コナン「蘭の角が狙わてるのか!?」灰原「蘭角の乱獲……」
コナン「サンキュー、灰原……ん? いつもと違うな。ボトルに入ってっけど」
灰原「今回は内服薬じゃなく外用薬にしてみたから、飲まないようにね」
コナン「コイツを肌に塗り込めば、元の姿に戻れんだな?」
灰原「言ったでしょう、あくまでも『試作品』なんだから……。保証はできないわよ」
コナン「そっか……じゃあ期待できねーな……」
灰原「……なに、その態度。人がせっかくつくってあげたのに」
コナン「えっ? あ、いや。だから感謝してるって」
灰原「どうだか」
~探偵事務所~
ガチャ
蘭「おかえりなさい、コナンくん」
コナン「あ、あれ? 蘭ねえちゃん、今日は部活お休みなの……?」
蘭「うん。お父さんは麻雀で帰りが遅くなるみたいだし……コナンくんひとりじゃ淋しいと思ってはやく帰ってきちゃった」
コナン(事務所に蘭がいるんじゃ薬を試すわけにもいかねーか……はやく試したいけど)
コナン「え? いや、コレは違くて……そ、そう! 博士から貰った、シャンプーなんだ」
蘭「へー……」
コナン「僕、これ片づけてくるね!」
コナン(やべえやべえ、蘭に怪しまれないように、隠しとかねーとな)
コナン(んー……寝室と居間は……酔っぱらったおっちゃんが見つけたら面倒だからやめとくか)
コナン(事務所には蘭がいるし……となると、後は洗面所くらいか)
~洗面所~
カパッ
コナン「……棚の奥に隠して……っと……おし、問題ねーな」
コナン(明日、事務所に誰もいないタイミングで試してみっか)
蘭「コナンくん、お風呂は?」
コナン「僕はまだいいや」
蘭「じゃあ私が先に入っちゃおうかな」
コナン「うん」
~お風呂~
蘭「あれ? やだっ、シャンプー空じゃない……! もう、お父さん……昨日最後につかったなら換えてくれればいいのに」
ガチャ
蘭「えーっと詰め替え用が棚の中に……」
カパッ
蘭「あっ! 買置きが無くなってる! 買い忘れちゃってたんだ……」
蘭「どうしよう、奥の方に入ってないかな……」
ゴソゴソ
蘭「…………ん? これって……」
ガチャ
小五郎「うぉーい、帰ったぞー」
蘭「もうっ、お父さん遅い! コナンくんもう寝ちゃって……うわ、酒くさっ」
蘭「いつも言ってるじゃない! お酒はほどほどにって!」
ニョキニョキ
小五郎「わーってるよ、ヒック。それより、蘭、ちょっと水を一杯……」
小五郎「…………………………………………………………………?」
蘭「……何よ。私の顔に何かついてる?」
小五郎「いや……飲みすぎたからか、いつもよりお前の角が長く見えてな……」
蘭「ツノ?」ギロッ
小五郎「あぁ、いや……か、髪の毛」
蘭「この間美容院行ったばかりなのに、急に伸びるわけないじゃない」
小五郎「そ、そうか………やっぱ飲みすぎちまったかな……?」
ニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキ
<うわああああああああああああ
コナン「!?」ガバッ
コナン「今のは、おっちゃん!?」
コナン「どうしたの!? おじさん!」
小五郎「ら、ら、蘭! お前、その髪!」
コナン(蘭の髪……!?)
蘭「もう! いい加減にしてよ! コナンくん起きちゃったじゃない!」
蘭「ごめんね、コナンくん。お父さん、すっかり酔っぱらっちゃって」
ニョキニョキニョキ
コナン「うわあぁっ!!!!!」
蘭「えっ? ちょ、ちょっとどうしたの? コナンくんまで……」
コナン「つ、角! 角! 蘭ねえちゃん! 角が!!!」
蘭「ツノ……?」ギロッ
コナン「あ、いや、髪の毛……」
コナン「その、なんて言うか……の、伸びてない、かなって……」
蘭「え? そんなことあるわけ……」
ニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキ
蘭「あっ、え? ちょ、ちょっと! やだ、なにこれ!」
ギューン
蘭「きゃああああああああああああああああああああああ」
ザクッ メキメキメキ
小五郎「か、壁が……!」
蘭「あ、頭が……!」
ピキッ ミシッ
小五郎「お、おお、おい! 無闇に動くな! 角が壁を壊しちまう!」
コナン(なんて威力だ……伸びた蘭の角が事務所の壁に突き刺さっちまった……!)
蘭「ど、どうしよう、お父さん」
小五郎「ど、どうするったって、お前……」
コナン(問題は、異様な早さでの髪の成長だ。通常、髪が1日に伸びる長さは0.3ミリ程度……)
コナン(なのに蘭の角は、わずか数秒で3メートルほど伸びた……3メートルといえば、世界最大の淡水魚ピラルクにも匹敵する)
コナン(あり得るのか……? 人の髪の毛が数秒でピラルクぐらい伸びるなんてことが……ひょっとして、原因となる何かが……)
ピシャーン
コナン(まさか……!!!)
コナン「蘭ねえちゃん! 洗面所の棚の奥にしまってあったボトルつかった!?」
蘭「え? うん、詰め替え用が無かったから……コナンくん、『シャンプー』って言ってたし……」
コナン(クソッ、なんてこった……やっぱり、灰原のつくった試作品のせいだ……! ヤロー……!)
小五郎「と、とにかく切るしかねえだろ、コイツは……」
蘭「うん……」
コナン「僕、ちょっと電話してくる!」
蘭「あっ、コナンくん!」
灰原『……もしもし』
コナン「……おい灰原! やべーぞ! どうしてくれんだ!」
灰原『………………………………なにが? どう「やべー」の?』
コナン「おめーがくれた試作品だよ! アレを蘭がつかっちまって――」
灰原『嘘……! 彼女、どうなったの!? まさか……!』
コナン「ああ、そのまさかだ……伸びちまったんだよ……蘭の角がな!」
灰原『……? ごめんなさい工藤くん、よく意味が分からなかったんだけど……角?』
コナン「そうだよ! 角だ! 生えてんじゃねえか! 蘭の頭っから!」
コナン「蘭のやつ、試作品をシャンプー代わりに使っちまって……!」
灰原『……どうして?』
コナン「知るか!!! んなこたぁどうでもいいんだよ! 問題は、蘭の角が伸びちまったってことだ!」
灰原『今回は方向性を変えたのよ……。APTXの成分を抑えるのではなく、細胞の増殖能力を高めるように……』
コナン「それで蘭の角が伸びちまったのか……!」
灰原『意外な結果ね』
コナン「バーロー! 意外すぎる! どうすんだ!」
灰原『伸びているのが髪なら、切ればいいんじゃない? 伸びた髪を切るって、至極当たり前の対処だと思うけど』
コナン「簡単に言ってっけどな、おめー……蘭の角は普通の角じゃ――」
コナン「!?」
灰原『なに? どうかしたの?』
コナン「いや、向こうでなんかあったみてーだ。いったん切るぞ」
灰原『ええ』
ピッ
コナン「どうしたの!?」
小五郎「どうもこうもねーよ! 家中のハサミが刃こぼれしちまった……!」
コナン「蟹ばさみは!?」
小五郎「試したよ、真っ先にな……! だが、この有様だ」
ボロッ
コナン(くそっ! 蟹ばさみでも切れねえとなると、もう人類に打つ手はねえぞ……!)
コナン(蘭……!)
ニョキニョキニョキ
小五郎「お、おいおい! また伸び始めたぞ!」
コナン「おじさん! 蘭ねえちゃんの頭を支えないと! 重みに耐えられなくなるかもしれないよ!」
小五郎「あ、ああ!」
ギュイーーーーーーーーーーン
蘭「いやぁぁぁああああああああああ!!!」
ピシピシッ
ズドォン
コナン「なっ……!!!」
コナン(やべえぞ、とうとう壁を貫いちまった……! このままじゃ……!)
蘭の角「……」
グングン
ギュイーーーーーン
町民A「あ? なんだ、あれ?」
町民B「飛行機雲か……?」
コナン(電話? 灰原からか……!)
ピッ
コナン「灰原! なんか打開策でも見つかったのか!?」
灰原『いえ、そうじゃないけど――』
コナン「じゃあなんだよ! 今はのんきに話してる場合じゃ……!」
灰原『聞いて! SNSで騒がれ始めてるわ……米花町の空に細い線が見えるって!』
コナン「……!?」
灰原『飛行機雲と誤認してる人が多いみたいだけど……彼女、今どういう状況なの?』
コナン「幸い、貫いた壁が支えになってるからな……まだ持ちこたえてっけど……」
コナン「上向きに伸びてるおかげで重みが増す一方だ。はええとこなんとかしねえと蘭が……!」
灰原『わかったわ……どうにかできるとは思えないけど、私も今そっちへ向かってるから……!』
コナン「た、頼む!」
ギュンギュン
小五郎「耐えろ蘭!」
コナン「おじさん! このサスペンダーで蘭ねえちゃんの頭を固定して!」
小五郎「ああ!」
コナン「蘭ねえちゃん! しっかり!」
コナン(頑張ってくれ、蘭と蘭の頭皮……!)
蘭の角「……」
ギュンッ
ウォッカ「うわっ」
ジン「……!? なんだ……?」
ウォッカ「下の方から急に伸びてきましたが……! なんでしょう、コレ……角?」
ジン「いや、たしかにこいつは角に見えるが………………髪だ」
ウォッカ「髪!? こいつがですかい?」
ジン「ああ、間違いねえ……。人の髪だな……」
ウォッカ「ですが、いったいどういう……人の髪がこんな勢いで伸びるなんて、しかもこんな場所まで」
ジン「フッ……とうとう尻尾を見せやがったな、シェリー」
ウォッカ「シェリー!? や、ヤツがこれを……?」
ジン「ああ……あの方の計画の一端を担う不老不死の妙薬……その実験段階に似た症状を出したマウスがいたはずだ」
ジン「その再現ができるとすれば、組織を抜けたヤツ以外考えられねえ……」
ジン「こいつを辿っていけば、会えるはずだぜ……。この角の持ち主……飼い慣らしがきかねえ傲慢な『ユニコーン』にな」
タッタッタッタ
灰原「急がないと……!」
ブロロロロ
灰原「……!?」
灰原(あれは……ポルシェ・356A……ジンの車……!?)
灰原(まさか、角を辿っているの……!? まずい……!)
ウォッカ「兄貴、本当にこの角を辿っていけば、シェリーに辿りつけるんでしょうか」
ジン「ああ、間違いねえ……」
ウォッカ「しかし皮肉なもんだ。ユニコーンの角といえば、万病の薬でしょう」
ジン「フッ……死によってあらゆる苦しみから解放されると考えれば、ヤツの手がける毒も良薬と言える」
ジン「闇夜に紛れて見逃さねえようにしろ。必ずあの角の下を陣取れ」
ウォッカ「はい」
灰原『そっちへ向かってるわ! 角を狙ってるのかもしれない……』
コナン「!!! 蘭の角が狙われてるのか!?」
灰原『そのようね……「蘭の角」……「蘭角」が狙われている可能性はあるわ」
コナン「な、なんだってそんなこと……!」
灰原「無尽蔵に伸びる蘭角をユニコーンの角と偽って売り出すのかも……そのために角を大量に確保するつもりよ。見境なしにね」
コナン「……!」
灰原「わかる? 工藤くん。これがホントの乱獲ってとこかしら……!』
コナン「バーロ!!! んなこと言ってる場合じゃねえぞ!!!」
灰原『ええ……あのふたりなら、急速に伸びる角と組織の薬を結びつけたはず……! 今すぐ逃げて!』
コナン「……」
灰原『どうしたの、工藤くん! 返事を――』
コナン「……逃げられっかよ」
灰原『えっ……?』
コナン「蘭の髪がどうしても切れねえんだ……蘭は一歩も動けない」
コナン「心配すんな、死ぬつもりはねえ。なんとしても、蘭の角を切ってやっからよ……!」
ピッ
コナン(とは言ったものの……どうする……! 電ノコも蟹ばさみも、ペーパーナイフもまるで役に立たなかった……!)
コナン(あと考えられるとすれば……このキック力増強シューズで、角を折るしか……!)
コナン(いや駄目だ、もし角が折れなかったら……強い力で押された角が蘭の首を軸に回転しちまう……!)
蘭「も、もう駄目……おとうさん、紙とペン持ってきて! い、遺書を……!」
小五郎「バーロ! 馬鹿なこと言ってんじゃねえ!!! 絶対に助けてやるからな!!!」
蘭「で、でも!」
小五郎「くそぉ! 切れろ! この角ぉ!」
ガンガンッ
コナン(考えてる余裕はねえ……! こうなったら、一か八か……キック力増強シューズで……)
ガチャ
服部「どもー!」
コナン「!?」
服部「ってなんやこれ!!! どないなっとんねん! 角がえらいことなっとるで!? 3メートルはあるんちゃうか!?」
服部「3メートルゆうたら工藤! 世界最大の淡水魚……いや壁を貫いてるっちゅーことはもっと長いんか!?」
コナン「バーロー! 今はおめーに構ってる場合じゃねえ!」
服部「おお、ちょお待てや。どういう状況やねん。かなりヤバイことなっとるんは分かる……いや、さっぱりわからん」
服部「頭の角がギューン伸びてもうて重みに耐えられんくて辛い、みたいな状況にしか見えんで」
コナン「まさにそうだ!」
服部「な、なんやとぉ!? 工藤! おまっ、それホンマか!?」
コナン(クソ……服部が来ても事態は好転しない……! 蘭の角の前では推理力なんて無意味だ……!)
コナン「……!?」
コナン「お、おい服部! お前、何持ってきたんだ?」
服部「あん? せやからゆーたやろ。お前に見せたるて約束しとったやつ―――」
服部「日本直販で買った、高枝太枝切りばさみの4点セットや」
ピシャーン
コナン「それだ!!!」
ギュンギュンギュンギュン
蘭「も、もう駄目……た、耐えられない……!」
小五郎「蘭!!!」
蘭「ごめんね、お父さん……お、お母さん……新一……!」
コナン「らああああああああああああああああああああああああん!!!!!!!!!!!!!1」
コナン「いっけええええええええええええええええええええええええええええええええ」
チョキン
コナン(切れた!!!!!!!!!!!!!!)
蘭「きゃあっ」
ドテン
小五郎「蘭! しっかりしろ!」
ジン「角の持ちぬしが近い証拠だ」
ウォッカ「……?」
ゴゴゴゴゴゴ
ウォッカ「あ、兄貴……!」
ジン「どうした?」
ウォッカ「つ、角が……こっちに落ちて……」
ジン「なに!?」
ウォッカ「お、落ちてきます!!!」
ジン「よ、避けろっ!」
ウォッカ「ダメだァ! 間に合わねえェ!!!」
ズドォォォォォォン
ジン・ウォッカ「「あああああああああああああああああああああああああああっ!!!」」
コナン「心配すんな。間一髪、切れたよ」
蘭「すぅ……すぅ……」
コナン「蘭のやつ、安心して眠ってる。おっちゃんは警察に事情を説明してるところだ」
灰原「そう……彼女の髪は? もう伸びないの?」
コナン「あれから少し伸び続けたけど、次第に伸びるスピードが遅くなって、今は収まったみてえだ」
灰原「……どうやら、なんとかなったようね」
コナン「さっき、ジョディ先生から連絡があった。蘭の角で切断された車の残骸と一緒に、ジンとウォッカのふたりを確保したってな」
服部「今回はオレに救われたっちゅーことやな」
コナン「バーロ、おめえじゃねえよ」
服部「なんやとぉ?」
コナン「俺たちを救ったのは……日本直販だ。これで税込1万円以下は安すぎる……」
コナン(頑張ったな……日本直販)
END
元スレ
コナン「蘭の角が狙わてるのか!?」灰原「蘭角の乱獲……」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1495459700/
コナン「蘭の角が狙わてるのか!?」灰原「蘭角の乱獲……」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1495459700/
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コメント一覧 (10)
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- 2017年05月23日 00:22
- 光彦が被害に遭ってない・・・平和だな
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- 2017年05月23日 00:33
- 原作っぽい台詞回しで草
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- 2017年05月23日 00:38
- タイトル言いたいだけ定期
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- 2017年05月23日 00:48
- 角の部分だけが伸びるということは、普段からシャンプーは角の部分だけを洗っていたということになる
つまり蘭の髪はあの角だけってことになるんじゃないかな?
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- 2017年05月23日 01:40
- 日本通販と間違うなよ!絶対だぞ!
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- 2017年05月23日 02:41
- その昔、「サイの角は毛」ってトリビアがありましてね……
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- 2017年05月23日 03:05
- デレデーデー♪デレデーデーデー♪
LANの角は何時も一つ
-
- 2017年05月23日 10:07
- 相変わらずキャラが原作と違っても叩かれないコナンSS
-
- 2017年05月23日 12:53
- 青汁のCMとかと同じ気配を感じる
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- 2017年05月24日 03:05
- どうせならオチまで日本直販感たっぷりにすればよかったのに
おもろかったけどな