彡(゚)(゚)「ヤらせてぇや」
彡(゚)(゚)「旦那とはご無沙汰なんやろ、ワイが相手したるさかい」
女「か、堪忍して!」タタタ
彡(゚)(゚)「…くそ、また逃げられた…、ワイが何をしたっていうんや」
彡(゚)(゚)「せめてワイが…ワイが結核やなかったら…」
彡(゚)(゚)「おぁ、アッネ、お手玉上手いやんけ」
アッネ「やきうは私のお手玉好きか」
彡(゚)(゚)「大好きやで、いつまでも見てたくなるわ」
彡(゚)(゚)「ええんや、アッネと遊んでるだけで十分や」
アッネ「嬉しいこと言うのぉ」
彡(゚)(゚)は姉と2人で遊ぶことが多かった 主導権は専ら姉で、お手玉といった女の子の遊びが中心だった
バッバ「やきうは学校に行かんと自分で言っとるんじゃ、しょうがないやろ」
職員「そう言われましても…」
バッバ「それにわしの可愛い孫じゃ、片時も離れたくない」
職員「…」
バッバ「せめて、あと1年待ってくれんやろか」
大正13年、1年遅れて彡(゚)(゚)尋常小学校に入学
バッバ「おお、修身が9、算数が10…やきう、ほんまに頭がええのぅ」
彡(゚)(゚)「バッバが喜んでくれるならなんぼでも勉強するで!」
先生「病気での欠席が55日…、さすがに休みすぎちゃうか」
先生「仕方ない、いっぺんやきうの家に様子見に行くか」
先生「ん?笑い声が聞こえる…」
バッバ「やきうの話は面白いわ」
彡(^)(^)「おう、じゃあ次は…」
先生「やきう、何をしとるんじゃ!」
彡()()「ファッ!?」
先生「お前風邪で寝込んでるんちゃうかったんか!」
彡(゚)(゚)を溺愛していた祖母は2学期が始まっても学校に行かせなかった
子供「やーい!青ー!」
彡()()「うぅ…」
彡(゚)(゚)は長い間家にこもっていたので友達から「青」と呼ばれていた
彡(゚)(゚)「面白そうやんけ、やろやろ」
子供2「やぁ!」
彡(゚)(゚)「!?」
バッバ「やきう!?どうしたんじゃその目は!?」
彡(゚)(×)「友達とチャンバラごっこして怪我したんや」
バッバ「…!!」
男「な、なんや血相変えて」ビク
バッバ「やきうはわしの家の大事な跡取りじゃ!
今度似たような真似したら承知せんぞ!!」
男「は、はい」ビクビク
彡(゚)(×)「バッバ…」
バッバ「級長…!?ほんまにようできた孫ややきうは」
バッバ「せや、こうしちゃおれん!近所に知らせて回るで!」ダッ
彡(゚)(゚)「バッバそこまでしたら恥ずかしいで」
バッバ「赤飯も炊かんとな!村中で祝うで!」
はっきりわかんだね
彡(゚)(゚)「バッバ、これはどんな事件なんや」
バッバ「これは可愛いそうじゃのぅ」
彡(゚)(゚)「…?」
大正15年、鬼熊事件発生
彡(゚)(゚)「アッネ、これ5冊買うで」
アッネ「せっかく露天出てるのに、お面もコマもいらんのか?」
彡(゚)(゚)「いらん、これだけでええ」
アッネ「えぇ…、少年倶楽部は?」
彡(゚)(゚)「隅々まで読みきってしもた、はよ見せてや」
アッネ「私もまだ半分しか呼んでないのに…しゃぁないな」
女の子「なに?」
彡(゚)(゚)「こ、これ!」ガサッ
女の子「この紙なんやの?」
彡(゚)(゚)「帰って開けたらわかる!ほな!」ダッ
女の子「えぇ…」
女の子「…」ピラ
女の子「へー、綺麗な絵…やきう君が描いたんかな」
女の子「あれ…下に何か書いてある」
○○ちゃんの肖像
女の子「私の名前…?」
ワイは○○ちゃんが好きです
女の子「やきう君…」クス
頭良すぎて世の中に失望してしまうんやろ(適当
アッネ「あ、やきうの先生…どうされたんですか?」
先生「いや…これを届けに来たんですよ」
アッネ「これ…もしかしてやきうが描いた絵?」
先生「私は別に怒ってるわけじゃないんです…ただお姉さんには温かく見守って欲しいんです」
アッネ「わかりました…」
先生「やきう、お前なかなか好成績やないか」
彡(゚)(゚)「勉強は好きなんで」
先生「どや、進学してみる気はあるか?」
彡(゚)(゚)「!」
先生「これだけ頭がええし、百姓で終わらすのはもったいないと思わんか?」
彡(゚)(゚)「実は…ワイもそう考えてました」
先生「一度家族に話してみてくれんか?」
彡(゚)(゚)「はい」
バッバ「どないしたやきう?」
彡(゚)(゚)「ワイ…進学したいんや」
バッバ「!?」
彡(゚)(゚)「この学校に行きたいんやが…」ピラ
バッバ「…」フルフル
彡(゚)(゚)「バッバ…?」
バッバ「なにを言うとるんや!!」
彡(゚)(゚)「…」ビク
彡(゚)(゚)「そ、そうやけど…」
バッバ「わしをこの家にひとりにする気か!大事な跡継ぎやゆうたやろ!!」
彡(゚)(゚)「ワイは百姓するつもりはないんや!わかってくれ!」
バッバ「いーや聞かん!!」
アッネ「…」ハラハラ
バッバ「…」モグモグ
アッネ(飯が美味しくない…)モグモグ
バッバ「…ごちそうさん」ガタ
彡#(゚)(゚)「…」
バッバ「…」ピシャ
バッバ「…うっうう…」シクシク
わからんでもないが
先生「おうやきう、どや、話はつけてきたか?」
彡(゚)(゚)「…」
先生「どうした?」
彡(゚)(゚)「…進学の話、なかったことにしてもらえませんか」
先生「え!?なんや一晩でころっと心変わりして…」
彡(゚)(゚)「やっぱりバッバに寂しい思いさせたくないんで…」
先生「そ、そうか…それは仕方ないな」
アッネ「縁談か…」
バッバ「お前ももう19や、そろそろ考えてみんか」
アッネ「…」
バッバ「わしはお前の嫁入り姿を見るのが楽しみなんじゃ…
ひ孫の顔も見たいと思うとる…」
アッネ「…!」
アッネ「…わかった…、話だけは聞いてみるから」
アッネ「…?どうしたやきう、さっきまで部屋に閉じこもっとったのに」
彡(゚)(゚)「…反対や」
アッネ「え?」
彡(゚)(゚)「ワイはアッネが嫁に行くのは反対や!!」
アッネ「!?」
彡(゚)(゚)「なにが嫁入りじゃ!ワイはなにがなんでも認めんで!!」
アッネ「やきう!我侭言わんといて!」
彡(゚)(゚)「嫌なもんは嫌じゃ!!」
アッネ「や、やきう…」コンコン
彡(゚)(゚)「…なんや」ガラッ
アッネ「…縁談は断ったから」
彡(゚)(゚)「!?ほ、ほんまか!?」
アッネ「私はずっとこの家におる、どこにも行かん、やから機嫌直してや」
彡(゚)(゚)「…」コクコク
彡(゚)(゚)「…」
アッネ「人付き合いもちゃんとしてや、でないと不健康なままやとまた病気になるで…」
彡(゚)(゚)「…わかった」
アッネ「また縁談が来たんか…」
アッネ「ここから近い村の長男か…まあ悪くないけど」
アッネ「前に来たときのことがあるし…やきうには感付かれない様にせんと…」
彡(゚)(゚)「どないしたアッネ」
アッネ「あ、いやその…」
彡(゚)(゚)「隠さんでもええ、縁談やろ?」
アッネ「!?や、やきうはそれでええんか?」
彡(゚)(゚)「アッネはべっぴんや、まあもっとええところに嫁げると思うけどな」
アッネ「もっとってどこや」クス
彡(゚)(゚)「大学出とかな、岡山の大学出の男に嫁ぐお嫁さんもなかなかええで」
昭和9年、彡(゚)(゚)のアッネは結婚した
(´・ω・`)「やきうのお兄ちゃん、また面白いお話聞かせてよ!」
彡(゚)(゚)「ええで、今度は本格冒険モノはどうや?」
彡(゚)(゚)は家にこもうがちになっていたが、子供たちには気さくで、
当時の少年誌、少年倶楽部、キング、富士に掲載されていた物語を
子供たちにわかりやすく直し、その話術も巧みで子供たちから好評だった
アッネ「うん、里帰りしに来た…やきうの様子はどうや?」
バッバ「…相変わらず部屋にこもってるで」
アッネ「そうか…真面目に青年会の集まりに出てるかと思ったけど…」
アッネ「ちょっと見てくるわ」トントン
アッネ「やきう?」コンコン
彡(゚)(゚)「アッネか、元気そうやな」ガラ
彡(゚)(゚)「当たり前やんけ」
アッネ「にしては顔色がいいようには見えんけどな」
彡(゚)(゚)「…」
アッネ「バッバから聞いたで、たまに外に出たと思ったら
子供相手に遊んでばかりなんやろ?」
彡(゚)(゚)「あ、遊んでないし…」
アッネ「バッバの気持ち、考えたことあるんか?」
彡(゚)(゚)「…」
彡(゚)(゚)「昔から百姓は嫌いやゆうたやろ」
アッネ「やからって家でごろごろするのがええと思ってるんか」
彡(゚)(゚)「…ワイはな、会社勤めか官吏になりたかったんや、やけどバッバがそれを許してくれん」
彡(゚)(゚)「何もかもバッバが悪い…ワイは悪くない!」
アッネ「…」
バッバ「すまんなぁやきう…わしのせいで…」
アッネ「…私はやきうがどんな仕事に就いても別に文句は言わん…、
やけどバッバに迷惑かけたらあかん」
彡(゚)(゚)「…」
この頃、彡(゚)(゚)は「雄図海王丸」という自作小説を友人に読ませていた
彡(゚)(゚)「ん?あれは…」
トッモ「誰かと思ったらやきうやないか!」
彡(゚)(゚)「トッモ、久しぶりやな」
トッモ「その包みはどうしたんや?」
彡(゚)(゚)「ワイ、専検受けて教師になろうと思うんや」
トッモ「ほー、やきうの頭なら難なくなれるで」
彡(゚)(゚)「そこまで言われると照れるな」
トッモ「ところで…あの写真持ってるか?」
トッモ「おーそれやそれ!で、あっちのほうはどうや?」
彡(゚)(゚)「あっち?」
トッモ「とぼけんでええ、童貞は捨てたんか?」
彡(゚)(゚)「…!」ドキ
トッモ「どうなんや?」
彡(゚)(゚)「ま、まだやけど…」ゴニョゴニョ
彡(゚)(゚)「は、恥ずかしいこと言わすなや」
トッモ「それなら俺にいい考えがある、付いて来い」
彡(゚)(゚)「…?」
トッモ「で、こいつが俺の言ってたやきうや」
女「へえ、この子が…」
彡()()「は、はひ…」ガクガク
トッモ「そんなに緊張しなさんなや」
彡()()「わ、ワイは女に免疫がないんや」ガタガタ
彡(゚)(゚)「ファッ!?」
女「ええよ」
彡;(゚)(゚)(なんやどんどん話が進んでいくんやけど…)
女「そんなに固くならんでええよ、すぐに慣れるから」
彡;(゚)(゚)「は、はい!!」
トッモと出向いた大阪の風俗街の宿で、彡(゚)(゚)は筆おろしされた
彡(゚)(゚)「一応病院に言って診てもらうか…」
医者「肺尖カタルやね」
彡(゚)(゚)「肺…尖…?」
医者「しばらく野良仕事は休まなあかんで、まあよく食べて、
適当に散歩すれば治るやろ」
彡(゚)(゚)(ほんまかいな…)
医者「とりあえず1週間分の薬出しとくで」
彡(゚)(゚)(ワイが…肺尖…)
彡(゚)(゚)「お、なんやえらい事件が起きたみたいやな」
彡(゚)(゚)「阿部定事件……これは興味がそそられるで」
彡(゚)(゚)「この事件の記事が載った新聞が欲しいな…よし、自転車で街まで買いに行くで」
女「…」スタスタ
彡(゚)(゚)「おい」
女「な、なんや?」
彡(゚)(゚)「ワイとええことせんか?」
女「馬鹿言わんといて、うちは人妻やで」
彡(゚)(゚)「だからええんやないか」ニヤリ
女「ちょ、ちょっと…」
彡(゚)(゚)「な、気持ちいいことしたいやろ?」ズイ
女「…一回だけやで?」
この夜這いが成功した後、彡(゚)(゚)は村の女性に次々と肉体関係を迫るがいずれも失敗に終わる
トッモ「やきう、遠路はるばるやな」
彡(゚)(゚)「で、あれは用意してるんやろな」
トッモ「勿論やで、やきうが喉から手が出るほど欲しいもんやろ」ゴソゴソ
トッモ「これや」スッ
彡(゚)(゚)「これが…あの阿部定の自供調書…」ゴク
トッモ「これをやくざの兄貴分に一冊50円で売れって頼まれてな」
トッモ「3冊渡されて、2冊はもう売ったんやけど」
トッモ「残念やけどもう買い手が付いてるんや」
彡(゚)(゚)「なんやと」
トッモ「どうしてもって言うんやったら、10円で写させてやるで」
彡(゚)(゚)「は、払う!やから写させてくれ頼む!」
トッモ「えらい必死やな」
阿部定の絞殺した際の供述を書き写した彡(゚)(゚)は満足げだった
彡(゚)(゚)「あんた、旦那がおるのに他の男と関係持ってたやろ」
女「!?」
彡(゚)(゚)「証拠はあるんやで、現場もばっちり見てたからな」
女「…」
彡(゚)(゚)「バラされたくなかったら…分かってるやろな」
女「…あんたの相手をすればええんか」
彡(゚)(゚)「理解が早くて助かるわ」
彡(゚)(゚)は村の男女関係を把握し、夜這いの現場を見て、女性にそれをネタに脅迫、関係を持っていった
彡(゚)(゚)「ワイは畑持ってるんやけど、牛も欲しくなってな」
銀行員「借り入れ、ということでよろしいですか?」
彡(゚)(゚)「せや、畜牛の購入に必要やから頼むで」
彡(゚)(゚)はやきうの家が持っている土地すべてを担保に400円の現金を受け取った
しかしそれは結核の治療費に使うための嘘だった
彡(゚)(゚)「あらゆる方法を試してみた…」
彡(゚)(゚)「牛の血を飲んで腹も壊したし、石油を飲んで下痢にもなった」
彡(゚)(゚)「結核に関するあらゆる本を読んでやってみた…!」
彡(゚)(゚)「やけどなにも変わらんかった…!」
彡(゚)(゚)「なんで…なんでワイがこんな目に遭わなあかんのや…」
彡(゚)(゚)「小説家もええけど、お国のために働くのもやりがいがあってえええかもしれん」
彡(゚)(゚)「よっしゃ受けたろ!」
軍医「…」
彡(゚)(゚)「先生、ワイの体どうでっか?」
軍医「結核やな」
彡()()「」
軍医「貴様!口の利き方に気をつけろ!!」
彡(゚)(゚)「ひぇっ…」
軍医「貴様は帝国陸軍の軍医を疑うのか!貴様は結核と診断された、
そんな体で兵隊が務まるか!!」
彡()()「」
彡()()(それに合格できんということは死も同じ…)
彡()()(そういやパッパもマッマも結核で死んだ…)
彡()()「ワイも…このまま死ぬんやろか…」
女「なんやの一体」
彡(゚)(゚)「…」ガバッ
女「!?」
彡(゚)(゚)「あんた、○○のおっさんと寝たんやろ?」
女「な!?」
彡(゚)(゚)「ワイは口が固いから安心せぇ…、
黙っておくからその代わり…な?」
女「誰から聞いたんやその話、なあ?言うてみぃや」
彡(゚)(゚)「え?」
それやったら早く病気治して野良仕事でもなんでもして働くのが男やろ」
女「やのにあんたはろくに仕事せずぶらぶらして、挙句に私にまで手を出すなんて
何事や!私には亭主がおるんや、人妻に手を出すのがどんだけのもんか、
わかってるか?」
女「ほんまにあんたは恥知らずや、情けない男やで。
どう言い訳しようが強○やからな、駐在所に知らせるで。
このままほっといたら何するか分からんからな」
彡()()「す、すまん!許してくれや!やから、どうにか駐在所には!」ドゲザ
彡#(゚)(゚)「結核で前々から遠ざけられとったけど、
ますます皆がワイを白い目で見てくる…」
彡#(゚)(゚)「許さんぞアバズレども…絶対に後悔させたる」
店員「なにをお求めでしょう?」
彡(゚)(゚)「猟銃を一丁、2連装のやつを頼む」
彡(゚)(゚)は猟銃を75円で購入、同年10月乙種猟銃免許を取得
なお理由について
「結核を患い労働は禁じられているが、国家の非常時にぶらぶらするのも
体裁が悪いので、兎などを仕留めて自給自足をし、健康が回復した暁には
直ちに入隊し、戦地で一人でも敵兵を倒せるように射撃の腕を磨きたい」
といった旨の説明をしている
彡(゚)(゚)「ただこれはぶっ放すためのもんやない」
彡(゚)(゚)「これを見せびらかしておけば女は無闇にワイの噂を
流すこともなくなるやろ」
彡(゚)(゚)「さらにこれで脅しておけばいくらでもワイの好きに出来る」
彡(゚)(゚)「ワイに逆らうモンもいなくなるやろ」
彡(゚)(゚)「おっさん、結核療養所に入りたいからその費用を借りたいんや」
金貸し「療養所に?」
彡(゚)(゚)「せや、療養所の案内もあるで」ヒラヒラ
金貸し「ほうか、じゃあ抵当に入れる物件調査してから貸すで」
彡(゚)(゚)(まぁ猟銃手に入れるための嘘やけどな)
店主「新品を?」
彡(゚)(゚)「この12番口径5連発ブローニング猟銃が欲しいんやけど」
店主「これは190円やで」
彡(゚)(゚)「しまった…持ち合わせがないで」
彡(゚)(゚)「すまんけど代金引換で送ってくれんか」
店主「しゃあないな」
彡(゚)(゚)「まずはこれを5連発式から9連発式に改造や」
彡(゚)(゚)「火薬と薬莢もある…この材料で猛獣用実砲(ダムダム弾)を作るで」
彡(゚)(゚)「完成が楽しみや」カンカンカン
装弾数増やすだけなら簡単なんかな
彡(゚)(゚)「この銃で山にこもって練習するで」
彡(゚)(゚)「幸い盧溝橋事件が起きてから中等学校の軍事教練で演習真っ盛りや」
彡(゚)(゚)「銃声が聞こえてきてもその演習の一環やと思って誰も疑わんから好都合や」
彡(゚)(゚)「さて出来栄えはどうやろか」カチャ
ドーン
彡(゚)(゚)「悪くないで」ニヤ
女1「嫌、嫌や…!」バタバタ
彡(゚)(゚)「これが見えんのか?」猟銃
女1「…!」
彡(゚)(゚)「おとなしくせい」
女1「うぅ…」
彡(゚)(゚)「なぁなぁこの間まで仲良くやってたやろ」
女2「知らん!もううちに関わらんといて!」
男「俺の嫁に何してるんじゃ!」
彡(゚)(゚)「邪魔するな!ぶち殺したろか!」
男「どうしたんじゃ騒がしい」
バッバ「わ、わしの、わしの息子がわし味噌汁に毒を入れたんじゃ!」
男「!?」
この騒ぎで警察が家宅捜索したところ、日本刀、散弾311発、雷管126発をはじめとする
おびただしい数の武器を押収、彡(゚)(゚)の猟銃免許も取り上げられた
彡(゚)(゚)「…」
巡査「君は若いんやからなんでも出来る。おばあさんも心配してるで」
彡(゚)(゚)「…はい」
巡査「もうこんなことしたらあかんで」
彡(゚)(゚)「…」
彡(゚)(゚)「」ニヤリ
彡(゚)(゚)「トッモ、七首を手に入れたいんやが」
トッモ「七首?」
彡(゚)(゚)「日本刀は大体集めた、次は七首に興味があってな」
トッモ「まあなんとかしてみる」
トッモ「なんとか七首はあったで」
彡(゚)(゚)「すまんな」
トッモ「9円でどうや」
彡(゚)(゚)「これでええわ」10円札
トッモ「じゃあ1円お釣りやな」
彡(゚)(゚)「それは手数料としてお前にやる」
トッモ「そうか」
トッモが彡(゚)(゚)に会ったのはこれが最後だった
同じようなもんやろ
そうやな
すんません
これで大方の武器は揃った」
彡(●)(●)「もうすぐや…ワイをコケにした奴等をこれで…」
彡(●)(●)「見とれよ…阿部定みたいなどでかいことやったる」ニヤリ
女2「前から気味悪かったやろ、猟銃担いで歩き回ったり」
女1「噂やとなんか恐ろしいこと企んでるって聞いてるで…なぁ、
このままやと危ないから一緒に京都にでも逃げへん?」
女2「心配ないって、まさか殺されるほど憎まれてることはないやろ」
女1「…」
事件直前に女1の一家は危険を察知して村を出た
彡(゚)(゚)「…」キーコキーコ
男「あれやきうやないか?」
女「さっきから自転車乗って村役場とここを行ったり来たりしてるで」
男「何考えてるかわからんなぁ」
女「今に始まったことやないやろ」
彡(゚)(゚)「…」キーコキーコ
ピタッ
彡(゚)(゚)「役場の隣には駐在の詰所がある」
彡(゚)(゚)「騒ぎを聞いて村の奴等が走って詰所に助けを求める時間は…こんなもんか」
彡(゚)(゚)「これを計算に入れないとあかんな」
彡(゚)(゚)「暗くなってきたし今しかない」
彡(゚)(゚)「あれが変圧器のある電柱やな」
ヨジヨジ…
彡(゚)(゚)「ふう、やっと登ったで」
彡(゚)(゚)「導線は…これやな」ググ…
バチン
彡(゚)(゚)「切ったで…これでこの一帯は停電や」
彡(゚)(゚)「このあたりの集落じゃ停電は日常茶飯事や」
彡(゚)(゚)「誰もまさかワイが切断したと思わんやろ」
彡(゚)(゚)「これで闇に紛れて計画を実行できるし、
電話も繋がらんんから助けを呼ぶにも時間はかかる」
彡(●)(●)「ワイはやったるで…ワイを怒らせたらどうなるか…思い知らせたる」
バッバ「…」スー…スー…
彡(゚)(゚)「バッバは…寝たみたいやな」
彡(゚)(゚)「…」ゴソゴソ
彡(゚)(゚)「学生服を着るのも何年ぶりやろか」
彡(゚)(゚)「このゲートルも全然使わずじまいやったから新品同様やで」グッ
彡(゚)(゚)「さてこれを忘れたらアカンな」懐中電灯
彡(゚)(゚)「これを二本頭に括り付けて…」ギュッ
彡(゚)(゚)「よし、これで暗闇でも前が見えるで」
彡(゚)(゚)「猟銃の弾も入れた…準備万端や」
彡(゚)(゚)「バッバ…ほんまに堪忍やで」
彡(゚)(゚)「生きてたら後ろ指さされて辛い仕打ちもあるやろう」
彡(゚)(゚)「やから……これは仕方ないんや」
彡(゚)(゚)「…許してや」斧
彡(゚)(゚)「…」グ…
バッバ「…」
彡(゚)(゚)「…!!」
ブンッ
グチャッ
バッバ「」ゴロン
彡()()「はあ…はあ…」
彡(゚)(゚)「…」タッ
クルッ
彡(゚)(゚)「…この家とももうお別れやな」
彡(゚)(゚)「っ…」ダダダ
彡(゚)(゚)「何度か夜這いして間取りは知り尽くしてる…あそこで寝てるな」
彡(゚)(゚)「…」スー…
彡(゚)(゚)「すぐに猟銃を使ったら気付かれるな…日本刀を使うで」チャキ
女A「…」グー
彡(●)(●)「」ヒュッ
ザシュッ
彡(●)(●)「」ザクッザクッ
彡(●)(●)「…口にも刺したろか」
ザシュッ
子供A「…」グー
子供B「…」グー
彡(●)(●)「」ヒュッ
ザクッザクッ
彡(゚)(゚)「さて…この家にはあの憎き女Bがいるな」
女B「…」グー
彡(゚)(゚)「猟銃でふっ飛ばしたる」カチャ
グッ
彡(●)(●)「…死にさらせ」
ドンッ
彡(゚)(゚)「ばあさん」
老婆A「はひ!」
彡(゚)(゚)「元々恨みはなかったんやけどな、仕方ないんや」
老婆A「た、頼む、ここはこらえてくれんか」
彡(゚)(゚)「ばあさん、顔上げや」グイ
老婆A「…」フルフル
彡(゚)(゚)「じゃあな」
ドン
老婆A「…」ドサ
この老婆Aは猟銃で撃たれたものの、一命を取り留めている
男A「お前、外に助けを求めてこい」
子供C「わかった…」コク
子供C「…」ガラ
ソー…タタタ
彡(゚)(゚)「!」ギロ
子供C(気付かれた…!?)
子供C(怖くて後ろを振り向けないけど、多分追って来てる!)ゾク
子供C「!あそこに竹薮がある!そこに隠れよう!」ダッ
ガサガサ
彡(●)(●)「逃げると撃つで小僧!!」ガサッ
子供C(どうかっ見つかりませんように…!)ガタガタ
彡(●)(●)「…ちっ」
タッタッタッ
子供Cは竹薮で息を潜めて難を逃れた
老人A「…」チラ
彡(゚)(゚)「…」
老人A「…」フイ
彡(゚)(゚)(なんやこいつ…銃を持ってるのに落ち着いてるな)
彡(゚)(゚)「ワイは年寄りでも容赦なく撃つで、
本家のじいさんもやったからな、どうしたろうか」グイ
老人A「…」ジッ
彡(゚)(゚)「…」
彡(゚)(゚)「…お前はわしの悪口を言わんかったから堪えたるわ」
老人A「…」
彡(゚)(゚)「やけどワイが死んだらぼろくそに言うんやろな」ニヤ
老人A「…」
老人Aとその長男Aは懇願の末彡(゚)(゚)に見逃してもらった
男B「大変じゃ、大変じゃ!」タッタッタ
ドンドンドン
男B「駐在さん、起きてくれ!」
駐在「なんじゃなんの騒ぎや」ゴロン
男B「一大事じゃ、人殺しじゃ!!」
駐在「!?」ガバッ
男B「早く来てくれ!」
駐在「やきうがやったんか!?」
男B「」コクコク
駐在「…あの馬鹿!動向が気になっとったけど…、まさか本当にやらかすとは!」
駐在「…」電話ジーコジーコ
ジリリリッ
駐在「警部補さんですか!事件です、人殺しです!
私が隣町の巡査にも連絡します、あと医者の手配もこちらでしますので!」チン
駐在「おいお前!」
駐在の妻「は、はい!」
駐在「この非常事態を知らせるんや!
村中の半鐘を鳴らすように皆に伝えろ!俺は男Bと村に向かう!」
老人B「!?」ビクッ
彡(゚)(゚)「じいさん、震えてる場合やない、
紙と鉛筆はないか?どうしても急いでるんや、
警察がワイを追ってきてるんでな」
老人B「」コクコク
孫「…」
彡(゚)(゚)「おう、君か」
彡(゚)(゚)「じいさんやと時間がかかる、紙と鉛筆持ってきてくれ」
孫「…」コク
彡(゚)(゚)「おう、すまんな」
彡(゚)(゚)「…」チラ
老人B「…」ビク
彡(゚)(゚)「なんぼワイでも罪のない奴は撃たん、心配せんでええ」
孫「…」
彡(゚)(゚)「…」スッ
ナデナデ
彡(゚)(゚)「君はワイとは違う…」
彡(゚)(゚)「うんと勉強して偉くなるんやで」
孫「…」コク
クルッ
彡(゚)(゚)「…」タッタッタッ
彡(゚)(゚)「…ここでええやろ」ザッ
彡(゚)(゚)「ここからやと村全体が見渡せるな」
彡(゚)(゚)「ワイの家はあのあたりで…あの屋根がそうやろか」
彡(゚)(゚)「…まぁ、もう関係ないことやけどな」
彡(゚)(゚)「さて…遺書も書いた」
彡(゚)(゚)「両手で銃身持って…足の親指を引き金にかけて…」カチャ
彡(゚)(゚)「これで一発で死ねるな…」
彡(゚)(゚)「アッネ…ひとり残されて大変やろうけど、許してや」
彡(゚)(゚)「ほな……」グッ
ドーン…
後にこの事件をもとに横溝正史が「八つ墓村」を執筆することになる
終わり
というか事件発生から80年の節目って来年やったんやな、書いてる途中で気付いたで
(そのつもりで書いてて恥ずかしかった)
あと事件までの経緯はもう少し省略して被害者の詳細に力入れるつもりやったけど
諦めた まぁそこはwikiとかで補完してや
津山事件 - Wikipedia
元スレ
彡(゚)(゚)「ヤらせてぇや」
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1495377597/
彡(゚)(゚)「ヤらせてぇや」
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1495377597/
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コメント一覧 (18)
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- 2017年05月22日 08:14
- ヤらせてと結核と大正でわかってしもた...
いやな事件でしたね
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- 2017年05月22日 08:22
- なかなかクレイジーな事件やね・・・
ただ、過程を見ると現代でも十分起こりうるんだよな・・・
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- 2017年05月22日 08:53
- どうでもいいけど爺さんと同い年かぁ
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- 2017年05月22日 10:08
- 事件は有名で知ってたけど、もっと昔の事件かと思ってたわ
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- 2017年05月22日 10:18
- もろ地元の話やんか
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- 2017年05月22日 13:33
- 岡山の県北は怖いねぇ
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- 2017年05月22日 15:40
- 結核でわかった
こらえてつかーさい
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- 2017年05月22日 16:04
- ※7
岡山の県北であえる奴なら最高や
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- 2017年05月22日 16:38
- 猟銃って高いな
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- 2017年05月22日 20:03
- 結核の時点でまさかと思ったがやっぱりアレか
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- 2017年05月22日 21:51
- 送電線切ったところでやっとわかった
こういう事件とか興味あるからこういうスレが増えてくれると嬉しい
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- 2017年05月22日 22:29
- 津山三十人殺しやね
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- 2017年05月23日 00:36
- 日本ならでは、日本人ならではって感じの事件だよな。
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- 2017年05月23日 04:37
- 八つ墓村で犯人が日本刀と猟銃構えて迫ってくる時の
デン デデン デデン デン デデン デデン♪
てBGM最高にトラウマ
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- 2017年05月23日 23:36
- 津山の生き残りの子孫ってだけで俺驚かねんけど…
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- 2017年05月24日 18:03
- 時代が悪かったのか、家庭や周りの環境が悪かったのか、生まれ持った本人の資質が悪かったのか・・・・・・。
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- 2017年12月09日 07:43
- えらい昔やなと思ったらそんな事件があったんか
自分みたいな若僧には分かり易く昔の事件を知れるから良いね
それにしても早めのレスでこの事件のSSだって分かってる人凄いね