彡(゚)(゚)「竹の世界?」
-県立やきう大学 遺伝子工学研究所-
彡(゚)(゚)「うう…しんどいわ、もう深夜の二時かいな」
彡(゚)(゚)「朝までに遺伝子組み換えの竹のデータ取って、レポート書かんと…」
彡(゚)(゚)「……おや? このナンバー23のヨシダ君……なんやこの数値は」
彡(゚)(゚)「こんな数値になるはずが……うわ、これ完全に手順間違えてるやんけ」
彡(。)(;)「あああああ、全部やり直しやあああああ」
彡(゚)(゚)「あれ? でも異常に良い数値になってる…」
老人「おい」
彡(゚)(゚)「ほみゃっ!?」
彡(゚)(゚)「ビックリしたやんけ! 変な声出たわ!!」
老人「お前が作った竹な、それめっちゃスゴい」
彡(゚)(゚)「なんや急に、いや、確かにすごい数値やから植えてみようかと思たけど」
老人「すごすぎて地球がエラいことになるんや」
彡(゚)(゚)「は?」
老人「なので、植えたらどうなるか見せたるわ、ちょっと1年後まで行くで」
彡(゚)(゚)「えっ、うわなんや眼の前がチカチカする! 頭めっちゃ痛い!」
彡(゚)(゚)「ぎゃああああああああ」
老人「ついたで、お前の大学の1年後や」
彡(゚)(゚)「ま、まだ頭がクラクラするわ、ちょっと待ってくれ……」
彡(゚)(゚)「え…外やないか、それに太陽が出て…」
彡(゚)(゚)「なんやこれ、敷地がほとんど竹で埋まってるで」
彡(゚)(゚)「大学の裏山も、道も、コンクリートも突き破ってニョキニョキ生えてる!?」
老人「あの竹、ヨシダ君の生命力はすさまじい」
老人「竹は早く成長する、マダケなど最大で一日120センチも成長するが、ヨシダ君はそれを遥かに超える」
老人「しかも厚さ10センチのコンクリートもぶち割って突き出てくるんや、生えてきたと思ったら昼には人の背丈になっとる」
彡(゚)(゚)「パないなあ」
彡(゚)(゚)「せやけど竹は地下茎で周辺の個体がつながってるからな、農薬で簡単に枯らせるはずや」
老人「知られてる全ての農薬に耐性を持っとるんや」
彡(゚)(゚)「ファッ!?」
老人「しかも強力な薬を使うと、地下茎が自切してその個体を切り離しよる、もはや枯らすことは不可能なんや」
彡(゚)(゚)「な、なんちゅう…」
老人「これだけやないで、次は10年後ぐらいに行ってみよか」
老人「どこか見てみたい国はあるか?」
彡(゚)(゚)「国? ほんなら>>10で」
老人「ついたで、10年後の群馬や」
彡(゚)(゚)「この目がチカチカするの慣れへんなあ」
彡(゚)(゚)「おや、なんか硫黄くさいで」
老人「ここはあの有名な草津温泉や、温泉街が竹で埋まっとるやろ」
老人「草津の豊富な湯量によって、ここのヨシダ君はきわめて元気に成長しとる」
彡(゚)(゚)「建物も竹が刺さりまくっとるな……人もおらんようやし」
老人「人がおらん理由はやな、ほれ、地面を見てみい」
彡(゚)(゚)「ん? なんか地面を大蛇みたいに竹の地下茎が這っとるで」
彡(゚)(゚)「なんかえらい太いな…」
老人「ちょっとこのナタで切ってみよか」スパーン
ドババババ
彡(゚)(゚)「うお!? 熱湯が吹き出してきたで!」
老人「草津温泉の源泉は50度から90度に達する」
老人「この竹の地下茎は魔法瓶みたいな断熱構造をしとってな、しかも内部に節がなく、熱湯を吸い上げとるんや」
老人「竹に侵略されるだけでなく、切ったら熱湯が出てくるようでは、人は住んでられんわけやな」
彡(゚)(゚)「ほへー」
彡(゚)(゚)「ファっ!?」
老人「この仕組みのせいで、寒冷地でもまったく問題なく竹が育つ」
老人「さあ、この仕組みがわかったところで、次の時代に行ってみよか」
老人「行きたい国を選ぶとええで」
彡(゚)(゚)「ほんなら>>30に行くわ」
日本以外でお願いします
最安価>>35
老人「ついたで、50年後のインド、ニューデリー付近やな」
彡(゚)(゚)「前から一度来てみたかったんや」
彡(゚)(゚)「おや、なんか光が」
老人「!? バリヤー!」
彡(゚)(゚)「ほげえええええええええ」
彡(゚)(゚)「な、なんや今の爆風と衝撃は」
老人「お、驚いたやろ、ここは竹との戦いが最も激しかった辺りや」
彡(゚)(゚)「……いまバリヤー貼るのギリギリやなかったか?」
老人「そんなことより見てみい、爆撃機が大量に爆弾を落としたせいで、地面は穴だらけや」
彡(゚)(゚)「ほんまや、チェーンソー持った兵士たちが竹に立ち向かってるで」
彡(゚)(゚)「よく見たら普通のおばちゃんや子供もいるな、みんなでっかいナタを持ってるわ」
老人「しかし皮肉なことに、この戦いが竹の進化を促したんや」
バキーン
彡(゚)(゚)「うお!? ナタのほうが割れたで!?」
老人「地中から鉄分を吸い上げて、表皮に硫化鉄として纏ってるんや」
老人「しかも、あっちを見てみ」
彡(゚)(゚)「……おお、戦車が竹に突き上げられてる……」
老人「インド陸軍のアージュンMk3や」
老人「もはや戦車ですら勝たれへんちゅうことやな」
彡(゚)(゚)「じゃあ人類は絶滅するんか…」
老人「さあ、そこで次の時代に行こか、国を選びや」
彡(゚)(゚)「じゃあ次は>>55で」
老人「ついたで、ここは150年後、イギリスは北海の洋上や」
彡(゚)(゚)「なんや海の上かいな。きんいろモザイクのコッツウォルズに行きたかったのに」
彡(゚)(゚)「おや、あの突き出たモノは何や? 石油の洋上プラントかな」
彡(゚)(゚)「ん!? いやめちゃくちゃデカい! 空港よりデカい!」
老人「イギリスが持てる財産を全て吐き出して建てた、超巨大洋上ステーションや」
老人「面積はディズニーランド10個分、人口は15万人」
老人「北海油田から石油を、海水から原子力燃料を集めて自給自足を実現しとる」
彡(゚)(゚)「すごい設備やな…」
老人「イージス艦も常駐させとるで、守りを固めとるんやな」
彡(゚)(゚)「そうやなあ…きっと、この設備に入りたい人らがボートかなんかで近づいてくるんで、排除するために」
老人「その程度やったら巡視船で十分や」
彡(゚)(゚)「?」
老人「ちょうど来たようやわ」
彡(゚)(゚)「なんや……? 竹を編んだボートか? すごい速さや」
老人「竹の戦士たちや」
老人「竹の実はビタミンやミネラルが豊富で、種類によっては糖分を多量に含む、栄養価の高い食品なことは知っとるやろ」
彡(゚)(゚)「まあ竹の研究してたし、その程度は」
老人「ヨシダ君は色々な実をつけるが、ある種類の実には強い依存性と興奮作用があってな、人を戦士に変えるんや」
彡(゚)(゚)「……」
老人「竹の実しか受け付けなくなり、竹の繁殖だけを考える、そういう人間を育てよる」
老人「しかも強壮作用や鎮痛作用があり、ゴリラのような力も手に入るんや」
彡(゚)(゚)「せやけど、あんな竹の弓で」
ドバアアアアン
彡(゚)(゚)「ほげ!? 衝撃波の音が聞こえたで! 音速超えとる!!」
老人「さらにその竹の鎧はライフル弾も防ぐ、しかも前に言ったとおり断熱性も抜群や」
老人「防寒効果もあるし、火炎放射器も効かへん」
老人「見てみ、竹のジャンプ台を構えたで、あれで人間を打ち上げて空から攻撃する気や」
彡(゚)(゚)「うおお……人間を対空砲で撃っとる」
彡(゚)(゚)「しかもけっこう耐えとる、あ、乗り込んだ」
老人「さあ、どんどん行くで、次の国を選びや」
彡(゚)(゚)「じゃあ次は>>70で」
老人「ついたで」
彡(゚)(゚)「今回のチカチカめっちゃ長かったなあ」
老人「ここはお前の時代から5000年後、南アフリカのイシマンガリソ湿地公園や」
彡(゚)(゚)「なんか聞いたことあるな、世界遺産やったっけ」
彡(゚)(゚)「もう見渡す限り竹ばっかりやなあ」
老人「すこし移動しよか」
彡(゚)(゚)「なんや? 竹がびっしりと円型に並んでるで」
彡(゚)(゚)「地下茎がヨコに走って網目状になってる、檻みたいやな」
彡(゚)(゚)「中にいるのはゾウかいな?」
老人「そうや、アフリカゾウやな」
老人「南アフリカがアフリカの中でも特に多様な生物が住んどることは知ってるか?」
老人「動植物、魚も含めて、全世界の10%の種類がここにおるんや」
彡(゚)(゚)「ほーん」
彡(゚)(゚)「あれ? このオリを作ってる竹、透けてるで」
彡(゚)(゚)「中は…なんやこれ、魚が泳いでる……」
老人「草津温泉で見たパイプ状の竹やな、この中は海水が流れとる」
老人「見てみ、円型の檻がどこまでも広がってるやろ」
彡(゚)(゚)「ほんまや…蜂の巣のようや…」
彡(゚)(゚)「というか、これはもはや人口のものとは思われへんで」
彡(゚)(゚)「竹が勝手にやってるんか? 知性があるみたいやないか」
老人「ヨシダ君が今さら知性ぐらい獲得してないと思うか?」
老人「南アフリカだけやない、世界中から生物を集めて、竹のオリで飼ってるんや」
老人「そうして、生物のDNAを取り込んで自分の進化にでも役立てる気なんやろう」
彡(゚)(゚)「そう」
老人「リアクション薄いな!」
老人「まあええわ、次が最後や、一気に10万年後まで行くで」
彡(゚)(゚)「じゃあ>>80で」
彡(゚)(゚)「もう人類も滅んでもうたやろなあ」
彡(゚)(゚)「おや、人がいるで」
彡(゚)(゚)「あれは竹の住居やな、平屋でなかなか立派なんもあるわ」
老人「最後に生き残ったのは、竹と和解できた人々だけやった」
老人「日本では家具も道具も、建物さえも、竹で作れんものはないと言われとる」
老人「竹を切るノコギリさえも竹で作れるからな」
老人「ないな、竹は消毒作用があり、竹以外の植物を枯らしてしまう」
老人「いまや地球上で、ヨシダ君以外の植物は皆無に等しい」
老人「もちろん南アフリカのアレは別や」
彡(゚)(゚)「昔ながらの日本って感じやなあ、悪くない風景に思えるけど」
老人「しかし、この生活に至るまでに人間は全ての文化を捨てんといかんかった」
老人「しかもヨシダ君の進化も止まってしまうたんや」
老人「見てみ、もう硫化鉄の表皮もない、温水の通った地下茎もない、ただのマダケ同然や」
彡(゚)(゚)「ほんまや……」
老人「ヨシダ君は考えた、進化のために万物の霊長である人間と戦ったが、勝った後には何も残らへんかった」
彡(゚)(゚)「?」
老人「自分はもはや地球に等しい存在になったが、ただそれだけや、何でもできるけど、何もする必要がない」
彡(゚)(゚)「何を言うてるんや?」
老人「ひとつの植物が地球を埋め尽くしたら、それは地球がマリモになるだけではないか」
老人「だからすべての力を振り絞って、最後の進化を行った。地球規模のサイクロトロンを作り、重金属流体を加速させ」
老人「さらに人間以上の知性を持った人形を作り、自分の発祥へと遡る旅を」
彡(゚)(゚)「……」
老人「よう考えてくれや、頼むで……」
彡(゚)(゚)「ま、まさか、おっさん……」
彡(゚)(゚)「はっ!?」
チュンチュン
彡(゚)(゚)「朝……?」
彡(゚)(゚)「今までのは、すべて夢…?」
彡(゚)(゚)「いや……」
彡(゚)(゚)「ナンバー23、ヨシダ君、これは間違いなく存在してる」
彡(゚)(゚)「数値も異様なことは間違いない、やはり、あれは現実…」
彡(゚)(゚)「……どうする? ワイは、この竹の苗を植えるべきなんやろか……」
>>91 植える? 植えない?
彡(゚)(゚)「ワイはその苗を、大学の裏庭にこっそりと植えた」
彡(゚)(゚)「大丈夫や、ワイは今からヨシダ君の研究に取り掛かる、すでに未来は変化している」
彡(゚)(゚)「ヨシダ君にとって人類が進化の糧であったように、人間にとってもヨシダ君は進化の糧になる」
彡(゚)(゚)「ヨシダ君の強さをも取り込んで、人類はさらに進化できるはずや」
彡(゚)(゚)「次は負けへんで! ヨシダ君!」
彡(゚)(゚)「まあそれはそれとして」
彡(゚)(゚)「どうりであのおっさん、吉田義男に似てると思うたわ」
(おしまい)
中国のパンダ軍団を出せなかったのが残念
元スレ
彡(゚)(゚)「竹の世界?」
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1492948588/
彡(゚)(゚)「竹の世界?」
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コメント一覧 (14)
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- 2017年04月24日 09:51
- 世界はタケノコの里が支配した
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- 2017年04月24日 10:14
- これを安価にできんの凄いわ
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- 2017年04月24日 10:24
- 面白かった
植物同士の生存競争の場面も見たかったので
次回作は植物バトルものをお願いします
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- 2017年04月24日 10:24
- 申し訳程度のやきう分に草も生えない(ヨシダくんのせいで)
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- 2017年04月24日 11:32
- 竹生える|||
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- 2017年04月24日 11:44
- 小学校の帰りに2メートル位のタケノコ取って「おかあちゃん!これ料理してや!」って言ったら苦笑いしてたわ
懐かしいなぁ……
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- 2017年04月24日 12:07
- 竹被害が大きいのは工作に使えるマダケじゃなくて太い孟宗竹のほうなんだけどなあ
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- 2017年04月24日 12:27
- 老人を唐沢ボイスで読み上げたらワロタ
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- 2017年04月24日 13:42
- 面白かった。パンダ軍気になる
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- 2017年04月24日 15:23
- まさかの牛若丸
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- 2017年04月24日 17:59
- おっちゃんはエウレカかな?
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- 2017年04月26日 00:33
- パンダ軍団との戦い見たかったなw
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- 2017年04月26日 00:40
- すごい発想やな
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- 2017年04月26日 08:56
- 面白かった ほんとに面白かった