神「人間よ、宿題やっとるか」 彡(゚)(゚)「え?」
彡(゚)(゚)「毎日暑いなあ、こういう日は家で高校野球を見るに限るで」
彡(゚)(゚)「うちの高校も、県の代表もあっさり負けてもうたけど、まあ別に期待も…」
テレビ「おい」
彡(゚)(゚)「うわ、なんや? 画面が白髪のおっさんに変わったで」
テレビ「わいは神や、数万年ぶりに地上の様子を見にきた」
彡(゚)(゚)「へ??」
神「人間よ、宿題はもう終わったか?」
彡(゚)(゚)「は???」
神「チャネリングっちゅうやつや」
彡(゚)(゚)「チャネリングってこういうこととちゃう気がする…」
彡(゚)(゚)「しかもワイと会話できてるし」
神「全人類に同時に話しかけてもエエけど、刃物とか使ってたら危ないやろ」
神「べつに質問するなら一人でも全員でも変わりないからな」
彡(゚)(゚)「はあ」
神「それで人間よ、宿題はやっとるか?」
彡(゚)(゚)「ええっと……」
神「なんや、忘れてもうたんか?」
神「……いや、そうやな、考えてみたら人間は死んでは生まれての代替わりをするのか」
神「たまたまお前が知らんかっただけか」
彡(゚)(゚)「そ、そう……なんかな?」
神「それも面倒やな、よしお前、人類が宿題ちゃんとできとるか調べてこい」
彡(゚)(゚)「ええ~~……」
神「そんな声を出すな、四千円やるから」
彡(゚)(゚)「やります」
神「一つだけヒントをやろうか、宿題を出したのは20万年前や」
神「答えが分かったらテレビに向かって呼びや」
彡(゚)(゚)「……あ、テレビが高校野球に戻ったわ」
彡(゚)(゚)「うーん……これはワイだけの手には負えんな」
彡(゚)(゚)「あいつを呼ぶか」
※宿題が何なのか、みんなも考えてみてね
もしレスで正解が出た場合、先に正解編に飛びます
(´・ω・`)「急に呼び出してどうしたの? イッテQの再放送見てたのに」
彡(゚)(゚)「なあ、人類の宿題って何やろう?」
(´・ω・`)「これお土産の雪見だいふくね、帰っていい?」
彡(゚)(゚)「こいつはワイの友人や」
彡(゚)(゚)「頭のいいやつで、全国模試でも何度も上位に入っとる」
彡(゚)(゚)「どのぐらい頭がいいのかというと、遊戯王のどんな質問にもすらすら答えるほどで」
(´・ω・`)「なにブツブツ言ってるの?」
(´・ω・`)「……ちょっと信じろと言われても無理があるけど」
(´・ω・`)「でも人類の宿題ってテーマには興味あるね、一緒に考えてみるのはいいよ」
彡(゚)(゚)「ほうか、助かるわ」
彡(゚)(゚)「まず何を調べたらエエんやろ」
(´・ω・`)「グーグル先生に聞いてみようか。「人類 課題」っと」
彡(゚)(゚)「真っ先にグーグル先生に聞く合理主義、さすがやな」
彡(゚)(゚)「まあよく聞く課題やな、それが課題なんか?」
(´・ω・`)「違うと思う」
彡(゚)(゚)「なんでや?」
(´・ω・`)「これらの問題は産業革命以降、人口爆発と工業化によって生まれたものが多い、せいぜい100年のことだよ」
(´・ω・`)「神様が宿題を出したのは20万年前なんでしょ、ここ最近の問題が宿題になるはずがない」
彡(゚)(゚)「それもそうやな」
彡(゚)(゚)「おお、何て言うてるんや?」
(´・ω・`)「第一に人は死ぬということ、第二に人類は絶滅する可能性があるということ、第三は人生には良いことと悪いことがあるということ」
(´・ω・`)「仮にこの3つの課題を克服できた場合、人間は不老不死となり、人類は絶対に絶滅せず、永遠に幸福だけが続くことになる」
彡(゚)(゚)「すごいな、じゃあそれが宿題か」
(´・ω・`)「いや違うね」
彡(゚)(゚)「なんでや?」
(´・ω・`)「それを受け入れる精神という意味なら、宗教がある程度解決してるけど…」
(´・ω・`)「天国の存在や、輪廻転生の思想などだね」
彡(゚)(゚)「つまり死の恐怖を乗り越える文化を持つ、って意味か、コレ正解に近いんちゃうか?」
(´・ω・`)「でも、神様がやきう君に話しかけた時、人間が死ぬことを忘れてたんでしょう?」
(´・ω・`)「宿題が死に関することなら、それを忘れてるのは不自然だよ」
彡(゚)(゚)「なるほど……」
(´・ω・`)「人類絶命の可能性、これも同じだね、地球自体が無くなる可能性だってゼロではないし」
(´・ω・`)「幸不幸の受容……。これも何かピンと来ないなあ。課題ではあっても解決することなんて無い気がする」
彡(゚)(゚)(ワイは想像する)
彡(゚)(゚)(ワイは遠い未来の人間、文化の極みの果てに不老不死を手に入れた)
彡(゚)(゚)(ワイにはもう死はない、人類も何があっても絶滅しない)
彡(゚)(゚)(いっさいの悩みや不安もなく、無限の時間を生きる)
彡(゚)(゚)(……しかし、無限に生きて、ずっと幸福であり続ける、何万年も、何億年も)
彡(゚)(゚)(それが何故か、恐ろしい)
彡(゚)(゚)(想像の限界をはるかに越えた無限が、恐ろしい…)
(´・ω・`)「おーい、どうしたの」
彡(゚)(゚)「はっ」
(´・ω・`)「ごめんごめん、ちょっと哲学的な話で難しかったね」
彡(゚)(゚)「そ、そうやな…どうも宿題とは違うようやし」
(´・ω・`)「神様のヒントってのを考えてみようか、宿題を出したのは20万年前なんだって?」
彡(゚)(゚)「20万年前って昭和より昔やな、人類なんていたんか?」
(´・ω・`)「もっとも古い類人猿は400万年前ぐらい……サルの仲間はもっと前からいたけど」
(´・ω・`)「20万年前なら新人類の誕生、僕たちに近い人類が生まれてきた頃だよ。ミトコンドリア・イブとか」
彡(゚)(゚)「何やそれ」
(´・ω・`)「16万±4万年、アフリカに存在したと言われる女性だよ、すべての人類の共通の祖先と言われてる」
彡(゚)(゚)「ほー……」
(´・ω・`)「この頃は人類はすでに打製石器から磨製石器に移り、洞窟画や彫刻などを残している」
(´・ω・`)「また、イヌなどの家畜を持ち、集団的狩猟生活を…」
彡(゚)(゚)(ワイは想像する)
彡(゚)(゚)(20万年前、どこまでも荒野が広がる風景のなか、白髪の老人が遠くを見つめている)
彡(゚)(゚)(その視線の先に一人の女性が現れる、彼女は新人類だった、それまでの人類よりも賢かった)
彡(゚)(゚)(白髪の老人はふわりと宙に浮き、その女性の前に降り立つ)
彡(゚)(゚)(二人は唸り声のような、古い古い言葉で会話を交わす)
彡(゚)(゚)(老人は神だった、神はその女性に宿題を与える)
彡(゚)(゚)(女性は老人を見つめ……)
(´・ω・`)「おーい、聞いてる?」
彡(゚)(゚)「はっ」
彡(゚)(゚)「……いや、やっぱりその時代や」
(´・ω・`)「え?」
彡(゚)(゚)「宿題を出しても、言われた相手が理解でけへんかったら何の意味もない」
彡(゚)(゚)「宿題は間違いなく、当時の人間でも分かるものやったはずや」
(´・ω・`)「でもなあ……当時の人類がどんな問題を抱えてたのか……」
(´・ω・`)「人口を増やせとか、温かい住居を手に入れろ、みたいな宿題なら、もう達成できてることは一目瞭然だからね」
彡(゚)(゚)「人間の抱える問題だけとは限らんで」
(´・ω・`)「うん?」
彡(゚)(゚)「そうや、地球や、地球のために人類が何をするかが問題なんや」
彡(゚)(゚)「神様が新人類を見つけた時、こいつらなら任せられる、と思って与えた仕事のはずなんや」
(´・ω・`)「…………」
(´・ω・`)「……わかるよ、その視点はわかる」
(´・ω・`)「でもね、資源の枯渇、環境問題、生物多様性…」
(´・ω・`)「はっきり言って、人間がこの地球のために貢献してるとは……」
彡(゚)(゚)「…そうやろうか?」
(´・ω・`)「?」
彡(゚)(゚)「どうも環境問題とか、絶滅危惧種とかにこだわりすぎてる気がする……」
彡(゚)(゚)「もし環境や生物のことなら、「言いつけを守っとるか?」と聞くんやないか?」
(´・ω・`)「…なるほど」
彡(゚)(゚)「宿題や、仕事なんや」
彡(゚)(゚)「それも人間だけに与えられた役目なんや、そこがポイントに違いない」
彡(゚)(゚)「何か人類だけしかやらへんこと……。それも20万年前にや」
彡(゚)(゚)「20万年前に始まった、人類だけしかやらへんことって何かないんか?」
(´・ω・`)「わかった、考えてみるよ」
(´・ω・`)「文字などで文化を残す…都市を見ればできてることは一目瞭然…」
(´・ω・`)「皮をなめして衣服に…確かに人間しかやらないけど、宿題と関係あるとは思えない…」
(´・ω・`)「……あとは、そうか、火の使用だね、火を使うのは人間だけだ」
彡(゚)(゚)「火か」
(´・ω・`)「ああ、諸説あるけど、山火事などの野火を利用するのでなく、道具を使って火をおこすようになった最も古い時代が20万年前だ」
(´・ω・`)「この時代に、人間しかやらないことと言えば火しかない」
彡(゚)(゚)「火……しかし、火がどんな宿題になると言うんや」
(´・ω・`)「…………待てよ。火といえば…」
(´・ω・`)「そうか……もしかしたらコレかも知れない」
彡(゚)(゚)「何か思いついたか?」
(´・ω・`)「これが神様…普通のおじいちゃんだね」
彡(゚)(゚)「ワイもそう思う」
神「達成にはどのぐらいかかるか分かるか?」
(´・ω・`)「はい、全世界の石炭の究極埋蔵量は約30兆トン、石油は約5兆バレル」
(´・ω・`)「他に天然ガスや泥炭など、最速のペースなら、500年ほどで大半を使い切る可能性があります」
神「そうか、では500年後にまた様子を見に来るわ」
神「ほなこれ、お駄賃の四千円な」
彡(゚)(゚)「おお!! 空中からお札が出たで、さすが神様や!」
神「もっと驚くポイントいろいろあったからな」
神「ほなな」
(´・ω・`)「まさに地球規模の考え方だね」
(´・ω・`)「地球上の有機物は死ぬと地中に潜り、やがて化石燃料になる」
(´・ω・`)「しかし地中に炭素が増えれば、植物が生きていくための二酸化炭素は減少していく」
(´・ω・`)「だから地中から炭素を掘り出し、燃焼させることで二酸化炭素に戻す」
(´・ω・`)「これこそが人類だけの役割であり、仕事である、とも言えるわけだ」
彡(゚)(゚)「正直フワッとしか理解してないんやけど、そういうことやな」
彡(゚)(゚)「環境破壊や温暖化に真っ向から反することが人類の宿題とはなあ」
彡(゚)(゚)「もちろんこの話はフィクションやけど」
(´・ω・`)「誰に言ってるの?」
(´・ω・`)「そうだね」
彡(゚)(゚)「じゃあワイが三千円で、お前が千円な」
(´・ω・`)「は?」
彡(゚)(゚)「は?」
(おしまい)
元スレ
神「人間よ、宿題やっとるか」 彡(゚)(゚)「え?」
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1502508718/
神「人間よ、宿題やっとるか」 彡(゚)(゚)「え?」
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1502508718/
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コメント一覧 (13)
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- 2017年09月03日 17:20
- 興味深いSSだったわ
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- 2017年09月03日 17:51
- 面白かった
いやもうその4000円で二人で飯食いに行けよww
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- 2017年09月03日 17:59
- 面白い考えだなこれ
正誤じゃなくて視点が面白い
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- 2017年09月03日 18:57
- 元ネタあるんだよなぁ…
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- 2017年09月03日 19:01
- いい
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- 2017年09月03日 19:15
- おもしろかったで
-
- 2017年09月03日 19:58
- 二酸化炭素以前のもうちょっと分子量でかい段階でどうにか有機物に回収させる方法はなかったんか?
-
- 2017年09月03日 20:14
- ※4
教えてほしい
興味ある
-
- 2017年09月04日 00:36
- 面白かった
-
- 2017年09月04日 06:19
- ※7
取りだした後、環境にまじぇまじぇせなならんからなぁ。重いと難儀なんよ。
-
- 2017年09月04日 10:43
- これ前にも載せなかった?
他のとこで見たのかな?
-
- 2017年09月04日 11:36
- 風化・侵食の仕事を人間が間借りしてるだけ定期
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- 2017年09月20日 23:25
- そんは発想は全くなくて興味深かった
しかし宿題をやりおえた後は・・・・・