理髪師「いらっしゃいませ」ハゲ「散髪して下さい」理髪師(どうしろと……!?)
- 2017年07月13日 00:10
- SS、神話・民話・不思議な話
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理髪師「いらっしゃいませ」
ハゲ「こんにちはー」
理髪師「……!?」
理髪師「えぇと……顔剃りですか? 顔剃りですよね? 顔剃りであってくれ!」
ハゲ「散髪して下さい」
理髪師(どうしろと……!?)
ハゲ「どっこいしょ」ドスッ
理髪師「ちょ、ちょっと頭を拝見……」
理髪師(うっわぁ~……完璧にハゲじゃん)
理髪師(産毛すら生えてない……ツルツルだ)
理髪師(まさに……不毛の大地!!!)
ハゲ「どうしましたか?」
理髪師(だったら、ハサミで髪を切るフリをすれば満足してくれるはず……!)
チョキチョキ… チョキチョキ…
ハゲ「なにをしてるんです? 準備体操ですか?」
理髪師(エア切りじゃダメなのか……!)
理髪師(こうなったら……打つ手は一つ!)
理髪師「少々お待ち下さい」
ハゲ「はい」
理髪師「お待たせしました」
ハゲ「待ちましたよ」
ハゲ「ところで、何をしていたんです?」
理髪師「お客様の不毛の大地のために……育毛剤を作ってきました!」ジャン!
ハゲ「ワオ!」
理髪師「じゃ、塗りまーす」ヌリヌリ…
ハゲ「んっ……」ピクンッ
ハゲ「す、すごい! 髪が! 髪が生えてきた! 何年ぶりのことか!」フサフサ
理髪師「すごいでしょう?」
理髪師「みんなの髪を伸ばせばもっと床屋が儲かると思って、密かに育毛剤を研究してたんですよ」
理髪師「それをこの一ヶ月で死に物狂いで完成させたんです!」
ハゲ「へぇ~」フサフサ
理髪師(髪がないお客なら、髪を生やせばいい! ……これぞ逆転の発想だ!)
理髪師「さあお客さん! どんな髪型にしますか!?」
理髪師「てめえ、ブッ殺すぞ!!!」
<終わり>
理髪師「いらっしゃいませ」
オタク「ぶふっ、ぶひひひひ……」
理髪師(なんだこいつ……! 典型的なキモオタっ……!)
理髪師「どのようにします?」
オタク「モテる髪型にして下さい」
理髪師(どうしろと……!?)
理髪師「……ん?」
理髪師「なんですか、その右手に持ってる人形は」
オタク「ぶひひひ、これはフィギュアだよぉ~」
理髪師「いつもフィギュアを持ち歩いてるんですか」
オタク「そうだよぉ~、ぶひひひ……」
オタク「ホワイ!?」
理髪師「だって、こんなもん持ってる奴が、モテるわけないでしょう?」
オタク「あうう……ド正論……」
理髪師「このフィギュアと縁を切るか、モテるようになるか、選べ!」
オタク「うぐぐぐ……!」
オタク(ボクはどうすればいいんだ!?)
オタク(ボクは、ボクは、ボクは――!)
オタク「フィギュアは切らせない! 縁を切らない!」
オタク「このフィギュアを切らせるぐらいなら、ボクは死ぬ!」
理髪師「……見事」
オタク「あなた、まさか……ボクを試したのか?」
理髪師「ええ……そのまさかです」
理髪師「異性なんざ度外視して、キモオタ道……極めてみせよ!」
オタク「はいぃ~っ!」
理髪師「あのオタク……あれでふっきれて、人気ユーチューバーになりやがって……!」
理髪師「キモイのが逆にウケて、女性視聴者からも人気があるとかなんとか……」
理髪師「俺もやってみようかな……ユーチューバー」
理髪師「ってわけで、映像にするためにおかしな髪型にしていいですか?」
客「やめろ!!!」
<終わり>
毛むくじゃら「髪、切って下さい」モサッ
理髪師(うわっ……!)
理髪師(髪の毛で全身が隠れてる……まるでポケモンのモンジャラみたいだ……)
理髪師「じゃ、切りますね」チョキチョキ
毛むくじゃら「……」
理髪師「な、なんだこりゃ!? いくら切っても伸びてくる! どうしろと!?」チョキチョキ
毛むくじゃら「……」
理髪師「こうなったらバリカンで――」ビィィィン…
毛むくじゃら「バリカンやだ! バリカン嫌い! バリカン拒否!」イヤイヤ
理髪師「……」
理髪師「いいでしょう。だったらハサミで髪が伸びる速さより早く切るまで!!!」
毛むくじゃら「……!」キュンッ
理髪師「うおおおおおおおおおおっ!!!」
ジャキジャキ ジョキジョキ チョキチョキ…
理髪師「うわっ! 髪を切り終えたら、中から可愛い少女が!」
理髪師(どうりで……そりゃ女の子ならバリカンは嫌がるわけだ……)
少女「私……髪の毛の精」
少女「私の髪、バリカン使わずに整えてくれた人、あなたがはじめて……」
理髪師「そりゃどうも」
少女「お願い、私をここに置いて! 恩返ししたい!」
理髪師「っていわれてもな、いきなり女の子を居候させるわけには……」
少女「私がいれば……あなたの髪、ずっと元気」
理髪師「ぜひ、いて下さい」
理髪師「ふぅ~、今の客で今日は店じまいだな……」
少女「じゃあ今日、私が夕食作る」
理髪師「料理作れるの? だったら頼むよ」
少女「任せて」
理髪師「おっ、うまそう!」
少女「あとひじきと、刻みのりと、昆布盛り合わせと、食後のデザートは黒モンブラン……」
理髪師(なんか髪の毛みたいな料理ばっかだな……)
<終わり>
理髪師「いらっしゃいませ」
美容師「フッ、ここがここらで一番の理髪店かい」キラキラ…
理髪師「……!」
理髪師(こいつ……たしか、カリスマ美容師!)
理髪師(イケメンで腕が一流なのはもちろんのこと、経営手腕にも長けているという……)
美容師「美容院と比べたら、月とスッポンもいいところだ」
美容師「きっと腕も大したことないんだろうね」
理髪師「……なんだと」
美容師「それじゃ……」スタスタ
理髪師「ちょ、待てよ!」
美容師「ん?」
理髪師「俺の腕前を見せてやる! そこに座れ! ――カリスマ美容師ッ!」
理髪師「ハァ、ハァ……どうだ?」
美容師「ふむ、スッキリしたよ」
美容師「どうやら、キミは……ボクのライバルに相応しい人間のようだ」
理髪師「ふん、いつでも相手になってやるよ!」
美容師「楽しみにしているよ」
バタン…
理髪師「ん?」
少女「無料で散髪してあげるなんて、やさしいね」
理髪師「あーっ!!!」
理髪師(タダで散髪させる術も心得てるとは……! さすがカリスマ美容師……!)
<終わり>
理髪師「いらっしゃいませ」
王様「……」ムスッ
理髪師(なんだこの、王冠かぶった仏頂面のおっさんは……)
王様「ワシは王である。ワシの髪を切ってもらおう」
兵士A「王はヘアスタイルにうるさい方なのだ」
兵士B「もし失敗したら承知せんぞ!」
理髪師「は、はい……」
理髪師(ここは日本なんだけど……どこの王様だ、この人……)
理髪師「ん?」
理髪師「こ、これは……ッ!? まさか――」
ジョキジョキ…
王様「……」ピョコン
理髪師「ロバの耳!?」
王様「……どうやら見てしまったようだな」
理髪師「そりゃねえ……嫌でも目に入りますって」
兵士A「そうだそうだ!」
兵士B「この槍で太ももあたりを軽く刺し、じわじわと失血死させてくれるわ!」
理髪師「それが……その……」
理髪師「もうツイートしちゃいまして……」
王様「キサマァァァァァ!!!」
王様「ゆ、許さん! 死刑だ! この理髪師を死刑にせよ!!!」
兵士A「はっ!」ジャキッ
兵士B「ははっ!」ジャキッ
理髪師(ああ……俺の人生、これでオシマイか……!)
王様「ん?」ピョコッ
少女「ロバの耳、かわいい」
王様「……」ピョコピョコ
少女「さわってもいい?」
王様「いいぞ、いいぞ! ……よ、よし処刑やめ! 子供の前で血を流してはならーん!」
兵士A「はっ!」
兵士B「ははっ!」
少女「なでなで」ナデナデ
王様「くっ……生きててよかった!」
理髪師(王様が口リコンでよかった……!)
理髪師「あの王様、ついに耳を隠すのをやめたみたいだ。表情がほがらかになってるよ」
少女「もっとさわりたかったな……」
<終わり>
理髪師「いらっしゃいませ」
男「あのー……髪を全部切って下さい! 丸刈りにして下さい!」
理髪師「そりゃまた……いったいなぜ?」
男「ぼく……10円ハゲなんです!」
男「10円ハゲになってから、彼女とケンカするわ、仕事はミスるわ、で……ろくなことがないんです!」
理髪師「あー……(見事な円形脱毛症だ)」
少女「きっとストレスのせいだね」
男「え!?」
理髪師「全て、この私にお任せ下さい」
理髪師「あなたの人生を変えてみせましょう」
少女(いったいどうする気なんだろう……)
理髪師「いらっしゃいませ」
男「お邪魔します!」
理髪師「おお、こないだの」
男「ありがとうございました!」
男「あなたに髪を切ってもらってから、なにもかもうまくいって……!」
男「彼女とは仲直りできたし、仕事もうまくいくし、ノーベル賞も取れたし」
男「これも全てあなたに10円ハゲをカットしてもらったおかげです!」
理髪師「いえいえ、お客様に喜んでいただくのは床屋の使命ですから」
少女「……」
理髪師「簡単なことさ」
理髪師「10円ハゲの周囲を長方形に刈って、10000円ハゲにしたんだよ」
少女「なるほど!」
<終わり>
理髪師「俺、床屋を開業してから、結構経つけど」
理髪師「未だにたまに思うんだよな……もっと他の職業につけばよかったかも、って」
少女「ふうん……」
少女「たまには自分を見つめ直してみたら?」
理髪師「……そうするか」
少女「じゃ、私は出かけてくるね」
理髪師「行ってらっしゃい。ケガしないようにな」
少女「私、毛あるよ」
理髪師「ぶふっ!」
少女「アハハ、笑った笑った」
理髪師(この子、ギャグなんていうようになったのか……)
理髪師「んー……俺の髪の毛、ぼさぼさになってきたな」
理髪師「医者の不養生ならぬ、理髪師のボサボサ髪、ってやつか」
理髪師「よーし、たまには自分で自分の髪を切るか!」
チョキチョキ… ジョキジョキ…
理髪師(うーん……自分で自分の髪を切るって案外むずいな)
理髪師(よし、洗面台に顔を突っ込んで、頭を……)ワシャワシャ
理髪師(あれ、よく考えたら顔を突っ込む必要なくね? つい、お客にやるクセが……)ワシャワシャ
理髪師(しまった! シャンプーが目にッ!)
理髪師「目がッ! 目がァッ!!!」
理髪師(このままじゃ失明するッ! ここまでか……!)
オタク『ぶひひひ、あなたはこんなところで終わる人じゃないはずだぁ~』
美容師『ふぅ、キミはこの程度なのかい?』
王様『失望させるでないわ!』
男『まだやれる!』
少女『頑張って……!』
理髪師(――みんなの声が聞こえる!?)
理髪師(そうだ……こんなところでくじけるわけにはいかない!)
理髪師(俺は大勢のお客さんに支えられて、今日までやってきたんだ!)
理髪師(諦めずに、水でシャンプーを洗い流せば……!)ジャババババ…
パチパチパチパチ…
ハゲ「おめでとう!」
オタク「ぶひひひ、感動したよ」
美容師「フッ、さすがはボクのライバルだ」
王様「うむ、よくやった。褒めてつかわす」
男「やったぁ!」
少女「よかった……!」
理髪師「うわっ!?」
理髪師(幻聴じゃなくて、本当に来てたのか! きっと少女ちゃんが連れてきてくれたんだな……)
理髪師(みんな……ありがとう!)
少女「はい、黒豆のパーマ風盛り合わせ」コトッ
理髪師「いただきます」モグモグ…
理髪師「俺……今日、改めて分かったよ」
理髪師「自分は大勢のお客さんに支えられて生きてるって!」
理髪師「理髪師になってよかったって!」
少女「でしょう?」
理髪師「でもさ……」
少女「やっぱり自力でやらなきゃ意味ないじゃない。そこが床屋の辛いとこや」
理髪師「ぶふっ!」
少女「アハハ、また笑ってくれた。でもね、たまには私にも手伝わせて」
理髪師「いいとも。明日からは床に落ちた髪の掃除から、やってもらうか」
少女「はいっ!」
<終わり>
元スレ
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http://vipper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1499862977/
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コメント一覧 (20)
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- 2017年07月13日 00:16
- 髪の精下さい(切実)
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- 2017年07月13日 00:21
- また髪の話してる……
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- 2017年07月13日 00:37
- 良い話だった
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- 2017年07月13日 00:40
- 少女ください
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- 2017年07月13日 00:43
- イヤイヤする少女かわいい
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- 2017年07月13日 02:28
- このハゲーー!
SSは好き
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- 2017年07月13日 02:37
- 実際にツルピカハゲ来たら困るよな…
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- 2017年07月13日 05:36
- 後日談ください。
少女はメインヒロインですか?
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- 2017年07月13日 06:37
- ※1
すでに無くなったものは元気にならないぞ…
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- 2017年07月13日 08:54
- この形式好き
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- 2017年07月13日 10:25
- 俺はハゲじゃないけど安易にハゲを馬鹿にするの止めて欲しい
俺はハゲじゃないけど本気で悩んでる人だって居るんだから何気ない発言が人を傷付ける事だってあるんだ
俺はハゲじゃないけど心が痛いよ
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- 2017年07月13日 12:53
- ちょっと床屋に行ってくる
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- 2017年07月13日 13:36
- 神SSですね
髪だけに
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- 2017年07月13日 14:04
- いいじゃん
好きだよこういうの
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- 2017年07月13日 19:48
- 紙「さあ!」
ハサミ「ジョキン!」
石「呼んでません」
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- 2017年07月13日 20:31
- 一ヶ月待つのでその育毛剤下さい。
私の友人がハゲなんです。
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- 2017年07月14日 02:11
- コメントにハゲいすぎで草
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- 2017年07月14日 07:07
- ハゲに朗報。マッキーで頭を塗りつぶせばそれっぽく見えるぞ
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- 2017年07月16日 18:17
- なんでカテゴリーがコナンなんじゃ
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- 2017年07月19日 16:53
- バーロー王国...?事件が多発しそうなかんじだね