよう」ワァァァ!



まほ「正論だけで聖グロ なら小っちゃい(チャイ) お前も一緒だな」ワァァァ!

まほ「すぐ破綻する論理 それじゃ勝利の女神は奪(ウバ)えない」ワァァァ!

まほ「『ああ言えばこう言う』のがバトルじゃないのかな?」ワァァ

まほ「じゃなきゃ『沈めよう』なんて言われて 黙ってるわけねぇぞ!」ワァァァァァ!

まほ「お前 1本目に矛盾点がどうとか言った」

まほ「でもそこ突かれたら 『正論ばっか』 論外じゃんか」ワァァァ!

まほ「私は お前を気持ちよくさせるために いるんじゃねぇ!」ワァァ!

まほ「ぶっ倒して優勝するために立ってるんだよ!!」ワァァァァァ!!



愛里寿「こっちだって同じ 何故に威張ってる?」ワァァ!

愛里寿「急に大声 負け犬の遠吠えに決まってる」ワァァァ!

愛里寿「私はプラスアルファ お客さんの気持ちよくさせる」

愛里寿「そのためのライム 幾重(いくえ)にも威力上げる」ワァァァァ!

愛里寿「あんたはライムを放棄して上機嫌 どうして?」ワァァ!

愛里寿「優勝とか正気ですか?見えてますか オーディエンスが」ワァァァ!

愛里寿「気付いた時には遅い 言わば過日」

愛里寿「フリースタイル 未だ旅する 島田愛里寿」ワァァァァァ!



まほ「島田愛里寿 のスタイル 味方がいる?」ワァァ!

まほ「力足りず 負けちまった体育 座り」ワァァァ!

まほ「したら体躯(たいく) も言葉も 締まらない句」ワァァアァ!

まほ「ってライミングしたら ごめんなさいするのか!?」ワァァァァ!

まほ「料理と同じだろ プラスすればいいってもんじゃない」ワァァ

まほ「客が何で喜ぶかなんて 人それぞれに決まってんだろ!」ワァァァァ!

まほ「客の喜ぶことやってんじゃ 愛里寿自身が どこにもいないぞ!」ワァァァァ!

まほ「だが気付いた時には遅い お前がたった今言った言葉だ!」ワァァアァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァァァァァァァ!!!

愛里寿「…………」ハァ..ハァ..

まほ「……………」ハァ..ハァ..



268:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:27:51.97 ID:VzU1fFy5o


役人「延長戦が終わりました……早速判定に入りたいと思います!」

役人「まずはお客さん!今の勝負、先攻、愛里寿が勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!

愛里寿「…………」

役人「……後攻、西住まほが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァァァ!!

まほ「…………」

役人「……西住まほが1ポイントを先取しました。それでは審査員のみなさん………………ジャッジをお願いします!」

ババン!

亜美「『西住まほ』」

理事長「『西住まほ』」

香音「『愛里寿』」

新三郎「『西住まほ』」

浅井「『西住まほ』」

愛里寿「…………っ」

役人「4対1!フリースタイルバトル、シングル戦優勝者は……西住まほ~~~~!!!!!」ワァァァァァァ!!



269:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:29:36.84 ID:VzU1fFy5o


まほ「……勝った、か」ホッ

役人「優勝者にはトロフィー……と言いたいところですが、急きょ開催されたシングル戦なので残念ながらトロフィーはありません!申し訳ない!」

役人「ですので………そう!審査員の方から一言、コメントをいただきましょう!理事長、お願いします!」

理事長「急な話ですな……何も考えてませんぞ……戦車道の式典でのスピーチならいくらでも出来るが、お堅い挨拶になってしまう……どうしたものか……」ウーム

亜美「理事長。お困りでしたら、若輩者ながら私が代わりを務めてもよろしいでしょうか?」

理事長「おお!是非頼む!辻さん、コメントは蝶野君がしてくれるそうだ!」

役人「辻ではなくRENTA 365です。では蝶野さん、お願いします!」

亜美「…………」スクッ!

亜美「…………西住まほさん」

まほ「………………」

亜美「グッジョブベリーナイス!」

まほ「………………」

亜美「…………以上です」

役人「……え?あの……え?一言すぎませんか?」

亜美「シンプルイズベスト!ミッションコンプリート!」

役人「…………わかりました。えー……なんかグダグダで申し訳ありませんが……みなさん!優勝した西住まほさんに、今一度大きな声援と拍手を!!」

ワァァァァァァァア!

パチパチパチパチパチ!

まほ「…………」ペコリ

愛里寿「…………まほさん、あくしゅ……」スッ

まほ「ああ」ガシッ

愛里寿「………………まほさん、もうバトル出ないの?」

まほ「……みほとの話を聞いてたのか」

愛里寿「」コクリ

まほ「その通りだ。今回で最後の参加になる」

愛里寿「そう……まほさんとまたバトルしたかった」

まほ「すまないな。だがそう言ってくれるのは嬉しいよ。ありがとう」ニコッ

愛里寿「っ!?」ドキン!

愛里寿「う、うん……どういたしまして……///」

愛里寿(な、なんだろう?今の?みほさんといる時の楽しい感じとも違って……)

役人「……以上をもちまして!フリースタイルMCバトル大会を終了します!参加してくれたMCのみなさん、お客さん、審査員のみなさん、そしてDJルミさん、スタッフのみなさん、ありがとうございました!!」

ワァァァァァァァァ...



270:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:32:30.25 ID:VzU1fFy5o


【会場の外】

ワイワイガヤガヤ..

沙織「はぁぁぁー……なんかすごい試合だったねー」

優花里「ええ!さすが西住殿!のお姉さんですぅ!」

華「あの力強さと芯の太さ……華道にも生かせるかもしれません」

梓「でも西住隊長も惜しかったですよね」

華「ええ。みほさんもとても活躍されていました。まるで花を生け…」

あや「あれ?先輩がいないよ?これから帰るのにどこに行ったんだろう?」

沙織「ホントだ。みぽりんがいない」

紗希「………………」スッ

沙織「え?どこを指し…………あ、いた」



みほ「ねえお姉ちゃん。うちにご飯食べに来ない?お姉ちゃんが大好きなカレーメシ置いてあるよ?」

まほ「いや、私は黒森峰のみんなと…」

愛里寿「まほさん。私の家でカレー食べませんか?ううん、泊まって行きませんか?」

まほ「だから私は…」

みほ「…気になったんだけど、愛里寿さんはなんでお姉ちゃんには敬語なの?」

愛里寿「……なんとなく……そういう雰囲気」

みほ「ふーん……あ!じゃあこうしない?私の家にボコの限定DVDがあるんだけど…」

愛里寿「!」

みほ「愛里寿ちゃんは私の家で観てて。その代わり、お留守番をお願い。私はお姉ちゃんの部屋でカレーメシを食べるから。ぐるぐる混ぜるから」

愛里寿「…………だめ。ボコのDVDは観たいけど、それ以上にまほさんと一緒にいたい。理由はわからないけど……」

みほ「!」

みほ(ここに来て伏兵!?まさか愛里寿さんがお姉ちゃんを!?)

エリカ「あんたら好き勝手言ってるんじゃないわよ!まほ先輩は私たちと一緒に黒森峰に帰るのよ!そうでしょ!あんたもなんとか言ってやりなさいよホラ!」

小梅「え、ええと……」チラ

みほ「…………」ジィー

愛里寿「…………」ジィー

小梅「わ、私は別にその……まほ先輩の意志に任せますとしか……」

エリカ「このコウモリ野郎!ヘドが出るわ!ドブに落ちなさい!」

まほ「言いすぎだぞエリカ」

エリカ「す、すみません!」

みほ「……お姉ちゃん。黒森峰に戻ったら今みたいな大声でのやりとりが待ってるけど、私の部屋は無音だよ?だから、ね?うちに来て?」

エリカ「何が無音よ!なんの音もしないのも怖いじゃないのよ!」

愛里寿「……島田家は静か。ちょうどいいくらいの静かさ。だからまほさんも気に入ってくれるはずです」



271:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:33:36.70 ID:VzU1fFy5o


エリカ「まほ先輩のちょうどいい静かさ?ハァ!?会ったばかりでそんなのわかるわけないでしょうが!10年早いのよあんた!」

愛里寿「わかる。バトルで通じ合った」

エリカ「このガキ……!」

まほ「お、おいおい。ケンカをするな」

カチューシャ「待ちなさいよ!」ザッ

まほ「カチューシャ?」

カチューシャ「ま、マホーシャは私と一緒にごはん食べるんだから!あんたたちに邪魔されるすじあいないわ!」

みほ「……お姉ちゃん、カチューシャさんと約束してたの?」

愛里寿「…………」

まほ「いや、約束はしていないが」

みほ「してないそうですけど」

カチューシャ「うっ……で、でもそういう雰囲気だったもの!」

愛里寿「わかる。雰囲気って感じるものだから」

カチューシャ「でしょ!?あんたなかなかわかってるじゃない!」

愛里寿「だからこそ島田家に来るべき雰囲気」

カチューシャ「違う!全然わかってない!他の雰囲気よそれは!」

ノンナ「カチューシャ。無理矢理誘うのはよくありません」

クラーラ「そうです。カチューシャ様は私たちと共にプラウダへ帰り、ボルシチ等を食べさせ合いっこするべきです(ロシア語)」

カチューシャ「うー……」ウルウル

まほ「……そんな顔しないでくれカチューシャ。な?」ナデナデ

カチューシャ「……こ、こども扱いしないでよ……ばか…///」

みほ・愛里寿・エリカ「!!!」

みほ(お姉ちゃんの皮膚を勝手に感じて……!ずるい!)

愛里寿(なでなで…………されたい……)

エリカ(あ、あの子……どんな手を使ったのよ!まほ先輩に撫でてもらえるならお小遣い全部出すぐらいの気持ちを持ってる人間は黒森峰にたくさんいるってのに!家が裕福でなくてもね!)

ノンナ・クラーラ「………………」

ノンナ(西住まほがカチューシャを恋愛対象から外すように動くべきか、カチューシャが今西住まほに抱いている気持ちをそっくりそのまま私へ変換する装置の開発を急ぐべきか……とりあえず、緊急事態であることは確かですね)

クラーラ(もうロシア語で話しただけではカチューシャ様の注意を引けない段階に来てしまっています……となると、次なる手は体の柔らかさアピールでしょうか……)

ニーナ「………………」

ニーナ(なんかややこしい事態になってらぁ。触らぬ神になんとやらだべ。気配を消してプラウダに帰るだ)スー..



272:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:34:53.21 ID:VzU1fFy5o



沙織「…………うわー、なんかすごい修羅場っぽくない?」

華「様々な花が入り乱れる……華道、あるいはホテルバイキングに通じるものがありますね」

優花里「こ、こうしてはいられません!私も参加しなければ!にしずみどのぉ~!」ダダダダダ!

沙織「あ!ゆかりん行っちゃった」

柚子「火中の栗を拾いに……というか、自ら栗になって火中に飛び込む感じですね」

杏「欲望渦巻く渦中でもあるよね。しかも『栗』って言ったら……ねぇ?」ニヒヒ

柚子「会長……」ハァ

桃「おっさんですよその発言は」

桂利奈「…………」

あゆみ「桂利奈?さっきから黙ってどうしたの?」

桂利奈「私、行ってくる!」

優季「隊長のところ?」

桂利奈「ううん、カルパッチョさんのところ!」

優季「え~!?」

沙織「ど、どういうこと?」

桂利奈「……2ON2の練習の時とか、一緒に過ごして……すごく楽しかったんです!だから……私、カルパッチョさんともっと仲良くなりたい!」

あや「あー、でもカルパッチョさんって確かカエサル先輩と…」

桂利奈「……それでもいい!行ってきます!」ダダダダッ!

あゆみ「アンツィオのみなさんのところに行っちゃった……」

沙織「………………あ、でもなんか普通に楽しそうに会話してる」

華「その隣ではペパロニさんがアンチョビさんと仲良さそうにしてますね」

沙織「え?え?なんかちょっとそういう感じなの?」

紗希「……………………」スッ

沙織「今度はあっち?ってあれは……」



273:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:36:13.40 ID:VzU1fFy5o



オレンジペコ「うふふふ」ニコニコ

ダージリン「……ずいぶん嬉しそうね」

オレンジペコ「はいそれはもう!ダージリン様に約束を果たしてもらえるのですから!」

ダージリン「確かに優勝したらお願いを聞いてあげるとは言ったけれど」

オレンジペコ「その約束があったからこそ、どんな手を使ってでも優勝しようと思えたんです!」

アッサム「結果、2ON2で優勝したものね。見事だわ。一体どんなお願いをするつもりなの?」

オレンジペコ「……1日だけダージリン様を飼いたい、です」

アッサム「え」

ダージリン「…………あら?」

オレンジペコ「首輪は用意してあるんです。あ、でも別に四つん這いとかじゃなくて、優雅ないつものダージリン様のままでいいんです!でも食事の際には私があーんさせた物以外はダメとか、お腹をサワサワしたいとか、そういう健全なものですから」

ダージリン「あらあら」ウフフ

アッサム「……ものすごいこと言われてますけど、動じないのはさすがですね」

アッサム(結局この2人はいいコンビなのよね……私にもそういう相手がいれば……)ハァ..


ローズヒップ『ダージリンさまー!おプレミアリーグのお試合が始まりますわよー!』


アッサム(ローズヒップはダージリンのことばかりですし。たまには私にも構いなさいよ…)フン



沙織「……どんな会話してるか聞こえないけど、ダージリンさんとオレンジペコさんがいい感じなのはわかった」

華「ええ、遠くから見ても伝わるようです。ビビンバの鉄器よりも熱を通しそうです」

沙織「なんかさー、カップルっぽいのばっかじゃない?フリースタイルバトルってそうなりやすいのかな?」

杏「やー、それは違うよ。今回2ON2でコンビ組んだ人は、一緒に過ごした時間が長いから色々お互いを知って仲が深まるとかはあるだろうけどね」

柚子「でもバトルした結果、相手をリスペクトするようになってそこから好きになることはあるのでは?」

杏「どうだろうねー?西住ちゃんのお姉ちゃんぐらいじゃないの?あの人、バトル中はずっと相手を見つめたまま戦うっしょ?あの人にそれされたらコロッと落ちる子は多そうだからねぇ」アハハ

柚子「じゃあ普通は戦ったから好意を抱くわけではないんですね…………って当たり前か。ディスられるわけですし」

沙織「えー……じゃあ元々みんな付き合えるような相手がいたってことですか?私なんて全然いないよー」

杏「あ、ホラ。あっちの2校はカップルって感じじゃないよ。見てみ?」

沙織「?」チラ



274:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:37:20.99 ID:VzU1fFy5o



ケイ「あー、楽しかった!最後にサイファーしたかったのに~、ざーんねん!」

ナオミ「サイファーはともかく、楽しかったのは確かだね」

アリサ「……まぁ、そうですね。悔しさは残りますけど」

ケイ「じゃあ打ち上げでパーッと盛り上がって悔しさを晴らしましょ!行くわよ!アリサ!ナオミ!」ギュッ!

アリサ「ちょ……いきなり首に腕回さないでくださいよ!」

アリサ(ほっぺに胸が当たって柔らかいのはちょっと嬉しいけど……って違う!私はタカシ一筋!)

ナオミ「うん。やっぱり隊長の身体は温かくて落ち着くね。いつもは抱く側だけど抱かれるのも悪くない」フッ

アリサ「……その状態で決め顔されても……」

ケイ「あっははは!レッツゴー!」



アキ「惜しかったよねー!前回の結果から見たら大躍進だよ」

ミッコ「まぁ、頑張ったからな。でも優勝したかったー」

ミカ「優勝は価値のあること。けれど優勝出来なかったということにも価値はあるのさ」ジャララン

アキ「参加することに意義があるって言うもんね」

ミッコ「確かに。ミカにしては普通なこと言ったな」アハハ

ミカ「………………………………」

アキ「ミカ?」

ミカ「優勝……それは大宇宙のパノラマであり、箱庭の中に溶けたクジラを大理石に変えうる可能性の集約されたタービンの支配構造に対する渇望者の本質さ」ポロロン..

アキ「………………は?」

ミッコ「適当なこと言ってるでしょ」

ミカ「………………」ポロロン

ミッコ「ポロロンじゃなくて」

アキ「ミカ……普通って言われたのがそんなに悔しかったの?」

ミカ「………………風が……出てきたね」

ミッコ「無風だよ。だから暑いよ」



沙織「……ホントだ。カップルっぽくはない」ホッ

あや「あ!でもあそこ見てください!」ビシッ!

沙織「え!?どこどこ!?」



275:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:38:15.42 ID:VzU1fFy5o



エミ「………………」

音子「いいのかよ。大洗の友達んとこ行かなくて」

エミ「ん。大丈夫」

音子「ふーん……」

エミ「……っていうか、ずいぶん心配してくれるのね」

音子「べっつに。してねーけど」

エミ「…………ふーん」

音子「あ、あんだよ」

エミ「あのさ」

音子「おう」

エミ「私がみほたちのところに行かないのは……あんたと一緒にいたいから、って言ったらどうする?」

音子「…………な……っ……//」

エミ「……ちょ、ちょっと!なに照れてんのよ!あんた前に『俺はこいつが好きだぜ』って私に言ったくせに!」

音子「あ、あれは『俺らは』っつったんだ!それを……大体お前、西住まほが好きなんじゃなかったのか?『カリスマ性に惹かれる』とか言ってただろ!」

エミ「それと恋愛感情は別でしょ?っていうか……」

音子「?」

エミ「そう言ったらあんたがどういう反応するのかが知りたかったっていうか……ヤキモチとか焼いてくれるかな、とか……///」

音子「う……///」

エミ「…………///」

音子「……い、いや、その………なんだ。俺らは、っつったけど……今は……じ、実際……マジで好き……かもしんねぇからアレだけど……//」

エミ「っ……!だったら最初からそう言いなさいよ!歯切れ悪いから……違ったのかと思ったじゃない……」

音子「や、まあ……悪ぃ」

エミ「……いいけど」

音子「…………と、とりあえずじゃあ……手でも繋ぐか?」

エミ「とりあえずなんて気持ちなら嫌」

音子「………………エミと手、繋ぎてぇ//」

エミ「…………ん//」スッ

音子「お、おう//」キュッ

エミ「エミ、か……ふふっ」

音子「……な、なんだよ。呼んだらダメだったか?」

エミ「ううん、さすがにこの段階でマネとは呼ばなかったなーって」

音子「そ、そんぐらいわかるっつーの//」

エミ「ふふっ//」



276:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:40:04.29 ID:VzU1fFy5o



沙織「なにあれ幸せそうだけどちょっとムカムカする」

優季「らぶらぶ~♪」

沙織「イベントごとがあるとくっつくケースが多いってよく聞くけどー……でもー!うぅぅ…」

♪~

沙織「あ、電話……麻子からだ。もしもし?」

麻子『沙織か。今日の打ち上げ終わりに、あんこうチームだけでお疲れ会をする約束だったが……すまん。私は参加出来ない』

沙織「えー!なんでー!?」

麻子『その……そど子と過ごす……あ、いや違うぞ!?過ごすと言っても、別に変なことをするわけではない!至って健全だ!』

沙織「…………そ、そう」

麻子『というわけで……直前にすまん』

沙織「………………ううん、そういう理由ならしょうがないよ。みんな友達より恋人を優先する生き物だから……」

麻子『こ、恋人!?私とそど子はその……いや、確かに気持ちは通じ合っているが、一般的な恋人がするような深い行為をする流れに持ち込めるとは限らな…』

沙織「」ピッ

ツーッ..ツーッ..

沙織「………………はぁあぁ」

華「麻子さん、お疲れ様会、不参加ですか?」

沙織「うん……みぽりんは前もって『お姉ちゃんと一緒の時間を過ごしたいから参加できない』って言われてたし、ゆかりんにも『私は西住殿の行く先に付いていくつもりです。なので西住殿が武部殿の部屋での会合に不参加であれば私も不参加となります』って伝えられてたんだけど、麻子は来てくれるとばっかり思ってたよ」ハァ..

あゆみ「でも本当にカップルが増えましたよね」

梓「麻子先輩と園先輩なんて大洗内のカップルだもんね」

杏「青春を謳歌してるねー、結構結構」アッハハ

沙織「会長はいいですね……余裕があって楽しそうで。周りにカップルがいても平気なんて羨ましいです……独り身には辛いですよー」ハァ..

杏「んー、っていうか私も恋人いっから」

沙織「………………ええっ!?」

華・梓・優季・あゆみ・あや「誰ですかっ!?」

紗希「……………………………………」

あや「ま、待って。紗希が全然驚いてない。ということは……会長の恋人って…………紗希!?」

紗希「……………………………………」

あゆみ「否定しないってことは………!」

杏「違うけど?」

あゆみ「いつものポーカーフェイス!」



277:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:41:04.79 ID:VzU1fFy5o


華「そ、それで……お相手というのは……?」

杏「小山」

柚子「//」

梓・優季・あゆみ・あや「やっぱり!」

杏「…………と」

梓・優季・あゆみ・あや「…………と?」

杏「かぁしま」

梓・優季・あゆみ・あや「……………………」

沙織「なぁんだ。結局いつもの冗談…」

杏「じゃないよ?3人で付き合ってんだよね」

沙織「……………………」

あゆみ「なんか……トリッキーな……」

杏「私ら、なんだかんだ3人じゃなきゃダメなんだよねぇ」

柚子「はい。でも一般的には恋人と呼ぶのでしょうか?」

桃「呼ぶだろう?だってこないだだってベッドで…」

柚子「わーー!桃ちゃん!ダメ!」

桃「もごごご…」

沙織「……………………優季ちゃんたちはそういうロマンス?みたいなのあるの?」

優季「私は特に無かったけど~…」

沙織「……けど?」

優季「桂利奈ちゃんがカルパッチョさんのことが気になるって飛び出した時、なんかいいなぁって思いました」

沙織「で、いいなぁってなった。そのあとは?相手とか!」

優季「…………梓、とか?」

梓「ええっ!?」

優季「なんとな~く、だけど。梓、かわいいなって思う」

梓「ゆ、優季ちゃん……//」ドキドキ

優季「ねぇ~、梓ちゃぁん……私じゃ……だめ?」ウルウル

梓「そ、それは…………///」

沙織(…………優季ちゃんが本気になればあっさり落とせそう……)



278:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:41:42.75 ID:VzU1fFy5o


沙織「……あやちゃんたちは?」

あや「私は………」チラ

あゆみ「………………うん」

沙織「?」

あや「……実は、私とあゆみは付き合ってまして……」

沙織・梓「ええええ!!!」

華「あら」

優季「まあ♪」

紗希「……………………」

あゆみ「……なんか言うタイミングを逃しちゃって……」

沙織「うぅ……さ、紗希ちゃんは?付き合ってる人いる?」

紗希「………………」フルフル

沙織「……じゃあ好きな人は?」

紗希「……………………………………」

沙織「いるの!?」

あや「もしかして河西さん!?」

紗希「………………」フルフル

沙織「じゃあ誰!?紗希ちゃんは誰が好きなの!?」

紗希「…………………………………………地球」

沙織「………………………………」

紗希「…………自然が………………好き」

沙織「………………………うん、了解」

杏「了解ってなんだよ」アッハハ

沙織「いや、なんて言ったらいいかわからなくて……」

華「変わった方ですよね」ニコニコ

沙織「言っとくけど、華も変わった方カテゴリーに入るからね?」

華「あら」ウフフ



279:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:43:42.65 ID:VzU1fFy5o


沙織「……っていうか華はさっきから楽しそうだけど、寂しくないの?周りはカップルいっぱいで自分は取り残されてるんだよ?はぁぁ……」

華「?寂しくありませんけど」

沙織「華道ってそんなに精神を鍛えられるの?まるで鋼の…」

華「だって沙織さんがいますから」

沙織「………………え?」

華「沙織さん手作りのハンバーグも、とても楽しみです。沙織さんの料理はとても美味しいですから。わたくし、大好きです」ニッコリ

沙織「…………華………それって……//」ドクン..

沙織(私がいると寂しくないってどういうこと!?)ドキドキ

沙織(それに『大好き』ってのは料理?それとも私!?なんかどっちにもとれそうな言い方!)ドキドキドキ

沙織(っていうか私、今すっごくドキドキしてるんだけど!これもしかして恋ってやつ!?それともさっきのあやちゃんたちの交際宣言と紗希ちゃんの地球が好き宣言に引き続きビックリ発言が続いてるせい!?)ドキドキドキドキ..

華「あ……もしかして……」

沙織「な、なに……?」ドキドキ

華「お疲れ様会は、あんこうチームで行う予定でしたが、参加者はわたくしと沙織さんだけとなりました。お疲れ様会は中止でしょうか?」シュン

沙織「う、ううん!?やるよ!華が大好きなハンバーグ作るよ!」

華「本当ですか!?とても嬉しいです!」

沙織「……だ、だって華、ハンバーグ大好きだもんね!?」

華「はい!大好きです!」

沙織「わ、私のことも大好きだもんね!?」

華「はい!大好きです!」

沙織「~~~~っ…///」

沙織(ぅあー……なにこれ!やばいやばい!私いま絶対顔赤い!)

沙織(でも……華は私の料理が好きなのか、私のことが好きなのかハッキリしないし!)

沙織(ちゃんと聞きたい!あー!でも……怖くて聞けない!)

沙織(……だけど気になる……ぅあー……///)



280:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:45:31.23 ID:VzU1fFy5o



しほ「大洗の連中は青春真っ盛りといったやりとりをしているわね」

千代「……あの距離の会話が聞き取れるの?だいぶ離れているけれど」

しほ「忘れたの?私の聴力は蛾と同等レベルだって」

千代「…………蛾?」

しほ「ええ。ハチノスツヅリガは人間の15倍ほどの聴力を持つと言う」

千代「……だとしても、蛾に例えるのはあまり良くないと思うわ」

しほ「………………」

千代「?どうしたの?蛾を責められて機嫌を悪くしたのかしら?」

しほ「それもゼロではないけど……大洗の子たちを見ていて、ふと自分の高校時代を思い出してね」

千代「そう……」

しほ「…………ちよきち、今夜……私と」スッ

千代「!?だ、だめよ!あの日、最後の思い出にするって決めたでしょう!?」

しほ「とうにムラムラしてるんだ」

千代「なんなのよその言い分!家元同士がこんなところで誤解を招く会話をするのはいけないことよ。自分を律しなさい、しぽりん」

しほ「……そう、ね。ごめんなさい」

千代「わかってくれればいいの」

しほ「…………そうだ。ちよきち」

千代「なに?」

しほ「キレイで大きなお城に興味はない?」

千代「ありません」

しほ「……そう」シュン

千代「あ……」

千代(普段はしっかりしているくせに、こうやってところどころで弱い部分を見せて母性本能をくすぐる。これを天然でやってしまうしぽりんは恐ろしい子!)



281:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:46:09.89 ID:VzU1fFy5o


【会場内】

ルミ「ふーっ……これで片付け完了、っと」

アズミ「お疲れ様。これ、スポーツドリンク。遠くに置いておくわね」

ルミ「近くに置けって!」

アズミ「ふふっ、冗談よ」ハイ

ルミ「サンキュ」

アズミ「DJ、大変だったでしょう?」

ルミ「そりゃあね。でもその大変さも楽しいからいいんだよ」

アズミ「前向きね」

ルミ「わざわざ私を待っててくれたの?隊長と一緒に行っても良かったのに」

アズミ「……今の隊長のそばにいるのは辛くてね」

ルミ「……ん?どゆこと?」

アズミ「可愛いのは間違いないのよ。少し甘える感じの隊長はいつもと違う可愛さを見せてくれる。でも……その相手が私ではないのが辛いの……!」

ルミ「…………そうか……西住まほ、か」

アズミ「ええ……」クッ

ルミ「うぅ……隊長……私がDJとして活躍する姿よりも西住まほの方を……」

メグミ「2人とも!」ザッ!

ルミ「え……メグミ?」

アズミ「来てたの……?」

メグミ「来てた!というかさっき会ったでしょ!しかもこのやりとりもした!」



282:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:48:04.28 ID:VzU1fFy5o


アズミ「そうだったわね。隊長ショックで少し記憶が曖昧になっていたみたい」

メグミ「……隊長の件は私もショックよ。だから2人の気持ちがわかる!」

ルミ「メグミ……」

メグミ「飲みに行きましょう!嫌なことは全て忘れて、パーッと騒ぎましょう!」

アズミ「そ、そうね!もう飲むしかないわよね!」

ルミ「よーっし!どの店にする?今からなら……」

亜美「ドランクモンキー!」ザッ

アズミ・メグミ・ルミ「え」

亜美「話は聞かせてもらったわ!とにかくお酒を大量に飲む必要があるわけね!」

アズミ「げ!」

メグミ「ち、違います!」

ルミ「量が重要ではなくてですね……」

亜美「ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ!!」

アズミ「それお酒と関係ないですよね?」

亜美「……ああいう風になるくらいお酒を飲みましょうという意味よ」

メグミ「絶対なりたくないんですけど」

ルミ「カメだもんね……」

亜美「勘違いしてない?実写の方よ?」

アズミ「もっと嫌ですよ!顔色悪すぎるし…」

亜美「あっははは!ナッシングバットサムシング!とにかく行くわよ!私のオゴリだから安心しなさい!」

アズミ「うぅ……」

メグミ「どうせヤケ酒になる予定だったけど…」

ルミ「飲む前から憂鬱……」



283:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:49:34.03 ID:VzU1fFy5o




役人「……………………」

役人(終わってしまった……輝かしい時間だった)

役人(1日をこれほどまでに有意義に過ごせたことはないと断言出来るほど充実していた)

役人(司会だけでなく、まさかバトルをすることになるとは……人生何があるかわからない。予想外の連続と言える)

役人「………………」

役人(そのバトルでは……西住流家元の娘さんである西住みほさんと対戦した……強烈なディスを次々と浴びせられ、私は完敗した)

役人(……悔しさもあったが……今になって振り返ると……)

役人(…………嬉しくもあった気がする)

役人(勉学に励み、社会に出てからも仕事に心血を注いできた。それなのに、高校生に公の場で面罵され……自分の全てを否定される…………なんと気持ちがいい……)ゾクゾクゾク

役人(っ!?違う!私はそのような性癖は持ち合わせていない!)

役人(そもそも、大会中には司会進行のことで頭が一杯だったのだ!だから……)

役人(……冷静になった今、感じたその気付きこそが本質なのではないか?)

役人(私が大洗を廃校にしようとしたのも……廃校そのものが目的ではなく、彼女たちに恨まれ、罵倒されることで快感を得ようとして……!?)

役人「違う!私はッ!あああっ!」

理事長「……辻さん」

役人「あ……理事長……?」



284:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:53:32.71 ID:VzU1fFy5o


理事長「あなたの気持ちはよーくわかりますよ」

理事長(バトルに負けた悔しさ。それも年下相手に完敗だ。しかも負けた後に司会を続けなくてはならなかった。その辛さが大会後に一気に襲ってきたのだろう)

役人「!わかってくれるのですか!?」

理事長「ええ。私も経験済みですからな」

理事長(ラッパー、KODAMAとして活動中に、若手主体の大会の司会をしていた時、急に出場できなくなった選手の代わりを務め、一回り以上年下の相手に敗れた。辻さんの今回のケースと全く同じ)

役人「なんと!それでは……解決策をご教示頂きたいのですが…」

理事長「そういう時は自分に素直になることです」

役人「!!」

役人(素直に……?女性に罵倒されて快感を覚えるのを認める、と?)

理事長(私は大会後、先輩のラッパーに自分の心情を全て吐き出した。キャリアにあぐらをかいていた自分の情けなさなど、話すことを躊躇ってしまいそうな恥ずかしさはあったものの、吐き出した後はスッキリとした気持ちになった…)

理事長「……恥をかくことを恐れてはいけません。乗り越えるのです」

役人「!!」

理事長「私は信頼できる先輩を頼りました。その結果、今の私があります」

役人「そう、ですか……」

役人(なんて人だ……女性に『罵ってください』と直接頼み込んだというのですか!?そして、その期間を経て、戦車道連盟の理事長に……)

理事長「…………どうですかな?少しはお役に立てましたか?」

役人「……はい。お陰様で、迷いが晴れました」

理事長「それはよかった」ホホホ

役人「…………」

役人(真面目に仕事をしてきたおかげで人脈はある。まずは……そうだ。島田千代さんにお願いしてみるとしますか。もしダメでも蝶野さんなど、当てはある)ウム

役人「ふふっ」

役人(さあて……これから忙しくなるぞ……――――)




285:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:55:11.16 ID:VzU1fFy5o


こうして、

役人・辻廉太を始め、

様々な人に影響を与えたであろう

第2回フリースタイルMCバトルは幕を閉じたのだった――――





しかし……




みほ「お姉ちゃん!」

愛里寿「まほさん……」

エリカ「まほ先輩!」

カチューシャ「マホーシャ!て、手を繋いであげてもいいわよ!」

まほ「あ、あまりくっつかれると歩きにくいんだが…」

ノンナ「カチューシャ……!」(自販機の裏)

クラーラ「カチューシャ様……!」(店の看板の影)

優花里「西住殿……ッ!」グギギギ...(段ボールの中)



梓「ゆ、優季ちゃん、ちょっと……近い……//」

優季「くっつきたいんだも~ん♪」



カルパッチョ「たかちゃんったらひどいんだよ?今度デートしようって誘ったら『その日はエルヴィンたちと歴史記念館に行く約束してたことを思い出して……ホントごめん!』だって!チケット無駄になっちゃったなぁ…」

桂利奈「だ、だったら私と行きませんか!?私、カルパッチョさんと一緒にお出かけしたいです!」




彼女たちの恋愛バトルは、これから幕を開けようとしている。

それがどのような結末を迎えるのかは、誰も知らない――――




<おわり>




286:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 00:58:42.51 ID:VzU1fFy5o


以上で完結です

前作同様、長すぎるSSとなりましたが、読んでくれた人、ありがとうございました


そして、

DJ X Boyさん、so was Redさん、TK CYPRESSさん、man lazyさん、momo mameさん、Rap Beatさん、

エル・レッドキングさん、キッズサイファーさん、海月さん、前田カエラさん、

バトル用ビート動画のリンクを貼らせてもらいました。ありがとうございました



元スレ
みほ「第2回フリースタイルMCバトル!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1503141018/
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         コメント一覧 (8)

          • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年08月21日 14:46
          • 長すぎ これにつきる
          • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年08月21日 15:51
          • 読んでないけど長々と悪口言い合う話かな?
          • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年08月21日 19:45
          • 長かったがどうにか読んだ…でも感想が作者はまほが好きなんだなあくらいしか残ってねえ!
          • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年08月21日 20:59
          • 5 前作同様何故ガルパンでやったしってなったわw

            でも面白かった
          • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年08月22日 11:14
          • 2 前作知ってるからこそ読むのが億劫になる文量だった…読んだが。華さんがしつこいくらい空気の読めないウザい子になってたり、そどまこは分かるとして急にレズ展開になったのは寒かった。
            華さんはともかく最後がなぁ…。2on2とシングルの結果が一緒にならなかったのは良かった。
          • 6. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年08月30日 00:31
          • めっちゃ長かった。本人達も気にしてたけど麻子とカルパッチョの対決また見たかったなー
            終盤の唐突気味な百合ラッシュはなんだったのか…
          • 7. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年09月12日 23:24
          • 5 ただラップが好きというだけでなく、評価のポイントや何を持って良い悪いとするかがしっかりしてて、ちゃんと勉強もしてるんだなあと思った
            相変わらず文章力も凄まじいし
            ストレートなMCバトルもいいけど、普通のSSにさりげなくラップ要素が混ざってるのとかも読みたいと思った
            あと説明にはなかったけど、けいおんのくだりは中の人ネタも絡んでて面白かった
          • 8. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
          • 2017年11月24日 05:37
          • ラップらしいけどラップを文字にしてもなあ…

        はじめに

        コメント、はてブなどなど
        ありがとうございます(`・ω・´)

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