【ポケモン】しんのすけ「アローラ地方を冒険するゾ」その2【クレしん】
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【ウラウラ島編】
…… …… ……
ウラウラ島
マリエシティ
ハウ「あらよっと! わーい! 上陸ー!!」タッタッタッ
しんのすけ「ハウくんは今日もお元気ですなぁ」
ハウ「ウラウラ島ってーまた雰囲気が違うねー! ポケモンたちにも新しい空気吸わせたいなー」
しんのすけ「フゥーハァーフゥーハァー……んー、これは中古の空気ですな」
ロトム図鑑「大人の色気がムンムン……」
ハウ「あははー、そういう事じゃないよー」
ハウ「ところでー、さっきのカスカベ防衛隊っていいよねー『カスカベ防衛隊! ファイヤー!』っていう掛け声とかさー。まるでテレビのヒーローみたいー」
しんのすけ「お? このセンス分かる?」
ハウ「おれも真似してみようかなー『アローラ防衛隊』とかさー」
しんのすけ「オラたちのアイデア、パクっちゃダメ!」
しんのすけ「んもぅワガママなんだから、隊長はオラね」
ロトム図鑑「何を言う、私に決まっているだろ」
ハウ「博士と言えばー、こっちに来たら博士に会うんだよねー! たしかマリエ庭園だっけー」
しんのすけ「マリエ庭園って、ぞうきんみたいなにおいがするポケモンがいる帝国……」
ハウ「それはマリル帝国だよー」
ハウ「でも、なんでマリエ庭園なんだろー? まあ行けばわかるさ! だよねー」
ククイ博士「……おっ、来たね!」
ハウ「あーククイ博士ー!」
しんのすけ「ハカセー! 10年ぶりにあー痛かったよー!」タタッ
ククイ博士「なんだい二人とも、いい顔しているな。すごいことでもあったのかい?」
しんのすけ「いやぁビッケおねいさんにルザミーネおねいさんと、オラにとってパラダイスでしたよー」
ハウ「あのね! 博士あのねー! ウルトラホールが開いたよー! でーウルトラビーストがホントにいたんだよー! バーネット博士に教えてあげてー」
ククイ博士「すごいね! ウルトラホールに、ウルトラビーストだって? よーし、それじゃあなおのこと、島巡りで鍛えておかないとね! いつかウルトラホールの先に行けるようになるかもしれないしね!」
しんのすけ(無視された)ムスー
ククイ博士「よし! 次の試練はホクラニ岳のてっぺん! バスで行くからね。10番道路のバス停においでよ」
ハウ「博士ーお先にどうぞー! マラサダショップに寄るのが、おれなりの島巡りなのー!」
ククイ博士「なるほど、わかった! じゃあしんのすけ、バス停で待ってるぜ!!」
しんのすけ「シャワーは?」クネ
ククイ博士「浴びなくていいよ」
ハウ「しんのすけー知ってるー?」
しんのすけ「ビッケおねいさんのスリーサイズ?」
ロトム図鑑「もしくは働かなくても贅沢に暮らせる方法か?」
ハウ「ちがうよー! ホラクニ岳には、天文台があるんだよー! おれ、天文台がなんなのかちっとも分かってないけどー」
しんのすけ「ふ、ハウくんも勉強不足ですなぁ。てんもんだいって言うのはね……」
ハウ「外国語で10の問題って言うつもりかなー?」ニコニコ
しんのすけ「うっ、ハウくん鋭い……」
ハウ「おれもしんのすけと一緒にいてコツ掴んだからねー!」ムフー
ハウ「じゃーねー!」
しんのすけ「オシッコのあとのインドぞうさんはよく振るのよー」フリフリ
しんのすけ「みーてみたいーなホンキだしたカビゴン~」
リーリエ「あ、しんちゃん……」
しんのすけ「お? リーリエちゃん、3ヶ月ぶりー」
ロトム図鑑「老けたか?」
リーリエ「老けてません! 命の遺跡で別れて数時間ぐらいしか経ってないですっ」
しんのすけ「会ってそうそうツッコミごくろーさん」
リーリエ「それより、よろしいですか?」
しんのすけ「なにを? おデート?」
ロトム図鑑「ルチアのライブに連れてってくれるのか?」
リーリエ「違います……ほしぐもちゃんをこの島の遺跡に連れて行きたいのです」
ほしぐもちゃん「ぴゅい!」
しんのすけ「行けばいいじゃん」
リーリエ「今、行こうとしているのはマリエ図書館なのです」
しんのすけ「……で?」
リーリエ「いっしょに本を探してほしいのです。マリエ図書館ですけれど、マリエの街中にありますから、わたしにも辿り着けるはずです!」クルッ
しんのすけ「えー疲れるからいいやー」
ロトム図鑑「行ってやれ、ああやって威張ってるけどまた迷うぞ」ボソッ
リーリエ「聞こえてますよ……!」
???「おや、君が持っているその図鑑は……?」
しんのすけ「お?」
ロトム図鑑「その声は……」
しんのすけ「おおっ、ガングロのオーキド博士!」
???「やあやあはじめまして、わたしはナリヤ・オーキド。リージョンフォームを調べておるポケモン研究家です」
オーキド「君がしんのすけくんだね! ククイくんから聞いておるよ」
しんのすけ「ハカセはなんでガングロになったの? やさぐれたから?」
オーキド「長いこと、アローラにいたら、自然とこんなふうになったのです」
オーキド「ロトム。図鑑の中の居心地はどうかな?」
ロトム図鑑「もう少し快適にして欲しいところだな。サーナイトやミミロップのサービスが欲しい」
オーキド「多く求めすぎです!」
ロトム図鑑「少し、な」
オーキド「ほうほう、ぶりぶりざえもんと呼んでおるのですか。ロトム図鑑のパーツが完成する前、私のところにいた時期があったのですよ」
オーキド「ところで、ロトム図鑑の方はどうかの? 裏切ったり救い料とか求められたかの?」ボソボソ
しんのすけ「まぁね、でも扱いは手馴れてますからー」ボソボソ
オーキド「それは心強い限りですな。私らも最初、国際警察から引き取った時は手を焼きましたからな――」ボソボソ
しんのすけ「けーさつ?」
オーキド「あぁ、こっちの話です」
ロトム図鑑「私の話題で勝手に盛り上がるな、バカ者どもが!」
しんのすけ「ひょっとしておじさん、オラに押しつけてなーい?」
オーキド「うっ……正直に言うと、本当に参ってのう。君みたいな子がいてくれて助かりました」
しんのすけ「ま、お気持ちはわかりますから」
オーキド「ふむ……わたしはこの街にいますから、何か困ったことがあれば会いに来ておくれ。歓迎しますぞ」
しんのすけ「あ、そーだ。じゃあ図書館ってどこか知ってる?」
オーキド「図書館には、地面の黒い丸、黒い三角、黒い四角の記号が描かれたタイルを順に辿ると到着できますぞ」
しんのすけ「ありがとうございわぱれすはなんえるでぃーけー」トタトタ
ロトム図鑑「さらばだ、博士。アップデートに期待しているからな」
オーキド「二人とも気をつけてな! 島巡りを楽しんでいってくれ」フリフリ
オーキド(……しんのすけ君にぶりぶりざえもんと呼ばれたあのロトム、ユキナリと国際警察が言うには少々特殊な生まれのロトムと聞いたが……いったい何者なのか――)
しんのすけ「リーリエちゃん遅いなぁ。またどこかで迷ってるのかしら」
ロトム図鑑「もしくはフードファイトをしているとか」
リーリエ「しんちゃん……ごめんなさい、待たせましたか?」
しんのすけ「うん、おケツを伸ばして待ってました」
ロトム図鑑「それを言うならインドぞうさんを長くして、だ」
リーリエ「首を長くして、です……。あなたたちにデリカシーはないんですか……?」
しんのすけ「そんなことより、その紙袋は?」
リーリエ「えっ? その……迷ってたときに……つい、ふらふらとブティックに入ってしまい……最後の一着と言われ、つい服を買ってしまいました……気合を入れないと、着れそうもない服ですが……」
しんのすけ「ほほーう? オラたちが待ってる間にお洋服を買ってたのですか。それも、気合を入れないと着れそうもない服なんて買って」ジロッ
リーリエ「うっ……」
ロトム図鑑「どう責任をとらせたものか……」
リーリエ「で、でも店員さんからマリエ図書館の場所を教わったからいいですよね?」アセアセ
しんのす「すぐ近くにお店あるけど」
リーリエ「うっ……!」
ロトム図鑑「どうしてやろうか、子分」ジリジリ
リーリエ「えっと……あの……」
パカラッパカラッ
バンバドロ「ヒヒウン!」
リーリエ「ひえっ!?」ビクッ
ロトム図鑑「ブキッ! 火事か地震か!? それともきんのたまおやじか?」
しんのすけ「おおっ、バ バンババンバンバン」
???「バンバドロじゃ、バンバしか合っとらんじゃろうが」テクテク
ロトム図鑑「貴様は……」
ハプウ「久しいのう、しんのすけ」
しんのすけ「ハプウちゃん、おっひさー」
ハプウ「ここにいるということは、アーカラ島の大試練は達成したようじゃな。きっと、カプも喜んでるであろう」
しんのすけ「まぁね、マサオくんが大活躍しましたから」
ハプウ「マサオ? ……ああ、あのヨワシか。そうか、それは喜ばしい限りじゃ」
リーリエ「あ、はい……わたしはリーリエと申します」ペコリ
しんのすけ「実は方向音痴なんです」
リーリエ「ほっといてください!」
ハプウ「先程はバンバドロが驚かせてすまなかったな。どうやら島巡りではないようだが、何を?」
リーリエ「あの、訳がありまして……遺跡を調べたりしています」
ハプウ「ほう、感心じゃな。では、どこかに行きたいときは案内してやろう。わらわのバンバドロは特別力自慢でな、2人乗りでも大丈夫」
しんのすけ「じゃあ100人は乗れる?」
ハプウ「わらわのバンバドロはどこぞの会社の物置か……」
ハプウ「ま、しばらくこの街にいるから、用事が終わったら話しかけてくれ。案内しようぞ」
リーリエ「はいっ、ありがとうございます」ペコリ
しんのすけ「ハプウちゃんを見つけられたらね……」ボソッ
リーリエ「何か言いましたか?」
しんのすけ「なにもー? さ、いこいこー」テクテク
ハプウ(仲睦まじいのう)
リーリエ「探しているのは古い本なのです。バーネット博士に教わった伝説が書かれた本……。なんでも、アローラの伝説のポケモンは、別の世界からやってきていたとのことです……」
しんのすけ「別の世界? んーどっかで聞いたよーな」
しんのすけ「まぁオラも別の世界に行ったことあるけどね」エッヘン
リーリエ「そうですか。それより本は二階にあるのでしょうか?」テクテク
しんのすけ(また無視された……)ズーン
ロトム図鑑「さっきのあてつけか……」
リーリエ「貴重な本ですので、貸し出しているかわかりませんが……」
ロトム図鑑「マンガないかなマンガ」
しんのすけ「オラ、アクション仮面読みたーい」
???「これでしょ、ひらひらのお姉ちゃん」
リーリエ「え?」
???「読ませてあげる!」
リーリエ「ええ……わかりました」
リーリエ「ええと……『アローラの光』。では、読ませていただきますね」
突如として 穴が開き
一匹の 獣 姿を みせる
月を 誘いし 獣と 呼ばれ
アローラの 王 敬う
月を 誘いし 獣
辺りを 暗く 染め
持てる すべての 力 放ち
島の守り神を 従える
月を 誘いし 獣
アローラの 王朝に
闇を もたらし
生を 終えた 命 導く
月の獣 太陽の獣
交わり 新たな 命 呼ぶ
島の守り神
命 見守ると する……
アローラの王朝
祭壇にて 二本の 笛を吹き
音色 捧げ
月の 獣 ルナアーラに
感謝の 気持ちを 表す
リーリエ「え? ええ……?」
しんのすけ「そうかな? 文字がいっぱいでなんかつまんなーい」ヒョコッ
???「君にはまだ難しいかもね、今度アセロラが読んで聞かせてあげる」
しんのすけ「別にいーや」
リーリエ「お父さんって……これ、相当古い本ですよね?」
アセロラ「うん、お父さん! アセロラ、こうみえて大昔すごかった一族の娘なの」
しんのすけ「なにしたのー? 自動車の創業?」
アセロラ「違うよ。アセロラ、大昔のアローラの王家の末裔なの」
リーリエ「そ、そうなんですか?」
リーリエ「ありがとうございます。わたし、こちらで……お話を聞いてますね。しんちゃんは試練ですね! 本で読みましたが、ウラウラ島の電気の試練は、10番道路からバスに乗って行くそうですよ」
しんのすけ「知ってるー。ハカセがそこで待ってるから」
アセロラ「試練……? あ、キミがカプ・コケコに選ばれたっていう、5歳の野原しんのすけくんね!」
しんのすけ「そうだよ、サイン欲しい?」
アセロラ「ハプウちゃんから話は聞いてたけど、うちにいる子供たちよりちっちゃーい!」ベタベタ
しんのすけ「いやん、ベタベタさわんないでよ、エッチ!」クネクネ
アセロラ「実はアセロラもキャプテンなんだよ! 電気の試練が終わったらまた会おうね!」
しんのすけ「ほいほい」
スカル団したっぱ1「いじっぱりのドラコ!」カーン!
したっぱ2「れいせいのおキン!」カーン!
したっぱ3「ひかえめのマミ!」カーン!
3人「三人合わせて、『スカル団黒ガバイト隊』!」
バァーーーン!!!
トレーナーA「」
トレーナーB「」
ヒソヒソ ナンダアレ
ドラコ「ふっ、あたいら3人にビビってるみたいだぜ」
おキン「リーダー、やっぱ恥ずかしいっすよ、これ」
マミ「せめて人目のないところでやって欲しい……」
しんのすけ「おおーーーっ!」パチパチパチ
ドラコ「あん?」
しんのすけ「そのポーズ、その掛け声、オラ、今モーレツに感激してる!」パチパチパチ
おキン「逆に言うとガキにしか受けてねーと思う……」
しんのすけ「いやぁカスカベ地方でも似たようなお笑い芸人がいたけど、こっちにもいたなんて、オラうれしーゾ!」
ドラコ「お笑い芸人じゃねぇよ! いいか? あたいらはな、スカル団の中でも特に不良の三人衆! 泣く子も黙るスカル団黒ガバイト隊なんだよ! 覚えときな!」
マミ(覚えなくていい、改名したい……)
しんのすけ「オラのいたカスカベ地方にも、サイタマ紅さそり隊っていう、同じポーズを取ってる3人のお笑い芸人がいたよ。師匠たちお仲間?」
ドラコ「師匠って言うのやめろ!」
マミ「てゆうかリーダー、こいつ島巡りの子っスよ。バッグにいっちょまえに証なんかぶら下げてる」
しんのすけ「オラ、島巡りをしてる野原しんのすけ! ねぇねぇ、オラ師匠の弟子になりた~い!」
ドラコ「しんのすけ? ……そうか、お前がグラジオと姉御の言っていたじゃがいも小僧か」
しんのすけ「お? オラって有名?」
おキン「ああ、スカル団じゃ有名なんだよ。あたいらに盾突く生意気なじゃがいも小僧だってな」
しんのすけ「あー、師匠たち、スケスケおパンツ団の人たちだったのかー。どおりでどこかで見たような衣装してるもんね」
おキン「スケスケおパンツ団じゃねーよ! スカル団だ!」
マミ「へいっ」
しんのすけ「もしオラが勝ったら、師匠の弟子にしてよー」
ドラコ「だからお笑い芸人じゃないっつーの!」
スカル団のしたっぱのマミ が
勝負を しかけてきた!
マミ「行きな、タツベイ」ヒョイッ
ポンッ!
タツベイ「ギャーッ!」
しんのすけ「マサオくん! レッツラゴーッ!」ヒョイッ
ポンッ!
ヨワシ(群)『おうよ! 張り切って行くぜい!』
フクスロー(ボール)『ヨワシは一度群れを従えられるようになったら、そのまま群れと一緒にいるんだ』
しんのすけ「ほうほう」
おキン「む、群れたヨワシ?!」
マミ「リーダー、流石にこれは予想外っスよ!」
ドラコ「バカっ、黒ガバイト隊ならこんなものにビビってるんじゃねぇ! 気合で乗り切るんだ!」
しんのすけ「マサオくん、思いっきり行けーっ」
ヨワシ『派手にかますぜ! オラァ!』ドッ!
ドドドドド!!
タツベイ「ギッ?!!」
ザッパーン!
タツベイ「……」ピクピク
ヨワシ『やったぜぃ!』
マリ「やっぱ相手が悪すぎるっスよ……」
しんのすけ「じゃ師匠、これからもよろしくお願いします」
ドラコ「だから師匠って言うな! くそっ、覚えてやがれ!」
おキン「師匠、落ち着けよ」
マリ「そうだよ、次リベンジすればいいじゃんか、師匠」
ドラコ「お前らも師匠って言うなああああ!」
スタコラスタコラサッサ!
ククイ博士「お? しんのすけ、走っていくスカル団とすれちがったよ!」
しんのすけ「いやいや、あの人たちはスケスケおパンツ団のお笑い芸人ですから」
ククイ博士「お笑い芸人? それはいいな! スカル団がアローラを笑いで包んでくれたら、もっと世の中もにほんばれのように明るくなるだろう!」
ククイ博士「ところで、周りがびしょ濡れだけど、しんのすけの仕業かい?」
しんのすけ「いえ! マサオくんのせいです」
ヨワシ(ボール)『ちょ、ちょっと~僕が悪いみたいな言い方やめてよ』
ククイ博士「マサオ? ひょっとしてリーリエが言っていたヨワシの事かな? それじゃいいことを教えてあげるよ!」
ククイ博士「ヨワシは群れて力を合わせると、確かに強力な技が使えるんだ。だけど、相手からの攻撃で群れが散ってしまうと、技の威力もヨワシ単体のモノに戻っちゃうんだ。そこに気をつけるといいよ!」
しんのすけ「ほーい」
フクスロー(ボール)『ホントに聞いてるのか? 結構大事なことだぞ?』
ククイ博士「さて、ホクラニ岳山頂に行くなら、ここから出るバスがオススメだからね! スカイアッパーのような勢いで登っていけるぜ!!」
プップー
キキッ
しんのすけ「お、さっさと次の展開に移りたいからバスが来た!」
アナウンス『はいはいナッシーバス! 安全運転でぶっぱなしますよ! 乗って乗って!』
ククイ博士「さ、乗るよ! しんのすけ!」
しんのすけ「ほっほーい」
しんのすけ「おー高い高い」
ロトム図鑑「ここは……」
ククイ博士「ぉーい! しんのすけ、こっちだぜ!」フリフリ
しんのすけ「ハカセーここがアローラで一番高い山?」
ククイ博士「惜しいな! 2番目に高い山だ! では、一番高いのは……」
ククイ博士の指差す方向、そこには、夕陽に照らされた雪山のてっぺんが雲を突き抜けて姿を現していた。
ククイ博士「ごらんしんのすけ! 神々しさを感じる山があるだろ! アローラで一番高いラナキラマウンテンだぜ!」
しんのすけ「おおっ、かき氷みたいで美味しそう」
ククイ博士「食べちゃダメだぜ! 月の化身とされるアローラの伝説のポケモンに一番近い聖地! ラナキラマウンテンのてっぺん! あそこで島巡りの総仕上げである大大試練を受けるんだ」
しんのすけ「だいたい試練?」
ククイ博士「大大試練! しんのすけが全ての島の大試練を終えたら、あそこに登って最後の試練を受けるんだ。それを乗り越えることが出来れば、晴れて君は島巡りチャンピオンになれるんだ!」
しんのすけ「ほーほー」
しんのすけ「なーに?」
ククイ博士「ラナキラマウンテンのてっぺん! あそこにポケモンリーグを造ること!」
ククイ博士「過去に島巡りをこなしたものは、ラナキラマウンテンのてっぺんで大大試練を受け、島巡りチャンピオンとなった!」
ククイ博士「僕はアローラの昔からの風習を大事にしつつ、世界に通じるチャンピオンを生み出すため、あそこにポケモンリーグと! リーグを守る四天王を擁立させたいんだ!」
ククイ博士「島巡りチャンピオンから世界のチャンピオンに! そしてチャンピオンを通じ! 世界のみんなに、アローラのポケモンやトレーナーの魅力を知ってもらうんだ!!」
ククイ博士「……と、言っても、まだまだ先の話だけどね。四天王候補はいくつか挙がってるんだけど、別の地方に行って、四天王やジムリーダーのことに関する勉強をいっぱいしなきゃ――ってしんのすけ?」
しんのすけ「おねいさーん、オラと山ガールになりませんかー?」
ククイ博士「……やれやれ、しんのすけにはちょっとスケールが大きすぎて、想像しづらかったかな?」
ロトム図鑑「…………」
ロトム図鑑「違う! 私はレオナルド・ロトブリオだ!」
ククイ博士「わかったわかったよ、で、どうしたんだい? 夕陽なんか見て」
ロトム図鑑「この眺めを見ているとなんとなく何かを感じる……」
ククイ博士「なにか、とは?」
ロトム図鑑「さあな……。だが、ひとつだけかすかに思い出したことがある」
ロトム図鑑「私は大昔、誰かとインドぞうさんの大きさを比べていたような気がする。この景色を見ていると、それを思い起こさせる」
ククイ博士「そ、そうかい……」
ロトム図鑑「…………」
しんのすけ「ハカセー、ぶりぶりざえもーん、そろそろオラ試練受けにいきたーい!」テクテク
ククイ博士「ああ、そうだね。それじゃ、天文台まで案内するよ」
ロトム図鑑(この感じは……一体。私は……)
ククイ博士「よお!」
???「あいかわらず熱いね、ロイヤルマスクくん!」
しんのすけ「誰? このちょっとオタクなメガネ君はキャプテン?」
ククイ博士「こーら、初対面の人にそういうこと言うんじゃない。しんのすけ、彼はマーレイン。天文台の所長にして、パソコンのボックス管理者だがキャプテンではないぜ」
マーレイン「気にしてないよ。それに、元キャプテンだよ、ロイヤルマスクくん」
マーレイン「しんのすけくんだね。わざわざ来てくれてありがとう」アクシュ
しんのすけ「行けと言われたので来ちゃいました」アクシュ
マーレイン「ただ、うちのキャプテンのマーマネは忙しくてね。その間、天文台の中を案内してあげよう」
しんのすけ「いいの?」
マーレイン「本当は君の資質も確かめたいところだけど、外でポケモン勝負をして、開発中の装置のアンテナを傷つけるわけにもいかないからね」
ククイ博士「まぁしんのすけは島巡りをしていた時の僕らより強いと思うぜ! あと、僕はククイであってロイヤルマスクじゃない!」
しんのすけ(バレバレだと思うけど)
ククイ博士「じゃあ僕はマリエ庭園に戻るよ。マラサダを食べ終えただろうハウを、案内しないとね」スタスタ
しんのすけ「バイバーイ」フリフリ
しんのすけ「お友達なの?」
マーレイン「君とハウくんのように、昔、僕とククイは島巡りをしていたんだ」
しんのすけ「ふーん」
マーレイン「ところで……ククイのいない今だから言うけど、ロイヤルマスクの正体は彼って、気付いちゃってるかな?」
しんのすけ「アレで気付かないっていうのが無理あるでしょ」
マーレイン「君もそう思うだろう? でも、ああやってムキになって隠しているんだ。だからククイは面白い!」
しんのすけ「ハカセも変わってるよね、かーちゃんのグリグリを自分から受けたいって言ってるもん」
マーレイン「さて、しんのすけくん! われらの天文台にようこそ!」
しんのすけ「おーっ、秘密基地みたーい」
マーレイン「この天文台では主に、彗星の観測をしたり、星の観測をしているよ。たまに彗星のかけらが落ちてくることもあってね、それを分析して宇宙の謎を解いているんだ」
マーレイン「後は、アローラで役に立つような機械をマーマネと一緒に作っているのだよ。例えば、今君の持っているロトム図鑑のパーツの一部は、僕が作ったものなんだ」
ロトム図鑑「だったらもっと女性の目を惹くものをだな……」
マーレイン「デザインと機能を両立させるのは難しいのだよ、ロトム図鑑くん。それに、僕はそれはそれで、中々いいデザインだと思うけどね」
しんのすけ「やれやれ、ぶりぶりざえもんはワガママですから」
マーレイン「そうそう、今、僕はポケモンの強さを数値化している機械を作っていてね。テストも兼ねて、君たちのポケモンの強さを見てみようか」
しんのすけ「見る見るー!」
マーレイン「本当はポケモン勝負で実力を見るのが一番なんだけれどもね、一度やってみたいことがあると、やりたくなっちゃう気質なんだ。僕もマーマネもね」ガサゴソ
マーレイン「ああ、ポケモンは出さなくても大丈夫だよ。ボールに入れたまま、並べてくれるだけで測れるんだ」スチャ カチカチ
しんのすけ「どっかの漫画で見たことあるデザインだね」
マーレイン「さて、どうかな?」ピピピピ!
ヨワシ(ボール)『どうなるのかな? 弱く見られないかな?』
ヌイコグマ(ボール)『やあねぇ、ネネは可憐な乙女だから低く見られて欲しいわ。高すぎると戦い慣れして野蛮に見られちゃう気がするもの』
フクスロー&ヨワシ(僕らの中じゃネネちゃんが一番レベル高そうな気がする)
マーレイン「おや、これは……」ピピピ
しんのすけ「どしたの?」
マーレイン「君たちのレベルの合計を測ってみたんだけど、数値が7と出たんだ」
しんのすけ「ほうほう」
フクスロー『そんな馬鹿な! 僕たち合わせてなのに、そんなに低いはずないだろ?』
マーレイン「もうちょっと細かく調べてみよう。今度は手持ち1匹ずつでどうかな?」ピピピ
マーレイン「君のフクスローのレベルが30!」
マーレイン「ヨワシが26!」
マーレイン「ヌイコグマが32!」
マーレイン「ロトム図鑑のレベルが-81!」
ロトム図鑑「誰がマイナスだ!」
マーレイン「いやぁここまで戦闘に不向きなポケモンも珍しいね。いいデータが取れたよ!」
しんのすけ「ぶりぶりざえもんよっわ~い」
ロトム図鑑「ふざけんな! もっかいやり直せ!」
しんのすけ「ほっほーい」
マーレイン「あのドアの向こうだよ。マーマネの試練、頑張って」
ウィーン
しんのすけ「おじゃましまるまいんばくはついちびょうまえー」
マーマネ「目標接近……おそらく試練が目的だと思われ」ブツブツ
しんのすけ「え? オラの身体が目的? いや~んだいたーん!」
マーマネ「言ってない言ってない……」
マーマネ「いいや、始めよ」
しんのすけ「サタデーナイトフィーバーを?」
マーマネ「試練を、今ここで」
マーマネ「そこでぼくは考えたよ。いきなりぬしポケモンを呼べばいいのではないか、と」
マーマネ「そして作ってみたのが、ぬしポケモンを呼びだすマシンだったりする……」
マーマネ「なぜマシンを作ったか? そもそも天文台では、宇宙の音も調べている……人には聞こえなくてもポケモンには聞こえる音……集めた音を地上に流し、ポケモンの反応を確かめる。この仕組みを利用したのが、ぬしポケモンを呼ぶマシン……」ブツブツ
しんのすけ「おおっ! これオクタントゥーン2? いいなぁ、風間くんちでしかやったことないんだー」
マーマネ「あっ、機械にもゲームにも勝手に触っちゃダメ……」
しんのすけ「だって話長くて難しいもん」
マーマネ「……簡単に言うと、ポケモンしか聞こえない音を利用して、ここにぬしポケモンをおびき寄せて、試練をしようということ」
しんのすけ「最初からそう言えばいいのに」
マーマネ「ちなみに……マシンは初めて使うから、実験にお付き合いください」
しんのすけ「痛くしないでね……///」ヌギッ
マーマネ「そういう実験じゃないよ」
カチャカチャッ
ウィィン
しんのすけ「なになに?」キョロキョロ
マーマネ「さあ、ぬしポケモ……」
ブゥゥゥン
マーマネ「うひゃあ! 停電でござるか!?」
ロトム図鑑「おいっ、暗くて何も見えん。明かりをつけろ」
ピロピロピロ ウィーン
しんのすけ「今の音なに?」
マーマネ「あいたたた! ドアが閉まった!?」
しんのすけ「いやん、今はオラとマーくんとふたりっきりなのね……」
しんのすけ「クイズ? オラクイズなら負けなしだゾ! てゆうかぬしポケモンは?」
マーマネ「だ、大丈夫……ただならぬ気配を感じるよ」
マーマネ「来てます。ぬしポケモンがやってきてます。ですから、このままマーマネの試練、はじめ! です」
試 練 開 始 !
音声「ドアヲアケルタメニ、3問ノクイズニコタエテクダサイ」
しんのすけ「ばっちこーい!」
音声「1問目、ポケモン『ゴースト』ハ、サンカイシンカスルポケモンデアル。○カ×カ?」
しんのすけ「なんで?」
フクスロー『ひっかけ問題だよ。ゴースは、ゴースト、ゲンガーと進化するけどゴーストの次はゲンガーしか……』
しんのすけ「まる!」
フクスロー『僕の話聞けよ!』
ピンポンピンポーン!
音声「セイカイ!」
フクスロー『えっ? なんで?!』
音声「ゴースト、ゲンガー、ソシテ、メガ「シンカ」スル、メガゲンガーノ三種類デス!」
マーマネ「さすがしんのすけ君!」
フクスロー『そんなのありかよ……』
しんのすけ「ジョーシキないな、カザマくん」
ロトム図鑑「ククイの下でなにを勉強してきたのやら」
フクスロー『お前らが言うな!』
音声「ヌシポケモンノソンザイヲ、エンポウニカクニンシマシタ!」
音声「ドアヲアケルタメニ、3問ノクイズニコタエテクダサイ」
音声「2問目、ワザマシン28トハ、シネシネコウセンデアル。○カ×カ?」
しんのすけ「しねしねこうせん?」
ロトム図鑑「かつてカイリューを従えてたトレーナーが人間に向けて撃って騒ぎになった例の技だ」
フクスロー『それははかいこうせん! ×だよ、×』
しんのすけ「ばつだって。違ってたらカザマくんが責任もつから」
フクスロー『なんでだよ!』
ピンポンピンポーン!
音声「セイカイ! ワザマシン28トハ『きゅうけつ』デアル」
フクスロー『ほらみろ』
ブーーーン
しんのすけ「お?」
音声「ヌシポケモン、サラニセッキンチュウ!」
マーマネ「き、来てます! ぬしポケモンが、すぐ近くに、来てる、気配が!」
音声「ロイヤルマスクノショウタイハ、ククイハカセデアル。○カ×カ?」
しんのすけ「……え?」
マーマネ「えっ? こんな問題、ぼく作ってないよ! 誰がこんな問題にしたの?」
マーマネ「うわー! ロイヤルバトルなんてキョウミないから、答えがわかんないでごさるー! どうしよう! そもそもロイヤルマスクって誰なんですか?」
しんのすけ「……まるでしょ」
ピンポンピンポーン!
音声「セイカイ! ロイヤルマスクノショウタイハ、ククイハカセデアル」
マーマネ「す、すごい! さすがしんのすけ君です! 暗くてよく見えないですけど、握手したいです!」
しんのすけ「いや、とーぜんでしょ」
音声「セキュリティカイジョ、ドアヲヒラキマス」
ブゥゥゥゥゥン!!!!
マーマネ「こ、この気配……! この音……! まさか……」
???「ヤ ッ テ キ マ ッ シ ャ ー ! !」
マーマネ「でっ、でたー! ぬしポケモン!! しんのすけ君っ、出番ですー!!」
しんのすけ「暗くてよく見えないけどね」
天文台 ぬしポケモン
??? 出現!!
しんのすけ「ま、いいや! マサオくん、レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ!
ヨワシ(群)『ぬしポケモンだかなんだか知らねーが、一撃で決めてやるよぉ!』
ヨワシ『暗いなんて屁でもねーぜ! 下手な鉄砲だって数うちゃ当たるんだよ! おりゃ!』ブシュッ!
バッシャアアア
マーマネ「ひゃっ! 冷たい! しんのすけ君が出したのはみずポケモンでござるか?!」
???「ぎゅぎゅーんっ!」バチチチチッ!!
暗闇の中で何かが光ったと思うと、流星のようにマサオへ突っ込んでいく!
ドンッ!!
ヨワシ『うわっ!』グラッ
しんのすけ「今なんか光った!」
ロトム図鑑「あれはスパークだ!」
???「マッシャー!」バチチチッ!!
ビリビリビリビリ!!!
ヨワシ『ひいい~っ! 身体がし、しびれれれれれれれれ!』バチバチバチ!!
しんのすけ「『れ』は一個だけで大丈夫だよ」
ヨワシ(単)『そ、そういう問題じゃ……ないよ……しんちゃん』ピクッピクッ
フクスロー(ボール)『マサオくんの性格が戻ってる! 群れが散って単独の姿に戻っちゃったんだ』
ロトム図鑑「マサオは人望がないな」
ヌイコグマ(ボール)『違うわよ! きっと、さっきのダメージで群れが散っちゃったのよ!』
しんのすけ「ほいほい、マサオくん戻っていーよ」
ヨワシ『まだ身体がしびれ、びれ……』
しんのすけ「ネネちゃん、レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ
ヌイコグマ『でも困ったわねぇ、周りが暗くてよく見えないもの』キョロキョロ
ロトム図鑑「ほのおタイプのポケモンがいれば明かりを付けられたものを」
ブゥゥゥゥン!
ヌイコグマ『さっきからなんなのかしら、この音』
しんのすけ「むしポケモンが飛んでる音みた~い」
ブンッ!
ギュッ!
ヌイコグマ『きゃっ! なになに!? いやあああ!』
ヌイコグマ『なにかに挟まれてるの! 痛い! 離して!』ブンブン
ヌイコグマ『離しなさいよ! このっ! ふぬぬぬ……』ググ
???「ぎゅ……ぎゅん!」
バチチチチッ!
ヌイコグマ『ひいっ! しびびびびびびびび!』ビリビリビリ!!
しんのすけ「だから『び』は一個だけでいいって」
ヌイコグマ『そういう問題じゃないっつーの!』ビリビリビリ!
ヌイコグマ『ぬ……おりゃあああ!』グググッ
???「ぎゅん!?」
ヌイコグマ『乙女の身体に軽々しく触ってるんじゃないわよ! ヘンタイ!』ガシッ
ヌイコグマ『ぬおりゃあっ!』ブンッ!
???「ぎゅぎゅん!?」
ドシンッ!
マーマネ「ぎゃあ! 何かがぶつかってきた!」
ヨワシ(ボール)『ね、ネネちゃん……暗いから無理だよ』
???「ぎゅぎゅーんっ!」バチチチチッ!!
ヌイコグマ『きゃあっ!』ドンッ!!
しんのすけ「またスパークだ!」
ヌイコグマ『もうっ! さっきからどこから攻撃してきてるのよ!』
フクスロー(ボール)『ちょっと待って……おかしくないか?』
しんのすけ「オラもおかしいと思ってた。……なんでルザミーネのおねいさんは40以上なのにあんなにきれいなのか」
フクスロー(ボール)『そっちじゃないよ! そっちもある意味気になるけどさ……』
しんのすけ「んーひょっとしたら、ネネちゃんの普段の態度に原因があるのでは?」
ヌイコグマ『どういう意味よ!』
ブンッ!
ヌイコグマ『きゃっ! また来たっ!』
フクスロー(ボール)『そうか……! わかったよ! 音だ!』
しんのすけ「音?」
フクスロー(ボール)『相手は音でこっちの居場所を判断してるんだよ! 二人とも大きな声を出してぬしポケモンに挑発してただろ? 向こうはその声を頼りに攻撃してたんだ!』
ヨワシ(ボール)『そういうことだったんだ……』
フクスロー(ボール)『ネネちゃん、僕と一旦変わろう! ネネちゃんはダメージを受けちゃってるし、たぶん場所も特定されてると思うから』
ヌイコグマ『分かったわ、お願いカザマくん!』
しんのすけ「ほっほーい! じゃ、カザマくんと交代ね」ヒョイッ
ポンッ!
フクスロー『よしっ……って、喋っちゃいけないんだった……』
フクスロー(こっちも相手の音を聞いて、反撃してやる!)
フクスロー『シッ! しんのすけも静かにして。相手に場所を探られちゃうよ』ゴショゴショ
しんのすけ「ほーい!」
フクスロー『それをやめろって言ってんだよ!』ゴショゴショ!
ブゥゥゥン
ブゥゥゥン
フクスロー「…………」
ブゥゥゥン
しんのすけ「…………」
マーマネ(???? 急に静かになった……)
ブゥゥゥン
ブゥゥゥン
プゥ~オ
マーマネ「……オナラ?」
フクスロー『……誰がやった?』
ブゥンッ!
ガプッ!
ロトム図鑑「でーっ! なんだなんだ!?」
???「クライツキマッシャー!!」
ヌイコグマ(ボール)『やあねぇ、もう』
フクスロー『でもチャンスだ! ぶりぶりざえもんの悲鳴で相手の場所が分かる!』バッ
フクスロー『これでも喰らえっ!』
ドスドスドスドス!!
???「ぎゅぎゅん!?」
ロトム図鑑「いだだだだ! 誰だ私を攻撃してるのは!」
フクスロー『まだまだ!』
ザクザクザク!!
ドスドスドスドス!!
ロトム図鑑「やめろやめろ!」
???「ぎゅぎゅっ……!」
フクスロー『しんのすけ! とどめだ! Zワザ頼む!』
しんのすけ「ほいっ!」
ピカッ! ゴウッ!!
カザマは Zパワーを 身体に まとった!
カザマが 解き放つ
全力の Zワザ!
ブ ル ー ム シ ャ イ ン エ ク ス ト ラ !
しんのすけ「カザマくん! ファイヤーッ!」
フクスロー『これで終わりだ!』
カザマがZパワーを周囲へ放出すると、次々と花が咲き乱れていく! そして日光がぬしポケモンのクワガノンとロトム図鑑に照射され、どんどん威力を増していく!
パァァァッ!!
マーマネ「まっ、眩しい!」
ドゴォォォン!!
クワガノン「ぎゅ、ぎゅーーーん!!」
ロトム図鑑「ブヒィィィィィ!!!」
ジュウウウ……
クワガノン「」ピクピクッ
フクスロー『うん――』
プツン ウィィィン
フクスロー『あ、電気が戻った!』
しんのすけ「んー目がチカチカするぅ」
プシュー
マーレイン「マーくん!」ドタドタッ
マーマネ「マーさん!」ニコッ
しんのすけ「マーちゃん///」
マーレイン「もっとも……『ぬしポケモンこいこい マーク2』は、電力を使いすぎのようだ。デンヂムシの協力をあおぐとか、改善の余地ありだね」
マーマネ「あ……しんのすけ君……ぬしポケモンを倒した君に、デンキZをあげる……」
しんのすけは デンキZを 手に入れた!
しんのすけ「正義は勝つ! ワッハッハッハッ!」
試 練 達 成 !
バッ バッ ブゥンブゥン ビリリッ!
マーマネ「…………///」カアッ
クルッ
マーマネ「停電だと平気だったけど……ああ……人に見られてると、うまく話せなくなっちゃう」
しんのすけ「マーちゃん恥ずかしがらなくてもいいのよぉ~ん」グネグネ
マーマネ「うぅ……///」
マーマネ「ありがと……おめでと……マーマネの試練、達成だよ」
マーレイン「試練達成おめでとう! マーマネもキャプテンおつかれ」
マーマネ「ぼくもドキドキ……」
しんのすけ「オラはムネムネ」
マーレイン「あぁ、いとこだけどマーマネをキャプテンに選んでよかった」
マーレイン「本来であれば、しまキングがキャプテンを任命する。だが、ウラウラ島は事情がやや特殊でね」
しんのすけ「ほうほう」
マーレイン(そういえば、セキュリティの最後のクイズ、マーくんには教えてなかったね。答えられたようだから良かったけど、念のため後で教えてあげないと)
マーレイン「なるほど……ではいいものを進呈しよう! ハガネZだ!」つハガネZ
しんのすけ「おおっ、いいの?」
マーレイン「ポケモンとともに強さを求め、島巡りで手に入れたZクリスタル。僕より、きみにふさわしいだろう! 遠慮せずに使ってほしい」
しんのすけ「ありがたく頂戴します」
ロトム図鑑「……ひどい目にあった」フラフラ
フクスロー『オナラなんかするからだよ。静かにって言ったのに』
フクスロー(変な気分だ――力が沸いてくるような感じ。前にもこんなことあった気がする……)
ロトム図鑑「……そう言えば、ひとつ言い忘れていた」
フクスロー『なに?』
フクスロー「…………」ピキッ
ポンッ! ポンッ!
フクスロー&ヨワシ&ヌイコグマ『最初に言えこの豚ァァァァ!!』ドカドカッゲシゲシッ!!
ロトム図鑑「ブヒィィィィィィィィィ!!!」
しんのすけ「やれやれ」
マーレイン「さて、しんのすけくん。お使いを頼まれてくれるかな。ククイ君の忘れものだよ」つ はかせのふくめん
しんのすけ「これハカセの被ってる覆面? かっこいー!」
マーレイン「ククイ君、マリエ庭園に戻ると言っていたよね。お手数をかけるが、よろしく」
しんのすけ「お手数かけられましたー!」
マーマネ「今度は、勝負……」
しんのすけ「オーラーはしんのすーけ。おねいさんのーしもべー♪」
ザワザワ
しんのすけ「ほほー?」テクテク
したっぱE「おいおいおいククイさんよお!」
したっぱF「ポケモンリーグを造るって? なにトチ狂ってんだ!」
ククイ博士「4ターンだ!」ビシッ
したっぱE「はあ?」キョトン
ククイ博士「まとめてかかってくるといい! ボクもポケモン技の研究家!」ニイッ
ククイ博士「スピードスターや、やきつくすなどで、まとめて倒せるよう、バトルロイヤルでお相手しよう!」
したっぱE「マジかよ……」
したっぱF「や、やっちまうぞ……!」
ハカセ ガンバレー! チョーシノリスギ、スカルダン!
???「バトルロイヤル、いいよな! 一気に3匹もブッ倒せてよお」
スタスタ
野次馬「グズマだ……」
したっぱE「ボスのおでましだ!」
グズマ「ブッ壊してもブッ壊しても、手を緩めなくて嫌われるグズマがここにいるぜ」
グズマ「やあ、皆の衆! スカル団ボスグズマと、ポケモン博士ククイのカード! よだれもののスペシャルマッチだろ」
グズマ「ククイさんよ、あんたとオレはお互いキャプテンになれなかった者同士、アローラ地方に残る古臭い風習――しまキングやキャプテンなんて、くだらない連中に変わる新しいものが欲しくなるよなあ?」
グズマ「だがよ、ククイさん。ポケモンリーグはいけないぜ。最強のトレーナーはもう決まっているんだからよ」
ククイ博士「ボクは『なれなかった』ではなく『ならなかった』んだ。夢のために、ね」
クルッ
ククイ博士「ハラさんに勝つため、どの技が強いか探り……やっとたどりついた答え――そのとき、ベストの技を選べるポケモンとトレーナーのコンビが繰りだす技が最強だと!」
ククイ博士「なら、『そのとき』を生みだす場、ポケモンリーグを造らねば、とね! グズマくん! キミも口だけでなく、自慢の技を見せてくれよ」
グズマ「言うじゃねぇか――」
――ワッハッハッハッ!
パーパーパラパーパッパーパーパーパー
しんのすけ(はかせのかめん装備)「アクションロイヤル仮面! さんじょー! とおっ!」
クルクルクル スタッ!
ククイ博士「し、しんのすけ……!」
ククイ博士(そういえば天文台にマスクを間違って置いていったんだっけな……)
しんのすけ「やいっ、スケスケおパンツ団のリーダー! オラの目が白いうちは、悪さなんてさせないゾ!」ビシッ
ククイ博士「目が黒いうちに、だろ。それにそのマスク、勝手に被っちゃダメじゃないか」ズポッ
しんのすけ「お?」
グズマ「あぁ? ククイさんよ、とうとう子守まで始めたのか? ハラの孫じゃなさそうだが」
ククイ博士「いや、この子は野原しんのすけ。最近アローラに来たばかりでね。発見、体験、大冒険を楽しんでいるところだよ」
しんのすけ「主にアローラのきれいなおねいさん探しです」
グズマ「……Zリングか。それに、そんなガキが島巡りかよ?」
グズマ「技マニアが……あおってくれる」
しんのすけ「うちわ持ってないよー」
グズマ「そっちのあおるじゃねぇよ!」
グズマ「おいクソボーズ、島巡りなんかしてなんになるんだよ?」
しんのすけ「おねいさんにモテモテになるためです!」キッパリ
グズマ「あぁ? なにもねえよ、くだらねえよ」
しんのすけ「見るからにワルくてモテなさそうな、くさやのおじさんに言われてもなぁ」
グズマ「くさやじゃねぇ! グズマだ!」
しんのすけ「そんなこと、させないもん!」バッ
ククイ博士「しんのすけ……」
しんのすけ「ハカセの貞操は、オラが守る!」
ククイ博士「い、意味知ってて言ってるのかな、しんのすけ……」
しんのすけ「深くは知らない!」
グズマ「ハッ、ぶっ壊してやるよ! 破壊という言葉が人の形をしているのが、このオレさま――グズマだぜえ!」
スカル団ボスの グズマが
勝負を しかけてきた!
グソクムシャ「ズモォォォッ!!」ポンッ!
しんのすけ「ネネちゃん! レッツラゴー!」ヒョイッ
ヌイコグマ『行くわよ、しんt……』ポンッ!
グズマ「であいがしらだ!」
グソクムシャ「ズモォォォッ!!」ドスドスドス!
ドカッ!
ヌイコグマ『きゃっ! いきなりなにすんのよ! まだセリフ終わってないじゃない!』
しんのすけ「そーだそーだ! ひきょーだぞ!」
ククイ博士「しんのすけ! であいがしらは出した瞬間のみだが、必ず先制できる技だ! グソクムシャの得意技だよ!」
グズマ「そういうこった! どんどんぶっ壊しに行くぜ! シェルブレードだ!」
グソクムシャ「オオオオッ」ブンッ!
ガシッ!
ヌイコグマ『ぬくく……』プルプル
グソクムシャ「オオオオ……!」グググッ
グズマ「そのまま押し切っちまいな!」
ヌイコグマ『そうやすやすと攻撃されてたまるもんですか……!』ズズズ
野次馬「おおっ! あのヌイコグマ、見た目以上の怪力だ! グソクムシャを押している!」
ヌイコグマ『おりゃあああ!』ドンッ!
グソクムシャ「ズモォォ……!?」ズズズ
ヌイコグマ『今度はこっちの番よ! ネネ・パーンッ……』
グソクムシャ「ズモォォッ!」ブンッ
ドンッ!
ネネが攻撃を仕掛けようとした瞬間、素早くグソクムシャが隙を突いた。
ヌイコグマ『え――!?』
しんのすけ「おわっ!?」
グズマ「不意打ち、成功だぜ」ニヤッ
ドサッ ゴロゴロ
ヌイコグマ『い、いたい……』
ククイ博士(さて、しんのすけ……君はどう出るつもりだい?)
しんのすけ「ネネちゃん、平気?」
ヌイコグマ『……しんちゃん、ちょっとタイム取っていい?』フラッ
しんのすけ「くさやのおじさん! ちょっとターイム!」
グズマ「あぁ?」キョトン
ヌイコグマ「…………」バッ!
ククイ博士「ピッピ人形?」
グズマ(あんなん持たせて、何するつもりだ?)
ドッ!
ドッ!
ドッ!
ヌイコグマ『ムカつくぅ!! さっきっから卑怯な手ばっかり使いやがってぇ~っ! フンッ! フンッ!』ドッ! ドッ!
グズマ「……いい性格してんじゃねぇか」
しんのすけ「いやぁ、それほどでも」
グズマ「オメェじゃねーよ!」
ヌイコグマ『あースッキリした。いいわよ、しんちゃん』スッキリ
しんのすけ「ほーい! それじゃ再開ねー!」
グズマ「それで何か変わるってのかよ? そろそろトドメ刺しちまいな! シェルブレード!」
グソクムシャ「オオオオッ」ブンッ!
グソクムシャより先にネネが動き出し、グソクムシャの白い甲殻に向けて渾身の力を込めた拳を振り下ろした!
ズンッ!
グソクムシャ「グモッ!?!?」メキッ
グズマ「はぁ!?」
ククイ博士(今のはアームハンマーか!)
ヌイコグマ『これでトドメっ! ネネ・パーンッ……』グワッ
シュンッ!
ヌイコグマ『え――!?』スカッ
しんのすけ「ボールに戻っちゃった! なんで?」
グズマ「危機回避だよ。オレのグソクムシャは頭が良くてよぉ、傷付いて身の危険を感じると自分から戻ってきてくれるんだよ」パシッ
ヌイコグマ『なにが危機回避よ! 逃げただけじゃないの!』
しんのすけ「そーだそーだ!」
グズマ「あぁ? ひとりで何言ってやがる? さっきからそのヌイコグマに一つも命令してねぇし、変なガキだ」
グズマ「まぁいい、行きな! アリアドス!」ヒョイッ
ヌイコグマ『ひいっ、気持ちワル~い。こっちも危機回避したい気分……』
しんのすけ「うまいこと言うね」
グズマ「アリアドス! そいつに糸をまとわりつかせてやれ!」
アリアドス「シャーッ!!」ブシャーッ
シュルルルッ!
ヌイコグマ『えっ? なにこれ? 動けない!』モゾモゾ
ギュウウウッ
ヌイコグマ『ううっ……どんどん締め付けて来るっ!』
しんのすけ「ネネちゃん痩せて抜け出すんだ!」
ヌイコグマ『うっさいわね! 無理言わないでよ!』
グズマ「叩き潰せ!」
アリアドスはそのまま勢いよく、ネネを締め付けている糸を空中に向けて勢いよく振り上げた!
ヌイコグマ『えっ? やっ……!』ブンッ
ズズンッ!
しんのすけ「ネネちゃん!」
ヌイコグマ「」ピクピク
グズマ「ハッ、ぶっ壊してやったぜ!」
ヌイコグマ『悔しい……いつか絶対仕返ししてやる……覚えてなさいよ!』
しんのすけ「ぬー……おのれ、さすがスケスケおパンツ団のボスのくさや!」
しんのすけ「お? オラもアローラでますます有名になっていきますなぁ」
ロトム図鑑「それにしてもスケスケおパンツ団のボスか。盗んだ下着の数も凄そうだぞ」
しんのすけ「まあリーダーですし」
グズマ「下着ドロじゃねぇよ!」
ククイ博士「で、しんのすけ。次はどうするつもりだい?」
しんのすけ「じゃあカザマくん、行きますか! レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ
フクスロー『じゃあってなんだよ、じゃあって』
フクスロー『でも、一番レベルの高いネネちゃんを、ほとんど攻撃させずに倒すなんて』
しんのすけ「不意打ちとかしてくるから気をつけたほうがいいよ」
フクスロー『わかってる。ネネちゃんのカタキは僕が取るよ』
グズマ「そいつが2匹目か。同じようにぶっ壊してやるよ!」
グズマ「さっきみたいに糸をまとわりつかせろ!」
フクスロー『!』サッ
フクスロー(このままみだれづきと思わせて――)バサッ
アリアドス「シャッ!」ブンッ
ククイ博士「また不意打ちだ!」
フクスロー『そう来ると思ってたよ!』サッ
シュルシュルシュル
ガッ!
アリアドス「?!!」フラッ ゴロンッ
グズマ「不意打ちを躱してくさむすびで反撃だと? ずいぶん器用なことしやがる」
ククイ博士(だけど、どく・むしタイプのアリアドスにくさむすびはダメージとしては微々たるものだ。むしろ動きを止めることを優先しているように見えるね)
フクスロー『このままみだれづきだ!』バッ
アリアドス「シャッ?!!」
グズマ「アリアドス、どくばりだ!」
しんのすけ「カザマくん、離れて!」
フクスロー『え――!』
アリアドス「シャーッ!」シュッ!
ドスッ!
フクスロー『うっ……!』ビクッ
しんのすけ「ああん、カザマくん!」
ロトム図鑑「あの様子だとまた毒になったようだな」
グズマ「そのままみだれひっかき!」
アリアドス「シャーッ!」ブンッ!
ザクザクザクッ!
フクスロー『くうっ、このまま負けるもんかっ!』バッ
ギュンッ!
ドンッ!!
アリアドス「シャッ?!」
グズマ「おい! アリアドス!」
フクスロー『ハァハァ……どうだっ!』
アリアドス「シャ……」ガクッ
ククイ博士(今のはブレイブバードか! 見る限り習得したというより、身の危険を感じて無意識に使ったのか?)
フクスロー『よし……まず1匹だ!』
グズマ「チッ……すまねぇな、アリアドス」
グズマ「もう一度来な! グソクムシャ!」ヒョイッ
ポンッ!
グソクムシャ「ズモォォォッ!!」
グズマ「ヤツは虫の息だ! であいがしらでぶっ壊しちまいな!」
グソクムシャ「ォォォッ!!」ドスドスドス!
フクスロー(ここまでか……)
しんのすけ「カザマくん……!」グスッ
フクスロー『しんのすけ……泣いているのか』
カザマは自らの身体が毒で蝕まれると同時に、薄れゆく意識の中で目元を抑えるしんのすけが視界に映った。
フクスロー『ごめん……僕はここまでだ』
しんのすけに詫びながら、迫り来るグソクムシャの攻撃を受け入れるように、カザマは静かに目を瞑る。
フクスロー『……』
本当に、これでいいのか? (自称)エースの自分がここで倒れていいのか?
島巡りを始めたとき、曲がりなりにもしんのすけと供に旅をして島巡りチャンピオンになろうと決めたじゃないか。ここで倒れて、マサオも倒れれば、しんのすけの未来は閉ざされるだろう。
フクスロー(いや、諦めたって何も始まらない!)
フクスロー(今の僕が、出来ることをしなくちゃ!)ググッ
意を決して、立ち上がった時だった!
カッ!
グズマ&グソクムシャ「!?」
ズズズズ!
フクスロー『これって……!』
しんのすけ「んー目にゴミ入ったぁ~って、おおっ! またカザマくんの身体が輝いてる!」
ククイ博士「これは――進化か! さっきのアリアドスとの戦いでちょうど進化する段階まで成長したのか!」
カザマの姿が進化の光に覆われ、どんどん姿が変わっていく。
翼はさらに大きく、そして深い緑色を帯びる。貴族然とした姿から、外套を被った狩人のものへ、進化していく!
ズズズズ!
『……!』ファサァッ
ククイ博士「しんのすけ、やったな! カザマはジュナイパーに進化したんだ!」
ジュナイパー(カザマ)『これは……!』
野次馬「おおっ!」
しんのすけ「いや~ん! オラの想いが届いてくれたのね~」
ジュナイパー『気色悪い言い回しするなよ……』
グソクムシャ「ォォォッ!!」ブンッ
しかし、グソクムシャの爪は空を切った。カザマが跳躍し、真上に飛び立つと矢羽根を弓に模した翼につがえて発射した!
グソクムシャ「グモッ!?」
グズマ「なにぃ?! 不意打ちだと!?」
ジュナイパー『これで終わりだ!』ググッ
カザマの手には黒いオーラを放つ矢が握られていた。それを真っ直ぐ飛ばすと、グソクムシャの地面に触れて、爆発を起こした!
ドガァァン!!
グソクムシャ「グモォォォッ!!」
グズマ「グソクムシャ!」
グソクムシャ「グ……モ……」ガクッ
しんのすけ「かっこい~! ハカセ、今の技なんていうの?」
ククイ博士「かげぬい、だね。ジュナイパーの得意技で、あたかも影を縫ったように相手を逃がさない技だよ」
ククイ博士「どうしてだい?」
しんのすけ「だってきれいなおねいさんを逃したくないものですからー!」
ジュナイパー『お前はそういう発想しかできないのかよ!』スタッ
しんのすけ「でも、進化したって言うから期待したのになんか地味な見た目」
ジュナイパー『悪かったな、地味で!』
ヌイコグマ(ボール)『そう? ネネはかっこいいって思うけど』
ヨワシ(ボール)『うんっ! うらやましいなァ』
ロトム図鑑「相変わらずチープな進化だぜ。私もかみなりのいしで進化すれば無敵に……」
ジュナイパー『だから進化しないだろお前は! 同じツッコミを何度もさせるな!』
グズマ「グズマァ!! なにやってるんだああ!!」ガクガクッ
しんのすけ&ククイ博士「!」
しんのすけ「ほうほう……」
グズマ「フゥーフゥー……しんのすけ、だったか」ギロリ
しんのすけ「なに? くさやのおじさん」
グズマ「壊しがいのあるヤツとして、胸に刻んでおくぞ! オラ行くぜ!」スタスタ
したっぱE「ボスによ、本気ださせるなよ!」ダッ
しんのすけ「お風呂入れよー!」フリフリ
ジュナイパー(……進化してなかったら危なかった。グズマにグソクムシャ……あなどれない人だ)
野次馬「スカル団もおとなしくなるよな。なんたってあんなちっさい子供に負ければ」
野次馬「いやーしんのすけ君だったか。すごかりしトレーナーですよ!」
野次馬「まだ小さいのに、グズマに勝っちゃうなんてすごいわ! 島巡り応援してるね、しんのすけ君!」
しんのすけ「いやん、オラおねいさんのためならどんなことだって出来ちゃいますよ~」
ククイ博士「よしっ、しんのすけのポケモンは元気にしといたよ!」
ククイ博士「さっきはいい技だったぜ! 魂が震えたよ!」
しんのすけ「まあねー」
ククイ博士「そのご褒美ってわけじゃないけど、ジュナイパーにのみ使えるZクリスタルをあげるよ!」つジュナイパーZ
しんのすけ「いいの? やったやったー!」ピョンピョン
ククイ博士「Zクリスタルの中には、特定のポケモンにでしか力を発揮しないモノがあるんだ。そして、そのZクリスタルを使えば、カザマは特別なZワザも使えるだろう!」
しんのすけ「他にもこーゆーのあるの?」
ククイ博士「ああ、そのジュナイパーZもそうだし、後はハウのニャビーの最終進化であるガオガエン、アシマリの最終進化のアシレーヌ、そしてピカチュウとライチュウのZクリスタルが今まで発見されているんだ!」
ククイ博士「残念ながら、まだ見つかってないんだ」
しんのすけ「日頃の行いが悪いから……」
ロトム図鑑「なんだとー! 私ほど公明正大で清廉潔白なポケモンもそうそういないだろう!」
ククイ博士「ははは……。でも、ZクリスタルもZワザもまだまだ分からない部分は多いからね。ひょっとすれば、ロトム専用のZクリスタルが見つかるかもしれないね」
しんのすけ「じゃあ、アクションビームとかカンタムパンチとか使えるZクリスタルとか出てくるかな?」
ククイ博士「それがどんなものなのか分からないけど……そういう力を持ったZクリスタルがあって、トレーナーの想いがポケモンに届けば、君の言う技は実現できるかもね。だからZワザって奥深いんだ!」
しんのすけ「よーし! 島巡りが終わったら、今度はそれを探してみよーっと!」
ククイ博士「ところで、リーリエはどうしてるんだっけ?」
しんのすけ「さぁ? また道に迷ってるんじゃない?」
リーリエ「ここにいます」テクテク
アセロラ「アセロラもいっしょ!」
リーリエ「博士もしんちゃんも、スカル団とやりあうなんて……怖い人たちだと聞きますから、わたし……心配になります……」
アセロラ「そうそう! アセロラも結構ハラハラして見てたんだから」
ククイ博士「そうかい? 技をぶつけあえば、相手がどんなトレーナーでもすぐにわかりあえるけどね!」
しんのすけ「オラとしてはスケスケおパンツ団より、リーリエちゃんがまた道に迷ったりブティックに寄り道しないかどうかが心配だぞ」
リーリエ「大きなお世話です……!」
ククイ博士「さて、そろそろハウを迎えに行かなきゃね。しんのすけもこの調子で試練をこなし、ポケモンを鍛えてくれよ!」テクテク
しんのすけ「ほーい!」
夕陽に照らされた荒野。
風が吹く音と供に、少女の泣き叫ぶ声が響いてくる。
ミミ子「助けて! アクション仮面!」
アクション仮面「ドラピオン教授! 今日こそ年貢の納め時だ!」
ドラピオン教授「ヒャーッハッハッハッ! 貴様に我が忠実な眷属であるこのドラピオンが倒せるかな?」
ドラピオン教授「行け、ドラピオン! だましうちだ!」
アクション仮面「なにっ!?」
ドラピオン「ドラッ!」フッ
ドラピオンの姿が消えたかと思うと、紫色のハサミをルカリオに振り下ろした!
ルカリオ「グアッ?!」ドゴッ!
アクション仮面「馬鹿な、ドラピオンはレベルでもわざマシンでも、だましうちは覚えないはずだ!」
ドラピオン教授「だましうちは、タマゴ技で覚えるのだ! このドラピオンは、私が厳選に厳選を重ね、スコルピから育てた自慢のポケモンなのだ!」
アクション仮面「ぬう……悪役のくせに育成をばっちりこなすとは! 敬意を表する!」
アクション仮面「だが、私とルカリオの絆はそれ以上に強い! 行くぞ、ルカリオ!」
ルカリオ「グルゥゥゥァ!!」
ルカリオのルカリオナイトと アクション仮面の メガベルトが 反応した!
キィィィィン! ドゴォォォォッ!!
メガルカリオ「グォオオオオッ!!」
ドラピオン教授「なにっ?! ルカリオがさらなる進化だと!?」
アクション仮面「これが進化を超えた進化――メガシンカだ!」
ドラピオン教授「メガシンカだと?」
アクション仮面「私は悪を倒すため、ルカリオと供に世界各地を渡り、修行を続けた。その果てにこのチカラを得た!」
アクション仮面「そして、メガシンカを会得した私は今週から、アクション仮面LMSに改名する! 」
ドラピオン教授「なにがアクション仮面LMSだ! そんなくだらん肩書きはジャージのサイズだけにしておけ!」
アクション仮面LMS「行くぞメガルカリオ! ドラピオンにインファイトだ!」
メガルカリオ「グルゥゥア!!」ダッ!
メガルカリオは疾風怒濤の勢いでドラピオンに急接近すると、拳のラッシュをドラピオンの身体に次々と打ち込んだ!
メガルカリオ「オオオオオッ!!」ドドドドドドド!!!
ドラピオン「ドラッ!! ドラピッ!?」
ドラピオン教授「なにい、なんだこのダメージはっ!」
アクション仮面LMS「そしてメガルカリオは、自分のタイプと同じタイプの技のダメージを2倍にするてきおうりょくに特性が変化するのだ!」
ドラピオン教授「バ、バカなっ!」
アクション仮面LMS「行くぞ! メガルカリオ!」
メガルカリオ「ガァッ!!」
アクション仮面LMSとメガルカリオは同時に飛び上がると、ドラピオン教授とドラピオンに向けて、それぞれ両手の肘を向ける!
アクション仮面LMS「メガアクションビーム!!」
メガルカリオ「ルァァァッ!!(はどうだん!!)」
ビビビビビ!!
ゴウッ!!
アクション仮面LMSの両腕から虹色のビームが発射され、メガルカリオの両手から、はどうだんが放たれた!
ビームとはどうだんが合わさり、ドラピオン教授とドラピオンに直撃すると、爆風を巻き起こした!
ドラピオン「ドラアアアア!!」
ドラピオン教授「ぐわーーっ! 厳選しても絆の力には勝てなかったか……地獄で待ってるぞ! アクション仮面LMS!!」
ドゴォォォン!!
アクション仮面LMS「なあに、毎週のことだ! そして、メガルカリオと力を合わせれば、どうということはない!」
メガルカリオ「ガウッ!!」
ミミ子「それではテレビのみなさんもご一緒に!」
アクション仮面LMS「ワッハッハッハ!!」
ミミ子「ワッハッハッハ!!」
メガルカリオ「グルゥワッハッハッハッ!!」
……
ロトム図鑑「……」<ワッハッハッハッ
しんのすけ「ワッハッハッ!! 正義は勝つ!」
ハウ「その人がカスカベ地方のチャンピオンなんだー」
しんのすけ「そ、オラのそんけーしてるトレーナーで、一緒に戦ったこともあるんだよ」
ハウ「へぇー、それにメガシンカかー……もしおれも出来るようになったら、もっと勝負が楽しくなるかもねー!」
アセロラ「でもしんちゃん、マーマネの試練達成ってすごい! 次の試練は11番道路を越えて、カプの村に行くんだよ!!」
しんのすけ「オラ、その前にハラが減りましたぞ」
リーリエ(今のはハラさんの真似とお腹が空いた事をかけたのでしょうか?)
アセロラ「じゃあ3人で家まで行こうよ! みんなで晩ご飯作ろう!」
リーリエ「お料理、作れるのですか?」
アセロラ「任せて! これでもしんちゃんくらいの年の子供たちの世話をしてるんだから!」ムフー
しんのすけ「オラも料理できるもーん!」
リーリエ「カップラーメンっていうオチではありませんよね?」
しんのすけ「違うもん! レトルトカレーだもん!」
アセロラ「同じでしょ!」
アセロラ「でも、その前に買い出ししなきゃ! 二人とも付き合ってよ!」
リーリエ「はい!」
しんのすけ「えー? オラ疲れちゃった」
アセロラ「付き合ってくれたら、1個だけお菓子買ってあげてもいいかなー?」
しんのすけ「ホント? 約束だよ?!」キラキラッ
リーリエ「……クスッ」
アセロラ「えーっとこれ買ってこれもー……」
しんのすけ「これも買ってーこれもー」ドサドサ
アセロラ「こぉら、勝手にお菓子入れちゃダメだよ!」
???「……また増えたのかい」
しんのすけ「お?」
アセロラ「あー! クチナシおじさん!」
クチナシ「……ずいぶん騒がしそうなヤツだね」
アセロラ「違うよー。この子はしんちゃんで、いま島巡りしてるの」
しんのすけ「オラ、野原しんのすけ5歳! 好きな女性のタイプはシロナのようなおねいさん」
アセロラ「この子はカプ・コケコから直接かがやく石をもらったんだって! だから、特別に5歳から島巡りしてるの」
クチナシ「……そうかい」ジロリ
しんのすけ「お、おじさん……そんな目で見られたら、オラ照れちゃう///」モジモジ
クチナシ「……まぁ、カプに認められたんなら何も言うことねえけどよ」
アセロラ「しんちゃんすごいんだよ! マーマネの試練も達成して、さっきはスカル団と戦ってフクスローをジュナイパーに進化させたんだよ!」
クチナシ「スカル団……ね。坊主、あんまり騒ぎを起こすんじゃないよ」
スタスタ
しんのすけ「アセロラちゃん、今の幸薄そうなおじさん誰?」
アセロラ「クチナシおじさんだよ。ああ見えてあの人警察官で、この島のしまキングなんだから!」
しんのすけ「あ、そう……」ズーン
アセロラ「……? どうしたの?」
しんのすけ(オラがっかり、こんなおじさんじゃなくてライチおねいさんのようなピチピチのしまクイーンがよかった……)
アセロラ「そういえばリーリエちゃんどこ行ったんだろ?」キョロキョロ
12番道路
アセロラ「アセロラちゃん、お口あんぐりしちゃったよ。リーリエちゃんポケモンセンターの中なのに迷子になっちゃうなんて」
リーリエ「恥ずかしいです……」
しんのすけ「まったく、世話を焼かせますなぁ。オラやアセロラちゃんに頼ってばかりですと、将来ロクなオトナになりませんぞ! 方向音痴くらい治しなさい!」ビシッ
リーリエ「うぅ……」
アセロラ「まぁまぁ。ともかく、エーテルハウスに行ってしんちゃんも試練を受けちゃおうよ」
しんのすけ「アセロラちゃんの試練ってなにするの?」
アセロラ「ナイショだよー。まぁこの時間帯にやるのがすっごくピッタリかも」クスクス
しんのすけ「わかった! 合コンして王様ゲームするのが試練の内容だな!」
アセロラ「全然違うよ! しかも今時王様ゲームって……」
リーリエ「あの、アセロラさん。前の道なんですが……」
三人の目の前には、凹凸の激しいゴツゴツとした岩の道が広がっていた。
アセロラ「あー、ウラウラ島ではこういう道が多いの。だからね……」
ハプウ「おーい! しんのすけ! リーリエ!」フリフリ
バンバドロ「ムヒヒウン!」
リーリエ「こんばんは、ハプウさん」ペコリ
アセロラ「ハプウちゃん、どうしたの?」
ハプウ「いやなに、しんのすけたちがここに来ているのを見てな。きっとこの道を通るのに困るだろうからついて来たのじゃ。そういえばリーリエは遺跡に来る時に通ったの」
リーリエ「はい、また乗せてくださるのですか?」
ハプウ「もちろんじゃ。それにしんのすけにはアーカラで世話になったからの。ウラウラを巡るうえで、必要不可欠なバンバドロのライドギアを登録させようと思ってな」
アセロラ「あれ? しんちゃんどこ行ったんだろ?」キョロキョロ
リーリエ「……まさか」
ヘイヘイオネイサン! オラトコイノショウガイトイウデコボコミチヲイッショニノリコエテイキマセンカー?>
ハプウ「なんと――バンバドロでもなければ通れん道を普通に行きおった……」
リーリエ「またですか……」ハァ
ほしぐもちゃん「ピュイ!」
アセロラ「しかもさりげなく買い物袋置いてってるし」
ハプウ「ま、元気なのはいいことじゃ。ほれ、二人ともバンバドロに乗っていけ。向こう側まで送り届けてやろうぞ」
しんのすけ「あれー? リーリエちゃんたちどこ行っちゃったんだろ?」
ロトム図鑑「またあいつは道に迷ったのか。手間のかかる奴だ」
しんのすけ「オラがしっかり見守ってあげナイト。夜だけに」
ロトム図鑑「月が綺麗だな……」
しんのすけ「こーゆー夜はお月見チョコビがいいんだよね」
ハウ「あー! しんのすけだー!」
しんのすけ「今度はハウくんか。今日はたくさんの出会いがありますなぁ」
ハウ「マーマネから聞いたよー! ぬしを呼びだすマシンの、動作テストに付き合ったんでしょー? おれもお手伝いしてさー、なんとか試練こなせたよ!」
しんのすけ「ま、まーね」
ハウ「うー、少しは強くなったかなー? しんのすけーせっかくだし勝負しよーよー! アーカラのバトルロイヤルの時からずっと戦ってないしー」
しんのすけ「じゃあ付き合ってやりますか」
ハウ「わーい! しんのすけがどんなポケモン捕まえたのか、楽しみー!」
ポケモントレーナーの ハウが
勝負を しかけてきた!
イーブイ「ブイブイ!!」ポンッ!
しんのすけ「ネネちゃんレッツラゴー!」ヒョイッ!
ヌイコグマ『行くわよ!』ポンッ!
ハウ「わー! 新しいポケモン捕まえてたんだねー!」
しんのすけ「捕まえたの結構前だけどね」
ハウ「よーし、お手並み拝見だよー! イーブイ、スピードスター!」
イーブイ「ブイブイ!」キラキラッ
ヌイコグマ『きゃっ!』ドンドンッ!
ヌイコグマ『この!』ダッ!
ネネは走り出すと、イーブイにアームハンマーを繰り出した!
ヌイコグマ『エイッ!』ブンッ!
イーブイ「ブイッ!?」ドゴッ!
ハウ「おおースゴいパワー! ならこっちも噛みついちゃえ!」
ヌイコグマ『いったああい!!』
しんのすけ「おいしい?」
イーブイ「ブイッ!」q
ヌイコグマ『ちょっと! 2人ともどーゆー意味よ!』
ハウ「怯んだスキにーとっしんだよー!」
イーブイ「イーッブイッ!」ダッ!
イーブイがネネに向かって走り出した時だった。急にネネは膝を崩した体勢になり、涙目でイーブイに訴え始めた!
ヌイコグマ『ううっ……! どうしてあなたってすぐ手をあげるの? 』フルフル
イーブイ「ブ、ブイッ?」ビクッ!
ハウ「どうしたのー? イーブイ?」
ジュナイパー(ボール)『まさかこれって……』
イーブイ「ブイッ! ブイブイブイッ!」
ヨワシ(ボール)『リアルおままごと……』
ロトム図鑑「しかも向こうもノリノリだな」
ハウ「え? えー??」キョトン
ヌイコグマ『たまには家族サービスもしてよ! あたしのことも考えてよ! なんとか言いなさいよ!』ガシッ
イーブイ「ブ、ブイッ?!」
ヌイコグマ『おりゃあああ!!』グルングルン!
イーブイ「ブイッ! ブイーッ!」
ジュナイパー(ボール)『リアルおままごとから自然にぶんまわす攻撃へ移ったな……』
しんのすけ「恐るべしリアルおままごと」
ヌイコグマ『どりゃあ!!』ブンッ!
イーブイ「ブイーッ!!」
ぶん回された後に投げ飛ばされたイーブイは、そのまま空中を飛んで地面を落下して転がると、目を回して動かなくなった。
イーブイ「ブ、ブイッ……」グルングルングルン
ハウ「うわー、力持ちなんだね、そのヌイコグマ!」
しんのすけ「ネネちゃん、だゾ」
ライチュウ(アローラ)「ライラーイッ!!」ポンッ
しんのすけ「あれ? なんかオラの知ってるライチュウと違う」
ロトム図鑑「あのライチュウはアローラ特有の姿をしたライチュウだ。エスパータイプが加わり、サイコエネルギーで浮かんだサーフテールに普段乗っている」
しんのすけ「ふーん。なんか肌も黒いね、日焼けした?」
ハウ「パンケーキでも食べたんでしょー? さー行くよー!」
ハウ「ライチュウ! スパーク!」
ライチュウ「ライッ!」ギュン!
サーフボード型の尻尾に乗ったライチュウは急発進すると、電気を纏いながらネネに突進する!
ライチュウ「ラーイッ!」ドンッ!
ヌイコグマ『きゃあっ! なにすんのよ! 危険運転反対!』
ハウ「続いてサイコキネシスー!」
ライチュウ「ライッ!」ギンッ!
ライチュウの青い目が輝くと、ネネに怪しい波動が広がる!
ヌイコグマ『う、ううっ!』ビビビ
ヌイコグマ『うううっ!』ガクガク
ライチュウ「ライライ!」
ライチュウの念力でネネは身体を震わせて悶え苦しみながら、じっと堪える。
しかし、その我慢も限界を迎えようとしていた!
ヌイコグマ『うがあああっ!』バチッ!
ライチュウ「ライッ!?」
ハウ「サイコキネシスを自力で解いた?!」
しんのすけ「さすがネネちゃん」
サイコキネシスを力ずくで解いたネネは、怒りの形相でライチュウに向かって走り出すと、拳を振り上げた!
ヌイコグマ『おりゃあッ!!』ブンッ!
ライチュウ「ライッ!」サッ
しんのすけ「ああん外した!」
ハウ「間一髪だねー」
ヌイコグマ『このっ!』ブンブンッ!
ライチュウ「ライライッ!」サッサッ
ついには、ネネの攻撃が届かないところまで距離をとった。
ライチュウ「ライラーイッ!」ギュンッ!
ヌイコグマ『ああもう! ちょこまかちょこまかと……!』ゼェゼェ
ロトム図鑑「ふん、ノロマめ」
ジュナイパー(ボール)『敏捷力は圧倒的に向こうが上だ!』
しんのすけ「あは~♪」
ジュナイパー(ボール)『それは微笑(びしょう)! 僕が言ってるのは敏捷(びんしょう)!』
ハウ「ライチュウ! 10まんボルト!」
ライチュウ「ラーイッ……」チチチチ
ライチュウ「ヂュウウウッ!!」ビリビリ!!
ライチュウの全身から発せられた電撃が、ネネへと降り注ぐ!
ヌイコグマ『あああっ!!』
しんのすけ「ネネちゃん!」
ヌイコグマ『マーマネさんの試練に続いてライチュウに電気でやられちゃうなんて……』ドサッ
ジュナイパー(ボール)『動きの軽さに加えてエスパータイプか。ネネちゃんにとって相手が悪かったかもな……』
ハウ「さー! 次のポケモン出してよー! おれ、しんのすけの新しいポケモンもっと見てみたいー!」
しんのすけ「ほうほう、じゃあリクエストに応じまして……」スッ
しんのすけ「マサオくん、レッツラゴー!」ヒョイッ
ヨワシ(群)『オッケー! 任しときなぁ!!』ポンッ
ハウ「わー! 群れたヨワシー!? 」
しんのすけ「マサオくんだゾ」
ジュナイパー(ボール)『しんのすけ何やってるんだ! でんきタイプに対してみずタイプ出したらマーマネさんの試練と同じ事の繰り返しになるぞ!』
しんのすけ「いやー、ハウくんが見たいって言うから」
ジュナイパー(ボール)『あ、あのなあ……』
ハウ「うー、ちょっと予想外。でもー、でんきタイプだからこっちが有利だもんねー! ライチュウ、10まんボルト!」
ライチュウ「ラーイッヂュウウウッ!!」バチチチッ!
ヨワシ『うおっ! おおおおっ!?』ビリビリビリ!
ヨワシ『……はっ! こんなもの、さっきの試練と比べりゃマッサージみてえなもんだぜ! うりゃあっ!』ドッ!
ハウ「ライチュウ、避けてー!」
ライチュウ「ライッ!」ギュンッ
ヨワシ『逃がすかよ!』
マサオは放っているみずでっぽうの形を一点に集中させた直線状のものから、広範囲に及ぶ扇状に変えた。
さしものライチュウもこれには避けきれず、みずでっぽうを受けてしまう!
バシャッ!
ライチュウ「ラ、ライッ!」フラッ
しんのすけ「いいぞーマサオくん!」
ヨワシ『褒めたって何も出ねえよ! このまま押し潰してやるぜ!』
みずでっぽうを受けてバランスを崩したライチュウにマサオは接近すると、身体を大きく一回転させた!
群れたマサオの巨大な尾ひれ(の形になったヨワシたち)がライチュウに迫る!
ズズンッ!!
ライチュウ「ライーッ!!」
大地が揺れて、ライチュウが地面にめり込む!
しかし、ライチュウも負けじとめり込んだまま、10まんボルトをマサオに流し込む!
ヨワシ『ぐぁぁぁっ!』バチチチチッ!
ジュナイパー(ボール)『マズイ! ヨワシたちが離れつつあるぞ!』
ハウ「ふうっ! もう少しで群れはいなくなりそうだねー」
ヨワシ『このままヤツをチカラずくでねじ伏せてやるぜ!』
しんのすけ「ほうほう、押しの強いゴーリキー、略してゴリ押しですな」
ハウ「ライチュウ! マサオをかく乱しながらもう一度スパークだー!」
ライチュウ「ラーイッ!」ギュンッ!
ヨワシ『!』
マサオを纏うヨワシたちも、必死でライチュウの姿を目で追っていく。
ハウ「今だよー!」
ライチュウ「ライッ!」ドッ!
ヨワシ『しゃらくせえ!!』ブンッ
マサオの背後に回ったライチュウがスパークを出したと同時に、マサオも身体を勢いよく回転させてしなりをつけながら尾ひれを動かす!
ライチュウ「ライヂュュウッ!」バチチチッ!
マサオ『おりゃああああ!!』ブンッ!
ドッゴォォッ!!
ヨワシ(単)『うわーっ!』
ライチュウ「ライーッ!!」
ドサッ
ジュナイパー(ボール)『マサオくんを纏っていたヨワシの群れとライチュウが同時に吹っ飛んだ!』
ライチュウ「ら……ライ……」オメメグルグル
ハウ「わー、そのまま倒せると思ったのに!」
ヨワシ『はあ……はあ』
しんのすけ「まあね」
ハウ「でもーそっちのヨワシも群れがいなくなったから結果オーライだよねー!」スッ
ハウ「さぁ、出番だよー! ニャヒート!」ヒョイッ
ニャヒート「ニャー!」ポンッ!
ヨワシ『ひいい~っ、これって戻ったほうがいいよね』
ヌイコグマ(ボール)『戻んなくて平気よ! なんのためのみずタイプよ』
ジュナイパー(ボール)『そうだね。いくら群れがいなくなっても、君はみずタイプ。ほのおタイプのニャヒートに対して、優位に立てられるよ!』
しんのすけ「魚が猫に勝つ絵面ってなんとなくかっこいいかも」
ニャヒート「ニャッ!」バッ!
ガプッ
ヨワシ『ひえええ助けてぇぇ~!』
ニャヒート「ニャ~」カプカプ
しんのすけ「早っ!」
ハウ「あははー食べちゃダメ、食べちゃダメだよーニャヒート」
ロトム図鑑「マサオ加えたニャヒート追いかけて、か」
ニャヒート「ニャッ」ペッ
ヨワシ『うう……』
ジュナイパー(ボール)『タイプ相性でどうなるかと思ったけど、さすがに無理か……。しょうがない、しんのすけ、僕を出すんだ!』
しんのすけ「ほーい! というわけでマサオくんチェンジね」シュンッ
しんのすけ「カザマくん、レッツラゴー!」ヒョイッ
ジュナイパー『最初に戦った時は負けたけど、今度は勝つぞ!』ポンッ
ニャヒート「ニャー……」
ハウ「よーし、おれも負けてられないねー! ニャヒート、ひのこ!」
ニャヒート「ニャーーッ!!」ボッボッ!
ジュナイパー『新技の威力、見せてやる!』スッ!
カザマは片翼に影の矢羽根を3つ作り出すと、それを素早くつがえて放った! カザマのかげぬいが空を切り、ニャヒートのひのこを2つの矢羽根が打ち消し、最後の1つがニャヒートの影に突き刺さって爆発を起こす!
ドゴォォン!!
ニャヒート「ニャッ……!」
ハウ「ニャヒート! そのままほのおのきばだー!」
ニャヒート「シャーッ!」クワッ!
ジュナイパー『!』
爆風に煽られながらも、ニャヒートが大きな口を開けながら、炎をまとった牙をむき出しにカザマへ迫る!
ジュナイパー『おっと、そうはさせるか!』ブンッ!
ニャヒート「ニャアッ!!」ザクッ
ジュナイパー『リーフブレードさ! 一度コレやってみたかったんだ!』
ハウ「やっぱそう簡単に行かないかー! それならー!」
バッ バッ ボウッ ボウッ ゴウッ バァーン!
ピカッ! ゴウッ!!
ニャヒートは Zパワーを 身体に まとった!
ニャヒートが 解き放つ
全力の Zワザ!
ダ イ ナ ミ ッ ク フ ル フ レ イ ム !
ハウ「ゴーゴー! ニャヒート!」
ニャヒート「フシャアアアッ!!」ゴウウウッ!
ニャヒートは身を固めると、炎を纏い始めた!
そして、ニャヒートが巨大な火球そのものになると、カザマに向かって猛進してきた!
ジュナイパー『……!』
カザマは火球に飲み込まれると、そのまま火球は風船のように膨らんでいき、そのまま大爆発を起こした!
ドゴォォォッ!!
ジュナイパー『うわっ……ああっ!』
しんのすけ「おわーっ! カザマくんが焼き鳥になっちゃう!」
ロトム図鑑「焼き鳥といえばせせりが食べたくなってきたな」
しんのすけ「オラはつくねがいいなぁ」
ロトム図鑑「ふっ、まだまだお子様よのう」
ジュナイパー『お前ら僕の前でなんて会話してるんだ!』シュウウウ
しんのすけ「おおっ、生きてた!」
ジュナイパー『結構……ギリギリ、だけどね』
ジュナイパー『しんのすけ! 僕たちもZワザだ! 博士からもらったZクリスタルを使ってみようよ!』
しんのすけ「おっけー!」
しんのすけ(あれっ? でもZワザのポーズ教わってねーや。ケツだけ星人にしちゃお!)
バッ バッ ブリブリブリブリ!
カザマは Zパワーを 身体に まとった!
ジュナイパー(なんなんだそのポーズ……)
カザマが 解き放つ
全力の Zワザ!
シ ャ ド ー ア ロ ー ズ ス ト ラ イ ク !
しんのすけ「カザマくん! ファイヤーッ!」
ジュナイパー『気を取り直して――行くぞッ!』バサッ
ジュナイパー『気を取り直して――行くぞッ!』バサッ
カザマは真上に飛翔すると、周囲に無数の矢羽根を扇形に並べた。そして矢羽根と供にニャヒートへ急降下する!
そしてニャヒートに直接攻撃したと同時に無数の矢羽根がニャヒートや周囲に突き刺さり、黒紫の爆発を引き起こした!
ドッゴォォォォン!!
ニャヒート「ニャアアアッ!!」
ドサッ ゴロゴロッ
ニャヒート「ニ……ニャア」
ハウ「……!」
ジュナイパー『――っふう! 結構危なかったな』
しんのすけ「イエーイ、オラたちの勝ちー!」
ハウ「うんー、いい勝負だったー! しんのすけの新しいポケモンもごきげんだねー」
ハウ「ポケモン勝負ってさー、勝ったり負けたりだからー、楽しまなきゃ損だよねー」
しんのすけ「そう? なんかさっきマサオくんとかカザマくん出した時のハウくん、なんか楽しむより焦ってたように見えてたけど」
ハウ「えー? そうかなー?」
ハウ「うー……競馬じゃないんだからー」
ハウ「……なーなー、しんのすけってーカプ・コケコから石をもらったんだよねー」
しんのすけ「そうだよー。どうせならサインもくれたらよかったのに」
ハウ「でも、周りから石をもらった事とか、5歳で島巡りってすごいとか言われてー結構プレッシャーにならないー?」
しんのすけ「プレッシャー? 別に?」
ハウ「ホントー?」
しんのすけ「でもー、島巡りしてライチおねいさんとかビッケおねいさんにぃ、ルザミーネおねいさんに褒められたのは嬉しいですなぁ~あは~」
ハウ「……」
ハウ「おれ、しんのすけのそーゆー自分に正直で素直なところ、羨ましいなーって思うー」
しんのすけ「いやーそれほどでも。ハウくんも素直になれば?」
ハウ「うんー! 勝負してくれてありがとーしんのすけ! ポケモン、元気にしてあげるねー」
???「軽く見られていいなら、せいぜい騒がしくしてな……」
しんのすけ&ハウ「!」
ハウ「わー! でたー!!」
しんのすけ「……誰だっけ?」
グラジオ「……」ジロッ
ハウ「スカル団の用心棒の人だよー!」
しんのすけ「あ、クジラくんかぁ!」
グラジオ「……クジラじゃない、グラジオだ」
グラジオ「ところで、スカル団がコスモッグというポケモンを探している……。オマエら、なにか知っているか?」
しんのすけ「オラ知っt……ムグッ」
ハウ「お、教えないよー!」
グラジオ「……フッ、コスモッグ自体は強くないポケモンだ。だが、あいつはとんでもないポケモンを呼びよせかねない……。なにかあれば、アローラに災厄が訪れるぞ……!」
ハウ「災厄って、ひどいことー? もしかして……」ゾォォッ
~しんのすけの妄想~
おとなのおねえさん「ぎゃおー食べちゃうぞー!」グワー
バトルガール「たかいたかいしてやるー!」グイッ
ビキニのおねえさん「ふみつけてあげる!」フミッフミッ
~妄想終了~
しんのすけ「うひゃーたまりませんなぁ///」
グラジオ「お前はナニ考えてるんだ……!」
ハウ「じゃあ、どうすればいいのー?」
グラジオ「……コスモッグを知っているなら、守ってやれ! まがりなりにもスカル団の用心棒をしているが、これだけはアドバイスしてやる」
グラジオ「コ ス モ ッ グ だ け は 守 れ ッ ! !」ギンッ
スタスタ
ハウ「どういうことー? それに、どこに行くのー!?」
グラジオ「……それにしてもスカル団、コスモッグの存在をどこで知ったというのだ?」ブツブツ
ハウ「行っちゃったー……」
ハウ「とにかく、リーリエとコスモッグを守ればいいんだよねー!! よーし! 次の試練もこなして、もっともっと強くなるー!」ボッ
しんのすけ「うーん、オラはそろそろ晩ご飯を食べたい気分」グゥ
ハウ「しんのすけー」
しんのすけ「お?」
ハウ「おれさー島巡りをこなして、カプ・コケコに認められ、しまキングになるんだー!勝ち負けを競いつつも、楽しいポケモン勝負を広めたいしさ」
しんのすけ「ハウくんならしまキングになれるよ」
ハウ「ほんとー?」
しんのすけ「タブンネ」
ハウ「」ズルッ
ハウ「多分かよー。でも、ありがとーしんのすけ。いっしょにチャンピオン、めざそーね!!」
しんのすけ「おねいさんにモテモテになるためやってやりますか。で、オラたち、どこに向かってるんだっけ?」
ハウ「エーテルハウスでしょー? しんのすけもアセロラの試練受けるんじゃないのー?」
しんのすけ「おおっ、こってり忘れてた! あれ? ハウくんもアセロラちゃんとお尻合いなの?」
ハウ「うんー場所を教えてもらったのー」
しんのすけ「なんかエレベーターみたいなのがあるね」
ハウ「博士が言ってたんだけど、あれでちょっと登ったあと、雪の中を歩いててっぺんまで行くらしいよー」
ハウ「そういえば、ラナキラマウンテンのてっぺんにポケモンリーグができるらしいねー。遠い地方にあるポケモンリーグにはー、四天王と呼ばれるめっちゃ強いトレーナーが4人いるんだってー!」
しんのすけ「オラ知ってる! カスカベ地方にも四天王がいるもん」
ハウ「四天王としまキングって、どっちが強いのかなー? なんかワクワクするよねー!」
しんのすけ「そりゃカスカベの四天王が一番でしょ! アクション仮面なんてチャンピオンだもん」
ハウ「へぇー、四天王なら本気のじーちゃんと戦わせてみたいなー」
しんのすけ「うんうん、きっといい勝負を繰り広げるでしょうな」
ハウ「カスカベ地方も、島巡りできるかなー? 行ってみたいなー」
しんのすけ「ハウくんもカスカベ地方においでよ。なんもないけど楽しいところだから」
ハウ「あははーなんか矛盾してるよそれー!」
ハウ「おー! しんのすけ、エーテルハウスだねー!」
しんのすけ「ここがあの女のハウスね!」
ハウ「さ、入ろ入ろー! アローラ!」プシュー
しんのすけ「おじゃましますとらいくはばったーあうと」
子供たち「!」
しんのすけ「あれ? アセロラちゃんいないの?」
男の子「知らないヤツだ!」
女の子「ポケモンしょうぶね!」
ハウ「えー? えー!?」
子供たち「アセロラねーちゃんの留守を守るー!!」
ヤングース「きゅう!」ガブッ
ハウ「うわー! なんか噛まれたー!」ジタバタ
しんのすけ「正義は勝つのだ! ワッハッハッハッ!」
男の子「ワッハッハッハッ……あれ?」
ハウ「しんのすけはこっちの味方でしょー?」
プシュー
アセロラ「ただいま! おー! もう仲良くなってる! しんちゃんとハウくん一緒に来たんだね!」
ハウ「痛いほど仲いいのかー」ダラー
しんのすけ「頭から血ィ出てるよ。あれ? リーリエちゃんは?」
アセロラ「ハプウちゃんと一緒! そのうち来るんだって。その間に試練を終わらせてみんなでご飯作ろうよ!」
ハウ「おーいいねー! みんなでご飯食べれば楽しいもんねー」
しんのすけ「ハウくんは現在進行形で食べられてるけどね」
ナニヲスルノデス、ヤメテクダサイッ!>
アセロラ「なんだろう? 外に誰かいるみたい」
しんのすけ「お祭りかな? オラ見てくるー」ダッ
プシュー
しんのすけ(お、リーリエちゃんとスケスケおパンツ団だ! よーし)スーッ
リーリエ「触らないでください!」
しんのすけ「……」フリフリ
リーリエ(しんちゃん……?)
しんのすけ「……」シーッ
リーリエ「……」コクコク
したっぱB「珍しいポケモンなら、奪ってお小遣い稼ぎしたいっスカ。珍しくないポケモンでも、ちょいお小遣い稼ぎしたいのがスカル団の心理じゃないッスカ」
リーリエ「そ、そんなの勝手です!」
しんのすけは気配もなくしたっぱの真後ろに立つとしゃがんで両手を合わせ、人差し指と中指を立てた。そして鈍感なしたっぱのお尻に両手を狙い澄ますと……。
したっぱB「お前の理屈なんて知ったことじゃない――」
しんのすけ「アクションカンチョービーム!!」
ズ ボ ッ !
しんのすけ「おー飛んだ飛んだ」
したっぱB「」ビクビクッ
リーリエ「え? えぇ?」キョトン
したっぱB「カンチョーくらって、カンショーに浸るっスカ……」
しんのすけ「覚えてろ!」
したっぱB「それこっちのセリフでスカら!」フラフラ
リーリエ「はあ……しんちゃん。ありがとうございます……!」
しんのすけ「おケツが大したことなかったから、ラクショーでした」
リーリエ「トレーナー気分を味わいたくて、歩いていたんです。ハプウさんとお別れして……。そうしたらほしぐもちゃんが、バッグからでようとしちゃって……」
リーリエ「ほらあなたも、しんちゃんにお礼を」
ほしぐもちゃん「ぴゅう!!」
しんのすけ「んもー勝手に出ちゃ危ないでしょ。ケツだけ星人見せてあげないよ?」
ほしぐもちゃん「ぴゅ……」
リーリエ「それは見せなくていいです……」
リーリエ「そういうわけじゃないんです。……この子、なぜかモンスターボールを使っても入らなくって。バーネット博士によると、モンスターボール側がほしぐもちゃんをポケモンとして認識していないようで……」
しんのすけ「ふーん、大変なんですなぁ、ほしぐもちゃんも」
ほしぐもちゃん「ぴゅうぴゅう!」
リーリエ「それで、私からもお礼を。島巡りに役立てばうれしいのですが……」つ やみのいし
しんのすけ「なにこれ?」
ロトム図鑑「それはやみのいしだ。ほのおのいしのように、ポケモンを進化させられるぞ。売ったらちょっとした小遣いになるからくれ」
リーリエ「地域センターの掘り出し物市で見かけて、つい……」
しんのすけ「また寄り道したんだな」
ウィーン
アセロラ「あ、リーリエちゃんとしんちゃん? なんか騒がしかったから来ちゃった! 何があったの?」
しんのすけ「スケスケおパンツ団をカンチョーで倒してた」
アセロラ「スケスケおパンツ?」
アセロラ「それは大変な目にあったねー。くたびれちゃったでしょ? エーテルハウスで休んでってよ」
リーリエ「はい、アセロラさん。お言葉に甘えますね!」
アセロラ「しんちゃん! アセロラの試練は、カプの村から行くんだよ! ついてきて!」
しんのすけ「ほいほーい!」
リーリエ「試練、頑張ってくださいね。応援してます」
アセロラ「はーい! アセロラの試練する場所はここです!」
しんのすけ「なんかこわーい。ここじゃなくて別のところにしようよ」
アセロラ「しんちゃんはこれまでの試練を達成したんでしょ? 男の子なんだから、怖がらない怖がらない!」
アセロラ「では、どんな試練か説明しちゃいます! 跡地には、ゴーストタイプのポケモンがたくさんいるんだ。アセロラの試練はね、ここのぬしポケモンを、ポケファインダーで撮影することです!」
しんのすけ「じゃあ撮るよー。はい、チーズ!」
アセロラ「チーズ……って、アセロラちゃんを撮ってもしょうがないでしょ!」
ロトム図鑑「ぬしポケモンって、どんなポケモンだ?」
アセロラ「ナイショ。ヒントをいうと、ピカチュウにそっくりなポケモンだよ! 跡地にはぬしポケモンと同じ種類のポケモンが住んでるけど、ぬしポケモンは特有のオーラをまとっていて、ちょうどアセロラの腰までありそうなくらい大きいから違いはひと目でわかるよ!」
しんのすけ「ほい」
ロトム図鑑「丁寧に扱えよ」
アセロラ「ヘヘ、ロトムもゴーストタイプのポケモンだもんね! ここをこうしてっと!」カチャカチャ ピピピ
ロトム図鑑「ああん……そこダメェ///」
アセロラ「気色悪い声出さないでよ。はい、これで大丈夫」ハイ
アセロラ「じゃ、跡地に入ればアセロラの試練、はじめ! だからね。終わったら晩ご飯だからガンバって!」
しんのすけ「ほーい……怖いなぁ」シブシブ
試 練 開 始 !
ギィ……
メガやす跡地に入るしんのすけ。それを建物の窓から覗く、謎の影が……
???『……ボー』
気がつくと、ネネは草原に立っていた。
空には赤い月が浮かんでおり、夜空を赤黒く照らしていた。
ヌイコグマ『ここ……どこかしら?』
???『……ネネちゃん』
ヌイコグマ『だ、誰っ?!』クルッ
ピッピ人形「……」
ヌイコグマ『ピ……ピッピさん?』
ピッピ人形『そうだよ……やっと会えたね。へへー♪』フラフラ
ヌイコグマ『ひっ……! 』
ピッピ人形『ねぇ、ネネちゃんは、ずっと私を殴り続けているよね? なんで? なんで?』
ヌイコグマ『え……あの、その……』
ピッピ人形『なんで? なんで? な ん で ?』
ヌイコグマ『ひ、酷いことしてごめんなさい!』
ピッピ人形『ダメダメ、全てのピッピ人形の名にかけて、絶対に許さない』
ピッピ人形『大昔から言われてるでしょ? 人形をいじめたらバチが当たるって!』
ヌイコグマ『ぐ、ぐるじい……! だずげで! もう殴ったりしないから……』グググッ
ピッピ人形『殴ったりしない? 私はあなたに殴られ続けて、殴られることが存在意義になっちゃったのよーー!』
ヌイコグマ『じゃあどうしたらバチが当たらなくて済むの?』
ピッピ人形『そうねえ、あなたには生きて私を殴ってくれないと困るの。だから、これからのポケモン勝負に勝ち続けなさい』
ヌイコグマ『勝てば……勝てばいいのね?』
ピッピ人形『負けるのは許さないから。ポケモン勝負で最低でも1匹は倒しなさい。分かった?』
ヌイコグマ『は、はいっ!』
ピッピ人形『へへー♪ ネネちゃんが勝ち続けて私を殴ってくれるの、楽しみー』スッ
へへー♪ 楽しみ楽しみ
へへー♪ 楽しみ楽しみ
もし約束破ったら……ネネちゃんを私のものにしちゃうから
へーへーへー♪
ヌイコグマ『……ハッ! なんだ夢か』
ヌイコグマ『よかった、嫌な夢、見ちゃったな……』
ヌイコグマ『……ピッピ人形さん。まさか、ピッピ人形さんがまさか、ねぇ』
ふと、ネネは上を向いていた顔を前に向けると、そこにはピッピ人形が腹に乗っていた。
ピッピ人形「」
ヌイコグマ『ひいっ! いやあああああ!!』
へーへーへー♪
しんのすけ「ううっ、なんだかおまたが寒くなってきてる……」ブルブル
ジュナイパー(ボール)『それを言うなら背筋が凍る、だろ』
ヨワシ(ボール)『ひいい……でもホントに暗くて寒くて怖いよぉ』
ヌイコグマ(ボール)『みんな情けないわね、こんなのさっさと終わらせればいいじゃない』
ロトム図鑑「さっきポケチューブで『悪夢の赤い霧』を見たせいで余計こわい……」
ジュナイパー(ボール)『お前ゴーストタイプだろ……僕もだけどさ』
ヌイコグマ(ボール)『あら? カザマくんってくさ・ひこうじゃなかったっけ?』
ジュナイパー(ボール)『進化してゴースト・くさになったんだ。こおりタイプに少し強くなって、ノーマルとかくとうタイプの技が効かなくなったのはおおk……』
ガタタッ!!
しんのすけ「うわっ!」ビクッ
ジュナイパー(ボール)『ひっ!』ビクッ
ロトム図鑑「お、おい……今の音はなんだ?」ガクガク
ガタタッ! ガタタッ!
ヨワシ(ボール)『ひいい~っ! なんか動いてるよぉ!』
ヨワシ(ボール)『え~っ!? やだよぉ! カザマくん行ってよ!』
ジュナイパー(ボール)『なんで僕が! こういう時はレベルの高いネネちゃんが行くべきだろ!』
ヌイコグマ(ボール)『なんでよ! か弱い女の子を行かせるなんて最低! 最近役に立ってないぶりぶりざえもんが行きなさいよ!』
ロトム図鑑「ふざけんな! 私はか弱いロトム図鑑だぞ! したっぱのキサマらが行くべk」
ユラッ
ヌイコグマ(ボール)『 行 け 』
ロトム図鑑「ブ……ブキッ」
しんのすけ(ネネちゃん、ボールの中でピッピ人形殴ったな)
ロトム図鑑「…………」ソロソロ
しんのすけ「ぶりぶりざえもーん、調子どう?」
ロトム図鑑「うるさい! 話しかけんな! 気付かれちまうだろ!」
ジュナイパー(ボール)『何にだよ……』
ヨワシ(ボール)『もしかして幽霊? ひいい……』
ロトム図鑑(……このカートが動いたのか?)
ガタタッ!
バッ!
ゴース「イッショニノロワレーーッ!!」
ロトム図鑑「ぎゃああああ!」
しんのすけ「うわわーっ!」ダダダッ
ロトム図鑑「待て! 置いてくな!」
ロトム図鑑「というか、ここはどこだ?」
ジュナイパー(ボール)『もとはスーパーだから、そんなに広いはずはないけど……』キョロキョロ
フワフワ
ロトム図鑑「お、おい……今度はぬいぐるみが浮かんでるぞ」ブルブル
しんのすけ「わはは、時代遅れだなぁ。最近のぬいぐるみはホバー機能つきなんだよ」ガクガク
ジュナイパー(ボール)「そっちのほうがありえないだろっ!」
???『……気付いた』
しんのすけ「わ゛ーっ今度は誰かの声が聞こえたー!」ビクッ
???『落ち着いて』
しんのすけ「……え?」
ガサッ
???『ごめんごめん、驚かせるつもりはなかった』
しんのすけ「ボーちゃんの声だ!」
???『……ボ』
しんのすけ「……ピカチュウ? なんかぬいぐるみみたーい」
ジュナイパー(ボール)『ミミッキュだ! ピカチュウを模した布を被っているゴーストポケモンだよ!』
しんのすけ「ほうほう」
ミミッキュ(ボーちゃん)『きみ、ボールの中のポケモンと会話してたね。ポケモンと会話出来る人はとっても珍しいから、ついて来た』
ポンッ
ジュナイパー『君がぬしポケモンなの?』
ミミッキュ『ううん、僕じゃない。ぬしポケモンは僕と同じミミッキュだけど、あの部屋のなかにいるよ』スッ
ミミッキュが鼻水のように垂らした影を手の形に変えて示した先には、閉ざされた両開きの扉があった。
ジュナイパー『あの中か……』
ミミッキュ『うん、好き』
しんのすけ「わーい! やっぱりボーちゃんだ!」キャキャ
ミミッキュ『ボーちゃん……?』
ジュナイパー『おいおい、試練中はポケモン捕まえちゃダメだぞ。ルールなんだから』
しんのすけ「えー? したかない、じゃあお近づきの印にどうぞ」つ やみのいし
ミミッキュ『ボ! いいの?』キラキラ
しんのすけ「けっこうけっこう、かぷこけこー!」
ミミッキュ『ありがと、このお礼は試練が終わったあと、必ずするから。じゃ、また後で』
モゾ モゾ
しんのすけ「最後にボーちゃんが見つかってよかったー」
ヌイコグマ(ボール)『間が悪かったわねぇ、試練じゃなかったらゲットできたのに』
ヨワシ(ボール)『でも、もし仲間になってくれたら、もっとにぎやかになって楽しくなるね!』
ジュナイパー『そうしたら4人目の仲間だよ、試練が終わったら、また会いに行こう!』
みんな『「おーーーっ!」』
ロトム図鑑「というわけで、ここにぬしポケモンがいるわけだな。さっさと撮って引き上げようぜ」
しんのすけ「おうっ」
ジュナイパー(ボール)『さっきまでみんな怖がってたけど、仲間になりそうなポケモンが見つかって、やる気になってる。いいぞ、この調子で達成しちゃおう』
ギィーッ
しんのすけ「なんかせまーい」
ロトム図鑑「壁に写真が貼り付けてあるな……ピカチュウばっかりだ」
しんのすけ「ほうほう、いわゆるピカチュウ推しって奴ですな」
ギロッ
しんのすけ「!」クルッ
ミミッキュ「…………」
ミミッキュ「……」スッ
ロトム図鑑「なんだ? さっきとは様子が変だぞ」
ジュナイパー(ボール)『さっきのミミッキュとはサイズが違う! こいつがぬしポケモンだ!』
ミミッキュ「ミ タ ァ ァ ァ !」ゴウッ!!
メガやす跡地 ぬしポケモン
ミミッキュ 出現!
しんのすけ「おおっ、ぬしポケモンだったのかー! よーし、マサオくん! レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ
ヨワシ(群れ)『おうっ! 任せとけぃ!』
ヨワシ『ぶっ潰してやるぜ! オラッ!』ブッシャーッ!
ドドドドド!!!
ミミッキュ「タ……ッ!」
しんのすけ「おおっ! 新しい技?」
ロトム図鑑「あれはハイドロポンプだ。みずタイプ最強の技だぞ」
しんのすけ「おおっ、すげー!」
シュウウウ……
しんのすけ「やっつけたのかな?」
ヨワシ『へっ、これ食らって生きてられる奴は――』
部屋から水が引くと、そこには無傷のミミッキュが立っていた。先ほどと様子が違うのは、被っているピカチュウの首が傾いているだけだった。
ミミッキュ「キュー」コテン
ヨワシ『……いないはずなのに』
しんのすけ「ダメだなぁマサオくん」
ヨワシ『ンな馬鹿な! オレは確かに攻撃を当てたぜ!』
スゥーッ
ゴースト「タマシイヨコセーッ!!」カッ
呼び出されたゴーストの目が怪しく輝く!
ヨワシ『――あ』クラッ
しんのすけ「マサオくん……?」
ヨワシ「……ZZZ」
しんのすけ「どうしたの? マサオくん!」
ジュナイパー(ボール)『催眠術だ! マサオは眠らせられたんだ!』
ミミッキュ「キューッ!」ジャキンッ!
ゴースト「ケケケーッ!」ブゥゥン
ミミッキュが影の爪で切り裂くことで、ゴーストはナイトヘッドでマサオを纏うヨワシを散り散りにしていく!
しんのすけ「マサオくん! 起きなさい! 朝ですよーっ!」
ロトム図鑑「ジリリリリリリ!!!」(※アラーム音)
ミミッキュ「タタリーッ!」ジャキンッ!
ズバッ!
バララッ
ヨワシ(単)『ご、ごめんなさい、ボクの甲斐性が悪いだけだから……離婚届は出さないで』
しんのすけ「あ~ん、群れが散っちゃった……!」
ロトム図鑑(夢の中でもリアルおままごとか)
しんのすけ「じゃ、しょうがない。ネネちゃんに頑張ってもらおうかな」スッ
ジュナイパー(ボール)『いや、待ってくれ。僕を出して欲しい』
ヌイコグマ(ボール)『なんでよ? しんちゃんが出てって言うんだからいいじゃない』
ジュナイパー(ボール)『ネネちゃんの攻撃技って、ほとんどノーマルとかかくとうタイプがほとんどだろ? 相手はゴーストタイプだから、ダメージが通らないんだ』
ヌイコグマ(ボール)『そんなの、やってみなきゃ分からないでしょ? ホントは出番が欲しいだけじゃないの?』
ジュナイパー(ボール)『そうじゃないって、ホントのことだよ!』
しんのすけ「オラどっちでもいいんだけど……」
ポンッ
ジュナイパー『よーし、いい判断だぞしんのすけ!』
ヌイコグマ(ボール)『けっ、次は絶対ネネが出るんだから』
ゴースト「ヒヒヒ……!」カッ
ジュナイパー『眠らされるのはまずい! 目を閉じなきゃ!』ギュッ
カザマが目を閉じたと同時にミミッキュが飛び出して、影の爪でカザマの身体を切り裂く!
ミミッキュ「キュッ!」ブンッ
ジュナイパー『ぐあっ!』ザクッ!
ジュナイパー(先にゴーストをどうにかしないと、同じことの繰り返しだ!)
ジュナイパー『喰らえ、かげぬい!』バッ
ゴースト「ヒッ!?」ドゴンッ!
ミミッキュが影の手を作ると、カザマの両翼を模して、黒いオーラを放つ弓矢を放った!
ドスッ
ドガァァン!!
ジュナイパー『うわぁぁぁっ!』
ジュナイパー『い、今のはかげぬい!? しまった、これじゃ動けない!』
しんのすけ「カザマくんの技をパクったのか」
ロトム図鑑「まねっこか」
ゴースト「ゾゾンビーッ!」カッ
ジュナイパー『うっ、マズイっ!』メヲトジルッ
ミミッキュ「キュッ!」ブンッ
ジュナイパー『うわぁぁっ!』ザクザクッ
ロトム図鑑「袋叩きか。カザマならぬ無様な姿よのう」
ヌイコグマ(ボール)『だからあたしに任せてって言ったのに……』
――ゴースト「タマシイヨコセーッ!!」カッ
――ゴースト「ゾゾンビーッ!」カッ
しんのすけ「そーだ!」ピーン!
しんのすけ「ぶりぶりざえもん、ちょっといい?」
ロトム図鑑「おいっ、ポケファインダーにしてなにをするつもりだ」ピコピコ
しんのすけ「えーっと、自撮りモードってこれだっけ」
ゴースト「チニウエテイルッ!」カッ!
ジュナイパー『くっ……このまま何もできないまま、やられちゃうのか……?』
しんのすけ「やいっ、これでも喰らえっ!」バッ
ジュナイパー『しんのすけ……?』
ブンッ
ゴーストの目が光った瞬間、しんのすけが投げたぶりぶりざえもんのポケファインダーがさいみんじゅつを使ったゴースト自身の姿を映し出した!
ゴースト「レ!? ……ZZZ」ガクッ
ヌイコグマ(ボール)『ポケファインダーの機能を鏡代わりにしたのね!』
ジュナイパー『よしっ、しんのすけでかした!』
ロトム図鑑「私は無事じゃないぞ……!」
ジュナイパー『今度はこっちの番だっ! かげぬいをお返ししてやるっ!』バシュッ!
ミミッキュ「キュッ!?」ドンッ
ジュナイパー『しんのすけ! Zワザだ!』
しんのすけ「おーし!」
バッ バッ ブリブリブリブリ!
カザマは Zパワーを 身体に まとった!
カザマが 解き放つ
全力の Zワザ!
シ ャ ド ー ア ロ ー ズ ス ト ラ イ ク !
ジュナイパー『行くぞッ!』バサッ
カザマは真上に飛翔すると、周囲に無数の矢羽根を扇形に並べた。そして矢羽根と供にミミッキュへ急降下する!
そしてミミッキュに直接攻撃したと同時に無数の矢羽根がミミッキュや周囲に突き刺さり、黒紫の爆発を引き起こした!
ミミッキュ「キュ、キュウーッ!」
しんのすけ「おーっ、効果は抜群だー!」
ジュナイパー『しんのすけ、ポケファインダーで撮るのを忘れるなよ!』スタッ
しんのすけ「おっと、ぽっきり忘れるところでした」スッ
カシャカシャ
しんのすけ「んー、オラおねいさんの方がいいけど、仕方ありませんか」
ジュナイパー『でもこれで、試練達成だね!』
しんのすけ「あー、やっと晩ご飯が食べられる」
ジュナイパー『さっきのミミッキュも探さなきゃね』
ロトム図鑑「まったく、ひどい目にあった……」ブツブツ
ガチャッ バタン!
ゴソッ
ミミッキュ(ボーちゃん)『ボー……あれがZワザに、Zリング』
ミミッキュ(ぬし)「きゅ……」
ミミッキュ(ボーちゃん)『やっぱり、あの子について行けば、なにかわかるかも』
ギイッ
しんのすけ「ほっほーい! 撮ってきたよー」
アセロラ「おかえり、しんちゃん! さっそく写真確認ね! どれどれ……」ピコピコ
アセロラ「うん! ミミッキュだ! あのコ、うまく撮影するの難しいのにすごい! では、試練達成の証にゴーストZをあげちゃいます!」
しんのすけは ゴーストZを 手に入れた!
しんのすけ「正義は勝つ! ワッハッハッハッ!」
試 練 達 成 !
バッ バッ ヒュウウ……バァーン!
しんのすけ「ほうほう」
バッ バッ ブリブリ……バァーン!
アセロラ「おしりは出さなくていいの!」
しんのすけ「あ、そうだ! さっきオラ、ボーちゃんを見つけたんだっけ。仲間にしなきゃ」
アセロラ「ボーちゃん……って?」
しんのすけ「オラのお友達。さっきもぬしポケモンのいる奥の部屋を教えてくれたの」
アセロラ「え? もう、しんちゃんってばわたしを驚かせようとして。でもバレバレ! だって、跡地の奥に部屋なんてないんだよ……」
しんのすけ「????」
アセロラ「あれ……? なんだか冷えてきた……? って、そんなわけないか」
ジュナイパー(ボール)『え? じゃあ僕たちがあのぬしポケモンと戦っていた部屋って……?』ブルブル
???「ボー……」
しんのすけ&アセロラ「!」
ミミッキュ(ボーちゃん)『試練おつかれ』
しんのすけ「おー、ボーちゃん! 来てくれたんだぁ」
ミミッキュ『石のお礼、まだしてなかったから』
アセロラ「その子がボーちゃんなの?」
しんのすけ「まーね、石が好きで、ここらへんの黒い鼻水みたいなの垂れてるところがカスカベ地方に住んでるボーちゃんに似てるからボーちゃん」
アセロラ「そういえば、石を集めている変わったミミッキュが跡地に住んでるって話、他の島巡りの人から聞いたことあるかも」
しんのすけ「ボーちゃん、オラたちと一緒に来てくれるの?」
ミミッキュ『うん、石をくれたお礼に島巡りのお手伝いしたい。それに、外に出て知りたいこともあるから』
しんのすけ「うっひょー! 来てくれるならなんでもオーケーオーケーふろおーけー! ボーちゃん、よろしくね!」ギュウウウ
ミミッキュ『ボ!』
ジュナイパー(ボール)『これで4匹目の仲間だ! ボクはジュナイパーのカザマ、よろしくね!』
ヨワシ(ボール)『僕、ヨワシのマサオ。一緒に頑張ろうね』
ヌイコグマ(ボール)『あたしはヌイコグマのネネ。よろしくね!(仲間が増えたから、リアルおままごとでも出来ることも広がったわ! 彼にどんな役にさせようかしら?)』
しんのすけ「よーし! これでアローラのカスカベ防衛隊全員揃ったぞー! カスカベ防衛隊ならぬアローラ防衛隊完成だーイェーイ!」パンパカパーン
アセロラ(なんでしんちゃん、ミミッキュに向かって話しかけてるんだろう? ひょっとして、ポケモンとしゃべってるつもりなのかな?)
アセロラ「なんだかよくわからないけど、ミミッキュゲットおめでとう! この子はとっても心強い味方になってくれるはずだから、大事に育ててね!」
しんのすけ「もろちんっ!」
アセロラ「それを言うならもちろん、でしょ。じゃあエーテルハウスに戻って、晩ご飯の準備しよっか。その後はハウくんに試練を受けさせなきゃね」
しんのすけ「ほーい!」
ヨワシ『ボーちゃんってなんで石を集めてるの?』
ミミッキュ『ボ、石の不思議な魅力に惹かれたから。ほのおのいしやかみなりのいしのように進化する石もあれば、かわらずのいしのように進化させない石もある。知れば知るほど、奥が深い』
ジュナイパー『へぇー研究家なんだね』
ミミッキュ『こだわりもある。石の色、つや、形、肌触り、みんな大事。しんちゃんがくれたやみのいしは、僕が見てきた石の中でも一番だった』
ミミッキュ『ひんやりとした冷たい光沢、深淵そのものを表現したような黒さ、不安感を煽らせる複雑な形、これほど僕が惹かれた石は随分久しぶり』キラン
ヌイコグマ『だから、しんちゃんにお礼として仲間になったのね』
ミミッキュ『うん、だけど僕は、進化の石の他にも、Zクリスタルも興味がある』
ヌイコグマ『どうして?』
ジュナイパー『なるほど、ボーちゃんはやみのいしをくれたお礼と、しんのすけのZクリスタルに興味があって仲間に加わったんだな』
ミミッキュ『うん、僕はZクリスタルとぬしポケモンがまとうオーラの秘密が知りたい』
ヨワシ『すごいなぁ、ぼくそういうの全然考えたことないや』
ジュナイパー『でも確かに、ボクも気になってたんだ。ぬしポケモンがまとうあのパワーはなんなのか――』
アセロラ「二つも試練があって、お疲れだったね。晩ご飯なに作ろっか?」
しんのすけ「そうですなぁ、やっぱりバカうまな焼きそばとかたこ焼きとかコロッケとかー」
アセロラ「なんでそんなにB級グルメにこだわってるの?」
しんのすけ「B級グルメにはちょっとした思い出がありましてー」
アセロラ「あれ? エーテルハウスの前に誰かいる……?」
???「……おや?」
ハウ「あ、しんのすけー! スカル団がまた来たんだよー!」
アセロラ「スカル団!?」
しんのすけ「あ、いつぞやのスケスケおパンツ団のおねいさん!」
プルメリ「スカル団のプルメリだよ! いい加減覚えな」
したっぱB「ヨヨヨー! さっきはよくもカンチョーしてくれたな!」クネクネ
プルメリ「さてと、しんのすけだったね。アーカラ島であたいが言ったことまで忘れちゃいまいね」
しんのすけ「なんだっけ?」
ロトム図鑑「一緒にハチクマン3見に行く約束だったか?」
プルメリ「誰があんたらと行くかよ!」
プルメリ「次、邪魔したら本気でやるって言ったよね? 聞いたよ、したっぱを邪魔したどころか、ボスにも因縁つけたってね」スッ
しんのすけ「そんなの向こうが勝手に突っかかってきただけだし、オラわるくないもーん。モーンスターボールー」
プルメリ「ホントにムカつく子供だね……! あんたらはそこの子供とキャプテンの足止めしてな!」
したっぱE「ここでばっちり足止めして姉御に褒めてもらうぜ!」
ハウ「あわわーしんのすけ、気を付けてー!」
しんのすけ「だいじょぶだいじょぶ、すぐ終わらせるから」スッ
プルメリ「その減らず口、いい加減塞いでやるよ!」
スカル団幹部の プルメリが
勝負を しかけてきた!
ポンッ
ゴルバット「ゴルール!」バッサバッサ
しんのすけ「よーし、ボーちゃん! レッツラゴー!」
ポンッ
ミミッキュ(ボーちゃん)『ラジャ!』
プルメリ「そいつは新顔かい? 悪いけど、すぐにご退場してもらおうか。ゴルバット、あやしいひかりだよ」
ゴルバット「ゴルルッ!」バサバサッ!
パァァーーッ!
ミミッキュ『ボ……!』
ヨワシ(ボール)『た、大変だ! あの光を浴びちゃったら混乱しちゃうんだ!』
プルメリ「ゴルバット、エアカッターで痛めつけてやりな!」
ゴルバット「ゴルッ!」バサバサッ
ゴルバットが大きく翼をはためかせて空気の刃を放ち、ボーちゃんを切り裂こうとする!
ゴルバット「ゴル?!」
しかし、空気の刃が途中で弾かれて、空中で消滅した!
プルメリ「エアカッターが見えない何かに阻まれた……?」
ミミッキュ『ボッ!』メラッ
ボーちゃんの周りに青白い炎が出現すると、一斉にゴルバットへと襲いかかった!
ボウウッ
ゴルバット「ゴルルッ?!」メラメラ
プルメリ「チッ、おにびかい!」
ゴルバット「ゴルル……」シュウウ
更に、やけどを負っているゴルバットの背後に、影の手が素早く現れる!
ミミッキュ『えい!』
ザクッ!
ゴルバット「ゴッゴルル!?」フラッ
ゴルバット「ゴルッ!」バサバサッ!
再びゴルバットは翼をはためかせて、空気の刃をボーちゃんに向けて飛ばした!
しかし、またもやエアカッターは透明の壁に阻まれてしまった。
プルメリ「……やっぱりね、そいつは光の壁を張っているのか。しかもその様子じゃ、混乱してないみたいだね」
しんのすけ「オオタヒカルの壁?」
ジュナイパー(ボール)『光の壁! 相手の特殊攻撃を守るバリアーみたいな技さ』
プルメリ「なら――どくどくのキバだよ!」
ゴルバット「ゴルルルッ!」バサッ
ガプッ!
ミミッキュ『ボ……!』カクッ
しかし、ボーちゃんにどくどくのキバのダメージは入らず、被っているピカチュウの布の頭部が、コテンと傾いただけだった。
しんのすけ「あれ? ボーちゃん傷ついてない?」
アセロラ「ミミッキュはね、1回だけどんな攻撃も防ぐことができる、ばけのかわって言う強力な特性を持っているの。ただばれた姿になったら、普通に攻撃が通っちゃうから気を付けて!」
ジュナイパー(ボール)『そうだったのか、だからぬしポケモンのミミッキュにマサオくんのハイドロポンプが効かなかったんだな!』
ボーちゃんが空中に飛び出し、鼻水型の影を伸ばして、ゴルバットを切り裂く!
ザクッ!!
ゴルバット『ゴルッ!』
ドサッ
しんのすけ「おー、さすがボーちゃん!」
ミミッキュ『ボ』b
プルメリ「……チッ、厄介なポケモン持ってるね。だけどここからが本番さ」スッ
プルメリ「行きな、エンニュート!」
エンニュート「キーククククッ!!」
しんのすけ「どっかで見たぬしポケモンだ! ボーちゃん、イケる?」
ミミッキュ『任せて』グッ
プルメリ「エンニュート、どくどくだよ!」
エンニュート「どくどく~!」バシャッ!
ミミッキュ『――ボ!』サッ
プルメリ「そのままシャドークローだよ!」
エンニュート「キークッ!」ブンッ
回避直後を狙ってエンニュートが素早く飛び出し、ボーちゃんに向けて影に染まった鋭い爪を立てて一閃する!
ミミッキュ『ボっ?!』ザクッ!
しんのすけ「あーっ! ボーちゃん!」
ミミッキュ『……ボ!』ギンッ
ボーちゃんの目が妖しく光った瞬間、エンニュートの全身に寒気立つような恐ろしい感覚が襲いかかった!
エンニュート「!」ビクゥ
フラフラ
ミミッキュ『……しんちゃん、ごめん。他の誰かと変わって欲しい』
しんのすけ「えっ? もう?」
プルメリ「はんっ、一発もらっただけでおしまいかい」
ミミッキュ『大丈夫、しんちゃんたちが有利になれるように『置き土産』しておいたから』
ミミッキュ『そういう意味のおみやげ、じゃないよ』
しんのすけ「えーそうなの? ま、いいや、マサオくん、レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ!
ヨワシ『おうっ! このままぶっ倒してやるぜ!』
プルメリ「あの時のヨワシか。メンドーなヤツに育っちまったね」
プルメリ「まぁいいさ、エンニュート! メロメロにしちまいな!」
しんのすけ「メロメロン?」
エンニュート「ウッフゥーン」クネッ
しんのすけ「……え?」
エンニュートが取ったセクシーなポーズに、しんのすけは目が点になった。
しかし、マサオには……。
ヨワシ「」ズッキューン
エンニュート「どくどく~!」バシャッ!
ヨワシ「」ビシャッ!
しんのすけ「あーんマサオくん、なんで避けないの!」
ヨワシ『あ、あはは……天使が見えるよ』
しんのすけ「はぁ? いいから早く攻撃してよー!」
プルメリ「無理だね、そいつはエンニュートに夢中になっちまってるのさ。きっとオスだろうとアタリを付けてたよ」
しんのすけ「どゆことー?」
ロトム図鑑「恋の虜だ」
しんのすけ「片栗粉?」
ハウ「つまりマサオはー、エンニュートのメロメロで好きになって攻撃しにくくなっちゃったんだよー! しんのすけがおねいさんに攻撃できないのと一緒!」
しんのすけ「マサオくん……趣味悪っ」
エンニュート「キークククッ」ゼェゼェ
ブンッ
ヨワシ『い、いたいって、じゃれつかないで~』ザクッ
ヌイコグマ(ボール)『あぁもう、なにやってるのよあのバカッ!』
プルメリ「もう一度やりな! ぶっ倒れるまで続けるんだ」
エンニュート「キクーッ!」ハァハァ
ブンッ
ヨワシ『もうっ、エン子ちゃんったら~マイスイートハニー』ザクッ デレデレ
しんのすけ「だめだこりゃ」
ヌイコグマ(ボール)『しんちゃん! あたしを出して! あいつの根性叩き直してやる!』
ジュナイパー(ボール)『待って、なんか様子が変だぞ?』
ジュナイパー(ボール)『そっちじゃない! エンニュートの方だよ』
エンニュート「ハァッ! ハァッ!」ドクンドクン
カザマの言うとおり、エンニュートは明らかに様子がおかしかった。さっきと比べて全身から汗が吹き出て、顔色も悪くなり、左胸を抑えている。
プルメリ「どうした? エンニュート」
プルメリ(毒? いや、しんのすけが出してきたポケモンの中に、『ふしょく』の特性を持ってるヤツはいなかった。でも、今エンニュートは弱ってるのはどういうことかね?)
しんのすけ「風邪でも引いたのかな?」
ジュナイパー(ボール)『わからないけど、今がチャンスだ! マサオくんを引っ込めて別のポケモンを出すんだ』
しんのすけ「ほいほい、じゃあマサオくんとネネちゃんチェンジねー」ヒョイッ
ポンッ
ヌイコグマ『マサオくん、後で覚えておきなさいよ!』ダッ
プルメリ「エンニュート! はじけるほのおで迎撃だよ!」
はじけるほのおを打たせる前にネネが先制してアームハンマーを放つ!
エンニュート「ぎギッ!」ドズムッ
ヌイコグマ『あんたみたいにぶりっこしてるポケモンが一番ムカつくのよ!』
エンニュート「キキ……クククッ」ボッ
ヌイコグマ『キャッ!』メラメラ
プルメリ「そのままドラゴンクローで返り討ちにしな!」
エンニュート「キ……ク」ユラリ
姿勢を崩したヌイコグマに、エンニュートが爪を立てながら近づく。
ヌイコグマ『う……!』
プルメリ「!?」
ヌイコグマ『え?』
エンニュート「キ、キ……」ブクブクブク
ドサッ!
エンニュートは攻撃する直前、眼球が上を向いて口から泡を吹くと、そのまま力尽きて倒れてしまった。
ヌイコグマ『なんで? なんか急に泡吹いて倒れちゃった……』
エンニュート「」ビクビクッ
プルメリ「気を失ってる……何が起きた?」
アセロラ(あれってひょっとして……のろい?)
しんのすけ「……あ!」
――大丈夫、しんちゃんたちが有利になれるように『置き土産』しておいたから
しんのすけ「ボーちゃん、なんかやった?」
ミミッキュ(ボール)『……ボ』b
しんのすけ「おお、にひる」
プルメリ「ただ、ポケモンを返してほしければ、あんた一人で来るんだ」
しんのすけ「オラひとりで? いやーん、おデートのお約束?」
プルメリ「ハァ……ある種うらやましくなるね、その能天気さ」
アセロラ「ちょっと! ポケモンを返すってどういうこと!?」
プルメリ「あの家ン中見てみりゃわかるよ」
プルメリ「さて、しんのすけ。あんたはボスがお待ちかねなんだ。ポータウンの、あたいらのアジトで! せいぜい覚悟しておくんだね」
ザッザッ
しんのすけ「顔を洗って待ってろよー!」
アセロラ「首を洗って、でしょ!」
ハウ「うう……負けちゃいけない勝負は楽しくないよー」ガックリ
しんのすけ「みんなそれだけ必死ってことだゾ、ハウくん。トイレ駆け込む時だっていちいち楽しんでらんないでしょ」
ハウ「それって、正しい喩えって言えるのー?」
アセロラ「そんなことより、みんな大丈夫なの?!」ダッ
アセロラ「ねぇ、みんな大丈夫?!」
リーリエ「は、はい。この子達は大丈夫です。ですがスカル団の方が……」
男の子「ふええ~ん! ヤンちゃんが! ヤンちゃんが!」
女の子「ヤンちゃん……グスッグスッ」
リーリエ「この子達のヤングースさんが、スカル団の人たちに取り上げられたのです……」
アセロラ「……許せないっ! ていうか、スカル団のわりに頭いいことしちゃって!!」
しんのすけ「盗むのはスケスケおパンツだけじゃなかったのね」
ハウ「ポケモンを返してほしければ、しんのすけ一人でポータウンのスカル団のアジトに来いって、あいつら言っていたよね……」
リーリエ「そんな……! しんちゃん一人で来てって、とても危険です。スカル団になにをされるか……」
ほしぐもちゃん「ピュイ……」
しんのすけ「じゃあ、お助けに行ってきますか」
アセロラ「ちょっと、リーリエちゃんの話聞いてたの?」
しんのすけ「うん、ヤンちゃんがさらわれたからオラがお助けに行けばいいんでしょ?」
リーリエ「あの……そうじゃなくて、みんなしんちゃん一人で行かせるっていうのが危険ってことを話してたんです」
しんのすけ「へーきへーき! カスカベ防衛隊隊長のオラがいて良かったですな。あ、今はアローラ防衛隊の隊長かー」
アセロラ「おバカなこと言わないで! ヒーローごっこしてる場合じゃないんだよ!」
アセロラ「みんなしんちゃんの事が心配なの! しんちゃん一人危ない目に合わせられないでしょ!」
しんのすけ「ほーほー、じゃあなにすんの? ここでじっと考えてスケスケおパンツ団のところからヤンちゃんが帰ってくるの待ってるの? 助け呼んでる間にヤンちゃんあんなこととかこんなこと、されちゃうかも」
アセロラ「……っ、それは」
しんのすけ「ひょっとしたら、あっはんでうっふんなことされて、ヤンちゃんスケスケおパンツ団に夢中になっちゃうかも」
アセロラ「ヤンちゃんにそんなスケベなことするわけないでしょ! さすがに!」
ハウ「それどれじゃなくて、あれこれでしょー」
しんのすけ「そうともゆー」
アセロラ「…………」
しんのすけ「というわけで君たち、アローラ防衛隊隊長のオラがヤンちゃんをお助けに行ってくるから、泥船に乗った気持ちで待っててね。だから泣かないの」
男の子「う、うん……」グスッ
女の子「これ……あげる」つマラサダ
女の子「だから……ヤンちゃんのこと……お願い」
しんのすけ「おうっ、オラにまっかせなさいっ!」ドンッ
しんのすけ「じゃ、そゆことでー!」ダッ
リーリエ「あっ! しんちゃん! ダメですっ、戻ってください!!」
ハウ「危ないよー! ホントに行っちゃうのー?!」
アセロラ「……しんちゃん」
しんのすけ「……あれ? そういえばスケスケおパンツ団のアジトってどこにあるんだっけ?」
ロトム図鑑「私は面倒だから行かないぞ」
しんのすけ「ぶりぶりざえもんも来るの! ぶりぶりざえもんだってアローラ防衛隊の一人なんだから」
アセロラ「しんちゃん!」タタタッ
しんのすけ「お?」
アセロラ「よかった、まだ遠くに行ってなかったんだね」
しんのすけ「どしたの?」
アセロラ「……スカル団たちのいるポータウンの近くまで連れて行ってあげる。一人じゃどう行けばわからないでしょ?」
ロトム図鑑「猛反対してたのにか?」
アセロラ「さっきは怒鳴ったりしてごめんね。アセロラ、しんちゃんのこと心配だったから」
アセロラ「ずっとエーテルハウスに住んでるあの子達の面倒を見てたから、どうしてもしんちゃんとその子を重ねちゃってたの」
しんのすけ「オラは積み木じゃないゾ」
アセロラ「そういう意味の重ねる、じゃないよ」
しんのすけ「あれ? リーリエちゃんとハウくんは?」
アセロラ「2人は子供のことを任せてるよ。ハウくんも、ハラさんの孫ならきっとあの子達とリーリエちゃんを守ってくれるもんね」
しんのすけ「じゃあさっさと行きますか。スケスケおパンツ団のアジトってどこ?」
しんのすけ「持ってないよ。なにそれ?」
アセロラ「エー!? 持ってないの?! よく島巡りできたね!」
しんのすけ「それほどでも~」
アセロラ「うーん……仕方ないか。確かしんちゃんは、群れたヨワシがいたよね? その子に乗って16番道路に行こうよ!」
しんのすけ「おーし、マサオくん! レッツラゴー!」
ヨワシ『おうっ! 派手に飛ばすからしっかり捕まってなァ!』ザバァ!
アセロラ「でもさっき、アセロラちゃん、お口あんぐりしちゃった。しんちゃんって、見た目より大人なんだね」
しんのすけ「インドぞうさんはまだ子供だけどね」ジー
アセロラ「人格の話! 女の子の前でそういうこと言っちゃダメだよ!」
アセロラ「……アセロラも、ただ子供たちを守ってるだけじゃダメかもね。しんちゃんに負けないくらい、あの子達も強くなって誰かを守れるようにしなきゃ」
しんのすけ「うーむ、ならあの子たちは将来ムボウなアローラ防衛隊隊員ですなぁ」
アセロラ「将来有望、でしょ。アローラ防衛隊ってなに? アローラ地方を守る秘密組織?」
しんのすけ「そうそう、もともとはカスカベ地方にある、愛と正義のカスカベ防衛隊の兄弟みたいなものでー、隊長はもちろんオラ! 隊員はオラのポケモンとハウくんと、リーリエちゃんなんだゾ」
アセロラ「しんちゃんが隊長? なら、アセロラも隊員になっちゃおうかな」
しんのすけ「おおっ、隊員しぼーなら歓迎だよ」
しんのすけ「背中をかく?」
アセロラ「寝首をかく、だよ。 まぁ、隊長さんは知らなくていい言葉かもねー」ムフフ
しんのすけ「????」
アセロラ「あ、しんちゃん……この先だよ。ウラウラの花園を抜けたら18番道路に出るよ。そこにスカル団がたむろしているポータウンがあるから」
しんのすけ「ほうほう」
アセロラ「くれぐれも、真正面から突入して、真っ向からスカル団と相手をするようなことはしちゃダメだよ。スパイのように、こっそり忍び込むんだよ」
しんのすけ「ほーい! アローラ防衛隊最初の任務は、スケスケおパンツ団にさらわれたポケモンの救出! 隊長のオラが直々にお助けしまーす!」ビシッ
アセロラ「うん、頑張って隊長さん! アセロラ、応援してるから」ビシッ
ドラコ「いじっぱりのドラコ!」カーン!
おキン「れいせいのおキン!」カーン!
マミ「ひかえめのマミ!」カーン!
3人「三人合わせて、『スカル団黒ガバイト隊』!」バァーーーン!!!
ドラコ「ったく……グズマさんも人使いが荒いぜ。こんな雨の中入口を守るなんてよ」
おキン「しょーがないっスよリーダー。くじ引きで負けちゃったんスから」
マミ「そうそう、でも中でバリケードを守ってる奴らもこの雨の中つっ立ってないといけないから、お互い様だって」
ドラコ「あーあヒマだなぁ、ウラウラの外に出て刺激的なことしてぇな」
テクテク
おキン「……!」
マミ「リーダー、誰か来やすよ」
ドラコ「あいつは、じゃがいも小僧か!」
しんのすけ「おー誰かと思ったら、お笑い芸人の師匠!」
しんのすけ「お笑いの不良品?」
ドラコ「不良品でもねーよ! 絶対に売れてやるから!」
マミ「リーダー、それお笑い芸人と認めてるようなもんスよ……」
おキン「つーかお前、こんなとこまで何しに来たんだ? スカル団に入りに来たのかよ?」
しんのすけ「あ、そーだ。オラ、ヤンちゃんのお助けしに来たから、今は師匠たちのお相手してるヒマないんだった」
マミ「ヤンちゃん? 知らねーな、そんなの」
おキン「どうします? リーダー。こいつ追い払っちゃいますか?」
ドラコ「そうだな、また師匠だなんだと言われたらたまらねぇしな。おい、おキン、アンタが相手してやれ」
おキン「へいっ! というわけだじゃがいも小僧、痛い目遭いたくないなら帰んな」スッ
しんのすけ「オラ、帰らないもん。アローラ防衛隊として、ヤンちゃんをお助けしなきゃ!」スッ
おキン「ハッ、じゃあ無理矢理にでも追っ払ってやるよ!」
スカル団のしたっぱのおキンが
勝負を しかけてきた!
ポンッ
ナックラー「クァウッ!」
しんのすけ「ネネちゃん、レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ
ヌイコグマ『ネネが相手よ! かかってきなさい!』
ドラコ「あん? ヨワシじゃねーのか?」
マミ「なら楽勝じゃん、とっとと倒しちゃいな!」
おキン「ナックラー! かみつく!」
ナックラー「クァーッ!」ガブッ
ヌイコグマ『痛いじゃない! なにすんのよ!』ブンッ!
ナックラー「ナクッ!」ドゴォ!
ネネちゃんに投げ飛ばされたナックラーが壁にぶつけられる。更にネネちゃんは右腕を振りかざして、ナックラーに飛びかかる!
ヌイコグマ『ネネ・パーンチッ!(アームハンマー)』ブンッ
ナックラー『ヤナカンジーー!!』ヒュウウゥゥ……キラン
マミ「う……うそだろ? ただのヌイコグマなのに」
しんのすけ「どーだまいったか! ワッハッハッハッ! さあ観念して門を開けなさい!」ビシッ
ドラコ「チッ、おい! お前ら門の中に入れ!」
おキン&マミ「へ、へいっ!」ダッ
ガラララッ ドタドタッ
ドラコ「わりぃけど、じゃがいも小僧は入れられないな! ここは遊び場じゃないんでね」
しんのすけ「こらーっ! 逃げるなんて卑怯だぞ!」
ガラララッ ピシャッ
しんのすけ「ぬーっ! このっこのっ開けろー!」ドンドンッ
???「坊主……」
しんのすけ「ん?」クルッ
クチナシ「そんなか、入りたいのかい」
クチナシ「クチナシ、だよ」
しんのすけ「ああ! ポケモンセンターにいた幸薄そうなしまキングのおじさん!」
クチナシ「で、入るつもりなのかい?」
しんのすけ「だって入らないと、ヤンちゃん助けられないじゃん」
クチナシ「中に進むなら、覚悟が必要だぜ? 誰かを助けるにしろ、スカル団と戦うにしろ、あるのかい? 覚悟ってやつ」
しんのすけ「うん!」
しんのすけ(ところで、かくごってなんだろう?)
クチナシ「まぁ、色々あるわな。おじさんもワケありでね、扉を開けてもらえるしよ」
ロトム図鑑「まさか、貴様はスケスケおパンツを盗んだ前科でもあるのか?」
しんのすけ「えぇ、そうなの?」
クチナシ「なんでそういうふうになるんだよ……。ま、ホネは拾ってやる」
しんのすけ「チキンのホネ拾いのお掃除? 大変だね、おじさん」
クチナシ「違うっての……大丈夫か、お前」ハァ
ザーザー
しんのすけ「なかなかハイザラな街だね」
ロトム図鑑「それを言うならサハラ」
スカりん「ハイカラ、だよねースッチー」
スッチー「ねースカりん」
しんのすけ「おおっ、アローラのはた迷惑バカップル」
スッチー「てゆうかスカりん、子供が勝手に入ってきたけどどうしよう?」
スカりん「ほっとけばいいよ。だって僕にはスッチーがいるもん」
スッチー「それもそうね!」
スカりん「このバリケードだって、抜け道を見つけられなきゃ越えられないもんね!」
スッチー「雨が降ってるけど、スカりんが温めてくれて、こうして立ったまま仕事できてラクよねー」
スカりん「スッチーのくじ運がいいおかげさ!」
スカりん「スッチー!」ギュッ
スッチー「スカりん!」ギュッ
しんのすけ「ぶりりん!」ギュッ
ロトム図鑑「しっチー!」ギュッ
ジュナイパー(ボール)『二人とも何やってるんだよ! 早く助けに行くんだろ?』
しんのすけ「あ、そうだった」
ロトム図鑑「どうやらあの奥のお化け屋敷がヤツらの本拠地のようだな」
しんのすけ「スケスケおパンツ団の基地なのに、なんか地味ー。もっと盗んだスケスケおパンツがぶら下がってるもんだと思ってた」
ジュナイパー(ボール)『それじゃあただの変態集団の住処じゃないか!』
しんのすけ「あの穴じゃない? あの家の垣根」
ヨワシ(ボール)『案外近くにあったね……』
ジュナイパー(ボール)『間抜けなスカル団っぽいけどね。さ、早く助けに行こう』
ロトム図鑑「え~やだぁ、怖ぃ~」
しんのすけ「かわいいなぁ」
ジュナイパー(ボール)『あ、あのねぇ……』
しんのすけ「うーん、SSだからラクラクに進めましたな」
ヌイコグマ(ボール)『しんちゃん、なに言ってるの?』
ジュナイパー(ボール)『なんとかここまで進められたけど、入口付近にスカル団がたむろしてるな……。真正面から入っていくわけにもいかないし』
ミミッキュ(ボール)『僕たちの力を合わせればいい』
ポンッ!
ミミッキュ『僕たちがしんちゃんのサポートをして、屋敷の中に入れば大丈夫!』
ジュナイパー(ボール)『なるほど、その手があったか!』
しんのすけ「さすがボーちゃん!」
ミミッキュ『ボ!』シュパッ
ボーちゃんが影の手を伸ばすと、屋敷の2階のテラスに届いた。
ミミッキュ『しんちゃん、掴まって』
しんのすけ「ほいっ」
スタッ
しんのすけ「ワッハッハッハッ、見事に潜入できましたな。ボーちゃんありがとーちゃんのあしはベトベトンよりくさい!」
ミミッキュ『ボ』b
ミミッキュ『でも、気を付けて。中にもスカル団がいっぱいいるから』
しんのすけ「ほーい! それじゃアローラ防衛隊結成はじめての仕事、ヤンちゃん救出作戦いくぜい! アローラ防衛隊ポケモン部隊、ファイヤー!」
カザマたち『ファイヤーーッ!』
したっぱB「まったく、思い出せばメレメレのじゃがいも小僧に出会って、散々じゃないッスカ」
したっぱA「アーカラに飛ばされ、ウラウラに飛ばされ、最後は屋敷の雑用なんて……」
したっぱB「ユーはいいじゃないッスカ。オレなんてカンチョーされちゃいましたからね! お尻の穴が裂けるかと思ったッスカ」
したっぱA「というか、いつまでスカ スカ言い続ける気なんだ? 相棒」
したっぱB「ん? おい、あれはなんなんスカ?」
ニャース?「んみゃ~お」
ヌイコグマ「ガウ……」
したっぱA「ニャースとヌイコグマ? なんでこんなところに?」
したっぱB「誰かが放置したとかじゃないッスカ?」
したっぱA「まぁいいや、さっさとモンスターボールに入れて倉庫に置いてきちゃおうよ」
スタッ
ミミッキュ「ボ!」バチチチッ!
したっぱA&B「ビリっときたあああああ!!」ビリビリビリ!
したっぱA&B「」ピクピクッ
ニャース?(inしんのすけ)「ボーちゃん、電気技使えたの?」
ミミッキュ『でんじはだよ。見せる機会がなかった』
ヌイコグマ『ねぇ、天井に穴が空いているわ。屋根裏に入れないかしら?』
しんのすけ「入ろー入ろー! ネネちゃんボーちゃん、ごくろーさん」シュンッ
ピョンッ
ゴソゴソ
しんのすけ(んーこの感覚。アクションスパイやってた昔を思い出しますなぁ)
しんのすけ(レモンちゃん、お元気にしてるかな? あ、レモンちゃんって名前じゃなかったっけ。ま、いーや)
したっぱG「姉御、あのガキ本当に来るんですかねぇ?」
しんのすけ「?」ユカニミミアテ
したっぱG「あいつら、なに考えてるんだか分からないっスね。ポケモンを保護する裏でこれからなにをしでかすのか……」
プルメリ「……そうだね」
しんのすけ(ほうほう)
したっぱG「姉御、そろそろポケモンが元気になってるはずです。ボール受け取りに行きましょう」
プルメリ「ああ、分かったよ」
テクテク
ガチャ……バタンッ!
パカッ
しんのすけ「この部屋の中にヤンちゃんいるかなー?」ヒョコッ
しんのすけ「ほーい」スタッ
しんのすけ「ヤンちゃんどこに行ったのかなー? 出ておいでー」
ロトム図鑑「……!」
ガサゴソガサゴソ
ロトム図鑑「しんのすけ、これを見よ!」つプルメリの下着
しんのすけ「スケスケじゃないのね」
ロトム図鑑「これをその手のマニアに売り飛ばせば高く値が付くぞ」
しんのすけ「ほうほう」
げ ん
こ つ
しんのすけ「」
ロトム図鑑「」
ヌイコグマ『アンタたちが下着ドロになってどうするのよ! 最低!』
ミミッキュ(ボール)『ネネちゃん、声大きい』
ジュナイパー(ボール)『結局、あの部屋にヤンちゃんはいなかったね』
ヨワシ(ボール)『この建物じゃなくて別の場所に連れ去ったとか?』
ミミッキュ(ボール)『ボスがお待ちかね、って言ってたから、たぶんスカル団のボスのところの部屋にいると思う』
ジュナイパー(ボール)『スカル団のボス……あのむしタイプ使いの人か』
しんのすけ「……」
ゴソゴソ
しんのすけ(お、いた!)
ジュナイパー(ボール)『ボーちゃんの予測通りだったね』
しんのすけは開いている穴から下を覗くと、連れ去られたヤングースを見つけた。
しかし同時に、マリエ庭園で戦っていたグズマがすぐそばで椅子に座ってふんぞり返っており、したっぱも一人控えている。
ヤングース「きゅう……」
グズマ「…………」
したっぱH「…………」
ジュナイパー(ボール)『しんのすけ、物音を立てずにゆっくり降りながらヤンちゃんを助け出すんだ』
しんのすけ「ほい」
しんのすけ「ボーちゃん、レッツラゴー」
ミミッキュ『ボ……』スッ
しんのすけボーちゃんの鼻水状の影を腰に巻くと、静かにグズマたちのいる部屋へ下り始めた……。
しんのすけ「…………」スルスルスル
ヤングース「きゅ?」
しんのすけ「…………」ヨッ
しんのすけ「…………」サ、オラノウデニオノリ
ヤングース「きゅう」タッ
グズマ「……おい」
グズマ「新しいエネココア取ってこい。今すぐだ」
したっぱH「へ、へいっ」ダッ
グズマ「…………」
しんのすけ&ヤングース「……ホッ」
ロトム図鑑(あの宝石はZクリスタルか? ひとつくすねちゃお)ソロソロ
カチャッ
コロコロ
グズマ「ん!?」ガタッ
ロトム図鑑「あ」
しんのすけ「い!」
グズマ「うぉ、お前らは……!」
グズマ「あ? なんも頼んでねーぞ」
しんのすけ「オラたち、幸せを運ぶ宅急便なんで……」
グズマ「はっ、スカしてるなあ。そのヤングースが目当てかよ」
ヤングース「きゅうぅ……」
しんのすけ「ぬーバレたか! オラはアローラ防衛隊の隊長として、ヤンちゃんをお助けしに来たんだゾ! しんみょーにお縄につけ! スケスケおパンツ団のくさや!」
グズマ「グズマだっつってんだろーが!」
グズマ「で、そんなことのために、わざわざ乗りこんできたのかよ」
しんのすけ「そーそー!」
グズマ「はっ、大事なのはてめえのポケモンだけでいいじゃねーか!」
しんのすけ「防衛隊ルールその1! 困ってる人とポケモンがいたらお助けすること!」
グズマ「くだらねぇよ、んなもん。あんな奴ら、助ける価値もねぇよ」ギロリ
しんのすけ「ううっ……そんな目で見ないで」
グズマ「……てめーよ、目の前にブッ壊れたテレビとかがあったらどうするよ?」
グズマ「だろ? とりあえずブッ叩くよな! 少なくともオレはそうする。まあ、大抵はよ、跡形もなく壊れちまうけどな」
グズマ「おまえも、ガキにしちゃ相当ブッ壊れているな。バカっぽく振舞っちゃいるが、オレの目は誤魔化せねぇ。分かるぜ、おまえそこらの奴らと比べ物にならないくらい修羅場を乗り越えてやがるな。そこらのガキがする目つきじゃねえ」
しんのすけ「くさやのおじさんは目のクマがすごいけどね。寝不足?」
グズマ「んな言葉でごまかしてるんじゃねーよ。おまえ、直してやらあ!」
しんのすけ「悪いけどオラ、お腹すいてるからおじさんに構ってるヒマないの」スッ
しんのすけ「マサオくん! レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ
ヨワシ(群)『よっしゃー! 派手にブチかますぜ!』ガパッ
群れたマサオの巨大な口は、グズマに向けられていた。どこからともなく、何かが押し寄せるような音が聞こえてくる。
グズマ「は――?」
ブッシャァァァァァァァ!!
グズマ「なっ、おおおっ?!」
マサオの口から発射されたハイドロポンプが、グズマを勢いよく部屋の外へ、そしてそのまま屋敷の外へと押し出していく!
スカりん「スッチー!」
スッチー「スカりん!」
ドラコ「あいつら、まだやってるのか……」
マミ「ウザイというか、なんというか……」
バリン!
ドドドドドド!!
おキン「!?」
ドラコ「なんだ!?」
マミ「屋敷から大量の水が!」
グズマ「ゴホッ! ペッ! ペッ!」
ドラコ「グズマさん!」
ヤシキガ!
グズマサン、ダイジョウブッスカ?
グズマ「…………」ポタポタ
グズマは天を仰ぐと、カザマに掴まって空からポータウンを脱出するしんのすけとヤングース(と、こっそりムシZを手に入れたぶりぶりざえもん)が……。
しんのすけ「…………!」フリフリ
ドラコ「あのじゃがいも小僧、いつの間に……」
マミ「急いで追ってきやす!」
グズマ「グズマァ!! なにやってるんだああ!!」ガクガクッ
マミ「ヒッ!」ビクッ
グズマ「……あのじゃがいも小僧。おまえはブッ壊す! あいつらの力を使ってもな!」ワナワナ
バサッバサッ
しんのすけ「ほっほーい!」フリフリ
アセロラ「あ、帰ってきた!」
スタッ
しんのすけ「あー疲れた」
ヤングース「きゅう!」ピョン
アセロラ「おーよしよし、怖かったねー」ナデナデ
アセロラ「しんちゃんありがとう! ホント、すごいんだ! 尊敬だよ!!」
しんのすけ「いやいやーアローラ防衛隊としてとーぜんのことをしたまでですからー。カザマくんもごくろーさん」
ジュナイパー『まったく、ぶりぶりざえもんが勝手なことしなきゃ穏便に済んだのに』
ロトム図鑑「魔が差しただけだ、まいったか」
ジュナイパー『威張るなって』
クチナシ「急にスカル団が騒がしくなったと思ったら、お前さんたちか」
アセロラ「あー! クチナシのおじさん!」
クチナシ「安いんだよ、家賃が」ヤレヤレ
クチナシ「スカル団の近くにいるなんて、酔狂者だからよ」
アセロラ「スカル団にキズつけられたポケモンなら、エーテル財団に預ければいいのに。自分で世話してるからでしょ?」
アセロラ「しんちゃん! ヤングース! エーテルハウスに帰ろ!」
しんのすけ「ほーい!」
ヤングース「きゅう!」
アセロラ「あ、おじさん、また来るね!」フリフリ
しんのすけ「達者で暮らせよー」フリフリ
クチナシ「静かに暮らしたいんだがな」
タッタッタッ
クチナシ(それにしてもスカル団の連中、なんだか少ねえな。まあ、屋敷が吹っ飛んだら逃げ出すやつもいるよな)
クチナシ「ボールの中のポケモン、街の中のスカル団……どっちが幸せなんだか」
しんのすけ「おっかえりー!」
アセロラ「ただいま! ヤングースも帰ってきたよ!」
ヤングース「きゃうきゃう!」ダッ
男の子「○×□△※★!!」ギャーギャー
女の子「○△※×□△!!」ピーピー
ハウ「…………」ガックリ
アセロラ「エー!? どういう感じなの? これ?」
しんのすけ「あれ? リーリエちゃんは?」
ハウ「しんのすけ……ごめん!! おれ、ちっとも楽しくないよ……」
アセロラ「だから、どういうことなの?」
ハウ「リーリエ、いなくなっちゃったー」
リーリエ「なんて人たち……」
プルメリ「今日は消えないんだねえ。聞いてた話と違うじゃないか」
リーリエ「あのときは……このコも絶体絶命のピンチでした……。ですから、能力を使ってわたしを……」
リーリエ「わたしにはなにもできませんが、能力だけは使わせない……そう決めたのです。ですから……わたしが頑張るのです……!」
したっぱB「今もピンチじゃないスカ? お花畑なお嬢さまスカ」クネクネ
プルメリ「いいさ、これ以上あんたから奪えるモンなんてないし」
プルメリ「それに……あんたをポケモン泥棒と言っていいのか、わからないところもあるからね」
リーリエ「あなたたちについていきます。ですから、他のみなさんには、手を出さないでください……!」
アセロラ「えー!?」
ハウ「おれ、トレーナーなのにー!」キッ
ハウ「トレーナーじゃないリーリエに守ってもらったんだ……」ガックリ
しんのすけ「んもー今度はリーリエちゃん? オラがいないとすぐどっか行っちゃうんだから」ヤレヤレ
ウィーン
みんな「!!」
グラジオ「……コスモッグと一緒にいたのが、まさかリーリエだったとは!」
ハウ「わー!! リーリエ知ってるのー?」
しんのすけ「ほーほー、リーリエちゃんはクジラの一種だったのかー」
ハウ「そーじゃないってー!」
グラジオ「オマエらが頼りないから、コスモッグも! リーリエも! ……オレの怒り、ぶちまける!」ギロッ
グラジオ「まずはしんのすけ、お前からだ!」スッ
しんのすけ「いやん、オラってモテモテー」
ハウ「違うと思う……」
勝負を しかけてきた!
グラジオ「……オレの怒りと重ね合わせ、無力な者どもに制裁を! 行け、ヌル!」ヒョイッ
ポンッ
タイプ:ヌル「オォォォォッ!」
しんのすけ「カザマくんっ、レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ
ジュナイパー『あのポケモン……! 今度は勝つぞ!』
ハウ「うわわー! 始まっちゃった!」
グラジオ「ヌル! シザークロス!」
ヌル「オォォォッ!」ブンッ
ジュナイパー『今までの僕と一味違うところを見せてやるっ!』バサッ
カザマはヌルのシザークロスをかわしつつ、天井近くまで大きく羽ばたくと、矢羽根によるはっぱカッターを放った!
ヌル「オオッ!?」ドスッ
ヌル「ウォォッ!」ドドドド!
ズパッ!!
ジュナイパー『うわっ……と。あれ?』キョロキョロ
グラジオ「なぜ、効かない!?」
ロトム図鑑「ブレイククローはノーマルタイプの技のようだな」
しんのすけ「クジラくん、オラのカザマくんはゴーストタイプ。ジョーシキだゾ」
グラジオ(しまった。ヤツのモクローは進化して、ゴーストタイプになったのか。うかつだった……!)
ジュナイパー『お返しだ!』
矢を放たず、ジュナイパーは翼を広げると、ヌルに向かって突っ込んだ!
ジュナイパー『えいっ!』ブンッ
ザンザンザンッ!!
ヌル「オオオッ?!」ズパッ!
ヌル「ウォォォッ!」ダッ
シュルシュルシュル
ガッ!
ヌル「?!!」フラッ ドタッ
グラジオ「なっ……くさむすびか!」
しんのすけ「よーしカザマくん! このままZワザ行っちゃいますか!」
ジュナイパー『うん、頼む!』
バッ バッ ブリッ ブリッ パァァッ バァーン!
ピカッ! ゴウッ!!
カザマは Zパワーを 身体に まとった!
カザマが 解き放つ
全力の Zワザ!
ブ ル ー ム シ ャ イ ン エ ク ス ト ラ !
フクスロー『行くぞっ!』
カザマがZパワーを周囲へ放出すると、次々と花が咲き乱れていく! そして日光がヌルに照射され、どんどん威力を増していく!
パァァァッ!!
ドゴォォォン!!
ヌル「オォォォォォッ!」
ドサッ ゴロゴロ
グラジオ「ヌル!」ダッ
ヌル「オォォ……」ブルブル
グラジオ「……!」
グラジオ「……なにしてやがるんだ、オレ。怒りに身を任せて、お前に余計な傷を負わせてしまったな」
グラジオ「……すまない、ヌル」
ヌル「グゥゥ……」
しんのすけ「どってことないゾ」
ロトム図鑑「ふっ、怒りに任せて戦うなど、まだまだ二流だな」
ジュナイパー『なんでお前が偉そうに言うんだよ』
グラジオ「……だが! 前にも言ったはずだ。コスモッグは、アローラに災厄を招きかねない……取り戻さねばならない! この島の乗船所に来い!」
グラジオ「……ついてくるか?」
しんのすけ「いいよーリーリエちゃんとほしぐもちゃんを連れて帰るのは慣れてますから」
ハウ「……おれ、もう少しここにいる。もうちょっと、考えたいのー」
グラジオ「そうか、じゃあ行くぞ」ダッ
しんちゃん「まぁね、せっかくみんなで晩ご飯作ろうとしてたのに、ごめんね」
アセロラ「気にしないで! リーリエちゃんを助けたら、またみんなでここに来ればいいだけだから!」
しんのすけ「じゃ、リーリエちゃんのお助けにいってきまーす! ハウくんのことよろしくねー」ビシッ
アセロラ「うんっ、気をつけてね。隊長!」ビシッ
しんのすけ「あ、そーだ。カザマくん。とーちゃんからもらったわざマシンがあったんだ。使う?」
ジュナイパー『今更かよ! それで、どんな技なんだ……?』
しんのすけ「あー腹減った。もらったマサラダ食べよっと」ムシャムシャ
グラジオ「フッ……ハウも待つよな?」
しんのすけ「たぶん来るんじゃない?」
グラジオ「そうだな……あいつはおもしろいよな。しまキングという、偉大な祖父と向きあっている。……オレにはできないことだ」
しんのすけ「クジラくんも島巡り?」
グラジオ「いや……」
しんのすけ「どうして? スケスケおパンツ団に入っちゃったから?」
グラジオ「違う、オレの場合はそもそも親がそれを許してくれなかったからだ。かといって、そのときは島巡りに憧れる余裕もなかったが」
しんのすけ「ふうん」
グラジオ「オレからもひとつ聞きたい。お前とハウはリーリエと一緒にいたのか?」
しんのすけ「うん」
グラジオ「リーリエは……オマエ達と一緒にいてどんな様子だった?」
ロトム図鑑「人を散々振り回しているからな、あいつは」
しんのすけ「うんうん。家族の顔が見てみたいもんですなぁ」
グラジオ「フッ……そうか」
しんのすけ「そだ、クジラくんってなんでリーリエちゃんのこと知ってたの? 恋人?」
グラジオ「まさか。あいつはオレの……」
ザッザッ
クチナシ「…………」
グラジオ「……クチナシさん!?」
しんのすけ「おおっ、幸薄そうなおじさん!」
クチナシ「……スカル団も、ポータウンで好き勝手してるだけなら、どうでもいいんだけどなあ」
しんのすけ「えっ? これって大試練?」
グラジオ「……そういうことになるな」
しんのすけ「なんか他の島と比べると地味ィー」
ロトム図鑑「それに胡散臭い」
クチナシ「で、やるのかい? やらないのかい?」
しんのすけ「んーしょーがないなぁ」スッ
クチナシ「……ま、軽くね」スッ
しまキングの クチナシが
勝負を しかけてきた!
クチナシ「行こうか、ヤミラミ」ヒョイッ
ヤミラミ「ヤァミィィ!」ポンッ
しんのすけ「ボーちゃん、レッツラゴー!」
ミミッキュ『ボッ!』ポンッ
ヤミラミ「ヤミッ!」ブンッ
ミミッキュ『ボーッ!』ピカー!
ヤミラミの放ったシャドーボールが、ボーちゃんに直撃するより前に、現れた光の壁に阻まれる。だが……
ヤミラミ「ヤミィィ!」ズズズ
しんのすけ「おわっ、影から出てきた!」
グラジオ「かげうちか……!」
ブンッ!
ミミッキュ『ボッ!?』カクン
クチナシ「これでばけのかわは剥がしたね」
ミミッキュ『せいっ!』ボウッボウッ
クチナシ「おにびか。それを喰らうのはまずいね。パワージェムで応戦しな」
ヤミラミ「ヤミッ!」
宝石のように煌く光がヤミラミの周囲から発射され、次々とおにびをかき消していく。しかし、その合間を縫うように、ボーちゃんがヤミラミに急接近する!
ミミッキュ『抱っこ』バッ
ヤミラミ「ヤミッ?!」ドカッ
ポカポカドカドカ!
ヤミィィィ!
しんのすけ「……なにやってんの、ボーちゃん」
グラジオ「あれはじゃれつくだ。自分のポケモンの技くらい把握しろ……!」
しんのすけ「いやぁ、そんなに褒めちぎってもなんも出ないって~」
クチナシ「褒めてねぇと思うぞ。ヤミラミ、シャドーボールで迎撃だ」
ヤミラミ「ヤ、ヤミッ!」ギュオオオッ
ミミッキュ『ボッ?!』ドンッ!
しんのすけ「ボーちゃん!」
クチナシ「そんな密着した距離で打たれちゃ、光の壁もあまり意味はねぇだろ」
ミミッキュ『……出来る』ゼイゼイ
ヤミラミ「ヤミィ……」ゼイゼイ
クチナシ(とはいえ、やっこさんもヤミラミも、互いに馬鹿にならないダメージを負ったな。次でどっちかが倒れるね)
ヤミラミ「ヤミッ!」ダッ
ミミッキュ『ボ!』ジャキンッ!
ヤミラミ「ヤミィィィィッ!」ブンッ
ミミッキュ『ボーッ!』ブンッ
ザ ク ッ !
ミミッキュ「…………」
ヤミラミ「…………」
しんのすけ「…………」
クチナシ「…………」
ミミッキュ『無念』ドサッ
グラジオ「引き分けか……!」
ロトム図鑑「フッ、どちらも大したことないぜ」
クチナシ「じゃ、仕切り直しと行こうかね」スッ
しんのすけ「ほい」スッ
クチナシ「出な、ワルビル」ヒョイッ
ワルビル「ワルワール!」ポンッ
しんのすけ「マサオくん、レッツラゴー!」ヒョイッ
ヨワシ(群)『おうよ、行くぜぃ!』ポンッ
グラジオ「これは、群れたヨワシか……?」
クチナシ(今度は群れたヨワシか。まいったね、こりゃ)
ワルビル「ワルルッ!」ピョンッ
ヨワシ『あん?』
ワルビル「ワルワル! ワルルルッ」
ヨワシ『ンだとてめぇ!』ブチッ
しんのすけ「なに言われたの?」
ヨワシ『ぶっ飛ばしてやらあ! オラッ』ブッシューッ!
ワルビル「ワルッ」ヒョイッ
ヨワシ『避けてんじゃねー! オレ様が一番ってところを見せてやるっ!』ブシュッ! ブシュッ!
ワルビル「ワルッ! ワルッ!」サッ サッ
グラジオ「凄まじい威力だ……!」
クチナシ「でも、当たんなきゃ意味ないんだよ」
しんのすけ「ダメじゃん、マサオくん」
ロトム図鑑「またお刺身コー……ブヘッ!」(※マサオの放ったみずでっぽうの流れ弾が当たった)
ワルビル「ワルーッ!!」ズオォォォォ!
ワルビルの口から吐き出されたおびただしい数の砂粒が渦巻いてすっぽりと覆われていく!
ヨワシ『な、なんじゃこりゃ!? 目が回る!』ズザザザザッ!!
しんのすけ「すげー」
グラジオ「マズイな、ヨワシの群れがどんどん散っていく……!」
ヨワシ(単)『ひいいいーっ!』グルグルグル
クチナシ「ワルビル、かみついてとどめ刺しちまいな」
ワルビル「ワルッ!!」ダッ
ガプッ!
ヨワシ『ひいい~っ! 痛いよ痛いよ~っ!』ジタバタジタバタ
ワルビル「ペッ」
ヨワシ『痛いよぉ……グスン、グスン』ドサッ
グラジオ(タイプ相性上不利なヨワシをこうもいなすとは……改めてクチナシさんは恐ろしい人だ)
クチナシ「さ、そいつは戦えないみたいだし、次出しなよ」
ヌイコグマ『まったく、最近マサオくんだらしないわね! ネネが相手よ!』ポンッ
クチナシ「ワルビル、もう一度、相手に威張りな」
ワルビル「ワルワル! ワルルルッ」
ヌイコグマ『え?』
ワルビル「ワル! ワルルワルッ!」
ヌイコグマ『なんですってぇぇぇ!』ビキッ
しんのすけ「だからなに言われたの……?」
ヌイコグマ『うがーっ!』ドスドスドスッ
クチナシ「ワルビル、穴を掘って逃げな」
ワルビル「ワルッ」
ザクザクザクッ
ヌイコグマ『うおりゃああああっ!』ブンッ
ズ ズ ン ッ !
ワルビル「ワルビッ!?」メキッ
しんのすけ「おおっ、地面がゆれた!」
グラジオ「今のは『じしん』か?!」
ヌイコグマ『みぃつけた……!』ニィッ
ワルビル「ワ、ワルッ?」ビクッ
ヌイコグマ『よくもあたしにイモおんなって言ったわね! 許せない!』ブンッ
ワルビル「ワルワルッ!?」
ド ズ ム !
ワルビル「ワ、ワルッ……」ピクピクッ
クチナシ「ん……いばるが裏目に出ちまったね」
クチナシ(今のアームハンマーか。アレが使えるってことは、あのヌイコグマの嬢ちゃん、もう進化してもおかしくないってところか)
ロトム図鑑「説明してやる。イモとはつまり、田舎のことだ。ワルビルはネネに田舎者と言ったのだ」
しんのすけ「ほうほう」
クチナシ「やれやれ、おじさんのポケモン、あっという間に最後の1匹になっちまったね」
クチナシ「頼むぞ、ペルシアン」ヒョイッ
アローラペルシアン「ニャーゴ!」ポンッ
ヌイコグマ『あームシャクシャする! あんた倒せば終わりでしょ?』ダッ
クチナシ「ペルシアン、躱してかみくだく」
ヌイコグマ『おらっ!』ブンッ
ヌイコグマがアームハンマーを繰り出した瞬間、ペルシアンの姿が消えていた。気が付くとネネの横に回り込み、その大きな口を開けていた!
ガブッ
ヌイコグマ『いっだあ゛あ゛あ゛いっ! なにすんのよっ!』ブンブン
クチナシ「一旦離れて、辻斬りをするんだ」
ペルシアン「シャッ!」バッ
クチナシの命令通り、ペルシアンはネネと距離を取ると、爪を立てながら一気に跳躍してきた!
ペルシアン「フシャァッ!」
ザクッ!
ヌイコグマ『うあっ!』
クチナシ「もう一度、辻斬り」
ペルシアン「フシャッ!」
ザクッ!
ヌイコグマ『いッ!』
ヌイコグマ『したいけど……疲れて身体が思うように動かないのよ』
クチナシ「坊主。お前さん命令しないからどんな技なのかよくわからないけどね、あれがおじさんの見立て通りアームハンマーだったら、そのヌイコグマは反動で動きが鈍くなってるのよ。なにせ相当スタミナを使うからね」
しんのすけ「おぉ……」
クチナシ「そろそろ、終わらせるとするか。パワージェム」
ペルシアン「シャーッ!」
ペルシアンの周りに現れた光が、次々とネネに襲いかかる。しかしネネも負けじと、攻撃を耐えながらペルシアンに向けて走り出す。
ヌイコグマ『うおりゃああっ!』ブンッ
ペルシアン『シャッ!?』
ドゴォッ
ネネの豪腕は、ペルシアンをすれすれで外しており、地面にめり込んでいた。
ペルシアン「……ニャッ!」
しんのすけ「ネネちゃん……」
クチナシ「……危なかったね。ペルシアン、辻斬り」
ペルシアン「フシャッ!」
ザクッ!
ヌイコグマ『……!』フラッ
ドサッ
しんのすけ「ネネちゃん!」
ヌイコグマ『しんちゃん……ごめん』
グラジオ「後は……」
クチナシ「あのジュナイパーだろ? ポータウンの時に見かけたからね。それがお前さんの相棒かい?」
ジュナイパー(ボール)『……しんのすけ。僕は進化してゴーストタイプになった。この意味、わかるよな』
グラジオ(ジュナイパーはくさ・ゴースト。アローラのペルシアンとは相性が悪い。更にクチナシさんはZワザも残してる……どうするつもりだ?)
クチナシ「坊主、お前さんは今、ずいぶん悔しい思いをしてるだろうよ。だけど、これが現実なんだよ」
しんのすけ「現実?」
クチナシ「現実はねテレビのヒーローのように正義が必ず勝つとは限らないのよ。悪には、悪なりの信念ってものがあるんだよ。最後に勝つのは意志の強いほうだぜ。坊主、お前はどうだ?」
しんのすけ「……オラ」
――しんのすけ君。その答えは、自分で出すものだ。大丈夫、キミなら出来るさ
――しんのすけ君、キミの守りたいものってなに?
――最後に勝つのは意志の強いほうだ。坊主、お前はどうだ?
しんのすけ「……オラ、まだ正義のこととか、よくわかんないけど!」
――えっ? はい……リーリエと申します
――常 識 で す っ ! !
――その……迷ってたときに……つい、ふらふらとブティックに入ってしまい……最後の一着と言われ、つい服を買ってしまいました……気合を入れないと、着れそうもない服ですが……
――また、助けられました……ありがとうございます
――しんちゃん
グラジオ「…………」
しんのすけ「でもオラ、リーリエちゃんをお助けしたい! それが今のオラの正義で、シンネンなんだゾ! だからオラ、こんなとこで負けたくないもん!」
しんのすけ「ほいっ!」スッ
しんのすけ「カザマくん! レッツラゴー!」ヒュッ
ジュナイパー『しんのすけ。お前がリーリエさんのために負けたくないっていう思いが本気なら、僕もそれにゼンリョクで応えるよ! 絶対に勝とう!』ポンッ
しんのすけ「おうっ!」
クチナシ「じゃ、ぼちぼち行くかね」
バッ バッ ブゥゥン バァーン!
グラジオ(……クチナシさんのZワザ)アンナポーズスルノカ……
しんのすけ「カザマくん……来るゾ! 「アレ」できる?」
ジュナイパー『ああ、ばっちりさ!』コクン
ペルシアンが 解き放つ
全力の Zワザ!
ブ ラ ッ ク ホ ー ル イ ク リ プ ス !
ペルシアンを覆っているZパワーから禍々しい黒い球体が形成されると、それが頭上に向けて放たれた。
それは急激に膨張すると、赤黒い光を発しながら、次々と周囲のものを吸い込んでいく!
ジュナイパー『うっ……!』バサッ
カザマはなんとか黒い球体から逃れようと飛翔するが、海すら飲み込みかねない吸引力に、なすすべはなかった。
ジュナイパー『うわぁぁぁぁっ!』
しんのすけ「カザマくーーーんっ!!」
カザマはいとも簡単に吸い込まれてしまった。そして、カザマが吸い込まれたのを皮切りに、黒い球体が収束し、大爆発を起こした!
ジュナイパー「…………」
……後に残ったのは、爆発に巻き込まれ、傷だらけになったカザマだけだった。
ドサッ
ジュナイパー「」
クチナシ「…………」
しんのすけ「……カザマくん」
クチナシ「……坊主」
バサッ!
一陣の風のように翼がはためく音が聞こえたかと思うと、ペルシアンの背後から緑の閃光が飛来してきた!
ジュナイパー『行くぞっ!』
グラジオ「なっ!?」
クチナシ「……!」
ガシッ!
ジュナイパー『おおおおおっ!!』
ペルシアン「ニャッ!?」
カザマはカギ爪でペルシアンを掴むと、そのまま空へ投げ飛ばすと同時に6つの矢羽根をつがえて、一斉に発射した!
ジュナイパー『はあああっ!』ドドドド!!!
ペルシアン「ニ゛ヤッ!? ニ゛ャ゛ニャァッッ!!?」ドスドスドスッ!
ドサッ!
ペルシアン「ニャアアアッ……!」
ジュナイパー『……決まった!』
グラジオは、Zワザで倒れたはずのジュナイパーへ目を向けると、そこには草で編まれた人形が転がっていた。
グラジオ「あれは……!」
ジュナイパー『しんのすけ! Zワザ、行くぞっ!』
しんのすけ「ブ・ラジャー!」
バッ バッ ブリブリブリブリ!
カザマは Zパワーを 身体に まとった!
カザマが 解き放つ
全力の Zワザ!
シ ャ ド ー ア ロ ー ズ ス ト ラ イ ク !
ジュナイパー『これで決めるっ!』バサッ
カザマは真上に飛翔すると、周囲に無数の矢羽根を扇形に並べた。そして矢羽根と供にペルシアンへ急降下する!
そしてペルシアンに直接攻撃したと同時に無数の矢羽根がペルシアンや周囲に突き刺さり、黒紫の爆発を引き起こした!
ドカァァァン!!
ペルシアン「フニャアアアァァッ!!」
ドサッ
ゴロゴロ
しんのすけ「……!」
ジュナイパー『……』スタッ
グラジオ「しんのすけが……勝ったのか?」
ペルシアン「」グッタリ
クチナシ「…………」ニヤッ
しんのすけ「それほどでも」
ジュナイパー『しんのすけのおじさんからもらったわざマシンのおかげで、勝てた……!』
クチナシ「……まいったなあ。あいつらの屋敷に乗りこむ度胸と強さの持ち主とわかっていたが、これほどとはね」
しんのすけ「まったく、ちくびらないで欲しいですな」エッヘン
クチナシ「見くびる、だろ。カザマ、だったか? ポケモンもおつかれさん! ほら元気にしてやっからよ」
しんのすけは アクZを 手に入れた!
しんのすけ「正義は勝つ! ワッハッハッハッ!」
大 試 練 達 成 !
クチナシ「あくタイプのZパワーは、こうしてこうすればいいからよ」
バッ バッ ブゥゥン バァーン!
グラジオ「……」アゼン
しんのすけ「こうしてこうしてこうですな?」
バッ バッ ブリリィ バァーン!
クチナシ「……いや、尻は出さなくていいけどよ」
クチナシ「ま、おめでとよってやつだな。ウラウラ島での島巡り、達成だよ」
スタスタ
ピタッ
クチナシ「なんかあるんだろ? まあ、ほどほどにしときなよ」
しんのすけ「ほいっ、ほどほどにヘンタイなことしてきます!」
しんのすけ「お?」
クチナシ「そいつ……ロトム図鑑だっけか? 面白い奴を連れているな」
しんのすけ「面白い奴というか、変な奴というか。ぶりぶりざえもんって言うんだ」
ロトム図鑑「お前は私を知っているのか? ずいぶん馴れ馴れしいな」
クチナシ「ぶりぶり……ね。あんまりしょうもないことして、余計な騒ぎを起こさせるなよ。そんだけだ」
クチナシ「それと……グラジオのあんちゃん、強くなりたいのならスカル団を頼ってどうするよ?」
グラジオ「………」
スタスタ
しんのすけ「行っちゃったー……やっぱり地味ィ」
ロトム図鑑「あいつ、私を知っていたな。いよいよ私も有名人になってきたな」
ジュナイパー(ボール)『そういう意味じゃない気がする……』
グラジオ「……クチナシさんはああいう人でな。面倒見がいいというか、ドライというかな」
しんのすけ「お、ハウくーん! オラ、ウラウラ島の島巡り、達成したよー!」
ハウ「ホントー? すごいー!」
グラジオ「……楽しいとか、言ってられないんだぜ?」
ハウ「おれが強ければーリーリエは……。だから、みんなを笑顔にするため、腹くくったのー!」
しんのすけ「えっ? ハウくんのお腹ってなんか結べちゃうの?!」
グラジオ「そういう意味じゃないだろう……」
ハウ「それにーおれもアローラ防衛隊だしねー」
しんのすけ「うんうん、防衛隊メンバーならしっかりしてもらわないと困るよ」
ハウ「で、リーリエはどこに連れていかれたの? ポータウンは違うでしょ。そのころ、しんのすけがいたんだし」
グラジオ「フッ……甘いワリには、案外するどいじゃないか」
グラジオ「エーテルパラダイスだ」
ハウ「エーテルパラダイスー!?」
しんのすけ「わーい! またビッケおねいさんとルザミーネおねいさんに会えるー!」
【ウラウラ島編 おしまい】
【エーテルパラダイス編】
…… …… ……
海上 グラジオの小型船
グラジオ「スカル団とエーテル財団は、表向きでは敵対しているが、その裏では繋がっているんだ」
しんのすけ「どしてー?」
ハウ「スカル団は他人のポケモンを奪ってるけどー、エーテル財団の人たちはポケモンの保護してるから、方針が食い違うと思うけどー」
グラジオ「ボスのグズマはなにか理由があって、財団のある目的の為に手を貸しているようだ」
しんのすけ「なになに? 世界征服?」
グラジオ「フッ……それと同じくらい厄介なことではあるな」
グラジオ「コスモッグの力を使って、ウルトラホールを開き、そこから現れる異次元の生命体――ウルトラビーストを呼び寄せることだ」
グラジオ「ほう、奴らを知っているのか? なら話は早い」
グラジオ「コスモッグはそれ自体弱いポケモンだというのは話したな? だが、コスモッグはストレスを与えたり、身の危険が迫ると、ウルトラホールを開く能力を持っている」
ハウ「ウルトラホールを開くー? じゃあコスモッグって、ウルトラビーストなのかなー?」
グラジオ「……そう、やつもまた、ウルトラビーストだ。リーリエが連れ出したのも、きっとストレスを与え続けられたコスモッグの身を案じての行動だろう」
ハウ「じゃあさーじゃあさー、このままウルトラホールが開かれたら、どうなっちゃうのー?」
グラジオ「言われなくともわかるだろ? アローラ……いや、世界がビーストで溢れかえる。そうなれば、人とポケモンの生態系のバランスが崩壊し、やがて世界はビーストが支配してしまう」
ハウ「なんでそんなことするのー! アローラになにか恨みでもあるのー?」
グラジオ「……オレにもわからん。理解できれば、説得できたかもな」
ハウ「それじゃー早くリーリエとコスモッグを見つけて取り返さなきゃ! ねぇ、しんのすけー……」
しんのすけ「ZZZ」
ロトム図鑑「」スリープモード
グラジオ「フッ、寝かせてやれ。スカル団のアジトへ一人で乗り込み、更にクチナシさんの大試練までこなしたんだ。疲れないというのが、無理があるさ」
ハウ「でも、よく寝られるよねー。おれ、マイペースってよく言われるけど、しんのすけはそれ以上だよー」
グラジオ「だが、まんざらではなさそうに見えるぞ」
ハウ「まあねーしんのすけと一緒にいると、楽しいもんー。それにーリーリエとかアセロラとかってしんのすけのこと心配してるけどー、おれはしんのすけってなんでもできそうな気がするのー」
グラジオ「そうだな、そいつは変わってはいるが……子供とは思えない、凄まじいパワーを発揮する。しまキングとのポケモン勝負でそれを見せつけられた」
ハウ「見てみたかったなー、しんのすけの大試練ー」
グラジオ「オレも冷静さを欠いていたとはいえ、負けてしまったからな。次に戦う時は――!」
ハウ「どしたのー?」
グラジオ「チッ、財団のボートだ……!」
グラジオ「おそらく、誰にも邪魔されないように警護に当たっているんだろうな。憎い奴らだ……!」
ハウ「どうするのー?」
グラジオ「正面突破する! 向こうはポケモンを使って迎撃してくるだろうが、こちらもポケモンを出してボートを蹴散らして進むしかない。まずはしんのすけを起こせ!」
ハウ「しんのすけー! 起きてー!」ユサユサ
しんのすけ「ZZZ」
ハウ「世界の危機だよー! 早く起きてー!」ユサユサ
しんのすけ「ZZZ」
グラジオ「なにしてる! 早く起こせ!」
ハウ「起きないんだよー! 揺さぶってもなかなか起きないー! ……あ、そうだ!」
ハウ「……ライチさんとビッケさんが来たよ」
しんのすけ「えっ?! どこどこどこっ?」ガバッ
ハウ&グラジオ「…………」ハァ
グラジオ「しんのすけ! 説明は後だ! エーテルパラダイスに入るために、お前とポケモンの力借りたい! いいな?」
しんのすけ「え? あ、そうだ! オラたちエーテルパラダイスに行くんだっけ」
ハウ「だからそのためにあいつらを追い払わなきゃー! じゃないとビッケさんにもルザミーネさんにも、リーリエにも会えないよー!」
しんのすけ「よーし、オラに任せなさいっ!」
グラジオ(ハウ……手馴れているな)
しんのすけ「カザマくん! マサオくん! レッツラゴー!」ヒョイッ
ジュナイパー『オーケー! 任せてくれ!』ポンッ
ヨワシ(群)『全部ぶっ飛ばしてやるぜィ! イェイ!』ポンッ
ハウ「ライチュウ! はりきってこー!」ヒョイッ
ライチュウ「ライラーイ!」ポンッ
グラジオ「……飛ばすぞ!!」
ブォォォォン!!
財団職員A「ん? 誰か来るぞ」
ヨワシ『ひ ゃ っ ほ う !』ザバァッ
職員の真下からマサオが現れ、大ジャンプした! その勢いに巻き込まれて、ボートが転覆し、職員も海に放り出される!
職員C「侵入者だ! ポケモンで応戦しろ!」
ライチュウ「ラーイッ……チュウウッ!」バチチチッ!
職員D「ぎゃあああ! しびれびれーっ!」
職員E「おのれ! よくも!」スッ
ヒューッ ドスッ!
職員E「イタッ! これは矢か!?」
ジュナイパー『ポケモンは出させないぞ!』スッ
ポンッポンッポンッ!
ジュナイパー『……!』
ペリッパー「グアッグアッ!」
フワライド「フワワー」
レディアン「レディー!」
ザバン!
ヨワシ『吹っ飛ばしてやるぜ!』ブシャアアアアッ!!
ペリッパー「グアッ!?」
フワライド「フワワー?」
レディアン「レディッ?!」
ジュナイパー『うわわっ!』バサッ
ドドドドド!
ジュナイパー『マサオくん! 少し抑えろ!』ポタポタ
バッ バッ ブゥンブゥン ビリリッ!
ピカッ! ゴウッ!!
ライチュウは Zパワーを 身体に まとった!
ライチュウが 解き放つ
全力の Zワザ!
ラ イ ト ニ ン グ サ ー フ ラ イ ド !
ライチュウ「ライラーイッ!」ゴウッ!
ライチュウは電気をまといながら夜空へ飛翔すると、ハウが職員たちの出したポケモンを指さした。
ハウ「ライチュウ! ゴーゴー!」
ライチュウ「ラーイッ!」
ライチュウはそれらのポケモンたちに狙いを定めると、急降下し突撃。すると、雷の柱が周囲に発生し、ポケモンと職員たちのボートを巻き込むと同時に颯爽とライチュウが通り抜けていった!
バリバリバリ!!
職員たち「うわぁぁぁぁっ!」
財団職員たちの運転するボートが、次々としんのすけたちの後ろから追いかけてくる!
しんのすけ「おー、ネコバス運転してたときを思い出しますなぁ」
しんのすけ「ううっ、思い出しちゃったらおしっこしたくなっちゃった……」ブルブル
ハウ「しんのすけー! どこ行くのー?」
しんのすけ「おトイレー」
ハウ「えー?」
トテトテ
職員F「エーテルパラダイスに入れるもんか――ん?」
エーテルパラダイスに入ろうとするスカル団のマークが目印の一艘の小型船。その上に、しんのすけがこちらに向けて立った。いぶかる職員F。
そしてあろうことか、ズボンを下ろし始めたではないか!
しんのすけ「うーん、月が綺麗~」
職員F「えっ? ちょっとまって、まさか――」
ジョボボボボボ!
しんのすけ「おおう、出る出るー」
グラジオ「なんだ? 職員たちの船がオレたちを避けている? よくわからんが、チャンスだ! ハウ、しんのすけ、ポケモンをボールに戻せ!」
ハウ「わかったー! ありがとーライチュウ!」バシュッ
しんのすけ「ふースッキリした。カザマくん、マサオくんごくろーさん」バシュッ
グラジオ「一気に進むぞ……!」
職員G「あの下品なお子様たちどこに行った?」ドタドタ
職員H「しらみつぶしに探せ!」ドタドタ
ハウ「うう……! で、どうするのー?」
しんのすけ「職員さんに聞いてみたら?」
グラジオ「……とりあえずエレベータに向かうか」サッ
ハウ「とりあえず、っていったよー! この人ノープランだよー!」
しんのすけ「ふつうのー人なんかにゃなりーたくないー♪」テクテク
ロトム図鑑「やきゅうせーんしゅになってーパイロォーットになってー♪」テクテク
ハウ「そっちじゃない……って、おいてかないでよー!」
スタスタ
しんのすけ「じゃあワイロでも渡しますか」
ロトム図鑑「このZクリスタルを渡せば見逃してくれるかな」
ハウ「そんなことしちゃダメだよー。でも、なんで職員さんたち、おれたちを襲ってきたんだろー。前来た時は優しかったのに……」
グラジオ「そんなことを考えても仕方ない。出番だ、ヌル」ヒョイッ
ヌル「オオオオーッ!」ポンッ
グラジオ「あの見張りにでんじはだ」
ヌル「オオオォッ!」ダッ
職員J「ん? なんだ?」
ヌル「オオオッ!」バチチッ
職員J「――おがッ!」ビリビリッ
ドサッ
しんのすけ&ハウ「おおーっ」パチパチパチ
グラジオ「フッ、感心してる場合じゃない。エレベーターに乗るぞ」
グラジオ「…………」ピコピコカチカチ
ハウ「あれー? 動かないのー?」
グラジオ「まっ、そうだろうな。動かせるのは関係者のみか。地下にも降りられんとは、わかっていたが……かなりクルもんだな」
ロトム図鑑「私の出番のようだな」ズイッ
しんのすけ「おーぶりぶりざえもん」
グラジオ「……図鑑ごときに何ができるんだ?」
ロトム図鑑「私は国際警察のハッカー兼サイバーテロ対策部隊に所属していたポケモンだ。ここのサーバーにハッキングしてセキュリティを解除し、エレベーターを動かしてやる」
ハウ「そんな部隊あるのー?」
グラジオ「なるほど……ロトムはもともと電化製品の中に入り込む性質を持つポケモンだったな。ならば、うまく応用すればハッキングすることも不可能ではない……か」
ロトム図鑑「ゴーストタイプだから、やろうと思えば人間の頭の中にでも入れるからな」
ハウ「科学とポケモンの力ってすげー」
ロトム図鑑「そういうことだ。ふむふむ……」
ロトム図鑑「……これは!」
ハウ「なにかわかったのー?」
グラジオ「そんなことどうでもいいだろ……! 認証を解除しろと言ってる!」イラッ
ロトム図鑑「慌てるな、こわっぱども。どこか接続できるプラグの差し込み口的なモノがあるはずだ」
ハウ「なんか不安になってきたー……」
ロトム図鑑「あった! さて、接続するぞ」スルスル カチッ
しんのすけ「どう?」
ロトム図鑑「黙れ、今ハッキングしている最中だ」ピコピコ
ロトム図鑑「ふむ……厄介なことになった」
グラジオ「まさか、探知されたのか?」
ロトム図鑑「いや、世界中のネットワークを通してハッキングしているから短時間は逆探知される心配はない。だが、最後のセキュリティを破るためには2つの選択肢のうち、1つを選ばないといけないようだ」
ハウ「なになにー?」
しんのすけ「クジラくん、どっちにしたらいいの?」
グラジオ「……赤か緑か」ムムム
ハウ「ねぇ、聞こえてるー?」
グラジオ「……」
ハウ「グラジオってさー黙ってればかっこいいと思ってるところあるよね」ボソッ
しんのすけ「いやですわ~あれが今時の若い子のスタイルなのかしら~」ボソッ
グラジオ「……聞こえてるぞ!」
ハウ「じゃあ早く破ろー!」
ロトム図鑑「よーし……」
しんのすけ「と言いつつ緑だったり」
ブチッ
ピーッ
ハウ「あ」
ロトム図鑑「バカ! なんということを!」
・・・
ハウ「……あれー?」
しんのすけ「何も起きないじゃん」
ロトム図鑑「……ふう! 私の的確な判断がセキュリティーを解いたようだな」
グラジオ「どこが的確だ! このブタ!」ガシッ
ロトム図鑑「待て! まだ安全に接続を――あ゛っ」ブチッ
ドカドカ!
イタゾー!
しんのすけ「あららー」
ハウ「うわわー!結局バレてるじゃん!」
グラジオ「こんな奴を信じたオレがバカだった……」
ロトム図鑑「お前が勝手に私をいじるからだ! バカ!」
コツコツ
ザオボー「エーテル財団の支部長といえば、世界にただ一人……このザオボーだけで、ございます」
ザオボー「おやおや、招いていないのにまたいらしたのですか?」ニヤァ
しんのすけ「よ! 課長!」
ザオボー「支部長です!」
ザオボー「ヒヒヒ……! グラジオさま、世間にもまれたようですね。ですが教えられません! あなたともあろうお方なら、この状況で言える立場なのか、わかっていますよね」
財団職員たち「…………!」スッ
グラジオ「……クッ」
ロトム図鑑「おねげえしますだ、こいつらのポケモンは渡しますから命だけはお助けくだせえ」
ハウ「こいつー!」
ザオボー「ほうほうほう、面白いことを言う図鑑ですね。わざわざハッキングしていたのはあなたでしたか。いいでしょう」
職員K「では私が彼らのポケモンと身柄を拘束します」
ザオボー「ではロトム図鑑、あなたの身柄はこの支部長のザオボーが保証いたしますよ」
ロトム図鑑「へへーん、悔しかったらかかってこい」ブリブリ
しんのすけ「裏切り者ーっ!」
グラジオ「このブタ……覚えてろ」
ザオボー「彼らは地下1階の空いているラボにでも閉じ込めておきなさい!」
グラジオ「くっ……」
しんのすけ「ぬーっ! オラの青春返せーっ!」
ハウ「そこはポケモンじゃないのー?」
職員K「安心しろ、後でお前たちをエーテルパラダイスから追い出した時にポケモンを返してやる」
職員K「もっとも、グラジオ様が持ち出したタイプ:ヌルは返してもらいますが」
グラジオ「貴様……!」ギロッ
ハウ「持ち出したー? どういうことー?」
しんのすけ「もしかして禁断の恋ってやつ?」
職員K「それを君たちが知る必要はない。そこでおとなしくしているんだな」
ウィーン
しんのすけ「クジラくんの元カノ?」
グラジオ「…………」
グラジオ「……ヌルは、ウルトラビーストに対抗するために創られた、人工のポケモンだ」
しんのすけ「!」ピクッ
ハウ「創られたポケモンー!? それってポリゴンみたいなヤツってことー?」
グラジオ「……そうだ。だが、プログラムで創られたポリゴンと違うのはヌル自体、シンオウ地方に伝わる伝説のポケモンをモデルに、バイオテクノロジーでありとあらゆるタイプのポケモンの力を組み合わせて創られたポケモンだ」
ハウ「なんでグラジオはーヌルと一緒にいるのー?」
グラジオ「……オレとヌルは似てるんだ」
しんのすけ「えーっ! あの兜がパックリ割れると、クジラくんそっくりの顔が出てくるの?!」
グラジオ「そういう意味の似てるじゃない……!」
グラジオ「作られた存在なんだ……。オレは母の飾りとして、いつも選ばれた服で、言われたとおりに振る舞い……ヌルはビーストと戦う。そのためだけに、準備された」
グラジオ「ビーストを倒すためだけに存在しているヌルを放っておくことはできなかった……自分を見ているみたいでな。それで2年前、オレはヌルを連れてここを出て行った」
ハウ「それじゃーグラジオってここの人だったのー?」
グラジオ「……そうだ」
ウゴッ! ウグァァァァッ!
3人「!?」
ハウ「今度はなにー?」
ハウ「あのさー気になってることがあるんだー」
しんのすけ「なに?」
ハウ「グラジオってポケモン勝負中、いつも左腕震わせてるよねー。あれなんだろーね?」
しんのすけ「血圧測ってるんじゃない?」
ハウ「違うと思うー。もっとこう、日頃の癖というかそんな感じがするんだよねー」
しんのすけ「お! わかった、手相を見てるとか?」
ハウ「Zポーズのイメトレ?」
しんのすけ「バイブ機能が付いてるとか」
ロトム図鑑「ラーメンの湯切りの練習だろ」
しんのすけ「あ、それだ!」
ハウ「ポケモン勝負してる最中にラーメン作る練習なんてへんなのー」
しんのすけ&ハウ&ロトム図鑑「あはははー!!」
グラジオ「ンなわけあるか! お前らオレをなんだと思っているんだ……!!」ビキッ
ひろし「しんのすけ! ハウくん! 無事か!?」
ビッケ「ぼっちゃま……」
グラジオ「ビッケ……!?」
しんのすけ「ビッケおねいさーん!」
ひろし「俺は無視かよっ!」
ハウ「おじさん、助けに来てくれたのー?」
ひろし「ああ、お前たちが地下のラボに閉じ込められたって聞いて、ビッケさんと一緒に降りてきたんだ」
ビッケ「みなさんのポケモンです。職員の方から取り戻しました」
しんのすけ「おおっ、ありがとー!」
ハウ「おじさんー。なんで職員の人たち、あんなに変わってしまったのー? 前来た時は、みんな親切にしてくれたのに」
ひろし「俺にもわからないんだ。ただ、代表と支部長から『誰ひとりとしてここを通させるな』って放送が入ったら、みんな目の色を変えて警備に乗り出したんだ」
ひろし「それで俺も保護区の警備に当たっていたら、お前らが捕まったことが伝わってな。事情を知っているビッケさんと一緒にここに来たんだ」
ひろし「内情って?」
ビッケ「我々エーテル財団は、代表の意志に逆らわないように、金銭や人質、脅迫など、強行的な手段を取ってでも命令に従わせるときもあります。これらをしてでも命令するケースは今回くらいで滅多にありませんが……」
ハウ「そうだったのかー……」
しんのすけ「ま、とーちゃんがまたおかしくなったら、靴の臭いを嗅がせますから」
ひろし「はは、分かったことを言うなよ」
ハウ「においー?」
ひろし「そういうお前たちだって、なんでこんなところに来たんだ? 今ここが危ないところだって、外から見てもわかるはずだろ?」
ハウ「実はこういう事情があってー……」
~ハウ説明中~
ひろし「コスモッグ……ウルトラビーストに、リーリエ」
ひろし「つまり、しんのすけたちの友達のリーリエって子が連れていたコスモッグを、財団が取り返して、その能力でウルトラビーストを呼び出すのを、しんのすけ達は止めに来た……ってことか?」
グラジオ「……そういうことだ」
しんのすけ「オラたち、リーリエちゃんもほしぐもちゃんもお助けしに来たんだ!」
ビッケ「ひろしさん。しんのすけさんもハウさんも、顔を見られている以上遅かれ早かれ、いずれエーテル財団とスカル団に狙われます。なので、まずは今回の命令を下している代表を止めることが最善と思われます……」
ひろし「……わかった! とーちゃんも手伝ってやる! 世界の危機なんてどうでもいいけど、息子を危ない目に遭わせるわけにはいかないしな」
しんのすけ「おおっ、とーちゃんも加われば、フンバリキだね!」
ひろし「それを言うなら、百人力、だろ?」
ハウ「おじさん、ポケモン持ってないのに戦えるのー?」
ひろし「大丈夫だ、おじさんはポケモンを持ってないけど、代わりに武器になるものはある。それでお前たちをサポートするさ」
グラジオ「リーリエのこと、なにか知っているか?」
ビッケ「恐らく……代表のところかと」
グラジオ「なら、会いにいく。それだけの話だ」
ハウ「代表ってルザミーネさんだよねー。いい人だから、話をきいてくれるよー」
しんのすけ「そーそー、オラなんて素直でいい子だから、きっと止めてくれるって」
グラジオ「興味のない相手になら、優しくふるまえるだろうさ……」
グラジオ「関係ないね」
ひろし「あの扉のカギか……。おそらくだが、支部長ならなにか知ってるかもしれないな」
しんのすけ「ぶりぶりざえもんも一緒かなー?」
ビッケ「支部長なら、1階におられます。どうかお気をつけて……」
しんのすけ「よーし! じゃあ3人はリーリエちゃんを追って! オラはビッケおねいさんとコーヒーでも!」
ひろし「お前も来るの!」
ハウ「こんな時でもしんのすけってブレないねー」
グラジオ「頭痛くなってきた……」
ウィーン
ドタドタドタッ!
ビッケ(みなさん……グラジオさまの事、よろしくお願いします……。思いつめると、後先考えずポケモンを連れだすところとか、おふたり、似ておられますから……)
ひろし「くそー……さっきのおかげで、警備が厳重になっているな」
グラジオ「このまま通り抜けるのは、不可能か……」
しんのすけ「オラにいい考えがあるゾ!」
ハウ「なにー?」
しんのすけ「とーちゃん以外、みんなこれ着ればいいんだよ!」バサッ
ひろし「そうか、その手があったか!」
ハウ「エー! それ着るのー?」
グラジオ「俺はそんなもの着ないぞ……!」
しんのすけ「じゃあオラととーちゃんとハウくんで、リーリエちゃんに会いにいくもん。クジラくんはここでじっとしていればー?」
グラジオ「クッ……!」ピクピク
ハウ「グラジオー仕方ないってー。他に方法がないんだもん」
グラジオ「ハァ……憎いヤツだ」
しんのすけ「それほどでも~」
ひろし「褒めてないって……」
職員L「ん? そのポケモンは?」
ひろし「あ、あぁ、これから保護区に連れて行くポケモンたちですよ。ほら、さっきも侵入者がいたでしょ? 戦闘に巻き込まれないために保護区に避難させようと……」
ルガルガン(夜)?「…………」
ピカチュウ?「ぴっかぁ!(裏声)」
カプ・コケコ?「コイケェーエイコー!」
職員L「この……ポケモンたちが?」
ひろし「は、はい」
ひろし「は、はい」
職員L「なんかピカチュウが普通のサイズより頭身が高く見えるけど……」
ひろし「えっと、突然変異です。色違いと似たようなものですよ」
職員L「……ちょっと待て、じゃあなんでカプ・コケコがこんなところにいるの?! コイツメレメレ島の守り神だろ!?」
ひろし「えーっと、それが……」
カプ・コケコ?「オラたちーバカンス中ーでしてー!」
ひろし「そうそう、旅行中らしいんですよ」
職員L「オマエラあやしい! オマエのようなしゃべるカプ・コケコと頭身が高いピカチュウがいるか!」
ルガルガン?「……!」
ピカチュウ?「ピカァ!?(裏声)」
ダッ
カプ・コケコ?「カプ・カンチョー!」
ズ ボ ッ !
職員L「あおおおおーっ!!」ビクビク
カプ・コケコ?「よっしゃー!」
ルガルガン?「なにしてやがる、オレ……」
ピカチュウ?「でもちょっと面白かったー」
ルガルガン?「……だいたい、カプ・コケコに変装なんて無理がある」
カプ・コケコ?「オラのコスプレに不可能はない!」
ルガルガン?「そうじゃない! 不自然すぎると言っている!」
ピカチュウ?「まぁ今更だけどねー」
グラジオ「ザオボー……!」
ザオボー「おやおや……下でおねんねしていればいいものを」
しんのすけ「よ! 副課長!」
ザオボー「支部長です! なんでさっきよりランクが下がっているんですか!」
ザオボー「ひろしさん……あなたは確か、保護区の警備を任せていたはずですが。なぜお子様たちを連れているのですか? まさか、我々に逆らうなんて言うんじゃありませんよね」
ひろし「俺の子供のポケモンを取り上げて、ラボに閉じ込めるやつらを信用できるかよ」
ザオボー「侵入してきたのはそちらのお子様たちでしょうに。いいのですか? フタバカンパニーから異動してきたあなたが、財団の方針に口出しできる立場ではないのですよ?」
ザオボー「そうですねぇ、そこのお子様たちを説得して、さっきのラボに戻して頂ければ今回のことは代表に報告しないでおきましょう。いかがですか? 慈悲深い支部長の取引ですよ?」
ひろし「支部長、俺が家族をお前たちに売る男に見えると思ったら大間違いだ」
グラジオ「……」
ザオボー「……」ヤレヤレ
しんのすけ「ま、とーちゃんの甲斐性じゃヒラか係長止まりだもんね」
ひろし「うるせーよ! せっかくかっこよく言ったのに……」
ザオボー「ええ! もちろんですとも。カギというより、パスワードですが」
ハウ「だったらー隠れていたら、先に進まれることもないのにー」
ザオボー「!?」
しんのすけ「そうだよねー。子供でも分かることなのに、おバカさんだなぁ」
ザオボー「ええい! こうなったら、人呼んでエーテルパラダイス最後の砦! 支部長ザオボー! その力をとくとお見せしましょう! ええ! マルチバトルでお相手しましょう!」
グラジオ「時間がない、しんのすけ! オレを助けろ! ハウは誰かが乱入してこないように周囲を見張れ!」
ハウ「おーし!」
しんのすけ「めんどくさいけど、行きますか」スッ
エーテル支部長の ザオボーが
勝負を しかけてきた!
スリープ「スリィィプ!」ポンッ
スリーパー「スリィィィパァー!」ポンッ
しんのすけ「カザマくん、レッツラゴー!」ヒョイ
グラジオ「深緑の射手と並び立ち、供に愚鈍なる力をねじ伏せろ――ヌル!」ヒョイ
ジュナイパー『早くケリを付けよう! しんのすけ!』ポンッ
ヌル「オオォォッ!」ポンッ
グラジオ「ヌル! スリープにシザークロス!」
ヌル「オオォォッ!」ダッ!
しんのすけ「それじゃ早速Zワザ行っちゃいま~す」
バッ バッ ブリブリブリブリ!
カザマは Zパワーを 身体に まとった!
カザマが 解き放つ
全力の Zワザ!
シ ャ ド ー ア ロ ー ズ ス ト ラ イ ク !
ジュナイパー『行くぞッ!』バサッ
カザマは真上に飛翔すると、周囲に無数の矢羽根を扇形に並べた。そして矢羽根と供にスリーパーへ急降下する!
そしてスリーパーに直接攻撃したと同時に無数の矢羽根がスリーパーや周囲に突き刺さり、黒紫の爆発を引き起こした!
スリーパー「スリィィパァァ!!」ドサッ ゴロゴロ……
ヌル「オオオォッ!!」
ザンザンッ!
スリープ「スリィィィプ!?」
フラッ ドサッ
ひろし「すげぇ……秒殺だ!」
ハウ「よーし! ナイスバトルだよー二人ともー!」ピョンピョン
ザオボー「あ、あああ、ありえないでしょう? お子さまに追い詰められるなんて!? しかも何もできずにっ」
グラジオ「助けあう、か……悪くないな」
しんのすけ「オラとクジラくんのハートとハートが重なり合った結果なのねぇん」クネクネ
グラジオ「その気色悪い言い方、やめろ」
グラジオ「ザオボーともあろうお人なら、用件、わかっていますよね」
ザオボー「クッ……皮肉が言えるほど、世間にもまれましたか」
ザオボー「ですが、パスワードを教える気はありませんよ。なにせ私は、エーテル財団最後の砦! 支部長ザオボーですから!」
ハウ「あー! 勝負に勝ったのにきったなーい!」
ひろし「じゃあ、その最後の砦とやらの強さ、試してみるか」ズイッ
ひろし「しんのすけ、ハウくん、グラジオくん、そいつの手足を抑えてくれ」
しんのすけ「もうしてるよー」ガシッ
ハウ「オッケー!」ガシッ
グラジオ「…………」ガシッ
ザオボー「な、なにをする気ですか? ぼぼぼ暴力ですか? そんなことで私が屈すると思っているのですか?」
ザオボー「なぜ靴を脱ぐんですか? ちょっとそんなもの近づけないでください臭いますからやめてくださいホントに!」ガタガタ
ツーーーーン
ザオボー「ウグッ!!」
グラジオ「……!?」ビクッ
ハウ「なんかくさいー!」ウルッ
しんのすけ「出た! とーちゃんの靴下攻撃!」
ザオボー「オオオオッ! オッ!! オオオオォォォ!!!」ジタバタジタバタ
ひろし「どうだ? 話してくれるか? 支部長」ツーン
ザオボー「話します! 話しますからもうやめて……ウェップ」
グラジオ(なんて臭いだ……そこらの毒タイプの放つ臭いとは比べ物にならない。ザオボーはこれを間近で受けているのか)
ザオボー(だからお子様と親バカは好きになれないんです……)ピクピク
グラジオ「一気に行くぞ、ヌル……!」ダッ
ヌル「オォォォッ!!」ダッ
スカル団したっぱI「こいつらを止めろ!」
したっぱJ「グズマさんのお手を煩わせるな!」
ハウ「わー! スカル団のみなさん、いっぱいいるよー! 本当にスカル団にお仕事頼んでたんだー! すごいショックー!」
しんのすけ「エーテル財団も下着ドロボーだったのか!」
ひろし「なんでだよっ!」
ハウ「考えるのはあとだよねー! しんのすけ! スカル団、やっつけるよー!!」
しんのすけ「おっしゃー!」
ひろし「オレも靴の臭いでサポートするぜ!」バッ
したっぱJ「あいつらを倒せ、ゴルバット!」
したっぱK「ヤドラン! ゴーッ!」
ラッタ「シャーッ!」ポンッ
ゴルバット「ゴルーッ!」ポンッ
ヤドラン「ヤン……」ポンッ
ハウ「いくよーガオガエン!」ヒョイッ
ガオガエン「ガルルルッ!」
しんのすけ「ネネちゃん! レッツラゴー!」
ヌイコグマ『どこからでもかかってきなさいよ!』
グズマ「グラジオ、ここまで来たってことはよ、生みの親に逆らうつもりってことだな?」ニヤッ
グラジオ「ああ、親が間違っていることをしてたら、逆らってでも止める!」
グズマ「ハッ、反抗期ってやつか。おまえのことは、ずいぶん気に入ってたんだがよ。この親不孝者が!」
グズマ「お前のその性根、ブッ壊してやらあ!」
グラジオ「孤独と戦ってきた日々で鍛えた力、ぶつける!」
グズマ「破壊という言葉が人の形をしているのが、このオレさまグズマだぜえ!」
ガオガエン「ガオォォッ!!」ギュルルルン!
バキッ!
ヤドラン「ヤン……」
しんのすけ「ピッピ人形を殴るように打ち込めー!」
ヌイコグマ『ふんっ!』ブンッ
ドズムッ!
ラッタ「シャッ!?」
ゴルバット「ゴルルッ!!」バサバサッ
ひろし「食らえっ!」バッ
ツーーン!
ゴルバット「ゴ、ゴルッ!?」ピクッ
したっぱたち「ひっ! く、クサッ!」フラッ
バタバタッ!
しんのすけ「」
ハウ「」
ひろし「……お前ら嗅いでねえだろ! わざとらしく気を失うな!」
したっぱL「あのオヤジが一番厄介だな! おい、あのオヤジをやれ!」
ひろし「しんのすけ! ハウくん! ここは俺が引き受ける! お前らは早く代表のところへ行け!」
しんのすけ「とーちゃんは?」
ひろし「後で行くぜ! とーちゃんを信じろ、しんのすけ!」
しんのすけ「……とーちゃんはいつか、課長になれるよ!」ダッ
ひろし「課長どまりかよ!」
ハウ「おれは残るー。おじさん、ポケモン持ってないでしょー? おれが手伝ってあげるー!」
ひろし「ハウくん……! よし、臭いに巻き込まれないよう気をつけろよ!」
ハウ「うんー!」
グラジオ「クッ……強くなってない。孤独と戦ってきた日々、まるでムダだったというのか……」ガクッ
ヌル「オ、オオ……」ピクピク
しんのすけ「クジラくん、ヌルヌルくん、せーり痛?」
グラジオ「……ホントにそう見えるなら眼科行けっ!」
グズマ「ブッ壊しても、ブッ壊しても、手を緩めなくて嫌われるグズマ様が、ここにいるぜ」
しんのすけ「よ! くさやのおじさん」
グズマ「グズマだ! そこのおぼっちゃんは、オレさまが壊してやったよ。家を飛びだし……強くなりたいって、スカル団に来たりしてよ。それなりに気に入ってたがよ……。生みの親に逆らうなんて、親不孝にもほどがある!」
しんのすけ「えっ? クジラくんとくさやのおじさんって親子なの?! ってことはクジラくんがお父さん?」
グズマ「ちげぇよ! バカかお前は!」
グラジオ「勘違いするにしても逆だ……!」
しんのすけ「ほーほー」
グズマ「そんで、次はお前をブッ壊す番だ。いつまでもチョロチョロまとわりつく、目障りなじゃがいも小僧が!」
グズマ「お前のじゃがいも頭ブッ壊して脳みそストローでチューチューすすってやるぜクソボーズ!!」
勝負を しかけてきた!
グズマ「オラァ行けっ! グソクムシャ!」ヒョイッ
グソクムシャ「ズモォォォッ!!」ポンッ!
しんのすけ「…………」
――グソクムシャ「ズモォォォッ!!」ドスドスドス!
――しんのすけ! であいがしらは出した瞬間のみだが、必ず先制できる技だ! グソクムシャの得意技だよ!
しんのすけ「ボーちゃん! レッツラゴー!」ヒョイッ
ミミッキュ『ボッ!』ポンッ!
グズマ「挨拶がわりにであいがしらをブチかませ!」
グソクムシャ「ズモォォォッ!!」ドスドスドス!
ドゴッ!
ミミッキュ『ボ! 早い!』カクン
しんのすけ「ボーちゃん、今だ!」
ミミッキュ『オッケイ』バチチチッ!
グソクムシャ「ググッ!?」ビリビリ
ミミッキュ『ボーッ!』ジャキンッ!
グソクムシャ「グモッ!?」ザクッ!
ミミッキュ『もう一度!』ジャキン!
グズマ「今だ! ふいう――」
しんのすけ「ボーちゃん、一旦戻ったほうがいいよー!」
ミミッキュ『ボ! 分かった』サッ
グズマ「チッ……ふいうちを読んだな」
グズマ「グソクムシャ! いったん戻りな!」シュンッ!
ミミッキュ『ポケモンを取り換えた……?』
しんのすけ「ワッハッハッハッ、ボーちゃんに恐れをなして逃げたか!」
グズマ「ハッ――行きな! アリアドス!」ヒョイッ
アリアドス「シャーーッ!!」ポンッ
グズマ「アリアドス、どくのいとだ!」
アリアドス「シャーッ!!」ブシュッ
ヌイコグマ(ボール)『どういう意味よ!』
ミミッキュ『ボーッ!』ジャキンッ
ザクザクザクッ!
どくのいとをシャドークローで切り裂いた瞬間、ボーちゃんの背後にアリアドスが現れた!
グズマ「クロスポイズンだ!」
アリアドス「シャッ!!」ブンッ
ザクザクッ!
ミミッキュ『うっ……!』ブルッ
しんのすけ「ボーちゃん、大丈夫?」
ミミッキュ『たぶん、毒を受けたかも。これから光の壁を張って、アリアドスにのろいをかけてくる』
しんのすけ「のろい?」
ミミッキュ『しんちゃんは、次のポケモンを出す準備しといて』
しんのすけ「ほいっ」コクン
グズマ「あん? 光の壁か? 面倒なことしやがる。アリアドス! かげうちだ!」
アリアドス「シャーッ……」ブゥゥン
ミミッキュ『ボ!?』ドカドカッ
ボーちゃんの影からアリアドスが現れて、攻撃を加える。
しかし、振り向きざまにボーちゃんの目が妖しく輝く!
ミミッキュ『……ボ!』ギンッ!
アリアドス「シャ……!?」ドクン!
グズマ「ん……?!」
ミミッキュ『しんちゃん……交代』ハァハァ
しんのすけ「ボーちゃん、ごくろーさん」シュンッ
ヨワシ(群)『うっしゃあ! ヤローども、行くぜい!』ポンッ
グズマ「あん時のヨワシ……。さっきのミミッキュといい、バカなわりに面倒なの連れてやがる」
しんのすけ「マサオくん、思いっきり行っちゃえー!」
ヨワシ『おうっ! ウラウラのときはほとんどだらしねぇところ見せちまったが、汚名返上だぜ! ファイヤーッ!』ブシャーッ
マサオの口から勢いよくみずでっぽうが放たれる。
アリアドス「シャッ?!」ドドドッ!
グズマ「アリアドス! もう一度どくのいとだ!」
アリアドス「シ、シャーッ!!」ブシュッ
グズマ「そんなでけぇ図体じゃ避けようもねえだろうよ!」
しんのすけ「押し返しちゃえ!」
ヨワシ『やらいでかっ!』バシュッ!
マサオのみずでっぽうと、アリアドスのどくのいとが互いに迫っていく!
アリアドス「シャアッ……!」ズドドッ!
マサオにどくのいとが締め付けられたものの、アリアドスの体力も限界を迎えた。
アリアドス「シ……シャッ」ガクッ
グズマ「おうおう、ヤツはどくに出来たみたいだな。よくやったぜ、アリアドス」シュン
ヨワシ『……このくらい!』ググッ
しんのすけ「ちょっとずつヨワシくんが逃げちゃってるけどね」
ジュナイパー(ボール)『やっぱり、でかさが仇になってる時があるね』
しんのすけ「群れなんだから、バラバラになれないの?」
ヨワシ『バラバラ?』
ジュナイパー『なるほどね! 群れを一旦散り散りにさせて技を回避したあと、もう一回戻るんだよ!』
ヨワシ『……考えてみるぜ。すぐにできることじゃねぇけどよ』
グズマ「カイロス、出てこいやぁ!」ヒョイッ
カイロス「カイロォォッ!」ポンッ
しんのすけ「おおっ、新手か!」
ヨワシ『誰が来ようが関係ねぇ! ぶっ飛ばしてやるぜぇ!』ブンッ
カイロス「カイッ!」メキッ!
マサオのアクアテールを食らって、地面にめり込んだものの、カイロスは尾ひれを挟んだ!
グズマ「よーし! そのままやまあらしだ!」
カイロス「ロォォォッ!!!」グワァァ
ヨワシ『な、なにっ!?』ズズズ
しんのすけ「おーっすげー! マサオくん持ち上げてる!」
ジュナイパー(ボール)『関心してる場合かよ!』
カイロス「ォォッ!!」ブゥンッ
ズシンッ!
ヨワシ『うわぁっ!』バララーッ
ヨワシ(単)『ううっ……』
しんのすけ「マサオくんは雑魚なんかじゃないもん!」
ヨワシ『し、しんちゃん……』
しんのすけ「ところで雑魚ってどういう意味だっけ?」
ヨワシ「」ズルッ
グズマ「……おまえのバカなやりとりに付き合うつもりはねぇよ。カイロス、かわらわりで止めさしちまえ!」
カイロス「カイッ!」ドタドタッ
ヨワシ『ひっ、ひいいっ……!』ビクビク
カイロス「ロオオオッ!」ブンッ!
しんのすけ「マサオくん!」
ヨワシ『――ッ!』スゥゥゥッ
ブシャアアアアッ!
カイロス「!?」ドドドドッ
ヨワシ『ハァハァハァ……』
グズマ「今のはハイドロポンプか? しぶてぇヤツだ! とっととやっちまえ!」
カイロス「ロォォッ!」ブンッ!
ヨワシ『うわぁぁっ!』ドカッ
ドサッ
ヨワシ『し、しんちゃん……も、限界だよ……』ピクピク
しんのすけ「ほい、マサオくん頑張りましたな」シュンッ
しんのすけ「じゃあ次カザマくん――」
ヌイコグマ(ボール)『ちょっと待って、あたしが出ていい? あのグソクムシャにリベンジしたいの』
ジュナイパー(ボール)『えぇ? だったら先に僕がカイロスを倒したほうが――』
ヌイコグマ(ボール)『いいでしょ? カザマくんはアセロラさんの試練で出番もらったんだし』
ジュナイパー(ボール)『わ、わかったよ……』
しんのすけ「じゃあネネちゃん、レッツラゴー!」ヒョイッ
ヌイコグマ『今度こそあいつにリベンジしてやるわっ! とっととカイロスをやっつけちゃいましょ』ポンッ
カイロス「カイッ!」ブンッ!
ヌイコグマ『あんたなんかに用はないのよ! とっとと失せなさい!』ブンッ!
ググググッ
ヌイコグマ『ふぬぬぬっ……!』ググッ
カイロス「ロォォォッ」ググッ
ネネの腕とカイロスのハサミがつばぜり合いをするようにぶつかりあう!
しかし、先に動いたのはネネだった!
ヌイコグマ『ふんっ!』ガシッ
カイロス「カイッ!?」
ヌイコグマ『おぉぉりゃぁぁっ!』ブゥンブゥン
しんのすけ「久しぶりに見た、ネネちゃんのぶんまわし……」
ヌイコグマ『ふんっ!』ブンッ!
ヌイコグマに投げ飛ばされたカイロスは、壁に激突する!
ズズンッ!!
カイロス「ロォォッ……」ガクッ
グズマ「後はお前だけだ! グソクムシャ!」ヒョイッ
グソクムシャ「ズモォォォ……ッ」ポンッ!
ヌイコグマ「やっと出てきたわね。マリエ庭園でのお返し、たっぷりすr」
グズマ「であいがしらだ!」
グソクムシャ「ズモォォォッ!!」ドスドスドス!
ドカッ!
ヌイコグマ『……っと! そう何度もさせないわよっ』グググッ
グソクムシャ「ズモォォ!」
ヌイコグマ『あーら、最初にやった時よりずいぶん動きが遅いじゃない』ニヤッ
しんのすけ「ボーちゃんがまひまひにさせましたからー」
ヌイコグマ『まぁ、それなら今度、リアルおままごとでいい役をやらせなきゃね』
ミミッキュ(素直に喜べない……)
グソクムシャ「ズモォォッ!」ブンッ!
振り下ろされるシェルブレードに対して、すかさずネネは横へ回避するとグソクムシャの腹に向けて拳を突っ込む!
ヌイコグマ『ネネ・パーンチッ!!(カウンター)』ブンッ
グソクムシャ「ズモッ!?」ドスンッ!
ヌイコグマ『そしてネネ・タックル!(とっしん)』ドンッ!
グソクムシャ「ズモォッ!」
しんのすけ「そろそろ避けたほうがいいよー」
ヌイコグマ『まだいけるでしょ! これでとどめよっ! ネネ・パーン……』
グソクムシャ「ズモォッ!」ブンッ
ドンッ!
ヌイコグマ『きゃっ!』フラッ
しんのすけ「あーん、だから戻ったほうがいいって言ったのに」
グズマ「歴史は繰り返すってな!」
グラジオ「くっ……!」
グズマ「こっから一気にブッ壊してやるぜぇ! グソクムシャ! シェルブレード!」
グソクムシャ「ズモッ!」ブンッ!
ヌイコグマ『痛いっ!』ザンッ!
グズマ「そらそらァ! どんどん行くぜぇ! グソクムシャ、アクアジェットだ!」
グソクムシャ「ズモォォォォッ!!」ドドドドッ!
ヌイコグマ『ううっ!』ドンッ
ジュナイパー(ボール)『ネネちゃん! ライチさんとの戦いでしたように、一度攻撃を我慢して耐えて一気に攻めるんだ!』
ヌイコグマ『わかって……るわよ!』ググッ
グズマ「もう一度シェルブレード!」
グソクムシャ「ズモォォッ!」ブンッ!
ヌイコグマ『く、ううっ!』ザシュッ
ヌイコグマ『はぁ……はぁ……!』
しんのすけ「ネネちゃん、また負けちゃうよ? 悔しくないの?」
ヌイコグマ『悔しいに決まってるでしょ! 同じ相手に負けちゃうなんて、そんなのイヤッ!』
しんのすけ「じゃあ、今思いっきり行っちゃえ!」
ヌイコグマ『うんっ!』ダッ!
ドドドドド!!
ヌイコグマ『うおおおおっ!』
咆哮とともに、今までがまんして溜めてきたエネルギーを解放した、その時!
カッ!
グズマ「なにっ!?」
しんのすけ「ネネちゃんも光った!」
まっすぐグソクムシャに突進しながら、ネネの身体がどんどん巨大化していく。
女の子が抱きかかえられるぬいぐるみから、しんのすけはおろか、グズマでさえ見上げるほどの巨躯へと変わってゆく!
ズズズズ!!
グズマ「グソクムシャ! アクアジェットで止めろ!」
グソクムシャ「ズモォォッ!!」ドドドッ!
ドンッ!
グソクムシャは進化を阻止しようとネネに攻撃を仕掛けようとするが、先ほどのネネとは比べ物にならない力で、アクアジェットを食い止められた。
???「…………」ググッ
グソクムシャ「ズモ……!?」
???『おりゃああああっ!!』ゴウッ!
バキッ!
グソクムシャ「ズモォォォッ!?」グワッ!
かろうじて着地して体勢を整えるが、進化したネネのパワーに、全員が驚愕していた。
グズマ「なん……だと?」
グラジオ「……!」
しんのすけ「おおーっ! ネネちゃん!」
キテルグマ(ネネちゃん)『あたしを舐めるんじゃないわよ!』
進化の光が払われると、ネネはヌイグルミの姿から一転、ピンクと黒の体表が目に付く着ぐるみのような姿――ごうわんポケモンのキテルグマに変わっていた。
しんのすけ「ネネちゃんずいぶん太りましたなー大きくなったゾ」
キテルグマ『あ゛あ゛? 誰が太ったですってぇ?!』ドスドスッ
しんのすけ「おわわっ! なんでもないなんでもない!」
グズマ「なんて奴だ。また進化させやがっただと……」
グソクムシャ「ズモ……ォォッ!」ユラッ
しんのすけ&キテルグマ「!」
しんのすけ「おうっ!」
バッ! シュッ! ブリッブリッブリッ!
ピカッ! ゴウッ!!
ネネは Zパワーを 身体に まとった!
ネネが 解き放つ
全力の Zワザ!
ぜ ん り ょ く む そ う げ き れ つ け ん !
キテルグマ『オラオラオラオラオラオラオラオラ!!』
グソクムシ「グッ、グモッ!?」
ゼンリョクのネネが放つ無数の拳がグソクムシャを襲う!
ドゴドゴドゴドゴドゴ!!!!
キテルグマ『オラァッ!』バキッ!
フィニッシュに、キテルグマ自身がオーラを纏って突っ込む!
しんのすけ「ネネちゃん! ファイヤー!」
キテルグマ『おりゃああああっ!』
ドドドドドドド!!!
ドッゴォ!!
グソクムシャ「グモォォォッ!!」
ドサッ ゴロゴロ
グソクムシャ「グ、グモ……」ガクッ
グズマ「グソクムシャ――」
キテルグマ『……ふうっ! ようやくリベンジできたわ』
しんのすけ「まいったか! これがオラたちのゼンリョクだゾ!」
グズマ「…………!」ブルブル
グズマ「グズマァ!! なにやってるんだああ!!」ガクガクッ
グズマ「しょうがねえ……通りな!」スッ
しんのすけ「あ、どうもねー」テクテク
グラジオ「しんのすけ……! 後でオレも追いつく! リーリエと母上を頼む!」
しんのすけ「ほいほーい!」
しんのすけ(ん? 母上?)
グズマ(……あのじゃがいも小僧をブッ壊すには! 俺様をブッ壊すほど追い詰め、自分自身を強くしないとな!!)ガンッ!
ウィーン!
しんのすけ「ほっほーい! リーリエちゃん生きてる?」
リーリエ&ルザミーネ「……!」
しんのすけ「あ、ルザミーネのおねいさん、やっほ~!」フリフリ
リーリエ「ウソ……です。しんちゃんが、助けに来てくださるなんて……」
しんのすけ「なんか文句ある?」
リーリエ「そ、そういうわけじゃないですけど……」
ルザミーネ「ふうん、知り合いなの。しんのすけ君のような素直で可愛いコと、あなたが仲良くしてるの。わたくし、がっかりです」
しんのすけ「そうかっかしないでおねいさん。オラとリーリエちゃんの仲を嫉妬するのはわかりますけど、別に恋人じゃありませんから……」
リーリエ「かあさまの許しがなくても! わたしはコスモッグを助けます!!」ムシ
ルザミーネ「あなた……よく分からないことを言うのね。だってわたくしには、娘も息子もいないのよ?」
ルザミーネ「わたくしの愛を受け入れずに、いなくなる子供たちなんて!」ギロリ!
リーリエ「……!」
しんのすけ「え? え?」
しんのすけ「え? え?」
ルザミーネ「それにリーリエ、あなたになにかできて? 親を説得できない! トレーナーとしての強さもない! やったことと言えば、人の実験材料を黙って持ち出したことぐらい」
しんのすけ「あと、方向音痴だったり寄り道して買い物したり」
リーリエ「しんちゃん、今は黙っててください……!」
ルザミーネ「美しさが足りていないのよ……。まあ、いいとしましょう! せっかくですから、ビーストちゃんを招くところ、ご覧なさい」
しんのすけ「ビーストちゃん……?」
リーリエ「ワガママではありません。お願いなのです……! かあさま! ビーストのためにコスモッグを犠牲にしないで!」
リーリエ「ウルトラホールを開ければ……! コスモッグ……死んじゃう……!」
ルザミーネ「そうよね、死んじゃうかも。だって、コスモッグの能力を無理やり使っちゃうもの!」コツコツ
しんのすけ「……!」ピクッ!
ルザミーネ「あなたがわたくしの子供なら、少しは考えてあげたかも……なんてね!」ニイッ!
ブゥン
しんのすけ「消えちゃった……」
リーリエ「……しんちゃん、来てくださってありがとうございます」
しんのすけ「まったく、オラがいないとダメなんだから」
リーリエ「そう……ですね。なのにわたし……ワガママしか言えなくて……」
しんのすけ「ほしぐもちゃん、危ないの?」
リーリエ「……はい」
リーリエ「お願いです……ほしぐもちゃんを……! ほしぐもちゃんを助けてくださいッ!」
しんのすけ「よーし、じゃあ行きますか!」
リーリエ「はい! あのワープパネルで追いましょう!」
しんのすけ達がルザミーネを追ってワープすると、真っ白な部屋へたどり着いた。
しんのすけ「なにあれ? ポケモン?」キョロキョロ
リーリエ「えぇ……なんですか……?」キョロキョロ
しんのすけ&リーリエ「!」
ルザミーネ「はやくこちらにいらっしゃい」ニヤニヤ
しんのすけ「あれなーに?」
ルザミーネ「あら、しんのすけ君、わたくしのコレクションに興味があるのかしら」
しんのすけ「こねくしょん?」
ルザミーネ「これはわたくしの愛する子供たち……。ポケモンを永遠に飾るの」
リーリエ「そんな……!」
凍ったピカチュウ「」
凍ったヤドン「」
凍ったナマコブシ「」
しんのすけ「みんな凍ってる……」
しんのすけ「えっ……オラ、いい」ビクッ
ルザミーネ「そう、残念……」
リーリエ「かあさまッ!」
ルザミーネ「まぁいいわ。ねぇしんのすけ君、以前保護区に来たとき、ビーストちゃんと戦ったでしょう? あの時、あなたはビーストちゃんがどんなふうに見えたかしら?」
しんのすけ「んっと……オラを見て一目ぼれした!」
ルザミーネ「ふふ……相変わらず、面白いこと言うのね。わたくしには、こちらの世界に来て、戸惑って暴れちゃったように見えたの」
しんのすけ「ほーほー……」
ルザミーネ「だけど、ケースに閉じ込めるのはかわいそうなのよね……。だからアローラで、気ままに暴れてほしいなって思うの」
しんのすけ「かわいそうならなんで自慢の子供は閉じ込めてんの……?」
ひろし&ハウ「しんのすけーっ!」ドタドタッ
グラジオ「リーリエ!」タタタッ
リーリエ「!」
しんのすけ「とーちゃん! ハウくん! クジラくん!」
ひろし「あの子がリーリエちゃんか。それにしても、この部屋……代表はずいぶんまともじゃねぇな。しんのすけ、大丈夫か?」
しんのすけ「まぁね」
ルザミーネ「あら、ハウくんとひろしさんまでいらしたの? ……ふぅ、グズマもだらしないコ」ヤレヤレ
グラジオ「オレからも頼む。ウルトラホールは開けるな! ビーストを暴れさすとか、ない!」
ルザミーネ「…………」コツコツ
グラジオ「…………」
リーリエ「…………」オロオロ
ルザミーネ「コスモッグを連れだす娘に、タイプ:ヌルを奪った息子……。あれだけ愛情を注いだのに、わたくしは裏切られたのよ? 今更なにを聞くと言うの!」ギロッ!
グラジオ「……!」キッ!
ひろし「なに……?」
リーリエ「……」
グラジオ「……」
ハウ「って、えー!! リーリエたち家族なのー!?」
しんのすけ「ハウくん鈍いなぁ」
ハウ「嘘つけーしんのすけも今知ったでしょー!」
ルザミーネ「元家族ね……ハウくん。その人たちは、出ていったのだから」
ひろし「代表……あんたは、本気でそう言ってるのか? 自分の娘と息子だぞ!」
ルザミーネ「なにをおっしゃっているのですか? ひろしさん。親の言うことに従えない子供を、なぜ娘と息子として扱わなければいけませんの?」
ひろし「リーリエちゃんとグラジオくんは、お前の欲を満たす道具だっていうのか?!」
ルザミーネ「ひろしさん……。あなたは聞き分けのいい息子さんを持っているから理解しがたいでしょうね。その子達がわたくしの愛を受けながら身勝手な理由で裏切ったせいで、ここがどれだけの損害を被ったか、どれだけめちゃくちゃになったか分かりますか?」
ひろし「それはお前が子供たちの言葉を聞かなかっただろうが! なんで耳を傾けなかったんだ!」
リーリエ「……」
グラジオ「……ひろし」
ひろし「てめぇ、同じ親として許せねぇ……なんてやつだ」ワナワナ
ルザミーネ「というか、そんな下らないこと、どうでもいいの! 財団に残されたコスモッグのガスだけで、ウルトラホールが開いたでしょう?」
ハウ「あの時の揺れかー!」
ルザミーネ「ケージの中のコスモッグをまるごと使えば、ウルトラホールもたくさん……。ふふっ、どれだけのビーストちゃんが来るのかしら?」クルッ
ほしぐもちゃん「ぴゅ……!」
リーリエ「お願い……やめて……。ほしぐもちゃん……力を使うと、動けなくなるの……パラダイスから逃げたあともしばらく……固まっていて……」
リーリエ「力を使いすぎたら、本当に死んじゃいます……!」
しんのすけ「……とーちゃん」ボソッ
ひろし「……ああ」ヌギッ
ルザミーネ「ほら……ウルトラホールを開けるから、おいでなさいビーストちゃ――」
ひろし「しんのすけ! 行けっ!」バッ!
しんのすけ「ほいっ!」ダッ!
ひろしが片方の靴を飛ばすと、走り出したしんのすけが素早くキャッチ。そしてしんのすけは目にも止まらぬスピードで、ルザミーネへ一気に距離を詰めた!
しんのすけ「くらえっ! とーちゃんの靴攻撃!」バッ!
ルザミーネ「!?」
ツーーーン!!
ルザミーネ「ウッ! ゴホッゴホッ!」
パシッ!
しんのすけ「ほしぐもちゃんいただき!」ダッ!
グラジオ「!」
リーリエ「しんちゃん……!」
ひろし「みんな! ここから逃げるぞ!」ダッ
ハウ「待って待ってー!」ダッ
ケージを抱えるしんのすけを先頭に、みんながワープパネルに向かうと、今度はグズマが現れる!
グズマ「代表! 首尾はどう……」
ルザミーネ「グズマ! しんのすけ君を捕まえなさい!」
グズマ「だ――?」
しんのすけ「あ、やば」
???「……!」ヒュンッ!
金ッッ!
グズマ「おおーーーーーッ!! おっ! おおーーーっ!!」
ロトム図鑑「ん~変な感触だ……」
しんのすけ「ぶりぶりざえもん!」
ロトム図鑑「職員に解体されかけたから逃げてきた」
グラジオ「なにをしてる! 早く行くぞ!」ダッ
シュン! シュン! シュン!
グズマ「あ……ああっ……あ……きんのたまが……」ビクッビクッ
ルザミーネ「……なんてひどいの!」ワナワナ
ルザミーネ「グズマ! 早く追いなさいっ!」ゲシッ!
グズマ「あ、ああっ、わかってる! あのじゃがいも小僧ッ……!」マタヲオサエナガラハシルッ
シュンッ!
ルザミーネ「……行きなさい! 愛しい子供達! コスモッグを取り戻しなさい!」スッ
ドタドタドタ!
ハウ「でかしたよー! しんのすけー!」
しんのすけ「いやぁそれほどでもー!」
グラジオ「船着場に向かうぞ!」
マチヤガレェ!
みんな「!」
グズマ「うおおおお! コスモッグをよこしやがれぇぇ!!」ダダダダダッ!
ハウ「わー! 追ってきたよー!」
ひろし「エレベーターに乗るぞ!」
リーリエ「はいっ!」
ズルズルッ!
ミロカロス「ミロォォッ!」
ハウ「わー! ミロカロス?!」
リーリエ「あのポケモンさんは、かあさまの……!」
ビキビキビキッ!!
リーリエ「エレベーターが……!」
グラジオ「仕方がない! 住居区の非常階段を下るぞ!」
ドタドタドタッ!!
ひろし「あの奥が居住区だ!」
スーッ
バリンッ!
ムウマージ「ヒヒヒッ!」ユラァ
キテルグマ「クーーーーッ!!」グワッ
しんのすけ「おわっ、こっちにもネネちゃん?!」
グラジオ「違う! あれも母のポケモンだ! ハウ、行くぞ!」スッ
ハウ「わかったー! ここはおれたちがやるから3人は急いでー!」
ひろし「2人とも、頼んだぜ!」ダッ
リーリエ「にいさま! ハウさん! 気をつけて……!」ダッ
しんのすけ「お風呂入れよー」ダッ
ハウ「ガオガエン! 出番だよー!」ヒョイッ
ヌル「オオォォォッ!!」←回復済み
ガオガエン「ガォォォッ!!」ポンッ
ハウ「グラジオー。負けられない戦いって、揺るがない強さがいるんだねー!」
グラジオ「ああ、だが……ロイヤルドームでのオマエの言葉こそが、真実かもな」
ハウ「そうかなー? まぁいいや! ガオガエン! ムウマージにDDラリアット!」
グラジオ「ヌル! キテルグマにエアスラッシュ!」
ガオガエン「ガオォォッ!!」ギュルルルン!
ヌル「オォォォッ!」ブンッ!
ドタドタドタッ!!
しんのすけ「リーリエちゃん大丈夫?」
リーリエ「だいじょう……ぶです!」ゼェゼェ
サッ!
ピクシー「ピッピクシーッ!」
しんのすけ「また来たーっ!」
ひろし「どきやがれ! このっ!」バッ
ツーーーン!!
ピクシー「ギエピー!!」ビクビクッ
リーリエ「大丈夫ですか?」タタタッ
ひろし「……そうだ! リーリエちゃん、バッグを!」パカッ
ひろしがゲージを開くと同時に、グズマが接近してくる!
グズマ「逃がさねぇぞてめぇら! さっさとそいつをよこせっ!」ダダダッ!
ひろし「こんな箱! 欲しけりゃくれてやるっ!」ぷ ―・
グズマ「おっとと!」パシッ!
パカッ
ロトム図鑑「いや~ん見ちゃめ///」
ブヒィィィィィ!!>
ひろし「さ、行け! あいつらは俺が止める!」
ほしぐもちゃん(inバッグ)「ピュ……」
リーリエ「ありがとうございます!」ダッ
しんのすけ「名刺じゃないのね」ダッ
ひろし「かかってこいっ! フタバカンパニー営業二課係長野原ひろしが相手だ!」
ピクシー「ヤロー!」
リーリエ「はいっ!」
ズルズルズルッ
ミロカロス「ミロォォォッ!!」グワッ
ドレディア「ドレディー」
リーリエ「ま、またっ!」
しんのすけ「ぬーっ、しつこい奴らだなー! しつこいってどんな意味だっけ、くそっ!」
ミロカロス「ミィロォォッ!」ズピーッ!
しんのすけ「!」ダッ!
リーリエ「しんちゃんっ!」
しんのすけ「とおーっ!」ピョンッ!
ミロカロスのれいとうビームをジャンプして回避すると、そのままミロカロスの頭に向かってお尻を出しながらダイブした!
ミロカロス「ミロッ!?」
しんのすけ「くらえーっ!」
ブッ!
リーリエ「…………」アゼン
しんのすけ「よーし! カザマくんボーちゃんレッツラゴー!」ヒョイッ
ジュナイパー『任せてくれ!』ポンッ
ミミッキュ『ボ!』←こちらも回復済み
しんのすけ「さ、リーリエちゃん!」ダッ
リーリエ「は、はいっ!」ダッ
ミロカロス「ミッ、ミロォォッ!!」ズピーーッ!!
ドレディア「ディア~ッ!!」バサバサバサッ!!
ミミッキュ『ボーッ!』カッ!
しかし、素早くボーちゃんがカザマの前に立つとすぐさま光の壁を張った! れいとうビームと無数の花びらが弾かれて、周囲の壁を破壊する!
すかさず、カザマが影の矢を翼につがえる!
ジュナイパー『やあっ!!』ドシュドシュッ!!
ドカンッ! ドカンッ!
ミロカロス「ミロッ!」
ドレディア「ドレッ!?」
ミミッキュ『カザマくん、僕がミロカロスとドレディアの動きを止める。合図を出したら、すぐに威力の高い攻撃を叩き込んで!』
ジュナイパー『分かった!』
しんのすけ「ついたー! ゴール!」
リーリエ「にいさまの……ふねは?」ハァハァ
しんのすけ「てゆうかリーリエちゃん、船動かせんの?」
リーリエ「えっ?」
しんのすけ「お?」
しんのすけ「…………」
リーリエ「…………」
リーリエ「あ、あの、ではマサオさんのなみのりで……」
しんのすけ「あ、その手があったかー」
コツコツ……
ルザミーネ「ここにいたのね……」
しんのすけ&リーリエ「!」
ルザミーネ「さぁ、コスモッグを返しなさい」コツコツ
しんのすけ「リーリエちゃんには指一本触れさせないゾ!」バッ
ルザミーネ「……しんのすけ君、あなたにもがっかりです」
ガシッ
しんのすけ「うわぁぁ離せぇぇっ」ジタバタ
ルザミーネ「そこでおバカな頭を冷やしたらどう?」ポイッ
ザブン!
しんのすけ「うわっぷ!」ジャブジャブ!
ルザミーネ「さあ、早くわたくしにコスモッグを渡しなさい!」
リーリエ「かあさまっ……!」フルフル
ルザミーネ「渡しなさいと言っているの!!」ギロッ!
リーリエ「い、いやです!」
ルザミーネ「…………」
ルザミーネ「……そう」スッ
バシンッ!!
頬を叩かれた勢いで、一瞬リーリエは自分は今、何をされたのかわからないまま、地べたへと崩れ落ちた。
リーリエ「――っ」
しんのすけ「あーっ! リーリエちゃんっ!」
ルザミーネ「ふぅ……いい加減目障りなのよ。あなた」
リーリエ「かあ……さま?」ガクガク
ルザミーネ「邪魔なのよ? わかる? もうあなたは必要ないの。いい加減コスモッグ、返してもらいます!」
ドッ!
リーリエ「うっ……!」
ルザミーネはハイヒールでリーリエを蹴るように押しのけると、彼女のバッグをもぎとった。
ルザミーネ「ふふ……これで邪魔されず、ビーストちゃんを呼び出せるわ」
ほしぐもちゃん「ぴゅ……ぴゅう」
ルザミーネ「あなたはこっちのゲージに入ってなさい!」
しんのすけ「こらーっ! ほしぐもちゃんになにするんだーっ! リーリエちゃんにも謝れーーっ!!」バシャバシャ
ルザミーネ「さぁ、おいでなさい! ビーストちゃん!」
同時にエーテルパラダイスを中心に、暗雲が広がっていき、アローラ地方に拡大していく。4つ島あちこちに、ウルトラホールがいくつも開かれていく。
そして、ホールの内側からビーストが現れてくる。この船着場に開かれたホールからも、しんのすけが保護区で対峙した、少女のシルエットを持つウルトラビーストが這い出てきた。
UB「じぇるるっぷ……」
ルザミーネ「まあ! アローラのあちこちにも!」
しんのすけ「リーリエちゃん、ほしぐもちゃん、大丈夫?」
リーリエ「…………」
ほしぐもちゃん「……ぴゅ」
ルザミーネ「もう……コスモッグったら、ケージの中でもうるさいわね。わたくしが好きなのは、あなたの能力だけですのに」
ルザミーネ「でもその能力……わたくしの役に立ったようね! 今頃アローラに、たくさんのビーストちゃんが来てるはず……!」
ルザミーネ「ほら……! アーカラ島やポニ島にも……メレメレ島にもいるみたいね……!! ウフフ!」
ハラ「しまキングはやるキング♪」ドスンッ
ハラ「胸騒ぎを覚えれば……」
UB「…………!」ビリビリビリッ!!
ハラ「珍しい客ですな」
ハラ「しまキングとして……!」スッ
キランッ!
バチチチチッ!
ハラ「!」
UB「!」
カプ・コケコ「カプゥーコッコォーッ!!」
空を見上げると、青と桃色、二つの光が。
ハラ「他の島も同じだろうか。頼みますぞ仲間たち……」
ハラ「しまキングとして、このハラ、お支えしますぞ!」
カプ・コケコ「カプゥーッ!!」ダッ!
UB「デンデンジュッ!!!」ビリビリビリッ!
ルザミーネ「うふふ……ビーストちゃん」
ドタドタッ
グズマ「代表……実験は成功なんだな」ニヤッ
ドタドタッ!
ひろし「しんのすけっ!」
グラジオ「リーリエ!」
ハウ「2人とも無事ー?」
ミミッキュ『あれがウルトラホール……!』
ジュナイパー『ウルトラビーストが……!』
ルザミーネ「やだ……無粋な人ばかり。ビーストちゃんが驚くでしょ」
ルザミーネ「グズマ、いらっしゃい。開発していたウルトラボールで、あのコ達を捕まえに行きますよ。正直、この数じゃまだ足りないもの」
グズマ「お、おうっ」
グラジオ「……!」
UB「じぇるるっぷ……」ブゥゥン
ルザミーネ「ふふふっ……ビーストちゃん」
グズマ「……はっ」
ウルトラビーストがホールの中へ戻っていき、グズマが後を追うように先に入っていく。
リーリエ「……かあさま」
ルザミーネ「フフ……」フリフリ
そして最後に、ルザミーネはしんのすけたちに不気味な笑みを浮かべながら、手を振り、歩き出す。
ブゥゥゥン
穴が小さくなっていき、ルザミーネたちの姿もホールの向こうへと消えていってしまった……。
リーリエ「……」
しんのすけ「ほしぐもちゃんも、お元気?」
ほしぐもちゃん「…………」
グラジオ「どうした?」
しんのすけ「クジラくん、とーちゃん、ほしぐもちゃんが動かないの」
ひろし「姿もさっき見た時と違ってる……。生きてるみてぇだが……」
コツコツ
ビッケ「みなさま、ご無事で……」
ハウ「ビッケさん……」
グラジオ「そう……だな……」
ロトム図鑑「私は無事ではないぞ……」ボロッ
グラジオ「あんな人でも親だ。ビーストの世界に放っておいて良いわけない」
ひろし「グラジオくん……」
グラジオ「アローラで崇拝されていたという伝説のポケモンでもいれば、未知の世界にも行けるだろうが」
ハウ「いるよー! だってビーストもいるんだし。だから会えるよ、伝説のポケモンだって! ね、しんのすけ!」
しんのすけ「どうかな?」
ハウ「そこは嘘でも「うん」って言おうよー!」
リーリエ「…………」
グラジオ「ああ、頼む」
ハウ「おれもくたくたー」
しんのすけ「じゃあオラ、ビッケさんと同じ部屋で……」
ロトム図鑑「なにを! 私もだ」
ひろし「お前らは俺の部屋で寝るの!」
しんのすけ「えーっ、とーちゃんとー?」
ロトム図鑑「こんなシケヅラと寝てもな」
ひろし「あのなァ……!」
リーリエ「あの……しんちゃんのお父様……」
ひろし「え? どうしたんだ? リーリエちゃん」
ひろし「え……」
ひろし「……あ、ああ! うちの息子でよけりゃ好きに使ってくれ。しんのすけもいいよな?」
しんのすけ「ほ、ほいっ」
リーリエ「じゃ、しんちゃん……」ギュッ
リーリエは、蒼白な顔のまま、しんのすけの手を握って連れて行った。彼女の周りの空気だけ、ぜったいれいどになっている。口調も、まったく抑場がない。
ハウ「……ほしぐもちゃんが動かなくなっちゃったからかなー? なんか、急に元気なくなったねー」
グラジオ「……リーリエ」
ルザミーネが使っていたベッドに座って俯くリーリエを、しんのすけはおとなしく眺めていた。リーリエの宝石のような翠眼は濁っていて、なにも映っていない。
しんのすけ「……」
リーリエ「……」
ほしぐもちゃん「……」
リーリエ「かあさま……ほしぐも……ちゃん」
しんのすけ「り、リーリエちゃん……?」
リーリエ「……」
しんのすけ「お、お元気出しなよ。オラなんてしょっちゅうかーちゃんからげんこつとかグリグリ攻撃されてるから……」
リーリエ「ううっ……うううっ」ポタポタ
しんのすけ「ほ、ほらっ、ケツだけ星人ブリブリ~ブリブリ~! ほしぐもちゃんも大好きでしょ~? だから目ェ覚まして~! ブリブリ~ブリブリ~!」
リーリエ「くうっ……うっ……あぁっ」
ギュッ
リーリエ「うぁぁっ……ぁぁぁぁっ!! かあさま……かあさまっ!!」
しんのすけ「……リーリエちゃん」ポンポン
しんのすけ「今日はオラが布団になったげるから。いっぱい泣いていいよ」
リーリエ「ううっ……うううっ……!!」ブルブル
しんのすけ「よしよし……」ナデナデ
リーリエはようやく胸の内から溢れる悲しみを吐き出し尽くすと、そのまましんのすけを抱きかかえたままベッドへと転がった。
ルザミーネが使っていたベッドは、どこまでも深く沈んで、リーリエを包んでくれるような柔らかさがある。
リーリエ「……しんちゃん」
しんのすけ「……」
リーリエ「……寝ちゃいましたか」
リーリエ「さっきは、びっくりしたでしょう? ごめんね……」
しんのすけ「……」
リーリエ「まだかあさまのこと、引きずってると思ってます? いいえ、たくさん泣いて……むしろスッキリしちゃいました」
リーリエ「かあさまがいなくなって……ほしぐもちゃんも動かなくなって……こんなに悲しいこと、きっとこの先無いと思います」
リーリエ「ですけど、今でもほしぐもちゃんを元の世界に帰して、かあさまをビーストの世界から連れて帰りたいという気持ちもあるんです」
リーリエ「ポケモンさんとたくさんの試練を乗り越えたしんちゃんとハウさんのように……」
リーリエ「……かあさまと一緒に寝てたベッドですが、まさかしんちゃんと一緒に寝るとは思いませんでした」
リーリエ「ですが……ここで寝るのも、今日が最後です」
リーリエ「……しんちゃん。そばにいてくれて、ありがとうね」ギュウ
リーリエ(……こんな小さな背中がわたしとほしぐもちゃんを守ってくれたのですね)
しんのすけから伝わってくる温もりと優しさが、悲しみと惨めさでボロボロになったリーリエの心を埋めるように癒していった。
もっともっと、この子が欲しい。この子の優しさと勇気が、欲しい。
自然と、しんのすけを抱きしめる力が強くなっていった。
リーリエ「今度は……わたしが……ほしぐもちゃんと……しんちゃんを守りたい……な」
リーリエはしんのすけの小さな身体だけでなく、想いと決意も手放さないようにきつく抱きしめながら、ゆっくりと眠りに落ちた。
リーリエ「……」スースー
しんのすけ「ぶはっ!」
しんのすけ「あー苦しかった。リーリエちゃんきつく抱きしめすぎだって」
リーリエ「……」スースー
しんのすけ「うんうん、よく寝てますな」
しんのすけ「えーっと、オラのリュックどこだっけ」ゴソゴソ
しんのすけ「あったあった! さーて、作りますか」チョキチョキ
リーリエ「……ほしぐもちゃん」
しんのすけ「……」
ナデナデ
ヨワシ『リーリエさん、かわいそう……』
ジュナイパー『自分の親に暴力を振るわれて、大切なコスモッグも動かなくなっちゃったらね……』
キテルグマ『しんちゃんも優しいね。リーリエさんの辛さを受け止めてあげてるもの』
ヨワシ『でも、女の人も怖い時は怖いんだね』
キテルグマ『当たり前でしょ! 女の人はね、時には男の人よりおっかないことをしでかすことだってあるんだから!』
ヨワシ『ネネちゃんが言うと、説得力あるね……』
キテルグマ『どういう意味よ? えっ? ボールから出てあんたをピッピちゃんの刑にしたろか?』
ヨワシ『ひいいいーっ! 深い意味はないって!』
ミミッキュ『……』
ジュナイパー『……ボーちゃん、どうしたの?』
ミミッキュ『あ、ごめん、ちょっとウルトラホールのこと考えてた』
キテルグマ『ウルトラホールって、あの変なポケモンが出てきた穴のこと?』
ミミッキュ『うん。カザマくん、気付いた?』
ミミッキュ『ウルトラホールから、エネルギーが流れていたこと』
ジュナイパー『そういえば、どこかで感じたことが……あーっ!』
ヨワシ『ど、どうしたのカザマくん?!』
キテルグマ『急に大声ださないでよ。びっくりするじゃない!』
ジュナイパー『あのエネルギー! Zパワーとぬしポケモンがまとうオーラに似ているんだ!』
ミミッキュ『ボ……カザマくん、大正解』
ミミッキュ『ぬしポケモンは、たぶん、ウルトラホールのエネルギーを浴びてパワーアップしたポケモンだと思う』
ジュナイパー『じゃあZパワーの正体は……ウルトラホールから流れているエネルギーってことか!』
ヨワシ『ネネちゃん、意味わかる? 僕ちっともわからないや』
キテルグマ『さぁ?』
ミミッキュ『……わからない』
ミミッキュ『僕の仮説だけど、ZリングとZクリスタルは、人間の体力をウルトラホールのエネルギーに変えて、僕たちをパワーアップするためのアイテムだと思う』
ジュナイパー『なんのために?』
ミミッキュ『たぶん、ウルトラビーストからアローラ地方を守るためにカプと人間が作ったかも』
ジュナイパー『目には目を、ZパワーにはZパワーを、ってところか』
ミミッキュ(だけど、Zパワーは人間の強い心にも反応する。人間の心とポケモンの心の繋がりがZクリスタルの誕生と深く関わっているのかも……)
しんのすけ「ふわぁ~あ……」
しんのすけ「あれ? リーリエちゃんがいない……」
ドンドンッ
ひろし「おーい、しんのすけー! 起きてるか?」
しんのすけ「とーちゃん?」
ウィィン
ハウ「おはよー! しんのすけー」
しんのすけ「とーちゃんにハウくん……結婚したの?」
ハウ「なに寝ぼけてるのー? もうみんな起きてるよー」
ハウ「リーリエとグラジオが外で待ってるよー。早く行こ行こー!」
しんのすけ「お? もうリーリエちゃん起きてたのかぁ。早起きですなぁ」
ひろし「お前が寝坊しすぎなの!」
ハウ「しんのすけーリーリエの姿見たら、きっとびっくりすると思うよー」
しんのすけ「?」
リーリエ「……」
しんのすけ「ほっほーい!」
リーリエ「あ……しんちゃん」
しんのすけに笑いかけたリーリエは、がらりとイメージチェンジしていた。
白のワンピースとロングヘアーから一転して、半袖のシャツとポニーテールに変わっており、活発的なイメージを感じさせる。
リーリエ「マリエで買ったままの服……似合いますか?」
しんのすけ「ふつー」
リーリエ「もうっ! せっかく気合を入れて着たのに……」
ひろし「こーらっ、こういうときは『似合ってる』って言うもんだろ」
しんのすけ「ふつーはふつーだもーん」
リーリエ「ほしぐもちゃんの事も……かあさまの事も……わたしには、やらねばならないことばかりです。わたし……しんちゃんのように、どんな試練にも立ち向かえるようになりたいのです!」
リーリエ「ですからわたし、気合いれてみました! はい、全力の姿です!」
バッ! バッ! バッ! ジャーン!
リーリエ「…………」ニコッ
リーリエ「出せませんよ!」
スタスタ
グラジオ「起きたか。ずいぶん寝てたようだな」
しんのすけ「クジラくん、おっはー」
グラジオ「リーリエ、コレクションルームで見つけた太陽の笛だ。アローラに古くから伝わるものと聞いた。太陽の下で吹くものらしい」つ太陽の笛
グラジオ「太陽の笛、月の笛、2本そろえ、音色を捧げ、伝説のポケモンを呼びだす……そんな話があるらしいな」
グラジオ「……伝説のポケモンすら、自分のコレクションに加えるつもりだったのかもな」
しんのすけ「オラは? ねぇオラにはなんかあるの?」
グラジオ「お前のロトム図鑑を見てみろ」
しんのすけ「え? ぶりぶりざえもん?」
ロトム図鑑「こんなこともあろうかと、財団のサーバーに潜入して、ウルトラビーストのデータを入手したのだ」
ハウ「ビーストの情報ー!?」
グラジオ「……と、言っても一種類だけだ。昨日、オレ達の前に現れたあのビースト……母がウツロイドと名付けたウルトラビーストのデータだがな」
ひろし「一種類でも無いよりマシだろ」
グラジオ「もし伝説のポケモンを呼び出し、向こうの世界に行くことになったら、そのデータを活用しつつリーリエのサポートを頼む」
しんのすけ「えーっ、オラが? めんどくさ」
リーリエ「にいさまは、なにをなさるのですか?」
グラジオ「後始末。エーテルパラダイスのな。相棒のヌルと遠くへ……そう願っていたが、結局ここにとどまるのか」
しんのすけ「とーちゃんは?」
ひろし「俺は一度メレメレに帰るよ。メレメレにもビーストが現れたみたいだし、かーちゃんたちの無事かどうか確かめなきゃな」
しんのすけ「心配しなくてへーきだよ、かーちゃんならたぶんビーストを返り討ちに出来るから」
ひろし「ははっ、そうかもな。でも、ひまわりやシロだって心配だろ?」
しんのすけ「ハウくんは?」
ハウ「おれねー鍛えるのー! もっともっとだよー! しんのすけやーポケモンにー助けてもらってばかりでしょー。やっぱり、自分でポケモンを助けられないとねー! しまキングになれないし、みんなを笑顔にできないよねー!」
ハウ「それに、アセロラの試練とかぜんぜんほったらかしだしー」
しんのすけ「そーいえば、全然やってなかったね」
ハウ「そーだよー。でもすごかったー! スペクタクルってやつー!? 鍛えれば、あんな不思議なこと、また体験できるかもだしー!」
グラジオ「スケールがでかくてな……オレらの母親は……」
リーリエ「ハウさん、来てくれてうれしかったです!」
ひろし「……グラジオくん、リーリエちゃん」
リーリエ&グラジオ「?」
ひろし「……あんまり無理すんなよ。どれだけ頑張ったって、お前たちはまだ子供なんだ。もし、また苦しいことや辛いことがあったらメレメレにあるうちに来な。いつでも歓迎するぜ」ニッ
リーリエ「はいっ! ありがとうございます!」
グラジオ「……そうだな」
ハウ「なにこれー?」
リーリエ「ダンボールで作ったのですか?」
しんのすけ「オラが夜なべして作ったアローラ防衛隊のバッジ! これを付けてれば、いつでもどこでもアローラ防衛隊だゾ!」
ハウ「へーお揃いだねー!」
リーリエ「アローラ防衛隊……とはなんですか?」
しんのすけ「アローラ地方を守る、愛と正義の戦士たちのことをアローラ防衛隊というの。隊長はオラね」
ひろし「なんだなんだぁ? カスカベ防衛隊の真似か?」
しんのすけ「ほい、クジラくんにもお一つ」
グラジオ「……必要ない」
しんのすけ「なになにー照れてるのぉ?」
グラジオ「そういう馴れ合いをするつもりはないだけだ……」
しんのすけ「いや、そこまで考えてないけどね」
リーリエ「」ズルッ
グラジオ「……フッ、面倒なやつだ」スッ
しんのすけ「よーし! 掛け声行くぞ! せーの、アローラ防衛隊、ファイヤーッ!」
リーリエ&ハウ&ひろし「ファイヤーーッ!」
グラジオ「しんのすけ、リーリエ、次の島……ポニ島に案内する」
リーリエ「ではしんちゃん! ゼンリョクで行きましょう!!」ギュッ
しんのすけ「いやん、いきなり手をつなぐなんて……。リーリエちゃん、なんかキャラ変わったねぇ。オラびっくりだよー」
ひろし「じゃ、しんのすけ。最後の試練頑張れよ。時間があったら、家族で応援に行くからな」
しんのすけ「ほーい!」
★挿入歌 ひとりぼっちじゃない★
【エーテルパラダイス編 おしまい】
キテルグマ『ついにネネも進化したわよ! これで女子力アップなんだから』
ジュナイパー『じょ、女子力って……』
ヨワシ『ヌイコグマと比べるとずいぶん大きくなったね』
ミミッキュ『マサオくんが言っても、説得力ないと思う』
しんのすけ「うーむ、主に食べ過ぎですな」
キテルグマ『食べ過ぎじゃないわよ! これでも体重には気を遣ってるんだから! 失礼しちゃうわ』
キテルグマ『ねえねえ、ところで新しいリアルおままごとのネタ考えたの。アンタたちどうせ暇だし、せっかくだからやりましょうよ』
しんのすけ「えぇ……」
ジュナイパー『またリアルおままごと?』
ヨワシ『もういい加減離婚するのやなんだけど』
ミミッキュ『僕も、ポニ島にある石を集めたい』
ドゴッ!
キテルグマ『やるわよねぇ? みんな』
全員「『はっ、はいいっ!!』」
ミミッキュ(赤ん坊役)『おぎゃあおぎゃあ』
キテルグマ(未亡人で現在3度目の結婚生活を送る美人妻役)『いったいどうしたの? いつもケチなあなたがあんな高いものをお土産に買ってくるなんて』
ジュナイパー(夫の会社の先輩役。この後、妻を寝取る予定)『マサオくん、すごいんですよ。ホラ、奥さんに伝えなよ』
ヨワシ(夫役。ごく普通の冴えないサラリーマン)『え? えっとね……』
ヨワシ『……実は今日昇進して、課長になったんだ』
キテルグマ『ホントに? 嬉しい! 愛してるわ! あなた!』ギュッ
しんのすけ「おお、ママも新しいパパもラブラブですなあ」
ヨワシ『ま、待ってネネちゃん! なんかすんごく苦しいんだけど! 力強すぎだよ!』メキメキ
ミミッキュ『凄い音、出してる……』
ヨワシ『ひいいい! 嬉しいけど痛いよおお!!』バキボキメキ!!
しんのすけ「じゃあオラ、そろそろ島巡り続けなくちゃいけないんで……」
ジュナイパー『い、いやあ、仲睦まじくてよろしいですなあ奥さん! それじゃあ、お邪魔みたいなので私はこれで……』
ミミッキュ『おぎゃあおぎゃあ』
ヨワシ『ねえみんな! 僕を見捨てないで! ヨワシのみんなも助けて! ぎゃああああああ!!』メキメキ
※キテルグマは愛情表現として抱きしめてきますが、背筋力は1トン以上あるので思い切り抱きしめられた途端全身が粉砕します。たとえリアルおままごとでも、絶対にキテルグマに近付かないようにしましょう。
ジュナイパー(この日ほど自分がゴーストタイプであることに感謝する日は来ないだろう)
ミミッキュ(僕も……)
しんのすけ「アローラ地方を冒険するゾ」【その3】
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しんのすけ「アローラ地方を冒険するゾ」
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